運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1964-03-16 第46回国会 衆議院 逓信委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月十六日(月曜日)    午前十時五十六分開議  出席委員    委員長 加藤常太郎君    理事 秋田 大助君 理事 佐藤洋之助君    理事 志賀健次郎君 理事 森山 欽司君    理事 大柴 滋夫君 理事 栗原 俊夫君    理事 森本  靖君       小渕 恵三君    木部 佳昭君       小泉 純也君    佐藤 孝行君       椎熊 三郎君    中村 寅太君       中山 榮一君    西岡 武夫君      橋本登美三郎君    星島 二郎君       安宅 常彦君    井手 以誠君       片島  港君    佐々木更三君       永井勝次郎君    畑   和君       柳田 秀一君    受田 新吉君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 古池 信三君  出席政府委員         郵政政務次官  金丸  信君         郵政事務官         (大臣官房長) 武田  功君         郵政事務官         (大臣官房電気         通信監理官)  畠山 一郎君         郵政事務官         (電波監理局         長)      宮川 岸雄君  委員外出席者         郵政事務官         (電波監理局放         送部長)    吉灘  中君         日本電信電話公         社副総裁    米沢  滋君         日本電信電話公         社総務理事   平山  温君         日本電信電話公         社営業局長   千代  健君         日本電信電話公         社施設局長   橋本 一郎君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     阿部真之助君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    前田 義徳君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   田辺 義敏君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   小野 吉郎君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   赤城 正武君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   春日 由三君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   栃沢 助造君         参  考  人         (日本放送協会         経営第一部長) 野村 忠夫君         参  考  人         (日本放送協会         主計部長)   志賀 正信君         専  門  員 水田  誠君     ————————————— 三月十六日  委員羽田武嗣郎君及び片島港君辞任につき、そ  の補欠として西岡武夫君及び井手以誠君議長  の指名委員に選任された。 同日  委員西岡武夫君及び井手以誠君辞任につき、そ  の補欠として羽田武嗣郎君及び片島港君が議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  放送法第三十七条第三項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出承認第三号)      ————◇—————
  2. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 これより会議を開きます。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題として審査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。栗原俊夫君。
  3. 栗原俊夫

    栗原委員 私は、まずNHK会長にお伺いをしたいのでございますが、NHKでは、放送法の定める第七条によって「日本放送協会は、公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように放送を行うことを目的とする。」こう規定してあるのですが、これを中心運用をなさっておられると思うのですが、言い尽くされたことであるけれども、この際、この条章を具体的にどのように理解して運用なさっておられるか、この心がまえをあらためてお聞きしておきたいと思います。
  4. 阿部真之助

    阿部参考人 その規定どおりに、一日も早くそういうふうなことが実現するように努力しております。   〔委員長退席秋田委員長代理着席
  5. 栗原俊夫

    栗原委員 あまねく日本全国において受信できるように放送を行なうことを目的とするということは、日本国じゅうどこに住んでおっても聞こうと思えば聞ける状況をつくろう、こういうことでございますか。
  6. 阿部真之助

    阿部参考人 理想的には、まさにそのとおりでございます。
  7. 栗原俊夫

    栗原委員 たまたま今年はオリンピックの年であります。そうして言うなれば千載一遇の年に、この法の示す、聞きたい、見たいという人にはだれでも見聞きできるようにするということをねらっておられるのでありますが、今年のオリンピックまでにカバーできるカバレージは、ラジオテレビでどの程度になりますか。
  8. 田辺義敏

    田辺参考人 先日もこの問題に関しまして若干触れたことがあると思いますが、まずテレビジョンにつきましては、ただいま御審議を受けております予算計画によりましても、五十五局完成、十五局着工ということになっておりまして、七十局であります。教育テレビジョンのほうは若干数が多いのでございますが、大体そういう新しい地区考えておるのであります。五十五局完成予定でありますが、この中ですでに着工しておるものもございますので、ただいま大体の計画では、そのうち五十局くらいをオリンピックまでに完成したいと思って、鋭意工事を進めております。したがいまして五十五局完成いたしますと、年度末のカバレージは八九%になるわけでございますが、若干それを下回る程度オリンピックを迎えることになるかと存じます。  ラジオのほうにつきましては、現在一応法定カバレージにおきましては、第一放送、第二放送ともに九九%内外でございまして、多少状態の悪いところもございますが、どこでも受信できる状態であるかと思います。  なおFM放送は、これはオリンピックにはあまり関係はないと思いますが、FM放送につきましても、現在は九局を運用中でございますが、先般承認を受けました十七局の工事を急いでやっておりまして、これが三月末ないし六月に十七局が完成いたしますと、カバレージは大体七〇%くらいになるかと思います。それからまた、本年度予算審議を受けておりますのが認められますと、あと新しく二十四局の追加を受けますので、これの工事を急ぎますと、約八〇%のカバレージになると思います。
  9. 栗原俊夫

    栗原委員 FMの問題、それから一般ラジオの問題、いろいろありますが、やはり何といっても、オリンピック中心国民が望んでおるのは、テレビを見たいということだと思うのです。そうして国民にあまねく受信せしめる方法として、できるだけ中継局をつくる、さらには電波のほうでもUを使うというような努力をしておる、それでも届かないところには、共同聴視共同アンテナというような方法まであわせてやっておる、そこまではわかる。中継局NHKがみずから全額を持ってやる、あまねく受信できるような方法をとる一つ手段として共同聴視共同アンテナというものがある。これになぜ補助をして、全額NHKが持たないのか、ここのところが先般いささか議論になったようですが、私にはどうも納得がいかない。したがって、中継局でやるのが計算上得なのか、あるいは共同聴視共同アンテナで聞かせるほうが、計算的にNHKのそろばんに合うのか、こういう判断によって、この第七条の目的を達成するのが本来の使命ではないか、私はそう思う。中継でやるよりも共同アンテナでやるほうが経済的に安上がりなんだ、こういう立場をとれば、共同アンテナ全額NHKがやってやらなければならぬ、これが第七条の精神ではないか、このように思うのですが、これに対する会長のお考えはいかがでしょうか。
  10. 阿部真之助

    阿部参考人 共同聴視の場合は、これはやがては中継局ができる場所なんです。そういう場所に全部NHK共同聴視というような設備をやりますと、将来第二次の補正もしくは第三次の計画ができた場合に、いろいろ混乱が起きるというふうな場合も予想しなければならないので、そういうような臨時的な措置として考えております。
  11. 栗原俊夫

    栗原委員 そうなると、ますます中継局ができれば、別に共同アンテナがなくてもいい時代がやがてくるのだ、そのときには、言うならば共同アンテナというものは不必要になる。そういうものを個人に負担させるところにむしろ問題がある。そうなるものだから当然全額NHKが持つべきなんだ、このように私は思うのです。たまたまNHKが波を出す、あるところでは聞こえて、あるところでは聞こえない、一方ではとにかく機械を持てば契約をしなければならないという強制規定がある、こういうことなんですから、これはやはり見えるようにする責任NHKにある、こういう立場をとる限り、見える手段——どこまでも一方は機械を持てばいい、見えるようなところまではNHKが全責任を持つべきだ、このように思うのですが、これは大臣どうですか。
  12. 古池信三

    古池国務大臣 あまねく国民ラジオ並びにテレビ受信できるようにするということは、基本的にはそのとおりでございます。ただ、しかしながら技術的な関係等もありまして、必ずしも全部一律な程度において聴視できるというような状態にならないという点については、認めざるを得ないのでありますが、しからば共同アンテナを立てる場合に、全額NHK負担するべきか、あるいはそのうちの何がしかを助成をして、あと聴視者のほうで負担するかという問題は、なかなかむずかしい問題だと存じております。ここで必ずしも全部NHK負担すべきものであるという断定も軽々にできないかと思っております。さらに共同アンテナのみならず、地域によりましては、アンテナ自体については相当背の高いアンテナを立てないと聴視できないというような地域もございますし、東京のごときにおいては、アンテナを立てなくても屋内アンテナで自由に聴視できるというような地域もあるわけでございます。そういう不公平なところはできるだけの措置を講じて、公平に見られるようにすることは理想でありますけれども、いま直ちにそれができないというような事情もやはり考えていかなくちゃならぬのじゃないか。そこで、できるだけ早く理想状態に達するように、NHKにもお話をして極力努力をいたしてもらう、こう考えております。
  13. 栗原俊夫

    栗原委員 まことにわかったようなわからぬ御答弁なんですが、とにかく受信できるような機械を持てば契約をし、契約をすれば聴視料を払わなければならないようなこの法の体制になっておるのですが、一方では中継をして見えるようにする、そしてそれでもまだ見えないところでは共同アンテナを立てる、こういうことなんですが、国民とすれば、中継であろうと共同アンテナであろうと、見えればいい、こういうことなんですから、その見える方法は、視聴者とすれば、何も共同アンテナでなくたっていいわけです。あえて共同テンテナを立てなくても、波が来てくれさえすればいいわけです。それを助成金だということでやっておる。これは、ちょっと話は飛躍しますけれども、いま海外放送をやっておりますね。海外放送の中で、一つ政府が指示命令することによって、政府負担をしてこれは放送させる。ここまではわかります。そうすると、それ以外の、国からの支払いを受けずに海外放送をやっておるNHK使命というものは何なんですか。これは国内でまだカバレージが一〇〇までいっていない、しかも国民は聞きたがっておる、見たがっておる、しかもその聞いたり見たりするために共同アンテナを立てなければならぬ、それは全額NHKでは見られない、補助をするからおまえも出せ、こういう形で見聞きさせておる。海外には、聴取料も取らないで海外に出す。もちろん国威を宣揚するとか、いろいろなことから、これは必要でありましょうが、しかしものには順序があるだろうし、国内が完全にカバーされて、そして見もでき、聞きもできる、さらに財政的に海外放送もできるのだ、こういう形でいくならばわかる。あるいは現段階海外放送することが国のためだ、その電波を何時間放送しようとも、一切国が支払うのだ、そういう形で放送するなら、また話は別になる。国が金を払って指示する放送のほかに、NHKみずからが波を出しておる。一方、国内では見聞きできない、やっと見聞きしようとする者には、共同聴視をする設備はおまえが負担しなければならぬ、こっちは補助するのだ、こういう立場では海外で見聞きする人は喜んでおるでありましょうけれども、何か筋が通らぬような気がするのですけれども、この点について何か大臣、どうですか。
  14. 古池信三

    古池国務大臣 ただいまのお考えは、私も確かにごもっともな点があると存じます。まず国内を全部カバーをして、しかるのちに国際放送に乗り出したらいいじゃないか、そういう御議論も確かにごもっともだと思いますけれども、しかし国内の普及のためには、やはりある程度年月が要るということも考えなくちゃならぬと思います。  また国際放送についても、全額国予算によってまかなっていくことができれば、それもけっこうでありますけれども、やはり国の財政状況考えてみなければなりませんので、ことしも昨年よりは増額いたしましたけれども、まだ十分とは申せませんが、その辺はNHKも公共的な機関という立場から、進んで国際放送をやっていただいておるわけでございますから、極力国内のほうは、御趣旨のように、一日も早く、あまねく国民が視聴できるように努力をしてもらうということを重ねて理事者諸君に申し上げたいと存じます。したがって、そのために国際放送をやめたらどうかということも、いま直ちにさような処置をとるということはいかがなものか、こう私は考えます。   〔秋田委員長代理退席委員長着   席〕
  15. 栗原俊夫

    栗原委員 私が言っているのは、国際放送は大いにやるべしなんですよ。ただ、国際放送を無料でやっておいて、国内には聞こえぬ人がおる、銭が足らぬから、年がかかるから、こういうことはおかしいではないか。だから国際放送はどんどんやって、それは全部国が払ったらいい。国威を宣揚するし、国外の日本国民の利便をはかるのだから、国が全部払って、そして置きかえられた財源は、国内国民完全聴視ができるような、難視聴区域の解消に予算を回すべきだ、こう思うのです。現在共同アンテナをつくるのに、補助金はどのくらい差し上げておるのですか。
  16. 田辺義敏

    田辺参考人 お答え申し上げます。  その施設に加入いたします数によりまして絶対額は違っておりますが、おおむね三分の一を援助しております。この三分の一の根拠といたしましては、あるいは御質問とはずれるかと思いますが、先ほど来の御意見もございましたので、ここで若干説明させていただいてよろしゅうございましょうか。——先日もちょっと申し上げましたように、共同受信施設をやります場合には、NHK放送以外の商業放送聴視を同時に受けたがります。現在の共同受信施設は、平均いたしまして、NHK放送のほかに、大体商業放送を二系統受かるような施設になっておるのが現状でございます。したがいまして、現状におきましては、商業放送受信までできる全体の施設を全部NHK負担するというのは理屈に合わないかと存じます。したがいまして、われわれとしては、NHK商業放送二つというような基準から、三分の一ということも割り出したわけでございます。  それからもう一つ、先ほどの会長に対する御質問に対して若干触れさせていただきますが、現在第二次チャンネルプラン置局進行中でございまして、これは市もしくはカバレージ三千世帯以上の地区対象になっております。これが、追加されましたものを合わせまして、現在三百十一局ございます。これが最終的にきまりましたのは昨年の四月でございます。したがいまして三百十一のうちで、すでにその当時できておりましたものもございますが、追加されました二百二十九地区につきましては、少なくとも新しく出てきた問題でございます。それを全国の山々に登りまして、置局場所をきめるということにつきましては、物理的にも時間がかかります。したがいまして現在まだその地点が全部——チャンネルプランはきまっておりますけれども、実際に、この山で出せばこういうふうにカバーするというような調査を鋭意続行中でございますが、まだ終わっておりません。ということは、昨年のチャンネルプランの決定以来時間がそうなかったということでございまして、置局の問題は、お金の問題以外にそういう問題もございまして、それが、われわれは鋭意進めておりますが、まだその全部の置局地点がきまらないという理由一つかと思います。  それからもう一つは、共同受信置局との関係でございますが、これは現在の第二次チャンネルプランの三千世帯以上の地区につきましては、NHK商業放送、そういうものを全部置局いたしたとしましても、置局したほうが明らかに経済的に有利でございます。ただこれは、これからもう少し世帯数が少ない地域、たとえば千とか五百とか、そういうところになってまいりますと、共同受信施設をやります経費と、置局をいたします経費と、だんだん差がなくなってまいりまして、今度は逆に共同受信施設をしたほうが有利になるような方向に向かっていくと思います。そのカバレージといたしまして、私の胸算用では、五百ないし千の間くらいでちょうど交差点がくるかと大体推定しております。個々の場所によって条件は違ってくると思いますが、大体カバレージ千を下回りまして五百くらいにくる間に、共同受信とその経費のちょうどとんとんというところが出てくるかと思っております。したがいましてNHKは、どうしてもカバーできない山間地帯などにつきましては、NHK放送だけを対象とする共同受信施設ならば、これを金額負担するようなことも将来はあり得るかと思います。
  17. 栗原俊夫

    栗原委員 いま言った共同アンテナ中継局置局との経費の見合いということから、経済的に一つの限界がある。そうしますと、そういう意味で置局でもってカバーできる最終的なカバレージというものは、どのくらいのものを見込んでおりますか。
  18. 田辺義敏

    田辺参考人 お答え申し上げます。  現在の第二次チャンネルプランが全部終わりますと、法定カバレージは九三%でございます。ところが実際は、法定電界強度をややはずれたところでもかなり良好に受信できるところも若干ございますので、おそらくこれを二、三%上回る程度の実質的なカバレージが得られるかと思っております。ただこれは第二次チャンネルプランでございまして、その後やはりまだ、第二次チャンネルプランに準ずるような、比較的世帯数の多いところを相当置局する必要があると思いますが、これによりまして少なくとも九五くらいは——その数はいま計算しておりませんが、九五を上回る数には置局で持っていきたい、あと共同受信との総合的な設置を考えていきたい、そう考えております。
  19. 栗原俊夫

    栗原委員 先ほどのお話によりますと、共同受信アンテナは単一なNHK受信アンテナだけでなくて、やはり見るほうの側の人たちNHK以外の波も受けたい、こういうことで、そうした共同受信アンテナを立てるというお話でありました。そこで三分の一の補助を大体しておるんだ、こういうことでありますが、それならば、理屈の上か脚いうと、NHKのものだけ受信すればいいんだ、こういう共同受信アンテナを要求した場合には、全額補助しますか。理論からいえば、当然そうならなければならぬはずだと思いますが、いかがですか。
  20. 田辺義敏

    田辺参考人 お答え申し上げます。  現在におきましては、番組の多様性に対します要求が非常に強いために、現実にそういうものはございませんが、将来の問題といたしましては、そういうふうなことも考えられるかと思っております。
  21. 栗原俊夫

    栗原委員 三分の一といいますが、他の波を受けられるのと組み合わせるわけですが、単一でつくった場合の経費と、こうして組み合わせてつくった場合の経費配分というものはどうなんですか。NHKだけ受けられるものをつくった場合には、総計の何%くらいかかるか、他のものを聞くためにはどれだけ付加すればいいか、こういう聴視のための受信施設経費の内訳ですね。まずNHK主体としてつくるのですよ。ほかのものを主体にしてNHKをくっつけたら、どうせNHKのほうが安くなるでしょうけれども、NHKだけつくるには幾らかかるか、それに他のものを付加すれば幾らかかるか、こういう経費配分ですね。
  22. 田辺義敏

    田辺参考人 お答え申し上げます。  その計算の非常に正確な数字をいまここに用意しておりませんが、実際に共同受信をやります場合には、まず山の上にアンテナを置きまして、アンテナのところに、増幅と申しますかアンプと申しますか、そういう電波を強くするような装置を入れます。それから部落なり町のほうに線を引っぱってきまして、そこに適当に加入者の数に応じまして、アンプを置いてきます。その実際の経費は、アンプが一番高価でございます。そのアンプは、NHKに対するものと商業放送——もし受けるといたしますと、その場合と全く同等のお金がかかります。たとえばNHK一つ商業放送二つというような場合でございますと、そのアンプに関しましては、三倍になってまいります。しかもそのアンプというものが、共同受信負担経費の中の一番主要な部分を占めるわけでございます。それでケース・バイ・ケースでいろいろございまして、そのアンプが幾つ要るかというようなことにも関係いたしますが、アンプが多いほど商業放送を受けるようにするためにかかる経費の増し方が多いかと思います。したがいまして、そのアンテナ部分、それから線でございます。共同受信をやりますために引っぱります線、これは、NHKだけの場合も、それから商業放送があってもなくても、ほとんど関係ないかと思います。  そこで最終的に何割かというような計算でございますが、ちょっと私ここに数字を持っておりませんのでございますが、まずアンプの占める経費か半分前後かと思いますが、それは商業放送の受ける数に比例する数だと思います。
  23. 栗原俊夫

    栗原委員 しろうとだから、なかなか愚問が多いわけですけれども、私は確かに、それは見聞きする人は、NHKばかりでなくしてその他の民間放送も聞きたい、これはよくわかるのです。しかし本来的に私の立論から言うと、NHKだけ聞ける設備にかかる部分は、これは全額NHK負担してもいいではないか。そのほかに民放の見聞きのほうを希望ならば、これに付加されるものは聴視者に持たしても当然だけれども、NHK本来の共同聴視にかかる経費というものは、それはNHKが持っていいではないか、それはしろうと考えで三分の一をはるかにこえるのではないか、こういうしろうと考えの中から、盛んに根掘り葉掘り聞いているわけなんです。だから、少しく民放も聞ける設備をつくるんだということに甘えて、NHが肩を少し軽くし過ぎておるのではないか、こういう私の見解なんですが、この辺いま少し技術的に説明していただきたい。
  24. 田辺義敏

    田辺参考人 ごもっともお話かと思います。そういうふうなお考えに対しまして、反駁する理由は全くございません。ただし、現在までに長年月、数年間にわたりまして、共同受信を一応やってまいりまして、まだ置局のほうにおきましてもどんどん進行中の段階でございますので、最終的に、先ほどお答え申し上げましたように、ほんとうに共同受信というものをもって置局にかえるというような時期がまいりました場合には、お説のようなことを十分勘案してやってまいりたいと思っております。
  25. 栗原俊夫

    栗原委員 大体話はわかりました。率直に言って、テレビは見たいものですから、おそらく共同アンテナを立てれば見られる場所は、補助がなくたってこれは実際はやるかもしれぬのです。だからほうっておいてもいいというものじゃなくて、やはり平等の原則に立って、同じ負担で見聞きできるようにしてやる、こういうたてまえでなければ、三十二条の聴取料を強制的にいただくというほうといささかおっつきにもなると思いますので、できるだけ早く見聞きできるような施設にしよう。本来ならば中継局でカバーする。カバーできないところは共同受信施設でカバーする。しかしその中で、NHKを聞くのに必要な施設NHK全額負担するんだ、という方向に進むべきだ、このように思う。それは三分の一よりいま少しこえるのだろう、こういうふうに思います。もしそうであるならば、その方向を漸次進めてもらう、そして最終的には、率直に言って、NHKが、おれのほうだけでなく民放も聞くのだからということではなくて、財政的に許すならば、そういう気の毒な地域に住んでいる人たちにも、民放を聞く施設も、でき得れば全額NHKでカバーしてやる、こういう方向へ進んでもらいたい、こう思いますが、御所見を、会長大臣に伺っておきたいと思います。
  26. 阿部真之助

    阿部参考人 これは将来の問題でございますが、いずれこの置局完成するような時期になりますれば、お説のように進みたいと存じております。
  27. 古池信三

    古池国務大臣 先ほど来の御意見は、私まことにごもっともな点が多々あると存じます。会長の答弁もございましたが、極力協会ともお話をしまして、御趣旨に沿うように努力したいと存じます。
  28. 栗原俊夫

    栗原委員 次に、少しく内容を変えてお伺いしますが、第七条はあまねく国内人たち受信できるようにすることを目的とする、こう書いてあるわけですが、問題は、聞こうと思えば聞けるように電波を出しておいて、これを届けさえすれば、それでもって目的が達せられるのかどうか、私はやはりそうじゃないと思うのです。ということは、どういうことを言うかといいますと、電波はきているけれども、どうも近ごろはNHKテレビはちっともおもしろくも何ともない、電波はきているのだけれども、スイッチを入れる気がしない、こういうことでは、電波を届けておいても、これで目的を達したということではないと思うのです。これに対する会長の所見をお伺いします。
  29. 阿部真之助

    阿部参考人 お説のとおりなんで、そのために、NHKはできるだけ良質な、しかも一般に受け入れられるような番組を放出するために努力しているわけであります。
  30. 栗原俊夫

    栗原委員 いまNHK聴視率、これは番組がいろいろありますから、一がいにNHKの視聴率といっても、単一には出せないと思いますけれども、まずNHK考える視聴率は平均してどのくらい、国民側がNHK放送を視聴することを希望するか、という一つの目標があろうかと思いますが、その目標はどのくらいか、そして現実に視聴しているのはどのくらいと把握し、推定しておるか、こういう点を、もし御調査ができておれば、お伺いいたしたいと思います。
  31. 春日由三

    ○春日参考人 非常にむずかしい御質問で、明確なお答えができないかとも思うのですが、希望といたしましては、あらゆるNHKの番組があらゆる階層に聞かれることが最も望ましいということは、われわれプログラムをつくっている人間の心意気と申しますか、考え方でございますけれども、現実には、番組の性質によってかなり差がございます。たとえば学校放送などの場合には、学校自体がどう利用しておるかということ、それから一般の聴視率の調査をした場合は〇・一とか、そういうものが出てまいります。必ずしも本来の目的に徴しても合致していない。娯楽番組の場合には、最高のものは五〇・三%ぐらいのものが最近出ております。娯楽番組の場合には、平均二〇%以上というものが、毎晩のゴールデン・アワーに出てくる聴視率の平均的なもの、こういうように考えられます。
  32. 栗原俊夫

    栗原委員 少なくとも公共放送として全国あまねく受信できるように、受信できるようにということは、聞かせるように、こういうことだろうと思うのです。したがって、最も極論をすれば、各番組を一〇〇%聞かせるような放送が一番のねらいだろうと思うのです。しかし実はそうなると、一方民放のほうは一体どうなるのだという問題とおっつきになってくると思うのですよ。ここでやはり番組問題というものが非常にいろいろと論議になってくるだろうと思うのですけれども、公共放送であるNHKの、少なくとも第一放送と、そしてまた総合テレビというものは、大体どのぐらいの視聴率をもって、当面その、適正というとことばはおかしいですけれども、ねらいとするか、大臣どんな御感想を持っておられますか。これはなかなか重大な発言ですから、気をつけて発言してください。あとから民放からめちゃくちゃにされる危険性がありますからね。
  33. 古池信三

    古池国務大臣 御指摘のとおり、まことにこれはむずかしい問題だと存じます。要するに、日本放送協会は、法律におきましても、非常に多様の規定がございまするし、設立の本来の趣旨から申しましても、あまねく国民受信できるようにすると同時に、その内容もきわめて公共的な構成内容でなければならぬということになっておるわけでございます。したがって、その放送の内容によって、あるいは教養の面にしましても、あるいはまた娯楽的な面にしましても、あくまで適正な限度を逸脱しないようにして、しかもなお多くの国民に視聴してもらう、こういうふうな性格でございまするから、なかなかその運営には苦心が要ることであろうと存じます。そこで、しからば何%くらいがいいかということは、ちょっと断定しかねるのでありますが、いろいろと聴視者の意見もとっておられるようでありますから、それらも参考にして、おそらく最も適当なる線において、番組を編成しておられるだろう、こう私は考えております。
  34. 栗原俊夫

    栗原委員 日本の放送で、視聴料を取っておるのはNHKだけで、三十二条で規定しているわけですが、少なくとも視聴料を取っておりますのは、これはあれを見てもらうということが前提で初めてこういうものがあるので、電波を送っているから視聴料を取るのではなしに、見てもらうからということがおそらく前提になると思いますが、そういう意味では、やはり非常に内容的に公正を保ちつつ、見聞ききせねばならないという内容を盛らなければならぬ。ところが、そういうことで、特にニュースとかそういうものは、これは別でございますけれども、娯楽番組などで、徹低的にこれを国民全部に見せるのだという意欲に燃えて、しっかりと金をかけ、ほんとうに飛びつくようなものをつくると、一方からは、あれはえらいこっちゃ、おれたちのゴールデン・アワーを食いつぶす、というようなことで、商業放送のほうから文句が出てくる、こういうことで、これはたいへんなようですが、この辺はもちろん郵政当局から何を言うという筋合いのものではなくて、番組は郵政当局の圏外の問題でありますから、これはNHKの当局の方々に、ひとつその辺を十分御考慮願って、経営していただきたいと思います。  そこで財政を構成する視聴料の問題ですが、この三十二条によると、受信できる機械契約を結ぶ、こういうことになっているわけなのですが、これは一世帯で一台というのは、どこかで取りきめてあるわけなんですか。
  35. 小野吉郎

    ○小野参考人 法律に基づきまして、受信料をいただきます規準になります契約をつくっておりまして、その受信契約の中に、そのような方針をうたってございます。
  36. 栗原俊夫

    栗原委員 そうすると、一世帯というものの基準等が詳しくいろいろと取りきめてあるわけですか。
  37. 小野吉郎

    ○小野参考人 いわゆる通常の観念で申します世帯構成のそれを世帯といいまして、その一世帯一台というように取りきめてあるわけでございます。
  38. 栗原俊夫

    栗原委員 先般、当委員会で、阿部会長から、ラジオのいわゆる乙契約の廃止をするかどうかという論議のさなかに、ラジオの今後の展望について、あと四、五年たてばというような発言があったと思いますが、ラジオの今後の展望について、NHK会長として、どのような展望をお持ちになっておるか、あらためてお伺いいたしたいと思います。
  39. 阿部真之助

    阿部参考人 この前も概略申し上げたつもりでございますが、毎年七十万、八十万のラジオの減少を見ている。そのうちの大部分は、テレビのほうに移行しているわけでありますが、いまのような形勢が続くならば、ここ数年後にはもうきわめてわずかしか残らない、こういう場合において、これを乙契約という一つの項目を立てて、非常に費用をかけて、聴取料をもらっていても、かえって手数ばかりかかって、業務が複雑になるというようなことで、そういう場合が起こったら、これは自然消滅するか、その場合には、乙料金は徴収しないでやるかということは、もうかねがね考えているわけでありまして、これはいつそれに踏み切るかということはまだ決断がついておりませんが、いずれはそういうことがくるだろうということは考えております。
  40. 栗原俊夫

    栗原委員 ただいま阿部会長から、ラジオの将来の展望について一つの所見を伺ったわけですが、大臣は、ラジオの先行きについて、どのようなお考えを持っておられますか。
  41. 古池信三

