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1964-05-13 第46回国会 衆議院 内閣委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年五月十三日(水曜日)    午後一時二十三分開議  出席委員    委員長 徳安 實藏君    理事 伊能繁次郎君 理事 内藤  隆君    理事 永山 忠則君 理事 石橋 政嗣君    理事 田口 誠治君 理事 山内  広君       佐々木義武君    高瀬  傳君       塚田  徹君    綱島 正興君       野呂 恭一君    藤尾 正行君       保科善四郎君    松澤 雄藏君       渡辺 栄一君    稻村 隆一君       大出  俊君    中村 高一君       村山 喜一君  出席国務大臣         建 設 大 臣 河野 一郎君  出席政府委員         建設事務官         (大臣官房長) 平井  學君         建設事務官         (計画局長)  町田  充君  委員外出席者         運輸事務官         (港湾局管理課         長)      岡田 茂秀君         建設事務官         (大臣官房文書         課長)     小林 忠雄君         専  門  員 加藤 重喜君     ————————————— 本日の会議に付した案件  建設省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二六号)      ————◇—————
  2. 徳安實藏

    徳安委員長 これより会議を開きます。  建設省設置法の一郎を改正する法律案議題とし、質疑を継続いたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。山内広君。
  3. 山内広

    山内委員 この設置法改正の要綱に従いまして、順次お尋ねしていきたいと思います。  まず、第一点の建設省地方支分部局であるところの地方建設局に、大幅に権限を委譲する問題でありますが、この考え方については、ずいぶん議論も多く戦わされ、いろいろ検討されておることですが、実はこの法案を見まして、ちょっと形式の問題ですが疑義を持ちましたので、第一点にお尋ねしておきたいと思います。  この設置法の十二条は、地方建設局権限を規定しておりますが、これを見ますと、今度十二条に次のような変更があるわけです。それは「一国土計画及び地方計画に関する調査及び立案のための業務に関すること。」、こうなっております。ところが同じこの設置法の第三条、これは本省権限でありますけれども、これはこのまま生きておるわけです。そしてしかも案文が全く同じでありまして、「国土計画及び地方計画に関する調査及び立案に関する事務を行うこと。」、こういうことになります。そうしますと、ここで一体「事務」と「業務」にどういう相違があるのかという疑問点が生じてまいります。この点についての御説明事務当局からお願いしたい。
  4. 平井學

    平井(學)政府委員 お答え申し上げます。  今回の事務委譲は、その形から申しまして、法律上の委任によるもの、これが一つ。それから建設省内部委任の形で、大臣の名で専決処理をする、こういう方式によるものとが、大別してございます。たとえば法律上の委任によるものは、これはむろん告示等を用いてやりますから、御指摘のような疑義は起こるはずはございません。問題は大臣権限に属する事項を、内部委任の形で地方建設局に委譲する場合に起こるかと思いますが、その場合は、御指摘のようなそういう問題もあろうかと思いますので、本省地方建設局で分担する仕事については、この法律が通りました暁には、通達通牒の形でそれぞれ関係府県市町村、こういった方面に通達を発しまして、この間お互いに業務の分担、区別がまぎらわしくないように、周知徹底をはかるような手段考えております。  御指摘国土開発計画、これにつきましては、私ども考えでは、地建に流しますのは計画立案のためのいろいろな作業調査、こういったものを考えておるのでございまして、むろん国土計画自体各省にまたがる問題がきわめて多うございますので、これを計画、決定いたしますものは、どこまでも本省で保留して、経済企画庁とか、通産省、農林省、各省と協議して最終決定するのでございますけれども、ここに考えておりますのは、決定をいたしますまでのいろいろな具体的な現地の調査といったようなものを中心に考えておりまして、そういった計画立案のためのいろいろな調査事務、こういったものは、通達でそれぞれ関係地方団体なりそういったものなりによく周知徹底いたすつもりでございますので、その点はだいじょうぶかと考えております。
  5. 山内広

    山内委員 そういう本省出先機関権限相違ということは、これは常識上でも判断できるわけです。あなたのほうが企画を立て立案する。それを通牒だけでもって流す。ところが、現在国会で審議されておるこの設置法改正は、そういうわけにはいかぬわけです。通牒を見ておるわけでも何でもないのですから。そこで、この十二条の規定する建設局業務と、それから本省が第三条で持つ業務との相違は、一体どういうのか。こういうところがこのままなまで出ますから、今度の改正は二重行政である、地方自治体をこの建設局でもって押え、さらにその上本省で二重に縛ることになるのではないかという全国知事会やそういう人たちの疑念というものは、私はこういうところから出ると思うのです。ですから、通達と言わないで、本省権限地方に委譲したのですから、この十二条をこのまま生かすとするならば、第三条のほうの本省権限を、立案企画と文章を入れて、これもお改めになったほうが疑義も起きないし、二重行政だという非難も起きない。そういう意味でもしも「業務」と「事務」との区別がはっきりと定義があるならば、それを聞かしていただきたい。
  6. 平井學

    平井(學)政府委員 法律用語といたしましては、業務事務の間に特別な区別はないと思いますが、ただ私どもが三条と十二条との関係考えております点は、十二条では現行法でも「地方建設局は、本省所掌事務のうち、左に掲げる事務の全部又は一部を分掌する。」、こういうような規定になっておりますので、一部というところを私ども地建事務委譲一つの形と考えまして、ここに国土計画の問題についても、本省と似たような表現でございますけれども、個条に掲げたわけでございます。しかし、本省が純粋に立案そのものというわけにもまいりません。本省本省として、本省のレベルで各省と絶えず横の連絡をとりながら調査をしなければならぬ業務もございますので、はっきり立案そのものというふうに割り切ってしまうわけにもまいりませんし、そこで御指摘のような点もありましょうから、実は私ども法律で一々そこまでこまかく書くわけにはいきませんので、法律内容を明確にする補助手段として、通牒通達で書かしていただきたい、かような考えで提案いたしたようなわけでございます。
  7. 山内広

    山内委員 字句の問題ですから、あまりあげ足をとるようで私も気がひけますけれども事務業務の区画というのが非常に混乱しているのです。大臣提案理由説明を見ましても「まず第一に、本省所掌事務のうち、地方建設局の分掌する事務範囲を大幅に拡大することといたしております。」、十二条によって業務を委譲したというのであったら、ここに事務ということばは使えないはずです。ところが、ここでは事務範囲を大幅に拡大したと書いてある。それからその次にもまた事務ということばが使ってあります。この提案理由の四行目ですが、「一般行政事務並びに補助金関係事務」あるいはまたその次に「事務の性格に応じ、できる限り多くを地方建設局に実施させることとし、」、やはり事務ということを盛んに繰り返しておるのであって、決して業務ということばは使っておらない。こういう点はどうですか。
  8. 小林忠雄

