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1964-03-11 第46回国会 衆議院 文教委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月十一日(水曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 久野 忠治君    理事 上村千一郎君 理事 小澤佐重喜君    理事 坂田 道太君 理事 長谷川 峻君    理事 南  好雄君 理事 二宮 武夫君    理事 三木 喜夫君 理事 山中 吾郎君       臼井 莊一君    熊谷 義雄君       田川 誠一君    谷川 和穗君       床次 徳二君    中村庸一郎君       松田竹千代君    松山千惠子君       三田村武夫君    森山 欽司君       渡辺 栄一君    落合 寛茂君       實川 清之君    田口 誠治君       楯兼 次郎君    長谷川正三君       山本 幸一君    和田 博雄君       鈴木  一君  出席政府委員         文部政務次官  八木 徹雄君         文部事務官         (大臣官房長) 蒲生 芳郎君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     福田  繁君  委員外出席者         文部事務官         (初等中等教育         局地方課長)  今村 武俊君         労働事務官         (労政局労働法         規課長)    青木勇之助君         自治事務官         (行政局公務員         課長)     松浦  功君         参  考  人         (岐阜郡上郡         美並村立南中         学校教諭)   小川 朋二君         参  考  人         (岐阜各務原         市立那加中学校         教諭)     竹沢  亨君         参  考  人         (岐阜高等学         校教職員組合執         行委員長)   山岸  一君         参  考  人         (岐阜日日新聞         社編集局報道部         副部長)    三輪 隆正君         参  考  人         (岐阜教育委         員会教育長)  伊藤 一郎君         参  考  人         (岐阜県立加納         高等学校校長) 大沢 幸平君         専  門  員 田中  彰君     ————————————— 三月六日  委員松浦東介君が死去された。 同月十一日  委員木村武雄君、原田憲君、川崎寛治君、前田  榮之助君及び和田博雄辞任につき、その補欠  として渡辺栄一君、森山欽司君、楯兼次郎君、  田口誠治君及び山本幸一君が議長指名委員  に選任された。 同日  委員森山欽司君、渡辺栄一君、田口誠治君、楯  兼次郎君及び山本幸一辞任につき、その補欠  として原田憲君、木村武雄君、前田榮之助君、  川崎寛治君及び和田博雄君が議長指名委員  に選任された。     ————————————— 三月七日  学校図書館法の一部改正に関する請願秋山徳  雄君紹介)(第九〇四号)  同(熊谷義雄紹介)(第九〇五号)  同外二件(床次徳二紹介)(第九〇六号)  同外一件(山中吾郎紹介)(第九〇七号)  同(柳田秀一紹介)(第九五九号)  同(濱地文平紹介)(第一〇〇七号)  高等学校教職員定数増員等に関する請願(沢  田政治紹介)(第九〇八号)  同(田原春次紹介)(第九〇九号)  同(加賀田進紹介)(第九五六号)  同(森本靖紹介)(第九五七号)  同(柳田秀一紹介)(第九五八号)  同(松本七郎紹介)(第九八七号)  同(永末英一紹介)(第一〇〇六号)  同(中井徳次郎紹介)(第一〇六六号)  同(多賀谷真稔紹介)(第一一〇五号)  小、中学校児童生徒に対する通学費国庫補助  に関する請願池田清志紹介)(第九九五  号)  福岡学芸大学付属小倉小学校校舎改築に関する  請願藏内修治紹介)(第一〇二八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  文教行政基本施策に関する件(岐阜県におけ  る教職員問題)      ————◇—————
  2. 久野忠治

    久野委員長 これより会議を開きます。  文教行政基本施策に関する件について調査を進めます。  本日は、岐阜県における教職員問題について参考人方々から意見を聴取することといたします。御出席参考人は、岐阜郡上美並村立南中学校教諭小川朋二君、岐阜各務原市立加中学校教諭竹沢亨君、岐阜高等学校教職員組合執行委員長山岸一君、岐阜教育委員会教育長伊藤一郎君、岐阜県立加納高等学校校長大沢幸平君、岐阜日日新聞社編集局報道部部長三輪隆正君、以上六名の方々であります。  この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。本日は、御多用中のところ、本委員会調査のため、わざわざ御出席いただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。  これより岐阜県における教職員問題につきまして御意見を伺うことといたしますが、御意見委員各位質疑によりお述べ願いたいと存じます。  それでは質疑通告がありますので、順次これを許します。山中吾郎君。
  3. 山中吾郎

    山中(吾)委員 参考人方々にお尋ねをするわけでございますが、私の御質問申し上げる趣旨は、岐阜県の教育行政の中に、教員組合に加入しておる、していない、あるいは脱退するということを理由に差別人事があるという新聞の記事、並びにその他の事実というものがあるようでありますので、そういうことを参考人皆さんからお聞きして確かめたいということと、もしかりにそれが事実であるといたしますと、教育偏向でなくて、教育行政偏向であって、憲法に保障されておる労働基本権あるいは二十八条に基づいた団結権地方公務員法に規定されて法律上認めておるところの職員団体、こういうものをまっこうから否定することになるので、単に岐阜県の問題でなくて、日本教育行政全体の問題として重大な反省をすべき問題だと考えますので、その点においてお聞きをいたす次第でございます。  したがいまして、そういう差別人事を受けたということについて事実体験をされ、御存じの先生には、その事実を率直にお述べ願いたい。これは個人の問題を越えて日本教育行政全体の問題でございますので、事実をお述べ願いたいと思うわけであります。これはここでそのとおりお述べになられても、県の教育行政がその人を弾圧するということはあるはずはないし、あれば、われわれ国会の権威においてお守りするはずでありますから、事実をお述べ願いたいと思います。  それから教育行政その他のことについては、行政担当者の方もおられますので、そういう行政についてのものの考え方と、いままでの経過の中にわれわれが疑問とすることについてお尋ねいたしたいと思うわけであります。  そこで私は、まず先生方、実際にそういう差別人事を受けたということを体験された先生方にお聞きいたしたいと思うのでありますが、小川さんにまずお聞きいたしたいと思います。いままでの経験の中で、自分は事実こういう差別人事を受けたとか、あるいは教育行政についてこういうことがあったということを、できるだけ詳細にお述べ願って、なおそれに基づいての御質問をいたしたいと思いますので、お述べ願いたいと思います。
  4. 小川朋二

    小川参考人 非常にたくさんの事例か出てきておりますけれども、その中のこれはと思うような問題を二つ、三つまず報告をさせていただきたいと思います。私がおります郡は、岐阜県の中では地理的には大体岐阜県の中央部にあります山間僻地の地帯でございます。七カ町村ございますが、その中で行政担当の方が組合脱退の問題につきましておやりになりましたようなことの一つ二つを申し上げたいと思いますが、これは一つ大和村という村かあるわけでございますが、この村の例をひとつ御報告申し上げたいと思います。大和村では昨年の九月三日の日に学校長命令で村内の教職員が、日直を除きまして全員南中学校という学校に三時半ごろ招集を受けたわけでございます。その中で山田村長あいさつをされまして、そのあいさつを全職員に受けさせましたあと教育委員長のほうから組合脱退についての指示をされております。村長あいさつはごく概略を申し上げますと、大和村の先生方日教組県教組から脱退しなければ、中学校整理統合に必要な六千万円の金の中で、県のほうから受ける補助金四千万円の支出が困難になるかもしれない、だから村の教育行政を推進するために何とか協力していただきたい、こういう村の教育方針に同調できないような人には子供をあずけるわけにはいかない、こういうようなあいさつをされたわけであります。そのあと遠藤教育委員長のほうから、この組合の問題については非常にいままでも考える余裕があったはずであるから、明四日の午後五時までにそろって脱退届けを出してほしい、こういうような指示教育委員長からあったということであります。それから私のおります美並村の例を申し上げますと、美並村では三十八年の九月九日の日でございましたが、ちょうど四時からその当時組合にまだ残っておりました十二人の者が職場会議を持っておったわけでございます。そうしますと、四時十分ごろにこの会議の席上へ校長先生が入ってこられまして、業務命令が出た、こういうふうにおっしゃったわけなんです。一体どんな業務命令が出たんですかとお聞きいたしますと、教育正常化という問題について村長それから助役教育委員、これだけの者と組合に残っておる者とが話し合いをするという業務命令だ、こういうふうにおっしゃったわけなんです。それで私たちの中では、そういうことで業務命令が出せるものかなということを疑問に思ったわけなんですけれども、業務命令であれば、これはあといろいろとどんな処分が出るかもしれないからとにかく従おう、こういうことで四時二十分ごろから村長それから助役教育委員が四名、それに校長をまじえまして、組合に残っておりました十二人の者と話し合いをしたのですが、これは話し合いというよりも、村長助役教育委員の方からいろいろと残っておる組合員にまあおさとしがあったわけなんです。たとえば村長はこういうようなことを申されました。きょうは美並村の立場として組合に残っておる皆さんお願いに来たのだ、この美並村も、それからこの郡南中学校というところも県下でいままで誇りになってきておる、その誇りのある村にうしろ指をさされたくない。正常化については郡南中学校が一番成績が悪い。だから今後の政治に影響するのじゃないか。たとえば村の財政の中で、大体村では五千万円くらいの補助金をもらっておる、こういうものに影響があるから何とか正常化に同調してほしい、こういうようなお話村長からありましたし、それから教育委員長のほうからは教育委員会としてはいままで皆さん方を刺激しないつもりでおった。が、よその村がどんどんやっているから、よその村との関係でやっぱりこれは話さなければならない、こういうことで話に来た。特に皆さん方にそういうことを言わずにおいて、あとからとやかく親切でなかったとかいうふうに言われては困るから、教育委員長としてはこういうような措置をとった、こういうようなお話があったわけであります。そのあと教育長からも、それから助役からも同様の趣旨あいさつが約一時間にわたって行なわれました。そうして一通りそういうのが終わりますと、これからひとつ教育委員全員先生方一人一人と話をしたい。一人一人がどういう考えを持っていらっしゃるか、お聞きしたい、こういうことなんです。それで私たちはだれの前でも自分意見が言えるように先生としては子供教育しているのだ、だから皆さん方とここで全員でお話し合いを申し上げたい、こう申しましたら、業務命令だ、一人一人に意見を聞くということが業務命令だ、こういうお話でございますので、それじゃまあ業務命令ならやっぱりこわいものですから、しかたがない、じゃあ一人一人意見を申し上げましょう、こういうことで始めたのですけれども、四人の教育委員の中へ一人ずつ呼ばれてはどうもやっぱり話がしにくい、だから何とか一人ずつで話をしたい、こういう要請をいたしましたら、それじゃ教育委員の方も一人ずつ、先生も一人ずつ、こういうことで一対一ということで組合脱退するかどうかという意見を聴取されたわけであります。大体これに二時間くらいかかりました。で、この個人面接が終わった人から業務命令を解く、こういうことで最終業務命令が解けましたのが大体午後八時ちょっと前でした。五分かそこら前だったと思いますが、最終の者の業務命令が解けた、こういうようなことが私たちの村の中では起こりました。そのほかの村でも先ほど申し上げましたように他の村がやっているから、こういうことなんですので、調べてみますと、やっぱりどこの村でも教育委員あるいは村長助役、こういう方々脱退についての要請なり勧告なりをしていらっしゃる、こういう事実が出てきたわけでございます。  それからこれは村の行政当局者のいろいろのお話でございますが、今度は校長さんや教頭さんは一体どんなふうにされたかということでございますが、これもごく一、二の例だけ申し上げます。  先ほど申し上げました大和村というところに南中学校という学校があるわけですけれども、ここの学校では九月五日、つまり先ほどの全教職員を集められた翌々日でございますが、相変わらず脱退が出なかったわけです。そこで森永という校長から、村教委から皆さん方最後通告が出た、それをお伝えする、こういうお話なんです。どういう通告かと申しますと、日教組に残る先生には子供をあずけることができぬ、だからこの村に置いておくわけにはいかない、きょうじゅうに職場会議を開いて相談してよい返事をしてもらいたい、これが村の教育委員会最後通行である、こういうお話であったわけなのです。そこで、この学校では四時ごろから職場会議を持ったわけですが、全員で話し合って一応脱退しない、こういう返事校長のところに持っていったわけなのです。これが五時、それから七時、それから十時、それから夜の十二時とこの四回にわたって、いずれもそういう返事を持っていったわけです。ところが校長さんのほうでは、そういう返事では困る、何とかよい返事をしてもらうまで職場会議を続けてもらいたい、こういうお話でございますので、どうしても職場会議を続けなければならない。結局午前三時ごろまで職場会議をやったわけなのです。乳飲み子を持った女の先生方は非常に困ったわけですけれども、とにかくよい返事をせぬことにはきょうは帰してもらえない、こういうことで、泣く泣く午前三時ごろ、やむを得ぬから脱退する、こういう意思表示をいたしまして職場会議を解散する、こういう例が出てきておる。  それから同じ村の北小学校というところでは、校長さんが九月五日の四時ごろ職員会議を招集いたしまして、組合脱退について何とか協力してもらいたい、教育委員会最後通告である、こういうことでお願いをされたわけですが、意見がまとまらなかったわけです。そこで校長先生のほうは、午後九時から、それではもう一人一人勧誘する、きょうはいい返事をいただくまではうちへは帰さないということで、九時ごろから一人ずつ宿直室先生方を呼ばれまして勧誘をされたわけなのです。たまたま九時四十分ごろ岐阜県教組の大平副委員長、それから私のほうの組合の副委員長の石原、この二人がこの大和北小学校を訪問いたしまして、いま校長先生がそういうことをやっておられるということをお聞きしまして、それは非常に不当じゃないか、こういうことで抗議を申し入れたわけです。そうすると校長先生も、これは悪いことだということですぐに職員会議を解散する、こういう宣言をなさったわけです。それで、この二人の訪問した先生は帰っていったわけです。そうしましたら校長先生は、一人一人やった中で、まだ男の先生が三八、女の先生が三人残っていたわけです。二人が帰ったあと、この六人の先生を便所の横へ一人ずつ呼び出しまして、夜の十時過ぎでございますけれども、まっ暗な中で一人ずつ脱退勧誘をされた。そういう中で女の先生は泣く泣く脱退しますということを表明していった、こういう事実が出てきております。そのほかいろいろの村で、あるいは私たち学校の中で、校長さんや教頭さんが個別に先生の宅を訪問する、あるいは個別に校長室へお呼びになる、こういうことで一人一人やはり脱退勧誘される、こういう事実がたくさんに出てまいりました。  特に和良というところがありますが、この和良小教頭さんは、脱退しない先生に対してこういうことを申しております。脱退しなければ、おれの力でPTAを動かして全校の生徒登校拒否をやってみせる。だからこの際脱退したほうがいいのではないか、こういうような言い方をされております。  それから、私のほうの教頭はこういう言い方をしております。教育正常化ということは、つまり組合脱退するということは村の教育方針である。その教育方針に従わないような者はこの村におれないのだ。こういうことで来年度の人事異動にはどんなことが起こってくるかわからぬ、責任が持てぬ、こういうような形で一人一人に勧誘をしております。  こういうようにして行なわれたわけでございますが、それらの脱退届けはすべて校長に出せ、教頭に出せという形で行なわれました。先生方で泣く泣く書いた人は全部教頭校長脱退届けを出す、こういうような手続をとっておるわけでございます。  それからその他のやり方について一、二申し上げますと、たとえば御主人が村の役場だとかあるいは農協なんかにおつとめなすっていらっしゃるような場合には、その御主人に対して、職場上役だとか農協上役の方——村でいえば有力な方でございますけれども、そういう方が御主人に対して、脱退させぬとまずいことだ、こういうことを言われた。御主人うちへ帰って奥さんに、何とか脱退してくれ、こういうような要請をされておる事実もたくさんございました。  それから私のほうの教育委員教頭もそうでしたが、直接本人に話すほかに家族にお話を持っていく。たとえばお嫁さんのしゅうと、しゅうとめのところに行きまして、あなたのところの嫁さん脱退させぬとまずいぞ、あるいは御主人に対してそういうことを申される。そこでうちへ帰っても家庭の中が非常に暗い、顔を合わせてもものも言ってもらえぬ、こういう女の先生方が出てまいりまして、そういう人も脱退をしてまいりました。  こういうようにいろいろの事例がございますが、私たちが一番憤激をいたしましたのは、県の御派遣になっております指導主事があるわけでありますが、私のほうに来ておられるのは今井指導主事というのでありますが、この人が個々的に先生方脱退を勧奨した事実がたくさんに出ました。一つの例を申し上げますと、十二月十六日の日に、奥明方の奥住小学校というところで研究授業先生の手によって行なわれた。その授業をやった人はまだ組合に残っておる先生であったわけです。そうすると授業が済んだあと指導主事はその先生を別室に呼びまして、おまえはなかなか授業はいい、おまえまだ組合に残っているじゃないか、組合を出ぬとだめだぞ、いますぐ返事をしろ、こういう話がありました。そういう重大な問題はやはりしばらく考えないとできません。いますぐ返事をしろということをおれは要求している、こういうようなことで指導主事が働きかけておるという事実は、学校の中で起こったり、あるいは通勤の途上で起こったり、あるいは汽車やバスの中で起こったりということがしばしば出てきております。こういうふうな事実はたくさんに出てきておりますけれども、一々ここでたくさんの時間をお借りすることはできませんので、概略それくらいにとどめたいと思います。
  5. 山中吾郎

