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1964-02-25 第46回国会 衆議院 本会議 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年二月二十五日(火曜日)     —————————————  議事日程 第九号   昭和三十九年二月二十五日    午後二時開議  第一 石油資源探鉱促進臨時措置法を廃止する   法律案内閣提出)  第二 電源開発促進法の一部を改正する法律案   (第四十五回国会小笠公韶君外六名提出)  第三 昭和三十八年度分として交付すべき地方   交付税総額特例に関する法律案内閣提   出)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  日韓問題に関する緊急質問山本幸一提出)  日程第一 石油資源探鉱促進臨時措置法を廃止   する法律案内閣提出)  日程第二 電源開発促進法の一部を改正する法   律案(第四十五回国会小笠公韶君外六名提   出)  日程第三 昭和三十八年度分として交付すべき   地方交付税総額特例に関する法律案(内   閣提出)    午後二時十二分開議
  2. 船田中

    議長船田中君) これより会議を開きます。      ————◇—————  日韓問題に関する緊急質問山本   幸一提出
  3. 小沢辰男

    小沢辰男君 議事日程追加緊急動議提出いたします。  すなわち、この際、山木幸一提出、日韓問題に関する緊急質問を許可されんことを望みます。
  4. 船田中

    議長船田中君) 小沢辰男君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 船田中

    議長船田中君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  日韓問題に関する緊急質問を許可いたします。山木幸一君。   〔山本幸一登壇
  6. 山本幸一