    小林説明員 法律形式でございますので、私から御説明をいたします。  事務を使いました場合は——建設省設置法第三条の「本省所掌事務」と申します場合には、本省と申しますのは、外局に対する意味本省でございまして、第三条の各号に掲げてございますのは狭い意味本省付属機関地方支分部局を含めました外局に対する本省という意味で使っております。実は前に首都圏整備委員会というものが外局で第五章にございましたが、それが削除されまして、こういう結果になっております。ただいま所掌事務と申しますのは、そういう広い意味所掌事務を申しているわけでございます。いまの国土計画地方計画に関する調査、これは現行法の十二条で国土計画地方計画に関する調査というのが地方建設局所掌事務になっておりますが、それに「立案のための業務」というのを加えたわけでございまして、国土計画及び地方計画に関しては、国土総合開発法その他で、経済企画庁その他と本省そのものについて権限問題等いろいろございますので、立案のための業務と申しますのは、立案のためのいろいろな絵をかくとか、そういうような多少事実行為と申しますか、そういうものを主として地方建設局にやらせる、そういう事実行為作業と申しますか、そういう仕事をやらせようという意味で、特に事務ということと切り離して別の業務という言葉を使いました。逆に申しますと、本省の持っております国土計画地方計画に関する事務全般を下げるということでなくて、その立案のための狭い意味作業と申しますか、事実行為のような業務を下げるという意味で書き分けております。
  9. 山内広

    山内委員 なかなか苦しい答弁をされているようですが、その程度であれば、どうせ通達でもっていろいろこまかいことを今度地建に委譲するのですから、行政措置通達でもってできると私は思うのです。ですから、この問題はもう少し慎重に——地方公共団体のほうでは、二重行政になるのではないか。大臣のお考えでは、陳情行政も、中央まで来なくても地方で問題を解決してやりたい、こういう親心でお出しになったということは、私新聞でも承知しているのです。非常にけっこうなことだと思うのです。ところが、こういう形で法律が出てくれば、業務地方建設局に頼みにいくけれども、最後はやはり本省へ行かなければならないのだ、こういう印象を——これはまだ通達が出ていないのですから、そういうことで地方を騒がせる無益なことが出てきはせぬか、そういうことですが、これは字句の問題ですから、またいずれ問題が起きたら別といたしまして、もう少し質問を前に進めていきたいと思います。  次に、この内容について若干お尋ねしておきたいと思います。  宅地制度審議会が答申を出しまして、それに基づいて建設大臣は、公共用地取得の問題でいろいろ地方建設局やあるいは本省でお考えになって、かなり思い切った法案をたくさん出されてきておるわけです。そこでこのことに関して若干お伺いしたいのですが、問題は、いままで議論されたところを集約すれば、憲法に保障されている私有財産権と、公共福祉のためにそれをどの程度抑制できるのかという、この関連での議論がかなり重点的に取り上げられてきたわけです。そこで、大臣に特に私お聞きしておきたいのです。実は私も長い間地方自治体仕事をいろいろやってまいりましたが、公共用地所有者がごろっと横に寝るとごね得ということで仕事がなかなかやりにくい。特に相手方が一人であれば話がつきますけれども所有者が何人もおると、一人が横に寝ると全部の人が公共用地に提供できないということで、いろいろ困った事実も知っておるわけです。そこで公共福祉のために、ごね得をするような悪徳地主を押えるという施策はどうしてもやらなければならぬ大きな問題だと思うのですが、いま政府のおとりになっている施策と、公共用地取得の問題で大臣がお考えになっている点で、非常な矛盾が何点かある。おとといは、旧地主の生活に困っている人に貸し付けをやろうということで、国民金融公庫を通じて二十億の出資をやるという法案が、衆議院の本会議を通りました。旧地主土地に対する国民考え方土地というものは、いろいろな社会関係から私有権というものが出たので、これは天然自然なものであります。したがって、公共用地に、こういう公共福祉のためなんですから、提供しようという国民の意欲というものをどういうふうにして盛り立てていくのか、PRをどうするのか。この国民の気持ちの協力体制がないと、権力だけでは、なかなかこれは解決しない多くの問題があるわけです。そういう意味では、私はおとといのああいう問題は、考えようによっては重大な関連性を持っておる。土地さえ持っていれば、いつかはこの権利は復活してくるのだという考え方政府の現在とりつつある政策と、それから用地問題を解決しようとする建設大臣のお考えの間に、大きなギャップがあるのではないか、こういうふうに考えるわけです。この点について、大臣、何かお考えがありましたら、聞かせていただきたい。
  10. 河野一郎

