運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1964-08-11 第46回国会 衆議院 地方行政委員会建設委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年八月十一日(火曜日)    午前十一時二分開議  出席委員   地方行政委員会    委員長代理 理事 田川 誠一君    理事 藤田 義光君 理事 川村 継義君       大石 八治君    大西 正男君       奥野 誠亮君    亀山 孝一君       久保田円次君    武市 恭信君       三池  信君    森下 元晴君       阪上安太郎君    千葉 七郎君       華山 親義君    栗山 礼行君       門司  亮君  建設委員会    委員長 丹羽喬四郎君    理事 正示啓次郎君 理事 岡本 隆一君       天野 光晴君   稻村左近四郎君       大倉 三郎君    木村 武雄君       砂原  格君    堀内 一雄君       堀川 恭平君    山本 勝市君       渡辺 栄一君    井谷 正吉君       金丸 徳重君    久保田鶴松君       西宮  弘君    玉置 一徳君       吉田 賢一君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 神田  博君         自 治 大 臣 吉武 恵市君         国 務 大 臣 高橋  衛君         国 務 大 臣 河野 一郎君  委員外出席者         総理府事務官         (経済企画庁水         資源局長)   鈴木 喜治君         厚 生 技 官         (環境衛生局         長)      舘林 宣夫君         気象庁長官   畠山 久尚君         建 設 技 官         (河川局長)  上田  稔君         建設事務官         (河川局次長) 国宗 正義君         自治事務官         (財政局長)  柴田  護君         参  考  人         (東京都副知         事)      鈴木 俊一君         参  考  人         (東京水道局         長)      小林 重一君         参  考  人         (東京水道局         給水部長)   扇田 彦一君         参  考  人         (東京水道局         建設部長)   藤田 博愛君         専  門  員 越村安太郎君         専  門  員 熊本 政晴君     ————————————— 本日の会議に付した案件  東京都の水道事業異常渇水対策)に関する件      ————◇—————   〔田川地方行政委員長代理委員長席に着く〕
  2. 田川誠一

    田川委員長代理 これより地方行政委員会建設委員会連合審査会を開会いたします。  委員長所用のため、地方行政委員長の指名により、私が委員長の職務を行ないます。  東京都の水道事業、特に異常渇水対策に関する件について、調査を進めます。  本日、参考人として、東京都副知事鈴木俊一君、東京水道局長小林重一君、東京水道局給水部長扇田彦一君、東京水道局建設部長藤田博愛君、以上四名の方々が出席されております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。  参考人各位におかれましては、御多用中のところ、当連合審査会のため御出席をいただき、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。  なお、参考人の御意見は、委員質疑に対する答弁の形でお述べ願うことにいたします。  直ちに東京都の異常渇水対策に関する問題について質疑を行ないます。質疑通告がありますので、順次これを許します。阪上安太郎君。
  3. 阪上安太郎

    阪上委員 東京都の水飢饉は、たいへん急迫してまいりました。多摩川水系の三貯水池は、八月三日でついに八百万トンを割ってしまった、最近では五百万トンを割る状態になっておる、こういうことでございます。そのため東京都民の水に対する不安というものは非常に高まってまいりました。各地でいろいろな水問題が発生いたしているような状態であります。  私ども社会党におきましては、去る八月三日に、事の重大性にかんがみまして、百名からの調査団を編成いたしまして、直ちに東京都の水飢饉調査を行なったわけであります。その結果、大体今日のこのような事態を引き起こした原因というものは、全くこれは自民党政府所得倍増計画、この政策のひずみがそこへあらわれてきたのだ、したがって、まさにこれは政治の貧困である、その責任は、あげて政府東京都の責任であるというふうに断定せざるを得ない、こういう調査結果を実は持ったわけでございます。ところが、この水飢饉に対する政府並びに東京都の態度を考えてみますると、お互いに責任のなすり合いのどろ仕合いをやっておる、こういうような状態が見られたわけであります。そうして直ちに応急対策に突入するというような心がまえ姿勢というものが、なかなかあらわれてこなかった、こういうことで、われわれといたしましては非常に遺憾に思っているわけであります。  そこできょうはまず第一番に、巷間いわれておりますように、はたして雨が降らなければ東京都の水飢饉というものは解消できないのか、ここ数年来続いておりますところのこの水の規制は依然として解消されないままに移行していくのだろうか、それからいま一つは、政府がときどき閣議その他において公言しておりますように、この種の大都市における水企業というものは、自治体にまかしておくべきものではない、これはとてものことに自治体では処理できないのだ、こういうことを言っておりますが、はたしてそういうものであるかどうかといったようなことにつきまして質問をいたしたい、かように考えております。きょうは参考人もお見えいただいておりますので、最初応急対策につきまして若干の質問をし、参考人からお答え願いたい、かように考えます。  最初に緊急の取水措置でございます。最近東京都の水道局方面から発表されております。あるいは政府筋から言明されておりますところの、例の荒川取水四十万トン、これははたして現況のままで八月二十五日に取水できるかどうか、あるいは取水施設ができたといたしましても、導水路が完成いたしましたといたしましても、はたして荒川流量がこれを満たすことができるであろうかどうか、こういったことについて最初に伺っておきたい、かように思います。
  4. 鈴木俊一

    鈴木参考人 東京都の水の問題につきまして、当連合委員会におきましていろいろ御審議をいただきますことは、私どもといたしましてまことに感謝にたえない次第でございます。本日は知事が本来伺うべきところでございますが、ちょうど他にやむを得ない、災害応急訓練の行事がございまして、私がかわってまいった次第でございます。  ただいまの阪上委員お尋ねにつきましてお答え申し上げますが、荒川緊急取水施設工事がはたして八月二十五日までに、予定をされておりますその期間までにうまくいくであろうかどうか、またかりに工事がうまくまいりましても、流量関係から、はたして所要の水量が確保できるかどうかという点のお尋ねでございます。  第一点のお尋ねにつきましては、水資源公団東京都がそれぞれ分担をいたしまして、この工事を進めておるわけでございまして、水資源公団のほうにおきましては、かねて昨年来、来年の四月一日から通水という計画になっておりましたものを、逐次これを繰り上げまして、十月一日に間に合うように通水するということであったのでございますが、それをさらに各方面の事実上の話し合いで、九月十日ごろまでには通水できるという見込みでございましたのが、さらに先般、河野国務大臣のところでのいろいろの打ち合わせの結果、関係各省でもそれぞれ御検討されまして、水資源公団ももちろん検討されまして、八月の二十五日までこの取水の時期を繰り上げても工事支障がない、こういうことになったのでございます。その後もいろいろ検討いたしておりますが、部分も水資源公団の分も、ともに八月二十五日には間違いなく取水ができる、こういう工事進捗状況でございます。  流量につきましては、現在直接この流量管理しておりますのが建設省でございまして、私ども建設省から資料をちょうだいしておりますが、いろいろの時期の流量に変動がございまするので、それぞれ押える時点によりまして、こういう流量であったというようないろいろの御意見等が、あるいは都議会その他におきましても出ておったのでございますけれども、八月の二十五日以降に相なりますれば、かんがい用の水は概して少なくなってまいりまするし、過去の数次の統計によりましても、四十万トン程度の水を確保することはできるという見通しを私どもは持っておるのでございます。しかしそれでもなお万一の場合を期しまして、建設省のほうにも要望いたしまして、上流二瀬ダム貯水をできるだけ二十五日以降に放流をしていただくように貯留をしておいていただくということをお願いいたしまして、建設省埼玉当局協力も得まして、二瀬ダム放流につきまして、二十五日以降の取水支障がないように調整して放流をするということで、規定によりまする放流量よりも減らして今日は放流をしておるような状況でございます。  なお、その下流には玉淀のダムがございます。また取水せきにも七十万トンないし百万トンの水がたまり得る——取水せきと申しますのは、朝霞浄水場に持ってまいりまするところのせきでございますが、そこにも若干の水がためられるわけでございまして、これらの貯水等を考慮に入れますならば、八月二十五日以降四十万トンの原水を確保することは、私ども十分見込みがあるものと信じておる次第でございます。
  5. 阪上安太郎

    阪上委員 そこで、いまお話によりますると、大体四十万トンの水の取水は八月二十五日には可能である、こういうことであります。しかし、そこには条件がついておりまして、上流二瀬ダム放水が万一を保証するのだ、こういうような説明であったと思うのであります。ところが、上流二瀬ダムの満水時における遊水量といいますか、貯水量はたしか二千九百万トン程度だと思うのでありますが、これは調節ダムでございますので、したがって、八月末までには、理想としては全部放水し切ってしまって、からにしておかなければならぬ。そうして荒川洪水時におけるところの破堤その他を防止するのだ、こういう役目を持っておるのだと思うのであります。そこで八月末までにこれは放水し切ってしまわなければならぬというところのものであります。したがって、逐次放水されてきておる、こういうことだと思うのであります。現在は、私の承知しておるところによりますと、五、六百万トンないし七百万トン程度である。それがやはり放水をされているような状態になっておる。ここに私は問題があると思うのでありまして、まず最初に伺っておきたいと思いますのは、来年の四月に完成する予定であった水資源公団工事、いわゆる取り入れ口工事が、河野さんの一喝によって直ちに今年の八月二十五日に完成することになったということでありますが、この四十万トンの水をとろうという計画は、東京都にとっては、昭和三十七年のあの渇水騒ぎのとき以来特に強い要望になっておると私は思うのであります。にもかかわらず、それが河野さんの一喝がなければ、八月二十五日に繰り上げ完成しないというようなところに、私はやはり東京都の水に対する姿勢、それから政府の水に対する姿勢がくずれておるのではないか、こういうように思うのであります。この点につきまして、なぜ東京都は八月二十五日——もっともっと早くてもいいはずであったこの工事を完成さして、そうして東京都民に、せめても第三次給水制限程度で被害を食いとめるというような態度にどうして出ることができなかったかという点なのであります。この点をまずお答え願いたいのと、それから二瀬ダム放流につきましては、埼玉県でありますか、知事が出向かれて、よく話し合いをされて確保されたと言っておりますけれども、はたしてこの放水延期というものが可能であるのかどうか。可能なる時期には、いわゆる八月二十五日に水を取り入れる時期には、その水がどの程度残っておるかというような点につきまして、ひとつお答えを願いたい。
  6. 鈴木俊一

    鈴木参考人 八月二十五日までに荒川連絡水路取水せき並びに朝霞に持ってまいりまして、ポンプでこれを束村山まで送るというこの一連の工事は、私どもといたしましては、政府関係なかんずく経済企画庁厚生省あるいは建設省並びに水資源公団、この方面と緊密な連絡をとりまして仕事を進めてまいったわけでございまして、一貫した工事でございますから、一方が早くできましても、一方が同時にできなければこれは川をなさないわけでございます。さようなことで、先ほども申し上げましたように、来年の三月一ぱいの工事を十月まで繰り上げ、それをさらに九月の十日まで繰り上げるということにつきましては、事務的に関係のそれぞれの間におきまして話が進んでおったのでございます。これをさらに先般の河野国務大臣のごあっせんによりまして、八月の二十五日——これは現場をごらんになりました結果八月二十五日まで、東京都のほうも水資源公団のほうもこの時点を押えるなら両方とも工事ができるであろう、こういう見通しをつけられてあのような措置を講ぜられたわけでございます。これにつきましては、両公団東京都が事業主体でございますが、それぞれの従来の連絡もあったわけでございますけれども、最終的な調整がさようなことによって行なわれたわけでございまして、その点につきましては、私ども政府の都に対する御協力につきまして、十分感謝をいたしておるような次第でございます。  それから二瀬ダム放流関係でございますが、これも建設省当局におかれまして、二瀬ダムの問題の管理はなかなか、洪水期を控えまして、万一の場合に、洪水の際の河川管理支障がない、こういうことを一方において考えながら、他面東京都に対する飲料水の確保のためにはできるだけこれを貯留するというこの二つのいわば相反する要求を技術的に巧みに調節をせられまして、去る六日以来この点につきましても放流量を減少しておられるのでございます。したがいまして、私どもは、この措置はもちろん将来の雨の状況等によりましてまた調節が行なわれると思いますけれども、かような措置の裏打ちがございますので、取水は間違いなくいけるものというふうに固く信じておる次第でございます。
  7. 阪上安太郎

    阪上委員 いま副知事さんのお話を聞いておりますと、この荒川取水について非常に政府に御協力を願っておる、こういうようなことであります。私はあまり政府協力していないように思うのであります。  重ねて私が疑問に思います点は、それほどできる工事である、それほど急がなければならぬ工事であることがわかっておったにもかかわらず、それがおくれておるというところに私は問題があると思う。そうしてしかも朝霞浄水場といいますか、それからそれを二分いたしまして、一つ東村山に持っていくのでありますが、それらの導水路東京都はすでに完備しておる。受け入れ態勢——私は東村山を見てきたのでありますけれども、十分にこれは余裕を持って準備しておる。にもかかわらず取り入れ口工事がおくれておる。政府協力したんじゃなくして、これはむしろ非協力態度じゃないかと私は思うのであります。——どなたか企画庁から来ていますか。これはひとつお答え願いたい。
  8. 鈴木喜治

    鈴木説明員 お答えします。公団がやっております荒川からの取水施設導水路朝霞東京都でやっておられるポンプまでつなぐ分でございますが、これらは公団の当初からの計画オリンピックまでには通水するという予定になっておりました。今回河野大臣の御激励もありまして、公団努力いたしまして八月二十五日までには通水可能というかっこうになったわけでございます。
  9. 阪上安太郎

    阪上委員 オリンピックは十月に開かれるのでありますが、オリンピックまでに完成するなどという計画それ自体がおかしいのであります。東京都が三十七年以降、あるいは三十五年、三十六年、異常渇水とまあ東京都では言っておりますけれども、そういった状態をにらみ合わせながら、この取水計画を持っておる。それに対してオリンピックが十月に開かれる。要するに台風時期を過ぎたときに行なわれる。水が豊富に出回ってくるときにこれが完成する、こういうような考え方。そこまでものを考えるならば、在来から七、八月のこの渇水期、これに対処していこうという考え方を持っていなかったところに私はやはり問題があると思う。(「結果論だ」と呼ぶ者あり)結果論じゃないよ。そういう点について、そういう計画を十月のオリンピック開催時というところに持っていったところに私は問題があると思うんだけれども、こういったところに何か計画の疎漏があったんじゃないか、こういうふうに感じますが、どうですか。
  10. 鈴木喜治

    鈴木説明員 お答えします。荒川からの取水施設工事の完成は、当初から実は年度内ということになっております。ただし、荒川から水を取れるだけの施設オリンピックに間に合うように、ただ、まことにその点は申しわけないのでございますが、このような異常事態になったこともございまして、昼夜兼行仕事をやるというようなことで八月二十五日に繰り上げた、こういう実情でございます。
  11. 阪上安太郎

    阪上委員 まあ、あまり済んだことをやかましく言ってもしかたがありませんが、こういう異常渇水と言われますけれども、先ほど言いましたように、三十五年、三十六年、三十七年、これも全く異常渇水なんであります。ずっとここやはり渇水期が周期的に出てきておるわけなんでありまして、いつも東京都が水に困るのは七、八月というようなときでありますから、これを政府までが気象のせいにしてしまうということについては私はあまりにもこれは考え方が、姿勢がおかしいんじゃないか、かように思います。まあしかし、それも八月二十五日には確実に持ってくることができる見通しだ、こういうことでありますので、ひとまずこれは安心をいたしましょう。  さらに東京都に伺いたいのですが、相模川系の増加給水援助でありますけれども、これは知事が出向かれていろいろと神奈川県に要望されまして、その結果平常時の給水状態にまで復元されまして、さらに最近では八万トン程度のものが増加救援されるということになっておるようであります。他県のことを言うとおかしいのでありますけれども、あすこからは横浜それから川崎方面に毎秒六トン程度の水が流れておるようであります。しかしながら、このうち二トン程度工業用水である、こういうふうにいわれております。四トン程度農業用水だ、かようにいわれておりますが、現在のところ農業用水はまだ水の必要は非常に少ないという状態でありますから、せめてこれを毎秒三トン程度増加救援願うということになれば少なくとも二十六万程度のものが一日に入ってくる、こういうことになりますが、この点について——なかなかこれは要請しにくいことでありましょう。けれども東京都がこの実態に入っているときでありますので、やはり熱意を込めて話し合いをすれば、いま少しく水をもらえることが可能ではないかと思うのであります。これらの点についてどういうふうになっておりますか。どういう心がまえでおられますか。当面この荒川取水四十万トンと、それからこの相模川系の増加給水を求めるほかに応急集水対策はないのじゃないかと思いますので、この際伺っておきたいと思います。
  12. 鈴木俊一

    鈴木参考人 相模川系の水でございますが、これは東京都といたしましては、二十三万トンの水を協定によりまして神奈川県から従来からちょうだいをいたしておったわけでございます。ところが、先般二十三日に厚生省におきまして東京渇水対策連絡協議会というのがございまして、その際神奈川県の御当局から、神奈川県の渇水状況につきましてるる報告がございました。横浜あるいは川崎市に対しても現在の水量を減らさなければならない、その場合には東京都に対しても同じようにこれを減らさなければならないというような御発言がございました。その際私どもといたしましては、東京給水状況を訴えまして、極力その節減につきましては御猶予を願いたいという趣旨のことを申し上げたわけでございます。しかしながら、神奈川県の実情もただいま御指摘がございましたように、横浜川崎という県下の市に対しても節減をいたさなければならないような状況であるから、これらの市と同様に、一割だけの節減をすることを承認をしてもらいたい、こういう通告がございまして、これに対しまして知事も出向き、また私どもいろいろ連絡を申したのでございますが、どうしても一割の節減という事態に入らざるを得ないということで突入いたしたわけでございます。  その後知事が参りまして、いろいろ話を申し上げましたところが、一割節減をもとに戻しました分にさらに二万トンほどを加えました四万三千トンの給水を八月二十五日の荒川取水ができるまでの間差し上げることにしよう、こういう御好意ある回答に接したわけでございます。その後さらに河野国務大臣のところでの関係官会議の際にもこの話が問題になったそうでございまして、従来東京都といたしましては二十三万トンのほかに五月三十一日までは十万トンの水を、これは権利ということでなくていただいておったのでございます。三十三万トンの水をいただいておったのでございます。それがその十万トンの水を六月一日以降はやれないということになって、二十三万トンという本来の協約だけの水になっておったのでございます。それがいま申しましたようないきさつで一割減になり、さらに二十五万トンというところまで参ったのでございますけれども、それをさらに従来いただいておりました三十三万トンというところまでをお願いをしたいということを私どもは思っておりまして、このこともその後私どものほうからも神奈川県の担当の副知事等お願いをいたしましたところ、農業関係団体格段の御協力によりまして——当局といたしましては、これらの方面協力を得るに相当の御苦心をなすったようでございます。御協力を得まして、三十三万トンの水を再び二十五日の荒川緊急取水ができますまでの間差し上げよう、こういう回答に接したような次第でございます。この点につきましては、神奈川県の当局並びに、これはいま申し上げましたように農業川水のいわば一種の犠牲において、あるいは横浜川崎市のいわば犠牲においてかような措置をとっていただいたわけでございまして、私どもといたしましては、非常に深く感謝をいたしておりますとともに、政府がこの問題につきまして特に積極的に働きかけていただきましたことにつきまして、格段感謝の意を持っておる次第でございます。
  13. 阪上安太郎

