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1964-04-27 第46回国会 衆議院 地方行政委員会 第39号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月二十七日(月曜日)     午前十時十一分開議  出席委員    委員長 森田重次郎君    理事 田川 誠一君 理事 渡海元三郎君    理事 永田 亮一君 理事 佐野 憲治君    理事 安井 吉典君       大石 八治君    大西 正男君       久保田円次君    武市 恭信君       登坂重次郎君    村山 達雄君       山崎  巖君    和爾俊二郎君       秋山 徳雄君    阪上安太郎君       重盛 寿治君    戸叶 里子君       華山 親義君    細谷 治嘉君       栗山 礼行君    門司  亮君       本島百合子君  出席国務大臣         国 務 大 臣 赤澤 正道君  出席政府委員         警察庁長官   江口 俊男君         警  視  監         (警察庁保安局         長)      大津 英男君         文部事務官         (社会教育局         長)      齋藤  正君         厚 生 技 官         (環境衛生局         長)      舘林 宣夫君  委員外出席者         参  考  人         (東防連滝野川         支部母の会副会         長)      桑沢富美江君         参  考  人         (元大阪PT         A会長)    小西平八郎君         参  考  人         (日本基督教婦         人矯風会職員) 高橋喜久江君         参  考  人         (早稲田大学教         授)      暉峻 康隆君         参  考  人         (東京喫茶業環         境衛生同業組合         常任理事)   和栗 五平君         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 四月二十七日  委員千葉七郎君及び栗山礼行辞任につき、そ  の補欠として戸叶里子君及び本島百合子君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員戸叶里子君及び本島百合子辞任につき、  その補欠として千葉七郎君及び栗山礼行君が議  長の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  風俗営業等取締法の一部を改正する法律案(内  閣提出第三二号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 森田重次郎

    森田委員長 これより会議を開きます。  風俗営業等取締法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  本日は、本案について、お手元に配付いたしてありますとおり、参考人として東防煙滝野川支部母の会副会長桑沢富美江君、元大阪PTA会長小西平八郎君、日本基督教婦人矯風会職員高橋喜久江君、早稲田大学教授暉峻康隆君、東京喫茶業環境衛生同業組合常任理事和栗五平君、以上五名の方々の御出席を求め、それぞれ意見を聴取することにいたしております。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。参考人各位には、御多忙中のところ、当委員会法律審査のため御出席をいただき、まことにありがとうございました。風俗営業等取締法の一部を改正する法律案につきまして、何とぞそれぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べ願えれば幸いに存じます。  議事の整理上、初めに御意見をそれぞれ二十分程度にとりまとめてお述べいただき、次に委員諸君からの質疑に対しお答え願えれば幸いに存じます。  なお、御発言の順序でありますが、暉峻参考人は午後時間の都合がつきかねるとのことでありますので、初めに暉峻参考人から御意見をお述べいただきます。委員諸君からの質疑に対しお答えを願い、他の参考人方々には、その後、桑沢富美江君、小西平八郎君、高橋喜久江君、和栗五平君の順序で午前御意見をお述べいただき、午後委員諸君からの質疑に対し一お答えを願いたいと存じますので、御了承お願い申し上げます。  それでは暉峻参考人
  3. 暉峻康隆

    暉峻参考人 戦後の東京は、風俗営業都市といってもいいくらい風俗営業が盛んでございます。ですからこの問題はたいへん利害関係や複雑な問題があろうと思いますけれども、この際はその利害問題を度外視して、私の常識的な意見を申し述べさしていただきます。  この風俗営業に関する法律案を見ておりますと、いろんな風俗営業そのものトルコぶろとかいろんなものを含んでいると思いますけれども、私はおとなの出入りする風俗営業についてはあまり神経質になる必要はないと思います。おとなは、道徳的にも法律的にもちゃんと責任をとるようにできておりますから、これはおとな責任で、そういうおとなをつかまえて法律でどうこうしようというのは間違いだと思うのです。それからもう一つは、やる気があれば、いままでの取り締まり法でも十分おとなの場合は取り締まれると思います。トルコぶろの問題でも、私は行ったことがないので、人聞きでいろいろ聞いておりますけれども、そもそもオリンピックが始まるから取り締まるという精神がおかしいので、取り締まるならば、オリンピック関係なくやってもらいたいと思います。だから私はきょうはおとなの問題ではなくて、未成年者不良化防止という点に問題をしぼって意見を申し上げます。  深夜賞業とここには法律用語として書いてありますけれどもほんとうは十二時までの深夜営業はほとんど問題にならぬのでありまして、終夜営業が問題になっているのだと思います。その終夜営業も、御存じのように二種類ございます。一種類は、私どももしょっちゅう利用しておりますけれども、このごろの、戦後の日本は、二十四時間フルに動いている社会方々にございます。たとえば、私もしょっちゅう出かけますけれども、テレビ、ラジオ局付近には、夜明けまでのおでん屋とかにぎりめし屋があり、ここでは、おとな相手ですから、もちろん酒も提供しております。私どももそれを利用いたします。二時、三時に仕事が終わって、うちへ帰っても食べものもないという場合、そういう人たちがたくさんおりまして、そういう人たちのための終夜営業をしております。それから上野駅、新宿駅付近には、御存じのようにそういうのがたくさんございます。しかしそういうところは、ほとんど風俗とは関係なく、もっぱら行く人間は、疲労回復と飲食のために行くだけでありますから、これは問題にならぬと思います。そしてこれは別に規制しなくても、必要度のないところでは成り立たない営業ですから、これは問題はないと思います。  もう一つは、風俗営業ではないけれども、純喫茶という形で終夜営業をしている。これがいわゆる深夜喫茶でございます。これは私も一ぺん去年あたりのぞいたことがありますけれども、男も女も未成年従業員がいるわけではございません。みんなちゃんとしたおとなのボーイさんがおりまして、アルコール数どももちろん提供しない。コーヒーやジュース程度で、要するにそれは場所を提供しているにすぎない。ですから営業そのものは非常に健全な形をとっているわけなのです。しかしその場所を提供しているということで、当然うちにおるべきはずの良家の子弟がそこでふらふらと夜明かしする。最近の情勢を、うち大学の若い者がたくさんおりますから、その連中に聞いてみますと、大体半分はぐれん隊的な、やや、やくざがかった二、三十代の男で、あと良家の子女、未成年が大部分、半分くらいだ。もう悪くなったのは法律で取り締まるよりしようがありませんけれども、これから悪くなろうとしている連中に悪くなるための場所を提供している、ここが問題だと思います。ですからあまり風俗営業という形式にとらわれて、十八歳未満のサービスする女の子がいない、もしくは未成年を入れないというように、お客のほうだけを取り締まるよりも、清潔な形で場所を提供して、結果は不良化を促進しているという、そういうのを規制したほうが私はよろしいと思います。  これだけでございます。
  4. 森田重次郎

    森田委員長 以上で暉峻考人からの意見の開陳は終わりました。  質疑通告がありますので、順次これを許します。大西正男君。
  5. 大西正男

    大西委員 きわめて明快な御意見でございます。実は質問通告をいたしておりましたのですが、質問を申し上げる余地もないような感じもいたしますけれども、一応伺いたいと思います。  実は、トルコぶろはこの法案の中には入っておらないわけでございますが、先生の御意見では、広い意味、常識的な意味において、おとなの出入する風俗営業の範疇にトルコぶろも入ると考えられるものならば、その風俗営業の中に入るべきトルコぶろについてはどういうふうな取り締まりをなすべきか、また現状のままで放置しておいてよろしいのか、その辺をお伺いしたいと思います。
  6. 暉峻康隆

    暉峻参考人 トルコぶろには行ったことがありませんし、このごろは利用するだけの体力もございませんので、一向不案内でございますけれども、先ほど私が申し上げましたのは原則論でございまして、おとなというものは道徳的にも法律的にも責任をとらざるを得ない形になっておりますから、それに立脚して取り締まるなら取り締まったほうがよろしい。ただむやみに規制だけするのではなくて、これはやはりしょっちゅう業者方々とも懇談して、業者の方が自粛しない限り、売春にかかわり合いある問題があるとすれば、この問題はなかなか困難だと思います。売春禁止法の問題にしろ、御存じのとおりざる法案といわれながらも、とにかく実施されております。私も禁止法のときは大賛成で、一緒になってやったほうですけれどもあとでみんなに、それ見たことか、売春がかえって盛んになったじゃないかと言われますけれども、私は日本だけが文明国の中で売春を公認しているということが、国際的に恥ずかしかったので、売春を禁止して多少私娼が発生したと申しましても、国際的に日本売春の公認をやめたということがたいへん意義があったと思います。これを国際的にいうと、日本売春を公認しているじゃないかと言われると一言もなかったわけなんですから、それがなくなっただけでも、たいへん私は国際的に前向きの姿勢になったと考えておりますので、すべてが法律や何かで規制はできませんけれども、一番根本の政治姿勢ということが大切だと思いますので、その線でどうか風俗営業その他も考えていっていただきたいと思います。
  7. 大西正男

    大西委員 もう一点お尋ねしたいと思います。  実は、先ほどお話の冒頭に、戦後において東京風俗営業都市になった観があるというお話があったわけでございますが、戦後というか、いろいろ戦後でないという話もあるわけでございますが、現在日本に限りませず、自由諸国、あるいはアメリカにいたしましても、また共産圏におけるソ連にいたしましても、都市においては相当青少年不良化ということが存在しておることと思います。現にソ連におきましても、これは青少年に限りませんが、不良なり無頼漢というか、そういうものが出ておるようでございます。そこで、そういった青少年不良化が世界的な傾向だとかりにいたしますと、その中における日本の現在の青少年不良化というものは何か特色があるのか、その辺はいかようにお考えでございますか。
  8. 暉峻康隆

    暉峻参考人 世界的な青少年不良化ということは、それだけ考えていきますと、いろいろな原因があります。日本だけではなくて、共通の原因といたしましては、やはり核戦争ということが少年影響を与えることもありましょうし、そんな原因よりは私は大学生になると——実は大学生未成年なんです。大学一年は十八歳くらいですから、三年くらいにならないと成年になりませんが、ここにも一つ問題があると思います。江戸時代は十五歳、数え年十六歳からは、法律的にも道徳的にもすべておとなとして扱われました。現在は満二十歳にならないとおとなとして扱われないというのはおかしいと思うのです。実際はわれわれの心の中にある青年というものは、ここにもありますように、やはり満十八歳までを未成年として扱っておるのです。法律的には満二十歳ということになっています。そこらも少し考えなければなりませんが、青少年不良化はすぐ教育が悪いということになりまして、高校先生や中学の先生がたいへんいたぶられますけれども、私どもが見ておると、家庭責任を持たなければいかぬ。大学生までになりますと、家庭とは関係なく、知的な責任を持ちますからいいですが、高校生まではその家庭原因があるようです。その家庭は現在においては貧困という理由ではなくて、家庭不在という——両親不在、肉親、不在家庭の中で、幾ら豊かであっても、それが少年の孤独を誘って、群集の中へ、ちまたへまぎれ込んでいくという機会をつくっているのが、私が知る限りにおいて大体の原因だと思います。貧困による不良化というものはございません。現代においてはむしろ家庭の問題がたいへん多いと思います。そういうことであります。
  9. 大西正男

    大西委員 いま家庭お話が出ましたが、こういうことがよく言われるようでございますが、たとえば欧米におきましては、学校教育のほかにキリスト教といった宗教が、家庭その他すべての生活に支配的な力を持っている。それが青少年の道徳心といいますか、あるいはしつけといいますか、そういうものに強力に働きかけておる。したがって青少年が、こういうことばを使うのはどうかわかりませんが、知らず知らずのうちに善導されておる。ところが日本にはいろいろの宗教がありますけれども、どちらかというと、日本人は実際は無宗教的なものではないだろうか。それがために、おっしゃるように家庭不在になりますと、それをささえていくものがないのではないかといったようなことが言われておるようでございますが、こういう点が日本における青少年不良化にとって何か特色でも持っておるのか、かなり影響があるのか、こういう点はいかがでございましょう。
  10. 暉峻康隆

    暉峻参考人 全くおっしゃるとおりでございまして、少し問題が広がり過ぎた気もいたしますけれども、これは最大公約数的に言って、日本人は無信仰でございます。非常に信仰の厚い日本人もたくさんいるわけですが、それでも私のところにアメリカ学生日本の文学を勉強に毎年一人、二人ずつ来ておりますが、そういう連中早稲田あたりで半年くらいすると、ここの大学宗教的ムードがありませんですね、こう言うわけです。ことに大学学生にもなると、むしろ信仰を持たないことが現代の知性だという考え方があると思います。戦後はほんとうにおっしゃるとおり無信仰になりました。無信仰だけではなくて、やはりわれわれは戦前派ですけれども戦前にはそれがいい悪いはともかくとして、何か心のよりどころになるモラルが家の場合にもあったわけです。ところがそれが崩壊して、まだ新しいモラルが未完成である、ここにやはり問題があると思います。われわれおとなは、頭を切り変えて、新しいモラルなり生き方なりを自分なりにつかもうとして努力いたしますけれども、その能力がない未成年者たちはどうも不良化せざるを得ないんじゃないかと思うわけでして、そこに少年未成年者不良化の問題が、学校教育だけではなくて政治においても、家庭学校政治と、これが三味一体になって努力しないといけない、そう思います。
  11. 大西正男

    大西委員 そこで、この取締法必要最小限度において私ども必要だと思うのでございますが、そういう取り締まりだけをしておることは、問題の本質的な解決ではないわけなんです。何かここに特効薬でもございましょうか、結論的に何かお話を承りたいと思います。
  12. 暉峻康隆

    暉峻参考人 これはやはりガンと同じ、特効薬というのはまだ発見されていないんで、われわれは一生懸命その特効薬を、寄り集まってつくり出そうとして努力しているというのが現実の姿ではないかと思います。結局一生懸命みんなが相談し合って特効薬に近い特効薬を発見していく、それはいい方法がないわけじゃございませんから、そのよりよい方法を一生懸命こうして努力しながらつくり出していくよりしかたがないと思います。  それから、ついでながら一言申し上げますけれども、この間も新聞なんかで見ておりますと、都条例か何かで青少年の十二時以後の外出を禁止するとかしないとかいうようなことが問題になっておりましたけれども、これはいけないことだと思います。人間は二十四時間、どこにいてもいい権利が憲法で与えられておりますから、これはやめたほうがいいと思います。むしろ、それよりもやはり立ち入ってはならないところをそのままにしておくのがわれわれの怠慢ではないかというふうな考え方をしたほうがいいと思います。
  13. 森田重次郎

  14. 安井吉典

    安井委員 私、ちょっと法律的な面からいろいろ伺いたいと思いましたが、先生法律のほうの御専門でないそうでございますが、先ほど、風俗学的な立場から年齢のことをちょっとお触れになったので、この際ちょっと伺っておきたいと思うのであります。まあ私ども青少年人たちのすこやかな成長を念ずる立場から、やはり不健全な社会環境を幾らかでも除去してあげておくということが私どもの任務ではないか、そういうふうに思うわけで、したがっていまの風俗営業等取締法の問題に関連いたしまして、いろんな問題を論議してきたわけでありますが、その青少年取り締まり対象年齢が十八歳というふうにいまの法律はきめられております。それから少年法の場合も、いまその年齢を上げるか下げるかといったような論議もございます。そういうような点から、こういうような場合における年齢制限点といいますか、それが十八歳というところでちょうどいいのか、低いのか高いのか、その点ひとつ御意見をお聞かせ願えればと思います。
  15. 暉峻康隆

    暉峻参考人 どこを未成年にするかということになりますと、一つ歴史的なことを簡単に申し上げますと、古代の奈良時代は大宝の律令で十三歳からおとなということになっております。女性も結婚してよろしい。これはもう成人として認めるということで、平安朝でも貴族たちは十三歳になると必ず元服をして領地を受け継いで初冠の式をあげた。これが江戸時代になりますと少し延びまして、先ほど申し上げましたように十五歳までが少年、大体十七歳ぐらいで成人式元服の式をあげました。現代では、私は、やはり高等学校がもう準義務化しております。日本御存じのとおり、世界じゅうで一番教育のレベルが高いですから、これは誇ってよろしいかと思います。高等学校ももう大体準義務化しておりますから、高校卒業限度とすれば、やっぱり十八歳くらいが適当ではないか。私もたとえば大学学生を預かっておりますが、大学生になるとそれは年齢的な成年未成年を越えて、もう諸君大学生だから、その自覚を持って、われわれはおとなとして講義するんだ、初めにこう宣言して講義を始めたりしておりますので、もう大体十八歳になれば、精神薄弱者じゃない限りは、もう満十八歳はおとなとして十分知的にも——ことに体力的にはわれわれより強いのでございますから、通用すると存じます。
  16. 安井吉典

    安井委員 もう一つ、先ほどのお話の中に、まあおとなのほうはそう問題にしなくてもいいだろう、こういうふうなお話もあったと記憶するわけでございますが、私もよく知らないのですが、最近におけるトルコぶろの問題とか、ヌードスタジオの問題だとか、まことに目に余るものがあるから、そういうようなものについても規制をすべきではないかというふうな意見も相当強いわけです。いまの風俗営業等取締法の中には、実はヌードスタジオとかトルコぶろは入っていないわけです。トルコぶろについては、公衆浴場法という法律規制されているままで、風紀的な取り締まり現実にはあまりありませんし、それからヌードスタジオども、ストリップショー的なものが興行場法の適用を受けているようでありますが、それ以外のものは、これももう全く野放し状態で、法律は一切ないわけです。風俗営業等取締法対象にもなっていないのであります。そういうような点から、先ほどおとなのやつはそれほど気にするなというふうな御意見でございますけれども、どの程度まで気にしないでおいて、どの程度からは法的な規制が必要だとか、そういうふうなお考えについてもひとつお漏らし願いたいと思います。
  17. 暉峻康隆

    暉峻参考人 トルコぶろの話が出ましたのでついでに申し上げますが、江戸時代には、ことに上方前期、元祿以前には、ここの東京、もとの江戸でもトルコぶろと同じものがございました。神田あたり丹前ぶろ、その他浮世ぶろというのがありまして、そこには全くいまと同じで、あかかきという女がおりまして、ふろに入ると全部マッサージはどうか知りませんけれどもあかをかいてくれて、そこで話がまとまると二階に行って、まあいわゆる売春行為をする、こういうのがあったわけで、それは幕府がやがて取り締まりまして、つぶしてしまいました。ただ背の場合は幕府私娼を禁じて公娼を許すという立場にありますから、公娼を守るということが私娼を禁ずる——私娼をなぜ幕府が禁じたかというと、私娼窟を方々に置いておくと、そこがいろんな悪の温床になる、それよりは目を光らして、一カ所にまとめておけば、悪の温床にならないというのが公娼制度をつくった理由なんです。ですから、そういういまのトルコぶろ的なふろ屋が繁盛して目に余るようになってくると、それを取りつぶして、そこで働いていたのはみな吉原に送り込んで——これは刑罰として。いまは送り込む先がございません、そう言っちゃ悪いのですけれども。そうしてまあ大体私ども見て、聞いていますと、目に余るものがあるとほんとうに心から言う人は、いつも行っているやつが言っているのでありまして、私どもは目に余るものがあるということを聞いて目に余るものがあるらしいと、こう判断しているので、もっと実態をよく把握した上で、ほんとうに目に余るものがあるのかないのか、つまり東京都市としての、文化都市としてのそれが恥辱になるかならないか、こういうことだと思います。男女関係というものは、幾ら法律や道徳で取り締まろうとしても、もうそれは限度があるものでありまして、要するにそれが文化都市としての恥辱になるかならないか、客観的な目から見て。それを取り締まり限度にしたらいいんじゃないか。  もう一つは、これは風俗営業とは申しませんが、ボーリング場も私どもおかしいと思う。私も運動を、忙しくてゴルフに行くひまがありませんので、ときどきひまを見ては 後楽園——中央大学講義に行った帰りには、あそこで二ゲームくらいやります。ところが昼間はすいておるのです。私どもが行くと。ところが夜になるとたいへん混雑して、大体二、三時間待たないとだめだ。そうすると十二時ごろから行って、二、三ゲームやって、済ますと、五時ごろになるというのが普通で、そこへ青少年がどっと押しかけているわけです。私の体験によりますと、あれは非常に健康なものなんです。しかし、それがやはり終夜営業ということになると、不健康なことになる。まともな青年だけが行くわけはないし、まともな青年が大体十二時ごろから夜明けまでスポーツをやるというのはおかしいのです。ですからこの問題も、やはりボーリングそのものはけっこうだと思うのです。むしろ私は国営にして、夜の十時ごろまでにして、非常に健康な安い青少年スポーツ的娯楽場としてやったほうがいいと思うくらいでありまして、野放しにしておくと、結局終夜営業で、あの深夜喫茶の場合と同じような一つの悪の温床になりつつある。ですからそのものが悪いのじゃなしに、時間の問題が大部分を占めておると思いますので、どうかその点を御協力願いたいと思います。
  18. 佐野憲治

    佐野委員 関連でありますが、いま暉峻先生が御指摘になりましたように、おとなの問題に対しましてはそう神経質になる必要はないんじゃないか、私もそれに同感なわけなんですけれども、たとえばヌードスタジオなりトルコぶろなり、いろいろ問題がありますけれども警察権をこういう方面にまで拡大するということは、私はやはり日本のいまの現状から見て、危険な要素もたくさんあるんじゃないか、かようにも考えるわけであります。そこで考えられるのは、刑法犯の発生と検挙率を見てまいりますと、戦前と比較いたしまして、検挙率が非常に低いわけですね。六八%ないし七〇%程度だ。戦前のほうが非常によかったわけです。しかも警察官の人口に対する数を見てまいりますと、戦争前は千人に一人くらい。いまは六百八十人かそこらに一人くらいになっているのです。非常に警察官がふえてまいっておる。警察の行政から見てまいりますと、前は衛生警察その他まで含めて、膨大な警察の行政があったわけですね。いまは民主警察のたてまえから非常に縮小されてきておる。にもかかわらずこういう検挙率になっておるわけです。こういうことからひとつ先生にお伺いしたいと思うのですけれども、たとえばヌードスタジオなりトルコぶろなり、いろいろ問題点があると思うのですが、こういうのは新しい風俗営業対象として取り締まるという一つの面がいいかということになると、私も疑問に思うのです。そこでもっと、たとえば刑法の公然わいせつ罪なり、あるいは売春禁止法なり、あるいはまた職業安定法なり、児童福祉法なり、いろいろな法令があるわけですが、そういうものによって取り締まることができるんじゃないか。なぜできないのだろうか。逆に検挙率が非常に低くなってきておる。こういうことに、警察機構そのものに欠陥があるんじゃないか、こういうぐあいにも考えられる。先生として学者の立場でそういう点に対してどのようにお考えになるかということが一点。  もう一つついでにお聞きしておきたいと思うのですが、特に最近東京都でも物議をかもしておりますところの青少年保護条例、これは地方には非常に多く現在成立しておると思うのです。そしてまた現実的にこういう青少年の憲法上与えられておるところの基本的な人権というものが非常に平然と無視されておると思われる条例も非常に多くあるんじゃないか、こういうことを感ずるわけです。先ほど先生が御指摘になった、外出の問題、あるいは有害出版物の問題、いろいろあるのですが、先生は専門ですから、全国的にこうした青少年保護条例、こういう条例の成立しておるものの中で問題点と思われるのはどういう面か。あるいは憲法に違反しておるようなことを制定しておる、こういう条例に対してお気づきがありましたらひとつお教え願いたいと思います。
  19. 暉峻康隆

    暉峻参考人 やや専門的な話になりまして、私はあまり法律のほうは詳しくありませんので、私の範囲で申し上げます。  たとえば青少年に対する関心が非常に高くなったということは、最近まさしくおっしゃるとおりで、ことにお母さんたちが悪書追放、中には悪書を集めて焼いたりなさるのを見ると、私どもは慨嘆にたえません。世の中に善書というものは悪書があるから存在するので、宗教があるのも、悪があるから宗教が必要だ。宗教も道徳も法律も要らない人類の社会ならば、それに越したことはございませんけれども、いい本だけで人間がりっぱに育っていくかどうか。悪い本というのは、一体子供が見て悪いのかおとなが見て悪いのか、やはりもっと考えなければいかぬと思います。おとなが見て悪いと思うのは、おとなが自分がそんなことをやったからこれは悪いと思う。子供は、やったことがない者は何ともない場合がありますし、テレビを見ても、このごろの子供は、テレビで劇映画なんかしょっちゅうやっておると、しょっちゅうせっぷんしておりますけれども、それを見て私もせっぷんしようなんという子供は一人もいない。うちの子供も。だから、おとなが感ずるせっぷんと子供が感ずるせっぷんはまるっきり違う。だから、もう少し子供の立場に立ってお母さんたちも考えてくださらないといけないと思います。だから、悪書というものは確かにありますけれども、それはむしろ業者そのものが自粛するように指導していくのが現代政治であろうと思います。悪書がいいとは私も言いませんけれども法律規制したりお母さんたちが焼いたりしないで、そういうものを出す業者自身に文化人としての自覚を促すように指導していったほうがいいんじゃないか。現に東京ではそういう動きが、業者が集まって自粛するという動きがございます。そして、小売り業者がそういうものは受け付けないという動きもあります。ですから、こういうものは、やはり悪いことだけれども法律規制しなければならぬことと、当事者の自粛自戒によって処理すべき問題と、いろいろ問題が複雑になっていると思います。  それからもう一つ青少年の検挙率やその他が少ないということ。これはやはり戦争前と違って警察権というものが弱くなった。ということは、逆にいえば、日本人全体の基本的な人権が認められてきたということでもあるわけですから、現在だけを見ないで、長い目で見ていかなければいかぬと思います。警察力はなるべく必要としない国にしていくのがわれわれの政治の目的でございますから、どうかそこのところは気ぜわしくなく、長い目で見てこういう問題は考えていったほうがよろしい。これは私ども教育立場で申し上げるわけです。  ついでに、もっと申し上げますと、大学の教授というのはあまり教育立場には立っておりません。おとなになった学生に向かって変に教育的なことを言うと、うち学生もしょっちゅうここへ来てあばれておりますが、そういう者をつかまえるとつるし上げられます。それよりも、やはり講義を通じてわれわれの人間というものを訴えていく。自分の研究と離れた道徳的な教育ということは考えておりません。自分の研究を通じて、人間としての触れ合いの中でお互いに成長していく、これがわれわれの立場でございます。
  20. 森田重次郎

  21. 本島百合子

    ○本島委員 ただいま暉峻先生お話を聞きましたが、先生のように聖人になられておる方に対しては少しぴんとこない点があろうかと思いますが、私ども現実の姿から見て、風俗常業法の改正についてはもっと厳格なるものにしてもらいたいというのが大方の母の願いであるわけなんです。最初先生は深夜喫茶店は必要に応じてできたんだとおっしゃるのですが、これは戦後、必要に応じてできたのではなくて、むしろあの当時、コーヒーその他があまり手に入らないというようなところで喫茶店がぼつぼつできて、それがだんだん流行になったわけなんです。そしてそのうちに、深夜まで行なうものができてきた。東京都条例をつくりましたときには、その深夜喫茶店なるものの中で、残念なことに性行為を行なうような非行青少年があったということで、その地域の人々から、これを何とか規制してもらいたいという要望が全都的に起こったわけなんです。そのために深夜喫茶店とは、ということで条例をつくったわけなんです。それから今日に至るまで、喫茶店については地方条例で大体やられてきた。そこで東京都は、今日の状態を見ますときに、地方条例ではどうしてもうまくいかないということで、法律の改正によってこれを規制してもらいたいという要望が出てまいったわけなんです。そういうことからして今回の改正ということになるわけでありますが、深夜喫茶店等を一度ゆっくりと御視察願いたいと思います。あそこには、必要に応じて、労働が深夜までかかったから、疲れたからあるいは食事ができなかったからというわけで行っている人が多いのか、そうでないグループが多いのか。たとえば私どものような年齢の者が参りましたときには、ばばでございますのでなかなかうんと言って着席さしてくれない。同伴があれば辛うじて、あなたは三階へと言って、二階の席は若き男女なんです。その若き男女も、その改正によりまして十八歳未満は入ることができない、それから十八歳から二十歳までの子供には酒を出してはいけないとうたってあるわけなんです。ここにも矛盾があるわけでございますが、とにもかくにも、必要に応じてできたものではなくて、むしろ娯楽的な、あるいはまた男女の交際する場所がないという——深夜になりますと危険も伴いますので、そういうことからだんだんこれの利用者がふえてきたというかっこうになって発展してきたものなんです。  そこで私は、一昨日のこの委員会におきましても、深夜喫茶店というものがほんとう人間に必要なものであるかどうかということを考えたときには、必要なものでないから、これを禁止いたしまして、深夜働く人のためには大衆食堂なりそば屋なり、あるいはすし屋なり、こういう駅前なり、必要な職場がありますならばその付近にそういうものを残しておいたらどうか、こういう主張をしておるわけであります。こういう点について先生いかがにお考えになりましょうか。
  22. 暉峻康隆

    暉峻参考人 全くおっしゃるとおりで、私が最初に申し上げたのもそのとおりでございます。終夜営業にも二種類ございまして、御存じのように私どももしょっちゅうそれを利用しておりますが、ほんとうに飲食のためにと終着駅付近とかラジオ、テレビの付近、これは非常に健全にやっております。もう一つは深夜喫茶、終夜営業の純喫茶と称するものは、これはいけないと思います。これはおっしゃるとおり規制したほうがよろしいと思います。しかし、私はあまり現実を知らないようにおっしゃいますけれども、少なくとも私のほうが皆さんよりは、何しろ名うての暉峻でございますから、社会見学については——たとえば深夜喫茶風俗を乱すとおっしゃいますけれども、新宿あたり、十二時まで営業している普通の純喫茶でも同じことが行なわれているんですよ。私は行かないけれども、私がいつも行く飲み屋の連中がしょっちゅう教えてくれます。ここはつまり同伴で行くところなんですね。御存じのように、そこにはサービスする女性はいない。同伴で行って、たいへん高くて、カーテンがちょっとかかるようになって、何かとっておればそこで一定の時間過ごせる。どういう人たちが行くのかというと、ホテルに行きたいのだけれども、行くだけの金もないという人たちがそこを利用している。そうなりますと、それまでいけないとなると、どうも、宮城前広場でしょうか。正直なことをざっくばらんに申し上げたいと思います。形式主義で法律はできませんから……。つまり宮城前広場やそういうところでもできない。といってホテルにも行けないというような人たちが、そういうようなところを利用しているのが多いそうでございます。だから営業そのものは、これは風俗営業じゃないのですね。ほんとうにコーヒーとかなんとか、それでやっているのです。ですからそういう現実をちゃんとつかんだ上で処置しないと、もっと悪いことに、角をためようとして牛を殺す結果になりかねないわけです。おっしゃるとおり十二時以後に、当然家庭におるべきはずの未成年者が、そこに夜明けまでおるということは、それだけでも不健全でございますから、これはやはり法律的に規制したほうがよろしい、私は賛成でございます。どうかその線で……。
  23. 本島百合子

    ○本島委員 もう一点承りたいのですが、年齢の問題は先ほどから繰り返されておるようで、先生の御意向では、十八歳程度が適当である、こう了承してよろしゅうございますか。
  24. 暉峻康隆

    暉峻参考人 はい。
  25. 本島百合子

    ○本島委員 それからもう一つは、戦後日本社会が発達してまいりましたときに、図書等の例で申されておったようでございますけれども、いい木と悪い本とがある。おとなの感覚で悪いからといって禁止するのには反対だ。それからもう一つは、たとえば先生は十二時とおっしゃったのですが、愛の鐘が鳴るまでには——たしか正確には十時だったと思います。地方でも大体そうだと思いますが、鳴ったら家に帰れと警告しているわけです。そして愛の鐘が鳴ってすなおに帰る子は問題がないのですが、帰らない子供がいて、その帰らない子供たちの行く場所にこういうところが提供されておるわけであります。そこでいいものは残るけれども、悪いものはつぶしていくという考え方を私どもは強く持っているわけです。ところがこれが、いま言われたように経費の届くなるような深夜営業場所に行けない者たちが、どうしてもここへ入っていくわけなんですね。夜、まさか冬の寒いときに、宮城前広場というわけにもいきませんので、そういう人たちが、結局一人一人はどうということは言いませんが、その雰囲気にだんだんおぼれてまいりまして、小づかい銭ほしさに悪いことを行なう、あるいはまたその雰囲気に、自分の性格を強く持てないために、ずるずる引っぱられていく。そうして健全な恋愛があって、そして結婚へたどっていくというようになればよろしいのでございますが、そういうことが非常に少ない。むしろそういうところが悪い結果を生み出してくるという現象をかもし出しているわけなんですね。ですからこれを何とか規制しよう、こういうわけでございますので、おとなと同じような判断力あるいは理性、こういうものを持ち得ておりますならば危険は少ないわけなんです。持ち得ないこういう未成年者の人々に対して保護するというのが、われわれのたてまえじゃないか、こう思うのです。先生お話はそうではなくて、いいものと悪いものとがあって、いいものを求めてくればいいのだ。悪いものがなければいいものはないのだ、こういう論法になれば何をか言わんやでありますが、しかし政治の面、社会の面から言えば、大体ボーリングあるいはトルコぶろなんというのは法律に適用されない面でできておるわけなんですね。ヌードスタジオなんというものは、全く適用されない存在なんです。法律の盲点をくぐって、法律の適用を受けない線でそういうものが出てくる。これが健全なものをかもし出すものならばいいけれども、不健全なものを与えるもので発達してくるわけです。またそういうところがはやるわけなんです。ですからこういうものは、根こそぎ徹底的になくしてしまうということのほうが、むしろ私は判断力の乏しい、知性のまだおとなまでいっていない子供たちのためにはいいのじゃないか。またおとなにいたしましても、そういうところに出入りする人は健全な家庭の親でもなければ、何でもないという気を強く持っておるわけですが、こういう点どうでございましょうか。従来の御研究の過程の中から先ほどの御意見は少し私には納得いきませんので、やはり悪の温床となるべきものは徹底的になくする、それは法律の力をかりてでもやらなければならぬと考えておりますが、先生のお考え方をお聞かせ願いたいと思います。
  26. 暉峻康隆