    河野国務大臣 お話のとおり、最近とみに地価が高騰いたしまして、また、需給の関係等からいたしまして、私有されております土地公共用地に転換するために御協力を願うことが、順次困難の度を加えております。しかし、ただいまは転換期でございまして、と申しますのは、土地利用に対する偏重、偏在と申しますか、たとえばいままで農業用に非常に多くの土地を要求しておりましたが、それが御承知のとおり、農業をやめて都会に出てこられる人が非常に多い。このように地方農村において土地需要度が非常に多かったものが、都会において需要度が非常に高くなってきておる。そこに、一方農村土地は多少下落しておるところも全国にございますが、都市土地は非常に高騰しておるというような事実があらわれておるのでございまして、これですべてが解決するわけじゃございませんけれども都市工場団地住宅団地というような意味合いにおきまして、これらの適地を開発をしていく、広範囲土地を利用できるようにしてまいるということのために、たとえば道路行政におきまして、いままでの道路を改良する、拡幅するということよりも、新たに道路を新設するという方向に力を向けまして、そしてなるべく新たに広範に利用できるところを造成するということにもっぱら意を注いでおりますので、私は、現在の六大都市等土地値段は、そうなれば一番けっこうなんですが、いまが一番高値で、順次これ以上に上がらないように、むしろ下がる方向に新たな土地開発する。高速道路開設等によって、つまりいままで一時間のサークルのところが、距離で申しますれば、いままで十里が一時間、今度は二十里のところまでが一時間で利用できるように、道路新設によってできる。こういうことによりまして、土地に対して現在が一番むずかしい。かたがたいまお話がありましたように、黙ってみずからで温存することが一番もうかるというようなことのために、空間利用をやったらどうだということもありますけれども、そういうふうなことさえも見られますので、公共用地にぶつかったところが、雷さまが落ちたように非常に迷惑して、ぶつからないところは非常に暴利を占めるというようなことが各地に見られる。また、かたがた戦前でございましたならば、道路ができる、その他公共施設があれば、その周囲の土地の値上がりに対して課税するというような道も実はありましたのが、今日はそういうことがないというようなことのために、いろいろな角度から考えましても、いまは一番公共用地取得することが、一部の減税等の処置はありますけれども、めんどうになっております。しかし、私は、これについてはただ単に収用法を強化するということだけではなしに、いま極力地方のそれぞれの市町村長もしくは府県知事等協力を求めまして、できるだけその地方地方協力のできるように、その周辺の土地から適当な金を集めて、そして該当する土地に対して負担をみんなでしてやるような方法、組合をつくってそういうことをやるようなことを考えるとかしてくれたらどうだろうかということをもっぱら申しておりまして、一部にはそういうことを現に実行しておるところもあるわけでございます。何にしましても、これを解決するためにはあらゆる角度から、なるべく法律的に強制収用の道によらずして、理解ある協力を求めることが一番必要だ、こう考えております。かたがた私は、道路その他の公共投資をいたします場合に、積極的に協力のあるところからやっていこう、理解ある協力をしていただくことの困難なところは、まことに適切な行政でないかもしれませんが、あと回しになりますよということを極力説得して、協力願うようにいたしておるわけであります。
  11. 山内広

    山内委員 いろいろ施策をお考えになっておることは、私もよく承知しておるのですが、買い上げるための協力だけでは、私はやはり地価をつり上げるだけだと思うのです。特に、最近のように物価が上がれば、貯金をしてわずか年に六分かそこらの利息をつけるよりも、土地を買っておけばこれは一番いい、確実だ、焼けもしない、宝石よりもいいということで、土地を買うことを盛んにブローカーが勧誘して歩いておる。こういう意味で、もう少し、公共の用に供するという一つの大義名分があるのですから、悪徳地主社会の世論で葬るくらいの、もっと社会のムードをかき立てるようなPR政府はやるべきだと思う。ところが、先に立って地主だけに補償する、地主土地を持つことを有利に指導するような実際の行政が行なわれるということは、私は、用地の問題から見た場合に、非常にこれは残念な、逆な施策をやっておる、こう言わざるを得ないと思う。そういう意味で、人つくりも大事ですが、この公共施設に対する国民考え方というものを、もう少しやっていただきたい。特に人つくりの問題は、提案理由にも大臣は述べておられますから。  これは私はちょっと余談になってはなはだ悪いですけれども、申し上げておきたいと思うのは、大臣も御承知と思いますけれどもマッカーサー憲法がだいぶいま問題になっておるわけですが、あの中で当初出された問題は、土地あるいは地下資源あるいは森林といったものは国に帰属する、こういう原案であったということを私は聞いておるのであります。ですから、もしこれを私有権を認めなければ、一部の地主取得するのでなくして、国におさまりますから、国の繁栄というものはたいへんなものであったろうし、日本民主化はもっと促進されたであろうし、貧富の懸隔もこんなにこなかったであろう、そういう意味では、マッカーサー憲法のこの問題を削除したということは、非常に私は日本民主化のためにも残念なことに思っておるわけであります。  これは私の意見でありますが、投機だけを対象として、家を建てないにもかかわらず土地を買ったり、そういうところにはもっと課税の問題もあるでしょうし、いろいろなことで総合施策を立てて、公共用地が、補償のために六割も七割も払ってしまって、実際の建設費というものはもう二割か三割もない、こんなことではいかに大臣ががんばられても、なかなかりっぱな道路や河川はむずかしくなると思うのです。これは少し意見になりましたが、ついでに、これは議題外ですが、用地取得について、もう一点港湾の問題でお聞きしておきたい。  いま用地が非常に足りなくなりまして、海面埋め立てる、そうして土地を造成するということは、これは非常にいいことだと思うのです。港も深くなりますし、限られた国土から少しでも面積が広くなるのですからいいんですが、この埋め立てた場合の、この埋め立て地所有権の問題です。これは現実に申し上げないとちょっとおわかりにくいのではないかというので、私、実例を申し上げたいと思うのですが、これも私、新聞で見て初めて承知したのですが、私の選挙区である函館市と隣村上磯町で、新産業都市の誘致をしたいということで、市長さん、一生懸命になって工場を建てる土地を造成されたと思うのですが、ところが埋め立ててしまったら、その地先隣村上磯町の地先である。そういうことで、今度はでき上がった土地の分配問題が新聞に出ておるわけです。ぼくはこんなばかなことはないと思うのです。あるいは港湾ですから、建設省の所管でなく、運輸省になるのかもしれませんが、この地域がどういうふうになっているか、私、港湾かそうでないのかわかりませんので、しかるべき人が答えていただけばけっこうですが、この海面埋め立てるときの認可というものは、すでにどこからどこまで何万立米というものは埋まるんだと、はっきりした青写真で許可されると思うのですが、でき上がってしまってから、それはおれの地先だからおれの土地だ、いやおれが金を出してこしらえたんだからおれの土地だという争いが起こるということは、どうも解せないと思うのですが、この関係はどういうふうになるのですか。
  12. 岡田茂秀

    岡田説明員 御質問函館市の港域内における埋め立ての件につきましては、まず埋め立て免許申請函館市長からなされておりますので、その埋め立てによって造成せられる土地所有権は、免許申請者である函館市長に属する、こういうふうに考えるのでございます。ただし、御質問にもございますように、問題の地域が隣の町、つまり上磯町の地先水面に属しております。しかるがゆえに、この免許申請関連いたしまして、函館市長は隣の地方公共団体である上磯村に意見を照会いたし、あらかじめ上磯町の御了解を得た上で免許申請をされ、免許をされておるという状況に相なっておるかと思います。
  13. 山内広

    山内委員 いまの港湾局のほうの御答弁なら、問題が起こる理由がないじゃないですか。そうすると、結局市長のほうで誤った青写真を出したのか、あるいははっきりと、かりに土地のほう、陸上のほうは他の村であっても、海面を埋めていけばその事業をやった人の所有権になるのか。法文上明らかなんでしょう、これは。その辺がどうもわからないのです。
  14. 岡田茂秀

