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1964-05-08 第46回国会 衆議院 内閣委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年五月八日(金曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 徳安 實藏君    理事 伊能繁次郎君 理事 辻  寛一君    理事 内藤  隆君 理事 永山 忠則君    理事 八田 貞義君 理事 石橋 政嗣君    理事 田口 誠治君 理事 山内  広君       佐々木義武君    野呂 恭一君       藤尾 正行君    保科善四郎君       松澤 雄藏君    渡辺 栄一君      茜ケ久保重光君    中村 高一君       村山 喜一君    受田 新吉君  出席国務大臣         建 設 大 臣 河野 一郎君  出席政府委員         総理府事務官         (経済企画庁         総合開発局長) 鹿野 義夫君         建設事務官         (大臣官房長) 平井  學君         建 設 技 官         (河川局長)  畑谷 正実君         建 設 技 官         (道路局長) 尾之内由紀夫君  委員外出席者         建設事務官         (大臣官房人事         課長)     大津 留温君         専  門  員 加藤 重喜君     ――――――――――――― 五月七日  国立大学教官待遇改善に関する請願伊東隆  治君紹介)(第三三九二号)  同(菅野和太郎紹介)(第三三九三号)  同(江崎真澄紹介)(第三四二九号)  同(山手滿男紹介)(第三四三〇号)  同(大久保武雄紹介)(第三四七五号)  同(坂田道太紹介)(第三四七六号)  同(羽田武嗣郎紹介)(第三四七七号)  同(松平忠久紹介)(第三四九八号)  同外二件(藤田義光紹介)(第三五二二号)  同(大石武一紹介)(第三五二三号)  同(大西正男紹介)(第三五二四号)  同(西宮弘紹介)(第三五三九号)  同(二宮武夫紹介)(第三五四〇号)  同(下平正一紹介)(第三五五六号)  同(八木昇紹介)(第三五五七号)  同(竹谷源太郎紹介)(第三五七一号)  同(床次徳二紹介)(第三五七二号)  同(廣瀬正雄紹介)(第三六二一号)  靖国神社の国家護持に関する請願外二件(田口  長治郎君紹介)(第三三九四号)  同外二件(逢澤寛君紹介)(第三四二四号)  同(今松治郎紹介)(第三四七九号)  同(鈴木善幸紹介)(第三五六九号)  平和の日制定に関する請願奧野誠亮紹介)  (第三三九五号)  同(植木庚子郎君紹介)(第三四二六号)  同(今松治郎君外一名紹介)(第三四二七号)  同(濱田幸雄紹介)(第三四二八号)  同(和爾俊二郎紹介)(第三四五六号)  同(受田新吉紹介)(第三四七四号)  同(永田亮一紹介)(第三五〇二号)  同(大西正男紹介)(第三五二五号)  同(濱地文平紹介)(第三五二六号)  傷病恩給改善に関する請願羽田武嗣郎君紹  介)(第三三九六号)  基地周辺民生安定法制定に関する請願安藤  覺君紹介)(第三四二五号)  同(安藤覺紹介)(第三四五五号)  同(赤澤正道紹介)(第三五五二号)  退職警察職員恩給是正に関する請願佐々木  義武紹介)(第三四三一号)  同(椎熊三郎紹介)(第三四七八号)  同(西村直己紹介)(第三五二〇号)  同(森田重次郎紹介)(第三五二一号)  傷病恩給の不均衡是正に関する請願登坂重次  郎君紹介)(第三四三二号)  公務員賃金引き上げ等に関する請願堀昌雄  君紹介)(第三四六八号)  中小企業省設置に関する請願(西尾末廣君紹介  )(第三四九二号)  国立病院療養所に勤務する医師及び歯科医師  の待遇改善に関する請願上村千一郎紹介)  (第三五三一号)  公務員賃金引き上げ等に関する請願島上善  五郎君紹介)(第三五三八号)  同外一件(神近市子紹介)(第三六二二号)  同外三件(河野密紹介)(第三六二三号)  同外三件(中村高一君紹介)(第三六二四号)  同(平林剛紹介)(第三六二五号)  同(松井政吉紹介)(第三六二六号)  一般職職員の給与に関する法律の一部改正に  関する請願永井勝次郎紹介)(第三五五三  号)  同(松浦定義紹介)(第三五五四号)  同(山内広紹介)(第三五五五号)  同外一件(安井吉典紹介)(第三六二七号)  同(山中日露史紹介)(第三六二八号)  旧軍人等恩給に関する請願竹内黎一君紹  介)(第三五七〇号)  紀元節復活に関する請願田中伊三次君紹介)  (第三六二〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  建設省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二六号)      ――――◇―――――
  2. 徳安實藏

    徳安委員長 これより会議を開きます。  建設省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、河野建設大臣より発言を求められておりますので、これを許します。
  3. 河野一郎

    河野国務大臣 前回私の御答弁申し上げました中に、副技監を二名設置して技術向上をはかり、技術陣の強化をするとお答え申し上げましたのは、実は二名大蔵省のほうに要求をしてぜひやろうと努力しましたが、一応ことしは一名だけ予算を認めようということで、一名現に予算をいただいておるわけでございます。これは私の不勉強で間違えましたから、訂正いたします。  なお、一億円以上の入札について、これを中央においてまとめて云々という御質問がございましたのに対して、私が二十四年からとお答え申し上げましたのは三十二年の誤りで、これまた私の不勉強な点でありまして、あらためて訂正をさせていただきます。
  4. 徳安實藏

    徳安委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。村山喜一君。
  5. 村山喜一

    村山(喜)委員 道路整備の五カ年計画改定をされまして、四兆一千億円の計画に改められたわけでありますが、ことしの新計画に基づく予算の額を見てまいりますと、一般道路関係で三千五百六十二億円、有料道路で一千二百七十億円、単独事業で一千二百四十億円、こういうような形で、それぞれ昭和三十八年度の計画に比べて、一般道路で六百四十二億円、有料道路で二百十二億円、単独事業で五百三十四億円の増加ということに相なっているようであります。これらの三十九年度の実施計画事業計画は、予算の裏づけがもちろんなされているわけでありますが、これはことしの秋ごろに完全な改定計画が終わるというふうに承っております。新道路整備五カ年計画との関係は、その前期約な役割、第一年度、初年度としての役割を受け持っているというふうに見て差しつかえないものかどうか、最終的な計画決定は秋ごろになされるというふうにも聞いておりますので、この予算との関係はどういうふうになっているのかという点を、まず第一にお伺いしたいと思うのであります。
  6. 河野一郎

    河野国務大臣 御承知ように、道路につきましては、いずれの道路も各方面からの御要望が非常に膨大なものがあるわけであります。また、建設省といたしましても、実を申せばあれもこれもと実は従来苦慮しておったわけであります。したがいまして、私は、できるならば五兆円程度までこの際五カ年計画を追加したいというふうに考えて、一応それに基づく案も持っておったわけであります。ところが、大蔵省との交渉の結果、お話しになりましたように四兆一千億円にとどめました。いまお話しように、前回計画と今回の新五カ年計画との関係がどうなるかということでございますが、むろんいままでのものにつきましては、それをまるごと完成をいたさせますと同時に、いま申し上げましたような意味合いにおいて、かねてぜひ早急にやろうと考えておりましたものを新たにこれに加えて拡張してまいるということでございますので、別にそこに混淆するとか、支障があるとかいうことは考えられておりませんが、その決定等につきましては、何さま非常に急に具体的なものを大きくいたしたわけでございますので、いろいろの点において調査をし、検討して、これに思慮しなければならない問題もあるので、一応これらについてどういうように取り入れていくかということは、多少おくれておるということでございます。
  7. 村山喜一

    村山(喜)委員 ちょっと聞き取りにくかったのですが、私が端的にお尋ねをしたいのは、三十九年度事業費は、新道路整備五カ年計画初年度として考えて差しつかえないかどうかということです。
  8. 河野一郎

    河野国務大臣 そのとおりでございます。差しつかえございません。
  9. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、三十九年度の建設省関係事業費府県別配分方針についてこの際承っておきたいのでありますが、従来公共事業あるいはその他道路公団等のいわゆる事業の累積を、太平洋ベルト地帯、あるいは六大都市大都市地帯、そういうような先進的な地域と、それから北海道であるとか、あるいは東北九州四国中国、こういうような今後整備をしていかなければならない地域、これらの地帯におけるいわゆる行政投資実施額を調べてまいりますと、従来におきましても相当な格差がございました。この格差是正するために大臣はお考えになったものだと思うのでありますが、ことしの公共事業地域配分比較補助事業について調べてみましても、まだ依然として格差があるようであります。そういうようなことを念頭に置きながら、今度三十七年の十月十五日に策定をされました全国総合開発計画、これらの内容等比較いたしてまいりますと、いわゆる地方別投資構成比率等も出ておるわけでありますが、今後建設省は、今回新たに策定をされました都道府県配分方針に基づいておやりになった場合に、そういうよう国土総合開発計画上の隘路、あるいは今日までの行政投資実施額大都市中心に流れ過ぎておったものを是正するということができるかどうかという、それらの問題につきましては、私たちよう後進地域におきましては、非常に重大な関心を持っておりますので、この問題についての大きな方針というものは、どういうところまでお考えになっているのか。これは三十九年度限りのものであるのかどうか。それとも今後に貫き通していくところの原則線として、科学的な配分を基礎づけに用いてやっていこうという考え方で出されたものかどうか。その点について、大臣からお答えをいただきたいのであります。
  10. 河野一郎

    河野国務大臣 お話しような点は、非常にむずかしい点でございまして、従来の公共投資が、御承知のとおり、終戦後の国土の回復といいますか、復旧といいますか、ないしはまた地方財政というようなものと見合って、今日まで投資が行なわれてまいっております。それを最近の例で申しますると、前年度に対して今年度の予算が何割ふえたから、おおむね何県の投資は何割増しというようなことでこれまでやってまいっておるのでございます。そこで私は、新五カ年計画で大幅に予算がふえましたし、さらにまた意図しましたところの新五カ年計画にいたしましても、全く新たな建設的な意欲をもってやろうといたしておるのでございますし、従来の例によりますことは適当でない点が、非常に多うございます。府県財政等につきましても、従来の例をそのまま踏襲することは適当でないというふうにも考えられましたので、お手元に御持参いただいておりますよう基本方針を定めまして、そうして、まあ科学的とまで言っていいかどうかわかりませんが、一応基盤となるべき数字を集めまして、これらを参考にして、合理的に各県の新たな分配率を一応きめたのでございます。そうして、御承知のとおり、各県の受け入れ態勢もまた出てまいりまするし、各県の地勢等もございますから、必ずしも全部今後永遠にそのとおりというわけにはまいらぬかもしれませんが、一応基本としては、それを基盤において、各府県とよく話し合って仕事をしていくことが適当であろう、少なくとも私はそれが一番適切であるという考えで、その方針を貫いていくべきものであるという考えのもとに計算をさしてやらした、こういうことでございます。
  11. 村山喜一