    暉峻参考人 何がよいか悪いかという判断はおとなはできるというお考えに対して、私少し疑問があるのです。戦争前われわれがいいと思ったことが今日たいへん悪くなりました。ですから、いまのわれわれの判断でいい悪いをきめて、時代が変わっても生きていく法律をつくるということは、よほど慎重でなくちゃならぬと思います。  それからたとえばボーリングは悪いというふうにおっしゃいますけれども、昼間行ってごらんになりますと家族連れで来ております。私などもひまがあるとやっているのです。そのものが悪いかそれとも時間が悪いか、ここは判断して、ケース・バイ・ケースで考えていってくださらないと、子供のためにならぬものは全部つぶせという考えでは少し画一的ではなかろうかと思います。さっき申し上げましたように、ボーリングはせいぜい一時間くらいで全身運動ができますので、私も十日に一ぺんくらいはひまを見てやっていますけれども、ただ問題は、それが十二時から夜明けまであるというところにあるということでして、それならばむしろ国民宿舎みたいに、国営、市町村営でボーリング場は置いておけばいい。もっともあれは高いです。子供でも一人当たり千円近くかかるのですから、千円もかかるということはちょっといけませんですよ。ですから、ボーリングそのものはいい運動で、健康なものです。それならばつぶすという方向じゃなしに、本質的に健康で、いいものなら、むしろ政府なり市町村なりが積極的に経営して、健康な状態でやらせたらいい、そういうふうに考えております。  善悪ということはいま申し上げましたようにむずかしいのですが、悪いのを焼いたりつぶしたりするのじゃなくて、子供たちに何が正しいか、何が悪いかを教えていく、そこへ力点を置かなければ何にもならぬと思うのです。これはいいものだから読みなさいと言っても、子供はおとながいいと思ったものはほんとうに読まぬことになっております。それが子供なんです。悪書ほど興味をを持つ。おとなだってやはりそういうところがあるんですよ。ですから抵抗力を養ってやる、そして判断力をつけてやるという立場をもっと認めていただきたい。法律的にだけ規制しないで、悪いものは悪いんだという判断力をつけてやる、これが一番大切なことじゃないかと思うのです。それをどうすればいいかはこれからいろいろ具体的に方法考えなければなりませんけれども、私はそう考えております。
  27. 本島百合子

    ○本島委員 これで終わりますが、そういう教育方針、社会の風習ということが戦後行なわれたわけです。ところが、それにもかかわらず無法地帯ができて、暴力団の巣くつみたいなところが方々にあるわけです。その前提となるような場所が生まれてきたものですから、私ども衆議院、参議院婦人議員は結束いたしまして、できるだけそういうものはなくさなければならぬ、またおとなでも健全な風習とは言いがたいものの存置ということに反対しているわけなんです。それは国のモラルと申しましょうか、そういう点でよほど考えていかなければならぬ問題じゃなかろうか。先生のような聖人ばかりでない、悪人も多い、悪も多い、それに対抗して善をどのように出していくかということで私ども努力しているわけでございます。今回の法改正は不徹底でございますが、これ以上に強いものをやりたいと考えておりますのて、御賛同を願いたいと思います。  御要望いたしまして終わりといたします。
  28. 森田重次郎

    森田委員長 田川誠一君。
  29. 田川誠一

    ○田川委員 もう時間がありませんから簡単に一、二お伺いいたします。それから委員長からもちょっとお聞きしていただきたいということがございますので、お伺いいたします。  最近小学校、中学校で道徳教育というのを特設してやるようになりました。この道徳教育についてもいろいろ批判はございますが、私どもとしては、不十分であるけれども、道徳教育はもう少し推し進めなければいかぬ、こう思っておるわけです。青少年の問題に関連して、学校でやる道徳教育について先生はどういうふうにお考えになっておりますか、お聞かせ願いたいと思います。
  30. 暉峻康隆

    暉峻参考人 私は、小中学、高校の経験が全然ございません。大学を出て七、八年浪人して勉強して、いきなり大学へ入って、そのまま今日に至っておりますので、大学における経験しかございませんけれども、それでも中学や高校に頼まれてしょっちゅう講演に参りますのでいろいろ懇談をいたしますが、先生たちが一番悩んでいるのも実は道徳教育でございます。というのは、道徳教育という時間をつくって教科書があってやる、実にこれが困る、やはり道徳教育というのは、数学の時間でも化学の時間でも国語の時間でも、その教科を通じて子供たちと触れ合っていくのでないと、ほんとうの道徳教育にはならないと私は考えております。そうなると教師も人間で、先ほど申されましたように、決して聖人じゃございません。われわれはそんなさびしい人間じゃありません。善にも強ければ悪にも強いということでありますが、ただ判断力を持っておりますし、そうして人間としての誇りを持っております。道徳教育の根本は人間としての誇りを持たせることだと思います。人間としての誇りも持たせないでおいて、こうしてはいかぬ、ああしてはいかぬ、これは正しいことでこれはいいことだといったって、何にも生活に結びついていかないだろうと思います。方法としては、道徳教育という特別な時間を設定しないで、基本的な、根本的な人間の生き方というものをきめておいて、各教科を通じて生徒に訴えていく、話していく、私はそれが一番効果があると思います。特別の時間をつくって、形式的にやったって何の効果もありません。私ども中学時代のことを考えてみましても、修身という時間がございました。これは皆さん御存じだと思います。修身のときに教わったことは何を覚えているかというと、おふろに入るときはおしりをよく洗ってから入れ、それだけしか覚えていない。ほかのことは何も覚えていない。ただそうでなくて、私が教わった国語の先生とか、英語の先生とか、そういう先生方の人柄がいつの間にかこっちに影響を与えている。何ということはなくて何か人間らしく生きるというばく然たるものであるけれども、それをわれわれは何か身につけております。修身の時間に教わったことは何の記憶にもとどまっていないわけであります。ですから、大学の教授は私のようにテレビでかせいだり、アルバイトをしたりしますから何とかなりますけれども、小中学、高校先生は、担任を持って、忙しくてアルバイトをするひまもないくらいです。どうか小中高校先生の月給をもう少し上げてくださると、道徳教育も効果があがると思いますから、これは風俗とは関係ありませんけれども、よろしくお願いします。
  31. 田川誠一

    ○田川委員 いまのお話ですが、時間の合い間に道徳教育をやられるということは、いままで戦後の教育としてそういう方針でやってきたわけですね。それがなかなかうまくいかないわけです。そこで道徳教育の時間を特設するようになった。先生のいま言われましたことは私どもも賛成であります。あらゆる機会に道徳教育をやっていく必要があると思うのです。しかしそれがなかなかうまくいかない。これは先生の待遇の問題もありましょうし、また教員養成という大きな問題もございます。そういうこともあわせて考えていかなければ、なかなかうまくいかないんじゃないかと思うのです。  それはともかくといたしまして、もう一つお聞きしたいのは、先ほどおとな風俗営業につきましてはそう心配する必要がないというようなお話でございましたが、私はそれにはちょっと異論がございまして、やはりおとなの問題を片づけていかなければ、子供はちっともよくならないと思う。子供が悪くなるというのは、結局われわれおとな責任ではないかと私は思います。そういう意味からも、おとな風俗営業も相当心配しなければならない。ただ、あまりに取り締まりとか、禁止禁止とやるのもどうかと思いますけれども、何といっても子供をやる場合に、われわれおとなをまず第一番にやる必要がある、こういうふうに私思うのですが、その点につきましてどういうふうにお考えになりますか、もう一度お伺いしたい。
  32. 暉峻康隆

    暉峻参考人 私も大学四年の息子と中学三年の娘がございます。私は大学で第二学部もやっておりますし、ラジオ、テレビで夜中になる深夜営業もやっておりますので疲れますので、必ず帰りには酒を飲んで帰ります。かなり酔っぱらって午前さまなんていつも言われますけれども、それでも子供たちはちっとも影響されません。それはなぜかと言うと、私は疲れて酔って帰る。外で何をしているかということを子供たちがよく知っているからなんです。酔っぱらっておそく帰ってきたからといって——子供に悪影響があるのは、しらふで帰ってきても、このおやじは悪いことをしていると思えば、子供はすぐぐれます。私が酔っぱらって帰っても、うちのおやじは一生懸命仕事をして、さっきテレビを見て、おれたちのためによくかせいでくれると感激しているくらいですから悪くなるわけがないのです。たとえば愛の鐘なんかを聞いて帰るのは、あれはおやじのほうで、子供なんかはてんで問題にしていない。鐘が鳴ると、かあちゃんの顔を思い出してそそくさと帰るのはサラリーマンです。  それから風俗営業でも、ほんとうにバーやキャバレーで夜おそくまで個人で飲んでいる人間はあまりいないのです。普通のサラリーマンは大体六時から八時ごろまで、「樽平」とかああいう半おでん屋的なところで、うちへ帰って晩酌すると気の毒だからというので二、三本飲んで五十円か百円のおかずですっとうちへ帰っていく。あれは非常に健康なんです。ところが九時から十三時過ぎまで個人でバーやキャバレーで飲んでいるというのは、これはもともとまともな人間ではございません。大体が社用族か、それともそういうところで飲むことが何か程になる人間、やくざとか、職業的な人間です。ですから、むしろ私そう思うのです。学会で京都にしょっちゅう行くのですが、この間行きましたら、このごろはたいへん大阪地方から変なやくざが入ってきてあぶないから、祇園から木屋町、あの辺の飲み屋にはいらっしゃらないほうがいいというので、このごろはたいへんなさびれ方だそうです。ところが京都というところは、そういう土地なんでありまして、むしろたまにわれわれが行って、楽しみに行く。京都ですから古い寺を見て、夜は一ぱいおいしい酒を飲む。たまにレクリエーションに行くわれわれが、安心して飲めるようにしてもらうほうが最初で、飲むやつを取り締って、そこで悪いことをしているやくざ者なんかを野放しにするほうが間違いだと思うのです。  それからさっき申し上げましたように、ヌードスタジオとかいろいろなものの規制がございますけれども、これはやはり遊覧都市であるかないかで規制のしかたもずいぶん違いますから、ここで全部すみずみまで規制しないほうがいい。ここでは根本的な方針だけをきめて、こまかい運用はやはりその都市にまかせなすったほうがいいと思います。たとえば競輪でも神戸はどう、京都はやめたとかいっても、盛大にそれをやって、市民のためのいろいろな公立の施設をつくっているところもあるわけですから、田沼意次時代のことばに、政治というものは、重箱をすりこ木で洗うがごとくせよということばがありますけれども、あまりすみずみまでほじくると、抜き差しならぬことになりますから、根本的な問題、方針だけを中央ではおきめになって、あとはその都市で自由に運用できるようになすったほうがいいんじゃないか、しろうと考えでございますけれども……。
  33. 田川誠一

    ○田川委員 先ほどボーリングのお話が出ましたが、私も同感で、付属の設備があまり芳しくないと思うのです。ああいうものを積極的に利用したら、むしろ非常に効果があるのではないかと私は思うのです。それに関連して、先生よくテレビにおいでになられますが、テレビの番組のことなんですが、テレビの番組も最近非常に、いろいろなヌードが出たり、批判があります。このテレビもむしろ積極的に持っていったら、非常に青少年のこうした不良化の防止になるような気がするのですが、これに対して、テレビ番組について、少し御意見をお漏らしいただきたいと思うのです。私テレビをそうひんぱんに見るわけではございませんが、広告のエージェントをちょっとやっておりますので、番組をよく見るのです。特に私感じますことは、教育関係のテレビは教養番組、教育番組、普通番組とあって、教育テレビの場合は、教育番組が三〇%ですか、二〇%、それから教養番組が四〇%か五〇%という割り当てがあるわけです。それだけは必ずやらなければいけない。実際には教養番組あるいは教育番組というその内容が非常にあいまいで、判断がむずかしいわけです。実際に、厳格にそうした審査を番組審査会でやっておられるのかどうか。番組審査会という一つ審査の機関がありまして、いろいろな代表者が出ておりますけれども、私どもが聞く範囲では、そうした番組審査会の審議というものは、ただおざなりでやっておるようにちょっと聞いておるのですが、その辺のことをおわかりになりましたら、ちょっと御説明願いたいと思います。
  34. 暉峻康隆

    暉峻参考人 私は、芸能人ではございませんから、もっぱら教育番組しか出ておりません。でも、これはNHKの場合と民間放送とまるっきり条件が違うわけでありまして、一日一億ずつ入っていってそれを自由に使っているNHKと、スポンサー次第で倒れるかつぶれるかという民放とは、まるっきり違います。だから番組審査といいましても、日本は狭い国土にいろいろな民放が乱立しておりますから、争奪でたいへんなんです。だからわれわれは、テレビというものは、いまやNHK以外はもう斜陽産業だと考えております。つまり電波料が高くて、その証拠にはこの二、三年というものは、大手のスポンサーでも、たいがい二つ三つ組んで番組提供しているような状態でありまして、斜陽産業になっている。そんなわけですから、番組審査といいましてもひまがないわけです。アメリカのように、高い一流のスポンサーがついて、みっちり、十分な経費と時間をかけてやるという余裕がない。そして、しかもスポンサーの意見が、審査員よりも非常に大きいわけです。それが実情でございます。  テレビの青少年に与える影響というのもなかなかやかましいのですけれども、案外心配することはない。買いたてのおかあさんがそういうことを心配なさるので、テレビを買って三年も四年もたった家庭ですと、子供のほうがあきてしまいまして、おとなのつまらない劇映画なんか——私なんか忙しいので「隠密剣士」を見たってしょうがないのですが、子供たちが許さないのです。こんなくだらないものを見たってしょうがない、おとうさんは知能程度が低いぞと言って見せてくれないのです。長く見ていると、単なる千編一律の娯楽番組は、やはりだんだん子供が洗練されてセレクトしていきます。ですから、やはりなれさせたほうがいいと思います。初めから細菌に抵抗力が弱い子供じゃなしに、初めは何でも見せておいて、そして子供はわれわれが見るように、接吻の場面や、「砂の女」見たってちっとも感動するものじゃないのです。どきどきする場所が違うのですから。だからあんまり心配なさらないで、むしろ子供たちに自主的に番組を選ばせるようにしむけていったほうがいいと思います。それはわれわれが指導しなくても、もう中学、高校大学の生徒なら、まともな子なら自然にそうなっていきます。子供に役に立つほんとうにおもしろい番組を選ぶようになっていっておりますから、それほど心配することはないと思います。いまの教養と娯楽の区別がつかないというのは、主として民放において、結局娯楽的性格が強くないとスポンサーが許さないということ、どうかここを御理解いただきませんと民放というものがかわいそうだと思いますから、どうぞ。
  35. 森田重次郎

    森田委員長 暉峻参考人におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚くお礼申し上げます。  次に桑沢参考人
  36. 桑沢富美江

    ○桑沢参考人 私はいま暉峻先生のおっしゃったような専門的の教育立場ということじゃなくて、私は地域におりまして、一母親として、各PTA、それから子供たちの集まりから私が経験したことで、いま一番問題になりました深夜喫茶、そういうようなことで、私はこれはできるならというよりも、むしろ絶対これはやめてほしいという考えでここへ参りました。実はその打ち明けといいますとたいへん語弊があるのですけれども、私どもが中学、高校、それから婦人会とか、そういうものに出まして一番問題になるのは、この深夜喫茶なんでございます。それは非行少年に入ります打ち明けからいいますと、ああ、こんなことでどうするのかしら、私たちどうしましょう、ほんとうにどうしましょうとお互い話し合う場がたいへんございます。先ほど先生がおっしゃったように悪書のこともそうでございます。あんまり神経過敏になって燃やした一員でございます。過敏になり過ぎるということはどうかと思うのですけれども、私どもは、ほうっておいたらどうなるのかしらという母親の気持ちで、じゃあなた、みんな集めて燃してしまいましょう——いま聞いていても、ああ、先生のおっしゃることも一理あるなと、あとから考えればそう考えるのですけれども、自分の子供がそういう場へ行って、だんだん非行に入る、もちろん家庭がしっかりしていればそういうことがないのだそうです。また自分もそう思って自分の子供にも教育しておりますが、ただ、そういう場があるために、そこへ出ていく子供たちが多いということで、ぜひ私は夜分どういうことであっても深夜喫茶とかそういうところは全面的にやめていただきたい。なぜならばと言いますと、昨年中学を出た子のおかあさんからの訴えでございます。私のところでは主人も自分も働かなければならない。高校へもやれないので定時制の高校へ子供に納得さしてやった。ところが自分が昼間るすしているから子供もるすで、うちの中はほとんどからっぽだ。そして夜、高校へ行っているものとばかり思っていましたら、喫茶店へ行っていた。おとうさんは仕事の関係で、一晩おきに帰られるような家庭でございます。それから今度は子供がだんだん夜分おそくなって、深夜喫茶でグループができて、そして事もあろうにある温泉マークへ行きまして、男の子五人、女の子一人で、そうしてしてはいけないみだらな行為に入ってしまったと、おかあさんが泣いてそれをくどいていらっしゃる。もちろんそれは所轄の警察から、桑沢さん、あなた近所だからというので、おかあさんと話し合いながら、そのお子さんを補導——大きく言うと補導ということなんですけれども、じゃ、みんなで相談し合いましょうというようなことで、少年課と相談して受けたんです。どうしてそんなことになったのだというと、うちがるすだからつまらない。いまの現代っ子とよくおっしゃることばからいきますと、前ばかり見ていてちっともうしろを見ぬのですね。だからそういう施設があるとすぐ飛び込んでしまうのがいまの若い青少年のあり方のように私は感じております。だからできるだけそういうおとな考えてもいい場ではないのだというお考えに基づいて——いまも暉峻先生がおっしゃったように、何でも消化ができる方たちが聞いていれば、ああ、もっともだと思いますけれども、消化のできないわれわれも、また地域の母親たちは、子供たちにもいわゆる話し合で納得させるだけの思慮もありませんし、悩むとなると、ただ涙ながらほんとうの母親の愛情だけで、どうしてあなたそういうところへ行くのよ、それで私たちは精一ぱいでございます。だからそういう場をぜひ私はやめていただいて、先ほどのボーリングのことなんかのように、できるなら国営で明るい施設、娯楽として何とかひとつ考えていただきたい。ちょうど土曜日の口に、私たちがやっております保護司さんとか民生委員、それから青少協のみんなと、やはりこの春の子供たちの補導についていろいろ話し合った結果、いかがでしょうか、深夜喫茶風俗ということから出ましたところが、四十二人の委員さん全部が、これはもうやめてほしい、場があるから行くんだ、やめると——一方的ではいけないという先ほどの先生の御意見も、よく聞いていればごもっとものように思います。ですけれども、私たち母親は、もうともかくやめてください、いままで営業をした結果いいことはちっとも出てないじゃありませんか、それだけなんでございます。ある方たちから言わせれば、特殊な方だけが利用しているんじゃないか——それはある程度のお金をお持ちになっていなければ、一杯二百五十円の深夜喫茶のコーヒーは普通では飲めません。それで私も深夜喫茶というものができたときに行ってみました。ともかく私たちのような年代の者が入っていって——それはもちろん私も主人と一緒に行ったんですけれども、シートに腰かけておりますと、前で何をやっているか全然わかりません。ですから主人と、こういうところはやはり年代で、来てもしようがないねと言って笑ったんですけれども。それはちょうど私ども一時ごろ行きました。ですからそれ以上の時間に行った子供たち——私はどうもそれ以上の時間には幾らあれでも主人と行かれなかったのです。実際に利用している働いている青年たちとの話し合いで聞いてみますと、おばさんね、ともかく興奮してしまうよということばです。じゃ、あなた方そういうところにどうして行くのと言うと、ともかく行ってみたい。行ってみたいから行ってみるけれどもほんとうにあれは金がなかったら行かれないとか、ガールフレンドがなかったら行かれないところだということを言っております実情ですから、ぜひとにかくやめていただきたい、ただその一言でございます。
  37. 森田重次郎

  38. 小西平八郎

    ○小西参考人 このたび青少年の非行防止のためと保護育成の目的から、風俗営業法の改正をなさいますことは、私たいへんけっこうなことだと思います。しかし、ただそれだけで終えてしまわずに、いろいろな点をあわせて考えなくてはならぬと思っております。先ほどからもお話が出ておりますので、重複を避けますけれども、たとえばマスコミの問題とか、社会環境のこととか、あるいは家庭責任おとなのつとめといったようなことをあわせてやはり考えて、配慮していかなければならぬのではないかと思っております。多少そういったことは本題からそれるような気もいたしますので略さしていただきますけれども、今度十八歳未満の者が入場禁止というようなことがはっきり打ち出されたということは、親なり保護者なりが十分これを心して、責任を感じていただくのに最もよいことだと私思っております。お酒にしましても、二十歳以下の者には出してはいけないというようなことですけれども、年をどういうぐあいにして見ていくか、これが私は実際問題として非常にむずかしいのではないかと思います。へたをするとそういったことがつかみどころのないことになって、空文に終わってしまいやしないかと思いますので、ここで私ひとつ考えましたことは、学生学生手帳とか、あるいは身分証明書とかいうものがありますように、未成年者全部にそういったのをも持たしてみたらどうか。私ども年をとりましてから自動車の免許証をとりましたけれども、ああいったものに準じたものを全部の未成年者が持っておったならば、必ずある種の自覚をそれに感じ、責任を感じるのではないかというぐあいに私は思っております。もう一つ、また今度はそれと反対に、成人した日に成人証というようなものを、成人した者に渡してやる。はなはだ不粋なことばでありますけれども、酒場に入るときに、必要であればそういったものをちょっと見せるということも一つ方法ではないか。これははなはだ末端的なつまらないことかとは存じますけれども、年を押えていく一つ方法に、そういうことをやってみたらどうか。各人に自覚を、それによって与えるというような一つ方法にしてみたらどうか。もっとも成人の方ですから、いつまでもそれを持っているというわけにはいきませんけれども、ある年限だけそういったものを持たしてみたらどうだろうかというぐあいに考えるわけです。  その次に、今度は先ほども暉峻先生からちょっとお話が出たと思いますけれども、まず少年たちになってやはり考えてやらなければならぬ。この改正ができましたならば、なるほど川の流れはある程度とめることができるであろうと思いますけれども、ただ、とめた水をどこへはけ口を持っていくかということが、むしろ先に新しいよい道をつくっておいてからとめていかなければならぬのではないか、何かしら欲求不満とかいろんなことでそういうことが利用されておるのですから、そういう現実をよく見きわめて、そうしてやはりそういった少年たちの行くところを別に与えておいてから、いままでの悪いところをとめていくというぐあいに御配慮願ったらどうだろうかと私は思うのでございます。先ほどお話が出ておったように、たとえば公営のボーリング場、いまはやりのボーリングなど、あれは先生方も御存じのように、私ども子供のときからありました。私、満州におりましたとき、学校の帰りなどにやったりいたしたことがありますが、その後ずっとそのようなものは影をひそめておりましたが、最近になってまた出だしてまいりました。ああいったものとか、スケート場といったものも、公営で、手軽に入れるように、健全で、そうして興味をやはり与えてやらなければならない。ただお説教のようにかた苦しいことばかりでは、少年たちはやはりついてまいりませんから、健全な、興味のあるそういったものを、一つあちらこちらに小さなスポーツセンターというようなものを与えてやるというようなことも必要ではないかと思います。まず川の流れをとめる前に新しい道を一つ考えておいてやることが必要ではないかというぐあいに思うのです。  それからまたもう一つは、今度は業者の側の、先ほどもちょっとそういうお話が出ておったようですが、これは業者の万たちがお好みにならぬだろうと思いますけれども業者の方たちのほうから内外の監視人というか、あるいは保安人というか、そういった専任の方をお置きになって、そうして来るお客さんに対しても、また業者のやっておられること自体に対しましても、監視をし、忠告をしていくというようなことをおやりになったらどうかと思うのです。それとそのときは私別に何も考えずに見て回ったのでありますが、外国に行ったときに、ドアマンがはなはだいかめしいものを着たり、あるいはものものしい物を持ったりして立っております。ああいったものがはたしてどういう権限があったかどうか、私、いま全然存じないのですが、また請願巡査といったようなものが現在ありますかどうか、非常にうといことを申して御無礼でありますけれども、そういった専任の取り締まりをなさる方も必要ではないか。先ほど暉峻先生お話、あまり警察の力を借りたくないということ、これは最も理想だと思いますけれども、それに至るまでやはりそういったことをしていくほうがいいのじゃないか、こんなふうにも思っております。  そういったことを最後に総合して申しますれば、これが実施されます前によくPRをしていただいて、そうして私とものPT関係のP——先ほどお母さんのお立場からお話がございましたけれども、Pの責任というものが十分果たされていくように、まず親のほうからかかっていきたい。学校先生にしてもみんなで力を合わせてやっていきたい。一般のおとなにしても、ただおとなだけがほうっておかれて、少年たちだけがきびしく取り締まられるというようなことでは私はいかぬと思います。おとなたちも何かの方法でよく反省をして、一緒になってあたたかく導いてやるというような配慮のもとにこれを実施していただきたいなと思っております。  以上でございます。
  39. 森田重次郎

  40. 高橋喜久江

    ○高橋参考人 私、日本基督教婦人矯風会の高橋と申します。  このたびの風俗営業等取締法の改正案につきましては、大きな関心を寄せております。これは矯風会の態度でもありますし、それから婦人団体国会活動連絡委員会と申しまして、YWCA、日本婦人有権者同盟、全国地域婦人団体逮絡協議会、日本看護協会、婦人国際平和自由連盟日本支部、そうして矯風会の六団体で組織しております婦人団体国会活動連絡委員会が一貫した態度で、この法制定に対していろいろ運動してきたものでありますが、いろいろと風俗営業が問題になっておりますけれども、この法律が上程されるようになったのは、新聞報道などでも私ども拝見いたしますと、昨年秋の国家公安委員会の席上で、非行少年温床である深夜喫茶を何とかしなければならないというような話し合いが出て、それから法案がまとめられ、今日に至ったのだと思いますけれども、そのこと自体は非常に私ども喜ばしいことだと思って、賛成しているのでございます。  改正点を見ますと、従来解釈があいまいでありましたカウンター越しに客の接待をする営業、バーなどを言うのでございましょうけれども、それも風俗営業に該当させましたり、条例によって風俗営業の制限範囲をより一そう明確にしたこと、そしてまた飲食店営業者の違反行為に対して、公安委員会が処罰を可能にしたという点、そしてまた、飲食店の深夜営業違反者の罰則を新しく設けたことなど、非常にいい点だと思います。特に私どもとして喜ばしく思いますのは、第四条の三に年少者に関する禁止行為を特に新しく設けたことでありまして、風俗営業や、それから飲食店の深夜営業の二つの業態、ともに十八歳未満の者を客として立ち入らせたり、あるいは客の接待をさせてはならないということをうたったことは、従来地方の条例では規定されておりましたようですけれども、その点を、元締めであるこの本法で取り入れられまして、一そうその趣旨が生かされるようになったと思いまして、ほんとうにけっこうだと思います。特に私、矯風会でございますので、矯風会の立場から申し上げますと、うれしく思いますのは、二十歳未満の客に酒類を提供してはならないということを規定したことは非常にけっこうなことだと思います。すでに大正十一年の昔に、未成年者飲酒禁止法ができまして、未成年者の飲酒が禁止されておるのでございますけれども、なかなか社会の習慣として守られない面もあるように思っておりますが、ここで重ねて禁止をうたいましたことは、未成年者の禁酒という趣旨が徹底されるようになると思いまして、はなはだうれしく、けっこうなことだと思っております。どうか、この点がよく守られるように、ほんとうに祈るような気持ちで思っているものでございます。非常にけっこうなことばかりの今回の改正なんでございますけれども、それでもなお私どもとしては不服でございまして、もっといい改正がされなければならないと欲ばっているのでございます。  以下、少し欲ばった面を申し上げてみますと、まず、第三条のところで、都道府県は条例によって風俗営業の業態、いろいろなことを、必要な制限を定めることができるというふうになっております。この条文のところで、今回の改正のうたい文句であります。深夜喫茶業を禁止することもできるということになるのだと思いますけれども、これは条例へゆだねますよりも、本法ではっきり禁止したほうが、より一そう趣旨が生かされるのではないかと思います。条例にゆだねられますと、各県の事情によりまして、あるいはそのいろいろな関係とか、圧力とか何かが出てまいりまして、禁止に踏み切れないところも出てくるのではないかと思います。そのようになりましたら、せっかくここで深夜喫茶規制するという改正の趣旨が失われてまいります。ですから、ぜひ本法で取り扱っていただきたいのでございまして、先ほどの年少者に関する禁酒行為のところでも、条例では前から規定されておりましたのを、わざわざ本法に取り上げてはっきり禁止という項目になったわけでございます。そのことはほんとうによかったことだと思うのでございますので、これに伴って、ぜひ、深夜喫茶の禁止というものを、本法に取り入れられないということはないと思うのであります。そうしてまたその三条のところで営業場所も制限することができる、その場所の制限ということで深夜喫茶が禁止できる、県によっては禁止できるということになるのでございましょうけれども東京都では二十三区内は禁止すると、東京都の公安委員長が発言なさいましたけれども、それでは二十三区外のことはどうなるか。区内のほうで禁止されたら新しい都市のほうに、武蔵野とか、立川のほうとか、あちらのほうへどんどん深夜喫茶がまた移るようになるかもしれません。ですから非行少年温床であると、先ほどから皆さま深夜喫茶はよくないということをたくさんおあげになりましたけれども、とにかく深夜喫茶を全面的に廃止するように本法でうたっていただきたい、そのように思うのでございます。深夜喫茶を廃止したからといって、今度はそれにかわるもっと変なものが出てくる、たとえば酒食提供のすし屋とか、そば屋とかに深夜喫茶的な、いかがわしいような、風俗面で問題になるようになるかもしれないというような御意見もあるように聞いておりますけれども、そのときはまたそれが非常にたくさん出てまいりましたら、この委員会なり、どこなりで対処していただきたいと思うのであります。  大体普通の人間のあたりまえの生活というのは、昼間はせっせと働いて夜はゆっくり休んでそうして寝て、そうしてまたあした朝起きて勤務にいそしむ。それが人間の生活のあたりまえのあり方だと思います。そのあたりまえのあり方をくつがえすような、妨げるような環境があちこちにあることが非常に嘆かわしいことだと思うのでありまして、外国の中では、非常に清潔な国だと言われる国などにおいては、夜はせっせとかせいだり遊んだりする人はいなくて、店はどんどん締まってしまい、町は暗くなって旅行者にはつまらなく、味気なく感じられるところがあるように聞いておりますけれども日本でもあまり夜の町、繁華街の繁盛ぶりというのは、人間の普通の生活からいえば望ましい状態ではないのですから、ぜひ必要である場所だけは許可なりなんなりで特定の例外として残すようにして、深夜の営業というものは行なわれないようにしたら、ずいぶん犯罪が減りますでしょうし、飲酒による事故も減ってくるのではないかと思います。一挙にそこまで法律で改正するということは無理でございましょうけれども、いまは無理にしても、とにかくそのようにすれば、清潔な社会、国家になるであろうということを前提にして、それに一歩前進のために深夜喫茶を全面廃止して、そうしてそれをぜひ本法に取り入れていただきたい。これが私ども考えでございます。  そのほか私が非常に今回の改正で残念に思いますのは、これが深夜喫茶問題のみに終わりまして、ほかに問題となっておりますいかがわしいものについて何にも含めてないことでございます。  昨年の秋にこの法の改正が取りざたされましたときに、矯風会では、さっそくトルコ風呂その他いかがわしいものもこの項目に加えていただきたいと要望いたしました。三回も要望いたしたのでございますけれども取り上げていただけませんでした。これは何も今回だけではございませんで、何年も前からそう主張しておりますし、毎年の大会でも決議して要望しておるのでございますけれども、一向に取り上げていただけません。そういうふうに、今回風俗営業法の改正が問題になりましたときに、先ほど申しました婦人団体国会活動連絡委員会でもさっそく取り上げて要望いたしましたり、陳情したり、請願運動をしてまいりましたけれども、このまま深夜喫茶の改正のみできょうにまで至っているわけでございます。  トルコ風呂のことは御承知の方も多いと思いますけれども、利用者のほとんどが男性でありまして、そうして裸の男性を、半分裸体のトルコ嬢がマッサージをし、そうしてその場所が個室であるわけであります。この個室だということが非常に問題になると思います。  実は、社会浄化の旗を掲げて運動をしてまいりました矯風会のすぐ隣のところに、トルコぶろがあるのでございます。見せてもらったことがあるのでございますけれども、狭い廊下のわきにずっと部屋が並びまして、その部屋の中には蒸しぶろとかそれから浴槽、ベットがございます。そしてその部屋の正面に掲示がございます。その掲示の内容がずいぶん問題だと思います。こういう公開の席上で申し上げるのは非常にはばかられるのでございますけれども、あえて申し上げますれば、その掲示には、一つ、マスターベーション、一つ、性的行為、その他ちょっとございましたけれども、そういうことはしてはいけないことだからしないこと、そういうような趣旨の掲示がございました。それがどの部屋にも張ってあるのでございます。わざわざ張ってあるところに問題があるのだと思いまして、何もそういうことがなければ張る必要はないわけであります。案内員の人は、うちの社長は東京の会長をしているから何も変なことはしていないですよと力説しておりましたけれども、その矯風会の隣のトルコぶろは、東京都トルコ浴場協会の会長のものでして、都内に十幾つもあるのだそうです。隣のものははなはだ小規模なほうの一つだそうでありまして、もっと大きくりっぱなものを会長さんは幾つも持っていらっしゃるんだそうです。マッサージの女の人たちは免許状を持っているのですかとこちらが聞きましたら、持っていないけれども、長年やっているから、お客さんの悪いところはわかるらしいですよ、何しろ馬乗りになって力一ぱいやるんですからねという答えなんです。これは私どもから見ますと変な感じを受けたような次第なんでございます。料金は、張ってあるのには、一コース大体一時間ぐらいだそうですけれもど、八百円、それからサービス料三百円をちょうだいします。と書いてございます。これは最低料金、いわゆるマル公でございまして、聞くところによりますと、この上にスペシャル・サービスとかタブル・スぺシャルとかいろいろあるんだそうです。トルコ嬢の給与というもののは固定給が非常に低いか、あるいは全然固定給がなくて、あとは全部サービス料が収入になるので、ですからトルコ嬢たちは自分の収入が多くないと困りますので、サービス料の高しものを客にしてくれるように、すなわちスペシャルとかダブル・スペシャルをしなくては彼女たちの生活が成り立たないのですから、暗にそれを客が望んでくれることを望むわけでございます。また指名されることを願うのですね。この次に来たときには私を指名してください、そうでなければ彼女たちの成績に関係するわけです。このトルコぶろがどこに多いかといいますと、昔の赤線にかなり多くあります。大体密室で、一つ一つの部屋ですけれどもほんとうに、見ました感じが密室というような感じでございました。外から遮断されているような密室で、はだかの男性のからだを半裸の女性がマッサージをして、そうしてそれは金のやりとりがからむ、そういうような状態は、そこで売春行為あるいはその助長行為が行なわれると私どもが勘ぐってもしかたがない状態だと思います。  こんなに私どもから見れば問題が多いと思いますトルコぶろが、銭湯と同列扱いで公衆浴場法の適用しか受けておりません。昭和二十三年にできた公衆浴場法で、新しくできてだんだん繁栄しつつあるトルコぶろを律しようとせられるのが無理だと思います。先年私どもが、担当官庁である厚生省の環境衛生課をおたずねしましたときに、係の方は、風俗常業法でやってもらいたいんだというようなことをおっしゃっていらっしゃいました。今回また問題になりましたのでおたずねいたしましたところ、厚生省では風営法に入れてもらいたい、そうして警察で取り扱ってもらいたいというような御意向でありましたし、警察庁のほうは厚生省で扱うのがいいんだと、お互いに押しつけ合いっこしているような感じを私どもは受けました。先般の参議院の国会答弁でも、係の方たちはお互いに相手のほうだ、相手のほうだとおっしゃっているように私は聞いたのでございます。それが今回何か漏れ聞くところなんでございますけれども、厚生省が担当なさるというようになったとかいうことだそうです。私はこれでは規制力が弱いと思います。大体厚生省の下部機関で、保健所がお扱いなさるわけですけれども、保健所の仕事というのは非常に多くて、そして仕事の分野が広いですし、おもな仕事は公衆衛生面が担当ですから、おふろ屋の検査と申しましても、温度はどうか、それからよごれているのはどうか、衛生面はどうか、そのような問題はなさいますでしょうけれども、風紀面はどうかというのは、保健所の管轄としてはお門違いのような感じが私どもはいたします。私といたしましては、警察の担当にして、そして個室はなくして、営業時間を制限しなくてはいけないと思います。営業は夜の二時、三時までやるのでございます。矯風会の隣のところでも十二時に締めますけれども、まあ終わるのは二時過ぎですね。女の子たちは住み込みですかと聞いたら通いだ、通いだったらどこに住んでいるか知りませんけれども、国電はありませんし、毎日タクシーででも帰るのかしら、とにかくずいぶん夜おそくまでやるものだな——これは隣のトルコぶろでして、あるいは終夜営業をするほかのトルコぶろもあると思うのです。十二時前で終わるようなトルコぶろはないはずであります。とにかく警察で担当していただきたいと思います。それから、これは警察とは管轄違いでしょうけれども、トルコ嬢たちに正当な固定給を支給すべきだと思います。最低賃金制を確立して、これはトルコ嬢に限らないと思うのでございますけれども、とにかく彼女たちの生活を保障するように当局として指導していただきたいと思います。  トルコぶろトルコぶろと申しまして、トルコが御本家でありますけれども、トルコに行って見た人の話を聞きましたけれども、トルコのトルコぶろ自体は、女には女、男には男のマッサージ師をつけます。そして大部屋でやるのだそうです。先ほどのボーリングでも出ましたけれどもトルコぶろそのものは、蒸しぶろそのものは、悪い営業だというわけにはいかないと思います。健康保持によろしいというのでございましたら、千円とか千何百円というのは、私ども庶民の感覚ではずいぶん商いと思いますけれども、それをお払いになれる方があるのでございましたら、健康保持のためだけに、純粋にトルコぶろを使用なさるんだったら、それはそれでよろしいと思いますけれども、それでしたら個室の必要もありませんし、それから深夜に営業するなどというのは、健康保持の面から申しましたら、かえって夜中の二時、三時にするなどということは、健康増進のためには逆効果だと思うのであります。風俗営業法を見ておりますと、マージャン屋とかパチンコ屋も風俗営業取り締まり対象にしてありますが、それよりももっと風紀面で問題になりますトルコぶろを見のがすということは、どうしても私ども納得はできません。現在のまま認めておくのでしたら、あれは赤線復活だと申しても言い過ぎではないと思います。売春防止法はざる法だとおっしゃいますけれども、ざるの穴を一つふさぐ意味でもぜひトルコぶろ規制していただきたいと思います。  ボーリング場も見てまいりましたけれども、値段が高いようでございます。一回一回はそんなに——そんなにといっても程度がございますが、高くございませんけれども、あまりおもしろいものですからあとを引きまして、結局千円くらい使ってしまうようになります。そして射幸心をそそられますので、あれがいわゆる私ども考えスポーツと見なされるかどうかわかりませんけれども、かりにスポーツと見なすことができましても、深夜営業をする必要はないと思います。やはり営業時間を制限いたしまして、暴力団のたまり場になったり、それから犯罪の温床となるような要素をいまのうちになくしておいたほうがいいと思います。興行場法に入れるなり風俗営業法に入れるなりして、とにかく規制していただきたいと思います。  それからいかがわしい業態としてはヌードスタジオがございますけれども、これは風俗営業法の取り締まり対象にして国家が公に認めた営業とみなすことすら私は不適当だと思います。ですから刑法ですか、何ですか、とにかく法律でびしびし摘発していただいて、これの存在を認めないという方針を確立していただきたいと思います。  最後に、もう一つ私の意見を言わせていただきたいのでございますけれども、それはいろいろな問題に対する当局の態度、姿勢の問題であります。深夜喫茶とかトルコぶろその他、好ましからざる商売の繁栄ぶりは前からいわれておりましたけれども、それの取り締まりの第一線にあらわれます現場の方々は、取り締まりに非常に苦労されていらっしゃいまして、法律の網をくぐって営業する悪質業者に手を焼いていらっしゃったのだと私は推察いたします。そのような状態を幹部の方々はどういうふうにお考えになっていらしたのだろうか、そう思うのであります。  それからもう一つ、私ども民間団体はよくそのことを主張し、要望いたしますけれども、声が小さいのか、とにかくなかなかお耳に達しませんで、なかなか実行していただけませんでした。今回の深夜喫茶のこの問題にしましても、国家公安委員会の席上から話が始まって、急速に今回の法案上程に至ったことは非常に喜ばしいことでございますけれども、それはそれとして、一方現場の声、そしてまた民間の有志のわれわれの主張にも耳を傾けていただきまして、いれるべき意見はすみやかにいれて、そして取り締まりの実をあげていただきたいと思うのであります。当局の姿勢いかんによっては、たとえ法律が完全でなくても、相当の効果をあげられるはずだと思います。たとえば広島県では、暴力とか売春取り締まりをかなり徹底的になさって、ずいぶん効果があがったように私ども聞いておりますけれども、どうか当局の方々が、しなくてはならないこと、それからなすべきことだということには熱意を示されまして、不健全な営業が国家として認められないという態度を強くいつも持っていらっしゃって、そして前進なさってくださるように、それをお願いする次第でございます。
  41. 森田重次郎

