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1964-03-19 第46回国会 衆議院 本会議 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月十九日(木曜日)     ————————————— 議事日程 第十四号  昭和三十九年三月十九日    午後二時開議  第一 産業労働者住宅資金融通法等の一部を改   正する法律案内閣提出)  第二 逃亡犯罪人引渡法の一部を改正する法律   案(内閣提出)  第三 医療金融公庫法の一部を改正する法律案   (内閣提出)  第四 労働保険審査官及び労働保険審査会法の   一部を改正する法律案内閣提出)  第五 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、   承認を求めるの件  第六 農林漁業金融公庫法の一部を改正する法   律案内閣提出)  第七 農業改良資金助成法の一部を改正する法   律案内閣提出)  第八 北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時   措置法の一部を改正する法律案内閣提出)  第九 日本観光協会法の一部を改正する法律案   (内閣提出)  第十 奄美群島復興特別措置法の一部を改正す   る法律案内閣提出)  第十一 地方税法等の一部を改正する法律案(   内閣提出)  第十二 市町村民税減税補てん債償還費に係る   財政上の特別措置に関する法律案内閣提   出)  第十三 法人税法の一部を改正する法律案(内   閣提出)  第十四 租税特別措置法の一部を改正する法律   案(内閣提出)  第十五 物品税法の一部を改正する法律案(内   閣提出)  第十六 地方自治法第百五十六条第六項の規定   に基づき、税関支署及び税務署設置に関し   承認を求めるの件  第十七 日本科学技術情報センター法の一部を   改正する法律案内閣提出)  第十八 千九百六十二年の国際小麦協定締結   について承認を求めるの件(参議院送付)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  華山親義君の故議員松浦東介君に対する追悼演   説  鉄道建設審議会委員任命につき同意を求めるの   件  社会保険審査会委員任命につき同意を求めるの   件  所得税法の一部を改正する法律案内閣提出)   中修正の件  大平外務大臣日韓会談に関する報告について   の発言及び質疑  福田通商産業大臣中小企業基本法に基づく昭   和三十八年度年次報告及び昭和三十九年度中   小企業施策についての発言及び質疑  日程第一 産業労働者住宅資金融通法等の一部   を改正する法律案内閣提出)  日程第二 逃亡犯罪人引渡法の一部を改正する   法律案内閣提出)  日程第三 医療金融公庫法の一部を改正する法   律案内閣提出)  日程第四 労働保険審査官及び労働保険審査会   法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第五 放送法第三十七条第二項の規定に基   づき、承認を求めるの件  日程第六 農林漁業金融公庫法の一部を改正す   る法律案内閣提出)  日程第七 農業改良資金助成法の一部を改正す   る法律案内閣提出)  日程第八 北海道寒冷地畑作営農改善資金融通   臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提   出)  日程第九 日本観光協会法の一部を改正する法   律案内閣提出)  日程第十 奄美群島復興特別措置法の一部を改   正する法律案内閣提出)  日程第十一 地方税法等の一部を改正する法律   案(内閣提出)  日程第十二 市町村民税減税補てん債償還費に   係る財政上の特別措置に関する法律案内閣   提出)  日程第十三 法人税法の一部を改正する法律案   (内閣提出)  日程第十四 租税特別措置法の一部を改正する   法律案内閣提出)  日程第十五 物品税法の一部を改正する法律案   (内閣提出)  日程第十六 地方自治法第百五十六条第六項の   規定に基づき、税関支署及び税務署設置に   関し承認を求めるの件  とん税法及び特別とん税法の一部を改正する法   律案内閣提出)  相続税法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第十七 日本科学技術情報センター法の一   部を改正する法律案内閣提出)  日程第十八 千九百六十二年の国際小麦協定の   締結について承認を求めるの件(参議院送   付)   国事行為臨時代行に関する法律案(内   閣提出)   皇室経済法施行法の一部を改正する法律案(   内閣提出)    午前四時十七分開議
  2. 船田中

    議長船田中君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 船田中

    議長船田中君) 御報告いたすことがあります。  議員松浦東介君は、去る六日逝去せられました。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。  同君に対する弔詞は、議長において去る十二日贈呈いたしました。これを朗読いたします。   〔総員起立〕  衆議院は多年憲政のため尽力された元決算委員長農林委員長議員正四位勲二等松浦東介君の長逝を哀悼しつつしんで弔詞をささげます      ————◇—————  華山親義君の故議員松浦東介君に対する追悼演説
  4. 船田中

    議長船田中君) この際、弔意を表するため、華山親義君から発言を求められております。これを許します。華山親義君。   〔華山親義登壇
  5. 華山親義

    華山親義君 ただいま議長から御報告のありましたとおり、本院議員松浦東介氏は、去る三月六日東京赤坂山王病院において逝去されました。まことに痛恨のきわみであります。  私は、ここに、諸君の御同意を得て、議員一同を代表し、つつしんで哀悼ことばを申し述べたいと存じます。(拍手)  松浦氏は、明治四十年四月山形県天童市に生まれ、長じて大正十五年県立寒河江中学校を卒業されました。君の生家は地方名望家でありまして、厳父は村長、県会議員等をつとめられ、君もまた父祖の血を受け、若いころから政治には深い関心を寄せられておりました。  昭和十三年若くして県会議員となった君は、若き日の情熱を傾け、馬匹の改良、米作を中心とする農産業開発振興に挺身して県民の衆望にこたえ、県会議員にあること二期、よくその職責を果たされたのであります。  昭和二十一年四月、第二十二回衆議院議員選挙に際し、荒廃した農村の再建に尽くすため、新たな決意をもって、当時、全県一区の山形県から出馬し、みごと最高点をもって本院に議席を占められたのであります。自来、本院議員に当選すること七回、十三年七カ月にわたって在職せられました。  在職中、昭和二十三年には本院決算委員長として重責を果たされましたが、君の本領は農政にあり、二十六年農林委員長の重職に推され、翌二十七年第四次吉田内閣農林政務次官につき、その活躍は目ざましいものがありました。  君は、有数の農政通として農林部門において欠くことのできない逸材であり、党にあっては、政務調査会の副会長農林漁業基本政策調査会会長自由化対策特別委員会会長等の要職を歴任して手腕をふるわれました。また、米価農林金融土地改良、蚕糸の問題等の諸施策に関して君の説くところは、常にみずからの体験に基づいた卓越した意見が多く、同僚議員は党派を越えてひとしく敬服したのでありました。  特に、松浦氏が悲願として全力を尽くしたのは、積雪寒冷にしいたげられに悩まされ、農地の利用率のきわめて低い山形県を故郷とする君は、積雪寒冷のため、自然的、社会的に劣悪な条件のもとに置かれている全国単作地域における経済基盤を強化し、そこに働く人たちの生活を向上させることをもってみずからの責務とし、早くから同憂の諸君とともに苦心画策しておられましたが、この努力は、ついに昭和二十六年、積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法として実り、その実施を見るに至ったのであります。ここに、多年の懸案であった積雪寒冷に苦しむ単作地帯振興対策の路線ははっきりと示され、その後、農業生産の基礎的諸条件の整備は着々と進められ、これらの地域において営々として農業に従事する人たちに対し、多くの福祉をもたらしたのでありまして、松浦氏のこの偉大な功績はいつまでも語り継がれてまいることでございましょう。(拍手)  一昨三十七年十月、本院より派遣されて、ブラジリアにおいて開催された第五十一回列国議会明会議に出席し、また、ブラジルの政治経済事情を視察するとともに、多忙な日程をさいて南米の開拓地をたずね、その実情をつぶさに調査されました。その前後から君は健康を害しておられたとのことでありますが、十分な静養をとるいとまも惜しんで活動を続け、昨三十八年の夏、きびしい暑さと病躯に耐えて、党の米価懇談会委員長として米価問題の解決に取り組まれたときの君の旺盛な責任感には、周囲の人たちのすべて頭の下がる思いがしたとのことであります。次いで昨年十一月の第三十回総選挙に際しては、農民を思う情のあまり、御病気をも顧みず、敢然として立候補され、選挙の激しさに耐え抜かれたのでありまして、ここに、私は、公に奉ずる政治家の生涯のきびしさと御家族の御心情をしのぶとき、その限りないさびしさを覚えるのであります。(拍手)  このようなたゆみない御活躍が災いしてか、今月初め、病勢つのり、ついに入院のやむなきに至り、去る三月六日、五十六年の生涯を閉じられたのであります。  思うに、君の一生は死に至るまで、まさに農政一筋に貫かれたとうとい生涯でありました。資性剛直、まれにみる努力家勉強家であった君は、小柄な体躯に激しい闘志をみなぎらせ、はがねのような意思をもって、ひたすら農業のため、農民のために生きてこられたのであります。いまや、わが国農業歴史的転換期を迎えて、複雑な問題をはらんでいるこの重大なときにあたって、実行力豊かな農政通であった君を失いましたことは、全国農民にとって大きな不幸であり、国家にとって一大損失であると申さなければなりません。(拍手)  私どもは、政治家としてなお春秋に富む君の今後の御活躍に多大の期待を寄せていたのでありますが、いま、にわかに君がゆかれましたことは、返す返すも残念でありまして、哀惜の情いよいよ切なるものがございます。  ここに、つつしんで君が生前の業績をたたえ、心から御冥福をお祈りして、追悼ことばといたします。(拍手)      ————◇—————  鉄道建設審議会委員任命につき同意を求めるの件  社会保険審査会委員任命につき同意を求めるの件
  6. 船田中

    議長船田中君) おはかりいたします。  内閣から、鉄道建設審議会委員鈴木清秀君、根津嘉一郎君、稲山嘉寛君、佐々部晩穂君、西村健次郎君、柳満珠雄君、今野源八郎君、加藤閲男君を、社会保険審査会委員小田原登志郎君を任命したいので、それぞれ本院の同意を得たいとの申し出があります。右申し出のとおり同意を与えるに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも同意を与えるに決しました。      ————◇—————  所得税法の一部を改正する法律案内閣提出)中修正の件
  8. 船田中

    議長船田中君) おはかりいたします。  内閣から、所得税法の一部を改正する法律案に対し、修正したいとの申し出があります。     —————————————
  9. 船田中

    議長船田中君) 右案に対する修正を承諾するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。よって、承諾するに決しました。      ————◇—————  大平外務大臣日韓会談に関する   報告についての発言
  11. 船田中

    議長船田中君) 大平外務大臣から、日韓会談に関する報告について発言を求められております。これを許します。外務大臣大平正芳君。   〔国務大臣大平正芳登壇
  12. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 私は、この機会に、日韓会談経緯並びに現状概要を御報告申し上げ、あわせて、木交渉をめぐる主たる論点につき、政府見解を明らかにいたしたいと思います。  日韓間の諸懸案解決し、国交を正常化することを目的とする両国間の会談は、昭和二十六年十月の予備会談に始まり、その後十二カ年余の長きにわたり幾多の曲折を経て断続的に続けられ、今日の第六次会談に及んでおります。この交渉が、このように長年月を要しつつも、いまなお妥結に至っていないことは、この交渉が、それ自体いかに至難な外交案件であるかを物語るものであると思います。しかしながら、その間相互の理解と信頼は漸次深まり、昭和三十六年十月二十日開始された第六次会談におきましては、各案件につき相当の進展を示し、ことに、請求権問題は、昭和三十七年末までに大筋の合意を見るに至ったのであります。  昭和三十八年一月以降、討議中心漁業問題に移り、両国専門家中心として鋭意討議が続けられてまいりましたが、なお基本的な点につき解決を要する問題がありますので、韓国側の申し入れに応じて、去る三月十日両国農林大臣による会談が開始されるに至りました。一方、過去二年間予備交渉の形で進められてまいりました全面会談を、去る三月十二日本会談に切りかえて、諸懸案討議の促進をはかっておる次第であります。  以下、おもなる懸案につき、その討議進展状況及びわが方の基本的な態度について説明いたします。  まず、請求権問題について申し上げます。  サンフランシスコ平和条約第四条に基づく韓国の対日請求権につき、韓国側は、過去におきましては、いわゆる対日請求八項目を提示して、日本側がこの請求を認めることを要求し、これに対し日本側は、請求権として支払いを認め縛るものは、確たる法的根拠があり、かつ、事実関係も十分に立証されたものに限るとの立場を堅持しつつ、交渉を行なってまいったのであります。しかるところ、その後の討議におきまして、法的根拠の有無につきましては日韓間に大きな見解の隔たりがあるばかりか、事実関係を正確に立証することも、時日の経過とともに、不可能またはきわめて困難なことが判明するに至りました。しかしながら、この問題を未解決のままいつまでも放置することは許されませんので、日本政府といたしましては、この困難を克服するためには、何らかの新たなくふうをこらすよりほかに道のないことを認めるに至ったのであります。  この新しいくふうとして考えられた構想の骨子は、将来にわたる両国間の親交関係確立の展望に立ちまして、この際、韓国の民生の安定、経済発展に貢献するため、同国に対し、無償有償経済協力を行なうこととし、このような経済協力供与の随伴的な効果として、平和条約第四条の請求権問題が同時に解決し、もしくはもはや存在しなくなったことを日韓の間で確認するというものであります。このような基本的考え方を軸として真剣な折衝が続けられました結果、同年末、両国政府はこの考え方原則的に同意するに至り、無償経済協力は三億ドルを十年間にわたり日本国の生産物及び日本人の役務により供与し、また、長期低利借款は二億ドルを十年間にわたり海外経済協力基金より供与することとなったのであります。  次に、漁業問題に関しましては、過漁業技術上の格差が著しいため、あくまで李ラインの存続を固執する韓国側主張と、李ライン国際法上不法不当でこれを認め得ないとする日本側主張がまっこうから対立し、話し合いの糸口すら見出し得ない状況でありました。しかしながら、第五次会談以降、双方理解も次第に進み、討議はようやく軌道に乗り、昨年夏ごろまでに、漁業問題の解決は、国際慣行を尊重したものであること、魚族資源の最大の持続的生産性を確保する見地に立つこと、公平にして実施可能な規制方式をとること、これまでの操業実態を尊重すること等について、原則的な意見の一致を見た次第であります。そして、かかる諸原則を、当該海域地理的条件漁業実態につき、いかに具体化するかに関し、両国間の合意を見ることが、当面の問題として討議されておる状況であります。  日本側といたしましては、これらの原則に基づく具体的な提案として、季ラインの撤廃を前提漁業交渉妥結をはかること、漁業専管水域設置は認めるが、その幅員については国際先例に従い十二海里とすること、漁業専管水域幅員をはかる基線につきましても国際通念に基づいた合理的なものでなければならないこと、漁業専管水域の外側の公海は原則として自由に操業をなすべきであるが、資源保全のため、公平かつ実施可能な規制を行うことの諸点を主張しております。  また、韓国側は、韓国漁業の立ちおくれを指摘し、特に沿岸漁民技術水準向上のために日本側協力することを希望しております。日本側としては、漁業問題が合理的内容をもって妥結することを前提として、通常の民間の信用供与を通じてこの韓国側要望にこたえるよう検討いたしております。  また、韓国側は、わが国にある韓国文化財の返還を主張しております。すなわち、国民感情として文化財は大きな意義を持っておること、文化財はその出土の地において保存し研究するのが今日の世界の趨勢であること、朝鮮動乱によって韓国にあった文化財の多くが大きな被害を受けた事情等を強調いたしております。これに対し、日本側としては、これらの文化財韓国側に引き渡すべき義務があるとは考えていないが、日韓間の友好関係の増進を考慮し、文化協力の一環として、ある程度韓国側要望にこたえたいと考えております。  在日韓国人法的地位の問題について申し上げます。  終戦の日以前に来日し、引き続き在留している者と日本で生まれたその子孫である在日韓国人は、平和条約発効のときまでは名実とも日本人として居住していたものでありますが、平和条約発行に伴い、自己の意思によらないで日本国籍を喪失し、その結果、それまで日本人として受けていた待遇を失ったのであります。政府としては、このような特殊な事情を考えると同時に、将来国内に政治的、社会的禍根を生じないよう配慮しつつ、日韓双方の納得できる合理的な解決をはかりたいと考えております。これまでの会談において、永住権を付与する者の範囲、永住権を付与された者に対する退去強制及び処遇の問題、永住目的韓国に帰還する者の持ち帰り財産問題等について討議が行なわれ、その結果、問題点は相当煮詰められてきております。  竹島問題に関しましては、日韓会談妥結し、国交正常化が行なわれる際、このような領土紛争解決の見通しなく日韓の間にわだかまっていることは、両国友好親善関係の将来にとり悪影響を及ぼすと考えられます。よって、政府は、国交正常化の際には、少なくともこの問題解決のための明確な目途を立てておく必要があるという考え方に立ちまして、交渉を続けております。  なお、これまでもしぱしば明らかにしておるとおり、現在韓国政府支配朝鮮半島の北の部分には及んでおらず、その地域に現実に支配を及ぼしておる政権が存在する事実は、日本政府としてもこれを考慮に入れて交渉に臨んでおる次第であります。  以上が、日韓交渉経緯現状概要であります。  私は、両国国交を正常化することは、いまや日韓双方国民的要望となっているものと信ずるものでありますが、なお、世上本交渉に対する反対論議が存することも事実でありますので、この機会に、そのおもなる論点につき、政府見解を明らかにいたしたいと思います。  日韓会談目的は、両国関係を正常化することであり、あわせて、各種の懸案解決し、過去の行きがかりにとらわれない新しい友好関係を築こうとするものであります。しかるに、日韓両国国交正常化極東の緊張と不安を激化するやの議論を耳にすることがありますが、両国関係を正常でないままに放置することこそ両国民の不幸であり、逆に両国が相協力して、安定と繁栄の道を進むことが、アジア全体の平和と安定に寄与するゆえんであることは自明の理であります。(拍手)現在北朝鮮承認しておる国は、共産圏諸国を主とする十九カ国にすぎないのに対し、韓国政府国際連合においても合法政府として認められ、世界主要国をはじめとして七十三カ国によって承認されておることは御承知のとおりであります。この韓国と地理的、歴史的、文化的に最も密接な関係を有するわが国友好関係を持つことは、全く当然のことであると申さなければなりません。  次に、韓国との国交正常化朝鮮分裂を恒久化し、その統一を阻害するものであるとの議論があります。朝鮮統一が容易に実現しないのは、抜きがたい国際的勢力の対立を背景として、韓国北鮮早期統一主張する点では一致しながら、その統一方式に関し全く相いれない立場をとっておることがその原因であることは、周知の事実であります。すなわち、韓国は、国連監視下の全朝鮮自由選挙に基づき、全朝鮮単一政府をつくるという、いわゆる国連方式を終始一貫支持しておるのに反し、北鮮側は、朝鮮統一問題に国連が介入することに反対立場を維持しておるのであります。北鮮側国連の権威と権限を認め、国連方式による統一に賛成しさえすれば朝鮮統一は実現し得るものであります。したがって、日韓国交正常化朝鮮分裂を恒久化するというがごときは、まさに牽強付会もはなはだしいものであると申さねばなりません。(拍手)  次に、日韓会談米国との関係について一言いたします。  日韓両国国交を正常化すること自体が、アジアの安定と繁栄に寄与するものである以上、これに重大な関心を持つ米国が、両国国交正常化を希望ます。しかしながら、両国の間の交渉は、それ自体あくまで両国がそれぞれ独自の立場から行なっておるものであり、米国が圧力を加えたり、干渉したりしたというような事実は全くございません。  さらに、一部には、日韓国交正常化日米韓三国の反共軍事同盟、あるいはNEATOなるものの結成を目標としておるとの議論があります。御承知のとおり、わが国日米安保条約により、米国との協力のもとにわが国の安全を確保するとともに、極東の平和に寄与することを外交政策基本といたしております。政府は、日米安保条約のワクを越えて、極東において軍事的な役割りを引き受けることを意図したことはなく、また、そのようなことはわが国の憲法のたてまえからも不可能であることは明らかであります。  次に、韓国経済情勢が不安定であるとの理由により、国交正常化を見合わせるべきであるとの論に対して一言いたしたいと考えます。  韓国経済が非常な困難を経験しておることば、これを率直に認めねばならぬと思います。しかし、この点に関しては、韓国が年々増加する人口を擁するにかかわらず、天然資源に恵まれず、あまつさえ朝鮮動乱によってほとんどすべての生産施設を失ったという事実、さらには朝鮮動乱勃発経緯にかんがみて、自国防衛のため軍事力維持のために、軍事費に膨大な財政支出を充当せざるを得ない実情を考えるべきであります。むしろこのような条件のもとに置かれた韓国経済が、これまで幾多の困難を切り抜けてきた事実にこそ思いをいたすべきであります。韓国政府も目下、自国経済再建発展にその政策の最重点を置いておるものと承知しております。これにこたえて、米国はもちろん、ドイツ、イタリア、フランス等西欧諸国韓国に対する経済協力に積極的な熱意を示しておることを指摘いたしたいと思います。このときにあたって、隣国である日本が、これに対しできる限りの協力の手を差し伸べることこそ、日本国民の国際的、道義的責務であると申しても過言でないと信じます。(拍手)私は、このような観点から、わが国韓国に供与する有償無償経済協力につきましても、国民各位の十分の御理解が得られるものと確信いたしております。  最後に、韓国政権を非民主的な不安定な政権と断じ、これを相手とすべからずとの主張が一部にあります。韓国におきましては昨年十月十五日に大統領選挙を行ない、民主共和党から立候補した朴正煕氏が当選し、続いて十一月二十六日の国会議員選挙においては、民主共和党が全議席百七十五のうち百十議席を獲得し、単独で院内の安定勢力を確保し、軍事政権がその成立の当初公約した民政の移管が実現したのであります。そしてこの大統領選挙国会議員選挙が、いずれも自由かつ公正に行なわれたことは、国連朝鮮統一復興委員会の報告によっても確認されたところであります。私は、このように民主的に選出された韓国政府を相手として、日韓両国国交正常化のための話し合いを行なうことは、国際的に見ても当然の常識であると信ずるものであります。民主主義体制をとる韓国内部において、現在の日韓交渉に対し批判ないし反対の声があることは承知しておりますが、韓国国民の大多数は両国国交正常化それ自体には反対しておらず、むしろこれを強く希望しておることは、最近行なわれた世論調査の結果を見ても明らかであります。また、日本国民の大多数が両国国交正常化を支持しておることは、過ぐる衆議院議員選挙の結果が如実に物語っておるものと思います。のみならず、わが国の主要新聞の論調は、日韓国交正常化自体両国が当然なすべきことであるとの点において一致し、さらに世論調査の結果も賛成論が圧倒的に多く、反対論は微々たるものであることを示しております。  私は、このような日韓国交正常化に対する国民的支持を背景として、国民各位の納得のいく内容をもって懸案解決されるよう、鋭意努力を傾ける所存であります。ここに、国民各位の一そうの御指示と御協力をお願いいたしまして、報告を終わります。(拍手)      ————◇—————  日韓会談に関する報告についての発言に対する質疑
  13. 船田中

