○
大内参考人 私が
大内でございます。きょうここで
議題になっておりますのは、
公庫法の
改正その他の件でございまして、それぞれのこまかい
問題点というものも拾えばいろいろあるかと思います。しかし、その点はまた後に
加藤さん以下御専門の方も来ておられますから、そういう
方々からもいろいろ御
意見があるかと思いますので、私は多少総論的になりますけれども、
農業金融のあり方なり、あるいは
農業金融の
問題点なりというものについて、日ごろ考えております一端を申し上げまして、御
参考に供したいというふうに思うわけでございます。
今度のこの
改正の御
趣旨を拝見いたしますと、要するに
農業金融というものを一方では拡大すると同時に、
他方では、たとえば
利子率を下げるなり、あるいは
償還期間を長くするなりいたしまして、
農業のために便宜をはかる、こういう御
趣旨かと拝察したわけです。そのこと
自体はもちろんある
意味でたいへんけっこうなことでございまして、それが
農業のためにもちろん役立つということは、私も認めるのにやぶかさではないわけです。ただ、今日の
日本の
農業のいろいろな
状態、ことにここ二、三年非常に進んでまいりました
農業構造改善事業、こういうものとの
関連において考えますと、ただこういう
農業金融についての多少の手直しをする、こういう
程度のことではたして十分かどうか、それで今日の
日本の
農業が持っております問題によくこたえ得るかどうか、こういうことになりますと、私は率直に申しまして非常に大きな疑問を持つのでございまして、事を
農業金融に限りましても、もう少しいわば抜本的な
農業金融の
考え方というものを取り入れませんと、おそらく今日の問題には対処できないのではないか、こういうふうに考えております。
そこで、このことにつきまして多少私の考えておりますことを申し上げたいわけでございますが、主として申し上げたい点は二点ございます。
一つの点は、
農業金融というものを
農業政策全体の中で、どういうふうに位置づけるかということです。それはどういう
意味かと申しますと、皆さまもよく御
承知のとおり、特に最近の
農業政策の
体系の中におきましては、一口で申し上げますと、
補助金から
金融へとよく世間でいわれておりますが、必ずしもそれは
補助金を削った——削られたものもございますけれども、しかし、必ずしも
補助金が全然なくなったということではございませんが、少なくとも
農業金融というほうに
相当強いウェートをかけまして、それによって
農業政策を展開していこう、こういう
考え方がここ数年来非常に強くなってきているように思われる。そういう
意味できょう問題になっております
農林漁業金融公庫のいろいろな
資金の運営というものも非常に拡充されてまいりましたし、そのほかに
農業近代化資金をはじめといたしまして、いろいろな
政策的な
金融ないし、いわゆる
制度金融というものが拡大されてきたわけです。こういう
金融的な
措置、それはいずれにせよ
低利資金を
農民に対して
供給する、こういう
役割を果たしてきたわけでございますが、こういう
金融的な
措置が、もちろん今日までの
農業の展開というものに
役割を果たさなかったわけではないのでございまして、それはそれなりに一応の
成果をあげたと言うことができるかとも思います。ただ、われわれがいろいろ農村を回ってみますと、どうも私は率直に申し上げますと
金融という手段では解決できないような問題というものが、非常に大きくなってきているのではないか、また今日まで行なわれてまいりました
金融を拡大してくるという
政策が、これからたいへんむずかしい問題を生むような、そういう事態がだんだん予想されるようになってきているのではないかという
感じを持つのでございます。そういう
意味で、この
農業政策の中で
農業金融というものをどういうところに位置づけ、それにどの
程度の力を持たせるか、そして
金融以外の
政策でどれだけそれをカバーするか、こういうことを今日抜本的に
農業政策の
体系の中で考え直してみるということが、どうしても必要になっていくのではないかというふうに思うのです。そのことをもう少し
金融だけに限りまして具体的に申し上げますならば、たとえば
構造改善事業というものが御
承知のとおり各地で手をつけられておりますけれども、しかしこれに対しましては
農民側からは非常な
狐疑逡巡とでも申しますか、なかなかそれについていけないという
動きがかなり強くなってきているように思われます。最初の一年、二年のところはかなりすでに
成果のあがっておりますような、そうしてかなり積極的な村が選ばれて、
パイロット地区ないしは
一般地区として指定されておりますから、まだしも
構造改善事業というものが動いていたわけですが、これからおいおいに
一般の村に広げていくという
段階になりますと、村の
農民の側には、とうていこういうものではついていけないという、そういう気持ちがますます強くなってきておるように思われまして、いずれの県の
状態を見ましても、だんだんこの
構造改善事業をいままでのような
速度で広げていくということが、非常にむずかしくなってきておるというふうに言わざるを得ない。
ところでこの
構造改善事業が、そういうふうになかなか
農民側から受け入れられないような
状態になってきております
理由は、もちろんいろいろあるわけでございまして、
一つではございませんけれども、しかしその中のかなり大きな
部分は、
農民としては
構造改善事業をやろうといたしますと、
相当大きな
