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1964-06-09 第46回国会 衆議院 内閣委員会 第42号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月九日(火曜日)    午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 徳安 實藏君    理事 佐々木義武君 理事 辻  寛一君    理事 内藤  隆君 理事 永山 忠則君    理事 石橋 政嗣君 理事 田口 誠治君    理事 山内  広君       岩動 道行君    高瀬  傳君       野呂 恭一君    藤尾 正行君       保科善四郎君    松澤 雄藏君       湊  徹郎君   茜ケ久保重光君       大出  俊君    村山 喜一君       受田 新吉君    山下 榮二君  出席政府委員         総理府総務長官 野田 武夫君         総理府総務副長         官       古屋  亨君         総理府事務官         (恩給局長)  増子 正宏君         総理府事務官         (特別地域連絡         局長)     三枝 三郎君         総理府事務官         (社会保障制度         審議会事務局         長)      河角 泰助君         大蔵事務官         (主計局給与課         長)      平井 廸郎君  委員外出席者         農林事務官         (林野庁職員部         長)      森   博君         自治事務官         (行政局給与課         長)      胡子 英幸君         専  門  員 加藤 重喜君     ――――――――――――― 六月六日  国旗掲揚に関する陳情書  (第四九一号)  靖国神社の国家護持に関する陳情書  (第四九二号)  同(第四九三号)  水戸対地射爆撃場早期返還及びF一〇五D戦  闘爆撃機演習中止に関する陳情書  (第四九五号)  現行の認、許可資格制度撤廃に関する陳情書  (第  四九七号)  建国記念日制定に関する陳情書外四件  (第六一三号)  同  (第六一四号)  同  (第七〇〇号)  国旗制定等に関する陳情書  (  第六一五号)  町田市における米海軍ジェット機墜落事故等  に関する陳情書  (第六一六号)  水戸対地射爆撃場早期返還に関する陳情書  (第六一  七号)  同  (第七〇三号)  同(  第七〇四号)  青少年非行防止臨時措置法早期制定に関する  陳情書(  第六二五号)  在外資産補償に関する陳情書  (第七〇一号)  同(  第七〇二号)  水戸対地射爆撃場におけるF一〇五D戦闘爆撃  機の演習中止等に関する陳情書  (  第七〇五号)  同  (第七〇六号号  同(勝田市長安義男外十一名)(第七〇七号)  同(那珂湊市長薄井与兵衛外一名)(第七〇八  号) は本委員会参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  総理府設置法等の一部を改正する法律案内閣  提出第八一号)  恩給法の一部を改正する法律等の一部を改正す  る法律案内閣提出第一〇一号)  国家公務員に対する寒冷地手当石炭手当及び  薪炭正当の支給に関する法律の一部を改正する  法律案内閣提出第一五九号)      ――――◇―――――
  2. 徳安實藏

    徳安委員長 これより会議を開きます。  総理府設置法等の一部を改正する法律案恩給法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案、及び国家公務員に対する寒冷地手当石炭手当及び薪炭手当支給に関する法律の一部を改正する法律案の三案を議題とし、質疑を継続いたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。村山喜一君。
  3. 村山喜一

    村山(喜)委員 恩給法上の問題につきましては、基本的な問題がございますので、それらの問題点については後ほど野田長官が見えましてからお尋ねすることにいたしまして、わりあいに技術的な問題からまず先に入ってみたいと思うのであります。  第一点は、傷病年金に新しく妻の加給制度を設けようということになっているわけでございますが、これは御承知のように、文官の場合には、昭和二十九年四月一日以降は傷病賜金という形になっておるわけであります。以前は年金であったのでありますが、この款症者に対する取り扱いについては、軍人の場合におきましても選択制がとられることになる、こういうような形で、ある者は傷病年金として受給をするし、ある者は傷病賜金として一時金という形ですでにもらっている。そういうような状態の中において、四千八百円という妻の加給制度をこれにつけ加えるということになってまいりますると、その年金受給者傷病賜金受給者との間におけるところの不均衡という点が出てくるのではなかろうかと思われるのでありますが、この選択制によります年金受給者傷病賜金受給者との不均衡は生じないかどうかということを第一にお答えを願いたいのであります。  第二は、そういうふうに文官の場合には、二十九年四月一日以降においては、これは年金制度がなくなって賜金制度に切りかえられたということになっておりますが、文官武官との間においては、そういうようなつり合いという問題はふつり合いの状態にならないのかどうかという点でございますが、この点について、まずお答えを願っておきたいと思うのであります。
  4. 増子正宏

    増子政府委員 款症程度傷病に対する恩給関係でございますが、御質問の第一点は、いわゆる軍人について一時金とそれから年金について、今回の妻加給の問題が不均衡がないかということであったかと思います。この款症程度傷病に対します恩給が、従前は年金でございましたのが、昭和二十八年の百五十五号以降、原則としてこれは一時金ということに改定されたわけでございます。この時点以後におきましては、したがいまして、文官につきましても、武官、旧軍人につきましても、いわゆる傷病賜金ということでまいっておるわけでございますが、旧軍人につきましては、この改正前の規定によることにいたしまして、既裁定の旧軍人恩給との均衡を考慮いたしまして、いわゆる傷病年金制度といたしまして今日に至っておるわけでございます。賜金年金との選択につきましては、この法律施行当時、一定の時期に限り認めたわけでございますが、これは全く本人の選択によって行なわれたものでございます。その選択の時期は、すでに今日では経過をいたしておるわけでございます。したがいまして、一般的にはいわゆる傷病年金という形で一般適用を受けておるわけでございますが、この傷病年金につきましては、この受給者実情等からいいまして、家族加給支給ということが近来における非常に熱心な要望であったわけでございます。この点につきまして、私どもとしましてはいろいろと検討いたしたのでございますが、一般的にはこの款症程度傷病につきましては、ほかの社会保障制度との関係を見ましても、一時金であるのが常態でございます。したがいまして、それとの均等を考慮いたしますと、この恩給につきまして、さらに一そうの改善を加えることにつきましては、私どもとしまして非常に困難を感じたのでございますが、一方この傷病年金受給者等の生活の実情その他を考慮いたしまして、今回はいわゆる妻の加給のみを認めるということで改正案考えたわけでございます。この点につきましていわゆる均衡の問題は、これはなかなかむずかしい問題でございます。範囲をいろいろと広げますれば、ある面では不均衡ということが絶対にないと申し得ないのでございますが、現在のいろいろな状況を勘案いたしまして、まずこの程度で一応いいのではないかというような考え方でこの妻の加給ということを考えたわけでございます。  それから第二点の文官武官の問題でございますが、いわゆる文官につきましても、改正前の法律によりましてすでに傷病年金裁定を受けておりました者につきましては、家族加給制度があったわけでございます。その後改正によりまして、これがいわゆる一時金に改正になりましたとき以後の取り扱いといたしましては、すでに裁定を受けた文官家族加給の点をいわば一つ既得権というふうに考えまして、新しく家族加給をつけることはございませんけれども、すでに支給基礎になっておった家族加給の額は、その後も一応考慮いたしまして、新しいいわゆるベース改定等によりまして恩給の年額が増加いたしました場合に、それと従来のベースにおける恩給プラス豪族加給と比較いたしまして、すでにもらっておるものが新しいベースによる年金額より多額の場合には、それに据え置くというようにいたしまして、したがって、漸次ベースが改定されました場合には、過去にもらっておった家族加給というものがそのベースの差に吸収されていくという形において推移してまいったわけでございます。そういうことによりまして、いわゆる以前の既得権と、それからその後の新しいいわゆる家族加給のない制度との均衡を考慮してまいったということでございます。したがいまして、今回いわゆる旧軍人につきまして傷病年金家族加給を実施いたしますにつきましては、改正法案の附則で規定をいたしておりますが、旧文官と申しますか、その適用を受けました文官傷病年金につきましても、今回この間の調整措置を講じております。したがいまして、御指摘意味武官文官の不均衡ということは、一応調整をされておるというふうに考えておるわけでございます。
  5. 村山喜一

    村山(喜)委員 この選択制がとられました際に、軍人の場合には、第一款症から第五款症までを年金として、第一目症と第二目症を下士官以下の旧軍人のみに傷病賜金として支給をする、こういう形がとられて、文官の場合には第一款症から第五款症までの場合は、これを傷病賜金として支給をする、このように賜金年金との区別においては、それぞれの種類に食い違いがあるわけであります。その場合において、このように改正が行なわれて、ほとんど旧軍人の場合にはこの選択制によって年金受給するようにそれぞれ進められて、内部においてもそのように措置がされているようです。そうして傷病賜金としてもらうのは、第一目症と第二目症だけの該当者傷病賜金としてもらっている。とするならば、ここにいわゆる家族加給というものを設けるということになりますと、明らかに文官武官との間にはそういうような食い違いが起こってくるのではないか。いま説明を聞いておりますと、均衡がとれているとは言えないというような説明もございました。そこで、金額にしたらわずかなものでありますけれども、なぜ差を設けなければならないのか。そうして同じような年金制度なら年金制度というものでいくべきであるとするならば、年金制度に持っていくべきであるし、文官の場合だけ賜金制度で、一時金的なもので処理をして、旧軍人だけは年金でなければならない、そういう考え方というものが行政指導のどこかにあるのではないかというふうに考えるのでありますが、この均衡の問題は、すでに文官の場合でもらっておるもの、その裁定を受けたものと、武官の場合との間には、これは均衡がとれてくるであろうと思うのでありますけれども、しかしながら、新しい昭和二十九年四月一日以降は、傷病賜金としてもらわなければならない文官と、この武官との間には、旧軍人との間には、均衡が今度の措置をとることによって破れることになるのではないかと考えるわけですが、そうではないのですか。
  6. 増子正宏

    増子政府委員 私、先ほど申し上げました均衡という問題、これはどの範囲まで比較していくかということによりまして、場合によっては見方により、不均衡であるということも言えるかもしれないということを申し上げたのでございまして、この制度自体が直ちに不均衡であるというふうに私判断して申し上げたわけではないのであります。  なお、いまの御指摘の点でございますが、恩給法のいわゆる現在の本則的な立て方としましては、款症程度傷病に対しましては、いわゆる傷病賜金として一時金という形で実は統一をされておるわけでございます。これは一般災害補償等との均衡を考慮いたしまして、賜金という形で一応原則的な制度としているわけでございます。ただ、旧軍人等につきましては、この戦争という特殊な事態ももちろんあったわけでございますし、さらにその前後におきまして、いろいろ制度上の変改もございました。したがいまして、単純にその現在の時点のみでこれを処理することは必ずしも適当でないというような点がありますために、旧軍人のいわば特質というようなことになりましょうが、そういう点も考慮いたしまして、文盲とは若干の取り扱いの差があるのでございますが、それは私ども考え方としましては、均衡というよりも、むしろ実情に即した扱いではないかというふうに考えて、今日に至っているわけでございます。
  7. 村山喜一

    村山(喜)委員 こういうような公務傷病年金を受けなければならないような方々については、やはりそういうような特殊性実情というものが、私にはわからないのです。文官であろうが、武官であろうが、同じようにすべきではないかという考え方ですから、二十九年四月以降は傷病賜金という形の一時金になった。だから、軍人だけ特別に年金制度をとって、それに家族手当を出す、こういうような考え方はおかしいのではないか。やはり筋を通さなければならないものは、あくまでも筋を通してもらいたい。そうしてすでにその権利を持っている年金者と、その傷病賜金の一時金をもらう人との間における均衡考えなければならない。これがやはり破れてまいりますと、一体国のためにどういうような形で貢献したのか、このウエートはどちらのほうが上だったのか、そういうような問題に発展をいたしまして、その人間に対するところの国の補償という性格がぼけてくる。そういうような点から考えますと、この点については、どうも賜金年金との間における均衡がとられていないという点があるし、さらにまた文官軍人との間における均衡が必ずしもそれによってとられていないし、むしろ破られていくようなかっこうのものが出てきたのではないか、こういうように受け取るわけでございますが、その問題は、今回の恩給法改正の中ではそう大きな問題ではないと思いますから、いま長官もお見えになりましたので、基本的な問題について野田長官からお答えをいただきたい点を質問申し上げてみたいと思うのであります。  それは、今回国家公務員共済組合法長期給付に関する施行法等の一部を改正する法律案並びに地方公務員共済組合法長期給付に関する施行法の一部を改正する法律案が、それぞれ国会に提案されております。提案理由を見てまいりますと、国家公務員共済組合の場合には、改正趣旨といたしまして、恩給法改正に準じてということばがでてまいるわけであります。地方公務員共済組合の場合におきましては、恩給制度改正措置に準じて、こういうことばが出てまいります。この内容は、それぞれ総理府にあります社会保障制度審議会の百二十三総会並びに百二十四総会において了承を与えているようであります。ところが、それに対しまして、この基本になる恩給の問題については、社会保障制度審議会においては、参考意見として聴取したにすぎないということが記録に明らかでございます。とするならば、このそれぞれ国家公務員なり地方公務員共済組合施行法が今回改正される場合に、よっておるものは、基本は、恩給法改正である。ところが、この恩給法改正については、そういうような総理府社会保障制度審議会答申を経たものでも何でもない。それならば、一体どういう機関の中において、この恩給制度あり方というものが、社会保障制度全般、特に公務員共済組合制度との関係においてどのように位置づけられ、どのように考えられなければならないかという点で、総合的な意味において調整的な機能を果たす機関がない。これは一体どこがおやりになっておるのかということをまずお伺いいたしたいのであります。というのは、政府原案をあなた方が提案される場合に、国民の民意を正しく反映させるためにどのような措置をとっておるかということであります。この問題について、長官からお答えを願いたいのであります。
  8. 野田武夫