    議長船田中君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。これを許します。松本七郎君。   〔松本七郎君登壇
  14. 松本七郎

    ○松本七郎君 私は、日本社会党を代表し、ただいまの大平外務大臣日韓会談に関する報告に対しまして、総理並びに関係大臣に、以下数点にわたって質疑を行ない、その所信をたださんとするものであります。(拍手)  われわれは日韓会談妥結へ向かっての最近の急速な動きに特に注目をいたすものであります。両国農林大臣会談は一とんざを来たしたとは申せ、金鍾泌氏の来日を控えまして、会談はいまやきわめて重要な最終段階を迎えようとしております。しかるに、政府は、妥結を目ざす今日の段階に至っても、なお両国間の重要な基本的諸問題について、明確な信念と方針を堂々と世間に訴え、そうして国民理解と納得を得ようとの態度すらとることができずに、従来どおりのごまかしとおざなりの報告に終始したことは、きわめて遺憾でございます。(拍手)  まず第一に、基本問題のうちの基本ともいうべき韓国政権支配の及ぶ範囲についてさえ、これまでわれわれを納得させるような説明や答弁は一度もなされておりません。政府は、国会を通じまして、韓国政権が三十八度線以南の限定政権であるとの解釈をすでに明らかにしております。ただいまの報告にもそのことは述べられました。これに対して韓国側がどういう態度をとっておるか、ここに問題があると思うのです。韓国側は、北朝鮮も当然韓国の管轄権内に入ると主張しております。条約や協定の効力の及ぶ範囲にかかわるこのような重大な基本点につきまして、意見が対立しているままで協約が結ばれるならば、いかなる協約もそれは暴挙であり、陰謀と評するほかはないのであります。(拍手)  この問題に関する去る二月二十五日の本会議における山本幸一議員の質問に対しまして、池田首相は、韓国側も了解している、こういうふうな答弁をして、さも限定政権韓国側が認めていると受け取れるようなごまかしの答弁をしております。しかし、事実はそうではないのです。韓国側は、日本が限定政権論をとり、したがって両国の間に意見の相違がある事実を了解しているにすぎないのです。現に去る十日、ソウルにおける日本人記者団との会見におきまして、韓国民主共和党議長である金鍾泌氏は、国交正常化の方式は、共同宣言ではなく、基本条約によりたい、管轄権については、北朝鮮は当然韓国の管轄権内に入る旨を言明し、そうして重ねて限定政権論を否定しているのです。したがいまして、日韓両国の将来に紛争の種を残さないためにも、この問題について、少なくとも日本政府主張、すなわち、一九四八年第三回国連総会の決議に述べてあるように、三十八年度線以南の部分における選挙民の意思に基づく限定政権にすぎないということを韓国側にはっきり認めさせることこそ、日本政府基本的態度であるはずでございます。(拍手)ところが、韓国は、憲法においても北朝鮮を管轄権下に含む旨を明記しているのであります。池田総理は、このような立場に立っておる韓国側に限定政権を認めさせる確信があるのか、このことをはっきりさしていただきたい。その方式は、基本条約に明記するのか、あるいは共同宣言または交換公文でやるつもりなのか、あわせてこの際明らかにされたいのであります。  第二に、李ラインの撤廃問題でございます。  日韓漁業問題は、そもそも国際法上の不法ラインである李ラインの一方的設定によって生じたものであることは、政府もしばしば言明してきたところでございます。ただいまの報告にもございました。日本政府は、これまでも季ラインの撤廃が漁業協定締結前提であるといたしまして、その撤廃が可能であるかのごとく宣伝してきました。けさの参議院の外務委員会におきましても、大平外務大臣はやはり再度この点を言明されておるのでございます。しかし、ここにもごまかしがあります。日本国民関心事は、李ラインという名称がなくなることではなく、これにかわるいかなる不法ラインによっても公海上における日本人の権益が侵されないという保障を取りつけることにあるのです。(拍手韓国は、言うところの平和ライン、すなわち李ラインにかえて、国防ラインを存置しようといたしております。かかる規制ラインの一方的存続は、将来必ずスパイ防止その他国防上の措置に名をかりて日本漁船が不当な圧迫を受けることは、従来の李ラインに徴しましても、火を見るより明らかであります。平和ラインを国防ラインと改称し、李ラインを朴ラインに変えるだけのことです。しかるに日本政府は、漁業協定ができれば李ラインは無害になるというような甘い観測を持って、またもや韓国が不法にも一方的に設けようとしておる国防ラインを黙認しようとしています。もしも日本政府が真に会談妥結を望むのならば、従来からの公約どおり、李ラインに類するいかなる規制ラインの設定も許さぬという明文上の保障を取りつけるべきであります。池田総理にその意思と成算ありや伺いたいのです。  また、漁業交渉におきまして、しばしば専管水域十二海里説が伝えられました。韓国側が十二海里説に歩み寄るということが、あたかも韓国の大譲歩であるかのごとき印象を与えております。しかし、これは日本漁業の利害に大きな影響を及ぼす問題でございます。専管水域十二海里及び直線基線は、やがて日本の、アフリカ、沿海州、アリューシャン、カナダ、歯舞、色丹、あるいは国後、択捉等の水域における漁業に影響をするものと思われます。なお、これと関連いたしまして伺っておきたいのは、第二回の国際海洋法会議では、領海六海里、専管水域六海里案に日本も賛成しております。これは、日本政府がこれを機会に従来の領海三海里説を捨てて、六海里に改めたものと了解してよいのかどうか。海洋国日本としましては、これらの諸問題は、世界各国と日本漁業の利害関係に響く重要問題でありますから、政府の明確な確定解釈を伺っておきたいのです。  さらに、この際はっきりさしておきたいのは、済州島をめぐる基線の引き方であります。これは農相会談でも両国間の対立点となったように報ぜられておりますが、日本政府としては、基線の設定にあたり、済州島を朝鮮半島本土と切り離すという、この原則をあくまで堅持するのかどうか、明らかにされたい。  第三は、竹島問題です。  この問題についても、日本政府は以前から、韓国の不法占領であるという主張をなしてきました。いまの報告にもそれがありました。したがって、会談妥結の前に、韓国側が不法占領を解くことが先決でございます。しかるに、大平外相の最近の言明では、解決の方法さえ両国間で一致すればよいという態度が見えております。これでは私は解決の保障にはならないと思う。国際司法裁判所へ提訴するについて、韓国側の応訴受諾が確約されるとでもいうのでしょうか。言うまでもなく、日本政府がいかに強く提訴を主張しましても、相手国の応諾がなければ解決の糸口さえもつかむことはできないわけです。それとも、第三国の調停によって、必ず竹島の不法占領が撤去されるという見通しがついたとでもいうのでしょうか。大平外相の明快な説明を求めたい。  同時に、池田首相にもその所信をただしたい。それは、竹島問題を国際司法裁判所に提訴するとの主張には韓国側があくまで反対するようでございますが、その場合に、第三国による調停案に譲歩する用意があるのかどうか。その場合、第三国とは一体どこをさすのか。かつてはマッカーサー・ラインやクラーク・ラインを設立し、いまでも現に韓国並びに日本に軍事基地を持っているアメリカに公平なるべき第三国としての資格があるでしょうか。国務長官が両国に対し会談の早期妥結を慫慂したり、あるいは上院議員日本大使を前に公然と憲法解釈論をぶったり、憲法改定要求まで出して、あたかも属領扱いにして平然としているようなアメリカを、公正なる第三国とは夢にも考えられない。日本政府としては、アメリカにも第三国として調停依頼することがあり得るのかどうか。万一アメリカだとすれば、ドルの力をかりて竹島の解決をはかろうとでもいうのでしょうか。第三国とはどこの国を想定しているのかを明らかにされたい。  次に、会談の相手方である韓国内の実情、朴政権の実体について、政府ははたして正確な認識を持っているかどうか。ただいまの外務大臣の報告も、いかにも形式的な上すべりの認識しか持っていないことがここに明らかにされたわけです。民政移管による民主政府とは名ばかりである。昨年秋の総選挙は、朴軍事政権居すわりのまま、あらゆる不法干渉のもとに行なわれたと伝えられております。それにもかかわらず、朴大統領及びその与党たる民主共和党が、過半数にはるかに及ばぬ三割程度の支持票しか得られなかったことは周知の事実であります。言語に絶する不法干渉や違反行為によって多数の議席を占めただけの朴政権が、どうして韓国大多数の信任の上に立つといえましょうか。(拍手)その地位の弱さをみずから知ればこそ、朴政権は、昨年末からあらゆる術策を弄して野党の抱き込みと国民世論の懐柔につとめてきております。超党派外交あるいは超党派議員団の派遣という放送が、韓国政府・与党から幾たび流されたことでしょうか。しかも、ついに朴政権の試みは失敗に帰し、韓国内には日韓会談反対する声がほうはいとして高まっています。池田首相は、朴政権の甘い情報に踊らされて、何べん自民党総裁の名で韓国与野党あての招待状を書き直しましたか。しかも結局は、韓国野党は訪日議員団参加をボイコットし、来日したのは与党議員だけでした。不見識きわまる招待といわねぱなりません。訪日議員団への参加を拒否した韓国の野党の議員たちは、いま全力をあげて日韓会談反対国民運動を展開し、至るところの演説会場で予想以上の大衆を集め、気勢大いに上がっていると伝えられています。しかも、最近ひんぴんと伝えられる特派員の報道によりますと、韓国内でも南北朝鮮統一が公然と叫ばれ、従来になく統一機運が高まっているといわれています。いまや韓国内でも、日韓会談妥結をあせる朴政権は、ますます韓国民大衆から浮き上がっております。このような韓国の現実を政府はどう見られるか。  われわれは、もとより、韓国野党が主張するような、請求権二十七億ドルの要求あるいは李ライン固守などに同意するものではありません。しかし、韓国野党の主張が大多数の韓国民の共感を呼び、朴政権反対の世論を高めているという事実は、厳粛にこれを直視しなければなりません。日本側に過去の対韓侵略に対する反省が欠けているということ、また、アメリカの要求や、財界の対韓進出の意欲と自民党内の親韓ロビーの突き上げのままに、政府が朴政権のてこ入れのため会談妥結を強行しようとしている事実、このような現在の会談のペースに対する韓国民の痛烈な批判が反映されているのであります。この最も大切な点の認識が政府に欠けているために、大野副総裁が親愛の情のつもりで述べた、朴大統領は私のむすこのようだという、このことばも意外な反発を招き、また、請求権を引き当てにした日本財界の先を競う経済進出が、きびしい不信の念をもって迎えられていることになるのです。  現在韓国では、小麦粉、砂糖、セメントの三つの粉の横流しによる不正取引事件、いわゆる三粉事件、及び在日韓国人の財産持ち帰り、すなわち、いわゆる在日僑胞の財産投入を擬装した日本商社の進出事件などをめぐる政治資金の荒かせぎ問題が、韓国の国会では国政監査要求の対象になるなどして、黒い疑惑として世論の攻撃にさらされています。かつてのセナラ自動車の事件にしろ、あるいはまた、伊藤忠の朝鮮紡織会社への中古機械の売り込み事件にしろ、韓国での疑惑事件は常に日本との結びつきが問題になっています。首相はこれらの憂慮すべき韓国内の事態をどのように判断されているのか。  さらにわれわれは、朴政権の陰の実力者といわれる金鍾泌民主共和党議長の行動に注目せざるを得ません。金氏は、一昨年の大平・金密約による請求権問題解決の実績を誇り、いままた来日して、政府政治的裏口取引をしようとしているといわれています。しかも、その金氏は、東京に直行せず、まず台湾に飛んで、蒋介石国民政府総統と会談し、次いで、戦火の絶えない南ベトナムに飛んで、硝煙を身につけたまま来日する予定といわれております。これは、池田首相が否定してやまない北太平洋軍事同盟——NEATO構想を身をもって体現している姿ではありませんか。この金外遊と時を同じくして、朴政権の金聖恩国防長官は、公然と、NEATO結成、推進を語っているのであります。池田首相がいかに否定されましても、相手方の朴政権はNEATO感覚まる出しで今後の外交を進めようとしているのです。まことに、現在のペースの会談妥結は、危険きわまる軍事的かけごとであると断言せざるを得ません。(拍手)  大平外相は、外務委員会での答弁では、しきりに、金鍾泌の来日が単なる個人の資格のものであって、政府の関知せざるところであるやのポーズをとり、金氏との会談に消極的態度を表明しておられました。しかるに、韓国側では、農相会談行き詰まりの打開を金鍾泌氏の訪日に期待しております。この重要段階において、日本政府の首脳としては、韓国政府代表でもない金氏と会談して、再びやみ取引の疑惑を深めるがごときは、断じて避けるべきだと考えます。(拍手)首相の明確な答弁を求めます。  以上、指摘しましたように、国際法上の違反行為があいまいのままにごまかされ、日本経済の進出が韓国民の不信を深め、軍事的結合だけが強められるのでは、決してこれは日韓両国民の友好関係を将来にわたって打ち立てることはできないと思います。むしろ禍根を深めるだけです。国民の血税が特定の権力者だけを喜ばせ、一部業者をもうけさせながら、双方の零細漁民の不満を買い、やがて両国民間の友好を傷つけ、相互不信を増大させて平和の破壊に通ずるがごときは、断じて許すことはできません。(拍手)かつて、日本の保守政権は、台湾の国民政府を限定政権規定しながら、大陸反抗に淡い期待を寄せ、国民政府と深入りし過ぎたばかりに、今日中国とフランスの関係が改善されたのを契機にして急速に進展しようとしている世界情勢についていくこともできず、立ち往生しているのが、あわれな日本の姿であります。いまこそ、日本の自主外交を確立する絶好の機会だと思います。内外の反動勢力や韓国ロビーの突き上げに動揺して、性急な日韓会談妥結をはかることは、過去の誤りを再び繰り返すことになります。これは国民に対する重大な背信行為であることを、政府はこの際銘記すべきであります。  首相はまた、山本幸一議員の質問に答えまして、山本君以上に南北朝鮮統一を熱望している旨を答えております。それが首相の真意であるならば、基本問題について完全解決のめどの立たないような日韓会談は直ちに打ち切るべきであり、せめて南北両朝鮮日本との三者会談を提唱して、朝鮮統一に向かって一歩でも前進するよう努力すべきであります。(拍手)  もし政府が、われわれの再三にわたるこの警告を無視して、会談妥結を強行せんとするならば、批准はおろか、調印阻止の闘争が院の内外に巻き起こり、やがて池田内閣打倒にまで高まるであろうことをここに宣言して、私の質問を終わります。(拍手)   〔国務大臣池田勇人君登壇
  15. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) お答えいたします。  韓国は、一九四八年の国連の決議によりまして、朝鮮における唯一の合法的政権であると認められておるのであります。しこうして、また、北朝鮮に対しまして支配権が及んでいないことも万人の認める事実であります。したがいまして、われわれはこの二つの事実を念頭に置きまして、日韓会談妥結いたしました暁には、正常化をいかなる形式で表現するかにつきまして、大筋の合意を得たいと考えておるのであります。私は、こういう事実を頭に置いて交渉しておりますので、妥結の暁には共同宣言でいくか、あるいは交換公文でいくか、条約でいくかということは、はっきりいたしたいと考えております。  次に、李ラインの問題でございますが、これは外務大臣が申しておりまするごとく、初めから日本は認めておりません。したがいまして、私は、あなたのおっしゃる国防ラインの内容はまだ知っておりませんが、少なくとも、公海の上におきまして一定の区画を定めて排他的な国家権力を行使するということは、公海自由の原則から許すべきでないということは自明の理である、とはっきり申し上げておきます。(拍手)  次に、専管水域の問題、いろいろ御質問がございましたが、ただいまの大平外務大臣の説明で全部尽きておると思います。  ただ、特にお話になりました問題で私が答えたほうが適当であるということにつきまして答え、あとは外務大臣よりお答えさすことにいたします。  金鍾泌氏の訪日につきましては、私はつまびらかにしておりません。個人的立場でおいでになると聞いております。私はこの人といま会談する考えは、予定も何もございません。  それから、韓国の内情につきましていろいろお話しのようでございますが、少なくとも公正な選挙によりまして、百七十五名のうち百十名を持っていることは、ちょうど日本におけるわが自由民主党が三分の二近く持っておると同じ割合でございまして、安定勢力といって何ら差しつかえないと考えておるのであります。  また、韓国の一部の人がNEATOいわゆる軍事同盟を云々しているから、日本が軍事同盟を結ぶんじゃないかと心配するに至っては、いかに自主性のない心配だと私は笑わざるを得ない気持ちがするのであります。(拍手大平外務大臣が申したごとく、憲法上軍事同盟が結べないことははっきりしておるじゃありませんか。また、内閣もこれをはっきり言っておるのであります。それを心配するということはいかがなものかと思うのであります。  なお、竹島問題につきましては、問題解決の方法につきまして明確な目途、方式をきめておくことが必要であると思います。  また、次に、韓国と北朝鮮日本と三者会談をやったらどうかというお話でございますが、われわれは、先ほどお話があったごとく、朝鮮統一を望んでおります。しこうして、国連はいまの韓国政府を合法政権として、これを頭に置いて行動すべきと国連で決議しておるのであります。しかも、また、われわれは、二つの朝鮮が本来あるべきでないと考えておるのであります。したがいまして、三者会談をやる考えは毛頭ございません。これは日韓会談をじゃましようというこんたんから出ておるんじゃないかと疑われる節がありますので、三者会談は私はやる考えはございません。(拍手)   〔国務大臣大平正芳登壇
  16. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) 総理からあらましお答えがありましたが、私から補足いたします。  十二海里の問題は韓国日本との間の漁業協定に関連しての問題でございまして、領海とは関係ございません。わが国の領海は従来どおり三海里であると心得ております。  竹島の問題につきましては、わがほうの提案と先方の提案とが平行線のままでございまして、松本さんがおっしゃる第三国というのは先方の提案の中にそういう考え方がありますが、これは特定の国を目ざしての御提案ではございません。  それから経済協力の問題でございますが、これはもとより韓国経済発展、民生の安定に寄与するべく運用されなければなりません。一部の利害関係に片寄ってならぬことは当然でございます。今日の国際環境のもとにおきましては、経済侵略などというものが考えられないことは、松本さんもよく御承知のことと思うのでございます。今日の韓国政治経済の状態をどう評価しているかの点につきましては、ただいま総理からもお答えがありましたし、私の御報告の中でお読み取りいただきたいと思います。(拍手)   〔国務大臣赤城宗徳君登壇
  17. 赤城宗徳

