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1964-06-04 第46回国会 衆議院 内閣委員会 第41号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月四日(木曜日)    午前十時四十分開議  出席委員    委員長 徳安 實藏君    理事 伊能繁次郎君 理事 佐々木義武君    理事 辻  寛一君 理事 永山 忠則君    理事 石橋 政嗣君 理事 田口 誠治君    理事 山内  広君       岩動 道行君    塚田  徹君       野呂 恭一君    藤尾 正行君       保科善四郎君    湊  徹郎君       渡辺 栄一君   茜ケ久保重光君       大出  俊君    中村 高一君       村山 喜一君    山田 長司君       受田 新吉君    山下 榮二君  出席政府委員         内閣法制次長  高辻 正巳君         人事院総裁   佐藤 達夫君         人事院事務官         (給与局長)  瀧本 忠男君         総理府総務長官 野田 武夫君         総理府総務副長         官       古屋  亨君         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房公務員制度         調査室長)   岡田 勝二君         総理府事務官         (恩給局長)  増子 正宏君         大蔵政務次官  齋藤 邦吉君         大蔵事務官         (主計局次長) 中尾 博之君         大蔵事務官         (主計局給与課         長)      平井 廸郎君  委員外出席者         専  門  員 加藤 重喜君     ————————————— 本日の会議に付した案件  総理府設置法等の一部を改正する法律案内閣  提出第八一号)  恩給法の一部を改正する法律等の一部を改正す  る法律案内閣提出第一〇一号)  国家公務員に対する寒冷地手当石炭手当及び  薪炭手当支給に関する法律の一部を改正する  法律案内閣提出第一五九号)      ————◇—————
  2. 徳安實藏

    徳安委員長 これより会議開きます。  総理府設置法の一部を改正する法律案恩給法の一部を改正する法律等の一部を改正する法律案、及び国家公務員に対する寒冷地手当石炭手当及び薪炭手当支給に関する法律の一部を改正する法律案の三案を議題として質疑に入ります。  質疑の申し出がございますので、これを許します。山内広君。
  3. 山内広

    山内委員 私は、きょうは国家公務員に対する寒冷地手当石炭手当及び薪炭手当支給に関する法律の一部改正についてだけお尋ねしておきたいと思います。  この改正の骨子となりました人事院勧告が三月の十二日に出されまして、ほとんど勧告趣旨そのままが提案されておるわけであります。この寒冷地手当というものは、一体何なのか、そういうことでこの性格を検討いたしましたが、二十四年の第五国会議員提案でこれが満場一致通った、そういう経緯もあってか、この寒冷地手当に対する資料というのは非常に乏しいのであります。国会の議論も、会議録をかなりたんねんに見ましたが、ほとんどなされておらない。それから人事院のほうでおつくりになりましたこの寒冷地手当基礎になりました資料も、私の目の届いたところでは、昭和二十九年のCPSに基づくいろいろな生計費調査、それからそのほか若干ありますけれども、いずれも昭和二十九年のものなのです。そのために、今回お出しになりましたこの寒冷地手当というものが妥当なものかどうかということに、実は非常な疑念を持つわけです。もし二十九年におとりになったあの資料と同様な——最近のいろいろな物価の上昇もあることですから、こういう資料がありましたら、まずこれを内閣委員会に御提出いただきたい。この資料要求を劈頭にいたしたいと思います。  それで、この寒冷地手当というものは一体どういう性格のものかということで、さっき申しましたとおり、いろいろ調べてみたのでありますが、これについての御意見がありましたら、まず伺っておきたいと思います。
  4. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 ただいまおことばにございましたように、元来は議員立法として成立したものでございますけれども、私どもこの仕事に携わっておる者といたしまして、この寒冷地手当性格をどう理解するかということであろうと思いますが、結局きわめて素朴なお答えになりますけれども、要するに普通の給与をもってしては償い得ないような寒冷あるいは積雪から来る生計費増加があるだろう、それをここで見てやろうということが根本であろうというふうに考えております。
  5. 山内広

    山内委員 実は私の手元に、二十四年の第五回の国会で星島委員長提案理由説明されたものがあります。これが妥当であり、これをあなた方の考え方として、性格として、この寒冷地手当の将来いろいろ是正なり何なりの資料にするということになれば、これは大事な問題でありますから、読んでみたいと思います。  法案提出理由は、寒冷積雪地方では、燃料、食糧等の購入のため、冬季暖地に比して生計費が増し、これら地方に在勤する職員の生計費も一時的影響を受けるが、この生計費増加一定期間のことであり、かつその期間地方によって異なるから、本俸に織り込むことはむずかしい。また民間諸会社でもすでに寒冷地手当支給している実情にかんがみ、寒冷積雪給冬季に限り支給する要がある。こういう御説明がなされておる。私の見た範囲では、この寒冷給性格を記するこれが最初で最も詳細をきわめたものだ、こう理解しておりますが、人事院はそのとおりお認めになりますか。
  6. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 私の先ほど申し上げましたことも、全くその趣旨でございます。
  7. 山内広

    山内委員 そうなりますと、これで明らかなことは、暖地に暮らす公務員寒地で生活する公務員とは、おのずと生活費に非常に相違があるということを前提として考えておるわけです。したがって、これの基礎になるものは一体どれだけ差があるのか、この資料が十分に理論的になされないと、実は金額を算定する場合に非常に困るわけです。さっき資料要求いたしました二十九年以後、これらの趣旨にかんがみてこういう調査人事院においてはおやりになったかどうか、出せるかどうか、そのことをまず聞いておきたい。
  8. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 お答え申し上げます。  寒冷地関係資料につきまして、われわれいろいろ研究をいたしますのに、必ずしも資料が十分とは考えておりません。しかしながら、寒冷というものにつきましては、年によりまして暖冬とかあるいは寒冬とかいうことがございますけれども、おおむねそれほど違ったものでもないということと、それから場合によりましては、ある一定の年の周期をもちまして暖くなったりあるいは寒いときが続いたというようなことがございます。そこでわれわれは、いま申し上げましたような趣旨から、一つの年度の気温なり積雪の状態だけを問題にするのは、こういう制度考えます場合に必ずしも適切でないというようなことから、現在われわれが使用いたしておりますものは、中央気象台で発表をしておりまする各地平均気温平均積雪、こういうものを厚則として使っておるのであります。これを補足するために種々の資料は使っておりますけれども。これは過去十年間の平均あるいは十年以上の平均という数字に相なっておりまして、漸次新しい資料が追加され、古い部分が除かれて、そうして十年間の平均という数字になっておりますので、二十四年当時におきましては、二十四年までの資料ということでやっておったのでありますが、その後におきましては、やはりそういうふうに資料の差しかえがございまして、この気象台から出ております資料は、最近十年間というものになっております。これは最近十年間といっても、去年までのが全部入っておるかということになりますと、なかなかそう参りませんけれども、そういう次第でありまして、漸次新しいものになっておるわけでありまして、その資料提出できると思います。  また、寒冷増高ということが、生計費の面でどのように増加していくかというようなことにつきましても、二十四年以降の資料をわれわれ持っておりまするし、ごく最近までの、これは傾向だけでございますけれども、それを持っておりまするので、これも出せる。また、寒地暖地生計費の違い、これが基本になるわけでございますが、しかし、現在あらゆる地域のそういう資料を求めることは困難でございまするし、技術上不可能でありますので、われわれは、総理府統計局各地生計費調査をやっております。そういうものを寒地暖地に分けましていろいろ研究をいたしております。これはごく最近までの資料についてやっておるのであります。ところが、生計費というものは、必ずしも寒冷増高関係だけで違ってまいるかというと、そうではないのでありまして、各地によりまして、それぞれ生活水準なり生活態様の違いがございまして、寒地必ずしも高くなかったり、暖地のほうでべらぼうに安かったり、いろいろな現象がございます。そこでわれわれは、個々の事実についてそういうことを見るのははなはだむずかしいので、これを寒地暖地にまとめまして大観して観察するということを常時やっておるのであります。そういう資料もございますので、それも提出いたしたい。  いずれにいたしましても、現在われわれが見ておりまする資料は、二十四年までの資料だけでやっておるのではないのでありまして、利用し得る最近までの資料を使ってやっておりますので、御要望の資料等はできるだけこれを提出したいと思います。
  9. 山内広

    山内委員 では、また資料をいただいてからその内容について意見を申し上げたいと思います。  では、今度改正になります諸点について順次お尋ねしていきたいと思います。  今度は、石炭手当薪炭手当を取りまとめまして寒冷地手当ということで、石炭手当及び薪炭手当石炭加給薪炭加給というふうに名前が変わった。しかし、どういう資料に基づいて今度の改革をなされたかわかりませんけれども内容を見ると、形が変わっただけで、実質的な変化はほとんどない。その点について私は非常な不満を持つわけであります。そこで、順次お尋ねしていきますが、この第二条第二項、これは薪炭手当の問題でありますけれども、これがなぜ三級地以下に支給されないのか、その基本的な考え方。五級、四級だけが支給されて、三級地以下には支給しておらない。特に五級地、四級地が多少でも増額になりますと、三級以下との格差というものがまたその部分だけふえるわけであります。そういう意味では三級以下の人は相当不満だと思うのですが、これはどういうわけですか。
  10. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 ただいま御指摘薪炭手当でございますが、薪炭手当ができましたときも、御承知のとおり、これは国会のほうで議員提案という形でこの法律に入ってまいったわけであります。その根本とするところは、これは内地における五級、四級、内地寒冷地というものと北海道寒冷地というものとの間の均衡というようなことが、非常に大きな要素になったのであろうと想像するわけでございまするが、そういう成立の経緯から見ますると、北海道それから東北地方、この均衡ということに国会の重点があったのであろうというように思うのであります。しかし、これは国会でそうおきめになりまして、北海道では石炭手当が出ておる、内地寒冷地手当だけである。場合によったら、気象条件等部分的には北海道のある地域内地のある地域とさほど違わぬところがあるのじゃなかろうかというような問題から、この薪炭手当という問題が取り上げられたと思うのであります。われわれは、法律がおきまりになりました後におきまして、これを一体どういうふうに解釈するかということについて、いろいろ研究いたしたのであります。国会でおきめになりました薪炭手当を一体どういうように理解するかということでございますが、これは当時の状況におきましては、やはり北海道では石炭ストーブということが一般的に普及いたしておりまして、石炭を使うということが慣例的になっておる。もっとも北海道薪炭を使わないという趣旨ではございませんが、採暖では原則として大部分石炭が使われるという状況。ところが、内地におきましても、やはり薪炭ストーブというものが相当普及をしておって、そのために薪炭の消費ということをそれほど軽々しく見れないというような事情がある。薪炭ストーブの普及しておる地域というのは、大体どの地域であるかということをわれわれ調査いたしたのでございますが、それはおおむね東北地方である。東北地方ということになりますと、五級、四級ということになるのであります。そこで同じく寒冷地手当で四級地あるいは五級地になっております地域におきましても、寒冷であるがゆえに五級地になっておるところ、また寒冷度はそれほどではないけれども積雪が非常に度合いが高いということでなっておる、あるいはその中間でなっておる、いろいろあるわけであります。主として寒冷でなっておるというところをとってみますと、やはり五級、四級。まきストーブを使う地域におきましては、それを使わない地域よりも薪炭費が多くかかるという実情があるわけであります。また、積雪で五級地、四級地になっておるところはどういうところかと申しますと、おおむね平均積雪が一・四、五メートルをこえます。ということは、普通軒をこえまして降るというような状況であります。これは屋根から雪おろしをするだけではぐあいが悪い。その雪をさらに除雪のための運搬をしなければならぬというようなことがある。そういうことでいろいろ研究いたしてみますと、まきストーブを使うための費用というようなことから見ますると、やはり五級、四級と三級以下の間におきましては、要する費用がその間に開きがあるということで、現にわれわれが、必ずしも十分とはいえませんけれども理論生計費でいろいろそういうことを研究してつくっております資料によりましても、これは五級、四級と三級とでは開きがあるということになっておるわけであります。また、積雪のほうにつきましても、やはり五級、四級は、除雪のみならず、その除雪した雪をさらに捨てるために運搬するということがあるわけでございます。三級以下ではそういうことがないということで、その間に差がつくというのは理屈づけができる。これは国会でおきめになりましたことをわれわれは理屈づけをしてみたわけであります。そういうことで、やはり現在の状況におきましては、薪炭手当原則として五級、四級に支配されるということが、それほど不適当でないという一応の結論に達したわけでございます。  また薪炭手当金額がきめられます基礎になりましたものは、やはり当時の薪炭価格というものが基礎になっております。ところが、御承知のように、石炭手当トン当たり価格というものを常時改定する仕組みになっておったのでありますが、薪炭手当のほうは、定額金額できまっております。したがいまして、その金額法律で書いてございますので、これを変えるわけにいかなかったという事情もございます。しかし、これがきまりました後における薪炭費価格上昇度合いというものはやはり考えるべきではないかということで、今回はそういう考慮もいたしたのでありますが、そのためにいわゆる定額分増額をいたしたのでございますが、これはおおむね薪炭価格増加に見合った数字になっております。そういう観点からまいりますと、五級、四級と三級との間が開いたということよりも、むしろ五級、四級に支給される薪炭手当の額が、従来縮んでおったものが適当なところまで戻された、われわれはこういうふうに解釈いたしておる次第でござ  います。
  11. 山内広

