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1964-06-05 第46回国会 衆議院 逓信委員会電波監理及び放送に関する小委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月五日(金曜日)    午前十時二十五分開議  出席小委員    小委員長 秋田 大助君       椎熊 三郎君   橋本登美三郎君       片島  港君    栗原 俊夫君       森本  靖君    受田 新吉君  出席政府委員         郵政事務官         (電波監理局         長)      宮川 岸雄君  小委員外出席者         逓 信 委 員 中山 榮一君         逓 信 委 員 永井勝次郎君         逓 信 委 員 畑   和君         逓 信 委 員 柳田 秀一君         郵政事務官         (電波監理局放         送部長)    吉君  中君         参  考  人         (日本広告主協         会理事長)   平井 鮮一君         参  考  人         (日本広告主協         会理事電波委員         会委員長)   河口 静雄君         参  考  人         (日本広告主協         会理事)    大島富士夫君         参  考  人         (博報堂取締役         副社長)    瀬木 博政君         専  門  員 水田  誠君     ――――――――――――― 六月五日  小委員森山欽司君同日小委員辞任につき、その  補欠として椎熊三郎君が委員長指名で小委員  に選任された。 同日  小委員椎熊三郎君同日小委員辞任につき、その  補欠として森山欽司君が委員長指名で小委員  に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  電波監理及び放送に関する件(放送関係法制に  関する問題等)      ――――◇―――――
  2. 秋田大助

    秋田小委員長 これより会議を開きます。  電波監理及び放送に関する件について調査を進めます。  本日は、スポンサー及び広告業者関係より参考人を招致し、意見を聴取することといたします。  ただいま御出席参考人は、日本広告主協会理事長平井鮮一君、同理事電波委員会委員長河口静雄君、同理事大島富士夫君及び博報堂取締役社長瀬木博政君、以上四名の方々でございます。  参考人方々には、御多用中にもかかわらず御出席くださいましてありがとうございます。現在、臨時放送関係法制調査会等におきまして、放送関係法制につき調査を進めておりますが、当小委員会におきましても、これらの問題につきまして調査をするため、各関係方面より参考人を招致して意見を聴取し、調査参考にいたしている次第でございます。  本日は、参考人方々より、放送及び放送界あり方、また放送関係法制改正問題等につきまして、忌揮のない御意見を拝聴いたしたいと存じます。意見の聴取は、まず参考人より御意見発表をお願いいたした後、小委員よりの質疑応答の形で行ないたいと存じます。  それでは、まず河口参考人にお願いいたします。
  3. 河口静雄

    河口参考人 ただいま御紹介をいただきました河口でございます。  本日は、われわれ広告主放送法改正に対する参考意見を申し上げる機会を得させていただきましたのはまことにありがとう行じます。厚く御礼申し上げます。  われわれが放送法改日に関する広告主要望書並び補足をお出しいたしましたが、これは二つの問題から一応こういうものを考えたわけでございます。と申しますことは、現在放送局がたくさんできておりまして、電波がたくさん認可されておりますが、今後起こってくるであろうFM放送あるいはUHF放送というものが、現在の放送局以外の企業体に認可になりますと、大混乱を来たすであろうということが予想されますので、これは行政上もたいへん問題が多いと思いますので、この辺で日本電波界というものが一応整理されなければならぬ時期じゃないだろうかということをわれわれは考えましたことと、もう一つは、電波国民のものであるということから、大都市国民とそれから地方の人々とが同じ放送を同時に聞けるということでなければ放送はいけないのじゃないか、まあこういう二つの根本的な理由から実はこの要望書をつくりましたようなわけでございます。つきましては、事実上いろいろ問題もあると思いますけれども、われわれ広告主立場からつくりました要望書の趣旨を簡単に御説明申し上げたいと思います。  まず第一に、広告公共性でございます。広告国民すなわち消費者利益に役立つ公共性の高いものでございます。これはアメリカでは一般に認識されておりまして、広告貧困の追放に役立つということで議論が行なわれるに至っているわけでございます。わが国におきましても、昨年十月に内閣広報室広告に関する与論調査で、商品を選ぶときに参考になるということが五一%、多少参考になるということが三五%、この合計の、買いものをするときの広告依存度は八六%に達しているわけでございます。もちろんわが国広告現状につきましては、広告主側に反省すべき点がたくさんあると思いますけれども、かかる行き過ぎの弊害を自粛し、広告が持つ公共性を十分に発揮させることが広告主理想でございます。この理想を達成するためにいろいろの努力をしておるわけでございますが、この理想はわれわれが達成するという自信を現在は持っているわけでございます。しかし、わが国放送体系現状には、特にテレビ放送におきましては、こういう広告主理想達成を妨げるものがいろいろあるわけでございます。  まず第一に、放送現状に対する批判でございます。わが国放送体系は、NHK民間商業放送との併立によって、国民放送による利益を還元するたてまえになっております。両放送機能は、おのおの独自の放送番組によって相互に協力することが要請されていると思われますけれども現状は必ずしもこうした協力体制放送が行なわれているとは考えられないのであります。むしろ視聴率競争における対抗意識が強くあらわれているのではないかと考えられるわけでございます。番組の競合などによって、併立による放送によって、国民サービスするたてまえの理想は十分に実現されているとは言えない状態にあるように考えております。したがいまして、NHK放送あり方、またNHK放送基礎となっている受信料の性格について検討する必要があるかと思います。一方、民放におきましては、免許、あるいは置局方針混乱に瀕しまして、放送による国民に対するサービスが、都市地方で不均衡になっております。中央文化地方に公平に届かないという事態、したがって、広告全国的に伝達できないという現状があるわけでございます。また、かかる反面に、地方地域公共性に即した放送が行なわれていないのではないかという現状があるわけでございます。  要望書UHF放送局構想説明に入らしていただきますが、このたび全般的に使用が許されるUHF電波利用機会といたしまして、特にわが国テレビ放送体制が現に当面している難関を打開し、全国民に均衡した、しかも多様で豊富な放送サービスを提供することができて、あわせて広告主の意図する公共性の高い広告を伝達することができる放送体系として、今般要望したものが、このブロック制UHF放送局設置構想でございます。将来のテレビジョン放送に対する一つのビジョンでございます。広告に関する民放VHF放送体制現状をそのまま維持して、その発展基礎を置き、全国を十地方ブロックに分けて、各地方ブロックごとに設立される放送局に、中央キー局数と同数の放送チャンネルを与え、この放送局から新たに利用が許されるUHF電波によってVHF中央キー局放送番組の全部を中継して全国放送させるということでございます。このUHF放送局は、ブロック内の既成のVHF放送局その他の共同出資によって経営されるものといたしまして、初めは中央キー局番組中継放送を主要な事業といたしますけれども、漸次ブロック特有公共性に寄与する番組放送も行なうことができるようにいたしたいと考えておるわけでございます。  二番目には、番組審議会並び経営審議会の問題でございます。  国民生活に深い関係がある番組につきましては、KNKを含め全国民放放送番組を絶えず判断審議する機関として、中央地方ブロック別に最も民主的に運営される番組審議会を設置したいわけでございます。中央番組審議会は、中央都市放送番組全国放送番組を判断し、地方番組審議会は、地方ブロック内の放送番組、特に前述いたしましたUHF放送局番組地方ブロック公共利益に合致した放送を行なっているかどうかというようなことを審議判断したいと考える次第でございます。  また、民間商業放送につきましては、適正な放送料金によって経営されることを検討するために、地方ブロック別放送経営審議会というものを設置いたしたいと考えるわけでございます。  次に、UHF放送局構想により期待されます利益でございます。このUHF放送局体制が実現されるときに至りまして、次のような放送公共性をもって国民利益に寄与することができると考えておる次第でございます。  まず第一に、現在の民放が実現することができない完全な全国ネットワークを完成することによって、中央都市放送番組地方にまんべんなく普及しまして、文化全国的に均等に伝達することができることでございます。  第二番目には、これを国民側から申しますと、地方住民都市と同様に番組選択視聴ができることでございます。  第三番目には、特にテレビ放送におきましては、全国放送となるNHK民放も容易に実現し得ない地方公共性に寄与する放送をこのUHF放送局は実現することができるということでございます。  第四番目には、地方住民利益に即して、その要望に応じた放送を行なうことは、単に放送利益地方公共が受けるだけではなく、要望する番組を通じて地方住民利益の主張、意思の表現の場を提供していることでもございます。  第五番目には、広告主といたしましては、国民に対するサービスとなるような広告全国に伝達することができるということでございます。  そのほかに、民放において従来論議されておりまする全国ネットワーク問題が一応解決されるということ。その次は、地方放送局置局方針に対して感じている不安を解消することができるということ。第三番目には、県域放送を目標とする、今後開設される放送局に要する建設あるいは設備費等を比較考量しまして、この構想によりますときには最も経済的に設置されると考えられることでございます。  次は、UHF電波利用におきまして、最も経済的な利用方法であるというふうに考えられるわけでございます。  一応皆様方のお手元に提出しておきました放送法改正に対する広告主要望書並び要望書補足説明の概略を申し上げて私の説明を終わりたいと思いますが、今後も、もし広告その他に関しましていろいろ御疑問がございますときには、いつでもお呼び出しをいただきまして、われわれにこういう機会を与えていただきますよう、この席を拝借してお願い申し上げまして、私の説明を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  4. 秋田大助