    阪上委員 相模川系の増加給水は、これは東京都のある程度の不手ぎわによる水飢饉でありますので、なかなか頼みにくい問題だと思うのでありますが、しかしながら、神奈川県の好意もあることでありますし、好意に甘えるというわけではありませんけれども、これが荒川取水四十万トンと取ってかわってしまうというようなことでは意味がありませんので、無理かとは思いますけれども政府等援助を求められまして、やはりいましばらく、水には余裕があると言うと語弊がありますけれども東京都に比べてはるかに余裕があるのでありますから、毎秒三トン程度の水をもらうような努力をやはり続けられるのが至当ではなかろうか、かように私は思うわけであります。ひとつ今後の御努力にまつといたしましょう。  東京都の分だけ片づけていきますが、次に、いまこの渇水非常対策につきまして都民の間では、やはり水の公平配分といいますか、これが問題になっております。くどくどとは申しませんが、二二五%くらい運転しておる金町浄水場、これがどうして他のブロックとの連絡がないのか、私はその点を非常にふしぎに思うのであります。なぜもっと連絡路をつけておられないのかということにつきまして、ひとつ東京都から簡単に説明願いたいと思います。
  14. 鈴木俊一

    鈴木参考人 東京都内の給水の系統は、ただいま御指摘がございましたように、多摩川貯水池系統、金町系統、この二つが最も大きなものでございます。この両者の間の関係は、金町系のほうは水が非常に豊富であり、多摩川系のほうは非常に少ない。そこで両者の連絡ができますならば、この関係を緩和できるわけでございます。そこで去る六月十五日から、約一年半で緊急工事としてつくり上げました中川・江戸川の緊急拡張工事、これは約四十万トンの取水ができておるわけでございますが、この四十万トンの取水いたしましたものを、多摩川系のほうにつなぎます二千二百ミリの大きなパイプを約十六キロにわたりましてつくったわけでございます。六月十五日前におきましては、七百ミリ程度の細い管によって連絡をしておったわけでございますから、金町系の水が多摩川貯水池系統の水のほうに効果を発揮することはほとんどできなかったわけでございますが、去る六月十五日通水以来金町系の水が約四十万トン、これはさらに五十五万トンまで逐次伸ばしておりまして、今日は五十万程度まで回っておりますが、二千二百ミリの管によりまして多摩川系の足らない部分を潤しておるというような形にいたしております。  しかし、いま一つお話のございました不公平なる水の出という点は、これはさらにそれぞれの配水管が、土地の高低等によりまして、圧力の少ないところではどうしても不公平になる。そこで、そういうものを解消いたしますためには、やはり細い管を太くしたりあるいは増圧ポンプを設けたりいたさなければならぬわけでございます。このことの事業計画といたしましては、毎年、年々二十億程度の金をつぎ込みまして、それの調節をいたしておるのでございますが、なかなかその程度では実効を顕著に急激に期することができませんので、私どもといたしましては、この配水管あるいは増圧ポンプの整備の計画をすみやかに実施できまするように、さらに予算的な措置を講じたい、かように考えておる次第でございます。
  15. 阪上安太郎

    阪上委員 公平配水の点につきましては、ただいまの説明でよくわかったわけであります。しかし、振り返ってみると、やはりそういった各浄水系の連絡という配慮が過去において欠けておったということが私は言えると思うのであります。当面、いまここでこの金町浄水系の水を、他の多摩川水系その他に回すわけにもなかなか簡単にはいきますまい。しかしながら、私はこれはたいへんな教訓だと思います。いつどんな水災害が起こってくるかもわかりませんので、やはり彼此融通できるような体制というものを当然とられておかなければいけなかった問題だと思います。今後、この点にこりられまして、そういった配慮を続けていかれることが必要だと思います。毎年二十億程度の金をかけてその配慮をしておるとおっしゃいますけれども、とてもその程度では簡単には片づかない問題じゃないかと思いますので、御努力を願いたいと思います。  河野大臣が十二時に公式の席上に出られるようでございますので、ひとつ大臣にお伺いしておきたいと思います。  東京都の水飢饉は、大臣に言わせますと、どうも東京都にまかせておけないというような御発言があった向きを私は伺っております。しかしながら、私ども考え方によりますると、この東京都の水問題につきましては、政府にも大きな施策の思いやりがなかったのではないかというふうに私は感ずるわけであります。当面の応急取水につきまして、河野さんが現地に行かれて大喝一声されたので、えらく完成時期が繰り上げられまして、八月二十五日という線が出てきた、こういうふうに伺っておりますが、先ほども質問申し上げたのでありますけれども、そんなに早くできるのならば、もともとこれはもう昭和三十七年ごろからやかましくいわれた工事でありますので、もっと東京都の湯水期にあわせ、オリンピックといわず、それ以前に手を打つべきような態勢に工事を進めておく必要があったのではなかろうか、こういうふうに思うのであります。こういった点で私は、なお東京都の責任ばかりでなく、政府責任というものがここに一つあるのではなかろうか、こういうふうに思うわけであります。  それからいま一つは、いかにも八月二十五日には利根川の水が直接使えるというような印象づけが行なわれているように思うのであります。しかしながら、あの利根川から荒川へ持ってくる導水は四十一年の一月でございます。四十一年でなければ完成しないというふうに承っております。それも河野さんの何か肝いりで、工事を進めろということでそうなった。通常ならば四十二年ないし四十三年でなければこれは完成しない、こういうことになっておるわけでございますが、これらの点についても、水資源公団等の工事あるいは計画、そういったものに何かひとつズレがあるのじゃないかというふうにも私は感ずるわけであります。これらの点から考えあわせてみましても、そういった応急の取水政策そのものにつきまして、率直に言いましてすでに政府援助不足というものを私は実は感ずるわけなのであります。  それからまた、これは河野さんの担当ではありませんが、地方公営企業に対するところの政府考え方、自治省あたりの考え方、これも私は非常に問題がある、かように考えております。最近、道路交通事業等に対する赤字あるいは水道事業に対する赤字は、必ずしも東京だけの問題ではありませんで、全国的な問題としてこれが問題視されているときでございます。この赤字を解消しなければならぬというような問題、それから、公営企業が独算制をとっておるというような関係から、建設費から経営の一切まで料金でもってまかなっていかなければならぬという問題が一つでございます。それに比べて工業用水道等におきましては、多額の補助金等が出ておる、同じ公営企業の中でも、こういう差がつけられておる。こういうような問題もある。こういったことを考えてみましたときに、在来から政府がとってまいりました東京都の水行政に対する援助、その中の財源措置、これが非常に不足しておったというふうに私は考えるわけであります。こういった点も、やはり政府責任ではなかろうか、かように私は思うわけであります。こういった点から、必ずしも東京都だけの責任じゃなくて、むしろいま言ったような事情を考えていくときには、逆に政府責任が大きなウエートを占めているのじゃないか、かように思います。  それからさらに河野さんは、この間、閣議で東京都の人は、水がないというものの、どうも水を使い過ぎるじゃないか、こういうふうにおっしゃったように私は聞いております。この考え方は一部政府筋にもあるように私は思いますが、はたして東京都はそういったふうな水の使い過ぎというような形になっておるのだろうかということにつきまして、私は非常に疑問に思うわけなのであります。  それから、いま申し上げましたようなこれらの応急取水工事を、政府としてはどんな力の入れ方によって時期を早めてこれをやらしていくかというような点についての明るい見通しをひとつお話し願いたいと思います。
  16. 河野一郎

    河野国務大臣 ただいま第一にお尋ねの利根川、荒川の水についてでございますが、実は私、建設大臣当時に、これらの水を利用いたしまして隅田川の水を浄化しよう、御案内でございますが、水道行政は通産行政でございますから、建設大臣としては、依頼を受けたときに、もしくは水の利用等について御協議申し上げるときに、むろん考えないことはございませんけれども、そのときには、一応オリンピックに間に合いますように隅田川の水を浄化しようということで、十月一日までに荒川の水を隅田川に入れて、そしてこれで隅田川の浄化をしよう、こういうことで工事をやっておりました。したがって、これは東京都の水対策ということでやっておったのではないのでございます。ところが、私、建設大臣をしておりましたときに、十月一日ではおそいから、九月十日までにこの工事を仕上げて、そして隅田川の水を浄化せいということを言いまして、一応九月の十日にこの水が隅田川に入ってくるようになっておりました。これを東京都の今回の水不足の対策に、隅田川のほうはあと回しにして、これを緊急に使おうということで、いまお話のとおり、さらに九月の十日を早めまして八月二十五日までに、これが水道の水源に利用できるようにいたそうということで、さらに方針を変え、もしくは現地の工事関係者の御協力を得て、八月二十五日にこれが一応水源地に入ってくるということにいたしたのでございまして、この点は、ないものをむやみに持ってきたとか、そういうふうになっておるものがどうなったとかということでございませんで、ただしこれが完全に入ってまいりますと、むろん一部分は水源になり一部分は隅田川に流れるということになるわけでございまして、それを隅田川のほうを全部やめて水道の水源にしよう、こういうことで考えておるのでございます。  それからもう一つは利根川の水でございますが、利根川の水を荒川に持ってくる工事は、お話のとおり、これはまだ来年でなければできません。いまお話しのようなことでございましたら、これもさらに緊急にこれを導入してくる必要があるということで、先般来関係方面とよく御協議申し上げ、またお願いをいたしまして、一応来年の二月末日までに利根川の水が荒川に入ってくるようにということにいたしております。したがって来年の二月末には利根川の水が荒川に参り、荒川の水と合流して、これが東京都の水の利用になるということにいたしております。これは御承知のとおりでございますが、われわれが十分勉強いたしましたところによりますと、東京の場合、水の不足、水飢饉というものは、おおむね二十年を周期にしてやってまいっておるようでございます。過去にそういうことでございますので、たまたま去年、ことしあたりがそれに該当いたします。のみならず、しかもこの渇水の周期は一年でございませんで、両三年続いて水の足りない年が続いておるということが過去の実例でございますから、来年もまたことしのように降雨量が少ないのじゃないかということも、ある程度想定しなければならぬと思うのでございます。そういう意味合いから、ことしの水につきましては、まことに御迷惑をかけて相済まぬのでございますが、いまこれが東京都の責任であるとか、政府責任であるとか、これはやはりお叱りを受けることはいかようにお叱りを受けてもやむを得ませんが、これを最大限に何とか善後策を講ずる必要があるということでせっかくやっておりますが、現在の時限におきましては、このまま雨が降らないということでまいりまして、まず十七、八日が一番悪い状態になります。これはいまの水を、応急に神奈川県その他からちょうだいした水をやりますが、小河内、村山のダムの水がますます減ってまいりまして、十七、八日になりますと、それまで全然降雨量がないということになりますと、打つ手は一応打ちましたが、やむを得ず第五次制限に入ることになると思うのでございます。これもひとつお許しを願いまして、そして次は二十五日の荒川の水が入ってくるということになりますと、ここで相当に考えられる。四十万トン入ってまいりますから、ここで相当考えられる状態になる、こういうことでございます。が、しかし四十万トン入ってまいりましても、ダムの水が極度に渇水いたしておりますから、これをすぐに増配して使ってしまっていいかどうかということが問題になるわけでございます。これははなはだ取り越し苦労で恐縮でございますが、一雨降ることを待ちません以上は、こういう足らない状態を続けて十月のオリンピックに持ち越しますと、はなはだ不手ぎわなことになるわけでございます。そこで私どもとしましては、二十五日に荒川の水が一応入ってまいりましても、すぐにそこにその水を全部使ってしまうということはひとつごかんべんをいただきまして、幾らかずつはオリンピックまでに、一雨降るまでためていこうということを実はいま考えておるのでございまして、一雨降るかどうかということが一番たよりでございまして、そして降るまでは五割五分制限の第五次制限以上にはむろんいたすことはございませんけれども、それを四割五分に下げる、三割五分に下げるということがいいか悪いかということは、今後の雨の都合を見つつ、オリンピックの水の貯蓄をしていくということを勘案して配給量はきめていきたい、こういうふうに一応はいま考えておるわけでございます。  こういう状態を続けて、まずこの十八日から二十五日までが一番最悪、それから二十五日から先はいま申し上げましたように、水はあるけれどもどの程度貯金するか、どの程度がまんするかということで、それを最悪にして、それから雨のあるなしによって上昇ぎみになっていくということで一応御了承を願うよりほかに打つ手がございません。  そこで先ほど承っておりますと、神奈川県の話が出ましたが、神奈川県からは最大限に御協力を願っております。しかも、私から神奈川県のほうにお願いいたしておりますのは、一応稲のかけ水がいまは一番少なくていい時期でございますから、神奈川県のほうも相模湖の水の貯蓄があまり豊富でございません。これをいまこちらのほうで先に使っておりますから、それだけ稲にかける水のほうが減っていっておるわけでございます。したがって二十五日以後において、神奈川県のほうでその水はやめてくれ、稲のほうに全面的に使わなければならぬからというお申し出がありますと、これについては特別に水をお返しするか、さもなければそのときに別途案を考えなければいかぬ。私は、今後利根川の農業用水等との調整をする必要もございますから、お約束したことは必ずお約束どおり実行していただくということにしなければ今後ぐあいが悪いと思いますので、神奈川県との関係におきましても、農業者の迷惑においてこちらが水をちょうだいするということはいたしたくない、こう考えております。諸般の点がありますから、いま申し上げましたように十八日の時限もしくは二十五日の時限におきまして、それぞれ東京都内に流す水については考えていきたい。そういたしまして、なるべく十月のオリンピック時を水不足の状態でなしに過ごすことにいたしてまいりたい。そうして十一月になります。十一月から先は、いま申し上げましたように明年がさらに渇水である心配もございますので、十一月から明年の夏の対策に入る必要がある、こう考えまして、十一月以降明年の八、九月まで長期の水配給計画を立てる。これはいま申し上げましたように、二月末で利根川の水の導入工事が一応終わりますから、三月から利根川の水をどの程度利用するかという問題とからめて、利根川の水を相当量こちらに導入してまいる。利根川の水で東京の水、羽村系の水をまかなうことができますれば、その間は小河内に水をためておく。なるべく多く小河内に夏場の水を貯蓄をいたしておきまして夏場に入るようにしていきたい、こう考えて、十一月以降の冬場において都民の皆さんに御迷惑のかからぬ状態において水の節約をしていくということを考えまして、長期の水の配給計画を立てまして、そうして来年の水については、幾ら雨が降らなくても、少なくともことしの轍を繰り返さないようにしていきたい、こう考えております。利根川の水につきましては、きょう閣議におきまして、政府部内において関係各省もしくは利根川沿津の関係府県の知事さん等の方々にお集まりいただきまして連絡会を開いて、これらの間に十分なる意思の疎通をはかって、一般の水を現に利用しておられる皆さんに御迷惑のかからぬ程度において余剰の水をただいま申し上げました水路を使って東京のほうに来年の三月から持ってまいる。この水を使う閥は小河内、村山に貯水するという長期計画を立てて、一応明年度の対策はこれでやっていく、こういうことにいたしております。  四十一年以降の分につきましては、東京都において案がすでにおありのようでございますけれども、これはあらためて東京都と御相談申し上げまして、長期計画はあらためて明年度予算以後において根本的に考え直すということにしてまいりたい、こう考えます。  いまお話しのことで副知事から御答弁でございましたが、私もこの点につきましては非常に不満を持ちまして、水の足らないところはいつでも減水、断水といえば一番先に出ない、長時間出ないという場所が都内にありますことは非常に遺憾でございます。水は減水しておっても、出るところは出るけれども、出ないところは出ないというこの状態が最も悪い。これに対して東京都は二十億程度の金を使って対策を講じておられるようでございますけれども政府といたしましてはその程度じゃいかぬ。もっと大幅に来年の夏までにはこれらの地帯に新たに管をつけるならいける、ポンプをつけるならつけるようにして、可能な範囲においてことし減水の影響が直ちに断水になって影響した地帯に、少なくともひどいところには新たに鉄管をいけ直すということを来年の夏までにやってほしいということについても、せっかく東京都のほうでいまの二十億を倍にするか三倍にするか、まで上げて、新たに鉄管、ポンプを入れてもらうということを、いませっかく案を練っていただいておるようなわけでありまして、これらの処置によりましてことしの轍は絶対に繰り返さないということに一応案を練って対策を講じていきたい、こう考えておるのでございます。  四十一年以降の分につきましては、いま申し上げましたように、これはお小言を受けるかもしれません。受けるかもしれませんが、やっぱり自治のたてまえからいたしまして、政府でこれに関与してまいりますことには限界があるだろうと私は思います。したがって、自主性は東京都にとっていただかなければいかぬだろうと思います。したがって東京都のほうから案がこないのにこちらからあまり差し出がましくああもせい、こうもせいということはちょっと青いにくいのじゃなかろうか。この非常事態はやむを得ませんから私がやっておりますが……。したがって、四十一年以降の基本対策につきましては、一応東京都のほうで案を練って出していただく。それについて厚生省その他政府部内において関係君が十分連絡いたしましてこれについて御協力を申し上げる。すでに水の資源が関東平野全体を通じて非常に困難な状態に入っております。利根川の水につきまして、いま申し上げるように十分な連絡会議を開きませんことには水が余っておりません。そういう状態でございますから、四十一年以降の分につきましてはよほど大幅に考えて、東京都の水の対策、関東近県全体を通じての水の対策を講ずる必要があるだろうと考えますので、これらにつきましては別途ひとつ十分根本的に考えたい、こう思っておる次第でございます。
  17. 阪上安太郎

    阪上委員 いま大臣から、将来の見通しについての説明を承ったわけであります。そうしてしかも私どもが一面においてたいへん心配いたしておりました問題点でありますところの地方自治の問題、これと関連いたしまして地方自治を尊重し、地方自治のワク内においてやはり国が援助しながらやっていくのだ、こういうことでありますので一応安心しているわけであります。  あなた、お急ぎのようでありますが、この際ひとつさらに質問してみたいと思います。それは例の水利権と水没問題であります。東京都がいろいろと事業計画を立てましてやっていく上で、在来困っておったのは、一つは財源の問題であったと思いますが、いま一つは水利権の問題、これが非常に隘路になっておった、こういうことだと思うのであります。諸般の工事がおくれておる原因の一つにやはりこれがあるということだと思うのであります。ちょうど河野さんが建設大臣のときに河川法の改正をおやりになりました。あの中で一級河川につきましては、区域を指定して知事に委任されている区域指定がございます。それと関連いたしまして水利権につきましても、やはり在来のように知事に委任されるという形をとっておられます。したがって、この水利権の問題は、在来の河川法とちっとも変わっていないということがいえると思うのであります。その点が今回の河川法の改正の場合にも十二分に措置されていなかったように思うし、また地方自治のたてまえからも非常にむずかしい問題であったと思いますので、あの程度措置になったと思うのであります。たてまえとしては国が持っておるけれども知事に委任するのだ、こういう形になっております。そうなりますと、依然として水利権の問題というものはどうも隘路になっている、こういうことになると思います。この水利権の問題あるいは慣行水利権等を含めた広範な水利権の問題につきまして、いまのような状態ではとてものことに東京都が事業計画、永年計画を立てましても、そう簡単にはいかない問題が出てくる、こういうことだと思うのでありますが、河野さんはときどき名案を出されますが、これについて何かあなたのお考え、こうすればいいのだ、この調整の問題なんでありますけれども、どうすればいいかというような点についてのお考えがありましたら伺いたいと思います。
  18. 河野一郎

