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1964-06-25 第46回国会 衆議院 地方行政委員会 第59号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月二十五日(木曜日)    午前十一時九分開議  出席委員    委員長 森田重次郎君    理事 田川 誠一君 理事 渡海元三郎君    理事 中島 茂喜君 理事 永田 亮一君    理事 川村 継義君 理事 佐野 憲治君    理事 安井 吉典君       大石 八治君    大西 正男君       奧野 誠亮君    亀岡 高夫君       亀山 孝一君    久保田円次君       武市 恭信君    登坂重次郎君       村山 達雄君    森下 元晴君       山崎  巖君    和爾俊二郎君       秋山 徳雄君    阪上安太郎君       重盛 寿治君    千葉 七郎君       華山 親義君    細谷 治嘉君       栗山 礼行君    門司  亮君  出席国務大臣         国 務 大 臣 赤澤 正道君  出席政府委員         警  視  監         (警察庁警備局         長)      後藤田正晴君         自治政務次官  金子 岩三君         自治事務官         (財政局長)  柴田  護君         消防庁次長   川合  武君  委員外出席者         通商産業事務官         (軽工業局無機         化学課長)   内丸 邦彦君         中小企業庁次長 阿部 久一君         自 治 技 官         (消防庁消防研         究所研究第二部         長)      堀内 三郎君         専  門  員 越村安太郎君     ――――――――――――― 六月二十日  委員大石八治君辞任につき、その補欠として野  呂恭一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員野呂恭一辞任につき、その補欠として大  石八治君が議長指名委員に選任された。 同月二十三日  委員亀岡高夫君辞任につき、その補欠として河  本敏夫君が議長指名委員に選任された。 同日  委員河本敏夫辞任につき、その補欠として亀  岡高夫君が議長指名委員に選任された。 同月二十五日  委員武市恭信君及び森下元晴辞任につき、そ  の補欠として岸信介君及び石井光次郎君が議長  の指名委員に運任された。 同日  委員石井光次郎君及び岸信介辞任につき、そ  の補欠として森下元晴君及び武市恭信君が議長  の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 六月十九日  水道料金値上げ抑制に伴う財政措置に関する請  願(岩動道行紹介)(第四六〇三号)  同(田口長治郎紹介)(第四六〇四号)  同(橋本龍太郎紹介)(第四六〇五号)  同(小沢辰男紹介)(第四六四三号)  同(藏内修治君外三名紹介)(第四六四四号)  同(栗林三郎紹介)(第四六四五号)  同(關谷勝利君外六名紹介)(第四六四六号)  同(田中正巳君外十二名紹介)(第四六四七  号)  同(塚原俊郎君外十一名紹介)(第四六四八  号)  同(小坂善太郎紹介)(第四七五三号)  同(川野芳滿紹介)(第四八一七号)  同(大竹太郎紹介)(第四八一八号)  同(田中彰治紹介)(第四八一九号)  同(塚田徹紹介)(第四八二〇号)  同(坪川信三紹介)(第四八二一号)  道路交通法廃止等に関する請願川上貫一君  紹介)(第四六四一号)  同(林百郎君紹介)(第四六四二号)  固定資産税引き上げ反対等に関する請願外一件  (加藤進紹介)(第四七九八号)  固定資産税増税及び評価替え反対等に関する  請願加藤進紹介)(第四七九九号)  固定資産税評価替えによる増税反対等に関す  る請願外二件(川上貫一紹介)(第四八〇〇  号) 同月二十二日  水道料金値上げ抑制に伴う財政措置に関する請  願(井村重雄君外五名紹介)(第四九一五号)  同(稻葉修君紹介)(第四九一六号)  同(大久保武雄君外八名紹介)(第四九一七  号)  同(渡邊良夫紹介)(第四九一八号)  同(井伊誠一紹介)(第四九五五号)  同(佐々木義武紹介)(第四九五六号)  同外一件(高橋清一郎紹介)(第四九五七  号)  同(中村寅太紹介)(第四九五八号)  同(藤井勝志紹介)(第四九五九号)  同(山下榮二紹介)(第四九六〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 六月二十日  固定資産改正評価制度等に関する陳情書  (第七五一  号)  市町村民税改正に伴う減収補てんに関する陳  情書(第七五二  号)  人車左側通行統一に関する陳情書  (第七五三号)  道路交通安全対策に関する陳情書  (第七五四号)  地方公務員停年制度早期実現に関する陳情書  (第七五五号)  地方行政運営円滑化に関する陳情書  (第七五六号)  個人事業税撤廃等に関する陳情書  (第七五七号)  地方開発に対する国家資金の配分に関する陳情  書  (第七五八号)  有料道路の起債に関する陳情書  (第七五九号)  空港整備事業開発指定事業指定に関する陳  情書  (第七六〇号)  交通事故防止に関する陳情書  (第七六一  号)  固定資産改正評価制度に関する陳情書  (第八三八号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  閉会審査に関する件  警察及び消防に関する件(新潟地震災害に関す  る問題)      ――――◇―――――
  2. 永田亮一

    永田委員長代理 これより会議を開きます。  委員長所用のため、委員長指名により暫時私が委員長の職務を行ないます。  閉会審査申し出の件についておはかりいたします。  地方自治に関する件、地方財政に関する件、警察に関する件、消防に関する件、以上各件につきまして、閉会中もなお調査を行なうことができますよう、議長に対し申し出をいたしたいと任じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 永田亮一

    永田委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————
  4. 永田亮一

    永田委員長代理 次に、委員派遣承認申請についておはかりいたします。  閉会審査にあたり現地調査の必要がありました場合には、委員長において適宜委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 永田亮一

    永田委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、派遣地派遣期間派遣委員選定等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 永田亮一

    永田委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————
  7. 永田亮一

    永田委員長代理 次に、閉会審査案件が付託になりました場合、本会期調査のため設置いたしました地方公営企業に関する調査小委員会につきましては、閉会中もなおこれを設置し、調査を進めたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 永田亮一

    永田委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、おはかりいたします。  小委員及び小委員長は、従前どおりとし、その辞任許可及び補欠選任等につきましては、委員長に御一任願いたいと任じますが、御異議ありませんか。   「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 永田亮一

    永田委員長代理 御異議なしと認めます。よってそのように決しました。      ————◇—————
  10. 永田亮一

    永田委員長代理 なお、この際おはかりいたします。  閉会中の理事辞任許可及び補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 永田亮一

    永田委員長代理 御異議なしと認めます。よってそのように決しました。      ————◇—————
  12. 永田亮一

    永田委員長代理 次に、警察及び消防に関する件について調査を進めます。  まず、新潟地震による被害状況及び応急措置概要について政府当局から説明を求めます。消防庁川合次長
  13. 川合武

    川合政府委員 新潟地震状況並びに私ども消防のとりました措置につきまして、御報告申し上げます。  タイプで印刷いたしました資料を提出いたしました。その末尾に三県、新潟山形秋田等の各県の被害の一覧を添付いたしました。初めのほうに昭和石油火災につきましてしたためました。この報告書を出しました資料の補足並びに要点を申し上げます。  二ページ目の第二パラグラフのところに書きましたように、当日の午後四時に新潟県高田市の県の支庁からの連絡によりまして、新潟市の被害状況を私どもは知りました。その晩、災害防御の担当をいたしております課長を、大臣と御一緒に当地におもむかせましたし、また私ども消防庁長官は、その翌朝の六時に、これは臨時災害対策本部現地本部長としてでございますが、おもむきました。その他この火災特殊性からいたしまして、技官二名を派遣いたしましたし、また翌日の払暁には、私ども技官自衛隊のヘリコプターに乗りまして状況を見る等の措置を行ないました。  以下、その状況につきまして申し上げますが、御承知のように今回の昭和石油タンク火災につきましては、率直に反省いたしまして初期消火に失敗をいたしました。昭和石油の火がつきましたときに、会社化学車を持っておりましたが、応急措置ができませんでした。また当新潟市の消防署には化学車がございませんでした。簡易なるあわ薬剤を出す、いわば簡易化学車とも言うべきものは持っておりましたが、本式の意味の化学車は一台もございませんでした。さようなこともありまして、初期消火に失敗したと率直に反省せざるを得ない状況でございます。ことに燃え出しましてから非常に火勢が強まりましたので、薬剤緊急輸送しなければならない状況になりまして、東京からその晩トラックで警察のパトカーの先導の協力を得まして急遽送りましたのをはじめ、翌日の払暁から自衛隊輸送機並びに一部分米軍の飛行機によりまして、この三ページ目に書きましたように合計十一万リットルのあわ薬剤、それから粉末薬剤ノズル等緊急輸送いたしたわけでございます。この薬剤が到着いたしましたのが翌十七日の朝でありまして、大体二十時間くらいたっておったわけでございます。  そこでこの薬剤によりまして現地消防機関消火を試みましたが、これもまた率直に申しますと、薬剤は届きましたが、化学軍がございませんものですから普通のポンプ車の先を、送りましたノズルにはめかえまして、これでやったわけでありますが、時間も二十時間たって非常に火勢が強いものでございますから、この方式ではだめでございます。報告によりますと、あわ薬剤をかけましても、あわ薬剤か吹っ飛んでしまったような状況でございます。普通のガソリンタンク等の場合には、化学車を使いませんでも、普通のポンプ車ノズルをさしかえました操作できるわけでありますが、今回の場合はさような状況でございました。  前後いたしますが、その十七日の朝東京消防庁化学車五台を当地へおもむくよう要請いたしまして、東京消防庁化学車並びに近県の富山県高岡市の化学車現地に到着いたしましたのは翌々日の朝になりますので、大体四十時間くらいたっておったわけであります。化学軍がつきまして、先ほど申しましたように薬剤はさきに届いておりましたので、東京消防庁化学車先頭に立ちまして——これは水を使いませんと、やはり薬剤だけではだめでありますので、現地消防機関ポンプ車を並べまして中継送水をいたしまして、東京消防庁化学車が一番先頭でこれをやったわけであります。それ以後は大体消火をいたすことができたわけであります。  この状況につきまして簡単に申しますと、大体高さが一番高いところで三尺くらいというようなことでありますが、それくらいのあわの壁をつくってそれを押していくという作業を一日半、この化学車フル運転したという報告を受けております。タンクの上から出ております火についてはもはやどうすることもできませんので、隣のタンクに移るのを防ぐわけでありますが、お察しのようにタンク自身が焼けただれておりますので油が漏れてきて、その上に火が乗って隣のタンクに移っていくわけでありますので、その空間、大体各タンク間千数メトールあるわけでありますが、その間にあわ消火剤の壁をつくって、一日半くらいフル運転で火の勢いをとめたわけであります。ちょっとゆるめますと、火の勢いが強くてあわの壁を押してきてしまう、押しっこみたいなことを一日半やりました。でありますから燃えておりますタンクについては、燃え切ってしまうのを待つという状況であったと言わざるを得ないのでございますが、流れ出て隣のタンクに移るのを防ぐのに、ただいま申しましたような状況を続けまして、自後は大体これを押え切ることができました。  四ページ目のおしまいに書きましたように昭和石油の場合は八十基のタンク——これは数え方がいろいろございますが、私どものほうが会社と確認し合った計算方法で八十基という数字が正確というふうに思っております。この八十基のうち五十九基を焼きまして、二十一基だけをただいま申しましたことで防ぎとめておりますが、何ぶんにも五十九基というものを焼き切っております。亜細亜石油の場合は七基のうち四基を焼き切りまして、三基だけを食いとめております。この消化剤緊急輸送のところで、三ページ目の六月十七日のところにありますように、米軍が一万リットルのあわ消火剤を送っております。それは一部には米軍が上から直接消火のために消火剤を落としたがごとく言われておりましたが、これは間違いといいますか、不正確な表現でござまして、米軍も、私ども自衛隊機で送りましたのと同じ緊急輸送をしたのでございます。したがいまして、直接火の上へこの薬剤を落としたのではございませんで、現場の近くにパラシュートでこれをおろすということで、私どものほうでやりましたのと全く同じ方式でございます。そしてこの一万リットルは米軍手持ちのものを送ってくれたわけでございますが、その薬剤の質も日本のものと同じものでございます。  以上が石油タンクに対します状況でございますけれども、申しわけないことには、その間におきまして、民家——これはもう工場にほとんど入り組んだような民家のところでございますので、防ぎ切れませんで三百二棟の民家を焼いたわけでこざます。その間また四エチール鉛あるいは水素ボンベ等の非常に危険なるものにつきましては、これを十分重点的に守りますと同町に、また自衛隊等協力で四エチル鉛はこれを他に運んで、そして危険を防いだ状況でございます。  以上が御報告でございますが、今回の火災にあたりまして、率直に現段階のわれわれの化学消防につきまして反省をいたしておりますし、ことに民家を焼きましたことにつきまして申しわけないと思っております。お尋ねもあろうかと思いますが、私ども科学消防反省のおもなる第一点は、かような石油コンビナートとも言われるような高度の石油化学工業の所在する地域消防機関化学車のなかったということでございます。東京から行きましてようやっと本式なものになった、かようなことでございます。  余談になりまして恐縮でございますが、東京から行きました隊長は、戦争中パレンバンの油田を守った男でございまして、相当な経験を持ったえり抜きの男でございましたが、その技術もさることながら、化学車がもしあったならということを反省せざるを得ないのでございます。また現在の危険物予防法規につきまして、防油堤の高さ、あるいは保有空地の問題等々、現在の法規的な面につきましてもこれが立ちおくれておったのではないかという反省をいたしております。これら等々を思いまして、今後の科学消防の充実について十分な決意と反省をしなければならない、かように考えておる次第でございます。
  14. 永田亮一

