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1964-06-18 第46回国会 衆議院 内閣委員会 第46号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月十八日(木曜日)    午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 徳安 實藏君    理事 伊能繁次郎君 理事 佐々木義武君    理事 辻  寛一君 理事 内藤  隆君    理事 永山 忠則君 理事 石橋 政嗣君    理事 田口 誠治君 理事 山内  広君       岩動 道行君    壽原 正一君       高瀬  傳君    野呂 恭一君       藤尾 正行君    保科善四郎君       前田 正男君    湊  徹郎君       渡辺 栄一君   茜ケ久保重光君       中村 高一君    村山 喜一君       受田 新吉君    山下 榮二君  出席国務大臣         国 務 大 臣 佐藤 榮作君         国 務 大 臣 宮澤 喜一君         国 務 大 臣 山村新治郎君  出席政府委員         総理府総務長官 野田 武夫君         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房賞勲部長) 岩倉 規夫君         総理府事務官         (中央青少年問         題協議会事務局         長)      西山  剛君         総理府事務官         (臨時行政調査         会事務局次長) 井原 敏之君         宮内庁次長   瓜生 順良君         総理府事務官         (行政管理庁統         計基準局長)  後藤 正夫君         総理府事務官         (行政管理庁行         政監察局長)  山口 一夫君         経済企画政務次         官       倉成  正君         総理府事務官         (経済企画庁調         整局長)    高島 節男君         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局長)  鹿野 義夫君         総理府事務官         (経済企画庁水         資源局長)   崎谷 武男君         科学技術政務次         官       鹿島 俊雄君         総理府事務官         (科学技術庁長         官官房長)   江上 龍彦君         総理府技官         (科学技術庁計         画局長)    村田  浩君         総理府技官         (科学技術庁研         究調整局長)  芥川 輝孝君  委員外出席者         内閣調査官   芳田 政一君         外務事務官         (アジア局中国         課長)     原 富士男君         自治事務官         (行政局振興課         長)      森   清君         専  門  員 加藤 重喜君     ————————————— 六月十七日  委員受田新吉辞任につき、その補欠として鈴  木一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員鈴木一辞任につき、その補欠として受田  新吉君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  総理府設置法等の一部を改正する法律案内閣  提出第八一号)  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法  律案内閣提出第一一七号)      ————◇—————
  2. 徳安實藏

    徳安委員長 これより会議を開きます。  総理府設置法等の一部を改正する法律案、及び防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題として、質疑を継続いたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。茜ケ久保重光君。
  3. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 総理府長官にお伺いしたいのでございますが、何か与野党の理事諸君の非常な御努力で、だいぶ議事が進展しまして、きょうは大体議案が上がるような状態でございますが、上がるにしましても、やはり一応お尋ねすべき点はお尋ねしませんと、われわれとしても議員としての責任がございますので、以下若干お尋ねをするわけでございますが、特に賞勲部賞勲局に昇格する問題について、私は質問したいと思います。  私は、議案をいただきまして、その説明書を読んでみましたが、この際賞勲部という部を局に格上げしなければならぬその理由は、私は何べん考えてみても、何回読んでみても、ぴんとこないのです。したがって、説明はございますが、この説明だけでは、いま言ったようにぴんとこないのです。政府がこの際わざわざ賞勲部を局に格上げしようとするほんとうのところを、総務長官からお聞きしたいと思います。
  4. 野田武夫

    野田(武)政府委員 賞勲部を局に昇格することにつきまして、御審議を願っております。これは、ただ部を局にするという格を上げるというのが真意ではございませんで、すでに御承知のとおり、生存者叙勲等について前に戦没者叙勲を開始した。戦没者だけといたしましても二百万対象事務をやるわけでございます。また、生存者も今度開始したのであります。従来の賞勲部は、御承知のとおり、ほとんど死没者が相手でございまして、それをいよいよ戦没者二百万の方々に差し上げる、生存者も新たにこれに加わるということでございまして、事務が何倍というよりも、何十倍というふうにふくれ上がったわけでございます。それによりまして、どうしても職員の、つまり事務人数を増さなければなりませんし、かたがた賞勲部仕事というものが、物理的に一ぺんにふくれ上がったものでございますから、それでこれらを勘案いたしまして、この際ぜひ定員も増し、また増すといたしますと、どうしてもいままでの行政府の慣習上、部という範囲内では、それの職員の増員その他のいろいろな行政上の拡張との関係が非常に複雑になってまいりましたので、この際局にして定員を増しまして、そして事務の渋滞を防ぎたいということでございまして、ことさらの意味はございませんが、生存者戦没者叙勲その他からして、物理的にどうしてもそうせざるを得ない、こういう意味でございますから、この点は特に御了承願いたいと思って御審議を願っておるわけでございます。
  5. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 いま長官のおっしゃることを聞いておりますと、事務がふえる、したがって人もふえる、それで一応理物的現象賞勲局になるということですが、私は、現在の政府の組織の実態を見ておりますと、局でも非常に人数の少ないところもある。非常にわずかな人数で局になっている。部でも、局が三つか四つ合わしたくらいの人数を持っておるところもある。したがって、長官のおっしゃるように、ただ単に事務がふえた、人をふやさなくちゃならぬ、したがって、自然局になるということではないと思うんです。それなら、今度はほかにもたくさんあります。政府機関の中の局、たとえば人数が百人以内の局がございます。そういう局は、自然物理的に部にするなり課にしたらいいと思うんです。また逆に、一方にはえらい膨大な人数をかかえた部もあるわけです。それがいま局になるということは出てこない。長官の御答弁を聞いておりますと、いまあります既存の政府機関の中の部局というものの実態を見ますと、局にしなくちゃならないものもかなりありますし、局から課にしなくちゃならないものもあるわけです。それは全然いじらずに、賞勲部だけがここで局になる。しかも端的に申し上げて、宮澤長官やその他にはお気の毒だけれども、ほかの新しい局が犠牲にされてまで賞勲部が局になる。これは私は、意味がなかなか簡単ではないと思うんです。これは最初提案説明を聞いておりますと、それぞれみんな重要な意味があって、新しい局をつくろうとした、それはあったと思う。それがだんだんなくなってきまして、ただ賞勲部賞勲局になるということは、野田長官の御答弁だけでは、少なくとも私自身は納得が参りませんし、国民もやはりこの際無理をしてまでも局にしなければならぬ理由は、どうも理解できません。なお重ねて、あまりことばをお用いにならずに、ここまできたのですから、端的なことばをおっしゃったほうがわかりやすいと思うのですが、いかがなものでございましょう。
  6. 野田武夫

    野田(武)政府委員 茜ケ久保さんのお話でありますが、今度は審査官もふえますし、それから、部となりますと、やはり行政の運営上いろいろ差しつかえがございます。今度の局には、参事官、それから総務課長審査官というものをふやしてまいります。これは厳密に言いまして、いまお話のとおり、いまの部でもって人をどんどんふやしていってやればできるんじゃないかというような御意思があると思いますけれども、それはつまり各行政府もそうでございますが、やはり仕事内容が非常に拡大してまいりますと、どうしても課をふやしたり、あるいはいま賞勲部で申しますと、審査官をふやしたり、参事官をふやすとか、いろいろなことがございまして、この仕事のやりやすいようにするというのには、部ではそういうものを責任者が取り計らいます場合に、どうしても支障がある。また、今度は特に賞勲部は、御承知のとおり、賞勲部独自の仕事ではございませんで、これは各官庁に連絡し、また調整もしますし、いろいろの折衝もいたします。それはひとり各官庁だけではなくて、民間でもそうです。また同時に、地方公共団体なんかの関係もありまして、いままでは死没者だけやっておりましたから、事務的にやっておったわけですが、こういう広範な仕事に入ってまいりますと、いろいろな折衝面も広いし、仕事 範囲がふえたし、それから叙勲仕事の中の係の者をいろいろ新しく設けなくてはならぬとか、いろいろなことがございまして、これは理屈からいって、あなたの理論は私は決してそんなことはありませんとは言い切れませんけれども、常識的に局にしてまいりましたほうが、事務も簡捷であるし、また能率があがる、こういうわけで、今度御審議を願って局にいたしたいのであります。この点は、決してあなたの御意見が間違っているというわけじゃございませんが、基本的には非常に仕事が広範になった、いろいろな事情からして折衝面も広くなったということで、ぜひ局にしたい、そして仕事をなるべく能率的に、しかも効率的にやりたい、こういうことを目ざしているわけでございます。
  7. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 どうも先が見えていることの質問だものですから、もう少し言いたいこともありますし、長官答弁に対してかなり反駁もしたいのですが、あまりやってもしようがありませんから、長官の苦しい答弁を了承したというわけではありませんが、時間もございませんから、これ以上追及しません。やはりものごとは筋が通った納得のいく線でございませんと、お互いに国費を使って、私ども国民の代表でやっているのでありますから、一度は指摘しなくてはなりません。その点はその点で長官責任でございますから、この上とも十二分に善処してもらいたい。  そこで私は、人事についてはこういうことは申し上げておきたいのですが、ここで賞勲部が局になり、いわゆる戦没者叙勲から、特に重大な、私ども反対でございますけれども、強行なさっている生存者叙勲についても、これは多分に問題があろうかと思うのであります。したがって、この点については、ほかの委員諸君が御質問することであるので、私は内容に触れません。ただ、ここで新しく賞勲局ができるというときに、人事の一新が私は必要ではないかと思う。決して現在の賞勲部長さんがどうとかいうのではありません。いままでの長い一つの焦げついたような、何か沈滞し切った賞勲部仕事が、新しい分野に発展する過程において、この辺で人事についてかなり思い切った処置をされませんと、ずるずるとして、何か戦争中の基準なり、戦争中の天皇の恩恵によって叙勲されるというような事柄がやはり生きてきて、新しい憲法下における新しい叙勲としての意義が没却される危険が多分にあるのじゃないか。これは私は必ずしも賞勲局長とかいったような一局長立場だけでできるものとは思いませんが、やはりそれはかなり大きいと思うのです。そこで私は、現在の賞勲部長さんがどういう方か存じませんけれども、せっかくできるのでありますから、賞勲部の中におけるいろいろな人事の面も、この際思い切った処置をされることが望ましいのではないかと思うのでございますが、長官はどういうふうにお考えになりますか。
  8. 野田武夫

    野田(武)政府委員 いまの御意見を拝聴しまして、非常に私どもも参考として今後の人事をやらなければならぬと思います。御承知のとおり、叙勲は、一応内閣の閣議にはかりまして基準は一応きめておりますが、いろいろの点につきまして、いまお話のとおり、従来の叙勲の形式もありますことですし、新しい基準は設けておりまするが、ただ賞勲部賞勲局になって、やはり伝統的な、お話のような古い叙勲制度というようなにおいを持ったいろいろな旧叙勲基準に片寄るようなことがあっては、これはもちろんいけないと思います。新しい基準のもとにやっていきます。しかし、人事というものは、お示しのとおり、なかなかいろいろなことに影響力を持っておるのでございますから、十分これらの点につきまして注意をいたしますことを申し上げておきます。
  9. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 ぜひその点は、私ども反対立場をとっておりますけれども、しかし、具体的におやりなるのでございますから、おやりになるからには、やはり新しい時代の息吹きを持った、国民全体がさすがにこの人は勲章をもらうだけのものがあるということがありませんと、私はやっぱりいかぬと思うのです。十二分な御配慮を願いたいと思います。  生存者叙勲については、いろいろな点で他の委員諸君が御質問すると思いますから、私は、賞勲部長褒章の点について二、三伺いたいと思います。いつか基準をいただいたのですが、どこかへいきましてないのですが、ここでもう一ぺん議事録に残すために、褒章授与基準を一応伺っておきたいと思います。
  10. 岩倉規夫

    岩倉政府委員 お答えいたします。  褒章制度は、御案内のように、明治十四年に制定せられました太政官布告根拠になっております。種類は、明治十四年の当時には、人命救助紅綬褒章、徳行卓絶なる方に賜う緑綬褒章、それから公益のためにお尽くしになった方の藍綬褒章という三種類が、制定になっております。その後大正七年に、公益のために寄付をせられました方の紺綬褒章ができました。それから昭和三十年になりまして褒章条例を改正いたしまして、業務精励衆民の模範という方に黄綬褒章、それから学術、芸術、創作活動のための功労者紫綬褒賞というのができまして、現在ではその六種数が運用されておるわけでございます。お尋ね褒章の中には六種類ございますけれども、そのうち公益にお尽くしになった方につきましての藍綬褒章業務に御精励になった方の黄綬褒章、これにつきましては、根拠太政官布告でございまして、それぞれの授与基準につきましては、各省協議をいたしまして、それぞれの業績を判定するに足る在職の、といいますか、その業務におつきになっておる期間、たとえば三十年以上、二十年以上、あるいは年齢にいたしましても、五十五歳から大体七十歳ぐらいの間におきまして、各省の受け持つ範囲の特性に応じまして、たとえば鉱山保安のような業態につきましては、比較的若い線を引いております。そのように、年齢とそれから在職年数、それを勘案いたしまして一定の内規を定めまして、春秋二期に各省大臣の内示によりまして授与をいたしておる、そのようになっております。
  11. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 紺綬褒章の十万というのは、いつできた基準ですか。
  12. 岩倉規夫

