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1964-05-21 第46回国会 衆議院 内閣委員会 第34号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年五月二十一日(木曜日)    午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 徳安 實藏君    理事 伊能繁次郎君 理事 辻  寛一君    理事 内藤  隆君 理事 永山 忠則君    理事 八田 貞義君 理事 石橋 政嗣君    理事 田口 誠治君 理事 山内  広君       岩動 道行君    壽原 正一君       高瀬  傳君    綱島 正興君       藤尾 正行君    保科善四郎君       前田 正男君    松澤 雄藏君       渡辺 栄一君    大出  俊君       中村 高一君    村山 喜一君       受田 新吉君    山下 榮二君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 田中 角榮君  出席政府委員         警  視  監         (警察庁警備局         長)      後藤田正晴君         大蔵事務官         (大臣官房長) 谷村  裕君         大蔵事務官         (主税局長)  泉 美之松君         大蔵事務官         (関税局長)  佐々木庸一君         大蔵事務官         (理財局長)  吉岡 英一君         国税庁長官   木村 秀弘君  委員外出席者         検     事         (刑事局刑事課         長)      羽山 忠弘君         大蔵事務官         (理財局証券部         長)      加治木俊道君         専  門  員 加藤 重喜君     ————————————— 五月十九日  金鵄勲章年金復活に関する請願有田喜一君紹  介)(第三七三一号)  宇都宮市に勤務する国家公務員寒冷地手当支  給に関する請願外十三件(戸叶里子紹介)(  第三七三二号)  国家公務員給与改定等に関する請願外十四件  (武藤山治紹介)(第三七三三号)  建設省設置法の一部を改正する法律案等反対に  関する請願山花秀雄紹介)(第三七三四  号)  同外一件(佐野憲治紹介)(第四〇〇三号)  同外一件(安宅常彦紹介)(第四〇五〇号)  平和の日制定に関する請願今松治郎紹介)  (第三七七〇号)  同(早稻田柳右エ門紹介)(第三七七一号)  同(丹羽兵助紹介)(第三八四二号)  同(吉田賢一紹介)(第三九九三号)  元満州国政府職員傷病恩給既得権者に関する  請願永山忠則紹介)(第三七七二号)  国立大学教官待遇改善に関する請願渡辺栄  一君紹介)(第三七七三号)  同(浦野幸男紹介)(第三八三六号)  同(神田博紹介)(第三八三七号)  同(佐々木更三君紹介)(第三八三八号)  同(三木武夫紹介)(第三九八六号)  同(丹羽兵助紹介)(第三九九二号)  同(福井勇紹介)(第四〇三二号)  同(倉石忠雄紹介)(第四〇四八号)  同(田中伊三次君紹介)(第四〇四九号)  同(河上丈太郎紹介)(第四〇八八号)  退職警察職員恩給是正に関する請願天野光  晴君紹介)(第三八三一号)  同(小沢辰男紹介)(第三八三二号)  同(田口長治郎紹介)(第三八三三号)  同(田中伊三次君紹介)(第三八三四号)  同(福永健司紹介)(第三八三五号)  同(藤山愛一郎紹介)(第三九七八号)  同(大久保武雄紹介)(第四〇二八号)  同(田村良平紹介)(第四〇二九号)  同(徳安實藏紹介)(第四〇三〇号)  同(三田村武夫紹介)(第四〇三一号)  同(武市恭信紹介)(第四〇五二号)  公務員賃金引き上げ等に関する請願大出俊  君紹介)(第三八三九号)  基地周辺民生安定法制定に関する請願木村  剛輔君紹介)(第三八四〇号)  一般職職員給与に関する法律の一部改正に  関する請願泊谷裕夫紹介)(第三八四一  号)  靖国神社の国家護持に関する請願外七件(佐々  木義武紹介)(第三八四三号)  同外二件(逢澤寛君紹介)(第三九四三号)  同(臼井莊一君紹介)(第三九九一号)  同(坂田道太紹介)(第四〇三三号)  同(今松治郎紹介)(第四〇四六号)  同(關谷勝利紹介)(第四〇四七号)  国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律  案反対に関する請願石橋政嗣君紹介)(第四  〇〇二号)  世界大戦終戦記念事業法制定に関する請願(遠  藤三郎紹介)(第四〇五一号)  国立病院療養所に勤務する医師及び歯科医師  の待遇改善に関する請願安藤覺紹介)(第  四〇五四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  大蔵省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第五〇号)      ————◇—————
  2. 徳安實藏

    徳安委員長 これより会議を開きます。  大蔵省設置法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を継続いたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。永山忠則君。
  3. 永山忠則

    永山委員 ただいま議題となりました大蔵省設置法に関しまして、質疑をいたします。  この改正法の中で、東京調査部を第一部と第二部にして、査察部と分離しております。さらに、大阪はこれを査察部調査部に分けるようにいたしておるのでございますが、元来、戦後査察部調査部は分かれておった。これを調査査察部にその後一緒にしたわけでございます。またこれを分けるというようになるのでございますが、大体それはどういう理由で分けるのであるか。その点は、事務が非常に大きくなったからという意味なんですか、その目的、これはどうですか。
  4. 田中角榮

    田中国務大臣 東京大阪両局の調査査察部を分割するという問題につきましては、これが二つになることによって調査査察業務が峻厳になるとか、適正にやられるとかいう考え方ではなく、ほかの局に比べまして非常に事務量が多い。しかも人事管理の面におきましても、二つに分けるだけでいいのかというくらいに数が多いのでございます。その人間の数は、御承知のとおりに、他の国税局では、調査査察部のほうが六十五名くらいでございます。それが東京は六百七十一名、大阪は三百七十六名、こういう膨大もない人間をかかえておるわけでございます。御承知のとおり、大法人等東京大阪等に集中をいたしておりますので、税務事務量も非常に大きくなっておるということでありまして、この改正案は、事務及び人事管理の適正を期すということに主点を置いておるわけでございます。むしろ、そうすることによってきめのこまかい、納税者の利便もはかれる、こういう考え方に立っておるわけであります。
  5. 永山忠則

    永山委員 それじゃ、部長は二人置くわけでございますか。
  6. 田中角榮

    田中国務大臣 もちろんそのとおりでございます。
  7. 永山忠則

    永山委員 むしろ次長制をしかれて、部長は一人で、あるいは三次長で一もいいですから、そのほうが好ましい姿じゃないかというように感じるのです。その理由は、調査査察と分かれておりますと、どうしても査察主義になっちゃうんです。戦後調査主義から査察主義へ、非常に強く摘発主義に入ってきたという弊害があるのです。したがって、調査査察というものを一本にして、査察摘発主義じゃない、調査を中心にして、いわゆる国民納税義務をよく指導していくという立場のほうが好ましいというので、一つになったわけですね。これをまた二つにすると、やはり摘発主義あるいは権力主義が、非常に強く出てくるのではないかということを憂えるのですが、そういう点はありませんか。
  8. 田中角榮

    田中国務大臣 調査査察は、御承知のとおり、人員が非常に少ないところは一本にしているわけであります。中で調査をやります部門と、それから自動的に査察に移るわけでありますから、そういう面は一つ看板の中でもやり得るわけでございます。ところが、御承知のとおり東京大阪は、ほかの税務署全部合わせたよりも多い、こういうくらいに税務が集中いたしておるわけでございます。でありますから、そこで東京調査査察に分けるとともに、もう一部をつくろうということでございます。大阪は、先ほど申し上げましたとおり、東京の六百七十一名に対して三百七十六名という人員でもおわかりになるとおり、事業量東京より少ないわけでありますから、調査部査察部に分けようということでございます。調査部査察部に分けられるということによって峻厳になる可能性があるということはないわけであります。調査査察部という一つ看板の中でも、調査する部分と、調査が終わりまして当然査察に移管される部分があり、事件別に分けられれば調査から査察に回るわけでありますから、看板二つになっても、より摘発主義になるということは全然ございません。調査査察ということで一つ看板だから調査主点が置かれるものを、査察だけという看板ができれば、勢いその部は査察重点主義になる、きっとこういう御議論で言われておるのだと思いますが、そうではなく、調査査察におのずから分類せられるのでありますから、調査査察看板二つに分けても、摘発重点主義にいくというようなことは全然考えてもおりませんし、そうはならないのであります。  それから次長を置いて部を二つに分ける必要はないじゃないか、こういう御議論もございましたが、次長を置いて片づけられるにはあまりに膨大なものであるということでございます。先ほど申したとおり、東京といえば、ほかの局の十局分くらいあるということでございます。そういう状態からいたしましても、国民大衆に直接影響があることでありますので、部を設けて責任の所在を明らかにしておくことがより合理的だという観点に立っているわけでございます。
  9. 永山忠則

    永山委員 戦後、査察調査二つに分かれている際に、非常に摘発主義査察傾向が強かったということにかんがみまして、分離することは好ましくないのでありまして、むしろ東京は三次長大阪は二次長というようなことで、総合的に部長が調整していくということが好ましいと私は考えておりますが、これは大臣が特に摘発主義でないように行政運営をやるのだということでお進めになることを深く期待をいたします。  そこで、この税務行政指導行政摘発主義か、その考え方でございますが、どうもいまの税務行政摘発主義でいって、指導的にやっていくという点が薄いのではないかという点が、現実的に疑問があるのです。ですから、分けるということは、さらにそれを強化させないかということ、もう一つ権力主義、いわゆる国家権力をもって、国民はみな悪いやつだからやっつけてしまえといったような権力的な意欲が強く動いてきておりはせぬかということを非常に憂慮しておるわけでありますが、この税務行政基本方針というものは、どこにありますか。
  10. 田中角榮

    田中国務大臣 これは言うまでもなく摘発主義ではございません。新憲法精神に沿って申告納税制度基本にいたしておりますから、指導というよりも、国民の自発的なものにまつわけでございます。これは憲法精神を流れるものでございます。でございますから、調査査察に分けるなどといっても、これは摘発が加重せられるというようなことは毛頭考えてもおりませんし、そのようなことはいたしません。いまよりも国民のためになる、こういうことを前提にいたしておることを御理解いただきたいと思います。  しかし、税金というものは、申告だけだと申告しない人もあるのでありますから、おのずから付随事項として摘発もまた法律の定むるところにあるのであります。けれども、摘発などということは全く起こらないという状態が望ましいということでございまして、あくまでも指導というよりは、申告納税を主体としております。やむにやまれざる場合にのみ摘発もまたやむを得ない、こういう考えでおります。
  11. 永山忠則

    永山委員 ひとつ大臣の趣旨をもって御指導を願いたいと考えております。  もう一つ、非常に権力主義が行なわれておるのではないか。よく税務関係の人が使われることばに、おれが法律なんだ、だからしておれが言うとおりが絶対だ、また日の丸を背負っておるのはおれだ、権力はおれが持っているんだ、たてついてみろといったようなことがある。そういうことを言うた人も実際にいるのですよ。さらに、疑わしきは税を取るんだ——疑わしきは罰せずじゃない、疑わしきは税を取るのだ、こういう用語が税務官吏の中に流れているといわれているわけですよ。その権力主義に対して、大臣は、そういう権力主義はいまはないのだ、民主的にやっているのだ、納税義務に従って申告納税をよく指導していっているのだというようにお考えになっておりますか。現在の税務行政に対して、権力主義はなお強く横行しているというようにお考えになっておりますか、この点をひとつ。
  12. 田中角榮

    田中国務大臣 租税法定主義でございますから、御承知のとおり、徴税官吏法規裁量を旨といたしておるわけでありますから、自由裁量というものは、他の行政に比べまして非常に少ないということでございます。でありますから、権力主義になろうはずはないわけでございます。しかし、戦前には聞かないこともございませんでしたし、戦後も、特定なものに対しては、非常に権力的に、高圧的に徴税官吏がやるということも、われわれ耳にしないわけではありません。ただ、総体的に見まして、民主徴税機構に長足な進歩をしておる、一日一日非常によくなっておる、ほめらるべき税務署になっておるという自信を私は持っておるわけでございます。あなたがいま御発言になったように、私が大蔵省に参ってからでございますが、私のところに陳情に参りまして、税務署特定の人をさしまして、ひどいやつだ、こういうものは徴税官吏として好ましくない、こういうことでありましたから、もしそのようなことがあればゆゆしいことでありますから、その責任を追及する、こういうことで調べてみましたら、その陳情者がまたとても悪いのです。何回も調べますと、調べるほどぼろが出てくる、どうにもならないということで、私もよく調べてみました。しかし、税務署職員は、少なくとも権力主義を頭にしてやっておるということではないのだなということを——私は例をたくさん調べてみたのですが、まあ税務署権力主義でやっておるということだけでなく、国家のためにほんとうに仕事をしておる第一線の税務官吏に対する納税者国民の理解、認識の度合いという問題とあわせて評価すべき問題であります。だから、戦後新憲法精神に沿いまして申告納税制度がとられたと同じように、もちろん税務機構税務官吏の素質の向上ということに対しては、一日も、一時もゆるがせにしてはならない。もちろん高圧的な権力主義思想などがいささかもあってはならないことを私自身も考え大蔵省一体になって、国税庁税務署もそういう考えに立っておることは、ひとつ御理解いただきたいと思いますが、税務官吏もおとなしくしておると、なかなか手に負えない方々も相当おられる。こういう中で非常に努力をしておるという事実も御認識いただきまして、せっかく民主徴税機構確立のために御支援を賜わりたいと思います。
  13. 永山忠則