    河野国務大臣 私も初めてぶつかったことで、急にいま名案というようなこともありませんけれども、しかし、いまお話しの河川法の改正をやりまして、一級河川で指定した河川は建設大臣が一応管理いたします。したがって、たとえば利根川におきましては、すでに御承知のとおり利根川水系の水については水資源公団において管理をすることにいたしておりますが、これらの川のうちで上流の支流に属する部分で、これから上は知事お願いするということを指定するわけでございまして、本流その他につきましてはむろん建設大臣が管理いたします。だから利根川につきましては支流のこれから上は知事さんにお願いしましょう、これから下は建設大臣がやりますからということが決定になるわけであります。その点は従来と違います。ただしその指定する河川が何本くらいになるかということはこれからよく相談があるわけでございます。したがって、この水を利用するという川、たとえば淀川でございますとか利根川でございますとかいうものにつきましては、当然指定河川になるわけでございますから、おのずから従来とは趣が多少違っている点があるだろう。しかしそうは申しましてもいまお話しのとおりに、既得の水利権については絶対に侵害しないということがたてまえになっております。したがって、既得の水利権というものが一体どうなっておるかということでございます。これが既得の水利権を侵害することは絶対にいけませんけれども、しからばと申して、既得の水利権が非常に過大になっておるという点はどうか、たとえばいまお話の出ました神奈川県の花かけ水にしましても、農家の使う水、この水がはたしてそれだけのものが要るか要らぬか、どのくらいの程度要るかということになりますと、一方はダムでありますから、ためておけばたまっておるのでございます。したがって、その放流する水について、農家の利用する水との間に合理性が考えられると思うのでございます。そういうことによって、合理的に水の利用ができるということになりますれば、神奈川県の相模川系統の水につきましても、相当に私は東京都の。ポンプもしくは水道管の整備等によりまして使える点がある。これは水道局、長からお話があったかもしれませんが、神奈川県の方面からの水はおおむね三十万トンないし三十五万トンというものの利用ができるという程度に配管がなっておりますから、それ以上向こうから水をもらっても、もう管を通らぬということになっておりますから、ただいまはいま申し上げますように三十五万トン程度でございますけれども、まだ向こうのほうにおいては、水の利用いかんによってはダムにためておく水が出てくるということが言えるのではなかろうかと思うのでございます。  そういうふうにしてさらに検討しますれば——いまお話し申し上げましたとおりに、連絡会議をつくりますゆえんのものは、各府県の知事さんと関係各省との代表者が集まって連絡を緊密にして、そして必要な水——既得の水利権についてはいやしくもこれを侵害しない、十二分に尊重しつつ、むだに流れる水をどういうふうに利用しようかというように、きめを一段こまかく掘り下げることによって、まだ水は相当出てくる。たとえば利根川の点についても相当こまかく勉強してもらいましたが、これまでの統計にあります最大の渇水の年でも、利根川の流量のうちで、一番水の渇水は六、七、八、この三カ月間、しいて申しますれば五、六、七、八というような問で、一日一日と計算いたしますと、東京のいま利根川から荒川へ、荒川から東京都へ持ってくる水が、一番渇水の時限におきましても、なおかつ三分の一の日数は、それだけの水が余って流れておるということが統計で示されております。そういうことになりますから、農村のほうで十二分に水を使われても、一番最大の渇水であっても、まだそういうふうに水が流れておるということがわかるわけでございまして、これを普通の年で考えますれば、相当のものが余る。これを常時使いますれば、いま問題になっておりまする小河内にしても、全然あの水は足らぬわけじゃありません。使うからなくなるのでございますから、これを利根川の水をなるべく使っておって、たまった水は小河内にためておいて、小河内は急場のときの水に使うんだということにすれば、あのダムは完全に生きてくるということも考えられるのでございまして、これらはもう一段と掘り下げて、きめこまかに需給の計画を立てるということ、さらに私はこういうことを言ったらばお小言を受けるかもしれませんが、従来雨の多い国だ、水は十分ある国だというたてまえになっておりますから、アメリカ等と違って、水がないからというたてまえでやっておりません。水道にしても、伝染病対策であるとか、何とか対策であるということから出発して、そして井戸水は使わせないんだ、水道の水でもってそういうふうな衛生上の見地を十二分に考慮するんだといって、つまりそういう保健衛生の見地から厚生省所管として水道行政が行なわれておるということじゃなかったかと思うのでございます。  ところがこの時限になりますと、あらゆる水を利用して、そうして工業用水にはどの水を使うんだ、自動車を洗うにはどういう水を使うんだというくらいに——先ほどお話がございまして、水を使い過ぎるとおっしゃいましたが、それはことしのような水の足りないときには水を節約してくれと私は申したのでございまして、文化人が水を節約するような文化生活をするというわけはございません。これについては私も、決して水をよけい使うことについて異論はございませんが、しかし、ないときには考えていただかなければいかぬのじゃないか、こう思うのでございます。  先ほど公共企業の料金等につきましてもお話がありましたが、たとえば水道料金につきましても、水道料金を上げてもいいと私は毛頭考えません。これも誤解があるようでございますが、上げていいとは考えません。大衆の水道料金はなるべく安いほうがよろしい。さればと言って大口利用者、たとえばビール会社がびんを洗うのに使っておるとか、品川の車庫で汽車を洗うのに使っておるとかいうような水の料金を、何も東京の企業体が損をして水を配給しなければならぬ理由はないじゃないか、こういうものについては相当の料金をちょうだいしたらどうなんだ。したがって、これらの水道料金についても、ひとついま申し上げるように、きめをこまかにして料金をきめていいじゃないか。そうして水を大事に使ってもらう。大口に使う人ほどとかく水を粗末にしているのではないかと思いますので、していいじゃないかということを申したのでございまして、決して水をよけい使うことが悪いとか、水道料金が安過ぎるとかいうことを、なべて申したわけではございませんから、その点についても御了解おきをいただきたいと考えます。
  19. 田川誠一

    田川委員長代理 一人関連質問がございますから……。門司亮君。
  20. 門司亮

    ○門司委員 ちょっと大臣忙しいそうですから、ここから一つだけ……。  大体河野大臣の構想は一応お伺いしましたので、私の考えておったことについて、かなりの部分でいままでの御答弁で了承ができたわけであります。いま大胆のお話を伺っておりますと、ちょうど例の、去年、一昨年ですかの渇水のときに、東京会議に、ニューヨークから専門家がきて話したときのことばがそのまま当てはまるような気がいたします。そのときの会議録を見てみますと、こう言っておりますね。大体干天、ひでりになって、ダムに水が非常に少なくなるような水源地を持っておるところで、これの予備対策がないということは、対策自身の欠陥と、政治の大きな欠陥であるということを指摘されております。ニューヨークはたしか一九五二年だと私考えておりますが、このときの渇水のときには、あそこはたしかハドソン川の水を浄化して使った、こういう経験があったから、おそらくニューヨークから派遣されてきた専門家は、日本でそういうことを言ったと思うのです。  ここで、大臣に一つだけ念を押して聞いておきたいと思いますことは、大臣のいまの構想は、水はあるというたてまえに立って、水の各分野にわたる従来のなわ張りをなくして調節をしていけば、大体水はまかない得る状態にあるのだ、この調整をこれからするのだというように解釈してよろしゅうございますか。
  21. 河野一郎

    河野国務大臣 ちょっと違います。いま申し上げましたのは、ことし、来年、主として申し上げますれば来年の水のことを私は申したのでございまして、私の考えでは、東京を中心にした神奈川埼玉、千葉、この一円のところに、水の利用度はますます強化されてくる。これによって、利根川はじめ関東平野を流れている水をもってまかなうことは、数年の後にできなくなるだろう、こう私は考えております。したがって、恒久対策を立てます場合には、当然関東平野に流れる水でなしに、たとえば富士川とか天竜川とかいうような水系の水をどうしてこれを導入するか、しからざれば、信濃川の水を上部においてどこで導入するかというようなことにまで長期計画は考えておかなければいかぬのじゃなかろうか。ただし、これは首都圏の整備の状態がどういうふうになっていくかということと関連して考えなければいかぬだろう。私は水が豊富である、十分である、——これは局地的にです、日本全体を通じれば別でございますけれども。ことに東京を中心にした関東一円を考えてみますと、水がこのままいったならば、おそらく五年−七年のうちに水はまかない切れなくなる、こう考えて対策は立てるべきだ、こう考えております。
  22. 田川誠一

    田川委員長代理 門司亮君、時間を経過しておりますから簡単に。
  23. 門司亮

    ○門司委員 実はいま東京都が立てております一人当たりの使用量というものは三百三十七リットルくらいにきめておるようであります。ところがこれが、いままでの個人当たりの水のふえてきた量を換算してまいりますと、大体四十五年ころには四百五十くらいになりやしないかと想像がつきます。そうしますとこれは四〇%増になる、こういうことになっております。したがって問題になりますのは、現在の数字で押していって、いまの大臣のようなお考えが出てくるということになってまいりますと、結局は、一体東京都の人口をどうするかということに水の問題をくっつけて考える以外に考え方はなくなってくる。かりに富士川の水を取るにいたしましても、あるいは遠いところから水を引っぱってくるにいたしましても、そう簡単に、現状のような状態で地方がおればいいですけれども、ここもやはりおのおの発展してくると思います。そうなってまいりますと、水自身について、東京都の水を考えます場合には、東京都の人口の問題を考えないで水だけを追っかけていくということは、なかなか解決にならないじゃないかという考え方があるのであります。この点について大臣の見通しをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  24. 河野一郎

    河野国務大臣 お答えいたします。ただいま申し上げましたように、首都圏整備委員会の方面でどういう案をお立てになるか、それと関連をして私は考えるべきだ、こう思うのでございまして、私自身は首都圏整備委員長をいたしておりました当時に、強力に首都の人口を押える方法を講じなければやっていけないだろう。これは、これからの行政は道路だけでなしに、道路と水というものをあわせて考えて、そしてそれを基本に置きつつ首都の整備をし、各工業都市の整備をしていかなければならぬということになりますから、国全体を通じてそういう基本的な案をすみやかに立ててやっていくことが必要でございましょう。ただ、いま首都の水の問題を考えておりますから、そういう意味で私は申し上げた、こういうことで御了承願います。
  25. 阪上安太郎

    阪上委員 それでは引き続いて、東京都にさらにお伺いしたいと思いますが、次の問題点は、被災者の補償措置というものを考えておられるかどうか、こういうことなんであります。これが災害救助法の適用を受けるような措置を講ずるかどうかという問題もあります。しかしまた災害対策基本法に基づくいろいろな防災会議等を持った面の中で処理していくという方法もあると思うのでありますが、とりあえず、水が出ないのですから、水道の基本料金をこの際思い切って減免するという措置に出る必要があると思うのです。この水道の基本料金の減免、それからいま一つは、浴場、クリーニング業、飲食店、こういったものに対する損害が非常に大きいと思うのでありますが、こういったものに対しての租税の減免、これをやる考え方があるかどうか、こういうことなんであります。これについてお答え願いたい。
  26. 鈴木俊一

    鈴木参考人 今回の給水状況の結果、都民の多くの方に非常に迷惑をかけております。その結果についてどういう措置を講ずるかというお尋ねでございまして、第一に罹災者に対して補償をするかどうかというような意味のお話でございますが、これは現在の水道法のたてまえは、さような場合に補償をしないというむしろ積極的な規定のしかたになっておりまして、私どももたいへん御迷惑だとは思うのでありますが、かりにこれをもしやるということになりますと、たいへんなことでございまして、実際上もなかなかむずかしいと思いますので、私どもはさようなことは遺憾ながらどうもやれないというふうに申し上げざるを得ないのでございます。  それから災害救助法が発動できるかどうかというような点のお話もあったようでございますが、この点はやはり災害救助法の現在の体制から申しまして、かような場合に適用することは困難であるというように考えております。  なお、基本料金を減免するか、あるいはその他事業を営んでおります者に対して、この結果生じた減収に対する税の減免をするかというようなお話でございますが、基本料金につきましては、私どもといたしましては特に減免ということは考えておりません。税につきましては、営業の収益に水の多い少ないが当然影響を生じてまいりますので、したがって、事業税の収益の計算等の場合におきまして、さようなことが自然に反映をいたしておるわけでございまして、それ以上に減免ということは、一般的には私ども考えられないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  27. 阪上安太郎

    阪上委員 国家賠償法の二条に、公の営造物の設置管理に瑕瑾のあった場合に、これは当該公共団体が賠償しなければならぬということになっておるのですが、これはこの際当てはまらないのですか、あなたの解釈によりますと。
  28. 鈴木俊一

    鈴木参考人 いまの国家賠償法の規定との関係におきましては、積極的に営造物、公の施設が破損をいたしまして、その結果具体的に物的損害を与えたというような場合のことを予定をして規定をされておるものと存ずるわけでございまして、今回のような、水が不足をいたしまして給水時間が限定されてきたというような結果生じます問題につきましては、私どもは適用はないものと考えておる次第でございます。
  29. 阪上安太郎

    阪上委員 在来からこの種の問題につきましては、国家賠償法の適用があるかどうかということでいつも問題になっております。水かけ論でありますので、私はこれ以上追及はいたしませんが、しかしながら、実際問題として租税の減免も行なわれない。それは水を使っておるところの業者であるから、水を使わないのだから水道料金をそれだけの分は払わなくてもよい。あるいはまた所得その他にも影響を来たす分については、当然それは所得税法に基づいた措置が行なわれるのであって、この場合これは租税の減免をする必要はないのだ、こうあなたは突っぱねられておりますが、そういったものではないと私は思うのであります。そういったいわゆる計算に基づくような損害では私はないと思う。それ以上の損害が出てきておる。そういうことは、そこには利潤というものがあるのですから、利潤が上がっていかないその損害というものはやはり大きいのではないかと思うのであります。それをやはり考えてやらないというようなこと、あるいは水が出ないにもかかわらず基本料金は依然として取っていくのだという考え方、ここに公営企業に対する考え方として、やはり政府が考えておるような独算制のたてまえ、そういったものを全くそのままうのみに取り入れてしまって、何ら地方自治の本旨に基づく自治体としての独自の立場をここに打ち出していく考え方が出ていないように私は思うのであります。あなたと議論をするわけにもまいりませんが、私はそういう点につきましては非常に遺憾に思っております。しかしながら、こういった問題については、ただそう機械的に考えるのではなくて、やはり損害を与えた立場というものをよく考えてごらんになって、これらに対しての何らかの補償をしていくという態度をおとりになることが非常に望ましいと私は思っておりますので、この点を私は要求だけいたしておく、こういうことにいたしたいと思います。  なお、もしかりに東京都がこういった措置を講じて、それから生じてくるところの企業における欠陥、そういうものが出た場合に、自治省としてはこれに対して特別交付税等によるところの措置をする考え方があるかどうか、これをひとつ吉武さんから伺いたい。
  30. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 ただいまの水についての補償の問題でございますが、これはただいま都の副知事が申しましたように、非常に影響するところが大きいので慎重に考えなければならぬかと思います。したがいまして、いまその場合の処置をどうするかということにつきましては、申し上げにくいかと思いますが、万一そういう事態が起これば他の面でも考えなければならぬ、さように存じます。
  31. 阪上安太郎

    阪上委員 大体応急措置につきましてはこの程度にとどめまして、いまひとつ基本的な問題についてお伺いいたします。  どうも東京都の水飢饉というものは、今年だけの一時的な現象、こういうふうに受け取られている向きが多いわけであります。都に言わせますと、雨が少ないからという理由をまっ先に実はあげられるわけであります。この点につきましては、先ほど河野大臣質問をいたしました際に、河野さんからもお答えがあったようであります。大体わが国における降雨量というものは決して諸外国に劣るものではなくして、こういった同じような地帯における降雨量としては最高のものではないか、かように考えるわけであります。シンガポールあたりに比べますと幾らか少ないようでありますけれども、しかし全国平均の一千六百ミリというような降雨量というものはかなり高いところにあると思います。今年の降雨量は、まだ上半期でございますので、決定的なものは出すことができないといたしましても、東京において千六百ミリを下回ったような年はわずかな年しかない、二、三の年しかないというようにわれわれは承っております。にもかかわりませず、雨が少ないからという理由がいつも表面に出てくる。ここらに先ほど言いました東京都の水対策に対する姿勢の問題が出てくるのじゃないかと思います。ことしは異常渇水だ、こういうふうに言われますが、はたして異常渇水でありましょうかどうか。東京都のほうが主としてそういうことを言っておられる。一方気象庁のほうでは決してこれは異常渇水ではない、こういうふうに言っておられます。ここらの点も明らかにしておきませんと、将来の対策が立ちません。そういう意味におきまして、東京都が異常漏水だと言われる根処をひとつこの際御説明願いたいと思います。
  32. 小林重一

    小林参考人 本年度の雨量から申し上げますと、四月までは大体平年並みに近い雨が降っております。五、六、七と三カ月を合計いたしますと、平年では五百二十四ミリでございます。実績におきましては二百六十一ミリ降っているわけでございます。したがって半分しか降っていないということで、非常にこれは少ないわけでございます。また八月に入りましても、現在までの間では水源地では二十二ミリ程度東京では五・八ミリと聞いておりますが、五、六、七、八の雨量としては、平年にない非常に少ない雨だと考えております。
  33. 阪上安太郎

    阪上委員 ことしの水は、昨年の水から考えていかなければなりませんが、昭和三十八年におけるところの降雨量等を考えて、やはり結論を出さなければいけません。三貯水池の水というものは、その年々でもって結論を出す性質のものではない。それなら貯水池としての役目は成り立たないのであります。したがって、ここ数カ年にわたるところの考え方をしなければなりませんが、この場合、本年の上期におけるこの結果がそういったような降雨量である、五%程度であるということによって、直ちに異常渇水だときめつけてしまう、そのために水が足りないのだ、出ないのだ、こういうふうな結論を出されるということは少し軽率じゃなかろうかと思う。そういう考え方を持っておられるところに私は、東京都の水に対する考え方の問題があるのではないか、こういうように思うのであります。そこでひとつ、気象庁の方がお見えになっておると思いますが、気象庁はどういうふうにこれを判断しておられますか。
  34. 畠山久尚

    ○畠山説明員 ただいま水道局長からお話がありましたように、本年の五月以降の降水量がたいへん少ないことは事実であります。そして長年の間の傾向を見ますと、長い間には降る雨の多い時期、雨の少ない時期というのがありまして、これが大体四十年を周期にして近ごろでは移り変わりしております。そこで明治の末年に割合降る雨の多い時期があり、それから終戦前後のころに降る雨の多い時期があり、いま割合に降る雨の少ない時期に差しかかっているというわけでありまして、ここしばらくは雨の少ないことが割合に続くのではないか、そういう時期であるということを考えていろいろな計画を進められることが必要なのではないかと思います。
  35. 阪上安太郎

    阪上委員 気象庁の調べによりますと、大体八年くらいで周期があるというように承っております。そしてことしはやはりそういった低い周期のときにきているのだ、こういうように承っておるのでありますが、かといって、本年はいま言ったような状態でありますけれども、三十七年三十八年、あるいは三十六年、三十五年、こういった年におきますところの降雨量が低かったことは事実だ、こういうようにいわれておりますが、しかしながら平均降雨量といいますか、これを著しく下回った年というのがはたしてあったかどうかということなのであります。この点はどうでしょうか。
  36. 畠山久尚

    ○畠山説明員 年々の資料をただいま手元に持っておりませんので申し上げかねますが、たとえば本年の五、六、七、合計いたしまして二百六十六ミリというのは、これは東京で観測を開始しましてからのうちでは少ないほうからかぞえて第五番目であります。これくらいのことはどの程度に起こるのかといいますと、これは平均しますれば十八年に一回くらいあらわれる、そういう程度のものでございます。
  37. 阪上安太郎