    村山(喜)委員 これは事務当局からでけっこうでございますが、三十九年度建設省関係事業費府県別配分方針、大まかな考え方でけっこうでありますが、それについての説明をこの際願っておきたい。
  12. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 道路の三十九年度の府県別補助事業配分考え方を申し上げます。  三十九年度の道路の総事業費のうちから、有料道路事業、それから雪寒道路事業、これらは投資が非常に地域的に偏しますので、これを科学的といいますか、同一基準によることは適当でございませんので、あらかじめ全体の事業費の中から除外いたしまして、別途これらを配分する、こういう考え方をとっております。しかる後、府県別配分するわけでございますが、まず第一段階といたしまして、これをブロックに分ける、こういう考え方をとりまして、ブロックに分ける際に、東京都、神奈川県、愛知県、大阪府、並びにこれらに含まれますところの特別都市でございますが、これらはまとめまして一つブロック考えまして、これは地域のとり方によりまして、いま申し上げましたよう大都市が入りますと、配分についてまた違った影響を他の府県に与える、こういう配慮から別に扱います。それらを除きまして、全国東北北陸、中部、近畿中国四国九州、こういうふうに分けまして、これらのブロックについて最初に配分したわけでございますが、その際の考え方は、人口要素道路延長要素面積要素自動車台数要素、こういったものを基準にいたしまして、これらをさらに過去の実績を勘案いたしましてブロック別配分を求めたわけでございます。次に、このブロック別配分がきまりますと、これから県の配分を出すわけでございますが、その際に、かようにして求めましたブロック別配分額から、直轄の道路事業、それから地方単独道路事業、並びにその他特殊事情によりますところのもの、すなわち離島でございますとか、あるいはダム関連事業、あるいは高速道路関連事業、あるいは新産都市、こういった特殊なものは別途加えるべきである、こういうことであらかじめ除外いたしまして、それらを除外したものを府県別に割り振ったのでございます。その際の考え方は、ブロック別にいたしました場合と同様に、要素といたしまして、人口道路延長面積自動車台数、若干それらのウエートを変えまして県におろしたわけでございます。しかる後、ただいま申しましたところの別途特別の考慮しなければならぬものをもとのその県に戻しまして、それらを加えたものを各県の配分額にした、基準にしたということでございます。もちろんこれにつきましても、ただ機械的にこうやりましても、実情と合わない点がございます。また、過去の実績等もございます。そういうようなこともございますので、それらをさらに過去の実績から極端に急激な増あるいは減になるというようなことのないように調整いたしまして配分をする、かよう考え方に従ったわけであります。
  13. 畑谷正実

    畑谷政府委員 治水関係配分方針について、御説明申し上げます。治水関係事業といたしましては、河川、砂防、ダム、そういうよう事業がございますが、それぞれ河川にしましても、ダムにしましても、個々事業一つ方式に従って進めていくというので、全体的な大きな配分方針というのは、ここではなかなか的確にはつかめませんが、ただ国全体として、地域的にそういうよう事業は、一つ投資といたしまして、やはり経済計画に合わせてブロック別に分けるべきではないか。それで、これは治水計画といたしまして、治水水系全体としての現在の事業、今後の事業量考えまして、これにある要素考えまして、それぞれの要素に従った配分率をきめて、各ブロック別に分けているわけであります。なお、その分割といたしまして、そのブロック内の各府県については、それぞれの河川ダム、そういうよう要素個々考えまして、配分計画しているわけでございまして、治水的な、そういう要素内容といたしましては、想定はんらん面積被害額、それから経済的な費用といたしまして、ブロック内の総人口想定はんらん区域内の人口想定はんらん区域内の資産、それから想定はんらん区域内の農業生産、それからブロック内の二次、三次生産、こういうものを勘案いたしまして、それぞれブロック配分をきめまして、その中における各県の個々の問題について配分した、こういうことでございます。
  14. 平井學

    平井(學)政府委員 住宅関係を私から御説明をいたします。  公営住宅につきましては、これはきわめて簡単でございまして、各地域別住宅難世帯数というものを、毎年統計をとっております。それからまた同時に、普通世帯増加数も、地域別にこれをとっております。それに基づきまして、全国総合開発計画に基づき必要戸数計算をするという方式で出しております。ただし、その場合に、この三カ年計画をつくる場合に、特に住宅難の著しい地域及び地方開発都市地域、こういう二つの点に重点を置きまして、それぞれいまの方式計算をする、こういうふうにいたしております。なお、公庫住宅につきましては、大体公営住宅に準じて配分をいたすことになっております。また、公団住宅につきましても、特に住宅難の著しい地域、これに重点を置いて配分をいたしてもらっております。  なお、公庫の融資あるいは公団宅地開発事業、こういったものにつきましても、当面やはり宅地難の著しい地域とかあるいは地方開発、こういった点に重点を置いて配分をいたしております。  なお、続いて、公共投資の一部に入りますので、下水道につきましても御説明をさしてもらいますならば、この下水道事業につきましては、実施都市市街地面積、それから市街地人口、これを二つ要素として府県別配分をパーセンテージできめております。それからまた、下水道普及格差是正並びに都市排水不良地域早期解消をはかるために、この配分比について、府県別下水道普及率あるいは都市浸水指数による手直しを加えまして、最終的な配分額を定めるというふうになっております。  以上が、公共投資のおもなものについての配分についての方針でございます。
  15. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、三十九年度の建設省関係事業費府県別配分方針に基づいて、各都道府県ごとにそれぞれ補助事業等もすでに決定をされていると承わるわけでありますが、現在その配分をされましたものは、これは最終的にはまだ大蔵省との協議の段階も残っているわけでありましょうが、大体内示額として示されたものは、この配分方針に基づいてなされたものというふうに考えて間違いございませんか。
  16. 平井學

    平井(學)政府委員 さよう考えていただいてけっこうです。ただし、先ほど各局長から御説明しましたように、急激な変化を避けるためにいろいろと手直しをされることは、お含みを願いたいと思います。
  17. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、全国総合開発計画策定をされておりますので、その将来の見通しとの問題においていろいろ検討を加えていかなければならないと思うのでありますが、これの計画政策対象差異による地域区分を見てまいりますと、過密地域整備地域、さらに開発地域の三つの分類をいたしております。その中でいま建設省配分方針の中にありますように、東京都であるとか、神奈川、あるいは愛知大阪、これらの大都市県は、これを過密地域というふうに想定をして間違いないと思うのでありますが、その中でただ一つ取り残されておりますのは、いわゆるこれに準ずるものとして北九州が、建設省案によりますと、この中から抜けているわけであります。北九州の場合は、一応四大工業地帯、そうして過密地域として全国総合開発計画の中では位置づけられておるわけであります。そういたしまするならば、一体そういうよう地域ブロック全国を九ブロックに分けて、そうしてそれぞれ政策対象差異による地域区分を片一方のほうにおいてはやっておる。それに対して建設省建設省方針でこういうよう考え方をお出しになったのだろうと思うのでありますが、この食い違いというものは一体どういうふうに考えていかれるのか、これを経済企画庁建設省担当者のほうからお伺いをしておきたいと思うのであります。
  18. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 大都市と特に別扱いをしましたのは、道路関係でございますので、そういう立場で考え方を申し上げます。これをやりますときは、まだ各地域総合開発計画というものがきまっておりませんし、今日でも、その段階においてまだきまっておりません。したがいまして、今後きめられますところのそういった各地域計画というものは、実際の道路長期計画配分にあたりまして当然考慮しなければならぬと思っております。ただ、ただいま申しましたように、三十九年予算決定にあたりましては、そういう基礎はございませんので、先ほど申しましたような方法によって配分したわけでございますが、この各地域計画きまりようによりまして、私どものやりました方針についても、若干修正をする必要は出てこようか、かよう考えております。
  19. 村山喜一

    村山(喜)委員 まあそれらの問題は、大きな問題として私どもは追及しようとは思わないのでございますが、問題は、今後のいわゆる地方別投資額構成比というのが、全国総合開発計画資料として出されております。その中身をずっと検討してまいりますと、今後においてどういうよう行政投資が行なわれるかという一つの指標が示されております。将来の人口構成あり方等もその中で出ているわけでありますが、いわゆる過密地域整備地域とを一つの単位にいたしまして、それの中身がいろいろ規定づけられておりますけれども、いわゆる京浜地方、阪神、それに北九州、それから名古屋の地域、その過密地域と、それに整備地域の関東、東海、近畿北陸、このブロック、それに対する開発地域である北海道東北中国四国九州、これらの地域との比率をずっと調べておりますと、道路においては三十七%ないし四六%という比率であります。これが開発地域。それから整備地域過密地域比率は、これは五四ないし七八、この中間値をとりまして比率構成比を求めてまいりますと、大体四対六、こういう姿が将来の構想として描かれているわけです。それから港湾は大体五対五、それに国鉄は四対六、治山治水は五対五、それに住宅関係は三対七、こういうよう比率表がすでに参考資料として出されておるわけであります。そういたしました場合においては、現在建設省が三十九年度の府県別配分方針に基づいてやった場合に、将来全国総合開発計画考えておるような方向にその公共投資等が行なわれていく見通しがあるのかどうか、ということが、私たちにとりましては非常に大きな関心事であります。というのは、これは建設省のほうから資料をいただいたのであります。もちろん補助事業費の場合だけの公共事業費地域配分比較をしたのをいただきました。それによりますと、太平洋ベルト地域、この中には中国四国九州の一部が入っておりますので、若干の差はありますけれども、まあいままで道路整備につきましては、これの七五%がそういうよう地域配分をされる。その他の地域では二五%しか配分をされていない。ことしはそれが是正をされまして、七三・五と二六・五というふうに、比率は若干後進地域においては向上をいたしているようでありますが、いずれにいたしましてもそう大きく変わっていない。とするならば、このままの推移でいくならば、いわゆる新産都市、それから工業地域整備地域、あるいはその他の太平洋ベルト地域、あるいはいままでの四大工業地帯、あるいは過密地帯といわれるところの先進地域、こういうようなところの社会資本投資が依然として強くて、そして後進地域というものは忘れられていくような姿が、現在の補助事業費配分の結果からは生まれてくるのではなかろうか。とするならば、これは地域格差是正ということも、解決はなかなか将来にわたって困難である。せめて国土総合開発計画の中で打ち出されているよう比率のところまで持ち込んでいくような対策というものを立てなければ、後進地域の開発というものは非常におくれてくるのではないかということを懸念をいたしているわけでありますが、ここに打ち出されましたこの全国総合開発計画の指標というものが最後に出ておりますけれども、これらの指標から見て、将来、建設省府県別配分方式、これらの方向というものが、この総合開発計画の目ざす方向と一致していくものかどうか、その線に一致させられるよう考え方をお持ちになっていらっしゃるのかどうか、その点を大臣から承りたいのであります。
  20. 河野一郎

