運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1964-04-03 第46回国会 衆議院 内閣委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月三日(金曜日)    午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 徳安 實藏君    理事 伊能繁次郎君 理事 内藤  隆君    理事 永山 忠則君 理事 八田 貞義君    理事 石橋 政嗣君 理事 田口 誠治君    理事 山内  広君       岩動 道行君    寿原 正一君       高瀬  傳君    塚田  徹君       野呂 恭一君    藤尾 正行君       保科善四郎君    前田 正男君       松澤 雄藏君    湊  徹郎君      茜ケ久保重光君    大出  俊君       中村 高一君    村山 喜一君       山田 長司君    受田 新吉君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 綾部健太郎君         自 治 大 臣 赤澤 正道君  出席政府委員         運輸事務官         (大臣官房長) 佐藤 光夫君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      廣瀬 眞一君         運輸事務官         (自動車局長) 木村 睦男君         運輸事務官         (航空局長)  栃内 一彦君         自治事務官         (大臣官房長) 松島 五郎君         自治事務官         (行政局長)  佐久間 彊君  委員外出席者         自治事務官         (財政局地方債         課長)     立田 清士君         専  門  員 加藤 重喜君     ————————————— 本日の会議に付した案件  自治省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第三四号)  運輸省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二〇号)      ————◇—————
  2. 徳安實藏

    徳安委員長 これより会議を開きます。  自治省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を継続いたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。山内広君。
  3. 山内広

    山内委員 まず最初に、御提案地方公営企業制度調査会に関連して若干お尋ねしておきたいと思います。  過日来、この問題は、だいぶ公共料金抑制をめぐって、危機にある地方公営企業については深いお尋ねもありましたので、深くはお聞きいたしませんけれども、ただ、私非常に心配される点は提案理由大臣からお話のありましたこれを読んでみましても、どうも、当面もう火のついている事態に対して、この調査会結論を待つまで政府責任をのがれるというような印象を非常に受けるわけです。というのは、この地方公営企業制度調査会の任務と申しますものが、役割りは確かにここにうたわれているとおり、地方公営企業の範囲、経営形態民間企業等関係等を検討して、地方公営企業はいかにあるべきか、さらにこれら企業を能率的に運営するための経営体制及び財政制度はいかにあるべきか、この基本問題を調査研究をされるというのですから、私は目的としては、こういうものを設けて知識を集めて御研究になろうということには異議はないわけです。ただ、その次に「また、近年その経営状況全般的に悪化の傾向にあり、何らかの措置を講ずる必要がある段階に立ち至っているものと考えられます。このような現況にかんがみ、地方公営企業制度全般にわたり基本的問題を再検討するため、」設けたと、こう書いてある。そうしますと、この恒久対策のほかに、当面する応急対策もこの制度調査会調査をゆだねるとはっきり御提案になっているものですから、三年間の時限立法で設けられるこの制度調査会の答申に、応急措置結論までもゆだねるということになったら、これは何といっても政府措置の隠れみのにこういうものを設けた、少し理屈っぽくなりますけれども、こういう印象を受けるわけです。どうしても応急対策だけは政府責任においておやりにならなければならぬ。もう待っておれない問題なんです。その点についての大臣の御見解をまず聞きたいと思います。
  4. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 昨日も答弁申し上げましたとおりに、この調査会結論を待ってというゆうちょうなことを考えておる場合でもありませんし、私どもは、公共料金ストップ後における現事態もよく承知もしておりますので、これは切り離して早急に政府責任解決しなければならぬものと考えます。特に、ストップはわれわれのほうで経済情勢全般をにらみ合わせてやったわけですけれども、その負担ということになりますと、やはり自治省関係公営企業にみんなしわが寄ってまいりますので、特にその点で苦慮しておるわけでございます。ただ、赤字が出た、ストップ後における赤字というものを無条件で、それだけ赤字が出たから全部埋めようというわけにはいかぬと思う。基本的には一日も早くこの問題を解決して、そうして何らかの方法赤字を埋めなければならぬと考えますけれども、やはりそれには内容を検討しなければならぬ面があることは、われわれ責任を持つ政府としては当然のことでございますので、赤字まるのみにして補てんをするというわけではないというだけは、ひとつ御承知をお願いいたしたい。
  5. 山内広

    山内委員 ただいまの御答弁のとおりだとは思いますけれども、すでに公共料金ストップする、物価抑制——高騰を押えるという意味で、それをお出しになるときには、もう地方企業というものはにっちもさっちもいかなくなっている。それにもってきてああいう制度ができたことで困っていることは事実です。いまになってから、借金政策だけでもいかぬからということで頭をかかえているだけでは、まことに能のない話で、これは主管であるあなたのほうで具体案をまず練られて、特別交付債を発行するとか、あるいは利子補給をしてやるとか、たな上げを一時やるとか、どれがいいかぐらいのことは、そうたくさん方法があるわけではないのだから、これをやって、ぜひ政府意見をまとめてほしい。これは三者も四者も頭を並べて議論をやってもきまらぬことですよ。あなたのほうで一番いい制度を具体的につくって、それで推進していく、そういうお考えに立って、早急にひとつ政府責任であるという自覚に立って処理していただきたい、これは希望にとどめたいと思います。また、この点についてはいろいろの方から質問もあろうかと思いますので、その点はその程度にしておきたいと思います。  今度職員が十五人ふえることになりましたが、この十五人は、全部今度の調査会定員考えてよろしいので主か。
  6. 松島五郎

    松島政府委員 定員十五名の増は、調査会のほうとは関係ございません。最近、地方開発の問題でございますとか、あるいは新産都市の建設でございますとか、地方団体のつくります計画と国の総合開発計画との関連において地方団体と国との間を調整し、連絡していく必要がございますので、そういった仕事をいたします職員と、それから最近貿易自由化というような問題とも関連いたしまして、諸外国との間における地方税についても租税協定というような問題がいろいろ起こってまいっておりますので、それらの仕事を担当する者及び消防関係職員三名ばかりを増員し、合計十五名でございます。
  7. 山内広

    山内委員 それではその調査会は、何名構成で、どういうふうになるのか。たとえば労使双方あるいは学識経験者、いろいろ構成というものが考えられると思うのですが、定員とその構成について。
  8. 松島五郎

    松島政府委員 公営企業制度調査会委員の人員につきましては、大体二十名程度を予定をいたしているわけでございます。どういう方を委員になっていただくかにつきましては、ただいま検討中でございますが、公営企業学識経験を有せられる方に御審議をいただくという方向で考えてまいりたいということでございます。
  9. 山内広

    山内委員 二十名程度で、その構成は目下考慮中ということなんですが、私ども常識判断をすれば、こういうものは特に地方公営企業で打撃を受け、被害を受けているのは、労働者側だと思うのです。そういう意味では、経営する地方公共団体の側と、それから組合側あるいは第三者、やはりこういうふうな構成常識だと思うのですが、この点は大臣、どういうふうにいまお考えになっておられますか。
  10. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 私は、ものをスムーズに進めますために、また将来問題を残さないような解決をいたしますためには、第三者判断してもらうのが一番正しいという考え方を持っておるのです。しかし、いまおっしゃるように、ここに働いておる人たちの主張というものが無視されることは、これまた将来に大きな禍根を残すわけでもありますし——ただこういう調査会内容が、労使がむき出しで衝突をするような場にすることは、私は望ましくないと考えております。しかし、半面、かといって第三者第三者と申しましても、働く人たちが了解できないような人が委員にばかりなりましたのでは、これはやはり運営ができないはずでございますので、私は、委員の選考には、そういった面の利益代表と申しますよりは、十分御理解のある方も、働く人の協力を得て委員に加わっていただく、また使用者側も逆に同じですが、そういう形の構成が望ましいのではないか、こういうふうに考えておるわけです。
  11. 山内広

    山内委員 これは考え方ですから、大臣のお考え理由があると思います。しかし、労使両方入れてけんかされては好ましくないと言いますけれども、両方の意見が出るのですから、それでいい。それを集約していくのがあなた方の仕事なんですから、何もそういうことをおそれることはないと思います。それでまた適切ないい結論が出るのであって、あまり事情の知らない常識だけでもってものごとを判断する人を出せば、実際に経営し、あるいは働いている人からは非常に浮き上がった結論より出てこない。そういう心配も一面にあるわけです。しかし、まだ研究中ということでありますから、十分に利害関係のある方々の意見の取り入れられるような形で、ひとつ選考していただきたいと思います。むしろ一方に片寄るということは、私はよくないと思いますので、希望だけ申し上げておきます。  では、自治省設置法関係してはそれくらいにとどめまして、次に、この問題とは直接は関係ないのでありますが、郵政省設置法のときに出ました問題で、ぜひこれは自治大臣の御意見も聞いておかなければならぬという問題が残されておりますので、若干聞きたいと思います。  これは、昨年の暮れに郵政をゆさぶった大きな事件を起こした、例の特定局舎改築にからんでの転貸の問題でございます。大臣は就任されて日も浅いのですから、あるいはお聞きになっておらないかもしれません。若干その内容を説明しながら、むしろこれは失礼ではありますけれども、私の見解を主に申し上げて、あとそれに誤りがあったら大臣のほうから御指摘いただいたほうが、話が早くつくのじゃないかと思いますので、そういう気持ちで私これからお聞きしていきたいと思います。  特定局が非常に古くなりまして、改築あるいは新築の必要に迫られていることは、私ども認め、そういうものは早く解消して、労働環境もよくしたい、これを利用される住民も気持ちよくそこを利用できるようにしたいというこの考え方には、私ども何も反対したり、何も言っておるわけじゃないのです。ただ御承知のとおり、昔三等郵便局といいましたが、あの古い明治時代からの財産につきまとう局長の世襲の問題というのが、やはり前近代的である。これを何とか前向きの姿勢で、こういう局舎改築のときに一歩前進した解決をしたいというのが、郵政のほうも考え、また私どももそうあるべきだと判断しておるわけであります。ところが、この古い局舎改築を、どうしてこういう判断に立ったかわからぬわけではないのですが、非常に無理をして計画郵政当局がしたわけであります。  御承知のとおり簡易生命保険及び郵便年金積立金運用に関する法律というのがありまして、これにははっきり個人には金を貸せないことになっておるわけです。第三条の禁止規定なんですが……。ただ地方債を認める。個人に貸すとすれば、その加入した人の保険料を払った限度でその人には貸せるのですけれども個人には貸せないという法律がありますために、この資金を使う場合に、どうしても地方債によらねばならぬ。それで知事地方債ワクを与えて、それを個人に貸す、こういう脱法行為と申しますか、苦しい措置を講じたわけであります。そういうことで地方債を認めるということは、郵政の側では合法的である、こういうことで——法的に調べれば、郵政の場合はよろしいのです。ただ私疑問を持つことは、それではそういう措置をとられた知事と国との関係がどうなるか、こういうことで、若干私も地方自治体の末席を汚した経験もありますので、調べてみたわけであります。ところが、御承知のとおり、自治法の第二条九項の四で、郵便に関する事務というものは、地方公共団体仕事ではなくなっておるわけです。国の仕事であります。そこで、これに一体地方公共団体の長である知事が金を貸せるかどうかということ、その点を実は調べてみました。これにはいろいろ疑義があるのです。疑義はありますけれども郵便に関する事務、こういうことでそれは禁止されておるけれども、その局舎というものは、公共の、そこの住民がみなで使うものだから、その建物に対して金を貸すのは差しつかえない、なるほどこれも考えられるわけです。ただ、これが、貸して家賃の形で払っていったものが、全部完済されると個人財産になるということは、答弁でも出ているわけです。いなかなどで、個人局舎をお持ちになっている局長さんと住まいが一緒の場合は、まだ考えられます。ところが、全然不在地主と同じように別個に離れているときに、はたしてそれほど貸し付けワクを広げていいものかどうか、このことが問題なんですが、この点についてはどういうお考えになっているのか、ちょっとお聞きしたいと思います。事務的な御答弁でけっこうです。
  12. 松島五郎

    松島政府委員 現在、御指摘のございました地方自治法の第二条の規定におきましては、地方公共団体郵便に関する事務を処理することができないということになっていることは、御指摘のとおりでございます。しからば、その郵便局舎に金を貸すこともこの法律に触れるのではないかということになるかどうかの問題でございますが、全く形式論的な申し方ではございますけれども、直接郵便事務を処理するということでございまするならば、もちろんこの法律に触れますけれども、この場合には郵便局舎をつくる金を貸すという、金を貸すということだけでございまして、みずから郵便局舎地方団体がつくるのでもございませんし、またそのつくった局舎地方団体郵便業務を行なうわけでもございません。問題は金を貸すというだけのことでございます。そこで問題は、そういう金を貸すことができるかできないかという問題になろうかと思います。その点につきましては、地方財政法第五条で、起債ができます場合を限定列挙してあるわけでございますが、貸し付け金財源とする場合には起債をすることができるという規定がございます。この規定によりまして、従来も、たとえば厚生年金還元融資として中小企業住宅等について金を貸したという事例もございます。また、病院建設等につきましても、会社がつくります病院等について金を貸したという前例もございます。したがいまして、全く形式的に申しますならば、この場合もその一つ事例として該当し得るのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  13. 山内広

