運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1964-10-09 第46回国会 衆議院 地方行政委員会 第66号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年十月九日(金曜日)    午前十時四十分開議  出席委員    委員長代理 理事 中島 茂喜君    理事 渡海元三郎君 理事 藤田 義光君    理事 川村 継義君 理事 佐野 憲治君    理事 安井 吉典君       大石 八治君    奥野 誠亮君       金子 岩三君    亀岡 高夫君       亀山 孝一君    久保田円次君       武市 恭信君    登坂重次郎君       村山 達雄君    森下 元晴君       山崎  巖君    和爾俊二郎君       秋山 徳雄君    安宅 常彦君       重盛 寿治君    千葉 七郎君       華山 親義君    細谷 治嘉君       栗山 礼行君    門司  亮君  出席国務大臣         自 治 大 臣 吉武 恵市君  委員外出席者         内閣法制局参事         (第一部長)  古國 一郎君         総理府技官         (科学技術庁原         子力局次長)  鈴木 嘉一君         大蔵事務官         (主計官)   平井 迪郎君         郵政事務官         (簡易保険局次         長)      泉  秀則君         自治政務次官  高橋 禎一君         自治事務官         (大臣官房参事         官)      山本荘一郎君         自治事務官         (行政局長)  佐久間 彊君         自治事務官         (財政局長)  柴田  護君         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 十月九日  委員三池信君及び阪上安太郎辞任につき、そ  の補欠として金子岩三君及び安宅常彦君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員金子岩三君及び安宅常彦辞任につき、そ  の補欠として三池信君及び阪上安太郎君が議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方自治及び地方財政に関する件(地方公務員  の給与改定に関する問題等)      ————◇—————
  2. 中島茂喜

    中島(茂)委員長代理 これより会議を開きます。  委員長海外旅行のため、その間、委員長指名により私が委員長の職務を行ないます。  地方自治及び地方財政に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。門司亮
  3. 門司亮

    門司委員 最初にお聞きをしたいと思いますことは、昭和三十八年の十二月二十七日、政令三九三号で公布された地方自治法の改正後の問題でございます。これは御承知のように、というよりも当局のほうがよく知っておる、九十六条の七号との関連を持つ政令でありますが、この政令制定された趣旨をこの機会にひとつはっきりしていただきたいと思うのであります。それは別表の第一と第二であって、第一にも上欄と下欄が設けてある。第二にも上欄と下欄とが設けてある。これの法的解釈が非常にむずかしい問題であると同時に、大体当を得ていない。きょうは質問の時間が非常に短いのでありますから、よけいなことは言わないで、ごく簡単に率直にお聞きをいたしますが、別表の第二の上欄に書いてある「不動産又は動産の買入れ又は売払い(土地については、その面積都道府県にあっては一件二万平方米以上、指定都市にあっては一件一万平方米以上、市町村にあっては一件五千平方米以上のものに係るものに限る。)」と書いてある。そうして、下欄に知事専決し得る金高として都道府県は七千万円、指定都市四千万円、市が二千万円町村が七百万円、こういう書き方になっております。この表をそのまま解釈すれば、下欄に書いてある金高上欄に書いてある土地坪数との間には何らの関係がないわけであります。したがって、金高制限を受けておらないというのに、その政令をそのまま解釈すればそのとおりになるということが一つであります。したがって、これからいろいろな派生的な問題が起こっておりますので、この派生的な問題についての事実に基づいて質問することになろうかと思いますが、その前段として聞いておきたいと思いますことは、知事の、あるいは長の専決処分というものが百七十九条ないし百八十条によるのが私は既定の基本方針だと考えるのであります。この知事専決処分については基本方針がどこにあるのか、もしその他の法律があるならお示しを願いたいと思います。
  4. 佐久間彊

    佐久間説明員 第一のお尋ねでございますが、御指摘地方自治法施行令別表第二におきましては、お読みになられましたような規定がされております。この規定の読み方でございますが、私ども解釈といたしましては不動産または動産買い入れまたは売り払いの場合におきまして、上欄に掲げてあります面積を持っておりますもので、なおかつ下欄の金額以上のもの、これがこの規定に該当するものというふうに解釈をいたしております。  それから次のお尋の点でございますが、地方公共団体の長が専決をいたします場合といたしましては、百七十九条が基本規定でございます。そのほかごく特殊な場合といたしまして、たとえば百七十七条の第三項に長が専決することができるという規定がございますが、基本規定は御指摘のように百七十九条でございます。   〔中島(茂)委員長代理退席渡海委員長代理着席
  5. 門司亮

    門司委員 そこで聞いておきたいと思いますことは、地方自治法のいわゆる自治本旨というものは、憲法にも規定いたしておりますが、元来地方自治体がきめる条例は、国が示唆をし、国がその見本をこういう形で一体示すことができるかどうか。私は事実の問題ですから言いますが、自治省からそういう条例をこしらえろという指令が出ておるのです。元来地方自治体にまかしてある条例というものについては、国がいかなる権限をもってしてもこれは阻止することができないはずである。憲法または法律に違反しない限りは条例制定することができると書いてある。したがって、自治法に言う条例制定というものは、明らかに地方公共団体にあると解釈するのが私は正しいと思う。にもかかわらず、この条例については国がこういう形において政令で出す、その政令を押しつけられる。これは一体どういうわけですか。条例制定権というものはどこにあるのですか。国にあるのですか、地方自治体にあるのですか、どっちに一体その権限があるのですか、その点をひとつ明らかにしていただきたい。
  6. 佐久間彊

    佐久間説明員 条例制定権は、申すまでもなく地方公共団体にございます。
  7. 門司亮

    門司委員 そうすると、この政令に反した、変わった条例をこしらえても差しつかえない、こういう解釈になりますね。
  8. 佐久間彊

    佐久間説明員 御指摘法律上の根拠といたしましては、九十六条の第七号でございまして、九十六条の七号におきましては、「政令で定める基準に従い条例で定める財産取得又は処分」というふうに規定がなされております。したがいまして、本来条例地方公共団体が自主的に制定するものでございますけれども、この法律規定によりまして、条例で定めます場合には、政令で定める基準に従わなければならないということに相なるわけでございます。
  9. 門司亮

    門司委員 したがって、私が先ほど申し上げましたように九十六条の七号から出てきた政令であることは、これは間違いはないのであります。三九三号ですか、この政令はとにかく間違いはない。しかしこの法律肉体が、地方自治について非常に大きな矛盾を持っておることになりはしませんか。同時に、中央がこういう法律条文によって、地方自治権を侵す穴がすでにあけられておるということは、これは明らかに地方自治法立法の精神に異なる、あるいはこれに反したものだと考える。この点はどうなんですか。これでも地方自治法の本来の趣旨に反しない。同時に、法律の中にどんなことでも書けば、一方の法律では地方自治体がこしらえる条例については国は阻止することができない。条例制定地方自治体自主権とは申しませんが、一応条例制定権利であるとわれわれは考えておる。この権利を侵してもよろしい、これをなしくずしにどんどんこういう法律をこしらえてごらんなさい、地方自治体は全く自主権を失って、国の言うとおりにならざるを得ない。私はそれを言うのです。一体この二つの条文解釈はどこでつじつまを合わせるか。それはさきにできた法律よりもあとにできた法律のほうが効力が大きいのだという解釈も一応成り立つ。だから、これは去年直したばかりだから、こっちのほうが優先するんだ。この法律のほうが優先するかもしれません。しかし、この考え方がほんとうに地方自治を守ってやろうとする自治省考え方からすれば誤っていはしないか。その解釈はどう考えますか。
  10. 佐久間彊

    佐久間説明員 一般的に申しまして、先生のおっしゃいますように、地方公共団体条例制定いたします場合に、それにつきましていろいろな制約政令で設けるということは望ましい措置ではないことは御指摘のとおりでございます。しかし条例制定根拠になります第十四条におきましても、法令に反しない限りにおいて条例制定することができるということに規定されておりまして、法律または政令である程度制約ができることを予想をいたしておるわけでございます。もちろん政令で行き過ぎた制約をいたしますことは、地方自治本旨の上から申しましてとるべき措置でないことは仰せのとおりでございます。本件の場合におきましては、先ほど申し上げました九十六条の第七号におきまして、法律自体におきまして、「政令で定める基準に従い条例で定める」云々という規定がなされておりまするので、第九十六条の法律趣旨をくみました政令によりまして、条例がある程度の限界が付せられるということは、これは差しつかえないものと考えておるわけでございます。
  11. 門司亮

    門司委員 問題は、そういう一つのものの考え方なんです。これはここで議論を長くしていると、大事な問題が、時間がなくなりますので、あまり長くは申し上げません。御承知のように、十四条に規定をしておることは、むろん憲法に違反してはならない。法律に違反してはならない。政令に違反してもなりません。これは何も日本都道府県市町村日本の国の外にあるわけじゃございません。日本国内にある地方自治体である限りにおいては、その国の定めた法律政令に違反してはならない。これはわかります。私はそんなことは理屈にならぬと思う。その国の法律あるいは政令であろうと、憲法であろうと、国が定めたものに違反しない限りにおいては、地方にそういう条例権限を与えておる。なお、条例法律とほとんど同じ効果によって住民を束縛するのであります。罰金を言いつけることもできる。懲役を科することもできる。私はこの条例、十四条の規定というのは、地方自治にとっては非常に大きな権限だと考えておる。従来法律によらざれば刑罰の執行はできないはずである。にもかかわらず、地方公共団体にこの権限を与えたということは、与えたこと自身が私は非常に大きな意義を持つものであって、地方公共団体に、おのおのの立場からくる社会の秩序と、住民の福祉を保護することのために特別に与えられた、この地方自治法全体を通じて最大のポイントがここにひとつ置かれておると思う。その権限政令でどんどん曲げられて、そうして政令でこうやれ、ああやれと指図をされる。それは法律に違反しないということになると、この十四条の意義というものは全く私はなくなると思います。これは大臣に申し上げるほうがいいかと思いますが、自治省はひとつ考えてもらいたい。  と同時に、この実態についてこれから質問いたしてまいりますが、この実態は、まず上欄から先に上げても差しつかえありませんが、この上欄でこういうように四つに分けて書いてあるが、都道府県あるいは指定市、市、町村というような形にこれが分かれておる。何のために一体下欄において金高制限をして上欄においてこういう処置をとられたのか、その理由をひとつ簡単でよろしゅうございますからお聞かせ願いたいと思います。
  12. 佐久間彊

    佐久間説明員 この政令規定は、申すまでもなく法律の九十六条の第七号に基づいておるわけでございますが、第七号におきましては、その種類及び金額について、基準政令で定めるということに相なっておりますので、種類といたしまして不動産または動産買い入れまたは売り払いということを上欄にいたしたわけでございます。  そこで、その次に金額だけでもいいじゃないかという御質疑かと存じますが、財産取得処分につきましては、従来から面積で押えるというやり方をいたしておりましたので、その従来の経緯も考えまして、面積でまず押える。しかし面積だけでは適当ではございませんので、下欄におきましてあわせて金額も加味をする、かような規定のしかたをいたしたわけであります。
  13. 門司亮

    門司委員 その点はわかっておる。それはよくわかっておるが、何で下欄と同じく制限をしたか。
  14. 佐久間彊

    佐久間説明員 この九十六条の七号の規定をいたした立法趣旨になるわけでございますが、これは過般御審議をいただきました際に御説明も申し上げましたが、従来地方公共団体条例に全くゆだねられておったのでございますが、地方財務会計制度調査会でいろいろ御審議になられました結果の答申によりますと、財産取得処分に関する行為につきましての長と議会との権限の合理的な分配という見地からいたしまして、これらの事項につきましては、すでに議会におきまして予算審議段階におきまして審議がなされておりますところであり、それのきまりました予算執行段階行為であるから、原則としてはこれは地方公共団体の長の権限、責任にすべきであるという趣旨答申があったわけでございます。政府におきましてこれを具体化いたします場合に、いろいろ検討いたしましたが、調査会答申どおり原則としてこれらの行為議会関与からはずしてしまうということにつきましてはやはり適当ではない。従来のように非常にこまかい案件まで一々議会にかけるということは、これは調査会答申のいうとおりに適当な権限、合理的な権限分配と言えないだろうけれども、さりとて何もかも議会関与からはずすことは、これはやはり適正な財務運営見地から見て適当でない。かような判断をいたしまして、従来よりも範囲はしばる。しかし、重要なものだけはやはり議会関与のもとに置くということがよろしかろうということで、御審議いただきましたような法律案立案をいたしまして、御提出を申し上げた次第でございます。したがいまして、この別表の第二におきましては、それではどの程度のものに線を引きましてそれ以上のものは議会議決に従わなければならぬとするかという問題でございますが、これにつきましてはいろいろな点を勘案いたしましてかような規定を設けたわけでございます。一つの勘案いたしました事項といたしまして、たとえば都道府県におきましては、高等学校を新設する場合の敷地買い入れ市町村におきましては、中学校小学校敷地買い入れというような、こういうようなものは、当該団体にとって非常に大きな問題であるから、それらのものにつきましては、少なくとも議会議決にかかるようにするようにしなければいかぬというようなことも、一つ事項として検討をいたしておった次第でございます。
  15. 門司亮

    門司委員 私は、いまの答弁は非常に奇怪な答弁だと思うのですがね。ことに私は、そういうことを聞いておると、どういうふうに基準を定めたか、どういうわけでこういう定め方をしたかということで学校の例が出ましたが、学校の例だとすると、これは実に奇怪千万です。なぜ奇怪千万かというと、一つの問題は、これに特別区が抜けておる。法律を見てごらんなさい。東京都の二十三区は、小学校中学校の設置、管理、運営をする、こう書いてある。設備をするには、敷地が必要です。なぜ一体東京都の区にこの権限を与えなかったか。これは、区は市に準ずると書いてあるからそれでよろしいのだという解釈が成り立つかもしれません。しかし詳細にそういうことは書くべきである。東京都の区は、事実上、小学校——法律を見てごらんなさい。当然そういうふうに書いてあるはずです。  それから、もう一つの問題は、二万平方メートルということが一体どういう敷地であるのか。それから、市町村とあなたは言っておりますけれども市町村には、今日、非常に大きな違いがあるでしょう。これはどんな市でも、ここに響いてある五千平方メートルということになりますと、これの大体三分の一という坪数をとってみますと、どれだけになりますか。これで小学校中学校ができますか。しかも同じ市の中でも、八十万をこえるといわれている川崎のような市もあります。人口三万に満たない市もたくさんあります。これが画一的にこういうことでよろしいという理論が一体成り立ちますか。私は、こういうものをこしらえること自身に、非常に大きな問題があると思う。学校敷地だといわれるなら、そういうことを結局言わざるを得ない。指定市で一万坪から三千坪でしょう。指定市は満等学校を持つことができる。同時に、指定市の予算を見てごらんなさい。どれだけ違うか。鳥取県の予算は今日幾らです。日本で一番小さい県の山梨県の当初予算は、幾らになっておるか。おそらく川崎市の半分くらいです。数字を申し上げてもよろしい。こういう問題が実際に即さない政令になってあらわれてきて、それを各自治体条例に押しつけておる。実態に全く沿わない。だから、官僚独善と言いたいんだが、これは官僚独善範囲を越えておる。こういうことはあなた方のほうで大体調べてあるはずでしょう。市で、日本で一番小さな予算を組んでいるのは、茨城県の下妻市でありますが、これの三十八年度決算を見てみましても、二億五千百万円にしかなっておらない。福岡市の三十八年度決算は、百三十六億五千百万円になっておる。一番大きな市と言われておる川崎市の三十九年度一般会計予算は、百八十六億二千八百四十三万八千円と書いてある。川崎市は、これのほかに特別会計公営企業会計を入れれば四百四十二億七千七百七十三万一千円と書いてある。この大きな市と、いま申し上げました同じ市でも決算において二億五千百万円しか持っておらないものを同じものでよろしいということ、こういうずさんなものでよろしいとあなたはお考えですか。  同時に、一体特別区はどうするつもりなのか。これは、市に準ずると書いてあるからそれでよろしいという解釈でよろしいというお考えですか。学校敷地その他がこれについて考えられるなら、それで議論しなければならぬが、その点はどうなんです。県の財政から見てまいりましても、本年度都道府県財政状態を一応見てごらんなさい。東京都は一般会計予算だけで、三千九百六十億ですよ。特別会計公営企業会計を入れれば五千億をこえています。一番小さな県といわれておる山梨累の本年度一般予算の総額は百七十八億円です。大阪が千二百五十六億七千百万円、こういう大きな開きを持っておるという形で画一的なものでよろしいということが、一体理論上成り立つんですか。私は、こういう制限さえなければ明らかに、各自治体は、おのおのの能力、おのおのの現状に即した条例によってこしらえると思う。政令を出しているから、これを基準にすると書いてあるから、そうすると、こういうべらぼうなものができてくる。この考え方はどうなんですか。これでよろしいとあなた方はお考えですか。  同時に、ついでだから申し上げておきますが、これの金高の比較をしてごらんなさい。どういうものが出てくるか。東京都の今日の固定資産税基準になっておりまする査定額は、大体一番高いところは三百六十万円といわれておる。それで、坪当たり三百六十万円として二万平方メートルのものを金額にしますと、二百六十億円という金を東京都知事専決できるという形になりますよ。あなた方の考えからいけば、横浜の市長さんはどのくらいの大きなものができるか。大阪市長さんはどのくらいのものでができるか。大阪でかりに七十万円して——大阪では坪百万円から百五十万円しているでしょう。それをかりに一平方メートル当たり五十万円と見てごらんなさい。大阪は、一万平方メートルだから五十億までは、大阪市長さんは専決ができるという理論が成りたつ。こういうことでよろしいですか。私は、こういう問題は、やはり地方自治体にまかせる必要がありはしないか。おそろしいことですよ。これであなた方はよろしいとお考えになっているかどうか、もう一度はっきりした御答弁を願いたい。
  16. 佐久間彊

