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1964-07-28 第46回国会 衆議院 地方行政委員会 第62号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年七月二十八日(火曜日)    午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 森田重次郎君    理事 田川 誠一君 理事 渡海元三郎君    理事 中島 茂喜君 理事 佐野 憲治君    理事 安井 吉典君       大石 八治君    加藤 精三君       登坂重次郎君    山崎  巖君       和爾俊二郎君    秋山 徳雄君       阪上安太郎君    重盛 寿治君       千葉 七郎君    華山 親義君       細谷 治嘉君    栗山 礼行君       門司  亮君  出席国務大臣         国 務 大 臣 吉武 恵市君  委員外出席者         警  視  長         (警察庁保安局         外勤課長)   川井 昌吉君         通商産業事務官         (軽工業局無機         化学課長)   内丸 邦彦君         運輸事務官         (港湾局参事         官)      河毛 一郎君         自治政務次官  高橋 禎一君         自治事務官         (大臣官房長) 松島 五郎君         消防庁長官   松村 清之君         自治事務官         (消防庁予防課         長)      伊規須徳博君         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 七月二十四日  委員永田亮一辞任につき、その補欠として纐  纈彌三君が議長指名委員に選任された。 同月二十八日  委員池信辞任につき、その補欠として加藤  精三君が議長指名委員に選任された。 同日  委員加藤精三辞任につき、その補欠として三  池信君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  消防に関する件(品川における宝組倉庫爆発  事故に関する問題)      ————◇—————
  2. 森田重次郎

    森田委員長 これより会議を開きます。  この際、高橋自治政務次官から発言を求められておりますのでこれを許します。高橋自治政務次官
  3. 高橋禎一

    高橋説明員 ちょっとごあいさつを申し上げます。  このたび自治政務次官に任命をされました。私は元来浅学非才でございますし、そこへ持ってまいりまして地方自治の問題については全くしろうとでございます。この重責を果たし縛るかどうか非常に心配をいたしておるのでございますが、幸いにして委員長はじめ各委員皆さん方の御理解ある御協力、御指導を賜わりますならば何とかやっていけるんじゃないか、こういう希望を持っておるようなわけでございます。したがいまして、私自身駑馬にむちうちまして努力、精進いたしたいと存じますから、皆さん方におかれましては力強い御鞭撻、御協力を賜わりまするようお願いを申しあげる次第でございます。  はなはだ簡単でございますが、これをもってごあいさつといたします。(拍手)      ————◇—————
  4. 森田重次郎

    森田委員長 消防に関する件、特に去る本月十四日発生しました品川における宝組倉庫爆発事故に関する問題について調査を進めます。  まず、本爆発事故の概要並びに消防のとった措置等について政府当局から説明を求めます。松村消防庁長官
  5. 松村清之

    松村説明員 去る七月十四日発生いたしました東京勝島倉庫爆発火災の概況につきまして御報告申し上げます。  お手元に印刷物がお配りしてございますが、この火災は七月十四日の十時ごろまず大井消防署の馬込の望楼で発見されたのでございます。そのときはそれがどこの火災であるかわかりませんで、ただ油の火災らしいものであるということを確認したのでございます。そこで直ちに消防出動いたしまして、その結果、勝島倉庫火災であるということがわかりまして、その後消防態勢が第二、第三、第四出場と、最大の出動態勢まで十分程度でこれを行なったのでございます。当時この場所に町積みされておりました硝化綿ドラムかんが次から次に爆発したのでありますが、油の火災も同時にあったのでございます。そこで消防は全力をあげましてこれの消火に当たりました結果、一時間ぐらいたったところで、大体のところ火がおさまったように思われたのでございますが、突然大きな爆発が、一時間程度たったところで起きまして、この大きな爆発のために十九名の死者、そして百十四名の負傷者、こういうものが出たのでございます。特に同じ場所でこれほど大ぜいの死者が出ましたということは、ほとんど過去に例がないのでございまして、これがなぜ出たかということは、後のいろいろな調査によってほぼ判明したのでございますが、ちょうど十九名の方々が部署についておられました場所、これはお手元の図面にもございます。ちょうど紙やたばこの二つ倉庫の間に配置いたしまして、その倉庫をいわば防壁としつつ消火に当たっておったのでございますが、突然その前面にあります倉庫の中に、これはあとでわかったことですが、パーメックという、正式にはメチル・エチル・ケトン・パーオキサイドという、消防法の規定によりまして危険物の第一類になっております過酸化物Aに属しますものが爆発いたしました。これはその後の調査で帳簿にそういうものが載っておるということと、それから爆発あとであたかも砲弾かあるいは爆弾が落ちたように大きな穴があいておった、こういうことで大体これに間違いないということに推定されておるわけでございます。これは非常に危険度の高いものでございますが、これが突然爆発した。硝化綿のあることは消防庁としては熟知しておりましたが、こういうパーメックという危険なものがあるということは全く知らなかった。業者のほうで無許可でこういうものを貯蔵しておった。この爆風によりまして、ちょうどこの両側にありました二つ倉庫の鉄とモルタルでできております壁がくずれ落ちまして、その下敷によって十八名、一名はその付近でなくなっておったようでございますが、結局このもので十九人というものがなくなった、こういうふうに現在のところ推定されておるのでございます。この火災そのものは十五日の一時三十八分に鎮火したのでございますが、そのように十九名という多くの死者を出しましたことはまことに遺憾で、このことで非常にこの火災が重要視されなければならないような事態に立ち至っておるのでございます。  大体この火災状況につきましては、以上のとおりでございます。
  6. 森田重次郎

    森田委員長 本問題について質疑の通告がありますので、順次これを許します。阪上安太郎
  7. 阪上安太郎

    阪上委員 ただいま政府から説明がございました株式会社宝組勝島倉庫爆発事件について、若干質問いたしたいと思います。  質問に入ります前に、十九名の殉職者を出しましたことにつきまして、私、心から弔意を表したいと思うものでございます。  さて、この事件はいま報告がありましたように、ほぼ七月十四日の午後九時五十五分ないし十時ごろに爆発が起こったわけであります。しかもいまの報告によりますると、爆発原因野積みされておった硝化綿ニトロセルローズでございますが、これの爆発によることがほぼ明白になっておるそうであります。この種の事件はすでに御案内のように、最近の例をとりましても、昭和電工の爆発事件であるとか、あるいは新潟地震災害によりますところの昭石爆発事故、こういった同じような爆発が逐次続発いたしておるわけなんであります。それに加えてまた今回のこの爆発でありまして、国民が非常にこういった特殊災害について関心が深くなってきたのと同時に、非常に不安定な気持ちになっておることは明らかだと思います。しかし時間の関係もありますので、端的に御質問申し上げてみたいと思います。  まず最初にお伺いいたしたいのは、一体防災計画はこの場合どうなっておったか、こういうことなのであります。災害対策基本法のそれぞれの条項に、防災計画を立てて、そうして建物堅牢化であるとか、あるいは防災街区の整備をしなきゃならぬというようなことも明記されておるわけであります。その他防災基本法の十四条あるいは三十九条等に、いろいろとこまかい防災計面に対するところの配慮が実はなされておるわけであります。今回の宝組倉庫のある位置というものは、すでに現地へ行って調べてまいりますると、非常に危険な配置が行なわれておりまして、いろいろな工場が密集いたしておる、しかも民家もこれに隣接しておる、こういうような場所であります。当然私は、防災街区の整備、こういったものが行なわれておるべきであり、防災計画としてもすでにそういうことが配慮され、何らかのそれに対する周到な計画が整っていなければならぬ状況にあると思うのでありますが、東京都の防災計画、これは一体どうなっておったか、こういったことにつきまして、ひとつある程度詳細に承知されている部分を御説明願いたいと思います。
  8. 松村清之

    松村説明員 その点につきましては詳細なことは承知しておりませんが、都は防災計画というものをつくっておることは確かでございます。またこの大井消防署といたしましては、自分の管内における建物状況、また倉庫等につきましては、どういうものが入っておるか、こういうことにつきましては平素から十分調べをし、またいざ事故があった場合にはどういうふうにやるか、こういうことについては計画を持っておったことと推測いたしております。
  9. 阪上安太郎

    阪上委員 そこのところ、もう少しはっきりならぬでしょうか。この間、私、島根、鳥取等災害地も見てまいりました。これは風水害でありますが、それから過般の地震災害におきましても、山形、秋田等を見てまいりましたが、どうも防災計画というものは十分に立てられていないような感じがいたすわけなんであります。立てられておるといたしましても、災害対策基本法にあるようなそういう確実な防災計画というものはどうも見当たらないし、防災計画は立てておったといたしましても、予算がこれに伴っていない、財源の裏づけがないというような関係から、全くペーパープランにすぎないような状態でもって、その実施を見届けていないというような状態にあるように私は見てまいりました。今回のこの倉庫付近をめぐるところのあの地域は、当然防災計画の中で何らかの配慮をしなければならぬ場所として計画に載っていなければならぬし、それが着実に実施されていなければならぬ場所であるように私は思うのでありますが、たとえば防災街区の整備あるいは防災建築街区といいますか、この指定というか、認可というか、許可というか、そういったものの手続関係等がどうなっておったか、あるいは指定されておったかどうかというようなことについて、わかっておれば、ひとつさらにお聞きしたいと思います。わかっていなければ、一ぺん東京消防庁の方を呼んでください。
  10. 松村清之

    松村説明員 現在そういう状況につきまして承知いたしておりませんので、さっそく調べまして御報告申し上げます。
  11. 阪上安太郎

    阪上委員 防災基本法第十五条の六項に、こういった危険物貯蔵等の場合、専門の事項を調査させるために専門委員を置くことができると、こういうように規定されておりますが、そういった専門委員等も置かれておったかどうかということを、あわせてひとつお調べ願いたい、かように存じます。  それから災害予防でありますが、その中で特に倉庫業法に関連した問題でございます。これは御承知のように第五条の四号で、倉庫位置構造または設備が保管する物品種類に応じて運輸省令で定める基準に適合しないときその他倉庫業の的確な遂行に支障ありと認めたときには、これは許可しなくてもいいということが規定されております。運輸省の方に伺いますが、一体倉庫業法に基づいてあの倉庫はどういう立場をとっておったか、これをひとつお尋ねしたい。
  12. 河毛一郎

    河毛説明員 御説明を申し上げます。  ただいま倉庫業法のお話でございますが、御指摘のとおり倉庫業法は、法律の第五条で、営業倉庫の申請がありました場合の許可基準といたしまして、第四号で、「倉庫位置構造又は設備が保管する物品種類に応じて運輸省令で定める基準に適合しないとき」は許可をしてはならない、こういう趣旨基準を設けております。それで、運輸省令がこれに基づいて出ておりまして、これは倉庫業法施行規則でございますが、その施行規則の第三条に「倉庫基準」というのがございます。  御承知のとおり、倉庫は、いろいろな種類倉庫がございます。普通の倉庫あるいは危険品倉庫野積み倉庫水面倉庫、その他いろいろございますが、その種類別基準が掲げられております。  それから、具体的な問題となっておりました倉庫につきましては、実はこの会社自身は、倉庫業法による許可をとっておる会社でございますし、それからまた倉庫業法による倉庫証券発券を行なっておる会社でございますが、野積みの貨物その他につきまして、野積み倉庫その他の許可に関する必要な手続はとってない、こういうことであります。
  13. 阪上安太郎

    阪上委員 そうすると、株式会社宝組というのは、倉庫業法許可をとっておるのですか。
  14. 河毛一郎

    河毛説明員 そうでございます。
  15. 阪上安太郎

    阪上委員 そうして勝島倉庫というものは、そういった倉庫業法に適合するところの倉庫であるかどうか、こういうことについてもう一度…。
  16. 河毛一郎

    河毛説明員 その辺ちょっともう少し詳しく申し上げますと、宝組勝島倉庫という名前の倉庫会社は、倉庫業法による許可をとっておるわけでございます。したがって法人としては営業許可をとっておるわけでございますが、問題となりました倉庫につきましては必要な許可手続をとってない、こういうことであります。
  17. 阪上安太郎

    阪上委員 問題となった勝島倉庫、あの爆発した倉庫倉庫業法に適合した倉庫でなかった、こういうことがいえるわけですか。
  18. 河毛一郎

    河毛説明員 もう少し詳しく申し上げますと、勝島倉庫営業を開始いたしましたのは昭和二十三年でございます。それから発券許可をとりましたのが昭和二十五年でございます。この間倉庫業法届け出制度でございまして、その後許可制度になりまして、昭和三十七年に営業許可をとっております。この場合に倉庫といたしまして許可をとっておりますものは、普通の倉庫が二十六棟、危険品倉庫が四棟でございます。ただ今回問題になりました倉庫建物につきましては、そういった許可をとってない、こういうことであります。
  19. 阪上安太郎

    阪上委員 倉庫業法の中に、野積み倉庫というものがあるのですか。
  20. 河毛一郎

    河毛説明員 ございます。
  21. 阪上安太郎

    阪上委員 その野積み倉庫は、ああいった、たとえばニトロセルローズを、ドラムかん千個もあそこに集積してあったということなのでありますけれども、そういった倉庫は、倉庫業法で認められている倉庫なんですか。
  22. 河毛一郎

    河毛説明員 お答え申し上げます。  ただいま申し上げました倉庫業法施行規則の中に、野積み倉庫要件というものがございます。その要件に適合しておれば、そういった危険品につきましても野積み倉庫としての許可ができる、こういうことになっております。もちろん防火、危険防止等の必要な構造を有しておるものでございます。
  23. 阪上安太郎

    阪上委員 その省令で定める基準、それにあそこのあの広場——御存じですね、あの広場は。——千個もあるニトロセルローズ野積みをしてもいいという基準になっておるのですか。
  24. 河毛一郎

    河毛説明員 この野積み倉庫要件によりますと、してはならないことになっております。
  25. 阪上安太郎

    阪上委員 次に、本件の場合、ああいったものを集積する場所倉庫、これは火薬取締法適用を受けるのか受けないのか、いろいろと私も調べてみたのでありますが、どうも受けてしかるべきであるという考え方が濃厚になってきておるわけなんでありますが、これについて政府筋から、どこからでもいいが、火薬取締法適用を受けるべきものであるかないかを明白にひとつお答え願いたい。
  26. 内丸邦彦