    古池国務大臣 私も、阿部会長と大体同様に、それらのことを考えております。
  42. 栗原俊夫

    栗原委員 中波のラジオFMがいま問題になっているわけですが、FMについてもそのような考え方の上に立っておりますか。FMはまた別個の考え方でいるわけですか。
  43. 古池信三

    古池国務大臣 FMは全く新しい種類の音声放送でございますので、FMを聞きたいという方々の層も相当変わってくるのではないかと思います。したがって、FMの将来につきましては、その制度のあり方いかんにもよりますけれども、ただいまのラジオとは多少異なった見地から考えてもいいのではないか、かように考えております。
  44. 栗原俊夫

    栗原委員 FMラジオであることには間違いございませんね。
  45. 古池信三

    古池国務大臣 そのとおりでございます。
  46. 栗原俊夫

    栗原委員 これは郵政当局でもNHKのほうでもよろしゅうございますが、最近のラジオの年間の製造高の推移と、そして国内で民間の手に渡ったと推定されるラジオの数の推移、こういうものについて、もしわかっておればお知らせいただきたい。
  47. 田辺義敏

    田辺参考人 お答え申し上げます。ラジオ受信機全体の生産、並びにトランジスターと申しますか、携帯用のものの生産、在庫、輸出あるいは国内向けに関する工業会の調査がございますので、その数を申し上げます。  非常にこまかい数字は省略させていただきまして、大体の数を申し上げますと、三十六年度について申し上げますと、これはFMは別でございますが、トランジスターを含めたあらゆるラジオですが、それが千四百二十五万台そのうち国内が五百二十二万九千台、輸出が八百七十四万九千台、合わせて、先ほど申し上げました数になるわけであります。その中で、今度は携帯用と申しますか、トランジスターだけの生産台数が一千一万九千台、その中で国内向けのものが二百七十三万二千台、輸出向けが七百二十二万六千台、いま申し上げましたのは……。
  48. 栗原俊夫

    栗原委員 トランジスターもラジオですから、それを含めたラジオが幾台生産されて、国内へ幾台はかれているかということだけでけっこうです。私はこれから国内のことについて議論しようと思っているのですから……。
  49. 田辺義敏

    田辺参考人 それではトランジスターも含めて、すえ置き型のほうのラジオも含めて申し上げます。生産台数が先ほど三十六年は千四百二十五万九千と申し上げましたが、そのうち国内向きが五百二十二万九千。それから三十七年、次の年でございますが、これは大体同じであります。生産台数が千四百八十一万七千、そのうち国内向きに売りましたものが四百七十六万五ございます。三十八年につきましては、十一月末までの——一カ月少のうございますが、生産台数が、総台数が千五百四十四万九千でございます。そのうち国内向きに出ましたのが四百三十五万五千でございます。輸出向きと在庫を引いた数でございます。その中でいわゆるポータブルのものは、大まかに申しまして、大体その三分の二ぐらいかと思います。
  50. 栗原俊夫

    栗原委員 ポータブル、ポータブルを盛んに言っておるから、ポータブルは徴収はしてないのだろうというような感じを受けるのですが、ポータブルからは聴取料をとらないという何か取りきめがあるのですか。
  51. 小野吉郎

    ○小野参考人 取りきめといたしましては、一切のラジオを含んでおります。現在はラジオの聴取の実態が、一世帯世帯料金を徴収いたしておりますが、大体におきまして複数に持っておりまして、各人別に聴取をいたす、こういうのが大体の聴取の実態でございます。また、家庭の内部においてだけでなしに、これを外に持ち出して聞くというような態様になっております。そういうような状況で見まして、どの種類のものでありましても、一世帯に対して一台、その一台が携帯用のものしか持っておらないというような場合には、料金の対象になるわけでございます。
  52. 栗原俊夫

    栗原委員 先ほどちょっとお伺いした徴収の基準ということなんですが、法律的には、三十二条とその基準はどういう関係で成り立っておるのですか。
  53. 小野吉郎

    ○小野参考人 法律の上におきましては、世帯単位とかどうとかいうような制約はございません。これを実施いたします場合には、台数別に徴収するということも可能でございます。ただ、諸外国の例を見ましても、おおよそ——これは相談をいたしたわけではございませんが、軌を一にして、世帯ごとに徴収をいたしておるというのが現在の各国の実情でございます。そういうので、わが国におきましても、古くから、と申しますのは、放送を開始いたしました当初から、世帯別の料金徴収制度をしいておるわけでございます。
  54. 栗原俊夫

    栗原委員 そうしますと、ある程度数はふえていっても、実際においては、徴収できる世帯数は減っていく傾向なのだ、こういうことでございますか。
  55. 小野吉郎

    ○小野参考人 これは傾向といたしましてはふえております。と申しますのは、ラジオ受信者は、契約乙の受信者ばかりでなしに、甲の契約者はほとんどラジオ受信者と見ていいわけでございますので、ラジオ受信者といたしましては甲プラス乙、この数が聴取者だ、このように考えておりますので、この数は年々増加をいたしつつございます。
  56. 栗原俊夫

    栗原委員 先ほど会長あるいは大臣からお聞きしたラジオの今後の見通しの中で、ラジオの聴取がだんだん減っていくというその考え方は、ラジオを聞く実態が減っていくということばかりでなくて、ラジオだけを聞く世帯が減っていく、こういう立場のお考え方なんですか。ここのところはちょっと私自身も混信しているような感じなので、いま一度明らかにしていただきたい。
  57. 阿部真之助

    阿部参考人 そのとおりでございます。
  58. 栗原俊夫

    栗原委員 実はそうでないと、いまラジオ単営会社というのがあるのであって、ラジオ単営の民放が、ラジオの先行きが、四、五年たつとどうもラジオの数が減っちゃってということになると、破産のうき目におちいる以外には道がないと思ったのですが、この際ですから、ラジオの展望をいま一度明らかにしてもらうと同時に、ラジオ単営会社の先行きについて、これはひとつ大臣の見解をお伺いいたします。
  59. 古池信三

    古池国務大臣 先ほど申し上げましたのは、阿部会長と同様に、ラジオ家庭はだんだん少なくなっていく、こういうことを申し上げたわけです。  しからばラジオだけやっておる会社の先行きはどうかということになりますると、これはなかなかむずかしい問題でございまして、テレビがどんどん最近ふえていきまする状態と照らし合わせまして、ラジオ単独の会社の将来というものは検討を要するのではなかろうか、というふうにも考えております。
  60. 栗原俊夫

    栗原委員 これは検討でなくて、御所見を承っておるのです。これはあらかじめ御注意申し上げますが、なかなか重大なのですよ。その見解が、今後の先行きのいろいろな問題と関連してくるのですからね。ラジオ界の前途とラジオ単営会社の前途について、検討よりもある程度御所見を持ってしかるべきだと思うのです。その御所見を承りたい。
  61. 古池信三

    古池国務大臣 まあ大体見当はおつけになっておると思いますが、なかなかこれはむずかしい問題でございます。しかし、単営会社が存在している以上は、やはりわれわれも、いろいろ指導すべきところは指導をし、育成していくということを考えていかなくちゃなるまいと思っておりますが、将来の全体の放送体系の問題とも関連してまいることでありまするから、私はここで断定的に申し上げることはちょっと困難かと存じます。
  62. 栗原俊夫

    栗原委員 いまある程度その見通しがついておらぬと、Uの問題の解決もFMの解決等もつかぬと思うのですよ。十一月にはもちろんそれは答申を待って結論をつけるというけれども、諮問の原案はおそらく郵政大臣がおつくりになるだろうと思うので、その原案を作成する根拠は、そうした展望が基礎になって、少なくとも諮問の原案の骨づくりができると思うので、これはいま少しく、ときにはどろをかぶることがあるかもしれないが、その所信を言ってくださいよ。それがわからなければ話になりません。
  63. 古池信三

    古池国務大臣 なかなかラジオ単営会社の将来は、相当困難な道であろうとは存じます。
  64. 栗原俊夫

    栗原委員 少しく話を、今度はほかへ問題を移しまして、先般森山委員質問にこたえて、資料をいただきました。NHKサービスセンター、NHK美術センター、日本放送出版協会、こういう三つの団体の資料をいただいたわけですが、この仕事の内容は、日本放送出版協会がこれは出版事務を扱っておるのですが、日本放送出版協会に発注をするのはNHK関係では、NHKサービスセンターが発注するのですか。これはどうなんですか。
  65. 赤城正武

    ○赤城参考人 NHKからサービスセンターに注文を出して、サービスセンターが出版協会に出版頒布の発注をする、そういう形になっております。
  66. 栗原俊夫

    栗原委員 テキストとかNHK関係したいろいろなものは、NHKが企画して、NHKサービスセンターに発注する、そうすると、NHKサービスセンターは、具体的な印刷行為を日本放送出版協会へ発注する、こういう段取りですか。
  67. 赤城正武

    ○赤城参考人 テキストに関する限りは、その形をとっております。
  68. 栗原俊夫

    栗原委員 そこで、なぜこういうことを聞くかというと、放送出版協会の内容を見ると、これはなかなかりっぱな会社なんですな。資本金一千八百万円で、一年の利益が五千一百万円、当期利益金というのだから、これは一年決算ですか、もう内容がなかなか豊かなんですが、この出版協会の仕事の分量は、NHK関係以外とNHK関係のものとの比率はどのくらいになっておるわけですか。この出版協会の事業内容ですね。
  69. 赤城正武

    ○赤城参考人 実はNHK関係の仕事とほかの仕事との割合は資料がございませんので、いま判明いたしかねます。
  70. 栗原俊夫

    栗原委員 じゃ、わかるまで委員長休みましょう。至急調べてください。
  71. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 大体わかるだろう。概算でいいです。
  72. 赤城正武

    ○赤城参考人 テキストの発行分のうち、NHKが買い上げておるのが三千三百三十四万円でございまして、その限りにおいては、それだけ出版協会に支払いをしておるという状況でございます。
  73. 栗原俊夫

    栗原委員 ということは、NHKNHKでもって放送はしているのだ、これに関するテキストというのは、NHKとは別の団体である会社、あるいは出版協会あるいはサービスセンターというものが、これは売れるだろうというようなことで、独自の責任において、独自の危険負担において出版してやっておって、たまたま非常にもうかっているのだということなんですか、これはどうですか。
  74. 赤城正武

    ○赤城参考人 もうかっておるかどうかはまあ別問題としまして、前段においておっしゃったとおりに、サービスセンター、出版協会の危険負担でやるということになっております。
  75. 栗原俊夫

    栗原委員 そうすると、たまたまNHKに何か関係が深いように外から見ると見えるけれども、実際は関係がなくて、NHKとこの出版協会とは無縁であるということなんですか。
  76. 赤城正武

    ○赤城参考人 まあ完全に無縁とは言い切れないと思いますが、そのテキストの出版をやっているという関係においては、縁があるわけです。
  77. 森本靖

    ○森本委員 ちょっと関連。これはテキストだけではない。損益計算書を見た場合に、六億三千四百六十三万三千九百九十七円という売り上げ高になっておるわけです。だからこの売り上げ高の中におけるNHK分が大体どの程度あって、NHK以外のものがどれだけあるかということがはっきりすれば、NHKとこの出版協会との関係が明らかになってくるわけだ。それを先ほど来栗原氏が聞いておる。だから、テキストが六億三千万円のうちの三千万円なんてばかなことがありますか。六億三千万円のこの売り上げ高のうち、NHK自体に関係のあるものはどの程度か、一般の出版はどの程度か、ということを聞いているわけです。
  78. 赤城正武

    ○赤城参考人 NHKの買い上げている部分を先ほど申し上げたので、その他売り上げている部分は一般が買っているので、NHKとは関係がないというふうに考えたわけであります。
  79. 森本靖

    ○森本委員 そうすると、この六億三千万円のうち、三千万円程度だけしかNHKとは関係がない、あとの六億円は一切NHKとは関係がない、こういうことですか。テキストだけじゃないと思うのです。その他の出版物に、いろいろNHKが出しておるものがあるはずでしょう。六億三千万円のうちで三千万円だけしかNHKとは関係がない、こういう会社が立っていくとは私は思わない。しかも、この後の常勤役員名簿で、取締役社長以下は、ほとんどこれはNHK関係のあった人ばかりですよ。それだったら、普通の会社、出版協会をこしらえて、わしらがやってもぼろもうけをするわけだ。
  80. 赤城正武

    ○赤城参考人 その他、NHKの特派員報告とか、いろいろああいうものの出版をやっております。これはテキストの関係と全然違いまして、われわれがタッチしておりません。これは個人なり何なりが出版協会と話し合って出版をやっていることでございまして、テキストに関する限りは、NHK放送テキストでございますから、われわれが関係している、そういうふうに申し上げたわけでございます。
  81. 森本靖

    ○森本委員 だから、私の聞いておるのは、この六億三千万円の売り上げ高の中において、NHKとの関係の売り上げ高がどの程度あって、一般の出版の売り上げ高がどの程度かということがはっきりすれば、おのずからこの会社の性格がはっきりしてくる。あなた、テキスト、テキストと言っておるけれども、NHKとして出版するのはテキストだけじゃないでしょう。
  82. 志賀正信

    志賀参考人 お答えいたします。  NHKが買い上げておりますものは三千三百万円でありますが、これはNHKが無料で配付したり、それから局内で使用したりしておるものでございます。  それから、売り上げ高につきましては、いま実は正確な資料を持っておりませんので、たいへん失礼でございますが、おおよそ想定をいたしましたところでは、八〇%がテキストの売り上げでございます。そのほかいろいろな出版もあわせてやっておりますので、そのほうは大体二〇%程度かと思います。
  83. 栗原俊夫

    栗原委員 ここのところはたいへんむずかしいところだと思いますが、大体六億三千万円の水揚げのうち八〇%がNHKのテキストである、しかしこれはNHKが発注してつくるのではなくて、たまたまNHKでいろいろな教育放送等をやる、それを受けて、出版協会が売れるなという見込みをつけて、出版をしたところが、なかなかよく売れて、その結果は、千八百万円の会社が一期で五千一百万円も利益を上げておる、こういうことなんですか。
  84. 前田義徳

    ○前田参考人 そのとおりでございます。
  85. 栗原俊夫

    栗原委員 もちろん、NHKはそのうちわずか三千三百万円しか買っておりませんから、年間八百億も使うNHKにとっては、微々たる支出になるに相違ありませんが、一千八百万円の会社で六億の水揚げをし、しかもその中で五千万円も一期で利益を上げるということは、言い方を変えれば、そのテキストの単価というものに問題は落ちてくると思うのです。NHKで買うのはわずか三千三百万円だ、あとは一般民間に個々に売るのだから、NHKでは知ったことではない、わがほうでは、わずか三千三百万円だから買って、しかも無料で聴視者に奉仕するのだ、そういうことだから、これも大したことはないのだ、こういうことですか。NHKが三千三百万円でも買うというときに、やはりそのテキストの単価というものに重大な問題が起きてくると私は思うのです。千八百万円の会社が一年で五千一百万円ももうけるような、主体をなすテキストの単価というものについて、何らNHKは疑問を感じませんか。
  86. 前田義徳

    ○前田参考人 NHKが番組の普及のために必要だと考えておりますテキストの単価については、これは株式会社でございますので、命令をするわけには参りませんが、事実上指導はいたしております。
  87. 栗原俊夫

    栗原委員 事実上指導するのは、その単価はきわめて適正であるという指導ですか。
  88. 前田義徳

    ○前田参考人 発行部数その他社会の要望から見て、引き下げ得るものは引き下げるように、それからまた引き下げない場合であっても、内容、製本その他をよくするように、いろいろな意味の、ケースバイ・ケースで、事実上の指導はいたしております。
  89. 栗原俊夫

    栗原委員 そうした価格適正の指導をして、なおかつこんな利益が出るというのは、そういう適正というのはちょっとわれわれには想像がつきませんが、どうなんですか。
  90. 前田義徳

    ○前田参考人 私どもも、直接この出版協会を経営しているわけではございませんが、私どもの方針といたしましては、先ほど赤城専務がお答えしましたように、テキストにつきましては、放送と一体の関係にあって、これに責任を持たなければならない立場にあるわけでございます。その意味で、編集、発行については、営利会社である株式会社日本放送出版協会には直接委託しないわけでございます。そういう意味での番組の普及並びに事業関係について それを目標としてつくられました財団法人NHKサービスセンターにこれを委託するという形をとって、そして実際上の発行と販売を、サービスセンターが出版協会に注文しているわけでございますが、根本的には、ただいままで御説明申し上げましたように、ある種のテキストで発行部数が非常に大きくなり、利潤がかなりあるという報告を受けたものにつきましては、その定価の引き下げをまず主題といたしまして、事実上の指導をいたしております。したがって、テキストにつきましては、特に学校放送のテキストにつきましては、大体、その他の同種類の他社の発行物と比べて、かなり格安になっているものと確信いたしております。ただ、たとえば特派員の報告のごとく、出版会社が自発的に個人の原稿を求めて発行しているものなどにつきましては、これは出版界の実情からうかがいますと、大体いずれもベストセラーでございまして、これらの利潤がかなり大きいものと予想されます。これに反しまして、テキスト関係につきましては、マイナスのものであっても、放送番組の普及のために必要なものについては、これを行政指導をして発行するようにいたしており、その部分について、ある程度買い上げということも考えられるわけでございまして、たとえば赤城専務がお答えした三千二百万余りのテキストの買い上げは、これは学校放送に関するものでありまして、無料提供を目的として、NHKがおおむね原価に近い金でこれを買い取っているというのが実情でございます。
  91. 栗原俊夫

    栗原委員 どうもなかなかすっきりしませんが、ここ二、三年来の各期の利益金を、わかっておったら、三十六年度あたりからちょっと並べてみてください。
  92. 野村忠夫

    ○野村参考人 NHKの経営第一部は外部団体との連絡の窓口になっているので、この点からお答え申し上げます。  年度を追ってまいりますと、三十三年度は利益金は千六百七十万、三十四年度は千八百八十六万でございます。三十五年度は千三百五十四万でございます。三十六年度は四千二百五十七万でございます。三十七年度は五千百三十万でございます。
  93. 栗原俊夫

    栗原委員 この会社では、ただいま前田副会長からいろいろとるる説明があったのでありますが、教育のようなものは原価でもって分ける、聞いてみると、出版協会が販売する値がそうかと思うと、必ずしもそうではなくて、買い上げたものは無料あるいは原価に近いもので頒布すると、こういうことなんですが、大体水揚げの八〇%がテキストであるということになると、買い上げたもの、そして買い上げざる、直にその他の方法で頒布するもの、こういうものではあまり利益があがらぬので、それが大体総水揚げの八〇%だが、ほんとうにもうかっておるのは、その残りの二〇%の部門で大きな利益をあげておる、こういう営業内容になっておるのですか。どうもばかにNHK外の会社について、あまり根掘り葉掘り聞いて申しわけないのでありますが、関係があるので、ちょっと聞いておりますけれども……。
  94. 前田義徳

    ○前田参考人 私どもが買い上げをいたしておりますのは、主計部長が答えた約八〇%のテキストのうちの一部でございます。ただいま野村部長から御説明申し上げましたように、ここ二年ほど非常な業績をあげましたのは、おそらく企業努力にも関係があるのではないかと考えております。指導方針といたしましては、先ほどから申し上げたとおりでございます。
  95. 栗原俊夫

    栗原委員 このようなテキストが八〇%もある、このテキストを買う人は、おそらくラジオあるいはテレビ視聴者、こういう人が利用するのだと思いますけれども、これだけ利益のあがるものを、もうこれはNHKとは直接関係がない、株式会社日本放送出版協会がやっておるのだ、こういうたてまえでございますが、そういうことならば、今度は逆に言って、これだけ利益のあがるようなものを、NHKで直営でやればもっと安く聴視者にサービスができる、こういうことに当然なろうかと思いますけれども、それをおやりなさいと言ったらできますか。
  96. 前田義徳

    ○前田参考人 昭和二十五年に放送法ができた当時の環境におきましては、NHKが直接出版業務をいたすことについて、かなり各方面の考え方が批判的でございました。その結果といたしまして、先ほど来御説明申し上げたNHKサービスセンターという財団法人が設立されて、NNKの補助業務は、当時のただいま申し上げましたような環境と、経営の健全化から、これを委託することのほうがより合理的である、という考え方にまとまったわけでございます。その後約四回と記憶しておりますが、昭和二十五年の放送法の小改正と関連しまして、NHKが直接これをやってもいいんだということがはっきりされたことは、私どもも承知いたしております。しかしながら、従来の関係から考えまして、これを直ちにやることについては、私どもといたしましては、まだ多少の実際上の問題を考えております。その一つは、まず昭和三十三年以来今回で二回目の長期計画を行ないまして、将来のNHKの業務の発展の量と方向を考えまして、本来業務をまず合理化することが先決問題であるという考え方に立ちまして、皆さまの御支援をいただいて、ここ数年にわたって、いま御審議いただくのも、第二次六カ年計画の第三年度としての予算の御審議をいただいているわけでございますが、このような段階において、すでに自発的に、あるいはまた当時の環境から、でぎ上がったすべてのものを一挙に解消するということも、これは度胸がないかもしれませんけれども、率直に申しまして、社会的な問題もございますので、ただいま申し上げるような傾向をたどったわけでございます。しかしながら、NHK出版協会が主としてNHKのテキストの発行を目標としておるという点におきましては、この利益をきでるだけ聴視者に環元する方向に指導することが適当であると考えまして、いろいろそういう意味での協力をかねての出版協会との関係の是正につとめているわけでございまして、ただ御期待のような結果がいま直ちに出ていないことは、はなはだ私ども遺憾と考えておりますが、できるだけ御趣旨の方向に指導してまいりたいという考え方でございます。
  97. 栗原俊夫

    栗原委員 いずれにいたしましても、資本が千八百万の会社が、三十三年から一年に千六百七十万、千八百八十六万、千三百五十四万、四千二百五十七万、三十七年に至っては五千百三十万、ちょっと人が悪いようですけれども、この利益金をどういうぐあいに分配しているのですか。
  98. 野村忠夫

    ○野村参考人 三十七年度の決算による利益金処分は、その大半の四二%が税金であります。それから三六%が内部保留にしております。それを除きますと、社外流出を少なく押えておりますので、いわゆる株主の配当等については非常に低く押えております。
  99. 栗原俊夫

    栗原委員 幾らですか。
  100. 野村忠夫

    ○野村参考人 一割二分でございます。  関連いたしまして、出版会社の通例から申しまして、出版協会が不当に高い利益をあげているかどうかという論点でございますが、私どもとしては、日本勧業銀行が代表的な出版会社十社を三十七年度で調べておりますが、その売り上げ高総利益率は四一・九%が各社の平均でございますが、出版協会は三五・九%でございます。御承知のとおり、出版そのものの事業は景気変動を非常に受けますので、できるだけ内部保留につとめ、外部資金にたよらないような堅実な経営方針をとっております。それから昨年度及び三十七年度に急激に利益金を計上してまいりました関係は、先ほど副会長から申し上げました経営努力と、プラス、オリンピックを控えまして英語会話が意外に伸びまして、そういった客観情勢が幸いして、かような大きな利益が出てきたものと考えます。したがいまして、このような利益金の処分については、先生のお説のとおり、テキストの価格の引き下げという方向で、目下、出版協会の幹部といろいろと話し合っている段階でございます。
  101. 森本靖

    ○森本委員 ちょっと。もう一ぺん数字で言ってくれませんか。大体当期利益金というものは、どこの会社でも、税金、それから社内留保、さらに役員報酬、配当、こういうことになっておると思います。だからいまのパーセンテージでなしに、この五千百三十万円というものの処理の内訳を、金額でちょっと言ってくれませんか。
  102. 野村忠夫

    ○野村参考人 利益金処分額、三十七年度は五千七百十四万六千円でございまして、このうち、内部保留としまして二千百万円、社外配分といたしまして六百二十九万円、納税積み立て金としまして二千四百万円、次期繰り越し金としまして五百八十五万円でございます。ただいまお尋ねの内部保留及び社外配分のさらに内訳を申し上げますと、内部保留の二千百万円のうち、利益準備金三百万円、任意積み立て金千八百万円でございます。また社外配分の六百二十九万円のうち、役員賞与金は四百八十五万円、配当金は百四十四万円でございます。  以上でございます。
  103. 栗原俊夫

    栗原委員 社内保留で諸積み立て金の累計は何ぼになっていますか。
  104. 野村忠夫

    ○野村参考人 お手元に差し上げました資料のうちの七ページに、三十七年度の社内保留に当たる分が記載されておるわけでありますが、累計はただいまちょっと手元に書類がありませんので、後刻調べました上で、お手元にお届けいたします。
  105. 栗原俊夫

    栗原委員 これは大臣にお伺いするのですが、公共放送NHKの関連したテキスト、これは外郭団体という立場の日本放送出版協会というところで印刷されておる。私らの考え方から言えば、いろいろ景気変動に備えて社内保留ということもけっこうなんですが、いまお聞きのとおり、千八百万円の会社が毎年資本ないし資本以上の、あるいは資本の数倍の利益があがる。こういうことで、私らの考え方は、経営形態はこれでいいと思うのですよ、しかし、こういうことならば、やはりテキストを安くして、視聴者にサービスすべきである、こう考えます。それができぬというならば、これはもうNHKに直営させるべきだと私は思う。御感想はいかがですか。
  106. 古池信三

    古池国務大臣 御趣旨はそのとおりだと存じます。
  107. 栗原俊夫

    栗原委員 それでは、以上で終わります。
  108. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 午後一時より再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後零時二十分休憩      ————◇—————    午後一時二十四分開議
  109. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 休憩前に引き続き、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件について質疑を続行いたします。森本靖君。
  110. 森本靖

    ○森本委員 同僚委員のほうから、それぞれにわたってずっと相当の質問が行なわれておりますので、私は、重複を避けまして、要点のみを質問申し上げたいと思いますので、答弁をするほうも要領よく御答弁を願いたいと思うわけであります。  そこで、一番最初に私がお聞きしたいと思いますことは、三月四日にわれわれの手元にいただきましたこの資料に基づきまして見てまいりますと、この中の三ページの「昭和三十九年度ラジオFMテレビジョン置局計画」につきまして、前から問題になっておりましたところの、要するに関東の県域放送と中部の県域放送の、いわゆる中波放送の分がここでFM放送に変わって出てきておるわけであります。ところが、前年度計画については、まだこれが行なわれておりませんので、おそらく前年度予算総則の第五条によりまして、中波放送の県域放送については、この予算を繰り越すということになろうと思うのであります。  そこで、まずNHKにお聞きしておきたいと思いますことは、昨年度のこの県域放送の中波放送の問題については、まだ解決がついておりません。これは昨年度予算審議するときにも私のほうから強力に言ってあったわけですけれども、いまだに解決がついておりません。そこで、NHKにまず最初にお聞きしておきたいと思ますことは、その残りました残余の予算については、予算総則第五条によりまして、翌年度に繰り越すということになるのかどうか、その点を一つ聞いておきたい。こう思うわけであります。
  111. 小野吉郎

    ○小野参考人 お尋ねの点につきましては、三十八年度予算計画いたしましたものは、三十八年度中には諸般の事情でこれが建設に着手する段階に至っておりません。したがいまして、予算関係の総則の条項に従いまして、三十九年度に繰り越しになります。この繰り越し予算をもちまして、三十九年度に情勢が着手し得るようなことになれば、その繰り越し額をもって着工をいたしたい、こういうふうに考えております。
  112. 森本靖

    ○森本委員 その分は、結局この二億九千五百万円の、資料一ページによる予算額になるわけですね。
  113. 小野吉郎

    ○小野参考人 そのうち二億二千五百万円が該当のものでございます。
  114. 森本靖

    ○森本委員 そういたしますと、次の三ページにそれと同じものがFM放送置局計画として出てきているわけであります。そこで、これは何といたしましても、FM放送そのものについて、これ以外の局については、いままでの実情から実験放送として許可をするということは、おそらく郵政省としても異議はない、こう思うわけであります。ところが、いまの中波放送とダブっているところについては、これはかなり問題が出てくる。現に、かりにFM放送がこういうところの県域放送に、中波の大電力の周辺におけるFM放送をここにNHKがあげておりますように許可をするということになりますと、これは大都会のFM放送チャンネルプランそのものにも影響してくるわけでありまして、そういうことはとうていでき得ないと私は考えているわけであります。もしかりにそういうことをするとするならば、今後のFM放送の免許の割り当てについても、大きな影響を来たしてくると思うのであります。こういうことはもうはっきり言っておいたほうがよいと思いますが、私が勘ぐって言うならば、少なくともNHKとしては中波放送で申請をしておった。昨年の予算にはあがっておった。当委員会においては許可をするという方向で論ぜられた。ところが、それがちっとも許可にならぬ。そこで、それは予算総則によって繰り越した。それが許可にならぬならひとつFM放送でも許可してくれという、横に居直ったような形になっているのであります。だから、こういう点について郵政省とNHKの意見が明らかに食い違っているということが言えるわけであります。そういう点を国会という場において明確にするということが、本委員会の任務であろうというふうに考えておるわけでありまして、こういうふうな予算の出し方をせられるということは、私としては非常に残念でしかたがない。いま少し意見を統一して、きちんとした置局計画ができないものであるかということが考えられるわけでありますけれども、現実にこの三ページにありますところの県域放送FM放送については、私は、将来のFM放送チャンネルプランは、どう考えてみてもこれを置くということは大体不可能に近いのではないかというふうに考えるわけでありますが、その辺はどうですか、郵政省当局は。電波局長でいいです。
  115. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 ただいまの森本委員の御質問の趣旨、まことにそのとおりでございます。
  116. 森本靖

