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1964-06-20 第46回国会 衆議院 内閣委員会 第47号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月二十日(土曜日)    午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 徳安 實藏君    理事 伊能繁次郎君 理事 佐々木義武君    理事 内藤  隆君 理事 永山 忠則君    理事 石橋 政嗣君 理事 田口 誠治君    理事 山内  広君       安藤  覺君    岩動 道行君       大石 八治君    壽原 正一君       高瀬  傳君    保科善四郎君      茜ケ久保重光君    大出  俊君       楢崎弥之助君    村山 喜一君       受田 新吉君    永末 英一君  出席国務大臣         国 務 大 臣 福田 篤泰君  出席政府委員         防衛庁参事官  麻生  茂君         防衛庁参事官  志賀 清二君         防衛庁参事官         (長官官房長) 三輪 良雄君         防衛庁参事官         (防衛局長)  海原  治君         防衛庁参事官         (教育局長)  堀田 政孝君         防衛庁参事官         (人事局長)  小幡 久男君         防衛庁参事官         (衛生局長)  軽部彌生一君         防衛庁参事官         (経理局長)  大村 筆雄君         防衛庁参事官         (装備局長)  伊藤 三郎君         防衛施設庁長官 小野  裕君         防衛庁事務官         (防衛施設庁総         務部長)    沼尻 元一君         防衛庁事務官         (防衛施設庁施         設部長)    鈴木  昇君         防衛庁事務官         (防衛施設庁労         務部長)    藤本  幹君         検     事         (訟務局長)  青木 義人君  委員外出席者         専  門  員 加藤 重喜君     ————————————— 六月十九日  委員藤尾正行君及び湊徹郎辞任につき、その  補欠として藤枝泉介君及び大倉三郎君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員大倉三郎君及び藤枝泉介辞任につき、そ  の補欠として湊徹郎君及び藤枝泉介君が議長の  指名委員に選任された。 同月二十日  委員野呂恭一君、渡辺栄一君、山田長司君及び  山下榮二辞任につき、その補欠として大石八  治君、安藤覺君、楢崎弥之助君及び永末英一君  が議長指名委員に選任された。 同日  委員安藤覺君、大石八治君、楢崎弥之助君及び  永末英一辞任につき、その補欠として渡辺栄  一君、野呂恭一君、山田長司君及び山下榮二君  が議長指名委員に選任された。     ————————————— 六月十八日  国立病院療養所に勤務する医師及び歯科医師  の待遇改善に関する請願木村剛輔君紹介)(  第四三三一号)  国立大学教官待遇改善に関する請願(上村千  一郎君紹介)(第四三三八号)  同(足鹿寛紹介)(第四三六〇号)  同(大西正男紹介)(第四三七七号)  同(野原覺紹介)(第四三九七号)  同(古井喜實紹介)(第四四〇一号)  同(田村良平紹介)(第四四一〇号)  同外十二件(大西正男紹介)(第四四一七  号)  靖国神社国家護持に関する請願(逢澤寛君紹  介)(第四三三九号)  同(小川半次紹介)(第四三四〇号)  同外一件(床次徳二紹介)(第四三四一号)  同外四件(石田博英紹介)(第四四九六号)  同(辻寛一紹介)(第四五四二号)  靖国神社国家護持に関する請願外三件(中馬  辰猪君紹介)(第四三四二号)  同(二階堂進紹介)(第四三四三号)  元南満州鉄道株式会社職員であった公務員等の  恩給等通算に関する請願田中龍夫紹介)(  第四三四八号)  退職警察職員恩給是正に関する請願大坪保  雄君紹介)(第四三四九号)  同(加藤常太郎紹介)(第四五四一号)  恩給年金等受給者処遇改善に関する請願(  大坪保雄紹介)(第四三八三号)  同(上林山榮吉君紹介)(第四四五〇号)  同(廣瀬正雄紹介)(第四五〇〇号)  少年非行に対する審議機関設置に関する請願外  三十二件(吉田賢一紹介)(第四三八四号)  同外百三件(田中武夫紹介)(第四四〇二  号)  同外九十九件(渡海元三郎紹介)(第四四一  一号)  同外二十四件(吉田賢一紹介)(第四四一八  号)  同外三十二件(吉田賢一紹介)(第四四八〇  号)  同外二十九件(吉田賢一紹介)(第四五四三  号)  接収借地借家権者被害救済に関する請願(西  村直己紹介)(第四三八六号)  日本赤十字社元救護看護婦戦時召集期間を恩  給等通算に関する請願床次徳二紹介)(  第四四〇三号)  元満州国等政府職員恩給に関する請願(荒木  萬壽夫紹介)(第四四四六号)  同(辻寛一紹介)(第四四四七号)  同(野呂恭一紹介)(第四四四八号)  同(吉川久衛紹介)(第四四九七号)  同(武市恭信紹介)(第四四九八号)  同(矢尾喜三郎紹介)(第四四九九号)  同(青木正紹介)(第四五三九号)  同(田中龍夫紹介)(第四五四〇号)  宇都宮市に勤務する国家公務員寒冷地手当支  給に関する請願外十四件(藤尾正行紹介)(  第四四四九号)  同(藤尾正行紹介)(第四五三八号)  公務員賃金引き上げ等に関する請願堀昌雄  君紹介)(第四五五二号) 同月十九日  恩給年金等受給者処遇改善に関する請願(  池田清志紹介)(第四六〇〇号)  金鵄勲章年金及び賜金支給に関する請願池田  清志紹介)(第四六〇一号)  元満州国等政府職員恩給に関する請願(小金  義照君紹介)(第四六〇二号)  同(保科善四郎紹介)(第四六三六号)  同(山本幸雄紹介)(第四六三七号)  同(内海安吉紹介)(第四七四九号)  同(佐々木更三君紹介)(第四八一五号)  同(川野芳滿紹介)(第四八一六号)  国立大学教官待遇改善に関する請願(一萬田  尚登君紹介)(第四六三三号)  同(林百郎君紹介)(第四六三四号)  靖国神社国家護持に関する請願佐々木義武  君紹介)(第四六三五号)  公務員賃金引き上げ等に関する請願外二件(  加藤進紹介)(第四六三八号)  同外一件(川上貫一紹介)(第四六三九号)  同(加藤進紹介)(第四七九一号)  同(谷口善太郎紹介)(第四七九二号)  建設省設置法の一部を改正する法律案等反対に  関する請願川上貫一紹介)(第四六四〇  号)  公務員賃金引き上げ等に関する請  願(加藤進紹介)(第四七〇三号)  同(谷口善太郎紹介)(第四七〇四号)  同外二件(加藤進紹介)(第四七八七号)  同(川上貫一紹介)(第四七八八号)  同外一件(谷口善太郎紹介)(第四七八九  号)  同外三件(林百郎君紹介)(第四七九〇号)  旧軍人等恩給是正に関する請願小山長規君  紹介)(第四七五〇号)  行政整理反対等に関する請願外一件(加藤進君  紹介)(第四七九三号)  同外一件(川上貫一紹介)(第四七九四号)  同外一件(谷口善太郎紹介)(第四七九五  号)  同外一件(林百郎君紹介)(第四七九六号)  国家公務員給与改定等に関する請願(林百郎  君紹介)(第四七九七号)  少年非行に対する審議機関設置に関する請願外  四十一件(渡海元三郎紹介)(第四八一四  号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法  律案内閣提出第一一七号)      ————◇—————
  2. 徳安實藏

    徳安委員長 これより会議を開きます。  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。石橋政嗣君
  3. 石橋政嗣

    石橋委員 審議に入ります前に、一言だけお尋ねをしておきたいと思います。わが党といたしまして、審議に臨む基本的な態度を明確にする必要がありますので、お尋ねするわけでございますが、問題は、防衛庁昇格問題であります。この件につきましては、歴代長官が、最近はほとんど就任と同時に、あるいは任期中に、必ず言明をした問題でございますが、本日まで実現を見ておらないわけでございますけれども、そのためか、前防衛庁長官あるいは政務次官といったような人たちが、いわば結束をいたしまして、自民党国防部会に立てこもって盛んに圧力を加えてきた。いわば、歴代長官とも非力であったのかどうか知りませんけれども、一人ではいかんともしがたく、毛利元就の故事にならって束になってかかってきたということだろうと思うのですが、その結果、この十二日に閣議昇格法案をまとめたということを私ども聞いておるわけです。この件について、どうしても社会党としては納得がまいりません。これは単に防衛庁防衛省というふうに名前を改めるとか、あるいは防衛庁長官防衛大臣になって気持ちがいいとかいうような単純な問題ではないと思うわけです。いままで盛んに歴代長官がこれを取り上げ、口にしたにもかかわらず、実現を見なかったのも、やはり基本的な問題があるから政府としても決意をしかねておった、いわば世論というものに非常に気を使っておったからこそだと私たちは思うわけです。それを今回、行政機構の面から自衛隊防衛庁を認知させようというような動きが、非常に強烈に出てきておるわけでございますが、この問題は、本質的に解決するには憲法によって解決する以外にないのであって、国会内の多数をもって押し切って、そうして自衛隊防衛庁を認知させようなんということは、私は許すべからざる暴挙だというふうに考えておるわけです。こんなことで防衛庁の地位を高めるとか、あるいは自衛隊員の士気を高めるというようなことは、絶対にできない。本質の問題はもっとよそにあるというように私たちとしては考えております。  それからいま一つは、今国会が始まりました当時、大臣にも、あるいは総理大臣にも私申し上げたわけですが、現在臨時行政調査会というものが設けられて、行政機構全般にわたって慎重に検討を加え、作業を進めておる。そういう段階において、防衛庁機構の問題だけ取りはずして単独で結論を出すというようなことは、許されるべきことではないということを強く申し上げた結果、一応臨時行政調査会意見を聞きましょうということになったわけです。そうしてその結論が出たわけですが、臨時行政調査会としても、緊急性を認めずという答申をいたしておることは、御承知のとおり。にもかかわらず、閣議防衛庁昇格法案を最終的に決定したというようなことが報道されておる。そういうことになりますれば、これは全く形式的に臨時行政調査会に諮問をした、ていさいを整えるためにやったというようなことにすらなりかねぬわけです。この点でも私どもとしては承服できません。  それからいま一つは、このような重要な問題を会期わずか何日というような段階になって出すとか、出さぬとかいうことを言っておる政府の不見識さであります。私は、わからない。強硬派をなだめるために形だけ出そうというのか。それとも会期が少なかろうと、残りが何日であろうと、問答無用、審議の必要などはない、多数にものを言わせて一挙に押し切ってしまえばいいんだ、こういう考え方が基本的にあって、延長国会のぎりぎりの、余すところ数日というところになって閣議決定をやり、いまにも出すような姿勢を示すということなのか。どっちにしたところでこれは承服できません。納得できません。これは単に私ども納得できないということではなくて、国民全般納得いかないと思うわけです。以上三点だけ取り上げたわけでございますが、とにかくこの防衛庁昇格などというものを安易に取り上げ、しかも日にちもないような現段階で、依然として国会提出しようという考えがあるのかどうか。もしあるとするならば、われわれもそれ相応の態度を確定して審議に臨まなくちゃならないというふうに考えておりますので、冒頭、この点だけひとつ確認をしておきたいと思うわけです。
  4. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 防衛庁の省昇格問題は、昨年の六月に自民党総務会正式機関において決定をみまして、来たるべき通常国会の劈頭に提案するという基本的な方策が定められました。しかしながら、いろいろな紆余曲折がございまして、非常に時間がおくれまして、ようやく先般閣議決定を見たわけでございます。  なお、御指摘の行政管理庁の意見の相違につきましては、閣議決定の直前におきまして、昇格に対しては、異存はない、しかし、政治的優先その他の条件を守ってもらいたいという御要望がございましたが、一応閣議決定をみたことは御承知のとおりであります。したがいまして、直ちに政府といたしましては提案すべき筋合いのものでございます。また、われわれといたしましては、省昇格はあらゆる点から見ても適切であり、必要であるという考えをいまだに強く持っておりますが、まことに残念ながら、時間の都合でいろいろ遅延をいたしまして、今国会会期わずか、非常に余数も限られておりまして、まことに不本意、遺憾千万ではありますが、この国会には提出はきわめて困難の見通しであります。
  5. 石橋政嗣

    石橋委員 困難ということはどういうことなんですか。困難な状況が排除されれば、たとえばこれからわれわれが審議しようとする二法案が早めに通れば、そのあとにちょこっと出そう。困難が排除されたから、その場合には出すというふうにも取れるわけです。もう少し明確にしていただかなければ、われわれも、どうも今後の審議に臨んで微妙な態度に置かれておりますので、もう少しはっきり言っていただきたい。
  6. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 国会運営のベテランである石橋委員でありますので、私のきわめて困難という意味が、大体御了解いただけると思うのであります。私どもの意に反しまして、なかなか提出はむずかしいんではないか、そういう見通しを持っております。
  7. 石橋政嗣

    石橋委員 どうにか政府のほうも良識を取り戻したのではなかろうかという判断がつきます。それも、良識を取り戻したというよりも、時期が切迫してきて、取り戻さざるを得ないということになるんじゃないかと思うのです。しかし、あやまちを改むるにはばかることなかれということもございますから、一応いまの大臣答弁は、本国会には絶対に出さないということに理解いたしまして審議に入りたいと思いますが、そういうふうに理解してようございますか。
  8. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 遺憾ながら石橋委員の言われた表現が、そのままそういう形でなるんではないか、残念ながらそう考えております。
  9. 石橋政嗣

    石橋委員 それでは、私の質問は後日に譲りまして、きょうはその程度だけで、他の委員諸君から質問をやっていただきたいと思います。
  10. 徳安實藏

    徳安委員長 大出後君。
  11. 大出俊

    大出委員 最近の新聞をいろいろ見ておりますと、有事駐留の形で米軍の配備の方式を変えてまいっております関係から関連をして、自衛隊関係のいろいろな問題、さらにはアメリカ自体がいろいろな発表をしているようでありますが、その中で一つ冒頭に承っておきたいのは、米軍縮小という形の中で、そのあとを受けて肩がわりをする、こういうふうな観点からだろうと思うのでありますが、四十二年から四十六年にかけての第三次防衛計画検討中であるということが、多少内容に触れて昨今出ているわけでありますが、まず、これについてどういう角度から今日どの程度検討が行なわれているのかという点について、概略大臣から御説明いただきたいと思います。
  12. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 第三次防の問題につきましては、基本的な問題のあり方につきまして、関係の部局で検討を進めておる最中であります。
  13. 大出俊

    大出委員 実は単に検討を進めているというだけでは相済まない問題が、すでに起こっていると思うわけであります。その一つは、最近朝日新聞等に出ておりますように、四分の一の経費負担アメリカ側がして、武器を日本に売り込んで訓練をするというふうなことが出ています。  さらにもう一点は、今日米軍が使っておる基地につきまして、共同使用のような形で自衛隊がこれに肩がわりをする。先行き米軍をさらに縮小をする場合には、自衛隊がその基地を使う、こういう計画が出てきているわけであります。あとから予算の点についても承りたいと思っておるわけでありますが、こういう問題が出ておりまして、これをいろいろな方面から調査をしているようでありますが、第三次防との関連がきわめて密接であるということでありますから、そうなると、検討中であるということではなしに、すでに動いている、こうなりますと、検討中だからわからないということでは済まないものだと思うので、はっきり御答弁いただきたいと思います。
  14. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 本日の新聞報道によります。いわばアメリカ国務次官補言明といわれるものでありますが、内容がはっきりいたしておりません。さっそく外務省と軍事顧問団にただいま照会中でございまして、いかなる内容のものか、計画を至急知らせるように連絡をとっておるわけであります。  なお、具体的な問題といわれますが、とりあえず四十年度の予算の要求にも間接には影響がございまして、大体これは八月中旬ごろまでにとりあえず四十年度、明年度予算との関連においてもデータを整理いたしたい。これがあるものは、第三次防には御指摘のとおり当然関係が出てくる。いまは具体的には申し上げられる段階ではございません。
  15. 大出俊

    大出委員 例の新聞発表の件について照会中というのでありますが、ああいうふうに出ますと、何か数字については検閲で切られたというような形のものまでちらほら書いてありますから、そうなると、非常に疑いを各方面が持つわけでありまして、一刻も早く明らかにしなければならぬ問題だと思います。たまたまきょうは土曜日であるにかかわらず、本委員会は精力的に開かれておるのでありますから、問い合わせ中であるとすれば、その概略がわからぬはずはないと思うので、記者の諸君の耳に入るのでありますから。したがって、その点については、きょうの委員会は昼過ぎまで続くのでありましょうが、途中でもけっこうですから、わかった点については明らかにしていただきたい、こう思うのでありますが、どうですか。
  16. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 委員会開会中にもし間に合いましたら、もちろん直ちに御報告申し上げることにいたします。
  17. 大出俊