    国務大臣(赤城宗徳君) 専管水域の問題につきましては、外務大臣から報告がありましたように、韓国側は初め四十海里を主張いたしておりました。しかし、現在その主張はいたしておりません。しからば、十二海里の専管水域を設定するということは、韓国側が譲歩したというふうに見ておるかということでございますが、私はそう見ていません。当然のことだと思います。御承知のように、ジュネーブの海洋法会議におきまして採択されました領海及び接続水域に関する条約、及び最近の諸国間に締結されました先例等によって専管水域は十二海里とするのは、あえて韓国側の譲歩でなく、当然のことと思っております。でありますので、韓国の本土と済州島との間におきましても、当然この採択された条約あるいは国際慣行に従って専管水域というものを設けるべきものだ、こういう主張を続けておりまするし、それで通していきたい、こう考えております。(拍手
  18. 船田中

    議長船田中君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————  福田通商産業大臣中小企業基本法に基づく昭和三十八年度年次報告及び昭和三十九年度中小企業施策についての発言
  19. 船田中

    議長船田中君) 福田通商産業大臣から、中小企業基本法に基づく昭和三十八年度年次報告及び昭和三十九年度中小企業施策について発言を求められております。これを許します。通商産業大臣福田一君。   〔国務大臣福田一君登壇
  20. 福田一

    国務大臣(福田一君) 中小企業基本法に基づきまして先般政府が国会に提出いたしました、昭和三十八年度中小企業に関する年次報告及び昭和三十九年度において講じようとする中小企業施策について、その概要を御説明いたします。  まず、中小企業の動向と問題点について申し述べます。  わが国の中小企業は、企業数三百二十万で、全企業の九九%に当たり、また就業者数は千七百二十万で、農林水産業を除く民間産業就業者二千六百二十万の六六%に当たり、国民経済の中できわめて大きな地位を占めておるのであります。  昭和三十年以降わが国経済は著しい発展を遂げてきたのでありますが、この間に技術の革新的な発展、貿易・為替の自由化を中心とする国際経済環境の変化、所得水準の上昇による消費内容の変化などの理由によりまして、全般的な需給構造に変化があらわれ、また労働力の需給面におきましても、若年層を中心に著しい不足傾向が出てきたのであります。  中小企業は、このような経済条件の変化により大きな影響を受けましたが、これに対応する努力を重ねまして、全体としては相応の発展を示し、その従業者の所得もかなりの向上を見たのであります。  しかし、このような経済条件の変化は、これまで豊富低廉な労働に依存して低い生産性を補いながら、狭い限られた市場で事業活動を行なってきた中小企業の歴史的、伝統的な存立の基盤を大きくゆるがすものであるだけに、条件変化に対する中小企業の適応度合いは、大企業に比べ、はるかに立ちおくれておるのであります。  そのため、現在までの段階におきましては、中小企業と大企業との間の生産性、企業所得、賃金などにおける格差はまだかなり大きく開いておりますとともに、中小企業の内部におきましても、業種、業態に応じ、成長する企業と停滞する企業とが見られるのであります。  まず、中小企業と大企業との格差について見ますと、付加価値生産性の格差は、三十年以降三十六年まで拡大傾向が続いておりましたが、三十七年にはかなりの縮小を見せておるのであります。三十七年におきましては、全産業における法人中小企業の付加価値生産性は、大企業の四六%程度であり、従業者一人当たりの企業所得及び企業内部の資本蓄積額は、大企業に比べ、さらに低い水準にあります。中小企業と大企業との間の従業者の賃金格差は、三十四、五年ころから縮小傾向を見せておりますが、三十七年において、全産業における法人中小企業の賃金水準は、大企業の五七%程度で、まだかなり低い水準にあります。また、新規学卒者を含め、若年層におきましては、賃金格差はほとんど解消いたしましたが、中高年齢層においては格差が縮小する傾向はまだあまり見られません。  次に、中小企業内部の動向について見ますと、産業別には、製造業を中心として第二次産業部門に属する中小企業の成長が高く、その中でも重工業部門の成長が軽工業部門を上回っておるのであります。また、一般的に企業規模の拡大傾向が見られますが、特に中規模層以上の中小企業は、零細規模層に比べ規模拡大が進んでおるのであります。  このように、成長の高い中小企業におきましては比較的に近代化が進んでおるのでありますが、商業、下請企業、産地企業など、小規模ないし零細企業の多い部門では、近代化のおくれと経営の不安定性が見られるのであります。さらに、若年層や技能者層の労働力の不足は中小企業にきわめて大きな影響を与えており、中小企業においては生産性の向上がおくれているため、人件費や資本費の上昇を生産性の向上によって吸収し切れない情勢が出てきております。  以上のように、中小企業において大企業との格差がまだかなり大きいことや、経済条件の変化に対処するための近代化がおくれていることは、資金調達力が弱く、自己資本の蓄積が低いことが大きな原因になっているのでありますが、同時に、この中小企業の近代化のおくれが、産業の国際競争力の強化をおくらせたり、消費者物価の上昇の一つの要因となるなど、国民経済発展にも影響を及ぼす情勢になってきておるのであります。  最近における中小企業の動向と問題点は、ただいま御説明したとおりでございますが、このような情勢に対処いたしまして、中小企業の近代化を促進することは、わが国経済の均衡のとれた発展をはかる上できわめて重要な課題であります。政府といたしましては、中小企業基本法の定めるところに従い、同法の定める諸施策を着実に具体化することを基本的な態度として、三十八年度において所要の施策を講じてまいりましたが、三十九年度におきましてもさらにこれらの施策を拡充強化する所存であります。  三十九年度における中小企業施策の重点といたしましては、まず第一に、中小企業の業種別実態に即応した近代化を推進してまいることであります。すなわち、近代化促進法に基づく近代化計画を早急に策定し、指定業種の近代化を強力に推進いたしますとともに、中小企業の設備の近代化、工場、店舗等の集団化、事業の共同化等、中小企業構造の高度化を一そう促進することといたしております。特に立ちおくれの著しい流通機構の近代化をはかるため、卸商業団地の造成、共同施設の設置等、流通経路の合理化をはかりますとともに、寄り合い百貨店、共同スーパー等の小売り商業店舗の協業化を強力に推進し、末端配給機構である小売り業の経営近代化を促進するほか、商店街を町ぐるみ改造し、近代的商店街に脱皮させるため、新たに商店街近代化資金を設けることといたしております。  第二は、中小企業の技術の向上、経営の合理化を推進することであります。このため、診断指導事業、管理者、技術者研修事業を引き続き実施いたしますとともに、解放試験室の設置、巡回技術指導事業の実施等、技術指導事業の拡充、日本中小企業指導センターの事業内容の強化拡充をはかることといたしております。  第三に、中小企業の需要の増進と取引条件の向上をはかるため、官公需受注機会の増大、中小企業者の事業活動の機会の適正な確保、下請取引における取引条件の向上等の施策につきまして検討を進めるとともに、あわせて必要な措置を講ずることといたしております。  第四に、中小企業における従業員の福祉向上をはかるため、労働条件の改善、労働環境の整備を促進し、あわせて技能者教育等の充実をはかるなど、中小企業における労働力の確保をはかることといたしております。  第五に、中小企業のうち大きな比重を占める小規模企業については、一般的な近代化施策に加え、特にその経営の改善発達をはかるため、経営改善普及事業を強化いたしますと同時に、小規模企業従事者の生活水準の向上に資するよう、金融上、税制上特別な配慮を加えることといたしております。  第六に、以上の諸施策を推進してまいるためには、中小企業金融の一そうの適正円滑化、租税負担の適正化をはかることが必要であります。すなわち、政府関係中小企業金融機関に対する財政投融資を増額いたしますとともに、いわゆる歩積み、両建ての解消を強力に推進し、一方、中小企業者の信用力不足を補うため、中小企業信用保険の保険限度の引き下げ、保険料率の引き下げ、中小企業関係手形割引の円滑化をはかるための制度改善等、信用補完事業を充実することとし、あわせて、民間金融機関に対して、中小企業金融の適正円滑化をはかるよう指導を強化することといたしております。  また、税制面におきましても、中小企業の企業資本の充実、設備の近代化及び国際競争力の強化をはかるため、同族会社留保金課税の軽減、中小企業海外市場開拓準備金の創設等の措置を講じますとともに、家族専従者控除、事業主控除の引き下げ等、小規模事業者の税負担の軽減をはかり、中小企業向けに大幅な減税を行なうことといたしております。  以上、年次報告及び三十九年度中小企業施策について、その概要を御説明した次第でございます。(拍手)      ————◇—————  中小企業基本法に基づく昭和三十八年度年次報告及び昭和三十九年度中小企業施策についての発言に対する質疑
  21. 船田中

    議長船田中君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。順次これを許します。中村重光君。   〔中村重光君登壇
  22. 中村重光

    ○中村重光君 私は、ただいま報告になりました昭和三十八年度中小企業に関する年次報告並びに昭和三十九年度において講じようとする中小企業施策に関する文書について、日本社会党を代表いたしまして、総理大臣ほか関係大臣に対し、若干の質問をいたさんとするものでございます。   〔議長退席、副議長着席〕  まず第一は、現状の分析についてであります。  わが国における中小企業は、明治以来の資本主義的矛盾が構造的欠陥としてあらわれ、中小企業をして、大企業の搾取の対象として多年取り扱われてきましたところにその特徴があるのであります。戦後においては、特に基幹産業復興の名のもとに大企業本位の政策が行なわれ、他方、開放経済に向かう準備の一環として、ここ数年来、高度成長政策の犠牲を甘受することとなり、二重構造の断層は特に顕著となり、大企業との間にあらゆる面における格差が増大することとなったのであります。したがって、この二重構造の断層を埋めることが中小企業政策基本でなければならないのであります。しかるに、政府の中小企業白書に見られる現状分析は、単に現象的、平面的かつ総花的羅列に終始し、その経済の構造的分析を忌避しているのはきわめて遺憾とするところであります。  そこで、池田総理にお伺いいたしたいと思います。一体、わが国の中小企業者の置かれている立場が、資本主義的な矛盾、欠陥にその根本的原因があり、わが国の金融、税制その他の経済立法が、このような二重構造を形成しておる最大の要因と思うが、総理の認識を伺っておきたいと存ずるのであります。  次に、現状分析の根本は、正確なる統計資料にまたなければならないことは言うまでもありませんが、白書に引用された資料は、ある場合には通産省、ある場合には統計局、ある場合には民間機関の調査資料など種々雑多であり、各方面からの寄せ集め的資料を借用して、はなはだ信憑性に乏しいことはこれまた遺憾とするところであります。政府は、一体、統計局と各関係各省の調査統計事務とをいかように運営されておられるのであるか、また、統計の不統一並びに不備の点を今後いかように改善されんとするのであるか、総理の見解を伺いたいのでございます。  第三に、白書の示すところによれば、付加価値生産性の面で、昭和三十年に大企業を一〇〇として見た場合に中小企業が四九%であったのが、三十七年度には四六%に低下しており、地域間の格差もますます拡大する傾向にあります。社会党は数年前よりこの点に関し、政府に警告を発し、その対策の強化を要求してまいったのでありますが、何ら改善の色を見せず、ますます深刻な様相を呈するに至っておりますが、その根本的な原因は、政府の認識の欠除にあることはさきに述べたとおりであります。ことに、中企業と零細企業との間の諸格差がますます増大し、二百四十五万の零細企業者が置き去りにされておることを白書自体が認めておりますが、一体その原因はどこにあるのか、白書は全然これに触れておらないのでありますけれども、政府の責任ある答弁を要求するものであります。  さらに、白書は、格差の存在を一応認めてはおるものの、金融、税制、労働福祉の面について、いかなる対策が講じられたかについて、これを明らかにしていないきらいがあります。したがって、この際、金融、税制、労働福祉の面において、格差是正をするためにいかなる政策をとってきたか、このことに対しまして大臣の適切なる御答弁を伺いたいのであります。  次に、昭和三十九年度の措置についてお伺いいたします。  第一に、三十九年度の措置は、一昨日行なわれた公定歩合二厘引き上げの措置を考慮に入れていなかったのであるが、公定歩合の引き上げが、中小企業にそのしわ寄せを最も多く与えることは過去の例によって明らかなととろであります。政府は、買いオペの増額等によって一時を糊塗するように見受られるが、かようななまぬるい措置では、現に激増しつつある中小企業者の倒産をくいとめることは不可能であります。政府は、これに対していかなる措置を講ずるつもりであるのか、明確なる御答弁を求める次第であります。  第二は、零細企業対策についてであります。本年度の予算において、政府は、小規模事業対策として、商店街組合関係に二億五千万円、商工会等に配属されておる経営改善普及員のベースアップとして一人当たり四千円を計上しておるにすぎないのであります。政府は、一体、これで零細企業対策を真剣に取り上げるつもりがあるのかどうか、所信のほどをお伺いいたしたいのであります。(拍手)  第三に、組織については、中小企業基本法制定の際、現行組織が複雑かつ不備であるので、これを簡素化、一本化の方向で改組せらるべきであることが附帯決議として採択されており、わが党は、右の趣旨による中小企業組織法案を提出しておるが、政府はいかなる準備をしておるのであるか、この際お答えを願いたいのであります。  最後に、中小企業の政策を強力に推進するためには、中小企業省の設置が必要であることは議論の余地がないところであり、業界多年の要望でもあります。この通常国会においても、中小企業諸団体より中小企業省設置の請願を多数提出しており、自民党の議員諸君の中にも、紹介者として署名捺印をされた者が三十名ほどあることを聞いておりますが、その後自民党首脳部の通達によって、この請願を撤回したと伝えられております。われわれは、中小企業省の設置こそ中小企業政策推進の前提条件であると確信いたしておるのでありますが、総理の見解をお聞きし、私の質問を終わります。(拍手)   〔国務大臣池田勇人君登壇
  23. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) お答えいたします。  中小企業のわが国の産業に占める地位は非常に重大でございますので、私は、この中小企業振興につきまして抜本的な措置をいたすべく、一般予算上、あるいは金融政策上、あるいは税制上いろいろの措置をとったのであります。  なお、お話の、資本主義経済のもとでは中小企業は常に困難な場に立つとおっしゃいますが、資本主義のもとにおいてこそ中小企業、農業発展していくのであります。社会主義、共産主義のもとにおきましての、あの中小企業や農業現状をごらんになったならば、資本主義こそ中小企業、農業発展に役立つ主義であるということをはっきり申し上げたいと思います。(拍手)   〔国務大臣福田一君登壇
  24. 福田一

    国務大臣(福田一君) お答えをいたします。  三十九年度の予算におきましてわれわれが講じましたことは、ただいま報告のうちで申し上げたとおりでございまして、相当われわれとしては力を入れてやっておるのでありますが、公定歩合の引き上げが行なわれた後において、これに対してどういうことを考えておるかということでございますが、これにつきましては、御案内のように、すでに買いオペ二百億を実施することをきめましたほか、四−六月のこの四・一の期間におきまして、政府関係三金融機関、すなわち中小企業金融公庫、商工中金、国民金融公庫等々の貸し出しワクを大幅にふやすように、いま計画を組んでおります。  また、実質の金利の引き下げをはかることが必要であるという意味合いにおきまして、歩積み、両建てを強力に押えるくふうをいまやっておるわけであります。  また、三十九年度の一般会計予算できまりましたことは、四月一日から直ちに中小企業関係分については、これを実施いたしまして、中小企業ができるだけ苦労がないように措置をいたしてまいりたいと考えております。  さらにまた、官公需の確保につきましても、今度連絡会議をつくったり、あるいは民間団体との懇談会を開いたりして、いろいろこれに対して仕事を与え、あるいはまた物を買い上げるようなくふうをいたしたいと思っております。  なお、零細企業対策についてのご質問でございますが、これについては、私たちは経済改善その他の問題について今後も大いに努力をいたしてまいりたいと思いますが、税制その他の面でもかなりめんどうを見ておると考えております。  一方、組織の問題でございますが、これはただいま中小企業審議会で審議をいたしておりまして、できるだけすみやかにこの組織を強化してまいるようにいたしたいと考えております。  なお、中小企業省設置については、しばしば御質問がございますが、私たちとしては、中小企業省を設置しないいまの形でやるほうが、産業全体としての伸び、また健全な発達を促すゆえんであるという考えに立脚いたしておるものであります。(拍手)   〔国務大臣大橋武夫君登壇
  25. 大橋武夫

    国務大臣(大橋武夫君) 中小企業に対する労働対策は、昨年以来特に重点的に進めておるのでございます。  まず、労働条件につきましては、労働基準法に基づく監督指導、中小企業の労務管理の改善指導、最低賃金制の拡充等に努力をいたしております。  第二に、雇用促進融資、厚生年金還元融資等による労働者住宅をはじめ、各種の福祉施設の整備につとめております。  第三には、中小企業退職金共済制度の改善について、今国会に法案を提出いたしておるところであり、また労災保険、失業保険の五人未満の事業所に対する適用については、目下準備中でございます。都道府県等が設置する労働福祉施設や、中小企業者が共同して行なう労働福祉活動に対する助成にもつとめておるのであります。  また、労働者の確保については、以上の諸対策による受け入れ体制の整備とともに、中小企業の行なう事業内職業訓練についても、その援助、助成につとめるとともに、求人条件等の調整をはかるための集団求人方式による労働者の雇い入れを強力に指導いたしますほか、中高年齢者に適した職種についての中高年齢者の採用を勧奨いたしつつある次第でございます。(拍手)   〔国務大臣小林武治君登壇
  26. 小林武治

    国務大臣(小林武治君) 小企業に対する福祉施設といたしましては、医療給付として、国民健康保険を五人未満の事業所にも適用したいと思いまして、目下検討いたしておりまするが、現在の加入者数はまだ全体の一割にも満たない、多くのものは国民健康保険の適用を受けておるのでありまして、したがいまして、これらの方々の福祉施設として、国民健康保険は昨年十月、世帯主を七割給付といたしたのでありまするが、来年度引き続き、家族も四カ年計画をもって、七割給付にいたしたいと思いまして、この福祉対策を急いでおるのでありまするし、また、小住宅、あるいは共同宿舎、あるいは給食共同施設等につきましても、厚生年金、国民年金等の還元融資によりまして、これの進捗をはかっておるのでございます。(拍手
  27. 田中伊三次

    ○副議長(田中伊三次君) 麻生良方君。   〔「定足数がないぞ」「ある、ある」と呼び、その他発言する者あり〕
  28. 田中伊三次

    ○副議長(田中伊三次君) この際、暫時休憩いたします。    午後五時五十八分休憩      ————◇—————    午後六時四十四分開議
  29. 船田中

