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1964-03-27 第46回国会 衆議院 文教委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月二十七日(金曜日)     午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 久野 忠治君    理事 上村千一郎君 理事 坂田 道太君    理事 長谷川 峻君 理事 南  好雄君    理事 二宮 武夫君 理事 三木 喜夫君    理事 山中 吾郎君       木村 武雄君    熊谷 義雄君       田川 誠一君    谷川 和穗君       床次 徳二君    中村庸一郎君       橋本龍太郎君    松山千惠子君       川崎 寛治君    長谷川正三君       和田 博雄君    鈴木  一君  出席国務大臣         文 部 大 臣 灘尾 弘吉君  出席政府委員         文部政務次官  八木 徹雄君         文部事務官         (大臣官房長) 蒲生 芳郎君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     福田  繁君  委員外出席者         議     員 二宮 武夫君         専  門  員 田中  彰君     ————————————— 二月二十六日  委員田村武夫君及び前田榮之助君辞任につき、  その補欠として大石武一君及び栗林三郎君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員栗林三郎辞任につき、その補欠として前  田榮之助君が議長の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国立教育会館法案内閣提出第七九号)  学校給食法の一部を改正する法律案二宮武夫  君外二十名提出衆法第三三号)      ————◇—————
  2. 久野忠治

    久野委員長 これより会議を開きます。  二宮武夫君外二十名提出学校給食法の一部を改正する法律案議題とし、提案者から提案理由説明を聴取します。二宮武夫君。
  3. 二宮武夫

    二宮議員 ただいま議題となりました学校給食法の一部を改正する法律案につきまして、提案者を代表して内容概略を御説明申し上げます。  第一に、提案のおもな理由について申し上げます。  学校給食は発足以来すでに十八年を経過していますが、その普及率児童生徒数で見まして、小学校完全給食で七五・一%、ミルクだけが一五・二%、中学校完全給食が一三・九%、ミルクだけが四五・二%にしか達していません。特に学校給食が必要と考えられる農山村、漁村地帯での普及卒が低いことは考えなければなりません。義務教育学校での給食普及にさらに一段の努力が必要であります。  本年度予算の中では、小中学校児童生徒全員に対して脱脂粉乳給食実施するための国庫補助二十億円が組まれました。この実施の情況を見ますと、一、味がわるく飲み残しが多いということ、二、栄養的になま牛乳に比べると劣るということ、三、異物混入、かびている等衛生的に問題があるということ、四、教職員超過労働をもたらしているということ、五、施設設備費父母負担が出ているというような難点があります。さらに脱脂粉乳の輸入は国内の生乳生産拡大の妨げになっているのでございます。この際、完全栄養食品であるなま牛乳学校食実施をその設置者に対し義務づけ、そのため国の買い上げたなま牛乳無償設置者給付実施すべきであると考えます。  次に本来栄養士事務職員が行なうべき給食事務一般教員が行なっていますが、私どもの調査によれば学級担任教員週当たり五時間前後、給食係教員週当たり十五時間以上の超過労働になっているわけでございます。また小規模学校では、給食作業員の配置がないため、脱脂粉乳の加工のため校長等が当たらねばならないというような事態も出ています。この点を解決するために、栄食士給食作業員給食事務を行なう事務職員を置くことが必要であります。  給食施設設備費は現在開設に際して二分の一の国庫補助がなされていますが、設置者負担が大きいためその普及を妨げているわけであります。また地域によってはこの経費の一部を父母負担に依存しているところもあります。国庫補助率をさらに引き上げて、その普及をはからなければならないと考えるわけであります。  以上が本法案提案したおもな理由であります。  次に本法律案内容概略について説明いたします。  本改正案学校給食の用に供する牛乳供給等に関する特別措置法案農林水産委員会提案でありますが、この法案公立義務教育学校学級編制及び教職員定数の標準に関する法律の一部改正案と一体となって、次のことを実施しようとするものであります。 一、国が生産者より義務教育学校の全児童生徒にのませるために必要量牛乳を買い上げ、これを設置者無償給付いたします。 二、これを受けて、設置者義務教育学校において牛乳給食またはやむを得ないときには乳製品給食実施することを義務づけ、児童生徒無償給付をするのでございます。  以上のことの具体的な内容としては、三カ年計画国産生乳を全児童生徒に一日〇・一八リットル、一合でございますが、飲ませることを考えています。三、国立及び公立義務教育学校設置者学校給食実施するために次の職員を置くことを義務づけております。  1 栄養士 牛乳給食脱脂粉乳給食以外の給食実施している学校に一名を置かなければなりません。(ただし分校を除きます)。  2 給食作業員 牛乳給食を含め、給食実施校には置かなければなりません。  3 事務職員 牛乳給食を除く給食実施校分校を含め一名を置かねばなりません。 四、学校給食に必要な施設設備について、開設の場合のみならず拡充、更新の場合の経費を含めて国庫補助対象とし、補助率を三分の二に引き上げます。  以上提案理由内容概略について御説明申し上げましたが、何とぞ慎重御審議の上すみやかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。  なお、配付いたしました法律案の中に、予算の計算がついているわけでございますが、あれの総研算額はミスプリントでございまして、四十一億八千万円というのが正しい計数でございますので、御訂正をいただきたいと思います。
  4. 久野忠治

    久野委員長 以上で提案理由説明は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  5. 久野忠治

    久野委員長 次に国立教育会館法案議題といたします。  質疑の通告がありますのでこれを許します。二百武夫君。
  6. 二宮武夫

    二宮委員 国立教育会館法の問題について御質疑を申し上げます。  歯の治療をしておりますので、発音が不明確な点があろうかと思いますが、お聞き取りをいただきたいと思います。  私はこの問題では、簡単でございますけれども予算分科会で御質疑をいたしました。問題になりますことは、ここで再度確認をしておかなければならない問題を大臣お尋ねをいたしますが、私ども地方におきましても、昔から教育会館というものを持っておる。終戦後にはそれらが、いわゆる教育界から教職員組合財源になる、所有に帰する、こういうようなことになった経過はございますけれども、やはり教育会館をりっぱにしていくということのためには、既存のものに対して相当な理解を持って、これの現実を十分に見詰めながら、どのようにしてこれを改革していったらいいかということに努力をいたしまして、それぞれの財政的な要求等につきましても一緒になってそれを取り上げる方向で進めてまいったわけでございます。ただここで問題になりますのは、新しく特殊法人国立教育会館をつくるということは、巷間伝えるところでは、いかにも現在あるところの神田の教育会館に対抗するための、何かそれに協調できない分子が一つの教育会館を持って、それの運営に当たる、こういうような対立的な感情を持っておるような印象を受けるのでございますけれども、これは福田初中局長から分科会において御答弁をいただきましたように、運営についてはそういうような誤解がないように、十分に一般国民財源でまかなっておる教育会館でございますから、教職員差別なく、あるいは父兄の方々社会教育団体、そのほか教育会館を有効に設立趣旨に沿うて使うという者に対しては、これに対して差別待遇をしないという、こういう運営、経営の方式というものを考えてもらわなければならないというふうに思うわけでございますが、そういう答弁をいただいておるのでございますけれども、あらためてここで大臣の御答弁をいただきたい。  新しく建てられる国立教育会館運営については、現在教育会館というものが全国的な組織の中にもあるわけでございますけれども、それらとどのように融和し、それを総合的に使っていくかというこの問題について、国民誤解を解いておく必要があるのではないか、こういうように私は考えるわけですが、大臣の所見をひとつお伺いしたい。
  7. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 国立教育会館設立趣旨目的につきましては、すでに法案提案の際に御説明申し上げたところであります。その国立教育会館設立趣旨目的にかないます限りは、あるいは、これに反しない限りは、これは最も有効に活用せられなければならぬと思います。そういう意味におきまして、特にどの団体差別、この団体差別とかいう意図のもとにこの教育会館はできたものではございません。要はこの会館設立趣旨目的に反しない限りは、これを差別あるいはあれを差別という考えは持っておりません。地方教育会館につきましても、この会館設立趣旨目的と協調し得るものにつきましては、これと協調してやってまいりたいと思っております。
  8. 二宮武夫

    二宮委員 いま大臣が御発言になりましたような方向で、ひとつ世の中人々誤解を解くような運営を、今後においてぜひ十分に準備をしていただきたいと思うわけであります。  もう一つ問題になります点は、財源的に一体どのように措置をしておるのか、こういう問題であります。その問題に入ります前に、いま大臣が言われたような趣旨で、ほんとうに平等に、設置する目的趣旨に合うようにあらゆる団体差別なく使わせるということであるとするならば、この財源的な操作の中に、いわゆる国の予算をもって充てるものと、一般国民大衆から寄付をもって集めた財源という二つのものがあるわけなのでございます。それの状況を見てまいりますと、私は世の中人々誤解をするということの中に、やはりそれらしきにおいのする面があると思うのであります。たとえば、財源一般国民の中から求めるというときに、広く全国の教職員が親しんで使えるようにということを言っておるようでございますけれども、その募金をやりますときの寄付対象になるものが校長会であり、教頭会であり、そして教育委員会であり、自治団体である。こういうところに主眼を置いて、一般教職員に対しては何らこれを対象にしておらない、こういう状況に見えるわけでございます。そこに何となく私どもは、校長管理職手当あるいは教頭管理職手当というものが、どのように学校という職場の中で、家庭的な雰囲気の中でよくない方向に感じを向けさすかということを心配して、前もって検討したことがあるのでございますが、それらの管理職手当をもらっている人を対象寄付金を集めておる。こういうところに、やはり財源的な面から考えて、運営がそういう批判を受ける材料を持っておるのではないかというように私は考えるわけでございます。ここでこういうものをつくります際には、予算から一般財源として出すことと、それから財団法人をつくって寄付を集めるというお金の集め方と二つあるわけでございますが、これもやはり財団法人国立教育会館延段協力財団という財団法人ができておるようでございます。そこで、私はこれの内容について少しばかりお尋ねをいたしてみたいと思うのでございます。この資料をずっと調べてまいりますと、非常に合法的にお金を集めるということをやっておるのですけれども、どうも少し形式にとらわれておって、ただこれだけ置いておけば法的に間違いはないのだから、とこういうことで、たとえば理事茅誠司さんのように、国立大学協会会長として理事に入っているもりが、その協会会長をおやめになられても、なおそのあとの補充をやってわらない。天野貞祐さんが理事長でありますけれども天野貞祐さん自体は、この問題はほんの老君ではないかと私は思うのです。こういうものを並べておいて、そこから合法的に財政法に違反をするのではないかと思われるような寄付金を集めている。こういうところに私は問題があるのではないかと考えております。  そこで、財団法人寄付行為という定款を見てまいりますと、これは御承知のように発起人があって、発起人から評議員を選ぶ、評議員から理事を選ぶ、その次は理事評議員を選ぶ、だれもほかの一般のものがその内容に立ち入ることはできないような仕組みになっているのです。この財団法人というのは、こういうことになって、財団法人そのものを維持していくという定款でございますが、事務局は、これは棚田初等局長さん、あるのですか、ないのですか。
  9. 福田繁