    山内委員 実は質問をして御答弁をいただいたものをあまり複雑にしないために、私は一つずつお聞きしたいと思ったのですが、総花的な、質問にないこともお答えになりまして、これから整理しながらお聞きしていきたいので、重複した部分は省略さしていただきます。  いま出された中で、薪炭手当を千円増額したことを最後に触れておられるのですが、これで八千六百円を頭打ちとして差が出るわけですが、この額がはたして妥当であるかどうかということは、私非常な疑問を持っておりますが、反論する資料がありませんので、残念ではありますけれども……。ただ、公共企業体はすでに一万円以上を支給しているところがあるのです。そうすると、公務員だけが千円しか上げないということの理論的根拠はどこにあるか。公共企業体でも、相当資料に基づいて組合との話し合いで決定したものと思うのですが、こういう点について御調査がなされたかどうか。
  12. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 御指摘のように、公共企業体では、団体交渉という形をとっております。そこで、寒冷地手当法ではっきりきめてありますその法律趣旨に基づいて人事院勧告する仕組みよりも、余裕がある制度になっておるというように思います。そこでわれわれは、寒冷地手当法に基づいて勧告をする非常に厳格な意味勧告になるわけでありますけれども公共企業体のほうは話し合いでおやりになったり、あるいは調停、仲裁に持ち込まれたりして、そこに話し合いの場があるということで、多少の違いがございます。また、公共企業体の方々と国家公務員とは勤務の状況においても違いがあるというようなことも、公共企業体では一応問題にされておるように仄聞しております。そういう意味で、これが必ずしも完全にバランスするというわけには決定の仕組みがなっていないというふうに理解しておりますが、しかしながら、今回勧告をいたしまして、またそれが法律の案の形で提案されておりますいわゆる内地の五級、四級に対します定額分、いわば従来の薪炭手当に当たります額は、今回は五級地におきましては、世帯主について八千六百円、こういうことにしておるのでありますが、これは偶然のこととは申せ、郵政現業でも五級地については八千六百円、それから林野で八千六百円、電電公社で八千六百円、専売で八千六百円、国鉄で八千六百円、四級地につきましても、今度勧告いたしました世帯主四千三百円というのは、郵政現業、他公社等と同じ金額にたまたまなっております。したがいまして、この薪炭手当に関します限り、今回の勧告を御承認願えれば、公社現業と差はなくなる、こういう次第でございます。
  13. 山内広

    山内委員 いろいろ民間との格差も調べる必要があろうと思いますけれども、私も資料をきょうは持っておりませんので、省略いたしますが、先ほどちょっと御説明のありました寒冷地手当の「俸給の月額扶養手当月額との合計額の百分の二十に相当する額の四月分をこえて支給してはならない。」ということで、要するに百分の八十で頭打ちになるわけです。ここの四カ月という考え方はどこからきたのか。これを妥当な支給月とお考えになっているかどうか、この点を御説明いただきたい。
  14. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 それは国会議員提案でお出しになりまして、おきめになったので、われわれはどういうことでそういう考えになっておるのかということを、むしろこちらから十分お尋ねしたいというようなところでございます。しかしながら、想像いたしてみますのに、おおむね冬季採暖あるいは寒冷増高があるのは四カ月間くらいであろうということであろうと思うのであります。ところが、実際問題としては、そういう期間が非常に短いけれども、その間の寒冷度合いあるいは積雪度合いが非常に高いというような場所と、それからそれほど寒冷はきつくはないが、あるいは積雪度合いはきつくはないが、その継続期間が非常に長いといういろいろのものがございます。そこで月々四カ月支給するというのは実情に合わないというようなことで、これは冬季間一括支給ということになってまいったものであろう、このように理解しておるわけであります。そこで、お示しのように百分の二十の四カ月分ということでございますけれども、実際の法の運用におきましては、その月々でなしに、むしろずいぶんさかのぼりました八月末という時期に冬期間の分を一括して支給するということで、現在は百分の二十の四カ月分ということよりも、百分の八十を、冬季になります相当前の八月末に支給する、こういうことに相なっているもの、このように理解しているわけであります。
  15. 山内広

    山内委員 尋ねないところまで御回答がありましたが、それはどうせお尋ねしようと思っておりましたが、百分の二十で四カ月にしたのは、議員提案法律だから、あなたのほうで国会がどう考えてやったのか聞きたいというお話でした。それでは私のほうから御説明申し上げたい。それは古いのですが、二十四年の当時に星島委員長提案されました提案理由は、先ほど申し上げたとおりでありますけれども、あの当時議員立法をしたときは、これは無理だということは初めからわかっておった。実情に合わないのですけれども、当時予算範囲内ということに縛られて四カ月で押えた。これは実際実情に合わないのです。これは北海道で暮らしたことのない方は、おわかりにならぬと思うのです。私も、居住は北海道です。四カ月で石炭ストーブをとってしまうわけにいきません。少なくとも半年は石炭をたいております。実際これは実情に合わないのです。ですから、これは六カ月間支給するという考え方に立って寒冷地手当支給をやらなければいかぬ。ただ、予算の総ワクに縛られておりますから、私どもも、その予算にしばられたときはやむを得ないと思っておりますけれども、その次にあなた方の力でこのワクが拡大できるなら、少なくとも四カ月という考え方だけは捨てていただかなければならぬ。これは強い要請があると思うのです。支給率を変えることもいいでしょう。あるいは支給する月を変えてもいいでしまう。実質上入ればいいのですから、このことについてどういう手段をとろうとも——四カ月でもって北海道寒冷が終わるのだとお考えになったら、これは全く実情を知らない人の言うことです。もう一度御回答願います。
  16. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 ただいま御指摘がございましたが、寒冷地手当というものの百分の八十、これは内地の五級地にも——北海道は全部五級地でございますが、それが支給されておりますが、それだけではないのでございまして、そのほかに石炭手当というものが支給されている。これは国会のおやりになったことでございますので、われわれからとやかく申し上げることはございませんけれども、少なくとも寒冷地手当というものは、寒冷増高費を補てんする目的のものであります。それがおそらくは不十分であるから、さらに採暖費を補足する意味において石炭手当というものが制定されている、このように理解しておるのでありますけれども、いずれも寒冷増高費であります。寒冷地手当だけについてのお話であるとするならば、これが四カ月ということは、北海道地方にとっては多少適切でないというように思いますけれども、現在の運用そのものが、一括支給で八月末に支給される。しかし、それは寒冷地手当だけではない。北海道については石炭手当支給されている。その全部を一冬の間の寒冷増高に充てるということが、現在の実情になっているわけであります。そこで、われわれは、国会がおやりになったことではございますけれども、やはりどうも月で考えていくということは、先ほどもちょっと申し上げましたように、地域地域によって非常に違いがある。ところが、地域によってこれを違えていくということは、また事実問題として非常に困難である。やはり一冬という単位でものを考えたほうが、現在も実際はそうやっておるのでありますから、実情に合うであろうということで、今回のわれわれの勧告におきましては、四カ月分という観念はやめにいたしまして、それでこの定率分は百分の八十、こういうことにして勧告さしていただいた次第でございます。
  17. 山内広

    山内委員 これも議員立法であるために国会側が責任があるようなことで、あなた方もこれは理論としては非常に逃げやすいところで、私どももあえてあなた方を責めるわけではないのです。ただ、せっかくこういう制度が設けられ、しかも先ほど総裁も認められたとおり、暖地寒地生計費は非常に差があるんだ、それを見てやるのが寒冷地手当だという考え方に立つならば、冬季間生活できるような道を考えてやらなければいかぬ。だから、初めから四カ月で見るのは無理なんです。  で、先ほどの御説明では、大事なことを二点ばかりお話があったのです。一つは八月に一括支給しておる、これも実は実情に合いません。この早く支給するのは、どこから根源が出ておるかと言えば、秋になると、国鉄の輸送が非常に繁忙期になりまして、石炭輸送ができないから、早期に取れ取れということで、もう五月か六月ぐらいに、少し閑散な時期に、国鉄の輸送に協力する意味で全部引き取ってしまうのです。ですから、八月に石炭が配給されるのは、むしろおそいくらいです。そうしますと、五月、六月に取ったものをそのまま秋まで置くんですから、風化作用でもって非常に目減りがしてくる。この点でも非常に損しておる。これは科学的ないろいろなデータもおそらく出ておると思うのですが、これは決して恩に着るほどありがたい制度ではないのです。本来から言えば、たく九月ごろに配給になったほうが、使う人としてはいいのです。それがあまりに早く入ってしまう。貯炭場がないと、全部それは野ざらしになってしまう。そうなったら、雨や風にさらされておるから、減量というものは非常にすごいものです。それでもしかたなく国鉄の輸送に協力しておる、こういうのが現状です。ですから、この点も十分配慮してやらなければいかぬと思う。国会は、議員立法したという責任もありまして、先ほどお話ししたとおり、予算上の理由から四カ月より支給できないけれども、これは不合理だということは認めておるのです。ですから、毎国会参議院でも衆議院でも問題になりまして、三十一国会では、参議院は増額を可決しましたけれども、衆議院で廃案になった。そういう過去の歴史もある。付帯条件は毎年国会ごとにつけられ、それがちっとも是正されないで今日に至っておるわけです。これは何としてでもこの際不合理を是正しなければならないと考えております。  それはそれくらいにいたしまして、今度豪雪手当という新しい制度をおつくりになったわけですが。いろいろ地元の要望もあって、こういう点を考慮されたのかもしれませんけれども、これは私、たいへん事務的にも繁雑な制度をおつくりになったと思う。それはいままで雪の降らぬところに急に降るのですから、除雪にもたいへんな金がかかる、そういうことで、考え方としてこういう配慮をされたということには敬意を表しますけれども、それを二千五百万円で頭打ちにした、こういう考え方。どうせやるのなら、もう少し——これはいままで雪の経験のないところに急に雪が降るので、私、ふしぎなのは、東京でわずか十センチかそこら雪が降ると、電車も交通もみな途絶してしまうでしょう、北海道ではちょっと考えられないことです。あのくらいの雪で電車もバスもとまる、これはあまり雪の降らぬところに降るからです。生活でも同じことです。暖かいところは急に降る、そうすると、ショベル一つないのですから、除雪しようと思ったら、これは人手がないから、一ぺん七百円も千円もかかってしまうのです。どうせ思いやりでこの制度を生かそうとするなら、もう少しこれは実質に合うように増加さるべきではないか、こう考えますが、この豪雪手当についてのお考えを……。
  18. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 先ほども申し上げたように、現在積雪のために級地が三級、四級、五級と指定されておるというところは、積雪の深度によりまして、平均積雪の深度ということを中心に考えてやっておるわけでございます。おおむね四級地以上のところは、平均積雪一・五メートル以上ということになっておりまして、そういう地域におきましては、平均的な話でございますけれども、屋根の雪を除雪する、そうすると、前の道へ落ちるわけでございます。一・五メートルも降りますると、もう屋根の雪を除雪しますと、道が一ぱいになりますので、これはどうしてもある程度道の雪を運搬しなければならぬという現実の問題があるわけでございます。したがって、四級地以上におきましては、その屋根から雪かきをしましておろした雪を、さらに適当な川なり適当な場所に捨てにいくための労力費というものまで一応考えて、その金額、率というものがきまっておるというか、むしろ国会でおきめになりましたことを、われわれはそういうふうな裏づけで、理論的に一応裏づけをしておるわけであります。ところが、三級地以下におきましては、屋根の雪をおろすという場合に、これは理想としては、さらに前の庭あるいは道へ除雪すればなおけっこうでありますけれども、そこまでは見てない。要するに屋根の雪をおろすところまでは見てない。ところが一・五メートルも降りますると、やはりこれはその雪を運搬して捨てなければならぬということになりますので、豪雪というものも、おおむねその程度を基準に考えるのがいいであろう。これは過去何年間かのわが国各地に降りました雪の統計を見てみましても、豪雪と称せられるものは、大体その程度のところが豪雪と言われておるようでございます。そういうこともございまして、その辺の見当をつけたのでございますが、そうすると、やはり除雪しました雪を運搬する労力費というものを見る必要がある。これを現在の労賃で見たならばどのくらいになるかということも、やはり見当をつける必要があります。かたがた、先年の北陸地区の豪雪の際に、民間の各会社なりあるいは現業あたりで一体どういうふうにおやりになっておったのかということを、知り得る限り調べてみたのでございますが、そのときの一時的に支給されました金額というものが、大体その辺の近傍になっておる。その場合にも、必ずしも自分の家の除雪をした費用か、あるいは会社、工場のためにした費用か、その辺がはっきりいたしませんけれども、会社側の支給したものが大体そのくらいの金額になっておるということとにらみ合わせましてこの金額を決定した次第でございまして、御批判はあろうかと思いまするけれども、一応われわれとしてはそういうことでやった次第でございます。
  19. 山内広