    永山委員 大臣の言われるごとく、大方の税務官吏は、非常に奉仕的精神で献身的な努力を続けておるということについては、われわれも日ごろから敬意を払っておるものでございます。しかし、非常に逸脱した行為の方もあるのだという点は、これは十分ひとつ認識を新たにされまして、指導監督のよろしきを得るということに努力を続けていただかなければならぬと思うのです。  そこで、その権力主義というのはどういうことになるかと言えば、強いところには税金はなかなか手が及ばない。弱い者からはうんと取り上げるというのが、権力主義なんです。そういうような傾向はないかということをわれわれは憂慮する。言いたくないのですけれども、事実そういうような情勢があるのです。たとえば各府県給与の調整で、旅費の形で払っておる、あるいは貸し付け金の形で払ってあとで戻したようなことでやっておるということは、産経新聞でしたか、に最近出ておるのです。私はいま新聞を持っておりませんが、大かたの県が、みなこういうことをやっておるということを新聞は言っておるのですよ。これに対して国税庁のほうからも、そういう点が疑わしいのがある、強くやれば当局の背任にまで及ぶかもしれぬというようなことを、当時新聞は言っておるのです。そういう事実が、第一にまずあるかないかということです。それは府県という強い政治的力ですよ。だから、そのほうへは遠慮をするということが、一つあるわけです。  時間がありませんからいま一つ申し上げますが、権力主義世間誤解を受けているということなんですね。国家最高の地位におる人の納税申告——大きな家を建てているということを言っているのです。そしてそれだけの収入ではたしてそれだけの大きな家が建てられるかということを世間は思っているのですよ。だから、権力の強いところには、よう言えぬのではないかということですね。さらに、国民の中でもいろいろ誤解しているのだろうと思うのですが、国会議員には税金をかけていないじゃないか、これが国民の声になっておる。さらに、府県議員の給料も、お手盛りで上げているじゃないか。こういう権力のあるところは目こぼしになっておる。こういうことが、実際は今日の世論になっておるのですよ。私が権力主義が行なわれていないと言っても、世論はそういうことを言っている。  そこで、時間がないからさらに言いますが、今度民主商工会、この民商団体税務官吏の一部が手を握って、いわゆる反税的な行為があって、民商団体にはなかなか調査の手が及ばない、こういうことも言われておるわけです。さらに労音、労演に対しても税金をとることになっているけれども、税金はほとんど払っていない。これはいずれも一つ権力です。そういう団体の力、一つ権力的なもの、こういうものには手が及ばない。また、東京のどまん中へ会社の本店を持ってくれば税金は安くて済むけれども、いなかに本社でも置いたらうとん税金をとられるというので、みな東京本社を持ってくるというような状態なんです。大都市は税が安い。そして農村地帯税金が非常に重い。こういうことは世論が非常に強く出ておるのでありますが、こういう反税闘争的な性格に関する民商の問題に対して、警察庁後藤田警備局長も見えているようですから、どういうように国税庁と協力されてこれに対して処置されつつあるか。また国税当局は、これに対してどういうような考え方に出るか。  要するに、権力のある者に対して非常な誤解のあることを言われているが、それはないのか。まず、国会議員歳費に対してはどういう考え方でおるのか。また、府県議員には審議会を設ける、そして歳費値上げのときには審議会審議をして決定しろということを法律に出そうというわけです。しかし、法律にしてもらわぬでも、われわれは自主的にやると言う。中国地方のほうでは、何だ、国会議員はやらぬのに、県会だけこれをやらしめるということは適当でないじゃないか——これは新聞に書いてあることを言うのですよ。私が言うのではない。これに対して当局はどう考えているのか。要するに、弱い者にはどんどん強く納税を迫ってくる。上の者には手薄にする。  なお、ついでだから申し上げるが、えらい人から電話がかかれば、脱税もパーになるのではないか、何々会に入っておれば税金が安くなるのではないかというようなうわささえも——うわさではないのです。それはまことしやかに言っておるのですよ。私が言わぬだけでございますが、こういうような体制が続いたら、これはもう徴税なんかできやしませんよ。機構いじりなんか問題ではない。この基本をいかに正すかということが、私は徴税根本義であると考えるのですが、私の言った具体的事例に対して、これはこうだということを御説明願いたいと思います。
  14. 田中角榮

    田中国務大臣 租税公平の原則もございますとおり、徴税が民主的であり、公平でなければならないということは、けだし当然のことでございまして、そのように考えておるわけでございます。しかし、現実の問題として東京大阪に比べて地方のほうがよりきびしいというのは、御承知のとおり、地方にはあまり大きなものはありませんから、手が届き過ぎる、こういうことが現実問題であります。東京大阪に来ると、地方におれば毎年調査になるものを、東京だったら三年に一ぺん、五年に一ぺんだから、まあお目こぼしの率が多い。こういうことは、現実考えられることであります。でありますから、今度、地方仕事のないところからは東京大阪人員を移動しておる。今度の法律調査査察部などを分割してもらうということも、東京大阪で目こぼしのないように、こういう目的を達成するためにもお願いをいたしておるわけであります。  地方議員その他につきましては、県庁所在地税務署長をしていま検討をせしめておりますが、同時に、この問題に対しては、自治省とも連絡をとりながら遺憾なきを期してまいりたいという考えでございます。  国会議員につきましては、国会は唯一の立法府でありますし、法律問題がございますので、いま国会当局に御相談を申し上げながら検討中でございます。新聞で言っておるということを引例になられて、どうも国会お手盛りをやっておって、地方議会は云々、こういうどろ仕合い式な話よりも、やはり国民の信頼を得るような状態を築かなければいかぬということは、行政基本でなければならぬ。同時に、国会議員が免税になっておるからわれわれもという考え方は、御承知のように憲法に、国会国権最高機関であり、開会中の不逮捕特権、また無賃乗車制度、こういう問題がございますから、われわれもみなという思想に対しては、やはり国権最高機関というものに対しての区分というものは、お互いに一つの線を引くという考え方は、勇気が必要ですが、正すべきは正さなければいかぬ、こう考えます。しかし、課税対象の問題については、いま議院当局の意見も聞きながら検討もしておりますので、なおざりにするというような考え方はないのでございます。  民商に対する問題でございますが、これはあに民商だけではなくて、確かに少額所得者というものは、徴税が苛酷になる。いわゆる源泉徴収の場合は待ったなしでございます。所得の小さい人は非常に調べやすい、こういう調べやすいでもってその徴税が強くなってはいかぬということを絶えず言っております。ところが不用意に申告漏れがあったとか、それから故意ではなく、いろいろの手違いがあった場合と、反税闘争を繰り広げているというものは、金額の多寡ではないのであります。これは国として、国の権力で正さなければならぬ、こういう問題があります。これは、人は殺さなくとも殺意を持って未遂に終わった場合と、全然殺す意思がなくとも相手が死んだという場合とは、その前提となる考え方自体が問題でありますから、いわゆる反税闘争に対しては、断固としてやる、いまにして正さずんばという気持ちでございますから、民商等に対しては、ひとつあとから警察庁からも御協力のお話があると思いますが、かかるものが圧力に屈してできないということであったならば、徴税機構そのものが否認せられるのでありますから、これは勇気を持って前向き、というより、積極的に処理をいたしたいという考え方でございます。  それから大きな人たちがうちをつくったり何かというのですが、これはいままででもこういう方々、いわゆる大所得者というものに手心を加えるというような考え方では、絶対ありません。これはちゃんと、調べるところは調べてございます。しかし、届け出ておる金額からいうと、ばかに小さかったじゃないかという、ただ単にこういうような御批判がありますが、こういう問題に対して、私もじっと見ておりますと、そうではなく、持っておる株を売ったために、譲渡所得というものがあって売り食いをしておるのだ、こういうことで、申告をしておる金額よりも支出が大きい場合が間々あるわけでございます。こういうものに手心を加えるということはありません。  また、大臣とか次官とか局長に頼めば、税が負かる、そういうことは絶対ありません。私のところにも陳情に来る方はたくさんあります。ありますが、これを負けてやれなんということはいやしくも言いません。ともかく不当な、また徴税苛酷というような事実があったならば、正すべきは正しなさい、こういうことでございまして、国民各位の税に対する信頼をかちうるためには、あらゆる努力を傾けておるわけでございまして、おほめにあずかるほどではございませんけれども、これからはおほめにあずかるべき徴税機構にしたいという基本的な考え方だけ理解をいただきたい、こう思うわけです。  労音、労演の問題は、これは自民党でいろいろな催しものをすれば、税金を納めております。社会党でも、民主党でも、催しものをやれば納めておるのです。ところが、労演、労音につきましては、これは納めないでいいんだ、こういうことでございますが、これは法律的に当然課税対象になる、こういうものでございますので、ただ小さいものがたくさんあるということで、スクラムを組まれると、徴税技術上非常に困難な状態もございますけれども、この困難を排除しながら、課税をすべきものに対しては課税をせしむる、納税せしむるという基本的な考えは、変わっておりません。
  15. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 民商、労音等についてお答え申し上げます。  御承知のように、民商、労音等は、税そのものを問題にするよりも、むしろ税という問題あるいは金融という問題を取り上げて、それを特殊の政治目的に利用しておるというのが、現状であろうと私は思います。したがって、われわれ徴税行政の立場から申し上げますと、こういう税を特殊の目的に利用されるということは、はなはだ迷惑な話でございまして、われわれとしては、従来、民商等がわが会員に入会すれば税金が安くなるんだというようなキャッチフレーズでもって会員を獲得するというような事実があり、しかも会員が年々増加してきておる状況もございますので、一昨年からやはりこういう団体構成員に対する調査というものは徹底して行なう、集団の圧力があってもくじけないで、調査目的を達するまで徹底して調査をする、そのためには若干ほかの面で事務が犠牲になってもやむを得ない、途中でやめると、またそういう宣伝をされて会員がふえるという結果になりますので、その点は徹底をしておるつもりでございます。昨年じゅう調査拒否、調査妨害等によって捜索を受け、また身柄を拘束されたという事件が、八件ございます。東京の中野、川崎、藤沢、それから新潟市等において八件ございまして、そのうちの五件はすでに起訴済みでございます。  それから労音等につきましても、これは現在納税力がないんだということで税の申告をしておりません。またこれを決定いたしましても、納税をいたしておりません。調査に参りますと、相当の大衆集団の抵抗がございます。税務署としては非常に苦労をいたしておりますが、しかし、やはり決定すべきは決定をし、また決定したあとにおいて強制徴収すべきところは徴収をするという手続で進んでおります。これも、ことしになって徳島市で一件、公務執行妨害で告発をいたしております。  それから大所得者、あるいは権力の座にある人々に対して税務調査が不徹底であるとか、あるいは依頼を受けて負けておるんだというようなことが、一部の全商連、民商等新聞で出ております。しかしながら、先ほど大蔵大臣から御答弁申し上げましたように、税務に対する国民一般納税者の信頼をかちうるためには、まずそういう点については姿勢を正さなければいかぬということで、われわれはそういうデマ記事をおそらく一般の国民方々は御信用にならないとは思いますけれども、しかし、そういうことは全くデマでございまして、われわれとしては、租税公平の原則の上に立って調査をし、また課税をしておるというのが、現状でございます。
  16. 後藤田正晴

