○西村(関)
委員 そこで、
農家らしい
農家を育成していこう、せっかく芽が出てきた、六十万円以上の
農業所得をあげている
農家の比重が九〇%になって、自立経営
農家としての希望を幾らかでも抱くことができるようになった、こう報告されているのでございますから、この芽を伸ばしていくために、この明るい面を推し広げていくために、
政府の具体的な御
施策を伺ったのでございますが、
農政審議会にかけていろいろ諮問をした上でということでございますから、これ以上のことはお伺いをいたしません。ただ、この
農家らしい
農家を育成していこうという
大臣のお
考えの中には、
農業の中におけるエリート意識と申しますか、
一つのチャンピオンをつくっていこうというお
考えがあるのではないかと思われるのでございます。ところが、このエリートになれるところの、チャンピオンになれるところの
農家というものは、きわめて限られておるのでございます。先ほど
大臣もお述べになりましたように、
農業外の収入によってようやく
生活をささえているところのいわゆる
兼業農家というものが年々歳々ふえつつある
傾向でございます。しかも第二種
兼業農家がふえつつある現状でございます。こういう問題、
農業外の収入によって生計を立てているところの
農家、あるいは
農業外の収入さえも安定していない、自由労働等によってようやく
生活の資を得ておるところのきわめて零細な
農家、いわゆる
農家らしからぬ
農家の問題を、一体
政府はどういうふうにお
考えになっていらっしゃるか。こういう問題に対していままであまり明確にお示しを受けなかったと思うのでございます。私どもは零細農切り捨て
政策あるいは零細農いぶり出し
政策というようないやな
ことばで批判を申し上げておりましたけれども、
農家らしい
農家になれないところの
農家に対する
施策をいまだかって農林当局はお示しになったことがないと私は思うのでございます。
農業人口の
減少は、三十七年度におきまして、純移動は七十一万人、前年度より一二%上回っておると、
大臣は
所信表明の六ページにお述べになっていらっしゃいます。このように
農業人口は減っておりますが、また、この同じ文書の六ページから七ページにかけまして、
農家戸数の
減少が
農業従事者の
減少に伴わない、いわゆる
兼業を主とする
農家が著しく増加し、全
農家数の四割を占めておるということも指摘されておるわけでございます。また、
農業労働力の老齢化、女性化が進行し、
農業経営の
後継者をいかにして
確保するかという問題も重視しなければならない。これはただ単に
後継者養成のための若干の補助金を出すということぐらいでは私は解決できないと思うのです。もっと
農政の根本的な姿勢を改めなければ
後継者は出てこないと思うのです。そういうところに大きな憂いがあると思うのです。こういう老齢化、女性化の問題に対して、
政府は一体どうこれを解決しようとなすっていらっしゃるか。いわゆる三ちゃん
農業、おじいちゃん、おばあちゃん、おかあちゃん
農業、特に
兼業農家の場合には、奥さんにたんぼをつくらして、だんなさんは月給取りになって
生活をささえておる。だからといって、農地を手放して、家をあげて
農業外の仕事に移っていくということも、今日の労働
事情、今日の賃金
事情からいって、とてもそれは望めない。中学を卒業した若い青少年たちは、幾らでも、どこへでも働き口があって、むしろ求職よりは求人のほうが逼迫しておるという現状でございますから、どんどんどんどん行ってしまう。家庭を持って子供の三人もあるような中年の
農業一脈でやってきた人は、ほかの会社や工場に使ってもらおうといったって、雇ってくれるところはない。こういう現状になっておって、
政府のお
考えになっていらっしゃるところの自立経営
農家を育成していくという面と相合わない、ずれているところができてきておる。こういう多数の
農家らしからぬ
農家に対して、どういうような
施策を講じていこうというお
考えですか。ほったらかしにしておくというなら、それもしかたがないが、ほったらかしにしておくのでは、これはあんまり芳しいことだとは言えません。一体これをどう処理していくというふうにお
考えになっておりますか。かって池田
総理は、自然に解決していくのだ、
日本の経済の高度成長発展の中で、自然に解決していくのだというような答弁をしておられますが、現在解決していないじゃありませんか。ますます
日本農業の老齢化、女性化は進んで、
大臣もここにお述べになっておられますように、
日本の
農業の将来は実に暗いものがある。明るい面を見出そうと私も
努力をしたいのでありますが、非常にこの点に対して暗い面がある。こういう点に対して、
兼業農家の処置とともに、将来の見通しをどういうふうにお立てになっていらっしゃいますか。