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1964-03-27 第46回国会 衆議院 地方行政委員会地方公営企業に関する調査小委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月二十七日(金曜日)     午後三時十三分開議  出席小委員    小委員長 藤田 義光君       大西 正男君    鯨岡 兵輔君       武市 恭信君    登坂重次郎君       森下 元晴君    和爾俊二郎君       佐野 憲治君    重盛 寿治君       華山 親義君  出席政府委員         自治事務官         (財政局長)  柴田  護君  小委員外出席者         地方行政委員長 森田重次郎君         地方行政委員  安井 吉典君         地方行政委員  栗山 礼行君         自治事務官         (財政局公営企         業課長)    近藤 隆之君         参  考  人         (東京交通局         長)      佐藤  登君         参  考  人         (日本都市交通         労働組合連合会         中央執行委員         長)      萩原 信治君         参  考  人         (大阪交通局         長)      今岡 鶴吉君         参  考  人         (日本都市交通         労働組合連合会         関西地方協議会         議長)     木下 正治君         参  考  人         (神戸交通局         長)      藤原  潔君         専  門  員 越村安太郎君     ――――――――――――― 三月二十七日  小委員森下元晴君及び和爾俊二郎君同月二十六  日委員辞任につき、その補欠として森下元晴君  及び和爾俊二郎君が委員長指名で小委員に選  任された。 同日  小委員武市恭信君同日委員辞任につき、その補  欠として鯨岡兵輔君が委員長指名で小委員に  選任された。 同日  小委員鯨岡兵輔君同日委員辞任につき、その補  欠として武市恭信君が委員長指名で小委員に  選任された。 本日の会議に付した案件  地方公営企業に関する件(公営交通事業に関す  る問題)      ――――◇―――――
  2. 藤田義光

    藤田委員長 これより地方行政委員会地方公営企業に関する調査小委員会を開会いたします。  地方公営企業に関する件について調査を進めます。  本日は、公営交通事業に関する問題について参考人から意見を聴取することになっております。参考人として、東京交通局長佐藤登君、大阪交通局長今岡鶴吉君、神戸交通局長藤原潔君、日本都市交通労働組合連合会中央執行委員長萩原信治君、日本都市交通労働組合連合会関西地方協議会議長木下正治君、以上五和の方々が御出席されております。  この際参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。参考人方々には、御多忙中のところ御出席いただきまして、まことにありがとうございました。公営交通事業に関する問題につき、それぞれの立場から忌憚のない御意見をお述べ願えれば幸いと存じます。  議事の整理上、初めに御意見をそれぞれ大体十分程度に取りまとめてお述べ願い、次に委員諸君からの質疑に対してお答えを願いたいと存じます。  なお、本会議の都合により、開会時刻がおくれましたことをおわびいたします。  それでは佐藤参考人萩原参考人今岡参考人木下参考人藤原参考人の順序でお願いいたします。佐藤参考人
  3. 佐藤登

    佐藤参考人 佐藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  私からお手元にお配りしてあります「事業の現況と再建対策東京交通局」この資料によって簡単に要点を御説明申し上げたいと存じます。  都営交通事業営業収支状況を申し上げますと、一ページにございますように、昭和三十四年ごろまではおおむね収支均衡を保つことができましたが、三十五年以降は急速に悪化いたしまして、欠損金昭和三十五年に二億一千百万円、これが漸増いたしまして三十八年度では、見込みでございますが五十五億五千四百万円、したがいましてこの累計は三十八年度末で百八億以上に及ぶ状態でございます。  次に二ページにまいりまして、このうちバス事業をとってみますと、三十六年から六億五千九百万円、それが三十七年度は十億九千百万円、三十八年度見込みとしては十七億、累計四十二億ほどになるわけでございます。これは営業収入支出関係でございますが、次に資金収支関係を申し上げますと、これに加えて輸送力増強のために新しい車両や施設改良を行なう必要があり、また建設資金確保のために発行した企業債元金償還を行なわなくてはならぬというふうなことになりますので、全体としての資金不足累増いたしまして、三十四年度は五億二千七百万、三十八年度では四十一億六千八百万、総体として百三十億以上に及ぶ資金不足ということになったわけでございます。このうちで今回問題になっておりますバスのほうをとってみますと、三十四年度では十五億――この三十四年度は過去の、三十四年度末までの計でございますが、年々累増いたしまして、そうして三十八年度末では実に六十二億をこえる状態になったわけでございます。  こういうふうに財政状況が悪化した原因として考えられるものとしては、御案内のように諸物価の高騰による経費増大、これはバスの例で申し上げましても、経営はこの前の料金改定のときから比べますと六割から七割の値上げになっておる。車を買う場合でも二割七、八分ぐらいの値上げになっておる。それから、その間に人事院勧告の線からくるたび重なる給与改定による人件費増大。これは御案内のように、この二十六年以来八回のベースアップがありまして、今回九回目が来ているわけでございます。それから、路面が渋滞いたしまして、特に東京の場合、自動車が年々二〇%の増加である。道路拡張監理につきましては、御案内のように、目下膨大な道路費をかけて、オリンピック道路その他について鋭意拡張整備をやっておりますが、ここ昭和四十五年ごろまでは残念ながら全体として五%ぐらいずつしかふえない。したがいまして、四ページにもありますように、平均時速がここ年々低下してきまして、昭和三十四年度には十五・五八キロのスピードが出ておりましたものが、三十八年度では十三・四一キロしか出ない、こういうスピードの低下による収入の減少と経費増大を来たしておるわけでございます。  また、私どもこういう事態に対処して企業改善努力をしておりますけれども、その企業改善の速度を上回るスピードをもって財政悪化の諸要因が押しかけてきているわけでございます。  なお、東京におきましては、そのほかに特に路面電車の問題がありまして、路面電車を地下に転換するという必要上、首都交通近代化のために地下鉄建設をもやらざるを得ないところへ来ているわけでございます。これには膨大なる経費を要しておる。  それから、これらの財政欠陥を補うために、やむを得ず一時借り入れ金をもって補てんをしてきたわけでございますが、これが非常に大きな額に及んで、その利払いに追われておる、こういう状態でございます。  そこで私どもといたしましては、財政再建対策を考えてきているわけでございますが、基本方針といたしまして、五ページ以下にございますが、これは一交通局だけではどうにもならぬ。したがいまして、東京都の首脳部との間に交通事業財政処委員会を設けまして、地下鉄事業とその他の電車バス事業に分けまして、従来累積された資金不足と今後出てくる平年度資金不足に区分して、再建の方策を立てることとしたわけでございます。  累積資金不足処理といたしましては、この百三十億の資金不足についてはたな上げ方式によっておおむね六カ年計画処理をする。そのやり方としては、地下鉄事業による資金不足、これは現在三十六億ほどになっておりますが、過去のものについては都の一般会計で元利を負担をする。その他のバス電車事業につきましては、都の一般会計利子負担して、元金交通財産を処分して充当する。交通局で持っておる土地のうちで、さしずめ卒業のために使うあてのないもの、こういうものについては都の都市計画あるいは住宅建設等とかみ合わせてこれを処分する。あるいは場合によっては、民間に処分をして、これでもって六カ年の間に約九十億ほどの処理をする。この累積資金処理のしかたですが、三十九年度は、予算で見ますと、五十五億ほどの営業赤が出てくるわけでございますが、平年度資金不足処理するために、地下鉄事業についてはどうしても今後大都市交通対策上絶対に必要あるということを国も認めておられるわけでございますので、国の利子補給増額措置お願いしたい。それから公共負担として都の一般会計からも財政援助を受ける。  その他のバス電車につきましては、これも単年度均衡をはかることが非常に困難でございますので、六カ年の間にこの赤字が今後出ないようにする。それにつきましては、各事業ごと企業の積極的な体質改善を実施していく。  それから、その間における利子につきましては、都の一般会計においてその補給をする。  それから、今回問題になっておりますバス料金改定は、認可が非常におくれているわけでございますが、政府施策において抑制されている面につきましては、補給措置お願いする。同時に、バス料金は十二年間も据え置かれて、すでに地方議会で議決されてから二年半も経過しておりますし、何とかこの認可をできるだけ早くやっていただくようにお願いをしたい。  こういうふうな方針に従って三十九年度では都の一般会計より、この六ページにございますように、財政援助を受けたわけでございますが、これが総額三十二億でございます。このうちの大部分地下鉄建設に伴うものでございまして、既存事業利子補給として、平年度一億七千万円、累積資金不足に対して四億七千万円程度でございまして、あとは大部分都営地下鉄建設あるいは営団地下鉄に都が出資していく場合に、この資金を都に持っていただく。それから低利の運用資金を三十億都の一般会計から融資してもらって、これは年三分でございますが、単年度ごとに返していく。  こういうふうなことで、東京都の一般会計においても極力協力をしていただいているわけでございますが、都の一般会計もなかなか容易でないという状態でございます。  それから、企業自身体質改善でございますが、運輸対策といたしましては、路面電車につきましては、御案内のように、スピードバスよりもさらに落ちている。現在十二キロちょっとしか出ませんが、今後地下鉄建設と関連いたしまして、撤去すべきものについては、目下五カ年計画を持っておりますが、五カ年ないし十カ年計画によって逐次路面電車は撤去していく。それからバスにつきましては、バス輸送乗客の潮流に応じたように再編成しながら強化をしていくという方針でございます。  それから経常費用節減対策といたしましては、人件費並びに特に諸手当の改廃、これは非常にむずかしい問題でございますけれども、現在のような財政状態のもとにおいて、その手当の中にはいろいろと問題の点がありまして、今日合理性に乏しくなったと認められるものについては、この機会整理をし、あるいは種類も簡素、統合化するということを考えまして、いま組合と折衝中でございます。  それから、バスについては、ワンマンカーの採用をするという方針でございます。  それから、年齢につきまして、従来は六十歳でやめるというふうになっておりますが、これは三年計画で五十七歳に引き下げるということで組合と話し合っております。これは他の都市ではすでに、五十五歳となっているところもございますが、都の場合は、都の一般のほうが現在まだ六十歳高齢退職制度を実施しておりませんので、それとの関係において非常にむずかしい問題がございますが、交通事業の実態からして交通局ではこれを取り上げていく方針でございます。  その他、事業運営上勤務制度の改正、こういうふうなことをやりまして、企業経営近代化体質改善に一そうの努力を払って、経営の刷新と経費節減をはかる考えでございます。  この際、国に対してお願い申し上げたいことを最後に申し上げさしていただきたいと思います。  御案内のように、バス料金改定が非常におくれておりまして、このために、私どもが三十六年に都議会の議決を経てからお願いしましてからすでに二年半たちますが、東京都の場合だけで見ましても、もしあのときに一緒に出しました路面電車と同じ十一月ごろから認可になったとすれば、約二十五億の収入の増を期待できたわけでございますが、これが、残念ながら今日まで、しばしば運輸大臣からは、いまに上げてやる、いまに上げてやるというふうじ言われながら、とうとう今日まで結果においてはだまされたような結果になったわけですが、こういう状態ではどうにもなりませんので、私どもは、先ほど来申し上げましたように、いろいろと企業内における難問と取り組んで、それからまた東京都の一般会計援助も得ながら、極力努力をする態勢でおりますので、何とぞバス料金認可になるまでの間は、ぜひとも、少なくとも今後一年押えられる間のものについては、最小限度十一億何千万円、東京都の場合で言えば約十二億近いものでございますが、この補給を賜わりますように、特にお願いを申し上げたいと思います。  なお、きょうはバスの問題が主と思いますけれども地下鉄利子補給制度の実現についても、今後これをお考えくださるようにお願いをあわせて申し上げておきたいと思います。現在は、ほんのつかみ金の一徳八千万とかあるいは二憾二千万程度のものを東京大阪名古屋帝都高速度交通営団の四者に交付されておりますが、これはほんのわずかのものでございますので、やはり今後の大都市交通を緩和するためにこれは絶対に必要であるという関係から、しかも膨大な経費を要する、これは何とか本格的な利子補給法のようなものの立法にこぎつけていただくように、今後いろいろな機会お願いを申し上げるわけでございますが、この機会にあわせてお願いを申し上げさしていただきたいと思います。  はなはだ簡単でございますが、私のお願いを終わります。
  4. 藤田義光

