運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1964-06-16 第46回国会 衆議院 内閣委員会 第45号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月十六日(火曜日)    午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 徳安 實藏君    理事 伊能繁次郎君 理事 佐々木義武君    理事 辻  寛一君 理事 内藤  隆君    理事 永山 忠則君 理事 石橋 政嗣君    理事 田口 誠治君 理事 山内  広君       岩動 道行君    壽原 正一君       塚田  徹君    藤尾 正行君       保科善四郎君    湊  徹郎君       渡辺 栄一君   茜ケ久保重光君       稻村 隆一君    神近 市子君       中村 高一君    村山 喜一君       八木  昇君    山田 長司君       受田 新吉君    山下 榮二君  出席国務大臣         国 務 大 臣 佐藤 榮作君         国 務 大 臣 宮澤 喜一君         国 務 大 臣 山村新治郎君  出席政府委員         内閣官房長官  黒金 泰美君         内閣官房内閣審         議室長内閣総         理大臣官房審議         室長      松永  勇君         内閣法制次長  高辻 正巳君         内閣法制局参事         官         (第二部長)  真田 秀夫君         総理府総務長官 野田 武夫君         総理府総務副長         官       古屋  亨君         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房賞勲部長) 岩倉 規夫君         総理府事務官         (恩給局長)  増子 正宏君         総理府事務官         (中央青少年問         題協議会事務局         長)      西田  剛君         宮内庁次長   瓜生 順良君         総理府事務官         (行政管理庁行         政管理局長)  石川 準吉君         経済企画政務次         官       倉成  正君         総理府事務官         (経済企画庁長         官官房長)   村上孝太郎君         総理府事務官         (科学技術庁長         官官房長)   江上 龍彦君         総理府技官         (科学技術庁計         画局長)    村田  浩君         総理府技官         (科学技術庁研         究調整局長)  芥川 輝孝君         総理府事務官         (科学技術庁振         興局長)    杠  文吉君         厚生事務官         (援護局長)  鈴村 信吾君  委員外出席者         総理府事務官         (臨時在外財産         問題調査室長) 栗山 廉平君         総理府事務官         (恩給局審査課         長)      中嶋 忠次君         通商産業事務官         (軽工業局無機         化学課長)   内丸 邦彦君         専  門  員 加藤 重喜君     ————————————— 六月十六日  委員茜ケ久保重光君及び山田長司辞任につき、  その補欠として八木昇君及び神近市子君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員神近市子君及び八木昇辞任につき、その  補欠として山田長司君及び茜ケ久保重光君が議  長の指名委員に選任された。      ————◇————— 本日の会議に付した案件  総理府設置法等の一部を改正する法律案内閣  提出第八一号)  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法  律案内閣提出第一一七号)
  2. 徳安實藏

    徳安委員長 これより会議を開きます。  総理府設置法等の一部を改正する法律案及び防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がございますので、これを許します。永山忠則君。
  3. 永山忠則

    永山委員 総理府設置法等の一部改正の中に、科学技術庁関係行政管理庁関係、北海道開発庁の関係経済企画庁関係等が全部一緒になって出ておりますので、全部の大臣をみなお呼びしなければ審議が進まないというような結果になりまして、総理府設置法が非常に審議がおくれるわけでございます。したがいまして、旧来のように、やはり担当大臣のおられるのは、単独設置法をお出しになって御審議を願うということが、議事の進行上から見ましても、また実際上審議を真剣に深く検討する上におきましても、望ましいことであると考えますので、今回はしかたがございませんが、次回からは、旧来のような関係大臣のおられるところは単独設置法を出すという方向にお進めになるということを深く要望するのでございますが、これに対して総務長官の御意見を承りたい。
  4. 野田武夫

    野田(武)政府委員 ただいま永山委員から、法案提出に関しての御注意を受けましたが、今後その御注意の趣旨を十分体しまして、政府としても考慮いたしたいと思います。
  5. 山村新治郎

    山村国務大臣 いま参ったばかりでございますので、せっかくの永山委員質問をお聞きしておりませんで、申しわけありませんでした。私の責任で局長から答えさせます。
  6. 石川準吉

    石川政府委員 行政組織法総理府が一本の行政機関となっておりまして、改善する点もございまして、従前より合意に達しておりますので、御指摘の点は将来研究いたしたいと存じます。
  7. 永山忠則

    永山委員 私は、与えられた時間が少のうございますから、深くは追及いたしませんが、十分将来の御提案には御留意願いたいと存じます。  それでは総務長官にお尋ねいたします。在外財産問題の審議会を設置されておるのでありますが、これに対しましては、すでに御質問もあっただろうと存じますけれども、その審議会は、国会議員をお入れになる考えがあるか、並びに利害関係者入れられるか、その審議会の構想と、さらに審議会ではどんなことを御審議されるのかということをお尋ねしたいのであります。特に、国会議員はぜひひとつお入れをいただく。なお、利害関係者入れられて、やはり広く意見をお聞きになるということが好ましいと思うのでございますが、この点に対してお尋ねいたします。  さらに、時間がございませんから申し上げますが、この審議会は、結局すみやかに結論を得られまして、来年度の予算には間に合うようにするというように期待いたしておるのでございますが、この点もあわせて御答弁を願いたいと存じます。
  8. 野田武夫

    野田(武)政府委員 永山委員御承知のとおり、今回御審議を願っております在外財産問題審議会の内容は、きわめて重要でございます。したがって、その委員会委員の方につきましても、もとより学識経験者にお入り願うということは、これは常識でございますが、その他の、いまの御指摘委員入れるかどうかというようなことも、この審議会の性格からいたしまして、やはりきわめて重要なものになってまいりますので、いま慎重に検討いたしております。したがって、まだ政府の方針が最後の段階までいっておりませんので、ここではっきりと入れるとか入れないとかいうことは、お答えできないのでございます。しかし、できるだけ内外の情勢を考え、やはり世論の動向を考えまして、これらに対して検討を加えたいと思っておりますす。  なお、審議会運営でございますが、その結論を早急に得て、来年度の予算に間に合うようにやれということでございますが、これは一にかかって審議会運営はこの審議会委員お答えによることでもございますし、政府といたしましては、すべてこういう審議会はなるべく早く結論出していただきたいという考え方は、もちろん持っております。しかし、この御審議によりまして、その結果の発足でございますから、いまここで私が、審議会委員をきめない前に、まだ審議を一度も開かない前に、その結論はいつだということを申し述べるということは、差し控えたいと思っております。政府は、やはりこういう審議会につきましては、どの審議会にかかわらず、なるべく早く結論出していただきたいという希望は持っております。
  9. 永山忠則

    永山委員 この審議会は、きわめて重要なものでございます。と申しますことは、二十九年の在外財産補償審議会で、これに対して法的義務があるかどうかに対しては、結論が出ていないのであります。したがいまして、今後はこれに対する結論をお出しにならなければならぬものであると考えております。特に、私有財産の不可侵の国際法根本原則であるヘーグの陸戦法規においても明示されておりますように、国の財産は、敵産としては処理することはあるけれども、個人の私有財産は保護されるものであって、本人に返却されるのが原則になっておるのでございます。それをサンフランシスコ平和条約第十四条で相手国に引き渡すことになったのでございますから、これは憲法第二十九条一項、三項にあります「財産権は、これを侵してはならない。」「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。」という公共徴収であるとすれば、どうしても本人国家が賠償せねばならぬ問題ではないかということが、広く論議されておるのでありまして、ドイツやイタリアにおきましても、補償を実施いたしておるというような関係もございますので、非常な重要な問題を含んでおります。したがいまして、やはりこれは非常に国会関係がございますので、特に国会議員入れ、また利害関係者入れて、慎重審議をされるということに、ぜひお願いをいたしたい。  さらにまた、戦後すでに二十年もたっておるのでございますから、じんぜん日を送るということであってはなりませんので、何といっても幹事役政府ですから、やろうと思えばできるのでございますから、熱心に検討を続けられまして、予算にも間に合うようにやるということを強く要望いたしておきたいと思います。  なお、私は、前に恩給法のときに質疑をする機会を逸脱いたしておりましたので、私は、総理府恩給審議室を設け、さらに年金恩給との関係をよく審議するために各省連絡会議総務長官のところにお持ちになり、さらにまた権威者を嘱託、あるいは顧問に委嘱して、十分これが審議をするということになっておりますので、この場合少し長くなりますが、それに対してこういう点をぜひ審議してもらいたいということを恩給局長総務長官、並びに関連がございますから、厚生省援護局長関係へ申し述べて、御考慮を願っておきたいと思うのでありますが、すでに前に申しましたように、共済年金といいましても、これは社会保障ではないのであります。やはり国家補償です。国家のために一生をなげうって御奉公をしておるこの年金受給者並びに恩給関係者には、どうしても現職公務員と同じようにスライド制を確立するということを、必ずひとつ実現をされるように要望いたしたいのであります。ことに最低額はいま年額三万六千円でございますが、これらは生活保護よりも安いのでございまして、ことに恩給をもらいながら生活保護を受けておる者がすでに八千人以上もおるという政府の御言明でございますようなことでございますから、この最低額の引き上げを考えるというようにも、お願いをいたしたいと存じます。  さらにまた、問題になっております昭和二十三年六月三十日以前のものとその後の関係が、断層がついて、格差がございますので、これは多少是正はされましたけれども、まだ不均衡が残っておるというようにいわれておるのでありますから、これらの点も調査の中にお加えを願いたいと存ずるのであります。  なお、また満州国外国職員恩給関係につきまして、日満または満日のケース公務死をしたものの遺族扶助料、また公務障害者に対して障害年金支給するという点についても、不均衡が残されておるというのでございますから、これを審議対象にしてもらいたいのであります。  さらに同じく終戦まで在職した者に限り通算するという条件も、非常に不合理でございますから、これを撤廃するの件についても調査の中に入れてもらいたい。恩給受給権を得て渡満した者にも、実在職年数だけは通算をすること、また日満ケース通算にあたって、「外国政府職員となるため公務員を退職し、」の条件撤廃するの件、また滞日ケース通算によって、在職年数を十七年で打ち切る規定撤廃して、在職年数はまるまる通算するの件、さらに日満ケース在職時の仮定俸給の定め方を改正するの件という点に対しても、不均衡が残されておりますので、これを十分調査対象に願いたいのでございます。  次に、恩給関係につきましては、軍人恩給の問題は、当時、予算がございませんので、やはり仮定俸給文官より押えておるのであります。当時は四号俸も下げられておりましたのでございますから、したがって、文官との仮定俸給の不均衡の問題、あるいは外地抑留期間に対する加算認定でございますが、これらは戦地戦闘加算と同じように持っていくことが妥当なりと考えておるのでありますが、この関係ソ連軍進攻地区に対する加算認定関係、また一時恩給年限実在職の連続三年に是正する——これも戦前三年であったのでありまして、いま七年に上げられておりますが、少なくとも戦前赤紙一つで召集して、これだけは国家が保障するぞという約束をしたことだけは、これはやはり今日の経済状態から見ますれば守るべきである。国家がその約束を守らないというようなことになるならば、国民の信を失うであろう。旧来は、国家財政は苦しかったのでやむを得ませんけれども、今日のごとき日本経済が世界三本柱の一つ——背伸びしているからでもありましょうけれども、と言われる今日におきましては、やはり十分検討をされてしかるべきだ。今度の調査会にぜひひとつ御調査対象に願いたい。  さらにまた、海軍特務士官等に関する処遇の改善、また加算恩給者に対する減額率が、旧来は、戦前はなかったのであります。これを強くやられておりますから、これを撤廃をするの件でございます。そうして加算資格者に対する裁定事務は、必ず明年度までに施行してしまうというように、事務の進捗をはかってもらいたいのでございます。  さらに、傷病恩給に関しましては、傷病恩給は、いわゆる戦闘公務であるにもかかわらず、普通公務基準でおるのでありまして、非常に低きに押えられておるのであります。しかもなお、傷病恩給年金は二回ベースアップを足踏みをいたした関係がございまして、非常に押えられておりますから、この傷病恩給年額を増額するの件であります。  さらに、間差が非常に財政的事由で狭められておりますので、これを旧聞差に復元をすることでございます。そうして裁定基準、すなわち等差別表を変えなければならぬということは、これは日清日露の戦争当時の戦闘状態でつくられたものでありまして、近代戦は全然趣を異にするのであります。これに対しましては、調査会は中途この等差調査をやって打ち切った例がございますので、これが十分調査をいたして、等差別表改正するというところまで審議を進めてもらいたいのであります。そうして普通恩給受給者傷病年金減額ということは戦前はなかったのでありますが、これらも、特に不具になった人に対してその傷病年金減額をするということは、きわめて不適当なことであると考えるのでございます。  また、本法において傷疾疾病にかかった者に対する恩給は、これは恩給特例法に死んだ人にはありますけれども、傷病者には見送られておるという不均衡が残されておりますので、これがぜひひとつ支給をするようにすべきであると思うのであります。  また、有期傷病恩給終身恩給に変える措置は、もう戦後二十年になってなお今日有期恩給有期恩給でこれを更新更新するという時期ではないのであります。これは終身恩給化をすべきときがきておると思っておるのであります。  また、法改正当時、混乱時における失権者に対しても、傷病恩給支給することが妥当なりと考えておるのであります。これらの点に関して、十分ひとつ審議対象にしてもらうことを申し上げておきたいのでございます。  そうしてさらに傷病者の妻に対する特別加給の問題、また、国鉄乗車に関しましては、傷病恩給手帳をもってこれに充てる。いわゆる身体障害者手帳でなしに傷病手帳で差しつかえないというような状態に変える等を、ひとつ審議対象に願いたいのであります。  さらにまた、遺族関係に対しましては、なお未処遇がたくさん残っておるのであります。時間がございませんから多くを申し上げませんが、旧軍人等遺族に対する恩給等特例に関する法律で、営内居住に関する制限は当然撤廃をさるべきであると思うのでありまして、この点も十分審議対象に願いたい。  また、同法の在職期間昭和十二年七月七日以降に改めるということは、これはすでに一部はそういうようになっておるのでありまして、これが残されておりますから、これが是正をすべきであります。  また、同法の支給条件である二年、六年の制限撤廃する等々、未処遇が多々残されておりますから、これらは援護局とも相談して、恩給だけの問題でございませんから、よく連絡をとっておやりになるようにせられたい。  さらにまた、今日問題になっております靖国神社を国家護持にするという問題についても、法制局十分検討をさるべきでございます。これは政府がいわゆる宗教法人として特に指定してきたのであります。宗教法人的活動を何もしておらぬ。これを排除いたし、特殊法人にいたして、そうして殉国の霊を祭る。これはもうアメリカのアーリントンの墓地無名戦士墓地と同じでありますので、これらもすみやかにひとつ解決をされていくべきであると思います。  また、戦没者遺族にかわって、兄弟姉妹や、あるいはおじいさん、おいや孫がこれを見ておる。にもかかわらず、とにかく五万円しかやらない。人を殺して五万円しかやらないというようなものに対しましては、特別に弔慰金をやる。あるいは国民年金との併給問題も、これを単価は少なくとも、国民年金の無拠出の線、すなわち十八万円以下の所得の者には、公的年金をもらっておってもこれを支給するということを、これは年金局と十分相談されてやるべきであると考えるのであります。  これらの諸点をぜひ今度の審議対象にして、この事態になったのですから、抜本的にこれが処置をされることを特に要望いたしておくのでございまするが、これに対する総務長官恩給局長援護局長の御答弁をいただきまして、私は、時間がございませんので、終わりたいと思います。
  10. 野田武夫

