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1964-06-12 第46回国会 衆議院 内閣委員会 第44号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月十二日(金曜日)    午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 徳安 實藏君    理事 伊能繁次郎君 理事 佐々木義武君    理事 辻  寛一君 理事 内藤  隆君    理事 永山 忠則君 理事 石橋 政嗣君    理事 田口 誠治君 理事 山内  広君       岩動 道行君    壽原 正一君       高瀬  傳君    綱島 正興君       野呂 恭一君    藤尾 正行君       保科善四郎君    前田 正男君       松澤 雄藏君    湊  徹郎君       渡辺 栄一君   茜ケ久保重光君       大出  俊君    中村 高一君       村山 喜一君    受田 新吉君       山下 榮二君  出席国務大臣         建 設 大 臣 河野 一郎君  出席政府委員         内閣法制局参事         官         (第二部長)  真田 秀夫君         総理府総務長官 野田 武夫君         総理府事務官         (特別地域連絡         局長)     三枝 三郎君         外務事務官         (条約局長)  藤崎 萬里君         建設政務次官  鴨田 宗一君         建設事務官         (大臣官房長) 平井  學君         建設事務官         (大臣官房会計         課長)     吉兼 三郎君         建設事務官         (計画局長)  町田  充君         建設事務官         (都市局長)  鶴海良一郎君         建 設 技 官         (河川局長)  畑谷 正実君         建 設 技 官         (道路局長) 尾之内由紀夫君         建設事務官         (住宅局長)  前田 光嘉君  委員外出席者         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房臨時在外財         産問題調査室         長)      栗山 廉平君         専  門  員 加藤 重喜君     ————————————— 六月十二日  委員茜ケ久保重光辞任につき、その補欠とし  て泊谷裕夫君が議長指名委員に選任された。  委員泊谷裕夫辞任につき、その補欠として茜  ヶ久保重光君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  建設省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二六号)  総理府設置法等の一部を改正する法律案内閣  提出第八一号)      ————◇—————
  2. 徳安實藏

    徳安委員長 これより会議を開まきす。  建設省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を継続いたします。  質疑の申し出がありますのでこれを許します。永山忠則君。
  3. 永山忠則

    永山委員 建設省設置法に関しまして、すでに大臣に本員は強く要請をいたしておきましたが、要するに、建設省の長い伝統と歴史を持って、技術者優位の立場に立って、非常に国民的信頼を得ておるのでございまして、本法が通過いたしました際におきましても、この技術者優位の立場において、旧来行なわれましたようなとうとい伝統を必ず堅持してやっていただくということを、強くひとつ大臣に要望いたしますと同時に、大臣にその決意を承っておきたいのであります。  と申しますことは、欧米各国におきましても、生産の近代化をやる前提条件として、科学技術投資を一番にやったわけであります。いわゆる科学技術技術者養成ということに非常な力を入れておるわけなんです。その科学技術者養成の中に、法文系関係を強く取り入れまして、科学技術に偏重せず、しかも法文関係もよくこれを修得しまして、科学技術者が広い視野で指導できるという方向へ持っていっておるのでございまして、わが国におきましても、この科学技術を優位な立場に立てる、同時に、科学技術者旧来の偏狭であった点を是正いたしまして、ここに法文系の知識も広く修得いたしていくという方向にも強く意を用いられまして、基本はぜひ科学技術者優位の立場に立ってすべての人事行政をやるという方向に向かっていただきますことを、特にひとつこの場合、本日はぜひこれを通過させようという、そういう御要望を持っておられるようでございますので、御言明をお願いいたしたいと存じます。
  4. 河野一郎

    河野国務大臣 ただいま永山委員から御注意いただきましたことは、非常に重要なことでございまして、ことに建設行政基本技術でございます。技術のないところにりっぱな建設のあるはずがないのでございまして、その点私は全く同感でございます。したがって、建設省設置法が改正されました後の運営等につきましては、特にそれらの点を注意いたしまして、御期待に沿うようやってまいりたいと思います。
  5. 徳安實藏

  6. 大出俊

    大出委員 大臣建設委員会ですか、御出席予定があるというお話なので、少し順序が入れ違ったりいたしますが、その点はしろうとでありますので、ごかんべんを願います。  ところで私は、この設置法をめぐる本委員会の議事録なるものを全部読んでみたわけなんですが、どうも納得いたしかねる点ばかりでありまして、そこでお聞きをいたしたいのでありますが、建設本省発行省内紙に「職員」というのがあるようであります。この報ずるところによると、統合三カ年計画の第一年になくなる事務所三十カ所、それから統合方針についてはかくかくのごとくということなのでありますが、この省内紙職員」というのは、一体だれがどこでどういうことで発行されておるのか、まずもって承りたいわけであります。
  7. 平井學

    平井(學)政府委員 お答えいたします。  これは建設省官房で編集をいたしておるのでございまして、建設省仕事について、全国三万五千の全職員大臣の御方針、あるいはさらにそれに基づく本省の企画、そういったことについて周知徹底をはかるために、官房のほうで発行いたしておるものでございます。
  8. 大出俊

    大出委員 いつごろから、数はどのくらいの量発行されておりますか。
  9. 平井學

    平井(學)政府委員 本紙は、昭和三十六年から始めまして、部数は一万八千、これを毎月一回発行予定でございます。これを全国地建事務所に配っております。
  10. 大出俊

    大出委員 そうしますと、これは官の仕事ということで発行しているわけですね。
  11. 平井學

    平井(學)政府委員 さようでございます。
  12. 大出俊

    大出委員 そうしますと、この「職員」に報じたものは、官の意思であり、絶対うそは言わない、こういうことですね。
  13. 平井學

    平井(學)政府委員 さようでございます。
  14. 大出俊

    大出委員 ところで、工事事務所統合内容等について、事業量が少なくして、いたずらに間接費のみ割り高となる事務所等については、もよりの事務所までの距離等地理的条件をも考えあわせ勘案をして統合再編成し、経費節減職員効率的配置をはかることとしたということなんですが、これをそれほど詳しくなくてもけっこうですから、少し説明をいただきたいと思います。
  15. 平井學

    平井(學)政府委員 お答えします。  現在建設省管下工事事務所は、公共関係で二百四ございます。ところが、御存じのようにこの工事事務所は、あるいは河川工事、あるいは道路工事、あるいはその混合の事務所、ないし営繕関係事務所がございます。ところが、河川工事を例にとりましても、五ヵ年なり六カ年たちますと、だんだん事業完成に近づいてくる、最後完成する。そうすると、最後はゼロになる。そうした場合に、そのまま事務所を置いておくということはあり得ないことでございます。国費を能率的に使うためにも、工事の進捗ぐあいに応じて、事務所もそれぞれこれに応じた態勢が必要でございます。工事完成いたしました場合は別といたしまして、工事がだんだん完成に近づいて減っていくというような場合に、工事量が非常に減っているにもかかわらず、それに従事する人間初年度の一番ピークのときのような大ぜいの人数をかかえておる場合には、どうしても人間が遊びます。そこにどうしても人件費旅費等でむだが生じます。したがって、そういう点を勘案いたしまして、今回は大体年間事業量が二億にも満たない  普通、二百四の工事事務所は、年間事業量昭和三十八年度予算で平均八億でございますが、二億にも満たないようなものをまず統合の対象にしよう、それによりまして経費節減をはかる。実情を申しますと、工事事務所予算というものは、直接費と間接費というふうに大別できます。間接費と申しますのは、工事を執行するための人件費旅費等でございます。純粋の工事に要する費用が直接費でございますが、年間工事費が二億くらいに下がってまいりますと、この人件費などを中心にした間接費のウエートが、非常に多くなります。非常に非能率な結果になります。それが一つと、いま一つは、同一県庁所在地のような同一市の中に相接して事務所二つあるという場合が、従来のいろいろないきさつでございます。交通機関が発達し、道路が非常に整備された今日におきましては、同一市の中に二つも並んでおるというのもむだの典型であるというような考えで、いま言った年間工事事業量が二億に満たないようなはなはだしきもの、または同一市町村内の近くに二つ以上並んでおるというような極端な場合をまず取り上げまして、それを今回統合することによって国費節減をはかり、人員の効率的な配置をはかろう、こういうような趣旨でございます。
  16. 大出俊

    大出委員 ところで、取りつぶすということばは悪いのですが、やめるわけですが、どれくらい間接費というものは浮くのですか。
  17. 平井學

    平井(學)政府委員 これは長期的に見なければならぬものでございます。まず第一に、年々人間自体は減りません。いわゆる人員整理というものは全然関係ありませんで、現在の人間をそれぞれそのまま有効に使うのでありますから、人件費そのものは減りません。言いかえるならば、人間がむだに遊ぶことを防ぐということが一つと、年々歳々公共事業予算は非常なスピードでふえております。これをこのまま放置するならば、ある工事事務所では人間が比較的遊んでおる。ところが、ある道路工事事務所では事業量がどんどんふえて、人間はふえない、したがって、労働強化になる、こういう現象がすでに起こっておるのでございます。そういったアンバランスを是正する、労働強化になるから配置転換をやる、それから遊んでおる人間をほかへ配置転換して、適正な事業量に見合うような人員にするというようなことによって、まず労働度合いアンバランスを直す。これは逆に金銭に換算するならば——もしそういう統合をしなければ、労働強化が必然的に起こる、それを救うために予算をもらって何名かの人間を埋めなければならない。埋めるべかりし人間を埋めぬで済む、こういう消極的な経費の見積もりがまず行なわれます。それから事務所を減らすことによって、そこにおける人件費旅費等がむだに使われるのが、逆に積極的に有効に使われる、こういう積極、消極両方の面があろうかと思います。そういった面を一体何億に計算するかということは、いま言ったように消極的な面がございますから、正確な数字は出ませんが、私ども考えでは、少なくとも億以上の経費が直接、間接節減をせられる。出すべかりし経費が出さぬで済むというようないろいろな意味におきまして、相当な経費が浮かぶはずだ。いま一つは、事務所統合することによって、場所によっては建物一つにする、二つ事務所一つにするために、親元になる事務所を増築する場合があります。また二つ事務所一つにする場合に、両方とも廃止して、地理的位置、いろいろな関係から見て、第三の場所に新しく建築する場合もございます。そういった費用考えますと、一般の会社経営と同じように、初年度、次年度あたりにおいてはむしろ経費の持ち出し、こういうような観察も成り立ち得るのでございますけれども、五年、十年後の公共事業の伸びということを頭に置きまして差し引き計算いたしますならば、国家財政上も少なからざるプラスになる。実は大蔵当局とも、今回の統合につきましては、その裏打ちになる宿舎の問題とか庁舎の問題で財政的な打ち合わせをいたしました際にも、一致した意見でございました。ただ正確な数字は、現段階ではまだ御報告するまでに至っておりません。
  18. 大出俊

    大出委員 正確な数字というふうに言われるのですが、不正確でも、大体の大まかな数字があればそれなりにわかるのだけれども、大まかな数字もないわけでしょう。  そこでいまずいぶん長いことお話しになっておるけれども、結局結果はわからないということだと思うのです。それで間接費というのは何かということなんだが、人件費事務費というわけでしょう。人は減らないのでしょう。簡単に言って事務費だけ減るわけですね。その人件費云々という点で一番最初に言われているのは、アンバランスになり労働強化になるから防ぐ。まことにていさいのいい話なんですけれども、いきなりやるかというと、やらない。これからやるのだということなんですけれども間接費を減らすといって、人件費は減らないとなると、どうも目的はそこにないような気がするわけです。そこへもってきて、正確なことはわからないと言うが、概略もわからぬわけです。そういうお先まっ暗な計画を立てて、省内紙についてはうそは申しません、間接費は減らすのだということで効率的運用をはかる、こう言うのだけれども、ぼくはそれは答弁にならぬと思う。もう一回言ってください。
  19. 平井學

    平井(學)政府委員 三万五千の建設省の全職員につきましては、これは今回の統合によりまして一名も解雇するわけではございませんから、人件費は減りません。言いかえれば、給料等は減りません。しかしながら、事務所統合されることによって出張旅費その他は合理化されますので、これは明らかに節約できます。第一線へ行って監督を徹底して事故を防ぐということをしなければならぬ場合に、従来旅費が制約されたために行き得なかったというような場合に、この旅費等事務所統合の結果有効に使われるということで、これは文字どおり合理的な使用でございます。また人間にいたしましても、先ほど申しましたけれども道路その他特定の場所公共事業予算が毎年々々ふえまして、事業量がどんどんふえる。にもかかわらず、三万五千人の人間は全然ふえておらない、こうした場合に、個々の事務所をそれぞれ統合するならば、先ほど申しましたように、年々歳々忙しくなる。普通ならば大蔵省予算要求をして従来二百人おるところを二百五十人、三百人にしなければ労働強化になるところを、今回の統合によって現在の三万五千人の範囲内で事務所間の融通をすることによってこれは防ぐ。こういうのは、明らかに人員間接節約だというふうに私たち考えております。
  20. 大出俊

    大出委員 ますますわからないのですがね。つまり、いま言われるのは、三万五千人の人たちは一人も解雇しないというわけですね。そこで出張その他はやらないで済むようになる。だから旅費が減る、合理的なんだ、こういうわけなんですが、それなら伺いたいのですけれども増改築をするところ、そして吸収をするところ、青森国道南部国道小貝川云々とたくさんありますね。これは三十九年中、四十年改修、これがもう一つあるわけですね。そこで分けて言えば、七月一日から看板が塗り変えられるところ、それから新しく事務所を新築するというのが、仙台、高崎、岡山、これが三十九年中、そして北上川とか渡良瀬川の上流だとか、沼津だとか、徳島だとかが四十年中、それから改築吸収というのが、いまちょっと触れた青森国道とか南部国道とか小貝川だとか、以下ずっとあるわけですね。それから所要の整備、それから工事事務所看板がおろされるところ、こう見ていくと、人は減らないのだから、移った人間仕事をしないならともかく、仕事をするのなら出張しなければならぬ、出て行かなければならぬのじゃないでしょうか。今度の工事の現場との関係は、場所的にはどうなんですか。
  21. 平井學

