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1964-10-27 第46回国会 衆議院 地方行政委員会 第67号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年十月二十七日(火曜日)    午前十時三十四分開議  出席委員    委員長代理 理事 中島 茂喜君    理事 田川 誠一君 理事 渡海元三郎君    理事 藤田 義光君 理事 川村 継義君    理事 安井 吉典君       大石 八治君    奥野 誠亮君       亀岡 高夫君    亀山 孝一君       木部 佳昭君    久保田円次君       武市 恭信君    登坂重次郎君       中村 梅吉君    村山 達雄君       山崎  巖君    和爾俊二郎君       秋山 徳雄君    重盛 寿治君       千葉 三郎君    華山 親義君       細谷 治嘉君    栗山 礼行君       門司  亮君  出席国務大臣         国 務 大 臣 吉武 恵市君  委員外出席者         警  視  監         (警察庁警務局         長)      中原ただし君         警  視  監         (警察庁保安局         長)      大津 英男君         大蔵事務官         (主計官)   平井 迪郎君         文部事務官         (管理局長)  斎藤  正君         厚生事務官         (児童家庭局養         護課長)    飯原 久弥君         厚生事務官         (保険局国民健         康保険課長)  信沢  清君         農林事務官         (大臣官房予算         課長)     太田 康二君         運 輸 技 官         (鉄道監督局国         有鉄道部施設課         長)      斎藤  徹君         建設事務官         (河川局水政課         長)      粟屋 敏信君         建 設 技 官         (道路局地方道         課長)     伊藤 直行君         建 設 技 官         (住宅局住宅建         設課長)    後藤 典夫君         自治事務官         (財政局長)  柴田  護君         自治事務官         (税務局長)  細郷 道一君         消防庁次長   川合  武君         日本国有鉄道踏         切保安部長   徳永  勝君     ————————————— 十月二十七日  委員島村一郎君及び三池信辞任につき、その  補欠として中村梅吉君及び木部佳昭君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員木部佳昭君及び中村梅吉辞任につき、そ  の補欠として三池信君及び島村一郎君が議長の  指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  小委員会における参考人出頭要求に関する件  派遣委員からの報告聴取  地方自治及び地方財政に関する件(地方公務員  の給与改定に関する問題等)  警察に関する件(福岡県の現職警察官傷害窃盗  事件に関する問題)      ————◇—————
  2. 中島茂喜

    中島(茂)委員長代理 これより会議を開きます。  地方自治地方財政警察及び消防に関する件について調査を進めます。  先般本件の実情調査のため、第一班を新潟県、秋田県、青森県、第二班を大阪府、和歌山県に派遣いたしました。  この際、それぞれ派遣委員より報告を求めます。第一班大石八治君。
  3. 大石八治

    大石(八)委員 先般行なわれました委員派遣国政調査の第一班は新潟秋田青森の三県について調査をいたしたのでありますが、その結果につきまして、便宜私から概要を御報告申し上げます。  今回の調査目的は、第一に去る六月発生をいたしました新潟地震災害とその後の復興状況調査し、今後における国の諸施策方向につき検討しようとするものであり、第二は今国会において成立いたしました大規模な公有水面の埋立てに伴う村の設置に係る地方自治法等の特例に関する法律の施行に伴いまして、最初適用を受ける秋田八郎潟干拓地につき、新村設立準備状況調査し、今後における法の妥当な適用を確保しようとするものであり、さらに第三は、地方行政中央集権化が問題とされているおりからでもあり、はたして憲法が保障する地方自治はどのように運営されているかの実態を、青森県及び県下市町村において調査し、もって今後の打開策検討しようとすることであります。  なお、当調査班中島千葉栗山の各委員と私の四名で、これに調査室越村専門員櫻井調査員の両名を伴い、去る八月二十四日東京を出発してより、正味五日間新潟秋田青森の各県を縦断しての調査でありましたが、この間、特に新潟県におきまして村山委員が、秋田県におきましては田川華山の両委員が、また青森県におきましては森田委員長が、それぞれ多忙の中を現地に急行されて、熱心に現地調査並びに御案内の労をとられ、各地ともに充実した調査を実施することができた次第であります。  ここで簡単に調査日程について申し上げたいと思います。  まず、八月二十五日は正午まで新潟県庁において、新潟地震災害による被害状況及びその後の復興状況につき説明を聴取するとともに、今後の復興のために必要な諸施策要望を受け、午後は市内各地被災並びに復興状況を視察いたし、また、翌二十六日には、県下被災市町村を訪問、現地において関係市町村から復興についての陳情を聴取いたしました。  次いで二十七日は、秋田県庁において、八郎潟干拓地における新村設立準備状況につき県当局より説明を聞き、午後は農林省八郎潟干拓事務所説明を聞きつつ現地における準備状況を視察いたしました。  翌二十八日には青森県に入り、二十九日午前九時より県庁において青森県行財政総合的調査を行ない、午後は青森市及び平内町において同様総合調査を実施し、県並びに市町村関係者から現状についての詳細な説明及び各般問題点並び要望等を聴取してまいった次第であります。  調査の結果は、広範多岐にわたりますので、詳細な報告につきましては、時間の関係上、委員長手元に提出をいたしました報告書を、委員長において会議録に掲載されるようお取り計らい願い、これを御一覧願うこととし、この際省略させていただきたいと存じます。
  4. 中島茂喜

    中島(茂)委員長代理 第二班安井吉典君。
  5. 安井吉典

    安井委員 私は第二班の調査の結果につきまして、その概要を御報告申し上げます。  この調査目的二つございまして、第一は大阪府における風俗営業等に関する調査であり、第二は、和歌山県における地方行政に関する総合調査であります。  派遣委員森田重次郎委員長のほか、田川誠一理事秋山徳雄委員と私の四人でありますが、大阪府では、渡海元三郎理事のほか亀山孝一奥野誠亮和爾俊二郎阪上安太郎門司亮栗山礼行の各委員がオーブザーバーとして現地参加され、和歌山県でも、渡海元三郎理事及び阪上安太郎委員がオブザーバーとして参加され、調査室からは、崎川主任調査員及び直江調査員、それに委員部から峰崎参事が同行いたしました。  調査は、八月十八日から同二十一日までの四日間にわたって行なわれ、それぞれ関係当局その他より説明意見を聴取し、次いで現地調査を行なったのであります。  第一日は、大阪府における風俗営業等に関する調査でありまして、当日午前中は、大阪、京都、兵庫の三府県及び大阪市の警察並びに民生主務部長等より管下の実情問題点などを聞き、午後は、本問題に関し広く世論に聞くため、現地調査会を開き、大阪市立大学教授原龍之助君ほか関係業者をも含め、八名の方々から意見を聴取し、それぞれ委員との間に活発な質疑応答をかわしたのであります。  同日夜九時半からは委員一同三班に分かれて大阪における深夜喫茶等実情と、かねてより風営法適用対象とすべきかいなかについて議論の多いトルコぶろボーリング場等を実地に視察し、午前零時半、新聞記者との共同会見を行ない、当日の日程を終えました。  第二日は、和歌山県の地方行政総合調査を行ない、第三日は、午前中に和歌山市の地方行政総合調査、午後は臨海工業地帯等の視察を行ない、最終日の第四日は、同県日高郡南部町の地方行政総合調査を実施したのでございます。  なお、詳細な報告につきましては、時間の都合もありますので、委員長手元に提出いたしました報告書委員長において会議録に掲載されるようお取りはからい願い、御一覧願うこととし、省略さしていただきたいと存じます。
  6. 中島茂喜

    中島(茂)委員長代理 この際おはかりいたします。  第一班、第二班の調査報告書は、これを本日の会議録に参照掲載することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 中島茂喜

    中島(茂)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  8. 中島茂喜

    中島(茂)委員長代理 第二班の派遣委員から現地調査に基づき質疑通告がありますので、これを許します。安井吉典君。
  9. 安井吉典

    安井委員 このたびの調査の結果に関しまして、特に風営法の問題については、さきにこの委員会で取り上げた経過もございますので、本日は地方行政についての総合調査の結果に基づきまして政府当局に若干お尋ねをいたしたいと思います。  今度の調査各般にわたる問題が提起されまして、一々お尋ねいたしますとずい分時間がかかりますので、そのうち特に大事だと思われるような点のみを取り上げたいと思うのでありますが、まず建設省関係につきましては、河川法道路法改正に関する地方関心が非常に高くなっておりますことを、私どもも強く印象づけられたわけであります。特に一級河川の水利の使用については、関係都道府県知事意見を聴取すること、下流県の意見を十分に尊重する等、運用の面において、あるいはまた法令の上においても法的措置を設けてほしい、こういうふうな意見も聞いたわけであります。特に河川法改正につきましては、河川法適用外普通河川について、市有の河川、溝渠については市が管理するが、国有のものについては、法律上同等の管理権限を持たない。しかし、直接市民に関係があるため、旧慣に従い、市が維持管理しているが、河川法改正にあたっては、これらの国有に属する普通河川管理権限を明確にしてほしいとの意見があったわけでございます。これについて建設省側の御意向を承りたい。  それからもう一つは、現在の道路整備については、国道中心、特に一級国道中心であって、県道市町村道の面が財政的にも圧迫されているので、今後においてそういう面にぜひ力を尽してもらいたい。あるいはまた奥地等産業開発道路整備法の問題について、山間未開発地域開発策としてこれに期待するところが多いのだが、その期待にこたえるような措置を講じてもらいたい、こういうふうな要望が強かったわけでありますが、これにつきまして建設省としてのお考えを承りたいわけであります。
  10. 伊藤直行

    伊藤説明員 ただいまの道路関係のことについてお答え申し上げます。  新しい五カ年計画においては、地方道に相当なウエートを置くということを現在考えておるのでございまして、県道のうち約五千七百キロの改良を行なうということにしております。なお、このほかに特に舗装に重点を置きまして、十カ年間で交通可能な区間を舗装してしまうというような構想を持って五カ年計画をやるというふうに考えております。  それから、奥地等開発道路についてでございますが、これは現在法律制定に伴いまして、ただいまこの政令の準備中でございます。これによって奥地産業開発に資したいということで、現在各省折衝中でございます。  以上でございます。
  11. 安井吉典

    安井委員 いま御答弁がございましたけれども道路財源目的税という形で一応整えられているわけですし、また道路整備長期計画もあるわけですが、一級国道はどんどんよくなる。しかしそれにつながる地方道がおくれているということは、私ども地方へ参りますと、実感として感ずるところです。いまの御答弁でわからないわけでもありませんけれども、ぜひ一そう、そういう方向へ御努力を願いたいと思うわけです。  次に、自治省関係でございますが、地方財政現状は、現地へ参りましてやはり感ずるわけでありますが、一応好調になっておりましたものが、一昨年から昨年にかけて下り坂になってきている現況を和歌山県等の実情の中からもはっきりみとれるわけであります。そういう中で、特に税法の問題についての関心が非常に高いわけでありますが、市町村民税所得割改正減収補てん措置が十分でないので、その恒久的な財源措置を望みたい、あるいはまた固定資産評価制度改正が、三年間の暫定措置が終わったあとどうなるかというふうな点、それから電気ガス税がだんだん下がってきて、非常に期待される税であるのだけれども先行きどうなるのかという不安、こういうようなものがたくさんございます。また地方交付税の問題についても、一がいに言えませんけれども、実財政需要交付税法の上における基準財政需要計算とが合わないというふうな面も若干見受けられてきております。そういう中から傾斜配分を強く要望する意向もあったわけであります。特に和歌山県のような辺地の多いところでは、辺地振興対策の問題について積極的な施策要望する、こういうような声もあったわけでありますが、それとともに、地方がいろいろな負担補助金を支出しなければならない、そういうふうな法令財政措置各省でかってに行なわれる、そういうようなものについて、もう少し地方財政実情を考慮したような統制措置といいますか、抑制措置といいますか、そういうようなものがほしい、こういうような意見も聞いているわけでございますが、この点について自治省財政税制当局としてのお考えをお聞きしておきたいと思います。
  12. 柴田護

    柴田説明員 地方財政全般状況につきましては、お話にございましたような傾向が私どもも見受けられるものと考えております。しかしこれは景気が悪くなりまして、税収の伸びがとまってきておる。しかも一方、毎年毎年引き続き給与関係経費はふえている。こうひんぱんに給与改定が行なわれてまいりますと、どうしてもその間に硬直性が強くなってくる。これはある程度やむを得ない傾向でもあるわけであります。それで、私どもといたしましては、やはり地方財政の健全な姿を求めましていろいろと努力をいたしておるわけでございます。  具体的にお尋ねのありました実財政需要基準財政需要との問題につきましても、お話しのように確かにいろいろ問題が残されております。逐次私どもといたしましては是正をしてきたつもりでありますけれども、なおいろいろ問題がございます。それには交付税算定方法に欠陥がありますようなものもございますし、また実財政需要が、どちらかといいますと、ややはめをはずしておるようなものもあるわけでありまして、その辺のところを分析いたしまして、直していくのは直していく、こういう方向をとっていかなければならないと考えております。いつもいまごろからそういったような問題につきまして作業をするわけでございますが、現在もそういう方向でいろいろ検討をいたしておるところでございます。  辺地振興問題につきましては、御承知のように辺地債を設けまして、この制度運用によりまして、私どもといたしましては一時に比べますれば相当実効の上がった措置がなされておるものと実は考えておるわけでございます。しかしながら、辺地整備を要する需要につきましてはまだ数多くあるものでございますので、辺地債の充実につきましてはなお今後とも努力をいたしてまいりたい。当面は、地方交付税傾斜配分辺地債の活用というこの二つでもって辺地等振興に当たってまいりたい、かように存ずるわけでございます。  それから補助金負担金等に関する法令の抑制問題でございますが、これは御承知のように地方財政法の二十一条でこういう法令をつくるときには自治大臣意見を聞けということになっております。この規定はわりと厳格に守られておりまして、法令に関しまする限りにおきましては、私どものほうではそれに基づいて調整をいたしておるわけでございますが、ただ実際法律を施行する段階あるいは予算を執行する段階等におきましては、あるいは意思疎通を欠きまして地方に御迷惑をかけるような事態が起こっております。それを地方団体側から私どもが聞きまして、関係各省にお願いをし申し出をいたしまして改めてもらう、注意を喚起しておる、こういうようなことをいままでやってまいりましたし、現在もやっておるわけであります。しかしながら、なおその辺につきまして問題がなくはございません。基本的にはこういった零細補助金みたいなものにつきましては、なるべく統合なりあるいは一般財源に振りかえるなりの措置が望ましいわけでございますけれども、これもなかなか一がいにはまいりません。解決への道はなかなか長い問題でございますけれども、これはうまずたゆまず合理化に向かって進んでいくように努力してまいりたい、かように考えておる次第でございます。  なお、市町村民税減収補てんの問題でございますが、これはこの前この委員会で法案の御審議のときにいろいろ御質問がございまして、私どもといたしましては、ことし減税補てん債で補てんいたしましたものが来年度二割落ちるわけでございます。この二割というのは、地方交付税基準財政需要計算を通じて吸収していく、こういう方向措置すべく作業を行なっております。具体的にどのような方向でどのような措置をするかという問題は、現在検討中でございますので、しばらく御猶予を願いたいと思います。
  13. 細郷道一

    細郷説明員 固定資産評価が三年後どうなるか、あるいは負担調整措置がどうなるかという問題、あるいは電気ガス税先行きがどうなるかという問題につきましては、地方団体の非常な関心事になっておりますことは私ども承知をいたしておるわけでございます。これらの問題につきましては、政府としても慎重に考慮すべきであるというたてまえから、御承知のとおり税制調査会に問題をはかっておるのであります。いまだ最終的な結論は出ておりませんが、ただいままでのところでは、三年後の負担調整につきましては新評価額を尊重して、基準にして、負担調整案考えてはどうか。また電気ガス税につきましては、いろいろ地方財政中に占めますその地位にかんがみまして、これはやはり存続せざるを得ないのではないかといったような意見が大勢を占めておるのでございます。いずれその答申の結果をも待ちまして、私どもといたしましても、大体そういった考え方のもとに、今後地方財政あるいは税制面におきます財源の確保につとめてまいりたい、かように考えております。      ————◇—————
  14. 中島茂喜

    中島(茂)委員長代理 次に、地方公務員給与改定に関する問題について質疑通告がありますので、これを許します。安井吉典君。
  15. 安井吉典

    安井委員 まだ各省から大ぜいおいでで、いまの調査についての御質問があるわけでございますが、大臣がいまお見えでございますので、ちょっとそのほうの質問あと回しにさせていただいて、大臣地方自治体職員に対する給与引き上げの問題につきまして、この際伺っておきたいと思うわけです。  この問題は国家公務員に対するものとあわせてこれまでの大きな課題であり、この委員会でも委員会を開くたびに議題として取り上げられまして、一々大臣からも御答弁をいただいていたところであります。また、大臣からこれについてのお考えもしばしば伺っていたところでありますが、聞くところによりますと、先般の閣議決定では、これまで自治大臣がいろいろ御主張されていたのとはちょっと違ったような形で結論が出たというように私ども聞いているわけでございますが、まず初めに今回閣議決定をされましたその経過やあるいは内容について大臣から御報告をいただきたいと思います。
  16. 吉武恵市

