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1964-04-24 第46回国会 衆議院 地方行政委員会 第38号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月二十四日(金曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 森田重次郎君    理事 田川 誠一君 理事 渡海元三郎君    理事 中島 茂喜君 理事 永田 亮一君    理事 佐野 憲治君 理事 安井 吉典君       大石 八治君    大西 正男君       亀岡 高夫君    久保田円次君       登坂重次郎君    村山 達雄君       森下 元晴君    山崎  巖君       和爾俊二郎君    秋山 徳雄君       重盛 寿治君    千葉 七郎君       華山 親義君    門司  亮君       本島百合子君  出席国務大臣         国 務 大 臣 赤澤 正道君  出席政府委員         警察庁長官   江口 俊男君         警  視  監         (警察庁保安局         長)      大津 英男君         文部事務官         (社会教育局         長)      齋藤  正君         文部事務官         (体育局長)  前田 充明君         厚 生 技 官         (環境衛生局         長)      舘林 宣夫君  委員外出席者         警  視  長         (警察庁保安局         防犯少年課長) 楢崎健次郎君         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 四月二十四日  委員栗山礼行辞任につき、その補欠として本  島百合子君が議長指名委員に選任された。 同日  委員本島百合子辞任につき、その補欠として、  栗山礼行君が議長指名委員に選任された。 四月二十三日  公給領収証使用義務制廃止に関する請願(佐々  木秀世紹介)(第三二〇四号)  同(櫻内義雄紹介)(第三二〇五号)  深夜喫茶、トルコ風呂、ヌードスタジオ、ボー  リング等規制に関する請願本島百合子君紹  介)(第三二〇六号)  同外二件(登坂重次郎紹介)(第三二三七  号)  同外四件(本島百合子紹介)(第三三五九  号)  同外四件(粟山ひで紹介)(第三三六〇号)  ボーリング場の開設及び営業規制に関する請願  外一件(内田常雄紹介)(第三二六三号)  同(中村高一君紹介)(第三二八九号)  公衆浴場業に対する地方税免除に関する請願(  鯨岡兵輔紹介)(第三二八一号)  同(四宮久吉紹介)(第三三三二号)  同(天野公義紹介)(第三三六九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  風俗営業等取締法の一部を改正する法律案(内  閣提出第三二号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 森田重次郎

    ○森田委員長 これより会議を開きます。  風俗営業等取締法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行ないます。質疑の通告がありますので順次これを許します。本島百合子君。
  3. 本島百合子

    本島委員 大臣に私お尋ねいたしたいと思いますが、ただいま議題となっております風俗営業等取締法の一部を改正する法律案は、過去、三十三年のときに改正になりましたが、そのときにも私御質問申し上げまして、もし深夜喫茶店というものがどうしても必要であるという理由があるならば、それを述べてもらいたいということであったのです。   〔委員長退席永田委員長代理着席〕 そのとき喫茶店が必要であるという確たる論拠は見られなかったわけなんです。そこで、これを禁止いたしまして、特に深夜営業で働いておる人たちが夜中に食事等に不便を来たすから、そういう点については何か特定に見ることはできないものかという質問をしたわけなんです。当時その質問に対しまして、たとえば知能的な職業についておる人たちは、そば屋だとかすし屋とか大衆食堂、こういうものではなかなか満足しないところもあるから、そういう意味で、都市で深夜働く人たち周辺には、深夜喫茶店の必要もあるんじゃないか、こういうことを述べられたわけであります。しかし私どもは、これは当然将来悪の温床になる、特に青少年の問題にとっては大きな問題になってくるから、できる限り禁止の方向でこの改正をしてもらいたいということを主張したわけなんです。そのとおりの結果になりまして、昨年私ども衆議院選挙をいたします寸前に、この深夜喫茶店に対してある程度の規制を加え、あるいはまたトルコぶろとかヌードスタジオボーリング場だとか、新たに出てまいっておる問題等についても考えなきゃならぬということを、それぞれの大臣新聞発表をされた記憶があるのですが、そういう事態から非常に問題になってきて、今日審議に入ったわけです。この点を私ども考えますときに、今回のは禁止という線まで持っていこうとされておる意欲については一歩前進だと考える。しかし、根本的に深夜喫茶店というものが、なくてはならないのか、こういう問題にぶつかったときにはどういうふうに考えておられますか、この点からまずお聞きいたしたい。
  4. 江口俊男

    江口(俊)政府委員 委員長がお見えになっておりませんので、私からお答えをいたしますが、そういういきさつがあったことは、私不勉強で記憶いたしておりませんけれども、おそらくそういう議論は出たであろうと想像されます。それで深夜喫茶というものが悪の温床になっておるという事実がなければ、その必要性が非常に強いとか弱いとかいうこととは別として、こういうものを禁止に持っていくということは今回でもできなかったろうと思いますけれども本島先生が前回御心配になったような事実がその後出てまいったものですから、やむを得ず一定の区域をきめて禁止するという手段に出たわけでございまして、営業自由の原則といいますか、いまのたてまえとすれば、そういう店が必要であるかどうかということで、必要がなければ禁止するという性質のものじゃないので、必要がなくてもやるということになれば、それが悪影響が出たりあるいは出ることが確実に見越されるということでなければ、そういうものは要らないじゃないかということだけで、そういう仕事をやらせないというわけにいかないというのがたてまえになっているものですから、おくればせながら今度そのうちの一番直接青少年関係があるという部分に限って、こういう改正をしようということに踏み切ったわけでございます。
  5. 本島百合子