    岡田説明員 埋め立て法のたてまえからいたしますと、埋め立て免許を申請し、免許せられたものの所有に相なるかと思います。
  15. 山内広

    山内委員 そうしますと、申請するときには、人の陸上地先であっても、海面は全部これは共通でしょうから、そこは埋め立ててかまわぬという方針で許可されるのですか。どこからどこまで埋め立てるんだという、すっかり青写真はあるのでしょう。どうもその辺が……。
  16. 岡田茂秀

    岡田説明員 埋め立て免許を受ける場合には、ここからこの地域について埋め立てさしてもらいたいということをはっきりする。そしてその免許を受けたいという予定区域の中に、一部隣接の町村の地先水面が入っております。したがって、先ほど申し上げましたように、その隣接市町村了解を事前にとっておるわけでございます。
  17. 山内広

    山内委員 そうしますと、これは市長のほうでは、上磯の議会の議決も必要かと思いますけれども、これは了解をとった完全な手続であったということですか。
  18. 岡田茂秀

    岡田説明員 さように承知いたしております。
  19. 山内広

    山内委員 そうしますと、どうも争いの余地がないはずなのに、こういうふうに両者が対立して、問題は道知事に持ち込まれる。自治法の九条によって、調停、裁定の責任は知事にありますから、おそらくそういうところできまると思いますけれども、そうなれば、どんぴしゃりあなたのほうでは全部これは函館市のものという裁定になりますね。
  20. 岡田茂秀

    岡田説明員 実は所有権の帰属について争いがあるということは本席で初めて承知したわけでございますが、どういう事情があるか、その辺はよくわれわれのほうでも調査の上御意見を申し上げたいと思いますが、一応抽象的には、埋め立て免許申請者所有権は帰属するというふうに考えます。
  21. 山内広

    山内委員 どうせこの問題では知事のほうからあなたの御意見も聞いてくると思いますので、これ以上申し上げませんけれども、やはりこういう一つ実例が示すように、将来問題の起きないような認可、許可の方針をお立てになりませんと、手続上は欠くるところがなくても、現実にでき上がると、非常に高い値段ですから、これは争いになるのもやむを得ないと思うのですが、その点の配慮を運輸省ばかりでなく、建設省——これは港湾であったから運輸省でありますが、建設省としてもたくさんこういう問題が出てくるのではないか、こう考えるわけです。そういう意味で、十分ひとつ御配慮いただきたいと思います。  その次に、これだけの権限委譲をやり、機構をいじっては、私はどれくらい人がたくさん要るのかと思って見ましたところが、資料によると、かなりたくさんの人が必要になるわけですが、内部の配置転換その他いろいろ苦心をされて、実質的な増員はやらないで何とかこの問題は解決する、こういうことで御提案になっておるわけです。数字も私承知しておりますから、別に数字はお聞きしないでもよろしいのですが、ただ、これはいま機構改革を出すために無理に定員を合わせたのであって、どうもすぐこの次の議会には何百名か増員が出てくるにおいが非常に強いのです。やれないような気がします。そういう意味で、どういう計画を将来お持ちなのか、これで押し切っておやりになるのか、その点をお聞かせ願いたい。
  22. 河野一郎

    河野国務大臣 前段の埋め立てのことについて、最初にお答え申し上げます。  私は、いま御質問並びに運輸当局の答えを聞いておりまして、埋め立て完了後の所有権埋め立てた人にあることは、これは申すまでもない。ただし、その所有権行政区域というものは、これはたとえ函館市が埋め立てましても、何々町の行政区域である、これは間違いないと思います。それによって行政区域が変わることはない。水面が大体きまっておりますから、したがって、それによって混淆することはない。ただし、隣の町の海面を隣の町が埋め立てて、そういう仕事をしていいかどうか、そういう同意が得られるか得られないかというだけの問題であって、同意した場合には、隣の町が隣の海面埋め立てしてもいいんじゃないか、こう思います。私はそこに混淆があるというのはちょっとおかしいと思うのですが、これは十分注意をして、そういうことはないようにいたしたいと思います。  次に、人員の問題でございます。最初に私は、基本的に申し上げておきたいと思います。と申しますのは、建設行政が、終戦以来、しいて申せば建設省設置以来、今日まで直営工事というものに重点を置いてやってまいりました。というのは、終戦後積極的な建設業者、まだ大きな機械を持った建設業者が少なかったというようなことのために、しかも工事を急がなければならぬものがありましたために、相当の部分を直営の工事にゆだねておった。その直営の工事をやるために地方建設局をつくった、各地に事業所を置いたということが、今日までの姿でございます。それを民間に有力な建設業者が順次生まれてまいりましたので、これらを十分活用するということが、順次行なわれてきた。私は、特に今日の段階においては、政府建設省みずからが直営工事を行なうよりも、これらに委託して、これを十分指導、監督することのほうが、国家的によろしいという立場をとりまして、なるべく工事は民間にこれをゆだねて、政府みずからがやる工事は、特殊のもの以外はやらないほうがよろしいという指導をいたしております。そういうことのために、地方の現場監督指導所というようなものが、全国事務所等が相当程度合併の可能性が生まれてきております。それが今回建設省といたしまして全国で約三十カ所か四十カ所の事務所を閉鎖して、そして合併して、それを地方建設局に吸収しようということで、ある程度の人員も整理と申しますか、配置がえをすることになって生まれてきております。同時にまた、いま申し上げますように、みずから工事をやっており、それを監督しておった者が、いま申し上げるような行政方針に変えましたから、私はこれらの人に、なるべく若い人は十分勉強をしてもらいたい、そしていままでの経験を生かして監督のほうに回るようになすったらどうだということで、極力これを地方で勉強の機会を与えて、そして現場の監督をなさり、現場の監督をなさっていた人は製図を引くようになるということで、順次それぞれの仕事を修得するように指導いたしておるわけでございます。そういうふうにいたしまして、人的には地方建設局もしくはそれらの事務所において人員の充実を見ておるわけでございまして、中央、建設省から地方に異動いたします者は、中堅幹部、特に必要な課長補佐級の人を地方建設局に出しまして、そしてこれらの委譲した事務の中心になって行政を行なうということでやってまいれる。この方向は、順次その方向を進めてまいることでございまして、にわかにことし一ぺんに整理してよろしい、統合してよろしいというものを全部やるわけにまいりませんから、順を追ってその道を進みますので、ことしよりも来年、来年よりも再来年ということで、そういう意味合いから余剰の人員が出てまいりまして、これらの人を順次教育し、指導することによって、それぞれの担当する部門もできてまいるということになりますから、そこに御質問のようなことで無理に人間を合わせていくのではないかということでなしに、仕事内容自体を変えておりますので、こういうふうにやってまいれる、またやっていくべきだという考えで、この設置法改正を提案しておるというのが、私の指導方針でございます。具体的な個々の問題は、事務当局から御説明申し上げます。
  23. 山内広