    吉武国務大臣 ただいま安井委員からの御質問の件でございますが、本委員会でしばしば申し上げました線に沿うて六人委員会検討をいたしました結果、閣議決定いたしましたことは、九月一日から国は給与ベースアップを行なうということになりました。したがって、地方公共団体についてもこれにならって行なうであろう、こういうことであります。そこでその財源措置でございますが、御承知のように私ども十月一日から実施するのでさえ、交付団体では三百八十六億財源が要るのだということを申し上げておりましたが、一月繰り上がりますと、これが約四十三億でありますから、九月一日から実施しますと、四百二十九億、約四百三十億ほど交付団体だけで要るわけでございます。そこで財源措置はこの前から申し上げましたように、政府は約五百億ほどしか主税の自然増収がないということになりますと、この二八・九%は百四十億、それに地方自身地方税自然増収は約六十億ほどしか見込まれませんので、地方自分たち財源としては二百億ほどしかないわけでございます。したがって、差し引き二百三十億というものが不足するのでありますが、国も約百五十億余り節約をしようということでありますから、地方庁におきましても、苦しい財政のときではございますが、やはりある程度といいますか、これにならった節約はしなければならぬじゃないかと思っております。私どもの一応の見込みでは、交付団体だけの節約は約三十億程度だと見込んでおりますから、そうすると二百三十億のうち三十億節約で出しましても、二百億ほど足りないことになります。しかし国が相当、百五十億の節約をやろう、人員の欠員不補充あるいは新規採用を抑制する、その他事業等におきましてもできるだけの節約をするという決意をやっておるわけでございますから、できればもう少しでも節約ができれば節約をしなければならぬかと思っておりますが、一応私どもはいまのところ二百億ほど財源が不足する。したがいまして閣議決定におきましては、「地方公務員についても人事院勧告の趣旨に沿って、所要の給与改定が行なわれるものと考える。その場合における必要な財源について国が措置することは非常に困難であるが、関係各省間において協議の上今後努力するものとする。」ということで、これは六人委員会におきましても何とかひとつ財源措置については考えようじゃないかということになっておりまして、まだその具体的なところまではいっておりませんで、折衝中でございます。
  17. 安井吉典

    安井委員 実はきょうは鈴木官房長官あるいは田中大蔵大臣その他関係閣僚、特に増原国務大臣等おいでをいただきまして、一般的な問題でお尋ねをしたいと考えておりましたが、しかし都合で御出席をいただけておりませんので、吉武自治大臣だけに対してのお尋ねになるわけでございますが、新聞の報道によりますと、その閣議が終わったあと田中大蔵大臣は、こういうふうな談話を発表しているようですね。地方団体分補てんが非常に困難であるという立場を了承した上で、九月一日実施を了承したのだ、こういうふうな言い方をしているようです。しかも困難だということは、できないということなんだ、そういう注釈までつけての発表のようです。私はその点いまの大臣のお答えと、大蔵大臣考え方とだいぶ食い違いがあるのではないか。そういうふうな閣議決定、六人委員会決定があっても、大蔵大臣はいまのような言い方で、こばむような態度をまだ保持しているのではないか、そういうふうに思うわけでありますが、大臣のお見通しといいますか、それはどういうことですか。
  18. 吉武恵市

    吉武国務大臣 閣議決定の前における六人委員会では、大蔵大臣財政が非常に困難であるということは極力主張されました。最初は困難であるから一切財源は補てんできないとまで言われたのでありますが、しかし党としてもひとつ前向きで努力をしないかということでありましたから、私どもはこの際九月一日に踏み切るが、しかし全然見ないということではできないということで、六人委員会の結果は、大蔵当局財政困難であるということはこれを認めるが、しかし財源措置についてはひとつ党及び政府において努力をしよう、こういうことになったのであります。したがって、その趣旨が閣議決定にもそのままあらわれまして、先ほど読み上げましたように、財源について国が措置することは非常に困難であるが、関係各省間において今後努力をする、こういうことになったわけでございます。
  19. 安井吉典

    安井委員 大蔵大臣が出ていただけないのは残念ですが、そこで自治大臣に伺いたいわけですが、政府、自民党一体となって検討するというふうな決定だそうでありますが、それから時日もだいぶたっております現在、その検討がどういうふうに行なわれているか、どういうようなところで落ちつく見通しか伺いたいと思います。
  20. 吉武恵市

    吉武国務大臣 その後事務当局同士でも話をしておりますし、私も大蔵大臣とはときどき話し合ってはおりますけれども、何ぶんこの前から申し上げましたように、実際の自然増収がどれくらいあるかということが、十一月の初めになってみなければわからない。初め私どもはもっと出るだろうと予想しておりましたが、だんだん大蔵当局の話を聞きますと、なかなか困難であるということは、どうもそのようであります。したがって、その点がはっきりいたしませんけれども、しかしこのままでほっておいて、ただ地方でやれといっても、金がなくて払えなくても困るでありましょうから、その処置は講ぜざるを得ないであろうということで、いろいろ折衝しておりますが、まだ目鼻がつきません。つきませんが、何とか臨時国会の補正予算までにはひとつ考えたいということで進んでおります。
  21. 安井吉典

    安井委員 いま自治大臣からそういうふうな御答弁があったわけでありますが、大蔵省から主計官が見えているわけですね。大蔵大臣にかわって答弁をしていただきたいと私は思うのですが、どうでしょうか、私どもはあくまで当然国が補てんすべきものだと考えるわけです。大蔵省としての御見解、いままでの検討の結果等についてひとつ伺っておきたいと思うのです。
  22. 平井迪郎

    ○平井説明員 私ども財源全体を預かっているわけでございませんので、私からお答え申し上げるのが適切かどうかわかりませんが、現在まで私どもが伺っている範囲内においてお答えを申し上げたいと思うのです。  御承知のように、今後補正要因として考えられますのは、米価の問題がかりに新たな財源負担を伴わないという状態におきましても、災害の問題でございますとか、あるいは過年度分の精算経費の問題でございますとか、あるいは医療費の引き上げの問題等とか、種々重なっております。したがいまして、これらの要因にさらに国家公務員給与改定等を加えますと、現在の財源状況におきましては、なかなかこれらの全体を充足するだけの補正を組むだけの財源が困難であるということは、ただいまのところ見通されておるわけでございます。ただ、先ほど自治大臣からもお話がございましたように、今後における自然増収その他の要因によりまして、そういったものが十分満たされるというような見通しがつきますならば議論はまた展開してまいるであろうと思いますが、現在の段階ではなかなかそういったところまで到達しておらない、したがいまして、地方公務員の給与について特段の措置を講ずるというような点については、現在の段階では論議のところまでなかなかいきがたいということでございます。
  23. 安井吉典

    安井委員 全体的な財政の見通しが立たなければ結論を出しにくいというのはわかりますけれども主計官考えはどうでしょうかね。いままで毎年ベースアップが国家公務員について行なわれたら地方公務員についても同様に行なわれて、かつそれについての財源措置は一応政府はずっとこれまでやってきたわけです。だから私は、ことしに限ってやらないというふうなことになればこれはたいへんなことだし、またそんなような結論をお出しにはならないと思うわけです。いままでずっとやってきたわけです。ことしだけやらないというのはどうもおかしいと思うのですが、御見解いかがですか。
  24. 平井迪郎

    ○平井説明員 従来、地方公務員のベースアップの財源手当ができておったということは事実でございます。ただ現在の交付税制度になりました後におきましては、国が財源措置をとりましたと申しましても、それはいわゆる国税三税のはね返りによる交付税の増収、これによって十分まかない得たということでございまして、いわば特段の措置をとってきたという形ではございません。したがいまして、いわゆる特段の措置を講ずるという問題は、本年度の新たな問題というふうに私どもは理解しておるわけでございます。
  25. 安井吉典

    安井委員 いままでは交付税で十分まかなえた、ことしはいままでの既定の交付税措置でまかなえないとすれば、交付税の交付率を引き上げればいいのじゃないかと、私は簡単にそう思うわけです。それは間違いですか。
  26. 平井迪郎

    ○平井説明員 交付税の交付率をいかにきめるかという問題は、これは長い目で見た地方財政全体の問題としてお考えいただく必要があるのじゃないか、現在の給与財源の補てん問題と直ちに結びつけるということは、私どもとしては必ずしも賛同いたしかねるところでございます。
  27. 安井吉典

    安井委員 現在地方財政の上で地方公務員に対する給与費は約四〇%を占めているわけです。国の財政の中では国家公務員のほうは一〇%くらい、しかも同じ地方公共団体の中でも、給与費は平均は四〇%ですけれども、一〇%くらいのところもあるし、五〇%くらいのところもあるし、あるいはそれよりももっと高いところもあるかもしれません。私はこれは地方財政という総ワクのあり方と関連があると思うのです。私はいつも考えるのですが、ちょうど人件費、給与費というのはエンゲル係数みたいなものじゃないかと思うのです。つまり豊かな家庭ではエンゲル係数は低いのですけれども、しかし収入あるいは所得の少ないところではエンゲル係数は高くなってあらわれてきます。だから地方財政という全体的な入れものが大きければ大きいほど、給与費というものの率は低くあらわれてくるし、地方財政の総ワクが逆に小さければ、給与費というものの割合が上がってくるのではないか。だから国と地方との給与費の関係からいっても、ちょっといま私が申し上げたとおりであります。だから私は、今日の地方財政の全体的な姿勢の中から考えるべきだといま主計官はおっしっゃたけれども、それはそのとおりだと思うのです。だから地方財政のワク全部、給与費そのものを地方団体に与えていく、交付税を上げることによって給与費だけを与えていくという考え方じゃなしに、力の弱い公共団体のほうへ交付税を多く与える措置がとれればその総ワクがふえてくるわけですから、給与財源の割合というものは相対的に下がってくるわけです。   〔中島(茂)委員長代理退席、田川委員長代理着席〕 そういうふうな観点からいっても、今日地方交付税を一般的な交付率でまかなっても今度のベースアップの分がまかない切れないというふうな事態に至ったということは、国の地方財政に対する総体的な措置がきわめて貧弱だという姿がはしなくも現在あらわれてきたのだ、私はそうとりたいわけです。どうでしょうか。
  28. 平井迪郎

    ○平井説明員 地方財政に対する国の援助と申しますか、そういったものの考え方をどう持っていくかということはなかなか御議論のあるところでございまして、先生のおっしゃったような見方も確かに一面あるわけだと思います。ただ、たまたま今年度の地方公務員のベースアップと関連させていわゆる交付税率の引き上げを論ずるのは、必ずしも適切ではなかろうというのが私ども考え方でございます。
  29. 安井吉典

    安井委員 これはやはり大蔵大臣おいで願って、もっと論議しなければいけないことかもしれませんが、しかし地方財政の問題を専門に担当されている主計官ですから、それだけに私はきょう申し上げたわけです。地方財政の性格というものをそういうような観点からもひとつとらえていただきたいと思うわけです。そういうふうな御検討をぜひ願っておきたいと思います。  私はこの前のこの委員会でも、国が当然めんどうを見るべきだということについて、本来国がやるべき仕事の大部分を地方にころがしているのだ、国がやることまでみんな地方がやらされているのだ、そういう意味からも、それに伴う十分な財源措置を国が地方に与えていれば別ですけれども、それを与えていない現在では——国の命ずる仕事を実際やっているのは地方公共団体の職員ですよ。国の仕事を県の職員、市町村の職員がやらされているわけです。だからそういう意味でも、国がお世話になっております地方公共団体の職員の給与が、さいふが足りなければそれくらい補いましょう、それがほんとうですよ。もしそれがいやなら、国は完全に市町村や都道府県の財政が十分にまかなえるだけの財源地方に与えるべきだと思うのですよ。国がとっている税金を、これは国税をやめて地方税に回してやるとか、そういうふうな現実の措置があれば、私はこんな妙な理論を述べるつもりはありません。職員の給与も払えないような地方公共団体の姿にしておいて、しかもめんどう見ないというものだから私は文句が出てくるのじゃないかと思うのです。完全に自分で自分のことをやれるような、そういう仕組みをつくっておけば、職員の給与が足りないから国からくれなんというような妙な話は出てこないわけです。完全に地方財源を充実するか、さもなければ負担をするか、このどちらかではないかと思います。現在の段階では完全な財源措置を、税の財源の再配分をいまベースアップの問題を前にしてやれといったって、これは無理ですから、やはり国は当然地方の給与財源措置すべきだ、こういうことで申し上げているわけです。今度のベースアップの問題にしても、結局人事院が勧告して国のベースアップが行なわれたということに原因があるわけです。それから問題が発しておるわけです。国家公務員の分が上がれば、地方公務員法の規定によって、地方公務員のほうは国家公務員に準ずるわけですから、当然措置が講ぜられなければいけないわけです。しかし金がないのだからやむを得ませんというようなわけにはいかないのじゃないでしょうか。金がないのだから上げるわけにはいかぬ、——ちゃんと地方公務員法の中には、国家公務員に準じてやれと書いてあるのですから、そういうわけにはいかぬでしょう。ですからそれだけの財源措置が必要だ、こういうようなことにもなるわけです。  私はここでひとつ、先の見通しをあまり言い過ぎては悪いけれども措置が何もなくなって、最後はせめて起債でも許してやろう、それくらいの措置でやろうというふうな結論が出やしないかということも一つおそれている一人です。何もしないよりはそれでもましだとあるいは言われるかもしれませんけれども、しかし起債で当面お茶を濁そうというふうな措置政府がおとりになるということになりますと、これまた私はずいぶん大きな問題を残すのではないかと思います。かつて起債で措置をして、悔いをだいぶあとまで残した例があります。どうでしょう大臣、その点いろいろなお考えがあると思うのですけれども、その点についてはどうお考えでしょうか。
  30. 吉武恵市

    吉武国務大臣 いまの御質問の点でありますが、ない金は払えない。払えないからといって、ほっておくわけにいきませんから、くめんをしなければなりません。その一つとして起債ということも考えられるのでありますが、私どもとしては、毎々申し上げまするように、あれは二十七年でありましたか、一ぺんそういう処置をいたしまして非常に苦しんだ経験もございますので、できるだけその処置は避けたいという考えを持っております。  それから、これは大蔵省に対する御質問でございましたから、私からお答えするのもいかがかと思いますけれども、給与の構成が国と地方と違っておるということは御指摘のとおりでございます。国は三兆二千億の予算のうち、約一割程度が給与費でございますが、地方庁は三兆一千億の予算のうち、約四割が給与費でございます。したがってその構成が違っておるということは、一つの考えなければならぬ点でございますが、しかしながら、地方自治体と国とはやはり別でありますから、地方が足りないからといって、国費からどんどんその足りないところは補うということでは、いわゆる地方財政というものは不安定だと思います。したがいまして、できるだけ地方地方でやっていくというたてまえは、私は通していくべきであると思います。  それで先ほどの交付税率を、現在二八・九%でありますが、これでは地方財政というものが全般的にやりにくいということであれば、それを改定するという問題は一つの考え方でありましょう。しかしながら、先ほど大蔵当局から話しましたように、今回のこの給与改定で幾ら足りぬ。足りぬからその分だけを交付税率でまかなえばいいじゃないかということになりますと、これはやはり基本の問題になりますので、相当検討を要することであります。それはそういうことをたてまえとするのでありますれば、何も交付税率ばかりでなしに、国の財源の中から、足りない分はいつでも繰り入れればいいじゃないかということになりまして、それは私はやはりとるべきことではないと思います。  いままでの処置ができたのは、この前にも申しましたように、たまたま給与改定財源が、自然増収がございましたために、その自然増収の二八・九%の交付税でまかなえてきたからよかったわけであります。ところが、給与改定の増し方と自然増収の増し方とは、実は全然関連がないわけであります。比例すれば、給与が上がれば自然増収も上がるということであれば、それでまかなっていけるのですけれども、全然別個の問題でありますから、たまたまことしのように自然増収がございませんというと、給与改定はほうっておくわけにはいかぬし、尊重しなければならぬ。しかし、自然増収はない。なければないでほうっておいて、払えないのをそのままにしておいていいかといったらこれもできないから、払えるようにしなければならぬ。こういうところに非常にむずかしさがございます。先ほど申しましたように、大蔵当局としては、ことしの財源は非常に困難であるということは、これは私どもも認めておるところであります。その中で何らかこの財源処置を考えなければならぬということで、苦心をしているところでありますから、その点はひとつ御了承いただきたいと思います。
  31. 安井吉典

