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1964-04-07 第46回国会 衆議院 逓信委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月七日(火曜日)    午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 加藤常太郎君    理事 秋田 大助君 理事 上林山榮吉君    理事 佐藤洋之助君 理事 志賀健次郎君    理事 森山 欽司君 理事 大柴 滋夫君    理事 栗原 俊夫君 理事 森本  靖君       小渕 恵三君    木部 佳昭君       佐藤 孝行君    椎熊 三郎君      橋本登美三郎君    山本 幸雄君       安宅 常彦君    片島  港君       永井勝次郎君    畑   和君       受田 新吉君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 古池 信三君  出席政府委員         郵政事務官         (大臣官房長) 武田  功君         郵政事務官         (大臣官房電気         通信監理官)  畠山 一郎君         郵政事務官         (監察局長)  北脇 信夫君         郵政事務官         (郵務局長)  佐方 信博君         郵政事務官         (貯金局長)  浅野 賢澄君  委員外出席者         日本電信電話公         社総裁     大橋 八郎君         日本電信電話公         社副総裁    米沢  滋君         日本電信電話公         社総務理事   秋草 篤二君         日本電信電話公         社職員局長   中山 公平君         日本電信電話公         社営業局長   千代  健君         日本電信電話公         社計画局長   宮崎 政義君         専  門  員 水田  誠君     ————————————— 四月六日  委員中嶋英夫君及び受田新吉辞任につき、そ  の補欠として畑和君及び西村榮一君が議長の指  名で委員に選任された。 同月七日  委員西村榮一辞任につき、その補欠として受  田新吉君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  電話設備の拡充に係る電話交換方式自動化の  実施に伴い退職する者に対する特別措置に関す  る法律案内閣提出第三七号)  日本電信電話公社法の一部を改正する法律案(  内閣提出第六七号)  郵政事業及び郵政監察に関する件(静岡七間  特定郵便局員横領事件等)      ————◇—————
  2. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 これより会議を開きます。  郵政事業及び郵政監察に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。森本靖君。
  3. 森本靖

    森本委員 この三日ぐらい前の新聞に載っておりますが、これは静岡市の七間郵便局におきまして、その七間郵便局の女主事が約三千六十三万円程度、数年間にわたって定額貯金つまみ食いをやっておったというのが新聞に報道されておるわけでありますが、これはこの前の委員会でも問題になりました例の東京都内南浜川郵便局におきまして相当事故があったわけでありまして、どの新聞を見ましても、また特定郵便局におけるつまみ食いという見出しで載っておるわけであります。一応これに関する郵政省が現在つかんでおりまする全貌を御説明を願いたい、こう思うわけであります。
  4. 古池信三

    古池国務大臣 お答えいたします。  ただいまお尋ねになりましたように、静岡七間局におきまして貯金犯罪発覚いたしました。ただいままでの調べでは、実損額二千万円にのぼっておるという調査が出ております。昭和二十七年ごろから十一年有余にわたりまして、かような犯罪が行なわれたということは、まことに遺憾千万でございまして、私といたしましてほんとうに相すまぬこと、こう考えて、ここに衷心から遺憾の意を表したいと存じます。
  5. 森本靖

    森本委員 事務当局からでもけっこうですが、もう少し詳細な、調べておる内容を御説明願います。
  6. 北脇信夫

    北脇政府委員 先般監察局長に任命されました北脇でございます。  補足して御説明申し上げますが、実は本件の発覚いたしましたのは、預金者静岡七間郵便局に預金しておきまして、他局払い戻しいたしましたのが、名古屋地方貯金局報告がまいりまして、その名義金額が相違するということで疑義を感じまして、名古屋監察局へ通報が行きまして、そこで監察官が発動して、三月十二日、この主事である小牧ヤエを逮捕いたしまして、三月十四日、横領被疑事件といたしまして静岡地検に送致いたしまして、同地検では三月二十日に起訴し、そのときには金額十万円の被疑事件として送致したのでございますが、その後引き続いて余罪を調べてみますと、だんだん金額がふえまして、犯罪金額では二百七十七件三千六十三万円、実損額では百七十一口の二千四十九万円という段階に現在至っておりまして、四月四日、この金額でさらに地検に追訴した、こういう段階でございます。
  7. 森本靖

    森本委員 これを調べてみますと、二十七年に五万円、三十年に二十万円、三十一年に四十万円、三十二年に九十万円、三十三年に百二十八万円と、このころからだんだん大きくなりまして、三十四年に三百六十一万円、三十五年に八百十三万円、三十六年に五百七十二万円、三十七年が五百十八万円と、初めのうちは五万、二十万、四十万というものを一年にやっておりましたのが、だんだん肝が大きくなったのかどうかしりませんが、五百万円、八百万という形になってきておるわけであります。われわれ国民側として非常に不審にたえないのは、こういうことが一体二十七年から三十九年にわたって行なわれたわけでございますから、約十二年近くこういう犯罪が行なわれておる。それが全然発覚をしないというふうな内容でありますが、この昭和二十七年から三十九年の間において、監察官監察考査というものは何回やっておりますか。
  8. 北脇信夫

    北脇政府委員 考査といたしましては、総合考査で六回、防犯考査防犯監察官によりまして三回やっております。
  9. 森本靖

    森本委員 相当回数考査をやっておるにもかかわらず——私が調べたところによりますと、考査は九回、事故調査を四回やって、十三回調査をいたしております。その間において、全然このものがわかっておらない。なお三十五年においては、一応ある程度定額貯金についての不審な点があるということで、容疑を持って特別の監査を行なっておるにもかかわりませず、これが発覚をしておらない。こういうことになっておるわけでございますが、いま少しこの間の事情を詳しく説明を願いたい、こう思うわけであります。
  10. 北脇信夫

    北脇政府委員 まことに長期間にわたりまして高額なる犯罪でございまして、その間に相当回数考査もやっておりますので、御不審を抱かれるのはごもっともと思うわけでありますが、実はただいま森本先生から御指摘のように、三十五年の九月には、かなりの段階まで追及していって、実はこの被疑者は遺書まで書いたというような事実があとになってわかったのでありますが、きわめて知能犯でございまして、たとえば名義にしましても、自分のよく知っておる範囲の実在の人物、あるいは架空人物名前を書く。それから、地方貯金局では、新規に定額貯金に入りますと、いわゆるあいさつ状と申しまして、これは銀行とか証券会社でもやっておりますが、このたびは定額貯金にお入りいただきましてありがとうございましたと、それと記号、番号、それから金額を入れまして、同時に外部検査と申しますか、もしそれが違っておりますと不審を抱く、こういうふうな制度をとっておりますが、それが本人に渡らないように、自分居宅の肩書き、小牧ヤエ方にするとか、あるいは小牧ヤエ居宅の番地の架空名前にするということで、正当本人には渡らないような措置をとっておる。したがって、あいさつ状が正当な預金者にはいかない、こういうふうな方法をとっておりまして、そうして定額貯金考査につきましては、考査に行った際に、できるだけ定額貯金証書郵便局にあります原符と、それから地方貯金局に行っております申し込み書、この三者を対査することを励行しておりますが、いま申したようになかなか知能犯でありまして、主事にあれしますと、これはいわゆるへそ繰り貯金だというようなことで、定額証書は焼いてしまったのだというようなことで、後ほど監察官が行きますと、その本人も口裏を合わせて証書を焼いてしまったというようなことで、ある程度まで追及しながらそこでみすみす追及しそこなった、こういうような事例もあったわけでありまして、そういうわけで結果的には十一年余犯罪を継続したことはまことに遺憾に存じております。
  11. 森本靖

    森本委員 その証書を焼いてしまったという回答があったときに、監察官としてはどういう指示をいたしておりますか。証書を焼いておったとするならば、これは再交付を要求しなければ当然支払いができないわけでありますから、再交付の要求を貯金局にすれば事前に発覚することになるわけでありますので、そのときの監察官指示はどういう指示を行なっておりますか。
  12. 北脇信夫

    北脇政府委員 いま御質問にありましたようなこまかなことにつきましては、実は名古屋地方監察局並び静岡監察局の支局で詳細調査して、まだ本省のほうには報告がまいっておりませんので、後刻調査の結果お答えしたいと思います。
  13. 森本靖

    森本委員 これは、これだけ新聞に騒がれましたら、当然相当問題になるわけでありますので、いま私が言ったような点は、ちょっと常識で考えてもおかしな点がだいぶあるわけでありますので、そういう点についてはひとつ早急に調査をしていただいて、ここで回答ができるようにお願いをしたいというふうに考えるわけであります。  それから、ちょっといまお話がありましたように、貯金局長にお伺いしますが、定額郵便貯金については、貯金局原簿のほうから、預入ありがとうございましたという通知を全国的にいたしておりますか。
  14. 浅野賢澄

    浅野(賢)政府委員 定額貯金につきまして新しく預入がございました場合、主として小額なもの——大きいものもいたしておりますが、主として小額なものは、できる限りあいさつ状を出すようにいたしております。
  15. 森本靖

    森本委員 それは全国やっておりますか。
  16. 浅野賢澄

    浅野(賢)政府委員 全国でやっておりますが、ただ預入のあったもの全部にはやっておりません。枚数は、全部で一年間に約一千万口でございますが、そのうちの約五十万件ぐらいあいさつ状を出しております。
  17. 森本靖

    森本委員 それは、もしやるようでしたら全部にやったらどうですか。
  18. 浅野賢澄

    浅野(賢)政府委員 その点につきましては、今後はそういう方向を考えなければいけないと思っておりますが、ただいままでのところは地方貯金局事情等にかんがみましてその程度しかやっておりません。
  19. 森本靖

    森本委員 いまお聞きのように、そういうことについても相当手抜かりの点もあると思います。  それからもう一つ聞いておきたいと思いますことは、まだ詳細な細部がわかっていないということでありますから、詳細な細部がわかってから重ねてお聞きいたしたいと思いますが、きょうはただこの前の南浜川郵便局においてやはりこれと同じ程度のものが起きておるわけであります。そのときに大臣は、事務的にもあるいはその他の方向においても、あらゆる方面から今後かかる事故が再び絶対に起きないようにしたい、それがためには業務方法等についても相当改善もし、研究もしたい、こういう回答があったわけでありますが、南浜川郵便局においてああいう事故があったあとにおいて、こういう事故防止対策について郵政省はいかなる方法をとっておったかということをひとつ御説明願いたい。
  20. 古池信三