    阪上委員 東京都の方にお願いしたいのですが、いま気象庁からもそういうお話がありましたように、必ずしも異常だと言ってきめつけるほどのものでなかろうと思うのであります。したがって、これらの問題に対する心がまえ、それがやはり欠けておるように私は思うのでありまして、単に今回のこの水不足をもって雨のせいにするような考え方は、この際一掃していただきたい。これがいつまでもこびりついておりますと、いつまでたっても気のきいた対策は出てこないのじゃないか、こういうように考えるわけであります。いろいろとこまかいことを伺いたいと思いますが、時間の関係もございますので次に移っていきたいと思います。次に、この異常渇水だから水が出ないのだというような流説もありますと同時に、一部に、これは都にまかせておいたんじゃこういう大都市の水確保などということは、とうていこれは期待できないのだというようなことを、政界、政府当局も言っております。池田さんあたりは東京都には都政というものはないのだというような極言をしておられる。一体都でやっておった場合には水は出ないのだ、国がやれば水が出るのだというような言い方がどうも裏にあるように思うのであります。これらの点についてひとつ政府に伺ってみたいと思いますが、まず自治大臣、関係大臣は、一体水の行政などというもの、あるいは水道企業などというものは、これはもう自治体にまかしておいたのではいけないのであって、何らかの、国が大きな干渉をしなければ、とうていできるものではないという考え方をお持ちになっておるのかどうか、これをひとつ伺っておきたいと思うのです。
  38. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 都の水の問題はたいへん大きな問題になっておりますることは申し上げるまでもございません。それでは都は何もやらなかったかといいますと、私もいろいろこの問題に突っ込んで聞きもし、また現地に行ってみますと、やはり数年前からこの問題に取っ組んで実はやっておるのであります。しかし御承知のように、毎年二十五万から三十万の人口がふえてくる、あるいはまた水の使用量もどんどん上がってくるというようなことで、やってはいるけれども、追いつかないというのが私事実じゃないかと思います。それに異常渇水という問題が起こりまして、たいへんないわゆる節水というようなことになったわけでございますが、例の荒川から水を取りまして、そして村山貯水池に持っていくあの四十万トンの計画も、三十七年ころからこれに取っ組んで、そして方針を決定して、直ちに実は工事に取りかかっておる。ところが工事というものは、申し上げるまでもございませんけれども、なかなかすぐ右から左にできないものですから、そこに一年なり二年なり、工事を急ぎましても時間をとっておったということでございます。荒川から取りまする水も、予定では来年の三月くらいまでかかるものを、ことしの春ころからこれを急ぎまして、今日あるを考えて九月にまで縮めるというようなことでやっておりましたところ、さらにもっと縮めたらどうかということで、八月の二十五日に繰り上げて、これは私も現地を見ましたが、突貫工事でおそらくできるかと思います。そういうようなことでございまするので、先ほど河野国務大臣が言われましたように、将来もなかなかこれでいいというわけではございませんで、どんどん先から先を考えて急いで手を打つ必要があるとは思います。しかしやはりこの水道などの問題は、自治体計画を立て、自治体責任においてやるべきだと私は思います。  ただ、先ほど問題になりましたように、この水の問題は、それでは都だけが計画を立ててすぐ事業をすれば水が入るかといいますと、やはり上流の水の水利権の問題というものが出てくるのでございます。したがいまして、河野国務大臣も、一応来年までの緊急対策としては連絡会議のようなことで話をつけていくけれども、恒久の問題としてはこの問題に恒久的な機関でもつくってやっていく必要があるんじゃないかという発言がきょう閣議でもあったわけでございまして、国といたしましても、それらの点につきましては、やはり協力していかなければならぬ、かように存じておる次第でございます。
  39. 阪上安太郎

    阪上委員 そういうことでありますならば、巷間いわれておりますような、あるいは政府筋の一部で言われておるような、何か地方自治体を否定するような考え方、そういったものは全然ないことはこれは明らかであります。またそんなことがあってよいものでは断じてないのであります。しかし、ああいった池田さんの発言とか、河野さんの発言等を聞いておりますと、いかにも都は無能であって、もう何もやる能力を持っていないのだというような言い方できめつけられてしまうということは、非常に危険なものの考え方であるということだけはこの際申しておきたいと思いますが、幸い担当大臣の方々はそういう考え方を持っておられぬようでありますので、非常に安心したわけでございますが、どうぞひとつそういうことでやっていっていただきたいと思います。  つきましては、いま発言がありましたような水の管理あるいは水の施策、計画立案というようなものについて、つとに諸外国では、たとえばニューヨークとかロンドンとかあるいはモスクワであるとかでは、それぞれ委員会をつくって、民間からもこれに参画せしめている。こういう形で委員会を常設いたしまして、一切がっさいの管理と経営の責任というものはこれが持っているというような、いわゆる公営企業の広域行政的な性格まで付与した形でこういつた企業を行なっておるということでありまして、それはきのうきょうに始まったものではなくして、これらの三都市ではかなり長年月こういう機構でやっている、こういうことであります。  この場合、いま吉武さんがおっしゃいましたようなそういうものを政府は真剣に考えていく、あるいは東京都とよく相談なさる、首都圏整備委員というのがおるのでありますから。しかし、どうもそれだけではいままでのところたいした効力を発揮していない。また東京都においても、この重要な企業を、いかにも公営企業法の適用を受けた範囲内における考え方で依然としてこれを持続していこうという考え方でおられるようであります。そうして水道局というものを設置して、水道局に一切がっさいまかせっきりというような関係になっておる。最近になってようやく事の重大性を考えられまして、財政的に一般会計からの繰り入れを三十四億円でございますか、なさったというのが初めてでございます。依然として、水道局に一切がっさいの責任を預けているというような形をとっておられるようでありますけれども、こういった点も改めていただかなければならぬ点じゃないかと考えるわけであります。  そこで東京都あるいは政府あたりでそういった特別の委員会をこの際設置してやっていこうという考え方をお持ちでございましたら、もう少し明確に考え方を言っていただきたい、かように思うわけです。
  40. 神田博

    ○神田国務大臣 東京都の水不足に対して、将来恒久的な考え方一つとして、諸外国で運用されているような委員制度をつくってやったらどうか、そういう考え方を持っているかというふうにお聞きいたしたわけでございますが、ただいまのところ、政府はそういう具体的な意向は持っておりません。しかし、ただいま東京都の首都圏整備委員会というようなもので、いろいろ東京都でどうあるべきかというようなことを検討されておりますが、水の問題は、むしろ首都圏以外から取水しなければ、とうてい間に合わないという現実の姿でございます。そこで水利権の問題等が非常に大きな問題になってまいっております。そういう抜本的な解決に何らかの方法を講ずる要があるということになりますれば、当然考えなければなりませんが、現時点においてはまだそこまで考えておりません。
  41. 阪上安太郎

    阪上委員 東京都にお伺いいたしますけれども、ただいま政府からは、そういう特別委員会を直ちにつくって具体的にどうするかという考え方はいまのところ固まっていない、こういうお話でございます。東京都は、先ほども言いましたように、水道局にまかせっきりで、一室七部でございますか、六千六百人の人を使ってやっておられる。形は大きいのでありますけれども、ああいった公営企業体の形でもって将来とも水道事業をおやりになる考え方でありますか。この点について何かもう少し新しい能率のあがる方向というものをお考えになっておるか、これもちょっと伺っておきたいと思います。
  42. 鈴木俊一

    鈴木参考人 私どもの水道企業の問題でございますが、これの将来対策については、水道局に何かまかせきりではないか、そういうような行き方でいままで来たのではないか、組織についてもさらに何か考える点はないかというお尋ねでございますが、私どもといたしましては、この湯水対策の問題が起こりましたのは、昭和三十七年以来でございます。昭和三十七年以来制限給水が、若干緩和されたり強化されたりいたしておりますが、ずっと引き続いておるのでございます。したがいまして、との渇水対策につきましては、特に渇水対策本部というのを東京都に設けまして、これは知事が本部長、私どももこれに関係をいたしておりまして、都内の関係各局長がすべてこれに加わって、いわば一種の非常災害対策と同じような態勢でこの処理に当たっておるのでございます。これはいわば現在の地方公営企業法のワクの中には、さような形のものはないわけでございますが、やはりこれは都全体の基本的な態勢の問題としてこれに取り組むような考え方でおるわけでございます。  さらに進んで、将来の水資源の確保並びに将来の水道拡張の工事等につきましては、かつて水源調査会あるいは水源対策委員会のような形のものを設けてこれに当たったようなことがございますが、今日、実は最も緊急を要する昭和四十五年までの計画は、私どもといたしましては、これは全部でき上がっておるのでございます。都に長期計価がございまして、この長期計画におきまして対策を立てておるわけでございます。そのうちのいま問題になっております利根川から四十万トン取水をいたす問題は、来年度からでございます。荒川緊急取水をその前にやろうということでございますが、これはいずれにいたしましても、利根川の水を第一次において百二十万トン東京の水にもらう、こういう計画でございまして、この計画が、御案内のとおり、いま進んでおるわけでございます。これが完成いたしますのは、おおむね昭和四十三年ということでございます。次の第二次の利根川系の計画は、百五十四万トンでありまして、これは三多摩に必要な分も含めまして、この関係は、本年の二月に、経済企画庁におきまして、水資源審議会の決定を得まして、すでに総理府の告示で告示をされておるわけでございます。この百五十四万トンの水を、具体的な権利として確保するということを、私どもは、百二十万トンの第一次の利根川の水に続いて、ぜひすみやかに現実化さしてもらいたい、こういう考え方でおるわけでございます。これの貯留の施設として、河口ぜきあるいは渡良瀬川の神戸ダムというようなことが話題にのぼっておるわけでございますが、これはいずれも政府において御決定を願い、工事はおそらく水資源公団工事ということになるわけだろうと思うのでございまして、それは私どもとしては、今日の段階ではすみやかに実現に持っていってもらいたいというふうに思っておるわけでございます。  それ以上の将来対策の問題としましては、先ほどもいろいろお話がございましたが、一番端的な問題としましては、富士川の利用その他もございますけれども、やはり山梨県の笛吹川及び長野県の千曲川、この二つの河川を合わせまして水を小河内に入れる、こういう計画が最も手っとり早い有効な措置であろうというふうに私どもは考えまして、これにつきましては、実は、電源開発株式会社とも十分連絡をいたしまして、できることならば、この問題をすみやかに現実化していただきたいということを政府にはお願いをしておるわけでございます。今後も強くこの点をお願いをしてまいりたいと思っておるわけでございます。  なお、暫定的な問題と申しますか、一つの基本的な問題としては、先ほど来、いろいろ水利権の問題がございましたが、水利権の問題は最も基本的な問題と私はどもは考えておりますが、水利権の問題をそのままにいたしましても、非かんがい期のいわゆる余裕水というものは、十分に有効に活用できる方法があると思うわけでございまして、その点を先ほど河野国務大臣も言われましたごとく、隅田川の浄化用水の予定でつくりました導水路、毎秒五十トンの上部利根川の導水路並びに四十トンの下部の荒川連絡水路、これらを有効に活用いたしますならば、利根川の余剰水が相当有効に活用できると思いますので、この点については、私どもは、できれば権利化していただきたいと思いますが、権利がありませんでも、余っているときの水を分譲していただきたい、こういうような気持ちを持っておるわけでございます。  これらの問題につきましては、詳細のいろいろの調査の問題がございます。たとえば千曲川、笛吹川の問題につきましては、なお調査の要があろうかと思いまするし、あるいは河口ぜき等につきましても、もちろん調査の要があろうかと思いますが、これはいずれも都だけの問題ではございませんので、先ほどお話のような点についての何らかの機関をお設けになるということでございますならば、やはり政府の手において具体的な問題は処理のできるような形をお考えいただきたいというのが、私どもの大体の考え方でございます。  公営企業の体制として、いまの水道局の局あるいは一室七部というような仕組みでいいかどうか、この点につきましては、やはり地方公営企業法の基本体制の問題でありますから、私どもは、交通事業などにつきましても若干の意見がございますが、お話しのような検討を要する点が残っておるものと私ども考えております。
  43. 田川誠一

    田川委員長代理 阪上君、時間がだいぶ経過しましたし、あとまだ数名質問者がありますから、ひとつなるべく早くお願いいたします。
  44. 阪上安太郎

    阪上委員 それじゃ、できるだけ早く結論を出しますが、いま東京都からああいうお話が出ております。当面東京都としても、別段、そういった委員会等を設けてやるという考え方は固まっていない、こういうことであります。ただ、ここで自治大臣に伺っておきたいのは、地方公営企業を一体今後どうするかという問題であります。もう吉武さん御案内のように、最近の地方公営企業、ことに交通事業であるとか、病院事業であるとか、水道事業であるとかいうようなものは、これは赤字が累年累積いたしておるのでございまして、最近とみに水道会計が赤字に入ってきている、こういう問題でございまして、これはたいへんな問題だと思います。東京都もたいへんでありますが、これは同時に、全国的にたいへんな問題だと思います。地方公営企業体という形で今後進めていくということになりますと、また東京都の二の舞を演じてくるのじゃないかと思います。東京都からのいろいろな要望もわれわれは承っておりますが、その中に、一つは、やはりいま副知事が申されたような、水利権の調整の問題は、ひとつ積極的に政府が乗り出してくれという希望が非常に強い。いま一つは、やはり公営企業の体制の問題なんであります。いままでの状態を調べてみますと、これはもう、公営企業でありますから、全く料金収入によって一切がっさいまかなっておる、こういうことであります。そうして、準公営企業でございませんので、補助金も何もついていない、こういうような形になっている。したがって、これは将来やはり料金問題ともぶつかっていく。料金はやたらに上げるわけにいかないというような問題から、そこに収入減の問題が出てきておる。しかも最近の公営企業というものは、特に大都市におきましては、非常な広域性を帯びてきておる、こういうことであります。バスに乗る人を見ても、四割近いものが他府県から来た人が乗っておる。それを火京都の財政でもってまかなっていかなければならない。料金値上げストップ等によって出た問題につきましても、これは東京都がまかなっていかなければならぬという形になっている。水だって同じでありまして、やはり東京都の都民だけがこの水を使っているのじゃないことは、もう明らかであります。非常に広域性を帯びてきておる。しかしそこから出てくる赤字の補てんは東京都がやらなければならない、こういう形になってきておるわけなんであります。こういった広域行政の姿を考えていくという場合に、はたして現在の地方公営企業というような、企業法に基づく公営企業という形でもってやっていくことがいいのかどうかという問題だと思うのであります。そして、現在の地方公営企業の形でやっていくということは何かというと、これは独立採算ということなんでございます。ここに私は非常に大きな問題がある。  そこで、私伺いたいのは、やはり新しい地方公営企業体というものを考える必要がある段階にきているのじゃないかと思います。建設から経営から、一切がっさいを料金でまかなえというところに問題がある。東京部民の税金で一切まかなっていけというかっこうにもなりかねないのであります。そういうわけでありますから、新しい公営企業体というものの考え方を出してくる段階にきておると思うのでありますが、そういう考え方をお持ちかどうかということなんであります。  時間の関係もありますので、私の聞きたいところを一まとめにして伺ってみると、一体地方公営企業というのは何だということなんであります。これは憲法上からあるいは地方自治法のたてまえからいっても、一体どういう部数に属するか、これは地方公共団体ですか公共団体でないのか、この点、まずお答え願いたい。
  45. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 お答えを申し上げますが、現在事実公営企業につきましては問題がございます。ほとんど赤字になっておりまして、全国でいまのところは約四百億ぐらいの赤字が出ております。したがいまして、この問題をさっそく取り上げて検討しなければならぬということで、先日来公営企業調査会というものを設けまして、専門家に委嘱してこれを検討していただいております。私もその原因を一応いろいろ検討をしておるのでありますが、一つはバスにいたしましても昨年未来料金をストップされておりますので、その減収というものが相当大きな原因でございます。しかしながら、もう一つはやはり合理化すべきものがあるのじゃないか、かような点も私は考えておるわけでございます。これらの点につきましては熱心にいま公営企業調査会で検討されておりますので、その御意見を尊重して取り組んでいきたいと私は思います。公営企業はいわゆる公共性の強いものでありますから私はやはり公共団体、自治体がやられるのがいいと思うのでありますけれども、それではバスはどうかといいますと、パスはやはり民労でやっておるわけであります。したがいまして、独立採算でやれば私はやり得る問題じゃないか。それが民間ではやれるけれども自治体がやったらやれないというところに何かやはり考えなければならぬものがあるのじゃないか。これらはおそらく調査会で検討される問題だと私は考えております。  で、水道料金になりますとややちょっと趣を異にするものがあるのじゃないかと私は思うのでありますが、しかしこれにつきましても一応は独立採算というものをたてまえにしていくべきだと私は思います。それでないと、いまお話のように、使う者はよそから来た者も同じに使って、そのしりぬぐいを都だけがやるという性質のものではございませんから、やはり公営企業は全体的には私は独立採算をたてまえにすべきだと思いますが、何ぶん水は一般の人全部が使う問題でありますので、先ほど河野国務大臣も申されましたように、この料金の問題につきましては私は慎重に考えていくべきものではないか、かように存じておるわけでございます。
  46. 阪上安太郎

    阪上委員 釈迦に説法かもしれませんが、いまどき家庭用の水道料金を取っている国などというものは非常に少ないのであります。わが国では、自治省の指導よろしきを得たか悪しきを得たか知りませんが、いかにも水道などというものについても、当然料金でもってまかなうべきものだという誤った考え方を持っておる。いまどきたとえばカナダのトロントやウイニペッグ等の市を回ってみて、あるいは社会保障は一応卒業したといわれております北欧三国等を回ってみまして、これらの都市は家庭用水道料金などは全部無料でやっておる。それほど公共性の高いのが水道事業だと私は思う。これを公営企業法のワク内に入れて、そして独算制でもってやっていけなどという考え方自体が、非常に公共性を無視したところの考え方だと思う。いまどき私がここで家庭用水道料金をただにせよなどといったら、世間はびっくりするかもしれない。しかし、諸外国ではそんなものはびっくりしない。あたりまえのことだと思っている。それほど消費者保護政策というものが突き進んでおるわけであります。にもかかわらず、わが国では依然として独算制でなければいかぬ、こういうような考え方を持っておるところに現在の公営企業の赤字の原因もあり、そしていろいろな水対策等の施設のおくれていく原因も出てくるのじゃないか、こういうふうに私は思うわけであります。  そこで、この地方公営企業というものが公共団体であるかどうかという問題でありますが、これはいろいろ学者にも意見があると思いますけれども、大きな意味においてはやはり公共団体であるべきだ、それでなければおかしいです。また、いま言われたように民間でやって成り立つものがなぜ公共企業で成り立たぬかという考え方、これ自体の中にも問題点があると私は思います。またこの起債の状態等を見ましても、これは企業債でもって一切がっさい水道はまかなっておるわけなんであります。これなんかも、昭和二十七年、公営企業法の適用を東京都の水道事業が受けた。それ以後はかなり東京都の要求額というものは満たされておるように私は思うのでありますけれども、問題はそれ以前のものが全然満たされていない。戦争中、戦争直後のものはしかたがないにしましても、その間かなり放置されておったことも事実だと思うのであります。こういったところに今日の東京都の取水施設あるいは取水計画等がおくれておる大きな原因があると私は思うのでありまして、これなどは東京都の責任ということよりもむしろ私は国の責任ではないか、かように思うわけなんであります。  そこで、これはここで議論してもしかたがありません。いずれまた自治省のほうでも考えていただきたいと思うし、厚生省のほうでも考えていただきたいと思いますが、地方公営企業というものに対してもう少し積極的なものの考え方を持っていただきたいということなんであります。地方公共団体だと言っても差しつかえないと思う。普通地方公共団体でないことば明らかでありますが、あるいは法律に定められておる特別地方公共団体としては現存そのワク内に入っていないことは事実でありますけれども、特別地方公共団体として扱ったって何ら差しつかえのない程度の公共性の強いものであるということを考えていただきたい。したがって、いま調査会で調査をいたしておりますが、その結論は十一月ごろに出るでありましょう。それを待ってと言われますけれども、そのことは私は正しいと思います。十分意見を尊重してもらわなければなりませんが、しかし、在来の調査会等の行き方を見ておりますと、どうも突き進んだ考え方というものは出てこないで、何か市来のあり方を多少いじくってみるというような程度で、抜本的な改正とか改革というものがなかなか出てこないのであります。今回の調査会につきましても、はたしてそこまで思い切った策が出てくるかどうか、私は非常に疑問に思っております。したがって、政府筋におかれては、今度は地方公営企業、これは東京都の水問題と関連いたしまして、少し抜本的な思い切った考え方にぜひとも立っていただくことが必要だと思います。この点につきましては要望いたしておきます。  そこで、東京都の水道料金の料金方式でありますけれども、先ほど河野さんからちょっとお話がありましたが、何か種類別に料金というものはきまっておるということでありますが、今後これについて何か新しい方途というものをお考えでありましょうか。要は一般の水道料金と、それから大口使用者が使いますところの水道料金というものの間に、大きな差がある。そしてそのことにより、直ちに大口消費者が無用な水を浪費するという傾向がある。諸外国においてはそういったものを加味した水道料金制度を考えておるということでありますが、東京都の場合、今回でも調査して地元を歩いていろいろと意見を伺ってみますと、日曜日には水は出るのです、こういうようなところがあるわけです。ところが平日は出ないのだ、私のほうは断水の時間になっておっても、日曜日には水は出ますというようなところが間々出てきておるわけであります。これらを伺ってみますと、大体大口消費者が日曜日には使わないところにそういう現象が起こっておる、こういうことなんでありますが、この水道料金の問題は一体どういうようにお考えになっておりますか。
  47. 鈴木俊一