    佐久間説明員 お尋ねの第一の特別区の点でございますが、特別区につきましては、先生承知のように、地方自治法の第二百八十三条におきまして、この市に関する規定は特別区に適用になる。つまり、この法律または政令で特別の定めがありますものを除いては適用になるという規定がございますので、この別表第二のところでわざわざ特別区と書いてございませんでも、当然適用になるというふうに解釈をいたしておるわけでございます。  それから、次の点でございますが、先生指摘の点はまことにごもっともな点だと私どもも存じておるわけでございます。実は立案をいたします場合に、御指摘のように、人口規模によりまして基準差等をつけたほうがいいかどうかということも検討をいたしたのでございますが、しかしながら、同じ都道府県、同じ指定都市、同じ市、同じ町村でありながら、人口規模あるいは予算規模によりまして、議会の権能について差等をつけるということは、またかえっておかしいのじゃなかろうかというようなそういう考え方もございまして。いろいろ考えました結果、都道府県指定都市市町村の各種類ごと差等はつけますけれども、その中で、さらに人口規模によって差等をつけるということはとらなかったわけでございます。そういたしますと非常に画一的になりはせぬかという御批判でございますが、そういう面がある程度出ようかと存じますがこれはまあ一つの最低限を定めた基準でございますので、団体によりまして、さらにその団体の実情に応じた定め方をするということも可能であるわけでございます。
  17. 門司亮

    門司委員 ますます奇怪な答弁を聞くのでありまして、これはここであなたと議論していたのじゃ始まらぬかもしれないけれども、その考え方はおかしいですね。それなら法律の九十一条を読んでごらんなさい。何と書いてある。九十一条には、住民意思決定機関としての議会の構成についてはおのおの人口別制限がしてある。何段階に分けておりますか。この段階のいい悪いは別の問題として、住民意思決定機関について、その議員の数が法律でずっと段階的にきめられておる。都道府県にあっては自動的に人口に比例して書かれてある。ところが理事者のほうは、画一的に専決権を持つ。これはおかしいじゃないですか。議会運営住民意思決定機関である市会あるいは地方議会にその重点が置かれねばならない、これが民主政治原則である。ところが議決機関のほうの、九十一条でありますか、これを見てごらんなさい。一から九つまで書いてある。これとどう関連性をあなた方はお考えになっておるのか。議決機関のほうはそういう制約をする。理事者のほうの権限は、人口三万に満たない市も八十万の市長さんの権限も同じでよろしい、こういうお考えですか。もしそうだとすれば、その予算規模がそれに影響するから私は申し上げる。単なる議員だけじゃありません。予算規模がその次に出てくる。さっき申しましたように、同じ市でありましても、川崎市の予算規模下妻市の予算規模は一体どれだけ違いますか。何十分の一と言っていいでしょう。四百四十二億持っているところと、決算において二億五千万円しか持っていない市とが対等な——私は権利は対等でよろしいと思いますが、処置する問題が対等である。川崎市の市長さんも、この規定によれば五千平方メートルしか自由にならぬ。下妻市長さんも五千平方メートルが自由になるという考え方、これはよろしいですか。これであなた方は自治が公平に行なわれているとお考えになっておりますか。きわめて不公平でしょう。悪口を言えば、官僚の画一主義。最もおそろしいところです。これであなた方はよろしいと言い切れるなら、ここで言ってごらんなさい。
  18. 佐久間彊

    佐久間説明員 九十一条の御指摘がございましたが、九十一条は議会議員の定数の点でございまして、これは住民の代表者として議員を何人選出したらいいかということでございますので、これにつきましては、人口規模によりまして差等をつけるということが、なるべく公平に住民の声を議会に反映をさせるという見地から申しましても当然のことではなかろうかと思うのでございます。しかしその選出されました議員によりまして構成されました議会権限といたしましては、人口規模によって議会権限の幅が差等がつけられるということはいかがなものであろうかというふうに判断をいたしたわけでございます。もちろん、予算規模の大小によってむしろ差等をつけたほうがより公平ではなかろうかとおっしゃいます御意見も、御意見としては私どもごもっともな一つの御意見であるというふうに拝聴いたすわけでございますが、その点いずれをとろうかということでいろいろ検討いたしました結果、まあ町村の大小にかかわらず、議会としての権限の幅は、やはりたてまえ上同じにしておくということのほうがいいんじゃなかろうかという判断をいたしたわけでございます。その結果、非常に画一的になりはせぬかというような御指摘、それも私どももごもっともと思いますが、これは一つの最低限の基準でございますから、さらに大きな団体におきまして、これよりもっと高い基準を定めるということは、これは条例で自主的に伸縮できるわけでございますから、このたてまえで一応よろしいのではなかろうか。しかし立法論といたしましてはそういう御意見もあり得ることは、私どもも十分承知しておるわけでございます。
  19. 門司亮

    門司委員 議会のほうはそういう形できめたんだというお話でございますが、これにも制限がありますね、大きいのと小さいのと、同じ地方公共団体においても委員会の数などは違いますな。私はそういう議論をいまここで長く展開しようとは実は考えていない。考えていないが、あなた方がそういう議論をしてくれば、最後に私は大臣に申し上げるつもりであったが、ここでは言わないほうがいいかもしれません。自治法自身というものが議会権限というものをだんだん縮小してくる。いまもお話し申し上げましたように、画一的に一年に六回ないし八回開けというものがいまは四回でしょう。結局大きい都道府県で六回ですか。委員会の数も減っておりましょう。委員会の数も最初十六くらいあったのが、いま幾つありますか。委員会も制限してきている。議決機関である議会権限はだんだん縮小されてくる。しかも議員議会に動議を提出しようとすれば、八分の一以上の賛成がなければならないという規定を設けてきている。八分の一以下の同僚を持つ会派は、当該議会に対しては動議の提出権さえ今日禁じておる。国会とは違うのである。地方自治体は、住民の意思をそのまま反映することのできるものでなければほんとうの自治体ではないはずだ。にもかかわらず、そういう制限をずっとしてきている。議会側にはずっと制限をしてさておいて、理事者権限はだんだん理事者のやりいいこういうものをこしらえている。ことにいまの御答弁では、これは最低で、最高はもっときめてもよろしいんだというような不都合なことが出てくるでしょう。そういうことになったら将来どうなりますか。そういう自治省のものの考え方、そういう自治省の行き方について、この際改める必要がある。ほんとうの自治行政というものはなくなっているという考え方から、私はきょうは大臣にその点を特にあとでお尋ねする予定でありますが、問題になりますのはそういうことで、それなら私は聞いておきますが、いま申し上げましたように、ごく極端な例をとれば、東京都の知事は二百六十億までは土地に関する限り知事独裁で買えるのだ、大阪市長さんは二十億まではやれるのだ、あるいはこれが五十億になるかもしれない、そういうことが常識上許されますか。これはやればやれるのですよ。あなた方これが常識上許されるとお考えになっておりますか、どうなんですか。人間は非常識な者が出てきますから、権力を与えればその権力を行使しますから、人間のそうした凶器はできるだけ抑えておく必要がある。その凶器を野放しにして、もっと大きくきめられるのだというなら、一体どこまでいけばいいのですか。実におそろしい話なんです。いま申し上げましたように、そういう極端なことを現実にやってもよろしいというお考えですか。それはしかたがないんだ、あるいはそれ以上きめてもよろしいのだ、これは最低限なんだ、東京都知事が一千億円の土地を買収するために議会にはからないで買ってもよろしいというようなことがいいのですか。私はいまの答弁は非常に大事だと思いますよ。これが最低であって、これより以上きめてもよろしいなんて言ってごらんなさい。これは会議録になってそのまま出てくるでしょう。地方理事者はえたりかしこしで、こういうものを議会に相談しないで出してくる。一体、予算審議権はどこに出てくるのですか。末おそろしいことを言う人だと思いますが、あなたは本気でそんなことを言っているのですか、こう言うと、はなはだ失礼だが。私はさっきも言ったように、これが最低であって、より以上きめられるということは、取り消しておいていただきたいと思う。そうしないとこれは悪影響を及ぼすから、ことばじりをつかまえて悪いようですけれども、ほんとうにそういうことを考えて御答弁になっているのかどうか、ひとつ聞いておきたい。
  20. 佐久間彊

    佐久間説明員 先生の御指摘は、非常に極端なことをいえば、面積が足らない、非常に地価の高い、東京の銀座のまん中に土地を買って、都が何か施設をするということになると、ここにきめてあります金額をこえるというようなことも、この条項については全然ないとは思いません。しかしながら、これはすでに予算におきまして議会審議を受けるわけでございますから、そういうものにつきましては、予算審議段階におきまして十分審議がなされるわけでございますから、私どもは差しつかえないのではなかろうか。しかし、そういう非常に極端な場合を考えますと、たしかに先生のおっしゃいますように、ちょっと非常識だと思われることも法律上はあり得ると思います。実際問題はただいま申しましたように、そういう問題につきましては特に予算審議の際に議会で十分審議がなされることだ、またなされるべきであるかように考えておるわけでございます。
  21. 門司亮

    門司委員 そこにも非常に大きな問題がありますが、この条文の書き方、この法律上の解釈を正しくすれば、上欄が下欄より優先するのですよ。そう解釈することが法律解釈の場合は当然じゃないですか。そうしますと、いまの答弁は違うわけです。制約はされていないために、下の都道府県の場合は七千万円という数字にこだわっていないのです。だから問題が起こるのです。予算審議をされていないものが専決でやられるのです。そして予算はあとから出てくるのです。その例があるでしょう。ないというなら私は申し上げましょう。しかもその予算については財源は起債になっておる。そういう例があるでしょう。それから同時に、自治省が出しております三十九年四月三十日付東京都総務局行政部長あての行政課長のこの問題に対する解釈にどう書いてあるか、私は念のために読んでおきます。「問」として「議会議決に付すべき財産取得又は処分種類及び金額について、種類については、不動産又は動産の買入れ又は売払い(土地についてはその面積が一件五、〇〇〇平方米以上のものに係るものに限る。)とし、金額については予定価格二〇、〇〇〇千円以上として条例で定めた場合、一件五、〇〇〇平方米未満の土地取得処分については、その予定価格が二〇、〇〇〇千円を超えても議会議決を必要としないと解してもよいか。」「お見込のとおり。」と書いてある。そうすると、いまの答弁とは違うでしょう。下の金には関係がないですよ。この条文だけ見れば関係なく解釈することが私は正しいと思う。これは自治省そう解釈しているでしょう。そうすると、いまのように予算で縛られているということはいえないでしょう。一体どうなんです。
  22. 佐久間彊

    佐久間説明員 先ほど私のお答え申し上げました点があるいは説明が不十分であったかと思いますが、別表第二の上欄と下欄の関係につきましての解釈は、先生の御指摘のとおりに私ども解釈をいたしております。先ほど私が議会予算の際審議の機会があるというふうに申しましたのは、この別表第二の関係ということではございませんで、その前に予算案の際に当然計上されるわけでございますから、その際特に高額なものにつきましては、特に慎重な審議議会でなされるものというふうに予想をいたしておりますし、またなされるのが当然だ、かような考え方でお答えを申し上げたわけでございます。しかし法律論だけで申しますと、先生のおっしゃいますように、議会にかけずに専決でやるということもあり得るわけでございますし、御指摘いただきましたように、そういう事例もないわけではございません。そういうことから考えますと、非常に高額なものが事前に議会審議の機会を持たないということも起こり得ることは、法律上あり得ることだと思います。そういう点から考えてみますと、一つ立法論といたしましては、私どもがとりました考え方ではなくて、先生のおっしゃいますように、団体規模によりまして差をつけるというほうがより合理的であるというふうな御意見もごもっともかと思うのでございますが、それらの点は実施の状況を見まして、将来の問題として私ども検討をしてまいりたいと存じます。
  23. 門司亮

    門司委員 将来の問題として検討すると言いますが、問題はもうすでに起こっているのです。そうして、これが起こっているというよりも、非常に不可解な問題だと私は考えておるのは、奈良県に起こった最近の事実であります。これから大臣も、ちょっと事実に基づいて聞いておいていただきたい。  奈良県では、御承知のように奈良市の公園の中に、従来県が借りてあるいは市と共同で借りて、ここに数千万円の施設と専用道路をつけて駐車場をこしらえておった。その駐車場がたまたま他に売られるというような形が出てきた。しかしこれは、ここの持ち主であります寧楽美術館でありますかがやるのでなくして、これと合弁でやっていこうということで一応考えられた。そうなってまいりますと、県はこれに対する出資という形が出てくる。出資という形が出てくれば、県会の議決を経なければならぬ。そこでいろいろな提案がされて、私はここに日記がありますから率直に申し上げておきますが、「大和タイムス」の「大仏前駐車場紛糾日記」というものを読んでみますと、この問題はすでに一年以上前から、この土地を県が県営でやるかどうか、あるいは買収するかどうか、県、市、近鉄の三者で公益事業会社を設立してやるかどうかというような、いろんな議論がされている。そうしてこれについては、結局この日記を読んでみますと——きょうは時間の制約がありますので、あとでまた申し上げることにもなろうかと思いますが、本年の六月九日、十日、十一日というような日付で書いてありますが、これによって見ますと、自民党の県会議員総会でも買収には反対をする、社会党も反対をする、民社党も反対をする、県の農林商工委員会も買収には反対だというようなことで、県会はあげて反対決議がされておる。そこでどうしてもこれを何とかしなければならないというお考えであったと思いますが、結局鹿野園という株式会社に所有権の移転が行なわれた。その間に金銭の授受がこまかく書いてありますが、私は検察庁ではありませんから、それまで申し上げなくてもよろしいと思いますけれども、行なわれておる。そうして一時鹿野園という会社にこれが買収された。これも私は形だけだというほうがよろしいと思いますが、とにかくそうなっておる。そのあとで県がこれを買収するということを知事専決できめておる。これは私は何も緊急を要するということはなかったのではないか。議会で一年も前からもめておることがちゃんと書いてある。そして議会も市会も反対だ、こう言っておる。みんな反対だ、こう言っておる。がしかし、この政令に基づくことに考えてくれば——上欄です。この都道府県に与えられた二万平方メートル以下である、だからこの条例によって知事専決をするんだということで専決をされておる。その間に、当該奈良県の損失を見ることが私はよろしいと思いますが、今日まで施設した金、専用道路をつけた金二千数百万円というものがそのままになって、その上にこの鹿野園という会社が買った値段よりもさらに千二、三百万円のよけいな金をつけてこれが支払いをされておる。こういういきさつがある。私はその場面に、こういう政令がなくて、もう少し地方自治体実態に沿うような条例を自主的に地方がきめておくならば、こういうことは私は起こらなかったと思う。何も土地の買収なんというものは、そう早急にやらなければならないというような理屈はどこにもない。この問題はずっと日にちを推し進めていって、そうしてすでに県が買わなければ他に売るんだというようなせっぱ詰まったところまでいって、しかたがないからということで、登記の関係とか何とかといういろいろな理由は書いてありますが、そういうことによって、もう日がないから、県会を招集するひまもない、同時に条例によってこういうことができるようになっているんだからこれは知事専決でやるんだということで、経緯から見ますと、県会自体が反対しているものを、知事が独裁でこれを押し切って片づけてしまったという経緯がありますが、もうすでにこういう問題が出てきているのである。私はこのことについてはひとり奈良県だけではない、こういう問題が方々に起こったのでは——いま佐久間局長から言われておりますように、実施してみて悪ければ直したらいいんだというようなことでは私は手おくれだと思う。こういう事実があるのである。この事実について一体当局はどうお考えになるか、そういう事実が起こってもよろしいんだ、紛糾があってもよろしいんだというお考えなのかどうなのか。
  24. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 私もまだ詳しいお話を承っておりませんけれども、ただいま御意見を承りますると、奈良県で専決処分土地を買ったようなお話でございます。私ども、この件について調べましたところでは、条例によって認められている専決処分によってやったものであると思われますが、しかしその間の事情につきましてはいろいろ県会の、県自体で問題があったようないまのお話でございまするから、私どもも調べてみませんと、はたしてどうかということは申し上げかねると思います。ただしかし、条例では現在土地面積及び価格において一定の限界を定めて、その限界の範囲であれば、招集のできなかったとき、または緊急を要する場合には専決処分ができるということで、これに基づいておそらくやったのではないかと思われます。  そこで第二の問題は、そういう一つの限界を驚くこの限界のきめ方が、これでいいだろうかという問題は私はあると思います。実はお話を聞きまして昨日調べてみたわけでございますが、やはりこの専決処分になりますと一定の限界を示さぬで、ただ抽象的に専決を許しますと乱になるおそれがございます。したがって、ある金額あるいは何らかの標準を置いて、その範囲であればまあよろしい、それ以上はやはり議決を要するというようなことにせざるを得ぬじゃないかという感じがいたします。その基準の定め方につきましては、お話のようにこれはいろいろ検討する余地は私はあるであろうという気はいたしますけれども、いまここでどれくらいがいい、どうするということはちょっとお答えしにくいかと思います。
  25. 門司亮