  42. 和栗五平

    和栗参考人 ただいま御指名いただきました、私、喫茶業を営んでおります和栗五平と申します。よろしくお願い申し上げます。  先ほどより諸先生方の御意見をお伺いいたしておりますと、私の立場が、喫茶業者であるがために、被告の立場で、内心ひやひやしておるのでございますが、しかしながら私の営業所は神田でございまして、営業時間も十時半に閉店いたしております。また神田におきまして二百五十軒くらいの業者がおりますけれども、大体は十一時まで営業して、あと十二時ごろまで営業しておる店が十軒くらいでございまして、神田に限っては、いま諾先生方の御指摘になりましたような店はおそらく一軒もございません。そういう関係で、私も一応いばって立たしていただいたわけでございます。  おととい出席するように御通知いただいたわけでございますが、私勉強不足で、まだ深夜喫茶の実態を知らないのでございまして、これでは出席しても何にもならないから、ひとつ深夜喫茶を見学に行こうと思いまして、一人では入れないというふうに聞いていましたので、女房を引っぱっていこうと思いまして、女房に、今晩二時ごろ深夜喫茶へ行くから、おまえひとつ行ってくれないかと言いましたところが、深夜喫茶へ何しに行くのですか、こういうわけなんで、いや、実はコーヒーを飲みに行くのだ、コーヒーならうちで飲めるんじゃないですか、ほかに何かあるんですかと言いますので、ほかに何もないよと言ったところが、くすくす笑っていました。それじゃ娘を連れていこうか、ことし大学を卒業したのでございますが、じゃあ娘と一緒に行ってくるから、こう言いましたところが、女房が顔を青くしまして、娘などあんな場所に連れていって、朱に交わったらどうなるんですか、おやめなさいと言われましたので、深夜喫茶に行かずに本日出席させていただいたわけでございます。そんなようなわけで、これから申し上げることも皆さま方の御参考になるようなことを申し上げられないので、はなはだ恐縮に思っているわけでございますが、ただ私も業者であり、肩書きがついております関係上、あるいは陳情の形になるかもしれませんから、あらかじめ御了承のほどをお願い申し上げます。  先ほど申し上げましたように、身近な女房、娘までが悪いという深夜喫茶であれば、当然一日も早くなくしていただきたいというのが——私とも決して同業者だとは思っておりません、別の社会だと思っていますので、なくしていただきたいと思います。このたびの風俗営業法の改正案につきましては、青少年保護育成の点から申しましてもしごく当然でございまして、何ら反対を申し上げるものではないのでございます。ただ深夜喫茶と申しましても、東京都全体で、私の知る範囲では一〇%前後じゃないかと思います。一般にはもっと多いように言われておりますが、大体一〇%前後でございます。しかも、その中に御指摘の悪い業者が包含されておるわけであります。このわずかな不健全な営業形態のために、私ども業者までが混同せられまして、一律に非社会的に扱われているように感じられまして、まことに心外にたえないところでございます。ほんとうに残念に思っております。  先ほどもPTAの先生からお話しございましたが、この問題が起きましてから、喫茶業なるがためにかわいいお子さんが希望する大学に入学ができなかったことや、あるいはまた業者の奥さんが、PTAの役員会の席上でたまたま深夜喫茶が話題になりまして、まじめな業者までが同一視せられまして、非常に肩身の狭い思いで、泣いておうちにお帰りになったようなこともいろいろ伺っております。こんなような例が全国で相当多いのではないか、かように考えます。ですから、こういう点から考えてみますならば、この問題で一番の被害をこうむっておるのが私たち業者ではなかろうかと存ずるのでございます。この点につきましては、特に諸先生方に心にとめていただきたいと存じます。  一口に喫茶業と申しましても、いろいろの種類がございまして、まずパン食を主体にしているスナックバー的な店、あるいは味じまんで、味本位に商売なすっていらっしゃる味覚の店、あるいはまたクラシック音楽あるいはジャズの音楽を売りものに、音楽ファンに人気のある音楽の店、それに終夜喫茶の多いと思われます。いわゆる資本にものをいわしまして、デラックスな設備でお客さんを呼んでいるデラックスな店、あるいはまた特殊の雰囲気を売りものにする等、いろいろ種々雑多でございます。また規模におきましても、私ども業者には、二、三坪のスペースから十五、六坪の店舗が一番多いようでございまして、中には百坪近くもある店もございますが、こういうのは例外でございまして、大体は零細な業者のやっておる商売でございます。また従業員につきましても、家族だけで営業なすっていらっしゃる方も相当おります。大体、平均しますと五、六人の従業員営業なすっていらっしゃる業者が大半を占めておりますので、喫茶店の規模の概略を申し上げたわけでございます。  一方、問題の業者は、皆さますでに御研究なすっていらっしゃるだろうと思いますが、いわゆる資本力にものを言わせまして——私ともの社会では大きい資本というと一億くらいの資本でございますが、一億くらいの資本をかけて、盛り場で堂々と店を張って、特殊の雰囲気のもとで終夜営業なすっていらっしゃるわけでございます。私どもはこういった業者は全然違った業界だと思っておるのでございますが、マスコミあたり、いわゆる世論では、私どもと同一視しておるわけでございます。そういうことでマスコミにたたかれまして、その迷惑をこうむっておるのが先ほど申し上げましたとおりに、私どもの零細な商売なのでございます。  いまから四年ほど前環境衛生法が施行せられましたので、私ども健全な業者が相寄りまして組合を結成いたし、いまでは都唯一の法人組合として業界のあり方を指導して今日に参ったのでございます。当時暗い喫茶店で、いまのように世のひんしゅくを買ったのでありますが、特に照度の面で警察庁あるいは保健所の指導よろしきを得まして、いまでは明るい喫茶店でなければお客さんが寄りつかないようになって、お客さんも私どもの業界に協力というとことばがおかしいけれども、だんだんそういうふうにお客さん自身が暗い喫茶店を敬遠するようになってまいりました。先ほど申し上げましたいわゆる青少年が暗い喫茶店にいくようでございます。それで私ども業者は、御承知のごとく、一般大衆のいこいの場として、働く人々が気安く休息して、一日の疲れをいやしていただく業種でございまして、また安価なパン食などを提供いたしまして、都民の食生活にいささかでも貢献しているように思っております。  しかしながら、私どもの同じ形態の業者でございましても、地域によりましては、十二時、十二時半ごろまで営業されておりますが、これは地理的条件の相違によりまして、また昼間の営業が成り立たない地域でありますために、どうしても夜間営業によらなければならないのが実情でございます。また私ども営業者は高級飲食業者と異なりまして、少額の積み重ねによりまして営業が成り立っておる零細な企業でございます。長時間の営業で生活を保っております関係で、改正案が通りますと、都条例によりまして午後十一時で打ち切られるように承っておりますが、この点に私どもはちょっと異議があるのでございます。と申しますのは、十一時までは深夜でなく、十一時過ぎると深夜であるという解釈なんでございますけれども、私ども昔から商売しておりますが、戦前あたりはいまのように金もうけのために手段を選ばないという業者とは別に、なかなか売買差益、いわゆる荒利益が少なかった関係で、夜の一時、二時ごろまで営業しなければ食べていかれない時代でございましたので、私ども昭和十一、二年ごろは一時、二時ごろまで商売をやったように記憶しております。そのときには十時、十一時ごろまでではどうしても生活が成り立たないというので、やむにやまれず一時、二時ごろまで商売をやったのであります。いまそれは全部が全部じゃありませんでしょうけれども、中には家族だけあるいは従業員一人、二人だけやっていらっしゃる方で、十二時ごろまで営業をやっていかなければ生活ができないという方々がずいぶんいるのじゃないか、私どもかように思っております。  それでいわゆる時間の限定でありますが、十一時というのはまだきょうであり、きょうであるならば十二時まできょうだという解釈を私ども持っていまして、いわゆる深夜という定義あるいは終夜でありますか、あしたは十二時過ぎのことを言うので、こういう観点から十一時に打ち切られますと、営業不振におちいりまして、即生活が非常に困難になる業者が多数出てくるように思われまして、この点頭が痛いのでございます。  また、新聞などで拝見いたしますと、東京では一カ月に八十軒くらいの新規開店がございまして、またその反面に六十軒くらいが自然淘汰されて廃業なすっているように聞いております。この一事をもってしましても、いかに生存競争の激しい業種であるかということをおわかりになっていただければと存じます。このような切実な問題をかかえております。この点を御賢察くださいまして、一時間の営業時間延長をお認めくだされ、十二時までにしていただけますならば、私ども業者にとりましてはこんな喜ばしいことはございません。これがためには、私ども業者において打って一丸となりまして、順法精神に徹しまして、明朗な営業をして御期待に沿いたい所存でございます。また私ども自身が社会的信用の向上をはかってまいりたい、かように思っておるのでございます。もし違反者があるならば、どんな厳罰でも甘んじてお受けする覚悟でございます。  また青少年の育成に関しましては、全面的に御協力申し上げますとともに、これが対策の一環といたしまして、組合で未成年者の入店をお断わりしますとの統一ポスターを作成しまして、必要の店頭に掲示して未成年者の入店をシャットアウトするような方針をとっております。また先ほど小西先生から御指摘のありましたように、これが徹底をはかるために地区別に自治的監視員制度を設置いたしまして、関係御当局の指導を得まして厳重に監督指導をしてまいりたいといま企画部でそれを進めておるのでございます。  以上、健全業者の実態を簡単にお話しさせていただいたのでございますが、どうか私どもの意のある点をおくみ取りいただきまして、一時間の延長を重ねてお願い申し上げる次第でございます。  長くなりましたが、はなはだ不勉強でまことに申しわけございません。御参考になるようなお話ができませんで失礼いたしました。また先ほど申し上げましたように、業者であるがために陳情の形をとらしていただきまして、恐縮に存じております。お許しいただきたいと存じます。ありがとうございました。
  43. 森田重次郎

    森田委員長 以上で各参考人からの意見の開陳は終わりました。  なお、参考人に対する質疑は午後行ないます。  午後一時三十分から再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時二十分休憩      ————◇—————    午後一時四十一分開議
  44. 森田重次郎

    森田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  風俗営業等取締法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  参考人に対し質疑通告がありますので、順次これを許します。阪上安太郎君。
  45. 阪上安太郎

    ○阪上委員 参考人の皆さん、きょうはたいへん御苦労さんでございます。二、三私お教えを願いたい、かように存じまして、若干質問いたします。  最初に桑沢参考人にお伺いいたしますが、先ほどあなたの御意見を伺いましたところ、絶対に深夜喫茶はやめてもらいたい、ただし、それにかわるべく青少年には何らかの健全な娯楽を与えなくてはいけないというような観点から、特に国営の健全な青少年向きの娯楽場等をつくってほしい、そういう御意見でございました。そこでお伺いしたいのですが、きわめて幼稚な質問になりますけれども、私まだ深夜喫茶に行ったことがない、それからボーリングもやったことありません。トルコぶろへも行ったことがない。こういうことで、まことに研究不足ですが、よくわからないのです。そこで、一体深夜喫茶に出入りする子供たちは、何かそういう場所はいい場所でないということを自覚しておりますでしょうか。あなたの御経験で、きわめて簡単なことですが、ちょっとお伺いしておきたい。
  46. 桑沢富美江

    ○桑沢参考人 いまの御質問にございましたことで、子供たちがいいところではないというふうに自覚しているかどうかという御質問を先にお話しますと、やはり子供たちはいろんな面で好奇心のほうが先じゃないかと思うのです。好奇心で行っているうちに、そこでお友だち、いわゆるその中に入ってからのお友だちの影響によって、だんだん非行少年に入っていくという一つの事例はございます。これは昨年中学を卒業した女の子ですけれども、そこの場へ行ってお友だちになって、そして抜き差しならない、覚せい剤ですか、お部屋が暗いですから、いろんなことで、どうだ、覚せい剤飲もうじゃないかというので飲んでいるうちに、もう麻痺しちゃっていますね。そのうち男の子が二人から三人くらいでその一人の女の子を連れて行きまして、私どものほうにはあんまりあき地というところがないのですが、それは大塚の喫茶店で行なわれた事例なんですけれども、そこから滝野川病院という病院の倉庫まで連れてきて、そして三人の子供たちが一人の女の子を、まあたいへんそのみだらなことまでいこうとするところを、通行人が、なぜ十二時過ぎに子供たちがそんなところにいるのかということで一一〇番をかけまして、そしておかげさまで未然に防げた事例もございます。ですから、子供たちは好奇心で行く。ですから、私たちは、そういう場がなければ行かないのじゃないか。もっと皆さん方に、ここにおいでの方たちに、深夜喫茶ということを、おいでにならない方のほうが大半でいらっしゃるけれども、できるなら御自分のお子さんたちをお持ちの方は一応その場へ行って、こういうものがあるけれど、どうなのかということまでひとつ研究していただきたいと思います。  それから、私が先ほど申し上げました、それにかわる子供たちの健全な娯楽施設、これは私どもの区でもいろいろ考えたり地域の青少年対策委員会なぞでも考えることですけど、場を与えればこないのです。ちゃんと本を読めるような図書館や何かをつくったり何かしても、なかなかそこへはこない。何か自分たちで考え出した、そこへ走っていくのが現在の現代っ子というような心理であります。だからといってこしらえないではいけない。子供たちが気楽に行っていこいの場所になれ気楽に行っていこいの場所になれるような集会の場所、いわゆる青年センターか何か各区に設けられていれば、もっと違った意味で子供たちが育成されるのじゃないかというのが私たち母親の願いでございます。  以上でございます。
  47. 阪上安太郎

    ○阪上委員 そこでそうなってまいりますと、ここらは桑沢さんのお考えというものは徹底しておりまして、そこで行なわれる行為が悪いのじゃない、行為はもちろん悪いが、やはり問題は場所だ、こういうふうに割り切っておられる。そこで、諸外国の例、ことに西独あたりは非常に青少年対策を重んずる国なのです。したがって、世界的に見て青少年犯罪が比較的少ない、こういう国なのですが、こういうところでは思い切って、盛り場徘徊禁止法といいますか、盛り場自体に入っていっちゃいけない区域を指定しております。こういうきわめて思い切った措置を講じておるわけであります。日本では、十一時まではいいのであって、十一時以後は深夜だ、こういう。ここで、これは一つの事例なのでありますが、十一時までには青少年がこういう不法行為を犯さない、十一時までの場所であるならば差しつかえない、こうなってまいりますと、その深夜喫茶というものが十一時以降から日の出まで何かそこに犯罪を構成したり、あるいはまた環境として特殊な、青少年に対して非行を教えるとかあるいはそういうことが誘発されやすいとか、何か特異な例があるのでございましょうか。これも御存じでございましたらちょっと伺いたい。
  48. 桑沢富美江

    ○桑沢参考人 いまお話しのことですけれども、その十一時まで、それから口の出になるまでという一つの時間の問題で見ますと、やはりその場ですね、その施設と申しますか、深夜喫茶というものは、御承知のとおり、テレビや何か、また本でごらんになると同じように、明るさというものがたいへんないのですね。ですから、これだけの明るさの中では悪いことはできない、暗い中であるから好奇心と同時に不純な行為に入っていくというのが、子供たちがその場で行なわれた——最後に、あなた方どうだったのと聞いてみますと、その雰囲気によって酔ってしまうのですね。ですから、十一時前であったらどうかと言われても、そういう薄暗い中へ入ってやるということは、自然に少年たちの好奇心がそこにおのずと出てくる。最終的には、おとなにもなり切れない、子供でもないのだという中途はんぱな年齢だけが持つということじゃなくて、私どもが、もう五十近い自分ですけれども、あの場に行ったときには何かほっとした気持ちには確かになります。ですから、それが今度はだんだん時間がおそくなってきますと、いろいろそれぞれの人間、それぞれの考え方でまたそこにもいくのでしょうけれども、薄暗い中に入って十二時過ぎまで何の用があっているのかということなんですね。そうしますと、おとなには聞かれたくない、いわゆる青年期だけの話というものが事実ございますそうです。私も娘時代のことを考えますと、何か目上の人に聞いてもらいたくないのだけれどもお友だちだけには話してみたいというようなこと、何かお互いに秘密というようなものを確かに持ってきたように思うのです。それがいまこの社会ですと、赤裸々にあり過ぎるのですね、話題が。ですから、そういう現在の社会のあり方の中にそういう場を設けて、ましてやお腰かけが全部、四人さんとかいうようなことではなく、汽車の一等車に乗っているような感じですね。シートが深うございますし、自然とそういう行為に、または話もはずむんじゃないでしょうか。ですから私には、実際に喫茶店に入ってみまして、これじゃ私たちがほっとするんだから、仕事を持った青年たちが入っていって、何か自分たちだけの年代の人間の話の場というものには確かに一応はかられる。けれども実際においていけないことじゃないかということは、その場において非行に入った青年が更生したときに言うことで、それはデータではっきりといってあります。ですから、おばさんは、ほんとうに最初は行っちゃいけないと思ったけど、だんだん行っているうちには、何か自分たちが地方から出てきて職場について、いこいという、いい意味のいこいじゃないけど、心のよりどころというような場で行ってしまう。現在になって成年式が済んでしまいますと、あんなばかばかしいところはありませんよと言うのが実情でございます。
  49. 阪上安太郎

    ○阪上委員 大体そういうところじゃないかと私も想像しておりました。昼でも御承知のようにボックスによって法は制限を加えております。これはたいへんむずかしい問題になったのですけれども、法は制限を加えております。したがって時間的な問題というよりも、むしろそういった部屋の装置、明るさというようなものが一つ問題になる、こういうことだと思うのであります。そればかりでなく、同時にまたそういう時間に案外、グレシャムの法則ではありませんけれども、非行少年が集まりやすい時間ではないかというふうなことも一つ考えられると思います。しかしこういったふうに時間は一応規定いたしましても、本来そういった喫茶店のムード自体を子供が非常に好くということでありますれば、同じことを繰り返していくんじゃないかということになって、これではどうも完ぺきじゃないというふうに私ども考えるわけであります。しかし大体この程度規制でいいとお考えになりますか。あなたのお説によりますと、かなり強い語調で、深夜喫茶を絶対にやめてもらいたい、思い切って九時ごろまでにやめてしまえばいいじゃないかというふうに私はとれたのですが、その辺のところをひとつお伺いをしておきたいと思います。
  50. 桑沢富美江

    ○桑沢参考人 私は、業者の方たちの良識ある営業をしていただけるものとして、いままで見てまいりました。けれどもパーセンテージでいきますと、あまりにも非行少年——自分たちは現在では保護司ではございませんけれども、保護司をやり、民生委員をやり、児童福祉のことからいろいろな勉強を曲りなりにもしたつもりです。それからいきまして私は母親として、自分も高校生の子供を持っております。その子供たち、特に私は女の子でございますので、家では一応話し合いはしていても、社会へ出たときにおつとめなり何なりに出て、そういう場があって好奇心で行かれたのでは、私自分の子供の行く末をたいへん考えるのです。ですからこの際、絶対一つの母親の願いとして禁止をしていただきたい。それをきょうは申し上げた、それで強く出ているわけです。ですから非行少年たちが、そういうところで大体のグルーブができていくということではたいへん困る。それで補導連絡会とか地域の婦人会とか母の会とか、いろいろな各層で行きまして、ましてや文部省の社会教育一部十県の会合へ出ましても、一番困るのは、この青少年問題です。それで最後に結論が出ないのは何かというと深夜喫茶でございます。これはどこでも悩んでいることでございますから、この際私はどうのこうのというよりも、絶対これはやめてください、それ以外にもうお願いすることないのじゃないか。多少深夜喫茶のいい面——仕事に対しても何でもそうですか、何でもいい面と悪い面がございます。けれども深夜喫茶にこれはいいところだという、一つの子供に対して与えるいいことだというのがあるかということをずいぶん考えました。けれども絶対ないと思うのです。その意味で絶対禁止してくださいということでございます。
  51. 阪上安太郎

    ○阪上委員 よくわかりました。  次に小西先生にちょっとお伺いいたします。  先生非常に、法で規制するということについては必ずしも好ましいことじゃない、これは皆さんもそう思っておられると私思うのです。しかし諸外国の例を考えてみますると、外国ではレストランは深夜までやっております。ところによっては十一時くらいでも切り上げていきますけれども。それからキャバレーとか、そういったたちのもので、夜明けまでやっているところは、フランスなんかでもあるわけです。生活様式というものが非常に日本と違うのじゃないかと思うのでありまして、そういった場所でも十分に健全に楽しんでいる向きが非常に多い。ただ日本では、そういうことがすぐ非行につながっていくのだというところに相違があるのじゃないか。先ほど何か業者の自身の発意によるところの、たとえば監視員制度みたいなものを設けたらどうかというお話がございました。したがってやはり先生としては、法規制は大体この程度でいいんだ、こういうようにお考えになっているのでございましょうか、あるいはもう少しうみを出すべきものは出してしまったほうがいいというお考えでしょうか、この一点だけ伺っておきたいと思います。
  52. 小西平八郎

    ○小西参考人 こちらに業者の代表の方もいらっしゃいますから、私どもはしろうと的な考えで申し上げたのだけれども、むしろそういったものが自発的に業者のほうのお方から出て、自粛といいますか、先ほど被害者の立場だというような話もあったものですから、自分のほうからそういった内部的なことをまずごらんになる、それからまた来るお客さんの方に対しても見ていただくということがいいのじゃないかと私は思うのです。これは理想と政治というか、実際とうまくいくかどうかということでございますけれども、しろうと的には、私はそういうことがないに越したことはありませんけれども、そういう行為が平常にといいますか、ちゃんとおさまるか、そういうことを過渡的に取り上げていただいて、どちらがおやりになるか別といたしまして、どうかなと思って私申し上げたのです。あとお聞きいただきますればまた業者としてのお考えもあると思いますけれども
  53. 阪上安太郎

    ○阪上委員 大体この程度で、あまりこれ以上規制すべきじゃないというお考えのようだと思います。わかりました。  それから高橋さんにお伺いしますが、先ほどあなたの御陳述の中で、年少者に対する禁止事項が取り入れられたことは非常にうれしい、ただし不服な点が数点ある、このように述べられました。その中で一つは、条例委任よりも本法で禁止すべきであるとおっしゃっております。私どももこの法案を見ましてそういうふうに感ずるところもなきにしもあらずなのです。ただし本法で禁止するよりは条例に委任したほうがいいという、いわゆるその地域、地域の実情に応じてやったほうがいいという声も先ほどあったわけなのです。この種の条例としてあるのは、各府県ごとにつくっております例の青少年保護育成条例といいますか、保護条例というのがございます。その考えられている点は、ああいった形で府県でそれぞれ条例をつくって、ばらばらにやっていくという実情にある、こういうふうな行き方がいいという意味でおっしゃったのですか、どうでしょうか。
  54. 高橋喜久江

    ○高橋参考人 ちょっと御質問意味がわかりかねたのでございますけれども、反対にこちらがお伺い申し上げますけれども、私が申しましたのは、深夜喫茶を本法で全面禁止をしてもらいたいんだということを申し上げたのです。それは、青少年保護条例のような形でしたほうがいいのではないかという先生のお考えなんでございますか、それを私がどう思うかということでしょうか。
  55. 阪上安太郎

    ○阪上委員 そこで、ああいった青少年保護条例のような形でやったほうがいいとあなたがお考えになったかどうかという点をお伺いしたい。
  56. 高橋喜久江

    ○高橋参考人 私は、条例にゆだねるよりも、とにかく全面禁止を本法にうたっていただきたいと申し上げたのであります。と申しますのは、青少年に対する禁止行為も、いままで条例ではお定めになっていらっしゃいましたのを今回わざわざ本法にお入れになりました。そのことは趣旨を徹底さすために非常にいいことだと思うのでございます。それと同じような意味におきまして、本法で規制してもらいたいんだということを申し上げたのでございます。付随します意見といたしまして、人間は夜そんなにぐずぐずしているもんじゃない、寝るもんだ、大体深夜営業を認めるということ自体があまりいいことじゃないんじゃないか。それへの前進のために、深夜喫茶場所によって制限ができる、構造の制限ができる、それをしかも都道府県にまかせることができるというような間接的な本法の規定のしかたよりも、とにかく今回の改正の趣旨は、深夜喫茶廃止ということからスタートしてきていると思いますので、全面禁止をうたっていただいて、それを実行していただきたいんだというのが私の意見でございます。
  57. 阪上安太郎

    ○阪上委員 そういたしますと、やはり青少年保護条例のような形でやるということになると、府県でばらばらな取り締まりになっていくというようなことが考えられるので、強い弱いの点じゃなくして、本法で規制しようと、条例で規制しようと同じなんだということなんでしょうけれども、そういうような法のアンバランスが出てくる。やはり基本的なものは思い切って本法でぴしっときめつけてくれ、こういう意味だと解釈してよろしゅうございますね。  次に、あなたにお伺いいたしますが、やはりあなたもそういう場所があることがよくないんだ——それで、御承知のようにボーリングにしましても、ヌード喫茶にしましても、トルコぶろにしましても、営業そのものを取り締まるという法律は、浴場法以外にはおそらくないだろうと思う。興行場法関係もありますけれども……。ボーリングなど興行場法にも入らない、こういうことになっておりますが、しかしこういった面についての、そこで行なわれる不法な行為であるとか、非行であるとかいうことについては、当然これは現行法で取り締まれると思う。取り締まれないはずがないわけなんです。したがって、その行為を軽犯罪法であるとか、そういうものを適用すればできないことはない。それをやってないところに問題があるというふうにはお考えになりませんか。ちょっとあなたそういう意味のことをおっしゃっておりましたが、現行法でもっと取り締まりを強化すればやれないことはないんじゃないかというように私拝聴しておったのですが、そういうお考えをお持ちなんですか。それともやはりそういう場所そのものがよくないんだ。先ほど桑沢さんがおっしゃったように、そういったものに魅力を感じて子供が行くんだと思いますが、聞くところによりますと、ボーリングとかヌード喫茶トルコぶろ等につきましては、青少年の占めている割合というものはほとんど少ないそうであります。深夜喫茶は別であります。が、とらえてみれば二十以上だったとか、そういうことになるわけなんですが、行為そのものを取り締まるということと、それから場所の問題なんですが、これについてどういうようにお考えになるんですか。同じような質問で申しわけないのですけれども……。
  58. 高橋喜久江