借金を背負わなければならない、こういうことに対してかなり深刻な不安を持っておるわけでございます。しかもこの
借金という点について申しますならば、すでに
構造改善事業が始まります前までにも、たとえば戦後
土地改善事業が行なわれましたり、あるいは
農業改良資金が導入されたり、そのほか
有畜農家創設とか、あるいは災害ということもございましょうが、いろいろな形で
農民の
借金というものは
相当多くなってきております。さらにその上に
構造改善事業をやるとすれば、またかなりの額の
借金を負わなければならない、こういうことに対して
農民は非常な不安を持っておると言っていいと思います。
農家の
借金が現在どのくらいの大きさになっておるかとか、あるいは
構造改善事業をやった場合にどのくらいになるかということは、これはもちろん地方によっても違いますし、
農家ごとに
相当違いますけれども、たとえば
水田地帯におきましても、おそらく農林省がお考えになっておりますような
構造改善事業をやるといたしますと、少なくとも
一反につきまして十万円ないしはそれ以上の
借金を負わなければならないということになるかと思います。したがって、先ほど申しましたようないままでの
借金を加えますと、さらにそれが多くなるわけでありまして、したがって一
町歩なり二
町歩を経営しておりますような
農家といたしましては、百万円をこえるような
借金を負わなければならない、こういうことになるわけであります。もちろんそういう
借金に対しましては、
利子は非常に優遇されておりますし、最近では
据え置き期間にいたしましても、
償還期間にいたしましても、かなり
農業に対して有利なような配慮はなされておりますけれども、しかしそれにもかかわらずやはり
借金をはたして返せるものかどうかということに対して、
農民は必ずしも自信が持てないというのが実情だろうと思います。しかもこのことは単に
農民が
心配をしておるだけのことでございませんで、われわれから考えましても、この問題は非常に大きな問題のように実は思うのでございます。
それはなぜかと申しますと、これから先の
日本の
農業の
動きというものをいろいろ予想してみますと、おそらく大
部分の
作物につきましては、いままでのようにはなかなかいかないのではないか、こういう
感じを持つからでございます。今日すでに御
承知のとおり、たとえば一番景気がよかったといわれております
果樹作をとってみましても、まだ非常に強気で、
状態がかなりいいのは、おそらくミカンだけでございまして、ほかの
果樹はすでに軒並み悪くなってきております。すでにナシとか桃とかいうのは二、三年前からすでに下り坂に入っておりますが、昨年
あたりからはブドウやリンゴまでかなり
状態が悪くなってきておる。そうしてこれからどの
程度の
速度で
自由化が進むかということは、いろいろまだ
見通しが十分立ちませんけれども、しかし全体として
日本のいわゆる
開放体制というものが進んでまいりますならば、はたして
日本の
果樹作が従来のような有利な地位を維持し得るかどうかということは
相当疑問でございます。しかも
他方では
果樹園の新植というのは御
承知のとおり大体年々八%ずつくらいふえておるのでありまして、したがって数年たちまして新植されましたものがなり始めるということになりますと、
供給は非常に増加をしてくるという問題を持っております。そういう
果樹の
状態をひとつ考えましても大きな問題がございますし、もう
一つその
果樹と並びまして、
日本の
成長農産物といわれておりましたたとえば
酪農を考えてみましても、これもいわゆる
市乳の
供給、
飲料乳の
供給につきましては、それほど輸入との競争というものを
心配する必要はないかと思いますけれども、少なくとも
加工品につきましては非常に大きな
心配があると言っていいと思います。率直に申しますと、おそらくこれがかなり
自由化されてくるということになってまいりますと、私は
加工乳というものを
日本のような条件の中で生産することがはたして可能であるかどうか、また可能であるといたしましても、はたして賢明であるかどうかということには
相当疑問を持っておりますけれども、いずれにいたしましても、すでに
酪農にいたしましても、昨年
あたりから、乳価が必ずしも
農民には有利になっていませんで、むしろ
飼料高であり、
牛乳安だ、こういう形で、
農民から申しますと
酪農の将来に対しても
相当の不安を持っております。いわんや
肉畜、たとえば牛肉とか、豚肉とか、あるいは
鳥肉というようなものになりますと、将来の
見通しというものについては、
農民は
相当強い不安を持っております。しかもこれは必ずしも杞憂ではないと申し上げたほうがいいと思うのであります。
他方、米のようなものを考えますと、これはもちろん
価格は比較的安定しておりますし、それからこれはおそらく
自由化されたといたしましても、それほど強い影響を受けない
作物だと言っていいと思いますが、しかし同時に、米について申しますならば、これをそんなに
価格が高くなるということを期待することはもちろんできませんし、それから
構造改善で多少の生産の
合理化をしたからといって、それほど
所得が非常にふえるというわけにはまいりません。
一反の
所得が十万円にも十五万円にもなるということはとうてい望めないことでございまして、そういうことを考えてみますと、やはり
借金をしながら
構造改善をやっていくということにつきまして、
農民が
相当な不安を持っておるということは、必ずしも根拠のないことではない。むしろ