    古池国務大臣 先年南浜川局におきまして起こりました犯罪につきまして、まことに遺憾に存じておりますが、その際当局からお答えいたしました点について、その後どういうことをやっておるかというお尋ねでございますが、まず第一番に、かような局を監督する立場にある者の防犯上の職責、こういうことが非常に重大であると考えておりますので、再三にわたって監督の立場にある者に厳重なる通達をして、防犯については特に注意を厳にいたすように指示をしてまいったのでございます。また、特定局におきましては、特定局長防犯対策打ち合わせ会というものを再々開かせまして、そういう打ち合わせ会において十分に注意を喚起する、同時にまた、その他あらゆる会議の際におきましても、防犯については、それらの機会を利用して十分注意をしておるような次第でございます。  さらに事務的な面から申しますと、通常貯金関係につきましては、昨年八月から元利金通知制度というものを始めまして、各預金者についてその預金高を確かめる措置を講じてまいっております。また定額貯金関係につきましては、従来から地方貯金局を通じて預金者に対してあいさつ状を発送しておりますが、ただいま貯金局長からお答え申し上げましたとおり、全預金者に及ばなかったという点ははなはだ不十分であったと考えております。今後は全預金者にわたってあいさつ状を発送するように手配をしたいと考えております。また、その他必要のある場合には預金者から貯金証書を出してもらうようにいたしまして、そこでその預金高貯金局所管原簿とを照合いたしまして確認するという措置を講じてまいっております。  そこで、定額貯金につきましては、今回のような犯罪が発生いたします場合に処しましてさらに徹底を期する必要があると考えますので、その対策としまして貯金証書の発行にあたっていわゆる記帳会計機という機械を使用して預入申し込み書あるいは貯金原符にも同時に金額を印書させ、容易に偽造や改ざんのできないような措置を講ずることについて、いま鋭意検討を進めておる次第でございます。  なお、地方の各機関に対しましては、さらに一そう綱紀の粛正をはかり、防犯意識徹底をはかってまいりますとともに、特に無集配特定局取り扱いにかかります定額貯金については、今後一そう防犯監査を厳重に励行してまいりたいと考えております。  次に監察の機能の強化でございますが、昨年来監察業務の組織的な、総合的な運営のためにいろいろと措置は構じておるのでありますけれども、まだまだ非常に不十分でございます。今後監察の面において監察方法等について十分に研究をして、将来再びかような大きな犯罪の起こらないように厳重に注意をいたしたい、かように考えております。
  21. 森本靖

    森本委員 いまいろいろ言われましたが、実際的に効果のあるのは定額貯金通知預金者に対するところの郵便貯金通知、この二つだけでありまして、あと精神訓話になるわけでありますが、特に私がなぜそういうことを言いますかというと、特定局長防犯打ち合わせ会を開いてやったにいたしましても、この主事の御主人の特定局長が会長でありまして、防犯特定局長会責任者になるわけであります。こういう情勢からいえば、精神訓話を何ぼやったところで話にならぬ。やはり合理的、機械的に監査機構が整備されるということが一番望ましいわけであります。  そこで、定額貯金については一千万のうちわずか五十万しかやっておらぬ、そういたしますと、ついでに聞いておきたいと思いますが、預金者に対する郵便貯金通知というものは、貯金通帳が何口あって、その中で預金者通知は何口やっているか、ひとつお答え願いたい、こう思うわけであります。
  22. 浅野賢澄

    浅野(賢)政府委員 それは通常貯金でございますか。
  23. 森本靖

    森本委員 そうです。
  24. 浅野賢澄

    浅野(賢)政府委員 現在、睡眠貯金は除きまして活動貯金だけにいたしておりますが、活動貯金が大体三千五百万口でございますが、それに対しまして大体半分出すようにいたしております。昨年度出しましたものは七百二十万でございます。
  25. 森本靖

    森本委員 その睡眠貯金というのはどの程度に考えておりますか。
  26. 浅野賢澄

    浅野(賢)政府委員 二年以上であります。
  27. 森本靖

    森本委員 これは三千五百万の中でわずかに千四百万程度しかやっていないわけでありますが、預金者通知、それから定額貯金礼状なんというものは早急に全部やるべきじゃないかと考えるわけであります。われわれも気軽に郵便貯金をよく使うわけでありますが、われわれみたいに金のない者は郵便貯金をやるわけで、それをごまかされてはかなわぬわけでありまして、実際問題として私の郵便貯金通帳に一回もまだ預金者通知がきたことはないわけであります。子供の定額証書もこしらえましたが、その一万円の定額証書にも通知がきたことは一ぺんもないわけであります。そういう点を考えてみると、やっておるようなことを言うけれども、案外やっていないのではないかという気がするわけであります。たまたま不幸にして私のところにこぬのかもわかりませんが、いずれにいたしましても、犯罪防止のためには、預金者通知というものと、それから定額貯金の場合は、定額貯金預入をされたときに先ほど言ったような礼状を出すことが、一番効果があるというふうに私は考えるわけであります。  もう一つ、この内容をちょっと調べておりまして不審にたえないのは、郵便貯金にいたしましても、定額貯金にいたしましても、一応法律によって最高額が五十万円というふうにきまっているわけであります。ただこれが調べようがないということによって野放しになっておるわけでありますが、同一人名儀でもって三つも四つも五つも通帳ができる、ここに一つの大きな穴があるのではないか。今回の場合も同一人名儀相当のものがなされておるということについて、それを調べてみたら焼いてしまったというようなことで、とうとうこれがわからなかったということがありますので、こういう点についても貯金局としてはいま少し十分に検討を願いたい、こう思うわけであります。  さらに特定郵便局勤務状態でありますが、この当該郵便局は何名の局ですか。
  28. 北脇信夫

    北脇政府委員 特定局長を除きまして五名局でございます。
  29. 森本靖

    森本委員 特定局長を除いて五名の局ということになりますと、局長一名とこの犯罪を行なった人間主事でありますので、これは庶務会計全部をやっておるわけですね。
  30. 北脇信夫

  31. 森本靖

    森本委員 現実の問題としては、為替貯金保険についても監督する立場であって、自分自身事務をとるのはやはり庶務会計が主になる。結局残りの四名が郵便貯金保険窓口に分かれる、こういうことになるわけです。
  32. 北脇信夫

    北脇政府委員 小牧ヤエ主事でありますが、為替貯金窓口受け払い、それから日締め決算、それから出納日報作成、こうした実務をやっていたわけであります。
  33. 森本靖

    森本委員 そういうことについて監察当局としては不審の念が起きませんか。たとえば局長以下六名の郵便局において、実際問題として主事庶務会計を持って、さらに為替貯金受け払い仕事日締め決算仕事をやるということは、常識上これはあり得ない問題であって、庶務会計主事として日報類検査を行なうということになるとするならば、これは常識でそのとおりでありますけれども、その主事が預貯金受け払い保険受け払いをやるということは、ちょっと郵便局におった者なら常識で考えられるとおり、そういうことはあり得ない問題であります。これが二名局なり三名局であるとするならば、そういうこともあり得ると思いますけれども、局長以下六名という局でありましたならば、少なくとも主事は単独で庶務会計だけやっておる。あとの四名の局員がそれぞれ貯金郵便、あるいは電報の受付という形で分かれているということになると思います。そうなるとするならば、為替貯金というものは別個の人間受け払いは行なうというのが当然だろうと思うのですが……。
  34. 北脇信夫

    北脇政府委員 先ほど申し上げましたのを一部修正さしていただきますが、為替貯金関係小牧ヤエ森下という事務官が二人でやっておりまして、受け払い実務森下事務官にやらしておりますが、小牧ヤエがその最終的な締めくくりはやっておりまして、森下が一時その日締決算等もやらしてくれというようなことも言ったけれども、出納日報等に書くには字が太過ぎるからおまえではだめだというようなことで、小牧ヤエは絶対譲らなかったというようなことも後に調査した結果判明いたしました。
  35. 森本靖

    森本委員 だから私が非常に不審の念にたえないのは、昭和二十七年から昭和三十九年の長きにわたって、そういう変則的な勤務監察官あるいは隣局等においてもわからなかったかどうか。要するに為替貯金なんかは、為替貯金窓口担務者会合もあるわけであります。そういうふうな会合において、おれは日締め決算もやらぬ、一類証拠書類締めくくりもやらないという窓口の当務者ほんとうはあり得ないわけであります。本来ならば窓口務者日報作成をし、一類証拠書類はこれを全部作成をいたしまして、そうして主事のところに検査に持っていく。主事がこれを検査をして、局長が決裁の判をついて、これは調査課へ送る、こういう任務になっておるわけであります。ところが、いまお答えになりましたように、当務者は単なる受け払いだけをやっておる。その日の日締め決算は全部主事がやるというようなことは、およそ常識で考えられない郵便局勤務であります。そういうふうな勤務が七年も八年も続いておるというにもかかわらず、これが全然わからなかったというふうな点についても非常に私は疑念を持たざるを得ないわけでありますので、そういう点についても十分に再度ひとつ監察のほうでは調査を願いまして、これに対する私の質問に対してお答えができるようにお願いをしたいというふうに考えます。  特に、私は大臣に申し上げておきたいと思いますが、これは南浜川町に起こったとき、二度とこういうことは起こらないようにということを言いましたけれども、またそれが同じ特定局で起こった。ところが、南浜川町の場合は局長の姉さんがやっておった。今回の場合は局長の奥さんがやっておる。要するに、こういうふうな家族従業員の特に為替貯金をやっておるところについては、今後監察を強化し、考査を強化しなければならぬ、そのとおりでございますということを言ったわけであります。これなんかは犯罪が起こるべくして起こったような気がするわけであります。やはり私はすべての人を全部犯罪者であるとは見たくありません。ありませんけれども、こういうふうに起こりやすいようなかっこうに郵便局機構勤務を置いておくということは、やはり大きな誘惑にもなろうと思うわけでありますので、そういう点について、特定郵便局、特に無集配特定郵便局家族従業員だけでやっておるところについては、勤務体制について今後非常に考慮すべき問題ではないか。こういう点を大臣としても、これは再度こういう事件が起こっておりますので、単なる口先だけでなしに、全国的に二名、三名、四名の家族従業員だけでやっておるところの無集配局については——確かにまじめにやっておられるところが大半ですが、しかし、そういう中でこういう人々が出るということは、やはり郵政省の権威にもかかわりますし、信用の失墜にもなるわけでありますので、それこそ三たびこういう事件が起こらないようにぜひお願いをしたいというふうに考えるわけでありますが、今後この問題について、この問題を契機として大臣の見解を最後に聞いておきたいと思うわけであります。
  36. 古池信三

    古池国務大臣 まことに仰せのとおり、非常に遺憾なことと考えて申しわけなく思っておりますが、この報告を私が聞きました際に、非常に私も意外な事実に驚いたのでございます。十一年有余の間に、十回前後の監察あるいは考査に出向いてまいったのにもかかわらず、この犯罪が発見し得なかったということは、どこかに監察やり方に抜けたところがあるからではないか、かように直感いたしまして、まず第一に、今後監察やり方徹底化ということを本気で検討していかなければいかぬということを指示し、同時に私も考えておる次第でございます。  第二には、貯金取り扱い方法あるいは方式について不十分なものがありはしないか、かような犯罪を許すというのは、やはり事務的な取り扱い方にそういう犯罪を犯させるようなすきがあるのではないか、今後ある程度費用がかかっても、犯罪防止のためにもう少し貯金の扱い方について事務的な検討を深くすべきである、こう考えまして、まずこの大きな二つの題目を次官以下に指示をいたしまして、ただいま検討させております。したがって、今後重ねてかような事故の起こらないように、厳重に省をあげて注意してまいりたいと存じます。また、これと同時に、一般の監督者あるいは従業員を通じての綱紀の粛正ということをはかってまいって、国民各位の郵便局に対する信用を失墜しないように考えていきたい、こう存じております。
  37. 森本靖