  15. 後藤田正晴

    後藤田政府委員 今回の新潟地震に伴います被害状況警察措置概要について御報告申し上げます。  まず被害状況でございますが、新潟県下におけるおもなる被害について申し上げますと、今回の災害は、新潟市を中心にして被害が局地的に発生をして、新潟市内におきましては堤防決壊あるいは地下水湧水、家屋の倒壊、傾斜、これらによって甚大な被害を受けております。そのうちおもな被害は次のとおりでございます。   〔永田委員長代理退席委員長着席〕  まず一つは火災発生でございます。今回の震災の特色としまして、市民の非常な御注意によって、こういった激震のさなかにも火元の措置が完全にとられたということで、火災発生か比較的少ない、これが不幸中の幸いであったと思うのでございますが、たまたま、先ほど川合次長からもお話がございましたように、昭和石油新潟製油所中心にしまして、石油タンク等の爆発、火災等発生をしまして、付近民家二百八十棟を類焼いたしております。その際に付近危険区域住民約六千五百人が保健所とか中学校に避難をしております。警察としましては、二百名の警察官を出動させまして、付近住民避難誘導避難先及び避難した地域警戒警備に当たっております。これも実は偶然でありますが、不幸中の幸いでありましたことは、昭和石油付近に私ども県警機動隊のも所がございまして、当日は全員あの時間にも所におったということで、そのままこれが出動できて警戒並びに誘導に当たることができた、こういうことでございまして、その間の警察措置を迅速にとることができたのはまことに不幸中の幸いだったと思っております。  次が浸水湛水による被害でございますが、信濃川河口付近新潟港付近及び通船川、新栗ノ木川の堤防決壊による浸水または溢水によって入船町、松島通り住家約一万二千棟が床上浸水をしております。  橋梁の損壊では、信濃川昭和大橋万代橋八千代橋が陥没、損壊して東・西新潟交通途絶をしたのであります。万代橋は六月十七日の昼ごろ二車線だけ通行が可能となりました。なお、八千代橋歩行者だけが通行が可能であったのであります。  おもな建物被害といたしましては、新潟地方検察庁、海上保安庁、東警察署中央警察署道場警察学校新潟駅、白山駅、県営アパート電電公社、佐渡汽船、福祉センター、ホテル新潟三洋ビル、松下電器、 こういった鉄筋の建物が陥没したり倒壊をしたりといったような被害発生をしております。  避難及び火災状況でございますが、火災発生住家の全半壊及び浸水等によって危険となりました地域住民は、避難命令により、または自発的に付近の小中学校に避難しましたが、避難収容者数は二万四千名でございます。なおまた、住家の全半壊住家全半焼、住家床上浸水等によって二万世帯、九万名が罹災をいたしております。  次に、山形県下の状況でございますが、山形県下は鶴岡市及び酒田市を中心にして被害が出ております。  プリントに出ておりますように、まず鶴岡市の京田幼稚園では木造の幼稚園舎倒壊して、これがために園児十五名が下敷きになって、三名が死亡、十二名が重軽傷という悲惨な事故発生をいたしております。  それから次に、道路損壊状況でございますが、激震地新潟山形秋田県下の一級国道七号線をはじめとしまして、一級、二級国道崩壊等損壊をし、一時交通途絶をしましたが、六月二十一日応急復旧によってとりあえず交通が可能となりました。  次に、災害救助法適用状況でございますが、新潟県では十八市町村、山形県では四市町災害救助法が適用されておるのでございます。  次に、民生安定の状況及び被害復旧状況でございますが、被災した各地方は、現地における救助活動の強化、生活必需物資市場安定等によりまして、流言飛語の発生もなく、こういった災害の際としてはきわめて珍しいと思われるほど平静を保っておるようでございます。  現在までの被害復旧状況でございますが、新潟山形の場合は次のとおりでございます。  まず、新潟県の電気のほうでございますが、これは新潟入船町、松島通り等の浸湛水地域を除きまして、ほとんどと復旧しております。  ガスは約一割が復旧水道新潟市内の約三割程度が復旧しておりますが、復旧していない地域につきましては、約二百車両によって給水活動が続けられております。  電話でございますが、市内線は約半数、市外線は約八割が開通をいたしております。  道路交通状況としましては、万代橋から帝石橋に至る一方交通措置を六月十七日から引き続いて実施をいたしております。と同時に、被災地における緊急物資の調達を確保するために、緊急輸送車両以外の車両による新潟市内乗り入れを制限する措置をとっております。現在、市内外通路交通は相当混雑はいたしておりますけれども、著しい渋滞というほどには至っておりません。  山形県のほうでございますが、水道酒田市において八割が復旧しております。復旧していない二割の地域につきましては、約二十車両によって給水活動が行なわれております。また、温海市におきましては、地震の影響により飲料水が混濁をしておりますので、山形市の給水車によって給水活動が続けられております。  以上が被害状況等でございます。  次に、警察措置概要について御報告申し上げます。  地震発生と同時に、甚大な被害発生が予想せられましたので、本庁といたしましては、新潟地震災害警備本部を設けまして、地震被害情報収集関係管区警察局及び関係県警察災害警備実施指導並びに連絡調整に当たると同時に、内閣その他の関係方面との連絡情報伝達等に当たることにいたしたのでございます。  同時に、現地に当日私のほうの参事官を派遣をする、また私のほう及び交通局からも理事官をそれぞれ一名派遣をして、現地指導に当たらせる、こういう措置をとったのでございます。  なおまた、今回の災害警備が、大体こういう際になかなかうまくいかないのが実態でございますが、比較的私どものほうとして迅速な処置がとれましたのは、何ぶんにも国体の直後であったということで、警察の動員その他の訓練といいますか、やり方が非常になれておったということと、また装備資機材国体関係で各地から援助しておりましたものを、そのままの姿で使えたということ、こういうことでございましたが、この装備資機材等につきましても、なお不足のものが投光器なり発動発電機なり、大型の輸送車等にございましたので、これらを中央から応援派遣を求めたのでございます。  また、災害対策基本法に旅づきます。新潟市に対する緊急輸送確保のための緊急輸送車両以外の車両通行を制限をするということを新潟公安委員会実施をいたしましたので、中央としましては、新潟市に衣料、薬品、食糧等救援物資を輸送する車両につきましては、その確認を行なうという指貫を、警視庁をはじめ隣接県警察にとらせております。  また、被害状況あるいは交通状況等の通知、あるいは市民各位からのいろいろ御心配になっておられる事柄についての御照会に対する回答、いわゆる広報活動というものを中央としては実施をいたしたのでございます。  次に、管区警察局としましては、やはり災害対策本部を設けまして、当日三時に公安部長現地派遣をする、また通信部有線課長も同時に派遣をする、そして現地状況を見て新潟県警指導援助を行なう、こういうことをいたしたのでございますが、こういう措置東北管区警察局についても同様でございます。  関係県警察措置としましては、激災地新潟山形秋田警察では、地震発生と同時に県警本部及び各警察署災害警備本部を設けまして、警察官の出動をさせ、避難誘導罹災者の救出、集団警ら危険個所の警戒、犯罪の予防取り締まり、交通の規制、民心安定のための広報活動、こういう活動を行なっておりますが、今日まで治安状況は全般的に平穏に推移をしておりまして、特別治安上問題になるという事態の発生はございません。  また、今回は災害警備総合相談所というようなものを直ちに県警本部及び新潟中央署につくりまして、市民の相談に当たり、民心の安定に資する活動もいたしております。  なおまた、罹災者名簿をつくりまして、安否問い合わせ等に応じてまいる、こういうこともやっております。  また、暴利行為等の未然防止、こういうようなためにも特別視察取り締まり班をつくって、予防取り線まり、広報活動実施しておるのでございます。  特に新潟市におきまする震災後の犯罪の発生状況ですが、一部新聞等にも出ましたが、常識で考えられぬような集団の倉庫破りの事件、しかもこれは海運局の港内艇を使った犯罪でございますが、こういった犯罪等もございますけれども、しかし全般的に見ますと、昨年の同期と今日の状況を比べてみますと、犯罪の発生は非常に減っております。昨年の六月中には一日平均四十三件発生しておりますが、今日新潟市内等では十六、七件の発生件数で、これをもって見ましても、震災のあととかく起こりがちないろいろな犯罪が非常に少ない、つまり民心が非常に安定をしておるのではなかろうか、こういうふうに見られておるのでございます。  なお、私どもとしましては、今回の震災は被害がきわめて局地に集中しておる、火災があったということで、人のからだにたとえてみますと、外傷が比較的少ない、しかしながらやられたところは、内部は非常に深い傷を受けておる、こういうことが考えられるわけでございますので、これが本格的な復旧には相当な時間と命が要るであろう、その過程でいろいろな事件も起こるかもしれぬといったようなことで、今後とも治安の維持という点については万全の態勢をとってまいりたい、こういうふうに考えておるのでございます。  以上で御報告を終わらしていただきます。     —————————————
  16. 森田重次郎

    ○森田委員長 次に、本問題について質疑の通告がありますので、順次これを許します。森下元晴君。
  17. 森下元晴

    森下(元)委員 今回の新潟地震により、新潟県、山形県、秋田県に大災害発生したわけでございます。新聞等で報道されたように、関係地区は交通、文化、産業、教育また公共施設等に深刻な大打撃を受けたわけでありまして、心から御同情申し上げるとともに、復旧、復興の早からんことを折るわけでございます。幸いにも閣僚中で赤澤自治大臣が現地に飛びまして、比企安定のために、復旧のために非常に努力されたことは、われわれ地方行政委員会に席を置く者として非常に意を強くしておるわけであります。  私は、命を受けまして山形秋田同県に震災のお見舞いと視察のために、十九日より二十二日まで国会より派遣されたわけでございまして、非常に短期間でございましたが、つぶさに災害現地を見てまいったわけでございます。特に私は、去る昭和二十一年十二月の南海大震災で面接地震、津波の被災者でありまして、ひとしお感ずるところが深かったわけでございます。  今回の震災につきまして第一に私がお尋ねしたいことは、今回の大震災によってこうむった物質的な損害に対しては、調査を適切にすれば被害金額が判明するわけでございまして、それに対しまして財政援助、金融措置等の処置ができるわけですが、世代科学をもってしても予知し得ないこの地震災害に対する住民の方々、または地方自治体の受けた精神的な打撲というものは、将来復旧、復興に対する意欲をいかに盛り上げるかという点につきまして、すなわち民生安定のための精神的の指導をいかにするか、この点をお尋ねしたいと思います。自治大臣おいでになりましたら、自治大臣にお尋ねしたいと思ったのですが、まだおいでになっておらないので、関係当局から御答弁願いたいと思います。
  18. 川合武

    川合政府委員 お尋ねの点でございますが、今回の地震につきまして民生の安定、いろいろの緊急的にやりますものも多々ありますし、またそれにつきましては適宜行なっておるわけでございますが、何ぶんにもお話のとおりでございますので、いわば実行と申しますか、私が申し上げるのははなはだ口はばったくて恐縮でございますが、地方団体との連携を密にいたしまして、諸般の財政措置等、迅速にこれを順次にでも行なっていくべきであるというふうに思っております。
  19. 森下元晴

    森下(元)委員 ただいまのお答えでは私不十分である。私の申し上げたのは資金的、物質的な面じゃなしに、精神的安定の方策をいかにするか、これは大臣がおいでになりましたときにもう一度お尋ねしたいと思いますので、次の問題に移ります。  新潟市が、新産都市の指定を受けておりましたのがああいう災害を受けまして、せっかく前向きで新産都市の実況ということで努力しておったのですが、ああいう大震災のためにいわゆる足を引っ張られた、こういうことで将来新潟市の、この地区の新産都市の実現に対する方策と申しますか、せっかく意欲に燃えておりながら、うしろ向きの姿勢をとらざるを得ない。いわゆる地域格差是正が現在の政治の方向であるのに、ああいう震災のために一応うしろを向かざるを得ないということに対して、将来どういうふうに指導していくか、援助していくか、この点についてお尋ねしたいと思います。
  20. 柴田護

    ○柴田政府委員 新産業都市建設地区の問題につきましては、直接所管ではございませんけれども、政府といたしましては、すでに指定をいたしておるわけでございます。復旧問題とはおのずから別個の問題だというふうに考えるわけでございます。私どもといたしましては、とりあえず復旧の問題に財政、行政的に全力をあげてこれを支援する。そして必要な措置は早くいたしまして、まず復旧をする。しかし新産業都市の問題といたしましては、一定の指定というものが、あの地区の地震ということについてどのような影響を受けるかということについて、別個の検討が必要でありましょうけれども、それはその検討をいたした上でどうするかということを考えていったらいいと思うのでございまして、私どもといたしましては、政府といたしまして一応指定いたしました以上、既定方針に従って新産業都市建設の方向で考えていくべきであろう、またそれに従って必要な施策を立てていくべきであろうと考えております。
  21. 森下元晴

    森下(元)委員 ただいま御説明があったわけでありますが、その点よろしくお願い申し上げたいと思うのですが、ただ非常にハンディキャップがついたという点でほかの地区以上に検討しなければいけない、このように思っております。それと新産都市というものが、ほとんどの地区がいわゆる海岸地帯でございまして、今回の震災を見ましても、特に地盤関係、この点を考えなければいけない。特に重工業地帯である場合には、ボーリングその他の方法によって、地盤というものを十分に研究しなかったならば、ああいう災害が起こると思っておりますが、その対策について簡単に御説明願いたいと思います。
  22. 柴田護