    山内委員 今度石炭加給は、そのときの時価というものを考えないで、一定額でお出しになった。それで甲地が二万七千二百円で、乙地が二万五千円、丙地が二万三千三百円ですが、これはやはり現行の三・六トンから三・三トン、三・一トンというこの地域区分に従って、ある一定額をかけたと思うのですが、その石炭の単価というものは幾らに見られてこういう決定をなされたのか、お聞きしたい。
  20. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 この石炭加給の額のきめ方でございまするが、その前にちょっと説明さしていただきたいと思うのです。北海道地区におきまして、暖房用炭として、中塊とか塊炭とか、あるいは粉炭とか、いろいろ使用するわけでございますけれども、それの平均カロリーというものが、終戦直後におきましては、非常に質のよろしくないものを使っておる。それが漸次回復するにつれまして、トン当たりのカロリーが高いものを使うようになったということがございまして、過去ずっと十年くらいを見てみますと、石炭価格が上がるということもありましたけれども、あるいは良質の石炭を一般に使うようになった。そのために価格が上がるということもあったわけでございます。最近、工業用炭等につきましては、非常に値下がりしておるという現状がございます。ところで、今後、一体暖房用炭が値上がりしていくものかどうかというようなことにつきまして、われわれいろんな方面から資料を収集して検討いたしてみたのでございまするけれども、現在のトン当たりのカロリーというものは、まずまずのカロリーでございまするし、今後に向かって、石炭価格が一時的には多少の変動はあるかもしれませんが、大勢としてそれほど上がるという傾向にないのじゃないか、むしろ下がっていく傾向にあるのじゃないか。もし従来と同様の方法によりまして、毎年勧告をいたしましてやるという場合に、下げる勧告をするような羽目になる可能性が、非常に多いのじゃなかろうかというようなことを考えたのでございます。かたがた、従来公務員の場合におきまして、石炭価格の場合には、これは小売り価格ということになっておりまするので、実際には石炭は、貯炭場から自分のうちまで運んでまいる、自分でリヤカーを引いていく人もあるいはおるかもしれませんが、これは一般的なやり方でない、おおむねやはり石炭販売業者が貯炭場から各家庭に運んでくる、場合によったらその運搬費をサービスする場合もありましょうけれども、やはり運搬賃というものはかかるわけでございます。三公社現業でやっておられる状況を見ておりますと、やはり運搬賃の幾らかは考慮されておるようでございます。そこでわれわれは、従来のような石炭価格ということに固執しますると、人事院勧告というワク内でこういう問題がどうしてもこなし切れないということで、これはもうトン当たり価格というような点を離れまして、運搬賃の幾らかも事実上考慮するというような形で、全体を寒冷地手当定額分である、こういうことで増額をはかった次第であります。その増額のはかりぐあいは、これは、北海道の甲地、乙地、丙地におきまして、おおむね五%ないし六%程度の定率分、いわゆる寒冷地手当定率分の五%くらいに当たります額をこの定額のほうで増加してある、こういう次第でございます。
  21. 山内広

    山内委員 いまのお話のとおり、確かにカロリーは、終戦直後と違いまして、六千二、三百以上のものを使用するようになりました。ただ、これはあなた方と私の非常な見解の相違ですが、燃料費が将来安くなるか高くなるかという見解ですね。これは当然高くなります。生活の様式が変わってきているのです。このことも理解しておらないと、これからの石炭加給は、私、是正されないと思う。一つはどういうことからいえるかというと、運搬賃といっても、小運搬料というものは、非常に高くなるのです。鉄道運賃やそういうものは公共料金で押えられていますからまだいいのですが、一たん落としてから自家まで持ってくる、これは非常に小運搬料が高くなる。特に離島に行ってごらんなさい。炭価よりもかえって運搬賃、船に積んで小運搬したほうが高くなっている。運搬賃のほうが石炭の原価より高いのですよ。そういう実情もある。それから北海道——東京もそうですか、札幌では、いま非常にばい煙に悩まされておる。公害の問題が起こっておる。それで、できれば石炭をたかないでガスをたく、あるいはプロパンをたかせる。そういうことで、多少購買力のある人には、そういう石炭の消費というものを、あまり煙を出さないような指導もしておるし、みずからもそういう生活に改めていっておる。決して燃料というものは高くこそなれ、安くはならない。わずか五%の差より見ないというのは、大きな考え違いだと思うのです。この点については、ひとつ記憶しておいていただきたいと思います。  それからいま五%を炭価に見たというこの中には、当然ストーブとかあるいは煙突とか、そういうものがなくちゃたけないのですが、これは見ておりますか。
  22. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 ただいま先生御指摘のとおり、これはもう小運搬賃等は高くなるかもしれません。しかし、現在の法体系のもとで、石炭の小売り価格ということに力点を置きまして勧告するということになりますと、先ほど私が申し上げたようなことになる可能性があるということを申し上げたのであります。それだけではございません。今度は燃料政策の転換というようなことで、むしろ北海道石炭相当出るのでございますから、生活環境として石炭を多く使うということは相当続くだろうと思いますけれども、もちろん燃料としては別の石油系統の燃料を使うというようなことに一方なりかねない、ということになりますと、石炭の小売り価格ということだけにこだわっているよりも、全体の問題として、小運搬も考えるというようなこともむしろいいのではないかというようなことから、今回は定額勧告したわけであります。しかし、これが絶対に固定されるものではない。やはりこの額が適当でないというときには、もちろん勧告ということはあり得る、このように思う次第でございます。  それから煙突、ストーブ等のたぐいでございまするが、これはわれわれとしまして、寒冷地手当石炭手当を一丸といたしまして、そこで償却費等も考えて、それで寒冷増高費ということを一応考えて、大体見合っておるという見当を持っておるわけであります。
  23. 山内広

    山内委員 それはちょっと詭弁なんですよ。石炭加給の中に——いまもうストーブも高いのです。まきをたかれる内地の人も同じだと思うのですが、もう万以上出さなければいかぬ。煙突だって、毎年何本かはかえていかなければ、火力が強いものですから、三年もたけばぼろぼろになって、そのストーブは使えなくなる。いま一万以上の単価でしょう。それで二年か三年でこれは使えなくなるのですから、新しいものを入れていかなければならぬ。これを石炭加給の中に見てやるということは、当然のことなんです。それを寒冷地手当と見合うようにやっているからというと、もうそこでちゃんとあなた方は逃げていることになるので、私、この点は非常に不満に思います。
  24. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 ちょっと説明させていただきたいのでございまするが、先ほども申しましたように、現在の法体系のもとで石炭手当の額を勧告いたしますときに基準といたしますものは、石炭の小売り価格ということになっておりまして、それをもとに勧告せざるを得ぬのでございます。そうすると、その場では、御指摘のような費用を見る余地がない。したがって、これはやはり寒冷のほうでそういう配慮はある程度やる。寒冷地手当、これは打って一丸として寒冷増高に対処するものでございますから、見なければならぬという観点をとっておる次第でございます。御了承願いたいと思います。
  25. 山内広

    山内委員 いや、あなた石炭の小売り単価だけと言うけれども、小運搬料も見ておる。運搬賃も若干高いだろうといって考慮しているという、法律というのは解釈のしようなんです。当然この石炭とストーブというのはくっついたものです。あなたのほうでそういう解釈で入れたといえば、それでこれは筋が通るのです。何もこれは小売り炭価だけだから、石炭以外のものは見てはいかぬという禁止規定はない。石炭を買う上には、当然運搬賃を見なければならぬ。運搬賃を書いてないでしょう。書いてないけれども見なくてはならない。石炭をたくためにはストーブも要る、煙突も要る、これも見なければならぬ。もう少し親心があるのなら、これを掃除するのも一週間に一ぺんとか、月に何回か見てやるくらいの配慮があっていいと思う。これは何も私は攻撃するのじゃありません。もう少し親切な法解釈をしていただきたい。窮屈にお考えになることはないと思います。   〔委員長退席、辻委員長代理着席〕  それから、昨年の十二月に公務員の俸給が改正になりました。これは六・七%、千九百六十五円という数字だったろうと思うわけですが、まだ民間との格差がこれで是正されないということで、これはずいぶん質問があって追及を受けたわけですが、その中で、本俸そのものは六・七%であるけれども、そのことがこういう寒冷地手当とかそういうものにもはね上がってくるのだ。これは定率ですから、当然そうあるわけです。なるほどそういうことになると、ある程度物価が上がっても、寒冷地手当増額しなくてもいいという、あなた方の立場からすれば反論が出るであろう、こういう考え方から、私も若干調べてみたのです。これは私の計算で、あるいは間違いかもしれませんが、そういたしますと、総体ではね返るのはわずかに〇・一%で、二十八円ぐらいにしかならないのです。あなた方のほうでは、これをどう計算されて、どれだけのはね返りがあったと計算されておるか、お聞きしたい。
  26. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 ただいま御指摘のような計算を端的にやっておりませんので、またあとでその計算をしたいと思いますけれども、われわれは、去年の勧告のときに、寒冷地はそれでいいのだというような言い方はいたしておらないのであります。ただ、寒冷地手当は全体的に公務員に支払われます給与の一部でございますので、国の公務員給与水準、民間給与水準をあわせて考えます際には、そこのところだけは別口だとは言えないから、それもあわせて言うのだ、こういうことを申し上げたわけでございます。あのときに、物価の値上がりと、ただいま御計算でお示しになりました数字とが見合っておるからいいのだとかどうとかいうことは申し上げなかった。ただ、われわれのほうとして申したいことは、昭和二十四年当時を一〇〇として考えてみますと、昭和三十八年までには、寒冷地手当支給額の増加率は、おおむね五〇〇%ぐらいに達しておる。それからまた、生計費指数の中の光熱費指数だけをとってみますと、先ほどのが五〇〇%、光熱費指数そのものは三七三%ということになっておりますので、全体として寒冷増高費の値上がり分と、それから寒冷地手当支給額の増加率とは、必ずしも寒冷地手当支給額の増加率が低いということはない、こういうことは、たびたび御説明をいたしておるところでございます。
  27. 山内広

    山内委員 実はこの人事院勧告の別表の二号として、一つの例をあげた計算方法が示されておるわけですが、実はこの法律案を見るときに、これは六等級の六号俸で、公務員としての標準世帯なわけですが、これでわずかに千四百六十円より上がってないわけですね。最近の物価増あるいはいろいろな点から見て、これが非常に不合理なものである、こういうことは、私この改善の例を見たときに直感したわけです。これは石炭加給で上がろうと、あるいは薪炭加給で上がろうと、寒冷地手当で上がろうと、これはどちらでもいいのですが、総体的にもう少し生活の実態に即したものの額でなければならない。しかし、考え方として、私は、定率によらないでだんだん定額に近づいていくという考え方には、賛成いたします。ということは、いまの公務員の俸給というのは年功序列型で、十八歳の高校を出た人が初めて公務員になると、そのときの生計費をマーケット・バスケット方式で計算して、これこれかかるのだからこれだけは必要だということが基礎になっておるわけです。そういうことになりますと、寒地に住んだ給料の安い就職したばかりの人というのは、どうしたってこれははずせない。そうしてまた、実態に即したように上げていかなければならぬ。ところが、高給を取って、ずっともう商い給料を取っている人なら、いかに寒地といえども、若干の節約をすればこれは補えないことはないと思いますけれども、給料の安い人は、どうしたって実情に即したような支給をしてやらなければならぬと思うのです。  そこで、少し振り出しに戻りますけれども、最初にお聞きした寒冷地手当とは何ぞやという問題で、これは私も無理な解釈だとは思いますけれども、俸給の調整額というのが、この給与に関する法律の十条にあるわけです。これを見ますると、「同じ職務の等級に属する他の官職に比して著しく特殊な官職に対し適当でないと認めるときは、」ということで、「勤務時間、勤労環境その他の勤労条件が同じ職務の等級に」と、こうあるわけです。私は、この調整額の肩がわりというふうに解釈すべきものではないか、こういうふうに一時考えたのですが、この考え方はちょっと無理だとは思いますが、人事院はどうお考えになっておりますか。
  28. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 ただいまのようなお考え方が、全然できないとも私は思いません。これはちょっと無理があるとは思いますけれども、もし寒冷地手当に関する法律等がないというような場合に、何でやるかというようなことになりました際に、これはまあちょっと無理があるかもしれませんけれども、こういう調整額を使うということがあり得る場合もないとは言えないと思いますけれども、この十条の俸給というものが、もともとこの給与法におきましては職務と責任という観点から考えられておるものでございますから、その調整をいたしますときにも、勤労環境というのが、寒地である——これも一応勤労環境に違いはございませんけれども、むしろそういうことでなく、職務に直接関係のあるような勤労環境というようなことで解釈するのが、一応筋ではなかろうか。しかし、もし寒冷地手当に関する法律等がない場合、やはり何かやりくりしなければならぬという場合には、必ずしも絶対に無理だとは思いませんが、やはり原則的には無理だと思います。
  29. 山内広

    山内委員 私も、そういう考え方に立ってこういう制度が設けられなければ、この十条の勤労環境が——ああいうところでありますから、特に公務員に定着して働いてもらうという観点からも、こういう措置がなされなければならぬ。ところが、この次をぜひ聞いていただきたい。との十条の二項は、「前項の調整額表に定める俸給月額の調整額は、調整前における俸給月額の百分の二十五をこえてはならない。」と、こうあるのです。そうしますと、月々百分の二十五をこえてはいけない。これは毎月ですよ。同じ頭打ちといっても、月の二割五分以上こえてはならない。ところが、今度これの肩がわりである寒冷地手当の場合は、年間を通じて百分の八十なのです。そうしますと、こういうところからも、やはり百分の八十という頭打ちは、あまりに低額に過ぎるという理論が出てくると思うのです。考え方は同じなのですよ。だから、劈頭に申し上げたとおり、当時は予算がないから、予算ワク内において決定したから、百分の八十という数字が出てきたのだ。もしこういう頭打ちでもしたら、たいへん膨大な金額になります。ですから、ここまでは私は望みませんけれども、同じような性格で、片方は月に百分の二十五をこえてはならぬ、片方は年間を通じて百分の八十というのでは、これはあまりに間隔が離れ過ぎる。そういう考え方を私は持っておるわけです。  私一人で質問もあれですから、そろそろ結論に入りますけれども、この地域区分是正の問題は、各地とも非常にやかましい問題が出ております。このことは、国会の付帯条件もしばしばつけられておる。今回は町村合併による不合理は是正されておりますけれども、その他はまだ手をつけておられないので、これは政令でできることですから、あるいは近くおやりになると思うのです。ただ、この資料の中で、町村合併等の是正をするために級地を上げたところが、市町村等で百十六カ所あるということですが、これは下げたのはないのですか。その点の答弁を願います。
  30. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 下げたのはございません。
  31. 山内広

