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1964-04-28 第46回国会 衆議院 内閣委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月二十八日(火曜日)    午前十時四十分開議  出席委員    委員長 徳安 實藏君    理事 伊能繁次郎君 理事 辻  寛一君    理事 内藤  隆君 理事 永山 忠則君    理事 八田 貞義君 理事 石橋 政嗣君    理事 田口 誠治君       岩動 道行君    佐々木義武君       壽原 正一君    高瀬  傳君       塚田  徹君    綱島 正興君       藤尾 正行君    保科善四郎君       前田 正男君    松澤 雄藏君       渡辺 栄一君   茜ケ久保重光君       村山 喜一君    山田 長司君  出席国務大臣         農 林 大 臣 赤城 宗徳君         建 設 大 臣 河野 一郎君  出席政府委員         農林事務官         (大臣官房長) 中西 一郎君         農林事務官         (農林経済局         長)      松岡  亮君         農林事務官         (農政局長)  昌谷  孝君         農林事務官         (園芸局長)  酒折 武弘君         農林事務官         (農林水産技術         会議事務局長) 武田 誠三君         林野庁長官   田中 重五君         水産庁長官   庄野五一郎君         建設事務官         (大臣官房長) 平井  學君         建設事務官         (大臣官房会計         課長)     吉兼 三郎君  委員外出席者         専  門  員 加藤 重喜君     ————————————— 四月二十四日  委員塚田徹辞任につき、その補欠として中川  一郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員中川一郎辞任につき、その補欠として塚  田徹君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  建設省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二六号)  農林省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一三号)      ————◇—————
  2. 徳安實藏

    徳安委員長 これより会議を開きます。  建設省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。永山忠則君。
  3. 永山忠則

    永山委員 建設省設置法の一部改正臨時行政調査会との関係は、どういうようになっておるのでありますか。臨調はどういうようにこの問題を取り扱っておるのか、伺います。
  4. 河野一郎

    河野国務大臣 御承知のように、各省とも臨時行政調査会の決定を待つに至らずして、緊急を要するものについてはそれぞれ設置法改正案ということにいたしておりまして、建設省におきましても、その趣旨に沿って改正をしたい、こういうことでございます。
  5. 永山忠則

    永山委員 非常に緊急を要するから、臨調調査の結果を待たずに提案時行政調査会は、建設省関係設置に関しましてすでに中間的に意見を出しておるようでございますが、それはどういうようにお考えになりますか。
  6. 河野一郎

    河野国務大臣 今回われわれが考えておりまする趣旨と、おおむね同趣旨の報告をしておるようでございます。
  7. 永山忠則

    永山委員 私の調べました範囲では、趣旨は根本的に違うと思うのであります。臨調のほうは、地方委譲に関しまして、大幅にできるだけ府県のほうへ委譲していく。もちろん中央から地建委譲することも言っておりますけれども、しかし、府県委譲重点を置いておるように考えられておるのでありますが、いかがですか。
  8. 河野一郎

    河野国務大臣 私が申し上げましたのは、私がいま設置法考えておりますことは、補助金事務、これが一番大きなものでございます。これは国費を、どういうふうに補助金を出すかということでございますから、府県委譲のしようはございません。本来の建設省仕事でございます。それから他は許可、認可に属するものでございますから、これも府県委譲しようはございません。そういうものを地方建設局委譲していこう、こういう考えでございます。
  9. 永山忠則

    永山委員 そうすると、臨調のほうは、府県委譲を強く主張しておるが、委譲する理由はない、したがって本法案を提案しておるということでございますが、これは意見でございますけれども、できる限り府県委譲主義をとることが民主政治基本でございまして、政府行政において、各地方局を強化していくという考え方が、私はむしろ権力主義につながるものであって、民主主義に逆行するという考え方を持っておりますので、臨調意見は即座にひとつ取り上げて、これは一般論になるかしりませんけれども、できる限り地方庁府県のほうへ委譲できるものは委譲していくというようにやることが好ましいものであるというように考えられるのでございます。ことに大臣は、非常な党内における、なお内閣における権威でございますから、将来やはり中央権力を拡大強化して地方まで持っていくということでなしに、自治体、自治方面のほうへ大幡に委譲して、地方各局をできるだけ縮小もしくは廃止して、行政簡素化をはかって中央権力主義を排除するという方向へ向かって御考慮を一般論として願いたいと考えておりますが、それに対するお考えはいかがですか。
  10. 河野一郎

    河野国務大臣 私も全く同様のことを考えておりますが、いかんせん経済その他一般国民生活が、非常に広域にすべてのものに関係を持つようになってきておりますことは、御承知のとおりであります。したがって、地方自治におきましても、今日の現状から、さらに府県の統合ないし広域自治が実施されるようになることが一先決問題ではないかと実は私は思うのであります。今日の現状府県制は少し範囲が狭いきらいがありはせぬかと思う点は、特に私は建設大臣として、いまのご趣旨に多少沿わぬ点が出てきますことは、たとえば道路にいたしましても、この狭い日本でございますから、府県がもう少し大きくなっておりますれば、たいていのものは一つの県内で発着点がおさまるというようなことでございますと、県に相当委譲していいものもできてくると思います。ところが、何分一本の道路にいたしましても、何県から出発して何県を通って何県に至るというような道路が、国道の場合には多うございます。そうなりますと、この道路一貫性が欠けますと、御承知のとおり、わが国各地に存在しておりますように、県の境に参りますと、こちらの県の道路の幅と次の県の道路の幅が違う、同じ二級国道であっても。そういう現状がしばしば見られるというようなことになっておりまするし、河川行政におきましても、そういう点が関々存在しておるというようなことからいたしまして、河川法にいたしましても、いま道路法改正を願おうと思っておりまする点にいたしましても、どうもこれらをあげて地方委譲するということが困難な点がある。これらの一貫性を求めなければならぬ点が現にありまするので、そういう意味合いから、これらの一貫性をはかる意味でこの企画を中央においていたしまして、これらの事業や、これらの個々管理というものは、地方に移せるものは地方に移していくということにいたしていくべきではないかという考えでやっておるわけでございます。
  11. 永山忠則

    永山委員 政府のほうにおきましても、地方広域行政の確立ということにいまして、これは要するに中央権力主義を排除して民主政治を確立する一環のものであると考えられるのでございまするから、将来におきましてこの矛盾性がないように、特段の御注意をお願いをいたしまして、次に本案についてお尋ねいたしますことは、二重行政、二重監督の弊におちいることにはならないかという点に対し非常なる疑義を持っておるのでございますが、この点に対する大臣の御意見を伺いたいと思います。
  12. 河野一郎

    河野国務大臣 私、前に農林大臣をいたしておりますときに、地方農政局設置をいたしますときに、そういう御心配が各方面にございましたが、さてやってみると案外にうまくいっておるように聞いております。また、そういう点について農林大臣十分注意してやっておいでになるようでありまして、当初におきましては一、二そういう例がないことはありませんが、その後だんだんうまくいっているようでございます。要するに問題は、二重監督もしくは二重行政になるかならぬかは行政運用上の心がまえであると思うのでございまして、地方委譲した——委譲と申しますか、地方建設局にこの仕事をまかせたと言いながら、いつまでも中央でそれについてあまりにこまかな点にまで示唆をし、あまりこまかな点にまで命令、監督するというようなことになりますと、そのきらいがあると思いますけれども、そういう点はなるべく早く総括的、一貫した行政指導方針をきめまして、その方針に基づいて各地方庁にまかしてやらせるということにするのでなければ、お話のようなにつきましては特に十分注意をいたしまして、そういうことにならないようにして、一般国民諸君県民諸君の便益をはかり、あわせて事務進捗を期するようにすることがこの趣旨でございますから、御趣旨につきましては、十分監督いたし、十分注意いたし、運用いたしてまいりたい、こう考えております。
  13. 永山忠則

    永山委員 現在、農林省関係がこれと同じように地方局強化を実施いたしておるのでございますが、たとえばパイロット地区の指定の問題でも、農業構造改善の問題にいたしましても、やはり本省許可権を持っておるのでございまして、全面委譲ができておりませんから、やはり実質においては二重行政、二重監督という結果を来たしておるのでございまして、大臣の言われるように、非常によくいっておるということにはなっていないとわれわれは考えておるのであります。ことに市町村長あたりは、地方局へ寄ってさらに上京して事情を述べるというような二重の陳情を現実に続けておるわけでございまして、結果的にはやはり二重行政、二重監督の弊におちいっているという感があるのでございますが、われわれは、この弊におちいらないようにひとつやっていただかなければならぬと考えるのであります。それは大臣の言われましたごとく、権限全面委譲ができるかどうかということが重点でございます。私は、それは言うべくして実質上行なわれないのじゃないかということを感じるのでありますが、それは建設行政で申しますならば、地方局に一切の予算ワクを流して、中央にはその予算の残りは持たない。大臣手いうようなものは持たずに、そうして地方へ持っていって全面委譲して、地方局長権限で一切をやるということにやり得るかどうか。その点は実質的には困難じゃないか。やはり全国的な視野に立って操作をしなければならぬ問題が幾多ありますし、仰せのごとく両県にまたがっている問題等多々あるのでありますから、したがって、地方全面委譲をいたして、予算の配分並びに執行ができるかどうか、非常な疑問を持つものでございますが、この点に関してのお考えはいかがですか。
  14. 河野一郎

    河野国務大臣 可能な範囲におきまして委譲することがよかろう。ただし、御承知のように一国の行ないますものにつきましても、経済企画庁におきまして、調整費を持っております。各省にわたるものにつきましては調整する。同様に事務の進行、その他自然現象等もございますので、現在やっておりますやり方におきましても、用地の買収がおくれておるとか、工事進捗がおくれておるというようなことで、予算の使用が困難になっておるものがあるとか、また、非常にいろいろな風水害が起こって、災害復旧のほうに重点が移って新規の仕事が進まないものができてきたとかいうようなこと等々が生じますから、多少の調整費は残す必要がありはせぬかと思いますけれども、なるべく可能な範囲においてまかしていいのではないか、私はこう考えております。
  15. 永山忠則

    永山委員 そこで、予算査定にあたりましても、執行にあたりましても、個々河川あるいは道路関係で、全部本省で何々路線に対しての改良費は幾らというように、本省査定でございます。したがいまして、まず府県を経で、そうして地建を経て、本省へ書類が出て、そこで本省査定を受けて実施をするのでございますから、どうしても本省のほうへ来てどの道路を、どこをやっていただきたいということまで話を進めませんと、それは実行ができない情勢になっておると思います。ちょうど自治省がやっておることは、自治省地方起債等ワクは、広島県なら広島県へ流す。それを広島県で町村へ適宜分けていくというような情勢になっておりますけれども、それでも中央へ来まして、できるだけ多くのワク町村側へ持っていく、市側に持っていくという個々の運動は必要でありますけれども、大体において府県ワクを流してしまう。それによって各町村の割り当ては府県の独自の立場でやるというようにやっておるのでありますが、せめて予算を総括的に流して、それによって各地建が適当に改修場所修理場所を選定して、地方事情によってこれをやるというところへいきますれば、中央への陳情が比較的少なくなるというようには考えられるのでありますが、現段階におきましては、個々路線改修点まで全部中央査定でざごいますので、まず県へ行って相談をして、県から地建へ行って話をして、さらに中央へ来てこれをお願いしてやるというように、またここを直してもらいたいというときには、さらに地建へ行って了解を得て、また中央へ来て追加を願うというような、二重行政の姿が今度は一そう強くなる可能性があるのではないかというように考えるのでございますが、この点はいかがでございますか。
  16. 河野一郎