    山本幸一君 私は、日本社会党を代表して、わが国の将来にとって、きわめて危険な内容を持つ日韓会談に関しまして、主として池田総理にその所見をたださんとするものでございます。(拍手)  いま、日韓会談進行状況を見ると、懸案の漁業問題の解決を急ぎ、一挙に政治的な妥結をはからんとする機運が見受けられているのであります。政府は、南北朝鮮のうち、一方の韓国とだけ国交正常化をはからんとしているのでございますが、日本と全朝鮮との間における長い将来にわたる友好親善にとって、重大な禍根を残すことになるものと、私は深く憂うる一人であります。(拍手)  言うまでもなく、第二次大戦後、朝鮮はみずからの意思に反して、不幸にも南北に分割されたのでありますが、自来、南北統一は、久しきにわたる全朝鮮人民悲願とされ、最近では、韓国内の政界、民間団体の中にすら、朝鮮の自立は、統一朝鮮の達成以外にないとして、統一の声は、従来にも増して高まりつつあるのでございます。わが国は、過去十数年にわたって朝鮮侵略し、朝鮮人民に対して数限りない被害を与えてまいったのでありますが、いまなお不幸な状態にある朝鮮人民に対し、その悲願とする統一に、この際わが国が積極的に協力することによって、その罪の償いをすべき絶好の機会であると信ずるものであります。(拍手)  社会党は、このような立場から、南北朝鮮が一日も早く平和的に統一されんことを念願し、その統一された朝鮮政府との間に国交正常化し、真の善隣友好関係を樹立すべきであると、従来から一貫して主張いたしてまいったのでございます。しかるところ、政府が現在推し進めつつある日韓会談は、南の韓国だけを相手とし、現に存在する北の朝鮮民主主義人民共和国を無視して行なわれているのでございます。このような行為は、南北に分割された現状を固定化させるものであり、朝鮮人民統一悲願を冷酷にも踏みにじるものであって、過去の侵略の罪を償うどころか、罪の上塗りをするものと思わなければなりません。(拍手)  そこで、まず第一に、総理にお伺いしたいのは、韓国だけでなく、北朝鮮をも含めた全朝鮮に対して今後一体いかなる方針をもって臨まんとするのか、また、全朝鮮人民悲願である南北統一についてどう考えているのか、その所信をお尋ねいたします。  第二は、政府日韓会談交渉相手とする韓国政府法的地位についてでございます。  韓国政府が全朝鮮を代表する権限を持った合法政府でないことは、国連総会決議によっても明らかであります。政府もまた、国会に対して、韓国は三十八度線以南限定政権であるとの見解を表明いたしてまいったのでありますが、相手韓国は、常に、全朝鮮を代表する唯一合法政権であると公言いたしてまいっております。このように、韓国法的地位の解釈は、完全に政府韓国側政府との間に食い違ったままでございます。これは政府が、国会に対しては限定政権であると答え、韓国に対してはその主張を明確にせずぼかしているからにほかなりません。政府は、一体、今日までに韓国に対して限定政権であるという明確な保障を取りつけたのか。ないとするならば、今後その保障を取りつける確信と見通しがあるのかどうか、総理のはっきりした答弁を要求いたします。(拍手)  第三は、請求権の問題であります。  本来、請求権問題は、全朝鮮にかかわる問題でありまして、南北朝鮮統一され、名実ともに全朝鮮を代表する政府との間に初めて、検討、処理さるべき性質のものであると思います。しかるに、政府は、これを日韓会談で処理し、すでに事実上妥結を見ているとすら伝えられているのであります。しかも、交渉の経過を見まするに、当初政府は、あくまで法的根拠のあるものに限るという立場を言明し、その金額はおよそ七千万ドル前後であると公にしてまいりました。ところが、その後、交渉の回を重ねるたびごとに、あたかもバナナのたたき売りに似て、韓国の要求に対し一方的に譲歩し、ついには民間借款分を含め十倍近くの六億ドルにはね上がっておるのであります。このため、当初池田総理がしばしば言明した法的根拠説はいつの間にか失われてしまいました。独立に対する祝い金などと称して国民をごまかし、国民血税むだ使いせんとするに至っては、まさに言語道断といわなければなりません。(拍手)しかも、政府祝い金と言っても、相手韓国側はあくまでも請求権として受け取ると主張いたしておるではありませんか。いま指摘したとおり、六億ドルをめぐっても、日韓双方の間に重大な見解の食い違いがあるにもかかわらず、国民血税がこのような不明朗かつあいまいな取りきめで使われることは、断じて私どもは許されないのであります。(拍手)  私は、いまここに、国民反対を押し切って強行されたかつての南ベトナム賠償を思い起こさないわけにはまいりません。当時社会党は、ベトナムに対する賠償支払い南北ベトナム統一後に行なうべきであると強く要求いたしてまいりました。