    鈴木参考人 水道料金の問題につきましては、東京都といたしましては、料金制度調査会という、民間の人も入りました調査会をつくりまして、ここでいろいろ専門的に検討をいたしてもらいました結果、一つの案を持っております。これはいまお話がございましたように、用途別によって料金を定めるという行き方よりも、やはりむしろコスト主義と申しますか、これをやはり相当強く考えまして、その場合一般家庭の基本料金と申しますか、これにつきましてはむしろ相当押えてまいり、その他のものにつきまして、コスト主義によって料金を定めていく、ごく簡単に申し上げますと、さような形の原則に切りかえるのが適当である、現在のように用途別に区分するということは必ずしもその間に公平を期しがたいと、こういうようなところからさような寺中を得ておるのでございます。私ども、まだ水道料金を上げるということを決定はいたしておりません。今後の検討にまつ問題でございますが、将来さような時期がまいりましたときにおきましては、いま申し上げましたような答申の考え方を十分取り入れて考えてまいりたいと思っている次第でございます。
  48. 阪上安太郎

    阪上委員 まあ各国でもそういった方向にみな転じているようでありますので、大口使用者がこの貴重な水を浪費しないような料金制度というものをひとつ考えていただきたい、かように思います。  建設省にお伺いいたしますが、工業用水道建設、これにつきましては昭和三十一年度にはその補助金はわずかに一億八千円万程度であった。これが累年増加してまいりまして、昭和三十九年、本年度におきましては七十億二千万円という大きな補助金がついておる。起債の額にいたしましても、三十一年には十三億程度のものでありましたが、三十九年には三百億、こういうことになっております。工業用水道の建設につきましては、これはもう至れり尽くせりの道が講じられておるわけなんであります。しかるに、上水道事業につきましては、御案内のとおりであります。先ほど言いましたように、この上水道事業というものは非常に重要な施策でありまして、場合によっては他の公共事業である港湾であるとか道路であるとかいうものより先行しなければならぬ事業でありますにもかかわらず、そういったものには一片の補助の方途もない。そして同じ公営企業でありながら、工業用水道につきましては、これはいま言ったような手厚い加護を受けておる。私はこういうところにやはり問題があると思うのであります。自治省あたりの考え方はどうでありましょうか、建設大臣の考え方はどうでありましょうか、これを伺っておきたいと思います。  要は、皆さん、みな水道に関係のある方々ばかりでありますが、皆さんの力でやはり水道事業などというものはこの際思い切って補助金をつけるという考え方をお持ちであるかどうかということなんであります。工業用水道の補助をやめろと私は言いません。あるいは料金をもっと高くするという問題は出てくると思います。けれども工業用水道については、料金は法律によってできるだけ安く押えろと、こういう、補助はぶっつけてやると、こういう、そして上水道事業については全く逆の方向をたどっておる、こういう点であります。ひとつそれぞれお答え願いたいと思います。
  49. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 お話のように、水の問題は一般大衆にとっての欠くべからざる問題でございまするので、一番公共性の強いものだと思います。したがいまして、それにつきましてはただ独立採算制といいますか、料金だけでまかなうというものではなかろうと私も思っております。工業用水は別の観点から補助が出ておるようでありまして、そのほうは私、所管をしておりませんからわかりませんけれども、水道につきましては確かに国もこれに対する援助をすべきだと思います。  先ほど御要望としておっしゃいましたけれども、いわゆる公営企業としての財源等につきまして、かりに起債にいたしましても、東京都の起債につきましては、計画があればそのまま認めておりまするけれども、普通のいわゆる公営企業債の利子または期間ということではなかなかこれを解決するわけにはいかないと思います。おそらく調査会におきましても、この問題に触れた答申というものが出るだろうと私は思っておりますが、私どもといたしましても、ただその出るのを待つというわけではなくて、公営企業債というものをもっと資金も増し、そして低利に、しかも長期にわたって償還のできるような処置が必要だ、かような考えを持っておる次第でございます。
  50. 阪上安太郎

    阪上委員 補助金はどうですか。
  51. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 補助金の点は別にいままで考えておりませんでしたが、新しい問題として考えてみたいと思っております。
  52. 阪上安太郎

    阪上委員 工業用水道につきましては、地盤沈下対策関係もあるでしょう。したがってこのような措置がとられていると思います。それにしても、料金等につきましては、相当審議会等の意見を聞いてそこでもって頭を押えておる。これをやっている企業体というものはたまったものじゃないと私は思うのです。東京都はこれをやっておりますが……。それから同時に、先ほども言いましたように補助金がウナギ登りに非常に大きく伸びております。これはおそらく工業の進出に伴うところのものであろうと思う。同時に、しかし起債の額等見ましても、十三億から三百億に工業刑水道の場合はなっておる。およそ三十倍に近いものになっておる。ところが上水道の建設起債額というものは、昭和三十一年度におきましては百五十八億、それがこの三十九年度には七百五十億という程度にとどまっておるということ、これは厚生省は一体どういうふうに考えておられるのですか。こんな程度でもってやっていっていいのですか。この点について厚生省からひとつ伺いたい。
  53. 神田博

    ○神田国務大臣 水道に補助をやったらどうかということでございますが、現在簡易水道、給水人口五千人以下のものには四分の一程度の国庫補助をやっております。それをこえた場合の水道につきましては、単独でいくようにと、たしか昭和二十六、七年ごろまでは補助があったのでございますが、補助があったためにむしろ公営企業が伸びなかった、要するに補助金の予算が伸びなかったために、水道の要望があったが、そのためにむしろ水道の施設がおくれた、こういうようなことで補助が廃止になったように私承知いたしております。いまお述べになりましたように、現在の水道の拡張の意欲と申しましょうか、これは非常に高いのでございます。また諸外国におくれておることも事実であります。そこで厚生省といたしましては、水道の施設を重々奨励いたしておりますが、起債総額の関係とかいろいろの関係で、そこまで行き悩んでおることを遺憾に思っております。今後なお関係省と協議いたしまして、ひとつできるだけ伸ばしていきたい。四カ年計画もございますので、なお再検討を加えて伸ばしていきたい、こういう所存でございます。
  54. 阪上安太郎

    阪上委員 大体これで終わりますが、最後に企画庁関係にお伺いいたします。  この間も実は玉川浄水場の付近の多摩川を見たのであります。また、それから先へ上流にさかのぼって野川等も実は見てきたのでございますが、非常に水質が汚濁しておりまして、玉川浄水場のごときは、活性炭を使っておる関係もございましょうけれども、これはもう全く浄水場のていをなしていない。あれはもう下水処理場だといっても差しつかえないくらいであります。ひどい状態であります。私はその点専門家ではありませんから、あるいは殺菌その他において万全の策を講ぜられていると思いますが、何か聞くところによると、水も非常にまずい水になっておるということも承っております。一体ああいうふうな野放しで、全く上流は下水道も何も完備していない、こういう状態のままで放置してある。そこへもってきて内陸工業が立地いたしまして、そしてもう、あのあわの立つ洗剤等はふんだんに使っておる。それが多摩川に流れこんで、かき回すとあぶくが立つというような状態、実に見られたものではございません。そこで、早く法に基づく水質基準といいますか、これをきめる必要がある。それから水系を指定する必要がある。これは隅田川にはその措置はとられたようでありますけれども、全国的に見ても、また東京の場合、多摩川等におきましても、まだその措置がとられていない。こんなものは早くおやりにならぬと、私はいけないのではないかと思うのであります。この点について、企画庁はいまどういう態勢におられるか、ちょっと伺いたい。
  55. 高橋衛

    ○高橋(衛)国務大臣 お答えいたします。隅田川につきましては先月末に水質審議会の答申を得まして、その答申に基づきまして水質基準を近々のうちに政府で決定いたしたい、かように考えております。ところで、この水質基準をきめます前に相当いろいろな調査を必要といたしますので、いままでの経過では、まだ直ちに多摩川についての水質基準をきめられる段階ではございませんが、御指摘のような点がございますし、ことに多摩川につきましてはこれが直接に上水道の水に使われておるという事情もございますので、できるだけ緊急にこの水質基準をきめる方向に進めたい、かように考えておる次第でございます。
  56. 阪上安太郎

    阪上委員 東京方面からも伺っておりますが、そういったものがきまりませんと、やはり条例もつくれないし取り締まりもできないというような点もあるそうでありますから、これはもうおそいのではないかと私は思うのです。もっと速急におきめいただく必要がある。それから補償の問題等も出てくると思います。非常にやっかいな問題だということは私も承知しておりますが、しかし万難を排してこの問題は早く御決定願うことが必要だと思うわけであります。  他にまだ多くの質問者があるようでありますので、私の質問は一応この辺で切りたいと思いますが、最後に私お願いしておきたいのは、こういった非常な水不足の段階におきまして、はなはだ私遺憾に思いますのは、国は都の責任であると言うし、都はまたその責任を持っていくところがないものですから、気象のせいか何かにしてしまっている。そうしてなすり合いをやっているようなことでは、東京都民の要求にはこたえることができないのではないかと私は思います。同時に、先ほどから明らかにいたしましたように、この東京都の水飢饉対策というものにつきましては、やはり地方自治体のワク内でもって最大限国が援助してやらぬとどうにもならない問題であるということを、ひとつ政府におかれましてもよく御了承賜わりまして、可及的にあらゆる援助の手を差しのべて、この問題を解決していただき、東京都民の現在の不安と将来の不安をできるだけ早く解消するように御努力願いたい、このことを要求いたしまして私の質問を終わります。
  57. 田川誠一

    田川委員長代理 華山親義君。
  58. 華山親義

    ○華山委員 前に公営企業のことにつきまして、東京都の状況をお聞きいたしましたときに、こういうふうな事態が生ずるという印象は私は受けませんでした。どういうわけでこういうふうな状態が生じたのか、六月以降水のふえ方が少なかったからだ、こういうふうに結論的になるわけでございますけれども東京都民の生活が天候によって左右されるというふうなことは、私は非常に遺憾なことだと思うのでございます。政府におきまして万全の措置を講じていただきたいのでございます。  またその際にお伺いしたときに、飲料水、これは人道上の問題でございますが、飲料水以外のいろいろの事業場の水、そういうものとはどういう関係になっておるかということをお聞きしたところが、半々である、その伸び率も大体同じ程度に伸びているというお話をお聞きいたしました。あまり耳にいたしませんが、現在中小企業、特に工業、そういう方面におきまして相当の上水道の水を使っておると思いますが、これらの中小企業は困っておりませんかどうですか、お聞きいたしたいと思います。
  59. 鈴木俊一

    鈴木参考人 東京の水の制限でございますが、これは現存の第四次制限、すなわち四五%を多摩川貯水池系において制限をいたし、また多摩川の下流のほうでは午前五時間、午後五時間という、十時間給水のところと、一日五時間ずつ、甲地区、乙地区に分けてこれを給水しておるという制限をしておるわけでございますが、この制限は特定の大口のもの、たとえばプールでございますとか、その他特殊な比較的用途が直接的でないというものにつきましてはこれをみな押えておるわけでございますが、その他のものにつきましては、いま申しましたような制限を一律に及ぼしておるわけでございます。ただ、たとえば品川の国鉄の車庫、洗浄用のものとか、そういったようないわゆる大口につきましては約七千件ほどございますが、それらのところを係員が回りまして、その節減を特に依頼をしております。なかんずく冷房用等につきましては、厳にこれをやめるようにしてもらうことをやっておりまして、極力実際の飲料水につきましては影響が少ないようにしたい、むしろその方面にできるだけ回るようにしたい、こういう考え方でございます。したがって、中小企業につきましても、特に大口のものにつきましてはいま申しましたような処置を講じておりますが、その他につきましては、特に中小企業だから、この際一般の飲料水と違うからということで押えているようなことはもちろんいたしてないと思います。
  60. 華山親義

    ○華山委員 押えていないことはわかりますけれども、現在家庭の飲料が非常に少なくて困っている、中小企業も同様に困っておらないかどうか、生産等につきまして減っておるようなことがないかどうか、そういう点を承っているのでございますが、お願いいたします。
  61. 鈴木俊一

    鈴木参考人 水の少ない関係で生産が落ちるということは、これはやむを得ない結果だと存じます。したがって、さような傾向になっておるものと考えております。
  62. 華山親義

    ○華山委員 大体系統別にこまかな点について伺いますが、八月二十五日から荒川取水につきまして、二瀬ダムからの放水量がとれますので、四十万トンはとれるということでございます。その点は先ほどの答弁で了承いたしましたが、八月二十五日前には二瀬ダムからの放水を制限するというふうな御答弁もございましたが、建設省に伺いますが、そういう御計画でございますか。
  63. 国宗正義

    国宗説明員 先ほど大臣から御答弁ございましたように、建設省が直轄管理いたしております荒川上流二瀬ダムにつきましては、流入する水量と放出水量をかげんいたしまして、八月二十三日に荒川下流の秋ヶ瀬地点における取水を可能ならしめるように、すなわち四十万トンの水をできるだけ確保いたしますように、八月六日から貯留を始めているところでございます。それにつきましては洪水調節時期に向かいますものでございますので、あらかじめ予備放流をいたしまして、制限水位を確保するのに無害に放流できる水量をもとより確保いたしまして、洪水調節に万全を期しているところでございます。  なお、農業、発電につきましても支障を与えない、農業につきましては必要最小限度の水を確保し、発電につきましては常時出力を落とさないように極力いたしました上で御協力願い、貯留を確保いたしているところでございます。
  64. 華山親義

    ○華山委員 農業用水を確保し、常時発電量を確保する、そういうことによってどのくらいの水が余って貯水されているのでございますか。
  65. 国宗正義

    国宗説明員 水量につきましては、流入と流出によるわけでございますが、ただいま流入量がおおむね五トンでございまして、流出量もおおむね五トンを確保いたしておりまして、ただいまのところ発電、農業用水に特別の支障を与えず貯留ができる見込みでございます。
  66. 華山親義

    ○華山委員 ちょっとお聞きするのが悪かったかもしれませんが、流人量と流出量の差が貯留されるわけでございますね。その計算はどういうことでございますか。
  67. 国宗正義

    国宗説明員 荒川木川にございます二瀬ダムで貯留をいたしますが、下流には玉淀発電所という大きい県営の発電所がございます。さらに流入する支川もございますので、それらを合わせて勘案いたしまして、さらに玉淀の下流に六堰と申します大きい農業用水取り入れ口がございます。それら入ってまいります水の量と出てまいります水の量を勘案いたしまして、荒川水系といたしまして、下流において昨日現在では自然流量約五トンを持っておりますが、二十五日に水を間に合わすためには二十三日に放流を開始しなければ秋ケ瀬地点には到達いたさないわけでございますので、二十三日を目標にいたしまして、それに上積みいたしまして四十万トンの水を秋ケ瀬地点でとれるように極力努力いたしておるところでございます。
  68. 華山親義

    ○華山委員 どうもお答えが私のお聞きしようとするところにぴったり合いませんが、そうしますと、建設省のお考えでは二十五日から四十万トンはだいじょうぶ出せる、こういう確信を持っておやりになっておりますか。
  69. 国宗正義

    国宗説明員 何しろ緊急非常事態に対処するものでございますから、建設省といたしましては困難な事態が多々ございますが、そして自然現象につきましても、困難な事態がないわけではございませんが、極力目標の水量を確保するように万全の努力をいたしておるところでございます。
  70. 華山親義

    ○華山委員 二瀬ダムにはいまお話のありました東京電力の発電所がございますが、そこには契約がございまして、ある一定量は放水しなければいけないことになっている。その辺の東京電力との関係はいかがになっておりますか。私の調べたところでは最大毎秒七・五トンということになっております。
  71. 国宗正義

    国宗説明員 二瀬にございます東京電力につきましては、最大の取水量である水利権を満足するわけにはまいりませんので、その点の御協力を願った上で、常時出力、すなわち平時において出す出力は確保する流量をただいま確保いたしまして、御協力を願っておるところでございます。
  72. 華山親義

    ○華山委員 御承知のとおり、最大出力、これが現在におきましては普通の年であるならば、あのダムは放出するときでございますから、一番電力の出る時期であります。そういう時期におきまして、そういうふうな制限をするということになります。これは私やむを得ない、しかたのないことだと思いますけれども、そういう面におきまして、法律上東電に対しまして賠償の義務というふうなものは通産省はあるのでございますか、ないのでございますか。
  73. 国宗正義

    国宗説明員 ただいま放流を制限いたしておりますから、さきに申し上げましたように、最大の出力は出ない勘定でございますが、その分は直ちにそのまま二瀬ダムに貯留をされておるわけでございますので、二十三日以後におきましては最大出力は十分確保するのみならず、常時考えられる平年よりは有利な状態に発電が運転される部分もあるわけでございます。しかしながら、何しろ六日から二十三日までに至る間におきましては、最大出力のロスがあるわけでございますので、将来そのあたりどの程度の発電ロスになったかを検討の上、補償の問題は将来の検討にかかると思っております。ただいまとりあえず御協力を願うという態度で進んでおるところでございます。
  74. 華山親義

    ○華山委員 将来の問題でございますからお聞きしなくてもいいと思いますが、その際に、東電に対しまして損害を生じた場合は、これは国家が払うのでございますか、東京都が払うのでございますか。
  75. 国宗正義

    国宗説明員 補償を払うという場合を前提にいたしましてその場合についてお答えいたしますならば、これは河川管理者の指示によって行なったものでございますので、河川管理者がそれを補償する義務はあると考えますが、これはほかならぬ東京都の要請に基づいて行なったものでございますから、東京都をしてかわって補償の解決をしていただく考えでございます。
  76. 華山親義

    ○華山委員 それから農業用水のことに触れましたのでお伺いいたしますが、農業用水につきましては、あそこには中部土地改良区がございまして、中部土地改良区につきましては、技術的に水を流すならば全部土地改良区に流れるのじゃないか、そういうふうな技術的な問題、土地改良区に流さないで、東京都の貯水するような場所に流し込むということが技術上可能でございますか。
  77. 国宗正義

    国宗説明員 御指摘のように六堰にございます中里土地改良区は毎秒約十二トンの権利を持っておりまして、現に十一トン何がしの取水を行なっているところでございますので、将来、二十三日以後、それを二瀬ダム放流を行なった場合におきましては、やはり十一トン何がしの取水水量でがまん願うようにその際御協力を願うことに相なるかと思います。
  78. 華山親義

    ○華山委員 その際がまん願うようにお願いするつもりでありますという御答弁でございますが、その辺の決定はまだいたしておらないのでございますね。
  79. 国宗正義

    国宗説明員 ただいま申し上げましたように、いまの流況におきまして農業用水は十一トン取水し、放流による分は元来の自流ではなくて、東京の上水の目的をもって流すものでございますから、その分が無事無害に下流に到達するように御協力お願いしなければならないと思っております。
  80. 華山親義

    ○華山委員 先ほどの質問の御答弁の中に、現在は出穂期じゃないから用水にはあまり水をやらなくてもいいので貯留ができるというふうな御答弁がどなたかからあったと思いますが、私の考え方では現在一番出穂期のようにも見受けられますが、その点出穂期は二十五日以後でありますか、穂ばらみ期はそういうことになっておりますか、お伺いしたい。
  81. 鈴木俊一