    ○後藤田政府委員 御質問の民商、労音の反税闘争の問題でございますが、この闘争は、税が重いから払えない。生活上困るんだ、あるいはどうも税金がおれのほうはお隣と比べて少々重過ぎるといったような不満、こういうことから出発した反税闘争ではございません。御承知の日本共産党が指導権を握っております全商が、組織の力によって対権力闘争の一環として反税闘争を進めておるわけであります。それだけに、私どもの立場といたしましても、重大な関心を持たざるを得ない、こういうことから、昨年来、国税当局と密接な御連絡を申し上げまして、この種の事案に対しては強い態度をもって取り締まりを加える、こういう方針をとっておるのでございます。その結果、今日まで約十件、十八名ばかりの検挙者を出しております。ただ、この検挙者の数につきましては、具体的な反税闘争の実態と比べましていかにも少ないではないか、したがってまた、強いものには弱いのじゃないか、こういう御疑念があるのもごもっとものような気がいたします。ただ現実は、危害を受けます税務官吏の具体的な事実の供述なり、あるいは相手方が——現場における状況は、すべてが相手方で、したがって第三者の証言が得にくいといったような立証上の問題等もございまして、立件送致をした数は、ただいま申し上げた程度にとどまっておるのでございます。しかしながら、本年の五月にも第十九回の全商大会が新潟で開かれておりますが、この場合の本年度の闘争方針を見ましても、事後調査を実質上拒否する戦いを進める、つまり対税務署闘争を強化することによって彼らの意図しておる目的をどうしても貫徹するのだ、こういうことをきめておるようでございます。したがって、本年もやはりこの種の反税闘争は相当行なわれるであろう、こういう予測をいたしておるのでございますが、私どもといたしましては、国税当局と十分連絡をとって、具体的な場に臨んで遺憾のない取り締まりを加えてまいりたい、こういうふうに考えております。
  17. 永山忠則

    永山委員 与えられた時間が少ないですから、ほんとうの点を十分ただすことはできないですが、概念論で申し上げるのですが、やはり大臣の言われたように、租税を公平に納税せしめる、そしてよく行政指導をやるという方針を堅持して、強い指導をおやりにならなければ、ここでいろいろ正しい議論をされておりましても、国民はみんな納得しかねておるのでございますよ。いわゆる権力者に対しては甘い、大都市へ来れば税金は軽い、あるいは大資本には甘くって、中小零細企業は特に苛斂誅求を受けておるのだというような考え方が、非常に強く出てきておる。そういうことが反税闘争を強化する大きなる原因になっておる。実際問題として、労音でも、労演でも、税金はほとんどよう取ってないでしょう。これはどうしても取るということになっておって、その法律が執行できないのですよ。何ぼ大臣が強く言われましても、現実にそればできていない。また、民商関係の反税闘争に対しても、十分メスを入れてやっていないのですよ。またできないのです。それでは国民の信頼を失うことになる。だからして、その点を大臣は真剣におやりにならなければいかぬ。そのかわり、逆に権力者に対しては甘い態度ではいけません。そういう誤解を受けるようなことがあってはいかぬ。李下に冠を正さずですよ。そういうようなことのないように、長官が言われたように、ほんとうに、公平に、厳正にやるんだというき然たる態度をもって、いまからでもおそくないですから、おやりなさい。それができなければ、どんなに機構をいじっても、このままならば、もう行き詰まりますよ。私はそれを憂慮する。国民はみんな役人に税金を出して、役人のよい指導をまって一生懸命職場で忠実にやっている。その行政指導が誤った方向へ行ったならば、これは会社なら、労使でその会社はつぶれるけれども、会社でないんですよ。国民税金を出して、信頼を託している、行政にあずかっている役人です。これが権力にこびたり、あるいはそういう者には手を出すことができない、弱い者だけをいじめていくような方向に向いたときには、その国は廃頽してしまう、民族の廃頽が起こるわけです。私は、いまにして十分決意を新たにして、この国民の非難にこたえるという態度をとってもらいたい。具体的なことは何も私は申し上げません。国を憂慮するために申し上げておる。  ですから、地方税務署は整理して、むしろ東京とか大阪のほうへこれを拡充してくる。そして国税局の担当と税務署の担当の配分をもっと再検討されまして、細胞的に税務署でこれをやり得る体制に持っていくというようにして、税務署と国税局との関連調整をしっかりはかって、万遺憾なきを期す。東京大阪は何しろ大きいんだから、目こぼれになるのはやむを得ぬのだということではいかぬのです。目こぼれがあってはいかぬのです。一つでも悪いことがあれば、それが全部に行く。ある一人の権力者に対して十分な処置ができないといったら、すべてに影響するほど重大なものであるということを考えてもらわなければならぬ。  そこで、国会議員歳費の問題に移りますが、これは国会に話をしているからという程度じゃいけません。地方審議会をつくってやるなら、国会審議会をつくって、第三者の意見をしっかり聞いて、正しい税のあり方について検討をすべきでありましょう。私は、意見になりますけれども、永山代議士というのは、永山個人ではない、永山機関です。ですから、われわれのもらっている旅費にしても、交通費にしても、これは事業費です、いわゆる立法機関のやるべき仕事をやっているんですから。そして通信費も事業費です。局長がただの自動車に乗って、ただの電話を使って、そうしてただの通信費を使っておる。これが行政費ですよ。これは立法事務費であります。実際問題として足りませんよ。自動車を一台持っておったら、どうなるんですか。十万円じゃいきませんよ。ですから、交通費は五万円でいくはずはないですよ。いなかに選挙区を持っておる。しかし、これは個人じゃないですよ。いわゆる立法機関として調査し、国民の政治、教養指導をやって、国民とともに日本の進むべきあり方に対して、重要な国権最高峰としての地位を持ってやっている。これは税の対象のようなもんじゃない。個人の所得じゃない。こういうものを個人に渡しておくということがおかしいのである。むしろ立法機関に全部出して、そして立法機関が党なら党へ出して、実際上の交通費並びに通信費を全部払ったらどうですか。通信費でも調べてみたらわかるでしょう。選挙区とそうして現実に使うておる通信費は、こんな費用でもって足りるはずがないじゃないですか。これらの点をよく考慮して、個人の所得じゃないのですから、一つの機関ですから、立法機関としてのほうへの費用が足りない。われわれは、行政機関が法律までみな調査してやっておるということは間違っておると思う。立法機関へまかしたらどうだ。行政部門の費用を立法部門へ移動して、そしてその費用をもって立法行政のほうにやっていくというぐらいな根本的に基本的な方針をきめなければ、立法、司法、行政と分かれておって、立法府の予算というものは、もうほんのスズメの涙ほどだ。行政予算というものは、日本のすべてを左右するぐらいな大きな予算を持っておる。ですからして、その行政部門の予算を立法部門に移すというようなことも、あらゆる角度で検討をして、この場合世論が起きておるのですから、この時期に十分権威ある審議会を設けて検討を続けて、国民誤解を一掃するということこそ好ましい。まず国会議員のほうからやる、それから地方議員がやるという、こういう方法にいかなければ、地方議員が反撃することもやむを得ぬのじゃないかと考えるのですが、大臣の所見はどうですか。
  18. 田中角榮

    田中国務大臣 納税全般につきましてのおことば、それから徴税全般に対しての御発言につきましては、非常に有益な御発言でございまして、これから一人の国民も不審のないようにりっぱな機構にしてまいりたい、こう考えますが、国会議員の問題は、私も国会議員でございますが、いま大蔵省のほうへ参っておりますので、国会側の話は国会でおきめ願いたい。これはできれば私のほうも、財政の問題もございますので、大蔵省できめさせていただいてもけっこうなんですが、国会国権最高機関だ、こういう新しい憲法の規定がございますので、私たちもできるだけ、ただ財政の上だけで考えてはいかぬということで、立法機関である国会の御意思を伺って遺憾なきを期そう、こういう考えでございます。国会にも審議会をつくれ、調査会をつくれというのですが、国会自体が審議会でございますし、調査会でありますし、決議機関でございますので、私は、やはり国会はより高い立場で——国会議員のいまの非常に示唆に富んだ御発言がございまして、私も、国会議員地方議員というものは同列に論ずべき問題でない、憲法で規定しておるとおり、非常に重要な任務を持つものであるということは理解いたしておるわけでありますから、特にここで国会議員歳費等の決定について具体的に申し上げるのもどうか、これは国会議員としてでございますれば、非常に名案もございますけれども、いまここで大蔵大臣の職にありながら申し上げることはどうもはばかられるわけでございます。これはひとつどうぞ永山さんが御中心になられて、国会議員としてお考えいただければ、財政当局としては十分国会の御意向も拝承いたしながら、納得のいく制度をつくってまいりたい、こう考えております。
  19. 永山忠則

    永山委員 こういう世論の起きておるときに、広く意見を聞いて、ほんとうに国権最高峰の国会議員に対する諸費用の問題を十分検討することが好ましいと考えておることは、大蔵省のほうからとやかくといろいろお話がありますので、特にこの点を私が申し上げておるわけでありますが、私は時間の関係がありますから、さらに質疑いたしたい非常に強い意見のものがあるのです。  一応これは留保いたしますけれども、私は、行政指導をして、国民をほんとうに申告納税の本質に立ち返って指導していくという、その指導機関はどこに置くかという問題です。税務署が直接その指導機関になるという方法もありましょうけれども、その指導の協力をなす者は何であるか、何といっても税理士ですよ。この税理士をやはり一つの協力機関として、一体になって納税を適正にやらしめるように指導的地位に置かなければならぬ。ところが、出ておる税理士法はどういうように修正されているかといえば、大蔵省の役人は、旧来簿記と会計の試験があったのですよ。二十年以上つとめた者とかいう期限はございますが、とにかく簿記と会計の試験が、やめて税理士になるときはあった。今度はその筆答試験をやめたのです。在職期間は二十年にしましたけれども、とにかく口頭試験だけにした。実質的に無試験にしたわけなんです。ですから、税務官僚の天下りは無試験にしたということです。これは国家公務員法の百三条にも、天下りに対しては厳に禁じておって、特例で人事院がこれを認めるようになっておるのでありますが、この天下りを大幅に無試験で認めた。そして今度民間から出る税理士のほうは、旧来五科目を一科目ずつずっととっていっても何年間かとっていっても税理士になれたものを、今度は試験で五科目を、マルチョイ式でありますけれども、一ときにとる。さらに論文式にてまた五科目一度にとらなければいかぬ。こういうように、民間からの進出をうんと押えて、しかも大学の教授あるいは大学の助教授は、三年やっておったら無試験になる。あるいは大学院でやっておれば無試験になるというものも削ってしまった。民間からいくものはみんな押えた。そうして税務署関係の天下りだけは、どんどんこれを税理士になる体制へ持ってくる。しかもなお懲罰関係は、裁判所が決定してきたならば懲罰ができるようになっておったものを、今度は裁判所の決定を待たずに、審査会はつくるようにしましたよ、審査会はつくるが、税務署のほうで直ちに、裁判所の決定を待たずに、何かあったならばすぐ懲罰にかけるということにしたわけです。そうして内容的には、税理士が自主的に納税に協力していく指導的地位から、税務署の奉仕的地位へ税理士を転落せしめた。こういうような状態では、やはり私は官僚独善の権力主義が強く横行しておるということを心配いたしているのですが、より以上そうなるのです。私は、本問題については大蔵委員会で十分他の同僚その他が審議するものと思い、必要に応じて機会を得れば私も申し上げますが、こういうように、ほんとうに納税に協力せしめていく民主的な指導的立場に立つ税理士という民間側のものをうんと押える、そうして税務官僚が無試験でもってどんどんと入ってくる。そうして顔でやる。税務を顔でもって、ネゴシエーション、交渉事務のような態勢になることが税理士の本態であるような改正案になっているでしょう。ネゴシエーションじゃない、納税申告を正しくせしめるということが中心であって、正しくなかったから、そこでネゴシエーションで話をするということは邪道なんです。そういうような再審査を受けることが要らないような申告をせしめることの指導が税理士の仕事ですからして、だからして、大蔵官僚の顔がきくというネゴシエーション的性格へ税理士法を改悪するというようなことは、これはほんとうに国民が協力して民主的に納税義務を全うせしめるということとは、およそ逆行するものであるというように考えているのでございますが、時間がないので一言申し上げたのですが、それに対して大臣はどういうようにお考えになっておりますか。
  20. 田中角榮