    山内委員 そろそろこの辺から意見の対立になると思うのですが、いまおっしゃったとおり、確かに住宅とか、ひどいときは便所を直すところまで貸しているわけです。ところが、それは会社なり工場を持っている人が、従業員をたくさん使っておる、そういう場合には、その会社が中に入ってやっておる。個人に直接貸している例は忍ないと思うのです。そこでまとめて、そして知事から申請されて……。だから、その純然たる個人財産をふやすことができるかどうかという点について、私、実は調べたのであります。ところが、いみじくもあなたのほうから明瞭にそういうことをやってはならぬという通達が出ておるのです。いまそれを御披露申し上げたいと思います。  これは「昭和三十七年度地方債計画運用について」といって、あなたのほうで三十七年の四月に出しております。その中に「一般的許可方針」というのが第三にありまして、その第三の六項目に、「私有財産改良又は復旧に関する事業に対しては、」これは原則ということばを入れてありますけれども、「原則として起債を許可しないものとする。」とあるのです。この自治省方針には全く違反しておると思うのです。これは事務当局にお知らせしたいのですが、この次官通達というのは、いまのは三十七年です。ところが三十六年、三十五年、前三年にわたって方針は一貫しておるわけです。これは三十六年度ですが、これにも第二項に、「事業別許可方針に関する事項」という中で、「私有財産改良又は復旧に関する事業に対しては、受益者負担金を考慮し、起債財源とすることが適当でないと認められるものについては起債を許可しないものとする。」若干の条件はついておりますけれども私有財産改良または復旧については起債してはいけないということだと思うのです。三十五年度もそうです。その前はどうか知りませんけれども、こういうふうに長年にわたって、地方自治体に対しては私有財産に金を貸し付けてはいかぬという指導をし、次官通達でおやりになってきた。ところが、三十八年度になって初めて特定局の問題が出ましたら、そのことだと思うのですが、この地方債計画運用についてという中からはこれを削ってしまった。これは私は問題だと思う。長年そうして私有財産を造成するようなことはやってはいかぬという指導をしてきながら、三十八年になって急にこれを削ったから出せるのだ、こういう解釈が一方的になされておるということは、私非常におかしいと思うのですが、この点はいかがですか。
  14. 立田清士

    立田説明員 ただいま御指摘の点は、地方債運用につきまして事務次官通達が出ておりますが、その中で、「私有財産改良又は復旧に関する事業に対しては、原則として起債を許可しないものとする。」こういう点が、三十七年度までは確かに御指摘のとおりあがっておったわけであります。三十八年度の運用方針ではそれはあがっておりませんことも、御指摘のとおりであります。その理由は、実は三十八年度の地方債運用通達につきまして、ある程度いろいろ書き方を直したという事実がございますが、その際にこの問題を落としましたのは、一つには、ここで言っております私有財産復旧改良に関する事業というものは、事業主体地方団体であるという場合に、本来個人がやるものを地方団体がかわってそういう事業をやるというものに対して地方債を認めないという趣旨で従来まで書かれておったわけでございますが、ある意味では当然のことでもございますし、それからある意味では書かなくても当然じゃないかという議論もございます。それからいわゆる災害復旧等の場合におきまして、農地等につきまして、激甚災害等の場合につきまして、いろいろ法令の整備もなされてきておりまして、そういう場合に農地関係災害復旧というような問題もございますし、そういう意味で、それはなるほど法律に基づいてなされておることでございますので、特に地方団体事業主体となって個人財産についてやる事業について起債を認めないということは当然のことであるという点から、実は削除した、こういうことでございます。それで、いま御指摘の、今回の局舎問題があったから落としたのではないかという点は、私らのほうとしては、そういう点は事務的には全然ございませんので、念のために申し上げます。
  15. 山内広

    山内委員 当然のことで落としたというのは、私もそうだと思う。これは書くまでもないのです。そういうことをどんどん無制限にやったら、地方自治の破壊ですよ。しかも国のやるべき仕事地方団体のやるべき仕事とは、明瞭に分かれておるわけです。国のやるべき仕事地方団体に押しつけたり、その経費負担させたり、そういうことをしてはならぬということは、地方財政法の第二条にちゃんと規定があるでしょう。ところが、はなはだ不明朗なんですが、このことについては国の仕事である郵政事務——これは何も郵便を配達したり電報配達を禁止した事項ではないのです。これは国のやるべき仕事なんだから、それに伴う仕事も全部国が財政的にも分けるべきであって、仕事は国でやるけれども、そのほかの一般の、たとえば人件費でも何でも、そういうものを地方公共団体が見るといったら、あなた方は黙っていますか。できないことでしょう。それは地方財政法でも、明らかに分かれておる。これは地方自治法にも出ておる。それは詳しく読み上げる必要はないと思うのです。しかし参考までにちょっとお話し申し上げたいのは、この地方財政法の第十二条を見ていただきたい。「地方公共団体が処理する権限を有しない事務を行なうために要する経費」となっております。これは「地方公共団体に対し、その経費負担させるような措置をしてはならない。」とちゃんと禁止規定があるのです。郵政仕事というものは、国の仕事でしょう。これに対してこの十二条の規定からいったら、経費負担さしてはいけない。それで私は、この地方債は六分五厘ですが、これに上置きをするとか、あるいは地方公共団体に手数料を交付するとか、あるいは交付税で見るとか、何らかの措置を見てくれるのかといったら、地方債課長は、そういうことは考えておりません、こういう答弁です。十三条にも、新たな事務に伴う財源措置として、政令または法律でもって地方公共団体にそういう新たな仕事をやらせる場合、いまの局舎転貸のような場合は、国がその財源措置を全部見なければならぬ。それに不服だったらば訴訟も起こせるように、ちゃんと規定がなっておるのです。ところが、地方公共団体に一銭の金もやらない、人もふやさない、そして仕事だけを押しつける。このいまの国のやり方は、地方公共団体が実に憤りを感ずるぐらい、あなた方国の当然やるべき仕事をどんどん地方に押しつけてくるのです。このために地方公共団体はどんなに悩んでいるかわからない。これが明瞭な一つのあらわれなんです。法律一本でもって、政令一本で、あるいは次官通達でもってやらせるのですから。その点については、実は岡山県のほうからも、どうもおかしい、自治法で禁止されている国の事務である郵政仕事をおれのほうにやらせるのは、一体法的にどうなんだ、違法じゃありませんかというお伺いをおそるおそるあなた方のほうに立てておる。それに対して何と回答しておりますか。私、それを読んでみましょう。「地方公共団体地域住民福祉増進をはかるため、」 これはいいんですよ。「特定郵便局舎を所有する個人に対し、局舎整備資金貸し付けを行なうことは差しつかえない。ところで地方自治法第二条第九項第四号の規定との関係については、」これからなんです。「地方公共団体が直接特定郵便局舎整備を行なうものでなく、前述の趣旨による局舎整備資金貸し付けを行なうものである限り、該当しないものと解する。」これも先ほどの御答弁にあったわけです。要するに、これをせんじ詰めれば、地域住民福祉増進をはかるためならば、地方公共団体はやっては悪いけれども、国が金を貸すんだから、そのことだけは差しつかえない、こういうことですね。こうなりますと、地方財政法の第二条の地方財政運営基本方針に反するわけです。「国は、地方財政の自主的な且つ健全な運営を助長することに努め、いやしくもその自律性をそこない、又は地方公共団体負担を転稼するような施策を行なってはならない。」何もこれは地方公共団体から全部お願いしますと言ってきたのではない。あなたのほうから貸してやるから、ぜひ、受け取れ、そうして直してやれ、そういう次官通達でもって流して、そして向こうの申し込みをとって査定する。それに対する経費は一銭も見てやらない。こういう地方自治体の権限の押しつけがありますか。これは自治法で、そういうことができてはいかぬということで、禁止規定まで設けている。大臣、この点についての御見解はどうお考えですか。ちょっとひどい事例だと思います。非常な悪例を残します。こういう押しつけは、郵政としては、局舎を直してやりたいから、そういう困った措置考えることは、私はわかるのです。しかし、それをチェックするのはあなただ。地方自治の権限を奪わないように、自律性を奪わないように、それを守ってやるのが自治大臣仕事なんです。そんな郵政の高級官僚の画策に乗せられて、そうしてこういうものをどんどん地方に流す。地方では非常に憤慨している。この間もお話ししたんですが、この問題できているのが、二十七県よりない。その中に赤字再建団体がある。そのほかの半分近いものは、こういうものをやる気はない。そういうところをあなた方のほうで押しつけて、通達でとる。これで学校を建ててくれ、病院を建ててくれ、こういう下部の盛り上がりをあなた方は全部満たせないで苦しんでいるでしょう。地方公営企業がいま問題になっておる。ああいうものの構想も認めまいとして押えようとしている。何も下部からの声の上がらないものを、次官通達で誘導し、強制して、これをやろうというのですから、これほどの地方自治の侵害はありませんよ。どうお考えになりますか。
  16. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 この資金を県で転貸をするということについては、御指摘のとおり、非常にめんどうなことも伴うのではないか。私は、権限の拡張に努力しなければならぬ場合もあるけれども、やっかいなことを引き受けることはどうかという解釈を、実は持っておりました。おりましたけれども郵政省と自治省との関係についていろいろなものがありまして、郵政省からたってという依頼もありますので、いろいろ検討いたしました結果、これに類する事例も前にはある。それから違法であります場合には、自治省としても当然引き受けはいたしませんけれども、いろいろ検討をいたしました結果、これは違法ではないという解釈の結論も出ますし、細部につきましては事務当局から説明はいたしますが、しかし、特定局のほうでは、老朽しているものを改築したいという希望が全国的にあることは、御承知のとおりでございます。先ほど事務当局が申しておりますとおりに、郵便業務自体を地方公共団体でやるとか、あるいは局舎地方公共団体の手でやるということではないのであります。しかし、こういう地方債でこういう形をつくるということの妥当であるかどうかということについては、私もなお検討の余地があると思いますが、問題の大部分は郵政省にあると考えます。どういう質疑応答があったか存じませんが、私は所管省の大臣として、そういう見解を持っておる次第でございます。
  17. 山内広

    山内委員 事例をあげて、こういう事例があるというお話ですけれども、これはさっきも申し上げたとおり、私はこれが法人とか何とかならいいというのです、あるいは会社とか。純然たる個人にまで広げてどうかということに、非常に疑義を持つ。それじゃ逆に私のほうでお知らせしたいと思うのです。これは金丸三郎さんや柴田さん御存じなんです。ひところどこでも地場産業育成ということで、機械貸与の制度地方議会では取り上げている。十万か二十万の機械を入れれば、そこの産業が非常におかげを受ける、それでそういう地場産業育成のために金を貸してやろうじゃないか、これは気持ちは同じだと思います、内容は違うにしても。ところが、この場合に、個人に貸せるか、金丸さんや柴田さんはみずから、個人では困るので、どうしても必要ならば会社組織に直すという指導をして、会社組織にして金を貸したという事例があるのです。ですから、個人財産をふやすようなことはできないというのです。これはあなた方、もう少し事務的にお調べになっていただきたい。こういう例をつくれば、私この前も例を引いたのですけれども、隣にあき地がある。それを子供の遊園地にするからというので金を出してもらって、公共の福祉に利用した。そしてそれを払ったらその人の財産に戻るという貸し付けができますかという例を引いて、私はお話ししたはずなんです。それは非常な悪例になります。相手が法人とか会社なら別ですけれども、いかに局舎に使ったといっても、それは遠く離れてただ所有権を持っているだけなんだから、そして金を払ってしまえばその人の財産だ。もちろん専用の契約は結びますけれども、そういうところに地方行政がこういう例でどんどんやられると、悪例を残す、こういうことなんです。もう少し事務的にあなたのほうで御答弁いただきたい。
  18. 松島五郎

    松島政府委員 個人転貸をすることの可否につきましては、御指摘のとおり、いろいろなお考え方があろうかと存じますし、また、地方団体としても慎重に取り扱わなければならない問題であるということは、私どももよく承知いたしております。ただ、絶対にそういうものがないかということになりますと、例として引くのが適当かどうか問題があろうかと思いますけれども、最近は、水洗便所の改良資金というものにつきましては、個人転貸をいたしておるわけでございます。そういう事例もございますけれども全般的な問題、あるいは一般論として、個人にまで転貸を広げることの可否については、御指摘のとおり、いろいろ問題もあろうかと思いますので、こういった問題は今後慎重に取り扱ってまいりたいと思っております。
  19. 山内広

    山内委員 私も、便所の改修くらい知っておるのです。ですから、これが特別地方債で別個に国の政策上めんどうを見る、そういうことで、会社あるいは大きな工場がたくさんの従業員を持っておるときに、総合的にこれをやるというなら、わかるというのです。そういうものの要望が非常に強いから、その要望にこたえたわけです。ところが、今度は反対運動が非常に強い。そして二十七県しか申請してきてない。全国で全部から出ているのじゃないのです。そうして一面、いまの地方公営企業のような、火がついた問題で起債してくれといっても、自治大臣なかなかうんと言わないでしょう。病院の要請がある、学校の改築がある、地方自治体でも起債ワクというものは、まだまだほしいのです。それをあなたのほうではチェックしている。それをこういう郵政の政策だけに動かされておやりになるということは、これは言語道断です。そういうことでなく、き然として、地方自治体を守る立場の自治大臣としては、もう少し終始一貫した方針を貫いていただきたい。そうでないと、あなたのところは非常にいろいろなものがくるから、一ぺん例外を認めると、それがくずれていって、どんどん妙な形が出てくると私は思うのです。ですから、この間も多くの委員指摘しているとおり、一般単独事業債によったのはおかしいじゃないか、よそのワクを食うじゃないか、こういう心配もあるわけです。そういうことでひとつ再検討して、地方自治を守っていただきたい。また、この局舎復旧の問題については、私どもも、根本的な、前近代的な措置を何とかこの際解消したいということで、郵政大臣もこれは前向きの姿勢で解決したいという答弁も、実はなされておるわけなんです。ですから、この問題は再燃しないとは思いますけれども、もしそういう話があったら、慎重に処置して、誤りのないように地方自治体を守ってもらいたいと思います。希望を申し上げます。
  20. 徳安實藏