    鈴木参考人 穂ばらみ期と申しますか、その時期の水かけ水といいますか、これが必要であることは御指摘のとおりでございます。ただ、いま河川局の次長からるる御説明がございましたように、農業用水として必要なものはこれはあくまでも確保するということがいまの二瀬ダム放流についての一つの条件になっておるわけでございまして、そういう点は心配がないようにして、なおかつ四十万トンの取水を確保していただけるように二瀬ダム放流について特段の配慮をしていただく、こういうことでございまして、私どもはこれに全幅の信頼を置いておる次第でございます。
  82. 華山親義

    ○華山委員 一々数字をお聞きいたしておりますと時間が長くなりますので、その点につきまして流水量が幾らか、どういうふうに農業に回すのか、どれだけのものが貯留になっているのか、そういう点を御計算済みだと思いますが、私に資料を出していただきたい、よろしゅうございますか。
  83. 国宗正義

    国宗説明員 承知いたしました。
  84. 華山親義

    ○華山委員 よくわかりませんでしたけれども、利根川から水が取れるというのは、大臣は来年度から取れるというふうにお答えになっておる。私の知っているところでは、本格的に、とにかく初歩的であっても本格的に水が取れるのは、四十三年度からであるというふうに聞いておりますが、来年度取れるというのはどういう性質のものでございますか。四十三年度でなければダムはできないはずでございますが、どういうことでございましょうか。
  85. 高橋衛

    ○高橋(衛)国務大臣 水資源開発公団でただいま利根川の開発の基本計画に基づきまして、上流においては矢木沢ダム、それから下久保ダム並びに利根川から荒川に至るところの導水路工事をやっておる次第であります。利根川から荒川に対する導水路は、当初の計画は今年度一ぱい、すなわち四十年の三月までという工期になっておりましたが、できるだけ余剰水を利用するという趣旨をもって工期を繰り上げていただきまして、来年の二月に何とか完成するという計画に変更いたしまして、ただいま工事をやっていただいておる次第でございます。それで矢木沢ダムは四十一年度一ぱいたしかかかるかと存じます。それから下久保ダムは四十二年度一ぱいかかりまして、お話しのとおりそれらの水が十分に利用されるのは四十三年度以降になろうかと存じますが、それまでの間においても先ほど河野大臣から御答弁申し上げましたとおり、放水期におけるところの余剰水がございます。そういうふうな余剰水を利用いたしまして、つまり三月の工期を二月に繰り上げると申しましたのは、三月、四月ごろが農業用水としてそう必要ではない時期に当たる、そういうときの余剰水をできるだけひとつ新たに取り入れてやっていきたい、こういう趣旨で申し上げておる次第でございます。
  86. 華山親義

    ○華山委員 それから相模川系のことにつきまして伺いますが、先ほどお話しのありましたとおり、農民の好意によりまして農業川水を減らしまして、そして東京都の水道に協力していく、そういうことに相なっておりますが、私もそういうふうに承知いたしておりますが、これらの農民の犠牲に対しまして国あるいは都というものは、これにつきまして何らかのお礼心といいますか、そういうふうなことはお考えになる性質だと思いますが、どういうふうに相なっておりますか。
  87. 鈴木俊一

    鈴木参考人 相模川の水につきましては、神奈川県御当局の非常な協力によりまして、第一回に四万三千トン、次に八万トンの水をいただいたわけでございます。これは当初五月三十一日までにもらっておりました水の量と同量でございますが、この段階でそれだけの水を東京に割愛することにつきましては、格段努力神奈川県側に要ったわけでございます。これは神奈川県の副知事からの直接の話でございますが、農業団体の方々の協力によってこういうことができたのだ、ただしその水にかわるべき水を神奈川県といたしましてはその他の方法によってこれを得て農業の用水には支障を来たさない、こういうことで東京に割愛をする、こういうことになったように聞いております。したがいましてこの御協力に対しましては私どもは満腔の謝意を持っておる次第でございますけれども、いまの補償というような、そういう形の問題にはならないものというふうに考えております。
  88. 華山親義

    ○華山委員 簡単にお聞きいたしますが、多摩川系のことについてお聞きいたしますけれども、羽村の地点において昨日の流水量は幾らになっておりますか。
  89. 小林重一

    小林参考人 昨日の平均では羽村の取り入れ口で毎秒七・八一立方メートルでございます。
  90. 華山親義

    ○華山委員 この数字が最近の大体常態の数字でございますか。
  91. 小林重一

    小林参考人 この七・八一という数字は最近にしては多い日でございます。大体六・六トン程度が平均でございます。
  92. 華山親義

    ○華山委員 これは全部取水していらっしゃいますか。
  93. 小林重一

    小林参考人 全量取水いたします。取水した量でございます。下流には流れておりません。
  94. 華山親義

    ○華山委員 私の調べましたところによりますと、前からの神奈川県との契約におきまして羽村で取水した部分から毎秒二トンを神奈川県に放流するという約束になっている。これは実行していらっしゃいますか。
  95. 小林重一

    小林参考人 この問題は、水問題が非常に危殆に瀕しましてからは執行しておりません。
  96. 華山親義

    ○華山委員 いつから執行なさいますか。
  97. 扇田彦一

    扇田参考人 羽村せきにおきます二トンの放流は、小河内築造当時の許可条件でございまして、かんがい期五月から九月までにおきまして、二トン放流するという状態でございます。ことしの七月十日ごろから小河内貯水池の貯水量が百万トンになりまして、原則としてそれ以下に貯水量はさせないというたてまえで、流入したと同じ量だけを流出させているわけでございまして、結局七月十日以後におきましては、小河内貯水池はゼロあるいはないと同じ条件になっているわけでございますので、一応放流量を中止いたしておるわけでございます。
  98. 華山親義

    ○華山委員 私の聞いているところでは、小河内ダムができてから一滴も出していないという話ですが、ことしの七月までは出していたのでございますか。
  99. 扇田彦一

    扇田参考人 小河内ダムが完成をいたしましたのが昭和三十二年でございますが、その後、昭和三十三年以後ことしの時点までは、かんがい期におきまして正規の放流をいたしております。
  100. 華山親義

    ○華山委員 それじゃ神奈川県にはいままでは出していたが、七月以降は出していない。これがほんとうなんでございますね。
  101. 扇田彦一

    扇田参考人 さようでございます。
  102. 華山親義

    ○華山委員 なおこの点、私間違えて調べておるかもしれませんが、間違えておりましたら、たいへん申しわけないと思いますが、そうしますと神奈川県からは、出すべきものを出さないのであるから、二トンというものはやはりよけいに協力を得ておる、こういうふうに解釈をすべきものだと思うのでございますけれども、こういう点は賠償問題とか、そういう問題を生じませんか。
  103. 扇田彦一

    扇田参考人 私のほうといたしましては、二トンのかんがい期間における放流というものは、小河内貯水池に貯留されているということが前提でございます。現実に七月十日以後、小河内貯水池は貯水量がないというふうに考えておりますので、許可条件には該当しないというふうに考えております。
  104. 田川誠一

    田川委員長代理 華山さんにちょっと申し上げますが、時間がだいぶ経過しておりまして、あと門司さんが質問しますから、なるべく簡略にお願いします。
  105. 華山親義

    ○華山委員 それはおかしいですよ。契約書にそんなことは書いてないでしょう。水のあるときだけ流すと書いてない。それは水のないときには流せないのですけれども、とにかく入っているのですから、ないから流せないという理屈は、損害賠償をしなくていいという理屈にはならないのじゃないですか。私はお答えをいただかなくてもよろしゅうございますが、現在東京都民が非常に困っている、いまそういう際にこういう問題を、重大な問題と思いますけれども、追求することはやめますけれども、そういう点がきちんとしてないということは、やはり東京都の水道行政というものがきちんとした形で行なわれていないということじゃないか。なおひとつ、小河内ダムができて以降二トンというものを神奈川県に放流しているかどうか、もう一度お調べ願いたい。  それから現在私が羽村に行って調べたところによりますと、毎秒一トンを農業用水に回しております。これは間違いございませんか。
  106. 扇田彦一

    扇田参考人 御質問の点は、おそらく羽村で取りまして、玉川上水に入れております途中におきまして、いわゆる農業用の分水から出ている水かと思うのでございますが、大体〇・八トン程度の水が分水に回っておるわけでございます。
  107. 華山親義

    ○華山委員 伺いますが、この水は私の見たところでは、ある程度の水の量になっている。大体現在におきまして、あの辺は昔と水田の様子が違っている。必ずしも農民に迷惑をかけなくても——これだけの水を流す必要があるかどうか、あるいは水の取り入れ口ポンプ東京都でつくるなり、何らかのことによってもっと水が減らせるのじゃないか、こう思いますが、その辺の御研究はどうなっておりますか。
  108. 扇田彦一

    扇田参考人 ただいまの玉川上水からの分水につきましては、各分水管理者と協定がございまして、羽村流量が幾らの場合には各分水に、——十六分水ございますが、幾らという約束があるわけでございますが、ここのところ久しく渇水でございまして、昔のその約束は当然守られておりませんだけでなく、再三にわたりまして各分水の管理者にお願いをいたしまして、極力詰めていただいておるわけでございまして、現在入っております水量と申しますものは、分水として必要な水量よりもはるかに少なくなっておるわけでございます。
  109. 華山親義

    ○華山委員 私のお聞きするところは、ただ相談ということでなしに、水の取り入れ口におきまして、ポンプを設置するなりそういうふうなことによって、水の高さが低くなっても取れるような方法を講ずれば、この水の流し方は一トンということでなくても間に合うのじゃないか、こういうふうな気持ちがいたしますが、その点御研究になりましたかどうか、ひとつ御答弁を願いたい。
  110. 扇田彦一

    扇田参考人 各分水は農業用水でございますが、その取り入れ口のさくの開閉は水道局管理いたしているわけでございまして、極力相談をいたしました上で必要な最小限度にとどめていただいているわけでございます。  それからもう一つ申し落としましたが、二、三の分水につきまして、一度かんがいをいたしまして、あと使用済みの水をポンプでくみまして、私どものほうの玉川上水路に入れる、あるいはもう一つ導水路に入れるということを特別措置として分水にお願いをいたしまして、還元を利用するということも現在いたしております。
  111. 華山親義

    ○華山委員 その還元放流の量は幾らでございますか。
  112. 扇田彦一

    扇田参考人 ちょっとただいま正確な数字は記憶いたしていないのでございますが、一日量にいたしまして三千トン−五千トン程度かと記憶いたしております。
  113. 華山親義

    ○華山委員 私はこの一万トンの水が流れているのを見てまいりました。もっと農民等の御協力を得て制限をしまして、いま穂ばらみ期ではないのだ、いまは農業用水は要らないのだというお話がありますし、これを制限して、水位が低下したことにつきましては、揚水ポンプで水を他の取り入れ口に入れる、そういうふうなことをしてもいいのではないか。まだあとで申し述べますけれども、非常に古い慣行によるところのものでありますけれども、実際はもう変わっている。かつては何千町歩あったかもしれないけれども、いまはぽつぽつと田が残っているのにすぎない。そういうようなところに従来のようなやり方ではいけないのじゃないか、もっと手近な現在の困窮を切り抜ける道があるのではないか、こういうふうな気がいたしましたので、私が見てまいりましたので、御注意かたがたお願いしているわけでございます。  次に、羽村の下流に平井川、秋川の支流が入っておりますが、その下流で立川ほか二カ村用水——昭和用水とも言っているようでありますが、取水しております。この用水と玉川上水は、ポンプでつながっておるのでございますから、もしこの用水が倹約できれば、これは水道に回すことができるのではないか、私はそういう観察をしてまいりました。水はあります。大体私どもの聞きましたり、はかったところによりますと、毎秒〇・四トン程度のものが出ているようでございますが、この立川ほか二ヵ村用水につきまして、現在どれだけこの用水は取水しておりますか、承りたい。
  114. 扇田彦一

    扇田参考人 立川用水の一ぺん取り入れました水を、拝島地点におきまして水道局で去る昭和十五年の大渇水以来ポンプを設置いたしまして、これは立川用水の御了解を得まして、非かんがい期におきまして約一日十万トン程度の水をあげる許可を得まして、正式に実施しているわけでございますが、特に一昨年以来渇水になりましたために、かんがい期におきましても、水のある限り、これは正式なものではありませんが、用水組合の特別な御好意によりましてあげさせていただいております。ことしにおきましても、本来ならば五月二十日以後はあげられないのでございますが、特別にお願いいたしまして、その御好意で水のある限り取水させていただいております。
  115. 華山親義

    ○華山委員 数字的にはどんなぐあいになっておりますか。
  116. 扇田彦一

    扇田参考人 ポンプの能力といたしましては、一日十万トンでございますが、現実に昨今はそれほどの水位がございませんので、大体二、三万トン程度かと記憶いたしております。
  117. 華山親義

    ○華山委員 そうすると、ここからはもはや東京都に回す余裕はございませんのですか。
  118. 扇田彦一

    扇田参考人 立川用水につきましては、現在のところあるだけの水を一〇〇%利用させていただいておりますので、いまのところ余裕がないというふうに考えております。
  119. 華山親義

    ○華山委員 一〇〇%利用といいますと、ここの用水は全然使っていないということでございますか。
  120. 扇田彦一

    扇田参考人 いや、ことばが不十分でございますが、農業用水に差しつかえない範囲におきまして、利用できるものは利用させていただいておるという意味でございます。
  121. 華山親義

    ○華山委員 いまおっしゃったその農業用水というものを、何らか、科学の時代でございますから、やり方によっては、農業にあまり不便をかけないで、そしてもっと飲料水に回せる方法があるのじゃないか。ただ野原にぱっと水を流しておく、取り入れ口の高さまでにならなければ水は入らない。取り入れ口の下になりましても、これはポンプ等によって揚げることができる。また東京都の農業の生産の技術は私知りませんけれども、最も農業生産技術の高い東北地方におきまして、水の足りないときには一日おきに水をかけることをやっている。そして収穫量は減らない。これを番水と言います。こういうふうな方法をとって、そして農民の方々に協力を求めたらどうか。もしもそのことによって減収をしたならば、これは農民の方々に補償したらいいじゃないか。これから約十日か二十日かの問題でございますけれども、そういうふうなことを自分の地元でやってごらんになったらどうか、こういうふうに考えますが、副知事さんひとつ御答弁を願います。
  122. 鈴木俊一

    鈴木参考人 東京都内の多摩川と関係のございます農業用水について、るる数字をあげてお尋ねでございますが、先ほど来水道局長及び給水部長から御答弁申し上げましたとおりでございまして、私どもといたしましては、全くただいま御発言がございましたような考え方でこれに対処してまいってきておるつもりでございます。しかし、ただいまいろいろお話がございましたので、なおよく私どももさらに利用できる道があれば検討したいと思っておりますが、私どもとしましては、三十七年以来のことでございまして、いろいろ他県の御協力を得るには、都内のさような問題についての処置は当然のことでございまして、私どもはそれに従いまして十分やってきたつもりでおりますけれども、なおよく注意をいたしたいと思います。
  123. 華山親義

    ○華山委員 それから、先ほどもお話がありましたけれども、調布の浄水場は惨たんたる状態です。私はあの近所で水を飲みましたところが妙なにおいがする。それで私が参りましたときに水道の係の方に、においがするのは一体どういうわけだろうかということを聞きましたところが、その人が言うには、この水はもう死んでいるんですよ、生きている水じゃない、たまり水をろ過して消毒しているんですから、これはもううまくないのにきまっておる、こういうことを言うわけです。ごらんになった方が多いだろうと思いますが、どろどろの水です。あの状態東京都民が見たならば、ほんとうに私は、出る水はきれいであってもがっかりするだろうと思う。ほんとうにそう言ってはなんですけれども、ここに東京都政の最もあわれな部分を露呈しているのではないか、私はこう思うのでございます。  それにつきまして伺いますが、その前に、川崎市に対しまして、二ヵ領用水が流れております。私はこの二ヵ領用水の状態を見てまいりましたが、二ヵ領用水にはほとんど一滴の水も流れておりません。どぶ水であります。そういう状態です。これも工業用水農業用水があるわけでございますが、工業用水のほうはちょっと私見られませんでしたが、とにかく農業用水はそういうふうな状態だ。お百姓さんは困っていないんだろうかということを聞きましたところが、もう百姓なんかいませんよ、こういう答弁なんです。一体百姓のいないところに、農民のいないところに、どういうわけでまだこの二ヵ領用水としての水を、いま現在は水がとれませんから流れておりませんが、そのままの状態で流しておられるのか、承りたい。東京都の方から……。
  124. 扇田彦一

    扇田参考人 二ヵ領用水は神奈川県下の用水でございまして、私のほうとしてはよくわからないのでございますが……。
  125. 華山親義

    ○華山委員 二ヵ領用水は、私見てまいりましたが、いま農繁期だといわれますけれども、水は流れておりません。しかも、もうこの辺は、昔は二ヵ領用水として非常に大きな役目を果たしたのであるけれども、いまではもうたんぼをつくる人がないから要らなくなったのだ、こういうふうな状態です。それは、平生は流れているのかと聞きますと、いまは流れておらないけれども平生は流れている、こういうことなのです。私はおかしいと思うのでございますが、こういうふうな水、二ヵ領用水のような水、もう要らなくなったような水、そういう水をどうして雨の降る時期にためておかないのか。調布の浄水場を拡張して、そうして二ヵ領用水のように要らなくなった水があるならば、その水は神奈川県なり二ヵ領用水のほうと相談をしてもう回さないことにして、そうしてそれを浄水をして一番いま困っているところの多摩川の下流地域に流す。その一面、これはまたいま東京都の非常におかしなかっこうだと思うのでございますけれども、各給水地区における連絡がない。ただ細い管によって連絡しているだけだ。こういうふうなことでなしに太い管で連絡できるならば、この多摩川の下流の水——海に流れるところの梅雨時あるいは春の水、そういうものを全部とって、玉川浄水場で浄水して、これを東京都の現在の水系ばかりでなく出せば、それだけの水は小河内なりそういうほうで倹約ができるものじゃないか、こういうふうに私考えますが、この点につきまして何か御研究になったことがございますか。それは大計画を立てるのもけっこうですけれども、金のかからない、自分の足元から見つめていかれるのも私は一つの方法だと思いますので、伺いたいと思います。どなたか適当な方、副知事さんでもよろしゅうございますから……。
  126. 鈴木俊一

    鈴木参考人 各給水系統の相互連絡でございますが、これは御指摘のとおりぜひやらなければならないことでございまして、先ほどすでに、中川・江戸川につきましては、従来の七百ミリの細い管を二千二百ミリの大きな管にして疎通するようにした、現実に多摩川貯水池系のほうに今日では約五十万トン程度の水が流れておるということは申し上げたと思います。  また、多摩川の下流系でございますが、これは、もし貯水池系に水がございますならば下流系のほうに水を送れるのでございます。現に神奈川から先般来四万三千トン及び八万トン、合わせて十二万三千トンの水を補給を受けます前は、約十二、三万トンの水を多摩川貯水池系のほうから回しておったのでございます。したがって、そういう程度連絡はできるわけでございますが、いかんせん、全体の水が少なくなってまいりましたので、長沢貯水池系すなわち相模川の水を、いま申し上げました十二万三千トンその地域に回せるようになったものでございますから・そこで、多摩川のほうからそこに入れますことをストップして貯水池のほうにそれだけためる、こういう万一の場合を顧慮しての措置をいまとっておるわけでございます。ですから、これは全然連絡がないということではございませんで、必要な限度の連絡はできるように現在の施設でもすでになっておるわけでございます。
  127. 田川誠一

    田川委員長代理 華山君、たびたび申し上げますけれども、時間がありませんからひとつ御協力願います。
  128. 華山親義

    ○華山委員 それで、先ほど私が御提案申し上げたように、多摩川の下流におけるところの水、そういうふうな水を、調布の浄水場を拡張することによって、あそこへ水をされいにして出す、そういうふうなことはお考えになりませんか、あの地区は一番困っている地区でございますので、お聞きいたしたい。
  129. 小林重一