    岩倉政府委員 紺綬褒章基準は、大正七年の創設当時は金一万円以上ということになっておりました。それが終戦後、昭和二十二年に十万円に改正になりまして、昭和二十四年からの御寄付につきましては十万円以上ということで、今日もその基準でやっておるわけでございます。
  13. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 この十万円というものをお変えになるという話は、全然出ておりませんか。
  14. 岩倉規夫

    岩倉政府委員 紺綬褒章授与基準が現在の十万円でいいかどうかという点につきましては、二つ意見がございます。  一つは、昭和二十二年当時の十万円というものが、今日の貨幣価値と比較した場合に、非常に低額に過ぎるではないかという御意見、これが一つございます。  それからもう一つは、国の栄典といたしまして、国民大衆が最も手近なところにある一つの国の栄典という見地からいたしまして、善意の御寄付ということにつきまして、十万円という金額でさして差しつかえないのではないだろうかといった二つの御意見がございますけれども事務当局といたしましては、現在低過ぎるではないかという御意見もございますので、目下検討中でございます。
  15. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 私は、最近いろいろな会合やいろいろな方々にお会いしてつくづく感じますけれども、特に藍綬褒章でございますが、実は先般私は群馬県の保護司大会に行ってまいりました。かなりの年輩の方が多いし、非常に長い間社会事業に専念をされまして、ほんとうに私どもは、社会事業と申しますか、当然保護司という方は、政治責任によるいろいろな罪悪のあと始末なり、そういうことに専念してきた方でありますが、私は政治家として責任感じております。そればそれとして、そうした中で、長いのは三十数年、短いのでも十数年専念されておる。ところが、私の驚いたことは、群馬県に五千人くらいいらっしゃるそうでありますが、その中で、現に生存者の方で藍綬褒章を受けた方は一人なんですね。もちろんその方々藍綬褒賞をいただこうと思ってやっているわけではございませんけれども、少なくとも国が無報酬でお願いして、一番下積みの最も大事な仕事をさしておいて、それで何ら顧みない。私はそういったときに、また反面驚いたことは、保護司の先輩の方は、かなり地位も持っている人ですし、経済的にもかなり裕福な方がございます。したがって、そういう力が、ここで藍綬褒章などをもらっても、別にたいしたお感じはなかろうと思っておったのですが、最近私の非常に懇意にしておる、これは群馬県でもかなり有数な資産家でございますし、名望家でありますが、その方が、最近保護司関係藍綬褒章を受けられた。ところが、えらい盛大な披露宴をされて、いかにもこのことが一家のえらい名誉といったようなことなんですね。私は、そこにまいりまして驚いたのです。こういうことは意外に思ったのですが、それほどやはりお感じなんですね。それは、だから私は乱発してはその効果もないと思いますが、しかし私は、保護司といったような方々は、現在調べてみますと、法務省で年間二十二、三人だそうでありますが、あれは私は少ないと思うのです。五万人かいらっしゃるそうでありますが、その中で二十二、三人しかもらえない。したがって、もらう人は、もらったら一、二年でなくなったりするというような方でございます。現存のままでそれを保持する方が少ないのです。ここで私が思ったのは、いわゆる勲何等という生存者叙勲には私ども反対立場をとっておりますけれどもほんとうにだれが考えても、あの人はあの褒賞をもらうことは当然であるし、りっぱだというものには、これは社会党として反対ではございません。私も反対ではありません。むしろそういう人にこそそういった褒章を差し上げて、長年の苦労を慰めるとともに、また一般からもそれを契機に、あの人はそれだけの業績を積んだという、一つの社会的な立場も大事だと思う。私は保護司という一つの例をいまあげたのでございますが、法務省に聞きますと、出しても、あなたのほうのあれがなかなかきびしいので出ないということなのです。したがって、これは一つの例でございますが、せめて毎年各県一名くらいの割りで出すことは、乱発にもならないと思う。そうすることによって、さらにまた保護司諸君のその仕事に対する精励も、非常に違ってくるということを感じるのです。これは端的な御質問ですが、いろいろな基準がございましょう、いろいろな関係もございましょう。けれども一つの例として保護司という特殊な例をあげてみまして、五万人の中で毎年四十四、五人に出すということは、〇・一%にも満たないものなんです。それなら私は、ほかの例がありましても、決して乱発とは言えぬと思う。この際賞勲部賞勲局になるという一つの転機でございます。これはいま言ったように仕事がふえるし、勲記をたくさん出すのだからとおっしゃるけれども、こういうことを機会——ほかにもあありましょう。調停委員とかその他ございますが、そういったものも含めて、社会的に非常な御苦労をしている方々に対する藍綬褒章の増加を考える必要があると思うのです。賞勲部長は、いままでの経験からいかにお考えになりますか。
  16. 岩倉規夫

    岩倉政府委員 お答えいたします。  ただいまの御意見、拝聴いたしております。最近の藍綬黄綬各省関係全部を見ますと、一千百三十四名という数になります。このうち、藍綬褒章が六百五十六名、黄綬褒章が四百七十八名、これが昨年出しました全部の数でございます。それで各分野におきましてどの程度の受章者がございますかを申し上げますと、その母体になりますところの人口と申しますか、そういうことも一応考慮に入れなければならないと思うのでございますが、たとえば消防関係をとりますと、消防関係方々全国に約百五十万いらっしゃるようでございまして、それに対して藍綬褒章は二十二名、黄綬褒章が三十八名、それから中小企業関係功労者、これは全国三百五十万人にのぼります対象に対しまして、藍綬褒章は十五名、それから黄綬褒章が六十一名、保護司関係は、五万人の方々に対しまして、全部藍綬褒章でございまして本年は二十一名お出ししております。昨年は、これが十六名でございました。一昨年は十八名、その前年が十七名でございます。昨年は十六名でございましたのが、途中で手続中におなくなりになった力がございましたので、ちょっと減っておりますけれども、三十六年、三十七年がそれぞれ十七名ないし十八名、これは全部藍綬でございます。それに対して本年は二十一名ということで、増加しております。御意見ごもっともでございます。今後そういう点に十分注意しながら褒章の運用をはかっていきたいと考えておりますが、これは一種の行政予算のワクもございますので、標準予算になっておりますような事情もございまして、仕事としては前年度を踏襲していく、原則としてはそういうふうに考えておりますけれども、こういう方面の方々の御功績に対しましては、今後十分に注意してまいりたいと存じております。
  17. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保委員 総務長官、いまお聞きのとおりでございます。たとえば紺綬褒章は、十万円寄付をすれば出るのです。十万円決して少ないとは私は申しません。けれども、いま言ったように特殊な社会事業に専念される方は、私は、金額に直せばばく大な金額に相当すると思う。消防とか中小企業の例を申されましたが、私が指摘した保護司というのは、特殊な業務でございまして、ほんとう社会奉仕の観念がなければできぬことである。中小企業ですと、自分の業務に専念する過程でございます。消防も、ある程度奉仕もありますし、いろいろございますが、保護司というのは特別なものでございまして私は、特に現在の社会情勢の中では、いろいろなものを含んでいると思う。どうかそういった意味で、いまも言ったように賞勲局にもなるのでございますから、そういう機会——予算が足らぬなら、予算を出せばいいのです。あなたも国会へ出ているのですから、予算や何かに拘泥せず、こんなものこそ、乱発はいけませんが、もっと思い切って出していただくことのほうがいいと思うのです。これは私から言うのは変かもしれませんが、しかし、私はつくづく感じている。そういう点でぜひ長官も十二分に含んでおいていただきたい。隣にいらっしゃる宮澤さんは、局をとられて困っていらっしゃるが、同じここにいらっしゃるあなたのほうは、局になったのです。これは総務長官政治力か知らぬけれども、この機会に、少しはそういうふうにやられることが、あなたの道義的責任ですよ。  私は、先ほども言ったように、たいへん言いたいこともあるし、もっと皮肉な質問をしたいのですけれども、先の見えたことでございますから、やめたいのですが、そういう点も含んでひとつお願いしたいのです。総務長官の決意のほどを承って、私の質問を終わります。
  18. 野田武夫

    野田(武)政府委員 ただいま賞勲部長からお答えいたしておりますが、十万円の寄付紺綬褒章の場合でございます。これは率直に申しまして、昭和二十二年の十万円でございまして、今日の貨幣価値から申しますと、十万円では低過ぎるじゃないか。賞勲部長は、いろいろまたほかの意見もあると言っておりましたが、私は、率直に申しまして、これは少し手直ししなくちゃいかぬ、せっかくの御好意ですから、何も十万がどうということはありませんが、いまの貨幣価値から申しまして、相当考えなくちゃならぬかと思っております。  それから保護司の方の藍綬褒章お話がございましたが、保護司といわず、各方面の社会事業その他に御貢献になっている方に対して政府が敬意を表する、これは当然のことでございます。特に保護司のことをおあげになりましたが、これは法務省関係でありましても、実は総理府としても青少年問題なんかで非常にお世話になっております。私も、しばしば保護司の大会に出てこいということで出て、いろいろ接触して知っております。あなたのお話しのとおり、どなたも各地域においてりっぱな方でございまして、非常に犠牲的にやっておられることは私もよく存じておりますので、御趣旨のほどは十分この機会に考慮いたしまして、これはいいかげんなことではなくて、十分考慮するということをお答えして、御了承願いたいと思います。
  19. 徳安實藏

    徳安委員長 村山喜一君。
  20. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 私は、まだいままで取り上げられていない問題について、限られた時間内で質問を申し上げてみたいと思います。  第一点といたしましては、科学技術庁にお尋ねいたします。それは今回宇宙開発推進本部というものが設けられることになったわけでありますが、この内容を見てまいりますと、研究調整局の所属に入る付属機関として設置をされる、こういうふうになっているようであります。そうして、宇宙開発の積極的な推進をはかるのだ、それは総合的に効率的な体制を整備するために付属機関として設置をする。そしておもに何を目的にするかといえば、 ロケットと人工衛星である。これを関係行政機関の中核として開発を進めていくのだという構想であるようであります。ここで関係が出てまいりますのは、文部省の所管に入ります大学の研究機関であります糸川教授の鹿児島県の内之浦にあります例の宇宙ロケット開発の問題であります。これはことしの予算の中におきまして、十三億五千万円という予算が計上をされ、そしてなおそのほかに施設費といたしまして、三億五千万円の施設費が計上されているわけであります。すでにこのロケットの開発の問題は、御承知のように、カッパー型からラムダー三号の開発が行なわれまして、これはいずれも成功を見ております。さらに明年度あたりからミュー型のロケット開発を進めてまいる。そして宇宙の空間の科学的な、学問的な研究を進めるということに相なっているわけであります。こういうふうにいわゆる学問的な、基礎的な研究機関として、大学が中心になりまして、東京大学の糸川教授を中心にする宇宙開発が着々として進められております。そうした場合において、今回ここに関係行政機関の中核として発足をいたそうとするところの宇宙開発推進本部というものは、一体何をねらってこういうようなものを設けようというのか、その点をまず明確にしてもらわなければならないと思うのです。その有用性を主張をし、その目的は、たとえばテレビの中継衛星であるとか、人間が乗る衛星の開発であるとか、そういうようなものを開発されるやにも承っていますけれども、一体今日やっているところの新島の、あなた方が研究開発しているところのその推進状況は、どういうような状況にいまあるのか。これはいままでは研究所という名前、あるいは防災科学技術センターというような名前が出ておるわけでありますが、どうもこのたび出てまいりました宇宙開発推進本部というような、行政機関であるのか、付属機関であるのか、専門的な研究機関であるのか、一体何が何やらわからない性格を備えたような妙なやつが出てきている。しかも、これだけではありません。やはりあなた方の付属機関の中には、航空宇宙科学研究所というものが現に存在をしている。とすれば、そういうような同一の研究機関で、しかも宇宙開発推進本部というような、そういうようなえたいの知れないものをつくり上げて、これがはたして関係行政機関の中核としての開発体になっていくかどうかということについては、非常に疑義があります。したがいまして、これを発足させたその主たる目的、そして今後の目標、目的というものは、どういうようなものをねらっているのかという点を明確にお答えを願っておきたいのでございます。
  21. 鹿島俊雄

    ○鹿島政府委員 御質問の詳細につきましては所管局長からお答えいたしますが、性格につきましては、御承知のとおり、今回の推進本部は国の開発実施機関としてやるものでありまして、特に行政職を長といたしまして、その開発については責任を持つ、責任開発を行なうというところに、一つの性格がございます。大学の研究につきましては、ここで申し上げてはどうかと存じまするが、その開発の責任、そういうものにつきましてはあまり明確ではない、さようなことが推進本部を設けました一つの性格の主たるものと考えております。詳細につきましては、関係局長からお答えいたします。
  22. 芥川輝孝