    平井(學)政府委員 出張お話でございますが、大蔵省から配賦を受けておる出張旅費というのは、きまっております。また国会等で認められておる定員も、きまっております。それを全体を変えないで、その中でそれがアンバランスに使われておる。ひまなところと忙しいところがある現地を放置するならば、それがアンバランスのまま使われておる。それを合理的に、出張を多くしなければならないような工事事務所においては出張が多くできるように、ひまなところから人間出張旅費も持ってくる、こういう意味でございます。  それから第二の事務所の問題、これは事務所を三十カ所のものを統合する以上は、やはり二カ所を一カ所にするという関係上、建物の狭隘のところはこれを増築して、そこで能率的に働けるように、大蔵省とも折衝して予算をとって、最小限度改修増築をやる、それによって人間を合理的に動かすという趣旨でありまして、その点は十分御理解いただけるかと存ずるのでございます。
  22. 大出俊

    大出委員 いまいろいろ言われておるが、私が聞いておる範囲では、さっぱり見当がつかないが、とにかく間接費割り高になるということを言っておるわけでしょう、統廃合の中心は。その間接費というのは何かといえば、人件費事務費だ、こういうわけでしょう。そこで人件費のほうは減らないというのなら、事務費が減るというかつこうにならなければおかしいわけですね。ところが、人がついておるところは事務費がかかるから、効率的にというのなら、いままでずいぶん非効率的に使っていたことになるので、責任問題です。そうなりますと、どうもいま言われておる説明だけではどうしてもわからないので、概括どのくらい、どういうふうに効率的に運営ができるのかという数字くらいあげたらどうかと言っておるのですが、正確にはわからないが、正確でないのもわからないということになると、そう長くしゃべらないでもいいから、要点だけをはっきりと言ってください。
  23. 平井學

    平井(學)政府委員 短くしゃべることにいたしますが、いろいろ計算のしかたがありますために誤解を招いてはいけませんので、失礼と思いますが、ふえんして申したいと思います。  先ほど申しましたように、出張旅費のように、明らかに出張を三回しなければならぬところが、統合されたために一回で済んだ、そのかわり二回分だけほかの忙しいところに使える、こういう意味節減、これは普通の単純な計算でございません。また、人間も、忙しくなった工事事務所で五割定員をふやさなければならぬところ、大蔵省へ新たに要求しなければならぬところを、こういう統合によって三万五千のワク内で操作することによって浮び上がる仮定の数、こういったものを私ども計算しておりますが、これが三十カ所統合された場合には、最小限度二億程度の計算で、そういった意味節約にはなるだろうというふうに見込んであります。また人間も、たとえば忙しくなった工事事務所人間をふやす要求を新たに大蔵省にすべきところを、今回の統合によってそういう要求をせずに済む、こういう人数が、ざっと見ても三百人や四百人分だけは浮くであろう。新たに三万五千プラス四百人なら四百人の定員を置くべきところを、統合によって国家財政のほうに新たな追加要求をしなければならぬところをせずに済むという人間節減が、三百人ないし四百人は見積もれるだろう、こういうふうに考えております。
  24. 大出俊

    大出委員 つまり配置転換ということになると思うのですね。それは距離的にはどのくらいの目安をつけて配置転換するのですか。
  25. 平井學

    平井(學)政府委員 これは、私ども人事管理職員に事件をもたらすことは極力避けるべきことでありますので、通勤距離ないしは宿舎所在状況こういつたことを考えまして、職員に迷惑をかけることのないように、その三十カ所については一つ一つ具体的に計算をしてやっております。
  26. 大出俊

    大出委員 いまのお話しは、通勤距離、迷惑をかけない、こういう基準で三十カ所を検討するというわけですね。三十カ所というのは、全国に散在しておるのですから、通勤距離、迷惑をかけないという範囲で動かすといったら、どのくらいの距離になるのですか、人を切らないのだから、やめさせないのだから。
  27. 平井學

    平井(學)政府委員 先ほど申しました基準一つに、同一市の中に並存する場合というようなことがその典型的なものでございまして、一番簡単なのは、県庁所在地等二つあるところが若干ございます。私どもは、通勤時間はおおむね一時間以内ということを目標にして考えております。たとえば従来二十分くらいで通えた方も、これの統合によって五十分なりそこらかかるということは、国家公務員として勤務する以上、忍んでもらわなければならぬ限度だろう。おおむね一時間以内ということで考えております。
  28. 大出俊

    大出委員 一時間以内とお考えになるとすれば、その範囲配置転換が行なわれる、こういう結果になりますが、それでどういう理由で旅費が減るのですか。
  29. 平井學

    平井(學)政府委員 ちょっと聞き漏らしましたが……。
  30. 大出俊

    大出委員 先ほどアンバランスを直したりする意味で人の配置を変える。したがって、結果的に旅費がむだに使われなくなる、ないしは減る、こういうふうなお話しなんですが、人を動かす範囲は一時間以内、こういうことなんですから、そうなると、やっている仕事がいきなりなくなるわけじゃないのだから、必要なところには行かなければならぬのですから、旅費が減る、こういう言い方をするのだけれども、ないしは出張旅費なら出張旅費が効率的に使われると言うのだけれども、それはどういうわけでそういうことになるのですか。
  31. 平井學

    平井(學)政府委員 配置転換によりまして通勤時間が延びる延びぬという問題と旅費は、関係ございません。  それから、所属長の違った二つの独立した事務所がある場合に、二つのものを統合すれば、それだけ出張必要性出張頻度、そういったものが節減されることは、いろんな例からお考えになっても御推察願えると思います。ただいま申されました通勤距離が、たとえば二十分が五十分に延びるというような問題と旅費出張の問題とは、全然関係のないものでございます。私の申し上げるのは、それと関係なしに、二つの独立したそれぞれの所長が、自分の見解だけで、自分受け持ち区域のために出張計画する場合と、片一方が工事量が非常に減ったのに独立してやったのではどうも不経済だという場合に、二つ一つにした場合には、出張必要度頻度、こういったものを二倍の高い見地であんばいできるために、より一そう必要なところに従来よりもよけいできる必要ないところは減らせる、こういうようなあんばいができることを意味しておるのでございまして、この点は御了承願いたいと思います。
  32. 大出俊

    大出委員 ずばり聞きますから、答えてください。津軽工事事務所というのがありますね。所在地青森県五所川原、五能線のところですね。職員数が百十八名、事業内容河川、海岸。ところで統合される先の事務所名青森国道工事事業内容道路。この場合、どういうことになりますか。これを二つ並存した場合と統合した場合、どう変わるのですか。
  33. 平井學

    平井(學)政府委員 具体的な例をもってお示しでございますが、この津軽青森の場合は、津軽が全部青森へ入ってしまうわけではございません。津軽工事がゼロになった場合はいざ知らず、現在でも細々ながら、漸減しながらやっております。そんなわけで、津軽は、新しく統合された場合に、従来の事務所出張所に格下げになりまして、従来の職員の中で相当数青森工事事務所という新しい本所へ移ります。ところが、そのうちの何十名かは、従来どおり旧津軽の管内には工事があるわけでありますから、それはやはり出張所という形式で旧来人間のうち一部の者が残って、そこで出張所という形で、もっぱら新しい青森本所の指揮を受けながら仕事をする。それによって、それと別に、そのうちの一部は青森本所へ移って、そこで仕事をする。また、そのうちの一部技術者等で中堅ないし上級の者は、大臣がかつて申されましたが、地建の新しい必要な仕事のほうに回すというように、それぞれ所属がかわるのでございます。
  34. 大出俊

    大出委員 そうではなくて、この場合にどういうふうに節約になるか、こう聞いておるわけです。何が一体節約になって——あなたが一番最初にお答えになったのは、もう一ぺん繰り返しますが、全部で二億円に満たないところ、ほんとうは年平均八億くらいなければならぬので、そういうところは統廃合するのだ、こういう話がありまして、どうもそれだけではないのだというような意味のことをあとから言われて、消極的な意味での経費節減が出てくる、それから人件費旅費がむだに使われるのを防ぐのだ、旅費の面でもしたがって——これはあとで議事録を見ればおわかりだと思うけれども、さっき旅費旅費とあなたはさんざん言われた。あなたの言うことによれば、これは減るわけだ。そうなると、あなたが言われた理由は三つある。つまり二億円に満たないようなところ、それから先ほどの話の消極的な意味での経費節減、それから人件費旅費がむだに使われるのを防ぐのだ、こういう理由なんだが、いま言うところの津軽工事事務所の場合には、五能線で青森まで出てくるのだけれども、そうなると、出張所に八十人かそこら残すというのだけれども、はたしてどういうふうに節減になるのか、具体的に示してほしい、こう言っておるわけです。
  35. 平井學

    平井(學)政府委員 具体的に青森津軽の場合でございますが、津軽のほうは、従来の事業がだんだん減って、現在の人数をそのまま置くには人間が少し多過ぎる、こういう観点から青森のほうへ統合するのでございますが、そうした場合に、一つ事務所としてそこに一定の人間がおりますと、その人間にいろいろ仕事をさせなければいかぬ。従来十の仕事が八に減り、七に減るとなると、どうしてもそこにむだが生ずる。そこで、たとえば従来の十の仕事が七に減れば、その三に相当する分だけは青森本所のほうへ引き上げて、青森のほうでより忙しい仕事のほうへ振り向ける。これは言いかえるならば、それだけ忙しいところに新たに人間要求しなければならぬはずのところを、それをしなくて、少しひまになったところから持ってくるということは、すなわち人間をそれだけ節約したことになります。それから旅費につきましても、津軽青森が別でありますれば、かりに津軽旅費が余るとした場合にでも、青森のほうへそれをそのまま持っていくというわけには、実際問題としていきません。ところが、これが一つ事務所統合されますと、津軽のほうは出張所という形で縮小になって、その仕事相応、人間相応の旅費によって活動する。ところが、忙しいところの青森のほうでは、それだけ統合によって浮いた旅費、言いかえるならば、津軽のほうから統合によってふえた旅費をより忙しい面に有効に使える、こういうことがすなわち節減ということでありまして、節減というのは、決して現実の予算が実際に減るというわけではございません。それが必要度の高いところに有効に使われる、こういう意味でございます。
  36. 大出俊

    大出委員 そこで、一つだけ念を押しておきますが、転勤させる場合、通勤一時間以内というのは、それでいいのですか。
  37. 平井學

    平井(學)政府委員 これは原則でございまして、おおむね一時間というのをめどとしております。配置転換で一時間以内で全部処理できるわけではございません。そういうところは、大蔵と折衝しまして、宿舎をちゃんと実は手当てしております。とても通勤できないようなところは転宅してもらう、そのための宿舎の手当てもいたしております。それから宿舎を建てることができないところは、賃貸料を正規に大蔵省要求しまして住宅の借り上げをして、それによってまかなう、こういう手を打ってございます。
  38. 大出俊

    大出委員 そうすると、もう一ぺん言いますが、一時間というのはていさいのいい話であって、実際には通えないところはこっちへ移れ、そういう措置をとる。それから一時間以上であっても通えということ、こういうことですか。はっきりしてください。
  39. 平井學

    平井(學)政府委員 通えないところは宿舎でやります。おっしゃるとおりでございます。
  40. 大出俊

    大出委員 ところでこの宿舎なんですが、ここで一つ聞いておきたいんだけれども、三畳の個室に二人入っているなんということがあるというんだが、事実そういうことがあるのですか。
  41. 平井學

    平井(學)政府委員 三畳の個室に二人ということは、具体的にまだ報告を受けておりませんが、相当窮屈な面があることは事実でございます。
  42. 大出俊

    大出委員 具体的に報告されていないと言ったって、職員組合というのは、建設省の皆さんとやりとりをする権能を持っておるんだから、そこでやっておって、その内容は載っておるんだけれども——末吉係長さんというんですか、そういう方はおられますか。人事課長さんも出ていられるようだけれども、そこでいろいろやっておられる内容を見ると、ある事務所の寮は三畳の個室に二人入れられて、確保するといっても、これは具体的にどういうことになるんだという質問が出ている。たいへんむずかしい字だから読めないんだけれども、何とかいうところの寮は、確かにあれは三畳に二人用になっているんだから、二人入るのはあたりまえだという答えをしているんだけれどもね。
  43. 平井學

    平井(學)政府委員 申しましたように、現実に三畳に二人ということを私実は確信を持ってお答えできませんが、窮屈なところがあることは事実でございまして、これは毎年私どもは大蔵と折衝しながら、そういったものを解消するように努力はいたします。いま申し上げましたのは一般問題でございますが、特に今回の事務所統合に件う転任、その転任による宿舎につきましては、ただいま申し上げましたように新しく宿舎を建て、ないしは借り上げをする、こういった手を打っております。おっしゃったような統合に必ずしも関係のない現場における実情は、これは毎年毎年調査をいたしまして、予算によってこれを漸次解決していく、こういう努力をいたしております。
  44. 大出俊

    大出委員 どうも内容をいろいろ読んでみると、あまり常識はずれ、ひど過ぎるような感じがするんですがね。下筌では、三畳に二人用になっているから、二人入るのはあたりまえだという答弁があるんだけれども、いまどきどこの官庁の宿舎などを見ても、三畳に二人寝泊まりするのが、二人用だから当然だという非常識な話は聞いたことがないんだが、こういうことだとすると、いま言われる宿舎というのも、どうも当てになったものじゃないという気がするのであります。  それから五所川原から五能線で青森まで出ていくのはたいへんなことで、さっきそれらのことを一例をあげたんだが、どうもあなたの言われていることは不可能をしいるような面があると思う。省内紙では一人も首を切りませんと、こう言っているんだが、そこらのところはどうか。さっきあなたは、一時間以内と、こういうふうに言われた。ところが、いろいろ聞いてみると、それは原則で、いや一時間じゃないんだという話になる。通えない人については宿舎のあっせんをするから越してこい、こういうことになるようですが、この種のことをやる場合には、相当対象になる方々と協議をしていかないと、これは協議整わなければ実施できないといえば、管理権と関係があるから、こういうのは同意条項になるから問題が出てくるけれども、少なくともこれは詰めた話をしなければ、そうして了解を求めなければ人道上の問題にもなるし、事は大きくなる。ところが、どうもやりとりの内容を書いたものによって見ておると、出ていたわけじゃないからわからぬけれども、不親切きわまるという感じがするので私は質問をしているんだけれども、答弁のほうは、たいへんでいさいのいいところからだんだんおかしくなってくるけれども、そのところをずばり言ってくれませんか。
  45. 平井學