    安井委員 いま大臣の御答弁の中で、地方交付税の交付率の引き上げという私の主張について若干お話がございましたが、私が申し上げておるのは、二百億どうしても財源が足りないから、それにあたる分をあげなさい、そういう意味で言っておるのじゃなしに、先ほども申し上げておるように、大体交付税基準財政需要額ということから計算されているわけです。ところで地方公共団体にしても国にしても、職員の給与費というものは、ほかの何を払わなくたって必要なわけですよ。役場はなくたって、どっかの建物を借りて、借り賃払ってもいいのですけれども、職員がいなければ何も仕事できないわけですから、これは最も基本的なものでなければならぬわけです。何もなくてもこれは支払わなければならぬものです。県にしてもそうです。ところがその基準財政需要の中に、その最も基本的な職員の給与を払うことができないような地方財政のワクになってしまっている。交付税の税率が二八・九%であるという現実を含めて、払えないようになってきてしまっておる。そういうことになれば、もう最も基本的な地方自治体の運営の基礎がくずれておるような地方交付税の交付率は、この際改めるべきではないか、そういう論点から申し上げておるわけです。その点ではもう少し大蔵省のほうと、起債でというようなけちなことを言わないで、もっと堂々とそういうような基本的な論点からでも折衝していただきたいと思うわけです。
  32. 吉武恵市

    吉武国務大臣 ただいまのお話でわかりましたが、そういう意味では、私はいまのいわゆる二八・九%で一体今後の地方財政というものはまかなっていけるかどうかという点につきましては、私どもも実は考慮中でございまして、地方財政は非常に窮屈になりつつございますので、特に今度の給与改定とは別箇にして、地方財政、しかもその中に占める給与の率というものが四〇%もあるわけでありますから、これらを考慮して全体として考えてみる必要があるのではないかというお説につきましては、私どももややそういう感じを持っておるわけでございます。
  33. 安井吉典

    安井委員 もっとその問題について詰めたいのですけれどもあとまだほかの方の御質問もありますので、あと一、二点伺って終わりたいと思うのですが、地方公営企業の職員の関係です。これも一般会計部分の職員に対する財政措置さえ十分にできないのだからと言ってしまえばそれまでですけれども、しかし一般会計職員に対する措置について、これからまだ真剣な検討が進むのだろうと思うのですが、そういう中で地方公営企業に働いている職員についても、当然考えられなくてはならないと思うわけですが、それについてのお考えを承りたいと思います。
  34. 吉武恵市

    吉武国務大臣 お話しのように地方公営企業の職員についても、他の職員のベースアップがあればそれにならって上げたいということは、これはそうあるべきだと思います。しかし公営企業は企業体でございますから、その中の収入でまかなっていくというたてまえをとっておりますので、一般の職員とは性質が違うと思います。でありますから、収益に関係なく、ただベースアップが必要だから上げるということになりましては、企業体というものの本質をなくすることになりますから、その点は企業体の中でまかなえるような努力を極力払っていただきたいと思っております。  現在公営企業体全般といたしまして、公共料金が押えられているという点もあって、全体で約四百億余りの赤字になっておるときでありますから、私は非常に苦しいと思います。苦しいと思いますが、これは早晩何とか改定をしなければならぬということを考えておりますことが一つと、もう一つは、やはり私は企業体の中でもっと思い切った合理化というものをなさるべきだと思っております。私は具体的のどこの県、どこの企業体とは指摘いたしませんけれども、民間でやっていらっしゃる企業と同じ企業を公営企業体がやって、しかも民間の会社よりも給与がやや高い、そして赤字を出しておる。そしてほかが給与ベースを上げるから上げるのだ、これでは私はいかぬのじゃないか、こういう感じを持って、当局に対しましてもそのつどそういうことを申し上げているわけでございまして、企業体は企業体でまかなうというたてまえをどこまでも堅持しながら、一時的な問題は別でございますけれども、進んでいっていただきたい、かように存じております。
  35. 安井吉典

    安井委員 地方公営企業の問題は、別な機会にもっと詳しくいろいろ政府のお考え方もただしたいと思うのですが、いまの大臣のお考え方からしますと、地方公営企業は今日非常に苦しい実態にあります、都市交通にしても、水道にしても、病院にしても。しかも、人件費の関係でそうなっているというふうに、いまの大臣のお話からはとれるわけです。そうじゃないでしょう。やはり水道にしてもほかのどの企業にしても、赤字の原因というものは、どんどん設備を新設拡張しなければいけない、そういうような企業債の圧力というものが非常に大きなウエートを占めているわけです。その点はこの委員会にも小委員会があって現在検討が進んでいるわけでありますが、そういう中でも指摘されております。人件費だけで問題が何も解決するわけじゃないのですよ。職員に直接関係のない問題から財政が非常に苦しい状態に陥っている。赤字だからベースアップの必要がないのだ、そういうようなことになっては、私は酷じゃないかと思うわけです。赤字の原因というものをもっときっちりしなければ、これは困ると思うのです。ほかの原因があればその原因をはっきりただすということでなくてはならないし、赤字だから上げないというのなら、黒字なら幾ら上げてもいいのかということにもなるわけですよ。これはおかしいでしょう。やはり一般的な考え方としては、たとえば小さな市役所なんかの場合は、水道の職員も、一般会計の職員も、みんな一緒に机を並べてやっている。ですから本俸だけは私はそろえてやるのがあたりまえだと思うんです。その上に、公共企業体に必要ないろいろな手当類だとか、そういうようなものは別になるでしょう。しかし基本給だけはやはりそろえてあげるということがあたりまえな姿じゃないかと思うわけです。つまり赤字という、そういうふうな基本的な原因の探求を別にして、それだけを直ちに公務員の給与に結びつけていこうという考え方では私は誤りだと思うんです。やはりこの際一般会計の職員について行なわれれば、それと同様な措置が当然とられるべきだと思うのですが、どうでしょう。
  36. 吉武恵市

    吉武国務大臣 私のことばがあるいは少し重点的に申し上げて誤解があったかもしれませんが、それだけだとはもちろん申しているわけではございません、公共料金も押えているわけでございますから。ただしかし、公共企業体の民間でやっているのと同じような企業体であって、しかも民間よりも給与が高い、赤字を備えながら高くしておるということは、これはやはり合理化すべき要因じゃないか。したがいまして現在の四百億の赤字の原因がすべて給与が高いからという趣旨ではございません。いまちょうど調査会でも審議をしておりまして、やはり改定すべき料金は改定もし、同時に合理化すべきものもひとつ合理化してもらおう、こういう線で出ておるわけであります。少し私が重点的に申し上げたので誤解があったかもしれませんが、そういう趣旨でございます。
  37. 安井吉典

    安井委員 一般会計の職員に対して財政措置が講ぜられる際に、あわせて地方公営企業に働いている職員に対する給与改定財政措置、その方法にはいろいろあると思うんですけれども、直接その給与財源をどうするということでなしにでも方法はないわけではないと思うのです。そういうような措置も当然考えるべきではないかと思うのですが、その点が一つと、それから不交付団体の場合も似たような形があらわれるわけです。不交付団体の場合も、それは金がたくさんあるのだということになるかもしれませんけれども、時期がずいぶん迫ってきて、会計年度の半分を過ぎている段階で、現実に非常に財源措置ができにくいというふうな団体も出てくるのではないかと思います。この点ちょっと似たような——全然本質的には別なものですけれども、並べてもちょっとおかしくないような問題だと思うのですが、この二点についてのお考えを伺っておきたいと思います。
  38. 柴田護

    柴田説明員 公営企業職員の給与改定につきましては、在来から公営企業の本来のたてまえから、その給与改定に必要な財源は企業内部で生み出すべきものである、こういうたてまえをとっております。そうして従来から今日までそのたてまえを貫いてきたのでございます。今回の問題につきましても私どもは同じようなたてまえを貫いていきたい、かように考えております。ただそこには、おっしゃるようにいろいろ問題がございまして、公営企業の赤字との関連を考えてまいりますと給与制度そのものに実は問題があるだろう、公営企業職員の給与というものをどのように考えていくのか、あるいは公営企業というものを一般会計との関連においてどのように把握するかというようなむずかしい問題があるわけでございます。その問題が片づきませんと、その点について、単に財源的な問題だけで安易に片づけていくわけにはまいらぬのではなかろうか。したがってまた、政府調査会まで設けましていろいろ御審議をわずらわし、あるいはまた当委員会におきましても小委員会までつくられまして、いろいろ御審議をわずらわしているのも、そういうむずかしい問題があるからであろうと実は思うのでございます。したがって、一般論といたしましては、公営企業職員の給与水準が国家公務員の水準に達していない、つまり今度の改定後の国家公務員の水準に達していないというところにつきましては、やはりその点までの改定というものは行なわれるべきものであろうと思うのでありますけれども、それを越しているというようなものにつきましては、やはり企業会計との関連において考慮すべきものではないか、こういうように考えるわけであります。また不交付団体の問題につきましても、お話しの点はよくわかりますし、毎々、年度の中途から給与改定がありますたびに、不交付団体におきましては非常に苦労しているわけであります。私どもといたしましては、しかし財源全体の配分からまいりますならば、その超過財源というものと、単位費用を改定いたしまして給与改定分だけ基準財政需要額を上げげてまいった場合の差し引きを見まして、やはりまだ超過財源が残るということになってまいりますと、財源の配分からいいますと、そこまで何らかの措置をとるという余裕はないといわざるを得ないわけであります。問題は、年度の途中から給与改定というものが行なわれるからこそ、そういう問題が起こってくるのでありまして、むしろ問題は、年度の途中で給与改定をするという制度そのものに問題がある。この問題は、やはり一日も早く片づけてやりませんと、地方財政の運営に非常に支障を来たす、こういう考え方を持っているわけでございます。
  39. 安井吉典

    安井委員 どうも問題点をだいぶわきへ置いての御答弁のような気がするわけですが、いずれにしても、私はきょうは直ちに結論をここで出していただきたいというふうなことで詰めるわけにもいかないし、またこれから検討段階だそうですから、これから最後の結論をお出しになるためのいろんな問題点に対する御注文というような形でいままで申し上げたわけでありますが、最後に、柴田財政局長がいおいででございますが、財政局長書簡という抑制通達がありますね。一昨年柴田財政局長名で出された通牒があって、賃金抑制通牒というようにみんなにとられているようです。ところがあの通牒じゃなしに、何か財政局長の書簡だそうですか、あの書簡は法律よりもよく守られているようですね。実にしっかりした基礎で、とにかく抑制というふうな通達はよく守られるらしいのですが、特にあの手紙というのは金科玉条のようにされているようであります。ですから、私はここまでは最低限度は上げなさいという、そういうふうな限度は示すべきだが、それからあとは、地方公共団体の問題はそれぞれの立場で処理されるべきだという、その原則にやはり立ち戻るべきだと思うのです。前段に申し上げましたのは、特に町村の職員などは、これはなかなかたいへんなわけです。現在でも非常に低水準にある。それから町村だけではなく、たとえば新潟県のような災害を受けた県では、すでに災害を受けたんだからベースアップどころではないというような問題から、だいぶいろんな問題が派生しているというようにも私は聞くわけでありますが、そういうようなことがあるわけですから、最低限度はここまでは国家公務員とそろえなさいというところまではやはりすべきだが、それからあとのこかまな点については、これはやはり本来の地方自治の、あるいは地方財政の本来の姿に戻った措置というものでなくてはならないと思うわけです。この点どうでしょう。
  40. 柴田護

    柴田説明員 私が昨年手紙を出しましたのは、ちょうど公営企業が非常に赤字でございまして、給与改定をどのように考えたらいいんだというような、いろいろ疑問があったものですから、給与改定に対する——給与改定と申しますか、公営企業におきます給与制度というものに対する現行法のたてまえ論を明らかにしただけでございます。したがって、先ほど御答弁申し上げましたように、国家公務員に準ずるという制度でございます以上は、国家公務員に準ずる水準というものは、やはりわれわれといたしましても確保いたしたい。しかし、そこから先のことは地方団体の自由だということをおっしゃいますけれども、それから先のことにつきましても、やはり準ずるという幅をどのように理解するかということと関連をいたしまして、必ずしも自由とも言えないのではないか。ただし、公営企業等につきましては公営企業の特殊性というものがございますから、その特殊性というものは企業内部の経理との関連において考えていったらいいのではないか。公営企業につきましては、私は若干問題が違うだろう。一般の場合につきましては、やはり給与制度のたてまえから考えて、準ずるという制度がある以上は、おのずから幅がきまってくるのではないかというように実は考えるのであります。
  41. 田川誠一

    田川委員長代理 川村継義君。
  42. 川村継義

    ○川村委員 きょうは増原さんと田中さんに来ていただいて、いろいろ給与問題をお聞きしたがったのですが、できなかったようですから、たいへん残念に思っております。また、大臣も何かたいへんお急ぎのようでございますから、簡単にお聞きせざるを得ないと思うのです。  現在、大臣がお考えになっておりますお考えについては、いままでの質疑等で大体了解ができたのでありますが、ただ、念を押すようでありますが、一、二点、大臣の決意と申しますか、そういうお気持ちをお聞かせをいただきたいと思います。  お話しのように、三税の自然増が五百億と見て、交付税が百四十億あると考えられる。地方団体の増収が六十億ぐらい考えられる。四百三十億ばかり今度の給与改定に要るんだけれども、それらをあわせ考えると、二百三十億程度の財源を補てんしなければならぬ。三十億を節減しても、どうしても二百億は何とかしなければならぬ、こういうお話が実はあったわけであります。ところが、それをどうして補てんするかということについて、大臣のお話でも、閣議のお話で、地方公務員についてもこの趣旨に沿って改定が行なわれるものと考える、その場合の必要財源は、国が措置することは非常に困難であるが、関係各省間の協議で努力をする、こういうことが言われておるということであります。そこで、先ほど大臣は、ごく最近問題になっておる、足りない分は地方債ででもやろうではないか、こういう話が出ておるけれども、それは自分としては好ましくないと思っておるというようなお話がありましたが、地方債でそれをやるということは、大臣、どんなことがあってもそういう補てんはやらせない、こういう御決意がおありでございましょうか、お聞かせいただきたい。
  43. 吉武恵市

    吉武国務大臣 先ほど申しましたように、払うには金をくめんしなければなりません。そのくめんの方法として、起債でやるということは、前の例もございまして、私としては極力避けたい。しかしこれはまだ折衝中でございますから、どういうふうになりますか、やらないといって、金が出なかったら払わないというわけにいきませんから、私の趣旨はできるだけそれは避けたいということでひとつ御了承いただきたいと思います。
  44. 川村継義

    ○川村委員 そういたしますと、大臣としては地方債で措置するというようなことは極力避けるように努力する、こういう御決意だとこの際承っておきたいと思います。それでは、党や政府のほうでもそのように努力をすると言っておられるそうでありますけれども地方債でやらないということになりますと、財源補てんをする方法というのはどういうものがございましょうか。大臣としては、こういう方法があるではないかということで大蔵省と折衝なさってもしかるべきだと思うのですが、その措置の方法について、別途大臣はどのようなお考えを持っておられますか、それをお聞かせいただきたい。
  45. 吉武恵市

    吉武国務大臣 これは先ほど申しましたように、自然増収の見込みが十一月の初めにならないとわからないものですから、いまどういう方法でということを具体的に申し上げる段階に至っておりません。しかし先ほど来申しまするように、何とか財源処置は講じなければならないという線で努力しておりますから、ひとつその点を御了承いただきたいと思います。
  46. 川村継義

    ○川村委員 お話をいただく段階ではないお気持ちはよくわかりますけれども自然増収を五百億とした場合の交付税は百四十億しかない。かりに多くて六百億——もっとあるかもしれませんけれども、大蔵省が言うように六百億と最大見積もっても、これは二百億の交付税で、補てんする金には届かない。そうなりますと、何とかしなければならぬ。起債でやらない、地方債でやらないということになりますと、これは大臣としても自治省当局としても、別途こういう方法もあるではないかということは具体的にお持ちでなければならぬと思うのです。たとえばこういう方法がある、たとえばこういう方法があるということは、これはお話しいただけませんか。
  47. 吉武恵市

    吉武国務大臣 先ほど来申し上げまするように、私としては極力やるという決意を持っておりますので、いまここでどういう方法でこうだと言いましても、相手のあることでございますから、私がここで申しただけではどうにもなりませんから、ひとつ御了承いただきたいと思います。
  48. 川村継義

    ○川村委員 それでは敬意を表してお聞きしないことにいたしますが、ただどうしても補てんできぬという場合には、自治省の中で、それならば地方公務員は九月実施は不可能ではないか、地方公務員に限って十月からやらざるを得ないことになるではないかという意見があるということを聞いておるのでありますけれども、そういうことはなさらないと思うのです。国家公務員同様九月実施をおやりだと思いますが、この点大臣、そのように考えて差しつかえございませんね。
  49. 吉武恵市