    内丸説明員 勝島倉庫で問題になっておりました硝化綿でございますが、これはメーカーのところで製造いたしました段階状況では、硝化綿が三二%以上の水分ないしはその溶剤湿潤状態になっておったという性質でございます。この種の硝化綿につきましては、これは大体塗料、ラッカー等の製造のために使われるものでございまして、火薬取締法対象にはならないという性質のものでございますので、問題のあの倉庫についても、火薬取締法規制対象になるということにはなっておらないわけでございます。
  27. 阪上安太郎

    阪上委員 そのなっておらないというのは、通産省令か何かで基準をきめるということによって、その基準の中に入ってないから入ってないんだ、こういうことでございますか。
  28. 内丸邦彦

    内丸説明員 火薬取締法適用対象になる火薬がどういうものであるかということは、もちろん法令できまっておるわけでございますが、ただいまの二三%以上の水分あるいは溶剤湿潤状態になっておった場合は、その対象にしないということにつきましては、これは通達でそういった解釈を出しておるわけでございます。
  29. 阪上安太郎

    阪上委員 この硝化綿とかあるいは硝酸エステルといいますか、こういったものは、私もかつていくさに参画しておって、いくさをやってきた男なんですが、当時の軍等におきましても非常なやかましい扱いを受けておって、これは逆に乾燥状態に置いてないと爆発しないんだ、こういうことでやかましく言われたものでございますが、今回の場合は二三度以上のそういう水溶液の中に浸しておけばだいじょうぶだ、しかし今回の爆発原因を見ると、それが自然発火をしたというようなことがいわれておって、その水分が蒸発したか何かによって、あるいは一つが何らかのそういった事情によって爆発して、停伝爆発をやっていくという段階においては、当然水分が蒸発して爆発するという状態にまで持っていくことは可能なんですが、こういったものを、それでは常にそれだけの水分が保たれているかどうかということは、いつ、どこで判断するかということ、それ自体は爆発火薬ではない、しかし爆薬であるという考え方は出てくると私は思うのですが、この場合火薬であるかないかは湿潤程度によるということであって、それは一体どこで判断するのですか。しかも今回の場合は、それが水分がおそらく蒸発して、いわゆる火薬状態に入っておったということが言えると思うのでありますが、通産省令できわめて機械的に、二三%以上の水分があればそれはだいじょうぶなんだ、それ以下に水分が減ってくれば爆発するのだ、こういったものが野積みされ、危険物倉庫にも入っていないというような状態で放置されておったときに、いつそれが火薬に転ずるかわからぬということになってくると思うのですが、そこのけじめ、そこの区別、そこの判断、それは一体どこでやるのですか。
  30. 内丸邦彦

    内丸説明員 ただいまの二三%以上の湿潤状態という場合にこれを適用対象といたさないということは、工場において製造いたしまして、それを出荷します段階で、そういった二三%以上の湿潤状態が保証できるような包装なりパッキングした状態を、ずっと維持できるような状態工場から出荷されたというような場合には、私どものほうとしてはこれはもう火薬でないというふうに考えておるわけでございます。
  31. 阪上安太郎

    阪上委員 それが今度の場合には火薬になったのだ。そこで問題になるのは、そういう機械的な考え方火薬類取締法に基づくところの基準を設定していいかどうかということなんです。一体火薬類取締法目的は何なんですか。
  32. 内丸邦彦

    内丸説明員 これは御存じのとおり、火薬類による災害の発生を防止いたしまして、公共の安全をはかるということにあるわけでございます。
  33. 阪上安太郎

    阪上委員 そのとおりでありまして、これは防災目的でつくられているのです。あるいは災害防止のたてまえからこれをつくられておるのであります。そうしますと、いま言ったような科学的な、何か学者のような単純な考え方でものを考えるのじゃなくて、あくまでも防災目的として火薬類取締法というものを考えていかなければならぬ、あるいはその適用を誤ってはならぬということだと思うのであります。いつ火薬に転ずるかわからぬ、あるいはいつ爆発物としての効力を発揮するかわからぬというようなそういう不安定なものを、ただ工場から出た場合において、二三%以上の湿度を保っておればそれでいいのだというような考え方でもって基準を設けておるところに問題があるということを私は言いたいのでありまして、この点はどういうように考えますか。
  34. 内丸邦彦

    内丸説明員 これは火薬類取締法規制対象としております火薬類というものの範囲の線を、どこら辺に引くかということにかかってくるわけでございます。私どものほうは、火薬類取締法規制の基本的な考えになっておりますのは、いわゆる爆発の用に供せられる、本来そういった目的の用に供せられるためにつくられた火薬類災害を防ぐための種々の非常に厳重な規制考えておるわけでございます。それで問題の硝化綿につきましては、先ほどの話のとおり、これはそういった目的ではありませんで、何かラッカーとかそういった産業用目的に使われるわけでございます。それでこの種のものは、全国非常に多数の中小企業原料に使われるわけでございますので、こういったものにつきましてこれを一々保管させて、それの譲り渡し、消費等について火薬類と同様の厳重な規制をするということは、現在の火薬取締法の制定の趣旨から見まして、やや線を引く外にあるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  35. 阪上安太郎

    阪上委員 そこがやはり問題なんでありまして、あまりにも機械的なものの考え方だと思うのであります。法の目的があくまでもそういった爆発することによって生ずる危険を防止しようというのでありますから、そういう危険のあるものについては、この場合明白に、危険防止の法のたてまえからいっても、火薬類取締法適用をされてしかるべきものだ、それがために政令でもってこういった基準その他については委任されておるわけなんであります。そこに非常に幅の広いものを法律としては持っているわけなんでありますから、そういうような機械的な考え方でおるということになりますと、今回のような事故を起こすわけであります。これがもし火薬類取締法適用を受けておったならば、当然野積みは許されない、そしてこれは火薬庫に必ず入れなければならぬということになってくる性質のものであります。それがいま言ったようなものの考え方で、爆発さすことを目的としない限りにおいてはかまわないのだというようなことを考えているところに、今回のような大災害が発生する原因の根本的なものが見出されている。もともと硝化綿などというものは明らかに綿火薬原料ではありませんか。白色火薬原料ではありませんか。こんなものを他の目的に使われるものであるからというだけの理由によって、その爆発性、これを考えずして、機械的にこれは火薬ではないのだというような考え方を持っている、そこに間違いを起こしているのではないかと私は思う。これは業者もまことに不審な業者でありまして、消防が発見するまで、一言も触れなかったところのパーメックの問題であります。これは爆薬ではありませんか。パーメックにつきましては通産省考えはどうでありますか。
  36. 内丸邦彦

    内丸説明員 パーメックにつきましては、現在火薬類取締法対象とはなりません。これは消防法によります危険物ということでございます。
  37. 阪上安太郎

    阪上委員 このパーメックは、消防庁その他から出ております。パンフレットによりますと、百度以上に熱すると爆発するということになっております。それからろ紙にこの過酸化物をしみ込ませると、三キログラムの金のおもしをわずか二センチの高さでもって落下させると爆発するということが明白になっているわけであります。それから火薬類取締法の二条の一号に火薬とはといろいろこうイ、ロ、ハというふうに出ておりますが、その口に「硝酸エステルを主とする火薬」ということをうたわれております。それから同時に、ハのところに、「ロに掲げる火薬と同等に推進的爆発の用途に供せられる火薬であって通商産業省令で定めるもの」ということになっております。この法律の解釈を通産省は誤っているのではないですか。爆発物そのものではないけれども、そういう「ロに掲げる火薬と同等に推進的爆発の用途に供せられる火薬であって通商産業省令で定めるもの」ということを書いているのですが、そういった爆発力を持つもの、これに対してもっと幅広く解釈して、こういったものを火薬というふうにきめても何も差しつかえないと私は思うのですが、その考え方はどうなんですか。
  38. 内丸邦彦

    内丸説明員 この一号のハで掲げておりますものは、現在たとえばその爆発力を利用してロケットの推進薬等に用いられるような火薬をいっておるわけでございまして、ただいま問題になっております。パーメックというようなものは、そういった爆発目的に用いられるものでありませんで、これはいわゆる有機関係の合成樹脂の素材とか、そういった目的のために用いられるものでありますので、ちょっとこういった範囲には入りがたいというふうに考えるわけでございます。  それから硝酸エステルの点につきましては、先ほど申し上げましたようないわゆる爆発の用に供せられるような硝化綿である場合、あるいはそうでなくても三二%以上のそういった湿潤状態になっていないというようなもので、現にそういった爆発の用途に供せられるような可能性が濃いというような場合には、もちろん火薬類取締法規制対象となるわけでございます。
  39. 阪上安太郎

    阪上委員 えらく用途にこだわっておるのですが、そういうところは頭がずいぶんかたいと私は思う。だから爆発するんですよ。  それならばこれは二号の爆薬に相当しませんか。二号ではイ、ロ、ハのハにニトログリセリンその他とあります。これはニトログリセリンではないということは言えると思いますけれども、類似のものだと私は思うのです。それからトに、その他いままで掲げてきた爆薬と同等の破壊的爆発の用途に供せられる爆薬であって通産省令で定める、こういうようになっておりますが、あなたの考え方では、これにも該当しないのですか。
  40. 内丸邦彦

    内丸説明員 このハにあげておりますものは、その最初の硝酸エステル云々ということには、ただいま問題になっておりますパーメックは、これは有機過酸化物でございますから、全然該当いたしませんし、それからトにつきましても、ここに規定されておりますような破壊的爆発の用途に供せられる爆薬ということには解せられないというふうに私ども考えております。
  41. 阪上安太郎

    阪上委員 いつまでもやっておると時間がかかりますが、そうしますとあなたのほうでは、あくまでも爆発の用途に供せられる火薬あるいは爆薬でない限りは、これは火薬類取締法の規定を受けることはできない、こういうふうに解釈するのですね。火薬類取締法という法律はそうですか。
  42. 内丸邦彦

    内丸説明員 法の原則的な考え方はそういうことでございますが、ただそのものの製造者あるいは消費者が現にそういう主観的な爆発の用途に供するという意思を持っておるかどうかということによっておるわけではございませんで、そういった爆発の用途に供せられるような客観的な可能性があるかどうかということを判断の基準に置いて考えておるわけでございます。
  43. 阪上安太郎

    阪上委員 同等の破壊力を持つものというのは、同じような破壊力があるのでしょう。繰り返して言うようですけれども硝化綿で二三%以上の湿度を保てないときには爆発する、そのときの爆発力は、この火薬類取締法で明白に規定されておるような火薬とかあるいは爆薬とかいうようなものと同じような破壊力を持っておるということは言えると思いますが、それでもそれはこの火薬類取締法の規定を受けることにはならないのだ、要するに通産省考えは防災的見地からこういったものの管理あるいは規制というものを考えていない、ただ用途別にこれを考えておる、こういうふうに解釈していいんですか、もう一ぺんだめを押しておきます。
  44. 内丸邦彦

    内丸説明員 先ほど御説明申し上げましたそういう爆発の用途に供せられる意図があるかどうかということではございませんで、そういった爆発の用途に供せられるような客観的な可能性があるかどうかということによって判断しておるわけでございますので、現在の、問題になっておりますたとえば硝化綿で、実際に湿潤度が二三%以下であるというような場合には、私どもはそういった爆発の用途に供せられるものというふうに考えまして、火薬類取締法対象に入れるというふうに考えるわけであります。
  45. 阪上安太郎

    阪上委員 これはもうその程度にとどめておきます。  次に、消防庁に聞きますが、先ほど言いました防災建築街区造成法があの地区に適用されておるかどうかということについてはまだ十分に調べておられないようであります。しかしこれを適用することによりまして、ああいった地区というものは非常に防災的な設備が整ってくるということが言えると思うのであります。これにつきましては、先ほど言いましたように、もう一度東京都の消防庁ですか、これとよくお調べいただいて明白にしていただきたいと思います。  それから次に、東京都内に危険物取扱所あるいは製造所、貯蔵所の数というものは一体どのくらいになっておりましょうか。それからそういったものに対するところの防災計画面からの取り扱いはどういうふうにされておりますか。これをひとつ防災基本計画のたてまえから説明願いたい。
  46. 松村清之

    松村説明員 いま手元に詳細な資料を持ち合わせませんが、たしか個所数は一万四千くらいだというふうに記憶いたしております。——一万四千百二十三カ所でございます。これらの対象物につきましては、消防署におきまして計画的に予防査察を行ないまして、法令に違反するような措置をとっておる場合においてはそれを是正するような措置を命じてきております。
  47. 阪上安太郎

    阪上委員 ああいった爆発の可能性の危険のあるものが、東京都内だけで一万四千以上に分散されておるということなんであります。非常におそるべき事実なんでありますが、これに対して消防法四条に基づくところの立ち入り検査計画というものをはっきり持っておってやらしておられるかどうか、それからどの程度にこれをやっておられるか、どの程度に確認されて、そうして移転その他いろいろな必要な措置を講ぜられておることと思いますけれども、そういったことは着実に実施されておるようには、どうも今回の場合を考えてみましても信じられないわけであります。今回の場合は立ち入り検査はやっておりますけれども、アフターケアといいますか、あとの措置を全然やってない、こういうふうに考えるわけなんであります。そういった点につきまして、消防庁としてはどういうふうな措置を命ぜられておるか、また消防庁としてはそれらに対してどういうふうな監督をされておるのか、そういったことについて伺いたい。
  48. 松村清之

    松村説明員 消防庁といたしましては、この危険物製造所等に対しましては、さっき申しましたこの予防査察をひんぱんに行なって、もし法令に違反するような場合にはそれを是正させる、もしそれにも従わない場合には、その貯蔵所等の使用の停止を場合によっては命ずるような、そういうふうな指導をいたしておるのであります。ところによっても違いますが、危険物製造所等の非常にたくさんあります東京、川崎等におきましては、はっきりしたところは承知しておりませんが、三カ月に一回程度計画的に予防査察をして回っておるようでございます。ただその場合にぐあいの悪いところの是正を命ずる、今回の場合にもその是正を命じたわけでございまして、そのあとの確認ということが、人手不足等によりまして、十分行き届かないうらみはございますけれども、いま申しましたように、定期的に予防査察を行ないまして、危険が発生しないような努力はいたしておるのでございます。
  49. 阪上安太郎