    河野国務大臣 そういう弊害の起こることを私も了承しております。したがって、そういうふうにならないようにどうしたらうまくいくだろうかということをせっかく検討もし、大体の案といたしましては、まずお話のように、ある程度のものは一括して流す。そうして地建局長に基準をきめて仕事をやらせる。地方実情を十分見た上で仕事進むところによけいやるというようなことは地建局長にまかす。ただし、最初に申し上げましたように、そうはしておっても、調整をする必要もあるだろうから、一部調整費を取るというようなことがあるかもしれない。原則的には、流すということを原則にいたしておるわけであります。
  17. 永山忠則

    永山委員 賢明なる河野大臣の御手腕に期待を申し上げたいのでございます。  次に、行政のあり方として、技官優位か、法文科出身文官優位かというこの基本的問題でございますが、わが国は、昔から技官を優位に取り扱わない。いわゆる法科万能主義で、文官優位主義というのが、伝統的な行き方でございました。この点は、最近のごとく技術革新時代へ入って、開放体制で、よって、日本の体質を飛躍的に発展をせしめて健全化せしめようという、こういうときにあたりましては、文官優位主義というものはやはり適当でない。いわゆる技官が優位な地位につくというような態勢こそが望ましいとわれわれは考えて、絶えず技官優位により科学技術の振興に全力をあげるべきだということを主張してきておるのでありますが、大臣就任以来、どうも文官優位ではないか、本省人事においてもそういうように言う人があるのでございまして、私もその真相はよくわかりませんけれども、そういう考え方から、今度の改正案でまた文官優位な体制に持っていかれるのではないかという不安を抱く者もなきにしもあらずという状態でございますが、これに対するお考えはいかがでございますか。
  18. 河野一郎

    河野国務大臣 私は、どういう点が優位か優位でないかということがよく理解できないのですが、まあ建設省には建設省しきたりがありまして、私もそのしきたりをこわそうとは考えておりませんが、私自身がやるならばこういうしきたりでやられることは非常に得心がいかないと思いますけれども、そうかってなこともできぬと思いまして、そのしきたりに沿って順番でやるようなことも私は認めておるわけでありますが、しかし、私はおおよそ文官には文官のえてがあり、技術屋さんには技術屋さんのえてがある。そのえてを越えてやることは、お互いに適当でなかろう。しかし、大体これまで農林省建設省その他大臣をやりましたけれども、行政の面におきましては、やはり文官がやるがいいというふうに私は考えます。どっちが優位であるとか優位でないとかということを越えまして、まあ世の中に専門の技術というようなものは、これはもう長年の勉強研究の結果でなければ身につけることは当然できませんけれども、指導監督程度のことならば、三年か五年その道で苦労されれば、たいていの総括的のことは見当がつく。そうしてけっこうこなしていけるものだというふうに私は思います。したがって、建設省におきましては、技監制度を確立いたしまして、この技監のもとに、私は、今回副技監を二名置くことに実は今年度の予算で新たにつくることにいたしまして、そうして技術屋は、技監室技監及び技監を置き、さらに全国の各工事事務所長等をいたしておりまする技術屋の優秀な若手をなるべく多く中央に集めて、そうしてこれらを十分勉強させて、そうして河川道路その他国土再建の一貫した基本設計等に当たらせようということで、そういう意味においては、私は非常に技術屋を優遇し、技術屋発展の素地をつくるように努力をいたしているつもりでございます。しかし、一面一行政ということになりますと、必ずしも技術屋でなければならぬ、河川局長事務官でやっちゃ悪いというわけには、私はまいらぬと思います。道路局長事務官じゃいかぬというわけにはいかない、こう思うのでありまして、道路局長にしても、河川局長にしても、住宅局長にしても、建設省の各局長技術者でなければつとまらぬ、技術者のほうが非常によろしくて、事務屋が非常に悪いというような考え方には、私は立てないのでございます。しかし、そうは申しましても、大体おおむね半分半分ぐらいのところでいくがよかろうとか、次官は一回交代でやったほうが励みが出てよかろうというような常識がございますから、その常識に沿って人事も推進をしていくということにいたしているのでございまして、決していずれが優位であるとか、いずれが劣勢であるというようなことは毛頭考えておりませんし、今度の設置法の中におきましても、そういう点を考えてこの設置法改正をやろうという意思は、全然ないのでございます。
  19. 永山忠則

    永山委員 この設置法の中にあります地方局計画管理部を新設されるということになっているのでございますが、この計画管理部はやはり文官出身になっていくのではないかというようなことを考えられる向きが多分にあるのでございます。これは日本教育の根本問題にも触れますが、やはり文官側のほうにうんと技術面が足らないということなんです。同時に、技術関係には行政教養が足らないという結果を来たしていることは、遺憾でございます。教育基本において、文官側のほうももっともっと科学技術方面教養をつける技術者側にももっと文官側教養をつけるというようにいたしまして、全体が科学技術国家建設の火の玉になるということが、今日非常に教育上大切なことであると思うのですが、これらの基本ができておりませんので、大臣の言われるような結果が生じることも、またやむを得ぬ要素はございますけれども、幸い建設省は、何といっても技術優位の立場に立つ旧来伝統を持ってやってきている。その伝統は、私は非常にいいと思うのです。技術関係が中心になって行政事務にもあずかっていく。私は、技術王国ということはむしろ好ましい。だから、建設省技術関係の中核になるような状態で、各省も漸次そういう方向で見習うべきだということさえも強く考えておるのでございますから、旧来の、いわゆる私はよい伝統だと思う技術者を優位の立場に置いて、行政的にもこれにやらしていくというような、事にあたってもお進めをいただく。技術者がもし一般教養、ことに行政法律関係に暗いとするならば、この点に対して再教育をする措置を講じてもよろしい。どこまでもわが国技術を尊重していく。これは小学校、中学校、高等学校から、技術尊重考えが足らないのです。この点を非常にわれわれは遺憾に思っておるのでございますが、幸い建設省は、技術者優位の体系を持ってきておるのでありますから、これをくずすことなくして、今度の地方建設局計画管理部設置されます際にも、そういう観点で、多少不備な点はありましても、これを何とか補強する、教養をさらに積んでやらしめるという体系技術者優位の体制をくずさないようにやることが、好ましい姿であると考えておるのでありますが、大臣のお考えをお聞きしたいのです。
  20. 河野一郎

    河野国務大臣 私は、どういうところからそういう御心配や御不安が出てくるのか、ちょっと了解に苦しむのでございます。たとえば今年度採用いたしました大学を出ました将来幹部になるべき諸君につきましても、採用いたしました七十五名中、法科出身は十二名でございます。他はいずれも技術者でございます。したがって、この比率で採用しておりますものが、いまお話のように、文官が優位につくとか何がどうとかということがあるべきはずのものじゃない。建設仕事それ自身技術者諸君によって指導したほうがよろしいという部署につきましては、当然将来これらの諸君に期待するところが多いという意味合いから、こういう比率で採用いたしておるのでございます。何にいたしましても、こういうことは言うていいか悪いか知りませんけれども、大蔵省へ行って話をするときに、技術者諸君が行って話をするほうが話の通りがいいか——これは打ち割った話ですが、文官が行って話をするほうが通りがいいか、これはせっかくのお話でございますから、まず大蔵省あたりを徹底的にひとつ改変して、やっぱりほんとう技術のわかる者が来なければ予算がつけられぬわいということに変わってきますと、ひとりでに各省も変わります。これはひとり建設省の話だけ申すのではありません。農林大臣の経験からいいましても、やはり会計課長技術屋を置く場合には、どうも大蔵省に行って予算が取りにくかろうということになるのです。こういうことに、しいて申せば弊害があったのではないかと私は思うのであります。しかし、建設省に関する限り、いま申し上げましたように、七十五名中十二名です。したがって、いま言いますとおり、今度の改正によって地方に新たに計画管理部をつくる、その部長には事務屋がなるだろうか、技術者がなるだろうか。これまで割り当てたら、文官の数が私はとうてい足りないだろうと思うのです。実情から申しまして、そんなふうなわけにはいかぬだろうということが根本におわかりいただけるだろうと思うのでございまして、採用するときこういう比率で採用しておりますが、この中であくまでも適材適所主義でやっていくべきだ。その後どういうふうにこれらの諸君勉強されるか、された研究の結果いくべきだと私は思います。非常に技術者を尊重せよ尊重せよとおっしゃいますが、私はそのとおり尊重すべきだと思います。しかし、どこまでも技術者でなければ経営ができぬじゃないかということではない。一般技術関係会社にしても、大体法科の人が社長もしくは重役になっておる者が多いか、技術屋が多いかということを考えてみますと、これはやっぱり技術屋さんの重役さんよりも法科出身重役さんのほうが多い。それでけっこう会社はうまくいっておるというようなものでございますから、どこまでも技術屋でなければいかぬということでもありませんし、それじゃ技術屋ではだめかというと、だめじゃない。要は、中央に出てもう少し勉強の機会を技術屋に与える必要はあるだろうと私は思うのです。地方におって、地方の出先の川の中を歩いたり、道路監督したりする立場技術屋を置くから、ほんとうに若い一番優秀な、勉強のできる時代地方工事事務所長あたり技術屋を置くから、そこでその後発展性がない。その後の新しい時代研究欲が足らないということになる。これは先ほども申し上げましたように、技監室を強化して、そこに優秀な技術屋を集めて、そうしてここが建設省指導の心臓部になるのだというものをつくるべきだという考えで、今度の設置法には別に関係はありませんけれども、いま申し上げましたように、副技監を二名置くことにして、これを充実しようといたしておりますのも、その趣旨に出ておることを御了承いただきたいと思うのです。
  21. 永山忠則

