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1964-03-27 第46回国会 衆議院 逓信委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月二十七日(金曜日)    午前十時五十二分開議  出席委員    委員長 加藤常太郎君    理事 秋田 大助君 理事 上林榮吉君    理事 佐藤洋之助君 理事 森山 欽司君    理事 大柴 滋夫君 理事 栗原 俊夫君    理事 森本  靖君       小渕 恵三君    木部 佳昭君       小泉 純也君    佐藤 孝行君       中村 寅太君   橋本登美三郎君       本名  武君    片島  港君       永井勝次郎君    畑   和君       受田 新吉君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 古池 信三君  出席政府委員         郵政政務次官  金丸  信君         郵政事務官         (大臣官房長) 武田  功君         郵政事務官         (大臣官房電気         通信監理官)  畠山 一郎君         郵政事務官         (貯金局長)  淺野 賢澄君         郵政事務官         (簡易保険局         長)      田中 鎭雄君         郵政事務官         (経理局長)  長田 裕二君  委員外出席者         郵政事務官         (大臣官房郵政         参事官)    溝呂木 繁君         郵政事務官         (大臣官房建築         部管財課長)  小川 房次君         専  門  員 水田  誠君     ————————————— 三月二十七日  理事大高康君同日理事辞任につき、その補欠と  して上林榮吉君が理事に当選した。     ————————————— 三月二十七日  電波法の一部を改正する法律案内閣提出第一  四六号)(予) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  簡易生命保険法の一部を改正する法律案内閣  提出第九三号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 加藤常太郎

    加藤委員長 これより会議を開きます。  この際、理事辞任及び補欠選任についておはかりいたします。  理事大高康君から理事辞任の申し出がありますので、これを許可し、その補欠選任を行ないたいと思いますが、これは先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 加藤常太郎

    加藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  それでは上林榮吉君を理事に指名いたします。      ————◇—————
  4. 加藤常太郎

    加藤委員長 電話設備の拡充に係る電話交換方式自動化実施に伴い退職する者に対する特別措置に関する法律案簡易生命保険法の一部を改正する法律案及び内閣提出日本電信電話公社法の一部を改正する法律案を一括して議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。片島君。
  5. 片島港

    片島委員 わが国における簡易保険郵便貯金は、諸外国の同種の保険制度また貯金制度に比べてどのような状態になりましょうか。わが国のほうが先進諸国よりも非常に伸びておるのか、あるいは順位は低いのか、そういう点はお調べになっておりますか。
  6. 淺野賢澄

    淺野(賢)政府委員 現在日本郵便貯金がちょうど一兆八千百億をこえたところでございます。日本以外の国の状況を調べてみますと、イギリスはちょうど去年の暮れで一兆八千億をある程度上回った程度ではないかと思いまして、現在照会いたしております。それ以外の国は、それより相当下回っております。国営郵便貯金という形におきましては、わが国郵便貯金は、世界でいきますといまおおむね二番、ひょっとすると、もう遠からずイギリスを抜く、こういう段階にきておるのじゃないかと考えております。  それから欧州諸国状況を見ておりますと、国営貯金預貯金総額に占めておりますシェアは、ぼつぼつ民間貯蓄銀行に食われておりますが、しかし、それでもまだ国営貯金伸び一定の度合いをもって伸びており、アメリカのほうにおきましては、民間貯蓄銀行にほとんど依存をしておるという状況でございます。日本状況で見ておりますと、都市銀行郵便貯金はともに伸びておりますが、やはりシニアの面については欧州の線に沿いまして一応横ばいといった状況のようであります。
  7. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 わが国簡易保険国営でございますが、諸外国の例を見てみますと、国営保険というものは、現在はほとんど数えるほどにも及ばない、ほんの一、二の程度にすぎません。それから簡易保険は無審査でございますが、諸外国におきまして民間保険会社で無審査保険は取り扱っておるのでございますが、そういった状況で、私どもの国営簡易保険にぴたりと合うような例もあまりございませんし、また、いま先生のおっしゃられたような観点から十分諸外国の調査をしたということもございませんので、的確なお答えを申し上げられないのでござます。
  8. 片島港

    片島委員 わが国における簡易保険伸び率というのは、この数年間何%くらいずつ伸びていっておりますか。
  9. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 一応会計年度にとってみますと、これは新契約募集状況でございますが、三十年度から三十五年度までは、残念ながら目標に到達しなかったのでありますが、三十六年度から業績が向上いたしまして、三十六年度目標額に対しまして一一〇・四%、三十七年度は一三一・五%、それから三十八年度は……。
  10. 片島港

    片島委員 そんなことを聞いているのじゃない。ここ数年間における簡易保険伸び率はどういうふうになっておるか、目標額に対して実績がこうなったというのではなくて、全体としての簡易保険伸び率はどういうふうになっておるかということです。
  11. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 現在契約が、すなわち、その年度々々の保有契約状況についての御質問と存じます。
  12. 片島港

    片島委員 こういうことなんです。たとえば三十年度における現在契約件数金額、それを一〇〇とした場合に三十一年度は何%ふえておるのか、それから三十一年度を一〇〇とした場合に三十二年度は何%ふえておるのか、三十二年度を一〇〇とした場合に三十三年度は何%ふえておるのか、これを一般に年次別伸び率といっておるわけなんであります。
  13. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 各年度件数金額は、ただいますぐにお答えできますが、いま先生のおっしゃいました点、ちょっと計算いたしますので、もうちょっとお待ちいただきたいと思います。
  14. 片島港

    片島委員 私も計算いたしておりませんが、各年度年度初頭における件数金額を一〇〇とした場合に、その年度末においてどのくらい伸びておるか、これは会計年度でよければ、実施年度でももどちらにしてもよろしゅうございます。いずれにしても相当伸びておると思います。先ほど貯金局長の話もありましたが、もう郵便貯金世界で一番目になろうかという話であります。簡易保険郵便貯金も、御承知のように大金持ちを対象としたものでなく、主として勤労大衆対象としたものでありますが、欧米先進諸国に比較いたしまして、勤労大衆所得水準生活水準は非常に低位にあります。相当富裕な国民全体を含めましても、所得水準は二十数番目に位しておるような状態であります。労働者賃金水準にいたしましても、日本のほうがはるかに低位にあるのは御承知のとおりでありますが、にもかかわらず、このように勤労大衆対象とした貯金保険世界の一、二位を争う高水準、また非常な伸び率を示しておるということは、一体どういうところに原因があるのでありましょうか。国務大臣としての古池さんにお尋ねします。
  15. 古池信三

    古池国務大臣 これについてはいろいろな原因考えられると思いますが、日本ヨーロッパ諸国に比べまして人口が非常に多い、したがって、個々の人が比較的少額貯蓄をいたしましても、国全体として見た場合には、相当多額になるであろうということが予想せられます。  それから、われわれの国民性として、昔から勤倹貯蓄という思想を持っておるのでございまして、一方において、非常に勤勉であると同時に、また、その勤勉の結果得た収入は、できるだけこれを貯蓄に回すというふうな考え方をお互いに潜在的に持っておるのではなかろうかということを考えております。  それからもう一つは、御承知のように、最近国民全般社会保障ないしは社会福祉の増大という点には政府も心がけて漸次進めてまいっておりますけれども、遺憾ながらヨーロッパ各国に比べますと、まだ相当足りない点があるであろうと思います。したがって、国の社会保障の足りないような点も考慮しながら、みずから貯蓄によって老後のことを考えていくというふうな思想もあるのではないか。それらが相総合して日本における郵便貯金ないしは簡易生命保険というものが成積をあげておるのではないか、かように考えておる次第でございます。
  16. 片島港

    片島委員 郵便貯金にいたしましても、日本貯金に対する利息は他の諸国に比べて相当率がいい。通常貯金において三分六厘、二年程度のものになりまして五分といったように、利率は他の諸国から比べてみると非常によろしい。ところがここ数年来——数年来ではなくて終戦以来、物価上昇のほうが郵便貯金利息よりもはるかに上回っておるのであります。貯金が、生活水準所得水準が低いのにかかわらず、非常に伸びておるということは、第一には、いま第二番目におあげになりましたけれども、日本社会保障制度が非常に低位にある、政府がめんどうを見てくれないから、乏しいふところの中からも、これを貯金として自分自分の将来の生活を守っていくということにどうしても重点があろうかと思う。ほかの国よりも人口が多く、零細な所得者が多いからと言いますが、一人当たりの貯蓄率を見ましても、勤労大衆貯金率が多いというような点から見ましても、私がいま申し上げたような社会保障の不徹底にあると思うのであります。  そこで私はお尋ねしなければならぬのでありますが、そういう少額ずつの金を集めて、そういうまとまった金額でその簡易保険資金はどういうふうに運用せられておるかといいますと、今年度におきましても千六百二十億という簡易保険積み立て金運用せられております。それは第一には、郵政への特別会計貸し付けもありますが、その大部分は、政府関係機関地方公共団体、公団など、こういったような、もともと政府資金をもってやるべきことを、少額ずつ集めた勤労大衆の金をもって政府資金肩がわりをつとめさしておる。しかも、現在の貨幣価値のある現在、これをこういうふうに政府資金肩がわりとして使っておるが、少額ずつ積んでいった、かけていった人々は、現在の貨幣価値からはるかに貨幣価値下落をいたした十年、二十年、三十年後になってその支払いを受ける。現在の一千億円が十年、二十年後も一千億円の価値があるのならばけっこうでありますが、日本の今日までの趨勢を見ますと、それらの価値が乏しい。いままでたびたび、簡易保険の問題については、改正がありますたびに指摘をせられておりますように、かけるときは苦労して少額ずつかけておる。しかし、長年月たった場合には、もうほとんど役にもたたないような金額になっておることが多い。まあ戦争の場合は別といたしましても、終戦後から考えてみましても、物価上昇などから考えれば、貨幣価値はだんだんと下落をしておる。こういうような状態でも、日本社会保障制度が不徹底であるためにあえてやっておるわけであります。株式などは、一年一年配当がありますから、一年一年自分が出した資金に対するお返しがきております。いつでも株券はまた売ることもできます。しかし、簡易保険は途中で売ることもできないし、利子の配当もありません。そういうことになると、株式などのように一年一年配当があり、しかも株式には、大口のものが、すなわちお金持ちの方が、大きな株主になっておるのに毎年配当もある。しかも課税の面においても特別の恩典が設けられておる。簡易保険については年々の配当もない。何にも恩典がないが、政府の政策が至らないために、社会保障が非常に徹底していないために、苦労をして長い間かけておる。これに対して、ほとんど運用資金政府資金肩がわりをしておるというような現状から見ます場合には、簡易保険制度というものは、社会保障の不徹底なためにやむなく伸びてはおるが、しかしこれは非常に問題を含んでおるのではないか。伸びておるということは、ただ喜びさえすればいいのではなくて政府として特別の何か方法を講じてやるべきではなかろうか。たとえば長期にわたって無価値にひとしいような状態になるような経済情勢変化がある、非常に物価上昇が続いていくという場合に、中間において保険金の半分だけは中間払いをするとか、あるいは還付金についても考える。こういったような、簡易保険制度というものの制度からくるやむを得ない欠陥といいますか、加入者に対する非常な犠牲、こういったようなものについては、経済情勢変化などに応じて適時適切なる方途を講ずるといったようなことを考えていくべきではなかろうかと思うのですが、大臣はその点はいかがお考えでございますか。
  17. 古池信三