    森本委員 そこでもう一つ聞いておきたいと思いますことは、綱紀の粛正ということはたいへん大切なことであります。これは単に当務者だけに限らず、その当該局長、さらに監察局長、それを監査いたしました監察官、さらにその歴代の監察局長、それから郵政局長貯金部長、こういう諸君、それからそれぞれの課長は責任を負わなければならぬ、こう思うわけでありまして、そういう点の責任の所在というものをひとつこの際明確にしていただきたい。何か労働組合がちょっとでも騒ぐと、リボンをつけたぐらいですぐ戒告処分などをやっておりますが、これはリボンどころの騒ぎじゃない。こういう問題こそ綱紀の粛正という点から厳然たる措置を郵政大臣はとらなければならぬ。そういう点、この綱紀の粛正に関して——私はただいたずらに全部の人を処分せよと言うわけではございませんけれども、やはり責任をとるというたてまえを明確にしていただきたい。そういう点についての大臣の決意を聞いておきたい、こう思うわけであります。
  38. 古池信三

    古池国務大臣 全くお説のとおりでありまして、私はあくまで信賞必罰、よいものは表彰することはけっこうだが、かように責任のある者は必ずその責任を追及して相当な処分をせねばならぬ。今後の示しになりませんから、そういうことを考えていま詳しく調査を命じております。
  39. 森本靖

    森本委員 このごろ郵政の犯罪は、とかくスリラー小説みたいなものばっかりが出てくるわけでありますが、この間の羽田空港においてダイヤが二千五百個消えてしまったという事件も、その後これがどうなっておるかということについて事情がわかっておらないわけでありますが、これの発見と経過、それから現在の状況というものについてひとつ要領よく簡単に郵務局長のほうからでも説明願いたいと思います。
  40. 北脇信夫

    北脇政府委員 私も詳しいことは存じませんが、実は二月十七日に東京空港郵便局に到着しました外国から来た書留通常郵便物一通、これはイスラエルのテルアビブ郵便局の引き受けで受け取り人は東京の某社でありますが、その在中品はダイヤモンド、時価六百四十二万円、これが小包郵便課通関係のロッカーに保管中に亡失した。その亡失の推定時刻は大体二月二十五日午後四時から二十六日の午後四時までの間の盗難と推定されております。その後空港警察署、警視庁、それから当該郵便局はもちろん、監察支局、東京監察局と連絡をとりまして、監察と警察側と両者で協力、鋭意捜査を続けておるのでありますが、いまだ被疑者と目されるものがきまらない、こういう段階でございます。  なお、くさいと申しますか、ある程度その当時の勤務とかその他の関係から何名あるいは十数名、これは郵便局側も税関側も疑われるわけでありますが、それの身元の内偵とかそういったものは鋭意継続してやっておる段階でございます。
  41. 森本靖

    森本委員 これは書留小包郵便ですか、価額表記か何かですか。
  42. 佐方信博

    ○佐方政府委員 一般の価額表記の協定にイスラエルは入っておりませんので、普通の書留でございます。
  43. 森本靖

    森本委員 書留郵便小包はこれ一個ですか。
  44. 佐方信博

    ○佐方政府委員 一個でございます。
  45. 森本靖

    森本委員 それで、これが実際にあらわれない場合に郵政省が補償する金額は幾らになりますか。
  46. 佐方信博

    ○佐方政府委員 万国郵便条約の規定によりまして損害賠償金二十五金フランといいますから、条約における損害補償金三千円を払うわけです。
  47. 森本靖

    森本委員 約六百五十万円のダイヤが紛失をして三千円払うということになりますが、これは相手がイスラエルでありまして、こういうような点については国際的にも相当な問題になりはしないかという点を非常に心配をしておるわけであります。  それからもう一つ新聞記事で見てみますと、この空港郵便局内における保管室というものが、非常にありふれた保管室であるという点があるわけでありますが、こういう点、六百五十万円もするものを単に書留小包郵便で送るというようなことについて、これは日本の郵便を信用して送ったところが、とられたということになるかもわかりませんけれども、いずれにしても、これもどっかに狂っているところがあるのじゃないかという気がしてしかたがないわけでありますが、この保管しておる場所については、間違いのない保管のやり方をしているわけでありますか。
  48. 佐方信博

    ○佐方政府委員 二点についてお答申し上げますが、小包の価額表記の約定に入っておる国はいわゆる実際の価格を補償するわけでありますけれども、イスラエルはその約定に入っておりませんので、一般の書留の例で払うということになります。しかしイスラエル自身としては別に保険会社がございまして、その保険会社に保険をかけて出しておられるようでございますので、郵政省と別な面での補償はイスラエルとしてはあるようでございます。  それから第二点の保管室の問題でございますが、保管室につきましては、その部屋に金網を張りまして、中にまた書留の保管の箱をもって一々施錠するようになっておりましたけれども、たまたまあの辺の工事の関係で地盤がゆるみましたために、その部屋の模様が非常に悪くなりまして、主事以下全部が夜その部屋で泊まっておるというようなやり方をしているようであります。しかし、いずれにしましても、さっそく金網等につきましての修理とともに、保管するものにつきましては一々かぎをそのつど締めるというようなことを指示をいたしております。
  49. 森本靖

    森本委員 それは、ダイヤがなくなっておったときには、かぎはかかっておったわけですか。何かロッカーをこじあけて、ぶちこわしたというような形跡があとにあったわけですか。
  50. 佐方信博

    ○佐方政府委員 実はいつ盗まれたかということが非常にはっきりいたしておりませんので、その辺が非常に明確を欠きますけれども、こわされていたような形跡はないように聞いております。
  51. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、こういう重要なものをロッカーに入れておいた場合、毎日毎日書留小包郵便が何個保管されておるということをきまった時間に定例的に検査をして、そして次の人に申し送りをするというようなことはやっておりませんか。
  52. 佐方信博

    ○佐方政府委員 当然、日計検査をします。それから一週間置きくらいには現物の調査をするというような定めになっております。
  53. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、この場合は何日になくなっておったということがはっきりするわけですね。
  54. 北脇信夫

    北脇政府委員 ただいま郵務局長から申し上げましたとおり、毎日の対査は個数だけの対査でありまして、現物の番号によって個別の対査は一週間に一回、土曜日、つまり税関の検査のない日にやるということでありまして、二月二十二日には間違いなくあった。ところが二月二十九日の対査のときに、ないということを正確に発見したということであります。
  55. 森本靖

    森本委員 その間の二月二十二日と二十九日の個数が全部合っておりますか。
  56. 北脇信夫

    北脇政府委員 それが、その前に実は二月二十五日までに帳簿面に対しまして現物が一個超過しておりました。ところが、二十六日になってちょうど現物と帳簿とぴったり合った。それも何か記帳をしないで出してしまったのではないかというようなことを担当者限りの判断で上司にも報告しなかった、あるいは監察官報告もおくらした、こういうようなことから判断いたしまして、それまで現品のほうが一個過剰であったのが、二十六日になって現物と帳簿とがぴったり一致した、そういうようなことから、二十六日に亡失したのではないか、こういうふうな判断をしております。
  57. 森本靖

    森本委員 その一個多くなったときに番号と対照しなかったのですか。日締め決算を毎日やって個数をやっておれば、個数が一個多くなったらおかしいということで今度は番号と全部対照すればすぐわかるわけであります。これはいいです。あまりこまかいことを聞いておってもあなたのほうは困ると思いますが、いずれにいたしましても、これもやはり奇々怪々なる事件だろうと思うわけですよ。  それからいま私がちょっと言ったように、郵政の業務においてもどこか輪が狂っておるところがあるのではないかというような気がしてならぬわけであります。いまの検査についても、私が言ったような形においてやって、そしてその日のうちに全部現物と対照すれば、当然これは早期に発見できると思うわけでありまして、どこか一つ監察業務あるいはこういう大切な品物を取り扱うというやり方について、ロスがあるのではないかという点が非常に懸念をせられるわけであります。東京国際空港における郵便局なんというものは、外国との関係が非常に多いわけでありまして、対外的な信用にも非常に関係するところでありますので、大臣においても、こういう点についてはひとつおろそかにせず、徹底的にこの原因を究明して、二度とそういうふうな事故が起こらないような防止措置を講ずるということがやはり管理者の任務であろうというふうに考えますので、この点の大臣の決意を聞いておきたいと思うわけであります。
  58. 古池信三

    古池国務大臣 まことにお説のとおりであります。かような事故を起こしましたことについては、犯人の悪いことは当然でありますが、やはり管理者の立場において、この保管とか、そういうふうな面において遺漏があったということは否定できないと思いますので、今後さような遺漏のないように厳重に注意をいたしまして、保管もあくまでいまの突き合わせ等と同様に厳格にやる、そしてかような事故は起こさないようにいたしたいと考えております。      ————◇—————
  59. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 次に電話設備の拡充に係る電話交換方式自動化の実施に伴い退職する者に対する特別措置に関する法律案内閣提出日本電信電話公社法の一部を改正する法律案を一括議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。安宅常彦君。
  60. 安宅常彦

    ○安宅委員 日本電信電話公社法の一部を改正する法律案の問題に限って御質問をしたいと思います。  この提案理由の説明の中で、どうも私はふしぎだなと思うことがあるのであります。由来、日本電信電話公社法がつくられたとき、この投資条項などというものはなかったのであります。ところが、改正の必要性といいますか、提案理由の中では、「日本電信電話公社の行なう公衆電気通信業務の一部につきましては、その内容等において必要があるときは、公衆電気通信法の規定に従い他に委託して行なうことがあります。この公社の委託を受けて行なう公衆電気通信業務は、公社の行なう公衆電気通信業務と一体となって運営されなければならないものであり、また、その公益性を確保するため、その経営がいたずらに投機の対象となることなく安定して行なわれる必要があるのであります。」云々というふうになっておるのであります。公社の電気通信業務の一部について委託をするということが改正の提案理由の説明になっておるのでありますが、これは内容そのものを見ますと、今度は投資をするというのであって、委託と投資というのはどういうことでこんな提案理由の説明の中に混乱させて持ってきたのかよくわからぬのでありますが、この意味について、大臣がいなくなったから監理官、あなたからちょっと説明願います。
  61. 畠山一郎

    ○畠山(一)政府委員 このたび御審議をお願いいたしておりますのは投資のことでございますが、この投資対象事業といたしまして「公社の委託を受けて公衆電気通信業務の一部を行なうことを主たる目的とする事業」というように書いてございます。この公社の委託を受けて公衆電気通信業務の一部を行なうということについて、提案理由の初めのほうで御説明を申し上げているわけでございます。
  62. 安宅常彦

    ○安宅委員 だからこれは投資をするんだから、委託と何も関係ないじゃないか。それを委託をする必要がどうしてもあるし、したがって投資をすることも必要だみたいに、だんだん三段論法で提案理由というのはおかしくなってはおりませんか、どうですか。
  63. 畠山一郎