    永山委員 EECあるいは欧州の各国が生産の近代化に突入する前には、一番多く投資したものは教育科学技術方面への投資が先なんです。この教育科学技術投資をやってから、生産投資に移っていったのであります。わが国は、生産の拡充へ移って、そうして技術者が足らないから技術養成に火がついていくというような状態に、逆になっておるのであります。開放体制下において日本の体質を改善していくのには、やはり技術関係を非常に優位に考え教養もしていくということが、好ましいのでございます。しかし建設省としてこの趣旨に従って今後も運営するのだということで、大臣のことばに私は深く敬意を払いまして、特に今回、建設研修所を建設大学校にするということが、設置法の中に出てきておるのであります。この中心は人つくりと書いてございます。建設関係職員の人つくりを一段と積極的に推進したいと、ここにお話もございましたが、技術者の足らざるところはさらに一般行政方面教養をいたし、行政方面の足らざるところはまた技術方面もこれを教養をするというような、両々相まって技術行政兼備の優秀なる人物をおつくりになる。ことに技術者の不備な点は、この研修において十分補正されて、技術者を優位の地位においてますます活動せしめるような構想をお立てをいただくことを希望をいたしておきます。  さらに、この人つくりでございますが、やはり人つくりということになりますと、上に立つ人が信頼を得る人でなくてはならぬのであります。とかくのうわさがないように、信頼感の持てる人であるということが、最も好ましいことであると私は思うのであります、その最上級の人が信頼を失えば、いかに学校を強化いたしましても、その効果はきわめて薄いのでございますから、この点に対して、建設省の最高地位にある方々は、一そうえりを正して、国民の批判を受けないように行政を推進されなければいけないと思うのでございますが、ここにお伺いをいたしたいことは、地方権限委譲とも関連をいたしますが、一億以上の工事は、旧来地建でやっておりました指名中央でやるように、大臣になってなされたのでありますが、地方権限委譲するということになりますれば、やはりどの程度までの工事関係の金額は地方へ扱わすというところへお考えになっておるのでありますか。私がこの点を強く主張いたしますことは、地建から送って中央へ持ってきても、中央で差しかえ人事があるやに聞いておるのでありまして、そういうことはまあないだろうと思いますが、全然ないこともないでしょう。地方から中央へくるという体制をとられた以上は、不適当だと思えばおかえになるわけでありましょうが、そこにいろいろの誤解やらあるいは不安を感じる点もあるのでありますから、この点に関しては、どれだけのものが地方委譲してあるというように、これはやはり地方委譲権限強化の問題と、二重行政の排除の問題とも関連をしますから、この点に対してお伺いをいたしておきたいと思います。
  22. 河野一郎

    河野国務大臣 おかしな質問をなさると私は思っておったのですが、いまお尋ねになりました一億以上の入札は、おまえが中央へとってそういうことをやり始めたのが云々というようにお考えのようでございますが、これは、いま見ますと、昭和二十四年からそういうことにやっておいでになるのでございます。私が何も始めたのじゃございません。昭和二十四年から建設行政はそういうことに行なわれておるのでありまして、何もあらためて私が始めたのではない。この点を、まず第一に誤解を解いておきたいと思います。  第二は、なぜこういうことをするかといいますと、私は、一つの業者に仕事が偏在することをおそれてこういうふうにしているのじゃないかと思うのであります。大きな仕事を一つの業者があまりたくさんとり過ぎますと、つい仕事の量が多くなり過ぎまして、仕事をやり上げるのにうまくいかないというようなこと等もありまして、あまり重複しないで、各業者に適当にまんべんなく入札の機会を与えるというような意味合いから、大きなもの、つまり全国的に支店、出張所を持って入札の機会を持っておる大きな業者について、そういう必要があるだろう。また、一億以上の仕事は、そういう大きな業者がやることになっておりますから、そこで一億以上のものについては、調整をする必要があるから、やるということになっておると考えます。そういう意味で、建設省では、大体どの業者が何回くらい落札したか、どのくらい仕事をしておるか、その仕事の成績はどうかという表が全部でき上がっておりますから、したがって、あまり仕事をたくさんやっておる人はあまり入札に参加せぬでもいいだろうというようなことになって、そして指令をしておるというようなことをやっておるのでございますから、したがって、地方建設局で持ってまいったものが、適当でないというので差しかえる場合があるというふうにやっておると思います。
  23. 永山忠則

    永山委員 今後も、地方委譲の場合にも、やはり同じような方向でおやりになりますか。どうですか。
  24. 河野一郎

    河野国務大臣 これは直轄の工事についてやっておるのでございまして、地方委譲はいたしません。地方委譲するのは、補助の仕事地方委譲する、こういうことでございます。
  25. 永山忠則

    永山委員 ただいま大臣の言われましたように、きわめて公正な立場においてこれを実施をするということを信頼をいたしまして、今後もひとつ、そういうことを言うほうが私は誤解があるのだと考えておりますが、十分誤解を生まないように御留意を願いたいのであります。  そこで天下り人事の問題でございますが、東海興業へ建設省の営繕局の局長の人が行かれたのでございますが、私は二カ年間はそういうところへは行かれないのではないかというように考えておるのでございますが、これは人事関係との許可関係があるのでございましょうが、いつごろ行かれて、そしてそれは人事院で許可したのかどうか。いつごろ許可したのであるか。この点が非常にいろいろな誤解を受けておる要素がありますので、お尋ねいたしたいのであります。
  26. 平井學

    ○平井學政府委員 私からお答えします。  御指摘の方につきましては、たしか一昨年建設省をおやめになって行かれたのでありますが、むろん当時御本人の役人としての経歴、あるいは法律上の地位、業界との関係等、人事院におかれましても慎重審査した上、人事院の承認によってそれぞれの地位におつきになったものでありまして、所定の手続をちゃんと経ておるのであります。
  27. 永山忠則

    永山委員 慎重審査の上、人事院が許可しておるのでございましょうが、元来最初に嘱託ということで入って、そして適当な時期に重役になるというような形をとって、実質的には上手に法をくぐるというような結果に——これは建設省の問題じゃございません。大体そういうことが行なわれておるのでございますから、この点に対しては別の機会に十分政府注意を促したいと考えておるのでございますが、特に営繕局長をしておったような人が会社に入った東海興業が合同庁舎の入札をいたした。これらの点については、適正に行なわれたことを私は信じておりますけれども、旧来の実績から見まして、はたしてそういう大きな仕事をやる適当なる会社であったかどうかということに対しても、世間は疑惑を持っておるのであります。元来これは冷凍倉庫を中心にする事業でありまして、こうした大きな、地下二階、八階建ての八億以上のものといわれておりますが、こういうものをやるというようなことは、非常に無理であったのではないか。そのことから、結局この間のような問題が起きてきたのではないか。すなわちその問題というのは、死者一名、三名けがをしたという問題でございますが、これに対しては、工事監督が悪かったのであるか、設計が悪かったのであるか、いわゆる業者自体のやり方が悪かったのであるか。この点に対してとかくのうわさが飛んでおるのでございますから、これに対して、どういう点が不備であって、どういう処分をいたして、どういう結果になったかというような点をお話しになることが、非常な誤解を解くゆえんにもなると考えますので、お尋ねをいたすのであります。
  28. 河野一郎

    河野国務大臣 先ほどから、技術者を尊重せいという声でございましたが、私は、実は建設省の有力な技術者が、それぞれの業界の要請によって会社に行くことは、決して悪いこととは考えておりません。なるべく官庁でりっぱな薫陶を受け、りっぱな研究をした人が、それぞれの方面——まあ、その後もたくさん行っております。建設省局長級の人で、しいて申せば前の次官は、三井不動産に行っていらっしゃいます。そういうふうに次官以下技術屋が、わが国今日の現状からして建設の非常に大事なときに、それぞれ重要なポストについていただくことは、国家のためにたいへんいいことであります。ただし、一定の年限がなければ、天下りであるとかなんとかいうことがありますから、そういうことは十分規制は受けなければなりませんけれども、これらの技術屋を十分活用し、十分協力してもらうことはけっこうじゃないか、こう考えております。これが第一点。  第二点は、いまの東海興業でございますが、これは話が非常に誤解があるようでございます。わが国建設——土木のほうを抜きまして、建築の経験といたしましては、十分に各種の建築の経験を持っておりますし、建築の実績を持っておる会社でございまして、決して、未経験であるとか、未熟であるとか、そういうものに指名をするはずはないのでございます。  第三番目に、この間の事故のことでございます。この事故につきましては、非常に遺憾なことでございまして、これはその後各方面の権威の方々にお集まりを願って、その原因は那辺にあるか、だれが一体悪いのかということで、監督が悪かったか、設計が悪かったか、施工が悪かったかという点について、十分あらゆる角度から委員会を設けて検討をお願いいたしました。その結果、原因は異常な豪雨であったことが第一点。第二点は、あの地帯は東京都内で特別に脆弱な地盤のところであって、これまでもあの付近で仕事をした人が二、三同じようなことがあったというようなこと、もしくは他の業者等から聞きましても、非常に危険の多い場所であるというようなこと等を言われまして、普通の工事施行上の注意その他いたしたのでございますが、そこに異常な豪雨のために異常な災害が起こったという結論に相なっておりますが、しかし、私は監督上これらの責任を追及いたしまして、それぞれ所定の処罰をいたした次第でございます。
  29. 永山忠則

    永山委員 私は、適正な建設省の行き方であったということに対して、決して疑義をはさむものではありませんので、そういったような誤解があることをこの場合御解明をいただくことが好ましいと考えて申し上げたのでございます。したがって、異常な豪雨関係ではございましたが、やはり注意を怠っていたのではないかというような疑問点は多々ございまして、その処罰におきましても、かって住友建設が、千駄ケ谷でコンクリートの側が落ちて一人が死んだ場合に対しては、一カ月の指名停止が行なわれ、鴻池組が、明石−神戸間の橋梁が落ちたときにも、これは死人はなかったのですが、やはり一カ月間の指名停止が行なわれておるのでありますが、これらに比較して処罰関係がきわめて手ぬるいのではないかというような疑義を持つ向きもございますが、一応大豪雨による不可抗力的な要素であったということを信頼をいたしまして、この問題にはさらに深く入ることは避けたいのでございますが、時間もない旨委員長から御注意もございますので、とにかく人つくりをやろうという建設大学校をやられるのでありますから、ことにその大将である大臣は、とかくの非難のないようにあらゆる面において一そう自粛をされて御指導願いたいということを最後に申し上げたいのでございます。それは何と言っても過日の新聞でありますが、園田国会対策委員長に、この建設省設置法を早くやらなければ選挙区の天草と九州本土を結ぶ橋の工事を一年延期してやるぞというようなことを言われたとかいうことを新聞が書くのであります。それはほんとうの同志で、冗談でございまして、そういうことでわれわれがこれを進めておるわけではないのでございまして、そういうような点、あるいは選挙の際においてとかくの職務利用があったのではないかというようなことで、あるいは三重県のほうにおいてはこれを告訴いたしておる者がおるとかいうようなことをも拝見いたしております。党内におきましても、そういうようなことがあったんではないかというように考えられて党紀委員会に訴え出る者があるというような点、さらにまた専門委員についても、政治的色彩の強い人をまわりに置かれまして、非常に誤解を招くような——こういうようなことには、いずれも誤解でございましょうが、厳に注意をされまして、ほんとうにひとつ建設行政を正しい方面指導していくという、えりを正しておやりになることをこの場合大臣に特に期待をいたして申し上げておきたいと存ずるのであります。
  30. 河野一郎

    河野国務大臣 だんだんの御注意、いずれも私の不徳のいたすところで、まことに相済まぬと思います。今後は御趣旨のほどを体しまして、十分注意して間違いのないようにいたす所存でございます。
  31. 徳安實藏