    門司委員 いまの大臣答弁でございますが、要するに百七十九条との、緊急の問題の考え方ですが、たとえばこの議会を開くいとまがなかったというのが大体これに当てはまると思うのです。実際は。専決がやれるからやったんだといいますけれども、一年も前からごたごたしたものであるならば、当然私は道義上これは議会にかけて、議会の承認を得べきであったと考えている、道義上そうすべきであったと考えています。ところが、この議会の招集をするいとまがなかったということは、客観情勢なんですね。どう考えるかということなんですね。しかしその客観情勢において、もしかりに議会を開く時日が十分にあったとすれば、長のとった行為は違法であるということが大体従来から考えられておることです。大体学説もそうなっていると私は思う。ここに私は非常にむずかしい問題があると思う。せっぱ詰まって、きょう金を支払わなければ、裁決をしなければどうにもならぬというところまで追い込んでおいて、そこで判を押して、議会を開くいとまがなかった。この問題についても再三議会を開けという要求はあっておるはずである。ところがこれは議会が開かれてない、これは客観情勢である。私はこの場合の客観情勢は、必ずしも議会を開くいとまがなかったわけではないのではないかということが一つ考えられます。私はこれは政治道義上の問題であると思う。ことに専決処分については長は十分考えるべきである。大臣のほうがよく御存じだと思いますが、戦前の原案執行権を持っておったときでも原案執行知事がするとその知事は寿命がそう長くなかったわけでありまして、これは結局政治道義に反するということである。権限は与えておっても、政治というものはやはり道義というものが重んじられておる。今日の知事さんは、御承知のように住民のリコール以外にやめる道は開かれておりません。本人がやめれば別な話です。そこでどうしても、こういう市会がどうしようと県会がどっちを向いておろうと、おれはこうするんだということは了承しがたい。それだけに、こういう問題については特に注意をする必要があるのではないかと考える。したがって、一体こういう場合の百七十九条との関連性あるいはこの次にあります百八十条との関係は、どういう形で解釈をすればよろしいのか、これは条例で定めておるから一切議会はノーコメントだということでよろしいのかどうか。それからついでだから申し上げておきますけれども、これに対しまする予算に対しては、どういう形でこれが消化できるのかということであります。この場合は即日小切手で払われております。そうして予算は次の議会に出されております。こういう順序が一体よろしいかどうか。そうなってまいりますと、議会予算審議権というものがなくなってしまいます。知事専決したものについては、議会はいやおうでも認めざるを得ないという形になる。ここで反対すれば、また知事専決ということで、金を払ったことが問題になるんですよ。一体どっちが重要なんですか。
  26. 佐久間彊

    佐久間説明員 ただいま御指摘になりました奈良県の案件におきましては、これは本来現行法令あるいは条例のもとにおきましては、長の権限に属することになっているわけでございまするから、議会にかける必要はない、したがいまして、知事が単独で処分をいたしましたことも、法律上は百七十九条の場合ではない。百七十九条の場合は本来議会にかけなければならない案件につきまして、ここに書いてありますような場合に専決をする、こういうことになるわけでございます。
  27. 門司亮

    門司委員 そこはわかっておる。これはそのとおりなんです。そのとおりだが、予算との関係です。予算との関係は、この場合予算がついていないんですからね。予算がついていないんですよ。この土地を買うという予算は一銭もないんです。この予算はほんとうに一円もないんですよ。新しい予算との関係はどうなるか。予算を否決した場合はどうなるか。
  28. 佐久間彊

    佐久間説明員 本件の場合、調べてみますと、その土地を買収するために要するに経費を盛りました補正予算専決しております。
  29. 門司亮

    門司委員 それは違うのであって、専決が先で予算はあとから出ている。しかもその予算の中には、約一億三千万円の中で一億二千万円は起債である。自治省が承認をしておる。ここにちゃんと書いてある。これは違いますか。起債ということになりますと——ある金を使うのなら、まだ私は事後の予算でもいいかもしれぬ、ある金を使うのですから。税金をよけい取るとかあるいは売り払い代がこれだけあるとか……。一億二千万円は起債ですよ。御承知のように、起債というものについての解釈は慎重でなければならない。それは当該起債を行なった者が支払う金ではございませんから、後世の住民にその負担と義務を負わせるものである。起債の性格はそうでしょう。そういうものが知事専決でどんどんやれるという理屈がどこにかありますか。だから私が聞いておりますのは、知事専決をしても、そういう予算を、起債であるから議会にかけぬわけにはいかぬでしょう。それを否決した場合には一体この関係はどうなるかということです。
  30. 佐久間彊

    佐久間説明員 私ども報告を受けておりましたのは、なるほど御指摘のように財源は主として起債によっておりますが、それを歳入にいたしました補正予算案として専決をいたしております。この専決をいたしましたものにつきましては、事後におきましてこれを議会に報告をして、その承認を求めなければならないということに相なるわけでございます。
  31. 門司亮

    門司委員 どっちにしても、承認を求めても求めなくてもよろしいのであります。これは求めなければならないと書いてあるが、そこで否決したからといって、それが死ぬわけじゃありません。専決は生きている。これはただ形式だけのことであります。だから報告と書いてある。提案とは書いてない。問題になりますのは、私が聞いておりますのは、起債との関係ですね、しかもこれは事後でしょう。県会が開かれたのはそのあとでしょう。知事は小切手で支払って、そのあとで議会が二十日に開かれておるのでしょう。予算承認があとなんです。だから予算承認があとだから、予算承認をしなかったならどうなるかということです。したがって専決処分が生きているかということ、支払い側の千三百億の金は生きておるかということ、その解釈はどうなるか。
  32. 佐久間彊

    佐久間説明員 議会に報告をいたしましてその承認がかりに得られません場合におきましても、その行為はそのまま有効でございます。議会に対する政治的な責任の問題が起こるだけでございます。本件の場合におきましては、報告によりますと、その後臨時県議会を招集いたしまして、多数をもちましてさきの専決処分が承認されたようでございます。
  33. 門司亮

    門司委員 予算はどういう報告になっておりますか。いつ議会を開いて、いつその予算が承認されたか。
  34. 佐久間彊

    佐久間説明員 予算につきまして専決処分をいたしまして、その専決処分がなされました予算の内容が臨時県議会において承認されたわけでございますから、それが予算として効力を持っておるわけでございます。
  35. 門司亮

    門司委員 予算はそういうことで一応説明はしておりますよ。専決したときの説明は、こういう財源で専決した金は出します。しかし議会の承認は得てないわけです。あとの県会で追加予算案が出てきて、そこで承認されておることから、私は議会の承認は正しいものだと考える。知事専決のときにどういう説明をしようとそれは議会議決じゃない、一方的な説明だ。この場合は議会議決があとになっておる。しかもこの起債が一億二千万円とついておる。一体どういう考え方なんです。自治省はこういう問題のあることは知っておる。同時にこういう問題は、起債を認可するとかしないとか、内諾を与えるとか与えないとかということは、非常に大きな問題だと思うんです。この場合でも、起債が内諾がなかった場合には、おそらくこういうべらぼうな専決はなかったと思う。提出された予算内容を見てみますと、財源はきわめてわずかでありまして、一億五千二百八十七万六千六百二円の予算の中で県債が一億二千万円でありますから、手持ちの金というのは県税が三百五十三万七千六百七十五円、地方交付税をこれに当てにして、二千七百三十三万八千九百二十七円というのは地方交付税。その他諸収入として、これは協力費と書いてありますから、私は寄付金だと思いますが、協力費と書いて二百万円が計上されておる。これで総額一億五千二百八十七万六千六百二円という数字が出てきておる。予算内容はこういうことなのです。したがって、こういう関係であります形においては、この問題がほんとうに正しい予算構成であったかどうかということである。なるほど地方交付税はその性質からいえばどこに使ってもかまわぬ性質は持っておりますが、しかし基準財政額と需要額との間におけるアンバランスをこれで埋めるということである。こういう土地を買収するというようなことが、必ずしもその都道府県において住民の当然行なわなければならない財政需要に当たるかどうか、算定の基礎の中に入るかどうかということである。これに問題が一つある。こういう問題でもすでに専決をしておるのだから、議会は与党が多ければ予算は通るにきまっている。しかし私はそれでは秩序というものが全くなくなりはしないかということです。さっき言いましたように、予算構成の中の一億二千万円というのは起債である。起債である限りにおいては後世の住民がこの義務を負うと同時に負担をしなければならない。そういうものが知事専決でどんどんやっていける。関連があるでしょう。ないとは言えないでしょう。大臣はどうお考えになります。借金をするということが知事専決でやれるという関連性を持ってきます。どういう形が出てくるか、大臣にひとつ聞いておきたいと思います。
  36. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 お話を承りまして、まだ私本件の詳しい事情を存じませんからどうこう申し上げかねますけれども、一応自治省としては、自治体のことでありますから、自治体できめてくることは一応これを認めるという行き方をとらざるを得ないと思います。違法の処分であればそれは是正しなければなりませんが、個々の一つ一つの問題が、ほんとうに妥当あったかあるいは多少妥当を欠くかといったいろいろな来案があると思いますけれども、一応自治体としてきめてきたものは、その自治体の意向を尊重をしていくという行き方をとらざるを得ない。したがって先ほどのように、専決処分というものが、条例で許されておる範囲知事がやったということになると——それは将来そういう条例をどういう基準で限界をきめるかという問題は、お話のように確かにあると思います。しかし現在の段階において、その基準に当てはめて専決処分をしたということであり、またその予算が承認されたということになりますと、その土地を買う起債というものも認めていかなければならないのじゃないか。それがいいか悪いかということは、県会その他においていろいろな御論議があろうと思いますけれども、一応そういう手練を経てきますると、私のほうとしては自治体のことでありますから、自治体の意思はできるだけ尊重をしていくということにならざるを得ない、かように存じます。ただこの問題は私詳しく存じませんので、まだそう結論を出すには早いかと思いますけれども、私どもの見解としては一応そうせざるを得ない、かように考えます。
  37. 門司亮

    門司委員 大臣答弁ですが、その自治体から持ってきたものについてはやむを書ぬからこれを認めるというようなことは、私はそれでよろしいと思います。その点はそれでよろしいと思いますが、この場合でも、結局二十一日に県の渡辺財政課長が自治省に参りまして、一億二千万円の特別起債を申請して、それが大体おりるというめどがついたということで、知事議会説明をしているのであります。持つできたのじゃないのです。これから持ってくるのは形式上の持ってくるものであって、実態はすでに自治省が承認している。その形の上でこういう問題が起こってきているのであって、私はこれは自治省に一半の責任があると思う。そうしてこういう紛糾事件を起こしている。私の与えられた時間も一ぱいになっておりますので、きょうはこの程度でやめて、あと、この問題は非常に大きな問題でありますので、大臣に次の機会にでも聞きたいと思いますが、それは、先ほどからちょっと行政局長にお話を申し上げておきましたが、今日の地方自治体に対しまする政府の態度というものがだんだん官僚的になってきて、御承知のように、最初の自治法をこしらえましたときには、委員会の数におきましても大体国会と同じような形できめられておった。これはそう制約はなかった。ところが今度は委員会の数を制約する。都通府県においては何百万までは委員会を幾つ置いてもよろしい、あるいは市町村においてはこうだ、特別市においてはこうだということで委員会の制約が今日行なわれておる。同時に、その次に出てきたものは、議員個人個人の発言に対して、いわゆる提案をしようとする動議の提出については、八分の一以上賛成がなければ結局動議の提出ができないというような法律ができている。そのことのために、県の名前ははばかっておきますが七ある県では革新の議員が八分の一以上いるもそこで、きめられた八分の一ではぐあいが悪いからということで、十芸名以上でなければ提案することができないというようなべらぼうな条例をこしらえてしまう。事実上あるでしょう。自治省が知らぬわけはない。こういう形で地方住民意思決定機関としての議会における代表者の発言、行動というものが、だんだん抑制されてくる。そして片方にはこういう形で無制限といっていいほど——佐久間行政局長のことばをかりますと、ここできめられている二万平方メートルも最低限だというのですから、これ以上は幾らにきめるかわからぬ、理事者権限は独裁でやるということが無制限で認められるというような傾向を今日たどっております。私はこの問題ばかり取り上げているのではない。こういうことがよろしいかどうかということです。  大臣にこの際繰り返して申し上げるのは恐縮でありますが、数字だけ覚えておいていただきたいと思いますことは、この政令の意味でいきますと、都道府県、特別市、いわゆる政令の市、市町村ということに大体分かれております。市と町村という形では四つに分かれておる。しかし同じ市の中にも規模において差がある。日本の市で一番予算規模の小さいのは茨城県の下妻市であります。これが人口約三万であります。ここの三十八年度決算総額は二億五千万円にしかなっておらない。ところが御承知のように指定市を除きまして一番大きい市といわれております川崎市の三十九年度一般予算は百八十六億である。これに公営と特別会計を入れますと四百四十二億というような大きな予算規模を持つ。これが土地取得する場合におきまして、同じような坪数で一体よろしいものであるかどうか、金額においても同じような四千万円でよろしいかどうかということである。これは市の運営においては非常に大きな問題だと思います。総予算を一億しか持たないところでも四千万吟までは市長が独裁でやれる。一体何%になりますか。四百四十二億の予算を持つ川崎市でも四千万円、一体どれだけになるのか。同じ市であるからということは画一的な議論です。しかしそれでは地方行政はおさまりません。地方行政はそれぞれの持っておる、立っておるその実態に即して仕事をしていかなければ住民の納得は得られないはずである。こういう画一的なものが出てきておる。都道府県でも同じことでしょう。東京都の三十九年度一般会計予算は三千九百六十億になっておる。一番小さな山梨県のことしの一般予算は百七十八億であります。これが同じような権利でよろしい、同じようなことがやれる、山梨県の知事も七千万円までは独裁でやれる、三千九百六十億の東京都の知事も七千万円までしかやれないこれで行政の円滑が期せられますか。こういう画一的なものを出してきて、これが最低だなんていっているから実はとんでもない問題が起こるのである。大臣もひとつその辺は考えてもらいたい。私はこれは自治法の九十六条の七項に基づいた政令だと思いますが、この政令が出て、そのまま都道府県市町村条例となってあらわれております。このとおりに書いてある。全く同じ字句が使われている。カッコ書きもみな同じに書いてある。こういうことを自治省が示唆してよろしいかどうかということです。大臣は、この点いいことか悪いことか、どうお考えになりますか。
  38. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 ただいま御指摘専決処分の限界の金額あるいは坪数の問題でございますが、御指摘のように府県といっても大きいのと小さいのがあることはもう御承知のとおりです。それから市におきましても、大きいのも小さいのもございますが、さてそれを予算に応じて専決処分金額の限界をきめるのがいいかどうかということも、これはまた相当慎重に検討を要することだと思います。しかしそうだからといって同じ権限でやるから一律でいいじゃないかといっても、現に本法律では都道府県と特定市と市と町村と四つに分けておるのですから、これをこまかく分ければ予算規模でたくさんの段階をつけなければならぬとも思いますし、非常にむずかしい問題でございます。しかし、いまの御指摘の点は私にもよくわかりますから、なおこれは掘り下げてどういうふうになるかはいまちょっと結論はきめかねますけれども検討する余地はあると私にも思えますから、十分研究をさせていただきたいと思います。
  39. 門司亮

    門司委員 これでやめますが、念のために私は申し上げておきますが、奈良県の三十九年度一般会計予算は百八十二億です。その中で一億五千万円という数字はかなり大きな数字です。さらにそれを分けて奈良県のこの費目が該当する商工費は四億六千万円、この四億六千万円に一億五千万円ちょっとこえておりますから、大体三分の一です。県会の議決した予算の三分の一以上というものが知事の独裁でやれる、こういうことになりますよ。これは内輪ですが、もっとこれを目一ぱい使ってごらんなさい。二万平方メートルまで使ってごらんなさい。まごまごしておりますとちょうど県会できめた当初予算と同じくらいになると思います。坪数五万三千幾らで計算していくとこのくらいになる。こういうべらぼうなことが行われるようになっている。これは大臣も少し考えていただきませんと、非常に大きな問題になろうかと私は思います。  それと、もう一つ考えを願いたいと思いますことは、この自治法にありますいわゆる条例制定権を与えておるということ、しかもこれは憲法が与えておるのである。憲法の与えた条例制定権を国が制約するとか、あるいは国が法律あるいは政令で左右するというようなことが立法の上から見てよろしいかどうかということ、私はこれは疑問があるのであります。法律に違反しない限りは条例をこしらえる権能を有するということが憲法に書いてある。これは憲法規定事項です。その自治体の持っております固有の権限といってもいいほどのこの権限が、自治省一つ——もちろんこれは九十六条七号に基づく政令であることに間違いはない。しかし、だからといって、これを左右することができるという考え方がよろしいかどうかということについて私は疑問がある。したがって、その点も次の機会に私は大臣から、そういう点についてお伺いをしたいと思いますが、先ほどから申し上げておりますように、理事者権限は、ことさらに強くなる。必要以上に強くなり、議会権限は、必要以上に縮小されておる、こういう非民主的な傾向が今日非常に強くなってきている。この点は大臣もぜひ気をつけて改めてもらいたい。同時に、奈良県の問題は、きょうはこれ以上申し上げませんですが、次の機会までに大臣のほうもそのいきさつを十分調べてもらいたい。そうして議会を開くひまがなかったかあったかということについて、これは専決でできるからやったんだといっても、政治道義上それが成り立つかどうかということ。地方自治体には法律もあるいは条例政令も、非常に大事な問題でございますが、自治体運営は、できるだけ住民の納得できる姿で運営されるということが、自治体本来の姿でなければならぬ。権力でお互いが争っているということになって、先ほど申し上げたように予算を否決した場合に一体どうなりますか。支払われた小切手は一体どうなります。これはむろん十日以内に現金にかえられますよ。法律はそうなっておる。あるいは十日以内にかえなくても一年以内は有効だということが法律で書いてあります。しかし、支払いはしなければならぬ、議会はその法律を否決してしまったら、この責任はどこにいきますか。これは単に知事の政治責任でよろしいということだけでは済まされないと思う。だから、もし自治省がさっきの答弁のようなことであるとするならば——議会の承認を得たものについての予算執行その他についての専決は、当然自治法百七十九条で認めておる、それは私はよろしいと思う。これはなければならないと思う。しかし、この場合はそうではないのであります。そういう点についてこの次の機会に、私もこの問題を掘り下げて検討いたしたいと思いますので、大臣もきょうのような答弁だけでなくて、ひとつぜひ掘り下げた御意見を聞かしていただきますことを一応申し上げまして、きょうの質問はこれであと保留するということにしておいていただきたいと思います。
  40. 佐久間彊