    徳安委員長 田口誠治君。
  21. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 大臣が十二時までしかおいでにならないようですから、ぜひとも大臣のおいでになるときにお聞きしたいことについて、御質問いたしたいと思います。  一昨日もきょうも、わが党の委員のほうから、地方公営企業関係について非常に心配をして質問をいたしておるわけですが、私、その点についてもう少し具体的に政府見解を表明していただきたいと思います。それと申しますのは、御承知のとおり、現在全国的に、大都市といわず、各市町村とも、この地方公営企業法によるところの公営事業を行なっておる事業所は、非常な赤字をかかえております。先般来の答弁からいきますと、東京都の場合には、赤字の額も多いけれども、何といっても総予算が大きいから何とかなるだろうというようなお話もあったのですけれども、私あの答弁を聞いておりましてちょっと疑問に感じましたことは、御承知のとおり、地方公営企業法の第三章、財務、特別会計という十七条の内容を見ますと、地方公営企業の経理は、第二条第一項に掲げる事業ごとに特別会計を設けて行ない、その経費は、当該事業の経営に伴う収入をもって充てなければならないとなっておりますので、結局赤字になったから、一般会計のほうからすぐ議会の議を経て赤字を埋めるのだというような形に、この条文の内容はなっておらないわけなんです。したがって、私は、まずこの条文を少し緩和する必要があるんじゃないか、こういうように考えられるのですが、この条文があっても、先般来のような答弁でよろしいのかどうか、こういうことをまずお伺いいたしたいと思います。
  22. 松島五郎

    松島政府委員 第十七条の規定は、いわゆる特別会計を設けて、独立採算に関する規定を設けたものでございます。したがいまして、その限りにおきましては御指摘のとおりでございますけれども、ただ、一般会計との間において絶対に繰り入れ、繰り出しを認めないものであるかどうかということは、また別の問題であろうかと存じます。すなわち、十七条の二の二項に「地方公共団体は、災害の復旧その他特別の理由により必要がある場合においては、予算の定めるところにより、一般会計又は他の特別会計から地方公営企業の特別会計に補助をすることができる。」という規定がございます。いついかなる場合にこの補助の規定によって一般会計から繰り入れるべきかという問題については、個々の場合に即して判断を下さなければならない問題であろうかと存じますけれども、絶対に他の会計からの繰り入れを認めないということではないのであります。
  23. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 十七条の二ですか。
  24. 松島五郎

    松島政府委員 失礼でございますが、先生のお持ちの法律集は、去年の国会で変わった前の法律でございます。
  25. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そこで、昨年この地方公営企業法の一部を改正する法律案のときに、ただいまの答弁内容のようなことも含めて改正されたと思うのですが、そこでそう改正はしましたけれども、やはり十七条に一項厳格なものがうたってあるので、したがって、この十七条をやはり原則としてというような形になっておれば、いまの二項の問題も容易に生かされていくのですけれども、そうでなしに、もうだめなんだという一つのくぎが打たれて、そして二項でやわらいだものができておるのでありますから、どうしてもやはりこの法文にのっとって処理をしようとしたときに、地方では問題が出てくるわけです。こういうことから、私この十七条の二項の条文をやはり改正する必要があるのじゃないかということでお聞きをいたしたのでございますので、別段これは原則云々ということは入れなくとも、そういう点の支障はないかどうかということをここで確認しておけばよろしいのです。
  26. 松島五郎

    松島政府委員 独立採算の問題と一般会計からの繰り入れないしは補助の問題とは、公営企業にかかります経費を利用者の負担において解決をするか、あるいは一般の租税負担において解決をするかという問題であろうと考えます。したがいまして、通常の場合におきましては、一般公営企業は、利用者の負担において経費がまかなわれるのが原則であろうというふうに考えるものでございます。ただ、特別の必要があって、それが一般租税の負担においてもなお公営企業の経理のために寄与すべきであるという客観的な事由のあります場合に、いまの十七条の二の第二項の規定が働くものというふうに考えておるわけでございます。
  27. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 それはそのとおりであろうと思います。そのとおりだけに、やはり独立採算制をとらなければならないという規定づけが十七条にある限り、別項にいまの緩和条項がありましても、一般会計からの繰り入れということが地方ではなかなかむずかしいということなんです。だから、私は十七条に原則としてというぐらいな改正をしておく必要があるのじゃないか、こういうように考えての質問であるわけで、この点は、いま必要ある、ないということの答弁はできぬかもしれませんけれども、おそらくこの問題は専門の地方行政でやられると思いますので、私はあとの質問事項もございますから、次に移っていきたいと思います。  そこで、昨年の改正のときに附帯決議がついております。この附帯決議のうちの一つは、結局今度法案として出されておりますところの地方公営企業制度調査会の設置云々が、この一つの附帯決議の内容から出されたものと判断をいたします。これはそうかどうかということをまずお聞きしたい。  それから二つ目を読み上げますが、「地方公営企業中その事業の態容及び企業経営の現状から地方公共団体一般会計においてその赤字の一部を補てんすることを適当とする場合等においては、国においてもその地方公共団体に対し必要な財政援助の措置を講ずること。」こういう附帯決議が二項目にわってついておるんです。それで一項目の関係は、調査会を設けて十分に検討したいというのが政府の配慮だろうと思うのですけれども、いまのあとの分は、公営企業法の十七条をいま質問いたしましても、どうもすっきりいたしませんので、こういうこともからめて答弁をいただきたいと思います。
  28. 松島五郎

    松島政府委員 ただいま御指摘の第一項の問題につきましては、そういった御決議の趣旨を体しまして、公営企業制度調査会を設置させていただきまして、検討をお願いしたいと考えております。  第二項の問題につきましては、これまたいろいろな議論がございます。特に公営企業会計と一般会計との関係をいかに考えるべきかという問題は、今日の地方公営企業にとっての一つの大きな問題点でございます。経営自体が適切でないために赤字が出るのか、あるいは経営が適切であっても、その企業が置かれているいろいろな条件のもとに必然的に赤字が出ざるを得ないのか、その赤字が出ざるを得ないという事情が、一般公共の目的のためにそうなるのかというような点について、いろいろ問題があるわけでございます。たとえば地下鉄事業のようなものになりますと、非常な建設費がかかりますので、これを一定の料金でもって経営していくということになりますと、非常に高い料金でなければ引き合わない。しかし、そういう高い料金というものを今日の経済状態のもとにおいて一般の利用者の方に負担させることは適当であるかどうかという、もう一つ別個の問題もございます。そういった個々の問題につきまして、一般会計と特別会計の間をいかに考えていくべきかということが、なかなかむずかしい問題でございます。したがいまして、今回設置をお願いいたしております地方公営企業制度調査会におきまして、そうした一般会計と特別会計の間をどう考えるかというような問題についても、根本的な御検討をお願いいたしたいという考えでおるわけでございます。
  29. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 この法案があります以上は、私ゆっくりした答弁では困ると思うのですが、先ほど来、山内委員のほうからももう火がついておるんだ、大臣のほうからもそういうようなお話もございましたが、私は全国的に調査はしておりませんけれども昭和三十八年の推定としては、岐阜市交通部は、一千万円くらい赤字になるという推定なんです。岐阜市程度の市で一千万一年に赤字を出すということになりますと、私はこれは非常に大きな問題であろうと思うのです。それで、私どもとしては、バスの料金が上がっていくというようなことについては好んではおりませんけれども、まずこういう料金についても適正、不適正いろいろございましょうが、年限からいきますと、もう昭和三十一年の一月一日に料金を引き上げたきり全然上げておらないのです。料金は上げておらない。それから物価の上昇によって、備品一つ買っても相当高くなっておりますし、それからバス一つ購入いたしましても高くなっておりますし、それからもちろん人件費も上がっております。こういうようなことから、ただいま申しましたような赤字が出ておるわけなんです。したがって、こういうことは、審議会を設けていろいろ検討をしなくとも、こういう事業をやった場合には、赤字はなかなか解消できないということなんです。これは料金が相当上がらなければならないということなんです。そうかといって、料金というのは国民生活と直結したものであるから、やはり公共料金として一つの規制というものを設けていかなくてはなりませんし、そういうような関係から、私は、自治大臣には宿題として出しておりませんけれども、運輸大臣あるいは経済企画庁長官には、適正な公共料金とはどういうものかという宿題を出しておりますが、こういうことで、内容的に入ってみますと、非常に困るわけなんです。したがって、こういう時期に、国のほうで審議会を設けて十分に検討をしてもらわなければ、国として全然これに対処することができないというようなことになりますれば、地方自治体は、そのうちに赤字財政で再建団体というようなことをまた繰り返さなくてはならないのじゃないか、こういうことも考えられるので、もう一度、そういうような点も考え合わせての答弁をいただきたいと思うのです。
  30. 松島五郎