    大出委員 ところで、横浜市の金沢区の富岡というところに、今日、弾薬の陸揚げ倉庫等が多少ある富岡基地というのがあるのでありますが、この地域に、もちろんこれは大多数国有地でありますけれども自衛隊導入をする、御殿場北富士、あちらのほうから入ってくるということでありますが、この問題をめぐって地元紙の伝えるところによりますと、いま私が申し述べておりますような第三次防等計画その他がいろいろある、こういうふうに書いているわけであります。それで冒頭質問をしてみたのでありますけれども参議院における長官答弁によりますと、これは議事録に明らかなところでありますけれども地元の住民あるいは市自体——市会を含めますが、こういうふうなところが反対をしておる今日の事情からいたしまして、そういうときに自衛隊導入をする、こういうふうなことがはたして可能かどうかという点で、長官答弁は、「あくまでわれわれは地元丁解ないし同意を得てやるたてまえになっております。これを無視して押し切るとかいうことはどこにもやっておりません。」こういう答弁をされているのであります。これは三月十一日の参議院決算委員会でありますけれども、この考え方は変わっていないかどうか、冒頭確めておきたいと思うのです。
  18. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 御殿場にあります陸上自衛隊普通科連隊富岡地区に持ってまいりたいという考え方は、私どもいまだ持っております。ただ、いま御指摘の三月の答弁につきましては、当然そのままの考えを持っておりまして、やはり地元の方々の十分納得をいただいて、協議の上でその計画を実施いたしたいという考えは、捨てておりません。
  19. 大出俊

    大出委員 つまり、地元の方の納得をいただいてと、こういうわけでありますが、地元反対というのがどういう姿で一体あらわれるかということになりますと、まず、自治体でありますから、横浜市となれば、市会諸君ということになるわけでありますが、この点について、この富岡への自衛隊導入発表されましたといいますか、明らかになりました直後に、三月の十二日でありますけれども市会におきまして、市会議員諸君全員協議会等が開かれまして、この席上で、前市長が出しました文書等の報告も行なわれ、内容もつまびらかにした上で、さてどうするかという問題を討議をいたしておりますが、全員一致で、自衛隊導入どころの騒ぎではなくて、この富岡基地を、今日まで横浜市が負っておるこの損害から考えたときに、無償提供すべきではないかということでの自治法に基づきます政府に対する申し入れ等がきまっているわけでありますが、こうなりますと、市会意思というものは明確に、まさに全員一致で、導入反対だ、こういう態度になっておりますし、市長はすでに皆さん御存じ飛鳥田氏でありますから、彼も明確に反対意思表示をいたしております。かつ、昨今では、この地域を中心にして、市内各地におけるこの自衛隊導入に対する反対の集団の期成同盟等ができつつあるという事情にあるわけでありますが、これらの事情考えたときに、先ほど地元反対を押し切ってやるなんということはないんだと言われておる点からいたしまして、将来に向かって説得をする、こういうふうに受け取れる答弁もいまあったわけでありますが、その辺のところをどう考えておられるのか、もう一ぺん明確にしていただきたいと思います。
  20. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 前半井市長のときに一度御連絡いたしましたいきさつもございますし、また、先ほど申し上げるとおり、何とかしてわれわれとしては普通科連隊を持ってまいりたいという考えを、まだ持っておるわけであります。しかし、いろいろな地元事情も十分あるようでございまして、今後も折衝し、御納得をいただきたい、この努力をいたす考えをいまだに捨てておりません。
  21. 大出俊

    大出委員 地元反対をしているのは承知だが、しかし、これからなお説得をして持っていきたい、こういう意思を変えていない、こういう答弁だというふうに理解をするのでありますが、皆さんのほうで御存じかどうか、まず確かめておきたいのでありますが、横浜国際港建設法という法律があることを御存じですか。
  22. 小野裕

    小野政府委員 そういう法律のあることは存じておりまするが、まだ詳細について十分な研究はできておりません。恐縮でございます。
  23. 大出俊

    大出委員 この法律は、法律第二百四十八号という法律でありまして、昭和二十五年十月二十一日公布されているのでありますが、これは「日本国憲法第九十五条の規定に基く横浜国際港建設法をここに公布する。」こういう内容であります。これは各条文をずっと当たってみますと、簡単に申しまして、横浜市というもの、さらに横浜港というものをどう考えるかということで、これは国際港都としての機能を十分に発揮してもらうようにしなければならぬ性格のものだ、貿易あるいは海運あるいは外客の誘致の一そうの振興を期してもらいたい、そうして、わが国の国際文化の向上に資するとともに、経済の復興に寄与する、このことをこの法律の目的とする、こういう筋合いでありまして、計画と事業というものが明確に規定をされているのであります。そうして、横浜国際港建設計画というものをつくって、都市計画法との関連等考えて、国際港都にふさわしい諸施設の計画をつくれ、こういう内容になっているのであります。さらに、これは市長が六カ月ごとに建設大臣に、横浜国際港都建設事業の進行状況ということで報告する義務づけができておりますし、「内閣総理大臣は、毎年一回国会に対し、横浜国際港都建設事業の状況を報告しなければならない。」、こういう規定までついているわけであります。したがって、この法律は、現在生きている法律でありまして、横浜における各種計画というものは、これらの法律とも関連をして計画が立てられているのであります。  そこで、富岡につきましては、あすこの前に埋め立てをつくるという計画が進行中でありまして、このことが前市長の時代から長く政府に対する申し入れになり、その背後地としての今日の接収地域について、この国際港建設法等にもありますように、国際港都としての横浜の経済建設のためにどうしても必要な地域なんだということで、再三政府に対して折衝が行なわれ、文書が提出をされ、繰り返してやりとりが行なわれている、こういう性格のものなのでありますけれども、これらのことを考えるときに、この地域に、こういう点からいたしましても、自衛隊導入をするなどということがあり得るはずはありませんし、前もって、これは払い下げてもらいたい、そうして、国際港都にふさわしい横浜計画に合わせるように大臣は協力しなければならぬ責任と義務がこの法律にあるのでありますから、当然協力がほしいということを訴えているわけでありますが、にもかかわらず、国がこれに対して逆に、自衛隊導入して、半恒久的基地ということにしてしまう、まさにこの法律等から考えまして、全く逆を行く結果になっているというふうに考えるのでありますが、その点についての御答弁を賜わりたいと思います。
  24. 小野裕

    小野政府委員 ただいまの御意見でございますが、横浜の港都としての発展をお手伝いするために政府としても当然考えなければならぬ点はあるわけでございますが、ただいま具体的な問題としての富岡の倉庫施設、倉庫地帯、これは御承知のように現在米軍に提供されておるわけでありまして、米軍としてはぜひあれを今後とも使いたいと申しておる状況でございます。しかも国有地でもあるという関係から、この点について何らか好都合な解決がつくならば、もちろんそういうふうにいたしたいのでありますけれども、当面のところは、いますぐどうこうということも考えられません。また、一方そうした都市建設の面はございますけれども、また自衛隊のような施設がもし適当である、あるいは必要であるというようなことでお話しがつくならば、そういうものが配置されることも一がいにこれは筋違いであるということにはならないかと思うのであります。ただ、ただいまの自衛隊導入と申しますか、配置ということにつきましては、現在そういう希望はあり、検討はいたしておりますけれども、目下準備といいますか、検討中の段階でございまして、まだ確定しておるわけでございませんので、地元と御相談をする段階には至っておりません。
  25. 大出俊

    大出委員 いまのこの法律検討されておらないというふうにおっしゃっていて、長官はいまこの法律の趣旨に必ずしも反しない、こう言うのでありますが、検討していないという方が、反するも反しないもないのでございまして、検討しないということは、つまりしてないということは、わかっていないということなんでございますから、わかっていない人が、趣旨に沿うとか沿わないとか言える筋合いのものではないと思いますが、この点はどうですか。
  26. 小野裕

    小野政府委員 私は、ただいま御指摘法律につきまして十分に勉強はしてなかったので恐縮でございますけれども、この法律の趣旨というものが、大体港湾都市として発展をするその建設面についていろいろ積極的に考慮していくという趣旨であることはわかっておるわけでございまして、そういう意味で、大きな立場から申しますならば、私いま申し上げましたような考え方が出てくるわけでございます。
  27. 大出俊

    大出委員 富岡倉庫地区というのは、昭和二十年の九月二日に接収されたところでございまして、土地面積約十万三千四百二坪、この中に民間の、あるいは公有地が五百十三坪、建物の国有のものが一万一千六百七十五坪というふうなことになっているわけであります。土地が非常に広い、つまり遊休地のような形になっていますけれども、現実にあそこには何と何が今日あるか、御存じですか。
  28. 小野裕

    小野政府委員 ただいま富岡の倉庫施設は、米陸軍におきまして、各種の需品、兵器等の集積貯蔵の倉庫として使い、またこれを海上輸送をいたします際に、あそこで揚陸あるいは荷積みをする岸壁施設を伴っておる施設として使っておるという状況でございます。
  29. 大出俊

    大出委員 私は、実はあそこに行って聞いてみたのでありますけれども、私に説明をしてくれた方は、現実にいまここに入っておるのは、ジープの使えなくなったもの等を若干格納しているだけで、なるほど見ますというと荒れほうだいの建物でありまして、一回り全部回ってみましたが、そういう状態で、ほとんど何もありません。そこで向こうの方々の説明によりますと、この逗子市の池子というところに弾薬の集積地がございまして、これとの関連における弾薬の陸揚げをする、そのために必要である、こういうことを明確にいたしております。それが今日便っているほとんど全部であって、ところでそれならば、一体池子のこの弾薬の集積地に運ぶ、陸揚げをする云々という点については、どうしても富岡でなければいけないのかという話をいろいろいたしましたところが、もし必要であるならばあとからここにある資料を出しますけれども米軍の側では何も富岡に限ったことはない、他に適当なところがあればいい、こういう意味で、ここを固執しているわけではない、こういう点がほぼ明らかになっております。  それから私は地理的関係をよく知っているのでありますけれども富岡から揚げて、さてこれを池子まで運ぶということになりますと、町の方々は内容をよく知っておりまして、この弾薬の問題等については、非常に危険を感じ、心配をしているわけであります。もっと相模湾の側のほう、あるいは追浜の東のほう等から陸揚げをすれば、きわめて距離的に近いのでありますし、そういう点等からいたしますと、何もこの富岡の岸壁を使わなければならない理由はないのであります。当然そのことは、米軍の側も承知の上であります。そうなってくると、二十年の時代と今日は時代が違うのでありますから、いまいろいろ言われる、どうしてもここを使わなければならぬという理由はないのでありますので、そうならば、これは米軍の戦略変更等といろいろからみまして、これから先やりようによってはきわめて近い時期に、この池子に通ずる弾薬の陸揚げという点は、計画を変えてもらうこともできるわけであります。そうなってまいりますと、先ほどの法律等との関連からいって、協力をしなければならぬ国の責任と義務があるのでありますから、横浜市の計画が明らかになっておって、この前面に埋め立てをしようという計画が初めから立てられて進められている筋合いでありますから、そうなりますと、当然その背後地のこの地域について、ほとんどいま申しましたように遊休化されている地域なんでありますから、それについて協力を惜しまないという態度があってしかるべきものと考えるのであります。にもかかわらず、自衛隊をというのは、どこから考えても筋が通らない。こういう現実に富岡がどうなっているかということを、私はもう少し詳しくこれを調べて知っていただかなければならぬというように思うのでありますが、いまの御答弁を聞いてみますと、さっぱり見当が現実とかけ離れたものになっているのでありますが、これらの点について、もう一ぺんどうお考えになっているか、御答弁を賜わりたいと思います。
  30. 小野裕

    小野政府委員 ただいまお話がございましたように、池子の弾薬庫との関係においてあの富岡施設が重要である、このことは、そのとおりであります。今日それがフルにそういう意味においてのみ使われているわけではないのでありまして、その他の車両あるいは飛行機の修理ということにも、近所の工場との関係がございまして使われておるわけでございますが、この地帯が米軍にとって必要欠くべからざるものであるかどうかという点につきましては、かねてからいまお話がございました地先の水面埋め立ての問題がございまして、そのために岸壁の使用が困難になるという問題がございますので、その問題に関連していろいろ米軍側と詰めておるところでございます。そういう意味において、私どもはある程度事情承知しておるわけでありますが、現在の米軍考え方として、それにかわる有効なところがあるならばこれはまた別でございますけれども、現在のところ、これにかえる揚陸地点というようなものについて、まだ私どもにも確信がございません。そういうような意味で、現在のところそのまま使わせざるを得ない、こういうふうに考えておるわけであります。  なお、ほかの海岸あるいは港湾というものについて、もっと便利なところがあるではないかというお話もございます。追浜というお話もございました。追浜も、そういうような意味である程度使っておるのでありますが、なおいろいろな問題が関連がございまして、追浜に集中するということも困難な状況にございます。まして他の新規のそういう陸揚げ地点を設定するということについては、まだ私どもの準備ができておりません。そういう意味で、あれをいま返還させるということに踏み切れないわけでございます。
  31. 大出俊

    大出委員 この基地の岩壁に隣接をして埋め立て事業が認可されているのでありますが、そこで、米軍は施設特別委員会を通じて、一定の水路確保の事前協議等を前からいろいろ言っている事情があるのでありますが、最近どういうことになっておりますか、ひとつ御答弁願います。
  32. 小野裕

    小野政府委員 ただいま御指摘米軍側からの申し入れは、その通りでございまして、今後地先全面が埋め立てられましても、岩壁施設、港湾施設が利用できるように配備してほしいという申し入れでございまして、これは当然だと思います。そういうような点から、私どもは本年度着手されると伺っておりますが、ちょうど富岡倉庫地帯の前面の埋め立て計画、具体的な計画については、それらの点を考慮してもらえるように運輸省並びに横浜市のほうへいろいろ御相談を申し上げておる、こういう段階でございます。
  33. 大出俊

    大出委員 この自衛隊導入について、続いて聞いておきたいのでありますが、本年度予算に別な名目で予算が計上されているのでありますが、どのくらいの額か、御存じでございますか。
  34. 小野裕

    小野政府委員 ただいまお尋ねの、予算が別な名目で計上されているとおっしゃいますが、どういう予算でございますか。また私のほうは、御承知のように、自衛隊予算米軍関係の施設庁の予算と別な組み方にもなっておりまするし、どれをおさしになるのか、もう一度お願いいたします。
  35. 大出俊

    大出委員 経理局施設課の方々に、どなたと申し上げていいのか悪いのかわかりませんけれども、名前は、もしそれほど皆さんのほうで秘密にしておられないということであれば、あとから申しますが、とりあえず名前を申し上げないつもりでおりますけれども富岡兵舎の改築ということで、維持、修理費というような名目だと思うのでありますが、四千万だということをいわれているのでありますけれども、どうも七千万くらいありそうに私は思うのであります。その点についてどうかと、質問しているわけであります。
  36. 大村筆雄

    ○大村政府委員 お答え申し上げます。  富岡地区の兵舎の修理費は四千万円、実際は七千万円くらいついておるのじゃないかというお話でございますが、そういう予算はついてございません。
  37. 大出俊

    大出委員 といいますと、全く予算がないというのですか。
  38. 大村筆雄

    ○大村政府委員 そのとおりでございます。
  39. 大出俊

    大出委員 私のほうは、市からもあれしておりますし、私からも直接聞きましたが、直接担当の方のある人に聞いてみたのでありますが、その方が、どうもこれは自衛隊導入するためという名目はつけがたいものだ、しかし、富岡の兵舎の改築というふうなことで大体四千万ぐらいのことになっているのだという話を現にしているのでありますけれども、それでもないとおっしゃるのですか。
  40. 大村筆雄

    ○大村政府委員 先ほど御答弁したとおり、ございません。
  41. 大出俊

    大出委員 それじゃ言った人を明らかにしてもいいのですけれども、その場合、その人の問題はどういうことになりますか。
  42. 大村筆雄

    ○大村政府委員 だれがそういうことを申し上げたかよく存じませんが、そういうことはないと考えております。
  43. 大出俊

    大出委員 どうもないと考えておりますというと、少しことばのニュアンスが変わってきたのですが、ございませんが三回、ついてないと考えておりますということになると、ないと考えたのですが、ありましたということになったのでは困るので、そこのところを、名目をどういうふうにしておるかということは、それは片さんが実行の面でいろんなことをされておるのだから、なかなかつかみにくいことだと思うのですけれども、将来になってみるとわかることだと思うのですが、そこまで何もひた隠しにされぬでも、もう少し、担当の方が不用意に言ったのかどうか知らぬけれども、その方に迷惑をかけたくないから——またそうなると、皆さん口どめをされるだろうから、今度会ったときに言わぬだろう。そこで、ここに書いてあるからあげてもいいのだけれども、私は名前をあげたくない。多少あるならあると、考えておりますなどと濁さないで言うたらどうですか。
  44. 大村筆雄