    福田政府委員 この財団法人国立教育会館建設協力財団は、三十七年の十一月に文部大臣から認可されたものでございまして、いまいろいろ御指摘のありましたように、天野貞祐先生がが理事長でございます。教育界財界等方々を役員にお願いいたしまして、この財団目的であります教育会館建設協力するために資金調達を行ない、その建設を促進するという方向に向かいまして仕事を進めるわけでございます。したがって、事務局は当然要るわけでございまして、法人としての事務局は、便宜文部省の中に部屋を借りまして置いているというのが現状でございます。専任の事務職員もいままでのところ二人置いてございます。そういう状況でございます。
  10. 二宮武夫

    二宮委員 定款によりますと、会計年度はやはり国の会計年度にあわせて四月一日から翌年の三月三十一日までということになっておるようでありますが、この収支決算明細書というものができましたら、これは一般国民大衆方々寄付を仰いだものなので、使い方に対しては、この定款で示されておるような厳密な監査を行なって、監事報告書をこれに添付をして私どもに提示していただかなければ、どうもどのように使われているかという内容自体も不明確でございますし、一体監事監事仕事をやっているのかどうかということも私のほうにはわからない。監事の名前はわかりますけれども監事が一体いつ監査をして、その会計がどのように正確であったか、どのような点が間違いであったということを指摘しているのかどうか、そういう監査認定書と申しますか、確たる第三者的な権威ある方の事務監査の結果を御提示いただかないと、いつの間にやらお金を集めていつの間にやら使っているという疑問を持たれる懸念があると思います。これは三十七年十一月につくっているようでございますから、三十八年三月末とことしの三月末まで三年目の収支決算が出るはずでございますので、先ほど資料として三十七年度の分はいただきましたけれども監査状況、それから、三十八年度寄付金の集まり方の状況、これらについていま少しく明確にしておいてもらいたい。文部省のやることですから気をつけてやってもらいたいので、御説明いただきたいと思います。
  11. 福田繁

    福田政府委員 ごもっともなお尋ねでございますが、三十七年度におきましては、お手元に十一月から翌年の三月までの収支状況を差し上げているわけでございます。これの明細は、当初予算額といたしましては約七千百三十二万五千円を見込んだわけでございます。これはなぜかと申しますと、寄付金ども三十七年度中にかなり集め得るだろうという予想でこういうかなり思い切った予算を組んだわけでございます。しかし、出発早々でございますので、三十七年度は実際は寄付金はあまり集まらなかったのでございます。そういう関係から、決算額におきましては、収入が五百五十九万八千二百三十八円。それに対しまして決算額の支出のほうは、三十七年度中に六十万一千四百六十六円となっております。したがって、当然三十八年度にその差し引きを繰り越したわけでございますが、この決算書につきましては、監事から当然監査を受けまして、それについての必要な手続を明確にいたしてございます。それから三十八年度におきましては、まだ決算は出ておりません。まだ途中でございますので、三月一ぱい、年度が終わりましたら、早急に決算書を作成いたしまして、監事監査を受けたいと存じております。  三十八年度予算額といたしましては 三十七年度で入るべき寄付金等も含めまして一応二億五千万ばかりの予算を組んだわけでございます。しかしこれも現実には、まだ途中でございますけれども、その予算どおりには三十八年度もまいっておりません。収入状況では、三月十七日現在で約九千万円でございます。この中で、教育界から大体七千三百万程度寄付金をいただいております。財界から現実に入りましたのは約一千百八十八万円でございますが、すでに寄付の決定いたしておりますものが九千百万ばかりございます。したがってこの年度中にはまだ財界からは相当の寄付金があるものと考えております。そういう状況で、これらの寄付がおくれましたことにつきましては、いろいろな事情がございますが、財界等事業の不振ということもございますし、その間にいろいろな問題がございまして、思う時期に思うように寄付金が集まらなかったということからずれてまいったわけでございます。この決算につきましては、御指摘のように、十分監事監査等、必要な手続を絡まして、一般にわかるように私どもとしては公明にやりたいと考えるわけでございます。
  12. 二宮武夫

    二宮委員 所期の募金ができないということになりますと、事業計画には支障があるのではないかと考えますが、この収支予算書によりますと、お金を集めるだけでなくて、この財団法人そのものが、教育会館内の設備のいろいろな工事発注するというような、会館に付帯した工事について発注をして設備をつくっていく、こういう仕事もやっておるわけですか。
  13. 福田繁

    福田政府委員 御承知のように、募金をいたしまして、その募金によりまして必要な諸設備発注いたしまして、いわば現物寄付の形でこれを寄付していただくという方法をとっておりますために、すでにこの財団としていままでの募金の中からかなりの額の発注をいたしております。
  14. 二宮武夫

    二宮委員 この財団法人定款によりますと、お金を集めることが目的であって、その集まった財産基本財産運用財産に分けて、そして理事会の決議をもってそのお金文部省なら文節省、国なら国に寄付をする、そういうことをやるのが主たる目的であろうかと私は考えるのです。財団法人そのものエレベーターをつくってみたり、舞台の幕をつくってみたり、そういうことをやること自体は、この寄付行為定款の中にはないのじゃないかと私は思うのです。どの条項をそのように指摘して解釈をしておるわけですか。
  15. 福田繁

    福田政府委員 これは財団寄付行為の第四条の二号に、「前号の資金をもって国立教育会館施設設備の整備について援助すること。」ということがございますので、この条項によりまして財団としてはそういう発注をして、現物寄付をしておる、こういうようなやり方をとっておるわけでございます。
  16. 二宮武夫

    二宮委員 その解釈は私は少しおかしいのじゃないかと思うのです。そういう援助のしかたではなくて、それならそれのように、理事会で、いつ一体そのような決定をしたのか。理事会で議決の会議をやったら、会議録を残さなければならぬということにこの定款ではなっておりますが、その会議録を出してください。そういうような財団法人お金を集め、そのお金を国に寄付するための寄付行為定款であれば了解できますけれども、このもの自体現物寄付するという形で発注して、たとえば天野貞祐さんは私ども呼んでもなかなか来られないということですが、福田さんは常任理事というお話ですが、事務局はあるのですか。私は組織そのものにいろいろな混乱があるように思うのです。提案の中には常任参与五万一千四百円、一人一〇・五カ月分の給与という予算書を出している。そういうようなことをやって、運用の面において少し定款の範囲を行き過ぎた行為になっておるのではないかというふうに私は考える。私は一番すっきりしているのは、財団法人寄付行為定款に基づいてお金を集めて、そのお金を国に寄付をする。その事務をここでやるんだ、こういうふうに解釈しないと、財団法人としての行き方自体に疑問があると思うのですが、どうでしょうか。
  17. 福田繁

    福田政府委員 お説のようなことも当然考えられるわけでございますが、その問題につきましては、当初から建設省でこの工事を請負っておりますので、建設省工事を進める関係上、いわば建設省のほうに資金を提供してやるという方法も考えられると思いますが、建設省の御要望もございまして、この法人がそういう直接発注の形で、建設省の指示に従って、現物調達を行なって、それを国に寄付する形のほうがよろしいということで、こういう方法をとっておるわけでございます。これは当初から理事会においてそういう方法の御了承を願っておるわけでございます。
  18. 二宮武夫

    二宮委員 建設省が直営でやっている工事のようでございますが、それはそれでかまわないと思うのです。しかし、いま福田局長が言われましたように、教育界から思うような基金がまだ十分集まっておらない、あるいは産業界のいろいろの事情から思ったほどの寄付金が集まっておらない。そういう条件がありますと、いままで出しております三十六年度の六十六万円、三十七年度の五億八千七百万円、三十八年度の六百四十五万円、そうして本年度運営費として三千万円、こういうような財源は、国にたよったのみの財源で、はたして完成を見るという見込みはあるのですか。
  19. 福田繁

    福田政府委員 御指摘になりましたように、この会館のいわゆる主体工事というような意味のものにつきましては、これは国費で約五億九千五百五万円をかけておるわけでございます。そのほかに、たとえば空気調整工事の一部、衛生工事エレベーター工事とか、自家発電設備とか、映写設備とか、ホールなどに備えます諸家具類、そういうようないわゆる設備をこの寄付金に依存しているわけでございます。いままで寄付金募集状況はあまり芳しくなかったのでございますが、財界などのこれに対する協力のしかたは、必ずこの目標額は達するようにやってやるという非常な御熱意もございますので、募金状況はおくれておりますけれども、私どもとしては大体当初の目標額の二億円くらいは集まるものというように確信をいたしております。したがって当初の計画どおり竣工できるもの、こういうような目安で現在のところ完成を急いでおるわけでございます。
  20. 二宮武夫

    二宮委員 この竣工期日はいつですか。
  21. 福田繁

    福田政府委員 本館ホールとございまして、本館のほうはもう四月の中旬には引き渡しができるという状況になっております。それからホールのほうは、これはいろいろ諸設備などの調整等がございますので若干おくれますが、五月にはもう竣工して使えるという状況になっております。
  22. 二宮武夫

    二宮委員 理事長から理事会提案をされました事業内容を見てまいりますと、空気調整設備工事とかあるいは映写設備工事、こういうようなものが全部会館付帯工事費として出ておるわけでございます。こういうものの発注契約、こういうものはどこが主体にやっておるのですか。だれがやっておるのですか。
  23. 福田繁

    福田政府委員 経費はこの財団で出すわけでございますが、すべて建設省に委託をいたしまして、建設省で具体的に競争入札によって業者をきめる、こういうやり方をいたしております。
  24. 二宮武夫