    野田(武)政府委員 今回総理府恩給局で設置いたしました審議室調査事項として、永山委員からいろいろと御要望がございました。これらは、実はお聞きいたしておりますと、必ずしも恩給局関係ばかりでありませんで、厚生省、大蔵省の年金関係、その他法制局各般にわたっております。したがって、いま恩給局長からもお答えをすると思いますが、はたして全部この審議室調査対象になるかどうかということは、はっきり申し上げられませんが、できるだけやはり恩給関係を中心といたしまして、そして各般にわたりまして調査、研究はいたしております。これらにつきまして具体的な問題につきましては、政府委員からお答えいたします。
  11. 増子正宏

    増子政府委員 ただいま総務長官からお答え申し上げました以外につけ加えることもございませんが、いずれにいたしましても、恩給法上の問題につきましては、恩給問題審議室におきまして十分調査、研究いたしたいと思います。  なお、その他の事項につきましては、関係各省といろいろ協議をいたしまして、私どものできる限りの努力をいたしたいと思います。
  12. 徳安實藏

    徳安委員長 援護局長はきょう出ておりませんから、また適当なときに答弁するようにいたします。
  13. 永山忠則

    永山委員 予算が通らなければ、予備費出してでも、どうしてもこの場合抜本的な調査を願いたいということを申し加えまして、私、質問を終わります。
  14. 徳安實藏

    徳安委員長 榊近市子君。
  15. 神近市子

    神近委員 いま恩給の問題が出ておりましたけれども、私も恩給に関する主として残された遺族たちの処理について御質問を申し上げたいと思いますけれども、その前に、ちょっと妙なことがありましたので、一問だけちょっとお尋ねいたします。  一カ月か二カ月前でしたけれども、地元から老人が見えたのです。そのときのお話が、むすこ上等兵戦死した。そして上等兵であったのが、二階級上がりまして伍長にしていただいた。ところが恩給上等兵恩給しか来ないということなんです。それで私は恩給局にお尋ねいたしましたところが、そういう規定だ、こういうことでで、私も電話でありますから、議論の余地がないからお帰ししたのですけれども、戦死したから二階級上げたということは、戦死した人の功績に対する栄誉というか、あるいはそれに報いるためのものでしょう。ところがその親に対しての恩給では上等兵というのは、私にはそのときから何かそこに不合理があるような感じもしたのですけれども、そのとき多分局長ではなかったと思うのです。恩給局のどなたか係の人であったと思うのですけれども、みんなそういうふうになっているのですか。たとえば少尉であった人が戦死したから中尉になった。恩給少尉の低いほうであげる、そういうふうにみななっているのかどうか。お金の違いを聞きましたところが、幾らでもないようです。上等兵幾ら出しおいでになるか、それから伍長幾ら出しおいでになるか、それをちょっと伺いたい。
  16. 中嶋忠次

    中嶋説明員 局長にかわってお答えいたします。  恩給法におきましては、原則といたしまして、軍人でありましたら、最終の階級基礎にして恩給年額を計算することになっておるのでございますが、ただ、戦死の例をとりますと、戦死一年前の階級から二階級以上離れている場合には、その最後階級はとれないというのが、法律規定でございます。したがいまして、御指摘の場合は、もし戦死される一年前が上等兵になっておられれば、当然伍長階級によって扶助料が計算されるわけでございますが、かりに二等兵なり一等兵であるといたしますと、伍長階級そのままを基礎にして計算することはできない、こういうのが法律規定でございます。
  17. 神近市子

    神近委員 いま金高のこともお尋ねしたのですが。上等兵幾らか、伍長幾らかということをお尋ねしたのです。
  18. 中嶋忠次

    中嶋説明員 ただいま資料を持ち合わせておりませんからはっきりした数字は申し上げかねますが、戦死の場合ですと、上等兵の場合、七万二千円ぐらいでございます。伍長の場合ですと、そのわずか百円くらい上の七万二千三百円ぐらいじゃないかと記憶しております。
  19. 神近市子

    神近委員 じゃ三百円違うだけですね。
  20. 中嶋忠次

    中嶋説明員 大体その線——いわゆる階級差がつづまったような形になってございます。
  21. 神近市子

    神近委員 私はそう考えるのですよ。伍長にしたならば伍長の給料を、たった三百円の違いじゃありませんか。それをなぜ、法律のおかしさというか、私はあとでも法律のおかしさを申し上げたいと思うのですけれど、三百円くらいのことで、受けるほうでは——親ですよ。もうむすこ伍長になって死んだのだ、死んで伍長にしていただいたんだ。それなら三百円よけいに出したって何でもないじゃありませんか。それなら、戦死したからといって何も伍長にしないでも、上等兵で死んだということにしておけばいい。私はその点、どう考えてみても、そのとき恩給局電話でお話ししたのですけれど、金高も大体そういうような線が出たと思います。それで、たった三百円じゃないかというのでおじいさんをなだめて帰したのですけれど、幾ら考えても、戦死したから伍長にする、お金上等兵でしかあげない。それは、恩給局局長が大体御裁定できるなら私はそういうふうになさるべきだと考えまずけれど、どういうふうにお考えでありますか。
  22. 増子正宏

    増子政府委員 先ほど審査課長から大体実態的なことを申し上げたのでございますがただいまの御意見として、金額がわずかであれば本人の有利にというお考え、これは一般的なお考えとしてよくわかるわけでございますけれども、この問題につきましては、法律に明文がございます。したがいまして、その場合に、気の毒だからといって法律に該当しないものを該当するように取り扱うということは、私、裁定をやります場合にまいりかねると存じます。
  23. 神近市子

    神近委員 それはわかっておりますよ、あなた方は法律に縛られておいでになるということは。だけれども、こういう不合理を法律の上に残しておおきになるというところに問題があると私は申し上げているのです。  この次に出ます問題は、私はもっと不合理だと思うのです。これは、女の人の問題です。  ちょっとお尋ねしますが、終戦直後、恩給法は駐留軍の命令か何かで一度廃止になりましたね。その次に恩給法を復活するのは二十八年でございますか、それをちょっとお伺いいたします。
  24. 増子正宏

    増子政府委員 終戦後停止といいますか、廃止になりましたと仰せられたのは、これは恩給法全部でございませんでして、旧軍人軍属関係のものが、それも旧軍人軍属関係全部ということではなく、いわゆる傷病恩給等は残ったわけでございますが、その他のものが恩給権を一応奪われております。それが、二十八年の法律百五十五号によりまして、いわば再出発したということでございます。
  25. 神近市子

    神近委員 その終戦直後の混乱時代に、子供に死なれた、夫に死なれたという人たちが、非常に困難な生活をしたということは御想像ができると思うのです。いま非常に気の毒な一例と思うのは、一番上の子供が六つのときに父親に死なれて、ようやく三人の子供を育てた女の人が、長男が働けるようになったところを徴兵に取られてしまったのです。そうして七年間転戦いたしまして、最後はビルマで餓死しているのです。水も飲めない。食糧も——敗戦がはっきりと形になってきたときですから、十九年ですから、ビルマで餓死をしている。そうしてその遺骨というものは、何か三度来た。紙に入ったものか何か来た。土が来たのか何が来たのか知りませんが、三度来た。一度は兵長という名前で来た。一度は伍長という名前で来た。そういうふうな混乱した状態にあったということ。この人は次男が精薄で、それからその次の女の子が病弱で、どうしても生活ができなくて再婚した。やっとどうやら養ってもらえるというところにきたときに、一年足らずでその再婚した夫がなくなった。そうして精薄の次男は行くえ不明。女の子はその後健康になって結婚したらしいのですけれども、いま長女の結婚先で居そうろうをしている。その夫がサラリーマンで、非常に薄給でありますから、自分の子供と妻とその妻の母親をかかえているというふうな状態なんです。そういうようなところに、なぜこの人に恩給がもらえないかということで、この恩給法をよく読んでみると、結局再婚したということでしょう。このケースは前にもありましたよ。私は、愛知県でしたけれども、恩給局に行って——そうしてこの場合は入籍していなかった。夫に死なれて、農業ができなくて、親類の者に来てもらって農業をやっていた。そうして将来結婚しようかなというので内縁ができていた。その人が死んでしまった。それで今度は恩給が子供には来るけれども、妻には来ないという状態で、相談されて私は恩給局に何度も足を運んだことがあります。そしてこれは何条でしたか、附則の十条ですかそれで入籍していなかったということが利益をして、味方をして、これはもらえる、三年後、ともかくいろいろの運動をしてやっといただけるようになったという事例があったんです。ところが、今度の人は入籍している。籍をその夫の籍から出ている。もう一つの例が、同じようなケースですけれども、夫に戦死されて、そしてしゅうとが小さな子供たち、弟や妹をたくさんかかえているので、その妻を六歳下の弟の嫁にどうしてもなれ、そうしなければ困るというのでしゆうとに、しいられて六歳下の戦死した夫の弟と結婚させられたんです。ところが、このおじいさんが半年足らずでなくなって——病気だものですから、これの言うことを聞かなくちゃならないので、いやいや弟と結婚した。そうしたら、おじいさんが半年のうちになくなった。そうしたら、いやいや結婚した弟がその奥さんを追い出してしまうのです。そうなると、やはり再婚したというような——ここに書いてあるでしょう。実質に再婚した場合はいいけれども、籍を移した場合にはだめだ。それでその人は離婚された、年上の女房なんか要らないと思う弟が、幸いに父親が死んだから、これを追い出した。追い出したときには、おそらく実家の姓にこの人はなっていますよ。それで戦死者の子供は病気で死んでしまうし、いま孤独になってどうにもならない、こういう状態になっています。このことを、法律だからそれはしかたございませんとあなた方おっしゃるでしょう。だけれども、これは恩給局長なり審査官というような方がおいでになるんでしょう、恩給に問題があったときには。そういうような方で、これは法律改正をおやりになるということ、この恩給法改正というようなことをお考えになるなり、あるいは便法としては、恩給局長の裁量あるいは審査官に御相談になって——こういうケースは私は無数にあると思う。なぜここでこの問題を取り上げるかといえば、これは二例か三例にすぎないですよ、私が持っているのは。だけれども、これは私は無数にあると思うのです。そしてちゃんとこの手紙にも書いてありますけれども、わりあいに知識があって、生活が楽な人たちは、再婚しても籍を入れていないんです。ですから、豊かである上に恩給はもらっている。そういう人はたくさんいるんですよ。そして、もらえない人のほうが、貧乏で、無知であり、そして下層のところにいる、こういうことになっております。御存じかどうか知りませんが、たいへん有名な中将ぐらいの方が、四つになる孫を養子になさったことがあるんです。これは私ども個人的に娘の関係で知っておりますけれども、おかしなことをなさるなと言いましたところが、養子であっても、年が若ければ恩給がもらえる、それで孫が学資に困らないでいいだろうというので、偉い将軍が四つになる孫を養子になさったというケースがあるんですよ。そういうように、悪知恵と言えば語弊があるかも知れませんが、ともかくあんまり正しくない動機で恩給がもらえるということが、幾らでもできている。それなのに、ほんとうに気の毒な、弟の嫁にされて、そうしていま孤独で、子供はなくなったというような人は、今日食うに困り、日傭取りか何かをして過ごしているというのが、実態なんです。私は、戦死した人たちのことを考えれば、こういう状態で置くべきではないと思うんです。一番気の毒な人たち——そうしてさっき申し上げたように、十何年育ててもらった母親をやっと養うことができるというときに戦争にとられて、そうして七年、外地を苦労して転戦して歩いて、ビルマではもう日本軍の敗色が——補給がもういかなくなった。水も飲めない、食事もできないという状態で、何万か死んでいますよ。ビルマでは輸送船が行くことができなくて、補給ができなくて十七万死んでいます。その中の一人だろうと思うのです。私は、そういう人の残った家族が、こういう気の毒な状態にいるということを考えると、いまの軍人恩給は何としても不合理でならない。結局この法律をつくった人たちは、古い家族制度というものが頭にしょっちゅうあったんじゃないかと思うんです。これはまあ古い話ですけれども、昔廣瀬中佐の旅順港の閉鎖のときに、若い少尉戦死しました。そのときに十七になる結婚したばかりの奥さんが、二年か三年後再婚という問題になったときに、世間が非常に非難したことを、皆さん年長の方は覚えておいでになるだろうと思う。非難したんですよ。今日二十二か二十三の未亡人が結婚するということは、あたりまえじゃありませんか。それをお考えになれば、いまの恩給法に、籍を入れた者にはやらない、籍を入れないで実質的に結婚しているのはよろしいというのは、不合理きわまりないと思うんです。私は、その点を皆さんが考え直して恩給局長の裁量で、たとえばこの人たちを救う方法としては、もとの籍に返すということですね。一ぺん出てきたところの夫の家の籍に連れ戻すということは、話し合いをすればできないことではないと思うんです。そういうことになれば、この恩給を出せるかどうかということをちょっと考えていただきたい。
  26. 増子正宏