    河野国務大臣 わが国の建設行政は、御承知ように今日まで復旧、復興、一部の整備というようなことで、緊急やむを得ざるものの施設に追われてまいったのが実相だと私は思います。ようやくここ数年来、もしくはしいて申せば今明年から、新なる建設という方向に向かうことができるようにその緒についたと見るべきではなかろうかと思うのであります。したがいまして、現にいま五ヵ年計画にいたしましても、たとえば昭和四十四年、五年までには、二級国道もしくは主要県道まで全国全部舗装を完了しようという想定のもとに道路計画を立てておるのでございまして、さしあたり着手いたしておりますものは緊急やむを得ぬものから始めておるというようなことでございますけれども、そういうふうに一応の年次を定めて普遍的に、全国的に道路の改良をするというふうに目標を置いておるわけでございます。ただお示しのような、全国を総合的に開発していくというよう一つの大目的、これと建設省のやることとどういう関連を持って考えるかということになりますれば、われわれとしては、われわれの目途としてやることがそのまま完了すれば、それが即いま申し上げますよう総合開発計画の線に沿うということになっていくべきものであって、一部を取り残して建設行政のあるはずはない、こう私は思います。ただその間に緩急があるということでございまして、あまりに格差をつけることはよろしくないから、先ほど来申し上げましたような分布によっていま事業を進めておるということでございますが、年次的には、いま申し上げたように、今川私は、いままでのように改良、拡幅をして道路を完全なものにしてこれを仕上げていくということになりますと、非常に年限がかかりますから、そうでなしに、主要県道等については、現状のままでもよろしいから全国的に舗装は完了せいということで、四十五年をめどにして、いま申し上げたようにやるということに方針を実は変えたわけでございます。こうすることによって、お示しのような点についてこたえることができるのではないかと思うわけであります。
  21. 村山喜一

    村山(喜)委員 ただいま経済企画庁総合開発局長が見えておりますので、質問をさらに続けたいと思うのでありますが、ただいま建設大臣から、道路整備五カ年計画に基づいて新計画をこの都道府県配分方針に基づいてやっていけば、将来、経済企画庁が中心になりまして策定いたしました全国総合開発計画のうしろにあります資料、これに一致してくる、こういう説明を承って私も満足をいたしているわけでありますが、問題はただ建設省だけではなくて、これは各省にまたがる問題であります。港湾建設の問題あり、あるいは国鉄のそういうよう投資の問題があるし、あるいは治山治水の問題等もございます。建設省以外の港湾、国鉄等、これらのいわゆる行政投資の将来の方向性というものを位置づけながら考えていかなければ、この所得倍増計画のうらはらの関係にあります国土総合開発計画、これが完成を見ないというかっこうになるかと思うのであります。とするならば、昭和四十五年を最終年度といたします全国総合開発計画の推進にあたりまして、経済企画庁の総合開発局におきましては、今後、調整費等の予算はわずかについてはおりますが、この策定をいたしました将来の方向というものを確認をしながら、それに行政投資が行なわれていくという方向性を打ち出していかなければならないのではないかと思うのでありますが、それに対するところの他の部門に対する考え方をお聞かせ願っておきたいと思う。
  22. 鹿野義夫

    ○鹿野政府委員 全国総合開発計画は、昭和三十七年十月に策定されたわけでございますが、この総合開発計画の構想に基づきまして、各地方ごとにブロックの開発促進計画をごく最近、ことしの一月ないし二月にかけて策定いたしまして、審議会の決定を経、閣議の決定を見たわけでございますが、具体的には、そういったようにこの総合開発計画の構想に基づきまして、各地方計画あるいはこれの拠点開発構想に基づきまして、新産都市の建設の構想といったようなものが、次々と実施の段階に入っております。先生のおっしゃるとおり、この参考資料に掲げてあります地方別投資構想につきましても、その方向でぜひ進めていって、所得倍増計画の均衡ある目的の達成、それを受けた総合開発計画全国の均衡ある開発といったようなものをぜひ達成していきたいというふうに考えておりまして、各省ともことごとに御連絡をとりながら、全体としてこの総合開発計画の構想を推進することに努力している次第でございます。
  23. 村山喜一

    村山(喜)委員 ところが最近は、予算のつき方を見てみましても、経済企画庁の調整費三十六億の内訳を見てみましても、新産都市建設、それから工業整備特別地域、これらの地域がだいぶ大きなウエートを占めている。そして所得倍増計画そのものが、やはり経済性というものを考慮した角度から取り立てられておりますから、勢い設備投資を中心にする日本の経済構造というものが進んで、そのあとを社会資本の充実という形でしりぬぐいをしているという姿があらわれておる。今日いわゆる四大工業地帯、あるいは太平洋ベルト地帯におけるところの公共投資の割合を見てみますと、これは御承知ように三対七くらいの比率であります。ところが、今回この全国総合開発計画の中で示された地帯別の投資額の比率を調べてまいりますと、道路についていうならば、四対六の比率になっておる。そうして港湾等につきましては、これが五対五、それから国鉄については四対六、それに治山治水は五対五、こういうよう計画の数字が出されているわけです。といたしまするならば、昭和四十五年に至るまでの長期的な展望に立った現在の公共投資のあり方というものから考えていくならば、現時点までの間は、これはきわめてそういうような前進的な地域重点が置かれて、後進地域が埋没しているというのか、忘れられているというのが、現実の姿ではないかと思うのであります。このよう比率まで構成を変えていくということになっていくならば、相当重点的に後進地域の開発の問題と取り組んでいかれなければ、こういうよう比率には最終年度においてはならないのではないか、このようにわれわれ危惧をいたしておりますが、経済企画庁としては、そういうように将来の目標の数字というものが、資料として出されているような方向にもっていく自信がおありなのかどうか、それを最後に承っておきたいと思います。
  24. 鹿野義夫

    ○鹿野政府委員 おっしゃられますとおり、公共投資の従来の実績を見ますと、どちらかといいますと、やはり人口配分比に比例したよう実績が見られるわけでございますが、これは、一つ公共投資の現段階におきます使命といいますか、そういう点では、比較大都市周辺等の隘路打開の問題にやはり第一の目標を置かざるを得ないような形で公共投資がなされていたということも、大体において事実ではないかと思います。しかし、公共投資の全体の額が年々かなり増加しておりますので、ある程度の余裕ができてきつつある。それはあげて地方開発の先行投資に振り向けられるべき性格のものであろう。今後公共投資が徐々にといいますか、全体の予算の規模等に比較しましても、かなり大幅に増額してきておりますし、今後もなお相当の増額ということが期待できるのではないかと思いますので、そういう意味では、公共投資のねらう先が、いわゆる現段階の隘路打開から一歩進めて、先行投資としての地方開発、そういうことを通しての全国的にバランスのある開発を達成する、そういう方向に公共投資全体の動きが変わってくることが可能ではないかと、私らは考えております。また、そういうふうにすべきだと思っております。そういう方向で、今後各省とも御連絡をとりながら、私らといたしましては、全国総合開発に考えられるところの目的の数字は少なくとも達成するように努力いたしたいと思いますし、そのこと自体、必ずしも不可能な問題ではないと考えておる次第でございます。
  25. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、私はこれは建設大臣にも要望申し上げておきたいのでありますが、この開発地域計画の中におきましては、今後そういうような後進性を取り戻していくためには、建設関係の部門といたしまして、国土総合開発計画の中にも示されておりまするように、大動脈的な幹線路線を完成をしていくということが大きくうたわれており、さらに大規模地方開発都市の建設をやらなければならない、こういうようなことも、他の過密地域整備地域比較をいたしまして、特徴的にうたわれている点でありますので、それらの地帯におきましては、そういうような立場からぜひ開発を進めていただきますようにお願い申し上げておきたいと思うのであります。  そこで、それらの点から府県別配分方針を見てまいりますと、これは今後それらの計数の押え方が、将来の決定要素になるわけであります。これらの配分方針の中で、特別ワクとして大都市を別ワクにして、そちらのほうにウエートを置かれたら、大都市中心の再開発になるし、後進地域にウエートを置くとするならば、面積とかあるいは道路の延長とか、あるいは人口、それらの点に重点を置かなければ、後進地域の開発はできないことは言うまでもないわけでありますから、その公共投資による地域格差是正という点から、ぜひ今後の推進をお願い申し上げておきたいと思います。  そこで次の問題でありますが、これは道路局長から承ったほうがいいんじゃなかろうかと思うのであります。車両制限令の実施に伴う市町村道あるいは府県道の改良の問題であります。これが三十九年の八月一日から全面的に適用をされるということになりまして、大型車両の交通急増に対処して車両制限令を施行する。市街地及びその周辺の都市、これは路線バスが走っておるわけでありますが、車両の小型化をはかるか、あるいは路線の変更をするということも考えられる。しかし、こういうようなのは現実の問題として非常に困難であるから、道路の拡幅、整備という問題が、この車両制限令の施行に伴って必然的に出てくるのではないか、こういうようなことで、非常に各市町村、特に行政区域を担当しておる地方自治体におきましては、これについて、改良工事に対して補助金なりあるいは起債の措置を考えてもらわなければ困るというようなことを言っておるわけでありますが、全面的に三十九年八月一日から施行をされるわけでありますか、この点はどうなんです。
  26. 河野一郎

    河野国務大臣 私からお答えいたします。  御承知ように、私といたしましては、この方向はぜひ敢行しなければいかぬという考えで、しいて申せば、最近ますます大型化といいますか、道路の幅が広がれば広がるだけ車が大きくなったんでは話にならぬ。現に箱根の旧街道のごときは、一台のこのごろの自動車の運搬車が通りますと、あとはつかえてしまって動かぬというようなことにまで相なっておるのであります。したがって、いまお話しのこの方向は絶対に強行したいというつもりでございますが、何ぶん準備が整わぬ点もございます。したがって、いま各府県に実情の調査を命じまして、これが対策をすみやかに立て、お話のような点もやる。私のほうでも、たとえばバスの待避場をつくるために、車の待避場をつくるために、一部の予算をもってなるべく早くそれを実現するように努力はいたしております。しかし、実情は八月でやることはなかなか無理な点もあるのではないかと思いますので、場合によっては多少の期限の延長、実施期日の延長もしなければならぬのではなかろうかと思っておりますが、延長延長でいくというようなつもりは私は絶対ありません。ひとつ全国の各都道府県市町村に御協力を願って、またこれらの業者の諸君にも車の構造の改善等も御協力を願うということで、大衆の御迷惑にならぬような意味合いにおいて制度は実行していきたいということで考えております。
  27. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、やるという決意を示されたわけですが、そうなりますと、どういうような方向で、道路を改良をするという方向でおやりになるのか、それとも、そういうように急には道路の改良もできないから、車両を小型化するなり、路線の変更をするなり、そういうような行政措置でおやりになるのか、この点はいかがですか。
  28. 河野一郎