    古池国務大臣 ただいまお尋ねの問題は、基本的に考えて非常に重大な問題を含んでおると存じます。戦後における異常なインフレの結果、戦前と戦後を比べてみますると、通貨価値の面におきまして、ほとんどもう断層的な大きな開きを見せてまいったのでございます。その結果、通貨というものに対する信頼感が一時的にもせよ相当に低落したということは否定できないと存じます。戦後のあの極端なインフレーションの際には、これは例外的と考えてみるよりしかたがないと思いますが、最近は物価も少しずつ上昇はいたしておりますが、それが一面から言えば通貨価値下落ということに相なるわけでございます。あくまで通貨というものは安定した価値を長く維持していくことが理想でありまして、それに対しましては、どうしても一面物価を抑制していく対策を講じなければならないという基本的な問題が私はあると存じております。  それから簡易保険制度そのものについてみますると、これも、御承知のように、その目的、趣意の中には二つ要素があると思います。一つは、貯蓄的な要素でございます。たとえば養老保険のような制度におきまして、満期になれば、すなわち老後において一定保険金額が受け取れる。これは貯蓄的な要素でございます。またもう一つは、純粋な生命保険的な要素でありまして、満期はきめられておりましても、その途中において、不幸にして生命を失うというような場合が起きました際には、この保険金を全額受け取って、遺族の方の救済に充てる。これは貯蓄的な要素はございませんので、ほんとに社会連帯立場から、みなでそういう不幸な事態に対して保険をしよう、こういう本来の保険の趣旨に合致した考え方であろうと存じます。そういうような保険事故によって保険金を受け取るというような場合は、わりあいに通貨価値の変動という影響は少ないかと思うのでありますが、相当長期保険料を払ったにかかわらず、満期になって保険金を受け取る場合には、比較的価値の少ない通貨で受け取らなければならないというところに問題があると思います。したがって、根本的な対策としては、どうしても長期にわたって通貨価値一定する、安定した通貨制度というものを維持していくことが大事であろうと考えます。これは一に郵便貯金あるいは簡易保険の問題ばかりでなく、社会全般の、民間における銀行預金にしましても、あるいは民間生命保険にしましても、同様のことが言えると思うのでございます。ただ、政府郵便貯金なり簡易保険は、比較的国民大衆相手にしておりまする事業であるだけに、さような点に十分留意をしていかなければならないのではなかろうか、かように存じておりまするが、そのためにはできるだけ事業経営の根底をゆさぶることのない程度において、保険料はできる限りこれを低くしていく、あるいは分配金をふやしていく、そういうようなことを講じながら、加入者立場を保護していくことが必要ではないか、こう考えております。保険期間の途中である程度保険金を支払うような制度考えたらどうかという御意見もございますが、これは非常に重要な問題であって、全体の保険制度のあり方、あるいはその事業運営の根本的な数理から割り出して考えていかなければならない問題でありまするから、ここで軽々に申し上げることは私できないと考えております。  それから、さらに、この多額に上る積み立て金運用についてのお話がございますが、これだけ多額積み立て金と申しましても、いずれは保険金として加入者に支払わなければならない原資でございます。したがって、これはあくまで確実に保管する必要があり、と同時に、また利息ということを考えねばなりませんので、できる限り有利な利息をもって運用をしていくということが必要になるわけでございます。  それから簡易保険は、非常にたくさんの国民の方が加入者となっておられまするから、この積み立て金運用するにつきましても、その運用対象は、できるだけ公共のために、国民の皆さんが便利を受けられるような方面にこの集まった資金を利用するということは、当然の措置であろうと考えます。これをかりに、そういうふうな公共目的にかなわない方面に融資することがあれば、これはむしろ排すべきであって、やはりこの積み立て金運用によって、たとえば道路が非常によくなっていくとか、あるいは住宅の建設が促進されるとか、あるいは中小企業の上に、あるいは農林漁業事業をなさっておる方の上に、いろいろそういう方面、あるいは社会生活環境をよりよくするための用途でありますとか、すべて国民生活に密着し、公共が利用する重要な方面にこの資金が使用されるということはむしろ望むべきことであって、決して非難すべき問題ではなかろうと考えております。  なお、政府が本来やるべきものを十分にやらないから、保険運用資金を使うのではないかというお説もございましたが、政府も極力公共事業のいわゆる社会資本の充実のためには力を入れておりますが、これといたしましても、結局は国民税金によってまかなうほかはないのでございます。さすれば税金によって、一般会計の財政をもってまかなっていきまする公共事業のほかに、かような国民的な加入者を擁する簡易保険積み立て金を、さような目的に合わせて運用していくということは、決して不当なことではない、かように私は考えております。
  18. 片島港

    片島委員 問題が多岐にわたっておりますから、一つずつお尋ねいたしますが、道路をつくり橋をかけ、いろいろな公共の施設をやって国民の福利になるようなことのために使う。これこそ国がやるべきことであります。零細な加入者自分保険金としてかけたものを税金肩がわりに使われておるということでは、私は加入者にとっては非常に気の毒だと思う。もし個々加入者から考えた場合には、税金肩がわりに使われるよりは、そういうことは国からやってもらって、運用利回りの最も高い方面へ全部の資金運用してもらったほうが、そしてそれが加入者のほうに返ってきたほうが、加入者としては得だ、利益だと考えるであろうと思いますが、大臣はそうはお考えになりませんか。
  19. 古池信三

    古池国務大臣 簡易保険積み立て金税金肩がわりのごとくに使うということはよくないというお考えでありますが、税金国民が納めまして、これはむしろ利息のつかない金でございます。保険積み立て金は、その運用によってやはり相当額利息収入がなければ、事業経営はやっていけない、こういう立場にありますから、これを公共事業に利用しますにしても、やはりその事業体からは相当利息をいただいておる。六分四、五厘の利息をもらって、そうして加入者利益のためにこれを積み立てておるわけでございますから、一がいに税金肩がわりということは当たらないのではなかろうかと考えております。  それから、この利用の対象として、さような公共的なことでなく、もっと利回りのよいほうへ運用したらどうか、こういう御意見でございますが、なるほど利回りを高めていくということは非常にけっこうなことだと思いまするけれども、しかし、一面においては、また利回りの高い事業というと、比較的投資対象としては危険性が多いということも考えねばなりません。もし貸し付けた金が回収できないというようなことになりますれば、これこそ加入者に対して事業経営者としては非常に責任が重大である、こういうことを考えねばならぬと思います。したがいまして、その辺の調和をはかりながら、公共事業目的投資をするのだけれども、利回りはやはりある一定の安定した利回りを確保しよう、これがねらいでございます。最近短期のものにつきましては、たとえてみますると、電力事業社債を引き受ける。これらは利率は比較的よくなっております。そこで、相手電力事業もやはり一種の公共事業としまして、その基礎は安定しており、確実な借り主でありますから、かような社債を持つということは決して不当ではないと存じますが、民間に貸し付けるにしましても、十分そういう点を考慮に入れながら運用をいたしてまいりたい、こう考えております。
  20. 片島港

    片島委員 私は加入者立場からということを申したのであります。公共的な事業政府がやるべきであり、しかも加入者は大体において庶民階級勤労大衆であります。自分の金で道路をつくってもらうとか、国民全体の何か社会福祉事業をやってもらおうとか思ってかけておるのではないのであります。でありますから、国から考えた場合のことではありません。加入者個々立場から考えた場合には、もちろん安定した投資運用でなければならぬが、しかし運用利率をうんと上げようとすれば、短期のものであったならば、相当利回りのいいところに短期短期で回すこともできる。そういったような点から考えた場合には、やはりもっとこの点を考えるべきではなかろうか、そういう点も私は考えて申し上げたわけでありますが、さらに、先ほどの大臣お話で、通貨価値貨幣価値が安定しておることが非常に大事である。——しかし、残念ながら、古池郵政大臣がだいぶん閣内においてがんばられたであろうにかかわらず、やはり物価は上がり、貨幣価値は下がっております。また、いままで郵政大臣をやっておられた方が、古池大臣よりも非常につまらない人であった、そういう人ばかりだったとも思いません。そういう人もがんばられたにもかかわらず、ずっと物価上昇し、それだけに貨幣価値下落しておるのであります。そういうあなたたちの努力にかかわらず、やはり貨幣価値がだんだん下がれば、それだけ、長期の間には貨幣の値打ちが下がっていく。民間においても同じではないかとおっしゃいましたが、民間においては、生命保険としては、途中で配当をしておる状態でありますから、何とかその中間において考えるべきではないか。大臣は、先ほど並列的に、簡易保険目的貯蓄的な目的があって、何とかして、たとえば養老年金などのごとく、満期になった場合に若干の還付金をつけて、割り増しをつけて払うから、こういうようなことで貯蓄的な意味があると、こうおっしゃいましたが、また、さらにつけ加えて、不幸にして死亡した場合にはそういう意味もある、こういう並列的なものの言い方をおっしゃいましたが、簡易生命保険の意義を、あなたは一体生命保険というものは、そのどちらがどのくらいの割合をもって重要であるとお考えになりましょうか。五分五分の性格を持っておるものでありましょうか、七分三分でありましょうか、八分二分でありましょうか。
  21. 古池信三

