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1964-09-10 第46回国会 衆議院 農林水産委員会 第69号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年九月十日(木曜日)     午前十一時三十三分開議  出席委員    委員長 高見 三郎君    理事 仮谷 忠男君 理事 坂田 英一君    理事 谷垣 專一君 理事 長谷川四郎君    理事 赤路 友藏君 理事 足鹿  覺君    理事 芳賀  貢君       金丸  信君    吉川 久衛君       倉成  正君    笹山茂太郎君       田邉 國男君    中川 一郎君       八田 貞義君    亘  四郎君       角屋堅次郎君    川崎 寛治君       栗林 三郎君    兒玉 末男君       東海林 稔君    楢崎弥之助君       野口 忠夫君    華山 親義君       松浦 定義君    稲富 稜人君  委員外出席者         総理府技官         (北海道開発庁         企画室長)   加藤勇太郎君         農林政務次官  舘林三喜男君         農林政務次官  谷口 慶吉君         農林事務官         (農林経済局         長)      久宗  高君         農林事務官         (畜産局長)  檜垣徳太郎君         農林事務官         (園芸局長)  酒折 武弘君         食糧庁長官   齋藤  誠君         農林事務官         (食糧庁業務第         二部長)    中島 清明君         通商産業事務官         (軽工業局長) 倉八  正君        専  門  員 松任谷健太郎君     ————————————— 九月一日  委員丹羽兵助君及び湯山勇辞任につき、その  補欠として塚田徹君及び千葉七郎君が議長の指  名で委員選任された。 同日  委員塚田徹君及び千葉七郎辞任につき、その  補欠として丹羽兵助乃び湯山勇君が議長の指  名で委員に撰任された。 同月七日  委員岡崎英城辞任につき、その補欠として倉  成正君が議長指名委員選任された。 同月十日  委員中澤茂一君、西村関一君及び湯山勇辞任  につき、その補欠として川崎寛治君、兒玉末男  君及び華山親義君が議長指名委員選任さ  れた。 同日  委員川崎寛治君、兒玉末男君及び華山親義君辞  任につき、その補欠として中澤茂一君、西村関  一君及び湯山勇君が議長指名委員選任さ  れた。     ————————————— 本日の会議に付した案件  小委員会設置に関する件  農林水産業振興に関する件  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 高見三郎

    高見委員長 これより会議を開きます。  この際、谷口政務次官より発言を求められておりますので、これを許します。谷口慶吉君。
  3. 谷口慶吉

    谷口説明員 私、このたび農林政務次官に就任いたしました。まことに未熟者でございます。浅学非才皆さま方のあたたかい御指導と御支援をいただくほかに道はない、かように考えます。どうぞよろしくお願い申し上げます。  一言ごあいさつ申し上げます。(拍手)      ————◇—————
  4. 高見三郎

    高見委員長 先月、八郎潟干拓事業及び中海干拓事業等農林水産業生産基盤整備についての実情調査ため新潟山形秋田及び京都鳥取島根の各府県委員を派遣したのでありますが、この際、派遣委員より報告を聴取いたします。第一班仮谷忠男君。
  5. 仮谷忠男

    仮谷委員 委員派遣第一班の調査報告をいたします。  去る八月十一日から十五日までの五日間、私外二名で、新潟県、山形県及び秋田県の三県にわたって.現地における農林水産業実情調査いたしてまいった次第であります。  まず、新潟県下におきましては、去る六月十六日突如襲った新潟地震により、一瞬にして二千数百億円にのぼるばく大な被害を受けた中心地域であります関係から、勢い地震による被害調査をいたしたのであります。  現地におきましては、その後約二カ月を経てばおりましたが、ようやくとりあえずの応急措置が終わったという状態であります。私どもといたしまして.も、マスコミ等を通じて十分承知いたしておりましたが、直接現地に参りまして、いまさらながら被害の激甚さを実感としてじかに強く受けてまいった次第であります。  また、同地方は、地震後約半月を経た七月におきましては、梅雨前線の活発な活動により、特に七月七日には長岡市を中心に百数十ミリという集中豪雨に見舞われ、中小河川の破堤による水害が随所に発生し、県下における農業用関係被害は三十七億円にのぼるということでありました。  私ども視察いたしました長岡市から三条市に至る間における県下有数の米どころであります中之島村、見附市、栄村におきましては、信濃川の支流である刈谷田川水系随所において破堤はんらんし、幼穂形成期を迎えた稲作に甚大な被害をもたらし、また、輪中に似た同地方の地形から、十日以上に及ぶ長期湛水により、稲は腐り、全く形をとどめないという惨状を呈しており、かかる収穫皆無の地域が数百町歩に及んでいた次第であります。しかも、幸いにして湛水を免れた隣接地域は、その後天候に恵まれ、稲は豊かに実っており、あまりにも明暗がさだかであるだけに、被害農家の心情が一そうしのばれたのであります。  ついで、震源地である粟島が望まれる村上周辺地方視察したのであります。  村上市をはじめ、神林村、朝日村、山北村、荒川町においては、震源地に近く、烈震地であった関係から、住家はもとより、水田には隆起陥没が見られ、明渠、暗渠あるいは農業倉庫等農地農業用施設被害が著しかったのであります。  次の点は、この地域に限らず、地震被害の特質として受け取られた点でありますが、地震被害は旧河床等地盤の軟弱な地域に起こっており、しかも相当長期間にわたってその影響があらわれること、また、水田における被害は、当時一応の措置がとられ、稲作もその後回復してきているため、現在においては被害の実相を完全に把握することは不可能であって、収穫後の十月以降でなければ、被害の全容かつまひらかにできないという特殊事情があることであります。現在諸種の対策を講ずるにあたっても、このことを念頭に置いて対策を考えるべきであり、この秋以降において相当広範囲にわたって土地基盤整備事業を行なう必要があることを痛感してまいった次第であります。  次に、山形県下におきましては、温海町から山五十川地区における耕地地すべり状況視察するとともに、鶴岡市周辺においては水沢大山地区を、また酒田市周辺においては宮野浦、飯森山地区における、いずれも地震による農地農業用施設等災害状況調査いたしたのであります。  いずれも被災状況新潟県下におけると同様であります関係から、割愛させていただきますが、若干気のついた点を申し上げますと、農業用倉庫災害復旧について、たとえば水沢第一号倉庫等につきましては、昭和二年建設されたもので、すでに耐用年数二十五年を経過している関係から、共同利用施設災害復旧事業費査定から除外されて取り扱われていることであります。かかる従来からの取り扱い方針については、一応の理屈は認められるとしても、いかにも実態に沿わない感を抱くものでありまして、実際問題として、査定方式耐用年数延長する等一考を施し、救済する道を開く必要のあることを感じてまいった次第であります。  次に、秋田県におきましては、県当局から農政全般にわたって各種要望を受けた後、八郎潟干拓事業調査いたしたのであります。  本事業は、昭和三十二年着工以来順調に工事は進んでおり、すでに延長五十二キロメートルに及ぶ中央干拓堤防は完成し、昨年十一月から排水作業が開始されており、造成面積約一万六千ヘクタールのうち、三分の一近くが干陸化してきておって、日一日と開けゆく姿を目前にして、新しい農村の夜明けという感じを深くしたのであります。しかしながら、その反面においては、今後目標とする新農村建設にふさわしい入植者の選定、営農計画及び農村建設計画の樹立、実施という、非常に重要であり、しかも相当困難な問題に直面していることを痛感いたした次第であります。このことにつきましては、政府においても、八郎潟干拓事業企画研究会を設けて慎重な検討が進められているところでありますが、真にわが国農業のモデルにふさわしい計画が樹立されることを切望してやまないところであります。  また、林野関係においては、秋田営林局合川営林署管内中心として国有林、特に米代川流域天然生林における天然杉及びこれが貯木場等調査し、さらに能代営林署管内においては、米代川河口をはさむ日本海沿岸砂丘地帯における丹精込めて育て上げた海岸防風林のみごとな状況視察いたした次第であります。  なお、秋田県においては、県当局から各種要望があった中で特に注目されたのは、約四万人に及ぶ出かせぎ対策について、非常な熱意をもって対処されておられることであります。近年における出かせぎは、古くから行なわれていた北海道を中心とする漁業出かせぎと質的にも量的にも大幅な変化があり、同一視することはできないのであります。すなわち、関東地方への土木建設関係の出かせぎであり、量的にはもとより、その期間も長期化してきているのであります。かかる農家中堅労働力の出かせぎは、農業上の問題はもとより、労働上の問題、社会的問題、教育上の問題等各般にわたって欠陥を有しておりながら、産業構造現状から、これを解消することは非常に困難な問題となっているのであります。しかも、最近においては急増傾向にあることであります。本問題発生の根底には、農業経営零細性農業生産における単作という農業構造上の問題があり、それが経済高度成長による労働力需給の逼迫という問題と重なり合って起こっているものであるから、ひとり秋田県の問題としてではなく、東北、北陸諸県に共通の問題であり、全国的な問題として、政府においてはすみやかに各省連絡会議を設置する等、これが総合対策を樹立し、本問題の解決に当たられるよう強く要請があったのであります。  また、八郎潟干拓地における新農村建設事業は、膨大な事業であるばかりでなく、各種事業を総合的に実施することの必要から、昭和四十年度において事業団を設置するよう要望された次第であります。  最後に、新潟地震及び集中豪雨による被害対策については、農林水産業施策災害復旧事業は単年度復旧をはかるよう措置すること、自作農維持資金ワクの拡大をはかるとともに、貸し付け条件を緩和すること、農林漁業金融公庫資金については、災害特例業務方法書を制定し、貸し付け条件を緩和すること、あるいは農業構造改善事業の推進にあたっては、単に農家のみにとどまらず、総合的施策と相まって施策を講ずること、また、農業青少年育成対策等広く各般にわたって、県当局をはじめ、市町村、農業団体等から数多くの熱心な要望を受けてまいったのでありますが、災害対策については、本院から災害対策特別委員会同様調査実施している関係等から、この際は割愛させていただきます。  順序が前後いたしましたが、今回の調査にあたって関係各位から寄せられました絶大なる御協力に対し、この席をおかりいたしまして、心からお礼を申し上げ、報告を終わります。
  6. 高見三郎

    高見委員長 第二班の調査について御報告いたします。  第二班は、去る八月十一日から十七日までの間、私のほか五名の委員をもちまして、島根県、鳥取県及び京都府の三府県農林水産業につき、特に中海干拓事業現況把握に重点を置き、さらに島根鳥取両県の後進的環境を考慮に加えて、隠岐島における水産事情農業及び漁業構造改善事業畜産振興ため草地開発事業及び肉用牛種畜改良事業等調査し、そのほか、近畿農政局管内農林水産事情調査してまいりました。  簡単に調査日程を申し上げますと、八月十二日及び十三日は、隠岐島において主として水産事情調査し、全島二町四方村のおもな関係者陳情を受けました。  八月十四日は、島根県庁において、県当局より島根県における農林水産全般説明及び七月十八日の集中豪雨による農林関係災害についての陳情を聴取した後、中海干拓事業について、中国四国農政局長からその進捗状況等説明県当局早期着工要請を受け、引き続き記者会見を行ないました。  次いで、現地調査に向かい、まず出雲市役所に参り、災害の最も激甚といわれる周辺二市四方町村当局から陳情を受けるとともに、若干の現地視察し、さらに出雲市農協のライスセンターと大社町のブドウ園視察松江市に引き返し、船によって中海干拓予定地視察、これをもって島根県の調査を終了しました。  境港に上陸後、同市役所において、鳥取県及び境港市の水産説明県漁連会長陳情並びに赤外線の輻射熱による近代的な魚類乾燥機の性能の説明等を聴取して、十四日の日程を終わりました。  八月十五日は、まず、米子市役所において、中海干拓事業に対し、賛成していない米子当局及び市議会特別委員会委員より事情聴取を行なった後、大山水無原県営牧場予定地赤碕安田地区農業構造改善事業農林省鳥取種畜牧場及び東郷町付近の二十世紀ナシ栽培状況等現地視察を行ないました。  現在調査終了後、鳥取県庁において、まず記者会見を行ない、引き続き県知事県議会議長等より、県農政一般説明並び中海干拓事業についての県当局態度及び賛成し得ないという態度米子市に対する県の指導方針等について説明を聴取し、さらに県及び農林漁業団体陳情を受け、鳥取県の調査を全部終了しました。  八月十六日は、京都亀岡市において、近畿農政局長から管内農林水産業説明を聴取するとともに、亀岡当局及び農業団体から桂川治水対策促進等陳情を受けた後、亀岡盆地の桂川逆流による災害襲地域現地視察を行ない、以上をもって調査日程を全部終了したのであります。  以下、調査いたしましたもののうち、おもなるものについて申し上げます。  まず第一に、中海干拓事業について申し上げます。  中海干拓事業沿岸でありますが、これがそもそもの発端は、昭和初年、宍道湖から中海に流入する大橋川をしゅんせつしたことにより、塩水が宍道湖に逆流し、干ばつ時にしばしば塩害をもたらすようになったために、地元から中海宍道湖淡水化が幾度か要請されていましたが、実現するに至らなかったものであります。しかして、昭和二十九年、島根県側が中海宍道湖の大規模干拓並びに淡水湖化斐伊川治水を結びつけた総合開発計画を、鳥取県は中海の埋め立て、弓浜半島農業開発及び日野川の多目的開発を行なう総合開発計画をそれぞれ策定し、調査を開始しました。農林省はこれらの要請にこたえ、昭和三十年これを総合的に計画する必要から、直轄地区に採択して本格的に調査を行ない、三十五年から実施設計に入り、三十七年十月事業計画並びに全体実施設計が完了したのであります。  ここで、事業計画骨子を申し上げますと、中海に約二千八百ヘクタールの干拓地を造成して、これを百五十戸の入植と千百戸の増反に充て、あわせて中海宍道湖残水域約一万五千ヘクタールを淡水化して、この水を干拓地沿岸耕地約五千五百ヘクタールの農業用水に利用する。これがため主要工事として、延長約二万七千メートルの干拓堤防淡水化ため中浦水道に四百十四メートルの締め切り堤防と、佐陀川に三十八メートルの防潮水門、そのほか、数多くの用排水機用排水路、承水路、道路等を構築することとしております。また、これが総事業費は百三十二億円、うち国営建設事業費分は百二十億円で、反当事業費干拓四十二万八千円、鳥取農業用水三万五千八百二十七円、島根農業用水二万九千三百九十九百となっておりまして、これを昭和三十八年度着工し、四十六年度に完成する九カ年計画とし、完成の暁には年間生産純益増を約六億円と見積もっているのであります。なお、国営干拓事業にあわせ行なう土地改良事業地元負担についてみますると、その負担率は百分の四十二であり、このうち県費負担率は、鳥取専用百分の二十五、共用百分の三十二、島根専用百分の二十五、共用百分の四十二とされる模様でありまして、農民負担率は、鳥取専用百分の十七、共用百分の十、島根専用百分の十七、共用百分のゼロとなり、これが反当負担額は、干拓十万七千円、鳥取農業用水五千円、島根農業用水千五百円となるようであります。  以上が中海干拓事業計画骨子でありますが、農林省は三十八年度から着工するため、三十八年度に一億八千万円、三十九年度に六億七千万円の予算を計上したのであります。しかるに七三十八年実施設計の完了とともに、土地改良法に基づく地元の同意を得るため折衝に入ったところ、境港市及び米子市から異議申し出がなされたため、今日に至るも着工に移されていないのであります。ここに至る経過を見ますると、農林省は三十年直轄調査に採択以来地元に対し協力を求め、島根鳥取両県においてもともに協力体制を整え、積極的に地元啓発等を行ない、三十七年には地元側問題点十五項目をあげて、両県知事から農林省に提出、これが回答に接しますと、直ちに事業実施要望農林省に提出しているのであります。ところが、さきに述べたように、両市から異議申し出があり、ついに三十八年度には着工に至らなかったのでありますが、本年に入ってからは、境港市は十二項目条件を掲げて賛成に回り、ひとり米子市が六項目、最近に至り三項目の賛成できない理由をあげて、同意できないとしているのが現状であります。  このような事態に立ち至っている中海干拓事業に対しまして、われわれは、島根鳥取両県の当局米子当局並びに農林省出先機関の意見を聴取しましたが、その結論は次のとおりであります。すなわち、島根県は早期着工要望し、米子市は七月中旬の集中豪雨によって治水上の不安が一そう増大し、現計画では納得できないこと、農民負担までして用水はほしくないこと、米子山陰開発拠点とするとき、締め切り堤防船舶航行用閘門規模千三行トンは過小であり、三千トンに拡大すべきこと、以上三項目解決しなければ賛成できないことを表明し、鳥取県は、地元米子市の希望はさほど無理でないと思うので、国はこれをいれられたいこと、また知事としても最近のうちに解決するよう努力することを表明したのであります。また、農林省は、米子市の三項目に対し、治水上の計画最大降雨量三百五十五ミリを採用しており、過去のものは三百十八ミリであること、七月中旬の豪雨では松江三百九ミリ、米子二百八十二ミリであり、治水上の不安はない、ただ、斐伊川河床上昇改修の要があること、農民負担の軽減については、島根県は県費負担が多いこと、中浦水道閘門規模は現在最大八百トンが航行しており、千三百トンで十分であるが、将来三千トンが妥当のときは政府部内で協議し、農民負担の増額とならないよう努力する等の説明がなされたのであります。  以上のように現地における説明を聴取し、かつ、現地調査を行ないましたわれわれとしまして、その所見を簡単に申し上げたいと思います。  中海干拓事業は、百三十二億円の巨費を投ずる大事業でありまして、実行段階に至っていながら、二カ年も空費していることははなはだ遺憾であります。米子市の賛成しない理由もゆえなしとしませんが、この事業当該地域農業発展のみならず、将来山陰地方産業全般にわたる開発拠点となり得る要素を多分に持っているものと認められますので、政府島根県及び米子市を含む鳥取県と早急に協議検討を行なって解決を促進し、一日も早く着工の運びに至るよう強く要望する次第であります。しかもなお、今後には協議成立後における計画変更及び事業費等の問題、漁業補償の問題、農林省所管外関連事業問題等、将来に残された諸問題が山積しているのであります。これらもあわせて政府部内及び現地ともども精力的に取り組み、可及的すみやかな機会に妥当なるとこに解決するよう希望しておきます。  第二に、隠岐島における水産事情について申し上げます。  隠岐島周辺一帯は、沖合いに大和堆、隠岐堆等の漁場を控え、沿岸には天然魚礁も数多く点在し、暖流、寒流が交錯するなど、日本海屈指の好漁場であり、また漁港も良港が多く、第四種及び第三種各一港、第二種五港、第一種十九港、計二十六港を算し、目下第三次整備計画により、十二港が改修等事業を行なっております。しかし、その反面、漁業者の大多数は零細沿岸漁業者で、無動力船及び三トン未満の動力船によるものが九〇%を占め、必然的に生産性は低く、漁家経済も他産業に比し格差が大きいという実情にあります。漁獲についても、アジ、イワシ、イカのいわゆる大衆魚が大宗をなしておりまして、漁獲高は三十四年から逐年減少し、三十八年には半減して二万一千トンとなっており、相変わらず一本釣りにたよっているようであります。  このような隠岐島漁業体質改善ため、本年度から漁業構造改善事業実施に移されておりますが、この島における特色は、さきに申し上げたとおり、漁場としては好条件を備えているが、生産手段はきわめて非近代的な装備であること、本土と隔離し、しかも大消費地に遠いこと、スルメイカに対する依存度が高いこと等、不利な条件にあることは否定できないのでありまして、これに対応する構造改善事業としては、県当局相当思い切った施策を考え、漁場及び蓄養・養殖業開発漁業許可ワクの増大、漁船の大型化近代的共同利用施設整備水産物の保管施設及び加工施設設置等を講じようとしております。特に関係者のわれわれに対する切なる陳情は、隠岐島近海県外中型底びき網船が百六十隻も操業し、隠岐島所属船はただの一隻である、そこで、構造改善対策として、昭和四十一年の許可更新期には、相当数新規許可隠岐島に与えるよう配慮されたいというのでありまして、われわれとしましても、政府の善処を希望しておく次第であります。  隠岐島視察いたしました感想を申し上げますと、隠岐島は、近年、離島振興法によって漁港道路等を初め、相当資金が投下され、着々その成果があがっているものと認められますが、なお後進地域であることも確かであります。したがいまして、これが発展基盤は第一次産業、特に漁業振興に置き、さき構造改善事業を積極的に推進すべきものと考えます。さらにまた、隠岐島は、全島観光資源に恵まれ、かつ、史蹟も豊富であり、昨年ようやく国立公園に指定されました。そこで今後は、これが開発観光客の誘致に積極的な努力を払うことが必要と思うのであります。  第三に、鳥取赤碕安田地区における農業構造改善事業について申し上げます。  農業構造改善事業が一般的には必ずしも円滑に遂行されていないとの批判もある中にありまして、この安田地区は、三十七年パイロット地区として指定されて以来、県及び町当局改良普及員農業団体並びに対象農家が、異常な熱意と人の和をもって、多くの困難に当たった結果、全国的にまれに見るような成果をあげて、本年完了するという地区であります。  ここで、簡単に事業の概要を申し述べておきます。  この地区は、基幹作目を米及び牛乳に置き、水田省力化乳牛導入による生産性の向上を目的とし、これがため実施計画は、基盤整備事業として、百三十一ヘクタールの水田を三反区画に整理し、暗渠排水二十ヘクタール、草地造成七ヘクタール、その他牧道、農道の開設を行なう。近代化施設としてトラクター六台、コンバイン二台、乳牛舎二、飼料調整所一、ライスセンター一、農機具格納庫一を導入または設置する。以上を補助事業で行ない、乳牛導入、協業二十頭、個人八十七頭、畜舎個人三十四棟、以上を融資事業で行なう等であります。これに対する事業費は、補助事業一億四千百万円、融資事業二千八百万円、計一億六千九百万円余で、これに対する国の補助額は七千万円余となっております。右による最終目標は、農家三百戸を二百九十五戸に、乳牛二百四十九頭から七百頭に、米百四十六ヘクタール、五百六十九トンから百十六ヘクタール、五百二十二トンに置き、現在一人当たり生産額二十三万二千円から四十五万二千円に引き上げようとするものであります。  われわれは町長はじめ当事者から事業実施上の苦心談を聞きました。それによると、特に区画整理を行なうので、その換地処分と工費負担がむずかしいこと、地区一斉に行なうので、飼料作物の確保の困難と裏作の一時中止が農家に不満を与えたこと等であり、これらの説得が事業完成の成否を左右するものとして、最大の努力を払ったというのであります。また、すでに区画整理の終了したところの米の収穫は格差がなくなり、反当り一、二俵の増収があり、労力も節減でき、農家の期待にこたえられたというのであります。  しかしながら、問題はむしろ今後に残されております。すなわち、区画整理に要した反当たり八万円のうちの二万四千円の農家の負担金、各種の機械の導入及び施設の建設等の資金乳牛導入資金等、多額の負担金及び借入金がなされており、これが長期にわたる償却が行なわれるわけであります。この点について、この地区相当心配し、補助残の融資を全額融資し、あわせてその金利を三分五厘に一本化するよう強く要望されました。われわれも、この際、この事業の補助及び融資の制度について再検討を加える必要があろうかと思うのであります。  なお、一言つけ加えますが、この地区でもライスセンターを設置し、また出雲市にも同様設けられております。しかし、その利用を出雲市について見ますと、一年間に二カ月で、他は遊休化しているのであります。大型機械の導入近代化施設の設置を行なっても、右のごとき遊休化は本施設そのものの合理性を疑わしめるものでありますので、政府はこれらの稼働について確固たる指導方針をすみやかに確立すべきであることを強調しておきたいと思うのであります。  第四に、畜産振興ため草地開発事業及び肉用牛の種畜改良事業について申し上げます。  この調査事項につきましては、当初大山山ろくの大規模草地開発事業農林省鳥取種畜牧場の二カ所の現地調査を予定していたのでありますが、災害による道路決壊のため、前者の調査は不可能でありました。そこで、前者については、鳥取県庁における説明を特に陳情されたことについて申し上げたいと思います。  鳥取県における乳用牛は、昭和三十年大山山ろくが集約酪農地域に指定されてから急速に発展し、現在の飼養頭数は三十年の約五倍、一万三千頭に達し、牛乳の生産量も飛躍的に増大しておりますが、しかし、飼養農家の多い反面、一戸当たりの飼養頭数は少なく、二頭となっているのであります。また、和牛については、生産県として全国でも上位にありますが、最近停滞ぎみで、肉用牛への転換も容易に進んでいないという状況にあります。このような酪農及び和牛の現況に対し、県当局は自給飼料の基盤整備し、多頭飼育化の方向によって生産費の低減と生産性の向上をはかることを指導方針としておりますが、その成果はなかなかあがらないようであります。たとえば自給飼料基盤整備について見ましても、飼料作物の作付面積は三十一年の六千六百ヘクタールから三十八年一万三百ヘクタールというわずかな伸びにとどまり、また草地造成面積も三十二年から三十八年までの累計六百八十一ヘクタールにすぎないのでありまして、大山山ろく地帯に相当草地開発適地が存在するにかかわらず、その進度は微々たるものであります。かようなことでありますので、本年度より県営の大規模草地造成事業が開始されたわけであります。われわれに対し、鳥取県は、特に草地造成事業について、現行補助制度は一ヘクタール十五万円以上の多額の経費を要するので、肉用牛に対する草地としては過剰投資となるので、肉用牛生産に見合う簡易な改良方法を補助事業とするよう制度化されたいとの陳情がなされました。これは検討に値するものと考えられます。  次に、肉用牛の種畜改良事業を行なっている農林省鳥取種畜牧場について申し上げます。  この牧場は、昭和二十四年度から乳用種牛を増繋して、近畿、中国地方の酪農発展に尽くしてきましたが、三十四年度からわが国唯一の黒も和種の改良増殖事業を行なうこととなり、現在成牛七十頭、育成牛七頭、子牛六十九頭、計百四十六頭の繋養頭数を持っております。  肉用牛の改良目標として、早熟早肥、肉質優良、産肉豊富なもの、体質強健、飼料の利用性に富むもの、繁殖力旺盛、連産性のあるものに置き、これがため、基礎種牛の調査計画交配、優秀種牛の精液導入、選択淘汰、後代及び産肉能力の検定等を行ない、またこれらの成果を、三十八年度から発足した全国二十カ所の家畜改良基地から抽出した三百五十頭に密着して指導検出し、これから出た優秀な種牛を家畜増殖基地に送る方法がとられ、そのセンターの役割りを果たしているのであります。  以上のように、この牧場の仕事はきわめてじみでありますが、場長以下黙々と調査研究に励み、近く肉用牛経済性、健康性及び増殖性を具備した種牛が出るとされ、実用化が着々と進んでいることが認められるのでありまして、一般的に肉用牛の伸びが停滞しているとき、その進展に至大の貢献をもたらすものと期待されるのであります。  われわれに対し、場長から控え目な要請がありましたが、それは種牛の購入五頭、一頭三十万円、精液冷凍器の購入一台八十七万円というものでありまして、その労に報いるため、四十年度予算にぜひ計上されるよう援助いたしたいと思う次第であります。  第五に、その他残余の調査事項であります鳥取島根両県及び近畿農政局管内農林水産業の現況あるいはその問題点等について御報告いたしたいのでありますが、これは長くなりますので、この際これは省略することとし、機会をとらえ、本委員会の審議を通じてその参考に供してまいりたいと思います。  ただ、ここで一言申し上げたいことは、鳥取県において、水産振興対策として、明四十年度沿岸漁業構造改善事業地域指定を行なうこと、及び果樹振興対策として、本年二十世紀ナシの黒斑病が異常発生しているので、これが救済のため災害対策として補助金を交付し、かつ、その基本対策を確立することの二点が強調されましたことを特につけ加えておきます。  最後に、七月中旬における山陰地方集中豪雨による災害について申し上げます。  島根県においては、出雲地方中心として松江市三百九ミリ、大東町三百十二ミリ、出雲市三百ミリという局地的集中豪雨により、数多くの山間部の山くずれ、家屋の倒壊、河川、道路の決壊、農業用施設の破壊等をもたらし、その被害総額は約二百五十億円、うち農林関係は百十八億円という大被害を受けておるのであります。  また、鳥取県においては、米子市を中心として、島根県ほどではないといたしましても、河川、道路の決壊、農業用施設の破壊等により、被害総額十四億円、うち農林関係六億五千万円という被害を受けました。  われわれが参りましたときは約一カ月を経過した後で、いまだ応急復旧の段階でありましたが、特に島根県では、われわれに対し、県当局をはじめ、被害市町村、農業団体等から、速急に災害対策を講ずるよう、なかんずく農業災害については、小規模な山地崩壊が多いので、これに対し高率補助がなされるよう措置すること、家屋、農畜舎等の崩壊の復旧及び移転については、現行制度は万全でないので、総合的な施策を確立すること等、切実な陳情がなされたのであります。われわれといたしましては、両県の被害者に対し心からお見舞いのことばを申し述べるとともに、今回の災害において農林関係被害がその半ばを占めている実情にかんがみ、その復旧と再建のため特段の努力をいたすことを申し上げてまいりました。  なお、右の災害対策については、本院の災害対策特別委員会の所掌するところであり、同委員会も調査を行なわれ、目下対策の樹立及び実施に力を尽くされておりますし、また政府も同様でありますので、われわれとしましては、われわれの調査の所見を携え、側面からこれに協力いたしたいと存ずる次第であります。  以上をもって第二班の調査について報告を終わりますが、今回の調査に際し数多くの陳情を受けました。しこうして、その内容は多岐にわたっておりますので、その報告は省略し、陳情者及び陳情事項の一覧表を印刷して、適当な機会に委員諸君に配付したいと思います。  以上で報告を終わります。      ————◇—————
  7. 高見三郎

