○赤城国務大臣 確かにいま御
指摘のように、三十一年にレモンの自由化を実施しましたが、三十三年に私が
農林大臣になりましたときに自由化を撤廃してもとに戻したこと、そのとおりでございます。しかし、御承知のように、その後国際的な協定等が活発化した、そういうことで、
日本も貿易の自由化の一面におきまして、ガットに加入するとか、あるいはその他いろいろな国際的
機構に加盟しております。そういう面からいたしますると、貿易の自由化ということを強く国際的に
——アメリカばかりではございません、国際的に要請されているわけでございます。そこで自由化品月も九十四くらいになっておりますか、農林物資につきましても、その程度になっております。七十数品目を農林物資としては自由化いたしております。こういうような情勢下にありますので、農林
関係は、御承知のように農林水産物は国際競争力が非常に弱いものでございますから、できるだけこれは自由化のほうへ入らないように、拒否といいますか、いたしておる
態度を続けております。しかしながら、全然どの品目も自由化しないというわけにはまいりませんので、逐次自由化していくものがございます。果樹でいえば、バナナな
どもその例でございます。そういうような
関係でございますが、自由化の根本方針からいいますならば、米麦等非常に主要なもの、あるいは酪農製品、この中でもナチュラル・チーズなどというものはずっと前に自由化してしまったものですから、そのままになっておりますが、これからでは、酪農製品あるいはでん粉等は、これは自由化を押えておりますが、
政府が扱っているものあるいはその他重要の農産物等については、自由化を大いに進めていくという
態度を堅持しておるわけであります。そのために、農産物等につきましても、逐次自由化すべきもの、あるいはもう自由化してもいいというような、
一つのまあ分類的な
——確定的なものではございませんが、分類的なものをもちまして、そのときどきに対処していくということにいたしております。もっとも、それにつきましては、
外国との競争力が弱いのでございますから、あるいは関税の面において、あるいは国内の対策等によって
生産性を上げ、競争力を増しつつ自由化をしていくという方針は進めておるわけでございます。そこで現実に自由化する場合に、事前にそういう対策と並行しながら自由化する物質もございまするし、あるいはまた事後にそういう対策をまた講じていくという面もございます。たとえばバナナの点などにつきましては、五〇%の関税率をだんだん下げていくということに方針がきまっておったのでございますけれ
ども、リンゴの相場が下がったということにバナナが直接因果
関係はないと私は思いますけれ
ども、しかし、間接に影響がないとは考えられません。そういう面で、関税率を引き下げることをやめた。これは議員提出でありますけれ
ども、そういうような現状であります。
そこで、レモンの問題でございますが、レモンにつきましては、これはもう自由化してもよろしいのじゃないかというような案は、持っておったわけでございます。しかし、あの時期に自由化というような
考え方は持っておりませんでした。たまたま党の政調会長あるいは総務会長等も来ておりまして、経済閣僚懇談会という形で、話題が非常にあちらこちら飛びました。たとえばコンニャクの輸入あるいはノリの輸入問題、そういうところから、コンニャクもノリももう自由化したらいいじゃないかというような議論などが出ました。その中で最も強く出ましたのが、レモンを自由化していいのじゃないか、作付面積が少ないからというわけではございませんが
——永山さんのお調べでは二百町というようにいつか聞きましたが、私のほうでは、百四十四町くらいの全国の栽培面積、あるいは栽培の戸数においても千二百戸くらいに見ておったわけでございます。その場でそういう話が出たわけじゃございません。それからまた、自由化すると、いままで大体独占的に
流通のもとがなっておったように私もあとで聞いたのでございますが、そういうようなものがはずれてくれば、
消費者に対しての価格も下がるのじゃないか。そうすると、
生産者のほうへどういうふうに影響するかというようなことを、もう少し見ておりませんとわかりません。かりに半値以下に
日本の
生産者価格が下ったといたしましても、温州ミカン以外の果樹類と比較いたしますならば、これは採算がとれる。それだけに、これに対しての措置は講じなくてはならぬけれ
ども、そういうことであるならば、少し措置を講じてやれば、これはやっていける、自由化したためにこれがつぶれる、こういうようなものじゃないのじゃないかというようなこと、これはあとからの
検討でございましたが、前々からそういう
検討も内々いたしておったわけでございます。しかし、実はあの時期にレモンを自由化するということを予定していたわけではございません。いろいろお聞き及びのような情勢から、経済閣僚懇談会で自由化するということにいたしたものですから、それならその方針で進め、
生産者の対策は
生産者の対策としてまた考えていけばいいのじゃないか、こういうことから自由化に踏み切った、こういう
事情でございます。