    藤田委員長 ありがとうございました。  次に、萩原参考人お願いします。
  5. 萩原信治

    萩原参考人 都市交通労働組合立場から、今日直面いたしておりまする、私たちの帰属いたしておりまする公営企業職場が、職場ごとにたいへん赤字累積が重なり合って、そのためにそれぞれの組合企業内合理化という命題が大きくおおいかぶさってきております。したがって、私たち組合政府なりそれぞれ都道府県に対して、いろいろこれらの赤字を克服して――今後、公営交通企業の健全なあり方に対する諸要請につきましては、後ほど木下参考人のほうから十分説明さしていただきたいと思っております。いま、東京交通局長も申し述べましたけれども赤字原因なり、また赤字原因から生じて、最近たいへんに民営移管とかいうような問題が流布されております。したがって、そうした点について、わずかの時間の中でもって所見を述べてみたいと考えております。  弁口の公営交通企業赤字というものは、東京の場合は、遠く昭和十七年の陸上交通調整法が大きな原因になっておると思います。もちろん、東京大阪神戸名古屋、少なくとも横浜も含めて、大小の都市はありまするけれども、それぞれの都市計画というものについては、その都市都市によって違っておると思います。したがって、いま申し上げました東京都のような例を考えてみますると、一例としては、私たち交通局の職員として、三十数年組会員として、また組合活動者として今日に至っておりますけれども、いま東京の場合、人口が一千万をこえております。したがって、東京都の総予算は、人口累増につれて、たしか五千億程度にふくれ上がっております。背、交通局予算は、東京都の一割というものが大体交通局予算でありました。これは一番わかりやすい数字だと思う。それが、いま申し上げましたように、人口累増に従って、東京都の予算がそのようにふくれ上がって、今日では東京都の公営企業は遺憾ながら都の予算の一側に満たない、たしか三百何億です。もちろん地下鉄建設事業は別にして。こういうような数字はどういうところからあらわれるのか。要するに東京都の交通事業というものが、交通麻痺というような状態の中から、十分なる乗客輸送を昔のようにできないということが一つ。それからまた都市住民の帰属が、いわばたいへん郊外へ伸びてきておる。そこで、先ほど言いましたような昭和十七年の陸上交通調整法によりますると、東京都の交通事業の権益というものが環状線の中に制限されております。したがって、そうしたようなことから、人口累増するのだけれども累増した人口が昔のように乗客として都電なり都バスに帰ってこない。したがって、予算というものが、東京都の人口累増に従って膨張するにもかかわらず、逆に公営企業のほうは、交通事業のほうは下がっていっておるというようなことが、予算対比関係から見た一つの大きな理由だと私は考えております。こうしたようなことは、遠くさかのぼって、いわば陸上交通調整法というような施策が今日大きく尾を引いて、その後、先生方が十分御理解になるように、交通麻痺状態やらいろいろな居住民の移住とかいうようなことが累積されて、人口がふえても、それが交通局の、収入増とはあらわれてきていないというところに、今日、さかのぼってみれば施策上の大きな欠陥があるというふうに私は考えております。こうしたような施策上の問題を抜きにして、今日の赤字云々だけを当面の考え方として律するということはおかしいんじゃないのか。したがって、そうしたような施薬面について、公営企業あり方というものを今後十分ひとつ御配慮願いたいというふうに考えております。  それから第二点といたしまして、冒頭に言いましたようにこうしたような状態になってくると、特にバスのごときは、民営でもいいのじゃないのかというふうなことが盛んに流布されております。地方公営企業法にもありますように、私たち公営交通企業というものは、やはり住民の福祉に貢献することを一つの定義といたしております。ですから一つ路線一つの系統をつくるについても、どこの都道府県においても、市議会なりないしは都議会住民要請として出されて、これが都議会市議会で議決されて実施されている。その際には、採算云々のことばかりでもってその路線の設定は行なわれない。こういうところに私たちが主張する公営交通企業の二面があるというふうに私は考えております。  それからもう一つは、東京における大正千二年の関東大震災のようなときに、すぐ都の復興のために総力をあげて都民の足を確保するということでもって、あの震災の異常な状態の中でもって、いち早く都民の足を確保することができたというようなことは、やはり公営交通の利点ではなかったのか、例をあげるとすれば、そういうことが言えると思います。  それから最近は、終戦直後におけるあの荒ぶれた中からいち早く都市民の足を確保することができたということは、都なり県なり市の一つの政策としてそうしたようなことが。急に行なわれたためである。あの場合に、終戦直後の状態の中で、民間業者がいち早く都市民の足を確保するために立ち上がったとしますと、たとえば利潤追求民間資本であったとするならば、そのことはできなかったというふうに私は考えております。  またもう一つは、公営企業というものが、一般民常なり国労なりというような間にあって、私たち労働者条件としては、私たち公営企業なり国営企業が、労働条件なりというものの一つ基準をつくるべきものだと考えております。したがってそうした意味では、公営企業が今日労働三法の中において、いわば資本主義下における経学者のいろいろな圧迫というようなものの中から一つ労働者としての基準というものを立てていく。そうした意味で私たち公営企業というものは、住民立場から、労働者立場から、また国の施策立場から、都道府共の施策立場から、その中には社会政策的なことも十分織り込むこともできるし、そうした意味公営交通企業存在価値というものが十分あると私は考えております。  そうしたような公営制度あり方というものをわれわれは十分認識しながら、そこで、いま佐藤局長も言いましたように、いまの独立採算制である公営企業法の中から、公営制度のいいところはあるんだけれども、一面赤字という問題が出てきます。この種の赤字という問題につきましては、先ほども申し上げましたように施策の点であるとかないしはまた公営制度を守るとかいうふうな立場からいきますならば、私たち労働組合全体の立場でもって公営企業の、交通事業近代化の線に沿うというような意味におけるいわば合理化という点については、十分話し合いの上でもってそれらを十分理解し、そうして進めていきたいというふうに考えておるわけであります。  まあそうしたような点を、全国四十組合が所属しておりますところの都市交通連合会立場から、今日の公営企業状態と将来の展望というものに対して、私たちは今後そのような考え方でもって実施していきたいというふうに考えております。  たいへん時間が制約されておりますので若干御理解のない点もあると思いますが、以上、要点だけを申し上げまして先生方の御理解を得たいというふうに考えております。
  6. 藤田義光

    藤田委員長 ありがとうございました。  次に、今岡参考人お願いします。
  7. 今岡鶴吉

    今岡参考人 大阪市の交通局長でございます。  東京からも全般的に話が出ましたので、私からは資料に入ります前に、本日おうかがいしまして申し述べさせていただきたいことを一つだけしぼって申し上げたいと思うのです。  一口に六大都市公営、こう言われるのですが、内容は非常に迷います。まず都市の形、道路乗客の流れ、こういったことから内容が非常に違っておりまして、収入も違えば経営状態も迷う。まずバスの一時間当たり走行キロ当たりでごらんいただきましても、非常に大きな相違があると思うのであります。したがって、公営がどうも何か中身がずさんであるというふうに一口に言われるのですが、この点はひとつ各都市別にごらんいただきまして、いいところもあり、まだ残っているところもあるということを御了解いただきたいと思うのです。  それから、大阪はごらんのように半径五キロくらいの円の中へすっぽりとおさまります。非常に市域の狭い都市であります。これが十二年間、一キロ当たり二円六十銭で押えられて、この市域からちょっと出ると、民営は三回にわたって料金改定されて四円になっている。この境目において二円六十銭と四円の違いがどうしてなければいけないのか、この点はどうも私たち、どうしても理解ができないのです。都市交通だけを二円六十銭で十二年間押える、市域から少し出ると、これは町の形からいったらちっとも変わっておりません、これで二回上げられて四円になっておる。この点はどうも私たち、押えられる理由がわからないわけであります。それから、ここで一年間、大阪バス料金改定をストップいたしますと、そしていまのような状態に置かれますと、三百両くらいのバス増強が不可能であります。一年分、投資もできなければ、しかも赤字を抱くというようなことになりまして、一年たって料金制度改定していただきましても、そのときには二年分階段を飛び上がるようなことになりますしこの点はぜひ、こういういびつな時期を一年間置いていただくことのないようにお願いしたいと思うのです。合理化ができていないから――なるほど、どっかつかまえて見ていただきますと、合理化の十分でないところはございますけれども、それと、一年間料金をストップしたからそれに対する処置をしてやろうということとは別だと思うのであります。この点をひとつぜひはっきりとしていただきまして、早い時期に財政処置をお願いしたい、こう思うのであります。  それで、資料に入らしていただきますが、東京で話が出ましたので、やむを得ずこういったことを書きましたが、各都市いろいろ違いまして、大阪では定年制にいたしましてももうすでに五十五歳定年ということは実施されております。女子の乗務員ですと三十三歳で定年ということにしております。  それからワンマンカーの話も出ましたが、ワンマンカーももうすでに二十六年から入れておりまして、千七百両くらいの車の中にすでに約六百両のワンマンカー、ワンツーマンカーを入れております。もうこれ以上ワンマンカーを入れるということも困難かと思うのであります。  それから路面電車は高速鉄道が建設されますと同時にはずして、路面電車の職員は地下鉄へ移すというようなことも軌道に乗せております。かなり大きな合理化組合にものんでもらいましてやっておりますが、なお交通事業そのものは赤字であります。この点はやはり料金改定というところに無理があるのではなかろうかと思うのであります。  それで三ページに、これは自治省からお出しになった資料と同じものでございますが、三十五年から八年にわたりまして全事業赤字を出しております。三十八年度三十一億ということになります。  それからバス事業だけをとりますと三十八年度十三億、今年度の十月へさかのぼってのベース改定を入れますと十五億、これは各都市とも同じであります。やはりこの点も十二年間料金据え置きというところに私は原因がある――こればかりと言っては言い過ぎでございますけれども、ぜひこの点を御了解いただきたいと思うのであります。  それから五番目に四ページの5という表題のところに、三十六年に料金改定を申請いたしましたが、これが実施されておったといたしますと大阪バス事業は黒字であります。もちろん三十六年、三十七年黒字でやってこれたと思うのであります。それから三十八年度も一応黒字決算ということになります。  五ページの6という表題のところに、バスの乗車人員は毎年七%くらい増加しております。路面電車をはずしたりした関係もございまして、三十八年度はかなり大幅に伸びておりますが、大体七%。  それから速度低下を合わせますと、七ページ8のところへ書いてございますが、大体自動車は一〇%くらいの増強を必要といたしております。赤字でもこれはやっていかなければ市民の足を確保するということが困難であります。そういったことで、いままでの実績は七ページの8のところに書いてありますように、大体平均いたしましてバスの車両を一〇%くらいずつふやしております。  こういったことで9のところに書いておりますが、車両増による経費の増高というのが三十五年度三億、三十六年度三億、三十七年度四億七千万というふうにふえておりまして、ベースアップとか物価上昇による経費というものをあらかたここへ出してみましたが、自然増収の七%というには、はたしていまの料金では何ぼになるか、これを計算してみますと、八ページの10のところへ書いてございますが、大体年間三億か三億五千万でございます。三億五千万か三億の自然増収をまかなうために、速度低下と自然増収用の車両を装備いたしますと従業員もふえますので、これは大体食われてしまう。これだけごらんいただきましても、いまの料金が正しいかどうか、この点は一つ理解をいただきたいと思うのであります。  それでそのあとに合理化のことを少し書いてございますが、これは別といたしまして、合理化も先ほど申し上げましたように大阪ではかなり進めておりますが、いまの段階ではぜひこれに物価抑制策の一つとして料金を押えたということに対応するだけの処置をお願いしたい、こんなふうにお願いするわけでございます。  それからもう一つ資料は、一月ごろバス料金一年間ストップということになりましてから料金改定お願いしておりましたのを、方向を変えまして、抑制によって生じた赤字は補償していただきたいというお願いに変えたときの資料でございますが、もう一度言わしていただきますと、大阪市だけで考えますと、市域とその狭い市域を出た、といって別にたんぼの中を走るわけではございませんけれども料金が二円六十銭と四円と開いている。この点はぜひ早い機会に是正をしていただきますようにお願いしたいと思います。これができなければ――物価抑制策には協力さしていただきますので、財政補てんということをこの際一ときも早く結論を出していただきますようにお願いしたいと思います。
  8. 藤田義光

