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1964-09-01 第46回国会 衆議院 内閣委員会 第52号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年九月一日(火曜日)     午前十一時開議  出席委員    委員長代理 理事 伊能繁次郎君    理事 辻  寛一君 理事 内藤  隆君    理事 永山 忠則君 理事 石橋 政嗣君    理事 田口 誠治君 理事 山内  広君       安藤  覺君    井原 岸高君       仮谷 忠男君    綱島 正興君       丹羽 兵助君    野呂 恭一君       福田  一君    藤尾 正行君       前田 正男君    湊  徹郎君       秋山 徳雄君    石田 宥全君       稻村 隆一君    大出  俊君       小林  進君    島上善五郎君       只松 祐治君    戸叶 里子君       中村 高一君    成田 知巳君       村山 喜一君    八木 一男君       山花 秀雄君  出席国務大臣         外 務 大 臣 椎名悦三郎君         国 務 大 臣 小泉 純也君         国 務 大 臣 愛知 揆一君         国 務 大 臣 増原 恵吉君  委員外出席者         内閣官房長官  鈴木 善幸君         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房公務員制度         調査室長)   岡田 勝二君         防衛庁参事官  麻生  茂君         防衛庁参事官         (長官官房長) 三輪 良雄君         防衛庁参事官         (防衛局長)  海原  治君         防衛施設庁長官 小野  裕君         防衛庁事務官         (防衛施設庁労         務部長)    藤本  幹君         防衛庁事務官         (防衛施設庁施         設部長)    鈴木  昇君         総理府事務官         (科学技術庁長         官官房長)   江上 龍彦君         総理府技官         (科学技術庁原         子力局長)   村田  浩君         外務事務官         (アメリカ局         長)      竹内 春海君         外務事務官         (条約局長)  藤崎 萬里君         専  門  員 加藤 重喜君     ————————————— 九月一日  委員岩動道行君、塚田徹君、八田貞義君、茜ヶ  久保重光君、稻村隆一君及び只松祐治辞任に  つき、その補欠として安藤覺君、丹羽兵助君、  仮谷忠男君、成田知巳君、山花秀雄君及び八木  一男君が議長指名委員に選任された。 同日  委員成田知巳君、八木一男君及び山花秀雄君辞  任につき、その補欠として石田宥全君戸叶里  子君及び島上善五郎君が議長指名委員に選  任された。 同日  委員石田宥全君島上善五郎君及び戸叶里子君  辞任につき、その補欠として秋山徳雄君、小林  進君及び只松祐治君が議長指名委員に選任  された。 同日  委員安藤覺君、仮谷忠男君、丹羽兵助君、秋山  徳雄君、小林進君及び只松祐治辞任につき、  その補欠として壽原正一君、八田貞義君、塚田  徹君、茜ケ久保重光君、稻村隆一君及び山田長  司君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国の防衛に関する件(原子力潜水艦寄港問題及  び基地問題)  公務員給与に関する件      ————◇—————
  2. 伊能繁次郎

    伊能委員長代理 これより会議を開きます。  国の防衛に関する件及び公務員給与に関する件について調査を進めます。  まず、基地問題について質疑申し出がありますので、これを許します。中村高一君。
  3. 中村高一

    中村(高)委員 基地問題のうちで最近非常に問題になっております基地騒音に対する問題について、防衛庁お尋ねをいたしたいのでありますが、政府でも御承知のとおり、本年の七月までに参りましたF105Dジェット機でありますが、これが来てから特に騒音がきびしくなっておりますことは、もうたびたび地元からも申し上げておりますし、またわれわれも三日間にわたりまして泊まり込み騒音調査をいたしまして、その内容については先般文書をもって申し上げておりますから、おわかりになっておることであろうと思いますから、特に詳しく申し上げようとは思いませんけれども、せっかく私たちが三日にわたって調査いたしましたその結果でありますが、どういう結果があらわれておるかと申しますと、特に105が移駐してから騒音が従来より一そうひどくなってきております。三日間にわたって調査をいたしましたものによると、音量が百二十フォンから百三十フォン丁以上になる場合が相当ひんぱんにあるのでありまして、十七日もそうでありますが、十八日におきましても百二十フォン以上百三十フォン、あるいはそれをこえておるものもあります。それから十九日も同じような結果があらわれておるのでありまして、大体音量というものは、われわれの人間のがまんのできる範囲というものは、政府でも施設庁でも十分御存じだと思いまするが、九十フォンぐらいが限度でありまして、それ以上はもう耳に手を当てなければとてもやりきれない。最近ではもう子供などは外から耳に手を当ててうちへ入ってくるというようなひどい状況でありまして、とても飛行機直下においてはいたたまれない。105の別名がサンダーチーフでありまして、雷でありますが、ちょうど雷が落っこったと、名前のとおり、同じぐらいの音量であります。これではとても人間が住めるという状況ではないことは、私たち現実に経験をいたしたのでありまして、ついに地元では、もう集団でどこかに移住するよりほかに方法がないということになりまして、滑走路直下にある二つの町会では、大体二百七十世帯集団移住をするよりほかにしかたがないという決議もいたしまして、これも政府に伝達をいたしております。さらにまた、これは昭島市の医師会調査をいたしました報告でありますが、この医師会調査したのによりましても、不眠症、神経衰弱、高血圧、目まい症、それから偏頭痛、こういうようなものが一様に周辺に起こっておりますことが、市の医師会報告であります。われわれが医師を伴いまして現実調査いたしたのによりましても、大体同じような結果が出ておるのであります。  こういう状況を大体かいつまんで申し上げたのでありますが、政府でももちろんおわかりになっておるはずでありますが、こういうことに対して、一体防衛庁としてはお聞きになっておってどういう対策を考慮しておられるのか、その点をお聞きをいたしまして、あと質問を続けたいと思うのであります。
  4. 小野裕

    小野説明員 飛行場周辺皆さん方に対しまして、航空機の騒音から非常な御迷惑をおかけしておるということにつきましては、私どもも十分に承知をいたしております。まことにお気の毒に存じておるのでございますが、この騒音対策といたしまして、私どももできるだけのことはいたさなければならない責任がございます。従来からいろいろとあれこれ考えてまいったのでございますが、まだ御期待に沿うような十分な施策が行なわれておらないのではないか、この点につきましては申しわけなくも存ずるのでございますが、今後一そう努力をいたしたいと思います。  騒音対策といたしまして骨になります問題は、何と申しましても、まずその騒音を発する飛行機あるいはエンジンというものについての規制でございますが、こうした点から、音の出るほうをできるだけ押えてまいりたいという努力もいたしております。また、この音の影響を受けまして非常に御迷惑を受けられる方々に対する措置として、とりあえず私どもとしては、学校あるいは病院というようなものについて防音改築のお手伝いをすることによりまして、幾らかでもその支障を緩和していただくという努力を続けてまいっております。その他滑走路の延長上、進入表面転移表面の下のほうにおられる人々については、いろいろ御迷惑をかけ、あるいは危険感もお与えしておるわけでございますが、こういうような方々に対しても、できるだけの措置検討し、あるいは一部実施しつつある状況でございます。今後一そうの努力をいたしたいと考えております。
  5. 中村高一

    中村(高)委員 まことにお答えはなっていないような感じがするのでありまして、どういう対策を講じておられるかはっきりしないのでありますが、これは米軍から私たちがもらった資料でありまして、先日内閣委員会から基地を視察いたしましたときに、基地司会官から説明を受けたのでありますが、この問題について、昭和三十九年四月十七日に日米合同委員会が開かれて、そこで具体的な問題について協議をしたと言うております。あなたのいまの答えでは具体的ではありませんが、かえってアメリカ側文書のほうが明確であります。騒音は人を悩ますものであって、われわれはそれを承知しております。われわれはまたこれらの騒音と同居しており、種々の生活やわれわれの業務がそれによって影響を受けていることは確かな事実であります。米軍のほうでもこの事実について承知をいたしておるのでありますが、特にお尋ねをしておきたいのは、これらの騒音について、日米合同委員会議論された中で、少なくとも人家の周辺を避けて飛ぶとか、あるいはまた高度を高くして飛ぶとか、あるいはまたできるだけ音速を早く切りかえると、そういうような点についても、米軍側からの文書においては発表されておるのであります。特にひどいのは深夜、夜間飛行、こういうようなことは当然遠慮すべきだということについても、夜間あるいは日曜日の訓練飛行等最小限度にとどめたいと思うというような、各般の問題が議論をされておるようでありますが、そういう点について日米合同委員会議論になって、日本政府からそういうことに対して申し出をいたしておりますかどうですか。
  6. 小野裕

    小野説明員 ただいまお示しになりました米軍側の発表と申しますか、要綱でございますが、その内容は、いま申されましたように、合同委員会決定事項でございまして、その前に、合同委員会下部機構である騒音対策委員会、これは日米両当局の関係官が構成しておりますが、その委員会でつぶさに検討をいたしてできた上の合意でございます。その内容は、もっぱら日本側からできるだけ大幅なそうした騒音の防止に関する措置をとってほしいということの申し入れ意見を出しまして、これに対して米軍側でどこまでは引き受けられる、のめるということでまとまった案でございまして、その内容につきましては、全部日本側関係者が強調いたしまして、なおそれ以上に強く要望をした点もあるのでございますが、やはり合意に達することができずに、とりあえずその程度でまとまったものの協定でございます。そういう意味で、内容については十分承知をいたしております。
  7. 中村高一

    中村(高)委員 具体的な対策について政府にはしばしば請求をいたしておりますが、いまの特別損失補償法によりますと、学校もしくは病院に対しましてはある種の防音工事等が着手はされておりますけれども、他の保育園であるとか、あるいは養老院であるとか、市庁舎であるとか、いろいろの公共的な施設に対して防音をしてもらいたい、あるいはまた一般民家に対しても一つ部屋なり何なりを防音工事をするようなことをやってもらわなければ、とても居住に耐えないという、いろいろの問題が起こっております。こういういまの特損法規定されております施設消音装置等に対し、もっと拡充をしようというようなことを防衛庁ではお考えになっておられるかどうか。
  8. 小野裕

    小野説明員 ただいまお尋ねの、特に個人住宅というような点につきましては、非常に困難な問題がございます。しかしながら、私どもといたしましては、将来の問題といたしましてそういうことも処理しなければならないということは考えております。今日の段階におきましては、防音関係のお手伝いをいたします順序といたしまして、まず学校病院から始めまして、次には社会教育あるいは社会福祉というような機関にも及ぼしたい。また、さらに個人のお宅についても考える時期がくるであろうということは考えておるのでありますが、今日の私どもの能力と申しますか、あるいは財政上の見地とか、あるいは諸般のいわゆる公害と申しますか、そうしたようなものに対する対策、そういうものを総合いたしましたときに、とりあえず学校病院、あるいは社会福祉施設社会教育施設、こうしたものにまず重点を置きまして、至急にそのほうの措置を講じ、それが進んでまいるに従って新しい分野に広げてまいりたい、このように考えていろいろ研究はいたしておりますが、実施の順序といたしましては、申し上げたとおりでございます。
  9. 中村高一

    中村(高)委員 実際に当たってみておそらく防衛施設庁でも困っておられると思うのは、法律の不備な点であります。たとえば特損法などについても、放送法ども当然入れてもらって、テレビラジオ料金ども特損法によって免除をするというような規定の改正も、当然行なうべきだと思います。一般民家集団移住などの問題になりますと、あるいはまた民家防音、あるいは家畜に対する問題、ずいぶん基地周辺にはちょっと現在の法律では予算化することのできないような新しい問題が起こっておりまして、前に基地集辺の特別措置法というような法律をつくるべきだという議論も議員の中にもあったのでありますが、政府側でも、こういう段階になれば、当然法律対策考えなければならぬと考えるのでありますが、どんな研究をしておられますか、お答え願います。
  10. 小野裕

    小野説明員 ただいまお尋ね基地基本法あるいは基地周辺民生安定法というような構想の対策でございますが、これはっとに各方面から強く要望されております。私ども防衛施設庁関係者といたしましても、その必要性については十分感じておるのであります。ただ、現実の問題といたしまして、今日の基地問題はまことに複雑であり、多岐でございまして、いま一つ法律をつくってこれが全部処理できるかということになりますと、そこにまた一つの問題がございます。そういう意味におきましてなお検討中でございますが、政府全体といたしましては、いわゆるケース・バイ・ケースと申しますか、特にそのときそのときに重要な問題を逐一解決をしていく。これは行政措置予算措置によりまして解決をしていくことによって御了承を得たい、こういうような段階でございまして、いろいろ基地基本法的な根本対策についての研究はいたしておりますが、いますぐこれを立法のほうへ私どもが持ち上げるということについては、まだ研究の余地が残っておる、こういう状況でございます。
  11. 中村高一

    中村(高)委員 これはどうしてもやらなければ間に合わない問題になっておると思いますから、政府でも早く立法措置等を講じて住民の不安を避けるようにしなければならないと思うのでありますが、いま具体的問題として起きている二百七十世帯集団移住の問題でありますけれども、これは具体的には一体どうすれば移住できるか。おそらく政府予算がないというようなことでありましょうが、こういう段階になってくれば、予算とかなんとかいうようなことを言っておられない段階にきておると思うのでありますが、一体集団移住に対してそれは見込みがあるのかどうか。実際に政府の力で移住させられるかどうか。それともまた米軍のほうの飛行場の切りかえをさせるとか、あるいは飛行のやり方を変えるとか、とにかく何か方法を講じなければ、住民移住の問題が出てきておるのでありますから、一体この問題を具体的にどう取り扱うか、お答え願いたい。
  12. 小野裕

    小野説明員 ただいま御指摘の昭島市堀向地区の移転問題でございますが、当地域にお住まいの方々がそこを移りたいという御希望のあることは、当然だと思います。ただ、この移転の方式でございますが、私ども従来扱ってまいりました家屋移転の例は多々あるのでございますが、やはりいろいろな条件というものもございます。また、御本人の御希望というような問題もございます。そういう点から、実際にどういう程度のことで裏づけられるか、この点については、よく研究をし、また関係者方々の御意向も十分伺わなければ、実は対案が立たない状況にございます。もっとはっきり申し上げますならば、従来私どもが処置してまいりましたそうした周辺地域民家移転につきましては、大体土地、建物を所有なさってそこに居住しておられるという方が他に移りたいというときに、万全の手伝いをしたというケースは多々ございます。そういう道は開けておるのでございますが、たまたまたとえば土地も家もよそのものであって、そこに住まっていらっしゃる居住者である、そういう方の場合に、どういうふうに移転をさせてあげることができるか、これは移転先の問題がございます。また、それも先はやはり同じ借家の形でお移りになる御希望であるか、あるいはどこかまとめて全部こちらでお世話することを希望しておられるのか、そういうような状況が非常に複雑でございます。そういう意味で、私どもは、いま関係者の間で、どうしたらこの問題が解決できるか、寄り寄り御相談を続けておる段階でございまして、いまのところは、いますぐにいわゆる集団移転あるいは強制移転一括移転というような形の処置については、まだ対案は立っておらない状況でございます。
  13. 中村高一

    中村(高)委員 これはもう具体的問題になって地元の者が決議をして、どうか集団移転さしてもらいたいという申し出さえ出ておるのでありますから、いま研究するとかしないとかいう段階ではない状況になっておるのでありまして、特にいま防衛庁のほうでは、家屋の持ち主と居住者と違うというようなことで、居住者に対しては補償をすることができないというような回答をしておられるようでありますが、これは政府で共同の住宅でも建築してもらって、そして政府の手で移転をさしてもらわなければ、これはとても個人個人解決のできる問題ではありません。この問題はどうしても早急にやってもらわなければならないところに差し迫っておりますから、もうすでに予算編成期にもなっておることであるし、大臣にも後に御出席になったらお聞きするつもりでありますが、案を立ててもらわなければこれは間に合わないと思うのであります。そういう点について、どうお考えになっておられますか。
  14. 小野裕

    小野説明員 ただいま先生からお話のございましたとおり、個人個人でかってに移ってくださいということは非常に困難であるということは、私どももよく考えております。また現実に、かりにただいまお話のありましたように、居住者の方が引っ越しをされるという場合には、お手伝い方法がございますけれども、やはり限度があるわけでございまして、これでは移れないであろうということは考えます。そういう意味におきまして、少しでも多くの方の御期待に沿うような、しかも最も効果的な方法はどういう方法であるか、それには居住者の方にもある程度はごしんぼうも願わなければならないと思うのであります。そういうような条件と申しますか、御希望と申しますか、そういうことも、もっと具体的にお伺いをしながら案を進めてまいりたいと考えておるわけであります。今日の段階では、地元市町村、あるいは関係の家主さん、地主さん、こういう方々とは寄り寄り御相談いたしておるのでありますが、さらに居住者方々とも忌憚のない意見の交換と申しますか、お話し合いの機会を持ちたい、こういうふうに考えております。
  15. 中村高一

    中村(高)委員 移住のできないところにおって、また非常な騒音の被害を受けておる者に対して、少なくとも一部屋くらいは何か防音装置のできるような協力を政府にしてもらいたい。それでないと、子供教育もできないし、病人が出たときなどはどうすることもできない。ある家庭で心臓病子供があるけれども、医者に聞けば、どこかに引っ越さなければこれはなおらない、心臓に穴があいておるのだから移転しなければだめだと言うけれども移転をする力もないし、人権擁護委員会申し出たところが、どうもいままでそういうことに対する資料もないし、そのためになったのかどうか、あるいはまたその騒音を避けなければなおらないという、そういう資料もないから、人権擁護委員会としてどうすることもできませんという、そんな問題も起こっておるのであります。  それから昨日、郵政省電波監理局長にもお願いしておきましたが、テレビラジオが実際この騒ぎのために聞こえない、画面が妨害をされて映らない。とにかくわれわれが調査に行ったときに、一人の病人が寝ておって、あまりうるさいから、何回飛ぶかまくら元に紙を置いてやったところが、一日百五十回乗り降りした。あの爆音で百五十回も乗り降りをした下に、あなた一日寝てごらんなさい、気違いになってしまう。どうかひとつテレビラジオに対しては、すみやかに全額を免除してやるくらいなことは、防衛庁としては当然やるべきだと思います。半分だなんてそんなけちなことをやらずに、何人でもないんでありますから、日本全国テレビ料金のことを考えたならば、それくらいなことは当然だと思います。だから、今度はみんな不払い同盟をやろうとしておるのだが、私たちはとめておる。そんなことをやらぬでも、とにかく政府に交渉するから待てと言っておるくらいでありますが、どうかこの点もひとつ郵政省と交渉して解決してもらいたい。
  16. 小野裕

    小野説明員 ラジオテレビ聴視料関係は、いまお話しのとおり、郵政省NHKの御所管でございますが、私どもも、基地関係騒音関係関係者の一員といたしまして、機会あるごとに郵政省側の善処をお願いするという努力を続けてまいりたいと思っております。
  17. 中村高一

    中村(高)委員 これは法律的な規定も何にもないのでありますが、ただ防衛庁から郵政省に要請をして、その結果行なわれておるだけでありますけれども、これを法律化して、そうしていまのような、たとえば滑走路に従って縦に二キロ、横に一キロというような、こういう制限でなく、実際に科学的に調査をして、そしてそれに基づいてどの程度までとかいうような規定でもつくらなければ、ただ大ざっぱにどうもこのくらいだというようなことで解決されたのでは、そのまた周辺に同じような状況におってテレビ料金を全額納めておるというような者があって、そこからもまた不平が出る、こういうことでありますから、これはすみやかに特損法なら特損法の中に入れて、そしてその及ぶ市町村はこれに均てんをする、こういうことにでもしないと、とてもこれは統制がとれないと思うのでありますけれども、いかがでありますか。
  18. 小野裕

    小野説明員 先ほども申し上げましたように、郵政省の御所管でございまして、私はっきりしたことを申し上げることはいかがかと存じまするが、現実の問題といたしまして、たとえば二キロ、一キロというような範囲で減免を考えていらっしゃる、その場合にも、現実の境界と申しまするか、その適用区域については、現地の実情をNHKにおいて調査されまして決定しておるものと伺っております。その辺には幅があるのではないかと思うのであります。要するに、現実に即するようにやっていただきたいということについては、私ども郵政省のほうへいつでも申し上げることでございます。  また、これを特損法に取り入れるように考えたらどうかというお話のようでございますけれども、このことば特撮法に取り入れませんでも、現行の法制でできることであろうと私は存じます。
  19. 中村高一

    中村(高)委員 基地問題につきましては、まだこまかい点についていろいろ問答をいたさなければならない問題がございますけれども原子力潜水艦の問題が予定の時間のようでありますから、後に譲りまして、私の質問は一応ここで終わりにいたしたいと思います。
  20. 伊能繁次郎

    伊能委員長代理 次に、原子力潜水艦寄港問題について質疑申し出がありますので、これを許します。石橋政嗣君
  21. 石橋政嗣

    ○石橋委員 今回政府が全く抜き打ち的に原子力潜水艦の寄港受け入れをアメリカ側に通告いたしました点につきまして、若干のお尋ねをしてみたいと思います。われわれはもちろんのことでございますが、国民一般が今回の政府措置に対して非常にたくさんの疑問を持っておるわけでございます。その第一は、なぜいまのような時期を選んで回答されたかということです。御承知のとおり、現在国会は開かれておりません。その開かれておらない時期をわざわざ選んだのではないか。国会の中で従来から論議されております、しかも十分に解明されておらない諸点を、お互いに論じ合い、その中で国民の批判、あるいはあなた方の立場でいえば協力を仰ぐという努力を全くなさらないで、突然こういう回答を行なりたということに一番問題があろうかと思う。なぜこういう時期を選んであわただしく措置をとったのか、これが質問の第一であります。ある新聞の社説にもこのことに触れておるわけでございますが、政府の今度のやり方は、国民感情を刺激することをおそれて、ひそかに  これを取り運ぼうとしたとしか考えられない。国会は開かれておらず、政局もちょうど夏休みの状態にあった。そのすきをねらって既成事実をつくり上げようとした意図が感じられてならない、こういうふうに述べております。そうして一つの例として、四年前のあの安保騒動が引用されておるわけです。当時の岸内閣が全く強引な形で条約の改定をはかろうとした、その行為に国民の怒りが集中して、ついに岸内閣はつぶれたわけでございますが、全くこれと同じような態度であるというようなことが、社説の中でも説かれておるわけでございますけれども、現時点において急遽回答をしなければならなかった理由を、まず外務大臣からお伺いをしたいと思うわけです。
  22. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 アメリカ原子力潜水艦の寄港の問題は、すでに昨年の一月からアメリカ側から申し出があったのであります。これは申し上げるまでもなく、推進力に原子力を用いるという点が他の潜水艦と違う唯一の点であります。でありますから、これが日米安保条約の取りきめの範囲内において日本に寄港することは、本来が許されておる事柄でございます。ただ、その推進力に原子力を使うというその一点でございますが、日本は地球上における唯一の被爆国といたしまして、国民はこの原子力というものに特別の感覚を持っておる。そういう点を考慮いたしまして、この問題は、いわゆる安保条約の第四条の随時協議という形で話し合うということにいたしたのでございます。それで、自来昨年の一月から一年八カ月にわたりまして、慎重の上にも慎重を期して安全性の解明に努力してまいったのであります。もちろん国会におかれましては、非常にこの点を重大視されまして、熱心な討議が行なわれたのでございます。これらを尊重いたしまして、慎重の上にも慎重な考慮を払ってこの解明の一点に努力を集中してまいった。その結果、大体解明すべき点はもう最終の段階に来ましたので、寄港の承認をしたというだけのことでございまして、特別に時期を選ぶとか、あるいはその他の政治的考慮を用いたというようなことは、全然ないのでございます。
  23. 石橋政嗣

    ○石橋委員 いま外務大臣がおっしゃったようなことは、従来から明らかなことなんです。それはあなた方の見解です。これに対して私たちは、いろいろと疑義を唱えておるわけです。十分に明解されておらない。それを自分たちだけがもう解明されたからということで措置をとられるということに問題があるわけなんです。なぜいま一度新たに入手した資料に基づいて——政府は自信を強めたかもしれませんが、私たちは疑義を深めております。そのお互いの立場を国会のこの場で十分に論議する、そういうことをなぜやらなかったかと申し上げているのです。自分たちだけわかればもうかまわない、問答無用、こういう態度では、民主主義というものは成り立たないのではありませんか。しかも国民感情を考慮して、本来ならば安保条約上当然アメリカの権利に属する問題であるけれども、わざわざ協議をしているんだ、そうおっしゃっておるわけですから、国民によく納得いくように説明するためには、野党の質問を堂々と受けて、そうしてその中で説明をしていくということが必要なんじゃないですか。  そこで、ちょっとお尋ねしますけれども、この問題については安保条約の第四条に基づく随時協議でやる、こういうお話でございますが、この随時協議をやる機関というものは、これは日米安保協議委員会だと心得ておりますが、その点いかがですか。
  24. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 協議の方法については、特別の制約がないのであります。
  25. 石橋政嗣

    ○石橋委員 安保条約の審議の際に、第四条の随時協議あるいは第六条の事前協議、そういうものは日米安保協議委員会でやるという回答を政府側はいたしておりますが、そうじゃございませんか。
  26. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 さようなことは承知しておりません。
  27. 石橋政嗣

    ○石橋委員 承知いたしておりませんと言うのですが、きのう日米安保協議委員会を開いておるのです。この正式の場所では、わざわざ原子力潜水艦寄港の問題に触れない。その前に口上書の交換などという形でやらなくちゃならぬ理由は、一体どこにあるのですか。日米がお互いに話し合うというならば、りっぱな機関があり、しかも目前にそういう協議の期日がきておる。それを待たずしてやらなくちゃならないような急迫性があったわけですか。
  28. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 先ほど申し上げますように、特別の政治的考慮は全然払っておらない。自然に安全性の解明の努力をした結果、最終段階に到達したからその手続をとったというまででございます。  重ねて申し上げますが、この協議の方法は、特別の制約がございません。
  29. 石橋政嗣

    ○石橋委員 一応譲歩しまして特別の制約がないにしても、昨日日米安保協議委員会が開かれるということは、早くからわかっておることなんです。いわゆる安保条約に基づいて、こういう正式の機関がある。この機関においてはわざわざ原子力潜水艦の問題を避けていかなくちゃならぬという理由がわからない。そういう機会があるならば、堂々とそこでやればいいじゃないですか。しかも正式にこの原子力潜水艦寄港の要請が行なわれたのは、第三回の日米安保協議委員会ですよ。日米協議委員会で提起されたものは日米協議委員会で結末をつける、こういうことであってしかるべきじゃないですか。なぜわざわざお避けになったのですか。
  30. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 これは通常の外交ルートでやるのが、むしろ本式だと私は考えます。
  31. 石橋政嗣

    ○石橋委員 とにかくすべて公の機関で論議することを避ける。国内において国会という場で論議することも避ける。日米間において日米安保協議委員会という、そういう正、式のもので論議することも避ける。何かそこにうしろめたさがあると言わざるを得ない。こっそりこっそりやろうとする。そうして既成事実をつくっていこうとする、そういう態度に国民は一番不満を持ち、不安も感じているわけなんです。なぜそんなにひそかにやらなくちゃならないのか。それほど自信がないのか、こういうふうに言われてもやむを得ないですよ。私たちは、このような時点を選んでやられた第一の理由は、やはり国会空白、休会の時期をねらったということに一つのねらいがあると思います。いままでおそらく政府としては、強い寄港反対の世論が静まるのを待っておったのでしょう。いわば冷却期間を設けたつもりでおったのだろうと思うのですが、いまこそその適当な時期と考えたんでしょうが、とにかく国会が開かれてない時期をねらったということは、間違いない事実です。いま一つたちが疑惑を感じておる点は、世界の各所で若干紛争が起きておりますが、最も大きな紛争は、いま南ベトナム、ラオスを中心にしたインドシナ情勢です。このインドシナにおいてアメリカが孤立化しております。非常に強引な武力介入の政策をとって、しかも失敗を重ねて、同盟国の支持すら得られないような状態にあると私たちは見ておるわけです。そのあせりがいろいろな形であらわれております。特使を派遣して説得につとめるとか、いろいろなことをやっておりますが、効果がない。日本に対しても、アメリカだけが南ベトナムでがんばっているのじゃないのだ、そういう事実をつくり上げたいばかりに、いろいろな形で協力の要請が行なわれている。それを受けて立つというかまえの中から出てきたのが、この原子力潜水艦寄港受け入れではないかと思う。さきに安保協議委員会で申し入れがございました医療班の派遣、これも強行いたしました。第二段として、この寄港受け入れ、これをおやりになったんじゃないか。ここに椎名外務大臣のアメリカ一辺倒的な、迎合的なにおいが非常に強くなってきている感じがするわけですよ。そういうことはございませんか。
  32. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 これは安保条約の範囲内の問題でございますから、本来はこれは寄港権を有しておるのであります。ただ原子力を使っておるという一点に国民が不安を感じますから、その不安を除くために、従来この解明に努力してきたのであります。それ以外には何ら政治的考慮を用いておりません。でありますから、これは特別の外交上の取り扱いをする必要もない。特に協議委員会を避ける理由がない。避ける理由がないということは、別にかける理由がないのであります。通常の外交ルートでこれは処理できる、また処理すべき問題であります。かようなわけでございまして、国会はたまたま休会中でございますが、国会の非常な御熱心な論議がございましたので、この解明の一切の書類等は、さっそく外務委員会方々のお手元にお届けをしております。かようなぐあいで、なお国会以外にもいろいろ心配している向きがたくさんございますので、そういう方面に対する不安解消の手段は、極力いまとっており、またとりつつあるような状況でございます。ベトナムの事件に関連したケースであるというお話でございましたが、そういったような問題は一切考えずに、自然に最終段階に到達いたしまして、これに対する結論の手続をとった次第であります。
  33. 石橋政嗣

    ○石橋委員 ベトナムの情勢とは関係がないとおっしゃいますが、それでは、こと新しくアメリカのほうから早く寄港の承認をしてくれと催促されたわけじゃない、全く自発的に政府のほうで回答したのだ、こういうことですか。
  34. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 さようでございます。
  35. 石橋政嗣

    ○石橋委員 その点はまたあとでどうせ触れますから論議いたしたいと思いますが、われわれは、そういうことをおっしゃっても信用できないわけです。先ほど申し上げたように、アメリカは非常にあせっております。きのうの安保協議委員会のあとに行なわれた記者会見の内容などを見ますと、東南アジアの情勢ha非常に好転しつつある、こういう説明がアメリカから行なわれた。日本政府の代表であるお二方も、そうだそうだとうなずいて帰ってきたというふうに聞いておりますが、事実ですか。少なくとも新聞一般を読んでおられます国民の方々だって、いま南ベトナムを中心とする東南アジアの情勢が好転しているなどということを信ずるとお思いになっておられますか。アメリカが一生懸命あと押しをしておりますグエン・カーンも、どこに行ったかわからぬ。全く収拾がつかない。ベトコンはほとんどの地域を支配しつつある。これに対してどのような手も打ちようがない。そういう情勢の中で、好転しつつあるということはどういうことですか。あなた方が納得したその内容を、ひとつお示し願いたいと思います。
  36. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 非常に好転しているというような表現は、私は用いなかったと思います。政情からいっても、あるいは軍事情勢からいっても、あるいは軍の訓練の状況からいっても、漸次好転の方向に動いておるというような話を承ったのであります。
  37. 石橋政嗣

    ○石橋委員 話を聞いたのはわかりますよ。アメリカは、そう言わざるを得ないでしょう。もう手がつけられません、どうにもなりませんと言うはずはありませんよ。しかし、あなた方がなるほど好転しておりますねとうなずくに足る材料が示されたのじゃないですか。民衆の支持は得られない。全く仲の悪い三人のいわゆる集団指導という体制をとろうとしておる。ところが、アメリカが一番期待する人間はどこに行ったかわからぬ。支配する権力すらばらばらなんですよ。そういう状態の中で、一体好転とか安定とかいうことばはどこから出てくるのか。常識のある者にはみんなわからないのですよ。ところが、賢明な外務大臣防衛庁長官は、アメリカの説明がよくわかったらしい。だから、どういう情勢に基づいてこれを安定と見、好転と見るか。御説明があってしかるべきじゃないですか。みんな国民は心配しているのですよ。何とかあのような紛争が拡大しないように、平和的な解決をしてもらいたい、日本もそういう意味での一役ならば大いに買うべきだ、そう考えているときに、アメリカはごり押しの武力介入をやって、そうして収拾のつかない状態になっておる。にもかかわらず、日本政府の代表に対しては、好転しておりますからどうぞ御安心を、引き続いてかくかくの御協力をというお話もあったと思う。好転しているという印象を深めたなら深めたように、どのような材料に基づいてそういう印象を深めたということを、ひとつ国民に説明をしてもらいたいと思う。
  38. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 その根拠につきましては、若干の事例をあげて説明を受けたのでございますが、ただいまのところ、その内容を申し上げられません。はなはだ遺憾でございます。
  39. 石橋政嗣

    ○石橋委員 東南アジアの情勢が好転しているという説明すら、国民にはできない。ただアメリカの一方的な説明をうのみにしておるにすぎない。国会で説明もできないような材料を基礎にしている。まことに不見識だと思います。しかし、おっしゃらないというならばやむを得ませんが、とにかくあなた方がいかに好転しておるとおっしゃろうとも、そんなものを信ずる人はおりませんよ。あなた方だって信じておるかどうか、私は疑問だと思うのです。外交辞令でそうおっしゃっておるのではないかと思うのです。ここにはほかの閣僚は愛知さんしかおりませんが、愛知さんも何も聞いてないとするならば、東南アジアの情勢が好転しておるということをそれだけ聞いて、そうだろうなと相づちを打つはずはないと思う。とにかくアメリカは、このあせりの中から、同盟国の協力というものを必死で求めておるのですよ。アメリカの国民に対して訴える場合にも、アメリカだけが孤立してやっておるのじゃないのだ、こんなにたくさんの国国と一緒にやっておるんだ、そういう実績を示したい、こういう気持ちが、最近のいろいろな打たれておる手の中からわれわれは読み取れる。そういう一連の動きの中から、医療団の派遣が出てき、あるいは全く精神的な面が主かもしれませんが、原子力潜水艦の寄港受け入れという日本側の積極的な態度が打ち出されてくる、こういうように私たちは見ております。あなたのいまのような御説明では、これに対する十分な反論とはなり得ないということを申し上げておきたいと思う。日米安保協議委員会の問題については、あとでもちょこちょこお尋ねをしたいと思います。ところで、少し安全性の問題に入ってみたいと思うのですが、今度回答したのは、非常に疑義を持たれておった安全性の確認の点で自信を得たからという、これが非常に大きな柱になっておるようです。ところが、はたして一年前の状態といまと、一歩でも前進があったのか。政府が出されております資料を読んでも、私たちはどうもそう思えない。いまあなた方がこと新しく出されておりますアメリカの声明とか、あるいは覚え書きとか、いろいろ出されておりますが、これを一読してみましても、こんなことは一年前にわかっておることじゃないか、こういう印象を強めております。これもあとで具体的に例をあげてお示ししますけれども、部分的には後退しておるのではないかと思われる部分さえある。一体これで安全性が確認されたから今度の回答の措置をとったんだということが言い得るだろうか。ほんとうに安全性という点について自信をお持ちですか。私これから一つ一つ尋ねますから、自信があるならあるとはっきりおっしゃっていただきたいと思う。
  40. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 この問題につきましては、科学技術庁を中心にいたしまして、さらにこれらの問題に関する最高権威を集めておる原子力委員会研究にまちまして、その疑問点を逐次アメリカに照会してその回答を得まして、そしてこれならばだいじょうぶという原子力委員会の御判定——委員長もおられますが、そういうような判定がございましたので、寄港承認ということに踏み切った次第でございます。
  41. 石橋政嗣