    本島委員 直接青少年悪影響のあるものを防衛する、こういうたてまえに立っての改正だと申されておりますが、とにかく最近の日本の状況をごらんになるとわかりますが、たとえば直接この法案に関係がないボーリングの問題、ヌードスタジオの問題、あるいはトルコぶろの問題、こういう問題になってまいりますと、法律の盲点を突いてやっていくとか、あるいは法律はないが何かやれるのだというようなことから、もやもやっとしてでき上がってきた。でき上がってみれば、それがもう非常な勢いをもって流行していくというような形をとってきております。東京都のような場合におきましては、御承知であろうと思いますが、またたく間にすべてのものが完備してくるというような状況なんです。たとえばボーリングなんかは、最近はどこの地区においても大がかりなボーリング場ができておるのです。これは興行場法スポーツだということで、それは法律にはまらない、こう言われる。トルコぶろに至りましても、過日参議院審議のときにお聞きいたしましたが、全国に四百ばかりできておる。これもだんだんふえてまいっておる。特に最近はホテル等で特別なトルコぶろができるなんということになって、こうなってくれば、取り締まり対象にもならないことですからどうにもならないんだ、資本の大きいところはますます扇情的な雰囲気をかもし出しておるなんということで、広告、案内等を見ておりますと、そういう文字が出てきておるというようなわけでございます。こういう点を考えていくと、無法地帯だ、こういわれるのですね。深夜喫茶店のある周辺地区並びにトルコぶろのあるところ、あるいはボーリング場のあるところ、ヌードスタジオがあるところというのは、自然と、何とはなしに集まり集まっていくというようなかっこうになっておるのです。数がほんとうにどんどん増していくという形になりますれば、私どもはこれをほうっておくわけにいかぬ。無法地帯といわれるこのことば自体にも問題があろうかと思いますが、法律がないしまた法律の適用が受けられないというようなかっこうででき上がったものですからこういう問題になってきたと思います。たとえば深夜喫茶店ばかりでなく、ヌードスタジオあるいはボーリング場あるいはトルコぶろというようなものについて、一応概要を御説明いただいて、すでに参議院審議のときから私ども現場視察をしてまいり、また厚生大臣あるいは自治大臣等視察をされたはずであります。当時ほんとうに見てきたかという質問に対して、まだ見ておりません、ただ人の話を聞きましてという御答弁であったものですから、ぜひ見てきてそれがどうであるかということを委員会で明確に話してもらいたい、こういうことを参議院議員の方から注文されておったわけなんですから、今回、大臣はいらっしゃいませんけれども皆さんそれぞれ随行しておいでになった方もいらっしゃると思いますので、その点あわせて御答弁願いたいと思います。
  6. 江口俊男

    江口(俊)政府委員 私はそういうところをあまり好かないものですから、私自身はつまびらかに実情を知りません。しかし参議院の御審議の場を通じてお伺いをし、またわれわれがお答えをしておったことの概要を申し上げます。  私たちとしても、深夜喫茶だけを禁止すれば、いわゆる無法地帯というところがきれいになるというふうには考えない。ただヌードスタジオとかあるいはボーリング場あるいはトルコぶろというものをそのままにしておいて、風俗というものがよくなるかどうかというお話については、それはよくなるとは思わない。思いませんが、これを規制するにはどうやればいいかという問題になると、この風俗営業取締法改正でいくべきじゃなしに、現にトルコぶろについては、公衆浴場法の中で、風紀の維持のためには風紀を維持するための条例をつくって取り締まることができるという規定がございます。あのほうのカテゴリーで、その条例さえできていないということについては残念なんですが、つくって、厚生省取り締まりと相まって私たちがやっていくというのが適当じゃなかろうかというのがトルコぶろについての考え方です。  それからヌードスタジオについては、これはちょっと中身は違いますが、公衆浴場法と同じような考えのもとに興行場法というのがありまして、やはり厚生省所管をされておるようであります。これは構造設備等についていろいろな御指示ができるようになっております。実際に見学に行かれた諸先生方は、どうも池袋の某所にあるヌードスタジオというのはひどい。さわろうとすれば、見物人はすぐどこにでもさわれるというような状態だったというようなお話がございましたが、そういうものは構造設備で、照明をどうするとか、あるいはモデルと見物人との間にはどれだけの間隔を置くように設備をしなければいかぬとかいうような一つのワクというものは現在の法律でできるわけであります。それからはみ出たものは取り締まるというようなことでいけばいいのじゃないか。私のほうの警察取り締まり対象として、ああいうものを取り込んでいきます場合は、どうも対象になり得ない。ここまではよくてここから先は風俗に影響があるから、ここまでは許せるというような限度というものがどうも出てこない。ああいうものは初めからゼロというようなことに警察取り締まり対象として規定するならばなるのではなかろうかという感覚でございます。  それからボーリング場については、これは文部省の方も来てお答えになっておりましたが、スポーツと遊技とのボーダーラインにあるので、現在取り締まることができるかどうか検討中であるというようなお答えでございました。そういうふうで、どこでどうやるかというデリケートな関係はございますが、総合して政府施策として風俗施策ということをはからないと、風俗というものをすべて風俗営業に取り込んできているたてまえがあれば、私は風俗的におかしいじゃないかというものをみなここに書けると思いますけれども、やはりこの法律風俗のうちで警察が特に取り締まりをする、許可をするというものだけを並べているものですから、この法律改正についても、御要望に簡単に沿えなかったというのがいきさつでございます。なお実情につきましては、見てまいりました課長もおりますから、御質問ございますればお答えいたします。
  7. 本島百合子

