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山中(吾)
委員 抽象論で何の
お答えか私はわからない。具体的にいま申し上げた例について
責任を持っていただかなければ、私は引き下がるわけにいかない。きょう
お答え願えなければ、次までに
責任を持って
お答え願いたいと思うのです。それで
政令を得々として出されては、十数年
努力した
地方の
教育行政者は泣きますよ。僻地の
貧乏県はそうなんですよ。
貧乏県というのは、せめて子供の
教育だけはというので、
富裕県よりも
教育に熱心で予算を出すという共通点がある。それを守ってやるのが
文部大臣の
責任だと私は思う。いまのような切実な問題を窒息せしめるようなことは
——政策論と同時にこういう
法律があって、
教育の
機会均等と水準を高める目的を明確にして、実
支出額は持ってあげますよと書いてある
法律に基づいて、十数年やってきたものを抜き打ち的に
政令を
出していまのやつやめろ、あそこに置いた養護教諭を取りやめろという
政令なんです。そんなものは
文教行政を担当する人間に対して、その功績に対して処罰するようなものじゃないですか。(
発言する者あり)これは
与党の人がやじるような問題じゃないのです。大体事務当局が
大臣に
中身を説明するのに不注意なんです。私はやろうと思えば三日も四日もやらなければなりませんが、時間がありませんから次に回します。
次に私ひとつ疑問に思うのは、日教組に対して
大臣が会わないという理屈の中に、いままでは、これは
地方において給与問題その他をやることになっている。その
一つの根拠に、
義務教育国庫負担法には実
支出額の二分の一を
負担するということになっているから、国で
定員をつくったり定額をつくったりするのではないから
地方でできるのだ、こういう理論を
出しておられる。今度この
定員法を全部
出してくるということになれば、その論理が合わなくなる、そこにも矛盾が出ると思う。それならこの
政令を
出した
愛知大臣は、
定員を
出したかわりに日教組と団体交渉いたしますという理論が出てこなければならないのではないかと思う。私はこの
政令の矛盾というものをいろいろの角度から
標準法をつくるときに検討した。いろいろ複雑な
関係があったから質問はしなかった。しなかったが、
政令を出すということは、政策的にも
法律論的にもその他の
関係においても、非常に複雑な問題がある。そういうことをもって便宜的にあの
申し合わせについて私は主張したのではないのです。もっと真剣に良心的に
考えたら出すべきじゃないのだ、そうしてこれは正しいという自信はあった、それをお
出しになっているのだ。閣議決定までの
経過はよくわかっております。歴代の
大臣は、この
法律のたてまえから、そういう全国的
定員定額は出すべきものだということを絶えず主張してきておったはずなんです。だからもしかりに態度を変えたとすれば、文部省の自主性を放棄してその態度を変えたのじゃないですか。予算をもらうところの大蔵省というパトロンに身売りしたようなかっこうになっている。だから文部省の自主性というものはどこにあるかということを私は一番疑うので、不審に思うのです。しかも大蔵省におられたのですから
事情も知っており、今度
文部大臣になられたのだから、別な
意味において
文教政策の自主性をお
出しになるかと私は
期待をしておった。そうでなくて非常に裏切られた感じがするのです。そういう問題を、また、
就任早々、最初に出されたということ、まことに、もっと勉強した
あとで
出していただきたかった。いま私の申し上げた問題を具体的に解決をしていただかなければ、これは
政令を撤回していただかなければならぬ。私の申し上げたことは、
与野党にかかわらず、どこへ行ったって陳情を受けますよ。そして総ワクで操作をしていく。事務当局は、いやそれは総ワクで適当にやってください。そういうことは当然に総ワクではみ出るのです。これは
坂田委員長代理の熊本でたくさんありますよ。単級に二名、夫婦を出さないと行く人がない。そこで
富裕県の場合についても、今度の
標準法において四十九名、四十八名といっていくのは、すべてのクラスが五十名以上ですから、東京都というような
富裕県は全部恩恵を受けるわけですね。いなかにおいてはその部落部落の通学距離の範囲内における人口が少ないから子供が少ないので、その学校は小規模で一学級が二十六名から三十名、多いので四十名ですから、あの
標準法が出たって恩恵を受けるのはほとんどないのです。東北でいえば仙台とか盛岡とか、都市の大規模な学校だけで、四十名にするという
標準法を
出していただいたって、いなかへ行けば最初から子供が少ないので、それで学級編制をしている。しかし先生の数というものは学級に対して先生が要るのですから、子供が足らないからといって、二十五名だからといって二分の一の先生は配給できないでしょう。実はあれでは恩恵を受けないのです。そうして僻地に特別
配慮されたものだけが削られていく。
教育の
機会均等という第一条の
趣旨に全然反することになるので、私は極言をして、違法の
政令だということを言いたいのです。法制局の理論は別にしても、その点について
大臣は、私の言っていることに少しも実感を持っていないのだ。何か、どこか実感をお持ちになっていないのですよ。
お答えは少しもぼくの
お答えになっていないのだ、それをどうしてくれますか。