    高見委員長 この際、小委員会設置の件についておはかりいたします。  すなわち、小委員十名からなるでん粉等価格対策に関する小委員会を設置することとし、小委員及び小委員長選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 高見三郎

    高見委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、小委員及び小委員長辞任補欠選任並びに小委員会における参考人の意見聴取等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 高見三郎

    高見委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  午前中の会議はこの程度にとどめ、午後は一時より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時九分休憩      ————◇—————    午後一時二十五分開議
  10. 高見三郎

    高見委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、委員派遣承認申請に関する件についておはかりいたします。  先般来の異常低温による北海道地方の農作物の被害状況調査ため現地委員を派遣いたしたいと存じます。  つきましては、衆議院規則第五十五条により、議長に承認を求める必要があります。本件の取り扱いにつきましては、すべて委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 高見三郎

    高見委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。      ————◇—————
  12. 高見三郎

    高見委員長 次に、農林水産業振興に関する件について調査を進めま  す。   まず、昭和三十九年度硫安価格決定・の経緯につきまして、政府当局から報告を求めます。舘林農林政務次官
  13. 舘林三喜男

    ○舘林説明員 肥料価格の安定につきましては、肥料二法の時限時期が参りまして、その後の処置につきましては、皆さん方の長い間の御心配をわずらわしていたのでございますが、いよいよ先般七月二日に公布されまして、やっと全購連と肥料メーカーの十六社との間に話がまとまりまして、一昨日、正式に農林省に対しましてその取りきめの届け出があったわけでございます。  つきましては、御質問前に、関係の局長から経過につきまして御説明いたしたいと思います。
  14. 久宗高

    ○久宗説明員 お手元に「硫安価格交渉の経過について」の一枚刷りを差し上げておりますので、これにつきまして御説明申し上げたいと思います。  ただいま政務次官から申し上げましたように、十年にわたります二法の経緯のあとで、新法の第一回の価格決定でございましたので、両当事者におかれましても、その権威にかけて、政府の調停に持ち込むようなことなく、自主的に決定しようということで、非常な意気込みで交渉に入られたようなわけでございます。時間的に申しますと、約二カ月にわたる相当突っ込んだ御検討が行なわれたわけでございます。先ほど申しましたように、八月下旬になりまして、事実上の話し合いがつきました。正式の書類といたしましては、一昨日、九月八日付で政府のほうに申請が上ってまいったわけでございます。取り扱いといたしましては、ただいま公取のほうにも通知をいたす必要がございますので、本日付で公取委員会のほうにかような申請が出てまいったということを通知いたしておりますので、政府といたしましての正式見解は、その処理を待って、十五日の間に可否をきめるというたてまえになるわけでございます。  出てまいりました内容につきましては、法律の二条二項の五号にございますように、参加者といたしましては、販売者側は全購連、生産者側は宇部興産外十五社ということでございます。この対象といたしましては、三十九肥料年度から四十一肥料年度までの取引の基準価格をきめようといたしているわけでございます。値下げの額でございますが、三十九肥料年度から四十一肥料年度までの三年間に二十円を引き下げるということでございまして、初年度でございます三十九肥年におきましては八円、四十、四十一肥年におきましては六円という引き下げのめどになっておるわけでございます。これが取りきめの全内容をなすわけでございます。  政府側といたしましては、この交渉過程におきまして、最終段階に近いところで、法律にもございますような資料の交付の要請がございまして、三十八会計年度におきます実績原価につきまして資料を交付したわけでございますが、両者のお話し合いの段階におきましては、当初から、見込み価格と申しますか、三十九肥年の見込み数字につきまして、メーカー側から全購連のほうに数字を提供いたしまして、それを中心相当こまかい吟味がなされたわけでございます。  さような結果、こういう取りきめになったわけでございますが、取りきめ内容の検討にあたりましては、二つの問題がございます。一つは、二年間の値幅が二十円という問題につきましては、私のほうは主として農林側からの見解を申し上げまして、後に通産側からまたメーカーのほうの関係の御説明があると思うのでありますが、めどといたしまして、ガス源の転換工事がやや一巡いたしました感もございます上に、数年間におきます操業度が相当フルに近いところまできておりますので、従来のような大幅な値下げがやや困難ではないかという判定をいたしておるわけでございます。また、生産費の項目につきまして申し上げれば、労賃その他でおわかりでありますように、コストの低下傾向を打ち消すような要素が相当強いという点も考えられるわけでございまして、一方先般御心配いただきました百六億に及びます投融資の効果があらわれてまいりますのにやや若干の時間もかかるという点もございますので、最終的な論議といたしましては、生産費の中身につきまして、両当事者、特に事務当局におきまして相当こまかい検討が行なわれた上で、当時の見通しといたしまして、過去三年間におきますコストの低下の実績、これが約十八円八十三銭になっているわけでございますが、これを若干上回る二十円というところで両者のお話し合いがついたということでございます。  そこで、政府のほうといたしましては、法律でこういう申請が出てまいりました場合に、幾つかの項目について吟味をいたしまして、それにたえない場合にはこれについて何らかの調整をしなければいかぬというふうに規定されておりますので、法律に基づきまして一つ一つの吟味をいたしたわけでございます。  一つは、これは法の二条の二項一号でございますが、「農業又は肥料工業の健全な発展に支障を与えるものではないこと。」という前提がございますので、さような観点からの吟味をいたしたわけでございます。  申し落としましたが、この三年間の取りきめという問題につきましては、法律に年度ごとのというふうに限定してございませんので、純形式的に申しますと、法律上取りきめの期限は制限してございませんので、年々でなければならないということはないわけでございます。ただ、三年間をきめることが妥当であるかどうかという問題につきましては、実質的な問題といたしまして、いろいろ両省におきましても相当の論議をしてみたわけでございますが、両当事者のお話し合いの経過から見まして、農民側におきましても、またメーカー側におきましても、低位に安定しためどを立ててやっていきたい、また、国内事情だけではなくて、対外的なよその関係も考慮いたしました場合に、この三年間をむしろ安定的に過ごしたほうが適当ではないかということが両者の合意になっておりましたので、私どもといたしましても、両者でさような合意が成立するとすれば、それも一つの考え方ではないか、また、立案の過程におきましても、三年くらいまとめてどうかといったような理想論としてのお話もあったようにも聞いておりますので、さような観点で、法律の形式上も必ずしもこれに抵触しないし、実質的にも両者の合意がそこに結集すれば、三年の取りきめもまたよろしかろう、また、もしはなはだしく事情が変わりました場合には、これを訂正することもございますので、さような観点で、三年の問題にはこだわらず、むしろ積極的にそれをよろしかろうという考え方でおるわけでございます。  具体的に法律で規定しておりますのは、五つの要件がございまして、一つは、先ほど申しました肥料工業ないしは農業の健全な発展に支障を与えるかどうかという問題でございますが、農業のサイドから見ました場合に、資材その他が横ばいないし上がってきている中におきまして、硫安はとにかく三年間実額として下がっていくというめどがつけられるという大きな利点がございます上に、海外におきましても、最近は海外におきます国内価格がむしろ上昇傾向にあるわけでございます。それにもかかわらず継続して下げることができるということで、これは一つの大きな利点であろうというふうに考えたわけでございます。また、肥料費の農業支出におきますウエートにつきましても吟味したわけでございますが、これは御承知のように、飼料とむしろ逆転いたしまして、若干比重は減っておるわけでございます。必ずしもそれだからこれをおろそかにしていいという問題ではございませんけれども、ウエートが若干減っているというようなことも頭に置きまして、少なくとも実額でこのように下がっていくということが確保されるということは、諸般の情勢から非常に上がっていく要素の相当強い中で、一つの交渉の大きな成果ではないかというふうに一応評価しておるわけでございます。  肥料工業のほうから見ていかがかという問題につきましては、後ほど通産省のほうから御説明があることと思いますので、省略いたします。  第二の要件は、「不当に差別的でないこと。」ということが規定されておりますが、この協定には、もちろん参加ないしは脱退を制限している規定はございませんので、さような点の心配はもちろんないということでございます。  それから四番目の「一般消費者及び関連事業者の利益を不当に害するおそれがないこと。」ということも、この内容から見て、さような心配はないというふうに断定できると考えております。  第五号におきましては、この取りきめに参与いたしましたものが、全体の取引量のいかなるシェアを持っているかということによりまして、この協定の妥当ないしは妥当でないという問題が問題になるわけでございますが、全購連のシェアはもちろん五〇%をこえておりますし、硫安生産業者におきましても、この参画いたしました十六社のシェアは七三%持っておりますので、この点も問題ないということで、法で規定されております要件を全部満足しておりますので、さような観点から、この今回の協定につきましては、特別にそれに異をはさむ必要はまずないというふうに農林省としては考えておるわけでございます。  なお、本交渉にありましては、従来政府が介入いたしますので、生産費の項目その他についてこまかい吟味はいたしましたけれども、実質的な吟味のほうは、結果から見まして、生産費の内容の分析にいたしましても、あるいは輸出見通しについてのいろいろなお話し合いにいたしましても、相当突っ込んだお話し合いが行なわれたというふうに経過的にもいろいろ御報告を受けておりますので、やはり新法に切りかえていただきまして、あれだけ両当事者が少し長い目で見た将来まで考えて価格の決定ができたということで、たいへんけっこうなことだというふうな印象を持っておるわけでございます。一応農林省といたしましては、いまのような見解を持って、あとは公取委員会から何らかの意見の発表があるかどうかを待ちまして、最終的なことを決定いたしたいという経過であります。
  15. 倉八正

    ○倉八説明員 いま久宗さんから、経緯なり、それから先般御審議いただきまして通過しました法律の要件なりについて、非常に組織的に詳細に御説明がありまして、私が申し上げるところはないと思います。いま久宗経済局長の言われたとおりでございます。
  16. 高見三郎

    高見委員長 質疑の通告がありますので、順次これを許します。足鹿覺君。
  17. 足鹿覺

    足鹿委員 ただいま政府から、いわゆる肥料新法による初めての肥料価格決定に至る経過とほぼ結果に近い御報告を聞きました。二カ月間に近い業界と農業生産者団体たる全購連との間における交渉に費やされた熱意と御努力に対しては、これは認めることにやぶさかではございませんが、ただいまの政府報告によりまするならば、本年から三カ年間かかって二十円の値下げをするという妥結した交渉を、そのまま公取において異議がなければ認めるという方針のようでありますが、このように三カ年間の長期にわたって取りきめられたことについては、法律上にはもとっておらないにいたしましても、初めての新法の運用にあたっていささか軽率に失するのではないか。まず本知お互いに誠意を持って精一ぱい交渉し、その結果を見て、さらにまた次年度は次年度として当然話し合いをし、決定をしても、私は間違いはないと考えておるものでありますが、ただいまの久宗局長の報告は、いささか三カ年間にわたって長期の価格決定を行なったことに対する根拠が薄弱であると申し上げて差しつかえないと思いますが、いかがでございますか。
  18. 久宗高

    ○久宗説明員 御指摘のような点は、私どもの内部におきましても、だいぶ長い時間をかけまして論議をいたしたわけでございます。実質的にかりにそれがよいといたしましても、形式的にも多少問題はないかというところまでも議論をいたしたわけでございます。ただ、生産費の各項目について両当事者で相当詰めた経緯をお伺いしてみました場合と、さらにこの三年間における現在の世界の肥料の需給関係の一応の見通しから考えまして、どうも農民的な側から申しますと、従来二法で計数的にはじいてまいりましたような形で年々の引き下げ額を大幅に獲得するということは、おそらく困難であろうという見通しにならざるを得ないように思われるわけでございます。これは私どもではなくて、むしろ一番当事者でございます農業団体の側におかれまして、相当詰めて——従来の私ともの審査はもちろんきちきちはやりましたけれども、何と申しましても、やはり役所のやることでございますので、そう突っ込んだところまではいけてないうらみがあったわけでございます。今度は当事者でございますので、相当突っ込んだ各生産費の項目についての吟味をいたしました結果、農業団体側といたしましては、どうも諸般の情勢から見て、値下げ幅をかりに年々きめるといたしましても、年次を追うごとに困難になるという判定をせざるを得ないという結論に至りまして、さような観点から、いまの三年間という取りきめをこの段階でしたいという強い要望になって出たわけでございます。一方メーカー側におかれましては、やはり二法下におきまして毎年毎年価格関係で非常に不安定で、めどのつかない形であったわけでございますが、今回メーカー側は、ざっくばらんに申しますと、せいぜい横ばいでがまんしてくれというお話が強かったようであります。かりにかような値下げをのむといたしましても、三年間に大体こういうめどだということがつくことによりまして、初めて合理化を進めてまいります場合のテンポなりその効果ということにつきましてめどがつくということで、非常に企業経営上の利点を考えまして、両者の意見が一致いたしまして、かような取りきめになりましたので、それをあえて政府側から一年で限って、来年はまたやったらよかろうというふうに曲げる必要はないという感じを強く持ったわけでございます。ただ、おっしゃいますように、最初のことでもございますし、国際関係もやはり流動的であるわけでございますので、それはむしろ軽率ではないかという御批判はあるいはあるかとも思うのでございます。ただし、もしこれが二条二項一号のような問題に非常に影響があって、その当時の想定が著しく異なるといったような事情がございますれば、これは両当事者の間でも当然お話が出ようと思いますし、また政府といたしましても、その度合いによりましては介入せざるを得ない、またすることができると考えますので、せっかく両当事者の御意見が一致したところで、低位安定的な取りきめができればそれがけっこうだろうという立場をとったわけでございます。
  19. 足鹿覺

    足鹿委員 値下げの実態を見ますのに、本年八円、来年と再来年亀年六円ずつ、計二十円ということになるようでありますが、これは過去の肥料二法の存在しておりました当時の三カ年間の値下げの実績とほぼ同様でありますし、業界としてもその線を天体守っておるのではないか。  また、農業生産者団体においても、過去三カ年間の値下げをやや上回っておる、したがって、その辺に妥結を見た一つの大きな要因があるように私は見るのでありまして、この三カ年間の長期にわたって価格を取りきめた根拠としては、ただいまの御説明をもってしては私は納得することがきわめて困難に思うのであります。たとえば今後三カ年間の合理化の効果が期待できないと言われる。その一面、おととしの暮れに決定をした赤字補てんの融資及び合理化融資二百九億円の効果も、おそらく来年度あたりにはあらわれてくるのではないかと私は考えます。といたしますならば、いわゆる価格を決定する生産費コストというものにこれが反映しないはずはなかろうと思います。この一点から見ても、私は、三カ年間きめるなという法律の規定はないからやったと一言われるが、逆に毎年きめろという規定もないから違法でないという解釈は一応成り立つとしましても、常識的な運用としては、慎重を期して、政府としても、当初に本年の価格交渉に入る前には適当なアドバイス等を行なって、そしてまず初年度における運用を十分に吟味して間違いなきを期すべきでなかったか、かように思いますが、その点について、私の言っておることが間違いでありますか、あくまでも先ほど言われたようなお考えを変えられない御所存でありますか。また、三カ年間をきめたという理由に、生産費には値上がり要因があるというような意味のことばもあったように承りますが、しかし、それは一つの想定であり、また二面、業界側の意見であるとも言い得ると思うのでありまして、合理化が行なわれ、そしてなかんずく、窒素系肥料の尿素及び合成硫安に対する副生あるいは回収硫安等の量の対比が、合成硫安に匹敵するような状況に達しておる、また今後達するであろう現状から見て、私は、いささか当局の述べられた根拠は事実に合致しないと断ぜざるを得ないのでありますが、その点について、交渉の過程とその終末において、資料の交付を要求があって出したということでありますが、どういう資料を出されて先ほどの判断に立たれたのでありますか、その点についても明らかにしておいてもらいたい。
  20. 久宗高

    ○久宗説明員 ことばが足りませんで、若干誤解を生じているかと思うので一ありますが、先生の御心配のような点も、私ども一応全部当然考えなければならぬ問題でございますので、農林省のみならず、通産省とも、累次にわたって吟味したわけでございますが、ただ、一番根本的な考え方といたしましては、当事者の話し合いによってきめるというのが新法のたてまえでございますので、当事者がいろいろな交渉の過程を経ましてこれでいこうと言った線は、強くできるだけ尊重したいという気持ちが根本にございました。ただ、それを当事者が判断いたします素材その他につきまして、かりにそれが十分でなくて、そういう判断が誤りであるといったようなことを、言わなければならぬ場合におきましては、もちろん政府といたしましての見解を述べざるを得ないと思うのでございますが、当聖者におきましても、従来私どもが生産費の吟味をいたし、あるいは将来の需給のめどを吟味いたしましたよりも、少なくとも私どもが中間でいろいろ御相談を受けながら聞いていた範囲におきましては、相当突つ込んだ実質上の吟味をいたしておるわけでございます。さような点から、この生産費の値上がりにつきましては、むしろメーカー側からは始終御議論が出たようでございますが、全購連側におきましても、メーカー側の一連の見込みについての資料、それから私どもが提供いたしましたのは、三十八会計年度の実績原価というものが現在で渡し得る一番正確な資料でございますので、その実質的資料を渡しました。その両者を吟味しながら、全購連の判断といたしましては、やはり生産費の各項目についての値上がりが相当必至なものがあって、そういう過程で考えますと、この三年間に大幅な従来と同じような値下がりを期待すること自体、相当困離だという判定に立ったものと思われるのでございます。  なお、合理化につきましては、現在までお約束して進行しております一連の合理化は、もちろん計画どおり進んでおるわけでございますが、ざらに今後の問題につきましては、いろいろな御計画がそれぞれのグループによってあるようでございますけれども、その進行度合いが現実に価格の面に反映してまいりますのは、四十一年度よりやや以降になるような吟味が、全購連側でいろいろ吟味された資料の中にも相当詳細に出ておるわけでございます。さような観点で、少なくともこの三年に限定してみると、非常に大きく値が下がっていく要素よりは、やや上がる要素が強いなという判定があったようでございます。さような観点から、やや論議を巻き起こすような形で、単年度ではなくて、三年間にわたった取り組みをしたほうが、農業側としては有利であるという判断が強く働いているわけでございまして、またそれが、たまたま一方メーカーの側から申しますと、値段のめどがつくということが——それでその程度の合理化をやっていけばいいという問題ではございませんで、値段のめどがつくということが、いろいろな企業の設備投資その他をいたします場合の大きなめどになりますので、さようなことが、従来は単年度で切られてできなかったことができたという大きなメリットがあると思います。   〔委員長退席、坂田(英)委員長代   理着席〕  そして横ばいを非常に主張しておったのでございますけれども、一応これをのんでもやはりめどのつくほうが、企業家としてはプラスであるというお考えで妥協されたものと思うわけでございます。  なお、その間、もちろん輸出の価格は相当よくなっております。いい環境でございますけれども、同時に、これは海外におきまして従来のダイピング価格よりもよほど高い値段で肥料が売れるということになりますので、先方におきましてはもっと大きな蓄積ができるということにも考えられまして、決して安易にこの三年を過ごせるわけではございませんで、これが合理化の阻害になるとは必ずしも私どもは思っていないわけでございます。  なお、回収硫安、副生硫安につきましては、御指摘のように、これのウエートが非常に大きくなってきておりますことは事実でございます。これにつきましては、やはりそれぞれの化学工業におきます値段関係が、御承知のとおり非常に変わってきておりますので、たとえば回収硫安につきましても、合成繊維その他の現状から見まして、これが現在以上のメリットをここに大きく期待してはあぶないという判断を農業側としてはとったようでございます。また、副生硫安につきましては、鉄鋼生産の現状からすれば、少なくともとこ当分の間、これにはあまり大きな期待をかけられないのではないか、少なくとも従来以上の大きな、予想を上回るような形にはならないのではないかという判定をしておるわけでございます。私どもも、当事者がさように判断いたしました場合に、いやそれは違うと言う資料まで突っ込んでおりませんし、またそういう判断はちょっと下しかねるのではないかという感じを持っております。
  21. 足鹿覺

    足鹿委員 生産費資料についてでございますが、交渉の基本が生産コストにあることは、私も間違いないと思うのです。その交渉の経過を聞きますと、業界のほうでは、コストは企業の機密に属するものであるから、提出ができないという立場を主張した。結局のところが、見積り総原価の平均を提出していくということで話がついたと聞いておりますが、見積り総原価の平均というものは一体どういう内容のものですか。言うならば、われわれがこの法案をもってしては、前二法よりもはるかに後退し、改悪であると言った意味は、いわゆるバルクライン生産費方式にもとることが、この一点からも明らかであろうと思います。見積り総原価の平均というものの算定の基礎なり、その中身なり、数字を、あとでもけっこうですからお示し願いたい。
  22. 久宗高

    ○久宗説明員 政府関係者から要求されます資料は、先ほど申しましたような三十八会計年度におきまする実績原価ということになるわけでございます。両当事者はいかなる資料を取り合ってもいいわけでございますので、そこで、交渉の当初におきまして、農業団体側から各社別の相当こまかい数字をもらいたいということで、硫協側に申し入れがあったわけでございます。硫協側といたしましては、各社別の個々のコストの資料を提供するということはかんべんしてもらいたい、しかし、従来と同じように——従来はバルクランイのほかに総平均というものをしばしば御説明しておったと思いますが、それに相当するようなものをお渡ししたいということで、総平均の数字を差し上げ、なお、交渉の過程におきましては、実際は個別の会社の名を切り離しまして、会社別の内訳まである程度お話しして、交渉を進めたように聞いております。
  23. 足鹿覺

    足鹿委員 それはいいですが、当事者間でやったから政府は知らぬというのですか。もらえないですか。
  24. 久宗高

    ○久宗説明員 政府としては、硫安協会からかようなものを相手方にお渡ししましたということを資料としてはいただいております。
  25. 足鹿覺

    足鹿委員 それをあとでいいですから、御提示を願いたいと言っておるわけです。
  26. 久宗高

    ○久宗説明員 これは従来、御承知のとおり、肥料審議会におきましても、個別名を避けてしかお出ししておりませんので、さようなお含みをいただきました上で、個別にお渡しいたしたいと思います。
  27. 足鹿覺

    足鹿委員 それでけっこうです。  それから尿素及び回収硫安のメリットの取り扱いですが、硫安価格に尿素及び回収硫安メリットを織り込むということは、言うならば二重引き下げだ、それはひどい、こういう主張を業界は持っておったと聞いております。肥料形態が転換をしていく、またそれが一つの合理化を意味しておると思うのでありますが、にもかかわらず、メリットを硫安価格に反映させることが困難だというようなことで、合理化効果が価格に反映するのでありますか。私どもには二カ月間の交渉の詳しい中身については一々わかりませんが、中心になるようなことについては、もう少し私どもも国民にかわって知る権利があると思うのです。一体何のために二百九億からの融資をしておるのですか。事実上においてばく大な補助金を出したと同じことじゃありませんか。それを硫安価格に反映させることはむずかしいというようなコスト計算に立ったときに、妥当なものが生ずるでありましょうか。この点を明らかにしていただきたい。政府はどう考えるのですか。
  28. 久宗高

    ○久宗説明員 いまの反映することはむずかしいと私申しましたかどうか、はっきりしないのでありますが、おっしゃっている意味はこういうことだと思います。私が申し上げたかった点は、合成硫安の比重がだんだん小さくなってきておりますので、それに伴いまして、従来バルクラインを過ぎましたようなときの尿素メリットでありますとか、あるいは回収メリットでありますとか、そういう算式でずっと詰めてまいりました場合に、はなはだ逆転してまいりまして、ちょうどおかしい時期に差しかかるわけでございます。尿素と硫安の比重がほぼクロスするような段階にもきておりますし、また回収なり副産の量が相当な量になってきておりますので、いずれにいたしましても、従来のような生産費の吟味の仕方では、かりに二法が続いておるといたしましても、非常にむずかしい問題になったと思うのであります。そこで、当事者におきましても、さような問題も全部頭に置きました上で、生産費を吟味し、将来の輸出のウエートその他を吟味いたしまして、かような決定に立ち至ったわけでございまして、生産費だけで、しかもことしの単年度だけで、そういうことを吟味することが非常に困難だということが一つございまして、それからもう一つ先まで見た決定でないと、両者のお話し合いが非常にしにくいという問題が事実上あったと思います。さような点で、私どもといたしましては、生産費だけで、しかもこの単年度だけできめようというかっこうに無理に持っていくことは、非常に話し合いを困難にするではないかという見解を途中で表明したこともございます。
  29. 足鹿覺