    山中(吾)委員 いまお聞きしていることが事実だとすれば、これは日本法律、あらゆるものを無視した行政であって、このままに捨てておけないと感ずるわけでありますが、ただ、いまお話しになった今井主事というのも参考人に来ていないので、これはさらに参考人に呼んで個々の事実を明確にしなければこの問題は解決しないと私どもは思います。いずれにしても一応事実を先にお述べ願って関係者皆さんに質問いたしたいので、小川さんにはまたあとで御質問いたしますが、引き続いて竹沢さんにあなたの体験された事実をお聞きしたい。これは事実をお述べ願いたい。事実以上も事実以下も私は希望していないので、事実そのとおりにお述べ願いたい。あなたの体験した事実だけをまずお聞きいたしたいと思います。
  6. 竹沢亨

    竹沢参考人 私は各務原市の那加中学校に勤務している者ですが、各務原市といいますと、岐阜市のちょうど東にあたる市であります。十月十一日に、いままでにそういった事例がないわけなんですが、突然各務原市の十三の小中学校で、四時三十分を期して一せいに校長命令によります職員会議が招集されました。その際、年休をとっている者、それから出張している者、こういった者も全部電報または電話で呼び寄せられました。そして各学校長から一せいに次のようなことが示達されたわけです。それは、それ以前、九月十六日に各務原市長市教育委員会市校長会市教頭会意見一致を見た教育正常化に対しての示達なのであります。次に、その示達の内容を申し上げます。これは各校長から各学校教員全部に言われていることです。本日市教委より校長会へ次のような示達がありました。市教委としては、かねてから教職員組合の活動に対して憂慮していたが、十月十一日を期して一せいに県教委のいう教育正常化に踏み切ることになった。その基本方針としては、一、教育中立性の堅持、二、組合は否定しないが正常な発展を望む、三、現状の問題(正常化)は組合員各自が自由に自主的に考えるべきである、四、正常化をはかる道程においていかなることが起きても、どんな場合でも身分は保障する。以上に基づき、この際所属職員動向を可及的すみやかに報告してもらいたい、一人一人の意思を確かめて報告させていただきたい、また個々責任において報告してください。こういう示達がありました。それに基づいて引き続いて校長会を開き、校長会としてはその一人一人の動向を知り、市教委に氏名を報告するため、正常化に協力する者は今晩八時までに県教組委員長あて脱退届けを書き、分会長に提出してもらいたい。届けを出さない者は正常化に反対する者とみなす。もしどうしても今晩八時までに出せない者は、明朝八時までに出してもらいたい。この際保留はあり得ない。保留は協力しないものと認める、こういうことであるので、直ちに君たち意思によって脱退届けを出してもらいたい、こういうことが各学校で一せいに言われたわけです。私はこの日、那加中学校で三年生の進路決定のための父兄懇談会がありまして、午後一時三十分から職員室を離れて教室のほうに行っておりましたので、そのためその日の四時半からその会議があることがわかりませんでした。といいますのは、教頭黒板にきょうその職員会議があることを知らせましたのは、その日の午後になってから急に黒板に板書したわけなんで、私はちょうど教室に行っておりまして、父兄と話をしておりましたのでわからなかったわけです。そうしてその話が大体一段落つきましたので、私が五時ごろ職員至に帰ってまいりましたら、ちょうどその会議が終わった直後であったようです。そうして校長が私を見ますと、私がその席にいなかったことに気がつきまして、私を校長室に呼び、まことに残念ながら山県郡では——山県郡といいますのは、岐阜市のすぐ北にあります郡でありますが、山県郡では正常化の動きの中に県教組、県評がオルグに入り、非常に混乱している。そこで突然ではあるが、各務原市としては本日急に正常化に入ることになった。君か一番最初に脱退届けを出してもらいたい。君のような中心的人物が出すと、続いてあとの人も出しやすくなるからと言われました。そうして前の会議出席していなかった者、私を含めましてまだ三名おりましたわけですか、その三名にあとで同じような示達をするから来てもらいたい、こういうふうな話がありました。その席で、私のそれは組合に対する不当労働行為であると思うがどうかという質問に対して、校長はこの教育の混乱を防ぐためにはやむを得ないと答えました。五時半ごろ、先ほどの会議出席していなかった伊藤壽忠、岩井道元という先生三人で、校長室で先ほどの示達を私ども受けたわけです。そのとき伊藤教諭の、それは脅迫ですねという質問に対して、校長は脅迫だと答えました。その晩十時ごろ本校西尾安博教諭のところへ、土田一雄教頭より電話があり、三年生担任全員届けを出さないというようにきめたようだが、一、二年は出すように決定した。特に君の立場——本人は大学卒業以来本校に八年間勤務しておりますが、昨年度より異動対象者となっております。そういった君の立場を特に考えて不利にならないように早く出すようにという内容の電話がありました。  そのほか私が直接耳で聞き、また文書で知ったりあるいは手紙をもらったりしております点についてお話しします。  十一月十二日、岐阜教育委員会伊奈波地方事務局の女子職員から永田指導主事のことづけとして、稲葉中学校高橋敏勝先生に話があるから、午後事務局へ来るようにという電話のことづけがありました。内容は本人が知っているはずだということであります。その電話を受けた西脇教頭は、黒板に、高橋敏勝、伊奈波地方事務局午後事務連絡と書き、本人を出頭させた。そのとき永田主事から県教委の最近の動きとして、伊奈波地方事務局水口次長は徹低的に現在の組合をつぶす方針である。芳田管理課長も同様である。校長会組合の必要性は認めるが、現在の組合はいけない、つぶす考えだ。あるいはまた、人事については、採用するときに岐阜教職員として採用するとなっているから、法的には岐阜県のどこに転職させても不当転職にはならないというようなことを言いまして、人事をほのめかして脱退届を出すことを説得されました。それから十月の末、同じ蘇原小学校学校訪問されました岐阜教育委員会伊奈波地方事務局芳田管理課長は、同校の有馬通雄教諭の、脱退届を出さなかった者について、人事差別をするか、という質問に対し、現在はするつもりはないが、将来についてはわからない。と答えたため、全員が非常に不信の念を抱いたということが報告されております。  それから、十月十六日、鵜沼第二小学校桜井儀和教諭の自宅へ同校校長が午前十時半ごろから約百五十円ほどのまんじゅうを手みやげに持って家庭訪問しました、稲刈りに忙しかったが、応待をしました。その際、バスに乗りおくれるなよ。というようなことで、脱退をすすめまして、昼になっても帰らないため、昼食を出しましたが、午後二時半ごろまでねばって、脱退をすることを説得された。あるいはまた、十月三十日の夜、稲羽中学校西脇教頭が同校の名和、日比、川口三教諭各務原市那加月見食堂に呼び、特に人事のことについてほのめかし、届けを出すようにすすめました。食事代は教頭が支払いました。こういったような事例というものは、たくさん私どものほうの手元にあるわけですが、その一端を述べさせてもらったわけです。以上です。
  7. 山中吾郎

    山中(吾)委員 そのうち各務原市の学校校長教頭の名前を言ってください。
  8. 竹沢亨

    竹沢参考人 最初に申し上げました那加中学校は大野小次郎校長、土田一雄教頭です。あとで出ました鵜沼第二小学校のほうは、名前がちょっといまここではわかりません。
  9. 久野忠治

    久野委員長 参考人の方に申し上げますが、発言をする際には、一々委員長の許可を受けた後発言していただきたいと思います。
  10. 山中吾郎

    山中(吾)委員 小川さんにも竹沢さんにもお聞きいたしますが、教育正常化というのは、いままでのお話を聞いておると、組合脱退することが教育正常化であると受け取れるわけですが、皆さんもそう思っておられるのですか。
  11. 小川朋二

    小川参考人 私のほうも、校長教頭もはっきりと、教育正常化組合脱退、こういうことで話をいたしましたし、全郡的にそういうふうなことでみな話を聞いております。
  12. 竹沢亨

    竹沢参考人 同様であります。
  13. 山中吾郎

    山中(吾)委員 重大なことなんだが、これはあとにいたします。  高等学校組合委員長さんをしている山岸さんにお聞きします。これは現場の立場でないと思いますので、いろいろとお話を聞くことは必要でないと思いますが、高等学校の立場から、岐阜教育行政についてわれわれ認識を深めるために必要なことをお話し願っておきたいのであります。
  14. 山岸一

    山岸参考人 委員長の御指名がありましたので、発言を許していただきます。実は私、高教組委員長ということになっておりますが、岐教組と一緒に連合体をつくっておりまして、岐阜教職員組合連合会の執行委員長をしておりますので、岐阜県の教職員組合に一年間いろいろ加えられました組合弾圧の事例を承知しておりますけれども、先ほど山中先生の御指摘は、高等学校においてどういうケースがあるかというお話でございますので、その点に焦点をしぼって申し上げたいと思います。  高等学校における差別人事につきましては、第一番目に、二年ほど前に、三十六年末の人事異動組合活動家、いわゆるわれわれの仲間の配置転換を行なっております。これにつきましては、目下県の人事委員会に提訴中でございますので、その結審が近く出れば明らかになろうかと思います。  第二番目といたしましては、昨年度一年中に、岐阜県の高等学校教頭、定時制の主事という方々が、県教委のいろいろな御指導によりまして前後して組合脱退しております。最近、定時制主事のうち組合に残っている者につきましては、陰に陽に攻撃をかけておりまして、一月の二十五日の朝日新聞岐阜日日新聞の記事がありますけれども、あの記事の内容の第一項目くらいに、組合をやめていない主事、教頭については差別人事をしたいというような新聞のニュースでございましたが、それと全く同じような形で、まだ残っておる定時制主事に対して、早く組合をやめないか、やめなければやはり本年度の人事異動は保障ができないと言われてきております。本人から私が直接聞きましたので、確認かできると思います。  それから、新聞記事の事件につきましては、後ほど御質問があると思いますけれども、私たちとしては、記事が出ますと、中一日置いてその二日あとに、組合員の要求もあり、われわれ執行部、岐阜教組連といたしましては、団体交渉というような形で、ここにおられる伊藤教育長さんに、ああいう新聞記事は困るじゃないか、一体ほんとうに差別人事ということを考えておられるのですかとお尋ねしたわけでございます。その結果、差別人事は考えておらないというようなお話がなされたわけです。その中で私たちといたしましては、前から組合員であるかないかというようなことを県のほうで資料として調査しておりますので、関連をして教育長さんにそれを承った。ところが、やはり係の人が何か資料のためにそれは組合員であるとかないとかというのは調査をやっているのだろうというお話で、われわれはびっくりしたわけでございますけれども、そのように組合員の内部のことを、やはり県の行政担当者が団体交渉の席上でお漏らしになるというのは、岐阜県全体の教育教育正常化という名において組合の攻撃を続けられてきているというふうに私たちは判断をしたわけでございます。なお、最近の県における県会でございますけれども、県会が開かれまして、高等学校における差別人事の有無を県会議員の人から質問がありまして、伊藤教育長さんはそのときに答弁にお立ちになり、組合員であるとないとで人事の差別をするつもりはないということは言っております。高等学校校長さんにそういう文書を通達をしたという事実もないということは言っております。しかし、事務当局の担当者、すなわち人事担当者が、そういう人の間で、差別問題が話題になったことはあるかもしれないというようなことを県会で御答弁になっておるわけでございます。したがいまして、高等学校組合員といたしましては、やはり六、三の教組に長い、一年の間かけられました攻撃を身をもって見たり、聞いたり、あるいは感じとったりしておりますので、教育委員会に対しまして、非常な不信と怒りの念を持っておる次第でございます。以上でございます。
  15. 山中吾郎