    ○石橋委員 安全性については原子力委員会が確認をしたからとおっしゃいますが、原子力委員会の総合見解なるものを読んでみまして、結論は何かというと、「この検討を行うに当って当委員会は、原子力潜水艦が国際法上軍艦としての特殊な地位を有するものであることから、国内で建造する原子力船の場合のような安全審査を行うことはもちろん、外国原子力商船に対すると同様な措置をとることも不可能であることを前提として来た。」これに尽きるのですよ。全く科学的な安全性の検討なんてやっておりませんですよ。もしほんとうに科学的に——科学というのは、私は実証というものを一番の根本にしておるはずだと思う。科学的に検討されておるならば、まず第一に、原子力委員会自体、専門学者が集まっておる原子炉安全専門審査会にかけないというようなことも起きないはずだと思う。科学技術庁長官、原子力委員長、かけましたか。専門審査会には、学者の権威の集まっておる部会にはおかけになりましたか。
  42. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 まず原子力委員会の立場で、この原子力潜水艦問題に対してとりました立場なり、あるいは態度なり、検討のやり方なり、これについて、ただいまの御質問について端的にお答えする前に、御説明いたしたいと思います。  原子力委員会といたしましては、申すまでもないことでございますけれども、原子力基本法に基づいて活動する役割りを持っておるわけであります。これはあくまで国内の原子力の平和利用ということがたてまえでございますから、これを法律的に申しますならば、原子力潜水艦の問題等に対しては、直接の所管でもないし、責任でもないということが言い得るわけであります。しかしながら、この原子力潜水艦の問題というものは、ただいまも外務大臣から御説明がありましたように、日本の国民としては非常に関心の高い問題であります。それから原子力委員会としては、放射能の危険から国民の安全性を守らなければならないということに、これまた至大な職責を感じておりますがゆえに、本件に対しましても、昨年の初め以来鋭意検討を続けてまいっておるわけであります。  ところで、特にただいまも御指摘がございましたが、この原子力潜水艦は軍艦であるという特殊の地位を持っておることは、私申し上げるまでもないと思うのでありますけれども、これは国際慣行上から申しましても、直接手を下してこちら側が安全審査というようなことをでき得ないものであるということは、これは御了解願わなければならない点であると思うのです。そこで国内のたとえば原子炉を設置する場合に、原子炉基本法等に基づきまして、原子力委員会から原子炉安全専門審査会にかけて、原子炉の安全度等について具体的、技術的にデータをとらえて、そして安全性を審査検討するというやり方はできないわけであります。また、やることは不適当でもあると申してもいいかと思います。したがいまして、この安全性の検討ということについては、先ほど来お話がございますように、外交交渉を通じまして、米側の提供し得る限度資料、あるいはいろいろと当方から疑問としておるようなことについて、たとえばまず第一に原子炉の運行の状況、それから原子力潜水艦が入港するときにどういう措置をとるとか、あるいは排出物についてはどういう審査基準でこれを行なうのであるとか、あるいはその他のその後の措置であるとかいうような点について、なし得る限りの審査を、調査をいたしまして、そして米側が——先ほど今回何ら新しいことはないというお尋ねでございましたけれども、そうではないのでありまして、外交文書によってこれこれの措置について米側が保証をするというところに私は意味があると思うのであります。その保証がそのまま実行される場合においては、国民生活の安全に支障を及ぼすものではない、こういう総合判定を原子力委員会の専門家諸公が全会一致でいたしまして、これを内閣に対して通報をした、これが私どものとりました態度、並びに検討の立場、及び結果でございます。
  43. 伊能繁次郎

    伊能委員長代理 石橋君に申し上げますが、外務大臣はさいぜん理事会でおはかりいたしましたように、十二時十五分ごろから一時半ごろまでよんどころない所用があると申しますから、その点御了承いただきたいと思います。
  44. 石橋政嗣

    ○石橋委員 外務大臣のお答えによると、そのほうの権威であるところの原子力委員会が、安全性を保証してくれたから自信を持って今回の措置をとった、こうおっしゃる。片一方大いに期待をかけられた原子力委員長は、本来われわれの所管でもない、責任も持てない、安全性の検討をやるには不適当な機関だ、こうおっしゃる。ここにすでに食い違いがあるのですよ。あなた方は原子力委員会で保証してくれたから安全性はだいじょうぶです、こういうふうに国民に向かって盛んにおっしゃっておる。その期待を寄せられた原子力委員会は、十分な審査をする材料がないのですから、保証のしようがない。いま例示されたような末梢的な、運行の状況だとか、入ってくるときにどういうふうに通報するとか、そういうことを議論しただけで、回答のしようがないから、期待にはこたえにゃならぬ、責任は持てない、そこでまっ先に前提をぽんと打ち出しておるのですよ。軍艦だからどうもしようがありません、そういう前提をまっ先に掲げて、そして何かいかにも審査したかのごとく、安全性が保証されたかのごとく、つくろっておるにすぎない。ここにごまかしの根源があるじゃありませんか。少なくとも科学的な立場をとろうとすれば、実際にその原子炉の構造なり設計なりを見ないことには、確認しないことには、保証のしようがない。科学者の良心ですよ。原子力委員長は、科学者じゃないから、政治家だから、それくらいの幅を持ち得るかもしれぬが、実際の専門家は、そんな無責任な答申は出し得ない。ここにごまかしがあると言うのですよ。原子力委員会という権威をかりて、そしていかにも安全性が保証されたかのごとく国民をだまそうとしておる。肝心の原子力委員会は、科学的な論議なんかしておりません。専門家の集まりも用がないから、専門部会にもかけません。かけたって、材料がないのですから。問題は、科学的に是か非かという問題じゃない。政治的に是か非かという問題になっておるじゃありませんか。一年間間を置こうと、二年間間を置こうと、その態度には一つも変わりがない。あなた方は寄港反対というものに対して、これは政治闘争に利用しているのだ、こうおっしゃるけれども、そうじゃないですよ。あなた方のほうがそうです。科学的に実証しようというような努力は、最初から放棄しております。無理だ、そんなことを要求しても。要は政治的に寄港を受け入れるかどうか、ここだけにかかっておるじゃありませんか。それならそれで、納得するかしないかは別として、一つの筋がある。安全性というものは絶対に保証はできぬけれども、軍事的に、政治的に寄港を認める必要性が、日本政府の立場ではあるのだ、これなら一つの見識ですよ。実際はそうでありながら、そう言わずして、さも寄港反対の側に政治的意図があるかのごとく流布される。もってのほかだと思います。何千何万のことばを羅列されても、結論は一つじゃありませんか。アメリカを信じなさい。このごろそのような歌がはやっておるようですが、むすこでも簡単に信じられないのに、他人さまのアメリカをなぜそう簡単に信じられますか。どうですか、外務大臣。そういう立場で説明されるなら、これは一つの根拠はありますよ。
  45. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 どうも石橋委員は私の説明を多少曲げておとりになったようですから、一言いたしますが、原子力委員会としての総合判定というものは、お手元にも差し上げてあるはずです。これは先ほど申しましたように、原子力潜水艦が軍艦であるという国際法上の地位を持っておりますから、これに対して臨検調査をするというようなことばできないということは、これは前提なのです。しかし、外交交渉その他を通じまして、設計、運転、操作等の詳細な調査はできるわけなのです。これは科学的な良心に基づいた判定というものが、そういういろいろのやり方によって総合判定ができ得るわけでありますから、その方法において最善を尽くして、こうこういう保証が与えられるならば安全性に支障は何もない、こういう判定をしたのでありますから、そういうふうに御理解をいただきたいと思います。
  46. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 お聞きのとおり、原子力委員会としては、科学的な根拠に基づいて——ただ現場について調査することができなかったという一点を除いては、すべて科学的な良心に基づいて十分に審査の結果、ただアメリカ側の現場臨検ということができないということによって直接知り得ない点については、アメリカ側説明に対して信頼をして、そして最終の判定をいたした次第であります。そしてその信頼をしたのは、政府であります。
  47. 石橋政嗣

    ○石橋委員 科学的というのは、先ほど申し上げたように、実証的である。どういう構造なのか、実物臨検ができなくても、設計を入手する、そういうことの中でも、ある程度の審査はできるかも知れません。そういうことを一切やっていないということなら、科学的ということばをお使いにならないほうがいいんですよ。要は、アメリカからもたらされた文書がつじつまが合うているか合うてないか、これだけじゃないですか。それを科学的と言えるのですか。私が言っているのは、そのことなんです。日本で原子炉一つつくろうといえば、たいへんなやかましい規制があるはずです。かつて東海大学がわずか五十ワットの実験炉をつくろうとしたときすら、やれ立地条件がどうのこうのといって却下した実績を原子力委員会はお持ちです。非常にきびしい規制があるのです。それを佐世保と横須賀のどまん中に十万キロワットの動力炉がどかんとすわろうというのに、全く向こうさんの文書だけを見て、これはつじつまが合うておるからだいじょうぶ、こんなことでは納得できませんですよ。あなた方の態度は、日本政府の態度は、平和利用にきびしく、軍事利用にゆるやか、こういうことになるじゃありませんか。もしこういうことを許すとするならば、アメリカの科学水準を信頼してとか、そういうことをおっしゃるならば、今後アメリカの原子炉を買ってくるという場合には、無審査ですか。理屈は同じだと思いますが、どうですか。
  48. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 軍艦でない、あるいは国際条約の関係からいいまして、原子力の商船等に対する場合はまた別だと思いますけれども、平和利用のために輸入をするというような場合におきましては、原子力委員会、あるいは原子力基本法その他の法令に照らしまして、処置をいたすことは当然でございます。
  49. 石橋政嗣

    ○石橋委員 その辺にも矛盾があるわけです。軍艦として積んでくる分には、軍事上の利用の場合には、これはもう実質的無審査、やかましいことは申しません。平和利用の場合には、厳重に審査をいたします。これでつじつまが合っているとおっしゃるほうがどうかしていますよ。日本学術会議で昨年声明を出しました。そのときにも、原子力の安全性というのは、施設自体の安全性、事故時の緊急対策、万一起きた場合の、公衆災害を生じた場合の補償措置、そういうものが確立されて、初めて安全性の確立と言える。しかも、こういうことは、全部実際に対象とする施設の安全性の検討を行なって、初めて可能だ、こうおっしゃっております。とにかく日本の科学者、なかんずく原子科学者は、ほとんど全部安全性という問題については不安を感じているというのが、現実じゃありませんか。この科学者の不安を解消するために、政府はどれだけの努力をされましたか。全く何もしていないと言っていいのです。だから、安全性を議論する場合に、日本の科学者を信ずるか、それともアメリカの言い分を信ずるか、こういう形で打ち出しているのが、いまの政府の態度です。われわれは、何といっても日本の科学者を信頼したい。そのほとんどすべてが反対というのだから、こういう気持ちにならざるを得ない。国民も、もちろんそうです。どのように言いつくろうとも、この点については解明ができないと思う。  そこで問題は、安全性の細部に入るわけですが、もう去年から耳にたこができるほど言い尽くされていることばの中に、いままで事故がなかった、事故がなかったということが言われるが、ほんとうにそう信じておられるのですか。この点はいかがですか。
  50. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 たとえばスレッシャー号の沈没というような事故がありましたことは、世界周知の事実であります。
  51. 石橋政嗣

    ○石橋委員 一つだけは、これはもう隠しようがないからおっしゃいましたが、そのスレッシャー号の沈没については、何のために沈没したのか、全然明確な結論が出ていないということもお認めになりますね。結論の出ないまま捜査が打ち切られたということも、お認めになりますね。
  52. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これは御承知のように、昨年の六月の二十日でございますか、すでに資料も提供申し上げてあるはずだと思いますが、アメリカの沈没事件に対する査問委員会報告書というものが出ているわけでありまして、これを一言にして言えば、機関室のパイプの系統の故障によるものであるということと、それから沈没後における放射能による周辺に対する害と申しますか、影響というものは、絶対になかったということを中心にした報告書であります。そしてそれ以後報告といいますか、調査が打ち切られている、こういう事実を承知しているわけであります。
  53. 石橋政嗣

    ○石橋委員 私はもっと新しいのを、これはいつのか知りませんが、外務省が八月二十八日、つい最近回答したときに出されたものを持っているわけですが、この中にもはっきり書いてありますよ。記録は、現在まで入手した情報をもってしては、現実に何が発生したかをより正確に決定することは不可能である旨述べている。いろいろなものをつなぎ合わせて、ああだったの、こうだったのと推定はいろいろ書いてありますが、しかし、結論は、入手した情報をもってしては何が現実に発生したのか正確に決定することは不可能だ、そういう状態の中で捜査の打ち切りが行なわれているのです。ほかにも原子炉の事件はたくさんございます。いま世界じゅうに五百以上あるそうですが、ここ何年かの間にずいぶん大小の事故が起きておりますが、それは伏せても、スレッシャー号の沈没という世界の人たちの目の前で起きたあの大惨事、この原因がいまだに解明されておらない。少なくとも政府は、昨年、スレッシャー号の沈没の原因が解明されない限り、安全性の解明ということが行なわれたとは言えないから、寄港承認の回答はしないとおっしゃったはずです。それをこんなに大きな事故は伏せておいて、一般に訴えるときには、いままで外国に百回も寄港したけれども、一回も事故はなかった、私もう暗唱してしまいました。同じことばかり言っておる。それを何度おっしゃろうとも、あの大惨事の原因がいまだに解明されておらないという一事を見ても、安全性というものについて信頼を置くことはできないのです。しかも、今度日本に入ってくる潜水艦の主力は、このスレッシャー型なんです。攻撃型の潜水艦として最新のスレッシャー型が、主力なんです。その沈没事故すら明らかになっておらないときに、百万べん安全だと唱えましょうとも、ほんとうに良心のある者、良識のある者は、政府のおっしゃることを信頼できない。これははっきり申し上げておきたいと思う。  そこで、少し突っ込んで入りまして、昨年からことし一年かかって鋭意ただすべきものはただすということを、当時の外務大臣はおっしゃった、大、平さんはおっしゃったが、ほんとうにただすべきものはただしておるのか、大いに疑問を持っておりますから、お尋ねをしてみたいと思うのですが、放射性廃棄物の処理汚染問題について、昨年六月五日に外務省はいわゆる中間報告なるものを出しました。今度寄港承認にあたって、またアメリカの声明なるものをつけ加え、あるいは原子力委員会の総合見解なるものを発表しておられる。私これを突き合わせてみたのですが、これで一体より明確になったと言えるのだろうかという疑問を持ち始めた。  そこで一、二例示してお尋ねしてみたいと思うのですが、昨年の六月五日の中間報告によりますと、この廃棄物の処理の方法なり基準なりが書いてあります。今度のものにも書いてあるわけです。ところが昨年のほうが具体的なんです。ちょっと読んでみましょうか。たとえば原子炉冷却水の廃棄の方法なり基準なりが、昨年は具体的に書かれております。「沿岸から一二マイル以内では、総合放射能及び沃素について毎日分析し、ストロンチウムについては月別に分析し、一定の水準以上の場合は海中に放出してはならない。この条件を満たさぬ場合にはドック際の貯蔵タンクに放出して処分する。沿岸から一二マイル以上離れている場合には直接海中に放出してよい。」こういうふうに書いてあります。ある程度基準などというものは、明確に数字が示されておりませんから、具体的とは言えませんけれども、十二マイル以内の場合どうだとか、十二マイル以外の場合にはどうだとかいうように数字が出ておる。今度のものを拝見しますと、「通常の原子力潜水艦の液体排出物は、日本国の法律及び基準並びに国際基準に完全に適合するものである。」これだけです。一体十二マイルというのはどうなったのですか。十二マイル以内の場合、十二マイル以外の場合、これはどうなったのですか。
  54. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 この点につきましては、ただいまもお読み上げになりましたように、われわれの提出いたしました書類の一の後段の日と四に掲げられてございますが、いまの十二マイル以内、以外というような点については、艦船局訓令でこれは明示されておりますから、そしてそれが適用されますから、十二マイル以内においては捨てない、十二マイル以外においても既知の漁区内においては捨てない、こういうことが確保されておるわけでございまして、その関係においては、前の中間報告と同様でございます。  さらに申し上げたいのは、この今回の書類で掲載しておりますように、一九五九年一月に艦船局原子力推進部の作成した合衆国原子力軍艦の放射性廃棄物処理に関する報告に記載されている同国海軍の指令は、これはその後改定されたわけでありますが、改定されて、同報告に述べられてある合衆国標準局便覧第五十二号は採用しなくなったわけであります。そして国際放射線防護委員会及び合衆国標準局便覧第六十九号による新たなる一そう厳格な勧告を反映したものとなったわけでございますから、この点については、わがほうの厳格な基準と一致するということになりましたし、さらに四にありますように、液体排出物については、わが国の法律及び基準並びに国際基準に完全に適合するものであることが保証されたわけでございますから、前回の申し合わせよりは内容的にもわがほうの主張に合致いたしましたし、形式的にもこれが全体が保証されたということにおいて、私は非常に大きな意味があると思います。
  55. 石橋政嗣

    ○石橋委員 今度の場合、いまあなたがいろいろと述べられたような国際防護委員会の基準だとか、そういう表現は出てきています。そうして日本の基準と同じになったとか、そういう表現は出てきておりますが、昨年はより具体的に、一つ一つのものについて、使用済みイオン交換樹脂とか、あるいは原子炉冷却水とか、あるいはまた固形廃棄物とか、そういうふうに分けて、この場合はこうする、こうするというふうに具体的に説明があったのです。今度の場合、それを全然やっていない。そこに若干の疑惑が生ずるわけですよ。たとえばそれでは、イオン交換樹脂の場合、今度あなた方はアメリカといろいろやりとりをした結果、十二マイル以外においてイオン交換樹脂は投棄しないという確約でも得たのですか。日本では投棄できるのですか。その点はいかがです。
  56. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 ただいまもお尋ねがございましたが、その用語は、やはり時代の進歩とともに使い方が違うようでございまして、私は、原子力の専門の学者でございませんから、その点はどうも御納得のいくように説明ができぬかもしれませんが、たとえば使用済み汚染除去剤というのは、前に申しておりましたイオン交換樹脂というようなものも当然入って、そのことを意味しているものと思います。先ほど申しましたように、これの廃棄は、十二マイルを隔てた向こうでは廃棄ができるのです。十二マイル以内では廃棄ができない。それから十二マイル以外でも、既知の漁区については廃棄をしない、こういうことになったわけです。十二マイル先ならば、漁区でないならば廃棄ができるのです。
  57. 石橋政嗣

    ○石橋委員 私は、そのイオン交換樹脂ということばを最近使わなくなったということは、初めて聞きました。今度は使用済み汚染除去剤、こういうのですか、私も専門家じゃありませんから……。
  58. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これは従来使われておったイオン交換樹脂ですね、そのことを意味しているものと理解して間違いがないと思います。
  59. 石橋政嗣

    ○石橋委員 そういう理解のもとに私もお尋ねしておるわけですよ。去年イオン交換樹脂と言っておったのだから、ことしもイオン交換樹脂と言っておればぴしゃっと照合ができるわけです。ことしはほかのことばを使っておるから、私も専門家じゃないので、使用済み汚染除去剤、これは使用済みイオン交換樹脂のことだろうな、こういうふうな判断をする。このごろは使わぬのですか、専門家はイオン交換樹脂というのは。わざわざ変えなければならぬ理由が私にはわからない。何か直接対抗することを避けている印象すら受けているわけです。それはいいです。日本の場合は、イオン交換樹脂の使用済みのやつを十二海里以外で捨ててもいいのですか。
  60. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 捨ててもよろしいのです。
  61. 石橋政嗣

    ○石橋委員 直接投棄してもいいのですか。その点いかがです。
  62. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、これは捨ててよろしい。
  63. 石橋政嗣

    ○石橋委員 私たちが専門家からお聞きしているところでは、日本では、十二海里以外でもそのまま捨ててよろしいというふうにはなっておらぬというふうに聞いておりますが、いつ変わったのですか。
  64. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 それじゃ政府委員からお答えいたさせます。
  65. 村田浩

    ○村田説明員 ただいまの長官のお答えはやや説明不足なところがございますかと思いますので、かわって御答弁申し上げます。  わが国の場合の放射性廃棄物につきましては、特にイオン交換樹脂がどうだということではございませんが、放射性の廃棄物につきましては、これを所定の容器に入れまして、そして原子炉等の規制法によりまして、これを容器の中に封入しまして、そして大体海洋の深さとして二千メートル以上あるというところに投棄するという規定になっております。
  66. 石橋政嗣

    ○石橋委員 大臣、自信を持っておっしゃったが、違うじゃありませんか。十二海里以上離れていればそのまま捨ててよろしいという基準は、日本にはないのですよ。二千メートル以上深いところに、容器に入れて持っていかなければいかぬのですよ、日本では。
  67. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 私はその問題を取り違えたので、日本の国内法でどうなっているかというお尋ねならば、ただいま原子力局長がお答えしたとおりです。
  68. 石橋政嗣

    ○石橋委員 肝心な問題ですから、しかもあなたは原子力委員会委員長として、権威ある証言をなさった立場なんです。私たちしろうとでも一生懸命勉強しているわけです。あまり取り違えをなさらないようにしていただきたいと思います。  日本では、いま政府委員から説明がありましたように、イオン交換樹脂を私いま例示しているわけですが、イオン交換樹脂の使用済みのものを捨てる場合には、容器に入れて漏れないように、しかも二千メートルという深いところに持っていって捨てなければいかぬやかましい基準があるのですよ。アメリカの場合は、既知の漁区と離れておりさえずれば、十二マイル離れていればどこへ持っていってもそのまま捨てられる。たいへんな違いじゃないですか。
  69. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これは十二海里以上になりますと公海になりますから、国際的な条約その他の取りきめがございますので、日本の国内法だけで外国船に対して律するということはできないのではなかろうかと思います。
  70. 石橋政嗣

    ○石橋委員 できないのではなかろうかと思いますとは、無責任じゃないですか。十二海里離れておれば公海であることは、私も知っております。しかし、日本の近傍なんです。そこにむやみやたらにイオン交換樹脂の使用済みのものを捨てられたらたいへんだと、学者が騒いでいるじゃありませんか。そこに動物性たん白質の主たる摂取を魚に求めている日本人は、この点に一番関心を持っているのですよ。公海だから、十二海里以外のところでアメリカがぽんぽん捨てても何とも言えませんという態度で終わってしかるべき問題じゃないでしょう。私たちが食べる魚は、領海でとれた魚だけじゃないのです。公海でとれた魚を食べているのです。その心配も解消しておらないのに、基準が全く日本と同じになりました、心配は要りません、これも詐欺行為じゃありませんか。そういうことで国民をだましてはいけないと言うのです。だから、私のような疑いが出てくるんですよ。去年のやっとことしのやっと直接しろうとでは対比できないように、みなことばを変えている。去年はちょいと私たちしろうとが学者に聞いてみればわかるようなことばを使っておったが、ことしは非常に抽象的なことばを使っている。しかも十二海里とかそういうことばはなるべく避けてしまっている。全部そうです。いまの使用済み汚染除去剤についても、今度の場合は、公海または陸地の近くでは決して放出されることはない。したがって、寄港に関連して危惧するにあたらないものであり、また、既知の漁区の近傍ではいかなるところにおいても放出されることはない。結局十二海里以外で放出する部分は、今度は削ってしまった。それで公海や陸地近いところでは捨てませんぞというところだけ出している。既知の漁区の辺では捨てませんぞというところだけ出して、捨てるところは捨てている。意図的じゃないですか。これが国民に親切な道ですか。政府がほんとうに国民の生命財産をおもんぱかっていると言えますか。昨年ば使用済みイオン交換樹脂とはっきり書いて、「沿岸から十二マイル以上離れている場合には、船が進行中で、他船が周囲三マイル以内におらず、かつ既知の漁区内でなければ海中投棄をしてもよい。」こういうふうに書いてあります。とにかくどうも国民を安心させるというのではなくて、何とか言いくるめようとしている印象を強く受けるのです。そこでその使用済みのイオン交換樹脂の投棄の問題について、一番問題にされておる魚に及ぼす放射能の影響ですね。この点をどの程度原子力委員長が御研究なさっておるか、ひとつお知らせ願いたいと思うのです。アメリカの考え方は、十二マイルの外においてこういうものを捨てても、非常に大量の海水によって希釈されるから、人体に影響のない程度に薄められるからいい、こういう見解に基づいているようですが、日本の学者の説明によると、とんでもない、相当部分が希釈されることは考えられるけれども、それをぱっくり食べた魚がおる。特殊のそういう生物と特殊の放射能物質とが一緒になると、薄められるどころか、濃縮される。特に東大の檜山教授がこれを力説されておるようですが、そういう見解は一顧だに値しないとでもお考えになっておられるのですか。
  71. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 先ほど来のお尋ねでありますが、イオン交換樹脂ということばを使わないということをはじめ、国民を欺瞞するためにこういう表現を使ったというようなお話がございましたが、そういうことはもちろんございません。これはより正確な表現をしたほうがよろしいということで、こういう表現が、用語が使われたわけでございます。  それから魚類の関係では、漁区を守らなければならない、これがもう何よりも一番必要なことであると思いましたから、特にここに重点を置いてあるわけであります。  それから十二海里云々の問題は、これは、実は率直に申せば、寄港問題とはむしろ別の問題でございまして、公海における魚類の安全をはかるというか、そういった公海をいかに扱うかという別個の国際的な大きな問題であると思いますので、ただいまの状態におきましては、公海においてどういう処理をするかということは、さらに別個に検討をしなければならない問題であろうかと考えております。  それから最後のお尋ねの点につきましては、実はこの書類のうちにも出しておりますように、先ほどもちょっと一連の御説明をしたかったのですが、時間を制約されておるから申し上げませんでしたが、たとえば潜水艦が現実に入ります前のバックグラウンドの調査、それから入りましてからの滞留期間中のいわゆるモニタリング、それからその後におけるいろいろの調査というようなことにつきましては、これは実はこれからの問題でもございますが、関係各省が大いに努力をいたしまして、心配のないような調査をずっと続けてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  72. 石橋政嗣

    ○石橋委員 濃縮の問題についてお答えがなかったのですが、魚は既知の漁区にだけ捨てないようにすれば守られるという性格のものではございませんよ。漁区というのは魚をとるところではあっても、魚はそのワクの中で拘束されているわけじゃないのですから、公海との間には自由に行き来しているわけなんです。だから、漁区以外のところで汚染された魚が漁区の中に入ってきて捕獲されるという場合が主なんです。漁区にさえ捨てなければだいじょうぶだという性格のものじゃないでしょう。一番問題にされているのはこの点なんです。われわれが食う魚——大臣だって魚を食うでしょう、肉のほうが多いとは思いますけれども。日本の国民はまだまだ十分に肉を食うほど余裕がありませんから、魚をほとんど食っているのです。それだけに心配もひとしおなんです。しかも専門の学者はこの点を盛んにおっしゃっている。先ほどもちょっと引用しましたが、東大の檜山さんは「放射性物質の種類と水産物の種類との組み合わせによっては、薄まるどころか著しい放射能の濃縮が行なわれる。イオン交換樹脂の投棄で問題となるコバルト60などは、条件によっては一万倍から十万倍にも濃縮される可能性がある。」こういうふうに言っておられる。そしてまた「希釈されるまでの時間と放射能の半減期との関係次第では、たとえ国民全体として浴びる放射量としては無視し得るほどの量であっても、個人を対象とした場合には、一匹食べただけで生命にかかわるほど危険な魚が出てこないとも限らない。」こういう立場で盛んに主張されておるのです。しかも服部さんのお話では、これが食べてすぐに参るのだったらまだ因果関係がはっきりするけれども、この放射能による被害というものは、時間的にも場所的にも非常に原点から遠いところで結果があらわれる可能性が高いと言っております。たとえば十年後に突然白血病にかかった。その場合に、その原因が潜水艦が放棄したイオン交換樹脂をぱっくりのみ込んだ魚を食べたために白血病になったのか、長年原子力の研究に従事しておったために、微量の放射線が長年の間に蓄積されて白血病になったのか、それとも全くそういうこととは関係のない条件で白血病になったのか、その原因は確かめがたいのだ、こういうことも言っております。一番国民の不安を感じておる点の解明すら行なわれておらないじゃありませんか。こういうことがないという自信でもお持ちになっておられるのですか。魚介類による濃縮なんということは、科学的にあり得ないと、堂々と檜山理論に反駁されるおつもりですか。委員長の見解をお尋ねします。
  73. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これは学説論争をいたすだけの自信は私はございませんけれども、それは檜山さんのような御説も私伺ってもおりますけれども、これはまた限られたいろいろの仮説のもとにおける一つの説ではなかろうかと思います。大体イオン交換樹脂の投棄というようなことは、アメリカ側資料によりますと、六カ月に一度ぐらい廃棄をするわけなんでありまして、ただ一隻の潜水艦が一回どこかに寄港して、その帰りにどうとかというところだけをとらえて、しかもそれをいろいろ危険だ、危険だ、これはどうだ、これはどうだということを詰めていけば、あるいは机上の理論としてはそういう理論もでき得るかと思いますけれども、六カ月に一度というような点から見ましても、押えるべき、絶対に確保しなければならない漁区その他を押えることによりまして、国民生活の安定には支障がない、こう総合判定をいたしたわけであります。
  74. 石橋政嗣

    ○石橋委員 一隻の潜水艦は六カ月に一回捨てるのです。ところが、日本に来る潜水艦は、一隻ではありません。しかもアメリカの原子力潜水艦というものは、年々増強されております。日本に寄港する頻度というものも、だんだん激しくなるだろうと言われております。ただ一隻が来ることを前提におっしゃることも、これもおかしいですよ。しかも軍艦の場合は、この廃棄物を処理する場合に、一々容器に入れて運んだりすることは軍事行動上支障を来たすというので、基準も非常にゆるやかになっているわけなのです。あなた方は、先ほど国際放射線防護委員会の一九五八年の勧告をアメリカも採用するようになった、日本と同じようになったと盛んにおっしゃっておりますが、かりに基準が同じになっても、実際の取り扱い方が同じになったということにはならないのじゃないですか。たとえば日本の場合は、基準よりも条件はきびしくしているのではないですか。アメリカの海軍の場合は、基準はそうあっても、軍事行動上に支障を来たさないようにゆるやかな指令書を出しているのじゃありませんか。その辺の確認はしておられますか。
  75. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 その点は、日本側の基準と一致をしておる、かように私は理解をいたしております。なお、こまかい専門的な点については、場合によれば政府委員から御説明いたさせます。
  76. 村田浩

    ○村田説明員 御質問は、基準に対する実際の放射性廃棄物投棄の基準のことを申しておられるのかと思いますが、国内における規定に基づいて行なわれます投棄基準と、領海内におきまして排出されるアメリカの原子力潜水艦からの廃棄物投棄の基準というものは、これは同じICRPの勧告を反映しておりますために、同一であると了解しております。
  77. 石橋政嗣

    ○石橋委員 了解しておるというのではなくて、確認されましたかと言っておる。日本の場合、基準そのものを適用しておりますか。まずそれから…。
  78. 村田浩

    ○村田説明員 原子力委員会の見解にもございますように、アメリカ側は、「原子力潜水艦の液体排出物は、わが国の法律及び基準並びに国際基準に完全に適合するものであること」ということを保証いたしております。
  79. 石橋政嗣

    ○石橋委員 私は、文章を聞いておるのではないのです。実際にどういうふうにやっておるかということを聞いておるのです。日本の東海村の原子炉で廃棄物が出た。それを投棄する場合に、この基準どおりおやりになっておりますか。それからまずお尋ねいたします。
  80. 村田浩

    ○村田説明員 日本の原子炉等規制法並びにそれに基づく科学技術庁の告示、それに基づきまして、個々の原子炉について政府から認可されました保安規定によって行なわれております。
  81. 石橋政嗣

    ○石橋委員 その数値を示してもらいたい。防護委員会の勧告の基準で示されました値と、実際にいま日本でやられておる値と比べて、一致していますかと聞いておる。
  82. 村田浩

    ○村田説明員 個々の原子炉によりまして、保安規定は必ずしも同一ではございませんけれども、東海村の原子力研究所にございます原子炉、たとえばJRR一号について申しますと、保安規定に基づきます投棄の手続は、許容基準の百倍以内におさめるようにという基準になっております。
  83. 石橋政嗣

    ○石橋委員 基準と実際の適用とは違うのです。それだけはお認めになりますね。
  84. 村田浩

    ○村田説明員 その手続は、投棄によりまして環境の放射能汚染に対し希釈されることを、液体廃棄物の場合にはすべて前提といたしておるわけでございます。その場合の希釈率を考慮しまして、百倍でも、実際に周辺環境に及ぼします放射能は基準の十分の一以下になるということを確認して定めた保安規定でございます。
  85. 石橋政嗣

    ○石橋委員 理屈はどうあれ、基準そのものが実際適用されているのではないということだけは確認されました。日本の国内においてもしかり……。
  86. 村田浩

    ○村田説明員 実際このとおり適用されております。
  87. 石橋政嗣

    ○石橋委員 アメリカの場合、先ほどから申し上げているように、アメリカの海軍が基準どおり指令して実施させておるという保証はないわけですよ。
  88. 村田浩

    ○村田説明員 アメリカのステートメント及びエードメモワールにもございますように、この点を保証しておると認めております。
  89. 石橋政嗣

    ○石橋委員 これまたアメリカを信じなさい。あなたも専門的な研究者ならば、もう少し良心的に国民に説明する必要があると思う。具体的な数字を示して、そうして、このように同じですと言うことこそ、科学者の立場だと思う。文書に書いているようなも一のを持ってきて、基準が同じです、同じです、そういう説明では納得できない。表面上の基準は同じにしたかもしれぬが、実際適用の場合にはたしてどうかという疑問は、あくまでも残るわけです。しかもこの希釈率のことを申しておりますが、先ほどから申し上げたように、濃縮の問題というものがある。それからアメリカの国民と日本の国民の食べものの相違という問題もある。いろんな点からいって、急にアメリカが基準を上げて日本並みにやかましいことを言い出したといってみたところで、なかなかこれは頭に入ってこないのですよ。この辺にからくりがあるのじゃなかろうか、こういう感じを率直に受けます。しかしこれは、私も専門家じゃありませんから、私たちもより専門家にお聞きして、後日またただすべきはただしたいと思っております。  ここで問題になるのは、許容量という考え方ですね。これも専門家のお話でございますが、非常におもしろいことには、政府が唯一のたよりにしております西脇さん——もう原子力に関係のある学者の中で政府を支持してくれるのは、この人一人といっていいのじゃないかと思うくらい貴重な存在でございますが、この西脇教授も、かつては、放射線に対する許容量という考え方は、一般の薬事の場合の許容量などと同様に考えてもらっては困るという正当な理論を吐いておられます。大体放射線なんというものは当たらぬにしかずだ。しかし、たとえばレントゲンをとるということによって人体の中の悪い部分が発見できるという利益がある。その利益の前には、この程度の放射線を受けるマイナスはやむを得ぬというバランスの中から放射能に対する許容量というものは出てくるのであって、これまでならば浴びてもよろしいという許容量という概念はないと西脇さんは言っておられました。このごろは変節していると思いますがね。日本学術会議も、このような見解をとっておられます。この点はいかがなものですか。放射能の場合、許容量とか安全性を論議する場合に、あなた希釈率とかなんとか盛んに言っておりますが、私がいま引用したような考え方が正しいとお思いになりませんか。放射線に関する許容量については、なるべく浴びないほうがよろしい。しかし、何らか得るプラスがあるならば、若干放射能を浴びるマイナスというものをカバーできるから、そのバランスの上に立って許容量という判断をするならやむを得ぬ、こういう見解は成り立つとお考えですか。
  90. 村田浩

    ○村田説明員 御承知のとおり、私どもは天然自然にございます放射線の環境の中に住んでおるわけでありまして、宇宙線とか岩石等から幾らかの放射能を常時浴びておるわけでございます。それで人類が新たに人工の放射能をつくり出してまいって、これを平和利用するようになったわけでございますが、それから生じます放射線が、天然自然にございます放射線に上積みになるわけでございます。その点におきまして、はたして天然自然にございます放射線が、人類の生体機能等にどのようなぐあいに影響を及ぼすかということにつきましても、いろいろとまた研究を要する点ではございますけれども、そのようなことも完全には解明されたわけではございませんので、そういう意味で放射線を無益にたくさん浴びるというようなことは望ましいことではないというのは、そのとおりであろうかと思います。ただその場合に、無益か有益かという判断は、いろいろ見解の相違があろうかと思います。
  91. 石橋政嗣

    ○石橋委員 わかったようなわからぬような答えですが、かつて西脇さんも言っておられた、学術会議が昨年もその見解を発表しておられる、こういう考え方をとるのが正しいのじゃないかと思っております。自然界にある放射線、そんなものはしょうがないのです。これは最初から人体には抵抗力というものがあるはずです。それ以上の放射線は、なるべく浴びないにしかず。しかし、何らかのプラスの面があるならば、その相殺の上で、ある程度許容量というものをきめることはやむを得ない、こういう考え方の上に立って考えるべきだと私は思う。ところが、今度の原子力潜水艦が日本に入ってくることによって、大なり小なりこの放射能の影響というものを受けるわけなんだ。絶対ないということはあり得ない。そうするマイナス、国民の不安というものを考えれば、たいへん大きなマイナス、それをカバーするプラスというのは一体何だということなんです。これは防衛庁長官のなわ張りかもしれません。一体何のプラスがあるのですか。あなた方がしょっちゅうおっしゃっておるような補給と休養、その程度のことでは、これはバランスシートに乗りませんよ。マイナスばかり大きくて、プラスはないじゃありませんか。この点はどういうふうにお考えになっているのですか。
  92. 小泉純也

    ○小泉国務大臣 今回の原子力潜水艦の寄港は、御承知のとおり、兵員の休養ないしは補給のために日本の港に寄港の申し出があったのでございまして、その前から、申し上げるまでもなく、アメリカにおいても、ソ連においても、極東地域に相当の原子力潜水艦が配備されておるということは御承知のとおりであろうと存じます。アメリカにおいても七隻ないし八隻、ソ連の潜水艦は、極東地域に九隻程度が常に遊よくしておるという情報は、石橋委員もとくと御承知のことと存じます。そこでそれがどういうふうに影響があるかということでございまするが、防衛庁といたしましては、今回の原子力潜水艦の寄港は、ただ単に補給と休養のために安保条約の締結のたてまえからその寄港を許すということであって、これがアメリカの戦略の上とかあるいは日本の防衛上に何らの変化はないと考えておるわけでございます。
  93. 石橋政嗣