    ○大村政府委員 答弁申し上げる表現が拙劣でちょっと誤解を与えたかと思いますが、はっきり申し上げまして、そういう予算は全然計上してないのであります。おっしゃっております当事者が、どういうお話をなさいましたか、その間のやりとりをもう少し詳しく承りませんとあれなんでございますが、そういう予算は、全然計上いたしておりません。これは全く事実でございますので、御了承願いたいと思います。
  45. 大出俊

    大出委員 どうも当事者の方々に御迷惑のかかることをあえて言ってもしかたがないので、どうしてもそうだということであれば、これは後刻だんだん明らかになることでしょうから、話の内容からすると、どこから流用するというようなことがあるのだと思いますけれども、しかし、こういうことになると、やらないということになるかもしれませんが、その辺は先行きを少し見させていただいて、あらためて質問をいたしたいと思います。  ところで、横浜市会なんかでも大きく問題になったのでありますけれども、ここまでまいりますと、いいかげんなことでは済まない筋合いだと私は思うわけであります。どうしても自衛隊導入する、こういう意思なら意思で、私どものほうは、それに対して、先ほど法律を申し上げましたが、横浜という都市の国際港都建設という計画を進める上からも、さらにまたそのための大損害を一日も早く回復したいという意味における接収解除のお願いもいろいろしてきたところでありますから、それがさて自衛隊にかわって恒久化されるのだということになったのでは、地元諸君納得するはずもないのであります。それなるがゆえに、前市長半井さんが、市会にもはからずに、だれも知らないところで回答——メモといっておりますが、——が出されておる。こういう事実があるのでありまして、当時でも、これを表に出せば大反対を真正面から食うことは火を見るよりも明らかだったわけでありますから、そういう意味での既成事実の積み上げの一歩だったのだろうと私は類推をいたしますが、これが明らかになって、これだけ大反対ということになってきている時点で、なおかつ強引にどうしてもこの計画を捨てないとおっしゃるならば、それなりにわれわれもどうしても捨ててもらうように対策を考えなければならぬ、こういう状態に今日きておるのであります。したがって、どんなことがあっても、地元がどう反対をしてもおやりになろうという考えを持っておるのかどうか、はっきり聞いておきたいと思います。
  46. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 これは先ほどお答えしたとおりでありまして、もともと地元の協力なしには、その機能も十分発揮できません。特にこういう施設関係は、地元の了解を十分いただかなければ何もならぬわけであります。経済的な発展の途上におきまして、地区によりましては、あるいは産業都市の計画、あるいは都市計画、いろいろ競合したりする場合が、確かに各地にございます。そういう場合には、われわれとしては、何とかして双方目的を達し得る融和点を導くように苦労しておるわけでありますが、横浜につきましても、御案内のとおり、市内の宿舎の調査につきまして、ようやく調査費も獲得したわけであります。この地区につきましては、先ほど来申し上げましたとおり、われわれとしては普通科連隊を持っていきたいという考えを捨てておりません。しかし、実現する前提としては、あくまで地元とよく御相談をして、御了解を得てからやりたい、決して強行してやるべきものでもなく、またやれる筋合いのものでない、こう考えております。
  47. 大出俊

    大出委員 この自衛隊導入に対する法律的な手続を教えていただきたいと思います。
  48. 小野裕

    小野政府委員 自衛隊の施設を設定いたしますためには、いろいろ法的な関係におきまして、まず編成の問題がございまして、そのほうの関係の手続が必要でございますが、さらに予算も当然必要でございます。さらにその前提といたしまして、使う土地でございますが、これが私ども防衛庁の、自衛隊の行政財産であるようなところへ部隊を動かすとか、あるいは大きくするとかいうようなことになりますと、これは問題は少ないのでございますが、同じ国有財産でありましても、普通財産として大蔵省に大もとを所管されております土地については、これを自衛隊が使うことについて、またいろいろ手続がございます。その普通財産を行政財産に直すということが、一つの手続でございます。あるいは一時使用という形で使用許可をもらうということも、一つの手続でございます。いま先生が一番御心配になっておるこの土地を使うか使わないかということは、やはり土地使用の関係が中心だと思うのでございますが、そういう意味では、大蔵省との国有財産の使用に関するいろいろな手続がございまして、その点が大きな問題になろうかと思うのであります。特にこの土地は、現在普通財産として米軍に提供されておるわけでありまして、これを自衛隊に使用させるということになれば、そういう関係の手続が必要になるわけであります。
  49. 大出俊

    大出委員 大蔵省に申請したのは、いつですか。
  50. 小野裕

    小野政府委員 この土地は、米軍に提供をいたしましたのは古いことでございますが、自衛隊に対して提供するということについての正式の手続と申しますか、申請と申しますか、そういうことは、まだいたしておらないと思います。
  51. 大出俊

    大出委員 自衛隊共同使用に関して申請をしたと承っておったのですが、していないわけですな。
  52. 小野裕

    小野政府委員 失礼いたしました。ただいま私、失念いたしました。防衛施設庁統合前に手続いたしたのを、私は失念いたしておりました。米軍共同使用について昭和三十七年十月三日、当時の、これは防衛庁の建設本部の東京建設部横須賀支部長から横浜務部長を経由して関東財務局長あて共同使用の申請を行ないましたが、まだその結果が出ていない、こういうことでございます。
  53. 大出俊

    大出委員 私も当時の資料を全部ここに持っているのですが、それに誤りがないかどうかをいま確かめたのですけれども、そういたしますと、長い間大蔵省の意向が表明されないままと、こうなっているわけでありますが、なぜ一体大蔵省が意向表明をしないのか、この点について、どうお考えになりますか。
  54. 小野裕

    小野政府委員 大蔵省におきましては、こういうような国有財産の転換なりあるいは使用なりを承認いたします手続をいたします前提としては、やはり地元のいろいろな計画なりあるいは御意見なり、こういうものを尊重するたてまえでおられるようであります。そういうような意味で、私どものほうからは共同使用させてほしいと申し上げましても、そうすることが、全体的な見地から、国有財産の運用上それが適当であるかどうかということについて、大蔵省としてはまだ判断がつかない、決断がつかない、自衛隊共同使用させるということについて、地元の御意見なりあるいは都市計画、埋め立て計画、こうしたような関連においてまだ詰めていない問題があるから、いま簡単に自衛隊の申し出を聞くというわけにいかない、こういう考え方であろうと思います。
  55. 大出俊

    大出委員 国有財産の使用の場合には、順位等がありますが、ところで、大蔵省側はおそらく審議会にはかったりいろいろするだろうと思いますが、それらの手続について、何か聞いておられますか。
  56. 小野裕

    小野政府委員 いまのところ、何も伺っておりません。
  57. 大出俊

    大出委員 そうすると、先ほど来の防衛庁長官福田さんの御答弁等をあわせ聞きますときに、地元市会の全員協議会を開いて全体で反対だということで、ただ、これは法的根拠を持たせねばなりませんから、そういう意味では自治法九十九条に基づく意見書というものを出しているわけであります。こういうふうな手続をとって、自衛隊導入への騒ぎではなくて、富岡倉庫地区の国有地無償譲渡に関する意見書ということで、市会議長名で正式に提出をしているのであります。この事実は御存じですね。まず事実を聞きたい。
  58. 小野裕

    小野政府委員 横浜市議会からそうした御要望の出ていることは、承知しております。
  59. 大出俊

    大出委員 ということになりますと、前回の前市長が出しましたメモというものについては、市会にもはかっていない、全員協議会にもはかっていない。当時の議長は知っておったかどうかわかりませんが、ほとんど知る人がない、こういう実情にあったのであります。今回は、このことを市民にも公にし、市会にも公にし、全員協議会を開いて一々説明をし、質問も聞き、その上できめたのでありますから、そうなりますと、先ほどの長官答弁からすれば、地元が絶対に反対だというものをやるわけにもいかず、またやれもしない、こういうお話しなのでありますが、市会意思は、いまの横浜が置かれている事情からすれば大損害をこうむっておるのでありますから、たとえば神奈川県における基地というものは、全国の三分の一も持っておりまして、基地面積からいって鶴見区全体の面積に匹敵するのであります。こういう事情のところでありますので、町の方々が賛成するはずもなし、そうなってまいりますと、長官が言われている、やれもしない、ここに通ずるのであります。したがって、私は、ぼつぼつこの点については見通しをつけていただいて、できもしないものをいつまでもひっかけておけば、ある面では好都合かもしらぬけれども、騒ぎが大きくなるだけです。しかし、考えてみれば、ずいぶんむだな労力をお互いに使わなければならぬことになると私は思います。そういう意味で、これを完全に片づけるのには、皆さんが大蔵省に申請をしているやつを取り下げる、こういうことにしていただけば一切片づいてしまうのですけれども、その辺の皆さん考え方をひとつ、その意思はないか、こういう点についてお聞かせいただきたい。
  60. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 現在のところ、その意思はございません。
  61. 大出俊

    大出委員 そうしますと、地元のその反対だという意思が変わるまで何年でもほうっておかれる、こういうことですか。
  62. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 何年とか、いついつという具体的な機会につきましてはお答えできかねますが、何とかして地元の人を説得して話し合いをまとめてまいりたいという考えを持っております。
  63. 大出俊

    大出委員 今日説得をしていますか。
  64. 小野裕

    小野政府委員 ただいまのところでは、具体的に説得の努力を続けていると申し上げるほど続けておるわけではございませんので、いまのところ、模様を見ておる状況でございます。
  65. 大出俊

    大出委員 そうすると、いまのところ模様を見ておって、ぼつぼつ説得を始める、こういうわけですか。
  66. 小野裕

    小野政府委員 この問題は、私から申し上げるのはあるいは立場が違うのかも存じませんが、自衛隊の移駐計画という基本的な問題についていま検討されておる。これは希望としては比較的簡単といいますか、容易に移し得るならば移したいという希望は、陸上自衛隊としてはあると思うのでありますが、ただ諸般の事情からそう簡単にまいらないということをよく承知しておりますので、これは全般的な部隊配置の計画の調整というような形で、いま検討をされておると思うのであります。私のほうは、そうした基本計画が定まりました上でいろいろ手続をとるわけでありますから、そういう意味で私の立場から申し上げるのはどうかと申し上げたのでありますが、基本計画そのものをいま検討中であろうと私は思います。
  67. 大出俊

    大出委員 ちょっとおかしいんじゃないですか。全体的な陸上自衛隊の配置の基本計画検討中であって、それがまだ定まらない、こういうのでありますが、そんなことを言えば、定まらないのになぜこんなはるかいにしえに大蔵省に申請をされたかということになるわけですよ。今日もなお定まっていないものを、いや計画だけは先に申請する、そういうばかなことはないのじゃないですか。そうなれば責任問題だ。
  68. 小野裕

    小野政府委員 私が申し上げましたのは、全国の部隊配置全体の一つとしての検討というものは、常に行なわれておるわけでございまして、そういう意味で、この富岡に部隊を配置するという問題についての根本的な態度というものは、最初はそういうふうに希望をいたしましたけれども、なかなか困難である。しからばこれができないとすればどうするか、あるいはこれをたって地元にお願いをして、この希望を計画化するというほうに進むかどうか、こういう点について、陸上自衛隊と申しまするか、全般の部隊配置の問題として検討されておる。したがいまして、これが非常に困難であるということになりますならば、またその計画は変更しなければならぬ、その希望は変更しなければならぬ。基本計画としてはっきりきまるためには、見通しがつかなければいかぬわけであります。最初のころは、これは国有地でもあるし、米軍に提供しておるところである。したがって、共同使用という形で自衛隊が使えるのではないかということについて、わりあいに楽観的に考えて大蔵省に手続をいたした。ところが、なかなかそう簡単にはまいらない、こういう状況であると申し上げます。
  69. 大出俊

    大出委員 そうすると、こういう理解をしていいんですか。最初は基本計画検討中であって、検討過程でここが使えればということで打診してみたというか、申請をしてみた。ところが、なかなかどうも簡単にはいかないということになってきたので、もしここを使わぬ、使えないということになれば、その分を変更しなければならぬわけですから、そういう意味における基本計画検討中、こういうことですか。
  70. 小野裕

    小野政府委員 私、基本計画ということばを使いましたのですが、これは正確な使い方としては非常にむずかしくなってまいるのでありますが、全体の問題につきましてはこれは別として、いまの横浜富岡に部隊を置くか置かないかというような問題についての基本的な考え方、こういう意味で、全体の基本計画でなくて、いまの問題についての基本計画、これはことばの定義の問題が、非常に私ども部内の専門語になっておりますので、基本計画、実施計画といろいろございますのですが、この意味で富岡に部隊を配置するかどうかということについての問題でございます。最初は、三十七年に、あるいはそれ以前にここへ移したいということを具体化しようという努力をいたしましたころは、あるいは米軍の返還という問題についての見通しもある程度あったかと思うのであります。しかしながら、これは非常に困難であるという事情もございます。いろいろ複雑な事情がございまして、いま実施の決心、いわゆる基本計画をきめるという決心は、決定はついていない、こういうことでございます。
  71. 大出俊

    大出委員 いま基本計画とは何か、実施計画とは何かということを聞こうと思ったのですが、その前に、国防上必要だというものの観点があるのですか、これにどうしても自衛隊導入するということについて……。
  72. 海原治

    ○海原政府委員 部隊の配置の考え方について御質問でございますから、私からお答えいたします。  先ほどからお答えいたしますように、陸上自衛隊の普通科一個連隊、これは現在御殿場に駐とんいたしておりますが、この部隊が実は富岡への移転の対象にはなるわけでございまして、その理由といたしましては、横浜の近くに普通科の部隊があったほうが、いろいろな場合に便宜じゃないかということをわれわれとしては考えるわけでございます。その便宜と申しますと、一番大きな場合には治安行動的な行動も予想せねばなりませんが、それよりも、たとえば災害派遣であるとかという場合にも、御殿場から一々出てまいりますのは非常に時間がかかりますというようなことが、例の狩野川台風のときに実は痛感された次第でございます。その前から、横浜周辺に何かこういう普通科の部隊を持っていったほうが、いま申しましたようなことで適当ではないかという考え方から、いろいろその候補地を検討いたしますと、ここに相当なあき地がある、これは米軍との関係共同使用が可能ではないか、こういうふうに関係者としましては一応見積もった次第でございます。それに従いましてこういう申請書も提出した次第でございますが、その後いろいろな、先生が先ほどからおっしゃっておりますような事情がわかってまいりましたので、私どもとしましては、地元の方々の御了解を得られれば、あそこへ普通科の部隊を持っていくことは、防衛上の見地からも、また地元の方々のためにも、両方ともにきわめてよくはないか、こういう考えは依然として持っております。しかし、それが実行できるかどうかということは、先ほど大臣から御答弁申し上げましたようなことでございますので、もしできるならば持っていきたいという考え方はございますが、その見込みは全然ないということがわかりました場合には、この移動の計画は中止いたしまして、また別の案を考えねばならない、こういうふうに私、主管局長としては感じております。
  73. 大出俊

    大出委員 大体そういうお話でわかってまいりましたが、国防上ということになりますと、私は、横浜の、あるいは神奈川県全体のやつを最近相当資料を集めて調べておるのでありますが、それほど大きな必要があるとは私は思えない。私も将校上がりでありますけれども、最近のことはわかりませんが、私なりに考えてみて、そういうふうに思うわけであります。配置の状況からいって。いま言われる災害等の場合ということになると、これは自衛隊の主目的ではないと私は思う。時に応じて必要だというふうに目的には書いてあるのでありますから、そうなりますと、地元反対し続けているにもかかわらず、あえてというようなほどの私は必要度合いだとは思えない。そういう事情からいたしまして、この種のことをいつまでも宙ぶらりんにしておきますと、そのことをめぐる疑心暗鬼が深まりまして、ますますもっておかしな方向に発展することになりかねない、私はこういう心配をいたしますので、先ほど来施設庁長官の御答弁なり、いまの局長の答弁なりからいたしますと、検討中であるとのことでありますので、この地域御殿場から持ってくるという問題について、この辺で早急に再検討していただいて、とにかく結論を出してもらわないと、またまた多数上京してきて皆さんのところをおたずねするとか、地元でさらに大きな何とか行動が起こるとかいうふうなことに、計画はどんどん進行していきますから、皆さんのほうでやはりそういうことにならないうちにはっきり結果を明らかにしていただく、こういうようにしていただくことが親切なやり方だろうと私は思うのでありますが、その辺についての御検討をいただけませんか。
  74. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 いろいろ具体的な代案もお示しになった際でもありますし、また、われわれといたしましても、いま局長から答えたとおり、いろいろな点からむしろ地元にも非常にプラスの面があるのじゃないかという考えをまだ持っております。しかし、強い今回の市議会の意思の表明があれば、促進いたしまして、われわれの要望、考え方地元考え方、とっくりと話し合う機会を促進いたしまして検討いたしたい、こう考えます。
  75. 大出俊