    吉武国務大臣 この点はしばしば申し上げましたように、地方公務員国家公務員に準じてやるということでいままでもそうしてやってきておりまするし、今回もそう国が国家公務員について決定をいたしました以上は、地方公務員につきましてもそれに準じてやるということを前提としてその財源措置をいま苦労しているところでございます。
  50. 川村継義

    ○川村委員 実は大臣は非常にお忙しいそうですから、細谷委員が別の問題で大臣質問したいことがあるということですので、私は細谷委員大臣に対する御質疑が済みましたあと財政局長にいま少しお聞きしたい。      ————◇—————
  51. 田川誠一

    田川委員長代理 次に、福岡県の現職警官傷害窃盗事件に関し質疑通告がありますので、これを許します。細谷治嘉君。
  52. 細谷治嘉

    ○細谷委員 大臣は時間がないようでございますから、まず国家公安委員長としての大臣お尋ねしたいと思いますが、去る十月十五日の未明午前三時、警察史上類のないような現職の警官が二カ年にわたって盗みを働いて、パトロール中の警官に追い回されたところが、そのピストルを奪って警官を撃った、こういう事件が起こっております。しかもそういうことで騒動している間に、窃盗容疑の少年が監房の中で自殺をした。その自殺も他の容疑者から言われてようやく気づいた、こういう事件が起こっております。文字どおりたいへんなことであり、警察行政について住民の不安というものはつのるばかり、こういう現況でございますが、これは警察制度に根本的な欠陥があるのではないかと思うのですが、この事件に関連して、国家公安委員長としての所見なり、あるいは決意というものをまずお尋ねしたいと思うのです。
  53. 吉武恵市

    吉武国務大臣 ただいま御質問になりました福岡県の警察官に関する不祥事件は、私も、お話のとおりいままで警察関係の史上において例のない非常な不祥事だと思いまして、まことに遺憾に存じます。この点は私国家公安委員長としてまことに申しわけないと思っております。  御指摘のように、本件は、鈴木勇一郎という巡査が約十七年間つとめておりまして、その間の業績を見ますると、表面は勤務上やや普通よりも良好とされておったようでございます。したがいまして、気づかなかったのでありますが、去る十五日の未明、パトロールカーによって巡回中不審に思って呼びとめてみるとああいう事件が起こって、だんだん取り調べをいたしますと、いま言ったように二年間にわたって窃盗をしておったということであります。それで私といたしましては、そういうことであれば日ごろわからぬはずはないじゃないか、監督の上において多少とも何かそういう点を耳にしたことはないのかという点を強く指摘して調べさせたのでありますが、本人は表上は非常にまじめに勤務しておる、そうして勤務に差しつかえをさせないで、いま言ったような悪いことを裏でして、まあ二重人格的な存在であったようでございます。しかしそれではとうてい許されることではありませんので、本人は直ちに懲戒免官にいたしますると同時に、署長は責任を負って引責辞職をいたしましたからこれを認めるとともに、監督の責任は免れないということで本部長も呼び出しまして事情を聞き、そうして委員会にかけまして、先般懲戒処分といたしまして減俸百分の一、一カ月の処置にしたようなわけでございます。そのほか直接の上司等の地方公務員としての責任は目下福岡公安委員会検討されておりますので、おそらくそれぞれの処置がなされると思います。終戦直後はやや混乱のときでありまして、警察官の素質というようなものがやや心配されておったのでありますけれども、近年非常に改善をされて、私は先般来、警視庁管下ではございましたけれども、ずっといろいろな施設を見て回り、警察官の素質等を見て回りまして、たいへんよくなってきたなといって喜んでおったやさきのことでありまして、私自身も非常にがっかりいたしました。これを機会にいたしまして、全国の警察官の規律の確立にうんと努力をするつもりでございます。近く全国の警察本部長を招集をして会議がございますので、この点は特にやかましく指示するつもりであります。
  54. 細谷治嘉

    ○細谷委員 重ねてお尋ねいたしますが、いま大臣のおことばの中で、鈴木というこの巡査は普通よりもやや優秀だというおことばがございましたが、本部長表彰三回、それから署長表彰が四十一回、合計四十四問表彰を受けておるわけですが、この巡査の勤務は十七年間であります。そうしますと、平均して一年に二回半くらいの本部長あるいは署長の表彰を受けておるわけなんで、これは相当優秀だということがこの表彰の点からいっても言えると思うので、やや優秀どころではなくて、相当優秀な警官と折り紙のついておった人が、警察史上空前の事件を起こした、こういうことでございますから、これはやはり警察の責任体制なり、あるいは警察行政そのものに根本的な欠陥があると、こういうふうに私は見なければならぬと思う。それから、いま処罰をしたと言いますが、たとえば浅沼事件の際には、国家公安委員長がやめただけ、せんだってのライシャワー事件では、早川公安委員長がやめただけ、今度の場合は、ちょっとまたあとで詳しく関係者にお尋ねいたしますけれども、本部長に対しては百分の一、その他の方に対しては百分の二十とか十五とか十とか、こういう処罰をしております。その処罰がきわめて形式的で、責任のがれの処置をとっておる。こういう責任体制の重大な欠陥から起こっておるものと言わざるを得ないのでありますが、重ねてひとつこの点についての大臣の所見をお尋ねいたします。
  55. 吉武恵市

    吉武国務大臣 処罰の程度の問題でございますが、これは懲戒委員会にかかりまして、いままでの関係その他を見て、今度の事件は相当責任をとるべきであるということで、そういう処置をとったように私は承っております。私もただいま細谷委員のおっしゃいましたように、この問題は相当の責任のある問題だ。本人が表上非常にまじめにやっておりましたから、気がつかなかったという点はあるかもしれませんけれども、しかしそれにしても、二年間にわたって、こういうことをやっておったのが気づかれないというのは、責任は免れない、かように存じておるわけでございます。
  56. 細谷治嘉

    ○細谷委員 それでは警察当局お尋ねしたいんでありますが、新聞等で拝見しますと、妻の良枝さんの話によりますと、夫の犯行は知っておった。始めたのは二年くらい前からだと、こういうふうに言っておりましたが、これは事実でございましょうか。
  57. 中原ただし

    ○中原説明員 ただいまお話しの、妻の長枝さんが二年くらい前から知っておったということでございますが、これは電話で連絡の結果わかりましたところでは、二年くらい前からときどき非番の日に、夜いなくなるというようなことで、どうも不審の念を抱いたということを申しておるようでございます。なお奥さんにつきましては、いろいろ事情を聴取しておる段階でございますが、ただいままでに受けております範囲では、そういうことを聞いております。
  58. 細谷治嘉

    ○細谷委員 二年前から盗んだものをお茶の箱に入れて、近所の人に預けておった。その点数は二百六十点。最近福岡の中心街である天神町一帯にビル荒らし、こういうものが起こりまして、未解決のものが五十四件あるといっておりますが、これは事実であるかどうか。鈴木がこの問題についてどの程度の関係を持っておると見ておるのか、お尋ねします。
  59. 中原ただし

    ○中原説明員 福岡の中心街での窃盗事犯の未解決の件数、五十数件云々といういまのお話でございますが、この点の件数、ちょっと申しわけございませんが、正確に覚えておりません。本人を逮捕いたしましたあと、押えました茶箱の中の品物等から、逆に品物の面から従来の被害品との一致その他を調査いたしておりますが、かなりの事件が残念ながら本人の犯行に結びつくのではないかという推定のもとになお調査いたしております。現在までのところ、はっきりいたしましたのは八件程度でございますが、その他につきましても引き続き取り調べを進めておる状況でございます。
  60. 細谷治嘉

    ○細谷委員 さらにお尋ねいたしますが、パトカー乗務員の話でございますけれども新聞記者が調べたところによりますと、「パトカー乗務員の話だが事件発生前にも怪盗スタイルの鈴木を数回見かけたといっている。いずれも深夜だが、顔見知りだったので見過ごしたという。」——これは事実ですか。   〔田川委員長代理退席、渡海委員長代理着席〕
  61. 中原ただし

    ○中原説明員 ただいまの点につきましては、ただいまのところ、地元の県警から報告を受けておりませんので承知いたしておりません。
  62. 細谷治嘉

    ○細谷委員 地元の県警から報告を受けておらないということでありますけれども、これが事実とすればたいへんなことだと思うのです。  さらにお尋ねしたいのですが、二年間盗みためた盗品を、ジキルとハイド的な性格を持っておるわけですが、それを、表彰四十四回も受けておる優秀警官ですから、上司に贈って、上司のきげんをとって表彰ももらったんだといううわさがありますが、これは事実ですか。
  63. 中原ただし

    ○中原説明員 ただいまの表彰のことでございますが、内容を申し上げますと、本部長表彰三回と申しますのは、時期は二十八年、三十二年、三十三年でございます。二十八年のは、教養考課の測定のための全県下警察官に対するテストの結果の成績がよかったという意味での表彰でございます。それから三十二年の表彰は、年間欠席なく、欠勤なしに皆勤をしたという意味の表彰でございます。それから三十三年の表彰は、外勤事務の運営についての監察の結果、成績をあげておるという意味での表彰でございますが、署長表彰の四十一回と申しますのは、交通違反の取り締まりとかあるいは職務質問の結果容疑者を発見したとか、定期の教養考課の測定の試験の成績がよかったとかいうことでのいわゆる職掌的な意味での賞与でございまして、署長表彰の四十回ばかり、これは必ずしもそう特にいいというほどのあれではございません。そういうことでございまして、全般的な成績といたしましては特に優秀というほどではございませんが、一応日常の昼間の勤務につきましては、普通よりも若干いい成績をあげておるというのが、この表彰の面から見ましての実情でございます。
  64. 細谷治嘉

    ○細谷委員 本人は、新聞等に書かれてあるものを見ますと、上司に対しては非常に勤勉さをあらわすようなことをやっておったが、下の若い警官に対してはきわめて冷淡であった、さらには不遜であった。若い警官が、たとえば軽い交通違反などをやった場合に、ある程度注意ということでやるのを、それじゃいかぬということで非常にやかましくやった。あるいは酒に酔った工員に乱暴を働いた、こういう平素の行動があったということにつきましてはお気づきであったかどうか。
  65. 中原ただし

    ○中原説明員 先ほども申しましたように、表面まじめにやったような形をとっております。また、先ほども大臣から申し上げましたように、いろいろ調査いたしますと、二重人格的な感じの面を持った男でございますので、いわゆる要領よくやるというような感じの面があって、したがって、場合によっては上にへつらって、下につらく当たったというようなことが、あるいは本人の——結果的に見ましてもそういうことでございますので、おそらくそういう性格のものとしてあり得ることだと思いますが、ただ、若い警察官の指導につきましても、これは非常につらい、強い指導をしたという言い分の者もございますし、それから中には、いろいろ親切に指導をしてくれたというような言い方をしておる者もございます。そういうことで、いろいろ見方もあると思いますが、いままでのところ、こういう特殊性格者の一般的な傾向として、やはり要領よく上に向かって、ていさいをつくろい、場合によれば下にはつらく当たるということはあったのではないか、かように考えます。
  66. 細谷治嘉

    ○細谷委員 警察官ということをかさに着て、防犯診断という名前でビルとか、あるいはアメリカの文化センターとか、あらかじめ防犯診断に行くんだといって下調べをして、そうして窃盗を働いた、こういう事実がございますが、そのとおりでございますか。
  67. 中原ただし

    ○中原説明員 犯行のために、防犯診断に名をかりて事前に諸掛をしたというようなことは、いままでの報告ではございません。ただ、外勤警察官として防犯関係の仕事で、場所によっては防犯診断的な行動があったかと思いますが、面接犯行のために事前のあれをしたということは、現在のところ承知はいたしておりません。
  68. 細谷治嘉

    ○細谷委員 御否定なさったのですけれども、こういうことが書かれてあるのですよ。「「防犯診断」という、下調べ。「ビル荒らしが続発していますので盗難予防に十分注意してください」といって堂々と制服で正門から管内のビル、事務所をまわり、戸じまりなどを注意しながら「犯行の青写真」をすばやく頭に入れていたのだ。福岡市天神一丁目、アメリカ文化センターにも七月はじめ、防犯診断で訪れ、一階から三階までゆっくり下調べをして、一週間後、裏口から侵入して三階会計富のキヤビネットから現金二十六万円と米ドル三十四ドルを盗んでいた。防犯診断で裏口のドアと夜警員のいないことをちゃんと調べたうえでの完全犯罪だった。」こういうふうに書いてあります。これはたいへんなことだと思いますが、御否定なさっておりますけれども、こういうふうに新聞なりあるいは雑誌等に書いてありますが、こういう事実はございませんか。
  69. 中原ただし

    ○中原説明員 その事実を否定をしておるわけではございません。現在のところ、まだ個々の犯行についての調べの途中でございますので、事前にその犯行のためにそういう下検分をやったというようなことは報告としてまだ受けておりませんし、承知をいたしておりません。ただ、外勤警察官は防犯関係の仕事で、いろいろ防犯診断というような形で回るところがございますので、そういう意味で、事前に回ったところで犯行を犯したということはあり得ると思いますが、犯行のためにそういう事前の調査をしたというふうにはまだ報告を承っておりません、こういうことでございます。   〔田川委員長代理退席、藤田(義)委員長代理着席〕
  70. 細谷治嘉

    ○細谷委員 もう一つお尋ねしたいのですが、三十七年の九月に福岡市に六十八坪の土地と建坪三十坪の自分の象を建てた。家族三人。そうして警察共済から二十万円借りて、本人は五万円で、あとは実母かなんかからの借金だ。実際は三十坪の建坪でありますから二百万円以上かかるであろうと言われておる建物をつくっておる。ごく最近は十七万円もするような通勤用のバイクを買っておる。借金は一つもない。給料はといったら警察官であって、自分の間貸しがあるから月収六万円くらいあるそうですか、そういうことについて不審はなかったかどうか。
  71. 中原ただし

    ○中原説明員 本人が自分の住まいとアパートを兼ねた象屋を建てましたことは署の幹部も知っておりまして、当時金銭上の問題でどうであろうかということで、注意をして調べたことがあるようでございます。ただその際は、ただいまもお話がございましたようにそれぞれのルートからの正規の手続を経ての借金をいたして建てております。それから建物自体も古材を安く買いまして、古い建物の取りこわしたものでの建て直しというようなことでございましたので、その点につきましては、大体つじつまが合うということで、一応監督の立場にある者としては、その点につきましては不審を抱いていなかったようでございます。
  72. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私が幾つかの例をあげてお尋ねいたしましたことについては、何もかも不審を持たなかった——何もかもということではございませんけれども、これだけありますと、もう相当問題があると考えられなければならないのに、文字どおり灯台もと暗し以上のものが警察官内部で起こっておるということだと思うのです。二年間、こういう事実が今日あげられておるにかかわらず、しかも本人の日ごろの素行もちょっと変わったところがあるというのに気づかなかったということは、これはたいへんな責任だろうと思うのですが、これについて一体どういうふうな責任を感じておるのか。こういうことで責任体制がとれるのか。警官という名において、防犯診断でございますという形であらかじめ盗みを働く下調べをされたのではたまったものではない。これはどういうふうにお考えですか。
  73. 中原ただし

    ○中原説明員 ただいま御指摘のような事実につきましては、まことにいままで例もないことでございますし、また常識をもって考えられないようなきわめて遺憾なことでございます。福岡県の本部長以下それぞれ監督の立場にある者のみならず、警察におりますわれわれ一員といたしましても、非常に遺憾で責任を感ずる次第でございます。したがって、従来の本人に対する監督というのは、主として職務の執行の面を通じての監督が行なわれ、一応職務の執行の面につきましては仕事を欠勤することもない、一応表面的にうまくやっておるというようなことで、仕事の面からの成績としては、まあまあ普通ないしそれよりちょっといいくらいの成績でしたが、いま御指摘のような私生活につながる面では、従来から身上相談的な意味での——これは全般的な問題でございますけれども、監督というものも考えておるわけでございます。今後やはり警察官である以上、仕事のみならず私生活の面につきましても、いろいろと配慮をして、実態を把握するというような努力をしなければならないと思います。特にそれぞれの直接の監督の衝に当たる者は、その点十分責任を感じなければならぬと思います。今回の問題につきましても、先ほど大臣から申しましたように、現場の組織の最高の責任者である署長につきましては、引責辞職という形で責任を明確にし、また県警全般の責任者である本部長につきましても、減給処分ということで、従来のこういうこと、もちろんこのこと自体が従来なかったことでございますので、従来の例と必ずしも比較考量するわけにはいきませんが、懲戒処分上の責任のとり方としては、かなり重く処分をいたしまして、県警全体、あるいはその署全体の規律の振粛をさらにはかるという措置をとったような次第でございます。こういうことは今後絶対あっては困ることでございます。また今後こういうことが絶対にないように、それぞれの段階における責任者は、十分に留意をしてまいらなければならぬ、かように考えております。
  74. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私はどうもまだ責任を感じておらないのじゃないかと思うのですが、第一に町の人はこう言っておりますよ。町の人はこのくらい悪いことをしても、このくらいの悪いことは、警察官自体がああいうことをやるのだから、一般の人がやるのを見のがさんのか。天神派出所の前を通ると、これが警察の鈴木がおった派出所だ、こういうように言っております。警察の威信、文字通り地に落ちた、信用全くなくなったというのが町の姿であります。  さらに申し上げますと、一体鈴木というのがつかまったのは、新署長が赴任四十五日ですよ。何とか市民にこたえなければならぬと思ってパトロールを強化した、そのパトロールにひっかかった。新署長は市民を喜ばせようとして、あるいは暴力団とかそういうものを何とか追放しようとして積極的にやったのがあだになって、四十九歳の福岡署長は引責辞職をした。何もやらなければよかったのです。そういうことになると、警察の責任体制は、あとでまた触れますけれども、たいへんなことだと思う。こういうことについて、もっと責任を感じていただかなければならぬと私は思うのですが、重ねて率直にひとつ御意見を聞きたいと思います。
  75. 中原ただし