    山内委員 まあ既得権の尊重ということではないかと思うのですが、合併の中には安いところと合併したところもあるのですから、そういう御配慮は非常に親切な措置だと思うのです。  一つだけ質問を漏らしましたが、改正の五条の四号なんですが、防衛庁職員に、基本給と扶養手当のほかにいろいろなものを加算しておるのですが、防衛庁だけにこういう考え方をしたというのは、どういうことですか。一般公務員にも、諸種の特殊勤務手当があるわけです。それを除外して、防衛庁職員だけに諸手当を加算して支給するというのは、どういうことですか。
  32. 岡田勝二

    ○岡田政府委員 ただいま御指摘のありましたように、防衛庁職員の一部、すなわちいわゆる自衛官でございますが、これの寒冷地手当基礎に、特殊勤務手当の一部が入っております。これは御承知のとおりでございます。その入っております特殊勤務手当は、本来はその性格上、ただいまお話に出ておりました俸給の調整額とすべきものであるわけでございます。ところが、そうなりますと、期末、勤勉あるいは退職手当等にもはね返るというふうな考慮もあって、防衛庁職員給与法におきましては、これが特殊勤務手当ということになっておるわけでございます。その性質の実体にかんがみまして、特にこれを算定の基礎に入れてある、こういう事情でございます。
  33. 山内広

    山内委員 その実体とは何ですか、それを聞いておるのです。一般公務員も、特殊勤務手当というのはたくさんあるわけです。何十からあるわけです。それを認めないで、自衛官だけ認めた理由は何かということです。
  34. 岡田勝二

    ○岡田政府委員 特殊勤務手当の中にいろいろあるわけでございますが、その中の一部のものは、一般職の給与法で言いますれば、いわゆる俸給の調整額、つまり一般職におきます特殊勤務手当ではないものということになりましょうか、先ほどお話の出ておりました十条の二のああいう性格のものでございます。これは一般職給与法に引き直しますと、いわゆる俸給の調整額、こういう性格である、そのことを申し上げたわけでございます。
  35. 山内広

    山内委員 それは私、全く納得がいきません。そういう差別待遇はよくないと思いますけれども、これはまたあらためてもっと責任のある人から回答をいただきたいと思います。
  36. 藤尾正行

    ○藤尾委員 関連して。ただいま寒冷地手当支給問題に関しましては、同僚の山内委員からいろいろ話がありましたので、本筋は私も山内委員の御説と全く同感でございますが、私は、これに付加をいたしまして、寒冷地手当支給に関しまする地域の区分問題について若干お伺いしたいと思うのであります。  寒冷地手当支給額は、単に手当の支給額ということだけでなくて、支給地でありまする都道府県あるいは市町村に交付される交付金あるいは補助金の率と関係をいたすかと思うのでありますけれども、この点はいかがでございましょうか。
  37. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 人事院寒冷地手当勧告の必要がある場合においては、義務がございます。これも、本来、人事院勧告をいたしますその勧告の及ぶ範囲は、国家公務員の一般職、自衛官等は除きました部分が、一応勧告の対象になるわけでございます。しかし、そうはいっても、実際問題として地方公務員等にも関係がございますので、そういうことにつきましても、これはもう責任の範囲外ではございますけれども、われわれはでき得る限り資料を集めてやっておるわけでございます。ただ、ただいま御指摘のように、それが交付金のことに関係があるのだということでございますけれども人事院勧告いたします際には、そこまで考えることは、どうもこれは責任の範囲相当越えておるものであろうというふうに思いまして、そこまではどうも人事院としては考え切れない。やはり寒冷度合いによりまして、公務員の受けまする寒冷増高費の割合がどういうふうになっておるか、それを大局的に観察いたしまして、その適正を期するというところまでが人事院の精一ぱいのところである、このように考えます。
  38. 藤尾正行

    ○藤尾委員 ただいまのお答え人事院としてはごもっともだと私は思うのでありますけれども、私がお聞きを申し上げておるのは、単に人事院の立場としてそれがどうであるということを申し上げておるのではなくて、これが、直接的でなくとも、市町村に対する交付金や補助金の率に関連があるということになってまいりますと、県なり、あるいは市町村なりの、この寒冷地手当支給に対しまする成り行き、この地域区分に対する関心といいますものが、寒冷地手当支給額を越えた範囲で非常に大きく重視をされなければならぬ、そういうところでお聞きをしておるのであります。いかがですか。
  39. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 ただいま給与局長お答えしたところに実は尽きるのでございますが、私どもといたしましては、やはり国家公務員、しかもその中の一般職ということが、われわれの受け持ちの範囲でございますために、またこの法律そのものも国家公務員に対する寒冷地手当法律ということになっておりますために、これは理屈ばかり申し上げて恐縮でございますけれども、先ほど給与局長の申しましたような角度から取り組んでおるわけでございます。しかし、これも先ほど触れましたように、実際は、いまお話しのように、あらゆる他の部面にもいろいろな影響がある、これは現実でございます。そういうことももちろん無視はいたしません。そういうことも念頭には置いておりますけれども、われわれの当面の対象は、一般職の国家公務員でございます。こういうことであります。
  40. 藤尾正行

    ○藤尾委員 そういたしますと、私どもは、単に国家公務員に対しまする寒冷地手当といいまずものをいま議題にしておるわけでありますけれども、同時にこれは政治的に考えますると、現実にそういう影響を及ぼしまする問題を含めてわれわれはこういう問題を取り上げていかなければならぬ、かように考えるのであります。こういうことになってまいりますと、ただいまの支給地域区分といいまするものが、一、二、三、四、五という級地に分かれておりまして、その級地の区分によりましては、本俸に扶養手当を加えましたものに対しまして、一級地はその百分の十五、二級地は百分の三十、三級地は百分の四十五、四級地は百分の六十、五級地は百分の八十というように支給額が違っていっておるのであります。そうなりますると、この一級地と二級地の指定地域が変わってくるということによって、支給率の面では倍違ってくるというような結果が出てくるわけでありまして、その境目のところを一体どのように考えられるかというようなことが、非常に微妙な問題になってまいるわけであります。私は実は栃木県選出の代議士でありますから、私の県に関しまするお話を申し上げるわけでありますけれども、北関東といわれておりまする地域につきまして、これを見まする場合に、この寒冷地支給地域区分といいまするものが、私にとりましてはきわめて妥当を欠いておるのではないかというような気がするわけであります。先ほど給与局長は、中央気象台その他におきまする過去十年間のいろいろな資料に基づいて妥当なりと考えておるのだというようなお答えがあったのでありますけれども、私ども地域気象台であります宇都宮気象台資料によりますと、必ずしもあなたが言っておられるような妥当性を持たぬというような事実も、数字によって出てまいっておるということを私は申し上げなければならぬのであります。したがいまして、このようなことを考えまする場合に、地域の区分といいまするものは、二十四年に皆さん方がこの法律を施行せられましてから今日まで、過去十二回にわたってその地域の区分の変更をやっておられるわけでありますけれども、なおそういう面におきまして、その境目の配慮がなされていない欠陥があるやに思うのでありますが、その点はいかがお考えでございますか。
  41. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 この寒冷地手当地域区分につきましては、人事院が最初からやったものではございません。人事院がこういう勧告をいたす権限を持つに至りまする前におきましは、新給与実施本部というものがございまして、そのときに、ある程度団体交渉的にこの地域をきめたという経緯がございます。そのときには、県を単位にいたしまして級地をきめたという経緯がございます。その後だんだん話がこまかくなりまして、なるべく小さい地域でも、高い級地はさらにその中から抜き出すということをいたすように作業が進んでまいったのでありますけれども、一度支給されたものは既得権ということになりまして、これを下げるということは非常にむずかしい。人事院勧告の権限を持った当時におきましては、おおむね県単位のところが多かったのでありますけれども、それを漸次小分けにしていきます際に、ある地域につきましては、この資料から見まして気象条件が非常に甘いものは下げるという措置もやりました。やりましたけれども、これはベースアップ等の機会をとらえまして、実際の支給額を切り込むというところまではやらなかったわけであります。その結果、現在におきましては、その当時の既得権と申しますか、そういうもので、実際の人事院考えておりまする級地の基準よりも甘いものが、ところどころにあるということも事実であります。しかし、そういうものがあるからといって、すべてそれに合わしていくということでは絶対に成り立ちませんので、現在はそういうものがところどころにあって迷惑するということはございますけれども、これはやむを得ない措置として、将来ある時期に、機会を得たらそれを直したいということは考えておる次第でございます。今回の勧告におきましても、なおかつ全部新しい支給地の区分にはなっておりません。これはただいま申し上げたようなことがあるためでございます。将来にわたって、やはりより広域に級地をならしていくという措置は当然必要だと思いますので、今後さらにそういう点の研究を進めてまいりたいと思います。
  42. 藤尾正行

    ○藤尾委員 ただいま、将来にわたってなお研究を進めたいのだというお話でございます。まことにけっこうなことでございまするけれども、今回百二十幾つの改正をせられるわけでありますが、この機会に、同時に、あなた方が不均等だと思っておられるところをお直しになる気はないのでございますか。
  43. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 いろいろの観点から、個々の地域の問題につきましては、それぞれその状況をごらんになりまして御意見があるということはごもっともだと思うのでありますけれども人事院としましては、全体的に見まして、今回におきましては、今回の段階においては、一応あれでよろしいという考えでやったのでございまして、いま直ちにさらにこれを再検討するということは考えておりませんが、先ほど申しましたように、今後の問題といたしまして、いまやっておることが完全無欠だとは必ずしも思っておりませんので、いままでの資料をさらに検討いたし、新しい資料等によってこれをさらに修正するということは、やらなければならぬ、このように考えます。
  44. 藤尾正行

    ○藤尾委員 なかなか節をお曲げにならないので、私もつい激しいことを申し上げてはなはだ相済まぬと思っておりますが、あなたは、いまの人事院考え方というものに十二分の資料をお持ちになってないということを、冒頭に山内委員質問に対してお答えになっておる。そうしますと、あなたがいまお考えになっておられまする手直しの基礎になっておりますものは、必ずしも万全ではないということをあなたは認めておられる。それを補正するになぜやぶさかなのか、私にはわからない、たとえてみれば、あなたのほうでいまこういった区分の基礎にしておられまする気温状況、あるいは風力の状況、あるいは積雪状況、あるいは降霜の状況といいますものにつきまして、あなたはそこに資料をお持ちだと思いますけれども、それを比較対照してごらんになっていただきたい。私がただいまから申し上げます。私の持っておりまする資料によりますと、最低気温の月別平均値、これは宇都宮気象台資料でありまするけれども、これによりますと、宇都宮におきましては、十二月マイナス二・二度である。一月マイナス四・八度である。二月マイナス四・〇度である。三月マイナス〇・五度である。これは海抜百二十一メートルに属しておる。寒冷地手当級地区分はゼロである。ところが、福島に例をとってみますと、福島の最低気温は、十二月がマイナス〇・八度である。一月がマイナス三・五度である。二月がマイナス三・〇度である。三月がマイナス〇・六度である。そして海抜六十八メートルにおきまして、これは三級地になっておる。あるいは甲府におきましては、十二月はマイナス一・八度である。一月がマイナス四・三度である。二月がマイナス三・二度である。三月が〇・六度である。これが一級地である。  こういうことを見てみますと、私はでたらめだとは言いませんけれども、しかしながら、非常に状況が相似しているにかかわりませず、その支給地域区分がきわめて微妙な差異を示しておるということは、避けられないと思います。一般に北関東といわれております地域といいまするものは、いま支給するかしないかという境目になっておるわけでありまするけれども、あなた、日光においでになったことがありますか。(瀧本政府委員「はい」と呼ぶ)日光においでになりますと、四月に日光の中禅寺あたりにいきますと、まだ暖房をしております。御存じですか。(瀧本政府委員「はい」と呼ぶ)その日光の中禅寺におきます地域区分といいまするものが、何級地になっていますか。
  45. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 今度の勧告によりまして、日光の中でただいま御指摘地域は、三級にしていただくように勧告いたしております。
  46. 藤尾正行

    ○藤尾委員 いままでは、これは二級地だったのです。こういうところを考えましても、半年間暖房を必要としているのです。現実に、これは御存じのとおり、あの辺の人たちは、いまプロパンが非常に普及しておりますから、半年間プロパンをたいているのです。これは宇都宮あたりに下がってまいりましても、それが一カ月か一カ月半縮まるだけでしょう。片一方はゼロであるというようなところに、私は非常に公正を欠いている面があると、かように考えておる。その点どうお考えですか。
  47. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 ただいま御指摘のように、宇都宮地区というものは非常にデリケートであるということは、御指摘のとおりでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、福島地区あるいは甲府地区等は、県全体が一つの級地に指定されておったというような関係から、それを下げる限界があるということでございます。   〔辻委員長代理退席、委員長着席〕 そういうことが残っておるということも事実であります。ただ、先ほど御指摘の宇都宮並びに福島の各月の気象は、おそらく最低気温をおっしゃったのだろうと思うのでありますけれども、(藤尾委員「平均気温だって同じですよ」と呼ぶ)私のほうでは平均気温で見ておりまして、ただ数字はそうだろうということを申し上げただけでございまして、平均気温で申しましても、必ずしも甲府なりあるいは福島なりに比べまして、宇都宮地区の数字が非常に低いとは申しません。これはただわれわれが先ほどから申しておりますように、人事院勧告いたします際に一応考えまする気温積雪、あるいは風等の資料によりまして基準を考えまする際に、やはり宇都宮の気象の条件というものが級地指定までに至っていないという状況がございまするので、一応それを基準にしてものを考えておる。従来はそういう状況でまいった次第でございます。
  48. 藤尾正行