    阪上委員 今回の勝島倉庫は、消防法十条によるところの指定された防火対象物となっていたはずであります。これは私は、もう明白だと思うのです。ところが、そういったものについては、一定の基準があって、その基準未満のものについては、所轄消防署長——あの場合はどこですか、大井ですか、これでしょうね、それの定めた安全な場所に、十日以内に限って、仮貯蔵しまたは取り扱う場合は、この限りでない、こういうふうに消防法で規定されておる。ここらがおかしいのです。あの場合、十日以内に立ち入り検査をやって、注意したことは事実なんです。法からいいますと、十日以内はこの限りでない。したがって、あの場合は、撤去を命じなくてもいい。あの場合は、こういうふうに解釈してよろしいのですか。
  50. 松村清之

    松村説明員 ただいまお話の件は、危険物の貯蔵所、製造所等以外においては、この危険物を貯蔵したり取り扱ってはならないというのが十条の本則でありまして、そしてただし書きで、規定数量の三十倍未満のものについては、所轄消防署の指定する場所で、十日以内に限って、かりに貯蔵、取り扱いをすることができるというただし書きがあるわけでございますが、今回の場合には、このただし書きが適用されたものでなくて、所轄消防署といたしましては、ああいう場所危険物ドラムかんに入れて野積みすることは、これはいけないから、指定の危険物貯蔵の倉庫にこれを格納するように、こういうことを事件の起きます数口前に指示をいたしておったわけでございます。
  51. 阪上安太郎

    阪上委員 よくわかりました。したがって、あの野積みということ自体、もうすでにこれは許されないんだ、こういうことだと解釈していいと思うのです。しからば、そういう数日前に調査をして、立ち入り検査をやって忠告を与えておったのですが、そのアフターケアとしての完成検査をおやりになっておりますか。
  52. 松村清之

    松村説明員 ただいま申されました完成検査という法律上の事項は、これは危険物を製造したり貯蔵したり取り扱う場所の設置の許可をとりまして、それができ上がった後に、使用する前に、それが法令にきめられた技術上の基準に従っておったかどうかということを見てもらう検査でございまして、いま問題になっております野積みの問題は、これと全く別個の問題であります。野積みそのものが法令に反した事柄であるから、指定の場所に保管すべきである、こういう指示をいたしておったのでございます。
  53. 阪上安太郎

    阪上委員 いま言ったような製造所、貯蔵所、取扱所、これらの設置に関しては、都道府県知事の許可を受けなければならぬ、これはわかっております。しかしその場合、変更の場合も同様の措置をしなければならぬ。この場合、厳密にいえば、いま言ったようなことになるかもしれませんけれども、これはやはり変更の場合じゃないでしょう。もともと認めていないから、そんなものは変更もくそもないのだ、こういう解釈で完成検査など必要ないのだ、こういうことであっては——あなたのおっしゃるのはそういう意味だと私は思うのであります。しからば、そのアフターケアをどうするのですか。完成検査が必要ないということになれば、それ以上にもっとこれは必要なケースだったと思うのですから、その場合に、数日前にこれを見ておってそのままで放置しておったことについてはどうお考えになりますか。
  54. 松村清之

    松村説明員 これは仰せのように、大体こういう場所で取り扱うべき事柄ではないのでございまして、これはまさしく法律的にいえば十条第一項の違反でございまして、結局、この一つの項目でも、告発の一つの原因になっているわけでございます。アフターケアと申しましても、これは実際上はやはり消防書といたしましては、警告を発した後においてそれが十分履行されるようにこれを監視することが大事だと思いますが、法律的にはそういう措置は別に規定してありませんが、こういうことをやったそのことが法律違反ということで、告発の一つの原因になるのでございます。
  55. 阪上安太郎

    阪上委員 事件が発生して、あれだけの大災害を起こし、そうしてそれが十条の違反であったからといって告発される。そうして受けるところの罰というものは、ああいうわずかな罰である。また、罰を受けたからといって、とうとい十九名の命は生き返ってこないと私は思う。この場合考えなければならぬのは、やはりこの法律十条に欠陥があるんじゃないかということが私は言えると思うのです。この場合、強制的にこれを撤去せしめ、あるいは強制的に排除さすという方法はないのですか。
  56. 松村清之

    松村説明員 まさしく仰せのとおり、この十条一項は不十分だと考えております。こういうことをやった場合におきましては、これは罰則にかける前に、それを強制的に撤去する何らかの法律的規定を必要とすると私ども考えておりまして、消防法改正の機会がありましたら、そういうふうに規定いたしたい、こういうふうに考えております。
  57. 阪上安太郎

    阪上委員 次に、危険物取扱主任者がこの倉庫ではどうなっておったか、こういうことなんであります。これは当然危険物取扱主任者というものを定めて、保安の監督をさせなければならぬ倉庫だと思うのであります。それがそういうふうになっておったかどうか、これをひとつお伺いしたいと思うのです。
  58. 松村清之

    松村説明員 危険物取扱主任者は、この倉庫業におきましてはきまっておりまして、名前もちゃんと届けられております。実際には、この届けられた責任者のもとにおいて、いろいろ危険物の取り扱いをやっておったことだろうと思います。
  59. 阪上安太郎

    阪上委員 この危険物取扱主任者というのは、消防法十三条の三項でありますか、これが立会しなければ野積みだとかいろいろな作業、倉出しその他をやってはいけないことになっておると私は思うのです。そこで、この場合、これらの危険物取扱主任者というのは、倉庫業務が終わってしまったならばその場所にいなくてもいいものなんですか、どうですか。
  60. 松村清之

    松村説明員 この危険物取扱主任者は、危険物の取り扱い作業に関して監督をするわけでございますから、そういう用件のないときには必ずしもおる必要はないのでございます。
  61. 阪上安太郎

    阪上委員 やはりそこらにも私は問題があると思う。たとえばいま言ったような、法を犯して、注意とか勧告まで受けて、そうして直ちにドラムかんの集積を何とか処理しなければならぬという状態にある場合に、作業にはかからないというようなことでそれを放置している、こういうことだと思うのであります。先ほどの報告であなたから伺うと、この爆発を発見したのは、倉庫のだれも発見していない。そうして、これは望楼発見だということを先ほどあなたがおっしゃっておった。一体この倉庫には、それは危険物取扱主任者は、いま言ったような法的な欠陥からではありましょうけれども、かりにいなかうたといたしましても、望楼発見でしか発見できなかったような事情は一体どういうところにあったのか、それをお伺いしたい。
  62. 松村清之

    松村説明員 私も、その点、この事故がありました日の朝参りまして、一つ不審を抱いた点であります。普通でありますならば、ここにも当面者がおりましたので、当直者より一一九番を通して連絡があってしかるべきだと思ったのでありますが、それよりも早かったのでございましょう。いま申しました消防署の望楼からこれを発見して直ちに出動した、こういうことにななっております。
  63. 阪上安太郎

    阪上委員 たとえば、ああいった火災で、かりにああいうような状態の場合に、危険物を動かさなければならぬという問題も起こってくるし、消火に際しても、やはり危険物取り扱いという問題が出てくると思うのであります。そういった場合に、一切がっさい消防に全責任を負わして、会社側というものは、あるいは倉庫側というものは、全然もう危険物取扱主任者もおらなければ何もおらない。手を出すこともできないというような状態のままで放置されておったということは、これは非常におそるべきことだと思うのです。これに対しても私はやはり法律の欠陥を認めると同時に、しかしながら、それ以上にこの倉庫側の無責任さというものがしみじみ考えさせられる。そこで、この危険物取扱主任者というものが常置されていなければならぬ、現場に常におらなければならぬというような、そういう法規制をやる必要があるかどうかということだろうと思うのであります。これについてあなたの見解をちょっと伺っておきたいと思います。
  64. 松村清之

    松村説明員 この際もう少し説明をつけ加えさしていただきますと、危険物上取扱主任者は三名ございまして、そのうち一名は現場におったようでございます。ただ、お話のごとく、これからの問題といたしまして、危険物取扱主任者をどういうふうに考えていくか、あるいは危険物取扱主任者のほかに、保安要員というものをこういうものには貫くようにするとか、そういうものは現存消防法の改正に関連しまして、実は検討いたしておるのでございます。      ————◇—————
  65. 森田重次郎

    森田委員長 この際、吉武国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。吉武国務大臣。
  66. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 私は、このたびの内閣改造に際し、はからずも自治大臣兼国家公安委員委員長に就任いたしたのでございますが、地方自治と治安の問題について日ごろ御尽瘁をいただいております委員各位に対しまして、今後格別の御指導と御協力を賜わりますようお願い申し上げる次第でございます。  この機会に、地方自治と治安行政の当面の問題につきまして、所懐の一端を申し述べたいと存じます。  まず、地方行政につきましては、社会経済の発展に伴い、広域的処理を必要とする行政専務がますます増大してきております。これに対処するため、特に府県の問題を中心として、合併あるいは連合等の諸案が論議されてきたところでございますが、広域行政処理の方策は地方制度の根本に触れる重要問題でございますので、現在継続して御審議を願っております地方行政連絡会議の設置とも相まって、前向きの姿勢でこの問題と取り組み、十分な検討をいたしてまいる所存でございます。  次に、地域開発の推進と地域間の格差の是正についてでございますが、現在、新産業都市の建設を初めとする地域開発推進の施策が強力に展開されている一方、いろいろな面で地域開発の格差が口立ってきていると考えられるのでございます。  自治省といたしましては、新産業都市等の建設が円滑に進められるよう必要な財源措置を講ずるため、目下具体案を検討いたしておるところでございますが、地域間の格差を是正するためのその他の諸方策についても引続き努力をいたしてまいる所存でございます。  次に、当面焦眉の問題となっております地方公営企業の経営改善についてでございますが、最近における地方公営企業の経営悪化の状況にかんがみ、その再建について、当面とるべき方策と将来にわたる健全な発展をはかるための企業のあり方について、さきに発足をみました地方公営企業制度調査会にその意見を求めることといたしましたが、調査会の御意見を十分尊重いたしまして、早急にこの問題に対処してまいる所存でございます。  さらに、消防の問題につきましては、最近新潟の地震、大井の爆発事故等、石油、爆発物等による特殊火災が相次いで、科学消防の充実が緊急な課題と相なっておりますことにかんがみまして、保安規制の強化、予防行政の充実、救急業務の拡充等について一段のくふうをいたしますとともに、消防力の一そうの充実をはかり、万全を期してまいりたい考えでございます。  次に、国家公安委員委員長としましての私の所信を申し述べたいと存じます。  私は、法秩序の維持はすべての行政の基本であるとも考えられるのでありまして、この意味におきましても、新しい任務につきましての責任の重大さを痛感いたしておる次第でございます。  当面の警察行政の運営方針といたしましては、第一に、暴力犯罪の絶滅、第二に、交通事故の半減、この二つに重点を置き、この目標速成のため努力いたしたい所存でございます。いわゆる暴力団は、わが国の社会に暗い影を投じている存在でありまして、これを放置して明るい社会の建設は不可能でございます。私は、これらの組織暴力に対しては、警察の総力をあげて対決し、これが絶滅をはかる所存でございます。  次に、交通問題についてでございますが、この問題につきましては、ひとり警察のみの力によって解決し得るものではなく、いまやまさに国家的な問題となっておるのでございます。私は、交通問題解決のために、その本質を的確にとらえて、これに対する各般の施策につきまして、関係機関との連絡、協調を一そう緊密にして、問題の早急な解決につとめたいと存じております。  最後に、オリンピック東京大会の問題でございますが、御承知のように、その開催があと七十日余の後に迫っております。警察といたしましては、交通の規制、雑踏の整理、防犯対策等各般の問題につきまして周到な準備を進め、この大会を成功裏に終了させるようあらゆる努力を傾ける所存でございます。  以上、所管行政の当面の問題について所懐を申し述べたのでございますが、これらの問題は、いずれも各位の特段の御協力なくしてはその実効をおさめることができないと考えられるのでございます。  重ねて、格別の御協力をお願い申し上げる次第でございます。(拍手)      ————◇—————
  67. 森田重次郎

    森田委員長 引き続き、品川における宝組倉庫爆発事故に関する問題について、質疑を続行いたします。阪上安太郎君。
  68. 阪上安太郎

    阪上委員 消防活動にはたして遺漏、粗漏がなかったかどうかという点につきましては、いままで御質問申し上げた点で、消防庁のほうから答弁がありまして、私は、ほぼ粗漏がなかったもの、かように考えるわけであります。ただ、これが望楼発見によって確認されたということでありますが、その後、時期的に望楼発見が早かったからということで、当事者のほうから、あるいは倉庫のほうから連絡がなされたかどうかということについては、まだ確認していない、こういうことであります。それから、出動態勢等も新聞その他でうかがいまして、第四出動への移行というようなことが時間的にきわめて敏速に行なわれておったようでありまして、これもきわめて機敏な措置であったと思うのであります。ただ、十九名の殉職者を出した直接の原因パーメック爆発であったということでありまして、しかもこのパーメックが隠匿されておった場所というものは、モーターオイルのドラムが千木ほど入っておったそうでありますが、その一角に隠匿されておった。だれも事前に知っていなかった。事後においても業者から何らの報告もない。消防署があと始末した段階において初めてパーメックが隠匿されておったという事実がわかった、こういうことなのであります。これはきわめておそるべき業者の不道徳な行為だ、かように思うわけであります。  そこで、もう一点だけ伺っておきたいと思うのはこのパーメックの隠匿でありますけれでも、こういったものはああいうところで立ち入り検査をやった場合に、それを発見することができないような立ち入り検査であるのかどうか、こういうことなのであります。どの程度の立ち入り検査をやっておるかということなのであります。この点だけもう一度確かめておきたい。
  69. 松村清之

    松村説明員 普通危険物の立ち入り検査は危険物を取り扱う製造所、貯蔵所、取扱所、こういうことで許可を得、設置された建物について立ち入って十分なる検査をするわけでございます。したがいまして、それ以外の倉庫につきましては一般火災の見地から立ち入って検査することもございますけれども危険物の予防という見地からはやっておりませんので、たまたまそういうところに危険なものが入っております場合にはこれを発見することができないのでございます。
  70. 阪上安太郎

    阪上委員 発見することができないということではどうも消防の任務は果たされない、防災の任務といいますか、これは全然期待できないということになってくると思う。これは一体週報なり日報なり何かの手だてによって忠実に報告する義務があり、その報告先がきまっておるのでありますか。そういったことについてはどうなっておりますか。
  71. 松村清之