    大出委員 次に、多少いまのと関連を持ちますけれども、約二千万の調査費の計上について前回に長官に一ぺん質問したことがありますけれども、現時点においてはということを再三繰り返し言われておったのでありますけれども、微妙な答弁なので深追いはしなかったのであります。もうここまで来れば、多少調査計画なり、大蔵省との関係等微妙なようでありますが、明らかにしていただいてもいいのではないか。理由は、市のほうでもいろいろ予算を計上したりしてそれなりに苦労しているのでありますから、そういう点で本牧住居地帯の調査ということになると思うのでありますが、調査計画的なものを簡単にひとつ御説明を賜わりたいと思います。
  76. 小野裕

    小野政府委員 ただいまお尋ねの横浜市内米軍住宅施設についての調査費約二千万でございますが、これの使用計画あるいは調査計画につきましては、ただいまようやく成案を得たところでございまして、遠からず着手いたしたいと思うのでございますが、この調査は、本年度におきましてはこの住宅地区、これは御承知の本牧、根岸、山手でございますが、約千五百戸米軍住宅がございます。この地区について土地、建物、工作物、あるいは立木等の状況、あるいは米軍の使用状況、あるいはその地域についての実測図の作製というような仕事で、この調査を進めてまいりたいと考えております。
  77. 大出俊

    大出委員 それらのことについて、計画をこういうふうにやるというようなことを提示願えますか。それが一点と、それから二千万円の予算の使途、どういうふうに使われるかという点と、それからどうも大蔵省との関係で非常に微妙なお話が前々からあったと思うのですけれども、返還を前提としないというようなことが言われておるのでありますが、これに関しては、実はマル秘の文書なのでありますが、昭和三十八年八月十日付の特別委員会あて米側の覚え善きの内容というものがここにあるのでありますが、この内容によりますと、この特別委員会横浜米軍家族住宅の移転計画についてという首題になっておりまして、米側のこういうふうに移転をしてくれという要望が全部載っておるのでありますが、これからいきますと、明らかに米軍側は、この地域の住宅について、最近その周辺の交通も繁雑になっておりまするので、適当な地域さえ選定を願えれば移転をしていいのだ、ただし、通うのには三十分ぐらいの時間の範囲にしてもらいたいというふうなこと等、さらにゴルフ場をどういうふうにつくってくれとか、たくさん要望がありますが、つまりそこまで米側は明らかにしているのであります。してみると、どうも返還を前提としない調査といわれても、それは米側の意思ではなくて、こちらの側の考え方だということに尽きることになるのでありますから、そういう点等についてのお考えをあらためて明らかにしておいていただきたい。三点について御質問いたします。
  78. 小野裕

    小野政府委員 最後の点の米軍との折衝状況でございますが、これは私のほうから、米軍に対しまして移転してくれ、どいてくれというような申し入れは、実はまだいたしていないのでございます。ただ、こういう移転問題という大きな問題があって、諸般の事情が許すならば移転することが望ましい、これは私どもも当然考えるところでありますから、もしそういうような問題があるとするならば、その計画をするというならば、それに対して協力といいますか、どうしたらいいものか、どういうふうに考えているのか、その意向を知りたいという斜度の申し入れを実はいたしまして、それに対して米軍としては、いまのところでけっこうなんだけれども、どうしてもここを移ったほうがいい、移そうということにもし日本側で御決定になるならば、あとをこういうふうにしてほしいというような腹の中を示してきたわけであります。正式のやりとりではないわけでございます。しかし、その根本になります問題は、実際の移転費その他につきまして、これは全部日本側負担である、このことは、はっきり先方は申しておりまして、ここにこの移転問題を進めていく上の大きな悩みがあるわけでございます。さらに、移転を前提とせずという条項でございますが、この点については、米軍としては、出ていけ、かわりをつくるから移れというならば、たとえばワシントンハイツをオリンピックに使うために調布に移れ、調布に全部準備するからというならば移るけれどもということでございまして、私どものほうでは、まだ移すということについての決心はございません。ただ、移す移さないにかかわらず、現在の状況というものをはっきりさしておく必要はあるわけでありまして、そういう意味で、今回の調査費は、移転ということを考えない調査である。移転の調査費になりますと、移転先の調査もすることにもなるわけであります。あるいは設計等にも入るわけであります。そこまではやらない、こういう大蔵省との申し合わせでございます。
  79. 大出俊

    大出委員 予算の使用計画の明細をひとついただきたいのでありますが、これについての可否を御説明願いたいのが一点残っております。  それから、時間がありませんから簡単に聞いていきますから、中心だけ御答弁いただきたいのでありますけれども、いまの問題と関連して、大船のPXが十万二千坪あるのでございますが、来月の一日から来年の三月までの間に立川のほうに移転をする。ここで一つ質問をしたいのは、千三百名つとめておられる方々のうち、六割は地理的条件で、立川ですから、通えなくなる、こういう問題が起こっております。これについては、どういうふうにお考えですか。  次に、神奈川新聞等にちょっと出ておりますが、このPXのあとに、横須賀の海軍倉庫、いま自衛隊が使っているのだと思いますけれでも、この海上自衛隊の倉庫の代替ということでこのPX地帯を使いたいというお話があるやに承るのでありますが、その辺の真偽のほどをひとつ明らかにしていただきたい。  それから、このPX地区十万二千坪というのは相当な地域でありますが、そうなりますと、今日先ほどの本牧の移転の問題、これについて、座間あるいは厚木、横須賀というようなぐあいで移転計画が進められておりまして、七百名ぐらい残るのでございますから、そうなりますと、このPX地区を使うということになれば、ますます合理的な移転計画というものが成り立つ筋合いだと私は考えるわけであります。したがって、これらの相関関係で一体どうお考えになっているかという点を、ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  80. 小野裕

    小野政府委員 大船の米空軍PXの  一部移転でございますが、実はごく最近にそのことが通報ございましたので、細目についてはまだはっきりしないのでございますが、ここにおります日本人労務者約千三百名、このうち、仕事と一緒に他の地点、これは立川でございますが、立川へ移ってほしいという人が約半分おるわけであります。それが通勤困難ならどうするかというお尋ねにつきましては、その点について、現在の各人の居住状況あるいは希望その他の点をよく検討しなければ、まだ事情はわかりません。ごく最近、数日前にその通報、連絡がございまして、まだ詰めておりません。しかしながら、こういう方々の処置について、慎重に検討しなければならぬと思っております。  それから、この施設、十万坪の土地でございますが、米軍はただいまのところ返還をするという考えはないようでございます。この点についても、実はまだ正式に詰めておりません。ただいま申し上げましたように、数日前の連絡でございまして、これから詰めるのでございますが、米軍としては、今後引き続き使いたい希望を持っておるようであります。これは空軍、陸軍、海軍通じまして、やはりああした施設はほしいということの希望でございます。現在の状態では、まだ返還までいっておりません。したがいまして、そのあとをどう使うか、いまお尋ねの海上自衛隊がどうなるかという問題もございますが、実はこの土地については、そのほか神奈川県におきましても、横浜市におきましても、その他各方面において、もしあそこが要らなくなるようならあれをほしいという希望者は、あちこちにおられるわけでございます。そういうお話はいままで聞いてはおりますけれども、正式の問題としてそういうものは協議され、検討されたことはございません。したがいまして、今後この施設、区域を返還させるのかさせないのか、あるいはかりに一部あくというならば、その一部をどうするか、進行いたしたといたしましても、どう処置するかということは、まだ全然考えておりません。
  81. 大出俊

    大出委員 白紙だということでいいですね。
  82. 小野裕

    小野政府委員 そのとおりでございます。
  83. 大出俊

    大出委員 そうすると、具体的に自衛隊の倉庫の代替なんという計画があるわけじゃないのですか。
  84. 小野裕

    小野政府委員 これは海上自衛隊ばかりではございませんが、各方面にいろいろそういう施設がほしい、そういう土地がほしいという希望は、それぞれあるわけでございます。これは、長い目で見ましたときに、米軍提供施設がいずれ返還になる、そのあとをどう使うかという希望というものは、各方面にございます。その意味では、海上自衛隊がほしいということもあり得ると思うのであります。しかし、これは、ただいままでのところは、具体的な問題としては全然出ていない問題でございます。
  85. 大出俊

    大出委員 いまの件については、ひとつ希望を申し上げておきます。千三百名のうちで六割ぐらい通えなくなるという具体的な問題があるのでありますから、いま慎重にというお話でありましたが、慎重の上にも慎重を期していただいて、また、戦略変更等による不当首切りということで相当なトラブルが起こってきている現段階でありますから、ひとつできるだけ早く計画を立てられて、現地の諸君の希望にできるだけ沿うような形でお進めを賜わりたい、この点だけ希望しておきますが、御回答を賜わりたいと思います。
  86. 小野裕

    小野政府委員 御趣旨の点、十分慎重に善処いたしたいと思います。
  87. 大出俊

    大出委員 次の問題でありますが、時間の関係がありますので、私のほうも簡単に要点の質問をいたしますので、そういうふうにお答えを賜わりたいと思います。  本牧地域について一つ奇妙なことが起こっていますので聞きたいのですが、電波法の百二条の改正という形で、マイクロウエーブの通信連絡について、東京の市ケ谷と、それから横須賀になると思うのでありますが、武山との間を結ぶ通信連絡、この路線に当たる本牧の埋め立て地域——工場予定地域でありますが、ここに日石化学等の広大な建物が建つのであります。そういう計画がいま進んでおりますが、この伝搬障害をめぐっての電波法改正という関係で、自衛隊の通信連絡ということで、障害地域に該当するということから、計画変更なり、あるいは協議期間二年でありますが、そういう形のものを考えなければならぬという。さらに横浜市の計画で、この根岸・本牧地域に大きな架橋をつくるのでありますけれども、これもまた同様にこの問題とぶつかってくる。これは防衛庁皆さんの側で、このことを事前に知って、郵政省その他と協議をされておるのかどうか、まずこの点を明らかにしていただきたいと思います。
  88. 伊藤三郎

    ○伊藤政府委員 本牧地区についてマイクロウエーブ回線の障害になるかどうかということについては、私どものほうではまだ承知いたしておりません。
  89. 大出俊

    大出委員 五月十九日の逓信委員会におきまして、「「人命若しくは財産の保護又は治安の維持の用に供する無線設備による無線通信」、これは警察通信ということですか。何か、警察通信以外に該当するものがありますか。」という永岡参議院議員の質問に対しまして、政府委員の宮川さんという方から「警察庁、それから防衛庁、それから消防用の無線というようなものを考えております。」という明確な答弁があるのでありますが、それでも防衛庁側は御存じないですか。
  90. 麻生茂

    ○麻生政府委員 いまお尋ねの電波法の一部改正によりまして、百二条の二以下の規定が追加されたわけでございますが、その中にいまお尋ねの「人命若しくは財産の保護又は治安の維持の用に供する無線設備による無線通信」という中には、防衛庁の用いるものも入るだろうということで、郵政省からは連絡を受けて法案提出したわけであります。
  91. 大出俊

    大出委員 さっきの答弁といまの答弁とだいぶ違うのですが、実はちゃんと文書がありまして、ここに全部あるのですが、「本牧地区では上記の三項に適用される防衛庁の市ケ谷駐とん所と横須賀間のマイクロ回線に障害を与える。」ということで、ここに図がありますけれども、この図式でフレネル・ゾーンという伝搬障害地域の詳細な計算がしてあるわけです。この中に、中心線から見てまいりますと、百メートル、百メートルの二百メートルの投影部分ということになりますから、このフレネル・ゾーンということから参りますと、ぴたりそれに当てはまっているのでございます。しかもそういう文書がございます。ですから、いま何か気の抜けたような答弁をされるのですけれども、だからこそ、建築業者が騒ぎ、建築主が騒ぐ。計画変更すれば三千万円ばかり金がかかるということで、大騒ぎが起こっておる、こういうことなのでありますが、これは自衛隊法のたてまえからいっておかしいのじゃないかというふうに私は思う。先ほど申し上げましたように、確かにこの法律の中にございますように「治安の維持の用に供する無線」ということが書かれております。しかし、この中に防衛庁が入るとすると、さらに自衛隊通信が入るとすると、それじゃ自衛隊法に基づく自衛隊の目的、任務は一体何だということにぶつかる。つまり防衛でありまして、これが主たる任務、そうなると、ここに含まれているのですというのは、どうもペテンもはなはだしいのじゃないかと思うのであります。したがって、自衛隊法の改正ということになると、どうも通りそうもない、こういうところから、こっそりと入れておいたという感じがするのであります。参議院のほうでも、ちょっと気がついて質問をしたが、防衛庁が入りますという二行の答弁をされて、そうですかで終わってしまった。衆参両院ともに気がつかなかった。さらに建築基準法等との関係があるというので、参議院においては逓信委員会と建設委員会が連合審査会をやっておりますけれども、この中でも一つも出てきていない。討議過程にただの一項目もなく、質問に答えてたった一行という、こういう不親切きわまる法案提出のしかた、通し方はないと思う。いまのお話では、郵政省から連絡があったから入れておいたと言う。先ほどの答弁は、知らないと言う。私はそういうばかげた話はないと思うのです。しかも、電波法の改正で当てはめてくるということは、全くの筋違いだと思いますので、再答弁をいただきたいと思います。
  92. 麻生茂

    ○麻生政府委員 自衛隊の任務といたしましては、直接、間接の侵略に対してわが国を防衛することが主たる任務であることは、先生の仰せのとおりでございます。しかし、自衛隊としましては、必要に応じて公共の秩序維持に当たるという任務を持っております。また、災害派遣その他の人命、財産の保護の任務に当たる任務も持っておるわけでございまして、これらの通信設備はそれにも用いるわけでございますから、そういう意味において、この「人命若しくは財産の保護又は治安の維持の用に供する無線設備」というものの中に防衛庁のものも入ると解していいのではないか、こういうように考えております。
  93. 大出俊

    大出委員 そういう不親切なことをするから、どうも火事どろ的だということになるのですよ。つまり治安上の必要としか書いてないから、そうなると、自衛隊の主たる任務は防衛なんですから、防衛のため必要と書いてあれば、みな気がついて、これは何だということになるのだけれども、治安といえば治安警察を考えるのだから、それをこの中にちょっぴり答弁を一行だけ言っておるというだけで、いまお話を聞いていれば、前もって相談があってかくかくと言う。そういうばかげた話はないのじゃないですか。本来ならば、自衛隊法の中に公衆電気通信施設の利用という問題があるのですから、これに関連してくる筋合いだと私は思う。それをここに入れておいて、しかも防衛と書かないでおいて、それで入るのですという言い方はないと私は思う。この点は提案理由にはないのですから、入るのか入らないのか、もう一ぺん聞きたい。
  94. 麻生茂

    ○麻生政府委員 この点につきましては、正式の文書で郵政から連絡があったわけではございません。しかし、われわれのほうで質問したことに対しての郵政当局の見解は、防衛庁のものも入るということで、これは今回の法案審議の過程において、先ほど御質問のありました参議院の逓信委員会においてのみならず、六月十日の衆議院の逓信委員会でも、そのように郵政当局から御答弁申し上げておる次第でございます。
  95. 大出俊

    大出委員 防衛庁の側は、それでは郵政省が入るのだと言ってきたから入るのだ、こういうわけですか。
  96. 麻生茂

    ○麻生政府委員 そういうわけではありませんで、この法案改正についてのこの意味はどういうことかということに対して、郵政省の見解が防衛庁のものも当然入りますという見解でございましたので、その見解に従った、こういうことでございます。
  97. 大出俊

    大出委員 それでは、防衛庁は全然その意思もなく、知らなかったのだけれども、郵政省が親切に入れてくれた、こういうわけですか。
  98. 麻生茂

    ○麻生政府委員 この法案提出の過程において、事務関係で連絡があったということは、事実であるわけでございます。しかし、正式の文書で防衛庁の回答を求めてきたというところの手続はとってなかった、こういうことでございます。
  99. 大出俊

    大出委員 そうすると、これは防衛庁のほうはその必要を認めていないのに、片一方が認めたということですね、郵政省だけが。
  100. 麻生茂

    ○麻生政府委員 前の表現のときに、防衛庁のものもこの「人命若しくは財産の保護又は治安の維持の用」に入るということで、郵政当局は立案をしておるということでありますので、それを了承しておった、こういうことでございます。
  101. 大出俊