    本島委員 私、要望しておかなかったからうかつでございましたが、きょうは厚生省並び文部省の方は見えないのでしょうか。
  8. 永田亮一

    永田委員長代理 厚生省並び文部省はまだ見えておりません。呼びましょうか。
  9. 本島百合子

    本島委員 はい。ぜひ呼んでいただきたいのです。  いまの御答弁、せっかく答弁をする人が実際に見ておりません、存じませんじゃ、とてもじゃないけれどもこの法律がいかに将来難問をかかえていかなければならぬかということがわかると思うのです。これは私ども女でも勇気をもって見てくるわけですから、やはり見て、どこが悪いからどうするのだというふうにしてもらいたいと思うわけです。過日私ども視察いたしまして、ボーリング場問題等については、深夜にどうして未成年者青少年たちがあそこに遊びにいかなければならぬのか、またそれを事業主はやらせるのか、こういう問題を出しましたところ、自粛の形でとめるようにはいたしますが、入ってくるものをとめるわけにはいかない、こういう答えなんです。いま言われたように、どこか風俗営業法の中にでも取り入れられておれば警察官の干渉もできたでしょうが、もともとこの深夜喫茶店の問題の改正のときには、常にこの警察官立ち入りということが問題になってきたわけです。できるだけそういう立ち入りをしないで、自粛をした形におけるいわゆる純然たる喫茶ということにおいてこの深夜喫茶店は法的に認められるわけです。東京都が条例をつくりましたときにこれが非常に問題になって、かりにこういう条例をつくった場合に、一体だれが責任を持って取り締まりその他に当たるのかという論議が出ましたときに、やはり食品食品衛生法によって、そうしてまた風俗営業風俗営業法立場でやる。そのときにもし脱法行為を行なった者については、それぞれの法律でやれるからいいじゃないかということになった。   〔永田委員長代理退席委員長着席〕ところが実際問題としては、食品衛生にしても保健所で調査に行けるのかといえば、せいぜい一年に一回あるかなしかという程度にしか見には行かれない。手足を持てないということになれば、悪の温床になったから、これは禁止しようというので、地方条例でまっ先に取り扱ったわけなんですけれども、その場合でも、警察官立ち入りというものをどこかで認めておかなければ、もしいろいろな問題が起こった場合にどうすることもできないのではないかということで、この所管の問題で争いが出たくらいだったのです。東京条例ができましてからは、ほかの地方県相当数この条例をつくってきたわけなんですが、その当時に先ほど答弁がありました営業の自由ということで、憲法違反になるかならないかということが論議になって、結論的にはやはり善良なる美風をこわす、また悪の温床になるということが明確にわかっておるということの場合においては、これは憲法違反にはならないということで、地方県勇気を持って条例をつくって、とにかく何とか悪の温床にならないための努力をしてきたわけなんです。そこで、ここの法文の改正でまいりましても、今回の改正にあたって、一体どれだけの効果が出てくるのかということは疑問じゃないかということが一般の人に言われておるわけなんです。なぜかというと、この立ち入り規定のところにも書いてあるようでありますが、その十八歳未満の客を、一々カウンターなりあるいは喫茶店で立っておる人たちが見分けるのが困難だ。現在の青少年というのは非常に体格がよろしゅうございますから、学生証を見せろとか、あるいはおまえの年齢は何歳だといって一々入れるわけにはいかない。ただかっこうを見ておって、これが未成年であるかどうかという判定をしなければならぬけれども、現在の子供たち体格がいいから、二十歳以上だと認めました、こういう答えになっちゃうわけなんですね。そうすると、たとえば二十歳未満の者に酒を出してはいけないと、これは書いてあります。これは法律できめられておることで、当然なされておるはずであるにもかかわらず、やはりそういう人を見たときに、未成年者だとは感ずかないから、注文されれば出しました、こういうことになってくるわけです。こういう点になってくると、幾ら皆さん方警察等立ち入りましても、なかなか見分けがつかない。そこで、何か問題が起こって踏み込んだ場合には、これは明確になるわけですから、問題が起こらない前に、私たち子を持つ親としては、何とか悪の道に入らないように防ぎたい、こういうふうに考えるのです。ところが、それが現実の問題としてはできないということになるのですけれども、今回の改正で、これだけの改正をされて、どれだけの効果があがると見込んでなさったかをお聞かせ願いたい。
  10. 大津英男

    大津政府委員 今回の改正におきまして、第四条の三で、十八歳未満の者を客として立ち入らせてはならないというようなことを掲げておるわけでございますが、これについては罰則を設けております。ただし、これにつきましては過失関係によっての処罰ということはいたしておらないのでございまして、これを雇用をして、業務に従事させたという場合に限って、過失における場合は処罰するということにいたしておるものでございます。問題は、十八歳未満の者が客として立ち入った場合において、それが十八歳であったかどうか見分けることが、営業者においてできるかどうかという点について実効があがらないのではないか、こういうことではないかと思うのでございますが、なかなか営業者といたしまして、そういう点について判断をすることは、営業上むずかしい点もあると思うのであります。やはり当然学校の制服を着ており、あるいは幾たびかそういう者が立ち入ってきておるというような実情であるとか、いろいろな点を総合してまいりますれば、そういうことについても判断を下すことができるのじゃないか、こういうことも考えられておるのでございまして、私ども十八歳未満の者が客として入ることを、完全に罰則をもって担保して、絶対に防ぐことができるように——一〇〇%できるということは考えられませんけれども、先ほど申し上げましたようなことで努力をしてまいりますれば、そういう点についても効果をあげていくことができるのではないか、かように考えておる次第でございます。
  11. 本島百合子