    松村説明員 これはいま申しましたように、危険物に関する限りは倉庫がわかっておりますから綿密な調査をするわけでございますが、それ以外の一般倉庫は何しろ数が非常に多いものでございますから、それを一つ一つ検査していくことは——さっき申しましたように何かその倉庫から火災の発生のおそれもありそうだというふうに見られるときは別でございますけれども、一般的にすべての倉庫について立ち入って見るということは実際問題としてはきわめて困難、あるいは不可能というと誇張的な表現になりますが、きわめて困難なことであろうというふうに考えます。
  72. 阪上安太郎

    阪上委員 そこで、その危険物倉庫が貯蔵している危険物の品目、数量等について日報、旬報、月報等において報告する義務があり、それから報告する相手先というものがきまっておって、それは法的に明確になっておるかどうかということを伺いたい。
  73. 松村清之

    松村説明員 その点は許可を受ける際に、そこで貯蔵する危険物の最大の数量というものを申し述べて許可を受けることになっておるわけでございまして、その範囲内ならば日々移動していくことについては何ら承知いたさないのでございます。
  74. 阪上安太郎

    阪上委員 そういたしますと、厳重な立ち入り検査でもない限りそういった違反を犯しておっても事前に発見できない、こういうことなんですね。したがって、業者の道徳心を信頼してそれに一切がっさいまかしておくという以外に手はない、こういうことに解釈していいですか。
  75. 松村清之

    松村説明員 この点につきましては罰則によって担保しておるわけでございますが、実際におきましては業者の順法精神、道徳というものに待たなければならないわけでございますが、先ほど申しましたように監督をしております消防当局におきましても計画的に現地査察をして違反しているものがないかどうか、違反しておる場合には是正の措置を命ずる、こういうことをやっておるのでございます。
  76. 阪上安太郎

    阪上委員 したがって、それがなかなか数の多いところであり、一万四千カ所もあってなかなか手が回らないというのが実情だということになってくると思うのです。  この機会に消防職員の待避改善等について若干質問をしておきたいと思いますが、いま消防職員の数は、消防職員がたしか四万程度だと思います。それから消防団員が百五十万、自治省の調べでそういうことになっております。最初に給与でありますが、消防職員の給与が平均月額三万二千四百五十六円、税込みであります。消防士は一体それではどのくらいかというと、全職員の大体七〇%程度、その平均月額が二万五千三百円程度、非常に低いところに置かれておる、こういうことが言えると思うのであります。しかも一方、消防団員に例をとってみると給与は通常ゼロだと思います。そして一年間の手当が通常一千円くらい、そして出動した場合の手当が二百円くらいというのが全国一般の例だと思います。この給与体系を見ますと、非常に低いところに置かれておるということが言えると思うのであります。こんな低い給与の水準でありましたならば、消防士に希望してくる者はもうだんだんいなくなってしまうのではないか、こういうふうに思うのであります。これに対して何か改善の意図をお持ちになっておりますか。依然としてこのままでやっていくつもりでありますか。これをひとつ伺ってみたい。
  77. 松村清之

    松村説明員 消防職員は全国四万人でございます。この給与につきましては、各市町村といっても市が大部分ですが、各市におきましては普通の職員よりも一号か二号くらい高い扱いをしておるようでございますが、しかし、中には普通の職員と同じ扱いにしておるところも見受けられます。したがいまして、現在は消防団員の補充がなかなか困難だということは一般に認識されておりますけれども消防職員の採用ということもなかなか困難な状態でございまして、特に大都市以外のところ、中小都市等においては将来の昇進等の範囲が狭いというようなことも原因いたしまして、給与等において特別な扱いをしなければ採用ということもますます困難になってくるのではなかろうか、そういうふうに考えられておるのが現在の状態でございます。ただ給与体系となりますと、これは消防だけ特に高くするということも非常にむずかしい問題でありますし、一般職員よりどの程度高くするかということは、警察等とも関連して考えなければなりませんし、現在いろいろそういう点について検討はしておりますけれども、実現性のあるそういう案というものは、なかなか結論に至っていない状況でございます。
  78. 阪上安太郎

    阪上委員 たまたま御答弁の中に警察の問題が出てまいりましたが、警察職員、一般の警察官の給与ベースはどのくらいになっておりますか。
  79. 松村清之

    松村説明員 給与ベースが幾らかということは、いまここで資料がありませんし承知いたしませんが、ただこれはどういう経歴か、どういう学歴かということによっていろいろ違ってまいるわけで、初任給においては、先ほど申しましたように消防と警察とが大体同じように扱われておるところが相当あります。しかし、まだそうでない一般職員並みというところもあります。
  80. 阪上安太郎

    阪上委員 警察から消防は分かれたのですから、元来は一つのものであったのです。したがって、何か給与原則上、そこに大きな相違を生み出すということは私はないだろうと思います。ただ、あなたいま何か低いようなところに置かれておるというふうに思っておられるように私は思うのであります。それがなかなかどうにもならない、こうおっしゃいますが、なかなかどうにもならない理由はどういうことなんですか。消防には予算がないということなんですか、どういうことなんですか。
  81. 松村清之

    松村説明員 実は御承知のように、警察につきましては俸給表は公安職の俸給表が適用されております。したがって、消防につきましてもこの公安職の俸給にのっとるように指導はいたしておりますけれども、現実には各市の財政状況等も大いに原因があると思いますが、一般職並みの俸給表によっておるところもまだ相当ある、こういうのが実情でございます。
  82. 阪上安太郎

    阪上委員 次に、勤務体制と関連いたしますが、勤務体制について若干聞いてみたいと思うのですが、この今回の事件の発生に伴いまして、東京都の消防総監ですかの談話等を聞きましても、あるいは現地で新聞その他がルポいたしました談話等を聞きましても、勤務体制が酷であるということをいわれております。ことに、いまどき依然として二部交代制が一般的な姿である。三部交代などというようなものは全然考えも及ばない状態である、こういうことをいわれておるのですが、私も消防署の勤務状態というものはよく知っておりますが、二部交代制ではこれはとてもつとまらないのじゃないかと思うのですが、この点はどうなんですか。
  83. 松村清之

    松村説明員 全国一律に論ずるわけにはまいりませんが、東京都をはじめとする大都市の消防というものを考えました場合には、その業務の状況等から見まして、現在の二部制というのは非常に過重な負担になると思われます。したがって、早く三部制に持っていくことが望ましい、そういうふうに考えております。
  84. 阪上安太郎

    阪上委員 東京都の消防署員の声を聞きますと、予算不足でもって職員の補充すらできない。現在東京都では三百名からの欠員がある、こういうことをいっておるようであります。これは実に傍観できない、ほうっておくわけにいかない状態だと思うわけです。これなども、こういう勤務体制の問題とか給与の問題と関連してくる問題ではないかと思う。それから先ほど、立ち入り検査等についてなかなか徹底してやれないというところも、こういった二部交代制でもって明け番の者が立ち入り検査をやっているようなことではとてもからだもつとまるものじゃない、ずいぶんでたらめな勤務体制じゃないかと私は思うのです。いろいろやらなければならぬ今後の対策というものは山積しておりますよ。けれども、まずこういったところから改めていかないと、そういった将来の体制に順応できないのじゃないか、こういうように思うわけであります。ことに消防職員が退職する場合を考えると、これはもうほとんど病気、傷害で退職しているという例が非常に多いということを聞いております。だから、退職と恩給が同時であるというような驚くべき給与体系になっておるというようなことも聞きます。科学消防の体制を強化するとか、あるいは立体消防の体制を強化していくのだというような措置面からの問題もありますけれども、まず人員をどう確保するかということだと思うのです。それに伴う予算は一体どう持っていくのだということになってくると思うのでありますが、これについてやはりこの際消防庁も思い切って体制の強化といいますか、拡充に持っていく考え方をお持ちにならなければいけないのである。どこでどう遠慮しておられるのかどうか知らぬけれども、大体消防なんか、委員会でいろいろ質問などをしても、いつもきわめて消極的である、何か自治省の外の部門みたいな感じがする、予算の取り方もきわめてへたくそである、こういうことになっておるのです。もう少し力を入れてこういったものにやはり対処する形をとっていかなければならぬと思うのです。それともこれは市町村消防だからほうっておいていいのだという、そういう消防庁考え方ですか。ここらのことをひとつはっきりしておいてもらいたい。
  85. 松村清之

    松村説明員 もちろん、これは市町村の消防でございますから、予算は市町村でこれをやるのでございますけれども、そのもとはやはり自治省におきまする地方財政の上においてこれを見る必要があるのでございます。したがってこれを詰めていけば、結局自治省の地方財政措置の上における消防の扱い、こういうことになってまいろうかと思います。私どもも毎年毎年この消防の交付税を増額してもらうように努力はいたしておりますけれども、何しろ問題がたくさんございまして、一挙に思ったとおりにはいかないわけでございますが、今後ともできるだけ努力していきたいと思います。
  86. 阪上安太郎

    阪上委員 この際、この問題について自治大臣はどうお考えになっておるか、いま交付税の単位費用等において十二分に所要財源というもの、あるいは消防を拡充していって住民の生命と財産を災害から守るという消防の任務というものを達成さすためにきわめて不十分な状態にある、これは何もいま消防庁から聞かなくても、私自身そういうように考えております。これに対していつまでも改善されないままで放置されている状態、これに対しては自治大臣はどう対処されますか。
  87. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 ただいまの阪上委員の御質問、私も全く同感でございまして、就任早々、第一に事務当局から承りましたことは、この消防の職員の処遇及び施設の問題であったのであります。先ほど来御質問のございました南品川のあの事故をとってみましても、二十名にのぼるとうとい犠牲者を出したということは、私どもも深く遺憾に思い、また気の毒にたえません。また先般の新潟の火災につきましても、あの昭和石油の火災は、ついに東京から薬品を持っていってようやく消しとめたというようなことでございまして、いまから考えますと、時代の進展に伴う消防の充実というものは、もっと考え直さなければならぬということを私は痛感をいたしております。したがいまして、来年度の予算につきましても、私はこの点に思い切った努力をささげるつもりでございます。先ほど来おっしゃいましたように、消防職員につきましての平均給与を見ましても、御指摘のようにあまり芳しくございません。他の産業あるいは他の方面の給与が相当高くなっておるときでありますから、これしきの給与では御指摘のようにおそらく希望者も少ないのではないか。そうすると、勢いいい職員を採用することもむずかしくなってきやしないかという点を私もおそれております。特に御指摘になりましたいわゆる消防団員につきましては、私も先般就任早々その話を聞きまして、年にわずか千円で、出動手当二百円、これでは郷土愛から犠牲的に出られている消防団のことではありますけれども、しかしやはり出動についてもそれ相当の常識上の手当は差し上げるべきではないか、との点も私はあわせまして来年度の予算——もちろんこれは府県、市町村の財政計画に関することではございますけれども、ただいま長官が申し上げましたように、やはり地方財政の元締めを自治大臣としてはやっておることでございますから、この点を私は十分留意をいたしまして善処をいたすつもりでございます。
  88. 渡海元三郎

    ○渡海委員 関連して。ただいまの消防力の充実について関連してお伺いいたしたいのでございますが、科学が進むにつけていろいろ特殊火災が起こってくる。これに対する消防力を充実するということは、いま阪上委員の指摘されたように、予算の面からいっても相当な額になってくるんじゃないかと思います。したがいましてそういった危険の発生するようなところに十分法的に建築構造なりあるいは消防施設そのものを配置するということが必要になってくるんじゃないかと思います。いま御指摘されましたように、望楼で発見されて、監視員もおらなんだというふうな姿、というて、これを全部自治体消防に課するとなると相当な予算が必要になってくるのじゃないか。諸外国では、保険料率なんかの場合、そういったところに対する保険料率も、みずからの自衛の手段ができておるかどうかということによってその保険料率を変えていくということによって、会社自身消防力というものを相当充実さして自治体消防の捕捉をさしておるというふうなことを聞いております。先般、新潟震災のときに、震災保険というものがないために、ああいうふうな一時金的なものを損保協会が出しておるというふうな点から、この点も保険制度として考慮さるべきじゃないかということでいま検討されております。そういった意味からも、むしろ消防庁が指導的立場に立って損害保険を一ぺん検討すべき必要があるのじゃないか。それと、前々からいわれております消防施設税による充実ということも、あわせて考えるべきじゃないかと思うのですが、今回のような続発する化学火災に対しまして、そういった面で一ぺん、大蔵省だけにまかさずに、消防という立場に立って現存の保険制度というものにメスを入れるべきじゃないか、こう考えるのでございますが、この点についてのひとつ御所見を承っておきたいと思います。
  89. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 ただいま渡海委員から御指摘になりました点は、先ほどもちょっと触れたのでございまするけれども、新潟のあの昭和石油の火災を見ましても、私も非常に深く感じておるわけでございます。したがいまして、保険制度についてももちろんのこと、またそういう施設の充実につきましても、私は、ただ一般の地方財政だけの観点でこれを見るということよりも、もっと大きい国家的な見地でひとつやるべきじゃないかという感を実は深くしております。何といっても人命、財産に直接関係することですから、これに少々の経費をつぎ込みましても、それによって人命が救われ、また財産の消滅が少なくなるということは、国家の上から見ましてもけっこうなことでございますので、この点はなおいま検討中でございますので、もう少し私もこれは深く掘り下げて努力するつもりでございます。
  90. 阪上安太郎

    阪上委員 さらに補償、恤兵金について若干伺っておきたいと思います。  きょうまで、昭和二十五年から今回の大井の事件を含めまして大体十五年間に五百六十三人の殉職者が出ている。そのうち署員については二百十一人、団員については三百五十二人、これは消火と水防のためにこれだけの犠牲者が出ている。まことに痛ましい数字でありますが、今回の場合、これに対して一体どの程度の補償と恤兵金が与えられているか、概略でいいですから、言ってみてください。
  91. 松村清之

    松村説明員 十九名の殉職者のうち十八名が職員で一名が団員でございますので、両方分けて申し上げたいと思いますが、職員につきましては、これは東京都の職員でございますので、東京都の条例等によって定める公務災害の補償のお金が出るわけでございますが、これは御承知のように千日分のお金が出るわけで、その人の給与によってまちまちでございますが、いまこの十八名の方について申し上げますと、最低は八十五万五千円、それから最高が二百五十一万四千円、これだけが遺族に対して出るわけでございます。このほかに、御承知のように国におきまして賞恤金——これは賞恤金というふうに呼んでおりますが、一般の賞恤金としての最高額である百万円が団員、職員の区別を囲わず十九名に対して出ることにきめられまして、これにつきましては、今日の閣議で予備費を流用させていただくことにしております。したがいまして、いまのところ、都のそういったお金とそれから国から出す百万円。なお、その団員につきましては、国の賞恤金は百万円で同額ですが、別途公務災害補償の基金から規定によりまして七十九万六千円、団員の方には職員と違ってこれだけのお金が出ることになっております。これだけが現在公務災害のための補償の費用として出ることになっております。そのほかこまごまとした葬祭料とかそういったものもございますが、今日のところは大ざっぱにはそういうことになっております。
  92. 阪上安太郎