    河野国務大臣 これは、私は両方だと思います。たとえば大阪で一部やっておりますように、あまり大きな車は市内に入ってはいかぬ。東京でもまたやっておるようでありますが、これは両方だ。われわれのほうで道路を直さなければいかぬところについてはすみやかにやる、また車の制限をしてよろしいところは制限をする、両方で実情に合うように実施していく、こう考えております。
  29. 村山喜一

    村山(喜)委員 そういたしまするならば、現在市営バス等を持っているよう都市に対しましては、路面の渋滞を解消するという意味において、補助金なりあるいは起債の措置を特別に考慮して、三十九年度予算の中で配分をされるよう方針は、立てておるわけですか。
  30. 河野一郎

    河野国務大臣 そういう実情に即して、調査をして、そうしてこれが対策をすみやかに講じたい、こう考えております。
  31. 村山喜一

    村山(喜)委員 大体どれくらいの所要財源を必要とするというふうに――まだ実情調査をしてみなければわからないというようにお考えでありますか。
  32. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 大ざっぱに申しまして、大体全国で二千数百キロくらい抵触してくる個所があるように、ただいまの資料ではあがっております。そのうちで実際に困りますのは、おそらく二千キロ以下だろうと思います。これらにつきましては、ただいま大臣からお話がございましたように、車両の方面の措置、あるいは道路改良の措置、あるいは路線を別に回すというような措置、いろいろあろうかと思いますが、最終的にどうしても手のつかない個所も残り得ることも予想されます。そういうよう特殊事情は、主として市街地において起こるわけでございますが、大体大都市においてそういう問題を一番心配しております。いま大臣からお話がありましたように、そういう点を詳細に調べておりますが、どのくらいの金になるかということは、その該当します場所によりまして、ずいぶん都市の改造をしなければならぬというような場合が起こりますので、金で幾らぐらいということは、まだちょっと見通しがつきません。どういう個所がどの程度残るかということの基礎的なものをはっきりつかんだ上で出したいと思っておりますが、道路のほうの改良によって、あるいは待避所をつくることによってやる措置といたしましては、三十八年度は約五十三億円見ておりましたが、三十九年度は百二十二億円考えておりまして、これによってかなり促進されるものと思いますが、それでもなおかつ、いま申しましたような事情もございますので、事業費としてはかなり残ると思いますが、詳細な数字はいましばらくお待ち願いたいと思います。
  33. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 関連。いまの問題について、大臣方針はきわめて明確で、われわれも了承できるのですが、具体的な問題について、これはいま調査中とおっしゃっているのですが、もう二、三カ月しかないので、これについて私が特に申し上げたいのは、路線トラックについては、おもな大都市の狭いところへ入ってくるということはないはずです。したがって、大阪等で淀川筋でとめるとかいうような適切な措置をとっておられても、特段の支障はないのです。また、観光バス等についても、これは狭いところへ入ってくるものを制限するということについても、大した問題は起こらぬと私は思うのですが、問題は、ただいま同僚の村山委員からお話のあった定路線バスについて、現在大都市もしくは中都市において、非常に狭いところがすでに免許になっておる。この問題が、当面具体的に規制をどういう形でやるかということによって、乗客に多大の不便を与えるというか、ある路線を通さぬということになると、その区間の沿線の乗客は、相当な距離を歩いていかなければバスに乗れないというようなことになるし、ことに市営バス等においては、さなきだに現在赤字を出して非常に苦労をしておりますから、車を小さくしろといっても、これは急速にはできない問題で、この点に関する調査は急速にやられないと、私は、トラックと観光バスについては問題ないと思いますが、路線バスについては相当大きな問題が起こるおそれがあると思いますが、この点はどうお考えになっておりますか。
  34. 河野一郎

    河野国務大臣 実は資料は大体集まっております。今月末までにそれらの資料を取りそろえまして、これから対策を考究するということにしておりますから、御指摘の点は十分考慮、検討いたしたいと思います。
  35. 村山喜一

    村山(喜)委員 最後にお尋ねをいたします。  今回地建を強化するということで、四百五十九名の振りかえ増員を計画されておるわけでありますが、そのうちの百十二名は本省から、残りの三百四十七名は地方建設局の事務所に治水特別会計、道路整備特別会計から振りかえるということになっております。  ここで第一にお尋ねをいたしたいのは、そういうよう考え方がありながら、ことしの四月一日省令の十四号によりまして、建設省の定員規則による定員、これを見てみますと、地方建設局を十人減らして、そうして内部部局を五名ふやし、付属機関を五名ふやす、こういうような措置を現実においてはやっておられる。ということは、将来の方向は四百五十九名も増員をされる考え方を持ちながら、四月一日の新年度にあたりましては、そういうふうに減員をされる、これは一体矛盾するのではなかろうかと思うのでありますが、この点はどういうようなことでこのような措置をなされたのか、お答えを願いたい。
  36. 河野一郎

    河野国務大臣 動かす人の内容が実は違うわけでございます。先ほど私の答弁が不十分でおわびを申し上げましたように、副技監になるべき人でありますとか、その他地方の優秀な技術者を中央に集めまして、そうして中央の技術陣を強化するというような、比較的高級の職員もしくは技術内容の充実しておる職員を中央に集めてくる、こういうことでございまして、今度はこの機構を改革いたしますことによって、地方に適切な人と中央に適切な人と時期的に違ったものでございますから、いまのような、ちょっと表面上から見ますと矛盾しておるようなことになりましたけれども、対象としておる人間が違っておる、こういうことでございます。
  37. 村山喜一

    村山(喜)政府委員 そうなりますと、四月一日付で地方建設局から吸い上げられた職員は、おもに技術者である、こういうふうに考えていいわけですね。そうして今度法案が成立をしたならば、百十二名の本省から出すものは、おもに行政関係を担当する職員だ、こういうふうに考えていいわけですか。
  38. 平井學

    平井(學)政府委員 百十二名は、必ずしも事務系統ばかりではございません。これは技術、事務、それぞれの分野の職員考えております。また、これは大体本省の定めた基準に基づいて委譲された事務をやるべき中堅職員でございます。大体五等級、六等級というのが一番多うございますが、決して事務ばかりではありません。技術も、事務も、それぞれつり合いのとれた形で移す、こういうことでございます。
  39. 村山喜一

    村山(喜)委員 そういたしますと、十名引き上げられたのは、これは中級ではなくて高級職員ということになりますか。
  40. 平井學

    平井(學)政府委員 高級と申しますか、中の上と申しましょうか、たとえば副技監が二等級である。それから土木研究所に置かれます技術管理室長は三等級、高速道路調査室長は四等級ないし三等級というような、上のほうでございます。
  41. 村山喜一

    村山(喜)委員 それはそれで承っておきますが、三百四十七名のこの内訳を調べてまいりますと、治水特別会計から二百五十名、それから道路整備特別会計から九十七名ということになっておるようであります。それの内訳は、いずれも行政職(二)表の職員であります。これは技術労務職員ということになっておるわけでありますが、さらに人事院規則によるいわゆる行政職俸給表の級別標準職務表による等級別の職員は、この二等級幾ら、三等級幾らというのは手元にありますか。
  42. 平井學

    平井(學)政府委員 ただいまちょっと手元にございません。
  43. 村山喜一

    村山(喜)委員 なければ、私のほうで調べたのがありますから申し上げますが、この治水特別会計のほうは二等級が二十二名、三等級が百五十五名、四等級が七十三名、それから道路整備特別会計の九十七名の内訳は、二等が六名、三等が五十八名、四等が三十三名ということになっておるわけであります。私が申し上げたいのは、行政職(二)のいわゆる技術労務職員という人たち、一等級の場合は人事院規則の九の八によりまして、内容的には船長とか機関長というような職務の内容であります。二等級は、車庫長とかあるいは数名の長ということになっているわけです。四等級あたりになりますと、運転手とかそういうような職種ですね。こういうような技能内容を持っておる職員を、今度は行政担当の職員に切りかえていくということに考えておいでになるわけでしょう。その点はいかがでありますが。
  44. 平井學

    平井(學)政府委員 建設省で今回振りかえを考えておりますのは、いずれも欠員になっているいわばからの人間でございます。補充できないでおる定員、実物の伴わない定員を活用して、それぞれの事務に従事できるような人間を新たに雇いまたは養成するという趣旨のものでありまして、現実に運転手とかそういう技能職員がおるそれに裏づけされた定数ではございません。この点をひとつ御了解願いたいと思います。
  45. 村山喜一

    村山(喜)委員 しかし、現実に技能職職員としてそれらの俸給表を受けている職員であることは間違いないのでしょう。そしてそれはおもに技術系統、技能系統の仕事に携わっておる職員であることも間違いないわけでしょう。その点は否定されるわけですか。
  46. 平井學

    平井(學)政府委員 私ども説明が多少不十分だと思いますが、今回事務委譲を予定して振りかえを予定しております行政職(二)の各等給別人員と申しますのは、実は現在欠員になっておるそういう定員を活用して、現在人間がそのところにおらない、そういったものをかき集めて活用しようというわけでございまして、御指摘のような現に行政(二)の三等級の運転手がおる、行政(二)の二等級の車庫長がおる、その人間をどうするかというのではございません。欠員、空席になっておる定員を、人事院と折衝してそれを活用し、そこに新たなそれぞれの事務なり技術の人間を持ってくる、こういう趣旨でございますので、この点をひとつ御了承願いたいと思います。
  47. 村山喜一

    村山(喜)委員 資料の十六ページをあけていただきたいと思います。この十六ページの内訳をごらん願えればわかると思いますが、定員転用合計六百八十八名の内訳を見てまいりますと、地建の中に今度計画管理部の新設がありますね。これは部長、管理課、計画課、それぞれ所要の人員が掲げてあるわけです。これらの新設あるいは増強の内容を検討していくならば、もっとはっきり言うならば、行政職(二)の職員を行政職(一)の職員に切りかえるということなんでしょう。それはもちろん運転手として切りかえるわけではありません。当然それらの技能あるいは行政的な経験を持っておる者として任用していくのだという考え方なんでしょう。だから、内部異動で運転手なら運転手を転勤をさせるというよう考え方ではないということは私もわかっておるわけですが、行政職の(二)の職員を(一)に切りかえるのだ、こういうことだけははっきり言えるのじゃないでしょうか。
  48. 平井學