    足鹿委員 あとで一括して申し上げますが、久宗さんのことばを聞いておりますと、業界の意向を代弁するような御発言が随所に見られることを非常に遺憾に思います。たとえば産業度の上昇メリットについても、ずいぶん意見が対立したと聞いておる。三十八年一月一日以降輸出の赤字は各企業が自社に持ち返っていくことになる。したがって、輸出赤字を国内価格に転嫁しないためにも、各メーカーは懸命の企業努力を払っていかなければならぬし、そこにメリットをできる限り増大していく、そして赤字解消に努力をしていかなければ、海外企業との太刀打ちもなかなかできないと思うのです。だのに、操業度もフル操業であり、しかも尿素、回収、それによって生ずる尿素、回収硫安のメリットを価格に反映することがむずかしい、こういうことになりますと、およそ合理化は何のために行なっておるのか、合理化効果の反映をめぐって非常に問題が出てくると私は思うのです。だれのための合理化なんですか。輸出産業として健全にこれを育成し、豊富低廉に肥料を農民等に供給するための合理化であったはずではありませんか。そのため措置であったはずではありませんか。ただいま聞いておりますと、原材料費、労務費等の値上がりは合理化効果によって吸収されるという、われわれは少なくとも最小限度そういう考え方はあり得ると思う。といたしますならば、いわゆる尿素、回収メリット等につきましては、当然これは価格に反映をしてこなければならないはずのものであると私は思います。そうでなかったら、合理化の意義そのものに疑問が生ずるのであります。これは重大な問題を含んでおると思うのであります。あなたの答弁を聞いておると、私ども前からの経緯を知っておる者としては納得がいきません。ですから、私は、審議会もなくなり、お互い当事者が話し合われたことだから、それを一から十まで知ることは困難と思いますが、少なくとも世間の期待というものに沿うような話し合いの結果の妥結がなければ、これは政策効果があがったと言うことはできないと思います。これで政策効果があがった、あがりつつあると政府は考えておるのでありますか。
  30. 久宗高

    ○久宗説明員 御質問を取り違えておりまして、誤解を深めたと思いますので、もう一回申し上げます。  尿素メリットなり回収メリットを反映さすことが困難だとあるいは申し上げたのかもしれませんが、そういう意味ではございません。私の申し上げましたのは、御承知のとおり、硫安そのものが、合成硫安の比率が非常に減っておりまして、昔はむしろそれが主体でありましたから、それを基準にものごとをきめてあまりおかしくなかったのでありますが、三十九肥年あたりの数字を見ますと、あるいはその後の合成硫安のおそらく減っていくであろうという問題を考えますと、それを中心に生産費を詰めてまいりまして、従来やっておりましたような尿素メリットでございますとか、回収メリットでございますとか、そういう形で、あるいはバルクのきめ方で上へ回収を乗せていくというようなやり方だけで詰めていかれるかどうかという問題についての疑問を申し上げたわけでございます。これはたまたま農林関係者、全購連におきましても、従来からさような疑問を持っておりましたので、そういうラインで生産費、数字をぎゅうぎゅう詰めてみてもこれは問題だなということで、むしろそういうものを頭に置きながら、それだけではございませんで、他の要素も含めてこれは検討していかなければいけないというような全購連の判断であったと思います。私どもといたしましても、かりに二法が今日まで続いておったといたしますと、また従来のような計算方法で、かりに総平均でございますとか、あるいはバルクをはじきますと、どうもきめる主体のほうが小さくて、他の要素のほうが大きくなってくるというようなことから、おそらくややあの形式を踏襲したのでは行き詰まったと思うのであります。さような観点から、今回におきましても、もちろん従来の経緯もございますので、生産費の項目の取り扱い方にいたしましても、また全購連が選びました数字を分析いたします場合にも、従来と同じような形で、それを尿素メリットを換算してみたり、あるいは従来のバルクに当てはめたりいたしまして、いろいろな試算をしてはかります。そうやってみますと、はなはだどうも全体としてバランスがおかしいということから、あまりそれに固執せず、全体として今後の尿素の伸びでございますとか、そういうことを頭に置いて、あの協定が行なわれたというふうに私どもは理解をしておるわけでございます。決して尿素メリットが全然入らない、そういうことではございませんで、今後たとえば三年間に二十円引き下げていくということの中には、従来考えておりましたような問題、たとえば尿素メリットにつきましても、尿素がどのくらい発展して、それが経営にどう響くかといったようなところまで相当計算なさっておるようでございます。決してそれが反映していないということではございませんが、私が申し上げましたのは、従来と同じようなかっこうで計算し、それをそのまま基礎資料として使うということは当事者もしておりませんし、私どももさようなことはしないつもりであるということを申し上げたわけでございます。
  31. 足鹿覺

    足鹿委員 どうも私はまだ納得がいきませんが、結局合理化方策というものは何ですか。肥料形態の転換をはかっていくということじゃないですか。現在の合成硫安方式を尿素に切りかえ、あるいは回収、副生にこれを切りかえていくということが、要するに合理化の一つの大きな筋道ではないのですか。とするならば、業界が言ったと伝えられるように、硫安価格に尿素や回収硫安のメリットを織り込むと二重値下げだというような議論は、私は食い逃げ的な考え方だと言うのです。もらうものだけもらって、そうしてあとは、そんなむちゃなことは言うても無理ですよという食い逃げ政策じゃないですか。それを政府は認めるのですか、ということになるのですよ。だから、この法律をもってしては、合理化の真の成果というものが、メリットの上からいって消費者たるものに正しく反映、還元できないだろうということをわれわれは主張してきたのであります。そのことを言っておるのです。だから、政府は公正な立場に立って、先ほどから言いましたように、すべてとは言いませんが、少なくとも合理化の方向としての肥料形態の転換をはかって、尿素及び回収、副生硫安のメリットを硫安価格に反映させていくという立場に立って、あなた方は指導監督する責任があるのですよ。政府がああいう法律を出した責任上、行政上の責任が私はあると思うのですよ。それを業界と全購連で話し合ったのだからそれでいいんだ、こういうことでは済まされない従来からの経緯があるのです。あなたも肥料部長をしておられたから知っておられる。これをどうしますか。問題は解決していないと思うのです。世間の期待は、もう私はあまり多くを申し上げませんが、少なくともことし二十円ぐらいは下がっていい、率直に言ってこういう期待ですよ。それを、たとえばもう鉄鋼の設備増設も頭打ちである、回収硫安を生ずる繊維関係もあまり伸びはなかろうなどというような、そういう判断の上に立って、極力いわゆるメリットがないような前提に立って、あなた方がものを考えておること自体に根本的な誤りがあるのじゃないですか。それを私は言っておるのです。
  32. 久宗高

    ○久宗説明員 先ほどさような引用をいたしましたけれども、これは全購連が判断をいたしましたときに、そういう判断に立たざるを得なかったということを御報告した中で申し上げたわけでございます。私どもとしては、いま鉄鋼がすぐどうこうというような判断を政府としていたしているわけではございません。たださような判断を当事者がしました経緯を考えてみますと、先ほど先生の御指摘のございました尿素メリットをどう反映させるかとか、あるいは回収その他をどう反映させるかということにつきましては、従来一番強い主張者でございましたのは農業団体でありますし、また農林省であったわけです。その態度はもちろん変えてはおりませんが、ただ、その判定につきまして、従来のような形で尿素メリットという数字を出して、そして原価からこう引くのだというような形が貫き得るかどうかという点につきましては、ほんとうの意味の尿素をやることになったメリットを硫安値下げに反映させるのは、この段階におきましてはやや無理ではないかということを考えておるわけであります。もっと違った考慮でございませんと、これが硫安が主体で、そうして尿素がこれにだんだん追っついてくるというプロセスでございますと、硫安を主体として、尿素メリットというものを従来御相談しましたような形で検討して、それを数字的にいきなり引き算して反映させるというようなことが、ちっともおかしくないし、できたと思うのであります。ただ、ウエートがかわってまいりますと、さような形では織り込む形として妥当かどうかは、当事者として全購連でもいろいろお考えになっておった問題でございます。今回の交渉におきまして、具体的に、たとえば尿素メリットにつきまして、従来方式でいろいろおはじきになったものもあるようでございます。また、そういうものを論拠にして相当事務段階では詰めた経緯がございます。しかし、それでは若干無理だなということから、尿素メリットを全然織り込まないというのではございませんで、従来のような方式で織り込んでない。しかし、尿素その他の効果というものにつきましては、相当論議をして、織り込んでおるというふうには私どもは判断しておるわけでございます。ただ、合理化の全効果を全部価格の上に反映することは無理があろうということで、ここではやはり話がつきまして、その結果が、いまの三年間で二十円下げということになっておるわけでございます。決して尿素メリットが従来どおりの形の計算においてそのまま価格に反映したということではございませんけれども、実際問題としては、尿素その他の効果というものを論議いたしまして、詰めて詰めてこういう形になったわけでございます。計数的に申しますと、これは途中の過程でございますが、予想の資料に基づいて検討してきました過程で、双方の間に相当懸隔がございまして、事務段階におきまして最終的には、やや十円くらいの差があったようでございます。片一方は、予想原価から申しまして、三円くらい上げざるを得ないというぎりぎりの線が、事務的に生産費その他から詰めた数字であったようでございますし、また一方では、七円くらいはどうしても引き下げてもらわなければ困るといったような数字が、単年度につきましては出たようでございます。それがどうしても最後に埋まらない穴であったようでございます。そこで、さらにそれを将来の問題と関連いたしまして、先ほども申し上げたような二十円下げという問題に落ちついたというふうに承知いたしております。
  33. 足鹿覺

    足鹿委員 これ以上申し上げても押し問答のようなことになりますので、さっきの資料と、それから尿素回収メリットについての政府の見た資料、操業度上昇のメリットについての資料、合理化効果の反映について、先ほどあなたは、原材料費が上がるとか、あるいは労務費が上がって値上がり要因もあるから、あまり値下げは期待できないというような意味のことをおっしゃった。私も全然認めないではありません。確かにそういった要因はありましょうが、言うならば、程度に対する認識です。ですから、あなた方がそう言われる一つの根拠について、資料を御提示願いたいと思います。いただけますね。
  34. 久宗高

    ○久宗説明員 いま先生がおっしゃいましたように、これはある項目についての当事者の判断になるわけでございます。したがいまして、当事者の判断の基礎資料は、当事者よりとっていただくよりしょうがないと思います。それで、私どもでわかります資料でお出しできるものにつきましては、お約束のとおりお出ししたいと思います。
  35. 坂田英一

    ○坂田(英)委員長代理 委員長からも申しますが、でき得る限り、可及的に御指示に沿うようにいたしますから、御了承願います。
  36. 足鹿覺

    足鹿委員 可及的にといっても……。そんなものは直ちに出しなさい。
  37. 久宗高

    ○久宗説明員 ただいまの足鹿先生から御提出の御希望のございました資料については、従来肥料審議会での経緯で御存じでございましょうが、肥料審議会でお出ししております資料のぎりぎりの資料になりますので、その限界内で私どももできるだけのものを用意いたしまして、提出いたすようにいたしたいと思います。
  38. 足鹿覺

    足鹿委員 私は、あまりこまかい議論をして、その交渉の中身はどうであった、こうであったというようなことは、全然知りたくありません。また知る必要もないでしょうけれども、いま言ったようなポイントについて、政府が的確な、いわゆる行政上必要な資料として整備すべきものは、独自の立場から整備する必要があるから、言っておるのです。それなしに、一体肥料政策というものがありますか。当事者の話し合いまかせじゃないですか。三年間も長期にわたってやらせて、あとはほおかぶり、これでは世間は納得しませんよ。その点私は申し上げておるのでありますが、最後に一つ承っておきたいと思います。  最近の輸出事情というものは、その価格においても量においても著しく好転をし、また将来の好転も見通し得ると考えております。しかも国内価格に匹敵するような輸出価格で取引が行なわれつつある。最近の実情から見まして、一年ないし二年前ごろの情勢とはよほど変わってきておると思います。それだけでも業界は、しろうと考えからしましても、経営が非常によくなっておるはずだと思う。五十ドル近い輸出価格、しかもFOBです。そういった面からも、いま述べましたようないろいろな価格決定上の要素に関連をして、最近の輸出事情というものが、業界に大きくプラスをしておるという事実も認めなければならないと思う。私は、そのこと自体はけっこうなことだろうと思うのです。輸出が好転をし、業界がそれによって運営がよくなっていくということはけっこうなことだと思う。だとすれば、なおさら国内の消費者に対しては、政府の財政その他の合理化指導方針の成果を、豊富低廉にという名の具体化につとめていってこそ、肥料政策としての意味があると私は思うのでございます。だから、この点を申し上げておるのでありますが、最後に、そういう立場から、先ほどの五つの条件によって、政府はこの八日付の報告を公取に異論なしとするならば認める考え方のようでありますが、合意の成立を尊重するというたてまえをとっておるようでありますが、私が冒頭に指摘をいたしましたように、この三年間にいかような経済上の変化等があるかは、神ならぬ私どもにはわからないのであります。したがって、経済事情等によっては訂正措置は可能であるやの御答弁がありましたが、どういう状態のもとに訂正措置がとられるのか。また、一応三年間の報告を承認するということは、そういう意味においては確定的なものではなくして、まず三年のうちの本年分が法律に示しておる価格取りきめの額なんでありますから、そのものについて一応妥結したものと認め、他の残る二年分については、そのときの情勢において政府は改定等の措置を勧告し、または指導し、また業界なり消費者団体等においてもそれに応ずるような心持ちであるべきだと思うのであります。私が先ほどから述べておるように、合理化の成果がここ数年であがってくる情勢のもとにあっては、その必要が生ずるであろうという見地から、このことを最後に伺っておきたい。重要な点でありますので、政府を代表して政務次官において御答弁をお願いいたします。
  39. 舘林三喜男

    ○舘林説明員 今回の肥料の価格を単年度で決定するか、あるいは三年で決定するかということは、新法のたてま、えから申しますと、五カ年以内となっておりますから、法律上もちろん差しつかえないわけであります。しこうして、この新法のたてまえは、いままでの肥料二法と違いまして、政府が、肥料審議会の意見を聞くことはもちろんでありますけれども、その価格を決定するというたてまえに変わりまして、あくまでも当事者双方の民主的な決定ということが、本来の法の性格であります。さような意味で、先ほどいろいろ御指摘がありましたように、農林省と申しますか、通産省と申しますか、介入の程度が足りなかったことは当然だ——当然というか、やむを得なかっただろうと思う。と同時に、一ぺん民主的に全購連と大手十六社との間に新法の趣旨に何ら違反なく決定されました以上は、やはり三年間を一括して承認いたしたいと私は思います。決してこの一年限りという意味ではありません。ただ、いま足鹿さんのお話がありましたように、日本の経済は急速に変わっておる。百六億円の投資もいたしましたし、十六社の工場の合理化も今後どんどん進んでくるだろうと私は思う。また、回収硫安等の変化もどんどん進むだろうし、さような意味で合理化計画が進む。また、労賃とか運搬費とか材料費等が特別に高騰いたさないというような条件でありましたならば、農林省といたしましても通産省といたしましても介入いたしまして、八・六・六の割合は当然変えるべきだと思う。とにかく今日の段階におきましては、いままで一二カ年間に大体二十円程度値段を下げたが、今日でも、たとえば熱源も、石炭からだんだんガスに変わっておりますし、また機械もどんどん新設されておるというような立場から申しますと、少なくとも過去三年と同じくらいの価格の下げ方以外にはできないのではないか。これは何も農林省だけではなくして、農民の代表であられます全購連もさようなことを苦慮しておるわけであります。それと同時に、これから先は国際的な肥料競争は非常に強くなるだろうと思う。非常に猛烈な勢いでダンピングが行なわれておる。さような際に、日本の国際的な輸出が立ちおくれることになりますと、再び輸出会社が二百億の赤字を背負うということになりまして、また皆さんに御迷惑をかけると思う。さような立場から、やはり二、三年後の国際的な激しい肥料競争を考えなければならないのは、これは私ども農林省としても通産省としても当然であります。  結論として申しますと、とにかく三年間一括して承認いたしたい、しかし、経済情勢その他で変化がありましたならば、もちろん、農林省としても通産省としてもこれに介入いたしまして、御趣旨に沿いたいというのが私たちの考えであります。
  40. 足鹿覺

    足鹿委員 ただいまの政務次官の御答弁で完全に了承というわけにまいりません。非常に遺憾な点がある思います。まだこの価格は政府によって確認をされ、実施になっておりませんから、私はこの際政府に御注意なりを申し上げて、そして十分慎重を期される必要があるから、この質問を申し上げておるのでありまして、いまのようなお考え方では、従来とられてきたところの肥料政策の成果がほんとうにあらわれてくる、償却の面においても、合理化の面においても、あるいは輸出の面においても、あらゆる面においてあらわれてくる段階になって、こういう取りきめを無条件でお認めになるというところに、私は問題があろうかと思うのであります。これはきわめて重要な問題でありますので、また別の機会に農林大臣等にもただしたいと思いますし、また先ほど要求しました資料等によって検討し、私どもももっと内容についてしさいに研究の上、あらためてこの問題に対するところの検討をいたしたい、かように思います。  きょうはこの程度で私の質疑を終わります。
  41. 芳賀貢

    ○芳賀委員 ただいまの足鹿委員の質問に関連して、主要な点に限って二、三明らかにしておきたいと思うわけであります。  第一の点は、現在実施されておる肥料新法は、これは恒久法ではなくて、五カ年以内の時限法ということになっておるわけです。政府としては、この五カ年以内にこれが廃止された場合においては、次には肥料政策については制度を設けないというふうな前提の上に立っておることは明らかでありますが、そこで、私たちが当委員会において政府の新肥料法を審議した場合においても、考え方としては、もちろん、かくのごとき法律というものはあってもなくても同じものであるということで、全面的にこれは否定の態度で臨んだわけでございますけれども、その危倶は今日すでにもう表面にあらわれておるわけです。そこで、法案審議の場合においても、政府としては、肥料の価格を取りきめる場合の原則としては、単年度をもとに価格を当事者間において調整する、こういう考え方の上に立っておったことは間違いのない事実であります。したがって、これが法律違反とかどうとかいうことは一応除きまして、法律の運用上から見た場合において、今回の五カ年間の時限法の中で三カ年間の継続的一括の取りきめを行なったということは、これはやはり法律の運用上決して妥当な措置ではないと思うのです。したがって、政府が法律を実施する場合には、当然直接の当事者については、これは法律の精神、その目的あるいは運用等については、十分これを納得さして、法律の趣旨を体得した上で、両当事者が慎重に、真剣に価格協定等を行なうべきであると思うわけであります。だから、政府としてどういうような認識を与えたか、価格の取りきめや交渉の態度等についても、単年度でやるべきであるという指導をしたのか、場合によっては五カ年間一ぺんにきめてもいいということで指導したのか、その点をまず明らかにしてもらいたいと思うわけです。関連ですから、時間がないですから、要点だけを答えてもらいたい。
  42. 久宗高

    ○久宗説明員 私のほうの接触いたしましたのは、主として農業団体側でございます。もちろん、初め農業団体側におきましても、単年度でものを考えておったわけでございますが、いろいろ資料を突っ込んで検討してみます過程におきまして、むしろこれは三カ年にきめたほうがよろしいという判断になったわけでございます。私のほうとしましては、単年度でなければいけないとか、あるいはむしろ長くやれという積極的な意思表示はいたしてございません。ただ、立案の過程でも、単年度ではなくて、数カ年にわたってきめたらどうかというような御議論が、理想論としては出ておったように聞き及んでおります。
  43. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私の聞いておるのは、政府としてこの法律の実施にあたって、全購連あるいは十六の肥料メーカーに対して、法律の趣旨というものをいかように指導したか、認識さしたか、その場合、当然契約にあたってはこれは単年度でやるべきであるとか、場合によっては一括決定でも差しつかえないとか、何らかの指導を行なったはずです。法律だけが国会を通ったから、あとはどうなってもかまわぬという態度であれば、その点も明らかにしてもらいたい。
  44. 久宗高

    ○久宗説明員 旧法におきましては、年々きめるというかっこうになっておりますので……。
  45. 芳賀貢

    ○芳賀委員 今度どうしたかというのです。
  46. 久宗高

    ○久宗説明員 今度の法律には、そういう年々というきめ方になっておりませんので、年々きめなければいけないという指導はいたしておりません。
  47. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは法律については指導はしていないということですね。
  48. 久宗高

    ○久宗説明員 この法律のきまる過程は、関係者もよく存じているわけでございますので、少なくともこれでもって単年度でなければいけませんよという指導はいたしておりません。
  49. 芳賀貢

    ○芳賀委員 だから、指導は何もしなかったということじゃないですか。そうでしょう。法律が通れば、これは国民が適当に判断してやればいい、そういう考えですか、農林省として、あるいは通産省として。どうなんです。
  50. 久宗高

    ○久宗説明員 先ほど政務次官から申しましたように、たてまえといたしましては、当事者のお話し合いが根本であるわけであります。それをたまたま当事者が双方それぞれお考えになった上で、三年間にわたってきめたい、こう言ってまいられましたので、私どもはそれはいかぬという指導はいたしておりません。
  51. 芳賀貢

    ○芳賀委員 だから、何も指導しなかったと言えばいいじゃないですか。指導しておれば、こういう点はこうやればいいとか、こういう点は慎重を期すべきであるとか、こういう場合には政府が介入するとか、こういう場合には政府から重要な資料は交付してやるとか、政府の介入する規定が全部あるじゃないですか。だから、全然指導しなかったならそれでもいいですよ。指導しないというようなそういう政府態度であれば、それも一つの態度かもしれないが、そこを正直に言ってもらえばいいのです。指導もしないで、そういうことは言いませんとか、言った覚えはありませんとかいうのは、おかしいじゃないですか。
  52. 久宗高

    ○久宗説明員 最終的な形が三年間で取りきめたいということでございます。それが出てきておりますので、政府態度はこれからきめるわけでございます。私ども農林省といたしましては、その取りきめの内容から見まして、三年間が不当であるということでそれを変える必要はないという考え方を現在とっております。
  53. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私の聞いておるのは、肥料新法について、これは八月一日から実施に入ったわけだから、実施に入る場合には、常識的に考えても、政府として、しかも政府提案の法律が通ったわけであるから、この法律の目的とか趣旨とか利点とかいうものは、直接の関係者、当事者に対して十分理解させる努力というものはすべきでしょう。こまかいものだってやっておるじゃないですか。この法律に限ってそういう運用上の指導等をやらなかったかどうかということを聞いておるわけです。
  54. 久宗高

    ○久宗説明員 法律の説明はもちろんいたしたと思いますが、ただ、先生のおっしゃるように、この条項は単年度と読むべきで、そうでなければいけませんという指導はいたしておりません。
  55. 芳賀貢

    ○芳賀委員 指導しなかったということで認めておきましょう。  その次にお伺いしたいのは、この法律にも規定がありますが、肥料の需給に関する長期見通しというものは、当然これは具体的に三十九肥料年度における、たとえば硫安の価格交渉に入るような場合においては、肥料需給全体の問題としても非常に重要なことになるわけですね。しかも、その法律が五カ年以内の時限法である場合、法律にいういわゆる肥料需給の長期見通しというものは、少なくとも五カ年間を一期とした見通しでなければならぬと思うのです。この見通しは、農林大臣あるいは通産大臣が合議して公表することになっておるわけですが、この長期見通しについては、いつ決定して、これが公表されたか、その主要な内容について述べてもらいたい。
  56. 倉八正

    ○倉八説明員 需給の見通しについては、この間御審議願った法律では、公表はする必要がない、関係者に通知せよということでございまして、この需給見通しは八月一日に関係者に全部通知いたしております。
  57. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それではその決定した長期見通しは、当然関係のある当委員会に、言われぬでも出すのがあたりまえですから、直ちにこれは資料として出してもらいたいと思うのです。  次にお尋ねしておきたい点は、これは単に三カ年間にわたる各年度の硫安価格だけをきめたという問題ではないと思うのです。これは三十九、四十、四十一年度の三肥料年度にわたる毎年度の需給計画に基づいて——特に国内需要というものはどういうような動向を示すかということが、まず価格を決定する以前の重要な基礎的な課題になるわけです。これらの国内の需要確保あるいは将来の輸出見通し等は総合的なものではあるが、肥料新法は、国内的にはとにかく従来同様に内需というものは優先的に確保されなければならぬということが大前提になっておるわけですから、これらの需要の見通し、内需の確保の点等については、どういうような具体的な取りきめが行なわれておるのか。その点はいかがですか。
  58. 久宗高

    ○久宗説明員 内需優先という見地から輸出の承認をいたすたてまえに、御存じのようになっているわけでございます。さような観点から需給見通しを立てまして、それに基づきまして、一件、一件の承認をいたすわけでございますが、ただ、従来旧法でやっておりました当時、年々の需給計画と公定価格の計算が直接関連いたしますので、単年度でやっておりましたけれども、実際問題といたしましては、たとえば合理化のめどを立てます場合におきましても、また内需の見通しを立てますにいたしましても、やや長期の需給計画的なものがぜひ要るわけでございます。そこで、今回の新法におきましては、需給計画と価格の決定、マル公の決定というものを直接的に規定しておりませんので、またマル公の決定ということはないわけでございますので、需給の見通しにつきましては、第八条で輸出の承認をいたします際に、めどといたしまして、その見通しに基づいてしなければいけないという規定があるわけでございます。したがって、先生のおっしゃいますのは、そのような需給見通し、これは年々のややこまかいものでございますが、私どもといたしましても、あるいは通産省側といたしましても、需給のやや長い見通しにつきましては、当然行政のたてまえといたしましてさようなものを検討し、また持っているわけでございますが、正式の法律上の需給計画という形で表にあらわしたり、あるいはそれを直接長期計画という形で公表するという形はとっておらないわけでございます。したがいまして、形は別といたしまして、長期の見通しについては、もちろん頭に描いて合理化の指導もしておられると思いますし、私どもといたしましても、そのようなものの中のさらに内訳といたしまして、単年度の需給見通しに基づいて、個々の輸出の承認をいたすというたてまえをとっています。したがいまして、価格をきめます場合に、もちろん、将来の需給につきまして、輸出がどのくらい伸びるだろう、あるいは内需をどのくらいの見当に置いておかなければいかぬかということにつきまして、今回の両当事者のお話し合いの際も、従来もこれはいろいろ研究した資料がございますので、さようなものを出し合って話し合いをしておるわけでございます。
  59. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私が聞いておるのは、価格面については三カ年間の各年度の価格が協定された。その場合、価格だけが幾らであればいいというものではない。国内において、各年度において硫安あるいはア系肥料等についてはどの程度に需要が伸びるか、あるいは需要の動向がどうなるかということは、当然前提条件として明らかにされなければならぬでしょう。それだけの数量をまず優先的に確保するということが、当事者間の協議とか締結の中に明らかにされなければいけないのではないですか。値段はきめたが、数量は足らぬなんということはあり得ないと思う。だから、価格を三カ年間きめるという場合は、当然三十九肥料年度についてはどれだけの数量が必要である、四十、四十一年度についてはどれだけの数量が最低限必要である、これを確保する、こういう裏づけというものがなければいけないと思うのです。単に値段だけきめたとすれば、これは重大な手落ちがあると思う。これは聞く必要がないことであるが、念のため明らかにしておいてもらいたいわけですから、三十九、四十、四十一年度にわたって、各年度価格決定に関連して、どれだけの数量がこの交渉の中で明確にされておるか、これは数字をあげて明らかにしてもらいたい。確保さるべき数量ですね。
  60. 久宗高