    野田(武)政府委員 恩給法改正基本として、どういう基礎に基づいてこれを提出したかということでございますが、御承知のとおり、恩給法改正につきましては、昭和三十二年の総理府に設けられました臨時恩給等調査会答申というものがございます。それからその後におきます衆参両院常任委員会附帯決議というものが、しばしばございました。これらの答申並びに附帯決議意思を尊重いたしまして、恩給法改正の立案の基礎といたしてまいった次第でございます。
  9. 村山喜一

    村山(喜)委員 臨時恩給等調査会報告書国会におけるところ内閣委員会を主とする附帯決議、これを参考にしながら内閣で検討をして責任を持って提出をされた、こういうことでございますね。とするならば、ここでお伺いをいたしたのでありますが、臨時恩給等調査会報告書によります内容は、私も拝見をいたしました、この内容の中には、非常に正論が確かにございます。ところが、内閣提出をいたしました恩給法改正案の中には、この調査会報告書範囲を逸脱をしたものがあるのではないか。調査会報告書を尊重するとおっしゃるが、それ以上のものをいろいろな政治的な動きによってお出しになっているのではないかというふうに考えるのであります。報告書をあなた方は尊重したとおっしゃるけれども、尊重をしておいでにならない点はないのですか。こういうようなところは尊重していないじゃないかということをあとで申し上げてもよろしいのですけれども長官はどの程度に尊重されたのですか。
  10. 野田武夫

    野田(武)政府委員 ただいま御指摘のように、臨時恩給等調査会答申を尊重いたしますと同時に、しばしば出されました衆参両院におきます附帯決議その他委員会の御意向、こういうものを十分参酌いたしまして、それを基礎といたしまして、政府政府意向を加えまして、今回の改正案に踏み切った次第でございます。
  11. 村山喜一

    村山(喜)委員 国会附帯決議によって調査会報告書が修正された形で適用されている。なるほどそういう部面もあります。しかしながら、やはり調査会の中で申しておるように、恩給援護というものが国の特殊な立場において行なわれるものである限り、恩給法なり援護法は、それぞれのワクからはずれてものを考えることは許されない、こういう基本的な考え方は、長官はどういうふうにお考えになりますか。
  12. 野田武夫

    野田(武)政府委員 いまの村山さんのお話しは、原則としてはそうあるべきだと思っております。
  13. 村山喜一

    村山(喜)委員 原則としてはそうあるべきだということは、原則に照らし合わせない行為というものもあり得る。今回出された法律案の中には、その原則から逸脱するものもあるのだ、こういうように解釈してよろしゅうございますか。
  14. 野田武夫

    野田(武)政府委員 いまの村山さんの御意見のように、答申内容につきまして厳密に検討いたしますと、そういう点もややあるかと思いますが、同時に、政府といたしましては、先ほどから申し上げましたとおり、衆参両院における常任委員会におきましての附帯決議が、たびたび行なわれております。したがって、両院における附帯決議を尊重することは、また私どもとしてはとるべき態度だ、深くそう思っておりますので、これらを勘案いたしまして、まず、政府といたしましては、その附帯決議趣旨も相当尊重して、これを織り込んで立案すべきだという考え方のもとに、今回の改正案提出したわけであります。
  15. 村山喜一

    村山(喜)委員 国会にそういうような調整的な、あるいは総合的な機能役割り期待をしておる。それも一つ考え方でありましょう。国会において満場一致できめられた附帯決議というものを尊重していくという立場は、よくわかります。しかしながら、この国会にそういうような調整的な機能としての役割り期待をされるということは、同時に、そのような要望をいたします諸君に対して、国会抑制機能を果たさなければならない立場もあるわけです。やはりそこには筋道というものを立てなければならない部面が、確かにございます。そういうような立場から、国会にそのような機能的な役割り期待するということが、正しいとお考えになるのかどうか。これはやはり行政理論あり方として考えておかなければならない問題であります。と申し上げますのは、総理府社会保障制度審議会委員人たち意見の中にも、恩給法も含めてやはり論議をしなければならないのではないか、これは戦後の処理という問題等が出た場合には、まず共済組合あり方考えていって、共済組合あり方の問題から逆に恩給法改正の問題に考え方を及ぼすべきではないか、こういうような意見等もあるわけです。現在は、もうすでにこの臨時恩給等調査会はその答申を終わりまして、そういうような恩給制度に対するところの民主的な機関というものは、現在はないと考えます。とするならば、国会にあなた方が政府原案をお出しになる前に、そういうような要望を正しい原則の上に照らし合わせて、それによって当然期待にこたえなければならないものは期待にこたえるようにすると同時に、これは一般の戦後処理の問題において同時に考えなければならない問題であるというようなものは、これを抑制をする場合には抑制をして、そしてそれを精選されたものとして、国会意見も尊重しながらお出しになる。こういう形をおとりになるのが、行政府としてのあり方ではないかと思うのですが、そういうような点はいかがでありましょうか。
  16. 野田武夫

    野田(武)政府委員 実は恩給制度共済年金の問題ですが、共済年金の問題は、社会保障制度審議会にかける、恩給も同じように社会保障制度審議会にかけていいんじゃないかという御意見のようでございますが、基本的に恩給制度社会保障制度とは区分して考えられたのが、恩給制度のいろいろの内容でございまして、いまの御意見も、私は一応御意見としては理解できます。しかし、従来の恩給制度は、社会保障制度の一環として考えるのでなくて、これはやはり恩給制度としての基本的な別個の問題として取り扱うべきだ、こういうことでございましたから、今日までの段階におきましては、恩給問題はいまお話し臨時恩給等調査会によってこれを審議し、年金社会保障制度審議会にかかった、こういう経過的の成り行きがございます。したがって、御意見としてはよく理解できますが、成り立ちと申しますか、基本的な考え方というものが、そういう点に分かれておりましたので、私どもといたしましては、特に政府といたしまして考えます場合に、そういう基本的な考えに基づきまして、今日まで恩給制度に対する取り扱いをいたしてきております。今日さらに、恩給制度についてもう少し何か民主的な審議機関が必要ではないかということになりますれば、私どもは必要によっては何もこれを避けるものではございませんが、現段階では、一応、さきに答申がありました臨時恩給等調査会意向も、きわめて明瞭でございます。また、先ほど申しました衆参両院附帯決議等もあることでございますから、十分これらを参酌しまして、その基本的な対策につきましては、いまのところ直ちに審議会をつくってやらなくても大体明らかである、その点に立脚いたしまして、いわゆる恩給制度取り扱いをいたしておるのでございます。御意思はよくわかりますが、従来の経過から申しまして、今日まで政府のやりました方法はそう誤りではなかったのではないか、こう思っております。
  17. 村山喜一

    村山(喜)委員 私は、この恩給から共済制度に発展していく過程の中で、恩給法上の意義というものを、もう一回振り返ってみる必要があるのではないかと思うのです。これは公務員が長年公務従事をして、その結果老齢になり、その職を去り、またはその公務基因をして傷病にかかり、あるいは死亡をした。その長年公務従事をして経済的な能力を減損をいたしました者に対して、国が使用者としての立場からこれを補っていくというのが、基本的なものである。そうして、国庫納付金というものを、私も、かつて二%程度でありましたが、納めたことがありますが、それによって、一つは国が最終的に責任を持って、それらの人たちに対する補完的な補償をする、こういう立場が行なわれているのです。もう一つ機能というのは、いわゆる国の命令なり公務に基づいて犠牲者が出た、あるいは傷ついた、それに対して国が責任者として、あるいは準責任者としての責任をとる。そうして国家補償という立場からこれを考えていくということで、公務扶助料なり傷病恩給制度というものが生まれてきた。こういうような二つの性格というものの中から、これはやはり基本として曲げてはならない原則ではないか。この問題に戦後処理の問題をからめていくということになってまいりますところに、今日の恩給制度の乱れがあるのではないか、こういうふうに私は考えるのであります。こういうような戦後処理の問題をすべて恩給制度の上にかぶせていくという政府の態度にこそ、混乱の原因が出ているのではないかと思うのでありますが、そういうふうにはお考えにならないのですか。
  18. 野田武夫

    野田(武)政府委員 先ほどもお答えいたしましたとおり、村山君の御意見は相当尊重すべき御意見だと、私個人としては考えております。また、御指摘のとおり、戦後処理の問題を大きくこれらの恩給制度その他にかぶせていくということは、避くべきことだと思っております。しかし、いま私申しましたとおり、恩給制度社会保障制度の一環として考えるのではなくて、従来の恩給制度そのものの取り扱いというものは、おのずから基本的なところに相違がございまして、やはりその従来の基本的な考え方に基づいて立案をいたしたのでございます。将来におきましてこれをどうすべきかということは、きわめて重要な問題でございまして、政府といたしましても、これらにつきましては、将来真剣に検討すべき問題であることは、私もよく理解いたします。また、すべき問題だと思っております。
  19. 村山喜一

    村山(喜)委員 私は、恩給の内部に存在をしております不均衡是正というものは、検討をされなければならない課題だと思うのです。しかしながら、恩給制度そのものの中にそういう社会保障制度的な政策のものを原則を曲げて持ち込んでいるところから、社会保障制度にも不十分な事態が出る、恩給制度自体にも混乱が出る、こういうかっこうが今日生まれてきているのではないだろうか。だから、全然掛け金も何も納めない人たちが、恩給によって社会保障制度の恩恵を得ようという考え方が生まれてくる。それは、圧力をかけさえすればそういうものが必ずとれるのだという思想が生まれてくる。そこに問題が混乱をしていく原因があるのではないかと思うのでありますが、これらの問題は、国家公務員共済組合制度なり、あるいは地方公務員共済組合制度という新しい制度が生まれたわけですから、その中における恩給あり方の問題と同時に考えていかなければ、いまのように政治的に処理されたものが共済組合制度に波及をしていくという姿になっているのは、これは逆な現象ではないか。だから、この問題について、あなた方は、調査会等を別につくって再検討をおやりになるお考えはないか。今度の説明書をいただいてみますと、この中に審議室をつくって部内的にいろいろ論議をしてみようというような御意思はあるようでありますが、しかしながら、今日この段階においては、恩給制度共済制度、あるいは社会保障制度、これらのものをやはり総合的に検討して、それぞれの位置づけをするということをやらなければ、いまのように、国会附帯決議があったから、そのとおりいたします、これは調査会報告書にはなかったのですが、国会で満場一致で決定をいただいたのですから、そのとおりやります、あるいは圧力団体から圧力がかけられたので、そのとおりしたほうがいいと思ってやりました、こういうような形になってしまったら、行政に対するところの筋が通らないのではないかと思うのでありますが、この点、長官は再検討をする御意思はないかどうか、調査会等を設置する考え方はないかどうか、この際お考えを願っておきたいと思います。
  20. 野田武夫