    ○高橋参考人 取り締まり云々ということは後ほど申し上げることにいたしますが、その営業を、私の意見として認めるか認めないかということに論をしぼってまいりたいと思うのでございますけれども、深夜喫茶は存在する必要がない、あれは全廃すべきものであると私は思います。それからヌードスタジオ、これもやはりそうでございます。国家が営業として何々を対象にしてこれこれの範囲ならばヌードスタジオは存在してもよろしいというふうに規定するということ自体がおかしいのでございまして、とにかくみだらな商売はあってはいけないのだという態度をしていただきたいと思います。ボーリングは私も参りましたけれども、あれはおとなの方というよりも、私が見た場合は若い人が多うございましたが、あれは全身の力でするスポーツというほど——もしスポーツをそういうふうにするのでしたら、水泳とか野球とかのほうがもっとスポーツらしいスポーツでございます。スポーツとしてはずいぶん軽いスポーツのように見受けましたけれども、おもしろいことは確かにおもしろいと思うのです。ですからスポーツであるかあるいはまたほかの遊びであるか、そこら辺の論議は別といたしましても、あのもの自体をなくしてしまえというふうに、ヌードスタジオか何かみたいになくしてしまえということは言えないと思うのでございます。ただあの商売のあり方に問題がありまして、まず営業時間が無制限であるということ、それはよくない。それから値段が高過ぎる。高過ぎるというのもお互いに相対的な問題ですから言えませんけれども、少なくとも庶民の家庭ではあれだけのものを、しかもおもしろいですから、一回ゲームだけじゃなくて何回もあとを引くそうです。一回千円くらいのものを毎日なり、一週間に二、一面なり子供一人に対して小づかいとして与えられる家庭が何軒あるかということですね。ですからやはり料金も協定するなり何なりして、もっとできれば安い値段でやられるほうが望ましいのですが、とにかくあのボーリング自体を、国家としてこれはしてはならないことだというふうにきめつけることはできないと思います。ですから、あれがおもしろいものであるのでしたら、もっと善用するように行政指導をしていただきたいと思います。  それからトルコぶろ、これは蒸しぶろ自体、マッサージ自体は、それをいけないということはできないと思います。健康保持の手段としてお使いになるなら——私から見ますと一時間に千円も出すのはずいぶんもったいない話だと思いますけれども、それがおできになりまたそれが必要な方は大いに利用されるのがよろしいと思います。しかしそこに個室とかそれから営業時間が二時、三時までに至たるということ、その他いろいろ風俗を壊乱するような問題が出てくるから取り締まっていただきたいというように思うのであります。  それから現行法云々は、これはむずかしい問題でございますけれども法律はよくあるに越したことはないと思います。そのために先生方もそして私ども民間におります者も、いい法律ができるようにと日夜願っているわけなんでございますけれども、それがいろいろな関係でできない場合にはいまある法律をとにかく使って、できるまではやってもらいたい。そのいまある法律すら十分に使わない、と申し上げては当局の方々に失礼でございますが、ほかにお忙しかったり何かありますでしょうけれども。私、売春問題のほうに特に関心を持っておりますが、あるところではきびしくやってあるところではほっておくというようなことでは、やはり当局のお考え方姿勢にそういうふうな差別があるのじゃないか。この売春に限れば、売春はいけないのだということを法律でうたってある以上、そしてその法律はざる法ですけれども、現在の法律運用だけでもある程度の効果が上がるはずではないかと思うのです。この風俗営業の場合でも、トルコぶろをやめてくれということは私ども前から言っておりまして、今回も婦人団体として何べんもいたしましたけれども、ちっとも取り上げていただかないで、今日に至っていることは、はなはだ残念だと申し上げた次第でございます。
  59. 阪上安太郎

    ○阪上委員 あなたは先ほどボーリングだとかヌード喫茶だとかトルコぶろ、こういったものはやはり風俗営業対象にしてくれというような希望でありました。いま伺ってみると、ボーリングはやはりアマチュアの競技もありますし、それからヌードそのものが悪いということはいきなり言えないだろうと思います。トルコぶろについては、先ほどこまかに内容のあれがございましたので、私もそんなものかということに気がついたのであります。しかしあなたのおっしゃるように、これはそのものを取り締まるということは非常に困難だと思います。トルコぶろにいたしましても、非常に健全な、何と言いますか健康保持のためにずいぶん世界各国にも使われておるものでありまして、今度のオリンピック大会でも、ぜひトルコぶろをつくってくれという世界各国の声もあるわけなんです。したがってそこで行なわれておる行為ですね、不法なる行為と言いますか、あるいはすれすれの行為、これが問題だということだと私は思うのでありまして、そういうことでこの問題をいきなり風俗営業として対象にするということについては、良俗を害するおそれのある営業だ、こういうことになるわけなんでして、非常に問題があると思うのですが、私一つ伺いたいのは、現在やっておりますいわゆる問題になっておるボーリング場、それからヌードスタジオですね、これは一体どんなことをやっておるのですか。あなた御存じだったら聞かしてください。
  60. 高橋喜久江

    ○高橋参考人 ボーリング場御存じでいらっしゃるのでしょうか。
  61. 阪上安太郎

    ○阪上委員 いや知らないです。
  62. 高橋喜久江

    ○高橋参考人 私もやったわけではなくて見ただけでございますけれども、前のほうに倒すピンがあるのです。そしてこちらのほうでかなり重いボールですが、これをころがすわけです。そしてそれをピンに当てたら何本倒したということで記録しておいて、そしてたくさん倒したのがいいんだというようなそういう……。
  63. 阪上安太郎

    ○阪上委員 そこまではわかっているのです。
  64. 高橋喜久江

    ○高橋参考人 ですから一説には、いまごろみんな破壊するものがないから、ピンを倒すことによって快感を味わうのだとかいうような社会心理学者の説がございましたけれども、とにかくあのこと自体はただこれだけの動作ですから、それほど全身の力を込めたスポーツというほどのものではないと思いますけれども、遊びとしてはおもしろいと思います。  ヌードスタジオ、これも私はちょっと参れませんので、行ったことはございませんけれども、ただ聞きますところによりますと、いわゆるヌードのモデルがいて、それを個室でこちらの画家ですか写真家たちが写生し何かするという、そしてそれが非常に近いのだそうですね。何か場所は四畳半くらいとかなんとかそこいら辺はよく存じませんけれども、特に温泉地に多いとか聞きますが、そんなような程度でよろしゅうございますか。
  65. 阪上安太郎

    ○阪上委員 だからあなたの場合においては、そのヌードスタジオそのものが悪いというわけですね。それからボーリングの場所では何が悪いのですかピンを倒すのを私は悪いと言えないと思うのですが、何が悪いのですか。何かそこにあるのですか。
  66. 高橋喜久江

    ○高橋参考人 ですから、それは倒すこと自体とかなんかはよろしいと思うのでございます。ただ時間が二時、三時になりますですね。それから終夜になるところもあるそうです。その時間がいけないというわけなんです。それからおもしろいものですから、みんな一回には二百五十円か三百円ぐらいなんですが、それがたった十分で終わってしまうのです。おもしろいから一時間なり一日やりますと、帰りにお金払う段になると千円、二千円になる。それがまたおもしろいから何日も行くということになってあとを引くわけですね。それのボーリング場へ行くお金ほしさに強盗したというようなのは、まだ新聞で見ませんけれども、そういうふうになる可能性が多いと思うのです。それから終夜営業とかいうことになりますと、暴力団のたまり場になったり、いま深夜喫茶なんかに集まるようなそういうろくでない少年たちが、お金があればボーリング場に出入いりして、夜遊びするというようなことがよくないから、とにかくボーリング場の場合には時間制限が必要であるし、それから業者間の協定で、値段なり、中の設備なり何なり、健全な青少年を育成するようなスポーツであるように行政指導していただきたいと思います。
  67. 阪上安太郎

    ○阪上委員 あなたは先ほどから御陳述の中で相当いろいろな考え方をお述べになりまして、非常に参考になったのでありますけれども、一体諸外国ではあまり問題にならないようなこういう場所、たとえば夫婦連れで遊びにいくとか、夜の喫茶店とは言いませんけれども、レストランあたりは、夜おそくまでアベックで楽しんで、一ぱいの酒を飲んで帰っていくというカップルもあるわけで、非常に楽しんで過ごしている、こういうことなんですね。夫婦げんかしてしゃくにさわるからといって、一ぱい飲みにいこうかという先ほどのお話もありましたけれども、そういう場合も妙なところにいかないで、こういうところで遊ぶ、こういうことなんです。ところが日本でこういうことが行なわれると、何かそこに違ったものが出てくる。そして子供たちにとって非常に環境が支配すると言いますか、そういったものに支配されやすい青少年は、日本の場合には非常にインフルエンスされる、こういったことでありますが、日本の国柄といいますか、こういうことについてどうして諸外国と違うのだろう、その原因はどこにあるのだろうかということをお考えになったことはございますか。えらく失礼な話でありますけれども…。
  68. 高橋喜久江

    ○高橋参考人 難問でございまして、若輩の私などよりも先生方のほうがよく御存じかと思いますけれども、何しろ婦人団体というようなところにおりますから、女権拡張というほうは大いに叫びたいほうなので言わせていただきますと、日本では昔から男女同権という思想が薄いのだと思います。それが明治になりましてもそれほど強くなったわけではございませんが、かろうじて戦後だんだん、少なくとも本質的には男女同権になりました。ですけれども、実質的にはどれだけ男女同権になっているか。たとえばここに議員先生方いらしゃいますけれども、婦人議員と男性議員であったら、婦人議員のほうが少なくて、男性議員が圧倒的でいらっしゃるようであります。もし実質的に男女同権、男女平等であれば、何も法律的に同数にきめられないにしても、実質的に同数になってもいいはずなのであります。それがないということ、それをつくり出すような社会環境にないということがまず第一だと思います。そして諸外国と申しますと、先進諸外国というふうにこちらで受け取りますけれども、諸外国では男女同権の思想が、法律的だけではなくて、社会常識上で普及されておりますから、夜間の外出なども夫婦でなさるようです。それからたとえば招待とか何かも夫人同伴ということがうたわなくてもあたりまえでして、男一人で行くとか女一人で行くのはかえっておかしいような習慣であると聞いております。ですから私外国に行ったことはなくて耳学問でありますけれども、ナイトクラブなどというのは、外国では夫婦同伴で行くのがあたりまえだそうであります。日本では、それはお金がおありになったり、いろいろ進歩的な家庭ではなさいますでしょうけれども、たいていは社用族で、夫だけが行って、妻は家でおいしくもない御飯をこしらえて子供と待っていて、午前様のお帰りをお待ちしているというような状態なんでして、日本では女がナイトクラブに行くというのは、それはだんだん盛んになりつつあるらしゅうございますけれども、まだそれが一般の風習までにはなっていないと思うのです。外国ではナイトクラブヘは夫婦でも行けるし、それから外国から来た人を招待するのは、ナイトクラブまではできるそうです。それがキャバレーとかもっといかがわしいのがあるのでしょうが、そういうところまでは招待しない。また女性は行かないようになっている。だから娯楽への考え方日本と西欧諸外国ではずいぶん違うのではないかと思うのです。よく言われますけれども、芸者なども日本特有の存在で、外国ではああいう接待婦、エンタテイナーというのは必要ない。それは女性、夫人がいつも同伴されているからだというふうに聞いておりますけれども、そのようなことでよろしゅうございましょうか。
  69. 阪上安太郎

    ○阪上委員 実は私がこのようなことを伺うのは、この前の風俗営業等取締法の一部改正のときに問題になったのは、これは一部の議員でございましたけれども、婦人議員といってもいいのですが、この方の説では、大体部屋を暗くしておくとよくないのだ、なぜよくないかと聞いてみると、ここで部屋を暗くすると恋愛がすぐ起こる、恋愛が起こるからよくない、こういう言い方でした。ここは公式の席上だからといって、国会では何を言ってもいいのですから、ずばりとそのものを言ってもらうことがよかったのですけれども、そういうようなことで何か恋愛そのものが悪いから喫茶店を取り締まったほうがいいのだという声が出てくる。そういう皮相なものの見方でもってこういう法律がさわられていくということについては、われわれは非常に危険を感ずるわけです。先ほど言いましたように、西独あたりでは、青少年に対して思い切って盛り場の排回を禁止するのだ、実に思い切った法律だと私は思うのであります。日本はそれができないのです。へたしますと、集会とかいろいろなものを取り締まる、青少年の行動を取り締まるような妙な方向へそういうものが向けられていく、あるいは労働運動まで間接的に取り締まり対象になっていくというようなことで、そういう法律を出すとしたって簡単に世間が了承しないというようなところがある。したがって、こうした法律を改正いたしましても、これはかゆいところに手の届かぬような法律になってしまう。そういった根本的な原因は、いまおっしゃったような、一つは生活様式が違っているからでしょう。しかし根底になるのは、日本のデモクラシーの基盤がまだ十分でないということが私ははっきり言えると思う。したがって、なかなかかゆいところに手が届かぬ、こういう結果になるわけです。そういうことで、本来ならばこういった取り締まりをやらなくても済む場合が非常に多いということになってくるのです。  それから同時に、いま一つ日本で欠陥になっていると思いますことは、風俗営業等取締法はただ単に青少年取り締まりだけじゃありません。しかしながら、やはりこれによって悪影響を受けていくのは青少年が一番多いだろうと思います。この場合、わが国では常に問題青少年、いわゆる青少年問題対策というものが頭にぴんとくるのでありますけれども、ことばをひっくり返して言えば、問題青少年対策にはかなり力が入る、けれども、基本的な青少年対策というものはなかなか打ち出されない、こういうことなんであります。  そこでわれわれは、日ごろからもっと抜本的な青少年対策というものを進めていく、青少年問題は青少年それ自体が解決しなければいけない、青少年が自主的にやらなければいけないのだ、こういうような考え方を持っておるわけであります。したがって、ほんとのことを言いますと、こういう法律を改正することによりまして罰則その他の規制を強くしていくということにつきましては、元来的にはわれわれは賛成じゃないのです。が、現在置かれている日本立場考えた場合に、やむを得ずこういう措置を講じていく、こういうことになるのであります。こういった点で、どうも日本青少年対策なんというものは全く底抜けでありまして、問題青少年対策ばかりに走って、それで、何はしていかぬ、かにはしていかぬ、べからず主義ばかりなんです。青少年に対してそれにかわるべき健全な娯楽を与えてやらないというようなことが大きな原因になっていると思うのです。皆さん方も、先ほどから御賛成をいただている向きは、おそらくそういった点を御理解の上でおっしゃっていただいているものだと私ども考えております。  ただここで、多少問題がはずれますけれども、皆さん方の立場から、ほんとう青少年を保護育成しようという熱意を持っておられるのでありますから、何かそういった点で思い切って、もっとしっかりした青少年対策を樹立すべきだ、問題青少年対策ばかりやっている政府の態度に対して、こういう不満があるのだというところを、この際一発出していただけないだろうかと思って先ほどから期待しているのですが、どななたからでもけっこうでございますが、こういった機会でございますから、そうちょいちょい皆さん方においでいただくわけにもまいりませんから、力強いところをやっていただくわけにはいかないだろうかと思いますが、どうぞひとつよろしくお願いいたします。
  70. 桑沢富美江

    ○桑沢参考人 いまおっしゃっていただいたので、この際だからぜひ言わしていただきたいと思うことは、私どもは実際に法律はよくわかりません。こういう参考資料を読ましていただいても、あらまたここへきたのかなというふうに、頭が混乱しております。ただ私たちが、この深夜喫茶という一つのテーマに対していままで取り組んできたのですけれども、保健所のほうはここまでだ、それから明るさとか室内のことは警察だということで、どっちへ行っても、こっちはこう、あっちはああという何かかぶせっこのようなことなんですね。ですから私たちが幾らお勉強しようと思っても、たとえば川にたとえましても、河川浄化ということで船に乗っかってひとつ歩いてごらんなさいというので、隅田川をずっと尾竹橋まで二時間もあのくさい中を歩きました。そしてこれはきれいにしていただいたらいいんじゃないですかと言ったら、水面はどこそこで川底はどこそこだというんです。私にはわからないんです。ですから私たちが一生懸命で、いわゆる町のおかあさんたちが協力しようと思ってもわかりません、法律のあり方が。自分が不勉強なのかもしれませんけれども……。ですから、もっとお互いが一つの問題に対して責任のとれる場があってほしいということであります。これだけはどういう問題に対しても、一つの深夜喫茶だけではございません。何かおまえのほう、おれのほうというようなことが青少年の問題の中にも多少はございます。おとなの人はずるいじゃないかというようなことを、いつでも話し合いの場で、中学生、ましてや小学生でも言います。立ち小便をしてはいけないと先生に教えられたから自分たちはしない、だけれどもおとなの人は堂々と立ち小便をしているじゃないか、たいへんことばはきたないことですけれども、そういうようなことをぜひ私たちがわかりやすいように、法律までは考えませんが、私たちが身近で、家庭でわかるような、お互いの責任のとれる場があってほしい。ここはどこの管轄なんだという、川一つにしても水面と川底は違うというようなことは私には全然それがくみ取れません。そういう意味でぜひひとつ、たとえば目に余るようなことがあるから、警察へ私たちがこういうことがあるからあそこの喫茶店を取り締まったらというと、ここのところは取り締まれるけれども、こっちは取り締まれないのだという、そういうかぶせっこじゃない、一つ責任のとれる場があってほしい。それと、ほんとうによくないと思ったことは、私たちが下のほうで青少年のことに対して心配している声をたまたま聞いていただきたいということをお願いしたいと思います。
  71. 高橋喜久江

    ○高橋参考人 私申し上げたいのでございますけれども、政府でも、いまは救貧対策よりも、もう防貧対策のほうになるのが理想だというふうにしていらっしゃるそうでございますが、青少年の問題におきましても、非行少年の問題を取り上げる、それはもう現実に起きていることですから大切なことで、それをしないでおいたらよけい悪が蓄積されますのでいけませんけれども、もう一歩手前の、青少年が悪いことをする、特に性犯罪を起こす前に国家としてやることがあるのではないか。それは一つは純潔教育でございます。これはここの委員会とはお門違いでございますけれども、文部省におかれまして純潔教育をどれだけやっていらっしゃるかと申しますと、はなはだ失礼な言い方でございますけれども、私どもとしてはあれでやっていらっしゃるとおっしゃるのでございましたら、うなずけないものがございます。と申しますのは、戦後非常に価値変換がございまして、とにかくあの動乱の中で文部省は非常に純潔教育を重視なさいまして、多く委員をおつくりになりました。それが純潔教育のパンフレットとか要綱というようなものをおまとめになり、それを文部省に答申なさいまして、以後予算措置をもって継続されることを望むというような附帯書みたいにしてきちんと印刷になっているものがございます。矯風会もそのことに関係しておりましたものですから、さてこれがどのように発展していくのかなと思いましたら、それはそれで打ちやめになりまして、いま細々と、ほんとうに失礼な言い方でございますけれども社会教育局の中の一部門として純潔教育のことを御研究中でいらっしゃいます。実際に純潔教育をなさらなくてはならないのは、学校教育——それは家庭教育社会教育も必要でございますけれども、一番より早く効果があるのは、学校教育において取り上げられることだと思うのですけれども、それがかなりおざなりなんです。少しずつでございますけれども、たとえば高等学校では家族計画を家庭でやり、保健をやる。一番肝心な小学校、中学校のときに根本的にやるというのを国の方針としてはやっていらっしゃらないのでございます。それは少しはやっていらっしゃいますけれども、カリキュラムとして一貫してやるという態度ではございません。宇都宮などでは教育委員会が熱心でございまして、ちゃんとカリキュラムをしてやっていらしゃいますけれども一つの地方都市でできることが、なぜ国家がやれないかということが私の大きな疑問のわけでございます。それは純潔教育をやったからといってよくなることではございませんけれども、全然やらないりれも——しかも性ということは非常に大切なことなんです。それをこそこそ話す、先輩とか何かで、いわゆる裏町教育といっておりますけれども、正面切って学校からきちんとこれこれのことだから乱用しないように、こういうふうによく使いましょう、それまできちんとして男女交際いたしましょうというふうに進められれば、先ほどの修身教育とちょっと話が混乱いたしますけれども、教師がまじめにきちんとした態度で教えればかなり子供たちの頭に入って、そうして将来いい家庭をつくるための基盤ができていくと思うのです。それをしないでおいて、そうして性の問題はタブーであって、そうして先輩なり何なりが裏町で卑わいなことばでいろいろなことを教えます。そのために性ということは、何といいますか非常にきたないもの、口にすべからざるもののように思い込んでしまっていくことが、いろいろな性犯罪を起こし、大きくは社会のきたない面へも平気で立ち向かうことになる要素だと思うのです。学校で純潔教育を行ない、それを補助するために社会教育でも家庭教育でも、青少年をいいものに育てようという社会一般の姿勢が必要なんだと思います。その一つの手段として、国家において純潔教育というものを確立して、いま専門の純潔教育の教師を置くとか、資料などというものを文部省の一部門でほそぼそ、とやっていらっしゃる。肝心の初等中等教育局では、あれは社会教育局がやっているとおっしゃって、私どもが陳情に行きましても、局長さんに受け付けてもいただけなかった。そのような態度は、私としては間違いだと思います。
  72. 小西平八郎

    ○小西参考人 先ほど、問題少年でなしに青少年一般のというお話でございまして、私が思っておりますことは、いろいろ御当局におかれましても道徳教育といったようなことでお考えになり、また実際に移していらっしゃることでありますけれども、こういうことに最も重点を置いていただいたらどうだろうと思いますことは、まず芸術、それから美術といったものに特に少年の目を向けさせるといいますか、趣味を持たせるというか、そういうことをさしていただいたらどうだろうと私いつも思っているのです。これは私ごとではなはだ恐縮でございますけれども、わずかばかりの学資の補助を、いま東京におる学生にしております。ただもらうだけではいけないだろうから、何かひとつ、国立博物館に毎月行く、それから美術館で催しのあるときに行って、そうしてそういったもののカタログとかいったものをひとつ送ってくれということを私六、七年前からずっとやっておりまして、現存もやっております。自分もそれに趣味を持っておりますことはもちろんでございますけれども、全学連といったようなことに走らないで、そういったものにひとつ目を向かせ、頭を持たしてやったらどうだろうか。学生にそういうことを実はやっております。そういったことに御配慮いただくのも一つ方法ではないかとも思っております。
  73. 阪上安太郎

    ○阪上委員 たいへんずばりものを言っていただきまして、たいへん参考になりました。ありがとうございました。おそらくそういった基本計画、基本対策というものがなければいけないと思います。  それから取り締まり等につきましては、何かなわ張り根性でもって取り締まりをしていくようなことではいけない、もっと青少年に高い希望といいますか、目標を与えてやらなければいかぬ、文化面、芸術面、あるいは宗教教育などということは、いま日本では禁じられておりますけれども、しかし諸外国の場合において、青少年の一人でも自分の身を守っていくために、信仰というもの、これが非常に徹底しておりまして、ことに青少年の段階においては、非常に信仰心が強いということなのであります。そういったもので、日本には非常に欠けている面があるのではないかというようなことも考えられます。  それから純潔教育等につきましては、まことにそのとおりだと私は思います。  まだいろいろお聞きしたいことがございますけれども、いま言われたようなことが基本的に解決されなければ、やはりこういった問題は解決しない、取り締まり一本ではいけないんだ、こういうことだと思います。また逆に、そう言いながらも、一面現在の青少年対策として考えた場合に、はたしてこの程度取り締まりで現在のうみを出すことができるだろうかという疑念もあるのではないかと思います。たいへんむずかしい問題でございますけれども、貴重な御意見を拝聴いたしましてありがとうございました。たいへん参考になりましたので、お礼を申し上げて、私の質問を終わります。
  74. 森田重次郎

  75. 本島百合子

    ○本島委員 午前中に早稲田の先生に御質問申し上げましたので、大体私どもの婦人議員の立場からの意向は皆さんにおわかりいただいたと思います。しかし法律というものは簡単に私どもが願うようには参らないわけで、今回の改正にあたっても、トルコぶろあるいはまたヌードスタジオ、こういうものについては関連して風俗営業の中に入れて取り締まりができるように、こういう主張をしておったわけでございますが、これは全然法体系が違うということではずされておるわけなんです。  そこで高橋さんに伺いますが、先ほどからいろいろ婦人団体からの御要望がたくさん参っておりまして、その内容等について私どもよくわかっておりますが、特に今回の法律改正の中に漏れた点、たとえばボーリングは文部省の管轄になってまいりますし、それからトルコぶろは浴場法の改正、それから次にヌードスタジオ興行場法の改正、こうなっていくわけなんです。ここで時間をずっと見てまいりますときに、今国会では絶対これは間に合わない。そうしますと、臨時国会にと考えてまいりますが、臨時国会ではなかなか法律の改正なんということまではいかないわけなんです。日本は幸いか不幸か十月にオリンピックがあるわけなんです。こういう場合に、私は婦人団体のお世話役をなさっておられる団体がどの団体かわかりませんので、高橋さんにと、こう申し上げたのですが、もし婦人団体のほうでお世話をやっている団体ができておりますれば、その団体がどういう団体で、オリンピックまでの間にどういうことをしていこうかというような話し合いが進められておるのではなかろうか、こう思いますので、その点をお聞かせ願いたいと思います。
  76. 高橋喜久江

    ○高橋参考人 オリンピックまでにお世話をする団体、そういうふうにはっきりきまってはおりませんけれども、ただオリンピックオリンピックと、オリンピックだけを目標にしていろいろ運動をするのはおかしな話でございますけれども、一応の目安としてオリンピックまでに何とかいたしましょうといって、いろいろな団体でなさっていらっしゃるようでございまして、何か官庁側のほうでは文部省などが音頭をおとりになりまして、新生活運動協会などと御協力の上、道徳高揚の何とか運動というようなので、いろいろな団体を集めて一つの会をしていらっしゃるようでございますけれども、多くの婦人団体で組織しております売春対策国民協議会などでも、オリンピックを前にして売春をなくすようにいろいろな運動をしましょうということで、各当局に要望したり、それから何かをしております。私が聞いておりますのではそのような程度でございまして、オリンピック前にいろいろしょうというようにどれだけ婦人団体がしているかというようなことは、そんなに広い目を持っておりませんのでよくわかりかねますけれども、とにかくこのままでは恥ずかしい——何もオリンピックだけが恥ずかしいのではなくて、いろいろないかがわしい商売が繁盛しているのは恥ずかしいから何とかしてくれという動きは各会であると思います。
  77. 本島百合子

    ○本島委員 それでは和栗さんでございましたか、あなたのほうは、喫茶店も深夜喫茶店にわたらないほうの喫茶店の組合でいらっしゃいますね。そうしますと、御意見の中に、むしろ自分たちが被害者の立場だ、そう言われる。なおかつもう一時間延長してもらって、十二時までやってもらったならば、深夜喫茶店の問題もある程度解決するのじゃないかというふうに私受け取れたのですが、そういう一時間延長ということはどういうことなんでしょうか。
  78. 和栗五平

    和栗参考人 そういう意味じゃございませんので、先ほど申し上げましたように、私どもの経営内容が地域的にだいぶ変わっているわけなんです。夜、比較的入る店は昼間閑散として商売にならない、昼間商売やれば夜のほうがきかないという地域差がございまして、そういう関係で夜商売をやっていらっしゃる方はごく少のうございますが、先ほど申し上げたように、深夜喫茶をやっていらっしゃる方は非常に資本力も大きくやっていらっしゃるので、それはそれとしまして、一時間延長をお願いしておるのは、比較的規模の小さいものが現在十二時までやってやっと生計を立てている。それがこの都条例の改正によりまして十一時までしか営業できなくなった場合、こういう方々が生活に困ってくるのじゃないか、こういうことで一時間延長を嘆願したわけなんです。そういう意味でございます。
  79. 本島百合子

    ○本島委員 現在の喫茶店は大体十一時まででしょう。
  80. 和栗五平

    和栗参考人 いや、これはいろいろ先ほど申し上げましたように、昼間うんと入って夜商売にならないいわゆるサラリーマン街でありますが、地域的に言いますと日本橋とか茅場町辺のビルの多いところは、五時までに事務所がおしまいになりまして勤め人の方はお帰りになる、こういう地域はせいぜい六時ごろで閉店にしているようでございます。また逆に深夜喫茶の多い地区におきましては、昼間は商売にならない、夜商売になるという地区でございますので、閉店時間があながち全部が十一時じゃございません。総体的に言いますと、結局十時ないし十時半ごろが大部分ではなかろうか、かように考えております。
  81. 本島百合子

    ○本島委員 これはあの都条例をつくるとき、ちょうど私、都会議員でございまして、原案のところからずっとやったわけなんですが、一般喫茶店は十一時までじゃないのですか。それと、深夜喫茶店を十一時以降翌日の夜明けまで、こういうふうに規定したと思ったのですが、いまのあなたのお話でいくと、そうでない営業喫茶店はしておるというふうに受けとれるのですが、十一時までで喫茶店は終わりじゃないのですか。
  82. 和栗五平

    和栗参考人 ごもっとものようのお話でございますけれども、私どもの知る範囲では、風俗営業ではございませんので、時間に規制がいままでなかったわけでございます。ただし四、五年前でございますか、お客様が好むのか。業者が進んで暗くしておるのか、これはどちらにしましても暗い時期がございましたので、これがいまの深夜喫茶の始まりではないかと思いますが、そこで取り締まり当局は、一応こういう暗い喫茶店をなくして、青少年が入っても、二度と入らないような雰囲気に持っていったらいいんじゃないかというお考えだと思いますが、そういうことで十一時まで照度の明るさを十ルクス、十一時過ぎましたら倍の二十ルクスの明るさがあれば続けて営業してもよろしい、こういうことでございまして、それにつきましては、いす、テーブルでございますが、什器備品につきまして、いすの背の高さが八十センチ以上あってはならない、いろいろの構造が見渡せればそれでよろしい、そうあれば何時まで商売をやってもよろしいというふうに承知いたしております。
  83. 本島百合子

    ○本島委員 いまお話を聞きまして、当時の条例をつくるときに、たぶん喫茶店には深夜喫茶店というのはなかったのですからね。それで深夜までやるものについて規定しなければならない、こういうところからきめていったのですが、そうすると現在の喫茶店の中では、現実に時間の制限なしに現在でも夜おそくやっていられるところもあるのですか。先ほどの一時間延長してくれという意味が私にはとれないわけなんですが……。
  84. 和栗五平

    和栗参考人 それは現在の、いまここで諸先生方が審議なさっているこの改正案が通りまして、都に移管——私ごとばはよく知りませんけれども都条例によって、十一時までで、それ以上の営案をやってはいかぬという規定になるらしいのですから、そうなる前に一時間の延長を嘆願したようなわけで、現在までは、照度、いわゆる照明が十ルクスであればよろしい、十一時過ぎまで営業する場合は二十ルクスあればそのまま夜明けまで商売をやってもいいように私は承知しておるわけなんです。
  85. 本島百合子

    ○本島委員 そこのところは、私、現実喫茶店がそんな時間制限なしにやっていられるということは気がつかなかったわけなんですが、この法律がこのままで改正になった場合におきましては、結局地域の制限等も生まれてくるわけなんですね。それでもちろん風俗営業に適用されるところの構造、設備というものがある限りは、時間の制限というものもきちんと出てくるわけですね。したがって、時間の制限のほうを、普通の喫茶店が夜十一時で打ち切られる心配があるために十二時までこれを延ばしてくれ、こういうことなんですか。もう一度再確認の意味で……。
  86. 和栗五平

    和栗参考人 お説のとおりでございます。
  87. 本島百合子

    ○本島委員 私ども大体聞いた範囲内では、夜十一時過ぎまで風俗営業の適用されない喫茶店でやられているということはあまり聞いておりません。ただ特別な駅の構内その他で多少時間のおそいのは知っておりますけれども、しかし一般の喫茶店でそんなに十一時過ぎまで営業されておったということは私どもは知らないわけなんです。そういうことから見まして、私ども、一時間延長することが零細喫茶店を助けるという御主張に対しまして、それは特に深夜喫茶店の多い地域でのお話のように承るわけです。ところが、今度はこの法律が通れば、そういう地域は指定されないだろうと思うのです。そうすれば、一時間延長という御希望というものが、全然なくていいわけですね。そういう深夜喫茶店というものがかりにその地域から撤去された、しかしあなた方は、風俗営業に関連のある深夜喫茶店ではない、普通の純然たる喫茶店だ、にもかかわらずやはり一時間延長してほしい、こういうことでしょうか。
  88. 和栗五平

    和栗参考人 私、先ほど申し上げましたとおり、ちょっと肩書きがありますので、結果とすれば、現在十二時ごろまで営業していらっしゃる方の代弁者として申し上げたような形になっておりますが、いま東京都の中でいわゆる盛り場、深夜喫茶の多い地区に限ってあるいは時間の規制があるのではないかというお説のようにお伺いしたのでございますけれども、私の考えは、東京都全体が同じ時間の規制を受けるのではないかという推測のもとで一時間延長の嘆願をしたわけでございます。
  89. 本島百合子

    ○本島委員 まだちょっと私にのみ込めないところがあるわけなんですが、結局深夜喫茶店というものは、今回の改正でいけば青少年に対する四条のところで明確にうたってきておるわけなんですけれども、そんなことではだめなんだ、結局夜の十二時、一時までも喫茶店というところでお茶を飲まなければならぬというあれはないのではないかというのが、前回の改正のときからの私どもの主張なんです。ですからこれは今回始まったことではないのです。大衆的な食堂だとか、すし屋とか、そば屋さんのような、深夜営業なさる人たちの集まる場所においての特例を設けて、深夜に及ぶ喫茶店というものは廃止してもらいたい。先ほどから女の参考人の方が申されておるように、全面的に深夜喫茶店は禁止してもらいたいということを、衆参婦人議員で超党派的に主張しておる最中なんです。そこで業者の代弁として、一時間延長十二時とおっしゃるけれども、この点は私どもなかなか理解しずらいことで、先ほどから聞きただしておるわけなんですが、この点はこの法律が通ろうが通るまいが、結局この風俗営業に規定されない範疇の喫茶店が、夜十一時過ぎまで営業されておるという件数はあまりないのじゃないかと思うのです。そういたしますならば、むしろ御要望を撤回していただいて、夜十一時を限度としてみんな家庭に帰るという社会の美風をつくり出してもらうために、ひとつ業者の自粛を願いたいと思うわけなんです。これは要望でございます。  それからもう一点承りたいのでございますが、午前中の早稲田の先生お話では、これは禅問答みたいで私は困り切ったわけなんでございますけれども、一面ああいう考え方というものはあるわけなんです。これは重複いたしますのであの先生のお考え方は述べませんが、ああいう考え方がある。そのために、深夜喫茶店を禁止する場合には、憲法違反だという主張が出てくるわけなんです。あの先生の主張では多少ニュアンスも違っておるようでしたけれども、私どもは深夜営業に対して全面的禁止をするということについては憲法違反にならないという考え方を持っている。憲法というものはあくまでもその国、その社会、その風俗を害したり悪の温床になったりすることを助長しているものではないわけなんで、むしろそういうものはつんでもいいのだという考え方を強く持っておるわけでありまして、委員会のときに、大臣に、憲法違反になると思うか思わないかと二回念を押してみましたら、なるような、ならないようなはっきりした答弁は得られなかったわけです。むしろ憲法違反になるという考え方のほうが強いわけなんです。その点で私ども青少年を守る法律をつくるときにいつでも引っかかってくるわけなんです。先ほどから論議されております図書の問題についても、すぐに、検閲制度の復活になるのではないか、憲法違反ではないか、こうやられるわけです。今度は営業の自由ということから言えば、深夜を禁止するということは憲法違反だと簡単にやられておるわけですが、こういうことについて、どなたと申しませんが、憲法違反になるおそれがあるかないかということについて忌憚のない意見をここで述べていただきたいと思うわけです。
  90. 森田重次郎