    平井(學)政府委員 私の説明が不十分だったせいかと思いますが、要するに通勤という点でお尋ねがございますので、通勤という点から言えば、大体一時間以内をめどにしておる。しかし、国家公務員である以上は、転勤は避けられるものではございません。むやみに転勤などはいけませんけれども、必要最小限度の転勤は、上級者であろうと現場の人であろうと、これは国家公務員である以上はやむを得ない。しかし、そのかわりに予算でもって宿舎の手当てあるいは借り上げ宿舎の手当て、これは管理者として当然やらねばならぬ問題でございまして、今回の統合に際しましても、そういう一時間以内の通勤ということが不可能な者、たとえば今回の津軽青森の場合は、通勤できない、こういった場合には、出張所に残る者は別として、新たに青森のほうに転任させる者は、宿舎建設なり借り上げということをちゃんと予算措置でもって現在準備をいたしております。
  46. 大出俊

    大出委員 そうすると、人件費事務費間接費、そこで人は変わらない、こういうことになるとすると、いま言われるように、出張所を残すにしろ、統合をするにしろ、廃止をするにしろ、二百四カ所もあるのですから、そうなると、このことによって私は相当金がかかると思うのだけれども、それについて先ほど質問をしたところが、さっぱり正確な数字がわからぬから、概括くらいならわかるだろうと思ったら、それもわからぬ。これはあまりにも無計画過ぎると思う。それらの計画を全部立てて、これこれの予算でこれこれの人員を動かして、大蔵折衝でこういうふうになっている、だから、こういうふうにしてくれというのでなければ、動くほうは、普通の状態の転勤や何かなら話は別だけれども大臣が新聞発表をしてこれこれ統合するといえば、大整理ですよ。そうでしょう。全国二百四工事事務所の約半数を取りつぶす方針を立てたのでしょう。一月十七日の記者会見で、全国の二百四カ所の工事事務所を半分に減らしたい、三十九年度にはまず三十カ所を減らす、こう言ったのだから、そうなれば、動かされるほうにすれば気が気でない。その辺のところを、いま私が聞いた限りでは無計画だ。寮は建てるとか借りるとか言っているけれども、それはこうこうこういうふうにしてこうなっているのだ、同じ省内紙に書くのなら、その辺の計画を明確に出したらどうですか。
  47. 平井學

    平井(學)政府委員 それぞれの地方には地建局がございまして、やはり地建局長とか本省から相当権限を持たれた方が、そういった具体的な事務所については、おまえのところは何人どうする、通勤できない何人は必ず宿舎はやってやる、心配するなというふうに、現場でちゃんとやっております。
  48. 大出俊

    大出委員 それはあなたのほうにわかっていますか。
  49. 平井學

    平井(學)政府委員 全体としてすでに大蔵から宿舎費三億二千万円の予算をちゃんと取り付けておりまして、これによって、転勤したけれども家がないという者は絶対ないようにいたしております。
  50. 大出俊

    大出委員 そうしますと、先ほどあなたのほうではどうもはっきりしなかったけれども、一応これくらい金かかってどうなるかということは、全部わかっているわけですね。
  51. 平井學

    平井(學)政府委員 積極的に統合のために要する出費は、先ほど言ったように宿舎費が一番大きいのですが、これが三億二千万円、事務所等増改築、こういったものが四億七千万、これははっきりしております。しかしながら、冒頭にお尋ねになったように、これによって幾ら節約できるかということは、るる説明いたしましたように、いろいろな計算方法があります。これは予算面には出ません。
  52. 大出俊

    大出委員 そうしますと、宿舎あるいは事務所増改築、それから今度はどのくらいの人間が動くかということ、これについてもつかんでいるわけですね。それもついでに言ってください。
  53. 平井學

    平井(學)政府委員 全体で六百八十八名の人間をやりくりして、全体といたしましては三百六十名の人間がこの対象になるのでございますが、これに要する費用は、先ほど申しましたように計上いたしております。
  54. 大出俊

    大出委員 そうすると、三百六十名が動くのですか。そこのところはっきりしてください。
  55. 平井學

    平井(學)政府委員 これが動くのでございます。
  56. 大出俊

    大出委員 恐縮ですが、限られた時間ですから、ずばりそのものを言っていただいて、私のほうもそれなりにひとつ処理をしていきますから、そういうふうにお願いいたします。  それからいまの計画なんですが、各地方の動くところその他では、全部発表済みで進めているのですか。
  57. 平井學

    平井(學)政府委員 発表いたしております。
  58. 大出俊

    大出委員 この種の問題は、先ほど私途中で申しましたように、ある時期を画してこういう計画を立てる。したがって、これこれこういう範囲にこういう影響がある。それに従って多数の方々が動く、こういうことですから、普通の官職におる方が、どこにどう出張をさせられるとか、転勤を命ぜられるとかいう筋合いのものとは多少違う。早い話が、行政整理云々だとか言えば、二十割まで金を出さなければならぬという世の中なんですよ。したがって、そういう点については、事前にできる限りの計画は発表をし、実施の前に相当突っ込んだ職員の諸君との話し合いをしなければならぬ筋合いだと私は思うので、その辺のところがどうも少し親切味が足らぬような気がするのですが、その辺についてはどうお考えですか。
  59. 平井學

    平井(學)政府委員 お説のとおり事前に発表いたしまして、職員のみならず、地元関係者には、すでに四月から発表しております。
  60. 大出俊

    大出委員 それからここでもう一つ聞いておきたいことがあるのです。勧奨物資というのが、建設省関係で、特に地建中心にいろいろあるというのですが、この勧奨物資というのは、私は、郵政省育ちで総評に長くいましたから、ほかの省の関係を多少知ってはいますけれども、そういう点がよくわからぬのです。勧奨物資というものは、一体何ものですか。
  61. 平井學

    平井(學)政府委員 私もよく存じませんが、各地建等へ物を買ってくれというようなものじゃないかと思います。
  62. 大出俊

    大出委員 よくはわからぬが、各地建等に物を買ってくれ、こういうようなものだというようなお話しなんだけれども、その各地建等に物を買ってくれというのは、一体どういうものなんですか。
  63. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 お答えいたします。  勧奨物資にどういうものを買ってくれと言っているかという御質問でございますが、ここ数年前までにそういう問題がございまして、検査院等からも御指摘があって、いろいろ問題を起こしましたので、建設省としましては、そういうものと一切おつき合いしないということで、官房長からの通達を地方建設局に流しておる次第でございます。現在におきましては、そういうものを取り扱い、ないしそういうものを大量に半ば強要のような形で買っているものはないと思います。
  64. 大出俊

    大出委員 三十六年の九月十五日に総務部長から公文書が出ているようですが、たとえば熊本工事事務所長殿ということで物品購入の依頼についてとして、「下記は昭和三十四年度発注の勧奨物資の未整理品でありますが、今後消滅の目的で鋭意整理中でありますので、まことに迷惑とは存じますが、よろしく御協力下さいますようお願いをいたします。」記、品名はシートであるとか、二間かける三間のもので一枚がこれは二万円で、東京都台東区何とか町の中外工業株式会社で、注なんというのがついていて、「上記の品物は中央情報社渡辺茂氏の依頼品であります。二つは一般購入関係書類とは別個に取り扱ってください。」こうなっているのだけれども、私の聞いているのは、物を買ってくれというふうなことだと言うのだが、それではなぜ一体物を買ってくれということになるのか、そこを聞きたいわけです。
  65. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 物にもよると思いますけれども建設省の現場におきまして工事を遂行する上におきまして必要なものを買ってくれという場合が普通なのでございますが、その数量ないしその価格という点に問題があると思います。
  66. 大出俊

    大出委員 いま、会計検査院からいろいろ御指摘があったのでというお話があるのだけれども、数、価格という問題とおっしゃるいまの御答弁とあわせ考えるときに、数、価格等がこれはおかしいなということでなければ、指摘はないのじゃないかと思うのです。そうでしょう。そうなると、いまの御答弁が答弁になっていないような気がするのだが、そこのところはどうなっているのですか。
  67. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 いわゆる勧奨物資というものは、建設省の事業に必要なものの中で、数量ないし価格について実際の事業計画にはマッチしないとか、あるいは価格の点で適正な価格でないといったようなものをいろいろ勧奨によりまして購入するというものを、われわれは勧奨物資と称しております。
  68. 大出俊

    大出委員 これははっきり私は言っていただきたいと思っているのだけれども、購入総額が、たとえば三十四年度には二千七十七万六千百円、市場価格が千二百七万五千六百七十五円、差額が幾ら幾ら、三十五年度には、購入総額が二千百九十七万三千二百十円、市場価格が千四百二十四万一千八百六十円などなどということが、ずっとあげられている資料があるのです。つまり私は、こういうことは明らかにすべきものはしていかなければいけないのじゃないかという気がするので聞いているので、奥歯にものがはさまったようなことでなしに、どういうことがあって、したがってどうするのだ、それで今日どうなっているのだという点を、私はあとの問題にからむから言っている。たとえば直営工事をやめて、民間の優秀な建設会社がどんどんできてきて、技術的にも進歩してきたのだから、そっちのほうにどんどんやらしたらいいというただいまの大臣の答弁があるのだが、そんなことをしたらどういうことになるかわからぬという心配があるから、まず聞いておきたいのです。
  69. 平井學

    平井(學)政府委員 これは会計検査院からも指摘されたことでありまして、現在は、全国に通達を出しまして、これをやめさせております。やっておりません。
  70. 大出俊

    大出委員 ところで、いまやっておりませんという話なんだが、何年から何年くらいまでやっておられたのですか。何年からどういう措置でやめられたのですか。
  71. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 三十八年度に検査院等からの御注意がございまして、自今そういうものとおつき合いをしないという方針にいたしております。
  72. 大出俊

    大出委員 そうすると、三十八年までは長年やっておったということになりますな。
  73. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 そういうことになろうかと思います。
  74. 大出俊

    大出委員 私は、資料を見ているだけですからわかりませんが、これは九州等で告発状が出されていたりするのですが、この辺のことについて御存じですか。
  75. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 御指摘の点は、実は私よく承知しておりません。
  76. 大出俊

    大出委員 そこに在席の方々の中で、御存じの方はございませんか。
  77. 平井學

    平井(學)政府委員 告発のことは存じません。
  78. 大出俊

    大出委員 私は、真偽のほどが知りたいので質問をするのでありまして、そういう観点で聞いておるということを前提として御認識をいただきたいと思う。つまりこのことが真実であるのかないのか。世の中にこうこういうことがあったということが公にされている。してみると、それが間違いであるなら間違いであるということを、あなた方が否定される責任があると私は思う。そういう意味で、否定されないのだとするならば、事実あったのだと認めざるを得ない、こういう結果になりますから、こういう場所で私はものを申し上げているわけです。もう一ぺん申し上げますから、お答えをいただきたいのですが、一人の方は住友彰さんという人で、橋梁コンサルタント株式会社に勤務をしている。もう一人の方は吉田さんという方で、大阪府の企業局次長兼管理部長の職にある。この方々はかつて昭和三十四年から三十六年まで九州地方建設局に勤務しておられた方で、住友さんは同局の次長、吉田さんは総務部長、こういう方々なのです。いま言われる三十八年に指摘があって、それ以前にはこういうことが存在したということをお認めになっている皆さんが、三十六年までつとめておられた方々について知らないことはないと私は思うのですが、もう一ぺんお尋ねをいたします。
  79. 平井學

    平井(學)政府委員 まことに不敏でございますが、現在存じませんので、至急調査をいたします。
  80. 大出俊

    大出委員 こういうふうなことがたくさん行なわれていて、しかも秘密文書——これはまたあとから言いますけれども、マル秘文書ができておって、しかも、その中で市場価格との差がこれこれあったというようなことが記録されている。しかも、名刺が一ぱい張りつけてある。発注書を見ると、とんでもない方々の名前が一ぱいあがっている。そういう事実が山ほどある中に、でき上がり監査などと称して、直営はどんどんやめて、民間に——理屈はわからぬわけじゃない。私はわかる。その必要のあることも将来に向かっては認めるとしても、今日そういうことを言い出されると、これだけ建設省関係工事が山ほどあって、一体どういうことになっているかさっぱりわけがわからぬので、にわかに地建強化などという案には賛成できないから聞いているのです。皆さんが私を納得させがたいということで、調査するから待ってくれと言うなら、私はこんな法案を上げないでいただきたいと思うのだが、それでもいまここで御答弁願えませんか。
  81. 平井學

    平井(學)政府委員 先ほど申しましたように、会計検査院から勧奨物資について指摘を受けたことは存じております。
  82. 大出俊

    大出委員 こういうことをどんどんおやりになると——いまはこういう世の中ですから、いろいろな関係の方に紹介してくれといって紹介状を書くこともありましよう。人間相互がつくっている世の中ですから。しかし、官房人事課の何の何がしという方が、みずからの名刺にいろいろ書かれて、九州に行く人に持たしてやった。その人が地建のほうに持ち込んだ。そこで発注書ができて、物が発注されて、たいへんたくさん買われている。ところが、私もいろいろ調べてみたり聞いてみたりしましたが、地方の事務所に縁もゆかりもないようなものを買っている。しかも、市場価格と購入価格との差がこれこれあるということが明らかになっている。こうなると、その金はどこにいったのだということになる。しかも今度はその処理に困って、会計検査院が来るというので、積んであるからどういう理由づけをしようかということで苦労されて、口どめまでしてものを言わせないようにという形が方々にあるということになる。しかもこれが三十八年まで行なわれていたのだとなると、三十九年度というのは始まったばかりだから……。そうなると、こういうことを見過ごしにして今日ここに出されている法案というものを提案されても、大臣説明されている意図どおり簡単には受け取るわけにいかない。おっしゃっておることは、そのとおり筋が合って、確かに戦後の状態と今日は違うのだから、しかも大型の機械が必要になっている時期だから、さらに技術者も民間には優秀な方がふえているのだから、その意味では言われていることの理由も一面わかります。わかりますが、しかし、今日この研修所の大学昇格の問題も出ておりますけれども、私は昨晩一晩かかってこの議事録も全部何回も読んでみた。しかし、今日の事情を見ていると、これは郵政建築でもそうなんですが、若い方方が——大臣は、長い間勤続された方方について民間にいくことをきわめて奨励をされておられる。それもいいでしょう。いいでしょうが、今日若い方方は、郵政建築で育てても、ある一定の年限育つと、民間から口がかかって行ってしまう。建設省の場合は、それがなおひどい。せっかく研修所へ入れて研修を受けさせる、三カ月コースなり半年コースなり一年コースなり受けさせると、とたんにその方は民間に行ってしまう。こういろような形になっていて、何のことはない、民間の安上がりな技術者養成所になっていると、今日の建設関係の研修所等の事情を陰ながら私は聞いている。そうなりますと、民間業者との間に相当深いつながりが、建設省と今日の建設業界の中にはできている。そうなると、断わるに断われない、ないしは仕事関係で断わるに断われない、こういうことが山ほど存在するであろうことは想像にかたくない。そうなると、こういうことが至るところに起こる。ここにある名刺の数だけ見ても、百くらいある。そうなると、これが全国でどのくらいあるかはかり知れません。そのことを口を緘して知らぬということになってしまっていたのでは、疑惑は晴れませんし、新しい構想も生きてこないと私は考えるわけです。したがって、もう一ぺんこの点については大臣から答弁をいただきたい。
  83. 河野一郎