    藤田委員長 ありがとうございました。  次に木下参考人お願いします。
  9. 木下正治

    木下参考人 私は都市交通の関西地協の議長をいたしております木下でございます。さいぜんの萩原参考人と同じように、組合立場から一応意見を述べさせていただきたいと考えております。  私たち組合運動の中で、やはり私たち職場は特に公共事業体であります。住民の福祉に面接関係する職場でございますので、組合の運動方針の中にも、事業を守る組合として、私たちは年々いろいろ現在の都市交通の実態、こういう問題についても取り組んでまいったのであります。参考人の人たちが申し上げておりますように、いま私たち職場であるところの公営交通事業が二つの面で非常な苦悩しておるところの状態でございます。一つは、いわゆる都市交通のマイカーの問題、一つ赤字財政の問題でありますが、こうした面につきまして私たち労働組合としても、早くからこうしたところの都市交通状態に対するところの展望に立ちましていろいろ調査もし、同時に昭和三十四年ごろから都市交通の長期政策、そうした問題も組合として検討し、さらにまた当面するところの具体的な対策、こうした問題も私たち意見を発表し、同時に各機関のほうにもお願いして今日まで参ったのでございまするが、遺憾ながら現在の都市交通が非常な危機状態に入っております。こうした点を私たち組合も率直に認めておるわけでございます。交通麻痺状態は、先生方も御存じのように、大阪におきましても特にひどい状態におきましては、交通の停滞状態等につきまして、これは警察部の発表によりましても、三十分以上五百メートルにわたって停滞する、こうした問題が年間に三千四百回出ておりまして、一日には十回以上そうしたところの停滞をしておる、こういうふうな現状であります。こうしたことが非常に現在の路面交通電車バス、トロ・バスの能率を低下している、こういうことが現実でありますが、私たちはこうした問題について、まずやはりこうしたところの状態になった原因というものについては、十分にひとつ施策をしていただきたい、こういうことを前から主張いたしてまいったわけであります。  まず道路の拡張、新設が非常におくれておることが、こうした一つの大きな原因になっておるのじゃないかと思います。あるいはまた交通人口が非常に増加してまいってきておるごとも一つの、原因であろうし、さらにまた工場、住宅を含む都市計画が非常におくれておるのではないか。それに加えて自動車が非常に急増してきた。さらにまた一面には、大衆輸送優先によるところの交通規制というものも十分徹底されておらない、こういうことが現在のやはり大きな原因でないかというふうに組合のほうも分析いたしておるわけであります。  さらにまた財政的な赤字の行き詰まり問題につきましても、これまたこうした交通麻痺からくるところのいわゆる逆転能率の低下から、非常に減収面が出てまいっておるし、それにまた加えまして、最近の物価の上昇が非常にそうしたところの運転費の増大を生じてきておる、こうしたところがやはり何といっても現在の交通から出てまいっておりますところの都市交通の危機の面の大きな原因だというふうに組合のほうも分析いたしておりまして、どうしてもやはりこの問題を解決しなければ、現在の都市交通問題の解決があり得ないのではないか、こういうふうに集約し、各関係方面にもお願いしてまいったわけであります。まずこうした中で、私たちの、対策としましては、都市交通の混乱を除去するためには、いま申し上げましたように、この原因であるところの道路を拡張していただく、さらにまた道路を新設していただく、そうしていわゆる総合的な都市計画をやっていただくということが必要じゃないか。さらにまた交通規則、交通行政、こうした問題のやはり総合的な計画が必要でないかというふうに考えておるわけです。特に交通行政と道路行政、こうした問題についても、一貫したところの方向というものについては、現時点におきましては非常に欠けた点が見える。組合としては、少なくとも中央においてこういうものを統合するところの交通省、そうした問題もひとつ設置してもらいたい、こういう点も私たちの主張として持ってきたのでございますが、こういう点が非常に欠けておる、こういうことが一番基本的な問題じゃないかというふうに考えておるわけであります。さらにまた財政的な問題につきましても、これは現在公共事業でありますので、不採算路線、こうした問題もわれわれはやっていかなければいけないし、さらにまた料金の問題でありますが、組合としては、現在料金問題につきましてはやはり物価の政策からいきまして低物価政策、こうした点については組合としては異論はないわけですけれども、しかしながら、これが一つの国の政策としてやられる場合には、そうした面に対するところの施策が、国の責任において行なわれる場合には、国としての負担をやはり持ってもらわなければならない。それを地方公共企業に押しつけられることについては非常に問題点がある。そういう点が、現在の赤字問題が非常に大きな危機に瀕しておる、こういうように考えられるわけであります。なおまた現在の中で、社会政策とか文教政策等によって料金の割引、無料乗車券、こういうものが非常に出ておりますが、これは当然一つの政策として行なわれるものでありますので、国または当該の自治体がこれに対するところの責任を持っていただく、そういうことが現在企業体のほうに非常に大きなしわ寄せになってきておりますし、さらにまた通勤定期にしましても、最近ではほとんど企業体で見ておりますけれども、これ自体から考えましても、そういう定期の割引等については、広い意味においては国の一つの産業政策でなければならない、そういう意味から考えますと、一つの産業政策または労働政策として、当該政策の経費としては国または地方自治団体が持っていただく、そういうことが現在非常に企業体に対するところのしわ寄せになっておるのじゃないか、こういうふうにも考えておるわけでございます。  それからまた都市計画についても、本来から申し上げますと、交通というものはやはり最重点として考慮されていくべきじゃないか。これが満たされておらないところに現在の都市交通の行き詰まりの大きな一つ原因があるのじゃないか、こういう点から、十二分に交通というものを重要に考えて、一つ都市計画というものを打ち立てられる。そして、この交通機関によりまして、住民のほうにおきましても非常に地価の上昇とか商工業の隆盛、さらにまた住民がこれによって繁栄して税金も多くなるわけですけれども、そうした問題につきましても、現在はほとんど一般の経済のほうに入りまして、交通経済にはそういうものがほとんど考えられておらない。こういうことについて、いま地方自治体では補助的な考え方をしておりますけれども、これは当然交通機関というものからそこに利益が上がりますので、こうした点については当然企業体に還元さるべきである。こういう点が現在のところ何ら実施されておらない。こういうところに現在の公営企業体の非常に赤字に苦しむ問題があるのじゃないか、こういうふうに考えておるわけであります。こういう点で、各先生方で、できるだけ当面の具体的な重点問題として、こういう問題についての十二分な御配慮を賜りたいというふうに考えるわけであります。  さらにまた、現在の地方公営企業法につきましても、第十七条の二項を削除願って、独立採算制というものをはずして、いわゆる住民の福祉の維持または向上のために必要がある場合、こういうふうに挿入願って、さらにこうしたところの公営企業の必要性においては、会計面につきましても、地方自治体からの補助ができる、こういう道を開いていただきたいというふうに考えるわけであります。  さらにまた新しい項を起こしていただいて、公共負担については国もしくは地方自治体がこれを負担する、こういう問題を新しい条項として起こしていただきたい。こういう点が、私たち組合から見まして、現在の交通企業の危機をなくし、住民の福祉に十二分にこたえるところの公共企業体制ができるんじゃないかというふうに考えておりますので、こうした点を先生方にも十二分に御配慮いただきまして、ぜひともひとつ改正をお願いしたいというふうに考えておる次第でございます。  時間がありませんので、以上で終わります。
  10. 藤田義光

    藤田委員長 ありがとうございました。  最後に藤原参考人お願いします。
  11. 藤原潔

    藤原参考人 神戸は一日、電車でおよそ三十七、八万人、自動車で三十万人程度乗客を輸送しておるのが、私のほうの企業の規模でございます。公営企業法が施行せられまして、当初の数年間は比較的順調な歩みをいたしたのでございますが、諸経費の漸増につれまして、次第に経営が困難になってまいった。この事情は各都市同様でございまして、神戸市におきましては、三十三年度から実質的に企業赤字を出しております。資料の一番うしろのページをお開きいただきたいと思いますが、形の上ではそうはなっておりませんが、三十三年度、三十四年度、形式的には黒字を維持しております。退職積み立て金を取りくずしましてその処置をいたした等の関係で、形式的には黒字決算に相なっております。しかしながら、実質的には赤字でございまして、注書き記載のとおりでございます。以後赤字を続けまして、三十七年度決算では五億九千万円、三十八年度の決算では見込み七億七千万円、三十八年度の末で、累計赤字予想はおよそ十六億でございます。最初に申し上げましたように、神戸交通局事業が、電車で三十七、八万人、バスで三十万人程度の輸送をやっておる規模でありまして、財政規模を申し上げますと、四十億を少し上回る程度事業でございます。そういう状態の中にありまして、三十八年度末において十六億の赤字累増するであろう、こういう状態に立ち至ってまいったのでございます。  これの事情につきましては、すでに他の参考人からも説明がございましたので、それは特には申し上げませんが、こういう状態に対処するために、他から求められるまでもなく、経営合理化はつとにやってまいったのでございます。各都市同様でございますが、私から一応申し上げますならば、電車の信号所を廃止するとか、変電所を無人化する――神戸では、実はかつて八つの変電所を持っておりましたが、現在では変電所に人を配置いたしておりますのは四つでございまして、他の変電所は遠隔制御をやっております。三十九年度でさらに一つ、遠隔制御の形に移す予定でございますので、三十九年度中には、変電所で実際に人が配置されるのは三つ、さらに将来、われわれの計画ではそれを二つにするという計画がございます。車両を大型化するとか、あるいは事務機械を導入いたしまして事務職員を節減するとか、定年制を実施して職員の年齢構成を低くするとか、というようなことについても、他都市同様に、われわれのところでも努力いたしております。  なお最近のことでございますが、国道沿いの運輸事務所が都市計画のために立ちのかなければならないということがありました機会に、新しく運輸事務所をつくりまして、その取りこわしになります運輸事務所と、他のもう一つの運輸事務所及び別の運輸事務所の三つを統合する形をとりまして、運営の合理化等もはかった実例がございます。こういう中にございましてなお収支のバランスがとれないという事情から、神戸市におきましても三十七年の二月末に電車、自動車ともに運賃改定を申請いたしました。しかるところ、電車につきましては三十七年の七月十五日から運賃改定をすることができましたが、バスについては今日のこのような状態でございます。一昨年の暮れあたりには、三十八年の正月からはどうやら実施ができそうだと非常に大きく期待いたしましたが、それも流れました。しかし三十七年度中には実施できるだろうということも夢となってしまいました。三十八年度まさに終わるわけでございますが、とうとうその間に公共料金抑制という政府施策のために、私たちバス料金はなお向こう一年間ストップされるという悲しい運命におちいったのでございます。私のひそかなる心境でございますが、公共料金ストップという施策の前に、なぜ私たちの幾つかのバス事業だけがこういうように取り残されたのであろうかと非常に胸を痛める次第でございます。おおよその公共事業につきましては、それぞれに措置されたように思うのでありますが、われわれの幾つかのバスにつきましてのみかように取り残されたのか、かように思いますときに、いろいろと苦しい思いに打たれる次第でございます。今後どういうふうにしてわれわれの事業を進めていくべきかということにつきまして、三十九年度予算を編成するにあたりましてもいろいろな角度から検討いたしました。いろいろの予算案の資料を、提出するまぎわに至るまで形をよう整えずに、内部でいろいろと論議をいたしたのが神戸市の実情でございましたが、この際神戸市が、三十九年度予算編成をするにあたって、かようなことをしたということを、ひとつお聞きいただきたいと思います。  電車事業は先ほども申し上げましたように三十七年の七月十五日から改定をいたしましたが、その後路面交通のふくそう、あるいはたまたま電車料金バス料金が同様であるというようないろいろな事情から、電車料金値上げになりましたが、電車収支は償わなかった。電車はそれほど増収にならないという結果が三十七年度の決算でもあらわれましたし、三十八年度も、まさにそういうような数字があらわれようといたしております。三十八年度赤字をおよそ六、七億と見ておりますが、そのうち半分は電車事業のほうの赤字でございまして、バスのほうは、バス料金改定がないためにこれまた赤字を見るという状態でございます。電車は運賃値上げがなされておって、なお赤字を出す、そのこと自体の改善を、どうしてはかるかというようなことをいろいろと協議いたしまして、電車収入が上がらないというのは諸車のふくそう等から、電車がよちよちとスピードが落ちてきた。乗客としてはこういうのろまな電車の利用ということに魅力を感じなくなる。そういうところに多分にその事情のあることを考えますときに、ある見方からいたしますと、乗客には不便かもわからないと存じますが、電車停留所の統廃合ということを考えたいということで、神戸市ではおよそ百の停留所を持っておりますが、およそ二割程度はこの際停留所の統廃合をいたしたい、そして統廃合することによって電車スピードをあげる、瞬間スピードではございませんが、系統を回る所要時分の短縮をはかる、それによって生み出してくる運転余力というものをもって、多少回数の少ない電車の運転内容を補強するということを考えたのであります。約二割程度の停留所の節減を、統廃合をいたすことによって、約五%の運転余力を生ずるという一応の計算をいたしております。それによりましてその運転余力で乗客収入を期待する。停留所の統廃合によって若干ながらもスピードがあがるということがまた乗客一つの魅力にもなって乗客を誘致する力ともなろうという考え方とあわせまして、ここにその乗客数を期待をいたすわけでございますが、一応の概算ではそれでも六千万円程度乗客収入増を得る見込みを持っております。  バス事業につきましては、今日十五、六億の赤字を持ちますと実際問題として資金繰りにも非常に困難を生じてまいります。われわれの市内交通の使命からいたしますと、乗客需要にはどこまでも沿うてバスの運転計画においてもその増強をいたすべきだとは思いますが、やはりこういう状態においてはそれにも限界があるわけでございまして、日勤車のほうでは運転計画の規模を、三十八年度計画と同じ規模にとどめ、電車と並行いたしておりますバス路線については若干回数を間引いて、自動車の単独路線のやむを得ない補強につとめるということで、バス計画を立ててみたという状態でございます。  しかしながら、さようにいたしましてもなお電車において赤字を生じ、バスにおいては採算がとれないのはまた自明のことでございます。もちろん今後ともに、さらに残る合理化につきましてはいろいろと検討を進め、組合とも話し合って進めるものについては組合十分話し合いをいたしたい、かように思っておりますが、こういう状態が続きますときに、はたしてわれわれの公営交通の使命が達成できるであろうかということを非常に案ずるのであります。したがいまして、私は基本的には運賃改定一口も早からんことを希望いたすのでございますが、政府施策のためにすでに、御決定のとおり一年間運賃改定が停止されるということでありますならば、運賃収入にかわる政府の適当な財政措置をぜひとっていただきますように、強く要望を申し上げる次第でございます。  御静聴ありがとうございました。
  12. 藤田義光

    藤田委員長 ありがとうございました。  以上で名参考人の御意見の開陳は終わりました。     ―――――――――――――
  13. 藤田義光

    藤田委員長 これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので順次これを許します。  なお小委員外地方行政委員から発言の申し出がありました場合には、小委員長において適宜これを許すことにいたしますので御了承願います。  鯨岡兵輔君。
  14. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 いろいろお話を承って、公営企業特にバス企業のたいへん御苦労だということはわかるのですが、この際佐藤さんにちょっとお伺いをいたしますが、私営のバスのほうでもたいへん企業に困られて、方々に運動しておられることを知っておられますか。最近、何か印刷物なんかをつくりましてわれわれのところへも送ってきたり、また熾烈な運動を展開しておられるのですが、交通局長さんとして考えられた場合に、皆さま方の困り方と、それから私営のほうの困り方と、どちらが激しいと思われますか、えらい素朴な質問でおそれ入りますが、お答えを願いたい。
  15. 佐藤登