    大出委員 これは小野さんに非公式に承ったときも知らないと言うし、どなたに聞いても知らないと言う。私はわざわざこのことで二回防衛庁に電話をかけて、応答された方もわかっております。調べさせてくれと言うんで頼んでおいた。回答が正式にありました。あって、そういうことは、自衛隊法関係からいっても、その他の方面からいっても、万々ございませんという回答をいただいた。しかも、その方がこの間私のところに来られて、小野長官もおられたその席上で念を押したら、そうですということです。しかも知りませんというわけです。そういう人をばかにした話は、世の中にないんだ。だから、私は二回も連絡しているのです。そうしたところが、現地のほうの業者が大騒ぎを起こして、調べ上げてみたら、こういう結果になっていたというわけです。こういうことが間々行なわれるようでは、これは皆さんが提案したやつを一字一句疑ってかからなければならぬ。私は、一つの責任問題だと思います。小野さんがおられないので、小町さんの秘書官の方が調べた結果、こうこういうわけではございませんというわけだ。担当の局長さんに聞いてみたが、ございません。心配だからなお念を押してくれと言ったら、そういうことは一切ないと言う。そこまで確約しておるのに、それは非公式だと言われるかもしれぬけれども、出てきた結果からすると、こういうことになる。しかも大被害をこうむる。せっかくの工業地帯に大埋め立て地域ができて、そこに新しい設計が進められて、たいへんりっぱなものが建つ。それがいきなりこれにぶつかるという、こういう筋書きなんですね。これは、地元とすればがまんができる筋合いではないですよ。この辺は、どういうふうに解決されようとするお考えですか。
  102. 麻生茂

    ○麻生政府委員 私は、法制のほうをやっておりますので、事実関係のことは詳細存じておらないわけでございます。しかし、いま私間接に聞いている点からお答え申し上げますと、おそらく事務当局が——いま小野さんという御質問がございましたが、施設庁当局からお答えしましたのは、武山と市け谷の関係ではありませんで、武山とほかの通信施設との関係だったように聞いておるのでございます。武山の通信施設につきましては、これは移動無線局でありますので、今回の電波法の改正とは関係がないということで、おそらく関係の者はお答えしたのではないかと思います。ただ、いま御質問のございました本牧の問題については、私は事実関係を存じておりませんし、先ほどの担当の局長のほうでも、その点存じておらないようでありますので、その点は、事実をもう少しよく調べてみてお答えしたほうが適当ではないかと思います。
  103. 大出俊

    大出委員 私は、これは何もこの地域に限らず、法律改正なんですから、将来に向かって至るところにこの種のことが起こってくると思うんです。建築がどんどん高くなるのですから。そうなりますと、ここで明確に当然計算をされて、詳細な設計をつくって、伝搬障害の問題について、これだけの青写真までとってあるんですから、うそやでたらめでこういうものが出てくるものではないでしょう。そうなりますと、この期に及んでもなおかつ皆さんの側では、本牧地域にあるこういうふうなものについて、伝搬障害ということで抵触するかどうかもわからない、こういうばかげた話は、私はないと思うんですよ。この点はただわからぬというものを幾ら言ってみても、わからぬからしようがない、知らぬ存ぜぬということなんだから、時間の関係もありますから、私はあらためてこの問題は具体的に一体どうなるかということは承らなければなりませんが、こういうことについては、やはり個人の権利と抵触をするのですから、その点で軽々しくさっきのように、郵政省が解釈の上でこれも入るということだ、だから入るんでしょう、こういうぬかにくぎみたいな話をしておったんじゃ、これは実際建てるほうの側にすれば、たまったものじゃないですよ。そういう点は後刻明らかにしていただいて、こうこういう処置をしますということを伝えてもらわぬと、これからこの法律を運営する面で要らぬトラブルが起こってしまう、こういうふうに思うので、その点について、詳細に調べた結果をあらためて御報告をいただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  104. 伊藤三郎

    ○伊藤政府委員 先ほど私がそういう本牧関係の事実は承知してないと申し上げましたのは、事実関係についてでございまして、電波法の改正については、先ほど麻生参事官からお答えしましたようなことは、承知いたしております。でありますが、そういう事実関係につきましては、いま大出先生のお話のような点、調査して御報告いたします。
  105. 大出俊

    大出委員 次に、いま横浜でもう一件ストライキが起こっておりまして、全駐労の皆さんでありますが、この一週間やるストライキ、きょうで三日か四日やっているはずでありますが、その中心は、海沼君という人を米軍側が突如四月二十七日に、結果的に解雇が前提になるわけでありますが、出勤停止でありますが、解雇してきた。その理由について調べましたところが、過般の米軍のドル防衛に端を発する戦略移動からくる駐留軍労務者諸君の解雇、この問題をめぐるストライキ等の時点で、横浜の根岸に営繕の基地がありますけれども、ここでビラ配布をした。そのビラを石井という人が持っていた。ところが、それが何を持っているかというようなところから始まって、だれにもらったのかという話になって、これはだいぶ誘導的な、たいしたことじゃないからだれにもらったかくらい言ってくれということで、いつもこの種のものをいろいろ配布する人が海沼という人であったので、何とはなしに、たいしたことないつもりで言うたところが、その日はたくさんビラをもらっておって、門を入るところからもらっているのですから、ほんとうのところ、だれからもらったかつまびらかでない。これは会って聞いてみましたが、本人もそうです。さて、もう一人の海沼君のほうは、配った覚えはないということになってまいりまして、ここで争いが起こる。神奈川県知事の内山さんが、司令官のところ等に参りまして、配った、配らないということの事実認定がつまびらかでない。したがって、われわれは不同意であるということで、解雇なんということはやめてもらいたい、こういう話をしたが、相手方は聞かない。聞かない理由は、ビラの内容に触れて、われわれも米軍の引き揚げを願っているという漫画が書いてあるのでありますが、この漫画がどうも気に食わぬというところまで問題が発展する。この因果関係を調べてみると、前後にいろいろ問題がある、こういうことなんでありますが、これが現地から中央に上がってくるということになろうと思うのでありますが、この点についてどういうふうに理解をされておるか、御答弁願いたいと思う。今日ストライキ中でありますから……。
  106. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 実は昨日も、全駐労のある役員の方から具体的に陳情を承りました。また、先般いわゆる漫画なるものを拝見したわけであります。米軍当局としても、相当憤慨しておられる理由もよくわかります。同時にまた、私もあそこまでやる必要もない気がいたすのでありまして、せっかく内山知事も調停の労をとられて、残念ながらまだ話し合いがつきませんが、いま私といたしましては、双方とも円満に話し合いに入る——気持ちはわかりますが、何とかして米軍との間に話し合いをつけて解決をいたすように指示いたしたい。近くおそらく上級機関のほうに正式に問題を持ってくるのじゃないかと考えております。なるべく早い機会に米軍説得いたしまして、あまり行き過ぎないように、常識の範囲と申しますか、おとなげないと申しますか、穏便に事を解決いたしたい、こう考えております。
  107. 大出俊

    大出委員 事実関係だけ明らかにしておきたいと思うのでありますが、ビラを配った、配らないということについては、事実認定をいろいろな方面がやっておりますけれども、持っていた人、配ったと言われる人ともに、もらった相手方については、ないしは配ったということについては、否定をしているのであります。当時相当混乱をしておる。ビラがたくさん流れていましたから、どれがどうであったかということも、明らかでないようであります。この点については、県当局の側も、最近そのことを認めているようであります。それから内容が悪いということになれば、全駐労本部がつくったビラでありますから、これは労働組合でありますし、個人の責任でないのであります。それからもう一つ、前の例の首切りのときにストライキが続いておりまして、皆さんの御努力で補給金の問題のケリがついて中止をする。中止の指令が行った際に、途中でありましたために、海沼君の職場は、上すぐ職場に戻れませんで、その日は一日ストライキのままになってしまった。このときに、海沼君という力が中心であるために、だいぶいろいろ文句が出たようであります。しかし、ストライキ権があるからどうにもならぬ、こういう事情一つ出ております。それからもう一つ、立川なんかのほうでは、あのストライキのときに、赤旗が立っていたが、全駐労の旗を兵隊さんが来て破ってしまった。それから、その力を取り巻いて大騒動になったのでありますが、それが司令官のむすこさんであるということで、どうもまずいということになった。この首切りという問題、それから旗を破ったという問題を相殺にして、やむを得ず現地で解決をした、こういうふうな問題が起こったり、いろいろあります。そういうふうなことから、これはどうも多分に感情的なねらい打ち、江戸のかたきを長崎で式のものの考え方が出てきているように、現地に行って聞いてみると受け取れる、こういう事情にあります。これが事実問題であろうと私は思うのであります。  そこで、本来労働組合でありますから、そうなると、労働運動になるわけでありまして、基地内における労働運動の限界についての協約的なものが、相互のやりとりの中で結ばれていない。だから、管理権というものに対する組合活動、こういうものとの関係がそこに出てくる、こういう微妙な問題があって、これはにわかにいずれがいずれとも言えない問題であると私は思っているわけであります。したがって、よしんばそこにビラを持っている人がいたにしても、それを管理権云々ということで、禁止をしているにもかかわらずまくとはなんだということで解雇をする、このことも、筋からいけば成り立たない。数年前から基地内における組合活動ということでやりとりがあって、そのときに、組合側は日本の労働組合法をたてにとり、相手方は治外法権的なものの言い方をする、こういうやりとりの中で、相手方も日本の労働組合法というものは尊重すると言っているわけです。そうなってくると、基地労働者であろうとも、労働組合員であるのですから、当然組合活動というものは認められている。その面から参りますと、尊重すると言っている向こうのたてまえからいたしまして、今回のようなことが——たとえばビラを持って、しかもそれを控え室で読んでいるというようなことで、いきなり首にするということが行なわれたんでは、これまたたまったものではないのでありますから、私どもの見解からは、これは一人の問題ではなくて、全体の問題として、不当労働行為ということになりかねない問題も含んでいる、こういうふうに思うわけであります。  最後に、一つ明らかにしておいていただきたいのは、基本労務契約の〇項の「秩序を乱す行為」などということでやったんだろうと思うのでありますが、向こう側の法律的な根拠について、はっきりとした御説明をいただいておきたいと思うのであります。
  108. 小野裕

    小野政府委員 最後のお答えだけでよろしいのかもしれませんが、最初の事実関係につきましても、実は、これは本人あるいは組合側、また米軍、あるいはこれに対し私どもの代理でありますローカル事務所、それぞれの立場からのいろいろな調査と申しますか、そうしたような結果が実は合致していないわけでありまして、いわゆる証拠と申しますか、事実を確認する、認定する材料というものがまちまちであるために、この問題が紛糾しておるわけであります。しかし、米軍側といたしましては——いま先生は、事実についてははっきりしないということはおおよそ一致したとおっしゃいましたが、米軍としては、最初の事実において聞きとりましたいろいろな調書、そういうようなところから確実な証人があるということを言っておるようでありますが、結局それが水かけ論になる。あるいは本人は、最初はこういうふうに言うたけれども、その次は別なことを言うたというようなことで、どうも的確な事実関係が確認できない。これが問題でございまして、事実関係が、全然そういうことはなかったということの一致はございません。むしろ事実関係についての争いが問題である。さらにこれに対する処罰の程度というものが問題である、こういうふうに考えられるわけであります。  それから、基地内の組合活動の問題は、非常にむずかしい問題でございまして、これも、いま私がここで軽々に申し上げることは差し控えますが、従来から、そうした問題についていろいろトラブルがあったわけでございます。御承知のように、労働協約は実はまだ妥結いたしておりません。これは組合側の御意見も、また軍側の意見も一致いたしませんので、なかなか協約ができていないわけでございます。ここにも、いまの基地内における活動の限界ということが、大きなポイントになっておるわけでございます。おっしゃるとおりでございます。しかしながら、基地の労務者の諸君が日本の労働法規の保護を受けるということについては、地位協定によって大体その原則が立てられておりまして、尊重されるわけであります。しかしながら、そのまま全面的に、一条一句相違なく適用されるかということになりますと、これは外国の軍隊、駐留軍隊であるという特殊性から、若干違ったところも出てくる、これはやむを得ないことだと思います。それがどの程度に最小限にするか、ここにいまの労働協約その他の問題があるわけでございます。そういうわけで、現在の法的根拠、こういうものを制限する法的根拠は何かと言われますけれども、これはやはり駐留軍としての特殊性であり、趣旨としては日本の労働法規を尊重するけれども、軍隊の待殊性から若干違った部分も出てくることはやむを得ない、このように私ども考えております。
  109. 大出俊

    大出委員 時間がありませんから二つだけ申し上げますが、一つは、いままでこの種のことが起こったことはないのであります。駐留軍関係の組合の皆さんと連絡をとって調べてみましたが、かつてないことが起こったということであります。そこに私は、さっき申し上げました事実関係の中で、どうも何か感情的なものが潜在をしていたんではないか、こういう気がするのであります。これは、組合側はけしからぬといわれても無理なんでありまして、突如として昨年末にあれだけの発表が行なわれて、多数の人たちが首を切られる、職を失うという現実にぶつかったのでありますから。神奈川県の場合は、長官御存じだと思いますけれども、全国の基地労働者六万何千のうち、四分の一以上いるのであります。そういう基地県であり、基地都市でありますから、そうなりますと、相当激しい反対——やはり生活の根拠を失うのでありますから、そういう問題にぶつかる。そういうさなかに起こったことなのでありますから、この種のいまだかつてないことを相手がやる、これはやはり先鋭な対立、やりとりが行なわれ、ストライキが続く。米軍の兵隊さんが旗を破るなどということが行なわれたりする中でありますから、どうもそういうところにいまだかつてない——いままでは、このくらいのことがあっても何となくおさまっているのに、内容がけしからぬ、全駐労もけしからぬ、こういう形に発展をしているというところに、個人海沼が出てきている、こういう筋書きです。そしてこの海沼君という人を、基地外排除という制裁規定を適用するというわけです。海沼君という人は、十五年もつとめておるまじめな方で、六十才になっておって、しかも、話してみてもきわめて穏健な人です。ただ、首になる、職を失うということの中で、一生懸命組合の方針に従ったということなのでありますから、この方を、しかも十五年もつとめた人に、基地外排除という制裁規定が行なわれるという、しかもいま申しましたような前後の事情がある、こうなると、私は穏やかでないと思う。長年使った基地労働者であるならば、雇用主は政府なんですから、そういう点でもう少し温情のある、思いやりのある、先行きまで考えてあげるところの施策というものがなければ、米軍の戦略変更によってとたんに大量解雇、こういうふうなものを円満に片づけていくわけにはいかないのではないかと私は思うのであります。したがって、この問題の取り扱い一つ誤りますと、今後、七月以降にどれだけ解雇が出るかわかりません事情のもとで考える場合に、相当険悪なものを残してしまう。そのことは、米軍に対する反感になってしまう。こういう結果になりますから、そこのところを皆さんのほうで十二分に御考慮いただきたい、こういうふうに思って申し上げているのであります。この点について、もう一ぺん長官から御答弁を賜わりたいと思います。
  110. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 米軍の憤慨する気持ちもわからないことはありませんが、先ほど申し上げたとおり、いささか感情的な面もないとはいえないと思います。受けました報告を聞きまして、私一番先に考えましたことは、お互いに自分の立場だけを主張し合った場合には、切りがない、やはりお互いの立場も理解し合い、尊重し合って、円満に解決するのが常識ではないかと考えております。御指摘のとおり、一日も早く、適当な機会に円満に話をつけたい、こう考えます。
  111. 大出俊

    大出委員 この問題が最後でありますが、全駐労本部の皆さんのほうでは、どうしても制裁規定適用云々というようなことになりますと、最終的に裁判をやることになるのでありまして、その場合の裁判の対象は、あるいは内山知事になると思うのでありますが、その種のことで裁判ざたを起こしておるというようなことは、私も基地のたくさんある横浜市の出身ですから、赤旗が立つたびに行って、いろいろと話し合ってみておるのですが、前回の補給金のときにも何とかまとめようと努力をした一人でありまして、それだけに何とかこの点がそういう裁判ざたにまで発展をしないように、本人の立場も考え、組合の立場も考えながら、かつまたこれは組合運動という一つの筋道があるわけですから、その筋を没却をいたしますと、基地内部でビラを出してはいけないのかということで、これはたいへんなことになってしまう、その面から、これは個人の問題ではないということになる。だから、ここのところを考えていただいて、いかに軍の中だとはいいながら、労働組合の団結権が認められて、全駐労というものが歴史を持ってやられておりますから、やはり組合運動の限界は那辺にあるかということを考えるときに、争いの中心になりますし、今回初めてのケースということでございますので、あと座間、立川にこれ以後二つケースがあるわけでございますが、この問題がどうなるかということで見ている。これは何を意味するかというと、座間、立川で起こっていることは、いままでも起こっていたのでありますが、それが現地解決、局地解決で円満に片づいていた。ところが、海沼君の問題が表に出てきた。したがって、座間、立川で起こった問題も、現地解決という旧来のようなわけにいかないところに、この問題が重要であると見ておるのであります。したがって、そういう点から特段の御努力を賜わって、先々のことを考えていただいて、提訴等に発展をしない間に話し合って御解決をいただく、こういうふうにお進めを賜わりたいと考えるのであります。   〔委員長退席、 伊能委員長代理着席〕  次に、廣澤五郎さんというタクシー運転手さんが米国の兵隊さんに殺された事件が起こりまして、実は横浜市民を憤激させておる、さらには神奈川県民を憤激させておる、こういう事件がございますが、御存じですか。
  112. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 これは加害者のレワンドスキー一等水兵の起こした事件であります。同水兵はすでに起訴されております。第一回の裁判が、七月十三日開かれるという報告を受けております。この問題は、非常に遺憾な事件でございますが、おそらく裁判の結果はっきりされると思います。
  113. 大出俊