    田中国務大臣 税理士制度につきましては、納税者側の利便をはかり、納税が円滑に行なわれることを趣旨としてつくられておるものでございます。時間が短いので永山さんも端的に御発言いただいたのだと思いますが、これは大蔵省が天下りしようなんという考え方は、全然ございません。これはひとつ御了解いただきたいと思います。税制調査会の答申がございましたので、答申に基づきまして、事情を考えながら提案をいたし、御審議をいただいておるわけでございます。実務経験に重点を置きまして二十年以上、管理職にある者五年以上、こういうことになっておるわけでございますが、これは官僚が天下りをするというのではなく、税務署に二十年もおれば、それはもう常識的に考えましても、納税事務に対しましては非常に精通をいたしておりますし、練達たんのうになっておるわけでございますから、国民徴税当局との間に入って、円滑な納税が行なわれるために、また納税者の利便をはかり、利益を守っていくということに対しては、私は適正な方向であろうということが考えられるわけであります。  その一面、民間からの者を非常にきびしくしたというような御発言がございましたが、きびしくしたという考えには立っておりません。いわゆる合理的にこの税理士制度や——公認会計士の法律も出ておりますが、これらがこの法の趣旨に沿った実効あるものにしたい、こういう考え方に立っておるわけでございます。  また、懲戒につきましても、処分が行なわれた日よりも、最終的に確定をした日ということを言っておりますが、これは国民の立場に立って考えてみる場合に、やはり好ましくないというような事例が明らかになっておるにもかかわらず、裁判の最終確定まで待たなければいかぬということは、合理性に欠けるということが一つ言い得るわけでございます。いままでは、御承知のとおり、この懲戒処分は国税庁長官の専管でございまして、長官だけでやれることになっておったわけでございますが、今度は審議会の議を経てやる、しかもこの審議会の中には審議会の委員として税理士そのものを入れよう、こういうことでございますから、いまよりもより慎重にという考え方を御理解いただければ、けっこうだと思います。  まだまだ私ども何時間も御答弁すれば御得心がいくと思いますが、これはひとつ大蔵委員会で時間をかけて御答弁申し上げたいと思います。
  21. 永山忠則

    永山委員 大臣もこの点は虚心たんかいに委員会の意見を聞いて、正しい判断をしていただきたいと思う。税務官吏が税理士として職を求めていくという方向へ持っていくというよりは、やはり一生公務員として奉仕するという態勢を強化するということが好ましいですよ。税務官吏以外の人はどうなるのですか。とにかく役人は全体の奉仕者という憲法十五条の規定によって、教養を積んだ、そうして格調の高いものでなければならぬ。そこで一生その職におって奉仕して、そうして自分がやめたときにも、子供の教育でも何でもできるという態勢に持っていくことが、ほんとうに行政指導の枢軸として、りっぱな行政をおさめることができるのです。それにはあんなに早く首を切ることをやめて、定年制は六十五以上にしたらどうですか。そうして給料も、民間の給料に負けぬようにやるべきですよ。さらに年金のごときは物価とスライド制にしなければ、やめたら教育もできない、どこかへつとめなければ生活ができぬという状態にしておいて、そうして奉仕しろ奉仕しろと言ったって、できるはずはないですよ。途中でやめてどこかの会社に入らなければならぬということになるから、ほんとうの腰を据えた十分な行政ができないのです。したがって、こういう税務官吏として奉仕をするということを究極の目的として最後までつとめていくというようにして、これを税理士に持ってくるということが救済の道という考え方を離れて、高い立場で検討をされるべきである、私はこういう観点に立って十分税理士法を再検討願わなければいかぬと思う。  さらに、権力主義の問題については、いま大蔵委員会で飯塚税理士の脱税指導問題を中心に非常な論議が展開されておりますので、私はここでは申し上げませんけれども、これも政府は反省しなければいかぬですよ。何となれば、飯塚税理士に対しては、これは税理士法三十五条で摘発したのですよ。脱税指導者だといって新聞に大きく書いた。まだ決定せぬのに、新聞で大宣伝をいたした。私は、実際の材料を持っていますよ。そうしていよいよ起訴したのは何であるかというと、従業人だけを刑法百四条の証拠隠滅ですよ。全然脱税指導という本犯はないのです。本犯はなくて、そうして証拠隠滅という別の刑事事件でこれをやって、その事務員四名が起訴されているというだけです。鳴りもの入りで三千人からを動員し、あらゆる調査をいたしました。しかし、その調査の行き過ぎ等は、みな論議されておるのです。私は、そういうことはここで論議をいたしません。すでに委員会でしっかりやっておりますから言いませんけれども、こういうように権力主義が各所にあらわれておるのです。大かた税務役人は、みないいのでございますよ。非常によくやっているけれども、一部の人に誤解を招くような者があれば、それが大げさに伝わって政府の信頼を失うのでございますから、これらの点に対しては、大臣はほんとうに高い立場からその事件の内容を十分検討されまして、行き過ぎがあるということに気づいたならば、部下に対して十分訓示もし、指導もして、そうして税務署の信頼を取り戻すというようなぐあいにおやりにならなければならぬ。私は、今日税という問題は日本の運命をきめる一番大きな中核ですから、その最高指導者の立場におるところの大臣が、ここに勇断をもって国民の期待にこたえられるような善政をしかれることをこの場合要望いたしまして、最後の所見を承って、私の質問は一応これで留保しておきます。
  22. 田中角榮

    田中国務大臣 徴税機構が国民の信頼をかち得なければならぬ、そのとおりでございます。徴税機構の行き過ぎがあってはならない、これはごうもあってはならない、こう考えております。しかし飯塚事件に対しては、いままで私が取り調べました結果、行き過ぎはないという判断に立っておるわけでございます。  それから税理士その他につきましては、永山さんも大蔵委員会でひとつやろうということでございますし、私も、そこで政府側の意見は十分に開陳をいたし、御理解を得たいと思います。その他の問題に対しては、貴重な御発言として承っておきます。
  23. 徳安實藏

    徳安委員長 山内君。
  24. 山内広

    ○山内委員 この大蔵省の設置法につきましては、だいぶ各方面から質問が出ておりますが、若干漏れている点をお伺いしておきたいと思います。  今度の設置法の改正の中に、東京大阪の国税局の機構を変える問題が出まして、その中で大臣はこういう説明をされております。「事務管理の適正を期するとともに、納税者の利便をはかるため、」、この納税者の利便とは具体的にはどういうことをお考えになっておるのか。この機構いじりだけでは、私は何にも利便にならない、かえって苛斂誅求、いま永山さんの指摘されたような問題が深まるのではないかという危惧を抱くのですが、具体的な考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  25. 田中角榮

    田中国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、東京はいま六百数十人おるわけでございます。大阪は三百七十人もおるわけでございます。ここに部長が一人でございますから、次長はおりますけれども、この調査査察にかかるような事案に対しましては、できるだけひとつ慎重にやってもらいたい。また、本人が納得するということについては、これはできればその主査だけでなく、次長にも会い、部長にも会いたい、できるならば局長にも会えないか、こういう一般納税者の気持ちは、よくわかります。また、そういうことに対してできるだけ納税者の納得のいくように、応じてやるように、こういうことは強く私のほうでも言っておるわけでございますが、何分にも六百名、七百名といいますと、小さな省にも及ぶことでございまして、しかも、ここに出てくる案件というのが、なかなかむずかしい案件だけがたくさん出てくるわけでございます。そのむずかしい案件を適切妥当に、しかも御納得のいくように処理をしなければならない、こういうことでございますので、少なくとも東京におきましては、部を分けまして責任の所在も明らかにし、また人事管理そのものも十分できるような体制をつくるということが、より合理的であるという考え方に立ったわけでございます。事務量からいいますと、先ほども申し上げたとおり、九州とか四国とか北海道とか北陸とか東北とか、こういうところの事務量をすべて合わせたよりも大阪は大きい、東京はなお大きい、こういう実情になっておるわけでございます。でありますから、徴税機構の整備ということでございまして、これをもって過酷になるというようなことは、毛頭考えておりません。ただ先ほど永山さんが言われましたように、東京に来ておるために当然納むべきものが漏れておる、こういう不公平は、これはもういつのときでも是正をしなければならない、税の執行の適正化をはからなければならない、こういう観点からいたしますと、東京大阪事務量人員等から見ましても、当然分割をすることがより合理的である、国民納税者側の利便に供するものである、こう思考いたしておるわけであります。
  26. 山内広

    ○山内委員 東京調査一部、二部と二つに分けて、大阪調査査察部二つに分けた、この考え方のもとはどこからきておりますか。
  27. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 東京におきましては、ただいま大臣から御答弁申し上げましたように、調査査察部人員が六百七十一名でございます。大阪につきましては三百七十六名。それから役付職員、いわゆる係長以上の役付職員は、東京におきましては百四十八名でございます。大阪につきましては八十四名でございます。そういう構成から見ますと、やはり何といいましても大阪よりも東京のほうが、ことに調査関係においては人員も多い、事務量も多いということで、調査部を一部、二部に東京は分けたわけでございます。
  28. 山内広

    ○山内委員 実は先ほど来ちょいちょい名前の出ております飯塚事件については、別に大蔵委員会の中に小委員会が設けられて究明されておるわけです。大蔵委員会会議録とこの小委員会会議録を一通り読んでみましたが、まだ結論が出ておりませんので、私も、どちらがいい、悪いともあまりはっきり申し上げないほうがいいと思います。しかし、言われることは、飯塚さんという方は、税理士という立場でもあり、非常に力もあって、弁護士を中に入れて国会の論争の場にまで持ってこれる力を持っておる。ところが、民間の一般人は、かりに徴税に過酷な問題があり、不満があっても、なかなかそういう言いあらわしができないわけです。  そこで、これは大臣にひとつ聞いていただきたいと思うのですが、最近私のところに投書がありました。中を読んでみますと、前に問題になりました作家の石川達三さんが新聞で書かれたあの内容とも、かなり似通ったものでもあります。そういうことでこの内容を若干お聞きして、これからの徴税に当たる現場の第一線の人たちの心がまえにも、誤りのないように期していただきたいと思うのです。この投書の内容を見ますと、第一は、ある会社に働いている従業員の銀行預金の関係を調査したというので、非常に憤慨しておる。一体そういう権限を税務吏員は持っておるのかどうか。これは従業員ですよ。法人で会社でしたら、会社の取締役とかそういうものをお調べになるならば、これは私はある場合にはわかるのですけれども、月給をもらっている従業員が預金をよその銀行へやっているのを、そこの銀行まで行って調べた、これは過当な人権の侵害ではないかという訴えをしております。この点については、法的にはどうなっておりますか。
  29. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 私は、ただいま御質問になりました従業員の銀行預金を調査いたしました事例が、どういう理由調査をいたしましたのか存じませんが、おそらく何らかの理由はあったろうと思います。法的な問題でございますと、所得税法の六十三条、法人税法の四十六条、ともに同じような規定に相なっておりますけれども、ある人の所得について調査する必要がある場合には、銀行に行ってその銀行に対して質問調査をするという権限が与えられております。ただし、現実の問題といたしましては、一般に預金の秘密性保持という要請も非常にございますので、われわれといたしましては、銀行局長と国税当局と話し合いをいたしまして、そういう個別の事案について銀行調査が必要な場合には、国税局長なりあるいは税務署長なりの調査証と申しますか、許可を取って、そしてその調査証を持って銀行に伺う、こういうような慎重な取り扱いをいたしております。
  30. 山内広

    ○山内委員 そういう制度といいますか、通達をお出しになったのはいつごろのことですか。
  31. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 ただいま申し上げましたように銀行局長と国税庁との間に申し合わせをいたしまして、詳しい日にちはわかりませんが大体昭和三十年ごろに国税庁といたしましては国税局、税務署に通達をいたし、また銀行局のほうは銀行協会のほうにお話しをする。したがって、末端の銀行までそういう通達がいっておると思います。ただし法律の解釈といたしましては、こういう調査証を持っていかなくても質問、検査をする権限はございますけれども、先ほど申し上げましたように、慎重を期するためにこういう手続をとっておるということでございます。
  32. 山内広