    ○中原説明員 今回の事件は、想像を絶したと申しますか、考えられないきわめて遺憾な事態でございまして、われわれ当局者としても非常に責任を痛感いたしております。今後福岡の署、あるいは福岡県警のみならず、警察全般がさらに気分を引き締めまして、こういう事態の絶無を期してまいりたい、かように思います。いまお話になりましたように、石橋署長はまだ赴任日が浅いのでございます。そういう意味から言いますと、彼が大いに規律の振粛、あるいは今後仕事の実績をあげようという気持ちでやっておるときに、引責辞職というのは、私情におきましてはまことにお気の毒だという気もいたします。しかしながら、こういう想像を絶した事態が起こった以上は、それぞれの段階の責任者の、ことに直接の衝に当たっておる所属長は責任を明確にし、それぞれの第一線の警察官まで気分を引き締めるという措置が必要であろうということで、先ほど申しましたような措置をとったようなわけでございます。このこと自体は非常に遺憾なことで、今後絶無を期してまいりたいと思います。
  76. 細谷治嘉

    ○細谷委員 新聞のことでありますから、あるいはまた御否定なさるのじゃないかと思うのですけれども、こういうことを書いてあるのです。やめられた石橋署長は、私も署長稼業の鉄則はわかっていたのだが、市民に喜ばれると思うと、ついパトロールを強化したというのです。その網にひっかかったのです。そのように石橋署長語っておるのです。これは事実ですか。新聞に書いてある記事はうそですか。署長の鉄則というのは何もやらぬことか。犯人をあまり出すとたいへんになるということが署長の鉄則だ。——かつて北九州市で、警察官が酒を飲んだ、ところがおまえけしからぬじゃないか、署長が言ったら、本部長がおまえも悪い、やめろ、こういう例があったそうでありますが、そういうことからいって、署長の鉄則というものは何もやらぬこと、市民に喜ばれるようなことはやらぬ、こういうことばを署長言っておりますが、こういう事実ございませんか。
  77. 中原ただし

    ○中原説明員 ただいまの新聞の談話なるものは、私は初めて承ったのでありますが、あるいは談話をとられる際に、用語の省略等の関係でそういうことになったかと思いますが、おそらく本人がそういう何もしないのが鉄則であるかのごとき言い方をしたことはないと思いますし、そういうことはありえないと思います。まだ私もそのことは全然承っておりません。
  78. 細谷治嘉

    ○細谷委員 御否定なさっておりますから、これは新聞が誤りだということは喜ばしいことだと思う。しかしこういうふうな新聞が土地の人に全部読まれておるわけですから、そういう点はひとつ十分に配慮していただかなければならぬのじゃないかと思います。  そこでお尋ねいたしたいのでありますが、着任してわずか四十五日の石橋署長が依願退職ということでありますが引責辞職、そして県警本部長を百分の一の一カ月間の減俸。そして関係者の現在の次長あるいはその前の次長、あるいは責任者、関係者がやられておりますが、その処分というものは大体において百分の二十から百分の三くらいの間にそれぞれ軽重をつけられて処分されておるが、そうなってまいりますと、私は先ほど国家公安委員長質問したのでありますけれども、浅沼事件が起こったときには山崎国家公安委員長がおやめになったデイシャワー事件では県川国原公安委員長がおやめになった。今度の場合は本部長は百分の一の減俸、四十五日間しかたたない石橋署長が引責辞職、これは一体常識でしょうか。これで責任体制済んだとお考えでございますけれども、はたから見ますときわめておかしい、ごまかしの、形式主義の官僚的な処分のしかたではないかと私は思うのですが、いかがですか。
  79. 中原ただし

    ○中原説明員 きわめて在任期間が短い署長が引責辞職で、県警本部長が減給一カ月、御質問の御趣旨は、本部長が軽いということでしょうか。従来の例を申してあれでございますが、第一線の警察官の行動につきましては、それぞれ監督の立場にある者としては、班長とか係長とか、それぞれ直接の課長、署におきましては次長、署長というような段階がございまして、第一線の大きな執行のやり方なり、あるいは方針、判断というような問題で、大きなミスがありました場合には、その責任の所在というものもおのずから変わると思いますが、今回の場合はまことに長期にわたって、遺憾な事態ではございますが、全然仕事を離れた立場での非番の日等にありました。しかも、仕事の上はよくやっておったというようなかっこうでの重大な事故でございます。そういう意味合いから、やはりその身近におって、監督の責任を負っておるという者に、ある程度直接の責任が重くなるというのが従来の扱い方でございます。ただ、今回の場合はきわめて遺憾な大きな事故でございますので、署長とかあるいは県警の最高の責任者におきましても、責任の所在をはっきりするということが必要であるということから、署長はたまたま当日事故が二回引き続いて——もちろんその朝十分注意をするようにという指示をしたようでございますが、重大な事故が続いておりますし、それからさらにさかのぼって悪いのですが、その署長が前任地におりました際にも事故がございました。そこらからやはり署長としては、福岡署では在任期間が短いのでございますが、ここで気分を引き締める意味では、この際第一線の最高の責任者である自分が身を引くということが必要であろうということで、積極的な意思表示がございました。したがって、これはむしろ本人の意思を入れて引責辞職という形をとらさせて気分、規律を引き締めるということが適当であろうという判断で、そういう措置をしたわけでございますし、本部長につきましても、従来減俸処分というのは本部長につきましてはほとんどない措置でございますが、今回はそういう第一線の職務を離れた行為ではあるといいながら、非常に警察の威信を失墜する、また市民、県民の信頼をそこなうような事態が起きたという意味で、最高責任者である本部長につきましても減俸処分、これは御案内のとおり免職、停職、減給、戒告というような段階がございますが、その第二段階の減給処分ということで、今後の体制の切りかえに本人も決意をしてそういう措置をしたわけでございます。
  80. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私がお尋ねいたしたいのは、きょう長官が見えておられないのは遺憾に思うのですけれども、個々の処分が軽い、重いということを申し上げておるんじゃないのですよ。こういう形の処分の、必要があればまた第二次の処分も発表する、こういうふうに本部長はおっしゃっておるのですけれども、こういう処分で警察の体制あるいは責任体制というものがとれると思うのかどうかという点をお尋ねしておる。こういう形式的な形ではとられないのじゃないか。しかも従来の浅沼事件なりあるいはライシャワー事件等のやり方から見ますと、これは国家公安委員会、あるいは県の段階と違いがありますけれども、どうも趣旨が一貫していない、こういうことで、形だけの責任はとりましたということだけで、ほんとうの意味の責任体制をつくれるかどうかということを私はお尋ねしているのです。そういう点では私の質問に対する答弁にはなっていないと思うのです。
  81. 中原ただし

    ○中原説明員 もちろん減給処分とか引責辞職とかいうような形式的な処分だけで事が済むとは思いません。それを機会に本部長には本部長の立場におきまして、県下の各所属の規律の振粛について今後どういう措置をするか、具体的な手を打たなければなりません。署は署の段階で、それぞれの各署長が署内の規律の振粛にここで決意を新たにして向かっていく。また規律の振粛ということを、ただ単にそういう冷めたい規律、規律というような面ばかりでなくて、個々の部下の生活指導というような面にまであたたかい配慮をするような気持ちで今後立て直しをしていく、ぴしっと措置をすることはして、今後の部内の雰囲気を改善をしていくというような努力をすることが責任を果たす意味だろうと考えます。
  82. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私の質問する今後の責任体制というものを、どういうふうに一体とろうとするのか、若干抽象的に述べられたようでありますが、重大な欠陥があったことは事実でありますから、もっと具体的に真の責任体制をとる方針をひとつお伺いしたい。
  83. 中原ただし

    ○中原説明員 ただいまも申しましたように、責任を明確にするということは、ただ単にこういう形式的な懲戒処分が終わってそれでいいということではございません。今後の仕事の仕組みなり、指揮監督のやり方なり、あるいはただ単にそういう仕事の上での指揮監督ばかりでなくて、警察官としての全人格的な、日常の公私の生活行動というようなことにも幹部としては配慮をしながら、公私の生活を律していくというような気持ちで今後体制を整えていかなければならない、かように考えます。
  84. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私は今度の事件を顧みまして、処分にあらわれたようなきわめて形式的な、官僚的なやり方、責任のがれのやり方ではなくて、もっともっと真の責任体制を整えていかなければならぬのじゃないかと思います。その一つの問題点としてもっと職制というものを、警察でございますから、いわゆる上からの命令というものについては、規律というものについては十分に保たれなければならぬし、尊重されなければなりませんけれども、反面若い警官等の意見というものを、上司が聞いていく。そうでなくて、若い警官が何か言うと、何をばかなという風潮、いわゆる民主化といいますか、そういうことが欠けているところに根本的な原因があるのではないかと思うのですが、この点はどうか。  もう一つは、外勤というものについての制度上の欠陥、こういうものがあるのじゃないか、おそらく県本部あたりでは相当数、たとえば三割とか四割とかいうものが外勤しておるのじゃないか、そういうものの軽視なり、あるいは責任の所在がはっきりしてない、こういうことから起こっているのじゃないか、こういう点を改めていくことが必要ではないかと痛感したのでありますけれども、こういう点については改める御意思があるかどうか、お尋ねいたします。
  85. 中原ただし

    ○中原説明員 ただいまの第一点の下意上通と申しますか、第一線の意向を上に反映するという意味のお考えは私も必要だと思います。あるいは外から見られてまだまだ足りないというおことばかと思いますが、従来からその点につきましては十分配慮をするように、たとえば仕事の面につきましても、提案制度等もとっておりますし、それから各所属ごとに各段階の人を網羅して、これは県によっていろいろでございますが、職員協議会というような式のものもございます。仕事の問題あるいは生活の問題、その他万般のことについて自由に意見を申し出る組織もつくっておるわけでございます。   〔藤田(義)委員長代理退席、渡海委員長代理着席〕 警察における規律というものも、先ほどお話しのように単なる上命下従というだけの冷たい形のものでなくて、やはり規律の保持というものも、全体がそれぞれの立場において、それぞれの責任なり使命感というものから盛り上がってくる、お互いにりっぱに仕事をやっていこうというような気持ちで盛り上がってくるような雰囲気の規律であるべきだと思います。その意味では、やはり実際に末端の仕事をやっております第一線の警察官の意向というものを、仕事のやり方その他に十分反映するということは必要だと思います。そういう点は、従来も考えておりましたが、今後もさらにそれは徹底してまいりたい、かように思います。  それから外勤の制度につきましても、先ほどもちょっと触れられましたように、外勤の勤務というものがかなり負担過重であるということもわれわれ考えておりまして、外勤の勤務自体の合理化、さらにまた仕事の量というものをどういう幅でやらせるかというようなこと、これにつきましてもそれぞれ県で外勤の勤務の基準というようなものもつくっておりますし、何もかも末端の外勤に仕事のしわ寄せがいくというようなことのないように、合理的な仕事の配分を考えるというようなことも掛買をいたしております。  なお、勤務制度等につきましても、現在二部勤務で二十四時間勤務の週三回、週に三日間はうちにも帰れない、七十二時間も拘束時間がある。この勤務体制をもう少し一般のほかの勤務と近い形に、合理的な方向に持っていこうということで、勤務制度の改善もいま検討いたしております。それに伴うある程度の第一線の増員につきましても、ただいま検討いたしております次第でございます。  以上、二点の御発言につきましては、われわれも同じ考えであります。
  86. 細谷治嘉

    ○細谷委員 最後に要望いたしたいのですが、この事件は現職の警察官が二ヵ年間怪盗を働いておった。それが全く気づかれないできたという事実、これが一つ。第二点は、現職の警官が同僚の拳銃を奪って同僚に重傷を負わせた、こういう事実。こういう問題は文字どおり警察史上始まって以来の大きな汚点であろうと思う。そういう問題にさらにからんで、現職の警察官が、現職を利用していろいろな防犯診断という名のもとに予備調査をした、こういうこともあり得るようでございますし、たいへんな問題で文字どおり警察の威信というものが地に落ちた、こう申さなければならぬと思う。したがって、こういう処分をしたから、あるいは第二次処分等もやる考えだから一切は済んだんだ、こういうような問題でなくて、本質的にはやはりほんとうの警察としての責任体制を整えていく、二度と再びこういう事件が起こらないような体制を整えていくということが緊急の課題ではないかと思うので、そういう点を——すべてはこういうことで終わったんだ、あとは調べて鈴木の裁判さえすれば済んだんだ、そんななまやさしいものではありませんから、そういう点についてしっかりとひとつふんどしを締め直して、ほんとうに民衆が安心して信用の置けるような警察の責任体制をつくっていただきたいということを要望いたしまして質問を終わります。      ————◇—————
  87. 渡海元三郎

    ○渡海委員長代理 次に、地方公務員給与改定に関する問題について質疑を続行いたします。川村継義君。
  88. 川村継義

    ○川村委員 時間がずいぶん足りなくなっておりますから、私給与改定に関連をして、財政局長財政事情について少しお聞きをしておきたいと思います。簡単にお聞きをしますから、簡明にお答えをいただきたい。なお詳しくは後日お聞きをしたいと思います。  今度の給与改定地方公務員については、特に地方団体については財源補てんの問題が一つの大きなポイントになっておりますが、政府が九月から実施するといっても、人事院勧告は五月から実施しろということですから大きく値切っているわけでありまして、これは毎年やられておるわけでありますが、ここに一つ問題があるということをお考えいただいて、大蔵省も自治省も十分お考え置きいただかなければならぬ問題ではないかと思います。公務員の置かれている立場等については、いま私ここで論及しようとは思いません。とにかく五月実施が毎年十月にやられてきて、ことしはようやくだった一月繰り上げの九月実施、これも大きく値切られておる。ここに大きな問題があるということをぜひひとつお考え置きをいただきたい。申し上げるまでもないことであります。  そこで、私は財政局長に二、三お聞きをしておきます。  先ほど申し上げますように、また次の機会に詳しくひとつお聞かせいただきたいと思うのですが、この前自治省から都道府県の決算内容の資料をいただきました。それをずっと見てみると、三十八年度の決算の状況の一つの特徴点として、一つには財政規模の増加率が著しく鈍化したということを指摘しております。そうだと思います。その財政規模の数字についてはもう私から申し上げるまでもありません。次に単年度収支が悪化して積み立て金のとりくずしが多額に行なわれておる、そういうことも指摘をしております。また実際赤字団体も増加したようでありますし、実質的な準年度収支は百二十七億の赤字を出しておる、こういう状態であるわけであります。さらには歳入財源の伸びが鈍化したということを指摘をしております。また実際の数字はそれを明らかに示しておるわけであります。  いま申し上げました三点をひっくるめて考えると、三十八年度の財政状況は前に比べて非常に悪くなった、したがって地方団体財政運営に非常に困っておるんだ、こういうことが考えられると思うのですけれども、そのように考えて差しつかえございませんか。
  89. 柴田護

    柴田説明員 財政そのものが悪くなったかよくなったかということにつきましては、いろいろ見方があろうと思うのでございまして、一がいにこれによって悪くなったと言い切ることには若干問題が残っておるかと思います。しかしながら、財政運営そのものが苦しくなったということは、おことばのとおり言えるかと思います。この情勢は三十九年度になりまして、なお一そう苦しさが増しておるだろう、かように考えます。
  90. 川村継義