    ○藤尾委員 従来はそういう考え方でやってきたんだとあなたは答弁をしておられますけれども、それでは霜や雪の初日と終日についての資料がここにございますので、これによって見ましても、宇都宮がゼロであるというようなことは、私にはわからない。たとえてみますならば、霜の場合は、宇都宮は、大体十月の二十日ごろから降り始めております。そうして十二月の半ばからは雪が降っておる。これは福島におきましても、ほぼ同様であります。ただ、積雪の場合に、福島のほうが、片方の宇都宮の場合に大体三月の中旬に積雪が終わるというのが、四月の十日くらいになっているにすぎないのであります。それだけの違いでゼロと三というのは、一体どういうわけでありますか。
  49. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 先ほども申し上げましたように、現在の地域区分といたしましてわりあい甘いものがところどころ残っておるということは、先ほど申し上げたとおりでございます。ただ、そういうものも、これは現実にはうまくございませんので、全体のバランスがとれなければならぬということは、当然われわれは考えております。しかしながら、これを切り込んで直すということはなかなかむずかしいので、そういうものがところどころに残っておるということは遺憾ではございますけれども、現在これは引き下げるわけにはいかないということでございます。ところで、宇都宮地区が、その当時におきまして寒冷地の指定がなかったということと、したがって、新しく人事院の基準でそこらは見られておるということでございますので、私のほうで一応持っております資料によりますと、宇都宮の平均気温は一・三度、積雪が八センチ、こういう数字になるのでございまして、人事院考えております寒冷地の基準は、平均気温が零度、それから積雪の場合は五十センチ、こういうことになりますので、いま直ちに宇都宮を指定するということが非常にむずかしい。そういうことになりますと、全体の仕組みというものをだいぶ変えなければならぬというようなことがございますので、現在までのところ指定することに至っておりませんけれども、御指摘のように、宇都宮地区の問題は前々からお話がございまして、われわれとしても十分その点は頭に置いておる次第でございますけれども、これは一応人事院考えております基準には達しませんので、御了承を願いたい。しかし、将来に向かいましてやはり全体のバランスをとるということは必要でございますので、従来の実績でところどころ残っておりますものとのバランスという問題も、決してほうっておくわけにはいかない、このように考えております。
  50. 藤尾正行

    ○藤尾委員 ただいまのお答えで、将来は変えていくんだということが明らかになったわけでありますけれども、私は、私だけでこういう貴重な時間を独占するつもりは毛頭ございませんけれども、宇都宮の場合は町ですから、まだこれはあたたかいということがありますけれども、この近傍に至りましたならば、きわめて寒いところが非常に多いのであります。たとえてみれば喜連川とか、あるいは茂木とか、あるいは粟野とか、あるいは真岡とか、堀米とか、いろいろございます。こういった地域が全部指定になっていないというようなことを念頭に置かれまして、できるだけ早い機会にこの地域の適正な是正をおやり願いたいということを御要望申し上げまして、私の質問を打ち切ります。
  51. 山内広

    山内委員 いま関連されての御質問があったわけですが、これは法律事項というよりは、政令でできることなんですから……。実はきょうは私、その問題に触れないつもりでおった。実はいろいろな訴えがあります。しかし、これは全体のバランスで考えるということになれば、非常な作業で、担当される方もたいへんにお困りなことと同情しているわけです。ただ、自然現象ではなく、幸いに行政区域で押せば、多少その内部的な無理があっても得心してもらえると思うので、もう一度作業を進められて、あまり不満の出ないように、早い機会に政令をお出しになることがやはりどうしても必要な事項だと思います。これについて総裁、どういうお考えですか。
  52. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 ただいまお話がいろいろ出ましたとおりに、級地の調整ということは非常に困難なことでございまして、私どもといたしましては、手持ちの獲得し得る限りの資料に基づいて、まず責任を持って適正な勧告を申し上げ得る結果であろうという自信を持って勧告を申し上げたわけであります。しかし、現実はやはり各地相当の御不満がありまして、これもごもっともだと思うのです。したがいまして、私どもといたしましては、限りある資料に基づいて——この結果はとにかくずさんなものではございません。これははっきり申し上げられます。しかし、とにかく神ならぬ人間がやっていることでございますから、これが絶対に正しいという不遜な考え方は、これもまた持っておりません。そういう気持ちでありますことを申し上げておきます。
  53. 山内広

    山内委員 最後に、長官に一言だけ御意見を聞いておきたいと思うのですが、かなり長い時間をかけまして、いろいろ私、事務当局からの回答を聞きました。長官、お聞きのとおり、これが生まれるときに国会側議員提案ということで生まれたということもありまして、人事院当局としてはあまり熱意がない。そういう点は、ここでかなり明らかに長官も感じ取られたと思うのです。したがって、これは事務当局にまかしておく事項ではなく、国会はあくまでも不合理なものは是正し、足りないものはこれを補い、最後までこれを見守る責任はやはり国会にあると思います。そういう意味で、特に長官は、これに対して、事務当局まかせでなく、みずから毎回の国会のいままでの動き、付帯条件のつき方、そういうものを見て、当然直すべきものは直さなければならぬと思うのですが、これについての長官の考え方、決意をお聞きしておきたいと思います。
  54. 野田武夫

    ○野田(武)政府委員 寒冷地手当の問題、私、質疑内容をお聞きいたしておりまして、山内委員の申されます、人事院がこの問題に対して熱意があるかないかというようなおことばもあったようでございますが、私は今回の人事院勧告を見ましても、人事院といたしましては、できるだけの手段、方法を講じ、その結果、ただいま百十六市町村の級地の格上げ等の勧告をもたらしております。したがって、御指摘人事院がこれに対して熱意を持たないということは、私はそうは思っておりません。しかし、ただいまの質疑内容、また人事院からお答えいたしました内容等を拝聴いたしておりまして、まだまだ調査その他について不十分ではないかという感を深くいたしております。総理府は、御承知のとおり、公務員制度調査室を持っておりまして、国家公務員給与に関しまして、これらの所管を担当いたしておりますが、帰するところは、やはり法律上のたてまえからいたしまして、中立機関である人事院勧告に基づいて、これらの改正その他に当たるのでございます。しかし、いまの山内さんのおことばのとおり、またそれに対する関連質問もありましたが、お聞きいたしますると、これはまだ完璧ではない、十分手を入れて調査にもかからなくちゃならぬし、また実態を把握しなければいかぬし、かれこれ寒冷地手当の問題の解決は、まだまだ将来に相当残っておると私は思っております。したがって、御趣旨に沿いまして、私どものほうももちろんいろいろとこれらについて検討いたしまして、また、もちろん勧告の主体である人事院のお考えもお聞きするような、いろいろ手を尽くしまして、できるだけ国会の付帯条件その他を尊重するほうに向いてわれわれ仕事をやりたいと思っております。
  55. 山内広

    山内委員 長官の誠意ある御答弁で了承いたしますが、いま政府のとっておられる地域経済開発という点から見ましても、東京周辺の大都会に優秀な人が集まって、地方には優秀な人がなかなか得られないという実情にある。そういうことは、いろいろな要素はありますけれども、待遇の問題が大きなガンとなって、民間の一時的な景気であっても、若い人がそっちのほうに流れていく。こういうものを抑えて、優秀な人材をそこに定着さして、いろいろ仕事を進めるということは、急務の問題だと思う。   〔委員長退席、伊能委員長代理着席〕 もちろん寒冷地手当だけで解決する問題ではないけれども、こういういろいろな要素が積み重ねられていって、総合的な施策がなされて初めて地域開発というような問題もできるのでありまして、これは政府にかえって協力、激励するようなことになりますけれども、そういう点では、ぜひいま長官の熱意のある答弁の方向で解決していただきたいと私は思います。  これで私の質問を終わります。
  56. 伊能繁次郎

    ○伊能委員長代理 永山君。
  57. 永山忠則

    ○永山委員 ちょうど人事院総裁がおられますから、恩給法質疑に入るわけでありますが、関連をしてお尋ねしたいのでございます。  人事院は、恩給には何ら御関係はお持ちにならぬわけでございますか。
  58. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 条文の上ではちょっとあいまいになっておりますが、私どもといたしましては、勧告権はあるものと考えております。その程度の関係はございます。
  59. 永山忠則

    ○永山委員 これまでに勧告をされたことがございますか。
  60. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 人事院は、公務員法に基づきまして、国家公務員恩給法勧告をいたしたことがございます。これが政府並びに国会におきましていろいろ御審議の結果、国家公務員共済組合の退職年金という形で、政府が一方的に支給する恩給でない、共済組合の退職年金という形で、内容はほとんど人事院勧告いたしましたものと同じでございまするけれども、そり仕組みは、共済組合という形で現在法律で定められております。ただ、これは国家公務員法でいいますところの恩給法相当するものだということに共済組合法の条文で定めております。その意味におきまして、人事院関係がある、こういうことであります。
  61. 永山忠則

    ○永山委員 勧告をされたのは恩給関係であったが、いよいよでき上がったものは共済組合年金ということの形になった、給与自体は変わらないけれども支給方法が旧来の恩給法の形でなくなった、こういう意味でございますか。
  62. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 そのとおりでございます。
  63. 永山忠則

    ○永山委員 旧来のような恩給法の形と共済組合年金のような形と、どちらが好ましい姿であるとお考えになるのですか。
  64. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 人事院勧告いたしましたときには、その退職年金の運営等にあたっては保険数理でがっちり計算しておかなければならぬということで、その積算根拠等につきましては、保険数理を使うということは当然のことでありますが、しかし、公務員というものは、いろいろな制約を受けまして、そして国民全体に奉仕するという立場にございまするし、永年勤続しましたあとで、たとえば相当の年齢になって公務をやめます場合に、これは相当いろいろな生活能力も減耗いたしておりましょうし、いろいろなことがございまして、非常に苦しいことになるかもしれないというようなことで、やはりこれはそういう一生を公務に捧げた者であるから、したがって、これはやはり国がめんどうを見られる従来の意味の恩給というものがいいのではないかということを、終始人事院は御説明申し上げたのでありまするけれども、当時御決定になりまする際には、今後は社会保障制度が進展していくのだ、公務員だけそういうものを残すのは必ずしも時勢の進展に合わないのじゃなかろうかというようなお考えが支配的でございまして、現在の制度ができた、このように考えております。
  65. 永山忠則

    ○永山委員 恩給というものは、人事院も当時やはり旧来のような恩給制度が望ましいということで、最後まで努力されたということもわれわれは承知いたしておるのでありますが、結果的には共済組合退職年金制のようになりましたわけでありますが、しかし、その後現職公務員は、ベースアップはどのくらいやりましたか。
  66. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 いまちょっと正確な数字は直ちに申し上げる用意がございませんが、相当回数勧告をやりまして、ここ四、五年をとってみましても、三十数%くらいになろうと思います。
  67. 永山忠則

    ○永山委員 大体八回くらいになると思うのですが、そこで共済組合退職年金制のできました当時のベースといまの公務員ベースとは、どのような開きになっておりますか。
  68. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 現在の恩給法のベースは存じませんが、おそらく二万円くらいのベースになっておるのではなかろうか。三十四年当時二万円くらいの予算ベースだと思います。現在は、公務員給与水準は、大体三万円程度になっておると思います。
  69. 永山忠則

    ○永山委員 そこで、共済組合退職年金の関係者は、大体二万円ベースで据え置かれておるわけですが、公務員のほうは八回ぐらい上がって、大体三万一千円くらいじゃないかと思うのですが、今度またどうしても勧告があることは想像できるのですが、そうしますと、三万三千円くらいになるかと思いますが、それを上回るでしょうか。ところが、共済組合年金の関係のほうはそのまま据え置かれているのですが、何か勧告する考えはございますか。
  70. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 問題点としては、おっしゃるとおり十分認識をしております。ただし、先ほどちょっと触れましたように、この勧告関係になりますと、間に組合法というものに変わっておるという段階がありまして、そこに関連性が相当希薄になっている。たとえば共済組合法で申しますと、必ずしも一般職の職員ばかりではございません、他のほうも含めておるという関係もございまして、率直に申しまして実際上の踏み切りがなかなかつかない、こういうことでございます。
  71. 永山忠則

    ○永山委員 こういうような非常な不合理が存在しているのですから、これは何とかして勧告をされまして、やはり公務員ベースにスライドするという何らかの方途をおとりになる必要があると思うのですが、公務員ベースにスライドするというような方法に、これは法制化するというようなことに対する考えはどうでございますか。
  72. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 人事院独自の立場としては先ほど申し上げたとおりでございますけれども、ただいま総理府を中心としてそれらの点をも含めて検討が進められておりまして、それに人事院も加わりましてお手伝いを申し上げているという実情でございます。
  73. 永山忠則

    ○永山委員 総務長官、いかがですか、その点は。要するに、退職者は二万円ベースに置かれている。現職公務員は三万三、四千円にいまなるわけですが、そして物価はこういうように上がっているのですが、これに対してスライドするという制度を確立するということの考えは、いかがですか。
  74. 野田武夫