    議長船田中君) 休憩前に引き続き会議を開きます。      ————◇—————
  30. 船田中

    議長船田中君) 麻生良方君。   〔麻生良方君登壇
  31. 麻生良方

    ○麻生良方君 私は、実はきょうが初質問でございまして、質問の前に議事が混乱をいたしまして、まことに残念でございます。  民主社会党を代表いたしまして、ただいま報告のありました中小企業白書と今後の施策につきまして、若干関係閣僚の方に御質問を申し上げたいと思います。  この中小企業自警は、昨年成立いたしました中小企業基本法の第八条第一項に基づく報告書でございますが、この法案は、最初わが民社党が提案をいたしましただけに、この報告書並びに今後の中小企業の施策につきましては、党といたしましても、また私といたしましても、きわめて重大な関心を持たざるを得ないのでございます。  私の質問の第一の点は、今後のわが国の国づくりの中で、経済政策基本政策として、もっと中小企業政策を大胆に取り入れていただきたいという問題でございます。白書が指摘しておりますように、わが国国民経済に占める中小企業の地位はきわめて高いし、また、中小企業の数は、先ほども通産大臣が言われましたように、全企業数の九〇%以上も占めております。また、中小企業で働いている人々の数は、経営者、従業員を含めますと、今日では千八百万近くを数えているわけでありまして、わが国全体の就業者数の四〇%を占めております。このような重要な地位にある中小企業に対して、通産大臣は先ほど大いに積極的な施策を講ずると言われておりましたけれども、はたしていかがでしょうか。ちなみに昭和三十九年度の予算に占める中小企業関係予算をあげてみますと、昨年度より四十七億円増額したとはいいながら、総額は百六十五億六千四百二十六万円で、予算総額のたった〇・五%にすぎないという現状でございます。また、これを財政投融資の面から見ましても、総額一兆三千四百億円のうちで、中小企業三融資機関に融資される額はわずか千六百億円余でございます。池田総理が、選挙前、中小企業に対して革命的な施策を講ずると言われたときに、私は、実は党派を越えまして、国民の一人として大いに御期待を申し上げたのでありますけれども、今回初めて国会に出て、この予算の審議に参加いたしまして、実ははなはだがっかりいたしたのでございます。やはり口には何と言っても、結局政府施策の重点は、依然として大企業本位の高度成長政策の連続であり、中小企業政策は、いわばこの現状ではさしみのつまであるといわざるを得ないのであります。(拍手)  このような政府施策、それでは実際面においてどういうような現実としてあらわれているでしょうか。私は、はなはだ失礼とは存じますが、一度総理にヘリコプターに乗って東京の町を上から見おろしていただきたいと思うのです。大ビルディングの林立する都心から数歩離れたところに、無数のマッチ箱のような住宅と店舗と町工場が密集しています。その中では、やみ金融と税金に苦しめられた経営者や、住宅もまだ与えられない若い青年男女や、四畳半一間のアパートの中で生活を余儀なくされているような人々がひしめいているのであります。これらはいずれもこの白書の示す現実的な中小企業生活者の実態であるといわなくてはならないのであります。もし、最大多数の最大幸福を保障することが民主政治の根本的な要諦であるとするならば、私は党派を越えて、このようなアンバランスはまことに不合理きわまりないものだといわなくてはならないと思います。  このように、この所得倍増計画は、国際収支の悪化を招き、ひいては農業、中小企業の近代化をおくらせ、金融引き締めと景気過熱の悪循環に終わり、結局はそのしわ寄せが、国民生活の格差ということになってあらわれるであろうということを、われわれは早くから御警告を申し上げてまいったのでございます。私は、最近のベストセラーになりました本田技研の社長である本田宗一郎氏のお書きになりました「スピードに生きる」、あるいはまた、「俺の考え」というような一連の著書を読みまして、この言わずして語られている中に、政府が本格的に考え直さなければならない点がひそんでいるということを考えました。本田氏もその著書の中で言っておりますが、本田技研にしても、あるいはソニーにしても、マルマンライターにしても、今日世界的といわれるこれらの産業は、以前はいずれも中小企業でございました。しかも、何らの政府の援助もなく、ほとんど独力の創意と努力で今日を築いてきているのであります。しかも、その世界的なるゆえんは、生産力をもって世界的であるのではなくて、その技術とすぐれた日本人独特のアイデアによって世界的な水準に達しているという事実は、私は政府の今後の産業政策の上に重大な示唆を与えていると思うのでございます。これらの会社は、わが国経済の面においても、また輸出振興の面でも、多大な貢献をしているのでありますけれども、もし政府がいままでに、これらの中小企業にもっと積極的な国家的な立場からの援助を与えているとするならば、第二の本田あるいは第二のソニーが出現しておったと私は思うのでございます。私は、政府が大企業本位の成長政策をとられて、今日まで日本の大企業が世界的な設備水準を誇るに至ったこの経過については、実に高く評価をするものでございます。しかしながら、これ以上、大企業本位の成長政策を続けますと、さらでだに資源に乏しい日本経済は、結局においてアメリカの下請的立場に立たざるを得なくなるのではないかということを、私は日本人としてかなり深刻に憂えるのでございます。政府は、ここらで、ほんとうに国家的な立場から中小企業の振興をはかって、そしてそれによって日本経済の二重構造を是正をし、本来の御主張されている福祉国家の建設にすなおに取り組んでいかれる御意思を、総理大臣としてお持ちかどうかという点について、率直な御意見をお伺い申し上げたいと思うのでございます。  第二に、中小企業白書の内容に触れながら、中小企業の三月危機について御質問をしたいのであります。  白書は、さっきも申し上げたとおり、政府のちょうちん持ちという立場ではなくて、きわめて客観的に中小企業がきびしい立場に置かれているということを実証しております。すなわち、大企業と中小企業の生産性の開きが依然として大きいということ、また、賃金の格差は縮小傾向に転じているようであるけれども、その水準は大企業に比べてまだまだ低いという事実、また、中小企業分野へ、おりあらば大企業が産業的進出を試みて、中小企業の分野を圧迫しているという事実、また、下請企業における取引条件は、依然として長期化し悪化して、これに対して中小企業者が政治的な立場においては守られていながら、経済的な立場で抗弁すべき方法を持たないという事実、あるいはまた、不渡り手形の発生及び倒産が高い水準で続いているというような事実について、きわめて冷静な分析を行なっておるのでございます。  この分析のとおり、中小企業基本法が制定され、中小企業の近代化が叫ばれつつも、中小企業の事態は一向に改善されることなく、今日中小企業の三月危機がちまたに叫ばれております。たとえば、不渡り手形を例にとりましても、昨年七月から十二月の不渡り手形は四十七万余枚でございます。金額では七百六億円という膨大な数字にのぼっております。また、前年同期に比べて、それぞれ一九・四%、また四八・三%となって、ことし一月も二一%増となり、この傾向は依然として今日続いているのでございます。また、倒産を例にとりましても、相変わらず負債額一千万円以上の倒産は二百件前後にのぼって、今日続いておるのが現状でございます。  これらの基本的な原因は、やはり昨年秋から始まりました金融引き締めにその原因があるといわなくてはならないと思う。このような中小企業の最悪な時期に、政府が突如として公定歩合の二厘引き上げを強行いたしました。総理の長い間の御主張にもかかわらず、この措置がとられたということは、残念ながら中小企業に致命的な打撃を与えるとともに、また中小企業に対して心理的な動揺を与えずにはおかないでありましょう。この公定歩合引き上げによる中小企業への悪影響に対して、政府はどんな具体策を持っておられるか、この点もひとつ明確にしていただきたいと思うわけでございます。(拍手)  第三は、中小企業基本法の精神を生かすための関連法案の成立についてでございます。  基本法は、言うまでもなく、中小企業の憲法であって、それ自体は具体的な施策を定めたものではございません。わが党は、すでに、今国会においてて、官公需の中小企業に対する発注確保法案、あるいは中小企業の産業分野確保法案、あるいは商店街組合法の一部改正案の三案を提出いたしておりますし、近くまた、百貨店法の一部改正案、スーパーマーケット法案などを国会に提出する用意をいたしております。  白書が指摘しておりますように、中小企業の生産性の低さ、また賃金の低さ、あるいは大企業の進出、資金の不足、税金の重さ、近代化のおくれ等々は、これは基本法に基づくそれぞれの法律の制定がどうしても必要と私は考えるのであります。白書はあくまで処方せんでございます。投薬はまさに政府の責任であるといわなくてはならないはずであります。中小企業基本法はいわゆる仏であり、これらの関連法案は魂であります。政府は、大企業に対しては、国際競争力の強化を口実に、独禁法の緩和や、あるいは特定産業の振興をはかり、盛んに魂をお入れになっておられますけれども、中小企業に対しては、やむを得ず仏をつくったが、魂をなかなか入れようとしないという感じが私にはきわめて強く感ぜられるのです。このような関連法案を整備してこそ、飛躍的な中小企業関係予算の増額ともなり、あるいはまた白書の処方せんどおり投薬も可能になると私は思うのでございますが、政府の具体的な中小企業関係法案の準備のほどをお承りをしたいと思います。  最後に、総理及び通産大臣に、私は中小企業の指導行政のあり方について若干お伺いをしたいのです。  先般、私は、商工委員会におきまして、東京都の中小企業指導員の身分、待遇についてお伺いをいたしました。言うまでもなく、指導員は、直接、小規模企業者にとりましては、いわば母であり、相談の窓口でございます。私の調査では、東京都の指導員は、嘱託でありながら、他の事業に就業しないという一札をとられて、しかもその給与は、昨年の改正によっても、四十五歳から五十五歳に至るまで、最高が二万九千円という、全く常識では考えられない待遇でございます。その上、時間外手当は、月に十三時間以上は一切これを認めない。また交通費は、千三百円以上は認めないということに、これは現実としてなっているのであります。私は、商工委員会で、中小企業庁長官に対しまして、はなはだ失礼でございますが、あなたがもしそのお立場に立ったとしたら、そのような待遇で中小企業指導に専念できるかどうかと、実はお伺いをいたしました。速記録に出ておりますとおり、長官は、残念ながらできませんと御答弁をされているのでございます。政治をやる立場にある人は、常に、自分がその立場に立った場合を想定して考えてもらわなければなりません。自分がその立場に立ったらできないような状態を、少なくとも重要な中小企業の指導員に押しつけるようでは、せっかく総理が御苦心をなさった革命的な施策も水のあわとなってしまうでありましょう。通産大臣、あなたがもし指導員であるとしましたら、このような条件であなた御自身情熱を持ってその任務を遂行できますかどうか、私ははっきり通産大臣からお伺いをしたいと思うのであります。(拍手)  それとともに、この際、中小企業の行政機構について総理にお伺いをしたいのです。今日の中小企業庁の行政の大部分が、地方自治体または商工会議所への委託行政でございます。したがって、いま申し上げたような不合理が至るところにあるのでございます。この際、総理は、ひとつこれを中小企業省に引き上げて、本格的に中小企業行政に取り組む御意思があるかないかということを明確に御答弁願うことにいたしまして、私の質問を終わらしていただきます。  たいへん失礼いたしました。(拍手)   〔国務大臣池田勇人君登壇
  32. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 麻生議員の御質問に対しましてお答え申し上げます。  わが国産業における中小企業の重大さは、お説のとおりでございます。したがいまして、私は、先般の選挙におきましても、今回の予算措置におきましても、革新的な中小企業対策を進めるべく第一歩を切ったと考えておるのであります。お話のとおり、最大多数の最大の幸福ということは、政治目的でございます。私は、かるがゆえに、国家統制のもとにおきまして、全国民を被用者、労働者とする、いわゆる共産主義的社会主義の考え方には反対でございます。したがいまして、ほんとうに日本がりっぱな産業国家として立つためには、もちろん大会社と被用者も必要でございますが、やはり日本をよくするためには、中小企業と農業というものがりっぱな企業として立つことが、ほんとうにわが国の進むべき道だ、(拍手)私が農業、中小企業に対して革新的な措置をとるというのは、この意味からきておるのであります。共産主義的社会経済のきらいなこと、日本には合わないことを意味する意味において、私はやっておるのであります。したがいまして、ただいまお話しのあるいは自動車、オートバイあるいはテレビ等々が世界に雄飛するようになったのは、これはやはり中小企業から出た人でございます。しかも、これらの人々が外国と競争し得る立場になったということは、日本国民の生活水準が上がり、このオートバイやテレビを国内で相当消費して、そうして原価を安くする、このわれわれの政策のたまものだと私は確信しておるのであります。(拍手)そういう意味におきまして、私は今後とも十分中小企業者が世界的に雄飛する素地をつくるべく努力いたしたいと考えております。  第二の、公定歩合の引き上げによる中小企業の対策でございます。私は、組閣以来、日本銀行の判断により、池田内閣によりまして九回の公定歩合の引き下げがございました。当初の二銭一厘だったと思いまするが、それを低金利政策によりまして一銭六厘にまで下げたのであります。私は、低金利政策をやってきて、そうして国際競争力を強めてまいりました。しかし、いまの日本の状態と、しかも開放経済に向かっていく場合において、外国のその実例を見ますると、日本がただ単に低金利政策でいくことは、世界の情勢から許されないような気持ちがいたすのであります。したがいまして、組閣当時の二銭とか二銭一厘の分を一銭六厘に下げたのを、世界の情勢と開放経済に向かう立場において二厘程度の引き上げをすることは、これは世界の信用と、日本経済を長きにわたって成長に導く適当な措置を日本銀行がとったと思って、私はこの政策に賛成しておるのであります。したがいまして、いまの現状から申しますると、二厘の引き上げが中小企業にいかに影響するかということを考えた場合におきまして、私は、まず第一に、歩積み、両建てによりまする最も被害者である中小企業に対しまして、これを徹底的にやめてもらうこと、しかもまた、金融の中小企業に対しまする措置としては、いわゆる賢いオペとかあるいは中小企業関係三機関のみならず、相互銀行あるいは信用金庫等に融資いたしまして、中小企業の金融の円滑をはかるべく関係閣僚また関係機関が十分これから措置していくならば、御心配の点はないと考えておるのであります。  また、第三の御質問の、中小企業者に対するいわゆる技術指導の問題でございます。麻生さん御承知思いまするが、昭和三十四年、通産大臣時代のときに、商工会を設け、そうして中小企業の指導のための予算を初めてとりました。私は、その当時、この指導関係の職員を急速に増加しようといたしたのでございまするが、いかんせん、この指導職員を急速に増加することは困難だ。私は、徐々に、昭和三十五年から、中小企業の技術指導あるいは経営の診断等につきまして、職員をだんだんふやしております。しかし、いかんせん、一般労働者の待遇が上がったに対しまして、いかにもこういう生産性に直接関係しない人の給与の引き上げがおくれておるということは、お話のとおりでございます。したがいまして、私は、今後お話の点を十分考慮いたしまして、指導訓練職員の資質の向上と待遇の改善に、万全の努力をいたしたいと考えております。(拍手)   〔国務大臣福田一君登壇
  33. 福田一

    国務大臣(福田一君) ただいま総理から詳しく御答弁がございましたので、私は、簡単にお答えをいたしたいと思います。  大企業と中小企業との分野の調整の問題あるいは組織化の問題等につきましては、ただいまわれわれとして慎重に法案を検討いたしておるところでありまして、順次整備をいたしてまいるつもりでございます。  なお、経営指導員の待遇の問題について、御心配をいただいておりますが、われわれとしても、今後大いにこれは改善をいたすように努力をいたしたいと思います。(拍手)   〔国務大臣田中角榮君登壇
  34. 田中角榮

    国務大臣(田中角榮君) 公定歩合引き上げ後の中小企業金融に対しての御質問でございます。総理大臣がおおむねお答えをいたしましたが、二、三申し上げます。  第一点は、公定歩合引き上げが決定せられた直後に、日銀総裁を大蔵省に招致いたしまして、これが引き上げによりまして中小企業にしわが寄らないように、万全の措置をとられることを要望しておるわけでございます。  第二点は、御承知のとおり、昭和三十八年の第四・四半期につきましては、政府三機関の資金の追加、融資ワクの拡大、買いオペレーションの運用等によって、万全の対策をはかっておるわけでございますが、なお、昭和三十九年度につきまして、三十八年対比二一%資金量のアップをはかっておると同時に、四月の買いオペレーション二百億円、なお、四月に期日のまいっております売りオペレーションの百五十億円の延期もいたしておるわけでございます。なお、銀行その他金融機関の協力をまって、中小零細企業の金融に遺憾なきを期したいと存じます。  最後に、歩積み、両建ての排除によりまして、実質金利負担の軽減をはかることによって、中小企業の育成強化に資したい、このように考えておるのでございます。(拍手
  35. 船田中

    議長船田中君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————  日程第一 産業労働者住宅資金融通法等の一部を改正する法律案内閣提出
  36. 船田中

    議長船田中君) 日程第一、産業労働者住宅資金融通法等の一部を改正する法律案を議題といたします。     —————————————
  37. 船田中

    議長船田中君) 委員長報告を求めます。建設委員長丹羽喬四郎君。     —————————————   〔報告書は本号(その二)に掲載〕     —————————————   〔丹羽喬四郎君登壇
  38. 丹羽喬四郎

    ○丹羽喬四郎君 ただいま議題となりました産業労働者住宅資金融通法等の一部を改正する法律案につきまして、建設委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、第一に、住宅金融公庫は、中小企業者等に対し、産業労働者住宅を建設して譲渡する事業を行なう会社その他の法人に、産業労働者住宅資金を貸し付けることができるものとしたこと、第二に、住宅金融公庫は、新築の産業労働者住宅を購入しようとする中小企業者等に対し、資金を貸し付けることができるものとしたこと、第三に、住宅金融公庫による産業労働者住宅資金の融資割合を、中小企業等に使用されている産業労働者の産業労働者住宅については、耐火構造または簡易耐火構造は七割五分、その他の構造は七割に引き上げるものとしたことであります。  本案は、去る二月十日本委員会に付託され、その間、慎重に審議したのでありますが、その詳細につきましては会議録に護ることといたします。  かくて三月十一日、本案に対する質疑を終了し、討論を省略して直ちに採決の結果、原案のとおり可決すべきものと決定しました。  右、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  39. 船田中