    ○柴田政府委員 おそらくはお話のような事態が起こってまいるかと私ども思うのでございます。またそういうことをいたしてまいりませんと、せっかく建設いたしました都市が、あとで妙な形になってしまうというおそれもあろうかと思うのでありまして、当然そういうことは行なわれなければならぬだろうと思います。しかしそのためにハンディキャップとおっしゃいますが、現在十三地区の中でもいろいろ進度はまちまちでございまして、それをどうするかということは、結局建設計画をつくります場合に、どうするかということの問題になってまいりますが、その点につきましては私どもといたしましても、御心配になるような妙な事態が起こりませんように、十分地方自治行政という立場から主管省である経済企画庁に配慮を要請いたしてまいりたいというふうに考えております。
  23. 森下元晴

    森下(元)委員 工場誘致というものは、水とか労働力とか電力とか港湾、そういういろいろな条件があるのですが、それ以上に、いわゆるプラスアルファ的なものかなければ、魅力ある地域として大工場はこないと思うのです。そういう点で今回の地震によってプラスアルファじゃなしにマイナスアルファができた。そういう点で新潟関係の方々は非常に心配しており、また住民の方もああいう火災のために類焼を受けておるということで、不安な気持ちもあると思うのです。こういう点においても、ただしゃくし定木でなしに、マイナスアルファ面をプラスアルファ面にするように御指導願いたい。  その点はそれくらいにしておきまして、新産都市指定地域ではございませんけれども山形秋田の各市町村で、かなりの工場誘致をやっておるようでございます。こういうところでもかなりの損害が出ております。先ほど警備局長から御説明がございましたけれども、外傷は少ないが、いわゆる内出血と申しましょうか、打撲傷的なものであって、これが将来化膿するかもしれない。また小さな傷であっても、これが破傷風的な致命傷になるかもわからない、こういう点を考えましたときに、そういう小さな工場もございますし、特に中小企業的な工場がたくさんございまして、そういう会社がかなりの打撃をこうむっております。せっかく市町村が工場誘致をして、多くの地域の方々がいわゆる工場誘致によって潤っておる、こういう点においてどういう対策をお持ちになっておるか。いわゆる財政処置また金融処置について御説明願いたいと思います。
  24. 柴田護

    ○柴田政府委員 これは私からお答えするのは適当かどうかと思いますけれども、今回の地震災害復旧、特に地方財政面からの災害復旧につきましては、既存の制度を全面的に活用いたしまして、必要な時期に必要な措置を遺憾なくとってまいりたいと思っておりますが、御指摘のように、地震でございますので、おそらくは個人が受けられた被災というものは相当なものになるだろう、この個人の受けました災害に対してどのような救済措置をとっていくかということがやはり非常に大きな問題ではなかろうかと思います。農地等生産手段につきましては現在措置がありますけれども、それ以外のいまおっしゃいました工場その他の問題につきましては、やはり今後の災害復旧対策というものをどういたしますかという問題におきます一番大きな問題だろうと思うのでございます。私どもといたしましては、現在のところ、こうすべきだという結論は持っておりませんけれども、十分慎重に私どもといたしましても検討いたしまして、遺憾のないように措置する方向で努力してまいりたい、かように考えております。
  25. 森下元晴

    森下(元)委員 先ほど申し上げましたように、山形秋田は、新潟に比べまして、はでさがないということはことばに語弊がありますけれども、新聞でも報道されることが少ないし、非常に被害が少ないんじゃないか。一応、県なんかからの被害報告でも、山形が約五十億、秋田が十五億。現地へ行ってみますと、これからますます被害が出るかもわからない、現に出ているんだということで、いわゆる内出血的な病態でございます。たとえば、参りました温海町、こういうところでも大きな石が落ちてきまして民家に入っておる。今後豪雨があった場合、また小さな地震があった場合でも、それが落ちる危険性がある。こういう点、将来の地震に付随して被害が出るんじゃないか。こういう潜在的な被害が出かかっております。  また、鶴岡市周辺におきましても、せっかく田植えしました田が隆起いたしまして、これに水が当たらない。特に水を当てるための用水路が亀裂いたしたりいたしまして、せっかく植えた田がかれてしまう、こういうことになりますと、被害がますますふえてくるわけでございます。  その他、酒田市におきましても、また秋田県の象潟町、本荘市等、由利郡の被害等を見ましても、ますます被害がふえてくるのじゃないか、このように思っております。これに対して激甚災害地の指定ということを非常に地元は要望しておるようなわけでございまして、この点が激甚災害地として指定する基準に達するかどうか、こういう現地の心配があるようでございます。この点に対してどういう御処置をなさるかについて御質問したい。この問題につきましては的確なお答えをどこからいただいていいか、私自身わからないのであります。非常に各省にわたる問題でございまして、責任の所在というものがどうも究明しにくいような関係にございますので、その点ひとつ明確に、所管外でございましても明確にやっていただきたいと思っております。
  26. 川合武

    川合政府委員 激甚の指定につきましては、これは防災会議で議題になるわけでございますが、私ども承知していますところでは、来週中、しかも来週のなるべく早くその防災会議が開かれるということでございまして、関係機関いまその準備中でございます。
  27. 森下元晴

    森下(元)委員 こういう問題は、中央防災会議を開いて決定するというふうに規定されておるようです。できるだけいま御発言がございましたように中央防災会議を早く開いていただいて、早く決定していただきたい、このように思っております。  次に、御質問の内容が飛ぶのですが、私、秋田県の八郎潟に参りまして、八郎潟の災害も見てまいったわけでございます。先般の男鹿半島沖の震災のときに約三億円台の被害が出たそうです。しかし今回の震災によってはわずか数百万円であるということで、ああいうふうに海面下二メートルの干拓事業でございまして非常に心配しておったようなわけでございましたが、二回の地震でむしろ将来に対する不安がなくなった、自信を持って、これから干拓に精を出せる、こういうふうにいっておったわけでございます。二百メートルにわたる堤防をつくりまして中の水を外にほうり出して干拓事業をやっておるわけで、日本でも初めての事業と聞いております。オランダでやっておりますようにゼロ地帯——海面に比べましてゼロ地帯ということばがございますが、海面下二メートルまたは二メートル半の地帯というものは初めてでございまして、この点非常に震災に対する心配、特に津波に対する心配、高潮に対する心配というものがあったわけでございますが、今回の震災が一つの試練になりまして、この点地震災害というよりもむしろ試練によって自信を持ってやれる、こういう結果が出ておるようであります。これは御報告のようなことになったのでございますけれども……。  次に、消防関係でお尋ねしたいと思います。先ほど御説明ありましたように、ああいう油の炎上に対する今回の処置というものは、努力してもほとんど効果がなかったということでございまして、この点いろいろ産業の近代化に伴いまして火災の種類も多様多岐にわたると思うのです。それに対処いたしまして、消防関係も十分対処できるような体制をとっていただきたいと思っております。これに対して、非常に抽象的な質問でございますけれども、ひとつ御覚悟のほどを御発言願いたいと思います。
  28. 川合武

    川合政府委員 高度の化学工業に対します私ども消防体制でございますが、これが努力してもできないというものでは私はないと思っております。また、こういうような状況になりましたときにかように申し上げるのもはなはだ恐縮でございますけれども、今回の新潟におきましても、努力してもできなかったものというふうには思っておりませんでございます。先ほどちょっと申し上げました意味合いは、大都市には化学車もございます。しかし私ども消防の世界全体では、まだ化学車が全国的に少ないわけでございまして、新潟市の場合のごときは、それは置いておかなければならなかったわけでございますが、お察しのように普通消防車自体もまだ少ないというときで、そこまでの状況に至らなかった。率直に反省して私どものそういう面につきましての指導というものも足りなかったということで、もしありせばということでございます。かりに、比喩でございますが、東京消防庁の能力があればこれは完全に消えた。あんなふうにまでならなかったわけでございます。先ほども報告いたしましたように、東京消防庁が行って以来消しておるわけでございます。ただ時間が非常にかかっておるわけでございます。なお、われわれ自体の消防につきまして、そのほかの科学消防もいろいろさらに整備しなければならない、勉強しなければならない点も多々ございます。また法規面におきましても一例を申し上げますと、消火薬剤の保有というものは現在の消防法の規定でございます。ただ分量の規定がございません。ただ工場に保有しておるという、そういうだけの規定でございます。これなどもやはり初期消火に必要な分だけな科学的に算定いたしまして、そしてその量というもののめどをつけておくということはできるわけでございまして、これをいままでやっていなかったということは、追いついておらなかったということでございますが、早急にそういう点につきまして科学的な検討をいたしまして措置をいたしたい、かような考えでおります。
  29. 森下元晴

    森下(元)委員 先ほどの御説明の中に、アメリカ軍による空中よりの消火方法があった、これがあまり効果がなかったというふうに聞いておるのですが、この点どうでございましょうか。ああいう際に、効果的な空中よりの消火方法ができ得なかったものかどうか。落下傘で投下しなければならない。そうしなくても何かの方法で空中からの消火ができるのじゃないか。また空中からやるのが一番効果的である。こういうふうに私思っておるのですが、この点の御見解をお聞かせ願いたい。
  30. 川合武

    川合政府委員 今回米軍が行ないましたのは、空中からの消火ではございませんで、一部そういうふうに表現の不正確と申しますか不十分な点から、そういうふうに伝えられた点もあるのでございますが、これは初めからそういう消火をするという、直接消火のために米軍が行動したわけではございませんので、いわゆる薬剤緊急輸送の方法といたしまして、米軍が薬を、その火災現場の近くまで運ぶ方法としましてパラシュートでおろした、こういうことでございます。われわれが自衛隊機によりまして薬剤を落としたのと同じものでございます。  で、お尋ねの空中からの落下の消火方法というものがあるべきではないかという点でございます。さような点につきましての消火方法というものは、現在われわれが知っております範囲では世界的にまだございませんですが、しかし漸次みんな研究をしておるということも承知しております。実は本年度から少しではございますが、われわれ念願しておりました予算がつきましたので、いわゆる落下方式の研究というものにつきまして、これを消防研究所でまっこうから取り組んでおるわけでございます。まだ研究の段階でございまして、今回の火災にこれを行なうというにはまだ研究の距離等がございましていたせませんでございましたが、方向といたしましてぜひ研究せねばならぬ問題である。ただお察しのように、これは非常にむずかしい問題が多々ございます。しかし乗り越えてやらなければならない問題だというふうに思っております。  なお、研究所のその研究をやっております研究部長が参っておりますので、補足させていただきたいと思います。
  31. 堀内三郎

    ○堀内説明員 私からただいまの御質問に対するお答えを補足させていただきます。  空中からの消火方法はただいま川合次長が申しましたように、世界的にまだ開発されておりません。ただアメリカの西部海岸、カナダ地方には、森林火災に対しまして、空中から水を主体といたしました薬剤をまきまして、一部消火と申しますか、小規模な火災ならば制圧するという程度の実行はやっております。その程度でございまして、普通の木造家屋の並んでおります市街地の家災に対します空中からの直接消火方法もございませんし、油火災に対する消火方法もいまだ世界的にわかっておらないのであります。しかし、そんなことで満足しておってはいけませんので、私どもは先ほど申しましたように、本年度から研究費をいただきましてその方向について研究をいたしておるのでございます。本年度の計画といたしましては、まず木造火災に対する落下方式の研究に着手したのでありますが、今回の事例もございまして、油火災に対しましても同時並行的に研究を進めたい、このように考えております。
  32. 森下元晴

    森下(元)委員 飛行機もスピードを争っておる時代でございまして、マッハ2とかマッハ3、そういうような非常に航空科学が進んでおる時代でございますので、消火の面におきましてもそういう機関を通じて御研究をしていただきたい、そのように思っております。  それから次は、いま申し上げた科学の点とほど遠いのですが、あちこち回ってみまして消防なんかの意見を聞いてみました場合に、公営企業の水道等が、今回の地震によってあちらこちら破損しております。火災の際に間に合わなかった、こういう話を聞きまして、やはり井戸というものを多少調査しておかなければいけない点があるのではないか。聞くところによると消防団のほうから、もう井戸は要らないんだから、むしろ衛生によくないからつぶせというようなことも聞いたのですが、その点やはり震災等に対して水道なんか非常に弱い点があるので、原始的な処置でありますけれども、昔からの井戸というものの存在価値も認めなければいけない、このように思っております。この点御見解をお伺いしたい。
  33. 川合武

    川合政府委員 お話のとおりでございます。貯水槽の必要性もむろんでございますが、自然の水を利用する方法につきまして、もっと現実的に併用していくということも私どもの考え方でもございまして、またそれらにつきましてこれをさらに積極的に行なわなければならないと思っております。今回の場合は、新潟の市の先ほど申しました石油タンクに例をとりますと、地震の結果非常に方々に水があふれ出ましたものですから、これをポンプ単で送水する、何十台と並びまして現場に移すということでまかないましたけれども、しかしそのような状態だけでないわけでございますので、さような点についても心を配っていきたいと思っております。
  34. 森下元晴