    佐藤参考人 どちらが激しいかという御質問でございますが、私営も非常に困っているようでございまして、これをにわかに甲乙をここでつけることはむずかしいと思いますが……。
  16. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 ここ長いこと、ほかのものはみんな値上がりしているのに、全然値上がりしていないということによって、企業にたいへんな支障を来たしておられるだろうということは想像にかたくないのであります。これはまことに御苦労なことだと思います。ただ、この際公営企業であるだけにいろいろお考えを願わなければならないと思いますのは、これは私どもだけでなしに、国民一般そうだろうと思うのです。  そこでこの際、きわめて簡単に一つ一つ申し上げたいと思いますから、また簡単にお答えを願ってお教えをいただきたいと思います。  萩原さんにお尋ねいたしますが、この間の朝、都電のほうではストライキをやりました。あれは一言で言うと目的は何でありますか。
  17. 萩原信治

    萩原参考人 あれは、二十三日は、都議会の、予算を本会議が終了する日であります。したがって、交通局予算などは私たちのきつい合理化を含んだ予算であるし、べ・アも条例ではさまったのだけれども、その予算を組んでいない。いわばきつい合理化だけが含まれているという予算が通過する最後の日だったのが二十三日です。そうした意味で、それに対する意思表示という意味が、簡単にお答えすればあの日の行動になった、そういうことです。
  18. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 続いて萩原さんにお尋ねしますが、合理化に反対ということは、一言で言うからそういうことになるのでしょうとわれわれは思うのです。こういう合理化というのがやはりあったのだろうと思うのですが、この際お尋ねしたいのは、これは私が違っていたら違っているようにお話し願いたいのですが、   〔小委員長退席、大西小委員長代   理着席〕 かりに私営であれば法人税もかかるし、あるいは固定資産税もかかるだろうし、事業税もかかるだろうしするのですが、それらが一切ない。また配当も一切ないということは、企業として非常な有利なことではなかろうか。だからもし政治路線みたいなものがあって、もうからないことがわかっておってもやっておるんだということが、かりにありましても、税金という名のつくものは一切ない。それから配当も一銭も要らないということだったら、その点はとても企業としてプラスだと常識的に考えるのですが、その点どうお考えになりますか。
  19. 萩原信治

    萩原参考人 その点は、私は公営企業の特徴を発揮するための、民営と比較してよい点だと考えております。
  20. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 よい点、悪い点というのじゃなしに、経理上実に有利であるとお考えになりますかどうか。
  21. 萩原信治

    萩原参考人 有利であると考えます。
  22. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 最近週刊誌なんかで、どういう意図で書いたかそれは別として、非常に合理化を求めなければならない、言うなればいま不合理性があるとこう言っている。その中に手当なんかが非常に問題になっているようであります。五十四とかなんとか、数字は忘れましたが、たくさんの手当があるということなんですが、合理化という以上は、そういう手当整理しなければならないと労働組合のほうではお考えですか。
  23. 萩原信治

    萩原参考人 四十何坪数あります。しかしこの問題については、乗務員のいわばサービス高揚であるとかいうようなことが趣旨で組まれて、昭和二十四年以来ある制度であります。したがって、若干付言すれば、国鉄にもあります。水道にも数種類あります。私はこの機会に――よく一人の職員に全部つくかのごとく流布されておりまするけれども、一言にして言えば、一人の車掌さんが一人のお客を乗っければ十一銭八厘の歩合がつく、いわば乗客サービスをさせるためのノルマ方式が四十何和知の一例であります。したがってこれらの手当制度については、いま言ったようなノルマ制度そのものについては、組合としてはこれを是認しているものではありません。したがってこれらの手当を近代的に整理するということについては、組合理解をします。
  24. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 それではまた別なことをお尋ねします。私鉄なんかの場合と違って給与がだんだんふくらんできて、これはまた誤解的な言い方かもしれないのですが、聞いたままを申し上げますと、局長さんというと私鉄でいえば社長さんと見ている。その局長さんとほとんど同額くらいの給料を取っているたとえば運転手さんとか車掌さんとか、そういう方がおられるということを承るのですが、どちらがえらいとかえらくないとかということは別として、企業合理化という面から見れば、そういうことはあまり普通ではない、社会常識から見て普通ではないというふうにお考えになりますか。それは何もおかしくはないとお考えになりますか。
  25. 萩原信治

    萩原参考人 ノルマ制度組合が否定しながら、ノルマ制度に基づいてある種の職員がよけい取る場合はあると思います。しかしそのノルマ制度そのものを組合としては否定しております。したがって、このノルマ制度というものがなくなれば、そうした現象はないのだというように考えております。
  26. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 ノルマの問題もわからないことはないのですが、一般常識として、社長さんに匹敵する局長さんとほとんど匹敵するような給料が、現業員である電車を動かす人とかなんとか、そういう人の中にあるということは、ちょっと普通でないとお考えにならないで、やはり普通だとお考えになりますか。
  27. 萩原信治

    萩原参考人 私はその点についてはちょっと詳しく申し上げますけれども、かつてそういう例を言われたことがあります。その者は公休以外全部出て、そして二十四時間勤務――たまたま人が不足でもってそういった例があるのです。これが一例です。そうしたようなことがえらく喧伝されたとぼくは思っております。したがって、そうしたような一例をもって律するということはどうかと思いまするし、いまの給与制度は、率直に言えば、わかりやすく私の例を申し上げますると、いま三十四年在職しておりまするけれども、給与は頭打ちになっております。したがって、いまの職階給給与制度は、とても局長のところまで行かれるような制度ではないのです。それで律せられているのです。したがって、さっき言ったノルマの点で、昔そうした一現象があらわれましたけれども組合自身としては、そういったようなノルマ制度自体について、一職員がそうした事実があったとすれば、それを是正さして、労働者自身があまりノルマに没入して、ただ金取り主義になってはいけないというふうに指導はいたしております。したがって、そういう現象が正しい現象だとは思っていません。
  28. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 あと二問ほどですからひとつお教え願いたいと思います。  いまのお話では、あまり正しいことだとは思っていないけれども、特別な人が特別な仕事をやった場合に、そうなることがあるということだと受け取りました。そこで、労働組合のほうとしても、これはただごとではないというので、たいへん御心配で御研究のようでございますので、この際承っておきたいと思いますが、やはり企業というものはあれこれ比較の問題だと思います。あれこれ比較して御研究でもあろうかと思いますから、もしそうであるならばお答えを願いたいのは、他のバス企業や何かが全体の収入に占める人件費の割合と、たとえば東京都の交通事業の全体の収入に占める人件費の割合との出校の御研究がありましたら、ひとつそれを教えていただきたい。
  29. 萩原信治

    萩原参考人 人件費の出校においては、先ほど来局長も申し上げますように、人件費が総収入の六〇%以上こえるということは、正常ではないと考えております。
  30. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 そこで、正常ではないのですが、いま東京都は何ぼくらいでありますか。
  31. 萩原信治

    萩原参考人 これはいま言いましたように、六十数%になっておると思います。
  32. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 そこで民間企業ではどんなふうになっておられるか、御研究でしたら教えていただきたい。
  33. 萩原信治

    萩原参考人 民間はそれより低いことは下火でございます。要するに四〇%から五〇%前後というふうに私は考えております。
  34. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 それではやはりこれをほんとうに合理化するのには、おっしゃられたように、道路を直さなければならぬだろうし、また旧市内というふうに路線を限られておるということも隘路ではあるけれども、しかしそういうことをかりに直したとしても、こういう人件費の割合がやはり四〇%くらいにならなければいけないとお考えでございますか。
  35. 萩原信治

    萩原参考人 その点については、先ほど陳述の中でも若干申し上げましたように、施策そのものが、もっと増収になるような施策を、いろんなおっしゃったような滞留状態ないし環状線以内でなければ、自由な路線設定はできないのだというような、限られた拘束の中でもって増収施策をすることが、人件費収入との、いわば正常でないアンバランス状態を是正する要素だというふうに考えるわけであります。
  36. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 もう一ついまの問題なんですが、これで最後にしますけれども、いろんなことがあるけれども、一番最後には、やはり企業合理化といえば、中小企業でも大企業でも、どこでもそうですか、いま人件費が一番問題ですが、全体の売り上げの何%くらいまで引き下げたならば、やはりその程度で押えなければ、ほんとうの合理化はできないとお考えですか、明確にひとつお答えを願いたいと思います。
  37. 萩原信治

    萩原参考人 その点についても、いま言いましたけれども、私たちの主張するものは、企業増収をはかるということについては否定しておりません。それについては職場を守り、企業を前進させるという意味から総力をあげて協力すべきものだと思っております。そういう中から、いわば人件費収入との正常なバランスというものは生まれてくるんだというふうに考えております。
  38. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 終わります。
  39. 登坂重次郎

    ○登坂小委員 ちょっと関連してお尋ねいたします。  ただいま鯨岡委員の発言の中で、ノルマ制度があるというのは、局長さんどういうことですか。いま東京都がノルマ制度をお認めになっておるとか、実施しておるとかいうことをお聞きしましたが……。
  40. 佐藤登

    佐藤参考人 いまノルマというふうなことを委員長が言いましたけれども、ちょっと私そこを……。これは委員長にもう少し説明さしたいと思います。
  41. 登坂重次郎

    ○登坂小委員 それでは委員長にお聞きしますが、あなたはノルマということを発言したのですが、どういうことをノルマと申すのですか。そのおことばの内容をひとつ……。
  42. 萩原信治

    萩原参考人 先ほども鯨岡先生の御質問の際に一例として申し上げましたけれども、若干具体的に申し上げますと、いま都営バスが走っています。お客を一人乗せるとその車掌さんと運転手さんに百円に対して十一銭八厘という歩合がつくのです。これが一つのノルマ制度だということを言っているわけです。  若干補足しますけれども、何でそういうものがあるのかということについては、これは私たち立場からすると、きわめて前近代的なノルマ制度だというふうに否定的な立場をとっているのでありますが、現存していることは事実であります。その趣旨は、乗客に対して丁寧なサービスをしなければならないのだということです。そうなると、お客一人を乗せれば十一銭八厘の歩合がつくるのだということによって、乗客サービスの効用がはかれるであろうという人間本脂に立脚した制度を、ノルマ制度の一例として先ほど申し上げたわけです。
  43. 登坂重次郎

    ○登坂小委員 そうしますと、皆さんの給与体系というのは一体どういう仕組みになっておるのですか。私あるときラジオをひなりましたら、東京都詰めの記者諸君の座談会で、おたくのほうの平均給与は、収入の七五%が基本給で、諸手当が四十七とか八とか聞きました。ぼくはこれを聞いて、実は驚いたのです。そうしますと、都バスの給与体系というのは、皆さんが労働協約をお結びになっておりまして、給与体系の整備をはかっておるはずなのに、それがいまもって四十数種――それは一人の人に四十数種やっているか私は承知しておりません。しかし同じ交通局、軌道、無軌道にしろ、バスあるいは路面電車にしろ、その職員に対しまして、四十数種の手当が現存されておるということは、どうも非合理的じゃないかと私は直感いたしたのでありまするが、その給与体系はどうなっているのですか。
  44. 萩原信治

    萩原参考人 給与体系は、いま企業職給与表に準拠しております。そこで例を出したほうがわかりやすいと思いますが、一人の車掌さんが企業職給与表の年齢別給与体系をとってきて、六等級というところに給与が格づけをされます。これが本俸であります。大体十五歳でもってたしか九千円くらいだと思います。これが基本給であります。それにいまいろいろおっしゃった手当制度が入っているわけであります。先ほど一例をあげました一人乗せれば十一銭八厘というのは乗客歩合という制度、それからキロ歩合という制度、これが女子車掌さんの場合の乗客サービスを主眼とした二種類の手当であります。それから昭和二十何年だったか忘れましたけれども、そのときに調停されてついているものが三十円あります。それが出勤手当というような形で付与されている。  いま給与体系とおっしゃいましたけれども、いま申し上げたとおりで、整理してみますと、基本給は企業職給与表に準拠している。それから手当としては、四十何種数のうち、女子車掌さんには、いま言った乗客手当、キロ手当、それから終戦直後に調停された出勤手当というものが手当として付与されている。これを一言で言えば、基本給プラス一車掌さんの手当というのが、体系といえば体系です。
  45. 登坂重次郎

    ○登坂小委員 局長さんにちょっと伺いますが、労働協約ですから、われわれがとやかく申し上げるわけではありませんが、七十五%の人件費と四十数種の諸手当というものは、おそらくいまの近代勤労者の社会において、それは常識的に受け入れられるというのはぼくはちょっとふしぎなんですが、それなら局長さん、都は基本給は安くしてあるのですか。これら交通局の給与体系は、その他のいわゆる東京都の一般公務員の体系と別の体系があるのですか、その点ちょっとお聞きいたします。
  46. 佐藤登