しかるに、岸内閣はこれを聞き入れず、一方の南ベトナム政府にだけ賠償を支払ってまいったのであります。このため北ベトナム政権は、いまなおわが国に対して賠償請求権を留保し続けておるではありませんか。しかも、賠償を払った相手ゴ・ジンジェム政権は、今日この地球上に存在しておりません。一体だれのために、何のために国民のとうとい血税が払われたのか、私は国民の一人として心からなる強い憤りを感じるものであります。(拍手)  いま韓国に対して行なわれんとする請求権支払いは、この南ベトナム賠償とあまりにもよく似ておるではありませんか。韓国では、いまや失業と飢えと貧困が国民の生活を脅かし、その経済は極度の危機に見舞われ、労働争議が続出していつやむとも知れない状況にあります。先般、弾圧と不正選挙によってかろうじて多数党になったとはいえ、その得票数では野党を下回った成績の上にやっとでき上がった朴政権は、すでに韓国人民から遊離し、さらに野党の強い反撃を受けておることは御承知のとおりであります。(拍手)したがって、いつ何どき崩壊するか、全く予断を許さない不安な政情にあるのであります。その上、野党朴政権の進めている日韓会談には強く反対し、さらに北朝鮮もまた、日韓会談こそ北朝鮮に対する敵対行為であるとして、日本に対し、一切の権利は留保することを繰り返して表明いたしておるではありませんか。  このような状況のもとに行なわれる賠償支払いが、かつての南ベトナム賠償の轍を踏むものであることは、今日何人の目にも明らかなところであります。われわれ社会党は、いかなる名目であれ、かかる支払い国民血税を使うことは断じて許すことはできません。(拍手)この点、総理の明確なる所信をお伺いいたしたいと存じます。  次に、当面の二つの問題についてお伺いいたします。  その一つは、李ライン並びに漁業問題であります。  伝えられるように、漁業問題がわが国の大幅な譲歩によって妥結を見ますならば、関係漁業に致命的な打撃を与えるのみでなく、広くわが国国際漁業の将来に重大な悪影響を及ぼすことは明らかであり、しかも、漁業問題が日韓会談政治目的のために取引の具とされ、不当な犠牲を強要されることは全くがまんができません。一体政府はあの不法不当な李ライン撤廃にいかなる保障を取りつけているのか。韓国大多数の漁民はもちろん、野党もまたこぞって李ライン撤廃反対し、この勢いに押された朴政権は、李ライン国防ラインの名にすりかえ、実質的に残すと言っておるではありませんか。李ラインは、もともと韓国側国際法及び国際慣行にそむいて一方的に引いたラインでありまして、これこそ無条件に撤廃せしめるべきであります。いやしくも、日韓会談における外交上の取引によって解決すべき性質のものではございません。(拍手社会党は、いかなる名目であれ、国際法上不法不当なラインは一切認めるべきでなく、また、全朝鮮にまたがる問題は、すべて統一政府実現まで待つことといたしまして、当面日本韓国との間における純然たる漁業問題に限って、単独の漁業協定締結のための交渉を行なうべきであると思いますが、総理お答えをいただきたいと存じます。  その第二は、北朝鮮との交流促進についてであります。  政府は、一方で日韓会談妥結を急ぎつつ、他方北朝鮮に対しては、今日まで一貫して非友好的な態度をとり続けてまいっているのであります。日本北朝鮮との間の経済、文化、人事交流など、いまなお不当に阻害され、現に両国貿易は年々増加していることを政府自身十分知り尽くしているのでありますが、本格的の貿易に必要な専門家及び技術者往来すら認めていないという事実は、まさに非友好的行為といわざるを得ません。今日、共産圏諸国との間の交流が活発化しつつある中に、ひとり北朝鮮のみ、特にきびしい制限を行なわなければならない理由一体どこにあるのか、私どもの理解し得ないところであります。もし、その理由日韓会談にありとするならば、これこそ日韓会談そのもの北朝鮮に敵対し、南北分裂を固定化し、さらに南北の対立を激化させるものであるといわなければなりません。(拍手政府はまさにその本質を暴露いたしておると存じます。  さらに、現在、在日朝鮮人北朝鮮に在住する肉身病気見舞い墓参のために往来する自由さえ認められていないということは人道上きわめて重大な問題であり、私は強く政府に反省を求めるものであります。(拍手)先般来、同僚議員関係委員会におきまして、この点に関し政府態度をただしましたるところ、政府は、人道上の問題であるということを認めながら、往来申請があればケース・バイ・ケースで扱うと言明いたしてまいりました。しかるに、申請書提出を受けた役人は、上から何らの指示がないと称して、冷酷にも申請書の受理を拒否いたしておるのであります。一体これは何たることでしょうか。国会答弁はその場限りで、国会を侮辱するのもはなはだしいといわなければなりません。