    山中(吾)委員 先ほど小川及び竹沢さんの説明の中に、校長さんの業務命令ということばがよく使われたのですが、その業務命令を使ったときはどういうふうに使われたのか。まだ少し明確に頭に入らないので、どういうときに使われたか、もう一度簡潔でいいですから説明してください。
  16. 小川朋二

    小川参考人 先ほど申し上げましたように、職場会議の席上へ校長先生が来られまして、口頭で業務命令が出た、こういうふうにおっしゃったわけです。業務命令については内容があるはずでございますから、どういう内容ですかとお尋ねしましたら、先ほど申し上げましたように、村長助役教育委員組合に残っておる者が教育正常化について話し合うという業務命令だ、こうおっしゃったわけです。それで私たち先ほど申し上げましたように、そういう業務命令というのはあるかということで、実は懸念をしたわけですけれども、何としましてもやっぱり業務命令に違反すれば処罰があるというようなことを常に感じておりましたものですから、それに従った、こういう次第でございます。
  17. 山中吾郎

    山中(吾)委員 これは質問いたしませんが、自治省、労働省きておりますね。よく聞いておいていただきたい。  さらに小川さん、竹沢さん、国会の委員部から参考人として来ていただきたいと学校に対して通知したと思いますが、そのとき校長さんは国会出席についてどういうふうなことを言われたのか、それも参考に聞いておきたいと思います。
  18. 小川朋二

    小川参考人 ちょうど先週の土曜日の二時間目が終わったときでございました。私が職員室に帰りますと、校長先生が平常とはちょっと違った様子で、いま実は国会の事務局から電話がかかってきた、こういうお話なんです。何ですかと聞きましたら、十一日の日に文教委員会参考人として出頭させてもらいたい、こういう要請だ。で、これはもちろん個人的ですけれども、拒否できぬか、こういう話なんです。私は拒否なんかしたらえらいこっちゃ、そうしたら校長さんは、学校の運営に差しつかえるということはどうだろう、十日の日に卒業式があるのだから、卒業式には全員出ておらぬと困るから、君もそういうことではいかぬだろうかということですから、卒業式に私が一人くらいおらぬでもできぬはずはない、私が卒業証書を渡すわけではないから、それは先生だめでしょう、こう申しましたら、そうだろうな、じゃ教育委員会に一ぺん行ってくる、こう言って村の教育委員会のほうにお行きになりました。そのあと帰ってこられまして、行ってこい、こういうお話でございました。
  19. 山中吾郎

    山中(吾)委員 なおお聞きしたいことがあるのですが、関連であるそうでありますから、一応私はこれで保留して、関連の質問をしていただいて、あとでまた…。
  20. 長谷川峻

    長谷川(峻)委員 関連して。参考人が赤いじゅうたんを踏むものですから、校長先生がとまどうこともわかります。  そこで一問だけ私はお尋ねしておきますが、いずれもここに参考人としてこられた学校先生方、長いこと教職員として経験があるだろうと思うのです。代表の意味で小川さんにお尋ねしますが、学校を出られて何年くらい先生されておりますか。
  21. 小川朋二

    小川参考人 私は昭和十一年の卒業ですから、この三月で満二十八年になります。
  22. 長谷川峻

    長谷川(峻)委員 あなたは前教頭か何かされたことがあったんじゃないですか。
  23. 小川朋二

    小川参考人 五年ばかり教頭の経験ございます。
  24. 長谷川峻

    長谷川(峻)委員 それが平教員になったりして不利益処分の提訴か何かされておるやに私は聞いておりますが、私たちは自由民主党、いま質問した山中君は社会党、現地まで行っていろいろ視察してきて岐阜県人と同じように詳しいからいろいろこまかく聞いておられたようですが、政党の支持は聞いてはなんですが、党籍はどうなんです。
  25. 小川朋二

    小川参考人 私ごとにわたることをお尋ねでございますか、そういうことはございません。
  26. 長谷川峻

    長谷川(峻)委員 けっこうです。
  27. 渡辺栄一

    渡辺(栄)委員 関連して。お話を聞いておりますと、非常に推定といいますか、あなたの想像に発足しておるような感じがいたします。事実を明確にいたしたい。特に信念を持ってやっておる先生方でも、何か圧力的なものによって動いているかのごとき印象を受けるわけでありますから、その間の事実を明確にいたしたいと思うのであります。さらにもう一つ不利益、不利益ということばが出てくるのでありますが、これは皆さんのお立場において不利益とお考えになっておるのであって、人事委員会に提訴になりました結論はまだ出ておらぬと思いますが、その点いかがでありますか、小川参考人に伺いたいと思います。
  28. 小川朋二

    小川参考人 人事院に私が提訴いたしましたのは昭和三十六年度末の人事異動についてでございます。したがって、それから二年を経過しておるわけでございますが、ただいまおっしゃいました不利益というのは私のことについてのことですか、それとも一般的に組合に残っておることが不利益だと校長さんや教頭さんが言った、そのことをさしておるのか、どちらでございましょうか。
  29. 渡辺栄一

    渡辺(栄)委員 この問題は争点ではありませんが、おことばを聞いておりますると、非常に岐阜県の職員が全部不利益を受けておるような感じを受けるわけなんです。それは皆さんの、たとえば小川君の立場において不利益と思っておられるということでございますね。その点をはっきりしておきたい。あなたが不利益と思っておられるだけであって、そういうことがいわゆる第三者的に不利益を受けておると認められておるわけではないわけですね。たとえば小川君の問題につきましてでけっこうです。
  30. 小川朋二

    小川参考人 これは三十六年度末の八事異動のあと、私当時関の教職員組合に所属しておったわけでありますか、関の教職員組合としても、総会の席でこれははっきりと不利益であるという判断を下して提訴するということを考えておりますし、それから岐教組の大会においてもそのことは不利益であると判断をして提訴の手続をとったわけであります。したがって、不利益と思ったのは私個人だけではなくて、やはりそういう機関に集っておりますみんながそういうことを思って提訴の手続をとった、こういうことであります。
  31. 渡辺栄一

    渡辺(栄)委員 この点はいま争おうと思いませんが、ただはっきりしておきたいと思いますのは、不利益不利益ということばは、あくまでも小川さんを中心としたグループのお考えであって、現在公開審理によって行なわれておる人事委員会の判定はまだ出ておらない、これをはっきりしておきたいと思います。次に、実は大和村のお話が出ておるわけでありますが、これは私の関係地域でもありまして、村長から私どもに実はきょうはぜひ証人に出たいという要望がございましたが、これは残念ながら文教委員会理事会の御決定によりまして、ここへ出てこられないわけであります。その点はきわめて残念だと思うのでありますが、すでにその意味におきまして、私もいろいろお話を聞いておりますから、特にこの大和村の問題につきまして、具体的な事実をもう少し明確に承りたいと思うのであります。特に、昨年の九月三日に村長学校のいろいろな整備をするために四千万にのぼるところの補助その他の問題があるという話に触れまして、先生方教組脱退することを強要したかのごとき御発言があったように私は思うのですが、もう少し具体的にその間の御説明を願えませんか。
  32. 小川朋二

    小川参考人 具体的というのはどれだけのことを申すのか、ちょっと御趣旨がわかりませんが、そのとき山田村長お話をメモした人がとった記録をそのまま読みます。「大和村の教職員が、日教組県教組から脱退しなければ中学校整理統合に必要な資金六千万円のうちの県の補助金四千万円の支出が困難になるかも知れない」といわれた。どうか村の教育行政推進のために協力していただきたい。この村の教育方針に同調しない人に子供をあずけるわけにはいかない。今後も日教組県教組に残る人は、この村においておかない。」これがメモからとった記録でございます。
  33. 渡辺栄一

    渡辺(栄)委員 メモのお話はようわかりましたが、ただしメモが問題だと私は思う。四千万のお話村長から出たといたしましても、その話を一体村長がどこで、だれに、どういうように話をしたのか。しかも小川君はその場合どういう関連性があるのか、そこをひとつ明確にしていただけませんか。
  34. 小川朋二

    小川参考人 関連を申し上げますと、私は大和村の教職員ではございません。したがって、私が直接それを聞いたわけではございません。しかし、組合の中で大和村に現在残っておる人で直接聞いた人のメモを要約したものを私はもらってきたわけでございます。いまのお話は当人のメモによりますと、九月二日県教育長と話し合った際そういうような話が出た、そういうように当人のメモにはしるされている。
  35. 渡辺栄一

    渡辺(栄)委員 メモの内容はもう出ましたからわかりましたので、もう少し村長とそのメモとの関連をはっきりしていただきたい。私は実は村長にきょうも直接会っておりますので、連絡しておりますからいろいろな話は聞いておりますが、その内容があなたのいまのお話とは遺憾ながら食い違っておるように思います。だからそのメモの内容は、村長とどういう関連において出たものであるかということをひとつはっきり私のほうに説明を願いたいと思います。
  36. 小川朋二

    小川参考人 村長とこのメモとの関係と申されますと、このとったメモを村長に署名してもらったとか、確認してもらったという事実はもちろん聞いておりません。その当日の全校の職員が集まった折に直接話を聞いた人がメモをした、こういうことでありますので、それを村長に確認してもらったという事実は聞いておりません。
  37. 渡辺栄一

    渡辺(栄)委員 これは常識的に考えましても、いま世間にメモという話はよく出てまいりますが、一体メモはだれがどの場でとって、村長がだれに、その話をいつどこでしたかという具体的な事実に基づきまして、初めて私はメモの信憑性があると思う。あなたのように、メモの根本的な問題に触れないで内容だけお話を聞きましても、きわめて私どもとしましては信憑性の薄いものだと言わざるを得ないのであります。その点がはっきりできないならばできないとおっしゃっていただきたい。
  38. 小川朋二

    小川参考人 これは先ほど申し上げましたように、九月三日の午後三時半ごろに大和村におります先生方の全部が南中に集まった場合に村長から話のあったことである、こういうふうにお答えいたします。
  39. 渡辺栄一

    渡辺(栄)委員 多少明確になってまいりましたが、それではこのメモはどなたがおとりになったのでありますか、その点をひとつはっきりしていただきたいと思います。
  40. 小川朋二

    小川参考人 もちろん確実な入手の経路はありますが、ここでは具体的に氏名を答えたくありません。
  41. 渡辺栄一

    渡辺(栄)委員 事は私は非常に重大だと思うのであります。国会の席上でメモの内容を説明になるならば、やはり村長の名前まで出ておるこの場でございまして、しかも大ぜいの人が聞いておったということであれば、私どもといたしましては、そのメモはどなたがお書きになったかということを、この委員会におきましてはお話しになるのが当然だと思うのであります。それがはっきりしない以上、私どもはそのメモの件は信用できないと言わざるを得ない。いかがです。
  42. 小川朋二

    小川参考人 どういうふうにおとりになるかにつきましては、私といたしましては制約でき得ないわけでございますので、とにかくいまここで具体的に氏名をあげることについては差し控えたいと思います。
  43. 渡辺栄一

    渡辺(栄)委員 自分たちとして非常に自信がないというふうに私は判断を申します。同時に大和村長に対しまして県教組から訴訟か何か起こしておられるというふうに風聞をいたしておりまするが、その間の事実はいかがでありますか。
  44. 小川朋二

    小川参考人 これはたしか新聞記事にもなったと思いますが、岐阜県の教職員組合委員長の西さんを代表者として岐阜県の人権擁護局に審査を請求しております。
  45. 渡辺栄一

    渡辺(栄)委員 そういうような事実に基づきまして山田村長からは、たとえば教組に対してそういう圧力をかけるような言動をしたことはないと、私に明確に申し出がきております。学校の施設整備その他につきましては非常に心配をして、教育の成果を上げるために努力をいたしておるけれども、その問題はその問題であるし、また教組の問題は教組の問題として別の問題であるということを明確に私のところへ申し出ております。したがってそういうはっきりいたしました私どもの事実に基づきまして——出所も明確でないただいまのメモというものに基づいて、この神聖な委員会におきまして、これを根拠として考えるということは、私どもとしましてきわめて何と申しまするか、この委員会の権威にかかわる、こう私は言わざるを得ないのでございます。
  46. 久野忠治