    河野国務大臣 私もいま初めて承ったことで、非常に相済まぬと思います。しかし、私は大臣になりましてから、そういう点については厳に戒めているところであります。いまもお話しのとおり、私は昭和三十七年の後半に大臣に就任いたしまして、三十八年度の初めからそういうことは絶対にいかぬという通達を出しております。そういうことは、三十八年度の初めに出させたわけであります。そうしてそういうことはいまやっていない。もしやっている不心得者があれば、厳に戒めるつもりであります。
  84. 大出俊

    大出委員 私はもう一ぺん言いますけれども、実はきょうは順序立ててものの考え方から大臣の構想を承りたいと思って用意はしているのですが、大臣の時間等もあり、いろいろせかれておりますから、中を抽出してものを言っております。そういう意味で、実はつじつまの合う全体的なものの考え方を申し上げたいのですが、できないわけでありますので、そのことも御了承いただいて、ずばり御答弁いただきたいと思うのであります。  例をあげますが、まず地建強化という問題をめぐって大臣が言われていることは、今日直営工事の形のものはできるだけやめていきたい。そうして民営に移していきたい。あるいは測量も設計もすべて民間にやらしていって、日々監査をするという形のものをでき上がり監査のような形に変えていこう、こういうものの言い方、それが今日の事情に合うのだという御説明、さっきからくどいように申しておりますように、確かに一理あります。しかし、今日の事情でそこまでいった場合にどういうことができ上がるかといいますと、たとえば道路の中級舗装をやる場合に、さてコンクリートを打ちますなら打ちますということになって、厚みなら厚みの計算で、二十三センチまでは基準ですね。ところが、これが五ミリ薄かった場合に、まあそれまではということで通る。しかし、マイナス三センチ、こういう場合には、それをこえれば打ち直させるとか、罰金をとるとかいう問題があるわけであります。そうすると、これは一体どこの人たちがやるのかということになる。でき上がったものを監査をしてみたら薄かった。ぶっこわして打ち直せということでは、たいへんな損失をかけるということになると、一体陰で何が動くかはかりしれない問題になる。そういうことになってしまってからではおそいのでありまして、日々監査をしていけば、板の幅があるのだから、別なものをつけて取りかえさせるということはできる。でき上がってしまってから泣きを入れられた場合には、どうなるかということになる。それでも早いほうがいいのだということでは済まない、国民の税金である国の予算を使うのですから。そういう問題が起こったときに、しからば一体どうするか、ここまで一体皆さんの目が届くか、こういう問題があるはずであります。まだたくさんありますが、ひとつお答えをいただきたい。
  85. 河野一郎

    河野国務大臣 私の申し上げておることも、多少誤解があるのではないかと思います。私は、いま直営工事で実際に働いておる人に、監督のほうに回るように勉強しなさい、これが私の基本であります。したがって、現地に監督者の数をふやして、直営工事でも監督しておるわけであります。指導監督は直営もしておる。それを全部現場のほうに回して、重点的に監督者のほうに回すようにしなさいという意味でありまして、決してでき上がり監査の監督の整理というようなことを考えておるわけではありません。
  86. 大出俊

    大出委員 いまの点については、もう一つ承っておいてから申し上げたいのであります。単年度予算でありますから、三月末に、かりに一千万の工事を請け負っておる会社が、百万程度の仕事だけ残ってしまった。この場合には、どういうふうに処理されますか。
  87. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 繰り越しの手続をとることになると思います。
  88. 大出俊

    大出委員 業者に対する登録取り消しだの、あるいは罰金だのということを考えているケースがありますか。
  89. 吉兼三郎

    ○吉兼政府委員 御指摘のような場合は、ケース・バイ・ケースであろうと思います。
  90. 大出俊

    大出委員 ケース・バイ・ケースというのは、ずいぶん都合のいいことばなんです。何でもケース・バイ・ケースになるわけですから。ところで、はっきりお答えをいただきたいのですが、帳簿の整理が、でき上がったことにしなければ罰金がかかるということで、建設省に働く職員の皆さんが、いやいやながら工事完了の帳簿整理をさせられている。こういうことは、私はいにしえに長いこと官公労の事務局長をやっておりましたのでよく知っているのでありますが、今日聞いてみると、なおかつそういうことが累積をしているというわけであります。これらは、ずいぶん行政面全体から見て無理な話なんですね。そのたびに私は、業者との間に義理人情が生まれはせぬかという気がするのであります。大臣が三十七年後半から建設大臣をお始めになって、現に先ほどの勧奨物資等の問題は、それをやらないようにということで通達をされた。当然だと思います。これは会計検査院が今日まで何回か指摘しているところでありますから、実はおそきに失したものであろうと思うのでありますけれども、しかし、私は、現にいま二つも例を申し上げたわけでありますが、一つ大臣の御答弁がございますけれども、現実に存在をする限り、そう簡単に切れていく筋合いのものではない、こういうふうに考えているのであります。そうなりますと、今後の指導の面なり、機構の面なり、こういうところから防いでいくという形も考えなければならぬ筋合いでありまして、現地に働く建設省の方々が、やむを得ずそういうところに追い込まれるということにすべきではない、こういうふうに私は考えているわけであります。そういう点で、どうも地建の強化なり、それから工事事務所の統廃合なりという問題をめぐっても、皆さんが提案をされている趣旨のように簡単にはいかない、こういうふうに私は考えておりますから、いま申しました後段の点等について、どういうふうにお考えになっているか、もう一ぺん承りたいわけであります。
  91. 河野一郎

    河野国務大臣 御承知のように、従来工事の発注等、もしくは工事の施行期日等を大体年度末にそろえている悪い傾向があります。私は、これは非常に遺憾に考えまして、年度当初なるべく早く予算の割り当てをして、発注を早くして、年度末に工事ができ上がることをなるべくさけるようにして、鋭意工事の進捗をはかっております。そういうことは、全部が全部とはまいりません。年度末になることもあります。しかし、私の知る限り、工事を早目にさせて、おくれることの絶対にないようにさせるということで、少なくとも、昨年におきましても、今年におきましても、大体そういう傾向にあると思いますが大体年度半ばにおきまして年度末を見合わして、余っている予算はこっちへ返せ、無理なものはやるな、できることだけやれ——大体が、用地の買収その他でこれは予定どおり進まぬ場合がありますが、そういう場合はなるべくやらさぬようにするということに鋭意努力しておりますから、従来のように、三月末に、工事を次年度へ繰り越すということは、全然ないとは申しません、あるとは思いますが、それは非常な例外であって、鋭意それがないようにするのが、私の指導方針であります。
  92. 大出俊

    大出委員 ここでひとつ確認をしておいていただきたいのですが、先ほど名前をあげました勧奨物資にからんでいる問題について、後刻調査をするというお話なんだが、この方々は、先ほど例をあげましたように、一つの職についておられる方々なのであります。しかも、つい最近まで九州の地建におられた方なのであります。してみると、このことについてみなさんの側で知らないという、大臣も聞き初めだという、そうなりますと、どう考えても、私はこの点納得がいかない。告発をされていて、しかもこれは今日なお官職にある方である。そうなると、今日日本に法務省というものがないわけではない。たとえば郵政省で官僚の問題が起こった場合も、必ず相談がくる。私も、郵政省の専門学校を出た者ですから、その点は詳しいのですが、そういうばかなことになっている話は世の中にはない。だから、知らないと言っておられるのだろうと思う。そうなりますと、今日までこれを処理しないでおいておいたという責任だけでなしに、知っておって知らないという責任もまた存在する。なぜ知らないと言わざるを得ないかということも聞きたくなる。ところで、みなさんのほうで調査をいたしますということになると、ここに提案されていることは、だいぶ時間がかかって論議されていることである。地建強化という問題にしても、工事の統廃合にしても、新河川法との関連もあり、あるいは新産都市との関係もあり、広域行政との関係もあり、臨時行政調査会との関係もある。そうなってくると、この点は、中央集権的にだんだん権限が強められていき、今日の中央政府の考えなり、あるいは関連する方々の考え方の方向に全体を動かしていこうという、そういう意図のもとに行なわれていると考えている。ところで、いま言われたようなことを明らかにされないところは、この辺でこんなことが大きくなると、いろいろな面でどうも支障があるということも考え合わせてなのかもしれません。したがって、調査をされるというのだけれども、いま具体的に名前をあげているのですから、そこのところはどういうふうに調査をされますか。
  93. 河野一郎

    河野国務大臣 名前はだれですか。
  94. 大出俊

    大出委員 全部申しましたが、もう一ぺん。住友彰さんという方は、橋梁コンサルタント株式会社に勤務しております。吉田泰夫さんは、大阪府の企業局次長兼管理部長。この二人の方は、昭和三十五年から三十六年まで九州地方建設局に勤務しておられて、住友さんという方は同局の次長さんですが、吉田さんという方は同局の総務部長さんという地位におられたという方々であります。だから私は、この真偽のほどを確めていただきたい。だから、それを調べて、やはりはっきりしていただかぬと困るということです。
  95. 河野一郎

    河野国務大臣 いま聞きますと、これは住友というもと九州の地建局長、いま建設省をやめまして、民間へ出ておるそうであります。だいぶ時日の経過した問題のようでございますから、そこで先ほど申したように調査をしてお答えするよりほかにしかたがないと思います。少なくとも私が建設大臣になってからの事件ではないので、以前のことでございますから、よく調査をいたしましてお答えいたします。
  96. 大出俊

    大出委員 これは遠い昔のことじゃないのです。三十八年の八月の八日に、証拠資料その他を添えて告発状が出されておる筋合いなんですからこのことについて知らぬということはない。福岡地方検察庁あてなんですから、次席検事がこの告発状を受け取っておりますし、なおいろいろここに資料がありますけれども、ことこまかに申し上げるのは時間の不経済だから申し上げないのです。これを単にわかりません、聞き始めで、これから調べますということは、どうも私は……。
  97. 平井學

    平井(學)政府委員 存じません。そこで至急調べて、調査の上お答えいたします。
  98. 大出俊

    大出委員 知らないと言われれば、人間ですから、知らぬということで、うそ発見器を持ち出すわけにいかぬから、これはしかたがない。先ほど私前段に申し上げたことに対して、大臣のほうから監督をふやすのだというお話がありましたが、一人も首を切らないという省内紙の発表もあるわけであります。そこでいま現に働いている方々ですから、この方々に今度はこういうことをやれという、つまり言うならば、部内における職種転換です。これはなかなか言うべくして行ないがたい問題なんであって、たとえば八幡製鉄なんかの例を見ても、四十五歳を越えると、なかなか昇給しない。この方々を職種転換するのには試験をするというので、家庭教師を呼んで勉強して、やっと試験を受けるということが会社にはたくさんあるのです。この間の答弁にも、それが議事録にもありますが、ずいぶんこれは便宜措置に過ぎるという感じがするのでありまして、やれといったってできない人はたくさんいるので、行二の俸給体系に入ってきている方々というのは、まして途中から入ってきている方々が多いのでしょうし、そう簡単に口で話をするようなぐあいにはいかない。私は、やはり直営を廃止して、これを民間にやらせるということの中に、監督をふやして日々監査をするのだと言われるけれども、そうではないことは、現にここに書いてあるのだ。そうなると、そのことは結果的に、やはり私がさっき言ったようなことに結びつく、こういうことになるおそれ十分だと考えているのですが、この間の村山さん等の質問に、人員の問題について説明をされておりますけれども、その中でも、どうもきわめておっつけ仕事みたいな答弁がある。人員配置はこういうふうに変えていって、しかも再教育をする場面はこういうところでこういう計画でやって、その結果こうするというふうなことが何もない。これらのことについて、私はこの際、先ほど大臣が言われるような、監督を今日使っている方々の中でふやすという、それによって監査は厳重になるのだとは考えないので、もう一ぺんそれらの計画についてお話しいただきたい。
  99. 河野一郎

    河野国務大臣 お答えいたします。  私は、当委員会において当初以来お答えを申し上げましたとおり、私の基本考え方は、いまお話のように、年をとったものにやれといったってできぬじゃないか、無理しろといったってできぬじゃないか、そういう人にやっていただこうという考え方は持っておりませんが、中に勉強して、十分機会を与えれば、いまの地位よりも監督のほうに回って向上するという素質の人があるだろう、そういう人にどんどんできる機会を与えていくことがほんとうである、こういうつもりなんです。そういうことをやる意思のない人は、いまのままでやっておられてけっこうなんです。国全体を見てお考えになればおわかりのとおり、中小の土建業者は、非常に手があいて困っております。大小それぞれの分において非常に仕事がふえておりますけれども、しかも一方においてはそういうものがございます。したがって、監督者等が非常にたくさん入り用になっております。でございますから、この機会に、従来建設省で働いておられた人に勉強の機会を与えましょう。監督のほうに回っておやりになる人はやっていただきましょう。また、建設省といたしましても、他の役所と違いまして、自分一人でできることでございません。みな民間の人の協力を得なければなりません。設計自体にしてもそうですし、仕事自体にしてもそうです。先ほど、せっかくつくった人間を民間に取られるじゃないかと言うが、私は必ずしもそういうふうに考えておりません。民間にもそういうふうに能率のあがる人がおって、どんどん能率のあがる仕事をしてもらったほうがいいのじゃないか。実際の仕事は、民間にやってもらったほうがいいのじゃないかと思います。中には、その間に注意しなければならぬ点、御指摘のような点も間々生ずるかもしれませんが、そういう点はわれわれが努力をして、そういうことがないようにしていくのが、われわれの責任だ、こう考えておりまして、ぜひやりたい、そして機会も与えたい、そして能率的に、合理的にやっていきたい、これが私の意欲であります。
  100. 大出俊