    佐久間説明員 先ほど私がお答え申し上げました別表の第二の現行政令解釈につきまして、ことばが足りませんで先生にあるいは誤解をお与えしたかと思われる点がございますので、明確にしておきたいと存じます。  別表第二のこれが最低限であって、これをさらに条例で変更することができるというふうに申し上げましたのは金額の点でございまして、面積の点につきましては条例で変更を加えることはできないという解釈でございますので、御了承願います。
  41. 渡海元三郎

    ○渡海委員長代理 細谷君。
  42. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私は公務員の人事院勧告をめぐる最近の二、三の問題について、時間もありませんから要約して大臣に御質問いたしたいと思います。  前回及び前々回の委員会におきまして、自治大臣から、人事院の勧告は尊重する、地方公務員に対しては国家公務賃に準じて行なう、これについては不交付団体だけでも六百四十二億円程度の財源を補てんしなければならぬので、財源的に現存鋭意検討しているのだ、こういうお話を承ったのでございますけれども、その後今日まで一カ月以上の日数が経過いたしております。せんだって十月の五日に、第一回のいわゆる六人委員会というものが開かれまして、当時、大臣のおことばから想像される九月末ごろには決定されるのではないか、こういう見込みが大幅に狂っております。まことに遺憾でございますが、最近の状況を見ますと、第二回目の六人委員会が今月の十三日ごろ開かれて、そして十一月の上旬ぐらいでないと結論が出ない、あるいは出せない、こういうふうに大蔵大臣は言っておるようでございますけれども、人事院勧告を尊重しなければならぬということは政府のたてまえでございます。ところがこれが予想よりもどしどしとおくれていってしまう。しかも大蔵大臣の言を借りますと、収入増の見通しが暗いのだ、こういうことから、こういうことになっておるようでございますが、現在どういう状態にあるのか、ひとつ現況をお知らせいただきたいと思います。
  43. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 細谷さんのお尋ねでございますが、確かに私ども八月のときの委員会でございましたか、申し上げましたことは人事院勧告は尊重していきたいということと、それからできるだけ早くきめたいということで、その当時は九月の初めごろにでも六人委員会を開いて検討しようという話に実はなっておったのでございます。ととろが御承知のように労働大臣もジュネーブに参りまして不在でもあるししまして、それで帰ってきましたから、さっそくひとつやろうじゃないかということで、ようやく先日六人委員会を開いたわけでございます。六人委員会の状況は、もうすでに新聞に出ておりますように、石田労働大臣も、できるだけひとつ人事院勧告は、期日も含めて尊重していきたいからという話でありますし、また増原君からもそういうふうな発言がありました。私も尊重するという趣旨におきましては変わるところはございません。ただしかし、尊重する、尊重すると言いましても、数字をもとにしなければ意味のないことでありますから、私どもとしては極力その数字を詰めておるわけでございます。その結果は、先般も申し上げましたように五月実施といたしますと、不交付団体の分はとうてい私どものほうで一々めんどうを見るというわけにはまいりませんが、少なくとも交付団体についてはめんどうを見なければならぬというところで数字を詰めておりますと、六百四十二億というものが要るわけでございます。それで十月実施にしましても、三再七十六億という金が要るわけでありますが、そこで財源は一体どうなっておるかという点を検討してみますると、御承知のように地方の財源といたしましては、独立の地方税としては交付団体分は六十億程度しか自然増収は見込めないということがいまのところではわかってきておるのであります。こまかい点はどうなるかわかりませんが、大体六十億が交付団体の租税の伸びではないか。そうするとあとの地方交付税がどのくらい見込まれるかということになります。ところがこの地方交付税がどのくらい見込めるかということは、国税の自然増収がどのくらい見込めるかということによって決定されるわけであります。御承知のように地方交付税は、主税の二八・九%でございますから、そこで大蔵大臣に詰めますとこの間の六人委員会でも約五百億程度しか見込まれない。それに雑収入五十億程度がせいぜいだから、合わして五百五十億だ。そうしますと、五百億が国税の自然増収だといいますと、五百億全部が主税だと見込まれないのでありますが、かりに五百億全部が所得税と法人税と酒税の三税でややそれくらいあるとしましても、その二八・九%といたしますと百四十億しか出てこない。そうすると、地方税としての六十億を加えましても二百億しか財源がないわけでありますから、これでいま言ったように尊重する、尊重すると言っても、あとはどうするか、こういうことになるので、私どもとしては大蔵大臣に対して、ひとつこの財源の捻出にもっと努力してもらえないか、かりに十月から実施するといっても百七十六億の不足を来たすのだから、今日ただでさえ地方財政が困っておるときに、こういうふうな財源不足のまま実施するわけにいかないからということを極力申し上げておるわけであります。大蔵大臣としては、国費からの繰入れは一切だめだ、こう言っております。それは大蔵大臣としてはそう言うのも無理からぬところでありますけれども、いずれにしましても財源をもっと見込んでくれませんと、いまのままでは尊重すると言っても事実上できない。それではそれを起債で借金して払ったらどうかという説もありますけれども、ベースアップを起債で借金して払えということは、私どもとしては自治体に向かってちょっと言いにくい。こういう状況で、極力この自然増収をもう少し努力してひねり出してくれないかということを詰め寄っておるところであります。できるだけ早く結論に到達したいということで、もう一ぺん十三日に六人委員会を開こうじゃないかということをきょう申し合わせたようなことでございます。
  44. 細谷治嘉

    ○細谷委員 いままでの経過を大臣からお聞きしたわけでありますけれども、人事院勧告の内容自体についてもいろいろ問題がありますけれども、今日の問題で、特に六人委員会等で問題になっておるのは二つだ。いま大臣のお話のように、第一は人事院勧告を完全に実施するかどうかという問題と、五日の六人委員会において大蔵大臣が、国の財源が詰まっているから地方地方でやりなさい、国のほうでは見てやらぬ、こういった二つの問題点があろうと思う。そこで第一点の問題について、人事院というのはどうしてできたのか、過去においては人事院勧告は尊重ということでありますが、率実は尊重されておらない。人事院勧告はもっと早く、五月一日に実施しよう、こういう勧告であったにかかわらず、過去においてはすべてが十月一日から行なわれておる。これが政府の言う尊重なんです。これはまことにおかしいのであって、それだからこそやはりILOでも問題になったし、労働団体もいろいろ問題があるけれども、今度は完全実施をしてほしいというところに大きな焦点を合わせて主張しているところではないかと思う。尊重ということばは、大臣が当時の委員会でお答えしたことも、やはり六百四十二億円という不足の財源があるわけでありますが、こういうことを前提として、完全実施ということを前提としてこの委員会で所信を述べられたと思うのですが、その考えにはお変わりございませんか。
  45. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 お話のように、人事院勧告は尊重したいという気持ちにおいては変わりはございません。問題はどうしてその財源をひねり出すかということで苦慮しております。先ほど申しましたように、五月から実施するというと四百四十二億円というものの金の出しようがない。かりに十月とすれば、十月としても百七十六億という金の出しようがない。そこでこの問題はどうしても大蔵省のほうで財源の捻出を願うよりほかに方法がございません。先ほど申しましたように、それじゃ借金してやったらいいじゃないかということを言っても、今日の地方財政は毎年毎年苦しくなる一方、それに借金してベースアップをしろということは、自治省としてはなかなか言いにくいことでございますので、大蔵省でないないとおっしゃるが、もっとしぼり出してくれないかということを極力迫っているようなわけでございます。
  46. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私は当時の委員会の席上で大臣にこういう点を御質問したわけです。尊重するということは、そういう不交付団体に対する財源措置が起こってくる。ところで国税三税の伸びが、六百四十二億というものになるには、二千億をこえるくらいの三税の伸びがなければならぬのであります。財政当局である大蔵省なりあるいは自治省が八月末、九月の初句の段階において、一体どの程度伸びるかということについては、当たらずと言えど遠くない数字をつかんでおるはずなんです。ですから従来の考えでいけば、尊重するということは事実上財源的にできませんということになるのではないかということを、特に大臣に御質問申し上げたことがあるわけでありますが、私はいままでの考えでは、尊重するということは、やはり実質的に尊重しないという結論になる以外にないのじゃないかと考えております。このことについて、財源の問題が大臣からございましたので、大蔵大臣は五日の第一回の委員会で、十月実施するとしても、既定経費の節減が必要なので、六日の閣議で各大臣に経費節減の協力を求めたいということを、新聞紙上を見ますと言っておるはずであります。そういう問題も閣議で相談されたのかどうか、これは大蔵大臣おりませんから自治大臣にお聞きします。
  47. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 確かに六人委員会の後の閣議で大蔵大臣から発言がございまして、このように財源が足りない、どうしても不足をするから各省も節約に協力してほしい、国の予算が約三兆二千億くらいであるから、かりに一%節約すれば三百億出るじゃないかという話がございました。この問題は一%の節約ができるかあるいは〇・五%の節約ができるか、そういう点は各省の事務当局でもう少し検討させるので、御協力願いたい、こういうことでありました。私どもも何とかして財源を捻出したいと思いますので、できるだけ節約して協力しようじゃないかということを申し合わせておるわけであります。幾らくらいの節約ができるかどうかということはまだ検討中でございまして、私どもとしてもできるだけの節約はしていきたい、かように存じております。したがって、国の大体の見込みが立てば、地方庁におきましてもある程度の節約を私はしていただきたい。きのうも知事代表がこられまして、非常に窮屈である、新聞を見ると非常に心配だから、何とか財源の捻出に御努力願いたいということでございましたから、私は目下大蔵大臣に対して極力要求をしておる、しかし国も節約するので、あなた方県のほうにもできるだけの御節約を願うことになりますから、その点は覚悟してくださいよということを申し上げておるのであります。
  48. 細谷治嘉

    ○細谷委員 財源の問題にまいりましたから端的にお聞きしたいのですが、財政局長さん、いま大臣のおことばでは六十億程度の税収の伸びがある、こういうお見込みでございますけれども、一体、大蔵大臣が言うように、財源をつけないで国家公務員に準じて地方公務員のベースアップができるというような可能性がございますか、お尋ねします。
  49. 柴田護

    ○柴田説明員 財政的に申しますれば、先般もお等え申し上げましたように、九、十決算の結果というものの見分けがつかなければ結論は出ないということを申し上げました。先ほど来大臣からお答えいたしております六十億という数字は、国税の自然増収が五百六十億、三税の自然増収が五百億という、世間で八月ごろ流布されました計算の基礎において計算すればその程度のものが出るのではないか、こういうことであります。それ以後、どのような自然増収の姿になっておるかということは、現在の段階ではまことに恐縮でございますけれどもまだお答えできないような状態でございます。もちろん金がなければ給与改定をしたくてもできるはずがないので、どうしても財源を見出すように各自治体も相互に協力してまいらなければならない、かように考えております。
  50. 細谷治嘉

    ○細谷委員 大臣おりませんが、大蔵省の主計官がお見えになっておりますからお聞きします。過去に人事院勧告がきわめて尊重されない形で実施されてきたわけですが、その際に地方団体に対して財源の裏づけをしてまいったということは、これは御承知だと思いますが、いかがですか。
  51. 平井迪郎

    ○平井説明員 最終的な形におきましては補てんされてまいっております。
  52. 細谷治嘉

    ○細谷委員 八月当時五百五十億程度、せいぜい六百億程度の国税の伸びしか期待されない、こういうふうにいわれておりますが、十一月にならぬとわからぬというのでありますが、現在のお見通しはいかがですか。
  53. 平井迪郎

    ○平井説明員 主税局の担当でございますから、正確には主税局長からお答えをいただくのが妥当と思いますが、私どもが現在の段階で伺っておりますところでは、九月決算なり十月決算の結果、そういったものの見通しがつくにはまだ若干の時日を要するようでございまして、現在までのところでは五百億という国税三税の自然増収の見込みは変わってはおらないというふうに伺っております。
  54. 細谷治嘉

    ○細谷委員 さらにお尋ねしたいのですが、ことしの税収の伸びはきつい、あるいは国の財政事情というものが硬直化しつつあるということは客観的にいえると思います。過去にやろうと思えば、人事院勧告に、尊重というかもつと近づいたということもできただろうと思うのですが、新聞等もそう書いておる。今年が財政的に苦しいということはわかりますけれども、そういう過去において財政的に余裕があったときにも十月一日にしておいて、苦しいから地方に対する財源の補てんをしないんだという。過去の行政の実例、こういうものを無視するという大蔵大臣考えはけしからぬと思う。それだけで国の政治なりあるいは地方公務員の給与のあり方を振り回すという考えは、非常にけしからぬことだと思うのですが、この点についてはいかがですか。
  55. 平井迪郎

    ○平井説明員 大臣が公式の席で申されておることは、現在の段階におきましては、先ほども申しましたように、自然増収の見通し等もきわめて暗い状況でございますし、かたがた災害の発生、あるいは過年度経費の精算、あるいは医療費の引き上げに伴う補てんその他種々の財政事情をかかえているわけでございます。これらを総合勘案いたしますならば、国としてもなかなか補正が組みにくいような状況にございます。したがいまして、現存の段階におきましては、特別の財源的な補てんをするだけの余裕はないであろうというようなことを予算委員会で申されておるわけでございます。それ以上の分につきましては、私どもとしては承知しておらないわけでございます。
  56. 細谷治嘉

    ○細谷委員 けさの新聞を拝見いたしますと、地方公務員ベア政治問題に発展か、財源国庫以外にない、自治省知事会強く要求という形で——自治大臣地方公共団体財政の実情をよく腹におさめられて御尽力をいただいておることについて感謝いたすわけでございますけれども、新聞記事でございますから、事実かどうかわかりませんけれども、ひとつ率直にお尋ねしたいのですが、病院に入っておる池田総理から、地方不足分の国庫補てんは原則として認めないと指示をした、こういうふうに新聞に書いてあります。この点の事実、大臣御存じでありましたらお伺いしたいと思います。
  57. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 私はまだ承っておりません。十三日の六人委員会ではどういうふうな話し合いになるか存じませんけれども、いままでのところはまだ承っていないわけであります。
  58. 細谷治嘉

    ○細谷委員 新聞に院政の復活というようなことも書いてあったようでありますが、六人委員会でせっかく検討中に、病院のほうからこういう決定的な指示があるとは私は思っておりませんで、いま自治大臣のおことばを聞いて、それはそのとおりだろう、こういうふうに理解いたします。  そこで先ほど柴田財政局長のことばによりますと、六十億円程度の自然増収、これについては若干の変動があるかもしれませんけれども地方公務員給与改定、国家公務員に準じての給与改定というのはできないということがはっきりいたしたわけでありますから、これはどうしてもやはり地方公務員のベアに伴って、従来どおりの地方財源の補てんというのをぜひしていただかなければいかぬ、こう思っております。これについて完全実施という線における大臣の御決意をひとつ承りたいと思います。
  59. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 私どもも人事院の勧告は尊重したいという気持ちについては、しばしば申し上げているところでございます。しかしながら財源は、これは抽象的な希望では出てこないのでありまして、数字を詰めなければならぬことでありますから、先ほど来申しましたようなその数字をどうして出すか、その出し方というものは、要するに大蔵省のいわゆる税の見込みというものをひねり出していただくほかにはないわけでございますから、その点をいま極力やっておるわけでございます。それができないということになれば、それをどうするかということは、また別になりますけれども、まだいまの段階で五百億ということで、それっきり出ないとも思えない、もう少し努力をすれば出るのではないかということで、極力私は努力しているわけでございます。
  60. 細谷治嘉