    二宮委員 大体予定目標一億五千万が、三十八年度に、差し迫っても大かた入るであろうということになりますと、おおむね基本的な建設費が五億九千五百万円、それにこれから入ってまいりますものが、いま申し上げましたような付帯設備工事そのほかに使われるといたしまして、これは総工費、それらを含めまして、全部で幾らという計画なんですか。
  25. 福田繁

    福田政府委員 家具等はぜいたくをいえば切りがございませんが、最小限度に考えまして、国の出資いたします約六億と、寄付によります約二億五千万を合わせまして八億五千万程度を一応考えて計画したわけでございます。
  26. 二宮武夫

    二宮委員 そうすると、先ほどの寄付金そのほかのおくれておるのを見越しても、大体五月ごろには全部完成をするという見込みになるわけですね、付帯工事も含めて。
  27. 福田繁

    福田政府委員 もう四月から使用できるわけでございますが、いろいろ機械装置その他の調整等に若干の時日が要るものにつきましては五月からこれを使うということになろうかと思います。したがって五月の初めには全部これが完成するというような予定になっております。
  28. 二宮武夫

    二宮委員 私が要望しておきたいと思いますことは、行政官庁がやる仕事として、財団法人をつくって、公務員の職にある人がその理事に入っておる、こういう団体財団法人として構成をされて、その場合には、事務というものが、だれが見てもすっきりしておる、こういう姿、スタイルを保っておることが私は非常に必要であろうと思うのです。いまの話を聞いておると、お金を集めるということで財団法人をつくったけれども建設省の要望があるので、直ちにそのお金現物審付という形で建設省がもらって、建設省がそのままそこで発注をして、競争入札で最後の工事者をきめる、こういう仕事をやっておる。緩衝地帯みたいなものになって、——この行き方は、私は少しだらしがないのじゃないかと思うのです。これはこれとして明瞭に、やはり集めたお金をきちんと出すべきところに出して、それを会計の中に入れて、そこから工事を進めていく、こういう考え方をとらないと、いろいろな面で疑惑を持たれるというような結果が出てくるのじゃないか。したがって、私はなお御要求申し上げますけれども、いまそのような、ここに一つのクッションがあって、これをうまく使えば何でもすぽっといくようなかっこうのものに使うというような感じがするのですけれども、やはりこれはこれとして、法律上に定められた性格を持っておる財団法人でございますから、こういうものをいま言ったような姿で運営するということのためには、はっきり評議員会あるいは理事会において、そういうお金をこのように使ってよろしいという決定をしたところの書類がそろっていなければ私は無効だと思う。もしそういうものがなくして、集まったものがかってに建設省に回っていくというようなことになると、これはどこがやっても、こういう行き方をやってはしめしがつかぬと思う。それは理事会評議員会というものは回数の制限もございますし、そのときの会議録もとらなければいかぬし、出席状況もはっきりせなければいかぬし、そうしてこういうことを議決したということを、はっきり書類として残しておかなければならぬことになっているのですから、いまのような少し型がくずれたような姿の寄付行為でなくて、やはりそうしたすっきりしたものを、だれにどこから見られてもいいように残しておいてもらう。そうしないと、国自体財政法の違反あるいは地方財政法の違反になりはしないかと思われるようなことを、国費で出しながら、一方で寄付を強制する。強制ということは悪いかもしらぬけれども管理職手当をもらっている人だけに寄付を求めたというところに、どうもおかしいにおいがするわけでございますから、そういう点はやはりすっきり明瞭にしておく必要があろうかと考えます。したがって、この寄付行為にきめられた款項目につきましては、決定した書類として残すべきものについてはこれを残す。そうして監査を受けるものについては監査を受けた結果の書類を提出する。それから本年度の分についても、募金事務費というのは相当お金を使っているようでございますが、これらの問題につきましても明細にしまして、それをお示しをいただく、ぜひこういうような運営をお願い申し上げたい。そうしませんと、これに対するいろいろな疑惑が起こってくる、ありもしない疑いを受けるというような結果も起こってくるのではないかと私は心配をいたします。  特に一般業者が募金に対してたいへんな熱意を示してきたということでございますけれども、これも文部省としては、あるいは建設省としては警戒しなければならぬことだと思う。これらはすべて地方義務教育学校であるとか、あるいは公立高等学校であるとか、あるいは大学であるとか、それらの諸学校において発注をされる性格の物費を持っておる業者が、この理事の中にずいぶんたくさんあるじゃないか。そうしますと、一応建設省文部省寄付をしますということは、ひいてはどこかでまたそのマイナスそのほかを取り返すことのできるような仕組みになる、こういう懸念が持たれるようになるおそれが多分にある。これはどこでもあるのです。ですからそういうことがすっきりするように、やはり定款に従っての操作というものを十分にやっておいていただきたいというように私は御要望を申し上げますが、それらの定款に定められた書類、これらは私どもが見せてくださいといえば、いつでも見せられるようになっておりますかどうですか。
  29. 福田繁

    福田政府委員 主要な諸帳簿類は、私どもそういう点を考えまして十分整備いたしております。必要な場合にはお目にかけられると思っております。
  30. 二宮武夫

    二宮委員 三十八年度収支予算書、この理事会に出したものだと思われますが、この中に事務費として出ております常任参与というのは、定款の第何条に当たるのですか。
  31. 福田繁

    福田政府委員 定款の二十三条に、参与というものを置くようになっております。
  32. 二宮武夫

    二宮委員 しかしその常任参与というものがありませんね。この常任参与として五万一千四百円という月給を支払うというのですが、この人は実在しておるのですか。
  33. 福田繁

    福田政府委員 この方は現実にいらっしゃいますが、実はこの方を当初常任理事にお願いする予定でおったのでございますが、しばらく参与の形でお入りいただきたいということで入ってもらっております。しかるに病気になりまして、それでいま入院いたしておりますので、そのままで常任理事にできなかったような状況でございます。
  34. 二宮武夫

    二宮委員 財団法人について私どもの経験をしている範囲内で言えることは、先ほど申し上げました要望事項の中に全部申し上げたつもりでおりますけれども理事の中にたとえば天野貞祐だとか小汀利得であるとか茅誠司であるとか、こういう有名人がずらっと並んでおるわけです。おそらくこういう人たちが顔をそろえると、寄付金集めの看板になるというと失礼ですが、こういう人が理事になっておるからという一つの信用度が理事のこの性格の中にあろうかと思うのですが、こういう人は自分の仕事を御承知になっておりますか。一ぺんでも集まったことがありますか。
  35. 福田繁

    福田政府委員 当初御就任いただきます際に、この事業についての計画を十分お話し申し上げまして、積極的に春意を示していただいた方々になっていただいたわけでございます。
  36. 二宮武夫

    二宮委員 それはそうだろうと思うのですけれども、その後の実際の運営に——たいへん多忙な方々で、あらゆる面で働かなければならぬ人を看板に並べておいたのでは、理事会は成立せぬようなかっこうになるのじゃないかと私は心配をするのです。よくそういうことがあって、その場合には委任状をとって、その委任状でもって数をそろえるということで、無理してそれで理事会が成立したのだということで、そこで重要な問題を決定いたしていく。したがって、理事長もロボットであれば——福田さんはロボットではないだろうと思うけれども、ほかの人も大体顔を出しているだけで、事務局というのがこういう仕事で横暴をきわめるという性格を従来持っておったのが、この財団法人寄付行為というものの性格だと私は承知しております。そういう経験を持っておるわけですが、初めに承諾せぬものを理事に並べるというような、そんなばかなことはありませんから、それは承諾をしたでしょうが、こういうえらい人をずっと並べていきますと、いつも問題となるのは、先ほど言ったように、理事会が成立しないという問題が起こってくるだろうと思います。それで無理をして、もう理事会は成立せぬものだからということで、事務局がかってに仕事を進めるということで、どうかするといろんな問題を引き起こしてくる大きなもとになるわけでございます。しかも一般の人から批判しようにも、理事会評議員指名をする、評議員会が理事会理事を決定する、これはもう卵と鶏みたいなかっこうでいきますから、どこからもこれに対して一矢を報いようと思ってもやる機会がない。そして一番最後に、これがもし解散した場合には、解放したときの残余の財源は全都教育会館に持っていくのだと書いてありますから、実に便利のいい一つのクッションであろうと思うのですが、そういうところが、ほんとうにやっておられたのだろうかどうであろうか。これだけのメンバーを見てまいりますと、教育会館のためにこれらの人方が、書類ではなくて、本物が顔を出して、理事会を構成するというような実態が決算書の中には理事会は一回くらいあったようですが、あったのですか、どうですか。
  37. 福田繁

    福田政府委員 御指摘のように、とかく世間にはそういう場合がありがちなことを聞いておりますが、私ともの理事会運営といたしましては、お忙しい方もたくさんいらっしゃいますので、そういう場合には、もちろん議決権はございませんけれども、その当該理事のかわりの方に傍聴をしていただくというような方法を講じまして、事業を進める上に知らなかったとかいうようなことのないように十分連絡の点は配慮いたしておるつもりでございます。ただし昨年開きました理事会においては、むしろ出席が非常によろしゅうございまして、理事会が成立しないとか、あるいは仕事をきめるのに困るということはございませんで、むしろ昨年はよろしゅうございました。
  38. 二宮武夫

    二宮委員 やはり私どもの浅い経験から考えてみましても、看板にしたいような人は、実質的には動いてくれない、実質的に動いてくれるような人は看板にならないという悩みがあるわけでございます。そこでこの運営がどうしてもぐうたらになっていくというおそれが多分に包蔵されているという経験をしているわけでございますが、昨年の理事会ではいっぱいこられたということですから、たいへんそれはいいことでございますが、その後追加をされた理事というのは、これはどういう観点に立って追加をされたのですか。
  39. 福田繁

    福田政府委員 発足当時の理事の中には、財界からも代表的な方にお入りいただいたわけでございますが、その後やはりこの財界のほうの御要望がございまして、各関係団体の代表的な方々にお入りいただいたほうが、この事業に積極的に御協力を願う意味においてよろしいというような御要望がございましたので、そういう方々に、あとからでございますけれども、追加してお入りいただいたわけでございます。
  40. 二宮武夫