    大出委員 いまの質問は、先ほど大臣の中座された時間もありましたので、多少前後してものを言っております関係で、このあたりで整理をさせていただきますが、私は、先ほど勧奨物資の問題等をあげたのは、長年こういうことが続けられているということになると、よほどその衝に当たる方々が気を配れるような機構をつくり、さらにその辺の配置考えて、かつ、よほど回を重ねて監査をするというような方針をとらなければ、一つの間違ってでき上がり監査みたいなかっこうになるとえらいことになるということを、率直なところ心配してものを言っているのです。そこで、そうだとすれば、この勧奨物資あるはい押し売りなどといわれているものは、大臣になられてから厳にこれはいけないという通達を流されるというだけでなしに、現実にやって告発をされているようなものについての処理は、それ相当にやはり国の責任という立場ではっきりさせていただかなければ、やみからやみに流されてしまったということであれば、三十八年までこんなことがあったんだっけということになってしまう。さらに別な形で何が起こるかわからない、こういうことになりますから、当然、これは昨年八月のことだから処理されているべきはずである。ところが一方、建設省にも労働組合が存在するはずだけれども、この建設省の労働組合に対して、これは官房長が出したのか、人事課長が出したのかわかりませんけれども、管理課長かもしれませんけれども、管理要綱なるものをつくられて、管理体制などということを相当こまかく微に入り細にわたって書かれている。これはいままでほかの官庁にもこういう例がないわけではないので、それなりに初めて見るものでありませんけれども、この内容を見ると、どういう議員が何時何分にどこに来て、何をしゃべってどうやって帰ったかまで全部調べるようになっている。欄までつくって、議員という欄がある。様式三などと書いてある。ここまでくると、私は、どういう階層の議員の諸君にしろ、あまりいい気持ちはしないと思う。それは特定の方々を対象にと言われるかもしれぬけれども、この皆さんが流しておられる管理要綱の内容を見ると、対組合ということを中心にしておられるのかもしれぬけれども、これは実に微に入り細にわたり過ぎていて、終始一貫監視をするという体制になっている。労働組合に対してこれだけの監視をする体制をおつくりになるならば、先ほどのようなことがわからぬというばかな話は、世の中にないはずです。もう少しそういう面に対する監視をなぜ強化しないかと言いたくなる。こういうような、管理様式三だの、それから様式の八だのといろいろあるのだが、これらのことについては、皆さんのほうは一体どういうふうにお考えになっているのか、こういうものを書かれた衝に当たった人に私は聞きたい。
  101. 平井學

    平井(學)政府委員 その内容につきましては、私直接記入事項等も見ておりません。それは当時いろいろ組合との間に不幸にしていざこざがあったために、あるいは裁判ざたになった問題もたくさんございます。そんなわけで、最小必要限度のそういう記録をとったのではないか かように考えております。
  102. 大出俊

    大出委員 私の関係をする省の場合なんかでも、管理体制の強化問題で、ある時期にいろいろな問題がありましたが、しかし、そういう場合に、行き過ぎておるものについては、後刻行き過ぎは改めているのであります。労使関係というものは動いているのでありますから、したがって、敵視をし過ぎるなどということが長く続くということは、単に一方にのみ責任があるという筋合いのものではないと私は考えております。そういう意味で、私こまかいことを申し上げたいのですが、時間がないようでありますから省略をいたしますが、ずいぶんいろいろなものがあります。私ども長くそのほうの専門的な立場におる人間としても、どうも行き過ぎであるというふうなものがちらちら幾つもあるのでありまして、そういう点は、せっかく大臣が先ほどのお話の中で、旧来の陋習を破って改めようという意欲で、三十八年までの問題には、通達を出して締めくくっておるというお話もありますから、やはりその辺のところは、行き過ぎたものについては改めていくという謙虚な立場が、管理される責任のある方々にあってほしいと私は思うのでありますけれども、その辺のことはどうお考えになりますか。
  103. 河野一郎

    河野国務大臣 御指摘の点につきましては、よく再検討いたします。
  104. 大出俊

    大出委員 ところで次の問題でありますが、「道路」という雑誌があるのでありますけれども、この中に建設省大臣官房文書課長さんの名前で「地方建設局の機構改革について」という解説の文章が載っておるのでありますが、この中で特に強調しておりますことは、臨時行政調査会の専門分科会の中間答申等に触れて、総合的な広域行政問題とからめて書いておられるのでありますけれども、どうも今回の地建強化というものが、全部一貫をして新産都市問題、あるいは従来の四大工業地帯等の問題それを広域行政への方向というふうな形、新河川法の提案というようなもの、これらのものと全く一貫をして出てきているように考えられるのであります。  そこで私は承っておきたいのでありますけれども、この解説の中にも、二重行政なんということにも触れて、結果的にそういうととが行なわれないとすれば、これは非常にいい案なのだということを言っているのでありますが、先般来の議事録による大臣答弁では、二重行政ということが一がいになくなるということではなしに、将来に向かってなくする努力をするのだ、こうなっておるのでありますが、私は、むしろ逆に今回の地建強化というものは、その辺のところに実はほんとうのねらいがあるのではないかという推測をしているわけであります。というのは、各県が事務所を東京に一ぱいつくって、建設省にいろいろな圧力団体を使って圧力をかけるということがまことに猛烈に行なわれている今日の事情、したがって、計画事務、実施事務というふうに分けて考えた場合に、建設行政の面で、計画事務ということよりも実施事務に振り回されてしまって、にっちもさっちもいかないという面がたくさん出てきておる。そういう中で、地方に権限委譲をするということで権限委譲をして、建設本省のほうは権限を地方にやったのだという言い方、言いのがれになり、地方のほうは権限はもらったけれども、しかし、建設省のワクがあってということになっていく。つまり地方自治体の自主的な動きというものをていよく緩衝地帯をつくって体をかわし得る、この辺が、どうも私はほんとうのところであり、かつ先ほどの臨時行政調査会の答申等とからめてものを言っておる内容から見ると、どうもねらいがますます中央集権的にしていくために、緩衝地帯をつくってそこに結びつけていくという、まことにうまい結果にやり方によってはなってくるのではないか、こういう心配を私はする。それがつまり当初各知事が反対をしたりいろいろもめてきたいきさつだと私は思いますので、少しきれいごとでなしに、ずばり御答弁を願いたいと思います。
  105. 河野一郎

    河野国務大臣 問題は、機構でなしに、行政は人の指導だと私は考えます。少なくとも私は、御承知のように、ここまで建設行政を進めてまいりまして、一番遺憾に考えておりますことは、風水害でありますとか、地方に実際突如として起こった応急対策、これらに対して十分に調査もできなければ、指示が徹底しない。これを各府県にゆだねて、府県の報告だけでやりますところに非常に問題があるのでございます。これらについて、常時地方の実情を把握し、また問題が起こったときにそれについてすぐに調査ができ、そして遅滞なく対策が講ぜられるということが必要であるということで、私は地方になるべく委譲をして、そして地方の勢力を多くして、これらに対する対策を思い切ってやらせるというところにねらいを持ってやったのでございます。しかし、これも指導のいかん、やり方のいかんによりまして、お話のようになる場合があるかも知れません。しかし、そういうことはよろしいことではないのでございまして、行政は、どういうように書きましても、どういう制度をつくりましても、運用が問題であるというふうに考えまして、少なくとも私がこれを考えましたのは、そういう意味でやったのでございまして、地方の圧力だとか、東京に出張所があるからどうだというようなことは、いやしくも私は考えていない、そういう経験もしていないのでありまして、私自身考えておりますことは、地方に十分に調査、実態を把握するというような意味合いにおいて、地方のおっしゃることについて、私自身もしくは建設省人間等も、十分実情をつかんでいなければだめだ、またわかる者とわかる者と話し合いをさしたほうがよろしいといったような意味合いでこの制度に切りかえる、こういうことなんです。
  106. 大出俊

    大出委員 具体的な問題を二つばかり質問いたします。  一つは、先ほどの工事事務所統合に関する中で、統合される先の、先ほど例をあげました場合、青森国道工事事務所統合する、こういうわけで違う工事その他が統合されるのでありますが、統合される側は主として河川、砂防等の仕事中心がある、統合するほうは今度は道路等々が中心になるということでありますが、その意味で、どうも砂防事務というふうなものが非常に軽視をされる結果になりはせぬか。そこで建設省設置法改正に際して、砂防事務が地方建設局に委譲される。本省ではわずかに二十二、三人の人がやっておって、新しい機構によると、砂防課なんというものもないし、災害検査官とかなんとかということで一、二名の方が河川部に配置をされる、こういうようなことも出てきておりますし、さらにもう一つは、金の面で二十九年の一兆二千四百八十四億円の治水計画という意味における十カ年計画ということでここで始められまして、三十五年に九千二百億、ここで一八%の実施ということになっているのであります。さらに三十九年には一兆四千億、治水五カ年計画、これは未決定のようでありますが、三七%程度の実施。ところで、道路のほうは、同じ二十九年に二千六百億円、そして三十三年に一兆円、ここで五カ年計画、その間七二%。さらに三十六年二兆一千億、これは五カ年計画でありますが、この間五五%。さらに三十九年四兆一千億円、五カ年計画でありますが、これまた五五%。これを対比いたして見ますと、どうも治水計画の面が、きわめて心細いことになりそうな形勢にある。これでは国民全体の心配の種である災害というものと結びついて、これを放置しておいていいのかどうかという問題がからんでまいります。確かに道路が、自動車を数年前年産百万台の計画を立てたのに、それに伴わなかった事情もあるのでありますから、そういう方面に重点が置かれるのは、今日の政策的な面としては、立場が違いますが、私はその点はそれなりにわかりますけれども、このままで事務所の統廃合とからんで第三点としては、この工事事務所というところには、村の方や町の方々が足を運んで、おれのところのこの川はどうしてくれるのだということが、年じゅう地方政治の中の不満のはけどころ、よりどころとして押しかけられていたのでありますが、そういうところがあっさりどうも道路のほうにみんな持っていかれることになると、一県の中で一カ所しかないということになった場合に、いなかの河川その他が一番心配になる方々は、どこにものを持っていけばいいかという問題が起こるのであります。これが三番でありますが、そういうことをこれから皆さんの側は一体どうしようとするのか。  それから四番目に、もう一点聞いておきたいのでありますが、設置法の面からいきましてもそうでありますけれども、この工事事務所統合に関する問題は、省令でやるというわけであります。これだけのものを私は、省令でこうしますということで一ぺんになくしたり一緒にしてしまったりということでいいのかどうかという点が、大きな疑問として残りますので、まずこの四つの点について第一番にお答えをいただきたい。
  107. 河野一郎

    河野国務大臣 砂防の問題につきましては、いろいろ御意見もおありのようでございますし、またごもっともな点もございますので、なおまた農林省の砂防、建設省の砂防等との関係もございますので、十分御審議をいただく過程におきまして、私もいろいろ考慮しなければならぬ点もあるかと考えております。これはいずれ結論の出ます際に、私はひとつ意見を申したい。  それからいま道路のほうがあまり急激に膨張して、河川のほうがなおざりじゃないかというお話しでございますが、決してそういうことはございません。蛇足になるかもしれませんが、河川法については、明治二十九年以来の河川法の改正を昨年提案いたしまして、そしてこの際河川法について画期的にやろうといたしましたところが、これは運悪く廃案になりまして中途はんぱになりましたために、根本から変えていかなければならぬというようなことになりまして、あらためていま河川法の制定をお願いしているというようなことでございまして、新河川法ができますれば、それによって画期的な河川行政の改正をいたしたいという熱意を非常に強く持ってやっているわけでございます。したがって、いま御指摘のようなことではございません。決して私は河川予算を減らして道路のほうに回したり——いずれもただふえ方が少ない、年次がうまく合っていない、道路のほうはどんどん急いでおります。これは御承知のような道路関係になっておりますから、二級をどんどんふやす、一級をふやす、そうしてやっている、その間にハイウエーもやる。ところが、河川のほうは、いま申しましたような次第でございますために、新河川法の実施とともに河川行政について根本的な案を立てようということで一年ずれたのでありますが、私自身の行政としてはそのとおりでございますが、これはできますれば新河川法制定によって抜本的なものを考えていきたい、こう思っているわけであります。
  108. 大出俊

    大出委員 もう一点御質問いたしますが、これは建設委員会関係、逓信委員会関係があるのでありますけれども中心だけ簡単に御答弁いただけばけっこうです。電波法の改正とからんで参議院の逓信委員会ではわずかに連合審査が行なわれておりますが、百二条の二というところで「八百九十メガサイクル以上の周波数の電波による特定の固定地点間の無線通信で次の各号の一に該当するものの電波伝搬路における当該電波の伝搬障害を防止して、重要無線通信の確保を図るため必要があるときは、その必要の範囲内において、当該電波伝搬路の地上投影面に沿い、その中心線と認められる線の両側それぞれ百メートル以内の区域を伝搬障害防止区域として指定することができる。」という、これとからんで建築基準法との関係が出てまいります。たとえば神奈川県の横須賀に長井というところがあって、ここに自衛隊の、ミサイル基地がある。東京からここに防衛庁なりその他から通信をする。その通信路線が横浜市の本牧の埋め立て地を通る。ここに日赤の建物がいま建っておりまして、これに触れる。さらに、横浜市の計画で根岸地区と本牧地区を結ぶ大きな橋ができることになっておりますけれども、これも触れる。こういう問題が出てきて、かつてこれがちょっともめたのでありますが、自衛隊の法律関係を調べてみましたけれども、協力を求めるという表現はあるけれども、禁止規定はない。ところが、電波法の改正という形で禁止をしようという意図が出てきている。そこで先般建築基準法の関係で、建物の高さの制限云々という問題等が出てきたときのいきさつがあったりいたしますので、このことは、どういう理解で郵政省との間に話がついたのか。一つ疑問の点は「人命若しくは財産の保護又は治安の維持の用に供する無線設備による無線通信」、これが三項に入っているのでありますが、「治安の維持」というところに自衛隊の通信問題がかかりてくる。これは実は逓信委員会でもどこでも一切論議されていない、こういうことは別なほうから入ってきたので。ただしかし、真の所管は建設省ではないので、こういう場合に建築基準法との関係でどういうことになるのか、この結論だけをはっきり承っておきたい。
  109. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 高層建築ができました場合に、電波との調整をはかることが必要でございますので、特に昨年の建築基準法改正によりまして、三十一メートルをこえるいわゆる超高層の建築ができる可能性が出てまいりましたので、今回電波法の中に、そういう建築物を建てる場合には、あらかじめ郵政大臣に届け出ることにしたのであります。そして郵政大臣の手元で、届け出られた計画と電波の計画の調整をはかりまして、お互いにあるいは建築の計画を変え、あるいは電波の位置を変えるという調整によりまして、両者の調整をはかることにしてございます。
  110. 大出俊