    平井(學)政府委員 その点は御指摘のとおりであります。行政職(二)から行政職(一)に切りかえる者も相当ございます。これは御承知ように年齢等からから言ってもまだまだ順応性がある、再教育によって新しい仕事を教え込む可能性があるという者を考えておるわけであります。
  49. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこでこういうような三百四十七名という、いままではどっちかというと技能、技術を持っておる職員、そういうような仕事に携わっていた人が、今度はいろいろな許認可事項に当たる、あるいは監査をする、そういうような業務に携わるわけです。とするならば、そこには明らかに教育訓練計画というものがなければならないはずです。ところが、今度の建設大学のこの中身を見てまいりますと、そういうよう計画はないじゃありませんか。これらの職員に対する教育訓練計画は、どこにあるのですか。
  50. 平井學

    平井(學)政府委員 ただいまの御指摘の点につきましては、たとえば行政職(二)の職員を何名か行政職(一)に人事院と話して切りかえるという場合に、その人間が直ちに地建の許認可の事務というようなものをやる場合もあり、やらない場合もある。大体の場合は、地建のそれぞれ第一線の現場監督、現場の事務、こういうものをやる。したがって、それによって従来現場の事務をやっておった人間で比較的優秀な人間が本局のデスクの仕事に入ってきて許認可をやるというような、ワン・クッションを置いたような形でぐるぐる回りになって配置がえをするというような場合も、相当ありますことを御承知願いたいと思います。  それから研修につきましては、建設研修所、これは今度幸いにして法改正になれば建設大学校ということになるわけでありますが、ここで毎年毎年計画によって技術といわず、事務といわず、測量といわず、そういうようなそれぞれの職員計画に基づいて養成していく。今回配置がえをいたします場合には、それぞれこの研修所において臨時の教育訓練を行なうというよう計画を実は立ててやっておるような次第でございます。
  51. 村山喜一

    村山(喜)委員 この資料のうしろのほうの二十ページの教育訓練計画、これを見てみましても、そういうような訓練は行なわれるようにはなっていない。どこでやるのですか。
  52. 平井學

    平井(學)政府委員 この建設大学校、建設研修所における教育は、ある程度基礎のある基幹要員の計画が中心でありまして、こういうところで訓練を経た者がそれぞれ地建なり、あるいは府県の場合は土木部に入りまして、さらにまた自分よりも後輩の者を教育する、こういうことになっております。ただいま御指摘のような問題につきましては、大体は下級現場職員が多うございますので、これは一々直接東京の建設研修所に持っていくことができませんので、こういうところで教育を受けた者、あるいは各地建の幹部がそれぞれこの研修所の方針に右へならえして地建でそれぞれ教育する、こういう計画が、これ以外にそれぞれございます。  また、ついでに申し上げますが、本省におきましても、百十二名の者が一応地方に配置がえになっておりますが、これは実は本省におきまして、建設研修所の教官などに臨時に来てもらう、あるいは本省の幹部が臨時講師になってそれぞれ教育をする、こういうプログラム以外の計画がございます。御指摘のように、大多数は各地建が中心になってやる、こういうふうになっております。
  53. 村山喜一

    村山(喜)委員 あなたの答弁を聞いておると、ウナギみたいにするする逃げていくのです。さっきは何と言ったかというと、幸いにして建設大学ができたら、その中で訓練をする、こう言ったでしょう。そうしたら今度は、そこで教育を受けた者が地建に帰ってきて、そこで教育をするのだ、今度はこういうように変わってきたでしょう。だから、そういうような答弁でなくて、そのようなほとんどこれはいままで現場業務に携わっておった人を行政的な部門を受け持つ仕事に切りかえていくわけなんですから、それに対するところの教育訓練計画というものが立てられなければ、これはせっかく地建を強化して、本省の権限を大幅に委譲をしようとされましても、そこで事務面において渋滞するという事態が出てくるわけです。だから、そういうよう計画もなしにあなた方がやろうとしているところに問題があるのじゃないかということを私は言うのです。とするならば、一体この治水の特別会計から二百五十名、それから道路整備特別会計から九十七名、これは行政職の適用を受ける職員ですが、このうち行政職の(一)に切りかえるのは何名ですか。行政職(二)で残すのは何名ですか。これはもう大体考え方はきまっておると思う。
  54. 大津留温

    ○大津留説明員 私から補足的に説明させていただきます。特別会計から事務委譲のために振りかえます三百四十七名というのは、定数を一般会計の定数にかえるのでございまして、先ほど官房長から御答弁いたしましたように、実際に行政事務を担当する人員は、主として振りかえましたその定数、これは欠員になっておりますから、そのからの定数を使って行政事務の適任者を求めるというのが、実際の形になろうと思います。また、行政事務には携わりませんけれども、従来行(二)の職員の中で適性のある人は、地建におきまして教育訓練をいたしまして、行(一)の職員の職務につかせるということは、これと別途また同時にあるわけでございますが、そういう人が直ちに行政事務に携わるということは、実際問題としてはほとんどなかろうと考えております。
  55. 村山喜一

    村山(喜)委員 これはどうもおかしいのです。それでは何のために転用されるのですか。転用するということは、機構を改革して充実をしていく、それには人員が足らないから、それを内部操作によって新たに定員をふやさないで、そういうような行(二)の職員の中から優秀な者を行(一)の行政職のような仕事をやらせる、こういう考え方で出されているのじゃないですか。
  56. 平井學

    平井(學)政府委員 ただいま人事課長の補足説明の中でちょっとまたさらに補足しますが、この三百四十七名というのは、実は行政職の(二)の職員を全部行政職(一)に振りかえるわけでございます。これはデスクワーカーでございますので、これは先ほど行政職(二)と行政職(一)とどういう比率になっているかという御指摘でしたが、ただいま調べましたところでは、この三百四十七人は、全部行政職(二)から行政職(一)に振りかえるということでございますので、私から補足いたします。
  57. 村山喜一

    村山(喜)委員 だから、これは行政職(二)の職員を(一)に振りかえるなというようなことは言わない。やはりそれだけの能力のある者は、それは教育訓練を施せば行政職(一)の職員として活用できると思う。思うけれども、一体それに対するところの教育訓練計画というものは、立てられていないじゃないか。どこにどういうようにして立てられるのか、さしあたりその出発をいたしましたときに、もちろん上級幹部の課長とか、課長補佐、係長、そういうような人は、いままでおった職員、あるいは本省から来た職員、それによってカバーされるでしょう。しかし、転用をいたしました職員は、やはりそれのいわゆる部下として働かなければならない。働いていくのにはやはりそれだけの訓練が必要である。それを私は尋ねているわけです。
  58. 河野一郎

    河野国務大臣 私からお答えしたのでは御理解いただけないかもしれませんが、ざっくばらんに申し上げます。  実は私建設大臣になりましてから、なるべく直営事業をやめて請負事業にかえろという方針を立てております。したがって、いままで直営事業で直営の仕事に従事しておられた諸君で、その中から優秀な人は現場の監督のほうに回ったらどうだ。自分で仕事をやるよりも、現場監督のほうに回って十分いけるだろう。日雇いを雇ってやっておられたのを、土方の監督に回られたらどうだというふうに実は指導をしておるわけであります。そういうこととあわせて、事業量がふえてまいりましたから、そういう監督さんがたくさん要るようになってきた、そのほうと、今度のこの機構改革について事務が委譲される。その事務の委譲のものと二つが一緒になって行(一)、行(二)のことがお話になっておるということになっておりますので、事務委譲によって生ずるものは、本省からある程度出ていく、これが中心になって仕事はやるのだ、こういうことでございまして、それにたまたま行(一)、行(二)の話がありますものですら、それらのものは、みな事務委譲に伴うて、これが行政職となって許認可をやるのかというようなことで一緒になりますけれども、実は私の考えはいま申し上げたようなことでございまして、この二つが一緒になっておりますために、そういうふうに下のほうのごく下級の官吏が非常に大幅に動いてきて、それが許認可の仕事の補佐をするのかということになりますけれども、実際はいままで現場のほうで監督をしておった者の中から、優秀な者は地方建設局へ戻りまして、もちろんその許認可に関係することもありましょうけれども、大体は、いま申し上げましたように現場の仕事が非常に多くなりますから、その現場の仕事のほうの監督におもに充てるよう勉強させたらどうか、こういうことでございますから、そこで教育につきましても、いま申し上げたような程度の教育指導で、まず第一に実務を覚えさせ、そしてある程度優秀な人は中央に来てさらに教育するということで、若い諸君は仕上げていったらどうだ、こういうつもりでございます。
  59. 村山喜一

    村山(喜)委員 大臣の答弁であればわるのかですが先ほどの人事課長の答弁あたりは、これを聞いておりますと、ちんぷんかんぷんな答弁をしておるわけです。行政職(二)の職員を(一)に切りかえるのだろうと言えば、そういうようなことはありませんという意味にとられる発言をされる。しかも官房長の話を聞きましても、これまたあいまいもことした答弁をされる。もう少し事務的な詰めをやっておいてもらわないと、答弁の内容に食い違いが出てくるように感ずるのです。この点につきましては、私はこれ以上質問を申し上げませんが、機構を拡充をし、権限を付与していく場合においては、それにふさわしい、それだけの機構と人員が備わってこなければ、行政の渋滞が起こるわけです。問題も発生をするわけでありますから、十分それらの点は御注意願いたいということを要望申し上げまして、私の質問を終わります。
  60. 徳安實藏

    徳安委員長 田口誠治君。
  61. 田口誠治

    田口(誠)委員 今度の設置法の改正の内容を見ますと、問題の河川法の改正と不離密接な関係を持っておるわけなんですが、そこで私、具体的な質問に入る前に大臣にお聞きをいたしたいと思いますことは、河川法の改正にいたしましても、これに関連をする今度の設置法の改正にいたしましても、自民党内部においても、相当総務会等では反対の意見もあり、党内がこぞってこうした法案を提出するということでなしに、相当河野建設大臣の強引さが出ておるようでございます。必要によっては強引さを出すのは私はけっこうだと思いますが、それにはやはりこうあるべきだという一つの展望がなければならないと思うのです。一つの自信がなければならないと思うのです。したがって、そういう経緯をたどって法案提出となった限り、大臣のこれに対する自信ある抱負といいますか、必要性といいますか、そういう点をまずもって承って、具体的な内容へ入っていきたいと思います。
  62. 河野一郎