    ○山内委員 この手紙は最近寄せられたものであって、三十年度にそういう銀行局長と国税庁の間に話し合いができたとすれば、こういう通達が徹底しておれば、誤解のない問題なんだ。大臣は、個人としてはいろいろな先ほど永山さんの質問に答えられているような御意思があっても、すでにこういう一つの例が示すように、話し合いがついているものまで実行されていないという事実、これはよほど気をつけていただきたいと思うのです。この人は非常に憤概して、手紙の中に、主人もだれもいない女中さんのいるときに来た。そうして上がり込んで、銀行通帳を見せろ、そう言って強要した。そこへ主人が帰ってきたというようなことまでこまかく書いておるわけです。私も、ずいぶんこれは行き過ぎな調査だという気がしておるわけですが、すでにそういうことを心配されて、そういう手配をされたら、いま一段とこういう行き過ぎのないような手配をしていただきたい。  そこでお聞きしたいのですが、会社の帳簿を調べることは、もちろん税金ですからごらんになると思うのですが、一体取締役とかそういう役職にある人の個人の通帳というようなものまでも出せという、これはさきの法律ではそれだけの権限を持っておるのですか。その辺を明らかにしていただきたい。
  33. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 これは、法の規定によって、その御本人に対して質問、検査をする権限が、先ほど申し上げました条文等によってございます。
  34. 山内広

    ○山内委員 それからこれは石川達三さんの疑問の中にもあったのですが、夫婦で一生懸命働いて、ある財産を取得した。ところが、自分が早く死ぬとでも思ったか、奥さんの名前にしておった。その場合には、贈与税の関係はどうなるのですか。
  35. 泉美之松

    ○泉政府委員 お答えいたします。  夫婦間におきまして、夫の所得から妻に贈与をいたしました場合には、贈与税を課税することになっております。と申しますのは、贈与税は相続税の補完税になっておりますので、もしそれが夫の財産のままでありますれば、夫の死亡する際に相続税を課税することになるわけでございます。ところが、それを夫の生前に妻に贈与いたしますと、相続税を課税されないことになり、その補完税として贈与税を課税することになるわけでございます。ただ、お話しのように夫婦間のような場合に、生活を共同にいたしておりますので、夫婦の間の贈与というものをどのように見るべきかということにつきましては、いろいろの考え方があるわけでございまして、税制調査会におきましても、今後夫婦間の贈与について、現在のように贈与税を課税するのが適当かどうかということにつきましては、慎重に検討するということになっておるのでございます。
  36. 山内広

    ○山内委員 ここは大蔵委員会でありませんから、設置法に関係して若干お尋ねしただけですが、いずれまたこの内容については、必要があれば大蔵委員会でお尋ねしたいと思います。  そこで、いまは自主申告で、自主納税ということで、これがうまくいけば非常に問題はないわけです。ところが、ここでお聞きしておきたいことは、自主申告はしたけれども、多少漏れておった。そういうときには再調査をして納税させるわけですね。ところが、誤って多く払った場合はどうなりますか。
  37. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 それは還付いたします。
  38. 山内広

    ○山内委員 法的にはそうなっておることは、私も承知しております。ところが、現地によって——これも現地のある訴えなんですが、そういう場合には黙っておるのだ、不足の場合には取るけれども、多く納めた場合には黙っていたほうがいいのだ、そういう指導を現にやっておる、そういう訴えがあるのですが、これはそこまで徹底した指導をしているか。これは納税成績とかそういうこと、あるいは最近の自然増収などの多い点などから見ても、若干考えられないわけでもないわけです。
  39. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 私たちは、そういう指導は絶対にやっておりません。むしろ逆に、納め過ぎのような場合には還付を促進しなさい。ことにただいまのような経済情勢でございますから、中小企業等において、やはり一刻も早く納め過ぎた税金を返してもらいたいという御要求が、当然出ております。したがって、むしろ還付は促進しなさいということで指導しております。現にことしの三月の確定申告のときの状況を見ますと、昨年の四月末と今年の四月末を比べまして、格段に還付が促進されております。はっきりした数字は持ち合わしておりませんが、おそらく件数にいたしまして、還付すべき件数の八十数%を四月中に還付いたしております。
  40. 山内広

    ○山内委員 そうあるべきだと思う。これは訴えですから、そのまま率直に申し上げたので、そういう点も指導していただきたい。  その次に、主計局の次長が二名のところ、一人ふやして三名になるわけですが、その必要性をもう少し具体的にお聞きしておきたい。
  41. 谷村裕

    ○谷村政府委員 大臣がちょっと席をはずしておりますので、私から申し上げますが、主計局は、現在次長二名で、それぞれの主計官の仕事、あるいは法規課、司計課、調査課、給与課等の仕事を分担してやっております。全体で予算関係の主計官は十二主計官、これが各省のそれぞれの予算を分担いたしましてやっておりますが、このほかに、御承知のように主計局には五課あるわけでございます。かつて戦後、昭和二十三年ぐらいのことでありましたか、そのときには、主計局長、それからその下に次長一名、それから予算を分担する部長二名という形で、その下にそれぞれのまた担当の主計官、課長を置いてやっておった時代があったわけでございますが、それをその後において若干整理いたしまして、いまの二次長制でずっときているようなわけでございます。年々仕事もふえ、また予算編成の中身もだんだんと膨大になってまいり、各省におきましても、予算折衝をいたします際に、先ほどたまたま大臣調査査察のときにもそういうふうに述べられたのでありますが、できれば話を責任のあるところまで詰めていくには、主計官と話しをするのもいいけれども、問題によってはぜひひとつ次長段階で話を詰めたいというような希望も、非常に多いわけでございます。そういう場合に、なかなか次長の手があきませんと、勢い各省に対しての応接のしかた等に対しても不十分ではないかというそしりを免れないわけでございます。主計局の人員は、昭和三十年度ぐらい、いまから約九年ほど前に二百七十六人おりましたわけでございますが、本年度は大体において三百十三人と、約一割三分ぐらいふえるというような状況でもあり、また、そのころ一兆円予算といわれておりましたのが、いま約三倍以上に予算の量もなり、内容はいよいよこまかくなってまいるし、その一つ一つについても十分な内容の検討を遂げなければ、その職が果たし得ないというふうな状況でもございますので、主計局といたしましては、各省との関係もあり、なかなか自分のところの機構を一人ふやすということについて、若干じくじたるものがあったようでございますが、大臣が、やはり主計局は大事なところであるし、各省との関係もあるから、ぜひ次長一人ふやしたほうがよろしい、こういう御裁断がありましたので、三名お願いしておるわけでございます。
  42. 山内広

    ○山内委員 そうしますと、この三人の方は、職務分担の内容が違うのですか。同じような並列した三人の数だけをつくるということですか。もう少し分担の内容を……。
  43. 谷村裕

    ○谷村政府委員 ただいま主計局におきましては、次長及び主計官の事務分担は、それぞれそのときの事務がいろいろ増減する状況に応じまして、実は弾力的に運営いたしております。たとえば社会保障なら社会保障で、ある問題が非常に集中してまいりますようなときには、その次長ないし主計官の事務の負担を軽くして他のほうに移すとか、人によって、この問題を扱ってもらうほうが適当であると思う主計官に問題を扱ってもらうというふうなことを考えております。そういう意味で、次長を置きます際に、これを、先ほどちょっと触れました、終戦後しばらくの間ありました一次長部長というかっこうで、他の次長より一つ上に置くというふうな考え方一つ考え方でございますけれども——というのは、ある意味で、主計局長は、国会開会中におきましては、しょっちゅう国会のほうに参っておる。それから各次長は、それぞれあちらこちらの委員会に行かなければならないというようなときに、やはりどこかでまとめ役がいなければならぬというふうなことも考えられて、並列的でない関係も考えられるのでございますけれども、しかし、事務分担を、いまの主計局の二次長二つに分けて持っているよりは、むしろ三人に分けてやっていったほうが、より合理的に仕事の配分ができて、それはやはり主計局長の一人の責任で最終的な調整をとるというほうがいいのではないかという考え方もございますので、必ずしもいまどっちのことにするときめているわけではないのでありまして、そこは弾力的に運営してまいるつもりでおりますけれども、大体は並列的な考え方で、おのずからそこに、何といいますか、先任、後任の区別があることによる調整が行なわれるなり、あるいは主計局長による全体としての調整が行なわれるなり、そういう方法で進められていくことになろうかと、いまは考えております。
  44. 山内広

    ○山内委員 いまの御答弁では並列ということなんですが、そうでなくとも、これは二人おっても、同じようなドングリの背比べの人になると、とかく円満に仕事をやれないがちのものです。一人ふやして三人で並列にしてうまくいくとは思われないのですが、大臣、この点はどうお考えですか。
  45. 田中角榮

    田中国務大臣 これは、公共事業関係を全部一人の次長が持っておる、また一般会計で、特に防衛庁とか総理府関係とか外務省とか、そういう行政事務関係、非現業関係を持っておるというように分かれておるわけでございますが、これをもう一つ細分をする。こういうことは、事務量が、一兆円から三兆円になっておるのでございますから、一つ考え方であります。でありますから、主計局の次長が、いま二人で相談をして話がきまったものを局長に上げるのじゃないのです。公共事業なら公共事業を持っておる総括主計局の次長から主計官につながっておる。それから非現業の問題に対しては、現在中尾君がやっておるわけでありますが、中尾次長から主計官にということになっておりますので、三人並列で一向差しつかえないわけでございますが、その中でいまの法規課とか、全然別な仕事をやっておる面が非常に大きくありますので、こういう面を担当せしめて、並列にするのか、それから二次長の総括ということで、次長を局長と二次長との間にするのかという論はありますけれども、私の現在考えておるのは、現在の二次長が並列であって職務分担をきめておりますと同じように、もう一次長で、事務分量が多くなっておりますので、官制の上では三人並列、こういうことが一番いいのではないかというふうに考えております。
  46. 山内広

    ○山内委員 そうしますと、官制の上だけ、看板は並列だけれども、内容の分担は明らかになるわけですね。
  47. 田中角榮

    田中国務大臣 現在のことを申し上げますと、現在は公共事業関係は、一切澄田次長がやっております。それから防衛庁とか文部省とか科学技術庁とか総理府とか、そういう非現業関係の一切は中尾次長がやっておるわけでございます。その中で、総務課長との関係、いわゆる予算の総ワクとか、各省別に分けるとか、また歳出を検討いたしておる部門、それから法規を検討しておる部門、こういうものがございますので、いまの二次長では、実際申し上げますと、どうにもならないということでございます。もう事務量は非常に大きくなりまして、どうにもならないということでありますので、いまできれば他の部門を新しい次長が総括する、こういうことが最も合理的ではないかというふうに考えます。
  48. 山内広

    ○山内委員 あとでごたごたのないように、はっきり分担をおきめになっていただきたいと思います。次に、少し急いでお尋ねしますけれども、税務講習所が大学校になるわけです。これも大臣も御承知かと思いますけれども、各省とも持っておる講習所が、ほとんど全部今度は大学校という名前に名称変更してきています。この間もここで笑ったのですが、建設大学も、中学校を卒業して一カ年間の講習を受けるわけですが、それで大学。こういうことで、大学の乱造といいますか、名称の使い方があまりひどいじゃないかという話が出たのですが、大蔵省でお考えになっておるこの大学というのは、どういう規模で大学に値するものか。卒業の資格はどういうふうになるのか。卒業してからどういう資格を与えられるものか。ちょっと概念的でけっこうですから、お知らせいただきたいと思います。
  49. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 税務大学校は、大体研修期間一年を予定しております。それで御承知のように、税務署へ入りますと、一年間普通科の教育を受けます。それから十年以上現場でもって実務経験を有しておる者の中で、成績の優秀な者、これを試験によって及落をきめまして、その合格者の中から国税局長が成績優秀と認めて推薦した者を大学校に入所せしめる、こういうような構想でございます。それから卒業をいたしました場合には、やはり現場に再び戻りまして、そして主任あるいは専門官、いわゆる相当の指導的な立場にある役につけて、大学校の卒業とそれから任用とを結びつけたい、こういうふうに考えております。
  50. 徳安實藏

    徳安委員長 受田君。
  51. 受田新吉

    ○受田委員 今度の改正案で最も力点を置いておられることは、証券局の新設であろうと思います。したがって、証券局を設置されることによる証券行政の強化の面について二、三点をただし、明確な御答弁を願いたいと思います。  田中さんは特に株価の対策にお気を使っておられるようでありまするし、池田総理みずからも、終始外国旅行をされても、日本のダウ平均の動向に深い関心を寄せておる、こういうことが世間周知の事実となってあらわれております。にもかかわらず、池田内閣長期政権の現時点における結論は、この経済情勢の好転、特に開放経済の御計画にかかわらず、依然として低迷をしておる今日、この二十日間くらいにやや持ち直している程度でありまするが、千二百円から千三百円に引き上げられた程度にとどまっております。このことは、庶民がすでに大衆投資家として広範囲にわたって株式保有者になっているという状態の中では、たいへん大事な問題だと思うのでございまするが、率直にお尋ねします。田中大蔵大臣は、一体ダウ水準というものをどの程度のところへ置くのが、現在の経済情勢の中で適当であるとお考えになっておられるのか、お答え願います。
  52. 田中角榮