    山内委員 いまの大臣の御答弁の荒筋は、前にたしか村山委員からも質問があり、御答弁があったようで、私も実は承知しておるのです。ただ、ここで全国知事会議の要望書を見ますると、その中で、いまの大臣の御説明のようなことが徹底していないのか、今度の建設局権限の委譲に伴って地方府県からの人員の引き抜きが予想される、これが反対の一点であるというふうに私どもに訴えてきておるわけです。建設局としては、いろいろ業務の実情に明るい者もぜひほしいだろうし、こういう都道府県からの人員の引き抜きということも考えられないわけではないわけです。しかし、ひっこ抜くということばは悪いのですけれども、これも考えようによっては、本省関係地方自治体との人事の交流をやるのだという考え方であれば、働く人にもまたかえって有利な面もあるし、人心を一新するという意味でプラスの面もあるのではないかという考え方も、実は私持っておるのですけれども、ただ知事会の要望として決議されて、こういうことが心配だということの反対の理由にあげられるということになりますと、これは私も若干、そうかなと思わざるを得ないのですが、これについてはどういうお考えですか。
  24. 平井學

    平井(學)政府委員 お答え申し上げます。  仰せのような御懸念を一部知事さん方の間でお持ちのようなことは、昨年私どもも承ったこともございますが、これは結論から申しますと、私ども自治省を通じ、また知事会の関係の方にも申し上げまして、大体御了解願っておることと思うのでございますが、現在でも、建設省府県の土木部ないし建築部の方との間には、毎年々々人事交流をいたしております。人数にいたしまして、三十名ないし四十名程度の方々の交流は、円満にかつ有効に行なわれております。今後もさようにいたしていくつもりでございますが、今回のこの設置法改正が実現いたしました暁においても、私も、御指摘のように、一方的にいわゆる引き抜きとか、そういうような無理なことをいたす気持ちはさらさらございません。公共事業は、将来とも府県市町村という地方公共団体建設省がぴったりと呼吸を合わしてやらなければできないことでございますから、一時のためにさような無理をして、将来公共団体との間に事業がうまくいくはずはございません。ただ、現在でもそうでございますように、地方府県の若い方々の間には、やはり狭い一府県だけの仕事で満足せず、広域の立場で建設省のほうに、月給の差が幾らあろうとやってみたいという気持ちの人もございます。また、いろいろ一身上の都合で交流を希望する方もございますので、設置法改正によって府県事務を委譲する場合に、そういう御希望の方については、都道府県のほうと話し合いをしていくということは、むろん従来どおり考えておりますけれども、決して知事さん方の御意向に反して無理をすることは考えておりません。  なお、この六百八十八名が事務委譲に伴って必要というふうに計算いたしてありますけれども、その大部分は、現在本省におる中堅幹部クラス、あるいは現在地建で他の部署におるそれぞれの中堅幹部を順繰りに配置転換する考えでございまして、それによって穴があくところは、行政職といったような方面から、比較的再訓練のきくような人々を訓練いたしまして穴埋めする、こういうことで大体の見当はついております。くれぐれも、都道府県に御迷惑をかけるというようなことは考えておりません。
  25. 山内広

    山内委員 明快な御答弁があったわけですが、しかし、たとえば地方建設局事務所から三百四十七名を繰り出しているとか、特別会計から捻出されておるとか、本省から百十二名を繰り出しておるのですから、この六百八十八名を埋め合わせるための苦心はわかりますけれども、なかなかこれでは埋まらないと、実は私はそう考えておるのです。しかし、いまの御決意で、ひとつ地方自治体に御迷惑のかからぬように御配慮をいただければいいと思うのです。  それはそれくらいにいたしまして、先ほど大臣からちょっと御答弁がありましたので、関連してお尋ねしておきたいと思います。直営工事をたてまえとしたのを、今度は民間にできるだけ委譲してやらせる、そういうお考えを述べられたわけですが、そこで民間の問題ですが、あなたのほうでは、建設業法による登録の事務をおやりになって、全国の何万の小さな業者を合わせたらたいへんなものだと思うのですが、民間にやらせるのはいいのですが、最近の建設業法に基づいて登録している小さい人たちが、仕事をもらえないということでずいぶん倒産している事実もあるわけです。それで地場産業であるこういう小さい建設業を、どういうふうにして育成していくのか。民間民間といっても、東京に本社を持つ大きな業者が、日本のほんとうのすみずみまでもどんどん事業所や営業所をこしらえて請負だけをとる。そしてピンはねをしておる。仕事をもらいたいから、多少のピンはねは覚悟で食らいつくけれども、なかなか仕事が円満に次々と来ませんから、その間で倒産していく、こういう事実が現在たくさんあるわけです。大臣は、どういうふうにしてこの小さい——大きな業者であれば、オリンピック道路なんかでずいぶんもうけておると思うのですが、この小さい地場産業を守っておる建設事業家を育てていくつもりなのか、もし具体的な案をお考えでしたら、お知らせいただきたい。
  26. 河野一郎