    ○久宗説明員 これは従来審議会で御審議いただきます際も、単年度のきちんとした需給計画のほかに、将来どのくらいの見込みで考えているかというような御質問もありまして、さようなものにお答えしております。そこで、これの基礎になっておりますのは、先般合理化計画を立てました際に、将来の需給を見なければなりませんので、通産が主体になりましてつくられましたものが一番新しいものでございます。さようなものが、今回の価格の決定におきましても、この中で特に最近の分、ここ一年くらい先の分はもっと詳細なものが検討されますので、そういうものを織りまぜて価格の交渉が行なわれたわけでございます。この法律の中で、別に価格の交渉をいたします際に特別な需給計画を定めろということはないわけでございます。
  61. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そんなことを聞いてない。質問の要旨だけに対して簡単に答えてもらえばいい。それでは価格はきめたが、数量はきめてないということですね。   〔坂田(英)委員長代理退席、委員   長着席〕
  62. 久宗高

    ○久宗説明員 従来審議会におきましても数字のことを差し控えさせていただきましたので、輸出関係の数字が出るのは非常にまずいのでございます。こういうのを公表いたしましたり、数字が出ておりますのはわが国だけでございまして、よその国では一切さようなものを出しておりません。さような意味から、今回は需給計画をああいうような形では立てないというふうにいたしておりますので、その数字は控えさせていただきたいと思います。
  63. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私は輸出数量をどうするなんて聞いてない。値段をきめた際に、この三カ年にわたる各年度に全購連はどれだけの数量が必要であるということ々提示して、メーカーがそれを了承したかどうか、価格取りきめと同時的に、三カ年間の数量確保というものは明らかになっておるかどうかという点だけを聞いておる。
  64. 久宗高

    ○久宗説明員 基礎としてやりました数字は、硫安だけについて申しますと、三十九肥料年度におきまして百三十二万四千トン、四十年度は百二十八万二千トン、四十一年度は百二十四万一千トンでございます。それからア系全体といたしましては、三十九肥料年度は三百二十九万九千トン、四十肥料年度は三百四十五万一千トン、四十一年度が三百六十一万トンでございます。これは内需の数字でございます。
  65. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは価格を決定する場合に、法律によると、締結する十五日前に政府に対して内容を申請して承認を受けることになっているわけだが、公取だけがいいと言えば、農林、通産はそれでOKということじゃないでしょう。その場合に、具体的に価格についても数量についても十分遺憾のないように、今後の日本の農業生産というものはこれによって支障を来たさないという明らかな見通しの上に立って、承認、不承認の態度をきめるべきだと思うのですが、これはどうなんですか。どうでもいいのですか。
  66. 久宗高

    ○久宗説明員 おっしゃるとおりでございます。
  67. 芳賀貢

    ○芳賀委員 次にお尋ねしておきたいことは、全購連とメーカー側において協議を進める場合において、資料の必要が生じて、政府に対してこういう資料を政府側から出してもらいたいという資料の内容、それから政府がその要求に応じて交付した資料、あるいは積極的、指導的に交付した資料、これらの資料については、先ほど足鹿委員からも要求がありましたが、これは当然当委員会の参考資料としてその全部を提出してもらいたい。それからこの当事者間の協議には、これは正式な記録というものが保存されておるかどうか。保存されておれば、やはり参考になる事項ですから、これもやはり委員会に提出をしてもらいたい。なぜかというと、これは法案審議のときにも問題になったとおり、農業協同組合あるいは連合会は、従来農協法によって独禁法の適用除外を受けているわけですね。ところが、硫安メーカーはこの法律によって、初めてメーカーの共同行為というものが独禁法から除外されて認められたわけです。農協や連合会は、本来的にこれはもう独禁法の除外団体になっておったが、メーカー側はこの法律のおかげで共同行為ができる、そういう有利性を与えられたわけですね。しかも交渉にあたっては、農業生産者の団体である全購連が単一で代表となっているわけですね。それからメーカー側は十六社、十六人の代表が出ているわけです。いかに共同行為が認められたといっても、片方の売り手側は十六人、買い手側は一人しか出ておらぬ。こういうような売り手側と買い手側の力関係において、正常な協議、交渉というものができるということは、われわれとしては考えられないわけです。この点に肥料新法の一番の矛盾と問題点があるということをわれわれとしては指摘したわけですから、こういう力関係の中でどういう資料が交付され、どういうような論議が展開されてきたかということは、この五年間にわたってこの法律の適正な運用を国会として関心を持っておる以上、重大なことであるから、私の指摘した資料については、ぜひすみやかに提出してもらいたいと思います。この点はどうですか。
  68. 倉八正

    ○倉八説明員 できるだけの資料はお出しいたしますが、その中の、いま芳賀先生御指摘の両方の間の速記録という問題になりますと、相当掘り下げた、各メーカーの、やれ労務費だとか、やれ材料費だとか、あるいは金利負担だとかありまして、何と申しますか、ほんとうに腹を打ち割った話の内容を出すということについては、私もここではちょっと決しかねるのでございまして、この点につきましては、両団体とも十分相談させていただきたいと思います。
  69. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これは政府側において出せないというのであれば、国会には国会法あるいは衆議院規則の規定によって、資料を出させる権限というものがあるわけですから、当然、これは国会がきめた法律に基づいて運用が適当に行なわれておるかどうかということをわれわれとしても十分監督する立場にあるわけだから、もし出せないというのであれば、この機会に明らかにしてもらえれば、その出せない部分については、国会において成規の手続を踏んで、必ずこれを提出させるようにするわけですから、その点を念のために明らかにしていただきたい。
  70. 舘林三喜男

    ○舘林説明員 この肥料の両方の共同契約にあたりまして、いま芳賀委員は非常にアンバランスな状態において交渉が行なわれたというお話でございますが、私の聞くところによりますと、全購連といたしましても、全国六百万の肥料使用農家の代表でございまして、その肥料を使用するシェアから申しますと、先ほど経済局長が申しましたように、日本第一の肥料を使用する団体でありまして、シェアといたしましては、たぶん六〇%までいっておると思います。また、製造のメーカーのほうにおきましても、十六社で合わせてさっき申しましたように七〇%くらいの肥料をつくっている。どちらにつきましても、肥料を使用する側も生産する側も、ほんとうに一流中の一流ばかりが交渉を行なったわけでございまして、決して一対十六という意味でアンバランスなかっこうで交渉が行なわれたというふうには私は考えません。と同時に、もちろん、この交渉の衝に当たった全購連の三橋さんといたしましても、また十六社の宇部興産の中安さんといたしましても、一方は六百万であるし、一方は十六社を代表して、とにかく主張すべきところは徹底的に主張されたと思います。したがいまして、あんなかっこうでまとまって、決してこれが非常に不合理な形でまとまったとは考えられない。と同時に、その交渉は、あくまでも旧二法と違いまして、国が価格を決定する意味ではありませんで、あくまで自主的、民主的に決定するというのが法のたてまえであると思うのであります。さような意味で、またその交渉の過程におきましては、最終段階におきましては、三橋全購連会長と中安十六社代表がひざ突き合わせて折衝されたものでございまして、私は、一番大事な点については速記録はないだろうと思います。したがいまして、その交渉過程のすべての速記録を出すということにつきましては、ここで直ちに承知いたしましたということは申し上げるわけにまいりません。
  71. 芳賀貢

    ○芳賀委員 当事者の協議において記録というものが保存されておるとするならば、これはやはり国会においても関心のある問題であるから、ぜひ資料として出してもらいたい。政府側が出せないという場合においては、あなた方が関知する問題じゃない。国会において独自の判断で資料要求の権限というものがあるわけですから、もしここで明らかにこれは出せないという資料があるならば、言ってもらえば、その分についてはこちらで成規の手続を踏んで、後日提出させるようにするということを言っておるわけであります。  もう一つは、あなたは全購連が六百万農家を代表するということを言っておるが、形式的にはこれは生産農民のつくった農協の連合体であるから、そうかもしれぬが、しかし、事実上の行為の中で、これが全農民の利益を代表しておる連合体であるということを断定することにはいささか疑点があるわけですね。むしろ、われわれのほうが、全国民の中の一部分であるけれども、農民の意思を代表して、われわれは真剣にこの国会を通じていろいろな農政上の問題を審議あるいは決定しておるわけであります。だから、全購連が代表しておるか、国会のわれわれが代表しておるかということになれば、むしろ、われわれのほうが国民の中の相当部分を占める農民の利益というものを十分考えて、政策や国会の決定を行なっているということは、これはわれわれは自信を持ってそういうことを言えるわけです。もう一つは、この法律の運用上から見た全購連の立場というものは、農民の利益を代表してメーカー側から肥料を購入して、それを配分するという役割りじゃないでしょう。農民に肥料を売るための販売業者としてのそういう役割りが、今度の肥料新法には明らかになっておるわけです。農民を相手にして全購連が肥料を売ってやる。こういう立場がこの肥料新法の中で明らかにされている以上、売る場合にはもうけなければなるぬ。できるだけ利潤を吸収するという考えが経営者の中にないとも限らないわけです。だから、単にばく然と全購連が唯一無二の農民の利益を代表する農協連合会であるなんということは、これは即断のそしりを免れぬおそれもあると思うので、今後言動には御注意を願いたいと思う。
  72. 赤路友藏

    赤路委員 ちょっと一つだけ関連質問します。  それは、先ほど政務次官が足鹿君の質問にお答えになった中で、ちょっと気になる点があるので、重ねてお尋ねするわけなんですが、今度の硫安価格の交渉に際しての政府の腹がまえ、対処する考え方の基本の問題なんですが、先ほどの御答弁の中に、国際競争がこれからも激しくなっていくだろう、また経済変化にも対応する措置が必要だ、そういう意味で、三年間の価格決定といいますか、これを政府のほうでも話し合いがついたのならよかろう、こういうふうにお考えになった。同時に、先ほど来問題になっておりますところの利潤の問題なんですが、利潤と言っては語弊がありますが、合理化されることによって当然できてくるだろうところの利潤、これをそのために蓄積させなければならない、こういう考え方であったのかどうか。私は、当然次官がおっしゃったように、国際競争も激しくなってまいりましょうし、あるいは経済変化に対応する生産者側のほうの資本の蓄積といいますか、このことは必要だと思う。問題は幅だと思う。あるいは政府がこれに関与するというと語弊がありますが、一応新法のたてまえでいっても、直接これに対してあれはありませんが、間接的にやはり指導していく立場にあるわけなので、このウエートの置き方が問題になると思う。その利潤を蓄積するということは一応いい。しかし、それと同時に、農民への還元ということは考えなければいかぬ。農民への還元を全然無視した形においてこれがなされておるように受け取れるものですから、その点もう一度、私の誤解であればなにですが、何か次官の御答弁の中からはそういうふうな感じを私は持ったものですから、その点だけ再度お答え願いたいと思う。
  73. 舘林三喜男

    ○舘林説明員 ごもっともな質問でございまして、お答えいたします。もちろん、硫安十六社の合理化ということは、これはあくまでも国家的な立場でしなければいけないので、その合理化のメリットといいますか、いま赤路先生お話しの利潤の分配といいますか、それは当然会社だけに帰すべきではなくて、まず第一に消費者に帰するのが当然だと思うのです。したがいまして、八・六・六の比率を一応きめておりますけれども、今後合理化によりまして非常に効果をあげる場合には、やはり八・六・六の六・六くらいは変更することはあり得るということは、先ほど申し上げたとおりであります。それ以外に労務賃も見なければなりませんし、と同時に、先ほど一点だけあげましたのは、非常にきびしい国際的な肥料の競争であるから、やはり設備投資もあげなければいけない。輸出能力を増進するということになると、やはりマスプロもふえますし、したがって、その結果、還元いたしまして内需の肥料も安くなってくるだろうと思う。やはり三者一括して考えなければいけないだろうと思う。決して私は合理化のメリットを資本家だけに帰するということは全然考えておりませんから、その点だけお含みを願いたい。
  74. 赤路友藏

    赤路委員 それで次官の御答弁ははっきりいたしました。  局長にちょっとお尋ねいたします。いま次官がおっしゃったとおりなんですね。それで、一応合理化によるメリットは認めておられると思うのですが、それの配分ですね。おそらくその配分をこの交渉の過程でも政府のほうでお考えになったと思う。次官は直接交渉のこまかい面にいろいろ御相談になったわけじゃないので、局長がその衝に当たっておられるので、それはどの程度に割り振りができたかということはお答え願えますか。
  75. 久宗高

    ○久宗説明員 これは両当事者の話し合いのポイントがそこにあったわけでございます。両当事者とも、それを資本蓄積だけに使うとも考えないし、価格引き下げだけに使ってもいけないなということで、お話し合いになった結果が、ああいう形にきまったわけでございます。
  76. 高見三郎

    高見委員長 芳賀貢君。
  77. 芳賀貢

    ○芳賀委員 大臣が御出席になりませんので、畜産局長にお尋ねしますが、第一の点は、政府管理の飼料について、それはもう聞くまでもないことですが、十月以降の政府手持ちのえさ等については、価格上どういうような取り扱いをするかという点であります。われわれとしては、先般の国会等を通じて、農林大臣の言明あるいは当委員会における酪農あるいは飼料関係の問題についての委員会の議決等もありますからして、この年度における価格形成上の変化というものは、値下げをするというのであれば反対するわけではないが、変化はないというふうに安心しておるわけでありますけれども、最近大蔵省あたりが、十月一日を期して政府手持ち飼料については値上げすべきであるというような、そういう動きもあるようにも心配しておる向きもあるわけです。ですから、この際、当事者の畜産局長から、その不安を一掃する意味においても、態度を明らかにしておいてもらいたいと思う。
  78. 檜垣徳太郎

    ○檜垣説明員 政府が操作いたします飼料のいわゆる予定価格の考え方の問題でございますが、政府操作飼料のうち、大麦につきましては、十月以降もそのまま変更を加えることなく据え置く考え方がはっきりいたしております。ただ、輸入ふすま並びに専増産ふすまの価格につきましては、本年の四月以降、予算上の予定価格は、前年に比べまして値段を引き上げるという形の予算を組んだわけでございますが、当時の飼料の事情、畜産物の価格の事情等を考慮をいたしまして、当委員会でも農林大臣から明言をいたしましたように、本年上半期については、三十八年度における価格水準をそのまま据え置くということにいたしたわけでございます。その際、政府内部におきましては、下半期十月以降については、事務的に再検討を加えるということになっておるという経緯があるわけでございます。でございますので、私ども事務当局としましては、その際の政府内部における取りきめは、十月一日以降の問題は再検討するということだけがきまっておるわけでございますので、再検討という場合にどういう考え方を取るかということは、最終的に態度を実は決定をいたしておりませんが、端的に私の意見を申し上げますと、現在の専増産ふすまの価格水準は、少なくとも客観的には一般のふすま価格等より著しく低価である。申し上げるまでもなく、政府操作の飼料の役割りと申しますものは、一般の流通飼料の流通過程におきます時期的な、あるいは地域的な数量の上での不足に基づく価格の不安定性というものを、量の操作によりまして調整をすることが、飼料需給安定法の目的からいって、本来の姿であるというふうに私ども考えておるのでございまして、そういう観点からは、現在の専増産ふすまの価格水準が、ただいまのような本来の姿で見れば適当な水準であるかどうかは、これは検討の余地があるのではないかというふうに考えておるのであります。ただ、この問題は影響するところが非常に広いわけでございますので、私どもも扱いについては慎重を期したいというふうに考えます。
  79. 芳賀貢

    ○芳賀委員 いまの御説明は、政府全体としての考え方のように聞えるわけですね。所管の農林省としては、政府手持ち飼料に対する十月以降についての方針あるいは態度というものは、どうなっておりますか。
  80. 檜垣徳太郎

    ○檜垣説明員 ただいま御説明を申し上げましたとおり、農林省としても、実は最終的にこういう案で政府内部に対する農林省の意向を表面したい、あるいはそういう態度を公表したいというようなことは、きまっていないのでございます。私どももそういうような点については慎重を期す必要があると思いまして、来週、飼料審議会の委員の諸先生に、一般に飼料問題についての御意見を伺う席を拝借しまして、審議会の懇談会の形式をもちまして御意見も求めました上で、農林省としての最終の考え方をきめるように、またそういう段階で上司の御指示も仰ぎたいというふうに考えております。
  81. 芳賀貢

    ○芳賀委員 局長も御承知のとおり、いま国会は閉会中なんですね。それで、月一回は定例委員会を開くことになっておって、今月はきょうの委員会で一応予定は終わるわけなんです。来月の場合には、先ほどの理事会において、十月九日に定例委員会を開くということになったわけです。国会の開会中であれば、こちらも厳重に監視しておるからして、まさかあき巣ねらいみたいなことはさせないが、たまたま閉会中にはいまの政府は何をやり出すかわからないのですね。ですから、この機会に、十月一日を前にして、一体政府としては、まだ大蔵省もおるだろうし、考えがきまらぬということになるかもしらぬが、農林省自身が、この飼料対策、特に価格対策については、一貫して、先般の国会を通じて大臣が言明された、今年度はこの食管のえさ勘定の中では値上げをするという予定にはなっておるが、しかし、政策上これは値上げをしないということで進みますということを、しばしば委員会においても言明しておりますし、特に三月二十六日の当委員会においては、委員会としての議決を行なって、飼料対策の重要性というものを第一項で指摘して、飼料政策の根本的な再検討、確立を必要とする、当面の問題としては、政府手持ちの飼料については、すみやかに価格の引き下げを行なって、飼料価格全体の価格安定並びに需給の安定を期すべきであるということを委員会の決議をもって明らかにしておるわけです。その際、政府としても、委員会の決定についてはその趣旨を尊重して、十分これを実行しますということが確約されておるわけですからして、まさか委員会に局長が来て値上げをしたいなんということは言えるはずもないし、一番大事なことは、農林省としては、十月以降においても政府手持ち飼料については現行どおりこれを実行していくということがこの際明らかにされれば、それで畜産関係一般の関係者においても安心できるんじゃないかと思うわけです。その点だけをこの際明確にしておいてもらいたい。
  82. 檜垣徳太郎

    ○檜垣説明員 現在の段階におきまして、十月以降の専増産ふすまの価格を引き上げる、あるいは据え置くということを申し上げるだけ、この問題について検討が進んでおりませんので、本日そういう点について言明をいたしかねます点は、ひとつ御了承をいただきたいと思いますが、いずれにしましても、この問題の扱いについては、従来の経緯も十分私どもも承知をいたしておりますので、慎重に扱いたいというふうに考えます。
  83. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この問題は、たとえば、いま農林省としていろいろ対策を練っておる酪農の基本政策の具体的な確立あるいは制度化の問題等についても、四十年度予算概算要求との関連で相当努力されておると思うわけです。そういう大事な時期に、政府の手持ち飼料をそろばん上上げるというようなことがあった場合においては、これはゆゆしい問題が惹起されると思うのですよ。たとえば、食管の当初予算において、ことしからえさ勘定は独立されたわけですが、それには相当額のえさ勘定における予備費もあり、予算が値上げしないことによって足らないということであれば、われわれとしてはすみやかに臨時国会を開けということを要求しておるわけですが、政府としても、いかに延ばしても、十一月には臨時国会を召集するということになると思うわけです。その場合には、当然今年度の生産者米価の引き上げに伴う、少なくても八百五十億円の食管会計における補正予算の問題であるとか、あるいは災害対策の予算であるとか、あるいは国家公務員の人事院勧告の全面実施の問題であるとか、そういう一連の、この年度において国会で予算の補正をするということは必至の問題になっておるわけです。ですから、予算上えさの値段を上げなければならぬということは理由にならないですよ。しかも局長は、いまの飼料需給安定法というものは、価格面の安定が主ではない、需給面の安定というものをねらいとしておるということを言われましたが、これは単に需給が安定すればいいという問題じゃない。価格とあわせて需給が政策的に安定するということが制度のねらいであるわけです。そこで、政府の輸入ふすまあるいは専増産ふすまの値上げが行なわれたということになれば、それがやはり動機となって、一般飼料の値上がりは避けることはできないと思うのですよ。だから、政府が今年度予算で値上げの方針を持っておっても、実行上は大臣が値上げをしないと言ったことは、やはり政府の手持ち飼料というものは、政策的に価格面においても扱う必要がある、いわゆる政府の手持ち飼料の価格は政策価格であるということを言っても差しつかえないと思うのです。だから、これが一般の需給上の理由によって、一般の飼料が上がるから、政府の飼料もそれに伴って上げなければならぬということは、政策価格のたてまえからいっても理由にならないと思う。だからこの際、畜産政策について相当積極的に、今後政府として責任を持って進むということであるならば、当面したこの下半期の政府飼料等についても、値下げができないとするならば、少なくとも据え置きにする、値上げしないという方針をこの際明らかにしておく必要があると思うわけです。ぜひこれは局長から直接決意のほどを述べてもらう必要があると思いますし、あなたが、これはどうしても重大問題だから答弁できないとすれば、来月九日まで委員会が開かれないわけですから、本日IMF総会に大臣が出ておるとしても、直ちに時間をさいて来てもらって、この問題だけは農林大臣の責任において明らかにしておいてもらいたいと思うわけです。
  84. 檜垣徳太郎

    ○檜垣説明員 お話にございました、私のお答えが十分でなかった点があったかと思いますが、政府操作飼料の役割りが需給の安定だけだというふうに申し上げたつもりは実はなかったのでございまして、需給の調整を通じて価格の安定をはかることがおもであるというふうに私どもは理解をしておるということを申し上げたのでございます。また、そういう需給操作のため政府が決定し、あるいは予定をいたします価格というものは、これは政策的な意味を持つ価格であるべきだという点は、私もまさに先生のおっしゃるとおりであると思います。ただ、政策的な価格にいたしましても、それはどのような水準の価格が妥当であるかという問題は、やはりそのときにおける飼料の需給事情、価格事情等も考えてやる必要があると思われるのでありまして、非常に簡単にものを申しますと、政府の政策価格が極端に安価であります場合には、限られた数量のものに、政府操作飼料に需要が集中をするというようなことがあります。また、この価格がある適当な水準を越えた高値になりますれば、これは需給操作の能力を失うわけでございますので、本来ならば法律のたてまえも、一種の競争入札制をとっておるということの中にもありますように、ある時期における需給関係で想定される均衡的な価格というものが一つ考えられますが、その価格そのものである必要はないと思います。むしろ、そういう需給の均衡がはかられる際に、安定的な価格形成に役立つような価格というものを考える必要があるのではないかというふうに思っておるのであります。  最後の御質問でございます、据え置くかどうかはっきりしろということでございますが、現在の段階で、私からこの問題について言明をすることは、残念ながらいたしかねますので、その点は、当委員会の御決議なりあるいはただいまの芳賀先生の御意見等は、私どもも十分念頭に置きまして、慎重に処理をするようにいたしたいというふうに思います。
  85. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それでは来月の九日に委員会が開かれるわけですから、その九日までの間は、少なくとも価格改定をするようなことは絶対ないということは約束できますか。
  86. 檜垣徳太郎

    ○檜垣説明員 先ほど申し上げましたように、十月以降の問題は政府内で相談しますということになっておりますので、十月の最初の売り渡しの時期をいつにするかということとも関連をいたしますが、私どもとしては、十月九日に当委員会が開かれるといたしますれば、当委員会にその結果を報告いたしました上で、実行するようにいたしたいと思います。
  87. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それはちょっとおかしいんじゃないですか。報告という場合には、下げますという報告もあるし、据え置きしますという報告もあるし、あるいは値上げしますという報告もあると思うのですね。ここで問題にしておるのは、今年度中は——これは将来は上げていいというわけじゃないですよ。しかし、大臣のしばしばの言明とか、あるいはまた当委員会の決議の尊重という線からいっても、この年度において政府の手持ち飼料を上げるということに対しては、これは行なうべきでない。したがって、大蔵省等においては、えさ勘定の予算の方針の関係もあるので、最初からこれを上げたかったんでしょうけれども、いままでは上げないでおるわけですが、この下半期を契機にして、上げなければならぬというような相当強い態度が、大蔵省から出されておることをわれわれは知っておるわけです。ですから、力関係からいうと、残念ながら、大蔵省を説得したり屈服させることは、いまの農林省の力では至難だと思うのです。そのために、われわれが応援団というわけではないが、絶えず農林大臣や各局長の援護射撃の側に回って、いい政策を進めるのであれば一生懸命でやりなさいということで、われわれはそういう善意の態度をとっておるわけです。しかし、それが少しも前向きにいかないということであれば、これは断固として責任を追及しなければならぬわけですが、きょう大臣がここに来られればこれは明白にされると思うのですが、あいにく出席されておらないので、政務次官、局長が来ておられますが、きょうここで確約ができないとすれば、少なくとも次回の委員会は、理事会で十月九日にきまっておるので、その機会にさらに政府の見解をただして、そうして値上げが行なわれないようにわれわれとしては善処したいというふうに考えておるわけですから、この点は政務次官からも明らかにしてもらいたいと思います。
  88. 舘林三喜男

    ○舘林説明員 畜産の振興をはかるためには、飼料の需給の安定をはかる、ことに低廉な飼料を提供するということは、一番大きい問題であることは申すまでもありません。したがいまして、先般の国会の論議の過程を通じまして、四月から九月までの飼料につきましては、御存じのとおり、六百十七円でございますか、前年どおりに据え置いたわけでございます。そのときも、たぶん大臣といたしましては、私その席におりませんでしたが、一年間は必ず前年どおりやるということのお約束は申し上げていないと私は思うのです。やはり当分の間と申しますか、とにかく飼料の価格を決定するのは、半期、半期きめますから、一応四月から九月までは六百十七円にしようということだと思うわけです。したがいまして、今後どうするかにつきましては、いま局長がお答えいたしましたとおりでございまして、現在政府の操作している飼料は、局長から承りますと、大体三分の一程度、あとの三分の二は一般の市場に流れているというような立場から、一般の飼料市場は何か一かます六百八十円ぐらいで、非常な値開きがあるようであります。そのために、政府操作手持ちのふすまに対しまして需要が集中しておるようであります。そのために、流通過程におきましてもいろいろめんどうな問題が起こっておりますし、また需給の均衡という点からいっても、いろいろ欠点があるようでございまして、そんな意味で、やはり今日はたして六百十七円の上半期の価格を下半期に持ち越すかどうかということにつきましては、農林省といたしましても、非常に苦慮をしておるわけなのであります。したがいまして、近日中に法律に基づきます飼料需給安定審議会でございますか、そこにかけまして決定いたしたいと思います。やはりわれわれといたしましては、十月一日には当然きめなくちゃいけないことでございます。したがいまして、芳賀さんの御趣旨等は大臣に直接詳細お伝えいたしますし、また、飼料審議会の懇談会の過程におきましても、十分芳賀委員の御趣旨をお伝えして、できるだけ趣旨に沿いたい、これ以上はここで、私大臣ではありませんから、お答えいたしかねます。
  89. 芳賀貢