    古池国務大臣 先ほど私が、二つ要素があるという意味お話を申し上げましたが、たまたまその順序を、満期養老の場合を先にお話しをしたのでありますけれども、それは決して、そのほうが重要であるという意味で申し上げたわけではございません。たまたま御質問が、通貨価値が非常に下落して、かけた保険料に見合って、保険金を受け取るときにはずいぶん安い保険金を受け取ることにはならないか、こういうようなお話でありましたので、それは大体満期によって受け取るという場合に、特にそういうふうな問題が多く起こるという立場から、そのほうを先に御説明申し上げたわけでございます。元来、生命保険の趣旨とするところは、多くの人がこれに加入して一つの団体をつくって、そうして不幸な人が生じた場合にはみんなの力でそれを救済しよう、こういう社会連帯の観念の上に立ってかような制度が設けられたものと考えております。しかしながら、われわれ日本人は、古くから、かような社会連帯的な観念にはなれておらないように思います。明治以来、生命保険制度外国から取り入れられましても、当初はどうしてもこれに習熟しない。したがって、契約者も少ない。そういうわけでありますから、一面においては、そういう生命保険の本来の目的を主張し、説得すると同時に、それに補う意味において、ある程度老年になった場合には保険金は戻るんだ、こういう養老保険的なことを加味して勧誘したものであろうと考えております。したがいまして、生命保険本来の趣旨としましては、問題なく保険事故の起こった場合の保険金をもって救済をする、こういう点が最重要であることは申すまでもないと考えております。
  22. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 中間配当の点につきましてお答え申し上げます。民間保険におきましては、毎年配当の形で剰余金を加入者に還元しております。簡易保険におきましては、満期あるいは死亡の際の保険金支払いの際に、一括してこれを支払うというたてまえをとっておるわけであります。民保のように、その途中で配当をするということにつきましては、意見もあり、要望もあるところであります。私どもといたしましても検討はいたしたのでありますが、毎年ということになりますと、何ぶんにも金額が非常に少なくて、あまり魅力にならない。そのほか、四千五百万件余りありまして、これが毎月集金ということになりますと、それに伴う事務量が非常に膨大になりまして、かえって経費がかさむというような点も考え、現在保険金と一括支払いというたてまえをとっておるのでございます。  それから、先ほどの伸び率の点につきまして、ここでちょっと申し上げたいと思います。これは保険金額で見ましたのでございますが、三二年度を一〇〇といたしますと、三十三年度が一一一、三十四年度が一一四、三十五年度が一三六、三十六年度が一五二、三十七年度が一七四でございます。
  23. 片島港

    片島委員 保険金運用の問題が出たので先にお尋ねをしたのでありますが、運用金についてつけ加えてお尋ねいたしますが、運用される資金というのは、その年度年度の余裕金をもって当てられると存じておりますが、ここ三年ないし五年の毎年度の余裕金はどの程度になっておりますか。
  24. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 三十六年度は千三百六十七億、三十七年度が千三百三十四億、三十八年度は八百八十一億の予定でございます。
  25. 片島港

    片島委員 いまのは何ですか、運用されておる金額と余裕金とは同額では一ないと思うのですが、余裕金でありますか。
  26. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 収入超過額いわゆる余裕金でございます。
  27. 片島港

    片島委員 その余裕金は一年間は大蔵省の資金運用部のほうに積み立てておるということを聞いておりますがどうですか。
  28. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 さようでございます。
  29. 片島港

    片島委員 運用部からいただく利率はどのくらいになっておりますか。
  30. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 これは預託する期間によりまして相違がございますが、一年以上預託したものにつきましては、特利を含めまして六分でございます。
  31. 片島港

    片島委員 一年以上も資金運用部のほうにずっと据え置くという二とになると、郵政大臣の管理において運用する資金というのはたいへん減ってくると思うのですが、いま一年以上と言われましたが、一年以上が原則ですか、一年以下が原則ですか。
  32. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 従来は大体一年以上預託いたしまして、それが翌年度積み立て金となりまして、これを郵政大臣運用する、こういうたてまえになっておるわけでございます。今後余裕金が減少してまいりますると、とても一年間預け入れる余裕がございませんので、一年未満にこちらへ払い戻すという措置を講じなければならないと思っております。
  33. 片島港

    片島委員 それはこれから余裕金が少なくなればでございますか。いままではそうじゃなかったのですか。一年以上だったのですか。
  34. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 いままでは余裕金が逐次増加しておりましたので、一年以上預託しておりました。
  35. 片島港

    片島委員 昭和三十九年度の余裕金はどの程度と見ておられるか、また四十年度、四十一年度は大体の見通しがついておるのでありますか。
  36. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 これはあまり的確な数字は申し上げられませんが、一応推測といたしましては、三十九年度は三百億程度、四十年度は八百億程度になるかと思います。四十一年度になりますると、相当上向きになりまして、一千億をこえる数字が出てくるのではないかと存じております。
  37. 片島港

    片島委員 三十九年度が非常に激減しておる。こういうことは、大体集中満期件数金額が多いために、支払いが多いために、余裕金が少ない、こういうことだと思いますが、そのとおりでありますか。
  38. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 さようでございます。
  39. 片島港

    片島委員 そうして、このなにはいわゆる集中満期のものがそうなくなるから、こういう金額が飛躍的に四十年度からふえていくと見ていいわけでありますか。
  40. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 それが大きな原因でございます。その他にも考えられる点はございますが、その点が一番大きい点だと存じます。
  41. 片島港

    片島委員 こういうのがいつごろピークがくるかということは、前々から契約年数でわかっておるのでございますが、そういうのをずっとならしていく、均衡をとっていくというような方法は、いままでは考えられたことがないわけでありますか。
  42. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 これは保険契約が十五年とか二十年ときめられておりまして、私どものほうといたしましては、途中の死亡は、これはもう問題になりませんが、解約、失効といったようなものを極力減少をして契約の保全につとめたのでございまして、大体そういうこちらの当初考えていたように契約が継続された、したがいまして、このピークの時期というものは当然予想されたわけでございます。これをならすといたしますには、結局その当該年度収入をふやすということがその方法といえるわけでございまして、このために新契約の募集という点には極力努力をしてまいった次第でございます。何ぶんにも支払い金額が非常に多額なものでございますから、当初考えていたよりは幾らかゆるやかにはなったのでございますが、全体の趨勢を変えるということまでにはいかなかった次第でございます。
  43. 片島港

    片島委員 先ほど集中満期の時期が三十九年度で、四十年度以降は非常に激増していくのは、集中満期がだんだんとピークを越していくのが大きな原因だと言われましたが、今度五十万から百万へ最高限を引き上げ、最低を一万から五万に引き上げ、新種保険をつくられたのでありますが、こういういわゆる最高限の引き上げ、最低限の引き上げ、新種保険の新設で一体どの程度伸びるという見通しを持っておられましょうか。
  44. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 これは来年度、三十九年度の予算に影響してくるわけでございますが、大体保険料三十二億という予算を組んでおります。このうち今回の引き上げあるいは新種によってどの程度増加が見込めるかということでありますが、一応これはいろいろの要素がございまして、多少の異同はあるかと思いますが、一応私どもは三十九年度には月額保険料の二億、したがいまして、事務費その他を差し引きますと、年間九億円の資金増、四十年度は四十三億円、四十一年度が百十三億円、こういった姿になって一千億をこえるのは四十五年度という見込みを立てております。
  45. 片島港

    片島委員 私がお尋ねしたのは、現在のままでもピークを越していくし、さらに目標額も上げて——毎年毎年目標額が上がっております。最近数年間目標額が下がった年はありません。先ほどのお話から一一一%、一二四%、一三六%、一五二%、一七四%という伸び率から見れば——しかもそういう伸び率といまのままの法律、制限でありましても、その伸び率から見てさらに伸びる、そしてピークを越していく、こういったような関係から余裕金もふえていく、こういうことでありますが、私がお尋ねしたのは、こういうふうな伸びによって、三十九年度の予算目標というものをつくられましたが、その中には五十万から百万という今度の法改正によってふえる分は、どの程度ぐらいふえると見込んでおられるのか。従来の法律、制限のままであってもふえたであろうが、しかし、さらにこういう法改正をすることによって、その全体のふえの中にどのくらいこの法改正が影響しておるのか。全体の目標額のうち何%というものは、あるいは何億というものは、この法改正によって募集金額がふえていく、件数がふえていくとお考えになっておるか。
  46. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 来年度目標三十二億のうち、大体二億程度が今度の法改正によるものと一応考えておりますが、本年度三十八年度の実績は三十億をちょっと切れる程度までいくのではないかという見込みが現在立てられております。ですから、この募集の実績というものは、理屈どおりにはいかない面がございまして、法改正がなくとも、いろいろな条件がよければ三十二億も三十五億もいくかもわかりませんが、現在の考え方として、来年度予算三十二億のうち二億というふうに考えております。
  47. 片島港

    片島委員 年々このように伸びておりますが、そうして新種保険をやるということになれば、さらに御承知のように簡易保険の募集は、組合などの超勤拒否があったような場合には、当局としては保険の募集には非常に困られるわけであります。いなかに行きましたならば、農村地帯では昼はおらないので、夜おそくまでいていろいろと話をつけて相談もして、ほかの話も話しながら非常な苦労をしておるわけであります。こういうふうに目標額が年々上げられるということになると、さらにまたこういう法改正というものを十分に説明をし、宣伝PRもして実績を上げていくということになると要員の面においても、また労働条件が強化されるといったような面においても、何らかの要員対策あるいは特別な給与対策、こういったようなものもあわせてこの法改正とともに並行して考えなければならぬ問題じゃないかと私は考えますが、何か要員の面あるいは特別給与の面においてお考えになっておりますか。
  48. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 要員の面につきましては、私ども毎年毎年人間がふえれば、それだけ募集の実績も上がる、たとえば民間保険状況などを考えましていろいろ検討しておるのでありますが、一人をふやしたら、はたしてどの程度募集実績が上がるかというような計算が非常にむずかしいわけであります。人間の頭数だけふやしても、内容が伴わなければ何ら実績が上がらないというようないろいろの議論がこれにはありまして、現在三十九年度におきましては、集金要員といたしまして二百九名の増員を見込んでおります。この集金要員も集金かたがた募集はいたすのでありまして、募集の方面の力にもなることは事実でございます。  それから給与面でありますが、一般の給与は郵政職員全般と同じでありますが、問題になりますのは募集手当でございます。募集手当につきましては、昨年からこれを引き上げてもらいたいというような組合方面の要望が出ております。手当は団体交渉できめられることでありまして、私どもは今度の引き上げ、新種というようなことから、どういうふうにこれを扱うか、目下慎重に検討中でございます。
  49. 片島港