    河野国務大臣 御承知のように、最近とみに建設の仕事が進歩といいますか、改良されまして、機械化が極端に進んでおりますために、これらの機械を使ってやるということでありませんと、とうてい地方の業者が競争しても間に合わない。かてて加えて、御承知のように台風の被害善後処置というものは、わりあいここ数年減ってきております。そのために、ここで数字を申し上げますと、全国おおむね八万くらいの地方業者がおられる中で、比較的大きい、中央の建設省に直接登録しておるものはわずかに三千八百だということでございますから、いま申し上げましたように、七万幾らの人は地方登録だ、こういうわけでございます。この七万幾らの地方登録の人は、非常にお困りだという実態にいま直面しておるわけでございまして、そこで私、建設大臣になりましてから、どういうふうに地方の業者を育成していくべきかということで業界ともしばしば懇談をいたしまして、そこで地方の業者は、いまのままの個人企業をだんだんおやめになったらどうか。そこで協同組合と申しますか、組合をおつくりになって、三人でも五人でも八人でも気持ちの合った者、系列のいい者が集まって、そしてお互いに力を合わしてやるようになすったらどうだろう。これらの人も、御承知のように、資本といいましても、ほとんど資本金が非常に少ないということでやっていらっしゃいますから、工事がうまくできないときには、一人、二人と破産され、倒産され、あとには未完成の仕事が残ってしまうというようなことでは非常に迷惑でありますので、つい大きな者を相手にするようになりますから、そこで三人なり五人集まって、共同の信用においてひとつ入札に参加したらどうかということでいま奨励いたしまして、各府県ごとにそれぞれ企業の共同化——共同企業体と名づけておりますが、共同企業体の推進、奨励ということで、各地方に極力これを推進しております。そうしてこういう共同企業体をつくって請負に参加してきた人には、これは特別にめんどうを見てあげるようにしなさいというようにしております。かたがた、いまお話のありましたように、中央の大業者が地方に極端に進出しておりますから、これらの中央の業者の地方に進出している者は、地方のこれらの共同企業体と一緒になって入札に参加してもらいたい、そうしてお互いに協力するようにしてもらいたい、必ず地方の者を連れて入っていらっしゃいというような指導方針によって、極力地方の業者の諸君をこういうふうにして育成強化してまいろう、そうして機械も持てるように、買えるように、だんだんに大きくなれるようにしてはどうかということをやっておるわけでございます。
  27. 山内広

    山内委員 私も、こういう事業には経験がないので、観念的なものにはなりますけれども、共同企業体というような組織にして信用をつけ、それに機械も持てる、できれば国なり地方公共団体が機械などを貸与してやるというようなところまで手が届けば、この共同企業体も生きていくと思うのですが、本省で登録を許可する大きな三千八百の場合は、どういうような方向かわかりませんけれども地方では、願書を出すと、もう全部登録してしまうのですね。そこで希望を持ち、何か仕事を見つけようというので過当な競争が行なわれて、共倒れの現状にあるわけです。ですから、むしろ登録をするのだったら、規制をはっきりして、力のない者を許可しておいて最後につぶすよりも、許可しなければ仕事はもうやれないと思うから、初めからそういうものに飛びついてこない。私は、これがかえって親切な指導じゃないかと思う。許可を受けたら何でも全部登録してしまう、こういうことでは、かえって本人の将来を誤らしめると思うのですが、この登録許可の方針というものは、地方ではどういうふうにしてお出しになりますか。大きいところの説明は要りません。
  28. 町田充

    ○町田政府委員 いま許可ということをおっしゃいましたが、許可ではございませんで、いま登録というたてまえになっております。登録というのは、できるだけ営業の自由というものを各人に保障してやろう、したがって、特別の欠格条項がない限りは、一応受け付けて営業することを認めてやろう、こういう方針でまいっておりますので、許可制度とは若干趣旨が違うわけであります。したがいまして、本省の場合もしかりでございますが、地方では、特別の欠格条項がないという限りにおいては届け出のあったものについては全部登録する、こういうたえまえでできておるわけであります。したがいまして、業者の能力によって特別に審査して、特別に条件をつけて許可をするというたえまえには、現在なっておらないわけでございます。
  29. 山内広

    山内委員 たてまえがそうだから全部登録を認める、そのことを私は問題にしておる。もし許可制度がいいものなら許可にして、そしてあまり過当な競争をさせないということも、親切な指導じゃないかと思う。しかし、このことはあまり深くお尋ねすることもない。私の意見ですから、そのくらいにしまして、その次に、今度の中部建設局用地部ということで部が一つできるわけです。設置法を見ますと、東北、関東、近畿、九州、ここは現在もうすでに用地部があるわけで、今度、中部地方建設局に新設する。そうなりますと、今度は、取り残されたのは北陸、中国、四国の三カ所になりますけれども、これは用地課だけでいいというお考えですか。それとも部になればどういういいことがあり、課であればどれだけより仕事ができないのか、その辺の説明も伺いたい。
  30. 平井學

    平井(學)政府委員 御指摘のように、全部の局にはございません。私どもは、やはり仕事の分量と見合って人員の増減をあんばいすべきものと考えております。しかるに、中部地方建設局は、最近とみに用地関係事務が激増いたしまして、国の開発上重要な地域を包括しておるためと思いますが、予算面で見ますと、三十八年度が、用地関係予算が三十三億であったものが、三十九年度では、実に六割増し以上の五十五億というふうに激増してまいっております。さようなわけで、従来のように用地課だけでは、先ほど山内委員の御指摘になったような、いろいろ心がけのよくない地主さん方もたくさん出てきまして、非常にやっかいなので、こういったものを能率よく、ごね得をさせないように、迅速にやるためには、やはり強化せねばならぬということで、特に用地部を関東、近畿、九州等に次いで設けさせてもらいました。用地第一課、第二課というように強化して、能率的、合理的にやろう、こういうわけでございます。四国とか北陸のほうは、まだ事業量もはるかに少ないので、どうにか現在の用地課でこなせるという見通しのものに、とりあえず緊急を要する中部地方建設局にこれをお願いしておるようなわけでございます。
  31. 山内広

    山内委員 この設置法とは直接関係ありませんが、この際ちょっとお聞きしておきたいのです。  最近、地すべりの問題、あるいは海岸浸食の問題、集中豪雨によっていろいろな災害が出ております。実は私の選挙区にも昨年ありまして、現地へ行ってみたのですが、ちょっと常識判断のできないような奇なる現象と申しますか、ほんの小さな十メーターか二十メーターよりないところの背後の土地が地すべりをして、その下に家が埋没し、人がけがをする、こういう事実があるのです。降雨量を聞いても大したことはない。いままでなら、それぐらいな雨では聞いたことがないというような災害が起こっておって不思議に思っておるのです。これは防災科学技術センターでも大きなテーマとして取り上げて、学的な研究のメスを入れておられるそうですけれども建設局で、この辺の研究——いま申しましたように、科学技術庁にもそういう研究所があり、土木研究所もあるわけです。一体こういう研究機関は、もっと統合されて、衆知を集めたほうがいいのじゃないかというようなしろうと判断がなされるわけです。最近の地すべりとか海岸海食の問題について、どういう対策、研究を進められておるのか。あとで予算面でちょっとお伺いしますけれども、包括的な考え方を伺いたい。
  32. 平井學