    徳安委員長 村山喜一君。
  32. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 時間があと二十分しかないようでございますから、一部分だけしか触れられないだろうと思いますので、あと触れない点につきましては、質問を留保いたしておきたいと思います。  まず第一の問題といたしまして、今回建設省設置法が出されている中で一番大きく目につくのは、地建を強化していくのだという方針であるようであります。  先ほど大臣は、農林省設置法地方農政局設置したけれども、これは二重行政にはなっていない、うまくいっているようだという解釈でございましたが、これにつきましては、当初の宣伝はそういうようなことにはならないというようなことでいろいろなされましたけれども、実施後の実情をわれわれの立場からながめてみますと、必ずしも大臣が認識をしておられるような状況ではない。たとえば旧農地局の関係事務関係におきましては、ある程度の権限委譲が行なわれたのでありますが、事務面においては完全に二重行政になってきておるという面が出てきておる。具体的な例として、県営の土地改良事業の問題なり、あるいは災害の復旧事業の決定の問題等をめぐりまして、いずれも二重行政になっておるということで、府県においては非常に評判が悪い。そういうような欠陥が確かにあるということをまず申し上げて、その上において私はお尋ねをいたしたいのでありますが、河野建設大臣が、池田内閣の実力者大臣として、閣議で今回各省設置法案がそれぞれきめられて出されているわけであります。建設省設置法案は、地方支分部局に当たります地方建設局を強化していくという方向が出された。ところが、片一方運輸省設置法の中で地方港湾局の設置の問題が出されたわけでありますが、そういうような補助事業とか、あるいは一般行政事務というようなものは、それに委譲をしていくという方向ではなくて、直轄事業をやっていくのに必要な程度における仕事をやっていくんだという改正案が出されているわけです。同じ池田内閣のもとにおいて、片一方はそういうような直轄事業を中心にして地方支分部局を考えていくのに対して、片一方の場合には、建設省はいままでの反対にもかかわらず、こういうような地建の強化策を出されている。しかもそれが同じ国会の会期中に出されているということは、一体これはどういう思想が基本的なものとして池田内閣にあるのだろうかということを考えますときに、われわれはどうも納得ができない。やはりそこには地方支分部局に対する基本的なあり方というものをどういうふうに持っていくのだということがあれば、各省ばらばらのそういう設置法が出るはずはないと思うのであります。そういうような立場から、この法案を提出をされるに至りました大臣の御心境をお伺いしたいのであります。
  33. 河野一郎

    河野国務大臣 私は、政治にはそれぞれ時の経過というものが相当に大事な要素だと思うのであります。新たに地方港湾局が設置される。それはもちろん港湾行政の性質も、私のところでやっております建設省仕事の中で考えますと、直轄の相当に大きな工事がございますから、それにおいて違う点がありはしないかと思います。その他のものについては、まだ運輸省におきましては、われわれ建設省がやっておりますように、災害の問題であるとか、道路河川等のこまかな補助事業というようなものは、運輸省においてはそういう行政がないということで、内容が違いますために、決して一つの内閣で思想がばらばらということではないのでありまして、そういうふうに扱います対象とするものが違うから、そこに違いが出ておるというふうに私は考えるのでございまして、私がいまこの設置法をぜひ建設省としてはこういう方向に行きたいと考えますゆえんのものは、御承知のとおり、全国にまたがる補助の仕事、これらを一々中央で—いままでさかのぼって申しますと、地方建設局は、いま運輸省がやっておられるように、直轄の仕事を主として地方建設局設置された。ところが、私は直轄の仕事よりも、府県の補助事業というようなものに非常に大きく指導監督する必要があるのではないか、こういうものにだんだんやっておまりすと、たとえば決算委員会等で問題になるような事例も実は出てくるわけであります。したがいまして、なるべく地方の方々の都合のいいように、また政府としても目の届きますようにするためには、地方建設局を強化して、そうして災害等のときには、なるべく中央から行かなくても、事情のわかっておる者に早く処理させるということが必要であろうし、また例年やります補助の仕事にいたしましても、事実府県との連絡において、それぞれの地方におります者にやらせることが、非常に円滑にいくだろう。そうしてこれらを強化することののほうが行政能率があがるだろうという意味合いから、今度の設置法において、御承知のとおり、これら府県に対する補助の仕事を主として委譲していこう、そうしてこれを強化していこうという考えでございます。それで私は、なるべく従来、建設省が終戦当初に行なってまいりましたように、民間業者の脆弱な当時に直轄の仕事を非常にたくさん大幅にやっておりましたものを、順次請負のほうへかえております。そうして建設省としては指導監督重点を置いて、直轄をなるべく少なくしていくということの方向にいくべきだということに、行政方針を私は変えております。そういうことからいたしまして、いま申し上げましたように、地方建設局仕事につきましても、直轄するよりも、指導監督して幅広に、その仕事の量もふえてまいりましたから、やっていくほうが適当ではないかという考えで、この設置法改正をお願いいたしておるのであります。
  34. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 現在地建でやっております業務内容から見ました場合に、こういうような道路とか河川とか港湾、まあ港湾は運輸省でありますが、そのほか土地改良、そういうような仕事の大部分は、これは都道府県にまかしてもらってもいいじゃないかというのが、地方側の言い分であります。ところが、いま大臣の説明を承っておりますと、地方に都合のいいように考えていったのだという説明であります。建設大臣としてはそういうふうにお考えになるとするならば、それにはやはり地方公共団体がそういうふうにしてもらいたい、そのほうが自分たちのほうも二重行政にもならないし、わざわざ東京まで出てこなくてもよろしいのだ、だから、ぜひそのような方向において考えてもらいたいという一定の世論が背景になければ、その地方のためにということばは生まれてこないと思うのであります。そういうようなものがかえっていまでは逆の姿にあるのじゃないかというふうにわれわれは見ておるのであります。というのは、この建設省一省の問題だけを考えてまいりますと、大臣お話しになりましたように、中央が計画、調整的な機能の役割りを強化していくということ、さらに政策決定上の指導力を発揮していくということ、これは中央建設省本省の持たれなければならない性格であろうと思う。しかしながら、そういうようなものを今度は地方権限を分散部局をながめて見まするならば、そういうような機構上のあるべき姿というものが、現在の改正案の中で浮かび上がってくるだろうと思うのであります。しかしながら、この問題は、ただ建設省の内部だけの問題ではなくて、日本行政機構のあり方がどういうふうになければならないのかという問題との関係において、全体的な立場から問題をながめていかなければならないのではないか。こういうふうにとらえてまいりますと、はたして地方住民が喜ぶような、地方の公共団体等が賛成をするような法律であるのかどうかということについては、私は非常に疑問視しておるわけです。  そこで、大臣にお尋ねをいたしますが、こういうようなふうにお出しになったのは、新河川法が国会を通過し、また昭和四十年から道路網の整備計画について、新五カ年計画が策定をされますと同時に、現在二級国道はこれを都道府県の知事にそれぞれ移管をされておるわけでありますが、国道国道として国が管理をしていくのだ、地方道は地方管理をしていけばよろしいという考え方のもとに、道路法改正考えられておる。そういうようなもろもろの政策立案と関連づけて考えていかなければならないと同時に、一級国道は三十九年度で大体勝負は済んでしまう。ほとんど竣工をしてしまう。そうなると、現在地建あたりで働いておる、あるいは特別会計で処理されておる人たち、これが大部分でありますが、こういうような人たちの将来の身分の安定、雇用の問題、このような問題が背景にあるのではなかろうかとも考えられるわけでありますが、そういうファクターは、全然予想として考えられていないのかどうか。表面に出た提案理由の説明には、そういうようなことは出ませんけれども、そのような御心境はないのかどうか、お尋ねしたい。
  35. 河野一郎

    河野国務大臣 そういうことは全然考えておりません。と申しますのは、三十九年に一級国道は大体勝負がつく、そんなことでは全然ございません。お金がありませんから、まだおくれておるのでございますが、大体四十三年まで現在の一級国道——あるところは、現状で舗装するだけで四十三年までかかるわけであります。二級国道が四十四年というわけでございます。しかも、新たに産業道路の開設をしなければならぬものもございます。私の申しますのは、御承知のように、少しことばが適当でないかもしれませんが、今日優秀な技術者が民間に採用されるのが非常に多い。中央建設省が採用いたしますにしても、相当に努力して採用する。したがって、各府県に優秀な技術者が行く場合は、非常に例か少ないんじゃないかと私は思うのです。そういうことになりますと、相当の国道、橋梁、それから河川というよりなものを地方でそれぞれ設計、立案するということは、無理じゃないか。そういう時代がだんだんにくるんじゃないか。つとめて私は中央地方人事交流をやるということを言うておりますけれども、これとても人事権が私にあるわけじゃありませんから、なかなかそう簡単にいきません。というようなことでございますので、地方にも相当優秀な技術者地方建設局に置きまして、そうして設計上の指導工事監督というようなことをやっていくことがぜひ必要である。むしろそういう意味から必要であって、補助する仕事についての指導監督地方建設局で大幅にやらせるというような必要があるんじゃないか、こう思いまして、むしろこの挙に出たのでありまして、そうしていきたいと考えております。
  36. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 公務員である、あるいは公団職員である技術者の払底という問題は、これは国、地方を問わず起こっている問題です。だから、地方公共団体である府県あたりの技術職員が足らないということも、大臣がおっしゃるとおり。と同時に、建設省内部における技術者の不足というものは、これは確かにあると私は思う。官房長からこれは答弁を願ってけっこうでありますが、現在そういうような技術職員で欠員状態は、どういうふうになっておりますか。
  37. 平井學