    二宮委員 ことしのこの三千万という予算は、主としてでき上がった後の運営費であるということでございますが、もちろん特殊法人で税の減免をされるわけでございましょうけれども、これは相当に利用者が多いわけでございますから、そこから上がってくる果実というものも一応考慮して財源に考えることができる運営になろうかと思います。  そこで、これから後の運営ですが、国費を、年々相当の金額をこの中に投入しなければやっていけないのか。あるいはあそこの中で、ほぼ独立の採算とまではいかぬにしても、大かた財源はその運営の中から取り得るというような計画を持っておられるのか、今後の運営の財政面について、しぼってひとつその構想をお聞かせいただきたいと思います。
  41. 福田繁

    福田政府委員 この会館運営につきましては、私どもこれを設置いたします目的に従って運営されるということを考えますと、この会館があまり多くの収入を上げるということは望まれないと考えておるわけでございます。したがって、この会館の使用にあたりましても、教育関係には特に一般よりも安く利用してもらう、そういうことで提供いたしますと、どうしても全体の運営費について自前でまかなっていくということは困難であります。したがいまして、私どもとしては、やはり今後運営費の一部については国の補助を期待する、こういうような考え方で今後も考えていきたい、当分の間は考えていきたいと考えておるわけでございます。
  42. 二宮武夫

    二宮委員 大体その運営の財政規模というのは、どれくらいに考えておるわけですか。完成後における一年間の……。
  43. 福田繁

    福田政府委員 さしあたり三十九年度におきましては六千七百万程度でございますが、将来にわたりましても大体規模としてはそれほど大きくはならないと考えられます。職員等の給与費がかなりかさんでおりますので、この中でも約三千万程度は役職員の人件費でございます。それらのベース・アップ等がありますればもちろんかさまるわけでございますけれども事業そのものとしてはそれほど大きな金額にはならないと考えますので、大体、この会館が二、三年後におきましても一億を出るということはなかろうと一応私どもは判断をいたしております。さしあたり七、八千万程度が妥当なところではなかろうか、現在の規模でまいりますとその程度ではなかろうかというように考えております。
  44. 二宮武夫

    二宮委員 大体、こういうものが新しくできますと、そこの責任者というものは関係のある省の中から天下り的な人出が行なわれるということが間々あるのでございますが、もう大体灘尾文部大臣の頭の中にはあとの人事の構想もできておるのじゃなかろうかというように私は想像するわけなんですけれども、先ほど福田初中局長あるいは文部大臣が言われましたように、りっぱに耕しまれ親しまれるところの教育会館として今後運用してまいりますためには、その運営の責任者というのが非常に私は重要なポストになろうかというように考えるわけでございます。これは予算分科会であまりいいことばでは言わなかったのですけれども、もう大方御主人がきまっているのじゃないかというようなお話も巷間には出ておるわけでございまして、あれがあそこにすわったのでは会館の色合いはこうなるぞというような、また方向づけにも色がつけられておるような感じもするようなことを聞くわけでございますが、私はやはり刷新をされた人出をやって、ほんとうにいいスタイルの、教育会館というものを今後民主的に運営してもらうためには、あまり功労人事的な、天下り的な、従来やっているような行き方の人事というものは排除することが必要ではなかろうかというようにも考えるわけです。当然、その年とった人々をどこに持っていって働いてもらうかということは考えなければならない問題ですけれども教育会館は先ほどおっしゃったような精神でいく、初中局長理事としての立場からの運営方針等から考えていきますならば、その人事そのものは私は非常に重要なポイントになろうかと考えます。その辺についての構想はおありでございますか。まだまだそこまではかたまっておらないという状況でございますか。
  45. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 この会館の連帯はきわめて重要なことと思いますので、ただいまその館長たるべき人について慎重に検討をいたしているところでございます。できるだけひとつりっぱな人、また適材を得たいと思いまして、検討いたしているところでございますが、まだ候補者を決定するところまで至っておりません。
  46. 二宮武夫

    二宮委員 大体われわれが想像することがあまり当たらずとも遠からずということにもなるのではなかろうかというふうに考えておりますけれども、慎重に御検討をしてください。同時に、先ほど私どもが要望しましたように、あの人があそこにすわったのでは親しめないぞというような、そういう色合いをつけたような教育会館にはしないような方向で、人事については十分な御配慮をいただきたいというように私は考えているわけでございます。  重点的に私が申し上げました問題は、財団法人寄付行為に基づくところの操作が、事務的にうまくできているかどうか、これが定款の範囲を逸脱をして、あまりあばれ回っておらないかという問題でございまして、これは監査に対する状況監査状況あるいは資金のいろいろな施設に対する発注状況、それらについて私どもが考えているような資料を十分に御提示いただかないと、私はこの問題にはまだ十分に納得することができないのです。非常にルーズになるおそれのあるものでございまして、開いておってもやはり相当ルーズになっているのではないかというおそれがちらちらするのでございますから、いまそこに書類がございますもので、私どもにお見せくださることのできるものがございましたら、委員長、休憩をしてでもけっこうですが、見せてもらいたいと思うのです。ありますか。
  47. 福田繁

    福田政府委員 ここにそういう書類は持ってきておりません。
  48. 二宮武夫

    二宮委員 持ってきておらなければ——見せてくれることかできますかと言っているのですから、持ってこなかったらどうするのです。そういうものの言い方の答弁は最後になってあまり感じのいい答弁ではない。
  49. 福田繁

    福田政府委員 先ほど申し上げましたように、お見せすることはできますけれども、いまここに手に持っていないということを申し上げたわけでございます。
  50. 二宮武夫

    二宮委員 たいへんかってですが、ひとつそれを一通り見せていただきたいと思うのです。その間休憩でもしていただいてけっこうです。
  51. 久野忠治

    久野委員長 ちょっと速記とめて……。   〔速記中止〕
  52. 久野忠治

    久野委員長 速記を始めてください。
  53. 二宮武夫

    二宮委員 皆さんの意見もあるようでございますが、それほどむずかしく私は言っておるわけじゃないのです。私はむしろ建設的に、協力的に申し上げておるので、ただ文部省がこういう財団法人をつくってやったというときに、これはしめしをつけなければならぬ問題ですから、どうかすると、募金というのはルーズになる可能性を持っておるので、この点はこうしてある、この点はこうしてあるというポイントだけを私どもにお見せいただければよろしいということなんです。疑惑があるなら、何もこの委員会でやらなくても、ほかの委員会でやる方法がありますが、それを深く掘り下げてやるのではなくて、総括的にこういう程度のものだということを御説明いただきたいということを要求申し上げておるわけです。その資料を何らかの形でお出しいただけるかどうかということをお尋ねしておるわけです。
  54. 福田繁

    福田政府委員 資料提出いたしたいと思います。
  55. 二宮武夫

    二宮委員 それでは、私の賛同は一時保留さしていただきます。  その状況を見て、多分私のほうで了解できるような段階であろうと思いますが、そういう状況であれば、それから先の私の最後の締めくくりの御質問を申し上げて終わりたいと思います。
  56. 久野忠治

    久野委員長 次に鈴木一君。
  57. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 最初にこの出されておる法案につきまして、若干わからないところをお伺いしたいと思います。  第一条と、それから第二十条に関連するわけでございますが、教育職員、それからまた教育機関の職員、こういう方々の研修を行なうというのがこの会館目的であるようでありますが、この中でいずれに重点が置かれておるのか、そういう点についてまずお伺いしたいと思います。というのは、ものごとができる経過では、それぞれ一つのこうしたい、ああしたいという目的があってできるわけでございますから、何かそこに重点というものがあろうと思うわけでございますが、学校の先生の再教育とか、そういうふうなことが主たる目的なのか、あるいはもっと広範囲に何もかもみなやるというのか、その点をお伺いしたいと思います。
  58. 福田繁

    福田政府委員 御指摘の点につきましては、第一条の目的に「教育職員その他の教育関係者のための研修施設を運営し、」云々ということがございます。この教育職員という定義は、これは御承知と思いますが、他の法令等におきましても、大体校長、教員等をさしております。その他の教育関係者と申しますと、学校で申しますと、事務職員あるいは社会教育関係の施設の職員、そういうものまでが大体その他の教育関係者というところに入るわけであります。あるいはまた行政機関の職員も入るわけでございます。したがって、この目的としては、そういうように学校教育のみならず、社会教育等にも携わっております職員の資質の向上をはかるためにこれを運営するというのが目的でございます。したがって、この会館としてはそういう目的に場所を提供し、あるいはまたみずから事業を行なうということでございますが、会館をつくる一番当初の考え方といたしましては、数で申すのもいかがかと思いますけれども学校教育関係教職員がこの中でも一番大きな比重を占めておるわけでございます。そういう点で、現在の学校教職員の資質の向上をはかるというのが当初の踏み出しでございます。どれに重点を置くということではございませんけれども、いわばそういう学校教育関係者の資質の向上ということは、何をおいても第一義的にこれはやらなければなるまいというような心組みでこれを運営していくわけでございます。もちろん社会教育関係方々の資質の向上ということも必要でございます。お尋ねに従ってしいて申し上げれば、そういうことだろうと思います。
  59. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 そこで関連してお伺いするわけでございますが、主として学校の先生の資質の向上ということが大きな目的のように伺ったわけでございますが、現在の教師のどういうところにどういう欠陥があるのだ、したがってそれをこういうようにして直すのだというような、一つの文部省としての方針もおありだろうと思いますので、それに関連して御意見をお伺いしたいと思います。
  60. 福田繁

    福田政府委員 欠陥があるということまで申し上げると適切でないかと思いますけれども、これは教職員としての資質の向上をはかるということは、いかなる場合でも、いわば永久にそういうことはやるべきことだと考えております。ただ現在の時点におきまして考えました場合に、多くの教師の中には、教壇に立ってほんとうに児童生徒を指導し、教授するということについて自信を十分持っているかどうかということにつきましては、やはりいろいろ現場で困難な事情もあるようであります。したがって、私どもといたしましては、現在の学校関係の法令に定められておりますところの教育内容というものを十分こなして、また生徒児童に対しましても十分それが指導できるような自信と能力をつけていただきたい、こういう意味から学校関係教職員の資質の向上をはかっていくという点に主たるねらいを置いておるわけでございます。したがって欠陥というよりも、現在よりもよりよくさらにそういう自信と能力をつけていただくという方向において考えたいと思うのです。
  61. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 うわさといいますか、巷間言われておるところによりますと、長い間日教組と文部省の間に紛争があって、今日まできておるわけでございますが、それがまたひいてはILOの問題とか、そういうことにもからんできておると思うわけでございます。ここで対日教組の思想対策というか、そういうことを非常に重点に取り上げているのではないかというようなうわさもあり、私どももそんなような感じもするわけでございますけれども、そういうふうな点についてはいかがなものですか。
  62. 福田繁