相当の
理由のあることだというふうに思うのであります。
そういう
意味で、単に
農民に金を貸してやれば、それで
農業構造改善ができるだろうというふうに考えるとしたら、私はそこには
相当大きな疑問があると言ったほうがいいのではないかと思うわけであります。もちろん私も
金融が全然必要でないというように申し上げておるわけではございませんで、
金融でもって解決し得る問題につきましては、
金融を十分に活用するということを考えるべきであろうかと思います。しかし同時に、
農業政策は言うまでもないことでございますが、
金融だけでは成り立たないわけでありまして、そのほかにつきましての施策が十分に伴いませんならば、
金融というものはかえって
農家に対しましては
借金を背負い込ませ、したがって将来は元利の
負担で
農家経済を圧迫し、悪くしますと
農民を没落させてしまう、こういうたいへん不幸な結果を招く、そういう
危険性を持ったものであるということを、十分認識しておかなければならないと思うのであります。
そして率直に申し上げますならば、ほかのいろいろな
農業政策というものが必ずしも今日まで十分に行なわれておりません。たとえば
価格政策一つをとってみましても、御
承知のとおり米につきましてはかなり十分な
価格政策が行なわれておりますが、ほかの
作物につきましては十分な
価格政策というものが必ずしも行なわれていないわけであります。また先ほどから申し上げております
開放体制の中で、
農産物をどういうふうに取り扱うかという問題につきましても、必ずしも具体的な案ができているとは言えないわけでございますし、
農民に対してこれだけのものを必ず将来に対して保障する、こういうものは与えられていないわけでございまして、いたずらに不安を大きくしているという
状態にあると言ったほうがいいと思います。さらに
構造改善の問題といたしましては、言うまでもなく
土地問題をはじめといたしまして、いろいろ多くの問題が残っておりますが、そういう問題にいたしましても十分な対策が講じられていないわけでございます。多少これは言い過ぎになるかと思いますが、多少言い過ぎた誇張した言い方をあえていたしますならば、どうも私は最近の
農業政策の
体系の中では、
農業金融だけが
独走をしているという
感じをいなめないのでございます。こういう
農業金融が
独走をしてきたということによりまして、むしろ
農業に対して非常にむずかしい問題を背負わせているのではないか、こういう不安を私としては持つわけでございまして、そういう
意味で
金融の問題を考えますときに、まず
農業政策全体の
体系の中で、
農業金融をどういうふうに位置づけるか、こういう問題を
十分国会の場におきましても御検討をいただきたい、こういうことが第一番目に申し上げたい点でございます。
第二番目にもう
一つ申し上げたい点は、
農業金融に今度は限定をいたしまして、
農業金融というものが活動する場なり、あるいはその活動する場に応じました
農業金融のあり方なり、こういうものにつきまして、やや総括的なことを一、二申し上げてみたいわけでございます。それは結論的なことを一口に申し上げますと、こういうことでございまして、今日
農業金融というのが、先ほど来申し上げてまいりましたように非常に拡充されてきたわけでございますが、実は拡充されてくる中で、私はかなりやっかいな問題を
金融としても生み出してきたように思うのでございます。そのやっかいな問題を生み出してきたということをさらに
整理をして考えてみますと、二つの
側面があるかと思うのでございますが、
一つの
側面は、先ほど申し上げましたこととも
関連いたしますが、本来
金融でやるべきではない、あるいは
金融以外の方法でやったほうがいいというふうに考えられるものまでが、
金融で処理されるという形になっている。あるいは
金融でかりに処理するとしても、全く別の
金融の
制度というものを考えるべきであろうというふうに考えられるものまでが、既存のいわば
農業金融の
体系の中に無理やりに押し込められている。こういう形になっているところに、
一つ農業金融としての
問題点があるように思います。第二番目の、他のもう
一つの問題は、
農業金融そのものが
体系として非常に乱れてまいりまして、そしていわば
交通整理ができなくなってしまったような
状態になっておりまして、そのために
資金がうまく流通しないというような問題を引き起こしているのではないか、こういう問題、つまり一口で言ってしまいますならば、
農業金融の
交通整理が十分にできていないという面があるように思うのであります。
そこでまず第一の問題から申し上げますと、私が考えておりますのはこういうことでございますが、現在
農業金融、ことに
農林漁業金融公庫の
仕事の中に入っておりますもので、
金融でやるということが必ずしも適当でないというふうに私が考えますものは、主として二つございます。
一つはいわゆる
基盤整備、つまり
土地改良事業を
中心といたしました
基盤整備のための費用というものでございまして、これは御
承知のとおり
公庫資金のかなり大きな
部分を今日占めておりますけれども、これを
金融でやることがはたして適当かどうかということに、まず私は疑問を持っております。もう
一つの分野は、
土地取得資金でございまして、つまり
農家が
経営地を拡大いたしますために
土地を買い入れる、これは従来
公庫の
自作農創設資金から始まりまして、
公庫資金でももってまかなわれてきたわけでありまして、今度の