    本島委員 深夜喫茶店雰囲気というものは特殊の雰囲気がありまして、私ども年を取った中年過ぎた者が参りますと、着席するのに恥ずかしいくらいで、若い男女がしっかりと抱き合っていろいろな雰囲気を楽しんでおるわけです。そういうものが、深夜喫茶店というような考え方に立って特に判断したときに、なぜ必要だろうか、だれが行ってみてもそういう感じを受けるのです。あそこから正常なる男女の交際が生まれるとは考えられない。そうすると、何か退廃的な雰囲気をかもし出しておる、ああした深夜喫茶店というものに対して、皆さん方非行青少年を出さない、防犯立場からというふうに考えられて、もしこの改正に乗り出されたとすれば、私は大きな間違いじゃないかと思うのです。あそこで事件が起こるということは非常に少ない。一般のぐれん隊の事犯よりは少ないかもしれない。しかし、あれを背景にしなくとも、そこへ行くために、金をほしさに暗がりでやったりする。この例は非常に多いと思うのです。この深夜喫茶店ができましてから、犯罪がふえたとは私は言いませんけれども青少年犯罪は毎年多くなって、昨年度あたりは約三十三万くらいになっておりますが、こういう数になっておるし、刑法上の問題に触れそうな事犯子供たちも昨年度よりはふえた、こういうふうな統計を見たことがあるのです。たまに私どものところにも相談があるものですから聞いてみると、たいていは喫茶店に行きたかった、ボーリングに行きたかった、ああいう子供たちですから、トルコぶろということを言うのは少のうございますが、中にはヌードスタジオに行って非常に興味を持ったというので、小づかい銭がほしいということで犯罪を犯しておるわけですから、そういう意味からいたしまして、この前の改正のときに、たとえば深夜喫茶店構造の中で十ルクスまでいいとこうなった。高さやなんかの制限もあったはずですが、現実に行ってみますと、非常に低いところに十ルクスでございます。こう言うわけです。われわれが行けば十ルクスの明るさにしておりますが、さてわれわれがいなくなるともうちょっと暗くしてしまう。同時に、高いところから照らしていませんので、高いすなんかで遮蔽してはいけないと改正されたのですから、見通しはつくわけですが、それにしても下だけを照らしておる。この照度の問題にしても、これでいいというわけにならないと思うのです。深夜の営業ですから、なぜもっとこうこうと明るい中でやらせないのか。そうすれば多少でも健全な気風というものが生まれてくるだろうと思う。あの暗さの中で、男女がしっかりと抱き合っておるという情景を見ましたときに、はたしてこの改正だけでいいのかということになるわけです。こういう照明の度合いの問題等について、違反件数等も出ておりますが、特にひどかった事例を述べていただいて、それに対して、今回の改正は従前に比べてどういう効果をねらってやったかというその改正目的を言ってもらいたいのです。
  12. 大津英男

    大津政府委員 明るさの問題につきましては、御指摘のようなことが行なわれておるという状況でございまして、警察官がその照度違反につきましての取り締まりをするにあたりましては、非常な困難も実は来たしておるというのが実情でございます。と申しますのは、警察官照度計を持ちまして喫茶店取り締まりに入りますと、警察官を認めたとたんに、切りかえの装置を働かせますと徐々に明るさが明るくなってくるというようなこともやるわけでございまして、その装置そのものを押えなければ、なかなかいままで暗かったものを、照度計で暗かったということを証明をすることは困難であります。そういう意味で、警察官照度計を持ちまして照度違反取り締まりに参ります際には、一人の警察官ではなかなか目的を達することができない。どうしても三人あるいは四人が一組になりまして、喫茶店照度違反取り締まりに行かなければ、そういうことを押えていくということができない、こういうようなことでございます。また同時に、お話がございましたように、現在の総理府令響き方が、客席におきまして食卓等があります場合には、通常飲食物が置かれる位置におけるその上面及びその上面の高さにおける客の占める部分ということで、大体そのまわりだけが明るければいいというふうな解釈をしておるようでございまして、そのために全体としては十ルクスということが及んでいかない、こういうような状況にございますので、この点につきましては、この次に私ども総理府令改正いたしまして、もっと全体が明るくなるような方法を、総理府令改正いたしてやってまいりたいと考えておる次第でございます。客が通常利用する部分ということが、テーブルだけでなしに、テーブル周辺に及びましても明るくなっていく、こういうようなことに総理府令改正をいたしてまいりたい、かように考えております。
  13. 本島百合子