    大出委員 そうすると、いま例にあげました自衛隊の通信、そういうものも、当然入るという理解でよろしゅうございますか。
  111. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 その構造物が、三十一メートルをこえます場合には入ります。
  112. 大出俊

    大出委員 最後でありますけれども二つございまして、一つは先ほどの勧奨物資などというようなものと関連をいたします。調査をされるという点でありますけれども、これについては、いずれかの場所でやはりはっきりしておいていただきませんと、これは私どもも、出した問題でありますので、締めくくりがつきません。そういう点で、どういうふうに明らかにしていただけるか、ここのところをひとつはっきりさしていただきたい。
  113. 河野一郎

    河野国務大臣 先ほど来御指摘になりました点につきましては、十分調査をいたしまして、すみやかに、もし御了解願えるなら、建設委員会において明瞭にいたしたい、こう考えます。
  114. 大出俊

    大出委員 それではいまの点は後ほど——私の気持ちとしては、この席でこれだけ申し上げたことですから、しかもこの設置法はどういうことになるかわかりませんけれども、将来これが実施されるということになりますと、幾つか例をあげましたような心配な点もありますので、内閣委員会の席上で明らかにしていただきたい、こういうように思っておりますが、よろしゅうございますか。
  115. 河野一郎

    河野国務大臣 よろしゅうございます。
  116. 大出俊

    大出委員 これが一番最後なんでありますが、建設行政がますます複雑になっていくのだろうと思うのでありますが、この時期に、先ほど御答弁にありましたように、そこに働く職員の方との間で常にどうもいろいろなトラブルが繰り返されてきたという、さらに繰り返されるということは、やはり考えなければならぬ点だと私は思います。そういう意味で、やはり前向きに皆さん方のほうでこの点については留意していくというふうにしていただきたいものだと私は考えるのでありますが、たまたま先ほどのようなことも、例にあげましたような幾つかの問題もありますので、十分それらの点も勘案して、そういうことがあると、それがまた一つの大きな争いの種になりかねないことでございますから、そういう点もひとつ十二分にお含みの上で、前向きな善処をお願いをしておきたいと思います。
  117. 徳安實藏

    徳安委員長 受田新吉君。
  118. 受田新吉

    ○受田委員 能率をあげて、十分間の質問だけにとどめます。答弁が長くなると、時間がかかります。質問は十分しかしません。  河野さん、あなたは、経済企画庁長官もやっておられ、また農林大臣もやられ、建設大臣もやられて、いわゆる経済閣僚としての重要ポストを歴任されたお方であるし、国土の総合開発計画という大目標のために、あなたが非常に馬力をかけておられることには、私は非常に共感を呼んでおるわけです。ただ、この大事業を果たすために、終始長期的展望に立つ  日本の経済の実態も把握しておられると思いますが、最近のあなたの御努力のあとを見まして、確かに効率的なやり方をされておりますけれども、それが長期的展望に立つところの計画性に欠けておるのじゃないか。たとえば人口の動態が、都市人口がいまどういうふうになっており、これが十年、二十年先にはどうなっていくか、そうすると、都市の人口が稠密する年代を追うて住宅計画をどう立てるか、官庁街をどうするか、学校、学園都市をどうするかというような、そういうものが十分立てられていなければならぬ。また官庁をつくることを急いで、庶民の住宅というほうをあと回しにしておる。官庁などというのは、あとでつくってもいいものです。庶民の住宅というほうを先にやる。西独のアデナウアー総理は、あの施政中に、まず庶民の家をりっぱにつくって、衣食住の基礎をつちかっている。官庁のお役人は粗末な役所でもがまんしてやってくれと言って、国民生活の基盤を養うことに重点を置かれまして、官庁は非常なお粗末なところでお役人は職務をとっている。しかし、庶民の住宅は充足しておるというのが、西独の戦後の政治の基本であった。私は視察して、ひそかに敬意を表してきたのです。そういう意味で、ひとつお答えを願いたい。今度の法案改正を拝見しますと、まず経済の成長に伴う産業基盤構造の充実をはかるために、公共投資を中心として重点事業を推進するための必要な機構改革をしたいと、こう第一に書いてある一わけです。けっこうなことです。そこでお答えを願いたい。私はなるべく大臣にお答えを願いたい。第一は、日本の人口の移動が今後どうなっていくか、産業構造の変革に伴うて、都市人口の集中度がどうなってくるか、それに伴うところの住宅計画をどうお立てになっているか、ということをひとつお答え願いたいと思います。
  119. 河野一郎

    河野国務大臣 たいへんむずかしいことでございますが、私は私なりに、今後二十カ年、わが国のあるべき姿はどういうことになるだろうかという一応の青写真をつくりまして、その青写真によって実はものを進めるということを基本方針にいたしております。そこで人口のぐあいにつきましては、今日までも決して放てきしておったわけではありませんが、国民諸君の自由な御意見によって大都市に集中しておる、この姿が、このまままいることは、非常に遺憾なことでございますので、これをいかにしてそれぞれの拠点に分散するか、また拠点にとどまっていただくか、開放経済のもとに一番働きやすいところ、一番能率のあがるところに都市づくりをしていかなければならないというところのものを、実は考えておるわけであります。そういう企画構想に基づいて、まず道路の案をつくっております。道路の案をつくり、あわせて都市計画等をつくる。たとえば関東につきましては、東京の周辺に水戸の手前、宇都宮の手前、東京寄り、高崎の東京寄り、それからこちらは西相模というところに四つの拠点を置きまして、ここに関東としては東京の別にそれぞれの都市をつくろう、それぞれの計画を立てまして、これに実は着手をいたして、今年度の予算においても、一部予算をちょうだいいたしておるということの、一例を申し上げますれば、考えでやっておるわけでございます。いまのところでは、都市計画、住宅はこういうふうにしていこう、住宅団地をこういうふうにしていこうという計画で、土地の買い上げの一部予算をちょうだいしておるということであります。
  120. 受田新吉

    ○受田委員 私、道路計画の雄大な構想を推進したいという大臣のお気持ちは、よくわかります。しかし、私がここで当面提案を申し上げておきたいことは、まず人間は衣食住、住まいというものが安定しないと、生活は安定しないわけです。スラム街で苦労される皆さんの実情などというものは、これは残酷ですね。引き揚げ住宅なども全国各所にそのまま残っておるでしょう。あの悲惨な旧兵舎を利用しておるというものが、たくさん残っておる。また、都市の住宅事情などというものは、これはもう三畳か二畳かというところに二人も三人もおって、これはほんとうに人間らしい暮らしと言えない人がたくさんおるわけです。にもかかわらず、官庁ばかりはりっぱにできて、相次いで何十億というものをかけて、でっかいものがどんどんできておる。しかし、庶民の家はそういう窮迫の中に置かれておるという、このやり方を改正する必要はないか、ひとつ大臣に伺いたい。
  121. 河野一郎

    河野国務大臣 住宅計画として御承認を願っておりますとおり、政府といたしましては、今後七カ年間に全部の人に一世帯一住宅、これはもう各党とも一致した方針計画を実施しようといたしておりますが、それはいま住宅をお持ちにならぬ人を一応充足するということでございますけれども、御承知のように、現に地方からどんどん大都市に集まってまいられますので、現在の調査は一世帯一住宅になりますけれども、今後は、いま申し上げますように、地方から出ていらっしゃる人にどうするかということで、私はそれぞれの新都市の計画を立てておる、こういうことでございます。さしあたりの住宅政策は、いま申し上げたように、一世帯一住宅ということで、年次に分けてきちっと予定どおりに進むことになっておるわけであります。
  122. 受田新吉

    ○受田委員 この点は、住宅局長でけっこうですがいまの一世帯一住宅という案を完全に実施する年度をどこに置いておられるか。
  123. 前田光嘉

    前田(光)政府委員 昭和四十五年度までに一世帯一住宅を実現するために、総計七百八十万戸の住宅を建設する計画でございます。
  124. 受田新吉

    ○受田委員 その計画をできるだけ縮めるためには、官庁建築計画を一応あと回しにして、庶民住宅をつくるという計画に政策転換はできないか。
  125. 河野一郎

    河野国務大臣 私は、いま一応四十五年までの七カ年のうちに一世帯一住宅という消極的なものを持っておりますということを申し上げた。積極的には——いまお話しのような官庁の営繕のごときは、大した金ではございません。そこで、その程度の金でなしに、明年度の予算の編成にあたりましては、積極的な住宅政策をやらなければいかぬという意味で、せっかくいま検討中でございます。大体の方向としましては、低利にして長期の資金を貸し付けをいたしまして、そしてそれによってそれぞれの方の御希望を満たすような方向にいきたいということで、具体的な案を検討して、明年度予算はぜひ実現したいと考えております。
  126. 受田新吉

    ○受田委員 河野さんが宅地債券等の制度も創設して熱心に取り組んでいることは、よくわかるのです。官庁建築費などは大したものではないということは、一応私どもはうなずけます。しかし、庶民は、官庁がばかにりっぱになる、しかし、われわれの家はいつになったら得られるのだろうか、住宅金融公庫の金のワクなども限られておりますし、公団住宅だってなかなかはいれない。こういうときに、この庶民のすなおな声を受け入れるためにも、官庁建築はあと回しにしてでも庶民の家を充実するという、これはささやかな問題でありますけれども、国民感情にマッチする重点施策をとっていただきたい。河野さんで初めてできることだと思うのです。河野さんは、建設大臣になられて非常に国民の評判がいい。農林大臣当時には悪評を重ねられておったたけれども、最近は確かにその点は非常にいいのです。こういう意味で、ひとつあなたは少なくとも内閣における副総理——副総理は佐藤さんもおられるけれども、副総理を自任して、経済閣僚を経歴されたその力をひとつ勇敢にこの庶民住宅の建築というところに——これだけ完成されても、あなたは後世歴史に残る人として非常に喜ばれると思うのです。これはひとつ大臣御自身も副総理の観念で、いま閣内でがんばって、広く他の省にも関連する問題にも触れて熱心にやっておられるが、あなたのお心がまえがそういうことであるかどうかを伺いたい。
  127. 河野一郎

    河野国務大臣 御指摘の住宅問題につきましては、できるだけ私の可能な範囲におきまして、明年度以降取り組んでいくという決意であるということをここで申し上げて、その他の点につきましては、答弁を申し上げることは……。
  128. 受田新吉

    ○受田委員 ちょっと、あと聞えながかったが、よろしい。あと一、二、質問をいたします。  私、ここで懸念していることは、今度の改正案の中にいい制度があって、来年の三月までに例の公共用地審議会の公正な答申によって仕事をしたい、こういうお気持ちがある。これはいいことです。いいことですが、この制度ももうおそきに失した。現に道路計画などを進めるに、たった一軒がかんばるために、事業が一年も二年も延伸するという、そのために受ける国民の被害というものは、たいへん大きなものがある。そういうことについて、私有権の尊重ということと公共の福祉増進ということを十分かね合わせて考えて、土地収用法の改正というようなものも、これは少なくとも大急ぎで手を打たなければならぬ問題だと私は思うのです。また、道路計画あるいは住宅計画を進めるのに、農地法を改正してこの都市周辺の農地転用の道も開いていく、こういうようなことについて、土地収用法及び農地法の改正についてはどういう御意見を持っておられますか。
  129. 河野一郎

    河野国務大臣 土地収用法の改正につきましては、お話のとおり、これを可及的すみやかに効率の上がるようにいま改正案を参議院で御審議をいただいておるところでございます。農地の転用につきましては、これも参議院のほうを終わりまして、いま衆議院のほうで御審議をいただいておりますが、農地の中で都市周辺の農地、しいて申しますれば、C級の農地としてもう絶対のものはこれは別でございますが、そうでないものにつきましては、従来農地と名のつくものは一切受け付けないということになっておりましたものを、宅地として宅地造成をする場合に受け付けていただく、農林省で御協力いただくということの農林省の御了解を得まして、宅地造成に関する法律をいま衆議院で御審議をいただいております。御期待に沿うようにいまやっておるわけでございます。
  130. 受田新吉

    ○受田委員 そうした裏づけをどんどん実行に移していくという態度、この問題は、私はここで指摘するよりももっと早くやっていただきたかったわけでございますけれども、しかしながら、おそきに失したとしても、この問題はひとつ早急に実施の上で遺漏なきを期していただきたいと思います。  最後に、最近の宅地造成でたいへん危険な要素をはらんでいるものがあるのです。たとえば宅地造成の事業者が、岩盤の上に砂を適当にまぜて、地震でも起こるとたいへんなごとが起こりそうなあぶないところがたくさんころがっている。にわか仕立ての宅地造成をやっております。その上に建築をやっているのですから、アラスカの地震を思うても、いつまた周期的に——これは国土地理院がやっておられると思いますが、国土地理院の研究とそういう宅地造成との関係などで、この不安定な地盤の上に不安定な宅地を造成するものの対策は、建設省は十分監督をしておられるのか。
  131. 河野一郎