    田中国務大臣 株価は、私がどの程度と言うことできまるものではなく、需要供給によってきまるわけでございます。でありますから、日本の経済がよくなれば、だんだん証券市場も活発になるわけでございます。また、減税とか今度のように大幅ベースアップ、こういうようなことになって、国民の可処分所得がふえるということになりますと、いずれにしても、証券投資を行なう、資本参加を行なうということになりますから、そういう意味で、市場の関係で株価がおのずからきまってくるというので、いまの状況で一体幾らにすればいいのかというような考えは、私自身も日本の経済をいま自分で見ておりますから、このくらいでいいなということはわかりますけれども、私は、そういうことをどうもどこかの新聞記者会見のあと雑談で、まあこのくらいですか、まあそんなものだなと言ったくらいで、すぐ株価操作などということを言われる重大な立場にございますので、私見は申し述べないことにいたします。
  53. 受田新吉

    ○受田委員 共同証券をおつくりになられて株価対策に乗り出された大蔵大臣としては、千二百円を割ってはたいへんであるという一応のあなたとしては最低のめどを持っておられたんじゃないかと思うのです。この点をひとつ確かめておきます。
  54. 田中角榮

    田中国務大臣 共同証券は、私がつくったんじゃなく、これは財界の有識の士が集まって自発的におつくりになった、一般の証券取引法に基づく証券業者でございます。でありますが、いずれにいたしましても、ざっくばらんに申し上げれば、あのような情勢においてつくられたものでございますので、目的はおのずからわかるわけでございます。まあどの程度のダウということを考えたわけではございません。私は、旧ダウ平均のあの計算のしかた自体が一体あれでいいのか、もっと実勢を的確にあらわす方法はないのかというので、いろいろな識者に聞いても、なかなかいい案がないということでございます。千二百円を割らないようにというのではなく、あの当時は、まあ日本が幾ら国際収支が悪くなったといっても、これ以上悪くなるような要素はないんだがな、このようには考えましたけれども、千二百円とか千百円とか千三百円とか、そういう数学的に考えたわけではないわけでございます。
  55. 受田新吉

    ○受田委員 まあ旧ダウにしても新ダウにしても、一応この株価の水準というものの高低は、すなわち経済情勢を反映していると見ていいんではないかと私は思うのです。そうすると、いま千二百円とか千三百円を低迷しているこの株価水準というものは、決して日本の経済が好転をしているという証左にはならない、かように了解してよろしゅうございますか。
  56. 田中角榮

    田中国務大臣 日本の経済というものが、一体将来的なものと現実的な現在点におけるもの、こう二つに分けられるわけでありますが、将来的に日本の経済が隆々たるものであることは、これは疑う人はないと思うのです。これは戦後、世界じゅうの専門家が来ていろいろなことを考えたのですが、調査の結果、極東委員会に出したものは、日本は経済復興はまあだめだろう、こういう結論が出たことは御承知のとおりでございます。それからわずか十年間でここまでなったのですから、日本の経済が悪くなるということは、長期的に見ては考えてはおらぬと思います。これは正しい見方だと思います。ただ現時点においてどうか。これはだんだん国際収支もよくなりつつあるようでありますし、また輸入も減っておりますし、生産も鎮静に向かっております。そういう意味で、日本の経済は過去の例に徴しても上向きつつある、こういう考え方でございます。正常な経済成長をたどりつつある、こういう考え方でございますから、その実勢を反映する株価というものが、私はこれよりもずんずん下がっていくのだというような考えには立っておりません。日本の経済がよくなるという見通しでありますから、株もだんだんよくなるであろう、こういうことが言い得るわけでございます。あなたは、いま日本の経済が悪い、こういうお考えであれば別でございますが、私は悪くはなく、だんだんよくなりつつある、こういう見方でございます。
  57. 受田新吉

    ○受田委員 株価低迷の要因がどこにあるか、それだけよくなりつつある経済の実勢の中において、なぜ株価が低迷しておるかということについての要因をどう分解しておりますか。ちょっとそこを、大臣の解剖学をお聞きしたい。
  58. 田中角榮

    田中国務大臣 これは最も大きな原因は、株を買う人よりも株式のほうが多いというところに、値が下がっているわけであります。まあ私は率直に申し上げて、今度株が低迷をしたというのは、まず八条国移行ということが一つございます。これは、自由化になってあらゆる安いものが入ってくるのだ、日本の企業というものはこれに耐え得るであろうかという、まず観念的な問題が一つございます。  もう一つは、いまでさえも株の需要供給の面は株式過多だというような面を言われておりますが、しかし、実際面からいいますと、自己資本比率というものは、非常に下がっているわけであります。戦前の六一%から、戦後二四%を割るというような状態になっている。いずれにしても、どんどん増資というものが行なわれる。株価が非常に高い水準のときに増資が行なわれれば、増資妙味ということで、この三、四年来増資をとってもうけようということばかり考えておったようでありますが、今後増資妙味が昔ほどあるだろうか、こういうような考え方もあると思います。  もう一つは、国際収支というものが悪い悪いというから、どうも国際収支が相当長くよくならないんじゃないか、こんな気持ちがきっとあったと思うのです。  もう一つは、ケネディ・ショックというのがあった。アメリカからはもう外資が入らないんじゃないか、こういういろいろなことを考えてまいったわけであります。  そこへ持ってきて金融の引き締め、窓口規制、輸入担保率の引き上げ、準備率の引き上げ、こういうものが矢つぎばやに行なわれましたので、株というものはそういままでほど妙味はないな、こういうのが株式から手を引いた大衆の偽らざる気持ちではないか。しかし、これは売りに出ておらぬのでありますから、じっと持っておる、こういうような状態でありますから、とにかく株に対しておもしろみがないというふうな考えですが、将来はよくなるんだから持っておればまたもとに戻るわい、こんなところが国民大多数の考えではないか、こう考えておるわけであります。
  59. 受田新吉

    ○受田委員 非常に気楽に考えておられますけれども、大衆は決してそのような安易な気持ちではありません。政府の施策を一応信用して、大衆投資家がうんとふえている。この状況は十分確認されなければいけない。いま売らないで持っておればやがて何とかなるだろうという淡い期待よりも、いま持っておる株が値下がりをしているのに処分しては、自分の財産が非常に減耗するということが忍び得ないで持っておるのですから、そういうこともひとつ含んで考えなければならない。  もう一つ、東証の上場株を拝見しましても、最近あなた御自身が非常に心痛されたであろう高森産業事件を初めとして、いいかげんな上場会社がたくさん相次いでできておる。それはあまりにも急テンポな増資の進め方であって、タコ配をやり、無理な配当をやっておる。中にはふとどきな経営者がおって、自分の持ち株の売買を操作して株価のつり上げをやる。高利の借金を背負っておる。とにかく経営内容のはなはだまずいものを上場株にしておる。そして大衆を信用させておる。そういうところに証券行政にたいへんな欠陥があった。欠陥があったから今度証券局をつくって救おうというなら、それまでの話ですが、しかし、この証券局をつくられるにあたって、すでに大蔵省が十分手を打ち、またこれから特に力を入れて手を打たなければならないというものが、はっきり現時点においてなければならないと思うのです。幾つかの危険要素を持っている会社をそのまま東証上場株として残しておるというところに、大衆にまた別の意味の不安がある。また増資をどんどんやってくるということは、株があまりにも市場に流される危険もあるということでございますが、増資を抑制するという方針をお持ちなのか。結局自己資本と他人資本との関係もあるでしょうが、あなたは増資をして自分の資本の力で伸びていくのが筋が通っておるとおっしゃっておりますけれども、そういうことになると、またこの秋予想される大幅の増資計画というものについて、野放しでいいということになる危険もある。増資対策として今度どう対処されるか。その二つの点で御所見を明確にしていただきたい。
  60. 田中角榮

    田中国務大臣 証券局をつくって一体何を考えているのか、こういうことでございますが、まず、国民大衆の投資家の保護が一つであります。第二の問題は、証券市場の育成でございます。第三の問題は、公社債市場の育成、強化というような問題が考えられるわけでございます。まずその具体的な問題として、証券業者を免許制にしよう、こういう考え方でございます。それからもう一つは、自己資本比率をどんどん上げていかなければ、証券業者というものが非常に小さな資本で膨大もないものをやっているというところに危険負担ができなくなるという問題がありますので、証券業者自体の内容をよくしなければならない、こういう考え方等がいま考えられるわけでございます。それから増資抑制の問題は、増資は昨年度は三千四、五百億、今年度はおおむね想定されるものは六千億、こう言われておるわけでございます。今年度の増資をいま直ちに抑制しようというのではございませんが、四−六月の状況を見まして、そのときになって手おくれになってはいかぬということで、増資に関する懇談会のようなものをいま私のところの事務次官が中心になってやっておりまして、増資をこうして抑制しよう、いまこういう具体的な案を持っているわけではありませんが、金融の情勢、または経済の実態、証券市場の状況等十分勘案をしながら、専門家に全部集まっていただきまして、できるだけ自主的に、ときに応じて対処できるような心組みだけをまずつくっておこうということでございます。現在の段階ではそういうことでございますが、これは必要があれば正規な懇談会を発足せしめまして、増資調整を行なうということになるわけでございますが、まだそこまでいっておりません。日銀当局なども、また証券市場も、各事業会社の団体も、四—六月の状況を見てということを言っておりますので、われわれもそのような態勢でございます。
  61. 受田新吉

    ○受田委員 株価対策について、共同証券というのは、私はあなたがおつくりになったということをあえて申し上げたのですが、背景はあなたですから、あなたの御功績をたたえる。あなたが全然功績がないということになれば、共同証券に田中蔵相関係なしということになれば、あなたは値打ちのない人間になるのですから、その意味において、共同証券のある程度の効果は田中蔵相のバックにあるということは、私は認めていい。とかく財界はあなたにそっぽを向いて、あなた抜きにものごとを処理しようという傾向が、最近あらわれている危険性もあるわけですから、あなた自身積極的に乗り出さないと、蔵相の権威を失墜しますから、しっかりしてもらわなければならぬ。  それから共同証券というのは、あなた自身一千億くらい買い占めるのだというお考えを持っておられますか。いま百数十億くらい買い上げをしておるようでございますが……。共同証券そのものの監督というものをあなたはなされなければならぬわけですから、共同証券というのは興業銀行や長期信用銀行などにやらせないで、損保会社などを含めてもっと広範囲の衆知をすぐった株価対策たらしめるという、そういう御指導を用意されているのじゃないですか。
  62. 田中角榮

    田中国務大臣 共同証券は官製会社ではございませんが、証取法によって大蔵大臣が監督しなければならぬ、こういうことでありますので、報告もとっておりますし、一体どういう方向でやるつもりなんだ、こういうことは聞いております。いま損保会社等は入っておりますが、それだけではなく、事業会社もいろいろなものが入って、非常に大きなものにしようという考え方であったようであります。ところが、一般の証券取引法に基づく会社であるとはいいながら、つくった時期が時期でありますから、これは結局どんどんと株価が下がるときに買いささえる、塩づけにするのだ、こういうようなことが一般大衆から考えられるわけです。そうしますと、株式市場の弾力性というものが、ある意味において共同証券の設立によって失われるという議論も生まれてくるわけであります。戦後、持株会社をつくったことがございます。しかし、できればこういう政策目的を持ったものは、官製であろうが、民間設立会社であろうが、証券市場の自由濶達な運営上から見ると、好ましいことではないわけであります。下がれば買うし、うんと上がればまた売る、こういうことであるから、一つの調整機能を果たすということになって、好ましいことではない。しかし、ある時期にこういうものが必要であるということは、あの共同証券会社ができたときに、まあできるものができたな、こういうような世間一般の批判もあったわけでありますから、まあまあというふうに考えておるわけであります。しかし、これが今度幾らか買い込んだものを、ちょっと上がったからばたばた売り出して、またそこでうんと金もうけをする——一般の証取法による会社ではありますが、金もうけをするために日銀から社長が行ったのではないと私は思っておるのです。でありますから、やはり買ったら、市場を硬直させるような働きはしないということでなければいかぬ。そうすれば、いい銘柄は買っておいて、それを国民大衆にじかに渡るような時期が来たら渡すということならば、私は、共同証券というものの設立の意義というものは、高く評価される時期が来ると思う。そういう意味で、私のほうからこうしなさいということは言えませんが、大体うまくやっているというような答弁がございますので、大体まあうまくいっている、こういう考え方を持っておるのです。
  63. 受田新吉