    ○平井(學)政府委員 お答えします。  建設省技術者関係につきましては、最近の公共事業の飛躍的な増大、国土開発に対するいろいろな需要増で、むしろ優秀な技術者が毎年参っております。ただ、欠員につきまして申し上げますと、いわゆる道路特別会計、あるいは治水特別会計といった方面の中の下級職員である、いわゆる行政職二の、これにつきましては、数百という程度の欠員がございますけれども、本来の行政職一に相当する技術者につきましては、各省共通の、いわゆる操作のための最小限度のランニング・ストックに相当するような意味の欠員は、当然ございますけれども、特に欠員としてあげるほどの欠員は、現在ございません。さような状況でございます。
  38. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 行政職二表の、そういう単純労務的な、わりあい技術の低い程度の職員が不足をしておる、まあこういうことであります。それは同じようなことが地方においても言えるわけです。技術者が払底をしているということは、これは建設省の国家国務員になろうが、地方の公務員であろうが、給与法の上においては差はないわけですから、上のほうに参りますと、これは当然差が出てまいりますけれども。そういうような技術者をいかにして確保するかという問題は、公務員の給与体系の問題の中から考えていかなければならない問題でありまして、大臣がおっしゃるように、優秀な技術職員を地建に配置をするというのは、建設省内部のそういうような方針なんです。それと給与の問題とをごっちゃにした考え方では、これはおかしいわけでございますから、そういうのは私は理由にするのはおかしいと思う。それよりなぜここでそのような地建を強化していかなければならないのかという基本的な要素が、私が言いましたようなそういうファクターが背後にあるのではないか。とするならば、ある程度考えなければならないけれども、そういうようなのは全然ないとするならば、正面からこの問題と取り組んでいった場合に、第一に問題になりますのは二重行政の問題、これにならないという自信があるのかないのかということであります。そういたしますと、この二重行政の点からいま建設省のほうで資料をいただいたのを見ますと、大部分は地建のほうに委譲をするようになっておるようでありまして、四十九日を地建委譲をする。十五日を委譲しないで本省権限として残す。こういうような内容になっておるようであります。しかしながら、この内容を今度はさらに検討をいたしてみますと、災害のところであります。災害のところで、具体的な例を申し上げてまいりますならば、たとえば河川等の災害関連事業費がそこに項として上がっておりますが、その目をずっと調べていただいてけっこうでありますけれども、これの図式が十二ページに資料として出されて、これの内容を検討してまいりますと、災害復旧事業の事業費の決定に対しましては、当然災害報告を都道府県から本省地建を経由して出さなければならない。そうして本省大蔵省のほうの現地査定を受けまして、本省で事業費の決定をして地建を経由して都道府県から市町村のほうにという流れが、ここに明示してあるわけであります。そういたしますと、当然都道府県は、この地方行政機関でありますところの建設省地建に対しましても、ヒヤリングも行なわなければならないし、また設計等についての指導も受けなければならない。さらに本省にまいりまして、そこで大蔵省建設省の災害査定班の査定を受けて、そうしてそこでまた書類は整えるということになりますから、当然また本省のほうに来てそういうような話をしなければならないということになりますと、その費目として上げてあります河川等の災害関連事業費等におきましては、これは当然二重行政考え方に達せざるを得ない。委譲するところの補助金だけは配分するということになりましても、そういうようなルートをとる以上は、相変わらず二重行政にならざるを得ないのじゃないか、こういうことが第一言えるのではないかと思うのでありますし、さらに新規の事業等についても、これは全体的な大蔵省との予算関係もありますし、今後の事業計画をどういうように立てるかという問題等もありますから、これはまた本省のほうに行かなければならない。年次計画に基づいたいわゆる経過的な段階の中において継続事業費として承認をされたものだけは、これは地建で処理ができるが、補助金だけはそういうふうに地建にまかされてもできるわけでありますが、それを今度増額をする場合、これもまた本省に行かなければならない。こういうことになりますと、二重行政的な性格というものは、どうしても抜けられないじゃないか、これは抜けるような措置というものが、現在の日本の政治行政機構の中において法制的に可能であるのかどうかという問題点を感ずるのでありますが、二重行政にならないということをはっきり大臣は断言することができるかどうか、お答えを願いたいと思います。
  39. 河野一郎

    河野国務大臣 先ほど私がお答えいたしました趣旨が十分徹底していなかったようで、そのために誤解があったようでありますが、私は、給与の問題に触れてお答えをいたしておりませんで、それは給与ということの考えは私は持っておりせんから、そういうことは答えておりませんので、ひとつ御了承いただきたいと思います。私の申し上げますのは、基本を申しますと、これまで建設省が直轄事業を非常にたくさんやった。これは終戦後、民間業者が非常に微弱でありましたために、やむを得ず直轄事業が非常に多かった。急いだということのために地方建設局ができた。ところが、地方建設局は、それが本来の使命じゃない。御承知のように、直轄の仕事はなるべくこれをやめて、そして請負に回して、それを指導監督していくことが、本来の役所のあるべき姿だと思うのです。そういうことに地方建設局も変えていこう、こういう意味です。同時に、補助等につきましても、あわせて府県仕事をするのについて指導し、これを監督させていこうということを考えておりますが、それからあわせて考えますことは、いまもお話しになりましたが、それは二重じゃないかと御指摘になりますけれども、これは二重になって非常に御迷惑をかける面もあるかもしれませんが、一方におきましては、御承知のように毎年何百件という会計検査院から実は指摘を受けております工事上のミス、ずさんというものがございます。これらにつきましては、相当研究しなければいかぬという考えがございまして、そうするためには、現在の建設省のあり方をもってしてはこれ以上是正していくことはあまりにむずかしい。あまり念入りにしていれば、補助金の決定がおくれる、工事の施行がおくれるということになりますから、この面において地方諸君立場を十分考えてやっていくことにするためには、地方建設局を活用するのでなければうまくいかないのじゃなかろうかという意味合い考えました。こういったような考えからして、改正法案の基本考えたのでございます。そうすることが必要であろう。これは中央地方を通じて双方の立場から必要な限界であろうということにしぼって、ここに結論を出したのでございます。したがいまして、一部におきましては二重になる点があるのじゃないかと御指摘を受ければ、全然二重になることはございません、全部責任を持っていたしますと私が申し上げ切れない点は、いま申し上げましたような意味合いにおきまして、これがだんだんなれて、地方におきましてもそういうことについて十分の御反省があり、そういうむだづかいをするようなことがなくなる。中央においても、そこまでやかましく言う必要はなくなるということを、経過において十分にお互いに気をつけて、中央地方が十分なれてくれば、私はだんだんそういうことがなく円滑に事務が進むようになるのじゃなかろうかということを期待いたしておるわけでございまして、それをおそれて初めからいつまでも踏み切りませんと、いまの会計検査院からの指摘の事項についての是正は、現状においてはなかなか困難であるというような意味合い等も考えておるのでございますから、それらの点を御勘考いただきたい、こう思うのであります。その他は事務当局から。
  40. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 私は、今度出されました新河川法改正との関係、これは当然機構改革の問題と関係があると思うのであります。地建にそれだけ権限を強化させて実際上の工事の粗漏等をなくしていくんだという考え方が出てまいりますならば、そういうような現場業務というものは当然地建が背負っていくということになりますしそれに従って人員の配置という問題も、当然権限事項とあわせて所掌事務の問題が出てまいりますから、そういうような立場で配属をされなければならない。そこでさらにいま問題になっておりますのは、これは大臣の構想だとお伺いをしているのでありますが、一級国道、二級国道というこの国道は、国が国道総合開発といいますか、国全体の立場考えて所掌すべきであって、地方道は地方にまかせるべきだ、こういう考え方のもとにこれを建設省で直轄をしていくのだ、こういう基本的な構想というものが、もうだいぶ進められて、近いうちに法案化されるようなところまできているやに——ただ費用の分担等をめぐりまして地方自治体との間において問題が若干残っている、こういう状況と聞いておるのでありますが、その成り行きの問題点を明らかにしていただきたいというのが一点。  これからことしの一月二十四日閣議で決定をされました、現在着々として進められつつあります道路新五カ年計画の問題であります。当初五年五兆円という計画が立てられまして、その中では、構想として地方単独事業費というのが六千六百万円という計画が立てられておったようであります。それが四兆一千億になりましたときに、一般道路関係で二兆二千億円、有料道路関係が一兆一千億円、それに地方単独事業費八千億円、合計いたしまして四兆一千億円という計画が立てられた。この四兆一千億円ではなおまだ所期の目的を達成をすることはできない、産業の発展に即応することはできないからというので、大臣と大蔵大臣との間において協定事項が結ばれた。それはすみやかに五兆円になるように今後において努力をするということが、きめらは、そういうような四兆一千億円という新道路整備五カ年計画が、いま発足をいたそうとしているわけでありますが、さらに一級国道、二級国道を直轄していくということになりますと、当然費用の分担の問題等と関連をいたして、現在でも一兆四千四百億円が地方費負担ということになっているようでありますが、それが将来においてはさらに増大をする可能性もある。今後において、一体そういうような問題は、この建設省設置法との関係においてどのようなとらえ方をしていけばいいのかということが、非常に問題になってまいります。特に新道路法の問題をめぐりまして、世間にはそういうような問題点がすでに投げかけられている。とするならば、これはきわめて重大な要素でありますので、大臣から、そういうような構想をお持ちであるならば、この際お聞かせを願っておいたほうがよろしいのではないかと思いますので御答弁を願いたいと思うのできります。
  41. 河野一郎

    河野国務大臣 お答えいたします。  河川法についても同様でございますが、道路法改正案は、近日のうちに国会に提案いたしたいと考えております。ただいまお話しになりましたように、一級、二級を廃止いたしまして、国道、県道、市町村道というように分けてこれを実行してまいることにいたしたい。ただし、河川においてもさようでございますが、これらの道路管理につきましては、従来国で管理いたしておりますもの、それから府県管理を願っておりまするもの、これらをにわかに変更して全部を国が管理するという必要は生じてこない。建設の場合におきまして、一貫性を持って建設をする必要がある、一貫性を持った設計のもとに仕事をする必要があるということは考えておりますから、ぜひそうしたい、しなければならぬと考えておりますけれども、これが事業の施行もしくは管理等につきましては、これを府県でしていただいて十分だというものにつきましては、府県によってやっていただく、従来の例でいいものは、従来の例でいいということにしていきたい、こういうふうに考えておりますから、人員等につきまして、にわかにこれを変更するというようなことは考えておりません。  それからもう一点の道路五カ年計画でございますが、五カ年計画は、すでに予算の上において御承認を願いましたとおり、今年度を第一年度として事業の着手に入っておるわけでございます。これは今後わが国の財政事情経済事情等の変更がございまして、さらに道路予算の増大を意図できるということになりました際は、すみやかにこれを変更してさらに大幅の増加をして、道路予算の増大をするようにしていきたい、こういう考えでおりますことも、あわせて申し上げておきます。     —————————————
  42. 徳安實藏

    徳安委員長 それでは、建設省設置法の一部を改正する法律案に対する質疑は次会に譲りまして、この際、農林省設置法の一部を改正する法律案を議題として、質疑に入ります。  質疑の申し出がありますから、これを許します。永山忠則君。
  43. 永山忠則

    永山委員 農林省設置法の一部改正に関して、質疑をいたします。植物ウイルス研究所を設置するということ、水産土木に関する試験研究を行なわせることにしたこと、さらに高原のバレイショの原原種農場を独立さして、秋作用のバレイショについて優良原原種の供給体制の強化をはかるという点をあげられておりますが、私は、こういう試験研究に非常に力を入れられておるということには敬意を払うのであります。しかし、農村関係の一番中心は、何といっても技術革新でございます。この研究施設に最重点の施策を置くときがきておると思うのです。畑作等における土壌の改善等もその一つでございまいますが、水産関係におきましても、漁場施設の整備拡充というような、こういう技術関係のほうが先行していく時代がきている。この点について、私はまだまだ農林省考え方は惰性的なものであって、開放体制に対処するき然たる技術革新あるいは技術方面の試験研究、こういう方面がもの足らないと感じておるのでありますが、これを最重点にやらなければならぬと思うのですが、所見はいかがですか。
  44. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 確かにそのとおりに感じております。近代化といいましても、近代化の内容にはいろいろあろうと思いますけれども、技術の革新ということは、重天なる要素であろうと思います。もちろん基盤の整備とか近代化が十分できるような方途を講じていくことが、必要でございます。同時にまた、技術面において一そう革新をしていかなくちゃならぬ、これは当然であろうと思います。御指摘のように、万全であるとは思っておりません。一そうこれを強化していきたい、こう考えております。
  45. 永山忠則