    ○野田(武)政府委員 いま永山さんの御意見を拝聴しておりまして、私、きわめて妥当な御意見だと思っております。しかし、これはちょうどいま、はたして公務員のベースにスライドしていけるかどうかということは検討中で、この問題は、私個人の意見を申し上げるより、実態を申し上げなければなりませんが、その実態は、ただいま人事院総裁も申しておりますとおり、いまこれらに対しての検討をしております。各省が集まりまして、公務員年金制度連絡協議会というものをつくっておりまして、人事院からもおいで願っておりますが、これらをいま検討いたしております。本質的には、ただいまのいわゆる実際の公務員給与ベースと共済組合の退職年金、もちろん恩給関係も全部これを含めます。こういうことでございますから、やはり大体趣旨としては永山さんのおっしゃるような趣旨でいくべきものじゃないか。それがどこまで、こういういまの公務員給与ベースまでスライドするかどうかという結論は、ただいまのところ私明確にお答えができませんが、大体そういう意味を含めまして、連絡協議会をつくりまして、いま検討いたしておるところでございます。
  75. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 ちょっと実態から御説明申し上げたいと思うのでございますが、三十四年の十月に全公務員が共済組合の適用を受けるように制度改正がされましてから、その後における退職者の退職年金の水準の問題でございますが、これはすべて二万円ベースに押えられているわけではございませんので、それぞれの退職年次を基礎といたしまして、最終三カ年俸給の平均で年金がもらえるということになるわけであります。したがいまして、たとえば三十八年度の予算平均単価が二万九千八百七十円というような数字が出ておりますが、かりに二万九千円ベースでおやめになった、その方の最終三カ年俸給が二万八千円程度であったといたしますと、その方の年金水準は、二万八千円程度にはなっておるわけでございます。したがいまして、恩給の場合と異なりまして、現在の共済組合法適用者については、それぞれの退職時を基準としたベースによって年金が払われるということになっておりますので、この点ちょっと御説明申し上げたいと思います。  なお、先ほど総務長官から御説明ございましたように、現在公務員年金制度連絡協議会におきまして、御指摘のベースアップ問題、スライド問題等も含めて、関係各省、人事院を含めまして検討中でございますが、また恩給の場合は、従来いずれかと申しますと、公務員のベースとのスライド関係において問題を処理されたようでございますが、共済組合制度において、そういう形を直ちにとれるかどうか。つまり共済組合制度は、先ほど人事院から御説明もございましたように、社会保険制度の一環として、いわば新しくつくられたようなかっこうになっておるわけでございますので、社会保険全体のルールというものも、一方においては頭に置かなければならぬであろう。その場合におきまして、国民年金法におきましても、あるいは現在改正案が提出されております厚生年金法におきましても、当然ある程度物価等の上昇に見合って年金水準が改定されていく必要があるということはいわれておりますし、その限りにおきまして、共済組合の適用者についても、物価等の上昇に見合ってある程度の水準の改定は必要であると言い得ることは、事実でございます。ただ、それを直ちに公務員給与ベースとスライドするのがいいのか、あるいは物価とスライドするのがいいのか、あるいはスライドというような考え方はとらないで、全般的に社会保険の給付水準を上げるような時期に、それに見合って上げていくのがいいのか、いろいろな問題がございます。したがいまして、それらの問題も含めて、現在公務員年金制度連絡協議会で御検討いただくということにいたしておるわけでございます。
  76. 永山忠則

    ○永山委員 国鉄は、三十一年に共済年金制になったのではないですか。ベースはどうなっておりますか。
  77. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 御承知のように、現在の共済組合制度に全員が切りかわりましたのは、三十四年の十月でございます。一番早く切りかわりましたのが国鉄等の三公社の場合でございまして、これは三十一年七月でございます。そのあと、三十四年の一月から現業官庁が新制度に全部切りかわっております。そこで、二万円ベースと申しますのは、大体三十四年の予算ベースということにわれわれは考えております。それ以前、三十一年当時の予算ベースは幾らであったかという数字は、必ずしも現在つまびらかにいたしませんし、また、国鉄等の給与水準というものは、御承知のように公務員給与水準とも必ずしも一致いたしておりませんので、明確には申し上げかねるわけでございますが、少なくとも二万円よりは若干低いベースであったろうということは推定されておるわけでございます。
  78. 永山忠則

    ○永山委員 国鉄等は一万五千円ぐらいのベースではなかったか、こういうようにいわれておるのでございますが、こういうような格差があっても、なおこの是正をどういうようにするかというようなことを研究段階だということでは、非常に遺憾にたえないのですけれども、これに対する結論は、大体いつごろ出すつもりでございますか。
  79. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 これは国会等の附帯決議の趣旨もございまして、先ほど来御説明申し上げておりますように、公務員年金制度連絡協議会において鋭意検討中でございまして、その結論を得次第、何らかの法案を用意いたすということになろうと思います。現在のところでは、ただいままだ作業が進捗中でございますが、はっきりといついつまでということをお約束するところまではまいらないであろう。ただ、私のほうといたしましても、できるだけ早く結論は得たいということで作業はいたしております。
  80. 永山忠則

    ○永山委員 この点については、一昨年も衆参両院で同じような議論もあり、附帯決議もあるわけでございますが、今年くらいは解決してやられるのであると、われわれは信じておったわけです。去年特に附帯決議でもやかましく言ったわけですが、じんぜん日を送っておる点は、私は残念にたえないのであります。すみやかにスライド制を確立するという方向で結論を出してもらいたいと私は思うのでありますが、諸外国ではどういうような情勢になっておりますか。
  81. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 諸外国の事例と申しましても、非常に広い範囲においては私ども調査いたしておりませんが、最近におきましては、たとえばアメリカ等におきまして、そういう共済年金の物価スライドという問題を取り上げて法案化いたしておるようでございます。その他の国におきましては、共済組合制度でなくて、むしろ英、独、仏等は恩給制度をとっておるわけでございますが、これらの国におきましても、日本のような形で、それぞれの必要に応じて単独法で上げていくという形のものもございますし、そうでなくて、ある程度官吏の給与額にスライドして、給与額の改定があったときに、同時に恩給についても同様の措置をとるというようなことをやっておるところもございますし、また、消費者物価が上昇した場合、そのつど立法措置を講ずるというようなやり方をしておるところもあるようでございます。
  82. 永山忠則

    ○永山委員 諸外国もやはり物価にスライドして恩給もしくは年金の水準を引き上げて格差是正につとめておるということは、厳たる事実でございまして、わが国が非常におくれておることを残念に思います。私がそういうことを申し上げるのは、とにかく民族の繁栄は、何といっても行政府が推進力ですから、ここに倦怠があったり、あるいは国民の不信を買うものがあれば、これはもう民族の廃頽を招く一大根拠をなすものでございますから、公務員給与というものは、われわれは一般民間平均ベースよりは水準的にも高いところに置いて、そして老後も安定した生活ができる、自分の子供の教育もできるのだというように一生を奉仕するという態勢へ持っていくことが、最も好ましいと考えておるから申し上げるのですが、この点に関しては、人事院総裁、どうお考えでございますか。
  83. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 御趣旨には全く同感でございます。
  84. 永山忠則

    ○永山委員 したがいまして、西ドイツあたりは、大学のプロフェサーは、恩給は現給なんです。死ぬまで現給をもらっているのですから……。私はよく覚えておりませんが、そうして他は三分の二ですから……。また労働関係においても、退職年金等、みなスライドしております。そうして老後の安定をはかるようにいたしております。したがいまして、恩給の受給者が、政治、経済の指導力、推進力ですよ。したがって、安定した政治が行なわれておるのでございますから、この点は、ひとつ人事院も重大な責任があるのですから、人事院規則によっても、正面からいえば勧告をさるべきだと私らは思うのですが、十分ひとつ一体になって、公務員給与に対してはもちろんですが、年金、恩給の関係も必ずスライドするという方向へ持っていってもらいたいと思うのです。  同時にお尋ねしたいのですが、定年はどういうようにいま実質的には取り扱われておるのですか。定年制に関する関係ですね。
  85. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 現在、国家公務員関係で私の承知しております限りで定年制を法制的に設けておりますのが、裁判官、検察官、それから自衛隊の自衛官、それからその他ございますけれども、おもなものとして、そういうものが法制的にきめられております。御承知の国立大学の教授方が、申し合わせを根拠とした一種の定年のようなものをとっております。それ以外では、われわれのおあずかりしております一般職の公務員関係では、定年制の法的規定はございません。それが実情でございます。
  86. 永山忠則

    ○永山委員 大体、普通はどのくらいで平均やめておりますか。公務員の定年は、実質的にどういうようになっておりますか。
  87. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 これは御承知のように実際上は、大きく申しますと、非常に若い段階でやめておるのが、顕著な事実として申し上げられると思います。御承知のように、退職手当の法律関係で、制度的に勧奨退職がございまして、これの根拠に基づいて、実は各省各庁で内規のような一応のめどをおきめになっておるわけでございます。これが若いところは五十五歳から上のほうは六十五歳程度まで相当幅がございますけれども、大体そのようなことをめどにして勧奨をなさっておるのが、実情であると考えております。
  88. 永山忠則

    ○永山委員 諸外国は、どういうような実例かおわかりですか。
  89. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 手持ちの資料をそのまま申し上げますけれども公務員の場合、イギリスは原則として六十五歳。それからアメリカが、十五年以上勤務した場合は七十歳、これが原則であります。それからフランスが、これはいろいろな種類がございますが、普通の官職で申しますと、級の区分に応じて六十から七十までというふうになっております。それから普通官職でない技能労務、公安、教育、税務というような特殊の官職につきましては、それぞれまた級の区分に応じて五十五歳から六十二歳。それから西ドイツが原則として六十五歳。とりあえず手持ちの資料に基づきまして、大体の見当はかようなところであるというふうにお答え申し上げます。
  90. 永山忠則

    ○永山委員 大体諸外国も、定年は非常に高くなっておるわけですから、やはり日本も六十五歳から七十歳くらいに定年を引き上げて、そして一生行政に奉仕していくという態勢を確立して、そして恩給制度も現職にスライドしてやる、年金ももちろんそういうふうにやるというような方針をほんとうにお立てになって、一生行政に全生命をあげて奉仕するという姿をつくる必要があると思う。一番能力の盛んなときの五十から五十五までの間を国家が使って、そしてあとほうり出してしまうというような残酷な政治をすることは、これは公務員の質を向上させて、奉仕観念をいやが上にも旺盛にするということには必ずしも一致するものではないというふうに感じますので、その点もさらにあわせて十分検討をされることが望ましい、こういうように考えますが、この点はどうです。
  91. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 根本の御趣旨は、これまた完全に御同感でございます。ただ、現実に私どもがなぜそういうことならば定年制にすぐ踏み切れないかということになると思いますが、そこにまたいろいろむずかしい問題点があるということを申し添えておきたいと存じます。実はいまの公務員法のたてまえから申しますと、一応身分は保障されてありますから、むしろ何年でも在職できる。特別の非行なり何なり、落ち度のない限りは、いつまでも在職できるというたてまえでございます。しかし、現実は、先ほどお話にも出ましたし、私宅お答え申しましたように、もっと若いところでやめておるということがあるわけです。そこで、そういう事態のもとでこの定年制というものを考えますと、定年制にはやはり両面の作用があると思う。新陳代謝のためにいやでもやめてもらうという面が一つあります。それから定年になるまでは安んじてその地位にいてもらいたい、地位を保障してやるんだという面と、両面がございますために、さて現実のような点から申しますと、むしろやめてもらうほうではなくて、その年まではいてもらいたいということにおそらく一つの重点が置かれるべきではないか。そうなりますと、そこでまたあとから進んでまいります者との関係においての新陳代謝の問題とか、さらにひいては各省各庁の人事計画と申しますか、長期の人事の見通しというようなものによって、在職のほうもやはり調整をしてもらわなければならぬじゃないかというような問題が、直ちにそこにつながってまいります。それから今度は、本人の意思に反してやめてもらうという面をとらえてまいりますと、ただいま永山委員御指摘のように、今度は安んじて老後が暮らせるように保障してやらねばならぬ。そういう保障が、現在の態勢では、退職手当あるいは先ほどお話の年金で十分であるかという問題も、またそこにからまってまいる。そこで、御承知のように、最近定年の問題が非常にクローズアップされてまいりました。とうていわれわれ無関心でおれません。大いに検討を進めております。それから周辺の事情もあわせて考慮しなければならぬ問題でございますから、にわかに踏み切れない、こういう実情にあるわけでございます。
  92. 永山忠則

    ○永山委員 諸外国その他あらゆる方面の実態もよく調査の上で、総合的に十分前向きで、しかもすみやかにあらゆる方面の御検討を進めていただきたいと考えますが、この場合、恩給をもろうとる人で生活扶助をもろうとる方が、どのくらいあるか、お調べになっておりませんか。
  93. 増子正宏

    ○増子政府委員 現在のところ調査がございますのは、三十八年の七月に厚生省の調査したものがございますが、それによりますと、恩給受給者であって生活保護の適用を受けておる者は、約八千人程度という数字が出ております。
  94. 永山忠則