    ○石橋委員 事務当局が教えたとおりおっしゃったんだと思うのですが、政治家として考えていただきたいのですよ。単なる補給と休養と盛んにおっしゃいますけれども、軍事的な意義というものは全然ない。それでもって安保条約上の権利をたてにとるという考え方は、おかしいじゃないですか。安保条約も無制限に基地を提供しているのじゃないですよ。施設区域を自由自在にアメリカに使ってくださいと言っているのじゃない。抽象的ではあるけれども、目的、条件というものは明示されております。ただ水もらいに行くのです、乗り組み員がレクリエーションで、日本の歓楽街はサービスがいいから遊びに行く、そんなことで納得がいきますか。特に軍事的にものを考える立場にあられる防衛庁長官が、そのようなことをうのみにされておっしゃるのは、私はおかしいと思う。日本に来ても来ぬでもいい程度のものだ、そんなばかばかしいことを信ずることはできませんですよ。やはりいまおっしゃったように、アメリカだけではなくて、ソ連も相当有力な原子力潜水艦を含めた潜水艦を極東水域に配置している。これに対抗するために、アメリカもますます力を入れていく。攻撃型の潜水艦というのは、そういう任務を帯びておるわけでしょう。そうすると、地理的にいっても、日本というところに一つの拠点を求めることは、ソ連の潜水艦を閉じ込める意味からも、いざというときにこれを撃滅できるという点からも、非常に有利だ、そういうそろばんが出てくるはずじゃありませんか。安保条約というものをあなた方がたてにとられるならば、日本国の安全あるいは極東の平和の維持、そういう大目的のために原子力潜水艦の寄港はやむを得ないですと、なぜ堂々と言い切らないのです。なぜ、補給と休養程度でございます、別に来ても来なくてもたいして変わりないですけれどもなんて、そういうごまかしをおっしゃるのですか。少なくとも防衛庁長官は、そういう堂々の陣を張ってわれわれと論議されたらいかがです、国民にも説明をされたらいかがです。そういう意思は相変わらずありませんか。
  94. 小泉純也

    ○小泉国務大臣 石橋委員の見解は承りましたが、防衛庁としては、いままでもいわゆる配備されておったのが、たまたま補給、休養のために、現在までいわゆる基地として提供されておるところにこの原子力潜水艦の寄港を認めるということであって、たいして防衛上また戦略上の意義は見出しがたいという見解をとっておることを重ねて申し上げます。
  95. 石橋政嗣

    ○石橋委員 再三そうおっしゃるならば、これほど国民が不安を感じておる原子力潜水艦、たいして軍事的にも意味がない、ちょいと遊びに行くだけ、水もらい、よしてくれ、この議論のほうが筋が通っているということだけを申し上げておきたいと思います。  ところで、この攻撃型の潜水艦は、核兵器を積んでおらぬ、積んでおらぬとおっしゃっておる。これも私どもはごまかしだと思う。ポラリス型と違って、いわゆる中距離弾道弾の分野に属するような、そういうものは積んでいないにしても、サブロックを積んでおるというのは、世界の軍事常識です。これを積んでないとおっしゃるとするならば、その根拠を示していただきたい。またアメリカを信じなさいかと思いますけれども、どうぞ。
  96. 小泉純也

    ○小泉国務大臣 サブロックの問題については、現在までには積んでいない。今年一ぱいで開発試験が終わるというようなことをば情報によって承知いたしておるのでございまして、この点においては、御承知のような最新の原子力兵器でございますから、事務当局から説明をいたさせます。
  97. 海原治

    ○海原説明員 サブロックにつきましては、従来いろいろな機会に御説明申し上げておりますが、ただいま大臣からお答えいたしましたように、私ども承知しておりますところでは、現在まだ研究開発の最終段階の過程にあるものでございます。これは昨年の暮れにアメリカの国防省が発表いたしましたときに、このサブロックについてのいろいろの推測、専門家筋の判定が出ております。これも先般申し上げた次第でございますが、アメリカとしましては、本年中に約三十発程度のさらに実用段階の試験をする。これがことし一ぱいには終わるだろう。その結果を見て、先ほどスレッシャー型というお話もございましたが、いわゆる攻撃潜水艦と称せられておりますもののうちの一部の、スレッシャー、タイプの潜水艦のうち、約二十五隻程度に装備することになるだろう。これは通常の魚雷と混載して用いるものだ。この程度のことが当時総合的に判定されましたし、その後私どもの知るところでは、これに変更を加えるような情報はございません。
  98. 石橋政嗣

    ○石橋委員 防衛庁の情報によればそれにしても、大体近々装備される、こういうことですね。いまは積んでおらぬ。それじゃサブロックを装備する段階になったら、日本には来なくなる、それまでのしんぼう、こういうことでございますか、大臣
  99. 海原治

    ○海原説明員 私の御説明で近々装備するということになるというようにおとりになったのでございますが、私はそう申し上げておりません。研究開発の最終段階が終わるのが、ことし一ぱいかかるであろうという予想でございます。このサブロックの開発につきましては、当初は、いまから約二年前に一切の研究開発が終わるということでございました。したがいまして、先ほど申し上げましたように、ことし一ぱいで終わるかどうか、これもまだ未定の問題でございます。したがいまして、近々サブロックが装備されるということではございませんので、ひとつそのように御了解を願います。
  100. 石橋政嗣

    ○石橋委員 近々が悪ければいいですよ。今年一ぱいに開発が終わる。来年早々実用化される。これでもいいですよ。そうすると、第一隻がいつ来るのか知りませんけれども、三、四カ月たったら、装備の段階に来るわけです。攻撃型の、特にスレッシャー型の原子力潜水艦に、サブロックが装備される段階がとにかく目前にあるのですよ。そのときには、もう日本には来ないということですか。これは大臣、国務大臣に聞いている。
  101. 小泉純也

    ○小泉国務大臣 いつサブロックが搭載された原子力潜水艦が日本に来るかということは、いまの防衛局長の答弁にもありますとおり、まだ期日は明白ではございませんが、かりに将来サブロックが完成をされて、それが原子力潜水艦に搭載をされて、サブロックの搭載をされた原子力潜が日本に寄港すれば、それは核兵器の持ち込みでありまして、私どもはあくまでもサブロックを搭載しない原子力潜の寄港であると解釈をいたしております。
  102. 石橋政嗣

    ○石橋委員 そんな潜水艦が現代においてものの用に立つとは思えませんけれども、まあ大臣は、サブロックを積むようになれば日本に来ないんだ、断わるのだ、こういうことをおっしゃいました。それはひとつのおことばとして聞いておきたいと思うのです。しかし、現実にこのサブロックを積んでいる、核弾頭を持ったサブロックを積んでいるというのは、私はもう常識になっていると思う。これは何もわれわれだけがそう推定するのではなくて、アメリカの国会においてギルパトリック国防次官が証言をしております。今日戦略空軍及び戦術任務に服する各種の潜水艦等は、すべて十発以上の核兵器を装備し、いかなる事態にも即応できる態勢にある、こういうふうに証言しておると聞いております。また、研究開発中ということをおっしゃいますけれども、これはサブロックそのものを多目的に使おうという意図がある。だから、対潜用としては完成しておるけれども、対空ミサイルとして完成していないという説もある。あなたは込みで研究開発中と言うが、非常に多くの目的に適応した兵器にしようという意味で開発を続けているのだ、こういうふうに私たちは聞いている。だから、開発中という意味も、一部当たっているわけです。全然根も葉もないうそを防衛局長が言っているわけじゃない。対空ミサイルとして開発中、対潜兵器としては完成している、こういうふうにわれわれは理解している。  ここでおもしろいのは、それでは通常弾頭をつけたサブロックというものが有効かということです。まず専門家にお聞きしますが、現在のサブロックば、何度も発射実験をやっておりますね。通常弾頭ということにしますよ、一応。一たんこれが空中に出て、また水中に入って、そして敵の潜水艦を追尾するのだそうですが、再度水中に入ったときの水中速力というものはどれくらいか、ひとつ専門家の権威を示していただきたい。
  103. 海原治

    ○海原説明員 ただいまの御質問に関連いたしまして、研究開発というのは、対潜魚雷としての研究開発でなくて、いわゆるそれ以外の目的、すなわち対空ミサイルとしての用途その他についての研究開発であるのだ、こういうお話でございますが、これは全く事実に反しております。一昨年も、たしかこのようなことを民間のいわゆる軍事専門家と称せられる方が言明しておられましたが、私どもはアメリカの海軍省につきまして十分調査いたしましたが、こういうことは全然ございません。また、私どもの専門家の判断にいたしましても、そういうことは無意味でございます。ということは、アメリカの潜水艦は、御存じのとおり、ポラリスがすでにございますから、それ以上に、このサブロックといって、潜航中の潜水艦から魚雷発射管を使いまして打ち出すものを、さらに対空ミサイルであるとか、あるいは対都市攻撃であるとか、そういうことは、全く無意味でございます。したがいまして、アメリカはそういう研究開発は現在いたしておりません。  次に、いわゆる攻撃型潜水艦というものは、現在総計四十四隻計画されております。したがいまして、このサブロックを搭載する予定のものは、一般には二十五隻程度といわれておりますので、先ほどもおことばの中に、サブロックを搭載しない原子力潜水艦、通常の攻撃型は、無意味である、こうおつしゃいましたが、そのようには米海軍省は考えておりません。さらに、サブロックの弾頭でございますが、これは開発の初期の段階におきましては、核とそれから通常の高性能の爆雷と、この両用のものを開発しようということで出発いたしました。しかし、海軍省におきまして、先ほどお話がありましたように、いろいろ研究開発の途中におきまして、この通常のものであれば、五十キロとか八十キロとかいわれておりますが、それだけの距離を飛びまして、しかも高性能の相手の原子力潜水艦を破壊するには不十分であるということがわかりまして、現在におきましては、サブロックであれば、これは全然弾頭は核爆雷でございます。このことは、昨年の米海軍省の発表にもそのとおりでございます。  なお、この核爆雷が水中におきましてどの程度のスピードのものかというお尋ねでございますが、これは軍事機密でございまして、私ども承知いたしておりません。
  104. 石橋政嗣

    ○石橋委員 いいです。私は核でなければ役に立たぬということを立証するためにお聞きしていこうと思ったんで、先回りしてサブロックはもう核でなければだめだとおっしゃったんですから、それはもう答えなくてけっこうです。サブロックが核兵器であるということが、ここで立証されたわけです。それさえわかればいい。従来の説明にも、若干疑問があるわけです。しかし、いまここで防衛庁の専門家が、私が聞く前に、サブロックに通常弾頭をつけたってものの役には立たぬ、もう全部核弾頭だということをお認めになりましたから、それでけっこうです。  まだほかの議員さんからたくさん質問が用意されておりますから、私一人あまりたくさんやっても御迷惑をかけますので、そろそろ結論に入りたいと思います。  要するに、政府としては万事アメリカの言うことを信用して、この際寄港を認めたのだ、こういう立場です。しかし、そのようなことでは、われわれはもちろんのこと、われわれを含めた全国民は、これは納得いたしません。いまのいろいろの私の質問に対するお答えを聞いておりましても、納得のいくような点はほとんど出てきておりません。まだ全然解明されていないと言ってもいい。とにかくこの際、一応手続上寄港承認という形をとられたかもしれませんけれども、やはり実際に入港は見合わせてもらいたいというき然たる態度を政府はとっていただきたい。それでなければ、国会を無視して十分な審議もしないで一方的に寄港承認の回答をして、のこのこアメリカの潜水艦がやってくるということになれば、われわれも相当の決意を持っております。どのような事態が発生するかもわかりません。時期はまさにオリンピックを控えておるという段階です。そういう中で、あえてかまわぬ、あなたたちは、そういういわば問答無用的な態度をいまお示しになっておるのですから、相当の紛争が起きるかもわかりませんが、その場合の一切の責任は全く政府にあるということを、私は申し上げたいと思います。  そこで官房長官に最後にお尋ねしておきたいのですが、なぜ党首会談を拒否されたかということです。社会党の河上委員長が、この問題について池田総理とお話をしよう。絶好の機会じゃありませんか。国会もないことだし、幸いだから、政府の立場をこの機会を通じて鮮明にする、それくらいの努力をさるべきではないですか。第一失礼ですよ。非礼きわまりない。なぜ、あのような態度をおとりになったのか、ひとつ明快にお答え願いたい。
  105. 鈴木善幸

    鈴木説明員 党首会談は、党と党でお話し合いの上で、会談をいつ開くか、どういうことでお話し合いをするか、こういうことを決定することに相なっておるわけであります。私は、自由民主党の執行部のほうから、この問題については遺憾ながら河上委員長とお会いする方針ではない、こういう連絡を受けまして、せっかくのあっせんをしたらどうかという御要望もございましたけれども、党の方針に従ってお断わりをしたような次第でございます。
  106. 石橋政嗣

    ○石橋委員 理由は自民党の意向、これ一つですね。もう少し私は政府としての自主性を持っていただきたいと思う。少なくとも一党の首領が、この問題についてお話ししたいと言ってきたときに、あのように玄関払いをするような態度は、あらゆる意味で私はよくないと思います。しかも、先ほどから申し上げておるように、国会の場で与野党がこの問題について検討をするというチャンスを失しておった段階なんです。好んで政府のほうから、総理のほうから、会いたいと言ってもいいくらいの問題ですよ。これも私たちだけで言っておるのではない。ある新聞の社説の中でも書かれております。原子力潜水艦の寄港に不安と疑問を感じておるのは、決して社会党だけではなく、多くの国民も同様である。もし政府が言っておるように安全、衛生に確信があり、補償にも心配がないとするならば、池田首相はむしろ進んで野党の党首に会って、その理由を説明し、説得につとむべきではなかろうか。一つの世論にもなっております。党から会うなと言われたからそれで会わなかったのだ、非常に情けないと思う。私、そういう態度をぜひ改めていただきたいと思います。そうしなければ、もう結論はわかっておる、そういうことでは、これは民主主義というものは成り立ちません。たとえ結論がわかっておる問題であっても、根気強く話し合う、これが基本でなければならないはずです。このことをよく頭に置いていただきたいと思う。
  107. 鈴木善幸

    鈴木説明員 私は、成田書記長ともお目にかかっております。また、松井総務局長ともお目にかかっておりますが、この問題につきましては、社会党の代表の有力な方々としばしばお目にかかりまして、社会党の御主張は十分拝聴いたしておるのであります。なお、党首会談につきましては、すでに御承知のとおり、党対党の責任者としての、党首としての会談でございまして、私も長く党の執行部を預かっておったことがございますが、事前に国対委員長会談なり、あるいは書記長・幹事長会談なり、そういうことを積み重ねまして、議題その他を十分整理いたしました上で党首会談を行なうというのが、通例でございます。今回の場合につきまして、社会党からのお申し入れに対して、自由民主党がこの際は適当でないということでお断わりをいたしたのでございますから、官房長官としては、党首会談に介入をしてどうこうというわけにまいらない立場にあるわけであります。
  108. 石橋政嗣

    ○石橋委員 鈴木さん、官僚じゃないのですから、もう少し幅のある態度をおとりになったらいかがですか。それじゃ形式尊重じゃありませんか。党首会談というものは、下から積み上げてこなければやれないのだというような、そういう考え方は間違いですよ。ものごとの内容にもよりましょうし、時間的な余裕の問題もありましょう。問題によっては何も書紀長・幹事長会談や国会対策委員長会談をやらなくたって、のっけから党首会談をやってもかまわない問題はあるはずです。今度の場合なんかその適例ですよ。そういう弁解がましいことをおっしゃらずに、今後は、重要な問題についてはできるだけ党首会談というような場所を通じてやりたいという決意表明をされたほうが、私は賢明だと思う。  それから最後にお聞きしておきたいのは、いらっしゃいという回答をされたわけですが、いつ来るのですか、その見通しをひとつお聞かせ願いたい。その場合、やはり佐世保がまっ先かどうか、この点もお尋ねしておきたいと思います。
  109. 鈴木善幸

    鈴木説明員 すでに政府のほうから発表いたしておりますように、いま寄港が予定されておりますのは、佐世保港と横須賀港でございます。この受け入れにあたりましては、事前にバックグラウンドの自然放射能の調査その他を十分やる必要がございます。そういうことからいたしまして、一カ月はどうしてもその準備期間がかかると考えております。したがいまして、もし入港するといたしましても、一カ月を置くということに相なるわけであります。また入ってまいります場合には、事前にわがほうに通告を受けることに相なっておる次第でございます。
  110. 石橋政嗣

    ○石橋委員 日本政府に対しては、二十四時間程度の事前に通知があるそうですが、直ちに日本国民に、特にその入港を予定される市民に知らせるつもりはございますか。
  111. 鈴木善幸

    鈴木説明員 ただいま受け入れに関しましての取り扱いをどうするか、これは、海上保安庁あるいは厚生省あるいは農林省その他関係各庁との間に十分協議を遂げて、そして万遺憾のないような措置を講じたい、このように考えております。
  112. 大出俊

    ○大出委員 関連して。いまの点ですが、私二十八日の午後四時から、椎名外務大臣はいまおられないけれども、私と野原覺、戸叶里子、武藤山治、同僚議員と一緒に参りまして確かめたわけでありますが、かりに二十四時間前に通告があるとすれば、それを国民に公表するかという質問に対して、公表いたしますという約束をしておるのだけれども、いま官房長官が言ったこととは全くこれは相違するので、この点について責任ある答弁をいただきたい。
  113. 鈴木善幸

    鈴木説明員 私は、国民に明らかにするともしないとも申し上げておりません。いま申し上げましたのは、関係各庁で十分連絡をとって、そして受け入れにあたって支障のないように万全の準備をしたい、こういうことを申し上げておる次第であります。
  114. 大出俊

    ○大出委員 いまの点ですが、実は給与関係質問を予定しておるということで、関係各党の理事相互間で御相談になったようでありますし、増原さんの時間の関係もあって、中間の長い時間ではないのですけれども、おとりになるということでありますから、実は石橋さんのあとで引き続き質問を予定いたしておりますが、外務大臣もいまおられないし、面と向かってのやりとりで、しかも二十八日に回答されたその日の午後なんですから、そうして国民に明らかにすると言われたのだから、官房長官、ひとつ中間の時間に椎名さんともお話し合いの上で、統一して御答弁をいただきたい。もしそうでないというならば、同僚議員も列席しての上のことでありますから、問題はきわめて重大だと思います。あらためてそのときに御答弁願います。
  115. 伊能繁次郎

    伊能委員長代理 この際、公務員給与に関する件について質疑を許します。村山喜一君。
  116. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 増原国務大臣がお見えでございますので、給与担当の国務大臣としての長官に、この際人事院勧告が出されまして、いよいよ政府はその勧告を尊重し、実施に移すという態度だけは表明をされておりますが、これらの公務員給与改定に対しましては、きわめて重大な問題でございますので、明らかにしておきたいと思うのであります。  まず第一点は、八月十四日に参議院の内閣委員会が開かれまして、その席上いろいろ御答弁をされておるわけでございます。その内容を、逐一人事院の勧告の内容にまでわたりまして取り上げてまいります時間的な余裕もございませんので、端的にお尋ねをいたしてまいりたいと思うのでありますが、今度の人事院勧告は、これは政府としてはきわめて妥当なものであり、実施を完全にしなければならないものだという受けとめ方をしておられるのか、そうでないのか、この点をお答え願いたいと思うのであります。
  117. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 このたびの人事院勧告につきましては、内容をなお精査いたしておるところであります。全体として申し上げ得ることは、実施時期を含めてこの内容を尊重し、勧告を尊重して実施をいたしたいということが、政府の態度でございます。
  118. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 実施時期を含めて、当然ながら、その勧告の実施を実現するように尊重してやりたいということでございますが、今回、この公務員給与については、増原長官をはじめ石田労働大臣、田中大蔵大臣、吉武自治大臣、それに鈴木官房長官並びに臼井総理府総務長官等をもって六人委員会というのを設けられましたが、この六人委員会で勧告が出されましてから打ち合わせをされたことがございますか。
  119. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 打ち合わせをいたしたいということで内々話を進めておりますが、まだ打ち合わせをいたしてはおらない状態でございます。実のところは、本日打ち合わせをしたいという一応予定を立てておりましたが、本日都合が悪い閣僚ができまして、まだ打ち合わせをいたしておらない状態でございます。
  120. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 後ほど鈴木官房長官もお見えになりますので、この際明らかにしておきたいと思うのでございますが、きょうの新聞を見ますと、田中大蔵大臣がIMFの総会に参加する関係があり、石田労働大臣がILOの結社の自由委員会に参加して二十二日にならなければ帰国しない、そういうようなこともあって、九月の中旬には決定をしたいと考えておったが、九月の二十二日以降、下旬になるのではなかろうか、こういうような新聞記者発表をしておられるようであります。これにつきまして、長官は、そういうようなことをスケジュールとしてはお考えになっているのか。いつ政府としての態度をきめようというふうに主任の担当大臣としてお考えになっておるのかをお聞かせ願っておきたいと思います。
  121. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 一応この問題をきめるのは、あまりおくれない時期を適当と考えまして、九月の中旬ということを一応考えてみたわけでございまするが、おっしゃるとおり、協議をすべき大臣がその間に不在になりまする関係で、本日官房長官と、これはまだ立ち話程度の打ち合わせをしたところでは、中旬に結論を出すことば困難であろう、下旬になるのではあるまいかという一応話し合いをしておる段階でございます。しかし、なるべく関係者のそろいまする限りは打ち合わせを早くいたしまして、結論を出したいというふうに考えております。
  122. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 この人事院の給与に関する改善の勧告の内容につきましては、昨日も人事院総裁をこの席に呼びまして、与党の永山委員のほうからも、四月の官民比較をやって、それを五月から実施するということはおかしいじゃないか、当然実施するならば、四月一日の時点においてやったのであるならば、四月からこれを実施するというのが正しい、それを五月に一カ月ずらしてやるような勧告をすることはけしからぬじゃないか、こういうようなことばも出ているように、きわめて内容的には、一つ一つを取り上げてまいりますと、われわれから見ますと非常に不十分な点があると思っておるのであります。しかしながら、いずれにいたしましても、こういうような公務員の身分、生活を保障すべき人事院が、公務員に与えられました労働三権の代償的な機関として、これだけは実施してもらわなければ困るということで、まあ非常に不十分な内容でありますけれども、それを出した。ところが政府は、過去において四回ほどこの内容について実施時期をおくらしている。そのために、昨年も七・六%でございますか、実施されなければならないにもかかわらず、それが十月から支給をされるということになったので、結果的には四%程度しか上がっていない。そうすることによって、ますます民間との比較において格差が拡大をしてきている。今日は優秀な公務員が得られない。あるいはまた教職員になり手がない、こういう事態が出ていることは長官も御承知のとおり。そこで、これを公労協の場合のように、仲裁裁定は完全に実施しますというところまで池田総理大臣をはじめ前の各担当の大臣が国会でも言明をされて、原資はないにもかかわらず、そういうような方向でおさめることにして、それで当時の公労協の賃金引き上げの争いがピリオドを打ったという事例がございます。とするならば、公労協の場合は、仲裁裁定の完全実施ということをはっきり確約されたわけですが、この公務員給与改定については、内容も時期も含めてそのとおり完全に実施しますということを、担当大臣としては言明をされるのがたてまえではなかろうと思いますが、大臣は、その時期まで含めて尊重するということから、さらに一歩前進してお答えを願うわけにまいらないのか、その点を再度お答え願いたいと思う。
  123. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 お述べの御趣旨はまことにごもっともでございます。私も給与担当大臣を承って、実は人事院の勧告どおり時期を含めて実施をいたしますとやまやま申し上げたいところでございますが、残念ながらまだそういうことを申し上げることのできる段階でないわけでございます。給与担当大臣としては、残念ながらそういう権限も持っておらないわけでございます。しかし、申し上げるように、実施時期を含めて人事院勧告を尊重してまいりたいということは、給与担当といたしましてさように決意をいたしておるわけでございます。実施をいたしますと申し上げかねることは、現在の段階においては関係大臣のいろいろ検討の結果を漏れ聞いておる段階でございますから、まだいまのところ実施時期について明確に申し上げることができかねる状態でございます。
  124. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 給与担当の大臣がその権限を持たない。といたしますと、一体これの実施をする実施をしないということをきめるのはだれが責任者になるのですか。六人委員会が責任者になるのですか、それとも大蔵大臣なのか。内閣全体として責任を持ってお答えになるとすれば、内閣を代表して池田内閣総理大臣が決断を下す、こういうことになるのですか。給与担当大臣というのは、これは飾りじゃなくて、当然そういうような実質ともに責任を伴い、権限を持つような地位におられるだろうと思いまして、私たちはあなたに質問をしているわけでありますが、何らの権限がないということになりますと、これは非常に当局としても当事者能力がないということになりますので、質問も十分なところまで申し上げかねるようなことになると思うのでありますが、大臣はどういう権限をお持ちになっているか、その点を明らかにしていただきたい。
  125. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 これは、御承知のとおり給与を担当する国務大臣でございます。しかし、給与担当の国務大臣給与に関して全部専権を持って、権限を持ってきめるという形のものになっていないということでございますが、これは何らの権限がないということではございません。決定をいたしまする際には一まあ六人委員会というのも、これは事実上の協議の段階でございます。担当の責任者は担当大臣である私でございます。最後決定をいたしまするときには閣議において決定をする、こういうことに相なるわけでございます。しかし、あくまでも担当大臣は私である、こういうことでございます。
  126. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そういたしまするならば、増原国務大臣が担当の大臣だ、担当の大臣としては、少なくとも人事院の勧告どおりに完全に実施するという決意のもとにこれからも行動をするんだということは、約束はできますか、どうでございましょう。
  127. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 申し上げたとおりでございまして、給与担当国務大臣としては、実施時期を含めて人事院の勧告を尊重してまいりたい、こういうことでございます。
  128. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 参議院におきましても尊重してやります。そうしますと、その尊重するというのは、いままでも政府は絶えず尊重するということばを使われるわけです。過去において四回も実施時期をずらして、なおこれは人事院の勧告を尊重したんだ、こういうことにいままでなっておりますから、単なる尊重ということばだけではあまりにも幅が広過ぎる。少なくとも前の大橋国務大臣は、給与担当の大臣として非常に努力をされました。しかしながら結果的には成功はいたしませんでしたけれども、それを実現をするために精一ぱいの努力をされたことは、私たちは認めている。とするならば、給与担当の国務大臣でありますあなたが、自分としては少なくとも人事院勧告の完全実施ということでねばりにねばって、がんばってやるんだという決意を御表明願わなければ、ただ尊重をいたしますというだけでは力が弱いし、みんなを納得せしめられない、こういうように考えますが、そのお気持ちを再度お聞かせ願っておきたい。
  129. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 尊重をすると申しますることは、その実現のために努力をするという意味でございます。そういう意味で尊重をするということばを使っているわけでございます。
  130. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 では、この問題は財源の問題ということが出てくる。今度の人事院勧告を国家公務員にする場合に二百七十一億、これだけの財源が要りますということを人事院の参考資料にも述べております。さらに吉武自治大臣から参議院の内閣委員会で述べられております内容説明を聞いてみますと、これは一千七十二億円という原資が必要になる。もちろんその中には、小中学校の義務教育費国庫負担法に基づく国庫負担金やあるいは補助職員等も入っておりますから、それを除いた場合においては八百六十二億、さらにこれは交付団体、不交付団体含めての数字でございますから、交付団体だけで計算をするならば六百四十二億、こういうような金額に相なるようでございます。とするならば、それに対するところの財源措置という問題は十分な裏づけを行なわなければならない。現在の地方自治体の自主財源であります地方税の伸びぐあい等を見てみますと、これまたまことに窮屈な財政状況に相なっていることも御承知のとおりであります。さらに年度半ばに相なっておりますから、公共事業や単独事業等のそれらの事業費というものも計画が推進をされております。とするならば、既定予算の経費を節約をするということも、これも非常にむずかしい情勢に相なっております。とすると、ここに地方公務員給与改定という問題までやはり内閣としては考えていかなければならないとするならば、何らかの補正予算措置を講じなければならない、こういうことに相なるわけでありますが、それらにつきましてどういうような方法でやるのだという計画をあなた方としてはお持ちになっておるか、その計画をお持ちになっているんだったらお聞かせを願いたい。
  131. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 いまいろいろとお述べになりましたような事柄を総合的に考えませんと、このたびの人事院勧告というものの実現ができないわけでございます。これはあなたのおっしゃったとおりでございます。したがいまして、今度の給与改定という問題を給与担当国務大臣だけの力、権限では決定ができないということを申し上げたのとうらはらなのでございます。地方公務員関係につきましても同様に考える必要がございましょう。その原資の措置というものがたいへん重要でございます。そういうことで、自治大臣がこの問題に一緒に加わってもらう必要がありまするし、原資の問題ではどうしても大蔵大臣が参画をされる、また総務長官、官房長官というものがそれぞれの調整総合の所管の形で論議に参画をしてもらって、労働大臣は、給与と申しまするか報酬と申しまするか、そういう民間の問題を所管するものとしてこれに加わってもらうということでございます。そういう全体を考えて人事院勧告の国家公務員給与ベースアップを処理するわけでございます。いまそれをどういう段階でやろうとしておるか、これは関係大臣がそれぞれ自分の関連をする分野においての処理についていま検討を進めておるわけでございます。これを集めまして、突き合わせて合議をした結果で結論を得たい、まだ具体的に段取りを進めるという話し合いには至っておりません。各省それぞれの担当の分野で検討をするという段階でございます。
  132. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そこで、いまはしなくもおっしゃいました財源の問題、それらの問題を調整的に、全体的の立場から考えるということになってまいりますと、いわゆる人事院の勧告、公務員についてはそういうような問題があるから完全に実施できない場合もあり得る、公労協の場合には、仲裁裁定として実施する場合の原資は、補正予算措置を講じなければ足りないことはあなたもおわかりになっていらっしゃるとおり。そうして、それは現在計上をしてある実行予算の中から先食いをして、あとで措置をする、こういうようなことによって完全・実施ということを政府は約束をいたしました。ところが、公務員の場合にはこういうようなたくさんの原資を必要とする、とするならば、それらの問題を含めて尊重をするという立場からやらなければならない、こういうようなことになってまいりますと、また勧告の実施の時期が十月ということで例年のように値切られる心配がある。これを外国の公務員制度、特にイギリスの場合のように、もう団体交渉権の代償的な機能として、勧告が出された場合にはそれはその時点にさかのぼって完全に支給をする、財源がなければ次の年次において措置をする、こういうところまで公務員の生活権の擁護という問題には留意している国もあるわけであります。とするならば、現在あるところの財源の中で問題を処理するという考え方でいきますと、完全に行き詰まってくる。私が申し上げておりますのは、今日のこの公務員に対するところの給与政策、公務員に対する労働政策という問題は、ILO八十七号条約の問題等で見られますように、日本政府の労働政策というのはきわめて非近代的な様相を持っておる。しかもストライキ権を奪った代償的な機能としての役割りを、政府みずからが人事院の勧告を完全に実施しないままに今日まで踏みにじってやってきた、こういうことが非常に根強い不満として残っているわけであります。ことしはオリンピックもあり、池田総理はうそを言わないということを絶えず公言いたしておりますが、もしここで人事院の勧告どおりに実現が見られないということになって、例年のような方式でやられるということになりますと、公務員の大多数の諸君も納得しないのみならず、完全に実施しろという要求の火の手は非常に強まってくるだろうと思う。そして、いろいろ計画もされているようでありますが、その完全実施の実現を目ざしての運動がこれから行なわれてくる、こういうことになりかねないと私たちは思うのであります。そこで大臣としては、この財源の問題にからんで、財源がないからあなた方の勧告は人事院のとおりに実施できません、大蔵大臣はそう主張するでしょう。しかしながら、少なくとも給与担当の増原国務大臣としては、そういうような考え方ではなくて、イギリスあたりに見られますように、次の年度の予算の中に計上をしてでも支払っていくのだというような固い決意で公務員期待にこたえるという態度をお持ち願いたいと思うのでありますが、いかがでございますか。
  133. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 繰り返して申すようですが、この人事院勧告の実施ということは、全体として実施をするためにあくまで努力をいたす考えであることは再三申し上げておりますが、しかし、いまおっしゃったような具体的な手続ができるかどうかということは、残念ながらまだここでお答えを申し上げる段階に至っておらないことはたいへん恐縮でございます。全体として実施尊重というたてまえで給与担当の大臣としてはあくまで努力をいたす所存でございます。御了承願いたいと思います。
  134. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 どうも給与担当大臣の決意も、まだほんとうに国民の立場に立って私がやりますという非常に力強いことばを承っていないように印象づけられるのであります。せめて給与担当の国務大臣のあなたからは、公務員の立場に立って、私はがんばりますという親心のある気持ちの答弁を私はぜひいただきたいのでありますが、やはり総合的な立場とかなんとかいうことで逃げられるという印象をぬぐい得ないのであります。いかがですか、やはりそれ以上答えることはできませんか。
  135. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 どうも繰り返して恐縮ですが、おっしゃるように、はっきりとしたことはよう申し上げられません。人事院勧告を尊重をして努力をいたしますということでございます。
  136. 永山忠則

    ○永山委員 現在最も必要なる点は、給与所得者の待遇改善、ことに公務員の待遇改善ということであると考えるのでございますが、それはどういう点に重点を置くかと言えば、やはり給与のバランスを民間ベースと一致せしめるという点において給与引き上げをやる。重税で悩んでおるのですから、やはり減税的措置をしてやる。簡単に言えば減税と給与引き上げ、この二つを並行して給与所得者に政府は十分あたたかい処置をすることが最も必要であるというように考えておるのであります。物価倍増を給与所得者の犠牲においてやるというような政策は、断じてわれわれは賛成でき得ないのでございます。しかるに今日物価はますます上がる傾向にある。来年度は何といっても米の価格の引き上げ、あるいは国鉄運賃の引き上げ、あるいは運輸関係の引き上げ、電気ガス税の引き上げ、ガス料金の引き上げ、その他公共バス運賃の引き上げというようなものがメジロ押しにきておるのです。物価高はますますくる傾向にあるときにおいて、現在の給与の勧告が、一般民間関係との差が八・五%あるというのに七・九%しか引き上げをしてない、それ自体が不公平だ。もう一つは、一般民間側も、あるいは公共企業体職員のほうも四月一日から引き上げをやっている。それを五月一日の引き上げを勧告しておる。これ自体が矛盾である。旧来の惰性にとらわれ、政府の権力に追従してやるという人事院なら意義ないじゃないかということを、強く人事院総裁にも指摘しておいたのでございますから、私は、この場合少なくとも勧告どおりに五月一日から実施をするんだという強い推進を給与担当大臣としてなさなければならぬ。財源的な問題は問題ではありません。きょうも、OECDのほうの日本経済に関する勧告でも、消費インフレ的性格を是正する税制的処置が必要であるということを言っておる。そうなれば日銀引き受けの公債ではなしに、民間側にある金を引き受ける公債政策というものにもう踏み切らなければならぬときだ。公債政策ということばを、形式論にとらわれて、インフレ的要因だというような大蔵省の魔術にとらわれる必要はない。さらにまた消費インフレ的性格を規正する上においては、生活必需品は別として、物品税を相当大幅に広くかけるということも必要なんです。イギリスのロイド・ジョージは、消費税一割、これを景気の行き過ぎたときには引き上げる、景気が悪いときには引き下げる、そういう施策で嫌気の調整をした。そういうような消費税のあり方についても検討する余地がある。やるという腹があれば財源的処置なんか問題ではない。財源的処置を理由にするということは、要するにやらないという考え方のもとにこれを主張するものであって、私は非常に遺憾に思う。しかも、私が前にここに指摘いたしたのでございますが、公務員の職務能率の増進、これに対してはどういう施策をお持ちでございますか。民間側では、生産性向上のリミットを還元して給与ベースを上げておるではないか。そうすると、公務員のほうは生産性を向上する、能率を増進するということに対する積極的な指導をしてない。そしていたずらに給与だけを押えようという考え方でベースを押えたり、あるいは実施時期を延ばしたいというようなことは断じて許されない。これらの点に対してもつと積極的な方途があるでしょう。欠員補充の問題という消極的なことだけじゃないのです。こんな犠牲をとらず、もっと積極的に、行政機構の大改革というものも九月に答申が出るわけじゃないですか。これらとどういうふうに関連させていくかということも考えるべきじゃないか。ただ惰性的に、旧来十月だから十月にやろうという安易なものにおちいる必要はない。もう行政機構改革の答申が出るのである。これらと相まって、人事院の勧告を上回るくらいやる。減税をもっともっとやるんだという方法で、行政機構の大改革と四つに取り組んで、行政能率の向上をあわせて根本的な検討をされる時期にきておる。私は、増原長官に多大なる期待をいたしておるものでございますので、一言所見を伺って、ぜひひとつ少なくとも人事院の実施の時期だけはこれをずらさないようにする、こういうことをおやりになったら、内閣委員会は要りませんよ。われわれはもう何年も何年もこの問題で内閣委員会で警告を発している。この院議を無視して政府がやるということなら、いわゆる官僚独善の権力主義でいくならば、われわれは民意尊重の上に立って、委員会は慎重審議をやらざるを得ないという結果になることを警告をして、増原長官に注意を促し、御答弁をお願いするわけでございます。
  137. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 御趣旨はよく承りました。底本的に多方面な財政政策といいますか、そういう問題について御言及になりました。そういう問題ももとより関連をして考えらるべき問題であろうと思います。また具体的に行政機構の改革なり能率の増進という問題についてもお触れになりましたが、御承知のように、九月中に臨時行政調査会の答申が出ますので、政府としてはこの答申を受けまして、できるだけすみやかに、また可能なものからどしどし実施に移して行政機構の改革をやろう、したがって、合理化、能率化、簡素化というものもやってまいりたいということは別に考えておるわけでございます。今度の人事院勧告の実施の問題は、もちろんそれと関係はございますが、一応当面の問題として考えるべきものと思いまして、これは前の質問者にもお答えをしましたように、給与担当国務大臣としては、人事院勧告のとおり尊重してまいるために努力をいたしますということを繰り返して申し上げるわけでございます。しかし、そのことはいま直ちにここで私が結論的に実施時期をまだ明言できない実情にあるということは御了承を願っておきたい、かように考えるわけでございます。
  138. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そこで、増原国務大臣給与担当の国務大臣として仕事をやっていただくわけでありますが、あなたのところの下部機構ですね。給与を担当していろいろ調査をしたり、人事院の施行規則等も見なければはっきりわからない問題もありますし、どういうふうに位置づけをするかというような詳細な具体的な問題もあります。しかしながら、大まかな見通しというようなものはおつけにならなければならないわけでありますが、この問題にあなたが手足として使われる行政的な機構はどういうものですか、これを御説明願いたいと思います。
  139. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 この問題についての事務当局と申しますか、これは総理府総務長官のもとにあります公務員制度調査室が当面の事務当局でありますが、ここで事務的な内容検討その他を行なってもらうということでございます。
  140. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 総理府の総務長官のもとにあります公務員制度調査室、ここで検討する。そうすると、あなたが給与担当の国務大臣としては、直接の、自分のところの手足の機構というものをお持ちになっていらっしゃらない、こういうふうに理解していいわけですか。
  141. 増原恵吉