    ○細谷委員 五百億ということになりますと、尊重するという線はまたぞろ従来のように実質的には尊重しないということになるわけでありまして、極力税収の伸び、あるいは節減、これは地方団体も含めて節減はいたさなければなりませんけれども、やはりこの問題については地方団体にも財源を補てんしていくんだという観点に立って、従来までの、たとえば交付税率等、そういうものについての考え基本的に変えていくという姿勢が必要でないか、こういうふうに思うわけでありますが、自治大臣として地方公共団体を守り抜かなければならぬという観点に立ってがんばっていただきたいわけでありますが、この点についてどうお考えなのか伺いたい。
  61. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 御承知のように、主税の地方交付税と国税収入の分け方は、いろいろな観点から現在二八・九%というものが出ているわけでございます。私どもはどうしてもできなければ、その率を少しでも上げて、何とか補てんの道を講ずることはできないかということで折衝はしておりますが、この基準の分け方は、これは基本基準の分け方でございまして、給与の財源がないから、それではことしはこれだけ変えようかというふうに、これは簡単に変えにくいのではないか、まだこれは大蔵省に言っているだけのことでございますが、大蔵大臣としては非常な決意を持って、それはこの比率を変えることはできない、こう言っておりますので、問題は、自然増収の見込みをもう少し何とかひねり出していただく道はないかというところに極力焦点をしぼって、折衝しているところでございます。
  62. 細谷治嘉

    ○細谷委員 最後に一言。国の経済の成長率の最近の試算によりますと、経済企画庁が予定したよりも上回って伸びておるようでございます。したがって五百億そのもの、あるいは五百五十億そのものも、九月当初見込まれたものよりも若干伸びてくるんじゃないかという予想もいたしますが、尊重するという観点からいきますと、そういう伸びでも私は問題が解決しないのではないか、やはり何らかの基本的な考えを変えていく、たとえば交付税率等について考えを変えていく、こういうことでなければ財源的に不可能ではないかという気がいたします。むろん国の財政という総合的な観点からものを見るということも必要でありますが、地方自治を守っていく、その第一線に働く地方宿泊体、しかもILOで問題になったそういう精神からいきましても、人事院勧告を完全に実施していく、こういう基本的な態度が自治大臣としてぜひ必要ではないかと思います。大臣、その観点で、その基本的態度でがんばっていただいておるようでございますが、ぜひひとつ従来どおり、その財源を付与することについて、自治大臣として地方団体を守っていただく、同時に完全実施の線でひとつがんばり抜いていただくようにお願いを申し上げまして、時間もありませんから、私の質問を終わります。
  63. 渡海元三郎

    ○渡海委員長代理 安井君。
  64. 安井吉典

    ○安井委員 いまの紅谷委員の質問で尽きているわけでありますが、ちょっと関連して大臣お尋ねしたいわけでありますが、実はきょうは、私もゆうべの夕刊で官房長官談話を見たものですから、官房長官、さらに増原国務大臣もぜひ来ていただいてお尋ねをしようと考えておりましたら、向こうの都合でそれができないそうですから、官房長官や増原大臣に対する質問を自治大臣に向けたのじゃちょっとお門違いかもしれませんが、やはり池田内閣の閣僚としてぜひ聞いていただきたいわけであります。地方の公務員給与は地方の自主財源でやれという官房長官談話、これはどこまで政府側の真意があるのかどうかわかりませんけれども、これくらい奇妙な言い方はないと私は思うのです。なるほど、地方自治はことばのとおり自分のことは自分でするということです。しかし、現実の地方自流の中で、そういうふうな仕組みができていれば文句はないわけです。自分で自由な計画を立ててそれに対する責任は全部自分で数えるような仕組みができていれば、これは文句はないわけですよ。しかし現実には、国税並びに地方税の合計額が国民の負担ということになるわけですが、その国民の総負担のうちの三割五分が地方税であるという形であり、残りは全部国税であるわけです。三割ですか、三割に七割ぐらいなそういう比重になるにかかわらず、現実にその国民総負担によって行なわれる仕事のほうは、実は六五%は地力であって、中央で直接手がけているのは三割五分しかないわけですよ。現実に地方公務員の諸君は国の仕事をやらされているわけです。特に都道府県なんかの場合はその点明らかです。一割自治といわれているとおりです。特に最近では、私どもはそういう考え方は間違いだと思うのですが、中央と地方との協力関係が必要だというふうな言い方がなされて、広域行政だとかあるいはニュー・セントラリゼーションとか、そういう考え方がだんだん強くなっている事実があります。私どもはそれは間違いだと思いますが、そういうふうな現実に立って、いまの地方公務員の給与の問題は地方の自主財源でやれという考え方は、どこをどう突っついてそれが出てくるのか、そう言いたいわけです。院政という話が出ましたけれども、もしもこれが院政の、池田総理から出たのなら、がんセンターで、ひとつのどの病気だけじゃなしに、頭のほうも見てもらったほうが私はいいと思うのです。あるいはまた、これは大蔵省あたりからあるいは出たのかもしれませんけれども、これは私は重大問題だと思うんですよ。たしか昭和二十六年ごろも起債で措置されたという経過があったと思います。ああいうふうな中から地方財政の非常に大きな貧困が生まれてきたし、それからまた、地方公務員の給与のアンバランスもああいうところから起きてきているわけです。そういう事実が現にあるじゃないですか。どうもこれは、大臣おかわりになって間もないので、ばかにされているのじゃないですか。私はそういうふうな印象さえ受けるわけです。やはりこの際、いままではずっとやっているわけですから、地方と中央と相並んで措置されているのが、なぜことし急にそういうふうな気持ちになったのか、その点を私はやはり政府は明かにすべきだと思うのです。どうでしょう大臣、この問題は私は重大問題だと思うのですが、自治大臣というお立場はもちろんあると思います。これはわかりますよ、わかりますけれども、こういうようなままで結論が出るのでは重大な事態が起きると思います。それについてのお考えをひとつ伺っておきたいと思います。   〔渡海委員長代理退席中島(茂)委員長代理着席〕
  65. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 地方の経費は地方の自主財源でまかなうべきであるというこの原則は、私はそれはそうだと思います。やはり地方のものは地方でやるというたてまえをとらなければならぬと思います。ただしかし、現実のこの給与改定に伴う財源の不足をどうしてやるかということにいま焦点がしぼられて、先ほど来申しますようにもっと税収の見込みを見積もることはできないかということを大蔵省にいま折衝しているわけであります。私はただ足りないからそれは国費から繰り入れたらいいじゃないかという、そう簡単なものではないと思います。ですから、それはたてまえを言っておるのではないかと思って、その点については私も別に異議はないと思います。
  66. 安井吉典

    ○安井委員 あとの質問がありますから、私はひとつ自治大臣に腹を固めてこの問題に対処してもらいたい、そういう意味合いで、自治大臣に対する激励演説なんですから、ひとつそういうつもりでお聞き願いたいわけですが、私どもはあくまでも地方自流の問題は地方財政の中で解決すべきだと思います。それが筋道ですよ。それはぜひ明年以降の新しい施薬の中でそうしてください。これは自治省にもそういう考え方もあるとも聞いておりますけれども、やはり私は、そういうふうな自主財源が完全に充実できるような措置を同時にやるべきですよ。しかしこれはいまの問題ですね、いま現実にあらわれている問題です。そういうふうな地方自治が圧迫された中で——地方自治が自由濶達に仕事ができるような姿勢ができたなら、私もこんなばかげたことを言いませんよ。しかしいまは国がやはり責任を負うべきですよ。今度の全体的な公務員の人事院勧告の完全実施の問題やら、それに対する財源の全体的な筋の問題は、いま細谷委員からお話がありましたので私は繰り返しません。ぜひこの問題は、そういう考え方の基礎というものをひとつしっかり握って御措置願いたい、そういうことを申し上げて終わりたいと思います。
  67. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 御趣旨は私もよくわかりますし、先ほど申しました原則は、地方自治の問題は地方の自主財源でやっていくということも、これもたてまえでございます。ただ現実の問題は、いま言った目の前の問題をどうして解決するかという問題で、これに焦点をしぼっていま財源の捻出に苦慮しております。一般的に地方財政はお話のように非常に窮屈になってまいりました。仕事はどうかというと、御指摘のようにやはり国の仕事がどんどん地方庁に委任されてきてふえていく、財源はない、こういうふうな状況でございまして、将来の地方財政の面といたしましては相当考えていかなければならぬかと私どもも苦慮しておるところでございます。
  68. 中島茂喜

    中島(茂)委員長代理 秋山徳雄君
  69. 秋山徳雄

    ○秋山委員 私は、いままで門司さんからいろいろお話がありましたし、あるいはまた細谷さんからもいろいろお話があったのでございますが、たまたま私が住居しております横須賀の問題とかね合わせまして、いま世の中でいろいろ問題になっております。原子力潜水艦が横須賀と佐世保に寄港することを許可されたということでございます。これらについて、いろいろの問題点は、内閣委員会やあるいは外務、予算委員会その他でいろいろ議論がなされたのでございますが、それらを離れて、部分的な小さな問題でございますけれどもお尋ねを進めてまいりたいと思うわけであります。  これらの問題につきまして、かつて私は横須賀基地司令官にお会いをいたしまして、そして原子力潜水艦寄港の反対の問題などにつきましていろいろお話を伺ったわけですけれども、そのとき基地司令官は私に向かってこういうことを言いました。話し合いは非常になごやかであったわけですけれども、その中で一つ基地司令官のおっしゃるには、私たちの考えからいけば、いまプロパンガス自動車がだいぶ多く走っておりますが、それらと比べてみると、それなどよりも原子力潜水艦のほうがよっぽど安全なんだということ、だから私の基地では、プロパンガスを燃料としている自動車は基地の中には入れないことにしている、こういうことを申しました。  それを裏返しにしてみますと、私はすぐそこで申し上げたのですが、あなた方の観念からいけばそういうことも言えるかもわかりませんけれども、目下置かれている日本の国民感情からいえば、プロパンガスは現在では燃料として各世帯で使っております。したがって、家庭の奥さん方にいたしましても、それらについては少しも心配さを感じないような段階まで来ておる。しかしながら、原子力ということばになってくるとそうは参りません。特に日本の国民といたしましては、広島の原爆の問題、あるいはまた長崎の原爆の問題、こういうことが常時頭から離れることができません。もし事故があったならばこういうことも考えなければなりませんし、あるいはまた寄港してくる段階においてどういうことがなされるのか、あるいは構造がどうなっているのか、いろいろありましょうけれども、いずれにいたしましても、私ども考え方からいけば、まだまだこれに対して不安感は非常に大きなものがあると考えなければなりません。  もっとこれを裏返して考えたらどうなるかということになりますと、人が悪いようでございますけれども、アメリカの人たちは、自分たちがいるところへはプロパンを燃料に使っておる自動車は危険だから入れないのだ、しかし原子力潜水艦になると直接自分たちの関係したことではない、被害があった場合には日本の国民に及ぼすのは大きいかもしれぬけれども、自分たちには直接影響がないからといって日本の港へ寄港させる、こういうことにも相通ずるものがあると思うのであります。もしそうだといたしたならば、アメリカ人ほど人の悪いものはないのだということを言わないわけには参りません。同時にまた、そういうことを知りながら日本の政府が寄港を横須賀と佐世保に許したということになりますと、一体日本の政府の人たちは、横須賀の市民や佐世保の人たちをどういうふうにお考えになっているのか、虫けら同然に考えておるのかといわないわけには参らないと思います。  しかしながら、いまここでそういうことを申し上げることは一応私はたな上げいたしまして、いま横須賀と佐世保でいろいろ問題といえば問題になっておることがございます。それは先般科学技術庁の方々が、たとえば横須賀市なら横須賀市に参りまして、今度基地の中にモニタリングポイントあるいはモニタリングポスト、こういうものをつくるのだということであります。これは私どもが聞くところによりますと、東海村の原子力研究所の周辺にあるものと同型のものであって、これをつくることによって空中の汚染の問題やあるいは海中の汚染の問題を、それぞれ記録をしていくのだということであります。それには小なりといえども建物が必要であるし、あるいはまた鉄塔のようなものを建てていく、これらに対して、それぞれの市で予算を経てつくってもらいたい、この金は一切国から出すからということのようでございます。これらについていろいろ話を問いてみたり尋ねたりいたしますと、横須賀ではたまたま市会が開かれておりましたので、予算を編成して、それを市会に提案をいたしました。これは非常に正直なやり方でありましょう。しかしながら、佐世保においてはそういうことを経ないで、予備費を充当して、それに基づいてそれらの施設を行なうのだということを聞いております。そういうことになりますと、何か割り切れないようなものを感じてくるわけですけれども、科学技術庁の人たちがこれを市を通じてやらねばならない理由がどこにあったのか、あるいはまた自治省はそういうことを御存じないのかどうか。先般私が電話で尋ねたところによりますと、行政局長も私のほうではまだいまのところ知りませんという御回答であったわけですけれども、そういうことになると、市の立場と国の立場との関係が出てまいりますが、何でもかんでも国できまったことなんだからこれは市でやってほしい、こういうことになりますと、なるほど施設や設備の費用は国から出るかもわかりませんが、それに伴うところの人件費というものが必要になってくるのではないかという気持ちもしてまいります。  一体市町村が、いまここでいろいろ人事院勧告などの問題についてお話がありましたように、財政は苦しいのだ、財政は苦しいのだといわれておることが、いつもこの委員会でことばに出てまいります。しかしながら、一方国のほうではそういう仕事をどんどん押しつけてまいります。これは聞くところによると、記録をされたテープなりフィルムなりを、月に一ぺんは回収にいかなければならない。そしてその結果を科学技術庁に報告をいたします。そういうことになってまいりますと、最小限度考えても何か一人の人間が必要のようにもなってまいります。そしてまたその記録が、今度はもう一つは線を引っぱって市役所のどこかにメーターであらわれるようにするとか、あるいはまたその建物の中にそういうものを置いておくのか、まだ結論が出ておらないようでありますけれども、かりにこれが市役所の中に施設がなされて、常時そのメーターを見ていくとか、あるいはまた許容量以上にならんとするときにはブザーが鳴るということでありますが、そうなってまいりますと、そのブザーが鳴ったときにはどういう処置をしなければならないのか、またブザーの鳴り方についても、危険度合いに達しようとしたときに鳴るのかもわかりませんけれども、そのときにはすでに人体に危険が来た程度になっておる場合もあるかもわかりません。そういうときには、一体市長はどういう形で市民に知らせ、そしてまたどういう形をもって市民に退避をさせるのか、そういうこともあわせて考えなければならないのではないかという考えが浮かんでまいります。そういうことに対しまして、科学技術庁は自分たちのほうだけそれができればよろしいのだということで市に押しつけていたのかもわかりませんが自治省のほうから考えてみますと、いま申し上げましたような事々を想定いたしましたときに、それらに対する人件費その他各種の費用は一体どうなってくるのか、市町村負担にさせなければならないのか、あるいはまた自治省のほうで何か特別な交付金なり補助金なり助成金なりのような形で出していくのか、そういうこともあわせ考えなければならないのじゃないかという心持ちがしてまいります。  ばく然としたお話で恐縮でありますけれども、それらについて、まず第一に科学技術庁のほうでどういうお考えに基づいて市町村にそういうことを押しつけてまいったのか、それをお尋ねしたいと思います。同時にまた、その第二の問題として、自治省のお考えお尋ね申し上げたいと思います。
  70. 鈴木嘉一

    ○鈴木説明員 お答えいたします。  今般の放射能調査につきましては、八月二十八日外務省から発表がありましたとおり、アメリカの原子力潜水艦寄港承認ということに伴いまして、原子力委員会が同日発表いたしました見解の中に、アメリカ側は安全性を保証すると言っているのではあるけれども、それを確認するためにはぜひ放射能調査を行なうべきであると申しております。その線に従いまして、当庁といたしまして関係の各省と寄り寄り協議をいたしまして、一つ調査計画を立てたわけでございます。それにはおおよそ申し上げまして事前調査と事後調査とございまして、事前調査と申しますのは、現段階における横須賀及び佐世保の港海の放射能がどうなっておるのであろうか、それをあらかじめ知っておくというためのバックグラウンド調査でございます。それから事後調査と申しますのは、いよいよ潜水艦が入港してまいりますときに、その周辺を調査艇を用いまして調査いたしますが、一方陸上に、なるたけ潜水艦に近い位置に、したがいまして海岸線になろうかと思います。と申しますのは、放射線というものは距離の二乗に関係して減ってまいりますもので、なるべく近いところではからなければ意味をなさないということで海岸線、したがって基地の中になるわけでございますが、そこに先ほど先生がおっしゃいましたようなモニタリングポイント、モニタリングポストというものをつくることにいたしております。これはちょっと御説明させていただきますと、モニタリングポイントと申しますのは、高さ約一メートルくらいのポールを建てまして、そこにフィルムバッジというものをぶらさげて、これは放射線を感ずるわけでございます。一日ぶら下げておけば一日の放射線量がわかり、一カ月ぶら下げておけば一カ月の放射線量がわかる。それからモニタリングポストと申しますのは、それよりもやや程度の高い装置でございまして、公衆電話のボックスのようなものを考えていただきまして、その中は放射能を自分でもって紙の上に記録するというような装置になっております。それでこういったものはそのフィルムをときどき取りかえる、あるいはその紙をかえなければなりませんので、そういう仕事をするところ。それで国に適当な機関がございますれば、これは当然国の仕事でございますのでやるべきでございますけれども、いま言ったような保守、それから紙を取りかえる、フィルムを取りかえるといったようなことも、地理的に手近なところの方にやっていただけたらいいではないかという考えでございます。それと多少放射線というものに関して技術的知識といいますか、そういうものもあるところ。それから横須賀市といたしましても、いわゆる市民の安全を確保するというようなことで、こういう調査にも非常な関心を持っておられるだろう、こういうことも考えまして横須賀市に委託することにいたしたものでございます。
  71. 佐久間彊