    野田(武)政府委員 先ほどからお答えいたしておりますとおり、思給制度と共済年金制度は、おのずから性格を異にしておるために、その内容も違ってまいっております。したがって、共済年金制度と同様に、思給制度内容もこれと一緒に取り扱うべきだ、また、取り扱ったらいいというお考えもあると思いますが、これは先ほど申しました、性格的に相違をしております関係上、恩給恩給制度として独自な見解で当たるべきだと思っております。しかし、奨来、恩給制度、共済年金制度社会保障制度を総合的に考える必要があるのじゃないかという御意見でございますが、おのおの性格は多少違っておりましても、これらにつきましてやはり一連の関連性があることも事実でございますし、これらを今後どう処理していくかということは、きわめて大きな問題だと思っております。しかし、これらに対して新たな検討を加える必要があるという御意見は、先ほどしばしば申しましたとおり、十分考慮すべきことだと思います。したがって、直ちにいま政府調査会をつくってこれに当たるかということでございますが、これはいま村山さんのお話にもありましたとおり、本年の早々から恩給局の中に審議室をつくりまして、恩給恩給としてのあり方、今後恩給制度をどう持っていくかということは、検討する機関を本年度から設けました。そして公務員年金制度につきましては、今日、総理府公務員年金制度連絡協議会を設けておりまして、これは各省がこれに参加していただいておりまして、この公務員年金制度の問題について、いまお示しのような点につきましても検討を加えるというので、決して行政府といたしましては、答申のまま、あるいは衆参両院における決議のままうのみをして、何らの判断も批判も加えずに行政を進めているという態度ではございません。しかしながら、一方また、行政府といたしましては、やはり国の最高機関である衆議院、参議院の決議がございますれば、これは十分尊重すべきが私は行政府の正しい態度じゃないかと思っております。しかし、必ずしもこれに盲従するということではございませんで、できるだけこれを参酌して尊重すべき態度は、私は当然だと思っております。いま申しましたとおり、恩給局の中に審議室をつくって、今後の検討をする。総理府に設けました公務員年金制度連絡協議会におきましても、これらの御指摘問題等は当然入ってくると思いますが、これらも調査、検討しようというだけの行政府としての心がけは持っております。今後これらに対する一貫した調査会を直ちに設けることが必要かどうかということは、おのずから恩給局の審議室、また公務員年金制度連絡協議会、こういうものの検討の結果、これは必要であるということになりますれば、また政府といたしましても、十分これらの調査会設置についても考慮せねばならぬかと存じております。
  21. 村山喜一

    村山(喜)委員 総理府恩給局に審議室を設けられましても、これはお茶を濁す程度であります。調査費まで含めて百万円程度の金、そのねらいはベースアップの調査の問題、終戦後の抑留期間の加算の問題、ソ連参戦後の満州についての加算問題、そういうような限られた問題について審議をする程度のものであります。これはそういうような一つの圧力団体からの要請をここですりかえるために、審議室というような課の程度にあたるような、行政内部の仕事としてお出しになったにすぎない。なお、公務員年金制度連絡協議会があるということでありますが、これは大蔵省なり、総理府恩給局なり、厚生省、人事院が加わった連絡協議会であって、これ自体も、政府内部における一つの連絡協議をする機関にすぎない。この公務員の給与制度恩給制度共済制度年金制度等の問題についての基本的な、原則的な問題を論議していく機関とは、私には見受けられない。そういうような立場から言うならば、さきに昭和三十二年に臨時恩給等調査会が発足した、そうしてりっぱな報告書を出された。この出されたあとにおいてすでに六、七年を経過をするこの段階にありまして、あなた方の提案をされる恩給法改正案なり、遺族援護法等の改正内容を見てまいりますと、力の強い、あるいは圧力団体の強い部面は救済がされるけれども、力のない部面は忘れられている、こういう傾向が見られるのであります。この点については、私は後ほど質問を逐次申し上げてまいりますが、そういうような傾向が、感じられる。その場合において、これは法の恩恵はひとしく国民に与えられなければならぬという立場から考えましても、筋を通していく理論的な、体系的なものをつくっていくためには、単なるそういう行政機関内部に置かれるような審議室であるとか、連絡協議会というようなものでは、解決できない。やはり根本的にこの問題に取り組んでいくんだという池田内閣の政治の姿勢というものが、国民の前に出されなければならぬと思うのですが、長官は、意見は十分尊重すべき意見として聞いておきますという程度で、この場を過ごされるおつもりなんですか。それともこの問題については、村山委員の発言は自分の胸にもそういうような点が考えられるので、もっと前向きの姿勢で受け入れについて検討を加えてみたいということでございますか。その点を最後にお聞かせを願っておきたいと思います。
  22. 野田武夫

    野田(武)政府委員 私は、その場のがれの答弁はいたしておるつもりはございません。先ほどお話しのありました社会保障制度や共済年金制度恩給制度、こういうものは、村山さんのおっしゃるとおり、ただいまはおのおの基本的な限界を持って行政が進められておりますが、大きな政治あるいは行政といたしましても、当然一連の関連性を持っておることも、率直に認めます。今日まで多少問題になったのは、この性格上の問題でございまして、これが今日の恩給制度というものが、別個に取り扱われているもとでございます。したがって、恩給局に置きました審議室、また公務員年金制度の連絡協議会というものは、私は、村山さんのおっしゃるとおり、これに大きな期待を持っておるものではございません。しかし、これらの機関の中で、いろいろなものを解決する場合に、当然意見が出てくるということは、期待ができます。また、そうあるべきだと思っております。公務員年金問題の論議をいたしますにおきましても、あるいは恩給の問題を取り扱うにいたしましても、当然これらのものは関連していろいろ意見が出てくると思っております。その意味におきまして、恩給局の審議室も本年度から発足いたしましたし、また、公務員年金制度連絡協議会も昨年末に発足したのでございまして、私どもは、事務的にいたしましても、行政全体から考えましても、これらの論議は十分尽くしてもらいたい。しかし、村山さんのお話のとおり、これらの機関があるから、これでもう問題は解決するのだということは、私自身がそこまで大きな期待は持っておりませんが、これらを処理するにおきましての参考としては、相当な資料が出てくるのじゃないか。そこで、突き詰めて申しますと、これらの意見が出たり、あるいはいろいろな資料が出て、そうして結局は今後全体として、これらの各制度について政府がどうこれを措置していくが一番妥当であるかということになりますと、私は、いま村山さんの御提案のようなものも当然一つの案として出てくるのじゃないか、また出てきてもらいたいと思うのです。実はそこまで、そういう事務機関にいたしましても、みな真剣な態度で論議してもらいたい、また一つ考え方をまとめてもらいたい、こう希望いたしております。そこでこの問題が、いまお示しのいろいろな恩給問題、年金問題その他が、いまのままで万全である、もうこのまま進めばけっこうです、こういうような考え方は、私は全然持っておりません。いま直ちに私ここで、調査会をつくりますとか、審議会制度を設けますということは、はっきりお答えできませんが、これらの機関における結論、また村山さんはじめこれらに対して非常な見識や知識を持っておる方々のいろいろの御意見、こういうものを拝聴しまして、これらのものを処理しなくちゃならぬという段階が、当然出てくるのじゃないか、私も冷静に考えますと、そういう過程に入ってくると思っております。したがって、この段階では、はっきりと——やはり私も政府を代表してお答えするのでございますから、ただ自分の個人の考え方、また一総理府だけの考え方ではお答えできないので、実は先ほどからもお答えいたしておりますが、私自身といたしましては、しばしば申しますとおり、非常に尊重すべき御意見であるし、また私自身として非常に理解のできる御意見である、こう考えておりますから、その点はひとつ私どもの、ことに私の答えにつきまして、十分そしゃくしていただいて、御理解を願いたい、こう存ずる次第でございます。
  23. 村山喜一

    村山(喜)委員 野田長官の熱意ある答弁には私も敬服をいたしますが、ひとつ前向きの形で善処方を要望申し上げておきたいと思います。  そこで、百二十三総会やら百二十四総会社会保障制度審議会で開かれて、いろいろな委員の方々から意見が述べられているようでありますが、これが外部に公開されていない議事録内容でございますので、その詳しい論議のところまで私もつぶさにわからないわけでありますが、国家公務員共済組合法長期給付に関する施行法等の一部改正が論議されましたときに、百二十三総会においてはこれが保留になった。百二十四総会において初めて了承を与えた。これはその中において、非常に活発な論議が行なわれ、恩給法を含めてこの社会保障制度審議会で論議すべきじゃないか、また共済組合あり方から考えて、そちらのほうの考え方立場に立って恩給全体をながめていくべきじゃないか、こういうような意見等もあったやに聞くのであります。また、われわれは、そういうようり恩給法改正が行なわれたのを引き受けて、受動的な立場でこれを論議していくということは、全体的な構想のしから立った場合におかしいじゃないか、こういうような論議もされたやに承るのでありますが、この総理府にあります社会保障制度審議会の論議の模様は、どういうような内容であったか。なぜ百二十三総会においては態度を保留して、百二十四総会において初めて原案について了承を与えたか。この問題については、大蔵委員会でも卜部君が取り上げて論議をしているようでございますが、この際、その実情のほどを伺っておきたいいと思います。
  24. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 ただいま御指摘社会保障制度審議会総会の御論議は、非常に長時間にわたりましたので、すべてについていさいを尽くして御答弁申し上げる用意はございませんが、ただ、その総会できまらないで次の総会に持ち越した問題点と申しますのは、当時恩給法関連で改正を予定いたしておりました満州国協和会並びに上海共同租界工部局、これらについての性格その他がきわめてあいまいであるという御指摘がありまして、その根拠になる法令その他について、さらにもう少し明確なものを持ってくる必要があるのじゃないか。それから実情等についてさらに検討して、できる限りにおいて詳しいものを出すようにという御要望もございまして、その上で御判断をされるということであったものでございますから、一応留保された点等につきまして資料等をつくって、次の総会提出をしたわけでございます。
  25. 村山喜一

    村山(喜)委員 それでは第二の質問に移ります。  それは、今回、外国の特殊機関であります旧満州開拓青年義勇隊訓練機関並びに旧満州協和会、旧上海共同租界工部局、この性格については、百二十三総会においても、明確ではないじゃないか、これは国家機関と認めるのか、あるいは法令上の根拠は何かというようなことが論議をされて、百二十四総会において初めて了承をされた、こういう経過をたどったことが、いま大蔵省の平井給与課長からお話がございました。そこで私も、この問題について、性格的に、いままで出されてまいりましたものに対して明らかに新しい要素がここに出てまいりましたので、その特殊機関というものは、一体国機関の上においてどのような役割りを果たしてきたのか、当時の規模なり、任務なり、あるいは法令上の根拠というものについて、この際承っておきたいと思います。というのは、満州開拓青年義勇隊訓練機関は、これはわれわれも、満州において開拓青年義勇隊の諸君がああいうように非常に悲惨な状況に突入をいたしましたので、よくわかります。ところが、旧満州協和会というのは大政翼賛会じゃないか、こういうお話も伺うし、あるいは旧上海共同租界工部局というのは、これは特務機関、いわゆるスパイその他の業務をやるためにつくられたところ一つの組織、団体であったのではないか、このように伺っているのでありますが、これは一体どういう性格のものなのか、これをまず説明を願っておきたいと思うのであります。
  26. 増子正宏

    増子政府委員 ただいま御指摘機関につきまして、簡単に御説明申し上げますが、まず第一に満州協和会でございます。この満州協和会は、満州国のいわゆる特殊事情に基づきまして、国家統治機構として組織されたものというふうに私ども承知をしておるわけでございます。したがって、この協和会という機関は、課税あるいは警察取り締まり等の官署に準ずるものとしております。国務院訓令——これは満州国のものでございますが、国務院訓令百一号というようなものも、私どもその意味で理解をしたわけでございます。したがいまして、一般に大政翼賛会のようなものではないかという御指摘、これはごもっともと思うのでございますが、私どもがいろいろ資料によって調べましたところでは、大政翼賛会というようなものは、いわば一種の民間活動機関といいますか、政府の直接の行政事務というものにはタッチしていなかったというふうに考えておるわけでございまして、その点で協和会の業務なり性格の中には、そういった大政翼賛会的な要素も全然なかったというふうには否定はできないと思いますけれども、その本体的な部分におきましては、満州国におきましては、いわば政府と一体的な関係におきまして行政に準ずる措置を行なったというふうに理解されるのでございます。経費等におきましても、政府の予算に計上されて全額国庫支弁であったこと、それから人事は、政府協和会人事交流要綱というようなものが定められまして行なわれ、いわゆる交流人事が常に行なわれておったということ、それから満州国の勅令九十五号等におきまして文官令というものが公布されておりますが、それにつきましても、文官と同様な特別の措置が講ぜられていたというような事実が認められるのでございます。その意味におきまして、私どもの見たところにおきましては、この旧満州協和会というものは、満州国の統治機構の一つとしてまさにいわゆる外国政府に準じたものと認めて差しつかえないのではないかというふうに考えた次第でございます。  それから次に、上海共同租界の工部局でございますが、いわゆる上海共同租界工部局と申しますのは、上海共同租界における行政事務を統一的に処理するために設けられたものでございまして、いわゆる土地章程というふうに訳しておりますが、ランド・チャーターというものによって設置されたということになっております。すなわち、その実体におきましては、共同租界におけるいわゆる行政事務局としての性格及び任務を持っておったということでございます。その業務内容におきましても、いわゆる共同租界における教育、衛生、土木、収税、警察、消防等を行なっておったわけでございます。したがいまして、その内君から申しましても、また形式的に見ましても、この共同租界における関係国間の協議によって設けられたものでございますので、いわゆる外国政府に準じたものとして考えて一向差しつかえない、またそう考えるべきものではないだろうかというのが、私どもが最終的に達しました結論でございます。
  27. 村山喜一