  47. 三田村武夫

    ○三田村委員 一、二点、参考人にお尋ねいたしたいのですが、先ほど来、小川竹沢山岸三君から御所見を交えられた具体的な事実を伺いました。私は三君の御意見を伺って、どうしても理解できないことが一つある。それは、あたかも教育正常化という名において岐阜県の教組が切りくずされておる、あたかもなだれのように組織がくすれていく、こういう事実を訴えられたような気がいたします。それは一体どういうことなんだろう。私は教育者という人はりっぱな信念を持っておられる方だと思います。教育委員会からどういう圧力があったか知りません、また教育正常化の名においてどういう誘惑が、干渉があったか、それは知りません。それは知らないということを前提に申し上げる。ここで聞いたお話を前提にして……。なぜ私がこういうことを申し上げるかというと、私も岐阜県に住んでおりましてもう二十何年政治に加わっております。教育者のりっぱな使命感もよく存じております。りっぱな先生方をたくさん知っております。どんなに圧力があっても、どんなに誘惑があっても厳然として自己の信念を貫いた人もたくさん知っております。ところが、いまお話を聞いておりますと、ここ一、二年の間に岐阜県の教職員組合がなだれのごとくくずれてきた、こういうことを訴えられておりますが、それはどういうわけだろうか、私はふしぎでかなわないのです。教育正常化ということは、先生であるあなた方も御承知のとおり、正しい教育の場、りっぱな教育の場ということが教育正常化であります。それ以外の何ものでもありません。児童、学童をあずかっておられる先生方は、りっぱな教育の場でりっぱな教育をされるということが使命感である。その信念に基づいて、信念に忠実な教育活動をやっておられるならば、どんな圧力があっても、どんな誘惑があっても、そう簡単に私はくずれるものではないと思う。そう思います。その点はどうでしょうか。私はりっぱな先生としての御所見を伺いたいのですが、ただ圧力、圧力こうおっしゃいますから、圧力だけでどうくずれたか私はふしぎでかなわぬ。理解しがたいので、私の理解しがたいその判断に、ひとつ明快な御意見を伺いたい。
  48. 小川朋二

    小川参考人 いま三田村さんのおっしゃるとおりだと思うのです。ほんとうに信念がほしいと思っております。ところがまあ先生をおやりになった御経験の方はおそらくこういうところにはおられぬと思いますけれども……。(「いっぱいいるよ」と呼び、その他発言する者あり)
  49. 久野忠治

    久野委員長 御静粛に願います。
  50. 小川朋二

    小川参考人 現場の先生方に一番やっぱり関心が持たれ、深く思われておるのは人事の異動なんです。特に郡上というところは、御承知かとも思いますが、ひとつ隣の学校に変われば通えないというような場所は幾つもあるわけでございます。したがって人事の問題に責任が持てないとか、人事の問題がどうなるかわからない、こういう中で、一緒にお働きになっていらっしゃる共かせぎの先生方が別居しなければならぬとか、あるいは全然うちから通えないというようなことが起こり得ることをやっぱり心配するのは、これは当然だと思うわけでございます。それからもう一つは、先ほど申しましたように、家庭の中でいろいろの悶着やトラブルが起きてきたというようなことが大きくやっぱり考えられるというふうに思います。
  51. 三田村武夫

    ○三田村委員 私はいま自民党に所属しておりますが、学校先生方に知己友人がないわけではございません。友人、自分の近親、親戚、知友の中にもたくさん先生がおります。おりますから、全然浮き上がった立場で私がここで発言しているのじゃないということをまず御理解願いたいと思います。それから私がなぜいまこういう抽象的なことを申し上げたかというと、これには、私が限りない尊敬の念を払っておったあなた方の先輩の先生がある。御承知と思いますが、私と同姓同名の三田村武夫君、御存じでしょう。一昨年、三十七年の十一月になくなられた。当時は岐阜市の指導主事をしておられた。——私事になってはなはだ恐縮でございますが、お聞き願いたいと思います。なぜ私が先ほど先生方の使命感をお尋ねしたか。実は昭和十七年の選挙の際に、私は東條内閣反対の立場から非推薦の選挙をやりました。これは国会の速記録にもありますが、その際に、私を落とすために同姓同名の三田村武夫君を立候補させようという工作が二万円の選挙費を提供して行なわれた。ところがその三田村君は、これは私はあとから三田村君に会って聞いたのですが、私は教育者でございます、教育者であることを自分の一生の使命と心得ております。(「関係ないじゃないか」と呼ぶ者あり)関係あるよ。聞きなさい。代議士になることを自分の任務と思っておりません、お断わりいたしますとはっきり断わっております。私は教育者です。私が立候補するということは、会ったこともありませんが、もう一人の三田村武夫君の選挙を妨害するためでしょう、そういうことは私はいたすつもりはありませんと断わっておる。このときの事情はあとから関係者に詳しく聞きました。  これ以上申しませんが、私は限りなく敬愛の念をいまもって失っておりません。教育者の使命感、信念も私はそこにあると思う。教育正常化もまたそこにあると思います。何か圧力とか介入工作だけでそうやたらにくずれ去るものでないと私は思うのです。その点が理解できない。さっき岐阜県の教育の混乱ということばをお使いになっておりますが、教育の混乱とは一体何だ、こういうふうな気持ちがするのです。せっかくきょう岐阜県の具体的な諸事例を取り上げて、国会の文教委員会皆さんの御意見を伺いながら、いうところの教育正常化のために政府もわれわれも努力しているのでございますから、私のいま申し上げた疑問に、どの先生でもいいからひとつ御所信を伺いたいのです。
  52. 竹沢亨

    竹沢参考人 私が一番最初に申し上げましたことですが、各務原市の例なんですけれども、これは一斉に校長命令によって職員会を開いて、そして内容的にいいますとまことにけっこうなような話なんですが、人事の点について非常にあいまいな表現をした市の教育委員会の見解に基づいて、脱退届けを出すことを強要したということです。しかもそうして各務原市の脱退届けを出しました人たちの大部分は、結局は人事がこわいということなんです。御承知のように岐阜県の場合はたくさんの僻地を持っております。その僻地は、私どもここでお話し申し上げても非常に時間もかかりますが、その僻地のためには岐阜県の教育委員会としては一号俸上げるから僻地に行ってくれというような状態の僻地まであるわけなんです。なぜそのようにしなければならないかというと、それほどいわゆる山村僻地であって、しかも設備もよくない、僻地手当その他の待遇の点についても満足すべき状態じゃない、そういうような僻地を持っているということです。しかも校長教頭の発言の中には、たとえば僻地に飛ばされるかもしれないのだ、そういう場合にも責任はとれないんだ、こういうようなことを言っているわけなんです。こういうことが大部分の人が脱退届けを出してきたところの原因になっていると私は考えるわけなんです。
  53. 三田村武夫

    ○三田村委員 重ねて質問はいたしませんけれども、私がお尋ねしたことに対するお答えになっておらない。これは、私も岐阜県ですから、山また山、よく承知しております。僻地、僻地とおっしゃいますが、僻地にも学校がある。あなた方の同僚の中でどなたかがいらっしゃる。いらっしゃらなければ教育になりません。自分たちは僻地にやられるのは困る、家庭内の混乱があるから困るということでそれが行動の基準になるなら、私はそれもおかしいと思う。もうこれ以上は議論になりますから議論はいたしませんが、教育正常化というものは、市の住みよいところばかりの教育じゃないのです。山の中で設備も悪い、学童も少ないというところにりっぱな先生に行っていただいて、そこでいい人材を育てていただく、これが私は教育正常化だと思うのです。僻地にやられるから困るとかなんとかいうことがこの問題の中心になると、これはまた少々おかしいと思う。これ以上は議論はいたしませんが、おかしいですよ。
  54. 山岸一

    山岸参考人 御指摘を受けたのですが、三田村先生お話の中で、教育正常化ということがありましたので、これは先生方がみんな考えている点で申し上げたいと思います。教育正常化というのは、私たちの考え方では、教育行政担当者が教育条件をやはりちゃんと整えていただくことが、これは教育正常化として当然だと思うのです。それが一つでございます。それで僻地の問題につきましても、やはり優秀な先生が喜んで行けるような施設が、岐阜県では非常に欠けております。これは教員一つの願いであります。それからもう一つ教育正常化については、私たちは民主教育が破壊されることを一番おそれているわけなんです。先ほど非常に信念の高い教育者のお話がございましたが、今日の教育は一人々々の先生の努力ということも大事でございますけれども、学校の中では先生がみんな一致協力をして、相互に信頼を持って教育は行なわれなければ、これはできないというのが今日の、特に戦後の民主主義の教育だろうと思います。そういうところへ、県の方向としまして、教育正常化という名前は非常によろしいわけですけれども、たとえば産業の合理化というような名前と同じようなことで、それを組合脱退ということが直接に言えませんので、教育正常化という名前で現場を混乱をさせておるということなんです。それで私たちは人事の面も、これは個人的な生活の問題で大事でございますけれども、やはり子供が現場でどうなっておるか。先生が十分に教育できないじゃないか。しかも相談をしてできないじゃないか。設備においてもいろんな点があるんだけれども、それも村当局でもなかなかやっていただけない。そういうことが、私たちから言えば教育正常化をもう少し県当局などに要望したい点でございます。
  55. 久野忠治

  56. 渡辺栄一

    渡辺(栄)委員 いろいろお話を聞いておりまして、私の感じますことは、これはどうも組合の統制力の問題のような感じがいたすのでございます。それをことさらに不利益であるとか圧力であるとか、あるいは外からのそういう力によってすべてこういうふうに動いてきているというようなところへ抽象的に推定されるような言い回しで、ここで述べられておるような感じがするのであります。しかし先ほども申し上げましたように、大和村の村長自身が、そういう事実がないということを私に直接連絡をしておる事実に対して、一方においては書いた人も言えないような根拠の薄弱なメモによってこの問題を取り上げてきておる。私はきわめて遺憾に思うのでございます。   〔委員長退席、上村委員長代理着席〕 この事実に関連いたしまして、ただいま三人の方からいろいろお話がございましたけれども、私は承っておりまして、お話の中にはそういう意味におきまする立場からお話しになるような感じがいたしてならないのでございます。そういうような意味におきましては、この程度の問題は私どもといたしましてはどうも納得がいかないのでございます。私は率直に申しますならば、これは抽象的なそして推定的なものになっておるような感じがするわけでございます。だからもう少し具体的に、たとえばメモの問題につきましても、せっかく証人がおいでになっておられるのでありますから、もしおわかりならばおっしゃっていただいたほうがいいと思います。承れなければ、残念ながら私はそういった考え方を持ってこの問題を推定いたします。——御発言がなければ、けっこうでございます。
  57. 上村千一郎

    ○上村委員長代理 三木喜夫君。
  58. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 いま村長さんの話が出ました。そこで私たちはやはり事実を知りたい。そこでじかにそういう疑問があれば、私たちのほうもだれか、どこから出たかということでそういう証人を明らかにし、村長さんに来てもらって事実を明らかにするほうが私はいいと思います。  続いてそれと同じようなことで私は竹沢さんにお聞きしたいと思うのですが、大野小次郎校長さんが一人一人の動向を知り、八時までに県教組委員長届けなければならぬから、正常化に反対する者は届けを出さぬ者だ、保留はあり得ぬというようなことを言われております。なかなか強圧的でございますが、このことも校長さんを呼んだ場合に否定されるかもしれない、あるいは確実にこのことを言ったと言われるかもしれません。その辺の御見解はどうですか。
  59. 竹沢亨

    竹沢参考人 このことにつきましてはほとんど同一文句で各務原市の十三の小中学校校長先生が各学校で話しておりますので、私の校長ばかりではございませんので、その点ははっきりするんじゃないかと思います。
  60. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 その点はそういたしますと、そういうことを言ったことはないというようなことはない、このようにお考えですね。  続きまして、非常に強圧的なやり方や、先生を僻地の方へやるというような言い方で人事を行なったというようなことは、非常に差別的な、あるいは僻地教育というものをたいへんに無視した考え方である。信賞必罰に僻地というものを使うということは、私は僻地の人はおこっていいと思うのです。いま逆にこちらからそういうような話があって、僻地は大事であるということをおっしゃていましたが、私も大事であると思います。そういうような指導はやはり県教委の指導の中にも校長さんの話の中にも、あるいは地方教委の話の中にもあったかなかったか、ひとつ話してください。
  61. 竹沢亨

    竹沢参考人 私自身には直接ありません。  それから先ほどの、文章的には多少私のとりましたメモですから違っているかもしれませんが、各務原市の教育正常化に対する基本方針の第四番目に、正常化をはかる道程においていかなることが起きても、どんな場合でも身分は保障するというふうな表現をしているわけなんですが、この言い回しについてはかなり微妙な問題を含んでいるような感じがするわけなんです。その点はよく御検討いただきたいと思います。
  62. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 同じような問題がもう一つあるんですが、これは不当労働行為になるかどうかという重要なポイントでございますので、ひとつお聞かせ願いたい。先ほどのお話の中で、不当労働行為ではございませんかということを言ったときに、校長は、教育が混乱のときにはこれもやむを得ない、このように言われた。また別人が脅迫ではありませんかと言ったら、脅迫である、とこういうように是認したようなお話があったのですが、これもだれかはたに人がおられたというような確実に——言った、言わぬという押し問答になったらこういう問題は困るのですから、その点確信がありますか。あるいはだれかはたにおられたか、ひとつ聞かしていただきたいと思います。
  63. 竹沢亨

    竹沢参考人 あとのほうの脅迫であるということにつきましては先ほど申しましたが、私どもの伊藤壽忠教諭とそれから岩井道元という教諭が一緒におりますので、その点確認できますが、不当労働行為云々につきましては、私一人だけの場所でございます。
  64. 上村千一郎

