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木下参考人 私は
都市交通の関西地協の
議長をいたしております
木下でございます。さいぜんの
萩原参考人と同じように、
組合の
立場から一応
意見を述べさせていただきたいと考えております。
私
たちの
組合運動の中で、やはり私
たちの
職場は特に公共
事業体であります。
住民の福祉に面接
関係する
職場でございますので、
組合の運動
方針の中にも、
事業を守る
組合として、私
たちは年々いろいろ現在の
都市交通の実態、こういう問題についても取り組んでまいったのであります。
参考人の人
たちが申し上げておりますように、いま私
たちの
職場であるところの
公営交通事業が二つの面で非常な苦悩しておるところの
状態でございます。
一つは、いわゆる
都市交通のマイカーの問題、
一つは
赤字財政の問題でありますが、こうした面につきまして私
たち労働組合としても、早くからこうしたところの
都市交通の
状態に対するところの展望に立ちましていろいろ
調査もし、同時に
昭和三十四年ごろから
都市交通の長期政策、そうした問題も
組合として検討し、さらにまた当面するところの具体的な対策、こうした問題も私
たちは
意見を発表し、同時に各機関のほうにも
お願いして今日まで参ったのでございまするが、遺憾ながら現在の
都市交通が非常な危機
状態に入っております。こうした点を私
たち組合も率直に認めておるわけでございます。
交通麻痺の
状態は、
先生方も御存じのように、
大阪におきましても特にひどい
状態におきましては、
交通の停滞
状態等につきまして、これは警察部の発表によりましても、三十分以上五百メートルにわたって停滞する、こうした問題が年間に三千四百回出ておりまして、一日には十回以上そうしたところの停滞をしておる、こういうふうな現状であります。こうしたことが非常に現在の
路面交通の
電車、
バス、トロ・
バスの能率を低下している、こういうことが現実でありますが、私
たちはこうした問題について、まずやはりこうしたところの
状態になった
原因というものについては、十分にひとつ
施策をしていただきたい、こういうことを前から主張いたしてまいったわけであります。
まず
道路の拡張、新設が非常におくれておることが、こうした
一つの大きな
原因になっておるのじゃないかと思います。あるいはまた
交通人口が非常に増加してまいってきておるごとも
一つの、
原因であろうし、さらにまた工場、住宅を含む
都市計画が非常におくれておるのではないか。それに加えて自動車が非常に急増してきた。さらにまた一面には、大衆輸送優先によるところの
交通規制というものも十分徹底されておらない、こういうことが現在のやはり大きな
原因でないかというふうに
組合のほうも分析いたしておるわけであります。
さらにまた
財政的な
赤字の行き詰まり問題につきましても、これまたこうした
交通麻痺からくるところのいわゆる逆転能率の低下から、非常に減収面が出てまいっておるし、それにまた加えまして、最近の物価の上昇が非常にそうしたところの運転費の
増大を生じてきておる、こうしたところがやはり何といっても現在の
交通から出てまいっておりますところの
都市交通の危機の面の大きな
原因だというふうに
組合のほうも分析いたしておりまして、どうしてもやはりこの問題を解決しなければ、現在の
都市交通問題の解決があり得ないのではないか、こういうふうに集約し、各
関係方面にも
お願いしてまいったわけであります。まずこうした中で、私
たちの、対策としましては、
都市交通の混乱を除去するためには、いま申し上げましたように、この
原因であるところの
道路を拡張していただく、さらにまた
道路を新設していただく、そうしていわゆる総合的な
都市計画をやっていただくということが必要じゃないか。さらにまた
交通規則、
交通行政、こうした問題のやはり総合的な
計画が必要でないかというふうに考えておるわけです。特に
交通行政と
道路行政、こうした問題についても、一貫したところの方向というものについては、現時点におきましては非常に欠けた点が見える。
組合としては、少なくとも中央においてこういうものを統合するところの