    村山(喜)委員 性格はわかりました。とするならば、これがいつ生まれて、そうしてどのような構成人員であり、その機構はどういうふうなものであったか、この内容面についてどういうふうに把握をしておいでになりますか。
  28. 増子正宏

    増子政府委員 まず、満洲国の協和会の機構でございますが、これは非常に膨大な機構として全国的に組織されたものでございます。中央機構及び省。県・旗・市本部というふうに各地方段階にまで設けられましたきわめて大きな組織であったというふうに考えられます。その機構の細部につきまして申し上げることは、ここで省略さしていただきたいと思います。  それからなお、共同租界の工部局でございますが、この内部組織につきましても、いわゆる政府の各省に相当するような部がそれぞれ設けられておったわけでございます。たとえば法務部、教育部、衛生部、物資統制部、土木部、収税部、財務部、消防部、警察部、まあこのような組織によりまして、それぞれ共同租界内の行政事務を担当しておったというふうに考えられるわけでございます。この職員は、協和会の場合も同様でございますが、いずれも日系職員のほかに、それぞれ外国系といいますか、満州協和会の場合には、満州人等がその職員として配置されておったわけでございます。私どもがここで問題にしておりますのは、いわゆる日系職員でございます。上海共同租界について申し上げますと、昭和十八年当時の資料でございますが、四百名程度の日系職員が存在したということが——四百二十五名という職員数が出ておるわけでございます。
  29. 村山喜一

    村山(喜)委員 四百二十五名は、満州協和会のほうですか。
  30. 増子正宏

    増子政府委員 上海共同租界でございます。
  31. 村山喜一

    村山(喜)委員 満州協和会のほうはいかがですか。
  32. 増子正宏

    増子政府委員 協和会のほうは、日系職員の総数が、これは巌密な数字までは承知いたしておりませんが、三千六百名という数字を持っておるわけでございます。
  33. 村山喜一

    村山(喜)委員 まあ旧満州協和会なりあるいは旧上海共同租界工部局の性格、構成、任務ということ、これはわかりましたが、この旧満州開拓青年義勇隊訓練機関は、これは日本国あるいは満州国の政府職員ではないわけですね。とするならば、これの性格づけはどのようになりますか。
  34. 増子正宏

    増子政府委員 御指摘のように、この満州開拓青年義勇隊は、若干協和会あるいは上海共同租界工部局とは違っておるかと存じます。すなわち、この設置されました動機といいますか、その形式等におきましては、日本政府における閣議決定が、もともとその最初のものでございます。すなわち、昭和十四年十二月二十二日の閣議決定、満州開拓政策基本要綱というものがございまして、それによって満州開拓民の訓練を行なうということで出発したものでございます。なお、満州国側におきましては、康徳七年三月二十九日、勅令第百四十七号によって設置されるという経過を持ちましたものでございまして、その意味でいわば日満両国政府の合同という形で設けられたものでございまして、公的機関考えて十分差しつかえないのではないかというふうに思うわけでございます。職員の任命等につきましても、日満両国政府によって行なわれ、俸給等につきましても、両国が分担支弁するということになっており、また人事の交流等につきましても、先ほど申し上げました協和会と同様の状態にあったわけでございます。
  35. 村山喜一

    村山(喜)委員 これの該当人員は幾らですか。
  36. 増子正宏

    増子政府委員 日系職員の概数でございますが、約二千人でございます。
  37. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、こういうような外国の特殊機関が、それぞれ今回恩給法の対象として政令で指定されるわけでありますが、いわゆるこれらの職員は、いずれも日本政府に対して国庫納付金は納めておりませんね。
  38. 増子正宏

    増子政府委員 向こうに就職しましてからは、納めておりません。
  39. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、これらの今日予想される該当者というものが当然捕捉されなければならないと思うのでありますが、日本の公務員であった者が向こうに渡りまして、これらの機関の職員になり、あるいは引き揚げてまいりまして再び公務員になる、あるいは向こうのほうでこれらの職員になり、引き揚げて帰ってきてから日本の公務員になる、あるいはもう一つのケースとしては、日本の公務員であった者が向こうに渡りまして、これらの機関の職員になる、そして終戦後引き揚げて退職をする、こういうようないろいろなケースが考えられるわけでありますが、これの恩給法上の該当者と思われる者のそれぞれの数、並びにこれは国家公務員共済組合法適用対象にもなるわけでありますので、これらについては大蔵省の平片給与課長、それから地方公務員共済組合法の対象にもなるのでありますから、これは自治省、それぞれの該当者が町名の予定だということをお答え願いたい。
  40. 増子正宏

    増子政府委員 この改正法が施行されました場合に適用されるであろうという数字は、厳密な意味におきましては、実際請求書等が出てまいりませんとわからないわけでございますけれども、現存する資料によりまして一応見込みましたところでは、協和会職員関係では五十六人、開拓青年義勇隊訓練機関の職員としましては四十名程度、上海共同租界工部局職員としましては、これは一、二名ということでございますが、一応二名程度というふうに推算いたしております。したがいまして、今回の改正法の見込みとしましては、九十八人ということでございます。これは言うまでもなく恩給公務員であった者が向こうに参ったという場合でございますばかりでなく、すでに恩給年限に達してやめた者は、今回の改正法でも適用ございませんので、恩給年限に達せずして向こうへ行った者ということでございます。
  41. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 共済関係適用者数でございますが、旧満州開拓青年義勇隊訓練機関関係におきましては約二百五十名。旧満州国協和会関係におきましては約七十名と見積もられております。なお、旧上海共同租界工部局につきましては、おそらくほとんどないであろうと言われておりますが、現在のところは、確定的にないというところまで断定いたすことはできないわけであります。
  42. 胡子英幸

    胡子説明員 地方公務員共済組合法の組合員である該当者についての数をお答え申し上げます。  旧満州開拓青年義勇隊訓練機関関係の職員としましては約五百四十名、それから旧満州協和会関係といたしましては約百三十名、それから旧上海共同租界工部局、この点につきましては該当者はないのではなかろうかということでありまして、合計いたしますと、特殊機関関係で六百七十名というものが、私どもの現在までに判明した数でございます。
  43. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこでこれらの該当予想人員というものが、大まかでありますがわかりましたので、私は、ここで性格づけの問題から派生いたしまする旧満州国関係の問題について触れてみたいと思うのでありますが、さきに外国政府関係機関恩給に通算されるようになりました。それから三公社的な、いわゆる外地鉄道、満鉄、華北、華中鉄道等の三公社に準ずべきものが恩給法上の対象になり、共済の対象になって、それぞれ繰り入れられてまいったわけであります。ところが、今回ここに外国特殊機関の職員が繰り入れられるということになってまいりました。われわれの手元に、これは同じような満州国の公社と言いますか、たとえば満州農産公社、あるいはそのほかに興農合作社、財団法人満州農産検査所、あるいは満州拓殖公社、こういうような性格は特殊会社なりあるいは特殊法人としてこの性格を持ちながら、行政的に、あるいは政策的にも、これらは政府と不離一体の立場にあったと思いますが、これらの機関というものは、一体あなた方はどういうふうな解釈をお持ちになっているのかという点であります。というのは、たとえば旧満州開拓青年義勇隊訓練機関というものは、日本国政府職員でもなければ、満州国政府職員でもない。これは俸給等は両国分担で支弁をしておる機関だから、公的な機関だ。公的な機関だという筋をたどっていくならば、やはり同じように特殊会社なり特殊法人というものが、その対象に考えられていかなければ、つり合いがとれないという問題が出てくる。それからなお旧外地にありまして、市町村等の類似団体等に勤務しておりました職員の恩給の問題も、これは国家機関としての行政事務ではないけれども、公共的なそういう行政事務に携わっておるとも解釈ができるとするならば、一体これの限界線というものをどこで引くのかということになってまいりますと、ますます限界の線の引き方がわからなくなってくる。だから、一体どういうとらえ方をしておるのか。たとえば特殊会社であります満州農産公社法を調べてみますと、康徳八年七月十四日に勅令の百七十四号で同じく出ている。いままでも、この三つの機関のうちの二つは勅令によって設けられたということになっておる。その設置の目的を第一条なり第二条を調べてまいりますと、これは一体何のために設けたのかということを振り返って考えてみますと、これらの条項の中にもあらわれておりますが、日本国のために強制徴収機関としてこの満州農産公社というものは存在をしておった、こういう歴史的な過程があるわけです。内容はそうです。というのは、配給機構その他すべて食糧機構、これらの食糧の収集等に当たっておった。これは軍に協力をし、日本の政策に協力をするために勅令によってつくられた団体である。そして公社である。こういうようなものが、一体ここに設けられましたところの旧満州国協和会と性格的にどう違うのか。私は、同じような性格のものではないかと思うのです。そういうようなものはあがってこない。そして大政翼賛会的な性格を具備いたしました旧満州協和会が、まず特殊機関としてあがってくる。あるいは旧上海共同租界工部局、そういうようなものがあがってくる。一体これはどこまで続いていったら、すべての該当者が救済できるような体制になるのか、どこで線を引けばいいのかという点を考えながら、いろいろ問題をこうして見てまいりますと、どうも線の引きようがない。とするならば、これらの機関が指定をされた暁には、また同じように農産公社等がこの次に恩給法の対象になってくるだろう、こういう期待感をそれらの該当者人たちには持たせるということであります。だから、そういうような人たち期待を持たせるように解釈がとれるというふうに考えておいでになるのかどうか。そういうようなところの限界線はどこで引かれるものか。これは先ほど私が第一の問題点の中におきまして、恩給法の意義なりあるいは適用の限界線について、総務長官の見解を問いただしたものに関係が出てくるわけであります。こういうようなところから、どういう見解をお持ちになっているのかということを、まず恩給局にお尋ねをいたしておきたいと思うのであります。
  44. 増子正宏