    河野国務大臣 私、実は建設大臣になります前に、長年政治に関与してまいりましたが、建設大臣になりまして直接にこの行政に携わってみまして、いろいろ新たに教えられる点が多かったわけでございます。と申しますのは、現にわが国は、にわかに地方府県の行政を広域行政に改革し、転換しようといいましても、なかなか実情はむずかしいと私は思います。ある時期には当然そういうことは実施されなければならぬかと思いますけれども、そこに至るまでにはまだ相当の経過があるだろう。しかし、現に国土の再編をしてまいる、地方の実情に適した行政をしてまいるということになりますと、当然そこに河川行政の一貫性、道路行政の一貫性というもの、府県別行政区域を離れた一貫性をそこに求めるということの必要性を、その衝に当たりますと、私は痛感するわけでございます。そういう意味合いから、私は、河川法にいたしますれば、どうしても旧河川法でなしに、新河川法の必要性を痛感し、長年にわたってなかなかむずかしい問題もありましたけれども大かたの御了承を願い、御協力願って、実は前回の国会で衆議院のほうは通過するまでに至った。今回も、いまや河川法についても参議院で審議を願っておるところまでいっておるということでございます。今回のこの機構改革にいたしましても、地方府県の特殊性ということによって、地方自治の侵害というようなことをよくおっしゃいますけれども、今日はむしろかつての時代とは違いまして、地方の各府県の諸君が、中央の東京のまん中にいずれも事務所を持たれて、そこまで出てきて、そこから中央の各方面を攻略して回るというような実態になっておるのじゃないかと思うのであります。そのために、中央におります者は、従来は地方まで出かけて行って地方の実情に触れてやっておったものが、今日では地方の人が中央へ出てきて、中央ですべての話をするというようなことになりましたために、府県別の実情はわかるにしても、地方の特殊性、たとえば九州であるとか東北であるとかいうよう地方の広域にわたる特殊性、関連性というものが、間々私は政治の上に具現していないのじゃないかという気持がいたします。そういう意味において、中央の役人がなるべく地方に出かけていって地方の特殊性について十分認識を得て、そこに地方の特殊性のある行政を打ち立てていくことが必要であるというふうに私は考えるのでございます。かつて農林大臣をいたしておりましたときにも、地方農林局を設置するということを私は提唱いたしました。建設省におきましても、中央にすべての許認可を握って、そうして東京で政治をやるということを離れて、地方の特殊性に触れて、それぞれの行政官、それぞれの技術者が、常に地方の実情を広域に認識して、そうしてこれらの仕事をやっていくということのほうが、ほんとうの政治のあるべき姿ではないかという考えのもとに、この機構の改革をぜひ実現いたしたいという考えで御審議をいただいているということが、私の信念でございます。
  63. 田口誠治

    田口(誠)委員 地建を強化されて、地建への権限委譲ということも相当あるわけなんですが、そういたしますと、中央で仕事を委譲した場合には、本省のほうの事務量が少なくなるか、それとも地方が増大するか、こういうことに図面を書くとなるわけなんです。ところが、今度の委譲の内容を見ますと、中央本省としては別に定員を縮少するという余裕は出てこないと思います。そうかといって今度は地方へ参りますと、いまですら人員が非常に少なくて労働強化をいたしておるというような実態でございますから、その上事務量が多くなるということになれば、必然的に労働強化になるわけでございます。労働強化になるくらいならまだ行政としては成り立っていきますけれども、実際に事務量が多くて、労働強化をしても完全な行政ができないということすら想像されるわけでございますので、したがってこの定員増の関係をいろいろ見てみますと、これは本省から地建へ、こういうような異動はございますけれども、完全な定員の増というものは、今度の提出法案にもあまり出されておらないわけなんであります。私、こういうような点から考えてみますと、一つの構想は構想として出されておるけれども、実際に大臣がお考えになっておられる構想は実現するか、功を奏するかということは、大きな疑問があるわけなんです。こういう点について、どうお考えになりますか、ひとつ承りたいと思います。
  64. 河野一郎

    河野国務大臣 端的に申し上げますと、いままでの地方建設局は、それぞれの地域において直轄事業の立案者であり、指導者であり、監督者であった。これからは直轄事業もさることながら、直轄事業を直営し、それを指導し、監督するという従来のたてまえから、そうでなしに、もう少し大幅に入って、直轄事業にしても、それは直営はしない。それから府県の仕事の補助事業についても、直接地方府県の補助の仕事の内容、実態に触れて御協力申し上げるということに地方建設局の行政のあり方を変えていこう、変えていかなければならぬというのが、私の指導方針であります。したがって、これらに所要の技術官、事務官等は、若手の連中を大幅に入れかえしようということが私の考えでございまして、それに合うようにひとつ案を立ててやれ、こういう命令を私はいたしまして、事務当局でつくり上げたものがここにできておるものでございまして、内容についても私の指示どおりにできておる、こう考えております。したがって、定員が云々ということにつきましては、私はつまびらかにいたしておりませんけれども、行政方針としては、いま申し上げたように、そう一ぺんにはできません。できませんけれども、順次その方向にいけるような行政機構に変えろ、こういうことで指導をいたしておるわけでございます。
  65. 田口誠治

    田口(誠)委員 定員の関係はあとでまとめてお伺いいたしたいと思いますが、いま大臣が構想されておる地建へ仕事を委譲するということは、ことばをかえて申しますれば、形式的な事務の委譲であって、実質的な権限の委譲というものがあまりないと思います。そうなりますと、各都道府県から地建へ行って、いろいろと陳情をしたり、交渉をしたり、相談をしたりすることが、地建ですぐさばけないという仕事が相当にあると思うのです。したがって、これは中央本省のほうへ出かけてこなくてはならない、こういうことになりますので、先般村山委員のほうからも、二重行政になるんじゃないかという点を相当指摘をいたしておりましたが、私どう考えてみましても、やはり事務だけ形式的に委譲をして、そして実質的な権限というものが本省にまだ保留されておる、こういうよう考えるわけなんですが、その点は、どの程度地建で消化できるのか、この点をやはり明確にしていただきたいと思います。
  66. 河野一郎

    河野国務大臣 基本方針を私指導いたしますから、それに地方で御納得いただければ、中央においでいただくことはない。無理を言うて、どうしてもというならば、東京まで来ていただかなければならぬ。だから、問題は、どういう行政をやりましても、課長だけで済む場合もあれば、局長までいかなければならぬ場合もある、大臣まで行かなければならない場合もあるということと私は同じじゃないかと思うのです。それを二重行政だ、三重行政だといえば、二重行政、三重行政になる場合もある。要は、地方の方が政府の方針に御協力願って、大体のことはお片づけいただく。むろん事前に、府県との間にいろいろな往復もあるでしょう。府県からいろいろなことを伺って、基本方針を定め、先ほど村山さんからもお話がございましたが、そういうことも十分勘案して、予算の割り振り等もいたします。いたしますが、どうしても承知ができない、どうしてもここはこういうふうにしてもらわなければいかぬということで、おまえでは話がわからぬから東京まで行くぞということで、どういうふうにしておいても、向こうが東京まで出ていくぞということならば、これもいかぬということになりません。どうしてもそういう困難な問題に直面すれば、二重行政になる。これは双方の受け取り方、これはここまで事前にこうやっておいたほうがいいだろうということにだんだんなれてくれば、こういうことが二重行政でなしにいくようなことになる。初めから全部二重行政になるとは思っていないのです。こうすることによって、地方の方が便利になる点も相当多かろうが、二重行政絶対なしとは私は申しません。そういうこともあるだろう。しかし、そういうことは、お互いの理解のうちに問題は片づいていくだろう。私は現に、先ほども申し上げましたとおり、中央に各府県がこんなに事務所を置いたり、大ぜいの人が金もないのに東京に泊まり込んだりして、東京に出てきておる。府県から出張所まで置いてやっている。こういう姿は何としても解消しなければいかぬ。それには、こちらから出ていったほうがいいだろう。それで、ある程度片づけるものは片づけたら、相当効果があがるのじゃないか、私はこう思うのです。したがって、行政がここまでいろいろ複雑になってまいった以上は、地方の人が、おまえらが出てくるな、地方自治の侵害だ、侵害だとおっしゃるけれども、こちらから行って御協力申し上げようといって出かけていくほうが親切じゃないか。片づかぬものは、これはおいで願ってもやむを得ないのじゃないかと思います。
  67. 田口誠治

    田口(誠)委員 そこで具体的に申し上げますが、現在直轄事業というものは、金の値打ちもなくなりましたので、一億円以下というものはまずないわけです。そうなりますと、工事の入札指名権というものは一億円に線が引いてあるということ、そうすると、一億円まで委譲しても、何らその仕事はないということになります。だから、地建を強化した、地建へ権限を委譲した云々と言われても、これは形式的な事務であって、実際的にはその権限は本省に握られておるということ、このことは河野大臣が力説されることと逆ではないか、こういうよう考えられるので、そういう点については、今後どこまで委譲させる考えがあるのかどうか。私は、どうもこの法案はちょっとずさんな面があると思うのですが、ひとつ御答弁をいただきたい。
  68. 平井學

    平井(學)政府委員 ただいま一億円以上の工事の指名を中央で承認事項にしておる、それでは事務委譲にならぬではないかというふうに私解釈いたします。たとえば道路工事だけについて見ましても、実は一億円以上の指名案件といいますのは、月平均、大体全国八地建で七八十件くらいしかございません。件数にいたしますと、道路の直轄工事全体の中で、一割にも満たない程度の案件でございます。地建では、一億以下の五千万とか七千万円という工事がやはり相当数ございます。河川につきましても同じでございます。一億円以上の案件は、きわめて少数でございます。さようなわけで、これを地方に委譲しないからといって、委譲の根本原則にはほとんど影響ございません。また、これにつきましては、先般のこの委員会大臣が御説明されましよたうに、やはり一億円以上の工事につきましては、機会均等とか業者の負担能力の調整とか、そういう点からするのでございまして、当面の事務委譲の問題とは根本的に矛盾するものではない、かように私ども考えております。
  69. 田口誠治

    田口(誠)委員 都道府県で請負をさせる場合と本省直轄という形をとる場合と違いますが、いまの工事の請負の実態を見ますと、分割し過ぎておって、そしてその分割しておることが工事をスムーズに行なうということに非常に大きな支障を来たしておるという面があるわけです。これは、特に道路関係なんかは痛感をしておるわけです。こういう点はどうお考えになるのか。それといまの一億円云々との関連があると思います。
  70. 河野一郎