    ○畠山(一)政府委員 投資を行ないます対象となる事業がこの案によりますと、「委託を受けて公衆電気通信業務の一部を行なうことを主たる目的とする事業」と、もう一つ「公社の公衆電気通信業務の運営に特に密接に関連する業務を行なうことを主たる目的とする事業」と、二つ書いてございます。このうちの初めのほうの、公社から申しますと、公社が委託をして公衆電気通信業務の一部を他に行なわせることを最初に提案理由の説明で申し上げたと思います。
  64. 安宅常彦

    ○安宅委員 公衆電気通信業務の一部を委託するということは、そうしますと、具体的の内容についてちょっとお伺いしますが、どういうものを考えておられるのか御答弁願います。委託をされたものについて、今度は投資が必要だというんですからね。委託をされているもの、それから、したがって投資を必要とするものというのはどういうものですか。
  65. 畠山一郎

    ○畠山(一)政府委員 公社の電気通信業務の委託につきましては、公衆電気通信法の七条と八条に定められておりまして、七条は郵政省に対する委託でございますが、八条はその他いろいろの委託といいますか、対象事業が書いてございますが、そのうちで投資を行なう必要のあるものについては投資をしたいということでございまして、現実の投資をする必要と申しますのは、日本船舶通信株式会社を考えております。この日本船舶通信株式会社は公衆電気通信法第八条第六号ということになりますが、この第八条の規定によりまして船舶電話業務の一部を委託をしているわけでございます。
  66. 安宅常彦

    ○安宅委員 「前各号に掲げるものの外、公社が郵政大臣の認可を受けて定める条件に適合する者にあっては、公衆電気通信業務の一部」、そうすると、いわば例外規定みたいなところですね、どうですか。
  67. 畠山一郎

    ○畠山(一)政府委員 例外規定と申しますか、第八条の一号から五号までの間でまかなえないものにつきまして、一般的に公衆電気通信業務の委託をすることができるようにしようという規定でございます。
  68. 安宅常彦

    ○安宅委員 そうしますと、第五号までは、こういうもの、こういうものと例示をしておるのですね。あと第六号というのはその他ですよ。そうすると、この五号までの間の中にやはり投資をしておる、そういう会社なり組織がありますか。
  69. 畠山一郎

    ○畠山(一)政府委員 ただいまのところ考えているものはございません。
  70. 安宅常彦

    ○安宅委員 そうすると、委託をさせておるほかに投資をしておるということは例示になっておる企業にはないか、その他みたいなところにあるものには委託もするし、投資もする、こういうことになりますか。
  71. 畠山一郎

    ○畠山(一)政府委員 投資につきましては、現在のところ現実に具体的に計画いたしておるものは、第八条の第一号から第五号までによって委託されているものについてはございませんが、今度御審議をお願いしております法律案の規定によりますと、必要があればできるということになります。
  72. 安宅常彦

    ○安宅委員 つまり第一号から第五号までも、法律改正によっては、今度は国会の審議を経ることなくできる、こういうことですね。
  73. 畠山一郎

    ○畠山(一)政府委員 公社法の案の第三条の三によりますと、一応は入りますが、ただ「その業務の運営上必要がある場合には、」という縛りがございますし、また「予算で定めるところにより、」ということで、予算で国会の御審議をお願いすることになると思います。
  74. 安宅常彦

    ○安宅委員 つまり法律的には国会の拘束から離れて何でもできるということになりますね。
  75. 畠山一郎

    ○畠山(一)政府委員 一応、この法律案によりますと、委託を受けて公衆電気通信業務の一部を行なうことを主たる目的とする事業につきましては、全般的にカバーするようになっております。
  76. 安宅常彦

    ○安宅委員 どうしてそういうふうになったんでしょう。私はちょっと長い質問を先にいたしましたから、あなたは取り残しをされたかもしれませんが、公衆電気通信法、それから特に日本電信電話公社法が成立するときは、そういう投資なんというものは何にもなかった。委託だけだ。そして国際電信電話株式会社の法律が出るときに、これは株式の保有をすることができる、これだけでもたいへん問題になったんですね。今度は、あなたのいまの答弁によれば、すべてのところに投資をすることができる、しかもこれは郵政大臣の認可をとればよろしい、こういうことなんだ。なぜそういう必要があるのかお伺いします。そしてどういう必要からそういうふうに変わっていったのか。
  77. 畠山一郎

    ○畠山(一)政府委員 さしあたり現実的には船舶通信だけを具体的に考えておりますが、このほかにも電気通信業務の進展によりましていろいろのものが出てくることも考えられるわけであります。具体的ではございませんが、一応考えられるという点で申し上げますと、自動車無線電話とか、あるいは番号簿とかいうことも考えられるわけでございます。やはり公社法ができましてから十年余りたっておりますので、いろいろ情勢の変化に応じまして、公社の仕事のしかたも変わってまいりますから、そういった点で必要になってきたというふうに考えております。  なお、規定のしかたにつきましては、他の二つの公社法もやはり一般的な規定のしかたになっておりますので、大体それにならいましてこういう規定のしかたにいたしました。
  78. 安宅常彦

    ○安宅委員 ほかの公社法では株式の保有というものと投資というものと二本立ての法律になっていますか。
  79. 畠山一郎

    ○畠山(一)政府委員 国有鉄道につきましては、他の法律で、つまり国有鉄道法以外の法律で定められているもの以外は、国有鉄道法でやはり一般的に規定されております。電電公社につきましても、一般的な表現だけになっております。
  80. 安宅常彦

    ○安宅委員 それは投資が一般的な表現になっておる。私が聞いておるのは、株式の保有と投資と二つ書いてある法律を持っている公社がありますかと聞いている。
  81. 畠山一郎

    ○畠山(一)政府委員 国際電電の株式の保有も法律的にはやはり投資の一つの形態でございます。
  82. 安宅常彦

    ○安宅委員 日本電信電話公社の総裁に聞きますが、そういう解釈で間違いありませんか。
  83. 大橋八郎

    ○大橋説明員 私も法律はしろうとでありまして、あまり確かなことは申し上げられませんが、大体同様のことと思います。
  84. 安宅常彦

    ○安宅委員 そうすれば、株式保有というものと投資というものと法律で二つ掲げなければならないというのはどういう理由でございますか、監理官。
  85. 畠山一郎

    ○畠山(一)政府委員 国際電電につきましては、この公社法ができましたときのいきさつから申しまして、特に株式の保有と規定したのであろうと考えられます。その当時のことは、私はあまり十分には研究いたしておりませんので申しわけございませんが、そういうふうに考えられます。かりにその後に国際電電の株を持つということになりますと、やはり投資ということになろうかと思います。
  86. 安宅常彦

    ○安宅委員 監理官に聞きますが、この一部改正という改正法律案をあなたのほうで出してきたのですが、三条の三を追加するだけではなくて、国際電信電話株式会社の株式保有というものと一緒の理屈ならば、ここのところを全面的に改正して、投資というものに一本に、ほかの公社法のように、それと同じようにするという、あなたがそういう答弁をしておられるとするならば、一緒にしなければならないのじゃないですか。三条の三を追加するというのは、あなたの言う法理論的な立場から言えば合わないではありませんか。どうですか。
  87. 畠山一郎

    ○畠山(一)政府委員 現在すでに三条の二という規定ができております。国際電電株式会社の株を保有することができるという規定ができておりますが、これは立法技術上の問題だと思いますが、一般的な規定として別に置くことも別段差しつかえないと考えます。
  88. 安宅常彦

    ○安宅委員 それではどなたか法制局の人を呼んできてもらわないと困る。ほんとうに厳密な意味で立法技術を問題とするならば、投資と株式保有というものが同じならば、これは法制局とも打ち合わせてやる仕事だと思いますが、なぜ一本にしなかったのかといういきさつについて私は聞かなければならない。投資というものと株式保有というものは違うという定義があったとすれば、三条の二と三条の三を並列にしておくことは立法技術上できるものでございますか。立法技術上の問題だなんて言ってごまかしては困る。その定義についてはっきりした答弁をしてもらわないと困ります。
  89. 畠山一郎

    ○畠山(一)政府委員 先生の御質問を誤解しておりましたが、株式の保有ということも投資の一つの形態ということを先ほどお答え申し上げましたが、投資のほうが若干概念は広いかと思います。したがって、船舶通信会社に投資するといいます場合には、船舶通信株式会社の株式を持つことも含まれると思います。
  90. 安宅常彦

    ○安宅委員 だから、最も関係のある国際電信電話株式会社に対してさえも株式の保有ということで切っているのに、今度はあまり関係がないと言っては語弊がありますが、少なくとも国際電信電話株式会社よりも関係がないと私は断定している。そういうものに対して今度概念の広い投資ということばを使うときに、一番近い親類の国際電信電話株式会社に対しては株式保有など——たいしたことがないところには今度は広い意味でも投資まで加えなければならない理由はどこにあるのかと聞いているのです。
  91. 畠山一郎

    ○畠山(一)政府委員 株式の保有と申しますと株式会社に限ることになります。原則として株式会社になろうかと思いますけれども、やはり事業となっております以上、法律的には株式会社に限らないということになるわけでございます。
  92. 安宅常彦

    ○安宅委員 株式会社以外のは、たとえばいまあなたが理論的に考えているのはどういう企業でありますか。
  93. 畠山一郎

    ○畠山(一)政府委員 株式会社以外にどういうものがこの事業としてあり得るかということでございましょうか。
  94. 安宅常彦

    ○安宅委員 そうです。
  95. 畠山一郎

    ○畠山(一)政府委員 現実問題としてはちょっと考えられませんけれども、極端な言い方をしますれば、個人経営みたいなものもありましょうし、あるいは他の公共事業体みたいなものも理論的には事業の中に入るわけでございます。ただ、現実には、その上にいろいろ規定がかぶっておりますので、起こってこないかと思います。
  96. 安宅常彦

    ○安宅委員 そういうことになりますと、日本電信電話公社法の精神に反することになりませんか。個人企業その他全部含む法律的な用語をあなたは用いていま法改正をやらんとしておるのでありますが、そういうところに投資をするということは、日本電信電話公社法が示す精神とはまるきり違った方向ではないでしょうか。
  97. 畠山一郎

    ○畠山(一)政府委員 ただいま事業ということばの意味について御説明申し上げたわけでございまして、その上に「委託を受けて公衆電気通信業務の一部を行なうことを主たる目的とする」という規定が入っております。したがいまして、公社法の精神に反することにはならないと考えられます。
  98. 安宅常彦

    ○安宅委員 委託を幾らでもやれる、どこでもやれるということになります。そしてそれには投資をすることができるようになります。これはどうですか。ただ、あなたはいろいろなものがかぶさっているからそういうふうにならないと言うけれども、かぶさって制限している条項がどこにありますか。
  99. 畠山一郎