(拍手)この往来問題こそ、他の一切の諸懸案と切り離し、あくまで純然たる人道上の問題として即刻解決さるべきであると思いますが、これに対する総理並びに外務大臣所信をあわせて伺いたいと思います。  最後に、私は、最近の激動する国際情勢に対処し、総理の今後のアジア外交に臨む態度について伺ってみたいと思います。  フランス中国との国交樹立は、特にアジア情勢に重大な影響を与え、アメリカの対中国封じ込め政策は大きく破綻しつつあります。これまでアメリカに追従し、その中国封じ込め政策に加担した日本外交は、いまや一大転換を迫られていると思います。しかるに、大平外務大臣は、十二日の本院外務委員会及び過ぐる二十日の参議院外務委員会において、中国国連加盟が認められるならば日中の国交回復に踏み切るとか善処するとかの答弁をいたしておることは御承知のとおりであります。これは一体大平さん、何たることです。全く自主性がないじゃありませんか。これをぶざまというのです。私は大平さんに恥を知ってもらいたいと忠告をいたします。(拍手)過ぐる侵略戦争で、人畜をはじめとするばく大な被害と損失を中国に与え、いままたアメリカに追従して国連代表権反対するなど、各種の非友好的政策を続け、中国をして二重の敵対的行為と思わしめるおそれなしとは言えません。かかるとき、大平外務大臣の言う方針で、国連加盟後において国交回復にかりに踏み切るときがあるといたしましても、そのとき日本がどんな困難な事態に遭遇するか、およそ政治をやる者は気づかなければならない問題だと思います。(拍手)  いまこそ、従来のアメリカ追従外交を一てきして、長期的展望に立ってアジアの平和に寄与すべき方途を自主的に決定しなければなりません。その道はただ一つ、六億五千万の人口を擁する隣国中国との国交回復に、勇気をもって政府は踏み切るべきであります。今日いまだに中国国連代表権承認反対し、一つ中国一つ台湾論など唱えるごときは、全くピントはずれの感触といわなければなりません。(拍手)そればかりでなく、日韓会談妥結の道は、まさに日中国交回復への道に逆行し、新たな緊張を引き起こす以外の何ものでもありません。総理、もうぼつぼつアメリカ追従をおやめになったらいかがです。自民党内にある価値なき骨とう的意見を、総理、総裁として勇気をもって押える気がありませんか。われわれ社会党の主張する日中国交回復優先外交を大胆に押し出し、これに逆行する日韓会談は即時打ち切るべきであります。私は、この点総理お答えを求め、私の質問を終わりたいと存じます。(拍手)   〔国務大臣池田勇人登壇
  7. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) お答えいたします。  南北朝鮮統一を望むことは、山本君よりも私のほうが強いとはっきり言い得ます。(拍手)しかし、現実の問題といたしましては、一九四八年の十二月十二日の国連決議を御存じでございますか。国連決議は、いまの大韓民国は、朝鮮相当部分において朝鮮人を支配し管轄しておる合法的政権であると国連は認めておるじゃございませんか。しこうしてまた、国連加盟国はこの事実、この国連決議を考慮に入れてやるべきだと言っておるのであります。それに従いまして、われわれはサンフランシスコ講和条約におきまして、いまの大韓民国独立国を認め、そうして国連決議にも沿って事を進めておるのでございます。したがって、統一を望むことは切なるものがございますが、いまの現実を無視するわけにはいきません。また、国連決議に従うわが政府立場としては、合法的政府として、これを相手にして交渉を行なうことは当然のことであるといわざるを得ない。(拍手)もしそれ、現実を無視して朝鮮統一ができるまで国交正常化をするなという議論は、いまから十一年前に全面講和条約を唱えて、多数国講和条約を否認した社会党は、十年たっても十二年たっても考え方を変えない、世界情勢に暗い議論といわざるを得ないと思います。(拍手)もちろん、われわれは、北鮮におきます朝鮮民主主義人民共和国の、いわゆる一つ政権としての存在は認めております。その政権が存在することを頭に入れて日韓交渉をしておるのでございまして、この点につきましては、交渉支障にはなっていないと確信いたしておるのであります。(拍手)  なお、次に、平和条約四条の規定によります請求権の問題でございますが、これは、さきの通常国会並びに臨時国会特別国会、また、今国会におきましても、たびたび外務大臣が触れておりますごとく、われわれは平和条約第四条によって、法律的根拠のあるものによって解決しようと、私と朴議長とも話し合いが済んでいるのでございますが、その後、法律的根拠あるものということにつきまして見解の相違があらわれてきております。