    ○永山委員 恩給を受給しながら生活保護を受けなければならぬというほど、やはり低位の受給者が多いわけですね。これは驚くべきことなんで、生活保護をもらって生活するほうがはるかに有利だというような状態が、非常に強く出ているわけです。大体生活保護でも、一級地は、本年度は二二%の増しですから、一万六千百四十六円くらいになっているわけですが、一万円以下の恩給を取っている人が、大体どのくらいおりますか。パーセンテージでもいいですよ。——またあとからでもお調べを願いまして、時間がございませんから……。実際は一万円以下の者が七〇%以上おるわけなんです。こういうような全くわれわれは想像できないようなベースへ置かれておるわけです。この多くの原因というのは、共済年金制度ができて、そこで共済年金のほうが二万円のベースですから、二万円以上恩給を上げようとすれば、これはもう共済年金とのからみ合いになるものですから、どうしてもその点がひっかかって上げかねているのじゃないかというように考えられるわけでありますが、今日この物価高の一番谷間でほんとうにあえいでおるのです。悪くいえば、国家へ奉仕した人が、国の施策を心からのろうておると言うても過言ではありますまいというところまで生活を追い詰めているわけです。生活保護には落ちたくないんだ、苦しくてもそれはもらわないというのでがまんしておるというのが、現状なんです。私は、こういうときに基本的にスライドするとかというようなことは、これはすぐできぬでも、本年度の予算で、少なくとも二万円を二万四千円ベースにするとか、二万四千円ベースであるものは三万円にするとか、二万九千円にするとか、幾らかやはりベースアップをすべきじゃなかったかと思うのです。六十歳未満の者が頭打ちを排除されて、恩給は一万五千円が二万円になった。年金のほうは、国鉄OBなんかそのまま据え置かれておるわけですが、とにかく恩給は六十歳までは二万円にするということにしたのですが、これはベースアップじゃないので、頭打ちを排除したというだけですから、やはりこういうような激しい物価の上昇時に至ってもベースアップの恩恵に浴せなかったということに対しては、形式的な勧告は別としまして、人事院がもっと強く政府に働きかけてやるべきではなかったか。もちろん政府の責任者は、私は不都合千万だと思うのです。口で、弱い者をよくやるのだ、所得の低い人にうんと金を回すために高度成長経済をやるのだ、高度成長経済で政府は収入がある、その収入で所得のない人へ持っていって所得均衡をはかるのだ、こんな大言壮語だけで一つも実行しないというところから、今日国民の信を失うておるのですよ。私は、人事院総裁はもっと勇敢に政府を督励さるべきであると思うのですが、いかがでしょう。
  95. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 御激励感銘いたします。また、おことばにありますような実情というものも、私どもは認識しております。ただ、制度的の問題になりますと、結局給与勧告の場合における人事院の立場というものとは、先ほど申しましたようにちょっとこれは違うところがございますので、私どもが私ども限りで打って出るということもさることながら、お隣に総務長官もおられます。あるいは大蔵省の人たちも来ておられます。これらの各庁と大いに腕を組んでこれの合理化という方向に努力をしてまいりたい、かように考えております。
  96. 永山忠則

    ○永山委員 私のいまの意見に対して、総務長官と大蔵省、どうですか。
  97. 野田武夫

    ○野田政府委員 いまの永山さんの御意見人事院総裁お答えいたしましたとおり、私、全くごもっともな御意見だと事実思っております。  そこで共済年金問題、これは主として人事院勧告によることになると思いますが、やはり公務員制度の一端をあずかっております関係上、先ほど申しましたように、昨年の暮れに公務員年金制度連絡協議会というのをつくりまして、そして各省との連絡の上、この問題の取り扱いについていまその連絡協議会で検討いたしております。私は、先ほど人事院の方がお答えいたしましたように、これはすみやかにやるべきで、むしろ来年度の予算に間に合うようにこれを進めたいという考え方で指導しております。同時に、恩給問題につきましては、御承知のとおり、特に恩給局に恩給問題審議室を設けました。この恩給問題審議室のねらうところは、これは内輪話をいたしますが、どういう事務を取り扱うかということで、これは私は役人はあまりなれていないものですから、なかなかそういうところもむずかしいことで、これを政令にいたしました場合におきましては、「恩給年額、恩給加算年その他恩給に関する諸問題に関する調査及び研究に関すること。前号に掲げるもののほか、恩給制度及び互助年金制度調査研究及び企画に関すること。」等々書いておりますが、恩給局につくりました恩給問題審議室は、基本的には恩給の増額ということになっております。それから外地抑留者の加算の年限の問題もあります。この問題は、前からのかかわり合いがありますから、どうしても実は本年度、つまり三十九年度でこれを解決したいと思っておりましたが、調査関係がありまして、なかなか実態の調査が困難だったものですから、ひとっことしじゆうにやろう。一年やむを得ず延ばしたものですから、恩給制度の問題その他についても調査するというので、その目標のもとにこの審議室に指示をいたしております。したがって、永山さんの御意見私はごもっともと思っております。ただ、この七月にはお話しの若年停止が解けますけれども、そんなことでとても満足する段階ではない。しかし、これはいま永山さんもおっしゃいますとおり、共済年金の関係もあるものですから、いま総理府に設けております公務員年金制度連絡協議会におきまして、そういう総合的な調整をいたしていくという考えでありまして、御意思の点は、私は十分尊重すべき、またこれは尊重せねばならない段階に入っている、こう思っております。
  98. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)政府委員 永山委員の非常に御熱心な御意見承りまして、感銘いたしました。恩給受給者の中に非常に苦しい生活をしいられておる方々が多くおられることも、十分承知いたしておるわけでございますが、財政当局といたしましては、先ほど総務長官からお話しのありましたように、内閣公務員年金制度連絡協議会というものも設けられており、恩給局にことしから審議室というものも設けられて、恩給のあり方、そういう問題についても慎重に御検討いただくことに相なっておるわけでございますので、そうした審議会において公正妥当な結論を一日も早くお出しいただくように期待をいたしておるような次第でございます。
  99. 永山忠則

    ○永山委員 公務員年金制度連絡協議会と恩給問題審議室との関連はどういうようになっておりますか。また審議室の内容予算及び人事機構、さらにそれには外部からの委員を嘱託といいますか、意見を聞くようにされることになっておるかどうか、それらの構想をひとつお漏らし願いたいと思う。
  100. 増子正宏

    ○増子政府委員 ただいまお尋ねの件でございますが、先ほどから申し上げております公務員年金制度連絡協議会、これはいわゆる恩給のほかに共済年金あるいはその他の公的年金、そういった問題相互の間の共通問題といいますか、そういうものを中心に進めるということでございます。したがいまして、いわゆる公務員年金を中心とした公的年金相互間の連絡調整ということでございますが、その中で、それぞれ各省によりましては所管する事項が違うわけでございますが、私どもとしましては、もちろん恩給制度考えておるわけでございます。したがいまして、その私どもの恩給制度を今後いかにすべきかという問題は、恩給局自身の当然の問題として、内部的には先ほど申し上げました恩給問題審議室というものを今年初めからつくりまして、従来とも進めておりました作業をさらに集中的に進めるということでございます。したがいまして、この年金制度連絡協議会と恩給局の審議室との関係は、いわば恩給審議室のほうは、恩給問題専門でございます。そこで得られた成果を今度は連絡協議会のほうに持ち出しまして、その他の年金制度との調整その他についての研究、協議をする、こういう形になろうかというふうに思っているわけでございます。  それからなお、お尋ねの恩給問題審議室の人的構成、予算等でございますが、予算につきましては、今年、事務費としまして約百万円計上されたわけでございます。人件費は別でございますが、職員としましては、現在室長以下十一名の陣容でございます。恩給局で従来事務に練達しておる者のほか、関係の省から人材を割愛していただきまして、いわば精鋭主義をもって現在盛んに勉強いたしておるところでございます。
  101. 永山忠則

    ○永山委員 ちょうど人事院総裁がおられますから申し上げるのですが、本年度の特別職、一般職、いろいろありますが、ベースアップの一番大きい率のものは、大体だれだれ、どこでございますか。
  102. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 実は私どもの作業といたしまして、ちょうど四月現在で民間給与調査をやっております。これが出てまいりますのが七月のずっとあとになろうと思いますが、さようなことで、この結果、公務員給与民間格差がどう出るか、これは永山委員十分御承知のことでございますけれども、それのめどに基づきまして勧告を申し上げるかどうかということがきまるわけでございますが、われわれ、寄り寄り今日の現在での給与制度の是正すべき点があるかないか、不合理な点があるかないか、これは昨年勧告出しましたそのあとから、すぐ引き続いて検討してまいっております。それにはいろいろ問題点が確かにございまして、検討は進めておりますけれども、いまこの時期で、ここがいよいよいけませんというようなことをここではっきり申し上げるという段階にはまいっておりません。もうしばらくお待ちを願いたいと思います。
  103. 永山忠則

    ○永山委員 勧告がもちろんあると思いますが、勧告があるのに、旧来は五月からやれというのを十月からやる。そうなれば、六月の期末手当等もいろいろ影響しますから、そういうように政府がわずか三、四カ月のことをずらして、私は、これは国家財政に影響するような大きな問題ではないと思うのですがね。そういうように政府が絶えず勧告を尊重するといいながら、実際は十分尊重しない、こういう態度であることが、私は公務員、ほんとうに誠心誠意奉仕している者に対する為政者、使用者としてのまじめにそれにおこたえするという熱意を疑われるゆえんじゃないかと思うのですが、これは完全に今回は実施せしめるというように強く進言をさるべきであると思うのですが、これに対しては、人事院総裁なり、大蔵省なり、総務長官なりの一つのお考えを願いたいのです。毎年そういうことをやりていけば、信頼を失うだけですよ。争議を誘発する一番大きな原因になるのですよ。違法ストをどうしたって起こすということになってしまうのですよ。政府が、人事院勧告さえ、スト権を奪っておいて、認めないということから、またスト権をよこせという問題にも発展するのですから、やはりこういう重要な行政職のほんとうに日本の運命をになうて真剣に一生をささげている者に対する給与については——実際は、われわれは勧告自体が非常になまぬるいと思っているのですよ。それをさらに実現せぬというようなことがあるべきじゃないと私は思うのですが、この場合、ひとつ大蔵当局、総務長官及び人事院の御意見を承りたい。   〔伊能委員長代理退席、委員長着席〕
  104. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 私ども勧告を申し上げる立場の者にとりましては、まことにうれしいおことばと存じます。昨年もずいぶん努力をいたしまして、お隣にいらっしゃる野田総務長官あたりにもずいぶん力添えをいただいたのでございますが、残念ながらわれわれの希望するとおりにまいりませんでした。ことしは、もしも勧告を申し上げるようなことになりますれば、ぜひとも実施時期も勧告のとおりに実現さしていただきたいと念願しておる次第であります。
  105. 野田武夫

    ○野田(武)政府委員 永山さんのいまの人事院勧告勧告どおりにいっていないということでありますが、給与内容勧告どおりいっておりますけれども、実施時期がいつも勧告とはだいぶん隔たりがある。これはどうも慣行で数年やっておるものですから、私は、これを受け取りまして、人事院総裁の御意見も拝聴しまして、昨年の勧告はせめて従来の慣行を破って、できれば勧告どおり、できなければこれはいろいろの財政事情もございましょうから、無理せぬから、従来よりも少し実施時期を引き上げたらどうだという考えを持ちまして、人事院総裁の御熱意もありましたし、内輪の話が、労働大臣も大体私と同じでございまして、政府部内でも相当折衝いたしましたが、何しろ微力なものでございますから、なかなかわれわれの主張をいれてくれない、こういうことで、私自身非常に遺憾に思っております。
  106. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)政府委員 永山委員の御意見、非常にごもっともと実は拝聴いたしておるわけでございますが、実施の時期につきましては、御承知のように、国家公務員のほかに地方公務員に波及する問題もありまして、そう一がいに、勧告どおりの期日に必ず実施しますということは、なかなかお答えできないと思います、これはざっくばらんに申しまして。これはやはり国の財政全般を見渡して判断をせられるべきものだと思っておりますが、財政当局としては、あくまでも人事院勧告は尊重する。尊重するという精神については、われわれのところもごうも変わりない、かように考えておる次第でございます。
  107. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 関連。この問題は毎年毎年の内閣委員会で問題になるわけでございます。したがって、われわれとしても、政府を信頼して、せめて人事院の公正な勧告勧告どおりに実施をしていただきたいということは、おそらく内閣委員会全員の強い希望であり、また常に主張しておるところだと思います。ことに、今年の初めの池田総理大臣の施政方針演説並びにそれに対する社会党側の質問の際に、池田総理大臣は、こういうことを言われた。乏しきを憂えず、ひとしからざるを憂うるという引例を社会党の質問者が出したときに、乏しきをも憂えるということを大きな声を出して答弁をしたのは池田総理大臣です。私は、このことばは、政府全体として、総理の意思として体していただきたい、かように心から念願をする次第です。ことにきょうは、同僚の永山委員から、恩給の問題についていろいろな角度から御質問がありました。ことに、恩給受給者が、単にそれだけでは食えないで、民生委員の救済を受けるというような者も八千人もあるというお話も伺ったのですが、この点については、退職公務員、軍恩、遺族、その他各団体から、恩給年金基準の引き上げについて年々強い希望が出されております。昨年、われわれもこれは何とか引き上げたいということで、本年度の予算において、せめて二万二千円ベースもしくは二万四千円ベースまでに引き上げたいということで非常な努力をしたのでありますが、財政上の都合からついにその目的を達成することができなかったわけですが、さいぜんスライド制の問題についても、いろいろと大蔵当局、総務長官、また人事院総裁に関連して御質問がありました。これについてはいろいろ御厚意のある御答弁もありましたが、私は、いまの形ではなかなか早急にはいきがたいような心配をいたしております。幸いにして野田総務長官は、この問題については今年度中に何とか片づけて、いい方向へ持っていくように結論を出したいという、非常に英断的な御回答のあったことは、きょう内閣委員会としてはおそらく非常に感謝をしておると思うのでありますが、どうぞひとつ、退職公務員、退職者がいまのような状態でなくして、せめて第二の人生に十分な働きのできる程度の最小限度のものは、政府として確保をしていただきたいということを、永山同僚委員とともにお願いをして、もう一度責任の総務長官、人事院総裁、齋藤政務次官からもお答えをいただきたいと思う次第であります。
  108. 野田武夫