    ○上村委員長代理 午前の会議はこの程度にとどめ、午後一時三十分より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時六分休憩      ————◇—————    午後一時四十五分開議
  65. 久野忠治

    久野委員長 休憩前に引き続き質疑を続行いたします。山本幸一君。
  66. 山本幸一

    山本幸一委員 午前中に小川参考人竹沢参考人及び山岸参考人から、それぞれ所見を承りましたが、私はこの際、他の参考人の一人である岐阜日日新聞社編集局報道部部長三輪隆正君、この方の所見をひとつ承りたいと思います。いま読みましたように、三輪さんは日日新聞社の編集局報道部副部長という職責でありますが、あなたは県庁クラブの所属記者であり、同時にまた主として県庁の取材に当たっておられるかどうか、これをまず最初に承りたいと思います。
  67. 三輪隆正

    ○三輪参考人 ただいま県庁には籍を置いておりません。この問題となりました記事を書いた時期は、ちょうどクラブに在籍しておりました。
  68. 山本幸一

    山本幸一委員 さよういたしますと、去る一月二十五日、岐阜日日新聞の記事のうち、こういう大見出しがございます。「県教委、高校教員異動で新方針、組合脱退者を優遇”差別人事”と新たな波紋」、約六段にわたる大きな見出しで、かなり長文の記事が出ておるわけです。簡単にその内容だけをこの機会に読み上げてみますと、まず前文では「春の教員異動をまじかにひかえ、県教委ではさき、ころ開いた県高校教職員対策協議会で、人事異動にあたり組合脱退した教師については本人の希望にそりよう努力する。」云々。このような前文で、内容となっておりますのは、「1最近、組合脱退正常な教師の服務をしているものについては、異動にあたって本人の希望にそうよう努力する2このため一月末までに各高校の組合脱退者を調査し、名簿を準備する3この際、できれば各高校で適正な批判力を持ち、中正な態度で勤務している教師、および組合活動に熱心で、偏向的な行動のある教師も調査し、同じように名簿を作る4この調査学校長との面接のうえ調査する、」このほかさらにこのようないわゆる通達文書といわれたものの中には、「1組合員であるこれらの職にあるものにたいしてははじめ学校長を通じて異動があるかも知れないことを伝え、さらに本人の組合脱退決意のない場合にはブロック説明会の際、考慮する2職場での選挙によって教頭などの職についたもので引き続いて同じ学校に勤務している教頭、定時制主事、分校主任をこんどの異動の対象として考える」云々。以下ずっと続いておりますが、このような記事が先ほど申し上げましたように、あなたのほうの新聞の一月二十五日付で出ておるわけですが、この記事の取材をいつせられたのか、その点をお伺いしたいと思います。
  69. 三輪隆正

    ○三輪参考人 いまの取材の時期につきましては、いまのところ数日前ではなかったかというふうな記憶をしております。
  70. 山本幸一

    山本幸一委員 私の判断でまいりますと、この記事はきわめて明確で、しかも正確を期さなければ、これだけの長文の記事はなかなか書けないと思います。したがって何人の常識から考えてみても、これだけ正確にして、しかも長文の記事は第三者の話であるとか、または県庁の役人の話であるとか、そういうものの話を聞いての取材でないような気がいたします。その点はいかがですか。
  71. 三輪隆正

    ○三輪参考人 新聞記者の取材につきましてはいろいろその方法ございますが、私の場合は総合取材というふうなことでこの記事を書いたというふうなことをお答えいたします。
  72. 山本幸一

    山本幸一委員 そこでもう一つお尋ね申し上げたいのですが、もちろん新聞のニュース・ソースについて私はお尋ねしようとは考えておりません。これは尋ねてみたところであまりにもむだなことですから考えておりませんが、いま総合的な取材としてやられたという御答弁でありますが、この記事が、いま私がお読みしたように、それぞれいわゆる通達文書といわれるものの——記事の配列は1234とそれぞれ項目別に内容がきちんとあげられておりますが、これはそうすると取材のままでございますか。
  73. 三輪隆正

    ○三輪参考人 一応取材のままだというふうなことになります。
  74. 山本幸一

    山本幸一委員 全く明快な御答弁をいただいて幸いだと思いますが、そうするとなお、ちょっと失礼ですけれども、この記事の取材対象となったもの、いうならばこの記事の取材のもととなったものについては年月日が入っておりますでしょうか。
  75. 三輪隆正

    ○三輪参考人 それにつきましてはいまのところちょっと記憶がございませんが、そういうふうなことはなかったんじゃないかとも思いますが……。
  76. 山本幸一

    山本幸一委員 そうすると三輪さん、この記事は取材されてあなたの手で書かれた。これが新聞に掲載せられましたときにはかなり大きなニュースになるんじゃないか、こういうふうにお考えでありましたか。
  77. 三輪隆正

    ○三輪参考人 この記事につきましては、うちの編集の責任者であります編集局長以下いろいろ検討したんだと思いますが、取材に当たる場合にはその背景となっております岐阜県の教育界というものを考えまして、一応かなりニュース性があるんじゃないかというふうな判断に基づきまして取材したということです。
  78. 山本幸一

    山本幸一委員 私もその点は参考人と同意見でありますが、先ほど小川竹沢の両参考人からいろいろ具体的な事例を示されまして、われわれはなまのままお聞きいたしたわけですが、そのように岐阜県の教育界というものが、いわば教育行政の上において非常に不明朗なものである。不正常なものであるという点から、いま三輪参考人が言われたように、この記事が出ればかなり大きなニュースになるであろうと私も想像いたしておりましたが、全く同意見でありまして敬意を表します。  そこでもう一つお尋ねしたいのですが、この記事が出れば県の教育委員等々関係者はかなりろうばいしたり、驚いたり、あわてたりそういうような行為がございましたか。
  79. 三輪隆正

    ○三輪参考人 そういうふうなことを意識したということはございません。
  80. 山本幸一

    山本幸一委員 実は、先般山中吾郎議員を社会党調査団の委員長といたしまして、私どもこれに同行して岐阜県の関係者のところに調査に参ったのでありますが、きょう御出席伊藤教育長は、この記事については事実無根である。さらに先ほど、山岸参考人だと記憶いたしておりますが、県会でも事実無根であるという御答弁をなすった。さらに県会で深く質問をいたしますると、自分の部下、いわゆる部内の中には、そういう意見の持ち主もあるというような答弁があったそうです。そのとおりでありまして、私が伊藤教育長とお会いしたときにも尋ねましたところ、この記事は事実無根であるけれども、しかし部内にはそういう意見の持ち主もございます。こういう伊藤教育長の答弁を記憶いたしております。  そこで伊藤教育長、いわゆる教育委員会側は、あくまでも事実無根だと強弁をしておられますが、一般的な常識でいけば、もしこのような大きなニュースとなるべきような記事について事実無根であるなら、当然その新聞社に向かって教育委員会から取り消しなり、または抗議なり、ないしは訂正の要望があるのが常識だと考えておりますが、あなたのほうへ、岐阜日日新聞のほうに、そのような要望があったかどうかをお尋ねしたいと思います。
  81. 三輪隆正

    ○三輪参考人 うちの社のほうへそういうふうなことがあったということもございませんし、またそれと私個人に対し、そういうふうなお話は承っておりません。
  82. 山本幸一

    山本幸一委員 いま申し上げたように、かなり大きなニュースとなるであろうという御想定、私もそうだと思っておった。これだけの大きな問題になるような記事に対して、教育委員会から取り消しも訂正の要望もなかったということは、大体この記事が事実である、この記事が根拠のあるものであるということがきわめて明確だと思います。  そこで最後に一言だけお尋ね申し上げたいのですが、この取材及び記事には新聞社として、または新聞記者として、責任をお持ちであるかどうか、また絶対責任を持たれるかどうか、この点をひとつお尋ねしておきたいと思います。
  83. 三輪隆正

    ○三輪参考人 もちろん掲載されました記事につきましては、社としても、私個人としても責任の持てる記事だということをお答えいたします。
  84. 山本幸一

    山本幸一委員 たいへんありがとうございました。私の尋ねようとするところは、ほとんど答弁に尽くされておりますが、なかんずく私が御質問したように、この記事には1234とそれぞれ項目をあげて具体的に掲載されておりますが、これは取材のままであるかどうかという質問に対して、取材のままであるということを答弁なすったことを、ぜひ委員長並びに各委員の諸君に御記憶願いたいと思います。  三輪さん、どうもありがとうございました。
  85. 久野忠治

  86. 山中吾郎

    山中(吾)委員 いま山本さんからの質問で、あの記事には責任を持つという新聞社からの答弁があったわけですが、伊藤教育長にお聞きをしたいのですが、それについて伊藤教育長はお認めになるかどうかお聞きしておきたいと思います。
  87. 伊藤一郎

    伊藤参考人 先般、社会党の議員の方々山中さんをはじめといたしまして岐阜県へ参られまして、私もお会いして、そのときにお答えしたとおりでありまして、そのような差別人事をきめたことはない。もともと組合員であるとかないとかということと人事異動とは別個な問題でございまして、組合員なるがゆえに特に不利にもしませんし、有利にもいたしません。組合員であるかないかということと人事は全く関係がないわけであります。そのように答弁いたしましたが、全くそのとおりであります。
  88. 山中吾郎

    山中(吾)委員 そういう答弁を聞いておるのではないのです。新聞社のほうは責任を持ってこの記事は間違いないと言っておられる。あなたのほうはそれを認めないというのでは、新聞社の記事はうそだということになるのですが、もっと明確にしてください。
  89. 伊藤一郎

    伊藤参考人 新聞記事に出ました十八日に会合云々ということは、その会合には私どもは出ておりませんし、もともと高等学校対策協議会というような名称のものはございません。ただ高等学校でも小中学校でも、人事異動が間近に迫っておりますので、人事異動は二日や三日でできません。大体昨年の十二月ごろに人事異動方針というものをきめまして、約三カ月かかって人事の作業を進めております。したがいまして、人事異動をやるに当たりまして教育委員会の事務局の中で人事異動をやる主管課は教職員課という課がございますが、そこに高等学校の係とかあるいは小中学校の係もございますが、そういった人事をやる主管課だけで人事をやっても困る、いろいろ各課と関連のあることにつきましては、十分協議してきめるべきだということで、たとえば岐阜県には四十年に国民体育大会が開かれますので、選手強化が一つの大きな事項になっております。高等学校指導主事をことしは四十五人ふやすことになっております。そういった指導主事を選ぶにいたしましても、それぞれ各学校に散在しておりますところのいろいろな有能な選手、あるいは指導者——国体の会場は岐阜市だけではございませんので、十数カ所に分かれておりますので、会場地の種目でその近辺で大体選手を養成するということがたてまえになっておりますので、そういう会場地の付近へそれぞれの種目に応じて選手を回す、あるいはその指導者である指導主事を回す。あるいはまた学校指導行政に携わっておる指導主事がございますが、これもことし相当増員いたしますので、各教科目等についての担当主事の入れかえ、その他それぞれの教科についての専門の優秀な主事を集めなければならぬ。そういったこととか、あるいはまた定時制高等学校がたくさんありまして、特に市町村立の定時制高等学校の統廃合を三十九年度では何とかしてやりたい。そういたしますと、管理職が来年あたり相当減ってまいりますので、それを来年一ぺんにやろうとすると降職をさせる者も出ぬとも限りませんので、一年前に少しでもそういった管理職を減らしておきたい。そのためには高等学校の統廃合等につきまして長期教育計画を立てておる部局もございますので、そういうほうの意見も聞いて人事をやらなければならぬ、そのようないろいろなことがございますので、そういうことを協議する連絡会議はございます。それでたまたまそういう席上で差別人事をやったほうがいいというような個人的な意見を吐いた者があるということはあとから聞いております。しかしそういうことは絶対やってはいけないということで私は注意をしておきましたけれども、個人意見としてはそういうことを言った者があると、私はあとから調べまして聞いたわけであります。しかし会議の決定事項でもございませんし、ましてやそれを通達に出すというようなことは絶対にございません。
  90. 山中吾郎

    山中(吾)委員 人事の個々の問題についてはあなたのおっしゃるところでよくわかっております。ただ新聞社の記事がほんとかうそかということを、あなたが責任を持ってここで言えるかどうかを聞いておるわけです。長く答弁しなくてもいいので、その点を明確にしておいていただきたい。
  91. 伊藤一郎

    伊藤参考人 新聞記事を読みましたが、そういう事実はございません。
  92. 山中吾郎

    山中(吾)委員 それでは新聞社も重大な記事をうそを書いたということになるのですが、それでよろしいのですか。
  93. 伊藤一郎

    伊藤参考人 どういう根拠でお書きになったか知りませんけれども、そういうものをお書きになることにつきましては非常に遺憾に思うわけですが、私どもといたしましてはなぜ取り消ししないかというお話もございましたが、すぐ直後に高等学校会議を前から招集してありましたので、その席上で、新聞記事は間違っておる、そういうことは全然ない、またまた従来とも私どもそういう差別人事、不当人事をやるという意思は毛頭ございませんので、そのことは常に強調してまいっております。昨年の十二月に教育委員会会議の議を経まして、全体的な人事異動方針というものを打ち出しまして、それは教育広報その他で現場職員にも十分徹底しております。また新聞そのものにも私どもの否定の談話は載って、また教職員組合からも公開質問状をいただきまして、新聞記事は事実であるかどうかということについて、差別人事をする意思があるのかどうかということについて、絶対そういうことはありませんという回答を出しまして、それも新聞等に掲げられておりますので、それでもう十分現場の教職員方には私どもの意思はわかっていただけるもの、このように判定しております。
  94. 山中吾郎