    永山委員 例のEECでも、例のアメリカのキチンの輸入ということのキチン戦争で非常な火花を散らしたのでございますが、日本もまたその情勢に追い込まれようとしております。ことに種鶏におきましては、最近アメリカ系統が圧倒的に輸入をされて、飛躍的なものになってきておるわけでございますが、それは各国ともにこの試験研究技術革新に対して最重点の施策をいたしておるという結果がここへきたのでございまして、日本は近代化ということのほうが先に進みまして、補助、助成、あるいは近代化促進の物的構想が先行いたした感があるのでございますので、これらの点に関しては、一段と将来重点的に施策をめぐらしていただくことを希望いたしておきます。  そこで第二は、今度は食糧庁の内部部局の変更でございまして、価格関係事務と流通関係とをこれを分離させまして、価格の安定と流通、加工の整備という方面に力を入れられておる点に対しては賛成でございますが、価格政策というものが実際は不十分ではないかということが、今日の農村の関係で一番重大な問題になっておるのでございます。そこで私は、この食糧庁の価格関係事務を系統的に分離をされたことには賛成いたしているのでございますが、農産物の価格安定政策に対する大臣の所見を承りたいのであります。
  46. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 農産物は全国民の食糧でもありますので、生産者面及び消費者面、両面にまたがって非常に重大な関連があるわけでございますが、私どもといたしましては、消費者面も当然考えなくちゃなりませんが、脆弱な基盤であるところの農村の生産者の面に相当力を入れていかなくちゃならぬ、こういうように考えております。御承知のように、価格体制につきましては、一応制度はできております。一番強いのは、米麦等に対する、米の直接統制、麦の間接統制のようなことによって価格支持をいたしております。あるいはまた生糸等にいたしましても、あるいはまたなたね、大豆等にいたしましても、あるいは肉類にいたしましても、ある程度といいますか、一つの体制ができておるわけでございます。体制はできておりますけれども、米麦、生糸などは相当軌道に乗って価格の支持ができておるようになってきております。全体としてまだ価格支持対策が十分に行なわれていない面があります。ことに畜産物等、牛乳等につきましては、これはまだ対策等ができておりません。国民の主食のようになれば全面的な対策もできてくるのでございますけれども、いまの点においては、当事者にまかせておるというようなことに対して、ある程度の価格、支持価格といいますか、最低価格というものをきめてやっておるような次第でございます。もう私から申し上げるまでもなく御承知のとおりだと思いますが、農産物の価格対策は非常にむずかしい問題でございますが、一つの何か方法は各農産物についてできておりますけれども、十分にその能力を発揮するというようなことは、まだ財政上の観点その他から十分でないというように私は考えております。
  47. 永山忠則

    永山委員 消費者の立場から申しましても、価格が上がったり下がったりということが消費者を保護するゆえんである、こういうように考えるわけであります。そこで価格の安定政策を確立する、徹底的にこのほうに最重点な施策をするということが、消費者を擁護するものでもあり、また生産者を擁護するものでもある、こう考えるのです。たとえて申しますと、米の問題でございますが、かりに米の消費者価格が上がりましても、いまのような程度の安定政策をしておれば、これは国民は不安を感じないのであります。非常に安いところもあるが、米騒動が起きたようなぐあいに上がる体制になるという面が、かえって消費者は買いだめをしなければならないし、不安感を持つのでございますから、私は、消費者の立場においても、生産者の立場においても、農村政策の先端をいくものは何といっても科学技術でありますが、これと相並んで価格政策が最重点の施策を持っていかなければならぬ、こういうように感じておるのでございます。  私は、この際さらにお尋ねいたしたいのは、農業基本法ができまして以来、日本の食糧の自給度というものがいまどの程度になっておるか。すなわち食糧自給度は上がっているのか下がっているのか。私が調べた範囲では、食糧の自給度というのは一〇%ぐらい落ちておるというように言われておるのでございますが、この点はどういうようになっておりますか。
  48. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 前段の御意見に対して、価格が安定しておることが必要だ、これは全くそのとおりでございます。そういう意味におきまして、米のいまの管理等もできておる次第でございます。同時にそのときにお話が出ましたように、技術の革新が一つの柱だ、これはやはり技術を革新いたしまして生産性を向上する、こういうことがやはり価格対策の一つの根本的な問題だろうと思います。そういう意味におきまして、御趣旨に全く賛成いたすものでございます。  ところで、第二の食糧等の自給度がどれくらいになっておるかということでございます。いままでは自給度がずっと増してきております。現在自給度は、パーセンテージで言えば、八四%の自給になっております。農業基本法等におきまして、何か選択的拡大というようなことで、ただいまお話がありましたような米等に対する自給政策を捨てたのではないかというふうな疑いといいますか、そういう懸念なども持たれておるようでございますが、農業基本法によりましても、総生産の拡大ということを非常に強くうたっておるのでございますので、決して米等の自給をやめようというようなことではございません。したがいまして、いまの技術革新の線に沿うて省力栽培といいますか、少ない労力で、そうして増産ができるように、あるいは品種の改善等につきましても、質と量のいいものというような技術研究指導もいたしております。でございますので一基本法から見ましても、自給政策を放棄したということは全然ございませんので、御了承願いたいと思います。
  49. 永山忠則

    永山委員 この食糧庁の内部体制ということに関連をして、いま特に基幹産業である米麦の自給度を高めるという方向農林省は向かう意味において、私は本案に非常に敬意を払っている。それを最近米麦というものに対して非常に消極的にやっているのではないかという懸念があるのであります。農業構造改善におきましても、米の増産のほうの構造改善ということはストップだということで、米の開拓は農林省は絶対やらせない。幸いその他の農業構造改善の中に、米を生産開拓をすれば総合計画の上において非常に経済的で合理性があるというものに対しても、米の増産に関する分に対しては、チェックして許可をしないというような態度に出ておるのであります。私は、この自給度は八四%になっておると言われるのですが、逆にこれが一〇%減って七四%になっているのじゃないか。最近、いわゆる農業基本法をつくって以来、生産はふえました、消費もふえました。けれども、自給度、自給関係というものの度合いは減っておるのであります。これは中村徳夫さんが朝のニュース解説にも言っておったように思うのでありますが、自給度が一〇%ぐらい減っておるということを言っておるのであります。これはパーセンテージの問題でございますから、ともかくとして、米のごときでも、もう不足なんですよ。農林省のほうの統計は大豊作だとおっしゃっても、農村の手元にはないのですから、それは農民が前渡金を借っているものですから、いくら不作であっても、前渡金を払い戻しができないので、自分の持ち米を、やみ米になるべきものをみな出して、そうして供出に応じておるということで、統計上は、これは農林省のほうは非常に心配ないということに出ていますけれども、農村の手持ちが少ないということが不安感を与えておる。農業倉庫には米はございません。ほとんどみな出ておる。生産すると、すぐ倉庫に入れずに、仮オーダーで出さなければならぬというような状態にまで逼迫をしておるのであります。もし早場米奨励金をぶち切っておってごらんなさい。端境期に青い顔をしなければならぬ。あるいはおそるべき米不安の状態が来るかもしれぬというような——それは昨年不作であったということは原因しますよ、原因いたしますけれども、農林省は豊作だというが、実際は不作であるという結果を来たしておるのであります。また、麦もああいうような寒冷等で大不作であります。だから、米麦の輸入はふえておる。また加州米のほうにまでやっかいにならなければならぬ。とうとう酒まで加州米を使うて、日本酒だということで大顔をしながら、そのもとは加州米だそうなというような結果に追い込まれるというような状態になっておるということを、私は非常に憂えるのであります。食糧庁は、この内部部局の改廃をやられるを契機として、食糧の自給度を高める。ことに基幹作物である米、麦、成長作物である果樹、あるいは畜産、蔬菜、こういう方面はうんと生産を高めて、外国から輸入せないようにする、輸入を中心にせないという態勢を確立するということが、最も好ましい姿であると考えておるのでございますが、大臣の食糧の自給度を高めるということに対する新構想を、この際お知らせを願いたいのであります。
  50. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 いまの米の問題でございますが、確かに去年は三番目の豊作でありましたけれども、一昨年から比較すると、非常に不作でございます。ところが、政府に対しておるのは、いまお話のように自分の飯米も削るというような形もありましょう、おととしよりも去年は多く出ています。それだけ自由米と申しますか、手元米は減っている、こういうのが現状だと思います。こういう現状で、どうしても端境期に食い込むというのがもう二、三年続いておりますから、そういう事情等もありまして、幾ぶん窮屈に感じています。これだからというわけではございませんが、基本的に食糧はやはりその国で自給できるという態勢が、国民の安定感をもたらすゆえんでありまするし、また高度成長でいろいろ日本の工業を進めるという意味におきましても、食糧を輸入するようでは、これはまずいと思います。食糧が自給されて輸入が少なくなっているということであれば、したがって工業面における発展も進む、こういうふうに考えられますので、政治全体から考えましても、食糧の自給度を増していく、食生活が安定するということが必要だと思います。  そういう意味におきまして、先ほどからお話がありましたように、構造改善等におきまして、稲作を無視しているという事実はございません。構造改善の中にも、土地改良の部分が大部分を占めております。基盤整備——田の多いところにおきましては、これはどうしても基盤整備ということで、田を対象としてやっております。そういう意味におきまして、米の自給度におきましても、構造改善を通じ、あるいはまたその他の土地改良等の基盤整備を通じ、あるいは先ほどお話がありました技術面におきまして、こういう面です。ただ、御承知のように人手が不足でございますので、そういう面からのマイナス面はございますけれども、それを克服していくのが一つの近代化の方式であろうと思います。そういう意味におきまして、米にいたしましても、あるいは麦等にいたしましても、小麦はそう減っておりませんが、大麦は確かに減っております。しかし、これは国内の飼料の自給度の向上というような意味におきまして進めていかなくてはならぬと思いますが、大体裏作が人手不足から非常に減っておりますので、栽培耕作面積は、麦等におきましては減っておる現状でございますが、これも飼料の面におきまして、あるいはまた食糧面から、増収増産を進めていくことに、予算面等でもそういう措置をとっています。その他最近の畜産あるいは果樹、そういう方面におきましても、御承知のように、量の増産あるいはまた品質の改良等をはかりつつ進めておるわけでございます。
  51. 永山忠則