    河野国務大臣 ただいま農地の場合で申し上げましたとおりに、宅地造成に関する法律を今回お願いいたしております。それによりまして、宅地造成する場合に、いまお話のようなものについて、十分監督、指導する。そういう宅地造成をしようという人は、地方長官にその計画内容等の届け出をしてやらなければいかぬということにして、これらに対して従来放てきしておりましたものを監督するということに、いま法律をお願いしておるのであります。
  132. 受田新吉

    ○受田委員 新しい構想として、そういう施策を持ってお願いしているということです。これは現実の問題としていますぐやっておかなければいかぬ問題もあるわけですから、そういうことを待つまでもなく、現に工事を進めつつあるものについても、適当な指導をしておかないと困るわけです。あとからたいへんな災害が起こる危険があるわけですから、十分御注意をお願いしたい。  いま一つの問題は、この都市計画の上で学園都市、学校というものを集中的に適当なところに配置して、環境のいいところで学生に熱心に勉強していただく。ごみの中でなくて、そうしたきれいな環境で勉強してもらうというような計画をお持ちでないかどうか。これは官庁街都市あるいは学園都市としての計画、構想というものも、お持ちだろうと思います。
  133. 河野一郎

    河野国務大臣 学園都市につきましては、特に池田総理からすみやかに実行するようにという指示を受けておりますので、建設省におきましても、これに熱心に取り組んでおります。御承知のように、研究機関をまとめて、そこにも一部の学校は持っていくことにして、すでに筑波山麓に進めております。この一カ所ではいけませんから、第二の場所もなるべく早く選定をして、そういう企画をいたしたいと思ってやっておるわけであります。
  134. 徳安實藏

    徳安委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  135. 徳安實藏

    徳安委員長 本案に対し、内藤隆君より修正案が提出されております。    建設省設置法の一部を改正す    る法律案に対する修正案  建設省設置法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。  第十二条第六号の改正規定中「次号」の下に「、第八号及び第十一号」を加え、同条第九号及び第十号の改正規定中「、助成及び監督」を削る。  附則中「昭和三十九年四月一日」を「公布の日」に改める。     —————————————
  136. 徳安實藏

    徳安委員長 この際、提出者より修正案の趣旨説明を求めます。内藤隆君。
  137. 内藤隆

    ○内藤委員 ただいま議題となりました建設省設置法の一部を改正する法律案に対する修正案の趣旨を御説明申し上げます。  案文は、お手元に配付いたしましたので、朗読は省略させていただきまして、その要旨を申し上げますと、地方建設局に分掌する事務のうち、砂防事業及び地すべり防止対策事業等についての助成及び監督の業務を削除することであります。  その理由につきましては、本法案の質疑の過程においてすでに明らかにされたところでありますから、以下簡単に申し上げます。  御承知のとおり、建設省が行なう砂防事業及び地すべり防止対策事業等と林野庁が行なう治山事業及び地すべり防止事業等とは、密接な関連があるため、これらの事業は、両省庁の緊密な連絡のもとに調整をとりつつ実施されているのであります。また、農林省が地方農政局に委譲したものは、事業量、のきわめて少ない農地の保全にかかる地すべりまたはぼた山の崩壊防止事業の監督、助成等の業務にすぎないのでありまして、民有林の治山事業の助成、監督並びに林野の保全に関する地すべり及びボタ山の崩壊防止事業等の助成、監督業務は、従来どおり林野本庁が所掌しておりますことは、これまた御承知のとおりであります。しかるところ、今回本改正案におきまして、砂防事業及び地すべり防止対策事業の助成、監督等の業務を建設本省から地方建設局に委譲することに相なっておりますが、かくては、これらの事業について両省庁の緊密な連絡を期待することはきわめて困難となることは想像にかたくないところであり、したがって、国の政策に一貫性を欠くこととなるはなはだ遺憾な事態が予想されますので、この際、これらの業務は現行どおり建設本省に存置することが適当であると考えまして、本修正案を提出した次第であります。  なお、施行期日のうち、「昭和三十九年四月一日」につきましては、すでにその日を経過しておりますので、これを「公布の日」に改めようとするものであります。  何とぞ御賛同あらんことをお願いします。
  138. 徳安實藏

    徳安委員長 これにて修正案の趣旨説明は終了いたしました。     —————————————
  139. 徳安實藏

    徳安委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。討論の申し出がありますので、これを許します。山内広君。
  140. 山内広

    ○山内委員 私は、建設省設置法の一部を改正する法律案に対し、日本社会党を代表いたしまして、反対の討論を行ないたいと思います。  反対の第一の理由は、今回の地方建設局の強化によりまして、これまでの質疑を通じて明らかとなりましたとおり、二重行政、二重監督の弊害を生ずるおそれが多分にあるからであります。この点につきましては、政府は、二重行政もしくは二重監督にならぬように、行政運用上の配慮で漸次解消に努力する旨のことが申し述べられておりますけれども、このことは、心がまえだけで解決できる問題ではないのであります。また、政府は、本改正によりまして、問題が現地で処理されることになり、建設行政は一段とスピードアップされると説明されておるのでありますけれども、単なる形式的な権限の委譲だけで、実質的な決定権が依然として本省に留保されておっては、現地で問題が処理され、建設行政の効果的、効率的運営を期待できるどころか、いたずらに事務を複雑にするばかりでなく、府県にあっては、地方建設局と本省と、市町村にありましては、府県と地方建設局と本省と、といったように手続が二重、三重になるというはなはだ好ましからざる結果になることは、避けられないのであります。全国知事会あるいは議長会等が強い反対の決議を行なっておりますことは、この点にあると思うのであります。また、今回の改正により、従来主として直轄事業を行なってきた地方建設局が、一般行政事務も担当することになりまして、事業量は増大し、現に、いまですら人員不足に悩み、労働強化を余儀なくされておる実情でありますけれども、これがますます激しさを加えてくることは、容易に考えられるところであります。それにもかかわらず、本年四月一日の政令第十四号によりますと、当然増員さるべきはずの地方建設局を通じての定員が、逆に十名も減員になっておりますことは、はなはだ理解に苦しむところであります。  そのほか反対の理由はたくさんありますけれども、おもな理由を以上申し述べまして、反対の態度を明らかにして討論を終わりたいと思います。(拍手)
  141. 徳安實藏

    徳安委員長 これにて討論は終了いたしました。  採決に入ります。  建設省設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  まず、内藤隆君提出の修正案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  142. 徳安實藏

    徳安委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  143. 徳安實藏

    徳安委員長 起立多数。よって、修正部分を除いては、原案のとおり可決いたしました。  これにて建設省設置法の一部を改正する法律案は、修正議決すべきものと決しました。  なお、本案に関する委員会報告書の作成等については、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  144. 徳安實藏

    徳安委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————
  145. 徳安實藏

    徳安委員長 次に、総理府設置法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。  質疑の申し出がございますのでこれを許します。村山喜一君。
  146. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 私は総理府設置法等の一部を改正する法律案について質問をいたすわけでありますが、本日は時間もそうたくさんございませんので、その中に設けられております。今度つくられようといたします在外財産問題審議会の問題について、在外財産補償問題を中心に、この一点だけ取り上げまして質問をいたしたいと思うわけでございます。  戦争によりまして、お互い国民が物心両面にわたる被害を受けたのでございますが、それに対する処理が今日に至るまでもまだ十分な完結を見ていない状況に放置されておるわけであります。この在外財産の問題にいたしましても、これは古くして新しい問題であるといわなければなりませんが事この資産補償の問題は、基本的な人権の中に入ります経済的な権利というもの、その財産権の一部を構成いたしておりますので、日本国憲法から見た場合に、どのような位置づけをなすべきかという問題が、一つの問題点として出てまいるわけであります。さらにまた、この問題につきましては、戦争の結果生じた問題でありますので、サンフランシスコ講和条約との関係も出てまいりまするし、また二国間条約等によりますいろいろな協定等による問題も発生いたしますし、国際的な情勢、そういうような関係がございますことは、言うまでもないわけでございます。そこで私は、総理府総務長官にお尋ねをいたしたいと思いますが、昨年臨時在外財産問題調査室が設けられまして、ここに一年間の月日が流れたわけでございますが、この一年の間、どのような作業をやってきたのかということをまず第一に伺っておきたいのでございます。  前の調査室長は、この作業の期間を通じまして、いろいろな意見を内部的な意見として申しておったようでございまして、国は補償をする義務があるという見解をもらまして作業を進めておったようでございますが、現在まで、この臨時在外財産問題調査室はどのような作業をやってきたのか。そうしてこれからまた、もし今国会において審議会ができるとするならば、どういう考え方をもって臨もうとしているのかということを、まず初めにお聞かせを願っておきたいと思うのであります。
  147. 野田武夫

    ○野田(武)政府委員 いまのお尋ねのように、総理府に調査室を設けまして、一年間やっております。その間で、先ほど前室長が補償すべきだという態度でやっておるという話でございましたが、それはその室長の個人の考えかもしれませんが、それらを判定する、つまり補償すべきかどうかという判定をする基礎調査として調査室でやっております。その間の事務のことにつきましては、事務当局から申し上げることが一番御了解しやすいと思いますから、事務当局からお答えさせます。
  148. 栗山廉平

    ○栗山説明員 従来のいろいろの経過につきまして、資料を集めまして研究をさしていただきました。今後どういうものをやるかについて、内部的にいろいろ研究をいたしておるという段階でございます。
  149. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そこで野田総務長官にお尋ねをいたします点は、国に補償義務ありやいなやという問題でございます。これは長官も御承知のように、いままで歴代の内閣は、この在外資産の問題については、外交的な保護権だけを放棄したのである、こういう解釈をとった説明を国会でいたしております。しかしながら、最近の当該関係国の意向等、たとえばアメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアあたりの見解を非公式に尋ねたものの中には、当然これは個人の請求権も日本政府は放棄したものと解釈をするという解釈が、新たに出てまいりました。さらにまた、東京地裁の原爆裁判に見られる判決文の中にも出ておりまするように、政府の今日までとってきた外交保護権だけを放棄するという考え方は誤りだ、講和条約の規定によって個人の請求権も明らかに放棄しているという判決の文章が見当たるわけであります。なお、これは古くからいわれておるわけでございますが、ハーグ陸戦法規の第四十六条「私有財産ハ、之ヲ没収スルコトヲ得ス。」という規定の存在。さらにまた憲法の第二十九条から見た場合に、これらの行為というものが公共収用に該当をしておるという解釈、さらにまたイタリアなりあるいはドイツの場合等におきましては、これはその後において国家が補償をした。しかも平和条約の中において、国が補償しなければならないという条項がつけられておったわけでございますが、日本の平和条約には、そういうような責任を国際的には負うていない。しかしながら、国際法上の違反行為にはならないけれども、しかし、そのことは、日本政府として善処しなければならない道義的な立場に立っているということを、昭和二十六年ころ、西村条約局長あたり議会で答弁をいたしておるようでございますが、その後におきましても、この問題は、国内法の問題として当然考えていかなければならないという立場から、いろいろ論議が取りかわされてまいりました。しかしながら、これが裁判によりまして、確定づけられたものがまだないわけであります。そういうような立場から、いろいろ国に補償義務ありとする意見、あるいはこの補償義務はないとする意見、こういうようなものが入り乱れておるわけでございます。なお、憲法第二十九条の三項から、直接予算的な措置を講ずることによって、これらの補償措置ができるのではないかという意見等もございますが、これは三十五年の十月十日に毛最高裁の大法廷におきまして判決が下っておりますけれども、直接憲法に基づくところの補償の請求は生じない。これはやはり手続法が要るという、いわゆる連合国財産の返還等に伴う損失の処理等に関する法律百六十五号によるところの争いに対しましては、そういう判決を下しているようでございますが、その中において入江、奥野両裁判官は、憲法第二十九条三項から、直接補償することも可能であるという意見を述べられておるようであります。このように、これは全体的な問題を律するその材料に使うわけではありませんけれども、そういう考え方が入り乱れて今日に至っておる。しかしながら、最近におけるところの問題のとらえ方といたしましては、単なる外交保護権だけの放棄だけではなくて、実質的に個人の請求権を国家が放棄したということが、この平和条約の解釈の中に明確になってきたということが、相手の国からも、あるいは最近の判例の中からも、指摘がされるようになってまいりました。ということは、それだけ国に補償の義務があるということを主張をする存在がふえてきたということであります。これらの問題について、総務長官はどういうふうにお考えになっておるのか。この問題を、審議会で義務の有無について検討をするお考えをお持ちになっているのか。それとも、国に補償義務ありという考え方のもとに、調査審議を依頼するという考え方に立たれるものであるか。やはりここは基本的な問題でございますので、政府の立場を明確にお答えを願っておきたいのであります。
  150. 野田武夫