    片島委員 人によってこの募集実績が違うことはわかっております。現在でも一人で五人分、十人分も募集しておる人もおります。私が言っておるのは、総体としてやはり仕事がふえていけば人間がふえる。成績のいい、腕のいい人間ばかりそろえば、人数はふえなくてもずっと上がるけれども、平均してみた場合に、あまり成績の上がらぬ者もおれば、うんと上がる人もおるが、しかし何か目標額を引き上げ、新しい事業をここに開拓をしようという場合には、それに伴う一つの基準をつくって、要員の面において考え、また特別給与の面において、募集手当といいますか、そういった面において特別の配慮が行なわれなければならぬ。それについては、人がふえれば成績が上がるというものではないというふうな、そういう漫然たるものでなくて、やはり従来の実績から考えて当然計算されてこなければならぬものだと思うのですが、そういうような計算によって二百九名という集金人はふえたのでありますか、あるいは郵政全体として、現在非常勤などでやっておる者を定員内に組み入れる、その場合に、保険の集金のほうの人間も、これだけの人間がたまたま入っておったのか、そうじゃなくて、何らかの基準によってこれを算出をせられ、増員を今度の予算に組んでおられるのか、どちらのほうですか。
  50. 長田裕二

    ○長田政府委員 三十九年度予算におきます保険事業の増員二百九名の内容でございますが、年間に予想されます集金の件数を一応年間処理能力で割りまして、三十八年度との差を基礎にして算出しておるわけでございます。
  51. 片島港

    片島委員 よくわからぬですが、あなたのほうの郵政全体として非常勤を本務化する、こういったような場合に、どのくらい保険関係の集金人あるいは募集人が入っておりますか。それで、二百九人というのは集金人という保険局長のお話でありますが、集金事務ももちろんふえます、しかし特に新しい制度を普及し、徹底させるためには、募集人のほうがむしろ先行しなければならぬものではなかろうか。集金はその次にあとからついていくものであって、まず開拓をする者がおらなければ、集金ということは先に出てくるものではないと思うのでありますが、この中には募集のための新しい人間としてどのくらいが入っておりましょうか。
  52. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 募集オンリーの要員はこの中には含まれておりません。来年度三十二億を消化するにあたりまして、新たに募集だけの要員というものは特に増さないで、現状のままでこれをなし得るという考え方に立っておるわけでございます。
  53. 加藤常太郎

    加藤委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  54. 加藤常太郎

    加藤委員長 速記を始めて。
  55. 片島港

    片島委員 私は、これは大臣がまた帰ってきてからお聞きしますが、一つだけ先にお尋ねしておきます。  簡易保険の転貸の問題が問題になっておりますときに、これは特定局長に対する政治的な含みが多分にあるのではないかと言う人々もおるのでありますが、われわれもちょっとそういうにおいを、感ずるのであります。特定郵便局長というものは政治的に中立であるべきものではないかと私は考えますが、いかがでしょうか。
  56. 古池信三

    古池国務大臣 特定局長は御承知のように国家公務員でございまするから、公務員の本来の性格としてもちろん中立的であらねばならぬと思います。
  57. 片島港

    片島委員 あなたが大臣になられるもう数年前に、特定局長を特別職にしようという法律案が出ましたときに、特定局長が自民党に大量入党した例がございます。そして今度またこの転貸問題が起きましてからかどうかはわかりませんが、全県一人も残らず自民党に入党した県もございます。一つの県で二百数十名一人残らず最近入党したところがございます。(「鹿児島県か」と呼ぶ者あり)鹿児島県じゃありません。こういうふうに何か特定局に問題がある場合に、特定局長が政党に入党をするという傾向があります。私はあとでこの転貸問題は融資の問題として伺いますが、特定郵便局長は国家公務員として中立であるべきものだ。それが非常に大量に入党をしてくるという傾向は、大臣としては好ましいものであると思われるかどうか、その点をひとつだけお聞きしておきたいと思います。
  58. 古池信三

    古池国務大臣 これは特定郵便局長に限らず、一般従業員としての立場から考えましても、国家公務員である以上はやはり本来のその使命を全うするために片寄った政治活動はすべきものではない、こう考えております。
  59. 片島港

    片島委員 特定局長も局長という立場で、これは最前線の管理者であります。そして郵政局長の指導監督のもとに仕事をやっておるわけであります。むろん郵政事業を管理監督していく上においては政治的には中立でなければならない。ところが、このたび非常なこういう動きがあるが、全国で一体どのくらい特定局長で自民党に入党しておられるか、御報告を受けられたことがございますか。これは全特定局長会とか、あるいは特推連といったようなものからお調べになれば、すぐおわかりになると思いますが、お調べになったことがございますか。
  60. 古池信三

    古池国務大臣 ただいま調べたものはございません。
  61. 片島港

    片島委員 転貸問題に触れましたので、事務的なお尋ねをしますが、いま特定郵便局を建設せられておるのは直轄で政府が国費でやっておられるのと、その他いろいろあると思いますが、たとえば郵政互助会、これは御承知のように最近できたものでありますから、この数年の数字でよろしゅうございますが、この郵政互助会が現在までにどのくらい特定局の局舎を建築しておるか、そうしてその金額は幾らになっておるか、また直轄でやられる場合、国費でやられる場合、自己資本として郵政事業特別会計本来の会計から出しておられるものと、簡易保険から郵政事業特別会計へ局舎建設資金として借り入れたもの、これは当然国費であります。借りた以上は、郵政事業特別会計内の建設勘定に入るわけでありますが、その内訳、さらにまた、その借り入れた資金で、普通局と特定局に使われておると思うのでありますが、その割合、こういうようなものがおわかりになっておったならば、一つ一つ順々にお示しを願いたい。
  62. 小川房次

    ○小川説明員 お答え申し上げます。  現在互助会で三十七年度末までに建設いたしましてこれを国が借り入れておる、そういうものが三百六十局でございます。それでその互助会が建てます場合に、土地を買ったりいたしますので、土地の買収費と建設の工事費合わせまして九億五千五百万ということになっております。それから国で毎年建てますのが百局前後でございまして、年によって違いますが、これが約八億前後、それから郵政事業特別会計から局舎の建設資金として毎年借りる予算を計上いたしておりますのが、三十一年からございますけれども、過去三年を申しますと、三十七年が三十三億、三十八年が三十七億、三十九年度は四十七億を予定いたしております。それから執行いたしましたもののうちで特定局にどのくらいか、あるいは普通局にどのくらいかということにつきましては、実は自己資金と、この借り入れ金と合わせまして建設勘定という建設の資金でございますが、これがたとえば三十八年度が八十二億、三十七年度が六十七億、三十九年度には百億を予定いたしておりますが、その中で局舎を建設してまいりますために、この借り入れたうちでどのくらいが特定局で、どのくらいが普通局かという点は、遺憾ながらわかっておりません。
  63. 片島港

    片島委員 互助会で建てたのは三百六十局、しかし今年の三月十五日の資料で調べてみますと、五百十三局になっております。ちょっとこれについてお尋ねいたしますが、あなたのほうのお示しによっても、私のほうの計算によっても、この九億五千万円で三百六十局というと、大体一局三百万ぐらいですか、一局当たりの単位はどうなりますか。
  64. 小川房次

    ○小川説明員 二百万ないし三百万でございます。
  65. 片島港

    片島委員 国で建てられると、百局で八億かかって、互助会で建てれば二百何十万で建つというのは、これはどういうことになりますか。
  66. 小川房次

    ○小川説明員 互助会で建てる場合には、集配局と無集配局がございます。三百六十局のうちで、無集配が八十八、集配が二百七十ということになっておるわけでございますが、国で建てる場合には、集配局がほとんどでございます。
  67. 片島港

    片島委員 集配局だけで見た場合には、互助会のほうもそうなりますか。ここに集配、無集配の別がありますか。
  68. 小川房次

    ○小川説明員 集配局の場合が、土地と建物を合わせまして八億四千万ばかりになっておりますので、一局平均いたしまして三百万ないし四百万ということでございます。
  69. 片島港

    片島委員 八億を百で割ると幾らになりますか。私が尋ねておりますのは、同じ集配局を建てるのに、互助会では三百万か四百万で建つが、同じ集配局を郵政省で建てられると、こんなに高くなるわけですか。
  70. 溝呂木繁

    ○溝呂木説明員 お答えいたします。  国費のほうで予定しております百局は、おおむね大局のものを予定しております。したがって、予算も一局平均大体七、八十坪のものを予定しております。互助会のほうで建てます集配局は、そういう国費以外のものを予定しておりますので、集配局といっても、比較的小さいものが多いわけであります。予算で建っておりますこの百局は、前に問題がありましたときに、結局将来普通局になるような局とか、あるいは民間の、ペースでは借りられないような大都市内の無集配局とか、そういう局について国費政善を行なうということで予算化しておりますので、結果的にそういう大きな坪数のものがとれておるわけでございます。
  71. 片島港

    片島委員 それは三十九年度においてだけですか。私がいままで各局を回ってみまして、互助会で建てた建物の規模、それから国費で直轄で建てられた規模、それについて、それほど倍も三倍も違うような規模のものではないように見受けましたが、三十九年度からそういうことになったのですか。
  72. 溝呂木繁

    ○溝呂木説明員 先ほど百局で八億と申し上げましたのは土地が入っておりまして、いままでいろいろ議論されました過程で、互助会のほうを見るときにはある程度土地、建物を除いてみたりしておりますが、比較いたします都合上、百局を建物だけにいたしますと、五億六千五百万でございます。これは予算のほうでございます。それから三十八年度は九十局ございまして、建物だけで見ますと四億六千二百万ということになっております。八億を全部建物というふうに計算しますと非常に差があるようでございますが、建物だけの予算額と見ますと、それほど大きくかけ離れているとは思いません。
  73. 片島港

    片島委員 私が郵政省からいただいたのは、土地も建物の建築も入れて合計してのものでございまして、決して互助会のほうは建物だけで計算した数字ではないようですが、このいただいた数字はどこから出たものでありましょうか。これで計算いたしましても、土地は土地、建物は建物、合計土地と建物でこれくらいというふうに出ておりますから、郵政省の直轄で建てられる場合も、同じように土地プラス建物、そういうところで比較しないと比較にならぬのじゃないかと思うのですが……。
  74. 小川房次

    ○小川説明員 先ほど私が申し上げましたのは、土地買収費と建物と合わせたものでありまして、国費の場合も、土地の買収費と建物の建築費を合わせたものでございます。
  75. 片島港