    ○増原国務大臣 そのとおりでございます。いままで給与担当国務大臣というのは、このたびは私、行管長官という職務を持っておる者がなりましたが、その前は石田労働大臣であり、その前も労働大臣、行管長官が受け持ったこともあるという形になっておりまして、給与担当国務大臣の直接の事務当局というものはいまのところないわけでございまして、事務当局は総理府総務長官のもとにある、こういうことでございます。
  142. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 どうもそういうような機構的な問題から考えてまいりましても、十分な公務員給与に対するところの受けとめ方といいますか、これをこういうふうにやっていくんだという調整的な機能は、あなたはお持ちになっていないようです。とするならば、ただ給与担当の大臣としておまえが窓口だぞということで閣議決定をされた、その下の手足は持たない、それは総理府の総務長官の下にある現在の機構を一時借りてやっていく、こういうようなかまえでは、どうもその受けとめ方が池田内閣自体としてもきわめて不十分だ、こういうように受け取るよりほかないと私は思うのです。  そこで、官房長官がお見えになりましたので伺います。いま機構的な問題を問いただしてまいったのでありますが、給与担当の増原国務大臣としては、実施時期まで含めて完全、実施のために努力をする、こういう御答弁であります。六人委員会というものも設けられまして、実はきょうやろうと思ったけれども、欠席する閣僚もあるのでぐあいが悪くてきょうはできない。さらにけさほどの新聞を見ますと、官房長官の新聞記者談話として出されております内容は、九月十五日ごろやりたいと考えておったが、どうもいろいろな閣僚の海外の旅行等その他の事情によって九月の下旬に決定をせざるを得ないだろう、こういうことが出ているようであります。とするならば、いつの閣議でこの問題についての政府の態度をお出しいただくか。さらにまた、過去四回にわたりまして、三十四年以降ずっと人事院の勧告は実施時期において値切られてまいりました。実施時期において五カ月も値切られるということは、これは給与体系は、そのままの勧告の内容では上のほうが厚くて下のほうが薄い体系を持っておるので、その上に実施の時期をずらすということは、民間との比較の上においても非常に格差が拡大をしていったということが言えるわけであります。それは実際計算をしてまいりますと、一千億円をこすものを公務員期待権から政府の行政行為によって奪い取った、こういうことも言って過言でないと思うのです。そこで公務員の諸君は、せめてことしは人事院の勧告どおりに必ず五月から実現をしてもらいたいという非常に熱烈な声を持っておるようでありますが、これに対しまして、鈴木官房長官は内閣のまとめ役としてのあなたの立場から、少なくとも従来よりも前向きの形で実現をはかるんだ、こういうような決意ぐらいはお述べができるのではなかろうかと思うのでありますが、その点についての御見解を承っておきたい。
  143. 鈴木善幸

    鈴木説明員 公務員給与の改定の問題につきまして人事院から勧告をちょうだいしておるわけでありますが、政府といたしましては、先般官房長官談話で明らかにいたしましたように、できるだけこの人事院の勧告を尊重いたしてまいりたい。財政上その他の点を十分勘案をしながら慎重に検討してまいる、こういう方針でおるわけであります。そこで、私どもは労働大臣給与担当大臣を前にお願いしておったのでありますが、労働大臣はあくまで労使の間にあって中立的な立場で御判断を頼ったほうがよろしいというようなことで、増原国務大臣給与担当大臣をお願いをし、今回は大蔵大臣、自治大臣、労働大臣、官房長官、総務長官の六人委員会でこの給与問題を検討をいたしてまいる方針でございます。  ただいまお話がありましたように、九月の中旬ころまでには結論を出したい、そのために第一回の六人委員会を本日開く予定でございましたが、大蔵大臣がIMFの国際会議を前にいたしまして、いろいろ準備に忙殺されておりますこと、また近く石田労働大臣がILOのために外遊、出張いたします点等から支障を来たしまして、九月の中旬ごろに第一回の六人委員会を開きまして検討をいたしたい、その結果によりまして、非常に重要な問題でございますので、二回ないし三回くらいやはり開いて十分論議を尽くしたい、こう考えておりますので、結論が出ます時期はおそらく九月の下旬ころになるのではなかろうか、こう考えております。  なおいつから、何月からこれを実施するかという問題は、これは財源の問題とも関係がございますわけでありまして、私どもできるだけ財政の許す限り尊重するという方向で努力をいたしたい考えでございます。
  144. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 防衛庁長官もお見えになっていますから、時間もありませんのでこのあたりでやめますが、公労協の仲裁裁定に対しましては、御承知のように四月から完全実施、そうしますと、公務員の場合もストライキ権が公共の福祉という概念によって押えられておる。それで、人事院というその代償的な機能が勧告をした。そして、それは財源によっていつから実施するかは考えるんだ。こういうことになりますと、従来の考え方と何ら変わらないじゃありませんか。少なくとも従来は、そういうふうに五月から実施をしなさいという勧告が出ているのに、それを十月一日から、五月のやつを五カ月もずらしてやった。これではまことに公務員に対して済まぬ。今度はもっと前向きの姿勢で取り組みますという約束ぐらいは、官房長官できませんか。
  145. 鈴木善幸

    鈴木説明員 これは、私ども人事院の勧告の時期等につきましても、今後検討を要する点があるのではなかろうか。と申しますことは、今回の勧告を完全に五月からいたしますと、千六百億くらいの財源が必要でございます。通年にいたしまして千七百億余りであります。こういう膨大な財源が要るわけでありますが、それが、予算がすでに国会の承認を得て半ば実行に移っておる段階に勧告をされまして、そして数カ月さかのぼってこれを実施するように、こういうあり方は、財源の裏づけをいたします観点からいたしますならば、非常に政府としては困難な事情に置かれるわけであります。現に、苦しいことを申し上げてはなはだ恐縮でありますけれども、自然増収の伸びは五百億程度でございます。これに対しまして、災害は、今日まで新潟の地震災害あるいは山陰、北陸の集中豪雨その他を合わせますと、すでに一千億をこえております。これを三、五、二の割合で復旧してまいりますと、どうしても三百億以上の財源がそこに要る。また医療費の緊急是正の問題、いろいろあるわけでありまして、千二、三百億以上の財源をそこに必要とするというような状況下にございますわけでありまして、私ども大蔵大臣を交えた六人委員会でこういう事情を十分検討いたしまして、そしてできるだけ人事院の勧告を尊重するという方向で努力をいたしたいと考えておる次第であります。
  146. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 あなたの説明を聞いておると、大蔵大臣が言う説明と同じようになってしまう。もう少し公務員の生きる権利、公務員期待権というものを、イギリスのように勧告が出されたら、それが年度は変わっておっても昨年度にまでさかのぼってそのとおり実現をする、こういうようなところまですでに近代的な国家はなっておる。あなた方はスト権を与えない、公務員の場合は予算によって全部踏みにじってやってもいいのだ、こういう今日までの冷たい考え方で終始しておったら、これはたいへんな事態が出るだろうということを私は警告しておきます。  給与担当大臣の増原国務大臣は、実施の時期まで含めて人事院の勧告の実現に向かって努力をするという、少しは前向きの答弁でありましたが、鈴木官房長官のお話を聞いておりますと、ますます悲観的な、ますます後退的な形をとらざるを得ない、こういうような印象を受けてなりません。あなたの答弁はきわめて私不満足であるということの意見を申し上げまして、時間が参りましたのでやめたいと思います。
  147. 伊能繁次郎

    伊能委員長代理 引き続き原子力潜水艦寄港問題につきまして質疑を許します。大出俊君。
  148. 大出俊

    ○大出委員 官房長官の時間の関係が三時までということだそうでございますから、先ほど関連質問いたしました例の関係各方面と御相談の上ということでことばを濁しておられた問題ですが、もう一ぺん外務大臣もおられますから申し上げますが、二十八日の午後四時からだと思いますが、野原覺、武藤山治、戸叶里子氏等々同僚議員と私一緒に参りまして、一、二他の団体の代表も入っておりましたけれども、その席上で詳細な外務大臣に対する質問が出まして、かりに二十四時間前に、原子力潜水艦が寄港をするという通告があった場合に、そのことを国民一般に明らかにするかどうか。それからもう一つそのときに出ました質問は、原子力潜水艦の寄港を受け入れている世界の各国の中で、その問題と関連をして何か別な取引をしている国があるようだけれども、韓国その他の問題等と関係はないか、こういう質問と二つ出されまして、あとの問題はさておくといたしまして、前の問題に対する外務大臣の答弁は、明らかにいたします、とこういう答弁をしたわけでありますが、したがいまして、その点と、先ほど官房長官が言われていることがどうもあいまいである。この関係についてひとつ、明確に御答弁を賜わりたい、こう考えます。
  149. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 二十四時間の余裕をおいて通告があることになっておりまして、これを国民に公表するかどうかという単純な御質問であったと思います。もちろんそれをひるがえすものではございません。ただ必要な関係各省との協議はどうしてもやらざるを得ない。
  150. 大出俊

    ○大出委員 関係各省との協議は必要である、それはわかります。わかりますが、しかし、これだけ不安をたくさん持っている今日の世情の中で、あえて二十八日に決定をされ、しかもその決定以前に今まで疑惑を持って論議をしてきている各界各方面、特に国会等々の論議のないままに行なわれており、真偽のほどはまだしかとわかりませんけれども、一ヵ月後とかいろいろ言われて、佐世保からなどということも言われているわけでありますから、そうなると、この通知があったぎりぎりまでほうっておいたというかっこうを客観的にとられることは、かえって私は混乱を増大させる結果にしかならぬ、こう思いますから、その意味で念を押しておきますけれども関係各省との協議は必要でしょうが、しかし、前回答弁された公表をするという点についてはひるがえさない、こういうふうに確認をしてよろしゅうございますか。
  151. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 よろしゅうございます。
  152. 大出俊

    ○大出委員 先ほど石橋委員からもいろいろ質問を重ねたわけでありますが、私は最終的には横須賀、現地等の慕情に基づいて直接的な質問を申し上げたいのでありますが、しかし冒頭に幾つか確認をいたしておきたいわけであります。  その一つは、二十八日の閣議決定が行なわれたこのあとで「米国原子力潜水艦の本邦寄港について」ということで外務省の情報文化局の発表がございますが、この資料の二枚目に「わが国は日米安全保障条約により、日米共同してわが国の安全を守ることを国の基本方針としている。従って、政府は、このような米国の原子力潜水艦についても、その安全性に確信を得た以上日本の防衛に従事する」云々とこうなっているのでありますが、この趣旨からいくと、日米共同してわが国の安全を守る、このことの必要から原子力潜水艦の日本寄港を認めた、こういうことになるのですが、この点、そのように御理解いただいておりますか。
  153. 藤崎萬里

    ○藤崎説明員 日本に合衆国の軍隊の配備を認め、これに施設区域の利用を許す。したがいまして、一たん緩急あった場合には、在日アメリカ軍が日本の防衛に第五条の発動として寄与する、こういう関係が相対としてあるわけでございます。平時におきましては極大の平和、安全の維持、日本の安全に寄与する、そういう目的で施設区域の使用を許しているわけでございますが、それは相対としてそうであるわけでございまして、一艦一機が日本に入る、出る、その一つ一つが極東の平和安全、日本の安全に寄与するものかどうかというのを審査して決定する、そういう趣旨じゃございませんで、全体の日米協力の体制がそういう目的のものである、そういう条約は趣旨でございます。
  154. 大出俊

    ○大出委員 ところで、いまの文書の最後に「米国の他の一般の軍艦と同じように、」こういうことで結んでおられるわけですね。したがって、日米安保条約に基づく極東防衛という言い方を新聞等にはされておる方がありますが、そういう考え方で一般の軍艦と同じように寄港を認めた、こういう理解でよろしいですね。
  155. 藤崎萬里

    ○藤崎説明員 他のアメリカの艦船と同じようにという意味でございます。
  156. 大出俊

    ○大出委員 こういう文章はなかなか一字一句むずかしいから聞いているので、あなたはいま艦船と言われるが、艦船と書いてない。もう一ぺん読みます。「米国の他の一般の軍艦と同じように、」と書いてあります。間違いございませんか。あなたのほうの出された文書なんです。
  157. 藤崎萬里

    ○藤崎説明員 間違いございません。
  158. 大出俊

    ○大出委員 そこで、私は最近の情勢をいろいろ検討分析をいたしておりますと、特にこれは防衛庁長官もおられますけれども、私と長官とはまさに隣合わせで、坂一つ越せば長官の選挙区という関係にありますから、少し背伸びをすれば横須賀が見えるというところに私もおるわけでありますから、よく御存じだと思いますけれども、横浜におりまして、いろいろな事情が次々に出てくる、まさに次々に出てくるわけでありまして、これらとそれから米国がいろいろと東南アジアを中心に、あるいは極東においてやっておることを考えておりますと、どうもそのうちに新しい事態が何か起こりそうな気がしてしかたがない。そういう意味で何点か承っておきたいのでありますけれども、全国一の基地県といわれる神奈川、特に横浜にはたいへん基地が一ぱいあるわけでありますが、大船のPXが移転をするという話が出てくるかと思うと、とたんに、今度はそのあとにどうも接収は解除しそうなんだという情報が県に入ってくる、さらにその次を追っかけて、今度は県から計画が出てきて、学校その他の区域に使おうなんということになる。ところが今度は、そこに横浜市長のほうから、これはたいへんなことになりそうだ、何だと思って聞いてみたら、あそこには自衛隊を入れるんだそうだ、どこから来るかといったら、一部の海軍の自衛隊の横須賀にある海軍倉庫と関連する人たちからなんだ。ところが、もう一つさらに話が出てまいりまして、富岡に入れようと思っておった陸上自衛隊、北富士にいるのでありますが、どうも富岡がまずいからというので、一つ間違えば大船のPXあとに入れるのだ、こういう話が一面一方から出てくるわけであります。  ところで、これと関連をして承っておきたいのでありますけれども、かつて内閣委員会で私は前防衛庁長官の福田さんに質問をして、外務省とよく連絡をしてあらためて明らかにいたしますということになっているのですが、その後明らかにしていただいていないわけであります。つまり、それは六月二十日の、国内の新聞では朝日新聞に載っておりましたが、ワシントン十九日発UPI共同ということで、十八日にアメリカ下院におきましての対外活動分科委員会議事録というものが発表されているわけであります。この議事録によりますと、バンディという米国務次官補、この方は極東担当の国務次官補でありますが、五月四日にすでに明らかにしていたことが議事録上知れたわけでありますが、まず日本に対して軍事装備の売却の増加をはかるのだ、そのために自衛隊の特別訓練計画を予定するのだ。米軍がかってにこれは予定するわけでありますが、在日空軍のための地上防空管制装置、バッジ・システムといっているものでありますが、この製作、そうしてそのうち米国が負担の四分の一を負う、これはたいへんな金がかかるわけでありますが、ついでにどのくらいかかるのかお知らせをいただきたいのでありますけれども、したがって四分の三は日本が負担する、こういう形で一九六五年、つまり来年以降につきましては、対日軍事援助資金というのはこの特別訓練計画に使うのだというふうに断定づけているわけであります。そして、日本が自衛能力拡大に向かって効果的に進めるよう、日本を力づけるのだ、こういう発表が行なわれておりまして、細部計画その他いろいろあったのは、どうも検閲で向こう側で切られたということがつけ加えられておりましたが、こういう事実が出てきております。  つまり、いま二つあげました、横浜における現状、アメリカ側の発表、さらにもう一点まん中を結ぶ意味で申しますけれども、いま第二次防衛力整備計画が進行中なんですが、三次防との関連で、第二次防のうちでやらなければならぬことがあるはずなんだという質問をしたら、福田防衛庁長官は、確かにお説のとおりでございます、いろいろ関連があるわけであります、その基本方針ということもあります、八月、つまり先月でありますが、その意味における予算の基本方針等もきめたい、こういうお話が私のこの質問と関連をして出てまいりました。この米側のいま申し上げました発表は、後ほど外務省とも連絡の上で明らかになる、こうなっているのでありますが、これは、今日極東に向かっての戦略全般との関連があると私は考えておりますので、そういう意味で、長いことは要りませんが、御答弁をいただきたいと思います。
  159. 小泉純也

    ○小泉国務大臣 ただいま最初に大出委員からお話のございました、横浜市内における接収解除の問題につきましては、住宅地、施設相含めまして市当局また関係住民方々から再三にわたって強力なる陳情を受けまして、私も十分理解をいたしておるつもりでございます。昨年度におきましては、この横浜市の住宅地域の返還をば何とか実現をしたいということで、調査費の二千万円程度をば獲得をいたしたのでございまするが、大蔵省は移転調査費というわけにはいかないということで、現状確認の調査費としてこれを獲得いたし、現状についての調査を行なっております。しかし、われわれ調達庁におきましては、現状確認にとどまらず、一歩前進をいたしまして、移転調査費をば今年度は獲得をいたして、いわゆる移転に対するスタートを切らなければいかぬということで、本年度の予算においては移転調査費として計上をして大蔵省と折衝をする考え方でおります。なお、詳細については、施設庁の長官の小野君から、具体的な問題について答弁をさせたいと思います。  なおまた、朝日新聞に掲載をされましたUP電の、アメリカの軍の配置、施設の変更というような問題を含むことにつきましては、事務当局からさらに詳細に御説明させたいと思いますので、御了承願いたいと思います。
  160. 大出俊

    ○大出委員 答弁の途中でありますが、焦点をもう少し明らかにしておきます。  私の聞いております趣旨は、どうも第三次防を第二次防に多少繰り上げて実施していく傾向が具体的にある。それから、アメリカ側は特別訓練計画の予定などまでしている。しかも、たいへん金のかかるバッジ・システムの持ち込み、対空管制装置の持ち込みまで考えている。こういう事情が横浜というところをとらえてもあらわれてくる。それから、もう一つは、先ほど申しましたように、自衛隊を持ってくる。つまり米軍との共同使用などということまで考えて着々進んでいる。一方米側の発表によれば、そういうことをやって日本の自衛能力を高めるための激励をする。こういうことになってくると、まさに無関係で世の中は動いていない。その上、きのう、安保条約に基づく日米共同会議が開かれている。こういうふうになってくると、その辺のところも含めてひとつ御説明を賜わっておかないと、基地横須賀が近いわけでありますから、疑惑がますます出てまいるわけでありますから、ただしているわけであります。そのように御答弁を願いたい。
  161. 海原治

    ○海原説明員 ただいまの御質問にございました、例の特別援助訓練でございますが、その当時も一応私どもの解釈を申し上げておきましたけれども、これは、今後アメリカからの日本に対します援助というものが、従来予定されておりました無償援助というものは逐次なくなってまいります。しかし、ごく一部のアメリカから供与をされ、あるいはアメリカから購入する新式の装備の訓練については、その基幹要員となる、向こう式に申しますと将校であるとかあるいは、干士官というものの訓練は、当然アメリカでやらなければならないそういう金が入っている。こういうことの説明を当時の国会で米国務省のほうが行なったわけです。これが一貫して説明されておりますのが、新聞にはその一部分ずつが報道されましたもので、特に特別訓練の特別に意味があるように伝わったのでございますけれども、実際のところは、今後私どもが建設を予定しております、先ほどお話のございました自動管制装置の基幹要員となります幹部あるいは下級の下士官レベルの方々教育をアメリカで行なう、従来こういうことはやっておったわけでありますが、そういうものの教育は依然として行なうのだ、こういうことの説明があの特別軍事援助の内容でございます。  バッジにつきましては、これはまだアメリカのほうと交渉中でございますが、大体百五、六十億かかりますものの四分の一程度米側に負担してもらおう、こういうことで現在まだ交渉が進んでいる段階でございます。
  162. 大出俊

    ○大出委員 それだけ念を押しておきますが、四分の一負担させる交渉をしているというが、四分の三はこちらで負担をする、もうそこまできめているのですか。
  163. 海原治

    ○海原説明員 このバッジ、いわゆる自動管制装置の建設は、二次計画に予定しております。二次計画において一応予定いたしました経費の中で日本側  負担分がまかなえる、こういうことで私ども考えております。残りの四分の三と申しますか、この程度のものは日本政府が支出をする、こういうことで考えております。
  164. 小野裕

    小野説明員 先ほどお尋ねのうちに大船のPXの問題がございましたので、あるいは重要な問題ではないのかしりませんが、簡単に申し上げます。  御承知のように空軍PXを立川に移すという計画があって、いま準備中でございますが、大体資材部門、倉庫部門の関係であの敷地の半分くらいはあくであろうという見当はついております。しかし、管理部門は残るのであります。あきました部分をどうするかということについて、現在の段階においては、米軍の部内において、現在は空軍の所管でございますが、米陸軍、海軍の間であれをさらに使いたいという希望もあって、その辺の検討をしておる。現在では、まだこれを日本側に返還をするというような段取りになっておりません。したがいまして、日本側として、あっちこっちからもしあいたらほしいというような希望者はもちろんあるわけでありますが、具体的な問題として正式な問題になっておるものではさらにございません。
  165. 大出俊

    ○大出委員 次にもう一つ確かめておきたいのですけれども、これまた日本の新聞にも載っているのでありますが、やはり八月の朝日新聞に、ワシントンから入ってきておる記事の中に、極東にポラリス・ミサイル装備の原子力潜水艦一隻を配備する予定である、これはこの秋である、そしてダニエル・ブーン号という名前が出ておるわけでありますが、この情報が一つ伝えられているわけであります。もう一つ、八月二十九日には、ソ連国防省機関紙の赤い星に、ソコロフスキー元帥等の発表が出ておりますけれども、ソ連は、敵の弾道ミサイルをミサイル要撃装置で破壊するという問題をついに解決をした、こういうふうに述べて、ポラリス潜水艦には重大な欠陥が幾つかある、したがって、ロケッ卜部隊、潜水艦、飛行機その他で、これは基地内等で破壊することが可能だ、ということが載っているわけであります。この関連についてどういうふうにお考えになっておりますか。
  166. 海原治

    ○海原説明員 第一点の、ポラリスの太平洋の配備でございますが、これは、ただいま御指摘のございましたダニエル・ブーン号という潜水艦が、太平洋に配備されますポラリス潜水艦隊の旗艦になる、こういうふうにいわれております。大体太平洋に艦隊としてあらわれますのは、この年末ごろではないか。これは昨年来、一九六四年、ことしの後半ごろにおそらく編成されるだろう、こういうことが伝わっておりましたが、現在でもそのようになっております。大体七隻でもって編成されるであろう、その場合には、ワシントン州のバンガーというところが総根拠地になりまして、グアムが前進基地、パールハーバーが訓練基地、こういう形で太平洋のポラリスの配備が行なわれる、こういうことを私ども承知いたしております。  後段のソ連の高官の言明でございますが、このことの意味につきましては、私ども専門家でもよくわかりません。
  167. 大出俊

    ○大出委員 わからぬというところでもう一つ聞きたいわけですが、八月十七日のアメリカの民主党の委員会の演説で、マクナマラ米国防長官が、現在のアメリカ軍事力は、人類の歴史始まって以来最大のものだ、こういう出だしで、戦争が始まった場合に、最悪の条件のもとでもソ連と中共の両方をたたきつぶすに十分な戦力であると語っている。つまりこれは、二正面作戦ということになるわけでありますが、そこで、ポラリス潜水艦をそのために極東水域に配置をする——いま言われた旗艦になるブーン号その他であります。もう一つ、同じ演説で、ソ連の作戦用ミサイルというのが、米国に比べて非常に劣っている。わがほうではボラリスが現在十六隻、将来で四十一隻になる。ミサイルは六百五十六発もある。これはポラリス・ミサイルをさしていると思います。そこで、ソ連側の報道では、ソ連がポラリス潜水艦対策に非常に腐心をしているようだ、こういうふうに言っているわけです。それから、太平洋に配備されるポラリス基地、それと今度は指令発信基地、こういうふうに分かれてくるわけでありますけれども、この計画によると、指令発信基地が四カ所になる。それは、オーストラリアと並んで日本も含まれている。それからもう一つ問題は、以上申しましましたポラリス配備計画なるものとあわせて、ソビエト側の高官が言ったと先ほどあなたのほうでも言われている無線水中音響ブイを海上に落として、それが潜水艦の位置を探知して発する警告電波を飛行機が受信をして、一斉攻撃を加えるという意味におけるソビエトのポラリス対策ができ上がっている。一斉攻撃も一斉射撃も可能である、こういう発表につながっているということになるわけでありますが、いまはさっぱりわからぬとおっしゃるのだけれども、アメリカの戦略というものをとらえて、先ほど私が確認しているように、共同防衛というところまでお考えになっているのだとすれば、この戦略が今日どう動いているかということがわからぬはずばなかろうと私は存ずるわけであります。そこで、このポラリスの射程距離が、御存じのとおり四千キロ余り、そうなるとグアム島その他基地をこちら側に持ってきた場合に、グアム島から中国本土までは二千九百キロ、そうなると、当然これはそういう意味における戦略配備ということにならざるを得ないわけでありますけれども、それらについてまで否定をされるわけですか。
  168. 海原治

    ○海原説明員 先ほど私が、ソ連の高官の言明についての意味がわからないと申し上げましたのは、おことばにもありましたように、基地内にあって云々というようなことばがございました。そういうことが具体的にどういうことかということが、実は軍事技術陣にもわからないわけでございます。そういう意味でわからないと申し上げたわけでございますが、アメリカの戦略といいますのは、しばしば申し上げておりますように、アメリカ本土内におりますところのICBMと、B52の戦略爆撃隊と、ポラリス潜水艦、それが三つの柱として動いておることは御存じのとおりであります。ポラリスは、これも御存じのとおり、一たん基地を出ますと、まる二月間というものは、完全にどこにおるかわからない状態において行動するわけでございます。乗り組み員も、ゴールドとブルーの二組に分かれておりまして、絶えずこれが二ヵ月ほどで交代しておるということでございまして、所在不明の形において哨戒している。しかも、その一隻の持っておりますミサイルの破壊力というものは、十六発の弾頭だけで、第二次世界大戦の全爆弾の量よりも大きいと言われているほどの破壊力でございますから、したがいまして、アメリカの戦略ということになりますと、これがこういう形で動いていること自体に意味がある。したがいまして、ソ連のほうでこれを水中においてとらえるというお話もございますが、また一方アメリカにおきましては、このポラリス潜水艦が今日まで約五千六百日航海している間に無数の対象に会ったけれども、いまだ一回も発見されていない。したがって、このポラリス潜水艦というものは、おそらくは一九八〇年代まで有効な力として残るだろう、こういうふうな推測も行なわれております。したがいまして、私どもはこういうこと以外に具体的にその価値を認定する資料もございませんので、そういうものだろうという判断をしておるわけであります。
  169. 大出俊

    ○大出委員 大体お認めになっているように思います。いま私が申し上げましたのは、資料もありますから、もし反対だとおっしゃるならば、もう少し詳しく言わなければなりませんけれども、つまりトンキン湾事件等が起こりまして、アメリカの戦略体制そのものが徐々に変化をしてきて、前から予定された面もありましょうが、しかし中国が南ベトナムの問題等とからんで介入するかもしれないという心配あるいは予測、あるいはしないであろうという心配あるいは予測、これらのことが日本の新聞にたび重なって伝えられてきている、こういう時期に、この秋か年末かわかりませんけれども、新たにポラリス配置をこの地域にふやして、さらに指令基地が日本にも置かれるようなことになって、しかも四千キロの射程を持ち、二千九百キロの中国本土の攻撃可能な地域に配置されてくる、こういうかっこうになってくると、もし中国がベトナム問題に介入するのならばという戦略体制、こういうかっこうがまさに極端に前面に押し出されてあらわれてきた、こういうふうに理解できるわけです。そうすると、先ほど言われた国の防衛という面で米国とともに共同的な責任を持って云々ということになってくると、それらの体制というものとベトナム情勢その他をながめるときに、今日の潜水艦寄港問題は無関係だと皆さんが答弁をされても、世の中一般はそう受け取らない。資料は一ぱいありますから、あとからあげたいと思っておりますけれども、各界のこの問題に対する論評というものは、詳しくわかっている人も、あるいはわからない人も、あげてこういうところに焦点を置いて、何とない不安から、具体的に指摘をしての不安感、やめるべきだという意見、こういうことになってきているわけでありますから、こうなると、この辺について皆さん方がなおこの上に立っても、そのときのアメリカの戦略と安保条約下における日本の政府の立場、こういう立場から共同防衛とまで言っておられる中で、全く無関係にこの承認という問題をこの時点で表に出したんだと言い切れるかどうか、もう一ぺんしかと聞いておきたい。外務大臣からでもどちらからでもけっこうですから、答えていただきたい。
  170. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 たびたび申し上げますとおり、昨年の一月申し入れを受けて以来、ただ安全性の解明という一点に努力を集中して、今日まで照会を重ねて調査をしてまいったのでございます。その結果、最終段階に到達した、それ以外に今回の寄港承認に踏み切った理由は何もございません。
  171. 大出俊

    ○大出委員 ところで、もう一つ承りたいのですが、先ほど海原局長の言われているのは、ポラリスというのは、どうもどこに行っているか出たらさっぱりわからぬのだ、こういうわけなんでありますが、どこにいるかわからぬのに、どうも日本にいた、こうなったんでは困るのだ。  そこで、私はひとつ承っておきたいのですが、新聞記者発表を二十八日に——私ども官房長官のところへ出かけていったのですが、あっさり振られました。こういうすれ違いを私はつくることはよくないと思っておるのですが、鈴木善幸前副幹事長という立場、長らく苦労されてきておられる鈴木さんが、まさかああすげなくされようとは思わなかったのだけれども、とにかくそれはさておきまして、そのあとで発表されている鈴木さんが、ポラリスを含むのかという質問に対して、あわてて、どうも閣議の皆さんのほうでもう一ぺんこれは確めてもらわなければということで帰ったという話を漏れ承ったのでありますけれども、その後にポラリス型が含まれておらないのだということを言われた。なおかつどうも各方面からおかしいじゃないかという話が出てきて、ついに統一見解ということでお出しになった。こういう経過があるのでありますけれども、このポラリス型は来ないのだと言われておるのですけれども、さてそこで、来ないのだというのは、日本の立場でポラリスは入れないのだ、こういうわけですか。
  172. 鈴木善幸

    鈴木説明員 ただいま大出さんから二つの点につきましてお尋ねがあったわけであります。二十八日に閣議決定の前に、総理官邸に河上委員長はじめ社会党の方々が総理大臣に面会を求めておいでになった。なぜ会わせぬか、こういうお尋ねでございますが、これは、前日に自民・社会の両党首会談を開きたい、こういう御提案が社会党からございました。党のほうでいろいろ検討いたしました結果、この問題についてはすでに国会を通じ、またいろいろ一年有半にわたって論議されてきておる問題であるし、政府の責任で決定すべき問題であるというような見解に立たれて、自由民主党の執行部は党首会談をお断わりした。その旨私のところにも大平副幹事長から通告を実は受けておったわけであります。したがいまして、私といたしましては、両党首会談を自由民主党がお断わりをしたということにつきまして、官房長官の立場で、これに中へ入ってごあっせんするというような立場にもございません。そこで、翌朝になりまして、突然河上委員長を御同道でたくさん閣議を開く直前にお見えになったわけであります。私といたしましては、実は河上委員長がああいう形で総理官邸に突然おいでになる、おいでになってもこれはお会いできないということを前の日にお断わりしている事情からいたしまして、非常に気の毒な立場に相なると思っておりました。実はこのように大ぜいお見えになったことを、私は非常に残念に思っておるような次第でございます。できるだけ今後におきましては、事前に十分了解づくの上でお見えになる場合はお見えになるというふうにいたしたい、かように存じておる次第であります。  それから第二の点でございますが、政府が今回受け入れを回答いたしましたのは、いわゆるノーテラス型の通常の潜水艦、こういうことでございます。もとよりポラリス型は含んでないということは明確でございますが、ノーテラス型という固有名詞を使っております関係から、その類型をどういうぐあいに見るかということは大事な点でございますので、政府として統一見解をつくった、こういう事情でございまして、初めからポラリス型というものは政府考えておりません。この点は明確にいたしておきたいと思います。
  173. 大出俊

    ○大出委員 前段のほうは、私はあえて答弁を求めたわけじゃないのでさておきますと言ったのですが、親切に鈴木さんから御答弁がありましたが、とにかく私、内閣委員会が開かれるということもありまして、昨日出てまいりまして、事前に内閣委員の皆さんにお目にかかったのですが、与党の皆さんのほうは全く知らなかったというわけで、これからは事前にひとつなんて言われるよりも、事前に十分下相談をしたり積み上げたりなんというそういう時間がわざわざないようにされておいて、突然来ちゃいけないと言われてもこれは困るので、将来に向かってはそういうことのないように、そこが実は各新聞の社説が一せいに取り上げて、そういうばかなことはないじゃないかと言っている理由なんですから、そこのところはひとつとくと将来に向っては御検討いただきたいところだ、こういうふうに思っているわけです。  それから二番目の問題ですが、これは確かに政府の発表の日本文のほうは、ノーテラスということを書いてあります、が、これはノーテラスからスキップジャックあるいはスレッシャーというふうに型から言えば進んできているわけですね。SSNにアポストロフィーSがついておりますがね。原文を見ますと、SSNというものの解釈ですが、これは皆さん方は一体どういうふうに統一されて使っておられるのですか。つまりアメリカのエイドメモワールその他によりますと、それを通常の原子力潜水艦一点ばりに使っているので、ほかに何も書いてありません。そうなってまいりますと、確かにノーテラス型と言われるけれども、そうじゃなくてポラリスだ。これは真偽のほどはわかりませんから別といたしまして、その他攻撃型と言われるのは全部来る、こういうふうに理解して差しつかえないですか。ここのところはどうなんですか。
  174. 竹内春海

    ○竹内説明員 アメリカ側の口上書には、御指摘のとおりSSNと書いてございます。アメリカにおきましては、原子力潜水艦を三つに大別しております。一つはこのSSN、いま一つはポラリス潜水艦とございまして、SSBNと申しております。三番目はSSGNと申して、レギュラスを積んでおります原子力潜水艦でございまして、これは現在一隻しかない、こういうことでございまして、日本に寄港し得るのは最初のSSN、つまり通常の原子力潜水艦、それが日本に寄港し得る、こういうことでございます。
  175. 大出俊

    ○大出委員 この統一見解の内容からいたしまして、スレッシャー型は入ってくることになっておりますね。そこでサブロックを積載整備している場合は事前協議の対象となるが、サブロックを積んでいても、核弾頭でなく、通常の魚雷の場合には事前協議の対象とはならない。こういう意思統一はほんとうにしたのですか、確かめておきたいのですが。
  176. 海原治

    ○海原説明員 新聞の発表にございます後段のところでございますが、これにつきましては、私が先ほど石橋委員の御質問についてお答えしたとおりのことを防衛庁としては考えております。したがいまして、その新聞記事がどのような形で出ましたかにつきましては私承知いたしておりません。
  177. 大出俊