    佐藤参考人 基本給につきましましては、都の人事委員会の勧告によって、国家公務員に準じて企業職の給料表をつくっております。それで、いまの手当でございますが、これは四十五種類あというのですけれども、業種が十四種類もあるわけなんです。だから一人で四十五種類みんなとっているわけじゃないのです。これは先ほども委員長が申しましたように、たとえば水道等においても四十数種知ある。いかにも一人で四十五種類みんなとっているようにとられるから誤解を招くのです。ただしかし、そういう手当は、終戦後、昭和二十三、四年から二十六年くらいまで、いろいろな理由でああいうふうな手当がついたわけです。しかし、その当時、日給月給制度だったと思うのですが、それがその後月給制度に変わりまして、たび重なるベースアップで基本給が上がってきている。こういうふうな段階になったときに、能率的な手当にこれを見直してみる必要があるのじゃないかということで、ああいうものはつけたときはつけたときのいろいろな理由があるんだろうけれども、もう十数年たって、状況も変化をしている、また財政もかくのごとく容易じゃない状態になっている、そこでそのうちである種のものはそれを整理をしたい。それからもう一つは、いずれにしてもあまり数が多いと、給与支給の事務等についても非常に膨大な人手を要する、したがって、残す手当についてこれを統合簡素化してすっきりさせたい、こういうふうに考えております。
  47. 登坂重次郎

    ○登坂小委員 先ほど、実を申せば、私もまだ耳に残っておる点は、局長さんも、委員長さんも、どなたも同じ意見で、公営企業というのは市民にサービスをするのがほかの民営企業とは迷うんだと言われたことはお説のとおりで、私も同意するところであります。しかしこれは一つの例かもしれませんが、車掌さんが一人を乗せれば乗車手当十一銭何がしをもらうというのは、公務員である以上――バス職員というのは乗せるのが仕事で、日通の職員が荷物一つ載せれば一個幾らか、日給で働いておる者に対して、さらにそういう能率給的なものがあるかもしれませんが、これは戦争中のあれで、体系もいろいろ整っていない点もあったかもしれませんが、私は奇異な感に打たれたのであります。それはサービスという意味にも広く解釈すればなるかもしれませんが、これは一例ですが一人乗せれば不当がつく、こういう体系は局長さんどうお思いになりますか、われわれも公務員であった時代もございます。あるけれども、公務員が時間外手当とか、危険手当とか、これは当然だけれどもバスの職員である以上、乗せるのが当然の義務であり、それが特別なことをしたように手当をくれるというのは、どうも私どもは市民といたしまして奇異な感じに受け取れるのですが、そういう点はどうお思いになりますか。
  48. 佐藤登

    佐藤参考人 私はその手当のつけられた当時のいきさつはあまり詳しく存じておらないのですが、そういう点について何でも画一的な手当のっけ方というものについては、これは再検討をしたいというふうに思っております。
  49. 大西正男

    ○大西小委員長代理 登坂さんにちょっと申し上げます。あなた関連質問でございますから、あらかじめ発言を通告されている方がありますので、その方に先にやっていただいて、それを済ませてからお願いしたいと思います。――それでは重盛寿治君。
  50. 重盛壽治

    ○重盛小委員 きょうは御苦労さんです。いろいろお話を承って、またいまほかの委員から私鉄等の関係をお聞きになったようでありますが、私鉄との関係は私の知っている限りでは、いわゆる利潤追求を中心として走っている私鉄と、ほんとうに公共事業だというたてまえをとって走っている都市バス電車とは、おのずと経営方法が違っておる。また当然迷うべきであろうと考える。交通事業というものは、たとえば朝の五時、六時から人が出ない一番先に出て、それから初めて人の輸送にかかる。人がしまう一番最後の時間まで公共性事業ということでおやりになる。そういう場合に、同じ都内へ乗り入れをしておる私鉄でも、そういう経営者が、同じように公共性を持っておるからといって、同じような形で、同じ車間距離で車を運行してくれるかというと、私はそうではないように見受けられる。ということは、ラッシュなどはたくさんの車ががたがた出てきてお客さんを運んでくれるが、たまたま中間の瞬間にバスに乗ろうとすると、なかなかやってこない。ようやくにして都バスが来たり、私バスが来たりするというのがバスの例をとってみても現状ではないか。そういう点を考えていく場合に、たとえばキロでいっても、私鉄の走っているキロが能率が上がっておるはずである。あるいはまた、こちらでそういうような無理な時間に走らせていながら、実際にはだんだんキロ数が低加してきて、現在では十三キロくらいしか走れない。これは先ほど来から皆さん方がいろいろとお話を願っておるように、道路行政の問題、それからその他の外的な問題がたくさんあろうかと思うのであります。そこで、私鉄と、ほんとうに公共事業としてやっておるわれわれとは、現実にどういうところが迷うのだということを、組合の幹部の方と、局長さんの両方から、一言ずつお聞きをしたいと思います。
  51. 大西正男

    ○大西小委員長代理 参考人の方に申し上げます。御発言の場合には委員長に許可を求められまして、その許可を得て御発言を願います。
  52. 佐藤登

    佐藤参考人 一言で申し上げますと、公営交通事業につきましては、住民の要望によっていろいろな路線都議会等を通じて出てくる。これを検討の上に、この路線をやれば一体どういうふうな収入になるであろうというふうな点もあわせてもちろん考えますけれども住民の要望によって取り上げる面が非常に多いということでございます。
  53. 萩原信治

    萩原参考人 この点は、先ほどの公述にも若干触れておきましたが、いま佐藤参考人が言われたような点については同じであります。ただ、先ほども触れましたように、私の長い東京都の運転者生活の中から、ほんとうに終戦直後において、あれだけいち早く都の政策として都民の足を守った。お互い局の理事者も私たち組合員も、合いことばでもって、そうして都バス、都電というものを、民間が全部、御承知のように終戦血後荒ぶれた中で、立ち上がる要素が資金的にも何もないときに、いち早く立ち上がったところに、公営企業としての住民に対する一番の利点がある。したがって、いろいろな法文上、住民の福祉とかなんとか書いてありまするけれども、実際そうしたような体験を通じて、私は公営交通の真の趣旨というもの、意義というものがあるというように、はだでもって感じています。加えて、大正十五年のときもそうでした。東京が全部灰じんに帰した際に、やはりそのときに軌道事業が壊滅した、それに対して市が市営バス事業を起こして、そうしてとりあえずの当時の市民の足の確保をはかったというような施策は、やはり公営企業の本質として、住民に対する大きな利点だというふうに考えております。その他いろいろあると思いますけれども、私は長い体験上はだで感じておる点を率直に申し上げるわけであります。
  54. 重盛壽治

    ○重盛小委員 私の質問が悪かったかもしれませんが、よく、東交、公営交通はえらい給料がよいじゃないか、しかもいまどなたかのお話のように、手業の内容に比較してパーセンテージが多いじゃないかということをいわれるのだが、そういう内容にならざるを得ない公共事業というものの実態、それがたとえば私鉄と比較したときに、どういうふうに違ってきておるのか、なぜそうならざるを得ないのかということをお聞きしたつもりでありますが、時間があまりありませんから、それをまた御説明できればやっていただきます。  いままでお聞きしておると、どうも大体は独立採算制で、労働組合委員長の話を聞くと、公共企業体というものを独立採算でやるのは無理だとおっしゃるのがお二人の意見であり、局長さん方のお話を聞いておると、合理化をやったり、さらには一部――いままでの一番困難なのは、政府施策によって料金を二カ年も押えられておる。都議会で決定したにもかかわらず、政府施策ということで押えられておるために、このような赤字になってどうにもならなくなった、そういうふうに言われた。それは私どもももっともだと思います。その処置は、当然政府が考えなければならぬ二とでありましょうけれども、その前に、昭和三十四年ごろまではそういう赤字ではなかったと東京の局長さんはおっしゃられる。ところが、そうであるのに、いまこの合理化というものを打ち出して、しかも私どもが考えると、いろいろな手当整理とか、いろいろな事務的な問題はたくさんあろうかと思いますが、一挙にして四千円も七千円もの給与の引き下げになるというようなことを考えておやりになる。そのことをやることによって、この事業が維持できるのかできないのか、その点ちょっとお聞きしておきたいと思います。
  55. 佐藤登

    佐藤参考人 お答えいたします。これは冒頭陳述でも申し上げましたように、企業内の体質改善だけで全部片づくというふうに申し上げたわけではございませんので、いまの都営交通事業赤字になったいろいろな要因を申し上げてございますが、そのうちで、企業内でもやるべきものは最大の努力をする、同時に、従来も都にお願いをして、都の協力を得ている面も相当ございますし、また今後残された問題で、財政再建委員会で今後これを進めていく方式も出ているわけなんです。さらには、政府の御理解と御協力、御援助を願う点もある。これらを総合して、いろいろな努力を総合して積み上げてこの都営交通卒業の財政再建にこぎつけたい。そういう際に、よそばかりにたよって、企業内においては従来こうだからということだけで、この非常な事態になっている際に、努力をする余地がないんだというふうに片づけてしまうわけにはいかないという次第でございます。それは過去においても、たとえば交通局は、都に率先をして六十歳定年に踏み切った例もございますし、それから人員の点におきましても、たとえば昔は乗務員と非乗務員と半々くらいなときに、非乗務を極力セーブをして、そしてたしか現在は七対三ぐらいまでにこぎつけているというような努力も払ってきているわけでございまして、今回の案は、従来よりはきびしい要素を含んではおりますけれども、こういう際に企業を崩壊から救って、そうして都民サービスを確保して、今後長く存続発展していくというところにこぎつけるためには、やはり他の援助を確保するための努力をする点はもちろんでございますが、同時に企業内においても最大の努力を払っていくということをしなければならないのじゃないか、こう考えております。
  56. 重盛壽治

    ○重盛小委員 たいへんけっこうなことでございますが、そうしますと、自治省の出したものを拝見すると、物価の上昇あるいは国鉄の関係その他の関係等を見ますと、局のやつよりはまだむしろ上回っておる、上回っておるということはこれが正直だろうと思うのですが、たとえば的確な数字は言いませんが、公共事業、特にバス電車というようなもの、電車は二年ぐらい前に幾らか上がったわけですね。ところがバス等をあれすると、昭和九、十年に比較して百五十倍ぐらいである。たとえば一般物価は四百倍をこしておる、あるいは新聞、ラジオ等に至っては四百五十倍になっておる、そういう比較等からくる場合に、きわめて劣悪な条件に置かれておるわけです。その劣悪な条件に置かれておるものを、政府施策だということでがまんしていただいているということはいいかと存じますが、どの資料を拝見いたしましても、そういう実情だから国家にひとつ補てんをしてもらわなければならぬのだというように書いてありますが、その補てんの方法と処置はどこを通じてどのようになり、どの程度まで進展をしておるのか。これは三局長さんからそれぞれ言っていただいてもけっこうでございますし、どなたか代表して言っていただいてもけっこうでございます。それが一点。  もう一点は、公営企業というものは、料金によって、受益者負担によって将来やり得るというお見通しがあるのかないのか。逆に言うならば、適正料金にした場合には――料金値上げということじゃないわけですね、物価との比較による料金の是正でございますね、是正をしなければ特定のものだけが押えられる、これはその他のものは今日の物価に比較して上がっておるけれども、公共企業なるがゆえにこっちは押えられる、それをかりに――私ども料金を引き上げるというようなことに賛成をするものではございませんけれども、かりにほかの物価と同じに、たとえば四百倍になったと仮定をする。東京で、私どもの知っておる限り、昭和九年には電車が七銭のはずであります。それからたばこもバットが七銭でありました。同じようなものが、片方は十五円程度になり、片方は倍以上になって三十円にもなっているということの上からいくならば、そういう物価指数に応じた適正料金がもしできるとするならば、その料金のいわゆる利益者負担によって、公共企業としてやっていかれるのか、いけないのか。あるいは今日のようにどんどんと情勢が変わってきて、道路施策もできない。十六キロを走ったものが二年のうちに十三キロに落ちてきたというような状態等から考えるならば、そういう他の関連性からくるものと、さらに別の財源なり、いわゆる大阪でいうならば大阪市の財源なりあるいは国の財源なりを導入してもらわなければできないのだということであるのかどうか。これは三局長さん全部でもけっこうでございます。簡潔でけっこうでございますからお聞きしておきたいと思います。
  57. 今岡鶴吉