    森下(元)委員 消防関係を終わりまして、次は次官にお尋ねしたいのです。  今回災害を受けられた方の中に、生活保護家庭まはたそれに近い状況の方がたくさんおいでになります。生活保護家庭の問題は、いろいろ助成方法もあると思うのですが、いわゆるすれすれの方々は、今回の災害によりまして非害に生活が困難になっておる、またならんとしておると聞いております。これに対してどういう御措置をなさるかお尋ねいたしておきます。
  35. 金子岩三

    ○金子政府委員 私のほうは交付税を繰り上げ交付をやりましたり、また二月に行なわれます特別交付税の交付について、災害を受けた団体には十分考慮を払う、こういうことでございまして、個々の個人のお気の毒な被災者の方に、自治省から具体的に物質的な援助をあれこれというようなことはいまのところないようでありますが、これは各省にまたがっておりますので、各被災関係団体の実情をよく調査しあるいは陳情を承りまして、各省にあっせん役をつとめて、できることならそうした被災者個人に対してもできるだけ国の援護の手を差し伸べるべきではないか、かように考えております。
  36. 森下元晴

    森下(元)委員 いろいろ御質問する事項があるのですが、震災というものはいろんな問題が非常に多岐にわたりまして、たとえば特別交付税の問題とかまたは地方税の減免の問題とか、その他いろいろあると思いますが、私の質問はこの程度にいたしたいと思います。できるだけ早く財政措置、金融措置、また精神的な民生安定の方策をとられまして復旧をされるように御努力をお願いしたいと思います。  終わります。
  37. 登坂重次郎

    ○登坂委員 関連して。実は私もこの同、衆議院を代表いたしまして新潟に参ったのでありますが、将来に対しまして政府がいろいろ総合対策を講ぜられておることはまことに喜ばしいことではありますが、森下さんと重複しますから、私がそのときに面接はだに感じたことを申し上げますならば、新潟地区に行きまして私が非常に憂えていることは、ここは新漁業都市指定地凶になっておる。これは将来の新潟地方にとりまして大きな喜びであったはずでありますが、今回の災害によりまして、非常に地下調査がおろそかであった、あるいは甘い感じでおった。これに対して地下資源の調査と地質調査を行ない、将来新産業都市としてはたして適正地となるであろうかどうかということは、産業人なりあるいは現地にまいりました人々が一応不安を感ずることになったのではないかと思うのであります。この不安を一掃せんがために、今後この地方の将来のためにも、政府は安心を与え不安感をなくするような、そういう総合的な指導あるいは調査なり対策なりPRなりをして、そういう不安はないのだ、新産業都市として適正であるのだということをひとつお考え願いたいと思うのであります。またそういうふうにあらゆる施策を打っていただきたい。聞くところによりますと、もうこれで新潟は新産業都市としての資格が薄くなったのではないかというような不安を私どもは耳にしてまいったので、新潟地区に対しましてはその点非常にお気の毒である、こういうふうに感じてきた次第であります。これに対してもう政府もたびたび言明はいたしてきているのでありますが、ひとつこの地区の将来のために大いにお考えを願いたい。  同時にまた現地に参りまして、被害者に対しましては——もちろんあらゆる機関を通じまして被害が甚大で悲惨なる状況が手にとるようにわかり、これに対しましてあらゆる手を打っておることは私たちも了承いたしておるのでありますが、私どもは新津にまいりまして、新津から約一時間の行程で自動車で参ったのでありますが、そこの間が非常にきびしくて普通の人は通れない。われわれは公用で参ったのでありますから新潟市内に入れたのでありますが、そういった場合におきまして、罹災者はもちろんでありますが、不幸中の幸いで、商店でも店を開いておるのがありましたけれども、いわゆる被災者でない方々の中小企業並びにその他の一般の民衆が、一週間なり一月なり商売ができないということから、金融対策にいたしましてもあるいは税の血にいたしましても、そういう罹災者でない一般の人々に対する心づかいを特にお願いしたい、こういうように私は痛感してまいった次第でございます。どうぞそれに対しまして政府の善処方をくれぐれもお願い申し上げる次第でございます。
  38. 金子岩三

    ○金子政府委員 御指摘の点は、政府全体、関係省にまたがって処置すべき問題でありますが、私たちは当然そのあっせん役ということで、先ほど森下さんにも申し上げましたとおり、できるだけの努力をいたしまして、皆さんが御指摘になっておる事柄について適切な措置を積極的にとっていきたいと任じます。
  39. 森田重次郎

    ○森田委員長 紺谷治嘉君。
  40. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私は、せんだってありました新潟災害に関連して、いろいろな面がありますけれども消防問題に限って質問をしてみたいと思います。  せんだって昭和電工川崎工場の爆発がございました。引き続いてその翌日も、やはり川崎で産業災害が起こった。今度の新潟地震では、安全であるはずの石油タンクが爆発を起こした。そのために民家がたくさん焼けた、こういうことでございます。大体において、きのうあたりの新聞を見ますと、塚田知事の発表によりますと、今度の震災によって公共施設に一千億円、民間施設で約二千億円、計三千億円程度の被害があったという記事がございます。福田通産大臣は、六月二十一日に記者会見で、工場と商店の被害が約三百五十億円程度だということを語っております。  そこで私のお尋ねしたいことは、この被害額が正確であるかどうかということは、いま私もはっきり把握しておりませんけれども、一体今度の新潟震災で、石油工場の爆発から起こったいわゆる消防火災という面から見た被害額はどの程度であったのか、まずこれをお尋ねいたします。
  41. 川合武

    川合政府委員 昭和石油そのものにつきましての被害は、まだ現地からの詳細な調査がきておりませんが、六十億くらいと推定しております。それに伴います三百の民家の焼失分についての損害については、まだ算定中でございます。
  42. 細谷治嘉

    ○細谷委員 先ほどいただいた消防庁の資料によりますと、全焼家屋三百二戸というふうに出ております。ところが六月十九日の新聞紙上には、昭和石油の火事で十七日夜全焼した住宅数は、新潟県警のその後の調べによると、さらにふえて全焼三百五十三戸、半焼三十戸、被災者数三百八十三世帯、千九百十五人というふうに発表されております。六月二十一日の新聞を見ますと、昭和石油の面接の被害は、いま六十億円程度と言われておりましたが、早山昭和石油社長は、直接の被害額は四十七億円で、再建に必要な経費が約四十五構内だ、約百億円程度の被害——昨日私は昭和石油のほうに電話をして聞いたんですが、計算のしかたにもよりますけれども、百億近い数字だ、こうはじいているように感じました。いま六十億という話であります。被害をこうむった民家の戸数も、新聞記事ときょういただいた資料は違っておりますが、一体どういうことなんでしょう。
  43. 川合武

    川合政府委員 訂正を申し上げます。先ほどの私申し上げました被害額につきまして、私の記憶違いがございましてはなはだ申しわけございません。現在の現段階におきましての損害額の推定は、昭和石油そのものの分が四十七億四千万円、三菱金属が五億円、亜細亜石油は五千万円、住宅の損害が二億一千万円、合計五十五億でございます。でございますので、昭和石油の分を私大ざっぱに六十億と申しましたが、昭和石油そのものの分は四十七億四千万円でございまして、先ほど調査中と申しました住宅の分が、現段階におきましての推定は二億一千万円でございます。  なお、住家の焼失状態につきましては、住家、非住家の関係がございまして、ここに住家三百二棟、非住家百九十七棟というふうにしたためてございますが、その間の関係で、入り違いが多少計算方法であるわけでありますが、この資料をつくりましたときは県の報告で三百二棟でございますが、現在その後二棟ふえまして三百四棟とするのが正しい、こういう報告になっておりますので、訂正をさしていただきます。
  44. 細谷治嘉

    ○細谷委員 住家は三百二でなくて三百四戸、新聞記事の三百五十三というのは誤りのようでございます。昭和石油の問題につきましては四十七億数千万円だ、——これは被害額でございまして、先ほど私が申し上げたように、その復旧には四十五億円程度かかる。昨年九年に四十五億円程度の資金を入れて完成した工場、それが四十七億数千万円の被害を受けて、復旧費にやはり四十五億円かかるというんですから、復旧しなければ何にもならぬのですから、復旧費を入れて考えなければいかぬのじゃないか、こう思うのですが、どうでしょうか、復旧費は被害じゃないでしょうか。
  45. 川合武

    川合政府委員 私ども火災損害額の計算につきまして、従来のやり方と申しますか、統計上の方式といたしまして、かような計算方法をとっておりまして、復旧に要しまする費用あるいは間接と申しますか、間接損害額というのは計算をいたしてない方法をとっておりますので、四十七億四千万円という数字でございます。
  46. 細谷治嘉

    ○細谷委員 わかりました。それで、被害は確かにその程度でありますけれども、工場としてはやはり復旧しなければならぬ。大体昭和石油というのは、今年の三月の決算を見ますと、売り上げ高が二百七十四億円でありまして、大体において半期に三億円程度の利益を上げておるようでございます。いずれにしても四十七億数千万円の火災上の被害額と復旧費四十五億円程度を見ますと百億に近い金なんです。そうなりますと、この会社の将来というのは決定的な被害を受けた、こういうことが言えると私は思うのです。そういう点でよく安全はペイするのだ——これは後ほどお聞きしたいのですけれども、産業災害という非常に重要な問題を、今度のあれは教訓をたれているのじゃないかと思うのですが、そういうことをしみじみと感じたわけでございます。先ほど次長の答えの中に、消防体制、初期防火については明らかに失敗があったという反省をされておったので、非常に重要な問題だと思います。  そこで、私がお尋ねしたい点は、一体この火災はどこから来たのか。原因についてひとつ消防庁なりあるいは堀内部長なり、あるいはこれを建設にあたって面接指導監督されました通産省の方々にお尋ねしたいと思うのです。六月十七日の新潟県警の調べによると——これは新聞に書いてあったのですからまずお尋ねするわけでございますが、昭和石油火災の原因は、地震石油タンクの上のふたが動き、その摩擦のために起きた、こういうふうに書いてあります。わかったようなわからぬような原因でありますが、どういうふうに原因をつかんでおるのか、お尋ねいたします。
  47. 川合武

    川合政府委員 原因につきましてはまだ調査中でございますが、かような場合も、科学的にこういう場合ではなかろうかという推定の状態につきましては、私どもの研究部長から答弁をさしていただきます。
  48. 堀内三郎

    ○堀内説明員 今回の昭和石油の原油タンクの出火原因についてお答えいたします。  私どもの研究所からも三名の技官現地派遣いたしまして、調査させまして、特に出火原因につきましては重点的に調査するように命じておったのでございますが、その者も帰りまして報告も聞き、研究所をあげてその原因の検討をただいまやっておる最中でございます。ただ、正確なことは現存まだわかっておりませんが、推定されます原因は、先ほどもおっしゃいましたように、あるいは新聞記事にも書いてございましたように、地震によって浮き屋根式の移動可能な構造の屋根が上下左右にゆれ動きまして、そのために起こりました熱の現象といたしましては、摩擦熱、それから壁体自身の——あれは鋼板でできておりますが、壁体自身の激突による衝撃火花、それから静電気と申しますものによる火花という三点が現在推定される原因として考えられておるのでございます。そのうち、私どものただいままでの検討では、摩擦熱というのは一番少なくて、とても出火、原因になるまでのエネルギーは持ち得ないであろう、静電気というか激突による火花ではないかという推定はいたしておりますが、確かなことはまだわかりません。それで、私どもできましたならば、縮尺二十分の一程度の模型をつくりまして、幸い建築研究所その他に地震時の震動を起こす装置がございますので、その上に乗せまして、それを今回の地震と同じ程度の周期で震動させまして、どの程度の静電気が起こるか、あるいは激突状態がどの程度に起こるかというようなことも実験的に推定してみたい、このように考えております。
  49. 細谷治嘉

    ○細谷委員 激突によるスパークだ、あるいは静電気ということでありますが、それについての技術的な問題が解決されておらぬようであります。この政令の九条の十八号に、「危険物を取り扱うにあたって静電気が発生するおそれのある設備には、当該設備に蓄積される静電気を有効に除去する装置を設けること。」と書いてあります。こういうことでありますから、私は石油タンクの構造からいってあの程度の地震——地震の問題はあとで技術的に質問しますが、静電気はこれはこういう十八号の規定があるわけですから、こういうことで起こるということ自体も、やはりこのとおりやっておったのかどうか。静電気がどの程度起こると事故が起こるということについて技術的な結論は出ておらぬようでありますが、どういうふうに対処しておったのですか、まずお尋ねいたします。
  50. 川合武

    川合政府委員 研究部長から答弁いたします。
  51. 堀内三郎

    ○堀内説明員 お答えいたします。タンクの構造自体は鋼板でできておりまして、それ自体ももう電気の良導体でございまして、アースが完全にできておるわけでございます。そのほかにも設置のためのアース装置ももちろんつけてあるわけでございます。それで静電気が、ああいう不良導体の原油と申しますか、石油類に運動のために起こりまして、それと大地を伝わって鋼板タンクの壁体との間に電位差が起こりました場合には、完全にそこからのがれて別に事故は起こらないということになっておるのでございます。ところが、静電気の発生機構が現在まだ学問的にはっきりされてない部門がございます。これは現在も学界でも静電気の問題は非常に難解でございまして、特別の部門を設けまして大ぜいの学者が検討いたしておりますが、ある電気の不良導体が流体のようになって流れますときに静電気が発生するということはわかっております。しかし今度のようなタンクの中で石油のような不良導体が動き回りましたときに、その石油のいろいろな部分ごとに静電気が起こりまして、それが相互にスパークを発するものか、どういう機構になってスパークを発するかということまでわかっておらないのでございます。それでその法令に書いてありますとおりの設置はもちろんされておったと思いますし、その安全装置がきく範囲の現象が起こっておればもちろんそこから逃げておったはずでございまして、それは間違いないのでございますが、そのほかのわれわれにわからない何か静電気の発生機構があるのではないか。それができましたならば模型をつくりまして、今度はゆさぶってみまして、どの部分の原油にどのような静電気が発生するかきわめたいと思っております。そういうような状態なんでございます。
  52. 細谷治嘉