    阪上委員 署員、団員を問わず、いろいろな面から出てくる補償ないし賞恤金というものの額が、今回の場合考えてみると、最低が、消防団員が百七十九万何千円ですか、約百八十万円、消防署員も一番低いところはやはり大体百八十万円くらい、最高でも三百何十万ですか、これが巷間いわれておるところによると、警察官との間に大きな開きがあるといわれておるが、これは事実そういう大きな差があるのでしょうか。
  93. 松村清之

    松村説明員 これはおそらく、そのことがいわれますのは、御案内のように警察官等に対しましては総理大臣の特別報償金が三百万円以内で出るような制度がございます。最高は三百万円でございますが、実は実績としてはやはり百万円が最高になっております。したがって、この制度がそのまま適用されればそのほかに百万円プラスされるということでございますが、これにつきましては、この爆発火災による殉職者が多数出ました機会に、消防につきましても警察官と同じような扱いにすべきではないか、こういう自治大臣の閣議における発言が基礎になりまして、現在のところはそういう方向でひとつやろうということで、やるということは大体きまっておるのですが、いま問題になっておるのは、その金額をどうするかということで、いま折衝中でございます。
  94. 阪上安太郎

    阪上委員 犯罪から国民の生命と財産を守る職務、いわゆる警察官の職務と、それから災害から国民の生命と財産を守る消防の職務、そしてともにこれで殉職した場合に何か総理大臣が特別に金を出す。それは警察のほうには出すけれども消防のほうには出さない。聞けば、幸いにして吉武大臣がきょう閣議でそういう発言をされて、同等ないし同等に近い扱いをすべきであるという発言をされているようですけれども、まだ確認をされていない。一体そういう差別の出てくる思想発想の原因はどういうことなんですか。どういう発想でそういうことになっているのですか。
  95. 松村清之

    松村説明員 実は警察官等に対しましてそういう制度ができましたのは、当時暴力犯罪というものが——今日でも多いわけですが、暴力犯罪というものに対しまして、警察官と、これは海上保安官等も関連いたしますが、これに向かいまして殉職する、けがをする、こういうことのためにこの制度が当時つくられたようでございます。その際、消防についても同じように考えるべきじゃないか、特に危険物火災というようなものに対処するのは、暴力犯罪に対処するのと少しも変わらないと私ども考えるわけですが、そういうことで最初は暴力犯罪に対する警察官等の問題として起きまして、消防にもそれを適用すべきではないかという議論も行なわれたのでございますが、まあそのときは警察官等に限られてきたわけでございます。その後機会あるごとに、消防にもという声を出しておったのでございますが、今回のこういうことを契機に、そういうことはいままだ確定はしておりませんけれども、何とかする、こういう方向へいまきたのでございます。
  96. 阪上安太郎

    阪上委員 国民の生命と財産を守る職務というものは、警察、消防、みな同じであります。暴力犯に立ち向かったから死に方が違うのだとか、生命のとうとさが違うのだとかいうことにはならぬと思う。こんなものが取り上げられていなかったところに、あるいは消防庁あたりに熱意が少し欠けておったのではないか。せっかく自治大臣が閣議でそういう発言をされたからといっても、未確定の問題で、しかもまた差等をつけていこうという考え方があるように私は推察した、そんな考え方自体が間違っておる。だれが何と言ったってこれは同じことです。だれがどう考えたって、国民に問うてごらんなさい、同じことです。だからこういった問題について、大臣はその点についてきょうは幸い閣議で発言されたようでありますが、ひとつそのあなたの考え方を貫き通していく決心をこの際伺っておきたいと思います。
  97. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 ただいまお話しのとおり、暴力に立ち向かいまする警察の職員と、火災の中に飛び込んで人命の救助並びに財産保護に当たる消防の職員とは、私は同じだと思います。したがいまして、いまの点につきましては、私は極力努力をするつもりでございます。
  98. 阪上安太郎

    阪上委員 それでは質問も大体終わってまいりましたが、大事なことは、やはり今後のこういった特殊災害の防止に対して一体どう対処するかということであります。それについて、時間の関係もございますので、私の意見を交えながらお伺いをしたいと思うのであります。  こういったことにつきまして、いろいろな対策はあろうと思います。大きく見て立体消防なりあるいは科学消防なりというものの充実ということは、これはもう論ずるまでもない問題だと思います。問題はその方法論だと思うのでありますが、一つ考えられることは自衛消防、これにつきましてやはり徹底した義務づけをやらなければならぬということが一点だと思います。しかし自衛消防にはいろんな限度がある。ことに企業の採算制というような問題と関連いたしまして、やはり限度があるということは言えると思うのです。したがって自衛消防だけに一切がっさい責任を負わすわけにもいかない。それでは市町村消防の存在価値がなくなってしまう。したがってこの場合それと並行しまして、やはり市町村消防の拡充といいますか、これが考えられなければならぬと思うのです。それからもう一つは、このような特殊災害が発生してまいりまして、一つの市町村単位の消防だけでは十分にその能力を発揮することができないという問題が一つ出てくる。したがって当然広域消防、やはりこれの編成が必要である、こういうふうに思うわけであります。それと同時に、それに対するところの財政の裏づけがなくちゃならぬ、こういうことがやはり四番目に出てくる対策ではなかろうかと思うのであります。  そこでまず第一番に自衛消防について、どうも今回のこの発生を見ますると、あるいは過去における昭冠の爆発あるいはまた新潟の昭和石油の爆発等を考えてみましても、法の不備というものが各所に見出されるわけであります。その中で特に私は痛切に感ずるのは、企業者の社会的な責任感というものが非常に欠如しておるように思うのであります。法の欠陥があろうとなかろうと、自衛消防を責任を持って果たすという、社会的な責任というものを考えていないのじゃないか、こういうように考えられるわけでありまして、望楼発見の例といい、あるいはパーメックの隠匿といい、まことに言語道断の企業者の社会責任の欠如だと思う。これに対しまして断固たる態度をとらなければならない段階にきておると、こういうように思うわけであります。なおまた、最近ではそういう例はありませんけれども、高層建築物等に対しましても同様のことが言えると思うのであります。ニューヨークその他の消防を私も見てまいりましたが、ああいったところにおいても、二十何階というようなものが出てまいりますと、その建物自体が消火施設なり何なりが拡充されておりませんと、とてもじゃないがはしご車その他でやっても十分に消すことができない。それから今回のような化学薬品の爆発というようなものにつきましては、これまたそれ自体防火あるいは自衛というような体制が整っていなければ、とてものこと、やり通せる格のでない、こういうように考えるわけであります。法律では一応やらなければならぬような自衛消防規制がございますけれども、これはごらんになったらおわかりになるように、ほとんどざる法に近いような内容しか持っていない。たとえばタンクの高さであるとか容積であるとかというようなものにつきましても、十分なものが全然示されていない。たとえば山口県のある高圧石油でありますが、七万キロリットルに近いようなものを貯蔵している。世界最大だといわれる。今回爆発した昭和石油の場合は四万七千キロリットルでありまして、これが手がつけられない。しかも電気その他の動力源といいますか、そういったものが切断された場合には、手がつけられないという状態になる。しかもこれが流出して民家に流れ込んで、そこでまた発火しておるというようなことでもって、一応そういった自衛消防の施設なり何なりということがいわれておりますけれども、これは法律そのものが非常にずさんであります。こういったものを補っていくためには企業者の社会的責任、これを強く喚起しまして、そしてこれに対処させなければならぬと思うのでありますが、どうも日本の国民性として、法律か何かで規制されなければやらないという悪いくせがありますから、この場合思い切って自衛消防の義務づけといいますか、厳格な義務づけをやらせる必要があると思う。しかし中小企業や零細企業等においては、やれといってもなかなかできないという問題もあるので、こういったところは市町村消防で極力押し進めていかなければならぬと思いますが、能力のあるものについては思い切って自衛港町の強制をするということが必要だと思うのでありますが、この点につきましてどうお考えになりますか。これは大臣からも、それから長官からもお伺いしたい。
  99. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 先般の新潟の昭和石油の件といい、また南品川の件といい、そういう企業体における自衛消防というものは、私はこれは必要だと思います。市町村消防ももちろん強化しなければなりませんが、そういう企業体自身においても当然なすべきことでありますから、もし法の不備がございますれば、私は法の整備をすることにやぶさかではございません。しかし、いまお話にもございましたように、幾ら法を整備いたしましても、本人にその気がないというと、これは意味のないことでございます。責任感という問題もございましたが、この間の南品川あたりの状況を私は聞いてみますと、置くべからざるところに危険物が置いてあったりなんかしております。これは監督の面においても十分監督しなければならなかったのではないかと思いますけれども、そういうことを企業体において放置するなどということは許すべからざることでございますから、法の整備と相まって、これらについてはもっともっと私は注意を喚起して、その責任感を盛り上がらしていきたい、かように存ずる次第でございます。
  100. 松村清之

    松村説明員 ただいまの大臣の御発言と全く同様でございますが、最近におきます一連の特殊火災にかんがみまして、消防庁といたしましては近く国会に消防法の改正をお願いしたいと思っておりますが、その内容の中に、ただいまお話しの自衛消防のことにつきましては大事な項目として取り上げる、こういうふうに考えて作業を進めております。
  101. 阪上安太郎

    阪上委員 次に公的消防といいますか、市町村消防、これはどうしても拡充しなければなりません。ただいま政府側からの自衛消防についての強い決意のほどがわかったわけでありますけれども、これは先ほども言いましたように、それにしても限度があるということなのであります。したがって、これは当然本務としては市町村消防というものを徹頭徹尾強化しなければならない、こういうことだと思うのであります。市町村消防の強化といたしましては、一つは化学車とかあるいははしご車の高度な装置が必要になってきております。承るところによりますと、石油コンビナートのある都市で化学車を所有している状態を調べてみますと、横浜、川崎、四日市、岡山の水島、それから和歌山県の下津町、これだけしか化学車を持っていない、こういうことなのであります。これは石油コンビナートがあるところなのであります。いわゆる大石油タンクのあるところなのであります。これだけしか持っていない。そして今回発生しました新潟など十三都市は、どこも一つも持っていない、こういう状態東京から行かなければ手に負えない、こういう状態にあるということなのであります。これは非常にたいへんなことだ、私はかように考えておるわけであります。いま言ったような自衛消防を強化するということは必要だと思います。また民間でも四十五台ほどは持っておるのであります。これは消防が持っておるよりも、かなり高度な性能を持ったものを持っておるということも私は承っております。これは、消防はこんな高度なものは持てない、機動性を持たなければならないのでどうにもならないということだと思います。それにしても四十五台程度は持っている。しかしこれだけでは不十分だ、ましてや市町村消防が、自分のところでそういった危険物、しかも爆発すればたいへんなことになるものをかかえておりながら、全然化学車などを持っていないなんということは、これは少しどうかしているのじゃないか。最近、地域開発あるいは新産都市あるいは工業整備特別地域等、いろいろと工業開発がいま行なわれております。やらなければならぬことでありますけれども、しかしながら同時に考えなければならぬのは、やはり住民の生活基盤というものをぶちこわしてしまっては何にもならぬことだと思います。その中で特に防災関係考え方として、そういったところほどこういうものを完備しなければならぬ、そういう必要があると私は思うのでありますけれども、いまあげましたような一つの例を見ましても、むしろそういった、たとえば岡山の水島などは、新産都市のモデルケースだ、チャンピオンだといわれておるのです、そんなところで若干持っているというような程度で終わってしまっているのです。ましてやその他の地区でこういったものが設備されていないというようなことでは、これはたいへんだと思うのであります。こういった化学車、はしご車の高度な装備、これがまず必要だ。  それから赤澤自治大臣が現地を視察したときにも言っておったようでありますけれども災害無線の装置ということが必要だ。警察無線はかなり完備されていると私は思うのでありますが、これがどうも利用できないというのは、何かあまりにもセクトであると私は思うのでありますけれども、これは何か原因があるのかもしれません。いずれにしても、有線が利用できないという場合がこういった特殊災害には発生しがちでありますから、こういった場合にやはり災害無線の装置というものは、義務的にどこもやらなければいかぬというふうに持っていく必要があろうと思います。新潟災害の場合におきましても、タンクの爆発が発生してから三時間後に東京のほうに応援を求めてきた、こういうようなぶざまな状態であります。三時間たってからやっと求めてきた。そうして化学車の出動をやる、同時に薬物の輸送をやった、こういうことになっておるようであります。これでは全く、ああいった爆発は、地元では消すあるいはこれを措置する能力を全然欠いてしまっておる、何もできない、ただ見ておったということになると思うのであります。こういったことを考えてみますときに、やはりこの無線装置が必要である、こういうことがいえると思うのであります。現在一部府県で市町村と県との間の無線連絡というものはやっております。しかし、県と県との間の連絡というものは、おそらく短波を持ってない、ましてや県と警察庁との間の波長を持っておるかどうか、これも私は非常に疑問に思っておる。こういった点についてやはり思い切って拡充をしなければ、私は将来のこういう特殊災害に対処できない、かように思うのでありますが、この点どうでしょうか。
  102. 松村清之

    松村説明員 全く同意見でございまして、来年度予算におきましては、そういう点について要求することを考えております。化学車、はしご車につきましては、今日一定の規模以上の都市においては、石油に限らず化学車の対象になるようなものがたくさんありますし、またはしご車の対象になる高層建築があるのでございまして、まず一定規模以上の都市について化学車、はしご車、それから、それ以下の都市でも石油コンビナートがあるようなところにおいては化学車、こういうものを三年計画で充実していく。まず来年度を第一年度として所要の経費を要求したい。これは、事柄の性質上、従来のような三分の一の補助ということでは、その市町村の負担あるいは事柄の性格からいって適当でありませんので、高率の補助ということでやっていきたい、そういうことで現在予算案をつくっております。  また災害無線につきましても、いまの化学車、はしご車の予算にほんとうにわずかな金でできるわけでございますので、この点につきましても消防庁、各都道府県の間を迅速に連絡できるようにやっていきたい、こういうことで予算要求をしたいというふうに考えております。
  103. 阪上安太郎