    今岡参考人 財政補てんの問題でございますが、これは御承知のように昨年の暮れに料金改正はできないというふうな見通しになりまして、一月二十日であったかと思うのでございますが、そこで一年間ストップということにきまりました。それで、これはたいへんということになりましていろいろお願いをいたしましたが、特に六大都市出身の国会議員の皆さんに苦衷を訴えましたところ、池田総理には一月三十一日に院内で会見をお願いいたしまして、物価の抑制ということで、バス料金はストップである、しかしこれに見合う処置はしようということであったようでありまして、われわれ何らかの処置をしていただける、こんなふうに考えております。しかし、その後予算編成の時期でもございますので、絶えず関係局長も連絡をとる。市の交通水道の常任委員の方たちも連絡をとられる。市長、議長会でも連絡をとっていただきまして進展ぐあいを見ておりますが、これはなかなかやっかいな状態のようであります。肝心の都市交通の監督指導に当たられる運輸省でも、まだ人件費が高いからこの処置がどうこうというような御意見があったようでございますが、これは先ほど私が申し上げたように、きわめて遺憾だと思うのであります。料金改定は当然なさるべきものというふうにわれわれ考えておりますので、合理化はもちろんいとうつもりはありません。極力合理化は進めますけれども、運輸省でそういう発言があることは、われわれとしてはきわめて不満であります。   〔大西小委員長代理退席、小委員長着席〕  それから、経済企画庁も、まだ一般経済がどうだとかあるいは合理化がどうだというような御意見のようでありますけれども、これもいまの時点に至って、そういう議論が出ているということは、われわれとしてはどうも理解に苦しむところであります。これでは交通経済は持ちませんし、それをかかえておりまして、別経済とはいいますけれども、地方財政も持たないということで、自治省のほうにも絶えずお願いをいたしておりますが、自治省のほうから直接伺うことはまだできませんけれども、各都市で四十八億程度財政補てんを三十九年度は考えなければなるまいということで、ぼつぼつ事務にのせていただいておるようには伺うのでございますけれども、直接まだどこまで遊んでおるかは存じません。この財政補てんはそんなふうで、われわれとしてはお願いをするだけでございまして、まだどこまで進んでおるかということはよくわかりませんので苦慮しておるところでございます。  それから、もう一つ公営企業として成り立つか、成り立たないかというお話でございますが、外国の例はわれわれより皆さんのほうがよく御存じだと思いますが、パリにいたしましても、ニューヨークにいたしましても、かなり――一般経済とは申しません。パリ並びに周辺で組合といいますか、公共企業体になりまして財政補てんを受けております。したがって設備投資がある程度潤沢に進んで、たとえばパリのような小さいところに百五、六十キロ、二百キロ近い地下鉄を敷設したというような事態になりますと、あるいは料金だけで解決がつかないという時期が来るかと思うのでありますけれども、現在のように交通機関が設備投資が非常に不十分で、朝夕はラッシュ満員というような状態で御利用いただいております段階では、料金で片づくのではなかろうかと私は思うのであります。  一方では合理化が必要でございますけれども、適正料金に直していただいて利用者に負担お願いできないような料金ではないと私は思うのであります。適正料金に改正していただきますことによって、公営交通企業は健全経営ができる。もちろんそれには見合うだけの企業努力はしなければならぬと思いますけれども、そう思います。  ただ地下鉄建設につきましては、東京大阪とは多少事情が追いますけれども大阪地下鉄は、実は三十年前に開業いたしました一号線が非常に収益がよろしゅうございます。そういった意味で今後六十キロくらい五カ年でやろうと思っておりますが、この段階においては、まだ財政負担をよそにお願いしなければならぬということではなくて、料金で、適正にきめていただくことによっていけるのではないかと思うのです。東京ではそういった点、多少私伺っておりますところでは違うかも存じません。ただ大阪だけのことを申し上げておるのでございます。  しかしいまの料金で、全線二十円で六十キロはどこまでもいけるというふうに申し上げておるのではなくて、散髪代やとうふ代と比較して、まだ負担できるというふうに適正な料金をきめていただきますならば、地下鉄も五カ年建設いたしまして六十キロ開業するときには、利用者負担お願いできるのではないか、こんなふうに考えておりますので、大ざっぱに申し上げまして、適正料金を時期を失しないで決定していただけますならば、利用者負担お願いしたい、こんなふうに交通局長としては考えております。
  58. 重盛壽治

    ○重盛小委員 柴山財政局長がおられるから伺っておきたいのだが、いまのような状態で、六大都市交通予算は組めないというところまで追い込まれてきておる。しかもいわゆる政府基本方針ということのために、バス料金値上げをストップだ、二年間、業者というとおかしいが、局長さんたちの言われることは十二年間そのままになっておるというお話だが、そういう問題に対して、早川大臣がおるときには、私の知っておる限りでは、まことにもっともだから、今後政府が何とか補てんをするように努力しておりますということを何回か聞いておるのだが、大臣がかわられてこういう問題を取り上げられたかどうか、大臣に話をしておるのかどうか、あるいは経済企画庁とか大蔵省等に、この問題をどのような形で扱っておるのか、差しつかえがなかったら財政局長からちょっと意見を聞いておきたい。
  59. 柴田護

    ○柴田政府委員 私どもこの問題に対しまして考えておりますことは、公営企業金融公庫法の一部改正の御審議をいただきました節に、基本的な考え方は明らかにしたつもりであります。  新大臣には詳しい事情は申し上げておりませんが、本日ありました内閣委員会の席上の御答弁では、公営企業全体の問題としての基本的な再建の問題はともかくとして、当面の問題については、国が全然知らぬ顔というわけにはいかない、何らかの形において国も配慮するつもりだという答弁をしておられます。したがいまして、基本的には、私どもの従来からとっておりました態度とそう大きな変更はないのであります。また大臣の就任に際しましては、中川大臣のとられた基本施策というものについては、それを原則として踏襲するということを話しておられます。  なお、各省間の折衝の問題につきましては、これはこの前もこの席上で申し上げたと思いますけれども、宮澤企上画庁長官のお話によりますと、これは参議院の地方行政委員会の席上における御発言でありますが、この問題の取りまとめを一応内閣から経済企画庁長官があずかった形になっておる、そこで経済企画庁としては、経済企画庁長官の手元において、この問題を取りまとめなければならぬと考えておるし、最終的には国が全然無責任で済ましてしまうということは適当でないと考えている、言いかえれば、何らかの形においての国の援助、配慮ということが必要であろう、しかし何ぶんにもまだ話し合いの途中であって、若干の距離があるので、引き続き会談をやって、そして結論を得たい、そのときに、その時期について、いつごろと考えたらいいかという質問がございましたが、これに対しましても、長官のお答えでは――三月中かという御質問だったのですが、そうはっきりと言い切るわけにはいかぬ、しかしできるだけ急ぎましょう、こういうような御趣旨の御答弁がございました。事務的には、実は私どものほうの事務次官と私とが経済企画庁長官に会っているわけでございます。そしてこの問題の処理の仕方について、一回は比較的長時間にわたりまして意見を申し述べ、実情を申し述べておるわけでございますが、この続きをまたやらなければならないが、お互いに国会のまっ最中でございまして、なかなか適当な時間がとれませんので、遺憾ながらおくれているわけでございますけれども、しかし経済企画庁長官とされましては、これを何らかの形において前向きの形で片づけたい、どうもこういうようなお気持ちじゃないかと拝察するわけでございます。問題が問題でございますので、この問題は初めから事務的な段階を飛び越して、事務と政治が直結する段階と申しますか、事務次官の段階で何回か会談が繰り返えされております。その結果、現在のところでは、事務次官会議というのが、一応中絶と申しますか、休憩のような形になっておりまして、私どもと経済企画庁長官との意見交換と申しますか、折衝と申しますか、それはそういう段階になっておるのでご言います。
  60. 重盛壽治

    ○重盛小委員 皆さんもまだお聞きになる分がたくさんあろうかと思いますから、私の質問はこれでやめますが、公共企業体自体の抜本的な問題につきましては、別にもう少し検討を要する問題題があろうと存じます。しかしこれはあとに譲ります。  さらにまたいまやっておりまする合理化をどう処理するかという問題に関しましては、労使間でできるだけ円満に話し合いを進めて、その中においての処理をひとつ要望しておきます。  ただこの際、委員長に一言お願いをしておきたいことは、いろいろな話等を勘案するならば、当然政府はいまバス料金の適正な是正ができ得ないという大きな政治的路線一つあるわけでありますが、さればといって、六大都市交通事業、特にバス事業を中心とした交通事業がこのまま連行できるかというと、でき得ないということが明確になってきておるわけでございますので、これらをどう処理するか、政府にいろいろな角度でお願いをしており、私どもも、先ほど大阪の局長さんが言われましたように、六大都市出身議員ということで、超党派の形で各個にお目にかかり、お願いをしたときには、政府基本方針である公共料金を引き上げないということに御協力を願いますならば、そのケース、ケースによって予算の措置のできるように考慮いたしますという回答は、実はとってあるわけでございまして、これらの線に沿って、一日も早くこれらの問題の処理をしてくださるように御配慮をお願いをいたしまして、私の質問を終わります。
  61. 藤田義光

    藤田委員長 重盛委員の御発言ごもっともだと思いますので、委員長におきましても、全力をあげて柳処することをお約束申し上げます。  続いて華山親義君。
  62. 華山親義

    ○華山小委員 根本的なお話はただいまございましたので、お話の中で気のつきました点を二、三伺っておきたいと思います。  先ほど大阪の局長さんは、市内五キロ以内のバス料金は十何年来上がっていない、ところが一歩外に出ますと二度も上がっている、これは不可解だということをおっしゃいましたが、これはどういう理由でそういうことになったのですか。何かやはり料金のストップとか、そういう運輸省のほうの方針でそうなったのでしょうか。
  63. 今岡鶴吉

    今岡参考人 御参考までにお手元にお配りいたしましたバス料金改定という資料に折り込みの表がついてございますが、まん中の二円六十銭のところに二十七年からずっと横に線を引いてございますのが、これがキロ当たりの六大都市バス料金の実情でございます。これは三十六年に料金改定を申請いたしております。その上のほうに二十七年に三円という線で伸びておりますが、阪神だけが取り残されまして、これもいろいろ社内の事情があって、申請をされておりません。それからそれ以外の四社は、三十四年の一月に申請をされたものが認可されております。それから三十八年の二月、四月というふうに前後いたしまして、四社は認可になっております。われわれのところのように料金改定を旧請いたしましたものは取り残されて、この四社が、こういったふうにもう境を接しておりまして、大阪市へ一部乗り入れておりますが、それは大阪市の料金でやっていて、大阪市から一部出ておりますのは、この改定された四円の賃率ではじかれている、大阪の境のほうで御利用になっている方は、一歩市内に入ると二円六十銭、しかしこれでペイしているわけではありませんで、申請をお願いしておりましたが、おくれている、そういった、実情でございまして、どうしてかということは、われわれとしては非常に残念ながら、努力が足りなかったと申しますか、あるいはいろいろな事情があったというよりいたしかたがございません。
  64. 華山親義

    ○華山小委員 そうすると、大阪市営の公営企業としてのバスは、その五キロ以内が主であるということに相なるわけでありまして、郊外のほうにはあまり延びていない、あるいは延ばすことができない、こういうことになっているわけでございますね。
  65. 今岡鶴吉

    今岡参考人 大体五キロ半径が大阪市の行政区画でございまして、従来から市内は大阪市がほとんど一体でやっておりまして、その外は、大体終戦直後は私鉄、それからバスが順次発達いたしまして、私鉄のターミナルまで一部乗り入れをいたしました。したがって、この辺は両者交錯いたしております。それから一部それを機会に市営も乗り出しをいたしましたので、一部は交錯いたしておりますが、大体行政区画内が市営でございまして、行政区画の外に出ることは、両者の協議が成り立ちませんと、なかなかやっかいなことがございますので、積極的に乗り出そうともいたしておらないのですが、乗り出しはなかなか困難でございます。
  66. 華山親義

    ○華山小委員 東京のほうにもそういうふうな郊外と、先ほど循環線内ということをおっしゃいましたが、大阪と似たような御事情がありますかどうか。
  67. 佐藤登

    佐藤参考人 東京の場合は現在百十八系統ございますが、そのうちで三十六系統は民営と相互乗り入れになっております。例を申し上げますと、たとえば新小岩と浅草寿町というふうなものもありますし、また池上の駅と東京駅間というのもあります。こういうふうに、その三十六系統については相互乗り入れというふうなことがとられております。しかしあとの大部分の八十系統ほどは環状線の中、荒川放水路の中の一番混雑するところを持っておる。それから相互乗り入れ線以外に、それに並行した民営路線が外のほうから副都心の渋谷とか新宿とかそういうところにきている。近ごろは人口が中心部から郊外のほうに非常に移動してきておりますが、この相互乗り入れ線だけならばまだお互いにいいのですけれども、並行した郊外から副都心にくる民営路線というものは七十本ほどございまして、相互乗り入れ線に加えるに、そういう並行した副都心に入る民営路線が非常にふえてきている。そっちのほうに人口が移動しているというような関係上、都営のものは一番混雑するところを持っている、こういう不利な状態にあるわけです。
  68. 華山親義

    ○華山小委員 私も東京の非常に困る事情はわかるような気がいたします。人口がどんどん郊外にいっておりまして、それから都心に向かって来るような人々も大部分民営でやられている。都のほうは、だんだん人口が少なくなっていくところの循環線の中だけを主としてやっているというふうなことは、私は非常にお困りなことだと思うのでございます。  ひとつその点につきまして、各局長さんにお伺いいたしたいのでございますが、この経営の分析と申しますか、これを経営に非常にたんのうな人に分析していただいたようなことでもおありでございましょうか。お答えにならなくともよろしゅうございますが、見せていただきたいのでございますけれども、不利になっている条件といたしましては、時間的な走行キロが減ってきた、あるいは人件費が増してきた、あるいは他の経費増大してきた、そういうふうなことがありますが、それらが一体現在までの十何年間に指数としてどういうふうな上昇を来たしているか。また有利な条件としては、お客さまの多くなったということもあると思いますが、そういうふうなことで、これがどういうふうな状態になっているか、それに対する計数でもありまして、そこからこういうふうなことだというものがあるかと存じますけれども、おできになっておればけっこうですが、おできになっておらなければ、ひとつ計算をして見せていただきたいと存じます。
  69. 藤田義光