    山中(吾)委員 午前中の先生方の答弁の中からも、大体事実上の差別人事をしているというようなことは事実として明確である。そして表面の人事方針というものと裏の人事内規というものを別にして、教育長は知らない、しかし職員の中にだれかがあったかもしれないということは、責任回避をするためにそういうふうな裏と表の人事をつくっておるけれども、大体私は推察できるように思うのですが、あなた自身が差別人事は絶対しないというふうに言われておるので、もう少し突っ込んでお聞きしたいと思いますけれども、教育正常化というのはどういうふうにあなたはお考えになって、そして何か指導方針に述べられておるわけですか。
  95. 伊藤一郎

    伊藤参考人 教育正常化といいますことは、教育というものが関係法令の精神にのっとりまして正しい姿で行なわるべきだということを主張しておるだけでありまして、したがいまして学校管理や教育行政の秩序を正す、あるいはまた教育政治中立性を確保する、それから教育現場におきましては教職員の服務規律を確立する、こういったことを教育正常化といたしまして特に強調してまいっておるわけであります。
  96. 山中吾郎

    山中(吾)委員 そうすると、法律に基づいて結成されておる教員組合に所属をして組合活動をするということは、諸法令に基づいた活動であるので、教育正常化に反することはない、教育正常化の中の活動である、これはお認めになるわけですね。
  97. 伊藤一郎

    伊藤参考人 私は教職員組合そのものを否定したことを言ったことは、いまだかつてございません。十分認めております。ただ、いままでの行動とか考え方につきましていろいろ批判したこともございます。しかしそのこと自体を私どもは、組合のほうからいろいろ当局である私どもに対して批判攻撃されますけれども、だからといってすぐ直ちに仕返しでその教職員組合を非難する、そういうおとなげない考えは持っておりません。ただ教育正常化というものを強調する過程におきまして、日教組なりあるいはその傘下団体の考え方なり、過去の行動その他の事実について、あるいは考え方について意見を言っているだけであります。
  98. 山中吾郎

    山中(吾)委員 それでは、岐阜県の教職員組合の執行委員長からあなたに対して質問状を出しておる。昭和三十八年八月二十六日付で質問状を出して、それに対して各地区の指導主事とか管理課長などが、教育正常化のためには日教組県教組から脱退する以外にはない、管理職たる者は自主的にこのことを組合員に働きかけるべきであるとか——午前中にそういうことも触れられたようでありますが、こういうことで教育正常化を進めておる、こういう教育行政に対してあなたはどうお考えになっておりますか。
  99. 伊藤一郎

    伊藤参考人 過去におきまして、きょう午前中にお話がありましたような事件等につきましても私どもへ不当ではないかという御指摘がいろいろありました。また県議会におきましてもそういうことを追及されましたが、私どもは私どもなりの調査をいたしました限りにおきましては、そういう事実はございません。
  100. 山中吾郎

    山中(吾)委員 小川さん、それから竹沢さん、教育長はそういう事実はないと言っておるのですが、けさ述べられたあなた方のことばは良心に誓って事実であると言われますか、どうですか。
  101. 小川朋二

    小川参考人 午前中申し上げましたことについては、事実であることを私はここで良心に誓って申し上げます。
  102. 竹沢亨

    竹沢参考人 私も同様お誓いいたします。
  103. 山中吾郎

    山中(吾)委員 伊藤さん、あまり白々しく政治的答弁をされては、私は遺憾に思うのでありますが、なぜ私がこういうことをお聞きするかといいますと、こういうことについての質問に対して、あなたが、やはり教育正常化組合脱退と裏表になるという思想を、この質問状に対する回答にお書きになっておるじゃないですか。一番最初の文章はあなたの名前ですよ。「岐阜教育委員会教育長伊藤一郎」として、「昭和三十八年八月二十六日付貴組合より提示のあった公開質問状は、大要二点に集約されるので、次のとおり回答します。」と書いて、「教育正常化について」というところに、いろいろりっぱな説明はございます。と同時にその中ごろに、「貴組合日教組の構成団体として、日教組の憲法ともいうべき倫理綱領に基づいて現行法秩序を無視し、教育公務員としての立場を逸脱するような組合運動を展開する限り、われわれはむしろ正常化を阻むものと解せざるを得ないのである。」これは、あなたの教育正常化というのは、組合に入っていることがはばむんだ、だからあなたの人事方針の中には、組合から出ることが正常化だということが、理屈はいろいろと入っておりますが、これを明確にあなた自身がここでうたっておる。そしてそういうことはありません、ありませんと言っておるけれども、それが地方教育委員会校長会議などに、教員組合脱退することが正常化であるということを間接、直接に指導されて出てきておるということは、このあなたの回答の中からも思想が出てきておる。これはどうでしょう。
  104. 伊藤一郎

    伊藤参考人 それは関係諸法令を無視するような行動なりそういう考えを持たれるがゆえにこそ正常化が必要だ、こういう意味のことを申し上げておるのでございます。
  105. 山中吾郎

    山中(吾)委員 だから職員団体というのは地公法によって認められた正常なる、法令に基づく団体なんだ、内部のことについてかりにあなたが批判することは自由かもしれないが、だから組合から外に出ることが正常化だというあなたの指導方針は別問題です。   〔「具体的な事実をあげなさい」と呼ぶ者あり〕
  106. 久野忠治

    久野委員長 御静粛に願います。
  107. 伊藤一郎

    伊藤参考人 私は、組合そのものを、日教組であろうと岐教組であろうと、否定する考えは毛頭ございません。日教組あるいは岐教組、そういった団体がたとえば政治的な立場、階級闘争的な立場をとられること、それ自体を私はいかぬと言っておるのではございません。日教組といえども、いやしくも公務員の組合でありますし、またほかならぬ教育者の組合でありますので、組合活動をやってもらう上においては、できるだけ政治的立場を離れてやってほしい、そういうように願ってはおりますけれども、私どもと教職員との間におきましては、組合というものを通じて労使の関係がございます。したがいまして、使用者側を代表する私どもといたしましては、組合のあるいは教師個人の思想あるいは言論の自由というものを認めてないわけではないわけであります。したがいまして、階級闘争的な立場をおとりになることもけっこうでありますけれども、それは労使関係というワクの範囲内に限定されるべきものであるというふうに考えております。ただ教育施策その他につきまして、いろいろ政治的な立場で意見を表明され、反対されることもけっこうであります。しかし……(「けっこうじゃないですね。」と呼ぶ者あり)けっこうと思いますけれども、法令を無視するような、そうとしか思えないようなことを掲げて組合員である傘下教職員を指導なさる、そのこともいいといたしましても、そのこと自体が組合員——教職員組合員であっても、一方公務員でありますから、公務員は全体の奉仕者である。したがいまして、組合員である立場と公務員である立場あるいは組合活動と公務員としての教育活動、こういったものの使いわけというものが現実にはなかなかむずかしい、したがって、過去においていろいろ混乱があった、そういう立場から、考え方はどう持とうと、どういう指導をされようと、組合としては御自由でありましょうけれども、一方公務員としての立場はしっかり持ってください、そういうことを強調するために諸般の施策を進めておるわけであります。
  108. 山本幸一

    山本幸一委員 関連質問。伊藤さん、われわれは抽象論を言っているのじゃないのですよ。要するに、あなたのいま答弁の中にあったように、階級闘争もけっこうです。しかしそれはあくまでも労使というワクの中でならけっこうだという御答弁、そうすると、労使というワクをはずして、ワクを乗り越えてどういうことをやったのですか。岐阜県の教師が。  それともう一つは、過去に混乱があったようなことをおっしゃるが、混乱のあった具体的な事実をあげてください。いつどこであったか……。
  109. 伊藤一郎

    伊藤参考人 過去には、本県の場合も全国的にも、たとえば勤務時間に食い込む職場闘争とか一斉休暇とか、数多くあったわけであります。偏向教育等においてもいろいろあった実例は過去にあがっております。だから、現在不正常があるかどうかは私は知りません、あるいはあるかもしれませんし、ないかもしれません。ただ、正常化を進めるということは、不正常があるからこそ正常化を進めるということではなしに、不正常一つもあってはならないので、それで正常化を進める。そういう不正常を前提といたしまして私ども進めておるわけではないわけであります。
  110. 山本幸一

    山本幸一委員 そうすると伊藤さん、岐阜県の教師で今日まで行政処分を受けた者はありますか。あったら、いつ、何名、その内容は何か、それをちょっと話してくださいませんか。
  111. 伊藤一郎

    伊藤参考人 私は教育長になりまして三年ですから、古いことは知りません。ただ、私が在任しておりますここ三年間にはそういう事例はなかったと思います。
  112. 山本幸一

    山本幸一委員 そういう事例がないということは正常であるということでしょう。あなたのおっしゃる不正常ではないということでしょう。したがって一つも労使のワクを越えておらぬということは、あなたみずからいま立証されておる、三年前のことは知らぬけれども、三年間は。それはそう承ってけっこうですね。それから、この機会にもう一つぼくのほうから、関連のついでにちょっとお尋ねしておきますが、あなたはさっき山中さんの質問で、そういう新聞の記事は全く事実無根だ、こういう答弁をなさった。あなたはどうですか。私も昔から知り合いだが、あなたはかなり良識マンだが、朝日新聞あるいは岐阜日日新聞というのは権威のある新聞ですかどうですか。
  113. 伊藤一郎

    伊藤参考人 一応一般的には権威のあるものと私どもは思っています。
  114. 山本幸一

    山本幸一委員 一般論を聞いているのじゃなしに、あなたが見て権威があるかどうか、これを聞きたいわけです。
  115. 伊藤一郎

    伊藤参考人 それはその記事によりまして——いま御指摘の問題以外の記事につきましても、教育問題に関する点におきましては、若干間違いの記事があったことも、過去にいろいろあります。そういう意味から言えば、必ずしも全面的に権威があるとは思いませんが、一般論といたしましては一応権威があるものと思います。
  116. 山本幸一

    山本幸一委員 そうすると、一般的には権威のある新聞だ、ときには権威のないこともある、こういうわけのわからぬ答弁ですが、そこでさっき私が読み上げたかなり長文の内容のもの、これはお手元にあるかどうか知りませんが、きょう委員部からプリントで配付せられた同じく二十五日の朝日新聞の記事の内容と日日新聞の記事の内容とは寸分違っておりません。したがって、このような寸分違っていない内容を持ち、かつまた項目別にあげて、しかも長文なものである、こういうものを、常識の非常に高いあなたが見て、そうしてこういうものは何らか根拠がなければ書けるものじゃないと客観的に判断されますかどうですか。
  117. 伊藤一郎

    伊藤参考人 もう一ぺん言ってください。おっしゃる意味がはっきりわからぬです。
  118. 山本幸一

    山本幸一委員 それじゃもう一ぺん言います。  私が先ほど読み上げた岐阜日日の記事と同日出ました朝日新聞の記事とは内容的に同一のものである、しかも、この記事は、それぞれ1234の項目をあげて、かなり長文の記事である、こういうものは何らかの根拠がなければ、二つ新聞社が同じような内容を掲載することは常識上あり得ぬ、そう思うが、客観的に見てあなたはどう思われますかというのです。
  119. 伊藤一郎

    伊藤参考人 どうもはっきり意味がわからぬのですが、朝日新聞の場合、記者が電話をかけてきまして、夜おそく私を呼び出して、そういう御指摘のような不当人事をやるつもりがあるかどうか、差別人事をやるつもりがあるかどうか、私は否定をしておいたら、そのままの否定の談話が朝日新聞には載っております。一方においてはそういう記事を書き、人事行政の一応責任のある立場にある者の否定の談話を載せるということそれ自体がおかしい、私はこういうふうに思うわけです。ただ、岐阜日日さんの場合は、そういう電話もありませんが、あくる日私どものほうの教職員課長の否定の談話が載っていたように思います。
  120. 久野忠治

  121. 田口誠治

    田口(誠)委員 伊藤教育長にお伺いをいたす前に、私、小川先生にお伺いいたしたいと思いますが、けさほどいろいろ私どもに実態を報告していただきました中で、聞き捨てにならない人権問題があると私は思いましたので、この一点をまず明確にしておきたいと思います。  それというのは、とにかく校長先生が村当局なり市教委なりからいろいろ圧力をかけられて、そうしてとにかく長い時間をかけて脱退をしてくれという交渉をされたけれども、なお脱退意思表示をしなかった人たちを夜便所のきわの暗い所へ一人ずつ呼んで脱退を強要したという内容の公述があったわけです。そこで私がお伺いいたしたいと思いますことは、これは郡上郡の関係でございますから、小川先生に特にお聞きをいたしたいと思いますが、私は、こういう事実は明快にしないままで葬ってはいけないと思うのです。  そこでまず第一にお聞きをしたいことは、小川先生はこの被害者であるかどうかということが一つ。もう一つは、もし被害者でないとすれば、これは他の複数以上の先生からそういう実態があったということを聞いてきょう公述をされたのかどうか、この点を明確にしていただきたいと思います。
  122. 小川朋二

    小川参考人 私自身はこの被害者ではございません。しかし、この事実を裏書きすることばは複数以上で聞いております。
  123. 田口誠治

    田口(誠)委員 そこで教育長にお伺いいたしますが、けさほど三人の参考人からいろいろと実態を報告されたそのことを全部否定されておるわけです。そこでなお山中委員のほうから、これはおかしいというのでもう一回確認されたら、三人ともこれは事実だ、こういうことで、この問題は相反しておるわけなんです。  そこで私がお聞きいたしたいと思いますことは、二月二十日に岐阜市において発行人不明の文書が配られておるわけです。これは校長先生とか教頭先生とかを通じて配られておるわけです。この内容を見ますると、午前中に報告のありましたと同様に、やはり正常化の問題に関連をして、とにかく脱退をすべきである。それでいつまでに脱退をしてもらいたいという要請の文書が出ておるのですが、この文書を御存じでございますか。
  124. 伊藤一郎