    大出委員 私がいま申し上げたいと思っておりますのは、補償その他の問題について長引かせますと、横浜のハイタクの皆さんたちは相当に頭にきておる問題でありますから、どういうことが起こるかわからない事情にあるということであります。さらに、この問題が起こった時期が非常にまずい時期で、たしか四月十八日でありますから、町田のジェット機墜落で長官も行かれ、私も調査に神奈川ですから行きましたが、あの問題が直接取り上げられておる時期に、この廣澤君の問題がぽこっと起こった。この直前に滝野川自動車の運転手が似たような殺され方をしており、これも米兵ではないかという疑いを持たれておる。さらに、この直後にこの問題に関連をする大量解雇の問題で全駐労のストライキが続く、こういうふうな一連の一貫した基地問題をめぐるたくさんの問題が、相次いで起こっておる最中の問題であります。しかも殺され方たるやまことに残酷きわまりない状態でありまして、繰り返すのもいやなくらいのたいへんな実情になっておるのであります。そこで私は、昨日この問題の質問をしようと思って組合に連絡しておきました。一人子供さんをかかえておる廣澤君の奥さんが、きのうわざわざ出てまいりましたが、残念ながら内閣委員会がきょうに延びましたので申し上げられなかったのでありますが、奥さんとしても、何としてもはっきりした解決がない限りは、いても立ってもいられないという気持ちがなお続いておる昨今の状態であります。そういうことだけに、私は、やはりせめてこれは行ない得る補償等について早く政府態度をきめていただいて、ジェット機の問題等とあわせまして、曲がりなりにも政府も政治的に骨を折られたのだという姿、形を世の中につくっていただくことが、せめても米軍基地をめぐって相当反米的になりつつある対市民感情あるいは県民感情をそれなりにおさめていく方法でもあろうという気がいたしますので、その辺のことについて、旧来百五十万くらいのところで押えておりました補償の方式を、その後新聞にも一、二回出ましたが、ホフマンその他に変えなければならぬという問題が起こっておりますけれども、それらが今日どうなっておるかという点をはっきりひとつ、承っておきたいと思います。
  114. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 補償につきましては、この国会におきましても、御答弁したとおりでございます。従来あまりにも低いことが問題になっておりまして、ここ数年来の懸案でございます。不幸な米機町田市墜落事件を契機といたしまして、大蔵省側と折衝をいたしまして、その同意を得まして、少し発表は延び延びになりまして、予定よりも半月以上延びましたが、大体来週あたりに具体的に発表できる見込みでございます。この四月に起こりました不幸な運転手の殺害事件につきましても、当然ホフマン方式による基準を適用すべきである。ただいま横浜の防衛施設局が請求に対して指導中でありますが、請求灘が提出され次第審査をいたしまして、新しい基準によるホフマン方式のお支払いをすべきであると考えております。
  115. 大出俊

    大出委員 新しい基準によるホフマン方式というふうな言い方ですが、私も実はホフマン方式なるものをよく承知しておる一人なんですが、新しい基準によるホフマン方式というのは、どういうものでございますか。
  116. 小野裕

    小野政府委員 新しい補償方式のことを申し上げますが、その前に、ただいま大臣が申し上げましたことでさらに補足をさしていただきたい点がございます。  ただいまのような事故につきましては、日本政府が補償をするという筋ではないのでございまして、補償を慰謝料という形で米軍側のほうから支払わせるためのあっせんをするということでございます。公務上の事故の場合は、日本側でこれを一括払いまして、あと米軍から四分の三を回収する。ところが、いまのような公務上でない場合には、全部米軍側が払うのでございます。ただ、払うについて、個人と個人の間でいろいろな御折衝もできませんので、私のほうがいろいろ審査をいたしましたり、あるいは米側に勧告をいたしましてやるわけであります。ただ私どもは審査をし、勧告をする限りは、公務上の場合も、公務外の場合も、同じような事故に対しては同じような基準を適用してあっせんをするわけでございまして、この点につきまして、ちょっと補足さしていただきます。  それからホフマン方式を加味するというのはどういうことかというお尋ねでございますが、この点につきましては、有職者、定収のある人については、定収を基礎にいたしまして、年間所得がどれだけになるかというようなことが出てまいります。定収のない無職の人については、一日五百円なら五百円という基準を想定いたしまして、年間収入というものを考えます。その人がその後何年働けるるかというようなことを中心にして、その方に補償をする賠償額を計算する。その間にこまかいいろいろな税金の問題とか、生活費の問題とか、そういう控除の問題もございますけれども、基本的には、その方の年収というものを基準にしまして、それに従来の方式では、たとえば死亡の場合には千日分であったものを、千日分でなくて、将来さらに何年働けるかというようなことから計算をする、その計数として世間に通っておるのが、ホフマン方式でございます。これを取り入れたわけであります。いろいろな要素が入っておりますが、その中で、これからどれだけ就労可能かという年数を大事なポイントとしてとるところにホフマン方式を採用した、こういう事情でございます。
  117. 大出俊

    大出委員 ところで、先に結論を聞いておきますけれども、いつごろきまるのですか。
  118. 小野裕

    小野政府委員 ただいま大臣からお話がございましたように、この新しい補償基準、賠償基準は、最近決定をいたしました。これは自衛隊関係決定いたしましたが、米軍関係にこれをさらに適用させるということにつきましては、来週中の閣議閣議決定をお願いしたいと思っております。これによりまして新しい金額が出てくるわけでございますが、それを現在私どもの出先である横浜防衛施設局の担当者が、御遺族の方といろいろ打ち合わせをしておりまして、資料を作成しておりますから、すぐその金額が出てまいるわけでありますから、それから私どものほうで米軍に持ち込んで、それに対する同意を取りつけ、米軍側から支払わせる、こういうふうにいくわけであります。なるべく早くいたしたいと思いますが、やはり事務的折衝の期間は見ていただきたいと思います。
  119. 大出俊

    大出委員 そうすると、来週の閣議といいますと、二十三日ごろの閣議でホフマン方式に切りかえるということについては大体結論が出せる、こういう見通しでございますか。
  120. 小野裕

    小野政府委員 そのとおりでございます。
  121. 大出俊

    大出委員 そこから先の手続その他は、どういうことになりますか、かかりますか。
  122. 小野裕

    小野政府委員 先ほど申し上げましたように、公務上の場合は、これはわりあい早いのでございます。といいますのは、これは日本政府がある基準に従ってきめまして、それを被害者にお払いできるわけでありますが、これはそういう基準がはっきりしておりまして、日本政府がとにかく払うのであります。そういう意味でわりあいに折衝は早いのでありますが、公務外の場合、ただいまの事故のような場合におきましては、これは米軍が払うわけでございます。したがいまして、私どものほうがこれくらい払うのが適当であるという算定をし、説明をして納得をさせなければならぬ。今度の場合はそういうことはないと思いますけれども、一般の場合としては、たとえば自動車事故のような場合、衝突のような場合でありますと、過失相殺というような問題も出てくるわけであります。そういうような場合には、米軍側としてこれを非常に値切ってくるという可能性もございます。そういうふうに、米軍側が全額を払うわけでございまして、しかも個人、本人に払うのであります。私どものほうでかわって払うのじゃございません。そういう意味で、米軍との折衝はややむずかしい場合があろうかと思います。ただ、今度の場合は、はっきりした事故でございますから、そうむずかしいことは言わないであろう、比較的早くきまるのではないか、こう思うのでありますが、ただ、何と申しましても今回の改正によって相当大幅に上がりますので、米軍側としても、その点はその事情をよく説明をいたしませんと、何と申しますか、いろいろ考えることがあるかもしれないということは、想像できます。
  123. 大出俊

    大出委員 つまりいま長官が言う、今回変わるので米軍説得して、こういうのですが、米本国の事情を見ても、ホフマンを使っておるわけでしょう。裁判をしなければホフマンできまらないのは、日本の場合だけでしょう。国鉄の鶴見事故の場合に、私これをやってみましたけれども、積み上げ方式というが、全く根拠がない。ああいう事故で人が死ぬ。事故に会ったほうの方は、えらい迷惑なんだけれども、それを長年積み上げてきた積み上げ方式ということで、生活の状態がどうだこうだとかいう科学的根拠は全くない。だから、東大の伊藤教授なんかも言っておるけれども、とにかくこれは科学的根拠を持たせるようにしなければどうにもならぬと言っている。だから、裁判でホフマン方式でやったものは山ほどあるのだけれども、そこに手をつけていない、こういうことになるわけであります。したがって、むしろこういう意味での制度化をするということは、すでにおそきに失しているわけですから、私は、説明するもしないも筋はそういうことであろう、こういうふうに思っているのであります。しかも今回の場合には、とにかく二十三歳の奥さんがおられて、四つになる子供さん一人をかかえておられて、ふんまんをどこにぶつけていいかわからぬ状態の中で生活をされておるのですから、どこからも収入はないのだから、そういう中で、これは精神的に慰謝のしようのない状態に置かれておる方なんだから、そうだとすれば、せめて政府のやれることというのは、金の問題で、基準を変えてよけい出したからそれで気が済む筋合いのものではないけれども、とにかくそのことを早急に取り運んで、何とかしてやるということでなければならぬと私は思う。政治というやつは、みんな痛いというところにまず手をつけて片づけるというのが、世の中の政治だろうと思う。だから、そういうことになってくると、ああいうことが起こって、今日までこれだけ長い期間がたっておるのに、なおかつそこまで取り運べない事情は、いろいろあろうと思う。あろうと思いますけれども、私はすでにおそきに失しておると思う。だからそういう意味で、政府はやはり全力をあげてこの問題の早期解決をはからなければ、どこかでもう何とかしてもらわなければ、私はからだでもこわしやしないかと心配しておるのだから、せめてそのくらいのことはする義務があると思うのです。その点で、政府として、もっと急いでやってどのくらいかかるかという見通しぐらいなところは立ててもらわなければ困ると思うのですが……。
  124. 小野裕

    小野政府委員 お話しのとおり、この事故は四月十八日の事故でございまして、もう二カ月たっておるわけでございます。その点お気の毒を続けておるのでございますが、この間の事情としては、御承知のように、この賠償基準を改めるという問題がちょうど同時に進行したわけでございます。従来の基準でアメリカ側と話をして、示談になってしまえば、それで済んでしまいます。従来の基準で一度和解し、示談をしたならば、もうそれから今度改正になったから、新基準で私どもはこあっせんするといっても、非常にむずかしくなってまいります。そういう事情で、新基準がきまるまでいままで待っておったのであります。御本人にはお気の毒でございましたが、それだけに新基準で、今度は一度の勝負で米軍側からこれをお支払い差し上げさせるということに持っていけるわけであります。したがいまして、三カ月の間に、いろいろな準備資料、たとえばいろいろな収入の状態とかその他の状態についての資料等は、全部そろえておりますから、今度それが施行になりましたならば、すぐこれは現地局から私のほうへ上げてまいります。私のほうでは、すぐ米軍と折衝いたします。そういう意味で、おそらく一週間か十日のうちには、先方との協議がととのうものであろうと私ども考えております。
  125. 大出俊

    大出委員 それから過失相殺などの話まで出されましたけれども、たとえば鶴見事故のように、乗っかっている電車がひっくり返ったということになれば、過失相殺も何もない、全くの無過失ですよ。この運転手さんの場合も、この新聞記事だけを見たってわかる。ただし、この点は私も専門家の一人だから、ずいぶん警察その他から資料をとって調べてみた。ここに資料の全部があります。過失相殺もちょうちんもない、全くの無過失ですよ、御本人にすれば。そうなってくると——しかもおまけに営内にいなければならなかった人間が、へいを飛び越えて出ていたというようなことになっておる。しかも地位協定の十八条だと思いましたけれども、さっき言われた公務中でない場合はこうなんだということが、規定上は明確なんだから、そうなると、どういう事情があったにしても、過失相殺だとか云々という性格のものではない。もしそういうことになってくるのだとすれば、それは皆さんの側の資料の取りそろえ方に問題がある、向こうからとやかく言われる筋合いはない、こういうふうに私は思っておるのです。それにこの種のことは、そんなところで一つ認めれば、今度は逆に基地米軍に対する周辺の住民なり、あるいは市民、県民、皆さんの大きな反感を買うに違いない。そういうことにしてしまったのでは、皆さんの責任上これはおさまっていかないと思う。だから、そういう点まで考慮をすれば、いままで言われるようなことは、制度の中に過失相殺なんというものが出てくることはわかるけれども、廣澤さんの問題については、そういうことは生じないのです。きわめて単純明快に片づけられる性格のものだと思っております。鶴見事故の問題で、弁護士に会ったりいろいろやっておりますけれども、あれもまだ片づかないわけでありまして、二十何名かが裁判を起こすという騒ぎになっておりまして、しようがないから、私も運輸大臣と話をし、国鉄総裁に話して、裁判などを鶴見事故の問題で二十数名もさせるようなことは、国に政治がないわけではあるまいし、なぜさせるかということで、いま話し会いに入ってもらっておるさなかでございますけれども、ともかくこういうものを一々こじらしていってしまったのでは、たいへんなことになる。だから、そういう意味で、どうしてもこの点は早期解決をはかっていただかぬと、同じように毎日不安を感じながら運転をされておる運転手の方々が山ほど横浜におられるのだから、そういうふうにひとつ進めていただきたいと思います。過失相殺だ云々という話がありましたが、この件についてはどうかという点を、もう一ぺん御答弁をいただきます。
  126. 小野裕

    小野政府委員 ただいまのお尋ねは、私さっきもはっきり申し上げたと思いますが、この件については問題はない。ただ、一般に米軍に金を出させるというときには、待に公務外の場合は、過失相殺というような問題も起こり得るので、一がいにすぐ片づくというわけにもいかないということは申し上げましたけれども、この件については、はっきりしておると私ども考えておりますので、その点は御心配御無用に存じます。
  127. 大出俊

    大出委員 私のほうでいろいろ調べた限りでは、米軍機の墜落というものも、ここにあがっておるだけでも、ずいぶんたくさんあるものだと思って感心するくらいあるわけです。それから、さらに問題は基地問題をめぐってのいろいろなことがありましたけれども、犯罪に類するもの、これは非常に多いわけであります。単なる婦女暴行その他を含めると、ずいぶんたくさん今日出てきております。こういうふうなものについて、皆さん方はどういうふうに米軍との間で折衝されておるのですか。
  128. 小野裕

    小野政府委員 犯罪あるいは事故、特に犯罪に関係のあるような問題につきましては、これはそれぞれ所管当局が措置されますので、私のほうは、直接の処置については考えておりません。しかしながら、一つ一つの事故について、人身の問題にしましても、あるいは物件、物の関係につきましても、損害を与えられました場合には、これについて、ただいま申し上げました地位協定の十八条の五項または六項、公務上の場合、公務外の場合、それぞれの区分に従いましてそれぞれ賠償の手続をとる。なお、それについて話がつかない場合に、裁判でもやろうというときには、それについてのお手伝いもするというような形で、できるだけ民事救済を完全にしたいということで努力いたしております。
  129. 大出俊

    大出委員 この問題の最後ですけれども、担当が違うという言い方、それは所管があるのですからわからないわけではありませんが、時間がありませんから、こまかく件数はあげませんけれども、飛行機の墜落事故の問題、さらには基地周辺をめぐる米軍諸君の犯罪の問題は、神奈川という土地柄上ばく大もなくあるのでありまして、したがって、不安におびえているという基地周辺の方々の毎日の生活というものがあるわけでありますから、そういう面で、これは防衛庁長官にお話ししたいのだが、閣議の中であんまりどうも米軍に遠慮ばかりしておってはしようがないので、この種のことについてはやはり御相談をいただいて、正式にこれはこれらの犯罪防止という観点で何らかの措置を講じてもらうようにしなければ、この種のことが累増する。まだいまだに米兵ではないかと疑いを持たれている滝野川タクシーの運転手さんの件が残っておりまして、これも米兵であろうというほとんど推測で、いまはっきりするかしないかというところにきているようでありますけれども、こういうふうなことが相次いだのでは、これはえらいことになると私は思う。とにかくこの設置法の改正云々という前に、ふえればふえるだけいろいろな問題がやたら起こってきてしまうのでありますから、そういう点についての適切な措置を明らかにして、国民も、県民も、市民も、こうなんだという政府の立場を明確にしなければ私はいかぬと思うのですが、これらのことはどうお考えですか。
  130. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 先般の町田市の事件のときにも、閣議で相当強く意見を表明いたしました。また、米側に対しましても、たまたまフェルト最高指令官が来ておりましたので、厳重に申し入れをした次第でございます。正式に大統領からも弔電が来ておるのは、御記憶のとおりであります。したがって、こういう問題が不幸にして起こった場合には、御承知のとおり、一日も早く解決することがまず第一点であろう。しかし同時に、またその以前におきまして、一つでも事故をなくする。できれば絶無を期するというのは、日米安保体制の円滑な実施の上から見ても重要な問題でございます。日米合同委員会その他あらゆる場もございまして、今後もそういうことば一切ないように、有効な、そしてまた適切な米側との話し合いを強く進めたいと思いますが、一件もそういう不幸な事件が起こらぬように、今後努力いたしてまいるつもりであります。
  131. 大出俊