    藤田委員長 いまのは東京佐藤参考人にお聞きですか。
  70. 華山親義

    ○華山小委員 ええ、代表的な意味佐藤さんでもよろしゅうございます。
  71. 佐藤登

    佐藤参考人 資料は追って整えて差し上げるようにしたいと思います。
  72. 華山親義

    ○華山小委員 それから、私のことを言って恐縮でございますが、私も公営企業の管理者であったことがございます。それで公営企業の弱点というものは一体何にあるかと申しますと、公営ということでございまして、収入の面がぴしっと押えられている、企業というものに合わせて出すわけにはいかない、こういう点があるわけでございます。  それからもう一面から申しますと、自己資金を待たない、何もかも借金でやらなければいけないので、その元利償還というものがある。その元利償還というものも、ほかの銀行でございますならば、いろいろなことに見合っていろいろとかげんをしてくれるけれども、これは決して余裕がなく、きちんきちんと元利償還を毎年出していかなければならないというふうな面で押えられておる。非常に硬直した面があるわけでございますけれども、これを緩和する面がない。  それから硬直した面といたしますと、人件費の問題があります。公営企業法では、原則として一般公務員にならっておるわけであります。しかし公務員とは違って――一般公務員の中でも、公営企業に属しない人であっても、たとえば現業に属する人には、公務員の一般の賃金のほかにいろいろな手当を出しております。そういうふうな面がございますが、基本給というものは人事院勧告によって上がっていくということでございます。そういう面でも硬直しておる。そういうふうに硬直しておる面ばかりが公営企業の中にありまして、これを緩和するところのものが一つもないのでございます。とにかく長い企業でありますから天災もあります。それから今度の場合のように料金を上げないというふうな、ことばは悪いかもしれませんが人災だってある。この天才、人災に際しまして何ら金融機関が存在しない。普通の企業でありますれば、それはひどい、それだったら元本の償還をまけてやるとか、いろいろなことがやられるのでございますが、公営企業にはそういう機能がないわけであります。  それで局長さん方にもお願いするのでございますが、合理化の面をお考えになります場合にそういう画をお考えくださいまして、恒久的なことでございますけれども、いろいろと合理化の点も御研究を順いたいということを、やっていらっしゃると思いますが、申し上げておきたいと思います。
  73. 藤田義光

    藤田委員長 御要望ですか。
  74. 華山親義

    ○華山小委員 さようであります。
  75. 藤田義光

    藤田委員長 答弁はよろしゅうございますね。
  76. 華山親義

    ○華山小委員 質問の形にしますれば、そういう点はどういうふうにお考えになりますかということになると思います。そういうことでは何か御感想でもありましたら……。
  77. 藤田義光

    藤田委員長 藤原参考人どうですか。
  78. 藤原潔

    藤原参考人 先ほども先生方のほうから、公営企業には税金の負担もないじゃないか、それにどうして経営が困難であるか、こういうような御質問もあったわけでございますが、いま先生のおっしゃるように、確かに公営企業はいろいろな形においてくくられておる面のあることを平素感じております。公営企業はもうけるものじゃない。経営のために必要な限りにおいて料金をちょうだいし、もしそれが余ればまたそれを市民に還元するということであって、ちっとも余分なものをいただかないたてまえになっております。それだけに一面において利点があるように思われながら、しかも実費的にはほとんど余裕のないぎりぎりの世帯をやっております。しかも公営でありますためにできるだけ広く市民にサービスをしたいという公共の使命を負わなければなりませんし、公営企業が必ずしも安易な有利な条件にのみ立たされておるとは考えておりません。一方において、そういう苦しい中でやるのであります。ただし、できるだけ市民に軽い料金事業ができますように、市民の期待に沿えますように、われわれは経営合理化その他について平素いろいろと努力しなければならないという覚悟は持っておるのでございます。
  79. 藤田義光

    藤田委員長 続いて公営企業法の改正論を展開されました木下参考人において、いまの問題について御意見があったらお伺いいたしたいと思います。
  80. 木下正治

    木下参考人 いまの点で、一応最初のときにも私少し触れたのでありますけれども、先生の御指摘なさいましたように、公営企業のほうはほとんど硬直しておる、そういう点で幅がないわけであります。同じ交通機関でありましても、私鉄の場合なんかにおきましては、交通機関を設置した場合にはやはりその付近の土地が値上りする、そういう場合には土地を買っておく、こういう経営方針をやられておるように聞いておる。公営企業においては、そういうことができない。しかしながら、公営企業がそれだけの交通機関を設置した場合には、その地域の土地も値上がりし、またそうした場合には都市の発展になっていく、そういうことから住民の税金が地方自治体に入ってくるわけであります。そういう受益負担という立場から、自治体が公営企業にもそういうものを出していくということが一つの道ではないか。やはり地方自治体もそういう立場公営企業体に補助すべきだ、私たちとしてはそういうことを常に考えておるわけであります。
  81. 藤田義光

    藤田委員長 それでは安井吉典君。
  82. 安井吉典

    ○安井委員 この地方公営企業のうち、都市交通の問題は、とにかく赤字の王様で、事業体の七割以上が赤字で苦労をされておる実態に対して、この小委員会で徹底的な検討を加えるということで論議が進んでおり、その恒久対策はこれからまたゆっくりやるにしても、当面の対策についての取り組みも、ただいままでの同僚の委員の諸君の御論議の中でもう出てしまっておりますので、私よけいなことを言う必要はないのですが、ただこれからいろいろ相談を進めていく上で、きょう出てまいりましたいろいろな御意見の中から意思を統一するというと大げさですけれども、そういうふうなことも必要ではないかと思いますので、一、二点のお伺いという形で私の考え方も加えて申し上げてみたいと思うのであります。   民間の、特にバス事業でありますが、それと公営バスとのバランスシートをストレートにすぐ突き合わすというふうなことを私どもやりがちなんでありますけれども民間バス公営バス、その特殊性というものもただいままでの論議の中に出てまいりました。と同時に、これは大阪でたいへんおもしろい資料をおつくりいただいておると思うのですが、公営バスは十二年間二円六十銭というふうな据え置きの料金でいるということ、他の民間バスはみんなそれよりも上回った料金構成であるということ、ここに大きな根本的な差があるような気がいたします。やはりこれもひとつ頭に瞬いて考えていかないと、どうも民間はうまくいっているが、公営ばかりが損しているというふうにすぐいきがちですが、そういう点は先ほど華山小委員の御質問の中に明らかにされたわけであります。  それから先ほども御引用になりましたけれども、週刊雑誌なんかの、東京では都市交通に働いている労働者が、社長さん、交通局長さんよりも給料が上の者がいるんじゃないかというふうなおもしろ半分の指摘も、これは社長さんと交通局長さんは違うので、社長さんというのはおそらく株主で、労働者のほうは民間に働いていても公営に働いていても、同じ労働に対してはやはり同一の報酬が当然あるという考え方でいかなければならぬじゃないかと思うのですが、ただ社長さんと同じような管理の役をなされておるかもしらぬが、局長さんもおそらく例の給与表で当てはめられていくのだろうし、社長さんのほうは給与表じゃなしに、それこそ自分が株主ですから自分の給料をおきめになるだろう、局長さんもそういう意味ではできれば民間会社の社長さん並みの月給がほしいでありましょうけれども、そういう仕組みの基本的な違いを週刊雑誌などはおもしろ半分に言いますけれども、そういう点に大きな違いがあろうと思いますし、それからこういう点はひとつお伺いするのですが、これもまた週刊雑誌などの取り上げ方の中では、公営には事業税や法人税もかからないし、固定資産税も要らないじゃないか、だからもっと楽であってもいいじゃないかという論議があることについても、先ほど来のお話し合いの中でほとんど言い尽くされたわけです。しかしもう一つ大事な問題があるわけです。つまり民間の会社の場合には株主がいて、株という形で投資があるわけです。その投資に対しては、会社の経営がまずければ配当をしなくてもいいというふうな仕組みで、最近どのバス会社もあまり経営がよくないようですから配当がよくない、だから極端な場合にはただの金を使えるという仕組みが民間経営の中にあるわけです。ところが公営企業の場合には、ほとんどすべてが借り入れ金で最初からまかなわなければならない、地下鉄の設備にしてもバスの仕事にしても、最初から全部借り入れですから、借り入れ金では全部利子を払っていかなければならない、こういう基本的な性格の違いがあるのではないかと思います。  そこで、これはどなたでもいいのですけれども東京の局長さんに一つ伺いたいのですけれども地方公営企業法の第二十三条に、「地方公共団体は、企業債のうち、地方公営企業建設に要する資金に充てるものについては、償還期限を定めないことができる。」こういうふうな規定は一応あるわけです。永久公債といいますか、そういう仕組みがあるのですが、実際は夢のような姿だけでとどまっていると思うのですが、こういう問題につきまして御検討になっておられましょうか。それについてひとつ御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  83. 佐藤登

    佐藤参考人 このものずばりについて検討しているかと言われますと、まだそこまでは行ってはおりません。ただ先ほど申し上げましたように、非常にその公共性を要請されてやらなければならぬというふうな、ことに都市交通近代化のために地下鉄建設をやらなければならぬ、そういう場合に、利子負担あるいは元利の償還に非常に追われるという場合に、私どものとっております措置は、最初に申し上げましたように、ものによっては都の一般会計から援助をしてもらっているものが相当あるわけでございます。それから今後については、ほかの問題に発展するのはやめますが、その利息について都の一般会計から一部の援助を受けているというふうな措置をとっているわけです。したがって、また今後さらに困るような事態には、都のほうに無利子で一定期間貸してもらうようなことも考えなければならぬというふうな点は、都の交通事業財政再建委員会で範囲をきめて検討しております。ただ法律の規定によってこれを政府施策としてすぐどうこうというふうなことは今後検討したいと思います。
  84. 安井吉典

    ○安井委員 これは私どものほうもひとつ政府のほうに、きょうは別にお尋ねいたしませんけれども、次の段階でぜひ御検討を願いたいものだというふうに考えているわけです。せっかく法律の上にきちんと条文があるわけですから、そういうふうに考えているわけでありますが、これはあとの問題に残します。  もう一つ地方公営企業の特にバス事業について、また新しい大きな問題が出てきているのは、ガソリン税と軽油引取税の引き上げの問題があるわけです。私は民間バス打業はどれくらいもうかるのかと思って、この間地方税法の改正の審議のときに質問してみましたら、九八%くらいは経費で二%だけがもうけだ、そういうふうな政府の統計でのお答えがありました。ところが、このガソリン税と軽油引取税の引き上げによってガソリンや軽油の代金が上がるものですから、その影響はどれくらいかと聞いたら、全体経費の中の〇・九二%ですから、約一%だというわけです。ですから、二%もうけのあるところの一%はこの値上げだけでいってしまうというふうなことで、これはおそらく公営企業の場合も相当大きな影響が出てくるのではないかと思うのですが、そのお答えはいいとして――お答えというよりも、民間のほうは二%でもまだ黒字があるから、その黒字が減るということが言えるわけです。公営の場合は全く赤字なんですから、赤字がそれだけ累積する、そういう形になるのじゃないかと考えます。そういうことも関係があるだろうと思いますし、また国の料金ストップの問題等が直接の原因かもしれませんが、民間バスのほうでも今度訴訟を起こすというふうな新聞記事を見るわけでありますが、これについて公営企業のほうは相談をされたり、あるいはその中で一緒におったり、そういうような動きはございませんか。
  85. 佐藤登

    佐藤参考人 私どものほうでもその点を考えて相談をしたことはあります。ただそういう段階におきまして、各都市出身の国会議員の方々が集まられまして、とにかく押えるならばそれに見合う財政補てんの措置についてみんな協力してやろうじゃないか、一月以降こういう動きになってまいりましたので、訴訟については下打ち合わせはしたことはございますが、せっかく各都市出身の代議士さんたちが大同団結されて、その道を開いてやろうという御好意でございますので、その点全力をあげて道を開けるならばということで、訴訟の点は全然やらぬということにきめたわけではございませんが、いまの段階では差し控えているというのが実情でございます。
  86. 安井吉典

    ○安井委員 ありがとうございました。
  87. 藤田義光

    藤田委員長 栗山礼行君。
  88. 栗山礼行

    ○栗山委員 たいへん長い町間御苦労願っておるので、私は他の委員が御質問されました点と重複を避けまして、三点にわたって、管理職であります方と、それから都市交通労働組合の最高幹部の両氏が見えておりますので、組合の方に御意見を伺ってみたいと思います。特に私は大阪でございますので、全体の地方公営企業として関連をいたすのでありますけれども今岡さんと木下さんに代表していただいてお答えをいただきたい、こういう要望を申し上げるのであります。  きょうの論点は公共企業の問題を主として論議され、その中の中心はバスの問題だと承知をいたしておるわけです。たまたま今岡氏が大阪地下鉄の問題について御発言をなさいましたので、これに関連して私申し上げるのでありますが、東京におきましても、大都市交通緩和の問題としては、当面地下鉄が緊急の重要な課題であり解決策である、こういう観点に立ってものをながめておるわけなんであります。大阪地下鉄の問題で、私の理解するところによりますと、非常に原資が高くつくということは言うまでもありません。しかしそれを乗り越えて進めなければならぬ、こういうふうな緊急事に迫られて、大阪におきましてもあるいは東京におきましても地下鉄という問題と取り組んでおる、こういう現状であろうと思います。今岡さんのお話では、大阪地下鉄計画による五カ年間の方向づけを考えるならば、きわめてコマーシャルの内応を持つのではないか、こういうふうな御形川かと私先ほど伺ったのでありますが、まことにけっこうであります。コマーシャルの問題については原資の問題、それから利息の問題、それから償却年度、こういうふうな問題に一つの柱が置かれると思うのです。大阪地下鉄の起債関係をながめてみますと、いわゆる民間の金融機関、俗にシンジケートと申しますが、こういう機関からお借りになっておる。しかも私の理解するところではその利息は約七分二厘というふうに理解をいたしておるのです。私は自治省においても今日の地下鉄の起債について、起債額だけ認めるというような姿勢、方向を持ってまいっておる、これには非常に大きな問題点がある、こういう理解をいたしまして、早川大臣にも私意見を申し上げ、質問を展開いたしましたのですが、理想的なあり方を別にいたしまして、当面の取り組むべき態度というものは原資をどこに求めるか、その利息はどういう経緯と内容を待つかということも大きな問題でございますので、私はそういう点から政府に強く望んでおります点は、政策融資の問題なんであります。いまだに御案内のとおり、農林漁業金融公庫とかあるいは住宅金融公庫というような特定部門のみが政策融資の対象となっておりまして、この大きな交通企業に対しまする政策融資が行なわれておらぬ。御承知のとおり、これは四分五厘程度内容になると思うのでありますが、こういうふうに私は、当面する地下鉄の起債については政策融資を勇敢にやるべきだということを主張いたしておるのであります。自治省もそういうことについてせっかくの検討を加えて、要望に沿うようにということで、早川さんの公式な答弁を得ておるのでありますが、今岡さんは、こういう原資についていまのような民間融資に起債を求めるという一つあり方で、黒字が出たらけっこうでありますけれども、そういう一つの国に対する政策融資の要請をなさっておるかどうか。こういう点について私御意見を承りたいと思います。
  89. 今岡鶴吉