    ○大出委員 そんなばかな話はないじゃないですか。政府の統一見解という発表ですからね。防衛庁が何と言われようと、政府が統一見解として発表しているのですから、統一見解でしょう。そうなると、これは先ほどの論議と食い違いますから聞いているのですが、二十五隻で云々と言われたけれども、そうなると、核弾頭でないサブロックならばかまわないのだということですか。事前協議の対象にもならないから入ってきてしまう。あとになって、それは核弾頭がくっついていたと言ったっておそい。この見解で言えば、そこのところはどうですか。担当局長にお答えいただくのもけっこうだけれども、統一見解ならば、外務省、防衛庁がおられるんだから、椎名大臣あたりから答えていただけませんか。統一見解である限りは統一見解でしょう。もしこの記事が間違ったというんならば、各新聞、これはたいへんなことです。
  178. 竹内春海

    ○竹内説明員 サブロックにつきましては、けさほど防衛局長から御答弁しましたとおり、まだ開発段階であると承知いたしております。昨年十二月のアメリカ海軍省の発表によりますと、サブロックは主として核弾頭をつける兵器として開発しておる。しかしながら、通常の弾頭をつけようと思えばつけられる、こういう説明でございましたので、ただいま御指摘のとおりの文章になった、このように承知しております。
  179. 大出俊

    ○大出委員 これは、重要な問題だからひとつ念を押しておきますが、読みますよ。「スレッシャ一型が核弾頭つきのサブロックを積載、整備している場合は事前協議の対象となるが、サブロックを積んでいても核弾頭でなく、通常の魚雷の場合には事前協議の対象とはならない。」こういう統一見解ですね。いいですね、これは。
  180. 竹内春海

    ○竹内説明員 先ほど御答弁いたしましたとおりでございます。
  181. 大出俊

    ○大出委員 ということになると、けさからいろいろ言われるけれども、これはサブロックを積んでおっても核弾頭であるかないか、向こうがないと言えば、これは事前協議の対象にならぬというのだから、いつの間にか核弾頭のついたのが入ってきたってしょうがないじゃないですか。その辺のところはどういうふうに考えておるのですか。
  182. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 これは信頼関係です。現場に乗り込んでこれを点検するということは不可能でございますから、それは米側の言い分を信頼してまいる以外にありません。
  183. 大出俊

    ○大出委員 それでは明らかにしておきますが、米側がその信頼を裏切ることがよしんばあれば、核兵器は入ってきてしまう、こういうことになりますね。
  184. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 両国の最高責任者の間に十分な取りかわしがありまして、われわれはその取りかわしを信頼する以外にはない、かように考えております。
  185. 大出俊

    ○大出委員 両国の責任者の間に取りかわしがあって、その取りかわしをわれわれは信頼せざるを得ないのだということになると、何か責任者の取りかわしがあってと他人事みたいに言われるのだけれども、秘密協定か何か別なものが、公表していないものがあるのですか。
  186. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 一九六〇年と思いますが、アイゼンハワーとそのときの日本の岸総理大臣との共同声明において、明瞭にそのことを明らかにしておる次第でございます。
  187. 大出俊

    ○大出委員 もう一ぺん聞きますが、どう明瞭になっているのですか、答えてください。
  188. 藤崎萬里

    ○藤崎説明員 新しい保安条約ができましたときに、附属の交換公文がつくられまして、その中の事前協議の対象になる事項の一つといたしまして、合衆国軍隊の装備における重要な変更ということがあるわけでございます。これは核兵器の持ち込みを意味するということは、はっきり了解されておるわけであります。そして、この事前協議にかかる事項につきましては、アメリカ政府としては日本政府の意思に反して行動する意図がないということを、アイゼンハワー大統領が岸総理大臣に保証した、そのことが両者間の共同コミュニケでうたわれておるわけでございます。
  189. 大出俊

    ○大出委員 ずいぶん古い証文を持ち出されたわけですが「それでは聞きますが、米政府の覚え書き、これに何と書いてあるかと言いますと、「現在日本国の港に寄港している合衆国海軍の他の艦船と何ら異なるものではなく」もう少し前から読めば「合衆国の通常の原子力潜水艦」!SSNですよ、これが「日本国の港に寄港している合衆国海軍の他の艦船と何ら異なるものではなく」というのは、つまりSSNなる通常の原子力潜水艦は、他の合衆国の艦船と何ら異ならない、こういうようにここで明確に相手方は言っている。ただしかし、日本の国民が何となく懸念をしているから、したがって日本の政府の言うことを聞いておきましょう。つまり権利はあるのだということを明確にしているわけですから、そうなってくると、とは言っていても、相手方が入ってきてしまえば、これは日本政府がとやかく言ってみても、権利は向こうにあるのだからしかたがない、こういう結果に終わることになると覚え書きの内容を理解するのですが、このあたりはどう考えておるのですか。
  190. 藤崎萬里

    ○藤崎説明員 これは、いま御指摘の覚え書きにもございますように「推進系統の相違を除き」ということでございまして、つまりさっき申し上げたこととの関連においてずばり申し上げれば、原子兵器、核兵器を積んでいない、庁っていないということにおいて、他の合衆国海軍の艦船と何ら異なるところはない、そういう意味でございます。したがいまして、かりに今度のような話し合いをアメリカ側がしないでこの原子力潜水艦を入れたとしましても、そのことから核兵器が日本側に事前協議なしに持ち込まれたということにはならない、こういう関係を示しているものでございます。
  191. 大出俊

    ○大出委員 つまり信頼関係で、相手の言うことを信じております、こういうことになりますね。そうすると、核弾頭でないサブロックだということで、それが核弾頭であったということになれば、これは調べる方法はない、こういうふうに具体的にはなりますな。最後に念を押しておきます。
  192. 藤崎萬里

    ○藤崎説明員 法律的にはさっきも申し上げたとおりでございまして、ただ事実関係として、理論上、何と言いますか、通常の弾頭がつけられる。しかし、実戦的にはもうそういうことでは高いミサイルを使うのはもったいないというような、そういうところの事実関係の点で、若干話が食い違ったのかと思いますが、法律的には全然食い違いはないわけでございます。
  193. 大出俊

    ○大出委員 問題は、つまり法律的にと言われるけれども、こうなっておると、通常弾頭だと思ったら核弾頭だったということが起こる余地があるというふうに理解できるわけですよ。サブロックを持ち込んでも、それが核弾頭でなければいいのだというふうに政府の統一見解がなっておる。そうして、そこのところはわかるのかと言ったら、わからない。相手が核弾頭を持ち込むときには知らせてくれることになっておる。知らしてくれなければわからない。そうでしょう。そういう事実関係になっておるじゃないですか。それに何ら手を打っていないのかと言っておるのです。
  194. 藤崎萬里

    ○藤崎説明員 いざ核弾頭が持ち込まれたかどうかということの最後の確認の点につきましては、大臣が先ほどおっしゃったとおり、信頼関係の問題であろうと思います。ただ私が申し上げましたのは、サブロックの弾頭がどっちか、事実関係がわけがわからぬから、そのことから何かわけのわからぬ事態が起こるというようなおそれはございませんということを申し上げたわけでございます。
  195. 大出俊

    ○大出委員 事実関係としては、そこのところは信頼関係でわからぬというわけですから、わからぬということは何かと言えば、入ることもあるということになるわけです。そういう理解をせざるを得ないわけであります。  そこで、ひとつ具体的になりますが、いまのに関連しますから承りたいのですが、佐世保と横須賀だ、こう言われておるのですが、はたして佐世保と横須賀ですか。
  196. 竹内春海

    ○竹内説明員 そのとおりでございます。
  197. 大出俊

    ○大出委員 緊急避難というのは、一体どういう場合をさすのですか。
  198. 竹内春海

    ○竹内説明員 荒天等の場合、緊急に予定していない港に避難する、こういうことだと思います。
  199. 大出俊

    ○大出委員 緊急避難の場合に予定していない港に入る、つまり日本に寄港を認めれば——ここは問題の中心ですから聞きますが、寄港を認めてしまったのだから、一カ月かそこらたつと入ってくる。そうなりますと、日本の近海を原子力潜水艦というのは走るわけでしょう。そうなれば、日本の近海というのは、台風だってくるのだから、荒天の場合だってあるでしょう。緊急避難でどこかの港に入る。バックグラウンドの放射能の調査までしょうという世の中に、何の調査もしていないところに入ってきてしまった、こういうこともあり得るということになります。そうなりますと、その辺のところだけについてもきわめてあいまいきわまるわけなんだが、まずそこのところはどうなんですか。
  200. 竹内春海

    ○竹内説明員 アメリカ側文書にありますように、入る港は横須賀と佐世保である。潜水艦でございますからして、荒天のために緊急に予定しない港に入るということは考えられないのでございまして、必要とあれば外洋に出て水中にもぐればいい、こういうことが考えられるのでありまして、横須賀と佐世保以外には、寄港は考えられておりません。
  201. 大出俊

    ○大出委員 そういう言い方をされると、その場限りになるのですがね。そんなことをいえば、緊急避難なんか要らないでしょう。潜水艦だからもぐってしまえばいいんだ。何か子供だましみたいなことで……。そんなら、スレッシャー号の沈没事件のことを見てごらんなさい。メイン湾ですか、あの湾の沈没原因の中に、アメリカの有名な海難事故専門家が——あなた方の配付の資料の中にあるじゃないですか。台風がメイン湾を通過した。下のほうが横に向かって対流するというわけだ。その関係で、こちらから入ってきてこちらに吸い込まれた、それであのスレッシャー号は沈没したんだという海難事件の専門家の調査に基づく資料がついていますよ。お読みになりましたか。そうなると、潜水艦だからもぐればいいということにならぬのですよ。アメリカの専門家が、それで沈没したんだ、間違いないと言っているんだから。台風だといってあわててもぐったら、メイン湾じゃないけれども、どこか行っちゃったということになる。もぐればいいんだ、緊急避難だと一方に言っておいて、それじゃ緊急避難の必要なんかなくなってしまう。その相関関係はどういうことになるのですか。
  202. 竹内春海

    ○竹内説明員 スレッシャー号の事件の場合には、スレッシャー号を改装いたしまして、これのテストをやる。そのテストの目的は、どこまで深くもぐれるかというのが目的であったわけでございます。したがいまして、不幸にしてああいう事故が起こったのでありますけれども、日本に来るような場合には、そういうテストをしながら一本に来るということは考えられないのでございまして、あの事件は、その観点からは寄港問題とは関係がない、こういうふうに申し上げたいと思います。
  203. 大出俊

    ○大出委員 どうもどうも三百代言みたいな言い方で、気に食わないんだけれども、スレッシャー号というのはテストをやっていたからそういうことになったと言うけれども、沈没の原因がいまだに明らかじゃないんでしょう。私も全部沈んでみましたが、明らかでない。ようやく推測している。しかも幾つも結論が出てしまっている。しかし、何ですか、鉄の船か何かでもってパイプを拾い上げてみたら、スレッシャー第何号と書いてあったから、位置だけはわかったということで、この辺で打ち切ることにする。そうすると、沈没の原因がわかっていない。そこにくっついているもう一つの艦があって、いまからどこそこへ入りますということをやっていて、書いてあるものによれば、あのときの深憂というのは、そんなに深くはない。そうなると、そういう皆目わからぬものをつかまえて、違いますと言ってみたところで、これはしょうがない。どだい潜水艦が、荒天ならばもぐればいいんだとおっしゃるならば、緊急避難は要らないんだから、それならば、なぜ緊急避難というのですか。
  204. 竹内春海

    ○竹内説明員 地域協定上は、理論的には緊急避難ということはございますけれども、潜水艦の場合には、アメリカ側は、横須賀、佐世保以外に寄港しない、こう文書で言っておりますので、そういう場合は考えられない。スレツシャー号事件の原因は、最終的には明確になっておらないと言われますけれども、海難事故では、そういう原因がはっきりしないということはたびたびあることだろうと思います。ただきめ手となりますのは、結局、ずいぶん調査したけれども、その沈没の結果、何ら放射能がその辺でふえておるということがないということがはっきりしておるということだと思います。
  205. 大出俊

    ○大出委員 実はあとでやろうと思ったのですけれども、どうも出てきてしまって黙っているわけにもいかないので申しますが、放射能が何らふえていることはないとか、放射能が出ていないとか、いろいろさっきから言われているんだけれども、午前中も。それからスレッシャー号、確かに外務省が出されている文書からすれば、アメリカ側がそう言っている、こういうふうになっているのですけれども、ところが、ここに一つ問題がありますのは、三宅博士が報告しているんだが、ちょうどスレッシャー号の沈没事故のころに、毎洋汚染関係の学会があって滞米中であった三宅博士が帰ってこられて発表している文書の中に、米科学者は、スレッシャー号から出されている放射能、特にガンマ線を測定することによって同艦の沈没場所を発見しようということで、すでに作業を開始しているという報告があるでしょう。そうなると、スレッシャー号をこしらえることになって、たいへんな騒ぎをし、金をかけてやったのだから、しかも米海軍はこれで二年間おくれたと言ってたいへん嘆き悲しんだのだから、そうなると、悪いようなことを報告すれば、アメリカ世論だって黙っちゃいませんよ。だから、そこで発表されている形式的な、公式的なものだけを考えてみたところで、これはどうにもならぬ。だから、日本の学術会議でも、千七百名の方々も入って反対をする理由があるのです。そうなると、出ていないというけれども、こういう記録も一方にはある。なお、これは調査不十分ということにしかならぬのですから、そうあなたのように一方的に言われても、受け取りかねるという結果になるのですが、いまの事実は御存じですか。
  206. 竹内春海

    ○竹内説明員 御指摘の三宅博士がそういうことを言っておられるということは、承知しております。しかしながら、そういう方法で調べたけれども、何ら放射能は出ておらぬというのが結論だと承知しております。
  207. 大出俊

    ○大出委員 だったそうですと言ったって、事実やっているところに行きあわせて、ガンマ線が出ていて、それを測定しているけれども、それがわからなかったということが片っ方で報告されておる。それとても、向こうさんがそういっておりましたということをあなた方が言う。ところが、学者の間ではそういうふうに理解をしない。これはこういう争いになるわけですね。ですから、私は端的にさっきから聞いているのだけれども、緊急避難はどういうことですかと言ったときに、荒天の場合に港に入っていくのだ、そういうことがありますという。ありますというから、しからば準備もないところに入っていってどうするのだと言ったら、いやそういうことはない。潜水艦だからもぐればいい、そういうその場当たり式の答弁は、おかしな話になるんじゃないですか。緊急避難で、荒天の場合に横須賀、佐世保以外のところに入ることもあり得ると先ほどあなたも言われたのですから、そこのところはどうなんですか。
  208. 竹内春海

    ○竹内説明員 地域協定上は、一般的な規定として、そういうことは可能である、こう申したのでありまして、原子力潜水艦が緊急避難をほかの港に予定しているということはない、こう申し上げたのであります。
  209. 大出俊

    ○大出委員 念のために聞きますが、それじゃ横須賀、佐世保、こういっているのだけれども、それじゃ、原子力潜水艦は緊急避難はしないということですか。外務大臣どうですか。そこのところは緊急避難はしないということでいいのですな。
  210. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 少なくともそういうことを予定しておりません。
  211. 大出俊

    ○大出委員 予定していないということは、将来あり得るということに通ずるのだが、どういうことですか。予定はしていないが、あったということになれば、どういうことになるのですか。
  212. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 あり得ないから予定していないということです。
  213. 大出俊

    ○大出委員 緊急避難というのは、緊急という名がついているのですから、そうなると、緊急避難というのは、地域協定上明確にあるのでしょう。あるということは、予定しているということになるのでしょう。エードメモワールには、他の艦船と同じ取り扱いを受けると書いてある。そうすると、同じ取り扱いを受けるということになれば、米側は緊急避難を含んでいるのじゃないですか。そういう理解は成り立たないわけですかね。もう一ぺん答弁はどうですか。
  214. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 緊急避難の問題は、予定しておりません。
  215. 大出俊

    ○大出委員 あなたが予定していないと言われても、法的には緊急避難があるのでしょう。そうすると、エードメモワールにいわれるアメリカ側の言い分は、他の艦船と何ら変わらない取り扱いを受ける権利がある。外務省の発表しているのは、他の軍艦と同じように取り扱うというのでしょう。同じように取り扱う限りは、法律的には緊急避難が存在するのだから、その権利はアメリカ側にあるということになるのじゃないですか。それを予定していないという答弁は何ですか。
  216. 藤崎萬里

    ○藤崎説明員 法律上そういうことが可能であるということと、実際上そういう必要性が予見されないから、日米間の今度の文書でも全然予定されてないということとは、私は両立すると思うのでございます。
  217. 大出俊

    ○大出委員 そうすると佐世保、横須賀以外には一切入らない、このことを明確にできますね。絶対に入らぬということでいいですか。確認してください。
  218. 竹内春海

    ○竹内説明員 横須賀、佐世保以外に入ることは、予定されておりません。
  219. 大出俊

    ○大出委員 予定されていないということばが、そうなると非常に大きな問題で、あのときは予定されていなかったんだが、あとでは予定されました、こういうことになりかねないので、そういうことでなしに、はっきりずばりものを言っていただけないですか。こういう席ですからね。
  220. 竹内春海

    ○竹内説明員 アメリカの原子力潜水艦方々の国に寄港しておりますけれども、緊急避難で、予定されていない港に入ったということは、私ども聞いておりません。
  221. 大出俊

    ○大出委員 それでは緊急避難以外の場合で、予定港が佐世保、横須賀になっておりますが、そのほかのところもということになる、こういう将来に対しての可能性、これはどうお考えになっておりますか。
  222. 竹内春海

    ○竹内説明員 現在横須賀及び佐世保以外は考えておりません。
  223. 大出俊

    ○大出委員 米側が横須賀、佐世保以外には入らないと言っている、こういうことですか。もう一ぺん念のために聞いておきたい。
  224. 竹内春海

    ○竹内説明員 そういうことをこちらに言ってまいりましたし、私どもそのように了解しております。
  225. 大出俊

    ○大出委員 くどいようですがね、ここのところは非常に重要な問題なんで聞いておきますが、向こう側の米側が、このエードメモワール等の理解からいきますと、日本国民がどうも懸念をしているから、当面は日本政府の意思に反することはしない、こういう内容になっていると私は理解をするわけなんですが、そうなると、本来他の艦船同様に開港地どこにも入る権利がある。あるけれども、日本の国民が懸念をしているから、政府の意思に反することはしない。ところで日本政府は、横須賀、佐世保と言うているから、その意思に反することはしない。当面は横須賀と佐世保だけにしておく。こういうことだというふうに全部読みましたが、理解できるんですが、それに間違いないですか。
  226. 藤崎萬里

    ○藤崎説明員 私、御質疑の趣旨を取り違えているかもしれませんが、とにかく条約、協定上の権利、義務関係としては、こういうふうに特別に日本政府の了解を求める必要はない事柄である。これははっきりいたしておるわけであります。しかし、この原子力潜水艦の問題については、日本国民の国民感情から特別の感触もあるので、特に条約、協定上の権利、義務関係とは離れて日本側の意向を確かめて、日本側から異存ないということを返事したわけであります。日本側が異存ないということを返事した基礎には、このアメリカ側の声明なり覚え書きに基礎を置いて、異存ないということを言ったわけであります。そうしますと、まあ紳士的な話し合いのといいますか、そういうものとしては、この基礎をかってに一方的にアメリカが変えるということは考えられないわけでございます。ただ、考えられないということが精一ぱいのことでございまして、もとに返ってまた条約、法律上の権利、義務関係はどうかとおっしゃいますと、またくつがえされざるを得ないわけですが、その辺のところで御了解をいただきたいと思います。
  227. 大出俊

    ○大出委員 かつて第七艦隊が入ってきたときのいきさつからいたしましても、どうも予定されざる港へあとからどんどん入っていっておる。別府へ入ったり熱海へ入ったりしておるということになっているわけです。そのときも、国会の論争からいけばそうなっていなかったんですね。だから、そうなると、横須賀、佐世保に入ってしまえば、徐々に問題は拡大解釈をされていって、いま局長がきわめて微妙なところを最後のところで言っておられるけれども、予定されていないその基礎になっているものがある。それがくつがえされるとは思わない、つまりあなたが思わないわけなんだが。だから、そこのところを私はとくとこの際念を押しておかないと、将来に向かってまたいろんなことがあらわれてくる、こういうことを考えるからものを申し上げているんで、だから、もう少しずばりと答弁をしていただきたいんだが、横須賀、佐世保以外には入らない、これはもうおそらく言い切れないと思うんだが、アメリカ側がそう言っているんだから、そこのところを私は確かめておきたいわけです。
  228. 藤崎萬里

    ○藤崎説明員 少し条約、協定の問題を離れて、越権かもしれませんけれども、私は一たんこういう覚え書きなり声明を出しました以上は、日本側に正式に口上書で送ってまいりました以上は、そうしてそれに対して日本側から異存がないという返事をもらいました以上は、アメリカは、その条約、協定上の権利を行使して、一方的にこれを変更することはあり得ない。それは外交の常識に反する、私の個人的な意見ではなく、そういうことは申し上げられると思います。
  229. 大出俊

    ○大出委員 そうすると、前回の例の昨年六月四日の政府の中間報告、ここには横須賀、佐世保というふうに明確になっておりますが、今回のものにもなっておりますか。
  230. 竹内春海

    ○竹内説明員 覚え書きの六ページ、  お持ちの資料はページが違うかもしれませんが、エードメモワールの第一のうしろのほうでございます。「通常の原子力潜水艦は、横須賀及び佐世保に寄港することが予定されている。」こう書いてございます。
  231. 大出俊

    ○大出委員 次に、承りたいのですが、横須賀なんですが、横須賀のどこに入るのですか。これは防衛庁長官もおられるからだけれども、逸見トンネルを越えて裏側がいまアメリカ潜水艦の基地になっておるのだが、小さい潜水艦が幾つも浮いておりますが、そこに入れる筋合いのものではなかろうと思うので、さてそうなると、横須賀といってもどこへ入るのですか。
  232. 竹内春海

    ○竹内説明員 私は、まだアメリカ側が具体的にどこに停泊するか、承知しておりません。
  233. 大出俊

    ○大出委員 そうしますと、今後どのように運ぶのですか。
  234. 竹内春海

    ○竹内説明員 おそらくアメリカ側と非公式な連絡があってきまるものと思います。
  235. 大出俊

    ○大出委員 ちょうど一年前に原子力潜水艦問題でいろいろ論議されておる時期に、横須賀の港においていろいろ工事が行なわれたりなんかしたことがありましてね。それでどれが入ってくるのかもわかりませんが、ノーテラスそのものが入ってくるとすれば、三千百八十トン、それから先ほど来言われておるスレッシャーあたりで三千七百四十七トンですか、つまり六船渠といわれる、第六ドックといわれるところ、かつて「信濃」をつくったところで、これは小泉長官、よく御存じだと思いますが、ここに——原子力潜水艦というのは、防衛年艦等には図解がありますけれども、下のほうが非常に大きくなっているというようなこと等から、普通のところには入れない。そこで両側にアームのようなものをずっと三角形に出して、そのたいへん大きなものを、直接接岸ができないんだけれども、乗り組み員は上がってこられるという形のものを両側にこしらえて、それをその後取りはずして、吾妻山という山があるのですが、そこに置いてある、こういうことになっているわけなんですがね。したがってすでにそういう準備が一年前にされておって、それを手がけた方々がおって、それはほかの船には一切使われていない、こういうふうなことから、現地ではいろいろと問題があるのですけれども、皆さんの側は御存じですか。
  236. 竹内春海

    ○竹内説明員 その話は私も伺っております。それが原子力潜水艦ではないかと一部の人に思われた潜水艦ではないかと思いますが、アメリカ側に当時確かめましたところ、これはもちろん原子力潜水艦ではない。通常の潜水艦であって、艦長が比較的長い。その関係で特別の接岸材を使ったのだ、こういうことでございます。
  237. 大出俊

    ○大出委員 間違いのないようにと思って念を押しておいたのですが、ところでもう一つ原子力潜水艦が横須賀にかりに入っていく場合に、日本側の人たち、つまり駐留軍関係に働く方方であるとか、プッシャーボートを使うとか、いままでいろいろなことをやってきておるわけですが、そういうふうな方々との関連、こういうことについては、皆さん方のほうはどうお考えになっておりますか。一切向こうでやるのでしょうか。
  238. 竹内春海

    ○竹内説明員 私も詳細は存じませんけれども、そういう点は、今後日米間の連絡によってきまっていくと思います。
  239. 大出俊

    ○大出委員 ところで、一カ月後の予定に基づく調査並びに内容の発表が行なわれているのですが、この新聞発表というのは、あなた方のほうの計画ですか。
  240. 村田浩

    ○村田説明員 どの新聞発表のことをおさしかよくわかりませんが、一両日前の放射能調査につきましての関係各省庁の連絡を行なっておるという趣旨の報道でございましたならば、その際に出ましたものは、関係各省庁間の相談のもとになっている案のことで、あろうと思います。
  241. 大出俊

    ○大出委員 その問題は、あとでひとつ質問をいたしたいと思います。  ところで次の問題は、例の原子力委員会との関連について確かめたいのでありますけれども、まず原子力基本法の面からいきますと、第二条にいうところの「平和の目的に限り」という条項が存在しておるわけですね。しかも、民主的に、自主的にという表現が使われておる。つまり学者がいうところの三原則ですね。ところでもう一つは、原子力委員会設置法のほうから言いますと、きょう午前中にちょっと問題が出たようでありますけれども、原子炉安全専門審査会に委員長が命ずるかっこうになっているわけであります。その関係で、けさほどの答弁と多少最後のほうで私の見解と違うのですけれども、本来ならば、原子力委員会は平和利用に限るのですから、何ら関係がない。それが世上いろいろ混乱を生じ、・心配が重なるということで、専門家の集まりで権威もあるのだから、ここでひとつ多少調べてみよう、かりにこういうことになったとしても、この委員会というのは、あくまでも平和利用に中心が置かれているのですから、不確かな、相手を信頼せざるを得ないという意味資料だけの中で調べて、そこで安全性の確認ができたようにものを言うという結論になる筋合いのものではないのじゃないかと私は思いますけれども、その辺の見解が、何か先ほどのお話では、わざわざやってやったところで、外交文書その他を通じてアメリカ側のほうを調べてみれば、大体だいじょうぶのようだ、だから、権威ある原子力委員会が、アメリカがそのとおりやるのならだいじょうぶなんだ、そういうことを政府に言ったのだということになると、まさにどうもわざわざ原子力委員会という権威をそこに出して、日本政府が国民一般に対して安全なんですよ、だから寄港を認めますよ、こういうふうに言ったような印象になると思う。そこのところの見解をまずもって承っておきたいわけです。
  242. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 たいへんよくその間の関係は御理解いただいているように思うのです。この点は、確かに原子力基本法で平和利用、そして自主的にやる、三原則が守られなければならぬ。それから同時に、日本でたとえば原子炉を新しくつくるというような場合には、政府は原子力委員会意見を徴しなければならない。これは義務づけられているわけです。それから今度はそういったような場合に、原子力委員長としては、必要と認める場合に安全専門審査会の意見を徴する。これが現在の日本の法制のたてまえでございます。そこで前段の問題については、直接法律上の問題ではないけれども、放射能から国民の安全性を守らなければならない。それから公の機関として原子力委員会というものが原子力の権威者を集めているのであるから、これは政府側の要請もあったことでもありますから、少なくとも昨年の初め以来は、ほんとうに真剣に取り組んでまいりましたということは、御報告申し上げたとおりでございます。そして原子力委員会の態度としては、軍艦であるから実地の安全審査というようなことはできないということは御了解願いたいということが前提にありますけれども、しかし、原子力委員会としては、それができなくとも、あるいはアメリカ側が軍事上の機密の設計などを提供するということができなくとも、外交折衝を通じていろいろと調査努力をなし、できる限りの努力をしてまいりまして、その結果が、この覚え書きあるいはステートメント及びエードメモワールに出ておるわけであります。これで原子力委員会としては、くどいようでありますが、アメリカ側がここに保証してくれたようなことが実行できるならば、国民生活の安全には支障がないという判定をいたしたわけでございます。安全専門審査会の関係におきましては、これは日本が平和利用する場合においての原子炉の設置基準その他の基準等について調べてもらいたいという機関でございますから、この際としては、この問題については原子力委員会のでき得る限りの努力とその判定にまつので十分である、こういう関係から審査会等の意見を聞くということはいたしませんでしたというのが、今日までの経過でございます。
  243. 大出俊

    ○大出委員 そこで問題は、だから問題になるのですけれども、二十九日の原子科学者の集まり、これは御存じだと思いますけれども原子力潜水艦寄港に反対する原子力科学者署名連絡事務局、ここで発表いたしておりますね。この内容からいきまして、この原子力三原則にうたわれている自主性を完全に放棄して、国民に対して負うべき責任を果たしていない。こういう言い方をここではしているわけですね。この事務局は、御存じのように、千七百人からの原子科学者が入っているわけです。ここで一番自主性ということを言っているのは、安全審査の専門委員会が手がけようにも手がけようがない。相手の資料にたよらざるを得ない。したがって、自主性の発揮のしょうがない。こういう筋合いになっている。原子力委員会が支障はないという形の、しかも相手の交換文書によるものにしか根拠が置けないという形でなぜそういう結論を出したのか、出せる筋合いではないではないか、こういう言い方が出てくるわけですね。したがって、これはもとに戻りますけれども——私はここでいまの安全性の問題をやめるわけじゃありません、あと続けますけれども、四時までという時間の関係もありますから、外務大臣防衛庁長官にはっきり承っておきたいのですけれども、いま申し上げたのは、単にこの事務局の発表だけではなくて、七人委員会、一名前田多聞さんが欠けておられますけれども、七人委員会の発表等もある、口頭でしょうけれども。つまりこれは何でこういうことになるかというと、政府は、今回の問題のよしあしは別といたしましても、ここまで事を運ぶに至った経過の中に、きわめてどうもすっきりしないものがあり過ぎる。ここに問題の焦点が置かれているわけです。そごにたくさんの疑惑が出てくる。つまりもっと論議をしなければ、科学的な見地から見て日本人に対してたいへんな危険がある。万一やったらたいへんなことになる、こういうふうに考えているたくさんの専門的な方々がいる。ところが、この方々意見を聞こうともされない。つまり昨年の六月四日ですか、五日ですかに発表された政府の中間報告があり、八月十二日に同様の資料に基づいて、日本学術会議の特別委員会が出された原子力潜水艦寄港に関する安全性の確認についての検討という書類がございますけれども、それを読んでみましても、大きな食い違いがある。その食い違いを氷解するに足るものが何もない。突き詰めていえば、今回出された資料も、前回出された資料と大差がない。つまり科学的にものを見ていく立場からすれば大差がない。そうなってくると、争いがなお残る。これを事前に明らかにしたわけでもないのに、突然にこの二十八日に閣議決定で口上書という形のものを持っていった、ここのところにどう考えても理解できない、納得できない何かがある。これがつまりいま一般にいわれる大きな疑惑になっている中心点だと私は思う。だから、極東戦略とからんでいるのではないかという意見も当然出てくるし、最近国内において、しきりにどうもアメリカ側があせりを持っているのじゃないかと思われるような、米軍との共同使用という問題であるとか、たくさん出てきている。こういうところとの関連で、外務大臣あるいは防衛庁長官が同じことを簡単に繰り返されて言われても、それだけでは理解できない。なぜ一体原子力委員会の立場でも、そのことを政府に出すと同時に、世の中に公表をして、科学者の意見も聞いて、その上の論争もいたすべきものはいたして、服すべきものは服して、その上でというふうに事を運ばなかったのかというところに、閣僚である愛知さんが委員長をやっておられるという立場もあるいはあったのかもしれぬけれども、その辺のところが、私は科学性を持ち、かつ三原則を踏まえておられる原子力委員会の立場としては、あるべきことをあるべきようにやらなかったという気が実はするのですが、この点はどうですか。
  244. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 そういう御意見が出ることは、私もごもっともな節があると思います。しかし、私としてはるる申し上げましたように、学術会議の御意見にいたしましても、それから先ほど御指摘がありましたが、たとえば具体的に言うと失礼かもしれませんが、檜山教授の御意見などにいたしましても、これは原子力委員会といたしましは、ずぶいん長い期間がございましたから、十分に検討したつもりなんであります。そしてそれらの御懸念その他に対しては、これは御批評はいろいろございましょうが、前回の中間発表というものは、外務省がいろいろの情報を取りまとめて発表されたものであって、これには両国間の意思というものはまだなかったわけです。そこで内容的にも、たとえば乗り組み員の訓練についても、運航の安全上の予防措置につきましても、それからいわゆる安全基準につきましても、それから廃棄物の国際基準あるいは日本の基準と合致させるというような点につきましても、なし得る限り従来の心配の線がないようにという保証を取りつけたつもりであります。それでありますから、原子力委員会としては、こういったような保証が十分実行されるならば安全に支障がない、こういう判定を下したわけでありまして、何しろ昨年の一月か二月ごろから始めた仕事でありまして、そしてこれは外務省なり在外公館にもおそらく非常な迷惑と努力をかけただろうと思いますが、その努力を積み重ねてまいりまして、それで先月の二十四日か五日だったかと思いますが、定例の原子力委員会で、もうこういう判定をして差しつかえない、こういうきわめて自然な努力の集積が先月の下旬に終わったわけであります。そしてさっき申し上げましたような経過がございますから、政府からも何も正式に原子力委員会意見文書で求められたことも実はないわけでございますが、できるだけの努力を払い、そしてその結果を委員長である私から政府に口頭で報告をしたということで、もう包み隠すところ何もない、きわめて自然の進行に従って処理をいたしたわけであります。その処理のやり方等について、もっと各般の意見を聞いたらよかったのではないかというような御批判はあり得ると私は思いますけれども、十分にそういう意見も取り入れて、かつそういうような御心配もでき得る限りは解いたつもりでございます。
  245. 大出俊

    ○大出委員 そこのところが一番根本的な問題です。つまり原子力委員会との関係ということになるわけで、そこが問題なんですが、そこで私はこういう結論を持っておるわけです。つまり何ら政府関係がない平和利用に限られている原子力委員会、それが政府に唯一の根拠を与えているわけです。つまり外務省の発表からいけば、早い話が原子力委員会検討を長い間続けた結果として安全を保証した。原子力委員会は何も保証したと言っているわけではないのだが、一と二と分けて原子力委員会は出しておられて、前記一のところから始まって保証に続いているのだけれども、平たく言ってしまえば原子力委員会が出された結論が、今回寄港承認をした唯一の根拠と言っていいようになっているわけです。これは事前協議が要らない問題である云々というようなアメリカ側の言い方は別として、そうなると、これを逆に言えば、原子力委員会が寄港承認を認めさせてしまったと言ってもいいほどの責任があると私は思うのです。  そこで、アメリカの原子力委員会と安全審査委員会との関係が先例としてありますけれども、アメリカの原子力委員会あるいは原子炉安全専門委員会等の結論も、最後まで安全だとは言っていないわけです。最終的にこの原子力委員会なりあるいは安全専門委員会なりが出した結論をアメリカ海軍が無視して、軍事目的を優先させて実行してしまったというわけです。このいきさつからすれば、それに反対を唱えておるわけでありますから、日本の原子力委員会というものは、ずいぶんおかしなことになっておる。そのことを立証したいと思いますが、例のジョージ・ワシントン号の上でやられた「海軍原子力プログラムとポラリス・ミサイル系」という例の三十九ページの聴聞記録というものがあります。この記録の内容を学者も引用しておりますし、現物も、秘密の分もありますが、発表されておる分があります。これによってまいりますと、このリコーバー中将の例の報告記録等が、ございまして、その中で明らかになっておるのは、例のシーウルフがつくられたときに、この原子炉を安全審査専門委員会が審査をするという段階で、ナトリウムで冷却されるというところから、ノーテラス号と比較すると比較にならないほど危険度が高い、こういうことから放射性能が強いということで、安全審査委員会としては、同艦が人口密度の高い港に入ることを承認しないという結論を出しておる。これに対してアメリカの軍のほうは、この原子炉安全審査会の結論について、みずから軍がやる行動を安全審査委員会には全く知らせないで、それで例のシーウルフ号を人口密度の高い港に入港させることを別途決定してしまったといういきさつが、この記録の中に出ておる。そういうことになってまいりますと、このリコーバー中将ほどの人、つまり退役を二回も延長してもらうという政府の要請があって専門的にやってきたたいへんな方が、みずからこの証言をしておるということになると、少なくとも原子炉安全専門審査会、それに責任者の愛知さんは、取り扱いの違いから言ってそれができなかった、こういう立場にあるにしても、つまり平和利用を限度とする委員会なんだから、だとすると、人口稠密な港に入ってくる原子力潜水艦については、安全性の保証、それも自主的に出せる保証ならばよいと思います。しかし、相手方の言うことを前記一ということで取り上げて、それが守られなければ保証にならないという形における支障はないという言い方は、私は筋が通らないと思います。あなたのほうの原子力委員会がどうしても不賛成だ、特に日本という国柄から言って、アメリカとは違うから、国柄から言って国民感情があるから、そうだとすれば原子力委員会としてはどうしても不賛成だという結論が出てしかるべきだと思います。その上で、政府なら政府が逆に別の目的を持って寄港を認めてしまった、こういうことになった場合に、関連させて言えばアメリカと同じ結果になると思いますが、にもかかわらず、日本の原子力委員会は、一体なぜ政府に唯一の寄港承認の根拠を与えるようなことを——しかも自主性が持てないで、調査結果から見て、三原則の一つは明らかに侵され、平和利用と関係がない、この形の委員会が、政府に頼まれもしないのに、しかも今日のこの時点で自然にとおっしゃるけれども、結論というものは人の意思だから、自然に出るはずがない。そうなると、何かがなければならない。さっきあなたはおとなしく言われたので、ちょっとこういうことは言いにくいが、しかし、私は、どうしてもあなたが言われることは真意ではない、こう理解せざるを得ないので、このポイントについて、なぜ政府から要請もされないものを、しかもしょうがないという形で政府に出されたか、ここのところを答えていただきたい。
  246. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 そこのところは、こういうふうに御理解願いたいのです。頼まれもせずにということはないのでありまして、非常な期待政府側からも寄せられ、国民からも寄せられていると、あえて自負をしているわけであります。それから自主的という問題は、あくまで判断は自主的にやりました。判断は自主的にあくまでもやりました。その客観的な資料のとり方その他については制約がありましたことは、もう繰り返し申し上げておりますけれども、その制約の中でなし得る限りの勉強をして、そうして判断はあくまでも自主的にやった、これが私どもの態度であります。それからあと、ルーズベルト号のことにもお触れになりましたが、これはよく御承知のとおりと思いますが、私どもの理解しておりますところでは、ルーズベルト号が一九六一年の四月でございますか、港に帰るときに、イオン交換樹脂を潜水中でなく、浮上中に投棄して、そのために幾つかの樹脂の粒がデッキに付着した、こういう事実があったようでありますが、これは除染作業をやりまして、いわゆるふき取りだけでこの害を防ぐことができた、こういうふうに承知いたしております。  それから大都会の問題については、これは別におことばを返すようなつもりは毛頭ありませんけれども、御承知のように、もう原子力潜水艦は、ニューヨークその他の大都会直接の港にもしばしば寄港しておるようであります。何ら問題を起こしておりません。これは客観的事実であります。
  247. 大出俊