    本島委員 それでは、本質的な問題にちょっと入らしていただきます。飛び飛びになりますけれども。  この改正案でまいりますと、地方条例にゆだねる点が非常に多いわけなんです。そこで、これが発表される前からいろいろ論議がされておりまして、各県ともそういう地帯を持っているところでは研究もされてきておるようです。東京都のような場合におきましては、もうすでに御承知であろうと思いますが、東京都議会で決定を、これはこれからするそうですか、大体都知事は、東京都の二十三区と市に適用したい、こういうふうに幅を広く考えておるのですね。そうすると、警察庁のほうでは、そうでなくて、二十三区のところだけを考えよう。あるいはまた、その議員の中では、それは困る、そういう地域をもし制限されるならば、いままでなかった地域に全部また移行していくじゃないかというようなことで、これはもう東京都のような場合は全都的になすべきだという、三つの案が出ておるようであります。こういう問題に対して、地方条例できめるということになれば——これはある程度の線は、皆さん方のほうでも御努力になって、二十三区はとにかくやめようじゃないかというような御意見のようでありますが、もしこういうことになって、地方府県にまかした場合に、あなた方が考えている、また、私どもは絶対に禁止をしてもらいたいという気持ちが強い私たちの希望からいわせれば、ほど遠いものができるんじゃないか。県なんぞでやりますときには、どうしてもいろいろの情実にからんで、思うようにいかないという結果が住まれることが多いわけなんです。そこで東京都は、昨年の十月、議長名をもって、政府に対しまして、法令でもってきめてもらいたい、そうでなければ、条例の範囲ではとてもこういう悪の温床になるべきところを押えることはできないんだ、こういう内容の陳情がされておったはずであります。そういう点について、現在の段階でどういうふうに考えていられますか。
  14. 江口俊男

    江口(俊)政府委員 先ほど申し上げましたように、全面的に喫茶店を、時間を限って、全国どこででもやれないということにすることについては、この改正案を練る途中におきましても、ある程度の疑問が出たわけであります。だから実際上、それと同じ効果があるような方法を講ずればいいんじゃないか。条例実情に応じた規制をするということで、実際上は影響のあるあらゆるところを禁止していけばいいというような考え方から、法文上は多少のゆとりを持たしているわけでございます。したがいまして、実際上の効果が上がるということを目標にいたしまするから、各地方の実情とはいっても、なるたけその法律の趣旨に従ったような範囲に施行さしたいということで、現に、まだ法律の通らぬ前でございまするが、一昨日でございまするか、主たる府県の担当官を呼んで神々打ち合わせをしておりまするし、できましたならば、全国の担当者について、こちらの考え方を浸透させ、調整をはかるつもりでございます。特に東京都について申し上げますと、三つの考え方があって、警察のほうは一番狭いところを考えているんじゃないかというようなお話がございましたが、それは逆でございます。警察としましては、私の連絡を受けておる限りにおきましては、二十三区はもとよりのこと、他の都市ももちろん、それから町村におきましても、幾らかでもにぎやかなところで、禁止すればにぎやかでないところに逃げていくであろうと思うところは全部ひっくるめた範囲でやっていくという方針で現在案を練っている状態でございます。
  15. 本島百合子

    本島委員 そういたしますと、東京都はそのようになりますが、各県ではどういう結果になるでしょうか。一応こういう状態で繁盛してきたものが、東京都で押えられたからといって、全部営業をやめるというわけではないでしょうし、どっかの地域にまた新しい天地を開拓する、こういうことにもなりかねないと思うのですが、いま連絡会議をやってとおっしゃっておりますが、そういう点ではどういう見通しでございますか。
  16. 大津英男

    大津政府委員 東京都につきましては、いまのお話でございますが、その他の指定都市につきましては、やはり全面的に考えなければいけない。そのほか、その周辺につきましても、お話のように、そういうものが移行するということも考えられますので、そういうものも対象に考えていかなければならない。大体こういう意見で現在検討中でございます。
  17. 森田重次郎

    ○森田委員長 本島先生、齋藤社会教育局長が文部省からお見えになっております。
  18. 本島百合子

    本島委員 それでは関連して聞かしていただきます。  いまの御答弁がありましたが、麻薬の問題のときに私ども痛切に考えたのです。あの多発地帯、濃厚地帯に視察に参りまして、徹底的な取り締まりをしろ、こういうわけでがんばってきたところが、そういうところは最近はだんだん減っております。そうして、どっちへ行ったかといえば、これは分散されて、中都市から小都市のほうに移行して、現在非常に取り締まりが困っておる、こういう状況を呈しておるわけですが、深夜喫茶店のような場合でも、こういう傾向があるんじゃないかという危惧があるわけなんです。そこで、これは地方条例にゆだねるのではなくて、やはり本法の中で規定すべきだという意見が圧倒的に強いわけなんです。これは各県ともこういう意向で、今日までこの改正を迫ってこられたわけですが、そういう点、大臣がお見えになっておるようでございますので、その点をどうお考えになるか。これは将来、やはり条例にまかせるということは、本法がある限りにおいては、それを越えてはならないということになるので、地方のその地区地区においてのいろいろの差が出てくるわけなんです。ですから、分散させるという一つの危険性があるのと、同時に、地方条例にまかせた場合に非常に困難が生じてくる、したがって、これはやはりこの法律の中で明確に規定してもらいたい、こういう要望、こういう点について大臣は、いまの段階においてはむずかしいと御答弁があるような気がしますが、その点をもう少し親切に、将来の見通しも麻薬等の問題とかみ合わせて考えて一これを存続させる御答弁が強かったのですが、私どもは、何としてもこの深夜喫茶店は廃止して、そうして、どうしても深夜に働く人たちのためには、大衆的な食堂あるいはすし屋とかそば屋さんとか、そういうもので特例を設けて認めたらいいじゃないか、夜の夜中までお茶を飲んでいる必要はないんだ、こういう気を持っているものですから、そういう意味合いでひとつ大臣の御見解を聞かしていただきたい。
  19. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 私も本島委員と全く同感でございまして、私の個人的な性格から申しますと、今日の深夜喫茶の状態はまさに悪の温床であるし、そこに働いておる方々もたいへん気の毒だと思います。私はこういったことは禁止したいということは精一ぱいでございます。しかし、いまこの法案を準備いたしました事務当局から聞いてみますと、やはりそういう手荒いことを一刀両断にいたしますということは、営業の自由だとかいろんな重要な問題にもからんでくるので、一応こういう扱いにした、しかし趣旨は本島委員がお求めになっておることと大差ないように私に耳打ちをいたしておりますが、そういう考えでひとつこの法律をお読み願いたいと思います。
  20. 本島百合子