    大出委員 廣津さんの御家族、遺族の方々等の問題につきましても、これはやはり人道的な問題をも含みますから、精神的な面でも、金の問題だけでなく、できる限り手を尽くして、残った方々の先行き精神的負担などというふうなことについても、皆さんの側ででき得る限りの手は尽くしていただきたいものだと考えます。  それとあわせまして、早くこの問題の落着がつきますように、閣議その他で各省はホフマンに切りかえることについて賛否の意見もあることを聞いておりますが、事こういう性格のものでありますから、それらのことをお調べいただいて、ひとつ早急にきまって、実施ができて、せめて御本人たちが安心していただけるようにお骨折りを賜わりたいと思います。  それから次の問題でありますが、上瀬谷の通信基地の問題なのでありますけれども、この上瀬谷の通信基地について、ごく最近上瀬谷に学校が一つありまして、二千六百名も学童がいて、二部授業をずっと続けていて、横浜市内きってのマンモス学校と言われていて、どうにもならぬところです。学校を建てたいんだけれども、制限地域関係でこれまたどうにもならぬ、こういう問題が起こっておって、子供さんをかかえているあの地域の方々のたいへん大きな問題になっているのですけれども、最近あの制限地域、A地区、B地区とあるはずでありますけれども、どういうふうになっておりますか、簡単でけっこうですから、お答え願いたい。
  132. 小野裕

    小野政府委員 ただいまお示しのA地区については、建築についての大幅な制限がございまして、B地区については、支障のない限りは許可を受けて建てていただくことができる、建てることができる、こういうことになっております。
  133. 大出俊

    大出委員 その支障のない限りの許可というのでありますが、それは、今日具体的にはどういうふうに進めておられますか。
  134. 小野裕

    小野政府委員 その建築計画を出していただきまして、これを米軍に審査をさせるわけでありますが、まあケース・バイ・ケースで片づけてまいるわけであります。
  135. 大出俊

    大出委員 こういうことが二つありますから、ひとつお答えをいただきたいのですが、一つの例は、綾瀬という小学校がありまして、総工費が一億一千六百六十九万、防衛施設庁の側の負担金九千九百万、町の負担金千七百七十万、こういうことで防音装置その他をつくっての建物ができている。ところが、この防音装置をつくった建物、これは三階の学校ですが、これが維持費が旧来の約十倍くらいかかってしまう。十倍かかるというのは何でかかるかと言いますと、防音装置のため冷暖房というのを設置をしなければならぬ。それから三階建てにしなければならぬということでありますから、水洗の設備もつくらなければならぬというふうなことで、結果的に町で年間約一千万ばかりの経費負担をしなければやっていけない。そういう面で、基地交付金等の面から考えましても、防音装置等ができた関係で、自治体の負担というものは逆に急増する。だから、防音装置その他をやってもらっても、言うなればこじきが馬をもらったようなもので、にっちもさっちもいかぬという町の方々の言い分が続いているのでありますが、これらの問題について、もう少し国が本腰を入れて、これらの基地周辺の問題についてのめんどうを見る、こういう考え方に立てぬものかどうか、この点を防衛庁長官から承りたいと思います。
  136. 小野裕

    小野政府委員 お話のように、防音改築をいたした学校の経常費、維持費が相当高くつきまして、この点は各市町村ともお困りのようでございます。お気の毒に思うのでございますが、しかし、今日の段階といたしましては、やはり学校の防音改築ということが重点でございまして、あとそれらの維持費ということになりますと、まだそこまでいま国費で全部お手伝いをするというだけの段階には至っておりません。これは何と申しましても、まだ防音改築、防音そのものをやらなければならない学校がたくさんございますので、まずそのほうへ重点を置かなければならないというのが一つでございます。なお、そうしたような経営費、維持費については、はたして国で見るべきかどうかというような議論もあるわけでございますが、ただ何と申しましても、基地周辺のためにそういう特別な経費がかかるということになりますならば、これはむしろ特別交付税のような形でそういうものを確実に見ていくという方向はどうかということで、ただいまいろいろ関係各省の間で相談をいたしております。御承知基地関係閣僚懇談会の幹事会というのがございまして、これは官房副長官議長になりまして、各省の次官の会議でございますが、各省の間で、それぞれ私どもの施策で手の届かないところ、これを各省にも見ていただく、こういう意味で、いまの交付税のようなものは自治省のほうに御配慮を願うということで、だんだん話がまとまりつつある状況でございます。まだはっきりとしたことは申し上げられませんけれども、そういう悩みは御同情申し上げておるところであります。
  137. 大出俊

    大出委員 ところで、地位協定の二条によりますと、施設やあるいは区域は米軍側が必要ということからいろいろの制約を要求をしてきた場合に、合理的な解決ということがうたわれているわけであります。それから、これは検討を続けていかなければならぬことにもなっています。二条、三条の関係は。そういう点から、上瀬谷のB地区のような場合に、そこで学校をつくるというふうなことになった場合に、やはりそれ相当の国の協力というものがあってしかるべきだと思うのでありますが、この辺について、先ほどのようにA地区は禁止区域でB地区は相談するのだという、それだけではどうも不親切きわまると思うのでありますが、そこのところはどうでありますか。
  138. 小野裕

    小野政府委員 一般的には、その土地の所有者の方々がその土地を自発的に自主的に使えないということになるわけでありますから、そういうような制限についての契約を結んでいただいて、何がしかの補償を申し上げておるというわけでございますが、学校を建てるというような問題は、またこれ少し性格が違うわけでございまして、学校がどうしてもその地区の該当する部分でなければならないのかどうか、あるいはまたそういう場合でないといたしましても、地元市町村としましては、どうしても要る学校であるならば、おのずから御自分でお考えになるわけでございます。私どもがいま考えておりますことは、やはり騒音に対する被害を少なくするという見地の防音改築に対する補助と、いまのところはここにしぼっておるわけでございます。御了承いただきたいと思います。
  139. 大出俊

    大出委員 いまの騒音防止の話ですが、厚木に騒音防止期成同盟等ができて、長くやっておりますが、最近二日間ばかり調査に行っておるわけでありますが、この二日間の調査ということの目的は、どこにあったわけですか。
  140. 小野裕

    小野政府委員 各基地の周辺における騒音の調査というのは、各基地で年々こちらで必要と考えましたときにいつもやっておるわけでございまして、二日とか三日とかいうわけでもございませんので、こちらで都合のつく限り随時行っておるわけでございまして、これは騒音状況の調査そのものでございます。
  141. 大出俊

    大出委員 私はそういう意味で聞いているのではなくて、この上瀬谷の通信基地の補償問題でもめて、A地区、B地区のかっこうで決着がついた。ところが、この補償のしかたと、厚木周辺、つまり大和地域であるとか、藤沢に至るあの下のほうであるとかいう地域で、逆に今度は補償の問題で大きな問題が起こって、あまりにも場当たり的であり、各基地をながめてみた場合に、アンバランスに過ぎるではないか。こっちのほうはこう解決したがあっちはこうだということで、一元的なものがない。そういうところから決算委員会等でも問題になって、それで実情の調査をするというので調査にきた。決算委員会に報告をするのだというけれども、その調査内容というのは、わずか二日間だ。そうなってくると、やはり恒常的な調布機関というふうなものをつくって、そうして神奈川にこれだけたくさんある、あるいは全国にこれだけたくさんある基地について、場当たり的にその場その易、ケース・バイ・ケースのさっきの話のような解決では、アンバランスが起こり過ぎて、かえってそのために紛争が拡大をする、こういう結果を生じているということについて、一体今回の調査というのはどういう理由でやられたんだということを、これは地元で問題になっていますから、聞いているわけです。
  142. 小野裕

    小野政府委員 私ども、米地周辺の諸問題について、随時調査をし、対策を検討しておるわけでありますが、ただいまお尋ねの調査は、待に上瀬谷との関連でおっしゃいましたが、おそらくある滑走路の進入路の下側にある地域に対するいろいろの騒音とかあるいは危険感、こういうものについての調査ではないかと思うのでありますが、こればお話しのとおり、実は滑走路の進人表面下に対する農業の阻害補償という形でお見舞いをしておるわけでありますが、こういうものの単価が、上瀬谷の場合とどうこう、これは確かにお話しのような問題がございまして、これを適正化するということは、私ども懸案として常に考えておるわけでございます。一挙に解決はできませんけれども、そういう意味の研究調査をいたしておるわけでございます。
  143. 大出俊

    大出委員 時間がありませんので、もうあと三点ばかり簡単に承りたいと思います。  一つは、厚木基地内の連合技術顧問団というのがかつてありまして、これは予算委員会で問題になったところでありますが、この問題をめぐって、この問題がはたして安保条約に基づく契約その他の内容から見て適法なものであるかどうかというふうな問題と、もう一つは、その退職金という問題とがあるわけでありますが、あの予算委員会でのやりとりの結果として、私は、もうとっくに解決をしているのであろうと思っておったのであります。ところが、最近、再三陳情が行なわれている、こういう実情にありますので、現時点におけるこの問題に対する皆さん方の考え方だけを聞いておきたいと思います。
  144. 小野裕

    小野政府委員 お尋ねの連合技術顧問団ということにつきましては、まことに残念でございますが、よく存じませんが、どういうことでございますか、承知いたしません。
  145. 大出俊

    大出委員 三十六年に例のCIAの関係で、スパイ養成をしたいということで、当時この顧問団におられた方からの内容の説明等もあったんでしょう、本来行政協定の面からいきまして、もうこのときは地位協定になっておったかもしれませんが、陸海空の各軍に基地を提供しておるにもかかわらず、その中に軍に属せざるもの、つまりいま申しました顧問団、こういうものがあって、これが賃金その他の契約面でもきわめて一般と違った、退職金は払わないんだというようなことに捺印をさしたりというようなことで——機密費でやっておった関係でそうなったんだと思いますけれども、こういうものがあったということで、相当激しい追究が予算委員会で行なわれまして、それが今日に及んでなお解決をしないで、これらの当時おられた方々が一つ委員会をつくって、自分たちの当時の地位、性格の問題、さらには退職金の問題等で各方面に陳情に行っているようでありますので、その点について、最近どういうふうになっているかということを聞いているわけです。
  146. 小野裕

    小野政府委員 私ども、最近その問題については何も聞いておりません。
  147. 大出俊

    大出委員 聞いておられないということであれば、これはやむを得ないのでありますけれども、それではひとつあとから、この問題については資料等が来ておりますから、あらためて私のほうから資料等を差し上げて御検討をいただく、こういうことにさしていただこうと存じます。  それから次の点でありますけれども、NHKの料金免除等の問題で、先ほどの基地周辺の騒音との関連で、どうもこれまた一貫性がないのではないかという意見が方々から出されておりますが、これについてどういうふうにお考えになっていますか。
  148. 小野裕

    小野政府委員 その問題につきまして、郵政省あるいはNHKのほうも、従来いろいろ検討していただいたわけでありますけれども、現実にはやはり直接に基地を担当しておるわけでございませんので、この減免という方針をきめましたものの、これをどういう範囲でどういう程度にしたらいいのかということについては、必ずしも確信を持っておられないようであります。とりあえずのところ、最小限度のところではっきりした減免の措置をおとりになった。私ども考えましても、なお不満足な点がございまして、その修正方を申し入れし、折衝協議中でございますけれども、NHK側といたしましても、さらに実情に合うように時期を見て改められることと考えます。
  149. 大出俊

    大出委員 どうも質問が少し長くかかり過ぎまして恐縮ですが、途中でやめて明日ということになるとまた長くなると思って、きょう片づけたいと思って質問しておりますので、御了解をいただきたいと思います。  三十八年の九月十七日に、日米合同委員会で厚木基地のみの騒音規制についての申し合わせ、協定ができているわけでありますね。しかしそれは、米軍側の一方的な意思できまったという感じがするわけであります。どうも民主的にきめられていないのではないか。つまり向こうに一方的に変える意思があれば一方的に変えられてしまう、こういう結果になるのではないか。こういう点で、このきまるときに一体こちら側はどういうふうにお考えの上でおきめになったか。いつ一方的に変えられるかわからないというかっこうになっておったのでは困ると思いますので、その点簡単にお答えいただきたいと思います。
  150. 小野裕

    小野政府委員 これは騒音対策委員会といたしまして日米両者が協議をし、厚木の場合についても、長年——二年くらいにわたっております。数十回にわたりましていろいろ協議をいたしまして、規制項目というものをあげまして、その内容一つずつ詰めたわけであります。その場合に、原則として私どもの要望する騒音規制の方針の取りきめができたわけでございますが、いまおっしゃいますように、やむを得ざる場合というのがところどころ出てくるわけであります。これは米軍の軍という特性上、やむを得ない場合は当然あるわけでありますが、そういうような場合を最小限度にしぼると同時に、やむを得ないということを乱用しないように、もしそういう例外的な行動があった場合には、私どもはその理由を追及する権利といいますか、そういうものを留保して、やむを得ないものを最小限にするという形で妥結したものであります。これはやはり夜間に非常な事態を起こしますというか、軍の作戦運用上あるいは待殊な訓練上やむを得ない場合は、例外になるわけであります。
  151. 大出俊

    大出委員 そうすると、いまのお話は、こちら側の言い分、主張というものは相当に通せる、そういう考え方ですか。
  152. 小野裕

    小野政府委員 たてまえとしては、全面的にこちらの希望をいれたわけであります。ただ、例外的な場合を最小限にさせる場合の問題でありますが、これは先方の理屈にその理由があるならばそちらの希望するままでありますが、それがそういうような例外に当たらないような例外をつくった場合には、こちらから抗議をし、追及をし、今後の是正を求めることができるわけでございます。
  153. 大出俊

    大出委員 地元民の心配というのは、こういう協定が締結されても、この二日間調査された報告書によりますと、精神的あるいは生活的な被害というものは、これによっては救済されないのではないかということで、したがって、政府としてこれに対して何らかの慰謝料とか見舞い金とかいうものを出す意思はないか、こういう問題を一つ含んでおるわけであります。二日間の調査であっても、物資的な面、精神的な面、生活の血における被害が相当高いということを認めておるわけでありますから、これは決算委員会に報告されたとおりであります。このところは、どういうようにお考えになっておりますか。
  154. 小野裕

    小野政府委員 特殊なケースにつきましては、それぞれ補償あるいは賠償というような形でお報いするわけでありますが、一般的に御迷惑をかけているという問題について、これをどういうふうにおわびするか、あるいは対策をとるかということにつきましては、大きな問題になっておりますけれども、現在のところ、まだはっきりした方針は立っておりません。
  155. 大出俊

    大出委員 簡単にいたしますので、ひとつどなたでもわかる方から御答弁いただきたいのでありますが、あわせて農業補償の場合は、厚木の飛行場周辺の場合と三澤等の場合とを比べてみまして、厚木の場合には長さ千二百メートルというものを基準にとっておりますけれども、三澤の場合には千五百メートルということになっておって、基地基地によってずいぶん補償の範囲に違いがあるわけであります。これらのことも、厚木なら厚木の農民にすれば、どこどこはこれこれ認めておるじゃないかということに問題がすぐ発展する。それを単に専門的な見地からこうだといって済まない感情が残ってしまう。これが現地の運動をさらに複雑にする理由にもなっているわけでありますが、それらの点は、比較の面で納得のいかない点がたくさんあるのでありますが、私は、一元的なものの考え方でやっておられないところにあるのではないかという気がするのでありますが、そこのところだけひとつお答えを願いたいと思います。
  156. 鈴木昇

    ○鈴木(昇)政府委員 御指摘のように、厚木と三澤の飛行場の農業損害の補償の対象といたしております地域は、滑走路の末端からそれぞれ違った距離になっておるわけでございます。これは、それらの飛行場が、地形上滑走路の先が高くなっておるとか、あるいは平面であるとか、下がっておるとかいうことを勘案いたしまして、そのようにケース・バイ・ケースできめたものでございます。
  157. 大出俊

    大出委員 それから一日の労働賃金を乗じて補償算定をいたしておりますが、三十七年度においては四百八十五円、一般のどういう地場賃金をとったかわかりませんが、これがどうも最近の実情から見るとあまりにも低いという感じがするのでありますけれども、これらの改定の意思はございませんか。
  158. 鈴木昇

    ○鈴木(昇)政府委員 お話のように、労働賃金の査定上の金額は、労働省告示の金額を採用しておるけけでございまして、これらの点については必ずしも実態に即さないという非難も多いわけでございますので、改定について検討いたしております。
  159. 大出俊