    ○畠山(一)政府委員 委託につきましては、公衆法にすでに規定されておりまして、この点については、この法律によって特に変わるわけではございません。  それから、なお、今度の案につきましては「業務の運営上必要がある場合には、」というのがございますし、「郵政大臣の認可を受けて」という縛りもありますし、予算という縛りもございますから、またそれらの「業務の一部を行なうことを主たる目的とする」ということで制限いたしております。
  100. 安宅常彦

    ○安宅委員 そうしますと、たとえばいま団地電話の問題なんかたいへん問題になっておりまして、公社の委託を受けていろいろな仕事をしておる。今度はそういうのはいやだから直営にしょうなんということを考えておられる。こういうものも投資をすることができる、事業の対象には法律的には制限がありませんからできますね。
  101. 畠山一郎

    ○畠山(一)政府委員 現在の団地電話につきましては公社の事務は委託しておりません。
  102. 安宅常彦

    ○安宅委員 これは試行だからできないのでしょう。正式に法律に出てしまえば、そうなるのじゃないですか。
  103. 畠山一郎

    ○畠山(一)政府委員 正式に法律になるにいたしましても、あるいは正式の制度化されたサービスになるにいたしましても、公社との委託関係は起こりません。
  104. 安宅常彦

    ○安宅委員 そうしますと、委託というのは、あなたの概念でいえば、現在の法律の上から委託ということを頭で考えておるから委託にならないのです。それじゃ現在公社が委託をしておるものを例示していただけませんか。
  105. 畠山一郎

    ○畠山(一)政府委員 公衆電気通信法の第八条の各号に規定されておりますが、いわゆる赤電話などもやはり委託でございます。それから料金の収納について銀行などに料金収納事務が委託されております。それから電報の配達の委託も一部なされております。
  106. 安宅常彦

    ○安宅委員 そんなのじゃなくて、一番大きなのは郵政省に委託するものじゃないですか。そういうものが根本であって——船舶通信株式会社というのは、それじゃどういう仕事をしているのですか。
  107. 千代健

    ○千代説明員 船舶通信株式会社は、現在まだ全国には及んでおりませんが、東京、横浜港、それから清水港その他等、大体北九州までのおもな港にある船舶、それから瀬戸内海を走っておる船、これと陸上の通話を扱ういわゆる船舶電話というものの取り扱いのうち、船の上につける機械の操作、設置、保守、それに関する加入、料金取り集め、そういった仕事をやっております。  いま一つは、東京、横浜、神戸、大阪において、港に着きまして接岸した船と、それからその岩壁まで公社の設備がいっておりますが、陸上の臨時電話を船につける、あるいは取りはずす、それから申し込みを受ける、あるいはそれの取りはずしをする、それについて料金の取り集めをやる、こういった仕事をやっております。なお一部には、横浜と神戸で船舶台という台を置きまして、主として外国船が多い港でございますので、いろいろなインフォーメーションの問題等もありますが、そういった仕事をあわせ行なっております。  大体そういうことでございます。
  108. 安宅常彦

    ○安宅委員 そうしますと、これはどういう根拠、どの法律の第何条によって委託したのでしょうか。
  109. 畠山一郎

    ○畠山(一)政府委員 公衆電気通信法第八条第六号によって委託しております。
  110. 安宅常彦

    ○安宅委員 だからぼくは聞いているのですが、第六号というのは何でもできるんだ。業界の新聞なんか見ますと、あなたのほうでいろいろなものを考えておると書いてある。ポケットベルとか自動車電話サービスなんかも今後は委託するつもりとかなんとか書いてありますが、あれはあなたのほうで発表したのですか、公社のほうでは考えているのですか、両方答弁してください。
  111. 畠山一郎

    ○畠山(一)政府委員 郵政省としては聞いておりません。
  112. 米沢滋

    ○米沢説明員 公社としては特別に発表したことはございませんが、せんだってこの委員会質問がございまして、答弁いたしたときに申し上げております。
  113. 安宅常彦

    ○安宅委員 そうすると、投資できる事業の範囲というものは、第六号と関連して政令でどんどんやれるということを、あなたのほう自体告白していることじゃないでしょうか。ポケットベルなんというのはどういう会社の形式になるかわかりませんし、自動車電話サービスというのはどういう会社の形式になるかわかりませんが、大きいのとか小さいのとかいろいろなものが出てくると思いますが、これはどうですか。
  114. 米沢滋

    ○米沢説明員 この間答弁がありましたのですが、私たち考えましてそういうものがあり得るというのでありまして、それをいつやるとかいうような具体的なこともありませんし、そういうものがあり得るということを申し上げたのであります。
  115. 安宅常彦

    ○安宅委員 だから私は心配でしかたないのです。というのは、大体立法技術上第六号みたいなものがどの法律にもある。前号に掲げるもののほかとかなんとかいうことが必ず書いてある。そこに持ってきて一番重要なものは郵政省に委託しているもの、それから第八条の第一号から第五号までに例示しているもの、そういうものは原則としてこういうものだということを書いておる。これは非常に重要なもので、これくらいは大体常識的に限定されておる。そのほかに何か必要あれば縛られてはたいへんだからというので、最後の号を設けておるのが第六号だ。その第六号で委託しているのだなんということを言う。それから委託もかってですから、そうすると今度投資もかって、国会で論議をすることもなしに、そういうものはただ予算に制限があるかないかの問題で、幾らでもできるということに今度はなる。しかも、それは株式保有だけでなくて、広い意味の投資をすることができる、こういうふうになって、あなた方はかってに何でもやることができる、そういうことになるのだということについて、私は非常に大きな心配をしておる。現実にはそうなるんですね。監理官どうですか。
  116. 畠山一郎

    ○畠山(一)政府委員 額につきましてもやはり公社法の縛りがございます。公社の業務運営の必要によってやるということになろうかと思いますし、このたびの投資につきましても、業務の運営上必要がある場合、郵政大臣の認可、あるいは予算で定めるとか、あるいは対象事業の幅と申しますか、範囲も制限いたしておりますので、何でもかんでもかってにやれるということにはならないと考えます。
  117. 安宅常彦

    ○安宅委員 この国会で少なくとも論議できるのは、予算以外ではないということですね。予算以外のことではもうない、そういうことですね、監理官。
  118. 畠山一郎

    ○畠山(一)政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  119. 安宅常彦

    ○安宅委員 それでは船舶電話を扱っているというその株式会社は——この船舶電話というのは、法律的にはどういう定義のものですか。
  120. 千代健

    ○千代説明員 船舶電話は、公衆電気通信法第二十五条の中で、非常におかしな規定のしかたのものですけれども、ちょっと読んでみますと、「その交換に関する事務が電話取扱局によって行われる電話(船舶、航空機その他の交通機関に設置する無線電話及び公社が業務上の必要により設置する電話を除く。)は、左の通りとする。」というので、電話というものは次のものでございますけれども、船舶についているのはこれは別でございますという規定が二十五条でございますが、これを受けまして、電話規則のほうで、船舶電話はこういうものをいいますということを規定しておるわけであります。
  121. 安宅常彦

    ○安宅委員 法律の原則は、船舶、航空機その他の交通機関に設置する無線電話というものは、公衆電気通信法から除かれているんですね。そうでしょう。
  122. 畠山一郎

    ○畠山(一)政府委員 公衆電気通信法から除かれているのではなくて、第二十五条に規定する電話から除かれているということでございます。
  123. 安宅常彦

    ○安宅委員 だから、どういう性格の電話かと聞いているのです、公衆電気通信法によれば。
  124. 畠山一郎

    ○畠山(一)政府委員 公衆電気通信業務一つではございますが、別に定めることができるいわば電話の一種、こういうことだと考えます。
  125. 安宅常彦

    ○安宅委員 船舶、航空機その他の交通機関に設置する無線電話及び公社が業務上の必要により設置する電話を除くのだから、こんなものは公社の業務上の必要はないのだ。それから船舶、航空機その他の交通機関に設置する電話ですから、公社の必要でもなければ、公衆電気通信法上の電話でもないんですね、そういうことでしょう。これはどうですか。
  126. 畠山一郎

    ○畠山(一)政府委員 第二十五条の規定は、電話の種類から除いてあるということでございまして、公衆電気通信法全体を適用しないということではございません、やはり公衆電気通信業務一つの形態でございます。
  127. 安宅常彦

    ○安宅委員 二十五条以外に公衆電気通信法の中で、こういう船舶の電話というものはどこの条文に出てまいりますか。
  128. 畠山一郎

    ○畠山(一)政府委員 直接にこの船舶の電話について、こうこうこういうものをいうと規定した条文はございません。したがって、法律より下の規則と申しますか、それにまかせられておるものと考えます。
  129. 安宅常彦

    ○安宅委員 法律に載ってない電話が規則でまかせられますか。
  130. 畠山一郎

    ○畠山(一)政府委員 第二十五条の種類からは省いてあるということでございます。
  131. 安宅常彦

    ○安宅委員 公衆電気通信法というものは、「電報」、「電話」とその種類を例示してあります。したがって、公衆電気通信法上定めのない電話というものが、その法律を受けて出てきた営業規則に本来ならば出てくる筋合いのものじゃないのじゃないですか。どうですか。
  132. 畠山一郎

    ○畠山(一)政府委員 やはり船舶の電話につきましても公衆電気通信業務の定義の中に含まれます。したがって、法律に規定のない事項につきましては、この公衆電気通信業務に含まれます限り下部の規則で定めることができるわけであります。
  133. 安宅常彦

    ○安宅委員 公衆電気通信といいますか、電話の種類に含まれると言いますが、こういうものは、そうすると、公衆電気通信というものの定義はどこに書いてありますか。そういうものを含むという定義はどこに書いてありますか。
  134. 畠山一郎

    ○畠山(一)政府委員 定義そのものは、公衆電気通信法の第二条に定められております。
  135. 安宅常彦

    ○安宅委員 そうすると、第二条の中に入っておると言いましたが、第三条は、「日本電信電話公社(以下「公社」とい、)。)、第七条又は第八条の規定により公衆電気通信業務を委託された者及び第四十一条第二項の契約を公社と締結した者並びに国際電信電話株式会社及び第九条の規定により国際電気通信業務を委託された者は、公衆電気通信役務の提供について、差別的取扱をしてはならない。」こう書いてあるのですね。そうしますと、船舶通信株式会社というものは、全国的な会社でも何でもありません。なぜこういうところに投資したり委託したりして、あるものには委託しなかったり投資をしなかったりするということができるのでしょうか。
  136. 畠山一郎

    ○畠山(一)政府委員 いま先生御指摘になりました第三条とは関係がないと思いますが、やはり公衆電気通信法の第七条、第八条には、業務の運営上の必要に応じて公衆電気通信業務の一部を委託できるという根拠規定がございます。したがって、個々の具体的なケースに応じてその妥当性を見て委託することになるかと思います。投資につきましてもやはり新しい案の第三条の三のいろいろな制限のもとに、必要に応じて投資をしていくということになるわけでございます。
  137. 安宅常彦

    ○安宅委員 そうしますと、同じようなことをやっておっても、片っ方に委託をさせなかったり、片っ方には委託はさせておっても投資をしなかったり、そういうことはできるということですね。
  138. 畠山一郎