    ○野田(武)政府委員 お話しの在外財産につきましては、平和条約の関連、また日本の憲法上の問題、私有財産に対する権利義務の問題でございます。各般の法律上の基本が、相当明瞭になってこなければならぬと思っております。そこで、もしその点についての解明が必要でございますれば、もちろんまだ政府といたしましては最後の判断をいたしておりませんが、御参考までに、外務省が来ておりますし、法制局も来ておりますから、御説明いたします。  ただ、最後のお尋ねでございました補償の義務があるとして審議会をつくるかどうかということでございますが、やはり審議会は、在外財産問題に関する重要事項を調査、審議するということでございます。基本的には、いまの村山さんのお話しになりました、政府がこれを補償すべきかどうかということは、やはり審議会には諮問いたしたいと思っております。したがって、法律上のことでございまするし、平和条約でございますから、条約局あるいは法制局から御説明させたいと思っております。
  151. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 政府の法制的な見解をこの場で問いただしておかないほうが、かえって前進すると私は思う。なぜかならば、やはりいままで解釈を下してきた線でしか答弁ができないですからね。だから、こういう問題もあげて審議会において検討を願うという、現在総務長官がとっておいでになる態度のほうがより前向きであると思いますので、法制局の答弁は求めないことにいたしておきたいと思います。  ただ、外務省がお見えになっておりますので、現在の国際的な立場から見た問題だけは、この際解明をしておかなければならないと思うのです。  私は、御承知のように、旧領土でありました外地の場合、台湾の場合には日華平和条約によりまして、この第三条が成文化されておるわけでありますが、それと同時に、議定書の第一項の(b)並びに河田・葉両代表により同意された議事録、これらによりまして、根本的には平和条約の四条の(b)項によりまして、関係国間の取りきめにゆだねられておるわけでありますが、その台湾に残しました日本国民の在外財産に対するところの請求権は、これを中華民国も承認しておるわけであります。しかしながら、この日本国と中華民国との平和条約が締結をされましてから今日まで、向こうのほうとしても、日本にはそういう請求権があるんだということを認めながらも、日本側の調査要請、あるいは資料の提出、それらに対しましては音なしのかまえをとって、今日までほとんど原則だけは承認した上でこれをたな上げにしているという実態であると伺っておる。これらの外交上の問題について、外務省としてはどういうような措置をとられたのかということが、第一の問題であります。  第二の問題は、朝鮮の場合を考えてみますと、もちろんまだ日韓会談の結果も未知数でございますが、平和条約の四条の(b)項によりまして、これは請求権がないんだ、こういう解釈をとりまして、これは米韓協定の五条によって、日韓請求権問題に関するアメリカ国務省の口上書によって、そういうことが日本に通告をされておる。この問題をめぐりまして、一体日本に請求権があるのかないのかという問題です。これは相殺されたんだという考え方も生まれておりまするし、また、部分的には相殺をされたことは少なくとも否定ができないという、中川前条約局長あたりの見解もございます。これらの問題につきましては、日本の国が、国民の外交保護権の放棄にとどまらず、個人の請求権も放棄したということが、この段階においては、もしアメリカの解釈どおりに進むとするならば、当然生まれてまいりまするし、また、日本国民が請求権を持っておる権限と韓国民が日本に対して持っております請求権との相殺というものが部分的に生じておるといたしました場合には、日韓交渉の中で出てまいりましたような賠償をめぐる問題が、経済協力というような形の中で、その相殺した残りの数字が、政治的なつかみの数字として四億五千万ドル程度のものが出てきた、こういうことが言えるわけです。これらの点から、対韓国との間における地域別の請求権の問題は、どういう解釈を持っているのか。なお、北千島とか樺太の場合等におきましては、日ソ共同宣言が行なわれまして、請求権の相互放棄が行なわれておるわけでございます。なお、中国大陸、満州等につきましては、これは国際的な問題としてまだ未処理の状態で残されておる。さらに、旧中立国なり旧枢軸国の問題は、タイの一部を除いて、赤十字国際委員会において処理がされまして、一定額以外は日本に返還をされて、これはほとんど完結を見ておるわけであります。なお、連合国の場合には、これが敵性財産として没収され、したがって、これに対しましては、先ほど申し上げましたように、連合国財産の返還等に伴う損失の処理等に関する法律にも関係があると思うのでありますが、平和条約が結ばれる際において、日本から賠償請求をしないようにする。その裏の中で、事実上の問題として、日本の国民が敵性国家に持っておった在外財産が、賠償の担保物件として、この補償のほうに賠償物件としての性格をもって消化されてしまった、こういういきさつ等があるわけでございます。これらの問題をながめてまいります場合においては、在外財産の問題は、地域別に、あるいは各国別に、非常に違った形をとっておると思うのであります。これらの問題を取り上げてまいります場合において、日本政府が、国際的な条約に基づいて、二国間条約に基づいて、その請求を迫らなければならないものもあるし、また、今後において解決を見なければならないものもあるし、あるいは個人の請求権を完全に放棄したことを国がみずから認めているのであれば、それらを放棄せしめた人たちに対する国家としての補償の問題が当然出てまいるわけでございますが、それらの旧領土あるいは外国の地域における問題点は、どのように整理し、どういうふうにいままで進めてきたのかということを、この際外務省のほうから明らかにしていただきたいのであります。
  152. 藤崎萬里

    ○藤崎政府委員 在外財産の問題が、平和条約に規定がありながら、大部分が未処理の状況にあるということは、御指摘のとおりでございまして、まず最初の中華民国、これは日華平和条約第三条に規定がございます。これに基づく取りきめというものは、いまだにできておらないのでございます。中国大陸のほうは、中華民国の支配が及ぶところについてのみ平和条約は適用するということになっておりますので、支配が及んでいないという関係上、白紙の状態に残っておるのでございます。  それから韓国の関係で第四条(b)項、これはアメリカ軍があそこでとった処理の効力を承認するという規定になっておりますが、この処理の効力については、いろいろ日本政府としては当初違った考えを特っていたことは御存じのとおりでございますが、結局有権的には、アメリカ軍がやったことなんだからアメリカ政府の解釈によるほかないということで、さっき御指摘になりましたアメリカ政府のとっている解釈に同意するという方針でやっております。ただ、そういう効力を承認したということは、日韓間で四条(a)項の特別取りきめができる場合には当然考慮されるべきものである、こういう立場で交渉いたしておる次第でございます。  それから陸戦法規の関係を仰せになりましたが、これも全く御指摘のとおりでありまして、伝統的な国際法の上からは、私有財産は尊重されるべきものであるということになっておりますけれども、特に最近の戦争におきましては、それが必ずしも守られておらない。そして平和条約で、そういう昔の陸戦法規に照らして考えれば是認しがたいというようなことまで、容認せざるを得ないような規定になっておる。これは御指摘のとおりでございます。以上であります。
  153. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 そこで私がお尋ねをいたしたのは、そういうような原則的な処理の方針というものがきまっておるにしても、それぞれ相手があるわけであります。たとえば台湾の蒋介石に対しまして、あなた方が今日までとっておいでになった行動、そしてこれに対してどのような態度を示してきたのか。また、日韓の問題にいたしましても、この二国間の協定に基づいて財産権の問題については話し合う余地がある、考慮するのだ、こう言いましても、これらの問題に対しまして、まことに冷たい態度をとっているのが、韓国側の状況であります。これは将来、問題が処理される場合においては、台湾と同じような形にならざるを得ないのではないか。台湾も、今日においてはもうすでに放棄されておるといっても過言ではないと思うのでありますが、その点は、あなた方が努力をなされてなお見込みがございますか。
  154. 藤崎萬里

    ○藤崎政府委員 逃げるわけじゃありませんけれども、実は個々の地域、案件の処理になりますと、地域局の所管になりますので、実際にどういう話し合いをしてまいったか、現状がどうで、見込みがどうかというようなところまでは、どうも的確に答弁いたしかねますので、御了承いただきたいと思います。
  155. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 まあきょうは条約局長でございますので、次にアジア局長においでをいただきまして、この問題についてはさらにただしてまいることにして、本日は、この点は保留をさせていただきたいと思います。  そこで、野田長官にお尋ねをいたしますが、審議会をつくりまして調査審議を進める、その内容でございます。これは御承知のように、補償義務がありやいなやという原則的な問題ももちろん検討を願うわけでありますが、それと同時に、事実の調査、あるいは評価、相手国の調査、あるいはそのほかに、引き揚げ者でないところの旧敵性国家に在外財産を有していた者のそういうような補償の問題、あるいは船舶等を没収された者のこれに対する補償の問題、あるいは個人でない法人所有の在外資産、こういうようなたぐいにわたる部面まで検討を加えるという調査、審議を進めるという方針だとも聞くのでありますが、これらの点についてはいかがでありますか、お答えを願っておきたいのであります。
  156. 野田武夫

    ○野田(武)政府委員 今回御審議を願っております審議会は、先ほど申し上げましたとおり、在外財産問題に関する重要事項を調査、審議するのでございますから、政府といたしましては、まずいま村山さんの御意見にありましたとおり、補償すべきかいなかということは、最も大事な項目でございまして、同時に、その調査、審議の対象といたしましては、ひとり引き揚げ者だけでなくて、広くいま御指摘になりました問題等につきましても、調査いたしたいと存じております。また、その必要におきましては、いわゆるその対象となる外地にも派遣いたしまして、親しく戦後の日本人の持っておりました私有財産の処理の経過、あるいはその結果、これらにつきましても、調査いたしたいと思っております。
  157. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 ここで私は、昭和二十年の十一月八日に出されました大蔵省令九十五号、これはGHQの命令によりまして、政令の三十一号でございますが、引き揚げてまいりました者に対しまして、無体財産に対するところの報告、申請、申告を命じられまして、そして申告の期間をきめて、これに従わない者は罰則を設けて適用をするのだということでございました。当時、引き揚げ者は一人八百円程度の費用をかけまして、そして英文と和文と両方のものを出した。それが今では大蔵省の理財局に保管をされて、これは四十七万通をこえたというふうに伺うのであります。この評価額が、GHQの査定によりますと、八兆八千二百六十一億円、こういうふうに聞き及ぶのでありますが、この場合に、これらの問題につきましては他日に譲りますけれども、この無体財産の状況についての調査と、先般徳安委員長が総務長官をしておいでになりました当時努力をされましてできました小笠原群島等の旧島民等のための受領金配分方針の細則、この中には、いわゆる居住権等を含みます無体財産権が、これが積算の基礎になって、一人当たり大体二十八万円平均配分されたと聞くので、そうなってまいりますと、単なる有体財産だけでなくて、無体財産権というものも当然考えられていかなければならないのが、今日の情勢ではなかろうか。ということは、この小笠原群島の旧島民等に対するところの受領金の配分の細則等から見ましても、そういうような方向というものが今日の政府がとっておる方針だろうと思うのでありますが、これらの点については、どういうふうにお考えになっているかを、原則的な問題だけでけっこうでございますので、お聞かせ願っておきたい。
  158. 野田武夫

    ○野田(武)政府委員 ただいまお示しになりました理財局にあります当時の報告書は、承知いたしております。この報告書をどこまで参考にするかということは、これはまたあらためてお答えいたしますが、いま特に御指摘のありました小笠原関係の配分金の基準でございますが、これもお話しのとおり、その当時は、日本国民の有体、無体財産権ということを基準一つとして加えております。したがって、今回の在外財産の処理にあたりましても、やはり審議会でありますから、これらも十分参考といたしまして、慎重審議の項目として、やはり無体財産につきましても、有体財産と同様に審議するということは、当然だと思っております。
  159. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 最後に審議会の構成の問題でございますが、これは第一回の審議会ができましたときに、大野龍太氏が大蔵次官をやめたあと会長になられたわけでありますが、この審議会では何らの結論も出ないままに、結局第二回の三好重夫氏の会長の時代になりました。ここで国会議員等も入りまして、そして御承知のように交付公債が五百億円という見舞い金の措置がなされました。ところが、この審議会の構成のメンバーを振り返ってみますと、もうなくなられた名古屋大学の山下康雄教授あたりは、憲法学の立場から見て国家補償の義務ありという論を張られた方ですが、こういうような学者は、ややもすれば敬遠をされる、あるいは拒否される。そして佐藤功教授のような、これは補償の義務はないという学説をお立てになる方が、政府によって任命をされる。こういうようなことで、今日までの審議会の模様を見てまいりますと、この構成のあり方というものについて、外資同団体関係の方に言わしたら、きわめて不可解な存在として写っているようであります。そこで今回は、この審議会を構成される場合に、学識経験者で構成をされるやに承っているのでありますが、学識経験者だけで構成をされるのか、それとも学識経験者を中心にして、国会議員やあるいはそれらの団体の代表等も参加する中で審議会をおつくりになるのか、そのつくり方によりましては、これはいろいろな考え方が浮かんでくると思うのであります。これは私の個人意見でありますが、第三者の機関という形で、この問題については、いわゆる国に補償義務ありやなしやというきわめて重大な憲法の問題をめぐる問題に発展をしなければならない、そういうような問題をかかえておると同時に、国際法的な立場からの問題もございますので、やはりこの学識経験者という人が、この審議会の構成メンバーになるべきである、こういうように考えている、わけでございますが、その場合に、いままでのような片寄った人選の方式ではなくて、やはり補償義務ありという主張をされる学者の方も、あるいはないという学者の人も、そういういろいろな立場の人を入れなければ、そうしてだれが見ても国民が納得し得るような公正な結論が出た、しかも審議会のいわゆる答申というものに期待しております全国百万戸の引き揚げ者、四百万人に及ぶところの引き揚げ者の人たちに満足を与えると同時に、九千万国民に対して、なるほどこういう考え方のもとに出されたものは、これは当然やってやらなければいけないじゃないかという気持らを持たせるような、そういう力強い審議会というものをつくらなければならないのではないか、このように考えるものでございますが、審議会の構成については、どういうお考えをお持ちであるかをお聞かせ願っておきたいのでございます。
  160. 野田武夫

    ○野田(武)政府委員 審議会の委員の、いわゆる審議会の構成人数その他につきましては、非常に事柄が重要でありますだけに、またその人選につきましては、いまお話しのとおり、きわめて公正な結論を得たい、こういうことを思っておりますから、目下非常に慎重を期しております。大体二十名くらいという考え方でおりますが、特にいま村山さんの御意見、非常に有力な私の参考意見として拝聴いたしました。全部が学識経験者であるか、またはどういう方面の方を入れるかということは、今後でございますが、少なくともやはり学識経験者は入っていただいて、そしてその中には、国家補償の必要はないという学者だけ入れるとか必要であるという学者だけ入れるということになりますと、これは大体前提においてその学者の御意見は相当わかっておりますから、そういう一方的に偏した方を入れても、実は審議会の目的というものは達成できません。私は、いまの学識経験者の場合は、おのおの主張が違う人があれば、むしろ進んで両方の主張の方、つまり甲説とか乙説、甲の主張の方も乙の主張の方もひとつ公平に入っていただいて、そこで論議を尽くし、審査をしていただくというのが、結論を得る場合には一番公正を期することができると思っております。そこで重ねて申し上げますが、いま村山さんの御心配になっておるような学識経験者の一方に偏した人だけを入れるということは、毛頭考えていないということを、特に申し上げておきます。
  161. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 審議会の構成の問題につきましては、まだコンクリートになっていないようでございまして、いまからそれぞれの委員人たちの意見等も出てまいりましょうし、また、私も先ほどの質問を保留した点もございますので、また他日つけ加えて要望を申し上げる点も出てまいると思いますが、きょうは、時間の関係で、このあたりでおきたいと思います。
  162. 徳安實藏

    徳安委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は、来たる十六日午前十時理事会、十時半委員会を開会することとし、これにて散会いたします。    午後一時三十分散会