    増子政府委員 いまいろいろと御説明くださいましたいろいろな事例は、私どもも大体承知いたしております。お述べになりましたような一つ一つの事情に立ち入りますと、確かにお気の毒だと思われる事例は、私どもも数多く経験いたしております。そして法律の運用といたしまして、事の内容が十分妥当であると思われるものにつきましては、私ども恩給局長の裁量として、そういう救済といいますか、そういった措置をいたしております。ただし、法律上全くそれに該当しないというものにつきましては、先ほども申し上げたことでございますが、私ども気持ちとしては残念でございますけれども、そういうわけにはまいらないということでございます。  ただ、なお御説明の中にございました点で、多少誤解があるやに思われます点を申し上げたいと存じますが、それは遺族がほかの男と結婚する、籍がその新しい男の籍に入れば失権するけれども、入らない、籍を入れない場合には依然として恩給をもらっているというお話しがございましたけれども、その点につきましては恩給法に明文がございまして、いわゆる籍が入らなくても、事実上の婚姻と同じような状態にあります場合に、それを発見いたしまして確認をいたしました場合には、失権せしむることができるという規定がございます。この規定によりまして、私どもそういう事実を十分確認いたしました場合には、たとえ籍が入っていなくても、ほかの人と結婚したということによりまして、前の夫の遺族扶助料の権利はこれを取り上げるという措置をいたしておるわけでございます。
  27. 神近市子

    神近委員 この附則の九条に「公務員又は公務員に準ずる者の父母又は祖父母で昭和二十三年一月一日以後婚姻に因り扶助料を受ける権利又は資格を失ったもののうち、その婚姻に因り氏を改めなかった者は、この法律施行の時から、」こういうことが書いてあるのですよ。これはほかの場合にもずいぶん出てきます。私は、これはたいへんいいことだと思うのです。あなた方の調査は、どういう御調査か知らないけれども、氏を改めないで実質的に結婚して、この法律の趣旨をもぐる。実際にもし年が若かったり、子供をたくさんかかえている人たちが独身で過ごさなくてはならないという法はないのだから、私はそれは、ちっともとがめないけれども、そういう人があるのに、ただ氏を改めただけで問題になさるのは不当じゃないか、何らか、これを恩給局長というものは相当裁定というものがおできになるはずだから、考えていただけないか。たとえば昔の姓に返す、話し合いをして昔の夫の家の籍に返す、そういうようなことでできないかというのが、私の御相談なんです。
  28. 増子正宏

    増子政府委員 ただいまのいわゆる御相談と言われた点でございますが、ただいま御例示のような場合については、常識的にも相当考え得る問題であろうと存じます。ただ、いまの場合は、いわゆる婚姻の場合でございますけれども、同じように養子縁組その他いろいろあるわけでございます。つまりある事由によりまして失権した場合に、その事由が解消してもとのとおりになったときに、また恩給権を復活するかどうかという問題でございます。婚姻の場合だけに限るわけにはいかないのではないか。いろいろな場合に、ある事由に該当して失権する、その後その事由がなくなったというときに、何年かたってまた戻ってくる、その場合に、一たんなくなった恩給がまた復活するという制度は、これは実は恩給法全体の問題として、非常にむずかしい問題でございます。その意味におきまして、仰せられた点は私ども必ずしもそれに全面的に反対申し上げる気持ちはございませんけれども、非常に困難な問題として従来から研究いたしているところでございます。その点だけを申し上げておきます。
  29. 徳安實藏

    徳安委員長 神近委員質疑中でありますが、官房長官が他の委員会に出席の関係がございますので、この際、八木昇君に御質疑を許します。八木君。
  30. 八木昇

    八木(昇)委員 四十分にはほかの委員会に官房長官入らなければならぬということでありますから、たった五分でどうしようもないのですが、したがって端的に一、二お伺いをしたい。総理府に設置をされております産業災害防止対策審議会、これが存続延長についての法案がこの委員会にかかっておりますので、この問題について官房長官から確かめておきたいと考えますので、お伺いしたい。  これは、私ども社会党から産業災害並びに交通安全に関する申し入れを実は先般いたしました。官房長官を通じて内閣へ申し入れたわけでありますが、その骨子とするところは、一般の労働災害、それから交通安全に関す問題、それからすべての公害、これらをひっくるめて、最近災害が非常に頻発する、これに対する抜本的施策をやっていくための内閣に閣僚懇談会というような行政センターを設けてはどうかという強硬な申し入れであります。これに対して回答がございましたが、非常に抽象的であったわけです。さらに総評本部からも、これは私ども社会党のほうもまたその内容について全く同感でありまするが、御承知のように、次の六項目の申し入れをしたわけであります。その申し入れば、先般四月十七日の例の公労協の実力行使を回避する際に、池田・太田会談の六つの約束の中の一項目である、これらの災害の防止については、政府としても根本的な施策の樹立に向かって努力したいという、その約束の趣旨に基づいて申し入れたわけですが、その産業災害防止対策審議会活動の強化についてという申し入れば、この際内容を申し上げておきますと、第一は、この産業災害防止対策審議会は、公労使それぞれ同数の委員を持つ構成というものにしてもらいたい。それから二番目は、この産業災害防止対策審議会の中に、公労使それぞれ同数の委員からなる専門家会議をつくり、その専門家会議審議会の諮問に応じて、審議会が決定する災害防止の基本計画の具体的内容について審議するというものにしてもらいたい。三番目は、この審議会は、産業安全研究所、労働衛生研究所に、所要事項について検討させることができるようにしてもらいたい。四番目は、この審議会は、安全監督行政に携わる監督官の勤怠について、査察する権限を持つようにしてもらいたい。それから五番目は、この審議会及び審議会の中につくられる専門家会議は、最低月一回の会議を開くという、そういう本格的なものにしてもらいたい。それから六番目は、この審議会及び専門家会議等の運営と活動の推進にあたっては、予算をこの際思い切ってふやしてもらいたい、こういう内容であったわけであります。これに対して、非公式には回答が寄せられております。この設置法案の審議に際して、正式にこの委員会で、内閣としての態度を御答弁いただきたい。こまかくは総務長官並びに内閣審議室長のほうにお伺いしたいと思います。
  31. 黒金泰美

    ○黒金政府委員 いまお話しがありましたように、総評の岩井事務局長からお申し出がありまして、私ども政府といたしましても、この根本的な立場におきましては別に異存もございませんし、そのとおりすべきものだと考えます。ただ、個々具体的な点になりますると、やはり広くいろいろな分野から、委員の構成にいたしましても適材を集めたい。必ずしもおっしゃるように、公労使同数である、そういうふうにもまいらないかと思いますが、できるだけそれは労務に当たっている方の御意見も伺いたいしいたしますので、この点の御意向は十分尊重して構成をしてまいりたいと思います。  それから岩井さんのおっしゃった御趣旨は、その委員の中で幾つかの専門部会をつくったらどうか、こういう御意向でございましたが、実は私どもは、いままでやっておりましてどうも不十分だったのは、委員のお集まりよりも、委員の下にあって突き込んで事項検討してもらう専門委員のなかったことに、突き込みが足りないと申しまするか、そういう点で難点があったのではないかと思いまするので、専門委員を置きたいと思っております。しかし、会議運営次第によりましては、委員会の中が常に総会でなくて、個々の問題ごとに何人かお寄りになってもけっこうだと思いまするし、そういう点もあまりかたくお考えにならずに、一番うまくいくように考えようじゃございませんか。  それから第三点は、産業安全研究所なり労働衛生研究所にいろいろな事項検討を命ずる、こういうことは、当然に資料を提供し、協力申すのがあたりまえの仕事でございますから、いままでもいたしておりましたが、不十分ならば、できるだけ協力させるようにいたしましょう。  次に、安全監督行政に携わる監督官の勤怠について、査察の権限を持たしたい。私ども、いろいろな監督官に対して、ときどき実情をごらんになって意見をお述べになる、御注意を承る、大いにけっこうに存じます。ただ、権限として査察権というのを持ちますと、やはり行政用語として査察という一つの概念がございますので、そういう査察権を委員会に持たすと、何か検察庁的な立場が出てまいりますので、あまりそれもかたく、そういう権限として法律規定するということなく、実際問題として勤怠状況をよくごらんを願いたい。そしていろいろ御注意を願いたい。  それから、最低月一回会議を開け、これは非常にあれですが、たとえば八月は休もうじゃないか、そのかわり九月になったら月三回開こうじゃないか、機動的にできるだけ多く開きまして、いま産業安全の問題非常に重要なときでありますから、十分に御勉強願いたい。  また、これに関係する予算も、実は各審議会ごとに個別にとってあるわけではございませんが、でき得る限りの予算を使いまして、御審議に不便をかけることはいたしません、かように申し上げまして、いま申したように、こまかい点はいろいろ技術的にございましたけれども、根本の趣旨におきましては、御納得を願えたように考えております。
  32. 八木昇

    八木(昇)委員 ちょっと補足して。いまの会議予算関係ですが、これはさっそく本年度から相当大幅な経費を使ってやってもらいたいと思う。それでこまかくあとで聞いてみたいと思うのですが、おそらく今年度の正規の産業災害防止対策審議会予算というのは、わずかなものじゃないかと思うのです。それを何とかやりくりしてでも本年度相当つけるおつもりであるかということと、それからその前の点の査察する権限を持つということについては、確かに現在の状況のもとでは、これは政府としてもそういうわけにずばりはいかないと思います。しかし、基準関係では労働基準監督官、それから、たとえばこの間爆発が起きたような、あれは高圧ガスに指定はなかったらしいのですが、高圧ガス関係の取り締まりについては保安管理員というものがおりますし、あるいは火薬の爆発に関しましても、そういう担当の監督官がいる、それから鉱山保安に関してもむろんそういうのがおりますが、これらに対して、この審議会は単なる審議委員会ではなくて、半ば行政的な権限といいますか、そういった仕事面を持つような性格にある程度しなければ、ほんとうに産業災害防止の効果を果たし得ないのじゃないか。と申しますのは、われわれは事実各産業の職場におったのですが、実際は経営者側とこれらの監督官の人たちはしょっちゅう接触しておりますから、非常になれ合っております。人間的にあんまり接触し過ぎておる。そういう点ちょっと補足してお答え願いたい。
  33. 黒金泰美

    ○黒金政府委員 第一の点につきましては、何とかやりくりしまして御不便をかけないようにいたしたいと思います。これは総務長官からも答弁があるかと思います。  次の問題につきましては、どうもやはりそういったような傾きがあるかと存じますが、それに対しまする上級官庁の監督、その権限と、またこちらにも新しく権限を置きますと、どういうふうにその権限の間を調整しますか、いろいろ問題がございますので、実際問題としてよくごらん願って、そうして上司に対しいろいろ御忠告を願う、またこの委員会でもその監督のやり方について十分御審議願う、このほうがいまのところいいのじゃないか、こんな考えでございます。
  34. 神近市子

    神近委員 同じような問題ですけれども、この附則の第九条、それから第十条一項の二号に二十三年一月一日以後の結婚ということがうたわれているのですが、これは一体どういう意味なんですか。第十条のほうにはカッコがついて、「(氏を改めなかった場合に限り。)」というような制限がついているのですけれども、一体二十三年一月一日以前の婚姻というのは、どういうように解釈なさっていますか。
  35. 中嶋忠次

    中嶋説明員 お答えいたします。  御指摘昭和二十八年の法律百五十五号の附則の九条と申しますのは、たまたまいわゆる軍人恩給の復元の際に、恩給法遺族扶助料を受ける権利を失わすべき事由のあった規定が、改正されたのでございます。その改正は、この条文にもございますように、軍人に例をとりますならば、軍人の父母に対する失権規定でございます。軍人の父母につきましては、二十三年の一月前、すなわち新民法の施行の前におきましては、軍人の父母は婚姻しても失権しないという恩給法規定であったのであります。これを新民法の施行、すなわち昭和二十三年の一月一日を境といたしまして、旧軍人の父母につきましても、旧軍人の妻と同じように、婚姻したら無条件で失権するという法律規定を変えたのでございます。そしてこの二十八年の軍人恩給の再出発の時期まできたのでございますが、このときに、国会の先生方の御意見で、父母のうちで、婚姻して氏を改めた場合、すなわち通俗なことばで申し上げますれば、お父さんがお婿さんにいった場合、それからお母さんが新しいところにお嫁にいった場合、この場合には失権させてよろしいけれども、お父さんがつれあいを自分のうちに迎えた場合、それからお母さんが新しいお婿さんを迎えた場合、その場合には失権しないようにしろという御趣旨の修正がございまして、その修正で、二十三年新民法施行後は、旧軍人に例をとりますと、旧軍人の父母は、婚姻いたしまして、氏を改めますと失権するけれども、氏を改めなければ失権しないという、将来そういうことにするというように規定が改まったわけでございます。そういたしますと、ただいま申し上げました二十三年から二十八年の法律の施行のときまでに、すでに婚姻されたけれども氏を改めないでおった父母の方たちの間に、失権して扶助料の権利を失っている方があるわけであります。その人たちは、将来に向かってその権利を復活させてやる。すなわち、二十八年以後の父母の失権事由と全く同じ状態にするという趣旨で設けた規定でございます。
  36. 神近市子

    神近委員 それじゃお母さんの場合、婿をとった場合には失権しないということですね。
  37. 中嶋忠次

    中嶋説明員 婿というのは、すなわち新しい夫をお母さんが自分のほうにとった場合に、すなわち、新しい夫がその母の氏を称して結婚した場合、これは失権いたしません。
  38. 神近市子

    神近委員 実質的に妻であれ、母であれ——さっき申し上げたのは、これは母ですよ。母が嫁にいった。生活困難のために、精薄の子供とそれから病身の女の子をかかえて再婚して、半年くらいで夫に死なれた。そして生活が非常に苦しい。この場合には、精薄であれば、この扶助料は成年になってももらえるわけですね。ところが、この精薄の子供が、あまりの生活の困難のために、姉のところに居そうろうしている、それがつらくて家出している。それで十五年も行くえがわからない。こういう悲惨な状態にある。私が言うのは、こういうような悲惨な状態で、ただ籍が変わったというだけで、この法律ではいまおっしゃったように権利がなくなっているわけですね。それなら、夫のこの精薄の子供は、まだ戸籍の上に残っているのですから、そこに母親が帰るということができれば、この補助はもらうことができるかどうか。これはいま実質的に結婚している人がたくさんいるのですよ。それがただ籍を入れなかったために扶助料をもらっている、そういう実例があることを考えれば、籍をもとに戻すということができれば、権利ができるかどうか。そしてそれは恩給局長なり、あるいはいろいろと言い立てるときに相談になるところの審査官の計らいができないかということ、そしてそうすべきであるということを私はお尋ねしているわけなんです。
  39. 中嶋忠次