    片島委員 それだから、そうして比較した場合に、従来の建物の実績などから見ると、必ずしも何倍にもなるような規模ばかりを国費でやっておられない。たとえば火事で焼けたとか、やむを得ぬとかという場合は、国費で小さいところでも建てる。そういうふうにやっておられる。そう規模において何倍も違うような大きな規模じゃないように私は見ておるわけであります。いま溝呂木参事官が話されたのは、三十九年度以降はそういうことにするからこういうふうな大きな金額が出るのか、従来ともこのように互助会と直轄でやった場合は大きな開きがあったのか、その点をお伺いしておきます。
  76. 小川房次

    ○小川説明員 先ほど溝呂木参事官が申し上げたのは、三十九年度だけではございません。いままでもそうでございまして、国費で建てるというのは、先ほども申し上げましたように、借り入れがなかなかむずかしい、あるいは将来大きくなる、普通局に近いというようなところをつくるわけでございまして、先ほど申し上げたのは予算で、互助会のほうは実績でございます。私が申し上げたのは、予算の坪数と土地の坪数を申し上げたわけでございます。ですから実際の場合には、国費でつくったものが全部互助会のものより何倍ということにはなっておりません。
  77. 片島港

    片島委員 私が特に局舎問題についてお尋ねをいたしたのは、昭和三十年に本逓信委員会の決議によって、運用資金からの資金郵政大臣運用する資金総額のワクの中で三%を下らざる範囲において、簡易保険積み立て金郵政特別会計に貸しつけることができる、こういうふうに、三%を下らざる、こういう決議が行なわれたのであります。そうしたところが、その決議は、三十一年度においては三・一九%、それから三十二年にはそれを下がって三・一〇%、三十三年度にはさらに下がって三・〇三%、それから三十四年にはさらに下がって、これは決議を無視して二・七〇%、三五年にはさらに下回って二・三四%、三十六年にはさらにまた下がって二・二〇%、こういうふうに、いつの間にか積み立て金の特別会計への借り入れ決議を無視して、だんだんだんだん下がってきたのです。どうしてこういうふうに下がってきたのか、そうして今年度三十九年度は三・一%に初めて決議を上回ったのです。ここ数年来初めて上回ったのです。ところが、ときあたかも簡保の積み立て金を特定局長に転貸するという時期、そういうことを始めたものだから、これはたいへんだ、これを取り上げられて、おまえたちは特別会計への郵政事業の貸し付けをやらしておいて、こちらに回すということではいかぬではないかと言われるものだから、初年度三億、その次からは五億というものを——これは金額としてはたいしたものじゃありませんが、こういうものを何とかして——文句を言われないためには、三十九年度は決議の趣旨に沿って、三・〇をちょっと上回るようにして、これはごまかそうとしておるのです。ここ数年来は、ずっと二・幾らしか出しておらないのです。そしていよいよ転貸問題を、わずかではあるがやろうというときにおいて、無理をして——おそらく無理をされたに違いない、こういう転貸問題もやりながら、いままでやったこともない、思い出したように三%をこえる郵政事業への貸し付けを、ここでやっておられるわけであります。こういうことで、やろうと思えば、 この一%というものは、一体どのくらいの大きな金額になりますか。本年度の三・一%でも四十七億という数字なんですよ。四十七億という数字でわずか三・一%なんです。それをわざわざ三億とか五億とか、一カ年下がりにこま切れしたやつを、別にそういうややこしいルートをたどっていかなくても、こういうことができ得るならば、いままではやっていなかったが、三十九年度はやったのです。しかも三十九年度においては、転貸ということが五億ということになれば——これはほんとは大臣に聞かなければならぬのですが、一体事務的なからくりはどういうふうになっておるのですか。三億とか五億とかいうこま切れをやり繰るならば、四十数億円も五十億にもなんなんとする借り入れ金があるならば、そのほうに一緒に突っ込んでしまったほうが、手間がかからぬでいいと思うのですが、郵政大臣よりも大体こういう点についてはまじめに物事を考える金丸政務次官、いかがでしょうか。
  78. 金丸信

    ○金丸政府委員 私は片島先生のおっしゃるようなことはないと思いますが、数の問題につきましては弱いものですから、正確を期するために事務当局からひとつ答弁します。
  79. 長田裕二

    ○長田政府委員 ただいま先生から逓信委員会の御決議以来の経過につきましての御意見がございましたが、年々決議の趣旨は十分体しましてやってまいったわけでございますが、こちらの建設関係の予算の財源としましては、当該年度の剰余金の見込み、それから減価償却費、それから郵貯会計、簡保会計から繰り入れます負担金、それから借り入れ金、大体四者で構成した財源を引き当てているわけでございまして、総体としてどのくらい要るかというものと、この四者の年々の構成によっていろいろ借り入れなければならない金額が変わるわけでございます。御趣旨は十分体してまいりましたが、数字の面ではつい最近まで三%というところを満たしてはおらなかったわけでございます。三十九年度におきましては、たまたまさような結果になっているわけでございます。この転貸債の問題が起こったので急にそういうことに無理にこじつけたというわけではございませんので、三十八年度と三十九年度の関係におきましては、運用原資、先ほどからお尋ねのございました簡保の運用資金のワクが、集中満期等の関係で少し減ってまいったということなども影響しまして、そういう結果になったわけでございます。しかし、御決議の趣旨につきましては、今後とも、あるいは従来同様、あるいはそれ以上に尊重してまいりたいと思っております。
  80. 片島港

    片島委員 そういうからくりは長田さんはわからぬのです。これは大臣に私は質問しなければならぬので、ことしだけぽっと上がったということは、数字で見た場合に、ちょうど時を同じゅうしてこういうことが出てきたから、こういうこま切れのものは出そうと思えば出せるものならば、あなたの管理しておられる特別会計のほうに繰り入れて仕事をしたほうが手間ひまがかからぬでいいのじゃないかということです。これは資料がいろいろありますから、他の委員にひとつやっていただきます。私だけが質問をすると時間を一人でとり過ぎるとおっしゃいますから、私は次に進んで、この問題はさらに森本委員や大柴委員、栗原委員等にお願いいたしたいと存じます。  最後にお尋ねしておきますか、まずお聞きしますが、福祉事業団の出資金と交付金というのはどういう——すべてこれは出資金と同じようなことになるのじゃありませんか。出資金と交付金という性格はどういうふうに違っておるのですか。
  81. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 出資金は施設の建設に充てられる部分でございまして、交付金は事業団の運営経費でございます。いずれも簡保会計から出されるものでございます。
  82. 片島港

    片島委員 それなら、結局あなたのほうから交付金として全部出してしまって、そのうちから、施設はいまこれだけを充てろ、あとの残りは運用に充てろということをやっても趣旨は同じでありますか。それとも、出資金といったものは、何らかの形で少しずつでも返還されるというような性格のものか。出しっぱなしであるならば、やってしまって、その内訳はこうこうに使いなさいということでやっても同じじゃないかと思いますが、いかがですか。
  83. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 交付金はやりっぱなしでございますが、出資金は一応簡保会計の特別の資産として計上する仕組みになっております。
  84. 片島港

    片島委員 資産として計上されておるが、それはいつかはあなたのほうに何らかの形で返ってくる。こういうことですか。
  85. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 事業内の変化その他によって、必要があれば返ってきてもよいものでございます。
  86. 片島港

    片島委員 加入者保護のためのセンターとか、いろいろな施設をつくっておられるわけでありますが、診療所は別といたしまして、利用料金などをきめられる基準というものはどういうところにありますか。特別会計的に収支相償うとか、何らかの一つの基準をもって利用料金はきめられておるのでありますか。
  87. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 利用料金は省令で大綱がきめられまして、具体的の料金は郵政大臣の認可事項になっております。はっきりした基準と申しますか、実際具体的にきめる際に、ほかの同種の施設の料金その他を勘案することはもちろんやるわけでございまして、一般的になるべく安く加入者利益になるような料金ということがうたわれておるわけでございます。
  88. 片島港

    片島委員 そうすると、大体利用者の利便を考えてきめるが、基準というものはない。たとえばその施設を利用する上において、これだけの利用料金を取れば大体施設の運営について何%これは収支まかなうんだとか、そのうちの何割をその収入によって割り当てるんだ、こういったような何かの基準はないのですか。
  89. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 最初から予定した基準というもの、そういう具体的のものはございませんで、年度の予算を組む際に利用料金収入によりましてどういう施設の改善がなされるかというようなことは、それは当然予算編成の際に決定することになっております。
  90. 片島港

    片島委員 福祉事業団はいろいろの加入者の福祉事業を行なう事業団でありますが、そうすると毎年の出資金、交付金というものはどういうふうにしてきめられるのでありますか。加入者の数が非常にふえていった、あるいは新規加入者契約金がふえた、その加入者の数などには何にも関係なく、毎年適当にきめておられるのか。そこに加入者対象とした交付金なり出資金の出し方というものは全然考慮には入れないで、ことしはあそことあそこに希望があるからそこにやろうかとか、その要望なり、あなたのほうの事業団の実際の必要から、こういう施設をやろうと思うという一方的な要求を査定してきめられるものか。私は、加入者全体のことを考えるというならば、加入者の数とか、あるいは契約保険料とかいうものも何らかの基礎になるべきではないかと思うのですが、そういうことでなくて、たとえば議員の中からもおれのほうにもひとつつくってくれという要望がたびたびあったと思うのですが、そういうことなどをいろいろ勘案して今年はひとつ——あのほうから相当強い要求があってうるさいから、あそこをひとつ入れよう、そういうようなことでやられるということになると、事業団の性格が曲がってくる。やはり公平にやっていくためには、加入者の数とか契約の量、そういったものを一つの基準にして、そういうものも含めて出資金なり交付金の額をふやし、施設をふやしていくというのが適当ではないかと思うのですが、そういう点は全然お考えになりませんか。
  91. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 福祉施設に金を出すということは、これは一種の現物配当という二とでありまするので、剰余金の何%ということも当然考えられるわけでございますが、私どもは、一応のめどといたしまして、その年度収入保険料の一%ということを目途としております。
  92. 片島港

    片島委員 加入者協会というのが最近できたようでありますが、これはどういうものですか。何か法令に基づいたものでありますか。性格的にはどういうものですか。
  93. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 加入者協会は三十五年の八月に財団法人として設立されたものでございます。この協会は保険加入者の会の代表と、それから学識経験者の中から選ばれた人々によって運営されているわけでありまして、簡易保険加入者の会の使命遂行に協力し、加入者の共同の利益と福祉の増進をはかるということ、その他簡易保険事業の普及、またそれに協力的な各種の事業となっております。
  94. 片島港

    片島委員 当然郵政大臣の監督下にあるものと存じますが、そうでしょうか。
  95. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 さようでございます。
  96. 片島港