改正では金利を下げる、たしか下げることになっていたと思いますが、とにかくそういう
資金を
公庫が扱ってきておりますが、これはもちろん
金融でやることは、私は異存がございませんけれども、しかし、はたしてそれを
公庫の
金融というシステムに乗せるのが適当かどうかということについては、非常に疑問を持つものでございます。
そこで、まず第一の
土地改良事業のほうから申し上げますと、これは第一番目には、
金融そのものの問題よりは、
土地改良事業のいままでの
やり方そのものに
相当大きな問題があるように思うのでございます。それはどういうことかと申しますと、言うまでもなくこの
土地改良事業というものは、今日まではいわば三段がまえになって行なわれておるわけでございまして、いわゆる
幹線の
事業は国営でやる、それよりやや小さいものは府県の
負担でやる、そして
最後の一番
地元のところを
土地改良区が
担当をする、こういう形で三段がまえになっておりまして、そして
最後の
土地改良区の
担当分につきましては、
地元負担分を
公庫が
金融措置でめんどうを見る、こういう組織でやってきておるわけであります。しかしこういう三段がまえでやっているということが、実は
土地改良事業のような、ことに水利の問題にそれが結びつていまいりますと、とうていこの狭い
範囲でやるべきことではございませんで、大きく申しますならば、全体としての
国土計画との
関連においてやらなければならないことでございますし、少なくとも村の
範囲ではとうてい処理できないような、非常に広範な
事業になってくるものでございますが、そういう性質のものを三段がまえで、いわば
ばらばらにやりますために、今日までの実績を見ますと、実は非常に能率の悪いことが至るところで起こっているといったほうがいいと思います。
たとえば、ある場合には国の
事業のほうだけが先に進んでしまいまして、しかも県のほうは予算がないということで、県の
事業が非常におくれるというようなことから、せっかくできました
幹線工事が何の役にも立たないで、何年か眠ってしまうということも起こります。あるいは逆に、
地元の
段階ではいろいろ
仕事が進んでまいりましても、県の
仕事がそれに伴わないということになりまして、せっかく
地元で進み始めました
仕事が途中でストップしてしまったり、あるいは
地元でやりましたことが、当分の間は効果が生まれない、こういうような非常に
ばらばらな
動きを示してまいりまして、そのために非常に非能率的になっているという問題が起こってきているわけでございます。
そういうことにも非常に大きな問題がございます上に、さらにこの
構造改善事業が始まりましてから、はなはだ奇妙な現象が起こったわけでございます。それは御
承知のとおり、同じ
土地改良事業をいたしましても、それが
構造改善の中に入りますと七割が
国庫補助だ、こういう形になりますために、
地元負担は相対的に少なくて済む。ところがその
構造改善に指定されました
地区のすぐ隣のところ、あるいはそれに接続しているところでありましても、
構造改善事業の中に入りませんと、従来の
土地改良事業でやるしかないわけでございますから、せいぜい四割しか
国庫負担がつかない、こういうことになりまして、したがって今度は
一つの村の中でも、
土地改良事業の進み方が非常に
ばらばらになってまいりまして、ますます全体としての統一がとれなくなってしまう、こういう問題が起こってきているわけでございます。
そういう
意味で、この
土地改良事業というものをいままでのような三段がまえの方式でやること
自体が、非常に大きな問題だと私は思いますし、それからこれを今度は
金融の問題として考えました場合に、なるほど
土地改良事業をやりますならば、一応生産性があがるから、将来
農家はその生産性のあがった分から
借金を返していくことができる、こういう計算は抽象的に考えると成り立つように思われます。しかしこれをやや具体的に考えてみますと、今日のようにまだ
農家の
整理がつきませんで、一方では専業
農家もあり、
他方では兼業
農家もある、したがってまた
農業に対する意欲もいろいろに違っている、こういう
農家が入りまじっているという
状態を考えまして、
土地改良事業というものを
一つ取り上げてみましても、
土地改良事業の場合には御
承知のとおり、個別的な
農家ごとにやるというわけにもまいりませんから、専業
農家だけ取り出して
土地改良事業をやってやるというわけに参りません。当然専業
農家も兼業
農家も含めまして、全部の
土地改良事業をやらなければならぬ、こういうことになりますが、
農家のほうのその
土地改良事業というものに対します意欲なりあるいは評価というものは、きわめてまちまちでございます。したがって、どの
農家にもひとし並みに
借金を背負い込んで
土地改良事業をやれ、こういう形にいたしましても、それでは必ずしも
農家の足並みがそろわないということになってまいります。また結果におきましても、なるほど
土地改良事業が行なわれて生産性があがったといたしましても、その影響の受け方というものは、また
農家ごとに非常にまちまちになってまいります。したがってある
農家からいえば
借金を返すことは何でもないということになるかもしれませんが、他の
農家にとっては
借金を返すのはなかなか容易なことではないということにもなるわけでございまして、そういう
意味で、この
土地改良事業のような共同的に大規模にやらなければならない
事業を、個別的な
農家の
借金という形でやらせること