    河野国務大臣 私は、大きくしたほうが能率があがる、経済であるというふうに当然考えます。しかし、これは私が自分で立ち会って一番悪い例だと思うのでございますが、先般、首都高速道路公団道路の開通式に参りました。ところが、都知事さんがわずかな距離の道路の開通式に、七十何社に感謝状を授与しておられるのを私は見ました。ここには地元のいろいろな業者が出てきて、それぞれ頼んでやったのだろうと思いますが、こういうことになりますと、これは逆に弊害が出てきはしないかとさえ思うのです。ここらのところは、非常にむずかしいところであります。地方にまかせますと、そこに地方の方からいろいろと、悪いことじゃないんでしょうが、人情――この仕事はこっちに、この仕事はこれらにということが出てくるのじゃないかと思います。ここはどうしたらいいか、一億を五億に上げたらどうだということになれば、おそらく五億以下という工事は全部地元で片づけてしまって、中央へ上がってくるのはないようになるであろう。一億にしましても、いま申し上げるとおりのようなことになる。逆に、それじゃ地方にまかしたらどうかというと、いまのようなことで、地方のいろいろな人たち関係で、これが大きくできない。そこらのところが、工事を進行させる上で非常にむずかしい点でもあります。この間、具体的なことを申し上げますが、いま私が一番困っておりますのは、三軒茶屋から先の道路工事で皆さんにたいへん御迷惑をかけておる。ここを皆さんが自動車でお通りになっても、これは何々土建会社がやっておるのだといって、看板を見てもおそらくどなたも御存じのないような土建会社の看板で、もっと人間をたくさんふやして工事を進行させいと言いましたところが、人間を集める力もあまりないというような実情でございます。ここらのところに非常に実は――こちらを立てれば別のほうで弊害が起こってくる、そちらをやれば片一方に議論が出てくるというようなことで、なかなかむずかしい点でございまして、臨機応変にいくよりほかしようがないのじゃないか、こう考えておりますが、先ほど訂正いたしましたように、三十二年来やっております現在の程度が、まあまあというところじゃなかろうかと私は考えております。
  71. 田口誠治

    田口(誠)委員 そこで、これは私がそういう主張をしておるというわけではありませんけれども、まあ地建を強化して、地建に権限を委譲するということになりますと、工事予算とか補助予算、こういうようなものは本省が握っておるわけなんで、今度地建を強化して、地建から相当いままでより以上の強い要請なり、また地建から圧力がくるということはないでしょうけれども、そうした中央への相当の働きかけのあったような場合に、こういう工事予算、補助予算というようなものを、一つの工事を請け負わせる場合の指名権が一つの線を引いていると同様に、予算の面に対しても線を引くというようなことは関連して考えられることなんですが、こういう点についてどういうようなお考えでございますか。
  72. 河野一郎

    河野国務大臣 これはもう初めから申し上げておりますとおり、基本方針は中央できめております。たとえだ、私は、この日曜日に現地へ参りまして視察をして、十分現地調査の上決定ようと思っておりますが、大阪から和歌山へ参ります第二道路を、どこを通すか、どういう方針でやるかということにつきまして、委譲したといいながら、やはり中央でその方針はきめます。そうしてそれを実際に、実施、運営させるのは、地建にやらせますということでございます。
  73. 田口誠治

    田口(誠)委員 今度の新河川法の提出に対して、都道府県の知事会等が相当に反対をやったのですが、これは一年のうちに相当詰めた話し合いもされておるようですけれども基本的な考え方として、これは反対をする、なお話し合いをつけるという点が残っておると思うのですが、この点は、こういう建設行政として正しいあり方というものを、どういう受け取り方をしておられるか、把握をしておられるか、一応大臣から承りたいと思います。
  74. 河野一郎

    河野国務大臣 この機構改革につきましては、だんだんお話のありますように、二重行政にならぬように十分注意してくれという知事さんからのお話があります。これは私は十分、知事さんから言われるまでもなく、先ほど来申し上げておりますとおりに、私の考えております行政方針でいくのだということをよく申し上げて御了解を得ている、こういうつもりでございます。それから河川法につきましては、これは御承知のとおりでございまして、当初のころはだいぶんむずかしい話もありましたが、一年間だんだんたっておるうち、今日では反対の県はほとんどございませんで、まあやってみれば大体おわかりいただける。それからまた、反対の御意見のあったことはこちらも十分注意してやるということでちょうどいいところにいくんじゃないか、こう私は思います。
  75. 田口誠治

    田口(誠)委員 ちょっとその答弁では、私が引き出そうと思ったことは引き出せないので、追いかけ質問をしても、大臣としてはそういう程度の回答だろうと思うので、やりません。  そこで、私事務当局のほうにもお聞きしたいと思いますが、先ほど来定員の問題で村山委員のほうからも質問がございましたが、村山委員は具体的な面について質問をしましたが、私は大まかなことをお聞きしたいと思うのです。現在地建のほうでは、技術職員のほうが多くて、行政職員のほうがどちらかというと足りないというように把握しているのです。それは間違いないかどうかということです。そして今度地建を強化され、権限を委譲された場合には、行政職員というものを強化しなければならないと思うのですが、そういう点はどう考えておられるか。これは実際的に取り扱っておられる方として、ひとつ実際を説明していただきいと思います。
  76. 河野一郎

    河野国務大臣 先に私に言わしてください。  私は、元来建設省ような役所で、行政職員とか技術とかいうことで分けていつまでも役人さんが考えておられることはよろしくない。技術者であっても行政のことも覚えるがよろしい。現に局長だって半分は技術者なんですから。それをいつまでもおれは行政官だ、おれは技術屋だというように分かれてものを考えて、内部でお互いにこれは技術屋、あれは行政屋だというようなことを言っておられるような感覚では、実際役人として困る。行政官であっても、勉強して多少の常識的な技術のことを覚える。専門的な設計をするとか、専門的な監督をするとかいうことになれば別ですけれども、下のほうでやられる場合の許認可の行政事務をとる場合に、行政官だ、事務官だといつまでも言っているのではなしに、ひとつ双方ともに十分勉強してやり上げていく。きっすいなものは違います。これは行政官でなければいかぬものもあるでしょう。それから技術官でなければいかぬものもあるでしょう。しかし、特にきっすいなものは、技術については、それぞれ技術研究所があり、道路についても、河川についても、みな研究所があって、そこの基本的な指導のもとにやっておるのですから、私はあまりいつまでも行政官が足らぬとか、技術屋が余っているとか足りないとかいうよう考え方でなしに、応は――たとえば先般も申し上げましたように、今回採用する場合にも、正確な数字を申し上げますと、七十五名中行政のほうが十二名ということで幹部職員の採用をいたしております。こういうことでございますから、これがだんだん中核になってわが国の建設行政を担当してまいることになるのでございますから、これらの者がいずれもおれはどっちだこっちだとばかり言っていないで、いやしくも局長になる以上は、技術官であっても行政が十分たんのうでなければいけませんし、また、行政官であっても技術の点について常識的なものは十分把握してもらわなければ困るということだと思うのであります。今回の行政機構改革にも、内部で、一部にこれは技術局が圧迫されるとか、いや何がどうだというような間違った考えを持って外部に働きかけて云々しておる職員があるように私は聞いております。しかし、そういうことは非常な間違いである。みずからがそういうものを突破して、努力して勉強してやっていただく。決して私自身が、あれは技術屋だからこのポストにはしない、何のポストは与えないということはいたしたくないつもりでございますから、ひとつ御理解ある御協力をいただきたい、こう思うのです。むだなことを申し上げて御無礼かもしれませんが、あとの詳細なことは、事務当局からお答えいたさせます。
  77. 平井學

    平井(學)政府委員 事務当局から、大ざっぱな数字について御説明いたします。  現在、地方建設局には、職員が大体三万三千名おります。そのうちで行政職(一)が約二万一千、それから行政職(二)が約一万二千、かよう配分になっております。それで事務の根幹になりますのは、行政職(一)でございます。行政職(一)の二万一千名中、いわゆる技術系統と事務系統とは、人数から申しますとおおよそ五分五分でございます。総数六百八十八名の職員を事務委譲に伴って振りかえなり本省からの配置がえで調達いたしますが、これも大体事務系統といわゆる技術系統とはおよそ半々の見込みで現在研修なりそういうものを考えております。ただ、おおよそ一万二千名おります行政職(二)につきましては、これは御案内のように、必ずしも現在フルに動いておるわけではございません。往時のいわゆる臨時職員、臨時の雇員が定員化されたものでございまして、年齢からいっても必ずしも現在の仕事にそのままぴたりと合った者ばかりでもございませんし、またフルに活用されている者ばかりでもございません。さればこそ、その中の一部を人事院と協議して行政職(一)に振りかえられる者は振りかえる。それから実員において空席の者はできるだけ振りかえて、税金によって養われている職員が、できるだけ不能率に働かされないようにする、こういうよう考え方でやるわけでございます。その辺の実情のところを簡単に御説明いたしました。
  78. 田口誠治

    田口(誠)委員 いまの二万一千名の中の行、それから技術が半々という分布は、これで支障がないかどうかということを、私はお聞きしておるのです。
  79. 平井學

    平井(學)政府委員 現在のところ、これでおおよそ事務は円滑に進行しておると思います。
  80. 田口誠治

    田口(誠)委員 その点については、本庁の官房のところまで、これは労働組合関係からでも、またその他建設局のほうからでも、いろいろと定員の要請があろうと思いますが、そういう要請の中で、この半々という分布は正しいというよう考えておられるか、それともそうした要請はこうあるけれども、現在はこうなんだ、将来はこうするのだ、何かこういう建設的なことがなければならぬと思うのです。現在の技術職員とそれから行政職員の分布比率は、アンバランスになっておる。私はこういうよう考えておるのでありますが、そういうことは別段把握されておらないかどうか。
  81. 平井學

    平井(學)政府委員 私ども、職務上しばしば全建労あるいは第一線の職員の団体の代表の方々とお会いいたしまして、いろいろ御注文なり法規に基づく御要求を承っておりますが、どちらかといえば、むしろ一般的にベースアップの問題が大部分でございまして、特殊な技術者を除いて、職員が足らぬで困る、こういうことは、そう強い要求としては承っておりません。
  82. 田口誠治

    田口(誠)委員 聞いておらないということであるならば、それ以上の答弁はできないと思いますが、特に地建の関係技術職員の方と行政職員の方のバランスをとるように、ひとつこれからその方面にも相当意を置いていただきたいと思います。これは現在のところそうした把握がないとすれば、私が実際聞いたり見た現状からいきますと、回答に相違がございますから、あえてこの点を要望いたしておきます。  そこで、先ほど大臣技術職員、それから行政職員が、一々行政職員だ、技術職員だといって仕分けをして一つの勢力争いのようなことをやることはおもしろくない、行政職員であっても、技術職員のある程度の必要な技術、専門的な勉強もしなくちゃならないし、それから技術職員でも、やはり行政職員としての、すなわち政治、経済関係勉強をしてもらわなければならない、こういう人つくりが必要だという答弁でございましたが、私も、その点については全く賛成でございます。  そこで、今度出されておる建設研修所に関連をして、建設大学校に改める云々というこの項でございますが、これは村山委員のほうからも若干質問をいたしましたが、私、ちょっと座をはずしておりまして、聞き漏した点があって、重複する点があろうかとも思いますが、この研修所とか講習所というようなものは、どこの役所にも、また民間の事業所にもあるわけであります。それで、先ほどからの建設大臣の構想からいきますと、たとえば行政職の職員の人たちも専門的な知識を得させようと思えば、大学を卒業して国家試験を通った人でも、いま提案されておる建設大学校というところで勉強させるのかどうか、これをまずお聞きしたい。
  83. 平井學