    片島委員 大体どういう事業をやっているということを、概略でも、書面でもけっこうですがいただけるでしょうか。いただければまた次の機会にやりたいと思います。
  97. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 概略ここで御説明申し上げてもよろしゅうございますが、もし御必要ならば書面で差し上げるようにいたします。
  98. 片島港

    片島委員 非常に重要な案件が残っておりますけれども、大臣も見えませんので、私は一応このあたりで質問を留保いたしまして、次の質問者に譲りたいと思います。
  99. 加藤常太郎

    加藤委員長 次に、永井勝次郎君。
  100. 永井勝次郎

    ○永井委員 大臣が来るまで関係局長に事務的な関係について少しお尋ねをしておきたい。  保険の最高限度三十万円を五十万円に上げたのは三十七年で、三十七、三十八、五十万円で、二年度だけやって、今度は百万円に値上げする、この関係は一応提案説明では伺っておるわけですが、過去三十万円の間に実施した経験、またこの二年間五十万円で実施した経験に照らして、百万円に値上げしなければいけないというその理論的実際的な根拠を明確に伺いたいと思います。
  101. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 三十万円から五十万円に引き上げられたことによりまして、事業の成績は著しく伸びたのでございます。さらに二年経過して、今回一躍百万円ということで、ただいま御審議願っておるのでございまするが、その間五十万の保険金としての価値という点につきまして、いろいろ私どものほうで検討もいたしましたし、加入者の方々の要望もかなり熾烈なものがあったのでございます。それから、これは当委員会でも昨年決議をいただいておるところでございまするし、各般の情勢を検討して百万ということで提案いたした次第でございます。  それでは百万の基礎になる点につきまして少し御説明申し上げたいと存じます。この保険金というものは、結局満期の場合と死亡の場合に支払われるわけでございますが、死亡の場合には、それまでに当然医療費とかあるいは葬祭費、さらに遺族の生活費というものが必要になってくるわけでございまして、これらを計算いたしますると、現在の状況では百二十万程度になる。それから満期保険金は、いわゆる老後生活安定という点に向けられる面が多いのでございまして、たとえば五十五歳満期の場合、五十五歳の人が今後何年生きるか、それに要する金が幾らか、さらには七十歳満期の場合には、七十歳の人が今後何年生きるか、必要な経費は幾らかというふうに見てみますと、いずれも百万円を若干上回るというような数字も出てくるのでございます。これが私どもが百万という数字を出した根拠でございます。それを取り巻くほかの条件は、先ほど申し上げたような事情でございます。
  102. 永井勝次郎

    ○永井委員 私のお尋ねしているのは、そういったことではなくて、同じ条件の上に立って三十万円を五十万にした、五十万を百万円にした、こういうことならいまの局長の説明で私は了解できる。しかし通貨価値の関係から見ても、物価の関係から見ても、経済のいろいろな資料に照らしても、この五十万円というものは昔の五十万円ではないわけです。ですから、通貨価値というものがいろいろな条件で下がってきておる。だから生活費とそういう名目的な百万円というものとのつり合いから、内容的に改めなければならなくなった、客観的な諸条件がそうさせたのだ、こういう理由が私はあろうと思うのです。単に五十万円より百万円が——世の中の個人的な生活の条件がこうだからという主体的な条件ではなくて、もっと客観的な諸条件がこの値上げを促進するエネルギーになっておるのだ、われわれはそう理解をするわけであります。そこに私はいまの政府の行なっている経済の施策に対するいろいろな批判の問題が出てくると思うわけであります。  そこで大臣にお尋ねをいたすわけでありますが、私は、この二百五十円で出発した簡易保険のいままでのいろいろな足取りの上からいっても、三十万から五十万に値上げして、五十万から百万に値上げした、この値上げのスピードというものは、ちょうど池田内閣のやっておる所得倍増計画、高度成長政策というものとうらはらの関係になっておる。経済が成長するかわりに通貨価値は、こういうふうにどんどん下落していくことになる。言ってみればインフレを促進しているのだ、こういうことが言えると思う。そこでいまの百万円というものを物価指数から換算して何年度を基準にして、簡易保険局ではどのような価値づけをしておるのか、それをひとつ正確に伺いたいと思います。
  103. 古池信三

    古池国務大臣 お尋ねの中にございましたが、通貨価値が昔に比べますと、非常に変動して下落してまいったということは、お説のとおりであろうと存じます。特に戦争を境にいたしまして、戦争直後には非常な歴史上に見ざるくらいのインフレーションをわが国において経験したのでございます。したがって、戦前と戦後の通貨価値においては非常な相違を来たしておったことは万人の認めるところでございます。その後漸次社会が安定してまいるにつれまして、経済状態も戦後のようなああいう大きな激変の時期を通り抜けまして、おいおいに安定をしてまいったということも御承知のとおりでございます。池田内閣が昭和三十五年に成立いたしまして、国民の所得をふやそう、そのために経済のいわゆる高度成長をなし遂げねばならぬ、かような観点から経済政策に非常に力を入れてきたことも御指摘のとおりでございます。その後物価も年とともに漸次高騰を示してきた、またそのうらはらをなしておる通貨価値も、物価上昇を反映いたしまして価値が下がってきたということも、御指摘のとおりであろうと存じます。しかしながら、今回百万円に最高限を上げていただくような案をつくりましたのは、必ずしも池田内閣の経済成長政策の結果である、こういうふうには私は解釈しないのでございまして、なるほど経済の成長によって若干の物価の値上げはありましたが、一方においては、賃金その他も上がり、また国民の所得というものも相当に増加してまいっておることは、これまた御承知のとおりであろうと存じます。ことに国民の消費水準というものは、この数年間にわたって非常な向上を見せておるのでございます。と申しますことは、それだけ国民貯蓄なりあるいは保険に加入するという力も出てきたものと考えてよいのではなかろうかと存じております。さような次第で、最近低額の保険の面を考えてみましても、今回の改正にあたって最低限を五万円に引き上げることを予定しておるのでありますが、最近の契約状況を聞いてみますと、五万円以下という小額の契約は非常に少なくなってきておるという話でございます。あれこれ勘案いたしまして、この際最低限を上げると同時に、最高限も百万円にいたしたいというふうな考えで提案をいたしたのでございまして、最近における物価高、またこれに基づく通貨価値下落ということは私十分認めますが、しかし今回の百万円の最高限度の引き上げは、経済成長政策のみによって起こった要請であるというふうに解釈することは、少し行き過ぎではなかろうかと思っています。
  104. 永井勝次郎

    ○永井委員 大臣、私は何も経済政策の行き過ぎのみによって、下からの突き上げで百万円に引き上げるとか、そんなことを言っておるのじゃない。一つの主要な要因は、昔の、たとえば最低一万円——いま一万円という通貨価値なんてナンセンスで、一万円なんというものは小づかい銭なんです。そういうふうになってきたことがもう上げざるを得ないという実情の主として要件でないかということを言っておるのです。それのみというようなことを言っておるのではございません。  いろいろお尋ねしたいと思いますので、そこでたとえば昭和九−十一年にいろいろな統計資料の主点を置いておるようでありますが、通貨の面から見ますと、昭和九年は日銀券の発行高が十六億、十年が十七億、十一年が十八億、それがここの統計では昭和三十七年十一年十一月は一兆三千八百三十億となっておるわけです。昨年末は、私いま記憶が正確でないのですが、二兆円を突破したのじゃなかったかと記憶しておる。昭和九−十一年、十六億−十八億程度通貨量がいま二兆円というように何百倍にもなっておるというような関係から見ただけでも、生命保険という長期契約に対する加入者利益の問題がまじめに考えられなければならない問題だと私は思う。こういう長期の経済的な契約については、その基礎にはやはり経済の安定という基盤がなければ、動揺する条件の中で問題を処理していくということになれば、これは加入者利益を守るということが根本的こくずれるわけですから、そういう点で私は問題があると思うのですさらに物価の点から比べますと、昭和九−十一年を一といたしまして、三十七年十一月は卸売り物価は三六八・二になっておる。それから消費者物価、東京で見ますと三七一・三になっておる。さらに昭和二十七年の物価指数を一〇〇として見ますならば、消費者物価、東京で一三九・六というふうに、昭和二十七年という非常に短期の時点をとりましても、四割以上物価が上がっておる。こういう大きな経済変動の中で、簡易保険は安易にただ三十万円から五十万円に上げたのだ、二年間経験して、そして局長の言ったようないろいろなもっともらしい理屈でただ百万円に上げた、こういうことでは私は済まされないと思う。上げることについて、やはり簡保の運営にあたっては、基礎としての経済的な安定、長期の展望というものを内容として、加入者に忠実にこたえるところがなければ、私はまじめな国営事業としての責任は果たされないと思いますが、こういうような日銀券の発行高、物価の指数の値上がりの実情、そして単に百万円といいましても、百万円の通貨価値というものを発足当時あるいは引き上げ以前の数字に照らして換算して、どのような経済的な所見を持って今回百万円に引き上げをする、そして長期にわたって加入者利益を守ってあげるのだ、どういう根拠でこれを出されたのですか、その基準となにを明確に伺いたい。
  105. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 先ほど百万決定の要素といたしましていろいろ申し上げたのでございますが、それらの数字は五十万に引き上げた当時の指数とはおのずから異なっておるわけでございます。その間に、たとえば物価あるいは賃金といったようなものの変動ということが織り込まれおりまして、そういう数字が出たわけでございます。  ただ今後の見通しでございますが、たとえば満期保険金の問題、さらには、これは十五年、二十年と続く契約でございますから、その間の経済の変動がどうか、これはなかなかむずかしい点でございまして、それをいま具体的に織り込んで金額を決定するということにはまいらなかったわけでござます。  それから一方、保険金が支払われる際の問題は、先ほど申し上げましたが、それではそれだけ保険料としての負担能力があるかどうかという点につきましても、たとえば賃金指数といったようなものを勘案いたしまして、この程度保険金に対する保険料の負担能力はある、こういうふうに各面から考えたのでございます。
  106. 永井勝次郎

    ○永井委員 先ほど来の答弁の中で、百万円引き上げについて現時点における経済分析もそれほど十分にしておらない、いわんや長期展望においておやということであります。そうすると、加入者に対する利益を守るということは、そう慎重にかつ十分に配慮された上のものではないということが明らかだろうと思うのです。  第二点として、私は今度の五十万円を百万円に上げるにあたっての最も手近な原因になっているものは、集中満期における資金手当ての関係があるのではないか、こう思うのですが、どうですか。
  107. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 集中満期対策の一助にもなるということは十分考えたわけでありますが、私どもは集中満期のためにのみ引き上げ、あるいは新種保険の創設を考えたのではありません。やはり保険としての価値ある保険という点を考えまして、今回の法案提出に至ったのでございます。もちろんこの法案が実施される暁には、外野活動の面におきまして従前にも増して環境がよくなりますし、また集中満期に対する代替契約の獲得という面もかなり有利になり、集中満期乗り切りの一助になることは申し上げるまでもないことでございます。
  108. 永井勝次郎