    森田委員長 本島先生お答えがないようです。
  91. 本島百合子

    ○本島委員 実は国会で一番困っているのはそこなんでございます。そこでこの深夜喫茶店の前回の改正のときも、これが問題になったわけです。それから、御承知のとおり、東京都の条例をつくりましたときも、憲法違反になるかならぬかで問題になり、神奈川県で条例をつくり、その他の県で条例をつくってきたわけです。裁判にかかって、地方条例で憲法を犯す範囲を越えてはいないからいいだろうというようになって、ようやく各県が条例をつくったといういきさつもあるわけです。そこで、私どもが常日ごろ、青少年を守るために何か保護的なものをつくらなければなるまいと思ったときにひっかかるのがこの問題なんでございますから、ひとつそれぞれの機関でも御検討くださいまして、憲法違反にならないのだという確信が持てる皆さん方の力添えがなければ、なかなかうまくいかないのではないか、こういうふうに思うわけです。この法律は本日通過する御様子でございますけれども、通過したあとでも残る問題がたくさんある。先ほどから申しておるように、ボーリングの問題は文部省、あるいはまた厚生省所管のトルコぶろ、あるいはヌードスタジオ、こういうふうになってまいりますので、一ぺんには解決できない。今後残された問題がどのように進展していくかということは、やはり皆さま方のような有識者の方々から、大きな力と運動を起こしていただかない限りはでき得ないことでございます。ですから私、念のためにその点の御認識を承りたいと思って質問したわけでありますが、どうかひとつ今後もこういう問題については特段の御研究をいただきまして、ほんとうに明るい社会の中に青少年を守っていくという、そういう形における運動をお進め願いたいと思います。  法律の改正の内容については、先ほどからたびたび申されておったようでございますので、御不満の点は私どもきょうはよくわかったつもりでございますが、早稲田の先生だけがちょっと私らの考え方と違っておったので、非常に困ったわけです。そこで先ほど阪上先生が、皆さんのしっかりとした意見を最後に聞かせろと言われましたように、今度は逆に私どもはこの法律通過後におきましても、こうした青少年を守るために国会の内部でもがんばってまいりますから、皆さま方も縁あってこうして参考人にお出ましになったのですから、青少年を守る適切な運動の展開を御要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  92. 森田重次郎

  93. 戸叶里子

    戸叶委員 参考人の方にもうすでにたくさんの方からいろいろ御質問がございましたので、私は参考人の方には一点だけお聞きしたいと思います。  高橋さんに伺いたいのですけれども、先ほどからの意見を伺っておりますと、これは桑沢さんも御同様でございましたが、深夜喫茶というようなものはぜひ禁止してほしい、こういう強い御意見を持っておるわけです。そしてトルコぶろにつきましては高橋さんが、いろいろな意味でそういうものの必要な人、そしてまたそういうトルコぶろに入れるような経済的余裕のある人はそれもいいでしょうけれども、いまのような形を何らかの形で改めてもらいたい、ボーリングに対しましても、青少年がああいうところに行きたいために悪いことをするというようなことがあるから、そういう点をよく考えてもらいたいし、また夜おそくまでやらせないようにしてもらいたい、こういうふうな御意見を承ったのです。ヌードスタジオの問題ですけれどもヌードスタジオ興行場法で環境とかそういったいろいろな面では取り締まりができても、あそこでいろいろとなされます行為というもの、たとえばヌードになっていろいろなポーズをつくって写真をとらせたり、いろいろなことをしている。狭い部屋でそういうことをすること自体私どもは問題があると思うのですけれども、そういうふうなことに対して、何かの法律規制をしていかなければ——法律だけで規制をするということがいいか悪いかはまた問題になりますけれども、何かの法律でこれを取り締まっていかなければ、野放しでは困るというふうにお考えになっているのかどうか、それが一つ。  もう一つは、いま急にそうすることができないにしても、何とかこの問題を、そういうものが野放しにされないような方法がないものかどうか、こういうものを何かお考えになっていらっしゃるかどうか、伺いたいと思います。
  94. 高橋喜久江

    ○高橋参考人 法律のことは私よくわかりませんで、実は今度の法律も一体どこがどう変わったのか、法律を専門にいたしませんものですからよくわかりかねるのでございますので、普通の、一般人の社会常識的な線からだけ申し上げたいと思います。  トルコ風呂とかボーリングは、そのこと自体健全に運用されたら、あれはしちゃいけないというふうに国家の方針として言えないような営業である。それは普通の良家の、特にお固いうちの子女が出入りしていい問題かどうか、それはまた別でございますけれども、とにかくあれをいけないということは言えないと思います。特にボーリングなどは、よく使えばいい面も出てくると思います。ですけれどもヌードスタジオに限って言えば、ああいうものを存在させる必要がないと私は思うのでございます。ただそれの取り締まりが、いま何の法律でしていらっしゃるのでしょうか、刑法か何かで、それは行政当局の方がよく御存じだと思いますけれども、とにかくはびこらせておいたまま、それにぴったり当てはまる法律がないから検挙がしにくいというようなことを現場の方から伺ったことがございますけれども、とにかくそれがしにくいのだったら新しく法律を設けるなり、それがしにくくなくて、いまの法律でも十分にできるならばもっとどんどん取り締まって、悪の根を根だやしにすることは石川五右衛門と同じでできないのかもしれませんけれども、当局がその姿勢におなりになれば、いまの法律でもかなりの効果はあがるのではないか。いまの法律で悪ければ、もっと新しい法律を何かつくって取り締まっていただきたい。それにしても風俗営業法の取り締まり対象にするような問題ではない。風俗営業法の取り締まり対象にすれば、それは国家がこれこれの形であるならばお前の商売はしてもいいぞよということを認めたことになる。ですけれどもヌードスタジオに限って言えば、そういうふうに認める必要すらないと私は思うのでございます。
  95. 桑沢富美江

    ○桑沢参考人 私は高橋さんとちょっと見解が違うのです。私は青少年のことだけを考えてスタジオを見ると、青少年はああいうところに行かないから、いわゆる成人で行っているのだから、成人の良識にまかしていい。事実青少年にここがいけないのだということでしたら、私その分野に入りますけれども、私はあんまりぴんとこないのです。成人がほとんどだそうです。芸術として見ている、こういうのです。逃げ方は。ですから青少年のことを考えると、おとなの人が先に悪いことをして、おまえたち悪いぞということじゃいけない。そういう意味からでしたら、何かの方法で、いま高橋さんがおっしゃるような方法で取り締まることがあっていいと思うのです。青少年のことだけを考えると、青少年はそういうところに第一行きませんように聞いております。温泉なんかへ行きますと、よくバラックの変なところにスタジオと書いてありますので、その辺のおばさんに聞いてみますと、あそこでお写真をとったりなんかするのですよと言っておりますけれども青年たちは、成人式を終えた人はいがですか、私たちの問題にしております青少年は、おそらくそんなところに行くという気持ちにもならないのじゃないかというふうに考えております。そういうおとなの人の望む場を先にこしらえて、ちょっとおとなの人のほうがうそつきだなと思う程度で、あまりぴんときておりません。
  96. 戸叶里子

    戸叶委員 ごらんになったことがありますか。
  97. 桑沢富美江

    ○桑沢参考人 あります。
  98. 戸叶里子

    戸叶委員 それじゃあなたのおっしゃるのは、そういうところはあっても取り締まりさえよくすれば、そこでいかがわしいことが行なわれなければいいというお考えですか。
  99. 桑沢富美江

    ○桑沢参考人 私、一軒見ましたのは、長岡温泉に婦人会で旅行に行きましたときに、それがございますので、宿屋の女中さんにどんなんですかと聞いたら、三百円出せば入れるのですよというので、とにかく社会科の見学の意味で行きましょうと行きましたら、初めはお洋服を着ていらして、レコードに合わして——それはお写真をとる目的じゃないのですね、踊りを踊ってくだすったんです。同性が見ていますと、何かきたならしく感じて、かわいそうにねという気持ちだけで見てまいりまして、おしまいまではみんな入っておられませんでした。ですから、むしろそれを好むのは、男性でもある年齢に達した方たちが好むのではないか。青年に、あっていいということは事実申し上げられませんけれども、それをどうこうということは、私はあまりぴんとはいま考えておりません。
  100. 戸叶里子

    戸叶委員 私も実は新宿で見ましたけれども、ああいうものは必要ないというように考えます。なぜならば、あなたの御意見に対して私が申し上げるのはおかしいのですが、むしろ悪の温床になる可能性が非常に多かったわけですし、そこにいる御婦人自体にもいろいろな問題があったものですから、見た場所も違うという点で意見も違ったと思います。しかしこれは意見の相違ですからこれ以上進めません。ただオリンピックも近くなりますし、いろいろいかがわしいものがたくさんあるということは、日本の国の女性としてはずかしいことですから、私ども国会としてできるだけそういうふうな、外国の人に軽べつされるものをなくするような努力をしていかなければならないと思いますけれども、外部におありになる、有識者であり、また非常に力を持っていらっしゃる皆さん方も、どうか私たちに御協力をいただきたいということを要望いたしまして、参考人の方に対する私の質問を終わります。
  101. 森田重次郎

    森田委員長 参考人に対する質疑はこれにて終了いたしました。  参考人方々には長時間にわたり、貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。     —————————————
  102. 森田重次郎

    森田委員長 引き続き政府当局に対し質疑を行ないます。質疑通告がありますので順次これを許します。秋山徳雄君。
  103. 秋山徳雄

    ○秋山委員 私ども実情はよくわかりませんが、二、三御質問申し上げたいと思いますので御了承願いたいと思います。  いま参考人の方までわずらわしましていろいろ質疑が行なわれたわけでございますが、今度の改正において私が一番心配になるのは、質疑を通じていろいろ考えたことでございますけれども、何か風俗営業が悪の温床になるということに焦点がしぼられていくような気がいたします。もし、そうだといたしますならば、府県条例において許可する場所、地域と申しましょうか、こうしたものを定めるにあたりまして、そういうもののみを許可する場所、地域が、小さい地域に限られた場合に、かえってそこに悪い人たちを寄せ集めるんだということになりはしないかということが一つ考えられるわけであります。もう一つは、考え方によりましては、そういうことをもとにして考えますならば、警察出局がそういうもの、場所、こうしたものが転々とすることによって取り締まりがむずかしいので、それを取り締まりあるいは検挙をしやすいために、一カ所にまとめたほうが都合がいいんだ。警察の都合がいいんだというために、条例で限られた部分だけに許可するんだということを考えたときに、あるいはそういう考えがあるんではないかという心持ちがいたしてくるのでありますが、そういうことについて御心配があるかないか、またそうした考えのもとに警察当局で立案をしたのかどうか、こういうことについてお尋ねを申し上げたいと思います。
  104. 大津英男

    ○大津政府委員 今度の法改正をお願いしておりますることによりまして、深夜喫茶の地域の制定を条例によって指定をするというようなことによりまして、非常に限定されたものしか残らないということになってくる。そういうことは、当然条例によって地域の指定をいたしますれば出てくる結果でございまするが、そのねらいといたしますところは、やはりいままで青少年の非行の温床になるとか、あるいは売春の取引の場所になっておるとか、こういうふうな悪の温床になっておるものをなくしていきたい。こういうことにねらいがあるわけでございまして、その意味で今度の法改正によりまして、条例でそういう規定ができるということにいたしたいと考えておるわけであります。したがいまして、その指定をすることによって、警察が単に取り締まりがしやすくなるというような観点で、これをしておるというようなことではないのでございます。むしろそういう環境を浄化することによって、そういう非行の場所がなくなっていくということがねらいになっておるわけでございます。ただあくまでも、悪いものにとっては、どこかそういう場所が必要になってくるのではないか。そういうものがどこかに移行していくのではないか、こういうおそれを持って見守っておられる向きもあると思いますし、私どももそういういままでのようなものが、形の上でなくなりましても、根本的にそういう非行がなくなる対策が充実していかなければ、どこかにそれがあらわれてくるのではないかという意味で、他に移行するということも十分考えていかなければならない。そうは考えておるのでありまするが、警察が取り締まりの便利のためにこういうことを考えておるということではないのでございます。
  105. 秋山徳雄

    ○秋山委員 こういうことはいろいろの考え方、いろいろの言い回しがあるわけだと思います。たまたま、私の住居地が横須賀でございます。御存じのように横須賀ということになりますと、駐留軍の人たちがかなり多くいるところでありまして、したがって、こういう人たち対象になるべき歓楽場と申しましょうか、こうしたところが自然的に必要なんだということが、市あるいは警察などで考えられたことがございます。そうして、その地域を一カ所にまとめました。そうすると、いま問題になっておることは、何かというと、地域でいえば横須賀の日出町というところがあります。それから世界的に有名になったというところは、俗にいう汐入町というところであります。ここは、アメリカなどでは横須賀の汐入ということになりますと、非常に有名になっておるそうであります。しかもそういうところを基準としていろいろなことが考えられますけれども業者方々になってみれば、できる限り小資本で、できる限り多くの実収入をあげていく、こういうことがねらいのようであります。したがって、先般もその個所において宿泊をした米人が焼け死んだこともありますし、また相手をしておった日本の婦人がなくなった事例もあります。これもおかしなことでして、そういう話を聞きますと、ただ一組の人たちが焼け死んだのかというふうな想像ができるわけですけれども、どうもそうではない。話を聞いてみますと、一組のほうは男の米人が焼け死んでおり、相手の女ではなくて。もう一組おったほうは、逆に女の日本人が焼け死んでおる。どちらも酒に酔っていないほうが逃げてしまって、酒に酔っていたほうが焼け死んだという事例すらある。そういうことを考えてまいりますと、ちまたの人たちは俗にいう良識ある方々によれば、夜になって、あるいは夕刻になって、きょうはどちらにといった場合に、特に若い人たちの中では、日出町と言うとははあと笑われる。汐入と言えばやはり同じように見下げられる。あるいは昔からの伝統である安浦ということになれば、ふふーんというふうに言われる。そういうふうな場所ができてくるわけであります。またそれを、横須賀の事例などを取り上げてみれば、警察と市と、そういう方々たちが相談をしてきめた場所であります。そういうことから考えますと、何か売淫を必要な人は、その地区においでなさいということになりがちであります。そういうことを考えたときに、場所の指定のしかたによっては再びそうした世にいわゆる青線、赤線という区域ができ上がるんじゃないか、こういう心持ちがいたしますが、そういうことについてのあなた方の配慮のしかた、行政指導のしかたはどういう形で行ないますか、伺っておきたいと思います。
  106. 大津英男

    ○大津政府委員 ただいまの御質問にございましたが、たとえば横須賀のような場合のそういう点でございますが、これは現在の風俗営業につきましての場所に関する許可の基準というものにおきまして、たとえば学校あるいは病院等の特殊の施設のある地域から百メートル以内の地域では許さない、あるいは住居地域、公園、緑地帯その他善良の風俗を保持する意味において支障があると認められる地域においては許可をしない。こういうふうな制限を現在もいたしておるわけでございます。したがいまして、そういう都市の中におきまして、おのずから風俗営業が許可になるような地域というものが、盛り場といいますか、そういう周辺に固まってくるという現象はあるわけでございまして、警察が取り締まりの便のためにというよりも、そういう社会公共の福祉の観点から、現状の風俗を保持する観点から、許可をしてはならない地域を定めてまいりますと、おのずからそういう結果が出てくるということになるわけでございまして、ただ今回の深夜喫茶の問題につきましては、これは食品衛生法の観点におきまして、すでに許可になっておる喫茶店、それの深夜における営業場所についての制限の条例を定める、こういうことになりますと、その地域では深夜喫茶が廃止になる、こういうようなことでございまして、現在の風俗営業に対してとっておりまする場所の制限と、今度考えております深夜喫茶につきましても、場所の制限というものがちょっと態様を異にしておるというようなことでございます。
  107. 秋山徳雄

    ○秋山委員 いま横須賀の問題、地元のことで恐縮だと思いますけれども、お許しをいただきたいと思いますが、これは取り締まり方法にあるとか許可基準だとかいろいろありますことはある程度わかるわけであります。しかしながら、横須賀の実態を考えてみると、そういうことばだけでは終わることができないわけです。たとえば、米国人相手のキャバレーであるとかバーであるとか、いろいろなものがあります。これなどの問題を考えていきますと、日本風俗取り締まりだけではないわけです。特に、アメリカ軍の人たちが強要をいたしまして、特にAクラスという看板をつくらせて、そういうところ以外は米国人は出入りしてはいけないということをいっております。これに協力しているのはその組合の人たちであります。これをまた慫慂しているのが警察の人たちであります。そういうことになりますと、いま御答弁の中にあったことだけでは、私は始末がつかないような心持ちがいたします。これはものの原則として考えることの一つに、いろいろの考え方がありましょうけれども、取り締まるからということで、業者だけを制限をし、あるいはまた、営業所だけを規制していく、こういうことで私は解決がつくものじゃないと思う。これは自然の解決というものが一番大切なことであり、また、一番望ましいことではないかとも思います。俗にいうと、横須賀で経験したことですけれども、必然的のうちに、いま言ったようなアメリカの司令部の命によって許されておる業者の中におっても、その中で、いま私たちが聞いておる範囲によると、一定の地区はいわゆる白ん坊だけが行くところ、一定の地区は黒ちゃんだけが行くところ、こういうふうに自然に分かれてくるのであります。それで、たとえば白ん坊が行くところに黒ん坊が行けば、そこで大げんかがおっ始まる。逆の場合には、やはりそこでいろんな問題が起こってくる。そういうことを通じて、いつか、あなた方も御存じのように、遠藤巡査の死亡ということが出てきたわけです。そういうこともあるのであって、いま御答弁の中にあったようなこと、あるいは、今期の改正の条項、あるいはまた、現在ある風俗営業法の取り締まり関係、こういうことだけでは、私は、解決つかないような気がいたします。そういうことについて、将来、あなた方の考え方いかん、行政指導の方法、こうしたものが大きな力となってくるのじゃないかと思いますので、私は、この点は、十分論議を続けて、あなた方の心持ちを聞かしていただきたい、かように考えます。
  108. 大津英男

    ○大津政府委員 横須賀を例に引いてのお話でございますが、先ほど私が申し上げた以外に、あるいは、米軍として軍人の出入するところを指定をする、こういうふうなやり方を、軍の規律の関係その他からも出てくるかもしれませんし、そういうことは、米軍の部内的な考え方として出てくるのもあり、特にまた、いろいろ人種的な問題で、米兵の同じ施設に入るにおきましても、そういう人種的な問題からトラブルを生じたというようなことも、地域によって起こった事例がないわけではないのであります。そういう意味におきまして、私どももいろいろ関心を持たなければならない問題でございますが、どの施設については白人が入る、あるいはどの地域については黒人であるというようなことを、日本業者がみずからの手でそういうことを選別をするということが、かえっていろいろな問題を招くというふうなこともございまして、非常にむずかしい点があるわけでございますが、警察におきましても、もし米軍におきましてもそういう意向があり、あるいは、特定の地域についてそういう点について問題があるというのでございますれば、私どもも十分その点を考慮いたしまして、風俗営業の許可にあたりまして、十分考慮を払ってまいりたい、かように考えています。
  109. 秋山徳雄

    ○秋山委員 それじゃちょっとそれだけ答弁を聞かしていただきたいのでございますけれども、いまお話申し上げましたように、米軍できめておる店舗というものは、これは米軍からの指示があるかもわかりませんけれども、実際にきめているのは、警察の渉外と会議所、こういうところが実地検証をしてこれを許可しているのですよ。これは何によって許可しているのですか。
  110. 大津英男

    ○大津政府委員 警察が、米軍が入るとか入らないとかいうことについて、特に許可の条件にするとかというようなことは、いままで指導したことはないのでございます。
  111. 秋山徳雄

    ○秋山委員 そういう答弁をされると、私は、何か、法律や条例なんかというものは、あってもなくても同じだということになると思うのですよ。私は、そういう答弁はむしろ聞きたくないのです。現実問題として実際やっているんですから。あなた方の答弁が何かあまり私の質問にぴったりしてこなくなると、私もやはりそこまで言わなければいけなくなると思うのですよ。私は、そういうことではなくして、いままで長い時間かけていろいろ質疑を行なってまいりましたけれども、何かそこらに割り切れないものがあるわけです。一体基本的な問題、考え方として、風俗営業を営む人たちだけを何かの形で締めて、押えていく、あるいは規制をしていく、そういうことによって、何か悪の社会がなくなっていくようなふうに考えがちなんですね。私は、それじゃいけないと思うのですよ。もっとそういうふうにならないように仕向けていくべきじゃないか、私はこう思うわけです。もっとことばを強めて言うならば、俗にいう何ですか、昔のことばでいえば有閑マダムとでもいうのでしょうか、こういう方々が、家庭を顧みないで、自分がやりたいことをやってきた、そういうためにいまいろいろ問題になっている非行少年などの問題なども出てくるんじゃないか。いままでの歴史を考えてみても、風俗営業や何かで、いろいろいまわしいことばや文章になってあらわれてくるこういうことの発端は、どこにあるかということです。これはいつの世にも、貧乏人の社会からは生まれていないと思います。多くは、金持ちのひまのある人たち、こういう方々がつくり上げていってそういうものができてくる。また、世間の人たちは、そういうものを見せまい、やらせまい、行かせまい、こうしたことがまた逆に宣伝をしていくんだということじゃないかとすら思わないわけにまいりません。ですから私は、少なくもそういうことではなくして、やはりまず、いうならば家庭人たちが、子供の導き方、そうしてまた、自分がどういうことで子供たちのことを考えたり、あるいはまた自分たちの仲間をそういうところに追いやらないようにしていくか、私はこういう心持ちが必要じゃないかと思っております。それにはどうしてこういうことをしてはいけないか、自分に対して損になるのか得になるのか、現代人たちというものは、やはりそうしたことを教えていかなければ、私は、これはいつまでたってもできないことだと思う。一ぺんそういうところへ踏み込むことによって、いわゆる抜き差しができなくなってくる人たちが多いと思う。おそらくそういうところを利用したりあるいはそういうところに慕って行ったりする人の多くは、非常に意志の弱い人だと思います。私は、残念ながらいままで長い間、いろいろ質疑の中で出てきたヌードスタジオですか、そうしたものや、深夜喫茶とか、いろいろ言われますけれども、私、不幸にして行ったことがありません。しかしながらその反面、私はそういうところへ行かないことをみずからの誇りにも考えております。そうしてまた、私の家族がそういうところへ足を踏み入れないことを、私は、一つの誇りとすら思っております。私は、変な言い回しになるかもわかりませんけれども、たとえばマージャンとかあるいは花札だとか、そうしたものを、私は経験がないとは申し上げません。私は自分の家族やあるいは子供の友だちなどと一緒にやったことがあります。これに対しては、これは金のない者はみな巻き上げられちゃうのだ、そうしていいことじゃないのだからやらないほうがいいんだということを、私は体験で教えてまいりました。したがって、幸いにして私の子供たちはそういうことはやりません。私が小づかいをやって、そうして私はふんだんに持っていれば、必ず子供たちと一緒にどんな遊戯をしても全部巻き上げてしまいます。だから、ばくちというものはこういうふうになるのだよと言えば、やはりやりません。私はそうだと思う。  かつて、終戦後は私の家の付近は米軍が来たために、風紀問題がたくさん起こりました。子例に見せてはいけないことを見せられたこともございます。学校付近はいけないという意味の御答弁がありましたように、それも一つの事例でありましょう。しかし、キロ数だけでもって円を描いて、何メートル以内は白線地域にしなければいけない、こういうふうに言われましても、それだけでは済まないと思う。やはりそれに結ぶ道路とかいろいろなことを勘案してきめなければならないことだと思います。しかるにもかかわらず、いままでいろいろな形で「横須賀の場合、日の出町というところには学校もあります。病院もございます。そうしたことが、やはりいろいろなことの」上に立って考えられた結果でありましょうけれども許されておる。そういうことになってくると、最初申し上げましたように、条例も法律もなかなか逃げ道があってまとまりがついてこない、こういうことになろうかと思います。したがってそういうことを十分考慮に入れて考える、あるいは行政指導の一面でこれを克服していく、こういうことでなければならないと思います。そういうことについて、もう一たびの御答弁を賜わりたいと思います。
  112. 大津英男

    ○大津政府委員 風俗営業の許可についての場所の制限、これは府県の条例をもって規定することでございますが、その内容につきましては先ほど申し上げたようなところでございます。所によりまして、お話のようなことになっておらないというようなところがないとも限らないのであります。これはそれぞれの地域の特殊性におきまして、条例で、あるいはその例外的なことを場合によって認めるようなことを、やむを得ない場合にはというようなことを書いておるようなところもあると存じますし、それぞれの府県の条例に委任をし、その条例の委任の範囲内で風俗の保持上最も適当だと思う限度においての制限をして風俗営業の許可をいたしておる、こういうことだろうと思うのであります。したがいまして、横須賀の場合につきまして、私具体的にその町にどういうものがあってというところまで詳しくは存じませんけれども、横須賀の特殊な事情によりましてある程度の違いが出ておるというようなこともあると思うのでございますが、やはり根本の考え方といたしましては、先ほど申し上げましたような環境の浄化という意味で、特に学校とか病院とか住宅地域とかというところを避けてそういう営業の許可をしていくという根本的な原則はあくまでも貫くべきであるし、そのような指導をしていくべきである、かように考えておる次第でございます。
  113. 秋山徳雄

    ○秋山委員 これはさっきみたいな言い回しもあるし、いろいろあるのですよ。ですから、えてして法律や条例の中には何々等ということばで逃げを打ったり、特別の事情とかなんとかということをいうことがあるわけですけれども、そういったことでこれは悪用する向きがたくさんあるわけですね。だから、こういうことは私はよろしくないことだろうと思います。特にまた一番初め申し上げましたように、地域を限定するということになっても、これはきめ方に非常にむずかしさがあろうかと思います。こういうことの規制と申しましょうか指導といいますか、そうしたことについて、いわゆる立案者としての御意見がございましたら承りたいと思います。
  114. 江口俊男

    ○江口(俊)政府委員 私から考え方お答えします。  まず、今度の法律の改正案を御審議願っております内容の主たる点であります深夜喫茶について、地域を定めてこれを禁止するという面だけについて申し上げれば、かりに横須賀というようなところを神奈川県が指定いたします場合は、横須賀市の全域ということにおそらくなると思います。ただ横須賀市の中でも駅だとかあるいは、あそこは飛行場はないかもしれませんが、かりに飛行場があるとか港湾とか、普通の旅客が喫茶店的なものをどうしても夜っぴて必要とするというような客観的な条件にあるところを限って例外を考える。そこは風紀が乱れてもいいという意味でなしに、むしろ風紀の乱れる可能性の少ないところについて、しかも必要性が多いというようなところだけが今度の法律では残ると思います。しかしこれ以上に風紀の乱れておる、必ずしも青少年に限りませんけれどもおとなの遊ぶ世界についてるるお話があったと思います。同様のことはヌードスタジオトルコぶろボーリング場ということについてもいえることでありまして、やはり青少年保護のためにこの法律の改正をいたしますからには、この法律自身ではございませんけれども、他の風俗の環境につきましても、同時に力を入れてやっていくというのが私たちの決意でございますので、現に許可されておる営業についても、許可の実態に合わないというものがあれば、あわせて厳重な取り締まりをやっていく、あるいは指導をやっていくというようなことになろうかと存じます。
  115. 秋山徳雄

    ○秋山委員 それは、取り締まりの面と、それから営業の問題や税金の関係ということになりますと、取り締まりにあたるあなた方とすれば、いまの御答弁のようなことでしかしようがないと思います。しかしいまやっている人たちにこれを適用させていった場合に、それじゃ営業補償はどうするのか、商売が成り立たないようなところでやっても困るという場合も出てくるでしょう。あるいはまた自分たちの働く場所あるいは勤労時間、こうしたものも兼ね合わせて考えた場合に、たとえば先般来いろいろ問題になりましたように、喫茶店につとめている方々が十一時に終わってうちに帰る、まっすぐ帰ればいいんだけれども、やはり習慣というものがいろいろあろうかと思います。私たちのように米のめしにあこがれている者は、食事ということになれば必ず御飯ということになるでしょう。しかしながら、いまはそういう時代じゃなくなっております。食事にもパン食もあればいろいろありましょう。そういうところにつとめている人たちが、自分たちが疲れて帰るのに、ひとつコーヒーぐらい飲みたくなるのじゃないかということがあったときに、今度は駅まで行かなければコーヒーも飲めないのだということになると、その人たちのためには非常に不便になります。そういうことを考えるならば、喫茶店は十一時ならばほかのところは何時までとか、段階的な時間というものが必要になってくるのではないかという気もいたしてまいりますので、これらに対しての対処のしかた、取り組み方、こうしたものは一体どういうふうにお考えになっておるのか、それでないと、あまり無理な規制をすることによってないしょで行なう、いわゆる法できめられた営業の範囲内というものは、やはりそれだけのことだろうと思うわけです。これは私は知識が足りないので、どういう営業方法がなされるかわかりませんけれども、やはりすべての営業につきましても法律や条例で規制されておるとするならば、やはりその範囲内の営業としか読むことはできません。したがって、あまり無理に時間で押し詰めたときに、い言ったように内緒で何か行なう面が出てきやしないか。そのときこそ取り締まりの面においても無理が起こるし、いろいろな不便や無理が起こってくると思いますけれども、これらについてどういうお考えを持っておるのか、それもひとつあわせてお尋ね申し上げます。
  116. 江口俊男

    ○江口(俊)政府委員 今度条例で時間できめるというものの中に、飲食店のうちで、飲食店が黙っておれば公衆衛生法だけの許可でございますから、四六時中二十四時間やれるわけなのですが、それも喫茶店と比べて酒を飲むところが長くていいというのも変なものでございますけれども、一応時間で十二時なら十二時で切ろうということが現在の腹でございまするし、さらにそういうものと無関係に、いつでも腹のすいたときには飯を食うというだけなら、これはかりに一時までやっていても二時までやっていてもいいのじゃないかということで、すし屋とかうどん屋といいますか、そういうものに限っては夜中もあるというようなことで、十一時まで喫茶店で働いたおとなの方が、コーヒーだけなら駅まで行って飲んでもらえばいいのですが、そうでなければ、やはりおとなだけに限られておるそういうところで渇をいやしてもらうという以外は、すべてのことにまじめな人ばかりだったら、深夜喫茶は朝までやったって私は差しつかえないと思うのですが、どこかにはしわ寄せというものはくるというふうに言わさるを得ぬというのがわれわれの答弁になるわけであります。
  117. 秋山徳雄

    ○秋山委員 いまのおことばの中にもありましたように、酒のすきな人やすしのすきな人が、食事をとれるところに行って酒を飲もうがすしを食おうが何を食おうが、その人たちはいいかもしれないけれども、コーヒーで中毒になっている人もあるわけです。これは私の知っている人で、大学先生でもってありますよ。私が一緒に監査委員をやっている当時に、その方は毎日やかんに三ばいくらいコーヒーを飲むのです。これは自宅で飲んでいることが多いらしいのだけれども、そういう方々になると、砂糖も入れなければ何も入れない。ただ生一本でそういうものを飲む。こういう話を聞きますと、おそらくそういう方は中毒になっているのかもしれません。そういうふうに今日では、もう紅茶がほしい、コーヒーがほしい、そういう方に限っては、やはり味を好んでくるわけです。そうすると、そういう人たちには、駅や何かの食堂などで売ってくれるコーヒー、こうしたものは飲めたものじゃありません、私は悪いことを言うようですが。やはり専門店でないとコーヒー、紅茶はいただけません。そういうことになると、やはりかなりな不公平になりはしないか、こういうことも考えますが、そういう人たちは一体どういうところでコーヒーをいただいたらいいのか、そういうこともあわせてお尋ねします。
  118. 江口俊男

    ○江口(俊)政府委員 ちょっと御質問をはぐらかしたようなことになりますが、まじめに申し上げましてそういう方は十一時までにテーストしてもらいたいということを言わざるを得ぬと思います。やはり十一時を過ぎれば駅に行くというようなことにもなりましょうし、これはしかしおのおのすべての商売について言えることでありまして、呉服屋だって、きょう買いたいというものが夕方はもう締まってしまうということもありますから、中海患者がどういう症状を起こすか知りませんが、やはりそういう特殊な者については特殊な方法でそれを解決してもらう以外には、一般的な方法法律でどうこうするということはむずかしかろう、こう考えます。
  119. 秋山徳雄

    ○秋山委員 そういうことになると、日本人の通念として、酒はもう何時でも、どんな場所でも歓迎されるのだけれども、その他のものは歓迎されないという形になりがちなんです。そうして、すべての事故や問題は何から起こるかというと大半が酒から起こることだ。そういうことを考えたときには、コーヒーや紅茶を規制するのではなくて、むしろそっちのほうに重点を置くべきではないかという心持ちがするわけです。だからそういうことについて、それならば深夜喫茶はもちろんだけれども、夜は一切酒は売ってはいかぬということのほうがむしろ合理的ではないかという考えすらできるわけです。そういうことについてひとつお考えを賜りたいと思いまするが、いろいろ人間の言い回しや、教育のしかたはむずかしいわけです。そういうことについて何かいままでの通念からいって、お祝いがあるといっちゃ酒、不幸があるといっちゃ酒、何だからといっちゃ酒、酒はいろいろつきものなんですね。われわれがそういうことを言うと、おまえは酒を飲まないからそういうことを言うのだと言われるかもしれませんが、私は少なくともそういう考えは持てないことはないと思います。そういうことになると、酒飲みの特典であるということではなくして——法律の中にもありますよ。いわゆるめいていしておった者は許されるということもあるのですね。そういうことから直していかなければならぬことじゃないかと思うけれども、えてして都合のいい法律をつくったり、都合のいい条例をつくったりするから、いろいろなことが起こってくるのかもわかりません。しかしながら、少なくともやはりできる限り不公平がないようにしなれけばいかぬと思います。それについては、やはり年齢規制なら年齢規制を重点にして考えていくとかということが必要ではないかと思うのですけれども、それらの点についてのひとつお考えがありましたら、お聞かせをいただきたいと思います。   〔委員長退席、永田委員長代理着席〕
  120. 江口俊男

    ○江口(俊)政府委員 今度の法律の改正が青少年の非行化を防止するための方策というものの一環として立案されている関係上、ほかの風俗営業との間の不均衡ということは十分あることを私たちも認めております。  それから先ほど言い落としましたが、かりに新聞社とか、あるいは夜っぴで仕事をする事業場等で、もっぱらその職員のために、その事務に従事する者に利用させるために、その地下室なり、中二階なりに喫茶店なりを設けるというものは、駅や航空場等と同様に例外として許可をしていく。これは条例の準則として示したい、こう考えております。  それから酒については、風俗営業で売る酒は御承知のように十一時までが原則でございますけれども、普通の飲食店で酒を飲むのは、今度の場合時間の制限ということで十二時までとしたいと思います。ただ残るのは酒であっても、コーヒーであっても、すし屡、そば屋等で食事と付随的にとる分については、さらにそのあとの時間まで残ろうかと思いまするが、そういういろいろな段階がございまするけれども、意図するところはどういうところに一番非行青少年がたまり場として行っておるかという実態に着目してこうやるわけでございまして、おそらくこういうことをやるならば、ほかの飲食店や何かに今度は寄っていくというようなことにもなろうかと思います。そういう場合はまたそういう場合で手を打たなければならぬということで、全部を尽くしていないということは十分認めますけれども、そういう意のあるところを御了承いただきたいと思います。
  121. 秋山徳雄

