○茜ケ久保
委員 野田長官のお気持はわかります。決してあなたは自分の
気持ちを偽っておっしゃっておるとは思いません。その本心と受け取ります。それなら私は、なおちょっと申し上げておきたい。それほど
政府も
宮内庁も
天皇を人間的に扱いたいという
気持ちなら、私にはまだいろいろ問題がある。というのは、私は
宇佐美長官に数年前の当
委員会で申し上げたことがあるのですが、いわゆる皇居を開放すべきである。ああいうところに
天皇を置いておくからいかぬ。ああいうところに置いておくから、
天皇は人間でなくなってくる。私は二、三日前半蔵門を車で通ったら、ずっと車が並んでおる。何だと思ったら、半蔵門からだれか出てくる。そのためにあの多い自動車が何百台、あの三方にとまってしまっておる。あとはどうにも通れない。何かあれは義官の納采のことだったらしいのですけれ
ども、だれが通ったか知らぬけれ
ども、あの東京の交通難のときに、えらい困難をしておる。(「三十年に一ぺんくらいだから、がまんしろよ」と呼ぶ者あり)自民党の代議士はいいでしょう。しかし、少なくとも東京都民の大部分は、これはがまんができない。この実態を
一つ見てもわかるように、私はあの広大な皇居を決してあれを全部開放しろとは申しません。一部を開放しましたね。開放しなくてもいいが、
天皇をあそこに置くのは反対だ。あそこは
天皇の事務所にすればいい。
天皇は、葉山なりどっか、いわゆる人家の少ないところに常時いてもらう。そうして自由に行動してもらう。あそこにおっては、ただ皇
居の中を歩くだけだ。私は刑務所にお
りましたが、刑務所よりは広いけれ
ども、あれでは
天皇を刑務所に入れるのと同じだ。自分の
意見で一歩も外へ出られない。
天皇も人間ですよ。私の持論は、あの皇居は皇居でいいから、
天皇の住居は郊外に移しなさいと言って
おる・どこでもいい・葉山でもいいでしょう。東京の郊外でもいいでしょう。もっと自由に生活できるようにする。
国事行為をなさる場合、皇居へ来る必要があったら、もういまは自動車なんか古い、いまは航空機が発達しておる、ヘリコプターか何かでくればいい。地上を歩かなくてもいい。ヘリポートは簡単にできますよ。
天皇は往復にはヘリコプターを使えばいい。こういうことを
考えなければ、自民党のお古い議員諸君はなんだかんだおっしゃるけれ
ども、いまの大学生以下の
国民は、
天皇に対してどう思っておるか。皇居の前を通る車の中の諸君は、どう思っておるか。東京の交通難の時代に、
天皇という
一つの存在だけがああいう場所を独占するというのは、問題があります。皆さん方は、
天皇を
国民の
象徴として大事にしておるとおっしゃるけれ
ども、そのことはかえって逆な効果を持ってきます。
総務長官は、
天皇を人間として扱いたい、そのために
国事行為の
委任をするとおっしゃるが、これは
一つの形式である。しかし、常時あそこにおられて、ああいう
状態に押し込められて、
国民との感情的なつながりの全然ない
状態をむしろ逆にする。私は、人間
天皇を逆に持っていったほうがいいと思う。したがって、
総務長官のさきのことばをあなたの真情と受けとりましたが、その
ことは、ただこの
国事行為の
委任行為
という形式的な、
国民とあまり関係の
ない
事柄が
天皇を人間にするのでなく
て、常住の生活において密着する中で
国民と血の通う人間にする、こういう
ことが大事だと思うのです。私は、こ
のことは、
天皇の存在に反対すると
か、
天皇を無視して申し上げるのでは
ない。いっかも
宇佐美長官に言った。あの
国会の開会式に見える
天皇の姿を
見て、まことに私はお気の毒だと思う。どういう
儀式か知らぬけれ
ども、あの歩き方
一つに人間の姿がありますか。私は、あの
状態は血の通った人間とは思えない。ああいう
状態を皆さん見て、
天皇をどう思うか。自民党の諸君は、
天皇を神さまだと思っているけれ
ども、私は人間と
考えておる。こういうことをまじめにほんとうに
考えてやらなければいかぬ。それこそ私は日本の将来にとって、
天皇をいつまでも
天皇として存在させる根本的問題だと思う。押し込め、大事にし過ぎて
国民感情と離反したら、今の若い連中は何をするかわかりませんよ。その点を
考えたら、私は決して
天皇を大事にするゆえんじゃないと思う。そういう
意味で
宇佐美長官、あなたは人間
天皇とおっしゃるが、この
国事行為もさることながら、そういった点について、私はここで申し上げてすぐに皇城をなくするとは言いませんが、少なくともこういう感情が
国民の中にあることをしっかり握りしめて、いまにしてこれに対する根本的な対策を立てなければ、悔いを後に残すことになると思う。そういう点について、ひとつ
野田長官と
宇佐美長官の両方に申し上げて、あなた方の御所見でけっこうですそれを伺いたい。いまこういう諸君が
国会に君臨する間はなかなかできませんことを私は知っていますけれ
ども・
国民の感情として申し上げておく。どうぞひとつ。