    ○永井委員 そういたしますと、私は伺いたいのですが、五十万円を百万円に限度額を上げたということによって加入者利益がどのように増強され、どのように五十万円の場合よりも利益が充実されるのか、それをひとつわれわれが了解できる程度に御説明をいただきたい。
  109. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 五十万から百万に上げれば、従来五十万だけの保障しか得られなかった人々が百万まで保障を得られる。これはもう非常な利益でございます。保険加入者に対する利益という点は、どういう点ですか、いろいろこれは議論があり、また利益の内容もいろいろあると思いますが、それによりまして事業経営内容が向上いたしますれば、当然剰余金の分配ということも考えられることでありますし、さらに資金が増大いたしますれば、それに伴う運用面で、従来にも増して加入者に密着した運用がはかられ、さらに福祉事業の面におきましてもよりよいサービスが提供せられる、いろいろの面があるかと存じます。
  110. 永井勝次郎

    ○永井委員 抽象的には五十万よりは百万円あれば五十万円だけ受け取る場合に多い、それだけ利益だという端的な算術計算は立つでありましょう。しかし、これは掛け金をかけるのですから、そういう場合の利害、差し引き勘定、プラス勘定というものをもう少しちゃんとしなければならぬと思う。たとえばいま満期になって、三十年前に——先日ある会合で銀行の幹部の連中と会食したのですが、そのときの茶話に出たのですが、大学を出て銀行に入って結婚した。そこで、家族の者の安定のためにというので、五千円の生命保険に入った。わずかな給料の中から五千円の掛け金をかけるには、当時ずいぶん苦労してかけたものだ。苦労してかけたのをいま受け取ったら五千円だ。掛け金をかけたときの苦労といまの五千円と比較したら、もうばかばかしくてお話にもならない。こんなことだったら、何のためにあのころ新家庭のいろいろなものを犠牲にしてこんなことをやったのかということをつくづく感ずる、こういう話があった。そういうことは簡易保険ばかりじゃなくて、生命保険そのほかいろいろな関係においていま痛感している点だろうと思う。でありますから、長期のこういう生命保険とかなんとかいうものは、表面的なものでなくて、やはり国の政治として、これは一局長やなんかの問題として論議すべき段階ではなくて、やはり大臣が国政をあずかる、そうして長い間の中の一こまの国の政治の責任をあずかっていくんだ、それは過去における責任を引き継ぎ、これから長期にわたる国の政治への責任を果たすという、そういうものでなければ、一年か二年大臣やればさよならだ、これでは私は責任は済まされないと思うのです。そういう意味において、私は基盤としてやはり経済の安定がなければ、こういう長期保険なんていうものは加入者には不利益だ。それからそういう一つの非常な大きな変動期において、ただ企業運営の便宜上からだけ、こういう値上げをするというような——だけというのは語弊がありますけれども、それのウエートが高い内容においてこれがなされるということは、私は加入者に対して忠実な責任を果たすことではない、こう思うわけでありますが、それはそれとして、もう一つお尋ねいたしたいのは、この簡易保険実施した当初においては、民間業者の非常な反対があったと思うのです。それから途中における限度額引き上げの段階においても、民間業者のいろんな反対があったわけでありますが、今回の値上げについては、民間業者からの反応はどういう状況にあるのか、これは局長から御答弁いただきたい。
  111. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 今回は、民間におきましても無審査保険の限度を五十万を百万に上げたいという気運は非常に濃厚でございました。ただ、民間二十社のうちには、若干意見の違うところもあったようでありますが、総体としては、そういう空気がありましたので、私どもの引き上げにつきましては、さしたる反対という声はありませんでした。
  112. 永井勝次郎

    ○永井委員 私は、基本的には、保険事業のようなものは国営でやるべきものだ、営利を目的でやるべきでない。さらに、もう少し進めば、こういう保険事業というようなものは、国の社会保障制度の中で果たすべきものであって、こういう特殊の形をとるべきものでない。生命保険というようなものでなくて、もっと違った形のものならば別であるが、葬式料とかなんとかいうような、こう非常に陰うつな内容におけるものは、国の社会保障制度の中でやるべきものだ、こう思っておるのですが、こういうふうにだんだん三十万円を五十万円、五十万円を百万円と、限度額を引き上げていく、これは私はたいへんけっこうだと思います。基礎としての経済の不安定、動揺ということをなくする、安定させるという条件の上に立って限度額を引き上げていくことはけっこうです。しかし、こういう関係は民間の営利会社にまかしておくべきものでなくて、だんだん国の事業として入っていくべきものだ、拡大していくべきものだ、こう考えますが、大臣の所見を伺いたい。
  113. 古池信三

    古池国務大臣 ただいまの御所見は全く私もそのとおりに考えております。いかにこの事業が拡大、発展いたしましても、その基礎が脆弱では何にもならぬのでございます。どんなにりっぱな楼閣を建築しましても、やはり基盤がしっかりしていなければ、砂上の楼閣になってはたいへんなことでございます。そういう意味からいいまして、国全体の経済の安定、すなわち物価を安定し、同時に通貨を安定する。しかもこれを長期にわたって安定するということは、あくまで必要なことである、こう考えておりまして、国全般として、政府全体としてそういう方向に向かって努力を重ねていくべきである、こう考えております。  また、国の事業民間事業との関係でございますが、ただいま局長も御答弁申し上げましたように、以前は簡易保険の発展に対して民間から非常に反対があったということも事実でございます。昔は、御承知のように保険というものに対する国民の認識あるいはさような思想が非常に幼稚でありましたために、保険市場の奪い合い——ことばは適切ではありませんが、そういうふうな傾向もなきにしもあらずと考えますが、今日では国民の間に生命保険思想相当に普及してまいりましたので、民間保険も非常に発展をしております。官業と民間事業との間の競争というものも、今日では以前のような姿ではないと考えております。しかし、お説のように、かような国民のほとんど大多数の方々が契約者として加入しておられる事業でありますので、やはりもっと現実的な国の事業として大いに今後拡充し、発展をしていくべきものである、かように考えております。
  114. 永井勝次郎

    ○永井委員 私は、五十万円が百万円、百万円が二百万円、二百万円が三百万円と限度額がもう少し足取り早く進んでいくということを期待しております。その場合、私はやはり集めた金の運用ということが問題になると思うのです。まず第一に金融の面からだけ考えましても、預金だけ預るのだ、貸すほうはおれのところではしないのだ、こういうことでは預金は集まらぬと思うのです。加入の場合でも、金を集めて、加入者へのいろいろなアフターサービスもありましょう。あるいは新しく加入する者へのいろいろな魅力、そういう魅力でもって入るというようないろいろな現地現地における運用の問題もありましょう。あるいは加入者とその集まった金の運用の面における有機的な関連で、その利益をその地域が直接的に受けるというような、そうした結びつきも必要であろう。やはりそれらがうまく有機的に結びついてこそ前向きに前進するのだ。加入者はどんどんふえてくる。そうしてふえたやつはまたそこへ次の利益を追加していく、こういうような関係に運用されなければならぬと思うのですが、いまのところは集めるほうは一生懸命で、全国から汗水たらして集めた金は大蔵省のほうに取り上げられてしまって、そうして大蔵省が使う。そうしてほんとうにわずかな金利部分だけを還元して、郵政省は指をくわえて見ておる。こんな運用では、これから発展さしていくという、われわれが構想している簡保事業あるいは国営保険事業、こういうものの前進のためには、私はあまり役立たないのではないか、目的と反した金の運用というものができてくるおそれもある、こういうふうに思うのですが、この関係については大臣どういうふうにお考えですか。考え方として明確な一つの展望を示していただきたいと思います。
  115. 古池信三

    古池国務大臣 私どもの立場といたしましては、あくまでも加入者の保護をはかり、加入者のために利益考えていくということ、これが第一の要件だと存じます。また、それと同時に、事業そのものをあくまで堅実に経営していく、これまた非常に必要なことであろうと存じます。その場合に、多数の加入者の方からお預かりしておる保険料積み立て金、この巨額の積み立て金をいかにして運用していくかという問題でございます。これはやはり、第一に、国家の事業としては確実に運用するということが必要であろうと思います。不確実な方面に、いわゆる投機的にこの資金を融通するというようなことは、絶対にとってはならないことである。また、同時に、この保険料積み立て金によって将来保険金の支払いに充てるわけでありまするから、確実であると同時にまた有利であるということも考えていかなければならぬと存じております。かような確実有利という原則の上に立って、しからばどういう方面運用するかということでありまするが、やはりかような公の資金でございまするから、できる限り公の目的のために、すなわち公共の用に供する方面運用していくということが本筋であろうと存じております。また、今日簡易保険加入者は、全国津々浦々に及んでおりまするので、地域的に見ましても、この大切な資金は、ある限られたる地域のために役立たせるということでなくて、全国にあまねく公平にこの資金運用する、ことばをかえて申せば、地方に還元するということも当然考えていかなければならない問題であると存じております。  今日、さような見地から、簡易保険資金運用審議会がございますが、この審議会にはかりまして十分慎重に、かつまた公正に運用をはかっていきたい、かように存じております。
  116. 永井勝次郎

    ○永井委員 審議会の運用の点ですが、金を集めるほう、それから加入者に対する責任というものが郵政省にあるわけですから、また金融の一元的運営ということも必要であろうと思います。そういうような点から考えまして、私は、できれば郵便貯金でも、簡易保険でも、こうした関係は郵政省が主管で、大蔵当局の金融関係等が審議会等に参加して、その運営をはかっていくというほうが、これからの郵便貯金事業にしても、あるいは簡易保険事業にしても、前向きで前進ができる形の運用だと、こう思うわけですが、いまはみんな大蔵省に持っていかれてしまっておる。その中に郵政省代表が一人ぐらい審議会のメンバーに入っているという程度では私はいけないと思うのですが、いまどんな状態になっておるのか、少なくともその運用についてのウエートは、大蔵省半分、郵政省半分というくらいなウエートで運用してもいいと思うのですが、その関係はどうなっておりますか。
  117. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 私どもの簡易保険積み立て金は、積立金運用法によりまして、郵政大臣が管理し、これを運用することにいたしております。ただ、実際に運用計画を立てる場合には資金運用審議会の議に付す、こういうたてまえになっておりまして、一応郵政大臣が独自の管理、運用権を持っておるのでございます。ただ国営事業の性格上、やはり財投計画というようなものにも協力するというたてまえから、財投計画の一部として大部分の積み立て金運用される、こういうたてまえになっておるわけでございます。
  118. 永井勝次郎