    ○細谷委員 静電気の発生の機構は別として、どの程度できるか十八号で規定してあるんですね。その根拠がわからないで一体どういうふうに指導しているのかという私は十八号についての疑問があります。  そこでお尋ねしたいのは、総理府令の二十一条に「構外貯蔵タンクの耐震又は耐風圧構造」というのがあるのです。それを見ますと、二項に「前項の地震力及び風圧力の計算方法は、次のとおりとする。」とあって、一号、二号と、耐震的な構造と風圧関係の構造があるのです。これによりますと、昭和石油の早山社長は安全装置はあったけれども地震は予想してなかったと言っております。ところが今度はこの石油連盟の新聞記事を見ますと、製油所は消防法、建築基準法、高正ガス取締法に基づいて建設され、設計上は関東大震災、伊勢湾台風にも耐えられるようになっている。——これは私は石油連盟の言うことがほんとうだと思う。現に総理府令、自治省令があるわけですから、一体どうなっておったのか。これは消防庁なり、あるいは通産省のほうが御存じと思いますから、お尋ねいたします。
  53. 川合武

    川合政府委員 消防法関係、すなわち危険物の政令等の基準にこの昭和石油が適合しておったかどうかという点につきましては、従来の現地消防機関の査察等の模様によりますと、この基準に適合しておったというふうに私どもは考えております。
  54. 細谷治嘉

    ○細谷委員 間違いなく適合しておったのですか。通産省はそうお考えですか。
  55. 阿部久一

    ○阿部説明員 間違いありません。
  56. 細谷治嘉

    ○細谷委員 関東大震災に耐え得るような——関東大震災の大きさというものは、この間本会議で大臣から答弁がありましたように、マグニチュードで七・九だという。今度の大震災は七・七だということです。ですから関東大震災と福井地震の中間だ。その中間である地震に対して、関東大震災に耐えられるような耐震構造になっておったというのがどうして問題を起こしたのでしょうか。おかしいじゃないでしょうか。重ねて答弁を願います。
  57. 堀内三郎

    ○堀内説明員 お答えいたします。  気象庁の発表によりますと、マグニチュードという単位でもって今度のが関東大震災の七・九よりも低く、七・二とか七とかという数字が出ておりますが、マグニチュードという単位は地震の規模を、全体のエネルギーの程度をあらわす単位でございまして、非常に大規模なる地震であった、関東大震災に次ぐ大規模な地震であったということはそのとおりなんでございます。ところが大規模な地震必ずしも建造物あるいは工作物に激甚な被害を与える、あるいは人畜にも甚大な被害を与える激しい強さと申しますか、そういう地震と比例はいたしませんのでございます。早い話が、遠い海の中で非常に大規模な地震が起こりましても沿岸の市街地に被害が少ないこともございます。それで直接の構造物のようなものに与える被害のほうは、むしろ地震の強さと申しますか、震度というようなことばで言いあらわしておりますが、そのほうで言ったほうが適切な問題だと思います。今度も建築物、例の県営アパートがひっくり返ったような問題がございましたけれども、あれも建築物としては結局関東大震災に耐える震度の計算がしてあったのだろうと思いますが、地盤に対する考慮が欠けましてああいうふうに転倒したのだろうと学者も言っておる次第でございまして、今度の石油タンクの場合は、私が聞きました報告によりますと、間接地震力によって倒壊するとか、大きな破壊を起こすということはしてなかったように聞いております。たまたま出火をいたしまして、最初に出火をいたしましたタンクが焼け落ちまして、あとで調査に参りました者ももとあった原状を詳しくは見ることができないのでございますが、最初近くにおられました方あるいは初期に目撃されました方などからの所見を聞きましても、タンク自体が破壊をして出火をしたとか倒壊したとか転倒したというこじゃなかったように聞いております。
  58. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私も地震の技術的なことについてあまり知りませんけれども、マグニチュードということからいけばとにかく関東大震災に次ぐ大きな地震であった。ところで、これも新聞によりますと昭和石油会社は建設に当ってアメリカのものをモデルに震度四程度の地震しか想定していなかったという点なんです。「関東大震災は震度五以上であった事実もあることだし、こういう施設の設計、建築はさらに安全率を加えたものであるべきであろう。不可抗力で逃げるべきものではないと思う。」堀内さん。あなたの新聞談話として出たものにはこう書いてある。「石油タンクには万一に備え、安全装置をとりつけるよう消防法で義務づけられているが地震の振動で装置のどこかが故障したのだろう——。とすれば安全装置の弱さが問題だか、タンクの構造が地震に耐えられない状態だったことの力が重大だと思う。」こうおっしゃっておる。こういうことからいきますと、関東大震災に耐えられるようなことで指導をしたのではなくて、アメリカの設計そのままを——アラスカも御承知のとおり大地震で全部タンクをやられたのです。そういうことで、日本の地盤、地震ということを考えないで、震度四程度のアメリカのまねをしてやった、こういうことしか言えないと思う。それをあえて関東大震災に耐えられるような設計でやったというようにここで消防庁の方も通産省の方も確言されることについて私は理解できません。そういうことであれば、こういう事故は起こらなかったのじゃないかと思う。重ねてお伺いいたします。
  59. 川合武

    川合政府委員 関東大震災程度のものでということで、そういうものを例としてということではございませんで、現在の私どもの基準には昭和石油の構造は基準を下回っているといいますが、違反であったということではない、かように考えております。  さて、私どもの基準はそれで現在も満足すべきであったかどうかということにつきましては、現在まではいろいろな角度から検討いたしましてやった結果でございますけれども、ともかくもああいうような事故が起こりましたので、やはり今後検討しなければならない問題だと思っておりますが、現在までの水準といいますか基準ということになりますと、いま申しましたようなわけでございます。
  60. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そこで、ことばをはっきりしていただきたい。先ほど私が質問したときには、関東大震災に十分に耐えられるような耐震構造になっておったという両方のおことばでありますから、それでは問題がはっきりしないじゃないかということでお尋ねした。アメリカのやつは震度四、それに右へならえしてやったのでしょう。関東大震災では震度五なんです。マグニチュードは七・九なんです。どちらから見てもこれは理解できない。その点において、新潟の耐震的な問題について十分な技術的な検討がなされなかったということならばわかりますか、いまのことばはおかしいですよ。どちらがほんとうですか。
  61. 堀内三郎

    ○堀内説明員 お答えいたします。先ほどの私の談話として新聞に載りましたものは、必ずしも正確な表現を伝えておるとは私は思っておりません。もし倒壊したりしたことが事実ならば、もちろんそういう構造自体が弱かったことを再検討すべきだというような意味のことを申したのか、そういう表現になったと私は思っております。  それからただいまのアメリカの引き写しではないかというお話でありますが、確かに先進国に、アメリカのほうに基準はございますけれども、その後材料といたしましては抗張力の高いはがねもできておることでありますし、新しい工法がどんどん技術革新で進んでおります。必ずしもわれわれはアメリカのまる写しで満足しておるような技術指導もしてないつもりでありますが、たとえば、仮定でございますけれども、今度の新潟地震が関東大震災程度の——マグニチュードではなくて水平震度で申しまして〇・五で起こりましても、あるいは倒壊とかいうことはしなかったのではないかと私は思っております。少なくとも昭和石油を建設された方が水平震度〇・四で耐えられるように設計しておると言われたならば、震度四のものには耐え得たはずだと思っております。ただ倒壊とか破壊せずに出火したというのが事実の真相なのであって、出火の熱によって結果的にはああいうふうに崩壊してしまった、火災で焼けてくずれ落ちたというのが現象の説明だろうと思います。
  62. 細谷治嘉

    ○細谷委員 いま震度のお話が出ましたので重ねてお尋ねします。  この自治省令によりますと、水平震度が〇・三以上でなければならぬとなっておるが、水平震度は幾らに計算されて設計され、つくられておったのですか。
  63. 堀内三郎

    ○堀内説明員 水平震度は建築基準法にもございます規定でございますが、これは地盤と建物の構造や高さ等の関係で〇・一以上〇・五、六まででございまして、普通の建物等は〇・二以上でよろしいのでございます。特に安全性を要求されるものについては〇・三以上の数値を適用するのが構造学者のほうからは常識になっております。ただ、一がいにずばりと〇・三でやれとか〇・四でやれとか申しませんのは、地盤の悪いところには、もっと設計者の良心としてたくさんな震度で計算するようにという余地を残して〇・三以上という表現になっておるわけでありまして、法規のほうは最低限度を押えておるようなわけであります。
  64. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私は皆さんの責任を追及するとかなんとかいう形ではないのです。こういう災害を二度と再び起こさないようにするにはどうすべきか、こういう観点からお尋ねしておるわけですけれども、いや関東大震災に十分耐えられるような構造になっておったんだということをはっきりおっしゃるのです。ところがそれではしろうとはわかりはしないじゃないか。マグニチュードからいっても震度からいっても、アメリカのまねをしただけであって、十分に地質的な研究をしておらぬのではないか。そういう裏づけとして、第一にすぐ近くに日本石油の工場がありますが、そこは大きな被害を受けておらぬ。タンクの爆発は起こっておらない。もっと川寄り、港寄りの昭和石油が壊滅的な被害を受けた。もう一つは、あそこの地域については——これは新聞記事で、私はそれを信用しておるわけではございませんが、台湾大学の粛教授という人が、新潟は必ず地震が起こるぞということを昨年の十月に予言している。当たっておるというのですよ。新聞に書いてある。そして本年の四月にもまた、新潟は水を揚げ過ぎたのであそこには必ず地殻の変動が起こるぞということを言っている。これは朝日新聞に出ている。そういう点から言って、さらには、ほかのほうは全部地震による災害の保険をかけておるのですが、昭和石油だけはかけておらない、こういう点からいきますと、一番地盤の悪い海寄りのところに建てておる昭和石油が保険上の対策も講じておらぬということについては、昭和石油自体、あるいはそれを監督する通産省等が、地盤に対応するような十分な設計がなされておらぬ、指導監督がなされておらぬと言わざるを得ないのではないかと私は思うのです。いや、そんなことはないとおっしゃるのですから、いかがですか、これははっきり申してください。
  65. 川合武

    川合政府委員 この構造につきましての規制と申しますか基準と申しますのは、私どものほうの、消防関係のほうの基準でございますので、その問題につきましては私のほうの問題でございますが、詳細な科学的な基準につきましては、ともかく火が出たのでございますから、私ども率直に今後検討を加えていかなければならない。当然でございますが、先ほどからたびたびお話に出ますアメリカの引き写しの点でございますが、私、正直に申しましてそのほうは弱いのでございますが、しかし事、地震に関する限りは、この構造についてアメリカよりも強い基準を学者の間で検討してもらって、また私ども技官が、それに対しまして行政的な見地からも意見を統一いたしましてつくったもので——くどくなりますが、ほかの面について全部とは申しませんが、事、地震に関する限りは、アメリカの基準よりも、俗っぽく言いまして強い基準になっておったというふうに私どもは考えております。
  66. 細谷治嘉

    ○細谷委員 アメリカの基準より強くなければならぬでしょう。しかし事故が起こったという事実は、やはり災いを転じて福となすという観点で問題を見ていかなければならぬ。私は指導する通産当局にも、特にこれをやった昭和石油自体が保険もかけておらぬ。よそは全部かけておる。そして今度の火災の姿からいって、昭和石油自体がやはりこの問題に対して不用意であったのではないか。これはやはりまぎれもない事実じゃないか。それに対する指導官庁である通産省も、やはり十分な対策かなかったのではないかと私は思うのです。この点はひとつ今後十分生かしていただきたい。時間がありませんから、これ以上追及いたしません。  次にお尋ねしたいことは、これは自治大臣も現地へ行って帰ってきて認めたわけですが、今後の消防体制という問題について、自治省令の二十二条に防油堤という規定がございます。防油堤には二十二条の二項の一号、二号、あるいは三号、こういうふうにありますが、今度の災害で三百数戸の家が類焼された原因は、油が流れ出していって、それによって民家が焼けたわけですから、防油堤の施設が十分でなかったということは自治大臣認めて今後この問題を改正するんだとおっしゃっているのですから、どういう状態になっておったのか。この二十二条に基づいて設置されておったのかどうか、これをお尋ねいたします。
  67. 川合武