    議長船田中君) 討論の通告があります。これを許します。岡本隆一君。   〔岡本隆一君登壇
  40. 岡本隆一

    ○岡本隆一君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました産業労働者住宅資金融通法等の一部を改正する法律案に対し、反対の理由を申し述べんとするものであります。(拍手)  ただいま、委員長から、円満な委員会の運営をもって本案が採決されたような御報告がありましたけれども、本法律案は、去る十一日社会党委員が全員欠席のままで採決されたものでありまして、不当なる審議の経過をもって本日の会議に上程されておるのであります。当日の建設委員会は、私が本法律案に関し河野建設大臣の出席を要求し、その基本的な問題についての政府見解を明らかにした上で、質疑を打ち切り、採決を行なう予定であったのであります。いやしくも国会の委員会は、国の権威ある機関であります。個人岡本隆一が、建設大臣の出席を要求しているのではありません。建設委員としての私が、建設大臣に、産労住宅法の改正に関し、その基本的な問題であるILOの労働者住宅に関する勧告について、日本政府の態度をたださんとしたのであります。しかるに、河野建設大臣は、定刻を過ぎること一時間二十分にしてなお正当なる理由なくして委員会に出席しなかったのであります。与党の諸君は、それは参議院の予算委員会に出席していたためである、こういうふうに新聞紙上で弁解いたしております。しかし、それはまっかな偽りであります。建設大臣が参議院予算委員会に出席していたのは、十一時四十分から十二時五十分までであります。建設大臣は、衆議院の建設委員会を無視して、登院しておらなかったのであります。委員会の出席要求を無視して国会に出席せず、しかも、それが再三のことであります。河野さんの委員会軽視の態度は、いまに始まったことではありません。一昨年、建設大臣に就任された第一回の委員会以来幾たびかのことであります。それに憤りを感じた私は、委員長に散会を要求して席を立ったのであります。そのときの出席委員は、委員長を含めて十五名、社会党のわれわれ六名が退席いたしましたあとは、わずかに九名、定足数を大きく割っております。明らかに流会であります。流会となった委員会は、あらためて公報をもって招集しなければ開くことはできません。しかるに、委員長は、十二時五十分参議院から回ってきた建設大臣を迎えて、委員会を再開したのであります。これは明らかに違法であります。国会法第四十九条に照らして無効であります。  われわれは、審議を拒否したのではありません。当日は、午後一時から両院議員総会が開かれたのであります。したがいまして、私は、委員会の再開を求めてまいった国会職員に対し、両院議員総会後出席するから、それまで待つようにとの回答をしておいたのであります。流会となるべきはずの委員会の再開にも応じて、法案審査に協力の態度を明確にしていたのであります。しかるに、委員長は、民社党の委員一名を入れて、社会党委員全員欠席のまま採決を行なったのであります。このようなでたらめな国会運営を、私たちは承認することはできません。翌々日、金曜の理事会は荒れました。われわれは、委員会審議を採決以前に戻すことを要求して、がんとして譲りませんでした。そのため、委員会は開くあたわず、同日の本会議における本案の採決も見送りとなり、急がば回れ、無理は通らぬということに相なったのであります。自民党の諸君が、幾ら採決の有効を主張しても、流会後、不存在の委員会で一方的に行なわれた採決が有効であるはずがございません。それがあくまで有効であるとするなれば、それは民主主義の破壊であります。本日、その無効である採決の結果が本会議に上程されておるのであります。一個の幽霊がいま諸君の前に審議を求めておるのであります。  まず、第一に、われわれは、一方的に行なわれた無効なる委員会採決の結果に賛成することはできません。ただいま議題となっておるのは、無効なる採決の結果であり、産労住宅法の一部改正案ではなく、その亡霊であります。これ、本案に反対する第一の理由であります。(拍手)  今日の極度に逼迫せる住宅事情のもとで、住宅建設に企業の協力を求めようとする政府の態度も理解できないではございません。住宅金融公庫の融資を企業に行なって、企業にその従業員のための住宅建設を奨励し、民間資金を動員して、それを一世帯一住宅の目的達成のための一助とせんとする政府の態度を、われわれはやむを得ざるものとも考えることができるのであります。そうしてまた、従来こうした産労住宅の融資が大企業にのみ片寄って行なわれ、日ごろ不安定な職場で低賃金で働く中小企業の従業員が、極度の住宅難に悩み、民間の粗悪なアパートに高い家賃に苦しんでいる反面、大企業による産労住宅の高層アパートが続々と建って、比較的給与のいい大企業の従業員の住生活が向上していく。これでは、大企業と中小企業の間の賃金格差は住生活の格差にまで広がっていくのであります。こうした点を指摘されて、従来大企業に片寄っていた産労住宅融資が中小企業に流れやすくするため、貸し付け率を高めんとするのが本案の趣旨でありますから、これは一つの進歩とも見ることができないでもありません。  しかし、問題は本質的にとらえなくてはなりません。昭和三十六年六月、ILOは三カ年にわたる討議の結果、労働者住宅に関する勧告を採択し、これを加盟各国に通告してその実施を求めているのであります。その会議には日本政府並びに労使双方の代表も参加して、決議に賛成をしているのであります。その勧告の中で注目すべきことは、国の労働者に対する住宅政策としては、まず第一に、労働者がみずから家を持つことを奨励すべきであるということ、次に、労働者には公共機関による賃貸住宅を供給すべきであるということ、さらにもう一つは、協同組合による住宅の供給を行なうべきであると指摘しておるのであります。そうしてその勧告の中で、労働者住宅はその労働者が働く企業と関係のない公共機関または住宅協会、協同組合などによって提供さるべきであって、使用者、会社の息のかかった住宅は好ましくないということを指摘しておるのであります。住宅事情の極度に逼迫している今日、労働者は会社の建てたアパートに喜んで入っていきます。会社はそれを巧妙に労務対策に使っていくのであります。従業員を社宅に入居させる場合、その住宅の困窮度に応じるのではなくて、会社のおめがねにかなった者への恩恵として入居させる、そういった態度をとるのであります。企業は住宅の給与を通じて、従業員を封建的な隷属関係に置かんとするのであります。しかも、従業員は、職場を去るときは、その住居をも追われることになりまして、労働者の真の住生活の安定を阻害するのであります。さらにまた、職場における職階的関係が家庭の日常生活にまで持ち込まれ、純真な子供の世界にまでそれが入り込んで、人間の魂を汚すのであります。ときとしては、子供のけんかが職場にまで響いてくるのであります。最近続々と建設されつつある大企業の社宅では、社員アパートの子、労働者アパートの子などとして、昔の武家屋敷の子と足軽長屋の子といった関係と一脈相通じた感情が生まれつつあり、学校教育の中にまでそれが問題となりつつあるということすら聞くに至っているのであります。  さればこそ、ILOは、企業による住宅の供給は好ましいことではないと言っているのであります。企業は労働者の住を保障するだけの賃金を出すべきであります。そして、住宅は、国または企業と関係のない第三者が提供すべきであると勧告しているのであります。この勧告は、労働者の人権を守り、人間性を尊重するためには当然であります。したがって、企業による産労住宅の建設を促進せんとするがごときは、健全なる労使関係の樹立という時代の流れに逆行するものであります。これ、われわれが本案に反対する第二の理由であります。  このような考え方は現実的ではない、いまの日本のように極度に住宅事情が逼迫している現況では、企業主にもまたその労働者のための住宅を確保する責任の一端をになってもらわなければならない、政府はこのように申しております。しかし、このような住宅事情にだれがしたのか。保守党の諸君が戦争に日本を引きずり込んで、庶民の住宅を焼き払わせたのではありませんか。そして、戦後の復興に、経済の復興、資本の再建のみに専念して、国民の住生活の安定を放置してきたのではありませんか。経済成長計画は国民の住宅建設計画とまっこうから対立することがあるから、住宅政策は一般社会経済政策と調整をとって、経済成長と均衡のとれた住宅建設計画を立てなければならない、ILOは、勧告の中でこのように主張しております。しかるに、池田さんの高度経済成長政策は、住対策をはるか後方に押しやって進められてきました。企業は先を争って土地の買い占めを行ないました。公共事業は、どんどん地価をつり上げていきます。こうして、ここ数年、地価は十倍、二十倍にはね上がって、もはや都市周辺の土地は勤労者の手に届かないところにまでつり上げられてしまいました。他の物価以上に建築費が目立って値上がりしていることも、国民の住事情を一そう悪化させております。そして、いま、住宅政策の中で政府が大きく期待している民間自力建設家屋は、その半ば以上が貸し家であり、しかもそのほとんどが狭苦しい二階建てのアパートであります。これでは、住生活の安定ではなく、目下政府は住宅難の再生産中であるというほかありません。政府の住宅投資があまりに少ないからであります。戦後のイタリアにいたしましても、ドイツにいたしましても、もっと強力な住対策を立てております。昭和二十五年から三十二年にかけての八年間、ドイツ政府の住宅への財政投資は、年平均二千四百億円でありまして、わが国のそれの四百億足らずであったのに比べますと六倍に達しております。雲泥の相違であります。戦禍にあうことの少なかったイギリスですら、戦後の復興期に、政府は、行政投資の半ば以上を住宅建設につぎ込み、ニュータウン建設計画を推し進めたのであります。現在でも、住宅投資に、行政投資の二〇%、昨年は三千四百八十億をつぎ込んでいるのであります。それに比べて、わが国政府の住宅投資は、昨年八百十億、全行政投資の五%であります。これが、きわめて住宅難のきびしい日本の、池田内閣の住宅政策であります、住宅難は戦後引き続いて政府の手で生産中であります。池田内閣は、大企業に土地の買い占めをやるための資金を提供する前に、庶民の宅地を確保すべきであります。池田さんが世界一を誇る経済の高度成長は、国民の住生活を犠牲にして築かれたのであります。(発言する者多し)かつての世界に誇る日本の軍備が国民生活の犠牲において築かれたのと軌を一にしておるのであります。池田さんは、企業の高度成長をはかるとともに、国民の住生活の安定をはかるべきでありました。ドイツ、イギリスの政府の行なったごとく、住宅への行政投資をもっと強化すべきであったのであります。しかも、これらの国々は、企業にたよる給与住宅等には目もくれておりません。政府は、住宅政策の策定にあたって、民間自力建設や企業の給与住宅にたよる前に、これらの諸国に見習って行政投資を強化すべきであります。(発言する者多し)
  41. 船田中

    議長船田中君) 時間です。岡本君、時間です。
  42. 岡本隆一

    ○岡本隆一君(続) 一千万戸の建設計画の中で、公営住宅はわずかに百万戸足らずといったおさみしいものであってはなりません。もっと政府資金を住宅に投入すべきであります。給与住宅に回す建設資金で公営住宅や公団賃貸し住宅を建てるべきであります。市町村に消化能力がないとすれば、それは建設標準単価があまりに低いためでありまして、たとえば第一種公営住宅にいたしましても、五割補助といいながらも、実質四割に満たない補助額では、市町村が建て渋るのも当然であります。政府のこうしたずるい、間違った態度こそ、住対策に誠意なきことを示す何よりの証左といわなければなりません。  日本社会党は、かかるなまぬるい、住宅難の再生歴にすぎない政府の住宅政策に対し、もっと土性骨の入った、しっかりしたものとしての再出発を要求するものであります。  以上三点をあげまして、私は本法案に反対するものであります。(拍手
  43. 船田中

    議長船田中君) これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。  本案の委員長報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  44. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)      ————◇—————  日程第二 逃亡犯罪人引渡法の一部を改正する法律案内閣提出
  45. 船田中

    議長船田中君) 日程第二、逃亡犯罪人引渡法の一部を改正する法律案を議題といたします。     —————————————
  46. 船田中

    議長船田中君) 委員長報告を求めます。法務委員長濱野清吾君。     —————————————   〔報告書は本号(その二)に掲載〕     —————————————    〔濱野清吾君登壇
  47. 濱野清吾

    ○濱野清吾君 ただいま議題となりました法律案について、法務委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  最近、一国で犯罪を犯した者が、他国に逃亡して、事実上刑事責任を免れようとする事例が増加しつつあります。この情勢にかんがみ、逃亡犯罪人の引き渡しについての国際的協力の円滑化をはかるため、わが国に対し、引渡条約に基づかないで逃亡犯罪人の引き渡しの請求があった場合の引き渡し手続に関する規定を整備しようとするものであります。  そのおもなる内容は次のとおりであります。  第一点は、わが国に対し、引渡条約に基づかないで逃亡犯罪人の引き渡しの請求があった場合には、その犯罪行為が請求国及びわが国のいずれかの法律により、死刑または無期もしくは長期三年以上の刑に当たる罪とされていないとき、請求国から相互主義に基づく保証がなされないとき、及び法務大臣が外務大臣と協議して当該逃亡犯罪人を引き渡すことが適当でないと認める場合を除き、これに応じ得ることとしたことであります。  第二点は、右の場合の引き渡し手続は、いわゆる仮拘禁の制度を適用しないこととしたこと等であります。  本案は、二月二十七日当委員会に付託され、自来、慎重な審議を行ない、本月十日に至り一切の質疑を終了いたしました。十三日、別に討論がありませんので、直ちに採決に付しました結果、本案は全会一致をもって政府原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。  右、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  48. 船田中

    議長船田中君) 採決いたします。  本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  49. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第三 医療金融公庫法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第四 労働保険審査官及び労働保険審査会法の一部を改正する法律案内閣提出
  50. 船田中

    議長船田中君) 日程第三、医療金融公庫法の一部を改正する法律案日程第四、労働保険審査官及び労働保険審査会法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。     —————————————
  51. 船田中

    議長船田中君) 委員長報告を求めます。社会労働委員長田口長治郎君。     —————————————   〔報告書は本号(その二)に掲載〕     —————————————   〔田口長治郎君登壇
  52. 田口長治郎

    ○田口長治郎君 ただいま議題となりました医療金融公庫法の一部を改正する法律案、及び労働保険審査官及び労働保険審査会法の一部を改正する法律案について、社会労働委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、医療金融公庫法の一部を改正する法律案について申し上げます。  医療金融公庫は、昭和三十五年七月に私立病院、診療所等の設置及びその機能の向上をはかるために、専門の金融機関として設立されたのであります。  本改正案のおもなる点は、  第一に、従来の経緯から、政府の公庫に対する出資金は、将来もさらに引き続き増加する必要が予想されますので、法律上資本金が一定額とされていたたてまえを改めまして、政府が必要があると認める場合におきましては、予算に定められた金額を医療金融公庫に追加して出資できることとするとともに、追加して出資のあった場合には、その出資額により、公庫の資本金を増加することとしております。  改正の第二点は、監事制度についてでありますが、監事は、監査の結果必要があると認める場合は、総裁または総裁を通じて主務大臣に意見提出することができるものとすることであります。  本案は、去る二月五日本委員会に付託となり、本月十三日の委員会において質疑を終了いたしましたところ、自由民主党、日本社会党、民主社会党の三党共同の、監事制度についての修正案が提出せられ、竹内黎一君より趣旨の説明を聴取した後、採決の結果、本案は修正議決すべきものと議決いたした次第であります。  なお、本案に対し、粟山秀君外二名提出の附帯決議を付することに決しました。  次に、労働保険審査官及び労働保険審査会法の一部を改正する法律案について申し上げます。  労働保険審査会は、労働者災害補償保険法、失業保険法及び炭鉱離職者臨時措置法による再審査請求事件並びに中小企業退職金共済法による審査の事務を取り扱っておるのでありますが、その取り扱う案件は逐次増加の傾向を示しております。また、これらの案件の当事者の実情にかんがみ、案件を迅速かつ適正に処理することが要請されております。  本案は、このような事情にかんがみ、労働保険審査会の委員を新たに三人増員し、六人をもって組織するとともに、その運営に関する規定を整備しようとするものであります。  本案は、去る二月三日本委員会に付託となり、本月十七日の委員会において質疑を終了いたしましたところ、自由民主党、日本社会党、民主社会党の三党共同の、合議体による再審査の方法についての修正案が提出せられ、西岡武夫君より趣旨の説明を聴取した後、採決の結果、本案は修正議決すべきものと議決いたした次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  53. 船田中

    議長船田中君) これより採決に人ります。  まず、日程第三につき採決いたします。  本案の委員長報告修正であります。  本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  54. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって本案は委員長報告のとおり決しました。  次に、日程第四につき採決いたします。  本案の委員長報告修正であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。      ————◇—————  日程第五 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件
  56. 船田中

    議長船田中君) 日程第五、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。     ————————————— 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件   〔本号(その二)に掲載〕     —————————————
  57. 船田中

    議長船田中君) 委員長報告を求めます。逓信委員長加藤常太郎君。     —————————————   〔報告書は本号(その二)に掲載〕     —————————————   〔加藤常太郎君登壇
  58. 加藤常太郎

    ○加藤常太郎君 ただいま議題となりました放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に関し、逓信委員会における審査の経過と結果とを御報告申し上げます。  この議案の内容は、日本放送協会の昭和三十九年度収支予算、事業計画及び資金計画でありますが、まず、その収支算は、収支ともに総額七百八十八億八千三百万円余で、これに照応する専業計画の重点事項は、テレビジョン放送の全国普及をはかるための積極的な置局の推進、FM放送の普及開発、教育テレビジョン放送番組の充実、オリンピック東京大会の放送の実施、受信料免除範囲の拡大等となっております。  逓信委員会においては、二月二十六日本案の付託を受けて以来、数次の会議を通じて、政府並びに協会当局より説明を聴取し、質疑を行なったのでありますが、三月十六日、討論採決の結果、全会一致をもって本議案はこれに承認を与うべきものと議決した次第であります。  なお、採決の後、委員会は、放送の基本政策の検討に関することなど、五項目を内容とする附帯決議を付するこを全会一致をもって議決いたしました。  これをもって報告を終わります。(拍手)     —————————————
  59. 船田中

    議長船田中君) 採決いたします。  本件は委員長報告のとおり承認するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  60. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本件は委員長報告のとおり承認するに決しました。      ————◇—————  日程第六 農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第七 農業改良資金助成法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第八 北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提出
  61. 船田中

    議長船田中君) 日程第六、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案日程第七、農業改良資金助成法の一部を改正する法律案日程第八、北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。     —————————————
  62. 船田中

    議長船田中君) 委員長報告を求めます。農林水産委員会理事小山長規君。     —————————————   〔報告書は本号(その二)に掲載〕     —————————————   〔小山長規君登壇
  63. 小山長規

    ○小山長規君 ただいま議題となりました三法案について、農林水産委員会における審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。  最初に、三案のおもな内容を申し上げます。  まず、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案は、二月十二日内閣から提出されたもので、そのおもな改正内容は、第一に、政府が公庫に出資する場合、公庫法の改正の手続を要せず、予算の範囲内で出資できるようにすること、第二に、公庫の業務運営をさらに適正化するため、監事の権限を強化しようとすること、第三に、金利体系を現行の九段階から原則として四段階に整理するとともに、金利の引き下げをはかり、その他償還期限、据え置き期間の整理延長をはかろうとすることと相なっております。  次に、農業改良資金助成法の一部を改正する法律案は、農業の新情勢に即応し、農業改良資金制度を大幅に改良しようとして、去る二月十一日内閣から提出されたものでありまして、そのおもな改正内容は、第一に、農業改良資金の無利子の貸し付け金として、新たに農家生活改善資金及び農業後継者育成資金を加えることとし、それぞれについての定義を明記するとともに、貸し付け条件と貸し付け要件等を定めていること、第二に、農業改良資金の償還期間の最高は、従来三年であったものを、新たな資金の追加と技術導入資金にかかる技術の高度化傾向に即応し、これを五年に引き上げることとしたことを骨子といたしております。  最後に、北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案は、二月十三日内閣から提出されたものであり、同法に基づく営農改善資金の貸し付け適格認定の申請は、昭和三十九年三月三十一日までにこれを行なわなければならないことになっておりますが、目下のところ諸般の事情により認定がおくれておりますので、認定の申請期限を昭和四十一年三月三十一日まで二カ年延長し、その間に必要農家の認定を終了し、北海道寒冷地畑作農業者の経営の安定をはかろうとするものであります。  農林水産委員会におきましては、以上三案を一括議題に供し、去る二月二十五日政府から提案理由の説明を聴取した後、三月十七日まで九回にわたり審査を進め、その間、東大教授大内力君ほか三名の参考人から意見聴取を行なうなど、審査に慎重を期し、三月十七日、以上三案について一切の質疑を終了したところ、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案に対し、自民、民社両党共同により、監事は農林大臣に直接意見を述べることができるようにする旨の修正案が提出され、また、日本社会党からは、公庫に対する政府出資については現行法どおり法律事項とすること、及び監事は農林大臣に直接意見を述べることができるようにする旨の修正案が提出されましたので、それぞれについて趣旨説明を聴取の上、討論を省略して採決に入り、両修正案のうち、共通部分については多数をもってこれを可決し、社会党提出修正案中の共通部分を除く部分については少数をもって否決し、修正部分を除いた原案については多数をもって可決し、結局のところ、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案は多数をもって修正議決すべきものと決した次第であります。また、農業改良資金助成法の一部を改正する法律案、及び北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案については、いずれも多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。  なお、農業改良資金助成法の一部を改正する法律案に対しては、政府は、農山漁村の生活の近代化を促進するため、農山漁家に対する住宅資金の貸し付けを一そう拡充する等積極的な施策を講ずべき趣旨の附帯決議を、さらに農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案については、政府は審議会等において農林漁業金融に根本的な検討を加え、その結果に基づき、適切な措置を講ずるとともに、当面政府は公庫に対する政府出資を大幅に増額するために必要な予算措置を講ずべきこと等六項目にわたる附帯決議を、いずれも自民、社会、民社三党共同によって付することに決定しましたことを申し添えます。  以上、報告を終わります。(拍手)     —————————————
  64. 船田中

    議長船田中君) これより採決に入ります。  まず、日程第六につき採決いたします。  本案の委員長報告修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  65. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。  次に、日程第七及び第八の両案を一括して採決いたします。  両案の委員長報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  66. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第九 日本観光協会法の一部を改正する法律案内閣提出
  67. 船田中

    議長船田中君) 日程第九、日本観光協会法の一部を改正する法律案を議題といたします。     —————————————
  68. 船田中

    議長船田中君) 委員長報告を求めます。運輸委員長川野芳滿君。     —————————————   〔報告書は本号(その二)に掲載〕     —————————————   〔川野芳滿君登壇
  69. 川野芳滿

    ○川野芳滿君 ただいま議題となりました日本観光協会法の一部を改正する法律案につきまして、運輸委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  本案は、国際観光の振興をはかるため、日本観光協会を国際観光振興会とし、その組織並びに業務の範囲を改めようとするもので、おもなる内容は、第一に、日本観光協会の名称を国際観光振興会に改め、もっぱら外国人観光旅客の来訪の促進に必要な業務のみを行なうこととすること、第二に、現行の会員制を廃止し、理事も他の役員と同様運輸大臣の任命制とすること、その他、改組に伴う所要の規定を整備しようとするものであります。  本案は、二月十一日本委員会に付託となり、二月十九日政府より提案理由の説明を聴取し、三月十三日及び十七日質疑を行ない、同十七日、討論を省略して採決の結果、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  70. 船田中

    議長船田中君) 採決いたします。  本案の委員長報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  71. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第十 奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第十一 地方税法等の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第十二 市町村民税減税補てん債償還費に係る財政上の特別措置に関する法律案内閣提出
  72. 船田中