    ○畠山(一)政府委員 片っ方にはとおっしゃる意味がよくわかりませんが、船舶の電話に関する公衆電気通信業務を行なっておりますのは日本船舶通信株式会社だけでございます。したがいまして、片っ方に投資をしたり、あるいは片っ方に投資をしないというようなことはございません。
  139. 安宅常彦

    ○安宅委員 船舶通信株式会社というのは、そうすると船舶通信全部を掌握している会社ですか。
  140. 畠山一郎

    ○畠山(一)政府委員 船舶通信あるいは船舶電話という定義の問題だと思いますが、広い意味の船舶通信の中には専用通信もございます。たとえば漁業無線のようなものがございますが、これは公衆電気通信業務ではございません。それぞれの漁業組合なり何なりが基地局と漁船の上の無線局を持っておりまして通信をやっておりますが、これは専用通信でございます。したがいまして公衆電気通信ではございません。船舶に設置された電話を使っての公衆電気通信業務の一部を委託されて行なっておりますのは日本船舶通信株式会社だけでございます。
  141. 安宅常彦

    ○安宅委員 電電公社の幹部に聞きますが、いまの答弁に間違いありませんか。
  142. 千代健

    ○千代説明員 いまの答弁で間違いないかと思いますが、委託を受けてやっておる以外に、船舶電話を自営でやることができるように相なっております。現在では五島−長崎間の定期航路は、向こうに船舶通信会社がございませんので、当初これの場合にも考えたのでございますが、自営ができるように相なっておりまして、向こうの船会社がみずからこれを自営しておる、こういうかっこうでございます。
  143. 安宅常彦

    ○安宅委員 それはあなたのほうで委託をしていないのですか。自営ができるという法律的根拠を言ってください。
  144. 千代健

    ○千代説明員 船舶自体が船舶電話の加入者と相なっております。委託というのはございますけれども、これは船舶の上に置いております赤電話の取り扱いである、こういうかっこうに相なっております。
  145. 安宅常彦

    ○安宅委員 どうもその辺微妙ですね。そうすると船舶電話というものを委託をしたというのと、それから自営で船舶の赤電話みたいなものでやっておるというのとはどういう違いがあるのですか。私はどうもそれがよくわからないのですがね。
  146. 千代健

    ○千代説明員 委託をやっておりますのは船舶通信株式会社で、これは大阪商船の船とかあるいはそこの近海汽船とかいろいろな船は全部公社の委託で設置してやっておるのですが、長崎−五島間の定期船の場合には、その船舶自体が船舶電話の加入者と相なってやっておるわけでございます。ところが船舶の上では、船自体の商業活動のために、あるいは保安活動等のために使われる場合と、乗客がおかと話すから貸してくれというような場合があるわけでございまして、ちょうど瀬戸内の場合等でつけております電話は、お客さんがかけるというような便宜のためにこれを公社電話契約をやっておるわけでございます。その意味では、公社電話契約の受託者である、こういう意味合いで説明申し上げた次第でございます。
  147. 安宅常彦

    ○安宅委員 船舶通信株式会社というのはいつできたのですか。
  148. 千代健

    ○千代説明員 昭和二十七年の十二月に設立されております。
  149. 安宅常彦

    ○安宅委員 そうしますと、そこに委託をする前に、船舶通信株式会社の中に入っていないところのそういう電話をつけておる船、こういうものに対して、あなたのほうでは設立してから認可をしない前どういう措置をとってきたのですか。
  150. 千代健

    ○千代説明員 まことに恐縮でございますが、ちょっと質問の御趣旨がわかりませんけれども、二十七年の十二月に会社そのものが設立されて、それから七、八カ月の準備をして、そこで八月一日からこの船舶通信株式会社というものの船舶電話の委託の業務を開始した、こういうぐあいに相なります。
  151. 安宅常彦

    ○安宅委員 そうしますと、この株式会社の範疇に入らなければ、あなたのほうでいう営業規則による船舶電話というものはつけられないことになるわけですね。
  152. 千代健

    ○千代説明員 船舶電話株式会社が使います以外に、船主といいますか船の側がこの設備を自分でされまして無線局を開始された場合には、先ほど申し上げました長崎−五島間の定期船のように船舶電話の加入者と相なる、こういうぐあいに考えております。
  153. 安宅常彦

    ○安宅委員 だから私は先ほどから聞いておるように、あるものには委託もしなければ投資もしない、あるものには投資をしたり委託をしたりすることができることになりますね、こう聞いておるのです。
  154. 畠山一郎

    ○畠山(一)政府委員 現在の日本船舶通信株式会社が委託されております業務は、船舶に積みます送受話機の設置、保守等、それに伴います料金事務、加入事務でございます。そのほか、いま公社のほうから御答弁いたしましたのは、それとは全然別の、たとえば公衆電気通信法八条一号の関係の委託関係でございます。ちょうど陸上の普通の加入電話と比較いたしますと、船舶の上に加入電話の送受話機ができるようなものであります。その送受話機を利用して公衆通話を取り扱う、つまり赤電話のようなものもございますけれども、それは八条一号による委託関係でございまして、その船舶通信の問題とは全然別個の問題でございます。
  155. 安宅常彦

    ○安宅委員 そうすると、私が今度東日本船舶通信株式会社みたいなものを設けて、委託をしてくれと言ったら、あなたのほうでは委託をし、しかも投資をしてくれるのですか。
  156. 千代健

    ○千代説明員 そういう現状はございませんので、どうとも申し上げにくいのでございますが、現に昨年度の予算で定められました場合には、この日本船舶通信株式会社へ投資するんだということで予算審議過程でなっておりますので、以上のことで御回答になるかどうかわかりませんが、そういう次第でございます。
  157. 安宅常彦

    ○安宅委員 だから、私は何回も言っているのですが、これは独占的に行なうという、何か事を想定して、あなたはやっているみたいですが、清水だとかなんとか特定の土地をあげただけで、それだったら東日本船舶通信株式会社というものを設立した場合には、社会党だからだめですか、どうなんですか。
  158. 千代健

    ○千代説明員 沿岸をふだんに航行しておりまして、この港からきょうはこちらへ、あしたはこちらへと動きまして、それが幾つかに分かれておることは、私は便利ではなかろうと思います。一つの港まで行って電話契約を解除して、そこで電話機をおかへ揚げます。またその電話機をもとのところへ持って帰る——それから常時動いておる対象でございますから、私はできるなら一本がよろしかろう、こう考えておるわけでございます。
  159. 安宅常彦

    ○安宅委員 私の質問とはまるきり違うんですがね。そんな便利だとか移動するとかという問題じゃありません。船舶通信株式会社というものをもう一つつくったら、あなたはそっちのほうに投資をしたり委託をしたりしてくれますかと聞いているのです。予算の関係があるとかなんとか言うでしょうね、あなたのほうは。この船舶通信株式会社というものができたから、それに投資をする予算をつけてくれということを大蔵省に強引に言ってつけてもらったんでしょう。だから、そういうことは予算がないからできないといえばそれまでの話なんでしょう、法律的にこの会社には委託をし投資をするということは書いてないのですからね。そういうことじゃありませんか。
  160. 千代健

    ○千代説明員 私どもでは、一社でやるほうが数社でやる場合よりも、機器の取り扱いによって相互の扱っておる機器が混淆するとか、その他取り扱い上煩瑣なものが要るであろうと思います点と、それから船舶電話業務については、船舶通信会社はすでに十年以上の実績を持っておりまして、これがやるほうが——既設のもの一本でやるほうが経済的にいくだろうと、私どもはさように考えております。
  161. 安宅常彦

    ○安宅委員 それは十年の経験を持っておるとか、一社がいいとか、資本金が何ぼだとか、だれがきめるのですか、あなたがきめるのですか、国会がきめるのですか、どこがきめるのですか。
  162. 千代健

    ○千代説明員 公社が郵政大臣の認可を得てきめる、こういうことでございます。
  163. 安宅常彦

    ○安宅委員 そうしますと、たとえば十年だとかなんとかで官僚がかってにきめたそういう方針に従わなければ、新しい会社ができてもだめだということになりますね。それから、いろいろな基準をつくって、そして安宅常彦という社長に委託をさせないようにするためにあらゆる基準をつくるでしょう。それはあなたのほうのかってだということになる。しかしいまは社会主義の経済じゃないのだから、資本主義の経済の中で一社が望ましいなんて言ったって、何ぼ出たってあなたのほうでは文句言えないのでしょうね、どうでしょうか。その会社が五つ出たってぐうとも言えないのじゃないですか。
  164. 畠山一郎

    ○畠山(一)政府委員 郵政省といたしましては、そういう具体的な問題になりますと、どうも即答は申し上げかねるわけでございまして、やはり認可にいたしましても、予算にいたしましても、公社で具体的に話を持ち出してきまして、それを審査してきめるということになるわけでございます。
  165. 安宅常彦

    ○安宅委員 ばかな答弁をするんじゃないよ、通信監理官。あなたは公社の下請機関じゃないはずだ。あなたが認可するんでしょう。公社が認可するんですか。どっちが認可するのですか。
  166. 畠山一郎

    ○畠山(一)政府委員 公社から申請が出てきて郵政大臣が認可するわけでございます。
  167. 安宅常彦

    ○安宅委員 そういう仕組みになっているんです。だから五つでも六つでもそういう会社ができることは、あなたのほうではそれに統制を加えることもできなければ何にもできないのが今日の経済なり政治の仕組みじゃありませんかという質問については、あなたからも隣の人からも答弁がありませんが、その答弁をしてください。
  168. 畠山一郎

    ○畠山(一)政府委員 船舶通信業務につきまして、委託する相手が一社がいいか五社がいいか六社がいいかということにつきましては、あまり考えたことはございませんが、法律的にそういうものを制約するものはございません。委託する相手が一社でなければならないとか、あるいは数社でなければならないとか、法律的に制約するものはございません。ただどちらが——これもやはり公社の電気通信業務の委託を受けて実施するわけでございますので、全体の電気通信業務の運営が円滑にいくか、どちらが円滑にいくかという観点から検討すべき問題だろうと考えます。
  169. 安宅常彦

    ○安宅委員 そんなことを聞いているんじゃありません。現在の資本主義の経済の仕組みの中では、何社が出ようとあなたのほうでは文句は言えませんねと、ただこれだけ聞いているのです。
  170. 畠山一郎

    ○畠山(一)政府委員 会社をつくることはもちろん自由でございましょうけれども、公衆電気通信業務の委託ということになりますと、やはり郵政省としても八条六号による委託でございますと、郵政大臣の認可する条件ということもございますし、それから、投資ということになりますと、御審議をお願いしております案によりまして、郵政大臣が認可するわけでございますので、そのときにやはり実体的なことも審査してから認可するかどうかきめる、こういうことになろうかと思います。
  171. 安宅常彦

    ○安宅委員 そうしますと、もし現在の船舶通信株式会社というものよりも非常に手広くやっている会社をだれかがつくった、その営業の内容は同じである、こういう場合には、あなたのほうでも投資をし、委託をさせるということは理論上あるんですが、そういうことはどうですか。
  172. 畠山一郎