    川合政府委員 現行法令の規定を大ざっぱに申しますと、タンクの種類、高さ〇・三メートル以上一・五メートル以下のコンクリート、れんがづくりの防油堤を設けることになっております。今回の昭和石油の現状はこの基準に合っておりました。それでこの点について昭和石油が違反をしておったのではございません。  ところでお話のように、民家まで焼失いたしましたわけでございますが、私どもその点についてこれはうまくなかったという感じを持っておりましたが、ことに私どもの大臣からいろいろ御指示もございまして、目下その防油堤の高さ、構造、設置、区分及びタンク、ことに個々のタンクと申しますよりも、たくさん並んでおりますタンクについての場合の規定の配慮が、現実的でなかったのではないかという反省をいたしております。  なお先ほど申しました、現場に行きまして第一線にと申しますか、直接にタッチしました者の報告によりますと、この防油堤は現実には合っておりますが、ブロックの何と言いますか、あの水勢に対しましては、非常に弱い感じのもので問題にならなかったということを聞いておりますので、この点についての基準の改作をしなければならない。ことに先ほどもちょっと申し上げました、個々のタンクだけでなくて、全体、ことに民家との接触面におけるところの全体の石油タンク群と申しますか、複合体につきましての防油堤を設けるべきではないか、かような考えを持っております。これは今回の災害には手おくれになりましたが、さような点について改正をすべく検討をいたしております。
  68. 細谷治嘉

    ○細谷委員 いまのお答えは政令の九条の十二号のお答えではないかと私は思うのです。いまのお答えの中にも問題が出てきている。タンクは関東大震災にも耐えられるようなタンクをつくったんだ、当然防油堤もそういう形でなければならぬはずです。ところがそれが役に立たなかった。ここに問題があります。私が質問したのは、自治省令の二十二条にこういう規定があるのですね。「防油堤の基準は、次のとおりとする。」というので、防油堤の容量は当該タンク容量の五〇%以上とする、三万トンのタンクならば二万五千トンの防油堤がなければいかぬのだが、ここはどうなっておったのでしょうか。
  69. 川合武

    川合政府委員 この規定に適合いたしておりました。
  70. 細谷治嘉

    ○細谷委員 適合しておったけれども地震で役立たなかったということですか。
  71. 川合武

    川合政府委員 私どものこの規定というものが、今川のあのような状況になりましたときの役に立たなかったことは事実でございますが、この規定そのものが、いわば一つのタンク火災というものを考えまして規定してあったわけでございます。それは補完するに、余談を申してしかられるかもしれませんが、固定消火設備等いろいろのもので相補って考えておったわけでございます。ところがあれだけの火勢になりましたときに、かような単体の、いままでの規制の結果以上の非常に強い力というものが発生いたしまして、したがいましてタンク群と言いますか、多くのタンクから出まして勢いが強まりましたときに、この基準では間に合わなかったという結果になったわけでございます。この点について今後検討しなければならない、かように考えておるわけであります。
  72. 細谷治嘉

    ○細谷委員 タンクは一つの場合と、二つ、三つ、四つと多数になった場合については、それぞれこの二十二条で規定されております。問題はそれが全く役立たなかった、こういうことなんですね。
  73. 川合武

    川合政府委員 そうおっしゃられればそういうことになるのでございますが、しかし私どものほうの消防法規がこれ一つでもって——おことばを返すようでございますけれども防油堤一つで全部守り切る、あるいは一番最初の第一線で全部守り切る、これが理想でございますし、そう考えておりますが、しかしいろいろな状況もありますので、それらをすべて補完しまして、第一線が破れたときには第二線という考え方でいろいろな措置をいたしておるのでございまするが、それらの指貫が今回のあの勢いのものに対しまして対応するに非常に不十分であった、こういうことは率直に反省をいたしております。
  74. 細谷治嘉

    ○細谷委員 消防庁の考えでは、防油堤の問題についても大臣が言明したとおり検討をするそうですし、またそのタンク等の容量や高さ、こういう問題についても規定がないので、そういう点についても検討をするということのようでございますが、堀内部長が指摘をするように、そんなものは形だけつくっても地震国である日本の、やはり現実に震度五なら五に耐えるような構造のものをきちっとつくっておらなければどういう法律をつくってもだめなんです、そう私は思うのです。そういう点について、問題は百年に一ぺんなら一ぺんそういう地震があり得るのですから、そういう対策を十分講じていただかなければならぬということを、特に科学的に検討していただくようにお願いしたいと思う。  そこで次に私が質問したいことは、先ほど新潟に投じた泡沫液体の消火剤についてあったのですけれども、六月二十日の新聞によりますと、こういうことを書いてあるのです。江東区の東京瓦斯の工場で二万六千キロリットルの原油タンクが爆発した、割れ目から火災を起こしたという想定のもとに、空中作業車一台、科学車五台、ポンプ車四台で、そうして百万円の消火液を使って実験した、これは事実ですか。
  75. 川合武

    川合政府委員 そのとおりでございます。
  76. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そのとおりだということでありますと、これだけのタンク、二万六千キロリットルのタンクには消火のためにこれだけの消火液が要るんだという根拠を持っておやりになったのでしょう、百万円の消火剤を使ってやったというのですから。大々的に新聞に書いてあります。そうでしょう。こういうタンクを消すためにはこれだけの消防施設がやはり要るんだという何らかの根拠でおやりになったんでしょう。
  77. 川合武

    川合政府委員 これは実験でございますが、私ども消防研究でもさような実験はいままでやっておりました。数々のテストを重ねておるわけでございます。
  78. 細谷治嘉

    ○細谷委員 部長にお尋ねします。これは部長等の技術的な指導でこれだけの態勢で演習をされたのですか、適当に集めてやられたのですか、どちらですか。
  79. 堀内三郎

    ○堀内説明員 ただいまの実験は東京消防庁が主催をしてやられたのでございまして、事前に私のほうには連絡がなかったのでございます。
  80. 森田重次郎

    ○森田委員長 暫時休憩いたします。    午後一時五分休憩      ————◇—————    午後四時五十二分開議
  81. 田川誠一

    ○田川委員長代理 休憩前に引き続き、会議を開きます。  委員長所用のため、委員長指名により暫時私が委員長の職務を行ないます。  警察及び消防に関する件について調査を進めます。  新潟地震災害に関する問題について質疑を続行いたします。紺谷治嘉君。
  82. 細谷治嘉

    ○細谷委員 午前中の質問に引き続きましてお尋ねしたいことは、二十日の午前十時に江東区で演習をやったわけであります。それに六万リットルの泡沫消火液を放水しております。そう新聞に書いてあります。これは二万六千キロリットルの原油タンクにはこの程度の泡沫消火液が要る、こういうふうに判断して演習されたのかどうか、その技術的な判断をお尋ねいたします。
  83. 川合武

    川合政府委員 申し上げるまでもなくいろいろな条件がございますので、その量に対しましてどれだけのあわ消火材料を必要とするかにつきましては、まだ研究を重ねております過程でございますが、一つの考え方として東京消防庁の実験の場合にそれだけの量を使ったわけでございますが、従来の考え方からいたしますと、平常時と申しますとおかしゅうございますが、他の条件が比較的整っておるときは目分量の話でございますが、それだけの量というものが必ずしも必要だというふうには——多々ますます弁ずではございますが、必要だとはまだ行い切れない、かように思います。
  84. 細谷治嘉

    ○細谷委員 あるいは多かったかもしれぬ、目分量だということでありますが、新潟の初期防火には失敗したということも率直にお認めになっているわけです。現在の危険物の規制に関する政令、消防法からくる政令なり、あるいは自治省令、こういうものから見ますと、その消火液についての保有の義務はありますけれども、保有量については何らの規定も行なっておらぬ。ただ消火器なり消火弾なりを置いておく程度であって、量のことについては何らの基準も設けておらぬ。こういう二万六千キロリットルの原油に対して六万リットルくらいの泡沫消火液が要るというようなことが一つのめどとしてわかっているなら、新潟のこの問題が起こる前になぜその保有量についてそういう指導なり規定を設けておかなかったのか、この辺に問題があると思うのです。この点について、いかがです。
  85. 川合武

    川合政府委員 保有量の問題を義務づけてなく、保有だけを義務づけておりました。量にまで科学的な算定をして義務づけておらなかったということは、御指摘のとおりでございます。早急にその点について科学的な検討を加えまして、数字を目分量でなく科学的な算定のもとに出しまして、それを義務づけるべきであるというふうに現在においては反省をしておるわけであります。行政指導として分量を指導したことはございますが、まだその程度では不十分でございますし、今日においては御指摘のとおりすべきであるというふうに思っております。
  86. 細谷治嘉

    ○細谷委員 保有の義務ばかりを規定しておって、保有量について何らの規定を設けなかった、こういう八についてはやはり問題点があったということを認めておるわけです。これは保有残務でなくて、やはり量と質の問題なんです。保有義務だけではきわめて片手落ちだと思うのです。  私がさらに突っ込んでお尋ねしたいのは、二十日にそういう演習をやるとすれば、なぜその前に保有義務だけで、保有量についての見当というものを消防庁としてなされなかったのかという問題が残るのではないか、少なくとも二十日の日には二万六千キロリットルに対して六万リットルの泡沫消火液をまいておるわけですから、この程度の量がなければ、初期消火あるいは石油タンクの防火はできないのだというめどはついておったと思う。そういう技術的なめどは消防研究所なり何かでただ保有の義務、だけ考えておけばいいと新潟災害までお考えになっておったのかどうか、それについてひとつ明確な答弁をお願いしたい、こういうことなんです。
  87. 川合武

    川合政府委員 保有量につきまして科学的な研究を行なっておらなかったのではございませんで、従来も消防研究所で、また現地消防機関で今回の東京の実験はこの新潟火災を契機としましてさっそくやったわけでございますが、従来もさような実験研究はやっておりました。やっておりましたが、それに対して科学的な最終結論までは至っておりませんでした。さらに研究のスピードを上げますと言いますか、さらに緻密にして量の算定をいたしたいと思っております。なお、従来の研究段階におきまして得ましたある程度の数字というものを、行政指導としてやっておりましたのはやっておったわけでございます。
  88. 細谷治嘉

    ○細谷委員 先ほども質問したのでありますけれども、地質の問題については調査資料を持っておるが、残念ながらそれを活用していただけなかった、こういうことを資源局の人が、やはり新聞で見たのでありますが、言っております。それから泡沫消化液の量という問題も当然重要でありますから、そういう災害が起こってからたとえば法改正なり条例の改正という形じゃなくて、もっと先に手を打つべきじゃなかったか、あるいはその化学消防車というのが新潟にたった一台しかない。先ほどおことばを聞きますと、これはどうも会社側の所有のもののようでございますが、あわてて東京のほうから五台か何台かを送った。さらにはアメリカのヘリコプターを頼んだが、これもなかなかうまい成果を期待できなかった。こういう点で、事故の科学的な研究の資料がありながら、行政の指導でそういう資料を活用しなかったところに問題点があるのじゃないか、反省すべき点があるのじゃないか、こういうのが私がお聞きしておる点なんです。
  89. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 御指摘のとおりでございまして、私どももあとになって考えて、これではお話にならぬと実は思っております。この前昭和電工のあの事故がありました直後に、私は現行消防法の改正を決意いたしましたが、引き続いて、新潟でああいう惨事が起こりましたことはまことに遺憾でございます。しかしながら、新聞などでは、どろぼうを見てなわをなうなどとからかいを受けましたけれども、しかしいまこれをとやかく言いましてももとの姿にならぬわけでございますので、大体来週早々に中央防災会議を開いていただこうと私要求いたしまして、その席までには大州科学消防の要綱を提示いたしまして、本筋の御了解を得ますとともに、なお次の国会にはその意味の大幅な改正法の審議をいただく、もちろん現在の科学知識の粋を集めて検討いたしました結論を、皆さま方に御審議いただくという決意をいたしておる次第でございます。
  90. 細谷治嘉

    ○細谷委員 消防体制が不備だったという点について、いま大臣のおことばから、少なくとも消防体制が現在持ち得る科学知識、そういうものについても十分活用していなかった、機械整備、そういう点についても不十分な点があった、こういう点で、法令の改正に積極的に取り組んでいこう、こういう率直なこの災害からの反省、その上に立った方針というものをお聞きしたわけであります。そこで、私は引き続いてお尋ねいたしたいのでありますけれども、確かに大臣もおっしゃるように、私もそう思っておったのですが、石油化学のコンビナートができてきておるのだが、科学のほうはどんどん進んでおりますけれども消防のほうの体制という問題は消火液の保有義務だけ課しておって、保有量については全く無関心できた、こういうところに問題があるわけでありますが、新聞等で、大臣新潟から帰られたときに談話として発表されております。さらには消防研究所の専門的な立場から堀内部長がこういうことを言っておるわけです。石油コンビナートというものができてくる、そういう場合にはやはり非常に危険性があるのだから、製造上のオートメーションと同時に、消防体制というものもやはりそれに即応するようにオートメーション化していくべきではないか、こういう意味のことをリモコンという形で言っております。これは非常に大切なことだと私は思います。さらには、やはりこういうような時期には消防センター、こういうものを設くべきではないかという提案を堀内部長は言っております。大臣もいまそういう意味のことをおっしゃっておりますが、こういう問題について具体的にどういうような法令の改正、現実に消防の体制を整えようとなさっておるのか、その基本的な考え、引き続いては具体的な考えがありましたらそれをひとつお聞きしたいと思います。
  91. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 今回だとて普通の科学消火ということについては抜かっておったわけではないと考えますが、基本的にはこれだけの資本を投下して、そうしてこういう危険物を扱うわけでございますから、やはり会社自体にも自衛の消防隊組織があるべきでありましようし、また保有すべき器材、これは薬品だけあったってどうにもならぬわけでありますから、それにふさわしい器材の常備ということも必要でありましょうし、また電気、水道がこなかったから、せっかくの消防設備、消火施設も役に立たなかったなどということは弁解にもならぬ、私どもは残念ながら地震常襲の地帯に住んでおるわけでありますので、やはりこういう種類の災害も起こり得るという想定のもとに、やらなければならぬことがたくさんあるということに気づいたわけであります。それで、ただいま御指摘のように、消防センターも必要でありましょうし私どもが到着いたしましたときにすぐに何のメモをもらったかというと、もう当会社としては処置がありません、この上は自治大臣の善処を望むというメモなんで、こんなものをもらいましても、私も消防の大将として行ったわけではありませんので、非常に当惑いたしましたが、すぐに東京消防庁に連絡をいたし、とにかく十時間かかっても必要な化学消防自動車、あるいは薬品類を急送せよという指令を出したような始末でございますから、後手々々になっている。しかし消防センターをつくりましても、日本も狭い国とはいいながらなかなか長い洞ですから、では山口県のコンビナートが事故が起きたからすぐに東京からというわけには参りませんので、やはりそれに即応する拠点々々にしかるべき施設を設けなければならぬとともに、電気がなくなったら自家発電でもして、とにかく消防に必要なくらいの電力は供給する、また電気をつける。  それから水の問題にいたしましても、消防庁次長が申したかと思いますけれども、すぐに困るのは飲料水です。ですから地下にはやはり市町村としては必要な貯水槽をつくる、これは消火用にもまた飲料水等にも、ろ過すれば使えるというものも必要でありましょうし、そのためには、何といいましてもそれ相当の資金が要るわけでございますので、その財源をどこに求めるかということなどにつきましては、いろいろ急速に検討を加えておるわけでございます。しかし、今回の災害は非常に参考になりました。やはりこういったことが現実に起こる可能性を日本は持っておるわけでございますので、この次ということはたいへん悪いんですけれども、今度起こったときにはもう悔いなく火事と戦つた、それで手に負えなければどうにもならぬわけですけれども、とにかく人知を集めて完全に消火に当たったけれども、やむを得なかったという少なくとも体制だけはつくり上げなければならぬとかたい決心をしておる次第でございます。
  92. 細谷治嘉