    本島委員 この法律改正というのは、御承知のとおりこの前は三十三年ですから、本年三十九年に入っているわけで、そうするとかなり長い年月がかかったわけなんですね。ですからこういう改正のときに、やはり抜本的なものの考え方を持っていなければならなかったと思うわけなんです。そこで、地方条例にゆだねる線があまりに多過ぎて、本法で規定するような線というものが、いま大臣答えられたように、将来そういうものがだんだんなくなっていくというような形にはたして持っていけるかどうかということは非常に疑問だ、むしろそのことによってもっとできやしないだろうか。しかも東京のような大繁華街でなくて、変わった形でできてくるという危険性があるというふうに思えるわけなんです。そういう点では全国のおかあさんたちの代表者たちも、深夜喫茶店は、人間どうしてもなくてはならないという営業ではないのだから、この際禁止をして、大衆食堂的なものだけを残すというような形にしてもらえば一番いい、これがすべてのおかあさん方の願いだったわけなんですが、それが入ってきておりませんので、これは、この本法の中でも、今回の改正の中でも、できるだけひとつそういう精神を貫いてもらいたいと思うわけです。  もう一つ大臣に承っておきたいと思いますことは、深夜喫茶店そのものの営業が悪いとかいいとかではなくて、その環境が非行少年を生み出すような状況になっておるわけなんです。その生み出すもとを私たちがなくしていくということは、決して憲法違反にならないと思うのです。そういう喫茶店をなくすということになれば、常に憲法違反だ、憲法違反だという声が出て、私ども圧迫を受けてきたわけなんですが、憲法違反にならないと思うのです。ということは、結局国家社会の風俗なり社会の安寧秩序を乱す、そういうもとになるもの、これを取り除くことは憲法でもうたわれているわけなんですから、こういうことが思い切ってやれないはずはなかったと思うのです。こういう点で憲法上の問題について、これを禁止するということになった場合には違反の疑いがあるとかないとか、そういう考え方大臣はどういうふうにお持ちになっておりますか。
  21. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 先ほど申しましたように、法律で全町的にこの営業禁止するやり方というものは、法制局でも憲法との関連において、若干の疑義を持って見ておるようでございますが、いま本島委員が仰せになりますことは、先ほど申しましたとおり、何も夜中に特にああいうところでお茶を飲まなければならぬわけもないし、またボーリングども、これはスポーツだけれども、今日、十時から夜中にかけてのボーリング場の実態というものは、私は調査いたしませんけれども、ずいぶん耳にしておるわけであります。特に深夜喫茶の弊害は目に余るものがあることもよく承知いたしておりますし、今日の段階ではこの程度の扱いにいたしておりますが、しかし地方の条例にゆだねることになりましても、ただいま御指摘になりましたような精神は貫きたい、そういうふうに指導したいというふうに考えております。
  22. 本島百合子

    本島委員 文部省社会教育局長さんがおいでになっておるそうでございますので、いまボーリングの話も出たのでお尋ねいたしますが、参議院答弁のときに、スポーツとして、健全スポーツとは考えていらっしゃらないと思うのですが、ボーダーライン的に何か考えなければならぬじゃないだろうかというような御答弁があったわけなんです。その点、その後御検討されているはずですが、ボーリングに対してどういうふうにお考えになっておりましょうか。
  23. 齋藤正

    ○齋藤(正)政府委員 ただいま御指摘のありました参議院における法案の審議の際に、実はスポーツのことでございますので体育局長お答えしたと思うのでございますが、それがスポーツであるかスポーツでないかという御論議がありましたときに、スポーツというものをどう定義するか、それから現在の体協その他の運動競技の組織との関連でどうか、まだ、体育協会等に加盟したいという声はあるけれども、他の競技と同じように加盟もしていないというような実情から、体育行政の上から直ちにこれがスポーツであるとかないとかいうことの言明を避けたように私、局長から承っております。ただ、平たく考えまして、何らかの意味で、身体を動かすことによってレクリエーションにもなるという意味でありますれば、ボーリングの競技そのものは身体的な活動でありましょうから、他の外国の例から見て別に弊害のあることではない。ただ、言われておりますように、青少年が深夜にわたってそういうところに出入りをする、そうしてその場所が、青少年の育成の上に障害になるような雰囲気の中でそういう活動を行なっていること自体は非常に困るという考え方を持っているわけでございます。
  24. 本島百合子

    本島委員 少しも進展していないように思えますけれども、業者のほうがある程度自粛をする、こういうことを発表したわけなんです。その自粛のしかたはどうなんですか。同時に、その自粛をした程度において青少年の人々が深夜に——深夜をやらせないといっておりますから、深夜に行かなくなるでしょうけれども、さっきも喫茶店の問題で申し上げたように、おとなか子供かという判定がつかないほど体格のいい現在の子供たちですから、なかなかこれも判定がむずかしいだろうと思うのです。そこで、健全なスポーツである限りにおいては、深夜にやる必要はないということになりますので、時間の制限等ができるかどうか、その点を思い切ってやれますかやれませんか。青少年ばかりでなくて、ボーリングそのものを十時なりあるいは十一時なりということで切ることができるかどうか、そういう権限がどこにもないと思うのですが、どうにかしてできるというお考えがありますか。
  25. 齋藤正