    ○大出委員 それは自主的にということばとか、私はそのことばにとらわれて言っているわけじゃないんだが、つまりアメリカでさえ原子力委員会というものは、最後まで科学的な立証をしながら、しかも人口棚密なところに入ることは、一方軍事目的が日本の場合よりもはっきりしておっても、なおかつ入れるべきではないという結論を出している。これは事実ですよ。四年ばかりたちましたけれども、たったからといって、やはり科学的事実がくつがえるはずはない。入れなければ入れないにこしたことはないということなんですね。にもかかわらず、入れなければならぬという軍事目的が優先をして、原子力委員会にはノータッチの形で入れてしまったという記録がある。ところが、日本の場合には事情が違う。その違う事情の中で、たとえば政府があるいは早く結論を出せ出せといわれるかもしれぬけれども——いま要請が再三あったというんだから、そうでしょう。しかし、それにしにも、原子力委員会がよしんば政府の要請にこたえて何か出すにしても、少なくとも世の中の科学者が、あるいはしろうとであっても、われわれごときしろうとが、前回以来一年八カ月もめていた問題なんだから、いろいろ首を突っ込んでものを調べたり読んだりするようになっているいまの社会事情でしょう。そうなると、それなりにしろうと考えでも記録をたどってわかるところはわかるわけなんだから、それを明らかにしてしかるべきなんだし、その結果を待ったっておそくはないんだし、今日起こるであろう大騒ぎを百も二百も承知の上で、しかも問答無用的に政府は進められておられるんだけれども、原子力委員会までが、なぜそういうふうに世の中に明らかにせぬ前に、いろいろ自主的にといわれるかもしらぬけれども、結論を出して政府に出してしまったか。それが根拠になって政府は承認をしてしまったというところに持っていかざるを得なかったかというところの真意が聞きたいわけです。
  248. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 別に隠している真意があるわけでございませんから、真意はいままで申し上げたところで御了解願いたいと思うのですが、しかし同時に、私は政府の一員でもございますから、原子力委員会としては全会一致でこういう見解を出しておりますし、最も権威のある学者の方もおられますから、場合によりましたら、そういったような原子力委員会の他の委員からもその心境をお聞きただし願えれば幸いだと思います。同時に、これはよけいな蛇足かもしれませんけれども、原子力の利用というものが、日本では軍事というような一ほんとうの世界じゅうで唯一の被爆国であるような関係から、軍事ということからのみとらえられている傾向が私はあると思いますが、すでに平和利用ということについては、発電などについても、実際上の産業計画の上にも具体的に登場している際でございますから、原子力というものを常にこういう際にもできるだけ解明して、国民的に啓蒙してまいりたい、そういう意欲を別に持っておりますことも、あわせて御理解願いたいと思います。
  249. 大出俊

    ○大出委員 そんな意欲があるんなら、サバンナ号の一件だってあるんだから、この間も私はあなたに申し上げたんだけれども、なぜそれを前もって世の中にアピールをして、そういう広い理解を求めた上で、混乱を起こさないように配慮をされて、しかも閣僚なんですから、国民に責任を負うんだから、そうだとすれば、なぜそれをやらなかったかという責任が私は残ると思う。だから、私はどうしても納得しないのは、二十八日の日にあなたにお目にかかって、私はだいぶこまかいことを申し上げましたが、最終的に何とあなたが言ったかというと、あなたはそう言われるけれども、安保条約があるのですからしかたがないのです、つまり見解の相違になりますという話をあなたがされた。これは一人や二人ではない。社会党同僚議員十二名そろっている席上で、最終的にあなたがそう言われた。いまこの席でそれを口にされない。だいぶ用心されておるようだけれども、安保条約があるのだからしかたがない、見解の相違ですと、あなたはこの間言われる。そうなると、ものごとはそこから出発しているとわれわれは考えざるを得ない。つまり、安保条約に基づく国の共同防衛だ、こういうものの見方、考え方が、他の軍艦と同じということになり、今日に及んでいるわけですから、そうなると、そこに論拠を置いてものを考えられる原子力委員会、そういう結果になっていると私は断ぜざるを得ない、あなた自身がそう言っているんだから、そうなると、そこから出発すると、アメリカ流に軍事目的が優先するということになる。原子力委員会のあり方が、いま委員長であるあなたのように、安保条約があるからしかたがないので、あなたたちとは意見が違うのだということになれば、どうもそこが一番の根本になっているところに、事前に親切に資料をそろえて、これこれ変わったなら変わったということを世の中にアピールしてこなかった理由があるように私は思うのです。この間言ったことをまさかひるがえしはしないだろうと思うのですが、そこのところはどうですか。ほんとうのところをずばりと言ってくれませんか。
  250. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 私は、安保条約があるからしかたがないなどということは申しません。それはあなたの聞き違いです。結局安保というもののとらえ方について考え方がお互いに違うのですということは言いましたが、安保条約があるからしかたがない、それから出発してこういう結論を出したなどというようなことは、全くそれは人をしいるものであります。ものの考え方が結局違うという意味を申し上げたことはありますけれども、それ以上、安保条約云々ということは誤解でございます。
  251. 大出俊

    ○大出委員 ここで水かけ論をしようという気はありませんが、安保条約に対するとらえ方が違うということになれば、それは私の言い方が、ことばが端的だからかもしれないけれども、とらえ方が違うということは初めからわかっているので、あなたのほうは安保条約を賛成された立場なんだ。そうでしょう。それに従って今日こういうふうに進めてきているのです。そうでしょう。そうなると、とらえ方が違うということは、つまり、あなた方の解釈は、安保条約があるからということになるのではないですか。そういう結果になっているのではないですか。私の言い方が悪ければ変えてもいいが、出発点はそこにある。つまり安保条約があって、共同して守る、こういうところに目的がある。しかも他の軍艦と同じように、やはり防衛という見地から入ってくることを認めるのが当然だ、こういう意味のことが外務省の文章にも書いてあるけれども、どうもそこのところに根本が置かれている形で、今回原子力委員会が表に出さないで、政府に出してきめてしまって、それから資料を出した、こういうことになっているのではないかということを、現実がそうなんだから、私ははっきり指摘しておきたいと思ってものを言っているのです。
  252. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 それはある程度は水かけ論になると思いますが、結局保証を与えてくれる、その保証がそのまま実行されるならばというところの理解のしかたの問題だと思うのです。これはどうも信用ができない、保証が実行されなかった場合はどうなるのか、また保証の出し方が違うじゃないか、その中でもごまかしがあるじゃないか、こう疑り出していけば、ものごとは切りがないと思うのです。私は、そこの相互理解と信頼に立ったもののとらえ方ということの私の人生観を申し上げたのでありまして、原子力委員会としてのやってきたことについては、あのときにも私の説明も足りなかったと思いますけれども、誠意を尽くしてやってきたということだけは、私は確信を持って申し上げることができます。
  253. 大出俊

    ○大出委員 とにかく科学的根拠のない形で一と二に分けてものを言われておるのですから、結論はそこにいってしまって、向こうの言うことを信ぜざるを得ない。そのとおりやってくれればしょうがないと思う、こういうことになると私は思うのです。  そこで、それにしても一つ聞いておきたいのですけれども、どうもわれわれの側になかなか出さない資料があるのではないか。原子力局長のほうになるかもしれませんが、たとえば例の一九五三年の国際放射線防護委員会の勧告があり、米国流に言えば便覧五十二になるのかもしれませんけれども、一九五八年の勧告があって、これはあとの記録ですが、聴聞会の記録にもありますけれども、明らかな事実があります。つまりこの軍事目的が優先するからということで、五三年の勧告の百倍という基準をとっていたわけですね。それを日本は五八年勧告の十分の一をとっていたという事実があるわけですね。それが今回変わって便覧五十二が六十九になったというのだけれども、それならば、それに関連をする、どう変わってどうなったかというものは、資料としてやはりつけてくれなければ、全くもってわれわれは事実問題として皆目見当がつかないでしょう。ところが、ここに出されている資料というのは、審議の場所でありながら、その種のことは前もって発表もされていないし、われわれの手元にもない。それで基準が変わったんだと言ったって、いつ変わってどうなったかということは、資料も何もないのに信用できないでしょう。それらの資料はどうなっておるのですか。
  254. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 御参考になるような資料でまだ出していないものがありますれば、もちろんこれは御審議のために資料として配付いたします。
  255. 大出俊

    ○大出委員 つまり御参考云々というけれども、こうこうこういうことになりましたという、アメリカがこう言っているんだというならば、たとえば便覧五十二にしろ、六十九にしろ、その間こう変わってこうなった、じゃいつ適用基準を変えたのかということ、しかもけさほどもちょっとありましたけれども、基準の百倍をとっているわけでしょう。かつて五三年勧告から見れば、おまけに指摘をされているわけでしょう。この記録にあります。だから、そうなってくると、千倍のどうのこうのということは、海水によってこうなったというのは全部記録にあるから、そういうことは科学者でなくてもわかるのです。だから、そうなれば、どう変わったかという資料はつけて出すのが当然であって、そうでなくて、基準が変わって、適合しておりますので大丈夫と思いますと言っても、適合しているかいないかも、実際からいってわからぬでしょう。これらの点は、専門家のほうからいってどうなんですか。
  256. 村田浩

    ○村田説明員 米国海軍の液体放射性排出物の投棄の手続につきましては、今度外務省のほうから出されましたアメリカ側のエードメモワールにもございますように、一九五九年一月に艦船局原子力推進部が作成した原子力軍艦の放射性廃棄物処理に関する報告が、現在公式かつ権威ある資料だ、こう言っております。その中で、従来中間報告段階でございましょうか、昨年の初めのころ言われましたのは、ただいまの艦船局原子力推進部がつくりました手続の中で基準に採用しておりましたのが、米国標準局のハンド・ブックの五十二号の数値である、こういうことであったわけです。五十二号の数値は、ただいまお話がございましたように、ICRPの一九五三年の勧告を反映したものでございます。すでに昨年の初めにおきましても、わが国はICRPの一九五八年の新しいほうの勧告を反映しました科学技術庁の告示を昭和三十五年に行なっております。そこで、その間の食い違いが問題になったことは事実でございますが、今度のエードメモワールにもございますように、艦船局原子力推進部がつくりました手続そのものは、現在でもそのとおり生きておる。ただこれもステートメントにございますように、この中で、標準局の五十二号によったものは六十九号に改定されたということが、はっきり言明されておるわけでございます。標準局のハンドブックの五十二号及び六十九号といいますのは、これは公式に発表されておる資料でございまして、だれでもが入手できるものでございますので、特にここにつけ加えて出さなかったわけでございますが、その点は必要とございましたら、いつでもこれを提出いたします。
  257. 大出俊

    ○大出委員 それから先ほどの話の海洋投棄の問題なんですが、この間大臣と直接お話をいろいろやりとりをしたときに、向こうがやるのだからというような意味のことを言われている。だから、著名な、ポピュラーな漁区なら捨てないでしょう、こういうお話があったのですが、そのあたりが、けさほどの答弁と少し行き違いがあるように思っているのです。その辺のところは、向こうと話し合ってどういうことに結果的になっているのですか。やはり向こう側がやるのですか。
  258. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 廃棄につきましては、要するに十二マイル以内ではやらない。それから十二マイル以上のところでも既知の漁区内ではやらない。それから投棄をする場合には、三マイル以内に航行する船がある場合においてはやらない。これが艦船局訓令の規定しているところでございまして、そのとおりに実行されるものと理解しておるわけです。
  259. 大出俊

    ○大出委員 約束の四時ということですから終わりたいと思いますけれども、この二十八日の一件のあとの、先ほど多少石橋さんからもありましたけれども、各新聞の世論その他論説を片っ端からながめてみましても、どうも安心で大丈夫——原子力委員長から出された、まあ支障がないというのは全くもってどうもしょうがないので、たいへんけっこうだというふうなのは、ただの一つもない。どこの新聞論調を見ましても、いずれも疑心暗鬼に満ち満ちているわけですね。中には、池田総理の寛容と忍耐が、今回は勇断だと言った。これが勇断なら、えらいことだというので、国会もないこういう時期にやるのは、むしろひきょう千万だということを社説に書いている新聞まで出てきているわけです。しかも先ほど来私は、何べんか原子力委員長愛知さんにも聞いているのだけれども、米国に外交文書を取りかわして、こうこういうものが入ってきたというならば、なぜそれを世の中に明らかにしないのか、こういうことを何べんか承ろうと思っているのだけれども、何となく自然にそうなっちゃって発表しなかった、こういうことのように受け取れる。そうなってくると、これはわれわれの側にすれば、どうもあまりすなおではないので、ますますもって疑心暗鬼がつのる。そうなってくると、極東全体の戦略体制なり、ベトナムの今日の状態というものを考えまして、やたらどうも横浜あたりとか各基地に、次から次に自衛隊に肩がわりさせようとする、しかも共同使用という形をとろうとする、そうなってくると、さあ接収解除になるかと思えば、そこにまた自衛隊を入れるのだという。アメリカでは、下院でとんでもない発表をやっている。そうなってくると、とてもじゃないが、疑心暗鬼というものはますますおさまるものではないし、さらに日米協議委員会なんかも、旧来は議題を発表したこともないのだけれども、議題が発表されている。そうなると、しかもその中に、自衛隊の増強云々、防衛二法というのは継続審議になっている。二十七万近くなる自衛隊の兵員も、次の国会を待たなければ、これはふえるかふえないかわからぬ数字だけれども、安保協議委員会のほうでは、自衛隊の増員がしきりに論議されたと書いてある。そうなってくると、単に何とも関連がないと言われても、どうも自衛隊と、原子力潜水艦が今回入ってくるという事実は、そこら辺との関連が背景になければならぬ。それがまた、ないという答弁をされることになると、先ほど来言っている、共同防衛の責任があるという日本政府の立場からするならば、むしろそのことが、逆に言えば、政治ではない、つまり、それと関連がないのだということをあくまでも言い張るとすれば、本来そんな、関連があるから入れるのだということにならなければならぬ主張なんですよ、皆さんの主張は。安保条約があるのですという主張は。そこのところからいって、やはり私は、この種のことは明らかにすべきものはして、論議を尽くしていかなければならぬ性質のものであり、それをきわめて抜き打ち的にやったところに、今回この種の問題が起こってきている。だから、これから先、これがどのようなことになっていくか予測はできませんけれども、しかし、そういう承認を与えたにしても、これは検討すべきものは検討して、さらに世の中の科学者の意見も聞いて、安全ではない意見というものがたくさん出てくるとするならば、これはあとから外交手続に従って、一応そういうことにはしたんだが、まだ調査の予定もここに組まれているんだけれども、それらの段階もあるわけですから、あらためてものを言い直すということ、だってできなくはない。だから、そういう意味でできる限り世の中に資料の発表その他は広くして、その上でひとつ政府のほうとしても——われわれはこれはあくまでも反対をして阻止したいというように考えて進みますけれども、あなた方のほうも、安保の二の舞いのようなことにしたら世の中が困るんで、オリンピックの時期も来るんだから、そういうことで慎重に進めていただきたいと思います。終わります。
  260. 伊能繁次郎

    伊能委員長代理 この際、基地問題について質疑を許します。秋山徳雄君。
  261. 秋山徳雄

    秋山委員 ただいままで原子力潜水艦の問題あるいは某地の問題で質疑がかわされたわけでございますが、私も一部基地の問題の労務者関係について質疑を重ねたいと思いますので、お許しをお願いしたいと思います。  防衛施設庁のほうにお尋ねするわけですが、いま横須賀の海軍ベース、その中にSRFといって艦船修理部というものがあるわけですが、そこに働いている方々が、命休といって、軍の命令によってかなり長い期間しかたなしに休まされておるということが続けられておるわけであります。それもかなりの数にのぼっていると存じますが、それらについての事情をつぶさにお知らせをいただきたいと思います。
  262. 藤本幹

    ○藤本説明員 ただいま御指摘の横須賀の海軍基地における艦船修理部の従業員の休業の状況でございますが、御承知と思いますが、艦船修理部には、本年の一月から五月までの間には約二千七百名の在籍者がおりまして、六月以降二千四百名の在籍者がおります。この在籍者に対しまして、私のほうで調べました結果は、平均いたしまして一日四十名ないし八十名の休業者が、お説のとおり命令によって出ているわけでございます。特に八月に入りまして、八月二十五日までの調べによりますと、八月は特にこれが多くなりまして、約百八十名というものが休業を命ぜられているという状態でございます。それにつきまして、われわれといたしましても、こういうふうな状態は、従業員の就業丘の不安がございますし、また収入を減らすという面がありますので、好ましい状態でございません。これにつきまして軍側のほうにも申し入れをいたしまして、作業計画の合理化、あるいは人員配置の適正化というようなことにつきまして、さらに積極的な検討をしてもらい、これを改善するように申し入れております。軍側におきましても、この点を了解いたしまして、十分考慮するということでございます。
  263. 秋山徳雄

    秋山委員 八月は百八十名ということですが、これは一日百八十名ですか。
  264. 藤本幹

    ○藤本説明員 さようでございます。
  265. 秋山徳雄

    秋山委員 私どもがいままで調査してみたところによりますと、十二月から六月までの間に八千七十八名の命休者を出しているわけであります。それに七月、八月を加えますと、おそらく延べ人員にいたしまして一万四、五千名くらいになっているんじゃないかという心持ちがいたします。  なおまた、これで判明しないところがありますが、これはどういうことかといいますと、命休と、もう一つは年次有給休暇というものがあるわけでございます。何か命休と年次有給休暇との区別がはっきりいたさないような点があるわけでございましょうけれども、それらを基本にして考えたときに、純然たる命休は、数字の面ではっきりとあらわれていると思います。それに関連してということになるかもわかりませんが、命休にあらざる年次休暇、これらを合わせますと、一体どのくらいになりますか、これも数字的にお知らせをいただきたいと思います。
  266. 藤本幹

    ○藤本説明員 ただいまの御質問の年次休暇の点につきましては、ただいま数字を持っておりませんが、命休につきましては、月別の数字を申し上げたいと思います。  本年の一月は命休ございません。二月から申し上げますが、二月分の命休の延べ人員は、千九百二十三名でございます。それから三月分の命休が二千七百八十七名、四月分が、これは非常に減っておりますが百八十一名、五月分が千二百四十二名、六月分が二千三百八十二名、七月分が二千七百七名、八月分は三千五百九十七名という数字になっております。
  267. 秋山徳雄

    秋山委員 いまこれを積算してみるいとまがありませんので、あとで集計しなければなりませんけれども、個々の面で考えますと、かなり減収になっておる方があるわけでございます。たとえば一人の人を標準にして考えますと、これは一月で金額にして一万六十一円、そういう命休に関する減収が出ているわけであります。この方々は、どのくらいの勤続年数かということになりますと、おそらく十五、六年の勤続者でございます。特に六月になりますと、一万一千百八十六円という減収になっておる。これでは少なくとも年齢的に考えましても、十五、六年の勤続者であって、手取りにしてみると月二万円そこそこということになってくるかもわかりません。御存じのように、命休だけを考えるとさしたる数字ではないという考え方の方もあるかもわかりません。さりながら、こういうふうに一人の人を標準にして考えましても、大きな減収になるわけでございます。特にまた考えなければならぬことは、命休者に対しては六〇%の支給が行なわれる。六〇%ということになれば、それだけではまだまだぴんとこない面がありますけれ、ども、今度は基準法に基づきまして計算いたしますと、前三カ月の平均給与というものが標準になってまいります。それの六〇%ということになりますと、いま申し上げましたように、月々一万円くらいずつ減収になってまいります。その平均の金額ということになってくると、非常に微々たるものになってくる。それの六〇%しかいただくことができないということになると、ゆゆしい死活問題になるのじゃないかと思いますが、こういう状態が続けられるということは、非常に市民の人たちとすると不安でなりません。しかも考え方をいろいろ聞いてみますと、何か今度の基地問題の解決として考えられることの一つに、国内の基地の従業員の数を減らし、あるいはまた米軍自体も減らしていくのだろうと思いますけれども、しかしながら、それに伴っての基地の開放ということが少しも考慮されない、こういうことではなかろうかと思うわけであります。これでは横須賀のような都市になりますと、非常に都市そのものが不安定になってまいります。これらに対して国からの何の援助も行なわれないのだということになりますと、これは一体どういうことに理解したらいいのか苦しんでまいります。そういうことを考えたときに、非常にふしぎでなりませんが、こういうことに対して、もっとそういうことが行なわれないようにするには、一体どうしたらよろしいのか。これもいろいろ考えてまいりますと、なるほど日本政府とアメリカの軍とのいろいろな取りかわし文書がありますが、それによれば、御存じのように、軍が使用しないときにはもちろん日本政府または国民が使用することができるということになっておりましょう。しかしながら、これもいま申し上げましたようなことを考えますと、非常に不安定でもございます。それについて、一体アメリカの軍の人たちは、もっと艦船修理がない場合においても何かの形で支給していかなければならない、こういうふうな心持ちで一ぱいであります。特に一般市民の立場から考えますと、ベースの中につとめている方々というものは、自分の心持ちに反していながらも、やはり国の生きていく道、そういうことを考えてみたり、あるいはまた外貨を獲得していくのだという誇りを持って働いてくださっている方々のみであります。そういう方々があるにもかかわらず、反面、何か軍の修理の面が少ないということになってまいりますと、いま申し上げましたような数字になってくる。これでは市民はたまらないと思うわけです。これに対して、たとえ仕事がないといたしましても、いつかは使用するために保有している技術者でありますから、これはもっと優遇して  いくべきが妥当ではないか、こういう心持ちもしてまいるわけでありますけれども、これらに対して、おたくのほうで、軍への要望あるいは軍の回答、そうしたものが何回か行なわれているものと思いまするけれども、これらに対してはどの辺までお話が進んで、軍のほうでの考え方があらわしていただいておりますか、これらについてもお答えをいただきたいと思うわけであります。
  268. 藤本幹

    ○藤本説明員 ただいまの御質問の中で、労務管理の面につきましての関係を申されたと思いますが、先ほど申し上げましたように、現在の命休の状態がかなり長期にわたっておりますし、好ましい状態ではないわけでございます。その点につきまして、対軍折衝をしているわけであります。現在までの段階で、対軍折衝の中から、軍において労務管理の面でかくかくに改善したいという具体的な回答は、遺憾ながらまだ受けておりません。向こうの考え方といたしまして、先ほどもちょっと触れましたように、今後職場間の業務の繁閑を調整いたしまして、人事配置を適正に行なって、できるだけこういうことのないようにしていきたいというふうに回答を得ております。これらの点につきまして、われわれといたしましても、さらに具体的に話し合いを詰めまして、実際にそういう改善が行なわれるようにしていきたい、こう考えております。
  269. 秋山徳雄

    秋山委員 何か話がばく然としていてわかりにくい面がありますが、一体この命休のおもなる原因と申しましょうか、これはどこにあるのでしょうか、これをお示しください。
  270. 藤本幹

    ○藤本説明員 御承知のとおり、艦船修理部の作業は、アメリカの艦船を主体といたしまして、これらの修理を行なっております特殊の作業でございます。その関係から、艦船が数多く出港するという場合におきましては、勢いその間に業務量の減少が出てまいりますので、就業の機会を失するという場合が出てまいります。その反面におきまして、入港するという場合におきまして、場合によりましては緊急の作業等もございまして、非常に多忙をきわめるという実態が過去にございました。そういったような面から、ただいまも御指摘の原因という点から申し上げますと、こういう艦隊関係の修理をやっているという関係から出てくるやむを得ない面も実はあるわけでございます。これらの点につきましても、私が先ほど、抽象的な言い方で恐縮でございますが、そういう実態を克服して作業の配置を合理化させるように考えてほしいということを申しておりますので、これについて検討するという約束をいま軍のほうでもいたしておる次第でございます。
  271. 秋山徳雄

    秋山委員 いまの御答弁によりますと、艦船修理のみにたよっておるのだというお話でございますが、それはお間違いじゃございませんか。
  272. 藤本幹

    ○藤本説明員 私の申し上げましたのは、艦隊と申しますか、米軍の艦船の修理を主体にしております。はっきり申し上げますと、第七艦隊でございますが、この艦隊の艦船の修理、それ以外に、在日米軍の陸軍なりあるいは空軍等の舟艇その他もございます。そういったものも修理をやっておるようでございます。また、施設の中の他の作業についてもやっておるというふうに承知しております。
  273. 秋山徳雄

    秋山委員 私は先ほどからこの委員会でいろいろ政府皆さん方の御答弁を伺っておるわけですけれども、何か質問に対して明快な、はっきりした答えが得られないわけですね。それが私は不満でならないわけですけれども、いまの御答弁の中にもありますように、軍艦の修繕というものが主体なんだということですけれども、私が聞いておる範囲では、そうではないようなふうに聞いておるわけです。ここに「錨」というものが出ておりますが、これはときどき海軍ベースの中で発行されるものでございますけれども、この中の一部にもこういうことが言われております。この中の一部の「やりくり」という欄に「SRFの年間売上げ高は、約三十四億円です。休みを差引くと、年間二百五十二日の就労で、一日当りにすればざっと千三百五十万円になるわけです。最大のお客さんは、勿論、第七艦隊ですが、売上げ高からいうと、僅か全体の三割八分にしか過ぎません。」こういうことをはっきり言っております。そうすると、大部分とか大半とかいうことばをお使いになります場合には、おそらく五〇%内外、あるいはそれ以上のものがあった場合にのみ使われることばではないかと思いますけれども、あなたの御答弁によりますと、そうではない。この書いておる人も、河井さんという方で、SRFでもかなりな地位におる人であります。この方がこういう文章の中にうたっておるところを見ると、まさか誤りではないということが確認されるわけです。また、私どもが聞いた範囲におきますと、先般私が地方行政の中でも質疑を行なったことがありますけれども、この中にもありますように、国内の造船会社、造船工場、そうしたところの、いわゆる俗にいうところの下請をやっておる。こういうことになってくると思うわけです。そういうことになりますと、いろいろ問題が提起されるのではないかと思います。先ほど申し上げましたように、一般の市民から言えば、外貨獲得であって、いわゆるアメリカの仕事をして、それだけのお金をもらうのだ、こういうふうに理解をしておるはずでありますけれども、実際におきましては、三八%しか第七艦隊の仕事はやらないのだ、あとは民間の仕事をやっておるのだということになってくると思う。そういうことになると、あなたのいまの御答弁とはかなりかけ離れておると思いますが、それらについてもっとこまかく明快にお答えをいただきない、かように思います。
  274. 鈴木善幸

    鈴木説明員 ただいまのお尋ねの数字等についてお答え申し上げたいと思います。  この艦船修理部におきまして処理をいたしておりますものは、独立採算制でやっております関係で収支が明らかなわけでございますが、私どもが現地・から得ました報告によれば、艦船修理の比率は、第七艦隊がおおむね全体の仕事による収入額の七〇%だと報告を受けております。そのほか、沿岸警備だとか、陸軍、空軍等の仕事をやっておることは、先ほど労務部長から申し上げたとおりでございますが、日本側の民間会社の中で、三菱造船でありますとか、日本鋼管、石川島播磨重工等の委託の修理によります艦船修理部の収入は、大体昭和三十八年度におきまして五千六百万円ということでございまして、同期間中における艦船修理部の全収入が九百万ドルといわれております、三十二億に対しましてわずか五千六百万円というわずかな数字を示しているにすぎないのでございます。
  275. 秋山徳雄

    秋山委員 ここで押し問答をするわけじゃないのですけれども、なるほどこの前私が地方行政の中で質問したときにも、そういう数字を聞きました。約六千万円のお金というものは労務費であって、そのほかに土地あるいはまた国有の機械類の使用料が大体五、六百万円ということは聞きましたけれども、そういう数字を聞きますと、なるほど少ないことになってくるわけです。しかしながら、ここにもはっきり書いてあるとおり、わずか三割八分にしかすぎないのだということです。これをもっと読んでみますと、いろいろなことが書いてあります。どっちを信用したらいいのかということになりますけれども、どだい基本的に考えて、日本の領土を無償でお貸しして使ってもらっているわけです。そして機械器具もそのまま残っておる。これを艦船修理部というものがどういう機構か私はつぶさにわかりませんけれども、いずれにしても第七艦隊の仕事を請け負い、あるいはまた同時に外国船舶も請け負い、あるいはまた国内の各造船所の仕事を請け負っておるということになりますと、これは明らかに一つの企業体といわないわけには参りません。これは国内的に考えますと、一つの企業であれば、会社でありましょうとも、あるいはまた個人でありましょうとも、どんな組織でありましょうとも、やはり一つの業を営んでおれば、それ相当の税金も払わなければいけないということになってくるわけですけれども、それが軍の名をもってやっておればこそ、そうした面から考えますと、税金も払わないということじゃないかとも思うわけであります。私、基本的に考えても、これは非常にふしぎな存在であるといわざるを得ないわけであります。条約をきめていくときにおいても、これは疑問が起こってこなければならないはずであります。にもかかわらず、今日までその問題が少しも取り上げられない、こういうことについてすら、私はふしぎな考えを持っております。それはそれといたしましても、いま申し上げましたように、ここに勤務している人たちが、命休という名のもとに減収に減収を続けている、そういうことでは、私は許すことができないと思います。また、これを過去に振り返って考えてみましても、過去十数年の間において、いままでのような長期にわたって、しかも多くの命休がこんなにたくさん行なわれるということは、いままでかつてないわけです。私は、労働基準法の問題から考えましても、これは疑問の一つじゃないかという考えをいたします。したがって、もっとこまかい面で考えていただいて、命休の原因が一体どこにあるのか、これを聞かしていただかなければならないんじゃないかと私は思う。そのために、その命休の原因が一体どこにあるのか、しかもこうした大規模な命休が一体いつまで続けられるのか、いつごろになったら解消できるのか、こういうことをまずもっとわかりよく、つぶさに教えていただきたい、かように考えております。
  276. 藤本幹

    ○藤本説明員 ただいま先生の御指摘、われわれも十分わかります。先ほど申しましたように、現在の段階におきましては、命休の原因につきましていわば抽象的なお答えしかできないわけでございます。われわれといたしましても、この状態は好ましい状態であるとは決して考えておりません。軍も抽象的に改善する意思があるということを申しておりますので、この点につきまして、さらに今後引き続きまして具体的に検討して改善をしていきたい、こういうふうに考えます。
  277. 秋山徳雄

    秋山委員 答弁としては私はそれでは納得ができないと思うのです。私ども調べた範囲でいけば、十二月から八月までもう九カ月間続いているのです。直接関係のあるあなた方が、八カ月も九カ月も長い間その原因の究明もできないで連綿としておるということは、私はどうかと思うのです。それでは、あなた方は労務者のことをこれっぽっちも考えていないということになります。そういうことにしか理解できませんが、それしか御答弁できませんか。
  278. 藤本幹

    ○藤本説明員 命休の原因につきましては、私先ほど申し上げましたのは、艦船修理部の作業の特殊性から出てくるのが原因であるというふうに申し上げたわけでございます。それ以外に、さらに具体的に作業の内容等に入りまして検討いたしますと、あるいは従来計画された作業の一部等につきまして、そういう作業の計画を変更するというようなことから、今日の問題があるいはきておるのではないかということもございますし、われわれといたしましては、従来の一般的な理由と考えられる以外のものにつきましても、現在先生にお答えするあれがないわけでありますが、さらに詰めまして、これを解消していきたいと考えております。
  279. 秋山徳雄

    秋山委員 いま私が読み上げましたように、こういうものが、これはいつ出ておるのかというと、去年の十二月に出ておる文章です。それをあなた方が存じないで、いまの答弁を聞けば、第七艦隊の支出費用と申しますか、それが大体七〇%に相当するのだという御答弁なんですが、あまりにも食い違いし過ぎております。そうではありませんか。それでもってあなた方は労務管理というものがよくできますね。そうではございませんか。これも一カ月や二カ月のズレであるならばがまんもしましょう。しかし、十二月から今日まで九カ月もたっております。しかも私が地方行政委員会質疑を重ねたのは、二月の当初です。そうなってまいりますと、それから数えましても七カ月、そうでしょう。それでは労務管理の価値は毛頭ありません。一体あなた方は何をしておるのですか。
  280. 藤本幹

    ○藤本説明員 先生の御指摘のとおり、まことに遺憾なことでございます。私といたしましても、この点につきましては、特に今後の問題といたしまして、早急に改善をさせていくように、軍のほうとも協議をいたしたいと考えております。
  281. 秋山徳雄

    秋山委員 これはこれ以上あなた方に言ってもどうにもならないかもわかりませんけれども、だからといって、このまま放任しておくわけにもいかないわけであります。特に私ども考えなければいかぬことは、なるほどあれは協定の第二条4の(a)でしたか、なんかには、それが書いてあります。確かに軍が使用していないときには「日本国民に使用させることができる。ただし、この使用が、合衆国軍隊による当該施設及び区域の正規の使用の目的にとって有害でないことが合同委員会を通じて両政府間に合意された場合に限る。」ということが書いてあります。そうかと思うと、もう一つの項目としては、「軍隊の用に供する必要があるときは、無償で、その用に供する間、合衆国に対して当該財産の使用を許すことができる。」と書いてあります。なるほどこう書いてあるのだけれども、国民感情としても、いま申し上げましたように、日本の国の中の一画、そこに施設がある分までも無償で使っているアメリカ軍隊が、これも軍隊がやっているとは認めがたいのですよ。したがって、私は軍隊がやっているのではないという断定をする以外方法はないわけですけれども、さかのぼってお聞きしたいことは、それではSRFというものが一体どういう組織になっておるのですか、一応御回答いただきたいと思うわけです。
  282. 鈴木善幸

    鈴木説明員 SRFの組織は、在日米軍司令部の下にあります横須賀米海軍基地司令官のもとにあるわけでございまして、この横須賀米海軍基地司令官のもとに、米艦船補給部、米海軍艦艇修理部、米海軍艦隊管理部並びに米海軍病院があるわけでございます。こういうふうに基地司令部の管轄いたします四つの機関のうちの一つということでございます。
  283. 秋山徳雄

    秋山委員 そういう組織の中で、財源や給与の出どころ、こうしたものについての御答弁がありませんが、それらについてもお知らせをいただきたいと思います。
  284. 鈴木善幸

    鈴木説明員 SRFで行ないます艦船修理工事等の契約は、すべて基地司令官の名において契約をいたしておるわけでございまして、艦船修理部は、その基地司令官との間の契約に基づいて修理の現業を行なうという機関になっておるわけでございます。なおその業務内容は、先ほども申し上げましたように、独立採算制をとっておりまして、第七艦隊その他沿岸警備隊、陸軍、空軍その他の日本の民間会社の委託契約による船舶の修理等もするということでございまして、艦船修理部の運営に必要な労務経費は、駐留軍労務者に関する費用のみで構成されておるということであります。そのほか監督といいますか、企画等に当たります米軍将校等の給料は、別ワクで直接米軍予算からまかなうということでございます。
  285. 秋山徳雄

    秋山委員 概略のお話は承ったわけですけれども、いまここらに働いている労務者の人たちはどういう形で任用されているかということになると思いますけれども、この方々は、神奈川県の県庁の中にある俗にいう労管事務所の所長の名をもって、一週間四十時間で幾ら幾ら、いわゆる何号俸という決定がなされて使用されているわけです。それはそのとおりですね。——にもかかわらず、それが実行されていないわけですよ。いま申し上げましたように、命休が逐次行なわれるということですから、これは実行されてないということになりますね。そうすると、一体その責任はどなたがどういう形でとっていくのかということにも、理屈上なってくると思う。これらについて、一体どういうふうに私たちが理解したらよろしいのか、お知らせをいただきたいのであります。
  286. 藤本幹