    ○細谷委員 六月十九日付の朝日新聞に、赤澤自治大臣が閣議後の記者会見で「新潟地震のような災害が再び起るのを防ぐため、消防法の改正を急いで行いたい」と、大要次のようなことを述べておる。新潟地震の際、多くの石油タンクが炎上、市民に不安を与えているが、これは石油コンビナートなどの消防体制が不備だったこともあるが、法的に不備な点があったと思うので、早急に法改正に踏切りたい。例えば、地震などのとき石油の流出を防ぐ「“防油堤”この防油堤については大臣不在のとき午前中質問しておりますが、おそらく大臣はそう認識しておらぬのじゃないかと思いますけれども、この防油堤のことも言っております。“防油堤”の再検討、工場などに化学消防車の設置を義務づけること、また化学消火剤の一定量常備の義務づけなどを考えている。」。あとでもう一つお尋ねしたいのですが、大臣は消防の今度は二本立てという問題についても言及しているのですが、これもあとでお尋ねします。こういうふうに義務づけということは、たとえばコンビナートでこれだけの基準のところはやはり化学消防車を必ずこれだけ設置しなければならぬ、そういう問題と同時に、もっと機動的な、府県なら府県単位に、堀内部長も言っておるのですがセンターというようなものも必要ではないか。義務づけということになってまいりますと、やはり政令なり省令の問題じゃなくて、法律上の問題というのが起こってくると思うのですが、この新聞に語られたような方針で大臣いらっしゃると思うのですが、そのとおり理解してよろしゅうございますか。
  93. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 大体そういうふうに考えております。  まだ消防庁のほうで御説明申し上げておらぬようですが、私が消防庁に、今回の経験にかんがみまして指示いたしたことを大ざっぱに申しますと、やはりそれぞれの工場自体が自衛手段を構ずるのはあたりまえでございまして、ですからあれだけの資本を投下するなら、万一の場合を考慮してやはりこれだけのものはやるべきであるという義務づけ、それからこれは器材にも薬品にも言えるわけですが、器材もただ単にぴかぴかみがいて保有しておることを誇っているのでは意味がないのであって、これがあらゆる場合を想定して訓練をして、いつでもこれが役立つようにしておくというようなことは消防としてあたりまえのことでございますので、こういうことをやる。それから防油堤、あるいはタンクなどの耐震度の検定、これは今度の事故はどうも地震で、コンビナートですから、しかもオートメーションになっておりますので、配管が折れたかこわれたかしたので、タンクの油が流れ出した。それに火がついておりますから、タンク自体が爆発したということではないわけでございまして、そうすれば流れ出た油に全部火が入って、防油堤でもつくっておかぬ限りは被害はどこまでも及ぶ。しかも水の上にまで油が流れて、それに火がついておるというありさまでございますから、そういうことから防油堤の問題も出てきた。それからやはりああいう施設であります場合に、あき地がありませんと火の食いとめがなかなか困難でございますので、そういう問題であるとか、それからただいまの化学車の設置、あるいは保安要員の設置などというものをかなりこまかく義務づけるということ、それから一番問題になるかと思いますけれども消防法の取り締まりを受けるもの、それからまた通産関係の高圧ガスの取り締まりを受けるもの、それぞれが雑居しておるような状態になっております。そこで勢い責任が明確にならぬ点が出てくるのではないか。現に私どもまだ検討中ですけれども昭和電工あたりの事故の場合を考えてみましても、あれは通商だ、これは消防だということは全く意味のないことでございまして、しかも起こった事故に対して火を消すということは、これは全面的に消防の責任になるわけでございます。さすれば、やはり取り締まりも、ただこういうものを製造するということ、これは通産の所得ではございましょうけれども、これのガス漏れその他を検知いたします現場査察なども一本化されて、消防庁で責任を負うのが正しいのじゃないか、それにはやはりそれ相当の化学の技術者というものも相当増員しなければならぬかもわかりませんし、こういった問題もやはりいろいろな抵抗があるかもしれませんがちょうどいい機会でございますので、消防が全面的に責任を負う反面、そういった通産の所管のものにも立ち入っていろいろ査察などをする、いろいろ手入れをしなければならぬ点があると思うわけでございます。列記すればなかなかの数でございますけれども、とにかく先ほど申しましたように、あぶない火薬類だとか、あるいは通産の取り締まりを受ける高圧ガスであるとか、あるいは消防の取り締まりを受ける原油であるとか、みな同じような性質でございますので、こういった一角にありますものを一括して消防のほうで責任を負うて、そうしてこういう事故を未然に防ぎ、あるいは起こりました事故に対しても完全にこれを消していくという措置を考えておる次第でございます。
  94. 細谷治嘉

    ○細谷委員 念のために重ねてお聞きしたいのですが、二十二日の新聞に、「「化学消防」を充実、消防庁法律改正に乗出す」こういう形で取り上げている内容は、自衛消防組織義務づけ、危険物施設の立地制限、危険物法規の一元化、危険物貯蔵タンクの規制、危険物施設の安全地帯、消火薬剤の保有量、消防特別機動隊の新設、災害無線の設置など、こういうものが具体的にあげられて、かなりの構想が出ております。これは消防庁の発表ではございますが、大臣むろん御存じの内容なんでございましょう。このとおり考えていらっしゃると確認してよろしゅうございますか。
  95. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 もちろんそのとおりでございまして、私は御承知のとおりに最初にあそこの災害地へ参ったわけでございまして、その点を痛感して帰ってまいりましたが、消防庁が私の所管になっておりますので、私が気がつきました点ももちろん指示をいたしますし、また消防庁自体も今回の災害にかんがみこれではいかぬという考え方を持っておりますので、いろいろ検討いたしまして大体そういうものをあげたわけでございますが、なおつけ加えるべきものも私はあると考えております。ことし一ぱいかかっても、とにかくこういう不測の事故に対処し得るような法改正をお願いしなければならぬ、かように考えております。
  96. 細谷治嘉

    ○細谷委員 技術的な面で堀内部長にお尋ねするのですが、新聞等に書かれてある——どうも新聞の記事はあてにならぬと先ほどちょっとお漏らしになっておりましたが、堀内構想というのは、先ほど私が言ったように、とにかく一県数カ所消防センターをつくりなさい、化学消防車も置きなさい、消防力のヘリコプターも置きなさい、リモートコントロール消火をやりなさい、こういうことを提案しているのですね。これは技術者でありますから十分な根拠があってやっていらっしゃると思うのですが、これが先ほど私が御質問したように、研究をした科学の水準というのがそこになったならば、現実の消防体制というものもやはり常にそこに置くように努力していかなければならぬと思うわけですが、技術者としてこの問題を専門的に消防研究所の立場で研究して、そういうものが今日必要だとお考えになっておると思いますが、いかがですか。これに対して消防庁はその研究所の結論、研究成果というものを十分に即時に活用して消化していく、こういう御決意があるのかないのか、ひとつその点をお尋ねしたい。
  97. 堀内三郎

    ○堀内説明員 お答えいたします。私の、新聞に載りました記事は、その当時新聞記者に聞かれまして構想を申し上げたのでございますが、一県に数カ所でなければならぬというような強いことを申したつもりはないのでございますが、消防庁が発表しております特別機動隊でございますか、そういう構想のことを申し上げたのでございます。多々ますます弁ずでございますから、そういう一朝有事の際に出動して、多くの消防力を災害地に集結することができるほうがいいことは当然なんでございます。たとえばコンビナートの多いところにはたくさんのそういう基地を設け、一つの基地にたくさんの消防力を持っておるということも必要だと思います。一県数カ所がいいか、コンビナートの少ないところには数県でも一カ所でいいかというようなことは、これから研究しなければならぬことだと思いますが、新聞の記事はそれほど正確に、私が申しましたこと全部を書いておるわけでございませんので、そういう表現になっておるのじゃないかと思います。もちろん御趣旨のように、研究の成果はすぐに行政面に取り入れていただくようにかねがねお願いもしておりますし、順次取り上げられていっているものと私は存じております。
  98. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 私も大体の構想は、各会社に保有義務を負わせるというのは、やはり初期消防の段階で完ぺきを期すということだろうと思うわけです。どの工場にもああいう地震による大火があった場合に、完全におまえのほうで消しとめるだけの準備をせいとかりに言いましても、なかなかそれはむずかしいこともあると思いますので、やはり所在の市町村にもこういう科学消火の施設というものを保有させなければならぬ。しかし、これは全国どの県にも消防センターということまでは考えておらぬ。とりあえずのところは、こういう科学消防ということに私どもは重点を置かなければなりませんので、やはりコンビナートの多いところは二あるいは三県にまたがっても、また別の市町村に化学消防車など位置づけまして、そしてこれを機動的に駆使していく、今度の新潟火災を実際消したのは、東京消防庁が行って消したわけであって、新潟消防町が消したわけではないのであります。ですから東京——新潟といえば距離があり過ぎますから、やはりもっと近いところで急速に移動もできる、そして防火を期す。全国的に見ましても多くあるとは考えぬわけでありますので、やはりその必要があるところには消防センター的なものをつくって、そして随時出動さして統轄して指揮するということを考えておるわけでございます。
  99. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私も一県に一カ所とか何カ所という問題ではなくして、やはりそういう危険物を扱うコンビナートというものができておるのですから、それに対応するような、先ほどのおことばに、東京消防庁が消した。化学消防車の威力というものは、遺憾なく今度のあれで証明されておるわけですから、やはり一定の基準の危険物を扱うところに対しては、やはり化学消防車の必置の義務づけというものを行なうと同時に、そういうものを補完する消防体制というのが、化学消防車を持つとか持たぬとかは別として、その情勢に合うような消防センター的なものを持つということが必要ではないかと私は思う。私がこの地方行政委員会の初めのころに、消防庁がきめた消防力の基準とか、あるいはこれを整備する政令とか、こういうものが、補助金の名においてことしは去年と同じ、来年からはうんと減らそうと現実に消防庁は考えている。その消防力整備すらできない中においてこういう事故が起こっておる。そういう整備をしても不十分なんです。その上にやはりいま言ったような確固たる今日の産業に対応するような消防体制というものをつくり上げなければならぬ時期なのに、そういう幾つかの盲点、問題点があるので、特にこの点をお尋ねしてそういう現存の産業体制に即応するような消防体制、こういうものをぜひつくっていただきたい、こう私は思うのです。  そこで、私が一つ心配しておるのは、どうも義務づけされても——これは今後は義務づけされますからやるでしょう。しかし、私は奇怪なことを新聞で見ている。これはたいへんなことだと思うのですが、消防車の入門拒否というのが、現実にこの間大事故を起こした川崎市で起こっているのです。電話をしてきたので、消防車が入っていった。入っていったところが入れない。もう消えたということで「消防車の入門拒否、川崎、石油化学工場のボヤと」いう見出しで大きく出ております。こういうところにも私は非常に大きな問題点があると思うんですが、これは一体どういうことなんですか。
  100. 川合武