また、事実関係におきましても、十数年たち、しかも、あのひどい朝鮮事変の結果、事実関係もわかりにくい、非常にむずかしい問題でございますから、われわれは前向きに、あらゆる懸案を、両方の合意によりまして、いわゆる有償無償経済協力によって、平和条約第四条の請求権問題が全面的に解決して、あとの残らないことにしようと話をしておるのでございます。したがいまして、私は、この経済協力によりまして日韓関係正常化され、ともにともに経済の発展が期待し得まして、アジア、ことに極東の平和に貢献することが大なりと確信しておるのでございます。すでに皆さん御承知のとおり、イギリス、フランスアメリカその他の国におきましても、分裂国家におきましては、宗主国がその独立の際有償無償の多額の援助をしておりますことは、国際情勢国際歴史上からも当然のこととわれわれは考え、この請求権の問題を解決しようとしているのであります。  御質問の第四の、漁業問題は経済問題だから、いまの正常化外交交渉より離すべきではないかという議論でございますが、これは誤りと思います。およそ外交交渉経済問題に限らず、いろいろな問題を交渉するのが外交交渉でございます。多年にわたる日韓関係の諸懸案を一挙に解決しようとしておるのでございます。また懸案のうちでも漁業問題は、請求権と同様に非常に利害関係の多い問題でございます。したがいまして、この漁業問題を解決するにあたりましては、日本国際的漁業支障のないよう、そして両国の納得のいく平等の立場に立って、われわれはいま交渉しておるのでございます。この交渉が成立した場合におきましては、季ラインの問題は当然なくなるものと考えるべきであって、まだ残るということは、漁業問題自体の真相を知らない議論だと思います。  また、北鮮との関係につきまして、私と外務大臣への御質問でございますが、われわれは、人事交流につきましては、共産主義の国々ともできるだけのことはいたしております。ソ連とはもちろんでございますが、中共ともやっております。やはりこのことは相手国政治経済その他各般の事情を見まして、日本自身のきめることでございます。人事交流というものは、その国の主権に属することでございます。したがいまして、人権に関する世界宣言におきましても、わが国外国人が入ってくることは、わが国独自で管理すべきものであります。日本から去った外国人日本に帰ってこようといったって、それはわが国行政権によって処置すべきものであって、一たん日本を去った外国人が帰ってこようということを、これを無制限に認めている国はどこにもございませんし、そういう国際法というものはないのであります。その点を十分お考え、おき願いたいと思います。(拍手)  なお、最後の御質問池田内閣アジア外交ということでございまするが、たびたび申し上げておりますごとく、日本国利益になり、それがアジア世界の平和に貢献する、こういうことを考えていっておるのであります。いまに及んでなおアメリカ外交に追随しているということは、日本独立を忘れた人の議論でございまして、日本利益にならないことでもアメリカ外交に追随するということは池田内閣は絶対にいたしません。御安心ください。(拍手)また、そういうことをさせないようにするのがあなた方の努力でございます。しようともいたしておりません。われわれがアメリカ中国封じ込め政策に協力していないということは、日本が独自の考え日中貿易を盛んにしておるではございませんか。ほとんど幾何級数的にふえている事実は、日本が追随していないということを立証するものでございます。しこうして、また、いま国連での決議があったときには日本中共を承認する、これは当然のことではございますまいか。われわれは、中共承認問題はアジアの問題のみならず、世界の平和と繁栄に重大な関係がありとして、国連総会におきまする重要問題として提議して、議論をこれからしていこうとしておるのであります。国連中心でいっておるわれわれが、国連議決があればそれに従うことは当然でございます。ただ、その議決を得る場合におきまして、日本がいかなる役割りをするかということは、日本独自の考えで、世界情勢を見ながら手を打っていくべきであることは当然のことであるのであります。(拍手)これは日本自身考えで、先ほど申し上げましたごとく、世界繁栄と平和のうちにいかに日本国利益を増進するかということが外交根本方針でございます。したがいまして、私は、いま中共問題が世界の問題になってきたからといって、十年前から結んでおる日華条約を破棄せよというふうなことは、歴史日本立場を知らない、これこそ何とかの何とか売りではないかと私は思うのであります。(拍手)われわれは、あくまで日本約束は守らなければなりません。約束を守りながら、新しい情勢日本利益世界の平和のために対処していくことが池田内閣アジア外交であるということを申し上げて、答弁といたします。(拍手)   〔国務大臣大平正芳登壇
  8. 大平正芳