    ○川村委員 地方団体は国から要請される各種の事業が相当あります。そこでいまのような財政状況を見ると、地方団体が行政水準を維持していきたい、あるいは向上していきたい、地域の産業経済の開発を進めていきたい、こういう点についてはやはり非常に苦しい立場に立っておるのではないか。特に単独事業等が極端に押えられておるような状況を見ると、前々に比べて昭和三十八年度は、地方団体がそういう意味では非常に苦しい財政運営をやってきたに違いない。財政が非常に硬直しておる、こういうように見られると思うのでありますけれども、いま一度御見解をお聞かせ願いたい。
  91. 柴田護

    柴田説明員 三十八年度の決算の全貌につきましては目下取りまとめ中でございまして、地方財政全般傾向を府県の決算だけから判断いたしますことは、ややものの一面しか見ないといったようなことになるわけでございますけれども、この三十八年度の府県の決算を見てまいりますと、歳入の伸びが鈍化をしておる。義務的な経費がふえてきておる。そういうことからいいますと、将来、この歳入の伸びというのがどのような形になるかというような問題が若干関連してまいりますけれども硬直性を増して弾力性が減ってきた。言いかえれば、財政構造的には新しい問題が起こってきておるということはいえるかと考えるのであります。特にこの傾向は、市の段階になりますとおそらくもっとはっきりした形をとってくるのじゃなかろうかというふうに考えられる次第でございます。
  92. 川村継義

    ○川村委員 そこでいま一つの問題は、第二点に指摘しております単年度の収支がたいへん悪化して、積み立て金の取りくずし等が多額に行なわれた。これは府県の段階においてもそれが顕著であるようでありますが、私たちはまだ市町村の決算状況報告をお聞きしておりません。そこでこの際、市町村の決算状況から見て、一体市町村の状態はどうであったのかということが一つと、いま一つは、三十九年、ことしは三十八年度に比べてどういう財政状況になるか、これをひとつ聞かしていただけませんか。
  93. 柴田護

    柴田説明員 市町村の決算は実は取りまとめ中でございまして、まだここでその全体につきまして御批判を仰ぎあるいは御説明申し上げる段階にまで至っておりません。ただ全体としていえますことは、市町村数が三十七年度に比べまして四十町村くらい減っておりますけれども、赤字団体の数も若干三十七年度から三十八年度にかけて減っておる。しかし赤字額はふえておる。その赤字額が特定の団体にだんだん集中してきておる。こういう傾向が見受けられるようでありますが、全体としては三十八年度におきましてもやはり税収入の伸びが弱くなって、経費が、しかも義務的経費が強くなってきておる。言いかえれば、その間に県と同じような意味合いにおける財政の硬直状況というものが見られるというように思うのでございます。  三十九年度におきましては、年度当初から非常に大きな税収入を目一ぱい見ておりますその関係で、財政計画の質におきまして税収入の弾力というものは非常に少ない、ほとんどないのではなかろうかというふうに考えております。それからまた市町村民税につきまして減税が行なわれておりますので、起債によりまして歳入欠陥を一応形だけは補てんしておりますけれども市町村民税の持つ弾力性というものが従来に比べて減ってきておる。そうしますとその財政運営の苦しさというものは、三十八年度にも増して三十九年度は苦しいのじゃなかろうか。積み立て金の取りくずし等もさらに相当行なわれるだろう。それでもなお収支の均衡を維持するのに非常に苦心をしておるだろうというように考えます。正確な資料はまだはっきりしておりませんけれども、私ども手元にいろいろ言ってまいります各地方団体財政運営の状況では、三十八年度以上に苦しさを増しているようであります。
  94. 川村継義

    ○川村委員 三十九年度は、むしろ三十八年度よりも苦しい状態があらわれておる、こういうことがいえると思います。そこでいまそれらの問題の中で、第三に述べておりますところの歳入財源の伸びが非常に鈍化をしておる、その中で強く顕著でありますのは、国庫支出金の増加率が非常に減っておる。これは一つの特徴であると私も考えるわけであります。たとえば児童措置負担金にいたしましても、二八・五%から一六%というような落ち方をしている。特に普通建設事業の支出金が三〇・六%から二〇・五%というような落ち方をしておる。失業対策事業支出金にしても、あるいは委託金のごときは、この表によるとものすごく減っておるわけであります。こういうように、国庫支出金の特に普通建設事業支出金等の増加率が落ちておりますけれども、この国庫支出金の落ちたということが、歳入財源の伸びが非常に鈍化をしておる、こういう原因の一つとして指摘できると考えるわけであります。これは局長、一体どこにその原因があるのか、これをひとつ説明していただけませんか。
  95. 柴田護

    柴田説明員 増加率は、つまり昭和三十六年度から三十七年度に対する伸びが非常に激しかったので、三十七年度から三十八年度に普通建設事業の伸び率が減ったということでありまして、相対的な減少であります。普通建設事業の支出金そのものは、三十七年度の千八百七十八億円から二千二百六十三億円というふうにふえておるわけでありまして、普通建設事業の支出金が減っておるわけでもないわけであります。ただ増加率からいいますならば、三十六年度から三十七年度への伸びが非常に著しかったので、三十七年度から三十八年度への伸びが減った、こういうことになろうかと思うのであります。やはり普通建設事業の国庫補助金というものは順調に伸びておるのでございます。しかし、これらはいずれも特定の歳出があるわけでありまして、歳出と見合って伸びているわけでございます。特にこの間に補助率を大きく変更したといったような問題はございませんので、ただそれはそれだけの問題だろうと思うのでございます。問題はむしろ、伸び率こそ国庫支出金に比べますならば減少度合は少のうございますけれども、やはり地方団体の歳入の中心であります地方税というものが、非常に伸長度が低い。ここがやはり経費の膨張度合いに関連して歳入が伸びていかないということを示すものでありまして、地方財政の構造上の弱点と申しますか欠点と申しますか、というものがあらわれておるのじゃないかというように考えます。
  96. 川村継義

    ○川村委員 この決算の一応の資料を見ますと、私が申し上げるまでもないですよ、歳入の面で、特に財産収入あるいは授業料、公営住宅使用料、こういうものがたいへん増加率が高い。ところがいま申しましたように、国庫支出金の増加率というものは落ちておる。これはおっしゃるように金額は前年度に比べて高くなっておると思う。しかしわれわれが考えるのは、あれだけの政府施策が行なわれていく上においては、これはやはり年々国庫支出金というものもこんなに落ちないでそれ相当に伸びるべきではないか、われわれはこういう考え方をしている。前年度に比べて落ちるということは、あなたがいま言ったような考え方もそれは成り立つかもしれませんが、そうではなくて、これはいわゆる見るべき負担等を完全にやっていないのではないか、こういう考え方も成り立つわけでございましょう。国がそれだけ見てやらなければならぬのを十分見てやっていないから、金目は多くなったけれども、前年度に比べて率はやはり落ちておる。しかも普通建設事業のごときは相当大幅に増加率が落ちておる。こういうことが言えるわけでありませんか。この考え方は成り立ちませんか。
  97. 柴田護

    柴田説明員 その問題は、それだけではやはりそのように断定することは若干困難ではないかと実は思います。もう少し中身を掘り下げてまいりませんとそういうことは言えないと思います。ただ従来は各種補助負担金の単価不足あるいは対象の事務といったような問題につきましてこれを救済してまいりましたのが単独事業費であります。したがって、単独興業費というものの計算の中にはそういうもろもろのものが入ってきておる。そこでその単独事業費というものが落ちてくるということは、そういうものに使われるところの単独事業費が多くて、本来の単独事業のウエートが減ってきておるということが言えるのでありまして、財政運営全般というものを経費面から見てまいりますと、地方財政全体の姿としては望ましい方向には向いていないというようには言えるかと思います。
  98. 川村継義

    ○川村委員 普通建設事業の事業費の伸びがたいへん鈍化しておる、これも実は特徴として指摘されているわけです。その中身をここでくだくだしく申し上げる必要はありませんけれども、特にこの三十八年度は単独事業が極端に押えられておる。ということは、一面からいうと地方の団体が自主的に仕事をしようというのが狭められてしまったということが言えるわけであります。反面、国の施策に基づく請負的な仕事というものが大きく背負い込まれておるということは、私は指摘できると思います。こまかな数字を私が申し上げるまでもなく御存じでありますから、またそれについては後日いろいろとお尋ねをしたいと思いますけれども、そういうことが、私がいま言ったようなことが考えられると思うのです。そうなりますと、今日の、三十八年度の決算から考えてもそうだけれども、三十九年度は三十八年度よりももっと財政的には苦しい状況があるのではないか、こういうことが言われるならば、一体地方自治団体の財政の困難なのはどこからきておるかということになりますと、その大半はやはり国が考えねばならぬのではないか、国がやはりその責任を十分痛感をして、ここに財政施策を再検討するものがなければならぬのではないか、こういうことを私は考えるが、局長の見解はいかがでしょう。
  99. 柴田護

    柴田説明員 国として、地方財政のあり方等につきまして、その健全化を進めていく上にどのようにしたらいいかということは常々考えてまいらねばならないところでありますし、またこのような決算の状況の推移を見てまいりますと、やはり問題点の中心を分析、検討して、これに対していろいろな施策を講じていかなければならないというように思うのでありまして、私どもはこの決算状況をずっと見てまいりますと、歳入が非常に伸びのない時代におきましては、ただでさえ、本来国家財政に比べますれば弾力性の小さい、非常に硬直性の強い地方財政でありますので、その硬直性が強まってくるのはある程度やむを得ない、これは地方財政が負っております一つの宿命でありましょう。そういうことはある程度やむを得ないと思うのでございますけれども、どうもこの決算を見てまいりますと、やはり地方財政全体として、一般会計の健全化を進めていく上において問題点が若干考えられる。一つは世間でよくいわれることでございますけれども、一般会計について、地方財政計画をつくりましていろいろな財政運営の指針としておりますけれども、この地方財政計画というものと決算の結果の差違の示すものは、一般会計の中にもございますけれども、一般会計と特別会計との間にも一つ大きな問題がある。私は繰り出し金というものがだんだんふえていっている、それが、本来それだけでまかなうべき国民健康保険会計に繰り出されていく、しかもなおかつ国民健康保険会計は赤字だ、また公営企業会計も相当額が一般会計から繰り出されておりますけれども、これがまた赤字だ、これは国民健康保険会計なりあるいは公営企業会計なりというものが健全性を取り戻しますれば、一般会計の中に温存されて、必要な経費に使われていくわけでございます。ところがそれがやむなくそういう方向に使われていく、言いかえますならば、一般会計の中に大きな穴が二つあいている。この穴はやはりふさがなければいかぬという問題が基本的にあるだろう。それからさらに一般会計の硬直性というものもどのようにしてやられていくかといいますれば、やはり経費の合理化といいますか、そういう問題と、それから財源の増強、この二つと国民租税負担全体の範囲の中で、国と地方との事務荷配分を考えながら考えていくということだろうと思います。大きな方向としてはそういうことではないかと思うのでありますけれども、中身にわたっていきますと、やはりまだまだ問題がたくさんあろうかと思いまして、私どももそういうような考え方に立って、ともかく国民健康保険会計の健全化、公営企業会計の健全化という問題をとらえながら、一方一般会計の中の自主財源の増強なり、あるいは義務的経費の安定といった問題につきましていろいろ考えていきたい、かように考えている次第でございます。
  100. 川村継義

    ○川村委員 こまかな問題としては、負担金の問題あるいは補助単価の問題等々山ほどあると思う。さらにはいま左記にも出ておるように、国民健康保険の問題、国民年金のそういう仕事か進める場合の問題、それらにおいて地方団体が、特に財政力の弱い地方団体が大きな影響を受けていることは、申し上げるまでもありません。いま局長が言っているように、事務再配分の問題、財源配分の問題等々、大きな問題も山ほどありましょう。やはりそれらを解決することが大事であります。しかし今度の給与改定等につきましでも、そういうような幾つかの問題がふるのを、顔をぬぐって、地方公務員給与改定に必要な財源地方団体でやれ、こういう考え方はどうも許されたい考え方ではないか。そこでやはり必要な——財源というものはこれまでもいろいろな機会に指摘されたような各種の問題があるわけですから、やはり地方公務員給与改定等に際会して、その財源が必要な場合には、国もその責任を負う、こういう考え方が大事ではないか。自治省としてもそういう考え方に立って大蔵省等とは折衝を重ねておられるでしょうし、大臣答弁にもあらわれておるように、そういうお考えに立っておるとは思います。とにかく給与改定につきましても、ぜひひとつ最後の努力をしていただいて、これ以上地方団体が大きな犠牲を受けないように、その点はぜひひとつ御努力をいただきたいと思っておるわけです。  そこで、先ほど申し上げましたように、時間もございませんから、財政事情等について、また市町村の決算等の出ました場合に、これらと対比しながら三十九年度の財政状況等はお聞かせをいただきたい。これだけ一つ申し上げまして私の質問を終わります。
  101. 渡海元三郎

    ○渡海委員長代理 次に、北海道の冷害に対する財政措置に関する問題について質疑通告がありますのでこれを許します。安井吉典君。
  102. 安井吉典

    安井委員 あとまだ先ほどの国政調査関係質問がございますので、ごく簡単に伺っておきたいと思います。  ことしの北海道の冷害はちょっと予想をこえた大きさで、初め四百億程度と言われておりました被害が、最終段階ではおそらく五百億を上回ることになるのではないかと思います。畑作それから稲作、ともにひどい被害が起きておりまして、収権皆無のために世をはかなんで一家心中をした農家もあるし、夜逃げをする農家も出てきている、こういうような事態であります。一般的ないろいろな問題について、災害対策委員会その他でも取り上げられておりますので、私はきょうはただこの冷害と神方財政との関連につきましてちょっと伺っておきたいと思うわけであります。特に冷害農家は税の貧相能力が欠けてくるわけでございますので、いつの災害についても同様な措置があるわけでございますが、ことしも北海道の冷害に対しましては、特に地方税の減免措置について、自治省としてどういうふうな指導をなさっておられますか。あるいはまた今後どういうふうな持越をなさろうと考えておりますか。その点をひとつ伺っておきたいと思います。
  103. 細郷道一

    細郷説明員 冷害あるいは災害、そういった場合の地方税の減免につきましては、実は従来から一般的な通達が出ておることは御承知のとおりであります。ただその通達の基準によりますと、現在の時点においてやや低きに失すると思いますので、今回その基準を引き上げまして、たとえば具体的に申し上げますと、冷害等の場合に、住民税の減免問題が起こるわけでございますが、従来は六十万円以上のものについてのみ軽減を適用するよう基準を定めておりましたのを、今回これを引き上げて百万円にいたしたい。もちろんこまかい点はいろいろございますが、そういったような考え方のもとで基準の通達を近く出すべく、ただいま用意をいたしております。
  104. 安井吉典

    安井委員 基準が従来のもので間尺が合わなくなってきているという実態についての措置が必要だろうというふうに考えておりましたら、いまの御答弁ではそういうふうに措置されたということでございますが、その基準はどういう税についてなさっているわけですか。
  105. 細郷道一

    細郷説明員 冷害とか凍霜害といったような場合には、その人の負担能力に影響を与えるものといたしまして、住民税、いわゆる市町村につきましては市町村民税所得割についての軽減をはかるという意味で、そういう指導をいたしてまいりたいと思います。
  106. 安井吉典

    安井委員 その北海道の場合でいいますと、道民税と市町村民税と両方だと思うのですが、その措置の内容については、六十万円以下を百万円以下に引き上げるという措置であるそうでありますが、この資料をいただけますか。
  107. 細郷道一

    細郷説明員 ただいま起案中でございまして、近日中に通達を出したいと思っております。そのように御承知置きを願いたいと思います。
  108. 安井吉典

    安井委員 固定資産税についても現実に払えない、どうにかならないのかというふうな質問がずいぶん出てくるわけです。自治省の従来からの考え方から言うと、固定費資産税は住民税と性格が違うという点において、固定資産税については消極的な考え方で今日まであられるようでありますが、今回はどうですか。
  109. 細郷道一

    細郷説明員 その災害の性質によると思いますが、一般の災害のように家財を滅失したり、あるいは固定資産税の対象となります資産が棄損されたり滅失されたりといった場合には、固定資産税自体の減免問題が起こるわけでありますが、普通いわれております冷害等の場合でありますと、収穫の減少、あるいは収穫の減に伴う収入の減ということはあると思いますが、資産そのものの滅失、棄損という事態が一般的にございませんので、これにつきましては減免の対象にしないという考え方をとっております。しかしながら現実の問題として、その固定資産税を支払うべき資金に困るといったような事態が起こると思うのでありますが、そういった場合は徴収猶予というような方法でこの負担の緩和をはかってまいりたい、かように考えております。
  110. 安井吉典

