○永井委員 抽象的には五十万よりは百万円あれば五十万円だけ受け取る場合に多い、それだけ
利益だという端的な算術計算は立つでありましょう。しかし、これは掛け金をかけるのですから、そういう場合の利害、差し引き勘定、プラス勘定というものをもう少しちゃんとしなければならぬと思う。たとえばいま
満期になって、三十年前に
——先日ある会合で銀行の幹部の連中と会食したのですが、そのときの茶話に出たのですが、大学を出て銀行に入って結婚した。そこで、家族の者の安定のためにというので、五千円の
生命保険に入った。わずかな給料の中から五千円の掛け金をかけるには、当時ずいぶん苦労してかけたものだ。苦労してかけたのをいま受け取ったら五千円だ。掛け金をかけたときの苦労といまの五千円と比較したら、もうばかばかしくて
お話にもならない。こんなことだったら、何のためにあのころ新家庭のいろいろなものを犠牲にしてこんなことをやったのかということをつくづく感ずる、こういう話があった。そういうことは
簡易保険ばかりじゃなくて、
生命保険そのほかいろいろな関係においていま痛感している点だろうと思う。でありますから、
長期のこういう
生命保険とかなんとかいうものは、表面的なものでなくて、やはり国の政治として、これは一局長やなんかの問題として論議すべき段階ではなくて、やはり
大臣が国政をあずかる、そうして長い間の中の一こまの国の政治の責任をあずかっていくんだ、それは過去における責任を引き継ぎ、これから
長期にわたる国の政治への責任を果たすという、そういうものでなければ、一年か二年
大臣やればさよならだ、これでは私は責任は済まされないと思うのです。そういう
意味において、私は基盤としてやはり経済の安定がなければ、こういう
長期の
保険なんていうものは
加入者には不
利益だ。それからそういう
一つの非常な大きな変動期において、ただ企業運営の便宜上からだけ、こういう値上げをするというような
——だけというのは語弊がありますけれども、それのウエートが高い内容においてこれがなされるということは、私は
加入者に対して忠実な責任を果たすことではない、こう思うわけでありますが、それはそれとして、もう
一つお尋ねいたしたいのは、この
簡易保険の
実施した当初においては、
民間業者の非常な反対があったと思うのです。それから途中における限度額引き上げの段階においても、
民間業者のいろんな反対があったわけでありますが、今回の値上げについては、
民間業者からの反応はどういう
状況にあるのか、これは局長から御答弁いただきたい。