    ○藤本説明員 労務者の賃金の決定につきましては、ただいま先生のおっしゃいましたように、労管事務所で所長名によりまして職種名と同時に決定をいたしております。したがいまして、賃金の支払いの責任者というものにつきましては、これは日本国政府を代理いたします労管の所長ということになるわけでございます。
  287. 秋山徳雄

    秋山委員 労管の所長が責任者であるということになると、約束どおり支払わなければならないという額の不足は、労管の所長が払うべきものですか。それともどなたが支払う義務があるのですか。
  288. 藤本幹

    ○藤本説明員 ただいま申し上げました賃金の決定等の問題は、一定の勤務時間に対しまして職種に応じて月に幾らというきめ方をしておるわけでございます。したがいまして、その月の間あるいは週の間におきまして休業なり何なりがございます場合におきましては、それに相当する手当によって手続的には処理されるわけでございます。
  289. 秋山徳雄

    秋山委員 いまおざなりの答弁をいただいたわけですけれども、先般いただきました資料の中には、そういうことは書いてないですね。あなた方の資料によりますと、こう書いてありますよ。「艦船修理部へ支払う工費の大部分は艦船修理部の日本人従業員の人件費であり、残りの一部分は維持運営に要する間接的材料費、修理費、日本人従業員の旅費等である。工費は職種別でなくすべての従業員に対し一時間当り本年一月迄は単価一ドル四〇セント(五〇四円)で計算されている」云々と書いてありますね。そういうことになると、いまの答弁とちょっと違うような気がしますが、その点はどうなりますか。
  290. 藤本幹

    ○藤本説明員 ただいま私が申し上げましたのは、賃金の支払いの手続について申し上げたわけでございますが、いま先生のおっしゃいました一時間当たり一ドル四十セントでございますか、この金額は、先ほどのお話の民間から工事を請け負った場合の一時間当たりの工費として受け取る金額だと思います。われわれの支払う金額と直接関係はないわけでございます。
  291. 秋山徳雄

    秋山委員 いまの答弁によりますと、民間業者から請け負った場合のことだということですね。そうなると、何かふに落ちない点は、いかにアメリカの人たちの企業だといっても、日本の国内の会社から下請をする約束になりますね。それにもかかわらず、ドルで契約しなければいけない。それで賃金もドル計算である、こういうことは、第一に不自然だと思うのですよ。そういうことから、私は何か割り切れないものがあるような心持ちがしてなりません。そういうことだと思うわけですが、特にまた命休関係に戻りますと、朝出勤していって初めて、あなたはきょうは命休だと言われる場合がある。これは日本人の通念としての考え方からいくと、何かぴったりしないわけですね。普通の場合には、出勤すればもう何分か給料を払う、これがいままでの仕組みのような気がしますが、そうでなくして、朝のこのこ出ていって、本人は出勤しているわけですよね。それにもかかわらず、命休だからといって帰らなければいけない、こういうことでは、全く不安定なんですね。しかも命休を出すのは、時間的に考えますと、早くても前日にならなければわからないということです。そんな雇用関係というのは、おそらく日本の国じゅう探してもないと思うのです。それを九カ月も平然としてあなた方がいたということ自体が、私は非常におかしいと思うのです。もしあなた方が、お前きょうは来なくてもいいのだ、それで月給を引きますと言われたら、どんな心持ちがしますか。家族に何と言って申しわけが立ちますか。こういったことも考えてほしいと思うのですがね。そういうことについてのお考えをもう一たびお尋ねいたします。
  292. 藤本幹

    ○藤本説明員 私からお答え申し上げます。  先ほども申し上げましたように、そういう管理の状況は、決して好ましい状況ではございません。今日までの状態につきましては、まことに遺憾でございます。今後の問題につきましては、先ほど申しましたように、われわれといたしましても積極的にこの問題につきまして軍側に申し入れをいたしております。軍側も、先ほどお答え申し上げましたように、この問題につきましても十分考慮したい、具体的に検討したい、こういうふうに申しております。必ずや改善されるものと思います。
  293. 秋山徳雄

    秋山委員 またもう一説によりますと、九月過ぎれば、いわゆる九月以降ば命休はほとんどなくなるだろうといううわさがあるわけです。これは内部の人から一部漏れているような心持ちですが、この真偽のほどをお伺いしたいと思います。同時にまた、今度命休がかりになくなったといたしますと、これはほとんど永久的になくなるものかどうか、これもあわせてお答えいただきたいと思います。
  294. 藤本幹

    ○藤本説明員 明確には承知いたしておりませんが、最近の交渉の中におきまして、軍側の見解といたしまして、近くこういう事態を解消するようにしたいというふうに言っておりますので、あるいは軍側の計画の中にそういうものがあろうかと思いますが、われわれといたしましては、具体的にまだ承知いたしておりません。なお、今後そういうものも期待していきたいと思います。また、今後そういう事態がきた場合、将来絶対に命休というものがないかということにつきましては、今後の労務管理なり、あるいは作業運営の具体的の問題になろうかと思いますが、この点、先生の御配慮等も考えまして、十分交渉していきたいと考えます。
  295. 秋山徳雄

    秋山委員 労働省の方、お見えになっておりますか。
  296. 伊能繁次郎

    伊能委員長代理 来ておりません。
  297. 秋山徳雄

    秋山委員 それでは施設庁の方でけっこうだと思いますが、こういう労務関係の状態が、日本の国内のよそのどこかにありましたならばお教えいただきたい。またもう一つは、労働基準法との関係からいってどういうことになりますか、あわせて見解をお知らせいただきたい。
  298. 藤本幹

    ○藤本説明員 専門でございませんので、国内の民間の他の企業におきましてこういう状態があるかどうかにつきましては、承知いたしておりません。  なお、基準法上の問題でございますが、これも、われわれの常識から申しましても、基準法制定の趣旨から申しましても、それでいいということではないと思います。休業手当の制度というものは、やはり事務的なものであるというふうに考えております。法律の解釈からいけば、必ずしも適当ではないと考えております。
  299. 秋山徳雄

    秋山委員 それでは大体時間もきたようですから簡単に申し上げますが、将来、これらの予算の確保の方法、こうしたことについて何かお考えがありましたならば、お知らせをいただきたい。
  300. 藤本幹

    ○藤本説明員 労務者の賃金その他につきましては、御承知のとおり、すべて米軍予算でまかなっております。われわれ自体の予算の考慮ということじゃなしに、米軍に対しまして、そういう問題も含めて配慮してもらうように考えております。
  301. 秋山徳雄

    秋山委員 そうしますと、今度作業量の問題になってまいりますが、作業量は増加する見通しが一体あるのかないのか。もしあるとするならば、どういう方法で作業量を増加させることができるか。これらもあわせてお答えいただきたい。
  302. 藤本幹

    ○藤本説明員 今後の作業量等の問題につきましても、現在私のほうで介入しておりませんので、この点につきましても、将来の見通しの問題といたしまして十分話し合いをしていきたいというふうに思っております。
  303. 秋山徳雄

    秋山委員 何を聞いても米軍の方針だということになりますけれども、いま申し上げましたように、実際にはそうじゃなくて、米軍自体の仕事というものは三八%しかありませんから、そうすると、何かここで新しいものの考えをしなければならぬかと思うわけですが、それについて、将来の企業体のあり方と申しましょうか、そうしたものについて何かお考えがありましたならば、お答えをいただきたいと思います。
  304. 小野裕

    小野説明員 非常に御心配をいただいております点は同感でございまして、当該区域の労務が円満に、しかも順調に処理をされますことを考えておるのでございますが、ただいまお尋ねがございましたように、将来の作業量の見通しというようなことにつきましては、何とも申されないのでございますが、その辺のところをよく突きとめまして、あるいは忌憚のない意見の交換によりまして、米軍の見通し等も聞くことによりまして、必要な方法、適当な方法があるならば、その方法に切りかえていくというようなことも考えなければならないかと思うのでございます。ただいまのところ、将来の作業量、あるいは今後の米軍の事業量と申しますか、必要量と申しますか、こうした点につきまして、明確なことは先方はなかなか申しません。いますぐにどうしたらいいじゃないか、こうしたらいいじゃないかという結論は出ないかと思うのでございます。つとめて先方と接触を濃くいたしまして、状況の把握につとめ、それに適切な対策をとっていくように努力したいと考えます。
  305. 秋山徳雄

    秋山委員 それではもう幾らここで問いただしてもお答えができないようですから、一応この程度でやめたいと思いますが、参考までに申し上げておきますと、命休を命ぜられる人たちの全部に近い人というものは、俗にいう労務者であって、事務職員ないしは役持ちの人たち、こうした人たちには、現在まで命休は一人もないわけです。この不合理さというものは、どこかで考えられなければならぬことだろうと思います。これらについての、いま私に答弁してくれました資料をお持ちのようですから、いままでの命休の月別の関係、それと同時に、またそれが個々の問題として、平均にして一体どのくらい減俸になっておるのか、これを月別に十二月から八月までお調べをいただいて、私の手元まで御送付をいただきたいと思います。  同時に、もう一つは、何べん答弁をいただいても同じ結果しか得られませんので、非常に残念ではございますけれども、端的にいえば、何回も繰り返して言いましたように、七艦隊の仕事というものは、おそらく現状では三八%を割っているのじゃないか。そうしますと、ほんとうに微々たるものしかない。しかしながら、何かの場合においては技術職員が必要である、そのために命休に命休を重ねながらも技術員を確保しておらなければならない、こういうことではなかろうかと想像ができるわけです。だとすると、すべてのしわ寄せが全部労務者にかかっているのだということを言っても過言ではないはずであります。したがって、ここまで数字が明らかになってくるといたしまするならば、もう一歩進んで、これを開放していただいたらどうか、こういうことが考えられるわけであります。あの地区が開放されて——おそらく日本でも優秀な施設を有しているところであります。開放していただいて、そこに会社、工場を誘致することができまするならば、おそらく労務者もこうした心配がなくて済むわけであります。そうして七艦隊のいろいろな修理その他があるといたしまするならば、それはそこで請け負ってもできるはずであります。私は先般佐世保、呉の状態を見てまいりましたけれども、この地区では完全にそれが行なわれておるはずであります。ひとり横須賀だけが行なわれていない、こういう不合理があると思うのです。同時に、またそのしわ寄せがいま申し上げましたように全部労務者に来ておる、こういうことじゃないかと思います。これは私は、ほんとうの姿ではないと思います。これがあなた方のいま申してくれましたような数字のように、七〇%以上軍の仕事をやっておるのだというならばまだまだ考え方もあると思いまするけれども、わずかに三八%といったならば、これは問題にはなりません。そういうことで無理に企業を続けていくのだということになってまいると思います。もしそうだといたしまするならば、この不足補てんは日本政府なりアメリカ軍が行なうべきはずのものであります。これが行なわれないといたしまするならば、やはり最終的結論は、これを一日も早く開放していただいて、日本の会社にこれを移譲していく、こういうことでなければならないと思いますが、これについての御見解を承りたいと思います。
  306. 小野裕

    小野説明員 御意見のほどは、私どももまことに御同感申し上げる点がございます。ただ、先ほども申し上げましたように、米軍の今後の使用状況の見通しがまだはっきりいたしません段階におきまして、具体的な積極的なことも申すわけにもまいりません。しばらく推移を見ました上、さらにまた米軍とより緊密な連絡を遂げました上で、ある種の見通しがつくならば、それによりまして、ただいま御意見にもございましたような方向も、一つの方向としてさらに先方と協議をしてまい  る、こういうような心がまえでおります。御了承いただきたいと思います。
  307. 秋山徳雄

    秋山委員 答弁としたらやむを得ない答弁かわかりませんけれども、何回か繰り返すように、半分にもならないで、わずかの仕事量しか持たないところでこれを保有していくというところに無理があると思います。この無理をなお継続していくならば、当然、辞令を出しておる日本政府、そこで補てんをしていく義務があるんじゃないかと思うのです。もし日本政府が出すのがいやならば、これはアメリカの軍に出さすべきものだと思います。昔の日本の国内における海軍工廠のような姿になって考えてみたときには、防衛庁の軍艦をつくるにしても、おそらくそういうところでつくってきたはずであります。ところが、いまはそうじゃない。防衛庁の船をつくるにしても他の会社へ委託しているじゃありませんか。一方ではこうした不合理があるわけですよ。いま言ったように、もしも命休を続けていかなければならないような仕事量しかないといたしましたならば、遠慮することはないじゃありませんか。全部そこでやらしたらいいのです。それも一つ方法でしょう。もっと突き進んで言えば、どだい、日本の国土をアメリカの人たちに提供しているとは言いながらも、無償で提供されているものを有償で使わして、そこで一つの企業をしてもうけている。これは明らかに河井さんがここに書いているんですよ。もっとずっと長く読めばいいんですけれども、時間がないから省略いたしますけれども、明らかにそう言っています。企業であるからもうけねばならないということを言っています。そういう仕事をアメリカの軍がやっておるということが不自然じゃありませんか。あなた日本人としてそう思いませんか。私はそう思います。ですから、もっともっと国民の側に立ってものを考え、国民の側に立って善処をしてもらいたい、そういう一言で尽きると思います。ですから、私は再度申し上げますけれども、一日も早く開放していただいて、それを会社なり何なりに移譲していってもらいたい。そうして仕事量をふやすことを考え、労務者が不安がないような仕事の状態に戻してもらいたい、こういうことを考えざるを得ません。これは重要な問題でもありますし、特に私と同じ選挙区の小泉さんが幸いにして長官に就任をされておるのでございますので、その点長官からお答えをいただければ幸いだと思います。
  308. 小泉純也

    ○小泉国務大臣 先ほど来の秋山委員米軍関係の労務者の問題についての御見解は私も同感でございまして、何とかこういう事態が解決をされなければならないのではないか、ことに最近のような横須賀基地内における状況というものは労務者の生活安定という問題に大きな影響を投げかけておりまして、将来こういうことが長く続くことは何としても耐えられない、すみやかにこういうことをば除いていくことはもちろんのこと、もっと前進的に、基地そのものの未使用の部分を、たとえ一部分でも民間産業に開放をいたしまして、そうして日本の平和産業というものに貢献をさせる、それがまた労務者の生活の安定ということにもつながるのでございまして、この点については全く同感で、私も鋭意このことを念願し、また陳情等もしてきたような関係でございます。長官に就任いたしましてからは、こういう実情が理解されておるだけに、事務当局も一そう鞭撻をいたし、また適当な機会においては私自身こういう方面の方々とも機会があれば十分懇談を遂げて、前向きの姿勢で何らか前進的な解決努力いたしたいと存じております。
  309. 秋山徳雄

    秋山委員 最後に一言だけ。いまの大臣のおことばでやや心持ちを安んずることができると思いますが、何回か繰り返しましたように、不足財源については日本政府が補てんするなり、あるいはアメリカ軍に出していただくなり、早急なお手配を要望いたしたいと思います。同時にまた、一日も早くこれが開放されて、民間産業に転換ができるように御努力のほどをお願いするわけであります。  原子力潜水艦の問題は、先輩諸公がこれからも引き続いてるる質疑をされるそうでございますので遠慮いたしますが、一言だけ大臣にお答えいただきたいと思うのは、いま世をあげて、これほど原子力潜水艦の入港の問題について騒がれておる時代でございます。そのときにあたって政府の態度を決定する以前に、当該県知事、すなわち長崎県の知事、あるいはまた神奈川県の知事、こういったところに了承を得たのかどうか、同時にまた、佐世保市長あるいは横須賀市長に対しても同じように了承を得てあるのかどうか、これだけをお尋ねして、私の質問を終わりたいと思います。
  310. 竹内春海

    ○竹内説明員 両県知事並びに両市長に対しましては、政府の決定の発表と同時に外務大臣から電報をもちまして了解を求めております。
  311. 秋山徳雄

    秋山委員 回答はありましたかどうか。
  312. 竹内春海

    ○竹内説明員 佐世保市長からは、昨日市長自身見えまして外務大臣に会っておられます。
  313. 秋山徳雄

    秋山委員 了解の話ですか。
  314. 竹内春海

    ○竹内説明員 了解されたと思います。
  315. 秋山徳雄

    秋山委員 と思いますでなくて、はっきりと、了解しないならしない、したならしたと言ってください。
  316. 竹内春海

    ○竹内説明員 私直接には聞いておりませんけれども、了解されたものと思います。
  317. 小泉純也

    ○小泉国務大臣 これに関連いたしましてお答えを申し上げておきますが、実は、先ほど委員会を中座させていただきまして防衛庁に帰りましたときに、いま外務当局からお話がありました佐世保市長が私にも会見をしたいという申し込みがあるという事務当局の報告でございまして、できるだけ早い機会にお目にかかるからということで、市長との会見のお約束をば時間的に調整をするよう私は事務当局に言ってこちらに参ったようなわけでございまして、私もお目にかかっていろいろ御意見等を承るつもりでおるのでございます。この点も申し添えておきます。
  318. 伊能繁次郎

    伊能委員長代理 引き続き原子力潜水艦寄港問題につきまして質疑を許します。田口誠治君。
  319. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 きょうは大臣が出入りをしたため各委員が十分詰めた質問ができなかったので、また日をあらためて質問されると思いますが、一つの問題を詰めてやられなかった関係上、あとからの質問者はちょっとやりにくい面がございますけれども、今度の問題について端的に申し上げますならば、愛知さんは先ほど言いのがれをしておられましたけれども、日本が安保条約を結んでおる以上は、アメリカが日本へ原子力潜水艦の寄港を求めてきた場合にはゆえなくして拒否することはできないのだ、ただできることは、核装備をしておる場合には、核の持ち込みはできないので、これはお断わりができるし、それから実際に日本の国民に対しての安全性が確保されないときには、これはお断わりをすることができるのだ、こういう考え方を政府は終始お持ちのようであったわけでございます。ところが、最近になりまして、核兵器の持ち込みについては終始反対をされておりまするけれども原子力潜水艦の寄港に対しての安全性の問題については安全だという結論を出されて、そして二十八日に回答をされた、こういうことでございまするので、きょうの質問からいきましても、サブロックには必ず核がつくということは明確にされておりまするし、そして核の開発もここ数カ月ということでございまするから、数カ月後にはノーテラスにも核装備されるということに相なるわけでございまするので、そうなりますれば、原子力潜水艦の寄港も認めないということに、理屈的になるわけです。ただ、今日の場合どうするかということについて、私どもが一番心配をいたしておりまするのは、安全性の問題について大きな疑義があるわけです。したがって、まずこういう点から御質問をいたしたい、かように考えております。  安全性の最も中心になりまするものは、これは、原子炉そのものが安全につくられておって、そうしてこの安全な原子炉が運転し、その燃料の燃えかす、すなわち核実験のときのあの死の灰と同じものが多量にたまるから、これを海の中に流された場合にどうなるかということについて、非常に心配があるわけでございます。この点につきましては、日本の科学の頭脳である日本学術会議の中に持っておりまする原子力特別委員会が昨年の八月の十二日に池田総理に対して「原子力潜水艦の安全性に関する検討」という文章を出して、そして安全性を確保するには多くの疑問があるという点を指摘いたしておるわけなんです。したがって、こういう日本の科学者が安全でないと言っておるのに、安全だといって受理されるということになったわけでございまするので、私としての心配な点について、これから逐次お伺いをいたしたいと思うわけでございます。  まず第一にお伺いいたしたいと思いますることは、先ほど大出委員質問に答えられたわけでございますが、大出委員は抽象的には言っておりましたけれども、日本とアメリカとの考え方が千違うのだ、こういう質問をいたしましたら、条約局長でございましたか、これは五十二号と六十九号ですか、訂正いたしまして内容を厳格にいたしたから、その点については安心してもらってもよろしいのだという意味の回答をされたわけでございます。したがって、私の申し上げるのは、アメリカと日本と千違うという、この相違を訂正されたその内容から言って、どの程度縮まっておるのか、ひとつ数字的にお示しをいただきたいと思います。
  320. 村田浩

    ○村田説明員 前回の大出委員の御質問に対して、若干御説明の残ったことがあるかと思いますけれども、私がその際に御答弁申し上げましたのは、従来艦船局の原子力推進部がつくっております廃棄物の投棄基準の中で適用されておりますアメリカ側の基準というものは合衆国標準局の便覧の第五十二号に出されておるものを反映しておった、これが、今回ステートメント及びエード・メモワールで明らかになっておりますように、新しくその後合衆国標準局で出しました便覧第六十九号に掲げられておる許容基準に改められておる、その点におきまして、同じくわが国の法律に基づきまして科学技術庁から告示として出ております人体に対する許容基準、科学技術庁の告示第二十一号でございますが、これに掲げられております許容基準はICRPの一九五八年の勧告を反映してつくられたものである、アメリカ合衆国標準局の六十九号もICRPの一九五八年の勧告を反映してつくられたものである、したがって、両者が同一であるということを申し上げたわけでございます。  田口委員のただいまお話しの点は、潜水艦から出港の際投棄されるいわゆる一次冷却水に関する投棄手続並びにその際とられております許容量の問題であろうかと思いますが、その点につきましては、このアメリカ側の書面では、日本側の基準並びに国際基準に十分合致しておるということをはっきり言っておるわけでございますが、千倍云々といいますのはまた別な問題でございます。一次冷却水はもとよりでございますが、わが国にございます原子炉等から排出されます液体排出物、これの海洋への排出につきましては、いずれの場合におきましても、そういうことはアメリカの場合におきましてもわが国の場合におきましても希釈効果ということをいうておる。ただいま申し上げました勧告、標準局便覧六十九号あるいは科学技術庁の告示第二十一号にございます数値は職業人に対する許容量を定めたものでございます。したがいまして、周辺地域におきます一般人への許容量といたしましては、アメリカでもわが国でもその十分の一を適用するということになっております。そこで、周辺にあります人への被曝という点から考えまして、原子炉のところから出ましてその周辺の実際に人がおるところまで達します間の希釈効果というものを計算、実測等いたしましてきめて、この倍率を定めて投棄基準ができるわけでございます。アメリカの原子力潜水艦の場合には、中間報告にもあったかと思いますが、これを実測されまして、その結果が投棄後直ちに約十万倍に希釈されるという数値を持っておるわけでございますが、その十万倍という数値をもとにして、これを安全サイドにとりまして千倍というところで押えたわけでございます。この千倍といいますのは、一般の人への許容基準の千倍ということでございますから、便覧に載っております数字から言いますと百倍ということに相なるわけでございます。わが国の場合におきましても、先ほど石橋委員の御質問にちょっとお答えしたかと記憶いたしますが、東海村の原子炉、たとえば第一号原子炉等に適用されております保安規定によりますと、ここから出ます液体排出物は、科学技術庁の告示の百倍以内に押えて出すというようになっております。と申しますことは、とりもなおさず周辺一般人への許容量の千倍ということに相なるわけでありまして、その点においても日米に相違はないということでございます。
  321. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 もう一度聞き直しますが、いま私の質問とあなたの受け取り方との相違もございまして、ちょっと御答弁の内容が幾つかにわたりましたけれども、明確に申し上げますが、ただいまあなたの言われたところの一九五八年云々というのは、これは国際放射線防護委員会が一九五八年に各国の政府へ勧告を行なった基準の十分の  一を日本が採用しておるということですね。ところが、米国は平和利用の場合でもそれよりゆるい、すなわち一九五五年の勧告に基づいて基準を採用しておりまするが、特に米国の議会の報告によりますると、海軍で、この許容基準は、いずれにいたしましても原子力潜水艦は軍事上ぜひ必要な武器でありますから、その百倍を基準にとるというふうに言っておるわけです。したがって、そうなりますと、日本では国際放射線防護委員会すなわちICRPが一九五八年に各国へ勧告をしたその基準の十分の一の値を採用するということになりまするから、アメリカが特に軍に必要なものだからその基準には沿えないからその百倍にするということになりますれば、結局日本の考えておる基準の千倍になる、こういうことなんですね。そうなりますと、国際的な放射線の防護委員会が各国へ警告を発したものの千倍のものを採用しておるということになると思うのです。この点は間違いがあれば訂正をしていただいてけっこうですけれども、私はそのように受け取っておりますが、いかがですか。
  322. 村田浩

    ○村田説明員 御質問に対する私の答弁は前に申し上げたとおりでございまして、若干御理解に少し行き違いがあったのではないかと拝察される面がございます。一九五八年の国際放射線防護委員会の勧告は、二百数十種の、たとえばコバルト六〇とかストロンチウム九〇とか、そういった核種についての人体に対する許容基準を数値として掲げてございます。これはいわゆる職業人に対する許容基準でございます。職業人と申しますのは常時放射線を取り扱っておる人という意味でございます。一般の市民に対する許容基準は、わが国でもアメリカでもその十分の一を適用いたしておるのであります。したがいまして、わが国で実際に使っております基準がその十分の一ではないかとおっしゃいますけれども、科学技術庁の告示第二十一号に登載しております基準は、ICRPの一九五八年の基準と同じでございます。つまり職業人に対する基準でございます。したがって、一般の人にはその十分の一を適用するということでございます。一方アメリカの場合も全く同様でございまして、基準そのものは便覧の六十九号に載っております。この六十九号に載っております数値は、ICRPの一九五八年の勧告の数値でございまして、やはり米国の職業人に対する許容基準でございます。実際に原子炉等から液体の廃棄物を排出いたしますときには、排出のしかたというものがいろいろございます。常時少量ずつ出しているものもございましょうし、あるいはある量ずつを間隔をおいて出している場合もございましょう。種々の場合がございますので、それぞれの原子力施設に対応して、わが国の場合でありますと、法律に基づきまして設置者が保安規定をつくりまして、その保安規定政府に提出して認可を受けなければならないということになっております。政府のほうでは、この保安規定内容が実際に科学技術庁の告示の二十一号の範囲内におさまるものであるかどうかということを確認して認可いたしておるわけでございます。他方、アメリカの場合、一般の場合はアメリカの原子力委員会が規則を出してやっておりますが、原子力潜水艦の場合は、先ほど申しました海軍の艦船局の原子力推進部がちょうど日本におきまする保安規定に該当する手続をつくって、これを適用しておるわけであります。その中で定められておりますのが、ただいま申されましたように、一回に投棄いたします液体排出物の放射能のレベルはこの基準にございますレベルの百倍以内ということでやっておるわけでございます。これは繰り返しになりますが、排出後直ちに周辺の海水によって十万倍程度に希釈されるという点を確認しまして、安全サイドできめたものでございます。他方、日本におきましても、原子炉施設に対しまして、先ほど来申し上げておりますように、東海村の原子力研究所にたくさんの原子炉がありますが、その中の一号炉につきましても二号炉につきましても、それぞれに保安規定がありまして、その保安規定の中には告示の二十一号にございます水準の百倍以内の投棄をする、これは出ましたときに直ちに千倍以上の希釈が行なわれるという前提に立っておるわけでございます。
  323. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 一九五八年に国際放射線防護委員会から各国へ勧告をしたときには、日本の場合にはその十分の一を採用した、これは間違いありませんね。
  324. 村田浩

    ○村田説明員 科学技術庁の出したものでありましたら、十分の一でございません。一九五八年の勧告どおりでございます。
  325. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 ただいま勧告どおりと言われましたが、私どもの記憶しておるのとは相違がございますので、それは争点として残しておきます。  そこで、ちょうど昨年、この原子力潜水艦の寄港問題が問題になりましてから、日本の政府がアメリカに対してこの一九五八年の線を採用するということを通告しておるが、これは事実かどうか。
  326. 村田浩

    ○村田説明員 昨年の、どの時点のお話かよくわかりませんが、昨年外務省から交渉の経緯を中間報告としてまとめまして国会に提出いたしました段階におきましては、その中にあります説明は、便覧の五十二号によった数字を使った艦船局の廃棄手続が引用されておったわけでございますが、その後いろいろ外務省を通じて調査しました結果、今度のステートメント及びエード・メモワールにございますように、六十九号に改定されておるということが確認されたわけでございます。
  327. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 私のいまお聞きいたしましたことは、一九五八年の線を採用するということの確認をアメリカの政府のほうへ伝達しておるわけなんです。したがって、こういうことから言って、アメリカのほうでは、しかし日本はそうあろうとも、米国海軍としては非常に大切な兵器であるからというので、具体的な許容基準というものを定めておるわけなんですが、その内容は御存じでございますか。
  328. 村田浩

    ○村田説明員 どの点を御指摘いただいておるか、ちょっと私よくわからない点がございますが、原子力委員会の総合見解にもはっきり書いてございますように、アメリカ側では、原子力潜水艦の液体廃棄物、これはただいき争点になっております一時冷却水でございますが、わが国の法律及び基準並びに国際基準に完全に適合するものであるという議論がございます。アメリカが軍艦の場合に特別違う基準を持ってやっておるといたしますと、このようなことは言えるはすはないと思います。
  329. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 結局、具体的な許容基準をきめておるその内容日本政府ではわからないということなんですね。そう受け取ってよろしいのですか。
  330. 村田浩

    ○村田説明員 先ほど申し上げましたように、合衆国標準局便覧第六十九号は公表されておるものでございまして、これはいつでも入手してチェックすることができます。事実チェックしてございまして、合致しておることを了解しております。
  331. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 先ほど答弁のありましたように、五十二号を六十九号で訂正されて内容が強化されておるということは、これはわかっております。わかっておりますが、許容基準というものを日本が昨年、一九五八年の線でいくんだということを米国へ通達してかけでも、アメリカのほうではやはり米国海軍としてはこれは非常に必要な兵器だからというので一つの具体的な基準というものをつくっておるわけなんですが、その点はわかっておるかわかっておらぬかということを聞いておるのです。わかっておるならわかっておる、わかっておらぬのならわかっておらぬでいいです。
  332. 村田浩

    ○村田説明員 その点は承知いたしておりません。
  333. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そういう点で一つ大きな不安があるということをまず申し上げておきます。  それから、次にお聞きをいたしたいと思いますことは、廃棄物は沿岸から十二海里以上離れた位置に、なお漁区以外のところの海中に捨てるということになっておるのですが、そこで、軍事関係のことだからこまかいことは非常に入手することがむずかしいと思いますけれども、一応アメリカの言っておるのは、年に二回くらいというようなことも言っておりますし、人体への及ぼす影響度合い云々というようなことにもいろいろ触れておりますが、とにかく日本の国民として一番心配なことは、日本の原子力の平和利用を行なう場合には、念には念を入れて行なう、アメリカから原子炉が来た場合には、委員会にかけ、なお諮問委員会にかけ、そうして完全なものにしてこれを利用するという念を押した平和利用のコースをたどっておるのですが、潜水艦の場合には、これは兵器でありますから、結局構造が秘密にされておりますので、安全度ということについて、原子炉の設計とか構造、それから資料、こういうようなものが、これは日本に公表されておらない、だけでなしに、外国に対しては全然その資料が提出されておらないわけです。したがって、こういうことから考えてみますと、一方的に安全だと旨ってみても、私どもとしてはまことに不安でならないわけで、私どもとしては、何といっても、日本の科学の頭脳である学術会議の科学人が専門的に検討を行なって、そして昨年池田総理に対して出したあの報告書に基づいてやはりなされるべきであって、その報告書に基づいて考えたけれども、結局これは科学的にあの考え方はこう違っておるんだとか、またその後アメリカのほうではこういうように内容を変えて通告をしてきたから安全性があるという自信を持って二十八日に受諾を決定したという、何かそういう経過がなければならぬと思うのですが、昨年の八月学術会議の原子力委員会から出された資料に基づいて検討された後の、今日受諾までの経過についてもう少し国民が了解できるような答弁をお願いいたしたいと思います。
  334. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 ただいまのお尋ねに対しまして、たとえば便宜上こういうふうなお答えをして御理解を仰ぎたいと思います。それは、昨年のいわゆる中間報告というものと、それから今回総合見解に至りますまで、この間において、どういう点がさらに確認され、保証を受けたかという角度から御説明をいたしますれば、御理解が一段と進めていただけるのではないかと思うのです。  数点ございますが、まず、その数点に入ります前に、先ほども申し上げましたが、従来の中間報告というのは、外務省が公示までに交換し得たインフォメーションをまとめて中間的に御報告申し上げたものでありますが、今回の文書はいわゆる外交文書であって、その文書の上においてはっきり保証という形になったという、この性格上の違いがあるということがまず前提でございます。  それから、内容について数点申し上げてみますと、いま御指摘の原子炉の安全性、それから原子力による推進の装置、その運転等については中間報告で記載がございましたが、今回の分は、乗り組み員の訓練ということについてもこれを含めて、アメリカ側としては、軍用の潜水艦であることはもちろんでありますが、アメリカの原子力委員会、それからアメリカの安全審査諮問委員会、この両機関によりまして審査をされたものであって、つまり平和利用のものと同一の基準によって、同一の審査によって合格したものであるということが第一点。この点は中間報告より相当の前進をしておると思います。  それから、第二点は、運航についての予防措置とその手続であります。これも、文書において、合衆国の港における運航に関連してとられる安全上の措置のすべて、その中には予防措置と手続が含まれるわけでありますが、これが日本の港においても厳格に順守されることを保証するということが、これも前回の中間報告との違いといいますか、前進であろうと思います。  それから、試みに寄港の問題、それから寄港に際して適用される安全基準について申し上げますと、これも合衆国の港に寄港する場合に適用される安全基準と全く同一の安全基準が適用されること。なお、その安全基準が適用される前提として、日本政府が事前に資料を先方に提供するということも保証されているわけであります。  それから、これも試みに申し上げますならば、いま質疑応答がございました液体排出物については、日本の法律と基準並びに国際基準に完全に適合するものである、それから五十二号が六十九号に改定されたということ、これなども文書の上においてもはっきりしておる点でございます。  その他数点にわたりまして、前回の中間報告のときと相当の日本側としては進歩といいますか確認をした事項があるわけであります。これとあわせて、先ほど申しましたように、文書によっての保証を取りつけ得たという点が、前回の中間報告後の経過でございます。
  335. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 私どもの心配しておることは、中間報告と同じことなんです。だから、何もその後こうだから安全性を信用してもらいたいというような内容のものは一つもありません。そこに国民が非常に心配をしておる点があるわけです。そして、反対をするところも、こういうところに反対闘争というものがいま盛り上がりつつあるわけでございます。したがって、これは長官のほうでどうお考えになりますか知りませんけれども、合衆国とそれから日本の場合と同一の保証云々ということについては、地理的な面からこれは違うわけなんです。こういう点はその方面の専門家によく検討をさせられたものかどうか、これもひとつ参考にお聞きをしたいと思います。
  336. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 しかし、たとえば液体排出物の基準とか、それから放射性廃棄物質の放射能の適用される基準が変わったというようなことは、明らかに具体的に違った点だと思います。それから、そういう点につきましては、先ほど来るる御説明いたしておりますように、原子力委員会における専門家が十分良心をもって検討いたしたわけでございます。
  337. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 御承知のとおり、日本の場合は、他の国に比較して漁区が非常に散在しておるわけです。したがって、こういうところからいきまして、この安全性というのが、アメリカ合衆国で考え考え方をそのまま日本へ持ってきて押しつけても、これはやはりそこに相違があるということを私は申し上げておるわけなんです。したがって、こういう点がもう一点の争点になろうと思います。これは何回質問いたしましても、第二次報告と何ら変わったものでないものが文章で明確にされてこちらへ通告されたものを信用されて寄港を認められたんだから、国民の不安というものはますます増大してきておるということを、ひとつ肝に銘じておいていただきたいと思います。  それから、これは途中でございますけれどもお聞きをいたしたいことは、核兵器のついたものは持ち込まぬ、現在ではポラリス潜水艦は持ち込まないのだ、ノーテラスもサブロックがつけば持ち込まないのだということは、先ほどの質疑応答の中で明確になりましたが、この安全性の問題につきましても、いま政府は安全だといって回答をしておりますけれども、一億円の予算をとっていろいろ調査をされるわけなんですが、もし安全性を欠くというようなことがありますれば、これは二十八日に受諾決定されたことはまた白紙に戻るのかどうか、この点もこの際明確にしておいていただきたいと思います。
  338. 藤崎萬里

    ○藤崎説明員 先ほどもお答えいたしましたように、この日本政府の異存ないという回答は、向こうの声明、覚え書きがそのとおり間違いなく実施されるという前提に立っておるわけでございます。その前提がくずれたということになりますと、向こうは、あのとき日本政府としては異存ないと言ったじゃないかという抗弁はできないわけでございます。あらためて問題は考え直さなくちゃならない、かようなことになるかと思います。
  339. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そこで、調査される範囲ですね。これは横須賀、佐世保が中心になろうと思いますが、どの範囲をどのように調査されようとしておられるのか、これをひとつ明確にしていただきたい。
  340. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これはバックグラウンドとモニタリングと両方あるわけでございますが、これは関係各省が相当広いので、先般来関係各省庁においてそれぞれ調査の計画を進めております。科学技術庁が必要に応じて総合調整に当たりますけれども、必要な、たとえば予算上の措置などは各省庁でそれぞれ大蔵省に要求いたしまして、実施に遺憾なきを期するということになっておるわけでございます。
  341. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そこで、具体的なことに入ってお聞きをいたしたいと思いまするが、汚染の場合には直接と間接の汚染の問題が出てきょうと思うのです。したがって、そういうことからここでお聞きをいたしたいのは、魚類の回遊コースというものは、これはお調べになっておるのかどうか。
  342. 村田浩