自体が、非常に無理な
考え方だというふうに私は思うのでございます。
したがって
土地改良事業につきましては、私はむしろこういうことを考えているわけでございます。それはとにかく国が全体としての
国土計画をまず立てて、それからそれを地方計画に細分してまいりまして、そしてとにかく基本的な基盤川整備に関する限りは、国が全責任を食ってやるべきだというふうに考えます。そしてもちろんその費用は全部さし
あたりは国庫が
負担するということになりましょうが、しかし、将来その
土地改良事業の効果があがってまいりまして、個々の
農家の収益がそれでふえてくるという結果が出てまいりましたときには、その収益の一
部分を受益者
負担というような形で回収をする、こういうことはもちろん考えるべきであろうと思いますけれども、いずれにせよ、今日ちょうど道路をつくったり何かいたしますのと同様に、まず国庫の責任において、あるいは公団でもかまいませんが、とにかくまず国の責任において全体としての工事を遂行いたしまして、そしてその費用は後に生産性のあがったところでそれに応じて回収をする、こういう方式を考えることがしかるべきものでございまして、いまのような
金融という方式でやることは、先ほど来申し上げてまいりましたような
理由で、私はたいへん無理だという
感じを持っております。
第二番目には
土地取得資金についてでございますけれども、これは今日は
公庫資金が三分五厘で貸し出される、こういう形でもって一応与えられておりますが、ただそのワクそのものは非常に小さいものでございまして、現実にわれわれが村へ行ってみますと、
公庫資金を利用いたしまして
農民が
土地を買っておるというケースは、むしろきわめてまれだと言ったほうがいいくらいでございまして、しかも
土地取得という問題につきましては、御
承知のとおり単に金だけの問題では解決し得ないような、いろいろむずかしい問題が出てきていると言ったほうがいいと思います。
申し上げるまでもないことでございますが、今日一方ではいわゆる自立経営として伸びていきます
農家は、もちろん経営規模を拡大していかなければならない、こういう必要性を持っているわけでございます。
他方におきましては、すでに七割以上の
農家が兼業化しておりますが、そういう兼業化している
農家の特に比較的大きなもの、たとえば一町とか一町五反
程度でも今日では兼業化している
農家が
相当多うございますが、こういう
農家ではある
意味では
土地を
相当もてあましておるわけでございまして、とてもそれだけの経営を兼業をやりながら、しかも維持していくということは困難になってきているわけでございます。ただそういう兼業化していきつつある
農家の方は、これもまたなかなか農地を手放すというところまでは踏み切れないでいるわけでございます。したがって、ある場合にはいわゆるあらしづくりをするというような方法で維持してまいりますし、ある場合にはいわゆる請負耕作というような——これは農地法の脱法行為であるかどうか、その辺はむずかしい問題でございますが、とにかく一種の小作に出すような形にいたしまして、それを何とかごまかしてはおりますけれども、しかしなかなか農地そのものは手放すまい、こういうことを考えているわけでございます。ところで農地そのものを手放すまいというふうに
農家が考えますことにつきましては、もちろんいろいろな
理由がございます。ある場合におきましては、たとえばいまのところは兼業をしてほかの職業についていても、その職業が必ずしも安定的でない。特に病気をしたり年をとったりしたときに困るかもしれない、あるいは失業したときに困るかもしれない、あるいはまたその職業から得られる賃金なりその他の収入が必ずしも十分ではないというようなことから、とにかく農地を維持しておいて、いざというときに備えたいというような、いわば貯金のような
意味を持った農地の保有、こういうものがもちろん一面ではあると思います。
第二番目には、ことに都市の近郊なりあるいは新産都市なり、工業化の著しいところはそうでございますが、将来の地価の値上がりというものを予想いたしまして、いまのところは必要ないけれども、もう少し持っていればもっと高く売れるだろう、そのときまでは持っていたほうが得だという計算に立ちまして、
土地を手放すまいとする
動きが非常に強く出ている、こういうふうに言ったほうがいいかと思います。
第三番目に考えられますことは、あるいは場合によっては農地を売ってもいいというふうに考えている
農家もございます。ことに比較的純農村地帯ではそうでございます。ただ最近の傾向といたしましては、こういう純農村地帯では、農地の値段が必ずしも有利には動いていない、むしろ下がりつつあるというのが
一般だと言っていいと思います。そのことをもう少し突き詰めて考えてみますと、農地を売ってもいいというふうに考えております
農家が、このくらいの値段で売りたいというふうに考えている。つまり売り手としての農地についての評価と、今度は経営規模を拡大しようとしている
農家が、このくらいの値段ならば
土地を買っても何とか採算がとれそうだというふうに考えております。いわば農地の需要者側の
土地についての評価というものは、だんだん食い違ってまいりまして、それだけにますます農地の売買が困難になってくる、こういう問題があるように思うのであります。
そういうふうに農地の問題というのが、いろいろな
側面にからんできておりますから、これはもちろん単なる