    ○芳賀委員 私の言っているのは、ここで次官並びに局長から明確な確約ができないとすれば、次回の委員会というのは期日がきまっておるわけですからして、それまでの間に、いやしくも一方的な値上げをするというような不信行為だけはすべきでない。ですから、次の委員会において、大臣にも出席してもらって、価格問題あるいは今後の飼料政策等に対しては、その機会に政府の所信というものを明らかにされるべきではないかという点について、約束ができますかということを言っておるのです。
  90. 舘林三喜男

    ○舘林説明員 農林省といたしましては、先ほど申し上げましたとおりでございまして、皆さん方の御意見も十分尊重いたしまして、また飼料需給安定審議会でございますか、そこにおきましても、皆さん方の御趣旨を伝えて、できるだけ皆さん方の御趣旨に沿いたいということをお答えするだけでございまして、委員会がもし開かれました場合にどうするかということは、委員会自身の自主的な御判断におまかせいたしたいと思います。
  91. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これはくどいようですが、三月二十六日に「酪農振興対策等に関する件」の委員会決議が行なわれておるわけです。「政府は、酪農等振興の緊要性にかんがみ、生産者の生産意欲が一層向上されるようすみやかに左記各項の実現に努めるべきである。」そのうちの第一項として、「酪農経営の安定のため、現行の飼料政策を根本的に再検討するとともに、この際、特に政府手持飼料価格の引下げに努め、政府管理の飼料確保に努めること。」こういう決議が行なわれておるわけです。これに対して、政府としては、委員会の決議の趣旨を尊重して十分善処いたしますということをこの委員会で言明しておるわけなんです。だから、その委員会の議決の尊重ということは、何も不当な議決をしておるわけではないからして、政府も尊重しますということを明確にしておるわけですから、これは国会が閉会になれば効力がないというものじゃないでしょう。その点はどうですか。しかも大臣も変わっていない。赤城さんが今度は再任されたわけで、おれは方針が変わったなんてことは、先般も何も述べていないわけなんですよ。まさか委員会として、これは心配だからもう一回決議するなんて、そういうふまじめなことは、委員会としては権威にかけてもできないですからね。それが尊重されないということになれば、これは国会軽視ということに当然なるんですよ。国民に国会が信頼されないんですよ。国会がきめたことを政府が尊重すると言って、閉会中のあき巣ねらいで、またそれをくつがえした不信行為をやっているということになれば、これはやはり国会の威信というものは失墜するということになるのです。だから、政策的な価格だから、米価の引き上げに伴って補正予算もやらなければならぬ、人事院勧告に基づいて公務員の給与引き上げのための補正もしなければならぬ、あるいは新潟地震等を中心とした災害対策ために必要な予算の補正をしなければならぬ、こういう時期にきておるわけですからして、たとえば食管のえさ勘定の中で、当初の方針と違って値上げができなくて、その分だけ赤字になるというような場合においては、予備費でこれが処理できなければ、当然補正予算の機会に是正する機会が近くあるわけなんですからして、何も無理に上げなければならぬということはないと思います。こっちも一歩譲って、きょうはっきり確約できないのであれば、次回の十月九日の委員会に大臣がみずから出席されて、そうして従来の方針を実行する、委員会の議決を尊重するということを明確にしてもらえば、それでいいわけですから、次の委員会までに変化を来たさないということの約束だけはできますかということを聞いているわけです。
  92. 舘林三喜男

    ○舘林説明員 国会や委員会の御決議あるいは附帯事項等も、もちろん、われわれ農林省といたしましては、絶対に尊重いたすことは申すまでもないことでございます。さようなたてまえから、ことしの四月から九月までは、予算にかかわらず六百十七円に据え置いたわけでございます。しかし、十月以降来年の三月までをどうするかということにつきましては、六百十七円を固執しなければいけないとは私は思わない。もちろん、私も農林省の立場から、飼料の安いということはなお希望いたしますけれども、やはり役所としての立場から、六百十七円をどうしても堅持しなければいけないとは思わない。しかし、できるだけ安い価格で決定いたしたいということは、皆さん方と全く同じ意見でございます。したがいまして、十月一日からの新しい価格につきましては、いま局長からの話によりますると、必ずしも九月三十日までにきめなくてもいいということでございますから、ことしの十月九日に、この問題につきましては経緯等を十分御説明申し上げたい。
  93. 芳賀貢

    ○芳賀委員 だから、先ほどの肥料問題の場合も、法律には、一年ごとに、単年ごとに価格を決定しろと書いてないから、三年でも一カ月でもかまわないというような、そういう答弁ですね。また、この場合も、大臣は一年と言わなかったから、半年後に変えてもいいじゃないかというような、一貫性のないそういう態度というものは、われわれから見ると、どうも三百代言的にしか見えないのです。こう言わなかったからこれでもいいというような態度はいけないです。まっこうから取り組むくらいの気魄がないと、質疑をしても、何だかたよりなくて、そういう点は慎んでもらいたいと思うのです。舘林さんのほうからその点もう一度……。あなたは何でも役人の言うことを裏づけすることばかり言っているが、せめて答弁だけでももう少し気のきいた答弁をしてもらいたい。
  94. 舘林三喜男

    ○舘林説明員 先ほど申し上げましたとおりでございます。十月九日に委員会にかけます。
  95. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それで了承いたしました。  次は、先月の十日の委員会において、畜産局長から、市乳一升二十円値上げに伴う生産者に対する乳価の配分問題について、概要の報告がありましたが、あの時期においては、まだ各都道府県において詳細でないという説明でありましたので、われわれとしては説明の聞きっぽなしということで終わったわけでありますが、そのまま一カ月たった今日ですから、全国各都道府県において、この二十円値上げというものはどういうような配分で処理されたのかという点について、前回よりももう少し詳細に説明願いたいのと同時に、この際、都道府県ごとの配分の状態がどうなったかという点に対する資料をぜひ各委員に配付を願いたいと思うわけです。  それからもう一つ、これは委員会の決議ということになりますが、六月二十六日の当委員会において、市乳二十円値上げに伴う配分の問題に対して委員会の決議を行なっておるわけです。これは局長も御存じのとおり、こういう内容になっておるわけです。これは自民、社会、民社三党の共同提案ですが、牛乳販売価格の値上げに伴なう生乳生産者に対する配分に関する件として、「政府は、諸物価抑制の際にもかかわらず、六月一日以降、小売牛乳の値上げを認めたが、その値上げ部分の配分については、とくに酪農振興の見地から、左記事項について格段の努力を払うべきである。」「一、飲用牛乳の値上げ部分については、その五〇%を生乳生産者に配分するよう措置すること。二、原料乳地域の生乳生産者乳価については、加工乳、乳飲料等の値上げの現況にかんがみ、右に準ずる措置を講ずること。」これは六月二十六日に決議になっておるわけであって、委員会として関心を持っておるのは、一升二十円値上げ、その五〇%ということになると、少なくても一升最低十円の分については、これは牛乳生産者に対して乳価の値上げという形で適正に配分すべきである、こういう趣旨の決議でありますが、先般の報告によると、この点が非常に不徹底であります。これは当然政府が閣議を通じて二十円程度の値上げを認めるということになったわけでございますし、もう一つは、この配分については、農林省が主体になって善意の指導を行なって、少なくとも二分の一の価格部分についてはこれは生産者に配分されるように行政的に指導する、こういう言明も行なわれておるわけですから、この事態がどうなっておるかという点。それからもう一つは、この配分が適切に行なわれない関係もありまして、たとえば兵庫県、静岡県、茨城県等においては、知事に対して酪振法の規定に基づいたあっせんあるいは調停の申請が出ておるわけでございますが、これが一事をもってしても、今回の二十円値上げに対する配分というものが適切に行なわれていないと思う。しかも農林省指導というものは、非常に不十分、不明朗であるというそしりは免れないと思うわけでございますので、この点に対して、従来の経緯並びに最終段階においてはどういうふうな適正な処理をやるかということについて、局長から詳細に説明してもらいたいと思います。
  96. 檜垣徳太郎

    ○檜垣説明員 前回の当委員会におきまして御報告申し上げました以後の事情を御説明申し上げ、また御質問につきましてお答え申し上げたいと思います。  飲用牛乳の二円値上げに伴いまして、すでに先生も御承知のように、メーカーは卸売り価格において一円十銭、地域によりましては一円二十銭の値上げを行なっておるわけであります。そのうちから生産者側に還元される額がどういうことになっておるかということをかいつまんで御説明申し上げますと、関東市乳圏——私どもは関東市乳圏と呼んでおるわけでございますが、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、山梨、この地域では一・八七五キログラム当たり、つまり一升当たり六円の生乳価格の引き上げをメーカーから提示をいたしておるのであります。それから中京及び関西市乳圏、岐阜、静岡、愛知、三重、滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山、岡山、広島、山口、香川、徳島につきましては、一・八七五キログラム当たり六月ないし九月八円、十、十一月が六円、十二ないし三月が四円、年間平均六円、それから九州につきましては、ここは用途別の取引がございますので、市乳の地域につきましては一・八七五キログラム当たり八円ないし十一円、宮崎は市乳向けが四円、加工向けが一円という提示になっております。それから中間地帯、これは市乳圏と加工原料乳地帯との中間的な地帯に当たります福島、長野、山形は、一・八七五キログラム当たり四円ないし五円、加工乳地帯、北海道、青森、岩手、鳥取島根、愛媛の各加工向けにつきましては、一・八七五キログラム当たり三円、市乳向けは五円ないし六円というふうになっておりますが、なお、用途別価格をとっております高知県は、一・八七五キログラム当たり六円ということに相なっております。  こういう提示が行なわれまして、当事者間でそれぞれ地域の需給の事情、乳製品向けあるいは市乳向けの比率が非常に違うわけでございますので、そういう需給事情に応じて当事者間の交渉が進められてまいっておるのでございますが、その交渉の結果を——乳業者は非常に数が多いものですから、私のほうでもそれを全部押えることはほとんど不可能に近いのでございますが、いわゆる大手四社、明治、森永、雪印、協同の大手四社の交渉の進捗の状態を報告を受けましたものを申し上げてみますと、現在なお交渉中の団体数、これは団体数で出ておりますが、団体の数で申し上げますと、二・八%が交渉中である。妥結を見ましてはっきり契約の成立いたしましたものが団体数で六四・八%、あとの二三・四%というものが交渉としては終結をしたという形になっておるわけでありまして、この数字から見ますと、四社に関する限りにおきましては、大体九〇%に近いものがほぼ合意の段階に達したというふうに見受けられるのでございます。  そこで、この交渉中のものの中に、御指摘もありました静岡県と兵庫県が正式に、静岡については知事の調停申請が行なわれ、兵庫については知事のあっせん申請が行なわれておるのでございます。これらの県につきましては、それぞれ当事者の主張を聴取いたし、また当事者の話し合いというものの場をあっせんし、できる限り当事者間の合意に達するようなことについて、行政的な介入を都道府県知事においてやっておるわけでありますが、私どもも、問題は、かなりその地域の事情に基づいた一種の乳価紛争の形をとっておりますので、農林省としまして、都道府県に対して合理的な解決に至るよう協力をし、指導をしてまいっておるところでございます。  なお、この牛乳二円の値上げに対しまして、値上げ部分の五〇%を生乳生産者に配分をするよう努力せよ、こういう御決議がございまして、私どももその御趣旨を尊重して、できるだけその線に沿った指導を加えたいということをお約束を申し上げたのでございますが、御決議がありまして一もともと御決議をいただく前から、私どもとしては、できる限り乳業者の取り分というものは減らして、農家に還元するようにしてもらいたい。それが今回の牛乳価格の値上げを政府として、法律上の承認ではございませんけれども、やむを得ないものと認めたゆえんであるからということで、指導してまいったのでございますが、御決議のあと、直ちに乳業者の代表を招致いたしまして、御決議の趣旨を伝え、その線で交渉を進めるように理解を求めたわけであります。先ほど申し上げましたような地区別の値上げ額というものに、三十八年の地区別の牛乳の生産量なりあるいは販売量なりというもののウエートを前提として置きまして、試算をいたしてみますと、結論といたしまして——これは非常に大ざっぱな試算でございますので、実はこれが真実そのものであるというふうに言う勇気はございませんが、一つの試算としての結果にすぎないということをあらかじめお断わり申し上げて、御説明をいたす必要があるわけでありますが、その試算をいたしてみますと、牛乳一升につき二十円の値上げをいたしましたうち、生産者に還元されました総額は一升について九円九十銭、メーカーのところへ残っておりますものが一円十銭という勘定になるということでございまして、総体の還元総額から申しますれば、ほぼ五〇%に近いものが農家に還元されておるのではないかというふうに見ておる次第でございます。
  97. 芳賀貢

    ○芳賀委員 そうすると、全国的の配分率からいうと、生産者が一升について九円九十銭、メーカー側が一円十銭、それから小売り店が九円、こういうような内容になるわけですか。まだ妥結に至らないところも大体見通しとして計算に入れて、そういうことになりますか。
  98. 檜垣徳太郎

    ○檜垣説明員 大体そういう姿になっておると私どもは試算をしております。
  99. 芳賀貢

    ○芳賀委員 なお、これは年間通じての値上げ地域と、あるいは夏場に一応限定して、冬乳価についてはそれよりまた数円下げるというような、そういう数種類の決定が行なわれておると思うわけです。その点どうなりますか。通年的に一本で上げたところと、それから時期的に区分しておるところと……。
  100. 檜垣徳太郎

    ○檜垣説明員 私どもは終始、今回の市乳価格の値上げに伴います生産者価格の引き上げは、これは飲用乳という年間通じて一定の価格で販売されるものの還元であるから、これはその部分については通年の値上げにすべき性質のものであるという指導をしてまいったのでございますが、先ほど申し上げましたように、年平均いたしますと、年平均の価格としては一定の数字になるが、その地方の需給の季節的な事情を反映して、季節間の落差をつけておるというところは、先ほど申し上げましたように、特に西のほうの地域にあるわけでございます。それからこの市乳価格値上げに伴います生産者価格の引き上げ以前に、いわゆる中央調停による妥結以降の需給事情に基づいた、例の引き下げ価格の復活の問題が残っておるわけでありますが、その点につきましては、私どもも需給事情いかんということにかかるのではないかと思っておりますが、もとより、私どもとしては、乳の価格について安定的な推移をたどることが、農家の側から見まして最も望ましい姿であるという点についての考え方は、一貫をしておるつもりでございます。
  101. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この点は、局長、非常に大事な点ですが、一升二十円値上げ分については、小売り価格が引き下げにならない限り、二十円はずっと通年、何年も高く売るわけですから、その面の分配だからして、これは季節的に変えるべきではない。やはり通年的であるということは、これは局長の言われることがもっともな説明ですから了承しますが、ただ、その場合、その配分率ですね。たとえば生産者九円九十銭というのは、通年的に平均した場合にこうなるということですか。現在の夏場の時期において九円九十銭になるということか。これはたとえば具体的に申し上げると、北海道あるいは東北の  一部については、この配分は夏場の時期については一升が三円、冬場については一円ということになっているわけですね。だから、通年ということになれば、これは二円平均の配分ということになるわけです。その場合、地域によって五円のところもあるし、九円のところもあるわけですが、それをどういうふうに計算して配分率五〇%となっておるのか、その点はどう計算しておりますか。
  102. 檜垣徳太郎

    ○檜垣説明員 北海道及び東北の一部の、原料乳地帯につきまして、絶対額として、夏冬の価格について二円の落差をつけて妥結したということを承知をいたしております。ただ、今回の市乳価格の値上げに伴います加工乳の生産者価格の引き上げは三円である。その三円分は通年三円を上げたものであって、絶対額としての二円の値下げの問題は、これは当事者の理解のしかたでございますが、私どもは、おそらく当事者における理解のしかたとしては、今回の値上げ以前の夏季価格というものが、冬場になって引き下げられるという点について、了承をし合ったものというふうに理解をいたしておるのでございます。
  103. 芳賀貢

    ○芳賀委員 いや、その点はちょっと違うのですよ。これは北海道の事例でいくと、三十九牛乳年度は、通年的に一升五十五円ということになっているのです。それに今回の二十円値上げの配分を、夏場については一升三円、つまり五十八円、冬場については一円だから五十六円と、こういうことになっているわけです。だから、局長の言われる、二十円分はこれは小売り価格を上げたのだからして、それは通年的に、価格をまた下げた場合は別としても、変化があるべきでないということになると、この点がちょっとあいまいになるのですよ。
  104. 檜垣徳太郎

    ○檜垣説明員 私どもは、東北、北海道を含めまして全国的に今回の飲用乳値上げに伴う生乳価格の引き上げは、当然通年の引き上げであるべきだということで、乳業者も都道府県も、あるいは生産者団体も、いずれもこの点について異論はなかったのであります。現在も異論はないのでございまして、東北、北海道におきます絶対額として、冬場の価格に二円の差があるというのは、引き上げ以前の、例の夏価格と称して三月以降上げられました二円の問題の扱いについての理解であろう、そう考えなければ私どものほうではどうも考えようがないというふうに思うわけでございます。
  105. 芳賀貢

    ○芳賀委員 局長も御承知のとおり、三十九年の四月一日からは、政府の原料乳の告示価格が一升五十五円ですからね。だから、分配がなくともこれ以下に下げるわけにいかないのですよ。この告示価格は支持されなければならぬたてまえになっておるわけです。だから、最低の五十五円というものを基礎にして、今回の配分が、たとえば北海道あるいは東北の一部の県は三円の配分があった。東北でも五円のところもありますが、その場合には、最低の基礎乳価というのはこれ以上下げるわけにはいかないんですよ、冬場になっても。五十五円というのは最低限ですからね、その上に三円の配分があったとする場合には、この配分額は三円であっても、これは通年的なもので、途中で減額すべきでないということになれば、結局五十五円プラス三円というものは、五十八円で年間続かなければならぬということに、これはどう考えてもなるわけなんですね。それが夏場は五十八円、冬は五十六円ということになれば、三円は動かないとすれば、政府の告示価格が二円程度下回るということになるのですね、基礎価格というものが。そこにこれは問題があるのですよ。こういう点は畜産局として運用上どう指導したかという点は、やはり責任を問われる問題だと思うわけですね。
  106. 檜垣徳太郎

    ○檜垣説明員 私ども指導をいたしました基本的な方針として、ただいま申し上げましたとおり、飲用乳の値上げに伴う生乳価格の引き上げは、これはもう通年の引き上げとして扱うべきであるということを終始指導してまいったのでございまして、ただ先ほどちょっと申し添えましたが、年間価格が変動しないことは、ある意味で私ども非常に好ましいことであるというふうにも考えますが、一面また、需給事情が価格というものに関係を持ち、また価格が需給事情に対して貢献をするということも、合理的な考え方に立つならば、私はむしろ考えていいのではないかというふうに思っておるわけでございます。ただ、そういうことが容認されますためには、やはり生産者の側では、そういう年間を通じる価格、それがあるいはある落差を持つということについて理解を持って、そういう心がまえでの生産を営むということがなければならぬというふうに考えておるのであります。また、そういうふうに私は指導をしてまいっております。  なお、お話しのように、本年の加工原料乳の安定基準価格が五十五円でございますので、従来の北海道の取引価格が五十五円であった、少なくとも三月以降は五十五円であったということからいいますと、今回の値上げなかりせば、あの法律に基づく恩典を受けようとするメーカーは、少なくとも五十五円を割って買うことはできないということになることも、これは法律上当然なんでございます。実は私どもも五十五円という価格をきめました際に、これは相当問題が将来起こり得る価格であるということは承知の上で、現在の生産状態から、五十五円という線は少なくとも生産者のためにきめるべき水準であるというふうに考えたのでございますが、今回の値上げによりまして、その問題についてのある程度の弾力性が与えられたということは、これは経緯から見て事実であろうと思うのであります。北海道についての価格の今回の絶対額の取りきめにつきましては、これも北海道の中でも、若干地域によって価格に格差があるようでございますけれども、従来の夏価格の扱いについての了解が、ああいう妥結になってあらわれたのではないかというふうに理解をいたしておるわけであります。
  107. 芳賀貢

    ○芳賀委員 これはまたあとでよく局長から全国の事情を調査してもらえばいいわけですけれども、とにかく三十九年度政府が告示した最低価格は一升五十五円である。これはもうメーカー側も生産者も十分承知の上なわけですが、その後に、一升二十円小売り価格が引き上げになったわけですからして、この配分というものは、引き上げ総額の半分を少なくとも生産者側に配分すべきである。したがって、配分の内容については、主たる原料乳の地域と主たる加工乳の地域によって配分の差異があることは、現状においてそれが絶対いけないということは言えないとしても、二十円の引き上げが今後続く限り、この配分額に変動がくるということは何人も了承できないと思うのです。だから、この点、結局五十五円の基礎乳価がまず基礎になっておるわけですから、その上に三円配分されるとか、一円配分されるということは、現在の取引価格の状態で明確になるわけです。だから、局長が明らかにされた二十円値上げ分の配分は、季節的なものではない、あくまでもこの小売り価格が継続する限りは、これは通年的なものである、あるいは永年的なものであるということは、これはもうそのとおりなわけです。だから、この線から逸脱するような取引や契約が行なわれた地域に対しては、十分適正な指導をやってもらう必要があると思うわけですか、これに対してはどうお考えになるか。
  108. 檜垣徳太郎

    ○檜垣説明員 今回の市乳の値上げに伴います生乳の値上げ、つまり、値上げ分の農民への還元額というものは、これは市乳の価格に変動がないのでありますから、それが通年的なものであるべきだという点は、何度も申し上げておるとおりでございまして、したがって、今後におきましても、このために配分をいたしましたものをメーカーの側で引き下げるというようなことについては、私は適当でないと思う。ただ、先ほど申し上げましたように、たとえば西の方で取りきめておりますように、年間六円という平均の価格引き上げをやるが、その季節別配分について了解できるある落差を設けるという方法も、これは一つの考え方であって、認められてしかるべきであるというふうに思っておりますが、基本的にこの通年値上げとして与えらるべきものが侵されるというようなことがございますれば、私どももそれは道理に反することであるということで、強い態度指導を加えたいというふうに思っております。
  109. 芳賀貢

    ○芳賀委員 それで大体わかりました。  あと資料の点については、先ほど言ったとおり、決定した都道府県については、配分額を含めた都道府県別の乳価の契約された内容、あるいは時期的に差異が取引乳価においてある場合においては、その点もあわせてわかりやすい資料をぜひお出し願いたいと思います。  もう一点、最後にお尋ねしておきたいことは、ことしは北海道を除いては異常の高温でしたからして、飲用乳等についても、アイスクリームについても、需要は相当大幅に伸びたわけですが、これは消費拡大の点から見れば好ましい状態でありますが、これに関連して、学校給食用の脱脂粉乳が市乳の還元の材料として相当横流しされたという事実、それからすでに輸入された学校給食用の脱脂粉乳において、すでに六千トンの不良品が、給食には供されないということで処理されておるということをわれわれは承知しておるわけですが、この間の事情はどうなっておりますか。不良品ということで六千トンも学校給食の用途から除外された。その場合の用途がどういうふうになったか。大部分はこれは還元牛乳の材料として使われたというふうにわれわれは聞いておるわけでありますが、この点は、監督の立場にある局長においても、実情を把握されておると思いますが……。
  110. 檜垣徳太郎

    ○檜垣説明員 学校給食用に輸入しました脱脂粉乳について、若干量の不良品が出たことは事実でございます。ただ、六千トンというような膨大なものではございませんで、私どもが承知をいたしておりますのは、三百八十トン程度のものでございます。このものにつきましては、御承知のように、本年ごく短期間でございますが、脱脂粉乳の需給の関係から、かなりいい値段が出た時期があるわけでございますが、そういうような需給の事情もございましたので、この事故品について、厚生省の衛生行政の立場から、容認される限度の事故品につきましては、アイスクリーム製造業者等の小口の実需者団体に払い下げる措置をとったのでございまして、私どもの知る限りでは、これが還元乳のための原料に使われたということはまずあるまい、あの事情のもとではそういうことはちょっと考えられないというふうに思っております。  それから学校給食用に輸入しましたものが、本来の用途以外のものに横流れをしておるというようなお話は、実は私どももうわさとしては聞いておるのでございますが、これは明らかに関税法等の法律上の違反でもございますし、また、そういうことが行なわれますれば、国内における乳製品等の流通の秩序を乱し、また国内の酪農業にも悪影響を及ぼすものでございますから、そういうような事実について確たる根拠を握りますならば、私どももしかるべき措置をとりたいということで、都道府県でありますとか、あるいは文部省にも連絡をいたしまして、そういうような事実というものの把握をいたしたいと思っておりますが、現在までのところ、どうも現実にそういう品物の流れがあるという事実がつかめないという状態でありますので、今後もなおその点について文部当局とも協力いたしまして、監視をいたし、また、そういう不正の事実の発見をしました場合には、私どもとしてしかるべき措置をとるというふうに進めたいと思っております。
  111. 芳賀貢

    ○芳賀委員 脱粉の給食用配分は、都道府県単位に三カ月分ずつを一括して配分することになっておるわけであります。だから、その場合、相当量が都道府県単位に配分されるわけでありまして、実情は児童、生徒があまりそれを欲しないわけでありますから、そういう理由もあって、その過程においてある程度横流れした事実があるというふうにもわれわれは聞いておる。その証左としては、夏場においてそういう用途外の脱粉が市場に流れてきたために、脱粉の市場価格がある程度停とんあるいは低落して、一方において還元牛乳等にするわけでありますから、当然バター等が必要になるわけであります。それで、バターの市場価格が値上がりした。これは勘ぐった向きかもしれぬが、そういうような点を裏づけするような市場価格の実情も表面に出ておるということも実は聞いておるわけでありますからして、こういう点については、今後局長の言われたとおり、こういう不正に類するようなことが行なわれないように、十分監督を厳にしてもらいたいと思います。
  112. 檜垣徳太郎

    ○檜垣説明員 学校給食等の脱脂粉乳が不正に横流れをしないようにという点については、私ども十分監視をいたしたいというふうに思っております。  なお、ちょっとお話に出ましたが、おことばを返すようでございますけれども、ことしの夏場の乳製品の価格の動向は、脱脂粉乳は例年に比べてむしろ強調ぎみでございまして、バターは終始低調で、バターの値上がりというような現象は一度もございませんでしたということを御参考までに申し上げます。
  113. 高見三郎