    増子政府委員 御質問に関連しましてお述べになられました一般的な問題、すなわら、今後公務員にあらずして公務員期間に通算される職員の範囲、あるいはその限界等についてのお考え方が出たわけでございますが、私どもといたしましても、実は根本的には村山委員と同じような考え方を持っておるわけでございます。すなわち、先ほどお述べになりましたように、恩給法の特質あるいはその性格というものから考えますと、恩給公務員でない者の在職期間を恩給基礎に入れるということは、全く例外的、変則的な措置でございますので、そういう意味におきまして、政府といたしましては、従来からこの点につきましては、むしろ厳格な考え方をとっておったわけでございます。ただ、最初に外国政府の職員期間が通算されましたことにつきましては、すでに御承知のように、終戦までの恩給法の中に外国職員期間の通算という制度があったわけでございます。それが敗戦によりまして、その条項の適用ということが、全く関係者の意に反して不可能になったという状態がございます。それの救済といいますか、そのあと始末という意味もありまして、満州国を中心とする外国政府の職員期間通算という問題が起こってまいったわけでございます。次には、三公社に相当する機関でございますが、これは内地における三公社が恩給法適用下にあったという事実、それと全く同様の形あるいは仕事の内容等において、外国においてこの特殊法人が設けられ、運用されておったという、その均衡というような点から追加になったわけでございます。今回の改正案の対象として想定されておりますものにつきましても、やはりそういった考え方の流れの一つとして出てまいったわけでございますが、これを、それでは一体どこまで広げるかということにつきましては、私どもとしましても、実は非常に困難な問題だというふうに考えておるわけでございます。すなわちただいまも満州国におけるいろいろな機関について御指摘になったのでございますが、実は私どもとしましても、こういったものをあらゆる分野にわたりまして全部収集し、それを検討するというような事実上の手段がございませんでしたので、いろいろ関係方面からの要望等が出てまいります場合に、そのつどその一つ一つについて検討するということをいたしまして、その職員期間を恩給公務員に通算すべきやいなやということにつきましては、相当慎重に検討いたした次第でございます。  御指摘の興農合作社その他拓殖公社、いろいろ承ったのでございますが、実は率直に申しますと、私どもにこの関係のいろいろな情報が入ってまいりましたのは、ごく最近のことに属するわけでございます。しかもいま御指摘の中では、また新しいものが入っておるというような関係でございまして、はたしてこの種のものがすべてこれで終わったのか、あるいはこのほかにまだあるのかないのかというようなことにつきましては、私ども、どうしても今後調査をしなければ、何とも申し上げかねるというような状況でございます。満州国だけではなくして、あるいは蒙疆等につきましても、そういったものを一々さがしてまいらなければならぬというようなこともあるわけでございます。そういうことでございますが、現在のところ、ただいまおあげになりました個々の機関につきましては、私ども協和会その他について申し上げました程度の調査資料しかございませんので、どのような性格の機関であったか、あるいはその人事交流などについてはどのようであり、実情等につきましてもどのようであったかということにつきましては、まだ私どもいろいろ調査をしなければ、いかんとも判断ができないというような状況でございます  ただ、この際つけ加えて申し上げなければなりませんことは、いわゆる戦時の国家的なあるいは経済統制的な事務を実施いたします場合に、例にあがりました外国の場合と同時に、日本の国内におきましても、各種の統制機関が設置されたわけでございます。それらのものにつきましては、現在では、御承知のように、大部分はいわゆる恩給公務員としての扱いはいたしていないのでございます。したがいまして、国内におけるこれらの機関との均衡ということも、私どもとしては考えなければならぬのではないか。先ほどの例の中に、大政翼賛会の問題がございましたけれども、大政翼賛会の職員期間につきましては、現在まで恩給公務員として通算するという措置はしていないのでございます。それからなお、外地等におきましては、北支振興開発会社でありますとか、中支那振興とか、そういったいわゆる特殊会社もあるわけでございますが、これらのものにつきましても、今日まで職員期間の通算ということを考えてはまいっていないのでございます。そういうことで、その出てまいります一つ一つの実態につきましていろいろと勘案しなければ、早急な結論は出し得ないというふうに考えておるのでございます。  それから御指摘の外地における市町村あるいはそれに相当する地方公共団体の職員期間の問題もありましたが、この点につきましては、実は内地にも市町村という問題がありますが、この市町村の職員期間は、恩給法始まって以来数十年になるわけでございますが、市町村吏員の期間を恩給公務員に通算するという措置はとってまいっていないのでございます。そればかりでなく、同じ役所につとめております職員のうらでも、いわゆる雇い、雇員といわれるものは、全く机を並べておりましても、恩給制度のらち外に置かれておったという制度もあるわけでございます。そういう意味におきまして、恩給法の性格なり、従来守ってまいりました範囲というものから見ますと、御指摘のような問題は、確かに非常にむずかしい性格のものでございます。それらの点におきまして、御指摘のように、私どもとしましては、できるだけ筋を通した形で処理をしたいということを念願しておるわけでございますが、いままで出てまいりました問題は、いろいろこれを推進するにあたって事情が相当ございましたために、個々の問題として取り上げてまいった。今後、将来の問題はどうかと言いますと、私ども原則としては、この通算期間はそう範囲を拡張すべきではないというふうには考えておるわけでございます。
  45. 村山喜一

    村山(喜)委員 非常にむずかしい問題があるわけです。私は、満州国の特殊会社として法令で設けられたものがどの程度あるのかというのを調べてみましたら、これは会社として設置されたものが二十五ある。公社法によりますものが、二つほど法令の上では見つかったのでありますが、そのほかに、特殊法人であるものがございます。これらの内容からすべて含めていくという形が生まれてまいりますと、恩給法によって戦後処理の救済をやる、こういう思想がだんだんいまの恩給法の上にあらわれてきつつある。これは国会の決議においてもしかり。そういうような形で恩給制度というものが、社会保障制度的なもの、社会政策的なものに転換しつつあるわけですね。この段階の中において、ここで三つの特殊機関を認定するということになりますと、その次に当然考えなければならないのは、満州農産公社法による公社法であるとか、あるいは開拓公社あるいは合作社、検査所、こういうようなものが考えられて、もうすでに農林省においては準備されておるやに聞くのでありますが、農林省の所属になります統計事務所あるいは食糧事務所等の職員等で、これらの機関で働いた人たち該当者が相当数ある。そして自分たちのところは取り残されて、冷遇されて、まあ政府職員でないものさえも、今度の措置において救済されようとしておる。三公社関係の職員の場合も、これは通算をされる。われわれの場合は一体どうしてくれるんだという声が出てきている。そういうようなのにこたえて、私も大蔵委員会の速記録を見てみると、農林省のほうからの請求が大蔵省にはありません。そういうのが出たら、当然検討しなくてはなりませんという田中大蔵大臣の答弁が載っておる。ということになれば、いままでそういうような農業団体の恩給法上の適用を受けるのではないかと期待できるような、そういう公社等について、農林省自体の取り組み方が非常におくれておったのではないかという印象を国民に与えるわけです。ということは、一体どういうような考え方をとって——これは後ほども農林省のほうには非常勤職員の問題で私は尋ねてまいりたいと思うのでありますが、一体それらの恩給法上の不遇な状態に置かれておるものを、どういうふうにする考え方かを、この際お聞かせを願っておきたいと思います。
  46. 森博

    ○森説明員 先ほど来農産公社等という御質問でございましたので、そういうことでございますと、農林省の官房のほうからお答えをしなければならないと思うわけでございますが、農林省のうちの林野庁の関係でございますと、私、お答えできるわけでございます。これにつきましては、先週の大蔵委員会でも御質問がございまして、これは満州林産公社の関係でございますが、われわれといたしましては、これは一般的に申しまして、農林省内と申しますか、林野庁内の職員が、恩給法上も有利な取り扱いを受けるということは、一般的問題として当然願望いたしておるわけでございます。ただ、今回の私の所管でありますたとえば満州林産公社の問題でございますが、先週私、武藤先生から御質問がございましたまでは存じませんでございましたので、帰りましていろいろ係のほうにも問い合わせてみましたところ、いろいろお問い合わせ等があったようでございますし、そのお問い合わせがあったので、資料収集等は係のほうでやっていたようでございます。ただ、役所としてこれを本格的に取り上げるという段階になっておりませんでしたのでございまして、昨日、私も、この林産公社を恩給に通算するようにということで数人の方から陳情を受けたような次第でございまして、うかつと言われればそういうそしりも免れないと思いますが、そういうような段階でございまして、われわれとしましては、先ほど申しましたような考え方でございますので、これの実態なり何なりを十分調査いたしまして、それぞれ恩給局等にもお考えがあると存じまするけれども、われわれの立場をまとめまして、そういうお話し合いはいたしたい、こういうふうに考えております。
  47. 村山喜一

    村山(喜)委員 林野庁の方ですから、満州林産公社の問題だけしかお答えできないわけでしょうが、そのほかに満州農産公社法による職員、あるいは農地開拓公社法による職員、あるいは満州拓殖公社法による職員、これは開拓民のあっせん、管理、指導、そういうようなのをやっておるわけです。そういうようなのから言いますと、性格的に旧満州国開拓青年義勇隊訓練機関と同じです。そういうようなものは、声がないから取り残される、声のあるものだけが出てくる、こういうような形の中で、次から次へ、おれも恩給法上の対象として救済をしてくれ、おれも共済組合の対象として救済をしてくれという形で出てくる。そういうふうに出てきた場合に、今度はあるところで限界線を引きます。公社以上は認めようじゃないか、会社と名前がつくところは認めません、こういうような線の引き方もあるだろうと思うのですが、そうした場合に、一体外地から引き揚げてきた人たちに対する処遇の問題、これが当然均衡原則として出てこなければならない。しかも、一般在留邦人の場合には、その私有財産が国家政策のために犠牲に供せられて、請求権を放棄する。満州、台湾とか朝鮮、こういうようなところにおった人たちは、財産請求権放棄の処置によって自分の財産を国家の賠償目的に振り当てられてしまっておる、こういうような現象が出ておる。そうして満州あたりからからだ一つで帰ってきた、公務員になれなかった、なろうと思ってもなれなかった、恩給法上の特典はない、共済組合法の特典もない、こういうような形の中で、ある者はそういうようなところにつとめておったがゆえに、あるいは帰ってきてから公務員になったがゆえに、対象として救済を受ける。これは国の政策の犠牲として出てまいった人たちの一部が救済を受ける、大部分は救済を受けない、こういう形になってまいりましたら、一体どこで限界線を引いていくのか。やはり基本的な問題をここで論議しなければならない段階じゃないかと私は思うのでありますが、恩給局長なり総務長官は、そういうようなものに対しまして、先ほどは非常に熱意のある答弁でございましたが、いかがでございますか。もうこれ以上は拡大をしないのだと幾ら恩給局長ががんばってみても、同じようなものが次から次に出てきたら、適用しないわけにいかぬでしょう。これは政治問題になります。そうして適用しないということに国会附帯決議を上げる。そうすると、次の国会にはまたそれを出してくる。こういうようなふうにして、声の上がるものから逐次ということは、政治的な勢力に参加をしているものから、圧力団体から先に優遇をされていくということになるわけです。一体これはどこでその限界線をきめますか、お答えを願いたい。
  48. 野田武夫

    野田(武)政府委員 先ほど恩給局長から詳しく御説明いたしましたとおりでありますが、いまおあげになりました公社の職員その他と同時に、今回恩給制度適用をされる外地の諸機関の職員、これは先ほど恩給局長も申しましたとおり、いわゆる正式の公務員でありませんが、まあ公務員外の公務従事をした。それで、したがって、人事の交流も国家、地方公務員並みに行なわれた、並びにその俸給を支給するのを国家がこれを認めておったわけです。こういう内容的に相当明確なものがございます。しかし、いまおあげになりました各種の機関につきましては、たとえば人事の交流が政府意思に基づいて行なわれたかどうか、つまり政府がこれを任命したかどうかというような問題もございますし、その他の点につきまして、基本的にまだ恩給制度適用する基準としてきわめて不明確である、こういうことでございます。ただ、何か国会附帯決議をしたらすぐやられるのじゃないかとおっしゃいますが、私は、国会恩給制度の基準を無視して、ただ陳情を受けたから附帯決議をするというような軽率なことはなさらぬと思っております。そこにやはり明確な基準がある、その基準に適合しておるじゃないか、これを見のがしておるじゃないかというような御注意をいただきますならば、これは基準に照らしまして、当然恩給制度適用者として扱うべき者は扱わなくちゃならぬ。たまたま敗戦後のことでございますから、政府といたしましても、調査もなかなか困難な点もありましたし、手落ちもあると思っております。これらを発見して、これに適用すべき方がおられるならば、発見次第その内容を検討しまして、これらの方にも適用するのは、もちろん政治の公平を期するために当然でございます。しかし、まだこの基準が合わないのだ、また非常にケースが違うのだということになりましたものを、世間が言うたとか、また私が申し上げましたとおり衆参両院も、ただ陳情をいかに受けたからというておやりになるようなことはない、私はそう信じておりますが、これらは調査、検討を加えることは必要でございます。たとえば農林省からこういうものを調査してくれということでございますれば、農林省自体も御調査になりましょうし、恩給局としても細密の調査をするのが当然でございますが、いまのお話のとおり、ただ人から言われたからとかなんとかということで、基準を無視してそのことを取り扱うというようなことは、なすべきではない。こう思っております。
  49. 村山喜一