    松島政府委員 先ほども大臣からお話がございましたように、当面の料金抑制に伴います赤字補てんの問題については、別個の問題として緊急解決すべく関係各省間で目下協議を進めておるわけでございます。私が申し上げましたのは、一般的な、一般会計と特別会計との間の原則を、今後将来にわたって確立していくためには、やはり公営企業制度調査会に十分御審議をいただくのが適当ではないか、こういう意味で申し上げたのであります。
  31. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 関連。どうも官房長の御答弁、われわれは、そんな形式的な答弁を聞いているんじゃないですよ。もうまゆに火がくっついているのですよ。だから、もうちょっとはっきりした答弁をしてもらわないと……。これは超党派の問題なんです。あなた方、公営企業法を全部読んでごらんなさい。当然そういうことは……。大臣はまだ就任したばかりで——実は早川大臣とは、ぼくはこの問題については数回折衝もし、予算委員会において宮澤経済企画庁長官が変な答弁をしたときには、私は文句を言ったくらいなんです。現に東京都の赤字を見てごらんなさい。私は、この問題については昭和二十六年以来関係しておる。そうして迫水経済企画庁長官、藤山経済企画庁長官、両長官は、世論の支持を得てくれば、公営企業というものは当然上げるべきものだ、こういうはっきりした国会における言明並びに言質を私はとった。そこで、東京都はじめ各市町村の公営企業に対しては、町村議会、市議会でもって運賃値上げを決定しようじゃないか、私は、社会党の諸君の協力も得て、都道府県、市町村の議会の承認も得て、この問題を超党派でもって政府へ出したわけです。政府においてはこれを了承しようとして最後までいったところが、この間のわけのわからぬ公共料金一年間ストップなんということになった。もうすでに政府においても、二代の長官は、世論の支持を得て、議会の——都議会でもそうです。議会の承認を得れば、それは世論の支持があったものとみなすのだ、当然上げる、こう言って今日に至っておるわけです。だから、東京都なんか、あなたはそうおっしゃるけれども、もうまゆに火がくっついちゃって、何年間もストライキをやらなかったものがストライキを始めるほど緊急焦眉の問題なんです。そこで、いまのような御答弁でいったら、一体地方公共団体公営企業というものは、どうなるのかということを私どもは心配しているわけです。これは自治省と同じに心配している。だから、当面の対策については、賢明な皆さんがそろっているんだから、さしあたりの一般会計からの補てんをどうするのか、あるいは当面の起債をどうするのかという問題は、いま政府と検討中だなんてどころの騒ぎじゃないのです。毎日々々赤字を出しているのです。それで三年間たってどうなっちゃいます。しかも公営企業法第三条に何と書いてある。はっきり書いてあるじゃないですか。公共性と経済性の問題は、公共性をあくまで貫かなければならぬ。その裏づけは経済性なのだから、これはあなた方がもう少しがっちりやっていただかなければ、私がここでもって経済企画庁長官をとっちめるだけじゃ、問題は解決しないのですよ。きょうは経済企画庁の調整局長を呼ぶに至らぬが、いずれこれは経済企画庁の法律案で呼ぼうと思う。この問題に対する皆さんの決意、熱意がちっともあらわれていない。それでは解決しないです。われわれも一生懸命この問題は解決しようと思うが、皆さんは形式的な答弁だけやっておられたからといって解決しないということを私は申し上げたい。御答弁願いたい。
  32. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 伊能委員からたいへんしかられておるわけでございますが、決してなおざりにしておるわけではないのです。公共料金ストップ関係各省よりは、私は被害者の代表みたいなものですから、決して一日一日をゆるがせにしておるわけではないのでして、大蔵大臣とも閣議のあとの席上で、皆さんの意見を代表して、この状態をどうするのだということは、こわ談判も毎日みたいに続けてきておりますし、大体大蔵省の腹がまえもきまったようです。ただ、私の立場といたしましては、これは単に起債ということで片づけられますと、問題があとに残らぬか、そういうことを私が言い出すのがブレーキになりはしないかという御判断もあるかもしれません。とりあえず起債でもいいから、とにかく赤字の部分を解消するというお考えかもしれませんけれども、やはり先々のことを私としては考えておかなければなりませんので、そのことを持ち出しておるということは、先般も申し上げた次第でございます。しかし、先ほどの田口委員からの御質問は、もっともな点がございます。ただ、適正な公共料金というものはいかにあるべきか、これをきめるようにと宿題を運輸大臣、あるいは経済企画庁長官かもしれませんけれども、お出しになったということを聞いたわけですが、なかなかむずかしい問題と思う。しかし、一たび綿密な計算をして出しました適正料金は、それで採算がとれるように、企業努力ということもやはり必要だと私は考えるわけなのです。十分な企業努力をしてなお赤字が出る場合には、その適正な公共料金というものは適正ではないという判断は、これは事業をやった者はみなそう考えるのは当然のことであると私は思うわけです。今度焦眉の急として、まゆに火がついておりますこの問題を扱うにつきましても、ではストップ後に出た赤字はいつ全額埋めるのだという点になりますと、やはり大蔵省の見解では、想像いたしますのに、おそらく四十八億赤字が出たら、それは全額とは簡単には言わないだろうと思う。先ほど地方財政一般会計と特別会計との関連のことが問題になって、それも今度のできる調査会結論的なものを出さなければならぬということを事務当局答弁をいたしておりまするけれどもそういうことばかり言っておれないことは、私はよくわかるわけなのです。決して伊能先生御指摘のようになまけておるわけではございませんので、一生懸命でやっておりますから、もうちょっと時間をかしてくださいますようにお願いをする次第でございます。
  33. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 この公共料金ストップということは、恥ずかしいことなのです。これは池田内閣の物価政策を持たない、いわゆる物価倍増計画、そのうちには高度経済成長計画になりましたが、これが今日のような非常事態を生んだ。非常事態でなかったら、公共料金ストップというようなものはかけられないわけなのです。東京都内の大型自動車の乗り入れを時間的に規制いたしました。これはやはりあの交通難のにつちもさっちもいかぬ非常事態一つの手段としてやられたのであって、今度の公共料金ストップも、これは非常事態ストップなんです。非常事態ストップということは、もう公共料金じゃないのです。これは政策料金なんです。政策料金としてストップをさしておけば、ほかのほうで成り立つ方法を政策の面で生み出していかなければならない。これが政治であるわけなんです。これをやっぱりやってもらわなくてはならないのですね。ところが、実際は公共料金ストップしておいて、逆にガソリン税を上げた。こんなことで、こうした事業を経営しておるもの、これは公共企業体にしても、民間の企業体にしても、成り行く道理はないわけなんです。政策料金ということになれば、非常事態として公共料金ストップさせれば、ガソリン税のほうだけは免除するぞよ、こういう政治的な配慮があって初めて私は運営ができると思うのです。こういうことが池田内閣の中ではなされておらぬということが、今日のこういう状態を生んでおるのであるから、自治大臣も、懇談会のときには出ていろいろと持論を吐かれると思いますか、ひとつそういうような点から、非常事態で、もう公共料金じゃない、政策料金になったなら、やはり池田内閣の政策としてほかの手を打つべきである、こういうことを私は強く主張いたしたいと思うのです。  それで、特にいまも伊能先生のほうからもなまやさしい答弁ではいかぬということでしたが、私はきょう答弁の中でほしかったことは、こういうような火のついたときには、起債の元利返還というようなことはまず一時めどがつくまでたな上げをするのだ、これも一つ方法でございますね。それから国の利子補給ということもございましょう。また、融資増額というようなこともございましょう。こういうような手を一つ一つ政策の面で打っていってもらわなくてはならないと思うのです。これをやらなければ、私はいま言ったような問題があると思いますので、おそらくこれはいつかの時期には、また運輸省なり経済企画庁なり大蔵省に向けて、私どもはどんどん言わなくちゃならぬと思いますが、どうですか。とにかく火がついて何ともならぬのですが、これを二年も三年もほっておくということはできぬので、いま言うたようなことを一つ一つやる気があるかどうかということ、ちょっときめつけた質問になりますが、どうでしょう。
  34. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 いや、もっともな御質問でして、しかし、私がやりますからと申し上げるわけにはまいりませんが、先ほど申しました自治省の立場といたしましては、やっぱり被害者の代表みたいな姿にどうしてもなりますので、焦眉の急ということは、ここで御質問を受けるだけでなしに、いま知事会議を開いておりますが、その席に行けばまたこの問題が出てくる、至るところで責められておるわけでございます。一時も安閑としておるわけではございませんので、そういうことは関係各省と協議いたします際には、こういう御主張もあるということは必ず私から述べもいたしまするし、ここで私が、じゃあこういたしますという立場でもございませんから、よく協議をいたしたいと思います。
  35. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 関連して。この料金の問題につきましては、いろいろないきさつがあり、あるいは一月二十四日の閣議決定があることは私も承知しておるわけでありますが、二月四日に、地方行政委員会の席上におきまして、柴田政府委員が次のようなことを言っているわけであります。「現在問題になっておりますのは、バス料金の引き上げに関する措置をどうするかという問題であります。バス料金の引き上げに対する直接の措置としては、一応運輸省が主管でございまして、運輸省が押えられる以上は、これに対する財政措置というものを運輸省案として考えるべきである、こういう考え方に立って運輸当局にはお願いしておるわけであります。」先ほど大臣は、被害者の代表というようなことを言われておりますので、結局主務官庁として認可権限を握っているのは運輸省だ、だから、運輸省が代替措置については案を出すべきなんだという考え方を柴田政府委員は言っているわけでありますが、この点は大臣は同じような御認識に立っておられることになると思うのでありますけれども、また大臣就任以前の発言でもございますので、この点を明確にしておかないと、一体どこにその責任があるのか、どこが代替措置の案を出すのか、こういう問題を、やはり責任を持たしてもらわなければならないという意味から明確にしておきたいと思いますので、御所信のほどを承っておきたい。
  36. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 私も、気分としてはそうです。そうですけれども、しかし、私は、もう焦眉の急と御指摘になりましたが、やはり握っているところは大蔵省なんでして、私は先般この立場に立ったわけですけれども、とにかく大蔵省を説得しなければいかぬ。大蔵大臣もさすがにこれは早急解決をしなければならぬというあせりは持っておるようでございまして、ただこういう席でなくして、またそれぞれ委員の皆さん方も直接折衝をなさっておる事実も、よく大蔵大臣からも聞いてもおりますし、私といたしましては、まあこの段階で運輸省に責任を負うてもらうという議論を進めましても始まらぬと思うものですから、じかに大蔵大臣と毎日折衝しておる、こういう状態でございます。
  37. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 それでは私のほうから大臣に要望申し上げておきますが、いずれにいたしましても、地方自治体へ行きますと、この赤字の問題で非常に困っておる。したがって、これを処理するには、ただ目をつけるのは労働者の賃金が高くなったのだということと、それから、何とかこれを解消するには労働強化をさせて、そして低賃金で少ない労働者で仕事をさせる方法よりいまの方法としては措置がないということなんです。こういうようなことですから、ひとつそういうようなことは自治大臣としてはおそらく好んでおられぬでありましょうし、行政指導としてもそういう指導は誤っておると思いますので、この点についての御所見を承って、そしてあとへ移りたいと思います。
  38. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 先ほどこの調査会構成の問題につきましても私意見を申し上げましたが、結局こういう問題の解決が、単に働く人たちだけの負担になる、そこへしわ寄せになるというふうなことでは、やはりこの経営自体が、私は将来とも軌道に乗っていかないのではないかという気持ちもいたすわけなんです。私どもこの問題を解決をいたしますについて、経営内容を見ますと、とにかくほとんど大部分が労賃だからといった簡単なことで、そこへしわを寄せようというふうなことは、みじんも考えておりません。そのことは御了承をお願いいたしたいと思います。
  39. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 それでは大臣に私のほうから要望を申し上げて、大臣のほうの配慮をいただきたいと思いますことは、現在の場合に起債を起こそうといたしましても、非常に短期ですね。車両の場合は五年、車庫の場合は十八年というようなことでございます。そうして年六分五厘、それで、しかもそれが申請の半分も起債がいただけぬということなんです。したがって、市中銀行のほうで金をまかなおうといたしますると、年七分八厘は払わなくてはならない。こういうことから、もう手を出せば出したところからますます赤字を出して困窮に追い込まれておるのです。したがって、こういうようなことから考えまして、先ほど申しましたこと以外に、国が法律を改正することも含んではおりまするけれども利子補給というようなことも考えてもらわなくてはなりませんし、それから長期的な融資をやってもらわなければ、車両の場合で五年ということでは、とても市中銀行から七分八厘で金を借りて、車両を買って経営をしておるようでは、できないわけなんです。こういうようなことから、ただいま申しましたようなことを法律化する面もございまするけれども、ひとつ取り上げるように努力をしてもらいたいと思います。くどいようでございまするけれども、先ほどの十七条の一項と二項の関係は、やはり何といっても私は、二項の勘案があれば、一項の場合に原則を入れて、そうして地方自治体一般会計のほうからも議会の議を経て容易に繰り入れられるような方途を講じられるようにしてもらわなければ、法律ではこうなっておるからと言われても、一項のほうがどうしても優先的な考え方をされるわけで、このことを地方自治体では困っておるわけなんです。そういうことから、自治省のほうでは、いま私の申し上げましたことを要望として申し上げておきますから、ひとつ十分に研究をしていただきたいと思います。  ちょうど大臣が出られる時間になりましたので、あとの自治省関係の質問は次に譲りまして、今日はこれで終わり、次に移りたいと思います。      ————◇—————
  40. 徳安實藏

    徳安委員長 次に、運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を継続いたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。田口誠治君。
  41. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 運輸大臣、方々でいろいろと質問に答えられたり、質問を開かれて、もう頭の中は相当一ばいになっておると思いまするが、いまも自治大臣公共料金関係で、いろいろ質問をいたしたのでございまするが、私は、何といっても国有鉄道は、日本の産業経済の発展の動脈といわれておるだけに、一番公共性の度合いを高く持っておる事業であろうと思うのです。しただって、鉄道路線そのものは、もちろん経済、産業の発展に寄与するばかりでなくして、低開発地域を開発したり、非文化的な地帯を文化的に引き上げるために、それぞれ鉄道が敷設されるわけでございます。こういうようなことから考えてみますると、鉄道の路線というものは、独立採算制で考えることは誤りだと思うのです。その点どうお考えでしょう。
  42. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 今回、本国会において御審議を得ました日本鉄道建設公団法というのが、全くいま田口先生のおっしゃる趣旨によってやったのでありまして、営利のみではなく、公共性とかあるいは文化の推進力になるという点も考慮してやるべきが当然であって、営利主義のみにやるものではないということを申し上げておきます。
  43. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 大臣はそういう答弁でありますけれども、実際の面を見ますると、そうなっておらないんです。私は一つの例をあげますけれども、越美南線と越美北線を貫通するために、いま福井県なり岐阜県なりが非常に努力しておりますが、あの路線を決定するときに、国会では、この路線は将来非常に重要な路線であるから、これを貫通するためにとにかく誠意を持って早急にやらなければならないという意味のことが討論され、答弁されているわけなんです。それまで重要な路線が、今日までまだ置き去り、と言っては語弊がございまするけれども、ほんの少しずつ延ばしていっている程度で、わずか二十五キロ程度のものがどうしてもまだ手をつけていただけない、場所によってはまだ調査にも入っておられぬということでございまするが、こういう問題が審議されて以来三十五年も四十年もたって敷設にかかってそうして部分的にはできておりまするけれども、もう少しというところをなぜ貫通しないのか。おそらくあの路線は赤字路線でございまするから、そういうところへはあまり力を入れられぬのだろうとは思いまするけれども、ただいま申しましたように、また運輸大臣も答えられましたように、非常に公共性の強いものであり、単なる産業経済に寄与するためのものでなく、低開発地域を開発して、ほんとうに文化のおくれたところの水準を上げていくという使命も持っているのであるから、そんな三十五年も四十年もほったらかしておくということは、私はいまの大臣答弁とは相当開きがあると思うので、一体全体越美南線と北線をいつまでにどうする考えであるか、この点を私は明確に答弁をしてもらいたいと思うのです。
  44. 廣瀬眞一