    佐久間説明員 秋山委員お尋ねの点につきましてお答えを申し上げます。  第一に、私に電話をいただきました点でございますが、その当時私もこの問題につきましては全然調査をいたしていなかったのでございますが、その後、省内で官房のほうにどういう連絡があったか尋ねましたところ、官房長がこの問題につきまして各省の連絡会議に一度出席をいたしたことがあるそうでございまして、そのとき科学技術庁のほうから概要のお話があったそうでございます。しかしその後横須賀市に対しまして、ただいま御指摘のようないろいろ折衝の行なわれたということにつきましては、私どもの官房のほうにもどこにも連絡をいただいていなかったということでございます。  それから、その次に御指摘のございました点でございますが、これは疑いもなく国の事務でございますから、本来国が直接実行するということがたてまえかとも思いますが、もちろん他にも例もございまするが、国の事務でございましても地方公共団体に委託をいたしまして、地方公共団体に補助執行させるということはあるわけでございます。しかしこの場合におきましては、法令に格別の規定がございますればとにかく、規定もございませんので、予算措置に基づいてやったわけでございますから、当該地方公共団体が合意をいたしませんければこの委託契約が成立いたさないわけでございます。承りますと、横須賀市議会、横須賀市のほうで合意をされたそうでございますから、法律的にはその点で問題はなかろうと思うのでございます。  なお、先生の御指摘になりましたこれの実施につきまして、市のほうに委託費だけじゃ足らない、それ以外の人件費その他の金品が必要になるのではなかろうかというような点につきましては、私どもも実情をなおよく調べました上で、そのような必要がございますれば財政当局とも打ち合わせをいたしたい、かように思うわけでございます。
  72. 秋山徳雄

    ○秋山委員 いまの答弁を聞いておりますと、科学技術庁でも純然たる国の事務であるし、自治省でも同じ意見であるところは一致していると思います。そこで自治省としてその話を受け取ったときに、一応の調査と申しましょうか、話し合いと申しますか、こういうこともなされたのではないかという予測ができてくるわけであります。その場合にいま申し上げましたように、それでは将来建物なり施設ができた場合には、市役所のどこかにメーターが取りつけられる、あるいはまたそうでなくして建物のほうに、ポストのほうにメーターが取りつけられるとか、そういうこともわからないとしますと、まだ施設費がこれよりよけいにかかってくるはずであります。同時にまた、いま私が申し上げましたように、ブザーが鳴ったときにどうするか、こういうこともあわせて考えなければなりませんし、同時にまた、それぞれ毎月毎月ペーパーを取りかえに行くそのための経費、こういうものも当然見込んでこなければならないと思います。これは最小限度譲っての話ですから、これはあらかじめお含みおきいただきたいと思います。そうなってまいりますと、少くも多少の人件費は当然考えてこなければならないことだと思います。それらの御相談は一体どうなっておるのか、私が聞いている限りにおきましてはポストですか、そちらのほうにメーターをつけるのか、市のどこかに取りつけるのか、それもまだ内閣のほうできまっておらないと聞いているが、これらの点で詳細な打ち合わせがなされて、自治省考えが固まってから市町村に納得をしてもらって、すべてまかしていくということであるならばいざ知らず、そこまでいかないうちに事を運んでいく、こういうことに私はまず第一の問題があるのではないかという心持ちがいたします。  私が聞いている限りにおきましては科学技術庁の森さんという技官がおられるそうでありますが、その方が、もうすでに日本無線ですか、そこと契約書をかわして、その契約書の写しを持って横須賀市役所へ行って、こういう事情だからやってもらいたい、予算はすべてトンネルなんだから市には迷惑はかからないはずだというふうなことで説得をしたそうであります。しかしながら、筋合いが違うのだということで、一応横須賀市の場合にはお断わりをした。ところが、続いて次長が出向いて、いやおうなしと言っては過言かもわかりません、無理やりと言うのかもしれませんが、いずれにしても納得をせしめてしまった、こういうことではないかと思います。もしそうだとすると、国家権力をもって自治体に無理やりに仕事を押しつけて、その財源措置も行なっていかないという無責任さがここであらわれてくるのではないか、こういう心持ちがしてまいりますが、それらについて自治省の方々は一体どういうお考えを持っておるのか、こういうことが次々と行なわれていいものか悪いものか、これらについてもあわせて御答弁いただきたいと思います。
  73. 佐久間彊

    佐久間説明員 先ほども申しましたとおりに、具体的な科学技術庁との折衝の状況につきましては、私ども連絡を受けておりませんでしたので承知をいたしていないわけでございますが、もし先生のおっしゃいますように、市に対しまして圧力をかけてどうこうしたというような事実がございますれば、そういうやり方につきましてはいろいろと検討すべき問題もあろうかと思いますが、市議会におきましても可決をされたように何っておりますので、経過におきましてはいろいろあったかと思いますが、最終的には市も同意をされたように伺っておるわけでございます。
  74. 秋山徳雄

    ○秋山委員 何か自治省の等外を聞いておりますと、自治省はあってもなくてもいいようなものとしか思えないわけです。市町村が承諾をすれば何でもいいんだということなんですね。それでは自治省の存在価値というものは疑われてくるのじゃありませんか。私は、そういう答弁は非常に情けなく感ずるわけです。私も地方行政委員の一員として、こんな残念な答弁を聞こうとは思いませんでした。常識的に考えましても、自治省というものはもっと綿密に関係各省と打ち合わせを済まして、これならば市町村でもやってもいいではないか、しかもこれについては財政的な裏づけはこうであります、そして予算の科目はできればこういうことにしたらいいのではないか、このくらいの指導性があってほしいと思うのですが、それもなさらないで、科学技術庁でやったことは実は私は知らなかったのだ、あとで聞いたんだ、ただ言えることは市町村が納得をしさえすればよろしいのだということでは、私はちょっと受け取りがたいと思いますが、再度その点について御答弁を賜わりたいと思います。
  75. 佐久間彊

    佐久間説明員 一般的に申しまして、国の仕事を地方公共団体に委託をいたします場合に、しかも法令の根拠がありまして全国的に義務づけてやるという場合ならとにかく、ごく特定の市町村に対しまして特定の仕事を委託いたします場合には、当該市町村に十分納得のいくような説明をいたしまして、その自主的な納得の上で事を進めるべきであるという点につきましては、私ども先生のおっしゃるとおりに全く同感でございます。本件の場合につきまして、そういう点についてもし欠けるところがあったという点がございますれば、これは十分反省をいたさなければならない、かように感ずる次第でございます。
  76. 秋山徳雄

    ○秋山委員 それではもう一ぺん科学技術庁の方にお尋ねいたしますが、先ほど申し上げましたように森技官が横須賀市を訪問し、あるいは続いて次長が訪問したということを聞いておりますが、これらの以前に自治省とどういう折衝がなされましたか。そして完全に自治省のほうと意見が一致をして、その旨を持っていったのか。私のいままで関係したことの知識からいけば、こういう問題は、科学技術庁から自治省にお話を申し上げて、自治省の方々が自分のものとして今度は市町村に、こういう形でこういうことを行ないたいのでぜひやってほしいということが筋道ではないかという心持ちがいたしますが、そういうことをしないで、科学技術庁が直接市町村に話を持ち込み、しかも半ば強制的にこれを承諾させたということについて、私は疑問を持つしかないわけですが、これらについて経緯をお知らせいただきたいと思います。
  77. 鈴木嘉一

    ○鈴木説明員 市に圧力をかけたのではないかという御質問でございますが、森技官の言動につきましては詳しく聞いておりませんけれども、おそらくそのようなことはないと思うわけでございます。それから次長が行ったということでありますが、その次長というのは実は私でございます。それで私が伺いましたときも、御協力願いますということでお願いに行ったのでありまして、決して圧力をかけたとかそういうことはない、これは確信を持ってお答えいたします。  それから自治省との御連絡でございますが、九月上旬に自治省のお世話で関係各省、つまり外務省、防衛庁、科学技術庁、農林省等でございますが、そういう関係各省と地方団体、つまり長崎県と佐世保市、それから神奈川県と横須賀市の当局の方をお招きして打ち合わせ会を開催したことがございます。その席で科学技術庁の計画を御披露しまして、積極的な御反対もなく、あと詳しいことはまた御説明に伺いますということで終わったわけでございます。そういう経過でございます。
  78. 秋山徳雄

    ○秋山委員 科学技術庁では、いま御答弁になったようにしか言えないかもしれませんが、頼むほうと頼まれるほうを度外視して考えた場合に、いわゆる横須賀なり佐世保の人々がどういう気持ちを持っておるかということを考えることがまず第一だと思います。御存じのように、市民は毎日毎日そのことでどうしたらよいのか、一体どうなるのだろうか、こういう心持ちは市民一人一人がみんな持っておることだと思います。したがって、市の当局者も、これについては非常に頭を痛めておることは間違いのない事実であります。そういうさなかにおいて、これからどういうお世話になるかわかりません、そういうことがあるのですから、そこに科学技術庁から、これもやってくれ、あれもやってくれと言えば、法律問題と離れて、ここで言うことを聞いておかなければ、あと何に響いてくるかわからない、こういうことが当然生まれてくる心持ちだと私は思います。それを悪用なさって、あなた方が持ち込んでいくということは、これはあまり納得ができにくい、こういう考え方が出てまいります。  同時にまた、いまここに自治法どもありますが、これは法令に基づいていないことですから、市町村は断わろうと思えば断われるはずであります。私は自治省お尋ねしなければなりませんが、これを断わった場合に一体どうなるかということです。これについて自治省から御答弁をいただきたいと思います。
  79. 佐久間彊

    佐久間説明員 これは先刻も申しましたとおりに、両当事者の合意によって成立する件でございますから、一方の当事者が断わりました場合には成立はいたしません。したがって国が直接自分の機関を使って処理をするということになろうかと思います。
  80. 秋山徳雄

    ○秋山委員 それはなるほど断わればいいでしょう。しかし、いまも私が申し上げましたように、片方はこれからどんな被害が出てくるかわからない。どれだけの出費が要るかわからない。その場合において、自治省にも科学技術庁にもかなりお世話にならなければならないということが前提にあります。したがって、弱みにつけ込んで持ち込んだといってもこれは過言ではないはずです。この場合には、いやでもおうでも話を承りましたと了承しないわけにはまいりません。これが人情の常だと思う。そういうことであってはならないのじゃないか。だから先ほども申し上げましたように、もしこういうことをどうしても市町村にやってもらわなければならないといたしますならば、やはり科学技術庁と自治省とがもっと話し合って、そうしてそれに伴った各種の予算をより以上検討して、この分は科学技術庁で出なければ自治省でお世話するとか、いろいろな裏づけをして、そうして市町村にお願いするということでなければならないのじゃないかと思いますが、いままでの御答弁によると、何か自治省というものはカエルのへそと同じで、あったってなくたっていいのだということにしか考えられませんよ。それでは自治省の存在価値というものは、私は認めるわけにいかなくなってくる。そうなってくると地方行政委員である私も非常に残念な心持ちになる。そういうことでなくて、もっと自治省の存在価値を認めてもらうように、りっぱな方針を打ち立ててやってもらわなければならないと思いますが、この点について自治大臣から基本的な考え方ですから御答弁いただきたいと思います。
  81. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 調査の問題はこれは大事でございまして、国がやるべきものであり、また国も予備費を支出いたしまして、実施に乗り出しておるわけでございます。国が直接やれば、これも当然のことでございますが、地元の協力を得てやるということもこれはまたやむを得ないことであります。先ほど来行政局長が申しましたように、いやだというのを押しつけてやるということは好ましくございませんが、話し合いの上で協力をするということであれば、御協力を願ってやることは私は差しつかえない、かように存じておるわけであります。それがために非常に地方に迷惑をかけるということであれば、それは国が見るべきものでございますから、また自治省といたしましても折衝することはこれは当然だ、かように存じております。
  82. 秋山徳雄

    ○秋山委員 特に考えなければならぬことは、国の出先機関がないのだということを言われますけれども、なるほど科学技術庁にはないかもわかりませんが、これには建設省もあれば、横須賀、佐世保の場合には自衛隊もあれば、あるいは防衛施設庁や海上保安庁もあるはずであります。こういうものを使って、と言ってはことばは悪いかもわかりませんけれども、こういうところにお願いをして、直接策を講ずるということも考えられないわけではないと思いますが、これらについて科学技術庁では一体どういうお考えを持って市町村にお願いしたのか、そのお願いの動機といいますか、そういうことをまず科学技術庁からお尋ね申し上げたいと思います。
  83. 鈴木嘉一

    ○鈴木説明員 先ほどもちょっと申し上げましたことでございますけれども、この仕事はあくまでも国の役務であるということは十分承知しておるわけでございますが、横須賀及び佐世保に国の適当な出先機関といいますか、それがございませんこと、それから地理的に非常に近いところに、ときどきフィルムなどを取りかえたりする世話をしていただかなければならぬこと、それから多少の放射線に対する技術的知識といいますか、これは原子力などと言わない前から、医療の方面、衛生の方面では放射線というものは普通のことでございまして、そういう衛生方面のスタッフをお持ちの市にお願いすることが最も適切であろう、こういうふうに考えたわけであります。
  84. 秋山徳雄

    ○秋山委員 同一なことで自治省考えをもう一たび承りたい。
  85. 佐久間彊

    佐久間説明員 これは非常に専門的な技術的な科学的な調査でございますので、その調査をどういう方法でどういう機関にやらせるのが最もよいかという御判断は、これは科学技術庁が専門家としてなされるべきことだと思うのでございまして、科学技術庁のほうでそのほうが最も適当だということで協力のお話がございましたので、私どもとしてはこれはやはり協力申し上げるべきことだ、かように考えておるわけでございます。
  86. 秋山徳雄

    ○秋山委員 私の時間は一時までに終わってくれという希望でありますので、できるだけ時間を急ぎます。  もう一つ、こまかくなりますが、槌須賀の場合には市会に提案をされまして、委員会では否決になってしまった、これがまたいろいろ話し合った結果、どういうことか想像がつきますけれども、本会議のほうではどうやらこれが通過をしたというふうに、地方自治体に対して非常な迷惑がかかっている。そうかと思うと今度は佐世保のほうではそういうことを行なわないで、いままで渉外関係費というのがかなり膨大なものがあるというようなことで、これに便乗といいますか、新しい項目も設けないで、ただ予備費でこれを行なってしまうという方針がとられておるのであります。なるほど、佐世保の場合には一つの新しい機械を購入いたしまして、そこに魚でございましょうとも、海草でございましょうとも、あるいはどろでございましょうとも、そうしたものを投入することによってすぐにいろいろな目盛にあらわれてくるというふうな機械を、多額の費用を投じて購入して、市の施設でやっております。そうなりますと、こういうものに対して、いまいろいろ議論の中で出てまいりましたように、国の責任においてすべての調査をしなければならないというような原則であるといたしますならば、佐世保のような機械を横須賀市でも購入をしなければ、横須賀市民がまたいろいろ申し上げてくるかもわかりません。これらについて、国のほうでそういうものを国費でもって買ってやる心持ちがあるのかないのか、そういうこともこういう機会に一応聞かしていただきたいと思うわけであります。これは科学技術庁の関係にたるのかあるいは自治省の関係になるのかわかりませんが、両方から御答弁をいただければ幸いだと思います。
  87. 鈴木嘉一

    ○鈴木説明員 いまの先生の御質問でございますが、横須賀市と佐世保市と多少内部事情と申しますか違っておりますことは私ども聞いておるのでございますが、横須賀市の態度は、どちらかといいますと、今度のことは完全な国のベースの問題であるということ、それから佐世保市の場合は多少それよりは積極的といいますか、自分たちも何かみずから調査をやらなければならないというような感じのようでございます。ただし私どもといたしましては、先ほど来申し上げておりますように、この調査はあくまでも国のベースのことと思っておりますので、佐世保市がみずからおやりになることをどうこうは申し上げませんけれども、そういう趣旨からいいまして、あくまでも調査をすべて市に頼むというようなことでなくて、限られた、先ほど横須賀の例で申し上げましたような、どうしても地元でなければできないようなことだけをお願いするという方針でいきたい、こう思っております。
  88. 秋山徳雄

    ○秋山委員 そうなりますと、あなたの言をかりて言うと、横須賀の市長は市民のことを考えないで、国から持ってきたことだけをやるのだということにしか考えられません。それに反して佐世保の市長さんは市民のためを考えて、魚であろうと海軍であろうとすぐにガイガー計算器にあらわれてくるような超中短波分析装置というのですか、こうしたものを八百万円も一千万円もかけて購入して、どんどん検査を行なっていくということになりますと、結論的にはいま申し上げましたように、横須賀のほうでは市長をはじめとして市の幹部が市民のことをあまり考えないのじゃないかということにもなりますし、佐世保の人たちは逆に市民のために一生懸命に、食生活と結んだそうしたものまでも即刻調査ができるような施設を設けているということにもなりがちでございます。それよりも先に進んで考えますならば、佐世保でそれだけの施設をしなければならないという問題がどこにあるかという、もとがわからなくなってまいります。これはどうしても、考えていけば、国が寄港を許可し、しかも科学技術庁を中心としていろいろな国家施設を動員して、すべての調査を行なうというにもかかわらず、そういうことに欠けているじゃありませんか。そうだとしたら、国家の責任は一体だれが持つのですか。そんな無責任なことでもって国の施策が全部行なえますか。そういうことについてもう一ぺん、科学技術庁のほうは、一体どういう考えを持って調査を完全に行なっているというあらわれがありますか、御答弁いただきたい。
  89. 鈴木嘉一