    福田政府委員 御指摘のようには考えていないのでございまして、私どもはあくまでじみちに教職員の資質の向上をはかる。いわば現職教育としてのあり方というものを十分充実した現職教育をやっていきたい。こういう考え方に立ってこれを運営するのであります。
  63. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 よくわかりましたが、えてそういうような方向に行きがちな点もいままでのいきさつからあると思うのでありますけれども、思想にはやはり思想をもって対決しなければならないし、それはむしろ文部省なりあるいは会館のやることというよりも、政党とかその他の団体のやるべきことであって、あまりそういうふうな方面に重点を置いて深入りすると、第二の国民精神文化研究所みたいな狭いものになってしまって、多くのまじめな教員から浮き上がってしまって、あそこの講習会には行く必要はない、こういうふうなことにもなりかねないと思います。この点は十分運営については御注意を願いたい、こういうふうに考えております。  それから、先ほど私が教員のどこに欠陥があるかということを申し上げたわけでありますが、確かに福田さんが言われるとおり、私の設問が悪かったと思いますが、教育は永遠のものでもありますし、これで結論が出るものではないと私は思います。しかし、やはり現在の教員のこういうふうなところが悪いのだというようなことは、文部省としては当然頭の中にあると思うわけでありますが、これは単に教員個人だけが責められない。制度上の欠陥とか、あるいはまた社会環境からくる欠陥とか、そういうものが多元的にまつわり合ってきておるものだと私は思うわけでございます。ただ教員の資質を向上するということだけを目標にしてこの会館が所期の目的を達するかどうかということは、はなはだ私は疑問を持っておるわけでございます。その点はいかがですか。
  64. 福田繁

    福田政府委員 いままで各都道府県や文部省の主催しました各種の研究集会や講習会等におきまして、現場の先生がそれに参加して非常に効果があったということは、これは自信を持って私どもも言えるわけでございます。したがって、現在の教職員の実力をつける意味における各種の研修会などは、現在の制度のもとにおきましても続けていかなければならぬと考えるわけでございますが、御指摘のような、もともと教員の養成そのものに何か考えるべきことがあるのではないかというようなことになりますと、これはやはり根本的な問題になるわけでございますが、御承知のように昨年も教員養成審議会におきましても、今後の教員養成の問題について、一応将来こういうような改善をはかったほうがよろしいというような建議も行なわれております。したがいまして、現職教育ばかりでなく、今後のやはり大学を卒業してきます教員につきましても、そういう面から文部省としてはいろいろ検討すべき問題はあろうかと思います。   〔委員長退席、上村委員長代理着席〕
  65. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 少しこの問題からはずれるかと思いますけれども、やはりいま局長が言われたような教員の養成という問題について、そろそろ再検討してもいい時期にきていやしないかという感じがするわけです。もちろん過去の師範学校を中心とした教育に対するいろんな批判から、かなり極端な方向にまで新しい教員の養成制度が進んだような気がするわけでございます。過去のよさというふうなものが何もかも全部だめだということで一掃されて新しいものができたのでございますが、ものの制度が変わるときは、そういうこともやむを得ないと思いますけれども、そろそろもう一回ここで日本の実情に合ったような形で教員の養成制度を考える時期にきていやしないかというふうに私は思うわけであります。しろうとでございますから、的がはずれておるかもしれませんけれども、まず新制大学の機能を見ましても、ただ大学になったというようなことだけで、教授陣営からしても、あるいは学校の施設からしましても、非常に私は不備だろうと思うわけでございます。この前文教委員会からの視察で、地方の大学を見たことがあるわけでございますが、そこの総長が言っておりましたが、このままで推移したなら、もう四十年か五十年たたなければ、地方大学は東京大学一向じようなところまでレベルアップはできないのだというようなことを言っておりましたが、そういうような教授の陣営からしても、施設の点からしても不備だというところに教員養成の欠陥がまずあるのではないかというふうな感じが私はするわけであります。それからまた新制大学の運営を見ましても、教員を養成するのだ、そういったようなはっきりとした目的というものがないと思うのです。ですから、そこへ入った方々は、単位だけは一応取る。しかし、そのほかにどっかいい就職があればそっちへ行くけれども、ないという場合を考えて、いわば安全弁として単位は取る。いやいやながら単位はやむを得ず取る。しかし、ほかにいい職がないので教員になるというふうな傾向が非常に強い。おれがひとつ教育をやるのだという教育者としての自覚を持って学校で勉強し、また学校へ行くというふうな方が漸次少なくなっておる。また社会の風潮からしましても、教員の待遇その他からしましても、進んで教員になるというふうな空気ではないわけでございます。したがってそういうふうなところに大きな制度上の欠陥があるのであって、こういう会館を建てることによって問題が解決するのではなくて、もっと先に解決しなければならない問題がたくさんあるんじゃないかといったような感じがするわけでございますが、いかがですか。
  66. 福田繁

    福田政府委員 確かに御指摘のとおりにいまの養成制度自体につきましても検討すべき問題がいろいろあろうかと思います。したがいまして、先ほど申しましたように教員養成審議会等におきましても、今後のあるべき方向というものを一応示しておるわけであります。私どもとしては、その教員養成の学部を出てまいりました先生方が、ほんとうにそういう世間の期待にこたえるようなりっぱな先生であってほしい。こういうような観点から、もちろん指導力においても充実しており、また人格的にもりっぱな先生であるということが必要でありますので、その教える教育内容につきましても十分今後検討してもらいたいと考えております。また当面そういう教員養成の学部等の教育内容につきましても、これを改善すべく文部省としてはいろいろと現在検討中でございます。したがいましてこれができますれば、いままでよりもある程度改善が加えられるのではないかといったように思っております。
  67. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 現在の日本の政治の面の不幸というのはいろいろあろうと思いますけれども、対立しておる政党が国の基本法である憲法に対する考え方が違うとか、あるいはまた外交問題についても、当然大きな国民的な利益という観点で、いろいろ結論の出るまでは意見があっても、やはりこれは一本でいくというのが望ましい姿だと私は思うのですが、そうでないところに日本の政治の大きな不幸があろうと思いますけれども、しかし文教問題については、これは国内問題であります。お互いがほんとうに胸襟を開いて話し合っていけば、一つの結論には到達し得るものだというように私は少し甘いかもしれませんけれども考えておるわけでございますが、何といっても教員の問題は、教育の最も中心だと私は思います。その養成の制度そのものに相当の欠陥があるということは、いま局長が認めておるわけでございますが、文部大臣にお伺いしますが、末梢的と申しますと語弊があるかもしれませんが、小さいことをいじるということもさることながら、こういう根本に触れる問題について、この際いま私が申し上げたような観点で、胸襟を開いて、どうすればりっぱな教員養成制度ができるかというようなことについて、文部大臣はおやりになる意思がないのかどうか、お伺いしたいと思います。
  68. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 現在の教員の資質の向上という問題は、先ほどお話の中にも出ておりましたが、ただ現在だけの問題ではない。永遠の問題だということも言えるだろうかと思います。したがって教職についておる人たちに対する研修施設というものは、われわれとしても十分これを整備して、そして遺憾のないようにいたしたいと思います。しかしそれと同時にもう一歩前、いわゆる教員の養成という問題についても考えなければならぬ点が多々あると思うのであります。このことはひとり私どもだけの考えではないと思うのであります。国民の多数の人たちが教員に期待ところが多いだけに、やはりりっぱな教具、熱心な教員、まじめな教員というものを心から熱望いたしておると思います。その声にこたえるためには、現在の教員養成制度そのものについて検討を加える必要があるのではないか、現職教員の研修ももとより大切でありますが、最初にまず教員たるべき人の教育についてよほど考えなければならぬ点があるのではないかというので、年来この問題については文部省といたしましても検討をしてまいりましたし、同時にまた御本知のように、文部省関係の審議機関等においていろいろ検討願ってきたわけであります。ただこれを具体化するということについてはいろいろ問題がございまして、にわかに具体的な結論を得るということが困難な点もあろうかと思います。現在私どもも各諮問機関等から答申あるいは建議がありました問題を参考にいたしまして、文部省としての具体的な成案を得たいということで、目下検討いたしておるわけであります。  さらにいまお話のように、こういうふうな問題について各方面と胸襟を開いて、そして検討したらどうかという御趣旨につきましては、私全く同感であります。ただ文部省の独善に終わってはならない、したがってこの種の案につきましては広く国民の皆さん方の御意見というふうなものも十分承るような姿において結論を得たいと思うのであります。そのような心組みでいま準備を進めておる状況でございます。
  69. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 少し法案からはずれましたので法案に戻ります。  研究集会、講習会を開催するというふうにもありますけれども、これはあれですか。受講者は地教委なら地教委の推薦を受けるとか、そういったような形で地方の選定にまかして集められるのか、もしそうだとすると来る人がみな同じようなタイプの人ばかり来てしまって、その会議の中で活発な意見の開陳とか、あるいは討論というふうなものができず、ただ日教組のフラクション活動に対抗するような研究集会みたいなものになりはしないか、非常に狭くなりはしないかというような感じもするわけでございますが、その運営についてはどのようにお考えですか。
  70. 福田繁

    福田政府委員 これはそれぞれの事業によって違うわけでございます。文部省でやっておりますところの教育課程の研究集会等は、これは地方教育委員会が推薦した者を参加させておりますが、そうでない一般の教科の研修会、講習会等におきましては、参加する者はかなり自由に、希望すれば参加ができるというような体制になっております。したがいまして、それぞれの研修会あるいは講習会の目的なり内容によって参加してくる人たちが違うわけでございます。必ずしもそういう制限をするという考え方ではございません。なるべく広く多くの方々に参加してもらいたいというように考えているわけであります。
  71. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 どうぞそのようにひつ運営をお願いしたいと思います。  それから二十条に「一般の利用」とありますけれども、これは先ほど二宮さんに対するお答えでよくわかりましたので、これまた御答弁どおりひとつお願いしたいと思います。  それから二十六条、「(利益及び損失の処理)」とありますが、いま想定される利益というものはどういう形で生まれてくるのか、おそらく当分はこれは損失、赤字の見通しだろうと思いますけれども、そういった収支の見通しというものはどういうふうにお考えになっておりますか。
  72. 福田繁