  5. 瀬木博政

    瀬木参考人 私も、ただいまこちらに呼んでいただきましたことを非常にありがたく思っております。この機会に、私ども仕事をしております。つまり広告会社といたしまして意見を述べさしていただきたいと思います。  放送のほうは、NHKがもちろんございますが、NHKは私どもには直接の関係は何らございません。したがいまして、私の、つまり広告会社としての立場は、民放に直接の関係がございます。NHKは、私どもが承知しておりますのでは、政府関係方々あるいは上層の指導階級方々からの声が大衆に流れるのに役立っておりますが、民放は、大衆のほうからどういうものがほしいかという、大衆の声、大衆の希望に基づいております。それでございますから、民放は常に、だれが聞いてくれるかということ、つまり聴視率を非常に重視しております。これはあとで申し上げるつもりですが、そのために低俗のそしりを受けるということもございます。  民放は、申し上げるまでもなく、広告収入を唯一の財源としております。そこで私ども皆さま方お話を申し上げる機縁になったと存じますが、広告主民放自分広告の大きなメディアといたしますことは、推定いたしますと、ラジオテレビ民放に年間一千億円を投じておるということでも御承知くださると存じますが、広告主企業名声商品販路拡張に非常に大きな役割りをしているのが民放でございます。そして、これにどのくらい投入したかという逆の反映を申し上げますと、これは日本の経済の成長に実質上非常な役割りをしておるということがいえるのでございまして、広告主の一番大きなほうから見ましても、機械器具つまり家庭電器というふうな方面は、戦後においては一番大きな広告主になっております。そしてそれが日本の産業の発達の点でどのくらい大きな地位を占めているかということは申し上げるまでもないと存じております。  次に、そういう大きな広告主の影響がどの程度にあるかということは、皆さん方にも御疑問があるのではないかと思うのですが、しかし広告主番組を買っている、あるいは広告を出しているからといって、決して番組にまで容喙するということはございませんし、またそういう事実もございません。これは各局が独自にそれぞれの編成に対する力を持っておりますから、そこまでやってはおりません。それはいずれお話が出るかとも思いますが、私は前もって申し上げておきたいと思います。  広告、つまり最近はCMと簡単に電波の場合には申しますが、この電波広告は、民放局倫理綱要、コードというものがございますので、それで厳重に行なわれております。この点もまた皆さま方の御疑問のあることと思いますから、前もって、そういう基準があって、それを厳重に行なっているということを申し上げておきたいと思います。とにかく子供でさえもCMを口にするほど、CMというものは非常に歓迎されているというのが事実でございます。  先ほど私が申し上げましたように、低俗趣味ということが私どもの気になる点でございます。これは電波局公共性からいいましても、電波局として実際自分で規制をしなければならないことでございますし、また私ども立場としても、電波局が健全な発展をしてもらいたいというスポンサーという立場からいたしましても、そういうふうな低俗趣味であっては困るのでございまして、むしろ反対に、もっと公共性をうたっていけるようにしたいというふうに考えておることはもちろんでございます。最近十二チャンネルができまして、教育放送教養放送ということを主眼にいたしましたけれども、しかし一面、広告収入にたよることが不十分じゃないかという懸念もございます。その方面に倉田さん、田代さんの名声とか、それに協賛する諸会社の見識によって寄付金的な裏打ちが半分ございますし、またわれわれも、広告収入をそこに大きくして、こういうりっぱな公共性民間放送を育てていきたいというふうに願っております。私は、いまさら民間放送NHKとどうかというふうな関係を申し上げるよりも、民間放送をりっぱに育てていきたいという考え方からいたしましても、民間放送収入源広告でございますが、広告主側企業の成績が景気の波にどうしても左右されるということは申し上げなければならないと思います。不況になれば自然と商品販売のための広告費というものは減少せざるを得ないのでありまして、中には弱い広告主の没落もあり得るのでございますが、そういうことが収入のもとにあることは、民放発達上には非常に不安でございます。民放発達のもとは主として広告収入でありますから、それにつきましても、民放ができ得ないようなことまでさせるという意味でも、何か政府あるいは議会関係の方に、民放を育てるための資力的な御配慮が願いたいと思うのでありまして、別にNHK聴視料民放に分けていただきたいとかなんとかいうことまでは申し上げませんが、少なくとも施設やあるいは研究のほうをNHKが独占しないように、同じ電波仕事をしている民放にも開放する、便宜を与えていただくというふうなことはお願いしてもいいのではないかと思っております。  私は、広告会社といたしまして広告主利益代表をする面で仕事をしております。したがって、いろいろな意味でよい点あるいは悪い点について責任を持っておりますが、何か御質問がございましたならば、できる限り率直に私の意見を申し上げたいと思います。したがいまして、きょうは広告主側の先輩三君もここにお見えになっておりますが、前もって私御相談申し上げませんでした。また同業の方にも御相談申し上げませんでした。私単独の考えを率直に申し上げたいと思っております。この機会を与えていただきましたことを非常に喜んでおります。ありがとうございました。     ―――――――――――――
  6. 秋田大助

    秋田小委員長 これより質疑を行ないます。栗原俊夫君。
  7. 栗原俊夫

    栗原委員 お忙しいところを御苦労さまでございます。  今回放送法改正しようというのにあたって、広告主方々にも御意見を伺って、私たちがものを考えていく参考にしよう、こういうわけでおいでを願ったわけでございますが、最初にお聞きしたいのは、ただいまも瀬木さんからお話がありましたとおり、広告関係は、いわゆる公共放送といわれておるNHKには関係がございません。したがって関係民放との関係でございますが、しかしやはり民放関係と申しましても、広告主のほうでは波に皆さんコマーシャルを乗せればいいということではなくて、乗せた波がどのように視聴されるかというところがやはり一番の重大な問題じゃないかと思いますので、そういう立場に立つと、やはり同時的に波を出しておるNHKも等閑視できない、こういうことになろうかと思いますので、なかなか言いにくいところではありましょうけれども放送の一番基幹の放送法をこれから画期的なものにしていこうというこの段階で、皆さん立場からNHK放送について最も忌憚のない意見発表をしておいていただきたい、このように思いますので、どなたか代表してひとつ……。
  8. 平井鮮一