    ○受田委員 うまくいっていないのです。共同証券が買い出動する。ある時点になって値上がりしたならば、共同証券が大衆に呼びかけて、今度は共同証券の買い出動がはずされて、大衆買いにこれを持っていくというような実態になってくるわけです。共同証券がそれをいつまでも持っていてくれればいい。しかしながら、そのころからまたこれを処分し始めるということになると、大衆は高値づかみで、結局共同証券に完全に振り回される危険があるわけです。そういう指導監督を十分されないと、結局共同証券の存在が、大衆に迷惑をかけるという結果になるおそれが多分にあるわけですね。この点十分指導監督の用意があるかどうか。
  64. 田中角榮

    田中国務大臣 先ほど申し上げましたように、共同証券というものは、証取法に基づく一般証券業者でございます。でありますから、特別な行政指導をやる会社ではないわけです。しかし、あのような情勢下にあのような人たちによってつくられたものでございますから、会社の経営者は、もうかるときはもうけよう、混乱してもかまわぬ、こんなような考え方でないということは理解できるわけでありますから、共同証券の有終の美をなさしめるように、特に考えてもらいたいということは、こちらからもいつでも言い得ることであります。共同証券というものが、あんなものをつくってひどい目にあった、こういうようには絶対にならないように、行政指導をする、といえば語弊がございますから、行政指導ではなく、何回も話を聞いたりしているうちに、そういうことは大体向こうのほうから、共同証券をつくったために、上向きになる証券市場を混乱せしめるようなことはいたしません、こういうことを言ってきておるようでありますから、御指摘のような心配はないと思います。
  65. 受田新吉

    ○受田委員 あなたが心配はないと軽く見ておるところに、私は心配があると思います。心配なことを前提に、ひとつあなたのほうで御研究願っておきたい。  それからいま一つ、投信政策というもの、これが現実に大衆のまじめな投資意欲をそそるという——投機心をそそるというやり方は、私は絶対に賛成しない人間でございますから、信用銘柄を利用して信用取引をするというような行き方は、私は筋違いだと思っております。それで投信というものが、そこで専門的な研究で、大衆のまじめな投資意欲を育成するというところに貢献しなければならぬ。ところが、現実に投信政策というものを、大蔵省が別の会社をつくって、そこでこの投信販売をさせるという御計画をしておられるし、そして投信に組み入れる銘柄についてのパーセンテージまでも、一応いままで御指導されておるようでございますが、現実に投信の募集、またそれに相対比して解約、こういう事態は非常に深刻です。手数料が高い、このことも非常に影響がある。そして、組み入れ銘柄の選択、そのパーセンテージ、こういう問題についても、証券会社としても、なかなか大蔵省の御希望どおりに進めておらぬ。こういうようなところで、思い切ったまじめな投資意欲をそそる意味の投資信託制度というものを十分生かしていく対策を御用意されているかどうか。手数料等の減額措置、引き下げ措置というものも含んで、いまお考えになっておるかどうか。真剣な問題ですから、もしあなたでなければ、ほかの担当局長でもけっこうです。
  66. 田中角榮

    田中国務大臣 投資信託については、あなたがいま御指摘になりましたように、真剣にこれと取り組んでおるのであります。具体的な問題その他につきましては、政府委員から答弁させます。
  67. 吉岡英一

    ○吉岡政府委員 投資信託は、御指摘のように、一般の大衆投資家を直接投資へ誘導する一つの方法でありまして、それが健全に発展することは、国民経済上に非常に重要なことだと考えておるわけでございます。御指摘のようないろいろな問題があることは、私も承知をいたしておりました。特に、御指摘になりました手数料等の問題を含めまして、投資信託をこの際さらに健全な投資を誘発せしめるような方策を講じますために、いろいろな改善点をあげまして、投資信託協会のほうにいま検討を依頼をいたしております。投資信託協会自体も、非常に積極的にただいま検討しておるところでございます。
  68. 受田新吉

    ○受田委員 検討しておるということでございますが、一向にらちがあかない。あえて申し上げますが、親会社と子会社をつくっているところもあれば、つくっていないところもある。そして、出向社員は認めないという原則になっておりますのは、別個の経営方針でやらせるという御指導をされておると思うのです。そういうようなところも、事実問題として親会社の知恵を十分借りなければ、仕事ができないというような現実になっておる、こういうようなところがある。それから、大証券のごときは、十億とか十五億というわずかな設定でなくして、五十億、六十億という大きな規模で設定をして、そして大衆に大きな利益を与えるというような、そういう行き方も指導されなければならぬと思うのですけれども、設定額もあまりに小さ過ぎて、手数料等がばかにかかる、宣伝費がかかるということになるわけですが、こういうことを実際大蔵省が真剣に取り組んで、指導しておられるのかどうですか。
  69. 吉岡英一

    ○吉岡政府委員 最初に御指摘のありました、証券業者の本業と投資信託の委託会社の実質的な分離をはかるということは、前々から国会等でも御論議がありまして、われわれといたしましても、そういう方向で施策を進めてまいった次第であります。最初の出発当時には、何ぶん最初のことでありますし、本業のある程度の援助がなければやっていけないというようなことから、実質的な分離が完全にできていなかったのでありますが、まず最初に株の分散をはかるというようなことから始めまして、御指摘のありましたような役員の兼務をだんだんやめていくというようなことで、実質的な分離の方向の推進は、われわれといたしましても最も力を入れてやっておるところでございます。  それから設定の金額についてのお話がございましたが、かつて市況がよい時代、株式投信がある意味で集まり過ぎると申しますか、金が非常に集まりましたような時代には、設定金額を押えた時代もごいざましたが、ここ数年間、設定金額をわれわれのほうから押えるというような施策は、とっておりません。ただ、実際に投資信託に集まる金額が少ないために、設定額が事実上ある程度小さいものにとどまらざるを得ないという実情があることは、御指摘のとおりでございます。そういう意味で、設定金額が一回二億とか三億とかいうことでは、御指摘のとおりに手数料、宣伝費あるいは広告費等にも事を欠くというような採算上の問題も出てまいります。したがって、そういう意味でわれわれといたしましては、少なくとも設定額は十分に採算が合う程度の金額にすべきだという指導をいたしております。先般問題になりまして、一部の投資信託委託会社の合併と申しますか、実現をいたしましたのも、そういうところから、もっと設定金額を合理的に大きなものにして、運用を合理的にしたいというような点から、業界からそういう方法が考え出され、実現をいたしたものだと考えております。
  70. 受田新吉

    ○受田委員 投資信託の解約がふえておる実情を、どう判断されますか。
  71. 吉岡英一

    ○吉岡政府委員 投資信託の解約がかなりふえておることは、事実でございます。ただ、最も悪い時期と考えられます昨年の一年間をとりましても、設定額と解約額とを差し引きましたいわゆる純増というものは、過去の非常に盛んでありました時代のように、千億、二千億という数字にはなりませんが、ともかく解約のために投資信託が純減をしておるという事態ではございません。やはりある程度の純増があるわけでございます。従来の経験から申しまして、一般的に投信の解約は、非常に市況の悪いときには実はあまり多くならないのでございます。そういう意味で、かなり解約の数字が上がってきてはおりますが、私どもの感じとしては、解約のために投信全体の資金量が純減をするというような事態にはならないのではないかと見ておるわけでございます。
  72. 受田新吉

    ○受田委員 これは証券業者の責任も大きいわけでございます。大体証券業者が三十三、四年ころのやや株式好況時代に、ばかに人員をよけいに採用しておる。そしていまになってみると、その人間をもてあまして、やめたい者は自分でやめてくれということをやっておるという、はなはだ目先的な場当たり的な証券業者のやり方が、今日の証券業界への大きな不安を誘引しておると私は思うのです。証券業者の長期にわたる計画に基づいて、人員採用、投信計画、こういうふうなものを大蔵省自身が、もちろん理財局としてやるとおっしゃればそれまででありますが、いままでにおいても何か怠っていたことがあるのじゃないですか。野方図に証券業者のそういう無計画性を容認しておったと、私は断定せざるを得ないと思うのです。指導力を欠いておったじゃないですか。今日の株価の低迷、一般大衆投資家に対する不安を助長した最終責任は、大蔵省にあると私は指摘したいのです。
  73. 吉岡英一

    ○吉岡政府委員 お話のように、証券業者が、過去数年前の非常に好況の時代に、人手が不足であるということで、非常に大規模な職員の採用をいたしました。今日の事態を迎えまして、その職員の数が現在の事業の規模からいって大き過ぎるというような傾向があることは、御指摘のとおりでございます。当時私どもも、無計画と申しますか、非常に急激な人員の増をいたしますことについての警告と申しますか、指導はいたしたのでありますが、なかなかそれが十分に及ばなかったことは、事実でございます。ただ、御承知のように、免許制の問題等も、そういう問題とからんで問題になってくるわけでございますが、登録制のもとにおける証券業者の監督は、やはり一定の限度がございます。免許制の運行等におきましても、おそらく採用の人員あるいは給与等まで干渉をいたすことができるかどうか、問題があろうかと思いますが、登録制のもとの証券業者の監督には、おのずから限度があると思います。やはり業界自体の良識にまつ点が多いかと思います。業界自体は、過去何回かの経験によりまして、今後の運営の方針につきましては、非常に慎重な、堅実な態度になってきておるかと思います。
  74. 受田新吉

    ○受田委員 だいぶ反省しておられるようでございますから、あまり追及をしないことにしましょう。けれども、登録制には行政指導の限界がある、こういうことでございますけれども、日本の経済界の基幹をなす証券業界を、限界があるからというて、野放しにしておくわけにいかない。それは指導監督というものはいろいろな角度からすることができるのでございますから、十分それをやるべきである。  ちょっとここで話を余談にするようですが、池田内閣の成立したときの株価、ダウ水準が幾らであったのですか。
  75. 吉岡英一

    ○吉岡政府委員 三十五年の七月のダウが千百十円台であります。
  76. 受田新吉

    ○受田委員 その千百十円が現在多少高いところにあるからというので、一応池田内閣も国民、大衆投資家から信頼されておるという判断でおったら、大間違いなんです。これは、池田内閣が引き受けたときは、岸内閣の大失敗のあとを引き受けられたので、株価は下がっていたのです。それをぐっと引き上げて、四年たてば相当の高い水準に行っておらなければならぬ。だから、池田内閣は大衆投資家から非常にうらまれておる。池田三選についても、内心は賛成しないように祈る人が非常に多いと思うのです。そういう危険があるのですから、大衆投資家に池田・田中名コンビのもとに、もっと信頼されるように証券行政をやる。そうしてまじめな大衆投資家を育成する。投機心を押え、投資意欲を高めていく、こういう基本線を強く打ち出さなければいかぬ。それは田中さん、あなたは両方に御縁がある方と思いますが、よろしゅうございますか。その点はしっかり考えてもらいたいということです。  もう一つつけ加えてお尋ねしておきたいことは、今度免許制をしこう。証券局ができたならば、相当調査、企画等にも参画されるわけであります。免許制をしこうとする時期、いつしくのか、その時期をお尋ねしたい。それと同時に、いま一千万でだれでもできた雨後のタケノコのごとき中小証券業者。しかしながら、これは中小証券業者として、中小企業ですから、これを育成するという責任は一方にある。一方では登録さしておるのですから、この人々はどういう立場に、今度の免許制のもとでは、立たせようとしておるのか、たいへん大事な問題だと思いますので、お伺いいたします。
  77. 田中角榮