    ○芥川政府委員 大学でやっております研究、それからわれわれがやっておりますいわゆる行政ベースというものの研究、そこらにつきまして初めにお答え申し上げます。  わが国の宇宙開発につきましては、御承知のとおり総理大臣の諮問機関といたしまして、宇宙開発審議会というものが設けられております。ここで基本的な考え方を明確にされておるわけでございます。そこで宇宙開発の第一号答申というものが出てまいりまして、それが三十七年の五月十一日でございます。そこでこの答申の内容を、骨子を簡単に申し上げますと、わが国の宇宙開発は、宇宙の真相を直接的な手段でつかんで、宇宙の科学研究を進める。同時に、その発展に応じて実用化をはかるというふうな考え方になっておりまして、その線に沿いまして、大学の研究、それからわれわれのいわゆる宇宙の実用化の研究が進んでおったわけでございます。ところが、その後、御承知のとおり、世界の宇宙開発の実情が、いわゆる実用化の面、つまり国民の経済なり福祉なりに直接関係のある面の発展が意外に早いものでございますので、三十八年の一月三十日に総理大臣から再び諮問を出しました。それは、世界の宇宙開発の動向にかんがみて、今後わが国における宇宙開発を能率的、効果的にするために、重点開発目標をきめてそれを達成する具体方策いかん、そういうような問題を出したわけであります。そのねらいは、ただいま申し上げたように、学術開発のみならず、むしろ実用化の面につきましてもっと力を注ぐべきであるというふうな意味の諮問でございまして、その答えといたしまして、ことしの二月三日答申が行なわれまして、その骨子を申し上げますと、ただいま申し上げました点、つまりわが国の宇宙開発は、諸外国に比してまず明らかに立ちおくれておる、そういうことをはっきり認めまして、さらにこれを能率的に、効果的に追いつくというには、六項目の重点目標を達成しなければならぬ。そこでその六項目と申し上げますのは、ちょっとこまかくなりますが、たとえば人工衛星の開発製作、気象等実用ロケットの早期開発、 ロケット能力の涵養、他国の衛星による宇宙利用技術の開発、観測ロケットによる宇宙科学研究、それから各種の計測装置の開発というようなものでございまして、ここらを中心に重点を置くことによって、まず宇宙の実用化が直接国民の福祉または経済の発展に寄与するようにするという点、それからまた、これは御承知のとおり、高い科学技術の推進を要するものでございますから、これが新技術の開発に大きく寄与するであろうという点、それからもう一つは、学術レベルで宇宙科学の面で世界に貢献し得るであろうという点、さらにわが国の宇宙開発におきまする国際的地位を確保するというふうな点を達成するために、先ほど申し上げた六つの重点開発目標をつくったわけでございます。それではまだわが国としてもの足りませんので、さらにわが国自力で人工衛星を打ち上げるというふうな点で、一元的な機関を設けるということを考えまして、ただいま宇宙審議会で審議中だ、こういうことでございます。  それから新島のロケットの話でございますが、これはただいま申し上げた気象ロケットの実用化という点で、気象のロケットによる観測を経常業務としてやるということが、国連の勧告で各国に出されております。そこで、それに使いまするロケットをとりあえず開発しようというわけで、新島のロケットを昨年の夏つくって、その第一歩を進めたわけでございます。  それから本部ということにつきましては、これは政務次官からお答え申し上げましたように、この業務範囲が、いわゆる従来の研究機関のみならず、ロケットをつくることにより民間の技術を向上させるということで、委託研究費というものが相当中心になってまいります。したがいまして、権威ある開発計画に基づいて、行政職である本部長が責任を持って民間の技術開発を行なう、そういうふうなものがねらいでございますので、これを御報告いたしたわけでございます。これは科学技術庁の付属機関でございます。
  23. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 問題は、長官がおいでにならなければ、政務次官からぜひお答えを願っておきたいと思うわけですが、この宇宙開発推進本部がここに発足をいたしまして、いわゆる実用化をねらって、あるいは新技術の開発をねらう、こういうような分野で活躍をするということについては、行政的な責任主体としてのそのような組織をつくるということにおいても、私は賛成ができるわけであります。しかしながら、ここで行管に私がお答えを願わなければならないのは、科学技術庁あるいは文部省の国立学校の研究機関、あるいは防衛庁のロケット開発機構、こういうようなものをすべて一元化すべきである、こういう勧告がたびたび出されている。そういうような見解は、一体どこから生まれてくるか。それは、今日科学衛星をぜひ飛ばせてほしいのだという、科学的、学問的、特殊的な立場からの要望があるわけです。そういうようなものは、この実用的なベースで、しかも民間への委託研究を中心にするような宇宙開発推進本部あたりがやりこなせるものではない。やはりこれは、歴史を持つ、しかもいままで研究の成果があがっている東大の、そういうような宇宙ロケット開発の機構等を十分に利用していくということが必要ではないか。宇宙開発推進本部の予算は幾らついているのかはっきりわかりませんが、多くても四億円程度じゃないかと思うのです。そういうような金額は、あとで御明示願いたいと思いますが、十三億五千万円も金をかけて、すでに開発体制を整えているそういうものと、これから行政機関が中心になって宇宙開発を進めていくのだというかまえとの間には、私は、明らかに食い違った分野の開拓を進めてもらわなければならないと思うのです。それを総合的にやったほうがより効果があがるということがはたして言えるかどうかということについて、疑問を感じているわけでありますが、行政管理庁長官は、これに対しまして、そのほうがより日本の科学技術の進歩の上において優位であるという結論をお出しになっていらっしゃるわけですか。お出しになったとするならば、その根拠を承りたいのであります。
  24. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 宇宙開発という問題は、時代の要請でございまして、ぜひとも世界の進運におくれないように、わが国としてもこれを進展さしたいということは、おそらく世の中の要請であると私は考えておる次第でございます。先般行符といたしまして、この科学技術関係行政について勧告をいたしましたが、いま村山委員御指摘のように、あらゆる研究機関が非常にばらばらである、また同時に、計画的でもないし、非常に非能率であるという点等が、その勧告の趣旨でございます。いずれにいたしましても、非常に物資の少ない、また財源の少ない日本といたしまして、同じ政府機関の研究というものは、あくまでも最も効率的にその成果をあげなくてはならないというねらいからいたしまして、連絡が非常に不十分であったり、あるいはまた同じことをたびたび各研究所がばらばらに研究したりするようなことはむだなことであるから、これはぜひひとつお互いに連絡を取り合ってやってほしいということの意味が、この勧告の趣旨であったのでございます。したがいまして、御指摘のように、確かに専門的の立場において東大関係の研究が十分進んでおることも事実でございましょうし、反面におきまして、科学技術庁といたしましても、時代の要請としてこれに対応しなくてはならないのは、当然でございます。私どものほうといたしましては、せっかくできたこれらの機関というものが、十分に連絡を取り合うように、そして最も能率をあげよう、そういう趣旨のもとにこの勧告をいたした次第でございます。  こまかいことにつきましては、局長から説明申し上げさしてもけっこうでございます。
  25. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 いや、局長説明はもう要らぬですよ。  宇宙開発推進本部の予算は幾らですか。
  26. 鹿島俊雄

    ○鹿島政府委員 三億円でございます。
  27. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 これは七月一日から発足をするわけですね。
  28. 鹿島俊雄