    ○廣瀬政府委員 新線建設の重要性につきましては、ただいま大胆が答弁申し上げたとおりでございます。またいま先生が一例としておあげになりました越美線、これもおっしゃるとおりだと存じます。同時に、私どもかねがね新線建設につきましては、政府としてはいろいろ推進してまいっておりますが、先ほど大臣答弁申し上げましたように、国鉄全体の財政資金ワクの問題、それから国鉄といたしましては、在来線の増強等の一般会計、こういった観点から、新線建設までなかなか手が届かなかったというのが、偽らざるところの実情でございます。そこで、国会の御賛同を得まして、このたび新しく日本鉄道建設公団を設立いたしまして、従来の国鉄資金だけでは不十分でございますので、非常に重要である地域格差の是正、あるいは地方開発、あるいは国家的な目的を遂行するためには、政府資金もつぎ込みまして、新しい方式で建設をしてやろうということになったわけでございます。  そこで、いま例におあげになりました越美線の南北の連絡の問題でございますが、これは実は、御承知のように、福井と朝日の延長五十七・九キロメートル、このうち三十五年までに福井−勝原間の四十三キロは完成いたしまして、開業に至っておりますが、残余の勝原−朝日間につきましては、これはたまたま九頭龍川の電源開発の問題がございまして、ここでダムその他の計画がきちんと確定いたしませんと鉄道の建設に着手ができないという特殊な事情がございまして、おくれております。しかし、幸いにいたしましてダム計画もきちんときまりましたので、この区間につきましては、これはすでに運輸省といたしましては建設許可も出しておりますので、近く工事に着手したいというふうに考えております。  なお、南北の連絡の朝日と北濃の間でございますが、これは約二十五キロございますが、かなり地形も険峻でございまして、工事もかなりの経費がかかると存じますが、これは先ほど先生からもお話がございましたように、連絡ルートとしてはやはり大切なルートだと考えておりますが、ただいまのところでは、もちろん敷設法の別表の予定線には掲げられておりますが、まだ着手の段階に至っておりません。がしかし、これも建設審議会におきまして十分御審議を願って、将来どのようにするかということを早急にきめてまいりたいというふうに考えております。
  45. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 建設公団はできましたし、それから審議会で今後いろいろ検討してこういう問題を処理していく、こういう御答弁でございまするが、たまたま今年公団法が通り、そして審議会によっていろいろ検討するということになったのですけれども、三十五年も四十年も、こういう問題を国鉄のほうでは、また運輸省としても、そうノータッチでおったわけじゃありませんし、それぞれ強い陳情もしておったのですから、私は、これからは審議会を設けて、審議会によって検討してやる云々は、それは答弁の筋通としての答弁であろうと思うので、今日まで、これから審議しなければどうななるかわからぬというような、二十五キロぐらいのものを、なぜこんな長い期間ほうっておいたのかどうかということです。そうしてこれは大正六年の速記録を見まして、岐阜から富山へいく高山線の敷設——床次竹二郎氏が委員長をやっておられた当時の速記録から見ましても、とにかく表と裏と結ぶ線、こういう線は日本の将来のいろいろな面から非常に重要であるということが力説されて、高山線なんかはずっと前に完成いたしましたけれども、越美南北線の場合でも同じことをいわれておったわけなんで、それが越美南北線の関係は、これはやはり独算制というものが頭にあったために、赤字路線ということから今日まで手をつけておられないのですが、赤字にいたしましても、これを連結することにおいて、そうして美濃太田から福井、こういうような路線ができれば、これの利用は、人の場合でも、貨物の場合でも、非常に多くなるわけでございまするので、赤字財政という意味からいきましても、私は早くこれに手をつけなくてはならないと思うのですが、運輸省としては、また国鉄としては、もう審議会まかせということで、こういうものに対してはノータッチということなんですか。大方針というものは方針として審議会のほうへぶつけて審議してもらうのだけれども、その辺はこれからどういう運営をされるのですか。
  46. 廣瀬眞一

    ○廣瀬政府委員 この線の重要性につきましては、ただいま先生がおっしゃったとおりでございます。ただ、率直に申し上げまして、従来、建設資金も必ずしも十分でなかったということから、建設審議会におきましては、全体の資金量、それからやはり全国的な視野に立ちまして、いろいろ緩急順序というようなことから、いままで御審議あるいは御建議を願っておるわけでございます。この線が赤字であるからといって運輸省、国鉄側がちゅうちょしておるというようなことは、実はないのでございまして、現在の着工線にいたしましても、調査線にいたしましても、いずれも大同小異で、程度の差はございますが赤字——しかし、これは先ほど大臣も申し上げましたように、国家的な視野に立ちまして建設を進めてまいろうということでございます。この線の残区間の二十五キロを今後どのようにするかということは、やはり私どもはいろいろデータは十分に整えますが、従来と同じように、非常に権威の高い建設審議会におはかりをいたしましてきめてまいりたい。私たち別にノータッチというわけではございませんで、各線いずれにつきましても、十分なデータをそろえまして御判断の材料にいたしまして、一段と高い視野から御判断を願うことにいたしておりますので、従来と同じように建設審議会の答申、建議というものを十分尊重してまいりたいというふうに考えております。
  47. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 日発のダムの関係は、私も去年日発へ行って聞いてきましたけれども、これは話をお聞きになれば、どうすればいいかということはすぐ結論が出ることでございますし、それから聞き返しまするが、勝原−朝日間の関係は、ダムの関係もございまするが、大体ここまでの完成は、いままでの経過からいつを目標にされておるのですか。
  48. 廣瀬眞一

    ○廣瀬政府委員 勝原−朝日間につきましては、先ほども申し上げましたように、ダムの関係で着手がおくれておりましたが、これはすでにダムの問題が解決いたしましたので、近い将来に本格的に工事に着手をしたい。それからなお、これはいつ完成するかということでございますが、これはやはり日本全体の建設と関連いたしますので、もうしばらく検討いたしませんと、ここで御回答申し上げるわけにはまいらないと思います。
  49. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 距離をごらんになればわかりますが、こんな短距離のものを、何年計画ともここで答弁——三十年も三十五年も四十年も、大正六年から計算すればずいぶん年月が立っておりまするが、そういう話題が出ましてから相当の年月がたっておるものが、わずかの距離のものが、もう着工はするけれども、その完成がいつまでだというめどのつかないというような、そういうものなんですか。
  50. 廣瀬眞一

    ○廣瀬政府委員 私どもといたしましては、やはり長期的な資金の見通しも立てまして、一応事務的にはこの線は何年くらいという計画を立てたいと思っておりますが、御存じのように、予算のシステムが単年度予算になっておりますので、正確には長期にわたって計画を立てにくい実情でございます。いずれにいたしましても、この線を含めまして、全体の現在の着工線、調査線というものにつきましては、一応のめどを今後立ててまいりたいというふうに考えております。
  51. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 これはゆっくりした答弁ですが、そういうめどはいつまでに立つのですか。
  52. 廣瀬眞一

    ○廣瀬政府委員 先ほど申し上げましたように、私どもとしては一応長期計画というものを立てたいと考えておりますが、政府部内において十分調整、検討いたしませんと立ちませんので、いますぐいつまでに立てるというお答えがしにくいわけでございます。
  53. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 新幹線の問題もありましょうし、鉄道新設は相当金を食う問題でございますから、総合的な中で計画を立てなければならないということは、これは当然のことですし、私もそれはわかりますけれども、先ほど来申しておりますように、ほんとうに長い年月たって、もう地図の上で見れば、ほんのこれだけですよ。その程度のものが、まだここでおそくともいつごろまでというようなことの答弁ができないような熱意がなかったということは、幾ら独立採算制は考えていないとかどうこう言われましても、これをきめるときの国会での審議の中で、きわめて重要な路線であるから、早急に完成したい、こういう熱意も政府から披瀝されておるんだし、そしてまた、関係県、市町村もこれには強い熱意を持っておったのですから、その間なぜ今日まで放任されておったかということは、私は、政治家の一員として考えてみても、全くわからないわけなんです。そして特に、もうこれからは建設公団のほうへそういう仕事はおまかせするんだと、国鉄なり運輸省のほうではいろいろ今後は言われるだろうと思いますけれども、こういうような計画がいまだに全然立っておらぬということは、非常に私は不誠意きわまるものだと思うのです。したがって、早急にこの点を取り上げて、まず勝原−朝日までは一年なら一年、二年なら二年計画で完成するということをきめてもらいたいし、それから朝日−北濃間二十五キロというものは、全然調査も何もしないのですか。
  54. 廣瀬眞一

    ○廣瀬政府委員 勝原−朝日につきましては、先ほども申し上げておりますように着工線でございまして、運輸省も建設許可を出しておるわけでございます。ただ、いままでダムの関係でいろいろ解決できない問題があった。しかし、ダムの問題が解決いたしましたので、一応問題点が解決したわけでございますから、建設許可をすでに出しておるわけでございますから、この区間はなるべく短期間に重点的に工事を進めてまいりたい。なお、朝日−北濃の間につきましては、これは別表の予定線にはなっておりますが、建設審議会で慎重に御検討になりました結果、現在の段階では、調査線にあげられておらないというのが実情でございます。なお、この問題につきましては、今後どう扱うかということは、建設審議会で慎重に御検討になることと存じます。
  55. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 もう一切鉄道の新設の関係は、これからは建設公団がやり、審議会で検討をしてやるということであって、省なり国鉄のほうからは、これに対して意見をはさむというようなことはなされぬのかどうかということです。その点をお聞きしたいと思います。
  56. 廣瀬眞一

    ○廣瀬政府委員 その点につきましては、大ざっぱに申し上げまして、従来と変わりはないわけでございまして、工事の実施に当たるのが公団でございます。従来、工事の実施に当たっておったのが国鉄でございます。基本計画を策定いたしまして、この基本計画は鉄道建設審議会におはかりをいたしますが、基本計画に基づいて公団のほうは工事の実施に当たるわけでございまして、建設線につきまして、運輸省と申しますか、政府が基本計画を定めるという点におきまして、決して野放しにするわけではないので、従来と大体同じような考え方で、政府が十分に関心を持ち、十分に指導をしてまいる所存でございます。
  57. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 答弁は、関心を持って努力をすると言われるけれども、実際は三十年も四十年もほっておいて、努力したというあとはないわけなんです。だから、二十五キロくらいなものは、調査をするなら幾らでも調査費はあるのだから、その調査費をどう使うかということは、これから審議会できめることだから、あなたのほうにほんとうに誠意があるのなら、まずこの調査を今年はやれ、その予算にこれこれ組め、これをあなたのほうから当然示されてしかるべきであると思うのですが、それはどうお考えになりますか。
  58. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 現在の鉄道敷設法によりましては、さようなことはできないのです。運輸省がこれをやれ、あれをやれというのは、予定線というのがありまして、鉄道建設審議会にかけてこれを調査線にしてまず調査して、調査が済んだときにさらに建設線に加える、こういう段階を経なければ、運輸大臣がこれをすぐやれとか——それは緊急やむを得ざる場合は別ですが、そうでない限りはやれないのですから、あえて私のほうが怠慢だと言ってお責めになっても、予定線には入っておりますが、建設審議会がこれをまだ調査線とも何とも決定していただいていないのに、これをやれという命令はできないという点をひとつ御了承願いたい。私どもは、なるべく建設審議会で調査線にするように努力はいたしますが、建設審議会は、独立の権限と申しますか、各党の代表者、学識経験者、各事務官等が入っております権威ある委員会でございまして、そこでこれを調査線にせい、これの建設を何年にきめろということは、われわれとしては言えないのが従来の慣例であり、その慣例はいい慣例だから、私は尊重すべきものであると考えております。
  59. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 国鉄のほうは、いまの考え方と同じか。
  60. 廣瀬眞一

    ○廣瀬政府委員 国鉄は参っておりません。
  61. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 予算要求の場合に、それでは運輸省として公団との関連は、どういうような合意を行なって予算要求をされるのですか。
  62. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 鉄道の建設の予算は、ただいま申しましたような経路によりまして建設線ときまったものに対して、単年度予算でございますから、その年度におきまして財政の都合その他を勘案いたしましてきめて、そうして建設の予算としてきまったものを、ただいま申し上げました鉄道建設審議会の趣旨に従いましてやる順序をきめてやっておるのが、現在までの例であります。今度は国鉄がやるかわりに、ただいま申しましたように建設は全部日本鉄道建設公団でやりますから、鉄道建設公団が、従来の例に従って、建設審議会の意向に従いまして、予算と見合いまして順次やっていくつもりでございます。
  63. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そうしますると、ただいまのような問題をここで幾らやってみたって、ぴんとどこへも響かぬということですねどうですか。
  64. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 大いに必要性は速記録を通じまして鉄道建設審議会委員諸公も考えるし、鉄道建設公団も考えるし、運輸省のわれわれといたしましても、あたの熱意については敬意を表し、考慮を十分いたすつもりでございます。
  65. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 大臣答弁はじょうずですけれども、私らのほうからこういう意見を出しておっても、これは公団のほうが仕事をやるんだ、審議会のほうへは、私ども意見をあまりはさむということは、これはかえって非民主的になるからいけない、こういうことなんだから、表向きはやれないわけなんですね。したがって、そうするとせっかく私が大臣に向けて強い要望なり、いままでのとってこられた熱意がなかったところを指摘いたしましても、このことの反映は、何かの形でやはりやってもらわなくちゃならぬということなんです。その点はよろしいですか。
  66. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 たびたび申し上げるようですが、私どもは、鉄道建設審議会の議を無視してやるわけには、現在の制度においてできないのです。その点を御了承願いたい。しからば鉄道建設審議会の熱意をどういうふうに動かすかといえば、あなたがただいま仰せられたようなことが、速記録にちゃんと残ります。われわれも拝聴いたしまして、熱意においては、地方住民を特に代表されておるあなたの熱意に敬意を表し、同時に努力いたすつもりでございますが、その経過について、運輸省だけがやれと言ったってやれぬということだけをひとつ御了承願いたいと思います。
  67. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 それでわかりました。裏も表もあることでございますから、私の強い要望と、そうして三十数年間いまだに連絡のできないというこの状態を、ひとつ反映をしていただくように強く要望をいたしておきます。
  68. 受田新吉