    ○森本委員 そういたしますと、今度はNHKのほうは、FM放送のこの県域放送についてはだめだということになれば、どうしても中波大電力の周辺局の建設については、予算総則の第五条によって繰り越すから、これをひとつ認めてもらいたいと、こういうことになると思うわけであります。これは私は当然のことであろうと思います。そこで、この点についてはいまにわかに決定がしがたいということはわかりますけれども、将来これがあとで出てまいりますところの超党派的な決議において、放送行政全般をにらみ合わしてのチャンネルプランをこしらえるという際には、やはりこのいわゆる予算総則の第五条において繰り越しをいたしましたところについては、これは当然その時期に許可をするような方向に検討をするのが、私は妥当ではないかというふうに考えるわけでありますが、大臣、その点はどうですか。
  117. 古池信三

    古池国務大臣 ただいま御質問の点でありますが、これについては、お話しのように、目下根本的な問題について検討いたしておるわけでございますが、今後ただいまの御趣旨、御意見の内容を十分頭に置いて、これを参考として研究を進めてまいりたい、かように存じます。
  118. 森本靖

    ○森本委員 参考でなしに、有力な意見として、その意を体して、ひとつ前進の方向において検討をするというふうに言い直してもらいたいのですが……。
  119. 古池信三

    古池国務大臣 そういう御趣旨のように検討いたします。
  120. 森本靖

    ○森本委員 それから、やはり置局問題でありますが、その次の四ページのほうであります。四ページの「テレビジョン放送局(総合・教育)新設候補地区」でありますが、これは委員長の選挙区の関係もありまして、委員長は言いにくいと思いますので、私がひとつ申し上げておきたいと思います。これは先ほども問題になっておりましたように、全国でいわゆるNHKテレビのローカルの親局がないのが、県庁所在地においては高松と佐賀の二つだけしか残っておりません。そこで、との二つについては、私はUの開発を行なう際に、親局として当然行なうべきであるというふうに考えておるわけでありますけれども、NHKはここに高松というのを持ってきておりますが、この点について、郵政当局としては、電波の免許という観点から、この高松と佐賀についてはどうお考えになっておるかちょっと聞いておきたい、こう思うわけであります。
  121. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 確かに先生の御指摘のように、高松と佐賀におきましては、現在県庁所在地でございますが、そういう局がございません。当然UHFの全体的な問題を考慮する場合におきまして、まず取り上げて考えなければならない問題だ、そういうふうに解釈しております。
  122. 森本靖

    ○森本委員 そういたしますと、このNHKがあげてきておりますところの高松については無理がない、これはUの親局として将来やはり許可しなければならぬということは大体考えられる、こういうことですね。
  123. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 いま何年度にいつごろどうするというふうなことは申し上げられませんけれども、先生の御趣旨のような方向で、UHF全体の問題として考えてまいりたいと思います。
  124. 森本靖

    ○森本委員 UHF全体の問題のときに考えるというのは、本年度の答申があってからすぐですから、これは三十九年度予算でありますから、そのときに当然考えられる、こういうことになってくるわけですね。
  125. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 そのときまでにUHFの全体の問題が解決すれば、当然先生のおっしゃるように考えていきたいと思います。
  126. 森本靖

    ○森本委員 解決するならばといっても、当然解決しなければならぬ問題である。だからNHKといえどもUの親局を置くということになってくるわけでしょう。
  127. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 UHF全体の問題につきましては、まずそれの免許方針というものをやはりきめていかなければならないと思います。したがいまして、その免許方針を考えて、それがきまりましたならば、それに従いまして個々の置局のことを考えていきたい。その免許方針を策定する場合におきまして、こういう事情があることを十分考えていきたいということであります。
  128. 森本靖

    ○森本委員 UHFの免許方針ということになりますけれども、県庁所在地でNHKの親局がないのはいま言った二局である。この二局においては将来総合テレビの親局を置きたいというお考えですか。
  129. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 UHFの全体の免許方針の中におきまして、特に何か差しつかえがあるというようなことがございますならば別でございますが、そうでないならば御趣旨のようにやりたいと思います。
  130. 森本靖

    ○森本委員 そういたしますと、二つの局については、将来親局としてNHKテレビ局を設置したいということは大体異論がない、こういうことですね。
  131. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 そのとおりでございます。
  132. 森本靖

    ○森本委員 当然これは両局ともUでなければ、現在のVでは出てこないでしょう。
  133. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 そのとおりでございます。
  134. 森本靖

    ○森本委員 いろいろ言っておりましたけれども、結論としてここで一つだけ明らかになったことは、県庁所在地のNHKのUの親局について、現在ないところの高松、佐賀については、これはUの親局として設置をしていきたい方針であるということは、ほぼ意見がここに開陳をせられた、こうなるわけでありますが、大臣、そう考えていいわけですか。
  135. 古池信三

    古池国務大臣 私としましては、率直に言いまして、今日地点別にどこを免許する、どこを免許しないということは、少し時期として早過ぎるじゃないか、こう考えます。しかし、お説のような点は十分考慮に入れて根本方針を立てていきたい、こう考えておりますから、御了承を願いたい。
  136. 森本靖

    ○森本委員 これは日本全国至るところにありましたなら、そのところどころをどうこう言うのは誤解がありますけれども、現在NHKの総合テレビで県庁所在地にテレビ局がないのは高松と佐賀と二つだけであります。幸い高松というのがここに出てきておりますから、それは認可をする方針であろうと言えば、認可をする方針でございますと局長が言われたので、認可をする方針でございましたならば、現在のVのチャンネルはないからUで許可をすることになるでございましょうと言えば、そのとおりでございます。こういう答弁がありましたから、重ねて念のためにいまの質疑応答はよろしゅうございますかということで、大臣に念を押しておるわけであります。
  137. 古池信三

    古池国務大臣 免許するとすれば、Vの波はないのですから、お説のようにUでなければならぬと思います。
  138. 森本靖

    ○森本委員 そういたしますと、Uの親局は、NHKテレビの総合局についてはこれを置くことがあり得るということが、ここで一つだけ明らかになったわけであります。今後のいわゆるUの親局の問題については、まだ民放その他については検討を要するけれども、ここで一つだけ明らかになったのは、この高松の場合であります。そこで、高松にかりにUのテレビ局を設置した場合に、具体的に現在これは金甲山でしたか、たしかそうだったと思いますが、そこから岡山の波がVで出ておるわけであります。そこで、総合テレビの場合でも、かりに高松でUのテレビを出すといたしましても、全国放送番組はUとVが重なって出てくるわけであります。たまたま高松のローカルだけを見る場合に、Uのほうにチャンネルを変えなければならぬ、こうなるわけであります。そこで問題は、Uの時間放送にするのか、全日放送にするのかという問題になってくるわけであります。しかし、かりに時間放送にいたしましても、一応の解決はつくわけでありますけれども、たとえば聴視者としては、あっ、これからローカルだからUのほうに切りかえよう、あっ、ただいまから全国放送になったからVに切りかえなければいかぬ、こういうことになってきて、時間放送にすれば非常にしちめんどうくさいことになるわけであります。ところが、たとえこの電波がある程度むだになっているように見えても、Uの全日放送を総合テレビにおいて行なうということになれば、聴視者のほうとしてはUだけによって、チャンネルの切りかえを行なう必要がない、こういうことになってくるわけであります。その場合に、こういう場合のUの問題については、一体全日放送にするのか、ローカル放送だけにするのかということが非常に注目されてくるわけでありますが、その辺はどうですか。
  139. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 その辺につきましては、現在なお十分検討してまいりたいという段階でございます。
  140. 森本靖

    ○森本委員 検討という答弁はまことに都合のいい答弁であって、そういう答弁では質問を進めるわけにはいかぬですよ。大体いまあなたが、しぶしぶしながらも、ようやくここはUの親局を認める方針を出された。一応大体その他のいわゆる総合的なチャンネルプランにおいては、かなり検討を要するということは私も認めます。しかし県庁所在地の高松においては総合テレビ局を置かなければならぬ、その場合にはUを置かなければならぬということまで出てきたら、そのあとの全日放送にするかローカル放送にするかぐらいのことを、検討しなければ答弁ができぬというのでは、これは電波局長も放送部長も、二人ともつとまらぬ。そこまで結論が出ておるならば、大体全日放送にするのか、時間放送にするのかということの一応の結論を郵政省としては持っておらなければ、香川県の県民がこの質疑応答を聞いておっても、やはりこれは国民の一人一人がわからぬですよ。私は香川県が選挙区ではございませんから関係はありませんけれども、放送行政全般から見ると、そういう問題についてはやはり明らかにしておかなければならぬ。検討中という答弁は、私はこういうときにはやめてもらいたいと思うのです。どちらが望ましいかということは、やはり考え方があると思うのです。
  141. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 おしかりを受けまして、まことに申しわけありません。率直に申しまして、やはりこれは全日放送という形で解決していくのが一番いいことだと思っております。
  142. 森本靖

    ○森本委員 初めからそう言えば時間が節約になっていいのですが、それでいいです。全日放送ということで一応いきたいということでありますから、私もけっこうだというふうに考えます。ひとつこの点についてはぜひそういう方向において進めてもらいたいと思うわけであります。  そこで、Uになった場合はコンバーターが要るわけでありますが、この前も質問がちょっとありましたけれども、現在これはどの程度で、将来大量生産すればどの程度になりますか。
  143. 田辺義敏

    田辺参考人 お答え申し上げます。  現在はコンバーターそのものは大体一万円前後しておると思います。将来私どもの目標といたしましては、いろいろ手を打っておりますが、五、六千円程度を目標にしておるわけです。
  144. 森本靖

    ○森本委員 五、六千円になった場合、一万円の場合、NHKとしてこれに対する助成というものはどの程度までいま考えておりますか。
  145. 田辺義敏

    田辺参考人 UHFの地区につきましてはいろいろな地区がございまして、一がいにどういうふうな援助をするということは非常に申し上げにくいのでございますが、地区によりましては一万円に対して二、三割程度の援助をする地区もあるかと思います。三割程度が最大です。
  146. 森本靖

    ○森本委員 中継所の波で、Uで民放で許可したところはいままでありませんか。
  147. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 ございます。
  148. 森本靖

    ○森本委員 そういうところで、民放が全部負担をして、見てやったというところはございませんか。郵政省は民放がやった具体的な例を調べておりますか。
  149. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 そのような例はないように記憶しております。
  150. 森本靖

    ○森本委員 それでは民放は全然援助しておりませんか。——調べてないのでしょう。調べてなかったら、調べておりません、こう言えばいいのです。わからぬことまで聞いておるわけではないんだ。わからぬなら、わからぬ、こう言えばいいのです。具体的に民放が援助しなければ、受信機の普及ができませんからスポンサーがつきません。現実には民放である程度の援助をしておるところはあるはずであります。そうでなければ、Uの中継所の波を現実に行なっても非常に困難であるという判断から、それを出しても将来採算のとれるというところは、中継所でも民放が積極的に援助しておるところがあるはずですが、もし調べてなくてわかりませんというなら、わかりませんでけっこうであります。
  151. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 先ほどの先生の御質問で、民放が先にUHFを出しておるかという御質問でございましたが、現在UHFにつきましては、民放だけが先に出してNHKがその地区に出してないというところはございません。したがいまして、当然一緒に、あるいはNHKが先になりますので、NHKのほうの助成が先だ、こういうことでございます。
  152. 森本靖

    ○森本委員 だから、私が聞いておるのは、その場合に民放が援助しておるのか、しておらないのかということを聞いておるのです。
  153. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 民放としては援助をしていないように聞いております。
  154. 森本靖

    ○森本委員 それはひとつよく調べてもらいたいと思います。あなたに恥をかかすような質問をしてもつまらないので、これはひとつ十分に調べてもらいたいと考えるわけですが、このUの場合、やはり受像機の普及については相当NHK当局も助成をし、場合によっては、中継所の場合には民放助成するという方針を現実にとると思います。そうでなければスポンサーはつきませんので、実際問題として商売にならないわけですから、当然出てくるわけです。しかし、何といたしましても、この主導権をとるのはやはりNHK——同時にNHK民放の波の出るところについては、NHKが主導権をとって助成をしていくという方針をとっていくのが、これは当然だというふうに考えますので、いまの二割、三割ということでありますけれども、いま少しこれを前進の方向でNHK当局としても御検討を願いたい、こう思うわけですが、どうですか。
  155. 田辺義敏

    田辺参考人 御趣旨の線でやりたいと思います。  なお、一言申し添えさせていただいてよろしければ、これはオール・チャンネル受信機につながる問題だと思います……。
  156. 森本靖

    ○森本委員 それはあと質問します。
  157. 田辺義敏

    田辺参考人 失礼しました。
  158. 森本靖

    ○森本委員 これは大臣に聞かなければ、NHKに聞いたところで何もならないわけです。私が一昨年アメリカにまいりましたときに、向こうの当局者と会って、当時ちょうど通過しましたときのオール・チャンネル法の内容についても、原文をもらってまいりまして、これを翻訳をして郵政省のほうにも出したのでありますが、おそらくこの一、二年の間に、日本でもこのオール・チャンネル法の——どういう形になるかは別であります。アメリカの法律と日本の法律とだいぶ違っておりますから、これがどういう形式になるかは別として、ここ一、二年の間にやはりアメリカのオール・チャンネル法に匹敵するような法律を一応制定をして、そうして経過期間を二年くらい置いて、あとで実行するような形を日本としてももうとらなければならない時期にきておるのではないかというふうに考えておるわけでありますが、大臣としてはこの点についてどうお考えですか。
  159. 古池信三

    古池国務大臣 アメリカのオール・チャンネル法のことも承知しておりますが、いまの段階においては日本としてはまだ早いのではないか。しかし将来はやはり考えなくてはならない時期がくるかもしれない、こう思っております。
  160. 森本靖

    ○森本委員 まだ早いと言われますけれども、Uの総合的なチャンネルプランができまして、それによるところの全国的な配置ができ上がった場合には、早いとは私は言えないと思います。だからそのUの総合的なチャンネルプランというものも、おそらくFM放送の総合的なチャンネルプランと一緒にやらなくてはならない。そこで、後ほどおそらく討論の際に出てまいりますけれども、これは単にUHFのいわゆるチャンネルプランだけではなしに、今後はたとえば現在の中波放送をどういうふうに持っていくべきか、あるいはFM放送をどう持っていくべきか、さらにまたUHFとVの波を総合的にどういうふうに使うべきかというふうに、放送政策の根本的な樹立を要する。その樹立もやはり早急に急いで行なわなければならない、こういう時期にきていると思うわけです。そうでなければ、これは昨年の当委員会で日本放送協会予算審議する際の附帯決議の中に、FM放送チャンネルプランを早期に実施をすることという附帯決議をつけたところが、時の大臣が、十分これを尊重いたしまして、今後一年間にこの附帯決議は実行に移すように努力いたします、こういう答弁をしておって、いまだにその緒に全然ついておらぬ。こういう形になっておりますから、考えようによっては時の大臣が国会を軽視しておると言われてもしかたがない。それに対して、FM放送チャンネルプランが実は国会において決議をされたけれども、こうこうこういう理由からまだできておりません、申しわけございませんという答弁もございません。そこで、昨年せっかく国会がああいう決議をしておるにもかかわらず、まだできておらぬということでありますから、もう一ぺん決議をして、ひとつ叱咤激励しようというふうに超党派的に考えております。そこで、私がいま言っておりますことは、Uの場合においても、おそらく一年以内には総合的なチャンネルプランをこしらえなければならぬということは、もう時期の問題ではないか。そうなってくると、次の通常国会あたりには、場合によったらオール・チャンネル法の法案そのものも出てこなければならぬ時期じゃないか、それから経過期間というものを二年ないし三年置けばちょうどいい時期ではないか、こういう見通しを私たちとしては持っているわけであります。だから、私は、大臣にここで確約せよとかなんとかいうことを言っておりませんけれども、郵政大臣として見識のある大臣であるとするならば、私がいま言ったくらいの見通しは大体持っておってしかるべきではないか。その具体的な細部の内容については、これは検討しなければわからぬけれども、私が言ったのは大綱でありますから、そういう大綱に日本の放送体系というものが進んでいくのではないか。その辺の大臣の御感想をひとつ聞いておきたい。御所見でけっこうであります。
  161. 古池信三

    古池国務大臣 ただいまるる御開陳になりました御意見は、私とほとんど考えを一にしております。FM、標準放送あるいはまたUHF、VHFともどもに、総合的な観点から大きな今後の放送関係の体系を築き上げていかなければならない今日の段階でありますから、たびたび申すようで恐縮でありますけれども、臨時放送関係法制調査会の答申を十分尊重しまして、そこにしっかりした方針を樹立いたしまして、その線に沿って具体的な免許も進めていきたいと考えております。したがって、いまのオール・チャンネル法の問題も、それとともどもに考えてまいりたいと存じております。いまの御意見、全く私同様に思います。
  162. 森本靖

    ○森本委員 一応それで大体方向というものが明らかになった。ただ、内容はこれから先検討していかなければならぬということになるわけであります。そこで、そういうふうな一方における計画とからみまして、全国的なカラー放送網のいわゆる設置の問題でありますが、これはこの間電気通信監理官から話がありまして、四十年度以降というお話がございましたけれども、具体的に四十年度以降どういう高規格のマイクロウェーブの計画を持っておられるのか、これはひとつ電電公社にお聞きをしたい、こう思うわけであります。
  163. 米沢滋

    ○米沢説明員 お答えいたします。  現在昭和三十九年度並びに四十年度にかけまして、東京−札幌あるいは東京−福岡、東京−福岡に対しましてはルートが二つありますが、その二つについて基礎設備予算が成立しておりまして、建設等も進めております。それからまた四十年度、これはまだ予算を要求する段階にいっておりませんが、四十年度予算を含めまして東京−札幌、東京−福岡の間でカラーテレビができるように設備をすることに予定いたしております。
  164. 森本靖

    ○森本委員 そういたしますと、東京−福岡は昭和三十九年度に一応計画をいたしておりますか。
  165. 橋本一郎

    橋本説明員 いまの東京−札幌間、それから東京−福岡、大阪−福岡のこれは三十八年、三十九年、四十年の三カ年計画完成をするということになっております。
  166. 森本靖

    ○森本委員 東京−福岡間のルートはどのルートですか。
  167. 橋本一郎

    橋本説明員 大阪−福岡間でございますが、完成した姿は大阪から山陽を回りまして福岡にまいりまして、それから四国を通って大阪へ戻る、こういうルートであります。
  168. 森本靖

    ○森本委員 大阪から山陽を通って福岡から大分、松山を抜けて高知を通って徳島から大阪へ戻る、このルートと違いますか。
  169. 橋本一郎

    橋本説明員 そのとおりでございます。
  170. 森本靖

    ○森本委員 そういたしますと、これは急げば三十九年度完成するという見込みがありますか。
  171. 橋本一郎

    橋本説明員 まことに申しわけございませんが、ございません。
  172. 森本靖

    ○森本委員 三十九年度にこのルートを完成すれば、四国、中国、さらに九州の一部がオリンピックをカラーで見られるということになるのであります。これは三十九度からの継続になってくるわけでありまして、この工事については予算がついておるわけでありますから、ぜひ早急にやってもらいたい。そしてできる限りこれはオリンピックに間に合うような形で全努力を電電公社は傾注してもらいたい、こう思うわけでありますが、副総裁どうですか。これは技術屋に聞いてもできませんと言うから、副総裁あたりが政治的に何とかできるような方向にやるべきじゃないかと考えるのですが、どうですか。
  173. 米沢滋

    ○米沢説明員 先ほど施設局長がお答えいたしましたように、本格的なものといたしましては三十九年度中に間に合わせるわけにはいきませんが、何とか応急措置でもとりたいというふうに考えております。
  174. 森本靖

    ○森本委員 私が聞いたところによりましても、何とか応急措置をとって問に合わせることは不可能ではないということも聞いておりますので、ひとつその方向において全力を傾注していただきたい。そのことによって電電公社の名声が上がれば、これにこしたことはないわけであります。このごろ公社は名声がとみに落ちておりますので、こういうところでひとつ名声を上げてもらえば、国民からも感謝されるというように考えますので、これは十分に御努力を願いたい、こう思うわけであります。  そこでさらに、電電公社が来ておりますので、公社に関係のあることとしてお聞きしておきたいと思いますことは、これは一昨年の法律が通るときから、私が電電公社、さらに当時の西崎電波監理局長にも口をすっぱくして申し上げましたのは、沖縄のマイクロウェーブの件であります。この沖縄のマイクロウェーブについては、御承知のとおり特別立法ででき上がっておるわけであります。これが昨年でき上がりましたけれども、いまだにこの料金の問題において決着がつかない、こういうことで金光理事が急遽沖縄に行ったというような事情になっておりますけれども、それでもまだ解決がつかない、こういうことになっておりますが、端的に申しまして、これは一体どこに原因があってこの料金問題の解決がつかないのか。これを御回答願いたいと思うわけであります。
  175. 米沢滋

    ○米沢説明員 実は昨年の暮れに公社といたしまして営業局長を沖縄に派遣いたしました。しかし、交渉の相手は琉球電電公社でありますが、琉球電電公社といろいろ折衝したのでありますが、なかなかまとまりません。この次には琉球電電公社総裁に東京に来てもらって、いろいろ相談したいということを手紙で申し入れいたしましたところが、向こうからは、いろいろな事情があってどうしても行けないから、日本側から来てほしいということになりましたので、公社といたしまして総務理事を派遣いたしました。ところが、現在まだいろいろの交渉を進めておるのでございまして、もちろん交渉の対象は琉球電電公社でありますので、その他の関係する面にも打ち合わせをしたり、意見を聞いたりしておる次第でございます。
  176. 森本靖

    ○森本委員 この間の予算委員会で私が大臣質問いたしまして、大臣のほうからキャラウェイ高等弁務官とこの問題については十分に話をしてみるという回答があったわけでありますが、外務大臣並びに郵政大臣として、この問題についてキャラウエイ高等弁務官とお話ししたときに、キャラウェイ氏はどういうふうに回答しておったのですか。
  177. 古池信三

    古池国務大臣 あの当時御報告を申し上げましたように、私から総理府総務長官にお話をいたしまして、総理府総務長官から在日中のキャラウェイ高等弁務官に二回にわたってこの問題を話していただいたわけであります。高等弁務官は、その問題については帰った上で善処しようという比較的好意的な話であったと私は承知をいたしております。その後電電公社から金光総務理事が向こうに渡られまして、今日琉球電電公社並びに民政府と折衝を続けておられる段階であると私承知しております。
  178. 森本靖

    ○森本委員 だから、私が聞きたいのは、一体どこが行き詰まっておるかということなんです。われわれには行き詰まっておる内容がちっともわからぬのですよ。あれだけ膨大な国民の血税から、あの施設を行なってでき上がった、もう四カ月になるのにいまだに使えぬということがふしぎでならぬわけであります。どこに一体原因があるかということを聞きたいわけです。大臣がお答えができなければ、電電公社でも、電気通信監理官でも、どなたでもけっこうでありますが、一体どこに話し合いがつかない原因があるか伺いたいと思います。
  179. 古池信三

    古池国務大臣 私も、その当面折衝に当たったわけではございませんから、詳しくは存じませんが、私が承知している範囲では、両者の分収問題で意見が不一致である、それが最後のネックになっておる、そんなふうに私は聞いております。
  180. 森本靖

    ○森本委員 当事者からひとつ具体的に説明を願いたいと思います。
  181. 千代健

    ○千代説明員 お答え申し上げます。  現在金光総務と琉球の公社の新里総裁の間で折衝が行なわれておりまして、具体的に申し上げることは非常に申し上げにくうございますが、あのできた設備によって運営されて入った双方の料金の分割をどうすべきか、こういう問題になっております。その問題で従来短波無線でやっておったときと同じ方式をとりたいというのが琉球側のお考えのようでございます。私どもはいわゆるマイクロウェーブによる料金の分収の理論、それからケーブルによる場合の料金の分収による理論等を生かしながら、なお琉球公社の繁栄を祈り、かつ琉球島民の幸福という点を考えながら、私どものほうでは短波無線方式による分収方法は不適当である、もう少し違った方法でなければいけない、こういう観点で折衝をいたしているという程度でございます。
  182. 森本靖

    ○森本委員 これは十一月にはもう開通することがわかっておったにもかかわらず、今日までこれを折衝せずに置いてあったわけですが、開通してから折衝し始めたのですか、電気通信監理官
  183. 畠山一郎

    ○畠山(一)政府委員 交渉は、私の聞いております範囲では、七月から行なわれておりました。ただし、渡航手続その他の関係もあるようでありまして、ほんとうに継続的に詰めて交渉したというより、若干交渉が断続的になっていたということは申し上げられると思います。
  184. 森本靖

    ○森本委員 いつごろ交渉が妥結する見込みですか。
  185. 千代健

    ○千代説明員 いまの時点で、私ども申し上げることのできないことは非常に遺憾でございますが、一日も早く妥結することを心から望んでおります。
  186. 森本靖

    ○森本委員 大臣、どうお考えですか。これは一昨年の内閣委員会でこの法律がかかるときに、私が注意をしたのはいまから二年前ですよ。この法律を施行したならば、こういう料金の問題が起こります、さらにテレビでどれを送るかということも問題になります、NHK民放、向こうの民放、それから電電公社同士の話し合いも問題になります、それを、これを受ける前から十分に話し合いをして、できたらひとつ直ちにできるようにやりなさい、よろしゅうございます。全力をあげて行ないますということを、郵政大臣は力強く確約をしておるわけであります。それがみごと完成をしたわ、あれからもう四カ月もたっておるのに、いまだにこのマイクロが開通する見通しが立たぬということは、これは電電公社とかなんとかいうことじゃないと思う。これは明らかに日本政府責任ですよ、国民の税金でこしらえたわけですから。電電公社の金でこしらえたわけじゃない。これはどうなんです、大臣
  187. 古池信三

    古池国務大臣 お話のとおり、私も、かような事態になっておることは、非常に遺憾なことだと思っております。法律案の審議の際に、当時の大臣が言明されたということも伺っておりますが、おそらく今日のようなむずかしい事態になるということは、当時としては通常予想されなかったのではないかというふうに私は考えます。何といいましても、沖縄というああいう特殊な施政権のもとにある関係からしまして、今日交渉が非常にやりにくいということはお察しいただけるかと思いますが、政府といたしましても、極力この問題をすみやかに解決をいたしまして、所期の目的が達成できるように考えていきたい、こう存じております。  承りますと、キャラウェイ高等弁務官もアメリカ本国のほうに出張されたというふうに新聞によって承知をしておりますが、沖縄に帰任された暁においては、この問題も当然熱心に考えてもらえるであろうということを私は期待しております。なお沖縄関係の所管庁であります総理府とも十分連絡をとりまして、ただいまの御要望に沿うように、極力私としては努力をしてまいりたいと考えております。
  188. 安宅常彦

    ○安宅委員 関連して伺いますが、大臣は、ことしの二月十九日に、沖縄における民政府の通信に関する布告令の第一条の第四項ですか、改正になったということを知っておりますか。
  189. 古池信三

    古池国務大臣 ただいまの件、恐縮ですが事務当局のほうから答弁さしていただきます。
  190. 吉灘中

    吉灘説明員 ただいまの御質問の御趣旨は、沖縄の電波法におきまして、無線局を免許いたします際に、いままで沖縄では工務交通局長の所管で免許の手続を行なっておったわけでありますけれども、今後は、免許するにあたりまして、民政府承認を要するという手続に変わったというふうに理解しております。
  191. 安宅常彦

    ○安宅委員 電電公社のほうはそれを承知しておったかどうか、副総裁。
  192. 米沢滋

    ○米沢説明員 私のほうは知っておりました。
  193. 安宅常彦

    ○安宅委員 そうすると、ちょっとまるで別な質問をいたしますが、NHKに伺います。あなたのほうでは、去年の秋におけるいろんな娯楽番組なり、年末における歌合戦等を中心とした番組、それからことし春になってからは、正月番組が入りますが、春になってからナイターなどを中心としたそういう番組を提供するためのいろんな準備をされておったようですが、その準備の基礎になったものは、向こうの民放二社との間、あるいはそういうところとどんな話がついて、そういう準備をされておったのか、それをお伺いいたします。
  194. 春日由三