    ○野田(武)政府委員 ただいま人事院勧告、これにまたさらに恩給年金の問題のお話でございまして、先ほどから私申しましたとおり、私自身、全く御意見のあるところもっともなんです。ほんとうにそのとおりだと思っております。そこで、これは言いわけではございません、これは、あるいは私の発言は人事院や大蔵省が多少お困りになるかもしれませんが、私は真実を申します。共済年金の関係におきましては、実は総理府は、そう関係でできない。これは大蔵省でやっておられます。また人事院関係であります。しかし、私は少なくとも恩給問題の処置についての責任を持っております。そこで、いま御指示を受けました点につきましても、私自身も、今日の経済情勢、物価の問題、また池田内閣のやっております経済政策万般を考えまして、所得倍増というたてまえで進んでおりますから、先ほど池田総理の御演説を御引用になりましたが、これは実質的に現在の恩給、年金というものが、現在の社会生活、経済情勢に合わないのだ、何とかこれは、御希望は別として、できるだけ少しでも引き上げなければならぬという熱意は私は持っております。そこでこの問題にかかわりまして、予算編成にあたりましても、党のほうとも御連絡いたしまして、しばしばどういうふうに手直しするかということでいたしましたが、ちょうど一つありましたのは、若年停止の問題が、一万五千円が二万円になるということが一つ出てまいりましたのと、いま一つは、率直に申しますと、決してよそに責任を負わせることを私は言うのじゃございません、これは誤解のないように人事院総裁にお聞き願いたいと思いますが、ただいま総理府に公務員年金制度連絡協議会をなぜ設けてあるかと申しますと、恩給問題はどうしても共済年金に関連がある、これは私はよく御理解願えると思う。そこで、恩給をやりますために、どうしても共済年金のほうにひっかかるものですから、非常にその点にも私苦慮いたします。しかし、このままでただほうっておいては、この問題がなかなか解決しない。そこで最後に党とも御連絡いたしました結果、実は大蔵当局は、事務当局は必ずしも賛成いたしませんでしたが、大蔵大臣と大臣折衝の場合に話し合いいたしまして、今度は恩給年金の増額というものは、諸般の事情はわかったから、本年度はこれはやむを得ないということにしよう。そのかわり、このままではいけないのだ。これを看過する、またこれをいいかげんに答弁して、恩給年金は考えておりますとか、十分考慮しますという段階ではいけない。具体的にその証左を示さなくちゃいかぬ。それには恩給局に審査機関を設けて——恩給局自体が相当調査の機関を持っておりますけれども、特に私が先ほど永山さんのときにお答えいたしましたとおり、恩給の増額ということを目標にして、ひとつ別な調査機関をつくりたい、こういうことを申し上げました。そこで大臣はこれを了承いたしまして、今年度の初めに恩給局の中に恩給問題審議室というものを設けました。その目標は、私は重ねて申しますが、恩給の増額改定、それから外地抑留者の加算年の問題もあります。この目標をそのまま審議室の目的として政令であらわしたいと思っておりましたが、御存じのとおり、文句の書き方がなかなかむずかしいのです。そこで、ここに恩給局長どもおりますが、そんな政令の内容の書き方なんかよろしい。これは二の次だから、目的がそうなのだからというので、この審議室において「次の事務をつかさどる。」の中に、「恩給年額、恩給加算年その他恩給に関する諸問題」というのを審議室の政令の中に織り込みました。いまお話の点、私全く同感でございます。それが永山さんの御希望の公務員給与とスライドするかどうか、これは実は私明言できないのは、なかなかそう簡単に——趣旨はわかりますけれども、私がいつも申しますとおり、なかなかむずかしいことをいいかげんに申しましても、これはそこまで行くかどうか疑問がありますものですから……。しかし、現状を何とか打破して、ほんとうに恩給問題の一番大きな恩給、年金の増額というものは、この審議室をつくりました理由からいたしましても、本年度にどうしても目鼻をつけたいという考えを持っております。これはもちろん私だけがんばりましても、一番大事な財源を持っております大蔵省の関係がございますから、私がここでたんかを切りましても、なかなかそうはいきますまいが、私は、その熱意で、この恩給問題の審議室を活用いたしまして、予算編成までに具体案をつくりたい、こう思っておりますから、ひとつできますなら、むしろ何分の御協力をお願いしたい、こう思っております。私の意思が通りますかどうか、これは先ほども永山さんからおこられましたけれども給与勧告も五月からというのを十月にしたではないか。そのとおりです。だから、おこられましたけれども、私は私なりに、微力でございますけれども、私なりの熱意を込めてこの問題にかかりたいと思っておりますから、御了承願いたいと思います。
  109. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 全くただいま総務長官の述べられたところと、私どもも同じ気持ちであります。  なおまた、給与勧告について毛非常にお力強いおことばをいただいて、感謝いたします。これも今後私どもとしては、勧告どおりに実施されますように、ひとつ国会のほうでも十分お力添えをいただきたいとお願い申し上げます。
  110. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)政府委員 恩給問題並びに人事院勧告の問題等につきまして、非常に御熱心な御意見を承ったわけでございますが、私どもといたしましては、退職公務員の恩給につきましては、さっき申しましたように、本年度から設置されます恩給局の審議室において妥当なる結論を一口も早く出していただくように期待をいたしておるわけでございまして、その結論が出ましたならば、その方向に向かって、財政当局としても努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。  人事院勧告につきましては、その実施の時期が問題になるわけでございますが、それは、その勧告が出ましたあとのそのときそのときの国家財政全般を見渡してきめなければならぬ問題だろう、かように考えておりまして、その勧告のとおり必ずいたしますということをいまここで申し上げることは、まことに遺憾でございますが、できません。しかし、私どもは、人事院勧告が出ました暁には、あくまでもこれを尊重していくという精神には変わりがございませんので、どうかその点を御了承願いたいと思うのでございます。
  111. 永山忠則

    ○永山委員 公務員年金制度連絡協議会という形はつくられておるのですけれども、なかなか、総務長官しっかり手綱をとっておやりになりませんと、大蔵省という一番大きな壁を持っておりますから、これを切り抜けるのには尋常の手段ではいかぬ。そこで衆参両議院では、もっと強力な機構にして、内閣全体の強い力で総合的にこの問題を解決すべきであるということを、大蔵委員会もそういうように言っておりますし、われわれも主張してきて、附帯決議にもなっておるのですが、ささやかな連絡協議会では非常に不安があると思うのです。したがって、これの運営は強力にしてもらいたいということです。  もう一つ、長官がおられるのに言うのはおかしいですけれども給与担当というのを労働大臣がやるのは、私はおかしいと思うのです。やはり公務員給与担当は、総務長官がやる。しかし、総務長官はやはり大臣にしなければいかぬですね。どうも日本は総務長官を——私は、野田総務長官をという意味をもっておべんちゃらを言っておるのではないのですよ。何にしても、実際問題として総務長官の地位の者は、やはり副総理ですよ、一番大きな給与、人事というような関係を持っておるのですから。やはり認証官だけではだめですよ。大臣でそうして副総理という強い地位におって、大蔵省をよくリードしていくというような組織であることを私は期待するのですが、しかし、どうせ七月にいろいろあるでしょうから、その際は、総務長官はどうしても大臣でなければいかぬ、どうして副総理だというくらいな考え方で、機構においても優位的地位を確立する。そうしてどうしても年金制度との調整をはからねば、恩給問題だけいこうとしても、いかせないのです。だから、これは基本的な問題を解決する、恩給と年金との調整を基本的に解決して、そうして必ず現職公務員給与にスライドをしていくのだという、この基本原理に向かって強く推進をされなくてはならぬと私は思う。  そこで、恩給問題審議室か、あるいは公務員年金制度連絡協議会か、あるいは総務長官直属の審議委員という公式のものではございません、いわゆる私的のものではありますが、権威者の意見を十分聞いて、その権威者の考え方をバックにして強く推進されるべきではないかということを前から言っているのですが、それに対しては、いまどういうような構想で進んでおりますか。
  112. 野田武夫

    ○野田(武)政府委員 私は、前提において、伊能さんや永山さん、有力な方からおことばをいただいて、この問題に非常な御熱意を持っていただいておりますが、本年度いろいろなことが私どもの希望どおりいかなかったのは、みずから深く遺憾に思っているのでございます。  そこで、この担当大臣の範囲でございますが、政府の都合で労働大臣がやっております。前は経済企画庁長官、行政管理庁長官がやっておりましたが、国務大臣を給与担当の大臣にせよという国会側の御希望もあったのでございます。ただいま、私個人ではございませんが、総理府また総務長官に対していろいろの御示唆を得ましたことを、深く総理府として感謝いたします。  さらに恩給問題、共済年金問題、これらについて、いまの機構だけではもの足りないじゃないかというお話でありますが、私もいろいろその点について相当考えております。そこで、いま審議室また連絡協議会におきましても、やはりいろいろの学識経験者とかその他の方々を顧問にして、ひとつ公正な御意見を織り込んでもらいたいという考え方を持っております。さらにもし必要でございますれば、恩給問題に限っては、これは私の関係でございますから、いま永山さんのお話のように、もう少し強力なものが、これは公式でなくても、何かそういうものが必要だというような段階に入りますれば、私はもちろんそういう手段を講じたいと思っておりますが、今日のところ、一応、まあだれから見ても、この人の意見はもっともだというような、役所にはいろいろなにがございますが、いわゆる学識経験者と申しますか、そういう方々を網羅して、そういう方を顧問にして、外部の公正な意見を吸収したい、こういう構想は持っております。  さらに、もっと直接、いまお示しのようなことについて私も考えておると申し上げましたが、必要によっては、私はひとつそういう機関を  公式機関ではございませんが、そういう機関をつくることも、さらに早急に検討してみたいと思っております。
  113. 永山忠則

    ○永山委員 やはり大蔵省という強い壁がありますから、それが納得できるようなものを出さなければいかぬ。それにはひとつ、この人の言うことならほんとうに納得できるというような権威ある人があられると思いますし、そういうような人をお入れになって、これは私的でけっこうですから、ひとつ総務長官の権威を強められまして、強力に指導していくということでこの問題をぜひ解決願いたいというように考えております。  人事院総裁がおられますから、もう一つ人事院総裁の耳に入れておきたいことは、直接関係はありませんが、それだけでお聞きを願いたいのですが、今度の給与ベースの改定で、総理はどれだけ上がったのですか。何%上がったのですか。
  114. 佐藤達夫

    佐藤(達)政府委員 総理等の特別職のことは私ども所管しておりませんので、専門家がおりますから、そちらから……。
  115. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 約五〇%であります。
  116. 永山忠則

    ○永山委員 そうすると、幾らが幾らになったのですか。
  117. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 二十六万から四十万になったわけでございます。
  118. 永山忠則

    ○永山委員 今度のベースアップの一番トップをいっておるのは、総理給なんですよ。そこで自分の子供を失った遺族やあるいは傷痍軍人、これらは、恩給は仮定俸給でもって予算の都合で非常に押えておる、四号俸から以上のベースを押えておるわけです。そういう方々には一文のベースアップもしていないのですから。年金との関連の一般恩給の問題は先刻申しましたが、傷痍軍人あるいは遺家族というような、自分の子供を失い、しかも自分が不自由になった、こういうものがおびただしい物価高にあいながらこれを一文も上げないというような冷酷非道な政治が、どこにあるかと思うのであります。それならば、自分のほうは上げずにおいたらどうですか。私は、こういうような政治が白昼行なわれておるということに対して義憤を感じておるのです。これに対しては、総務長官及び大蔵省は、どうお考えですか。人事院総裁は御答弁いただかぬでも、それだけでお引き取りくださいましてもけっこうでございますが、この意味においても、人事院は無関心であってはいけない。やはり中正な機関としての権威のために、表面の勧告はさることながら、内面的においては、やはり権威ある内面指導をやるべきである。われわれは、党内においても血の出るほど叫んできた。けれども、何ら顧みられない、こういう権力政治をいまだかつて見たことがないというくらい、私は憤激をいたしておるのでありますが、総務長官や大蔵当局は、どうお考えになっておるのでありますか。
  119. 野田武夫

    ○野田政府委員 総理の給与は、二十六万が四十万になった。私は、直接これに関係いたしませんので、その理由ははっきりわかりませんが、大体総理大臣の給与民間ベースに比較いたしますと、かりに四十万円必ずしも総理大臣という職務としては多いと思いませんが、いまお示しの遺族その他の問題は、私は、これはまたほんとうに永山さんの御意見はごもっともと思っております。それと総理が二十何万円から四十万円になった、これはまたいろいろ理由づけがありましょうし、またそういう地位とか職務とかということからかして、これが高いか安いかということは別個にいたしまして、私は、いまの傷痍軍人、遺家族の問題、こういう問題につきまして、やはりわれわれ少なくとも政治にある者は、深くここに心して、この問題がこのままほってある、あるいはこのままであったということは、非常に遺憾に思っております。
  120. 齋藤邦吉

    ○齋藤(邦)政府委員 総理大臣の俸給が二十何万円から四十万円に上がったということにつきましては、総理大臣の職責並びに民間給与、それから他の特別職との均衡というふうなことで四十万円になった、かように了解をいたしておる次第でございます。  遺家族その他の問題につきましては、これは永山委員仰せのごとく、私もできるだけこれが改善のために努力をしなければならぬということでございまして、今後ともできるだけ努力をしていきたい、かように考えている次第でございます。
  121. 徳安實藏

    徳安委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は、来たる六月九日午前十時理事会、十時半委員会を開会することとし、これにて散会いたします。    午後一時四十二分散会