    伊藤参考人 そういう文書は見たことも聞いたこともございません。
  125. 田口誠治

    田口(誠)委員 そこで、私は、山岸岐教連の委員長にお聞きをいたしたいと思うのですが、大体岐阜県の教組に対する当局の弾圧というか組合切りくずしの圧迫政策というものは、弱いところがら順にやられてきて、現在大体健在であるというのは岐阜市、大垣市、関市、この三つだと思うわけです。そこでようやくここまで成功さしてきて、そうして今度は県の教育委員会のほうから、いわゆる新聞に載っておるところのああした文書を出して、今度高教組の攻撃に取りかかっておる。それと同時に今度は岐阜市にこういうような文書を流しておる、こういう関連、これは岐教組委員長として、朝日新聞岐阜日日新聞の二十五日に掲載されておるあの記事は、これは県当局としては、新聞紙に早くすっぱ抜かれたので、結局発送せずに未遂に終わっておるわけです。未遂に終わっておるけれども、こういう経緯から考えてみますると、これは当然やはり出てきておる雲行きというように考えておるわけですが、ただいま私が局長に質問を申し上げて、そういう文書は知りませんと言われた。この文書は岐教連の委員長としては、これは御存じかどうか、この点をお伺いしたいと存じます。
  126. 山岸一

    山岸参考人 ただいま田口先生のほうから御質疑の文書については配られたものは見ておりますけれども、出たところについてはこちらのほうは知っておりません。それが一つでございます。それから私が初めに午前中に陳述申し上げましたように、県教委のいままでのやり方から考えまして、ああいう新聞にあらわれるような内容の事実は必ずあるものだ。幸いか不幸かわかりませんけれども、事前に文書そのものは通達されませんでしたけれども、その意図はあるというふうにわれわれは思っております。
  127. 田口誠治

    田口(誠)委員 その文書の配布された原文というのは私は証拠物件で持っておりますから、いまいろいろ……。   〔発言する者多し〕
  128. 久野忠治

    久野委員長 静粛にお願いいたします。
  129. 田口誠治

    田口(誠)委員 私がお伺いいたしたいことは、教育長はあくまでも教育正常化ということに重点を置いて、そうして教育行政をつかさどっておるという堂々たる答弁をされたわけなんです。私はふしぎでなりませんですね。午前中の三人の供述を、これは事実無根であるというように言われて、それでは調査したかと言ったら、調査してみたら事実無根であった、こういうように言われたわけなんですが、私はその調査をただここで一口のことばで、調査したけれども事実無根であったということでは済まされないと思うのです。これは事実であるから。したがっていつどういうように調査をされて結果はどうなったんだ、こういう点をもう少し具体的にお示しをいただきたいと思います。
  130. 伊藤一郎

    伊藤参考人 いま田口さんのおっしゃいましたようなことが、組合からもあるいは県の議会関係方面からも御指摘がございましたので、いろいろ私どもでは調査いたしました。しかし私自身がたくさんの参考人を呼んで調べるというようなことは、教育長という業務、職責を果たす上においてとうていできないことでありますので、関係職員を督励いたしまして、出先機関等を通じいろいろ調査させた結果、そういう事実はないという報告でありますので、私はそれを信じております。  ただここで申し上げたいことは、午前中にお話がありましたように、郡上郡の大和村長が、県の教育長から組合員脱退させないことには学校統合の補助金を出さないというようなことを言われた、こういうことが問題になりましたが、私の名前が出ておりますのでここではっきり申し上げますが、私は大和村の村長からそういうことを頼まれたこともございません。学校統合をやるということは聞いたこともない、これは去年八月ごろの話ですから。最近になりまして、三月に入りましてから学校統合をやりたい、何とか補助金をもらえるように努力してほしいという陳情は受けましたけれども、去年の八月ごろにそんな学校統合を郡上郡の大和村でやる……。
  131. 田口誠治

    田口(誠)委員 ぼくはそんなことは聞いていない。
  132. 伊藤一郎

    伊藤参考人 参考のために申し上げます。そういうことは全く事実無根であるというように思います。したがいまして個々の事実につきましても、私が自分で大ぜいの参考人を呼んで調べたわけではありませんけれども、そういうところから察しまして、おそらく全部私どもの調査報告を信じても差しつかえないだろうというように私は信じております。
  133. 田口誠治

    田口(誠)委員 私は抽象的な答弁を聞く必要はないと思いますので、端的にお伺いいたしたのですが、一つでも二つでもいいが、ただいま午前中に供述されたような内容があって調査された。どこへだれを派遣して調査をした結果こうなったんだという、一つでも二つでもいい、実例を言ってください。抽象的なことではわかりません。
  134. 伊藤一郎

    伊藤参考人 郡上郡の問題あるいは各務原市の問題等につきましても、私どもの出先機関を通じて調査をいたしております。
  135. 田口誠治

    田口(誠)委員 私が申し上げるまでもなく、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の中で、あなたのおやりになる行政方法が明確になっており、それから責任の範囲もあるわけなんです。そうしますと、午前中に聞いたようなことがあった場合には、たとえ現場の教育課長さんあたりを通じて調査をされたとしても、私はここでお聞きしたいことは、たとえば各務原市の教育課長なら教育課長に依頼したらこういう報告があったと、何か具体的な報告をこの場でしていただかなければ、抽象的なことではこの問題を掘り下げて検討することはむずかしいので、ちょっとごめんどうでしょうが、もう一度ひとつ具体的にお願いいたします。
  136. 伊藤一郎

    伊藤参考人 私どもは、出先機関といたしまして、県の教育委員会の地方事務局というものがございますので、地方事務局の局長なりその下の次長なり、あるいは教育課長とか管理課長とか、そういう課長もいます。そういうルートを通じて関係方々に当たらせまして、そういう事実がなかったという報告を聞いております。
  137. 田口誠治

    田口(誠)委員 そこで私は一つでもいいから、どこの都市のだれにこういうことを依頼したらそういう事実はなかったとかあったとか、そういう事実をひとつここで発表してもらいたい。
  138. 伊藤一郎

    伊藤参考人 いま市町村のだれとか、どういう人に聞いてどうだということまでは、私ではわかりません。私は部下を信用しております。そうして部下の報告を一応信じておりますので、こういう憶測をしていろいろ差別人事がありはしないかというようなことをおっしゃいましても、私ども困るわけです。年度末の人事異動はもう二、三週間ばかりで実施します。現在作業中であります。したがいまして、はたして差別人事であったか、不当人事であったかということは、それではっきりするわけですから、その上でこういう不当人事があった、差別人事があったということを具体的に御指摘いただきまして、そうして追及していただけばよろしいと思います。
  139. 田口誠治

    田口(誠)委員 私は、ここまで私のほうへ要求されることを非常に残念に思いますが、私の手元へ先生の友人から手紙が来ております。この手紙を見ますれば、私は少なくとも学校先生であり、親が信用して子供をあずけて教育をしてもらう先生であるから、私はこういうことまで言う考え方は全然持っておりませんでしたが、あなたがそういうようにお話しになれば、言わざるを得ないので、一口言わしていただきます。こまかに便せんで五枚書いてありますが、全部読み上げたら長くなりますので、要点だけ申し上げます。一つだけ申します。それはずっと渡って歩かれ、某小学校教頭として見えた先生、これだけ私言います。この方が、非常に私は言いにくいのですけれども、いわゆる世間でいう品行が悪かった。それで次から次へと転勤をさせられておるのですが、最終段階において、どういうところかわかりませんけれども、子供さんに不品行なところを見られたわけなんです。そうしたら先生子供さんに対して、こういうことを家へ行っておとうさんやおかあさんに言うといけないと非常に威圧的に言われたというのです。これは新聞にも出ておりましたけれども、何名でしたか、同盟休業のようなことをやったところがございます。ところが、この先生は某地方の教職員組合から先生脱退させた功績者なんです。非常に功績のあった方なんです。あなたのほうから言わせると。そこで、相手の先生の場合には休ましておいて、他のほうへ転勤をさせましたけれども、その功績のあった何回かきずのある先生は、某有名大学の教育学部ですか、ここへ内地留学という形で留学させた。ところが、大学のほうでもその内容がわかって、大学のほうを追い出されて、現在おそらくどこの学校にもおつきになっておらないと思いまするが、聞くところによりますと、いま家にいて、給料はもらっておいでになると思いますけれども、指導主事というような席が迎えられておる云々というようなこともいっておるのですが、あなたが一つの事実を言ってくださいと言われたから、私はこの書面によって事実を申し上げたのですが、こういうような不当人事がなされているということです。   〔発言する者多し〕
  140. 久野忠治

    久野委員長 お静かに願います。
  141. 伊藤一郎

    伊藤参考人 ただいま田口さんからそういう具体的な問題をおっしゃいましたので、個人の身上にわたるようなことまでおっしゃいましたので、私はその先生の名誉のためにも申し上げなければならないと思うのですが、そのことは私も聞きまして知っております。そういうおかしなことは全く事実無根である。ただ、何のゆえか知らぬが、その先生をおとしいれたいというような気持ちを持つ人がありまして、何か郵便局だか全逓だか何だか、私は聞いた話だから知りませんけれども、闘争本部というようなものを置かれて、その先生のあらをさがすということで、学校の電話をそこで全部盗み聞きしておったというようなことまで私は聞いておる。事実かどうか知りませんけれども……。したがいまして、そういうようなことをおっしゃいますと、私はその先生——全然全く白なんです。そういううわさが流れて、非常に迷惑をしておる。気の毒ですから私はそのために一応申し上げておきます。
  142. 田口誠治

    田口(誠)委員 教育長、あなたが事実を言えと言われれば、あなたの要請にこたえて、ただいまそちらでお怒りになったようなことを幾らでもここで申し上げる資料は持ってきておりますから申し上げますが、私はこういうことは言わぬつもりでした。ところがあなたが一つの事実を言えと言われたから私はその一つを申し上げただけであって、そのことについてもあなたは否定されておるのであって、午前中の三人の公述者の言われたことも否定されておるし、そうして新聞記事のことも否定されておるし、あなたは全く否定し続けておられるので、あなたにこれ以上具体的にお聞きしても、私の意図する岐阜県の教育界を正常化するということには、私の質問ではならないのじゃないか、こういうふうに私は判断をするわけなんです。したがって、今日のこの問題を今後どういうように進めていくというようなことにつきましては、これは理事会なり文教委員会でいろいろと御検討されることであろうと思いまするが、とにかく事実を披瀝されたことを一から十まで教育長は否定をされておるのです。だから、どんなことをここで私が事例を出しても、調査をした結果そういう事実はありませんでした、こういう答弁のための答弁になると思いますので、私はこれ以上事実は申しません。
  143. 久野忠治

    久野委員長 楯兼次郎君。
  144. 楯兼次郎

    ○楯委員 私は三点ばかりお聞きしたいと思いますが、山岸さんに一つお伺いをし、それから教育長さんに二点お伺いをしたいと思います。過日の委員会におきましても、私どもは岐阜教育行政はちょっと常識では考えられぬ——ことばが強いようでありますが、そういうことをわれわれの立場から考えまして申し上げたわけであります。きょうは郡上郡と各務原と、二人の参考人が来てお見えになりますが、自民党さんのほうではお怒りになるかもしれませんが、私の知る限りにおきましては、この事例は全県下の各町村が全く同じような方法によって脱退勧告運動が行なわれておるということを感ずるわけであります。したがって、簡単でけっこうでありまするから、委員長として、単に郡上あるいは各務原ばかりではなくて、全県下にわたって大同小異の、ところによっては多少手口が違うかもわかりませんけれども、大体軌を一にした正常化の名によるこのような行動が行なわれておるかどうかという点をお答えを願いたいと思います。  それから教育長さんに、ついででありますから、二点お伺いをいたしたいと思いますが、先ほど、私は知らない、しかし人事異動による差別待遇はすべし、こういう議論のあったことは聞いております。こういうお答えがあったわけでありますが、そういう議論が行なわれたのは、協議会とか何とか委員会とか、どういうような会議なり懇談会でそういう議論が行なわれたかということ。  それからいま一点は、私も過日山中さんと一緒に岐阜県へ調査に参りましたときに、教育長さんは、新聞に出ておったのは事実無根である、したがって私はすぐ新聞社にその記事の取り消しをいたしました、こういうように私は聞いた覚えがあるわけでありますが、われわれが県庁内でお会いをしたときにそうおっしゃったのではないかどうか、この二点をひとつお伺いしたいと思います。
  145. 山岸一

    山岸参考人 楯先生の御質問でございますが、岐阜県の中で六二二の先生にいろいろな形で攻撃をされておりますが、小川竹沢参考人が申しました以外に——それはほんの一端でございます。私も一、二午前中申し上げたいと思いましたが、その機会がありませんでしたので、同じような事例を簡単に申し上げたいと思います。  可兒郡というところがございますが、可兒郡の支部は昨年の一月に攻撃がかかりまして、これは現に私が、そういう話が現場からニュースとして上がりましたので、執行部から職場訪問に行ったわけですけれども、その晩その職場ではやはり女の先生をはじめ、一人一人校長さんが呼んで脱退をさせられた、泣きながらその朝職場先生方が訴えられたのであります。これが一つです。  それから七月に入りまして、武儀郡というところに激しい攻撃がかかりました。校長会を通じましてパンフレット四冊が校長さんに配られまして、これは組合のいろいろな批判の文章でございますけれども、それを通じて教育正常化校長さんがやりなさいという事態が武儀郡から出ております。なお、一つ、美濃市の中有知小学校というところで、PTAの会長さんが出向いていって、組合に残っているような先生はこの学校からやめてほしいというような圧迫があったわけでございます。  それから恵那郡では、前に小川参考人が答えられたと同じような手口で、やはり女教員に対して、その夫である——農協のつとめ人でごさいましたけれども、農協のほうから、やはり上役から、お前さんの奥さんは組合をやめなさいということで、あわや離婚問題まで持ち上がってきましたが、この人は離婚の問題がありましたので組合は落ちたという形になっております。  以上三件は具体的な例でございますが、そういう事例が全県にございます。以上でございます。
  146. 伊藤一郎