農業政策だけでは解決できない面もございます。先ほど申し上げました第一なり第二の問題を考えますと、これは当然社会保障の拡充なり、あるいは全体として
国土計画をきちんときめまして、どこまでが工業地帯であり、どこまでが純
農業地帯であるかというけじめをはっきりさせるという、そういうかなり大きな
政策的な手というものを考えてまいりませんと、単なる
農業政策ではとうてい解決することができない面が多いかと思います。しかし同時に、いま申しました特に第三の点に
関連して申し上げますと、これは私はある
意味でたいへん重要な問題だと思います。つまり今日のようにそういう
理由で農地の流動性が非常に妨げられておりまして、すでに兼業化いたしまして生産性の非常に落ちております
農家が
土地をかかえ込んで、
他方では専業
農家として経営を伸ばしたいというふうに考えております
農家が、そのために経営を拡大することができないで足踏みしている、こういうことは国全体としてはたいへん損失でございます。つまり
土地の利用という点からも損失でございますし、
農業の
構造改善を進めるという点から申しましても、たいへん大きな損失でございます。したがって
農業政策としては、何とかして農地の流動性を高めてやるということを考えなければならないと思うのでございますが、ただこれはいま一部で言われておりますように、農地法のたてまえをゆるめまして、そして
土地の小作関係というものを自由にしていく、こういうことさえ許せば、
土地の流動化ができるというふうには私は考えないのです。それはなぜかと申しますと、昔の
農業でございますならば、どうせ
農業はおもに手労働でやっていたわけでありますから、
土地を借りるにいたしましても一年間でも二年間でも、とにかく借りたほうが得だという計算が成り立つわけでございます。しかし今日の
農業あるいはこれからの
農業は、御
承知のとおり、
土地改良事業から始めまして、農道をつくるなり、排かん施設をつくるなり、とにかく
土地に固定するような投資というものを非常に大きくいたしませんと、
農業としては成り立たないわけであります。そうなりますと、いずれにせよ小作権をゆるめてしまいまして、そして短期でもいいからとにかく
土地の貸借を認めるというような体制をとってみましても、本格的に経営を拡大しようとする
農家から見れば、そんな一年や二年
土地を借りてやったのではどうすることもできない。固定投資をすれば、少なくとも十年とか二十年とかいう長期にわたって耕作権が安定していない限りは、耕作することはできないということになります。
他方、
土地を貸すほうの
農家からいえば、やはりいつでも自分が必要となったときには
土地を取り戻せるという条件がないと、なかなか貸せない、こういう問題を持っているわけでございまして、したがって単に農地法のワクをゆるめれば
土地の流動性が出て、問題が解決できるとは私にはとうてい考えられないわけでございまして、やはり農地の流動性を高めていくためには、本格的に考えますと農地の所有権を移転させるということを考える以外にはないと思うのであります。
その所有権を移転させるということを考えます場合には、ところで農地を売るほうの
農家の立場から申しますと、もちろん
土地の
価格がなるべく高いほうがいいわけでございます。しかもこれは
政策的に申しましても、私はできるだけ農地の
価格を高くすべきだと思うのでございます。なぜならば、そういう兼業
農家の離農をなるべく促進いたしまして、これを
整理するということから申しましても、あるいはそういう転業をしていく人たちに対しましてできるだけ
資金を与えまして、そして転業を円滑にするということから考えましても、農地の
価格を押えればいいということにはならないわけでございまして、むしろできるだけ
土地を高く買ってやるという
措置をとったほうが万事円滑にまいりますし、そのことがまた
政策的にも望ましいことかと思います。しかし
他方、経営を拡大するほうの
農家の立場から申しますと、もちろん地価はなるべく安いほうがいいわけでございまして、これはもちろんその
土地の利用のしかたによっていろいろ計算は違ってまいりましょうけれども、一口で言ってしまえば安ければ安いほどいいということになります。先ほど申し上げましたように今日では、そういう
供給側の要求している
価格と需要側の要求する
価格との間に、非常に大きな食い違いがあるということがあるわけでございます。そこで、そういう食い違いを一番手っとり早く解決いたしますためには、もちろんいわゆる二重
価格制がとれれば一番望ましいわけでございまして、売り手からは高く買ってやって、買い手には安く売ってやるということができれば、一番望ましいことでございます。しかしそれは簡単にはいかないのでございまして、小さい面積ならばそういうことも可能でございましょうが、
相当大規模に、たとえば二百万
町歩とか三百万
町歩とかいう
土地が動くということを考えますと、とうていそんなことをやっておりましては財政がつぶれてしまいまして、問題にならないことかと思います。したがってこの問題はやはり私は基本的には、
金融という方式で解決する以外にはないというふうに思っておりますけれども、ただその
金融は、いま申し上げましたような農地の全体の問題の大きさというものを考えてみますと、いままでの
公庫のやり方のように、ただ
低利資金を比較的長期にわたって貸し出す、こういう
程度で、しかもいままでのようなワクの
程度でもって解決できるかと申しますと、私はそれはおそらく不可能ではないかと思うのでございまして、この点につきましてはもっと抜本的な新しい農地