    中嶋説明員 いま先生のおっしゃった事項でございますが、まず法律規定は、旧軍人に例をとりますと、旧軍人の未亡人でありまして婚姻した場合には、無条件で失権いたします。それから父母の場合には、婚姻して氏を改めた場合には失権するということになる。その婚姻が解消されて、もとのさやにおさまったというか、もとの状態におさまったというときに、扶助料の権利を復活させるかどうかということにつきましては、現行の法律のたてまえは、復権させないということがはっきり規定上あらわれておりますので、これを裁量で行政官がするということはできないことだと考えております。  それから法律を改めるとしたら、そういう先生のおっしゃる不合理というものを解消するために法律を改める意思があるかと申されますと、先ほど局長のほうからお答えいたしましたように、恩給法というのは、実情が気の毒であるから、精神的に気の毒であれば条件が変わっておってもやるという法制のたてまえでございませんので、冷ややかなようでございますけれども、一般的にいろいろな状況の人たちを考えまして、こういう場合に失権させる、こういう場合に失権させないという抽象的の基準を定めてやっているのが法律のたてまえでございまして、その例外ということで一々基本線をくずすような改正ということにつきましては、先生のおっしゃるような御意見に同調し、また賛成される向きも、私たちもよく拝聴しておりますが、またそういうことに反対する向きもございまして、先生のおっしゃるような方向に進んでいくというまでに踏み切れないのが、現状でございます。
  40. 神近市子

    神近委員 その反対するというのは、古い家族制度というようなものがあって、その反対があるのだろうと思うのです。だけれど、戦争が済みまして二十年、みんな七十とか七十五歳とかという人たちです。これら次々と消えていく人たちの恩給というものがだんだんと小さくなるということを考えれば、あと五年なり十年なりというような生活を——子供を働き盛りのときにようやく育てて、そうしてそれが飢え死にしたというような場合に、あなた方がもう少し踏み切れないで、法律は矛盾であるということを知りながら、それを行政官だからといってそこに隠れて、そういう裁量ができないということは、私は日本の行政の嘆きだと思うのです。恩給局長というものは、相当恩給についての裁量ができる。それから審査官というものがあるといえば、それはちょっと考えていただけるのではないか。いままで一ぺんももらったことがないのだから、籍をもとに戻せばその資格ができるのじゃないかと私は考えるのですけれど、それを研究して相談していただきたいと思います。  それからもう一つケースは、むすこが召集されて、そして病気になるのです。病院の勤務をさせられて、結核患者をたくさん扱わせられて、そして病気がうつって結核になって、ひどくなったものだから自宅療養を命じられた。そして病気がややよくなったというときに、ちょうど十九年ですから、日本の敗戦の色が濃くなったときで、そのときに点呼があるのです。それで、それを拒否して、病気だからひとつ許してもらいたいというお願いをするけれど、強制的に点呼に呼び出された。そのために病気が非常に悪くなって、翌日から三十九度の熱が出て、とうとうそれが回復できないで死んでしまう。それでこの親が扶助料をもらえるのじゃないかということをお願いに出たところが、これは軍籍がないので拒否されました。これは一体どういうことなんですか。軍籍がまだあったから、強制の点呼を受けなければならなかったのでしょう。そのために病気がひどくなって死んでしまった。片方では軍籍があるから、強制的に点呼に呼び出した。だけれど、死んでしまったら、それは軍籍がない。非常にかってなように私は考えるのですけれど、これはどういうわけなんですか。
  41. 中嶋忠次

    中嶋説明員 お答えいたします。  ただいま先生のおっしゃった軍籍がある、ないということは、点呼を受ける義務がある間は、いわゆる広い意味の通俗的の軍籍というものは、あると思います。しかし、恩給法で取り上げているのは、軍人で例をとりますなら、軍人として在職中の公務によって負傷したり病気になった場合を取り上げているのでございまして、軍籍がありましても、恩給法にいう在職中でないという場合がございます。すなわち、点呼の場合がそれに該当する場合でございます。ただこの件は、先生のおっしゃることにつきまして、いずれ個々に後ほど御連絡をいただけば調査いたしますが、先生のおっしゃるとおりのことが事実証明できたとすれば、すなわち、在隊中に結核の病院等の勤務によりまして、感染して肺結核になった、その肺結核が、点呼とかなんとかいうことを除きまして、退職後の本人のいろいろな原因でなくて、なくなる原因になったということがはっきり証拠上認定できれば、その場合には、公務扶助料がいく場合もあり得るわけなんです。その辺のところは、本人がそう言われましても、それが医学的に証明できない、すなわち本人がそうお考えになる、あるいは遺族の方がそうお考えになるというだけでは申し上げかねますけれども、これがはっきりすれば、扶助料給与、あるいは援護法による遺族年金の給与の問題になり得るのじゃないか。ただ先生のおっしゃった、軍籍にないからだめだという意味の答えをしたところは、私があとのほうで申し上げました在職中の公務に起因する病気で死んだのじゃないという判定がつきますという意味のお答えを、そういう簡単なことばで先生に差し上げたのじゃないか、かように考えております。
  42. 神近市子

    神近委員 もう十九年から相当の日がたっていますから、立川の病院だということですけれど、これを立証することができるかどうかということはわかりません。いままで何度もお願い出したということですけれど、それの手段あるいは方法に抜かりがあったのじゃないかと思いますから、この点は私は注意して、それを証拠立てる資料を出させることにいたしますが、さっきのをもう一度伺いまずけれど、復籍してもこの扶助料はもらえないのですね。なくなった子供の籍に返っても、結婚ということが、籍を変えたということで、それは復籍してもできない、不可能だ、あなた方は出さないとおっしゃるのですね。
  43. 増子正宏

    増子政府委員 現行法では、そのとおりでございます。
  44. 八木昇

    八木(昇)委員 だいぶ時間もたっておりますので、あまり長くかけますと御迷惑かと思いますから、できるだけ簡単に伺いたいと思うのであります。  産業災害防止対策審議会の問題について、お伺いをいたしたいと思います。この産業災害防止対策審議会は、発足をしてからすでに数年を経過をしておるわけでございますが、その間、昭和三十三年から産業災害防止五カ年計画をつくられ、これは労働大臣あたりが計画の立案についてはやったわけであろうと思うのであります。さらに昨年からは、新災害防止の五カ年計画を立てたわけであります。そこで、最初の産業災害防止五カ年計画によりますと、今後五カ年の間に労働災害を半減する。そうして五年の後には、労働災害の件数を四十三万件というところに半減するという目標を立てて実施をしたようでありますが、その結果はどういうことになっておるかということについて、実情を簡単にこの際御説明をしておいていただきたい。これは総務長官でなくてもけっこうでございますから、お答えを願いたい。
  45. 松永勇

    ○松永(勇)政府委員 全産業における死傷の発生状況の推移につきましては、休業八日以上の死傷件数というのを調べますと、三十八年には四十三万六千六百六十四件ということになっております。さかのぼって三十七年は四十六万六千百二十六件、三十六年は四十八万一千六百八十六件、三十五年が四十六万八千百三十九件ということで、三十六年をピークにいたしまして、大体予定の限度以下に下がってきた。三十九年度はまだ出ておりません。
  46. 八木昇

    八木(昇)委員 非常に奇妙な御答弁ですが、この点は、私はかねて社労委員会でも質問をしたのですが、五カ年計画で五年後にいろんな産業災害を半減させるというわけでありますから、五年後には昭和三十三年当時の半分になっていなければいかぬのですね。そこで昭和三十三年の災害、休業一日以上が七十万一千六百、休業八日以上が四十万二千、こうなっておりますね。休業八日以上の説明は先ほどございましたが、大体その数字でございます。そうしますと、昭和三十七年には、休業一日以上が七十万であったものが七十九万にふえておる。休業八日以上のものは、昭和三十三年四十万であったものが四十六万にふえておる。死亡の件数でいきますと、昭和三十三年が五千三百六十八であったものが、六千九十三に昭和三十七年はふえておる。半減どころではない。逆に災害件数は、昭和三十二年を一〇〇として、五年後昭和三十七年は、大体一一五前後になる。さような数字は確かでございますか。
  47. 松永勇

    ○松永(勇)政府委員 いまお読みになったお手元の数字と、多少私の手元の数字は違っておりますけれども、傾向としては大体そのような状態でございます。
  48. 八木昇

    八木(昇)委員 そうしますと、産業災害防止対策審議会というものは、そういう計画などを立てるようなことを命じたようでございますけれども、全然成果はあがっていないということですね。五割半減どころか、逆に件数としてはふえている。で、千人率というのは若干下がったかもしれないが、計画としては、件数そのものを半減するという計画だったのが、どういうわけで一体そんなことになるのか。その根源について、どういうお考えでございますか。
  49. 松永勇

    ○松永(勇)政府委員 確かに先生のおっしゃるとおり、三十三年度から比べてみますと、現在半減というような率にはとうてい至っていないというのが実情でございます。これは産業災害でございますが、交通関係の災害も、私たちとしては半減という目的、意図を持って、非常に意欲的にやっていきたいという気持ちで実はやっておるわけでございますけれども、このように災害が必ずしも意図したとおりには減っていかないということを、非常に残念に思います。これに対する対策をさらに強化しなければならないと考えておるわけでございます。  このような事態がなぜ起こるか。これには、産業の成長に伴う産業活動の拡大化ということが、基本的には大きな問題であります。それから、最近におきましては、新しい技術の導入、それになれないことによる事故というようなことも予想されます。そういう状態でございますので、こういう新しい事態に対処して産業災害の審議会を設け、さらに根本的に対策と取り組まなければならないという決意のもとに、この法案を提出した次第であります。
  50. 八木昇

    八木(昇)委員 ただいま御答弁のように、こういう災害が発生するというのは、単に取り締まり制度を強化するというようなことだけで解決できない根源があるわけですね。盛んに生産性向上運動などというようなことを奨励をして、一方合理化、合理化ということをやっていった。その無理が、いろんな災害を起こさしておるということ。それからさらに、こういう産業災害が起こるということについては、労働条件そのものと密接な関係がある。非常な低賃金と、それから業務量が多くて労働強化になっておる。労働時間も長い。休憩、休息の時間が少ない。それから、一年のうち休暇の日数も少ない。こういうような状態をそのまま放置しておいて、何か取り締まりだけを強化すればこの災害が防止できるかのごとく考えることは、また根本的誤りである。さらに今度の取り締まりの内容についても、たとえば労働基準監督官の問題は、あとでちょっと質問したいと思うのですが、これなども昭和二十四年当時から、逆に現在は数が減っておるというようなこと、そういうようなところに関係が全部及んでおる。したがって、どうしてもこれらの災害というものは、こういう広範なすべての要因をひっくるめての対策が避け得られないわけであります。ぜひそうしなければならぬ。ところが、過去の産業災害防止対策審議会というものは、ただあるだけであって、実際にはほとんど活動らしい活動をしていないと、実は私どもは考えておるのでありまして、まことに遺憾であります。  そこで、昨年度と今年度だけでよろしゅうございますから、この産業災害防止対策審議会の直接関係予算、これは年間幾らくらいであるか。そして年にどのくらい会議が行なわれたのであるか。そういう点をひとつ聞かせてください。
  51. 松永勇

    ○松永(勇)政府委員 産業災害審議会予算といたしましては、六十八万円ばかりの予算が計上されております。これは三十八年度と三十九年度は同額でございます。
  52. 八木昇

    八木(昇)委員 たった六十八万円では、どうにもこうにもならぬ。まことにもってお粗末千万な話で、これが産業災害防止対策審議会であろうかと、まことにもってあ然たらざるを得ないのでありますが、その六十八万円というのは、簡単でよろしゅうございますから、その中身はどういう経費ですか。
  53. 松永勇

    ○松永(勇)政府委員 委員になる方の委員手当、委員の旅費でございます。
  54. 八木昇

    八木(昇)委員 ただいまのようなことでございまして、ほんとうにお話にも何にも実はならないのであります。  そこで、これは総務長官にお伺いしたいのでありますが、今度この産業災害防止対策審議会が、五カ年間の設置期限が切れる、今後さらに設置期間を延長していく提案のようでございますが、抜本的に改善するということは、内閣としてわれわれにその方向は約束せられたのでありますが、具体的にどういうふうに内容を質的に強化していかれるおつもりであるか、簡単にお述べいただきたいと思います。
  55. 野田武夫

    野田(武)政府委員 いま八木さんのお話のとおり、産業災害が政府の企図するような結果ではなくて、私も事態はきわめて遺憾に思っております。そこで産業災害防止対策審議会は、これはしかし、必ずしも今日までの成績がなかった、こう断定はできません。それは答申も二回出しておりますし、意見の具申も三回出て、私もいろいろ内容を見たのでありますが、しかし、これが何と申しますか、その答申の内容、意見の内容というものが、もっと実態を把握して、きめのこまかい手を打つべきではないか、こう考えておるわけであります。そのために、今回御審議を願っております年限の延長であります。私どもは、この災害の実情を見まして、これは重大なことであるから、ひとつここであらためて政府の方針と申しますか、対策を考える必要がある。そこでこの審議会の年限の延長をお願いしておるわけでありますが、同時に、この審議会には、従来の審議会だけの構成ではどうも足りないところがあるということで、御承知のように専門委員を設ける。従来そういう点に非常に足りない点があったというので専門委員制度を設けまして、専門委員をまず機動的に動かして実態を把握し、また対策の最も適切な運営に当たらす、こういう考え方を持っておりますので、従来よりも、今後、いま御審議を願っておる審議会運営というものは、私は、この意味におきまして相当期待し得るものがあるのじゃないか、こう思っております。
  56. 八木昇

    八木(昇)委員 いまのような御答弁でもきわめて不満でございますが、この産業災害防止対策協議会というのは、そもそも審議対象となる範囲については、いかがお考えになっておるかという点を聞きたいと思うのであります。  たとえば現在の状況では、鉱山の保安関係は、鉱山保安法によって通産省の鉱山保安局がやっております。それから御承知のように、特に危険の伴いますところの火薬類の関係は、火薬類取締法によるし、それから高圧ガス関係は、高圧ガス取締法による。これは通産省の軽工業局が担当をしておる。それからその他の一般の労働災害については、主として労働基準法、それから安全衛生規則等に基づいて労働大臣がやっておる。それから公害もいろいろとあるわけでございましょうが、産業から起こる公害、それからまたそうでない公害、こうあるのでございましょうが公害についても、所轄官庁というものは必ずしも明確でない。いろいろなそういう状態があるわけでありますが、この産業災害防止対策審議会というものの取り扱う災害の範囲ですね。たとえば交通災害も、非常に最近ふえておる。自動車の交通事故はむろんのこと、列車などがひっくり返る。あるいは飛行機の事故が多い。それらの点については、どのようにお考えでございましょうか。
  57. 野田武夫

