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河野国務大臣 私、実は建設
大臣になります前に、長年政治に関与してまいりましたが、建設
大臣になりまして直接にこの行政に携わってみまして、いろいろ新たに教えられる点が多かったわけでございます。と申しますのは、現にわが国は、にわかに
地方各
府県の行政を広域行政に改革し、転換し
ようといいましても、なかなか実情はむずかしいと私は思います。ある時期には当然そういうことは実施されなければならぬかと思いますけれ
ども、そこに至るまでにはまだ相当の経過があるだろう。しかし、現に
国土の再編をしてまいる、
地方の実情に適した行政をしてまいるということになりますと、当然そこに
河川行政の一貫性、
道路行政の一貫性というもの、
府県別行政区域を離れた一貫性をそこに求めるということの必要性を、その衝に当たりますと、私は痛感するわけでございます。そういう意味合いから、私は、
河川法にいたしますれば、どうしても旧
河川法でなしに、新
河川法の必要性を痛感し、長年にわたってなかなかむずかしい問題もありましたけれ
ども大かたの御了承を願い、御協力願って、実は
前回の国会で衆議院のほうは通過するまでに至った。今回も、いまや
河川法についても参議院で審議を願っておるところまでいっておるということでございます。今回のこの機構改革にいたしましても、
地方の
府県の特殊性ということによって、
地方自治の侵害という
ようなことをよくおっしゃいますけれ
ども、今日はむしろかつての時代とは違いまして、
地方の各
府県の諸君が、中央の
東京のまん中にいずれも事務所を持たれて、そこまで出てきて、そこから中央の各方面を攻略して回るという
ような実態になっておるのじゃないかと思うのであります。そのために、中央におります者は、従来は
地方まで出かけて行って
地方の実情に触れてやっておったものが、今日では
地方の人が中央へ出てきて、中央ですべての話をするという
ようなことになりましたために、
府県別の実情はわかるにしても、
地方の特殊性、たとえば
九州であるとか
東北であるとかいう
ような
地方の広域にわたる特殊性、関連性というものが、間々私は政治の上に具現していないのじゃないかという気持がいたします。そういう意味において、中央の役人がなるべく
地方に出かけていって
地方の特殊性について十分認識を得て、そこに
地方の特殊性のある行政を打ち立てていくことが必要であるというふうに私は
考えるのでございます。かつて農林
大臣をいたしておりましたときにも、
地方農林局を設置するということを私は提唱いたしました。
建設省におきましても、中央にすべての許認可を握って、そうして
東京で政治をやるということを離れて、
地方の特殊性に触れて、それぞれの行政官、それぞれの
技術者が、常に
地方の実情を広域に認識して、そうしてこれらの仕事をやっていくということのほうが、ほんとうの政治のあるべき姿ではないかという
考えのもとに、この機構の改革をぜひ実現いたしたいという
考えで御審議をいただいているということが、私の信念でございます。