    平井参考人 ただいま、民放広告収入によるので、広告主立場としてはその商業放送の最ももとになるコマーシャルメッセージというものがその民放番組の中に入れられて、そしてそれがいかに見られるかということが核心になることは、もうお説のとおりであります。  そこで、私ども広告主といたしましては、率直に申し上げれば、NHKがないほうが一番いいわけであります。これはNHKの性格問題から根本論に入るわけでございますが、広告主としてはNHKのないことを望むわけであります。ただ、NHKが現在許可されておって、今後も民放と併存していかれるということであるなれば、少なくとも民放NHKとの間に話し合いというものがあって、そこに国民大衆から受けた受信料がいやしくも浪費されないような立場において、両方が放送文化の向上のために努力をしていただくということが、私これの解決の一番近道かと思うのであります。これにつきまして、先般も民放の大会で私ちょっと討論会に出まして申し上げたのでございますが、最近のNHK番組製作方針が、あるいは民放との競争意識にとらわれて、そうして視聴率を争う、先ほど瀬木君がおっしゃいましたように、視聴率を争うというような立場に立って番組がつくられておるという気配が、私ども広告主としては、あるいはひが日かもわかりませんが感じられるわけであります。しかもわれわれは、広告予算というものが一つ企業の中にあって、ある程度きめられた予算によって広告活動をしておるわけでございまして、製作費その他につきましても、番組製作費でございますが、おのずから限界があるわけであります。そしてその与えられた予算の限度におきまして、できるだけ国民大衆に見ていただいて、そして同時にわれわれのコマーシャルも見たり聞いたりしていただくということを願っておるわけでありますが、それをたたきつぶすかのごとき企画NHKで立てられるということは、放送文化に対してははなはだしく背反する方向ではないかと思う。  一例をあげますれば、最近問題になっております「赤穂浪士」と称する番組であります。NHKの「赤穂浪士」と称する番組が、超豪華番組として現在電波に乗っておるわけでありますが、「赤穂浪士そのものドラマを見せる上においてあれだけのキャストを必要とするか、あれだけの俳優を出さなければ「赤穂浪士」というものはできないのかということに私は疑問があると思います。なるほど、見るほうにとりましては、いろんな俳優が出てくるということによって民放のできない企画をなさっておるわけでありますが、ドラマそのもののおもしろさ、ドラマそのもの文化性ということについては、それだけの俳優を私は必要としないのではないかと思います。あれだけのものをつくらなければあのドラマができないとすれば、それはNHK企画貧困であります。私は企画貧困だとあえて申し上げたい。そうしてそれについてNHK側説明を聞きますと、一回あたり二百十三万円を費やしておるにすぎないという回答でありますが、私どもの計算からいたしますと、どうしても二百十三万円ではできておらぬような感じがするのであります。しかもあれだけたくさんの俳優を使うということにおいては、相当の出演料をお払いになっておるわけであります。しかもその視聴率は、どうも民放をたたくという頭から出ておるような感じがしてならない。ということは、少なくとも国民大衆から受けた受信料というものを浪費しておられるのではないかということを私は考えるわけであります。赤穂浪士ではなくて赤穂浪費だと私は申しておるのでありますが、少なくとも私どもは、NHK民放を対象にしたような番組をおつくりになって、あえて競争をいどむというような姿が今後はないような措置をぜひ講じていただくということが、  一番広告主にとって望ましい問題だと考えております。一例を引きまして御説明申し上げました。
  9. 栗原俊夫

    栗原委員 ただいま広告主からは、率直に言えばNHKはないほうがいい、また逆に言えば、NHKがあるならばNHKにもコマーシャルを乗せる制度ができたらいい、こういう言い方の裏表にこれはなろうかと思うのです。実は先般もNHKの会長に、NHK受信料をとっておる、受信料をとっておる以上、あまねく全国民電波が届くようにしなければならぬと同時に、内容的にはどうなのか、見ずにはおられない内容をつくらなければならぬ義務を感じておるのか、こういう質問をしましたら、そこまでは考えていない、内容としては見るに値する内容を制作して流すのだと、きわめてうまい答弁をしておりました。率直に言って、同時的に波が流れるのですから、その中からどの波を見聞きするかということは国民の判断にあるわけでありますが、広告主方々は、一人でも多く見聞きするような波を自分の媒体にしたい、こう考えるだろうと思うのであります。  そこで、民放の問題ですが、民放のほうもいろいろと経過を経て、すでにVの波は一ぱいになり、続いてUの波の配給という段階になってきた、ラジオのほうも、AMが一ぱいになってFMの分配の段階になってきた、こういう段階でございますが、相手によっておそらく広告主のほうでは、いまも要望書の中に出ておるとおり、ブロック別で一番その広告を乗せやすい波の配置が好ましいのだろうと思いますが、今度は受けるほうの民放のほうではそれぞれまた違った企業主体があって、いろいろ葛藤を演じておる、こういう形です。あるいは新聞界、あるいはすでに経営をしておるラジオあるいはテレビ、こういう方々も、一応はわがほうに波をよこせと言うけれども、とった波が仲よく分けられるかといったら、私は一応はとっても、今度は仲間うちのけんかになるだろう、こう思っておるのですが、そういう実際の問題を別にして、広告主立場から、いまあらためてこの時点で新しい一切のものを認可、許可するという立場に立ったとすれば、広告主として局のあり方、波のあり方についてはいかにあったら一番いいのかというような考え方がありましたら、これも少しは当たりさわりが出るかもしれませんが、特定の名前をあげるわけではないのですから、その中でブロック別というのが一つの案として出ておるようでありますが、ひとつお考えがありましたらお考えを聞かしていただきたいと、このように思います。
  10. 河口静雄

    河口参考人 ただいま御質問の御要旨、まことにごもっともなことだと思いますが、私どものほうでブロック別のU局を一応アイデアとして考えましたのは、現在やっておりますV局はそのまま残しておく。Vはこれを解散してU局に合併するということになりますと、なかなかたいへんなことでございますので、V局はそのまま残しながら電波も出していく、しかも日本のネットワークが、たとえばある県には一波しか出てこない、NHKと合わせて県民は二波しか見られないという県が非常に多いわけであります。そういう面から、何もV局の現在持っております経済性というものをなくしなくて、そして、そしてブロック別に、たとえば九州なら九州を見ました場合に、九州の各放送局共同出資をしてU局をつくる。そしてそれと東京の四局のキーステーションとマイクロウェーブを結びながら、とにかく各県民に対して均等に選択権を与えてあげるというようなことで、少し話はずるいかもわかりませんが、V局はそのまま持っていく。しかし将来はそれがどういうことになるかわからない。十年か幾らかたつと、たとえばU局の各県における中継所みたいなものになるかもわかりませんけれども、現在はV局はそのままにしておく。たくさんの失業者を出しながら、それを切りかえていくということも意味のないことでございますので、それよりも両方併置しながらいく。これは当然私はいけると思いますので、そういうことを考えて実は御提案申し上げているようなわけでございます。
  11. 栗原俊夫

    栗原委員 同僚がたくさん見えてきましたので、あと一、二で終わりたいと思いますが、広告主のほうからは、おそらく広告主お一人ないしは、二、三の広告主ということになれば、全国一局でその波を独占するという形がいいのだろうと思うのですが、広告主もたくさんあるわけですから、必ずしも一定の時間の中に割り込み切れない。しかし、さればといって、放送の波がたくさんあれば、波には乗せるけれども、かえって聞いてもらえない、見てもらえないという危険性も出てくる。視聴率のダウンということにもなろうかと思われるので、この辺のところのものの考え方は、広告主立場からはどんなことなんでございましょうか。
  12. 大島富士夫

    ○大島参考人 いい番組を出すしかないのですがね。要するにNHK競争するような形において――さっき平井参考人が言われましたように、NHKは金がかからない、さっき二百十三万と言われましたけれども民放でいえば大体五百万ぐらいかかっておるだろう。しかしいまわれわれスポンサーが出せる限度というものは、そんなに高いものじゃございませんから、結局もっと低いものでなければNHKにはとてもかなわない。したがって、その中でいいものを出さなければならないということになると非常に苦労をする。したがって、全国ネットというこになりますと、いいものを出さなければならぬということは事実ですが、なかなかむずかしいことだと思っております。
  13. 栗原俊夫

    栗原委員 それは確かにそのとおりなんですが、私が聞こうとしていることは、たとえばUの波をこれから配給する場合に、波が十なら十ある場合に、十割りつけて全部波を出すほうがいいのか、あるいは五つぐらいに押えておくほうがいいのか、この辺の関係はいかがでございましょうかと、こういうことを聞きたいのです。
  14. 平井鮮一

    平井参考人 お話の向きよくわかりました。いまの御質向の裏には、波をたくさん出して、一体広告主がその負担にたえるほど買えるかどうかということにも問題があろうかと思います。それでさっき河口参考人が申しましたように、UHF帯の十ブロックに分けたものは、共同出資の形をとって、かりにスポンサーがつかないというような場合には、共同責任においてそれをやっていこうというような形を考えておるわけであります。これにつきましても一つちょっと的がはずれるかもわかりませんが申し上げますと、ただいま地方大衆が見ておりますのは、いま申しましたように、NHKとVHF帯の現在局でございますが、これを現役放送と称しておるようでございますが、つまり二つの波しか見られない。ところが、東京においてはNHKと合わせて五つ波がある。十二チャンネルを入れて六つの波があるわけでございますが、そういう面からは、電波公共性ということから考えて、国民全体にどの番組も見られるようにしたいということが、一つの表の理由であると同時に、われわれ地方の住民にとってはNHKを見ることができる、民放を見ることができるという、二者択一があるわけでありますが、広告主にとっては、地方はたった一つしかないわけであります、したがって、民放には独占価格を形成するおそれがあるわけです。現在は明らかに独占価格になっておるのではないかと私は考えております。これは民放側にとっては、まことに悪いことかもしれませんが、私はそのためからも健全な競争関係地方においてもほしいというわけであります。また現在の商品の状態を見ましても、今日出ております参考人は、全部全国ネットをなし得るような商品を持っておりまするが、それ以外にやはり地方的な商品広告主もあるわけでありまして、そういう方々は、現在のVHFでは、電波媒体を利用するということからシャットアウトされておるわけであります。そういうことからすれば、U局によってある程度の競争局を出す。少なくとも国民立場からいえば、東京と同数の局がある、放送があるということによって、東京と同じような、国民としての権利を享受することができる。そうして広告主の負担という面から見ましても、将来のことについてはどうなりますかわかりませんが、先ほどちょっと申しましたように、電波媒体に対して推定千六百億の広告費がつぎ込まれておるわけであります。広告費全体としましては昨年度が約三千億であります。これがここ三年後にはあるいは五千億を予定しておるわけでありまして、現在の比率からいきますれば、電波媒体に対して少なくとも二千億程度の広告費がつぎ込まれるわけであります。その面からの考慮によって地方の波の数ということもおのずから計算できるような状態になるかと思いまするが、表から言えば、国民大衆により多くの選択権を与えると同時に、告告主にとっても地方における競争関係をぜひつくっていただきたいということが私どもの率直な考え方であります。
  15. 栗原俊夫