金融の構想というものを立てるべき時期にきているのではないかというふうに思うのでございます。
それにつきましては、これは全く私個人の私案でございまして、十分練れているものではございませんが、ついででございますから御
参考までに私の
一つの私案を申し上げさしていただきますと、こういう方法をひとつ考えてみたらどうかということを考えております。それは国が直接やってもよろしゅうございますし、あるいは特別の農地金庫のようなものをつくってもいいと思います。そうしてその金庫は農地を取得する
資金を貸し出すわけでございますが、しかし貸し出しの形式は、直接現金を貸し出すという形にいたしませんで、むしろ農地証券を発行いたしまして、その証券を交付することによって農地を買い上げるということにする。その場合には、先ほど申しましたような
理由で、
土地価格をできるだけ有利にきめてやったほうがいいと思います。望むらくは、たとえば水田の場合でも、
一反を三十万円ぐらいにしてやれば、かなり
土地の売り手が出てくると思いますが、そういう
程度の
価格を保証いたしまして、農地証券でこれを交付する。その農地証券につきましては、市場
利子をつけてやる。今日で申しますならば、おそらく七分とか七分五厘とかいう
利子になるかと思いますが、その
程度の
利子をつけてやりまして、もちろん証券市場で流通性があるような
措置を考えてやるということにする必要があるかと思います。そういたしますならば、農地を売った人たちは、その証券を持っておりますならば、貯蓄として持っている場合にはとにかく
利子が入ってくるわけでございますし、それはほかのいろいろな有価証券を持っている場合とほとんど変わらないということでございますれば、別に損失を受けることにはもちろんならないわけでございます。それから現金化したいということになりますならば、その農地証券を市場で売れば、いつでも現金化できる、こういうことになりますから、それによって売り手は別に何ら損害を受けないという体制が一応できるかと思います。そして
他方におきましては、その農地証券は、私はできればこれは永久公債にしたらいいというふうに考えております。つまり公債は必ずしも期限を限る必要はないわけでございまして、たとえばかつてイギリスにございましたコンソル公債のような、つまり政府はいつでも償還することができる、政府の便宜において買い上げ償還という形で、市場から引き上げてそれを償還することはできますが、しかし政府が特定の時期を限って償還の義務は負わない、こういう形の証券にしておくことが一番適当ではないか、長期にわたって保持いたしますために、それが一番適当ではないかと考えるわけであります。
それから
他方におきましては、
土地を買いたい
農家に対しましては、もちろんその
土地を買わせるわけでございますが、これに対しましては先ほど申しましたように、農地をすぐ二重
価格にいたしまして、安く売り渡すということはできません。したがって先ほど申しましたたとえば三十万円なら三十万円という買い上げ
価格で買わせるわけでございますが、そのかわりこれに対しましてはできるだけ低利の長期の
資金というものを考えるべきだろうと思います。この長期の
資金というのも、いま
公庫でお考えになっておりますような三十年ぐらいというのは、私は農地取得
資金としては短か過ぎると思います。ヨーロッパですでにございますような、たとえば七十年から百年ぐらいの長期年賦
資金というものをまず考えるべきであろうと思います。それから
利子はなるべく安いほうがいいわけでございますが、農地証券の
利子が七分五厘であるといたしますと、政府がある
程度利子補給をするといたしましても、おそらくそうひどく下げることはなかなかむずかしいと思います。望むらくは、四分なりあるいはその
程度の
利子をつけまして、ただむしろそれを非常に長期の償還という形をとることによって、
農家負担をなるべく小さくする、こういう構想を考えてやったらどうか。そしてその農地の償還金がだんだん入ってまいりますに応じまして、農地証券を少しずつ償還をしていく、買い上げ償還という形で償還をしていくというやり方をいたしますれば、かなり農地の移動に対応いたしますような
金融措置というものができるのではないかというふうに私は考えております。もちろんこまかい技術的な点まで十分考え尽くしたわけではございませんが、基本的な構想として、たとえばそういうような
一つの新しい
金融方式というものを開発をすべきではないか、こういうことが私の考えでございます。そういうわけで、いま申しました
土地改良資金と農地取得
資金というものは、いままでの
金融のワクからはずすべきだというふうに私は思うのでございます。
それ以外の問題につきましては、あと残る問題は、先ほど申し上げましたようにいわゆる
交通整理という問題であります。この
交通整理ということは、言うまでもなく一方では
公庫の
金融というものがございます。この
公庫の
金融は、いままで非常にこまかくいろいろ分かれておりまして、ややこしくなっていたわけでございますが、今度の
改正法律案を拝見いたしますと、かなりその点は
整理されるようでございます。しかし問題は
公庫資金だけではございませんで、
他方それにもう
一つ農業近代化資金というものがくっついております。さらに
農業協同組合が行ないますいわば共同
金融とでも申しますか、あるいはいわゆる系統
金融というものが別にあるわけでございます。しかもこの系統
金融も、もちろん短期のものはほかのものと重複いたしませんけれども、中長期の系統