    ○春日参考人 原則的にラジオの学校放送、教育番組、それからテレビジョンの学校放送及び教育番組、そういったものを沖縄の二つ民放放送したいというふうな意見が数年来あったわけでございますが、その過程におきまして、昨年来ラジオの学校放送につきましては、試験的に私どものほうの放送いたしましたテープを郵送して、先方が放送する。もちろんその場合に、それに要する著作権使用料とか、出演者の再生料といったものは、そのときの話し合いによって実費を先方が負担する。そういうふうな話し合いで行なわれておりますが、本格的に教育テレビジョンの番組が沖縄の民放に提供される段階には至っておりませんのは、最終的に私どもは、マイクロが通りましたら、マイクロを通して提供することが一番いいと考えているからであります。
  195. 安宅常彦

    ○安宅委員 施設に関するいろんな取りきめその他は全部できているのですが、番組の問題で引っかかっておるのじゃないのですか。
  196. 春日由三

    ○春日参考人 番組の問題につきましては、具体的に二つ民放のほしいものと私どものほうが提供し得るものと、スケジュールをつくって相談を煮詰めていく段階におきまして、特別な障害はございません。もしありとすれば、いまマイクロウェーブを通して送ろうというそのところだけが引っかかっているわけです。
  197. 安宅常彦

    ○安宅委員 そういうふうに聞きますが、これは森本委員が発言をしておるとおり、この総理府のほうから提案された特別立法でこういうマイクロウェーブを沖縄のほうにやる、こういうふうになっておるのですから、やると言った以上、ただ何か先にそういうきちっとした取りきめというものがちゃんとなっておって、そうして送るなら送るというふうにしなければならないのに、全然なっていないのは、どうしてもおかしいのですね。だから、取りきめというのは、この間ちょっと私質問したのですが、マイクロウェーブの機械そのものを積み出すときに、中止の命令がきておる。その中止の命令がきておる時期に、その前に結ばれた協定がだめになって、新たな協定を結ばざるを得なくなったのではないか。それから、その新たな協定が結ばれてからマイクロウェーブは積み出されたと言っておるが、新たな協定はいつ協定されたか。その内容をはっきりしてもらわないと、森本委員の解明はできないと思うのです。電電公社としてはどうですか。
  198. 千代健

    ○千代説明員 積み出しがおくれた問題に関連して、覚え書きがおくれておったことは事実でございまして、その覚え書きは昭和三十七年九月二十二日付でございます。当事者は、総理府の特別地域連絡局長、琉球電電公社総裁、日本電電公社総裁、この三者が当事者でございまして、その上に琉球政府の同意、それから高等弁務官が——これは副官が代理して同意しております。それで五者の間による覚え書きでございまして、その中のポイントになる部分を申し上げますと……。
  199. 安宅常彦

    ○安宅委員 詳しいことは要らないが、それはマイクロウェーブを積み出す前に結ばれた覚え書きの内容でございましょう、九月だから。
  200. 米沢滋

    ○米沢説明員 マイクロの工事を電電公社が総理府のほうから委託を受けまして実施している過程におきまして、機械を沖縄へ発送するときに、ストップがかかるといいますか、送れなかったことにつきましては、そのとおりでございます。  それから、いま営業局長からお答え申し上げました覚え書きとの関係でございますが、覚え書きが締結される以前に、私どもといたしましては、その工事の準備をしておった、こういうことでございます。
  201. 安宅常彦

    ○安宅委員 そうすると、覚え書きは、マイクロウェーブの積み出しが中止になった以後結ばれた覚え書き、こういうことでございますか。
  202. 平山温

    ○平山参考人 いまの積み出しの中止になったことと調印との関係は、積み出し中止のほうが先でございまして、七月二十六日でございます。それで覚え書きの調印がきまったのは九月二十二日、いずれも昭和三十七年でございます。
  203. 安宅常彦

    ○安宅委員 そうすると、ことしの二月十九日の布告の改正以後も、そういう覚え書きがあるから、琉球の民政府のOKはとれる、そういう考え方であなたのほうは今日でも構想を進めておられるわけですか。
  204. 千代健

    ○千代説明員 琉球側の無線局、中継局も含めまして、このほうは昨年十月の末に全部向こうの免許がとれております。
  205. 安宅常彦

    ○安宅委員 いま日本政府はたくさんの金額の沖縄援助をやっている。きょうは、あとでこの前の残りをやろうと思って質問を留保しておりますから、あまり詳しいことは言いませんが、援助額を全部は消化していない。日本政府は知っているはずです。そういう中で、沖縄の民政府は、日本の発言権というものが沖縄に出てくることを非常におそれている。そのために、二月十九日に布告の改正まで行なっておる。九月に、あるいはそれ以前に認可をとっていると言っても、このマイクロウェーブによって沖縄の島民が日本のテレビを大体そのまま見ることができるというふうになった場合の沖縄民政府立場というものは非常に微妙だということを考えて、高等弁務官の承認がなければだめだというふうに、今度は二月十九日に布告を改正しているんです。そういう情勢が変わっているにもかかわらず、前のと同じような意味で、分収の関係でこれがうまくいかないなどという答弁をしているのは間違っておるのじゃありませんか。見解をひとつお聞きいたします。
  206. 千代健

    ○千代説明員 現地の折衝を通じまして、高等弁務官との直接の折衝を通じまして、さようなことは私どものほうは関係がない。いま問題になっておる点は、先ほどから繰り返し申し述べます分収の問題だけであります。
  207. 安宅常彦

    ○安宅委員 関連ですから、長いことやっているわけにいかぬので、やめますが、分収の問題は、高等弁務官の意向がどうであろうと、沖縄の電電公社がどうであろうと、そういう問題でもむ筋合いのものではない。なぜかならば、マイクロウェーブを譲与する、そして日本政府では電電公社にいろいろなことを命じて工事をさせる。させる場合に、たとえば家を建てる場合には、水洗便所をつけてやるとか、電気はどうするとか、全部きめて、そうしてでき上がりは何ぼだ、こういうふうにしてどこでも家を建てるわけです。大工の棟梁だってそうですよ。そういう、どれくらいの分収になるかということを全然きめないで覚え書きを結んだなんということは、まことにもってインチキきわまりないのでありまして、この前も非公式ながら言っておきましたが、その覚え書き、それから工事計画、譲与をする場合の沖縄との取りきめ、それらに関する資料を全部出してもらわぬと、これは委員長、論議するわけにいかなくなる。したがって、これは出してもらうことにまず一応約束してもらうことに、質問の最後に、ついでにしておきたいと思うのですが、委員長のほうで委員会の決定にできないというならやむを得ないけれども、どうですか。
  208. 畠山一郎

    ○畠山(一)政府委員 マイクロ施設の琉球に対する譲与に関する覚え書きでございましょうか。
  209. 安宅常彦

    ○安宅委員 覚え書きだけではないですよ。覚え書きは当然必要だし、それから譲与をするときどういう政府間の取りきめがあったのかということです。そして、そういう料金に関するものも全部含めてあるはずだ、常識からいえば。そういうことについてどういういきさつになっているのか、それもあわせて出してもらわなければ困るということです。なぜかならば、うちを建てるときに、でき上がり何ぼだかわからないでうちを建てる大工の棟梁はおりませんよ。そんなばかなことはない、損しちゃうもの。日本政府はよほど抜けているということになりますよ。
  210. 畠山一郎

    ○畠山(一)政府委員 先ほど申し上げました覚え書きは、日本−沖縄のマイクロ回線を通じて行なわれる通信業務の料金及びその分収については、日本電信電話公社と琉球電信電話公社との間において業務開始前に相互に協議して定めるものとするということになっております。したがいまして、最初から料金その他をきめて出発したわけではございません。
  211. 安宅常彦

    ○安宅委員 わかりました。ではきょうはこの程度でやめておきますが、要するにこれは、大臣も副総裁も、たいへん言いにくいことだと言いながら、分収の問題で、しかも六、四だとか五、五だとか、まるでバナナのたたき売りみたいなことでいまつっかかっているなんということは、ほんとはあり得ないことです。日本政府が沖縄を本気になって援助をし、沖縄県民の幸福を考えてやるのだったら。その料金が五、五だとか六、四あるいは七、三だというようなことでごたごたしている必要はないはずだ。そんな、一つ機材をくれてやるくらいだったら、腹の大きいところをあなたのほうで一ぺんで見せたら、沖縄の言うとおりになったら、それは直ちに民政府の許可は得られるという見通しに立ってやっているのかどうか、これが一つ聞きたいことと、何もけんか腰になって五、五だの四、六だの言っている必要がないから、ひとつ度胸を見せてやったらどうか、それくらいのことはできないのかどうかという二点に関してだけ答弁を願います。
  212. 米沢滋

    ○米沢説明員 電電公社といたしましては、公共企業体でありますから、料金の問題につきましてはおのずから料金体系というものがあります。それからまた、先ほど千代営業局長の申しましたように、いわゆる短波回線の場合と、マイクロなり、こういう隆線的なものとの間の国際的といいますか、料金の取り方のある基準というようなものがありますから、そういう点で、私たちは特に分収問題について現在折衝している次第であります。
  213. 安宅常彦

    ○安宅委員 大臣は、そういう分収の問題さえ解決すれば、必ずこれはマイクロは生かされるのだという見通しがあってあなたは臨んでおられるのか。これは電電公社はもう損することはやりたくないと言うのですから。せっかく総理府の発案によるところの特別立法で強引に電電公社にやれと命令したのですから、政府側としては、そういう電電公社が渋っているために半年も一年もぶんなげられては、これは体裁の悪い話だから、その分総理府で見るとか、郵政省で見るとか、つまり日本政府でその分に関しては見てやるとかいうことを考えたことがあるかどうか、今後そういうことをやる意思はないのかどうか、そこのところを大臣から態度の表明をしておいていただきたいと思います。
  214. 古池信三

    古池国務大臣 ただいまの段階は、先ほど御説明申し上げましたとおりで、両電電公社の間において折衝をなしておりますから、すみやかにこの折衝が妥結いたしまして、円満にマイクロが運営できることを希望いたしております。
  215. 森本靖

    ○森本委員 いまの大臣が答弁せられたことは、去年から答弁せられておることで、あれからもう四カ月たっておるわけでありまして、それでもまだできぬ、これはだれが考えても筋の通らぬ話でありまして、実際問題として国会で論議をするときにも、二年前も私がこのことのすでにあることを予見をして忠告をした。それに対しても、あの法案を通したい一心で、十分に全力をあげてやりますと言っておる。そこで、いまの畠山電気通信監理官の説明にありますように、業務開始前にその話をしてやる、その業務開始前の話で行き当たって、四カ月もこれがそのままになっておるということは、これは血税のむだづかいの大きななにであるというふうに考えるわけである。そこで私は、そういう点については、大臣がひとつ十分の努力をするということを言っておりますので、あとこれは一カ月しない間に解決がつけ得るというふうに期待をしておるわけであります。  そこで、ちょっとお尋ねをいたしますが、いまの安宅君の質問とも関連をいたしますけれども、昨年の年末に紅白歌合戦その他について特別に沖縄に供与する、正月番組も沖縄に供与する、そういうことで沖縄もこれが見れるということで非常に喜んでおるという報道が、各新聞に報道されておったわけであります。ところが、それが実現を見なかったということで、非常に国民一般はこの点については奇異に感ずることでありますが、この間の真相はどうなっておったか、ひとつNHK当局から御説明を願いたい、こう思うのです。
  216. 春日由三

    ○春日参考人 お答え申し上げます。  森本先生のおっしゃいますように、暮れになりまして紅白歌合戦を沖縄の民放がほしいという話が確かにございました。私どもといたしましては、できれば同時放送が最も好もしいわけでありますから、マイクロが通った予備使用と申しますか、そういった形でも送ったほうがいいじゃないかという判断に立ちまして、そのつもりでその場合の使用料はどうなるか、いろいろな具体的な話も煮詰めてまいりましたのですが、最終的には、沖縄の民放のほうから、要らない、とらないという連絡がございましたので、中止になったわけでございます。
  217. 森本靖

    ○森本委員 一応表向きはそれではとらないということで、この年末年始の番組がやまった、こういうことになるわけですね。
  218. 春日由三

    ○春日参考人 さようでございます。
  219. 森本靖

    ○森本委員 いずれこの問題については日をあらためてひとつやりたい、こう思うわけであります。  それから次に、先ほど来ずっと置局の問題を聞いてまいりましたが、ひとつここで問題になりますのは、一二チャンネルが近く開局されると思うわけでありますが、一二チャンネルが開局せられるということは、これは科学技術振興のために行なうということでありますけれども、ややもいたしますと、これが前の教育テレビの二の舞いを演じないようにということを私たちは念願をしておるわけでありますが、その点の懸念が全然ございませんか、大臣
  220. 古池信三

    古池国務大臣 ただいまの御心配のような懸念のないように、ひとつ今後十分に監督もし指導もしていきたい、こう思います。
  221. 森本靖

    ○森本委員 ないようにということでなしに、ないわけですね、大臣として。これを速記録にはっきりと残しておきたいと思いますから、なければ免許ができないわけでありますから、ない、こういう確信をして免許をおろす、こういうことでしょう。
  222. 古池信三

    古池国務大臣 そのとおりでございます。
  223. 森本靖

    ○森本委員 そこで、そういたしますと、科学技術振興に関するところの一二チャンネルであるということになるとするならば、この一二チャンネルが見れるところはいいわけでありますけれども、いまの民放は、ネットワークについては、これはある一定のものとしてはならぬという一つの規制をわれわれははめておるわけであります。しかしながら、現実には各地方の民放というものは、それぞれのネットワークを組んでおるわけであります。具体的に今回の場合一二チャンネルが今後地方のネットワークの中に食い込んでいける余裕があるのかどうか。その点をどういうふうに郵政当局としてはお考えであるか。これを聞いておきたいと思うのです。電波局長でけっこうです。
  224. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 東京におきまして一二チャンネルが発足いたしました以後におきまして、その番組を地方へどういうように流すかというお尋ねだと思いまするが、現在でも地方の局におきましては、その科学技術番組を何とか出せるようにしてもらいたいというふうに、一二チャンネルのほうにも話をしているようにも聞いております。この問題につきまして、もしなま中継でやるとするならば、予備線というようなものを使うとか、そういうマイクロ回線のあき間を見てしなければならないということに相なるかと思います。しかしながら、同時性のないものにつきましてはフィルムその他によっていくところもあるか、そういうふうに考えております。
  225. 森本靖

    ○森本委員 フィルムでやるのは当然だろうと思うが、同時性のある場合にはこれはどうなるのですか。
  226. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 マイクロ回線の余裕を見てやらざるを得ないかと思います。
  227. 森本靖

    ○森本委員 余裕がありますか。
  228. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 全然ないことはないと思います。
  229. 森本靖

    ○森本委員 全然ないことはないと言うが、具体的にどうなんです。
  230. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 マイクロ回線の使用状況につきまして私具体的なこまかいデータをいま持っておりません。
  231. 森本靖

    ○森本委員 あなた、公社の技術局長をやっていたじゃないか。
  232. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 局長時代には覚えておりましたけれども、忘れました。電電公社のほうからでもお聞かせいただければと思います。
  233. 千代健

    ○千代説明員 お答えいたします。  いまの日本科学技術振興財団の中継回線の問題でございます。この問題では、現時点においては具体的にこの財団から中継回線の作成を依頼されておるわけではございません。ただ、御案内と思いますけれども、テレビ協議会というのがありまして、民間テレビ会社の共同専用のための機関がございます。このほうからはほとんど全国を全部共同でもう一ルートをつくってもらいたいというので、大体四十年度末までに作成するようにということが出ておりまして、おそらくはこれがそのほうへ転用されるものであろうか、こう考えておりますが、向こうの内部の問題でございまして、私どもは詳細は関知いたしておりません。ただ、現在この財団はテレビ協議会では準会員並みに扱われておる問題でございます。
  234. 森本靖

    ○森本委員 大体わかりましたが、そういたしますと、この一二チャンネルについては、フィルム以外は同時放送というものは地方には当分やらない、こういうことですか。
  235. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 全然できないことはないと思います。しかし、まずなま中継をしなければならないものはどのくらいあるかというようなことから考えてみまして、まずフィルムをもちましてやることによりまして十分地方へは番組の配給ということは可能かと考えております。
  236. 森本靖

    ○森本委員 そうは言っても、これはおそらくもうけの少ない番組になることは明らかでありますので、うわべだけのことを言わずに質問の核心にひとつ御答弁が願いたいと思いますが、各地方局は、これはおそらく好きこのんで取るということにはならぬと思う。いまの民放局が取るとするならば、そのうちの一番もうけるところを取るということになろうと私は思う。そうした場合に、この一二チャンネルを許可をする場合に、一般の国民に対して科学技術振興のためということでテレビの免許をおろすわけである。だから、東京の都民はその恩恵に浴することは非常に多いけれども、地方のほうは、いまのままでいくとするならば、その恩恵に浴さないというほうが多いということははっきりいえるわけでしょう。それを一体どういうふうにカバーするつもりでこの一二チャンネルを許可をしておるのか。要するに、東京都民だけが科学技術振興を受ければいい。全国的ないわゆる放送のネットワークというものは、電波局長がはっきり言っても、実際はこれはないわけですよ。何ぼ言っても、いまの民放局としては、一番もうける番組と、みんなが見そうな番組を取ってくるわけですから、これは科学技術振興財団の番組が視聴者全体的に見て大きいとはいえぬのです。ある一定のワクのきまった人はそのものを見るかもわかりません。技術の勉強をしておる人は見るかもわかりません。しかし、広く大衆を相手にする場合に、科学技術振興というものは一般受けする番組ではないわけです。そうすると、その一般受けのする番組しかいまの民放局であるとすれば取らぬわけです。だからその場合には、東京と地方とにおけるところのこういう放送から受ける恩恵のギャップというものをどう考えてこの一二チャンネルを免許しようとしたのか。これは大臣です、政治的な問題ですから。
  237. 古池信三

    古池国務大臣 ただいまお尋ねの点は、まことにそのとおりだと私も思います。大体この一二チャンネルを科学技術振興財団に許しました際には、あくまで科学技術振興の目的に沿うような番組を出してもらうということが主眼でありましたが、しかし、さような学問的な、あるいは技術的な番組になりますると、一般の聴視者がなかなかついてこないというのが実情であろうかと思います。したがって、そうなりますると、地方の民放の事業者がその番組を喜ばないということも事事であろうと思います。したがって、当分はやはり東京に主眼点が置かれることになりますが、しかし、その場合、今後できるだけ努力をされて、地方の少なくとも大都市方面にはこの放送が行き渡るようにしてもらいたいというふうに考えております。その辺がなかなかむずかしいことだと私ども考えております。
  238. 森本靖

    ○森本委員 それは何ぼ大臣が頭の中で考えても、いま私が説明したような状況においては、地方に対してこの科学技術振興財団が考えるところの科学技術振興という国民的な教養を受けるという点からいっても、現実にはいまの状況ではできない。だとするならば、将来これをどういう方向において解決をつけるかという見通しがなければ一二チャンネルの許可はできないはずである。そうなるとするならば、やはり大臣としては、放送の総合政策を樹立する場合に、ある程度の成算なり、一つの自分の考え方というものがあるだろう。その考え方が次の答申案の中に出てくるか出てこないかわかりません。わかりませんが、一二チャンネルを許可するほうに立ってみるとするならば、全国民にこれがやはり見れるように、そういうふうな考え方に立って許可をしたであろうということであるとするならば、一体その具体的な方策、政策というものは那辺にあるか。ないじゃ郵政大臣はつとまりませんよ。だから、そういうことを考えて一二チャンネルを免許しておるのかどうか。何でもかんでも、やかましくてたまらぬ。やかましいから一二チャンネルは早う免許してしまえということで免許したのか。そこまで配慮を及ぼして免許したのか。配慮したとするならば、全国的な、全国民に対してこの科学技術振興財団が考えておるところの科学技術振興というものを一体どういうふうに普及さしていこうと考えておられるのか。これなんですよ、大臣
  239. 古池信三

    古池国務大臣 森本委員が十分御調査の上ですから、特別に変わった妙案もございませんけれども、しかし、現在この財団のテレビ局の基礎は、やはり有力なる人々による協力会というものが基礎になっておると思います。したがって、今後は少なくとも日本の主要なる各地においては、この協力会というものをさらに有力にして、そうしてこれが中心になって普及するということが、科学技術振興財団の行き方としてはまっとうな道じゃないか、かように私も考えておるわけであります。
  240. 森本靖

    ○森本委員 地方に対してはどういうふうな方針ですか、わかったらちょっと……。
  241. 古池信三

    古池国務大臣 地方においても、ただいま申し上げました協力会というものを強力に育成していくということが必要じゃないかと思っております。
  242. 森本靖

    ○森本委員 大臣、その協力会を強力に育成しても、具体的にやる方法がないでしょう、はっきり言って既設の民放では。東京では全日放送をやるわけですね。そこで各地方局が、フィルムであっても、もらおうとする番組は、一般大衆受けのする番組ではない。もうからぬことがわかっているわけです。東京と高知では、たとえば一つの何らかの科学技術、特別の科学技術をやると、東京ならば相当おる。ところが、高知なり徳島でやってもあまりもうからぬ。これはいまの民放ではやめておこう、こういうことになるのがあたりまえなんです。だから、そこに差が出てくるわけです。要するにこの一二チャンネルは、頭だけであって、足となるものがない、だから、具体的に言うと、こういう科学技術振興ということで特別の民放を言うとするならば、その足となる全国的なネットワークのことを考えなければ、全日本国民に対するところの科学技術振興という意味にはならぬと思う、こういう場合は。普通の娯楽テレビ局と違いますから、その辺をどういうふうにお考えなっておるか、こういうことです。
  243. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 確かにおっしゃるとおりに、地方におきましても科学技術番組が民間放送に取り入れられまして、それが出てくることは望ましいと思います、しかし、それはなかなかむずかしいとおっしゃることも確かだと思います。したがいまして、現在一二チャンネルのほうといたしましては、そういう場合に、地方にあります協力会社というようなものと密接に連絡をとりまして、場合によっては、地方の公共団体というようなものとも連絡をとって、そうしてこの番組が、地方のテレビ会社でもってこれをとるように、出すようにするように強力に折衝を続けていこう、こういうことを考えているようでございます。
  244. 森本靖

    ○森本委員 そういうことを折衝して、地方の公共団体が金を出してやるというようなところが、具体的に出てきておりますか。
  245. 吉灘中

    吉灘説明員 日本科学技術振興財団が予備免許の申請を提出いたしました当時、郵政省に対しましては、そういった、いま申し上げました放送区域外に対しまして、科学技術教育の普及計画というものを具体的に出してきております。その内容につきましては、具体的に申し上げますと、サービス・エリア外の利用対象は、日本科学技術テレビ協力会会員社、当該地職業訓練協会及び地方公共団体などが当面考えられる。利用方法は、日本科学技術テレビ協力会会員社及び職業訓練所にあっては、直接その職場において映写する。それから、地方公共団体の場合は、科学技術教育の振興という立場から、教育予算によって当該地民放テレビ局と契約し、そのスポンサーとなるよう交渉を進める。それから、協力会社員、職業訓練協会のほか、商工会議所、経営者団体などにより科学技術教育放送普及会を組織し、同会とテレビ局並びに日本科学技術テレビ協力会の連携を深め、これを軸とし、放送対象の拡大をはかる。——具体的に、こういう普及計画を役所に出してきております。
  246. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 この際森本委員にちょっと要望しますが、本日はなるべくNHKの本体の問題を……。
  247. 森本靖

    ○森本委員 NHKの教育テレビにうんと関係のあることでございますから、一二チャンネルの問題は。  そこで、いまの放送部長の答弁で、一二チャンネルの免許申請のときの計画はわかりましたが、具体的に、地方公共団体でスポンサーになって番組を提供するというふうなものがどの程度ありますか。そこまで調べてみましたか。いいことばかり書いてあるが。
  248. 吉灘中

    吉灘説明員 われわれ、直接まだ財団から、具体的な計画は聞いておりません。
  249. 森本靖

    ○森本委員 免許申請のときにはみんないいことを言うてくるわけであって、それが具体的に実行できるかどうか十分検討して免許をおろすわけでありますから、これは非常に重要であります。しかし、これはもう、一ぺんおろしたわけでありますから、とにかくどうにもしようがないわけでありますけれども、私が言いたいのは、NHKの教育テレビと違った角度から民放がこういうことをやる二ともいいでしょう、確かに考え方は。ただそれが、東京都内のサービス・エリアだけが見られて、全国的に見られるという配慮が全くない。いろいろ言ってきておりますけれども、それを具体的に実行するということはなかなか不可能であります。だとするならば、一二チャンネルの場合には、やはり手となり足となるものを持たなければならぬ。そこまで大臣考えてこれを免許したのかどうか。そういう将来の展望があるのかどうか。いまないにしても、大体心の中では思うておるけれども、いまは言えぬということなら、そういうことでもけっこうだし、一体具体的にどういう将来の展望を持っておるかということを聞きたいわけです。これは大臣でなくても、放送部長が答弁しなければしょうがなければ、放送部長でもいい。大体、将来の地方に対するどういう展望を持っておるか。
  250. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 率直に言えというお話でございますから、率直に申し上げさしていただきますならば、地方にもやはりそういうようなものがどんどんできていくことが望ましいと思いますが、いま現にどういう形でどうするかということは、ちょっと申し上げられません。
  251. 森本靖

    ○森本委員 正直に言うたら何にもないということなら、何にもならぬじゃないか。やはり放送行政——あなた方、要するに免許の基準をどうのこうのと言うけれども、やはりこういうところに一つ抜けたところがあるんだ、はっきり言うと。事務当局にも悪いところがあるんですよ。政治家だけが悪いようなことを往々にして言うておるけれども、事務当局でも、こういう点は大っぴらに言うべきなんです、上のほうからおりてきた場合には。けれども、実際問題としては——この問題については、将来また電波放送に関する委員会の討論にゆだねますけれども、こういう問題については今後は十分に考えてみなければならぬ。一二チャンネルの下部機構というものが全くない。そういう点では、いわゆる放送の公平という点から欠けるというふうに考えるわけであります。  それから、こういうような教育に関しまして、NHKとしては、一昨年でしたか、NHKの通信学園ができましたけれども、三十九年度も、これはかなり具体的にやろうという意欲が見えておるわけでありますけれども、このNHK通信学園のいわゆる日本放送協会助成する金と、それから実際に向こうで独立採算で得る収入と、その比率はどの程度になっておりますか。——それでは、それは調べておいてください。  時間がありませんので次にいきますが、この予算におきまして、番組の提供の問題でありますけれども、この番組提供というのは、NHKとしては部外に対する——二〇ページでありますが、部外に対する番組の提供の内訳と経費でありますが、この中の三十八年度の中で、芸能番組で四百五万九千円という経費がありますが、これはどこへやった経費ですか、部外提供で。
  252. 春日由三

    ○春日参考人 さっきの御質問のほうから先にお答えいたしますが、三十九年度のお手元に提出いたしました予算の事業計画によりますと、NHKから通信高等学校に助成いたしますお金は年間一億九千万円でございまして、学校自体は授業料収入その他によって得ますものが五千二十二万円という計算になっております。
  253. 森本靖

    ○森本委員 けっこうです。その予算の比率があまり将来狂っていかないように、NHK通信学園というものをこしらえた意味というものを十分に将来もやっていってもらいたい、こう思うわけでありますので、特にその比率を聞いたわけであります。  それで次のいまの芸能番組の四百五万九千円というものは、これはどこへ提供した分ですか。
  254. 春日由三

    ○春日参考人 これは芸能番組を外国の放送局に提供する場合に吹きかえましたり、つまり英語の翻訳をつけましたり、それから再生放送でございますから著作権使用料、そういうふうな提供をする場合に、こっちが提供することによってかかる実費の総額がここに出ております。
  255. 森本靖

    ○森本委員 そうすると、NHKの娯楽番組のうちで、いい番組を外国へ実費で売ったということはないですか。
  256. 春日由三

    ○春日参考人 あまりたくさんはございませんけれども、現実にはございます。たとえば「私の秘密」、「ジェスチャー」あるいは「綾の鼓」、「ふるさとのうた」、そういった若干のものが提供されております。
  257. 森本靖