    ○受田委員 関連。ちょっと間にはさましていただいて……。私、いまの輸送関係、国鉄新線の建設、こういうような問題に関連するわけでありますが、大体国内の貨物輸送機関というものが、陸上では国鉄があり、また自動車があり、海上では内海の場合は内航船がある、また飛行機もあるわけでございますが、一体運輸省は、この国内の貨物輸送機関がそれぞれどのくらいの比率でこの輸送業務を担当しているのか、それに対して今後どういう対策を用意しているのか、お聞きしたいと思うのです。事務当局でパーセンテージを示していただいて、最終的に陸海空三輸送機関による今後の対策を運輸大臣から御答弁を願います。
  69. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 数字にわたる説明を事務当局からいたします。
  70. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 昭和三十七年度の実績、そのトン数の比率から見ますと、国鉄が九一九%、民鉄が二・三%、トラックが七八・三%、内航が九・五%という数字になります。ただこれはトン数でございますので、これに長さを加えたトン・キロの数字の比率から計算しますと、国鉄が三三・二一%、民鉄が〇・五%、トラックが一九・一%、内航海運が四七二二%という数字に相なるわけでございます。
  71. 受田新吉

    ○受田委員 まあこの数字の出し方もいろいろありまするけれども、輸送量の比較検討という意味から、内航船の持つ比重が非常に大きいわけです。四七%にもなる数字を示しておられるわけです。  空のほうはどうなっておりますか。航空貨物輸送というのは、全然やっていないのかどうか。この中に出てきていませんが……。
  72. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 もちろん航空貨物輸送は、数量的にはございますが、比率の上ではごくわずかでございまして、この比較数字に出てくるほどの大きさではないと思います。
  73. 受田新吉

    ○受田委員 将来の見通しはいかがですか。
  74. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 御承知のように、航空貨物輸送は相当の伸びを示しておるわけでございますが、将来においても、比率においてはそう大きな割合を占めるというふうにはわれわれとしては考えておりません。
  75. 受田新吉

    ○受田委員 私、いまお示しいただいた数字から割り出してみて、この海上内航海運業の充実ということを考えるわけでございますけれど、一体国鉄は、もうすでに長距離輸送に対する逓減方式とか、割引方式とか、いろいろ採用しておられる。もう陸路による自動車にしてもでございまするが、限界がきておる、やはり無限に——特に重要工業地帯がどんどん工業生産品をつくっていくようになると、輸送量はどんどんふえていくわけですから、特に内航海運の対策を真剣に考えないと、この輸送問題に壁がくると思うのです。大臣、あなたとしても、この国鉄あるいは自動車による輸送には限界がきておる、海上輸送に今後大いに力点を置くべきであるという考えをお持ちですか。
  76. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 もちろん持っております。かるがゆえに、いままで内航海運に対するいろいろな意見がありまして、いかにすれば強力にやれるかということにつきまして、昨年運輸省の中に内航海運懇談会というものを設けまして、各界の、もちろん海員組合の代表等も入れまして、その懇談会に結論を求めまして、その結論がようやく昨年末に出たので、それに基づきまして、本国会に皆様方に御審議を願っておる内航海運対策の法案を出しまして、そうしてあなたのおっしゃる重要性にかんがみまして、御審議をいま願っておる最中でございます。
  77. 受田新吉

    ○受田委員 御審議を願っておるということについては、理解をしておるわけです。そこで私もうひとつここで大臣に御所信を表明していただきたいことは、この内航海運に、海難が非常に多いのです。もう最近においても毎日、新聞で、われわれはこの船舶の事故を悲しくも確認しておるわけです。これは一体どこに原因があるとお思いでしょうか。
  78. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 まず、船舶の構造が一番原因であると思います。そこで、それにつきましては、なるべく船型を大きくするようにしたい。それから非常に多い原因は漁船、だと思いますが、漁船というものは、まあ冒険性といいますか、遠方に行かなければいかぬので、天候その他について確たる科学的な根拠がなく非常に遠方に出ていって、そうしてやる、いわゆる気象に対する観念が薄い。もうひとつは、設備に無線その他の設備を持たなければいかぬということになっておるが、なかなか持っておらないように聞いておりますが、とにかく海難を急報すべき手段もないというようなことで、海難がよけい起こるのだと私は考えまして、その点に対しましても、農林省その他と相談をして、そんなことのないように努力いたしておるのですが、残念ながらいまあなたのおっしゃるように海難があることは、遺憾でございます。
  79. 受田新吉

    ○受田委員 三十七年度の統計によれば、千五百隻の海難事故、三十八年度においても、過ぐる十月までですでに千三百隻という事故が出ております。たいへん残念なことであります。人命とそして物資と、両面における犠牲があまりにも大き過ぎる。これはいま大臣がいみじくも答弁されたような原因のほかに、政府の施策がなまぬるい。今度例の特定船舶整備公団に対する融資関係などで二十五億ばかりの御援助をされるようになっておるのでございますけれども、純粋に言って、内航船舶に対する融資率というのは九億しかない。こういう非常に低率のもので、三〇%に及ぶ老朽船、低能率船などの処理はできない。政府の施策に大きな欠陥があるのですね。もう一つ、船員が十分教育されないままで、経営不振のその場しのぎのためにやむなく教育のできていない船員を雇用している。そこで船員として精一ばいやっても、技術的にも、教育の点にも、限界かきておるので事故が起こる。もう一つ、無線は二メガ帯をいま中短波を与えておりますけれども、これも百トン以上が二千五百隻のうち、わずかに九百隻ぐらいしかこれを設備しておらない。これはわずか五十万円ぐらいで設備できるそうです。それすらも設備できないということは、これはよほど窮迫しているのです。これに対してまずお聞きしたいことは、内航海運に対して思い切った融資計画を今後一そう拡大していく。融資比率についても優遇すること。さらに船員の教育は、特殊の事情で、雇用しておる立場の人々に国家がお金を出して教育してやって事故を防止すること。もう一つは、無線帯について、いま電電公社で百五十メガの計画があるようでございますが、せめて中短波を現状においてすべての船に設備できるように、二メガの現状をもっと徹底させるという方策をおとりになること。これが私非常に大事な海難防止の一番基本施策であると思いまするが、これについて大臣の大所高所からの固い決意を御表明願いたいのです。
  80. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 私は、さっき申しましたように、いまの内航対策が非常におくれておりまして、そのために海難事故が、先ほどの御質問のようなことのあることを遺憾に思いまして、一挙には解決できませんが、順次解決していくべく、今国会にさっき申しましたような法案を出しまして、融資の道をまず開く。財政の許す限りにおいては、さらに根本的に多額の予算を要求してやるように努力いたす所存でございます。
  81. 受田新吉

    ○受田委員 船員教育並びに無線通信機関の整備についての御答弁を願います。
  82. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 御趣旨に従って極力やるつもりでございます。
  83. 受田新吉

    ○受田委員 電電公社と御相談をされて、いまの二メガ帯の現状を、これは簡単に設備できるわけですから、これを拡充強化するという方針、それから船員教育については、できるだけ国家からもお手伝いをしていきたい、こういうお考えでございますね。
  84. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 通信のいまのあなたの御趣旨の点につきましては、郵政省とよく相談してやります。ただもう一つの教育の問題を、全部を国家の補助でやるということにつきましては、これは非常な財政を伴うことでございますから、すぐここで私がやると言ったって、財政当局がやってくれなければどうにもならぬが、財政が許す範囲内において私はやると申しておるのであります。
  85. 受田新吉

    ○受田委員 大臣、あなたはたいへんはっきりしておられるのです。大臣の中では非常にいいですね。見直さしていただきましょう。  そこで、決意を表明されているのですが、もう一つあなたから最後にお答え願いたい。途中で航空局長に御答弁願いたいと思います。  今後、空の輸送ということは非常に大事なことでございますけれども、ジェット機が、さらに今後超音速、超々音速のジェット機というものもできるわけです。そういうものが計画されておると聞いておる。それをひとつ伺い、さらにジェット機の騒音というものは、防衛庁だけに責任を負わすべきでなくして、当然防衛庁は騒音対策でそれぞれ国から経費を出して犠牲を受ける人々の犠牲を少なくしておるのですが、運輸省としてはそういう対策がまだできておりません。したがって、騒音対策について、防衛庁のジェット機と同じ立場で、これは空港の問題も関係しますけれども、空港周辺には自衛隊の飛行機と同じ立場でジェット機対策というものを、国の総合計画でお立てになる必要があると私は思うのです。この点について、航空局長からまず御答弁をいただき、最後に、政治的な判断大臣に御答弁願います。
  86. 栃内一彦

    ○栃内政府委員 ただいまの御質問にお答えいたしますが、御指摘のとおり、騒音対策につきましては、運輸省あるいは航空局としまして十分でないという点は、私から率直に認めます。  防衛庁のほうではジェット機の対策につきまして、以前から非常に御努力になっております。これに反しまして、民間航空におきましては、一つ理由はジェット機の数が少なかったという点もあったかと思いますが立ちおくれております。そこで私どもとしましては、羽田におきましてもジェット機の数が逐次ふえてまいります。しかもあの附近は非常に人家の密集地帯でございます。そういう点から申しまして、考えようによっては、防衛庁でなく、別の立場でこれに対処するという点があるかと思います。そこではなはだおそくなって恐縮なんでございますが、明年度予算で、おかげさまで騒音対策の調査費というものが、従来になくよけいつけていただきまして、これによって根本的な調査をやる。そうして明年度の予算には、ぜひ騒音についての対策というものを具体的に要求をいたしたい。いままでは調査費の要求のみでございました。今後は具体的な要求をいたしたい。そのためには、今度つきました調査費というものを十分活用して、しっかりした調査をいたしまして、それに基づいて明年度は具体的な予算要求をいたしたい、かように考えております。  それからもう一つ、SSTの問題が出ました。SSTにつきましては今後五年、一九七〇年あるいは七一年、七二年、その辺まだ最終的にはわかっておりませんが、日本航空としましても、七一年あたりには入手するということで計画しております。これは現在の羽田空港では使えませんので、現在私ども計画しております新東京国際空港——これはまだ位置は決定しておりませんが、いずれにしてもそこでもってSSTの受け入れをやる、こういうことになろうかと思います。その際には、日本航空のみならず、各国のSSTの飛行機が入ってくる。これはまた一つの騒音問題になりますので、これについてもいまから十分対処していきたい。ただ目前の問題としまして、羽田の騒音対策というものは、本年度の調査費を生かしまして、明年度具体的な要求をしたい、かように考えます。
  87. 受田新吉

    ○受田委員 大臣、あなたに御答弁願いたいことは、いま航空局長から、騒音対策について明年度ははっきりした具体策を立てて要求したい、こういうことです。非常にいいことです。しかし、その場合に、問題は防衛庁の所管と運輸省の所管の競合という問題が起こるわけです。これは空港によっては両方使っているところがあるわけです。民間航空と防衛庁航空とが同じところにくっついているところがある。そういうことについては、総合的な騒音対策というものが必要だと思うのです。ばらばらになってはいかぬ。公害対策にもつながるわけでございますが、各所にジェット基地があり、また運輸省所管のジェット機の発着空港があるわけです。ひとつこれをつないだ総合的騒音対策というものも御考慮していただくべきだと思うのです。閣議において十分検討していただくべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
  88. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 運輸省がやろうが、防衛庁がやろうが、ひとしく国家の予算でございます。国家の金でございます。国民の金でありますから、二重になるようなばかなことはいたしません。同時に、よく相談してやりまして、御趣旨に沿うようにいたします。
  89. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 それでは次にやんわりと質問します。  自動車ターミナル・プランと流通センターの関係について、ひとつお伺いいたしたいと思います。従来、自動車輸送というのは、戸口から戸口までというようなことで、その特性と言いますか、そういうものを発揮してきょうまでまいったのですが、それがために、その他の輸送機関のような発着施設というものがあまりにも考慮が払われておらない。このことが、今日になってみると、やはり交通緩和対策に非常に重要な問題となってきておるわけです。したがって、この自動車ターミナル・プランというものができ、それから輸送の流通をよくするためのセンターというものも考えられて、既設のものも相当にあるわけなんですが、この点について、この輸送緩和ということ、特にこの輸送の面におきましても、鉄道とか港湾というようなものは、また飛行機もそうでございますが、発着の場所が適切につくられておるわけでございますけれども、自動車輸送に対するところのターミナルというものが不十分であるということから、いまこれが非常な隘路になっておる。したがって、いまお考えになっておられるプランと、それから流通面に対する抱負を自動車局長のほうからお答え願いたいと思います。
  90. 木村睦男