    栗原委員 次にいま一点。もちろん耳で聞くだけよりも、目で見ながら同時に耳で聞くというテレビのほうが、確かにウエートがあると思いますが、広告主のほうの立場からは、テレビを一〇〇としてラジオのウエートはどのくらいの価値をお認めなんでしょうか。同じエリアに対して波を出す、こういう前提で……。
  16. 平井鮮一

    平井参考人 広告効果の測定ということは、遺憾ながら非常にむずかしい問題でございまして、一定の期間にある一つ広告活動をして、そうして商品の売り上げが幾らふえたかという計算は、遺憾ながら私ども広告主としてもできませんし、広告本来の使命が、一つの売らんかなの広告をやって、その期間だけ売るという時代は過ぎた。やはり企業のイメージ、商品のイメージを継続的に大衆に与えていくということが主目的でございますので、広告というものはやはり継続的に行なわなければ効果はないということが一つの結論であります。したがって、ただいまの御質問に対して、非常に的をはずれるのでございますが、現在、昨年度の推定では、ラジオ百七十一億円、テレビに八百九十九億円投下されたという数字が出ております。この辺のところでひとつごかんべんいただきたいと思います。  それから、受信機のNHKの契約台数でございますが、テレビラジオを含めたものを甲契約と申しておりまして、三百三十円払う口でございますが、これが、全国に千五百三十五万三千九百五十三台、ラジオのみの乙契約が三百九十七万七千二百四十四台という数字になっております。甲契約のほうはテレビラジオを含むということで、テレビラジオを両方持っておると考えてよろしいわけでございますから、ラジオの数のほうが圧倒的に多いということになりますけれども、投下された広告費は、さようなことになっております。
  17. 栗原俊夫

    栗原委員 いまこういうお尋ねをしたのは、FMの問題で単営の問題が出ておるわけであります。FMを単営でやってベイしていくかどうかということは、やはり今後のFMをどう配分していくかという方向をきめる一つの大きなものさしになってくるのではないかというように考えるわけなんです。どうなんでしょうか、FMというものがNHKを露払いとして、受信機を盛んにいま開発しておるわけなんです。そういう姿の中から、スポンサー立場から見て、FM単営というものの経済的な成功性というか、経営の可能性というか、これは皆さんからなかなか言い切れにくいだろうと思うのですが、私たちもFM単営というものについて大きな関心を持っておるのです。しかし経済的に成り立たないようなものを無理無理押すということも問題だし、やはりこの辺はスポンサーとの関係が至大なかぎを握るということになるわけなので、この辺許せる範囲内で御意見をひとつ……。
  18. 大島富士夫

    ○大島参考人 率直なお話を申し上げますと、いま学者の御意見とか、業界のそういうものにタッチしているラジオなどのメーカーから申しますと、成り立っという結論を出しているのです。しかしながら、実際問題としまして、私単独に聞かれますと、FMはむずかしいだろう。アメリカの例で申しますと、FMになってまだペイしない局が相当多うございます。したがって、FMだけの単営局というものは、実際問題としてむずかしいだろう。ただFMはいままでの中波より波が非常にきれいなわけでありまして、みんなFMに移れば中波はだめ、中波もFMも両方うまく成立するということはむずかしいだろう。現に短波放送の場合、中波ができると、短波が要らなくなる。したがって短波が成立がむずかしくなると同じように、FMということになってくると、音楽放送とかああいうものになって、一部の若い方は音楽放送としてFMを好むかもしれませんが、なかなかあれをペイしてやっていくということはむずかしいと思います。ですから、いま申しましたような設立されたものがFMとして聞くためのFMだったらむずかしいだろうと思います。ただファクシミリとかああいう問題になりますと、これはまた別だろうと思います。
  19. 秋田大助

  20. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)小委員 ちょっと河口さんにお聞きしたいのですが、だいぶ御研究のようですが、私ども調査が進んでおりませんのでお教えを願いたいのです。  このUHF全国ブロックにお分けになって、UHF局を一局置く。そしてキーステーションを全部ネットワークで流せることにした。いま東京にはVHF局が、キーステーションと目されるものは六つあるわけですね。NHK二つ、それから民放が四つ、このうち二つNHKのほうは大体においてネットワークが組まれている。四つはネットワークが完全に組まれていないわけです。そこで平均すると、どういうことになりますか、地区によっては、民放一つというところが相当あるわけです。そうしますと四つの民放だけで申しますと、いまのマイクロウエーブ、マイクロ設備は平均して二つチャンネルを流せるだけの施設があると見ていいかもしれません。あるいはないかもしれません。ちょっと調べてみないとわかりませんが、そうしますとキーステーションを四つそのまま全部流すというたてまえをとりますと、なお二つチャンネルを流せるマイクロウエーブが必要ということになる。これはこまかい計算をしなければわかりませんが、二つチャンネルをネットワークさせるためのマイクロウエーブの経費というものはどのくらいかかるか、一応御研究になっておりますか。
  21. 河口静雄

    河口参考人 実は先ほど私は広告主立場として、ただビジョンというものを申し上げただけでありまして、その辺のところはまだ計算しておりません。と申しますことは、もしそれがいいということになって、実現の可能性が出てまいりましたら、チャンネルプランを立てまして、東京の波を全部十ブロックに出していくようなチャンネルプランを立てていただく。しかし、それに関する費用はどのくらいになりますかわかりませんが、別に検討していただいて、私の考えておりますのは、チャンネルプランを新たに立てていただいて、そしていまの二つチャンネルプランだけではなくて、五つの、NHKはほとんど行っておりますから、四つの民間放送が全部十ブロックに対してくまなく送れるような体制にしたい、そういうふうに考えております。
  22. 橋本登美三郎

    ○橋本(登)小委員 それはたいへんけっこうなんですが、いまの広告媒体が全国津々浦々に行くことが適当なんですけれども、問題はペイするかペイしないかという問題にかかってくるわけですね。おそらく電電公社のいまやっておるマイクロウエーブにしましても、もしこれがテレビだけのネットワークにするということになれば、大体建設費に対して五割くらいの赤字だろうというのですね。ただいまのマイクロウエーブのネットワークには電話、電報を乗っけておるのですね。そこで引き合っておるということで、もしこれをいまのテレビだけを乗っけるほかはないということになると、いわゆるマイクロウエーブの使用料というものを、おそらくいまの四割か五割上げなければできない。そうなりますと、なお二つの新しいネットワークがふえるということですから、実際上マイクロウェーブのネットワークがなお二つできた場合、電話、電報にこれを併用し得るだけの需要量が電報、電話にあるかというと、それはかなりむずかしいのじゃないか。もちろんこれは二十年先なり三十年先なら出るでしょうけれども、われわれ電話事業に多少関係――といいましょうか、関心を持っておるほうから言いますと、やはりマイクロウェーブはどうしても途中でおろせません。あと補助機関としては同軸ケーブルでいくだろうと思います、こまかい電信電話は。将来を考えて一つくらいはペイするかもしれませんが、実際上無理じゃないかと思うのです。そうなりますと、この四つのネットワークを組むためには、二つなら二つのマイクロウエーブのネットワークというものを放送専門につくらなければならない。ただ放送専門につくる場合には、電話のマイクロウエーブのネットワークとは違って経費は多少下がります。下がりますが、相当の費用だろうと思います。ネットワークは、私も計算しておりませんが、おそらく現在のマイクロウェーブのネットワークで千数百億円かかっている。だからこれの質を下げて――というのは、要するに放送だけのものにして、これで将来カラー放送になると質を下げられませんけれども、そうなりますと、そのキーステーション、中継局をつくるという以外に、マイクロウエーブのネットワーク、いわゆる放送用のネックワークをつくるという設備投資が要るわけです。電電公社は、実際これも独立採算でやっていまして、一種の会社ですから、いわゆる犠牲的な立場で五割なら五割損するものをやるわけにはいかぬ。ただ方法としていまの電気通信法の法律からいきますと、専用に業者がネットワークを持つことはできるのです。いわゆる放送用のネットワークを持つことはできる。それはほかのものには使えない、そういうことはありますけれども、実際上これは幾らになるかわかりませんが、もし一千億に近い設備投資を必要とするという前提で、そこでまた電波料を加算するということになりますと、四つの民間放送のネットワークをつくるということについては、相当の経費上の問題がありやしないか、その点御研究になっておれば聞かしていただきたい。
  23. 河口静雄