    ○鹿島政府委員 そうでございます。
  29. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 三億をもって行政機関の中核として開発を進めていくというのは、実用面をねらったものであるならば了解ができる。しかしながら、十三億五千万円という東京大学の生産技術研究所の宇宙空間の研究機関、こういうようなものとごっちゃにして、そして開発を推進しなさいという行管の指摘事項は——私は、連絡調整をとりながらやりなさいということまではわかるのですよ。しかしながら、それを一体化すべきだという意見があるやに聞く。これは間違いだということを指摘しておきたいと思う。  この点につきましては、時間がありませんのでこの程度でおきますが、次は宮澤経済企画庁長官お尋ねをいたします。  今回、地域経済問題調査会が、任務を終了したということで廃止をされる。これは三十八年の九月に答申を終わった。内閣総理大臣の諮問に応じて、経済の地域的な発展に関する総合的かつ重要な事項を調査、審議したということであります。その結果、地域開発は一体どういうような考え方で行なわれなければならないかという答申の内容を私も見てみました。この中に地域格差の是正というものが、後進地域の住民福祉の向上につながる問題として、必要の原則として認められたということは、敬意を表します。これは三十八年の九月二十六日に答申が出されました。しかしながら、後進地域においてはどのような開発構想が政府責任ある指導体制として生まれてきているのかということになってまいりますと、この前私は総合開発局長にお電話を申し上げましたが、ことし調査費がつきましたから、六百万円ないし一千万円をもってまず後進地域十一県の申し入れに対して調査をいたします。これから具体的な計画を、調査をしてみてあとでつくります。こういうような進捗の程度であります。とすれば、今日所得倍増政策が第二ラウンドに入った、革命的な中小企業対策、革命的な農業振興対策を講ずるのだと施政方針の演説の中にはありました。しかしながら、一体その後進地域の開発の問題は、どのような構想のもとに、具体的にどういうように推進をして、国民の所得格差の是正は、いつまでに、どの程度まで広げていくのだ、どの程度まで是正をしていくのだという具体的な構想というものは、これは私まだ聞いていない。したがって、答申を受けた実施官庁であるものが責任を持って推進をしていく体制というものをつくっていく場合において、これはもうすでに目的を達成した、こういうふうには私は受け取れないのであります。後進地域開発に対する宮澤長官の御見解をお聞きかせを願いたいと思うのであります。そういうような総合的な施策がすでに立てられているものであるのか、どうしたら先進地域に追いついていけるか、この点について答申を受けて、あなた方はどういうふうに進めていこうとするのか。国土総合開発計画との関係もありますので、この際お聞かせを願っておきたいと思います。
  30. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 昨年の九月に地域経済問題調査会の答申が出たわけでございまして、御指摘のように、非常に広範な問題をよく分析をした答申をいただいたものと考えておるのであります。したがって、今後の問題としては、この趣旨を具体的な政策にどうやって盛り込んでいくかということが、これから解決をいたすべきところでありますが、ことにその答申の中で、地域経済構造の具体的な分析でありますとか、あるいは国民福祉という、その福祉の水準をどのように測定するか、こういったような問題を投げかけておるわけでございます。したがって、これらの問題は、具体的に私どもが、これから所得倍増計画の中期計画を今年の末を目途にして、今年の一月ごろからいま作業いたしておるわけでございます。その中にこういう問題を取り込んでいきたい。なかんずく一番むずかしい問題は、農業地帯に対してどのような経済構造の改善、あるいは所得の格差の是正をはかっていくかということが、残された一番むずかしい問題でございますので、それにつきましては、この中期計画の部会に特に一つの部会を設けまして、ただいま検討をいたしております。非常にむずかしい問題でございますけれども、少なくともどういうふうにこれから五年の間に変化をしていくであろうかということについての見方、そのくらいのところは出すべきではないのか。したがって、それについてどういう施策が必要であるか、そういう作業はぜひともやってもらいたいと思っておるわけでございます。なお、工業、あるいは商業を中心といたしましての地域格差の是正は、御承知のとおり新産業都市でありますとか、あるいは工業地帯整備特別地域でありますとか、あるいは低開発工業地帯の整備、それらの地点の指定によりまして、ただいまかなり具体的に構想は進めつつあるわけでございます。
  31. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 長官は、お答えをいただいていないわけです。これからやるということで、そのままになっておる。そこで、中期計画の段階に入った。なるほどそういうような意味におきましては、人間中心の考え方で地域開発を進めていくのだという答申を出された。経済開発と社会開発と均衡をとりながら進めていかなければならないという答申も、人口問題審議会あたりから出されている。そういうような答申を受けて立って政府の構想というものが、もう出てこなければ——こういうふうにして後進地域開発は進めていくのだという考え方が、なければならないと思う。そうでなければ、所得倍増政策の手直しがどういうようになるかわかりませんが、いまのような形で進んでいくならば、第一次産業は衰退の一途をたどってまいる。そして、僻遠の地は取り残されていく。これはもう現実にわれわれが選挙区に帰ってみると、後進地域においては、農業のあと取りもない老齢化したところの農業人口である。昨年は、地域開発のために工場を誘致するという工場誘致の促進法も生まれて、九十六カ所の指定がされました。しかしながら、そういうようなところも、単にその当該地方公共団体が工場を誘致した場合に、地方税を減免をした場合に交付税で補てんをするという程度にすぎない。したがって、工場が来るはずがない。新産都市の指定をされたところも、工業整備地域に指定をされたところでさえも、企業の立地条件が十分でなければ、企業自体が来ない。そういうような段階の中で、工業を中心とする開発構想というもの、これはもう後進地域においては不可能だと私は思う。特に大企業を誘致するというようなことで騒いでいるような状態では、これは解決ができない。とするならば、そこにはやはり第一次産業を中心とする産業の近代化、合理化、そして、公共資本の投資によりまして、社会資本を充実をして輸送距離を短縮するとかいうような形の中で考えていく以外にないのじゃないか。したがって、そういうような後進地域には、公共投資の面において傾斜配分をしなければ格差是正はできない。これが第一の私の見方であります。  第二の見方は、後進地域としておくれた地域における社会的な資本、これは文化的な水準にしても、その他医療あるいは社会保障の条件にいたしましても、そうであります。やはりそういうような面を充実をしていく。そのためにはどうすればよいかという点から考え方を立ててもらわなければならない。そういうようなものと産業政策とあわせて、三つの立場からこの問題と取り組んでいかなければ、後進地域の開発の問題は生まれてこないじゃないか。現在の資本主義の制度下にある以上は、これはもうもらからないところに、もうからない産業に金が流れるはずはないわけであります。それをいかにしてカバーするかということで、今度は主たる方法の問題として、いわゆる地方におけるところの事業団開発方式というようなものをとっていかなければならない。そして、国や地方公共団体、住民のそれらに対する資本を集めてやるという態勢を整えていく。そして開発事業団方式により開発構想を進めていく、こういうような一応の手段方法というものが取り上げられて、その中において後進地域開発の問題を進めていくのだという大まかな筋くらいは、長官のほうからこの際お示しを願っておくほうが、私は第二ラウンドに入った所得倍増政策の考え方としては正しいのではないかと思うのでありますが、私の見解に対しまして、どういうふうにお考えになりますか、お答えを願いたいと思います。
  32. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 村山委員の問題の御指摘のなされ方については、全く異存がございません。御指摘のように、二次産業、三次産業につきましては、ある程度の構想を政府は推し進めつつあるわけであります。私どもが予想外に効果があがっておると思いますのは、低開発地帯の指定でありまして、これはやはり企業に対して有利な条件を与えることによって、大企業ではないけれども、とにかく中小の工業を地方に誘致しようという考え方、これは拠点主義に立っておるわけでございますが、かなり実績があがりつつございます。したがって、新たに指定を希望しておる町村が相当にあるのが現状でございますので、これは拠点主義の考え方といたしましては成功しつつあると見ておるわけであります。  次に、工業整備特別地域は、もっと大きな工業地帯の整備を考えておるわけであります。したがって、これについての公共投資はかなり緊急を要する問題であります。また、現に傾斜されて公共投資がなされつつございます。それで、新産業都市の場合には、これは二次産業、三次産業ばかりでなくて、一次産業を含めて、一つの手足の整った地域をつくっていこう、こういう構想でございます。公共投資の先行性については、やはり七年なり十年なりという先を見てやっていかなければならないわけでございますから、これは効果が出ますのは、おのずからかなりあとになるであろう。しかし、公共投資を先行させることによって、その地域を中心とした当該地方の経済開発をはかっていきたい、こういう考え方でございます。これにつきましては、御指摘のように、まだ建設基本計画が出てきた地力はないわけでございますし、また地方の財政負担の問題がからんでおります。もともとかなり長期の考え方ではございますけれども、働き方はかなり緩慢でございます。問題は、結局第一次産業をどうするかということに帰着するであろうと思うのでありますが、これにつきましては、本来所得倍増計画あるいは農業基本法といったような考え方が打ち出されましたときに、自立経営農家はこれでよろしいと思っております。百万戸を目途にして、五、六十万戸のものがそういうところに向かって進んでおりますことは確かだと思いますが、しかし、そうでない、いわゆる一種、二種の兼業農家をどうするか。当初、こういう現象はきわめて過渡的な現象であろう、いずれは廃農をして、それらが自立経営農家に吸収されていくであろうという考え方をとっておったのでありますが、その後数年間の事実の動きを見ておりますと、兼業農家というものは、ある程度恒久的なものとして残っていくのではなかろうか。また、そのことが、国全体のいわゆる公害等々がしきりに言われます今日、あるいは望ましいことではなかろうかとすら思われる現状であります。もしそうであるならば、政府は、いわゆるそれらの兼業農家のこれからの行き方、今後どういう姿に発展していくであろうかということを示す必要があるというふうにただいま考えておるわけであります。それが、先刻申し上げましたいわゆる中期計画の策定において、特に私どもが重点を置いて、そういう兼業農家のあり方について政府考えを示そうとただいま考えておるゆえんでございまして、その作業は、早ければ十一月ごろには完成をいたす予定でおります。
  33. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 結局、日本の産業自体が求心的な構造を持っておるわけです。それを地域に拠点をつくっていくという遠心的な方法に変えていくんだという考え方は、私は当然これは今後推進をしてもらわなければならないと思うのですが、その中において、たとえば経済審議会の中間答申が出ました。これらも所得格差の是正、中小企業、農業近代化に着手すべき時期に入っておるんだというような主張や、あるいは開発地域に地方開発の拠点をつくってやっていきなさいという、そういうような後進地域の開発主義に傾斜したところの全国総合開発計画、こういうようなものが生まれておるということは知っております。しかしながら、具体的になされておる政府の施策を見てまいりますと、これは非常に産業中心の所得倍増政策が、今日まで進められておったために、やはり過大都市なりあるいは先進地域中心の公共投資が行なわれておる。ことし、建設省関係予算を総ざらえしてみました。そうしたら、一体後進地域と先進地域との間においては、昨年に比べてどれくらい是正をされたかという比率を調べてみますと、わずかに〇・〇三%しか改善されていないのですよ。これはたとえばこの前も発表されました鉄道の新五カ年計画、これを見ましても、やはり大都市中心、そうして先進地域中心の開発構想なんです。こういうふうなものを一つの例として取り上げてみましても、ここで急がなければならないのは、そういうような後進地域と申しますか、産業は衰退をし、人口は移動をし、そうしてあとに取り残されたものは年寄りばかりであるという状態が生まれておる地域、その後進地域の中で、低開発地域工業開発促進法の指定を受ける地域以外の地域もある。そういうような地域に対して、ひとつ具体的な構想を早くまとめていただいて、推進方を来年度の予算の中で実現をしてもらわなければ、これはたいへんなことになると思いますので、その点要望を申し上げておきたいと思います。  そこで、先ほどの科学技術庁関係の問題でありますが、例の国立防災科学技術センターが生まれておるわけです。ところが、新潟の地震、これに対しましては、どういうような有効な措置を構じたであろうか。三十時間も燃え続けておる石油火災、これに対しては手の施すすべもない、こういう状態の中にあるのではないか。そしてまた地震の予知に対しては、予算が計上をされていない。地質の問題の調査についても、十分になされていない。結局人間を忘れた近代化を進めた政策、政治がこの被害をもたらしたのじゃないかと新聞は指摘をいたしておる。あなた方は、国立防災科学技術センターをつくっておいでになるわけですが、今度いわゆる雪害の実験所を支所としてつくるということです。しかしながら、地震やあるいはこういうような石油化学工業等の火災等に対しましてどういうような対策を講ずるかということは、このセンターでおやりになっていらっしゃるのか。さらに東北を襲いましたたいへんな霜害がありました。霜がおそくなって降り注いで、果樹あたりは全滅の被害を受けた。とするならば、この凍霜害に対する対策も、防災センターでおやりにならなければならないと思う。これに対する対策は、一体どういうふうにお立てになろうとしておるのか、そのお答えを頼っておきたいのであります。
  34. 鹿島俊雄

    ○鹿島政府委員 当庁といたしましては、もちろん御指摘の諸点について、その完ぺきを期するために防災センターの設置をいたしたわけであります。今回新潟を襲いました地震につきましては、特に地質が軟弱である、その地帯に石油コンビナートが設置されておったということは、大きな点でございます。したがいまして、今後かような状況につきましては十分に調査を加えまして、再びかようなことのないようにしたい。実は当庁におきましては、直ちに昨日防災センター所長和達清夫、建設省建築研究所久田第三研究部長、東京大学河角地震研究所長を現地に派遣いたしまして、調査をいたしました。そのほか、なお防災センター第一研究部長有賀、雪害防災研究室長の福井、震害防災研究室長の高橋等を派遣いたしまして、調査をいたしました。明日直ちに各省の連絡会議を開きまして、その打ち合わせを行なう等の処置をとっております。今後におきましては、御指摘の点につきまして、十分に勘案の上で善処をいたしたいと思います。
  35. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 時間がありませんので、簡単に最後の二点だけ端的にお答えを願いたいと思います。アメリカ軍の飛行機が立川基地から飛び立って、C36数機によって、二千七百ポンドの消火弾と消火剤を積んで飛来、応援をしたという記事がある。科学技術庁のセンターでは、そういうようなアメリカの応援を頼まなければならないほど、そのような消火弾なり消火剤についての手持ちはないわけですか。それでまた大火が起こった場合には、それに対応するだけの態勢がありますか。ある、ないをお答えを願いたい。
  36. 鹿島俊雄

    ○鹿島政府委員 遺憾ながら、ただいま御指摘のような消火弾その他のものを今日持っておりませんので、この際この災害を最小限にとどめるためには、米軍の協力を求めなければならなかった、その点は、はなはだ遺憾に存じております。
  37. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 それともう一つは、東海村にあるコールダーホール型の原子炉、これはイギリスから持ってきたわけですが、イギリスの、そういうような地震がない地帯で設計をされている関係から、いわゆる耐震性構造というものに対して、いままでケミカルプラントの関係者が関心がなかったということが指摘をされておりますが、これは関東震災級の地震がありましても、大丈夫ですか。
  38. 鹿島俊雄

    ○鹿島政府委員 御質問の点につきましては、十分さようなことを予想いたしまして、十二分な措置をとっておりますので、まず万々支障はないかと存じます。
  39. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 最後に一つ。科学技術会議設置法の改正で、今回答申だけでなくて、意見まで尊重するように取り扱いをされておるわけでありまますが、これは人文科学を除きました科学、自然科学等がもちろん中心になるわけでありますけれども、この科学技術会議の取り扱いといたしまして、宇宙開発の推進の問題については、宇宙開発推進本部というような機構をつくるのがいいという結論を何かで審議をされてお出しになったわけですか。もっぱら先ほど説明がありました宇宙開発審議会、この結論によりましてこれをつくられたわけですか。その点を明らかにしていただきたい。
  40. 鹿島俊雄

    ○鹿島政府委員 御質問のとおり、宇宙開発審議会の答申によって設置をいたしました。
  41. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そうしますと、科学技術会議、これは総理議長になり、関係大臣が議員になり、あるいは学識経験者が委員として参加いたしておりますが、そういうようなところでは、いわゆる総合的な行政機関の中核として開発の主体になっていくのだという構想が出されているわけですから、当然そういうような会議に付議すべきではないかと思うのですが、その点はおやりにならないわけですか。
  42. 鹿島俊雄

    ○鹿島政府委員 この科学技術会議には、御報告を申し上げております。
  43. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 私の質問はこれで終わりますが、どうも宇宙開発推進本部というような専門機関、これが何々研究所というようなものと一緒に並んでいくということは、形の上から見たら非常におかしな形になって、これを見たら、一体これは付属機関であるのか、行政機関であるのか、専門的な研究中心の機関であるのか、一体何だろう、こういうふうに受け取る国民が多いということだけを意見として申し上げて、終わりたいと思います。
  44. 徳安實藏

    徳安委員長 田口誠治君。
  45. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 今度の総理府設置法等の一部を改正する法律案内容を見ますと、非常にたくさんの議案が入っているわけでございますが、私はきわめて常識的に、抽象的に数点質問を申し上げて、次の質問者に送りたいと思います。  そこで、この法案の内容を見ますと、これは社会党の各委員は相当突っ込んだ質問をしたい点もありますけれども、この内容には在外財産問題等の審議会を設置する問題もございまして、今国会においてぜひとも通過をさせなければならないというような関係から、逆算的な審議をいたしておりまして、十分に質問がなされておりませんので、そういう点を逐次掘って質問するのが本旨でございますけれども、いま申しましたように、きょうこの法案の結論をつけるということになりますと、あまり具体的な面に入っての質問ができませんので、抽象的にお聞きをいたしますが、答弁のほうも、(「簡単に」と呼ぶ者あり)あまり簡単になり過ぎてもわからぬと思いますが、わかるように簡単にお願いいたしたいと思います。  まず第一の質問は、青少年局の設置の問題でございます。この問題につきましては、今日の青少年の実態を見ますと、非常に憂えられる点がございまして、したがって、政府のほうといたしましても、この点に着目をされて、何とか憂えられるこの実態を解消して、次の時代をになう少青年をりっぱに育成をし、社会へ送り出したいという考え方の上に立って、一つ考え方がまとめられていると思うのです。したがって、私は、このことは人ごとでなく、自分で実際に、今日の少青年の不良化を防止するにはどうしたらいいかということをいろいろと検討をし、研究をしてみました。ところが、これは非常に多岐にわたっております。行政機関も幾つかの行政機関が縦の線で行政をしなければならない面もございますので、こういう中においてこの青少年局を設置をして作業を進めるということになりますと、なかなかもって目的を達成するに困難性があろうと思う。したがって、私はそういう点からお聞きをいたしたいと思いますが、今日の少青年の不良化している実態を見ますと、一つの式といたしましては、知能指数の関係が関連をしているものがございます。このことは、ひいては母体保護から幼児の健康対策、それから幼児の教育、そこへ持っていって小中学校の教育の関係、それから高校の進学の門が狭いというようなことも関連しておりますし、それからさて社会に出る場合の雇用対策、なお社会の環境、こういうものが関連をしているわけなんです。したがって、そうなりますと、厚生省、文部省、労働省、自治省というような各省が、相当こうした面に力を入れていただかなければなりませんし、成果のあがる政策を打ち出していただかなければならないと思うのです。こういうことから考えまして、青少年局を設置をしてそうしていま憂えられておる青少年の不良化を防止し、健全なる青少年を社会へ送り出そうとするには、あまりにも具体性がないと思うわけでございまするので、一応ここまで考えつかれた経過をここで承っておき、そして私の所見も申し上げてみたいと思うわけです。
  46. 野田武夫