    高見委員長 中川君に関連質問を許します。
  114. 中川一郎

    ○中川(一)委員 ただいま当面する政府管理飼料の問題、あるいは生産者乳価の問題、学校給食の問題をそれぞれ御質問がございました。私どもも、政府管理飼料の問題については、値上げをいまの時期にされては非常に困る、昨年の乳価決定のときにも、今年の乳価決定のときにも、値上げをしないにもひとしいような、わずか二円しか上がっておらない、そういった時期に、物価値上がりその他を考えても、飼料だけ上げられたのでは、もう参ってしまうというのが酪農民の声であります。これは十月九日の委員会にかけられるそうでありますから、これはひとつ政府において善処方をお願いいたしたいと思います。  市乳の乳価の配分の問題についても、もう繰り返して申し上げません。私がここで御質問を申し上げたいのは、池田総理並びに農林大臣あるいは畜産局当局において、酪農振興について非常に力を入れておられる。この点については、大いに敬意を表し、また感謝をいたしておるわけでありますが、一体農林省当局は、この牛乳の問題について、主食としての考え方を持っておられるのかどうか。私どもは、米と同様に食糧の中の主食として、これの振興をはかっていかなければいかぬというふうに考えておるわけでありますが、この食糧の長期的な見通しの中における牛乳、酪農品というようなものについて、どういったウエートを政府はいま考えておられるかという点について、まず御質問をいたしたいと思います。
  115. 檜垣徳太郎

    ○檜垣説明員 牛乳、乳製品についての食品として、の位置の問題でございますが、国民の所得水準が向上いたし、それに伴って生活水準が上がってまいるということになりますと、動物性たん白質の摂取量がふえてくる、なかんずく牛乳、乳製品の需要がふえるということは、これは世界的な経験の上で明らかであります。そこで、牛乳を主食として考えておるかという御質問でございますが、主食という意味のとり方もございましょうが、私どもは、将来日本の食生活の中で、日本には米という独特な主食がございますので、欧米諸外国のような食構成になるかどうか、これは疑問があると思いますけれども、米に次ぐ主要な食糧になるだろうということは、私ども考えておるわけであります。  それで、農産物の需要及び生産の見通しをいたします際に、農林省といたしましては、昭和四十六年のころには、日本の国内において要求されるなま牛乳の総生産量は約八百十六万程度であろうというふうに見ておるのでございます。三十九年度の生産量が三百十一万トンでございますから、今後四十六年までに生乳の生産を要する量は、ほぼ二・六倍くらいにふやす必要があるというふうに見ておるわけでございます。私どもはそういう長期の見通しに立って、今後の酪農の振興対策を講じてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
  116. 中川一郎

    ○中川(一)委員 そういう重点的なお考えに対しましては、納得もいたしますし、けっこうだと思うわけでありますが、それでは実態はどうなっておるか。北海道の酪農は北海道の農業の中でも一番重点であり、酪農にたよらなければならない。ことしは冷害の年であり、豆類その他は皆無にひとしいという状況からいきましても、畜産のほうに重点を置いていかなければならぬというわけでございますが、その実態というのは、非常に借金が多い。いま百五十億ともいわれておりますし、一戸平均五十万ともいわれておるような負債に苦しんで、酪農の意欲が落ちるのじゃないか。酪農をやってしおります人は借金が多いのだ、はでなことをやっておるけれども、借金がものすごくあるのだといわれております。この点について、一体酪農振興をやっていく場合に、国は長期低利の資金を見ていかなければならぬじゃないかとわれわれは思うわけでありますが、政府においては、この酪農の基本政策の中に、金融の面についてどういうふうに思っておられるか、今後の金融の問題と、もう一つは、固定化しております百五十億とか、あるいはそれ以上多いであろうといわれる固定化負債については、政府はどういうふうに考えておられるか、この機会にお尋ねしておきたいと思います。
  117. 檜垣徳太郎

    ○檜垣説明員 今後の酪農の振興をはかります際に、根本的には日本の酪農、つまり、牛乳の市場の規模を拡大する必要があるわけでございまして、そういう観点から、私どもも、一つは、すでに制度化されております農業近代化資金の制度によりまして、系統資金に対する利子補給を通じて、経営安定のため資金の確保をはかるという方向を考えておりますほかに、農林漁業金融公庫の貸し出しにかかります畜産経営拡大資金、現在の金利は五分五厘、償還十五年の融資条件に相なっておるわけでありますが、この資金が実は三十八年度に創設をされまして、現在までまだ十分その趣旨が徹底いたしませんこともあろうかと思いますけれども、消化率はあまりよくないのでございますが、これにはまた取り扱い上の難点も若干はあるようでござ養いまして、そういう問題の解決を極力はかりまして、酪農の経営安定化の資金供給の道を開いていきたいというふうに考えておるわけでございます。  なお、酪農経営につきましては、一般の耕種農業と異なりまして、投資というものはかなりかさむわけでありますから、酪農の拡大の時期におきましては、どうしても農家に負債が残るということは、避けがたい一つの運命を持っておるかと思います。そういう負債が非常に負担になってまいるということになりますと、酪農経営についての不安が生じるわけでございますが、これはすべての酪農家がそういうわけではないと私は思いますけれども、何らかの事情でそういう固定負債というものに困るというような場合には、あるいは制度として十分であるかどうかは検討の余地があろうかと思いますけれども、現在自作農創設維持資金制度ということで、これを活用する道が開かれておるわけであります。北海道につきましては、私は数年前に一度、固定負債整理のための自作農資金の運用措置という特別の措置をとった記憶があるわけでございます。これは酪農のみの問題ではございませんで、あるいは農業金融全般の問題かとも思いますが、負債問題については、実情をよく把握をいたしました上で、ただいまの制度で対処できるかどうかということを検討をいたしてまいるというふうにいたしたいと思います。
  118. 中川一郎

    ○中川(一)委員 このように負債が非常に大きくなったという理由は、何といっても、この乳価の決定に問題がある。先ほどお話がありましたように、主食の考え方でいきますと、米のほうにおいては生産費・所得補償方式ではっきり値段をきめておる。それに比べて、乳価のほうはあいまいなというか、五十五円、生産費・所得補償方式にははるかに及ばない乳価で我慢をさせられておるというところに原因があるわけであります。百五十億という金額も計算をしてみますと、ちょうど生産費・所得補償方式といまの価格との間の集計であるといわれておるようなわけでありまして、これから酪農を振興する上においては、乳価の問題が大問題であります。ことしの乳価を決定いたしますときに、いまの制度では乳業メーカーが参ってしまう。そこで、抜本的に酪農振興法なり畜産物価格安定法を改正して、そして農家の人もあるいは乳業メーカーも成り立つような制度にするんだということで、いま畜産当局においては大いに検討いただいておるそうでありますが、われわれとしては、どうか米と同様に生産費補償方式によって、不足払いをしてもらうという制度をぜひやってもらいたいと思うわけでありますが、いま畜産当局がどういうふうに考えておられるか。あるいは差しさわりがあるかもしれませんけれども、いまの考え方を漏らすことができるならば、ひとつこの機会に承っておきたいと思います。
  119. 檜垣徳太郎

    ○檜垣説明員 乳価の支持の制度につきましては、現在畜産物価格安定法に基づき、乳製品価格の安定を通ずる間接支持方式をとっておるのでございますが、この制度につきましては、ただいま中川先生からもお話がございますように、いろいろの難点が考えられるような事態になっておるわけであります。でございますので、私どもとしましては、酪農の将来の健全な発達を期待できる価格制度というものを何らか制度化いたしたいというつもりで、昨年の暮れ以来検討を続けてまいっておるのでございますが、ちょっと現在の段階で、こういうことをやりたいということは、農林省内部におきましても検討が終わっておりませんし、また政府部内としての意見の調整あるいは関係方面との意見調整等も終わっておりませんので、時期として適当でないというふうに思いますが、いろいろ私どもが考えてまいりました過程におきまして、お話に出ました生産費補償方式というのは、これは米という商品と牛乳という商品との違いからいって、直ちにそこまで採用することは、私はむしろ危険ではないだろうかという感じがいたすのでございますけれども、何らか乳価の抜本的な安定策を講ずる必要はある。特に加工原料乳につきましては、乳製品を通ずる国際競争力の問題を考えました場合に、現在の価格制度では対処できないという意見がございますので、加工原料乳の主要生産地域における再生産を確保するような価格を政府として補償をする。一方乳製品の価格は、市場の実勢・というものが支配するわけでありますから、そういう乳製品の予想されます実勢価格というものをもとにした取引価格というものとの間に落差を生じました場合に、これに国が国の責任において価格の補償をするというようなことが一つの案として考えられるということで、そういう考え方を中心にいたしましてただいま検討を続けておるわけでございますが、農林省内部、それから政府内部はもとより、その他の関係方面との意見の調整をはかりました上で、できれば次の通常国会に法案として提案をいたしたいというつもりで、努力をいたしておるところでございます。
  120. 中川一郎

    ○中川(一)委員 もう一つ、何といっても国際競争に勝つような乳価、乳価コストの値下げということも、われわれ大いに考えていかなければならないところだと思われます。そういう意味において、いま畜産局当局のお考えの大規模草地改良、小規模あるいは中規模についても非常に効果があり、大いに喜ばれておりますが、これも負担率の問題がいまやかましく言われております。そこで、この従来の小規模、中規模草地改良に対する負担率の問題、それから今度やろうとしておられる大規模草地改良の、現在農林省で考えておられる案について承りたいと思います。  同時に、草地改良についてもう一つ、せっかくいいことをやっていただきましても、あとの維持管理あるいは試験研究というものが伴いませんと進歩が得られないと思うのでありまして、この維持管理あるいは試験研究についての農林省のお考え方も、この機会に承っておきたいと思います。
  121. 檜垣徳太郎

    ○檜垣説明員 お話のように、酪農の振興をはかりますために、草地の造成改良を行ないまして、優良粗飼料の生産基盤整備することが、最も大事な施策の一つであるというふうに考えておるわけでありまして、従来は市町村営、団体常あるいは都道府県営の草地改良事業について助成をしてまいったのでございますが、大規模な草地改良につきましては、国の力によって開発することが必要であるというふうに私どもとしては考えておりまして、四十年度以降国営の草地改良事業というものを取り上げてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。またその際、これは非常に予算上むずかしい問題になるかと思いますが、私どもの努力の目標としましてほ、小規模、中規模、大規模を通じまして、国の補助率あるいは負担の率というものを、従来の開発途上におきます例等を勘案いたしまして、補助率の充実、引き上げをはかるように努力したいというふうに思っておるわけでございます。  なお、草地の造成後の維持管理については、これは維持管理そのものが草地自身の運命を決定づけるものでございますので、一つは、そういう技術指導の人員についての養成、研修等に力を入れてまいりたいと思いますが、全国の主要な酪農振興をはかり得るような地域について、現在の農地開発機械公団を改組いたしまして、いわゆる建て売り牧場式のものを考え、草地の造成を行ない、利用施設を整備し、家畜を導入して、そこで数年草地の利用、管理、家畜の飼育についての経験を経ました上で、地元に譲渡をするというようなことで、いわばそういう大規模な草地利用による酪農経営というもののモデルを設定していくことも考えてみたいというふうに思っておるわけでございます。  なお、これは私の所管外になりますが、北海道農業試験場には本年度から草地開発部が設けられまして、北海道における草地の造成改良、維持、利用ということについての試験研究が始まるわけでございます。それの充実を私のほうとしても期待をいたしたいというふうに思っておる次第でございます。
  122. 中川一郎

    ○中川(一)委員 時間がございませんので、最後に一点、北海道の原料乳を東京あるいは京阪神地方の大消費地に海上あるいは陸上の輸送をすることがいいのではないか。海上輸送コストがまことにゼロに近いような、きわめて安いもので運んでこられるというわれわれの試算であります。そこで、浅沼さんではありませんけれども、牛乳三合論、大消費地の人々に牛乳を三合ぐらい飲まして、池田さんの言う人づくりのからだづくりをやるべきではないかというふうに思っておるわけですが、その点について、政府のほうでどういうふうに手を打っておられるか。技術的な問題、あるいは経済計算の問題あるいは経済単位にまとまるまでの間の政府の助成措置というものが必要ではないかと思っておりますが、その点についてのお考え方を承っておきたいと思います。
  123. 檜垣徳太郎

    ○檜垣説明員 お話のように、北海道は日本で最も強大な牛乳の生産地であり、したがって、牛乳、乳製品の給源であるわけでございまして、将来予想されます京浜あるいは京阪神というような大消費地の需要をささえますためには、北海道あるいは東北等の主要生産地からの牛乳の輸送ということを考慮せざるを得ないと思うのでございます。北海道はどういたしましても海を隔てておりますので、海上輸送ということがまず考えられなければならないわけでありますが、同時にまた、汽車による輸送ということも検討に値するのではないかというように思っておるのでございます。これが実現をいたします前提としては、輸送の手段についての開発調査、それから輸送するために大量に集乳を要するわけでありますので、集乳の手段、あるいはストックポイントについての施設の技術的な解明、さらに消費地に到着して以後の加工処理工場までの受け入れの施設、方法、そういうことを技術的に解明をする必要がありますのと、経済的な計算がどういうことになるかということを明らかにする必要がありますので、それらのことを中心にしました調査を来年度以降政府として考えたいということで、関係各省ともかねがね御協議を申し上げておったのでございますが、明年度北海道開発庁からただいま申し上げましたような調査に要する経費の要求をしていただくということに政府部内で話がまとまっております。なお、そういう調査ができまして、実行するという段階に至りますれば、そのため政府としていかなる援助、助成をする必要があるかということを、また関係各省とも協議をいたしまして、検討をいたしていきたいというふうに思っております。
  124. 加藤勇太郎

    ○加藤説明員 ただいま畜産局長からお話がございましたが、開発庁といたしましては、市乳を大消費地に潤沢、安定的に供給するということは、もとより大切なことでありますが、同時に、これが北海道の原料乳地帯の酪農振興にたいへん寄与するものと考えまして、明年度北海道開発計画費にこれが調査ための予算を要求しております。この調査は二カ年の予定で、先ほど畜産局長からもお話がございましたように、生産地帯の集乳圏の設定の問題から、あるいは生産農家の生乳の貯蔵方法、冷却方法の問題、あるいはそれを集荷、輸送する道路整備の問題、それから集乳場あるいはクーラーステーションの配置、あるいはそこにおける冷却方法の問題、その他輸送基地における設備の方式の問題陸上、海上両方にわたりまして詳しく技術的、経済的に調査をしまして、この問題解決の助けにしたい、こう思っております。
  125. 中川一郎

    ○中川(一)委員 これは質問ではございませんが、最後に、先ほど来問題になっておりました政府管理飼料の値上げの問題、これはいま上げられますと、非常に農家の方々の生産意欲が下がってくる。先ほど来畜産局長さんから、酪農の基本方針については非常に明るい希望の持てる案を持っておられるということで、非常に心強く思いますけれども、このいまの段階で、乳価は上がらない、飼料だけは上がるということでは、非常に不満が出てまいりますので、この点についてはとくとお願いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  126. 高見三郎

  127. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 カンショでん粉とイモに関係をいたしまして、少しお尋ねいたしたいと思います。  農業の動向に関する年次報告を見ますと、たいへん強気の報告をいたしております。それに基づきます、三十九年度において講じようとする農業施策、これにおいても楽観的な見通しで始まったわけであります。ところが、それに基づく三十九年度の食管会計における農産物の勘定にいたしましても、何らの予算措置はしないままに臨んでまいりましたが、カンショでん粉価格が大暴落をして、たいへんな混乱におちいっておるという状況であります。  そこで、五月六日の当委員会におきまして、芳賀委員のほうから質問をいたしておりますし、それについて齋藤食糧庁長官が答弁をいたしておりますので、私はそこから出発をいたしてまいりたい、こう思います。でありますので、抽象的な答弁にならないように、具体的にお尋ねいたしてまいりますので、その点について具体的に御答弁を願いたいことをまずもって申し上げたいと思います。  齋藤長官は、芳賀委員の質問に対しまして、カンショでん粉の価格の暴落の原因といたしましては、糖価の低落と金融の逼迫、それに基づいた中小でん粉企業の関係、さらに第三番目には、カンショでん粉の供給の増加、そういう点について答弁をいたしておるわけであります。先ほど申し上げましたように、三十九年度農業施策におきましても、たいへんに甘い判断をいたしておるわけでありますが、それらと関連をいたしまして、ここで徹底的に究明をいたしておかなければならない問題は、昨年の九月の砂糖の自由化の問題であります。つまり、たいへんな反対がありながら、これを押し切って砂糖の自由化をやった。こういうことについては、ただいま東京で開かれておりますIMFの総会の問題とも関連をいたしまして、八条国移行を控えての自由化の推進であるとか、あるいはOECDへの加盟であるとか、さらには国際市場での総体的な落ちつきの状態であるとか、そういう判断のもとに、この国内産の砂糖に関連をいたしますカンショでん粉なりあるいはイモ作の問題なりの将来を判断をして、そうして砂糖の自由化に踏み切った、こういうふうに思うわけであります。そこで、お尋ねいたしたいことは、砂糖の自由化をやったということは、つまり、国内の保護をやるよりも、自由化を進めることのほうが、国内態勢を確立するのによいのだ、こういう判断で踏み切ったと思うのでありますが、その点についてお尋ねいたしたいと思います。
  128. 中島清明

    ○中島説明員 砂糖の自由化、いわゆる粗糖輸入の自由化を去年の八月三十一日に行なったわけであります。そこで、政府といたしましては、当時、甘味資源特別措置法案並びに沖繩産糖の買い入れに関する法案を国会に提出をいたしまして、御審議をいただいたのでございますが、たまたまと申しますか、自由化いたしましたあとの国会で、機会あるごとにこれを提出をいたしまして、御審議をお願いいたしてまいったのでございます。本年の三月の末にこれが通過をみまして、一応国内産糖につきましては、法律で保護するという態勢を固めたわけでございます。なお、カンショでん粉につきましては、かねてから農産物価格安定法の規定がございまして、これの規定によるいろいろな保護措置と、さらには甘味法によりまして、ブドー糖の買い入れを通じまして、でん粉需要の確保をはかる、こういう措置が講ぜられることになっておりますので、この二つの措置によりまして、これが保護に万全を期したい、こういう考え方のもとに砂糖の自由化は実行されたというふうに理解をいたしておるわけであります。
  129. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 それでは砂糖の自由化が、今日のカンショでん粉価格の暴落、こういうものを引き起こしたのであるかどうか。そして、砂糖の自由化というのが、それゆえに、カンショでん粉はじめ、いろいろのでん粉あるいはイモ作の将来、そういうものについてよかったのであるかどうか。
  130. 中島清明

    ○中島説明員 イモでん粉の価格は確かに砂糖の価格と関連がございますので、砂糖の価格が自由化以後におきまして低落をしてきたということが、イモでん粉の価格の低迷を招いたであろうと思います。したがいまして、これは要するに糖価との関係ということがございますので、糖価自身の影響によりまして、でん粉自身の価格もさえないということは事実であると思います。
  131. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 自由化がよかったか悪かったか、そしてそのことが、でん粉企業あるいはイモ作の将来にとって影響がない、あるいはむしろよろしい結果をもたらすという判断をしたのかどうか、その点をお尋ねしておるのです。
  132. 中島清明

    ○中島説明員 自由化自身がよろしい結果をもたらすとか、あるいはそのためにでん粉にいい影響を与えるということはないと思いますけれども、確かにこの糖価下落による影響はあると思いますが、自由化自身は自由化自身として、やはりあの際にどうしてもやらなければならぬ事情もございましてやったわけでございます。したがって、そういうことから起こる影響につきましては、別途の措置によりまして極力これを防ぐということで対処しなければならぬ、こう思っております。
  133. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 部長と押し問答をやっても始まらぬと思いますので、政務次官にお尋ねいたしたいと思います。  三十九年度において講じようとする農業施策、あるいは先ほど申し上げました食管会計のでん粉買い上げの予算措置、つまり、当初におけるその姿勢というもの、これが正しい判断であったかどうか、あるいは間違っていたか、そして間違っていたとしたらどう改めようとしておるのか、その点についてお尋ねいたします。
  134. 舘林三喜男

    ○舘林説明員 でん粉の買い上げにつきましては、予算措置等で十分にいかなかったようでございまして、来年の予算につきましては十分に考慮いたしたいと思っております。
  135. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 前に砂糖類についての自給の長期計画というものを立ててまいっておったわけでありますけれども、砂糖の自由化を行ないました今日の段階において、その当時の考えに基づいた自給度向上の立場というものは貫かれておるのであるかどうか、お尋ねしたいと思います。
  136. 中島清明

    ○中島説明員 甘味資源特別措置法の第一条の目的にも「自給度の向上」ということがうたわれておりまして、適地におきまして生産の増加をはかることによりまして自給度の向上をはかるということは、当時と変わっておりません。
  137. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 齋藤長官が芳賀委員の質問に対して答弁いたしておりますその中で、芳賀委員が砂糖の自由化というものの影響を強く指摘いたしておりますし、またコーンスターチの輸入というものが非常に大きな影響を与えておる、こういう指摘をいたしたのでありますが、それに対しまして齋藤長官は、コーンスターチの問題についてはきわめてあいまいな答弁をいたしております。長官にも残ってもらいたいと思っていたのですが、いつの間にか消えておりませんので、その点直接つながった答弁はいただけないと思いますが、この点についてはひとつ責任のある答弁を願いたいと思います。それは、コーンスターチの生産の急増というもののでん粉への影響というものについては、そうはっきり言い切れないのだ、こういう言い方をしておるのであります。そして今後コーンスターチの企業指導において、いろいろでん粉の新しい用途の開発、そういう面からいうならば、むしろコーンスターチが新しい分野を開拓していって、そのことがカンでんにもいい影響を与えていくんだ、国内でん粉の用途も拡大をしていくんだ、こういう論法で答弁をいたしておるのであります。しかし、その点はそうではなくて、実際にでん粉業界の諸君がいま深刻に検討いたしておりますように、そうした甘い方向では決してないと思うのでありますが、コーンスターチの影響というものとでん粉企業における今後の競合関係、そういうものについて、基本的な見解をお述べいただきたいと思います。
  138. 中島清明

    ○中島説明員 コースターチの生産を見てみますと、昭和三十七年度、これはイモ年度で十月から九月でございますが、おおむね八万三千トン程度でございます。それが三十八年度には相当ふえまして、十四万トン程度に伸びておりますが、その用途別の内訳を見てみますと、いわゆる糖化製品——水あめ、粉あめ、ブドウ糖、そういうものに対するコーンスターチの消費は、前年の七千トンに対しまして八千トン増の一万五千トンというような見込みに相なっております。そこで、コーンスターチの用途として特に増加が見込まれますものは、たとえば繊維関係です。前年度九千トンに対して二万トンで、一万一千トンの増、あるいは加工でん粉、これはでん粉をいろいろ加工いたしまして高級な接着剤等をつくりますが、そういうものといたしまして、一万六千トンに対しまして二万五千トン、こういう糖化製品以外の用途でむしろ伸びが大きくなっております。糖化製品以外の伸びの用途を合計いたしますと、前年に比べて約五万トンの増、七万六千トンに対して十二万五千トンというような数字に相なっております。この数字から見ますと、カンショでん粉は非常に糖化製品のほうに使われる用途が多いわけでございますから、コーンスターチは、むしろカンショでん粉よりも、バレイショでん粉の旧来の用途と競合する面が多いのではないかというように考えておる次第でございます。そこでしからば、コーンスターチは全然カンでんの価格に影響がないかと申しますと、それはむずかしい問題でございまして、影響がないというようなことは言い切れないと思いますので、私どもといたしましても、たとえば甘味資源特別措置法でブドウ糖を買い上げます場合には、コーンスターチを使用したブドウ糖は一切対象としない、あるいはブドウ糖の混合液等の免税をいたします場合に、コーンスターチを原料にしたブドウ糖の入ったものは対象にしないというような、消極的な面で規制をいたしますと同時に、業界に対しましては、極力糖化製品の用途と競合しないような用途に消費を向けてもらいたいというような行政指導をいたしまして、これが直接カンショでん粉等に影響がないように行政指導でもって対処してまいりたい、かように思っております。
  139. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 コーンスターチの増加のぐあいを見てみますと、三十一年の九千トンが三十六年には三万六千トン、三十七年には八万八千トン、三十八年には十三万五千トン、そして三十九年には十九万トン、こういうウナギ登りの上昇をたどっておるわけであります。そういたしますと、この影響が、いまの御答弁によりますと、部分的にはあるだろうけれども、そうたいしてないんだ、こういうふうにとれるのでありますけれども、こうした増加の傾向は今後続くと見られるのかどうか、それが第一であります。  それから第二番目には、それで、たいして影響がないんだと言われるのであるが、カンショでん粉の生産増強が足踏みしておるときに、コーンスターチが急上昇しておる。こういう点からいいますならば、コーンスターチのカンショでん粉分野への食い込みというものは、実際には相当にある、こういうふうに見られるわけでありますけれども、三十八年度においてどの程度食い込んできたのか。つまり、三十四年から三十五、六年の二万八千トンないし三万六千トンという時代からいたしますならば、三十七年には急速に八万八千、そして十三万、十九万、こういう上昇ぐあいでありますので、その時点を取ってみるならばどの程度食い込んできておるのか、その点をひとつ三十八年度において明らかにしてもらいたい。
  140. 中島清明

    ○中島説明員 コーンスターチが非常に伸びましたのは、一つには、でん粉の価格が去年の十二月ころまでは非常に高水準に推移いたしております。そういう事情も反映いたしまして、コーンスター千をつくればこれが非常に高く売れるということもございまして、去年は御承知のようにカンでんの輸入等のこともやったわけでございますが、そういう事情を反映して、コーンスターチが非常に伸びたというように思われます。現在では、コーンスターチ自身も価格の低迷に非常に苦しんでおります。これ以上コーンスターチの製造がどんどんふえるということはまずあるまい、かように考えております。  それから、カンショでん粉にどの程度食い込んだかという御質問でございますが、先ほど申し上げましたように、三十八年のコーンスターチの生産を一応十四万トンとこう押えておる。三十七年度が八万三千トンでございました。その差五万七千トンでございますけれども、この中には水産練り製品、あるいは繊維、製紙、ダンボール用、加工でん粉用等の、いわゆるバレイショでん粉と競合する分野のものが、むしろ多いような情勢でございまして、したがって、カンショでん粉に食い込んでおりますものは一万——正確にはあれでございますが、二万トン足らずではなかろうか、かように考えております。
  141. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 イモ作農民は、コーンスターチの競合関係というのにたいへんおそれおののいておるわけであります。そこで、トウモロコシの輸入自由化のあと、トウモロコシの輸入量も急激にふえておりますし、またそれにテンポを合わせてコーンスターチも伸びてきておる。こういう中で関税が五%から一〇%に引き上げられるということで、ある程度のチェックが行なわれてきておるわけであります。そこで、行政措置として極力抑制するのだ、こういうことをいま答弁をされたわけでありますが、それならば、国内のカンでんなりあるいは馬でんなりの分野に食い込んでくる、そういう面のコーンスターチの原料のトウモロコシについては、ある程度の線を規制して、それ以上については関税をさらに引き上げる、一〇%以上引き上げる、さらにはコーンスターチの生産を規制する、こういう点について考えがあるかどうか、お尋ねしたいと思います。
  142. 中島清明