    河口参考人 その問題については、こまかい計算をしておりませんけれども、考え方としては、たとえば五〇%の値上がりをするという場合に、広告主にそれだけの負担能力があるかどうか、それから何十%くういの負担能力があるかということによってだいぶ違ってまいりますが、そのほかに、実はここには出しておりませんけれどもNHK聴視料金をとっておるわけです。それと同じようなものを、U局をつくることによって東京の放送そのままを各地方に、五つの電波なら五つの電波を出すという代償として、消費者から、たとえばNHKの三分の一なり六分の一なりの聴視料をとったうどうか。そうすると設備の関係も楽になるだろうし、いまのマイクロウエーブの問題に対しても幾らか貢献するんではないだろうかというような、ただばく然たる考え方を持っておるだけでございます。
  24. 秋田大助

    秋田小委員長 森本靖君。
  25. 森本靖

    ○森本小委員 日本広告主協会のほうかう出ております意見で、一番目新しい意見としてわれわれが注目をいたしておりますのは、いま橋本さんが言われましたように、UHF放送について、よい悪いは別として、一つのアイデアを出しております。これは非常に参考にはなるわけでありますけれども、いま橋本委員が言われたことが、この問題で一番の大きな問題ではなかろうかと考えるのであります。  そこで、具体的にこの考え方の中には、たとえばこれは北海道、東北という、いまの電力会社と同じようにブロックに分けておるわけでありますけれども、たとえばこの場合に、九州に一つUHFの局を、福岡なら福岡といたしましたならば、あとの各県に対しては――いまの各県におけるところの中継用の波におきましてそれぞれサテライトをつくっておりますが、おそらくそれと同じような考え方を持っておると思いますが、そういうふうな考え方に立っておるわけですか。
  26. 河口静雄

    河口参考人 いまお話がございましたように、九州に一つブロックのU局ができますと、各県にはサテライト局をつくってそれを中継していこう、こういうふうな考え方でございます。
  27. 森本靖

    ○森本小委員 そういたしますと、ここにたとえばキーステーションというものが――必ずしも東京でなければならぬということにはならぬわけであって、かりに東京と大阪にそれぞれのキーステーションを置いて、先ほどお話がありましたような、一応自前のマイクロ・ルートをつくるというふうなことについて考えたことがあるかどうか、その点について聞いておきたい、こう思うわけです。
  28. 河口静雄

    河口参考人 先ほどから申し上げておりますように、実はこの技術的問題に対してのこまかい計算並びに研究というのをいたしておりませんので、自前でマイクロ設備をつくるというところまでは考え至っておりません。
  29. 森本靖

    ○森本小委員 先ほどNHK聴視料云々ということがありましたけれどもNHK聴視料をこれに使うということはおそらく不可能に近い問題であって、これは問題にならぬと思いますが、ただ、ここに出ておりますこのアイデアというものは一つのアイデアでありまして、たとえばこれがテレビの場合でなくしてラジオの場合には、あるいはこういう考え方が妥当性を帯びてくるかもわからぬと思うわけであります。それというのは、たとえばFM放送が全面的に始まった場合、いまの中波放送の上に、さらにFMというものを県域放送においてやっていくということは、広告主のほうから見てもおそらくあまりかんばしくないラジオ広告放送だというふうに考えるわけでありまして、かりにFM放送を全面的にやっていくとするならば、少なくともいまの県域放送の中波放送が一応FM放送にかわっていく。そこで、中波放送というものは、中波放送の特質を生かして広範囲に電波が伸びていくというふうなことを考えまして、現在の県域放送における中波放送は将来は――直ちにはできませんけれども、要するにいまの受信機の関係でそういうことはできませんけれども、二年あるいは三年後には、中波放送については、いまあなた方が考えておるところのUのテレビ局と同じような形のものを置けば、これは中継所をあながち置かなくても、電力を高位に持っていけば到達をする。そこで、その場合の中波放送あり方というものは、実際問題としてはたとえばニュース、音楽、株式、気象、こういう方面に限定をし、それに若干のスポンサーをつければ少額の資本で経営が成り立っていくのではないかということが考えられるわけでありまして、その辺、テレビの問題とは別にいたしまして、現在のラジオの問題について、先ほど栗原委員からもお話がありましたけれどもFM放送が全面的に実施せられるという段階になった場合に、――確かにいまのFM放送というものは、中波とは電波の性格が違うことは事実でありますけれども、いまの中波放送と同じような形における使い方も十分できるわけであります。そういう場合に、中波放送FM放送とのあり方について、いまあなた方が考えられておるところのUHF放送局ブロックごとに置くということについて、ラジオについては考えられたことがないかどうか。FM放送が伸展をしていくということになると、当然いまのままではいけないということは、だれしもうなずけると思うわけです。そういう点についてもし広告主側からお考えがあればお聞かせ願いたい、こう思うわけです。
  30. 河口静雄

    河口参考人 御卓見拝聴いたしましたが、実はFMにつきましては考えていることがございましたけれども、今度の場合はテレビのU局だけにしぼって申請書を出したわけでございます。FMは御承知のように音色も非常によく、中波と違いまして外国放送の妨害を全然受けないという利点もございますので、私は将来の日本ラジオは全部FMにかえるべきである、こういうふうな考え方を持っておるわけであります。そういう考えでまいりますと、いまお話がありましたように、いま私どもがU局のブロック別設置を申請しておりますところと同じようなものを、実は腹の中では考えておったわけでございますけれども、これは何しろ中波を全部やめてFMに切りかえるという一つの国策が立てられなければならぬということが前提でございますので、それには書いてございませんけれども、そういうふうなことを考えておったわけでございます。
  31. 森本靖

    ○森本小委員 いまのお話ですと、FMをこういう形にしていきたいというお考えでございますけれども、私がいまちょっと言いましたのは、要するにFM放送――現在の日本のこの行政単位のいわゆる県域というもの、ローカルというものを考えずにやっていこうとするならば、これは当然そういう形が考えられるわけでありまして、先ほど栗原委員からもFMの単営の問題が出たわけでありますけれども、かりにいまあなたがおっしゃられたように、FMの単営において、こういうブロック別FM単営放送というものを始めていって、ローカルというものを始めなければ完全にペイするということは、これはどなたが考えましても私はペイすると思います。ただ、テレビのように水揚げ高は多くないにいたしましても、経費その他の面から見てこれは当然ペイするわけでありますが、そういう理想的な放送体系を描くということも必要でありますけれども、現実の各県の実情、ローカルの実情というものを考えた場合に、いまの中波放送あり方FM放送にかえることができ得るか。そうかといって、AMの長所というものを生かしてある程度使ったほうがいいのではないか。たとえば非常災害あるいは緊急措置というような場合に、たとえば四国なら四国のブロック一つなり二つなりのAMのステーション局をこしらえて、電力を上げておけぱ当然到達をする。その場合に、AMの行き方というものは、いま言ったようにラジオドラマとかいうものは一切やめて、気象あるいは音楽あるいはニュース、株式、そういうふうなものに限定をして中波放送を残す。ヨーロッパ各国においても、FM発達をいたしております国々においても、中波放送の長所というものは相当生かしておる。たとえばスエーデンは日本の国とは地勢が非常に似ておりますけれども、そしてFMがかなり発達をいたしておりますけれども、逆に中波放送のいいところは伸ばしておるということを考えた場合に、いまあなた方がUHFテレビ局というものを考えておる、この問題について――私か意見として聞いておきたいのは、要するに、その場合にその構想がAMでなされ、いまの中波のラジオ放送というものをFMがとってかわるならば、中波とFM放送とがある程度両立をし、波のむだがなくなるのではないか、こういうふうな考え方に対して広告主スポンサー側としてどういう御意見であろうか、こう思っておるわけであります。
  32. 河口静雄