    ○畠山(一)政府委員 公衆電気通信業務の一部を行なうことを主たる目的とするわけでございますから、それが出てきて、それから委託が起こるわけではございませんで、公社の委託がなければ公衆電気通信業務の一部を行なうことはできないわけでございます。
  173. 安宅常彦

    ○安宅委員 それでは聞きますが、いまの船舶通信株式会社と同じことをしたい、しかも勢力はぼくのほうが大きい、ぜひ委託をさせてくれ、そうした場合に、あなたのほうでは認可しない、こういうことですな。
  174. 畠山一郎

    ○畠山(一)政府委員 やはり具体的なことになってまいりませんと、認可するともしないともちょっと申し上げかねますので、御容赦願いたいと思います。
  175. 安宅常彦

    ○安宅委員 現在の仕組みの中では、五つ、六つできてもしかたがないという、そういうものなんです、現在の政治、経済の仕組みは。そうした場合に、それよりも大きい会社が同じ仕事をやろうとする、それには具体的に出てくることをおそれるから私は聞いているんですよ。そんなこと安宅君言ったって出てこない、資本金もちゃんとこっちのほうではあんばいしてやっているし、公社の幹部が横すべりしてそこにちゃんと入っているし、そういう会社しかやらないつもりだというなら、これは別だ、そういう会社が幾らでも出てくるという予想がされるのが今日の政治、経済の仕組みではないかと聞いているのです。そういう場合には、あなたのほうでは委託も投資もしてくれますか、こう聞いているのです。
  176. 畠山一郎

    ○畠山(一)政府委員 御質問にいささか適切なお答えもできかねますので、申しわけございませんが……。(安宅委員「どうしてできかねる」と呼ぶ)やはり投資の認可をする場合には、具体的な事情を見ましてから認可するかしないかきめるということになりますので、抽象的なたとえとしては相当むずかしいかと思いますので、御容赦願いたいと思います。
  177. 安宅常彦

    ○安宅委員 そんなことはありませんよ。たとえば条約だって、こういう国が出てくるだろう、ああいう国が出てくるだろうという大体の見通しというものをつけて、いろいろ論議をしているのです。仮定のことは答えられないなんて、だれかのまねをしたみたいなことを言わないでください。そういうばかなことを言わないでください。そういうことが現在の仕組みの中でできる可能性がある。しかも夢でも何でもありません。やろうと思えばできるではありませんか。そういうものができたときに、そういう会社には投資をするんですかと聞いているのです。
  178. 千代健

    ○千代説明員 投資をするかという御質問でございますが、これは予算というものがなければできませんし、それから郵政大臣の認可というものがなければできませんので、その点私のほうでもちょっと答えにくい問題であります。
  179. 安宅常彦

    ○安宅委員 予算と郵政大臣の認可というものは浮動性があるんです。そういうものを理由にして私の質問に答弁されても困ります。認可の基準をつくるのは、国会でつくるものでもなければ、あなた方がつくるのです。そうして予算も政府として原案を出す場合には、いみじくも監理官が言ったように、電電公社からそういう申請があって、委託する場合にも、もちろん予算の場合にも、電電公社からこういう予算の原案があって、それをあなたが仲立ちしているみたいな答弁をしているんですから……。そういう会社は電電公社の申請によってできるものではありませんし、これは電電公社が相当の肝いれをしてつくった会社です。だからこそできたんです。だけれども、この認可、許可あるいは投資というものは、電電公社の申請がなければできないけれども、その会社そのものは何も電電公社の肝いれがなくても幾らでもできる、こういう現在の仕組みの中で、あなたのほうはそういう場合にはどうするかということを、認可、許可とか予算とは関係なしに聞いているんですから、そこのところは間違いないようにしてください。
  180. 畠山一郎

    ○畠山(一)政府委員 たとえば五社でも六社でもいわゆる船舶通信業務の会社をつくって、公社からその五社、六社に委託したい、あるいはその委託会社に投資したいという申請なり、あるいは予算の要求が出てきました場合には、法律的にはできる可能性があるわけでございます。認可するかしないかと仰せられましても、その点はちょっとお答えは御容赦願いたいと思います。
  181. 安宅常彦

    ○安宅委員 だから何も夢のことを言っているんではなくて、私に相当金を出す人がおって、そういう組織をつくったほうがいいだろう、船舶通信株式会社というのには投資までしておるそうだ、これはしめた、同じ仕事をやらせてもらおうじゃないかといったときに、あなたのほうではどういうことで差別をつけますか。
  182. 畠山一郎

    ○畠山(一)政府委員 結局内容的に実体的にそういうものがいいか悪いかということになろうかと思います。と申しますのは、やはり仕事の性質上、先ほど公社の営業局長から申し上げましたように、電気一社のほうがいいのじゃなかろうかということ、それからやはり相当経験を持っているためにそのほうがいいのじゃなかろうか、船舶通信会社の拡大の方向へ向かって進んだほうが、基盤があるだけにいいんじゃなかろうか、そういうことが現実の認可の段階になると一つの基準になるのじゃなかろうかと思います。
  183. 安宅常彦

    ○安宅委員 つまり、それは法律的ではなくて、あなた方の判断で、あるものには投資をしないし、あるものには委託もさせないという生殺与奪の権をあなた方が握っておるという自負の上に立って答弁をしておるんです。それは非常に困った答弁だと思います。あなた方が気に入った会社がいまあったから、これに投資をしようとするのであります。気に入った会社はあなた方がつくったのであります。特に電電公社がつくったのです。率直に言ってつくった。だから投資をしようとするのです。私がつくったものに対しては、おそらくあなた方は投資しないだろうと思う。委託もさしてくれないだろうと思う。しかし、現在ある船舶通信株式会社と、新しくできるであろうと想像される船舶通信株式会社と、新しくできたかおそくできたかの違い、あるいは有能な技術者その他をぼくのほうがよけい集めているかもしれない、そういう場合には、すでにできている船舶通信株式会社に対して投資をし終わったあと、そういう会社に対して拒否をする何らの基準がそこに生まれてこないと私は思うのであります。生まれるとするならば、どこからどういうふうにして、そういうものは委託もさせないし、投資もしないという論拠が生まれてくるのでしょうか。それをお聞きいたします。
  184. 千代健

    ○千代説明員 いまの先生の御質問でございますが、私ども現状を見詰めていろいろ考え、考慮してまいったのでありますが、将来非常にすばらしい会社ができるという可能性等も理論的にあり得るかどうか。理屈の上ではなるほどありましょうけれども、私はその点では非常に疑問を持っております。そういった場合でも、船舶通信会社だけをやるのかという話でございますが、この点では私個人的な考えを持っておりますけれども、ここで公社として回答はまだできないわけでございまして、あるいはそういったものが近い将来、遠い将来に出てきにくいものだろう、こういうぐあいに考えておりますが、その場合は明言いたしかねます。
  185. 安宅常彦

    ○安宅委員 できるかどうかというのは、あなたのほうが一生懸命育成した会社だから——われわれの力をもってすれば、そういうものはやはり投資の対象なり委託の対象になり得る会社になったのであって、安宅ごときがやったってできないであろう、悪く言えばこういう表現なんです。安宅常彦でもだれでもいい、森本努でもいいし、そこににやにや局長さんが笑っておられますが、やめて、よし、ひとつ総裁のはげ頭に一あわ吹かせてやれというので、できないかもしれないし、あるいはアメリカ資本あたりと組んででかいものができるかもしれません。そういうものは幾らでも今日の状態ではできるではありませんか。そういう場合に、おれのほうにこそ委託をさせてくれ、あんな全国的に広まっていない会社などよりもこっちのほうが力があるじゃないか、しかも投資をしてくれ——これはあくまでも個人企業です。民間のいわゆる個人事業や企業です。そういうものに対して電電公社が投資をすること自体が間違いではないか。国際電信電話株式会社の問題が起きたときでも、株式を保有するという限度で相当論議があってそこまでしかいかなかったのです。それを今度は、そういうものではない、単なる船舶の電話ですね、そういうものに対して、委託をするだけではなくて、投資もしようなどという不届きな考えを起こすから、今度はたくさんの似たような会社ができたときにどうするかと言ったときに、あなたのほうでは答弁できなくなるのですよ。そこのところはどうなんですか。そういういきさつがあったということは認めませんか。国際電信電話株式会社の株式を保有するときのいろいろの論議を私は知っているのですが、どうなんですか。
  186. 米沢滋

    ○米沢説明員 これは先ほど監理官から法律的にいろいろ御説明、御答弁があったと思いますが、いま、先生が御指摘のようなそういう会社が設立されるということは、可能性はあるかもしれません。しかし、現実問題といたしまして、船舶通信会社が十年間やって、その間経営的にも相当苦しい時代があって、最近だいぶよくなってきたのでありますが、そういう経緯を経たり、あるいは船を使う利用者のほうの立場から考えた場合に、船はぐんぐん動いているわけでありますから、たとえば東京から行ったものが大阪、清水へ入る、そういうときに違った会社が来て違った機械が入ってきたら利用者のほうで困ってしまう。ですから、実際問題としては、理論的にはそういう会社があまりできそうにも思えない。それからもう一つ、先ほど話が出ていない問題で電波の波の問題がありますが、電電公社といたしましては、この波を電波管理局からもらいまして委託している。こういう関係であります。
  187. 安宅常彦

    ○安宅委員 私はあくまでも、私企業に対してこういうことをやっては、あとから始末がつかなくなるのじゃないかということを前提にして聞いているのですが、波があろうと何であろうと、なぜ船舶通信株式会社にだけ波を与えて、われわれに波を与えないのか、こういう議論まで出てきますよ。  それじゃ参考のために教えていただきたいのですが、この会社の資本金それから経営者の重役陣の名前、それから従業員、そういうおもなものを全部出してみてください。
  188. 米沢滋

    ○米沢説明員 いまの波の話でございますけれども、ちょっと先生のいまの質問を伺いまして、波は公社が電波監理局からもらっておりまして、そして仕事を委託している、そういうことであります。
  189. 千代健

    ○千代説明員 会社の現状はどういうぐあいになっているかということでございますが、昭和二十七年十二月に資本金五千万円をもって設立されたのでありますが、その分については先ほど申し上げたとおりでございます。現在は授権資本金額四億円、払い込み資本金額一億円、こういう会社でございまして、本社は東京千代田区になっております。横浜、神戸等十二ヵ所に営業所を設けております。業務としては、先ほどの船舶通信といっております船舶との通話、それから岸壁についた船舶との通話、これらを扱っております。  それから今日までの経営の状況でございますが、これは設立されたのがちょうど海運界の不況の時代でございまして、いろいろと会社も努力し、公社も努力をしてきたのでございますが、ようやく第十九期——当時は一期半年でございますが、三十七年の三月以降になって年率五分の配当を実施したというような状況でございます。  なお、おもなる出資者は、個人ももちろんございますが、多くは船会社、地方公共団体、こういうぐあいになっております。  役員でございますが、これは取締役社長中山次郎、専務取締役山下武、常務西山辰巳、取締役、これは石井喜高以下九名、監査役河村昌ほか一名、こういうぐあいになっております。  従業員は、数名はあるいはかわっておるかと思いますが、出入りはございますが、大体二百十名、こういうような会社でございます。
  190. 安宅常彦