    ○永井委員 金利はいろいろあるだろうと思うのですが、ピンからキリまで、大体どういうところにどういう金利でやっておるということをお示し願いたい。
  119. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 最高七分五厘、これは債券の引き受けでございます。具体的には放送債券の引き受けが七分五厘、それから政府保証債は大体七分でございます。それから公共団体あるいは政府関係機関に対する貸し付け、これは六分五厘。それから低いものといたしましては、数年前のもので、地方債などに低いものがございますが、このほかは契約者貸し付けが六分でございます。
  120. 永井勝次郎

    ○永井委員 二分なんというのはないですか。
  121. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 二分はございません。
  122. 永井勝次郎

    ○永井委員 この貸し付けの状況を見ましても、公社債あるいは郵政事業への貸し付け、地方公共団体の貸し付け、契約者貸し付け、政府関係機関等への貸し付け、資金運用部の預託、こういうふうにいろいろあるようでありますが、日本の金融機関というものが資本主義経済機構の中においては、まず大きな財閥が普通銀行を経営する、信託をやる、あるいは生命保険あるいは損害保険、こういうような保険事業をやって、それで金を集める。そうして協調融資あるいは系列融資ということで自分たちの企業に集中融資をしておる。いろいろな事業というのは金を集める窓口になっておる。それが大臣おわかりのように実態です。これはまごうかたなき実態であります。したがって、金融でありますから有利なところへ有利なところへと金を流していくわけです。そういたしますから都市銀行は大企業へ集中融資をする。地方銀行はそこへいく。そして残りの部分に、たとえば相互銀行であるとか、あるいは地方の信用公庫であるとか、信用組合であるとか、こういうローカル金融機関がそれの余っているところへ流していく。こういうような関係のものは、表の金利はそうたいしたものではありませんけれども、御承知のように両建て、歩積みということで実質金利というのは相当高く働いているわけです。こういう簡保の流している金の使い道を見ますと、歩積みも何も大体金融機関としては金融ベースに乗らないものとしてほとんどこれはほったらかしてある。だれも相手にしないようなところへこの零細な集めた金を非常に低利な表金利だけでこれを流している。これは国の金融政策から見たって、どぶさらいをやっているようなものである。こういう簡保や郵便貯金等でだれも金融機関が相手にしないような不利益なものをまかなっていく。まかなっていくから大企業系列の、大企業財閥経営の金融機関というのは、フルに自分たちの金融を自分たちの企業の中に流し込むことができる。こういうことになっておるわけであります。こういう金融系列が出てきたのでは、これは簡保がなんぼさか立ちしたって有利な条件で動かせない。ですから民間生命保険会社なんかの年間の資金利回りというのは大体九分前後でないかと思うのです。実質的には一〇%以上の利回りになっておると思うし、配当その他も相当しておるわけであります。それだけのことをやっておるのに、こちらのほうは零細の資金を集めて、そうして自分の食費を減らしてまで掛け金をして、自分老後のためにあるいは家族のためにといって流した金が、こういうどぶさらいのような金融の面を引き受けていたのでは、私は簡保の事業というものに必ずしも賛成することはできぬ、こういう点の是正ということが緊急に必要である、絶対に必要である、こういうふうに考えますが、大臣いかがです。そして、これを是正するために、国の政策としていろいろ取り上げて努力をする必要がある、こう思うのですが、いかがですか。
  123. 古池信三

    古池国務大臣 ただいまの御意見の中にはまことにごもっともな点もあると存じます。かような巨額の運用資金を持っております以上は、これをできる限り有利に、すなわち利子の相当高い事業運用していくということはまさに必要であろうと思いますが、同時に、一方においては、国営事業である限りあくまで確実である、加入者からその点については十分信頼されるということが必要であろうと思います。さようなわけで、今日まで民間に比べれば比的較的利率は低いかもしれませんけれども、相手事業はほとんど国営事業に近いような公共事業である。安全性は確保される。こういうような観点から運用してまいったのでございます。民間簡易保険との利回り考えてみますと、三十七年度におきましては簡易保険の平均利回りは六分三厘八毛になっております。これに対して民間は八分九厘となっておりますから、民間のほうが相当よい利回りによって運用しているということは証明されるわけであります。この民間保険事業あるいは民間の銀行等の資金が今日まで産業の設備に投資されまして、その結果今日の経済の繁栄の上に大いに役立っているということも否定できないことかと存じますが、しかし、とかく金利の高い事業は、やはり一方においてはその危険ということも考えなければなりませんので、今日まで簡易保険運用に当たっては十分に慎重を期しておった、こういう次第でございますが、ただいまの御意見は非常に貴重な御意見考えますので、十分それを参考にして、今後の対策についても考えてまいりたいと存じます。
  124. 永井勝次郎

    ○永井委員 いまの大臣の御答弁の中に、先ほど私の申し上げた中で、ある部分はごもっともだ、こういうふうに御指摘をいただいた。ある部分というのですから、ある部分では不適当だ、妥当でないという面があると思いますが、御指摘をいただきたい。
  125. 古池信三

    古池国務大臣 ちょっとことばが不適当でございましたが、要するに有利に利回り考え運用すべきではないか、それによって加入者利益をはかるべきじゃないかという御意見は、全く私そのとおりだと存じます。ところが、これを無制限に民間に、高い金利だからというので運用しますと、そこに回収不能になるというふうな危険性もなきにしもあらず、そういうことは私は十分考えていかなくちゃならない、こういう点を申し上げたわけであります。
  126. 永井勝次郎

    ○永井委員 私も有利でさえあれば貸し倒れができてもいい、ただ目先の金利さえよければいい、そういうことは金融ベースではないんで、やはり金融は確実かつ有利ということが必要でしょうから、それを内容としておるわけであります。先ほど言ったように、この簡保の担当を主としてなしておるのは、公共性というところにウエートを置いているるかもしれませんけれども、金利の面からいえば、どぶさらいのような残されたところを引き受けさせられておる。決して有利だとこういう関係にはなってなっておりません。  そこで、私は局長に伺いたいのですが、国営保険というようなことをやっておるところが、世界でどこどこあるか。そして、それがどんな状況であるか。それを日本の簡保と比較してどうなのか。その辺おわかりであれば伺いたい。
  127. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 欧米のいわゆる大国ではほとんど国営でやっておらないようでございます。私の記憶しておるところによりますと、パキスタンあたりが国営になっておるようであります。したがいまして、いまここにあちらの詳しい事情を申し上げるだけの資料を持ち合わしておりませんので、御了承願いたいと思います。
  128. 永井勝次郎

    ○永井委員 保険料率は、日本民間のものと比べて、簡保の場合には高いのか安いのか、大体国内の民間会社と簡保と比較して、企業としての主要な諸点について比較して、解明していただきたい。
  129. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 現在のところはいわゆる表定保険料、すなわち毎月集金にまいります保険料でございますが、これは簡保のほうが民保よりも若干安くなっております。ただ、いつも問題になりまするのは、民間のほうでは配当を毎年やっておりまして、それを加味して計算いたしましたいわゆる正味保険料というものにおきましては、簡保のほうが割り高というのが実情でございます。
  130. 永井勝次郎

    ○永井委員 日本における国営事業といいますか、公営事業というか、そういうものは、原則として民間の企業に影響を与えない、圧力を与えないという範囲において許されるというような、民間業者の圧力が相当強いわけでございます。でありますから、簡易保険の場合もその保険料率において、あるいはいろいろな内容の条件において、民間と比較して有利ではない、これならば民間がそんなに国でやらしたって影響はない、こういうような民間から許される限界において、国が民間企業に遠慮しがちにやっておるという性格があると思うのです。いろいろな面においてそれはあると思うのです。そういうようなことでほんとうに国がこの企業を——それは無審査であり、あるいは零細な金を広くやっているのですから、資金コストが高くなっていることは当然だと思いますけれども、しかし、国が営利目的でなくやるのですから、私は、もっと料率を引き下げ、あるいは経営の合理化をやり、あるいは加入者へのアフターサービスを資金運用の面からだけでなく、やはりその他のいろいろな運営の面で果たせる分野がたくさんあると思うのですが、やはり料率その他においても、どうも料金その他において民間とそう違わない線で刺激をしないでやろう、こういう安易なところがあるんではないか、そういうふうに、原則として民間企業を守っていくんだという考え方があるのではないかと思うのですが、この点はいかがですか。
  131. 田中鎭雄

    田中(鎭)政府委員 ただいま先生がおっしゃったほど余裕があればはなはだけっこうなことだと思っておるのでございますが、実情は、あらゆる努力をいたしまして、民間保険よりも少しでも安い保険料保険を提供したい、これを日夜考えておるところでございます。残念ながら先ほど申し上げましたように、表定保険料ではわずかにこちらが下回っておりますが、実保険料では高い。この差を幾分でも縮めたいということで、運用利回りの向上、さらには企業の合理化というような点に努力をいたしておるところでございまして、今後民間保険よりも優れた保険を提供したい、かように念願しておるところでございます。
  132. 古池信三

    古池国務大臣 簡易保険事業を運営するにあたりまして、何としても加入者立場、その利益というものを守っていくことは、絶対私は必要であろうと考えております。そのためには、今後できる限りただいま御指摘になりましたような保険料も低減をはかり、また分配金等もできる限り差し上げるように考えますと同時に、契約者のほうから保険の途中において貸し付けを受けたいというような御要請があれば、これもできる限りその御要求に応じて貸し付けをいたす。そういうふうなことのほかに、加入者全般のための施設といたしまして、いわば加入者センターあるいは老人ホームというような施設も拡充し、保養センターのようなものも今後つくり、あるいはまた診療所をできるだけ普及するというような考えで、これは加入者全体の福祉のためにさような施設を十分つくってまいりたい、こういうように考えておる次第でございます。
  133. 永井勝次郎

    ○永井委員 いま済ましたのは総論的なところで、各論はこれからいろいろありますが、自余の質問は留保いたしまして、本日は委員長からの申し出もありますからこの程度にします。
  134. 加藤常太郎

    加藤委員長 次会は、来たる四月一日午前十時から理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十七分散会