    ○木村(睦)政府委員 御指摘のように、トラック輸送におきまして、発着施設、ターミナルの施設が、かなりわが国としておくれております。そこで特にターミナルは、大都会におきます混雑の緩和、それから輸送の能率の向上、両面から、最近その必要性が非常に強く感じられるわけであります。そこで、特にいまお話しのトラック・ターミナルについて申し上げますと、まずトラック輸送というものが、一つの輸送機関の中心といたしまして、そのほかの市場であるとか、あるいは倉庫だとか、非常に関連性があるわけです。したがいまして、特に東京とかあるいは大阪のような超大都市と申しますか、そういうところでは、都心を離れまして、そういった流通関係の施設を一カ所に集めて、そしてその中にトラック・ターミナルをつくるということが、都市における混雑緩和の対策にもなりますし、トラック輸送の能率化のためにもなるわけであります。したがいまして、関係するところが、運輸省、あるいは建設省、あるいは東京都なり、大阪市というふうな、各方面に関係があるわけであります。目下関係各省で相談をしながら、ある程度、東京等におきましても計画の具体性を持って、現在作業を進めております。そういうのが現在の段階です。  なお、全国的には、まずそういった大都市を先にいたしまして、長期の計画を一応持って、これを青写真としてわれわれの胸に入れながら、今後対策を具体化していきたい。たとえば土地の確保、あるいは必要資金の融資、そういった面におきまして、強い応援、助成をいたしたい、かように考えております。
  91. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 公団関係がやっておりまするターミナル、これとの関連をお聞かせいただきたいと思います。
  92. 木村睦男

    ○木村(睦)政府委員 トラック・ターミナルの建設は、特に広大な土地が要るわけでございまして、しかも、ターミナル事業としては非常に採算性の低い事業でございますので、膨大な資金のわりに企業性が非常に薄いということから、しかし、トラック・ターミナルの必要はただいま申し上げましたような事情でございますので、運輸省といたしましては、強力に政府の力の及ぶ機関をつくりまして、必要なトラック・ターミナルを建設いたしたいということで、実は一昨年来必要なところには公団の形式でほとんど全額政府の金をつぎ込んで設置しようという計画を進めてまいっておったわけでございますが、予算折衝の過程におきまして、なかなか困難いたしまして、現在まだ実現に至らない。といいましても、手をこまねいて待っておることはできませんので、目下それにかわるものといたしまして、現在トラックの業界等々と話しまして、ターミナル設置の話を進めております。なお、これに関しましては、融資等に関しましてはほぼ見通しをつけて、政府としては来年度の計画の中に盛っておるわけでございます。
  93. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 私、この機会に、特にこの法案が自動車の輸送行政に関連をして出されておるものでございまするし、実際の路面におけるところの自動車の状態をながめてみますると、先ほど申しましたように、自動車の貨物輸送というものが非常に多くなってまいりまして、したがって、東京都内あたりでは、時間的な規制もされておるような状態でもございます。先ほど申しましたように、港湾とか、飛行機とか、あるいは鉄道というものは、適切な場所に停留所があり、そうした施設が設けられておりますけれども、トラック輸送の面に対しては、いまだにその点に対する手当てが非常に不十分である、整備がおくれておる、こういうことからお聞きをいたしておるのでございまするから、ただいまの、内容的なものはわかりましたけれども、今後どの程度のものをどこにどうしていこうかとする計画を具体的にお持ちになれば、ひとつここで答弁の中で発表していただきたいと思います。私、特に交通が激しくなりました最近二、三年の状態を見ますると、新しくターミナルのできたというのは、数字的にいきまするとそんなに多いものではないわけなんで、こういうことから考えてみますると、将来どういう計画で、どうこれを処理されるかということが、やはり重要な問題であろうと思いますので、その点の計画をひとつなるべく具体的に発表していただきたいと思います。
  94. 木村睦男

    ○木村(睦)政府委員 すでに福岡、仙台、小倉につきましては、一般トラック・ターミナルができておりますが、問題はやはり東京、大阪、こういうところに先に手をつけていきたいと考えております。すでに特に中小規模以上の大トラック会社は、自分でトラック・ターミナルを相当持っておりますが、一般ターミナル、つまりどのトラック業者でも利用できるような大きなトラック・ターミナルというものが、今後必要になるのではないかと思うのでありまして、東京周辺では、おおむね四カ所ないし五カ所の地区にそういった一般トラック・ターミナルを建設したい。東京湾の一部埋め立て等の計画もございまするので、それらも一応予定いたしまして、その程度建設を現在考えております。大阪につきましても一カ所ないし二カ所、名古屋についても一カ所というふうに考えて、いませっかく計画を進めておるわけでございます。
  95. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 東京都の場合を私はひとつ例にとってながめて見まして、いま東京都の場合の計画をお話しになったのですが、東京都の場合には、やはり敷地確保ということに非常に困難性はあろうと思いますけれども、しかし、将来ともにこの自動車におけるところの輸送というものは、まだまだふえてまいりますし、どうしてもこのターミナル計画、それから流通対策というものに重点を置いた施策を講じてもらわなければならないと思うのであります。これは民間でやる場合と、それからいまの公団の場合、いろいろありますが、併用ということについては、今日どの程度の成果をあげておりますか。
  96. 木村睦男

    ○木村(睦)政府委員 ただいまでは、民間だけですべてのトラック・ターミナルをつくっております。先ほど申し上げましたように、一昨年来当省で考えておりましたのは、公団をつくってやろう、そして構想といたしましては、ちょうどいま道路が、民間の自動車道あるいは道路公団による道路というふうにありますように、トラック・ターミナルにつきましても、民間資本に期待するもの、一部は政府資金でやるということで、ターミナル公団を考えておったのですが、まだ実現するに至っておりませんので、現段階では民間のベースにおいてつくりますトラック・ターミナルに対して、先ほど申し上げましたように、国有地は当然安いわけでございますが、そういうものの払い下げについて優先を認める、あるいは開発銀行の融資について十分な措置を講ずる、そういうふうな助成措置によりまして、民間を中心にしたトラック・ターミナルの育成をはかっているのが、現状でございます。
  97. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 先ほどの、東京都の埋め立て地を予定されておるというのは、これはトラックのほうですか、自動車のほうですか。
  98. 木村睦男

    ○木村(睦)政府委員 埋め立てでございますので、ただ土地造成でございます。その埋め立てられた土地をトラック・ターミナルのために必要なところを払い下げを受けて、トラックのターミナルを建設するという構想で考えていきたいと思います。
  99. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 トラック・ターミナルでなしに、自動車の場合、やはり東京都にその必要性をこのごろ感じておるのですが、この点はどういうようにお考えですか。ちょっと計画があれば……。
  100. 木村睦男

    ○木村(睦)政府委員 もちろん、トラックのみならず、バス・ターミナル等につきまして、東京都における交通混雑緩和対策、あるいは都市の分散という面に非常に効果があるわけでございますので、かりに民間の資本と合わせまして会社をつくってトラック・ターミナルを建設する場合にも、東京都にも参加してもらうことをわれわれは強く希望しているわけであります。当然東京都も受益機関の一つというふうに見まして、協力をお願いしたい、かような考えを持っております。
  101. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そのときには、併用するという考え方でありますか。
  102. 木村睦男

    ○木村(睦)政府委員 併用とおっしゃる意味がわかりませんが……。
  103. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 バスとの関係
  104. 木村睦男

    ○木村(睦)政府委員 バス・ターミナルにつきましても、考え方はトラック・ターミナルと原則的には同じ考えであります。
  105. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 東京都の場合においては、実際において敷地の確保がむずかしいので、敷地を確保すれば、そこには併用できるようなものをつくらなければ、あそこにもここにもと計画してみたところが、それは実現不可能に近いものだと思う。実現できるものということならば、将来において分離する方法をとってもよろしいけれども、最初の計画というものは、総合したもの、併用できるものをつくって、そしてなお敷地が確保ができて、そこにターミナルができるということになれば、これを分離さしていく、こういう方法をとっていかなければ、いまの場合は、自動車、トラック、バス、非常に路面においては混乱をしているのですから、そういうことから私、この点を取り上げたわけでありますが、そこまではお考えはないのですか。
  106. 木村睦男

    ○木村(睦)政府委員 トラックによります貨物輸送とバスによる旅客の輸送では、輸送の形態、あるいはターミナルをどこにつくるかという問題で若干特質がございますので、違う面が多いのでございます。したがいまして、同じ場所にトラック・ターミナルをつくりバス・ターミナルをつくって、両方ともその場所がそれぞれターミナルの機能を発揮するのに十分な効用を持つものであれば、同じ土地に両方の施設をつくるということもけっこうなことであり、必要であると思います。しかし、多くの場合は、トラックの場合には、倉庫とか貨物関係の流通施設を一カ所に集めてやるのが最も能率を発揮しますし、それからバスによる旅客の輸送は、人のたくさん集散する場所ということで、しかもそこから分かれてハイヤー、タクシーあるいは地下鉄とか、他の輸送機関に移るのに便利な場所であるというのが、バス・ターミナルが十分な効用を発揮いたしますので、そういう点も考えなければいけませんから、それぞれ具体的な土地を一応予定した場合に、そこはトラックがいいかバスがいいか、トラック、バス両方のターミナルを一緒にしていいかということは、その場所によって判断していきたいと思います。
  107. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 そのとおりなんですが、いまの点で、そのとおりに敷地を確保することができますか。ちょっと不可能です。だから、まず第一に確保したところはこれを一つの、自動車なら自動車とか、トラックならトラックだけの専用でなしに、これを併用さすという形にしておいて、そして次の敷地を確保していってそこを専用させるというような、こういう方法をとっていかなければならぬじゃないか。いま局長のほうからの答弁のとおりが理想的であるけれども、理想どおりにできないから、せっかくいま計画されているものを、一つの緩和策として併用する必要があるのじゃないかということが考えられたので申し上げたのであって、そうこの点をこだわってどうこうは言いませんけれども、そうした計画の上に立って事を進めていかれようとするならば、理屈どおりにはなかなかなりませんので、そういうことも考慮しつつこのターミナルの建設に力を入れていただきたいと思いますし、そうして交通緩和の一つの策にこれを利用させるようにしてもらいたいと思うわけでございます。そこで、それではこの問題についてはこの点で終わりまして、ただいまの要望の点をひとつ御配慮いただきたいと思います。  次に、これは私、運輸大臣だけではどうもいかないところもございまするけれども、せっかくのこういう機会でございまするから、公共料金の問題について、ほんの一つだけ例に申し上げて、適正な公共料金はどうあるべきかということを考えてもらいたいと思いますることは、いま小口貨物集配所の請負料金というものは、一個四十キロの荷物が四キロ範囲内、一里範囲内を四十円で配達をしたり集貨をしておるわけです。それで、たとえば川崎の百合ケ丘の団地あたりに行きますると、これは全部三階、四階のアパートでそろっていますから、そこから一つ一つの荷物を四階まで上がって配達をしたり、四階まで行って集貨をしたり、こういうような料金が実態であるわけなんです。したがって、こういうことに従事をしておる小運送業の労働者の賃金なんかは、その会社の収入面からいきまして、非常に悪いわけなんです。たとえていうなれば、ここ十年ぐらい前は、私の所属しておりまする日通の労働者の賃金と国家公務員の平均ベースと比較をいたしますると、日通のほうがずっと高かったはずです。ところが、いまでは、二千五百円か三千円、ベースが低いでしょう。ほんとうに荷物と四つに組んで、そして力の限り力を出してやるこの労働が、そういうような状態なんです。しかも、これはまだ大企業だから、その程度何とかまかなってなされておりまするけれども中小企業の場合には、非常に悪いのです。そういうことからいきますると、私は、こういうものの適正な料金というものと——もちろん、これは国鉄との契約の上においてなされることでございまするから、国鉄の収入の面、独立採算制ということも加味されるわけでございまするから、それで、国鉄自体といたしましても、そんなに赤字を出してまでそちらの会社のほうと契約を結ぶことは困難である、こういうことから、やはりこの適正料金というものを検討するときに、こういう公共企業体の一番元祖であるところの国鉄の運営、国鉄のあり方、こういうようなものに対しては、同時に検討をしていかなければ、適正料金だのどうこういってみたとて、これはなかなかいかないと私は思うので、それで、こういう実態の上に立って、いまそれぞれ小運送業につとめておるところの労働者は、非常な労働強化と低賃金、しかも事務系統はそうではありませんけれども、作業員系統の場合は、やはり労働が低下するというような点もありまして、定年制が事務系統と五年も違っておるということ、五年違っておる定年制でも、まだ、五十五歳近くになればこれはだいぶ能力が落ちるというので、完全雇用を確保するためには、そこの従業員の組合が非常に努力していかなければならないという実態であり、また、経営者自体としても、そうした人たちをかかえることにおいて、やはり能率の低下ということがすぐ経営の面に響いてくるというようなことから、非常な苦労があるわけなんです。したがって、こういうようなことを考え合わせてみますると、やはりこの適正な公共料金というものの出し方ということについては、それぞれの事業体の運営のしかた、あり方、性格というようなものも、これは大いに考えていく必要があると思うので、いま非常にこういうことが率直に各方面から述べられるようになっております。これはただ運送業だけでなしに、バス業者でも自動車業者でも同様に、やはり一つ公共料金の下において作業をしておる労働者、そうしてまた、その労働者を使って経営をしておる経営者自体は、双方が非常に困っておるというのが実態であるわけでございますから、私どもは、やはり池田さんの高度経済成長政策のあのやり方には反対であったので、こういう物価の上昇になって、公共料金は実際には上げなければならないような状態になっておるという点は非常に憂えておりながらも、やはり一般大衆の利益を擁護するという立場から反対の立場をとっておりまするが、事実そういうような内容でありますから、こういう点について、運輸大臣はどうお考えになっており、将来、ただいま申しましたような内容についてどういうような抱負を持っておられるか、ひとつ御答弁の中で明確にしていただきたいと思います。
  108. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 私ども運輸行政に携わる者といたしましては、何と申しましても、人の問題が一番大事な問題と考えております。いかに精巧な機械、いかになにがありましても、それを動かすのは人間でありますから、人間の問題を一番重視してきております。この観点からいたしまして、いわゆる公共料金につきましても、その面から適正な運賃ということを主張してまいりまして、今日までやってきたのでありますが、御承知のような事情で、この一年間ストップしたということにつきましては、私、担当大臣としてまことに遺憾でございますが、大きな政治の目的のために、忍びがたきを忍んで、業者の方に訴えまして、一年の間しばらく待ってもらいたい、こういうことをお願いして今日まいったのが実情でございます。田口さんの御所見に対しましては、私は、全く同感でございまして、なるべく早い機会にこの不自然な状態、自由経済のもとに行なわれておるというこの不自然な状態を一日もすみやかに解決するよう、今後とも努力いたしてまいりたいと考えております。
  109. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 先ほど自治大臣にも私は申し上げたのですが、経済政策の、私から言わせると失敗から、一般大衆の利益を擁護するということから、この際、全般的に公共料金を一年間ストップさせるというこの手段をとったことは、これはやはり一つの失政であり、それから、非常事態一つの非常手段であるから、これはもう公共料金という名前をつけるものではない、政策料金というように考えなくてはならぬと思う。政策料金ということになれば、その他の政策面において、そうした事業場が成り立つように、そういうところにつとめておる労働者が、同じ事業場につとめておる労働者と同じ待遇が受けられるような処置を、政治の面でやっていかなくてはならない。こういうことになりますると、それでは政府から補助するかどうかと言ってみても、民間ではそういうことはできないでしょうし、考えられることは、公共料金は一年ストップされたが、ガソリン税はまた上がった、収入減になる。これはすぐ経営の面に響くことは、もちろん労働者の完全雇用ということに響いてくることでありますから、そういう非常手段をとらなければならないような場合には、政治料金としての考え方の上に立って、政治で解決をするということになれば、そういう事業体に対しては、ガソリン税の免税云々というようなことも一つの対策にも相なるわけでございまするので、そういうことも考えておるわけなんですが、これは大臣にしてみれば、こういう非常にとっぴな質問で、答弁ということについてはちゅうちょされる面もあろうと思いまするけれども、いずれにいたしましても、政策的に解決しなければならない、政治的に解決せなければならない事態であるから、この点に対しての御意見を承りたいし、一年間ストップしておいても、これでなら日本の国民大衆の福祉を守ることはできるか、生活面を守ることができるかということについては、おそらく経済企画庁といえども責任を持てるものではないと思いまするので、当面の対策として、私はいま申したようなことを頭に浮かべたわけなんで、これにひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  110. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 当面の対策といたしまして、バス業者、トラック業者にガソリン税を減免したらどうかというお話でございますが、これもなかなか困難でございますが、私は、今後ともその方向に向かって努力いたしていくつもりでございます。
  111. 徳安實藏