    野田(武)政府委員 いまお示しのように、産業関連の災害と申しますと、たいへん広範囲にわたります。いまお話のとおりであります。この審議会が全部の問題をとらえてやるということは、これはできればむろん私はそのほうが非常に合理性があるし、また対策を立てる上にいいかと思いますが、今日のところは、やはり審議会は産業活動に伴っての、これに参加しておる労働者及びその施設等における損害の防止対策というものを主として考えております。しかし、いまお話しの騒音とかいうふうなことも、これは産業関係でいろいろ災害と申しますか、そういう問題も起きてまいりますが、特に公害というような問題も、これは特に産業関係では著しい損害の問題であります。また、第三者災害と申しまして、やはり産業に関連する第三者の災害もある。こういうことは、それでは全然審議しないかということになりますがこれは必然的に関連がありまするから、その災害対策の一環として、こういうことが論議されることは当然と思っておりますが、今日の場合、やはり前に申しました主たる目的というものは、大体制限されておるといいますか、目的の範囲が少し狭くなっております。しかし、これらは必ずしも従来の審議会運営を固執する必要もございませんし、今後の運営上、いろいろこういう問題も考えなければならぬと思いますが、いま八木さんのおっしゃるとおり、交通対策につきましては、やはり総理府で別個に交通対策の調査会その他を持っておりますし、また、公害問題につきましても、別個のいろいろの機関を持ってこれの対策にあたっておるというようなことでございまして、これらが将来どういう取り扱いをするかといいますと、やはりこれらも機動的に考えていくべきだということも出てくると思いますが今日のところ大体全般を入れ審議をするという目的になっておりません。ただ繰り返し申し上げますが、これは当然関連がありますから、審議会の内部においては論議される、こう思っております。
  58. 八木昇

    八木(昇)委員 どうもこの産業災害防止対策審議会の主たる目的、主たる任務というものが、ぴんとこないのですね。一体何をやろうとしておるのかということが、端的にぴんと浮き彫りされていない感じです。先ほど来の御答弁によっても、従来からの運営について見ても。そこで、この産業災害防止対策審議会の主たる目的は、何であるか何に最大の任務があるのか、ねらいがあるのかという点をばきっと説明をしてくれませんか。
  59. 松永勇

    ○松永(勇)政府委員 先ほど総務長官から申し上げましたことに補足して申し上げますが、先ほど騒音とか、有害ガスとか、いわゆる公害の部類にも触れました。もちろんこういうものも産業災害に関連してくるから、そういう関連する分野では取り上げますということを申し上げましたが、主にしたほんとうの一番重点を置いたねらいというものは、いわゆる産業災害そのもの、それはいわゆる産業活動に伴って生ずるところの、主として労働者、それと付随的に当然物的施設の被害ということで、いわゆる動いている企業そのものに働く労働者の災害の防止を主たる目的として審議していきたい。それはそのものが地下産業である場合は通産省の所管になりますが、その他の地上の一般的な産業は労働省所管、ものによっては運輸省所管のものも出てくるかと思います。そういうような各省の分野にわたるのでありますが、いずれにしろ、企業として動いている産業そのものに働く労働者及び施設の災害を防除するということの対策を検討したい。これを主眼としてやってまいりたいと思います。
  60. 八木昇

    八木(昇)委員 その主眼そのものについても、私はもう少し大きな観点に立つ性格のものにこの審議会をしてもらいたいという強い希望は持っておりますが、それはそれといたしまして、いまのようなところに主たる目的があるといたしましても、現状ではきわめて目的を果たすことが困難なのではないか。といいますのは、問題が先ほど来申し上げますように非常に広範でありまして、極端にいえば、それぞれ相互の関係が非常にばらばらである。そこで、やはりこれらのすべての問題を通ずる一つの産業災害防止のための基本法的なものというものがあり、そしてさらに、そのもとに統一的な行政機能を果たし得る何らかの機関というものが存在すべきではないか。そういう観点に立って、この審議会で、それでは具体的にはどうすればいいかということを審議してもらう、そういうようなおつもりはないかどうか。その点、ひとつ長官からお答えをいただきたいと思います。
  61. 野田武夫

    野田(武)政府委員 お説私よく拝聴すると、ごもっともだと思います。これはいま室長から申しましたとおり、地下資源については通産省、どこはどこだというように、各省が非常に多岐にわたっております。そういうだけでも、いまさっき私申し上げましたように、交通は別に交通対策のあれを持っておる、公害は公害の問題を取り上げて別にやっておるというので、これは全く審議会の中でどうということよりも、行政上の大きな欠陥があると思います。しかし、これらが全部一貫して有機的な動きをしませんと、対策の樹立にあたりましても、ちぐはぐなところがございます。また一貫性がないと、その緊急な対策というのは非常にとりにくい、こういうことを私も痛感いたしております。したがって、今後いまの産業災害に対する基本的な考え方をまとめようという御意見は、非常に尊重すべき御意見と思いますが、これも今回御審議願っている審議会があらためてまた設置されますと、当然こういうものもやはり論議の対象になりはしないか、こう思います。したがって、いま政府としてこういたしますという段階ではございませんが、この問題に対処いたします場合には、そういうことは、そのときによりましてわれわれも痛感いたすところでございまして、今後十分検討してみたいと思っております。
  62. 八木昇

    八木(昇)委員 そこで実は社会党で労働災害、交通安全等々をひっくるめての災害対策特別委員会の副委員長を私はしておるのですが、この内閣委員会に出てきてやらなければならぬ、商工委員会に出ていってやらなければならぬ、石炭特別委員会に出ていってやらなければいかぬ、今度は社労でも労働大臣を呼んでやらなければいかぬ、一般公害に関しては厚生大臣にやらなければいかぬと、全く奔命に疲れるわけです。それで答弁するほうも、わが省といたしましてはこう考えておりまするけれども、他の関連省との関係におきましてはと、お互いの省がそういう答弁で、まことにもってけしからぬ。そうして統一的な責任を持って答弁をするところは一体どこなのかということが、一つも明確でない。たとえばこれは主として労働省関係でございますが、ちょっと数字を申し上げますと、昭和二十四年当時の労働基準法適用事業所数は、約七十万事業所だったおけです。それが昨年の昭和三十八年には百七十二万でございますから、約二倍半に適用事業所がふえておる。ところが、今度は労働基準監督官の数を見ますと、昭和二十四年当時は二千四百四十八名もところが昨年は二千三百九十八名で、昭和二十四年当時よりも五十名も減っておるわけですね。昭和二十四年当時よりも、監督官の数は逆に五十名減っておる。事業所の数は二倍半になっているのです。しかも、基準監督官という肩書きは持っておるけれども、地方の基準局や監督所のいろいろな仕事と兼ねておるから、実際にこの職場を見て回れる実働人員というものは、これの半分以下になるわけです。しかもそれが一年三百六十五日、毎日回っているわけにはいかない。そうなりますると現状では、基準法適用事業所一カ所に平均して私の計算では十二年に一ぺんしか監督官があらわれないという計算になる。十二年に一ぺんです。それではどうもこうもならぬじゃないか、一体どういうつもりかということを労働大臣に問うと、ごもっともでございまして、かねて労働省としては、これじゃいかぬ、そのとおりと思っております。やろうと思っておるけれども、なかなかそういかぬのですというようなことです。そういうことじゃいかぬじゃないかというようなことを、総合的な立場においてどこかで打ち出さなければならぬ。この鉱山関係についてどうであるべきである、いまの爆発物関係についてはどうであるべきである、いまの基準監督行政についてもどうだという、すべてを通ずる立場から一つの明確な方針を打ち出すところがなければいかぬ。その任務をこの産業災害防止対策審議会が当面やらなくては、どうにもしようがないのじゃないかというふうに考えておるのですが、先ほどの大臣答弁を聞いておりますと、どうも腰がまえがへっぴり腰であって、積極性が乏しいように感ずるわけです。それでもう一つ例をあげますと、たとえば今度の国会で社労委員会では労働災害防止法というものが出ておる。これは労働災害防止協会というものを各業種別におも立った災害多発業種にはつくらなければならぬという法律であります。ところがこの産業災害防止協会をつくらなければならない指定業種に、重化学工業が入っていない。いまの昭和電工のあの出来事が起こったら、あわてて通産省と折衝してこれを含めるようにしたいという答弁を商工委員会で三、四日前にしております。ずさんきわまるわけであります。そういう全体を通ずる問題点を抜き出してきて、こうやるべきだという方向を出す機関にこの審議会をするという、そういう積極的姿勢を持ってもらいたいと思うのですが、その点について答弁をもらいたい。
  63. 野田武夫

    野田(武)政府委員 私も、先ほどお答えいたしましたとおり、現在災害対策に対する行政機構というものがきわめてばらばらであって、不統一である、したがって、これに対処する場合に非常にいろいろと欠陥があるということは、率直に認めます。ただ、この審議会がしからばどういう機能を持っていくかと申しますと、この審議会の性格は、御存じのとおりでございますから御説明もいたしませんが、しかし、私どもが今度専門委員会をつくりましたのも、おそらくその部会ではこれらの問題は重要な項目として取り上げられると思います。そこでいま私がこの機会におきまして、どうするこうするという具体的な対案は、そのものもなかなか率直に申しまして実に困難な問題でありまして、これはお話しのとおりであります。しかし、少なくとも今度御審議願っている審議会が生まれてまいりますれば、まず個々の対策もさることながら、その基本的な問題は、当然この審議会の論議の重要事項として取り上げられる。したがって、その答申があるとかあるいは意見具申がありました場合に、これはまた政府としては、せっかく年限を延長してこの審議会を存置するのでございますから、これに応じて十分の考慮を払って、ことに事例を示したとおり、いままでわれわれも欠陥があると存じておりますから、その結論を得まして、十分対処をするというのがわれわれの心がまえでございます。
  64. 八木昇

    八木(昇)委員 あとにも質問者があるそうであります。私ばかり質問しておってもあれですから、かいつまんで聞きたいと思います。  先般の昭和電工の災害に関連してひとつ伺いたいと思うのですがもこれは昨年の十一月九日は、魔の土曜日と言われまして、あの口は三池炭鉱の災害があった。その同じ土曜日に鶴見で衝突事故があった。おそまきながらこれらの産業災害についての関心がようやく高まってきたわけでありますが、それにもかかわらず、非常に対策は手ぬるかった。さらに今度の昭和電工の事故が起こったわけでありまして、これはもう仏の顔も三度の逆論ではありませんけれども、この期に及んでほんとうに真剣な心がまえになってもらわなければ非常にたいへんな事態になるのではないかと私は実は思っておるわけであります。そこで、すでに商工委員会あたりでも質問があったそうでありますけれども、こういう昭和電工の、例のプロピレン・オキサイドと称するものなどは、高圧ガス取締法の適用の対象ではないそうであります。そうなりますと、一般のそういう可燃性の物質の取り扱いに関する取り締まりというのは、何の法に基づいて、どういうやり方でやっておられるのか。そうして将来一体どうされるつもりなのかということを一応お答えをいただきたい。
  65. 内丸邦彦

    ○内丸説明員 プロピレン・オキサイド自体につきましては、圧が低い物質でございますので、現在高圧ガス取締法の適用対象ということにはなっておりません。それで、消防法の危険物ということで、消防法の一般的な規制を受けているという関係になるかと存じます。しかし、今回の事故によりまして、こういった低圧ではあるが、相当可燃性の強いものにつきましては、危険性が高いというようなことも、現実にあらわれてきておりますので、こういつた可燃性の化学物質についての実情というものを、これを機会としましてもっとよく技術的に調査いたしまして、この規制の強化ということについて関係各省とも協議いたしまして、検討いたしたいというふうに考えております。
  66. 八木昇

    八木(昇)委員 そういう抽象的なお答えでは、私はどうにもならない、またどういう事故が起こるかもわからないと実は考えているのでありますが、実際のやり方としてあの爆発事故の原因が、酸素溶接かなんかをやっていた。しばらくかたわらでやっていた。その火花のせいであるかどうかということは、それはまだ今後十分調査をしなければわからないことでありましょうけれども、ああいうところの横でそういう作業を実際にやっていいのでしょうか。私どもは、それが事故の原因であったかなかったかは別として、そういうことをやっていたこと自体に、一体監督官庁というものはそういう問題についてどういう指導をしてきたかということを非常にふしぎに思うわけなんです。私も詳しくは知りませんが、東洋高圧とか、大牟田の三池染料あたりの職場の事情は若干は知っておるつもりでございますが、ああいうところで火花の出るような作業をする場合には、昭和電工の場合であれば、昭和電工側のだれかが何か許可証みたいようなものは当然出す仕組みになっておるんだと思うのですがその点は一体どういうふうにやっておられるのですか。時間がありませんから、あまり詳しくは聞きませんが……。
  67. 内丸邦彦

    ○内丸説明員 先ほど御説明申し上げましたとおり、現在は、高圧ガス取締法の適用外となっておりますので、高圧ガス取締法に基づく、そういったことについての規制というものは、何らございません。結局消防法の規定に基づきまして、ある限度以内の距離ではそういった火器を取り扱ってはならないとか、そういった点の注意が加えられるというような点になるかと存じます。
  68. 八木昇

    八木(昇)委員 何か火器使用許可証みたいようなものは、当然どこかが出すのでしょう。
  69. 内丸邦彦

    ○内丸説明員 消防法の規定によりまして、そういった火器についての注意なり、責任者というものはきまっておるかと思います。
  70. 八木昇

    八木(昇)委員 消防法の規定によってそういう届け出をして許可を得て、そうしてあの場合もやっていたであろう、こういうわけですか。
  71. 内丸邦彦

    ○内丸説明員 私自身消防法の規定の詳しい点はつまびらかにしておりませんので、はっきりは申し上げられないのでございますが、先ほど申し上げましたように、火器についての注意なり、あるいは責任の所在ということについては、消防法上規定があるというふうに承知しております。
  72. 八木昇

    八木(昇)委員 これは通産省の専門の課長ともあるべき者が、そういう場合には必ずこういうことをしているはずであるということが、直ちにぱんと答えられぬようなことではどうなりますか。まことにもって私はずさんな話だという感じを実は受けるわけであります。  そこでもう一つお伺いしたいのですが、昭和電工の場合は、高圧ガス取締法の対象ではなかったけれども、高圧ガスの場合は、保安管理員というのがあるわけでしょう。取締官としてそういうのがいる。この保安管理員というのは、一体全国にどのくらいの人数がおって、そうして所属はどこに属しておって、そうしてその者たちの給料はどのくらい出ておって、予算は一体総額でどのくらいあるのか、そういう点を時間がありませんから、簡単に要点だけお答えいただき、そうしてその保安管理員なるものと、それから労働基準局のもとにありますところの労働基準監督官との関係、そういうものはどういう関係にあるかという点。
  73. 内丸邦彦