    川合政府委員 ただいまの消防車の入門拒否のことでございますが、報告概要を申し上げますと、川崎の東燃石油化学川崎工場でありまして、六月二十三日の夜の八時三…分のことでございます。夜、八時二十四分、工場の守衛から通報がありまして、八時三十分に化学車五台と指揮車とは門のところに到着しております。ところが、工場の正門は閉ざされて中に入れませんで、守衛、庶務・主任等と押し問答の末、五分後に工場に入ったわけでございます。  そのときの押し問答の内容を申しますと、もう火が消えたから帰ってください、こういうことだったようです。消防隊は火が消えても、その消えた状況を確認する必要がございますので、その門をあけろと言いました。そのうちに、工場の中の伝令のような人が来て、まだ注水中である——これは工場内の自衛消防でございますが、注水中であるということを門の守衛に言いましたので、そこで、門をあけた、こういう状況でございます。私どもは非常にこの事柄を遺憾に思っております。工場に対しまして、消防庁のほうでも、会社の者を呼びまして、その事情を聴取いたしました。また、川崎消防署ではむろん工場の責任者を呼びまして、その事情を聴取し、警告といいますか、いたしました。   〔田川委員長代理退席、委員長着席会社のほうで、その点について非常に責任者は申しわけなかった、こういう話でございます。昨日のことでございますが、そういう報告を受けております。  私ども、この問題に対しまして、むろんいろいろな法的な問題もございます。しかし、法律の問題をもう越えた、一つの常識と申しますか、そういうような問題として、ことに川崎市には先般のような事故もあったことでもございますし、まことに遺憾なことだというふうに思っております。
  101. 細谷治嘉

    ○細谷委員 私はこれを見まして、なるほど新しい技術でありますから、秘密保持ということはありましょう。しかし、消防というものは土地の使用権なり、ちゃんと消防法に書いてあるのですよ。それをしかも電話をかけてきたのに拒否したということになると、消防体制をつくるのについて、よほどの当局の決意、覚悟がなければできないのではないか。石油の国際競争の中において、とにかく生産さえすればいいんだ、ちょうど石炭における保安の問題がやかましくなったように、生産さえすればいいんだ、コストを下げさえすればいいんだ、火災なんていうものは、あるいは地震なんていうものは、何年に一ぺんしかないんだ、ところが、現実には昭和石油が百億の損害をしておる。消防車は一千万円で買える。年々消火液をかえたって、たいしたものじゃないのです。  いまの入門拒否のに関連して、これも新聞に出ております。新聞だけの資料で恐縮でありますが、ある石油会社の研究課長という相当の人がどういうことを言っておるかというと、たまに火事はあるということはやむを得ないんだ、そういうことであまりに消防体制を強化するということは、あつものにこりてなますを吹くの例じゃないかというような考えに立っておるわけですよ。ここに私が非常に心配しておる点があります。もっとやはり今度の経験に通じて、大臣おっしゃるように、よほどの決意をもってやりませんと、私は午前中も申し上げたように、その設計の基準なりあるいはいろいろな施設のしかた、消防体制の整備ということについてたいへんなことになるのではないかということをしみじみと感じております。  ところで、私はさらにお尋ねしたいことは、これはあるいは通産省等の関係になると思うのですが、アメリカと日本の一枚の度数率というものを調べてみますと、最近はだんだん接近してきましたけれども、なおアメリカに比べますと二倍半くらいの災害が起こっております。そこで大体においてアメリカなんというのはずいぶん教育をしておる。子供のときから、ガスの使い方はどうなんだ、あるいは電気の使い方はどうなんだと教育しております。日本だと、そういう工場安全、安全工学というようなものについては、文部省は何べん申請したって大学の講座に設けさせない。不許可ということなんですね。端的に言いますと、安全を担当する技術者というのは、アメリカでは一流の人で相当の権限を持っておる。ところが日本の安全関係を担当しておる技術者は二流品ですよ。こういうところに問題がある。あああれの行うことか、あれはおれより頭が悪い、おれより先のない男だ、大体養老院に行く手前、あるいは定年に近づいた人、こういう人なんですよ。こういうところがやはり日本の廃業安全に対する体制というのが根本的にアメリカと違っているところじゃないかと思うのです。これはやはり消防庁としても正安でありましょう。通産省としては工場安全あるいは産業保安というものについて、今後、どういう体制でいくのか、これをひとつお尋ねしたいと思う。
  102. 阿部久一

    ○阿部説明員 先先の御指摘のように、私どもといたしましても、やはり産業安全に対します工場従業員に対する教育が決して十分とは存じておりません。最近に入りまして、特にこの保安教育には力を入れております。まだまだ今後大いに力を入れる必要があろう、こう存じております。
  103. 細谷治嘉

    ○細谷委員 高圧ガスについてはこれについての規制がございます。可燃性ガスについて——可燃性ガスといってもたくさんありますが、川崎で起こったフロピレンオキサイド、この爆発事故がございました、こういうものについて何らの規制がないわけです。ですから、通産省も、ちょっと言ったと思うのですが、商業保安法というよなものを制定してこれに対処するお考えがあるかどうか、お尋ねします。
  104. 川合武

    川合政府委員 御承知のように危険物のうち主として液状それから固体につきましては、消防法の体系の中の危険物の規制でございます。高圧ガスにつきましては現在これは通産省、可燃性ガスにつきましてはいずれのところでも規定が——可燃性低圧ガスにつきましては規制がございません。ただ、現在の技術の進歩と申しますか、過税の状況におきまして、石油は液状のものがガスになり、ガスのものが液状になる、かような製造過程においてあるような状況でもございますので、この間につきまして連携を十分とっておるわけでございますが、しかし、根本的にその問題につきましてさらに検討を加え、一つの総合的な体制として検討を加えるべき問題である、かように考えております。
  105. 細谷治嘉

    ○細谷委員 通産省にお尋ねしますが、これはお答えいただかなかったのでありますが、六月二十二日の公益事業新聞というのがございます。それによると、最後に、消防行政のあるいは危険物に対する行政の一元化という問題について大臣のおことばがあったからお尋ねしますが、その前に、通産省は、消防法の対象から特に可燃性ガスを取り扱う工場施設だけを取り出し、これを対象とする新しい法律を制定するので最も実情に合っていると考えており、これの対策を検討していく、こういう新聞が出ているのです。これはほんとうでしょうかね。
  106. 内丸邦彦

    ○内丸説明員 可燃性ガスのうち昭電事故の原因になりましたプロピレン・オキサイドのように、比較的圧が低いけれども、現にああいう事故を起こして相当の危険性が実際にあったというようなものは、これは放置するということは適当でありませんので、何らかのやはり法的な規制を強化する必要があるのではないかという考えに立ちまして、いま省内で検討をいたしておるわけでございます。そのやり方がどういう方法になるか、あるいは新しい法律をつくるというようなことになりますか、あるいは現在の高圧ガス取締法のワク内でやるというような方法がとれますか、そういったような点につきましては、まだはっきりとした結論が出ておらない状態でございますが、いま申し上げましたような方針で現在検討中でございます。
  107. 細谷治嘉

    ○細谷委員 この問題についても検討中ということでありますが、私が最後にお尋ねしたい点は、この問題について、やはり産業保安、工場安全という問題に関連して、大臣は消防法の改正それから体制の強化ということでありますけれども、私が心配しておるのは、やはり現実にこういう問題が二元化しておるのではないか、二元化してくるのではないかという心配がございます。現に、この新聞に書いてあることでありますけれども、こう言っておるのですね。「今井事務次官も」——今井事務次官の談話ですよ。これは何べんも申し上げるように、新聞記事でたいへん恐縮でありますが、都合の悪いときは御否定なさるのですけれども、これは「通産省に消防関係の部門を設けて学識経験者をまじえ、本格的な対策を検討しておけば、それがいちばん良い方法だろうが、」とこう言っておるのです。通帳省のほうで消防関係の部門をひとつ設ける、そういうことになればいいのだと通産省は言っております。私が心配するのは、中央のなわ張り関係というのはなかなかたいへんでありますが、通産省の一番いい考えはこういうことなのです。自治省とぶつかります。消防のほうは取って、危険性の可燃性のガスについては、通産省のほうで所管したほうがよいのだ、こう今井事務次官は言っております。ほんとうかどうか知りませんが、新聞にそう書いてあるのです。これはどうです。私は非常に心配しております。
  108. 阿部久一

    ○阿部説明員 お答えいたします。新聞記事のお話でございますが、私、申しわけありませんが、直接承知しておりません。私推察いたしますに、おそらく今井事務次官のお話の趣旨は、生産官庁といたしましても消防に関することは全然無関心ということでは決していかぬ、生産施設につきましても消防庁あるいは消防専門の方からよくお話をお聞きして、生産官庁自体も大いに関心を持つ必要がある。非常に僭越でございますが、おそらくそういう御趣旨に間違いないだろう、こう存じます。次官に直接確かめたわけではございませんが、しかし、おそらくと申し上げてよろしいと思います。御了承願いたいと思います。
  109. 細谷治嘉

    ○細谷委員 先を読んでみます。そう言っておいて、それが一番よい方法だが、消防関係のやつは通産省で取って、それでやったほうが一番よい方法であるけれども、その次にこう書いてある。「現在の行政機構ではそうもゆかない。やはり消防庁あたりと緊密な連絡をとりながら、万全の予防策をこうじる以外に手はないだろう」、こういっております。これは次善の策なんですよ。大臣、どうですか。これはそういうことに問題がある。一元化、一元化とおっしゃっていますけれども、通産省のほうは、ひとつ消防関係ももらって一元化しましょう。自治省のほうは、それは消防法の強化によって一元化しましょう。かち合っておるんです。かち合ううことはけっこうでありますけれども、なわ張り争いですね。次善の方法では、これからの近代的な産業に対処することはできないと思うのですが、大臣の所見をひとつ伺いたい。
  110. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 今井君もおそらく同じような気持で言っているんじゃないかと思うのですが、実際は、高圧ガスのそういった面での取り締まりの場合は、各県では商工課のものがやるんですね。それで、消防庁で別にあるわけなんですが、消防にはいまのところ、東京消防庁その他には若干いますけれども、いわゆる科学的な立場での技術者がきわめて少ないわけでございまして、ですから、ほんとうを言うと、消防の問題は、やはり責任体制を明確にするということが一番必要なんじゃないか。片一方は、通産省が責任を持つし、片一方は、消防庁というものが混在しておっては、どうにもならぬことであります。そういたしますと、危険物を扱います場合におきましては、火災あるいは爆発の予防という意味で、現場査察をひんぱんに行なうわけです。この前の昭和電工を調べてみましても、三ヵ月に一回はやはりやっておりますし、三月の末にもすでに査察をやっておるわけですが、こういう場合に、ただ別々に、高圧ガスの場合は県の商工課がやる、その他の重油なんかの場合は消防でやるなんというようなことではいけないと思うのです。ですから、その技術者の取り合い、所管の奪い合いになるかもわかりませんけれども、やはりこの危険を防止し、完全に消火の責任を果たすということが大事でございますので、大局的な見地から妥当な道を見つけて、そしてはっきりここへ法律その他で取りきめなければいかぬ、かように考えておりまするので、まあ現状ではいろいろ意見もありましょうが、単にセクショナリズムというわけでもございますまいし、しかしながら、結局、消防は責任を持つことになりますから、私どもとしては、最善と思う方法を考えまして、そして皆さんに御審議を顔うことにいたしたいと思います。
  111. 細谷治嘉

    ○細谷委員 大臣の所信を聞きまして、消防は最終的には責任を負うということでありますが、ぜひそうしていただかなければいかぬと思うのです。私は、大臣のおっしゃるように、やはり消防の一元化、危険物の製造は製造、それについては通産省が指導なさることはけっこうでしょう。その場合に、保安の問題、消防の問題というのは、別の視点からながめていくということが必要だろうと思う。どうしても生産のほうは生産に一生懸命になります。端的に言いますと、日本は後進国でありますから、一流の技術者というのは生産のほうに行って、二流の技術者をその保安のほうに持っていくのが現実の姿です。したがって、消防の問題あるいは保安の問題というのは、やはり消防なら自治省消防庁に一元化していく。製造のほうは、あるいはそれの指導監督、そういう問題については、これは当然通産省の所管としてやっていく。きちんとさい然とした分け方をやって、最善の責任体制を整えていく、こういうことが必要であろうと思うのです。時間がありませんので、私は申し上げませんけれども、産業防災審議会というのがあります。この会長さんのことばを私はある雑誌で見ました。この人も、いまは会長ですけれども、前は会社の社長をしておったのですから、おそらく製造、こういうもの一点張りであったと思うのです。そのときはそちらに重点を置いていたが、いまは防災審議会の会長という立場に立ってみますと、やはりその人の反省として、そういう安全面において体制として不十分だ、そういう生産の前提というものは、やはり安全、保安あるいは消火対策、こういうことに置かなきゃならぬのだということを言っております。そういう観点でひとつこの問題をながめていただきませんと、新聞記事ですから、あれですが、自治省の権限を通産省に持ってきてやったほうが、それが最善の方法なんて、こんな間違った考えではこれはとてもできません。この辺をひとつ大臣十分に御検討いただいて——今度の災害は、ある意味では、私は、天災ではなくて人災だ。もっともっとこれに対する対策が、科学技術を高度に駆使して、そういう対策が講じられておったならば、これはこんなことにならなかったんじゃないか、こう思います。一般民家火災が少なかったのは、この前の新潟火災の経験からそうなった、それもあったでしょう。関東大震災は、十一時五十八分に火災があった、今度は、一時二分ですから、ちょうどお昼が済んで火が消えたというところですから、そういう点もあったでしょうけれども、やはり住民は経験を生かしています。科学を生かしています。指導官庁がそれを生かさぬで、なわ張り争いをしておっちゃいかぬじゃないかと私は思います。そういう点でひとつ十分に、法の改正消防体制というものを、今度の経験から、おそきに失しますけれども、ひとつ大臣、断々固として講じていただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  112. 森田重次郎

    ○森田委員長 次会は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時四十六分散会