    平井(學)政府委員 地すべりの予防研究対策等につきましては、御指摘のように、建設省におきましては、本省付属機関でございます土木研究所において、従来から研究を進めております。特に、この問題が最近一段と重要であるという事実にかんがみまして、三十九年度からは、この土木研究所の中に特に地すべり研究室というものが設けられました。ここで従来より以上に力を入れて研究をいたすようになっております。ところが、御指摘のように、科学技術庁の所管のもとに防災科学技術センターが三十八年度の法律で設けられることになりましたが、この土木研究所との関係につきまして、むだなり重複等のないように、科学技術庁の設置法にも明記されておりまするが、建設省の所掌に属するところの地すべりについては、重複しないように、建設省土木研究所でやる防災科学技術センターではこれはやらない、こういうふうになっております。さらに進んで、御指摘のような共同の技術、知能を持ち寄るというために、防災科学技術センターに特に運営委員が設けられまして、これは建設、運輸あるいは、農林といった関係方面から専門の担当官が委員に選ばれまして、そこで随時委員会を開いて、お互いの技術、知能を持ち寄る。こういうふうな運営要領に、現在のところなっております。要するに、構想はそういうことでございます。
  33. 山内広

    山内委員 予算面で見ますと、海岸浸食対策というのは、用語も出てきておらないのでございます。ただ治水特別会計で地すべり対策として七億八千万円、それから砂防事業費補助として百七億二千四百万円という膨大な予算が出ているわけです。これは海岸浸食が、この予算の中に入っておるのですか。
  34. 小林忠雄

    小林説明員 海岸浸食のほうは、海岸事業費のほうに入っております。
  35. 山内広

    山内委員 海岸災害復旧助成事業費補助というのがそうですか。——予算委員会でありませんし、おそらく資料もお持ちになってないので。御答弁できないかもしれませんが、それはけっこうです。  私がなぜこのことを取り上げたかと申しますと、大臣もおそらく耳に入っておると思うのですが、北海道沿岸の浸食という問題は、大きな問題になっておるわけです。海岸の道路、国道が波をかぶっている。その上には鉄道が通っている。その道路を上に変更すると、今度は鉄道がくずれて、またその上にいく。そういう現象が出てくる。海岸浸食というのは、国土保全の意味でも非常に大事な事業になっておるわけです。ところが、この予算面で見ますと、これに該当するようなものは、砂防も海岸の保全ですから、百七億も使っているが、海岸浸食対策というものは何にも出てないで、地すべり対策事業費が七億八千万円出ている。そういうところから、予算編成上の疑義を持っているわけです。この砂防事業費補助の中に入っているんだ、そうして相当額をこれに入れて対策を講じているというお考えならば、それでけっこうなんです。
  36. 平井學

    平井(學)政府委員 予算について御説明いたしますと、三十九年度で、御指摘のような問題は、海岸事業の中に入っております。御指摘のような個所に対する手当は、海岸の事業費の項目に入っておりまして、これは三十九年度事業費で四十五億ついております。そのうち、国費は二十九億でございますがそういうことになっておりますことをひとつ……。
  37. 山内広

    山内委員 ぜひひとつこの海岸浸食の問題も、科学的にも技術的にも御研究いただいて、あまり問題が大きくならないうちに対策を講じていただきたいという希望を申し上げておきます。  その次に、説明要綱の三番目にあります建設研修所を建設大学校に改める問題ですが、大学になりまして、教官など何名ふえる計画になっておりますか。
  38. 平井學

    平井(學)政府委員 結論から申しますと、教官七名ふえております。そのうち、五名は、本設置法が三十八年度に上程される予定でありましたので、大蔵省のほうでも、三十八年に五名増員を認められ、さらに、本年追加して二名、計七名増員を認められることになっております。
  39. 山内広

    山内委員 ここで研修される生徒には、導入費補助ということで千九百万ですか、盛っておるわけですが、これは地方自治体の職員でここに研修したいという人に出す補助じゃないかと思うのですがこれはどういうふうなやり方をやっておるのか。本省の、あなた方の直接の職員も養成する、それから、地方自治体からも希望があれば入れる、そういうことで、導入費補助ということで組んでおるのですか。これの使い道はどういう考え方なのか、ちょっと見当がつかぬのですが……。
  40. 小林忠雄

    小林説明員 建設研修所では、国の建設省地方建設局本省の職員のほか、委託によりまして、地方公共団体の、特に技術職員あるいは用地職員というものの研修をいたしておりますが、この分につきましては、費用は地方公共団体の負担になっております。ただいま御質問ございました導入費補助と申しますのは、一般の地方公共団体の職員の研修ではなくて、産業開発青年隊の隊員の募集その他についての費用だと思います。
  41. 山内広

    山内委員 そうしますと、今度の大学校は、中央訓練所も大学の中に入るわけですか。
  42. 小林忠雄

    小林説明員 これは官房長から御説明申しましたように、三十八年度に同様の設置法を提案いたしまして、予算のほうでは、三十八年度に中央訓練所は認められまして、三十八年度にすでにできております。これは建設研究所の中の組織として認められているわけでございます。
  43. 山内広

    山内委員 中の組織ですから、たとえば、この訓練所を卒業した場合は、この大学校を卒業したということになるのですかということを聞いておるのです。
  44. 小林忠雄

    小林説明員 お手元にお配りいたしました資料の十八ページのところにございますように、建設大学校の中には、養成科、本科、高等科、別科、それから産業開発青年隊幹部隊、中央隊、地方隊、こういうふうにございますので、建設大学校の訓練を終了したことにはなるわけでございますが、いろいろ科が違うわけでございます。
  45. 山内広

    山内委員 別に落とし穴があって聞いているのじゃないのですが、中央訓練所は、中学校の卒業生を入れるわけです。それで、一年くらいたって、私は大学を出ましたということが言えるかどうかということに、私は若干の疑義を持ったから、それをお聞きしておるわけです。名前はなるほどいいほどいいのですけれども、こういう専門な職業は、私は研修所でりっぱだと思う。それを、国立の大学の基準によらなくても、各種学校ということで認可も何も要らぬからいいでしょうけれども、中学校を卒業した希望者が一年たって、私は大学を出てきました——これは権威の問題じゃありませんか。
  46. 町田充

    ○町田政府委員 組織の上では、産業開発青年隊というのは、新しい建設大学校の中の一つの機関ではございますけれども、特別のコースでございますので、そこを修了いたしました修了生は、従来、産業開発青年隊修了生というふうな名前で呼びならわしてまいっております。したがって、建設大学校になったから、建設大学校を出たというふうなことは、おそらく本人たち考えますまいし、言えますまい、こういうふうに考えております。
  47. 山内広