    ○内丸説明員 現在の高圧ガス取締法によります実際の監督は、府県の商工部に高庄ガスの関係の保安管理員がおりまして、これが実際に工場の検査あるいは取り締まりをやっておるわけでございます。その全体の人数は、現在全国で大体二百名近くおるわけでございまして、それに伴いまする府県の予算につきましては、現在正確に手元にいま資料がございませんが、大体そういった規模で取り締まりを行なっておるということでございます。それで、この種の高圧ガス関係の化学工場につきましては、やはり労働基準法上のいろいろな監督とか、そういったものは、労働基準監督署によって行なわれておるわけでございまして、その間の連絡その他の調整につきましては、極力連絡を密にいたしまて、取り締まりのそごがないということにいたしたいということで、現在は各県単位に県あるいは労働基準局、その他消防関係等を含めまして協議会的なものを設けて、相互の連絡をできるだけやってもらうようにということを極力指導しておるという実情でございます。
  74. 八木昇

    八木(昇)委員 そうすると、これは予算は全額府県まかせであって、身分は地方公務員ということですか——そこで、その相互関係ですが、上でいえば労働大臣と通産大臣との関係、出先でいえばそれらの監督官と管理員との関係、そしていずれのほうが権限を持っているというか、どういうふうに運営をしているのでしょうか。
  75. 内丸邦彦

    ○内丸説明員 いずれのほうが権限と申しますより、高圧ガス取締法の適用をされておる設備につきましては、高圧ガス取締法に基づく保安管理員がその検査を行なうわけでございまして、それ以外の設備についても、いろいろ安全関係の取り締まりを労働基準局でおやりになるという関係で、両者は並立している関係になるかと存じます。
  76. 八木昇

    八木(昇)委員 それでは一応きょうは、本会議でもこの問題については緊急質問をやるようでありますし、直接大臣から所信の表明もあろうと思いますので、以上程度で私は質問を打ち切りたいと思うのでございますが、いずれにいたしましても、産業災害防止対策審議会は、過去五カ年間のようなあり方では、私はほとんど意味をなさないと思う。そこで、審議会予算の獲得についても、それからこれの果たすべき今後の役割りというようなものについても、さらに積極的な気がまえをもって、担当の直接の責任者である総務長官のそういう強い決意を実は要望したいと思うのであります。一応きょうのところはこれで質問を終わりたいと思います。
  77. 徳安實藏

    徳安委員長 受田新吉君。
  78. 受田新吉

    ○受田委員 私、少し時間をいただいて、総理府設置法等の一部を改正する法律案につきまして、お尋ねをさしていただきます。  この法律案には、ずいぶんたくさんの関係法律案が出ておりますので、普通であったならば、普通の法律案の五倍も六倍もお時間をいただくべきところでございますが、かいつまんで重点的にお尋ねをさしていただきます。  第一、この総理府関係で直接総理府の所管事項である問題といたしまして、総理府総務長官の御所管の業務の関係をお尋ねしたいと思います。総務長官は、総理府設置法に任務が規定してあるのでございますが、総理大臣にかわってお仕事をなし得る権限はどこまであるのか、お答え願いたいのです。
  79. 野田武夫

    野田(武)政府委員 御承知のとおり、総理府設置法の範囲内の行政をつかさどっておりますが、総理大臣にかわっての権限というおことばでございますが、私が総理大臣にかわって権限を執行します場合は、やはり総理の同意を得てやるというのがたてまえになっております。
  80. 受田新吉

    ○受田委員 総理府設置法の第十九条に総務長官の権限が書いてあるわけですが、あなたは内閣総理大臣を助けて府務を整理すると書いてあるですね。そこで府務の整理ということになると、あなたの職権としては、整理だけであって、指示権がない、こういう片手落ちが起こってくると思うのです。総理府の外局関係のお仕事につきまして、総務長官がある程度の指示的性格を持つような権限があるかないか、これをひとつお答えを願いたいのです。
  81. 野田武夫

    野田(武)政府委員 これは設置法にも明記してございますとおり、内閣総理大臣を助けて府務を整理するとあります。したがって、指示権の場合は、内閣総理大臣の指示を受けてこれを指示するというたてまえになっております。
  82. 受田新吉

    ○受田委員 「法律で国務大臣をもってその長に充てることと定められている機関を除く。」とありまするので、そのほかの総理府の内局の分は、これは議論の余地なし。ただ外局の場合に、少なくとも総理府の外局でございまするから、連絡調整に関して、単に連絡、調整するだけでなくして、ある程度の指示的性格を有する措置をされる必要が起こってくると思うのです。そのときに、総理大臣の命を受けておやりになる、こういうことですね。そうしますと、総務長官として非常に馬力をかけてやろうとするならば、総理大臣そこのけでどんどんあなたがやってもいい。そして総理大臣の命を受けてやったといったらいいということになるのです。積極的な職務を遂行しようとするならば、総理大臣の名においてどんどんやられて、あとから総理大臣の指示を受けたことにされればいいわけですから、あなたのお立場は、やり方によっては非常に味のある仕事になる。またなまけようとすれば、これくらい楽な仕事はない。こういうことになりますから、ひとつ積極的な意欲をもって総理大臣にかわってどんどん総理府関係事務の遂行をはかっていく、こういうふうに御努力を願いたいということを申し上げて、質問に入ります。  この国務大臣をもって充てる重要なポストであり、認証官である総理府総務長官でございますから、ある程度政治的発言ができるはずです。そこで、この前総理府関係した内局の恩給局の問題のときに、公務員年金制度連絡協議会という機構のあることを御説明になったのでございまするが、これは一体どういう性格の機関であるか、制度的に御答弁を願います。
  83. 増子正宏

    増子政府委員 私から御答弁申し上げますが、これは次官会議の申し合わせによりまして総理府部内に設けられました事実上の機関でございます。そのメンバーは、総理府総務副長官を議長といたしまして、恩給その他公務員年金あるいは公的年金制度に関係のある関係省の局長をもってメンバーといたしております。
  84. 受田新吉

    ○受田委員 その次官会議の決定は、いかなる法律的根拠によって認められるものであるか、お答え願います。
  85. 増子正宏

    増子政府委員 これは申し上げるまでもなく、法律上の具体的な根拠のあるものではございませんが、現在許されておる権限の中での行政的措置と考えております。
  86. 受田新吉

    ○受田委員 したがって、根拠法はない、ただ申し合わせで、次官会議総理府に置こうじゃないかということになれば、そのとおりになる。非常に軽い、責任の薄い機関でございますね。
  87. 増子正宏

    増子政府委員 責任の軽い重いということは、これはいろいろとりようが、あると存じますけれども、少なくとも問題の本質につきましての重要性は、関係者いずれも十分認識しておるつもりでございます。
  88. 受田新吉

    ○受田委員 むしろこの機関は、法律の根拠を持つ機関としてお取り扱いされるほうが筋が通るのではないか。いま国家予算に非常に高い比重を持つ改正を企図されようとする段階において、次官会議の申し合わせでできた行政措置の機関というようなことでは、これはやはり、真剣に取り組むにしても、軽くなります。責任が薄くなってくる危険がありますから、これは総務長官、むしろ、恩給年金というような重要な問題を調整する——あなたのところでは大蔵省の所管に指示が与えられないのですから、したがって、むしろ法律的根拠を持った機関として、大蔵省所管の共済組合制度も、恩給局の所管のものも一緒にして、現在の公務員のすべてにわたる恩給並びに年金の基本的制度を——これは私はこの間質問を避けたのは、むしろ設置法関係する問題だとして、きょうに残したわけです。そういう法的根拠を持つ機関にして、この重要問題の解決をはかるという方向へ持っていかれたほうがいいのではないか、かように思うのでございまするが、これは長官の御判断が大事だと思います。
  89. 野田武夫

    野田(武)政府委員 いまの御意見のように、恩給共済年金関係というものは非常に密接でございまして、いろんな場合に関連してこれの取り扱いをやらなくちゃならない場合が多いのであります。しかし、現在のところは、いまお示しのとおり、年金は大蔵省の管轄になっております。これは全体のこれらの問題を処理する上に相当の不便と申しますか、連絡、調整が困難になってまいると思います。よく御意思はわかりました。今後それらについて検討いたしたいと思います。
  90. 受田新吉

    ○受田委員 長官よくおわかりと思います。次官会議の申し合わせくらいの機関というようなところでは、結論としてはそうたいしたものは期待できないという危険があると思います。はっきりした法的根拠を持って、そこに諮問していく、こういう形をとって、最終的には法律でもって規定するような措置をされる、そこまで法律で持っていくということにしないと、なかなか多年大蔵省の蓄積した権限をもぎ取るということは、むずかしいことになると思います。そういう方向で制度そのものも御検討されるという、認証官たる長官としての発言をいまされておりますので、ひとつ期待をしております。  そこで、来年度予算には、この大きなアンバランスになった退職者の年金を、恩給並びに共済年金ともに考慮しようという御答弁をいただいております。しかし、このことは、予算上の問題として重大な責任が長官にあるわけでございまするが、スライド制によるか、あるいはこれに近い措置によるか、いずれにしても相当大がかりな改正をしようという御意図であることは、はっきりしておるのでございますね、お答え願いたい。
  91. 野田武夫

    野田(武)政府委員 これはしばしばお答えいたしているので、受田さんもよく御承知のとおりだと思います。今度恩給局に設けました審議室調査、またこれに対する審議事項といたしまして、恩給増額というたてまえを私どもはとっております。結局それが、スライド制まで持っていけるかどうか、これは本質的に考えますと、スライド制ということも十分検討しなくちゃならぬと思っておりますが、いまの段階では——私は、いいかげんのことを御答弁するのはきらいですから、率直に申し上げますが、スライド制に持っていくのは、いまの情勢では困難と思っております。しかし、何とかこれに近づきたい、こういう考え方を持っております。
  92. 受田新吉

    ○受田委員 そこで、公務員年金制度連絡協議会というものの答申、結論は、いつごろ出すという予定をしておられるのか。何回もやっておられると思いますが……。
  93. 増子正宏

    増子政府委員 この公務員年金制度連絡協議会の作業のめどでございますが、実は私は単にその一メンバーにすぎませんので、私からそれについて確言を申し上げるわけにはまいらないのでございますが、いままでの話し合いの中では、もちろん一応の目途といたしましては、来年度予算ということでございます。したがいまして、それに役立つように、できるだけ早い機会に結論を出そうということで現在までやっております。
  94. 受田新吉

    ○受田委員 そうすると、その連絡協議会の最高責任者は、どなたがやっておられるのでありますか。
  95. 古屋亨

    ○古屋政府委員 私がその議長をやっておりまして、関係省の局長をもって構成しておる次第であります。
  96. 受田新吉

    ○受田委員 議長であるなあたは、恩給局長の御答弁のとおりの御意図でございますか。できるだけと言うけれども、しかしながら、目標ははっきりしておかないと、来年度の予算編成にもこたえるわけですから、はっきりしておいてもらいたい。
  97. 古屋亨

    ○古屋政府委員 いろいろ問題を、御承知のように、処理する上におきまして、各省意見を聞きながら進めております。もちろんこれは先ほど申し上げましたように行政的措置のものでございますから、私のほうは、その取りまとめと申しますか、問題点を提起いたしまして、これに対する各省の考え方を聞きながら調整してまいるものでございます。ただ、来年度の予算との関係もございますので、特定な問題点につきましては、それを整理いたしまして、問題点として予算編成の上にあらわしていく分もあるかと思いますが、全般的な結論と申しますと、全般的な結論は、一年限りで出ると期限はきめておりませんが、できないと思いますが、いまからできないと申し上げましては非常に——できない点もあるかと思いますが、できるだけ勉強させていただきまして、当面の問題点につきましては、少なくとも問題点を整理するというふうに進めてまいりまして……(受田委員「いつまで」と呼ぶ)問題点が多々ありますので、全部のことはできませんが、いま当面のスライド制の問題、そういう問題についての各省の考え方を整理いたしまして、スライド制そのものが明確な結論出し得るかどうかにつきましては、今後の審議にまたなければなりませんが、十分勉強をさせていただきまして、予算編成の上にある程度の——ある程度と申しますか協議会の考え方を反映できるようにいたしたいと、私は存じております。
  98. 受田新吉

    ○受田委員 それは一応時期の目標を置いておかれないで会議を進めるということは、あり得ぬことなんです。いつまでに答えを出すという目標を置いておられるか。それは責任者として副長官、あなたが一応腹の中に考えておられることを用意されなければならぬ。七月の末か八月の末か。そうでなければ、次の作業に移れない。非常に近い目標を置いておかれなければいけないと思うのです。だらだら会議で、たばこを吸っていたり、コーヒーを飲んでいたりしたのでは、意味がないのですから。ぴしっとすれば、もっとぴしっとした答えが出るはずですから。私からこれは何回もこの点についてはお尋ねしておるし、制度をつくられる、おやりになるということは、一応うなずけるわけです。むしろそういう法律根拠を持つ制度にせよということを長官に申し上げたわけです。目標をはっきりしないで、何回もだらだらした官庁の局長会議だけでは、おざなりになる。いままで何回会議をやっておいでになられるか。どこに目標を置いておいでになられるか。
  99. 古屋亨

    ○古屋政府委員 全体会議といたしましては、これができました本年初めから三回やっておりますが、その間幹事会をしばしば開催いたしまして、問題点の整理に当たっております。ただいまの先生のお話しで、いつまでにやるかという目標でありますが、これはいまの私の立場といたしましては、できるだけ勉強させていただきまして、全部が間に合わなくても、間に合うものから予算の時期前に問題点を提起させていただくという方法で進めておりますが、お話しのように、こういう行政措置の協議会でございますので、法的根拠を持たしたらどうかという非常に有益な御意見を伺いましたが、行政措置でございますから、強制はできませんので、ただこういうのが多数意見であり、またこうすべきであるという連絡、調整の側から申し上げることはできると思います。そういう意味におきまして、今度の予算編成前に、全部とは申しませんが、できる問題から解決し、問題点を整理いたしまして、間に合うものはぜひ間に合わしたいということでございまして、今後十分勉強をいたしまして、促進をはかってまいりたいということでございます。
  100. 受田新吉