    村山(喜)委員 だから、そこに基準の明確化の問題が出てくるわけです。というのは、臨時恩給等調査会報告書の中にもございますように、恩給法の対象外にある者を戦争犠牲のゆえに恩給法のワク内に取り入れることは、一般戦争犠牲者との関係もあり、適当でない、こういう答申がなされたにもかかわらず、恩給法の対象外にある者をすでに取り入れておる。これは基準を政府みずからも破っておる。そして人事交流がどうのこうのとおっしゃいますが、満鉄の場合であっても、これは満鉄総裁が人事権を持って、政府が関与すべき、満州国の皇帝が関与すべき問題ではない。そういうような点から考えましても、これは今度ここに三つの機関が設定をされ、指定をされるということと、私がいま申し上げましたような内容のものと比較検討をしてみますと、あまり差はない。差がないということは、将来の問題として、検討をした結果、これが取り入れられるということなんです。そういうような形の中で次から次にワクの拡大をはかってきたのが、今日の政治の姿なんです。私が申し上げますのは、一ぺん臨時恩給等調査会報告書の中で一つの限界線を引いたけれども、その限界線を今日において破られた。そして次から次に、これは政府機関に準ずるもの、それから三公社に準ずるものという形で次のものが出てきた場合には、同じように取り上げないわけにはいかぬ。これが政治の公平の原則だ。そういうことを考えてまいりました場合には、当然検討を願っておきたいと思うのであります。  そこで、この問題についてはこの程度で終えて、次は、いま申し上げましたように、何らかの形で理論的な、基本的な原則的なものをつくられるだろうと思うのでありますが、その場合に、一般引き揚げ者との処遇の問題は、一体どういうふうにお考えになっておるのかということであります。これは今回総理府設置法の中にも、御承知のように、外地引き揚げ者のための在外資産の調査その他の審査をするために審議会を置くということになっておって、それらの問題とあわせて考えていかなければならないと思いますので、この際、この恩給法の問題と関連をして、一般引き揚げ者の処遇の問題については、どうお考えになっておるのかをお答え願っておきたいと思います。
  50. 野田武夫

    野田(武)政府委員 恩給制度と、今回の在外資産に関するいま御審議を願っております審議会設置というものは、これは原則的に公務員である方は恩給制度適用を受ける。在外資産は、貴重な外地における私有財産を、国家犠牲によって請求権を放棄した、こういうことでございます。したがって、これらのことを勘案いたしまして、今日私ども考え方は、やはり審議会を設置いたしまして、この審議会によって、これらについて公正な処理の方法、手段、態度、またその具体的対策案、こういうものを御審議を願いまして、その答申に基づいて政府としても十分これを考慮するというたてまえでございまして、目下御審議を願っております審議会というものは、審議会が設置されまして、そこで審議会委員の方々に、これらの問題の処理についての自由な御意見出していただいて、そして結論を出していただいて、これに基づいて政府としては考慮する、こういう考え方を持っております。
  51. 村山喜一

    村山(喜)委員 この問題につきましては、また後日、総理府設置法の問題について審議をいたします際に触れてまいります。  そこで、次の問題は、追放者に対する特別措置であります。これは旧特高関係の追放された人に対する特例の措置として、一時恩給相当額の一時金を追放解除時のベースによって支給をしたいということです。これは、追放当時、これらの人たちは一時恩給はもらわなかったのですか。
  52. 増子正宏

    増子政府委員 一切の恩給は停止されたわけでございます。
  53. 村山喜一

    村山(喜)委員 停止されたということは、今日に至るまで一時金も、一時恩給も、さらに恩給法上の適用も、これらの人には停止されているからないということですか。
  54. 増子正宏

    増子政府委員 ただし、この人たちにつきましては、その後いわゆる解除があったわけでございますが、特高関係等につきましては、二十六年だと思いますが、解除になりました際に、それぞれ恩給法措置もいたしたのでございますが、ただし、この当時におきましては、いわゆる軍人恩給の復活等もない時代でございまして、いわゆる追放になって退職になったときの給与ベースを基準にした一時恩給支給するという措置をとったわけでございます。ところが、その後御承知のように、停止されておりました軍人恩給が、二十八年の法律によりまして復活いたしたわけでございますが、これらの場合には、いわゆる復活時、解除時といいますか、そのときのベース恩給処理したということがございます。今回考えておりますのは、この軍人恩給等の場合に比べましても、若干不合理な関係にあったという事実に着目したわけでございます。
  55. 村山喜一

    村山(喜)委員 追放解除時のベースでいえば、一万円ベース、一万二千円ベースのころですか。そうすると、一人当たり一時恩給支給額は、七万から十万円くらいになりますか。
  56. 増子正宏

    増子政府委員 御質問は解除時のベースでございますか。——念のため申し上げますと、先ほど私が申し上げましたのは、特高関係者等につきましては、解除時のベースでなくて、退職時のベースで支払われた。したがいまして、その金額は非常に少なかったわけでございますが、今回の案では、いま申された解除時のということで、二十六年当時でございますから、この場合は、二十六年の一月からは一万円ベースであったと思います。
  57. 村山喜一

    村山(喜)委員 大体百人程度で一千人四百万ですから、平均したら一人十四万程度、こういうふうになりますね。そういたしますと、これはこれなりで軍人恩給の問題ともつり合いがあるからということでしょうが、ここで私は均衡原則という問題から考えなければならないのは、やはりこれも戦争犠牲者の問題だと思いますが、外地から引き揚げてまいりました教員、公務員、これが職につけなかった。七年以上十七年未満のそういうような職員、これは二十年のベースで二十五年ごろ一時恩給をもらっていますね。そういたしますと、二十年ベースというのは——二十年というのはベースがなかった。追放者の人たちと同じような立場にあった。たしか五十円から六百五十円の俸給炎が適用されているころの計算基礎に基づいて、これらの処理が——敗戦という事実もありました、いろいろなめんどうな書類審査等もあって、事実渡されたのは二十五年ごろです。だから、焼け石に水のような一瞬恩給をもらった、こういうような人たちとのつり合いはどうお考えになりますか。これらの人が、特高なるがゆえに就職はできなかった、戦争に負けたがゆえに外地から引き揚げてきた、就職はできない、これは一体どこに違いがありますか。本人は就職の意思があっても、受け入れる職場がなければ就職はできない。同じようなことじゃないのですか。なぜ特高だけ特別待遇をしなければならないのか。なぜ一般の引き揚げ教員、公務員は、無視されなければならないのか。これは、今度引き揚げ者のためのそういうような審議会をつくって、その中で均衡をとるということをお考えになっていらっしゃるのですか。その点をお答え願いたい。
  58. 増子正宏

    増子政府委員 御指摘のいわゆる一般的な引き揚げ者である公務員につきましては、引き揚げてまいりましたとき、帰国したときをもって一応退職ということにいたしておりますので、地域によりまして、人によりましてその扱いで退職とされたということは、いろいろあるわけでございます。その間におきまして、御指摘のようにベースの低いときにやめた者、これは当然そういう問題であるわけでございますが、実は一般的に言いまして、恩給制度の場合におきましては、年金等につきましては、今日退職後におきましても、不十分ではありますが、いわゆるベースアップの措置をいたしておりますけれども、一時恩給につきましては、原則として退職当応のベースによって計算されたものが支給されて、それで実は終わっておるわけでございます。そういう意味におきまして、恩給法の全体の体系としましては、過去における一時金の不足分をあとで補正する、あるいは追加をするという措置考えられないし、今日までやってきていないわけでございます。ただ、今回問題になっております追放者の場合におきましては、その後解除になって就職いたしました者につきましては、もちろん公務員期間として前後通算されるということでございますけれども、そういった就職の機会がなかった者につきましては、一時金だけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、解除時のベースにはよらずに退職時のベースでもって一切を処理したという点につきまして、いろいろと特殊な事情が考えられるわけでございます。すなわち、この特高関係の追放者は、御承知のように、有無を言わさず一斉の罷免でございましたが、それにつきましては、いわゆる公職審査というような一般の公職追放者の場合と違いまして、そういった審議手続というものもなく、一切問答無用で処理されたというような経過もございます。したがいまして、このいわゆる犠牲者につきましては、社会的にもいろんな問題が出てまいっておったわけでございます。おそらく追放解除になっておりました期間も、恩給公務員期間として通算してほしいというような要望も出ておったのでございますが、それらの点は、他との均衡も考慮いたしまして、私どもとしましても、そこまで取り上げるということは考えなかったのでございます。なお、恩給年限未満のものにつきましても、その未満の年数はいろいろあるわけでございますけれども、この点は、軍人恩給の一時恩給といいますか、一時金の場合と同様な均衡を一応とりまして、七年以上の在職者というように線を引きまして、その未満のものにつきましては、今回の措置としては対象外とするような措置をいたしまして、一応これらのものに対する措置としては必要妥当なものではないかというふうに考えたわけでございます。
  59. 村山喜一

    村山(喜)委員 これについても臨時恩給等調査会報告書の中に意見が出ている。「また、退職一時金は、その本来の性格から考えるならば、退職時の条件に応じて支給さるべきであって、退職後の条件をこれに影響させるべき筋合でないが、特高一斉罷免の特殊事情を考慮し、さらに検討の余地がある。」ということで、インタロゲーション・マークで残してある。検討した結果、これは救済すべきであるという結論に達せられたわけだろうと思うのです。そうでなければ、法律案として出てこない。その場合に、あなた方は、同じようなそういうような引き揚げ者の問題等も考慮しながら均衡原則というものをお考えにならなければ、この問題についてはそういうようなことの結論を出し得ないはずだ。ただその一つだけをとらえて、その特高団体のどういう人から圧力があったのか知りませんけれども、そういう要望の強いというようなことでこの問題が出てくる。片一方のほうでは、そういうような声が弱い。同じような境遇に立たされて、昭和二十年のころの五十円から六百五十円のそういう賃金体系で、退職金を、一時恩給をもらって泣く泣く就職もできない状態になった人たちもおる。しかも、そういう人たちは、昭和二十五年ころスズメの涙ほどの一時恩給をもらっておる。こういうような事例が、現に存在するわけです。それともう一つの事例としては、御承知のように、第三次吉田内閣の手によりまして首切り行政整理が行なわれた。二十三万三千十二名の計画上の行政整理、実際の退職者は十六万五千五百十二名が国家公務員といたしまして首を切られた。そうして退職手当というものは、政令に基づいて、占領軍の、総司令部の覚え書きによって五十一億円の範囲でやるということが閣議で決定をされて、一人平均三万円程度の退職金しかもらってなかったわけです。そうしてそれらの首を切られた人たちが一体どうなったのかということで、その後の実情を調査してみたら、国鉄あたりに勤めておった場合には、先任権順位というものがあって、先任権順位に基づいて若い人たちが首を切られた。ところが、この国家行政組織法によります首切りというものは、行政機関職員定員法による首切りは、一体どういうような結果が出てきたかといえば、その結果は、皆さん方も御承知のように、どうしても業務運営をやっていくことができないような形になっている。そこで、その後においてだんだんにそれらの是正措置を講じながら、これらの人たちが臨時職員という形で救済をされて、そうしてその人がやがて昭和三十三年ごろに定数化されている。こういう経過をたどっていったわけですね。これも日本経済の復興の犠牲者で、そういうような人たちは、一体これは共済組合の対象、恩給法上の対象ということからいった場合には、身分的にはどういうふうになりますか。現在、非常勤職員の問題が、非常に問題として大蔵委員会あたりにおいても取り上げられているようであります。常勤労務者として取り扱いをされた人の場合には、これは共済組合法の対象になっているようであります。しかしながら、同じような仕事をしながら、常勤的非常勤職員としての身分に落とされた人たちは、これは何らの恩恵も与えられないで、定員に繰り入れられたときに初めてこの救済がされる、こういう形になっている。そういうような場合とのつり合いは、一体どういうふうにお考えになっているか。特にここに大蔵省の給与課長も見えているようでありますので、これらのいわゆる震動労務者の問題、それから常勤的非常勤職員の問題これらが、恩給法上あるいは共済組合法上とのような不遇な地位を占めているから、どういうふうにするのだという基本的な構想というものをお聞かせ願わなければ、これらの特高の職員とのつり合いというものが出てこない。これらについて、どういうふうにお考えになっているか、お答えを願いたいと思います。
  60. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 定員法の関係で、昭和二十四、五年ごろから以降、本来の定員内職員であったものが非常勤職員になり、この後の累次の定員法の改正等によって現在では定員内職員になっている、こういう職員のいわば非常勤であった期間の処遇の問題につきましては、大蔵委員会における共済組合関係の審議を見ましても、いろいろ論議されたところでございます。これにつきまして一番典型的な例としては、農林省の出先機関でございます食糧事務所でございますとか、あるいは農地事務所、あるいは調査統計事務所系統の職員の事例が、例として論議されたわけでございます。御承知のように、現在の共済組合法の考え方というものは、長期給付に関する限りは、ある程度の継続的雇用を前提として考えるのが妥当であるという基本的な立場に立っておりまして、少なくとも通常の定員内職員と同様の勤務状態で勤務して一年以上になり、さらにこれが継続的に続けられるという前提の場合に共済組合員として取り扱う、こういうたてまえになっているわけでございます。したがいまして、勤務の実態がそのような態勢になっていなかったというような場合については、これを当然共済組合員として取り扱うことができるかということになると、共済組合の本来の制度としては、かなりむずかしい問題があるわけでございます。ただ、従来から論議されております論点は、形式上は非常勤という形になっているけれども、実態において常勤職員と勤務形態において差がない、ただいわば勤務記録カードの整理上こういう非常勤職員としての処理をされておった、こういったケースが非常に多いというような御主張がございました。したがいまして、そういったケースがかりにありとすれば、実態において常勤的職員であるにもかかわらず、非常勤として処遇されているという特殊な問題でございますので、そういった点については、農林省ともはかりまして、これは八月中というふうに承っておりますが、一応実態調査をおやりになる、その結果に基づいてわれわれのほうにも御相談をいただくということになっておりまして、私どもとしては、大蔵大臣も答弁いたしておりますように、四十年度中には結論を出すように検討をいたしたいと考えておるわけであります。
  61. 村山喜一