    河口参考人 いまのお話は、急速にFMに切りかえられないので、中波の長所は生かしながら、FMを現在のブロック別でやっていこう、こういうお話でございますが、これは民間放送は、皆さん方御承知のとおり、非常によくそろばんを握りますので、私考えましたのは、ブロックのいわゆるU局に対しては各ブロックのV局はみんな株主になって出資者になる。だからそこの利益は全部享受することができるという考えでいるわけでございます。そういうわけでございますので、いま直ちにFMに全部切りかえるということはなかなか困難もございましょうと思います。しかし、いいということがだんだんわかってまいりますと、そう損でもないんだということになってまいりまして、切りかえてこられるのじゃないだろうかということと、スポンサーといたしましては、FMの台数がふえてくるということになりますと、両建てでいける可能性があると存じます。と申しますことは、媒体が最近非常に不足してまいっております。先ほど平井理事長が申し上げましたように、今後の広告仕事が、日本の景気上昇に伴って五千億にもなろうという場合に、日本全体として見ました場合に媒体が不足してまいる。それから電波のほうでも非常に不足をしてまいりますので、いろんなことをスポンサーは考えながら、FMと中波おのおのの長所を生かして利用していくのではないだろうか、こういうふうに考えるわけであります。
  33. 森本靖

    ○森本小委員 将来ラジオ放送が、いまの中波とFMとが両立をしながら、しかも電波の効用率がむだのないようにやっていくためにはいかようにしたらいいかということは、私がいま言いましたのは一つのアイデアでありますが、そうい点うについてはスポンサー側としても十分にひとつ研究をしながら進めていってもらいたい、こう思うわけでありますが、なおそういう点について御意見があれば、遠慮なく正式の文書を各方面に出していただきたい。今年度がこういう問題における一つの締めくくりの重要な年になっているわけでありますので、われわれといたしましても、各界の意見をなるべく聞きながら、取り入れるものは十分取り入れた形において放送界全般のビジョンというものを描いていきたいというふうに考えているわけであります。  それからもう一つ、先ほど来栗原委員もちょっと言われておりましたが、NHKを目のかたきじゃありませんけれども、何かそういうふうな御意見にもとれたわけでありますし、確かにNHK受信料を独占しておるということについては、いまの民放各界がNHKに対しましてそれぞれの意見を出しておるわけであります。そこで、これをたとえば中継所の設立について使えとか、あるいは技術研究所を開放しろとか、いろいろなもっともな意見があるわけでありますが、そういう点については、こまかい問題でありますけれども、たとえば現在七百億をこえるところのNHKの総受信料並びに総収入に対しまして、これを一体どの程度そういう方面に使うかということはかなり大きな問題になろうと私は思います。かりにそういうことであっても、各個々の民放その他について使うということは、おそらく不可能に近いのではないか。もしこういう公共的な受信料というものをある程度国民サービスのために使うとするならば、現在英国かやっておりますように――日本ラジオテレビ界で忘れられた一面が一つあるわけであります。それは、それぞれの国民が持っておりますとこるのテレビの受像機、ラジオの受信機に対しますアフターケアというものが日本においては全くされておらぬ。この点は諸外国においては非常に進歩しておる。だから、われわれ専門的な者が見た場合に、これは満足なテレビでおるというふうに各家庭で見ておるけれども、その映像が完全に平均水準以上であるということは非常に少ない。受信機と受像機のサービスというものは。日本ではあまり徹底しておらぬ。受像機、受信機がよく見え、よく聞こえるということは、ひいてはスポンサー側にとっても非常に望ましいことであるのでありまして、そういう点のサービス面に対して、こういうふうなNHK受信料からある程度のものをさいて使うということは外国にも例があるわけであります。  そういう点については、場合によっては考えなければならぬ点もあるのではないかと考えるわけでありますけれども、さて、もしそうなった場合に、NHK全国あまねく放送設備をしていかなければならぬというところから、まだかなり中継所を設置していかなければならぬ。あるいはまた、これから微電力の簡単な中継所も全国にどんどん設置していかなければならぬ。そういうことで設備投資の金がかなり要る。おそらく民放界は非常に反対であろうと思いますけれども広告主の人は、私がいまから言うことについては賛成するのではなかと考えておるわけでありますが、かりに七百億なら七百億の中から百億程度をそういう受像機あるいは受信機のサービスに回すということになった場合には、それじゃその穴埋めをどうするかということになった場合に、NHKが総予算額の一割ないし二割という金額を限定して、そしてここから先はちょっと悪いのですが、非常に高尚な広告といえばまことに失礼だけれども、とにかく最も国民のためになるような広告NHKがやってもよろしい、こういうことになった場合に、一体スポンサー側の御意見はどうであろうか。民放はまっこうから反対をすると思いますし、それからNHKは、そういうことになれば、しぶしぶそういうふうにするだろうとは思いますが、かりに広告主側にすれば、私はこの場合はあまりきらうべき筋合いではないと考えるわけであります。ただ、その場合には、今度は売り主よりは買い主のほうがえらくなるという点は当然出てくると思います。何でもかんでも広告を買うということではなしに、広告の選定ということになってきて、NHK広告に乗るためにはかなり高尚な広告でなければならぬという――高尚といえば語弊がありますが、そういう一つの弊害は出ると思いますが、そういう構想一つのアイデアとしては考えられるわけであります。そういう点について広告主側としてはどういうお考えかということをちょっと聞いておきたい、こう思っておるわけであります。
  34. 平井鮮一

    平井参考人 実はいままで伺ったことのないような構想でございまして、全然予想もしないようなお話でございましたので、ピントがはずれるかもわかりませんが、ただいまお話しの向きの、NHK受信料の中から一部をさいて受信機のアフターサービスに充てるということは、放送法にありますように、難視聴地域の解消とかあるいはその他国民大衆のための一つの大きな題目でありますので、これにつきましては、もちろん私どものほうとしても何ら反対する理由もございません。  それからもう一つの問題である、NHKがその一部を開放して商品の宣伝に充てるということにつきましては、そのコマーシャルの入れ方ということにつきましてかりに相当な制約があったといたしましても、スポンサーはおそらく殺到するであろうと思います。民放のほうが低俗であるとかコマーシャルが悪いという声はときに聞く声でありますが、われわれ商品を扱っておりまして、商品を売らんかなの広告をいたしますのに、少なくとも世間から批判を受けるような広告をしたら、それはマイナスの力が働くわけでありまして、だれしもいい広告をしたいということを願っておるわけであります。しかも一番初めに瀬木参考人から申しましたように、われわれ番組に対する制作の内容につきましては、世間でお考えのほどに容喙する権限を持っておりません。しかも世間からは相当の指弾をスポンサーのせいであるかのごとく受ける例が多々あるわけでありまして、そういう面から考えて、番組の選択ということにつきましても、当然スポンサーとしては全神経を使っておるわけでありまして、あそこが提供しておる番組はどうも品が悪くて困るというような番組をもし提供しますれば、それは広告費の支出におけるたいへんな失敗でありますので、そういうことは広告主は非常に敏感に感じ取っておるわけでありまして、NHKがどんなにコマーシャルということに関して制限をつけたといたしましても、今日非常に大きく取り上げられております広告の方式として、企業広告というようなものもございます。たとえば非常に大きな製鉄事業をやっていらっしゃる方とか、あるいは電力会社とか、そういうものですら今日企業広告をしなければならぬ時代に立ち至っております関係からいたしますれば、少なくともそういうようなスポンサーがその方面に向う、しかもある程度高い料金であったといたしましても、そういう企業広告の面からそういうスポンサーがそちらのほうに向いていって、そうして現在の民放のほうがより低廉な価格でより多くの広告主に開放されるという意味からも、私はたいへんけっこうなことじゃないかと考えております。
  35. 瀬木博政