    徳安委員長 永山忠則君。
  112. 永山忠則

    ○永山委員 時間がございませんから簡単に申し上げますが、池田内閣は、高度成長政策をやるのは、それによって経済が非常によくなってくるから、そのよくなった分を中小企業と農村側へ回して、所得均衡をはかるために高度成長政策をやるのだ、こういうことを強く主張してきたわけです。そうして次には、中小企業や農村は、労働賃金の値上がりを吸収することが、合理化が困難だから、したがって消費物価と農産物価は上がるのがあたりまえだ。しかし、一年半くらいたてば、大企業と均衡がとれてくるから、一年半待て。そうなれば、上がり切ったら均衡になったのだから、そこで押えることができるということで、強く主張をいたして、中小零細企業、農村は期待をいたしておったのでございます。農村問題は別にいたしまして、唐突として中小零細企業のタクシー、ハイヤー、あるいはバス等の料金の値上げをストップをするということは、もうまさに言うことと実際とが逆なんでありまして、実際の問題としては、中小零細企業と農村の犠牲において物価安定と国際収支の均衡をはかろうという、一番悪い、弱肉強食の典型的な資本主義経済が行なわれようとしておるのだ。私は、この際、運輸大臣が、所管大臣としてこの政策が誤っておることを閣議でうんと指摘されて、猛然と反撃さるべきであったと思うのでありますが、運輸大臣はどういう態度をおとりになったのでありますか。
  113. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 自由経済のもとにおける経済の原則は、御趣旨のとおりであります。私も、その問題について閣議で相当反対をいたしたのでございますが、より以上の高い政治的見地に立って内閣の方針がきまりましたので、やむを得ずそれに同調いたしたというのが現状でございます。
  114. 永山忠則

    ○永山委員 より以上高い方針ではない、より以上悪い方針にきめたのでありますから、こういう場合には、運輸大臣は職を賭してでも戦って、その誤りを正すというくらいにおやりにならなければならぬのでございますが、さらにタクシー、ハイヤーにいたしましても、バス、トラック業者にいたしましても、いまお話のごとく、ガソリン税は大幅な値上げですよ。さらに自動車損害保険は、倍くらいに引き上げたのですよ。そして今度は、検査手数料はまた五割ぐらい上げたという、バスやトラックやタクシー、ハイヤー業者だけに、こういうように値上げをしておいて、そして料金ストップをかけるというのでは、踏んだりけったりというような、手足を縛って袋だたきにして、そして営業しろ、そういうような、実に言語道断なる処置に対しては、運輸大臣は今後も強くその蒙を正すようにやってもらわなければいけない。特に直ちにおやりにならなければならぬことは、それならばタクシー、ハイヤー、あるいはいまのバス、トラックの業者に対して、税金を免除するぞ、減税するぞ、こういうことをおやりになろうとするのでありますか。さらに、それに対する融資に対しては、政府機関から安い融資をしょう、金利補給もしよう、あるいは運転者の養成に対しては、政府は養成機関に助成しよう、こういうような助成的措置は、直ちにいまでも講じなければならぬじゃないですか。そういうような点に対して、どのようにいま政府と話し合いを進めておられるのでありますか、お聞きしたい。
  115. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 諸種の問題について、その不合理を是正すべく、私は極力やっておるのでございますが、なかなか思うようにいかぬのは残念でございます。
  116. 永山忠則

    ○永山委員 そういうことさえもやれない、またようやらないということなら、ほんとうにおそるべき弱肉強食の資本主義経済が行なわれるということになるのじゃないですか。その結果はどういうことでございますか。その結果は、企業者はつぶれちゃ困るのですよ。だからつぶれぬために何をやっているか。労働ダンピングですよ。運転者にダンピングをしいて、労働強化です。さらにまた経営者は、新車の更新をおくらす、整備もおくれてくる、厚生施設もできなくなる、このことが、自動車事故を起こしているじゃないですか。私は、今日官紀が弛緩しているとかいうような問題以外に、こういう暴政から実におそるべき惨事が頻発いたしておるということを考えなければいかない。この事故の大きな責任政府にあるんですよ。同じことを私は国鉄でも思うのです。政府責任ですよ。うんと設備改良費でも出すべきものを押えて出さないから、過密的な運行になってくるのでありますから、私はこの事故防止の見地から見て、あるいは運転者の労働ダンピングをしいていくこの状態を是正する上においても、すみやかに対策を講じなさい。そのことを大臣に特にひとつやるという決意を聞きたいのであります。
  117. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 御趣旨のとおり、私も微力を尽くしておる次第でございます。
  118. 永山忠則

    ○永山委員 さらに国際オリンピックに備えて、都市の自動車交通の関係は重大でございます。私は時間がありませんから、タクシー、ハイヤーだけにしぼってこれを申し上げますが、タクシー、ハイヤーが足らないから増車をしようというしろうと行政ではいかないんですよ。その中心は何であるか、運転者ですよ。今日運転手は、百万円以上の車を持って、そうして営業をやっているのです。事業者ですよ、運転者は。そうしてその収入の中から営業主に持っていって毎日納めている。その運転者がいないのに増車したら、どうなるのですか。運転者の養成ということをせずに、運転者が不足しているから、今日東京都において二千台から休車いたしておるでしょう。その休車しているのは、運転者がいないからでしょう。その運転手の養成というようなことに対して、あるいは待遇改善ということに対して、積極的な施設をせずに、努力をせずにただ足らぬから増車だけやるという、そういうしろうと的運輸行政は、私は断じてとらざるものであります。すみやかにこの運転者の養成、待遇改善、これに対して格段の処置をして、それに並行しなければ増車しない、それがまず急だと思うということに運輸行政が進まなければならぬと思うのですが、大臣の所見を伺いたい。
  119. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 そのとおりでございますが、増車をいたす場合におきましては、事業主に対しまして運転手の確保を確かめてやっておるのですが、事業者の中にいろいろ事情があるのか、そのときは運転手は確保していると言いながら、現実はいま永山委員指摘のようなことになっておりまして、まことに遺憾にたえません。私も今後気をつけまして御趣旨のような増車の方針に向かっていきたいと思っております。
  120. 永山忠則

    ○永山委員 この運転者の不足が一切の運輸行政の都市のタクシー、ハイヤーの混乱を来たしているのでありますから、十分この養成とそれにマッチした増車の関係を御考慮されて、都民の方が安心して乗れるというような態勢に持っていかれることを期待いたします。  もう一つは料金問題です。料金を安くしさえすればいいということではないのでございますよ。料金を安くしてバスやあるいは電車のようなところまで料金を下げていったら、もう需要は増大して、幾らあっても足らない。おのずから限度があるのです。それを安くさえすればいいという頭に立って押えようとするから、経営が非常に困難を来たして、運転者の待遇の改善ができない。適正料金を確保する、そうして経営の健全化をはかる、運転手の待遇改善をはかる、厚生施設をやる、こういう基本的態度を堅持されて、そうしてPRしなければ——マスコミが安くさえあればよろしいという考え方は間違っているのだ。そのところにいわゆる混乱した運行が行なわれているのだということをよくPRして、特に東京都のようなものは、時間併用メーターを取りつけなさい、混雑のところに入ったら出られぬのですから。だから、乗車拒否になってくるのですよ。乗車拒否を徹底的に取り調べることはけっこうでしょう。しかし、その原因を探らなければいけない。料金に対しても不当に押えたままでおくから、そういうことになる。ことに料金の値上げ率に対して企画庁が干渉して、運輸省が一五%なければならぬというものを、いや一〇%にしろ、最後には一〇%といったから、まあ何とか顔だけ立てよということで二二%に持ってくるという、夜店のバナナのたたき売りみたように、顔を立てようとするような、そんなことがあるはずがないのですよ。私は、この際時間メーターを併用すると同時に、適正なる料金を確保するよう、直ちに勇敢におやりになる決意をお伺いしたい。
  121. 木村睦男

    ○木村(睦)政府委員 時間併用メーターの問題、技術的でございますので、私から答えさせていただきます。  永山委員のおっしゃるとおりでございます。今回の運賃改定にはそれが間に合わなかったわけでございますが、時間併用メーはーにはかなり複雑な研究が要るものですから、実はすでに東京陸運局のほうでその研究をさしております。したがいまして、この研究ができまして、合理的な時間併用メーターがどうあるかということが出ますと、そのときになりまして、そのときの東京におきますタクシーの諸種の事情等を勘案して善処いたしたい、かように考えております。
  122. 永山忠則

    ○永山委員 私は、ベルギー、西ドイツ等へ行きましたが、タクシーは目抜きの一番いいところへ駐車しているのですよ。そうして自家用自動車は駐車させてないのですよ。日本は逆じゃないですか。自家用自動車は一番いいところに駐車せしめて、そうしてタクシーの駐車場を置いてないじゃないですか。一番交通のひんぱんな曲がりかどのような中心地には、自家用をのけて、タクシーを常備せしめる。そうして業者に言うて、赤字経営になっても、そこらは強制配置をするということは協力するのですから、そこに健全経営ということをわれわれは主張しているのです。そういうような点を直ちにおやりになりまして、今度のオリンピック都市交通に備える格段な構想を、私は時間がありませんから、その点だけ聞いておきたい。あらゆる点に対して新構想をお立てになって、国際オリンピックの交通関係整備に一段の力を尽くされなければならぬと思うのです。大臣の決意を聞きたい。
  123. 綾部健太郎

    ○綾部国務大臣 御趣旨に従って、極力御趣旨に沿うようにいたします。
  124. 田口誠治

    ○田口(誠)委員 関連質問が長くなりましたので、時間も考慮して、私まだいろいろありますけれども、やめますが、ただ大臣に強く要望しておきたいことは、先ほど来申しましたように、何といっても、いまは政策的な行き詰まりもあって、政策的にやらなければならない。われわれのあまり感心しないことをしておられるのであるから、いままでの質問の中でそれぞれ要望をいたしまたような内容を、運輸大臣という立場で、そうしてあなたのその人柄で、経済企画庁のほうへも強く要請をして、そうしてこの非常体制に備え、企業を救う対策をそれぞれとっていただきたい。この点を強く要望いたしまして、質問を終わります。
  125. 徳安實藏

    徳安委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は、来たる七日午前十時理事会、十時半委員会を開くことにいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十一分散会