    野田(武)政府委員 今度御審議を願っております青少年局の問題でございますが、いま田口委員の御意見のとおり、政府としてばかりでございません。国としても、日本民族としても、青少年問題の重要性は、もうすでに御認識のとおりだと思っております。したがって、いまお話のありましたとおり、青少年に関することは、もう御説明をする必要もないほど皆さんおわかり願ってありますが、仕事関係で、いま御指摘のありましたとおり、文部、厚生、労働、また農林、建設、法務、警察、各設置法にまたがっておりまして、きわめて複雑多岐でございます。したがって、青少年対策全体としての総合性と一貫性を確保してやらなければ——各省ともいろいろ青少年問題には力を入れていただいておりまするが、さらに総合的な一貫性を持った施策をやるべきだ、こういうことを考えまして、私どもは今日までやっております。総理府にあります中央青少年問協議会は、ただ各官庁事務の連絡調整をやっておるのでございまして、ただ連絡調整だけではあまりに事柄が大き過ぎる。したがって、青少年局をつくったから直ちに青少年問題が解決するというような僭越な考え方は持っておりませんが、一歩でも前進していくのじゃないか。これにわれわれはできるだけの熱意を示していきたい。こういう考え方のもとに、青少年局設置の御審議を願っておる次第でございます。
  47. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 行管のほうでも、こういう点については一応の検討はされておると思うのですが、行管のお考え方を一応承っておきたいと思います。
  48. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 ただいま総務長官がお答え申し上げたとおりでございまして、青少年問題を解決するということは、国民的な要望であると思いまして、先般も総理の施政方針演説の中にもわざわざ入ったくらいであります。したがいまして、これを一歩前進させるためには、この局を設置することによって必ず大きな成果を得るという見通しを総務長官同様につけまして、私どもは承認いたした次第でございます。
  49. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 御答弁なさったことはきわめて抽象的ですが、調査会のほうでこういうものが話題にのぼって、そしてどれだけが進行しておるのかということ。私がお聞きしたいのは少なとも局を新設するというような場合には、全体的な行政調査会の考え方のもとにいたさなければならないと思うので、そういうことをこの作業の中途段階で出されてきておりまするので、特にピックアップしてこの必要を考えられたということは、この程度の内容では私は了解できないわけなんで、やはり調査会のほうでもこういう点については十分に検討されておるのか、この点もお聞きしたいと思いまするし、それと同時に、これからどうされようとするのか、この点についても、お答えのできる範囲内において長官にお答えをいただきたいと思います。
  50. 山村新治郎

    ○山村国務大臣 臨調の答申につきましては、政府といたしましては全面的にこれを尊重してまいりたいと存ずる次第でございます。ただ、御存じのように、おかげさまで九月までの任期の延長で、九月にその答申が出るわけでございますが、その答申の実現をする機会におきましても、いろいろ相当の時間的な問題を見なくてはならないと考える次第でございます。その間におきまして、政府といたしまして行なわなければならないところの重要施策につきましては、やはり一応これを実現せしめることが必要だと考えまして、一応臨調の答申は十分尊重しなくてはならないという考えを持ちながらも、なおかっこの青少年問題につきましては、ぜひとも一日も早くその解決をしなくてはならないという点を考えますときに、先ほど総務長官からお答え申し上げたような趣旨のもとにおきまして、行管といたしましてはこれを認めた次第でございます。なお、臨調の問題につきましては、ちょうど事務局次長がおりますから、ちょっと申し上げましょうか。
  51. 井原敏之

    ○井原(敏)政府委員 いま田口先生お尋ねの件でございますが、臨時行政調査会でただいま検討の最中でございます。ただ、この法案の提案にこちらの意見をまとめて反映させるのに間に合わなかった、その点はたいへん残念でございますが、非常に重要な特殊問題として検討を続けております。
  52. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 ただいま次長のほうから答弁がなされましたが、まだ結論が出ておりませんし、十分に検討されておる最中でございますので、これは次の国会、あるいはその次の国会に十分に検討していただいて、再提出なりまたいろいろな方法を考えていただくことが賢明であろうと思う。私は私なりに申し上げておきたいと思いますが、精薄児の対策について、いろいろと専門医なり、またそうした団体の中へ入っていって私も審議に加わらしていただいたのですが、現在の日本の女性の場合には、これは特に農村の女性に多いわけでございますが、母体保護というものが重要視されておらないということ、したがって、おかあさんがおなかに子供を宿せば、国が責任を持って母体保護をするというような対策をまず立ててもらわなければならない。したがって、健全に生まれた幼児に対しましては、零歳の場合には完全に国が責任を持って健康保持の対策を立ててもらわなくてはならない。岩手県では、ちょうどことしからでございますが、零歳の幼児の場合には、健康保険の給付金を十割給付ということに県の条例できめております。そういうような助成をして力を入れかけておるのでございますが、出先機関である県でそういう対策を立てられておるのでございますから、このことの必要性は、私がこれ以上説く必要はないと思いますので、やはり幼児の健康対策というものに対しては、特に零歳の場合には、国が責任を持って健康対策を立ててもらうようにお願いをいたしたいと思う。それから満でいきますと四歳、五歳というこの年が、人間の構造に一番影響を及ぼす年齢だそうでございまするが、時期がようやく幼稚園の時期でございます。したがって、日本の幼稚園の実態を見ますると、幼稚園へ子供を入れたくても、貧乏人ではなかなか措置費が高くて入れられぬというのが実態でございまするし、私は、やはりこの幼稚園対策というものは、十分に厚生省のほうで対策を強化してもらわなくてはならないと思うのです。この四歳、五歳というときに幼児として必要なところの団体訓練等、必要な教育を施すということが、これは小学校へ入ってから大きな差が出てくるわけでございまするので、ここでやはり統制のとれたところの保育行政をやってもらわなくてはならないと思います。この点を要望申し上げておきたいと思います。  それから、特に小中学校の場合でございまするが、これは社会環境とも関連がございまするが、先月も、鑑別所へ入れられておる少年を、母親が、検事のほうでは少年院送りになっておるが、少年院へ送ればもうあの子はだめになるから、それでひとつ何とか家庭で保護するようにしてもらえぬかというような強いそういう要望もあり、私も裁判長に頼んで、弁護を買って出た経験がございまするが、その人たちのそういう不良化した内容を見てみますと、小中学校の場合、一つのそういう悪い要素を身につけておるわけです。それはどういうことかといえば、小中学校の生徒が菓子屋とか、おもちゃ屋とかいうところに一つのたまり場があるわけなんです。そこのたまり場へ行って、そうしてそこでしょっちゅう出入りする青少年が、これはよくない人が八〇%ほどおるわけです。それはどうしていけないかということを私は調べてみましたら、小学校の生徒と中学校の生徒にどんどん貸し売りをしておるわけです。こういう点は、商法上からいって、いまの場合自由を拘束するということはいろいろな面からむずかしいか知りませんけれども、やはりこういうことも一つの不良になる要素にもなっておりまするので、こうした社会環境を直すということも、これは考えていただかなくてはなりませんし、それからその子供の実態をいろいろ調べてみましたら、なお、高等学校の場合に、ちょっと知能指数が低いということから、高等学校がここを受けてもだめだった、私立を受けてもいかなんだといって、だんだんどうかといえば、学校の順位をつけては悪うございますけれども、四流というところへ入ったわけなんです。そうしますと、ここへ入った高校生は、親たちが途中から退学させるというくらいたくさん不良な高校生ができてきておるのであります。ちょうどその人も、その高校へ入っておるのでございまするから、私は、公立でなくても、いま私学振興で奨励はしておりまするけれども、私学の場合には、やはり文部省の監督というものを十分にしていただいて、やはりひとつの統制あるところの教育をしていただかなければなりませんし、大体高校の門の狭いというところに、こうした不良化になる原因もできてきておりまするので、こういう点については、ここには文部大臣はおいでになりませんけれども、こういうところから不良化が出てくるということをやはり知っていていただきたいと思います。  それからなお今度は中学校なり、高校を出て、さて就職につく場合の雇用対策というものに万全が期せられておらない。雇用対策というのは、ただ雇うということだけでなしに、最低の賃金制というものは日本にないために、実際に自分のとった金で自分が生活することができないというような低賃金になっておるために、必然的に悪友に誘われるというようなことが非常に多いわけでございますので、こういう点についてもやはり考えていかなくてはなりませんし、特に社会環境を汚すということは、これは幅広い問題でございますが、こういう点についても、私は十分に行政の面において、政策の面において、これは打ち出す面が多くあろうと思う。この点をよく検討をしていただいて、私は、この青少年の不良化防止の対策を今後立てていただくようにお願いをいたしたいと思います。一々これについて質問をしておりますと長くなりますので、こういう要望を申し上げておきます。  それから次に、産業災害防止対策審議会の問題については、先般社会党の同志から相当詳細に質問はいたしておりますので、私はこの点にもう触れる余地がないくらいですが、ただ一つだけ触れなくてはなりませんことは、今度二年間延長になりますけれども、現在の審議会の、審議状況というものを見ますと、一年に二回しか審議会を開く予算がとってないということなんです。そうしてなお、審議会そのものも、審議会に一週間なり十日なりに審議してもらうところの議案を出して十分に検討してもらっておいて、そうして委員の方が検討されるならばまだまだでございますけれども、そうでなしに、審議会を招集して、政府のほうでつくった考え方の議案を配って、さあどうでございますか、こういう諮問のしかたでございますから、全く審議がおざなりになっているということなんです。したがって、こういうようなことでは何年延長してみても私はいけないと思いますので、こういう点に対する予算、それから審議会を開く聞き方、こういう点についても、いままでのことを自己批判をしていただいて、将来の有効な展望を立ててもらわなくてはならないと思うのです。この点について、ひとつ御所見を承っておきたいと思います。
  53. 野田武夫

    野田(武)政府委員 御指摘の審議会の延長をお願いしておりますが、これは特に最近産業災害が非常に数も多くなりましたけれども内容も非常にに大なものが出ております。この審議会の重要性がますます認められることになってまいりました。これをどうして効率的に、しかも災害の防止に積極的な施策を講ずるかということは、これは私どもとしても、また産業人としても当然考えるべきことだ。そこでいまの予算の問題でございますが、予算は、率直に申して非常に少ない。そこで、いままでは、この予算の執行にあたりましては、その予算範囲内でやっておるのでございますが、その他の審議会の運営につきましては、また審議会全体の、何と申しますか、総合的な運営の方法がございまして、不足の場合はそういうようなことで補充いたしまして、この審議会が円滑に、しかも能率的にいくように、いままで処理してまいっております。しかし、実態といたしまして、実はその問題が最近審議会の会長その他からも起こっておりますし、また政府としても当然これは考えなくちゃならぬ。いま、それについてどうするかということを、今回はもう予算がきまったのでございますが、検討したいと思っております。  それから、いままでの審議会の会議が少なかったということでございますが、これらにつきましては、実は発足以来、この審議会のほかに御承知のとおり防災会議とかいろんなものがございまして、それにふくそうした点もございますので、少なくとも延長していただく以上は、今後は従来よりももっと積極的と申しますか、もっと具体的に、きめのこまかい点まで触れて、この審議会を最も能率的に運営したい、こう考えております。御趣旨のほどは十分私どもとして心得まして、今後の運営に当たりたい、こう思っております。
  54. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 私、ここでもう一つ突っ込んでお聞きをしておきたいと思いますることは、ただいまの総務長官答弁のお考え方、気持ちはよく了解できまするが、今日まで二回ぐらいの審議会しか開けないというような予算しか取れないということは、ほんとうにその内容を知っておられて、そして予算要求を戦われたかどうかという点に非常に疑問があるわけなんです。私は、こうした必要な審議会は、一分予算を取って、回数もよくやって、審議内容も各委員が十分に審議会へ出てくるまでに研究をして、そうして審議会で十分に意見の吐けるようなぜん立てをして審議会を開いてもらわなければならないと思うので、こういう点は、もう研究してみますという程度のものではないのです。いままでのところではだめなんです。だから、予算も多く取り、審議会の開き方についても十分に効果のあるような審議会を開いてもらって、そうして結論を出してもらい、その結論に従ってそれぞれの施策を講じてもらわなければ、有名無実になっては何にもなりませんので、この点を強く指摘をしながらも、要望をしておきます。  そこでもう一つ。申すまでもなく、日本の戦争犠牲者というのは、非常に幅広く犠牲を受けておる。それで、今日ここに提案されて審議いたしておりまする在外資産の審議会の問題も、やはり引き揚げ者の方々が、非常に多額の財産を外地に置いて、ふろしき包み一つで帰ってこられて、非常に苦労をされたわけなんです。そういう関係から、こういう犠牲者の方々に対して何かの形において援護する方法はとらなければなりませんし、政府は、農地補償の問題ですらいの一番に取っついておるようなわけでございますから、私は、ここでこれに関連をしてお聞ききをしておきたいと思いますることは、その他軍人軍属以外で戦争の犠牲になった人は、内地で三十万、外地で二十万あるといわれておるのです。こういう人たちの援護対策がなされておりません。それから戦争中は、事業場が徴用にかかって、その事業場に勤めている人たちでいわゆる公傷のために手足をなくしたり、また命を失ったりした人たちの対策というものが、まだなされておらないわけです。したがって、私は、戦争犠牲者の援護対策を行なおうとすれば、順次こういう問題に発展をしていかなければならないと思うのですが、こういう点については、どの程度のお考え方でおられるのか、お聞きしておきたいと思います。
  55. 野田武夫