    議長船田中君) 日程第十、奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案日程第十一、地方税法等の一部を改正する法律案日程第十二、市町村民税減税補てん債償還費に係る財政上の特別措置に関する法律案、右三案を一括して議題といたします。     —————————————
  73. 船田中

    議長船田中君) 委員長報告を求めます。地方行政委員長森田重次郎君。     —————————————   〔報告書は本号(その二)に掲載〕     —————————————   〔森田重次郎君登壇
  74. 森田重次郎

    ○森田重次郎君 ただいま議題となりました三法案について、地方行政委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。  御承知のように、奄美群島復興十カ年計画は、昭和三十八年度をもって終了いたしますが、本案は、同群島の特殊性にかんがみ、引き続き、新たに振興五カ年計画を策定し、復興計画の補完と主要産業の振興をはかろうとするものであります。  その要旨は、第一に、題名を奄美群島振興特別措置法と改め、目的に、主要産業の育成等の措置を講ずることを加えるものとし、第二に、奄美群島振興信用基金の融資業務に要する資金として、国の出資額を追加するときは、今後はそのつどこれを法律上に明定することなく、当然に資本金が増加することとなるように改めること等であります。  本案は、二月三日当委員会に付託され、同四日提案理由の説明を聴取し、以来、関係政府委員に対し、振興五カ年計画の内容、保証及び融資業務の状況等について質疑を重ねるほか、参考人として、大島支庁長の出席を求めてその意見を聞くなど、慎重に審査を行なったのでありますが、その詳細は会議録によって御了承いただきたいと存じます。  かくて、三月十七日、質疑を終了いたしましたところ、本案に対し、日本社会党より、信用基金の融資業務に要する資金に対して国の出資額を追加するときは、当然に資本金が増加することとなる旨の一般的規定を削除して、従来どおり法律上に出資額を定めておこうとする修正案が提出されました。  次いで、討論を省略して採決の結果、修正案は少数をもって否決され、本案を多数をもって政府原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、地方税法等の一部を改正する法律案のおもな内容について申し上げます。  第一に、市町村民税につきましては、負担の不均衡を是正するため、二年度間にわたって、ただし書き方式を本文方式に統一し、さらに極端なる超過課税の解消をはかるとともに、これに伴う減収額を埋めるため、地方債の発行を認めることであります。  第二は、事業税につきまして、中小企業者の負担の軽減をはかるため、個人の事業主控除を二万帯引き上げて二十二万円とするとともに、法人事業税の軽減税率の適用範囲を拡大すること  であります。  第三は、固定資産税について、新評価制度の実施に伴い、住民の税負担に著しい変動を与えないため、三年間の暫定措置として、本年度に比し、農地は据え置き、その他の土地は二割増を限度とする税負担の調整を行なうものであります。また、住宅建設の促進に貧するため、不動産取得税及び固定資産税について軽減措置を講じていることであります。  第四は、電気ガス税について、住民負担の軽減をはかる趣旨から税率を一%引き下げるとともに、これに伴う減収を補てんするため、市町村たばこ消費税の税率を一・六%引き上げていることであります。  第五は、料理飲食等消費税につきまして、当分の間、外人客の飲食と旅館における宿泊に対し非課税とするということであります。  最後に、軽油引取税につきまして、道路目的財源の充実をはかるため、税率を引き上げることであります。  本案は二月二十八日本委員会に付許されたものであります。  次に、市町村民税減税補てん債償還費に係る財政上の特別措置に関する法律案のおもな内容を申し上げます。  本案は、ただいま申しあげました地方税法の改正により、市町村民税所得割りの課税方式及び標準税率の設定に伴う減収額を埋めるため、市町村が起こした地方債の元利償還に要する経費につきまして、その三分の二は国が元利補給金を交付し、他の三分の一は、地方交付税に算入して、毎年度の元利償還に要する経費の全額について財源付与を行なうという財政上の特別措置を講じようとするものでありまして、本案は二月二十四日本委員会に付託されたのであります。  右両案につきましては、二月二十八日早川自治大臣より提案理由の説明を聴取し、直来、地方税制度の根本問題にも触れて検討を行なうとともに、改正案が、住民負担及び地方財政に与える影響の大きいことにかんがみまして、地方税法等の一部を改正する法律案等審査小委員会を設け、また、三月十六日には参考人を招致して意見を聴取するなど、慎重に審査を行ない、改正事項はもちろん、現行地方税制度の全般にわたって熱心かつ詳細に論議が展開されたのでありますが、その詳細につきましては会議録によって御承知いただきたいと存じます。  三月十七日、永田小委員長より、小委員会における審査の経過及び結果に  ついて報告がありました。同日、質疑を終了いたしましたところ、地方税法等の一部を改正する法律案に対しまして、自由民主党より、外人客に対する料理飲食等消費税の非課税措置の適用について、原案では、「当分の間」となっているのを、本年七月一日から六カ月間とするとともに、対象となる範囲のうち、原案では、飲食について、いかなる場所におけるものでも非課税となっているのを、旅館の宿泊に伴う飲食に限ることとする旨の修正案、及び月本社会党より、地方税制全般にわたる修正案が提出され、中島委員及び安井委員より、それぞれ趣旨説明を聴取いたしました。次いで、政府提出二法案及び自由民主党提出修正案並びに日本社会党提出修正案を一括して討論に付しましたところ、村山委員は自由民主党を代表して、自由民主党提出修正案及び同修正部分を除く政府提出の二法案に賛成、日本社会党提出修正案に反対、細谷委員は日本社会党を代表し、また栗山委員は民主社会党を代表して、日本社会党提出修正案に賛成、自由民主党提出修正案及び政府提出の二法案について反対意見をそれぞれ述べられました。  かくて、地方税法等の一部を改正する法律案について採決の結果、日本社会党提出修正案は否決、自由民主党提出修正案及び修正部分を除く政府原案は賛成多数をもって可決、よって、本案は修正議決すべきものと決しました。  また、市町村民税減税補てん債償還費に係る財政上の特別措置に関する法律案について採決の結果、賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。  右、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  75. 船田中

    議長船田中君) 三案中、日程第十一に対しては、安井吉典君外八名から、成規により修正案が提出されております。     —————————————
  76. 船田中

    議長船田中君) この際、修正案の趣旨弁明を許します。安井吉典君。   〔安井吉典君登壇
  77. 安井吉典

    ○安井吉典君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となっております地方税法等の一部を改正する法律案に対し、修正案を提案いたしたいと存じます。  地方税の問題についての取り組みで重要な点は、一つには、大衆負担の軽減、二つには、地方財源の充実という二面であります。すなわち、一般国民大衆、特に比較的低い所得水準にある人々の税負担力に対する十分な配慮が必要である反面、地方自治がその地域社会における住民の生活を快適にし、しあわせを高めていく機能を果たすため必要な自主財源を確保しなければならないのであります。  しかるに、政府提出地方税制改正法案においては、三十九年度減税四百九十五億円というが、その実は、軽油引取税の増税や自然増収で、前年度より二二%、二千三百二十六億円の増収となっており、しかも、四百九十五億円減税の中身には、大企業に対する減税や外国人に対する料飲税の減税額なども含まれており、大衆負担軽減措置としては、市町村民税ただし書き式の廃止及び電気ガス税一%引き下げ以外には、全く見るべきものがないのであります。近来の物価高やこれに伴う名目所得の増加に見合う分だけでも各税目における控除額を引き上げる等の措置が当然必要でありますのに、これをほとんど行なっていないことからすれば、大衆負担はむし増加せしめられているのであります。これを税の自然増収と称し、名目的にもせよ所得が上がったのだから税金の上がるのも当然だというであり、これでは減税とは名のみ、池田内閣は物価を上げて税金をよけいとる政府だといわれても弁解のしようがあるまいと思うのであります。(拍手)  このように、地方財政が大衆課税に大きく依存せざるを得ないような原因は、実は今日の地方財政の仕組みの中に問題があるからであります。すなわち、いわゆる高度経済成長政策のもとで、都市といわず、農村といわず、地方財政は、本来の住民福祉のための支出を犠牲にしても、国の押しつける膨大な公共投資と物価高からくる財政需要の増大にまさに四苦八苦のていであります。政府は、有力な税源はすべて国に取り上げ、その上、大企業に対する国税の租税特別措置の影響で、住民税や事業税も減らしているばかりか、固定資産税や電気ガス税にも設けられているこの種の特権的軽減措置を、今度の改正でさらに増大させ、これらの減収額が一千億円にも及んでいる上に、一方、仕事のほうは、大企業進出の先行投資までを含め、地方に押しつけ、補助金行政、陳情誘発行政で、地方自治体の財政運営の自主性をそこない、ひいては地方自治そのものを破壊に導きつつあるのであり、かかる池田内閣地方行政政策の姿勢を根本的に正しくすることこそが先決問題だと思うのであります。(拍手)  したがって、この際、国と地方を通ずる税財源の再配分等抜本的改革が必要でありますが、当面、地方自治と住民福祉を守る立場から、大衆負担の軽減並びに地方財政の強化のため、今次の政府地方税制改正法案に対し修正を行なうべきであると考えるのであります。  さて、その要点につき簡単に申し上げたいと思います。  第一に、いわゆる住民税についてであります。まず、道府県民税課税方式について政府案は何らの配慮を加えていませんが、この際、大衆負担軽減のため道府県民税所得割りの比例税率制を廃止し、課税所得を十三段階に区分する従前の超過累進税率制に改め、応能主義を徹底することにいたしたいのであります。  市町村民税における課税方式の政府改正案は、財政力の弱い市町村ほど税が高いという実態を一日も早く解消しなければならぬというわが党の年来の主張政府がようやく取り上げたものであり、その方向については私どもも歓迎するものであります。しかし、二カ年度分割実施はやむを得なかったにしても、三十九年度における市町村民税所得割りのただし書き方式廃止は不徹底である上、減収補てん措置も赤字公債に類する形がとられることは不合理であります。本修正案は、三十九年度において完全に本文方式に統一し、四十年度には標準税率制度に改めることにし、かつ、制限税率については、改正案では標準税率の一・五倍とあるのを一・二倍に押えることにいたしました。なお、市町村民税の減収補てん措置として、三十九年度から四十四年度まで全額国庫による臨時特別交付金を該当市町村に交付する一方、地方交付税では貧弱団体に対する傾斜配分を強めていくようにいたしております。  また、道府県民税及び市町村民税のその他の減免措置として、所得割りの基礎控除を九万円から十万円に引き上げ、配偶者の場合、現行は扶養控除七万円とされているのを、住民税でも、妻の座を明確に認め、配偶者控除十万円を新設、扶養控除も一人三万円から五万円に引き上げることにしました。また、農協、漁協、生協その他に対する非課税や課税標準の特例の復元、障害者、老齢者、または寡婦等についての非課税の範囲を二十四万円引き上げる等、大衆の生活につながるきめこまかな配慮を加えようとするものであります。  第二に、事業税についてであります。事業税は本来二重課税的な性格を持つものであり、個人事業税は将来撤廃することを目途に、当面の措置として、事業主控除を改正案二十二万円を三十万円に引き上げ、専従者控除を青色申告の場合、現行八万円を十二万円に、白色申告の場合、現行五万円を七万円に引き上げることにいたしました。  第三は、固定資産税についてであります。政府は、本年一月一日付で新方式により全国の市町村に固定資産の評価がえを実施させつつありますが、新評価額では、家屋と償却資産はさしたる変化はないが、田畑、山林、宅地等の土地では大幅な引き上げとなり、このような評価額の激変と全国的な反対運動の高まりから、政府改正案では、三年間だけは田畑は三十八年度据え置き、宅地等はその二割増しでとどめるという暫定措置を定めていますが、三年後の四十二年度からの恒久措置につき、大増税がないという保証が全くないため、国民に大きな不安を与えております。暫定期間中といえども宅地等を二割増税することは、物価騰貴を促進する危険があり、また、田畑は据え置いても採草放牧地を二割増税することは、一方で選択的拡大とか革命的農政とか称しながら、酪農振興に逆行する措置だといわなくてはなりません。本修正案では、三十九年度から三年間の暫定期間中は土地はすべて三十八年度の評価額をもって課税することとし、特に立ちおくれている農業の基盤整備や経営の近代化が国民経済全体の上からも強い要請となっており、諸外国でも農業用固定資産について減免措置を行なっている立法例のあることから、政令で定める田畑、牧野、果樹園、農作業場、農機具その他農業用固定資産については、すべて課税標準を評価額の三分の二とすることにいたしております。また、零細な大衆負担軽減のため、免税点を大幅に引き上げ、大企業に対する特権的な課税標準の特例を廃止することといたしております。  第四に、電気ガス税については、大衆負担軽減のため税率を六%に引き下げるとともに、現行の免税点三百円を基礎控除五百円に改め、同時に、特権化し、税負担の公平を欠く大企業に対する非課税の特例を廃止いたしております。  第五は、料理飲食等消費税についてであります。戦後ずっと続いてきた外人客に対する非課税措置をようやく廃止して一年目、再びこれを復活しようとする政府の考えは、外国人に対する卑屈感から発し、実際は高級ホテル助成や、脱税奨励の意味しか持たないものであり、わが党は、外客非課税措置は行なわず、旅館の宿泊飲食について、控除を現行八百円から一千円に、免税点を現行一千円から一千三百円に引き上げ、飲食店、喫茶店等における免税点を、現行五百円から八百円に引き上げ、外人に対してではなく、みずからの国民の生活にささやかな減税を贈ろうとするものであります。(拍手)  第六は、消防施設税であります。これは消防施設を拡充整備するための目的税として創設するもので、都道府県は、市町村に対し、消防に関する費用に充てる財源を交付するため、火災保険会社に対し、火災保険料収入の三%を課税するものといたしております。  第七に、政府案の軽油引取税の二割増税につきましては、道路整備の財源の大半をガソリン税と軽油引取税の増税に求めようとする政府の態度は、はなはだ安易で、場当たり的なものであるといわなくてはなりません。交通運輸事業に対する影響が大きく、ひいて物価値上げにつながるものとして、わが党はこの増税の規定を削除する修正を行ないたいと思うのであります。  第八は、たばこ消費税でありますが、地方自主財源強化と減税補てんのため、道府県たばこ消費税の税率を現行九%から一二%に、市町村の場合には改正案の一五%を一八%に、それぞれ引き上げることに修正いたしております。  なお、国民健康保険税についても所要の修正を加えております。  わが党は、別に地方交付税法の一部を改正する法律案を準備し、地方交付税率を現行二八・九%から三一%に引き上げることとしており、さらに国税における租税特別措置を改廃することにより、当然住民税及び事業税の大幅増収を期待できるので、この修正案による地方税減税額は千五百五十四億円にのぼるのに対し、増収額は千七百九十億円に及び、地方財政は差し引き二百二十六億円増加することとなるのであります。  以上のごとく、国民生活に対するあたたかな、かつ行き届いた配慮と、地方財政の充実とを二つながら果たそうとする本修正案の提案趣旨につき、ぜひ御賛同あらんことを切に願って、私の弁明を終わります。(拍手)     —————————————
  78. 船田中

    議長船田中君) 日程第十一及び第十二の両案につき討論の通告があります。順次これを許します。細谷治嘉君。   〔細谷治嘉君登壇
  79. 細谷治嘉

    ○細谷治嘉君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題になっております地方税法等の一部を改正する法律案に関し、地方行政委員会の修正案及び修正部分を除く政府原案に反対日本社会党提出修正案に賛成、市町村民税減税補てん債償還費に係る財政上の特別措置に関する法律案に対し、反対の討論を行なうものであります。(拍手)  まず、今回の地方税法等の一部改正案は、戦後最高の減税だと広言いたしておりますが、その内容を見ますと、道府県税で八十三億円の減税でありますが、目的税において八十七億円の増税となり、実質的には約四億円の増となっておるのであります。市町村民税においては百三十五億円の減税でありますが、地方税全体を通じての減税額は合計百三十二億円にすぎず、増収額の二千三百二十七億円に対しましてはわずかに六%にすぎないのでございます。地方税収入は総額一兆二千九百億円であって二二%の伸びを見積もっており、昨年度の対前年比が一三%増に比しきわめて過大であります。しかも内容的には、法人税の伸び、最低生活費に食い込む市町村民税の所得割りの増加を見ておるのでありますが、はたしてこのような伸長が期待し得るかいなか、はなはだ疑問と申さなければなりません。  今回の改正案の第一は、住民税の課税方式の統一でありましょう。周知のごとく、住民税には本文とただし書き方式の二つがあります。このために、同じ日本国民で、同じ所得でありながら、三、四倍、はなはだしいところでは六、七倍の税が課せられておるという不合理、不公平が存在しておったのであります。このたび数年来のわが党の主張に沿うて、ようやく方式統一へと踏み切ったのでありますが、むしろおそきに失したと申さなければなりません。住民税は市町村税収の大黒柱であります。したがいまして、これに関する何らかの改正は、当然その財源補てんを完全に行なうことによってのみ初めて実施し得るものと申さなければなりません。  しかるに、政府案は、その三分の一を地方交付税の基準財政需要額に算入するにすぎず、残りの三分の二は減税補てん債の元利償還金を補給しようとするものであります。しかも、この補てん債は赤字公債そのものであり、毎年二割ずつ減少いたしまして、六年後にはゼロとなるものであります。一方、地方交付税による減収補てんも、交付税率の改正を行なわず、自然増と基準税率の五%引き上げによって生み出そうとするもので、二千数百に及ぶ市町村の期待を全く裏切るものと申さなければなりません。財政の貧弱な市町村は、行政水準を維持向上させるために、住民の担税力を越えて住民税を重く課してまいったのであります。公平を貫き、不合理を正し、憲法第二十二条の居住権の自由を実質的に保障しようという政治上の必然性から課税方式の統一が試みられる以上、その財源を完全に穴埋めすべきことは、議論の余地全くないところでございます。  したがいまして、改正に伴う減収補てんのため、全額国庫による臨時特別交付金制度の設置を強く主張いたしますとともに、百五十億円ずつという非現実的なやり方でなく、初年度に方式の統一を、二年度に準拠税率から標準税率へと改め、しかも標準税率の一・二倍をこえて所得割りを課することができないとする社会党修正案は、きわめて現実的、合理的でありまして、心から賛成いたすものでございます。(拍手)  第二の問題点は固定資産税であります。昭和三十七年四月、地方税法の一部を改正する法律日本社会党の反対を押し切って成立いたしました。それは、評価制度を改め、昭和三十九年度から実施しようとするものでありました。政府は、同年七月以来、数次にわたって試案なるものを市町村に示し、わずかな交付税によって事務を進めさせたのでございますが、正式な評価基準は実施数カ月前の昨年十二月二十五日、官報で告示し、しかも、本年一月二十八日、その一部を再修正しておるのでございます。このことは、準備きわめて不足な政府自体が一方的に強行したことを如実に物語っており、まことに遺憾と申さなければなりません。  新基準による評価額は、農地一・三ないし一・四倍、宅地六、七倍、はなはだしいものは十倍以上、山林三、四倍、家屋、償却資産はほぼ従来と同額というように、資産間に著しい格差を生じたばかりでなく、地方団体間にも不均衡を生んでおるのでございます。換言いたしますと、土地の極端な増税を招来し、逆に大資本、大企業の償却資産の減税を結果することとなるのでございます。固定資産税の総額を変えないという法衣のそでの下に、すでに池田内閣の大資本擁護のためのよろいがきらきらと光っていると断定せざるを得ないのでございます。(拍手)  政府案は、売買実例に基づく評価が正しいと主張いたしております。自治省の資料によりますと、この税が創設された昭和二十五年から三十三年ころまでは、各資産間に著しい不均衡がなかったのに、三十四年ころから急激なアンバランスが生じてまいったのであります。このことは、池田内閣の高度経済成長政策の生んだひずみであります。このひずみを正当化し、これによって固定資産税を課するがごときは断じて容認し得ないところであります。(拍手)  政府案は、激変緩和という名目で、三年の間農地については前年の評価額で、宅地、山林については二割増を限度とする暫定措置を講じておりますが、依然として宅地に対する増税以外の何ものでもなく、一体何のための新評価かといわざるを得ないのであります。察するに、三年後には税率の引き下げによって一気に土地等の増税、償却資産の減税を行なうとの予定の基本路線を指向するものと申さなければなりません。のみならず、土地と家屋には都市計画税が課せられておる点、二重の増税として指摘せざるを得ないのであります。ある素朴な農民が、池田さんは住民税を下げ、そのかわりに固定資産税を上げおると私に語りましたが、まさしく真実だと考えざるを得ないのであります。(拍手)  日本社会党は、このような性格の政府案に断固反対し、暫定期間中、土地はすべて前年度の評価額をもって課税し、その間根本的な解決をはかるべきことを主張するとともに、免税点の引き上げと大企業に対する課税標準の特例、または制限措置を廃止する修正案に心から賛意を表するものであります。  第三は、電気ガス税についてであります。政府案は、税率を一%下げるかわりに市町村たばこ消費税を一・六%引き上げるほかに、非課税範囲の拡大と、輸出振興のため数品目について百分の二という新税率を設けることを内容としております。現在、電気ガス税には百二十種に及び非課税品目があり、その減税額は二百億円にも達しております。これらを検討いたしますと、何ゆえの非課税かと考えさせられるものが多く、いまや一種の特権と化しつつあるのであります。私は、税率を百分の六に引き下げ、基礎控除を五百円とするとともに、大企業に対する非課税の廃止を主張する社会党の修正案を強く支持するものであります。(拍手)  第四は、料理飲食等消費税についてであります。私がきわめて奇怪しごくと思うことは、外客に対する料理飲食等消費税の特例に関する政府の態度でございます。本件は二年前の国会で確定を見ているにもかかわらず、オリンピックの美名のもとに特例を設け、あまつさえ閣議において範囲を拡大し、期間を永久化すべく修正するに至ったことは、まことに遺憾なことであります。もし万一政府案が成立するがごときことがあれば、それは一種の治外法権であり、まさに国辱ともいうべく、また国会の朝令暮改を意味し、国会の権威を失墜するものと申さなければなりません。(拍手)私は、断固この削除を要求いたしますとともに、大衆に対する消費税の軽減をはかることこそ喫緊の課題であると存ずるのでございます。  以上のほか、個人事業税、軽油引取税、国民健康保険税等、政府案は幾多問題点と矛盾とを持っております。  特に私が指摘いたしたい第一点は、国の責任でやるべき産業政策、観光行政等々について、料飲税や電気ガス税など地方の重要な独立税にしわ寄せをさせ、さなきだに窮迫を告げている地方財政を一そう硬直化させている点であります。地方税は県や市町村のものであって、法律によって政府が与えているのだというがごとき考え方は、根本から一掃せねばならぬと存じます。  第二の点は、軽油引取税を二割も増税しながら、一方では、物価政策で料金を一年間もストップさせ、しかも、増税分は企業努力によって吸収できると広言しております。ところが他面、電気ガス税については、わずか電気料金の七%、全体としては〇・五%以下の影響しか持たぬ非課税品目には吸収が不可能だというがごときは、まさしく物価問題に対する政府の熱意不足を証明するものであり、独善の態度であり、論理の著しい矛盾と申さなければなりません。  最後に、私は、地方自治確立のため、地方税の充実、自主財源の強化について一言いたしたいと思います。  昭和三十九年度の国税と地方税の比はほぼ七対三であります。他方、支出の面は、およそ四対六と逆転しております。ことに、三十九年度は公共投資の大幅増によって地方負担が増大し、加えて地方債発行の著増によって、地方団体の財政構造はいよいよ弾力性を失いつつあるのでございます。したがいまして、社会党修正案が示す方向に沿うて税源の再配分と交付税率の引き上げ等を早急に実現し、もって地方自治確立のため努力せられんことを強く要求いたしまして、私の討論を終わります。(拍手
  80. 船田中