    ○森本委員 三十八年度にどの程度ありますか、外国へ売った分が。
  258. 春日由三

    ○春日参考人 芸能番組だけで年間八十二本でございます。金額は三百二十三万円でございます。
  259. 森本靖

    ○森本委員 これはもうちょっとの金額にならぬものですかね。常識で考えて一年間で外国に売るNHKの芸能番組が三百二十三万円というのは、妙に常識で考えて少ないような気がするのです。これは商売ではございませんからもうける必要はないけれども、せっかく高い金を出して国内でつくった番組を外国に出して、できればやはり採算をとっていくということも考えていいのじゃないかというふうに考えるわけであって、これはほとんど利潤をとる必要はないけれども若干のいわゆる演出料その他については取ってもいいのじゃないかということを考えた場合に、大NHKともあろうものが、外国に売る番組が年間三百二十三万円とは、私はちょっと少ないのじゃないかというふうに常識で考えるのですが、どうですか。商売じゃないからもうけよとは言わぬけれども、出す金はどんどこ出して、入ってくる金はあまり考えぬということではやっぱり言われますよ。もうかるところはがめつくもうけていくということも、外国に対する場合に考えてもいいのじゃないか。
  260. 春日由三

    ○春日参考人 先生御指摘のとおりだと思います。ただ率直に申しまして、芸能関係の番組は一番金になるわけでございますが、風俗、習慣とか言語の障害とかということで、そう活発に国内の芸能番組が外国にたくさん売れるということは、現時点ではそう楽観はできないわけであります。しかし、私どもといたしましては、いわゆる国際性を持った番組を今後つくっていくことによって、積極的に外国へ提供したい。その場合には、御指摘のようにもちろん利潤の追求はいたしませんけれども、あまりにも安いお金で提供するというふうなことは考えていないわけでございます。
  261. 森本靖

    ○森本委員 ただ、常識的に考えて、三百二十三万という数字はあまり少な過ぎる。NHKの番組の中で外国に売れる番組はもっとありはしないかという点が考えられます。それからNHKも外国から買っておりますから、そういう点やっぱり商売的なものは商売的に考えてみなくちゃならぬということをひとつ十分に考えてもらいたい。同時に、これはやっぱりNHKの番組でもヨーロッパ関係に持っていって売れる番組はかなりあると思う。そういう点について一ぺん使ったからもうしまいだということではなしに、やはりそういう点の採算もかなり考えてやってもらいたいと考えるわけであります。  それから国際的な問題として第二回の世界ラジオテレビジョン学校放送会議というのを考えておるようでありますが、これは具体的にどういうかっこうになりますか。
  262. 前田義徳

    ○前田参考人 第二回のテレビラジオ国際学校放送会議は、主催はヨーロッパ放送連合という形をとっておりますけれども、第一回はローマで一昨年開かれまして、第三回目は二年後にパリで開かれることになっております。  第二回目の国際会議を東京で開く理由は、アジア、アフリカの第二次世界戦争後の新興国に、この会議を通じて世界の放送事業者が寄与しようということが第一の目標になっております。したがいまして、今回の会議では、アフリカから少なくとも新興国の約半分、二十カ国あまりが出席することになっております。この会議の目標は、ローマ会議におきましては、第一に世界のあらゆる国から文盲をなくするということが第一の主題になっておりましたが、第二回の東京会議におきましては、この第一回会議以来の文盲退治ももちろんその一つの議題になっておりますけれども、ただいま申しましたように、その新興国の教育と国づくりの関係に寄与するというのが第二回東京会議の特性でございまして、これと関連して社会教育をも含めた学校放送のあり方についての特別委員会が持たれることになっております。現在のところこれに参加する世界各国の放送機関はおよそ八十機関をこえ、その総人員は、海外から来る代表の総数は百七十名ばかりと予想されております。
  263. 森本靖

    ○森本委員 この会議をひとつ成功さすように十分に各方面との連絡を緊密にとって、ただ単なる計画でなくして、その計画が具体的に成功し、実行されることを特に強調しておきたい、こう考えます。  それから、先に進んでいきますがいろいろありますけれども、委員長も時間をせいておるようでありますので、ひとつ急ピッチで私の要点だけをあげていきたいと思いますが、最初のこの項に戻りましてFM放送置局が以上三十二局のうち二十四局、こういうふうになっておるわけでありますけれども、これはいいとして、今年度から三十九年度にかけて行なわれるFM放送の実用化実験放送局において、実際には録音放送で行なうという局が三局ばかりあると思いますが、どこどこですか。
  264. 田辺義敏

    田辺参考人 御指摘のとおり、現在予定では三局ございます。秋田、高知、松江でございます。
  265. 森本靖

    ○森本委員 それはどういうわけでそういうことになったのですか。
  266. 田辺義敏

    田辺参考人 昨年の十二月に、三十八年度計画しておりました二十四局のうち十七局の予備免許がおりまして、それからその建設に着手したわけでございます。それで、その中で今回は大部分の局につきましては、もよりの親局の電波を無線で受けまして、それを再放送する、そういうふうな形をとるような方式を、経済的にもあるいは実験項目にもそういうものが入っております。したがいまして、大部分の局はそういうふうな形でやるわけでありますが、いま申し上げました三局につきましては、近くの中央局その他の近くの放送局の電波が十分受信できませんので、とりあえずそういうふうな録音によって放送したいと考えております。  それから現在放送しております九局につきましても、昨年十一月上旬までは全部パッケージでやっております。ただその中で、局の使命といたしまして、難聴地区救済というような意味も含めておりますものは、夜間の番組の一部は第一放送からとっております。またローカルの番組もございます。  それから今度の三局につきましても、そういったような番組は第一放送なりあるいはローカル番組なり、そういうものからニュースあるいは夜間のFM番組等が入ってまいりますので、実際は全部が録音放送になるわけではございません、一部分が録音放送になるというわけでございます。
  267. 森本靖

    ○森本委員 そうやったらいいようなものの、しかし実際は、これは全部同時に東京からの分を受けて、ローカルだけをその当該局で流せば一番いいわけです。  そこで、これは回線がないのですか、あなたのほうが妙にちぐはぐな行政だということは、さっきも言ったように、もうけられるようなところでもうけぬ。それからマイクロ回線をつくってきちっとやればできるようなところに金惜しみをする、どうもマイクロの借料が高いというようなことで出し惜しみをする。私はこういうFM放送実用化実験放送局こそ、中央からそのままいって、そうしてローカルだけをそこで流すというようなやり方をするのがほんとうじゃないか、こう思うのですが、どうですか、これは回線がないのですか。
  268. 田辺義敏

    田辺参考人 回線がないことはないと思いますが、非常に高規格のものを電電公社に要求いたしますと、かなり時間がかかります。もう一つは、将来ステレオ放送というものをやりますにつきましては、回線の性能にかなり疑問な点がございます。私ども相当長い間第一放送、第二放送を使いました中波の立体放送をやってまいりましたが、九州とか北海道その他の遠隔の地におきましては、立体感に対しますいろいろ回線の性能上の影響がかなりございまして、必ずしも完全でないような点もございます。したがいまして、これは理想的には、どうせ東京でつくるのでございますから、東京でつくりまして、それを東京と同時に、つくったものを同じ時間に各親局に回すということが音質の点からみまして一番いいと思います。ただし、ものによりましては、先ほど申し上げましたように九局、各中央局と福岡につきましては、現在電電公社の高規格の回線も使っております。これにつきましては、これでいくか、あるいはNHK自体でそういうふうな回線を自前で持つか、いろいろ検討いたしました結果、高知その他につきましては、NHKの自前の無線回線を持ってやりたいということで、現在いろいろ計画を進めておる最中でございまして、三十九年度に入りまして、比較的早い時期にそういう回線が完成する予定でございます。
  269. 森本靖

    ○森本委員 これは比較的技術的な問題が多いわけでありますけれども、電電公社のマイクロウェーブを使うようにいたしまして、端局装置をこしらえればできぬことはないというように考えるわけでありますけれども、どうも借料が高いというのが一番の原因じゃなかろうかと考えるわけでございますが、そういうことでなく、技術的にいま検討しているから、いま言ったようにテープにして送るのだということでありますが、聞くところによると、そのテープは汽車でコットン、コットン送るということになりますが、そういうことですか。
  270. 田辺義敏

    田辺参考人 一番早い方法で届けるつもりですが、汽車で送ることも皆無ではないと思います。
  271. 森本靖

    ○森本委員 大体、放送するものをテープにかん詰めにして、それを汽車で送って放送するということは——それは内容によりますよ。内容によってはそれでいいかもしれませんけれども、放送の実態というものは、これは東京で現在放送しておるのだ、それをいまここで聞いておるのだというところに放送の一番の価値があるのです。そうでなかったら蓄音機を聞くのと一緒であります。だから、ものによってはかん詰めにして送ってもかまわぬという考え方は、私は放送に関する限りやめてもらいたい。ドラマとかその他の問題は別であります。ラジオ放送にしても、やはりこれはいま東京からやっておるのだ、どこからやっておるのだというものを、違った場所において同時に聞くというところに放送の大きな威力があるわけでありますから、私はいま田辺専務が——確かにあなたの苦衷はわかりますよ。わかりますけれども、やはりFM放送の実用化実験放送であっても、東京を中心として同時に違った場所において放送を聞けるという一つ放送形態をできる限りとってもらいたい。だから、そういう方向にひとつ進んでもらいたい。内容によってはかまわぬと言われるけれども、ドラマなら別としても——ふだんテレビを見ておると、これは何月何日に産経ホールにおいて録画したものでございますなんというのが最初に出てくると、はっきり言って、やはり真剣に見る気はせぬよ。テレビの値打ちはそこではない、なま放送をするところにテレビの値打ちがあるわけです。ラジオでもそうだ。だから何でも送ればいいのだという考え方に立たずに、放送という媒介体を最高度に発揮するように考えてもらいたい。いま直ちにということは無理であっても、FM放送についても、東京を中心にして全国的な放送網を、携帯をしてローカル放送だけはその地で流す、こういう一つの基本的な計画のもとに、FM放送の実用化実験局もつくっていってもらいたい。そうしてそれが実際の本放送になりましても直ちに使える、こういう形にやっていってもらいたい、こういうことです。
  272. 田辺義敏

    田辺参考人 おっしゃる点まことにごもっともでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、ステレオ放送につきましては、けちるわけではございませんで、いろいろ技術的な面があるわけでございます。その他の点につきましては御趣旨のとおりやりたいと思います。
  273. 森本靖

    ○森本委員 それからこのもらいました資料の五ページにありますところの、昭和三十八年度テレビジョン局建設に伴う道路構築工事分担状況、大体これはNHKが三分の一、民放が三分の一、地元の市町村が三分の一という原則になっておるわけであります。この表を見てみますと、その原則を貫いておるところもありますし、そうでないところもあるというような形になっておるわけでありますけれども、特に私が聞いておきたいと思いますことは、この国庫補助というのはどこから出ておるわけですか。林道とかいうことで農林省かどこからか出ておるわけですか。
  274. 田辺義敏

    田辺参考人 そうであろうと思います。
  275. 森本靖

    ○森本委員 この国庫補助、県補助というものは、望ましいと思いますが、ただこれは民放の分担額、それから地元の市町村の分担額ということは非常に困難性が伴うわけでありますが、私は、できればこういうものはあまりやかましく言わずに、そのかわり受信料は受信料としてきちっとNHKはいただく、しかし、こういう面のサービス面については、やはりNHKがある程度責任を持ってやっていくというふうに、入るものはきちんと入れる、そのかわり出すものは、ある程度公共性を持つものについてはあまり小さなことをこまごま言わずに出すというふうな、いわゆる自由自在な、緩急の度合いというものがNHKはまことにへたくそじゃないかというような気がするわけでありますけれども、私はこういう道路構築の分担なんかについては、できればNHKの独力でもやり似るという一つの気がまえを見せるのがほんとうじゃないかというふうに考えるわけでありますが、ひとつ当局の御所見を伺っておきたいと思うわけです。
  276. 田辺義敏

    田辺参考人 お答え申し上げます。  お出しいたしました資料につきましては、道路建設につきまして約三十件の実際の数が載っておりますが、その中に、いろいろ先ほどおっしゃいました根本方針に必ずしも見かけ上沿っていないように見えるものが七件ほどございます。しかし、これにつきましては、それぞれみな理由がございまして、その理由を一々お話しするのも時間がかかるので省略いたしますが、いろいろな事情でそうなっておるのでございまして、根本方針にはあまり変更してない線でやってきたはずでございます。  そこで、いまの御意見のように、今後の問題でございますが、今後の置局考えますと、NHKが開局をいたします際に、同町またはほとんど同時に開局いたします商業放送があります場合には、これは当然分担を受けたいと思っております。それからNHKが開局いたしましても、その後相当長期間、ないし当分はやる気がないような場合には、NHKが全部この経費を出しまして、後日商業放送がこれに参加したいという申し出がありました際には、応分の分担金を出してもらう、こういうふうな方針で今後は進んでいきたいと思っております。
  277. 森本靖

    ○森本委員 NHKとしてはそういう方針であると思いますけれども、これがいざこざがあったりした場合には、なるべく早く置くという観点からいって、そういう点については十分にNHKが大きな腹を見せてやるぐらいのかまえでいってもらいたい。取れるものは極力取っていいわけでありますけれども、そのことによって置局が延びるということがないように、その分担額がちっともきまらないから道路ができぬ、それによって置局が延びるということがないように、そのことを私は念を押しておるわけであります。ときどき私のほうから聞くと、どうも分担額がはっきりきまらぬので道路ができませんので、上の中継所ができません、そういう回答が多い。だから、そういうもめる際には、何とか早くやるには、NHKが太っ腹でやらざるを得ないということになるわけです。だから、その辺を十分に考慮して今後の運営をしていってもらいたい、こういうことです。はっきり言って、あまりあなたのほうには歓迎したことではありませんよ。しかし、国民側とすればなるべく早く置いてもらいたい、こういうことになりまするから、国民の関知しないところのいわゆる地元負担民放負担NHK負担でもめて中継所が一向にできないということでは困るから、そういうふうな話し合いはあとに回してでも、とにかくNHKが先にやってもらいたい、こういうことを言っておるわけです。
  278. 田辺義敏

    田辺参考人 置局を促進したいという気持ちは私どもきわめて強烈なものがございまして、そのためにはあらゆる手段をとっていきたいと思っております。その手段といたしまして、いま道路の問題が議論対象になっておりますが、場合によりましては、今後の比較的小さなものにつきましては道路なしでいこうというふうなことも一応あわせ考えておりまして、置局の促進につきましては、今後も最大の努力を傾けていきたいと思います。
  279. 森本靖

    ○森本委員 道路なしの置局は反対です。それはあまり簡便過ぎて、はっきり言って、事故が起きたときに困ります。高知県の須崎というところに、いま言ったように道路でもめまして、結局これはしようがないということで、ケーブルで中継所へ資材を送った。そうして中継所をこしらえた。道路がないものだから、故障が起きたときには、要するにごそごそ道のないところをはい上がっていかねばならぬ。こういうことで、一度障害があったことがあります。そのときに、保守要員としてはこれは非常な苦労です。だから、やはりそういう簡便な方法はとるべきじゃない。やはり月一回なりあるいはきまった定期保守、道路を上がって保守ができるように、きちんとした中継所設置をやってもらいたいというふうに考えます。だから、あなたのところはなかなかつらいところですよ。そのつらいところは率直に認めますよ。しかし、われわれは、NHKの側に立つわけにはいかぬのであって、国民側に立たなければならぬ。なるべく早く見せてもらいたいというふうに考えておるわけでありますので、とにかく早く見せてもらえばいいわけであって、そういうことで民放、地元負担NHK負担ということでもめて、それがために置局がおくれるということがないように、とにかく先にNHKがやってしまって、取れるだけあとから話をして取って——取らなければしようがない。しようがないということはないけれども、取らなければならぬけれども、とにかくNHK置局を急いでもらいたい。この道路のことによってあまりに紛糾して、それでもめて置局のできぬようなことがないようにということを言っておるわけであります。だから、十分意を体して将来検討していきますということならば、次の質問に移りたい、こう思っておるわけであります。
  280. 田辺義敏

    田辺参考人 道路なしと申しましたのは、ちょっと表現がまずうございまして、在来のようなちゃんとした道路を必ずしもつくらないで、ケーブルその他のほうを並行して工事をやっておきまして、並行して道路をやっていくとか、あるいは非常に山の低いような場合には、特定の距離を基準といたしまして、車が行かなくても歩けるような道路を完備するとか、そういう意味でございまして、全く道路をつくらないでがけをはい上がっていく、そういうふうなことは考えておりません。  なお、重ねて申し上げますが、おっしゃいましたように、置局の促進につきましては、今後も最大の努力を傾けていきたいと思っております。
  281. 森本靖

    ○森本委員 それから次に、私のほうの大柴委員のほうから質問もありまして、少し残っておりますが、たとえば今回の基地周辺の受信料の免除の問題でありますけれども、この問題は単に、札幌、福岡だけにとどまらず、将来にわたっては、軍事基地だけでなしに、要するに旅客機においても、ジェット機にこれがだんだんかわっていくということになるとすれば、羽田、伊丹、この二つの空港等についても、これと同じような状況になりかねない場合があるのであります。本来ならば、こういうものについては、軍事基地の場合には国が補助すべきである、あるいは旅客機の場合には航空会社が負担をするというふうなことについてはかなり検討を要する問題であります。検討を要する問題でありまするけれども、羽田あるいは伊丹空港の将来がジェット基地と同じような状況になったとするならば、やはり軍事基地と同じように考えてやっていかなければならぬということは理の当然であります。そういう点については国が補助するとか、あるいは会社が補助するとかいう点はいろいろあろうと思いまするけれども、そういう点については、いま軍事基地に似通ったような状況に空港がなってきた場合においては、これと同じような形において免除してやらなければならぬ。しかし、その免除するしかたについては、いまのようにNHKだけがその被害をこうむらなければならぬという理屈にはならぬ。その場合には、旅客機の航空会社あるいは国がこれを補助するというようなことを考えていかなければならぬと思いますが、そういうものも含めて前向きの方向でこの問題についてはひとつ検討を願いたい、こう考えているわけでありまするが、これはひとつ大臣NHK当局の両方から御回答を願いたい、こう思うわけであります。
  282. 阿部真之助

    阿部参考人 基地以外のところに同じような事態が起こりつつあるということは、私ども十分認めているわけであります。そこまで延ばすことについて、さらにまたそういうふうな補償が広がるというようなことがありまして、何ぶん料金が私どもの生存の基幹になっていることでありまするから、十分検討しまして、できるならば御期待に沿うようにやっていきたいと私どもは考えております。これは十分検討さしていただきたい、かように存じております。
  283. 古池信三

    古池国務大臣 この問題はきわめて重要でございまするから、あらゆる角一度から十分に検討をいたしてみたい、こう考えております。
  284. 森本靖

    ○森本委員 それからこの間栃沢専務のほうから答弁がありまして、何だかわかったようなわからないような答弁でありまして、給与水準が他に比較していいのやら悪いのやらわからぬような、まことに巧妙な答弁があったわけでありまするけれども、私のほうからいたしますと、率直に言いまして、これは他の官公庁から比較いたしますと、低いとは言いません、しかし、他の放送会社、関連産業と比較をいたしました場合には、これは低いということがはっきり言えると思います。そこでいわゆるNHK、これは官庁ではございませんが、何といたしましても、やはり関連産業と比較をするのが当然であろうというふうに考えるわけでありまして、そういう点を考えた場合には、今後このいわゆる「職員の能率向上による企業経営の改善によって、収入が予算」云々、この場合には「経営委員会の議決を経て、その一部を職員に対する特別の給与の支給に充てることができる。」という、第七条の第二項の項目は最大限に活用していいというふうに考えているわけでありまするけれども、たまたま今日のNHK予算のあり方を見てみますると、大体この辺がNHKのいまの受信料制度ではピークにきておるのではないか。今後、予算総則の第七条の第二項によるところのものがむずかしくなってくるということが考えられるわけでありますけれども、私はでき得る限り第七条の第二項については、書いてあるとおりNHKはこれを十分に生かしてもらいたい。そのことによって従業員の能率が向上し、番組が向上し、国民が喜べばそれでいいじゃないかというふうに率直に考えるわけでありますが、私のこういう解釈は間違っておるかどうか、間違っておらなければ間違っておらぬという回答だけでけっこうでありますが、どうでしょう。
  285. 栃沢助造

    ○栃沢参考人 森本先生のおっしゃるとおりでございますが、今後協会の増収が非常に少なくなってまいりますから、経営者としましても、従業員の諸君と一体になって、その企業努力によってでき得る限り職員の給与に回すように考えたいというふうに考えております。
  286. 森本靖

    ○森本委員 それから、これは国会議員の中で相当意見がありましたので、予算審議でありますから私は特に申し上げておきたいと思いますが、要求いたしました資料の一二ページの電子計算機であります。これはこの間の選挙のときのデータが間違っておったかどうか知りませんけれども、とにかくあまり当たらなかったということは事実でありまして、まことにNHKの権威にとりましては非常に残念なことであったわけです。この資料を見てみますと二千八百万円の借料とありますが、これは大体一年契約ですか。
  287. 志賀正信

    志賀参考人 お答えいたします。  契約は一年を単位にはいたしておるのでございますが、二千八百万円と申し上げましたのは月額の借用料でございます。
  288. 森本靖

    ○森本委員 そうすると、年間契約で二千八百万円の十二倍ということになるわけですね。
  289. 志賀正信

    志賀参考人 おおむねさようでございます。
  290. 森本靖

    ○森本委員 この機械は購入すれば一体何ぼですか。
  291. 前田義徳

    ○前田参考人 この機械は買えないことになっております。
  292. 森本靖

    ○森本委員 それは特許の関係か何かで買えないということになっておるわけですか。
  293. 前田義徳

    ○前田参考人 さように説明をされております。
  294. 森本靖

    ○森本委員 会社はどこですか。
  295. 前田義徳

    ○前田参考人 アメリカのIBMでございます。
  296. 森本靖

    ○森本委員 これは大臣にお聞きしますが、知らぬかもわかりませんが、政府でもこれを使っておるところがあるのじゃないですか。
  297. 古池信三

    古池国務大臣 IBMの会社は機械を貸すことによって、その賃借料で営業しており、機械そのものは譲らないというふうに私は聞いておりますが、IBMにも大小いろいろあるようでして、郵政省におきましてもその小さいのを借りております。
  298. 森本靖

    ○森本委員 郵政省でも小さいのを借りておるのですか。
  299. 古池信三

    古池国務大臣 借りております。
  300. 森本靖

    ○森本委員 政府では買ったところはないのですか。
  301. 武田功

    ○武田(功)政府委員 お答えいたします。ただいま大臣の御説明のように、IBMの機械はみんな借用と聞いております。
  302. 森本靖

    ○森本委員 IBMの機械でなしに、電子計算機で買える外国製品はないかと聞いておるのです。
  303. 武田功

    ○武田(功)政府委員 レミントンは買えると聞いております。
  304. 森本靖

    ○森本委員 どこですか。
  305. 武田功

    ○武田(功)政府委員 アメリカでございます。
  306. 森本靖

    ○森本委員 大体機械の価格というのはどのくらいですか。
  307. 前田義徳

    ○前田参考人 設備の方式によって違いますが、NHKが借用している型式付属機械一式を入れて、もし買えるものとすれば百億かそこらです。
  308. 森本靖

    ○森本委員 二千八百万円の借料でやっただけの価値があればいいのですが、いまのところ価値がありますか、ないとは言わぬだろうけれども……。
  309. 前田義徳

    ○前田参考人 非常な価値があると思います。
  310. 森本靖

    ○森本委員 そうなりますと、この間の選挙放送の間違いは、結局データが悪かったということですか。
  311. 前田義徳

    ○前田参考人 お説のとおりで、予備調査がはなはだ不十分であったと思います。
  312. 森本靖

    ○森本委員 そういたしますと、機械が悪いことはなくてNHKのやったことが悪かったということになるわけでありますが、ひとつそういうことのないように、今後NHKの権威にかけても、ああいう選挙放送の誤報はないように十分やっていただきたい。これはほんとうに大事なことであります。この間至るところでこれは聞いたわけでありまして、特に関心のある問題でありますのでお願いしておきたいと思うわけであります。  最後に、NHKとは直接関係はありませんけれども、郵政当局の意見を聞いておきたいと思いますことは、有線テレビの問題でありますが、郡上八幡でやっておりますところの有線テレビについては、どういう名目でこれを許可いたしておりますか。
  313. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 これは許可ではございませんで届け出でございます。
  314. 森本靖

    ○森本委員 そうすると、これは有線放送の規正に関する法律による届け出ですか。問題が重要ですから、簡単にお答え願いたくないですね。もし有線放送の規正に関する法律による届け出制であるとするならば、ああいうものが全国あちこちにできてきた場合には、現在の法律においては全然規正することができない、こういうことになるわけでありますが、いまの有線放送の規正に関する法律によってこれをやるということになると相当問題になると思いますが、やはりこれは届け出制ですか。
  315. 吉灘中

    吉灘説明員 先生の御意見のとおり、現在の有線放送業務の運用の規正に関する法律の規定によりますれば、「音声その他の音響を有線電気通信設備によって送信すること。」ということになっておるわけでございまして、テレビにつきましては、この法律が直ちに適用になるかどうかという点につきましては非常に疑義があるわけでございます。したがいまして、われわれといたしましては、よるべきものがございませんので、一応行政指導によりまして音響に準じた取り扱いをいたしておるということであるわけでございます。
  316. 森本靖

    ○森本委員 これは非常に重要な問題でありますが、有線放送の規正に関する法律というものは、従来の広告放送とか、それからいままでの電話ができない前の有線放送をさして法律をつくっておるわけであります。だから音響云々ということが入っておるわけであります。この法律によっていまの有線テレビを許可したということになるとするならば、今後各県庁所在地において有線テレビ会社ができてもこれを規正する法律は何もない。そういうふうな行政のあり方ではないと思う。これはファクシミリの問題と同様に、そういう方面の科学の進歩は日進月歩でありますから、法律体系というものもそれに合わせて進んでいかなければいけないわけであります。郡上八幡だけではありません。これが成功するということになるとするならば、おそらく全国各地においてこういう問題が出てくるのではないか。これは場合によったら、東京あたりで映画を送る有線テレビをこしらえたらかなり採算が合う会社ができるのではないか。特に団地あたりを中心として——マンモス団地ができていますから、それを中心として、あいたチャンネルを利用するようにして有線テレビ株式会社というものが考えられないことはないわけであります。それが単なる届け出で簡単にいくという解釈を郵政省がおとりになることはちょっと疑問に感ずるわけであります。
  317. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 確かに先生のおっしゃるように、この有線放送業務の運用の規正に関する法律というものができましたときには、テレビというものはなかったわけでございまして、それには確かに「音響」という字しかなかったわけであります。したがいまして、現在できておりますものにつきまして、われわれとしては重大なる関心を持っております。したがいまして、現在全国的にこれらの問題についても調査しておりまするが、一応現在出ているものはこの法律の延長と申しますか、この法律ができたときの精神にのっとりまして、やはり届け出てもらって、実態をよく調べておく、こういう形で処していかなければならないと考えて現在届け出をさせておるわけでございます。しかし将来の問題につきましては、先生のおっしゃるように、今後考えていかなければならないことだと考えております。
  318. 森本靖

    ○森本委員 有線放送テレビの問題について、私は日本ではそういうことが可能かどうかという点については、かなり疑問がありますけれども、しかし、マンモス団地ができたあたりに、月額の料金をきめて映画を有線放送で送るということは、常識的に考えても不可能ではないと思う。そうなった場合に、一体これに当てはまるところの法律はどの法律かということについては、かなり検討を要する問題である。それを簡単に、そういうものまで含めてこの有線放送の規正に関する法律の適用だけであるということでは済まぬと思う。だから、やはり郡上八幡の場合にはこれは特殊なケースとして認めたのであって、将来この有線放送テレビの問題については、法的にかなり検討を要するというくらいの慎重さがあっていいと思う。大臣はしょっちゅう慎重でありますが、こういうときにこそ慎重さを持たなければならぬのであって、慎重さを持たなければいかぬときには簡単に答えて、そうでないときには何でも慎重にする、こういうくせがありまするが、大臣、こういう問題こそひとつ慎重に検討を要する問題ではございませんか。
  319. 古池信三

    古池国務大臣 先ほど政府委員からも御説明申し上げましたとおり、この問題は今日までほとんど予想されていなかった事態でございます。したがって、法の条項におきましても不備な点があるということは、遺憾ながら認め、ざるを得ないのでございます。したがって、この不備な点を今後いかにして補って完全なものにしていくかという問題については、今後十分慎重に検討してまいりたいと存じます。
  320. 森本靖