    村山(喜)委員 これらの人たちが、昭和二十四年の六月一日付で発効いたしました定員法に基づいて首を切られ、そしてその後人事院の規則の制定によりまして、パートタイムの職員として雇用され、任用形式が日々雇用という形から今度フリータイムの職員として、そしていろんな過程を経ながら常勤労務者という形で雇用をされる。それが初め公共事業費支弁の職場だけが該当者であったものが、その後さらに各省においてもこのような職員が増加いたしまして、その結果、昭和二十八年の八月一日以降においては、旧制の国家公務員共済組合法の適用対象として救済をされた人もあるし、あるいは常勤労務者だけが、大蔵省の通達によりまして、二十九年の四月一日以降は、共済組合の対象にされる、こういうふうな形で、その間には断続があるわけですね。その首を切られてから日々雇用される形態をとっている間は、共済組合の対象になっていない。ましてや恩給法の対象にはなっていないわけです。その人たちが、今度、三十三年度に定員外職員の定員化が行なわれ、それによって初めて定数内に繰り入れられて、公務員としての資格をとった、こういう形が、戦後の混乱期の中においても生じてきているわけです。とするならば、これらの人たちとの問題は、やはり一定の時点をもとにいたしまして、今度さかのぼって適用するという追放者の待遇問題が出ているわけですから、こういうようないわゆる国家経済政策の犠牲、日本経済の今日の繁栄を取り戻すためにとられた占領軍の政策の是正、そういう点から考えていった場合には、これらの犠牲をこうむった人たちの処遇をどうするかという問題も、あわせて考えなければならぬ。私は、そこまで思いをいたしながら、この問題については踏み切られたものだろうと思うのでありますが、その点はどうなんですか。そういうようなことは全然考えないで、この追放者の問題だけをひとつ誠心誠意解決をしてやろうということでお考えになったのですか。総務長官、いかがですか。
  62. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 ちょっと総務長官お答えいただきます前に、私から技術的な点を補足させていただきたいと思います。  先生ただいま御指摘の問題は、率直に申しまして、現在までのところ、完全な実態把握ができておりません。したがいまして、先ほども申し上げましたように、農林省当局におかれて実態調査をいま鋭意進められておるわけでございまして、その意味において、タイミングとしてはどうしてもずれざるを得ないわけでございます。したがいまして、特高警察の問題等の御論議でございますが、それの御決定とこの問題とは、少なくともタイミングの面においては若干のズレがあることは、やむを得ないところでございます。
  63. 村山喜一

    村山(喜)委員 給与課長が総務長官にかわって答弁をしたようでございますが、問題はいま農林省云々ということを言われるのだが、それは行政管理年報の第七巻、行政管理庁が三十三年の九月に出されました資料の中に出ておるわけですが、被害調査職員五百九十四名、農産物検査員四百五十一名、これは専門職員として農林省の中に入っておった職員——この常勤的非常勤職員という問題は、農林省だけじゃないのです。ましてや私がもう一つの問題として提起しておるのは、常勤労務者の人たちも含めての問題です。だから、これらの処置の問題は、さかのぼって一時金をまたやりましょうという非常な優遇措置が、片っ方においてはとられるわけでしょう。片っ方においては切り捨てごめんで、今日までそういうようなものは政策の犠牲者として放置されて、しかもやらしておった仕事は何かというと、同一労働、同一給与の公務員法上の原則からはずれて、非常に不安定な身分のまま放置してきた事実があるわけです。そういうような問題とあわせて考えながら政策を進めていくというのが、行政の筋ではないかと思うし、片っ方を上げる場合には、片っ方の場合も考えていくというのが、全体を通ずる行政のあり方として、理念的に当然正しい姿じゃないかと私は思うのです。それをお考えになった上でお出しになったのかということを、長官にお尋ねをしているわけです。その点は、長官いかがですか。
  64. 野田武夫

    野田(武)政府委員 追放者の問題といまの非常勤の問題と、お話を承っておりますと、まことにお気の毒でございます。これらはいま大蔵省からいろいろ御説明いたしましたとおり、とりあえず農林省関係のごときはいま調査に着手する。またいまお示しのほかにも、そういう事例がございましょう。しかし、ただここで御了解を求めたいのは、追放者は、御承知のとおり、特に特高関係の者は、切り捨てごめんでもって追放、この人たちはその追放中、いかなる理由によりましても一切の公職にはつけない。第二は、恩給の請求権を持たなかった。これはちょっと普通の戦争犠牲者の中のケースといたしましては、一切の人権を剥奪されたといってもいいくらいに、非常に特殊な扱いを受けたんじゃないかと私は思っております。したがって、もちろんお示しのいろいろの場合を想定いたしますと、決してそういうことは今後考えません。考えないということを断言できないいろいろの、まだ今後調査し、検討すべき事案が残されておると私も思います。思いますけれども、今回御審議を願っております追放者というものは、いま申します公職への就職は、法律上一切禁止されておる。他の方は必ずしもそうではない。また、恩給の請求権を持っている方は、当然請求の権利を行使できる。しかし、この特殊の追放者は、請求権を持ちながらこれは剥奪をされたんだ、こういうことでございまして、私は、事態の客観的な情勢というものは、おのおのお気の毒なことでございまして、一々それらの方につきましての政府考え方も今後十分調査し、検討する必要があると思いますが、公職の追放を受けたこれらの、特に特高関係は、先ほど恩給局長も申しましたとおり、何らの審議機関も経ずして、問答無用でやられた、一切の公的権利を剥奪されたというようなことでございまして、これらにつきまして、やはり何らかの措置をするのが妥当ではないか、こういう考え方のもとに今回の法案を出しまして、御審議を願っておるところでありまして、その他の問題につきましては、先ほど申しましたとおり、今後調査し、検討して、やはりこれらの適当な対策ができますれば、当然これは措置しなければならぬ。しかし、これはやはり十分検討せねばならない、こう考えております。
  65. 村山喜一

    村山(喜)委員 それらに匹敵するような問題を私は出したわけですが、それは今後考えるということですが、そこで私は、追放者の人たちの特別待遇をおやりになる場合には、かつて特高の犠牲によって倒れた人たち、治安維持法によりましてやられたのが、われわれのクラスであります。その人たち、あるいは陸軍刑法、海軍刑法等によりまして——もうその法律はないわけですが、そういうものによって罪に落とされた人たちがおる。しかも、それは破廉恥罪を犯したわけではない。思想的な者、あるいは考え方の違う者、そういうような者に対して、特高の諸君は一般の罪なき国民を弾圧した。その結果追放されて、そして今日においては優遇をされようとしておる。やはりやられたほうも同じように優遇をしなければ、これはつり合いがとれないわけです。とするならば、第四十回国会におきまして、旧治安維持法によって処罰を受けた者が、旧法による場合は二年、そして三カ年間をこえない者については、昭和三十七年十月から権利資格の復活が行なわれました。しかしながら、これによってすべてのものが救済されることにはならない。あなた方は、そのやっつけたほうの側に立つ人たちのクラスが多いわけでありますが、そういうような人たちを今度優遇するとした場合に、被害を受けた、過去においてやられた人たち、これらの問題にも同じように思いをいたすべきではないか、これがやはり均衡原則ではないかと私は思うのですが、その問題については検討をされませんでしたか。
  66. 増子正宏

    増子政府委員 率直に申し上げますと、特高関係の者は、罪なき者を非常に弾圧した、それを救済するならば、その弾圧の対象になった者もまた救済すべきではないかというふうな論理は、私ども実は持たなかったのでございますが、しかし、一般的に、こうした本人の意思によらない措置の場合に何らかの対策を考えるということは、これは当然考えるべきではあろうかと存じます。ただし、ただいまのいわゆる治安維持法等によりまして、思想犯として刑に処せられた者の処遇につきましては、いま先生も御指摘になりました昭和三十七年の法律第百十四号によりまして、恩給の復権措置が一部講ぜられたわけでございますが、それは言うまでもなく、いわゆる軽量の刑に処せられた者、重刑の者は除外されたという経過があるわけでございます。この場合に、いわゆる破廉恥罪とか、あるいはその他思想犯、政治犯といったものを犯罪として区別することが、はたして具体的に妥当に実行できるかどうか、私どもとしては、実はこの問題は一応以前処理した問題でございますけれども、現在におきましてもいろいろ考えてみましたところでは、なかなかむずかしい問題ではないだろうか。結局一般的に恩給権の復権ということは、これはいろいろな比較考量の問題があると思いますけれども、いわゆる軽い刑の者につきましては、これは犯罪の種類を問わずに、一応復権の措置をする。そうして重罪の者につきまして、犯罪の種類別によりまして取り扱いを異にするということは、これは実は実際の取り扱いとしましては非常にむずかしい問題ではなかろうかというふうに考えていたわけでございまして、したがいまして、いま新たに問題として提起されました治安維持法等によりまして刑に処せられた者のうち、前の改正法によりまして措置された以外の者、これについてさらに重ねて復権措置をするかということにつきましては、私どもとしましては、現在としては非常に困難ではないかというように考えるわけでございます。
  67. 村山喜一

    村山(喜)委員 特高の人たちが、これは個人審査が行なわれないで一斉に追放された。ところが、そういうような人たちは、過去において、中には違う人もおりますが、大部分は社会主義者あたりを治安維持法で弾圧した人たちであります。これは日本の民主主義を育てる上において非常に障害になっている存在として、占領軍の政策でやられたわけです。この過去において誤った国家政策のもとにおいてとられました治安維持法等で処罰をされたわれわれの同志の人たちが、おるわけです。いま、この特高の人たちはかわいそうだ、何らかの措置を講じてやるべきだという気持ちはわかります。しかし、それは、それらの人たちの代表が国会議員に当選し、そうしてそういうような人たち意見が、このような法律案を出すにあたりましては出てきている。と同時に、治安維持法でやられたわれわれの仲間の人たちも、国会議員に当選をしてきている。そうして軽量の人たちについては、過渡的な存在としてこの前救済をされました。しかしながら、こういうふうに弾圧を加えた人たちも、弾圧を加えられた人たちも、同じような立場において今後問題を考えていくという、少なくとも今日の新しい憲法下における考え方に立たなければおかしいではないですか。だから、治安維持法という法律によって処罰を受けた者、これは一体どうしてくれるのだ。現に著名な学者あたりで、旧法の二年以上の刑に処せられたために、恩給ももらえない人がおります。その人は、じゃそういうような国家に対して反逆を企て、あるいは今日の時代においてその人の学問の価値というものは誤りであったのかといえば、その逆なんです。その人が恩給法で救済をされずに、弾圧を加えたほうには、一時恩給金を一ぺんやったのをもう一回増額をしてやろうという親心があったならば、片一方のほうもそういうような親心を出されるべきじゃないですか。そういうような問題を比較検討しながら原案をお出しになるのが、行政府としてのあり方じゃないかと思うのですが、これは恩給局長の問題じゃなくて、総務長官の問題だろうと思うのです。総務長官、御答弁願います。
  68. 野田武夫