    安井委員 そういたしますと、住民税については減免措置だけ、それから固定資産税については猶予措置だけ、そういうことですか。
  111. 細郷道一

    細郷説明員 結論的に申しますとそういう考えであります。
  112. 安井吉典

    安井委員 固定資産税の性格からいきまして、いまのお話のとおりだと思います。ただ地震なんかで耕地にひびが入ってしまったというふうな事態があれば、その固定資産の価値そのものが変わってくるわけですが、それと冷害とは違うのだ、こういうことのようでありますが、しかし現実に税金を払うのはその年の所得から払うのだ。ところがその収入がないというふうな状態になれば払えなくなってしまう。こういうふうなことからいって、固定資産税もやはり減免措置が必要だ、こういうような希望が出てくるのだろうと思うのですが、市町村独自の考え方で固定資産税を減免するというふうなことは違法なのか、あるいはまた現実に行なわれた場合にはどうなのか、その点どうでありますか。
  113. 細郷道一

    細郷説明員 ただいまの地方税法では、各税目につきまして、災害その他特別の事情があります場合に、市町村が条例で定めることによって減免できるようになっております。したがいまして、形式的に申しますれば、条例をつくることによって減免をすることは可能でございます。市町村長の判断にゆだねられておることであります。もとより議会の協賛を経なければなりません。しかしながら、実体的な問題といたしましては、先ほど申し上げましたような考え方によりまして、私どもとしては全国的な指導の考えは先ほど申し上げたようないき方でまいる。現実に納める税金のお金に困るというような方に対しては、徴収猶予ということによりまして、しばらくその方の資金繰りの様子を見ていく、こういったような措置をとるように指導いたしております。
  114. 安井吉典

    安井委員 減免税あるいは徴収猶予というような問題になりますと、歳入欠陥というふうな形にはね返ってくるわけでありますが、今回のような場合においては、地方財政をどういうふうな形でカバーするのか。それについて財政局長のお考えを伺います。
  115. 柴田護

    柴田説明員 冷害の場合の財政措置といたしましては、従来から一つの型みたいなものがあるわけでございます。今年度も規模といたしましては相当大きいわけでございますが、その従来どおりの措置のしかたを踏襲してまいりたい、かように存じております。それは歳入欠陥の問題と、それから住民に対する飯米にかわるべき収入を与える、つまり生活資金をどうしていくかということですが、前者の財政収入の問題につきましては、これはただいま税務局長から答弁のありましたように、税の減免ということが行なわれると思いますので、その分につきましては特別交付税の配分の際に考慮をしてまいりたい。非常に激しくなってまいりまして、これが激甚災ということになってまいりますと、これがまた歳入欠陥債を起こすという問題も起きてくるわけでございまして、歳入欠陥債によって相当部分補てんできるという問題も考えられるわけでございます。  それから後者の住民に生活資金を与えるという面につきましては、通例いわゆる救農土木という形で行なわれるのでありまして、これにつきましては、単独事業で、道路事業なりあるいは土地改良なりといったような事業が行なわれるわけでございます。これに必要な地方債につきましては、現地実情を伺いました上で、災害等の補正計画を、地方計画をつくらねばなりません。これとの関連なども考えながら地方債によって措置をしてまいりたい、かように考えておるわけであります。   〔渡海委員長代理退席、田川委員長代理着席〕
  116. 安井吉典

    安井委員 徴収猶予の場合はどうなんですか。
  117. 柴田護

    柴田説明員 徴収猶予の場合につきましては、通常の場合におきましては、歳入が将来入ってくるわけでございますので、そのこと自身においては歳入欠陥という問題は起こらない。つまり長期的には起こらない。短期的に見ればそれは起こり得るわけでございますが……。  そこで、その問題につきましては、必ずしも従来は一定しておりませんで、減免額だけを——しかし徴収猶予というものが非常に大きな額になって町村財政を激しく圧迫するという場合にお事ましては、徴収猶予額というものに対して措置をするというわけではございませんで、その団体の財政上の特殊事情ということで別個の扱いをしてまいりたい、こういう扱いをしておりますので、今回も同じような扱いになろうかと思います。
  118. 安井吉典

    安井委員 それから減免措置財政補てんでありますが、それは先ほど税務局長からお話があったように自治省が定める基準による措置が行なわれた場合に限るのか、それとも固定資産税の軽減措置市町村が独自の立場でやった、そういうようなものもあわせて該当するのか、どうですか。
  119. 柴田護

    柴田説明員 私ども同じ自治省の中でございます税務局長の通達に関するものは、われわれ当然その線に沿って財政的に始末をする、それ以上のものにつきましては一応対象外と考える、こういう考え方でございます。従来あらゆる災害につきましてそういう立場をとってまいっております。
  120. 安井吉典

    安井委員 そういたしますと、たとえば固定資産税を市町村独自の立場でやった場合に対象にしない、こういうことですか。
  121. 柴田護

    柴田説明員 そのこと自身につきましては計算の対象にはしない、こういうことであります。
  122. 安井吉典

    安井委員 という意味は、そのことをストレートには対象にはしないが、地方財政の全体的な立場から、歳入欠陥が大きくなるかといろいろな間接的な影響の度合いを見ながら考慮する、こういうことですか。
  123. 柴田護

    柴田説明員 私のお答えが若干不明確でございまして、御迷惑をかけましたが、つまり税収入の減免額としての計算は、税務局長通達というものによって計算をする。その中には固定費産税は入っておらぬのだから、当然入らない。しかし、現地状況によりましては、あるいはやむを得ない事情がある場合があるかもしれない。それは、そのこと自身を対象にせずに、その市町村財政状態全体を引上にのせて検討する、こういう意味でございます。
  124. 安井吉典

    安井委員 特別交付税に——普通の災害のようにはでに建物が焼けたり倒れたりなんということですと、地方交付税の場合の算定の基礎の中にわりあいに入りやすいわけですが、冷害というものはわりあいにじみなもので、公共施設にはそれほど被害がないわけです。そういうものについていろいろな問題があると思うのですが、たとえば冷害がくる。それを予防するために田畑の中で薫煙が行なわれておるわけです。もうことしは八月なんかは快晴の日は一日もないわけです。七月もほとんどありません。曇天かあるいは雨が二十日以上も続いておるわけです。東京は水不足でたいへんだったのですが、その水を天にためておくわけにいかないから、全部北海道へ降らした、そういうこともあると思います。そういうことで非常に成育が遅延したときに九月の大きな霜がきて、それでやられたわけですが、その霜がおりてくるのを防ぐために、青草にオイルをぶっかけて焼いたり、あるいは自動車の古タイヤを買ってきて、一本百円か二百円だそうですか、それをずいぶんたいておるようです。それで一面に煙を出して霜がおりるのを防ぐということをやられておるわけであります。それが最後に効果がなしに、零下六度くらいまで下がり、強烈な霜が九月二十七、八日に降って、それで終わりになってしまったわけです。そういう支出を市町村がした場合、そんなものを市町村が支出して、農業協同組合に与えたりあるいは農家に与えたりしておるわけでありますが、それが各市町村ごとに四、五十万あるいはもっと多くなったりしておるようです。  それでことしはクマが非常に多いわけですね。田畑のほうが冷害だと同じように、山の中も冷害で、結局クマが、木の実や山ブドウだとか、そういうクマの常食がなくなって、人家のほうにおりてきて、札幌市内にさえクマが出てきているという事態でありますが、クマの費用をどうしようというわけにもいきませんけれども市町村がクマ退治条例というような仕組みで、クマ一頭殺せば幾らの奨励金を出すというようなことをやっておるところがあるそうです。いままで一頭殺した場合一万円だったのを、ことしは二万円に上げたというようなところもあるそうであります。いまだかってないような事態があるわけです。ですから、そういうふうなものも含めまして、特別交付税措置といいますか、考慮が必要だと思うのですが、何か特別なお考えはありませんか。
  125. 柴田護

    柴田説明員 冷害の財政措置のそういうこまごました問題につきまして、従来から実は問題がございます。災害の制度といたしましては、冷害というものの制度的な確立というものが一番できていないわけであります。財政当局としては、冷害というのは一番困る。私も多少それにいろいろ関係したことがございますけれども、それは一番始末の悪いものであります。クマ狩りのあれを見てくれとかなんとかいう話も昔からあるわけでありますが、それは実は昔からあまり見ておりません。ただ非常に大きな問題になった場合に、過去においてイノシシ狩りの金を見たことがございます。これは別のところでございますけれども。まあその場合も、こまかい問題でございますけれども、イノシシを狩るのに金が要る。そのかわりとったイノシシを売ればまたもうかるではないか、差し引き幾らだというようないろいろこまかい問題もありまして、そういうことを一々問題として取り上げておれば切りはございません。全体としてそういう財政事情の、そういう市町村財政の特殊性をどのように考えるかということで検討していったわけでございますが、今回につきましても、いろいろお話しのように困った問題があろうかと思いますので、現地の状態を聞きまして、全体として遺憾のないような措置考えていきたいと考えております。
  126. 安井吉典

    安井委員 もう一つだけ。救農土木事業でございますが、北海道の場合は三億五千万、市町村の場合が一億五千万ですか、そういうふうなことで一応ワクがきまったというふうにも伺っておるわけでありますが、市町村会のほうの話を聞きましたら、一億五千万は九月現在の被害程度からの算出で、つまり四百億円くらい被害があるのだという見きわめて早目につくったらしい。ところが、先ほど申しましたように、大きな霜がくることで被害額はその後大幅にふえて、たいしたことはないと思われた水田地帯のほうも被害が大きく出てきた段階においては、もう一億五千万程度ではとても足りないんじゃないかというようなのがいま新しく出てきておるようでありますが、どうですか。一億五千万とはっきりきまったのかどうかわかりませんが、たとえそうだとしても、追加ワクを設定してやる、こういうような必要があるんじゃないかと思うのですが、どうですか。
  127. 柴田護

    柴田説明員 お話の三億五千万、一億五千万という数字は聞いておりますが、これは北海道の要望額がきまったという意味じゃないかと思います。まだ幾らのワクにするかということはきめておりません。また、お話のように、その後におきましていろいろ変動があるようでございますので、それらの事情もよく伺いまして最終的なきめ方をしていきたいというように考えております。      ————◇—————
  128. 田川誠一

    田川委員長代理 次に、委員派遣の現地調査に基づく質疑を続行いたします。安井吉典君。
  129. 安井吉典

    安井委員 先ほどからたいへんお待たせをいたしまして恐縮でございますが、先ほどの質問の残りを取り急ぎ伺って終わりたいと思います。  なお、冷害の関係で国民健康保険の関係があるのですが、これはあとおいでになってから伺うことにいたします。  先ほど河川法関係建設省の御見解を一まだ当時お留任だったのですが、御答弁願えますか。
  130. 粟屋敏信

    ○粟屋説明員 先ほど安井先生からの御質問の際おりませんで、あれでございますが、安井先生の御質問の第一点は、一級河川の水利使用の許可を建設大臣がする場合におきましては、下流の関係府県の意見を十分聴取すべきではないか、こういう御意見ではなかったかと思いますが、これにつきましては、新河川法の第三十六条第一項におきまして、建設大臣が一級河川につきまして水利権の処分をいたします際は、関係都道府県知事意見を聞かなければならないということが法律上義務づけられておりますので、建設省といたしましても、この法律の規定に従いまして取水地点の知事さんはもとより、その取水によりまして影響を受けます下流の知事さん方の意見も十分承りました上で慎重に処分いたしたい、かように考えております。  第二点は、いわゆる現行河川法におきまして河川法適用も準用もされないいわゆる普通河川については、維持、修繕とか災害復旧については地元市町村がやっているが、その河川敷の処分については市町村に処分権限がないので、管理権が一元化されていないが、新河川法ではどういう考えかという御質問ではないかと思いますが、これにつきましては、現行におきましてはまさに先生の御指摘のとおりでございますが、新河川法におきましては、御案内のように、一級河川、二級河川という制度がございまして、これはそれぞれ大臣、知事が管理するわけでございますが、そのほかに準用河川という制度がございまして、一級河川、二級河川とならない河川につきまして、そういう水系に属する河川については、市町村長が河川を認定して河川法の規定を働かすことと相なっております。そういうふうに、新河川法におきまして準用河川になりますれば、市町村長が工事もし、維持、修繕もし、災害復旧もし、かつ河川敷の占用許可をする権限も持つわけでありまして、それによりまして現状よりはだいぶ普通河川の取り扱いも明確になるのではないか、かように考えております。
  131. 安井吉典

    安井委員 それでは次に、住宅局からは住宅課長ですね。——それじゃもう一つ、建設省関係では、公営住宅の建築の問題につきましてずいぶん意見があちこちで出ておりました。たとえば和歌山市でも、木造平屋建ての基準が坪三万五千九百円くらいであるのが実際は五万三千円くらいになっているというような点、あるいは簡易耐火でも、基準は四万五千二百円になっているのが実際はそれよりも三割近く高い五万七千円くらいかかるのだ、その分だけよけいに持ち出しになっているというふうなこと、とりわけ用地買収費の問題でありますが、基準は六千円くらい、ところが実際は和歌山市の場合で一万八千円くらい、三倍にも実際はかかっているということ、それから南部町でも、聞いたところでも、坪千二百円くらいの基準しかもらえないのだが、実際は一万円もかかっているのだ、とにかく用地あるいはまた建築に対する補助基準になるところの単価を引き上げてもらわなければ、現状は持ち出しがひどくてたいへんなことになっている、地方財政への大きなしわ寄せがここに起きている、こういうような意見が非常に強かったわけでありますが、この点建設省としてはどういうふうに受け取っておられますか、特に明年度の予算編成を目前に控えている際でございますが、どういうふうなお考えで臨んでおられますか、それをひとつ伺っておきたいと思います。
  132. 後藤典夫

    ○後藤説明員 公営住宅の標準建設費と、それから現地における実際の実行単価との差異が出ているという御指摘でございます。これは事実そのとおりでございまして、残念ながら公営住宅の標準建設費が実行建設費を十分にカバーするに至っておりません。ただ、過去の例から申し上げますと、毎年公営住宅の建設費は、前年度からそのもう一つ前、二年前の、要するに過去一年間の工事費の値上がり率を算定いたしまして、それによって漸次物価に追いつくような努力をいたしてきております。たとえて申しますと、昭和三十八年は三十七年に比べまして、工事費において八ないし一〇%——これはいろいろの構造のものがございますので数字が異なっておりますが、八ないし一〇%、用地費で一四%の値上がりを標準建設費において見ております。それから三十九年におきましては三十八年度に対して、工事費で五・三%ないし六・七%、用地費で一五・六%というふうにいたしました。さらに昭和四十年度の予算要求におきましては、過去昭和三十八年における実績を調査いたしまして、この実績に三十八年から三十九年までの一年間の価上がりをかけたものをもとといたしまして工事費を要求いたしております。用地費につきましては、過去のやはり三十八年の用地買収の実績に伴いまして、これに不動産研究所の全国の住宅地の値上がりの指数をかけました上昇率をかけたものをもって要求いたしております。漸次この差を縮めるべく努力いたしておるところでございます。確かに和歌山県等におきまして局部的に——局部的にと申しますか、実質的に非常に激しい持ち出しの率になっておるところもございますが、全国平均で申し上げますと、昭和三十八年の持ち出し率の平均は、工事費で一九%となり、用地費で四五%と非常に激しい持ち出しになりまして、全体で二三%ばかりの持ち出しになっております。三十九年度は現在仕事中でございますので、まだ実績を調査いたしておりませんけれども、大体の推定の見込みでは、工事費の一九%が一四%程度に減り、用地費は値上がりに追いつかないでその差を縮めることができておりません。全体としまして、二月当たり二三・八%の持ち出しのものが二一%程度に減るということで、まだ持ち出しの率は相当高うございますが、これを漸次解消いたしまして、また来年度要求におきましては完全に持ち出しを解消するような考え方努力をいたしておりますので、工事費につきましてはほとんど持ち出しがなくいけるようになれると思うのでございますが、ただ用地費につきましては、用地の特性上、場所によりましていろいろ高い低いがございますのと、それからもう一つ、用地費の値上がりというものが想像を絶する値上がり率がございますので、なかなかそうすぐに追いつくという状況になりませんのは遺憾に存じますが、今後ともこれは地方負担のないように努力してまいりたいと思います。  なお余分でございますが、補助裏の起債につきましても自治省にお願いをいたしまして、起債を十分充実していただくようにいたしまして、地方公共団体負担をできるだけ軽減するような努力を続けてまいりたい。また自治省においても本年度から起債の充当率を上げていく。今後ともこのようにやっていきたいと存じております。御了承願いたいと思います。
  133. 安井吉典