    ○村田説明員 この点は担当の水産庁が調査いたしております。
  343. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 先ほど、水産庁長官でもおいでにならなければお答えできないじゃないかということで、ちょっと私のほうから説明員の方をお願いしておきましたけれども、これは原子力委員長やらお歴々がお見えになっておるので、その点は十分認識をされておるのだ、その点の認識のないことではこの問題のイエスかノーかは言えないのだという意味合いから、ここへ来てもらっておらないわけなんですが、その点はわからないのですね。わからぬことを聞いてもしかたがございません。
  344. 村田浩

    ○村田説明員 ただいま長官からも御答弁がございましたように、放射能調査関係する省庁が多数にわたっております。それぞれの省庁で責任のある範囲につきましては、それぞれの省庁で実施していただくわけでございます。科学技術庁としても担当する部面がございますが、ただいまの御質問は私ども所管ではございません。
  345. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 これもわからないのだね。海流のコース、一応地図を見ましても、海水の流れというものは書いてありますけれども、これは、あの図面だけでなしに、ところどころで巻きをやりまして、それが他のほうにずっと流れていく個所が相当あるわけであります。したがって、こういうことからこの汚染の問題に関連がありますので、この点おわかりでしたら、ひとつお聞きをいたしたいと思います。
  346. 村田浩

    ○村田説明員 ただいまのお話は、いわゆる海象と申しておる現象のことかと思いますが、この点につきましては、直接担当しておりますのは運輸省でございます。
  347. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 それでは、これは閣議でおきめになったのだから、各大臣がおいでになってきめたのだから、一応そうした把握をされておきめになったと思いますけれども大臣はまだなりたてですし、こまかいことを聞いたとてなかなか実際がわかりませんので、そういう点から、私はこの質問は後日に移したいと思うのです。そうでないと、これから来てもらってということも非常に迷惑と思いますので、譲りたいと思います。と申しますのは、私が特にこの点を心配いたしますのは、日本の場合に、マグロをとる場合の網の区域、これはほとんど日本の本州の長さくらいあるでしょう。そうなりますと、これは魚類の回遊コースの関係とか、それから海流の関係とか、こういうようなものを十分に調査をした上、この安全性というものを確認しなければならないと思うので、私は特にそういう点で質問申し上、げたわけなのです。あのビキニの灰の場合でも、最初の場合には、マグロの外側だけに放射能がついていて、そうしてこれをきれいに洗えばいいとか、あるいは一センチごとに百カウント以下のものならだいじょうぶだとかいうことが初めには言われておったのですが、さて学者にそれではだいじょうぶですかと言えば、絶対にだいじょうぶだと言う人はなかったし、それからだんだんとそれを調べてさましたら、内部のほうへも入って、そうしてそういうマグロは食べることができないのだ、こういうことでございましたし、それから、海流の関係とか魚類の回遊の関係で聞きましたところでは、あのビキニの近くだけでなしに、あとから来たマグロでもう思いもせぬ遠いところから捕獲してきたものに放射能が相当出たという、こういう経験を持っておりますので、私は、この安全性ということを一口に言ってみても、こういう点が具体的にこうだから心配ない、こうだから心配ないということを言っていただかなければならないと思うのです。したがって、きょうはその答弁をしていただく大臣がおいでになりませんが、今度一億の金で調査をされる調査には、そういう点も含めて調査をされるものかどうか、これをお伺いいたしたいし、私どもとしては、相当日時がかかっても、ぜひともそういう点まで十分に調査をして、そして全く安全性のあるものなら科学的に国民の前に明確にしてやらなければならないと思うので、そういう点についてての取り扱いをひとつお聞きをいたしたいと思います。
  348. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 原子力委員会の立場でまず申し上げますと、潜水艦の入港前に港湾における放射能水準を調査しなければならない、それから停泊水域、これは停泊中の潜水艦の近傍における放射能のモニタリングをしなければならない、それから近海の放射能水準の調査ということが必要である、この三点を原子力委員会としては総合見解の中に入れまして、政府にこの措置を要請しておるわけなのです。それを受けまして、今度は私も科学技術庁長官の立場で申し上げますが、科学技術庁として関係各省に迅速にこうした計画をつくってもらうように要請をいたしたい。そして、これはたとえば農林省、水産庁はもちろんでございますが、運輸省の海上保安庁ですか、あるいは気象庁その他についても、いま言いましたような基本的な方向で調査をしてもらうようにいまアレンジをしているわけでございます。
  349. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 その点は、昭和二十年の八月以前に、人工ではなしに自然の放射能というものが調査されて、この調査資料というものは科学技術庁にあるはずですが、これは公表されておりませんか。その点おわかりなんですか。
  350. 村田浩

    ○村田説明員 ただいま田口委員御指摘の資料が具体的にどの資料をさしておられるのか、私ども理解ができませんので、お答えができないわけでございます。
  351. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 その点につきましては、私はいま確実に知っている方の名前を記憶しておりませんので、必要があればその名前はお示しをいたしますが、これは昭和二十八年八月以前の自然放射能の調査の記録があるはずです。  それはそれでいいとしまして、ただいま質疑応答をやっておりまして、ビキニのあのマグロの問題の経緯をずっと考えていただいて、今日安全性を認めたと言われましても、海流調査あるいは魚類の回遊調査、こういうところまでやってもらわなければ、私はほんとうに国民は安心ができないと思うのです。これは、幸か不幸か、ビキニの核実験があって、日本の国民としては一つの認識と、そして経験、資料というものがあるわけですから、やはりこういうものを基礎に置いて調査をされなければならないと思うのです。したがって、私は、その調査期間というものが少々延びても、調査をして、国民の納得のいくものを出していただかなければ、第二次報告文書でもらって、それが安全だと言われても、これは安全だということには国民は受け取れないので、特にその点を強く要望いたしたいと思うのですが、これは閣議にもかけなければなかなか答弁ができないものか、どうなんですか。これは、政治家として考えたときに、私はそこまでやっていただかなくてはいけないと思うのです。特に、寄港を認めた場合に、この潜水艦がとまっているときには原子炉のエンジンはとめてあるわけですから、十二海里と言ってみても、十二海里外のほうのこの影響というものが相当大きいわけですから、横須賀、佐世保の周辺をただいま御答弁のあったようなことで調査されても、私はそれがどの程度役立つかということの大きな疑問を持っているわけです。したがって、私のほうから要望をしておきますが、やはりこの調査は長期間かかっても国民の納得のいくような調査をしていただかなければならないと思います。  それで、実は午前中に石橋委員が魚類の中にはとにかく放射能だけ集める魚があるという質問もして、答弁は、自分の海域でないから遠いところのことはやむを得ぬという答弁があったらしいのですが、これは、サンゴ海なんかを見ていただければ、海の水なんかにはカルシウムは全く少ないのですけれども、サンゴ海なんかではカルシウムを集めて……。
  352. 伊能繁次郎

    伊能委員長代理 田口君に申し上げますが、質問だけにとどめていただきたいと思うのです。
  353. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 やっておりまするので、それで、そういう点についての十分な調査がなかったら国民は納得がいかないと思うのです。ですから、この点は、政治家として、一つの決定の線はできておりましても、十分に相談をしていただいて、そうして国民の納得のいく調査をしてからその結果を報告して、それから次の話を進めていくというコースをたどっていただきたいと思うわけなんですが、この点はここでお約束していただけますかどうですか。
  354. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 どうもおことばを返すようですけれども、とことんまでこうやっていけば、ほとんど全世界の水域を、海流から何から調査しなければいけない、極端に言えばそういうことにもなろうかと思います。先ほど申しましたように、原子力委員会の総合見解に基づいて、この調査をやればそれで国民が納得してくださるもの、私はそういうふうに信じております。
  355. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 その点は大きな見解の相違でございまするので、おそらく見ておっていただければわかりますが、そういう安易な考え方で安全性があるということで事を進めようとすると、安保の二の舞いを踏みますから、私はその点を警告を申し上げておきます。少なくとも私の申し上げたことを取り入れてもらいたい。  たくさん質問内容は持ってきておりますけれども、時間とあとの質問者の関係で中途はんぱでございますけれども、ここらで終わりたいと思います。
  356. 伊能繁次郎

    伊能委員長代理 引き続いて原子力潜水艦寄港問題につきまして質疑を許します。只松祐治君。  速記をとめて。   〔速記中止〕
  357. 伊能繁次郎

    伊能委員長代理 速記を始めて。
  358. 只松祐治

    ○只松委員 ただいままで多くの同僚議員から各方面聞かれましたけれども、これは主として政府の述べられておるようなことに対する追及といいますか、そういう点がほとんど主であったと思います。わが党の委員長が首相官邸にかけ込んでいった、こういうことは前例がないわけですが、こういうことは何を意味しておるかというならば、汚染とかそういう問題だけではなくて、国民が最も危惧をしておる主として軍事的な面からの問題がこの問題ではきわめて大きいわけです。したがって、私はいままでの方と多少角度を変えた質問をたくさん用意をしてきておるわけですが、いま委員長が冒頭に言われましたので、そこまで質問ができるかどうか存じませんが、そういう面から御質問をしてみたいと思います。  まず最初にお伺いをいたしますが、潜水艦というのは、昔は主として護衛の任に当たる、海軍の中でも補助的な役割りを果たしておったものですが、現在軍事上潜水艦はどういう役目を果たしておりますか。ひとつ防衛庁長官から御答弁をいただきたい。
  359. 小泉純也

    ○小泉国務大臣 最近における潜水艦の発達は、原子力潜水艦にも見られるとおり、戦争の攻撃力の最も中心的な部分をなす、こういうふうに考えられております。  なお、最近の近代的な潜水艦の作戦上における専門的な問題につきましては、防衛局長が参っておりますので、さらに補足説明をいたさせます。
  360. 海原治

    ○海原説明員 潜水艦の任務ということでございますが、潜水艦にも、ただいま大臣からお答えしましたように、原子力潜水艦と在来型の潜水艦と二つに分かれるわけであります。特にこの原子力潜水艦のうちでもポラリス・ミサイルを発射しますものは、これは従来の潜水艦とはだいぶ趣が違っております。これはポラリスというミサイルを発射するための発射基地的な性格、ちょうどB52というような戦略爆撃機、爆弾を投下するというよりは空対地のミサイルを発射するための浮かんでおるミサイル基地、こういうことが言えると思います。それと同じ意味で、ポラリス原子力潜水艦は大陸間弾道弾を発射するための基地である、このようにお考えいただいてけっこうであると思います。それ以外の原子力潜水艦、アメリカではこれを攻撃型といっておりますが、先ほどお話がありましたようにSSN型のものは、これは在来の潜水艦の用法とほとんど変わりはございません。御参考までに申し上げますと、現在の東西両陣営の比較につきましても、これはロンドンの研究所でございますが、在来型の潜水艦は自由圏諸国は約二百二十隻、共産圏は約四百五十隻、こういう数字をあげております。これに対応しまして、原子力潜水艦のごときは、自由圏におきまして約三十三隻、共産圏が二十三隻、これが一九六四年の六月ころの見積もりの数字で上がっております。この辺で潜水艦の用法についての考え方を御了解願いたいと思います。
  361. 只松祐治

    ○只松委員 いま若干御説明がありましたように、潜水艦というのは、現在特に本委員会で問題になっておるのは原子力潜水艦でございますが、原子力潜水艦は現在の海上艦艇の主力艦なんです。これは単に海上艦艇の主力艦であるだけではなくて、いわゆる大陸弾道弾、誘導弾、それからF105を中心とする空軍の原子力爆撃機、それと水中からの原子力潜水艦というのが現在の軍事上の主力をなす。しかも、アメリカ側においては、ソ連から立ちおくれた大陸弾道弾の立ちおくれを取り戻すために急いでこのポラリス型潜水艦を開発している、この潜水艦によるいわゆる共産主義諸国の封じ込め作戦、こういうものを展開してきておるというのは、これはもう常識的な、日本国民がだれでも知っておることなんです。したがいまして、今日論ぜられておる問題は、単に海水の汚染とかそういう問題だけではなくて、日本にこの原子力潜水艦が持ち込まれようとしておる、いわば敵は本能寺にありと申しますか、なしくずしにこれが行なわれようとしておる、その突破口としてのこの原子力潜水艦問題がきわめて大きな注目を集めてきておるわけであります。したがって、当然にこの問題は軍事的な面から論じ尽くされていかなければならない、このように思いますが、防衛庁長官はこのようにお考えになりますか。
  362. 小泉純也

    ○小泉国務大臣 原子力潜水艦の現代の作戦における役目からいたしましても、今回の寄港が認められたからといって、それがにわかに極東方面に原子力潜水艦が配備せられ戦力の一翼をなすということではなくて、先ほども申しましたとおり、今日まですでにアメリカにおいてもまたソ連においてもこの極東海域に相当数の原子力潜水艦がずっと以前から遊よくをいたしておるのであります。今回はノーテラス型の潜水艦を日本政府が佐世保、横須賀の二港に休養、補給のために寄港を認めるだけのことでございまして、私は、この寄港によって、先ほども申しますとおり、大して戦略上に変化があるとは考えていないのであります。
  363. 只松祐治

    ○只松委員 この潜水艦は、いわゆる少し前に日本にロランというものが設置されております。このロランによってポラリス型の潜水艦が自分の位置を確認しつつ行動するわけですが、このポラリス潜水艦とノーテラス潜水艦とは相ともに別々に確かに行動はいたしておりますけれども、作戦行動としては一体の作戦をなしておる。ポラリスだけが全然別個にそこらを遊泳したり、あるいはノーテラスだけが何か別個に行動しておるのではなくて、軍の作戦上は共同して作戦をしておるのです。何か朝からの論議は、全部ポラリスとは全然無関係である、あるいはサブロックとも全然無関係とも——サブロックのことも多少あとでお聞きしますけれども関係がない、何かノーテラス型のただ単に原子力潜水艦が入ってくるのだ、したがってその問題は原子力潜水艦の廃棄物の汚染度が問題だ、こういうふうな論議が行なわれ、かつ説明が行なわれただけでございますが、これは国民を欺瞞することきわめてはなはだしいものだと思うのです。こういうふうに現在の軍備というものはノーテラス型だけが独自にそこらを遊泳をしておるものであるか、そうでなくて、やはりこういうふうにロラン網に伴ってポラリス、ノーテラス、それから一般の艦艇と空軍その他が総合的な立体的な作戦のもとに行動しているかどうか、防衛庁長官どうです。
  364. 小泉純也

    ○小泉国務大臣 これはもう、今日潜水艦だけが独自の作戦をやるということは、おそらく国民の常識からだれしも考えないことだろうと思います。私どもしろうととしての常識から考えましても、一つの艦隊というものが作戦行動をする場合には、航空母艦もあれば巡洋艦もあれば駆潜艇もあれば魚雷艇もあり、その他潜水艦もその一翼をになっておる、かように考えることがいわゆる近代戦における国民的の常識であろうと考えておりますので、決して、いま只松さんが言われたように、この潜水艦の寄港をただ潜水艦だけが動いておるものというようなことは、私も毛頭考えておりません。なおまた、軍事的な専門的なことにつきましては、私もまだ十分承知しておりませんので、防衛庁のその関係における専門家として多年研究をしておりまする防衛局長から補足的な答弁をしていただきます。
  365. 海原治

    ○海原説明員 ただいま先生のおことばの中に、ロランとの関係において動いておるのじゃないか、こういうお話がございましたが、私が読みましたアメリカの専門誌の報道でございますが、ポラリス潜水艦は人工衛星によって自分の位置を確認しております。したがいまして、ロランとの関係はまずないものというふうに御判断願ってしかるべきじゃないか、と思います。それで、ノーテラス型につきましては、  はっきり人工衛星との関係において自分の所在地あるいは目標の位置についての軌道修正、測定等をやっておるという記事は出ておりませんが、おそらく同じような形において今後自分の位置の測定その他をやるもの、このように私どもは判断いたしております。
  366. 只松祐治

    ○只松委員 時間がありませんので次々に要点だけ質問をしていきますが、まあ通常、潜水艦にしろ駆逐艦にしろあるいは主力艦にしろ、いま特に御答弁のように、こういう緊張状態が続いておる場合に魚雷をおろしたり大砲をおろしたりいろんな装備をおろして軽装備で太平洋を遊び歩いておる、こういうことは常識上ないわけです。一朝有事の際に備え、特に現在のように緊迫しておりますと、いわゆる重装備と申しますか、最新最強の装備をほどこしている。たとえば、さっきから、サブロックを装備しておらない、こういうことを盛んに言われておりますけれども、自民党の出しておられるこの「原子力潜水艦のすべて」、これをごらんになっても、アメリカ海軍なり、軍隊は秘密を発表することはないというような前提のもとにいろいろなことが書かれている面がございます。当然にこれは最高の秘密でありまして、これにどういうサブロックを積んでいる、何を積んでいる、こういうことは言うはずはございません。しかし、今年の八月二日ですか、アメリカ海軍は、すべての潜水艦にサブロックを装備する、こういう発表をいたしております。これは外電が誤電なら別でございますけれども、こういう新聞にもその一端が見受けられますように、当然にもう現在あらゆる形の中から、午前中から議論されましたように、まだ開発が行なわれているでしょうが、その一部にサブロックが装備されているということは、現在軍事科学上当然のことと論議されております。したがって、そういうふうに最高、最新の装備はノーテラスにしろあるいはポラリスにしろ積んでいるわけですが、日本に入ってくるノーテラスはとにかくサブロックやそういうものではなくて、軽装備で、水をもらいに来たりあるいは乗員の慰安だ、こういうふうなことをさっきから言っておりますけれども、こういうノーテラス型というのは太平洋を遊びに歩いているのですか。そうではなくて、やはり極東のこういう緊張した情勢に対応してその任務についている、こういう潜水艦なんですか。どうです。
  367. 海原治

    ○海原説明員 現在太平洋に配備されております通常の型の原子力潜水艦の行動についてのお尋ねと存じますが、このことにつきましては、従来いろいろな委員会におきましても御説明申し上げておりますとおり、アメリカの太平洋艦隊、第七艦隊もその一つでございますが、これがたとえば日本近海で演習をやる、こういうときには原子力潜水艦を当然随伴してくるわけです。演習が終わればほかの艦は横須賀に入ってくる。佐世保に入ってくる。原子力潜水艦だけはグアムに行け、沖繩に帰れということは、演習の行動上も困るし、また隊員の士気の上からも困る。このことは従来から言っておりますし、また私自身一昨年太平洋艦隊司令長官から直接聞いたところでございます。このことは従来から申し上げているところでございます。あくまで一緒に艦隊として演習をするために随伴している、同じ行動をとっている原子力潜水艦が、ほかの艦がたまたま日本に寄港でき、ここで休養できるのに、わざわざグアムまで帰り、あるいは沖縄に行き、そこからまた軍用機で飛んで来る、こういうことはできればひとつ、何といいますか、そういう不便をなしにしてもらいたい、これが私は先方の希望であるというふうに感じておりますし、またそれ以上の意味はないものと確信しております。
  368. 只松祐治

    ○只松委員 私は時間があればそういう点も全部聞こうと思ったのですが、そういうことになれば、ノーテラスの乗員だけは日本に寄港する、そうして日本の歓楽街は世界でも有名ですから遊ぶ、ところが、ポラリス型はそれとは逆に、演習に近くまで来て、沖繩かどっかに追い帰されたりする、こういうことは、結局必ずポラリス型の潜水艦の乗員に不満が生じてくる。これは、私も海軍におったことがあるし、軍人の経験があるからすぐわかる。そうすると、当然おれらも連れていけという要求が出てくるのは、これはもう理の当然であります。私はあとで時間があれば聞こうと思ったのですが、時間がないからその点は省略しようと思ったのですが、語るに落ちたと申しますか、正直にお話しになった。それからまた、お答えになりませんでしたけれども、やはり常に演習その他で重装備をし、最新の装備をして日本の近海に来ているわけですから、そういう点から言えば、先ほどから言われておるような、日本に入ってくるノーテラスはサブロックを絶対に装備しておらない、こういうことは断言ができないわけなんです。そういう途中から来る場合に、ではサブロックを装備しているノーテラスだけグアムに帰れ、ハワイに帰れ、こういうことになったり、あるいはサブロックだけ積み荷をどこかへおろして船だけ日本に入ってくる、こういうことがあり得ると思いますか。私はあり得ないと思います。当然に私はそういう装備のまま入ってくると思う。こういうことをどこで見分けるかということが一番問題になってくるのです。だれか、日本の自衛隊なりあるいは私たち社会党なりあるいは民間の民主団体なりにその潜水艦を検査し、——さっきは入港するときは発表するというような話がありましたけれども、点検をさせる、そういうことをさせますか。一切させないでしょう。おそらく日本の海軍なり自衛隊に対してでもノーテラスの最新のものは見せないと思うのです。どうやって、サブロックを積んでおる積んでおらない、あるいは核弾頭を内蔵しておる内蔵しておらないということを明らかにすることができますか。そういう方法があったら、ひとつお教えをいただきたい。
  369. 海原治

    ○海原説明員 核弾頭の問題につきましては、先生御存じのように、従来しばしば予算委員会等においても問題になっております。単にこの潜水艦の魚雷だけでございませんで、たとえばF105に水爆が積めるか積めないか、原爆が積めるか積めないか。私どもが持っておるF104につきましては、これは諸外国におきましては原爆を積んでおるもののようでございます。空対空のミサイルも、日本におります米軍機は一切核のミサイルは持っておりませんし、たとえば核弾頭にいたしても、第七艦隊の航空機はその武装をしようと思えば全部できるものです。しかし、それはしないということにたてまえ上なっております。このことにつきましては、従来から御説明しておるとおりでございます。さらには、第七艦隊が動きますときには、当然これに弾薬補給艦が随伴いたします。特に、アメリカにおきましてもこの核弾頭の取り扱いにつきましては非常に慎重でございます。このことにつきましては、先般のいろいろの事件で御存じと思います。したがいまして、私どもは、従来しばしば同様のお疑いがございましたが、いまだかつて日本に核弾頭が持ち込まれたことはございませんし、このことをもちましても、アメリカとの間の約束と申しますか、お互いの申し合わせというものは十分確認される、こういうふうに考えるわけであります。  さらには、このサブロックにしましても、一般の魚雷とは形が違います。したがいまして、このサブロックが実用化されました場合に、どの程度に一般の魚雷と混載されるかどうか、また常に混載するのかどうか、こういう問題はまだ米海軍等でも方針が決定しておりません。したがいまして、かりに混載ということになりましても、それは従来ほかの核弾頭をつけ得るいわゆる両用兵器と同じような扱いになるかと私ども考えております。
  370. 只松祐治

    ○只松委員 ついでにお聞きをいたしますが、ノーテラスでサブロックを積んだ場合の攻撃力、それからポラリスで重装備した、全装備をいたしてポラリスを積んだ場合の攻撃力というものはどの程度あるか、知っていらっしゃる範囲でお教えをいただきたい。
  371. 海原治

    ○海原説明員 先ほどもポラリスのお話がございましたが、ポラリス潜水艦は原子力潜水艦ではございますが、冒頭申し上げましたように、これは大陸間弾道弾を発射する海中の基地というようにお考えいただけばいいものでございまして、従来の実績から申しましても、これにはゴールドとブルーという二つの乗組員のクールがございまして、二カ月交代で勤務します。したがいまして、たとえば大西洋方面におきましては、ニューイングランドの基地を出ましたものが二カ月後に帰ってくる、(只松委員「破壊力だけでけっこうです。」と呼ぶ)そういうことで行動しておりますので、一般の原子力潜水艦とは違います。現在積んでおりますものは、いわゆるA1タイプのものとA2タイプのものでございます。A1タイプのものは約千二百ノーチカルマイル、千三百八十標準マイルでありますが、A2のものは千五百ノーチカルマイル、この程度の飛翔力がございます。弾頭の破壊力につきましてはいろいろな説がございますが、大きく見積もっておりますものは一メガトン、小さく見積もっておりますものは〇・五メガトン、この程度のものであります。  次にサブロックでございますが、これは先ほど一般魚雷との関係において申し上げることを忘れたのでございますが、最近は一般の魚雷も非常に性能がよろしゅうございます。距離にいたしましても約一万ヤード、すなわち九キロ程度は参りますし、いわゆるホーミングの能力が非常にすぐれておりますので、必ずしもサブロックでなければならない理由はないのでございますが、原子力潜水艦がふえてまいりますと、エンジンの音が非常に小さくなる、したがいまして、なるべく遠くで発見してかつ速力の早いものをつかまえたいということから、このサブロックの開発が過去数年間行なわれたわけであります。これの弾頭につきましては、距離につきましては約五十キロから八十キロの距離を飛翔して、しかも目標の潜水艦のそばに落ちまして、あらかじめ設定されたところで爆破して目標を撃沈することになっておりますが、どの程度の効力があるかということについては、いまだ数字がどこにも出ておりません。私ども承知いたしておりません。
  372. 只松祐治

    ○只松委員 いま結論的にはわからないという話でありましたけれども、たとえば、一般に発表されておるので、サブロックで一発二十キロトン、広島の原爆と同じ程度の破壊力があるのが一隻に十発積んである、それからポラリスは、さっきから言われておるように二千キロから四千キロくらい飛ぶのが、広島の原爆の三十発分くらいの破壊力がある、それ一隻で大体第二次大戦中落とされた全火力に相当するものがある、こういうふうにいわれておるわけなのです。こういう攻撃力があるということはどういうことかというと、万一事故があった場合には、先ほどから言われておる汚染とか何とかいうそういう問題ではなくて、その攻撃力はすなわちその危険度、こういうことになってくるわけです。これはあとでひとつ事故の起こったのをお聞きいたしたいと思いますが、先ほど汚染とか何とかいう問題もありましたけれども、これは質問が終わったことですから私聞きませんが、原子力潜水艦というのは神さまのようなもので何一つ事故がない、こういうふうにお考えですか。これはさっきの緊急避難等の問題とも関係してくるわけですが、私の知っておる限りでは、原子力潜水艦もたくさんの事故を起こしております。原子力潜水艦はこういうおそろしい攻撃力すなわちみずからの破壊力を持っておるが、原子力潜水艦は絶対に安全だ、一切のそういうみずからの危険というものはない、こういうふうに御判断になっておられますか。汚染度とは別に、そういう事故から生ずる危険度について、ひとつ科学技術庁長官なり防衛庁長官からお伺いいたします。
  373. 村田浩

    ○村田説明員 私から……。米側から得ております情報によりますと、米国の保有する原子力潜水艦において、非常に小さなものも含め、事故と称しますか故障と称しますか、そういうものが十件余りあったということは聞いております。しかしながら、その中の、先ほど他の委員の方から御質問のございましたルーズベルト号における放射能汚染の事故を除きまして、他はいずれもきわめて軽微な事故あるいは故障でございまして、たとえば浮上中にたまたま上に漁船がおりましてそれに接触したとか、あるいは何か鯨と接触したというようなことがあったかと思いますが、御質問のような積載する核動力あるいは核兵器に影響があったような事故はあったとは聞いておりません。
  374. 只松祐治

    ○只松委員 いまお話がありましたように、小さい事故は十数回あった、こういうことです。この原研から出ておりますものにも十数回の事例が出ております。御承知のように、おいでになるとわかりますが、東京湾というのはきわめて船の出入が多いところであります。横須賀周辺というのは全く船が密集しておると言っても言い過ぎではないと思います。たびたび海難事故が起こっておりますこういうところに、いま言われましたような非常に膨大な破壊力を持った原子力潜水艦が出入する、こういうことは、単に海水の汚染とかそういう問題ではなくて、一つも事故が発生しない、こういうふうにお考えでございますか。それとも、原子力潜水艦が出入するときには、すべての艦船の出入を停止してこの安全を守る、こういうふうになさるおつもりですか。いままでいわゆる汚染度の安全についてはいろいろ論議がされておるようでございますが、横須賀、佐世保等の艦船の入港に伴う被害というものは全然お考えになったことはございませんか。そういうことは想定はされませんか。防衛庁長官、どうですか。
  375. 小泉純也

    ○小泉国務大臣 先ほど原子力局長からもお話がありましたとおり、小さな事故は相当あったけれども、いまだ、いま只松さんの御心配になるような、いわゆるそのための核爆発というような事故は起こっていないという答弁でありましたが、私どもも、世の中に絶対というものはあり得ないということは、これはだれしも、神様でも絶対に何事もないということは言い切れないと思います。しかしながら、最近における科学の進歩というものが、そういう事故をなからしめるという面においても相当な飛躍的な進歩をいたしておるということは、私どもこれまた常識上でも一認められるところでございまして、原子力潜水艦の日本の寄港に対しましても、先ほど来科学技術庁長官のお話にもありましたとおり、関係各省庁において具体的な受け入れ体制と申しますか、寄港に対する善後処置に万遺憾なきを期するような方策がとられておるのでございますので、それぞれ専門家の間において、たとえば横須賀といたしますれば、いま御懸念のありましたような艦船の出入に対しても、何らかの、全面禁止ということはどうかわかりませんけれども、事故を未然になからしむるという見地から、相当な対策が講ぜられるのではないかと考えておる次第であります。
  376. 只松祐治

    ○只松委員 これはたいへん大きな問題なんです。いま言われた一つのことばじりをとらえましても、この潜水艦の入港を安全にするためには、何らかの航行の規制をしなければならぬ。もししないで——東京湾に行ってごらんなさい。あれだけ船が浮いているのに、潜水艦がぽっかり浮き上がってきたり、あるいは入ってきて横っ腹にぽかっとぶつけられてまっ二つに割れるというような事態にでもなれば、それはそれなりに相当の安全装置が施されてはおるでありましょうけれども、これは重大なことになるわけです。よく日本の科学者が言っておることの中で、とにかくもし東京湾で一隻これが事故を起こして爆発をするならば、当然に関東周辺は一瞬にして吹っ飛ぶ、こういうことが言われておるわけでございますけれども、これは全然危険性がない、こういう話ではないので、この点に対してどういうふうにお考えになるのか。  それから、さっきの緊急避難の場合に、緊急避難はない、こういうことをおっしゃいましたけれども、これは、潜水艦が何ら損傷がない通常の場合、あるいは外的な要因によって、天候や何かが悪い、こういうような場合には、先ほどのような論議ができるでしょう。しかし、言われたように、あるいはここにあるように、十数回もいろいろな事故を起こす。事故を起こして、横須賀ではなしに博多の近くなりあるいは大湊のあたりでするならば1初めは博多や大湊を予備港に指定されようとしたように、その近くに航行できればいいけれども、航行できなかった場合に、やはり緊急避難をしなければならぬだろうと思う。先ほどの大出君との論議は、いわゆる天候その他の論議だったけれども、こういう事故が起こるということを想定した場合に、それでもなおかつ緊急避難というものはあり得ないか、その点について伺いたい。
  377. 小泉純也

    ○小泉国務大臣 まず、先ほどの私どもの答弁の中に、只松さんが心配しておられるようなことは懸念して、関係各省庁において事故なからしむるよう万全の措置がとられるであろうということを申しておきましたが、その中に、他の艦船の入港を制限をすることがあり得るかもしれないと私は申し上げましたが、このことを訂正させていただきますが、これは潜水をして入るのでなくて、日中必ず浮上をして横須賀なり佐世保に入るということになっておるそうでございますので、この面の危険はまずあるまいと考えるのであります。  なおまた、緊急避難の問題については、先ほど来外務大臣からもたびたび答弁がありましたとおり、われわれはそういう事故が起こって緊急避難の事態を予想するような考えはございませんで、あくまでも安全性に信頼をいたしておるような次第でございます。
  378. 只松祐治

    ○只松委員 さっき言われたことを訂正されましたけれども、それは訂正されたほうをむしろまた再訂正をしなければならない。昼間浮き上がってきても、あれだけ艦船の出入の激しいところは、非常に危険なんです。これは別な面からそういう関係者にも聞いたんですが、普通の船でも、いまあれだけふくそうしている東京湾では容易ではない。それをこういう危険な船が東京湾に入ってくるというのは容易ではないのです。何らかの規制か、特別の入港の方法考えないことには、東京湾に入ることは容易でない。だから、もしさっき言われたように少し廃棄する放射能の汚染だけで大問題になるとすれば、さっき言われたように絶対というものはないのですから、もし横っ腹に衝突なんという事故が起きると仮定するなら、これは横須賀の場合には横須置から関東周辺は一瞬にして吹っ飛ぶような事故が起きないとも限らない。そういうことが想定されるならば、よほど厳重な規制というものがなされていかなければなりません。こういうことになるので、これは単にいま言われる原子力のエンジンの問題だけでもそうですけれども、これがもしわれわれにないしょでサブロックを積んできたというような事態の場合にそういうことが起こったときには、これは一内閣の政治問題等では済まされない日本の国民問題に発展をしてくるわけなんです。こういう点について、皆さん方は、一つもおそれたりあるいはそういうことの危険性がない、こういうふうに断言をなされますか。
  379. 海原治

    ○海原説明員 ただいまの原子力潜水艦が日本の港に入ります場合の危険性につきましては、たしか昨年でございましたか、科学技術特別委員会においても、この問題だけが相当真剣に検討された次第でございます。その際にも関係の向きからも申し上げましたが、ともかく原子力潜水艦の乗り組み員というものは、アメリカの潜水艦の乗り組み員の中でも最も厳重な訓練を施した、いわばえり抜きの者でございます。えり抜きの者でないにしましても、少なくとも軍艦の操舵を行ないます艦長というものは、それぞれにみな第一級の能力を持った者でございますので、この潜水艦がかりに三千トンであり、五千トンであり、こういうものが浮上をして入ってまいりますことにつきまして、特にその船のために一般の航行を制限するということは、まず一般には考えられないことでございます。現に、ニューヨークなり、あるいはパールハーバーの基地に参りますというと、私も原子力潜水艦に乗った次第でございますが、きわめて簡単に出入りをしております。普通の潜水艦の基地に係留すると同じような形でもって、シードラゴンという原子力潜水艦ですが、これが楽々と係留されております。したがって、お説のように非常に大規模な一般の艦船の航行を制限してまで大事をとらなくてはならないような状態というものは、まず私どもとしては予想いたしておりません。
  380. 只松祐治

    ○只松委員 時間が過ぎましたので質問を終わりますけれども、いまのお答え一つにいたしましても、まあ私も飛行機に乗ったことがあるわけなんですが、もちろん操縦士あるいは戦闘機搭乗員というものは、えり抜きのすばらしい能力を持った人間であります。しかし、飛行機は戦時中だってばたばた落ちたでしょう。あるいは事故を起こしたでしょう。そういういまみたいな、アメリカの軍人だから優秀だとか、あるいは訓練されているから優秀で事故が起きない、こういうでたらめな答弁というものはないわけなんです。そういうことじゃなくて、やはりほんとうにこういう事故が起こる。しかも、現に大事故にまで至らないで、海底でたまたま沈んで大爆発をしなかったからいいけれども、スレッシャー号も事故を起こしており、十数回にわたってこの原子力潜水艦というものは事故を起こしておるのです。こういう問題について、汚染とは別に、もっと別な角度から厳重にこの問題を研究し、あるいは対処していかなければならない。そのことを強く防衛庁当局に要望いたしておきたいと思います。万が一そういうことにでもなれば、それこそ取り返しのつかないことになる。  結論いたしますと、二、三十分でこういう重大な問題をちょこちょこっと質問をしたわけでございますから、全く私も意を尽くさないわけでございますけれども、いまこうやって急速に持ち込まれてきたのは、愛知科学技術庁長官が言われておるように、何とはなしに、いつとはなしに、大体原子力委員会が安全性を認定したから来たんだ、そういうばかげたことでないので、これは、当然に、いまの極東の諸情勢、ラオス、ベトナムの情勢、こういう中で、日本というものが極東における唯一最大の安定した国家である、しかも日米安全保障条約に基づくきわめて深い軍事的な同盟関係がある、ここで現在の兵器の一番主力をなしておるこの原子力潜水艦を日本に寄港させる突破口をいまのうちにつくっておかなければならない、また、いまつくることは、あらゆるそういう極東の諸情勢の中できわめて重大な意義を持つ、こういうことで今回急速に国会の休会中ということで抜き打ち的に行なわれたものであるわけなんです。そういうことは、私が言うよりも、ここに共産党のも社会党のもいろいろなやつが全部あります。自民党のやつもありますけれども、自民党の安保条約の改正その他の中にもよくそういうことは書いてあります。したがいまして、私たち社会党はそういう面からのこの原子力潜水艦の寄港というものに全面的に反対をしてまいります。政府のほうにおかれましても、一応こうやって受け入れることを決定されたわけでございますけれども、今朝来汚染の問題から始まりましていろいろ伺いましたが、こういう危険な問題がまだたくさんあるわけです。しかも、アメリカの海軍なりアメリカの軍隊は信用するけれども、日本の学者、日本の学術会議、こういうものがまだ十分問題を解明しておらないし、また多く反対をしておる、こういう問題も皆さん方は十分御承知のところであるわけでありますから、こういう点も十分考慮されて、ひとつ御反省いただきたいということを要望いたしまして、終わります。
  381. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後六時四十三分散会