    野田(武)政府委員 戦争犠牲者となりますと、いま田口さんがおっしゃるとおり、相当広い範囲になりますと、まだ中に漏れておるものもあるというお話は、よくわかります。ただ、これらにつきましては、特に一面において社会政策上の措置をしているものもございますし、また、その他の諸般の措置の中にこれらの方が含まれておることもあります。しかし、いま御指摘になりましたような点についての援護措置はどうしているかというと、特別な対象としての援護措置はまだやっておりません。しかし、こういうことは、漸次今回は在外財産問題の審議会をお願いいたしておるのでございますが、政府といたしましては、当然やるべきことは、つまりそのときの事情において、またそのときの環境によって、当然援護すべし、こういうことを政府が認めますれば、これは何かの措置をすべきである。しかし、御承知のとおり、戦争終末の混乱期でございまして、これらの実態が、まだ政府としても全体的に把握しておりません。これらのことがいろいろ問題になりました場合に、はたして残されましたいろいろな問題について、何らかの措置をすべきであるかどうか。概念的には戦争犠牲者という方はまことにお気の毒でございますが、何らかの処置をすべしという筋道はよくわかっております。具体的にそのときの方々の生活態度、また生活環境、それから生活の実態、こういうものは、やはりきめこまかく調査いたしませんと、ここで政府といたしましてこういたしますという明言はできませんが、お気持ものほどは私どもも十分わかりますので、今後、またこれらの点にきましても、機会あるごとに検討してみたいと思っております。
  56. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 私の申し上げている気持ちはわかるということですけれども、これは実際に対策に乗り出してもらわなければいけないと思います。少なくとも戦争犠牲者の対策をするということになりますれば、不公平があってはいけませんので、まだいま申しましたような問題が残っておるということを銘記していただけて、次から次へとこうした犠牲者の援護対策を立ててもらわなければならないと思います。ただ気持ちはわかるといって感心をしてもらっておるだけでは、私は何にもならないと思うのでありまして、これは今回はできなくとも、次の機会あるいはその次の機会に、その対策を政府としては出していただくことが賢明であろうと思いますので、やはりそういう公平な援護対策をするという考え方から、政府に対して今後の考え方をもう少し積極的にしていただくようにこの際希望を申し上げておきます。  声援が多いようですので、私もそれにつられまして、したい質問も遠慮いたしまするが、なごやかに質問はいたしましたけれども内容を検討してみますれば、先ほどの青少年の不良化防止の問題なんかは、これは幾つかの縦の線からの行政を統一するとか、あるいは総合調整をしてやらなければならない問題であって、なかなか口には言っても実際に効果をあげようとするとむずかしい問題ですから、こういう点については、しばらく十分に研究をしていただいて、りっぱな対策を将来提案をしていただくようにお願いをいたしたいと思います。いまの戦争犠牲者の問題につきましても、これは問題によっては非常に急を要しておる問題もございまするし、それから公平を欠いてはなりませんので、そういう点から、将来の課題として、いまから研究をしておいていただく、このことを重ねて希望を申し上げて、私の質問を終わります。
  57. 野田武夫

    野田(武)政府委員 青少年の問題について御答弁を避けましたのは、主として文部省、厚生省の関係があると思って実はお答えしなかったのでございますが、総理府にあります青少年問題協議会におきましても、お示しの点について大体対策を立てております。すでに精神薄弱児の対策の推進ということは、二十八年かに総理大臣に答申をいたしております。その他のことにつきましては、非常に貴重な御意見を拝聴いたしまして、今後のわれわれの施策の上にも十分ひとつ尊重いたしまして、今後処理したいと思っております。
  58. 徳安實藏

    徳安委員長 山内広君。
  59. 山内広

    ○山内委員 委員諸君もだいぶお疲れのようですから、なるべく早く終わりたいと思いますが、実はこの提案のしかたに一言文句を言いたいと思います。  永山委員も触れられておりましたけれども、こういうふらちな提案をするから、この審議ができないのです。これは長官も十分お気づきと思いますけれども、今度「総理府設置法等」という名前をつけて、専任の大臣を置く機関をここに集めて、そして五人も六人もいたずらに大臣方を集めて質問しなければならない。内容が統合されているかと思って見てみたら、そんなことはない。これは個々一つずつ出すべきものを、形だけは一括されて出しておる。それですから、だれも関係のない方も、いつ自分に質問されるかと思うから、全部聞いていなければならない、こういうことで、いま参議院に精力をさかなければならないときに、大臣までここへ置いてやらなければならぬ、こういう提案というものは、絶対に改めていただかないと——まあこれは、われわれは協力する意味でこの前一日ときょうで上げる法案ですから、くどくは申し上げませんけれども、その点をはっきりさせておきたい。
  60. 野田武夫

    野田(武)政府委員 先般永山委員から御注意を承りまして、ただいま山内さんからも御意見を拝聴いたしまして、この点は十分ひとつ政府も、何と申しますか、心に入れまして、今後この問題の処理をいたしたいと思っております。
  61. 山内広

    ○山内委員 設置法の改正でありますから、出された議案を逸脱しないように気をつけてお尋ねしたいと思いますが、私も簡明率直に質問をいたしますので、御答弁もそういうふうに御配慮いただきたいと思います。  まず、総理府本府でありますが、総理府本府の青少年局を新設するということで問題になっておるわけですが、この中で総合調整ということをうたっておりますけれども、「他の行政機関の所掌に属しないものを企画し、立案し、」とあります。具体的には何をお考えになっておるのか、伺いたい。
  62. 西山剛

    ○西田政府委員 現在行なっておるものといたしましては、地方にできております地方の青少年協議会を育成強化する事業とか、あるいは青年の海外派遣の事業を皇太子の御成婚以降実施いたしておりますが、さような事業、また海外から青年が参りますことの受け入れの事業、またオリンピックの際、世界青少年のキャンプを行なうことになっております。実施主体は法人で行なわれますが、政府の窓口としては中青協のほうでお世話をする、こういうような仕事をやっております。
  63. 山内広

    ○山内委員 それは他に属しないことではないのです。地方協議会というのは、都道府県の責任においてやっているでしょう。ただ、連絡調整ということになれば若干考えられないことではありませんけれども、こういうことはかえってはずされたほうが、地方自治体が責任を持ってやっているんですから、こういうことは、私認めがたいのです。外国から来る人だって、外務省がやるでしょう。これはやはりちょっと逸脱のきらいがあると思います。しかし、意見ですから、それくらいにいたしますが、「実施すること。」といって、実施官庁になりますけれども、具体的にはどういうことをおやりになるのですか。
  64. 西山剛

    ○西田政府委員 ただいま申し上げましたように、地方青協につきましては、これを育成する意味で補助金を法律上交付することにもなっておりますので、そのような助成の補助金を交付することを仕事といたしております。また、先ほど世界青少年のキャンプにつきましても、政府側の窓口として予算を計上いたしておりますので、団体に対して補助金を交付する事務を実施いたします。海外派遣の事業につきましては、直接の事業として、百十名を七個班に分けて三十数カ国に派遣をいたしております。
  65. 山内広

    ○山内委員 青少年問題協議会設置法の第二条を改正されまして、「基本的かつ総合的な」というように、「基本的な」という文字が今度加わってきました。これはいままでこういうことをやっておらなかったのですか。なぜこれを入れなければならなくなったのか、伺いたい。
  66. 西山剛

    ○西田政府委員 従来と思想において変わりありませんが、今回は、各省専管で行なわれるような事項につきましては、これは各省でお取り扱い願うというような意味で、細部には入らぬ、これは協議会の性格上当然のことでございますけれども、法文上趣旨を一そう明確にいたした次第でございます。
  67. 山内広

    ○山内委員 今度は局にしようということで、ねらいがたくさんあるようですけれども、問題は、こう解釈して差しつかえないか、それは中央協議会、これの庶務を移して局にやらせよう、こういうふうに第五条には書いておるのです。そうしますと、これは結局法律ですから、成立しなくても、もとのとおり中央協議会でやれば、何ら専務に支障を来たさないということになりますね。その点はいかがですか。
  68. 西山剛

    ○西田政府委員 ただいま申し上げましたように、多少付属機関としての協議会としての性格から見れば、実施業務に近い仕事も事実やらなければならないような実態がございます。さような意味で、今回さような趣旨をはっきりしたいという意味で、内局にいたしますと、ただいま申し上げましたような海外派遣の仕事とか、その他キャンプの補助金とか、そういうことはむしろ筋道をはっきりしてやれるようになりますので、さようなことをねらいといたしましたわけであります。
  69. 山内広

    ○山内委員 総理府設置法の四条を改正しまして「栄典授与する」というのが、今度「伝達」となりますね。「授与」と「伝達」とは、どういう相違がありますか。
  70. 岩倉規夫

    岩倉政府委員 国の栄典につきましては、憲法七条に規定があるわけでございまして、天皇は、内閣の助言と承認により、栄典授与するという規定が。ございます。従来の設置法の四条に「授与する」というふうに書いてございましたのは、これは戦前の勲章授与式例というものがございまして、それに「賞勲局総裁旨ヲ奉シテ之ヲ授ク」という表現がございました。その「賞勲局総裁旨ヲ奉シテ之ヲ授ク」とありましたのを「栄典授与する」というように書いたのでございますけれども、先ほど申しました憲法の天皇が授与するという規定との関係もありまして、用語の表現の適切を欠くという考え方から、また昨七月に勲章、記章、褒章等の授与及び伝達式例というものを新たに定められましたので、それで「栄典授与すること。」とありますのを「栄典を伝達すること。」というふうに改めた次第でございます。
  71. 山内広

    ○山内委員 これも見解で、私は授与でも差しつかえないと思うのですが、わざわざ改正の提案をされるということは、これは意見ですから省略いたします。  賞勲局は、だいぶたくさん触れておられますので、触れることはないと思いますけれども、やはり生存者の叔勲という問題になりますと、いまの民主憲法のもとにおいてこれを実現しなければならぬという考え方は、私はどうしても出てこないのです。これが何十年か過ぎて、民主主義がすっかり地についたその後においてならば私は考えられると思いますけれども、新しい憲法で生活が変わったといっても、考え方までは変わっていない。ことに古い人は、長官をはじめとして、こういうものに非常なあこがれを感じて人間の階級関係をつくろうというのですから、これは私ども承服するわけにいかぬわけであります。特に私ども考えなければならぬのは、古い過去の明治時代の太政官達ですか、それを今度勅令によって、何ら法律には定めていない、それをあなた方の権限でもっておやりになろうというのでありますから、これはたいへんなあやまちを犯すということは、前に石橋委員から強く指摘をされておる点であります。したがって、先ほど長官が御答弁になったようなものを実行しようと思えば、内閣責任だけでなく、どうしても第三者の意見を聞いておやりになるのだというならば、それくらいの多くの人の得心のいくようなものをつくることが必要だと思うのです。そういう意味で、どうして国民の得心のいくようなものを具体的につくり上げるか、その機構をどうしてやるのか、単に賞勲部賞勲局にしたという、看板を変えただけでできるのかどうか、その点については、くどいようですが、長官にもう一度聞いておきたい。
  72. 野田武夫