    阪上委員 次に広域防災でありますが、これについても先ほどちょっと触れたようなんであります。今回のあの大井の爆発につきましても、たしか東京都の化学車は二十台全部あそこへ集中してやったようであります。あれだけ集中しましてもあの程度消火しかできない、こういうことを考えてまいりますときに、少なくとも化学車その他の統一使用ということは当然考えられなければいけない。市町村が単独で化学車の一台や二台持っておったとしましても、あの種の特殊災害になりましたら、おそらくものの役に立たぬと私は思うのであります。またしたがって、それに伴う薬品の貯蔵設備、貯蔵状態等を考えてみましても、おそらく薬物だって十分の貯蔵もしてない、こういうような状態だと思うのであります。また薬物はいろいろ損耗の期限もありましょうし、財政上もいろいろ問題になってくる点もあろうと思うのであります。またたとえ一台でも化学車を持つことができるところはまだ幸福だと思います。消防財源の関係から、どうしてもそれを持つことができないような町村も出てくるだろう、現にそうだと思うのであります。こういったことを考えるときにやはり広域防災というか広域消防というか、これをこの際思い切って制度化していくという方法を考えなければいかぬ、それに伴った特別な機動隊をつくってもいいと私は思う。それの指揮権等につきましても十分に考えなければいかぬと思うわけであります。こういった広域行政を徹頭徹尾やる必要があるのではないか、こういうふうに考えるわけであります。これはただ単に火災だけの問題じゃありませんで、その他の風水害あるいは地震災害等につきましても、同様なことがいえると私は思うのであります。今回の島根、鳥取、これは大臣もいち早く現地に行かれたようでありますが、そういったものにつきましても、一消防団、一水防団だけにこれをまかせておってもこれはどうにもならぬという面が出てくると思うのです。その他広域防災あるいは広域災害に対するところのいろいろな措置が、もういまや欠くべからざる状態になってきておると思うのであります。これを制度化し、これを思い切ってやるだけの考え方が当局にあるかどうか、これをひとつ伺っておきたい。
  104. 松村清之

    松村説明員 消防の分野におきましても、広域的処理が必要なことは、これは特殊火災を待つまでもなく、これが必要なことは申し上げるまでもありません。したがいまして、従来でも市町村間において組合をつくってやるとか、あるいは業務の委託をやるとか、あるいは相互応援協定を結ぶとか、こういうことを積極的に奨励して市町村相互の間において有機的に消防力が動くような体制をつくるようにいま指導してきておりますが、特に最近におけるような特殊火災考えますると、なおさらこの点を痛感するのでございます。ただ広域消防という場合に、あるいは府県消防とか国家消防とかいう説をなす人もございますけれども、私は、現在の市町村消防の原則に立って、各市町村間の消防力が有機的に動くような体制というものをひとつ考えていきたい。したがいまして、そのためには県とか国に、その市町村の消防の応援を求めるような程度の権限、と申しますと何ですけれども、そういうものを持って、しかし消防力というものは、あくまでも各市町村が持つ、こういう考え方でひとつ進めていきたい、こういうふうに現在のところ考えております。
  105. 阪上安太郎

    阪上委員 消防庁考え方はそれでいいと私は思います。市町村消防が市町村の固有事務であり、しかもそれが郷土愛に立脚しておるということを考えた場合に、いまの考え方でいいが、しからば広域行政としての消防にどう対処するか、こういうことになってくれば、やはり共同処理をやっていくという関係だと思うのであります。したがって、やはりその原則に従って市町村消防を厳然と強化し、存在せしめる、そうしてそれを統一使用していくという形をやはり考えるべきである。広域行政的な消防としては、やはりその程度が一番妥当だと私は思います。しかしそれはやらなければいけません。来年になったらやる、来年になったらやるじゃ、これはどうにもならないのです。来年のことをあまり言うと笑われますから、今年やっていくくらいの腹がまえをされないといけないと思うのであります。  いま一つ、これと関連しまして救急病院の問題があります。この間の事故で、私はずっと新聞その他を見ておりまして、救急についてはほぼ支障がなかったように私は思うのであります。五十何名程度の死傷者ということでありまするので、あの程度でいいと思うのでありまするが、あれがもっと大きな災害ということになりますれば、やはり救急病院などは、交通事故の点などから考えても、あらゆる面から考えて、これはもっと拡充しなければいかぬ。現在の救急病院というものを見ますると、何か数が非常に少ないように思うし、それから内容等におきましても、はたしてそれだけのベッドを常にあけて救急に対処するだけの準備ができておるかどうか。これは厚生省関係だと思うのでありますけれども……。  それから同時に、これは交通事故とも関連するのですが、非常に急を要することでありますし、患者の身元も何もわからない状態において、治療しなければならぬというようなことで、あとから財政欠陥を生ずるというような場合も多分にあります。したがって、救急病院の設置についてはいまのようなやり方ではなくして、もっとやはり財政援助をしてやらなければだめだと思うのであります。三交代くらいでもって待機させなければいけないものでありますが、しかしそれがあることによって生命を失わないで済むような場合が非常にたくさんあると思います。今回の場合はそれほどでもなかったのですが、私はいつもこういう事故発生のときに、列車事故そのほかがございましたときに、あの混乱している病院の状態というものを私は知っております。はたしてあんなものでいいだろうかどうかというような感がいたしますので、今回は直接支障がなかったようでありますけれども、特に政府においてお考えおきを願いたい問題点であります。しかしながら、経営が非常に困難でありますので、ただ救急病院に指定されるということによって——これは消防法で規定されるのですか、私ちょっと研究不十分でありますけれども、何か病院の格が上がるという考えで、名前を売らんがために救急病院になっておる向きもあるというふうに私も聞いておるのであります。そんなのではなくて、名実ともに充実した救急病院、またその数、こういうことが必要になってくると私は思う。それからヘリコプター救助などということもこの際一緒に考えておかれる必要があるのではないか、こういうふうに思うのであります。いずれにしても、救急病院の増設拡充、これについてはもう少し配慮願っておかぬと、またこういうものが問題になるようなことがあってはどうかと私は思いますので、十分配慮願いたいと思うのであります。  最後にひとつ、四番目の防災財源といいますか、消防財源といいますか、これの拡充の問題であります。先ほど渡海委員からも若干の示唆があったと思うのでありますが、損害保険税を取ろう、消防施設税を取ろうという考え方であります。いまのような考え方ではおそらくたいした消防財源にはならないと思います。  それから同時に、あらゆる災害で発生しますと困るのは民間災害であります。この民間災害に対するところの施策というものを、遺憾ながら現在国は持ち合わせていないと言っても私は過言ではなかろうと思うのであります。公共災害はまあまあ何だかんだ言いながらも、ほっておいても、これはほっておくわけにいかないから、これはだまっておっても当然復旧もできればまたより改良復旧等にも入っていくことができるのでありますけれども、さてあらゆる災害に付属して、ついて回って困っておる民間災害、これに対しては何にもない。単に天災融資法その他一部住宅等の融資制度というようなことだけであって、こんなことでは国民はたまったものではない。そこでそういうものとのかね合わせで、思い切りて消防施設税などというけちなものはこの際やめて、ひとつ財源をとるためというと語弊がありますけれども、市町村公営の火災保険なりあるいは市町村公営の災害保険をこの際新設するという思い切った考え方があってしかるべきだと思うのであります。これは長い間問題になっておりましたけれども、なかなかうまくいかぬで、結局消防施設税などという、これもこそくな手段でありますけれども、それ自体がまだ実現しないという状態でありますけれども、連年あるいは続発いたしております現在のわが国の災害考えてみましたら、やはりこういう機会にこそ、国民の注目の的となっておるようなこういう段階においてこそ、思い切って公営火災保険あるいは公営災害保険というものを出発せしめていいのではないかと私は思うのであります。それに対してそういう考え方をお持ちになっておるかどうか、あるいはそういうことについては賛成でない、あるいは反対であるというような考え方でありますか、そういうような点をひとつ伺っておきたい。歴代自治大臣は、消防施設税ということについて、財源はわずか二十億か三十億程度のものだと思うのでありますが、非常に執着しておられるようであります。それを乗り越えて、もっと抜本的な民間災害の救助、補償、それから同時に消防財源の捻出というような考え方を出される必要があるのではないか、こういうように思うのであります。そうすれば何もしない池田内閣ということにはならないで、今度こそほんとうにやったということになると思いますが、ひとつそれらの点について御意見を伺いたいと思います。
  106. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 先ほどの御質問の中なり御意見の中で、広域消防については、お話しのとおり何らかの方法を講じなければならぬと思うのでありますが、その次の救急病院の点でございます。これも私、まだ就任早々でございまして、掘り下げてまだそこまで行っておりませんが、救急病院と救急車、これは確かに人命尊重、人命救助の上からいって私は拡充すべきものであるという感を深くしております。現実に私はこの救急車の活動に一月ほど前に触れて、東京都の救急車の活動は非常に活発であるのに実は驚いたくらいでございまして、これは非常にいい制度だ、これによってなくなる命が助かる率が多いということで、先般も事務局長から説明を聞きますときにも特に触れたわけでありますが、救急車の拡充、同時にそれを連れていくところの病院の拡充と申しますか、設定と申しますか、これは私も同感でございまして、なおもっと掘り下げてやるつもりでございます。  それから、その次の消防施設につきまして拡充しなければならぬということは、これはもう一般の世論でもあり、私もそういうふうに考えておりますが、何といっても財源の問題がすぐ問題になってまいります。これも私が事務当局といろいろ二、三日前にこれと取っ組んでやっていたわけでありまして、財源の問題も検討すべき問題があるようでございますが、消防施設につきましては、何らかの方法——国の予算によりますか、あるいはまたいま御指摘になりましたような特別財源をつくるか、この点は私はもう少し検討さしていただきたいと思います。  それから、民間災害についての処置ということは、私も先般、島根県へ行ってみまして非常に感じました。これは今度ばかりじゃなく、いつの災害のときにも起こることでありますけれども、公共施設の災害については政府はある程度の処置ができる、農産物等の補償もある程度はございますけれども、民間自身の家の損害であるとかその他の損害に対しましては、実はないわけでございますね。それでいつも質問を受け、また私どももこれには行き詰まって、何らかの措置を講じたいと思いますが、いまおっしゃいましたような公営の一つの災害保険のようなものをということも一つの方法だと思いますけれども、これは非常に大きい根本の問題になりますので、いまどうするこうするということはなかなかお答えしにくいことでございますけれども、民間の災害について何らかの処置を講じなければならぬということは私も常々考えておりましたので、これも私はひとつ検討をさしていただきたい、かように存じます。
  107. 阪上安太郎

    阪上委員 それでは最後に。  大体最近地方自治体で問題になっておりますのは、地域間の格差是正、あるいは大都市における人口と産業の集中を排除していこうという考え方、あるいは地域における雇用の安定をもたらすために、どうしてもこの際地域開発は大々的に推し進めなければならぬ、こういったいわゆる一連の地域開発ブームというものが湧いております。ところがその法の運営なり何なりを見ますと、とかく工業偏重になっておる、こういうように言われておりまして、その結果いろいろな公害も発生し、災害も発生しておる。過般、島根県に参りましても、あそこは特殊土壌の指定を受けております。その目的が産業開発、農村開発という面からの考え方でありまして、防災的見地からこれを取り上げていない。最近地域開発のいろいろな欠陥がありますために、進めなければならぬ問題でありますけれども、同時に強く配慮されなければならぬのは防災面じゃないかと思うのであります。国土保全の考え方というものは依然として薄らいでおる。防災基本法を見ましても、なるほど並べてはあります。あるいはこれを補うために激甚地の指定等も、特別の財政援助の方法も講ぜられておりますが、防災計画をはたしてあのとおりやりましても、未然に災害を防止するための財源措置というものはどこにも見当たらない。つくってみたけれども、何にもできない。ただ災害が発生した場合において、事後の措置が行なわれるというような程度にとどまっておる。したがって、ああいった特殊土壌等におけるところの防災の配慮というものはかりにあったとしましても、県は考えておったようでありますけれども、全然手をつけられない、こういうような状態であります。いわゆる工場災害等を見ましても、当該市町村、都道府県がいろいろと考えておったと思います。あの危険を予知しないはずがない。しかしそれに対するいろいろの防災措置というものがなかなか講ぜられていない、こういうことだと思うのであります。その原因はほとんどが財源が足りない。消防財源を見つけなければなりませんし、民間災害も救助していくために、いろいろ方途を講ずると同時に、やはり地域開発に名をかりて、そればかりに夢中になって、国土保全なり防災を忘れてしまっておるという現在のこのひずみ、ことに政治のひずみといいますか、この際政府としては思い切った是正をされて、そうして国土保全に私は邁進しなければならぬと思います。さようにいたしませんと、次から次と痛ましい災害が発生すると私は思うのであります。そういった点を考えていただいて、別途の消防財源を見つけるために、同時に普通の国庫援助による思い切った財源措置も同時に考えていただきたい。そういうことによって当面問題になっておりますこういった消防力の強化ということをはかっていただきたい。  このことを申し上げて、私は質問を終わりたいと思います。
  108. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 最後の御意見の点でございますが、私も、自治大臣になるなどとは予想もしなかったわけでございますが、命を受けましたとっさに感じましたことは、今日の日本の段階において、一つは所得の格差に対する是正の問題が大きい問題であると同時に、地域的な格差の是正というものも相当重点を置いていくべきものじゃないだろうかという感じを深くいたしまして、本日のごあいさつの中にも一端を入れておったようなわけでございます。  先だっての災害に参りまして感じますることは、大きい河川の改修はある程度できておるのであります。しかしながら中小河川になりますと、御承知のように、数多いために、御指摘のように財源が行き届かないということもございましょう。不十分であって、その堤防の決壊で、ついに思わざる大きい災害が出ているという事例がたくさんございます。これらはどうせその地方の市町村なり府県ではやれるものではございませんので、やはり国の力によって、地域格差の是正といっては少し大げさになりますけれども、こいうう点は私は特に人命尊重という点からも相当考えなければならぬじゃないかということで、帰りまして閣議でも私はこの旨を強調したようなわけでございます。御了承いただきたいと思います。
  109. 森田重次郎