    国務大臣大平正芳君) あらまし総理大臣から御答弁がございましたので、若干の補足にとどめさしていただきます。  北鮮帰還の問題につきましては、御案内のように、現存わが国におりまする在日朝鮮人は約六十万人でございまして、その三分の二はわが国でお生まれになった方々でございます。そのうち一万二、三千の方々北鮮に郷里を持っておられる方々でございます。ところが、北鮮自由帰還の問題は、全国ほうはいとした運動として展開されておるのでございまするが、その墓参帰還の問題と運動の規模とを彼此勘案してみますと、この運動が異常な政治運動であるということに気がつくのでございます。(拍手)私どもは、事実を正確に踏まえた上で静かなる話し合いをいたしたいと思いますけれども、この種の日韓会談反対を込めたところの政治運動としてこういう問題が提起されることにつきましては、決して賛成いたしかねるものでございます。北鮮との人事交流につきましては、こういった政治問題的性格もございますので、私どもとしては、日本行政権自主的判断立場から、今後慎重に検討してまいりたいと思います。(拍手)   〔発言する者あり〕
  9. 船田中

  10. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 答弁漏れがあったからそれを答えろということであります。その問題はいわゆる限定政権の問題であるというお話でございます。  私は、国連におきましては、大韓民国朝鮮相当部分を支配しておる唯一合法政権であると認めております、しこうして、また、北鮮のいわゆる朝鮮民主主義人民共和国も、北鮮において一部の人民を支配しておられるいわゆる現実政権であるとも認めておりますと先ほど答えておったのであります。したがいまして、朝鮮におきましては、いまの大韓民国北鮮政権と二つある。これが統一されることを非常に念願しておるけれども現実の問題としてはできない。したがって、いまとしては現実をまさしく見て韓国交渉しておるのでございます。したがいまして、韓国も、いま韓国が支配していない北鮮は別問題と彼らも考えておる、こう答えたのでございまして、これで限定政権に対するお答えは済んだと考えます。私は、再度の質問でございますが、限定政権ということは認めております。しかし、これができるだけ早い機会統一されることを望んでおるということもたびたび申し上げたとおりでございます。(拍手)      ————◇—————  日程第一 石油資源探鉱促進臨時   措置法を廃止する法律案(内閣   提出)  日程第二 電源開発促進法の一部   を改正する法律案(第四十五回   国会小笠公韶君外六名提出
  11. 船田中