    野田(武)政府委員 もうこの問題はしばしば論議がございまして、私もお答えを申し上げておりますが、現政府考え方としては、いわゆる内閣の全責任において公平しかも厳正妥当な態度をとっておる、こういう考え方で、今度の叙勲も実施いたしたのでございます。しかしながら、いろいろこれについて御意見もありますし、御論議もあるようであります。決して内閣政府考えることが一番何でも最上で、最高に正しい、こういうがんばりということは、これは政治ではないと思っております。したがって、私どもは、今日の政府の実施いたします態度につきまして、十分各方面の論議を拝聴いたしたのでありますが、考慮いたしまして、今後の処理方法につきましても検討したいと思いますけれども、現段階におきましては、私ども今日実施いたしましたことにつきましては、繰り返して申し上げますが、政府の全責任において最善の公平を期し、妥当性をわれわれは堅持した、こう考えておる次第でございます。
  73. 山内広

    ○山内委員 そういうお気持ちで、責任においておやりになったろうけれども、実質的には要りませんといって断わった人も出ているわけです。何も私どもの政党の人ばかりでない、ほかにもあるわけです。そういう意味で、国民多数の喜ばれるような、ありがたがられるようなものをかりにつくりたいとしたならば、広く国民のそういうことに関係している人、あるいは関心を深めている人、そういう人でもって何か審議会とか協議会、そういうものをこそつくって、そういう意見を取り入れるということも、一つの方法だと思うのです。特に先ほど指摘したとおり、法律的根拠がない。そういうものをつくらなければならない、そういう意味では、具体的に審議会、調査会をおつくりになるつもりはないかどうか、はっきりお伺いしたい。
  74. 野田武夫

    野田(武)政府委員 繰り返してくどいようでございますが、今日のやりましたわれわれの態度といたしましては、いわゆる政府の全責任で公平を期してやったつもりでございます。先ほど申し上げましたとおり。しかし、これらにつきましていろいろの論議もあるし、御批判もあります。また御忠告もあるようでありますから、今後これからについて、いわゆる国民納得してわれわれの態度を理解してくれるように、どういう方法をやったらいいかということは、もちろん私どもとして検討してみたいと思いますが、いまどういう具体的な案があるかということは、今後検討を重ねたい、こう思っております。
  75. 山内広

    ○山内委員 それはなかなか長官も意思がかたくて、自分たちの権限でどうしてもやりたいというお考えのようですから、そのうちにと、そういうことだと思います。  それでは話を進めまして、今度廃止される調査会は、交通基本問題調査会、補助金等合理化審議会、港湾労働等対策審議会、この三つの調査会であります。これは時限立法で、すでに答申も出され、一応の作業が終わったという点については、私もこれを認めます。しかし、この答申された内容を読んでみますると、心ずしも作業が終わったとは思いません。時限立法としてその期限はきたことはわかりますけれども内容は終わっておらないのであります。  一つの例を申します。ここに私、交通基本問題調査会の答申を持ってきております。調査会から出されたものですが、内容はいまここで議論はいたしませんけれども、この末尾の総結論を見ますと、この調査会自身が、この各事項にわたっての実施に当たる前に、ここにいった——具体的に読んだほうがいいかもしれませんが、総合的交通政策及びその実施のための行政機構の整備について述べたが、それらの諸方策を実施に移すためには——ここから大事なんですが、なお慎重に審議する必要があるので、今後交通基本法その他主要問題ごとに調査機関を設置し、調査研究を行ない、国民経済ないし社会生活向上に適切な方策を講じ……。また語句がありますが、要するに交通基本問題調査会は、まだ作業がはんぱなんだ、そういう結論だと私は思うのです。そのすると、時限立法で時がきても、二年延ばせ、三年延ばせと、いまも出ておる法案があるわけです。この三つの問題は、それぞれ重要な問題でありまして、特に補助金なんかの問題は、私は地方公共団体の議員もやっておりまして、これはまだ問題が未解決であり、非常に重要な問題です。こういうのを途中でもって捨てたのは、どういうのか、また、結論がはっきり出たあと、その上に作業を積み重ねるというならば、どういう機構でこの上に作業をやっていくのか、もっと具体的にお知らせいただきたいと思います。
  76. 野田武夫

    野田(武)政府委員 いまお示しの補助金等合理化審議会、港湾労働等対策審議会、交通基本問題調査会、これはおのおの設置期限がまいりまして、おのおの答申を受けておるのでございます。したがって、政府としては、この答申に基づいて、答申の趣旨を尊重して、これからの行政に反映させる、これは当然な行き方でございます。お話しのとおり、いま例をあげられました交通基本問題調査会の答申の結論にも、そういうことが書いてあることを知っております。しかし、いずれにいたしましても、審議会の答申に基づいて、答申を尊重して、これを行政上反映して実施するというのが政府の役目でございますから、ただ審議会を、いろいろな問題が未解決であるから、いつまでも残すという考え方も成り立ちますが、また政府といたしましては、一応審議会の期限をきめまして、その期限内の答申を要望いたしまして、これに基づいて答申が出されました以上は、その審議会の一応の使命が達せられたあとは、政府行政上の処理において、いかにしてこの答申の内容を盛り込んで、これを尊重してやるか、実施面に移るのでございます。しかし、実施面に移した場合におきまして、もとよりこの三つの審議会、調査会は、一つ一つ非常に重要性を持っておりまするから、答申の結果、行政上の実施に移りました場合、なお政府といたしましては、審議会、調査会が必要だと思えば、これはまた同じ問題の調査会を何べんつくりましても、決して何らはばかるところはない。やはりわれわれは、答申に対して真剣な態度をもってこれを実施するのだ。それにまだ不足がある、不十分だと思うときは、いま申しましたとおり、これらに関する調査会、審議会一切やらないという態度は、とっておりません。この点は、たんかいにその問題の事態を把握いたしまして、今後の行政上、また審議会設置等に対しまして考慮いたしたい、私どもはこう思っております。
  77. 山内広

    ○山内委員 それでは話を先に進めまして、科学技術庁の長官がお見えになっておりますから、ちょっとお聞きしておきたい。  特別委員会には私、席がありますので、しばしばお目にかかって御意見も聞いていると思うのですが、ただ出された設置法の中でお伺いしておきたい。今度防災センターのほかに支所を設けることができるような提案になりまして、その中身は長岡に、雪害の調査をおやりになる。雪もおそろしいものでありますから、このことも大事だとは思います。しかし、先ほど村山委員が触れておりましたとおり、現実に新潟にあのとおりの地震が起こりました。あそこはもう何年も前から地盤がだんだん沈下していくということで、大問題になっておる地域であったわけです。石油を掘り過ぎるとか、ガスをとるからとか、理由はいろいろたくさん、しろうとの想像で意見は出ております。なぜこういうところに早く地震の予知というか、学的にもう少し予知のできるような、長岡の雪害の何年か前に支所を設けて、学者を動員して科学的な検討を加えておったら、あるいは用心もしておったろうし、私は、地震の予知というものは、相当学的にも進んでおると承知しておるのです。そういう点について、長官どうお考えになるか。
  78. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 地震の予知をする、またそういう意味の地震の対策、これは研究の一環としていろいろやっておるのでございますが、ただいままでのところ、地震の予知につきまして、関係の学者にいたしましても、十分責任のある方法はまだ考えられておらないようです。ただいままでいろいろくふうはいたしております。また特調費も科学技術庁としては支出した先例がございますけれども、情けないかな、まだ十分のものではございません。しかし、山内さんが御指摘になりましたように、こういう点については私どもも対策を立てるべきだ、かように思っておる次第でございます。
  79. 山内広

    ○山内委員 私の申し上げておるのは、地震が起こってしまってから、家をこういうふうに建てておけば被害が少なかったとか、橋がこわれないとかいうことをいまここで申し上げておるのじゃない。学者も地震の予知ということについては研究されておるのだ。それをかねて新潟あたりの前からいわれているところに支所を設けて十分な研究もさせ、そして予知ができたら、なおさらけっこうなことだ、こういうふうに考えて申し上げておるわけです。
  80. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 皆さん方の御協賛を得まして防災センターができたのが、三十八年でございます。そのうちの一環にただいま申し上げるようなことがございますが、これというきめ手がまだないということを申し上げておるのでございます。
  81. 山内広

    ○山内委員 次に、科学技術会議の問題をお尋ねしておきたいと思います。  今度改正されます要点は、総理大臣が諮問され、それに答申があったあとでも、会議自身が意見を述べることができる、こういうふうに改正されるわけです。そのことも私は必要だと思って考えたのですが、ちょっと疑義を持ったのは、この科学技術会議というものは、どういう性格でどういう構成であるかということを設置法で見ましたところが、この会議は、総理大臣が議長をつとめられて、文部大臣、大蔵大臣、経済企画庁長官科学技術庁長官が、この会議に参画されるわけです。あとわずかの学術会議議長と、それから五人の学識経験者、そうなりますと、何のためにここで意見を答申しなければならぬのか、どういう意見を述べるのか、行政責任者である総理大臣がやっておるところへ、総理大臣が議長にすわって意見をつくるというのは、何かちょっと——なるほど総理としての池田さんとそれから科学技術会議議長としての池田さんの使い分けはわかりますよ。法的にはわかりますけれども、何の必要があるのか、その点を御回答いただきたい。
  82. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 いろいろの会議がありますが、一口に申して、わかりやすくいえば、設置されております会議が諮問機関だ、こういうことでございますと、諮問されて初めて答申する、こういう結果になるのであります。ところが、科学技術の総合調整、そういう意味からの必要な会議でございますから、みずからも調査を進めていく。そして答申がありました後においても、その事項をそれで済んだと言わないで、やはり調査もすることがあるし、またみずから感じたことにつきまして意見を積極的に述べ得る、こういう機構に変えよう、こういうのでございます。この点はいろいろ御意見がおありかと思いますが、私はどうも諮問機間である、その意見を徴される、それだけではまことに不十分だ。ことに専門的な科学技術の問題になれば、科学技術者がみずからの意見も上申し得るような、そういう道を開くべきじゃないか、かように考えたのでございます。
  83. 山内広

    ○山内委員 私は、これは意見を申し上げると、だいぶ議論の出ているところですが、きょうはあまり深く触れませんけれども、科学技術の問題の一番の焦点はどこにあるかと言えば、最終的には国が予算をつけるということに尽きると思うのですよ。ところが、総理大臣が議長をやって、大蔵大臣が中に入って、それでもって予算をつけろと言って、その意見は尊重しますと言ったって、これはおかしいじゃありませんか。むしろ、それくらいならば——私は、ここらは多少内容を聞けば無理もなかろうとは思いますけれども、日本学術会議という大きな第三者の機構があるわけです。そしてこの中には二百十名の定員で、自然科学の物理というような、たしか第四部会だと思いましたが、こういう人たちの意見を取り入れて、そうしてこの人たちが随意に意見を言う。諮問しなくても意見を出してこい、それを尊重するというなら、これは予算の問題でも何でも堂々と出せると思うのです。そういうふうに運ばれることが、私は現実に即すると思うのです。どうです。
  84. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 学術会議のほうは、別に触れておらないのです。だから、ただいま御指摘になりましたように、学術会議がいろいろ御研究になって、そうして政府意見を上申なさることをちっとも妨げるものではございません。今回この改正をしようとするのは、科学技術会議そのものが諮問機関であってはならないというか、諮問機関だけではいかにももったいない気がする。だから、その機能を少し変えよう、こういうのでございます。そういう意味で、学術会議と横の連携も密にいたしております。その点は御心配ないように願いたい。ことに学術会議が積極的に活動されることを、心から望んでおります。
  85. 山内広

    ○山内委員 これでやめようかと思いましたが、もったいないという話で、私ももったいない時間ですから、もう少し聞きたいのですが、せっかく金のかかる予算総理、大蔵大臣、そのほか閣僚の会議でこうきめたんだ。そうなると、これは一つの決定線ですよ。そのワクを越えるということは、今度はあなたたちでやらなければならぬでしょう。そうすると、いろいろよそから予算要求があるとか、いろいろな建設的な意見でも、あなた方は、この会議にかかったこれが意見であり、答申であり、結論だからということでワクをかけてしまう、そういうふうに解釈せざるを得ない。もったいないからそういうところに生かすというのは、最もうまくないやり方だと思う。永山さんおられればわかるが、これが権力政治だ、権力をここへつくろうとするのじゃないですか。まあ意見がなければいいです。  それでは急ぎまして、総理府長官にちょっとお尋ねします。内閣法の十六条を改正しまして八名の増員が出されております。これは十四条の二に基づくものでありますけれども、この内容参事官あるいは審議官、調査官、事務官、その他必要な職員となっておるのですが、どの職種をふやすのか、その必要性をちょっとお伺いしたい。
  86. 芳田政一