    平井(學)政府委員 お尋ねのような大学を出て上級職を通ったような者につきましては、ここでは現在教育をする計画はございません。
  84. 田口誠治

    田口(誠)委員 そういたしますと、技術屋、すなわち技術職員で大学を卒業して国家試験にパスして建設省職員になった者は、必要な時期にはこういう政治、経済関係勉強をさせるための内地留学というものは、いまされておるのかどうか、この点もお聞きをいたしたい。
  85. 平井學

    平井(學)政府委員 御指摘のような幹部要員の教育につきましては、建設研修所では特に計画をしておりませんが、御承知ように、人事院が各省を通じて、いわゆる事務、技術を問わず、上級職試験に合格した幹部要員の若い人について、年次計画をつくって、各省それぞれ公平に人数を割り当て、短期間の教育はいたしております。しかし、建設研修所では、さような大規模なものはやっておりません。
  86. 田口誠治

    田口(誠)委員 これは大臣にお伺いをいたしたいのですが、いまのところ、各省とも技術職員は、全部ではないと思いますけれども、その中でも特に優秀な将来の大幹部になる候補生は、員数をそれぞれ割り当てて、たとえば一橋大学で政治、経済を学ばせるとか、こういう内地留学がなされておるわけなんです。したがって、いまの官房長からの答弁からいきますと、これは人事院から割り当てをもらって、そのワク内においてそうした勉強をさせるのだということなんですが、河野建設大臣の先ほどからの構想からいきますと、これはいわゆる技術屋さん、技術職員の人は、やはり政治、経済関係勉強もしてもらっておかなければ、国家試験を通って、建設省に入った職員として十分ではないと思うのです。こういう点のワクを相当広げる必要があろうと思います。これは単に人事院にワクをまかせるということでなしに、河野建設大臣の構想からいきましても、そういう方面に相当力を入れてもらわなければならないことになるわけなんですが、この点について、現在と将来の考え方をひとつ承りたいと思います。
  87. 河野一郎

    河野国務大臣 わが国においては、かつてそういうことをやった時代もあるように私は記憶をいたします。これは実は戦時中のことでございますから、別の意味の教育をしたかもしれません。しかし、そういうふうなものの考え方は正しい考え方であって、これをただ単に人事院にまかしておいていいか悪いか、人事院の人事に対する関係がどういうふうになっているか、私つまびらかにいたしませんが、将来わが国の行政の中核になる諸君について、ただ単に大学教育の試験のパスというだけでは十分ではないのでございまして、そういうふうな教育を施すことが必要なことには変わりはない。できるだけそういうことを各省を通じて政府として考えたらいいのじゃないかということは、いまあなたの御指摘になりましたことは、私全く同様に考えます。
  88. 田口誠治

    田口(誠)委員 突っ込んでお伺いいたしますが、いま私の申し上げましたようなことをやらなければ、技術専用学校を出て、そして省に採用された場合に、何かそういう勉強の機会を与えてもらわなければ、技術屋さんは政治、経済の専門的な勉強はできない。その勉強ができなければ単なる技術屋だけでは、いわゆる大幹部の資格は私はないと思います。そしてまた行政職員でも、建設省なら建設省、林野庁なら林野庁、こういうような専門的な仕事をする省におる人は、単なる東大の法科を出てきただけでは、私は大幹部としての資格に失する点が出てくると思うのです。したがって、そういう内地留学云々というようなことが多数の者にできなければ、大学を卒業して入った人でも、国家試験をパスして入った人でも、こういう研修所――今度は建設大学校になりますが、建設大学校に入れて、専門的な知識を勉強させる必要があろうと思うのです。その点、どういうようにお考えになりますか。
  89. 河野一郎

    河野国務大臣 よく検討いたしてみます。いますぐにここでお答えしかねますから、よく研究いたします。
  90. 田口誠治

    田口(誠)委員 それはいますぐどうだという答弁はできぬから、研究という答弁で終わったと思いますが、これは特に技術関係を担当するところの省庁を見ますに、技術専門学校を出た人は、ほんとうに大幹部になろうとすれば、何といっても内地留学の一年くらいはさせて、そして政治、経済方面の勉強をさせなければならない。学校は東大の法科であろうとも、専門的な知識をどこかの機関で勉強させる必要があると思うのです。こういうようなことが実際になされておらぬところに、何だか都道府県の知事さんあたりからも軽蔑され、指摘をされる面がちょいちょいあるわけなので、私はこういうことを考えますと、この職員の教育問題については、相当これから研究をしていただく余地があろうと思いますので、その点は研究をしておいていただきたいと思います。  それから今度建設大学校に改めて、大学校という名前がつくのですが、これは単なる建設業務の技術的な研修を行なうだけで、その他のものは別に勉強させるということにはなっておらないのか、ちょっと内容説明していただきたいと思います。
  91. 平井學

    平井(學)政府委員 御説明申し上げます。  この建設大学校は、大別いたしまして養成科と本科とございます。養成科、本科を通じて言えますことは、単に建設省系統の地方建設局の職員のみならず、都道府県の知事さんからも委託を受けて、府県の土木部の中堅職員をお預かりすることにもなっております。大体高等学校卒業程度またはこれと同程度以上の学力を有する者ということになっておりますが、大体第一線の中堅技術者、そうして内容的には道路河川、建設機械、建築、営繕、土木、都市計画、総合計画、農地、ほとんど建設本省の各局で所管している全部の科目について、それぞれ講義をいたしております。特に最近は、第一線に立つ現場の職員が、基礎ないし技術が未熟でございまして、府県の知事さんからも非常におしかりを受けておりますので、住宅建設あるいは請負監督、こういった方面の技術の講座もございますし、特に最近力を入れているのは、測量関係の測地、測図、こういったところまで科目を設けて養成に当たっているような状況でございます。
  92. 田口誠治

    田口(誠)委員 研修の期間はどの程度ですか。
  93. 平井學

    平井(學)政府委員 科目によって違いますが、しろうとから養成する養成科が百八十日、半年、それからその他の先ほど申しました道路河川あるいは建築、こういったものが短い期間で三十日、長いので同じく半年ですが、三十日、六十日、百八十日というように、それぞれ分かれているわけでございます。
  94. 田口誠治

    田口(誠)委員 これは行(二)は別として、全員が対象になるのですか。
  95. 平井學

    平井(學)政府委員 これは収容力に限度がございまして、それぞれ各都道府県ごと計画を立てまして、この収容力の許す範囲で、毎年相談をして御収容いたしたいと思います。したがって、むろん先ほど申し上げましたような高等学校卒業程度以上の者について、先ほどの最高幹部要員は別といたしまして、中堅職員の養成という観点から採用、入学をさしております。
  96. 田口誠治

    田口(誠)委員 そうしますると、建設省関係職員で高等学校以上――大学は別として、高等学校以上の人は、全員が百八十日なり三十日なり、それぞれの期間勉強をさせる、研修をさせる、こういうことなんですか。全員が対象ですね。
  97. 平井學

    平井(學)政府委員 たてまえとしては、全員が対象になります。
  98. 田口誠治

    田口(誠)委員 全員でない場合もあるのですか、何か特殊なものがございますか。
  99. 平井學

    平井(學)政府委員 先ほど申しましたように、講座が設けられていないような仕事をやっておる者、たとえば庶務的な仕事、会計、こういったものは、たてまえ上はあれですが、実際上いま入学させる手段がございません。
  100. 田口誠治

    田口(誠)委員 百八十日ここで研修を受けていった者といかない者と、等級の上がり方は、何か差別があるのですか。
  101. 平井學

    平井(學)政府委員 特にございません。ただ、各省共通の事項として、この研修期間中、最後に試験がございますが、ここで優秀な成績をおさめた者は、人事院の規則に従って特別昇給の恩典がございます。これは各省共通でございます。
  102. 田口誠治

    田口(誠)委員 ここで研修した者で試験を受からぬ者もあるのですか。
  103. 平井學

    平井(學)政府委員 それは資格試験でございませんので、やはり研修の成果を測定する、取りまとめるという、いわゆる卒業試験でありまして、これによって及落をきめるというものではございません。
  104. 田口誠治

    田口(誠)委員 こういう研修所に勉強をした人たちが、どの程度頭へ詰め込んでおるかということを試験制度でテストをしてみる場合には、これは学校の進学試験なんかとは違って、いろいろな常識問題もあります。そうしますと、総合点数からいって、大体これは終了証書のもらえる者が九九%、特殊な人は別としまして、大半がそういう人でなければならないわけです。それで研修するとしても、研修のしかたにいろいろあろうと思いますので、ここで注文やらお聞きをしておきたいと思いまするが、とかくこの研修所へ入りますと、労働組合の運動、また労働組合に対するところの反動的な教え方をする。そこで反動的な仕込みを行なうということが、たまたまあるわけなんです。これは建設省の建設研修所においては、そういうことがあるかないか知りませんけれども、往々にしてそういうことがあり得るのです。したがって、最後に試験をする場合の常識的な答案の書き方によって、相当点数のつけ方が違って、そして終了証書を与える、与えないということになりまして、そのことがすなわち給与の面においても、あるいは進級の場合にも影響してくるというようなことがあり得るわけでございます。これはあくまでもその与えられた仕事を有効にさばき、そうして能力を発揮させるためにこういう制度を設けてあるのであって、その中で労働運動を弱体化するような教育がなされるとするならば、これは大きい問題でございますが、そういうことは厳に慎まなければならないと思います。したがって、建設研修所の場合には、今日までそういうことがあったかなかったか私はわかりませんけれども、他にそういう例がありますので、老婆心ながら注意を申し上げておきたいと思います。そういう点の心配はございませんですね。
  105. 平井學

    平井(學)政府委員 わが建設研修所におきましては、過去においても、創立以来さようなことは全然ございませんし、今後とも運営上さようなことをさせるつもりは全然ございませんから、それは御心配要らないと思います。
  106. 田口誠治

    田口(誠)委員 そういう御答弁であれば満足でございますので、そのとおりにひとつお願いをいたしたいと思います。  質問することは残っておりますけれども、一時からちょっと用事がありまして、私の権利を放棄しまして、これで質問を打ち切ります。
  107. 徳安實藏

    徳安委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は、来たる十二日、午前十時理事会、十時半委員会を開会することとし、これにて散会いたします。    午後零時五十六分散会