    ○中島説明員 ただいまおっしゃいましたように、トウモロコシ自身の輸入が自由化されております。そしてこの自由化されましたトウモロコシを使いまして、コーンスターチをつくるのも自由でございますので、いわゆる営業の自由というたてまえから見ますと、コーンスターチに限ってこれを規制するということは、いまの日本の法体系から言いますと、非常にむずかしい。  なお、関税につきましても、たしかトウモロコシはガットでバインドはしてないと記憶しておりますけれども、現在いわゆるガット等で関税の一括引き下げ交渉が始まろう、こういう時期にもきておりますので、トウモロコシの関税を引き上げるということも、いろいろ検討いたしてみましたけれども、むずかしいのではないかと判断をいたしております。結局、この問題につきましては、いまのところ、私どもとしては、先ほど申し上げましたような行政指導によりまして、なるべく影響を防ぐように措置してまいりたいと考える次第でございます。
  143. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 先ごろの国連の貿易開発会議等にも見られますように、一次産品への圧力というものは強まっておるわけでありますが、そこで、タピオカであるとか、キャッサバ、あるいは馬でんであるとか、そういったものについて、輸入の自由化をやらないという意見ははっきり言明できますか、
  144. 中島清明

    ○中島説明員 でん粉につきましては、現在まだ内外のでん粉は非常に格差もございまして、国際競争力も非常に弱いというような実情でございます。これについて近い将来に自由化をするというようなことは考えておりません。
  145. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 では次に、先を急ぎまして、カンショでん粉の問題について、具体的にこれまで三次にわたるささえるため措置が行なわれてまいりましたが、このことについてお尋ねをしたいと思います。第一次、第二次、第三次の措置が行なわれ、十万五千トン買い上げ、あるいは凍結、こういうことになっておりますが、根本的な対策にはなっていない。その易しのぎにすぎないのではないかと思いますが、そこで、第二次なり第三次なりの措置分について、これを補正予算で組んで政府買い上げにする、こういう点の方針があるかないか、お尋ねしたいと思います。
  146. 中島清明

    ○中島説明員 第二次と第三次の措置分につきましては、一応たてまえといたしましては、保管をいたして団体で売るたてまえでございますが、市価が回復すれば団体で売りまして、借りた金を回収するというたてまえになっております。しかしながら、事実問題といたしまして、市価が回復して団体で売って、資金を回収するということは、非常にむずかしいのが実情でございます。そこで、これはいずれにいたしましても、政府が最終的には買い入れをいたしまして措置をいたしませんと、融資した資金の回収もできないということでございますので、その時期につきましては、なお今後検討いたしますが、いずれにいたしましても、予算的な措置によりまして、食糧管理特別会計で買い上げざるを得ないというぐあいに考えます。
  147. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 先ほど次官は、明確に予算措置は大きくやりたいんだ、こういうことを答弁をされておるわけでありますが、三十九年度のでん粉の買い上げ分がきわめて少なくて、今度のような混乱と低迷を続けてまいっておるわけでありますけれども、それらの点からするならば、先ほど来の粗糖の自由化なり、あるいはコーンスターチの競合関係やら、その他国際的な環境という面から言いますならば、今日置かれておる日本のでん粉関係、あるいはそれに関連をしたイモ作なりてん菜なり、そういったものを見ますならば、やはり大幅に予算措置をするということが、何といっても、特にここ一、二年必要な問題だろうと思います。第二次、第三次分については、補正をやり、買い上げなければならぬだろう、こういうふうな答弁であったわけでありますが、臨時国会における補正予算、さらには来年度の予算の方向として、特に農安法の精神からするならば、基準価格以下の全量買い上げということについては、これをはっきりと予算措置をするということが、今日の国際環境の中においては特に必要だと思うわけであります。その点について、次官から答弁願いたいと思います。
  148. 舘林三喜男

    ○舘林説明員 十万六千トンでございますか、十万五千トンでございますか、第一につきましては、政府は買い上げしたわけであります。第二並びに第三につきましても、いま関係の部長から申し上げたとおりでございます。これの予算措置はもちろんいたしたいと思います。ただ、今後といたしまして、カンショ並びにカンショでん粉を全量買い上げということにつきましては、いましばらく研究さしていただきたい。御趣旨の点は十分にわかっておりますけれども、予算の点から申しましても、すぐここでけっこうでございますというわけにもまいりませんので、いましばらく検討さしていただきたいと思います。
  149. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 今度の暴落の国内的な条件としましては、さき委員会における齋藤長官の答弁にもありましたように、金融逼迫に基づいた中小企業の力の不足が、非常に目立って出てまいったわけでありますけれども、その点について、今後いかに経営を安定させ、さらには振興を進めていくか、その点についての具体的な施策をお示し願いたいと思います。
  150. 中島清明

    ○中島説明員 でん粉企業は、非常に小規模の工場がたくさんございまして、したがいまして、コストも高い。なお、原料等につきましても、工場間の競合があるというような実情でございます。このでん粉工場につきましては、現在のような非常に小規模工場乱立の状態というのは好ましくない、こう考えまして、なるべくこれを適正な規模の工場として育成をはかりたいというぐあいに考えておるのでございます。なお、昨年からと記憶いたしておりますが、中小企業設備近代化資金の対象にもこれが指定をされまして、そういう面からの融資も行なわれるということになっておるわけでございますが、将来どの程度の規模の工場が適当であるか、あるいはそれをどういう形にしていったらいいかというような問題につきましては、まだ具体的な案までは立てておりませんけれども、至急に食糧庁として検討を進めたい、こう思っております。
  151. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 これから検討をしたい——たいへんのんびりしたことを言ってのがれようとしておるわけでありますけれども、最初に申し上げましたように、三十九年度についての判断が全く間違っておったわけです。そして混乱と低迷を続けておるわけです。その中で、第一次、第二次、第三次とわたって、大会も持たれ、安定策への要求というものもされて、そして先般の芳賀委員の質問に対する答弁等にいたしましても、検討したい、具体化したい。あるいは商工委員会でもこの問題は取り上げてまいっておるわけでありますが、六月十七日の商工委員会において社会党の桜井委員が質問をした点につきましても、そうした中小企業のでん粉工場については、近代化をし、あるいは育成をしていくのだ、こういう点について言っておるわけです。ところが、いつまでたったら検討の段階から具体的な段階に移るのか。  具体的にお尋ねしたいと思いますが、現在農協系あるいは工組系、アウトサイダー、こういうものを見ますならば、全国における今日のそうした農協系のでん粉工場、あるいはいわゆる工組系のでん粉場、アウトサイダーの工場、この数がどうなっておるか、具体的にそれをどのようにして持っていきたいと考えているのか、ただ検討しますということではなく、ある程度の方向というものはひとつ責任を持って答弁をしてもらいたい。
  152. 中島清明

    ○中島説明員 最初にでん粉の工場数について申し上げますと、カンショでん粉の工場は大体千五百工場ございます。その中で農協系が、三十七年度の調べでございますが、三百七十八工場、それから業者系の工場が千三百十三工場ございます。なお、バレイショでん粉の工場は九百八十八工場ございます。バレイショでん粉の工場は、三十三年に比較をいたしますと、約五百工場減っておりますが、カンショでん粉の工場につきましては、三十三年の千七百工場から三十七年の千五百工場というぐあいに、でん粉工場の数がほとんど停滞的であるような実情でございます。  やはり合理化の方向といたしましては、規模の拡大ということが最も必要ではないかと思っております。したがいまして、そのためには、工場の合併なりあるいは共同化なり、そしてその合併なり共同化なりに対して、融資その他の援助の措置を講ずるという方向で、これを指導していくというのが施策の方向であろうと思います。ただ、どの程度の規模の工場を一体何工場程度にしたらいいのかというような点につきましては、なお今後検討いたしまして、いまのような方向に即しながらこれを具体的な結論に練り上げてまいりたい、かように考えます。
  153. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 次に、ブドウ糖の問題について、少し具体的にお尋ねをしたいと思います。  ブドウ糖の需要拡大ということが、カンでんの安定にとっては大へん大きな問題になるわけであります。ブドウ糖の需要拡大を進めるのだということで、いろいろとやっておられるわけでありますけれども、現在百五十万トン前後の砂糖が輸入をされ、消費をされている。その中における家庭用の砂糖は四十五、六万トンだと思うのです。もし誤りであれば、訂正してもらいたいと思いますが、アメリカでは家庭用の砂糖については、砂糖に対してブドウ糖二割五分の混入を法律で規定しているわけであります。そこで、専門家の話によりますと、砂糖七五%、ブドウ糖二五%の混入、つまり、添加糖にすれば、甘味は落ちないし、むしろいいのだ、栄養の面からいってもいいのだ、こういうことになるわけでありますが、そういたしますならば、国内産のブドウ糖の消費を拡大し、安定をさせるという意味においては、すでにアメリカにおいて実施をいたしておりまして、そうした家庭用の砂糖についてはブドウ糖を法律で混入させる、こういうことが、きわめて具体的な、また今日の時点においては適切な施策だと思うわけでありますが、その点いかがでありますか。
  154. 中島清明

    ○中島説明員 砂糖の家庭用の消費でございますが、いわゆる一般家庭用は、パーセンテージで申し上げますと、総需要量の約三七・九%程度使用されております。ブドウ糖の需要の点につきましては、実はブドウ糖の混入率二割五分程度のものが、甘味としても最も甘味度が高いというようなこともございまして、いわゆるブドウ糖入り砂糖のJAS規格というものをつくりまして、これの普及をはかるというようなことも実は農林省としてはいたしておりますし、なお、ブドウ糖の混合液等について消費税を特に減免するというような措置によりまして、これもやはりブドウ糖の消費の拡大をしたいということで措置をいたしておると思います。  家庭用の砂糖につきましてブドウ糖を強制的に混入をさしたらどうかという御意見でございますが、確かに外国の事例等につきましてはなお研究不十分でございますので、もう少し研究をしたいと思いますが、むしろJAS規格の普及等によりまして、消費者が進んでいわゆるブドウ糖入りの砂糖を使うようになることが望ましいわけでございます。国民生活の基礎的な物資でございますから、これを強制するということはちょっとどうであろうかというような感じがいたしますので、なおよく外国の事例等につきましても研究をしてみたいと思います。
  155. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 ひとつ次官にお願いといいますか、あるいは答弁を願いたいわけですが、自由の国のアメリカでさえも、そういうぐあいにして十五州ぐらいでは混入しておる、こういうふうに聞いておるわけです。ただここで、委員会で研究してみましょうという程度のことではなくて、ぜひひとつ責任を持って、そういうアメリカにおける具体的な事例については研究をし、あるいは進めてみる、こういう点について、次官から責任のある答弁がいただけるかどうか、お尋ねしたいと思います。
  156. 舘林三喜男

    ○舘林説明員 ブドウ糖の需要拡大について、米国のような一般砂糖に対する混入率の法律をつくれという御趣旨でございますが、私しろうとでございますけれども、まことにいい意見だと思います。ぜひひとつ私責任を持ってこれは食糧庁に研究させます。
  157. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 ひとつよろしくお願いしたいと思います。  そこで、たいへん時間もあれでございますので、結論を急いで最後に参りたいと思いますが、カンショでん粉の年次別、都道府県別の生産状況、そういったものをしさいに検討いたしてみますと、ここ数年非常に大きな変化があらわれてきておりまして、イモの作付面積においては三十八年度に約一千町歩減っておるわけです。おもにそれがかんきつ類等に植えつけ転換が行なわれておるわけでありますが、しかし、鹿児島であるとか、あるいは宮崎、茨城、千葉、こういうところでは逆に増反が行なわれておるわけであります。そういう意味で非常に大きな変化があらわれつつあるわけでありますが、今日のような混乱あるいは低迷というものが続きますと、このイモ作農家が生産を放棄していくという点が相当に出てくるのではないかと思います。もしここで生産を放棄をしますと、今度はそこに先ほどから議論いたしましたコーンスターチであるとか、あるいはタピオカであるとか、いろんな関係のものが、生産を放棄をし、日本のカンショでん粉の生産量が減れば、その合い間にまた入り込んでくる。つまり、でん粉なりブドウ糖なりの需要というものは、総体的にはそう減っていない。むしろふえておりますから、そういう観点からしますならば、ここで政府が本気でささえなければ、生産が減ることによって、むしろ日本の市場がそういう外国のものに侵入をされてくるということが目に見えておるわけであります。そこで、今日のそういう状態の中でイモ作の経営安定というものをいかに進めていくかということは、非常に大事なことでありますし、緊急の問題であると思います。まずお尋ねしたいのは、三十九年の作付面積とカンショの収穫見通しというものがどうなっておるか、御答弁願いたいと思います。
  158. 中島清明

    ○中島説明員 三十九年の作付面積なりあるいは収穫見通しにつきましては、現在まだ統計調査部の資料が整っておりませんので、いまここでちょっとお答えする資料を実は持っておらないのでございます。
  159. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 作付面積くらいはわかるのじゃないですか。
  160. 酒折武弘

    ○酒折説明員 作付面積は、中間的なものはわかっておろうかと存じます。ただ、実はここへ資料を持ってきておりませんので、正確な御答弁ができないわけであります。
  161. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 あとで出してくれますか。
  162. 酒折武弘

    ○酒折説明員 はい。
  163. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 そこで、イモの価格の問題についてお尋ねしたいと思いますが、農安法が目標としておる価格水準はどうあるべきか、この点がまず一点であります。そこで、われわれとしましては、あるいは農民は、生産費と所得を補償する価格でなければならぬ、こういう要求を出しておるわけであります。そういたしますと、本年度のイモ価格にいたしましても、どうしても三・七五キロ当たり三十八円以上、こういう要求になってまいろうかと思うのでありますが、その点についてひとつ御答弁していただきたいと思います。
  164. 中島清明

    ○中島説明員 現在、農産物の価格安定の措置の中で、米につきましては、いわゆる生産費・所得補償方式ということで買い上げ価格がきめられております。その他のものにつきましては、それぞれその農産物の事情に応じまして方式がきめられておりますが、いわゆる生産費・所得補償方式にはよっていないわけでございます。いわゆるカンショなりあるいはカンショでん粉につきましては、農産物価格安定法の規定によりまして、いわゆる農業パリティ指数によって算出される価格、それから生産費、需給事情、その他の経済事情を参酌して、農林大臣が価格をきめるということになっております。米につきまして、特に生産費・所得補償方式というのがとられておりますのは、これは政府以外に売れないというような事情もございます。また、これが非常に基幹的な作物であるというような事情もあるというふうに理解をいたしておりますが、いわゆる農安法の関係では、一応こういう農産物につきましては、自由流通というようなことをたてまえ、原則にいたしまして、需給上非常にひずみが出たというような場合に、政府がいわゆるでん粉なりなま切り干しを買いまして、下ざさえをするというようなたてまえになっておりますので、価格の算定におきましても、パリティ価格あるいは生産費のほかに、需給事情を織り込んで算定をするというような法律の規定になっておりますから、そういう法律の趣旨に従いまして適正な措置をしてまいりたい、こう思っております。
  165. 兒玉末男

    兒玉委員 ただいま第二部長の答弁に一つ問題点があると思うのですが、この価格の問題について、昭和三十四年にも価格が非常に暴落しておるわけです。イモでん粉のイモの増産ということが大きな原因となって、私は当時の長官に対して、早く支持価格を出せ——出さないでおって、当初大体農林省がイモの植えつけに対する需給関係の見通しというものを立てないで、ただ三十三年にイモがよかったから今度はイモをつくれ、こういうふうな風潮が常にあるわけです。昨年の場合も、砂糖の自由化と全体的なでん粉の需給関係、こういうものに対する積極的な指導がないから、私はこのような結果を招くのだと思う。この点についてまず第一点は、いま農林省は、砂糖の貿易自由化を含め、あるいはまた問題になっている外国のコーンスターチをはじめとするでん粉輸入と国内におけるイモでん粉との需給関係、こういうものをどういう立場から考えておるのか、これが第一点。  もう一つは、価格政策でありますけれども、特に昨年はでん粉業者が非常にイモの買いあさりをやって、高いときは四十円から四十五円、政府の支持価格をはるかに上回る価格でもって買い入れておるわけです。それで、今度赤字が出たら、でん粉の買い上げを急いでくれ、買い上げをやらなければ、今度は農民のイモをたたくぞ、こういう気配がはっきり見えておるわけです。農林省としては、やはりはっきりそういうでん粉の需給計画と、もう一つは、外国でん粉の輸入を積極的に制限するような行政指導をすべきではないか。もう一つの点は、そういうけたはずれに高い価格で買うようなことは、安定した価格という立場から言うならば——それは農民としては、四十円とか四十五円とか、もちろん高いほどいいわけですけれども、安定した価格というものを常に希望しておるわけです。そういうようなでん粉業者等が自分で買いあさりをやって、そのしりぬぐいを政府と農民に押しつけるというやり方は、私はもう少し食糧庁等の積極的な行政指導が必要ではないかと考えるわけですが、この点について、関連しましてひとつお伺いしたいと思います。
  166. 中島清明

    ○中島説明員 でん粉につきましては、ただいま御指摘ございましたように、三十八年は非常にでん粉の生産がふえまして、前年の六十万トンが七十四万トンにふえたというようなことが実は反映をいたしまして、価格の低迷を招いたということも、確かに免れない事実でございまして、その間におきまして、食糧庁の指導等につきましても、必ずしも十分でなかったというおしかりでございますが、いまのでん粉事情等にかんがみまして、こういう点につきましては、団体等に対しまして十分需給事情を説明して、でん粉の供給過多を招かないように指導はいたしておるわけでございます。ただ、イモが非常にでき過ぎますと、どうもでん粉以外に利用の方法があまりないというような実情もあるようでございまして、はたしてでん粉生産自身が抑制されるかどうか、その成果につきまして必ずしも十分な自信を持っておりませんが、なお、地方自治体、県庁等に対しても指導いたしておりますので、その点は今年はそういうぐあいにしてやっておるのでございます。  需給の問題でございますが、現在外国産のでん粉は輸入していないわけであります。ただ、トウモロコシについては、トウモロコシ自身が自由化されておりますから、それでコーンスターチが国内で生産されるという実情になっております。これはやはり一つにはでん粉、いわゆるカンショでん粉なりバレイショでん粉なりとコーンスターチとが、ある程度自由な世界におきまして競争できるような体制もつくる必要があるだろう、カンショでん粉なりバレイショでん粉は全部政府がやって、あとはコーンスターチがその販路をとるということでは、はなはだもっておもしろくないわけであります。でん粉のほうにおいても十分価格の面で競争ができますようにやっていくことも、やはり必要であろうというふうに思います。  なお、価格につきまして、去年は確かにでん粉が非常に高うございました。イモの値段が非常に高いというようなこともあったわけでありますが、今年は農林省としても、なるべく早く価格を示しまして、いわゆる不都合のないようにしたいと思うわけであります。
  167. 兒玉末男

    兒玉委員 どうも部長の答弁はあいまいで、どこに中心があるのかわからぬと思う。農民は、やはり現在カンショ生産地区においては、基盤整備事業から構造改善事業による基幹作物として、一生懸命つくっておるわけです。その点、部長が最もよく全国の状況を把握されておるわけです。しかもいま全国の農業団体等が言っておることも、あるいは農民が言っておることも、国内ででん粉がたくさんあるのに、なぜ外国から輸入するのか、でん粉を幾ら自由化だといっても少しくらいの規制ができないことはないではないか、そのような積極的な指導がないということをさっき私は指摘したわけです。  それから支持価格の問題も、もちろんこれは政令によって十月三十一日までというふうに規制されておりますけれども、すでに鹿児島あたりの地方においては十月の初めからすり込みを開始するわけです。加えまして、二年間の長雨の災害で、この価格に非常に期待しておるわけです。ところが、いつの場合においても、あとでまた川崎代議士からも質問があると思いますが、この支持価格の決定の時期ということばも決定的な要素になるわけです。この点は早急にという抽象的な表現ではなくて、少なくとも十月の初めまでには支持価格をきめる、こうひとつはっきりした態度を示してもらわぬことにはわれわれとしては納得できないわけです。この点については、特に政務次官、大臣の代弁者として、ぜひともひとつ農民の満足できる形において御答弁いただきたい。そういういつごろまでとか、早くとか、抽象的な表現では納得できないのです。
  168. 舘林三喜男

    ○舘林説明員 カンショ並びにカンショでん粉の価格決定につきましては、一応事務的には十月三十一日ですけれども、実は鹿児島その他各県から非常に強い要求があるわけでございますので、早急に決定したいと思います。したがいまして、収穫予想量等につきましては、法律のたてまえから、収穫予想数量の調査をやらなければならぬ。これは十月十五日を一応考えておりますけれども、それより前にとにかく統計調査部でまとまり次第、急速にやりたいと思っております。とにかくなるべく早くやりたいと思いますから、御了承願います。
  169. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 きょうの日本経済を見ますと、六日からすり込みが始まって、いまは二百七十円という値段なんです。去年はすり込みの始まったときは三百五十円です。もうすでにこれだけ落ちておる。ですから、そのことは、私が最初言いましたように、ことし、来年というのは、特に大事な年なんです。だから、そういう意味で、価格の決定にいたしましても、かって三十三年には十月三日、三十四年には十月一日に決定をいたしておることもありますから、十五日というふうなことではなくて、十月の初めにひとつ責任を持って出してもらいたい。この点重ねていかがですか、次官、答弁を願います。
  170. 舘林三喜男

    ○舘林説明員 私責任を持ってこの場でお答えすることはどうかと思いますけれども、前に十月一日に出たということでございましたら、そんな例がありましたら、私は全力をあげてやりたいと思います。
  171. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 そういう例があれば全力を尽くしますということでありますので、再度申し上げますが、三十四年が十月一日、三十三年が十月三日でありますので、ひとつ一日か三日、こういうところで責任を持って決定をしていただきますことをまず確約をいたしておきたいと思います。  そこで、次に、値段の問題でありますが、時間がたいへん過ぎたので、結論を急いでいきたいと思います。六月十七日の商工委員会で、社会党の桜井委員の質問に対しまして、当時の松岡経済局長と丹羽次官が答弁をいたしておりますが、私が先ほど言いました日本経済のすり込みの値段というものの原料価格が、昨年からするとすでに七、八十円下がっておるという現在の状態でありますので、この点は、六月十七日の商工委員会の松岡経済局長なり丹羽次官なりの答弁というものに、舘林次官は責任を持ってもらいたいと思います。どういう答弁をしておるかといいますと、価格の問題について、「昨年より高くなるのが当然だというぐあいに理解してよろしゅうございますか。」と桜井委員が再度質問したことに対して、松岡政府委員と丹羽次官は、「私から当然そうなると由し上げかねるのでございますが、通常の考え方をとりますれば、農産物価格安定法を前提にして考えますならば、そうなる可能性はある、こう申していいかと思います。」これが松岡政府委員の答弁、それから丹羽次官はたいへん愛の農政を言っておるわけでありますが、「現状としては、労働賃金は高くなったし、ものは高くなっておりますので、おことばにもありましたように、やはり農民に対する愛の農政をやろうとする、そうしてまた農民に大いに増産意欲を持たせる。生活をよくしていく等々を考えますれば、私もやはりはっきりここで高くなるであろうということを言明するわけにはいきませんが、結果的に、政治家として思いますには、当然幾らかでも高くならなくてはならないんじゃないか、こういう考え方をしております。」こういう答弁をいたしております。当時の松岡経済局長と丹羽次官が答弁を一いたしておりますから、昨年を下回ることはないということをここでひとつ言明をしてもらいたい思います。
  172. 舘林三喜男

    ○舘林説明員 カンショの価格の決定につきましては、先ほど部長からお話し申し上げましたように、農安法の中に正確にその算定のはじき方が書いてあるわけでございます。ことに農業パリティあるいは生産費、そういうようなことは当然考えなくちゃいけないことと思いまして、農業パリティの線から申しましても、生産費から申しましても、今日の物価の値上がりから考えますと、とにかく下がるということは絶対にありませんで、いま丹羽さんが政務次官としてお答えになりましたような結果に相なるだろうということをお答えいたしたいと思います。
  173. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 下がらないということははっきりしたわけですが、生産費・所得補償方式によって三十八円以上というのが要求でありますので、その点をさらに検討してもらうということにいたしたいと思うのであります。  それからもう一つ、これは特に私ども南九州の鹿児島でありますが、たいへんな問題に山なりますことは、歩どまりの問題であります。歩どまりの問題は、年々歩どまりを上げてはきておりますが、昨年の場合で三二・五%、こういうことで上限価格になっておるわけでありますが、これはやはり農民の生産意欲を増すという立場からいたしますならば、完全スライド制ということが当然であるべきだ、こう思いますので、ひとつこの点についてはっきりお答えをしていただきたい。  それから時間を節約する意味におきまして、もう一つ、最後にお尋ねしておきたいことは、これは基本的な問題でありますので、この点についてはぜひ政務次官から答弁を願いたいと思いますが、先ほどから繰り返しておりますように、世界的な視野から見てみましても、あるいは国内情勢から見てみましても、イモ作の経営というのは非常に不安定な状態になっておる。ところが、南九州の場合には、たとえどのような事態になろうとも、イモ作から転換することができないという今日の情勢にあるわけであります。そこで、でん粉の企業の経営の安定なり振興なりというものをはかるとともに、イモ作の営農体系というものについて、抜本的な施策がここで打ち出されて、農民が安心をしてイモ作をやれる、こういうことについて、政府施策を明らかにしてもらいたいと思います。  以上、終わります。
  174. 中島清明

    ○中島説明員 歩どまりのスライド制につきましては、いままで歩どまりを引き上げてきておりますが、いわゆる農安法による価格支持は、下ささえという考え方でございますから、これを全部完全スライドにして天井をはずしますことが、農安法のたてまえというものに対してどうかというような問題もございますので、なお今後どういう価格をはじくかということとの関連において十分研究したいと思います。
  175. 兒玉末男

    兒玉委員 関連して一問。二人ともイモの中に生きてきた者でありますので、イモのことなら命がけであります。私がいつも考えることは、先ほどもちょっと触れましたが、私宮崎県で、育ちは鹿児島ですけれども、とにかくイモをつくれといって、盛んに基盤整備事業をやって、百姓もふうふう言いながら、借金を返しながらやっておるわけです。ところが、つくるときは、つくれといって盛んに農林省指導するが、さて今度は一番価格をきめる決定的な買い上げるほうとしては、全然関連性のないやり方がずっと続いておるわけです。特に裁培の面を指導する担当のほうから、この点について、関連性を持った責任ある御答弁を願いたい。でなければ、つくれということは、一方交通であって、買い上げるほうとの需給の関係なり価格安定については、おまえのほうでやっていけ、これでは、私たちは、今後そういう事態というものは関連性がないし、またつくるほうとしては、一生懸命やるけれども、価格の安定に対する責任は別なものでございまして)こういうことは困りますので、栽培指導のほう  の担当者の御意見を最後に伺って、関連の質問を終わります。
  176. 酒折武弘