    小林参考人 お答え申し上げます。多摩川の水を利用しているのは上流の羽村で取っている区域と、それから羽村から下流の区域と二つに分かれるわけでございます。上流のほうは、羽村でほとんど全部取っていますから、あと下流から出てくる水によって下流はまかなうわけでございます。いま御指摘になりました二カ領用水の取り入れ口の下に、私のほうは砧の上下それから玉川の三浄水場がございまして、これらの計画を合わせますと一日三十五万トン程度取水ができるわけでございます。ところが現在のような状況ではおそらく——二カ領用水も取り入れ口が二つございまして、上河原のほうは多少入っているのじゃないかと思いますが、宿河原の下のほうはほとんど入ってない状態だと思います。したがって、それから下流にあります私のほうの浄水場というものは現在非常に水が不足しておりまして、現在総計いたしまして玉川では計画では十五万トン、夏の多いときには二十万トンくらい取っていた浄水場でございますが、現在大体七万トンから八万トン程度しか取れないわけでございます。それほど水が減っておるわけでございまして、今後玉川浄水場を拡張してというお話でございますけれども、私のほうは浄水場を拡張するというようなことはいまは考えておりませんが、玉川浄水場に水のないことはもうはっきりしておるわけでございます。したがって、これを他の浄水場から回すという、いわゆる浄水した水を配水管で回すという考え方で配水計画を立てておりまして、現在玉川浄水場、いわゆる多摩川の下流系統でございます砧の上下、それから玉川、それに長沢のいわゆる相模川の水は、やはりその同じ区域に入っておるわけでございます。そういうものをひっくるめまして貯水池の系統で大体一日二十五万トン程度のものは現在融通できることに相なっておるわけでございまして、ただいまの玉川浄水場拡張云々というようなことは、現在計画は持っていないわけであります。
  130. 華山親義

    ○華山委員 時間がないそうでございますけれども、私ちょっとふに落ちませんのでもう一度。私が言うのは、いま拡張したらどうかということじゃないのです。とにかくつゆのじぶん、あるいは春雨のじぶん、あのときには多摩川から海に流れる水が、末端においてはあるのでございましょう。上流で取っても、なお玉川の貯水池まできてあふれる水がある。そのあふれる水というものをとめて、そしてその水を調布の浄水場で浄化して、配水して、その配水した結果小河内の水というものが貯水ができるんじゃないか、そういうことを筋としてお聞きして、そういう御計画はないだろうか、あるいは御研究なさる余地はないかということをお聞きしている。
  131. 小林重一

    小林参考人 多摩川下流の水をこれ以上利用する場合には、どこかで流量調節をする施設をつくらなければならぬわけでございます。したがって、あの下流におきまして調節する施設をつくるということが困難でございまして、現在のところはそういう下流の水を使うということは計画にございません。
  132. 華山親義

    ○華山委員 計画にないなんて、そういう計画をしたらどうかということをお聞きしている。私は、困難だと言われるけれども、あの辺のグラウンドとか何かをつぶせば、これは貯水ができるのです。だから私は、それは無理だと思うけれども、そういうことをしなくても浄水場を拡張して、そうしてあそこで水をきれいにして、それを東京全体あるいは近所に流すことによって、小河内の水が倹約できるんじゃないかということを聞いているのです。
  133. 小林重一

    小林参考人 ただいまの御意見、私のほうで御趣旨がわかりましたので、さらに検討してみたいと思います。
  134. 華山親義

    ○華山委員 私は東京都のようなところで、それは重大な構想もいいと思いますけれども、さしあたりこの一、二年というものは一滴の水も海には流さないような考え方でやっていただきたい、そういう意味で御質問するのでございます。  最後に公営企業のことについて、ちょっと大臣にお聞きいたしますが、この前の議会におきまして私は厚生大臣に対しまして、現在水道の耐用年数というものは三十年ないし六十年、政府で貸した金を返すのは十八年とか二十年、そんなことじゃ水道の金が高くなるにきまっている。そういう点につきまして、これを是正されるお考えがないかということをお聞きいたしましたところが、厚生大臣は同感だ、そういうことでぜひやりたい、こういうことを御答弁になり、新聞紙上等でも報道された。その後のいきさつはさっぱりわかりませんが、どういうふうに相なっておりますか。
  135. 神田博

    ○神田国務大臣 ただいまのお尋ね、前の大臣から御返事のあったことも私は承知しております。結局水道施設の耐用年数を何年が一体適正かということが、まず一つ問題だろうと思います。私どものいままでの研究によりますと、相当まだ幅があってよろしい、いまお述べになったような方向にやってよろしいんじゃないか、そういうことによって相当また高利の金も低利に書きかえていくというようなこと、長期償還をやるというようなことによって、水道料金の是正をしたい、こういう考えでおります。目下検討を急いでおります。
  136. 華山親義

    ○華山委員 検討中は、二月のことですから少し長過ぎると思うのですが、大蔵省との間にどんな経緯になっているのですか、承りたい。
  137. 神田博

    ○神田国務大臣 目下まだ調整中でございまして、もうしばらく時日をかしていただきたいと思います。
  138. 華山親義

    ○華山委員 ついでですから、水道のことが出ましたのでいろいろお伺いいたしますが、大臣は御存じだと思いますけれども、水道には税金がかかっているのです。ということは、水道を送るには電力が要る。東京都におきましては、路面電車の電力料よりも水道の電力料のほうが二倍もした。ところがそれには電気税という税金がかかっている。イギリスでは、こんなことを言うのはおかしいですけれども、とにかくゆりかごから墓場まで社会保障ということがいわれるのだが、日本ではうぶ湯からお墓にかける水まで税金がかかっているのです。そういうふうなことをやめて、そうして私は水道のごとき公共料金は減らすべきだ、料金等はまだ低くする余裕があるんじゃないかと思いますが、その点どうお考えになりますか。
  139. 神田博

    ○神田国務大臣 水道料金を無料にしたらどうかという……。
  140. 華山親義

    ○華山委員 いや、そんなことじゃ……。(「使う電気に税金がかかっているからいかぬと言うんだ」と呼ぶ者あり)
  141. 神田博

    ○神田国務大臣 いまの水道施設に電力を相当要する、この電力を相当低減する方法はないか……。(「税金をやめろと言うんだ」と呼ぶ者あり)御趣旨よくひとつ検討いたしたいと思います。
  142. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 お説のように、電気ガス税は公共団体にも同様にかかっております。御趣旨の点はなお検討いたしたいと思います。
  143. 華山親義

    ○華山委員 それじゃ私、これでやめますが、御承知と思いますけれども、大企業につきましてはこれは免税をしているのですよ、電気税は。どこでも電気税は免税しておるというなら私はあまり言わない。大企業につきましては免税している、そうして庶民の水道には税金をかけている。私はそういうところに……。  なお、補助金の問題につきましても、片方の工業用水につきましては、一定の料金をきめる。妥当投資額は幾らかということをきめて、妥当投資額をオーバーした部分につきましては政府がその部分を補助して、あとは地方公共団体に持たせている。そういうやり方をやっている。どういうわけで水道につきましてはそういうやり方がやれないのか。私はこれは政府が、やっぱりわれわれの言うとおり、人の生活の問題よりも大企業を大事にしたい、こういうあらわれじゃないか。片方のほうで料金をきめて、そして妥当投資額をきめる。妥当投資額からオーバーしたものは、国の補助金なり地方公共団体で見ていけというなら、水道料金だって同じことがあっていいじゃないか。この点、私はひとつ自治大臣に御答弁を伺って私の質問をやめます。
  144. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 先ほど申し上げましたように、将来の問題として考えてみたいと思います。
  145. 田川誠一

    田川委員長代理 門司亮君。
  146. 門司亮

    ○門司委員 もうだいぶ人権じゅうりんをしておりますので、できるだけ短い時間にお聞きをしたいと思いますが、最初に聞いておきたいと思いますことは、経企長官もお帰りになりましたので、この分は事務当局に資料だけをあとで出していただきたいと思います。それは御承知のように水資源開発促進法に基づきまして経済企画庁がこれらの調査をするようになっております。したがって、その調査が一体どの辺までできているのか、基礎調査の現状について、これは答弁は要りませんから書類でひとつ出していただきたいと思います。
  147. 田川誠一

    田川委員長代理 経済企画庁、よろしゅうございますね。
  148. 門司亮

    ○門司委員 それからもう一つ経済企画庁に聞いておきたいと思いますことは、したがって、水資源開発公団の事業計画と事業の進捗状態はどの程度に進んでおるか、このことはひとつ御答弁願っておきたいと思います。
  149. 鈴木喜治

    鈴木説明員 お答えします。  おととしに公団が発足したわけでございますが、そのとき引き継いだ以降、利根川水系と淀川水系につきまして着々事業をやっておるわけでございます。利根川水系につきましては、総額で約七百億の事業をやっておりまして、現在矢木沢、下久保、あるいは先ほど来いろいろお話しのありました利根導水路、それに印旛沼等を中心にしまして約半分ほどの事業がいままでの、三十九年度末ででき上る予定でございます。それから淀川水系につきましては一番中心になります琵琶湖につきましては、まだいろいろ問題がございまして、建設省等で調査の段階でございます。したがいまして、現在までに着手し、業務計画に盛られておる公団のやっております事業は、長柄の可動ぜき及び高山ダムでございまして、これは総事業費約七十億、これも大体半分程度が本年末までにいく予定でございます。
  150. 門司亮

    ○門司委員 その計画東京都の水資源に関してどの程度の影響を及ぼしますか。
  151. 鈴木喜治

    鈴木説明員 ただいまの公団でやっております事業のうち、利根川水系が東京都の問題に響くわけでございます。利根川水系の基本計画のほうからお話しいたしますと、昭和四十五年度を目標にいたしまして、新規の水の需要を毎秒百二十トンと想定いたしました。これは東京都、その他の需要の積み上げでございます。四十五年度までに水を新たに供給する計画を毎秒百二十トン、そのうち上水道は約五十トンになっております。このうち問題の東京都の区部の水でございますが、これが毎秒約三十三トン、わかりやすく申し上げますと、日量にしまして二百五十万トン、こうなっております。二百五十万トンの水の需要でございますが、これは先ほど門司委員からちょっとお話しのございましたような一日四百五十リットル、これが四十五年度の目標で、積み上げた数字でございます。それにビル用水等の増加見込みを加えた数字がそうなっております。その二百五十万トンに対しまして、すでに本年度東京都において実施しました中川・江戸川の緊急取水、これが四十万トンすでに入っております。そのほか矢木沢、下久保の水を使う計画が百二十万トンございます。したがいまして百六十万トンは水源の手当ができておる。残余のものにつきまして、九十万トン程度でございますが、これが今後利根川の河口ぜきあるいは神戸ダム等の調査の進捗に応じまして四十五年度までに確保したい、こういう計画でございます。
  152. 門司亮

    ○門司委員 ここでちょっと聞いておきたいのですが、東京都の四十五年度の計画一人当たりの使用量は大体四百五十リットルでいまの計算ができておるわけでございますが、実は東京都の中には非常なやっかいな問題が一つありまして、それは東京都にあとで聞こうと思っておりましたが、ここで計画の中に入っておるかどうかということですが、ここでは工業用水に地下水を五十八万リットル汲み上げております。これは工業用水全体の約四四%に当たる非常に大きな水量です。そうしてこの水量の大きなものが結局地盤沈下を来たす原因になり、その地盤沈下が漏水の原因になるという悪循環をここでしておる。この問題はその計画の中に入っておりませんか。これは東京都からでもどちらからでもよろしいです。
  153. 鈴木喜治

    鈴木説明員 ただいま申し上げました日量にして四十五年度までに二百五十万トン確保するという計算の基礎には、ただいま先生御指摘のビルの地下用水の汲み上げを規制する、水道に置きかえるという計画が毎秒二・七トン、日量にしますと二十万トン強でございますが、その計画が盛り込まれてございます。したがいまして、そういうようなものを含めて四十五年度の想定されます給水人口で割りますと、一人当たり五百リットル近くになる、こういう計算になっております。
  154. 門司亮

    ○門司委員 そうすると、いまの企画庁の考え方は、四十五年になれば一応水の確保はできるというあなたのほうの基礎調査に基づいた計画の施行ですか。
  155. 鈴木喜治

    鈴木説明員 本年度のような状態を考えますと、われわれの基本計画も、率直に申しましてそうえらそうなことは申し上げられませんが、少なくとも本年の二月にこの基本計画を閣議決定いたしまして、それに基づいて四十五年度までの事業をやっておるわけでございますが、その際に東京都ないし厚生省から出された資料を基礎にしてやっておるわけでございます。
  156. 門司亮

    ○門司委員 それでは、その次にお聞きをしたいのは、建設省にお聞きをしたいと思うのでありますが、建設大臣おいでになっていないようでございますが、いろいろさきの同僚委員からの質問その他の中から、河野国務大臣の御答弁等を総合いたしてまいりますと、結局農業用水に使っている水、あるいはその他に使用いたしておる水の調整を、どうしてもしなければならないというように受け取れたのでありますが、その水を調整しようとする場合における一つの問題は、御承知のように特定多目的ダム法というような法律に基づいていま建設省ダムを建設しておるようでございます。その中には、工業用水あるいは飲料水等は条文の中に含まれておりますが、農業用水は書いていないのですね。で、こういう問題を総合的に調整しょうとすれば、いまのような多目的ダムによって、そうしてしかもそれの使用については、地方の自治体の長からいろいろ申し出があって、水利権についてはそれに与えるというようなことをあの法律の中にはずっと書いておるようでありますが、現状から見てまいりますと、先ほどからいろいろなお話もございましたように、調節をしようとすれば、どうしても農業用水はせいぜい一年に四ケ月くらいが大体必要であって、あとの八カ月は田んぼに水は要らないはずである。要るといたしましても、かりに畑かんがいをするといたしましても、そう大きな水は要らないはずである。そうするとその間に、農業用水に使う水をどこかで特別にためて置く必要がありはしないか。農業用水としてのダムをこしらえるか、あるいはそれをそのまま、残りの八カ月分の使わない分を東京貯水池にためておくというような、先ほど河野国務大臣お話のようなことにするか、どちらかにする必要がありはしないか、こう考えられるのですが、一体どちらをおとりになりますか。国務大臣のお話のように、使わない門の水をダムにためておくということになると、これは使う時期が競合をいたしますから、いまと変わらないような状態が出てくる。いまと変わらないような状態を来たそうとすれば、農業用の水を新たにとっておくということにするか、あるいは八カ月の間ためた水を補給していってこれでカバーするか、これはどちらも私は同じだと思うが、しかし、考え方からいえば、どうしてもこの際農業用、かんがい用ダムが必要になるというように解釈というか、そういうことにならざるを得ないような気がするのですが、その点、多目的ダム法との関係はどうなんでしょうか。
  157. 国宗正義

    国宗説明員 かんがい期は、おっしゃるように四カ月ないし多くても約百五十日と考えられますので、それ以外の水は余剰と相なるわけでございますので、その水をためておくためのため池を特別につくるか、あるいはいまお話のように、東京の羽村系には二億トン余りの貯水容量を持つ池を持っておりますので、その池にためるようにし、その池から出てくる水を使わないように節約すればためたと同じ効果を持つわけでございますので、現にその方向の措置がなされておるわけでございます。しかしながら、河川といいますものは、非かんがい期とかんがい期における必要水量の相違がありますのみならず、渇水期洪水期、平水と渇水の著しい差を持っておるものでございまして、河川の総合開発はその渇水時の谷をなくするように考えておるわけでございまして、たとえて申せば、栗橋地点において毎秒百四十トンの水を確保できれば、昭和四十五年までは、利根川水系に依存する水は全部まかなえる勘定に相なるわけでございまして、ダムの設置、河口ぜきの築造はもっぱらそのためにいたしておりますので、将来はそのように非かんがい期の水が余る、あるいは渇水期に水が不足することがきわめて少なくなる傾向に参ります。しかしながら、とりあえず、ダム計画どおり全部完成いたしますまでは、おっしゃるように非かんがい期の水あるいは余剰の水、そういうものを利用する道を考えなければなりませんので、それにつきましては、とりあえずは、東京の水道につきましては、二億トン余りの貯水容量を持つ羽村系の貯水池を活用することによりまして解決できるのではないかと考えております。
  158. 門司亮

    ○門司委員 解決できるようなお話のようですが、実際はいまも解決していないですね。実際は水がないですね。したがって、いまの御説明だけで、さようでございますかというわけにはちょっといきかねるんですが、計画計画だからということなら、それでも私はよろしいと思いますが、私の聞いておりますもう一つの目的は、御承知のように、あの法律では古い河川法の八条の一項によって、結局建設大臣がすべてを行なうようになっておる。そうして、できる多目的ダムというものについては、農業用水のことが書いてない。実は私は、この点は少しおかしいんじゃないかというような気がするのでありまして、ここに水利権の問題が出てきてまとまらなかったんじゃないか。東京都の例を見てまいりましても、東京都がいまのような状態になるずっと以前にさかのぼってまいりますと、昭和十年の実は東京市会の、いまの小河内のダムを決定いたしましたときの速記録を読んでみますと、その中にえらいことが書いてある。この小河内のダムは、ここに設定をしても多摩川の平均流量からいけば、大体二年たって約三分の一の水を満たすぐらいの水量しかないはずだ、したがって、あの小河内ダムの水というのは、結局一滴も使わないで六年たたなければ満水にならないという結論が、そのときの市会の会議録に書いてある。が、しかし、このことをいま責めてみたところで追っつきません。現実はそのとおりだと思う。そういう結果でありましたから、結局十二年の四月に、東京都はさらに水の資源についての調査会を発足させております。そして、その後これが静岡県のわき水を使うとか、あるいは茨城、群馬その他利根川水系の水であるとか、あるいは神奈川県の水であるとか、山梨の水源であるとかいうようなところを調査したような記録はございますが、しかし、十四年になって初めて利根川の水を使ったらどうかということで、内務大臣に申請をしておる。しかし、戦争が起こってそれがやめになったから今日のような状態になったんだというようなことが、歴史的過程の上からいって、小河内ダムを中心にして考えればそういうことが言える。そういう形になっておりますものを、今日まで東京都が、これも故人になられた人のことを言うことはどうかと思いますが、安井知事さんが、あれが完成いたしましたときに、もう東京都民に水の心配はかけませんというようなことを言われておる。しかし、実際はそうではない。私は実はこの辺に問題があると思いますので、したがって、多目的ダムの法律をもう少し変えて、そしてさっき申し上げました二条に書いてある河川法の八条の一項という文字のところに、できればかんがい用水その他についてもやはりこのダムの使用ができるんだというような、水利権の一つの統一をするようなことが考えられないかどうか。私はどう考えましても、あの法律ができたときは、やはり農業用に関する水利権が災いしてああいう法律ができたんじゃないかという気がするのでありまして、したがって、そのことをもう一度聞いておきたいと思います。
  159. 国宗正義