    ○森本委員 慎重も、使いようによっては非常にいいわけであって、いまのようなときにこそ慎重にひとつ検討するという答弁が満点になるわけであって、ふだん答えられることを慎重に検討するということであっては、これはまことに残念でありますが、いまの問題こそほんとうに慎重に検討しなければとんでもないことになる。有線電話の法律においても、もともと郵政省が困り果てておったところが、当委員会においては、こういうことではいかぬだろうということで、衆議院の逓信委員会が率先して調査に行き、そうしてあの立法にまでこぎつけた、こういう経緯を持っておるわけであります。だから、こういう点については、いま少し郵政当局としても積極的に調査研究をする必要があろうかというふうに私は考えるわけであります。  それから、最後に私はNHK当局に申し上げておきたいと思いますことは、NHK民放との違いの問題について、絶えずこれは論争されておりまするし、今日も放送調査会において盛んに論議をせられておる問題であります。私は特にNHKに要望いたしておきたいと思いますることは、NHK民放を相手にして競争するというふうな考え方は一掃してもらいたい。NHKNHKとして公共放送というたてまえからして、この放送法に基づいた任務が法律において明確に与えられておるわけでございますから、でき得るならば、私はNHKというものが民放と競争意識を持つというようなことは、払拭をいたしまして、日本の放送界そのものをリードするという、そのくらいの大きな構想と規模を持ってNHKが事に処してもらいたい。ややもすると、民放が娯楽番組をこうこうだからおれのところもやってやろうという、そういうけちな考え方は捨ててもらいたい。放送法に基づいてやはり日本の放送界をリードするくらいに、公共放送として不偏不党性を貫いていってもらいたい。ややもすると、それがぐらぐらするということではなかろうと思いますけれども、そういうことでは、これはまことに困るのであって、私は、放送法に基づいて公共放送のいわゆる大道をまっしぐらに進んでもらいたいということを特に会長に要望しておきたい、こう思うわけでありますが、この点についての会長の決意を聞いておきたいと思うわけであります。
  321. 阿部真之助

    阿部参考人 ただいまの御質問は、まことに適切だと思っております。私どもといたしますれば——私どもは民放というよりは商業放送といっておりますが、商業放送と公共放送と競争しようなどという意思は毛頭ないのであります。ただ、よき意味の競争というか、そういうものはやはり必要だと思うのですが、しかしながら、これは相手をやっつけて自分だけいい子になろうというそんなけちな量見の競争ではないのであります。お互いに切磋琢磨して、日本社会に貢献するという意味の競争は、やはりあったほうがいいのじゃないか、かように存ずるわけであります。
  322. 森本靖

    ○森本委員 会長の答弁でございますけれども、私はやはり危惧を感ずる点かありますので、重ねて申し上げておきたいと思いますことは、まあそういうよき意味の競争ということもまことにけっこうだとは思います。ただ私は、日本における年間八百億に近いところの予算を持った、放送網で全国すみずみまで持っておるものはNHKしかございません。しかも放送法に基づいてはっきりとした放送目的というものを与えられておるのはNHKだけであります。そういう観点からいたしますならば、NHKというものは、この放送法に基づいて、いわゆる公共放送というものを行なっていくわけでございますから、よき意味の競争もこれはきわめてけっこうでございますけれども、そういうことよりか、私は、日本の放送はかくあるべきであるというくらいの大きな気宇を持って、日本の放送界をリードするくらいな気宇を持ってNHKの実際の運営に当たってもらいたい。そうでなければ、NHKというものの意味が成り立たないということを私は言っておるわけでありまして、この点について重ねて会長考えの方を聞いておきたい、私はこう思うわけであります。
  323. 阿部真之助

    阿部参考人 御趣旨はまことにそのとおりであります。重ねてお答えいたします。
  324. 井手以誠

    井手委員 関連して一言だけお伺いいたしたいと思います。  先刻UHFのテレビの問題をまずNHKにお伺いいたしますが、四ページにある八十一の新設候補地区に親局はございますか。これはどことどこが親局になりますか。
  325. 田辺義敏

    田辺参考人 お答え申し上げます。  候補地の中で先ほど議論になりました高松が、この中では総合テレビジョンについては候補地になっております。なお、もう一つ教育テレビジョンにつきましては、私どもの希望といたしましては、これも載っておりますが、徳島があります。
  326. 井手以誠

    井手委員 電波監理局長にお伺いいたしますが、先刻森本委員に対するお答えに、三十九年度のUHFの方針がきまれば、高松、佐賀は最初に手をつけるというお話がございましたが、それでは、NHKでは三十九年度に高松を親局として開局を予定されておる。そうしますと三十八年度中継所を設けられた佐賀については、三十九年度に一緒に免許なさることになると思いますが、そのとおりでございますか。
  327. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 佐賀につきましては、高松と同様に考えてまいりたいということで先ほどお答えいたしましたが、ここに書いてございませんのは、現在伊万里に中継局がございますので、伊万里というものと振りかわりといいますか、伊万里を親局の形にしていくという方法考えられますので、ここに書いていないような次第でございますが、先ほどお答えいたしましたように、県庁所在地でないものにつきましては三十九年度UHFの全体を考えるときにまず取り上げて考えていきたい、こういうことでございます。
  328. 井手以誠

    井手委員 親局と申しますと、番組の編成をやるのが親局ですね。
  329. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 さようでございます。
  330. 井手以誠

    井手委員 NHKにお伺いいたしますが、いま電波監理局長は、UHFの総合的な方針が三十九年度きまれば、高松、佐賀はまっ先に取り上げるという郵政省の方針をいまはっきりおっしゃったのですが、そうしますと、ここに書いてある高松、佐賀は同時に親局になさることになるわけですね。それは間違いございませんか。
  331. 田辺義敏

    田辺参考人 そのとおりでございます。
  332. 井手以誠

    井手委員 三十九年度になりますか。電波管理局長にお伺いいたします。
  333. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 三十九年度に全体の方針を考えまして、その場合に考えるということでございまして、チャンネルプランの問題とか、いろいろなこともございますので、必ずしも三十九年度になるかどうか、いまのところお答えできませんけれども、できる限りのことはいたします。
  334. 井手以誠

    井手委員 現在のところは三十九年度でございますか。
  335. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 三十九年度中になるべく早い機会に、UHF全体の問題を考えていきたい、この中において考えていきたいと考えておるのでございますけれども、置局を三十九年度ということを——先生の御質問、三十九年度中に全体を考える中において考えていきたい、こういうことでございます。
  336. 井手以誠

    井手委員 ここにNHKでは確信を持って計画書が出されておる。高松は、親局で三十九年度予定をされておる。そうであるならば、三十九年度に開局されねばならぬと思うのです。NHK予算はあなたのほうが承認をして国会に出されたのですから、一体であるはずです。だから三十九年度に開局いたしますとはっきりおっしゃってください。
  337. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 この局数は、この上にも書いてございますように新設の候補地区でございまして、候補地区としてあげることはわれわれ差しつかえない、こういうふうに考えておる次第でございますが、そのものずばり建設局であるかどうかということについては、私が先ほど申し上げましたような次第でございます。
  338. 井手以誠

    井手委員 候補地区というのは大体予定されたところを候補地区というのじゃございませんか。どうかわからぬものを予定地区として予算に計上されて要求されたものじゃないはずですよ。それは結果においては、いろいろな事情があって延びる場合はあるでしょう。しかし順調であるならば、この八十一局は支障がなければ全部開局されねばならぬはずです。それはいいかげんなものをあなたのほうから出していないはずですよ。そんないいかげんなものをあなたのほうは承認なさらぬはずです。
  339. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 これは八十一局のうち七十局をやる、こういうことで計画書が出ておりますので、その意味で了承いたしたような次第であります。
  340. 井手以誠

    井手委員 それでは大事な高松なんかは、これは延びるということになりますか。それじゃいけませんよ。それを含めて、場合によっては、八十一局のうち、いままでのいろいろな実績からいって、予定された九割程度しか実行できない場合があるでしょう。それを予想して七十局とおっしゃるのだろうと思うのです。しかし、この後において支障がなければ、当然高松は三十九年度に開局しなくちゃならぬことになります。初めからどうかわからぬということじゃそれはいけませんよ。その点、三十九年度に特別な支障がなければ親局として開局します、佐賀も同時にやりますと、もう一回はっきりおっしゃってください。
  341. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 先ほどから御答弁申し上げておりますように、三十九年度中にUHF、FM全体の問題が解決いたしましたときに、その中におきまして、こういう県の問題というものをまっ先に考えて、これで行こうという方針がきまったときに、この七十局のうちに高松と佐賀は入る、こういうことで了承したように次第でございます。
  342. 井手以誠

    井手委員 これだけ押しておけば、郵政省もNHKも最優先に配慮してもらうと私は期待いたします。  そこで大臣にお伺いいたしますが、私は先般の予算委員会でこのことをあなたに考慮を願いました。あなたも約束された。何とかいたしますということを言われた。そこで一言この機会に申し上げておきたいと思いますが、私のほうの佐賀県には、昨年の秋UHFの中継所が開局になりました。そしてコンバーターを一万二千円で買いました。そしてよく写るようにはなりましたが、ローカルニュースというものは、よその県の県会とか、関係のないよその県のものが写るのです。あまねく全国受信できるようにしなければならぬという義務規定がある。あまねくとは、この前も申し上げましたように、一様に広く行き渡らなければならぬ。電波行政のまずさから民放にどんどんチャンネルを許したため、香川県とか佐賀県なんかはVのテレビが受像できない。やっとUHFのテレビを受像できるようになりましたが、本来ならば、あまねく受信できるようにするならば、一万二千円もかかるコンバーターをつける必要はないはずです。金を出さなければならぬはずはないのです。一万二千円のコンバーターを買った上に、よその県会のニュースしか見られない。自分の県のニュースは見られない。その日の午前中にあった一部の爆発事件なんかは出てまいりますけれども、ほしいニュースは出てこない。隣の県のニュースばかり出てくる。この矛盾について、郵政大臣はこの前考慮いたしますという約束をなさいました。どんな考慮をなさったのか。私はいまNHKの実情も知っておりますが、先ほど申し上げたように、大都市中心にチャンネルを許し過ぎたから、こういう不公平が起こっておる。これは郵政省の責任です。そこについてどういう救済措置をとられようとするのか。私はコンバーターの値段を全部まけろとまでは申しません。しかし、将来六千円か七千円に下がる見込みであれば、それを基本として、それをこえる分については補助をしようとか、あるいはそのほかに、これをもってサービスをしようとかいう救済措置が当然なければならぬと思う。こちらから問われなくても当然郵政省はしなければならぬ立場にあると私は考えております。郵政大臣の今日まで御考慮なさった結果をこの際承っておきたいと思います。
  343. 古池信三

    古池国務大臣 この前の質問の際にも私申し上げたかと思いますが、確かにいま仰せのように、Vの波でないためにコンバーターをつけなければならないということは、その地域の方々にとっては非常に不公平なわけで、まことにお気の毒なことであると存じます。しかしながら、いま一万二千円というお話でございましたが、先ほどもこの委員会でその話が出ましたけれども、これが相当に多量生産ということになれば、おそらく数千円に値下がりするであろう、こういう話でございます。しからば、それにしても現在支出した一万二千円と将来安くなるであろう価格との差を全部放送協会のほうで助成すべきではないかということにつきましては、その金額を助成するということは、NHKとしてもなかなか容易ならぬことであろうと存じます。しかしそのうちの幾らかを助成するということは、これはいたしても差しつかえないのではないか、こういうことでNHKには話をしております。その後の模様はさようなわけでございます。
  344. 井手以誠

    井手委員 きょうは非常におそくなっておりますし、採決を急がれておるようでありますから、私はこの程度で本日は終わりたいと思います。しかし問題は依然として残るわけです。将来は五、六千円に下がる、その差額については見込みがあるとおっしゃる。これは大臣見込みがあることは大丈夫でしょうね。
  345. 古池信三

    古池国務大臣 差額の全額については困難であろうと思います。しかし、その差額の一部については、極力NHK考えてもらうようにつとめましょう、こう申し上げたのです。
  346. 井手以誠

    井手委員 阿部会長さん、お隣でお聞きになったと思いますが、NHKは差額の全額は困難であるけれども、ある部分補助が願えると思うという郵政大臣お話でございましたが、あなたのほうは御考慮なさる御用意はすでにおありになることは聞いておりますが、この機会にお伺いしておきたいと思います。
  347. 阿部真之助

    阿部参考人 この問題は財政全般に大きく関係する問題でありますので、財務関係の専務から……。
  348. 小野吉郎

    ○小野参考人 ただいま結論的にどうこうということはお答え申し上げる段階でございませんがUHF局の置局関係いたしますただいまのような問題につきましては、これもいろいろな地区がございまして、従来VHFがほとんど何にも見えなかったところへUHFの局ができ、初めてテレビなるものの利用ができるというような地区につきましては、これは全然助成対象から除いております。それから在来多少なりともVHFが見えておったところで、これがUHFの置局によりまして、よく見えるというようなところというふうに、いろいろな段階がございます。あるいはチャンネルプラン上の変更の結果起きるものもございます。またそうでないものもあるわけでございます。こういうものにつきましては、ある段階別に何がしかのお手伝いをいたしておりますが、先生御指摘のそれは、現在のそれよりもおそらくもっと大幅な助成考えろ、こういう御趣旨と考えるわけでございますが、この点につきましては、意見書の中にも、郵政大臣からそのような点についての気持ちをあらわされたやに見える表現もございます。将来の検討の問題として考えていきたいと思いますが、ただいま何がしをどうこうとお約束できる段階でないことを申し添えておきます。
  349. 井手以誠

    井手委員 監督者の郵政大臣から、この委員会でごもっともな意見であるからNHKに相談をしたい、相談できるものと思うということばがあったわけですから、あなたのほうでは大臣の御意思に沿ってすみやかに検討しますということでも答弁はいいわけですが、そういうことでしょう。
  350. 阿部真之助

    阿部参考人 大臣の意見はできるだけ尊重して、考慮していきたいと考えております。
  351. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 受田新吉君。
  352. 受田新吉

    ○受田委員 NHK予算審議するにあたりまして、最後の質問者でございますので、ゆっくり時間をかけて御理解を願いながら質問をさしていただきたいと思いますが、よろしゅうございますね。何か途中で質疑打ち切りの動議なんか出ますか。
  353. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 委員長から御返答申し上げます。なるべくならそういうことはいたしませんが、先ほど受田委員からも約一時間、こういうふうなお話もありましたので、そう二時間も三時間もすることはなんですが、なるべく簡潔に、そしてNHK予算以外の問題については、また別の機会にお願いいたします。打ち切りとか、そういうような強行手段は、どうせきょう上がるのですからとりません。
  354. 受田新吉

    ○受田委員 放送法の第一条には、放送目的が書いてあるわけです。そうして第七条以下に日本放送協会規定があるわけでございますので、その放送法目的NHKはいかに果たされているかということについて質問をまず申し上げたいと思います。  放送法の第一条に放送の公共の福祉貢献の規定が書いてありまして、原則的に一、二、三と項がわけらておりますが、その中で「放送国民に最大限に普及されて、その効用をもたらすことを保障する」ということが第一原則です。この第一原則にぴったりかなう事業をやっていただかなければならないのがNHKであり、民放もそうでありますけれども、その公共性からいって、これはNHKが第一原則の重役を双肩ににない、またこの原則を実施するためのリーダーをつとめなければならぬわけです。  今度の予算書を拝見しますと、まだまだこの第一原則を果たす予算としては幼稚過ぎるようでございます。それで国民のための放送でございますから、全国津々浦々、また個人々々に行き届くということがこの第一原則の目的である。ところが、事業運営の計画を拝見しましても、懸念されることが幾つもころがっているわけです。事業運営の中におきましても、いま僻地とか、そういうところへ心を配っておられることもよくわかります。また難症の身体障害者に対する特例措置をとっておられることもよくわかります。しかしながら、その手だての金額、対象があまりにも少ない。社会保障をやるのは、原則としてNHKの任務ではないとおっしゃるかもしれませんけれども、しかし現在の国の政治の形態から公共性を持つ協会がひとつこれに乗り出していただくべきものだと思うのです。  そこで、私がいまお尋ねしている受信料減免の措置とか、あるいは受信機を贈呈するとか、こういうことについて、NHKは社会保障の一環としてある程度のお手伝いをするけれども、それ以上のことはできないという見解をもって対処しておられるのか、お答え願います。
  355. 小野吉郎

    ○小野参考人 放送法規定してございます使命を果たさなければならないことは当然でございます。ただ受信料の減免について、社会保障的な考慮の気持ちをどのように持っておるかというようなお尋ねでございますが、いわゆる社会保障といったような面の減免につきましては、おおよそ考えております。ただ、テレビラジオの難視聴関係、いわゆるこれの受信障害の関係につきまして、減免の対象にいたしましたのは、今回の基地問題が初めてでございます。その他の問題につきましては、いまだかつて減免の対象にもいたしておりませんし、今後といえども、そのような面につきましては、受信料の減免よりも、他に技術的にこれを解除する道がございますので、できるだけ早くそのような本筋の改善方法をとっていくということをたてまえにいたしております。
  356. 受田新吉

    ○受田委員 技術革新によって問題の解決をはかりたいという基本的な問題には賛成です。しかし、当面いま指摘された事項のほかに、たとえば電力事情の非常に恐い離れ島、こういうところでは、夕方七時、八時ごろから十時ごろまでしか電灯がつかない自家発電の島がたくさんあるはずです。そういう離島等における特別の扱いとして受信料の減免措置というようなものを——一日のうちに三時間か四時間しかラジオテレビを楽しむことのできないような人々に、一日中聞く料金と同じ料金を課しておるというようなのも、一例でございますが、あるのじゃないかと思うのですが、こういう地域聴視時間というものがはっきりわかっている地域には特別の減免措置をとる、こういうことは、私当然筋として通ると思うのですが……。
  357. 小野吉郎

    ○小野参考人 お説のとおり、ごもっともでございます。そのような地域につきましては、現在ほとんど契約対象になっておらないのが実情ではないかと思います。ただし、これは皆無ではございません。契約対象になって料金をいただいておるものもございます。そのような限りにおきましては、受信料の減免という回答はいたしてございません。電力事情の改善に役立ちますように、この予算の中にも経費を盛り込みまして、在来もそのような努力をいたしておりますが、関係の自治団体、あるいは電力の配電をいたしております会社方面、この方面にもいろいろと折衝をいたしまして、できるだけそういった送電事情の改善ができるような努力はあわせ行なっておるわけでございます。
  358. 受田新吉

    ○受田委員 そんなところは、もうはっきり徴収することがないようにぴしっと割り切ってやられてもいいんじゃないか、この受信料免除の範囲を拡大されて減収総額はわずかに二億九千万円、この金額というものは、NHK予算から見たら三百分の一くらいの程度です。そのわずかな恩典がここに規定されているのでございますが、うんと受信料免除の範囲を拡大されたとしても、NHKの収入にたいした影響がないということになりますならば、思い切った、大衆を喜ばせる措置を積極的におとりになってもいいのじゃないか、いかがでしょう。
  359. 小野吉郎

    ○小野参考人 お説、まことにごもっともな面がございますけれども、私どもは、先ほどお答えを申し上げましたように、むしろ積極的に利用いただける状況をすみやかに達成できますような努力をあわせ用いておるわけでございます。
  360. 受田新吉

    ○受田委員 その努力する過程において、この放送法第一条の第一原則の恩典に浴しない人があるわけです。その日がいつになるかわからないままで、わずか二億ばかりの恩典を与えただけで取り残しておるということは問題があると思う。その待望の日までの第一条第一原則を実施するためのNHKの任務というものが私はあると思うのです。会長、これはあなたとされても大事なことだと思うのですが、このささやかなサービスであっても、このことによって国民にどんなに大きな感激があるかということを会長としてお考えになっておられるかどうか、英断をふるわれる勇気があるかないかをお聞きしたい。
  361. 阿部真之助

    阿部参考人 十分その点は考えておるつもりでございまして、ただいま小野専務が説明されたように、離れ島で一日に三時間しか電力が起こせない、三時間しか見られないというところには油を補給して全時間見得るようにするというような努力をやっておるのでありまして、減免するよりかもそのほうが離島の人たちにとって有利だろう、かように思っているのでありまして、そういう努力を今後はますます重ねていきたい、かように存じております。
  362. 受田新吉

    ○受田委員 私、こまかいことをお尋ねするようですけれども、これはやはり原則としてNHK責任問題があると思うのです。たとえ油を補給されたとしても、受信料をとっているということになれば、これは問題なんです。三時間か四時間しか見ることができないところで一人前の受信料をとっているところがある。そういうところがあるというお話がいまあったわけですが、三時間か四時間しか見られないところで受信料をとっているところはどういうところがあるのでしょう。
  363. 小野吉郎

    ○小野参考人 具体的には私いまつまびらかにいたしておりませんが、そのような地域に対しましては発電機を取りつけられ、これに対する所要の発電機が動きます動力関係のもとになります油等の関係につきましては、NHKのほうでこれを負担をいたしまして、通常の状況では、そういうような短時間しか受信のできないようなところ、これがそういうような自家発電の関係で時間延長ができますように、またさらに抜本的には、その地域に送電、配電が行なわれますように、関係の向きといろいろ話し合いをいたしてそういう促進につとめているというような実情でございます。
  364. 受田新吉

    ○受田委員 私、そうした別のほうでの御協力に対しては感謝しますけれども、そういう離島にいる皆さんにしてみると、ほかの地域に住む人と、それでなくても格別の格差のある冷遇された国民なんですから、油を補給してもなおその自家発電所の経費を地元負担している人なんですから、そういう人々にこそ、一日のうちの五分の一か四分の一しか聴視できないような放送に対して聴視料を半額にするとか、あるいは終日見れる日まで免除するとかいうサービスをされても、おこる人はいないのです。筋も通ると思うのです。金額もわずかである。英断をふるわれる必要はないか。
  365. 前田義徳

    ○前田参考人 お答え申し上げます。  先生のお気持ちは全く私どもも同感でございます。したがいまして、私どもの知っている限り、離島等の特別の地域において多少見える時間もあるという方々からは、ちょうだいいたさない方針でおりますけれども、ただしその島の方々は、たとえば相撲放送であるとか、そういうものはぜひ見たいのだという御要望が非常に強いわけでございます。したがいまして、その島の実情に応じまして、先ほど小野専務から申し上げましたように、年間予算をきめまして、全国的にその島嶼の実情を調べまして、現在までのところは、大体そういう島では発電機をつくっておりまして、それぞれ最低の自家発電の設備を持っております。たいがい重油その他で行なっておりますので、その島の人々と話し合いをいたしまして、むしろ重油を補てんしてもらって、相撲なども思い切りみたいという御希望のほうが従来は強かったので、その限度において私どもは努力しておるわけでございます。そういう島々で、大体私どものほうで調査いたしましたが、さらに調査漏れがございまして、非常に困難な状態でしかもその島から料金をいただいておるという問題が現にあるといたしますならば、これらについては私どもは積極的に考えていく気持ちに変わりはございません。
  366. 受田新吉

    ○受田委員 要望申し上げておきますが、来たるべき待望の日までに、願わくはこの特別の苦労をしておる地域に対する受信料免除範囲の拡大を実施していただきたい。これは金額の上でも大した問題じゃない。そして終日聴視できないという事情であるから、見れない時間の料金まで、つまり三百三十円というものはいつでも見れる料金なんでございますから、その三分の一、四分の一しか見れないとするならば、当然半額の減免措置とかなんとかなければいけないわけですから、ここははっきりしていただきたいと思います。そのことは放送法第一条の規定にも合致すると私は思います。  なお、これに関連するのでございますが、受信料をよう納めない——特に今度の予算書を拝見しましても、未収受信料に対する欠損償却費なるものを六億四千万円計上しておられるわけです。一体この中には故意に払わない者がおるのか、あるいはいま申し上げたような生活が困窮して、その日その日の生活費にも困り、ぼろの古いラジオテレビを買って、あるいは人に借りて見ておるけれども、一カ月に三百三十円、一年にいたしまして四千円もという負担はなし得ないというようなほんとうに困った意味で払えないのか、そういう比率がどうなっているのか、これは御調査されておると思うのですが、御答弁願います。
  367. 小野吉郎

    ○小野参考人 欠損金に立てなければならない状態の大部分がいろいろ金繰りがつかないというような現状の方が多いのでございます。特にこの中には、今回御審議をいただきまして四月一日から実施いたそうとしております基地周辺の軒払い関係もかなりの額に上っております。また炭鉱等の関係につきましては、いわゆる炭鉱離職者等の生活状況等から見まして、やはり受信料の徴収が予定の時期にきちんきちんといかないというようなことで集積をいたした額も非常に含まれております。
  368. 受田新吉

    ○受田委員 NHKはそういう点では社会の下積みの層の人々の実態を把握するのにまことにいい御調査ができると思うのです。いま炭鉱離職者の例もお引きになりました。基地周辺の場合はまた別の意味がありますけれども、そうした受信料さえも払えない、ほんとうに経済的に困窮しておる人々の実態を把握し得られると思うのです。だからこそNHKの公共性を発揮されて、未収の方々で払えないような実態を持った人々には、適当な方法で免除あるいは軽減のほうへ入れていくという方法もありますし、いつも予算の中に——これは比較表を見ますと、去年より相当金額がふえております。こういうふうにだんだんふえていくようでは、NHKが愛情のある放送協会かどうかということも疑わせると思いますので、こういう問題の解決のために、下積みの層の人々に愛情をどう注ぐかという手を打っていただきたい。そのために、さしあたりこの未収の受信料の取り扱いは、結局借金棒引きでそういう人々にやっておられるのか、結果論からお伺いします。
  369. 小野吉郎

    ○小野参考人 この欠損金に立てますものは、過去にいろいろ回収を努力いたしましても、とうてい回収見込みなしというものを措置するわけでございます。なお、そのような社会の非常に恵まれない層に対する対策といたしましては、在来とも生活保護法の適用を受けておられます所得の少ない方々につきましては、すでに受信料の免除を取り計らっております。
  370. 受田新吉

    ○受田委員 この六億四千万円のうちで、そうした内容を分析しまして、大体どういう割合になっておるか、大まかな数字でけっこうですが、お答え願います。
  371. 小野吉郎

    ○小野参考人 ただいま事由別に計算をいたしました資料を持っておりません。そういうことでございますので、おおよそは私が先ほど申し上げましたように、回収の努力をいろいろいたしまして、もうたびたび収納に参るわけでございますが、どうしても収納に至らないというようなものでございます。
  372. 受田新吉

    ○受田委員 NHKに要望したいことは、受信料も納め得ない人が社会にたくさんある、そしてそういう人に対してNHKが減免措置をとってあげるということを実行されることで、毎月集金人がおこり散らかして帰られて——このたった一つの娯楽の機関であり、教養の機関であるNHK放送さえもお受けできないということのないようにひとつ御配慮願いたいのです。これは国のすみずみまで、どのような階層の人もひとしく放送の恩典に浴すという大原則、愛情の政治の具現のために、NHKに御協力願いたい。金額にしてほんとうにささやかな問題であります。  さらに私がここに指摘したいのは、トランジスターのテレビ受像機やラジオ受信機、こういうものをいま日本でどのくらい使用しておると思われるか、ここに書かれてあります普及している放送受信契約の甲、乙のほかにトランジスターの使用者、利用者がどのくらいあると目算をしておられるか、数字がありましたらお示し願いたいと思います。
  373. 小野吉郎

    ○小野参考人 正確な数字は持ち合わせてございません。現在の甲、乙のほかに幾らあるかという御質問でございますが、現状におきましては、甲、乙の中にトランジターラジオが非常に多いわけでございまして、今日のラジオ受信機の生産の状況はほとんどがトランジターでございますので、大体はそういうトランジスターラジオを持って聞いておられるというのが実情であろうと思います。御質問の趣旨は、契約対象になって料金のとれないもので、トランジスターラジオがどのくらいあるかというようなことではないかと想像いたすわけでございますが、その辺につきましては、正確な資料を持ち合わせでございません。
  374. 受田新吉

    ○受田委員 いま自家用車にトランジスターテレビを備えつけて走っている、いわゆる富める豊かな階層の方々の数は非常に多数に上っております。自分のうちにもテレビがあり、走りながらテレビを見ておる、幾つ持っておっても料金は三百三十円である、こういう形の家庭がたくさんある。そういう自家用車にも取りつけて、また家庭もテレビを見ておるというのが三百三十円で済んでおる。テレビを幾つ持っておっても三百三十円、一方では三百三十円払えないで四苦八苦している大衆もおる、これは大きな矛盾ですね。少なくともテレビの受像機はすぐ検査ができるわけですから、テレビの受像機を自家用車にも備えつけ、また自分の研究室にも持ち、自分の本宅にも持っておるというように、幾つも持っているそんな立場の人は、進んで一台につき幾らという受信料を当然支払うべきであると思います。それに対して支払いをちゅうちょするような人はよほどの人間であると思います。率直に申告制を採用してでも、特にテレビの利用者に対して料金を徴収する方式をおとりになるべきではないか。実態調査が不可能であるならば、良心的に申告によって、そして二台以上持っている者は、料金をある程度割引して徴収するというような道もおとりになるべきではないかと思います。実態よりも、離れた受信料徴収がなされて、一方にはきわめて酷に、一方にはきわめて寛大なということでは、放送法を実施する上に大きな問題があると思います。
  375. 小野吉郎