金融になりますと、近代化
資金なりあるいは
公庫資金なりと重複する分野というものがいろいろ出てまいりまして、しかもまた今度はその近代化
資金それ
自体は、皆さんも御
承知のとおり、これはたいへん複雑な仕組みを持っておりまして、いろいろ複雑に、金利についても差が多少ついておりますし、償還条件についてもいろいろな差がついておりまして、非常に複雑なことになっております。その上さらに府県がそれぞれのいわゆる
制度金融というものを行なっておりまして、これが加わってまいります。したがって今日農村に参りますと、
公庫資金、近代化
資金、府県のやります
制度金融、それから系統
資金というものが入りまじってまいりまして、しかもそれがそれぞれいろいろな差を持って、つまり条件に差がついて
農家に入ってくるわけでございます。しかし
農家のほうは、それがあまり複雑になっておりますために、一体ある
一つの
事業のために金を借りるのは、どういう
資金を借りてどういうことになるのか、ちっともわからないような
状態になってきております。しかも
農家の手元に入ってしまいますならば、どのみち
一つの金として入ってくるわけでございますから、別に金に色分けがついているわけではございませんから、したがってはたしてこういう非常に複雑な
制度ができているということがどれほどの
意味があるのかということが、まず疑わしいように思われます。またいま申しましたような
資金がいろいろ複雑になってまいりまして、一定の
資金のワクが足りなくなって、
他方の
資金がそれに加わるということになりますと、ある
農家はわりあいに有利な
資金を借り得たのに、他の
農家は同じ目的で金を借りても全然不利な
資金になってしまうというような、でこぼこが非常に出てまいりまして、そのために
農家がなかなか計画的に金を借りていくということができないような体制になっていると思われるわけであります。したがってこの点につきましては、もう少し明確な
整理をしていくべきだと思います。
私は、いわゆる中長期
資金と普通言われておりますたとえば
果樹園造設とか、あるいはいろいろな家畜導入とか、固定設備の設置、あるいは機械の導入、こういうものにつきましては、個々の
農家が行なう限りにおきましては、なるべく
公庫がこれを
担当すべきものであろうというふうに思います。したがってむしろ近代化
資金の一
部分をできるだけ
公庫のほうに吸収をしていくという形で、まずその中長期
資金の分野を
整理すべきではないかというふうに思います。ただしそういう固定施設なり機械なりにつきましては、
農家が個別的にないしは
農家の任意組合が持つという形のほかに、市町村なりあるいは
農業協同組合なりが持つというものは
相当ございます。この
農業協同組合が持つものにつきましては、もちろん協同組合はできるだけ自分の
資金でこれをファイナンスするということを考えるべきであろうと思います。それからいわゆる短期
資金というものにつきましては、これはできるだけ協同組合が自立的に行なうべき分野だろうというふうに私は思うのでございます。ただこの分野につきましては、御
承知のとおり今日では非常にこの金利が高いということが問題になっております。この点では非常に
利子にアンバランスが生じておりまして、これは
日本全体がある
程度そうなんでございますが、特に
農業金融におきましては、中長期の
資金のほうが
利子が安く、短期
資金が非常に
利子が高い、こういう変なアンバランスな形が生じております。したがって協同組合につきましては、できるだけ協同組合の体制そのものを立て直すということによりまして、金利を下げさせるという
措置が必要でございますし、また場合によりましては、これに対してある
程度国が援助をしてやるということを考えなければならないかと思いますが、いずれにせよ短期
資金は協同組合になるべくやらせる、中長期
資金はなるべく
公庫の
資金に吸収をしていく、こういう形にいたしまして、その中間にございます近代化
資金という妙なげたばきの
金融制度というものは、私はなるべくやめたほうがいいというふうに思います。近代化
資金というものは、これはほかの機会に、衆議院の予算公聴会でも申し上げたことでございますが、私はあの
制度には反対でございまして、ああいう協同組合の金に政府が個別的にげたをはかせる、こういう形でそれを利用するということは、協同組合の自主性を非常にそこなうことでもございますし、
他方、
政策の責任という点から申しますと、非常にこれがあいまいになってしまいまして、たとえば近代化
資金の貸し付けがうまくいかないというような場合に、それは一体政府の責任なのか、協同組合の責任なのかということが、はっきりしなくなってしまう。こういう難点を持っておりまして、私はああいうげたばき
金融というものは、ぜひ
整理すべきだと思います。したがって
交通整理はそういう
意味で、
公庫と系統との間にできるだけはっきり分野を分けまして、そしてその分かれた分野についておのおのできるだけすっきりした形の
金融体制、こういうものをつくるという方向に持っていくのが必要ではないかというふうに考えておるわけでございます。
以上、与えられました時間を多少超過いたしまして恐縮でございますが、しかも必ずしもまだ十分申し上げたことにはならないと思いますが、ことばが足りませんでしたところは後ほどまた御質問でもございますならば補わしていただくことにしまして、一応私の申し上げることはこれで終わらせていただきます。(拍手)