    国宗説明員 御指摘の特定多目的ダム法の、河川法八条の建設大臣の直轄工事を行なうダム云々に関しましては、今回新河川法の制定とともに、新河川法に基づく建設大臣の直轄ダムについてというように、河川法施行法でもって改正せられております。  次に、農業について、ダム使用権に関する規定がない、それについての経緯でございますが、なるほど特定多目的ダム法につきましては、工業用水、上水道及び水力発電についてのみダム使用権を設定し、農業と洪水調節の容量につきましては、ダム使用権を設定いたしておらないわけでございます。河川管理上する洪水調節が、権利ではなくて、むしろ河川管理の当然の責務でございますから、これまた権利の設定は必要としないわけでございます。農業につきましては、いわゆる特定かんがいと不特定かんがいというものがございまして、不特定かんがいと申しますものは、すでにありますところの農業の取水口に、水の足らない分に補給する、いわば河川の正常な機能を維持する役割をなすものでございますので、建設省におきまして、公共事業費をもってそれを行なっておるところでございまして、過去におきましてもさようでございますし、昭和三十二年にこの法律が制定された際以後も同じたてまえでございます。  次に、特定農業用水でございますが、これは新たに口を設けて農業用水取水する場合でございます。それにつきまして、当時もダム使用権設定の必要あるかいなかということを農林省と十分検討いたしました結果、農林省のほうにおきましても、ダム使用権は必要としない。むしろ費用の割り振りという点についてはもとより規定がございまして、農業、工業用水、水道、発電並びに治水につきましては、電源開発促進法にいう費用割り振りの方法とおおよそ同じ方法をダム法に規定いたしまして、農業の費用も徴収いたし、したがいまして洪水調節、農業その他の利水というものにつきまして、すべてまんべんなく配慮いたされておりますので、今回の新河川法制定の際にもそのままにされたわけでございます。
  160. 門司亮

    ○門司委員 さらに私はそのことでもう一言だけ聞いておきたいと思いますが、その概念というもの、いわゆる農業用水に対しまする概念というものが、先ほどから申し上げておりますように、実際必要とするのは四カ月ないし五カ月である。ところが、これは一年じゅう一つの水利権というものがあるかのごとき観念にとらわれて、今日のなわ張り争いの一つの大きな原因になっていやしないか。ほんとうに水使用の必要性だけから考えてくれば、先ほど私が申し上げましたようなことで、それだとすれば、その五カ月間使う水をどこかにやはり確保する必要が逆に生まれてきやしないか。いまのお話では、多目的ダムが三つか四つの目的に使われるダムになっておるという反面には、一年じゅうの水使用権というものがむしろかんがい用にあるという概念の上からきておるような気がどう考えてもする。これはもし水の調整ができるというなら、さっき申し上げましたように、やはり農業用水農業用水として確保する必要がある。工業用水工業用水として確保する必要がある。何も工業用水をそのまま高いところに置いておく必要はないと私は思う。工業用水である限りにおいては、たとえば東京都の例を見てまいりましても、工業用水に使われておりまするものの中の約八五%ぐらいのものはほとんど冷却用に使われておる。飲料用に使われておりますのは三・何%しか使われておりません。飲料用というか、ものをこしらえる原料と書いてありますから、おそらく飲み水になる形だと思いますが、そうなってまいりますと、この水は必ずしも何も高いところから取る必要はないんじゃないか、これは河口でも間に合うんじゃないか、そうすることによって水をおのおのの目的に向って十分に確保することのできるような処置のほうが、むしろ私はこの際有効ではないかというように考えられます。たとえば多摩川の水が、いろいろございましたが、多摩川の河口にダムをつくることによって工業用水がそれでまかなわれていくということが、私どもはしろうとから考えると容易にできるんじゃないか、あまり上流の多目的ダムにたより過ぎているところに、今日のような水不足の原因ができてきているんじゃないか、こういうふうに考えるのですが、こういう考え方についてはどうなんですか。やはり用途別のダムをつくる必要があるということが考えられるのですか。
  161. 国宗正義

    国宗説明員 農業用水工業用水、上水道、それぞれ用途別に必要なダムをつくる、必要な水量を確保することはもとよりそのとおりであると考えるわけでございます。利根川治水の水需要につきましては、先ほどもお話がございましたように、需要の見通しと供給の見込み経済企画庁において昭和四十五年までについて閣議決定に持っていった案をつくっておられるところでございます。したがいまして、その供給と申しますか、水源のほうを受け持っております建設省といたしましても、その需要の計画に合うように供給を考えておりまして、現に上流におきます利根川本川の矢木沢ダム、神流川の下久保ダム、将来考えますところの渡良瀬のダムのほかに、下流におきましては利根本川の河口ぜきを築造いたしまして、それぞれの用途別の水を確保いたしたいと考えておるところでございます。  なお、利根川水系におきましては、印旛沼の水位を調節する方法をもちまして農業用水工業用水というわけで、それぞれの目的とその性質、要求する水質に応ずるように供給のほうも考えておるわけでございます。  なお、単目的のダムということに相なりますれば、それも可能ではございますが、何しろ農業用水といいますのは、東京の水道用水を数倍あるいは数十倍上回る水量でございますので、それを非かんがい期にたくわえるダム、あるいは貯水池といいますのは、よほど大きい規模になりますので、さきに申し上げましたように、東京につきましては羽村系の池をフルに活用するということで相当の効果が上がるのではないかと思います。
  162. 門司亮

    ○門司委員 これはそこまで話がいきましたから、こまかいことを聞くようでありますが、いまの羽村の貯水場というのは、この東京都の水をまかなうのにどのくらいの効果があるのか。あるいは利根川の残り七カ月ないし八カ月のかんがい用水を全部そこに集めることができますか。これを集めることができるというなら、いまのお話のようなことでよろしいかと思いますが、私が聞いておりますのは、農業用のダムをつくるということも一つでしょうが、それが不可能だというなら、残りの七カ月ないし八カ月分は東京の水道に使っていきたい。そうしてその間、小河内その他のダムの水を出すことをできるだけ少なくして、でき得れば出さなくとも水だけはためておくというここの調節をしたいと考えてお聞きしているわけですが、羽村の貯水池というのは、七カ月分が全部ここへためられるだけの容量を持っておりますか。
  163. 国宗正義

    国宗説明員 水道の配水の計画に相なりますが、私どもから考えまして、貯水池におきましては浄水能力を勘案いたしまして、おおむね百万トン・パーデーが適切でございますので、非かんがい期の農業用水を全部たくわえることはできないことは、これは明らかでございます。しかしながら、東京都の上水道計画におきましては、いまの緊急時に羽村系に補給するのみならず、同時に羽村系に補給するためのパイプのみならずポンプ等の増設をもって、できるだけ羽村系に配給し、もって貯水池の貯水量を多くたくわえる方法をとるとともに、朝霞におきまして上水道の建設を現に進めておられるところであり、そうしてそれは直ちに利根川、荒川の余剰水を上水として消費する計画に相なり、江戸川系、中川系におきましては、当然の権利を越えて余剰水をもあてにした運転も現に可能でございますし、さように総合的に配水計画とともに考えられるものと考えておるわけでございます。おっしゃいますように羽村系のみで農業の非かんがいの水をためることは不可能なことでございます。
  164. 門司亮

    ○門司委員 東京都にお聞きしたいのですが、いまお聞きになりましたように経済企画庁あるいは建設省からいろいろ水に対する計画があったのでありますが、これで大体東京都はいまの水飢餓というものが、干天が続いても、こういうような状態が続いても将来だいじょうぶだ、たとえばいまのお話では四十五年になりますが、四十五年以降はだいじょうぶだという確信が持てておりますか。
  165. 鈴木俊一

    鈴木参考人 東京の将来の水の問題でございますが、四十五年までは、ただいままでいろいろお話がございましたように、第一次の百二十万トン、第二次の百五十四万トン、この両方の——百五十四万トンには三多摩の六十八万トンが入っておりますが、東京の区部だけでは四十五年までに四百五十万トン、三多摩が六十八万トン、合わせて五百十八万トンの水が入用であるという計算でございます。これは一人当たりの給水量を五百リットルと計算をしております。もっともこの五百リットルには、要するに個々の家庭用というものだけでなく、さきのビル用水でございますとか、埋め立て地にこれから新しくできますいろいろな施設の所要の水でございますとか、そういうようなものを一切ひっくるめておるわけでございますが、それを平均いたしますと、一人当たり五百リットル、これを昭和四十五年の東京都及び三多摩の人口に対しまして計算をしますと、五百十八万トン必要である。この水は、先ほどお話のございました経済企画庁のこの二月にきまりました利根川のフルプランで一応計画ができ上がっているわけでございます。それから先、四十五年はそれでちょうど需給がバランスするようになっておりますが、それから先、昭和五十年ごろまでの間に、私どもといたしましてはさらに百二十万トンの新水源をいただきたいという計画を持っております。その一つとして先ほど申し上げましたように、たとえば笛吹川、千曲川を合わせました水を小河内貯水池に直接導入することができるような方途が講ぜられれば、これは最も有力な一つの案であろうと私どもは考えておるわけでございます。ことにこれは電発会社と費用の分担をいたします関係もありまして、山梨県、長野県等の関係も考慮いたしましても、これは相当安い水になろうと思っておるわけであります。そのほかに、富士川から持ってくるとか、いろいろのお話があることはすでに御案内のとおりと存じますが、私どもとしましては、やはり昭和四十五年以降におきまして、この笛吹、千曲の水を最も強く要望いたしますが、富士川の水を、たとえば海岸通りに持ってくる、あるいは中央道の下を通して持ってくる、あるいは富士五湖を通じて持ってくる、いろいろの方法があろうかと思いますが、さようなことも一つの検討の案だというふうに考えておるわけでございますが、まだその点につきましては、私どものほうといたしましては、笹吹、千曲ほどの固まった見解というものは持っておりません。
  166. 門司亮

    ○門司委員 あと一、二だけで終わります。これは東京都にさらに聞いておきたいと思いますが、先ほどもちょっと河野国務相にお話をいたしましたように、東京都がこのまま野放しの状態で、どんなに計画がこうだからといっても、東京都の水が東京の住民の満足するようなものに私はならないと思う。現在でもこれは多少数字は違うかもしれませんが、かつて東京都の水道局長でありました佐藤さんが書いた——これは三十五年に書いた本でありますから、必ずしも私は当てにはならないと思いますが、二十三区の中には百五十万人は給水設備がないのだ、こう書いてある。今日どこの、かなり大きな山村に行っても、簡易水道はあるんだけれども東京のまん中で百五十万人の給水施設がないのはどういうわけだろう。これにはいろいろの問題があってというただし書きがたくさん書いてありますが、私はやはり東京という、こういうマンモス都市については、常識による水道計画というようなものでは追っつかないではないか。どこまでたっても計画があとになるのじゃないかということが考えられるのですが、この想定は現在人口の伸びを見込んでおられるのか。あるいはさっき水の使用量については何かあなたのほうから出た資料を見ると、現在三百三十七リットルのやつが四百五十リットルになるが、あるいはいまのお話では五百リットル、こういうお話でありますが、使用量がふえることは一応それでよろしいと思いますが、人口のふえる分もそれに換算しての計画ですか。私はこの計画でだいじょうぶだなんとへたに受け合うと——へたに受け合うというわけではありませんが、われわれが聞いて承知しておって、それでまたすぐに足りないということであっても困ると思いますし、それでは東京都民は安心しないと思いますが、その辺はどうなんですか。
  167. 鈴木俊一

    鈴木参考人 東京都の長期計画は、昭和三十六年から四十五年まででございますが、この長期計画におきましては、東京都の夜間人口を九百八十万人と押えておりますが、これは夜の人口であります。これに対して昼間人口が昭和三十五年の国勢調査の際には、プラスマイナスいたしまして、六十五万人よけいに入ってくる、こういうことになっております。ですから四十五年になりますと、これが大体概略百二十万人くらいよけい入ってくるんじゃないかという計算が一応ございますが、さような夜間人口の九百八十万を一応基礎にいたしましてさきの五百リットルというのは計算いたしておるわけでございますが、さような昼間人口の使用する部分もそれに全部割りかけをしてあるわけであります。そういうことで計算をいたしておりますので、私どもといたしましては、さっき申し上げました五百リットルというのは、約四百五十リットルという計算にしておったのでございますが、いまのような点も考慮いたしまして五百リットルという計算ではじき出しておるわけでございます。したがいまして、全体の水の需要量の測定といたしましては、私はそれで大体まかない得るものと思っております。  それから、東京の未給水の人口がどれくらいあるかということでございますが、今日約百万ございます。これはどういう地区かと申しますと、千代田ですとか港、台東というようないわゆる旧区はほとんど一〇〇%普及をしておりますが、練馬あたりは一九%くらいではなかったかと思います。板橋、世田谷、そういうところが非常に低いわけでございます。そういうことに逐次拡張をしていかなければなりません。今日普及率は八六、七%になっておると思いますが、四十五年にはこれを九二%まで持っていこうという計画でただいまの計画を出しておるわけでございます。
  168. 門司亮

    ○門司委員 そうすると世界の水準、ロンドンその他の関係から見ますと、かなりまだ四十五年になっても低いわけですね。この議論はこの辺で大体様子がわかりましたから一応おくといたしましても、東京都の水道の実態というものが、いま四十五年の計画がかりに完成したといたしましても、結局世界の先進国の都市から見れば、東京都の人口と給水の普及率というものは低いこういうことに言わざるを得ない。東京都民にとってはきわめて不幸なことだと私は言わざるを得ないと思います。同時に、日本の池田さんの言う経済だけがばかばかしく大きく伸びて、そうして人間の一番大事な生命に面接つながりのある水が、東京都においてすらこういう現状であるということは、政治を行なう者といたしましてはきわめて嘆かわしい次第でありますが、しかし、いまさらここで責めてもせんないことだと思いますので、最後に私が聞いておきたいと思いますことは、今回のこの東京水飢饉は天災であるのか、人災であるのか、政治の貧困からきたものであるか、この三つのうちのどれかだと思います。あるいは全部がそうだということになるかもしれません。しかし東京都の責任者としての率直な意見をこの際聞かしてもらいますれば、非常に好都合だと思います。
  169. 鈴木俊一

    鈴木参考人 たいへんむずかしいお話でございますが、私どもといたしましては先ほど来申し上げましたように、私が東京都に参るようになりましたのは昭和三十四年でございますが、そのころから実は非常に給水量、給水能力がふえたのでございます。小河内系のいわゆる束村山浄水場ができまして、四十二万五千トンというのがその後できました。それからまた相模川の二十万トンというのができました。さらに江戸川の九万五千トンという前からの予定取水が三十八年でございますかにできました。ことし御案内のように六月十五日には中川・江戸川の緊急工事が、一年半ばかりで四十万トンの水がここに入ってきたわけであります。それからさらにことしは各方面の特別な御協力によりまして、四十万トンの水が、東村山にとりあえず荒川の水として送られる、こういうようなことができてきたわけでございます。  三十四年の東京都の公式の給水能力というのは百二十二万トンでありましたのが、今日は二百四十五万トンに、倍以上になっておるのでございます。この八月二十五日からさらに加わるところの四十万トンを加えますならば、これはまさに二百八十五万トンというようなことにもなるわけでございまして、私どもは私どもなりに可能な限りの努力はいたしてまいったつもりでございます。無為とか無策とか、都政なしとか、いろいろお話ございましたが、私どもはやれる限りのことはいたしてきたつもりでございます。  これに対しまして遺憾ながら今年の雨は、いまだかつてないような非常な渇水状態であることは、先ほど来いろいろお話があったとおりでございます。そういう意味で、これが確かに天災ということが私どもは言えるかと思っておるのでございます。しかしながら、何と申しましても、都が仕事をやるにつきましては水利権の調整、あるいは財政の、ことに起債の問題、こういう問題がございます。水利権の調整につきましては、昨年の河川法の改正が一つの契機となりまして、おそらく今後この問題は関係政府方面並びに関係各府県の格別の御協力によりまして、私は急速に好転をいたすものと考えております。  財政の問題につきましては、戦後地方財政の状態、ことに地方債の全体のワクが非常に窮屈でございました時代におきまして、都の水道も同様に非常な苦杯をなめて、仕事の進捗がこの起債の許可によって相当影響を受けたことは、これは事実でございますけれども、先ほどちょっと申し上げました中川・江戸川の、この一年半余りで四十万トン余りの水を通したこの緊急工事につきましては、政府格段の御協力をしていただいたわけでございます。金についてはほとんど心配なく、速度は工事の速度だけであの工事ができ上がった。七月一日通水のものが、六月十五日に完成したような次第でございます。その後もこの水の問題につきましての自治省、大蔵省方面の御協力は私どもは非常に感謝をいたしておるような次第でございます。この上は私ども望みますことは、すみやかに水利権の問題を適切に御調整を願い、工事に関しまする具体的の設計と事業担当者をすみやかに政府においておきめ願いまして、それぞれの事業主体に対する財政的な措置を講じていただくということが、やはりあくまでも必要であろう、かように考えるのでございます。
  170. 門司亮

    ○門司委員 これで終わりますが、いまの副知事さんから言われましたような、先ほど河野大臣お話をされましたような各省の調整をするという機関ができておるそうでありますが、大臣の見通しでは、これは大体いつごろできそうですか。これは東京都民にとっては一つの大きな問題だと思いますが、その辺、もしおわかりだったらお話しを願いたいと思いますことと、いま財政的にいろいろお話がございましたけれども、私どもから見ますと、財政的にも東京都はあまり積極性がないのじゃないかというような気がするのでございます。そう申し上げますのは、ことしの予算を見てみましても、港湾に対しては八十一億のドルの外債が認められております。国内の起債でなくて、ドル建ての外債を八十一億港湾事業に求められておって、そして先ほどのお話では、水道については財政的にも支障がなかったというようなお話でございます。どうも外から見ておりますと、港湾のほうには外債を八十一億も考えておるが、水道のほうにはよかったかなという気がするのですが、これは別に悪意で聞いているのではないのですが、さっきお話しのように、財政的には起債その他で万全が期してあるというふうに解釈してよろしゅうございますか。
  171. 鈴木俊一

    鈴木参考人 起債の問題でございますが、これは申し上げますといろいろあるわけでございますが、さっき申し上げましたように、中川・江戸川、要するに緊急の問題、あるいは利根川の工事等につきましては、起債のワクは、私どもの要求いたしましたものにおおむね近い数字を認められております。したがって最近におきましては、かつてのような不自由はいたしておりません。そのことは申し上げてよろしいと思います。しかし何ぶん——政府資金と公募債との割合でございますが、これもだんだん改善されてまいりましたけれども政府資金が四割、公募債が六割といったような状況でございますが、公募債になりますと、七分三厘で発行いたしますが、発行者の利回りは七分九厘ぐらいになるわけでございます。そうして二年据え置きの五年償還でございます。水道事業の性質から申しますと五十年くらいの償還期限が望ましいわけでございます。これは政府資金については二十五年の償還期限ということになっております。五十年というのはいまの段階では無理であろうと思いますが、公募債については三回の借りかえをして二十一年くらいのところで償還を完了する、こういうようなことになっております。そこでやはり水道事業が非常に苦しいというのはこの起債の元利償還費、これが非常に増高してまいります。さっき申し上げました昭和四十五年度までの水道拡張の事業費はどのくらいかと申しますと、概略年に二百六、七十億のものがずっと三十九年度以降要ります。ごく大ざっぱに申しまして約二千億の金が要るわけでございますが、これがほとんど起債であるわけでございます。現在未償還の起債が約六百億残っておりますが、これらのものが結局水道のコストにはね返ってくるわけでございまして、今日の水道の実際のコストは二十二、三円くらいになっているかと思いますが、利根川の第一次利根川系だけを見ましても三十七、八円くらいのコストになろうかと思います。そういうようなことでいまの第二次拡張の分までも含めてまいりますとだんだんとコストが高くなってまいりますので、全体の水道財政といたしましては、今後料金制度の問題もございますし、いろいろ政府におきましてもお考えいただかなければならぬ点があるように私どもは考えております。
  172. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 先ほど河野国務大臣からお話のございました水利権関係の問題でございますが、これは本日の閣議において緊急水利連絡会議というようなものが一応できることになりました。河野国務大臣が会長としてこれに当たられ、経済企画庁建設省厚生省、自治省等の関係官及び東京、千葉、埼玉、群馬、栃木の知事等を充てまして始まることになっております。しかしこれはどこまでも暫定的なものでございまして、将来恒久的なものが必要になってくるだろうということでございます。
  173. 田川誠一

    田川委員長代理 参考人各位には長時間にわたり御出席をいただき、まことにありがとうございました。  これにて本連合審査会は終了いたします。本日はこれにて散会いたします。   午後二時五十九分散会