交通省、そうした問題もひとつ設置してもらいたい、こういう点も私
たちの主張として持ってきたのでございますが、こういう点が非常に欠けておる、こういうことが一番基本的な問題じゃないかというふうに考えておるわけであります。さらにまた
財政的な問題につきましても、これは現在公共
事業でありますので、不採算
路線、こうした問題もわれわれはやっていかなければいけないし、さらにまた
料金の問題でありますが、
組合としては、現在
料金問題につきましてはやはり物価の政策からいきまして低物価政策、こうした点については
組合としては異論はないわけですけれ
ども、しかしながら、これが
一つの国の政策としてやられる場合には、そうした面に対するところの
施策が、国の責任において行なわれる場合には、国としての
負担をやはり持ってもらわなければならない。それを地方公共
企業に押しつけられることについては非常に問題点がある。そういう点が、現在の
赤字問題が非常に大きな危機に瀕しておる、こういうように考えられるわけであります。なおまた現在の中で、社会政策とか文教政策等によって
料金の割引、無料乗車券、こういうものが非常に出ておりますが、これは当然
一つの政策として行なわれるものでありますので、国または当該の自治体がこれに対するところの責任を持っていただく、そういうことが現在
企業体のほうに非常に大きなしわ寄せになってきておりますし、さらにまた通勤定期にしましても、最近ではほとんど
企業体で見ておりますけれ
ども、これ自体から考えましても、そういう定期の割引等については、広い
意味においては国の
一つの産業政策でなければならない、そういう
意味から考えますと、
一つの産業政策または労働政策として、当該政策の
経費としては国または地方自治団体が持っていただく、そういうことが現在非常に
企業体に対するところのしわ寄せになっておるのじゃないか、こういうふうにも考えておるわけでございます。
それからまた
都市計画についても、本来から申し上げますと、
交通というものはやはり最重点として考慮されていくべきじゃないか。これが満たされておらないところに現在の
都市交通の行き詰まりの大きな
一つの
原因があるのじゃないか、こういう点から、十二分に
交通というものを重要に考えて、
一つの
都市計画というものを打ち立てられる。そして、この
交通機関によりまして、
住民のほうにおきましても非常に地価の上昇とか商工業の隆盛、さらにまた
住民がこれによって繁栄して税金も多くなるわけですけれ
ども、そうした問題につきましても、現在はほとんど
一般の経済のほうに入りまして、
交通経済にはそういうものがほとんど考えられておらない。こういうことについて、いま地方自治体では補助的な
考え方をしておりますけれ
ども、これは当然
交通機関というものからそこに利益が上がりますので、こうした点については当然
企業体に還元さるべきである。こういう点が現在のところ何ら実施されておらない。こういうところに現在の
公営企業体の非常に
赤字に苦しむ問題があるのじゃないか、こういうふうに考えておるわけであります。こういう点で、各
先生方で、できるだけ当面の具体的な重点問題として、こういう問題についての十二分な御配慮を賜りたいというふうに考えるわけであります。
さらにまた、現在の
地方公営企業法につきましても、第十七条の二項を削除願って、
独立採算制というものをはずして、いわゆる
住民の福祉の維持または向上のために必要がある場合、こういうふうに挿入願って、さらにこうしたところの
公営企業の必要性においては、
会計面につきましても、地方自治体からの補助ができる、こういう道を開いていただきたいというふうに考えるわけであります。
さらにまた新しい項を起こしていただいて、
公共負担については国もしくは地方自治体がこれを
負担する、こういう問題を新しい条項として起こしていただきたい。こういう点が、私
たち組合から見まして、現在の
交通企業の危機をなくし、
住民の福祉に十二分にこたえるところの公共
企業体制ができるんじゃないかというふうに考えておりますので、こうした点を
先生方にも十二分に御配慮いただきまして、ぜひともひとつ改正を
お願いしたいというふうに考えておる次第でございます。
時間がありませんので、以上で終わります。