    ○森田委員 安井吉典君。
  110. 安井吉典

    ○安井委員 だいぶ時間も過ぎてまいりました。あと現地視察に行く予定もございますので、さらにまたいまの阪上君の質問は相当広範囲にこの問題を取り上げております関係もあって、重複を避けて、補足的に数点についてお尋ねをいたしたいと思います。  私は今度の爆発事故、それから六月の昭和電工の川崎工場における死者十八名、負傷者百二十名を出したあの爆発事故、さらには新潟地震における昭和石油のあの事故、こういう一連の事故は、今日の経済政策が、その打ち出しは高度経済成長というふうなことで、経済の成長だけに重点が置かれて、それに伴って必ずいろいろな危険などが出てきたり、公害を生じてくる。その公害の最たるものが、今度のような事故だと思うのでありますが、そういうふうな金もうけのほうが先にいってしまって、比較的直接には利潤という面に浮んでこない保安施設の面がおくれている。こういうふうな、この企業だけではなしに、国全体の経済政策のあり方に基本的な問題点があるのではないか、かような感じでこの問題を受け取っておる一人でありますが、そういうふうな点については、最後にまた大臣にお尋ねをいたすことにいたしまして、初めに事務当局からお伺いをいたしたいのであります。  今度の事故についての直接の原因は何であったかとか、そういうようなことについては、あまりここに触れられていないようでありますが、告発をされたというふうに聞いたのですが、その取り上げております内容、それからそれは起訴という形にすでにいったのか、その中ではどういうふうな起訴事実としての内容が示されているのか、その点をひとつ伺いたいと思います。
  111. 松村清之

    松村説明員 まずこの火災爆発原因でございますが、午後十時ごろに最初に火災が出ましたその原因は、野積みドラムかんに入っておりました硝酸エステルから発火した、こういうふうに一応推測されております。それから一時間ほどたちまして、大爆発を起こした。そしてそれが十九名の殉職者を出した。この原因は、先ほども申しましたが、ちょうどその十九名の人が配置しておりました前面の倉庫に隠匿されておったパーメック爆発、こういうふうにいまのところ一応推測されております。したがいまして、この二つ原因による事故でございますが、この二つとも、実は法令の違反になるわけでございます。最初の硝化綿野積み、これは許可された施設以外のところでこういうものを扱ったということ、それから第二のパーメック爆発、これも屋内の貯蔵所で許可された品目以外の危険物——このパーメックなどは許可しておりませんが、それを貯蔵しておったということ、この二つが法令違反で、この二つ事故をもって、東京消防庁のほうでは、七月の二十四日に、これは大井消防署長が告発者になっておりますが、告発をいたしております。したがいまして、まだ起訴までいっていないあと思います。
  112. 安井吉典

    ○安井委員 消防法だけのようでありますが、そのほかに、たとえば倉庫業法違反とか、そういうふうなほかの犯罪構成は考えられませんか。
  113. 河毛一郎

    河毛説明員 お答え申し上げます。先ほどの御質問で御説明申し上げましたように、この会社自身倉庫業法営業許可をとっておりますが、まず問題になっております野積みの点でございます。これは倉庫業法上の野積み倉庫としての認可を必要とするわけでございます。それからまたその他の倉庫につきましても、やはり危険品倉庫としての認可が必要なわけでございますが、今回問題となりました野積み場所及び倉庫につきましては、そのような認可申請が出ておりません。したがいまして無認可の状態にあるわけでございます。そういった面で違法状態を構成しております。
  114. 安井吉典

    ○安井委員 私はその倉庫業法はよく読んでいないのですが、いまおっしゃることで違法であることは確かですね。それによって告発をして問題をきっちり処理するというふうなお考えはないのか、あるいはまたそれによる罰則規定なんかはどういうことになっておりますか。
  115. 河毛一郎

    河毛説明員 ただいまのような状態に対しまして、倉庫業法といたしましては当然罰則の適用があるわけでございます。と同時に行政処分の問題もございます。たとえば営業停止その他の措置でございますが、この辺につきましては消防庁のほうで出火原因その他を現在御調査中でございます。すでに告発の措置もされておりまして、現在警察の手に渡っておると思います。その調査あるいは取り調べ状況を見まして、早急に運輸省といたしましてどのような措置をとるかということを考えていきたい、こういうふうに考えておる次第であります。
  116. 安井吉典

    ○安井委員 私がその原因は何かということを初めに伺ったのは、消防庁のほうは一応原因をおつかみになったから告発されたのじゃないでしょうか。原因が何もわからない段階では告発などという措置はとれるわけがないと思うのです。だから一応確定したのだと思うのです。私は今度の場合も、たいした事故でなければあまり無理なことは申し上げないつもりですが、少なくも十九人の人がなくなっているわけですよ。あるいはまた百十四人の負傷者を出しているわけです。そういうふうな重大な問題であるわけですから、やはりこの際運輸省も問題を真剣に考えてお取り組みにならなくてはならないのではないか、そういう意味で申し上げているわけです。  その前に、この許可基準によらない場合だとか、あるいはまた違法な措置がある場合に、運輸省は立ち入り監査をする権限を与えられていると思うのですが、それは十分になされているかどうか、特にこの宝組については、ごく最近の場合にはいつごろ検査をなされたか、それをひとつ伺っておきたいと思います。
  117. 河毛一郎

    河毛説明員 御指摘のとおり、運輸省といたしましては倉庫業法の実施を確保いたしますために監査をいたしております。人員、旅費その他の関係がございまして、なかなか手が回りかねる点もございますが、この具体的な倉庫につきましては二月に行っております。そのときの私どものほうの監査方針でございますが、大体この倉庫倉庫証券発券許可されております。一種のものの金融的な措置をやっております。この発券状況の監査に主として重点を置きまして監査をいたしておりますが、問題の野積み場所その他につきましては、参りましたときには野積みされた貨物がそこにあるというような事態はなかった次第でございます。
  118. 安井吉典

    ○安井委員 これは二月にごらんになったときは、この硝化綿野積みはなかったと思います。時期を考えればあれなんで、ちょうどそのときに——年に一回くらいしか行っていないでしょう。おそらく一回行っているかどうかでしょうね。
  119. 河毛一郎

    河毛説明員 そうでございます。
  120. 安井吉典

    ○安井委員 そういうふうな事態でしょうから、それだけでは事実をつかめる道理がないと私は思うのです。そこでこの際はっきりさせておきたいのは、野積み放置をされてあったということでこの事故が大きくなったわけです。しかしその野積み放置という問題については、倉庫業法の面からも問題があるし、つまり運輸省もそういうふうな事態が起こらないように検査をし、確認をする義務をお持ちだし、消防庁も同時にそういうふうな点はやはり検査をし、予防百寮をしながら事実を押えていかなければならないという、どちらも役所としての責任があるわけです。これはどうなんでしょうか。今度の場合においては消防の側と運輸省の側とどっちが責任が重いかという、別にここでてんびんにかけるわけではありませんけれども、そういう点について、これは両方のお考え方をひとつ伺っておきたいと思うわけです。というのは、危険物取り締まり等についての役所の所管が実にまちまちなんです。そういうような問題をやはり考えていかなきゃいけないと思うものですから、この問題を課題として持ち出すわけですが、ひとつ御答弁いただきたいと思います。
  121. 松村清之

    松村説明員 硝化綿野積みにつきましては、この七月十四日の数日前でございますか大井消防署の担当者が予防査察をやりましたときに、すでにそのあることを発見しましてこれに警告を出しておるのでございます。ただ、警告を出しましたけれども、もう一度確認しようと考えておるときにこの十四日の事故が起こったわけでございまして、この点はなはだ遺憾な点でございますが、何しろたくさんの対象計画的に査察するものでございますから、数日間おいて、またこれを確認しに行くということが事実できなかったわけでございますが、一応この野積みが違法であることについて当事者に警告は出しておるのでございます。
  122. 河毛一郎

    河毛説明員 ただいま消防庁からもお答えがございましたが、私どものほうといたしましても事態の非常に重大なことを痛感いたしております。そこで、本事故が発生いたしました翌日十五日に、私どものほうは倉庫は大体地方の陸運局、海運局が直接に監督いたしておりますが、それぞれの部署に、危険品倉庫事故防止ということにつきまして、消防署その他との相互連絡をよくして、徹底的な事故防止をやるように直ちに通達をいたしております。その後機会あるごとにこの問題を取り上げまして、業界その他にも問題の重要性と将来の防止のための徹底方について措置をいたしておりますが、さらに、先ほどお話のございました監査につきましても、こういったものにつきましては特に重点的に今後取りはからうことができますように必要な措置を今後講じていきたい、こう考えておる次第でございます。
  123. 安井吉典

    ○安井委員 両方から御答弁があったわけですが、私は別に消防庁なり運輸省の当局が一番悪いと言うわけではない。一番悪いのはやはり宝組ですよ。会社が違法な措置をやったのが一番悪いのですが、ただ、残念ながらここにいませんから、だから直接監督の衝に当たっております両方の役所の皆さんに、今後のこともあるわけですから、ぜひ法律に定められた措置を厳重に講じていただきたい。そういうことを申し上げる意味で言っているわけですが、そこで、いま運輸省のほうからは、先ほどの倉庫業法の違反の問題について、今後消防庁のほうは告発措置をやって、運輸省のほうは倉庫業法の違反については考えないというふうな態度はどうも片手落ちなような気がするわけです。これは検察庁が倉庫業法の問題を取り上げてももちろん差しつかえはないわけですけれども、監督する役所が何かこう年に一回ぐらい、ただ法律に定められているから一わたり回るんだというふうな、そういうふうな態度でずっとやっておられる限りは、この危険物に対する倉庫業者の十分な保管業務を全うするという形は私はできてこないと思うわけです。やはりこういうふうな重大な事故の際ですから、ほかの業者に対しても、これは見せしめと言ったらなんですけれども、しっかりやりなさいというふうな激励の意味にもなるわけですから、この際きちっとした態度で臨まれたらいかがですか。
  124. 河毛一郎

    河毛説明員 先ほども申しましたように、消防庁、検察庁、その他の御調査なりあるいは取り調べの進行状況に従いまして、運輸省といたしましてはただいまございました点も含めまして早急に行政処分その他の措置を考えてまいる、こう考える次第でございます。
  125. 安井吉典

    ○安井委員 行政処分だけではなしに、刑事的な対策もあわせてひとつお考えを願いたいと思います。  それから、こういうふうな危険物の問題についてはいろいろ法律があって、処理がまちまちなようです。たとえば、消防法はもちろん石油や硝化綿等の危険物についての取り締まりを当然やらなければならないことになっております。これのほうは消防庁の所管ですが、高圧ガス取締法、プロパン・ガスやアセチレン・ガス等は通産省の所管です。それから先ほど阪上委員からいろいろ質問のありました火薬取締法、これは火薬爆薬、花火等で、これも通産省の所管。それからいま問題になってまいりましたように、こういうふうに物の対象による区分のほかに、この危険物はそれが製造される段階が一つ、それから運搬される段階が一つあると思います。それからもう一つは倉庫へ貯蔵されるという段階、こういうのがあるわけです。危険物が運搬されるときには、火薬はおそらく船に積まれたり、トラックやその他で運ばれるわけですが、それもまた最近の交通事情から重大な事故が起きるおそれがあるわけで、道路交通法の中にもそういったような条文があったように記憶いたしておりますが、つまりその対象による区分と、それからそれが製造や輸送や貯蔵や、そういうふうな各段階における監督、こういうふうに縦横に問題を分けて考えてまいりますと、火薬取締法対象にこれを入れていいのかどうかとか、ここからここは消防庁の所管で、ここからは通産省の所管だとか、先ほどもいろいろやりとりがありましたけれども、そういうようなことで問題の解決はちっとも前進しないのではないか、こう思うわけです。どうでしょう、これは通産も、それから消防庁運輸省もきょうはお見えでございますが、これらの危険物の取り締まりについての全体的な法制について、保安対策上この際再検討が必要ではないか、こう思うわけでありますが、ひとり御意見を伺っておきたいと思います。
  126. 松村清之

    松村説明員 消防庁としましては、ただいまお話のような今日の危険物関係の行政といいますか法律といいますか、これがいろいろ責任者が分かれておりますことにつきましては問題だというふうにかねがね考えておるのでございます。特に末端の消防関係者の中においては、これを一元化することが望ましいという声が強いのでございます。ただ、今日それぞれの目的をもって、それぞれの行政機関でこういう対象物を取り上げておることでございますし、これをどういうふうにしたらいいかということは今後の問題として真剣に考え段階にきておるのではないかと思いますけれども、これらにつきましては関係各省にまたがる問題でございますから、話し合いをした上で結論に達すべき事柄ではないかと考えております。
  127. 河毛一郎

    河毛説明員 ただいまの問題につきましては、運輸省といたしましては、倉庫業を監督いたしております。また特に危険品倉庫その他につきましては、従来とも消防法等の指定する危険物品につきまして、大体それの基準に基づく建物構造物等を前提として許可なり認可をいたしてまいったわけでございますけれども、今後とも消防庁その他と密接な連絡をとりまして、御趣旨に沿うようにいたしたい、こう考える次第でございます。
  128. 内丸邦彦

    内丸説明員 火薬及び高圧ガス両方を含めまして、御指摘のありましたとおり、現在の規制のやり方、特にその危険物相互間の関係というような点につきまして、最近の事故というようなものもあわせ考えまして、改善すべき点があるのではないかというふうに確かに考えられるわけでございます。そういう点につきましては、私どものほうも、消防庁その他関係の向きと十分相談いたしまして、改善の方策を考えたいというふうに考えております。
  129. 川井昌吉

    ○川井説明員 警察の外勤課長でございます。外勤課でございますので、直接扱っておりませんので、いまの点につきまして警察庁としての考えということになりますと、私からお答えしにくいのでございますけれども、いま消防庁あるいはほかの関係の官庁の方から申し上げておるように、警察といたしましても、その機関に対しまして総合的な意味の調整あるいは意見の交換をいたしたいというふうに考えております。
  130. 安井吉典