    ○齋藤(正)政府委員 私申し上げましたのは、私の関係する仕事の青少年問題という観点から見て、心身ともに未熱な青少年が深夜にわたってそういう運動をする必要もなかろうし、またそれによって誘発されやすいいろいろな環境にある。非行や問題行動を起こす原因になるようなことからは避けてもらいたい。その実情につきましては、むしろ私どもも絶えず警察庁ないし警視庁からの状況を伺っておるのでありますが、まだ深夜にわたってやっておるところが一カ所でございますがあるということを承知をしておりますが、実は先般も文教委員会先生方のおともをいたしまして後楽園のボーリング場視察いたしました。ここでは、そのときには未成年者が多くいるという状況ではなくて、大体において、見たところは若いサラリーマンかあるいは職業婦人というような方あるいは学生と思われるような方が多かったようにその場では見ておりました。しかし、なお警察のほうのお話を伺いますと、深夜に打ち切っていないというところがあるようでございます。
  26. 本島百合子

    本島委員 厚生省おいでになっておりましょうか、実はトルコぶろのことで……。
  27. 森田重次郎

    ○森田委員長 厚生省まだ見えておりません。すぐ呼びます。
  28. 本島百合子

    本島委員 それでは大臣にお尋ねいたしますが、このトルコぶろだとかヌードスタジオ、こういうものは風俗営業に属すると私どもは考えるのですけれども、それが先ほどからも説明になっておりますように、浴場法の改正あるいは興行場法改正を待たなければそれができない、こういった答弁をずっと参議院から今日まで続けておられるわけです。こういう風俗に影響があろうと思われる業種、こういうものをこの中にはめることはできないのでしょうか。この点が明確になってくれば、私どもは今日いわれておるところのトルコぶろにおける、私ども脱法行為というのですけれども、向こうにすれば正当だというのですが、たとえば昔はふろ屋さんは三助さんといって男の人がいてやっておった、これの変形でもってトルコ嬢ができたわけなんですが、トルコ嬢はあんまの資格を持っていない、三カ月くらいで一般に個室に入っておる。厚生大臣はあの個室はなくしてしまおう、こういうことを言っておられますようですけれども、これはやはり風俗営業の中に入れて一つの規制を加えていったほうがいいのじゃないか。またヌードスタジオなんかというものになってくれば、これは何か目的があるのか私どもはわかりませんが、しかしそこへ行っている人の話を聞いたらば、非常に興味があるというのです。私どもも現地を視察いたしまして、初め何をやるのかと思ったらぱっぱっぱっと衣類を脱ぎ去ってしまいまして、最後の一枚のところに手を触れてきたのでこれは一体どうするんだろうと思ったら、非常に細いひものようなもので隠してしまったのです。鉛筆と紙を持たせられましたが、実際何をするか私どもはわからなかった。いろんなかっこうをして見せる、あなた方は気にいったかっこうをそれだと言ってくれれば、そのかっこうをして、あなた方はかくのです。こう言われて、へえそうかなと思ってまねごとでかいてみたけれども、恥ずかしくてさっぱり私どもはかけなかったのです。ところが、これには子供たちは非常に興味を持つわけなんです。未知の世界に入るという心理も動いてくるわけですから、これが非常に青少年犯罪等に影響を及ぼしてきていると私思うわけなんです。ということは私のところにいた青少年犯罪者の中で、その話をしておったものですから、びっくりしたわけなんです。こういうものを風俗営業の中に入れられないという——現在法律があるからそれに立てこもって、どうしても一つにはできないというような考え方なのか、本質的に入れることのできないものなのであるか、この点をお聞かせ願いたいと思います。
  29. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 だんだんきわどい話になってきたわけでございますが、木島委員のおっしゃることは私にはよくわかるわけです。しかし法の形態が、風俗ということばは解釈によりましてはたくさんのものを含むわけでございます。それを一括してこの法案の中で扱うということになりますと、また別の面でたいへんな支障が出てくると思うわけです。この法律は、ここへ警察当局が出てまいっておりますとおりに、主として警察で取り締まれる意味風俗営業に関して規定をしておるわけでございまして、いまおっしゃるようにきわどいことになりますと、わいせつというふうなことになりますと、これは法務省といいますか刑法の問題になってまいりますし、それから多くはそれが一歩進んで売春的なことになりますと、またこれは別のたてまえから扱うことになって、いろいろ錯綜しておるわけでございまして、それは何らかの形で一本化して——今日のようなこういう暗い世相のもとで、しかも特に青少年をむしばむようなこういう事態がばらばらな形で取り締まられているということは、私もあまり釈然といたしません。いたしませんけれども、そういう現在のたてまえで法を提起いたしておりますので、これを総合的にどうするかということは将来にわたって検討をいたしたいと思います。
  30. 本島百合子