    田中国務大臣 免許制にしなければならぬという基本的な考え方は、大体基本的に固まっております。これは一体この次の国会に出せるかということでありますが、私は、証券局ができれば、この問題はできるだけ早い機会に、次の国会にでも出したいという考え方でございます。ただ事務当局では、なかなかたいへんな問題でございますから、そう次の国会というように大臣が言明されると、ほんとうに出さなければならない責任がございますから、慎重にお願いしますよというようなことはございますけれども、やっぱりいいことは早いほうがいい、こういう考え方に立っておるわけでございます。この免許制にすることによって起こる問題は、先ほどあなたが御指摘になりましたように、中小証券の育成、強化の問題、それから資本金の増額の問題に対してどういう経過措置をとるかというような問題があるわけでございます。それらの問題に対しまして、証券業者自体に諮問をいたしまして、政府はこういう考え方を持っておるが、これに対して一体どういう考えがあるのかということを話しております。少し経過措置を長くしてもらわないと急にはできないというような中小証券業者もございますが、私は、どうもそうばかりではないと思っておる。何億も仕事をしておりながら、現在五百万円の資本金だ。何億も仕事をしておって、一体五百万円を一千万、一千五百万にできないのですか、こういうことで私は開き直っておるわけです。しかし、そうはいっても、地方においては、自己資本の五百万を千五百万なり二千万に引き上げることは、そう簡単にできるものではありません、こう言っておる人もありますが、その五百万、一千万の会社に対して何億も大衆が信用しているんですから、この信用にこたえることに対してどうしなければならないかということは、まじめに考えてほしいということで、少し押し戻しているというのが、現状でございます。こういう問題をできるだけ問題にならないように、中小証券の問題、またこれからの公社債市場の育成の問題、証券業法の問題、そういう問題もございますので、すべてを総合的に検討して、できるだけ早い機会にという考え方でございます。
  78. 受田新吉

    ○受田委員 できるだけ早い機会ということで、当面が糊塗されているように思うのですが、あなた方は、急ぐ一応のめどだけはつけておかなければならぬと思うのです。これは事務当局としても一応のめどをどの辺に置いているかということは、お答えいただいていいのではないかと思います。
  79. 吉岡英一

    ○吉岡政府委員 私どもといたしましては、証券取引審議会におきまして、この問題を審議せられました結果、方向としては免許制という前提でこれを考えるべきだ。しかし、ただいま御指摘のありましたように、現在の証券業者をどうするか、いわゆる経過措置をどうするかは、非常にむずかしい問題である。したがって、証券取引審議会としては、方向としては免許制がいいと思うけれども、経過措置がむずかしかろうから、それを十分に検討するようにという答申が出ておるわけでございまして、そういう意味で検討を始めておったのでございますが、大臣から話もございましたし、証券取引審議会からそういう方向でということがはっきり出されておりますので、一応のめどといたしましては、この次の通常国会に何らかの結論を得て法案を出せることをめどにいたしまして、今後検討いたしたいと考えております。
  80. 受田新吉

    ○受田委員 通常国会をめどに立案を進めていきたい。けっこうです。大急ぎでやっていただきたいと思うのです。  時間も進んでおりますから、私は質問を終わらしてもらいますけれども、ここで機構上の問題で一言、二言お尋ねしておきたい点があるんです。  この設置法の改正案に、従来の名称を変更したと言われればそれまででございますけれども、国有財産局と国際金融局というものが生まれかわっておるわけです。これはどう理由でこういう名称を用いたのか。提案理由で伺ったのでは、ことさらにこれを改名しなければならなかった理由が、明らかでありません。官房長でけっこうですから……。
  81. 田中角榮

    田中国務大臣 御承知のように、まず第一は国際金融局でございますが、国際金融局につきましては、いままで為替局という名前が長いことございました。ところが、貿易、為替の自由化ということが、世界の大勢になってきております。御承知のように、四月一日からIMFの八条国に移行したわけでございます。でありますから、為替管理という考え方は、非常にきらうのであります。そういう意味で——ほんとうのことを申し上げますと、為替局長が外国に出します名刺は、国際金融局長というようなことだったと思うのです。そういう意味で、為替管理はもうやらないんだという考え方をはっきりしなければならぬという問題。もう一つは、国内金融と同時に、国際金融という業務が非常に大きくなってきた。外債だけではなく、戦後新しい問題として、転換社債の問題とか、IMFとか、世銀とか、OECDとか、第二世銀とか、国際舞台において日本自体か国際協力をし、また国際的な立場でいろいろな仕事をするという全く新しい問題が出てきておるわけでありますから、そういう意味では、ちょうど為替局は廃止しなければならない、こういうときでありますから、ちょうどそれより何倍か大きくなってきた国家的な業務がふえてきたので、それをひとつ国際金融局に変えて、同じ人間ではありますが、内容はしごく前向きな国際的な金融ということにいたしたわけでございます。  国有財産局の問題は、国会の御意思がそうでございます。毎度御指摘を受けておりますので、国有財産の問題に対して、中には営繕管財局のような、いわゆる国費支弁に基づく営繕物に対しても、もとより合理的な管理をしなければならぬ。にもかかわらず、どうも大蔵省は及び腰であって、なかなか軍から引き継いだ財産等に対してもうまくいかないし、また各省の一般行政財産に対しましても、また政府関係機関の財産に対しても、どうも適切を欠いておるという御指摘を何回も受けておるわけであります。結論的には、機構を整備しなさい、大蔵省は、もっと国有財産に対しては、予算を執行するより以上の考え方でもって合理化をはからなければならない、こういうことでございまして、いろいろ検討しました結果、営繕管財局のようなものをつくるということは、なかなか理論的に考えられても、各省庁の関係等もございまして、そう急に片づく問題ではないわけでございますので、いまよりもより合理的な考え方に立って、国有財産法の改正をお願いをいたしておりますと同時に、この設置法の改正にあたりまして、管財局を国有財産局に名称の変更をお願いするということでございます。受田さんお考えになっても、大蔵省でもって国の財産を管理しておるものが、管財局ということよりも、国有財産局のほうが、国民にもよりわかりやすいということを御理解いただけると思うわけであります。
  82. 受田新吉

    ○受田委員 そこで、この前の昨年の法案のときに言うたように、いろいろ名称の問題が起こってくるわけなんだが、理財局というのはどうなんですか。国民に理解が非常にむずかしい。これは何とかなりませんか。
  83. 田中角榮

    田中国務大臣 理財局も名称変更をしたいと私は思ったのですが、いろいろ検討しましたが、なかなかいい名称がないのです。これは御承知のとおり、印刷局、いわゆる紙幣発行の業務、それから造幣局にあるところの貨幣の鋳造計画、それから国債の発行、国庫業務、それから財政投融資計画を策定し、国会に出さなければならない。そのほかに、なお御承知の証券部等がございますが、これは切り離して、独立させていただく。理財局というのは、昔から大蔵省の主計局と並んで、双壁というくらいに相当な局でございました。これを三つくらいに分割したらどうかという意見も、前からあったのでございます。いわく証券局、いわく国庫局、いわく資金運用局、これは御承知のとおり昔、資金運用部は預金部長官がおったわけでございす。こういうように、貯金一つをとっても、郵政省には貯金局がある。簡易保険だけでも、簡易保険局がある。そういう意味で考えても、理財局というのは、最小限三つに分けなければいかぬという議論があったのでございますが、大蔵省も、人の局をつくるのに反対しておりまして、自分の局を三局に分けるということはとてもできないわけでございまして、証券局だけは、資本局という議論がありましたので、証券局は独立させていただきますが、いまの分野をそのままかかえておるとすれば、理財局という以外になかなか手がない。財政局とかいろいろなことを考えてみたのですが、いずれにしても理財局が一番通りやすい。こういうことで、歴史的にも長いのでございますから、大蔵省の先輩にも聞いてみたのですが、われわれも考えたがいいのがないのだということで、理財局のままでお願いしておる、こういうことでございます。
  84. 受田新吉

    ○受田委員 理財局というのは、どういうように訳しているわけですか。
  85. 田中角榮

    田中国務大臣 理財局は理財局、こう置いておるわけです。これはいま申しましたように——あなたは、この次は大蔵省看板ということになってくるだろうと思いますが、大蔵省といっておると同じように、理財局ということでまいったわけであります。経済局という字に変えたらどうか、資金局というように変えたらどうか、それから前のように資金運用の局にしてはどうか、最終的に私はこの法律案を出すときに考えましたのは、財政投融資局というふうに変えたらどうかという案をいろいろ出したわけですが、なかなか財政投融資だけにしぼられないということで、まあ理財ということはそのままにした。御承知の通商産業、通産省、こんなものだといま考えております。
  86. 受田新吉

    ○受田委員 理の字はどういうふうな訳し方をするか、官房長。
  87. 谷村裕

    ○谷村政府委員 訳し方とおっしゃるのは、日本語で説明するという意味ですか。——つかさどるないしは治めるという意味と存じます。財は国家財務、国の財務なんかを申します。お金の流出、流入、動き、それを見る、そういう考え方だと思います。
  88. 受田新吉

    ○受田委員 財の字はいいですが、理をつかさどる、理の字をわざわざ用いて、昔から用いてあることばだから置くということは、国民に非常に理解に苦しむことばですからね。これは理財という熟語というものは、大蔵省が持っているだけなんです。ほかに理解させるのに、いまもっとわかりやすいかわりの名称がなかなかないということでございます。かわりの名称を用いたら、いつでも変えていい名称である、こういう中へ入っておると私いま理解しますね。かわりの名称、いま私がここで指摘したいのは、別に財政投融資とやる、あるいは資金としてやる、こういうふうになると、それからはずれる分がむくれる、こういう考え方に問題がある。国民にわかりやすくして、その中にはまた別のものも入ってくる。こういうお金の鋳造をはかっていく局をどこへするかというようなことは、その局で処理すればいいことなんです。国民にわかりやすいことばを用いるという方法をとらなければならない。それでいまあなたが指摘されたような、何かの機会にこれをひとつ変えていこうという動きがあることですから、適当な機会にまた期待しております。  それで、いま御指摘された大蔵ということばですね。これも非常に古いことば、音読みでなくて訓読みで読んでいる名称は、ここに各省通じて一つほど、あなたのところがあるだけです。これも大宝律令の二官八省時代からの残存物で、非常に古典的な名称です。これは去年私が一晩じゅう考えて、あすでもということを私はあなたに指摘したのは、これはやはり新体制、いまあなたがここで思い切った国有財産局、国際金融局、非常に前進的、近代的な名称になったと誇っておられるように、大蔵省というこの古典的な名称も、ひとつ近代的な名称に切りかえる。それを財務とやることによってその範囲が縮まるような印象を受ける人がおったとするならば、財務省というものができたら、もう財務省といえば昔の大蔵省で、非常に幅の広い対象を含んでいる、金融、財政すべてを含んだお役所であるということが、やがてはその人にはっきりするのですから、国民にわかりやすい近代的名称を用いてこれを切りかえるという——これは田中さん、あなたが逓信者を昔復活されようとしてずいぶん苦労されたことを私よく覚えておりますが、それとは別の意味で、あの強引さをもって、大蔵省の名称変更、財務大臣でも財政大臣でもいいです、近代的名称に切りかえる検討をして提案をされることを、私は要望しておきます。お答えいかがですか。お答えだけ聞いておきます。検討してみるかどうか。
  89. 田中角榮

    田中国務大臣 これはご要望だけで済めばいいと思っておったわけですが、この問題に対しては、予算委員会で御質問がございまして、私がお答えをいたしておるわけでございます。明治二年の官制からずっと続いているわけでございます。あなたは、その前の大宝律令からということでございますが、兵部とか大蔵とかいうような考え方に結びついてお考えになっておられると思いますが、確かに、郵政省とか、日本国有鉄道とか、現在の運輸省の官制がつくられました当時に、財政省、財務省と、何とかいい案がないかということで占領軍自体も考えたという事実は、御指摘のとおりでありまして、私たちもその事実は知っております。知っておりますが、だれが考えても、なかなかいい案がなかったわけです。それはなぜかといいますと、アメリカなどは財務省、財務長官でありますが、予算、税制、関税、国庫、財政投融資、国有財産、国内及び国際の金融なんという、こういう膨大なものを持っているものは、世界じゅうにないのです。でありますから、そういうものを全部ひっくるめますと、やはり適当なことばはない。大蔵というのは、これは大宝時代からずっと国民の人口に膾炙されておるものでございますし、なかなか財務とか財政とかいう表現であらわし得ない。あなたはいや財務、財政と変えれば、これは昔は大蔵省だったのだといえばだんだんなれてくる、こう言うのですが、国民にも多年広く親しまれてきたわけでありますし、何でも変えようと言った戦後の過渡期においてさえも、大蔵省というのがまあ適当だな、こう考えた経緯もございますので、私も、大蔵省看板を変えられるかなと思ってみたのですが、二年近く検討しても変えられない、こういう結論に達しましたので、これはひとつ省名だけは、非常に重要な問題でありますので、ごかんべんいただきたいと思います。
  90. 徳安實藏

    徳安委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は、明二十二日午前十時理事会、十時半委員会を開会することとし、これにて散会いたします。    午後一時十二分散会