    議長船田中君) 門司亮君。   〔門司亮君登壇
  81. 門司亮

    ○門司亮君 私は、ただいま上程されております地方税法の一部改正案、同案に対する自由民主党からなる修正案、及び市町村民税減税補てん債償還費に係る財政上の特別措置に関する法律案に対しまして反対意思を表明し、社会党提案になる修正案に賛成の意見を申し述べようとするものでございます。(拍手)  まず、府県民税に関する問題として、先ほど同僚から申し上げましたように、今回の税法改正で最も私どもが奇怪に考えておりますのは、料理飲食税の外人に対する非課税の問題でございます。このことは私どもが申し上げるまでもなく、池田さんは始終大国と申され、また世界で非常に大きな地位を占めておるようなことを申されておりますが、一体、外人に対して、日本人にかけておる税金をはずさなければならないというような理論がどこから生まれてくるかということについて、私は非常に不可解な念にかられるというよりも、憤りさえ持つものでございます。(拍手)由来日本人の性格として、ややともすれば外人の優位性を認める癖があることは、周知の事実だと私は考える。したがいまして、この国権の最高機関である国会における広場においては、少なくともこうした日本人の卑屈なものの考え方を直すというところにも一つの大きな理由がなければなりません。(拍手)にもかかわりませず、依然として卑屈なものの考え方の中から、外人に非課税をしようとするこの言語道断の処置、同時に私は、ただ単にこのことだけではございません。今日政府は、口を開けば地方財政の赤字の問題、地方行政の円満なる遂行とこれの充実を叫んでおいでになります。にもかかわらず、池田さんは、外人に対して料理飲食税を免税することによって、大国意識を発揮されて、そうしていい気持ちにおなりになるかもしれませんが、その国の犠牲において、地方自治体の減ってまいりまする税源に対して、何らの補てん策を講じていないということは、一体どういうわけかということである。(拍手)国さえよければ、体面さえよければ、地方自治体の財政は今日以上困ってもよろしいというようなものの考え方で、ほんとうの民主政治が行なわれるかどうかということについては、私は非常に大きな疑問を持つ。この法案は、そういう意味におきまして、何らの補てん措置を講じていないことについて、おそらく自民党の皆さんといえども、この点は少し間違ってはいないかということに私はなるかと存ずるのであります。  次に、同じように都道府県民税として考えられております事業税の問題でございます。これも一応免税点を引き上げるとか、あるいは専従の諸君をどうするというようなことで、多少の減税をしたということを誇らしげに申されておりますが、私は、少なくとも今日、中小企業、ことに零細企業に対するこの事業税につきましては、少なくとも個人事業税は免税をするということが正しいのではないか。そのことは、一つの事業としてでなく、一つの家業として今日営んでおりまする農村に対しまして、事業税をかけていないという事実である。全くこれと同じように家族総出で、しかも、資本が回転してこれによって何も利潤を得るものでなく、わずかの資本を中心として一家総出の労力によってかろうじて生計を営んでおりまする諸君に対して、これが事業税の対象になっておるということは、事業税自体の性格から申しましても、いささか誤りでなければならぬと考える。したがって、私は、事業税に対します政府の今回の措置は、こういう点等についてもきわめて大きな不満と、わが党の年来主張してまいりました零細企業に対しまする個人事業税の廃止を、この際強く主張を申し上げるのであります。  同時にまた、市町村民税といたしましては、先ほどもお話のございましたように、市町村民税が五つ、あるいは三つ四つというような幾つかの段階に分かれる。そうして、第一方式と第二方式、あるいはただし書き等の間に、非常に住民負担の面から見て不合理な点がある。これを直さなければならないことは当然であります。しかし、今回の処置は、これを直すことによって、しかも財源的にもあるいは実際的にもきわめて不明朗である。と申し上げますのは、一挙にこれをすれば約三百億の財源を必要とするといわれておる。したがって、これを二年間で行なりといっておりますが、一体どこに線を引いて二年間にやろうとするのか、ての点はきわめて不明確である。同時に、この問題についても特に私は申し上げて御了解を得たいと思いますことは、第一方式に直すといっておきながり、これがもし政府の提案いたしておりまするように、標準税率によって一・五倍の制限税率が設けられてまいるということになりますると、当然、貧弱な町村はこの一・五倍の制限税率一ぱいに徴収するであろうということでございます。そうなってまいりますると、結局また住民負担に五〇%の差額のできるということは、この法律自身がそれを書いておるのである。私どもは、こういう問題に対し賛成をするわけにはまいりません。同時に、この両年度を通じて約三百億にのぼりまする減税に対して、財源補てんの道として講じられておりまするのが、政府の元利償還による交付公債によってその三分の二をまかない、残りの三分の一は交付税の算定においてこれを何とかするというような答弁をいたしておりまするが、しかも、これが五年間しかこれのめんどうは見られない。そうなってまいりますると、五年後におきましては、たとえ政府のいっておりまするように自然増収があるといいましても、こういうほんとうな脆弱な財政基礎を持っておるところだけが自然増収がふえるわけじゃない、日本全体の市町村の財政の伸びというものは同じように伸びてくるのである。そうすると、どこまでいっても、結局、今日の所得格差というものはなくならないという結論に達するかと存ずるのでございます。(拍手)したがって、この財源補てんの問題は明らかにごまかしであり、私は一時しのぎのものであるといわざるを得ないのでございます。  同時に、固定資産税にいたしましても同じことであります。政府は、いろいろな理屈をくっつけて、そうして本年度は、家屋に対しては償却を見て値上げをしない、土地に対しては二〇%上げるといっておりますが、同時にまた、三年後に正確なものを出して十分な処置をするというような答弁をいたしております。今日のように、物価の変動のきわめて激しい時期に、たとえ土地にいたしましても、二〇%の増額が見られるということになってまいりますると、結局それだけ地代が上がらざるを得ないということは当然でございましょう。したがって、今日住宅に悩んでおりまする多くの日本国民が、この処置によって当然地代が上がれば家賃が上がるという結論に相なってまいりまして、庶民の負担はより以上ふえるであろうということは当然であります。したがって、われわれは、固定資産税の評価がえにつきましては、これを今年度は据え置いて、そうして三年後にはっきりするというならば、その機会に行なうということがこれをとる処置ではないかということが考えられる。  同時に、今日の固定資産税における農地の問題等は一体どうやるかということである。農地に対しまする税金については、古来、日本の国は、鉱工業の発展をしていなかった時代におきましては、租税の根源を土地と家屋に求める以外になかったのである。したがって、長い間、土地と家屋にその税源を求めたということは当然であったかもしれない。しかし、今日のように鉱工業が発展をして、しかも、農村は、その従来の農業経営を維持することにきゅうきゅうとしており、また一方から考えてまいりまするならば、国家の存立、国家の独立は、少なくともその自国内において食糧を確保することができるということが、一国の存立の最も大きな要素にならなければなりません。(拍手)こう考えてまいりまするならば、この農地に対しまする税金等のごときは、当然それらのものを勘案して、今日より以上にここにおいて減税をする、あるいは一定の農地に対しましては免税をするというような確固たる方針がなければ、今日の日本の農村の問題を解決することは困難でございましょう。私は、池田さんがどんなに中小企業や農民のために考えると言われましても、ほんとうに具体的に農民の立ち行く姿、わが国の食糧確保のできるような税制の処置によってこれを行なうということが、今日の日本にとっては最も重要な要件ではないかと考えておるものでございます。  さらにまた、次に軽油税を二〇%上げると言っておりますが、これはガソリン税が上がったからこれにつれて上げなければならないという、いわゆる国税のおしょうばんみたいなものでございます。これも実にやっかいな問題でございまして、結局軽油税が上がればトラックの代金が上がるにきまっておるのである。トラックの代金が上がれば物の値段が上がることも当然である。低物価政策といいながら、結局ここでは物価つり上げの政策をおとりになっておるということは、返す返すも私どもは残念だと考えておるものでございます。  同時に、電気ガス税の問題等についても、先ほどお話のございましたように、今日わずかに一%を下げて、そうして一方においては非課税が非常にふえておる。今日の電気ガス税の税財源を見てまいりますと、ほとんど全部といっていいほどが電灯に対しまするものでございます。言いかえますならば、庶民の払っておる電気ガス税であると申し上げてもちっとも差しつかえない。鉱工業に対しましては、きわめて大幅な、しかも今回の法案に対しましてもさらに非課税品目をふやしておるというこの事実が、全くわれわれの了承に苦しむところでございます。  さらに私は、今日の最も大きな課題となっておりまする国民健康保険税について、一体政府はこれをどうしようというのか。政府は、先ほどの小林厚生大臣のお話にもございましたように、これを認める処置をすることのために、御承知のように世帯主に対しては七〇%、従来の家族に対する五〇%あるいは六〇%であったものを七〇%に引き上げて、そうして国民健康保険を充実させるという。しばしばここで申されておる。きょうもそう言っておる。しかし、現実の姿はどうなっておりますか。赤字の非常に累積をいたしておりますることのために、現に京都の市会では、世帯主は七割補給をする、しかし家族に対しては五割しか給付できないという法案を市会に提案いたしておりましょう。全く政府考え方と逆な結果がここに出てきておるのである。  私は、こういう地方財政の赤字、地方財政の苦しみにほおかむりをして、そうしてただいたずらに口先だけの住民の安定と、さらに民生の安定というようなことを言われる池田内閣の今日のこの地方税法の改正に対しましては、反対せざるを得ないのであります。同時にまた、自民党から出されておりまする修正案、これは、政府の案が、ところかまわず、時間をかまわず、当分の間非課税にするという外人に対しまする問題は、さすがに自民党の中にも良心の人があり、あるいは良心が多少とがめたと考えたほうがよろしいかと私は思いますが、きまりが悪いからということで、これを旅館に限定をして、そうして十二月三十一日までということに訂正をされましたが、その根底の精神は何ら変わりはないものとして反対をしなければならないと思うのでございます。  社会党から出されておりまする法案は、私どもの従来考えてきたこととほぼ同一の考え方の上に立った立案であることによりまして、私はここに賛成の意を表する次第でございます。(拍手
  82. 船田中

    議長船田中君) これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。  まず、日程第十につき採決いたします。  本案の委員長報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  83. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。  次に、日程第十一に対する安井吉典君外八名提出修正案につき採決いたします。  安井君外八名提出修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  84. 船田中

    議長船田中君) 起立少数。よって、修正案は否決されました。  次に、日程第十一につき採決いたします。  本案の委員長報告修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  85. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。  次に、日程第十二につき採決いたします。  本案の委員長報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  86. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第十三 法人税法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第十四 租税特別措置法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第十五 物品税法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第十六 地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、税関支署及び税務署設置に関し承認を求めるの件  とん税法及び特別とん税法の一部を改正する法律案内閣提出)  相続税法の一部を改正する法律案内閣提出
  87. 小沢辰男

    ○小沢辰男君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。  すなわち、この際、日程第十三ないし第十六とともに、内閣提出、とん税法及び特別とん税法の一部を改正する法律案相続税法の一部を改正する法律案を追加して六件を一括議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  88. 船田中

    議長船田中君) 小沢辰男君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  89. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  日程第十三、法人税法の一部を改正する法律案日程第十四、租税特別措置法の一部を改正する法律案日程第十五、物品税法の一部を改正する法律案日程第十六、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、税関支署及び税務署設置に関し承認を求めるの件、とん税法及び特別とん税法の一部を改正する法律案相続税法の一部を改正する法律案、右六件を一括して議題といたします。     —————————————
  90. 船田中

    議長船田中君) 委員長報告を求めます。大蔵委員長山中貞則君。     —————————————   〔報告書は本号(その二)に掲載〕     —————————————   〔山中貞則君登壇
  91. 山中貞則