    伊藤参考人 ただいまの御質問の、最初の人事異動についての協議会で差別人事をしてもいいじゃないかという発言をする者があったということは事実かどうかということでございますが、そういうことをあとから調べましたら、人事の連絡会議でありますので、別に名称はございませんし、ただ高等学校高等学校、小中学校は小中学校関係の者が寄りまして、先ほど申し上げましたような事情で話し合いをする席上で、差別をしたらいいじゃないかという発言をした者もあったということを聞きました。それはその協議会の決定事項でも何でもないわけでございます。そういうことを考えてはいけないということであったと思います。  それから新聞記事について取り消し要求をしたとはこの前お会いしたときには申し上げておりません。取り消し要求をしたらどうかという御忠告がございましたけれども、私どもといたしましては、高等学校長会を開いてすぐそういうことは間違いであるということを伝えてあります。またわれわれの否定の記事も出ております。また公開質問状ではっきりとそういうことはないんだということを回答してあります。それが新聞記事にもなり、また組合におかれましては、私どもの回答を組合員に流されておられるでありましょうから、もうそういう必要はないというふうに私どもは判定したわけであります。
  147. 山中吾郎

    山中(吾)委員 私、さらに教育長さんにお聞きしたいのですが、職務命令ということについて、この間午前中に先生方から、校長がただ集まるときに職務命令だといって集めて、帰ると職務命令なんだから処罰になるというようなことでその職務命令を出された、業務命令を出されたという話があるのですが、業務命令というもの、職務命令というものの範囲は教育長はどういうふうにお考えになっておるか、業務命令の範囲について御意見だけ聞いておきたいと思います。
  148. 伊藤一郎

    伊藤参考人 午前中お話のありましたような問題を対象にいたしまして業務命令なんか出すべからざるものであると思います。全く校務と関係ないのです。組合脱退しようが脱退しまいが、加入しようがあるいは加入しなかろうが、これは全く個人の自由でありますので、全く校務との関係がない。したがって私どもは脱退をいやしくも強要したり、あるいは脱退すべきだということを言っておるわけでもないし、言ったこともないわけです。さりとて脱退したい者を無理にとめる必要もないわけであります。
  149. 山中吾郎

    山中(吾)委員 理屈はどうでもいいんですが、そういうもので業務命令は出せないという明快な教育長の御見解があった。小川さんは、先ほど来業務命令ということで心配をしたので、先生方は帰るにも帰れないというふうな話をしておったが、業務命令にはならないのですからね、その点はよく御理解願っておいてください。ところが県の上田教職員課長は、とにかく命令を出せば、そむいた者は処罰になるんだというような書き方をして、一方に岐阜広報の中に盛んに宣伝をしておる。こういう矛盾はあとでまた追及しなければならぬと思うのですが、さらに伊藤さんにお聞きしますが、校長の中で勤務時間、自分の宿直のときに、宿直を飛び出て、学校、校舎を捨てて、そうして自分の部下の教員の自宅に個別訪問をして、県の校長会組合脱退するように勧告せいと言われたから、私の意思に反するけれども、何とか脱退をしてくれと言って、宿直勤務中に回った校長さんがある。中には御主人がいなくて女教師一人のところに行って、ついに説得し、折伏をしたということも聞いておるのでありますが、こういう校長さんは、これはもうほんとうに懲戒処分に値すると思うのですが、この点はいかがですか。
  150. 伊藤一郎

    伊藤参考人 そのようなことは、私ただいま初めて聞くわけでありまして、それが事実であるかどうかということを、十分私どもといたしましては調査しない限り、どう処置するかということについてはお答えできません。
  151. 山中吾郎

    山中(吾)委員 政治答弁をされますから……。事実であるかどうかは別である、事実であるかないかは別だが、そういう校長は、あなたが、勤務時間中に組合運動するときは云々という意見を述べられたが、勤務時間中にそういう組合脱退勧告をして回る事実があるとすれば、こういう人を校長からなくすることが教育正常化だと思うのですが、その点はいかがでしょうか。御意見でけっこうです。
  152. 伊藤一郎

    伊藤参考人 勤務時間中、まあ宿直中かどうか知りませんが、そういうことを、職から離れることはよくないことだと思います。(山中(吾)委員「よくない程度じゃだめなんだ」と呼ぶ)いや、離れたといいますけれども、たとえばどういう目的でどういうことがあったとか、そういう事情——留守宅に行って脱退を説得したとおっしゃいますけれども、どういうふうに説得したとか、どういうことを言ったとかいう具体的な事実がなければ、その説得の内容等を聞かなければ、それがはたして不当労働行為に該当するかどうかという判定に苦しみますから、そういう仮定の問題だけではお答えできません。
  153. 久野忠治

    久野委員長 三木委員
  154. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 なるほど教育長の言われたことも私はうなづけると思うのです。こちらから事実であるということを申し上げても、そうでないというふうに考えられる場合もあると思うのです。そこで調査されまして、そのことが事実である場合には処罰されるか。それから調査の方法によってはこれを隠匿することもできるのです。どういう方法でやられるかということ。この二つを伺っておきたい。
  155. 伊藤一郎

    伊藤参考人 御指摘のような、おっしゃるとおりの事実であるとすれば、それに応じた適当な処置をとりたいと思います。
  156. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 もう一つ、職務命令、いわゆる業務命令でございますが、業務命令は、そういうことの内容によって業務命令は出せないという御答弁をいただきましたけれども、私は先がたから聞いておりまして非常に心配しましたのは、八時、九時、十時、十一時、十二時というように、長い間の会議が持たれて、これが職務命令によってなされておるわけでございまして、その職務命令というものの内容が、そういう時間にずっと続くということになれば、時間的の中においての職務命令というものは制約がないかどうかということを伺いたい。いわゆる四時以後に会議をやることですね。こういう会議、これは勤務時間外ですね。その点について……。
  157. 伊藤一郎

    伊藤参考人 勤務時間外に持つということ——どういうことですか、ちょっと意味がわからないのですが……。
  158. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 先がたからお聞きになっておったでしょう。ある学校で夜の十二時ごろまで会合を、職務命令の名のもとに持たされておった。これは時間的な制約をしたのですか。夜中の職務命令というものは、校長が正しい方法でやるならば可能であるかどうかお聞きしたい。
  159. 伊藤一郎

    伊藤参考人 職務命令とか業務命令というものは公務以外には出せないものだと思います。したがいまして、そういう午前中に御指摘のあったような、組合脱退するかしないか、そういうことで強制的に会合をさせるというようなことはあり得べからざることだと思います。したがいまして、命令はそういうことに対しては出せない、かように御答弁申しましたとおりであります。
  160. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 しからば、それは事実であれば、虚偽の業務命令で、そういうものを出した者を処罰の対象にするかどうかお聞きしたい。
  161. 伊藤一郎

    伊藤参考人 その業務命令をどういう形で出したのかはっきりしませんので、そういった仮定の問題につきましてどういう処置をとるかということにつきましてはいま御答弁の限りでないと思います。したがいまして、具体的にこれこれの実際にあった事実を述べられまして、そうしてその上に立って私どもは判断いたしまして適当な措置をとりたいと思います。
  162. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 ほかのものをよく処罰をされておるわけでありますから、そういう虚偽のものをやった場合に処罰するかどうか。  第二点は、この業務命令に基づいて夜中の十二時から朝の一時、二時というような長い間先生が縛られておる、一月中に超勤手当の請求があったかどうか、これは正式のルートを通じてやれば超勤手当の請求はあるはずです。教育委員会もこの給与の問題については関係があるのですからして、それに対しての請求があったかどうかをお聞きしたい。
  163. 伊藤一郎

    伊藤参考人 教職員に対しましては、超勤手当は出ないたてまえで、予算措置を講じておりません。したがいましてそういう措置はございません。
  164. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 わかりました。
  165. 三田村武夫

    ○三田村委員 大沢参考人に、せっかくきょう参考人として御出席を願っておるのですから、一言だけお聞きします。  午前、午後を通じて、大沢校長はこの委員会の審議の経過は十分お聞きのことだと思います。あなたは岐阜県の高等学校校長会長をおやりになっている、同時に現在は加納高等学校校長、そういう立場から、午前、午後ここで問題になりました、いま問題の焦点になっておる高等学校教職員の三月異動について、差別人事云々の問題について、あなたが関与し、関知しておられるその具体的な内容、職務上の問題をここで明らかにしていただきたい。
  166. 大沢幸平

    大沢参考人 御質問の最後の大事なところがよくわからなかったようでございます。私の理解によりましてお答えをいたしたいと思います。  来たるべき三月の人事につきまして、かねて教育委員会から人事異動の根本方針というものをお示しになっておりまして、また会議の席上におきましても、これに対する校長からの質問等もありまして、補足説明を受けております。本日問題になりましたような差別人事の問題につきましては、私どもは全然聞いたことはございませんし、また県のほうからも通達をいただいたということもございません。  なお、新聞に出ましたあとの一月二十九日の校長会議の席上で、教育長さんから、新聞にこういうふうなことが報道されているけれども、教育委員会としては、こういうような方針をきめたことはないし、そういうつもりはない、したがってこの記事は私どもの考えていることとは辿っているので、ひとつ誤解のないように念のために注意をしておく、こういうようなお話もあったわけでございます。
  167. 三田村武夫

    ○三田村委員 重ねて結論的に伺っておきますが、そうしますと、午前中から問題になりました新聞に出ました三月人事についての人事通達、こういうものは出ておらぬのですね。この点をはっきり伺っておきたい。
  168. 大沢幸平

    大沢参考人 通達はいただいておりません。
  169. 山中吾郎

    山中(吾)委員 校長さん、せっかくおいでになったので、私も質問をしておかないと張り合いがないと思いますので、一言だけ。高等学校長の場合については小中学校よりも校長の内申権は確立していると思う。これは全国的な慣行だと思うのですが、組合活動に熱心であるかいなかというようなことでその先生の評価を変えるというようなことは、あってはならないと思います。意見だけでけっこうですが、この点だけお伺いしておきます。
  170. 大沢幸平

    大沢参考人 私ども、教員に対する評価をいたします。しかし、これはあくまでも先生方教育公務員の立場において、その勤務に対して行なう範囲について考えるのでございまして、それ以外の問題、したがって組合活動に熱心であるかどうかということでその先生の評価を左右するという考えは持っておりません。
  171. 山中吾郎

    山中(吾)委員 それでけっこうです。  そこで、午前中先生方のほうから、現実において良心に誓ってこういう差別人事があったということを、この国会の席上で堂々と述べられている。これも厳粛なる事実なんです。行政当局のほうではそういうことをいたしませんとまたここで述べられている。なぜこういうことになるかというと、これは現実にそういうふうに説得をされた先生と説得した人が来ていないから。村長も来ていない、管理主事も来ていない、指導主事も来ていない。だからこれを明確にするのには毎回参考人を呼んで対決しなければどうにもならない。  そこでこれは委員長に善処方を要望いたしたいと思いますが、いずれにしても、ここにせっかく来られている被害者、それから目撃をした人々が明確に言っているわけでありますから、このままでは済まされないのであって、委員長がこれに対して善処をするということを私はここで一応要望する。そうでないと、私は質問を取りやめるわけにはいかないと思うのですが、その前に参考に、ここに労働省及び自治省の担当官の人もおりますのでお聞きしておきたいと思うのです。  私は、予算委員会の一般質問の中で、自治省の方にお聞きいたしました。早川国務大臣に、そういう差別人事をした場合については、地方公務員の執行責任者であるところの国務大臣としてはどういう措置をするのかということに対しては、「自治大臣としては、そういう地公法五十六条違反の行為がありましたら、管理者に対して、その措置を取り消すとかいう助言、勧告の権限は、もちろんございます。」、こういうふうに述べております。これが一つ。それから文部大臣は、そういうことに対してどういう意見を述べておるかといいますと、灘尾文部大臣は、「組合員たるがゆえに不利益を与える、こういうことはあるべからざることと思うのでありまして、もしそういうことがあれば、それは間違った取り扱いであると言わざるを得ないのであります。」県の教育委員会と連絡いたしまして、調査によってそういう事実があれば十分の処理をするということも明言しておるわけなんです。  そこで、この問題を出先機関を通じて言えば、それはだれだってほんとうのことは言わない。直接教員を説得をした人に直接聞かなければ真相は明らかにならない。これは自民党の諸君も大いに応援を一方的にしておるかしらないが、腹の中では岐阜県は相当これは病理現象であるということくらいは大体思っている……   〔発言する者あり〕
  172. 久野忠治

    久野委員長 お静かに願います。
  173. 山中吾郎

    山中(吾)委員 事実被害者がここにおる。そういうことで、私はここで長くこれ以上きょう論議をすることは差し控えますが、委員長がこれについて善処するということをここで一応要望いたしまして、委員長意見も聞いて、それによって私の質問は打ち切りたいと思うので、委員長の善処を要望いたします。
  174. 久野忠治

    久野委員長 ただいま山中君の御要望の御意見につきましては、委員会終了後理事懇談会を開きまして協議をいたしたいと存じます。  参考人に対する質疑はこれにて終了いたしました。  参考人各位に申し上げます。  本日は長時間にわたり、しかも貴重な御意見を承り、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして委員長より厚くお礼を申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時十三分散会