    ○秋山委員 いまやめようと思ったところですけれども、いまのおことばの中に、喫茶店は十一時だけれども、酒のほうは十二時でとめるということをちょっと言われたようですが、もしそうだとしたならば、私は両方同じ時間にするべきではないか。酒だけ一時間延長するとはちょっとどうかと思うので、その点だけもう一度お尋ねして、これで質問を終わります。
  122. 江口俊男

    ○江口(俊)政府委員 食品衝生法で許可をしておりまする飲食店は、従来であればこういう規制をかけなければ夜っぴてやれるわけであります。風俗営業、キャバレーとか、バーとかの風俗営業規制をしている業種は、酒を売っても何しても、例外を除けば原則として十一時で終わっているわけであります。ここでいう十二時というのは普通飲食店で、喫茶店でない、まあ主として酒類を販売するというようなところは、これは時間の制限で十一時半にするか、十二時にするか、この点検討を要しますけれども、いままで終夜やらしておったやつなんだからということで、一応時間を十二時までにし、しかももっぱら食べることを目的とするようなところは終夜もあります。しかし、そこで酒の一本も飲んじゃいかぬ、コーヒー一ぱいもとっちゃいかぬということではございません。こういう三段階のことを考えておるわけでございます。
  123. 秋山徳雄

    ○秋山委員 まだたくさん聞きたいことがございますけれども、だいぶ時間もせかかれておりますので、私は、後日に譲りまして、この程度質問を終わります。
  124. 永田亮一

    ○永田委員長代理 華山親義君。
  125. 華山親義

    ○華山委員 要点だけ簡単にお尋ねいたしますが、第一条の第七号に「まあじゃん屋、ぱちんこ屋その他設備を設けて客に射幸心をそそる虞のある遊技をさせる営業」こういうふうに書いてありますが、マージャン屋、パチンコ屋のほかに、都道府県の条例等におきまして、どういうものが入っておりますか。
  126. 大津英男

    ○大津政府委員 スマートボールとかラッキーボールとか、そういうふうなたぐいのものがございます。
  127. 華山親義

    ○華山委員 射幸心をそそるおそれということが、非常に広義にも狭義にも入ると思いますけれども、ボーリングにいたしましても、これはいまの実情から申しますと、食事程度のことは、お互いに負けたほうが払う、こういうふうになっておるのが通例でございます。もう全然射幸的なものはないというふうなボーリングをやっている人は、よほどりっぱな人でなければやらないのじゃないか。紳士のやるゴルフだってそういう傾向があるというふうに聞いております。いわんや青少年のやるボーリング等には、そういうことがあると私は思うのでございますが、そういうふうなことで、ボーリングというものは射幸心をそそるおそれがないというふうにお考えになりますか。おそれがあるとして条例等で規定されました場合に、これは違法でございますか。
  128. 大津英男

    ○大津政府委員 風俗営業の中の射幸心をそそる営業ということでパチンコ屋、マージャン屋があるわけでございますが、この営業におきまして、パチンコ屋でやっておるもの、あるいはマージャン屋でやっておるもの、いずれも刑法で言う賭博にならないという限度において認められるものとして許可営業といたしておるわけでございます。ボーリング場につきましては、ボーリング場において業者が非常に射幸心をそそるようなことを認めるという意味で、業者自身が景品を提供して、何点以上とったものについては幾らやるというようなことになってまいりますると、この風俗営業法第一条の七号の営業にだんだん近づいてまいりますので、これは風俗営業法第一条七号の営業にするということも考えられるのでございますが、お客同士が自分らで刑法百八十五条にありまするような、一時の娯楽に供するものをかけた場合はこの限りでないという程度のことをお互いにやっておる、ここで勝ったら、おれがコーヒー一ぱいおごるとかなんとかいう程度でやっておりまする限りにおいては、この条文にも入ってまいりません。このような考え方でございます。
  129. 華山親義

    ○華山委員 それは御当局の解釈のしかたでありまして、客に射幸心をそそるおそれのある遊技、そういうふうなものでございますならば、これはやはり取り締まるべきではないか。刑法といいましても、刑法なんかで引っぱるというのは商売人のような者だけでございます。いわんや青少年が、そういうふうにコーヒー一ぱいであろうとも、あるいは夜の御飯であろうとも、お互いにかけてやるというふうなことが事実行なわれているのであって、こういう点は、幸いに第七号が非常にぼんやり書いてあるものでございますから、客に射幸心をそそるおそれのある遊技、こういう中にお入れになることはできませんでございますか。
  130. 大津英男

    ○大津政府委員 ボーリング場その他いろいろございますが、現在のボーリング場におきましては、少なくとも景品を出す、ということをしておらないという意味で、現在の風俗営業法第一条第七号には該当しない。したがって、客同士が何らかのことをやっておる、現金をかけてまでやっておるということになりますれば、これは当然刑法上の賭博の問題にもなってまいりまするし、またそういうことを認めないようなことであってはならないということだと思うのでございますが、現在の風俗営業法のたてまえから申しまして、私どもが見ておりまするのは、パチンコ屋におきまして一定の金額で玉を買ってそれに対しての景品を与えるというようなことは、まあある程度の景品でございまして射幸心をそそるまでには至らない限度にこれを押えておる、こういうことでございます。
  131. 華山親義

    ○華山委員 東京都の条例等によりますと、かけをさせないことと書いてある。その中では、かけをお客さま同士にさせないことということが書いてある。したがって、客がお互いにかけをすることは、業者がたとえかけをしなくても、やはりこの中に入るのじゃないか。そういう意味から言えば、どれだけのかけをするかということは、その人たち社会的の地位とか収入とかいうものによるものであって、たとえ食事であっても、ある程度食事はいま高い、それを青少年がかけるということであるならば、これはやはり射幸心をそそるものに該当するのではないか。それは刑法には該当しないと申しましても、やはり青少年に対して第七号の射幸心をそそるものとして、私は、各条例によって縛ってもいいと思いますが、縛ることは違法でございますか。
  132. 大津英男

    ○大津政府委員 御趣旨ごもっともな点もあるのでございますして、私どもそういうことがそういう営業において行なわれるということは、非常に好ましくないことであると考えております。ただ、これを風俗営業法の第一条第七号の営業ということにすることにつきましては、射幸心をそそるおそれのある営業ということで、一定の料金を払ってそこで遊技をするのだ。その遊技によって娯楽を得るということで、射幸心をそそるおそれのあることを前提としない、こういう営業でございますので、初めから違法なことが行なわれるものとして風俗営業の許可に当たるということはできない、こういう考え方でございます。
  133. 華山親義

    ○華山委員 幾度お尋ねしても同じことをおっしゃいますので、私もこれでやめますけれども私は、青少年を集めて、そうして青少年がお互いに小さなものであってもかけをし合うというふうなおそれのあるものは、この七号によって指定してしかるべきものではないか、こういうふうに考えます。御研究を願いたいと思います。  その次に伺いますが、これは誤解のないように伺う前に申し上げておきますけれども、私は決して一歩たりともマージャン屋やパチンコ屋の利益を擁護する意味でこれから申し上げるのではございませんが、第二条の四項に、公安委員会に更新を求めた場合において娯楽施設利用税を滞納した場合には「許可を更新しないものとする。」と書いてありますが、一体娯楽施設利用税というものと風俗と何か関係があるのでございますか。
  134. 大津英男

    ○大津政府委員 これは昭和二十九年に地方税法の一部改正の際に新設せられました条文でございまして、本来風俗営業法にこういうことを書くことは私どもも感心をしておらないのでございます。ただ、地方税法改正の際におきまして徴税確保の意味におきまして、税金を滞納しておる場合においてはパチンコ営業の許可の更新をしない、そういう意味において、一カ月ごとに税金を納めておるという証明をもらって、その証明書がついておるものについて許可を更新する、こういうふうに、徴税確保の意味でこの条文が挿入をせられたわけでございます。今回におきましては、いままで一カ月ごとということで、事務も非常に煩瑣でございますので、一カ月ごとというのを、一カ月ごとというふうに改めていただくことにしておるのでございますが、本来は、御指摘のように風俗営業そのもの関係というよりも、徴税確保の趣旨で許可更新に関してそういう措置がとられたということでございます。
  135. 華山親義

    ○華山委員 私はこういうふうに混迷で、なかなかわからないということは、やはりこの法律がどういう意味で制定され、どういうことになるんだというふうなことが書いてないために、こういうふうな間違いのものが入ってくるのではないかと思う。こういうことを規定するならば、遊興飲食税についても、遊興飲食税を滞納したものについては認可しない、こういう規定があっても私はいいと思う。妙な、風俗とはまるで関係のないそういうものがぴょこんと入ってくる、こういうことも、この法律が一貫した方針を持たないのではないか。だからといって、いまここで私はこの条文を削除したほうがいいだろうというふうな勇気を持ちません。ただしかし、やはりもっと目的を貫いた法律であってしかるべきじゃないか、こういうふうに考える次第でございますので、ひとつ御研究をお願いしたい。  その次に伺いますが、第四条の二におきまして、深夜営業のことですが、「における業態ついて、」と書いてあります業態というのは、これは営業時間とかなんとか全部入るのでありますか。
  136. 大津英男

    ○大津政府委員 業態ということばは現行法のほうでございますが……。
  137. 華山親義

    ○華山委員 間違えました。  それについてお伺いをいたしますが、一番問題になっていることといたしましてボーリング場がございます。実態として伺うのでありますけれどもボーリング場におきましては、自分では営業はしていないかしているか別問題でございます。している場合もあると思いますが、ボーリング場のもうけは何によるかと申しますと、ボーリングそのものの競技料といいますか、そういうものもございますけれども、それに随伴するところの食堂によってもうかっておるといわれております。これがまた深夜までやるということになりまして、いろいろな遊ぶに便利のいい場所にもなっておると思うのでございますが、この法律を見ましてもよくわかりませんけれども、条例等で規定されますと、ボーリング場における食堂、そういうものはやめになりますかどうですか、伺いたい。
  138. 大津英男

    ○大津政府委員 先ほど長官からお答え申し上げましたようなことで、深夜においての営業規制ということにつきまして、条例で場所を規定いたしますと、その規制いたしました範囲内におきましては、喫茶店は十一時以後は営業できない。その例外としましては、駅とか港湾とか飛行場とかあるいは事務所の職員のために利用させるもの、こういうふうなものを考えておるわけでございまして、喫茶店でございますれば、この法律に基づく条例によって廃止できるわけでございます。   〔永田委員長代理退席、委員長着席〕
  139. 華山親義

    ○華山委員 そうしますと、ボーリング場の中で、喫茶店でなくて、すし屋、そば屋とかあるいは食堂、ライスカレーでも何でも食わせるのが食堂でございます、そういうところは禁止にならないわけでありますか。
  140. 大津英男

    ○大津政府委員 仰せのような考え方でございます。
  141. 華山親義

    ○華山委員 それじゃだめでございますね。これはボーリング場というものがボーリング場の中へ食堂をつくって、コーヒーも飲める、ライスカレーも食える、何でもできるということでは私はいけないと思う。喫茶店以外に、そば屋だって何だって、そういうあまり勤労者と関係のないようなボーリング場の中における飲食店は、どういうわけで禁止ができないのでございましょうか。禁止されたらいかがでございますか。
  142. 江口俊男

    ○江口(俊)政府委員 ボーリング場は、トルコぶろヌードスタジオとともに、参議院の御審議の段階から、この法律に取り込んではいかがなものかという御意見がしょっちゅうあるわけでありまして、先ほど来保安局長から答えておりますのは、この営業というものは、現在の風俗営業法になじまないという意味で答えていることであって、どこかで何らかの規制をしなければいかぬということについては、私たちも一致した意見を持っておるわけです。この間の委員会でも、公安委員長から御答弁がございましたように、政府全体としてどこでどうやるのが一番いいかということは、いまから検討するということでございましたから、皆さんの意見が、一致してどうしてもこれは風俗営業的なものであるということになりますれば、付随した食堂その他ということはまた別としても、ボーリング場そのものについて、青少年がしょっちゅう夜中にそこに行っている、これが悪の温床になるという深夜喫茶と同じようなものであるという実態が出ますれば、これも時間を限って何時以後はいけないというようなことにもなりましょうし、あるいは先ほど先生のおっしゃったように、もっぱら射幸心をそそるような競技であるという実態がみんなの意見として確認されれば、それは風俗営業のほうに取り入れる。現在は取り入れない、こういうふうにしておいて、将来みんなの意見がこれに書くべきだということで、お出しして御審議願うということも皆無じゃなかろうと思います。絶対なじまないとは申し上げません。実態が華山委員ほど詳しくないために、現在はこの中に入れるのはどうもなじまない、こう思っておる状態でございまして、ある一定の時間後はいかぬというような考え方もあるし、また実態そのものが射幸心をそそるという本質があるということでありますれば、またその面からの検討もできるかと思います。
  143. 華山親義

    ○華山委員 ただいま長官はもっぱらとおっしゃいましたが、もっぱらではないのですよ。ただ少年がかけを覚えるということは、青少年がそこに行ってコーヒーでも、めしでも、とにかくそこでかけて食べるということ、そういうふうなことは私はやはり射幸心をそそるものだと思うのです。とにかくそれは千円でも二千円でも、大富豪から見ればかけにならないかもしれません。しかし、おやじからもらっているその金で払うということであれば、それは五百円でも三百円でも射幸心になる。私はその意味で射幸心をそそるものとして考えなければいけない、こういうふうに思うのであります。  それからもう一つお伺いいたしますが、先ほど来お話を聞きますと、旅客とか、また深夜の労働をする人とか、そういう人のために事欠かないように食堂等はのけておるのだ、こういうふうにおっしゃいましたが、そういう趣旨からいえば、マージャン屋等におきましては、飲食物を出してはいけないとまで書いてある。ボーリング場で深夜まで食堂を営業させる必要はごうもないと思うのでありますが、それを抑制なさるつもりはないのでありますか。
  144. 江口俊男

    ○江口(俊)政府委員 ボーリング場自身が風俗営業だということで、取り込んでまいりますれば、マージャン屋みたいな意味規制ができると思いますが、ボーリング場自身が、現在取り込んでおらぬもんですから、そういうことができないということになるわけでございます。  なお、御質問にはございませんでしたけれども、同じ射幸心をそそるというか、多少のかけをやるのじゃないかと思われるような業種、たとえば玉突きなんかというのも、前は風俗営業に入っておった。ところがこれはどうもマージャンやコリントゲームとは本質的に違う、多少の技術を要するというようなことから途中で落ちた、積極的にこれをのけたというような従来のいきさつもございまして、ボーリングについてはなお本質的な面を検討しないと、どこかでは規制しなければいかぬという気持ちは一致しておりますけれども、この射幸心をそそるものとしての風俗営業に入れることについては、私たちとしては現在のところまだ踏み切る気持ちがないということを申し上げます。
  145. 華山親義

    ○華山委員 ボーリング場の深夜の食堂は何らかの方法でとめるわけにはまいりませんか。
  146. 大津英男

    ○大津政府委員 検討いたしてみたいと考えます。
  147. 華山親義

    ○華山委員 それから第四条の二項に「都道府県の条例に違反する行為をした場合において、善良の風俗を害する虞があるときは、」と書いてありますが、条例に違反しただけではだめなんでございますね。どういう意味で、条例に違反し、かつ風俗を害するおそれがあるということが書いてあるのでございましょうか。
  148. 大津英男

    ○大津政府委員 ちょっと質問を聞きそびれてしまいましてたいへん申しわけございませんが……。
  149. 華山親義

    ○華山委員 それじゃ、もう一度申し上げます。  旧法を引きますと、旧法の第四条の二項に「都道府県の条例に違反する行為をした場合において、善良の風俗を害する虞があるときは、」とこう書いてあるわけです。今度の法律ではこういうふうな書き方を改めておられるならば別問題でございますが、この法律によりますと、条例に違反しただけでは罪にならないのだ、そのほかに善良の風俗を害するおそれということを立証しなければならない、こういうふうな書き方になっておりますが、このたびの法律でそういう精神をおやめになっているならば私の質問ははずれておりますが……。
  150. 大津英男

    ○大津政府委員 第四条におきましては、現在も、今度の改正におきましても、その営業に関して法令または条例の規定に違反をした場合において善良の風俗を害するおそれがあるときということで、改正においてもその点は変わりがないわけでございます。それで、問題は、違反をしたということのほかに、善良の風俗を害するおそれがあるということでございまして、善良な風俗と申しますのは、結局いわゆる公序良俗と申しまするか、こういう面に違反をするということでございます。したがいまして、法令に違反をしたその行為がさらに善良のそういう公序良俗に反するということである場合において、営業の取り消し、停止あるいは必要な処分をすることができる、こういうとでございます。
  151. 華山親義

    ○華山委員 それはわかりますが、どういうわけでそれほどまで何か保護をするような——条例に違反したならばいけないのじゃございませんか。なぜそのほかの、おそれがあるときということまでして業者を保護することがあるのでございましょうか。
  152. 大津英男

    ○大津政府委員 たとえば風俗営業を行なうにあたりまして、順守事項に違反したというようなことがあり、そうしてその結果において法に違反をした、あるいは条例に違反をした、こういうことでございますが、それだけで行政処分の対象にはしない。やはり善良の風俗を害するというおそれがなければ、それが非常に偶発的な事柄でございまして、その営業のやり方とか、営業の平素からのあり方というものとは何らの関係なく、非常に偶発的に一回だけ起こったというような場合におきましては、必ずしも行政処分をしないで済むような場合も出てくるのではないか。そういう意味におきまして「善良の風俗を害する虞があるときは、」ということにいたしておるわけでございます。
  153. 大石八治

    ○大石(八)委員 関連して……。ボーリング場のことでちょっとお伺いしたいのですが、華山委員は、現行法律で射幸心をそそるというところがあるかないかで、ボーリングのことが入るか入らないかを言っておるようですが、いままでの審議の過程、参議院等の関係からいいますと、ボーリング場の深夜営業が悪の温床を醸成しつつあるということを指摘されて何とかならぬかというふうに言っておるのですけれども、いまの長官等のお話では、そうなっておるかどうかまだわからないという返事で問題がおくれておるようですが、その点はどうなんでしょうか。
  154. 江口俊男

    ○江口(俊)政府委員 ボーリング場につきましては、ただいま大石委員のおっしゃるように、夜おそくまでやっておるのが悪の温床になっておるという御意見と、それから昼間であっても非常に値段が商い、値段が高いためにその金を得るために青少年が無理をするという点に悪い面がある、こういう二つの御意見があるようであります。  それでどれくらい青少年ボーリング場の客を占めておるかというようなことや、あるいは昼間についても同様でございますが、そういう実態が従来の深夜喫茶における青少年との関係のような状態であるかどうかということについて多少の疑問があるということと、それから御存じのようにボーリングを論ずる場合、私たちにおっしゃる場合もありますが、それはスポーツなのかどうかという問題もありまして、文部省等でもちょうどボーダーラインだというような答弁をしておりますが、かりにこれがスポーツだということになると、この風俗営業に取り込むのはいかがか。スポーツについての制限ということになろうかというので、ちょっとこの法律の中に取り込むのにいろいろな意味でちゅうちょされる面があるということを答えたわけであります。
  155. 大石八治

    ○大石(八)委員 ほかのほうは何か、ヌードスタジオなりあるいはトルコぶろは、ほかの営業法律があって、それに関連があって、直ちにこの風俗営業に取り込んでいいかどうかにも手続上問題があるというお話ですが、ボーリング場はいまはやることについて全然無許可でございましょう、全然手放しなんだと思うのです。ボーリングがスポーツであるかないかというそのことが論議の対象になるのではなくて、たとえばスポーツ的要素を持っておるといっても、それを二時でも三時でもやっていていいのかどうかということに実は問題があるので、そこにいわゆる食物を提供する設備も、そうなれば腹が減るのですから当然やるようになることなんで、それはだれもさわらないということになる場合に、しかもいま論議の出ている点は、高いから問題であろうというならば、ボーリングなんかは昼間もやめさせなければならないのですよ。そうじゃなくて深夜にやるということが青少年に不健全ではないだろうかということになれば、何かもう少し考え方——文部省でこのことをさせるということはないと私は思うのです。青少年に対する問題として今度のことが出ておるのですから、どうもそこのところをもう少し前向きでものを言う気持ちがないかどうか。長官はまだよく見ないとか言うのですが、相当話題になっておるとすれば、警察庁としてはそのこと自体にもう少し集約して取り締まるといいますか、営業時間の問題等はやれるのじゃないかというふうに実は思うのですが、どこでどうはさむかは別として、その点をもう少し明確にお伺いしたいような気がいたします。
  156. 江口俊男

    ○江口(俊)政府委員 ボーリングが問題になりましてから、どこでどうやるかということは別として、実態上非常な問題であるということから、警視庁と業者の団体との間に話し合いを持ちまして、これは法的な強制力を持たないために、一、二それに従わない者がおるようでございますが、大部分というか、ほとんどすべての業者は、十二時以後は自粛しましょうということで現段階にまいっております。したがいましてただいまのような御意見から、それでもなお自粛が守られない、あるいは十二時以後自粛してもそれでもおそ過ぎる、もっと早いところで締めなければならぬというようなことになりますれば、そのときまた考えねばならぬ。  また同時に、スポーツであっても云々というおことばですけれども、現在野放しになっていて、多少問題になっておりますスケート場というものも、同じような関係になるわけです。だから、これを風俗営業として、どこまではいいというふうな許可の対象にするというのは、いかにもこれはなじまない。やるならやはり深夜喫茶——これは本来は食品衛生法による許可なんですけれども、それも深夜になれば風俗営業的な要素を持つからいかぬということで、今度こういうふうに取りきめますが、やるとすれば、そういう方法でも考えなければいかぬかなという程度に私たちは思っておるわけでございます。
  157. 華山親義

    ○華山委員 長くなりますからある程度にとどめますが、現在の風俗と昔の風俗と私は違ってきていると思う。昔の風俗でございますと、だいぶ商売女が対象になって風俗を害するという観一念が強かった。いまではそうではなくて、そういうことよりも若い男女が一緒にいろいろなことをやる。これは日本の過渡期の困った現象だと思うのでございますが、それが一つ風俗取り締まり対象になるものじゃないか、そういうふうに変わってきていると思うのです。  深夜営業にいたしましても、そこに出てくる女は別に商売の女ではない。やはりほんとうの少女が一人の青年と一緒にそこでいろいろなことをやるから風俗営業になるのじゃないか。したがって、そういうふうなものの考え方からいかなくちゃならないのであって、現在の過渡期において、ことに少女を守っていく、これからお嫁にいくところの少女というものを守っていくという立場でありませんと、現在の日本の結婚制度と合いません。そういう意味から、そういうふうな少女と少年あるいは青年が一緒になるというふうな場合に、できるだけ秩序のある交際のできるような環境に持っていって、そういう悪風を除去していくという方向にいかなければいけないのじゃないか。そういうことにいきますと長くなりますからやめますが、ここでそういうことができなくても研究をなさると申されましたが、ボーリング場におけるところの飲食店、喫茶店、そういうものができるのだというお話を聞きまして、私はちょっとがっかりしたのでありますけれども、それだけはやめさせていただきたい、こういうふうに思います。
  158. 森田重次郎

    森田委員長 佐野憲治君。
  159. 佐野憲治

    佐野委員 江口長官にお伺いしたいと思いますが、二十日の日に管区警察局長会議が開かれて、その席で暴力団の取り締まりに対する訓示が行なわれたそうですか、現在の暴力団組織、暴力団、こういうものの現況は一体どうなっておるかということと、もう一つは訓示の中にもあったように記憶するのですが、これらの暴力団は風俗営業法による業者として正体を偽りながらやっておる、こういう点なんかも指摘になっておったようですが、暴力団が風俗営業業者として存在を擬装しておる、こういうのは一体どういう状況になっておるか、簡単にお話し願いたいと思います。
  160. 江口俊男

    ○江口(俊)政府委員 先般の管区警察局長会議におきまして本年度の警察の目標として暴力の絶滅ということと、交通事故の半減という目標を説明したわけでございまするが、その暴力絶滅の一環として暴力団犯罪については、特にこれは全国的な問題として取り上げないと個々の府県に限らないことでございますので、歩調を合わせて力を入れるようにという注文を出しておいた次第でございます。  現在私たちが暴力団として把握をいたしております数は、ばく徒、テキやあるいは青少年不良団、売春暴力団その他というものを合わせまして五千百三十一団体の、十七万二千七百十一名という数字をつかんでおります。ただこれは私たち内部で捜査の資料としてこういう調べをやっておるのでございまして、これは何々組とか何々団ということは一切公表はいたしておりませんけれども、ばく然ととらえているというのではなしに、何の何がしというところまではっかんでいるつもりでございます。その中で、風俗営業関係につきまして暴力団が介入している状況は、暴力団のどこということは申し上げかねますけれども、種類別に言いますと、パチンコ屋については全国で九千六百八十四軒ございますうちに、その一六%に当たる千六百軒について一軒当たり四名あて約六千人ぐらいのいわゆる暴力団というものが、これは業者としてではなしにいろんな用心棒とか景品買いという意味でしょうが、関係をいたしておるようでございます。またキャバレーにつきましては千八百七十軒あるうちの六%に当たる約百軒について、一軒当たり八名あて約八百人が介入をしているという状況でございます。そのほかの風俗営業につきましては十三万六千軒の風俗営業がございますが、その二%に当たる約二千七百軒について、一軒当たり二名あて約五千四百人ぐらいがこれに関係しておるということを警察としては確認をいたしております。
  161. 佐野憲治

    佐野委員 大体五千団体十七万にのぼるといわれる暴力団、しかもこの暴力団が多くは盛り場を中心に本拠を趣いておるというのが現況ではなかろうかと思うのです。ですからもっと実態的に、風俗営業業者とこの暴力団との結びつきは非常に深いのではないか。そこでなわ張り争いがよく行なわれておると思うのですが、やくざ同士のこのなお張り争いの原因は一体どこにあるのか、やはりそうした風俗営業業者を中心とする勢力の争奪戦、こういう中にピストルの撃ち合いなり、いろいろな暴力団同士の紛争が惹起しておるのではないかと思うのですが、そういう点は一体どう見ておられますか。最近の、特に三月末現在において十六人の死者を出している暴力団同士におけるなわ張り争いというのは、一体何と警察のほうでは見ておられますか。
  162. 大津英男

    ○大津政府委員 暴力団そのものにつきましてはちょっと専門外でございまするが、お話のように、暴力団の最近の傾向というものが、いろいろ資金源を求めてその勢力の争いをいろいろやっていくということでございまして、その資金源として、いまお話が出ましたような風俗営業の問題もございまするし、あるいはそのほかに売春そのままやらしておるようなもの、あるいは麻薬の密取引というようなものに関係を持ってくるもの、いろいろなことが出てまいっております。さらにまた、暴力団の中には、小さい暴力団を大きい暴力団が自分の勢力下に、系列下にこれをおさめていくというようなことで、次第に暴力団が大きな形で系列化していくというような傾向も見られるわけでございまして、そういうことで暴力団の、甲、乙の暴力団が、ある地域に限って自分のなわ張りを広げていくというためには、衝突も起こってくる、そういうことから暴力団の対立抗争事犯が起こってまいります。その場合に、銃砲刀剣を用いるとか、その他いろいろな凶器を用いての暴力事犯が発生しておるというようなことがあるのでございまするが、お話のように、やはり資金源を求めて自分の勢力を拡張していくということが、根本におきましては原因になっておる、かように考えておる次第でございます。
  163. 佐野憲治

    佐野委員 私の苦い経験ですけれども学生時代、卒業試験前だったと思うんですが、私のほうの若い学生がある酒場で地回りと称するものに因縁をつけられたというわけですか、学生のくせに、親のすねかじりのくせになまいきだというので、灰皿でけがをさせられたという事件が起きて、私たちも学校の図書館からかけつけていったわけです。そのときに、私も一緒に、お礼参りだというので二週間ばかり、警察半処罰令、即決令でぶち込まれたわけですけれども、そのときに、いま新聞社の論説委員をやっている友人も一緒に——入社試験の第二次試験だからどうしても出してくれろというので、これは無理やりに出してもらったんですけれども、私たちは二週間、有無を言わさず豚箱へぶち込まれたわけですが、出てきてあとから考えてみると、そういう飲食店、いまで言う風俗営業なんでしょう、そういうところに刑事がよくたまりに来ている、しかもそれはやくざの地回り連中もたまりにしている、そこへたまたま学生があらわれた、なまいきだというのでけんかになったという、そういう場合に私たちまでも——お礼参りというのは初めて知ったんですが、ぶち込まれるということで、あとから、あなたたちは場所が悪かった、あそこは警察の刑事がいつも行って暴力団と、やくざといろいろと折衝を持っておられる場所なんだ、だからそういう事件になったんじゃないかということで、ある署長さんも注釈をしてくれたんですけれども、そういうことを通じて考えますのは、今日でもやはりいわれるんじゃないか、そういう暴力団と警察の関係と言っては語弊がありますけれども、やはり犯罪の捜査その他のことから、そういう暴力団と警察、いろいろな意味において関係があるんじゃないか、そういう意味における取り締まりの不徹底の面が一つあるんじゃないかという点も感ずるのです。  もう一つの点は、私は酒が好きですから、いまでもよく大衆酒場にひょう然と姿をあらわしておるわけですけれども、やはりそこでいわれるのは、いま風俗問題がやかましくいわれるのですけれども、そういうような原因をつくっているのはやはりこれらのやくざじゃないか、資金を獲得するためにいかがわしいものをやっておる、そこに張り込みその他が行なわれておる、そういうものは金もうけのためにいろいろなことを強要する、あるいはひもの問題も出てくる、あるいは暴力バーも出てくる。私もそういうところへいつも出入りしておるわけですけれども、そういうときに、やはりいわれるのは、こういうところ、これはまあたいへんなところですよ、こういうところへ行っちゃあというぐあいに言われる。そういう意味における盛り場を中心とするひとつの恐怖地帯が出てきておる。その中に暴力団の占めておる地位なりというものは、非常に大きいのじゃないか。単なる風俗を取り締まるというのじゃなくて、暴力団と盛り場との結びつき、その中から必然的に起こってくる商売の一つとして、いろいろのいかがわしいものが発生してくるのであって、私たちが九時、十時にそこらの飲み屋に行ってもやはりやくざらしき者が出入りをする。そこにいろいろな不愉快な現象、こういうところに行っちゃまずいのじゃないかと善良なる人たちが恐怖心を持つようなもの、そういうところが平然として存在しておるということから、やはり風俗営業に対する取り締まりという面と同時に、もう一つやはりそういうやくざなり地回りなり暴力団なり、これらの者が温床をかもし出して、その中のあだ花としていろいろないかがわしい現象が出てくるのじゃないか、もっとそれらに対するメスを入れる必要があるのじゃないか。そのやくざの資金源というものは、まあ麻薬その他もあるでしょうけれども、多くはやはりこういうところに近ごろ培養基と申しますか、が存在いたしておるのじゃないかというぐあいにも考えるので、この点に対する皆さんのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  164. 江口俊男

    ○江口(俊)政府委員 私たちが把握いたしておりまする十七万幾らのいわゆる暴力組織の構成員と申す者につきましては、その約八割くらいがいわゆる前科者でございます。やはり何らかの犯罪を過去において犯した者でございますが、ただ十七万人の中の大部分がそうではございまするけれども、大きな団体になりますと、やはり正業を持っておる者が多い。何千名というような団体になると、単にいま申し上げたような風俗営業関係とのくされ縁だけで生活しておるということじゃなしに、あるいは土建をやるとか、あるいは荷役をやるとか、あるいは興行をやるとかいうようなことで、大部分の収入というものはそういうもので得、しかもその力で町の暴力にもなるというようなことで、必ずしも十七万人自身が常に暴力をふるっているというわけじゃございませんという状況が一つございます。もう一つ今度逆に申しますと、その十七万人の中で毎年何らかの犯罪で警察の手につかまる者がどれくらいあるかと申しますと、この三年の統計をとってみますと、大体六万名に近い、五万何千から六万近い構成員というのが警察の手にあげられております。しかしあげられても、この間も法務省の人が答弁をいたしておりましたが、十六年間に前科を二十犯積んできたというのが現在ある、それに類する十年のうちに十何犯というのが相当あるというようなことで、あげてもあげても次から次に——これは処罰することまでわれわれできないものですから、出てきているというのが現状でございまして、そういう数字から見ると、それは一、二の不心得者が全然ないとは申しませんが、警察と暴力団とにひっかかりがあるから暴力団の手当てというものが十分できないんだという御批判に対しては、私はそういうことは現在ないというふうに申し上げたいと思うのです。何となくこわい人間がうろうろしておるということは事実でございまして、ただそいつについて手入れができますのは、それらが何らかの犯罪を犯したときに限るということと、手入れをしてもすぐ出てくるということに根本的な退治のできない原因があろうかと私たちは見ております。
  165. 佐野憲治