    瀬木参考人 ただいまお話を伺っておりまして、私どもとしては、NHK広告媒体になってそういうふうなコマーシャルを入れてくださるということに関してのことなんですが、それをもしやってくだされば私どもは非常にいいんじゃないかというふうに一応考えるのですけれども、しかし私はやはり民放あり方というものを主といたしますと、結局何か民放NHKとの影響力と申しますか、そういうものが違うということを申し上げたいのです。御承知でございましょうが、英国へ皆さん方がいらっしゃいますと、多分ホテルでは各部屋にテレビ受信機が置いてございませんで、たいてい入り口のロビーなんかに置いてございますが、それがちっとも興味を呼んでいないのでございます。それはどういうわけかというと、いかにコマーシャル政府関係放送局から出ましても、それは国民大衆に興味を呼んでいないというのは、つまり私は民放政府関係のほうの放送局あり方から出てくるのだと思っておりまして、先ほどから私申し上げましたように、民放大衆のほうの声をよく聞きたい、希望を聞きたいということから出ているということに基づいたことでございます。したがいまして、私は民放は親しみやすい、簡単に結論から申しますと、いかにいい番組があっても、いかにいい放送があっても、それにスイッチを入れるのは大衆なんですから、大衆がスイッチを入れるというそこにポイントを置いている民放のほうが、私はどうしても有力だと思います。それで私考えまして、NHKのほうにもたとえばコマーシャルを入れるような時代になろうとも、それは決して民放の力がないということではないと確信しておりますから、それを付言いたしておきます。あとは平井さんの御意見のように考えております。
  36. 森本靖

    ○森本小委員 これで終わりますけれども、この際ひとつ皆さんに十分にお考えを願いたいと思いますが、私がいまそういうことを言いましたのは、かりにそういうことになった場合には、そう言ってはまことに失礼ですけれどもテレビラジオにおきまする広告の水準というものが明らかになってくるのではないか。それはとにかく、今度は買うほうが逆に選択権を持ってくるわけであります。むやみやたらな――そう言っては失礼ですけれども、いわゆるそういう広告放送というものはなくなる、しかも全面的にこれが広告放送になるわけではない、一割かそこらですから知れたものであります。そういうことでかりにいまの「赤穂浪士」の初めと中間にスポンサーをつけたとしたら、おそらく全国視聴率は相当なものに上るであろう、これは民放にとって相当な脅威であるということを私は感ずるのでありますが、そういう場合に、これが日本広告の平均水準のレベルの広告放送だというものを、内外ともに明示できるようなものをやってみたいという――これはおそらくアイデアだろうと思いますけれども、いずれにいたしましても、そういう考え方もどこかに一つあるということで私は御意見を聞いてみたわけであります。  ただ、そこで先ほど参考人が言われましたが、あまりスポンサーとしては番組にはほとんで関与しておらぬという御意見でございますが、確かにそのとおりだと思いますけれども、実はこの前にタレントの諸君を呼んで聞いてみたわけであります。これは伊馬春部、北條誠、徳川夢声、淡島千景の四名を呼んで聞いてみたのでありますが、そのとき、私は、これは速記録に載るから遠慮なしにものを言ってくれということで、遠慮なくものを言ってもらったわけでありますが、意外にスポンサーからのいろいろな容喙があるということをはっきりと言っておるわけでありまして、特に作家の人々は、そのことによってスポンサーと大げんかをすることがたびたびあったということを、これははっきり言っておるわけであります。こうなってまいりますと、われわれは放送の自由、放送の表現の自由というものはあくまでも守っていかなければならぬという考え方を明確に持っておりますけれども、かりにタレントや作家の方々の言うことがほんとうであるとするならば、その放送の自由と表現の自由というものは、いわゆるスポンサーに限り放送の自由と表現が自由であるということにならざるを得ないわけでありまして、私は広告そのものについては、これは御自由にひとつ十分に注文をつけ、あるいは民放にそれぞれの意見をつけていただいてけっこうであります。しかしながら、番組内容その他については、これはやはり放送の自由という観点から、その放送局番組審議会なり編成権にゆだねる、こういう方向をぜひとっていただきたい。そのことがまず広告主側にとっても長い目で見た場合非常に利益になると私は思うのです。現在ただいま直ちに利益になるという点で容喙しておったにいたしましても、長い目で見た場合にはそれは決して得にはならない。だから、まあこれは前の四名の方々の御意見ときょうのあなた方の御意見とがちょっと違っておりましたので、その点については今後十分にひとつ注意をしてやっていただきたいということをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  37. 大島富士夫

    ○大島参考人 いまの放送があてがいぶちでやっているというようなお話でございますが、私はさっき話しましたように、スポンサーの自由になると申しましても、現在私どもがやっておりますのは、こういうものはやめたらどうだ、やったらどうだということで相談づくでやっておるのでございます。したがって、どうもいつの間にかスポンサーが知らないうちに放送してしまったというような場合、これはある会社の話でありますが、ある一つのものをやったら、そのやった内容が、あたかもさっき平井参考人から言われましたように、その会社から出したような感じを与えまして、その会社はそういう思想なのかというふうに思われて、さんざんそのあと処理に困ったという例もございます。しかしこれは、全部のスポンサーがそういうように介入することがあるというふうにおっしゃるよりは、やはり両方の話し合いによってやるほうが適当かと私は思います。ただ、さっきおっしゃいましたような、極端に介入して作家をおこらせたというのはちょっと非常識な話でありまして、やはりある常識的な範囲内において相談するということはあってしかるべきだと思います。
  38. 河口静雄

    河口参考人 ただいまのお話でございますけれども民放局は編成権というものを非常にやかましく言いまして、われわれの容喙を一つも許さないわけであります。先ほどいろいろタレントの方からのお話がございましたのは、おそらく特殊の場合ではないかと思います。一般にはこれは通用しないことではないかと思いますけれども放送局方々にお尋ねになりますとよくわかりますが、編成権はわれわれが持っているのだ、スポンサー何を言うのだというような方が非常に多いわけでございます。  それからもう一つは、現在は買い手市場でなくて、やはり依然としてテレビに関する限りは売り手市場でございます。スポンサーは時間をとりますのにもなかなか自由になりませんし、時間の変更も、極端な場合には知らぬ間に変更されているというようなことも起こる事実が二、三の放送局で出てきているようなわけでございますので、その辺もひとつよく御了解をいただきたいと思います。
  39. 平井鮮一

    平井参考人 いまの御質問のありました点につきまして、もう一つ特異な例でございますが、放送会社がタレントの諸君に話をしますときに、言いにくいことはすべてスポンサーがこう言っておるという言い方をするのが常例であります。これは会社の意思を申します場合にも、常にスポンサーがこう言っておると言うのであります。これはもう放送会社に聞いていただいたら十分わかると思うのでありますが、すべて放送内容を変えようとするときに、特に作家にそれをしいようとするときには、スポンサーの意思によってと言うことが定説になっておりますので、その点を割引してお聞きいただきたいと思うのでございます。  それからもう一つ、ただスポンサーとして容喙する場合の一例としまして、いま大島参考人がおっしゃいました問題で、イデオロギー的なものがいつの間にか出てくる危険があるのであります。これは作家によりまして、われわれスポンサーとしましては、あの作家はあぶないぞ、初めのうち二回、三回はじょうずにつめを隠しておるが、つめが出てくる危険があるというのは、札つきとしてわれわれはもう心の中に持っておるのであります。それからいわゆるタレントのグループにいたしましても、ユニットで制作した場合には、イデオロギー的なものが出てくるということは、私ども商品を売ります上からは非常に関心を持っておるわけでありまして、それが連続ものの場合に途中から突如出てくるのであります。自分の主義主張を初めから出したのではスポンサーがつくはずがないので、どうしても二回目、三回目の辺からそろそろ出てくるわけなのであります。その場合、スポンサーが、こういうことを出されるのならば、私のほうはごめんこうむるということを言う場合は私も経験をいたしておりますが、その場合以外に、広告そのものに関してこうやれ、ああやれということは、ほとんどいま――初めのうちはございました。ラジオなんかの場合に、初め民放が出てきました場合にはございましたが、現在の時点では、いま河口参考人が言われましたように、ほとんど売り手市場でございますので、この時間のこの番組があいているというので  それを変えることはできないわけでありますから、それをそのまま買ってしまうわけでありますから、ほとんどそういうことはないんじゃないかと思います。
  40. 瀬木博政

    瀬木参考人 もう一つ、私ども立場からつけ加えさしていただきます。  それは、広告主がとにかく寄付行為とも見られる立場でお金を出して広告放送ないしCMを入れるのでございますから、自分商品自分会社の――企業イメージと私どもは申しますが、そういうものに合わないものを広告したところで、結局効果がないという場合もございます。そういうときには、スポンサーがおりると私どもは申しますが、そういうふうなことから考えまして、制作する人たちの方面では多少手痛い目にあうということから、いろいろ皆さま方のお耳のほうに、われわれに対する批評的なことばが入っているんじゃないかというふうに考えますから、これも繰り返し割引して聞いていただく材料につけ加えさしていただきます。
  41. 秋田大助