    山内委員 これはまあ、国会議員がバッジをつくるというと、今度は、都道府県から町村議員までみんな似たようなものをつくるのと同じ心理なんです。ですから、これはとめようもありませんけれども、私は、これはりっぱに研修所でいいんじゃないか、そういう気がいたします。また、この産業開発青年隊訓練なんていうと、この間もちょっと田口さんから若干触れておりましたけれども、何か戦前のナチスばりのような——これはマンネリズムになって聞いていればおかしくないかもしれませんけども、こういうのは、どうせ大学に昇格するなら、ふさわしいような名前に改められたほうがいいのじゃないかと思います。  それでは、その次にもう一つお伺いしておきます。この要綱の最後ですが、公共用地審議会が三十六年の六月に、三年間の時限立法で設けられております。そうしまして、今度改正案によりますと、最初のときは、この設置法によりますと、「特定公共事業の認定に関する事項を審議する」ということが、目的にうたっております。ところが、三年過ぎて、今回また一カ年間、四十年三月三十一日までですが、今度は、「公共補償の基準に関する重要事項を調査審議する」ということで、目的が変わっておるわけです。そうしますと、これはこの建設省設置法の十条の目的の欄を改正するという提案ですか。それともこれは提案理由だけなんですか、その目的欄の変更ということで御提案になったのですか、そこをひとつ……。
  48. 小林忠雄

    小林説明員 本来、公共用地審議会は、建設省設置法の第十条にございますように、「公共用地取得に関する特別措置法に基づく特定公共事業の認定に関する事項を審議する」ということで、個々の行政処分に関する一種の議決機関というかっこうで本来あるわけでございますが、先に公共団地の取得に伴う損失補償の基準というものをつくる必要がある。そういうようなものを別途にまた審議会をつくるということも、いたずらに機構を複雑にするということと、それからこの公共用地審議会のメンバーの方が、そういうような方面の権威者を集めておりますので、附則におきまして、期限を限りまして、権限をこの十条に掲げてありますもののほかに、さらに時限的に付加をしまして、さらに政令におきまして、臨時の委員をさらに十人ほど追加をいたしまして、公共用地の補償基準をつくったわけでございますが、今回はまた同様な趣旨で、十条の権限のほかに、期限を一年に限りまして別の権限を付与したということでございます。
  49. 山内広

    山内委員 そうしますと、設置法の十条の目的はそのままにしておいて、今度の改正案がつけ加えられるということですね。
  50. 小林忠雄

    小林説明員 そのとおりでございます。
  51. 山内広

    山内委員 そうしますと、これもまた若干私、疑義を持つのですが、これはいまお話のありましたように、公共用地取得に関する特別措置法に基づいて、三年間の時限立法でやったわけです。そうしてまた一年間たっても、おそらく特定公共事業の認定に関する事項を審議するという条項は、私ずっと残ると思うのです。これはもう半永久的に残る問題だ。毎年毎年一年刻みで、また延ばしてくれ、また延ばしてくれというように、毎回この設置法がかかってくることになります。そういうことになりませんか。
  52. 町田充

    ○町田政府委員 そういうことではございませんで、特別措置法に基づきます特定公共事業の認定という仕事は、これは恒久的な仕事としてあるわけでございます。一年間の間に公共補償の基準を答申をいただけば、その任務は終わり、したがいまして、もう附則でつけ加えておりますその条項は用がなくなる、こういう関係になっておるわけでございます。
  53. 山内広

    山内委員 そうすると、こう解釈していいわけですね。今度出された問題は、一カ年間でこれの調査、審議ですね、公共補償の基準ができれば、これは消えちゃう。しかし、第十条に規定されている特定公共事業の認定というものは、委員の任期が三年だということだけで、ずっと永久に存在する、こう解釈してよろしいのですね。
  54. 町田充

    ○町田政府委員 そのとおりでございます。
  55. 山内広

    山内委員 わかりました。
  56. 徳安實藏

    徳安委員長 伊能君。
  57. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 大臣がおいでの機会ですから、一言お伺いしておきたいと思います。  今回、建設省設置法改正に際して、砂防事務地方建設局へ委譲せられるということで、その内容はたいへん詳細に、相当な仕事のように委譲内容のうちに書かれておりまするが、本省においてはわずかに二十二、三人の人でやっておられ、新しい機構によると、砂防課というものもありませんし、災害管理官とかなんとかいうことで二名程度各局に河川部へ配置せられるのですが、その辺のところで実質的に砂防の仕事を委譲せられる。一方においては、農林省等においては依然としてこれが林野庁に存置せられるということで、せっかく建設省地方委譲をせられるということであれば、少なくとも同様な仕事については、政府部内では、農林省においても地方の営林局なりその他へ委譲せられて、初めて地方委譲の成果があがる、かように考えるのでありますがわれわれの承知するところでは、農林省は依然として本省に存置せられるということであると、せっかく委譲の趣旨が政府部内で一貫しないような感じを持っておりますし、その点について建設大臣としてはどうお考えか承って、いずれ、農林省の設置法も現在質疑の途上にありますから、双方を伺った上でわれわれとしては適切な措置もとりたい。また、もちろんこれは党なり政府との連絡をいたさなければなりませんが、この点についてだいぶ党内にも疑義があるようでございますから、一応大臣から承りたい。
  58. 河野一郎

    河野国務大臣 砂防の仕事は、非常に重要でございますし、一般河川の改修等の基本になるわけでございまして、私としても、特に予算をごらんになればわかりますとおり、今年度の予算におきまして、前年度より相当な強化をいたしております。そういう次第でございますので、これに関する行政につきましては、いまお話しのとおり、農林省方面とも特に緊密な連絡をとってやる必要があると心得ます。ただ、多少その点について不十分な点があるかもしれませんので、よく御検討いただきまして、しかるべく御配慮いただきますならば、私もそれに協力するにやぶさかではありません。
  59. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 ただいま大臣からきわめて明快なお話がございましたので、われわれ別途農林省設置法の審議の過程において、農林大臣からもこの点について質疑し、明らかにした上で、われわれとしては政府その他党内の関係を処理したいと思いますから、私の質問はこれで終わります。
  60. 徳安實藏

    徳安委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は、明十四日午前十時理事会、十時半委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時四十七分散会