    ○鈴木説明員 先ほども申し上げましたが、二十八日、原子力委員会の見解発表以来、関係各省と十分案を練りまして、一つ調査計画というものを立てたわけでございます。事前調査、事後調査、その詳しい内容を御説明する時間はございませんのですが、われわれといたしましては十分な調査であろう、こういうように確信を持っておるわけでございます。
  90. 秋山徳雄

    ○秋山委員 あなたはいま変な答弁をしていますけれども、その一歩前にいま何とおっしゃいました。佐世保の市長は非常に積極的に協力をしてくれて、かなりな費用を使ってくれていると言っていますよ。そうすると、佐世保はよけいなことをやっているんですか。直接市民と結びついた市政を行なっている人は、そのぐらいの心持ちがなければつとまらないのです。あなた方のように、雲の上で、あるときはそろばん玉をはじき、あるときは能書きを言って過ごせるかもわからないけれども市長さんはそういうわけにはいかぬですよ。しかもこういった現実の姿があらわれているのですよ。それも負担をしようという心持ちがないなんということはけしからぬことではありませんか。そうじゃありませんか。そういうことであなたは国民をリードしていく立場に置かれていると思いますか。もう一ぺん答弁を願います。
  91. 鈴木嘉一

    ○鈴木説明員 佐世保市が何百万円かの金を投じてどうということは、私は申し上げた覚えはございません。佐世保は自分でもやろうとしているということを申し上げただけでございまして、そのお金がどうとかということは私は申し上げた覚えはございません。
  92. 秋山徳雄

    ○秋山委員 そういうことが私はおかしいと思うのですよ。積極的にやっているところがあったならば、その費用も全部国がまかなって、まだ足りないところがないか、そういうことまで心を配って、こういう問題を解決しなければ、国民感情というものはよくなってまいりませんよ。そういうことについて考えたことはないのですか。そういう役人根性だけで国政を左右されたのではかないませんよ。もう一ぺん承りますが、佐世保が積極的にやっているといたしますならば、それらの費用は全部国で持つような心持ちになりませんか。その点ひとつもう一ぺん御答弁いただきます。
  93. 鈴木嘉一

    ○鈴木説明員 科学技術庁といたしましては、国として一つ調査をやっていくという計画でございまして、それに伴った予備費を獲得し、その線に沿ってやっておるわけでございます。それで十分と思うわけでございます。市がやることがよけいなことであるとかそうでないとかそういうことを私は申しておるのではございませんで、市がやられることも、これは自治体がおやりになるということでございますから、その調査結果などもわれわれと大いに交換いたしたいというふうに申しておるわけでございます。
  94. 秋山徳雄

    ○秋山委員 それでは自治省のほうにもう一ぺんお尋ねいたしますが、先般私は、外務省とかあるいは防衛庁とか各省を、いろいろこういう問題と同じようなことで陳情に回りました。そのときに各者の人たちがおっしゃることには、原子力潜水艦の安全性の問題やあるいは市民への理解活動、こうしたものは自治省が中心となって行なうということを聞いておりますが、それにつきまして一体どういうことを計画をし、どういうことを行なおうとしているのか。  それともう一つは、いまお聞き及びのように、佐世保では非常に積極的に新しい機械を購入しながら、国に協力ではなくて市民が少しでも安心感が持てるように努力を続けているはずであります。その点についてはいまいろいろ討議の中でおわかりだと思いますが、それらに対して科学技術庁のほうでいまお聞きのように、あたたかい心持ちがないといたしまするならば、自治省自治体のためには非常に大切な機関といわなければなりません。したがって、そういうことに対して、科学技術庁でできないことを市民に納得してもらうためには、当然の結果として、これらの費用は自治省のほうで受け持ってもらわねばならないというふうに考えが出ておるわけすでけれども、これらについて、あわせて二つのことについてお尋ねを申し上げたいと思います。
  95. 山本荘一郎

    ○山本説明員 いまの御質問につきまして私からお答え申し上げます。  実は原子力潜水艦の符港に関連いたしましていろいろ問題が出てまいりますので、政府におきましては、関係各省が随時連絡会議を持つことになっております。私も二、三回その会議に出席したわけでございます。原子力潜水艦の寄港を受け入れます佐世保なり、横須賀なりあるいは長崎なりの条件、地元の四団体といたしましては、この原子力潜水艦の受け入れに関しまして、いろいろな施策が、政府各省庁にわたりましてはなはだいろいろな問題で連絡するのに困る場合がある、そういう場合には、自治省に連絡して、すぐ政府の各省に連絡してもらいたい、こういう要望がありますし、そういう役割りを一応お引き受けいたしておるわけでございます。  御質問の第一点の、広報等につきまして、たとえば佐世保市におきまして、市町村議員さん方あるいは漁協の組合長さん方がお集まりになりまして、その際に、原子力潜水艦の寄港がきまったいきさつなりあるいはこれの安全性の問題について話を聞きたいという希望がございましたときに、私どもはその要望を受けまして、たとえば科学技術庁の専門家あるいは外務省の担当の方に、ぜひ来て説明をしてくれ、そういうふうなお願いをし、地元の要望をお伝えしたこともございます。あるいは住民にいろいろな安全性についての広報を示したいという場合に、これまたそういう適切な広報資料があればぜひ流してもらいたいということを関係各省にお願いしたことはございます。そういう意味で、先ほど来問題になっております調査の問題は、これは科学技術庁がプロパーの問題として直接指導連絡をとっておられますが、各省庁にわたりますようなそういう問題で、どこが窓口かはっきりしないという問題につきましては、一応自治省が窓口になりまして、政府各省との連絡調整に当たっておる次第でございます。  それから第二点の、国がやることだけでは十分ではない、市長さん方が住民をより納得さすために、あるいはより必要な施策をおとりになるという場合には、当然御質問のような新しい財源の問題が出てまいるわけでございますが、国が国としてやります財源、これは私どもの立場としては十分な措置をしてもらいまして、地元が不当な財政の圧迫を受けないようにということは連絡会議でもたびたびお願いいたしておりますが、なおかつ不足の財源といいますか、必要な財源等につきましては、これは場合によりましては自治省措置することを考えざるを得ないのではないかというふうにただいまのところ考えております。  ついででございますが、まだそういう財源の要求というものは私どもは地元の市から聞いておりませんが、そういう事態が起こり得るであろうということは一応考えておるわけでございます。
  96. 秋山徳雄

    ○秋山委員 だんだん聞いていると全くわけがわからなくなってしまうわけですが、各省で言っていることは——私はこういうことを言いましたよ。原子力潜水艦というようなおそろしがられている船が入ってくるのですから、これに対して、おそろしいものではない、もう少し安心ができるように指導していくのがやはり政府の任務であろうと思います。これらについて、何にもしてないじゃないかということを言ったところが、これは担当が自治省でありますということです。閣議でもって、自治省でその担当部門を受け持つことになっております。こういうことなんです。ところが、いまの話を聞いていると、市町村から要望があったり、希望があったりしなければ何ら動かない、そういう場合のみ何か相談にのるのだということしか聞こえません。それじゃさっきと同じ答弁であって、自治省の価値というものはないですよ。地方自治体自治省というものは、もっと密接不離にならなければいけない。あなた方も政府の要員なんだ。だから政府の責任において寄港を許可したのだから、万全の策は政府が行なわなければならない。そのうちの各部門に分かれてそれぞれ担当していくというのならわかります。ところが、それらについて何もやっておらないじゃありませんか。そういうことではならないというわけなんです。ビキニの問題が起こったときに国民全部の人がほとんど魚を食わなくなった。またせっかくとってきたお魚を、どろの中に埋めてしまいました。こういうことをあなたは覚えているでしょう。それだけの警戒心を持ち、それだけの負担をしたのですよ。ところが今度は、佐世保で行なったような、そういうものを調べる機械すら買おうとしない。ただ安全だ安全だといったところで通用しないですよ。立証すべき何ものかがなければいけない。そのPRを受け持つのが自治省だといわれていながら、自治省ではいまの答弁のように、市町村から何も話がこないからということで、一体自治省は何の役目をするのですか。そんな不都合な答弁がありますか。もう少し良心を持ってもらいたいのですよ。あなただって悪魔じゃないでしょう。多少の良心はあるでしょう。多少の良心でもいいから、ここではっきりと言ってください。
  97. 山本荘一郎

    ○山本説明員 何かこの件に関しますPR関係を自治省が受け持つようにきまったというお話でございますが、そういう決定は私は実は聞いておりません。その連絡会議でも出た話でございますが、安全性の問題等、いわゆる国民に対するPRの問題は、直接の責任は内閣の広報室が担当することに相なっております。それを受けまして各地方がやるということでありまして、われわれのほうは、地方と政府との連絡調整の役目をするというように話し合いはきまっております。したがいまして、広報は自治省の責任であるというのは、何かのお間違いではないかと存じます。
  98. 秋山徳雄

    ○秋山委員 まあとにかく、良心を持たない人と幾ら話し合ったってしょうがないのだから、その問題はこの辺で打ち切りますが、いずれにしても最小限度譲って考えましても、佐世保に購入したような機械は横須賀にも、いまからでもおそくはないのですから、自治省なら自治省、科学技術庁なら科学技術庁でもって予算を心配してあげることが必要なことだろうと思います。まだ設備をなさらない横須賀市に対しては、佐世保と同じような機械を新しく購入をして、市民が安心してお魚も食べられるように、ワカメのおつけも飲めるようにしてやらなければならないと思います。そういうようなあたたかい心持ちを持っていただきたいということを希望申し上げたいと思います。  もう一つ、今度は自治省の方にお尋ね申し上げたいのですが、行政協定に基づいてアメリカの軍にすべての権利をまかしておる地域があります。いわゆる基地でありますが、そういうところに行政権が及ぶのか及ばないのかという問題であります。いま予算面であるいはいろいろな施設の面でお話しいたしましたように、少なくとも市の予算を通過をして施設をするということになりますと、一つの行政権であります。しかも市の職員がテープをとりに行ったり、取りかえたりするわけであります。これらは行政権のうちに入りますか入りませんか。もしこれが行政の一部に入るということになれば、いままで私たちが知っている限りにおいては、そういうところには行政権が及ばないように理解しておりましたけれども、それは間違いかどうか、こういうこともあわせてお尋ねを申し上げたいと思います。先に自治省から、それから法制局のほうで御答弁いただきます。
  99. 佐久間彊

    佐久間説明員 お尋ねの点につきましては、行政協定に基づきまして、日米合同委員会を通じて行政府間でいろいろ御相談になられる問題でございます。この点につきましては、私専門でございませんので、誤った御答弁を申し上げてはいかがかと存じますので、法制局の部長さんにひとつお願いをいたしたいと思います。
  100. 古國一郎

    ○吉國説明員 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定、これはいわゆる相互協力及び安全保障条約と同時に締結せられました昭和三十五年の条約第七号でございます。その第二条第四項の(a)におきまして、合衆国軍隊が施設及び区域、先ほど仰せられました基地でございます。この施設、区域は合衆国軍隊がもっぱら使用するわけでございますけれども、合衆国軍隊が一時的にその施設及び区域を使用しないときには、日本国政府が臨時にみずから使用したりあるいは国民に使用させることができるという規定がございます。その使用の場合等につきましては合同委員会で協議したところによって行なう。本件の場合はほんの一時的でございますが、基地の中に一定の施設を設けたりあるいはその施設に係員が往復して、そこで一定の事務を処理することがございますので、やはり施設、区域の使用という概念で、いま申し上げました第二条第四項の(a)基づきまして日本国政府が一時的に臨時に使用する。この場合日本国政府と申し上げましたが、日本国政府たる中央政府から、科学技術庁から、契約によって委託を受けました横須賀市なり佐世保市なりがその仕事を処理するということでございます。
  101. 秋山徳雄

    ○秋山委員 これは、いま御答弁をいただいたのですが、つくってしまえば政府の施設になるのだと思います。したがってそうには違いないけれども、今度はテープを交換に行ったりなどしなければなりません。そういうことになりますと政府の施設とは言い切れない面が出てまいります。委託を受けていればやはりこれは行政当局が受け持つわけであります。そういうことになると、これはいまの御答弁だけではちょっと理解がしにくくなりますが、しかも一時的なものではなくて、原子力潜水艦が出たり入ったりする期間中はあるのですから、未来永劫というかもわかりません。そうなると一時的な使用ではないはずです。しかも市の行政官が、あるいは技術員かもわかりませんけれども、その方々が必要に応じて出入りをしていくということになってまいりますと、いまの局部的なことだけでは済まないような気もいたしますので、その点を御答弁願いたいと思います。
  102. 古國一郎

    ○吉國説明員 私そのモニタリングの実態を存じませんので、単に抽象的な議論として申し上げたわけでございますが、もしも日本国政府が恒久的に使用するというような場合でございますと、たとえば富士の演習場のように、共同使用という形も現に行政協定上、地位協定上認められておりますので、その施設、さっき次長が御答弁申し上げました何か柱を立てるというようなのは恒久的な使用になるかもしれません。それから、そこへ立ち入ってテープを取りかえたり何かするということは、臨時的な一時的な使用という態様と考えてよろしいかと思いますが、その場合、そのような施設が設けられている限りにおいては、いわば日本とアメリカとの共同使用というような観念に相なるかと思います。
  103. 秋山徳雄

    ○秋山委員 そういう御答弁を承りますと、こういうことが言えると思うんですよ。横須賀市の場合にはポストが一カ所、それからポイントが六カ所、それから佐世保の場合には一カ所と十カ所、こういうことになるわけです。それが港に点々として置かれてわけですから、そうなるとかなり広範囲な地域になります。これについて日米合同委員会で御相談の結果、その広大な地域、これは共同使用になっておるのですかならないのですか。
  104. 古國一郎

    ○吉國説明員 これは外務省なり防衛施設庁からお答えするのが適当だと思いますが、いま先生からお話がございましたように、地点がたくさんありましても、その地域全体を使用するというような観念ではおそらくなくて、ポイントとしての地点をそれぞれ共同使用するということではないかと思います。ただ、本件につきましては、合同委員会ですでに協議をして、その使用の態様について話がついておるということでございますので、問題はないと存じます。
  105. 秋山徳雄

    ○秋山委員 時間も三十分以上経過してしまって申しわけないと思いますが、あとは次の時期に持ち込んでいただきまして、きょうはこの程度でとどめておきます。  何かその地点と言いますか、ポストですか、そちらの場合になると三・三平方メートルですか、何か家が建つわけですから、そうすると、その部分だけと言っても、その一坪なら一坪、十坪なら十坪のまわりに必要なものが出てまいりますね。それをどういうふうにきめたかということも考えなければなりませんので、まだここで結論を出すというのは早いかと思いますが、後日に譲ることにいたしまして、きょうはこの程度にしておきます。
  106. 中島茂喜

    中島(茂)委員長代理 華山親義君。
  107. 華山親義

    ○華山委員 いままでの話でも、国の仕事を地方自治体に持ち込むためにいろいろな混乱が起こっておるということは、非常に困りた問題でございますが、従来から問題になっております特定郵便局の庁舎の改築のために簡保の積み立て金を県を通じて貸与するという問題につきまして、いろいろな点で県議会に混乱を起こしておる。私はそういうふうなことは非常に国が自治体に迷惑を及ぼしていると思うのですが、この問題の根本につきましては、かつてこの委員会におきまして安井委員自治大臣お尋ねしたところ、自治大臣は、この制度は好ましくない制度であるし、今後こういうふうなことは前例をつくりたくないということでありました。こういうような好ましくない制度のもとで、なお好ましくないことが行なわれておるために議会が混乱するということは、私は非常に困った問題だと思うのであります。それで、そのやり方につきまして、時間がございませんので、端的にお尋ねいたしますが、いろいろな通牒が、通達といいますか、それが自治省から県庁に流れ、また郵政省から地方の郵政局に流れております。そういうふうなものは厳密に実施されなければならないと思いますけれども、いかがお考えになりますか。
  108. 柴田護

    ○柴田説明員 お話のとおりでございます。
  109. 泉秀則

    ○泉説明員 通達に基づいてやるものだと思います。
  110. 華山親義

    ○華山委員 これらの通達が、厳密に行なわれなければならないというふうなことにつきまして、両省からの御答弁でそのとおりだというお話がありましたけれども、厳密に行なわれていない事実が多い。昨年の通達、私が持っておりますのは、郵政局から地方の郵政局への通達でございますが、その中に、借り主は融資決定の通知があり次第、局舎の整備に着工し、翌年五月末までに工事を完成しなければならないというように書いてある。ところが現実には、私は端的に申しますが、山形でございますけれども、山形県におきましては十一の郵便局を整備するという予算議会に出しておりますけれども、そのうちの二つはもうできておる。八つばかりはもう着工してしまっておる。厳密に行なうつもりであるということならば、そういうふうなところにはもう貸せないはずなんです。そういう面につきましてどうお考えになりますか。当然行政常識からいいましても、すでに着工したものに官庁が融資するなどということは、まことに非常な例外的なことでなければ行なわれない。そういうふうなことにつきまして許されるものであるかどうか、通達に違反するものであるかどうか、両省についてお伺いしたい。
  111. 柴田護