    永山委員 大臣が食糧の自給度を高めて自給態勢を確立するということは、その国の経済の安定、生活の安定の基本であるというその態度には、われわれも同感でございまして、中には貿易立国主義で、むしろ高い農産物はつくらずに外国の安いものを入れたらいいじゃないかというような誤った観点で、経済効率主義を主張をいたしまして、重点的に農村の開発あるいは山村地帯の開発に金を出すのは惜しい、むしろ臨海工業地帯へ最重点の施策をしなければいかぬという誤った大蔵官僚の考え方に迎合する向きが多分にあるのでございますが、この点に対して、き然として食糧の自給態勢を確立する、こういうことで今後も強くやっていただかなければならぬ。ということは、イギリスのような植民地を持っておる国さえも、自給態勢の確立ということ、なお戦争で非常に苦しい体験を経たフランス、ドイツ等の西欧各国が、すべて食糧の自給度を高めるということに全力をあげておる点から見ましても、私は、食糧の自給態勢というものを確立することこそが、日本経済の安定と生活の安定の基幹であるというように考えるのでございます。しかし、現実においては、その自給度は必ずしも伸びていない、不安なのでございます。ということは、農村の青年が農村を見離して出ようとしておる。人手不足なんです。今日農村の青年は、功利主義ではないのです。ただ都会にあこがれて行っておるわけではない。給料が高いから行っておるわけではない。農村に踏みとどまってほんとうに将来その見通しがあるかどうかという、その不安感が青年をして農村から離反せしめておるのであります。そのことが自給度の向上を妨げておるのであります。それには何か原因があるかということを深く探求するときにおいて、私は価格政策だと思うのですよ。せっかく食糧庁に価格政策というものが強く推進されておるのですから、基幹産業はもちろん成長産業、ことに農業構造改善のチャンピオンといわれておるところの畜産に関する価格政策には勇断の措置をおとりなさい。各国ではみなとっておるのです。なぜそれを主張いたすかということは、食糧の自給度を高めるということだけではありません。都市と農村の所得均衡をはかる、すなちわ経済の安定、成長の上からも、必要なのでございます。政府は、経済の成長政策をやるということは、その成長のおくれたる農村へ持ってきて、そうして都市と農村の所得均衡をはかるのだ、それがためには国土総合開発をやるのだ、地域格差も是正するのだ、農村には画期的施策をやるのだということを言っておるではありませんか。その中核をなすものは、何といっても価格政策であります。この価格政策が、大臣も言われたごとく十分でないということが、今日自給度を高めることにならない原因になっておるのでございますから、この点に関して、ひとつ新構想をお立てなさい。画期的農村政策とは何であるか。すなわち価格政策を確立することだ。それはイギリスのようにやったらどうだ。価格差補給金を出したらどうですか。都市と農村の所得均衡をはかる点から見ましても、支持価格をつくって、その支持価格は生産費所得補償方式に安定させて、そしてその価格差補給金を出す。これは植民地を多くかかえておるイギリスがやっておることでございます。各国みんな都市と農村の所得均衡をはかるべく全力をあげてやっております。そこには価格支持ということが、全部中核になっているのです。アメリカにおいても、価格支持が農村政策の中核である。だから、小麦の生産をあれほど高めて、世界各国に全部食糧飢饉が来てもこれを補給することができるという態勢まで貯蔵いたしておるのであります。日本も端境期に米が足らぬというようなことじゃ、これはもう不安もはなはだしい。もみ貯蔵で一年分くらいは持っているというくらいな態度にいかなければならぬ。スイスが永世中立国であるということはどこに原因があるか。武力じゃありませんよ。兵隊でもない。三カ年間食糧が自給できるからです。この政策をとっているのは、みんな価格支持の政策であります。最低を押えて、労働賃金がゼロになったら、出血して倒れたら補助してやろう、買い上げてやろうというようなこの最低価格政策なんかは、およそ農村の生産を弱めるものであります。この政策をやっておいて、そして外国からどんどんと肉を入れるということになったら、生産は高まらないじゃないですか。基本的にこの価格政策に再検討を加えて、そして支持価格は最低価格じゃない、少なくとも再生産を補償できる、ことに都市と農村の所得均衡をはかるということが目標ならば、生産費所得補償方式に安定させる、こういう価格政策を勇敢におやりになって初めて画期的農村政策だ。これがあれば、現実に農村は悪くても農村の青年は踏みとどまる、郷土を捨てようという考えはとりません。郷土に骨を埋めて、ほんとうに生産に従事してやりたいという希望で一ぱいであります。ゆえに私は、農村から青年が去ろうとする政策の中心は、農業政策に欠点がある。すなわちその中核は、何といっても価格政策が十分でないというところに基因しておると考えておりますので、大臣は、この価格政策に対して一段とひとつ新構想を立てて、必ずこれを農村が期待するようなところへ持っていくというところにおやりになることを期待をいたして、御質問するのであります。
  52. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 その方向につきましては、私も別に異論を申し述べる何ものもないと思います。ただ御承知のように、日本農産物も国際的な中に生産というものがされています。なまのままで比較いたしますと、日本の農産物は価格におきまして、ものによっては倍というようなもの、またほかのものでも、ものによっては日本の生産物より八〇%、七〇%あるいは五〇%と、こういうふうになっております。これは日本の農業の機構が零細農である、こういうところに原因があろうかと思います。しかし、その原因はいずれといたしましても、そういうような日本の農産物状況でございますから、一面においてやはり生産性を向上するといいますか、コストが低くできるような対策もあわせて講じないと、価格対策だけでやっていたのでは——幾らかかっても価格を支持していくのだ。たとえば私が米を一俵つくれば、へたですから一万円以上かかります。だから、一万円の米だから一万円補償しろ、こういうことでは、なかなか価格の補償制度が成り立たないと思います。やはり平均的な価格といいますか、だれがつくってもこれだけは必要なんだということとにらみ合いでなければ幾らかかってもいいからそれを全部政府が補償していくのだ。再生産を保障していくのだ。これは私から申し上げるまでもなく、そういう制度はとっておりませんが、それでは成り立たないと思います。でございますので、全面的に再生産を支持する価格、米などはそれをとっておりますけれども、ほかの農産物、畜産物等においてそこまでやっていくということにつきましては、いま等にいたしましても、十分に備わっておりません。いますぐにそういう制度をとるわけにはまいらぬと私は思います。たとえば牛乳等におきましては、イギリスでは全部国民の主食になって、日本の米と同じだ、こういうような制度になっておりますし、それからまた農場等も大きくて、コストダウンもできていると思います。そういうところでありますと、牛乳に対してミルク・ボードをつくって、そうして一手に買い上げて、ちょうど日本の米のような制度で価格を補償していくような制度をとれると思います。ただ、いま方向としては御説のとおり考えられるのでありますけれども、これは生産性向上と同時に採用していくべき制度だと思います。その点については、十分なお検討を続けていきたいと思っております。
  53. 永山忠則

    永山委員 生産性の向上、生産の近代化をはかっていくという点に対しては、大臣が力を入れられまして、その補助の問題、あるいは規模の問題、さらに金利の問題、この点には敬意を払っておるわけでございますが、それと並行して同時に考えなければならぬ価格政策というものが、後退をしておるところにどういう結果を来たすかといえば、農林省の言うとおりやった者は損をするということ、すなわち農林省が言うように、補助金をもらって安い金利をもらって生産をうんとやったならば、安くなって損をする。どうしても借金だけは払わなければならぬ。その結果を来たしているのですよ。まじめな農民だけ損をしている。これは多くなれば安くなるという農産物価の原理なんですから、そこにおいて価格政策というものが打ち立てられなければならぬというのが、これがルーズベルトがいわゆるニュー・ディール政策として取り上げられた価格支持法でございます。何と言っても農村の生産を高めるには、それしかない。したがって、いまの農業政等の生産自給度の上昇を妨げておる価格政策の不備を、これは一段と構想を練っておやりにならなければならぬ。ということは、必ずしもアメリカから豚肉を買う必要はありませんよ。アメリカから去年四百三十円で豚肉を買ったじゃありませんか。一キロ四百円を畜産物価格安定の基準にしてごらんなさい。アメリカから買わずに幾らでも豚を飼えます。牛乳もしかりであります。必ずしも生産原価が高いことはございません。ただ流通機構その他の点においてさらに一段と構想を練られていくならば、水ぎわで決戦できるのです。すなわち関税をかけたならば、水ぎわで外国品が上がるときには、日本の品物のほうがよろしいというところまでやり得る日本の農村は体質を持っています。そういうことができるのですから、決して私は日本の農村が零細農であって、とうてい諸外国に及ばない。ことに、東南アジアの諸国の低農産物価格にとうてい及ばない農村の状態であるとは考えません。政策でこれは十分やり得る、欠点の是正はできるものであるというように考えておりますので、ひとつ一段と努力を願いたい。  そこで流通機構の改革も今度お出しになっておりますが、流通加工の関係の点につきましては、これは政府が特殊法人の食糧会社を大都市に一つや二つ設ける、そんなことで流通加工の合理化にはなりはしません。何といってもそれは協同組合の育成強化です。協同組合をして流通、集荷、加工の中核をやる。それをもって政府が助成していく。低利の金を貸す。民間側の総意を結集するということですよ。政府の金で特殊会社をつくるというようなことはけっこうですけれども、これは局部的ですよ。そんなもので全面的な流通加工にはならぬのでありますから、この点に対して流通加工の中核は協同組合の育成強化、ここに中核指導を置くのだという構想を持っていけば、流通加工面というものも軌道に乗っていくのではないかというように考えておるのでありますが、大臣の所見を承りたい。
  54. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 いまのお話しのように、作付等に計画性を持ってもらうためにも、あるいはまた出荷の調整をしてもらうためにも、あるいは共同で出荷するというような意味におきましても、協同組合の役割りと、協同組合によってそういうことをしていくことは当然でありまするし、そうしなければならぬ問題であろうと思います。ただ、市場等の問題もありまするし、あるいはまた食品生産の面等もありまするから、そういう協同組合の協力とともに、市場の整備とか、あるいはまた食糧コンビナート的なものなどもつくっていこうということでございまして、お話しの協同組合は、全国的な組織を持っている総合協同組合が一万何千とあるのでございますから、こういう協同組合の協力を一そう求めるということは、必要であると私も強く考えております。
  55. 永山忠則