    ○山中貞則君 ただいま議題となりました五法律案及び一承認案件につきまして、大蔵委員会における審議の経過並びに結果をご報告申し上げます。  初めに、法人税法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案のおもなる改正の内容は、中小企業者に対する税負担の軽減措置の一環として、普通法人の各事業年度の所得に対する法人税の軽減税率の適用限度額を、現在の二百万円から三百万円に引き上げるとともに、現在、税法上いわゆる同族会社が、毎事業年度の所得を留保した場合におきましては、その留保した所得金額から、その事業年度の課税所得の一五%相当額または百万円のいずれか多いほうの金額を控除し、その控除した残額について一定の累進税率による課税が行なわれているのでありますが、今回、その留保所得から控除する金額を、課税所得の二〇%相当額または百万円のいずれか多いほうの金額に引き上げて、中小法人の体質の改善向上をはかることといたしております。  次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、企業の国際競争力の強化及び自己資本の充実、資本市場の育成並びに科学技術の振興等に資するため所要の改正を行なおうとするものでありまして、そのおもな内容は次のとおりであります。  まず第一に、輸出所得の特別控除制度が本年三月末の期限到来を待って廃止されざるを得ない国際環境下に置かれておりますので、開放経済の試練に耐えていくわが国輸出産業育成のため、諸外国の反応をも考慮しつつ、次の諸措置によって企業の国際競争力の強化等への効果を期待することといたしております。  すなわち、輸出割り増し償却制度を二年間延長し、制度の簡素合理化をはかるため、償却範囲額の算出方法等につき所要の改正を行なうとともに、技術等の輸出所得控除制度についても、その適用期限を五年間延長するほか、本制度の適用対象に新たに対外支払い手段を対価とするコンサルティング業務の収入、並びに運送業務の収入を含めることとし、あわせて控除割合の引き上げ措置を講ずることにしております。  また、海外市場の開拓に必要な特別の支出に備えるため、市場開拓準備金の損金算入制度を創設し、あわせて、中小企業が共同して市場調査等を行なうための費用として商工組合に賦課金を納付した場合は、一定金額の損金算入を認めるとともに、商工組合についても、それに見合う中小企業海外市場開拓準備金の設定を認めることといたしております。  さらに、低開発地域に対する投資を促進するため、海外投資損失準備金制度を創設し、現地法人の株式の取得等、特定の投資について、その取得価額の二分の一以下の金額の損金算入を認めることといたしております。  第二に、企業資本の充実に資するため、支払い配当に対する法人税率を現在の二八%から二六%に軽減するとともに、これに準じて、年所得三百万円以下の部分に対応する支払い配当及び特別法人の支払い配当に対する税率もそれぞれ軽減することといたしております。  第三に、証券投資信託の収益分配金で、昭和四十年三月末日までに支払いを受けるべきものに対しては、新たに五%の源泉分離課税の道を開くとともに、証券取引上の事故による大衆投資家の被害に備えるため、証券取引責任準備金の損金算入制度を創設することといたしております。  第四に、科学技術の振興に資するため、現行の試験研究用機械設備等の特別償却及び開発研究用機械設備等の特別償却制度を統合拡大し、初年度において九五%相当額を償却できることとするとともに、鉱工業技術研究組合に対する支出金の特別償却割合を、初年度一〇〇%に改めるほか、重要国産技術の開発と国際競争力の強化に資するため、一定の条件のもとに、国産第一号機械の取得につき、初年度三分の一の特別償却制度を創設することといたしております。  第五に、新築貸家住宅に対する割り増し償却割合の引き上げ、探鉱用機械設備の特別償却割合の引き上げ、重要産業用合理化機械の特別償却割合の縮減、工業用水法に基づく井戸から工業用水道への強制転換施設につき、初年度三分の一の特別償却制度の創設など、各種の特別償却制度について要望にこたえるための所要の改正を行なうことといたしております。  第六に、海運業の再建整備に関する臨時措置法の趣旨にのっとり、海運業の再建整備を促進するため、外航船舶の減価償却に関し、償却不足額の五年をこえる繰り越し、または合併の場合における償却不足額の引き継ぎを認めることといたしております。  第七に、農業基本法、中小企業基本法、沿岸漁業等振興法等の趣旨に即応して、農業協同組合、漁業協同組合、事業協同組合、事業協同小組合及び商工組合等のうち、一定の要件に該当するものについて、その留保金課税の特例措置を講ずるほか、森林組合の森林組合合併助成法に基づく合併の場合における清算所得に対する非課税措置について所要の改正を行なうことといたしております。  第八に、医療法人のうち、公共性の高い内容を備え、公益の増進に著しく寄与する等、一定の要件に該当するものとして大蔵大臣の承認するものについては、一律に二八%の軽減税率を適用することといたしております。  第九に、わが国農業の近代化、生産性の向上に資するため、営農後継者の育成確保をはかるべく、農業を営む個人が推定相続人に農地を生前贈与して農業経営を行なわせる場合には、一定の条件のもとに、贈与税の納期限の延長等の特例措置を講ずることといたしております。  第十に、法人の交際費の損金不算入制度を三年間延長する反面、損金算入割合を引き下げる等、やや条件をきびしくする内容の改正を行なうこととしております。  以上のほか、石油資源開発株式会社の昭和三十四年三月及び昭和三十五年三月期の欠損金の繰り越し控除の特例、並びにブドウ糖混和糖水に対する砂糖消費税の軽減等について、実情に応じ所要の措置を講ずるとともに、本年三月末に期限の到来する開墾地等の農業所得及び土地改良事業施行地の後作所得に対する免税措置、航空機の通行税の軽減措置、増資登記に対する登録税の軽減措置、開拓農地の取得登記に対する登録税の特例措置等について、廃止を困難とするやむを得ない実情にあるものとして、それぞれ一年ないし三年その適用期限を延長することといたしております。  これらの法律案につきましては、中山税制調査会会長より参考人としての意見を聴取するほか、特に、租税特別措置法の一部を改正する法律案に関しましては、社会労働委員会との連合審査会を開き、医療法人課税問題について、阿部日本医師会副会長、荘医療法人協会会長を参考人として招致して意見を聞く等、慎重に審議を行なったのであります。  おもなる論議の内容は、法人税率、同族法人の留保所得課税、企業組合に対する税制、税制調査会の答申と政府案との相違点、租税特別措置と税負担の公平、医療法人に対する税制、交際費の損金不算入制度等でありましたが、その詳細は会議録に譲ることといたします。  次いで、有馬輝武君外十二名より租税特別措置法の一部を改正する法律案について修正案が提出されました。  修正案の内容は、政府改正案の全文を修正し、新規の特別措置は一切認めず、期限の到来するものについても、若干の項目を除いてこれを廃止し、さらに、利子課税の特例、配当課税の特例、価格変動準備金等現行の特別措置を廃止しようとするものであります。  かくして、これらの法律案並びに修正案につきましては、去る十七日、質疑を終了し、各案を一括して討論に入りましたところ、日本社会党を代表して平林剛君より、法人税法の一部を改正する法律案、及び租税特別措置法の一部を改正する法律案反対租税特別措置法の一部を改正する法律案に対する修正案に賛成、自由民主党を代表して木村剛輔君より、法人税法の一部を改正する法律案、及び租税特別措置法の一部を改正する法律案に賛成、租税特別措置法の一部を改正する法律案に対する修正案に反対、民主社会党を代表して竹本孫一君より、各案のいずれにも反対の旨の意見がそれぞれ述べられました。次いで、採決に入りましたところ、まず、法人税法の一部を改正する法律案は多数をもって原案のとおり可決されました。次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案に対する修正案は少数をもって否決され、同法律案は多数をもって原案のとおり可決されました。  続いて、物品税法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案の趣旨は、他の課税物品との負担の均衡をはかる見地から、昭和三十七年度より新たに課税されることとなり、現在暫定的に一〇%の軽減税率の適用を受けている七品目のうち、アンサンブル式レコード演奏装置、パッケージ型ルームクーラー及び自動車用冷房装置の三品目につき、その生産及び取引の実情並びに輸入外国品との競争力等を考慮し、軽減税率の適用期限をなお二年間それぞれ延長するとともに、現在、未納税で所定の場所に課税物品を移入した者は、移入した日から十日以内に所轄の税務署長までその移入申告書を提出することになっておりますが、事務手続の簡素化をはかるため、税務署長の承認を受けた場合には、これを月まとめとすることができるよう改めることといたしております。  本案につきましては、慎重審議の結果、昨十八日、質疑を終了し、直ちに採決を行ないましたところ、多数をもって原案のとおり可決されました。  次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、税関支署及び税務署設置に関し承認を求めるの件について申し上げます。  まず第一に、現在の横浜税関小名浜出張所は、本関である横浜税関から遠隔の地にあるため、税関業務の処理上不便な点が多く、また、小名浜港の整備に伴い、今後相当の貿易の伸長が見込まれ、税関の事務量も相当増加すると予想されますので、この際、同出張所を支署に昇格させて独立性を付与し、現地における税関業務の円滑化をはかることといたしております。  次に、最近、都会地の税務署におきましては、管内の納税者、課税物件等の大幅な増加に伴い事務量が過大となり、税務行政の運営に円滑を欠くおそれを生じてきておりますので、このような事情に対処して、東京国税局管内に向島税務署、江東税務署及び川崎北税務署を、名古屋国税局管内に名古屋中村税務署及び名古屋北税務署をそれぞれ設置し、もって納税者の利便と税務行政の円滑な運営をはかることといたしております。  本件につきましては、慎重審議の結果、昨十八日、質疑を終了し、直ちに採決を行ないましたところ、全会一致をもって原案のとおり承認すべきものと議決されました。  次に、とん税法及び特別とん税法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、最近におけるわが国の貿易外収支の動向及びわが国の港湾経費が諸外国に比べてやや低位にある状況等にかんがみ、この際、とん税及び特別とん税をそれぞれ倍額に引き上げ、もって国際収支の改善に資するところあらしめようとするものであります。すなわち、開港への入港ごとに納付する場合につきましては、とん税を現行のトン当たり八円から十六円に引き上げるとともに、特別とん税を現行のトン当たり十円から二十円に引き上げるほか、開港ごとに一年分を一時に納付する場合につきましては、とん税を現行のトン当たり二十四円から四十八円に引き上げるとともに、特別とん税を現行のトン当たり三十円から六十円に引き上げることとしております。  次に、相続税法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、最近における個人財産の増加状況及び農業経営の近代化と自立経営農家育成等の見地より、相続税及び贈与税の課税最低限を引き上げるほか、所要の規定の整備をはかろうとするものであります。  すなわち、まず第一に、相続税の総額を算出する場合の遺産にかかる基礎控除額を、現在の二百万円と五十万円に相続人の数を乗じて得た金額の合計額から、二百五十万円と五十万円に相続人の数を乗じて得た金額との合計額に引き上げるとともに、この相続税の総額を、各相続人の収得財産を基準として、各人刑に案分する場合における取得財産にかかる基礎控除額を、相続人にあっては現在の五十万円から七十万円に、受遺者にあっては現在の二十万円から四十万円にそれぞれ引き上げることといたしております。  また、贈与税につきましても、基礎控除額を現在の二十万円から四十万円に引き上げるほか、この措置に関連して、三年以内に同一人から受けた贈与について累積課税をする場合の控除額基準を、現在の各年十万円から二十万円に引き上げることといたしております。  次に、一昨年民法の改正によって、相続人が存在しない場合の相続財産を、被相続人の特別縁故者に分与できる道が開かれたことに伴い、相続財産法人の特別縁故者が相続財産を取得した場合には、これを遺贈による取得とみなして相続税を適用することといたしております。  以上二法律案は、慎重審議の後、本十九日、質疑を終了し、直ちに採決を行ないましたところ、いずれも全会一致をもって原案のとおり可決されました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  92. 船田中

    議長船田中君) 日程第十三及び第十四の両案につき討論の通告があります。これを許します。平林剛者。   〔平林剛君登壇
  93. 平林剛

    ○平林剛君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました法人税法の一部を改正する法律案、並びに租税特別措置法の一部を改正する法律案に対し、その税制改正の基本的な誤りと問題点を指摘しつつ、これに反対する討論を行なおうとするものであります。(拍手)  最近における国民の税負担の現状から見まして、昭和三十九年度の税制改正はどこにその重点を置くべきかの基本的目標について、私どもは、まず生計費には税金をかけないとの原則に立って所得税負担の軽減をはかり、税制面における負担公平という立場から、従来より、大企業に偏向する租税特別措置は、これを大胆に整理するよう、政府と論争を続けてまいりました。  しかるに、政府の重点施策としての税制改正は、この二つの目標に対していずれも背反するものでありまして、政府提案による二法律案は、大資本擁護の政策を大量に盛り込んだ偏向と、税制調査会の答申にもない各種の特別措置を乱造創設して税制を混乱させるなど、その基本的な誤りは、私どものとうてい容認することができないものであります。(拍手)その上、田中大蔵大臣は、税制調査会の答申がどうであろうとも、政治生命をかけて資本蓄積減税を優先的に実施すると、初めから勇ましいラッパを鳴らして税制調査会の答申を牽制し、池田総理も、租税特別措置の乱造創設に対するわが党の批判に対しては、私は、税制調査会には意見を聞くだけで、言うとおりにはしませんと、きわめて高姿勢の暴論を吐くなど、税制における独裁的な傾向を露骨にしたことは、まことに遺憾な態度といわなければなりません。(拍手)  その結果、昭和三十九年度における租税特別措置による減収額は、国税において二千五百四十億円、地方税を含めますと、三千八十億円という膨大な金額にのぼり、昭和二十五年当時の十三億円と比較いたしますと、実に百九十五倍、今日までに累積された大企業への恩恵は、国税だけで一兆五千億円をこえる巨額に達しているのであります。この巨大な数字は、所得税における六百四十九億の減税を、昭和三十二年度以降の大減税と、みえを切り、今回の税制改正を、口を開けば、中央、地方を通じて二千億をこえる減税と、一般の国民に対して、あたかも大減税であるかのような錯覚と幻想を抱かせていることと比較しますと、きわめて対照的に、大資本にとっては史上最大の大減税となっておるのであります。(拍手)  もともと、租税特別措置というのは、負担公平の原則や租税の中立性を阻害し、納税モラルに悪影響を及ぼすなど、弊害の多いことは、各位の御承知のとおりでありまして、政府は、この認識に立って、絶えず税制以外の措置で有効な手段を検討し、特別措置の効果を実績で確かめ、特権化しないよう配慮してこれを短期に改廃し、縮減する努力を尽くすべきであります。しかるところ、大蔵省国税課長の経歴ある池田総理は、昭和二十四年、第三次吉田内閣の大蔵大臣として登場するや、その翌年、すなわち昭和二十五年度から租税特別措置十三億を税制上に創設し、昭和三十五年、その内閣の首班となるに及んで、租税特別措置の減収額は激増しておるのでありまして、この傾向が何を物語るか、私は重視すべきものがあると思うのであります。池田内閣と租税特別措置の拡大と激増、私は、これを「私の秘密」というテレビ番組にのせてもかっこうのカードであることを、警告とともに指摘しておきたいと思うのであります。  次に、法律案の内容について申し上げますと、法人税法の改正におきましては、普通法人の各事業年度の所縁に対する法人税の軽減税率の適用限度額を、現在の二百万円から三百万円に引き上げ、機械設備を中心に、固定資産の耐用年数を短縮するなど、初年度三百億、平年度の四百九十三億円の減税となっておりまして、一読すると、中小企業者の税負担軽減の一環と見えますが、平年度四百九十三億円のうち、中小企業者の減税分はその四〇%、二百億円にすぎないのであります。御承知のように、わが国の法人数は、昭和三十八年度においておおよそ六十五万余り、その九八%は、まず年間所得一千万円以下の中小企業者でありまして、年間所得一億円以上の大法人は、わずかに二%の割合となっておりますが、そのわずか二%の大企業に二百九十三億円、九多数の中小企業に対しては二百億円と、まことにつり合いのとれない措置は、中小企業に便乗した大資本擁護というべきであります。(拍手)また、法人税減税四百九十三億円の大半を占める四百十億円は、政府ことばで言えば、開放経済への移行に備えて、企業の内部留保の充実と設備の更新に資するため、固定資産の耐用年数を短縮することにありますが、その具体的措置は、すべて政府が目下検討中の政令、省令にゆだねられておりまして、正しくは委員会の審議の対象とならず、この段階で賛否を決するには重大な疑問が残るわけで、私ども賛成し得ない理由の一つであります。  租税特別措置法の改正案におきましては、従来よりガット第十六条四項の輸出補助金として国際的批判の対象でありました輸出所得控除制度にかえて、新たに海外取引のある場合、割り増し償却の改正で百十七億円、海外市場開拓準備金制度の創設で百十四億円、また、自己資本の充実という名で配当軽課措置の拡大をはかるため百十四億円など、合計四百十九億円の特別措置を盛り込んだものでありますが、私は、まず、企業の国際競争力の強化として提案をされた特別措置は、それが輸出振興に必要ありといたしましても、政府の措置は、ガット第十六条四項の規定に触れない程度で看板を塗りかえ、ガット加盟諸国の批判をほおかむりしようとするものとして、国際信義上適当な措置と言えないと思うのであります。いわんや、政府が一方で日本経済繁栄を謳歌し、自信を持って開放経済への移行を唱えている際、一般の国民の過重な税負担を犠牲にして税制の措置に依存しようとは、矛盾もはなはだしいではございませんか。(拍手)また、自己資本の充実という配当軽課措置の拡大は、わが国における資本金一億円以上の大企業が、法人全体の資本金の七四・九%を占め、総資本の六三・八%、固定資産の七四・九%、そして、純利益の六〇%を独占している事実を考えますと、あまりにも行き届き過ぎた偏向といわなければなりません。  開放経済に立ち向かう企業の自己資本の割合が、戦前に比較して低条件にあるといいましても、今日までの経過をながめますと、相当の税制上の恩恵を受けながら一向に改善されないことは、税制上の効果がはなはだ疑問でありまして、かつ、その主たる原因は、わが国経済発展の速度が早かったこと、政府の所得倍増計画におどって、企業の内部資金をはるかにこえた投資に狂奔した結果であり、その回復措置を一般の税負担の犠牲に求めようとするのは、これまたあまりにも虫のよい要請と思うのであります。  そのほか、税制調査会の答申にもない租税特別措置の創設乱造の中には、委員会審議を通じて総合的に判断いたしますと、一部の観測にあるように、過般の総選挙でお世話になった筋に対するお礼の意味と、その論功行賞との説をくつがえすことのできないものもありまして、まことに遺憾なことと思うのであります。(拍手)  以上申し上げました反対理由に基づいて、委員会におきまして、わが日本社会党は、第一に、大企業本位に設けられた偏向租税特別措置原則としてこれを廃止すること、第二に、昭和三十九年度における特別措置の新設は、これを一切認めないことを主眼とした修正案を提案いたしまして政府の反省を求めたのでありますが、多数によって押し切られたことを率直に国民各位に御報告申し上げるとともに、私の反対討論を終わるものであります。(拍手
  94. 船田中

    議長船田中君) これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。  まず、日程第十三及び第十四の両案を一括して採決いたします。  両案の委員長報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  95. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。  次に、日程第十五につき採決いたします。  本案の委員長報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  96. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。  次に、日程第十六につき採決いたします。  本件は委員長報告のとおり承認するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  97. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本件は委員長報告のとおり承認するに決しました。  次に、とん税法及び特別とん税法の一部を改正する法律案、及び相続税法の一部を改正する法律案の両案を一括して採決いたします。  両案の委員長報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  98. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第十七 日本科学技術情報セ   ンター法の一部を改正する法律   案(内閣提出
  99. 船田中

    議長船田中君) 日程第十七、日本科学技術情報センター法の一部を改正する法律案を議題といたします。     —————————————   日本科学技術情報センター法の一部を改正する法律案   〔本号(その二)に掲載〕     —————————————
  100. 船田中

    議長船田中君) 委員長報告を求めます。科学技術振興対策特別委員長前田正男君。     —————————————   〔報告書は本号(その二)に掲載〕     —————————————   〔前田正男君登壇
  101. 前田正男

    ○前田正男君 ただいま議題となりました日本科学技術情報センター法の一部を改正する法律案につきまして、科学技術振興対策特別委員会における審査の経過並びに結果について御報告申し上げます。  本案は、日本科学技術情報センターが昭和三十二年に設立されて以来、その業務量が著しく増加している現状にかんがみ、同センターの狭隘な施設の整備をなし、その十分な機能の発揮をはかるため、政府が、東京都千代田区永田町二丁目一番地の一に所在する土地または建物その他の定着物を現物出資することができることとするものであります。  本案は、去る二月十日本委員会に付託され、同月二十日佐藤国務大臣より提案理由の説明を聴取し、以来、参考人より意見を聴取するなど、慎重に審査を行なったのでありますが、その詳細については会議録に譲ることといたします。  かくして、三月十八日、質疑を終了し、直ちに採決を行なった結果、全会一致をもって可決すべきものと議決した次第であります。  なお、本案に対し、自由民主党、日本社会党及び民主社会党共同提案として、政府は、日本科学技術情報センター法の施行について、特に同センターの業務運営については、大企業に偏することなく、中小企業に対しても格別の注意を払い、十分科学技術の振興に貢献できるよう配慮すべきである旨の附帯決議案が提出され、これまた全会一致をもって可決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  102. 船田中

    議長船田中君) 採決いたします。  本案の委員長報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  103. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第十八 千九百六十二年の国際小麦協定締結について承認を求めるの件(参議院送付
  104. 船田中

    議長船田中君) 日程第十八、千九百六十二年の国際小麦協定締結について承認を求めるの件を議題といたします。     —————————————  千九百六十二年の国際小麦協定締結について承認を求めるの件〔本号(その二)に掲載〕     —————————————
  105. 船田中

    議長船田中君) 委員長報告を求めます。外務委員会理事正示啓次郎君。     —————————————   〔報告書は本号(その二)に掲載〕     —————————————   〔正示啓次郎君登壇
  106. 正示啓次郎

    ○正示啓次郎君 ただいま議題となりました千九百六十二年の国際小麦協定締結について承認を求めるの件につきまして、外務委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本協定は、一九五九年の協定にかわるものとして、一九六二年三月十日ジュネーブで採択されたものであります。本協定は、大体旧協定の内容を踏襲しておりますが、基準取引価格の引き上げ、加盟国間の義務輸入比率の変更が主たる改正点であります。  本協定は、参議院において承認され、二月二十六日本委員会に付託され、政府から提案理由の説明を聞き、質疑を行ないましたが、詳細は会議録により御了承を願います。  かくて、三月十八日、質疑を終了し、討論を省略して採決を行ないましたところ、全会一致をもって承認すべきものと議決いたしました。  右、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  107. 船田中

    議長船田中君) 採決いたします。  本件は委員長報告のとおり承認するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  108. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本件は委員長報告のとおり承認するに決しました。      ————◇—————  国事行為臨時代行に関する法律   案(内閣提出)  皇室経済法施行法の一部を改正す   る法律案内閣提出
  109. 小沢辰男

    ○小沢辰男君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。  すなわち、この際、内閣提出国事行為臨時代行に関する法律案皇室経済法施行法の一部を改正する法律案、右両案を一括議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  110. 船田中

    議長船田中君) 小沢辰男君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  111. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  国事行為臨時代行に関する法律案皇室経済法施行法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。     —————————————  国事行為臨時代行に関する法律案皇室経済法施行法の一部を改正する法律案  〔本号(その二)に掲載〕     —————————————
  112. 船田中

    議長船田中君) 委員長報告を求めます。内閣委員長徳安實藏君。     —————————————   〔報告書は本号(その二)に掲載〕     —————————————   〔徳安實藏君登壇
  113. 徳安實藏

    ○徳安實藏君 ただいま議題となりました二法案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  国事行為臨時代行に関する法律案は、日本国憲法第四条第二項の規定に基づきまして、天皇の国事に関する行為を委任して臨時にこれを代行せしめ得る方途を講じておこうとするものであります。  皇室経済法施行法の一部を改正する法律案は、皇室がそのつど、国会の議決を要することなく、一年間に賜与または譲り受けをすることができる限度額を引き上げるとともに、内廷費及び皇族費の定額を増額しようとするものであります。  右二法案は、それぞれ一月二十九日、二月四日、本委員会に付託、二月十八日政府より提案理由の説明を聴取し、慎重審議を行ない、本日、質疑を終了、採決の結果、全会一致をもって両案とも原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  以上、御報告いたします。(拍手)     —————————————
  114. 船田中

    議長船田中君) 両案を一括して採決いたします。  両案の委員長報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  115. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————
  116. 船田中

    議長船田中君) 本日は、これにて散会いたします。    午後九時十六分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  池田 勇人君         外 務 大 臣 大平 正芳君         大 蔵 大 臣 田中 角榮君         厚 生 大 臣 小林 武治君         農 林 大 臣 赤城 宗徳君         通商産業大臣  福田  一君         労 働 大 臣 大橋 武夫君         建 設 大 臣 河野 一郎君         自 治 大 臣 早川  崇君         国 務 大 臣 佐藤 榮作君         国 務 大 臣 宮澤 喜一君  出席政府委員         内閣官房長官  黒金 泰美君         内閣法制局長官 林  修三君         総理府総務長官 野田 武夫君         経済企画庁調整         局長      高島 節男君         法務政務次官  天埜 良吉君         大蔵省銀行局長 高橋 俊英君         農林政務次官  丹羽 兵助君         中小企業庁長官 中野 正一君         運輸政務次官  田邉 國男君         郵政政務次官  金丸  信君      ————◇—————