  42. 椎熊三郎

    椎熊委員 先ほどの皆さん方お話の中で、ちょっとふに落ちない点があるものですから伺っておきたいと思います。  それは、民放NHKとの関係です。番組の編成の上、内容の上で、NHKはどうも民放競争しておるような状態がある。そうして番組の編成のために、内容構成のために、ばく大な費用を使っておることは、国民から取り上げた聴視料の浪費でさえあると思われる、こういうお話があったようでございます。私は、一面そういうことも言い得ると思うのです。そこで、番組内容をよくせよ、充実せよということは、われわれ一般の聴視者からいうと、それは民放だろうとNHKだろうとを問わず、よろしいほうがいいのです。もっと極端に言うと、自分の主観に訴えていいと思うほうを選ぶ自由を国民は持っておるわけです。私どもNHKの事業計画並びに予算、決算等を当委員会で審議しております。そういう関係で割に民放よりもNHKにはいろいろなことを申し述べる機会がある。その多くの機会において、われわれは常に主張しておる点は、番組内容の充実ということです。国民利益のためにりっぱないい番組をつくれ、そうしてまた、社会生活のためにも愚劣きわまる番組はなるべく排撃せよということをNHKには言えるわけです。そうしてNHKもそれを尊重して今日まできておるという形になっております。理想的にいっておるかどうかはわからない。そこで、一つ番組のために、たとえば先ほど例に上がった「赤穂浪士」でも、二百何十万かかっておる。あなた方スポンサーのほうから見ると、これは五百万円以上かかっておるだろう。これは見るほうから言うと、二百万円かかろうが、五百万円かかろうが、おもしろくていいほうがよろしいのです。それを非難するということは当たらない。私は決してそれは浪費ではないというふうに考えたい気持ちなんです。それを浪費だと言うについては、こういうわけだから浪費だということを言っていただかないと、あれだけの膨大なマンモス的事業をやっておるものに浪費があるということを当委員会が見のがしておいたということになると、われわれの責任にもなるのでございますからどうかそういう点をもう少し明確に――それはスポンサーのほうから言うと、広告をとらないようなNHKのようなものはなくて、自由市場で売り買いできるような状態のものばかりであったほうがいいには違いないと思います。思いますが、そういう民放を許すについても、簡単に許したのではなくて、そういう状態ができるかもしらぬが、許したほうがいいか、許さないほうがいいかでは、常に非常な議論があった結果として、日本民放というものは許されておる。そういう状態の中にあって、番組内容の編成のために費用を使うことが浪費だといって非難するということは、あなた方の立場としてはどうか知りませんが、一般としては必ずしも納得しかねるような気持ちもするのでございます。何かそこは、あなたのほうのおことばが足りなかったのではないかと思われますが、納得のいくように御説明願いたい。
  43. 平井鮮一

    平井参考人 ただいまの御意見、私がさっき申し上げましたことについてでございますが、たとえば、テレビドラマにつきましては、登場する人物が、主役、わき役、その他いろいろあるわけであります。大体テレビの見せどころ、あるいは普通の小屋でうたれます演劇につきましても、主役を主演者がいかに表現していくかということが大体その劇の見どころになるわけでございます。そうしてそれに対して、最もその主役を引き立てていくようなわき役が必要なわけであります。したがって、通行人大ぜいあるいはわき役のわき役というようなものにつきましては、そういう劇の構成上必要ではない人物もあるわけであります。それに対して「赤穂浪士」では通行人まで相当の役者を使っておるのであります。これはもっと安い人間を使っても同等の文化性、同等の劇の効果、同等の視聴率をあげ得るはずのものなのであります。それについて私は遺憾だと思うのであります。通行人大ぜいまでに劇団の有名人を使う必要はないわけであります。その点について、結局は豪華さというものを見せることも、一つの視聴者に対するサービスであるという考え方、その考え方が違うんじゃないか。劇というものは、文化性とそれから視聴率を上げるということと、それからそれに値するもの――不必要だと思われるものでも買い入れておるという点は、私はやはり浪費の一種だと考えております。
  44. 椎熊三郎

    椎熊委員 これは、ただいまのあなたのお考え方ですから、その程度にしておきます。わかりました。  これは非常に素朴なお願いなんですが、私、テレビ好きですから、いろいろな番組を見ておりますが、ことに広告が入っておる番組を見ておって実に不愉快になることがあるのです。せっかくいいところへくると、妙な人形みたいなものが飛び出したりする。率直にいって私はその広告主に反感を持ちます。そういうことは、スポンサーとしては、多額の金を出して、広告の効用からいって下手である、そして内容が非常に愚劣なものになっておる。そうでなしに、広告は、あなた方が先ほどから主張するような、日本経済にとって欠くべからざる大きな仕事なんでございまいますから、見るほうにそんなに悪感情を起こすようなことまでやって広告して、それが効果がないということであると、私はつまらぬことをやっておると憤慨して、このテレビを見るな、そして別なものにスイッチを入れたことが何度もあるのです。せっかくいいところへくると、人形みたいなものが出てきてじゃましてみたり、実に私は知恵のないやり方をやっているんじゃないかと思う。あれは非常に愚劣だというふうに私は受け取る場合が多いのです。今後はひとつ、広告に多額の金を出しておるのですから、広告の効果があがるような、そしてああ、なるほどこの品物はいいんだろうというくらいな同感を得るような広告の出し方を御研究くださいますなら、聴視者としては迷惑じゃない、こういうことなんですが、いかがなものでしょうかな。
  45. 瀬木博政

    瀬木参考人 先ほどのお話と関連いたしまして、私の考え方を申し上げます。  先ほど、いい番組ならばNHKのものも目のかたきにするなというようなふうに、私忠告としてありがたく伺いました。しかし聴視者というところに私はちょっと引っかかるのでございます。スイッチを入れた方からのサービス料の支払いがNHKのほうにいっているというところを、逆に言うと、お考え願いたいと思います。それで、これはおもしろいというものをNHKがやっているというのに、民放のほうは質が劣るとかなんとかいうふうな点にもしお気づきでしたならば、それは民放のほうの収入源が、聴取料として国民が払っている方面から入ってないわけですから、そういう点をひとつお考え願いたいのです。  それからもう一つは、コマーシャルが非常に気に入らぬという御指摘がありました。これは私どもにとりましては非常に致命傷でございまして、御指摘の点は、もう一番つらいところなんです。私先ほど申しましたように、私ども仕事は、聴視率というものを非常に重視しますので、もしも先生がスイッチを入れないとおっしゃると、私は非常にそれを心配をするわけでございます。それですから今後スイッチを入れていただくように一生懸命つとめますことをお約束いたします。
  46. 椎熊三郎

    椎熊委員 もうこれで終わりますが、聴視料の問題なんですね。これは私だけの考えで、委員会の考えでも何でもないのですから誤解のないようにお願いしますが、私は民放といえども国民はただ見ておるとは思っておらぬのです。これは税金の直接税と間接税との区別に非常に似たものだと思います。スポンサーが出しておる広告料というものは、売らんかなの商品の価格の中に加入されておるはずです。あるいは利益の中からそれを供出しているわけだと私は思うのです。不特定の人が払っておるのと、特定の人が払っているのとの区別はあっても、大きな目からは国民の負担であることには違いはない、こう私は考えております。したがって、民放はただでNHKは有料だなんという単純なものではあり得ないのではないか、こういう考え方でございます。
  47. 平井鮮一

    平井参考人 ただいまのは、そういう考え方をお持ちの方がありますので、私どものほうとしては、いろいろな面で絶えずお話をいたしておるのでございますが、これは広告のプリミティブな話になって恐縮なんでございますが、われわれはおっしゃるとおり広告費というものが物価にはね返っておるということはいなめませんが、その広告をすることによって、大量生産につながり、大量販売につながって、コストを下げて大衆に、より安い商品を差し上げるということが広告の本義でございますので、もしも広告をしなくて、そうして大量販売ができないなれば、それはよりコストの高い商品消費者に提供しなければならぬ。私は広告費はおっしゃるとおり物価の中にはねがえっておりましても、それ以上の利益消費者に差し上げておるということは、確信を持って申し上げられると思うのでございます。
  48. 秋田大助

    秋田小委員長 これにて参考人各位よりの意見聴取は終了いたしました。  参考人方々には、御多忙中にもかかわりませず御出席いただき、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時七分散会