    ○安井委員 大臣にひとつお願いしておきたいのですが、先ほども、地方行政連絡会議で、地方の広域行政のためには行政の連絡を緊密にするのだということをおっしゃったけれども、しかしそれよりも前に、中央官庁の行政連絡の方法をひとつしっかり私はお願いしたいと思うわけです。地方のほうで、幾ら市町村や出先のほうが連絡をとれといったって、実は中央の役所のセクショナリズム、大元がどうにもなっていないのじゃ、地方ではこれは手の施しようがないということです。ですから、まあ大臣は今度は自治大臣としてのお立場があるので、消防は直接の問題になられましたけれども、池田第三次内閣の閣僚という立場から——保安行政というものは新しい段階において、これから重要な問題になってくるのじゃないか。保安を含めた公害ですね。広くいうと公害になりますけれども、特に人間の命に直接関係があるのはこの保安の問題でございますので、もう少し閣議の中でも強力に御発言を願って、こういう重大な段階でございますので、きょうはこの問題に限定いたしますけれども、ひとつ特に御努力を願いたいと思うのですが、いかがですか。
  131. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 ただいま安井委員から御指摘になりました各官庁の連絡と申しますか、その点は私も気がついております。御指摘のように、自治省としての権限ですべてができるわけではございませんけれども、何と申しましても、これらの問題の第一線は市町村なり府県が取り扱っております。したがいまして、私は、これらの府県あるいは市町村の仕事のやりやすいようにすることが自治省としての責任でもあろうかと思います。いまさしあたり、御指摘になりました危険物の取り扱い等につきまして、戦前はある程度これが一本化していたように思いますけれども、戦後のいろいろな行政機構の改革に伴いまして、それぞれ分散をして、それなりにいい点もございますが、また御指摘のように連絡のつかぬ点もございます。これは法律をいじってどうするという問題もあるかもしれませんが、しかし同じ内閣のことでございますから、地方庁の仕事のやりやすいという点からかんがみまして、特にまた人命尊重という点は、私ども警察の重大な使命でございますから、御指摘の点は、私も十分心得て発言もし、努力をするつもりでございます。
  132. 安井吉典

    ○安井委員 時間がないですから、大急ぎでもう一つだけ伺って終わりたいと思いますが、先ほど阪上委員の質問でも、科学消防に対する体制強化の問題を、一つは企業の側にも義務づけてやるべきだということ、それからもう一つは市町村の側においても体制を十分に確保させるべきだという、こういう趣旨の質問があったわけでありますが、特に市町村の側に対しては、やはり消防施設基準をこの際再検討してはっきり示して、これだけのコンビナートであるとかあるいはその他の施設が——石油コンビナートが一番問題になるわけでありますけれども、そういうようなところはこれだけの施設が要るとか、そういうような施設をはっきりお示しになることが非常に重大ではないだろうか、あるいは施設を高く進めると交付税の関係があって、大蔵省が文句を言う、いつもそんなようなことがあるようでありますけれども、ここはひとつこの際ですから、ぜひ御努力を願いたいと思うわけです。  それからなお高率補助の問題も、先ほど長官が言明されておりましたし、そういうふうな点についても御努力を願いたいわけですが、もう一つ、薬剤補給の問題です。地方へ参りますと、相当大きな町も、なるほど化学消防車は持っておるわけですよ。ところが、聞くところによりますと、その有効期間は三年ぐらいだそうですね。三年たったら一体どうなるかということで、実際——たとえば札幌なんかも持っておるようですが、いま積んでおる分しかないわけですよ。それは初期消防分だけですよ。それをどんどん更新していくということになると、補給財源を一体どうするか、これがまた相当な重荷になっておるようです。ですから、相当大きな町でなければ化学消防車を持っていない。こういう点がまず一つですね。化学消防車を持たせることが第一に必要ですが、それと同時に、薬剤補給の問題についても、これは消耗品的なものですから、なかなかめんどうな点もある。財政措置にはめんどうな点があるかもしれませんけれども、やはり特別な考慮が必要ではないかと私は思うわけです。東京都だって、今度全部の車をあそこでやったのなら、人的の問題は別としても、おそらく相当な出費になっているんじゃないかと思う。地方で起きた場合には、それこそたいへんなことになるわけですね。そういう点で、先ほどは施設そのものについての問題提起がございましたが、私はその補給薬剤の問題をも含めてこの際考えるべきではないかという点を申し上げておくわけですが、いかがですか。
  133. 松村清之

    松村説明員 初めの消防力の基準の問題につきましては全く同感でございまして、現在は昭和三十六年につくりました消防力の基準に基づいて、消防施設整備十カ年計画を立てておりますが、これはやはり今日の事態にかんがみて、もっと科学化した体制に持っていきたい、そのために消防力の基準そのものも検討したいと考えておりますが、当面予算案の編成までにはそういうことが間に合いませんので、先ほどちょっと申しましたが、消防庁自体でとりあえず科学消防の三カ年計画というものをつくって来年度予算要求したい、こういうように進めておるのでございます。  それから、あと消火剤の問題、これは実はまことに大事な問題で、先般の新潟の昭和石油の火災につきましても、東京からトラックあるいは空輸で消火剤を大量に運搬したのでございます。したがいまして、その経験にかんがみまして、実はいま各県に一カ所ぐらい備蓄するようなことを考えてみたい。それには国と県とが半々ぐらいの金を出し合って、そういう非常事態に対処して使える薬剤というものを備蓄しておく、そして必要な場合、そこから各市町村へ持っていくようにしたい、そういうような考えで現在予算というものを考えております。
  134. 安井吉典

    ○安井委員 その問題はさらにひとつ御検討願いたいと思うのです。  自治大臣に最後に一つ、最近における東京の最大の問題は、水のないことだと思うのです。いま火災の問題を論議しているわけですが、一体どうなんですか。現在の段階において、水の問題を処理できなければ、東京消防力がいかに優秀であっても、処理できないわけです。新聞によりますと、囲みで、池田総理大臣も、東京には都政がないと天を仰いで歎いたとかどうとかという記事がございますけれども、これはやはり東京都政に対する包括的な監督権を持っておられる自治大臣として、あるいは地方公営企業である水道行政にも自治省は関与されているわけでありますが、最大の問題ですから、これだけは、ここでどうする、こうするという具体的な御答弁は求めませんけれども、しかし、しっかりした決意を持って臨まれなければたいへんなことになると思いますので、その点だけ最後に伺っておきたいと思います。
  135. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 水の問題は御指摘のとおりでございまして、飲料水はもちろんのこと、いまの消防の点から申しましても重大な問題であるかと思います。内閣におきましても、河野国務大臣が中心になりまして、緊急の処置を講じております。何らかの打開の方法がつくのじゃないかと思っておりますが、この問題は私どもの所管から申しましても大事なことでございまするから、極力善処すべく努力をいたすつもりでございます。
  136. 森田重次郎

    森田委員長 細谷治嘉君。
  137. 細谷治嘉

    ○細谷委員 時間がありませんから、十分程度御質問いたします。補足的でありますけれども、この原因について、先ほど松村長官から、野積み硝化綿が、自然発火ということばは使いませんでしたが、自然発火した、こういうことでありますが、きょう初めてそれを聞いたのですが、そのとおりでありますか。
  138. 松村清之

    松村説明員 この出火の問題につきましては、まだ確定的というわけにはいかぬかと思いますけれども、ただいまのところ、大体その最初の発火は野積み硝化綿から出ておる、いま調査の結果、現段階ではそういうふうになっております。
  139. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そこで、この原因は、どう見ても宝組が、もう弁解の余地のない責任があるということははっきりしております。しかし、七月十日に大井消防署野積み硝化綿を発見して、そして新聞によりますと、五日の期限をつけてこれを処理しなさい、こういう期限つき勧告をしておるのですね。ところが四日目の十四日に事故が起こっておる。昨年十一月九日に大牟田で三池の大爆発があったのです。そのときも六月二十一日に鉱山保安監督局が、爆発原因がここにある、危いと言って指摘して、処理しなさいと言っておったものが、処理されないままに半年後の十一月九日に、指摘されたその場所爆発原因になっておるのですね。今度の場合も指摘しておるのです。期限をつけたと新聞には書いておる。松村長官はおっしゃっておりませんけれども、とにかく五日以内と新聞に書いてある。ところが四日目にやっておる。そうなってまいりますと、これは監督行政にあたっておる人がせっかく図星に指摘しておきながら、みすみす事故を起こしておるところに問題がある。人が足らぬのだ、そういうことを消防庁のほうは言っておるということでありますが、危険性があったものを五日で——この場合は四日目にやられたのですからしょうがないとおっしゃるかもしれませんが、期限をはっきり確認しておって、そこから起こったのですから、これはやはり消防監督官庁として責任は免れないと思うのですが、いかがですか。
  140. 松村清之

    松村説明員 ただいまお話しのように、数日前に予防査察をいたしまして警告を出しております。ただ、そのあとにおいてこれを確認するということをするつもりであったようでございますけれども、何しろそのほかにもたくさん査察をしなければならない個所がありますために、その間大井の事故が起きたということは、いまから考えますとまことに残念ではございますけれども、しかし、当時の事情といたしましては、数少ない予防査察の人が管内の対象物を全部査察に回るという、そういう事情から考えまして、そこまで消防担当者の責任というものを追及することは過酷なことではなかろうか、そういうふうに私は考えております。
  141. 細谷治嘉

    ○細谷委員 これはきわめて悪質で、十日の日に確認したのは百本というし、百リットルと新聞は書いております。おそらく百本ということでしょう。そうなりますと、その後に、火災事故の起こるまでの四日間に、新聞によれば十倍くらいふえているわけですね。しかもその十倍の量は、消防庁許可した基準を数量としてどうも越していると思うのですよ。ちょっと問題があると思うのです。ただ、指摘しました。私の責任は終わりました。——たまたま三池と同じようです。私どもは指摘しました、向こうはやっておらぬのだ、こういうことなんですね。こういうことから最近の事故が起こっているところに問題があるのであって、あとで行くつもりだったと言う。いまはそうおっしゃいますけれども、実際は十四日に起こっておらなかったならば十六日に検査したかどうかわからぬですよ。たいへんな問題なんです。  さらに私が申し上げたいことは、二三%以上あればいいのだ、こういう内丸課長さんのお話、そうしてそれは火薬じゃないのだとおっしゃる、こういうところに現在の体制なり監督行政に非常に大きな穴があるのじゃないですか。これはもう質問しても、時間がありませんから申し上げませんが、そういうことから言いますと——根本的な消防体制の問題でありますが、監督官庁の機構の充実、人員の適正な配置、こういうことと、それからなわ張りの問題で申し上げましたが、私がお聞きしたい点は、赤澤大臣が新潟へ見えられて帰ってきまして、この委員会で言明した点と、新自治大臣がきょうお答えしたところでは、赤澤大臣が相当固い決意でこれを強化するとここで述べられたことよりもどうも後退しているように思うのです。新大臣はその辺の詳細な前大臣の決意をお聞きになっておらぬと思うのですけれども、少し後退しているのではないかと思うのです。ひとつ前大臣の決意——その上に今度は品川事件が起こったのですから、重大な決意を持ってこれに対処していただきたいと思うのですが、一言だけ大臣から……。
  142. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 前赤澤大臣がどういう決意を申し上げましたか私は承っておりませんが、先ほど来申し上げまするように、南品川の問題にしろ、また新潟の問題にしろ、これは確かに消防力というものについてもっと考え直さなければならぬという固い決意を私も持っております。予算措置等はいま検討中でございまするので、赤澤さんの発言も私はあとで見まして、赤澤氏に劣らない努力をする考えでございます。
  143. 細谷治嘉

    ○細谷委員 これに関連して、先ほど松村消防庁長官はたいへんりっぱなことをおっしゃられたのです。松村さんは新潟でさんざん苦労されたと思うのです。御苦労さんでした。先ほど、新しい産業に対応するような、たとえば化学消防車、そういうような施設については高率補助で三カ年計画でやるのだとおっしゃる。私がお聞きしたいのは、この前も長官にお聞きしたのですが、現在自治省が推進している消防施設の充実というものが補助金等合理化の方針を受けて、ことしは去年より減っちゃったんですね。来年また減るんでしょう。その次はまた減るんでしょう。四年目にはゼロになるんですよ。そういう、一般の消防力については三分の一の補助で、しかもどんどん補助金は減っていく、物価はどんどん上がっていく、そういう中でそれは一体どうするのか、そして新しい体制に対しては高率補助でいくんだとおっしゃっていますけれども、ことばは非常にけっこうでありますけれども、現実味がないんじゃないかと思いますが、重大な決意できょう御発言なさったと思うので、ひとつ決意をはっきりお答えを願いたい。
  144. 松村清之

    松村説明員 この消防庁の強化につきましては、いまお話しのように、昭和三十六年から消防施設整備十カ年計画というものをつくって、国の補助金をもってやっております。いまお話がございましたが、補助金はことしは減っていません。去年と同額でございます。昨年補助金合理化の方針が出まして、これを減らすという問題がありましたが、まずこの現状に据え置いたのでございますが、この点は来年度の予算編成についても問題になるかと思いますが、私はこの席でいつかも申しましたように、消防整備十カ年計画の達成のためには、これを減らしては困りますので、減らさないようにひとつやっていきたい。この上に加えて、先ほど申しました消防の科学化の三カ年計画というものをやっていきたい。したがって消防の科学化をやりますために、従来の十カ年計画を犠牲にするわけではございません。従来の十カ年計画の上にひとつ消防の科学化三カ年計画をやっていきたい、こういう考えでございます。
  145. 細谷治嘉

    ○細谷委員 ちょうど大臣、事務引き継ぎも十分でないようでありますから、お願いし、ひとつかたい決意でやっていただきたいと思います。減っておらぬとおっしゃいました。金額は減っておりません、しかし物価が上がっておりますから実質的には減っております。現に今度示したポンプあたりの基準も上がっておるのですから、前のとおりの台数を買えないということははっきりしているのです。七億円です、来年は五億円です、さらには三億円になる、それを消防庁はのんでいるのです。そういう木のもとのほうを枯らしておって、そうしてこれから、事故が起こったから新しく来年から三カ年計画でやるといっても、これを私ども信用できません。努力するとはおっしゃっておりますけれども、やはりもとをきちんとやって、そして新しい時代に即応するような態勢を整えていくという考えが絶対必要だろうと思います。これについて大臣、そういう基本的な考えで是が非でもこれだけは守るということを一言言明していただきたい。
  146. 吉武恵市

    ○吉武国務大臣 御指摘の点、私も十分検討いたしまして、従来よりも減るなどということは毛頭考えておりませんから、十分強化するよう努力いたします。
  147. 森田重次郎

    森田委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十三分散会