    議長船田中君) 日程第一、石油資源探鉱促進臨時措置法を廃止する法律案日程第二、電源開発促進法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。     —————————————
  12. 船田中

    議長船田中君) 委員長の報告を求めます。商工委員長二階堂進君。     —————————————   〔報告書は本号末尾に掲載〕     —————————————   〔二階堂進君登壇
  13. 二階堂進

    ○二階堂進君 ただいま議題となりました石油資源探鉱促進臨時措置法を廃止する法律案外一件について、商工委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、石油資源探鉱促進臨時措置法を廃止する法律案について申し上げます。  石油資源探鉱促進臨時措置法は、石油資源の開発をはかるため、探鉱促進地域の指定、鉱業法の特例等を内容とし、昭和二十九年五月、十年以内の限時法として制定され、翌三十年には国策会社として石油資源開発株式会社が設立、以来、石油資源の探鉱は、この会社を中心として急速かつ計画的に推進されたものであります。その結果、石油資源探鉱促進臨時措置法の意図した目的も漸次実現されるに至り、法律の存続期限も本年四月三十日に到来するので、今回これを廃止するものであります。  本案は、去る二月三日本委員会に付託され、二月六日稲田通商産業大臣より提案理由の説明を聴取した後、慎重に審議を行ない、二月二十一日、採決の結果、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。  次に、電源開発促進法の一部を改正する法律案について申し上げます。  御承知のとおり、電源開発株式会社は昭和二十七年に創立され今日に至ったものでありますが、その間、大規模水力発電所、低品位火力発電所の建設、さらには超高圧送電線の敷設等を行ない、わが国経済の伸展に寄与してまいったのであります。  しかるに、近年水力開発地点の奥地化、開発環境の複雑化等に伴い、水力開発の困難性を増し、加えてわが国エネルギー政策の一環として石炭火力発電所の建設等も同社が担当することとなり、会社の業務が多岐にわたってまいったのであります。  よって、今回会社の業務を円滑に行なわしめるため、電源開発株式会社の理事五名を八名に増員する必要が生じましたので、本案が提出された次第であります。  本案は、去る第四十五回国会小笠公韶君外六名より提出され、今国会に継続されているものでありまして、去る二月四日以来質疑を行ない、その間、参考人を招致する等審査の万全を期し、二月二十一日に至り、質疑を終了し、引き続き討論に付しましたところ、日本社会党中村重光君より反対、自由民主党内田常雄君より賛成の意見が開陳され、採決の結果、多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第でございます。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  14. 船田中

    議長船田中君) これより採決に入ります。  まず、日程第一につき採決いたします。  本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  15. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。  次に、日程第二につき採決いたします。  本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  16. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第三 昭和三十八年度分として交付すべき地方交付税総額特例に関する法律案内閣提出
  17. 船田中

    議長船田中君) 日程第三、昭和三十八年度分として交付すべき地方交付税総額特例に関する法律案を議題といたします。     —————————————
  18. 船田中

    議長船田中君) 委員長の報告を求めます。地方行政委員長森田重次郎君。     —————————————   〔報告書は本号末尾に掲載〕     —————————————   〔森田重次郎君登壇
  19. 森田重次郎

    ○森田重次郎君 ただいま議題となりました昭和三十八年度分として交付すべき地方交付税総額特例に関する法律案につきまして、地方行政委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、昭和三十八年度第三次補正予算に伴って本年度分の地方交付税総額に追加されることとなった約百三十七億円について、明年度における地方財政の変動に対処する必要等を考慮し、災害等新たに緊急かつ特別な財政需要が生じない限り、その全額を昭和三十九年度に繰り越し、明年度の地方交付税総額に加算することができることとするものであります。  本案は、二月三日当委員会に付託され、同四日金子自治政務次官より提案理由の説明を聴取し、以来、早川自治大臣ほか関係政府委員に対し、地方交付税制度の本質、特に地方財政の現状と繰り越し措置の是非等について熱心な質疑が重ねられましたが、その詳細は会議録により御承知いただきたいと存じます。  二月二十一日、質疑を終了し、直ちに討論に付しましたところ、栗山委員より、民主社会党を代表して反対の意見が述べられ、採決の結果、本案は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。  なお、本案に対して、自由民主党、日本社会党及び民主社会党の共同により、産炭地及び豪雪災害に対する特別交付税の適切な配分を行なった後、繰り越し措置を講ずべき旨の附帯決議案が提出され、全会一致をもって可決いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  20. 船田中

    議長船田中君) 採決いたします。  本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  21. 船田中

    議長船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————
  22. 船田中

    議長船田中君) 本日は、散会いたします。    午後三時一分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  池田 勇人君         外 務 大 臣 大平 正芳君         農 林 大 臣 赤城 宗徳君         通商産業大臣  福田  一君         自 治 大 臣 早川  崇君  出席政府委員         内閣法制局長官 林  修三君