    ○小野参考人 お説の点につきましては非常にもっともな節が多いと思います。料金負担の公正な面を貫きますためには、利用の状況により、利用の厚い薄いによって料金負担をつける、これは料金負担の非常な公正な原則であろうと思います。ただ長年——と申しましてもほとんど事業創始以来、諸外国の例と同じように一世帯一台しか料金を取っておらないということになっていますから、その現実から見ますと、御指摘のような不公平はございます。では、現行法でそのようなことができるか、こう申しますと、現行法では、契約をしなければならないというかなり強い規定でございますけれども、その権利を貫きますためのいろいろな手段方法につきましては、立ち入りの調査権もございませんし、受信機を設置した方が申告しなければならない法律上の義務もないわけでございます。そういうような状況で、実際の現実の申告につきましては、きわめて困難な環境にあるわけでございますが、にもかかわらず、全体では契約甲、乙を入れましておよそ全世帯の中で非常に高い率になっておりますが、千八百万世帯の方々が料金を支払っておられるわけでございます。こういった点は、そのような料金収納の裏づけになりますいろいろな調査関係あるいは申告の関係、こういった面が、不備ではございますけれども、現在の実情から申しまして、およそ漏れなく契約をしていただいておるのではないか、このように計算の上で私どもは判断をいたしておるわけでございます。
  376. 受田新吉

    ○受田委員 契約しておられるんじゃないかという御判断のようですけれども、いま一家に三台も四台も使っているのです。そういう場合に、やはり三台、四台分を申告して料金を払っている、そういうふうな判断ですか。
  377. 小野吉郎

    ○小野参考人 そのようなたてまえに現在なっておりません。また、そのような状況を把握し、達成いたしますためには、法律上の配意をされませんと、実行上よくこれをなし得る限りでないと思います。
  378. 受田新吉

    ○受田委員 これははなはだ問題があるのではないかと思うのです。たった一台分の受信料だけを払ってそしてあとはお部屋に使っており、自動車に使っておる、三台も四台も使っておっても三百三十円で済んでおる。こういうことは実態に即していないと思う。これは当然申告させて、三台なら三台分を取るべきです。ラジオテレビ一台につき幾らということになっておるのじゃないですか、いかがです。
  379. 小野吉郎

    ○小野参考人 一世帯に甲にしましても、乙にいたしましても、一個の契約でいいわけでございます。この一個の契約が甲であれば三百三十円、乙であれば月額五十円でございます。
  380. 受田新吉

    ○受田委員 その一世帯というものの解釈にもまた問題があるわけなんですが、私がいま指摘しているのは、これは法律を改正してでも、実態を把握した料金徴収ということが原則であると思うのです。このNHK予算総則の中にもこのことがうたってあるわけですけれども、この料金を実態に即して徴収するという形をとるようにNHKとしてお考えになったことはないのかどうか。これはトランジスターであればポケットに入れてもちょっと安上がりで済みますけれども、むしろトランジスターテレビというのは、機械そのものが高いんです。これを持ち得るのは、よほど豊かな人でなければ持ち得ないんですね。だからラジオと逆なんです。したがって一台につき幾らという形に切り変えていく、こういう形をおとりになって、そうして料金の増徴をはかって、一方では不幸な人の分は徴収免除する、こういうふうな政策的なものが必要だと思います、お考えになったことはないでしょうか。
  381. 小野吉郎

    ○小野参考人 お説のような方法をとりますためには、その前提といたしまして、そういった方式を実効あらしめるための立法上の配意が必要であろうと思います。現在直ちに台数でやるのだということでいろいろ努力をいたしましても、決して台数を正確には把握できません。と申しますのは、受信者のほうでは何ら申告する義務を与えられておりませんし、われわれのほうにはこれを調査する権利も権限も与えられておらないのでございます。そのようなことで、理想ではございますけれども、それをいまそのような方式をとりましても、所期のような成果をあげ得るとは考えておらないわけでございます。
  382. 受田新吉

    ○受田委員 所期のような成果をあげ得るとは考えておらないでは困ると思うのです。成果をあげるようにNHKとしては考えなければならない。これは法なり規則に不備があるならばそれを直していく、実態に即するように改正をきめて、そしてわれわれに御相談をしていただく、あるいは政府に提案させる、いろいろな方法があるわけです。そういうことは、特にテレビについてはますます大事な問題になってくると思うのです。NHKの増収をはかる上からもこれは大事なことで、いま小野さんは理想と言われましたけれども、理想を実行するための努力をしておられないのではないか。努力せずしていまは手がつかないという言い方ではなくして、やはりはっきりと一応の政策として検討をしていただいて、これを実行に移すにはどうしたらいいか、実行に移すにはどういう支障が起こるか、影響がどうあるかということも十分に検討をして、その検討すらもしないということは問題だと思うのです。これは会長、副会長いずれでもけっこうです。
  383. 阿部真之助

    阿部参考人 理想とすればたいへんけっこうな御議論だと思いますが、ただ、いわば料金体制を根本的に改めるということは、これは革命的な金額になると思いますが、しかしこの点については十分検討し研究しないというと、なかなか結論が出ないのじゃないか。しかしながら、御趣旨はわれわれも十分よくわかっておりますので、これからも十分研究していきたいと思います。
  384. 受田新吉

    ○受田委員 趣旨がわかっていただけるのでしたら、当然検討していただいて、そして革命とおっしゃるけれども、現実の問題としては実態に即した措置なんですから、そう国民が納得しないような問題じゃないと思うのです。だから、それをひとつ御研究を願いたい。  もう一つ、これに関係をする問題ですが、実際受信料の前納制度が生まれている、総則にも書いてある、この前納制度をどの程度利用しておられますか、数字をひとつ示していただきたい。
  385. 志賀正信

    志賀参考人 お答えいたします。  契約甲につきましては、前納は、六カ月と十二カ月とそれぞれ二種類ございまして、そのうちで契約甲につきましては、六カ月の場合六・七%程度になっております。それから一年ものになりますと一カ月分を割り引くわけでございますが、おおむね一%程度になっております。それから契約乙につきましては、やはり六カ月の場合と十二カ月の場合と二種類ございますが、見込みといたしましては、六カ月につきましては一五%、十二カ月のものにつきましては二・五%を予定いたしております。
  386. 受田新吉

    ○受田委員 相当数の利用者があることがはっきりしたわけですが、こういう制度を設けた効果がここに出ておる。これは徴収する手数等も省けて両方とも助かる、こういうことになるわけですけれども、こうした受信料について何らかの方法で減額措置のとられるような道も、いろいろな線で研究をしていただくべきじゃないかと思うのです。これは生活の実態が多少豊かな人が前納をする、こういうことが原則的に考えられるわけでございますけれども、そこには仕事の関係などで留守をしがちな人が無理してでも払うという人もあるわけです。そういうことを深く研究される機関も必要だ。NHKとしてはその前納者の実態というものがどういうところにあるか、留守がちな家庭が無理しても払っておる、あるいは少しでも料金を安くしたいという経済観念のある人が払っている、いろいろなところのこうした社会の実相を研究していただくのにNHKは非常にいい機関を持っておられるわけですから、こういう方面にも前納者の内容等もひとつ御研究願いたいと思います。さて、この放送法の第一条の目的に対して、もう一つ、たとえばカラーテレビも今後大いに普及することでしょうし、UHFも普及していく、こういうときに、受信機に適当な装置を加えなければいかぬ、チューナーをつけるような場合もあるでしょうが新しいFM、カラーテレビ、UHFこういう体制に移行するための受信機製作メーカー等の関係において、どういう形でNHK考えておられるか。そういうものは全然抜きに放送協会としてはやればいいのだというふうに考えておられるか。これはまた政府の方針にもなると思うのですが、まずNHKから御答弁願い、しかる後に政府にお答え願います。
  387. 田辺義敏

    田辺参考人 お答え申し上げます。  ただいま御指摘のありました新しい放送形態に関しまして、いろいろな新しい技術的な問題が関連して起こってまいりますので、これにつきましては、私ども技術研究所の重点研究事項の一つといたしまして、価格の低廉とか、あるいはその他新型の性能の優秀なものを出すための研究をいたしまして、これはまた一般電子工業関係の諸会社とも密接に協力いたしまして、その方面の開発につとめております。
  388. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 ただいま御指摘がありました新しいいろいろの方式の受信機につきましては、もちろん技術的な改良を常にはかっていかなければならないものと考えております。ただいま田辺専務理事のほうからお話がございましたように、NHKの研究所におきましてもいろいろな研究をしていただく、同時に私たちのほうといたしましても、電波監理局電波技術審議会というものを持っておりまして、そこへたくさんの有識者を集めまして、そして多くの分科会を持ちまして、新しい方式、新しい受信機の基準、そういったようなものについて検討を進め、研さんをしている次第であります。
  389. 受田新吉

    ○受田委員 政府FMやUHFの新しい免許の進展とともに間に合うような形に進行しているのかどうか、いかがですか。
  390. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 間に合うように努力いたしております。
  391. 受田新吉

    ○受田委員 機械をすべてそういう受像、受信ができるような形のものにするのか、あるいは特別の装置を加えることによって別の放送も聞ける、見れるようにするというのか、いろいろあると思うのですけれども、そういうものの対策もあわせて検討しておるのかどうか。
  392. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 両方あわせて検討しております。
  393. 受田新吉

    ○受田委員 これは低料金で国民がひとしく放送の恩典に浴するという形をとらなければならぬ。にわか仕立てで、急速に計画だけ立てたのでは間に合わないわけなんですからね。安く受信機、受像機が手に入るように、補足設備でやれるならそういう手を使っていけるように、懇切丁寧な指導も必要だと思うのです。郵政省として手落ちのないように、またNHKにおいてもぬかりないように、万全の措置をいまからやるようにしていただきたい。  そこでもう一つ放送時間ですが、これもやはり国民全体がいつでも自由に見れるという考え方からいえば、深夜に放送しても一向差しつかえないわけでございますが、NHKは十二時で一応打ち切っておる。ところが、民間放送の中には、深夜放送をやっているのがあるのです。一時、二時ごろまで、もっと延びているのもあるのじゃないですか。これはNHKも御調査になっていると思いまけれども、郵政省として、通常の人が睡眠をはかる大事な時間、午前零時から翌朝五時、六時ごろまでの間に放送しているのがどの程度あるか、御調査していると思います。御答弁願います。
  394. 吉灘中

    吉灘説明員 いま具体的にこまかい数字を持ってきておりませんが、零時以降に放送しておるのは、東京で、二、三の局、それから大阪でやはり二、三の局が深夜放送を行なっております。
  395. 受田新吉

    ○受田委員 深夜放送の効果というものはどういうところにあると御判断されますか。これは郵政省としては、十分放送の公共性というものを検討して、公共の福祉をはかるという放送法目的があるわけですから、それに合致するかせぬかの判断くらいは、できるはずです。
  396. 吉灘中

    吉灘説明員 深夜放送の是非につきましては、いろいろ世間でも批判があるところはわれわれとしても承知しておるわけでございます。それで現実の問題としまして、しからばこの深夜放送をとめることが可能であるかどうかという点につきましては、先般来番組の低俗化の問題が非常に騒がれた場合におきましても、われわれとしましても、この問題について検討を加えたわけでございますけれども、番組の編集の自由との関係もございますし、これを法律的に禁止するということはもちろん不可能でございます。むしろ番組の向上自体が問題でありまして、深夜に放送をしちゃいかぬ、することは放送法の精神に反するというところまできめつけることは、法律的には不可能と存じている次第でございます。
  397. 受田新吉

    ○受田委員 放送法の第一条の規定、これだけをたてにするわけじゃないですけれども、これに一例をとりましても、公共の福祉に適合するということができているかどうかの判断は、そうするとどこがやるわけですか。法律の条文に書いてあるだけで、別に適否の判断をする役所はないわけでしょう。天なる神が判断をするのですか。
  398. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 ただいまの放送部長の説明につけ加えて御説明申し上げます。  もちろん、この放送法の守られているかどうかということにつきましては、われわれ責任を持っておるわけでございます。ただいまの御質問の深夜の問題でございますが、やはり深夜でなければテレビを見るひまのない人もあろうかと思いますし、まただんだん生活がいろいろ複雑になってまいりますならば、夜中に労働していて、その間に見たいというような要望を持っている階層もあるかと思います。そういうようなことなどを考えまして、やはりこの深夜放送というものは、もちろんこれが非常に大きな音を立ててほかの人の迷惑になるというような問題が起これば別の問題でございますが、それだけの意味はあるものと、そういうふうに存じておる次第でございます。
  399. 受田新吉

    ○受田委員 NHKは大体われわれが見て俗悪な番組が編成されているとは思っていません。NHKテレビを見て、急に非行少年が殺人や暴行をあえてするというようなことになっているとは、いままで聞いたことはない。しかしながら、民間放送には、テレビ放送を通じてそれに非常な刺激を受けて——非行少年がはっきり物語っているのですからね、これを見てこうやったのだと言っておるのですから、影響は非常に大きい。これは特に前途ある青少年に希望を与えるか、あるいは失望を与えるかという大事なきわどい問題になってくるわけです。そういう影響力が非常に大きいことがきわめて明瞭にあらわれている問題についても、郵政省はこれが公共の福祉に合致しているかどうか、あるいは電波の公平かつ能率的な利用ということだけにとらわれて野方図にしておるのか。電波法第一条の後段の規定が忘れられておるんじゃないかと思うんですけれども、そういう放送の番組の大衆に与える影響力によって、その放送局が俗悪な番組を盛んに放送して民心に不安動揺を与えている、悪影響を与えているということがわかり切っていながらも、郵政省は何らこれに対して適切な判断、指導を加えることができないようになっているかどうか、野放しになっているかどうか、大事なところでございますから郵政大臣から御答弁願います。
  400. 古池信三

    古池国務大臣 確かにお説のとおり、今日各種のテレビの番組の中には、私ども見ましても、いかがわしい、特に年少のまだ判断力の十分にないような人たちが見たならば、これによって悪い影響を受けるのではないかという懸念のあるような番組も、ときおり見かけるのでございます。また一般の世論もそのような点を指摘しております。しかしながら、現在の法律のたてまえといたしましては、番組の編成の自主性というものが強く要請されておりますので、これに対して行政官庁として特別に干渉をするということは、必ずしも適当ではない、かような判断をいたしております。しかしながら、かような事態をそのまま放置するということは、これまた適当ではありませんので、私は昨年の秋に放送関係の特に番組審議機関の委員をやっておられます方々、これはNHKの方も民放の方も、また民間放送連盟の方、そういうふうな団体の方にも集まっていただきまして、何とか社会のために番組を向上させることをお考え願えないであろうかという相談をいたしたわけでございます。これはもちろん強権によっていたすというわけではなく、きわめて自由な懇談の形においてかような人たちの意見を伺ったのであります。その結果、いかにもさような点が心配されるので、これはわれわれが十分に自主的に規制し得るような機関を設けようではないか、こういう話になりまして、いまその具体化を急がれておるわけでございます。たとえば映画におきましては御承知の映倫というのがございます。放送、特にテレビにおきましてこれに類するようなものができればたいへんけっこうではないかと思いますが、ただ実施面においては、映画については、これをあらかじめ試写をして検討するという機会もございますけれども、テレビのほうはそういうこともできないという、非常にめんどうな点はありますが、しかし関係者の方々は非常な熱意を持ってこの問題に取り組んでおられますので、自主的な映倫に類するような委員会ができて、日本の番組の低俗化を防ぎ、これを向上する上において今後大いに効果があるものと私は考えて、これに信頼をいたしておる次第でございます。
  401. 受田新吉

    ○受田委員 そうした自主的な番組の良識的編成、こういう方向へ指導していく、監督官庁としての権限行使のほうへは及ぼさない、こういうことですね。そうしますと、その放送局、NHKを含めてですけれども、放送局を開設することについて予備免許を与える、あるいは本免許、再免許を与える、こういう場合は——予備免許を与えるときは非常に考慮せられるでしょうが、本免許や再免許のときには、少々俗悪なものをやっておったとしても、原則として再免許をしないとか、予備免許をしておる以上は本免許をすぐ与えないとかいうようなことはないわけですか。
  402. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 事務的に初めお答えいたしますが、予備免許をいたしましたら、基準に合致しておれば本免許を与えなければならないという形になっております。再免許の場合におきましては、当然、いままでのものと新しいものとは同じ立場において考えなければなりませんから、その場合には、いままでやっておりましたものにつきましては、十分実績を考慮して考えるというたてまえになっております。
  403. 受田新吉

    ○受田委員 その実績の考慮というものは、何を基準にしておるわけですか。
  404. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 免許の内容につきまして、こうこうこういうふうにやっておったということを、免許人のほうからわれわれに証明をよこす、こういう形になっております。
  405. 受田新吉

    ○受田委員 その証明書を見てから再免許するわけですか。
  406. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 再免許のときは、そういうものを含めて考える次第でございます。
  407. 受田新吉

    ○受田委員 そうすると、再免許し得ない場合は、どういう場合ですか。
  408. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 そういう実績等も考慮しながら新しく申請しているものと比較いたしまして、そのものが劣っておる、こういう場合があった、そういう場合であろうと考えます。
  409. 受田新吉

    ○受田委員 新しいものが出てこなければ、いつまでも従来の分をそのまま免許するわけですね。
  410. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 そのときには、やはりそのもの一つ対象にいたしまして十分に考える次第でございます。
  411. 受田新吉

    ○受田委員 その免許権というものは郵政大臣が持っておられる。したがって、郵政大臣は、放送の内容がどうなっておろうと、そのことには、もうほんとうは良心的な運営をはかっていただくことを期待するだけで、あとは、どうもこうもならぬというのが現状じゃないですか。再免許をしないというようなことは、実際あり得ぬことじゃないか。郵政大臣に、私実際問題として伺っておきたいのです。
  412. 古池信三

    古池国務大臣 率直に申し上げますと、事業を継続してやっておる場合に、その免許の期間がまいりまして、再免許の申請があったといたします。私どものほうでは、その免許期間にいかなる実績をあげたかということを報告書において十分に精査をいたしまして、これならば再免許をしてもよろしいという判断をいたしました場合に再免許をするということになっております。しかしながら、たくさんの放送事業者のありますのを、一々みずからの目をもって詳細にこれを検討して日々調査するということは、なかなか実際問題としてはむずかしいのでございます。そこで、法律に基づきまして、各放送事業者には、有識者をもって放送番組審議機関というものができ上がっております。この審議機関の委員の方々は、いずれも今日の社会において相当高く評価されておる方々が多いのでございますから、私としましては、まず第一段に、かような番組審議委員の方々の選択される番組は、さように不当な、あるいは俗悪なものはない、こういう前提のもとに、これらの審議機関を信頼しておるわけでございますが、しかし、まれに、ただいま申しましたような番組が出てくるということははなはだ遺憾に存じます。そこで、極端に申しますれば、さような社会の公共の施設としてその使命を達成し得ないような悪い番組のみを流すというような、一般に社会常識から見てもとうてい認容できないと思われるようなものがあるといたしますれば、それは再免許の際には、再免許しないということもむろんあり得ることと存じます。
  413. 受田新吉

    ○受田委員 再免許しない場合があり得る。その放送の画面を郵政省としては十分だれかが検討して、この放送局はこういう放送をしているというようなことを検討する人がおるのですか、おらぬのですか。またそういう場合に、しばしばそういう俗悪な放送をするものに対して、悪影響を及ぼすような放送局に対して警告を発しておるのかどうか、警告を発したことがあるかないか、お答え願います。
  414. 古池信三

    古池国務大臣 ただいままでのところ警告を発したことはないそうでございます。また日常受信機あるいは受像機の前にすわっていて、常時これを検閲するということも今日やっておりません。
  415. 受田新吉

    ○受田委員 いわば野放しだ、こういうことですね。それじゃ警告を発することもできないわけです。それから、郵政大臣というものは権限は持っているが、ロボットみたいなもので、放送の自由性、表現の自由性、こういうことがたてまえになって、その放送の内容というようなものにはタッチする力がないのだ、こういうことですね。いわば警告も発していない。現に非行少年がこういうものを見てこうだと、はっきり影響力があることを言っている。近来非行少年がテレビの映画を見てかかる行為を行なっている、影響力が非常に大きいことが実績にあらわれておるが、放送事業者に、十分注意して、放送の内容については公共の福祉に反しないように努力をしてもらいたいというような通達を流してもいいのじゃないですか。
  416. 古池信三

    古池国務大臣 お説のとおり今日の法制のたてまえは、番組の自主性ないしは表現の自由ということが非常に強調されておる法律でございます。したがいまして、これに対して行政官庁として手を打つという方法はきわめて少ないのでございまして、この点は私も十分検討すべき余地があるのではないかと思っております。したがって、いま仰せのような少年の不良化を防止する、また、テレビによる悪影響を最小限度に食いとめるというような意味から、どうしてもこれは放送事業者自体が十分にこの点を自覚されて、積極的に自主的にやってもらうということが最も効果のあるやり方である、かように信じましたがゆえに、先ほど申し上げましたようなお話し合いをして、事業者も進んで積極的にやろうという機運になっておるのでありますから、この機運を醸成いたしまして、これによってただいま御心配になっているようなことのないようにその目的を達してまいりたい、かように考えておるような次第でございます。
  417. 受田新吉

    ○受田委員 郵政大臣国民のしあわせのために郵政大臣をやっておられるわけなんです。国民に不幸な人を出すような放送をする放送事業者を放送の自由などといって大目に見るわけにはいきません。日本は良識を持った国家であり、文明国家ですから、影響力が明らかに出ている以上——最近われわれは新聞で非行少年の記事を見ないことはない、それにはテレビの影響力が非常に大きいという実績が出ているのですから、郵政大臣としては警告を発せらるべきです。そして都合によれば再免許しないという決意もあっていいと思うのです。よろしゅうございますね。  そこで関連することですから、一昨年の秋に予備免許を与えられた東京一二チャンネル日本科学技術振興財団についてちょっと触れますけれども、この予備免許に対して本免許を無条件で与えるということがいまはっきりした。予備免許をしたのには本免許を無条件で与えるのだ、いま電波監理局長の御答弁で、これは予備免許をされて、後に調子が悪くなったからといって本免許を与えないことはない、予備免許を与えたものには必ず本免許を与えるのだ、こういうことでございましたね。
  418. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 さきに御答弁申し上げました中で、無条件と申し上げたつもりはないのでありまして、技術的条件その他が完備した場合には本免許を与える、こういうことでございます。
  419. 受田新吉

    ○受田委員 ちょっと話が違います。いまあなたは、予備免許を与えたものは本免許を与えることになっておる、再免許とは違うのだとはっきり区別して御答弁になった。みんなが聞いておられるのですからね。そんな条件のことを言わないで、予備免許を与えておるものは本免許を与えることになっておる、再免許とは違うのだとはっきりいま答弁されましたよ。
  420. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 技術的な条件を満足している場合に本免許を与える、こういうことでございます。
  421. 受田新吉

    ○受田委員 そういうことをやはりつけ加えて答弁していただかないと……。そうしますと、この一二チャンネルは、四月開局の運びになっておるわけでございますが、本免許をそれまでに与えることになっておるのでございますかどうですか。
  422. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 まだ技術的な試験をしておりませんので、そういうような試験が合格すれば本免許を与えることになるかと思います。
  423. 受田新吉

    ○受田委員 一二チャンネルは、郵政省としてはいつ放送開始ということに了解しておられますか。
  424. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 いまのところ四月十二日に開局したいという希望を持っておるように聞いております。
  425. 受田新吉

    ○受田委員 そうすると、四月十二日までに本免許を与えなければ開局できないわけですね。
  426. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 そのとおりでございます。
  427. 受田新吉

    ○受田委員 まだ本免許を与えるかどうかは結論が出ていないという段階ですか。
  428. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 目下技術的な条件その他を検討しておるところでございます。いまの段階では、検査しておるかどうかは、いまここでお答えいたしかねます。
  429. 吉灘中

    吉灘説明員 今月の二十二日から関東電波監理局におきまして検査をいたすことになっておりますので、その検査に合格いたしたならば本免許を与える、こういう手続になるわけであります。
  430. 受田新吉

    ○受田委員 その本免許を与えるかどうかは、まだ技術面の検査をしない限りはわからない、こういうことですか。
  431. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 そのとおりでございます。
  432. 受田新吉

    ○受田委員 私ここでちょっと指摘したいことは、東京一二チャンネルは、科学技術放送、教養放送を七五%やる放送局になっている。その線よりも逸脱するような放送内容を持つようになったならば、これはたとえ本免許をされたとしても免許をしない、免許を取り消すことがあるのかどうか、お答え願います。
  433. 吉灘中

    吉灘説明員 日本科学技術財団に対しまして予備免許を与えます際に、条件といたしまして申請書記載のとおり科学技術教育番組六〇%、その他一般教育番組一五%を基準として教育番組を編成するということになっておりますので、この条件を守らない場合には電波法の規定によって処置することに相なるわけであります。
  434. 受田新吉

    ○受田委員 ちょっとおしまいが聞こえなかったのですが、どういうことですか。法的基礎とあわせて……。
  435. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 条件に反した場合には取り消すことがある、こういうことでございます。
  436. 受田新吉

    ○受田委員 法律の規定は第何条ですか。
  437. 吉灘中

    吉灘説明員 電波法百四条の二に基づきまして、「予備免許、免許又は許可には、条件又は期限を附することができる。」ということで、この根拠条文をもとにしまして、先ほど私が申し上げましたような条件が、予備免許にあたりまして付せられておるわけであります。しからば、いま申し上げました条件に違反することとなった場合にはどうなるかということでございますが、それは電波法七十六条第一項に基づきまして、「郵政大臣は、免許人がこの法律、放送法若しくはこれらの法律に基く命令又はこれらに基く処分に違反したときは、三箇月以内の期間を定めて無線局の運用の停止を命じ、」云々と書いてあるわけでありまして、まず運用の停止ということに相なるわけでございます。それで、今度は同条の第二項におきまして、——前項の運用の停止をするわけでございますが、運用停止に応じた場合は問題ございませんけれども、運用停止に従わないときは免許の取り消し、こういう条項に相なるわけでございます。
  438. 受田新吉

    ○受田委員 いまの運用の停止は、結局放送業務を中止させるという命令を出すわけですか。
  439. 吉灘中

    吉灘説明員 そうでございます。
  440. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと、現在ある放送局でも、そうした条件等を付したものがありますかどうか、ちょっと参考に聞きます。
  441. 吉灘中

    吉灘説明員 これと類似のものはございませんが、予備免許をするにあたりまして、会社の出資の割合、役員構成等について条件を付したものは、過去においてございます。
  442. 受田新吉

    ○受田委員 その条件を付した放送事業者に対して、管理監督を終始やっておるかどうか、これはもうやっておらなければいけないわけでございますけれども、民間放送局においては、全国的にいろいろとこれは差があるわけで、そこに郵政大臣が監督権を行使するに非常に都合のいい権限があるわけです。それらが適当に行使されているかどうか、御答弁願います。
  443. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 われわれといたしましては、報告もとりまするし、また番組の問題等につきましては、自主的な番組審議機関の審議経過というようなものもとりまして、これは監督いたしておるような次第でございます。
  444. 受田新吉

    ○受田委員 大体はっきりしたのですが、そうなれば、その監督権の行使によって、番組の内容等についても十分タッチできるではありませんか。地方の放送局にしましても、郵政職員がそれぞれおいでになるわけですから、その放送の影響力については、別にそう苦労しなくても、悪影響があるかないかくらいのことはおわかりだと思うのです。野方図にするような筋合いではないと思います。
  445. 宮川岸雄

    ○宮川政府委員 個々の番組の一々につきまして、その報告をとっているわけではございませんで、そういう審議機関がどういうことを問題として、どういうようなことを審議したか、こういうようなことをとって、われわれはその監督の手段としておるわけでございます。
  446. 受田新吉