    福田政府委員 さしあたり利益は生じてこないと思いますが、万一将来出てまいりました際にはやはり将来のためにその残余を積み立て金として積み立てておくということが、この会計の健全なやり方として適当であろう、そういう意味でこういう規定を置いたわけでございます。
  73. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 資料とかそういうふうなことでパンフレットのような有料のものを出すお考えでございますか。
  74. 福田繁

    福田政府委員 将来そういった事業もやってもいいのじゃなかろうかと考えておりますので、そういうこともだんだんに理事会等が構成されました暁には考えていくと思います。
  75. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 よけいなことかもしれませんけれども、その際たくさん印刷して各地教委に割り当てて、これを買い取れというような天下り的なことはないようにひとつやっていただきたいと思います。  それから二十七条の「(短期借入金)」のところでございます。いかなる場合にこういうものを借り入れるのか、またこれに対して国の保証の措置とかそういうことはするのかどうか、これをお伺いしたいと思います。
  76. 福田繁

    福田政府委員 短期借り入れ金は、これは年度内の借り入れ金でございますので、会館運営について必要な場合に行ない得るたてまえに、どういう法人でもなっているわけでございます。したがってこれについて保証ということは直接考えませんけれども文部大臣が認可をすることでございますから、当然にそれについては認可した責任を持っているわけでございます。したがいましてそういう行政行為に伴ったやり方としては、将来これについての短期借り入れ金でもし返済できないという場合におきましては、やはり文部省としても関係方面と相談して十分その対策を考えるといった責任は残るわけでございます。
  77. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 先へ進みますが、八条の役員のところでございますが、先ほども二宮さんからお話がございましたが、やはりどんな制度も、あるいはどんな機関も、運営する人の性格によってかなり違っていくと思うわけでございますが、最近議運でも問題になりました、官僚天下りはけしからぬということが言われ、また世間にもそういうふうな声があるわけでございますが、この選考にあたっては、先ほどから局長が、あるいはまた大臣が言われた趣旨に沿うようなほんとうにりっぱな人物を、あまりこだわらずに広い視野でひとつ選定してもらいたいと思っておりますが、これは先ほど大臣答弁がございましたから答弁は要りません。  それから十五条の代表権の制限でございますが、利益が相反する場合ということがありますが、どういうふうなときに相反するのか、その点をひとつお伺いしたいと思います。
  78. 福田繁