    ○柴田説明員 お話の事案につきましては、中身の事実につきまして、もう少し調べてまいりませんとさだかなことは申し上げかねるかと思いますが、通常私どもの起債許可不許可事務を扱っております場合は、大体起債額がある程度きまったときにおきまして通知をする。それにつきまして実際に仕事をやっていただく、これは一般の地方債の場合、平常において行なわれておることであります。起債の許可不許可というのは、実際問題といたしまして残念でございますけれどもおくれる。したがって、その間に起債の前借り問題というようなことが起こってまいるわけでございます。しかしながら、事業を行ないます場合には、一般論として財源の確定を待って事業をするのがあたりまえな話であります。それから申し上げますれば、お話のような事案が事実といたしますれば、はなはだ遺憾なことだと考えております。
  112. 華山親義

    ○華山委員 起債の前借りとおっしゃいますけれども、起債の前借りじゃないのです。まだきまっていない。議会がきめていない前にもうすでにでき上がってしまったり、着工しておるというのです。もうちゃんときまりまして、その間に金融の道がないから前借りだという問題ではないわけです。そういうふうなものを郵政省が貸してくれと言って山形県なら山形県に要求しておる。私はおかしいと思うのです。大体この通達には違反しておる、そういうものには私は貸すべきものではないし、知事といたしましては、かりにこの予算が成立したとしても、執行にあたっては、とにかく着工しておるのですから、何か目安があって着工しておるわけです。できた以上はどっからか金を措りてやっておるわけですから、そういうところに貴重な金を貸す必要はないと思うのです。これは行政上の常識だと思うのですが、いかがなものですか、ひとつ自治省の御見解をお伺いしたいし、そういうものを申請させた郵政省のお考えをお伺いしたい。
  113. 柴田護

    ○柴田説明員 通常の場合でのことを申しますならば、財政運営の態度といたしましては、財源のめどがついてから、したがって、地方債でありまするならば、少なくとも地方債の許可見込みというものが明確になったときに仕事を始める。これは財政運営の常識でございます。しかしながら、いつ起債許可見込みがあるかという時期につきましては、いろいろな見方があろうかと思います。でき上がってしまったものに対しまして起債をするということは、はなはだおかしな話でありますけれども、その見込みが大体立ったというところで起債を財源とする事業に着手しておる例は、一般の市町村にもたくさんございます。私どもといたしましても、そういうふうな実情を考えまして、実際の起債許可事務を扱う場合におきましては、大体起債許可予定額といいますか、大体これくらいは大丈夫だという額を早く知らせてやる。そうして、あとは事実上は若干おくれてやっておる、こういうことを現にやっておるわけです。したがって、財政運営の態度から言いますならば、おっしゃるように財源のめどをつけて仕事をするのがあたりまえな話であって、したがいまして、でき上がってしまったものに対して、どうこうということになればおかしい。これはおっしゃるとおりでございますが、大体許可になりそうだという見込みが立てば仕事をするということについては、必ずしもいいことではないと思いますが、やむを得ない場合がある、こういうわけでございます。
  114. 泉秀則

    ○泉説明員 私のほうといたしまして、この特定局の起債事務につきましては財投を組みまして、それを郵政局で取りまとめて県のほうにそれを送付いたしまして、県のほうから自治省のほうに書類を出して、さらに県に返ってくるということになるのでありますが、先ほど自治省のほうから許可見込みという表現があったのでございますけれども、三十八年度におきまして、許可の議決がおくれたような点、あるいはその他の関係で工事を繰り越した例もございまして、それをさらに翌年度議決してもらうというような、県にさらにお手数をかけたような例もございますので、今年度はできるだけ早い機会に議決をもらって工事をするようにということにしたのでございます。ただ県のほうで議決の関係につきまして、あるいは許可見込みの判断でございますけれども、県のほうといろいろ接触をしまして工事したような例もあるのではないかと思います。その点事情をつまびらかにしておりませんので、それ以上ちょっと……。
  115. 華山親義

    ○華山委員 県が自治体でなければあなたの言われるようなことは私はいいと思う。しかし予算がつくのです。予算というものは、県議会議決を経なければできない。県議会議決を経ないものを大体きまったとか何とかいうようなことは、自治権の非常な侵害だと思う。私はそういう意味でこれは非常に、悪いやり方だと思う。  それからもう一つ、見込みと自治省の局長が言われましたけれども、とにかく国の予算がきまって、そしてまだ各省から正式な通知がないけれども、大体了承を得たから着工するというような場合はあります。しかし今度の場合は議会議決を経てない問題なんです。そういう問題について、見込みだとか何とかということは議会軽視なんです。そういう点につきまして、行政局長はいかがお考えになりますか。
  116. 佐久間彊

    佐久間説明員 一般的に申しまして、お話の趣旨は私も同感でございます。
  117. 安宅常彦

    安宅委員 関連。それでは行政局長に伺いますが、あるいは財政局長のほうが適当かもしれません。先ほど韮山さんが言ったように、仙台郵政局の通達では認可になったならば直ちに着工整備に入って、翌年の五月末までに完成しなければならない、こう書いてあるのです。自治省の通達もあるわけですが、自治省の通達は一般的なことではそのとおりでありますと言いましたが、自治省はその軟貸しの問題で、この部分に関するところではどのような通達を出したのか、それをまずお聞きしたい。時間がありませんから個条書にぼんぼん言いますから、そのことだけに等えてください。  それから再度言うようですが、許可見込みなどというのは、自治省がたとえば市町村あたりに、学校を建てたい。大体予算のワクはこれくらいだから皆さんのほうにはこれくらいだ。それで内定みたいな内示みたいなことをやって、それからあなたのほうで着工するというのはあるかもしれないけれども、それを待たずに、どんどん学校を全部建ててしまったり、保育所を建てたりやられたら、あなたのほうはそんなものには金をやらないといままで言ったと思います。そういうことは当然だと思いますが、当然であるかないかという問題。だから許可になりそうだというには、あなたのほうの意思表示があってからだと思うのです。この場合は県です。県でありますから、県議会が今度は議決しなければ許可見込みも何もないものだと私は思うが、そのとおりであるかどうか、これが三番目。  それから郵政省にお聞きいたしますが、工事を繰り越したものもあったりして、いろいろな事情で……、こう言いましたが、三十八年度の計画は、逓信委員会その他であなたのほうで説明しておるように、三十八年度ははっきり確定しているのです。残りのほうは山形県に関する限りはない。山形県は初めから三十八年度は入っていない。したがって、あなたのほうの答弁はインチキな答弁です。そんなことはないのです。山形県に関する限りは三十九年度から初めて話が出てきたので、私の調査によると、十二あったうち一つの局は取り下げました。それからもう一つの局は、局長が取り下げに行った。組合の分会長と同道で、九月の八日か九日に仙台郵政局に行ったところが、これは押切郵便局というのですが、郵政局から、圧力をかけられていまさら撤回するとは何事だと気合いをかけられて非常に困った。ここの局の所有者は前の局長なんですが、前の局長の孫が強盗に入ったのです。強盗に入るようなうちの私費で建てるのはべらぼうだということで、村の人が大騒ぎをして、局長もそのとおりだと言って約束したのですが、気合いをかけられて、もう一回かかりますと言っております。それから東平田という郵便局長は昭和十年生まれの人ですが、知事に辞退の申し入れを九月十二日に一たん出しているのです。県の査定の最後の日です。ところが郵政局長から、お前さんのほうで何か知事に辞退の申し入れをしたそうだが、文書で出したものは取り下げてもいいけれども、一たん申し込んでおいておれをぺてんにかけるのか、ぺてんにかけられたことに対しては徹底的に追及する、こういうふうに郵政局長におどかされて、そして今度はそのほかに特定局長の会の者でありますが、この連中、本楯郵便局、鶴岡駅前、酒田若竹郵便局の局長などが乗り込んでいって、そして無理無理判こを押させられた。そのため局長はいまノイローゼで寝てしまって、お母さんはおろおろしている。まだ若い局長だからそういうことで取り下げた。柏倉という郵便局長は、すまじきものは宮仕え、とにかくおそろしい圧力をかけられて、これを取り下げた日には私は首になりますからしかたがないということを私どもに盛んに言っておったのであります。こういうことをあなたのほうではやっているのでありますか。大体そういうものは前の年から繰り越したものでない。そういう圧力をかけておりながら、華山さんが申されましたように、できているやつが二つ。七月二十日ごろにできているのです。それは羽前大堀という郵便局で、これはすでに七月二十日に移転、事務を開始しております。その他にもできておるのがございます。まだ着工していないというのは三つしかない。あと全部着工しているのです。そういうことが許されるのかどうか。そういうことについて郵政の側からはっきり御答弁願いたい。その中に含めて、あなたが実際に保険局長から出した通達はみずから捨ててしまうのか、こういうことを育めて答弁してもらいたい。
  118. 柴田護

    ○柴田説明員 私に対するお尋ねについてお答え申し上げます。  私どもから出ております通牒を、いま手元に持っておりませんので具体的に申し上げかねますが、たしか郵政省から出した通牒を台にして、この通牒にのっとって転貸賃の所要額を申請しろ、こういう趣旨であったと思います。  それから着工許可の問題でございますが、これは私ども財政運営の指導として、先ほどからお話申し上げておりますように、財源の見通しが立たずに事業を行なうということは、必ずや財政運営の破綻を来たすから、そういうことをやってはいかぬということをいっております。現に今日もその指導はいたしております。それでは着工したものは一切許可しておらぬのかといいますと、そういうことは一切いたしておりません。そういうことをいたしますと住民が困る場合がありますから、そういう場合におきましてはやむを得ずおしかりをして、注意をしまして許可をする。
  119. 安宅常彦

    安宅委員 ほんとうですか。おしかりをして許可をしますか。
  120. 柴田護

    ○柴田説明員 必要なものでございますれば許可することもございます。  それから先ほど申し上げましたように、郵政省の通達を台にした通達で、それに従って県で取りまとめする。
  121. 安宅常彦

    安宅委員 もう一回質問します。私が念を押したら、必要なものは許可する場合があると言いましたね。前はおしかりをして、許可します。そうしたらたとえば一般論でも、今度あっちの自治体もこっちの自治体も、これは必要だ、あれは必要だといって、どんどん認可もないうちから何をつくった、かにを建てたといったらあなたはどうします、万歳しませんかね。
  122. 柴田護

    ○柴田説明員 それは金の総ワクに限りがありますから、金の範囲でやると思います。
  123. 泉秀則

    ○泉説明員 最初に先ほどお答えしましたのは一般論として昨年の問題を申し上げましたので、山形県はこれが初めてでございます。  次の、通達の問題でございまするが、私のほうとしまして、先ほど御指摘のように、許可融資の決定が通知があり次第というふうに一応やったのでございますが、先ほど答弁しましたように、実際の許可がおくれる例もございますので、許可見込みといいますか、県のほうと打ち合わせしまして、県の指示があった場合にはすでにそれ以前に着工をして、昨年した例もございます。そういう点は指導しておりますので、この通達の趣旨から若干ずれた点があるかもしれませんと思っております。
  124. 華山親義

    ○華山委員 そうしますと、してもよろしいということを郵政省が通達なすったのですか。
  125. 泉秀則

    ○泉説明員 通達ではございません。先ほどのいわゆる起債の許可と申しますか、許可見込みの判断によりまして、これは県から借りるものでございますから、貸し主の県のほうとの連絡をして昨年やった例もございましたので、ことしもその点指導をしております。
  126. 華山親義

    ○華山委員 指導をしているとおっしゃいますけれども、だからその議会議決を経なくても大体きまれば、県の意向がそういうふうな予算でもお出しになるならば、着工してもよろしいということを言われるのでありますか。
  127. 泉秀則

    ○泉説明員 結局、先ほど申しましたように、貸していただきますのは、県のほうから特定局長が借りるのでございますので、県のほうの指示といいますか、その了解がとれればという意味でございまして、私のほうでは県の議会の問題でなくて、私のほうと接触しますのは県の執行部でございますので、執行部との関係でございます。
  128. 安宅常彦

    安宅委員 そういう答弁自治省いいですか。これは法律上、県の議会が承認をしなければ効力は全然発生しないものです。ほかのものと違います。だから県知事と接触していればいい。——あんたはどういう接触をしているのか知らぬけれども、もし否決になったらどうします。それは郵政局側の答弁です。それから自治省はそういうことを郵政省と了解をしてあなたのほうでやったのか、それをはっきりしてくださいよ。
  129. 柴田護

    ○柴田説明員 現実の問題でございますので、私どもはその現地の詳細につきまして、いろいろ事情を尋ねなければ、詳細にはっきりしたお答えはいたしかねるかと思いますけれども、お話のように県が転貸するものでございますから、県議会がその意思をもって転貸の議決をしなければ転貸することはできない、これはあたりまえのことでございます。もし許可金額幾らということであって、というような話をかりにつけておりましても、実際に県議会議決がそれを下回った。あるいは私のほうの許可がそれを下回ったというような場合におきましては、当然金額の削減とか、あるいは一ぺん内定しておったものを正式決定の場合にひっくり返すということは、それはあり狩ることだと思います。
  130. 華山親義

    ○華山委員 私はこういうことは非常にいけないことだと思いますよ。国会と県議会は違うかもしれません。しかし、たとえば建設省なら建設省で、まだ国の予算も何もきまらないうちに、来年はこういう仕事をつけるといった場合には県でやってもいいのかどうか、そういうことは許されないじゃありませんか。そんな、議会のほうで何にもきめないうちに県のほうで……。これは常識だと思う。郵政省のほうでは県と相談すればいいのだというけれども、しかし、県のほうで議会議決というものを経た上でなければ、それは県知事がそういうふうな都合だといっても、それはまだきまらないのだということを考えるのが、あたりまえじゃないか、それをもう今年の六月、九月の県議会に出ておる案件ですけれども、二月、四月、五月ころに着工しておる。これは少しひど過ぎると思う。筋が通らないと思う。私いま確認したことは、もうすでにでき上がったものまで融資するというものは、これは行き過ぎであるということを言われた。少なくとも行き過ぎ、そういう二つのものについては行き過ぎだということを言われた。今度の措置は、県議会の軽視であるということについて行政局長は確認された。二つのことを言われたのでございますけれども、私はこれは将来非常に悪例を残すと思います。自治省に対しまして将来あのときにはこういう前例があるじゃないか、こういうふうに言われるおそれがある前例を残すと思います。  それからやむを得ない場合と言われますけれども、どういう点がやむを得ないと思っておられるのか、郵政省にもう一度お願いしたい。
  131. 泉秀則

    ○泉説明員 やむを得ないというような御答弁は私しなかったように思うのですが……。
  132. 安宅常彦

    安宅委員 それでは自治省は、これは法律的には幾ら言っても、どこの条文を探しても、郵政の簡保の資金を転貸しをするということは、その県議会議決があって初めてやり得ることでということが前提となって、この制度をあなたのほうではやるようにしたと思います。そうですね。そうでなければ法律違反になります。だから県議会が決定をしないうちに建てたり完成したりすることは、法律違反だと私は思いますが、違反ではありませんかどうか。  それから郵政省はそういう事情、そういうことは県当局とだけ私のほうでは折衝をいたしておりましたという答弁でありますが、そういう県議会の手続というものが必要であったということをあなたはいままで知らなかったのですか、それだけ答弁してください。
  133. 柴田護

    ○柴田説明員 お話になっております事案は、私どもは実情を存じませんので……(安宅委員「一般論、特定のことを言っているのじゃない」と呼ぶ)おそらくは山形県の場合、いろいろな事情がありましたでしょうが、郵政省からいろいろお話がありましたように……(安宅委員「山形県のことは聞いていないと言っているのですよ」と呼ぶ)ちょっと待ってください。冬季雪が非常に早く来るといったような関係から、私どものほうの起債許可がおくれております関係で、許可がおくれたようなことになっておるかもしれません。お尋ねの点につきましては、私どもは先ほど来お話を申し上げておりますように、県が転貸するのでございますから、県の意思は県議会によってきまるのでございますから、それは当然のことでございます。  それからもう一つの問題でございますが、地方債を起こします場合に、それは財源でございます。したがって、ものができ上がっておれば、一切その財源としての起債を許可してはいかぬというようなことはございません。ただ、私のほうの指導といたしましては、財源が確定しない間に仕事をするということは歳入欠陥を生ずるおそれがありますので、さようなことは財政運営上好ましくない。したがって、そういうような運営をさしてはいかぬということは言っております。しかし、そのこと自身が直ちに地方債を財源とすることを是とするか非とするかということは、おのずから別問題であります。
  134. 華山親義

    ○華山委員 山形県からいろいろな経緯を経まして認可の申請があるかどうか。あった場合には十分に厳正に審査していただきたい。そういう点を申し上げておきます。  それから一つ。この場合は国の機関によって県議会が無視されたということなんです。そういうふうなことで自治省はいいのかどうか。そういう点につきまして今後自治省は県議会というもの、県の自治というものを尊重していただきたい。そういう点を私は切に希望しておきます。  終わります。
  135. 泉秀則

    ○泉説明員 お答え申し上げます。  先ほど県の執行部と私のほうとしていろいろ連絡したと申し上げたのでございますが、この制度を実施します場合に、県議会議決を経ない場合は地方債の効果が生じないことは承知しております。
  136. 中島茂喜

    中島(茂)委員長代理 本日は、これにて散会いたします。    午後二時十一分散会