○畑
委員 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となっております
放送法第三十七条第二項の
規定に基づき、
承認を求めるの件に関し、これに
承認を与えるに賛成の意を表するものであります。
この
日本放送協会の収支
予算等は、協会の第二次六カ年
計画の第三
年度分を遂行するものとして、
テレビジョン放送の
全国普及をはかるための積極的な
置局の推進、
FM放送の普及開発、
教育テレビジョン放送番組の充実、
オリンピック東京大会
放送の実施等の諸
計画を重点的に行なうほか、
受信料免除範囲の拡大、沖縄を含む諸外国等の
放送機関に対する番組提供の積極化、UHF
テレビジョン受信者に対する
助成をはじめとする一連の
受信普及対策等、新規の諸施策を推進することといたしておりますが、これらの
計画は、
放送法に定められた協会の
使命に照らして、おおむね妥当と認められるのでありまして、わが党は、その執行が適正に行なわれることを期待して、これに
承認を与えることに賛成するものであります。
ただ、この際、本収支
予算等に関連し、
政府並びにHNKに対して若干の希望意見を申し上げておきたいと存じます。
まずその第一は、昭和三十八
年度の事業
計画にあげられていた中波大電力局周辺の県別
放送に関連して、地方局配置のあり方についてであります。
放送におけるローカル・サービスの重要性については、あらためて申し上げる必要もないところでありますが、
置局の
現状は、周波数事情等に左右されて、この点必ずしも万全ではなく、
地域間に著しい厚薄の格差が見られるのでありまして、将来にわたって調整の必要が痛感されます。かかる観点から、
NHKの中波県別
放送整備の
計画を含めて、ローカル・サービスの充実に関し、当局が積極的な政策を打ち出されることを強く期待するものであります。
次は、今
年度の新規政策の
一つである、基地周辺の
受信者に対する
受信料減免
措置に関連しての希望であります。基地周辺の騒音被害者に対し、何らかの救済
措置が必要であることについては、もとより異論のないところでありますが、今回のことは、元来国の
責任において解決すべきものを、
NHKが肩がわりさせられた形となっているのでありまして、減免
措置として筋道が立たないばかりでなく、連鎖反応として、減免
措置拡大の要望が強まることも予想されるのであります。
受信料制度の維持、
NHKの経営財源の確保という面から見て、問題を残した
措置であると
考えます。この点、
NHKにおいても慎重な考慮を要するところでありますが、
政府においても、その影響の波及について万全の手当てを尽くすとともに、今回のごとき国の肩がわりのような
措置を安易に行なわせることについては、十分の戒心の必要があろうと存じます。
次に申し上げたいことは、難視聴
地域の解消をはじめ、
テレビ共同聴視施設への
助成、UHF
テレビ地域に対する援助等、
受信普及対策の推進についてであります。
NHKの
放送普及義務については、あらためて申すまでもないところでありますが、
放送の社会的機能が高度化するとともに、
放送に対する
国民の欲求もいよいよ熾烈化しており、この強い欲求に対しては、単純に
置局政策を進めるだけではとうてい満足を得られないのでありまして、幅広い対策の推進が必要であろうと存じます。幸い、
NHKはこの点に着目され、当
年度予算においても、僻地離島及びUHF
テレビ地域対策等の新規政策を打ち出されたのでありますが、今後なお一そうの政策強化が望ましいのであります。
次は、
オリンピック東京大会の
放送についてであります。
放送史上最大のスケールを持つこの
放送は、外に対しては、日本の真価を世界に問う絶好の機会を与えるものであり、また内に対しては、全
国民の期待にこたえる好個の舞台となるのでありまして、
NHKがその総力をあげて、この
放送の実施に当たられるよう期待するのであります。
次は、
放送番組の編集について、不偏不党の
立場を堅持し、公共
放送として、番組の充実につとめられたいということであります。近時、
放送番組についてはとかくの批判が多く、その水準の向上については
国民のひとしく念願するところでありまして、この点、基幹
放送としての
NHKの役割りに強い期待をかけたいのであります。
次には
予算執行の適正についての希望であります。先般来の質疑においても、
予算執行の適正についてはきわめて熱心な討議が行なわれましたが、申すまでもなく、
NHKは、法律に基づく強制
契約によって徴収した
受信料を経営の財源としている事業でありまして、その
経費の管理については厳正を旨とすべきは当然でありまして、かりそめにも
計画をずさんにし、また支出を放漫に扱うことがあってはならないのでありまして、当事者に不断の自戒を期待するのであります。
最後は、従業員の待遇改善についてであります。わが党は、収支
予算等の審査にあたり、例年このことを主張してまいりましたが、当
年度の収支
予算においては、初めて
受信契約の増勢鈍化が見込まれていることに照応して、特に強くこの点を強調しておきたいと存じます。すなわち、この増勢鈍化は、給与に関する弾力条項の行使の幅が狭まることを意味するのでありまして、今後さらに強まっていくであろうと思われるこの鈍化傾向に顧みて、従業員の待遇向上については、従前とは異なる別途の構想が必要であると思われ、この点、協会の考慮を促しておくものであります。
これをもって、私の討論を終わります。(拍手)