    ○安宅委員 それで私はまだ聞いておきたいことの一項目くらいに入っただけなのですが、そうしますと、あなたのほうは、口には通信の一元化なんということを盛んに言って、いろんなことを四の五の言っておる時期に、海運業界の不況のときにそういうものができた。今日だって決して好況ではありませんね。そういう海運業界を助けるためにこれは投資したなんと言われたって、あなたは弁明のしようがない、そういう投資のしかたです。なぜかならば、そんなのだったら船会社がどうあろうと、会社なんか起こさないで、あなたのほうで直営でそんなものは何ぼでもやれるのじゃありませんか。どうなんですか。
  191. 千代健

    ○千代説明員 委託しておる理由を申し上げてお答えしたいと思います。  公社が直営でやるのが公衆電気通信業務のたてまえでございますが、業務の種類が非常に特殊なものであるとか、あるいはその業務を行ないます場所が通常業務の行なわれている地域と違う場所、たとえば航空機の中とか列車の中、こういった場合には、民間の力をかりまして、民間の能力の活用といった点から、公社以外の主体に委託したほうが適切である、公社が行なうかわりに、公衆電気通信業務の一部を委託する、これがいまの船舶通信の場合でございます。また、先ほども申し上げますように、株主が地方公共団体あるいは船会社等多数参加しておられます関係から、公社だけで資金の調達をはかるより、そういったものによって資金調達をはかるということが、資金調達の面からもやりやすい、こういった点がありまして、この場合、公社の直営がたてまえでございますけれども、委託しておるようなわけでございます。
  192. 安宅常彦

    ○安宅委員 資金調達の場合でもやりやすいんだったら、委託するだけで何も投資しなくてもいいのではないですか。
  193. 千代健

    ○千代説明員 この前も投資条項の必要性の説明がなされておりますけれども、先ほどから申し上げておりますような、非常に景気がよくないと申しますか、経営が楽でない会社、こういった場合には、増資するといいましても、いままでの株主に割り当ててもなかなか全部は困難だとか、新規に株主になり手がないというような場合の資金調達を容易ならしめるために、公社と一体性のある業務をやるための会社でございますから、公社が出資していく、これが趣旨でございます。
  194. 安宅常彦

    ○安宅委員 あなたのほうは、民間の知恵をかりたり民間の資力をかりてやるんだ、そういう場合には委託させるんだ、こういうことを言っておるのです。今度は、委託はしてみたもののだめなようだから公社で出資する。そんなことだったら、初めから直営でやったほうが何ぼいいかわからないじゃないかとさっきから聞いている。あなたは、前の答弁といまの答弁はまるきり天と地の違いの答弁をしているのです。気がつきませんか。
  195. 千代健

    ○千代説明員 先ほど私が申し上げましたのは設立当初のことで、民間の能力、資金の活用をはかったということを申し上げたわけでございますが、先ほど申し上げますような会社の経営状況、こういう問題からいきまして、この事業が公衆電気通信業務の一部を委託しておるのでありまして、公社の業務と一体性がある関係から、そういった資金の調達を容易ならしめるために公社が出資する、こういった時期を混同して申し上げておりまして、あるいは私の説明が不十分であったかと思いますが、いま言ったような次第でございます。
  196. 安宅常彦

    ○安宅委員 さきの答弁は、設備投資のことを言ったのだ、こう言いましたが、この出資というのは意味が違うのですか。設備投資のことを言ったのだ——それじゃどういうことなんですか、設備投資じゃないのですか。
  197. 千代健

    ○千代説明員 もちろん設備投資も含んでおります。
  198. 安宅常彦

    ○安宅委員 じゃ、さっきの答弁といまの答弁が違うとあなたおっしゃったのは、同じことじゃありませんか。
  199. 千代健

    ○千代説明員 昭和二十七年度の当時、この会社ができた際のことを私前に申し上げて、現状を申しているつもりでございます。
  200. 安宅常彦

    ○安宅委員 出資というものは、設備投資のことと先ほど答弁した、いまのは違う、こういうふうに言うのですが、どういう違いがあるのですか、出資そのもの、あるいはあなたがさつき答弁したのは設備投資に限って答弁した、こういうことなんですか。そこのところはどうなんですか。
  201. 千代健

    ○千代説明員 ちょっと私、何でございますが、設備投資というのは、公社が設備投資するのだという意味でなくて、そこへ集まった金を設備に投資するのだ、こういう意味で私申し上げております。
  202. 安宅常彦

    ○安宅委員 ますますおかしいじゃないか。だからあなたのほうでは、民間の場合には金の集まりやすいこともあるし、民間の知恵を借りることもあるし、原則は公衆電気通信というものは、公社が一元的に運営するのがあたりまえなんだが、そういう船舶に設置する電話だとか、いろいろな一般の業態と違うような場合には、公社で委託をさせるのだ。しかも、そういう場合には、委託をするという要件は、民間資金の集め方も、つまり電電公社でやるよりは非常に都合がいいというので、そういう業務を委託するのだということを言っているんです。そうでしょう。それが今度は、なぜそれじゃ出資するのだと聞いたら、金がなくて困ったようだから。それじゃ話はあべこべじゃないか、どうです。
  203. 千代健

    ○千代説明員 この会社の設立の当時のことと、それから現状、それから三十八年以降二、三年……。
  204. 安宅常彦

    ○安宅委員 ちょっと待ってくださいよ。私の質問しているのと違う。設立のときこうであって、今度は年五分の配当を何とかできるようになって、そうして苦しいようだからなんて、あなたは船舶通信株式会社の重役みたいな答弁をしては困る。そんな言いわけを私は聞こうとしているのじゃなくて、民間の金を集めやすいから、それで知恵も借りやすいから、そういう場合には委託してするのだ、そういう答弁をしている。今度は、民間の金も集められなくて、四苦八苦してかわいそうだから出資してやるのだ、こういうことなんでしょう。あなたの答弁はまるきり違うじゃないかとぼくは言っているのです。
  205. 千代健

    ○千代説明員 船舶通信が従来港湾を主体として、比較的大きい船が対象であったのが、今後日本沿岸をずっと通しでやるという計画になっております。そういった関係で、この会社自体がそういったものをやっていきます上に、従来さなきだに経営状態がさほどよろしくないもののところへ、外部からの出資がいままでよりもむずかしくなってくる、これは当然だろうと思うのでありますが、そういう際に、公社は資金の調達を容易ならしめるためにこれに投資を行なうのだ、これが現在の投資の必要性でございます。
  206. 安宅常彦

    ○安宅委員 何か公共的なそういう会社であるとか、公団であるとか、たとえば国鉄は、その出資というのは、日本鉄道建設公団と帝都高速度交通営団ですか、この二つくらいにしかやっていないのです。それはだれが見たって公共的なものだということはわかる。こんな船会社がつくった一企業に対して、かわいそうだからやろうなんというなら、そんなことをするんだったら、ほかでも金をくれと言う。とんでもないことを言いなさんな。そういうことで投資をするなんて、まことにもって不届きだと私は思うんです。そういう委託をしておるところに、今度は資金集めが苦しいようだから、経営が苦しいようだから、じゃ、公社が全部そういうところに投資をするのですか。どうですか。とんでもないことを言いなさんな。委託をしておるところはたくさんあります。どうですか。
  207. 畠山一郎

    ○畠山(一)政府委員 最初に国鉄からの投資について申し上げますが、たとえば三十八年度予算では、神奈川臨海鉄道、日本交通公社、博多交通センター、梅田倉庫、これは認可は済んでおらないようでありますが、そのほかに帝都高速度交通営団、そういったところに投資しております。毎年相当額投資しておりまして、金額的には今度できました鉄道建設公団と帝都高速度交通営団が一番大きくなっておりますけれども、いま申し上げましたような事業のほかにも、その前の年から京葉臨海鉄道あるいは広島バスセンターなどに投資しております。  その次に、船舶通信株式会社のことでございますが、公衆電気通信業務の委託が行なわれましたのは十年くらい前であります。現在、実質上資本金一億円でございます。もし現在のままでまいりますとしますと、投資する必要はないわけでございます。問題は公社のほうの船舶電話の拡充計画に対応して船舶通信会社が措置をとる必要があるからであります。と申しますのは、これからといいますか、三十八年度から三カ年計画をもちまして日本全国に海上無線電話を使えるような基地局を建設する計画になっておりまして、三十八、三十九両年度は予算をお認めいただいております。四十年度までいきますと、日本海側を含めまして全海域をサービスすることになるわけであります。そういうことになりますと、それに対応いたしまして船舶通信会社がやりますのは、船舶に載せます送受話機であります。これがたくさん要ることになるわけでございます。そうしますと、どうしてもいま以上に業務が拡充されて資金が必要になってまいります。その資金の調達の方法として、会社としては倍額増資を計画といいますか、予定しておるわけでありますが、その一部を公社から投資をしよう、こういうことでございます。
  208. 安宅常彦

    ○安宅委員 あなた方の答弁は全部支離滅裂です。だから、そういう拡充をするんだったら、別なものにやらせる方法もあるし、それができないのだったら、公社が全部引き取ってやる方法もあるのです。何も一企業に対してあなたのほうが、公平にあまねく通信の役務を提供しなければならない、そういう任務を持っておるものが、ほかに請負させてやらなければならない。請負させるくらいだったら、よっぽどまだいいけれども、そこに金を出してやらさなければならないなんていうことは、とんでもないことだと私は思うのです。だから、単なる船会社のおやじをにこにこさせるだけの話じゃありませんか。だから私は、そういうことについて公社なんかが、あなた属官が幾らしゃべったってだめですから、今度大臣からはっきりとそういう私企業に金を出す、そういう場合の理論的な問題についてもっとはっきりした見解を聞いてからでないと、この論議は進められない。なぜかならば、二人とも船会社の弁護役を一生懸命買って出ているだけの答弁しかしていないじゃありませんか。理論的な答弁は一つもしてない。そうじゃありませんか。苦しいから金を出すとか、今度はそういうものに委託をさせるときには、民間の資金が集めやすいから、幅広くうまく公社よりやれるであろうからやったんだと言いながら、金がなくなって苦しいようだから今度投資するんだ、まるきり違った答弁を平気でして、何とかこの国会を乗り切ろうとして、ただここのところはあなたと私と技術論をやっておるだけです。そういうことでは話は通じないと思う。だからこの問題については、次回に大臣をここへ出てもらって、そうしてひとつ理論的な質疑応答というものを繰り返さなければ、あなた方のただし書きみたいな答弁だけで論議することは私はいけないと思う。だから私はそういう意味の質疑が行なわれることを委員長からオーケーを取ったならば、きょうは時間ですから質問を留保させていただきます。委員長どうですか。
  209. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 そういうふうにいたします。  次会は明八日午前十時より理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十一分散会