    福田政府委員 こういうことはめったにないわけでございますが、特殊法人法律などの規定では必ずそういうものを入れるわけでございます。たとえば館長自身が何か自分の他の仕事と関連をしまして館の事業とぐあいが悪いというような場合もあろうかと思います。そういう場合におきましては、この館長が利益が相反するというような、厳密に法律的な意味においてそういう相反する場合でなくても、趣旨としてやはりこういう運営をしなければなりませんので、そういう点においては館長も代表権をそういう事項については行使しないほうがよろしい、こういうことだと思います。
  79. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 そういうことはめったにないことだろうと思いますけれども、そういうことのないようなりっぱな館長を選んでいただきたいと思います。  法案に関連したことで私がふに落ちなかった点は大体以上の点でございますが、最後にお伺いしたいことは、教師の研修がおもであるわけでございますが、一体いかなる教師を理想像と描きつつこういう会館を建てて研修されるのか。これはむずかしい問題ではございますけれども、やはりこういう問題もお互い避けずに、真剣に討論するということも必要な時期に私はきていると思いますので、御意見と申しますか、御見解がありましたら、ひとつざっくばらんに御表明を願いたいと思います。
  80. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 どうもただいまのようなお尋ねが一番御返答がしにくいのでございます。何かことばで言いますと、必ずどこかに限定が出てくることになりましてお答えしにくい問題でございます。非常に抽象的なことを申し上げることになろうかと思うのでありますが、われわれとしましてはやはり子供の教育について、いわゆる豊富な教授力を持った教師がまずほしいわけであります。同時にただ知識、技術その他の点においてのみ豊富でありましても、教師と子供との関係というものはそれだけのものではない。むしろ子供によき感化を与え、よき影響を与えるのは技術、知識の問題よりも、その人の問題ということが非常に大きいのではないか、これはわれわれが子供のときのことを考えてみましてもその感が非常に深いわけであります。やはりりっぱな人格を持ち、子供によき影響力を与えるだけのものを持った人がほしいと思っております。それともちろん同じようなことでございますが、教育そのものに真剣に取り組み、そして熱意を持って子供の教育にあたってもらう人がほしいわけであります。言いかえれば、これはおそらく多くの国民の望んでおるところと思うのでありますが、教師としての使命感を持って、そうして日々の教育に当たっていただく、このような人が実はほしいと思っております。ただ単に知識の切り売りであるとかあるいはただ単にサラリーをもらう労働者であるとかということでなしに、ほんとうに子供をあずかって、これを教育していくという教師としての使命感に燃える人が実はほしいわけであります。同時にまた文部省の立場から申し上げますれば、文部省が少なくとも義務教育等につきましては、教育のいわば基準を示しておるわけでございます。これにほんとうに血を通わせ、また命を与えるのが教師の力であります。そういうふうに考えますときに、政府といいますか、国の示しておる基準というものをもっともっと生かしてやっていただくような人がほしいわけであります。これを全く無視して、これと反対な立場に立って日々の教育に当たるというふうなことは、これはわれわれの最も好まざる教師であると言わざるを得ない。そういうふうなことを総合いたしまして、りっぱな教師をひとつつくり上げるということで研修はやってもらいたいものと考えております。
  81. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 私自身もどういう教師が必要かということをいろいろ考えてはおるわけでございますが、抽象的に表現すればいま大臣が言われたようなことと大同小異だと思うわけでございますが、しかし現在の教育制度の中で行なわれている教育の実態からして、いまのような理想像を求めても求められないような状態に私は教師が置かれているのではないかと思うわけであります。これは池田さんが所得倍増をやったせいでもないかと思いますけれども、どんどん高校ですら義務制に近いくらいみなが志願をする。同時にさらに私立、官立の大学に競ってみんな進んでいく。親はとにかく大学を出さなければならないという唯一の立場から求めることは、とにかく受験に合格すればいいのだ、こういうようなことでございます。そこにまた文部省のほうからはいろいろと基準も出、学力のテストもあるし、ああせいこうせいということであれば、いま言ったような理想像を描いて教師の職に入っていっても、そういったような、これは教育と関係あることかもしれませんけれども、ただ入学試験の難関を突破するということだけに教師の使命が置かれておって、一番大事な人間形成というふうな教師として大事なことを研究したり、努力したりする余地というものはほとんどないのじゃないか、こういうような感じがするわけでございます。これは私日本の教育の一番大きなガンじゃないか。小学校、中学校、高等学校、大学へ行っても、そこで人間の形成なんという問題は取り上げられない。ただもう就職を有利にするために大学を卒業すればいいのだというふうな方向にとうとうと流されていく。そうして年々これがひどくなっていく、こういう状態において文部省がせっかく会館を建てて教師の研修をし、りっぱな教師をつくるというふうに言ってみても、何か東のほうに走っている汽車の中で、自分だけが西のほうへ走っているつもりでおる。しかしもうみんなが全部そういう方向へ流されていってしまっておるのじゃないかというような感じがするわけでございますが、これは非常にむずかしい問題で、大臣にこれに対してはっきりした、こうすれば直るのだというようなお答えを期待することは無理かもしれませんけれども、私は日本の教育のいまの一番大きな問題点はここにあるのじゃないかというような感じがするわけでございます。御所見を伺いたいと思います。
  82. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 ごもっともなお話だと伺います。私は現在のこの世の中において教師も非常に苦しい立場にあるのではないかと思うのであります。社会そのものが非常に変動の多い時期であります。その中において教師だけにいろいろなことを求めるということには私は無理があると思います。この教育の問題は申すまでもなく、ただ学校の教師だけの力で私はその成果を期待することは困難だと思います。しばしば言われておりますように、学校におきましても、家庭におきましても、また広く一般社会におきましても、りっぱな後継者をつくっていこうという共通の目標に向かってお互いに協力していくということがなければ、いかに教師が努力いたしましても、それのみによっては私は成果を期待することは非常に困難である、このように考えますだけに、今日の教師の立場というものが非常に苦しい、しかも教師自体に対する、たとえば処遇の問題等にいたしましても、決して私はこれが万全とは考えておりません。また学校の施設その他につきましても、まだまだ改善すべき余地が多々あるということはもう申すまでもないことであります。そういう環境の中において、またこういう社会状態の中において教師が教育の効果を上げるということは、きわめて苦しい、また困難な問題でございます。そういう意味におきましては教師の諸君に対して、われわれも大いに理解を持ち、同情しなければならぬ、このように考えます。ただ問題はしかしその外部の条件というだけでもってこの問題は私は解決しないと思います。やはりいかに困難であっても、いかに乏しくても、いかに苦しくても、その間においてできるだけりっぱな教育をやっていこうという教師の主体的な努力主体的な熱意というものがやはりなければならぬのじゃないか、このように思う次第であります。ひとり教師だけを責める立場には私はおらない。どこまでも教師に協力し、また社会の人たちの理解と協力を求めて、教育の万全を期していかなければならぬ、こういう考え方には立っておるわけであります。なかなかしかしその問題は実際問題として容易でないということでございますが、容易でないからといって投げるわけにはまいりません。やはりいまのような心持ちでもって教育行政を推進してまいりたいと考えております。
  83. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 これは人類が過去よりは進歩しつつ先へ先へと進むと思いますが、しかしその段階一つ一つを区切ってみても理想的な社会というものはないだろう。描けることは描けるかもしれませんけれども、理想的社会は私はなかなかないと思います。したがって、この種の問題は、やはり環境を整備しつつ、またその中に働く教師の自覚を高める、両方からこれは歩み寄っていかなければならないと思うわけでございますが、その点では私は文部大臣の意見に賛成でございます。しかし、現在のこの教育制度を見ておると、とても、よほど意思の強固な、百万人といえどもわれ行かんというような、相当強固な人でなければ、むしろこれは絶望感を教育の場で感ずるのではないかということを私は非常に憂えるわけでございます。  教育というものは、これはいろいろ定義のしかたもあると思いますが、要は教師と生徒がお互いが一つ魂を触れ合って、そして生徒の中に潜在するひとつのよき可能性というものを引きずり出していって、それを伸ばしていく、悪い可能性はこれを未然に押えていく、というところに私はほんとうの教育があろうと思いますけれども、いまのように受験勉強の予備校というふうな形に学校がだんだん成り下がっていって、そして四十五人とか五十人というような、あるいはまた多いところでは七十人も八十人もの生徒を一人の教師が相手にして、片一方では受験の準備をしなければならない、片一方では人間形成の面でまた努力もしなければならぬというようなことは、なかなか私はできないのではないかと思う。したがって、やはり魂と魂が触れ合えるような環境というものをつくってやる。したがって、少なくとも学級編制なんかも三十人ぐらいのところまで下げて、そうして一人一人の教師が教育に興味と自覚を打って進んでいけるような環境もつくってやらなければ、いかに研修会を開いて理想像としての教師はかくのごときものだといってみても、何らの効果がないのではないかというような気が私はするわけでございます。  これは私、新聞で読んだので、まだ自分で確かめてみたわけではありませんからどうかと思いますが、また教育というふうなものは一年や二年で効果があがるものではないと思いますが、明治学院で東京都の東村山に高校をつくった。これは別に優秀な者ばかりを選択して入れるのではなくて、バラエティに富んだ、いい者も悪い者もとるという形で教育をやる。これはわずか一年の成果でございますけれども、英語のような場合は、ただ教科課程について教授するというのではなしに、学級編制も十四、五人に縮小して、そのかわり先生の数が多く要るわけでございますけれども、そうして円陣をつくって一人一人と教師が話をしながら進めていく。全然英語はだめだというて最も悪いクラスの生徒が、一年の教育でけっこうAクラスのクラスまでのぼっていくというようなことが実証されておるわけでございますが、やはりそういったような新しい、教師が励みが出るような環境もつくってやらなければ、それはもちろん国の予算あるいは地方財政との関係もあるかと思いますけれども、少なくとも教育が民族百年の計であり、永遠に未完成な大事業だというふうな観点に立つならば、やはりもう一回ここでそういうふうな教育制度の問題も考え直さなければならぬのではないか。ただ教師にだけ重荷を背負わせて、そうして吉田松陰とかそういったような昔の、経済問題は一切おかまいなしで、ただわれわれは教師であるということで職業的に教育をするような教師だけ求めても、いまの時代では私は無理なのではないかというような感じがするわけでございます。  同時に、これも新聞の記事ですから、私確かめてみたわけではありませんが、たとえばこれは読売新聞の「二つの学校」というところに出ておったわけでありますが、非行少年の問題でございます。中央青少年問題協議会が調査した非行少年の年齢別の中間報告でございますが、それによりますと、非行——盗み、家出、ずる休み、物品持ち出し、乱暴、脅喝などに初めて走った時期は、十歳以下が五六・二%、それから十一歳から十三歳までが三四・六%、十四歳以上が五・六%、これは全国教護院の調べというふうになっておりますが、そうしますと、すでに小学校の三年、四年のころにそういう芽ばえがあるわけなのですね。ただ高校生が非行したとか何とかいって取り上げてみても、その非行のきざしはもう小学校の三年四年ごろに出ておる。そのときにそういう潜在性をつんでやらなければあとになってどうにもならないということなのですが、しからば小学校や何かでそういう個人個人の人間形成にまで教師が立ち入って指導するような環境にあるかどうかという点については、私は、教師がいかに能力があっても現在の制度ではなかなかむずかしいのじゃないか、そういうことを憂えるわけでございます。御所見を承りたいと思います。
  84. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 私もただいま鈴木さんのお述べになりましたようなことにつきましては同感であると申し上げてよろしいと思うのです。ただ教師にのみ要求して顧みないというようなことは、いまのわれわれの一番考えなければいけない点ではないか、特にまた教育環境を整備するというようなことは、われわれの責任である、できるだけ教育環境を整備することに努力してまいるということについて、私どもは一そう励まなければならぬ、かように考えている次第でございます。実は私の郷里のほうに先般寄宿舎をつくったのであります。これは僻地の児童のためにつくった寄宿舎であります。昨年つくりまして初めてこの冬入ってきた。最近その地方から人が参りまして、いろいろな話の中に、僻地の児童が寄宿舎に入って共同生活をやりましたのが異口同音に申しますことは、勉強するということが初めてわかった、そういうようなことを子供が言っておる、それからまた現実にその子供たちの成績が見る見る改善せられてきた、こういうふうなことを話しておりました。これは一例でございますけれども、実情に即した環境の整備というようなことは、努力すればそれだけ大きな効果があがるものであるということを示す一つの例ではなかろうかと思うのであります。そういう意味から申しまして、現在の教職員の諸君が置かれておる環境というものは決して満足すべきものでないということはよくわかる。したがって、ただ教師だけを責めるということでなしに、われわれがわれわれの責任とすべきところを努力する、世間の人もまた教師のこの心労に対しまして、あまり迷惑をかけないように、少なくとも迷惑をかけないような生活をしてほしいと私は思うのであります。そういう点で、最初に申しましたように、すべての人が協力してやるべき姿、これが私は教育をする根本に必要なことじゃないかと思う。そういう点で努力の足らざることをただ憂えておるようなわけでありますが、私は、国民全体の理解と協力のもとに日本の教育を進めていこうという方向であくまでも努力してまいりたいと考えておる次第であります。何さま思うにまかせぬことばかりでございますが、不満足、つまり教育というふうなことは満足すべき事態というものはいつの世になってもないということはいまお示しになりましたとおりだと思うのであります。それにいたしましても現状満足すべからざることがあまりにも多過ぎるということをしみじみ感じます。まあそういう心持ちで微力を尽くして努力してまいりたい。よろしくお願い申し上げます。
  85. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 最後にお伺いしたいと思いますが、よく教員は労働者であるとかないとかいうことが問題にもされ、文部省からもこういうパンフレットまでいただいておるわけでございますが、広い意味ではやっぱり俸給生活者としては勤労者かもしれませんが、教員は単なる普通の工場に働いたりあるいはまた会社に働いたりして賃金をもらっている労働者ではないと私は思います。しかしいままでの教員組合の運動というものが、そういう形で表面には方向づけられてきておるということでございますが、これは過去の一つのあり方に対する反動といいますか、反作用だというふうに私考えておるわけでございます。昔の教員を見ますと、経済的には下級サラリーマンに近いない。と同時に身分というふうな面からすれば下級公務員だ。そして学校の先生ということで修道院的な規制を社会から受ける。そして先ほど言ったような、人同形成という相当重要な大きな事業をやらされておるということであろうと思うのですが、私自身の今日までの過去を振り返ってみて、何によって一番影響を受けているかといいますと、いま考えてみるとやはり小学校の教育であります。あとは家庭の環境とか、長ずるに及んでは軍隊に行って——これは軍隊にはいろいろ問題があろうと私は思いますけれども、また別の私なりに軍隊の生活を身につけて、自分の生活の信条の一つにしておるわけでございますけれども、過去の先生の役割というものは、社会的な地位は非常に低くても、相当大きな役割をしておったと私は思うわけでございます。しかしそれに対する戦後の民主主義の運動からくる反作用で、いわば重大な仕事をしていながら、社会的に恵まれなかったということに対する一つの人間解放の運動であったと私思うわけでございます。ですからすべての人が倫理綱領のような考えを持っておるとは思っておりません。現に私は現場の教師の多くの人たちに会ってみましても、そういうふうな印象は受けない。ただ表価にはそういうことが出てきておりますけれども、一人、一人は必ずしもそうじゃないと思います。しかしこういったままでおけば、一番大事な教育のにない手である学校の先生たちと、また一番大事な仕事をしておられる文部省とのみぞというものが、だんだん深まっていって、お互いに埋めなければならぬと思って努力して、またそういう気持ちがあっても、なかなか埋まらないというのが現在の悩みだと私思うわけでございます。  今度の会館運営その他についても、こういったような問題についても、ひとつ過去にこだわらずに、お互いが共通の場を見出し得るような運営をぜひ私はお願いしたい。そしてきょうだけの問題でなく、あす、あさっての遠い将来に一つのめどを置きながら、そういう深まりつつあるみぞを埋めるような大きな役割を、この会館運営においてしていただきたい、こういうふうに考えるわけでございますが、いかがでございますか。
  86. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 教師とわれわれ教育行政に携わる者との間にみぞがあるとか、あるいは対立があるとか、あるいは抗争をしておるとかいうことは、最も悲しむべきことだと私は思っております。どこまでもお互いに共通の目的を持って、力を合わして努力していくべき立場のものではないかと思うのであります。根本的に私はさように考えております。またそういう方向に向かっていけるように努力するのが私どもの任務である、このようにも考えておる次第であります。  ただ不幸にして現在の状態から申しますと、必ずしもそういっていない場面があるわけであります。この問題についてやはりどんな思想を持ち、どんな考え方をするにもせよ、しかしお互いに大事なあと継ぎをつくっていくという立場で協力しようということならば、私は協力ができると思う。その辺について私は、現在の教師の諸君の多数がみな妙な思想を持っておるとか、妙な行動をしておるとか、そうは考えません。また現にそういう意味では、改善がせられつつあるのが今日の状況ではないかと思います。将来ますますそうありたいものだと念願しておりますが、これらの地方の教師諸君を指導する立場にあられる方々が、私はよほど反省もし、考えていただきませんと、せっかく協力したいと思いましても、協力のしようがないということにもなるわけでありますから、われわれ自身の至らざるところはもとより反省し、改善をするにやぶさかではございませんけれども、いまの有力なる教職員組合の指導者の諸君におかれましても、この点については根本的に考えていただきたい。現在の状態ではなかなか手か握れないというふうな状態にあることは、私はまことに遺憾とするのであります。
  87. 鈴木一

    ○鈴木(一)委員 以上で質問を終わりますが、せっかくできる会館——これはできるかどうかまだこの法案通らないとわかりませんが、自民党は多数ですから、おそらく通ると思いますが、その運営が先ほど申し上げましたような昔の国民精神文化研究所みたいな、無味乾燥な、生命のないものに成り下がらないような、そうしてまたいまいろいろと私が御質問申し上げましたようなもろもろの日本の教育の欠点が、こういうところからひとつ改まってくるような機運の出る新しい会館に——通るでしょうから申し上げるわけでありますが、そういうふうなものに大きな貢献をするように希望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
  88. 上村千一郎