    安井委員 御努力あとはよくわかりますが、ただ、前年度から、たとえば三十七年度から三十八年度は八%ないし一〇%上げたいというふうなことで、なるほど前年度よりは上がっているかもしれませんが、肝心の三十七年度が基準になっているとすれば、その基準自体の問題があるんじゃないかと思うのです。基準自体が非常に低い。それから値上がり率だけかけて措置されているわけで、したがって基準そのものの低さがいつまでたったって現実には追いつけない、こういうふうになっているのじゃないかと思います。ですから私は、むしろ前年度からなんというよりも、現実の建築費はどれだけかかるのか、現実の用地買収費はどれだけかかるのかという点から、もっと基本的に計算をし直すという努力が必要じゃないかというふうな印象をただいまの御答弁から受けるわけです。特に用地費の負担は御指摘のようにどんどん上がっている際で、これの獲得にも苦労がある。それからそれだけに負担がどうしても多くなっている、こういう実情があるそうでございますから、ぜひ今後とも特段の御努力を願っておきたいと思います。  それでは次に農林省のほうでは、これもやはり補助金の問題がたくさんあちこちで出ているわけでありますが、零細補助金の問題が一つあります。それはたとえば南部町などでも一件当たり千円というような補助金もあるわけです。その千円の補助金をもらうために書類をつくる費用と、それから県庁までもらいに行く旅費だけでも千円で足りなくなってしまう、こういうふうな話があります。これは農林省だけじゃなしに厚生省関係にもずいぶんあるようです。県段階でも県庁が受けている補助金でも五千円くらいの補助金が三県もあるようであります。そのような問題があるようでございますから、農林省だけということではありませんけれども、そういうような問題についてどうお考えになっているか。特に補助金の適正化という問題が常に問題になるわけでありますが、零細補助金だからこんなのはやめてしまえ、そういうことじゃなしに、地方財政は全体的に弱いわけですから、農林省関係補助金を幾つも統合するような形で支出をするとか、何らか方法はないかという点です。この問題にしても自作農創設か何かの関係補助金でありますが、この町は千円だけれども、ほかの町は十万円かあるいは五十万円くらいになっているのかもしれない。ただ公平な何かの基準に従った計算にすれば偶然千円になったということであろうと思うのですが、それにしてもこういうふうな措置については、何か考慮が必要ではないかという点が一つと、それからもう一つはやはりいま建設省の場合にも指摘いたしましたように単価の違いの問題です。やはり地方に参りますと農業改良普及員の単価の問題に農林省関係では非常に違いが大きいものですから、たとえば和歌山県で百五十二人いる農業改良普及員に、国は三分の二補助して、県が三分の一補助だということになっておりますけれども、実際は単価が低いものですから追加負担が県で三千四百万円にもなっている。現実は国が三分の二補助ではなしに、国の補助は三分の一にしかなっていない。三分の二は県が負担しているんだ、こういうふうな実情がある。こういう点につきまして、これを改善してほしいというふうな要望を強く受けてきているわけであります。これらの点につきましてひとつ御見解を伺いたいと思います。
  134. 太田康二

    ○太田説明員 最初零細補助金の問題でございますが、御承知のとおり昨年の十二月二日に補助金合理化審議会の答申がございまして、それを受けまして四十年度の予算におきましてはできるだけ補助金の整理合理化をやりたい。その中の一環といたしまして補助金の統合の問題がございます。零細な補助金であまり効果のないというふうなものは廃止しろというふうな御意見もその中に入っております。農林省といたしましてもただいま先生の申されたような方向でできる限り統合できるものは統合いたしまして、しかも地方の自主性を尊重いたしましてメニュー方式をとりまして県が自由に選択できるという形の補助金に変えていくということで、今回五十五件ほど統合の案を現在内閣のほうに提出しておるような次第でございます。  それから和歌山県の南部町の自創資金の例でございますが、これは先生も御承知のとおり従来の農地改革での売り渡し代金の徴収金額に応じて交付金を一定の割合で払っておりますので、南部町の場合に非常に少ないというようなことがあったかと思います。これは原則といたしまして県にその事務をとらせておりますが、場合によって、非常にその事務が多い市町村につきましては市町村に事務の委任ができるということになっておりまして、いま言ったような場合は非常に少ない例でございますので、県で事務を処理していただきたい場合に該当すると思いますが、いずれにしてもそういった問題が指摘されておりますので、今後注意してまいりたいと思います。  それから第三点の農業改良普及員の給与の問題でございますが、農業改良普及員といわず実は県の補助職員等につきましては、補助職員の予算を持っております各省共通の問題といたしまして、補助単価の是正という問題があるかと思います。ただ改良普及員の場合には、農業改良助長法で国が三分の二を負担するという規定も明記されておりますし、数も非常に多きにのぼりますので、問題がシリアスになっているというふうに考えるわけでございますが、私のほうも明年度の予算におきましては、少なくとも補助単価を実質の単価に近づけるというような意味で、補助単価を引き上げまして要求をいたしております。ぜひこれを実現いたしたい、かように考えております。
  135. 安井吉典

    安井委員 補助金の問題は、地方の側から言いますとたいへん重大なものになっておりますので、いま予算課長からお話がございましたけれども、ぜひそういう方向で一そう御努力を願いたいと思います。  あとは文部省からもお待ち願っておりますが、同様に学校建築費の補助の問題でありますが、これも現在三分の一補助だけれども実質は二割補助くらいにしか当たっていないのだろう、こういうことであります。基準は五万円くらいでも七万二千円もかかる。六万円くらいのやつなら八万七千円もかかる、こういうことのようであります。それから学校プールの建設などについても五十万から七十工万くらいの補助金しか出ないのだが、実際は五百万から八百万もかかるのだ、こういうふうな点の指摘がございます。あるいはまた厚生省の関係でも、福祉施設国庫補助基準についても、児童施設や擁護施設やあるいは地方改善等の施設についてやはり査定額と実施額との幅が非常に大きいわけであります。この点どうも文部省とか厚生省というふうな関係が特別にそうだというわけではないのですけれども、住民の生活に密着する問題であり、市町村あるいは都道府県のほうもぜひ事業を伸ばしたい、そういう考えがあるけれども、こういうふうな実態の中で非常に苦労している、こういうことであります。これにつきましてひとつお考えを伺いたいと思います。
  136. 斎藤正

    斎藤(正)説明員 公立の学校施設の予算単価と現実の実績の単価の開きの問題でございますが、これが従来とも実績よりも予算単価がやや下回ってきておるというのは事実でございまして、これにつきましては、近年逐次その差を縮めるように努力はしてきております。三十九年度予算におきましては約七%のアップを見たわけであります。しかしまだ十分ではございませんので、明年度の予算要求に際しましては、文部省といたしましては学校の標準設計をいたしまして、そしてそれに基づく標準積算をして、そして地方の差というものをかけていくという方法をとったらどうかということで、従来のようにいままでの予算単価にある率をかけるという方式でなく、かなり単価として上回った要求をいたしまして既存折衝中でございます。これらの点については予算単価あるいは木造と鉄筋コンクリート造の比率、そういうようなものの開きが、やはり地方負担を増す原因になっておると思いますので、予算の単価の面におきましても、構造比率の面につきましても実態に応ぜられるように努力をしてまいりたいと存じます。
  137. 飯原久弥

    ○飯原説明員 ただいま安井先生から御指摘の児童福祉施設、養護施設の坪単価の問題、それから地方改善施設の坪単価の件についてでございますが、御指摘のように予算単価とそれから実施単価との開きはあるわけでございますが、たとえて申しますと、養護施設の場合には予算の標準単価四万二千円、三十八年が五万円、これをその地方改善施設、養護施設、児童福祉施設を合わせましてABCの坪単価の高いランクをつけまして、それによりましてそれぞれたとえば、A地区におきましては木造の場合には四万八千円あるいはブロックの場合には六万円の単価をとっておるわけでございますが、御指摘のとおり来年度予算要求におきましてもできるだけこれは坪単価の増額を予算要求でしておるわけでございます。
  138. 安井吉典

    安井委員 もっと伺いたいのですけれども、時間がありませんので、いま文部省と厚生省の御答弁をいただいたわけでありますが、先ほど来申し上げておりますのと同じことで、池田さんはうそを言わないというわけですけれども、その池田さんもおやめになるそうですか、三分の一補助するというのなら、やはりきっちり三分の一補助になるように、二分の一補助というふうに、お出しになる場合にはうそにならないように、はっきり二分の一になるように、やはりそういうふうに単価そのものをきっちりした形になさるということが一番大卒な問題だと思います。明年度予算編成を前にしてぜひそういう御努力を願っておきたいと思います。  それでは、あと運輸省と消防庁に伺いますが、消防庁のほうは、消防施設の補助金が整理されるのではないかという話が補助金合理化審議会で出たとかいうことが、地方へ参りますと非常に大きな反響を起こしておるという事態を私どもも知るわけでございますが、どうでしょうか、明年度以降の見通しは。
  139. 川合武

    ○川合説明員 補助金合理化審議会の答申に、私どもの施設補助金の漸減の方針が打ち出されましたことは事実でありますが、私どもはもとよりさような考え方に反対でございます。整備計画を立て五年目に入るわけでございますし、市町村もまたその線に沿って種々努力しておるわけでございますから、私どもはこれを漸減というどころか消防力の充実のために増額をがんばっていきたいと考えております。
  140. 安井吉典

    安井委員 地方へ出てみますと、思いのほかこれに対する関心が大きいのに私も驚くくらいであります。やはり消防施設が全体的におくれておるという現状があるわけですから、補助金合理化審議会のそういうふうな考え方は、考え方としてわかりますけれども、いまのところはほとんど国は財源措置をやっていないような形なんですから、消防債にだけたよっておるというふうな、そういうふうな消防財源考え方がある際でありますから、やはり地方のこういう期待に沿うような御努力をぜひ政府でも講じていただきたいとお願いをしておきます。  二時までの時間だそうでありますので先を急ぎますが、運輸省からおいでをいただいておりますのは、これは南部町その他で聞いたし、全国的にいま問題になっておるわけでありますが、踏切整備促進法による踏切の統廃合を完全に実施された場合には、車両制限法とも関連して統合された踏切への取りつけ道路の必要性が生じてくるわけです。ところで町村に取りつけ道路に関する費用を負担させるということに結果的にはなっているようでありますが、これは町村の財政実態を無視した処置であるというふうな意見が強いわけであります。私どもこの内容がよくわからないのですが、取りつけ道については国鉄でやる、一踏切道当たり十万円くらいの負担であるが、実際は八百万円かかるということであります。この南部町の実態だけで聞きましても——踏切を二メートル以下の幅員のところは廃止するというわけですか。それによって、この一つの町だけでも八カ所が廃止あるいは統合される、それによって新しい道路を、迂回道路をつくったり、そういうためにこの一つの町だけでも二千七百万円もかかるのだというわけです。ちょうどそこへ地方事務所長も来ておりましたので聞いたら、日高地方事務所の四カ町村の工事費だけで四千七十二万四千円くらいかかる、こういうことのようであります。これはいままでの地方財政の内容をよく知っておる私どもから見れば、たいへんな事態じゃないかという印象を受けるわけでありますが、この点についてもう少し運輸省のお考え方を伺っておいて、もっと積極的な対策を講ずる必要があるのではないかと思うのでありますが、いかがですか。
  141. 斎藤正

    斎藤(徹)説明員 ただいま踏切道改良促進法などがありまして、踏切の改良、立体交差化について着々成果をあげているわけでありますが、そのほかにいま御指摘の踏切の整理統合という問題が全国的にたくさん起きております。ただし踏切の整理統合はあくまで国鉄あるいは私鉄と道路管理者、警察、地元民との話し合いのもとでやっておるわけでございまして、相手が県あるいは国の場合はともかくとしまして、一般の市町村の場合には当然その協議の中身は負担能力、財政能力といったものが考慮されるわけでございまして、国鉄としましてはいろいろと踏切の整理統合の実施の方針というものは持っておると思いますが、あくまで円満な話し合いのもとで話し合いがついたときに施行する、こういうたてまえでやっておるわけでございまして、ただいま御指摘の具体的な点につきましては私のほうでさらに事情を調査いたしまして、それからそういう大きな負担を地元にかけておるような事実がございましたらよく実情調査いたしまして、さらに折衝を続けましてできるだけ円満に解決させたい、このように考えております。ただし具体的なその個所の例につきましては、国鉄から参っておりますので、国鉄のほうから事情を御説明したいと思います。
  142. 徳永勝

    ○徳永説明員 国鉄の踏切保安部長でございます。ただいま先生からお話がありました南部町の踏切でございますが、これは現在国鉄のほうから整理統合できないかというお願いをいたしまして、それに対しまして道路管理者側のほうからいろいろ御希望を出されまして、私どものほうと負担金その他につきまして協議中の段階にあるようでございます。整理統合はあくまでもいま運輸省からも御説明がありましたように、道路管理者に最終的にはきめていただくことでございますので、非常に金がかかってどうにも整理統合で弐ないというようなものまでも国鉄としてあえて強行しようという趣旨のものではございませんので、その点は御了承願いたいと思います。
  143. 安井吉典

    安井委員 これは私もよくわからないのですが、全面的な問題なんでしょう。南部町だけでなしに全国どこでも起きておる。そして大きな問題に発展するおそれがあるのではないかと思うのですが、全国的にこういうような一つの町だけで二千万も出さなければいけないという事態なら、円満な話し合いといったってなかなかこれはいかないですよ。財政局長がいませんが、おそらく特別に財源付与でもするのなら別ですけれども、これはなかなかたいへんなことだと思うわけであります。全国的な問題についてお見通しや何かお持ちなんですか。
  144. 斎藤正

    斎藤(徹)説明員 ただいま踏切で問題が多いのは国鉄が大部分だと思いますが、国鉄の場合はただいま五カ年計画で複線線増工事をやっておりますので、そういった複線線増工事に関連してできるだけ踏切を解決していきたい、こういう趣旨でやっておりまして、それに関連した踏切につきましてはさほど地元では問題を起こしておらないと思います。単独に踏切を改良する場合にはただいま何千万というような数字もおっしゃいましたが、そのような金を伴うケースはそんなにはたくさんないと思いますが、国鉄のほうからも私のほうは聞いておりません。
  145. 安井吉典

    安井委員 それじゃきょうはちょっと時間がありませんので、もう少し私ども実情をとらえてからにいたしたいと思いますけれども当局のほうももう少し、いろんな問題が起きているのではないかと思うのですが、私どもは偶然一つの町村だけを見たわけですけれども、さらに御検討おきを願いたいと思います。  それからもう一つ、国保課長おいでを願っておりますので、これも地方財政の中で事務費補助が非常に少ないということ、現実に即していないということや、国保の赤字の根本的な問題がたくさんありますが、それについて要望が非常に強いわけでございますので、その点を御検討願いたいことが一つ。  それから北海道の冷害の場合の国保税の減税の問題です。これはやはり減税をすべきだし、それについての補てん措置は、特別調整交付金なり何なりで当然行なうべきだと思うのですがどうでしょうか。
  146. 信沢清

    ○信沢説明員 前段の国保財政の問題につきましては、御指摘のように全国的に見まして三十八年度の決算がついておりまして、たいへん悪くなっております。したがいまして私どもにおきましても、これに対する対策を早急に講じなければならぬ、かような考えでこの問題に取り組んでいるわけでございますが、特にただいま御指摘のございましたように、事務費の国庫負担が非常に少ない、これが金額的にも相当の数字になっておりますし、さらにこれが財政悪化の一因でもある、かような判断もいたしておるわけでございますので、とりあえず来年度におきましては事務費の国庫負担の大幅な増額をはかりたい。その他の財政対策とあわせまして財政の健全化に努力してまいりたい、かように考えているわけでございます。  それから災害等のございました場合の保険料あるいは保険税の減免につきましては、御案内のように特別調整交付金の中で減免額の十分の八まで補てんをいたす、かようなたてまえになっております。したがって北海道につきましても当然この措置をとるということを考えているわけでございますが、なお当座の資金繰りの問題といたしまして、各四半期に概算交付をいたしております。補助金の概算払いをさような災害の起きました地域につきましては繰り上げて交付するというような措置も、当面の措置としていたしておるわけでございまして、現在道に対しまして一体減免額がどの程度になるか、あるいはさような繰り上げ交付をいたすような措置を講ずる必要がある市町村がどの程度あるかというような点につきまして、詳細調査をお願いしておりますので、その結果を持ちまして当然現在とられるべき措置としてとれるものは当然とりますし、内容いかんによりましてはなお特別な対策もあわせ検討する必要があるのではないか、かように考えているわけでございます。      ————◇—————
  147. 田川誠一

    田川委員長代理 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  地方公営企業に関する調査委員会において地方公営企業について調査を進めるため、来たる十一月十日火曜日午後一時参考人の出席を求め意見を聴取いたしたい旨、小委員長から申し出がありました。つきましては同小委員会に参考人の出頭を求め、その意見を聴取するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  148. 田川誠一

    田川委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、参考人の人選等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  149. 田川誠一

    田川委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時八分散会      ————◇—————