    ○酒折説明員 イモの生産につきましては、これから漸次主産地化していく傾向をたどるであろうと思います。そうなりますと、たとえば鹿児島県のごときは、当然主産地として考えなければならない。そこで、われわれといたしましては、そういう将来主産地として残っていくであろうという地帯につきまして、生産改善のために、ことに省力栽培、省力開発をして、栽培の促進ということをはかっております。しかしながら、先ほどのおことばで、おことばを返すようでありますが、つくれつくれと言ったということじゃなくて、むしろイモの生産の実態は、そういう鹿児島あたりは、ほかに適当な作物がないので、生産者としてもどうしもイモをつくりたい、これはわれわれとしましてもごもっともであるということで、それについての生産改善をやっておるのでありまして、いやな方にもつくれとまでは申しておらないつもりであります。
  177. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 そういう農民を侮辱したような——それは少しひどいと思うのですよ。つくりたくなければつくるなと言ったって、それじゃ農政がないじゃないですか。だから、いま基盤整備にしましても、こうしたほうがいいじゃないかということで、基盤整備がやられており、構造改善をやっておる。それらはやはりこういう方向がベターだろう、つまり、農林省が農政の方向を出すから、農民はそれに従ってきておるのです。じゃ、あなた方は、農民が要求すればそれを全部受けるということですか、逆に言うならば。そういうふうにとっていいですか。
  178. 酒折武弘

    ○酒折説明員 先ほど申し上げましたのは、鹿児島のごときところは、他に適当な作物がないから、比較的現在有利なイモをつくりたいという御希望がありますれば、われわれとしましても、それはごもっともであるということで、それについての生産改善を促進しておる。ただ、たとえば北のほうの不適当な地帯にまでわれわれは生産をやりなさいと言って無理にやらしておるわけではございませんということを申し上げたわけであります。
  179. 舘林三喜男

    ○舘林説明員 いろいろ川崎先生、またその他からカンショ並びにでん粉のことを承りましたが、実際カンショあるいはでん粉価格が非常に低落しておるという原因は、何と申しましても、粗糖の自由化あるいはトウモロコシの自由化に伴うコーンスターチ進出、こんなものがあることは申すまでもない一わけであります。その点については、まだ農林省のカンショに対する保護政策が足りなかったと思います。ことにまた、お話しの南九州におきましては、何と申しましても、カンショが特産品でございまして、主要な農作物であることは申すまでもありません。したがいまして、先ほど私並びに主管の課長、部長、局長から御説明いたしましたように、今後におきましては、先生方の御意見を体しまして、価格の問題あるいはまた計画生産の問題などにつきまして、十分御期待に沿うように努力するつもりでございます。
  180. 赤路友藏

    赤路委員 関連。実にいい答弁です。一言だけ希望を……。私は質問をいたしません。希望を述べさしていただきます。次官によくお聞きを願いたいと思うのですが、いままでの質問でよくおわかり願えたと思います。それから次官はよく、おれはしろうとだということをおっしゃるのですが、御答弁はなかなかどうしてくろうとはだしの御答弁です。  私は、そこでお願いしたいのは、いままでのカンショの価格決定は、大体でん粉の手持ち量であるとか、需給の関係であるとか、そうした面から逆算をして、そうしてカンショ価格の決定をする、こういうようなやり方をとってきておる。いつまでたってもこれでは不安定だ。そこで、価格決定を生産費・所得補償方式に基づいてやっていただくということが、価格安定を来たす大きな要因だと思います。これはここで答弁を求めましても、御答弁なさる答えはわかっておりますので、ひとつ十分この点をお含み願って、ただいま次官が言われましたように、きょうのこの論議を中心に十分ひとつ御勘案願って、価格決定をしていただきたい、このことをお願いします。
  181. 高見三郎

    高見委員長 この際、私から中島第二部長に伺っておきたいのですが、甘味資源審議会の第一回はおやりになったようですが、第二回は九月上旬に開催するということを農林大臣言っておられたのですが、いつごろおやりになる御予定ですか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  182. 中島清明

    ○中島説明員 九月上旬の予定でおりましたけれども、いろいろ準備がおくれまして、九月の終わりか十月の初めには開きたい、こう思っております。
  183. 高見三郎

  184. 華山親義

    華山委員 ことしのかん詰め用のくだものは非常な値下がりであります。そのことにつきまして、くだものが多く出たから値が下がったというものでもございません。一つの例を申しますと、白桃につきましては、大体昨年は一キログラム四十円であったのでありますけれども、本年におきましては二十円という状態でございます。まさに二分の一。それで、県庁等におきましていろいろ努力をいたしまして、これを二十二円とかあるいは二十三円に上げたいというふうなことでやっております。  それから、もっとひどいのは洋ナシでございますが、洋ナシに至りましては、昨年におきましては大体三十二円であったのが、ことしは六円でございまして、もう何ともならない、そういうふうな状態でございます。そうして、その洋ナシは、今年は主産地におけるところの山形県におきましては、凍霜害等の関連もございましたが、多少成木が出てまいりましたので、昨年と大体同じ程度のものが出ているにすぎない。しかも洋ナシは、性質上生食には向かないようで、九〇%はかん詰めに使っている。しかも、六円になったほかに、昨年はかん詰め業者の買いましたものが四千七百十三トンであった。ところが、今年は二千トンしか買わない。したがって、価格においては五分の一、買う数量においては二分の一、まさに洋ナシをつくっているところの農家は十分の一の収入にしかならない、そういう状態でございます。そうして、これが軒先等にちょこちょこ植えてあるというものであるならば、これは別だ。農林省指導によりまして、洋ナシは洋ナシで集団的につくっている。そういうふうな状態でございます。この点につきまして、県等におきましては何ともなりませんので、従来全生産のうち約九〇%がかん詰めでございますが、ことしは残ったところの二千五百トンというものは売る方法がない。これは最上川には流さないで何とか始末しようといって一生懸命に努力いたしておりますが、なかなか始末ができません。卑近な例でございますが、気の毒だと思って、県庁職員がこれを一貫目百円で買っている、そういうふうな状態です。これじゃもう選択的拡大も何もない。一体どうしてこういうことになったのか、このまま放置していいものかどうか、そういう点につきまして御所見を承りたい。
  185. 酒折武弘

    ○酒折説明員 最近の加工用の果実、すなわち、桃とか洋ナシにつきまして、御指摘のような困った状況があることは事実でございます。特に洋ナシにつきましては、ただいまもお話しのように、いままでの折衝の経過を見てみますと、キロ当たり五、六円でしか業者が引き取らないということで、収入が減るどころじゃなくて、むしろ赤字が出るというふうな形になろうとしておる状況であります。この原因といたしましては、実はかん詰め加工業者の側でございまして、昨年製造したもので売れ残りが相当あるということと、一方需要のほうは、たとえば輸出につきましても、漸次落ちてきておるという需要面の減退、そういう両面のぐあいの悪い状況がございまして、その結果、ただいまのような価格折衝になってきておるわけであります。しかしながら、われわれ全般的に状況を見ますと、必ずしもキロ五、六円というふうな価格でなければやっていけないとも考えられない面もございまして、若干加工業者の作戦的な主張もあるような気もする面もございます。そういう意味で、現在県と連絡しながら、生産者と加工業者との間の調整をやりまして、現時点における適切な価格の発見ということにつとめておるわけであります。  なお、全般論といたしまして、こういう果実の価格安定の問題につきましては、基本的には、果実は御承知のとおり永年作物でございますから、一年勝負ではいけない。ある程度五年、十年先を見越しながら、生産をしていくということが必要だろうと思います。そのために、果樹の需要並びに生産の長期見通しというものを三十七年に発表いたしまして、四十六年における需給の想定を出しております。これがいわば生産者等の今後の生産の一つの指標になるという考え方でおります。もちろん、これも将来の推測でございますから、絶対的なものとは言い得ないのでありまして、現段階におきましても、これがはたして適切であるかどうか、三十七年以来今日までの推移等にらみ合わせて検討しておるわけであります。  そういうふうにして、長期的には、この需給の安定につきましては、生産者みずから長期のそういう見通しをもとといたしまして、適切な植栽をやっていってもらいたいということでありますが、たとえばそれがうまくいきましても、短期的に、年によっていろいろ客観的な情勢とかが変わりまして、これに伴う価格の変動は避け得ないわけであります。これに対してどういうふうに考えるべきかという問題でございますが、従来は幸いなことには、ここ十年間は価格は大体安定的に上昇してきておるということで、特に直接的な価格対策というものは考える必要は現実的には必ずしもなかったという状況でございます。ところが、昨年秋以来、若干どうも価格状況は変になりまして、ある程度値下がりしたものもあったわけであります。また今日、このような洋ナシのような問題が起こっておるわけであります。そういう意味から申しますと、今後は、そういう長期的な需給の安定ということともに、短期的な変動に対してはどういうふうに措置していくか、これは検討しなければならない問題だと思います。  ただ、私、個人的に現在考えていることについて申しますと、第一段階は、果樹はその性格上、相当程度生産調節ということにまず力を入れていく必要はないか。たとえば、ことしはどうも生産過剰であろうというような見通しの際には、十分そういうことを考えてやっていくという生産調節面も考えなければならない。しかしながら、それは必ずしも十分それでカバーできる問題ではないと思います。それにつきましては、政府側で何らかの価格安定対策を購じなければならないということだと思います。しかし、それをどの程度、またどういう方法でやるかということにつきましては、現在まだ結論が出ておりません。今日起こっておりますこの洋ナシの問題、あるいは桃の問題等につきましては、現段階では県当局と連絡しながら、両者の、生産者と加工業者の中に立ちまして、できるだけ現時点における適切な価格を形成することにつきまして指導いたしておる、そういう状況でございます。
  186. 華山親義

    華山委員 それは六円ということでメーカーがそう言っているんだとあなたは言われますけれども、六円が七円や八円になるかもしれません。私はならないと思いますけれども、しかし、六円が七円、八円になってみたところで、これはもう昨年は三十何円のものなんですから、まるでめちゃくちゃだと言っていい。そういうふうな状態でございますが、ほかのくだもの、あるいは生果用のくだもの、あるいは蔬菜というふうなものでございますと、これが東京の中央市場に出まして、そしてせり売りできまる。したがって、その間の需給関係できまるのでございますから、ある程度あれはつくり過ぎのものじゃないか、そういうふうなことで、ある程度のあきらめも、安くては困りますけれども、つくというものではございますけれども、このかん詰め用のくだものになりますと、大企業のかん詰め、現在海から上がってきていろいろなかん詰め業者がやっておりますが、そういうふうなかん詰め業者と——中小企業がだんだんつぶれていっております。そういうふうなかん詰め業者と農業者、まあ農協が代表してやっておりますけれども、そういうふうなことで、非常に大企業と農業者との関係がぶつかってくる。そういうふうなことで、私は一面からいうならば、これは非常に悪いことでもありますとともに、この点は国の力によって調整のできる部分が多いのじゃないか。それで、私といたしましては、この点につきまして、今年につきましても努力していただきたいのでございますが、この企業者、栽培者、国、地方団体、そういうふうな人がそういう方面で金でも出し合って基金でもつくって、ある一定の値段をこした場合にはここへ蓄積する、ある一定の値段より下がった場合にはこれを補償するというふうな方法でもとりませんと、こういうふうな状態、六分の一になってみたり五分の一になってみたりするような状態では、全くこれは選択的拡大もできませんし、かん詰め用につくる果実というものは、私は壊滅するだろうと思う。そういう点につきまして、もっと抜本的な構想の御研究を願いたいと思いますが、いかがでございますか。
  187. 酒折武弘

    ○酒折説明員 洋ナシにつきましては、特にこれは大部分加工に回るものでございます。したがいまして、加工のほうがうまくいかなければ生食に回すというふうな調節はききにくい作物でありまして、御指摘のとおりだと思います。そういう意味で加工業者との間の価格の形成というものを着実にやっていくということは、重要な問題でありますし、そのために御指摘のような方法もあるかと思います。われわれといたしましては、青果物の価格安定ということにつきましては、まだ行政が調査の段階でございまして、現在野菜について、ある程度生産者、県、国が出し合っての価格安定というものを試験的にやっておるわけであります。そういったふうな考え方をどこまで広げるかというような問題であろうと思いまして、現在検討中でございますが、ただ、洋ナシにつきまして具体的に申し上げますと、これは大体山形の特産的作物であると言っても過言ではないような生産の状況であります。そういう意味におきまして、たとえば洋ナシについてそういう制度を設けるというふうなことを考えました場合に、はたして他の県等に協力関係に立ってもらえるだろうかというような点も若干あろうかと思います。また、そういう制度を考える場合に、単に一くだものの品種ごとに別々につくるのか、総合的なものにするのかということがあろうと思います。どうも検討検討と申しまして、それではことしに間に合わないではないかという御指摘もあろうかと思いますけれども、なかなかこれは場当たりではできない重要な問題でございます。現在検討中でありまして、いろいろそういった面についての御教示を今後得たいと思っております。
  188. 華山親義

    華山委員 洋ナシのことはそうでございますが、桃につきましても昨年の半値でございます。この点はいかがお考えになりますか。
  189. 酒折武弘

    ○酒折説明員 桃につきましては、おっしゃるとおり、洋ナシほどではございませんけれども、やはりメーカーの在庫分といったような関係で、相当安い価格になろうとしておりますが、まだ決定はしておらないようでございます。したがいまして、こういった問題をひっくるめまして果樹全体について、またその中でも加工用の果樹につきましての価格安定制度というものは、検討する必要があろうかと思います。
  190. 華山親義

    華山委員 それで、私は考えるのでございますが、選択的拡大で果樹を植えろ、農業構造改善でも果樹の点を山形県等は織り込んでつくるというふうな方向で、農林省指導しておられる。したがって、そういうふうなことで果樹が今後成木になって、洋ナシでも桃でも出てまいります。これからどんどん出てくる。そういうときでございますが、簡明に伺いますけれども、一体農民はこのまま洋ナシや桃を植えてもいいのですか、悪いのですか、どうなんです。
  191. 酒折武弘

    ○酒折説明員 洋ナシにつきましては、実はわれわれ若干疑念を持っております。三十七年に発表いたしました長期見通しにおきましても、四十六年における生産と需要との関係は、洋ナシにおいては若干供給過剰になるおそれがあるということを発表しております。もちろん、これは必ずしも一〇〇%確実であるとは言えませんが、大体われわれの考え方はそういう考え方でございます。ところが、最近の情勢を見ますと、特に三十七、八年、山形県は相当程度の増殖をやりまして、そういう面をさらに考慮に入れまして将来の見通しを立てますと、ますますその関係は悪化するというような状況でございます。ただ、三十七、八年ころは比較的価格もよかったような関係もありまして、われわれも単なる見通しでございますので、的確にそれはあぶないぞと実は積極的に警告をしたことはございません。しかしながら、今日に至ってみますと、なかなかこれは問題であるということで、現在果樹審議会におきましても、現時点をもととした将来の見通しというものを再検討しておりますから、おそらくそれらの結論は今月一ぱいには出ると思いますので、それを発表いたしまして、生産者の皆さんの指針にいたしたいと思います。
  192. 高見三郎

    高見委員長 ちょっと関連して質問させてもらいたいのですが、洋ナシと桃の外国製品のかん詰め輸入量はどれくらいになっておりますか、またその関税率はどうなっておりますか。
  193. 酒折武弘

    ○酒折説明員 ナシのかん詰めは、ちょっとこれは古いのでございますけれども、三十七年の数字が出ておりますが、これの輸入は二百七十四トン、金額にして三千四百万円、それから桃は三十七年はございませんが、その後自由化されまして、相当入っております。それらの数字は別途提出いたしたいと思います。
  194. 高見三郎

    高見委員長 関税率はわかりませんか。
  195. 酒折武弘

    ○酒折説明員 ちょっとわかりかねます。
  196. 高見三郎

    高見委員長 政務次官に要望しておきますが、かん詰めの問題は、ひとつ本格的に農林省として御検討いただきたいと思います。
  197. 華山親義

    華山委員 自由化のことをいまお聞きしょうと思っておったのですが、委員長からお聞きされたのでなんですが、内地需要につきましては、自由化の関係が一つあるんじゃないかということでございます。  それからもう一つは、これは業者のほうも悪い。昨年あたりはめちゃくちゃに買う。そして値段もめちゃくちゃにではないでしょうけれども、上げる。そしてことしは余ったからもう買わない。初めのうちは、買ってくれと言ったところが、それだったら二円五十銭で買おうと言った。ただで買おうということなんです。そういうふうなことでございまして、全くもう大企業に振り回されているような状態なんです。全く無政府の状態でございます。しかし、農林省といたしまして、とにかく果樹を奨励し、農民は農林省の指示に従いまして、桑田をつぶして洋ナシを植えた。田をつぶして洋ナシを植えた。こういうふうな関係にもあります。ひとつここで次官からも御明言をいただきたいのでございますが、ことしのようなこういうめちゃくちゃなのを、六円のものを十五円にしろ、二十円にしろということは、これはとてもできない、私はそう思いますが、できるだけ努力していただきたいと思うし、将来、こういうふうな不安定な果樹の状態というものは、私は日本の構造改善あるいは選択的拡大にもたいへんな影響があると思いますが、根本的にこういう面につきまして、かん詰め用果樹、そういうものにつきましても、安定策をとる根本的な研究をさっそくいたしまして、そして今年度予算等に要求していただきたい。ひとつこれにつきまして御返答を願いたい。
  198. 舘林三喜男

    ○舘林説明員 先ほどから飼料の問題とか、いま華山先生から果樹の問題でお話がありましたが、私農林省に入りましてまだ二カ月でございますが、いろいろ聞いておりますと、生産面に非常に力が入っておりまして、配給機構とか価格機構というものに非常に欠けていると私は痛切に感じているわけなんです。これはいままで農林省農林省設置以来、米麦生産中心、生産面に非常に力を入れていた。そのために、技術の指導も生産面に集中されている。そうして、選択的拡大の今日におきまして、酪農にいたしましても、果樹園芸にいたしましても、やはり生産面が重要視されておりまして、技術指導が重要視されていて、価格機構とか流通機構というものについて実は欠けているということは、もう皆さん方全く同感だろうと思います。したがいまして、先ほど委員長のお話しになりました洋ナシとか桃につきましても、直ちに関税率等につきましても早急に検討いたしまして、価格対策等につきましても十分に遺憾なきを期したいと思っておりますから、御了承願いたいと思います。
  199. 華山親義

    華山委員 次官にお願いいたしますが、関税等ばかりでなくて、根本的にひとつ御検討を願いたいと思いますが、御検討願えますか。
  200. 舘林三喜男

    ○舘林説明員 先ほどから、ことし洋ナシのかん詰め用がわずか六円というようなことを聞きまして、実は驚きました次第でございまして、当然農林省といたしましては、御質問がなくてもやらなくてはいけないと痛切に感じております。関税の問題その他につきまして、十分検討さしていただきたいと思います。責任を持ってやらしていただきたいと思います。
  201. 華山親義

    華山委員 ご検討くださるそうでございますから、私、いろいろ農業界のほうからこういうことをしてほしいという要望もございますので、読み上げておきますから、これにつきまして御検討願いたいと思います。  第一といたしましては、この価格安定対策といたしまして、基金の造成をしてもらいたいということでございまして、国、県、生産出荷団体からの拠出に基づいて、価格安定実現のために基金の造成をはかって、それによって、生産費をまかない得る最低価格を補償し、生食、加工両面の需給安定を期してもらいたい。それから、市場が最低価格を維持し得るところの政策を確立しまして、生食の場合には、現在実施している施策地域的品目ごとの拡大をしてもらいたい。また加工品の場合には、一時買い上げ機関を設置して、価格の維持をはかり、需要に応じた調整販売を行なってもらいたいというふうなことでございます。  第二には、需給関係といたしまして、大規模な冷蔵庫をつくってもらいたいというふうなことでございます。  それからもう一つ重大なことは、かん詰め製品の価格の四〇%はブリキ代でございまして、このブリキというものは、大企業によってつくられまして、何ともならない。こういうブリキかんの価格というものを、国におきましてひとつある程度かん詰め等につきまして安くしてもらいたい。これは生産者等が交渉してもできませんので、国において考慮してもらいたいということでございます。  それから、消費地におけるところの需要の測定というものをあらかじめできるだけ精密にやっていてもらいたい、こういうふうなことを要望いたしております。  もちろん、こういう点につきまして、社会党といたしましても研究すべき問題でございますが、とりあえずの問題といたしまして、そういうことを言っておりますし、私個人といたしましても、同感でございますので、とりあえず、そういう点につきましてお願いをいたしたいと思うのでございます。  それから、もう一つ申し上げておきますが、これは山形県だけの問題ではございません。福島県等もそうでございます。  それから、お聞きいたしますが、ミカンにつきましては、輸出用のかん詰めミカン等につきまして、何か価格安定の方策をとっているという話を聞きますが、そうでございますか。
  202. 酒折武弘

    ○酒折説明員 ミカンかん詰めにつきましては、原料購入資金についての融資保証制機関があります。これは要するに、パッカーの原料を買う際の原料代を金融機関から借りる。そのときの返済につきまして、その機関が融資保証する。国から五千万円、パッカー側から五千万円、合計一億、あと少し県から追加して、一億二、三千万円の金をもって、そこで事業をやっております。
  203. 華山親義

    華山委員 その方策は、価格安定には役に立たない、別に直接関係はないわけでございますか。
  204. 酒折武弘

    ○酒折説明員 これはやはり価格安定には相当役立つと思っております。つまり、パッカーが非常に資金難の結果、原料が停滞するとか、あるいは滞貨の問題が出てくるというふうなときには、この保証機関というものが相当有効に働き得る。現在のところ、それほど苦しい状況じゃございませんが、そういう事態になった場合に、相当有効に働き得ると思っております。
  205. 華山親義

    華山委員 ミカンにつきましてそういうことを思いつかれたのでございますからミカンにつきましては少ない金額でございますけれども、もっと大きい金額でもって、たとえば桃のかん詰めであるとか、あるいは洋ナシのかん詰めであるとか、あるいはほかにもあるかもしれませんが、そういうものにつきまして、ミカンだけでなく、もっと大きい金額で、全部の主たるかん詰めの果実についての価格安定について、さっそく御研究を願いたい、こういうふうに存じまするし、本年度、福島県もそうだと申しますが、山形県等はもう全くお手上げの状態です。そのために、農林部は全くお手上げの状態で、もう何ともならないようなふうで、毎日毎日会合を開いても、いかんともしがたい、こういう状態でございまするし、それから桃等につきましては、これはかん詰め用の桃の木と、それから生食用の木と違います。かん詰めには、かん詰めになるような桃をかん詰め業者のほうから言われてつくっている。ことしはかん詰めが売れない、それだったらこれを生食用に回そうといっても、できるものじゃありません。そういう点もございまするし、ほんとうに深くお考えくださいまして、かん詰め用くだものの価格の安定、もちろん生食用もそうでございますが、御検討願いたい、こういうふうに思いますが、ことしにつきまして何かございませんか。
  206. 酒折武弘

    ○酒折説明員 正直に申し上げますと、かん詰めのほうの業界はわりあいとまとまっておりまして、非常に積極的な意見をわれわれに申し出ていただきますああいう機関をつくられたというわけでございますが、ミカンかん詰め以外のかん詰め関係では、どうも比較的役所との接触が薄いのでありまして、独立独歩の精神の強い団体でございます。そういう関係で、どうも従来農林省はそういう団体と接触しておらなかったわけでございますけれども、こういう事態になりますと、お座敷のかかるのを待ってばかりもおられませんし、積極的に私のほうから出向いてそういう話を聞くということを考えておるのでございます。
  207. 華山親義

    華山委員 これで質問を終わりますが、ぜひひとつお願いいたします。
  208. 赤路友藏

    赤路委員 関連。重要問題だから、一言だけ次官に念を押しておきたいと思いますが、これは単に洋ナシだけの問題ではないので、御承知のとおり、いま政府のほうで農業構造改善事業を進めていますが、その中心は選択的拡大とか主産地形成というので、特に果樹関係、畜産関係等に力を入れておられる。そういう過程ですでにこういうような一つの現象が出てきておる。いまお話がありましたミカンの点につきましても、この三十九年の農業観測を見てみますと、現在で九万五肝町歩の植付面積がある。その中で三分の一が未成園だ。まだ摘果していないわけです。この三分の一の未成園、約三万町歩余りのものが摘果をしてくるということになりますと、非常に大きな増産になるわけです。ところが現在、特に九州地方においては、構造改善事業といえば、ほとんど指定地域は全部ミカンになっておる。一体十年後のミカンの需給関係等を十分押えてやっておられるのかどうか。よく私たちが地方へ参りまして、農民といろいろ話をしてみますと、農民は自分かってなことを言うのでありましょうけれども政府の奨励する逆をいきさえすれば間違いないのだ、こういうことを言っておるわけであります。だから、いまここで単に一つの洋ナシ問題としてでなしに、現在進められようとしておる構造改善事業の中で、そうした見通しをしっくり立てておられるのかどうか。ミカン等に至りましては、生果としてどの程度将来伸びるのか、あるいはかん詰めがどの程度一体貿易と申しますか、輸出として出るのか、そういう点をひとつ押えてやっていきませんと、いまのままでいきますと、こういう問題が次々起こってくるのでないかという心配があるわけなんです。これはひとつぜひ御検討願いたいと思う。次官は従来農林関係にはあまり携わっておられない。むしろそれがよりいいのじゃないかと思う。あまりにも農林のくろうとで、マンネリズムになっておりますと、つい何かすうすうといっててしまって、広い大きな目から見る点に欠けるところがあろうかと思いますので、ひとつぜひ次官のほうでは、こういう事態を契機にして、構造改善専業というもののあり方、現在進めている方向、これを再検討を願いたい、こういうふうに思います。これはもうやっていただけるものとして、答弁を求めません。  それからもう一つ、いま華山さんのほうから話がありましたが、かん詰めのかん代が四〇%もかかっておる。そのことがかなり大きな悪影響を及ぼす原因になっておるようですが、これはかって水産物輸出振興法ができました当時、かん詰めに対しましては、もちろんこれは輸出品ではありましたが、価格を特別に下げさせてそれを補償する、こういうことをやったわけです。八幡製鉄所のほうからブリキ板を入れる、そこでメーカーに対して価格の差を補償していくということをやった経緯があるわけなんです。だから、そういう点をも十分考慮の中へ入れて、具体的な線としてひとつ考慮おきを願いたい、こういうように思います。  以上であります。
  209. 舘林三喜男

    ○舘林説明員 いま赤路先生から詳細に御意見がありましたが、実は私も郷里は佐賀でありまして、ずいぶんミカンが増産されておりまして、その増産の勢いはものすごいものであります。座談会に参りましても一番聞かれることは、生産過剰にならないかというこの一点なんであります。農民の気持ちは、実際私はいじらしいと思う。いまキログラム相当な値段でございまして、相当利益をあげておりますけれども、利益をあげて増反する最中に生産過剰を心配しているという気持ちを考えると、よほどしっかり価格政策、また流通政策もやらなければならないと痛切に感じておる次第でございます。何ぶん果樹農業振興特別措置法でございますか、あれができましてからまだ三年でございまして、いろいろまだ欠点がいま局長が言いましたようにあるわけでございます。全力をあげてひとつ今後御期待に沿うようにいたしたい。  また、ブリキの問題につきましても、私初めて四〇%と承りまして、なるほどと思いまして、この点についても華山先生のお話のとおりやってみたいと思いますから、御了承願いたいと思います。
  210. 高見三郎

    高見委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後六時二十八分散会