    大出委員 改定について検討されておるということでありますから、その点は了解をいたします。  時間の関係でたいへん長くなって恐縮です。最後に一つだけ質問をいたしますが、防衛庁ないしは米軍基地に使っている地域について、大きながけだとか、自然地であっても危険のある断崖みたいなものがあったりいたしますが、これらの危険防止という面から、予算的に、あるいはその他の計画として、どういうようにお考えになっておりますか。
  160. 小野裕

    小野政府委員 自衛隊もしくは米軍が使っておりますいろいろな施設でありますが、その施設の種類によって違いますが、演習場とかいうようなものにつきましては、広範な土木的な仕事もございます。あるいは隊舎、住宅というようなものにつきましては、普通の意味の財産管理上のいろいろな措置をとらなければならぬということもあるわけであります。いまのがけくずれ防止ということにつきまして、自分の土地であり、自分が使っておるというようなことになれば、それはそれぞれの責任に応じまして、隣の人との関係を考慮の上、それぞれ措置をしなければならないということは、当然でございます。それはどの点をおさしになるか、具体的な問題でお答えいたします。
  161. 大出俊

    大出委員 具体的な問題でとおっしゃいますので、一つだけお尋ねしておきますが、横浜の中村町というところに稲荷坂という坂がありまして、そこに相当大きながけがあって、これは足かけ六年くらい前にがけくずれを起こして人が死にました。したがって、地域からも、あるいは県、市会議員団からも、あるいは国会議員の方々からも、いろいろと防衛庁と折衝を続けてきた問題でありまして、私も、一ぺんこれはそう御迷惑をかけぬで片づけなければならぬと思って市と折衝して、払い下げてもらって、市がこのがけをけずるということにしたらどうかということでやってみました。さて計画を出してみると、けずるについてばく大な金がかかるということで、予算的な問題が出てきております。したがって、この予算の持ち方なんかについても、どこかが多少考えなければ、市だけが負担するというばかなことはない、こういう問題も出てまいります。そういうふうなことになった場合に、危険がわかっておって、いまでもぼろぼろくずれておるので、また数年前のように人家が押しつぶされるということがいつ起こるかもわからない状態、したがって、このまま放置することは、いずれにしてもできない。この種のことについて、大蔵省とも私お話ししてみましたが、予算項目がない、三月末になって多少残った金を回して手をつけるくらいが関の山、これでは私は事は済まないのではないかと思っております。したがって、それらについて、いまの協力せよ云々ということならば、できるだけのことは私どもはやらなければならぬと思いますけれども、本質的にやはり防衛庁、施設庁の責任であろうというふうに思っておりますので、その点について、どういうふうにお考えになっておるかということであります。防壁をつくる云々ということでできないかということであります。
  162. 鈴木昇

    ○鈴木(昇)政府委員 御指摘のように横浜、横須賀方面におきましては、米軍の施設区域の周辺にがけくずれが何カ所か生じておるわけであります。それらのがけのくずれた地域が、施設区域の中である、米市に提供した地域であるというものにつきましては、地位協定上当然に日本側の費用の負担でできないというたてまえになっております。これは米軍が当然その手当てをすべきことは、御承知のとおりであります。しかしながら、そういう予算がないとかなんとかいう理由で米軍はなかなかやらないということが実態でございますので、私ども、財政当局に対してそういうものの予算の要求を続けてやっておるわけでございますが、なかなか正式な予算としては認められておりませんので、早急な手当てをいたしかねておるわけでございますけれども、実行上それらのものをすみやかに手当てをする必要があるというところが、本年たしか四カ所くらいだったと思いますが、手当てをいたしております。なお引き続いて、それらのものにつきましては、市当局の御協力も得てどんどん片づけてまいりたい、このように考えております。
  163. 大出俊

    大出委員 それでは、その問題はいまのお話で筋はわかりましたから、あらためて具体的な問題として市側からもおそらく持ち出す問題だと思いますので、できる限りの御協力をしていただくように、地域住民の危険を除くという意味でお願いをいたしておきます。  たいへん長くなりまして恐縮でございますが、終わります。
  164. 徳安實藏

  165. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部改正に関連しまして、明年度福岡県内に設置されるナイキ第二大隊の問題について、一時半まできょうは質問を許されておりますので、残された問題は月曜日にやりたいと思います。  まず、自衛隊のミサイル部隊は、陸、海、空、三自衛隊のどの所属になっておりますか。
  166. 海原治

    ○海原政府委員 私どものほうで特にミサイル部隊という定義はいたしておりません。一般的にミサイル部隊と考えられますものは、当初、第二次計画では、誘道弾部隊としましてナイキ大隊を陸の手で編成し、これは空に移しました。それで陸はホークを二個大隊、空はナイキを二個大隊、こういうものがミサイル部隊ということになろうかと思います。陸上自衛隊につきましては、来年第二次の第二大隊、四十一年度に第二次のホークの大隊、したがいまして、ホーク二個大隊を編成する予定でございます。ミサイルということばは非常に範囲が広うございましてそれ以外に海のほうにも、ターターという地対空でございますが、地対空の誘道弾を持った船もございます。空のほうでは、当然戦闘機には空対空のミサイル、こういうものを装備しております。こういうものは、それぞれ今後陸海空の部隊において装備としては出てまいります。いわゆるミサイル部隊という定義として考えられますものは、先ほど申しました陸、空のホーク、ナイキ、それぞれ二個大隊、こういうふうに御了解願いたいと思います。
  167. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうしますと、関東に設置されております第一ナイキ大隊は、陸上の関係であった。それがいつから航空自衛隊の所属に変わったのか。そして福岡に設置される第二ナイキ大隊は、航空自衛隊、こういうことでありますか。
  168. 海原治

    ○海原政府委員 当初は陸で編成いたしましたが、本年の四月一日に航空自衛隊の所属に変更いたしました。  第二大隊は、初めから航空自衛隊の部隊として編成しております。
  169. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは来年度設置される福岡の第二ナイキ大隊の設置場所が、大体もうおきまりだと思いますが、どこになっておりますか。
  170. 海原治

    ○海原政府委員 第二次ナイキ大隊の配置場所につきましては、先般予算委員会でも御説明申し上げましたが、その後も事情は変わっておりません。この具体的にどの場所にするかということにつきましては、来年度予算決定いたしますときまでに具体的には決定を見る運びになるということで、現在北九州の各基地につきまして、どういう配置にしておくのが最も適当かということについての検討を進めている段階でございます。
  171. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 第二ナイキ大隊は、指揮中隊、つまり本部が一つと、それから発射中隊四中隊だと思いますが、発射中隊の設置に必要とする敷地面積は、どれくらいでございますか。
  172. 海原治

    ○海原政府委員 発射中隊の敷地につきましては、その当該地形によりまして若干変化がございます。大体私ども計画的に考えておりますのは六万坪から九万坪程度、こういうことが一応の基準でございます。
  173. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いま検討中のものは、大体自衛隊の所在地を中心にして考えておるということでございますか。
  174. 海原治

    ○海原政府委員 そのとおりでございます。
  175. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうしますと、福岡県内における自衛隊の敷地であって、いまおっしゃいました六万坪ないし九万坪の敷地を持っておる自衛隊の所在地は、おのずから限定されるのではありませんか。私は、防衛庁からいただいておる福岡県内の自衛隊の所在地の一覧表を持っておりますが、これでいくと、幾ら検討中といっても、限定されるので、六万坪以上の自衛隊の敷地を申しますと、これは全部福岡県内ですが、筑紫郡の春日町、それから芦屋、築城、久留米、それに小倉の五つです。そのうち小倉は大体予定になっておりますか、まずお伺いいたします。
  176. 海原治

    ○海原政府委員 具体的な配置場所につきましては、先般来申し上げておりますように、北九州の自衛隊が現在所在しておりますところを中心といたしまして検討を進めているということでございますから、その中にはいま先生の御指摘になりましたところは全部入るわけでございます。したがいまして、先ほど六万坪ないし九万坪と申しましたが、これも場所によりましては、レーダーの統制地区と発射地区と飛び地のようなかっこうになりまして、必ずしもその面積までになりませんでも置ける場所もございます。したがいまして、そういうところにつきまして最終的な検討をしておる段階でございまして、一、二の場所についてどういう状況かということにつきましては、ひとつ御容赦願いたいと思います。
  177. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 五万坪以上あげましても、いまの五つですよ。五万坪以上で私がいまあげた五つ以外にありますか、自衛隊基地が、それとも新しく民間の私有地を買い上げて設置されるなら別ですが、自衛隊の中に置かれるとすれば、いまの五つ以外にないじゃありませんか。どこを検討するのですか。
  178. 海原治

    ○海原政府委員 新たに所要の民間の土地を買い上げて配置することは、全然考えておりません。先ほど先生の御質問の中に、大体自衛隊の現在おるところを中心に考えておるかということのお尋ねでございますので、そのとおりであるということを申し上げた次第でございます。
  179. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 だから、五万坪以上の自衛隊の敷地をあげると、それだけしかない。ほかにあるのは、板付の米軍基地とか、あるいは雁ノ巣の基地とか、米軍関係基地しかありませんよ。おのずから限定されてくるでしょう。大体いま私が申し上げた五つぐらいの範囲で検討が進められておると考えてよろしゅうございますか。
  180. 海原治

    ○海原政府委員 私ども検討の対象としては、場合によりましては米軍基地も利用さしてもらいたいということも、考慮の要素の一つに入っております。
  181. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 米軍基地ということになりますと、大体考えられるのは板付ないし雁ノ巣でございますが、そのどっちですか。
  182. 海原治

    ○海原政府委員 板付には配置をしないということを従来申し上げております。板付には——春日は板付のそばでございますが、板付には指揮中隊を持っていく、こういうふうに従来御説明申し上げております。
  183. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうしますと、大体限定されてきますね。本隊が春日町に置かれる。あと発射中隊四個をどこに置くか。芦屋、築城、久留米高良台、それから小倉、それに雁ノ巣、このうち四つ、どこが振り落とされるか。大体この五つのうちから四つと考えていってよろしゅうございますか。
  184. 海原治

    ○海原政府委員 先ほどから申し上げておりますように、防衛庁としてはまだ正式に決定をする段階じゃございません。したがいまして、現在時点におきまして、そのうちから選定されるかどうかということを私の立場で申し上げることは、ひとつ御容赦願いたいと思います。
  185. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いま大臣お聞きのとおりです。設置場所に要する敷地——五万坪とは言われませんでしたが、六万坪ないし九万坪、それに当てはまる福岡県内の自衛隊基地は、五つしかありません。だから、その五つから選ばれる、こう考えてよろしゅうございますね。
  186. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 そうなろうかと思います。
  187. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 では大体限定されてまいりました。もう一度確認をいたします。本隊が春日、発射中隊は向こうから言って築城、芦屋、雁ノ巣、久留米高良台、これに小倉が入るかどうかわかりませんが、大体この四つを中心にして考えておられる、もう一度確認をしたい。
  188. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 おあげになりました地点は、それぞれ有力な候補地でございます。
  189. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それ以外に有力な土地がありませんから、大体それで考えておられると、確認をしておきます。  次に、長官にお尋ねします。このナイキ大隊を置く市町村の住民意思を尊重されるかどうか、地元に対する了解工作を必要とされるかどうか、長官のお考えをお伺いします。
  190. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 あらゆる施設、あらゆる基地については、やはり地元と了解と申しますか、お話し合いをするのは当然かと考えております。
  191. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 その地元との折衝は、いつごろから始められますか。
  192. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 まだ確定しておりませんし、さらに先ほど答弁しておりますとおり、予算の編成ともからみ合っておりますので、まだ具体的にいつするということは申し上げられないわけであります。
  193. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうすると、来年度の予算を確定するについて、防衛庁としての最終的な予算の確定時期は大体八月いっぱいくらいだと思いますが、そうすると、八月末くらいまでには確定をするという方針ですか。
  194. 海原治

    ○海原政府委員 ちょっと先ほどの大臣の御説明を補足さしていただきますが、先生の御質問で事務折衝ということがございました。これは先般予算委員会におきましてやはり先生からの御質問に応じまして私お答えいたしましたときに、新聞にいろいろと予想の配置場所が出まして、その結果西部方面航空隊等にいろいろ問い合わせがございました。その際に、地元におきましては、北九州に配置されるということはまず方針としてほぼ間違いないところであろう、ついては場所についてのどういう具体的な条件があるかということの調査その他は自分らとしてやっていきたいというようなことで、具体的な意味におきましては、その候補にのぼっておりますところにつきまして、それぞれの段階におきまして、まあナイキ部隊を置きたいと思うことに関連しましてのいろいろな協力のお願いであるとか、あるいは地元のお考えであるとかいうことは、やっております。そういう意味では、すでに事務的な何と申しますか、お願いと申しますか、連絡的なことは進行しておる、こういうように御了解願いたいと思います。  なお、予算の問題は、毎年八月末ごろまでに防衛庁として一応まとめたいと思っておりますが、現実の問題としましては、大部分が、従来の例でございますと、九月の中ごろから末ごろまでに一応の案がまとまるというのが、現状でございます。
  195. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 すでに有力候補地の地元に対する了解工作は、現実に進んでおると思います。いまの答弁は、それを裏書きされたと思います。  そこで私は、あとわずかしか時間がありませんが、お尋ねしておきたいのは、福岡に設置される第二ナイキ大隊の要員の数についてお伺いしたい。
  196. 海原治

    ○海原政府委員 ナイキ大隊の編成は、先ほど申しましたように、来年度の問題でございますので、具体的にどういう編成をとるかということにつきまして、まだ最終的には決定いたしておりません。しかし、先ほど申しましたように、第一次のナイキ大隊につきましては、陸上自衛隊において編成し、これを空に移しましたそのときの大隊そのものとしましては、約六百五十人程度の定員でもって編成いたします。したがいまして、おそらく第二次大隊の編成も、この程度の人員をもって編成される、このように現在考えております。
  197. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 正確に言いますと、福岡に設置される第二ナイキ大隊の要員は総員六百四十八名、本部要員百十六名、一発射中隊百三十三名、そういう数字を一応予想しておってよろしゅうございますか。
  198. 海原治

    ○海原政府委員 先ほどお断わりしましたように、その数字は第一次ナイキ大隊につきましての定員でございますが、おそらくはそういうことに相なると思います。
  199. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうしますと、この福岡に設置されるナイキ大隊の要員の訓練の状態は、どうなっておりますか。さらに付加しますれば、本年度の防衛庁予算の中に、集団訓練外国旅費として一億一千五百十八万五千円という数字が載っておりますが、これが福岡のナイキ大隊要員の派米の費用になるわけですか。
  200. 堀田政孝

    ○堀田政府委員 第二次のナイキ大隊の要員は、すでに三百三十名アメリカに派遣をいたしております。教育訓練を受けるために派遣をいたしております。(楢崎委員「いつですか」と呼ぶ)ことしの一月からでございます。
  201. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうしますと、三百三十名すでに全員アメリカに派遣されておるのですか、一月に。そうじゃないでしょう。
  202. 堀田政孝

    ○堀田政府委員 三百三十名は、本年一月から逐次派遣をいたしております。
  203. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 もう少し何回も質問せぬでいいように、私の聞きたいところはおわかりでしょうから、総員三百三十名訓練にやりたいと思っておる、そのうち一月から現在まで何月は何人、何月は何人すでに行っておるというふうな御答弁をお願いしたいのです。
  204. 堀田政孝

    ○堀田政府委員 手元に細分した資料を持ってまいっておりませんので、直ちに資料として御提出申し上げます。
  205. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 その派米の要員が、全部訓練を受けて全員帰国する時期はいつですか。
  206. 堀田政孝

    ○堀田政府委員 四十年の十二月でございます。
  207. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 一時半になりましたから、自後の質問は月曜日に譲りたいと思いますが、最後に、福岡に設置される第二大隊の正式の名前をひとつお知らせいただきたい。
  208. 海原治

    ○海原政府委員 まだ決定いたしておりません。
  209. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 名前がきまっておらぬのですか。担当のものはきまっておりますか。
  210. 海原治

    ○海原政府委員 部隊を編成いたしますときに、一応どういう部隊を編成するかということはきまりますが、具体的にその命名というのはずっとあとでございまして、先ほど教育局長から御説明申し上げましたように、部隊の要員が全部帰ってまいりますのは、四十年の十二月でございますので、そのときに名前がきまる、こういうのが、従来のやり方でごまいます。
  211. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 最後の訓練を受けた方々が帰ってくるのは、来年の十二月ですか。
  212. 堀田政孝

    ○堀田政府委員 そうでございます。
  213. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 来年の三月末ではありませんか。
  214. 堀田政孝

    ○堀田政府委員 三月末ではありません。本年の一月から逐次派遣いたしまして、来年の十二月に完了ということです。
  215. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは、あとのいいところは月曜日にとっておきます。
  216. 徳安實藏

    徳安委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は、明後六月二十二日、月曜日、午前十時より理事会、十時半委員会を開会することとし、これにて散会いたします。    午後一時三十三分散会