    ○受田委員 熱心に取り組もうとされている意欲はわかるのでございますが、しかし、その答申による拘束力というようなものは、たいしたものではないのです。長官、あなたの期待されているようなスライド制などというものは、答申には出ませんけれども、私はむしろこの総理府設置法改正の中には、公務員恩給年金の調整、つまり年金制度の審議会というものをぴしっとつくって、その答申によった法的拘束力を持つような形のものでないと、私はなかなかうまくいかないと思います。あなたもそのお考えをひそかに漏らしておりましたが、むしろ私はこのたびこれを提案さるべきだったと思っております。  そこで、その御相談の会で、いろいろな年金制度のアンバランス、たとえば恩給法の適用を受ける昭和二十三年六月以前の退職者の、陥没した旧制度の被害を受けている人々の問題前に臨時恩給制度調査会の答申にも書いてある問題ああいうものに何らかの特別措置を講ずるということが考慮されておるか。あるいは国民年金との併給の論議なども、されておるかどうか。これをひとつ副長官として……。
  101. 古屋亨

    ○古屋政府委員 ただいまの御質問でございますが、根本的にはスライド制の問題、年金との関係ということを研究しておりまして、むしろ恩給自体の問題につきましては、先ほど長官からお話しの恩給問題審議室におきまして、いろいろな問題を研究しておりますので、それとの連絡をとりながら、重点的には年金との関係スライド制の問題の検討ということを進めてまいっておる次第でございます。
  102. 受田新吉

    ○受田委員 恩給問題審議室長さん、いま私が指摘した二つの例をお答え願いたいと思います。
  103. 増子正宏

    増子政府委員 私から申し上げますが、恩給問題と申しましても、実はいろいろ問題を含んでおるわけでございます。そのうちに、私どもが考えておりますものとしまして、先生御指摘の点は当然含まれております。しかし、これはいま副長官から申し上げました恩給年額の増額改定という本筋の問題そのものとしてではなくて、それに関連する問題というふうに考えてやっております。
  104. 受田新吉

    ○受田委員 関連する問題として、そういう問題もあわせて当局は研究しておるということですが、長官は、その点も含んでスライド制の根本的解決と、あわせて具体的な個々の問題についても熱心に取っ組む、こういうことをお考えいただいておりますか、高い政治的判断をお答え願いたいと思います。
  105. 野田武夫

    野田(武)政府委員 ただいま副長官あるいは恩給局長からお答え申しましたとおり、当然そういう問題を含んで研究しております。また、実際において、これは恩給問題審議室では恩給の増額問題をとらえてやっておりますから、そうなりますと、年金のほうの関連上、スライドの問題は、年金問題の協議会に出てこなければ、なかなか全体の問題は取り扱えない、それは当然だと思っております。
  106. 受田新吉

    ○受田委員 当然だということでございます。そういうことを含めて、最後にその問題をお答え願いたいのですけれども、いままで改正案のときには、たとえば遺家族の公務扶助料の問題遺族年金の問題でも、二年を置いて段階別にやっておる。年齢である程度の制限をするとかいうこともやってきておるわけです。そういう年齢制限とか段階的処理というものが、この次の通常国会に提案されるであろう予算案、法律案等にまた出てくるのか。今度はそういうものを一応段階を排して処理するという態度で臨むのか。この点もお答え願いたいと思います。
  107. 野田武夫

    野田(武)政府委員 それらの問題は、いまもう恩給問題審議室……。
  108. 受田新吉

    ○受田委員 原則論でけっこうです。
  109. 野田武夫

    野田(武)政府委員 原則的に私はここでこうしますということを申し上げられませんが、たとえば年齢の制限なんというものは、避けたいと思います。
  110. 受田新吉

    ○受田委員 非常に積極的な意欲を示しておられて、感心な長官です。あなたが在任中に問題を解決しようとする努力、私はしっかりがんばってもらいたいと思います。これをひとつ要望しておきます。  では、今度の法案に関係のある賞勲制度について一言触れておきます。この賞勲局を設置されようとする理由に、業務量の増大ということがあるわけでございますが、生存者あるいは死没者叙勲の業務量が、どのようにふえていくことになるのか、それに対する人員の配置というものは、ちゃんとした科学的分析に立った人員配置になっているのか、年次計画的にどういうふうにするのかという問題が、きっと御検討されてあると思いますので、これは法律案に直接くっつく問題としてお答え願いたい。
  111. 岩倉規夫

    ○岩倉政府委員 ただいま仰せのように、今般行なわれました戦没者の叙勲につきましては、対象が約二百万人以上になるわけでございます。現在私どもの賞勲部の職員は、部長以下自動車の運転手とか守衛を入れて四十六名で処理いたしております。しかも戦後十八年間は、主として死没者の叙勲並びに褒賞制度の運用であったわけでございます。先ほどのように戦没者の二百万人以上の方々の叙勲並びに生存者の叙勲は、先般四月二十九日発令の分は、百九十七名でございましたけれども、これが今後軌道に乗ってまいりますと、やはり現在の人員ではきわめて不足いたすわけでございまして、今般予算におきまして二十八名の増員をお認めいただいた次第でございます。
  112. 受田新吉

    ○受田委員 わずかの増員のように見えますけれども、これは一体二百万人以上の死没者の叙勲をこの一年間にやれるのか。あるいは何カ年計画でやれるという目標を持たなければならないし、生存者の場合も、秋から春にかけてどういうふうに毎年計画をするのかという、そういうものも含めて答弁していただきたかったわけですが、その作業の進め方についての構想を伺いたいのです。
  113. 岩倉規夫

    ○岩倉政府委員 まず、戦没者の叙勲でございますが、本年度の予算におきましては、二百万人のうち、二十万人の叙勲をお願いしております。残りにつきましては、私ども事務当局としましては、本年を含めましておおむね五年計画の予定をもって処理いたしたいと存じております。  次に、生存者につきましては、第一回は先ほど申しましたように、百九十七名でございましたけれども、第二回以後の計画につきましては、まだ確定はいたしておりません。戦前のようにいわゆる定例叙勲というような、毎月毎月叙勲されるというようなことにはおそらくならないと思います。春秋二回適当な日に叙勲が行なわれる。その人数等につきましては、第一回は先刻申し上げた数字でございますが、第二回はどのくらいの範囲になるか、そういったことは今後慎重に検討して、上のほうできめていただきたいと思っております。
  114. 受田新吉

    ○受田委員 ちょっとあいまいな点があるわけですが、生存者叙勲は、まだ秋以後の分はきまっていない。それから死没者の分は、一応見通しを聞きました。そこで来年、再来年とやはり賞勲局の人員をふやしていく計画になっているのか。さしあたりことし場当たり的に二十数名を増員するということにとどめたのか。計画的な段階での二十数名の増員かどうかということです。
  115. 岩倉規夫

    ○岩倉政府委員 事務量の増加につきまして、本年度は最初でございますので、また厚生省と御協力して地方に調査表を流して、それが厚生省を通じてわれわれのほうへ出てまいりますわけでございますが、初年度でございますので、事務の進捗状況その他が十分に軌道に乗っていない点があるわけでございます。私どもは、いたずらに人員をふやすということは決して考えておりませんので、来年以降は、おそらく現在認めていただきました人数によりまして最大限度の能率を発揮してまいりたい、そのように考えておりまして、来年急激に増員をまた御要求するということは、ただいまは考えておりません。
  116. 受田新吉

    ○受田委員 そこで、生存者叙勲の第一回が発表されたわけでございますが、それに対する反響を賞勲部としてどのように御判断されておられるか、概略でいいですから……。
  117. 岩倉規夫

    ○岩倉政府委員 お答えいたします。  第一回の生存者叙勲につきましての反響は、二つに分けてみることができると思います。一つは、いわゆる受賞者の側の反響でございます。これは私ども中央並びに地方の各新聞紙にあらわれました点から見てみますと、大部分の受賞者の方々は、身に余る光栄、ありがたくお受けするということでございまして、今回の叙勲が、受賞者に光栄と喜び、あるいは感謝と感激をお与えし、同時に受賞者の側におきまして、今後のお仕事に対する励みを持たれ、後進の指導あるいは郷土の発展、社会福祉の増進等に一そう精進努力したいという決意を新たにせられたということを、受賞者側の反響を通じて私ども感得いたしたのでございます。  第二のいわゆる受賞者以外の側からの評論でございますけれども、これは新聞紙等にあらわれておりますところを拝見いたしますと、賛否両論があるようでございます。しかしながら、第一回の叙勲の人選につきましては、おおむね好評であったというふうに私どもは感得いたしておるのでございまして、今後叙勲の人選等は慎重に行ないまして、いやしくも乱賞等にわたることのないように厳に戒めていきたい。そのように反響を通じて考えておるのでございます。
  118. 受田新吉

    ○受田委員 大体第一回の受賞者は、大部分感謝感激で、一般世評も両論あるが、大体において好評を博しておる、こういう御判断の趣に伺います。  そこで、これは非常に大事な問題でございますけれども、賞勲部でいまそういう御判断をされているということになると、これはいいことであるというので、いままでの一応示されている基準を生存者にこれから次々と及ぼすことになれば、たとえば国会議員公務員の場合に非常に優遇的な内規ができておったようでございますが、これが生存者に及ぶことになると、きっと私は批判が出ると思う。いまはもうやめた人ということで、長老で七十五歳以上の方であったから大いに感激しておられると思いますけれども、生存者に秋、来年と及ぶようになってくると、これは公務員並びに国会議員優遇案であるという批判が、きっと出てくると思うのであります。この問題は、生存者叙勲というこれからのすこぶる大きな壁のあることを、当局はお考えになっておるのでありましょうか。これは総務長官としてお答え願いたいと思います。
  119. 野田武夫

    野田(武)政府委員 叙勲にあたっては、私その方針についてしばしばお答えしておるとおりでありまして、これからの見通しにつきましても、公正に、厳正に、内閣の全責任を持ってやる——いろいろの批判はございましょうが、やはりやる人の方針によると思うのでございまして、その態度が重要でございます。しかし、いま御注意の点はわれわれも十分参酌いたしまして、慎重に取り扱いたいと思っております。
  120. 受田新吉

    ○受田委員 そこで長官、いまは旧規定に基づいてこれを実行しておられるわけでございますが、法律に基づく栄典制度というものも、同時にもう内閣としても検討を加えていかなければならぬ段階だと思うのです。いままでの規定だけでいいのだという、栄典論争は終わったんだ、政府が勝ったんだという判断に基づかないで、せっかく世論も法律による方向を期待していることでありますから、まあ内閣はやられたということで、いままでの政令といういき方、こういういき方も、あなた方の場合としておとりになられたとしても、同時に法律事項とするという基本線の分も、あわせ検討するという方向をお始めになっておかなければいかぬと思うのです。その方向は、しばらくお預けでございますか。そのこともあわせ検討しようとされておるのか、ひとつお答えを願いたいのです。
  121. 野田武夫

    野田(武)政府委員 やはりこの叙勲にあたりましていろいろ御注意もございますので、われわれも、もちろんいま申しましたとおり、反省して慎重にやるべきですが、いまのところ法律を新たにつくりまして栄典制度を設けるという考え方は、いまの段階では持っておりません。
  122. 受田新吉

    ○受田委員 いまの段階では持っていないということでございますが、これはお持ちにならなければいかぬと思うのです。これはやはりそういう方向に行くのが原則である。これは総理も本会議で石橋議員の質問に答えて、いままでの制度を生かすのが今度の方法だ、法律というものは別にあきらめておるような発言はなかったわけですから、やはり法律事項として新しいものを生み出すという行き方の栄典制度というものも、同時に御研究をしておかれることを私希望しておきます。もうかれこれ議論しませんが、これは大事なことでございますから、大原則のほうも同時に研究していく、さしあたりのこそく手段——こそくというわけじゃないと思いますけれども、さしあたりのいまのいき方は、これは大原則じゃないという前提に立っての新体制の栄典制度を、同時に御研究をされることを私要望しておきます。  ここでひとつ、たいへん素朴な質問かもしれませんが、いまの作業を進めていく上に、勲章を二百万に年次計画でやられるのに、勲章を製造することが、どういうふうにはかどられるのか。いままでの滞貨を——滞貨というと失礼でございますけれども、製造が済んで、いま用意されている勲章がどれだけあり、これから製造しようとする勲章がどれだけあるか。その製造しようとする勲章の値段まで一々私はお聞きしませんけれども、それに伴う予算というものが要るはずですから、そういうものは国家予算に計上されなければならぬのですから、そういう勲章の製造計画——製造計画というとちょっとおかしいですが、勲章をつくっていく費用も同時に問題になりますので、その計画性を伺いたいと思います。
  123. 岩倉規夫

    ○岩倉政府委員 戦没者の方々の勲章でございますが、これは二百万人に対しまして、終戦の当時お渡ししなければならなくてお渡しできなかった分が、約百万個在庫いたしております。したがいまして、本年度につきましては、勲章そのものの戦没者の方々に対する製造は、必要ございません。ただ、戦後二十年間倉に入っておりましたので、地金は銀でございますけれども、一部曇ったものもございまして、そういう曇りのありますものにつきましては、みがき直すというような経費は必要になってまいります。本年度の戦没者に関する予算につきましては、勲記の用紙並びにそれを浄書いたします費用といったものが、必要でございます。それから勲章を入れます箱でございますが、そういったところで、総額私どものほうでは戦没者の分八千万円を計上いたしております。それから生存者の分につきましては、これは約三千万円でございますが、従前の実績等によりまして、その年度につくってまいるものでございます。
  124. 受田新吉

    ○受田委員 そうすると、本年度一体生存者の叙勲をどれだけやられようとするのかという目標がなければ、製造できませんから、目標は一体どこら辺に置いておられるのですか。
  125. 岩倉規夫

    ○岩倉政府委員 これは約三千人分を用意はいたしてございます。しかし、これはもしそれ以上になります場合には、予備費等でお願いするというふうに考えております。
  126. 受田新吉

    ○受田委員 相当数を予定されておるようでございますが、これはまた次の機会に伺うこととして、たくさん問題がありますから、一応賞勲関係質問を終わります。  その次に、この法案の中に、在外財産問題審議会を設置する。審議会等の設置及び改廃という中の一番先へ、在外財産問題に関する重要事項調査審議するための在外財産問題審議会というのがあるわけです。これはちょっと法律的にお尋ねしたい点があるのですが、在外財産問題審議会というものは、昭和二十九年及び三十一年に一応の調査会ができたのです。三十一年の場合は内閣にできたわけです。一応三十一年の例をとります。あの調査会の答申は、在外財産補償の問題の答えが出ておらないということは、長官も認識されておりますか。
  127. 野田武夫