    ○受田委員 私実はいまの一二チャンネルの問題について、別の日に時間をいただきたいので、きょうはアウトラインだけちょっとお尋ねしておきます。  これは関連で大事なことですが、一たび予備免許を与えたものには、よほどのことがない限り、本免許も与える。そうしてそれがスタートして、条件を付した条件違反をやられる場合には、期限つきで運用の取り消しをやり、最後には放送事業そのものを取り消させる、こういう停止を命じ、放送事業そのものを取り消させるというはっきりした答弁がいま出てきたわけです。私一つ懸念をいたしておるところは、郵政省が一二チャンネルに免許を与えられたときの行政措置について、一つの瑕疵がある。ほかの放送局に免許を与えたときと違って、たとえば放送事業者の予定者が、最初、審議会の委員になっておったり、それから公聴会というものが、願わくは、これが予備免許以前に、甲乙の区別なしに、申請者に対して平等に行なわれるような方式がとられべきであったということが欠けておったりして、これは時間がかかるから省きますが、一応われわれとしては、郵政省が科学技術財団に免許を与える前提のもとに準備をされたという傾向が、その経過を拝見することによって、はっきりわかるわけです。科学技術振興対策特別委員会というものがかってな附帯決議をつけて、それを郵政省に押しつけたということも手伝いをしておると思います。前の、当時の郵政大臣がその点やや公平な判断を欠かれるような外部の圧力があったのではないかと、迫水さんにお気の毒な気持ちさえ私はしておるわけであります。これは後日、その免許を与えたことの経緯についての具体的な質問をさせていただきたいと思います。けれども、一たび誕生をしてきた今日、私は郵政省としては、誕生した以上は、これを育成強化させるという基本方針を持っておられると思うのでありますが、そのことについて、ちょっと御意見を伺いたいのです。
  447. 古池信三

    古池国務大臣 お話しのとおり、すでに予備免許もいたし、近く本免許がなされるであろうという段階にきておりまする以上、やはりこのテレビ局が健全に、当初の目的を十分達成し得るように、そうして社会のために大きに役に立ってもらうように、私どもとしては育成をしてまいりたい、こういう考え方でおります。
  448. 西岡武夫

    西岡委員 関連して。大臣に一言お尋ねしたいのですが、私、長崎の青年の代表で、民間放送審議会の委員を現在もいたしておるのであります。また私二つの子供を持っておりますが、テレビの影響をものすごく受けております。私自身がやはりサンセット何とかとか、それから拳銃もののいろいろのものを見ており、事実おもしろうございます。子供たちはそれを二つか三つから覚えて、それを実際問題として、町でそういうことをやって遊んでいるわけですね。それでまた、いまのいろいろの深夜放送は、へんちくりんなムード的な番組がやはり事実たくさんございます。それを子供たちが見るために、長く起きている。健康上もいけませんし、またいまは目に見えませんけれども、将来の影響はたいへんな問題でありますので、大臣、その点は業界に対しまして厳重な監督をしていただきたい。その御決意につきましてお尋ねいたします。
  449. 古池信三

    古池国務大臣 先ほど受田委員のお尋ねに対しましてお答えをいたしましたように、私としては、まことにこういう事態は憂慮すべきものと考えております。したがって法律の許す範囲において、行政官庁としてできる限りの手を打ちたい。そうして防止したい、こう考えております。
  450. 受田新吉

    ○受田委員 いま論議をした問題で、ちょっと法律的にも、法律改正を必要とする問題が一つあります。放送法の改正、電波法の改正等にも関係する問題でありますので、ちょっとお尋ねしておきます。  大体電波というのは、これは国民全体のものです。それを特定のものがただで使うというからには、やはりその電波利用者というものがよほどの責任を感じてくれなければいかぬ。少なくとも、こうした国民全体の電波を特定のものに付与するというこのことは、ある程度国に対しても責任を負うという意味から、電波使用税というようなものを徴収する方法が、方法論として、考えられるんじゃないか。ひとつ大臣からお答え願いたい。
  451. 古池信三

    古池国務大臣 いかにもごもっともな御意見だと思います。たとえば河川の水などは、これを発電その他に使用する場合には、水利使用料というものを払うということもございますが、しかし、今日まで、電波について使用料をとるという観念はほとんど考えられていなかったわけでございます。したがって今後法律を改正するという場合には、こういう点も十分に慎重に検討をいたしたい、こう存じます。
  452. 受田新吉

    ○受田委員 これは、そういうことを検討する時期にきておると思うのです。天下の公有物です。そしてこの電波を特定の事業者が用いるという場合に、一応の国家への責任を果たす必要がある、こう思っているわけです。いま、あなたは、法律改正の際には検討したいということですから、検討の成果をお待ちしております。  私、ここで放送の普及性のことで、もう一つテレビジョン放送料の問題で、三十九年度末のカバレージ数字がここに出ているのですが、これはFM放送にしても、総合テレビにしても、満ち足りない部分がまだ相当あるわけです。それを満ち足りたものにしようという年次計画は、いつごろが最終目標になるわけですか。
  453. 古池信三

    古池国務大臣 いままで御説明を申し上げましたように、ラジオにつきましては、ほとんど九九%近く普及しておるのでありますが、テレビのほうにつきましては、大体三十九年度計画がそのとおり実行されたとして、八九%程度ということになっております。そこで昨年決定しました第二次チャンネルプランによる置局が全部完成いたしますると、九三%のカバレージということになっております。それから先の七%がなかなか問題でありますが、これについては、あるいは中継局をつくるなり、あるいはまた、いまのUHFの普及により、新しい技術の開発も進められると考えられますので、あらゆる知恵をしぼって、できる限りこの普及率を高めてまいりたい、こう考えておりまするが、しからば何年度には何%になるかという技術的な問題につきましては、事務当局のほうから御説明をいたさせます。
  454. 田辺義敏

    田辺参考人 NHKにおきましては、前々から御説明申し上げております第二次六カ年計画の終了時、四十二年度末におきまして、一応九五%程度の目標を考えております。現在チャンネルプランのきまっておりますのは、第一次と第二次合わせて三百六十ほどございますが、これが終わりましたあと、まだ相当数の局数を建設いたしまして、四十二年度末には一応九五%の法定カバレージを終えたい、こう思っております。
  455. 受田新吉

    ○受田委員 第二次六カ年計画の末期である四十二年度における受像機、受信機、いわゆる受信料を納入する総聴視者数をどの程度と目標を置いておられるか、伺っておきたいと思います。
  456. 小野吉郎

    ○小野参考人 四十二年度末におきまして契約甲、乙、両者の数字を申し上げますと、契約甲におきましては、千八百九十五万件に達するであろう、このように考えております。乙の関係につきましては、漸次逓減をいたしまして、四十二年度末におきましては、おおよそ八十万件ぐらいになるであろう、このように見通しております。
  457. 受田新吉

    ○受田委員 いまの問題は一応議論された問題が一つ入りますので、議論せぬ問題を最後に一つ伺っておきたいと思います。  もう一つNHK責任で処理していただかなければならぬ問題は、オリンピック大会を国際放送するための大役があるわけです。また四月には世界ラジオテレビジョン学校放送会議なるものが開かれるようでありまして、そういう際にもまた関連する問題でございますが、宇宙通信というものについて、この問題がいろいろ議論されて、これについての予算措置等に対する要請等があったようでございますけれども、フランスから、今度の世界ラジオテレビジョン学校放送会議に際して、その中継放送を日仏間でやらせてもらいたいというような要望があったと聞いておるのでありますが、これは郵政省のほうの所管だと思いますが、その点についてお答え願いたい。
  458. 古池信三

    古池国務大臣 先般フランスのほうからさような申し入れがございまして、わがほうでは、関係機関が集まって協議をいたしましたところ、技術的には可能であるという結論に達しましたので、その返事をいたしました。またその返事に基づいて、さらにフランスから協力の申し入れがあり、これはもちろんアメリカの通信衛星を利用せねばなりませんので、アメリカにも接触をして、三者の間で協議が進められておるという段階でございますが、詳しいことは関係当局のほうから説明をしてもらいます。
  459. 田辺義敏

    田辺参考人 お答え申し上げます。  ただいまのお話でございますが、フランスと日本との間の宇宙通信といたしましては、現在使える可能性のあります衛星はテルスター二号でございます。これは日本側の国際電電の十王の送信所から送りまして、フランス側は、パリの近くにプール・ド・ミュール・ボードという基地がございますので、そこで受信することになっております。
  460. 受田新吉

    ○受田委員 この日仏間のテレビ中継放送は、NASAの協力がなければいかぬわけでございまして、NASA等とも話し合いがついておるということでございまするし、テルスター二号を利用したいということでございますが、これは大体成功の可能性を確認できるのか、そうして、どのくらいの中継放送時間というものが考えられるのか、技術的にこの宇宙通信を利用した、衛星通信を利用した実験の成功ということになると——実験段階でやるのだと思うのですけれども、この実験の成功の見通しというもの、時間、そしてこちらで発信する、また向こうで受信する電波、こういうものの方式をちょっと御答弁願いたいのです。
  461. 前田義徳

    ○前田参考人 技術的には、ただいま田辺専務からお答え申し上げたとおりでございまして、大体この技術検討に基づきまして、第一回目は四月九日午前六時半ごろ、約十五分ないし二十分にわたって、日本からフランスあてに、世界教育会議その他の番組を放送する予定でございます。したがって、技術的にはすべての可能性は検討し尽くされておりますが、ただ私どもといたしましては、その送信に要する費用の問題、あるいはテルスター二号の借用料の問題については、当然フランス政府負担すべきものと考えておりますので、この点について、私どもは、送信側の実際担当者として、フランス側に対して、その費用の支払い方法、並びにフランスとNASA、並びにフランスとATTの関係がどのように決定したかについて、目下問い合わせ中でございますが、まだフランスからは——これは、フランスは、受信の面では、構想としては、当然、フランス放送協会が当たるようでありますので、これを通じて、最後のコンファームをいたしている段階であります。
  462. 受田新吉

    ○受田委員 目の前に日仏間のテレビ中継の実験が可能性を持っておるということでございますから、その成功を一応祈っておるということにします。  時間の関係で、もうおしまいにしますが、一つ、先ほど森本委員から質問された通信高等学園のことでちょっと伺います。これは勤労青年に対して非常にいい事業でございますので、予算状況なども伺っておりますが、これは今後大いに放送時間はふやしていくように努力されておることはわかっておりますが、いまどのくらい生徒がおって、そしてその生徒、勤労学生の職務の実態、そしてスクーリングの対策、こういうようなものについて、一般の学校教育法に規定する高等学校との関係で、どういうふうに苦労をしながらこれを前進させようとしているかの構想を伺い、実績を含めて御答弁願います。
  463. 前田義徳

    ○前田参考人 NHK学園通信高等学校は、当初一万二千名の第一学年度の入学者がございました。現在のところ、この一万二千名のうち、いままでに脱落した方の総数は約二百名程度でございます。これは要するに、使用者と働いている生徒との関係がうまくいかなかった事情に基づくものが大体一番多いようでございます。現在、すでに大体第一学年度のスクーリングを、試験を終わっておりますが、その最終発表はまだ発表されておりません。ただ、私どもが情報として聞いている点では、定時制高等学校の生徒よりも比較的に成績はよいようでございます。今後私どもが第二学年度として募集する人員は約七千名でございまして、したがって明年度四月からは、第一学年と第二学年が構成されるわけでございます。  この学校の学習期間は四カ年間でございますので、明年度からは第二学年が頭を出すという状況でございまして、私どもといたしましては、これを皆さんの御協賛を得、皆さんに非常に鞭撻されてでき上がったこの制度を、あらゆる努力を払って、学生がすべて満足な結果を得られるように、全力をあげて協力いたしたい、このように考えております。
  464. 受田新吉

    ○受田委員 私、NHKの通信高等学園に対する熱意も伺って、また非常に意味のあることですし、これは大いに推進してもらいたい。特に勤労青年に希望を与える、いながらにして学ばれる、目と耳でやれる大事な学校ですから、どんどん生徒をふやしていくように協力してもらいたいと思います。そしてここを卒業した者がどんどん大学へ進学の道が開かれるように、おぜん立てもしていただかなければならない。これはやはりスクーリングをやるのですね。だからそういうことにおいても、ひとつ十分この安あがりで勉強できる機関を利用させるように骨折ってもらいたい。  おしまいに、ひとつたいへん失礼でございますが、会長さん、副会長さん、役員の報酬、給与に関係するのでございますが、NHKの職員の処遇について、四万円ばかりの平均給が出ているわけです。会長さんと副会長さん、専務理事さんという役員の方の給料は幾らになっておるでございましょうか。これは大事なことですから、ちょっと聞きます。
  465. 阿部真之助

    阿部参考人 私、ちょっとずぼらで、よくわかりませんので、ひとつ主計部長から……。
  466. 志賀正信

    志賀参考人 役員の報酬につきましては、会長は月額三十万円でございます。それから副会長は二十五万円でございます。専務理事が二十二万円でございます。それから理事が二十万円、監事が、常勤が十八万円、非常勤が十六万円でございます。以上でございます。
  467. 受田新吉

    ○受田委員 経営委員会の委員の待遇は……。
  468. 志賀正信

    志賀参考人 経営委員につきましては、報酬といたしまして、勤務の会議の日数に応じまして、委員長の場合には三万円でございます。それから委員の場合には二万円でございます。
  469. 受田新吉

    ○受田委員 これは他の特殊法人との関係政府関係機関との関係もあって、役員の待遇は大体その基準に合致されておると思うのです。今度、一般職及び特別職の給与改善で、相当公務員のほうは上がりましたけれども、NHKのほうは全然役員の給与を上げていないのですか。多少上がったのですか。
  470. 前田義徳

    ○前田参考人 役員の給与は、これまで三年間上がっておりません。
  471. 受田新吉

    ○受田委員 この点はたいへんけなげなことだと思っております。これはやはりNHKの首脳部の方々に、今後とも謙虚な気持ちでひとつやっていただいて、一般職員の処遇というものとのバランスなどもございましょうが、一般職員の処遇改善というところにひとつ大いに力を入れていただく。そのうちに、また皆さんに、天下の世論が引き上げをお願いする時期がくると思いますから……。  私、ちょっとここで初任給をお聞きしたいのですが、やはりこれは予算関係のあることですから一般公務員との関係で、ちょっとお尋ねします。
  472. 栃沢助造

    ○栃沢参考人 大学卒の初任給でございますが、二万一千三百円でございます。それから高等学校でございますが、一万八千円でございます。
  473. 受田新吉

    ○受田委員 私はもっと高い基準じゃないかと思っていたのですが、この程度ですね。別に何か、何らかの地域給に該当するようなものがあるのでございますか。
  474. 栃沢助造

    ○栃沢参考人 地域給のようなものはございませんが、あとは基準外が出た場合には、基準外がございます。
  475. 受田新吉

    ○受田委員 その点、一般公務員の上級職甲の合格者とあまり大きな開きがない——地域給を含めたとしておりますと、あまり開きがないわけでございますが、予算総則の規定で、ほかの予算の項の流用はできるが、給与の問題の流用はできないという形になっておりますし、成績があがった場合には、特別の給与の支給に充てることができるとなっております。こういうことで、いま森本君から指摘されたことに関係するのですが、この職員に対する特別の給与ということは、結局、この予算総則の七条にあるこの規定は、本俸を上げるという意味でなくして、何らかの臨時的な手当を出すという意味のことですか。
  476. 栃沢助造

    ○栃沢参考人 初任給を上げるということではございませんが、一応そういう努力がありましたとき、たとえば期末のようなときに、それに相当する分を支給いたします。
  477. 受田新吉

    ○受田委員 それでは、ちょうど五時半ですから、これで一応質問を終わります。
  478. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 ほかに質疑もないようでございますから、本件に関する質疑は終了いたしました。     —————————————
  479. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 これより討論に入ります。  討論の通告がありますので、順次これを許します。森山欽司君。
  480. 森山欽司

    ○森山委員 ただいま議題となりました、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求める件に対しまして、私は、自由民主党を代表いたしまして、これに承認を与えるに賛成の意を表するものであります。  そのNHK昭和三十九年度収支予算、事業計画及び資金計画は、昭和三十七年度を起点とする第二次六カ年計画の第三年度としての諸計画を遂行しようとするものであります。この昭和三十九年度収支予算等の最も顕著な特徴は、予算規模の————膨張でございまして、前年度に比較して、金額において四十六億円、比率において六%の拡大となっております。この予算規模の膨張は、もとより受信契約の伸長によってもたらされたものでございまして、本年度におきましても、甲契約約百三十万増、乙契約約八十万減、差し引き五十万の増が見込まれております。しかしながら、ここに注目すべきは、この増加が前年度の純増八十五万に比較し下回っていること、すなわち受信者の増勢に初めて鈍化が見込まれたということであります。このことは、NHKの事業がようやく安定した成長期に入ろうとすることを示すものと思われるのでありまして、当年度の収支予算がこの過程に相応した計画であるかいなかが、この収支予算に対する観点の一つであろうと思われますが、この収支予算に照応する事業計画は、オリンピック東京大会放送のほか、受信者対策等の新規政策において事業の幅を広げているものの、その大筋はおおむね長期路線に沿い、その計画の繰り上げ実施をはかろうとしておるものと判断をされます。しかしながら、本収支予算等は、先般来の質疑においても指摘いたしましたとおり、かなり問題を含んでいることはいなめないのでありまして、以下所見を申し上げてみたいと思います。  まず第一は、収支の収入の見積もりが寡少ではないかという点であります。数年来のNHK予算を通じまして、受信契約者見込み数は常に———食い違いを見せております。—————————————————この見込みのそごは放送の発展が意想外であるということによるほか、一面においては契約について——————————————————NHKの真剣な考慮が望まれるものであります。  第二は、財政経理の適正管理についてであります。申すまでもなくNHKの財政は、法律に基づき——契約によって徴収される受信料収入に基づいてまかなっていくものでありまして、これを適正に管理することはNHKの重要な責務の一つてありますが、——————————————————————NHK当局の自戒と反省が望ましいのであります。  かかる観点よりいたしまして、私は——————————————————————今日NHKの事業経営が必ずしも適切な運営を望み得ないということは、現行の放送管理体制について将来検討の必要があると思います。現行放送法のもとにおきましても、郵政大臣の意見自体も従来形式的なきらいがありますので、今後郵政大臣の意見書の提出はもっと真剣なものであるよう要望するものであります。また、臨時放送関係法制調査会の答申が近く予想されるおりから、われわれとしても慎重考慮を要するものがあると痛感いたします。  最後に、先般来の審議においてしばしば論議されました受信料に関してでありますが、NHKの第二次六カ年計画が、予想外の受信契約の伸びにささえられて、大幅な繰り上げ実施が行なわれている事実等を考慮いたしまして、その計画の基礎として定められた現行受信料については、ようやく再検討の時期が到来したと見られるのでありまして、NHKにおいては、政府の物価対策等をも参酌して、みずから進んでその再検討に着手されるよう強く要望するものであります。  これをもって私の討論を終わりますが、終わりにあたり、NHKが平素強調するごとく、名実ともに国民を基盤とする公共放送たることが十分にその実を上げられるよう格段の努力を尽くし、広く国民の負託にこたえられるよう望んでやみません。
  481. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  482. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 速記を始めて。  ただいま森山君は、本件につきまして賛成の討論をいたしたのでありますが、表現について誤解を与えるような点がありましたから、速記録を調査の上、委員長において適当に処理いたしたいと思いますが、御了承願いたいと思います。  次に畑和君。
  483. 畑和

    ○畑委員 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となっております放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に関し、これに承認を与えるに賛成の意を表するものであります。  この日本放送協会の収支予算等は、協会の第二次六カ年計画の第三年度分を遂行するものとして、テレビジョン放送全国普及をはかるための積極的な置局の推進、FM放送の普及開発、教育テレビジョン放送番組の充実、オリンピック東京大会放送の実施等の諸計画を重点的に行なうほか、受信料免除範囲の拡大、沖縄を含む諸外国等の放送機関に対する番組提供の積極化、UHFテレビジョン受信者に対する助成をはじめとする一連の受信普及対策等、新規の諸施策を推進することといたしておりますが、これらの計画は、放送法に定められた協会の使命に照らして、おおむね妥当と認められるのでありまして、わが党は、その執行が適正に行なわれることを期待して、これに承認を与えることに賛成するものであります。  ただ、この際、本収支予算等に関連し、政府並びにHNKに対して若干の希望意見を申し上げておきたいと存じます。  まずその第一は、昭和三十八年度の事業計画にあげられていた中波大電力局周辺の県別放送に関連して、地方局配置のあり方についてであります。放送におけるローカル・サービスの重要性については、あらためて申し上げる必要もないところでありますが、置局現状は、周波数事情等に左右されて、この点必ずしも万全ではなく、地域間に著しい厚薄の格差が見られるのでありまして、将来にわたって調整の必要が痛感されます。かかる観点から、NHKの中波県別放送整備の計画を含めて、ローカル・サービスの充実に関し、当局が積極的な政策を打ち出されることを強く期待するものであります。  次は、今年度の新規政策の一つである、基地周辺の受信者に対する受信料減免措置に関連しての希望であります。基地周辺の騒音被害者に対し、何らかの救済措置が必要であることについては、もとより異論のないところでありますが、今回のことは、元来国の責任において解決すべきものを、NHKが肩がわりさせられた形となっているのでありまして、減免措置として筋道が立たないばかりでなく、連鎖反応として、減免措置拡大の要望が強まることも予想されるのであります。受信料制度の維持、NHKの経営財源の確保という面から見て、問題を残した措置であると考えます。この点、NHKにおいても慎重な考慮を要するところでありますが、政府においても、その影響の波及について万全の手当てを尽くすとともに、今回のごとき国の肩がわりのような措置を安易に行なわせることについては、十分の戒心の必要があろうと存じます。  次に申し上げたいことは、難視聴地域の解消をはじめ、テレビ共同聴視施設への助成、UHFテレビ地域に対する援助等、受信普及対策の推進についてであります。NHK放送普及義務については、あらためて申すまでもないところでありますが、放送の社会的機能が高度化するとともに、放送に対する国民の欲求もいよいよ熾烈化しており、この強い欲求に対しては、単純に置局政策を進めるだけではとうてい満足を得られないのでありまして、幅広い対策の推進が必要であろうと存じます。幸い、NHKはこの点に着目され、当年度予算においても、僻地離島及びUHFテレビ地域対策等の新規政策を打ち出されたのでありますが、今後なお一そうの政策強化が望ましいのであります。  次は、オリンピック東京大会の放送についてであります。放送史上最大のスケールを持つこの放送は、外に対しては、日本の真価を世界に問う絶好の機会を与えるものであり、また内に対しては、全国民の期待にこたえる好個の舞台となるのでありまして、NHKがその総力をあげて、この放送の実施に当たられるよう期待するのであります。  次は、放送番組の編集について、不偏不党の立場を堅持し、公共放送として、番組の充実につとめられたいということであります。近時、放送番組についてはとかくの批判が多く、その水準の向上については国民のひとしく念願するところでありまして、この点、基幹放送としてのNHKの役割りに強い期待をかけたいのであります。  次には予算執行の適正についての希望であります。先般来の質疑においても、予算執行の適正についてはきわめて熱心な討議が行なわれましたが、申すまでもなく、NHKは、法律に基づく強制契約によって徴収した受信料を経営の財源としている事業でありまして、その経費の管理については厳正を旨とすべきは当然でありまして、かりそめにも計画をずさんにし、また支出を放漫に扱うことがあってはならないのでありまして、当事者に不断の自戒を期待するのであります。  最後は、従業員の待遇改善についてであります。わが党は、収支予算等の審査にあたり、例年このことを主張してまいりましたが、当年度の収支予算においては、初めて受信契約の増勢鈍化が見込まれていることに照応して、特に強くこの点を強調しておきたいと存じます。すなわち、この増勢鈍化は、給与に関する弾力条項の行使の幅が狭まることを意味するのでありまして、今後さらに強まっていくであろうと思われるこの鈍化傾向に顧みて、従業員の待遇向上については、従前とは異なる別途の構想が必要であると思われ、この点、協会の考慮を促しておくものであります。  これをもって、私の討論を終わります。(拍手)
  484. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 受田新吉君。
  485. 受田新吉

    ○受田委員 私は民社党を代表して、ただいま議題となっておるNHKの三十九年度の収支予算、事業計画及び資金計画につきましては、公共放送の事業者として、一応その使命遂行に合致するものとして、賛成の意を表するものであります。  こいねがわくは、このNHKが、放送全国津々浦々に普及徹底するために、具体的に行き届いた施策を怠ることなく、すべての放送事業者の中核としての権威と責任を重んじて、その職責を果たしていただきたいことを付言いたしまして、討論を終わります。(拍手)
  486. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決いたします。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件は、これに承認を与えるべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  487. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 起立総員。よって、本件は承認を与えるべきものと決しました。     —————————————
  488. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 この際、小渕恵三君より発言を求められておりますから、これを許します。小渕恵三君。
  489. 小渕恵三

    ○小渕委員 私は、ただいま議決されました放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対し、自由民主党、日本社会党、民主社会党、三派共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議を提出し、私が代表してその趣旨の説明をいたします。  まず、案文を朗読いたします。    放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に対する附帯決議(案)   政府並びに日本放送協会当局は、左に掲げる事項の実施につとむべきである。  一、政府は、速かに、中波放送FM放送、VHF帯及びUHF帯テレビジョン放送を総合した放送の基本政策を検討し、これに基づくそれぞれのチャンネル・プランの策定を推進すること。  一、難視聴地域の解消、救済対策を積極的に推進すること。  一、オリンピック東京大会放送の実施に万全を期すること。  一、受信料について検討すること。  一、協会は経営の合理化、能率の向上をはかり、従業員の待遇を改善すること。   右決議する。  この決議案は、先般来の審査の動向に照らして策定したものでありまして、その趣旨についてはあらためて申し上げるまでもないところであろうかと存じますが、簡単にこれを御説明いたしますと、第一は、放送の基本政策と、これに基づくチャンネルプランの策定に関してであります。今日、わが国においては、臨時放送関係法制調査会の法制調査を中心として、放送体制刷新の機運が高まっておりますが、この体制刷新をめぐる論議において、最も強くまた広く強調されるところは、放送に関する総合的基本政策確立の必要であります。FM放送が開発段階に入り、UHFテレビジョン放送の拡大要望が強まりつつあるおりから、中波放送FM放送、VHF及びUHF帯テレビジョン放送を総合した放送の基本政策と、これに基づくチャンネルプランの大綱の策定によって、放送新秩序の確立がもたらされることを期待するのであります。  第二は、難視聴地域対策についてであります。難視聴地域対策については、NHKは、第二次六カ年計画の重点項目の一つとして、きわめて積極的にこれを推進してきておりますが、今日なお多くの難視聴地域を残しており、国民放送に対する欲求も熾烈なるものあり、その解消、救済についてなお一そうの努力を傾注されるよう希望するのであります。  第三は、オリンピック東京大会放送の実施についての要望であります。オリンピック放送におけるNHKの役割りの重大さについては、あらためて説明するまでもないところでありますが、その対外サービスのいかんは、直ちに日本に対する国際評価につながり、一方、国内サービスも、千載一遇の祭典を待ちわびる国民の期待にかかるのでありまして、その実施については万全を期する必要があります。当事者たるNHK努力はもちろん、政府においても、その実施について援助を惜しまれないように望みいたのであります。  第四は、受信料について、政府並びにNHKが、社会政策的見地をも含めて、これを検討されるよう希望するというのであり、第五は、経営の合理化、能率の向上等、企業努力を通じて、従業員の待遇改善をはかられたいという趣旨であります。  これをもって説明を終わりますが、何とぞ全会一致御賛成いただきますよう、お願いいたします。(拍手)
  490. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 ただいまの小渕君提出の動議のとおり、本件に附帯決議を付するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  491. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 起立総員。よって本件に附帯決議を付することに決しました。
  492. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 なお、本件に関する委員会報告書の作成等につきましては、前例により、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  493. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。   〔報告書は附録に掲載〕
  494. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 この際、古池郵政大臣及び阿部日本放送協会会長から発言を求められております。これを許します。古池郵政大臣
  495. 古池信三

    古池国務大臣 日本放送協会の昭和三十九年度予算案等の審議にあたりましては、慎重審議を重ねられ、本日の委員会において、御承認に相なり、まことに感謝にたえません。政府といたしましては、難視聴地域解消のためのテレビジョン放送局の早期建設等、当委員会における審議の御趣旨を体しまして、放送行政の万全を期してまいりたいと考えております。  なお、ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして、今後に対処してまいる所存であります。(拍手)
  496. 加藤常太郎

  497. 阿部真之助

    阿部参考人 NHK三十九年度予算が、皆さんの熱心なる御審議と御理解によって、満場一致御承認をいただいたことを感謝いたします。  なお、附帯決議については、私どもまことに同感でありまして、その御趣旨をできるだけ実現するように、全面的に努力いたしたいと存じております。  どうも今日はありがとうございました。(拍手)
  498. 加藤常太郎

    ○加藤委員長 次会は明後十八日午前十時から理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時六分散会