    ○上村委員長代理 三木喜夫君。
  89. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 いま二宮さん、鈴木さんのほうから教育会館の将来の運営と見通しについていろいろ質問がありました。  この教育会館というものに対しましては、根本的なやはり疑念を持っている人が多いわけでありまして、まずいまお話がありましたのは、この運営について共通の広場を持つようにひとつ配慮せよということと。それから教育会館の持つ性格が、昔の国民精神を作興するんだ、してやるんだというかっこうで運営されたら、これはたいへんなことだというような、性格からくるところの質問、要望がありました。私はしかしこの発足が、日教組の教研に対抗して、そうしてそれをつぶしてやるんだというようなかっこうで発足されたようにいわれ、また考えられております。そういう発足がいかがでありましょうとも、また発想がいかがでありましょうとも、いま言われたような要望点を含めて、今後運営をしてもらいたいということは、私も思うとおりであります。  そこで、まず目的からお聞きしたいのですが、この法律案を出された提案趣旨としましては、「教育の振興に寄与するため、国の出資により国立教育会館設立し、教育職員その他の教育関係者のための研修施設の設置及び運営を行なわせ、その他教育関係者の資質の向上のため必要な業務を行なわせる必要がある。これが、この法律案提出する理由である。」こういうような書き方がしてありますし、それから国立教育会館法案目的にはこう書いてある。「国立教育会館は、その設置する教育職員その他の教育関係者のための研修施設を運営し、教育関係者の資質の向上を図り、もって教育の振興に寄与することを目的とする。」どこが違っておるかといいますと、教育会館法案の中の目的には、「その設置する教育職員その他の教育関係者」こう書いてあります。「その」が入っております。これはどういう意味ですか。
  90. 福田繁

    福田政府委員 これは第一条の目的の文言でございますが、多少法律技術的になるかもわかりませんが、「教育会館は、その設置する」云々と書いてあります。この教育会館という法人が、自分で設置する研修施設云々というように、下のほうの「研修施設」にかかるわけです。この中間の「教育職員その他の教育関係者のための」というのは、これはいわば修辞でございまして、「その」は、したがって法人である教育会館が設置する、こういうように読んでいただきたいと思います。
  91. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 そうすると、私ちょっと問題が出てくるんじゃないかと思うのです。文部大臣が全国の教育関係者に研修を要請するということは私はいいと思うのですが、この法人がその資質を向上させるという目的のためにそういう命令系統が成り立つかどうかということです。要請のかっこうでなさるか、あるいは協力のかっこうでなさるか、それはわかりませんけれども、その法人というものが目的とするところの、前の、「教育関係者のための研修施設を運営し、」これはいいんですよ。先がたからずっと実質的に自主性をそこなわないかという話もありましたが、その点はいいんですけれども、その次の後段の、「教育関係者の資質の向上を図り、」そういう法人がそういうことをできるのですか。結果的にはそうなっても、何かここから命令がされるような感じも受けるわけです。鈴木さんの質問も、私はここから出てくる一つの要素があるんじゃないかと思うが、どうですか。
  92. 福田繁

    福田政府委員 おっしゃる意味は、教育関係者の資質の向上などをはかるために研修会等を催すというのは、行政機関である国あるいは都道府県の教育委員会などが行なうべきであって、この法人としてはそういうものを行なってはおかしいではないかというようなお尋ねのように伺ったのでございますが、この法律に基づきまして特殊法人を設置いたします趣旨が、もちろん国のそういった研修事業等に協力してもらうために、みずから運営いたしますところの会館を提供してもらうということは、これはもちろんございます。そのほかに、やはり一般の資質の向上をはかるという意味において、この特殊法人自体事業をやることもこの法律によって認められるということでございます。したがいまして、いわゆる国がやります事業協力するという意味において、この特殊法人がさような事業の一部を分担してやりましても、これはおかしくはない、こういうように私は考えております。
  93. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 それではなぜ協力するということを書かぬのですか。国がとか、あるいは地方のそうした教育行政担当者というようなことを書かなかったら、私は、憶測かもしれませんけれども、おまえたちの考えておることは間違っておるから、教育会館をこしらえて、教育会館の意思でおまえらの頭を洗脳してやる、こういうふうにとられるおそれが非常にあるのです。あなたのいまの答弁では。それに協力するという意味だというのならば、ここの目的の置き方は、そう書かなかったらおかしくなってくる。そこに私は非常に在来からの不信感というものがにじみ出ておるような感じがする。これをこのまま置いておいたら、そういうように運営されてもしかたがないのです。
  94. 福田繁

    福田政府委員 おっしゃる意味に私どもはとっておりませんが、国に協力するということを申し上げましたのは、国もそういう事業をやるし、この特殊法人としても、その法律に基づいて教職員の資質の向上をはかる事業をみずからやっても差しつかえない。両々協力してこの教育の振興に寄与するというのが趣旨でございます。したがって、この特殊法人自体がさような事業をやることも、この法律が成立すれば認められるということでございます。
  95. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 もちろん法律案を制定すれば認められると思うのですけれども、そんなことを特殊法人に許したら、けったいなことになるのじゃないですか。そんなこと、特殊法人が先生の資質を向上するとか、教育関係者の資質を向上するというようなことは、全く越権のさたですよ。そういうことをうたうならば、この法律は全く反動的な法律になります。そういうことに協力するとか、あるいはまた施設を提供するとか——あなたもいつか言われておったように、将来は結婚式場にも貸すとかいうような、教員の福祉とか厚生施設としてこういうものが使われるというのなら、そのことは私は大いに意味があり、先がたから言われておるように、お互いに共通の広場を見出す上には非常にいいと思うのですよ。しかし、こういう反動的なことを考えられたらたいへんですよ。反動ですよ。この法律を通したら、おまえらの頭を洗脳してやるということにこれが変型されてもどうにもしかたがない。
  96. 福田繁

    福田政府委員 この法人としては、成立いたしますと一つの法人格を持って事業が行なえるわけでございます。したがって、教職員の資質の向上に関する事業を行ないましても、これは別に不当ではないと思います。いま御指摘になりましたような反動とかなんとかいうことではなくして、この教職員の資質向上のために必要な事業というものは国もやる、またこの会館としても独自にできる、こういうことだろうと思います。
  97. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 だろうと思うというようなことでは困りますね。国が国の責任でやったらいいですよ。教育会館がそんな責任を持ってやってこられたら、二ところから命令が出ますよ。そういうあいまいな目的を持ってこの法律案をつくられたら、通ったらできるということだったら、いまはできないが、それはたいへんなことになります。これは目的において修正してもらわなければ——私たちの考え方はとこまでもサービス機関だというような考え方で、それならばこの教育会館設立というものは意味もある、必ずしも私たちは反対するものではない点もあります。しかしながら、こうなれば前の精神文化研究所とかあるいは研修所とかいうようなかっこうで、いまはそういう解釈をしておっても、ぐんぐんと拡大解釈されてくるわけです。そこにたまらぬものができてくるのではないですか。
  98. 福田繁

    福田政府委員 もちろんこの教育会館は、教職員に命令するとかなんとか、そういう性格のものではございません。現在国立競技場という特殊法人がございます。これはスポーツ、その他運動競技に関しましていろいろな事業をやっておりますが、この機関も、国がやりますいろいろなスポーツ行政に関連する事業も当然にみずから行なっております。もちろん命令する機関ではなくして、考え方としてはサービス機関とも言えると思います。そういう性格のものでございます。これも同様にそういう施設を提供したり、あるいは事業をやるという場合も、もちろん教育界に対するサービスとしてやるわけでございます。
  99. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 そうしますと、これに対するところの設立準備委員とか、そういうことがあとのほうにも書いてあるのですね。そういう人々の考えを聞かなければいかぬと思うのです。それから事業計画だとか、並びに定款なんかも見なかったら、何を考えておるかわからない、そういう疑いを持たれます。それから役員等についても、おそらくもう大体予定をしておられるだろうと思います。そういうような一応資料を出してもらいたい。まず私が要求するのは設立委員の名前、それから定款職員の予定されておる者、役員の予定されておる者、それから事業計画、業務計画、これは法律によりますと、二十三条には、毎年事業計画を出せとある。二十一条には業務方法書ですか、これを出せということになっておる。この二つというものがなければ、あなたの言われるような心配がないということが必ず釈然としないわけです。その資料提出された上で私は各条項について御質問したいと思います。
  100. 福田繁

    福田政府委員 御意見でございますけれども、この法人が成立いたしまして、役員組織ができませんと、そういう業務方法書なり定款は決定できないわけであります。したがいまして、ただいま御要求になりましたような資料につきましては、直ちにここで差し上げるというわけにはまいらないと思います。
  101. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 もちろん法律が制定されて後にそれができるようになっているわけです。しかしながら、それに対してあなた方は四月からこれは始められる、こうおっしゃった。それならば腹案というものがなければいけないのです。それから私はまだお聞きしたいのは、会館運営ということが問題になるのだから、会館の見取り図だとか、あるいはどういうようにそれを使用するかという使用図なんかもつかなかったら、この会館法というものの内容がわからない。どういうように運営されるか。いま言ったように、なるほど局長のおっしゃるように法体系の上からいけば法が先行して、それが後行するわけです。しかしながらそういうものを四月から始めようと言っておって、腹案もなしではいけない。特に私が申し上げたいのは、この法律を受けておりますところの定款については、少なくとも腹案を持っておらなかったら、一体どんなぐあいに運営されるかということの形がわからない。そこでそういうものが正式に決定をしていなくても腹案をひとつ見せてもらいたい。
  102. 福田繁

    福田政府委員 せっかくのお尋ねでございますけれども、私ども腹案として現在定款を持っておるわけではございません。やはり設立委員がきまって、そこでつくるというのが趣旨でございますから、設立委員がきまって、それによって従来の各特殊法人の例などを参考にして、またこの法律の条文の範囲内で定款というものがつくられるわけです。その上でならば幾らでもお目にかけることができると思います。
  103. 上村千一郎

    ○上村委員長代理 この際暫時休憩いたします。    午後一時四分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