    野田(武)政府委員 そのとおりです。
  128. 受田新吉

    ○受田委員 これは政策的な見地からの答申になってしまって、そのために引揚者給付金等支給法という法律が生まれた。この法律そのものは、これはいま長官の言われたように、在外財産補償の内容を含む給付金支給法ではないという前提のもとに厚生省はこれを実施しておられるかどうかです。
  129. 鈴村信吾

    ○鈴村政府委員 お答えいたします  当時の答申におきましては、憲法上あるいは条約上、国が補償責任を負うかどうかということについては、明確な結論は出ておりません。したがいまして、そういう補償責任があるかないかという議論は別にいたしまして、高度な政策的な見地から配慮すべきであるということで、引揚者給付金等支給法が制定されたわけであります。
  130. 受田新吉

    ○受田委員 法律問題としては、補償問題はまだ解決していない、こういう結論が出たことは、いま長官並びに局長の御答弁できわめて明確になりました。したがって、在外財産補償、これは農地補償とは性格が違うわけなんですから、つまり平和条約で日本政府が個人の、あるいは法人の在外財産の放棄をしてしまった、こういう悲劇をやったわけでございますから、この責任は、当然国内問題として、諸外国の例のような戦争犠牲公平負担という形をとるかどうかは別として、国内における補償問題として当然解決しなければならない懸案であると長官は御判断になりますか。
  131. 野田武夫

    野田(武)政府委員 先ほどの調査会結論は出なかったのですが、その後政府におきましては、今日の場合、在外資産に対する国の法的補償責任につきまして、大体これは法的責任はないというような見解をとっておるわけでございます。これは見解でございますから……。そこで私といたしましては、やはりお話しのとおり、条約上また憲法上私権に対する国の責任というものは、やはりできれば明確にしたほうが一番好ましい、こう考えております。
  132. 受田新吉

    ○受田委員 長官、非常にはっきりしておられる。できれば明解にしたい。国際法規違反であり、ヘーグの陸戦法規違反であり、また憲法第二十九条の違反であるというような形の考え方というものは、もう当然この段階ではっきりさせなきやならぬときにきておると思うのです。したがって、今度設置せられる審議会につきましては、在外財産補償問題について、法律的な見解も明らかにしたいという御意図でございますね。一応意図としてお答え願います。
  133. 野田武夫

    野田(武)政府委員 私が法的根拠を明確にしたいと申しましたことは、私の考え方で、その前に申し上げましたとおり、政府の見解として、いま一応国会その他でもって見解を発表いたしております。それはつまり、在外財産に対する国の法的補償責任はない、これはないとする見解を大体発表しておることは、御存じのとおりだと思います。したがって、今度の審議会におきまして、しからばこの補償問題は全然問題がないか。この政府の見解に対しましても、一部といいますか、民間の中に、補償責任ありという御議論もあります。これも承知しております。そういうことでございますから、この審議会におきましては、世論でいろいろまだ責任問題についての論議がかわされておりまするから、これらの問題について論議をするということを、私自身はそういう期待を持っております。
  134. 受田新吉

    ○受田委員 これは当然いま申し上げたような問題点が解決していない。そして多年苦労された引き揚げ者は、まる裸で帰ってきておることは現実の問題であるし、農地補償の問題とは性格を異にして、引き揚げ者の在外財産補償の問題のほうをむしろ優先的に取り扱うのが原則として筋でなかったかと、私は政府に申し上げたいのです。どちらが比重があるかと見られたときに、在外財産補償の問題のほうにむしろ比重があると、長官はお考えではありませんか。その生活の実態、法律的な根拠による私権の主張というような立場、長期にわたる苦痛の度合い、こういうところからの比較検討で、農地補償の問題を閣議決定でお急ぎになるよりも、むしろこの問題のほうが優先するのではないか。これは非常に幅のある立場で私はお尋ねしているのです。
  135. 野田武夫

    野田(武)政府委員 農地補償の問題は、閣議の了解を得まして、近く法案を作成することになっております。それならば、農地補償よりも在外財産のほうが比重はどうか。私は、そのほうの所管の責任者でございますから、同様に重要に考えております。したがって、重要に考えておりまするから、今回新たに設置法の中にこの海外財産の問題についての審議会の設置を御審議願っている。これはいかに私が重要視しているかということを示すことだと思っております。
  136. 受田新吉

    ○受田委員 同様に考えておられる。しかし、おくれていることは重要度が少し軽くなったという意見もあるわけですから、そのかわり、おくれを取り返すための御努力が要るわけです。よろしゅうございますね。それで、この問題はドイツ、イタリア等では、国内補償として解決済みの問題です。したがって、これらの国々に出張いたしまして、十分視察、検討させて、この補償の具体策を検討させるという、この前予算委員会で長官が言われたように、非常に慎重に補償の裏づけの検討をするための研究、調査をされることは、間違いないのでございますか。
  137. 野田武夫

    野田(武)政府委員 そのとおりでございます。
  138. 受田新吉

    ○受田委員 きわめてはっきりしております。在外財産補償のための具体的な内容を内外にわたって検討される。私、基本線がはっきり出ましたから、これ以上お尋ねを避けます。ただ、そうした補償のため、各面における検討を加上える、その審議会委員を送る場合に、これはいろいろの見方があると思うのです。学識経験者だけでいいという見方、これも一つの行き方、また国会議員を含む行き方、いろいろあると思うのでございますが、国会議員をある程度各党から送り込む。学識経験者国会の責任者とが、それぞれ真剣に−政策的見地も含め、特に国家財政全般の見地からの問題などが入りますから、したがって、補償の問題と国家財政全般の見地ということを考えると、そこに国会議員の参加ということは筋として通るんじゃないかと私思うのです。その問題について、認証官である長官の御答弁を……。
  139. 野田武夫

    野田(武)政府委員 審議会委員の問題でございますが、これはやはり慎重に検討いたさなければならぬ。なぜかと申しますと、これはただ政策的ばかりでなくて、私自身としていろいろ基本的な問題があると思っております。そうかといって、国会議員入れないというところからは出発しておりませんが、ここでもってまだ私の草案が実は決定していないのです。各方面の意見を徴しまして、役所でもいろいろの相談をいたしておりまして、まだ最後の断を下しておりませんから、御了承願います。
  140. 受田新吉

    ○受田委員 しからば、答えははっきりしておるわけです。つまり従来の政府答弁には一つの問題点があった。したがって、在外財産問題は、補償問題として法律的に検討できればなおいいことだし、また、政策的の立場で国家財政全般の見地もあわせてこの在外財産補償という問題の解決をこの審議会−その審議会には国会議員入れるか入れないかは、いま検討中である。私はそれを入れることも御要望申し上げておるのでございますが、できればそういう方向に持っていって、国家財政もようやくうるおった時代が来た。八年前と今日と違ってきているから、農地補償の問題も解決しかけているという段階で、基本的にこの在外財産の問題を解決して、長期にわたる引き揚げ者の問題を解決するという方向に前進するんだということで御了解させていただいていいかどうか。
  141. 野田武夫

    野田(武)政府委員 従来、海外からの引き揚げ者に対しましては見舞い金を出しておることは、御承知のとおりであります。しかし、それでは解決していない。解決していれば、私は審議会を設けません。つまりいまお話しのとおり、国が責任があるかないかということは、まだ不明瞭でございます。これらの問題を通じまして、世論の中にもいろいろ論議がございますから、やはりそういう論議は、ただ政府がまあまあと言って押えて逃げるというのではいけない。やはり進んでこの問題の解決に当たるのが当然だと考えましたから、今回審議会の設置を御審議願っておるのでございまして、私の考え方、また私のこれに対する態度というものは、御了解願えると思っております。
  142. 受田新吉

    ○受田委員 非常にはっきりしております。私の要望を大体聞いておられる立場での御意見であるということは、よくわかります。それでさらにこの問題の早期解決のために、審議会が、法律が通れば早急に期待に沿うような線で願わくばひとつ実現を急いでもらいたい。  なお、時間が来ました。皆さんに御迷惑をかけません。本会議も迫っておりますから、ここで法律の中でもたくさんある問題の中で、;百だけ伺っておきたいことがあります。  科学技術庁関係、経済企画庁の関係で、宇宙開発審議会から答申が出て、重点開発目標を達成するための具体策を政府に迫っておるということで、私、三年前ごろからこの問題で指摘しておったのでございますが、文部省とかあるいは郵政省とか、その他通産省、防衛庁等で宇宙開発の個々の研究がされておる。総合的立場で科学技術庁が、何らかの形でその科学技術庁としての本拠の使命を果たしていただきたいという提案をしておきました。これが今度の答申に基づく宇宙開発推進本部を設置するということで、具体的に機構面にあらわれてきた。これは非常に慶賀すべきことだと思うのです。そこで世界におくれておる宇宙開発の行き方、気象、航海、通信等で、もう国民生活に直結する宇宙開発の平和利用という線で、日本国は文化国家らしく勇敢に予算もどんどん組んで、できるだけ近い目標を置いた人工衛星あるいはロケットの単独による国内産によるところの打ち上げに成功していただかなければならないと思います。当局としては、宇宙開発の中に特に注目されるソ連、米国の競争の中に立つロケットあるいは人工衛星の打ち上げというものを、単独でなし得る目標をどこへ置いておられるか、御答弁願いたいと思います。
  143. 芥川輝孝

    ○芥川政府委員 宇宙開発審議会におきまして、昨年の一月以来、わが国におきまして、わが国の宇宙開発におきます重点開発目標、これを達成するための具体方策いかんということを審議してまいりました。本年の二月三日その答申がまとまったのでございます。その前文におきまして、ただいま御指摘のように、わが国でみずから開発した人工衛星を打ち上げるということは、非常に大切なことであり、ぜひやるべきであるというのでございますが、これには御承知のとおり、技術、資金、あるいは体制の整備、その他いろいろ問題がございます。その審議会結論といたしましては、たとえば近い将来自力で人工衛星を打ち上げるという目標を掲げて、わが国の有します科学技術、資金を総合的、効率的に活用し得るような一元的機構を設けることが理想である。そこで、この理想の達成手段等については、引き続き宇宙開発審議会審議する、そういうふうに申しておりまして、ただいま宇宙開発審議会におきまして、その審議を継続中でございます。
  144. 受田新吉

    ○受田委員 私、この宇宙開発におくれをとっておる日本として、科学技術のクライマックスに勝利を得るという意味において、この宇宙開発、特に平和利用のための宇宙開発というところに力を入れる。そのための必要な予算は、惜しみなく使っていいと思うのです。もう防衛費などというものが多いと言ったって、国家予算の一割以下というような時代でございますから、どんどんこの仕事ができるわけでございますから、近い将来ということを、一体五年後というふうなところに置いておるのか、あるいは五年以内くらいに置いておるのか、これもあわせてお答え願いたいです。
  145. 芥川輝孝

    ○芥川政府委員 ただいま具体的の数字の点でございますが、これは宇宙開発審議会の論議におきまして、五年という数字を中心に論議いたしました結果、まだ五年にはっきりきめるのは若干早いということで、答申を近い将来ということにいたしたわけでございます。具体的には五年という数字を中心に種々検討をしたわけであります。
  146. 受田新吉

    ○受田委員 オリンピックを迎えるために相当な国家の援助をやっておるのです。やる段になれば、どんどんできるのです。せめて平和利用の根源はわが国にありという立場で、文化国家らしくこういうところへ一つ力を入れて、五年以上とかいう長いことでなくして、できれば四年くらいの、五年たたないうちに実現できるというような運びにまで機構上、予算上、総力をあげて——知恵においては全人類の中で日本は一番高いところにあるわけですからね、そういうところへひとつ目標を置いて御努力を願いたい。よろしゅうございますか。これは大臣答弁だったら、ずばりとお答えできるでしょうが、局長としても一応めどだけはっけられると思うのです。
  147. 芥川輝孝

    ○芥川政府委員 ただいま申し上げましたように、宇宙開発審議会におきましては、五年という数字を中心に種々論議を行ないました。なお、御審議をいただいております宇宙開発本部におきましても、作業といたしましては、第五年目におきまして人工衛星を打ち上げ得るような、そういうロケットの実力を備えるということを計画の中心にして作業を進めておるわけです。ただ、公式にまだきまっておりませんが、実情はいま申し上げたとおりでございます。
  148. 受田新吉

    ○受田委員 文部省の大学の研究所、防衛庁にもそういう研究所がある。郵政省もしっかりしたのを持っている。そういうものを総合的にフルに動員して、高い指導力を持って推進本部ががんばれば、目的達成は近づくと私は思うのです。御注文をしておきます。  おしまいに、経済企画庁は、今度国民生活局を提案されておったわけでございますが、その前提として、お答え願いたいのですが、消費者というのは、生産者と違って、国民全体が消費者なんです。その生活を物価の面、その他いろいろの面で守ってあげるための基本的な法律、消費者基本法というものを政府自身が用意して、すべてが対象になっている消費者を守る基本的な態度、施策というものがそこから生まれるという方向を、政務次官は大臣にかわって御答弁できると思うのでございますが、国民生活を豊かにする基本法をおつくりになる御用意はないのかどうか。
  149. 倉成正

    ○倉成政府委員 今度の国会にも、民社党のほうで消費者基本法を御提出になっております。非常に膨大な、また内容の充実したものだと思います。この中に書いてありますように、経済の成長発展に即応して、消費生活の安定、向上をはかり、またいろいろな面について消費者の権利を守っていくという考え方には、全く同感でございます。ただし、これを行政の指針としてではなく、法律事項としていろいろなことを列挙していくということになりますと、消費生活の内容というのが非常に複雑多岐にわたりますので、いかがなものかということでありますので、私どもといたしましては、ただいまのところ、行政の方向としては、消費者生活の保護をはかっていくという趣旨で、法律事項として消費者基本法をつくるということは考えておりません。
  150. 受田新吉

    ○受田委員 国民生活の保護充実をはかっていくということ、ことに消費者生活の豊かな実りをさせることの基本的な考え方というものが、何かの形で法律的根拠を持たなければ、やはり思いつきになる危険があると思うのです。それで、私の党で一応提案をしているわけですが、この問題については、国民生活に一番大事な、国の主権者である国民のすべてが関係している消費者を豊かにするという方向で、基本的施策を御検討願いたい。  時間が過ぎまして申しわけありません。これで質問を終わります。
  151. 徳安實藏

    徳安委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は、明後十八日午前十時理事会、十時半委員会を開会することとし、これにて散会いたします。   午後一時五十二分散会