    今岡参考人 あまりバス料金財政補てんのことだけしぼって申し上げておりましたところ、ついうっかり地下鉄の話に及びましたので、あるいはきょうの重点からそれるような感じがするのでございますけれども、この地下鉄の問題は、いま栗山先生のおっしゃるとおりたいへんな問題でございまして、大阪ではたいへん道路が込んでおりますので、お急ぎの方はここからおりて歩いてください、こういう放送をたまに路面電車バスがいたします。大阪駅の前に参りますと、込んでくるとおりて歩いてくれ、こういうわけでございます。現在六大都市のうちで一番速度の低いのは、きょうお手元に差し上げました資料の中に出してございますが、大阪は十二キロを割ります。ことし十二キロでございますから、来年はバスは十二キロを割ります。路面電車は十一キロ。名古屋道路事情が非常によろしいということで十六キロか十七キロぐらい。非常に各都市違いまして、大阪はその点非常にまずい。それで先ほど木下委員長から申し上げましたが、道路をつくってくれということを強く要請しておりますけれども、これを待っておりましては、五年のうちには大阪路面を利用しております道路交通は麻痺いたします。三百万のうちで地下鉄が八十万、あとは路面電車バスでございますが、毎日二百二、三十万の方が時速四キロや五キロでおりて歩いてくださいというようなことではこれはたいへんなことになりますので、本年度から自治省と大蔵省へたいへん無理を申し上げまして起債をいただきまして、地下鉄五カ年計画というのを立てました。それでこれは五年か六年の据え置きで元利償還ということになりますし、それから利子は七分三厘、六分五厘という二種類でございますが、地下鉄建設用の資金としてはかなり利子が商い。これではとうていむずかしいと思うのであります。しかし一方では利子補給ということもお願いをいたしておりまして、わずかですが軌道に乗りました。そういったことで利子補給とか、あるいは起債の条件もむずかしいと言っておったのでは地下鉄建設ができませんので、いまのところそれを申し上げないでワクを広げていただくことだけを申し上げて、そして政府の起債ワクが足りませんところは、財界援助というところまで大阪は無理をいたしまして建設をやっております。五カ年の間に四十キロ完成いたしまして、大体大阪の東西南北四区ぐらいはつなぎたい。あまりはしっこのほうに出るつもりはいたしておりませんが、東西南北四区ぐらいのところを、地下鉄を整備いたしまして、路面電車ははずす。この場合はバスもある程度は交代いたすというところまで、大阪の基本計画は先が暗いと申しますか、やむを得ずそういうことになるのでなかろうかと思うのです。そういたしました結果、六十キロで百七、八十万の乗客を運ぶことになりますので、これでも外国の地下鉄よりははるかに利用価値が多うございます。ニューヨークあたりで一キロ当たり一日に九千六百人、これはちょっと資料が古いのでございますけれども、ボストンが七千八百人、こういうことになりますが、大阪の御堂筋は一キロ当たり六万人、世界一の乗客輸送力です。そういったことで非常に乗客がございますので、六十キロやりましたときは、大体コマーシャルベースに乗せなければならぬというつもりでおりますが大体二百億の収入になりまして、人件費は四十七億、人件費地下鉄は非常に少ないのです。そのかわり減価償却が、五十億、利子が驚くなかれ八十億になります。したがってこれで減価償却を全部やりますとこれは赤字ということになりますが、大体二百億の収入利子を八十億払い、減価償却五十億というところを四十億くらいでがまんしていただければいける。ここにちょっと御理解をいただきたいところがあるのですが、五年先のことであります。五年先六十キロ御利用願ううときには一人当たり三十円という試算でございます。現在の全線二十円という料金にいたしておきますと、十四円にしかなりません。したがってこのときには倍という――大体いまの料金で全線一区ということであれば、六十キロお乗りいただくときには四十円、それからこれを東京のように区間制にいたしますと、まあ少し値上げというようなことが五年先に考えられるわけでございますけれども、五年先にいまの料金の倍だとか、あるいは少し値上げするといって、大騒ぎしておって地下鉄ができないようなことになれば、これは見通しが悪いというようなことにもなりますので、いまのところ起債は特別な起伏でなくてよろしい、ぜひ五カ年計画でできますだけお願いしたい。しかし料金には、いま申し上げますように多少問題がございます。利子が八十億というようなことになってはこれは市民の御利用される方にも申しわけないのでありまして、そういった点は都市交通審議会でも特にお願いをいたしまして、資金を集めていただくことも大切なのですけれども都市交通審議会でも低利な政府引き受け債をふやせ、それから大阪市の一般経済界からも出資金とかあるいは繰り入れ資金地下鉄には出したらどうか。地下鉄建設の補助金というようなことも都市交通審議会で出していただいております。これにつきましては私たちぜひそういうことを実現していただきますようにお願いがしてございますので、将来にわたってぜひ御支援をいただきたいと思います。
  90. 栗山礼行

    ○栗山委員 私の憂えている胆極点を数字的に解明なさいましたので、やはり公共企業経営の抜本的な問題にどう取り組むかということについて、経営体の皆さんも英知を集めてお取り組みいただきたい。また国の政治施策もやはり姿勢を正さなければならぬ、中央の行政に携わっておるわれわれも、心して改めなければならぬという一つ内容になると思うのです。皆さんも皆さんの立場において言いにくいことがあって、その程度だと思うのですが、やはり皆さんの企業あり方として、十分ひとつ元利の問題については、基本的な一つの問題としてお取り組みをいただきたいと思います。  それから、これと関連いたしまして私はたいへん重要な問題だと思うのでありますが、やはり企業の好むと好まざるにかかわらず近代化の方式をとってまいらなければならぬ、こういうことで近代化合理化の問題がここにも示されております。あるいはまたいわゆる生産性の向上というものは、地方の公共企業体の中でも真剣に取り組んでいかなければならぬ、こういうふうに思うのであります。要はやはり企業体の性格から考えまして、基本的には一般民間産業の労使関係と違いまして、地方公共に奉仕する一つ立場に皆さんは置かれておりますけれども、それである上にやはり一つ企業の民主化の問題というものが、非常に重要な問題の中心をなすのではないか、たとえば雇用条件の問題もそうでありましょうし、近代化方式についても、やはり働く人の英知と熱意を求めて、どう近代化するか、こういうことが大きな問題になってまいると思うのですが、大阪市の交通局の場合においては、申し上げますような民主化の方向についてどのように理解され、どう取り組んでいらっしゃるか、これをひとつ今岡さんからお伺いをいたしたいと思う。木下さんにも、皆さんの組合企業の民主化のとらえ方をどうとらえていらっしゃるか、具体的に交通局の中における民主化の取り組み方というものはどう取り組んでいらっしゃるか、あるいはまたそれに対する意見はどう持っていらっしゃるか、こういうことをひとつお伺い申し上げます。
  91. 今岡鶴吉

    今岡参考人 労使で経営委員会というようなものをつくっておるかというような、あるいはつくる意思があるかというようなふうに私伺ったのでありますけれども、いまのところそういったかた苦しい名前をつけるような態勢に持っていっておりませんけれども、私参りましてからは、合理化という、簡単な手当整理の問題にいたしましてもそれから路面電車あるいはバスの行き詰まりを見越しまして地下鉄と取り組むというようなことに関連いたしまして、路面電車関係の方が、地下鉄従業員として配置転換というような問題、これはわれわれ策も何も弄しておりませんので、組合の幹部の皆さんにもざっくばらんに申し上げて、ことしの基本計画はこういうことでございますということで持ちかけております。労務担当者あたりのところでは、多少むずかしい問題もあるかと思いますけれども、私、大阪市の交通局においては、市民の皆さんに公開してもいいんだ、それから組合の方たちにみんなぶちまけても一向かまわないという態度で臨んでおりますので、あらたまった制度をつくらなくても、民主化の方向に向かっているのじゃないか、いまのところ五カ年計画につきましては、大きな問題については労使協調の状態にまでこぎつけておると考えております。
  92. 木下正治

    木下参考人 事業民主化という点で、組合がどういう立場をとっておるかという御質問であったと思います。私たち職場自体が、地域住民に奉仕するという立場にあります。そういう観点から、労働組合の公共性という立場から、事業には非常に熱意と関心を持っておるわけであります。そういう立場で、組合におきましても企業対策委員会におきまして、いろいろ企業面自体を組合自体が検討し、さらに同じ目的のためには当局と話し合いをする場を持っております。したがって、いま局長がおっしゃいましたように、一応新しい計画、そうした問題についてはやはり十二分に組合に事前にひとつ話をしてもらいたい、同時に組合としても必要な意見を具申する、こういう方法をもって、さらにまた電車自動車バス現業委員会というものを持ちまして、その中でいろいろ私たちが公共に奉仕する立場で、いろいろ意見を具申していくというような方法で、事業の民主化、公共事業の達成のために組合としても努力していく、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
  93. 栗山礼行

    ○栗山委員 この問題も非常に重要な柱の一つと私は理解いたしております。制度的には問題ないけれども、実際的なケース・バイ・ケースで、窓をあけっぱなしで、あるべき姿に取り組んでおるのだ、こういうことでありますし、組合もそういう方向で取り組んでいきたい。私は雇用条件の問題だけではなくして、企業をどうするかということについては、単なる命令方式ではいかない。管理者もそれぞれの職員関係においても、すべての人が熱意と英知を持って、住民の福祉と公共企業体としての企業の向上をはかる、こういう立場に立って、やはり民主化の方向というものと真剣に取り組んでもらわなければいかぬのではないか、私はこういう理解から申し上げておいたのでありまして、これは十分成果を期待いたしたい。  ここで申し上げていい問題かどうかと思うのでありますが、私もかねがね一つのふんまんといいますか、あるいは理解のしにくい問題がございました。これは大阪交通局だけでなくて、全六大都市交通局の共通の問題であろうかと思うのであります。私は制度的な問題からはやむを得ないという理解もいたしておるのでありますけれども、何といいますか、一定の規定に基づいて採用されます職員と、それからいわゆる臨時雇い、この臨時雇いの中にも、たとえば整備なんかでも私はそういう事実をながめておるわけでありますが、期間的な特定の臨時雇いというものと、それから半永久的、入社試験から脱落した者が、そういう永久的な臨時雇い制度の中に置かれる。そういうものが交通局の中にあるやに私は承知するのでありますが、こういう問題は公共企業の中で条件の格差の問題、それから身分格差の問題ということについては、非常に検討を加えていかなくちゃならぬ問題だ、こういうように承知をいたしておるわけなんでありますが、こういう点がなければけっこうでございますけれども、私の承知する限りでは、公共企業体でそういう制度的な、季節的臨時採用ということではなくて、半永久的条件をもって臨時雇い制度というものが現在あるやに承知をいたすのでありますけれども、それはどういうとらえ方をしてそういう問題が内在いたしておるか、こういう点を私お伺いを申し上げたい。
  94. 今岡鶴吉

    今岡参考人 私寡聞にしてといいますか、横着にしてですか、いま栗山先生のおっしゃるような半永久的臨時雇いというようなものはちょっとよくわかりませんのですけれども、ということは、書類その他で通して見ております限りにおいては、そういうものはないように思います。いま随行の者に聞きましたが、はっきりいたしませんので、この問題につきましては、いまここで私は何とも申し上げかねますが、十分気をつけていきたいと思っております。
  95. 木下正治

    木下参考人 いまの御質問ですが、この点につきましては、組合としては永久的な臨時雇い、こういう問題はないというように私は考えております。
  96. 栗山礼行

    ○栗山委員 どうも長時間ありがとうございました。
  97. 藤田義光

    藤田委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  本日は、全国公営交通事業に携わられる労使の代表的参考人方々より、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、当小委員会の審議並びに結論の作成に対し、多大の示唆と成果をおさめさせていただきましたことと確信いたします。まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。  次会は公報でお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時九分散会