    佐野委員 まあ五時まで時間がありませんので、私はまた別の機会にお尋ねをいたしますが、大臣がおいでにならないので、警察当局のほうに一応お聞きしておきたいと思うのですが、私はこの風俗常業法を現在読んでみますときに、何だか非常にむなしい、空虚な、しかも内部的にも欠陥がたくさん目立ってくるのです。こういうことを考えますのも、この法律ができましたのは、新しい警察法の発足と相関連して風俗営業法が施行されたと思うのですが、私も当時地方の県議会議員をやっておりまして、新しい警察法に基づく新しい秩序としての風俗営業に対する規制に対して、非常に情熱的に審議に当たった日のことが思い起こされてくるわけです。しかしながら、そのときに全体をゆさぶった非常な情熱というものが、今日地方議会を見ましても、そしてまたこの法律を読んで見てみましても、一体どこからあの情熱が出てきたのであろうか、しかもむなしい欠陥だけが目についてくるということになってくるのは、一体どこに原因があるだろうかということを考えさせるわけです。大臣も根本的な検討をするということをしばしば本委員会においても述べておられるわけですけれども、私はやはり根本的検討をなされる姿勢として一応お聞きしておきたいと思いますのは、新しい警察法といまの警察法を比較いたしますと、たとえば前の警察法には前文がありまして、その前文には明確に地方自治の審議を促進する観点あるいはまた憲法の精神にのっとって、人間の自由の理想を保障する、こういうことがうたわれておったし、分権と地方自治という当時の民主主義のたてまえとしてそういう警察制度がとられた、そういう警察制度の中でこの風俗営業法ができてまいった。ですから、多くは条例に委任されている。わずか八条の基準的な法律になりましたのも、多くは条例に委任をしておるからです。しかも新しい民主警察は、こういう条例をこなしていく能力があり、そのほうが正しい運用に資するものだ、こういう解釈で貫かれておったと思います。ところが昭和三十九年にできてまいりました警察法、今日においてもあの警察法無効論がなお学者の間にとられておるような、ああいう中で生まれた警察法、しかもこの警察法には前文を全部削除してしまった。地方自治の審議を促進する観点というような考え方が法そのものの中からも抜けてしまいましたし、前文もなくなってしまった。こういう形で中央集権的な警察制度が出てまいった。と同時に、民主的なたてまえのもとに風俗常業法だけがそのまま残されておる。これに手をつけようとしても、やはり警察法のあの紛糾した当時の状況から見て、タブーとなって、おそらく触れられなかったというところに今日のこの法律そのもののむなしさがむき出ておるのではないか。今日地方議会における条例審議の状況を見てまいりましても、皆さんも御不満であろうと思うと同時に、皆さんのほうから強い施行条例基準案なるものを出して、実質上においてこの条例に委任されておる本来の趣旨を拘束する強い条例を出して、指導に当たらなくてはならない、こういうところにも一つの矛盾が出てきておるだろうと思うのです。  そこで皆さんの検討されるという新しい風俗営業の体系、あるいは内在しておる矛盾、欠陥、これらのものが相当明確に出てきておるわけなんですが、これに対して一体どういう角度でこの検討に当たっておられるか、こういう点についても、これは大臣からお聞きしたいと思ったのですが、いまおられないので、警察当局においてどういう角度から検討されておるか、こういう点をお尋ねしておきたいと思います。
  166. 江口俊男

    ○江口(俊)政府委員 ただいま佐野委員のおっしゃった、大臣がここで総合的に検討したいということを答弁されたのは、この風俗営業取締法の改正すべき点については、もちろんそれもするのだけれども、他の領域にわたっていろいろな法律風俗に関してあるわけでありまして、そういうものも一緒に総合して検討したい、そういう答弁であったろうと思います。具体的にはヌードスタジオトルコぶろから端を発した御議論でございまして、そうなっていきますと 興行場法自体にもヌードスタジオのようないかがわしいのはいかぬけれども、いまの興行というものについては、全面的に風俗を害しているかいないかというようなことまでなってくるので、これはお互いに、厚生省だとか警察だとか文部省だとか言っているのがけしからぬという御質問、御意見に対して、総合的に検討する、こういう答弁であったように私は了解をいたしております。ただこの風俗営業法につきましても、いま申し上げたように、これに取り組んだほうがいい、あるいはこちらのほうがいいというのではなしに、ほかに取り組みようがないから、これに取り組むというふうに政府全体の結論がなりますれば、私たちはそれと取り組むことにいささかもちゅうちょするものではございません。ただ条例に譲っている点について、これを国の方針のほうに、少なくとも政令というようなものにまで引き上げてはどうかという御議論に対しては、この法律自体の体系からいって、どこまで引き上げてみても、原則と例外を逆にする以外は書きようがないわけでございまして、最後は地方の実情に合わないことをやらなければいかぬので、これを原則にするか例外にするかということの差だけでございますから、条例というものに相当部分をまかしてやるということがこの法律のできたたてまえ、あるいは実情にも合うのではなかろうか、こう考えている次第でございます。
  167. 森田重次郎

  168. 戸叶里子

    戸叶委員 時間がないようでございますから、二、三点だけお伺いしたいと思いますが、私四、五年前に深夜喫茶を見に行きまして、あかりの問題、いろいろな問題で驚きまして、その問題を取り上げたことを覚えております。それからつい最近深夜喫茶をやはり見に参りましたが、若い青年男女が、煙のもうもうとした非常に不衛生な中で、私どもの身の毛のよだつような行為をしているので、ちょっと驚いたのですけれども、そういう面から見まして、深夜喫茶の禁止ということは非常に喜ばしいことでございますけれども、いまも触れられましたように、またたびたびこの委員会でも取り上げられたと思いますが、この都道府県の条例によって禁止の場所を規定するということになりますと、私はなかなかその実があがらぬのじゃないかということを心配するものです。たとえば参議院などの議論を速記録で拝見いたしますと、東京都の場合を取り上げられまして、二十三の地域において条例でこれを取り締まるというふうに言われているわけでございますが、広い地域においてはそういうことがありましても、地方へ参りまして、そして場所が非常に狭くなってまいりますと、条例で取り上げるというようなことがなかなか不可能になるような場合が出てくるのではないか、こういうことを考えるわけでございますけれども、この各県の条例で深夜喫茶場所規制するというようなことをお考えになっても、それを強制するわけにはいかないと思うのですが、この点はどういうふうにしてその実をあげようとされるのか伺いたいと思います。
  169. 江口俊男

    ○江口(俊)政府委員 それは先ほども触れましたように、原則を政令で書いて、そうして条例で除外するところを響いたらいいのではないかという御議論に通ずるものでございますが、参議院の段階でも申し上げましたように、また参議院の参考人として東京都の公安委員長の堀切さんがおいでになってお述べになったところ等でもおわかりのように、二十三の地区についてというのではなしに、二十三区、旧市内といいますか、それはもうもちろん考える。その以外についても、そこに遊び場がなければ隣接の市なり町村なりに行くという意味があって、ある一部分だけでは実効があがらぬだろうということで、東京都等におきましては、最後はもちろん都議会で条例が議決にならなければ私たち明言するわけにはいきませんけれども、事務当局としては、相当広い範囲、ほとんどの範囲といったほうがよかろうと思います。そういうところを禁止しようという気持ちになっているようであります。それから、東京に準ずるような府県におきましても同様のことを考えておりまするし、まあ多少いなかのほうにおきましては、自分のところはいまのところそう弊害がないというようなことをいうところもありますが、こういうのは、戸叶先生おっしゃるように、強制力はありませんけれども、私たちの話し合いで、全国的に有害な深夜喫茶というものは、一律に、一挙にいかないにしても、なくなるように努力をしていきたい、こう考えておる次第であります。
  170. 戸叶里子

    戸叶委員 そのお考えどおりにいけば心配はないと思うのですけれども、地方に参りますと、いろいろな圧力団体やら、またいろいろな関係の人がおりまして、なかなか実を結ばないような場面が出てくると思うのです。そこで、いまの長官の自信たっぷりの御答弁ではございますけれども、それでは、この法案が通りますと、どのくらいの範囲内において、どのくらいの期限のうちに、大体うまくどの県においても条例で禁止されるようになるというふうな見通しを立てていらっしゃるか、この点も伺いたいと思います。
  171. 江口俊男

    ○江口(俊)政府委員 この法律がいつできるかということが一つ問題でありますが、できますれば、三カ月たてば効力を発するわけです。私たち一番心配いたしておりますのは、今月中というか、できるだけ早い機会にこれが通らないと、府県の議会の関係で、条例の審議ができなくて、六月県会というのが相当多いようでありますが、これに間に合わないと、実際にこの夏あたりに一挙に深夜喫茶がなくなるという状況が期待できないということで、できるだけ早い御審議を私たちとしては希望しているわけでありまするが、順調にいきますれば、私は、この夏休みというか、この夏には、全国的に少年のたまり場となっているような場所における深夜喫茶というものは、なくなるものと期待をいたしております。
  172. 戸叶里子

    戸叶委員 たいへんに自信のおありになるようでございますけれども、私どもはそういうふうな形で禁止をするよりも、きょうの参考人意見を聞きましても、二人の御婦人の方々が、青少年の問題を取り組んでいらっしゃる方ですが、そういう面から考えても、ぜひこれは必要ないのだから本法で禁止するようにというふうに言われているわけでございますので、長官のおっしゃるような、そういう形でこの夏に全部が廃止されればいいですけれども、なかなかそうはいかないのではないかと思いますので、その状況をよく見て、そしてなるべく私たちの希望どおりに早くやっていただきたいということを私はお願いしたいと思います。  そこで、先ほどボーリングの問題についていろいろ議論をされたわけでございますが、先ほどの長官の答弁を聞いておりますと、ボーリングということに対してはいろいろな議論があるけれども、深夜営業で悪の温床になるという考え方と、もう一つは射幸心などをそそるというような考え方と、二つある。あるいはスポーツとして考え考え方もある。こういうふうにいろいろ述べられたわけです。そこで、この深夜営業というものの立場から、話し合いでこれをやめさせるというような——やめさせることはできないにしても、話し合いをして、そして一、二の人を除いては大体深夜営業をしないというふうなことになったということでございますけれども、まだそこに深夜営業をやっているところもあるというふうな答弁もあったわけです。そこで、このままにしておいては困るというようなお考えは持っていらっしゃることはわかるわけですけれど、なるべく早い機会にこれを何とかするとおっしゃいましても、お役所の仕事というものは、早い機会というのはどのくらいの期間かということもはっきりしない。いつでもなるべく早く、なるべく早くということで、期限がわからないわけでございますが、一体どういうふうに早急にこの問題を、どの方向に向かって解決していこうとされるのか、もう少しはっきりと私は答えていただきたいと思います。  もうちょっとつけ足しますと、聞くところによりますと、ボーリングをさらにあっちこっちにつくろうとする気配があるわけで、私のお友だちなどのそばにも、大々的にボーリングの施設ができようとしていて、そうして学校に行く子供たちが非常に興味を持っていて困るということをいわれているわけでございますので、こういう点もよく勘案して、しかるべき対策を立てていただきたいわけでございますけれども、どういう方向で長官としては解決をされようとしているか、この点を念のために伺いたいと思います。
  173. 江口俊男

    ○江口(俊)政府委員 この風俗営業等取締法にすぐなじまないということを申し上げただけで、いや実はああいうところは自分のところでというのが出てきてくれればわれわれとしても非常にいいわけでございますけれども、もてあましているというのが実情でございますから、このままじゃいかぬというので警視庁が中に立って、東京都においては実際的に事実上の行為としておそくまでやっては困るじゃないかということで、大部分のところが十二時まででそれじゃやめましょうということになっておると聞いております。だから、できるだけ早い機会にというのは、私も日ぎりは、これは大臣こられればはっきりしますけれども、切りませんけれども、この風俗営業等取締法の改正等が一段落というか御審議を得ましたならば、今度は問題になりました点を総合して、関係各省との間に、どこでどうやる、自分のほうじゃやれないから、それじゃこの次の法律改正についてはお前のほう、出せということできまっていくのじゃなかろうか、こういうふうに考えているわけであります。
  174. 戸叶里子

    戸叶委員 それで、なるべく早くその問題を解決していただきたいのですが、先ほど毛議論になりましたボーリング場の中にある食堂の問題ですけれども、このボーリングの問題と取り組まれると同時に、その中にある食堂の問題も何とか検討していただきたいと思うのです。そうでないと、時間的にあの中に行けばお酒も飲める、食堂もある、何も食べられるということになりますと、結局そっちのほうへ人が大ぜい行ってしまうということになりますので、あわせて検討していただきたい、これを要望いたしますがいかがでございましょう。
  175. 江口俊男

    ○江口(俊)政府委員 しいて書くといたしますれば、この法律に書かなくても、地域の指定をします際に飲食店についての時間の制限をするとか、あるいは地域の指定をする際に、ボーリング場その他娯楽場における飲食店は云云というふうにでも書けば書けないことはないのじゃなかろうかと、よりより話しているところで、これはちょっとここで確約は差し控えたいと思います。
  176. 戸叶里子

    戸叶委員 どうかそういうふうな形で何とかしていただきませんと、ボーリングのほうはある程度規制ができても、その中の食堂がそのまま残っているということになりますと、深夜喫茶と同じあるいはそれ以上のいろいろな問題を私は残すと思いますので、ぜひ考慮していただきたいと思います。  次には、トルコぶろの問題なんですけれども、これもたびたび議論されましたから私は議論をいたしません。ただ問題は、先ほどの参考人意見を聞いておりましても、青少年問題を解決するのに一つの自分たちが地域において困る問題は、お互いにお役所の責任のなすり合いであるというようなことを言われたわけですが、トルコぶろの問題にいたしましても、これは厚生省の管轄として公衆浴場法で取り締まる、そういうところから見てみましてもトルコぶろ自身のあの大きさの問題とかいろいろな問題があることは、この委員会でも指摘されたわけでございますが、今後におきまして、私はいろいろとこの委員会や参議院で問題になったような、それらの問題を勘案して、どういうふうな形でこれを解決されようとするのか、その点だけを伺ってみたいと思います。取り締まり当局のほうと厚生省のほうと両方から伺いたいと思います。
  177. 舘林宣夫

    舘林政府委員 トルコぶろ風俗画を規制する場合に、今日の段階におきましては、先日来申し上げておりますように、公衆浴場法の第三条の規定に基づきまして、風紀に必要な措置を都道府県の条例で定めて風紀の規制をやってまいりたい、かように考えておるわけでございますが、もっと根本的に、トルコぶろの風紀を厳正に徹底的にただすということは、今後さらに関係各省と御相談をいたしまして、これをどのような方向で、どのような手段をもってやるということを検討いたしてまいる必要がある、かように考えておるわけでございまして、当面私どもといたしましては、公衆浴場法を適用して、その法律を許される範囲で最大限度の風紀の規制の努力をしてまいりたい、かように考えておる次第であります。
  178. 江口俊男

    ○江口(俊)政府委員 取り締まりの面におきましては、現在におきましても非常に九牛の一毛ではあろうと思いますが、立証のできました分については、刑法なり売春禁止法なりあるいは労働基準法等で立件をいたしておりますが、ただいまのような厚生省で措置をとられましたならば——厚生省の出先としては現在のところ保健所等しかないと思いますが、御要望によっては警察も一緒になってあの中の風紀の粛正に御助力をしたい、こう思います。
  179. 戸叶里子

    戸叶委員 いま、お二人でお答えになるようなことがいままでになされていたら、こういう問題は起こらなかったわけなんです。ですから、そういう点をここでお約束された以上は、なるべく早くやっていただきたい。ことにあのトルコぶろなどの様子を私ども見ましても、なるほど窓をつくれといえは窓をつくってありますけれども、そこにちゃんとオーバーなどがかけてある、中が見えなくなっている。こういうふうなことは、警察当局でも何とか言えるはずだと思うのですけれども、なかなかそういうところまで取り締まりをしてない。こういうふうな面を考えましても、いまお二人が答弁されましたようなことがほんとうに早く実現されまして、そしてオリンピックまでにはこういう問題が解決されるようにぜひ私はしていただきたいと思うのです。  さらに警察庁のほうに飼いたいのですが、ヌードスタジオに対しましては河の法律規制もないわけです。たとえば興行場法というのですか、あれによってはある程度取り締まりといいますか、そういうことはできても、ヌードスタジオの出しております。私たちが問題にする面においては、何ら規制ができない、こういうふうに了解しているわけでございますけれども、この点はどうなっておりましょうか。
  180. 江口俊男

    ○江口(俊)政府委員 現在ヌードスタジオといわれるもののうちで、正規なものといいますか、興行場法で指定を受けているものも多少ございますけれども、問題になっているようなのは、そうじゃないのが多かろうと思いますが、これにつきましては、トルコぶろで申し上げたの同様に、そのものを取り締まる法律というものはございませんけれども、個々の事案について、刑法なり特別の法令のあれで相当件数の立件はいたしております。しかしこれを風俗営業に取り込むということになると、どうも私たちの研究はオール・オァ・ナッシングといいますか、ここまではよくてここから先はいけないという限界のあるものじゃなくて、先ほども参考人の言っておられるように、私たちのところで取り込むということになると、ヌードスタジオ全体が風俗上よろしくないというようなことになるものでありまするから、これは取り込むことにちゅうちょいたしております。ただ興行場法で浴場法と同じような風紀ということをおうたいになって、そうして風紀の点からもっと構造設備等を取り締まるという方法はあろうかと思いまするし、さらに一般映画館、興行場等についても、風紀の点についてもう少し何とかしなければという感じを私たち持っておりますが、現在のところ、私たちの範囲外であるものですから、個々の法令で何とかつじつまを合わしているというにとどまっていることをまことに遺憾に存じております。
  181. 戸叶里子

    戸叶委員 長官もいみじくも指摘されましたように、やはりつじつまを合わせていることが遺憾であるとおっしゃる。そのとおりのことだと思うのです。そこでこういうものが大体必要だと長官の立場でお考えになりますか。この点だけひとつ。
  182. 江口俊男

    ○江口(俊)政府委員 私は全然必要だと考えません。しかしあらゆる職業について、必要でないものがあってはいけないというやり方じゃなしに、必要でなくかつ有害であるというものを取り締まる以外にはいまのたてまえではないわけであります。必要という点は、私は個人的には毛頭認めておりません。
  183. 戸叶里子

    戸叶委員 私もいまおっしゃったようだと思うのですが、非常に有害になっているわけですね。ですから、そういう面でやはり何らかの措置を早く講じていただきたい、これを要望するわけです。  そこで全般的な問題といたしまして、やはり青少年の問題というのは日本においては非常に大きな問題になっていると思います。青少年対策というものは、いろいろ言われますが、先ほどの参考人の方の意見を要約してみましても、たとえば責任のなすり合いであってはいけないし、あるいは青少年が興味をそそるような場所をつくっておいてもらっては困る、こういうようなこともその理由になっているわけでございまして、こういう面からの問題も解決していただきたい。しかし、さらにもっと積極的な対策というものも私は考えなければいけないと思います。  そこで、文部省のほうの社会教育局長が来ていらっしゃるようですが、私が一点お伺いしたいのは、青少年の家というのが各地区にあるわけでございますけれども、この青年の家の規模なりあるいはその目的なり、これまでに何らかの役割りといいますか、青少年にとって非常に有益であったというような役割りであるとか、こういうものがありましたら念のために伺いたいと思っております。
  184. 齋藤正

    ○齋藤(正)政府委員 青年の家につきましては、国立のものが現在まで二つあるのでございまして、本年度さらに三番目のものを建設する予算を計上いたしております。国立のものの規模は大体四百人を定員として、四百人を同時に収容できる程度の規模のもので、中央青年の家にいたしますれば、やはり三十八年度におきましては大体延べ十五万人近くの青少年を収容しております。目的といたしますところは、青少年に対して団体宿泊訓練の機会を与えまして、各種の研修、体育、野外活動等を通じまして、青少年の規律でありますとか、共同奉仕というような精神的なあらゆる態度を養っていくということであります。公立のものは府県、その他市町村でございますが、これが七十九カ所できておりまして、これに対しては毎年度大体十一カ所分の予算の補助をいたしておりまして、本年度も実施するつもりでございます。その成果につきましては、国立のものにいたしましても公立のものにいたしましても十分ございまして、これは教育でございますから、具体的にどうとは申しませんが、たとえば富士の青年の家で、国立のものを開設いたしましてから、三十八年の十一月までに五十万人の青少年を収容いたしましたが、この間におよそ落書きというものも一つもない、およそ紛失、盗難等も一件もあらわれないということで、その日常の行動、環境等は、非常に青少年の生活態度に適し、しかも自主的であって、みずから責任を持っていろいろなグループ活動をなす場所としては適当である、かように考えておる次第でございます。
  185. 戸叶里子

    戸叶委員 私どもが願っております青年の家というのは、もう少し規模の大きいものにしてもらいたいと思うわけです。あれは確か七、八年前だと思いますが、文化人の人が集まりまして少年官のようなものを日本にもつくるべきだという声があがって、それからこういうふうなものができてきたと私は思うのであります。そこでもっと積極的に、学校から帰ってくる子供たちが、課外で、そこで自分たちの趣味なり希望なりを生かせるような、そういう青少年の家というものを各地区につくっていけば、悪の温床になる、あるいは行きどころがないというようなこともなくなると思うのです。したがって、そういうふうなもっと積極的な構想を持っての青少年の家というものを、もっと各県にたくさんつくるというような、そういう御計画は持っていらっしゃらないかどうか。このことも伺いたいと思います。
  186. 齋藤正

    ○齋藤(正)政府委員 ただいま申しましたのは、主として団体宿泊のための施設でございますが、そのほかにもいま御指摘のありました学童が課外において勉強しあるいは健全な楽しみをするという場所として、児童文化センターというようなものにも、地方団体に補助いたしておりますし、また青年の家の形も、都市等におきましては必ずしも団体宿泊訓練ということでなくて、その要素を除いて、いま御指摘のありましたように、健全な学習なりあるいはスポーツその他趣味というようなものを果せるような場所も今後拡充してまいりたい、かように考えております。
  187. 戸叶里子

    戸叶委員 それではそういうふうな考え方をお持ちになっていらして、近い将来に実現をされようとするような見通しはおありになりますか。
  188. 齋藤正

    ○齋藤(正)政府委員 児童文化センターにつきましては今後とも続けてまいりますし、それから本年度から、従来ありました青年の家の形のほかに、都市におきましては、そういう宿泊を要しないような施設につきましても、地方の要望がございましたから補助をしてまいりたい、そしてまた補助の金額あるいは個所につきましても、今後とも拡充してまいりたいと思っております。
  189. 森田重次郎

  190. 栗山礼行

    栗山委員 どうもいつの場合でも時間の制約を受けざるを得ないような条件下に置かれておるのでありますが、できるだけそういう点を守ってまいりたいと思います。  風俗営業改正法案の問題につきましては、なかなか問題は複雑多岐であって、相当の時間をかけて十分な審議を尽くさなければならない問題点が多いということが、全体を通ずる質問の展開点であったと思うのであります。しかしいろいろ条例等の関係もございますことと、国会が会期末に臨んでおるということで、できるだけ御協力をいたさなくてはならぬということで、が然超党派的な態勢で仕上げてまいろう、こういうようなことで、問題点を将来に残しまして、われわれの意図する問題を十分審議してまいろう、こういう過程で、この法案は思わぬ拾いものをしたようなかっこうで、きょうで時間的に作業をあがる、こういうような内容を持ったと思うのでありまして、私はそういう点を了承しつつ取り組んでまいっておるのでありますが、質問に当たりますまでの前提として、いま江口警察庁長官佐野委員の御質問に対して御答弁なさいました内容について、私としては放置し得ない御答弁として承知をいたしました。それば二十三日の日に警察庁長官がここに大臣とともに同席をされておるときに、私が質問をいたしました質問応答の中で、大臣が御答弁をなさいましたことと、いま長官が御答弁なさいましたこととは、本質的な内容において相反する点が出てまいったということであります。私不幸にいたしまして金曜日の委員会を欠席いたしまして、私まだ会議録を見ておりませんからわかりませんが、おそらく大臣から、総合的な検討を要する、たとえば各省との関連あるいは関係法規との関連を見合って、この問題に対する総合的な検討をお約束するというような意味のことを、どなたかの委員の御質問に対してお答えになったのであろうと思うのです。ところが長官は、こういう御答弁をなさいました。いまの風俗営業の法体系のままがよろしいと思う。したがって、おおむね条例にゆだねていくという考え方のもとに、これと取り組んでいきたい、こういう御答弁のように私は拝聴いたしたのであります。  私がこの前質問いたしましたのは、この問題は法八条というようなきわめて簡単な法の内容であるけれども、非常に多くの問題をかかえておる。それは世の中の流動とともに風俗営業対象関係というものが、条文で示しているような非常に複雑広範な内容になってまいった。そういう最近の世相の反映として、エロやグロに関接直結するという内容等も持ってまいった。それからこの法律の沿革から見て、今日の風俗営業取締法の体系としての内容には、あまりにも前近代的な体系の内容を持つのではないか。そのことは、結局はその法の目的もないし、それからほとんどが条例にゆだねておるということと、それから各条で示しておりますように、非常に解釈が、各条総合して一つの判定をしなければならぬ、こういうような法体系自身に内在する困難さといいますか、複雑さといいますか、あいまいさといいますか、そういうような内容を現行法は持っておる。こういうような点から考えて、いろいろな学説がございます。われわれもいろいろ意見を聞いておるが、少なくとも今日の法体系としては、法の目的を明瞭にするということが必要である。それからもう一つは、いまの法体系のままでは、すべての重要な規制を条例にゆだねておるということであるけれども、やはり重要な規制については、法の規制とするよう体系を新たにしなければならぬ。こういうような点が、問題のきわめて重要な中心ではなかろうか、私からこういう愚見を申し上げまして、それについて赤澤自治大臣の御答弁を求めたのでありますが、赤澤大臣は、いまの栗山委員の御意見については私も趣旨全く同感だ、こういうことの御意見をいただいたと私は承知をいたすのであります。そこで、そういうことを中心にいたしましていろいろ意見を伺うということで進めたのであります。そういたしますと、この法体系自身に多くの難解と複雑さと、もう少し明確にせなければ何もならないような内容を伴うものではないかということが前提でありますから、そういうことにおいて、私はきわめて英知ある御答弁をいただいたということで、赤澤大臣を称賛申し上げておいたのでありますが、あなたは、やはり現行法を基準として、その多くは条例にゆだねるのだ、こういう考え方をお述べになった。こういうことについては、私は公式論を申し上げますと、長官よりも大臣の御答弁が優先し、絶対意思を持つものだ、こういう常識上の解釈をいたしておりますけれども、私はここで、同席された長官が大臣とあまりにも相反する御答弁をされたということについて、大臣が私の質問の要旨を御理解いただいておるのか、あるいは何らかの間違いを起こしていただいておるのか。きわめて本質的な問題であろうかと思いますので、これを重ねて私が申し上げまして、大臣が御答弁されました内容を、一応記録も読んでもらいまして——私は、その修正とかあるいは取り消しというような、そういうあまり合理性を持たないような態度を要望いたすものではありませんが、何らかこれはひとつ明らかにしていただく、こういうことで長官の御答弁をひとつ求めたい。ただ思いつきではいけませんから、記録にもなっておるのでありますから、時間をかせということでありますならば、この質問戦の過程の中で一応公報の事実を見ていただいて、そうして的確な御答弁をちょだいする、こういうことに願いたいと思うのであります。いかがですか。
  191. 江口俊男

    ○江口(俊)政府委員 私も大臣がお出になっておる席には常に同席いたしておりますので、私が聞き違えたとは思いませんけれども、これは速記録を読まなければわかりませんが、この風俗営業等の取り締まりに関する法律というものの中にいろんなものを取り込んでくる必要があるなら、それは取り込むのにやぶさかでないということは、先ほど申し上げたとおりでございますが、この法律の体系は、やはり原則と例外というものをどっちのほうできめるかという問題だけのことで、最後は、具体的にどこどこをどうするというのは、原則としていいというふうに条例で書くか、あるいはそこはいけないというふうに書くかだけの差であるから、ほかの条文も相当地方の条例にゆだねておる一つ法律体系をとっておるから、私はその体系はいまのままでいいんじゃないか、こういうことを先ほど佐野委員にもお答えをしたわけでございます。総合的云々はさらにあらためて大臣にお聞きになればわかりますとおり、大臣を前に置いて何ですが、きわめて熱心に取り組んでいこうという意欲で、いろいろわれわれにも御下命になっております。しかしながら、熱心にやっていくということとこの風俗営業に取り入れて書くということとは、これはいまから検討するということで、関係各省も多いことでございますし、早急にその問題には取り組んでいきたい、総合的な意味で前向きにやっていきたいという御趣旨に私は大臣のお気持を了解しているつもりでございます。
  192. 栗山礼行

    栗山委員 長官、ほかの委員に対して大臣がどう答えたか答えなかったかということについては、私は欠席いたしましたので承知をいたしておらないのです。この点については相互に一応公報を参照して検討を新たにするということでなければいかぬ、こういうことなんでありますが、重ねて申し上げますと、私が大臣の答弁を求めました内容は、先ほど申し上げましたような論旨、内容を述べまして大臣の答弁を求めたということであります。長官の先ほどのお考えですが、これは法で規制しようとも、条例で規制しようとも、それはあまりその中心について重要さを持っていらっしゃらない御解釈であるやに承った。ところが私は法全体から申し上げまして、あまりにも各条にわたる風俗——あるいは風俗の定義もあります。それから善良の風俗、それも各条一致するやいなやということは、営業範囲というものは非常にバラエティに富んでいるわけでありますから、それをどう解釈するかというようなこと、あるいはまたおそれのあるもの、というような、これを全体を一字一句読みまして総合的に理解をするというような、きわめて不備な、あいまいな法律体系である、こういうことを私は前段に申し述べまして、そして、したがって風俗営業一つの法体系をもっと合理的にして、明快にして要を尽くすような法体系にしていくということが、私は各論よりも基本な中心であるやに存ずるので、御答弁をお伺いし、こういうことについて大臣の御答弁を明快にちょうだいした、こういうふうに思うのです。そういうことからいきますと、その思想基盤といいますか考え方の根底というものが、長官がお述べになっているのと非常に違うのです。先ほどの御答弁についても、やはり現行の体系に基づいて、そして主なるものについては条例にゆだねるという一つの体系、こういうことが——御説明の何は別として、本質的にはそういうことでいらっしゃる。私はこの委員会を通じて、ということは申し上げませんが、これを契機とする風俗営業の法体系の問題というものは、もっと近代的あるいは実体的な把握をして、そしてその風俗営業の法体系というものはどのような内容が望ましいのであるか、あるいは関係法律との関係、あるいはセクショナリズムを持っておる各省との関連は、どのように問題を進めてまいるか、こういうような、実に広い基本的な内容を持つものなりということを前提に申し上げまして御答弁を促したということは、これは間違いないのであります。これを、長官の御答弁をよろしいということでこのままになりますと、どっかで長官と大臣とのそういう本質的相違というものが、これからの作業の過程あるいは認識の問題点に大きな相違を来たす、こういうことを私は非常に憂えたものでありますから、善意な意味でこの問題を合理的に明らかにするということが重要な内容でなかろうか、こういうことを重ねて私は思っておる次第であります。何でしたら大臣にもう一ぺん答弁してもらって、前回の大臣の答弁ときょう食い違ったら、私は大臣を責めてまいりますし、それから長官と大臣との相違点がございましたら、これは時間をかけます。これは明らかに速記録の事実に基づいて、もし大臣がそのようにお答えになったということなら、私も同感でございますということで、われわれの理解する範囲で表現願ってけっこうであります。取り消し云々というようなことは言うておりません。ひとつ、重要でございますので……。
  193. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 この前、ちょうどこの風営法を地方行政委員会で審議しておられる途中で、私は法務委員会のほうへ引っぱり出されたわけでございます。そこでまたこの風営法についての質問を受けたわけでございます。私、長官の申しましたこととどれだけ食い違っているか、まだ存じませんけれども、私は同じことではなかろうかと思いますことは、長官の場合は、風営法は警察庁の所管になっておりますから、その立場で風営法について触れていった。法務委員会で私が述べましたことは、もう少し高い立場に立って、今日少年不良化温床になっておるのは、これもある、これもある、これもあるというふうに指摘をされたわけでございますが、それが一番問題になりましたのはボーリング上——このボーリング場は深夜にお茶を飲んでたまをころがす必要があるかどうかということが非常に議論になりました。しかし何であれここが不良少年の巣くつになっておる事態はあるわけでございますし、非常にこのことを非難されておる。じゃこれがどこの所管かということになりますと、残念ながらまだそこらのところが明確に割り切れていない。そのことで法務委員会でもいろいろ御注意を受けました。受けましたが、こういうものはしょっちゅうはやりすたりがありまして、ボリーングなるものができたのはそう古いものではない、ここ正、六年の間だと思うが、それがまた不良少年の巣になったというのは二、三年来のことではないかと思うわけです。しかし、いまの時点でこれがあるわけですから、私がこの席でも、次の閣僚懇談会にでもかけてひとつ明確に所管をきめるようにいたさなければならぬと思いますと申し上げたわけなんです。ところが、これが事実スポーツだとすれば、文部省の所管になっていく。しかし、いまのところでは、これがスポーツなりやいなやということについて盛んに議論している最中である。しかし議論しておって事が済むわけのものではありませんので、何らかこれを明確に割り切っていかなければならぬ。また一方トルコぶろのことが盛んにここで問題になる。トルコぶろは何かといえば、これは公衆浴場法の適用を受けるものであって、これは厚生省である、こう言う。ヌードスタジオはどうかというと、これまた興行場法ですか、この所管で違う、こういうばらばらな姿である。しかもわれわれが対象として取り締まらなければならぬ、少年不良化を防止しなければならぬという目的一つで追及してまいります場合に、こういう姿になっておるということではうまくないのじゃないか、そういった意味では近い将来にはやはりこれは総合検討して取り締まらなければならぬ。対象一つならもっと手ぎわのよいやり方があるのじゃないかということを感じまして、あなたに御答弁申し上げたと私は記憶するわけでございます。その意味では、長官は、おそらく風営法が自分の所管であるからその問題のみ突っ込んでいったと思いますけれども、私はまた別の角度からこの問題を、いまのこういう世相のもとですから、やはり体系と申しますか、もう一つ考え直してみる必要があるということを考えて申し上げた次第でございます。
  194. 栗山礼行

    栗山委員 長官ひとつ御答弁願います。
  195. 江口俊男

    ○江口(俊)政府委員 私の申し上げていることと違いはない、こう思うのですが、風営法自体の条例と法律なり政令との関係については、大臣も触れられていないわけです。総合的に考えるとおっしゃるのは、風営法を含めてほかの法律、あるいは法律のできていない部面等についても風俗営業といいますか、風俗関係営業、あるいは青少年不良化原因になっておるような営業については、どこの省の所管を問わず、閣僚懇談会等で総合的に検討する、こういう御趣旨でありまして、その中の一部であるこの風俗営業等取締法の中身を、現在の法律と、条例との関係を、どうこう逆にしようというようなお話は、いままでのところ出てない、こういうふうに了解しております。
  196. 栗山礼行