    ○芳田説明員 内閣調査官二人と内閣事務官六人を増員いたします。
  87. 山内広

    ○山内委員 調査官をふやす理由は何ですか。
  88. 芳田政一

    ○芳田説明員 内閣調査官を二名増員いたしますことは、内閣調査室におきまして、内閣の重要政策に関する情報の収集調査に関する事務を扱っておりまして、これらの事務につきまして、関係各省との連絡調整を緊密にいたすために、その中におきまして、従来やや不十分でありました総合判断の仕事を強化していくために、二名ふやすことになっております。
  89. 山内広

    ○山内委員 この前の法務省設置法のときに、公安調査庁で、二百名同じ仕事をやっておるところをふやしておるのです。これもずいぶんそのときに問題になった。今回また内閣の調査官を情報収集のために二人、事務官も同じ仕事だろうと思うのですが、それに付属した事務だろうと思うのですが、どうもこういうふうに、情報収集といえばことばはいいけれども一つのスパイ行為だと思うのです。人の行動をひそかに、気どられないように探るのですから。そういう意味で、こういうのはだんだん減っていくのが望ましいので、要するに非常に定員を削減しているときに、ここを二人だけ伸ばさなければならないという理由がわからないのです。
  90. 芳田政一

    ○芳田説明員 ただいまも申し上げましたように、私のほうでやっております仕事の中で、関係行政機関と一そう緊密な連絡をはかりまして、さらに従来不十分でございました情勢の総合的な分析判断をする仕事を強化してまいりまして、情報の総合判断の効果の向上をはかっていくという仕事を担当しているわけでございますので、先生のおっしゃいますような関係仕事でないと思いますので、御了承願います。
  91. 山内広

    ○山内委員 あと経済企画庁にちょっとお尋ねしておきます。  今度国民生活局を設けたいということで設置法の七条の二を改正しまして、消費者の保護、生活環境の整備ということを強くうたっておられるわけです。それで、その仕事は私も大事な仕事だと思うのですが、はたして経済企画庁が消費者の保護、生活環境の整備というものを担当するにふさわしいところかどうかということに若干の疑義を持ちます。これは具体的例を申し上げたほうがいいと思うが、きのう実は隅田川を渡る機会がありまして、あのにおいとあのまつ黒いどぶ水を見て驚いたのですが、しかし、これは国会としてもいろいろああいう公共用水の汚濁を防止しようということで議論もされ、水質基準というようなものを設けようということで努力されておるわけですが、ところが、経済企画庁立場からすれば、産業の保護という使命が一つあるわけです。工場が廃液をどんどん出すのはけしからぬといってみても、非常な設備のかかるところには、やはりあなたのほうではその工場を閉鎖してまでも強行するわけにはいかぬ。ところが、一般の市民、都民、住民というものは、どうしても水をきれいにしてもらいたい。この利害の相反する二つをあなたのところで調整することがいいのか、もっと別の機関でおやりになるのがいいのか、その辺で非常に疑義を持つわけです。この二つをどういうふうに調整するお考えか、基本的な考え方をお聞かせ願いたい。
  92. 倉成正

    ○倉成政府委員 ただいま隅田川のお話がございましたが、隅田川の水質汚濁を根本的に解決するには、下水道の問題があると思うわけでございます。下水道となると厚生省の所管になる、加害者のほうの工場は通産省の所管になるということになれば、両省の話を総合調整していくというのが、企画庁の本来の任務でございます。また、従来産業政策を中心に企画庁はやってきたのではないかという御指摘は、あるいはそういう御指摘も当たるかもしれませんが、本来からいえば、経済政策の根本の目的は国民の福祉の向上ということでございますから、経済企画小の本来のあり方からすれば、当然そういった総合調整をやっていくのが至当なものであると考えるわけであります。したがいまして、国民生活の面におきましても、国民生活向上対策審議会の答申にもございますし、臨時行政調査会の三月四日の行政部会の報告においても、消費者省を設けることが望ましいけれども、しかし、過渡的な段階としては経済企画庁に消費者同等を設けるのが必要である、こういう一応の結論も出ているわけでありますから、私は、現段階として考えれば、やはり経済企画庁に今日国民関心の的である国民生活局を設けることは、焦眉の急であるというふうに考えておるわけであります。
  93. 山内広

    ○山内委員 それは通産省が産業保護という立場を強く出すことは、わかっております。したがって、その上にあなた方がおやりになることはわかります。  そこで、これは総理府長官に私の意見として申し上げたいのだが、やはりこういうことこそ調整して、あなたのところで、もう総理の名前でもってぽんとやらせるくらいの機構を統合してお出しになったほうが、私りっぱだったと思うのです。一つの工場も、産業も、大事だけれども、この東京都民の一千万の国民が困っている隅田川のあの汚濁を、においをほうっておくなんということは、オリンピックで環境をよくして外国人によく見せようなんて努力しておりますけれども、あの川を見たら、おそらくびっくりしてしまうでしょう。その点、希望として申し上げておきます。  最後ですが、あなたのほうと国民生活研究所との関係は、どうなっていますか。
  94. 倉成正

    ○倉成政府委員 国民生活研究所は、御承知のように特殊法人でできております。政府も出資をいたしておるわけです。しかし、従来は必ずしも十分な予算がございませんので、委託調査等でまかない、したがって、十分な機能を発揮してなかったという点がございましたので、今年度は三千万円ほどの補助金をつけまして、この国民生活行政のあり方について十分勉強していただく、こういうことを考えておるわけでございます。密接な関係を時っておるわけであります。
  95. 山内広

    ○山内委員 そうしますと、生活局ができようとできまいと、これはそのまま残るわけですね。そうして予算では、たしか三千二百万円ばかりつけておるわけです。仕事はずっとやってもらっておるわけですね。そうすると、これは別に局とは関係なくて仕事は十分できるということですね。
  96. 倉成正

    ○倉成政府委員 国民生活研究所は、局とは関係なしにもできます。しかし、同時に国民生活研究所だけにすべてのことをやらせるというのは、無理でございます。したがって唇歯輔車の関係で、相互に密接な連絡をとって基本的な研究をやってもらう、こういうことにいたしておるわけであります。
  97. 山内広

    ○山内委員 じゃあ、考え方としては、今度の局は、審議官三名を一人局長にしようという考え方ですね。局長ができなければ、審議官三名でいいわけです。実質上は何にも変わらないわけですね。予算は、それは局になって来年度は要求されるかもしれませんが、今年度においては、局になったからといって、別に定員が何名ふえるのか、その辺は私もよくわかりませんけども、もう少しこういうことならばといううなずけるものがありましたら……。
  98. 倉成正

    ○倉成政府委員 ただいま御承知のように、国民生活あるいは物価の面については、企画庁の調整局の中で消費雇用課と物価政策課、この二つでやっておるわけであります。しかし、御承知のように物価問題が非常にうるさいものですから、この問題に非常に追われておるということでございますから、やはりどうしても国民生活の将来のあり方、あるいはそういう物価問題についても総合的に考えていくというためには、やはりもっと充実する必要がある。定員では、二十名ふやして、現在の配置転換と合わせて四十四名の局をつくろうという計画でございます。
  99. 山内広

    ○山内委員 それじゃ、ほんとうに最後ですから……。  公共料金のストップでもってだいぶ公共団体の地方公営企業が赤字だということが、先般来問題になっておるのです。そこで、いまこの際お聞きしておきたいことは、これは審議会の答申待ちということもありますけれども、まあ赤字は火がついておるから政府責任において早く解決する、こういう御答弁もあったわけです。現存どういうふうにお考えになり、どういうふうに具体的にこの地方公営企業の赤字問題を解決するように考えられておるか。
  100. 倉成正

    ○倉成政府委員 ただいまの御質疑は、地方公営企業についてのお話だと思いますが、すでに御承知のように六大都市、秋田市、浜松市、北九州市の交通事業の経営合理化の一環として、バスの増強等に充てるため、昭和三十九年度に、御承知のように三十億の地方債を発行を認めます。それからただいま申し上げました都市の交通事業の資金繰りに資するために、三十九年度にやはり三十億の短期融資をする、こういうことでつないでおるという状況でございます。
  101. 山内広

    ○山内委員 まあ、意見もありますが、長官もおいでになりませんから、これで終わります。
  102. 徳安實藏

    徳安委員長 これにて総理府設置法等の一部を改正する法律案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  103. 徳安實藏

    徳安委員長 本案に対し山内広君外二名より三派共同提案にかかる修正案が提出されております。
  104. 徳安實藏

    徳安委員長 この際、提出者より修正案の趣旨の説明を求めます。山内広君。
  105. 山内広

    ○山内委員 ただいま議題となりました総理府設置法等の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提案者を代表してその趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付してありますので、朗読は省略させていただき、その要旨を申し上げますと、第一点は、総理府の青少年局及び経済企画庁国民生活局の設置を取りやめること、第二点は、同和対策審議会の存置期間を一年延長することであります。  その理由を簡単に申し上げますと、次代の国家をになう青少年を指導してその健全な育成をはかる青少年行政は、文部省を初めとして関係省庁においてそれぞれの立場から実施し、総理府に置かれている中央青少年問協議会がこれら関係行政機関の連絡調整にあたっておりますが、その機能は必ずしも十全とは申しがたい状況にあります。  また、国民の消費生活を保護する消費者行政につきましては、通商産業省を初めとして関係省庁においてそれぞれ実施しており、これが総合調整には経済企画庁調整局にある二つの課が当たっているにすぎない状況であります。したがって、青少年行政も、消費者行政も、ともにこれを強力に推進するためには、関係行政機関の施策について総合調整の機能を果たす独立の部局を設置することがより望ましいものであるということについては、理解することができるのであります。しかるに、一方臨時行政調査会が行政機構のあり方についてせっかく検討を重ね、近くその結論が得られる段階にありますことは、御承知のとおりであります。したがって、かかる状況下において全く新たな局を設置することは、この際これを差し控え、臨時行政調査会の答申が提出された際、政府はこれを尊重し、行政機構全般にわたっての検討を行なった上対処することが穏当であり、当を得た措置であろうかと考えまして、青少年局と国民生活局の設置を取りやめることといたし、これらに関連のある規定を削除または整理いたそうとするものであります。  次に、同和対策審議会は、四年の期限をもって設置され、昭和三十六年以来同和問題の解決のために調査、審議を進めてまいりましたが、いまだ結論を得るに至っておりませんので、その存置期限を一年延長しようとするものであります。  なお、本法の施行期日は、科学技術庁に宇宙開発推進本部を設置する規定を除いて本年四月一日となっておりますが、その日はすでに経過しておりますので、これを「公布の日」に改め、総理府本府、行政管開庁及び科学技術庁の職長の定員に関する改正規定は、本年四月一日から適用しようとするものであります。  以上が、本修正案提出の趣旨であります。何とぞ御賛同あらんことをお願い申し上げます。
  106. 徳安實藏

    徳安委員長 これにて修正案の趣旨説明は終了いたしました。  本修正案は予算を伴うものでありますので、この際国会法第五十七条の三の規定に基づき、内閣意見を聴取いたしたいと存じます。野田総務長官
  107. 野田武夫

    野田(武)政府委員 総理府設置法等の一部を改正する法律案に対し、同和対策審議会の設置期間を延長する修正案につきましては、修正案が成立した場合には、内閣としては院議を尊重する所存であります。
  108. 徳安實藏

    徳安委員長 これにて内閣意見聴取は終了いたしました。     —————————————
  109. 徳安實藏

    徳安委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に付するのでありますが、別に申し出もございませんので、直ちに採決いたします。  総理府設置法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  まず、山内広君外二名提出の修正案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  110. 徳安實藏

    徳安委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  111. 徳安實藏

    徳安委員長 起立総員。よって、修正部分を除いては原案のとおり可決いたしました。  これにて総理府設置法等の一部を改正する法律案は、修正議決すべきものと決しました。     —————————————
  112. 徳安實藏

    徳安委員長 本案に対し、辻寛一君外二名より三派共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  この際、提出者より本動議の趣旨の説明を求めます。辻寛一君。
  113. 辻寛一

    ○辻委員 ただいま議題になりました総理府設置法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議案について、提案者を代表してその趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。    総理府設置法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   憲法第七条に規定せられた栄典授与に当っては広く国民各界各層の意見を反映せしめる等適切な措置を講じ以って栄典制度が公正に行なわれるよう努むべきである。   右決議する。  本案の趣旨は案文に盛られておるとおりでありまして、何とぞ御賛成くださいますようお願いいたします。
  114. 徳安實藏

    徳安委員長 これにて附帯決議案の趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  辻寛一君外二名提出の附帯決議を付すべしとの動議について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  115. 徳安實藏

    徳安委員長 起立総員。よって、本動議は可決いたしました。     —————————————
  116. 徳安實藏

    徳安委員長 なお、本案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  117. 徳安實藏

    徳安委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。   〔報告書は附録に掲載〕
  118. 徳安實藏

    徳安委員長 次会は、明十九日午前十時理事会、十時半委員会を開会することとし、これにて散会いたします。    午後一時三十六分散会