    野田(武)政府委員 いま旧治安維持法云々、また軍刑でどうだというお話しでありましたが、追放者の問題といまの問題と、私は本質的に違うのだと思います。追放者の問題は、これは占領治下、占領者の命令を受けてやったものであります。これについて、これがいいとか悪いとかいうことは、いま批判しようとは思いません。また、いまお話しの点は、これは国家の法律に基づいて犯罪と認められてそういうことになった。そこで、弾圧したほうだけやって、弾圧されたほうはどうだ、これは当時の事情は私はよくわかっておりまして、それは否定いたしませんが、しかし、事を取り扱う場合には、少し性質が違うのじゃないか。なぜかと申しますと、三十七年の法律百十四号によって恩給の復権措置を講じましたのは、これはひとり治安維持法でやられていたとか、軍刑でやられたというのではなくて、旧来の、つまり処罰された方々の軽量の人はみな復権する、こういうことになっております。また、重量の方は、治安維持法でやられるとか軍刑とかいうことではなくて、一般の犯罪としても復権を認めない、こういうたてまえでございます。そこで、それから先のことは、ちょうど村山さんがおっしゃるとおり、この程度の刑量はここまで延ばしてきたが、あとはだめかどうかということになりますと、私自身も、多少その点について考える余地があるのではないかと思います。だから、ひとりただ治安維持法でどうだとか、軍刑でどうだということと、この恩給のいわゆる三十七年に改正しました内容とは、少し違うのではないかと思っております。これは、重量の人は、すべての方々が恩給の復活ができないということでございますが、いま申しましたように、これはこれでけっこうだ、あたりまえだというふうに割り切った考えは、私自身は持っておりません。したがって、一度問題になったのは三十七年、一昨年でございますが、これまで大体軽量の方は復権していいということでございますから、やはりいろいろの機会に、こういうのは検討の対象になるのではないか、こう考えております。
  69. 村山喜一

    村山(喜)委員 きょう即答をしていただくわけにはいかぬだろうと思うのですが、共済組合の場合は、懲戒処分を受けましても、八割はもらえるわけです。恩給は一〇〇か、ゼロかです。そういうような性格的なものがあるとするならば、ここで特高の分だけについては優遇措置を講じようとするならば、当然そういうような過去の暗い時代において犠牲を受けた人たちが、現実におるわけです、権利を剥奪されておる、そういうような問題点考え、追放者に対する特別措置考えるとするならば、それと同じように、対比的な問題として考えてもらわなければ困る。私は、そのことだけははっきり申し上げておきたいと思います。  その次の問題は、時間もあまりありませんので、しぼってまいりますが、琉球政府の問題です。今回、琉球政府の分離後における琉球政府職員の恩給の優遇措置がとられようとしておる。このことは、沖繩はわが日本の同胞であり、そしてまた、恩給と国籍が適用されているということにおいて、日本国民であるということがアメリカにおいても認められたわけですから、そのような意味においても私は当然だと思うのです。しかしながら、ここで総務長官にお尋ねをしておきたいのは 沖繩がアメリカによって占領されて今日に至るまで、この沖繩の公務員についての社会保障制度については、何らの措置が講ぜられていない。沖繩の琉球政府に雇用される職員等は、そういうような年金制度もなければ、恩給制度もない、このままの形で放置されておる。それを日本の政府がカバーをしてやる。日本に統治権が移っておるならば、これは日本の政府が当然の行為として、大手を振ってやってやらなければならない行為である。しかし、アメリカが占領しておるがゆえに、今日、日本の恩給法の対象者に対してはこのような措置が講ぜられるけれども恩給法の対象外の公務員については何らの措置が講ぜられていないという、不均衡原則がとられているわけです。その問題について、野田長官はどういうような交渉を今日まで重ねておいでになったのですか。きょうの朝日新聞によりますと、「沖繩自治に無関心」というのが、アメリカの下院の秘密会の議事録公表として出されておる。戦略的な重要さだけは強調されて、そして沖繩の自治に対しては無関心である、これがアメリカの実態であるということが、朝日新聞によって報道をされておる。ということは、今日まで恩給局なりあるいは総理府が、沖繩のこれらの問題について、ほとんど及ぼすべき影響を与えていないということが言えるわけです。とするならば、沖繩の問題をここにお出しになった、そのことはけっこうでありますけれども、これと関連をして、沖繩の琉球政府公務員社会保障制度の問題、これについてアメリカとの間にどのような交渉をされ、どういう長期的な展望をお立てになっておるのか、その見通しだけをお伺いをしたいわけであります。この問題につきましては、アメリカの復興五カ年計画がくずれてしまったというような問題等もございますので、その長期計画の中においてこれらの問題も当然当初の計上画としてはあげられていたと思うのですが、アメリカのドル防衛政策という問題から発展をいたしまして、これが今日放置をされているというふうにも聞いておるのであります。その実情はどういうふうになっておるのか、この際、琉球政府の問題についてお答えを願いたい。
  70. 野田武夫

    野田(武)政府委員 琉球政府公務員に対する退職年金制度でありますが、今日なおこの制度が確立していないということは、私は、村山委員と同様にきわめて遺憾に思っておるのでございます。日本政府といたしましては、これらの問題につきましては重大な関心を持っておりまして、公式、非公式に、しばしば機会あるごとに、ひとり公務員に対する退職年金制度だけでなくして、ほかにまだ日本本土と比べて充足しておりませんところの社会政策的な保障制度その池につきましても、アメリカ側に向かって要望いたしております。特に、私が先般沖繩に参りましたときも、またさきにキャラウエー高等弁務官が日本を訪問いたしましたときも、その点について具体的に触れております。そこで、今日の状況におきましては、高等弁務官からしましても、退職年金制度の確立が必要だというので、これは琉球政府要望いたしております。また同時に、琉球政府におきましても、どうしてもこれは確立しなければならぬというので、目下検討いたしておることは間違いございません。これらの点を見ますと、当然近く具体案が出てくると思いますが、日本政府といたしましては、これがただ向こうのアメリカまたは琉球政府がどういう案をつくるかということは、これは自治を尊重するわけでございますから、了解いたしますが、少なくともなるべくすみやかにこの制度ができますように、機会あるごとに今後もひとつ要望いたしたいと思っております。ちょうどこの際に、私は、この公務員の退職年金制度と同様に、私沖繩を見ました場合に毛、二、三の保障制度はできておりますが、やはり公務員だけではなくて、一般住民にも関連のある健康保険のごときも、いまなお確立されないことを遺憾に思いまして、ことさらこの点は具体的に要望いたしました。これに対する高等弁務官の非公式の回答でございますが、必らずこれを制度化するんだというお答えも得ております。私は、村山委員と同じように、今日までこの制度ができていないことを非常に遺憾に思っておりますと同時に、これらにつきましては、今後ともできるだけ機会をとらえて、アメリカに対しましても、こういう問題のすみやかなる確立を要望いたしたい、こう考えております。
  71. 村山喜一

    村山(喜)委員 総理府が沖繩の問題については交渉の窓口になっておるわけですが、どんなに考えてみましても、日本のようなアメリカと比べたら貧弱な国原財政しか持たない国が——本来なれば、この琉球政府につとめている期間の四・五%分、これは沖繩を現実に統治しているアメリカ側が財源は負担をしてやらなければならないのが当然です。それを日本の政府がやってやらなければならないような、そういう現実から考えてまいりますと、一体アメリカという国は、なるほど世間的には民主主義の国であるということを言いながらも、こういうようないわゆる恩給なりあるいは社会保障制度という問題については、日本の政府よりもきわめて熱意がない。そうして、これらの公務員に対するところの老後保障という問題も考えていない。これはアメリカの恥だと私は思う。そういうふうな点を総務長官は強く力説をして、この日本の恩給法適用を受ける人たちは、このような優遇措置を構じてやってけっこうでありますが、あとに取り残された人たちが、日本の本上と同じように待遇がされるような、そういうものをつくっていただきたいということを、この点については要望申し上げておきたいと思います。  それから最後に、恩給ベースの改定の問題でありますが、これは先般永山委員からも御質問がございました。いろいろ貴重な意見が出されておりますので、私は、時間の関係もありますから、詳しく申し上げる何もございませんが、今日恩給法上の一万五千円べース、それから二万円ベース、それに二万四千円ベース——二万円ベースにいたしましても、二万四千円ベースにしても、これは不完全ベースであります。こういうような形で恩給受給者に対しましては処理されていく。ところが、三十六年から今日まで、池田内閣の高度経済成長政策がとられている。その結果は、なるほど国民所得全体は上がりました。しかしながら、と同時に、物価がものすごく上弁をして、生活扶助の適用を受けなければならない恩給受給者が八千名、一万円以下の恩給堂給者は、全体の八割を占めるという今日の状況である。もう、五、六年前にやめた人は、今日の物価高の中では生活ができない。総体的に困窮化しつつある現実は、これはだれも否定できない。そういたしますと、一体これらの人たちに対して老後の保障をする、こういうたてまえでございました恩給というものが、その役翻りを果たしていない面が出てまいります。これらの間において、公務員ベース改定は次から次に行なわれまして、今日においては三万二千五百円程度ではなかろうかと言われておる。そうするならば、不完全ベースという形ではありますけれども、二万四千円ベースという軍隊の公務扶助料、増加恩給等の措置がとられておりますが、しかしながら、普通恩給なり、普通扶助料というものは、これは二万円ベースで抑えられておる。こういうことになってまいりますと、非常に問題が出てまいります。もちろん、国家財政全体の中におけるつり合いの問題も考えなければならないであろうということもわかります。また、共済組合が過去三カ年間の平均ベースに基づいて支給をしておる退職年金の問題のあることもわかります。そして共済組合に入っておる人たちは、過去の恩給国庫納付金の二%に対して、四・四%を支払っておることもわかります。しかしながら、いずれにしてもこれの不均衡の是正という問題は、当然考えられなければならない段階にもう来ているのではないかということは、これは与野党を問わず一致する点ではなかろうかと思う。この点について、一体ベース改定を行なう場合の基本的な方向というものは、たとえば物価にスライドして上げていくとか、あるいは公務員の給与単価が引き上げられた場合に、それにあわせて恩給額の改定を行なうとか、いろいろな方向もありましょう。あるいは社会保障政策的な上で、上のほうを押えて下のほうを上げるという方法もとられるでありましょう。そういうようなものを総合的に検討をして、今後どういうふうに措置していくかという考え方、これは当然今日提案をされました戦傷病者戦没者遺族等の援護法等の一部改正との均衡の問題も、同時に考えられなければならないと思うのであります。これらの問題は、単に審議室を設けるという先ほどのお話のようなお茶を濁すような線ではなくして、私が申しましたように、基本的な恩給あり方、そしてまた公務員共済制度との関連の問題、あるいは社会保障制度との問題、これらとあわせながら検討をしていくべき大問題になっておると思うのでありますが、それらのベース改定の問題に対するところ基本的な考え方というものを、どういうふうにお持ちになっておるのか、この際、長官からお答えを願っておきたいと思うのであります。
  72. 野田武夫

    野田(武)政府委員 恩給ベースアップは、いま村山委員から強い御要望とともに、いろいろの御注意をいただきまして、むしろ感謝します。私も全く同じ意見でございまして、現在の恩給ベースというものが、今日の経済情勢からいたしまして、また諸般の事情からいたしまして、これを増額しなければならぬという段階にきておるということを率直に認めております。三十九年度におきましても、総理府といたしましては、これらにつきましていろいろ意見を述べたのでございますが、御承知のとおり、この七月が若年停止が解けるとか、またその他今度の恩給改正に盛り込んでおります内容等につきましても、新たな恩給制度が加わってまいりました。そういうことで、三十九年度でベースアップができなかったことを非常に遺憾に思っております。ただ、先ほど、恩給局に審議室をつくってお茶を濁すということばがございましたが、これは率直に、私からそのことばを返さしてもらいたい。私は、この段階といたしまして、この審議室の目的に入れておりますのは、これをどうして運用するかと申しますと、まず第一に、恩給の増額改定ということであります。ただ、この改定の内容がどういうものだということにつきましては、いまちょうど村山さんの御注意のとおり、共済年金の関連もございますし、また社会政策的の制度調整の問題もありますし、また一般財源との関係もございまして、これだけやります、これを今度審議室において審議しますということは、まだ私どもといたしましては、はっきり申し上げる段階でない、また差し控えねばならぬかと思っておりますが、しかし、いまいろいろの御注意を、私、深く感銘いたしております。やはりそういう諸般のことを考慮いたしまして、どうしても今日の恩給の額というものは、今日の日本の経済状態から考え、社会政策から考えて、このままに放置することはできない。実は私どもは、この問題は必ず増額に向かって、今後の恩給局の審議室を活用して検討するというだけの決意を持っているということをお答えいたしまして、御了解を得たいと思っております。
  73. 村山喜一

    村山(喜)委員 この問題につきましては、いずれまた国会において、附帯決議その他行なわれることになろうと思いますので、私は、本日はこれで質問を終わりたいと思います。
  74. 徳安實藏

    徳安委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は、明後十一日午前十時理事会、十時半委員会を開会することとし、これにて散会いたします。     午後一時三十三分散会