    永山委員 私は静岡県農協の選果及び加工の関係承知いたしておるのでありますが、結局ミカンは輸出の中核をなしており、価格安定の中心をなしているのでありますから、必ずしも総合農協をさすものではありません。いわゆる協同組合が一体となって集荷、貯蔵、加工、この中核指導に協同組合を置くという体制を持っていくことによって、流通加工が軌道に乗っていくのではないかということを考えておりますので、この点に対しても、せっかく食糧庁流通加工の関係をお出しになっておるのでありますから、こういう方面にうんとお金を出しなさい。そうして低利の金でこれを育成するということこそが望ましいのでございます。  次に御質問を申し上げますことは、やっぱり設置法に出ております林野庁の関係でございます。これは、何としてもわが国は山国でございます。七割が山です。この林野の移譲というか、利用というか、高度利用ということが生産を高め、自給度を高める唯一絶対のものだ。この点に対して政府も十分留意をされまして、今度林業基本法をお出しになりまして、その第四条の二項において、農業生産を高めていく上において高度にこれを利用するという積極的な方針をお立てになっておるということに対しては、われわれは敬意を払うものでございますが、ただ観念でなくして、実際上これをおやりになる。少なくとも国有林野の林業資源及び水資源等の国土保安に必要なものを中心とするものは別として、その他の関係は全部これを移譲していくという考え方で勇断なる処置をおとりになるということが、必要でございます。これは国のものであるが、国民のものです。まず国民に返してやるのだという腹を持って、勇敢にこの移譲、活用ということをおやりになる。これは私はスイスで見たのでありますが、スイスがあれほど生産を高めておるのは、山国であるけれども、スイスではその山は七割植林牧場ですよ。いわゆるドイツ松を三坪に一本くらい植えて、そこへ牧場をつくっておる。そういうようにこれを強く畜産方面その他へ持っていって開放をいたして、地方の公共団体、その他公共企業体、あるいは組合等に払い下げて、高度に利用せしめるという施策が最も好ましいことであると考えるのでありますが、この点に関する御意見を承りたい。
  56. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 いまのお話ですと、国有林、森林を全部開放したほうがいいのではないかというふうにとりましたが、私は、それとは反対の気持ちを持っておるのでございます。というのは、水とか空気とか森林というものは、社会公共の一般の人が使うべきものだ。ですから、一般公共の用に使用されることが必要なんで、それを個人、個人で自分の営利のためにというようなことの考え方は、私はこういうものについてはどうかと思うのです。しかし、現状は、日本の国有林というものは非常に多くて、そういう立場でありますから、国土の保全とか、森林の機能、あるいは空気をよくするとか、温度を十分にこれで緩和するとか、とにかく森林が盛んであったときにその国の文化は開けておったというのが、世界の歴史の示すところなのであります。でございますから、森林の荒れるようなときにはその国はだめなのだ。だから、森林が荒れないように、ことに国土保全という面からは、やはり国が採算を抜きにしても管理するというような形が、私は望ましい形だと思います。しかし、いま日本の国有林は非常に多い。ある県によっては九割近くも国有林だ、こういうことで、必ずしも国土保全に役立っておるものばかりではございません。でございますから、国有林は、国土保全等に関係のないものはできるだけ開放していったらいいだろう、こういう方針政府としてもとっておりますし、私も考えております。でございますから、あるいは構造改善等のためにこれを開放する、あるいはいまお話がありましたように、畜産というような選択的拡大の方面における草地の造成、こういう方面等にも開放していく、あるいは国で所有しておるより個人においてもっとより有効に利用できるというような面がありますれば、そういう方面にも開放していくことが望ましいと思いますが、根本的な考え方としては、やはりこれは国民から信託を受けたもの、国民のものとして、水とか空気とか森林とかいうものは使わるべきものだというふうな基本観念を持ってやります。しかし、日本現状から申しまして、これは相当開放して有効に効率をあげていくべきものがある、こういうふうに考えておりますので、国有林の払い下げといいますか、開放等におきましても、慎重を期しながら進めていきたい、こう考えております。
  57. 永山忠則

    永山委員 これはもう大臣のいまのことばと私とは全然違わないのでございますが、私も申し上げたように、国土の保全とその他公益的機能を有する国有林野については、その機能が確保されることということが中心なんであります。しかし、その所在する地域において、農業構造の改善のためとか、あるいは産業の振興のためとか、住民の福祉向上のためには、積極的に国有林野を活用する、こういう構想で十分これが利用できるようにされなければいけない。これは次官通牒でもかっては出されましたけれども、実質においては行なわれてないんですよ。これを積極的にやる。ことに畜産方面は、自給飼料——飼料が問題なんですから、自給飼料の関係から見ましても、放牧林野あるいは植林を中心とする牧場、こういうような方面を中心としたり、農業構造改善ということには積極的果敢にこれを利用する方途を講ずる。必ずしもわれわれはこれを個人にやれということを言っているものではございません。また、払い下げねばならぬということも言いません。あるいは部分林という方途の道もあるのですから、そのやり方は、旧来のような営林署が官僚主義的な強権を振り回して、そして自主性のない運営をすることを避けなければならぬという方法において積極的な活動を期待することが、これが望ましいことでございますので、私は本法案にありますところの国有林野管理審議会というものに非常に期待をいたしておるのでありますが、この審議会の構想はどういうようになっておるのでございますか、これらの私が申し上げました諸点と関連して積極的にその審議会は活動するものであるかどうか、この点をひとつお聞きしたいのであります。
  58. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 いまの御説のとおりでございまして、国有林野管理審議会というものは、いま任意に営林局ごとに設けまして、というのは、私は、国有林の積極的活用をはかるために、そういう地元の有識者あるいは経験者等に参加してもらって積極的に活用をはかりたい、こういう意味でいま任意に設けております。しかし、これを法制的に設けようというのがこの趣旨でございますから、御趣旨のように、これは積極的に活用する目的をもって営林局ごとに審議会を設けて協力してもらう、こういう趣旨であります。
  59. 永山忠則

    永山委員 管理審議会の構想ですね、これはいまどういうようになっておるのでありますか。私は、これは府県代表とか、町村代表とか、農業団体の代表とかいうような関係者の中から推薦した者を選ぶという構想に持っていってもらわなければ、自分の好きな人を選んで——いまの審議会がやっているとおりですよ。自分の、役所の言うことをよう聞くような者を審議委員にする。だから、審議委員の顔ぶれは同じだ。一人で何十も持っているという状態です。党でもようそういうことがあります。党でも同じです。党の気に入るような者はどの委員にも入る、少し気に入らぬ者はなかなかどこの委員にも入らぬということが党でもあるのですが、しかし、政府はひどいですよ。それは大蔵省委員会等は全くひどいものです。大蔵省の目にかなう人以外は入れない。そういうような状態で審議会をつくられて、そうして払い下げであるとかあるいは譲渡であるとかいうようなことをきめられたら、これはもうこれがために一そう信用を害する結果となるのでありますので、この構想及び運営に対しては、厳にひとつ注意を願いたいのですが、所見を承りたい。
  60. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 先ほどお話の中にありましたが、どうも営林局や林野当局が官僚的だ、こういうようなお話がありましたが、そういう官僚的なところを緩和する意味におきましても、そうしてまたものの判断が公正に行なわれることが必要であるという意味におきましても、その人選等におきましては、こちらに都合のいいというより、国民に都合のいいような、国民の意思を代表するような者を選任するという方針でございます。
  61. 永山忠則

    永山委員 そういう方向において、まあいまのように町村代表とか、あるいは府県知事の代表とか、農業団体の代表というようなものを十分ひとつ、それらの申請した者からこれを選んでいくという構想を立てて、民主的に運営できるようにお願いをいたしておきたいのであります。  時間の関係がありますから、最後に一点申し上げたいのでございますが、この国有林野の払い下げですね、払い下げに、現在もなお特売主義をとっておる。いわゆる用途指定によりまして一特定の人を指定してこれを特売するという制度は、もうひとつ大臣、おやめになってもらいたいと思うのです。特定の人に払い下げをやる理由はないのですから。それでこれを理屈をつけて、そうして用途指定のために特定の用途——最終的にやる特別のものに対して、これを特別な人へ指名するというような考え方があるのでございますが、もう特定な個人へこれを払いらにまた営林署の中でかってに特売制度を設けて、そうして適当の人だけを選んで入札をせしめる、こういう不合理もこの場合やめて、この営林署の所管の中におる事業者にはすべてこれを公入札でやるぞというようにして誤解を受けないような払い下げ方式を今後おとりになるということを、一段と構想を新たにしてやっていただきませんと、これにはとかくの非難があるんですよ。あるいは職務利用をするものもありますし、いろんな関係で誤解を招くのがございますので、これらのいわゆる払い下げに対して、特定人に対する特定入札、あるいは特別の人だけに入札をせしめるという制度はやめて、その営林署管内にある人には公平に入札をせしめる、そうしていやしくも誤解のないようにするということが必要です。特に今日山林利用、国有林の利用ということがほんとうに強く台頭いたしておる現段階におきましては、それらの旧来の慣習を破って、最も厳正公平に入札を行なわしめて、あるいは協同組合であるとか、あるいは町村であるとかいう公共団体にこれを特売するとか、あるいは森林組合にこれを払い下げる、公共性のあるものにはやるんだというようにして、個人の払い下げで誤解を受けるような処置が断じてとれないような方法にやっていただくことを期待するのでございますが、大臣のお考えをお伺いいたしたいのであります。
  62. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 これはほかとの関係もございますし、いわゆる入札方法については複雑なものがございます。一般的にいえば、まあ公入札という制度が表向きは一番いいような方法でございますけれども、なかなかそれが弊害も伴う場合もありますし、公入札に参加させる者の信用度というようなものもございますから、だれでもいい、資格を問わずに入札させる公入札という制度は、ほとんどとっておりません。たとえば建築等についても、ある程度の信用のある業者等を指名して入札をするというようなのが一般的でございます。国有林材の場合でも、やはり一つの会計法の規定に従っておりますので、指名入札が原則でございますが、随意契約で販売することができるというような規定に従いまして、随意契約をやっておるのでございますが、どういう条件かというと公共的需要に対するもの、あるいは地元の農山村経済助長のためのものとか、あるいは地元木材関連産業需要に対するものとか、重要産業需要に対するものとか、こういうようなものにつきましては、随意契約で木材を売り渡すということもできるということになっておりますので、この規定に従ってやっておりますが、それにつきましては、数量の決定等につきましては、営林局営林署関係地区全般の需要度、あるいは依存度、それから相手方の信用度、こういうものとか、設備能力、こういういろいろのファクターを勘案して配材基準をつくって、そうして適正に決定しているというのがいままでのやり方でございます。あるいはまた用途を指定して販売した物品について、かってに用途以外に用いたり、担保に供したり、他人に譲り渡すというようなことは、営林署長の許可のない限りできないことになっております。そういうことでございますので、そういう心配があるような場合には、調査をしたり、納材証明書とか使用済み報告書を徴するというふうに、厳重にやっておるわけでございますので、随意契約におきましても、このとおりにやっておればあまり間違いというようなものとか、変なことはなかろうと思います。しかし、原則は指名入札というのが会計法令上の原則になっておるようでありますので、こういう随意契約によりまして弊害が生じておるというような場合におきましては、一般の規定に従うような形でやることが適当だと思います。そういう問題を一つにきめてかかるわけにはまいらぬと思いますので、払い下げる時期、払い下げる場所、そういう事情によりまして、指名入札でやることが適当な場合にはそれでやるし、また随意契約で公正にやることが適当な場合には十分注意しながら、いまのお話等をよく注意させて払い下げするということにいたしたいと思います。
  63. 永山忠則

    永山委員 これで終わりますが、指名入札におきましても、やはり公正に行なわれていないのが多々あるのです。さらにまた随意契約に至りましては、公共性の団体その他はよろしいですけれども、重要産業関係や用途指定の場合には、非常な不合理な政治的な動きによってやるという例が多々ございますので、これらはやはり監督も厳にしなければなりませんけれども、できる限りそういうものは避けるという方向で進んで、いやしくも地元民が非常な誤解をするということは、将来国有林というものを大いに活用しようというこの時期に至って、非常な当局の信頼を失うものでありますから、厳にこの点はひとつ注意されることを要望いたしまして、一応時間の関係がございますので、私の質疑を終わりたいと思います。
  64. 赤城宗徳

    ○赤城国務大臣 お話の点は、厳に注意をいたします。
  65. 徳安實藏

    徳安委員長 本日はこの程度にどとめ、次会は、来たる五月七日午前十時理事会、十時半委員会を開会することとして、これにて散会いたします。    午後一時十四分散会