    栗山委員 どうも委員長、こういうことになりますと、この問題が速記録で、いやしくも私と大臣との間における質問、答弁が明確になってまいるわけです。きょうの問題にまた大きな相違点を残して進んでまいるということなら、私は残念ながら、おしかりを受けましても、これが明らかになるまでこれを進めまして、つまびらかにしなければ、審議に御協力して進めてまいるという時間的な内容を持てない、こういうことをお考え願ってお進みをいただきたいと思うのです。いま警察庁長官の御説明になりましたことと、それから大臣が御答弁なさいました共通の場面があるわけです。それは、長官は風俗営業のみを対象としての答え方である、同様だ、こういう長官のお答えであろうかと思います。それからもっと広い視野に立ってこの問題を検討しなければどうにもならないという時点をとらえたいという政治的な角度から見る大臣の御答弁、こういうことも私は了承するのです。だから、私の質問の内容にはそれは含まれておるのです。これは局長もお聞きになっておったように、私自身はそれも是認しつつ、この風俗営業法それ自体に多くのあいまいさと欠陥、疑義を持つ内容を持っておる、特に法体系が五回も改正されて依然として当面の問題のみを限定され、今度もおそらく深夜喫茶ということをねらいとする問題のみの改正にとどまった。こういうことで、社会的変化と、広い意味における法律の適用を受ける業者対象としての法律の体系と内容の実を示していけぬじゃないか。とういう風俗営業それ自体の法の欠陥とあいまいさ、これを克服することなくして、ただ起きた問題だけを処理していきましょうというような、いわゆる一服の薬あるいは注射であって、そういう対症療法はもういまやるべきでない。改正を起点として、なぜ基本的に大きな視野からこの改正点を明瞭に示してまいるという姿勢がなかったのか、こういうことを私は明確に質問の論点として申し上げたといまなお歴然と記憶するわけであります。したがいまして、一番中心は私は風俗営業それ自身の法体系と内容のあいまいさ、そうしてもっと実体的にとらえた法の規制というものを進めていかなくちゃならぬ。条例に違反するといったって、基準条例もなし、条例がばらばらである。こういうことと、条例と法令とが何ら変わらないようなものが——私はずいぶん集めて持っております。ここで説明いたしましてもようございますが、こういうふうに警察庁が古い形の伝統の中で、起きる問題だけ改正すればそれでしまいだというところに、この風俗営業法それ自体のぼけた姿があるということが私の中心的な態度なんです。こういうことからもう少しやはりいまの時代に即するあるいはもっと全体の視野に立つ内容が望ましい、こういうことを私は申し上げたと思うのでありまして、これは明らかにしてもらいたい。明らかにしておかない限りにおいては、その他の質疑というようなことは無意味になってくるということが前提になっているのです。だから、重ねて申し上げますと、風俗営業法それ自体についての盲点と欠点と、あるべき姿というものを確立することが基本じゃないか。さらにもっと言うなら、大臣がおっしゃいましたような諸問題を総合的観点からながめていくということも私は是認しよう、こういうことで質問をいたしたのであります。ただ大臣は、非常に明達な人でありまするから、ちょっと私が質問いたしておる中でお越しになったというようなことでありますけれども、非常に頭鋭く、感覚の鋭い方だから、私の質問の要点をさっとそしゃくされてそれにお答えされた、こういうふうな感なきにしもあらずという事態は考えておりましたが、いずれにいたしましても、公の場でこれを御質問申し上げ、そういうお答えを最高責任者からお受けした、こういう事実を前提としてこの問題を前向きに、建設的に、意欲的にはかっていこう、こういう態度でおる事実をこれでこわしちゃう。これじゃ審議できません。——だから、誘導するようでぐあい悪いんですけれども、取り消せとも何とも言っていないのです。それはそこにおける客観的条件があったわけでありますから、長官のお述べになっていることも私は了承できます。しかし私の質問意味についてはそれを否定されて、そして現行法規による一つの体系を重視して、主たるものを変える必要はないという前提に立って、いわゆるその他の問題を総合的に検討する、こういう形においては本質的相違が生まれてくる、こういう点がございますので、要するに、長官は大臣の御答弁をそのまま尊重して、ひとつこの問題と取り組んでいくという英知をいただければ私は解決する問題だ、こう考えております。
  197. 江口俊男

    ○江口(俊)政府委員 私の理解というか、むしろ表現のほうの点で御満足がいかなかったと思いますが、ただいまお聞きしている限りにおきましては、私と大臣との間にちっとも考え方の相違はございませんので、よく検討いたしまして、もちろん最高責任者の線に沿って作業を進めていくつもりでございます。
  198. 栗山礼行

    栗山委員 これ以上は、この問題はいまの御答弁に期待いたしまして、将来の経過を待ちたい、こういうことでこの問題は終わりたいと思います。  そこで問題は、いろいろ重複を避けてまいりたいと思いますが、若干各条にわたり解釈をどう見るべきか、こういう点が改正点の内容等でございますので、お尋ねを数点申し上げることを御了承いただきたいと思うのであります。特に私はあまり局長の懇切な答弁は要りません。簡明要を尽くすということでけっこうでございますし、さらに一ぺん他の委員質問お答えしたからそれを読め、こういうことについては、私は謙虚にそれを承服いたしまして進めてまいりたい、こういうことで御承知をいただきたいと思います。  条文の問題ですが、第二条の第四項でございますね。現行法にもあります。第二条第四項の「当該都道府県が条例で定める特別の事情がある場合」とはこれはどういうことなんですか。こういうこと書いてありますね。「公安委員会は、前項の更新を求められた場合において、当該更新を求めた者に滞納に係る娯楽施設利用税があるときは、当該都道府県が条例で定める特別の事情がある場合を除いては、その許可を更新しないものとする。」これをお答えをいただきたい。
  199. 大津英男

    ○大津政府委員 法二条四項に基づく特別な事情というものを考えておりますのは、地方税法の十五条の規定によりまして徴収猶予を受けておる、たとえば震災、風水害、盗難その他資産につき相当の被害を受けた、そういうような事情の場合において該当する、かように考えております。
  200. 栗山礼行

    栗山委員 そういたしますと、そのような内容を持つものだということを理解できますが、「都道府県が条例で定める特別の事情がある場合を除いて」ということは、どこの県の条例はこういう条例規定をいたしておる、こういう事実を前提としての御答弁でございますか。
  201. 大津英男

    ○大津政府委員 そうでございます。
  202. 栗山礼行

    栗山委員 そういたしますと、次の問題は第三条になります。第三条で「都道府県は、条例により、風俗営業における営業場所営業時間及び営業所の構造設備等について」とございます。それを「風俗営業を常もうとする者の資格並びに風俗営業における営業場所営業時間、営業を営む者の行為及び営業所の構造設備について、」と改めてございますが、これはどういうことかということであります。それからまた「営業を営む者の行為」とはどういうことなのか、また「必要な制限を定めることができる。」という内容を述べておるのでありますが、この点についてお答えをいただきたいと思います。
  203. 大津英男

    ○大津政府委員 第三条を改正いたしましたのは、現在の法律におきましては営業場所、時間、構造設備等についてということで書いてございまするが、この条文におきましては営業を営む者の人的な資格要件ということがはっきり出ておらないということがございまするし、それから営業を営む者の行為、たとえば営業を営むにあたっての順守事項等の問題でございますが、そういう行為については「等」ということであいまいになっておることもございますので、この際明確にしてまいりたい。特に人的な資格要件につきましては、現在でも包括的に条例に委任されているということで、全国的に条例で規定をしておるのでございますが、この点を明確ならしめるという意味におきまして、今度の改正をいたしたのでございます。
  204. 栗山礼行

    栗山委員 いま私がお尋ねいたしましたのは、そうしますと「営業を営む者の行為」とはどういうことなのか。それから先ほど申し上げましたように「必要な制限を定めることができる。」というその内容です。
  205. 大津英男

    ○大津政府委員 先ほど申し上げましたように、改正点におきましては「営業を営もうとする者の資格」これは人的な資格要件、いろいろな犯罪を犯したとか、条例の基準案にございまするが、そういう者については営業の許可を与えないという、そういう意味営業の資格。それから「営業場所営業時間、」これは従来もありましたので省略いたしますが、「営業を営む者の行為」とは営業上の順守事項、たとえば営業にあたりましてわいせつなことがあってはならないとか、あるいはまた客引きをしてはいけないとか、あるいは客の求めない飲食物を提供してはいけないとか、その他いろいろなことがございますが、そういう営業行為の制限を具体的に条例で定めることができる、こういう趣旨でございます。
  206. 栗山礼行

    栗山委員 どうもお尋ねした点だけに答えていただきたいのですが、第三条の「善良の風俗を害する行為を防止するために必要な制限を定めることができる。」という規定を改正点でいたしております。その「善良の風俗を害する行為を防止するために必要な制限を定めることができる。」とはどういうようなものをこの内容に基づいて定めることができるのだ、その内容をお示しいただきたい、こういうことでございます。
  207. 大津英男

    ○大津政府委員 先ほど申し上げましたように、たとえばこの資料の四十二ページにございますように「営業行為の制限」ということで「営業所に十八歳未満の者を客として出入させないこと。」あるいは「客引をし、又はさせないこと。」あるいは「客席又は踊り場の明るさを第十九条第七号に定める照度に保つこと。」というような、それぞれの府県におきましてこれと同じような営業上の制限事項をずっと定めております。これが「善良の風俗を害する行為を防止するために必要な」営業者の行為ということで、条例で制限を定める事項でございます。
  208. 栗山礼行

    栗山委員 次に第四条でありますが、四条の一項、三項、それから四条の一の二項で、それぞれ「当該営業に関し、」という字句が使われておるわけであります。その意味を、これは各条に載っておりますから、各条別にその意味をお述べをいただきたいと思います。
  209. 大津英男

    ○大津政府委員 第四条の一項にございます「当該営業に関し、」ということは、風俗営業を営む、その風俗営業につきましては、それぞれ第一条で業種がございます。そのそれぞれの「当該営業に関し、」とございますので、その営業を営むにあたってという意味でございます。  それから第四条の二の二項の「深夜における当該営業に関し、」こちらは風俗営業ではございません。「設備を設けて客に飲食をさせる営業」、これには、内容的に条例でそれぞれ制限が定められるわけでございますが、その定め方によりまして、たとえば深夜におけるところの喫茶店というようなものについて規定をいたしますれば、その営業を営むにあたって、こういうふうな意味でございます。
  210. 栗山礼行

    栗山委員 それから同じく四条で、これは二項と三項をそれぞれお加えになったわけでありますが、お加えになった理由はどういうところにあるか、ちょっとお述べいただきたい。
  211. 大津英男

    ○大津政府委員 四条に二項と三項を加えた意味でございます。四条の二項におきましては、これは従来営業を営む者につきまして違反がございまして行政処分を行なっておったのでございまするが、その行政処分は風俗営業についての行政処分でございます。ところが実際には食品衛生法に基づくところの飲食店という名におきまして風俗営業と同様の業態でやっておるというような事実も出てまいりまして、風俗営業の停止を受けましても、その場合に風俗営業と、もう一つ食品衛生法の飲食店というものを二重性格的に持っておるわけでございますが、そちらのほうの名前において同様のことが行なわれるということが非常に多い。そういうような意味におきまして、やはり風俗営業の停止をいたします場合におきましては、本来一体となっておりまするそういう飲食店営業につきましても期間を定めての営業停止を命ずることができる、こういう趣旨であります。
  212. 栗山礼行

    栗山委員 それから同じく四条の二で見出しが「深夜における飲食店営業規制」とこうございます。これを「飲食店業務の規制」とお改めになったわけなんですが、これもどういう意味、内容を持つものか。
  213. 大津英男

    ○大津政府委員 これは前にも御質問がございましてお答えを申し上げたのでございますが、現行法では、客に飲食をさせる営業を飲食店営業といっておりますが、飲食店営業ということになりますと食品衛生法の施行令によりまして非常にいろいろなものが入ってまいりますが、本来この法律の目的とするところは客に飲食をさせているという意味でございますので、同じ食品衛生法の施行令にありまするような飲食店営業の中でも、仕出し屋その他につきましては当法律によって制限を定めていく必要はないという意味で、意味をはっきりさせたいということから、飲食店業務ということに改めたのでございます。
  214. 栗山礼行

    栗山委員 これは現行法の第四条の二ですが、第一項に「客席を設けて客に飲食をさせる営業の深夜における業態」とございますが、業態とはどういうことかということも、これはやはり法の解釈をせなくちゃわからないという法文でございますから、同条の改正案で「営業場所営業時間、営業を営む者の行為及び営業所の構造設備」とこう書いておるのです。この中に営業を営む者の資格が入っておらないのです。そうするとこれは、どうして資格が規定されなかったのか、その意味を御解釈、御答弁いただきたい。
  215. 大津英男

    ○大津政府委員 現行法の業態ということは業務の態様という意味でございまして、これでは今度の深夜喫茶の廃止に関する目的を達することができないということで、明確に規定をするために、営業場所、瞬間、それから営業者の行為、営業所の構造設備ということに法文上明確に規定をいたしまして、それによってただいま申し上げた趣旨を確定しようとしたわけでございます。ただこの中で営業者の資格ということを書いてございませんのは、これは食品衛生法によってすでに許可を受けてやっております深夜における営業そのもの規制していくということでございますので、資格そのものについては触れておらないということでございます。
  216. 栗山礼行

    栗山委員 同じく第四条の一項におきます政令とは、具体的に何をさすのかということです。それから同条で行政処分として、六カ月をこえない範囲内で期間を定めて営業の停止をするとございますが、六カ月の範囲内でというその期限の理由は、おおむねどういう基準と内容とを意図されてこういう規定をされたか、この二点についてお答えいただきたい。
  217. 大津英男

    ○大津政府委員 政令ではなくて法令だと思います。四条では「法令」と書いてございます。この法令というのは、広く法令一般をさしておるわけでございまして、政令も入りまするし法律も入るわけでございます。  それから先ほどお話が出ました営業の停止の期間六カ月、これは現状におきましても六カ月の停止ということで、いままで風俗営業、飲食店営業につきましての行政処分が二千数百件行なわれておりますが、いままでの実例でも、営業の許可の取り消し以外で、一番長いものが大体百八十日、こういうことになっておりますので、それに合わせたということと、やはり法律上に最長の期間を定めておいたほうがいいのではないか、こういう意味で六カ月ということを定めた次第でございます。
  218. 栗山礼行

    栗山委員 それから第四条の二項によりまして、どのような条例の制定が予想されるか。この規定によります予想の問題であります。どういう予測内容を持っていらっしゃるか、こういうことでございます。また立法のあり方として各地方の特殊性に応じて条例を制定されるので、そういうことが望ましいというような御説明がございましたが、本条によります条例の具体的内容は、地方によってどのような相違点が起きると予想されるか、こういう二点です。
  219. 大津英男

    ○大津政府委員 第四条二項ではなしに、第四条の二のほうでございますね。——第四条の二の「条例により、」ということにつきましては、条例の新しい基準案を資料としてお手元へお配りした中に書いてあるのでございますが、それをお読み願えればわかりますが、まず場所についての規制、それからその場所規制するにつきまして区域を定めた場合に、例外的に駅とか空港とかいうところ、あるいは事務所、事業所等の職員用のものとか、そういうものを除かなければならないとか、そういう意味でのもの、あるいは時間の規制を、酒を飲ませるというようなところについては、夜の十二時までにするとか、こういうことを条例で定めることができるようにしていこうということが、今回のこの法の四条の二の意味でございまして、大体そういうことを条例で考えております。  なお条例につきまして、各府県の実情によって違う点も出てまいると思いまするが、少なくも青少年の非行が問題化しておる地域におきましては、そういう地域の指定を条例でするということになると思います。しかしそういう問題の非常に少ないところにおきましては、必ずしも東京のように広い規制をしないということもあり得ると思うのでございまして、そういう意味で各府県の実情によってやるということが出てくると思います。
  220. 栗山礼行

    栗山委員 第四条の三の「年少者に関する禁止行為」として罰則規定をここに設けられておるのです。立法目的というものについては、おおむねその意図されることを了解できるのでありますが、四条の三の一項の二号及び二項の二号の「十八歳未満の者を営業所に客として立ち入らせること。」によって「六箇月以下の懲役若しくは一万円以下の罰金に処し、」という一つの規定になっておるわけなんですが、どうも私は結果論を見るわけでありませんけれども、「未満の者を営業所に客として立ち入らせること。」これの罰金規定というものについて、あまりに酷な内容等を持つのではないか。と申しますことは、大体営業者がどういう基準で年齢的認定をするかという前提が、これは非常に困難な問題であろうかと思うのであります。十八歳でも二十二、三歳に見えるようなあんちゃんもございますし、青年もございますから、こういうものとの関連において、私は立法の本旨を了解しつつも、具体的にはそういうような深い疑問の念を持つわけなんですが、これを一応明確に、立案者としての御見解をいただきたいと思います。
  221. 大津英男

    ○大津政府委員 四条の三の「年少者に関する禁止行為」につきましては、七条で罰則がございます。ただ七条の罰則におきまして、「過失のないときは、この限りでない。」というので、「年齢を知らないことを理由として、」「処罰を免れることができない。」ということをいっておりますのは、四条の三の一号でございまして、二号の「客として立ち入らせること。」につきましては、過失があったからとか、なかったからとかいうようなことではなしに、十八歳未満の者、ほんとうにそういうことをどうやって見分けるかということにも非常な問題がございますので、いま申し上げましたような趣旨にしておるわけでございます。
  222. 栗山礼行

    栗山委員 最後に、この条文の最後になりますが、七条の三項ですが、過失犯を罰則する理由というものはどういう内容を持つのか。それからまた「ただし、過失のないときは、この限りでない。」という規定があるのですが、これとの関連でどう理解したらいいのか。こんな内容は何べん読んでもわかりませんよ。一ぺん説明していただきたい。
  223. 大津英男

    ○大津政府委員 七条の三項によりまして、十八歳未満の者を雇い入れまして、それについて年齢を知らなかったからというようなことで、いままでもずいぶんのがれておるという実情が多いわけであります。そのために児童の福祉を害するというようなことが非常に例として多いのでございます。こういうことをはっきり法律に定めまして、そういう悪例がなくなるようにしたい、ただし過失があった場合においては罰せられるのでございますが、無過失でもこれを罰するということはできないのでございまして、これは現在の児童福祉法の第六十条によりましても、「児童を使用する者は、児童の年齢を知らないことを理由として、」児童の福祉を害するような違反行為をした者は、「処罰を免かれることができない。但し、過失のないときは、この限りでない。」というようなこともございまするが、それと同様の趣旨を持っておるわけでございまして、過失の有無につきましては、たとえば戸籍まで調べるということまでした場合においては過失はないということが判例としても出ておるということになっております。
  224. 栗山礼行

    栗山委員 いろいろ見解もあるのでありますが、おしかりを受けて、時間もございませんから結論に入るのでありますが、先ほど来各委員からいろいろ御意見がございました。具体的には私はトルコぶろにおける個室の問題もいろいろ論点がございます。これは明らかに風俗営業の条文で、善良の風俗とか風紀をそれ自体の規定する内容からいけば、こういうものが対象にならなければならぬ。さてこれが対象になると、これを認めたというような事実の問題をどうするか。他に何らかの規制があるか、こういうふうないろいろジレンマや矛盾撞着に悩みつつ、これに将来どのように対処するか、こういう残された問題として要約を申し上げておきたいと思います。あるいは深夜喫茶ばかりに力点を置かれておりますけれども、これはもう皆さん御承知のとおり、昼、堂々と悪用される個室喫茶の実態を把握されれば、これをどうするかという問題にも至ります。あるいは大阪におきますような堂々たるお好み焼き屋、個室お好みです。外部から見えないところでデートができる。キッスしても何も見えない。まさか寝るというわけにはいきませんが、そのようないわゆる風俗営業で言うそういう性的非行の誘発のおそれ濃厚とする条件がいろいろあるのでありまして、これらの問題にも、ほんとうに非行少年の保護育成というような問題のあり方から、これを堂々と、どのようにして進めていくべきかという問題等もございます。これは問題指摘に終わっておきたいと思います。法律論できりがございませんから。  それからヌードにおいても、先ほどから言われておるような、単なる芸術嗜好家の対象とするような、あるいは興行場法における一つの収容でないもの、われわれが最も憂慮する問題は、もっとエロ的な問題あるいはグロ的な問題、これが温泉でも各地で行なわれておる。温泉だけではございません。旅館の問題もどうするかということがありまして、はなはだしきに至っては、これは皆さん恥ずかしくて言わないだけの問題ですが、シロクロの問題とか、シロシロの実演というものはおそらくおとなは見ていらっしゃる。一体こんなものにどう対処するのかということなくして、非行少年防止対策というようなことを言っても、少しわれわれは顔を洗って出直さなければならぬというのが世相の実態であろうかと思います。ボーリング等もいろいろ問題指摘をされましたが、それらの問題点を、いま御答弁を伺うということでなくて、われわれが心してどう対処するかということが残された問題だ。そういうようなことについてやはり真剣にえりを正して対処するという、そういう責任の所在と政治姿勢というものをどう立てるかということで、もう一ぺんひとつ大臣のひそかなる決意と実行の面ということで御答弁をお伺い申し上げたい。これで終わります。
  225. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 御指摘になります点は、私は内心よく了解するわけでございまして、少年の非行にはなりませんけれども、たとえば少年にたばこをのますとか、酒を飲ますということはよくありませんから、これは別に立法で取り締まることにしておりますが、それでなくて、ただいま御指摘のように、男女間の問題が非常に乱れておって、そのためにそれが非常に青少年に害悪を与えておるということは見のがせないと思うのです。ただいま御指摘になっているのは、こういうばらばらな形でなくして、根本的にこのことについても考え直したらどうかという意味ではないかと考えておる、このことについては全く私は同感でございます。ほかにもただいま風営法の法体系についていろいろな疑問の点を御指摘になったわけでございますが、それでなくても社会の善良の風俗をそこなうということばがほかの法律にも出てきておるわけでございます。それはやはり帰するところ、今日取り締まらなければならぬものは各面に出ておるわけなんです。それが所管省も違えば法律も違うというようなばらばらなことでは、終局的にも目的を達成することはむずかしいのではないかという御指摘じゃないかと思うのです。これを一体善良の風俗とは何かということから追及して、根底からそこに焦点を合わせて法体系をつくるとすれば、なかなか容易なことではないと思いますが、しかし、それへの努力というものは、私どもは常時続けなければならぬと考えておる次第でございます。しかし、いま提案になっております風営法は、この姿でいままできておるわけでございまして、いま眼前にいろいろなまずい問題が出てきておりますものを、とりあえず風俗営業等取締法規制できるものはやろうということで、いまお願いしておるわけでございますので、根本的な検討はあとに残していただいて、この法律はその意味でひとつ御理解を願いたい、かように思っておる次第でございます。
  226. 森田重次郎

    森田委員長 この際、田川委員から発言を求められておりますので、これを許します。田川誠一君。
  227. 田川誠一

    ○田川委員 委員長にお願いがございます。この法律案につきましては、これまで慎重に審議をされ、私どもも大体了承をしたのでございます。しかしその過程におきましては、個々に再検討を要する点も少なくございません。特にこれまでお話が出ました青少年の非行化とか、よい社会環境をつくり上げていく必要があるというような問題を考えますときに、現行法の体系の矛盾を根本的に再検討する必要があると思います。したがいまして、当委員会といたしましては、今後小委員会を設けるとか、あるいは公聴会を開くなどして、根本的に根本対策を進め調査をしていく必要がある。このことを特に委員長に要望を申し上げたいと思います。
  228. 森田重次郎

    森田委員長 ただいまの田川委員の御発言の趣旨は、委員長といたしましてもごもっともであると思いますので、理事会にはかり、善処いたしたいと存じますから、御了承をお願い申し上げます。  他に質疑はございませんか。——なければ本案についての質疑はこれにて終了いたしました。     —————————————
  229. 森田重次郎

    森田委員長 これより本案を討論に付します。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。安井吉典君。
  230. 安井吉典

    安井委員 ただいま議題となっております法案に対しまして、日本社会党を代表して反対の討論をいたしたいと思います。  近ごろの社会現象として深夜喫茶トルコぶろヌードスタジオ夜明けまでのボーリング場営業など、広く風俗営業と称せられるものの拡大は目に余るものがあり、これらのうち、健全な社会生活に対し有害なものも数多く、青少年不良化原因となっているものも少なくありません。政府提出法案はこれらの現象に対し、深夜喫茶の実質的禁止を企図するものであり、これはその対策がむしろおそきに失したものとして、その方向については私どもも一応賛意を表するものであります。しかしわれわれがこの案になお全面的な賛成をいたしかねることは、次のような理由によるものであります。  第一に、現在ある各種の風俗営業等に対し、それらのものに直ちに実効ある対策とこの法案はなっていないことであります。たとえば当面の目標である有害な深夜喫茶の禁止についても、禁止すべき営業場所の指定がすべて条例にまかせられていること等から、法の発効とともに、全国の全部がなくなるという保証はないのであります。また現行関係法令の完全な運用によっても、相当部分問題の解決ができるようにも考えられますが、役所間のセクショナリズムや外部圧力に妨げられているきらいすらあるのであります。かつトルコぶろヌードスタジオ等を本法の取り締まり対策とすべきかどうかは一応別として、現に行なわれつつある問題の分業に対する現行法制の強力な運用や、新たな法的規制措置の検討に対する政府のかまえは、なお不十分であると考えられ、この点遺憾であります。  第二に、この風営法は戦後間もなくの即製的立法で、法制的な見地から見ても、たとえば法の目的規定もなく、法律の中の用語も不明確であります。このたびの改正に際し、法体系の整備等の抜本的措置を私どもは期待しておりましたが、今回の改正ではこれらに何ら手がつけられていない点、はなはだ残念であります。  第三に、風俗営業等の問題は、取締法の改正や警察権力の取り締まりを強化するだけで解決するものではございません。青少年問題についても同様であります。私は何もかもすべて政治が悪いからだとは申しませんが、今日の自民党の政治の中では、高度経済成長のかけ声で経済万能の雰囲気をつくり、人間の尊厳さは置き去りになり、清潔な社会環境をつくることや、青少年人間としての自覚を持たせることなどは二の次とされているように考えられます。法律以前のこの政治のかまえにこそ問題があることを指摘いたしたいのであります。  なおこの際、私は一言付言をいたします。政府においては総合的、抜本的な風俗営業対策の樹立、現行法令の十分な運用、現行法制の欠陥の再検討に一そう努力をせられたいと考えます。  さらにまた、先ほど田川委員の発言にもございましたが、この委員会においても、この改正法案が通過したあとも、一そう突っ込んだ問題点の調査、それによる検討を進められるべきことを強調いたしまして、討論を終わります。
  231. 森田重次郎

    森田委員長 門司亮君。
  232. 門司亮

    ○門司委員 私は民社党を代表いたしまして、きわめて簡単に本案に対します反対の意思を表明いたしたいと存じます。  第一の理由は、政府が今回出してまいりました法案の内容と自治法との関係における法律の関連性であります。御承知のように地方の自治体は、条例をつくることを自治法の十四条で認められております。しかしそれは自治法の同じく二条の二項の上に立ったものでございます。したがって、これらの条例というものは、基本的に自治法が認めております立場からいいますならば、法律で地方で条例をこしらえさせるというようないき方がはたして正しいかどうかということであります。今日地方の自治体は、憲法の九十四条によって、法律に違反しない限りは条例を設けることができるという権限が与えられております。したがって、地方の自治体は、法律に反しない限りやれる権能を持っておるのである。その権能に、さらに法律で条例をこしらえろというような指揮、命令にひとしいようなことが書けるかどうか、私は法律論としていささか疑問を持っておる。何もこういう条例を法律でこしらえなくても、法律でこういうものをこしらえろと言わなくても、自治法二条の二項を受けて三項にはちゃんとこういう風俗営業その他に対する問題について規定はされておる。地方の自治体の仕事として規定されておる。そういう関連から、今日各都道府県には、これに対する条例ができておることは御承知のとおりであります。これにさらにこういう法律で条例をこしらえさせるというようなことがよろしいかどうかということについては、私は自治権の侵害がある程度考えられる。この点等についても一つ問題がございます。  それからもう一つの大きな問題は、今回出された法案というものは、きわめて部分的なものであるということでございます。いろいろお話がございましたので、詳しく申し上げる必要はございませんが、今日の青少年の非行の原因を探っていくとするならば、単に深夜喫茶だけではないということは、論を待たない事実である。にもかかわらず非常に大きな穴をあけておるということであって、法律はきわめて不完全である。当局がほんとう風俗営業取り締まり、非行少年をなくしようとするならば、法律的に見てまいりましてももう少し総合的な法案がこしらえ出されるべきではなかったかということで、私は法律自体に非常に大きな欠陥を持っておると思う。  もう一つの問題は、政府の態度としていろいろのことを申されておりますが、たとえばけさほどから見えました参考人その他の意見を聞いてまいりましても、非行少年あるいは青年ができるということは、単に社会が悪くなったからというだけではございません。これを改善しようとする政府の総合的な施策あるいは意見というものを、十分に聞かしてもらうことができなかった。たとえば深夜喫茶がどうこうと言っておりますけれども、今日の住宅事情等を見てまいりますと、ほんとうに若い青年諸君が、自分の部屋で鳥を伸び伸びとして寝られるような環境にあるかどうかということである。少なくとも眠たくなるまで、休むまでの時間というものが自宅で過ごせない。その休む場所を持っておらぬということである。こういう形だけで取り締まろうとしてごらんなさい。そういう問題が必ずどこかで出てくると思う。ちょうど大幅のあんこみたいなもので、片方から押せば片方から出てくるにきまっている。したがって、政府がこれらの問題を強く推していこうとするならば、今日の宵少年の非行化に対しましては総合的な施策をこしらえることが先決ではなかったかということなのであります。  最後に、もう一つ申し上げておきたいと思いますことは、したがって、この風俗営業に対します取り締まりの強化からくる効果というものの所在がどこにあるかということでございます。さきにも法律との関係をちょっと申し述べましたが、条例でこれをこしらえることができる。条例、条例といって、府県の責任で今日の非行青少年を取り締まっていこうとするような考え方は、政府としてとるべきではないと思う。むしろ政府が法律の本文の中にはっきり明記をして、その法律の施行、その法律の実効のあがるように、地方の自治体に何らかの形で通達をするなり何なりするのはけっこうだと思いますけれども責任の所在はきわめて不明確である。一体政府にあるのか地方の自治体にあるのかということがきわめて不明確である。政府は責任のがれのようなことでこういうものをこしらえましたけれども、そういうことで政府の責任をのがれるというようなことは許されないと思う。この点が私はこの法律一つの大きな欠陥だと思う。したがいまして、私はこの法律にこのまま賛成するわけにはまいりません。はなはだ酷評するようでありますが、どうも政府のただ思いつきの案であるような感じがしてならない。したがって、もう少し抜本的なものでない限りにおいては、効果的に申し上げてまいりましても私どもは疑われる点がかなりあり、また法案自身についても納得のいかざるところがかなりございますので、以上の点を明確にいたしまして、反対の意思を表するものであります。
  233. 森田重次郎

    森田委員長 以上で討論は終局いたしました。  これより採決いたします。  風俗営業等取締法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  234. 森田重次郎

    森田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  235. 森田重次郎

    森田委員長 この際永田亮一君、佐野憲治君及び栗山礼行君から、本案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されておりますので、本動議を議題とし、その趣旨の説明を求めます。永田亮一君。
  236. 永田亮一

    ○永田委員 ただいま議題となりました風俗営業等取締法の一部を改正する法律案に対する附帯決議につきまして、私は自由民主党、日本社会党、民主社会党の三党を代表して、その趣旨を御説明いたしたいと思います。  案文は、お手元に配付しておりますので、朗読は省略させていただきます。     —————————————   風俗営業等取締法の一部を改正する法律案(内閣提出第三二号)(参議院送付)に対する附帯決識(案)  現下の世相にかんがみ、善良な風俗の保持および青少年の健全な保護育成をはかるため、政府は祉会環境の浄化ならびに抜本的な青少年対策を樹立するとともに、風俗営業等に対して、さらに有効適切な取締りが可能となるよう、照度の親制その他法の運用を徹底することはもちろん、現行法体系の欠陥を根本的に再検討し、特に重要な規制事項についてはこれを法律または政令で定めることとする等、全般的に整備する必要がある。さらに、風紀上および法律上に問題の多いトルコ風呂、ヌードスタジオならびに青少年非行化の見地から弊害の著しい深夜におけるボーリング場等の営業規制についても、現行法令の適切な運用、関係法令の改正等により、すみやかに抜本的な対策を確立してその実効を期すべきである。  右決議する。     —————————————  次に、その趣旨を御説明いたします。  このたびの改正案は、少年非行化の有力な原因をなし、風俗事犯の温床として世論も強く批判しております深夜喫茶店等の実情にかんがみまして、善良の風俗を維持するため、深夜飲食店等の営業に関して風俗的観点からの規制を強化する等、必要な規制を行なおうとするものであります。  しかしながら、本案審議の過程を通じて明らかになっておりますごとく、風俗営業等に対する取り締まりの現状は、五号営業の照度一つを例にとりましてもおわかりのように、なお十分とはいえず、かつ本法の条文はわずかに八条でありまして、社会の変遷とともに絶えず新規なもの、新規なものへと移りゆく複雑にして広範な風俗営業全般を規制するには簡単に過ぎ、内容的にもその規制の主要部分を都道府県の条例にゆだねているのでありまして、昭和二十三年法制定後五回にわたり改正が行なわれておりますけれども、今日より見れば不備の点が少なくなく、法体系上にも問題があると考えられるのであります。  したがいまして、この際風俗営業等に対してさらに有効適切な取り締まりが可能となるよう、法形式自体に内在する問題点を根本的に再検討いたしまして、その欠陥を是正し、特に重要な規制事項についてはこれを法律または政令に定めることとする等、全般的に整備する必要があると存じます。  そのほか、風俗営業周辺の大きな問題点として、風紀上はもとより、法律的にも問題の多いトルコぶろヌードスタジオ並びに青少年の非行を誘発する等青少年非行化の見地から弊害の著しい深夜におけるボーリング場等の営業規制につきましても、政府は、現行法令の適切な運用、関係法令の改正等によりまして、すみやかに抜本的な対策を確立してその実効を期すべきであると存ずるのであります。  以上が、本決議案の趣旨であります。何とぞ各位の御賛同をお願いいたします。
  237. 森田重次郎

    森田委員長 本動議について採決いたします。  本動議のとおり決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  238. 森田重次郎

    森田委員長 御異議なしと認めます。よって、本案は永田亮一君外二名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  この際赤澤国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。赤澤国務大臣。
  239. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 附帯決議の御趣旨は十分尊重いたします。     —————————————
  240. 森田重次郎

    森田委員長 おはかりいたします。  ただいま議決されました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  241. 森田重次郎

    森田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。   〔報告書は附録に掲載〕
  242. 森田重次郎

    森田委員長 次会は、公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時二十八分散会