    本島委員 厚生省環境衛生局長さんがおいでになったようでございますので、私、時間もございませんので、簡潔に結論だけ聞かしてくださいませ。  この前厚生大臣トルコぶろなどをお視察になった。ヌードスタジオにおいでになったかどうか新聞ではっきり見ませんでしたが、多分視察してくださったと思いますが、その結果、トルコぶろについては個室等を廃止する、こういうようなことが宣伝されております。ほんとうに廃止する意思があるのかないのか、浴場法の改正をいつごろして、これを廃止する方向に時っていくかどうかということが一つ。  同時にトルコ嬢の取り扱い方は、いままであんまの資格でなしにやっておりましたので、これをほんとうに正規の資格を持っておる者にかえてやるかどうかということであります。これはいろいろむずかしい問題があると聞いておりますが、現に六千何両名トルコ嬢がいるというのですが、ほとんど若い人たちです。この人たちが三カ月、三カ月もやらないでやっているのもあるそうですか、そしてマッサージをやれば刀に十五万から二十万の収入がある。こういうことになりますれば、これは正規のものでそれだけの収入があるとだれが考えても考えられない存在なのです。こういう点について将来はり、きゅう、あんま師等の問題とあわせて、どういうふうに改正する場合にはしようとなさるのか、腹案がおありになったらばお示ししていただきたい。できれば先ほど私、質問いたしましたように、こういうものはひとつ風俗営業のほうにでも入れて、取り締まりをもっと厳重に、規格もきめてもらうことがいいのではないか、こういうふうに考えておりますが、その点もあわせて御見解をお示し願いたい。
  31. 舘林宣夫

    舘林政府委員 お答えいたします。トルコぶろ風俗的な見地からする規制につきましては、先般来国へ会でも種々御意見が出されまして、厚生大臣みずからお話しのように現地も視察せられました。厚生省といたしましても、関係の行政庁の方々と数度打ち合せをいたして今日まで至っておるわけであります。その取り扱いは、もちろん将来において法律改正をいたしまして十分規制をするという方法もございますが、当面これをどうするかということに一応私どもはしぼっていま対策を考えているわけであります。  当面これに対する規制を考えるといたしますと、該当法律といたしましては、公衆浴場法があるわけでございまして、公衆浴場法の第三条に、公衆浴場を営業する者は入浴者の「風紀に必要な措置を講じなければならない。」という条項がございます。これをもとにいたしまして、トルコぶろ風紀規制をはかってまいるということを一応私どもとしては目下考えておるわけでございます。その際、どの程度現行法によってできるかということでございますが、たびたび問題となっております個室を禁止するということは、構造上の制限になるわけでございます。その構造上の制限に関しましては、現在公衆浴場法の第二条に規定がございますが、この規定の及ぶ範囲は、公衆衛生上の見地からということになっておりまして、そういう意味合いからいたしますと、直ちにこの第二条を適用いたしまして個室を廃止するということになりかねるのでございまして、どうしてもトルコぶろ風紀規制は、第三条の規定を適用せざるを得ないということで、第三条の適用の範囲ということを検討いたしておるわけであります。ただ、御指摘のように、トルコぶろの相当な部分においては、風紀上いかがわしい行為が行なわれておる気配もあるわけでございまして、何とかしてそのような風紀を乱すような行為が行なわれないような措置を講ぜしめるということは必要かと考えるわけであります。ただ、この公衆浴場法法律の運用に関しまして昭和二十三年に厚生省が次官通達をもって見解を明らかにしたところによりますと、私どもの基本方針としては、この風紀規制というのは、男女混浴というようなことが主体となって考えられるべきであるというようにいたしておりますとおり、この第三条の適用の範囲というものは、必ずしも広いものでないわけでございます。本来公衆浴場法は、公衆保健が目的法律でございまして、風紀規制が主目的でございませんので、なかなかこれをもって十分な規制をすることがむずかしいのでございますが、一応私どもが現在考えておりますのは、従業員が裸体に近いような服装をもって入浴客に接しておるというようなことをやめさせる、あるいは個室が完全個室の形になって、その中でいかがわしい行為が行なわれるような個室でないような何らかの措置をする法はないか、あるいは経営者に、その従業員に風紀を乱すような行為がないような指導をさせるというようなことを中心に現在考えておるわけであります。そのような通達によりまして、それぞれ都道府県においてこれに基づいた条例をつくってもらいまして、それによって取り締まっていきたい、かように考えておるわけであります。さらにこれ以上の規制となりますと、都道府県の単独条例のような形のものが考えられるわけであります。たとえば個室を制限するというようなことは、やはりそういう措置を現在のところ講じなければできないたてまえになっておるわけであります。  それから、お尋ねのございましたマッサージの問題でございますが、確かに現在のトルコぶろの従業員が行なっております行為は、マッサージ法に触れるおそれのある行為であることは御指摘のとおりでございます。ただ、これが完全にいわゆるマッサージの行為であるか、あるいはもっと単純な行為であって、まあ軽くからだに手を触れるという程度のものであるかということから、これを直ちに法律的に規制をして資格を持たせるということに現在まだ踏み切るに至っておらぬわけでありますが、これがマッサージの取り締まり法律に抵触する程度に考えられますれば、当然規制をしてまいらなければならない、かように考えておるわけであります。
  32. 本島百合子

    本島委員 ただいまの御答弁で私思い出したのですが、大体トルコぶろ風俗営業法のほうに入れたほうがいいのではないかという意見を厚生省のほうでは持たれたはずだと思うのです。そのときに警察庁のほうは、どうもそれは困る、厚生省のほうでやってくれ、こういうようなことで、両方で譲り合っておるというようなことが世評にいわれておるわけなんです。これはもともと厚生省所管となるのでしょうけれども警察庁のほうは、われわれから言わせればもうはっきり売春とはいわなくとも、それに近いようなものがあるのじゃなかろうかという一般の定評になっているこういう場所に対して、厚生省公衆浴場法での改正でこれがうまくいくかどうか疑問だと思うのですが、そういう点、どう考えておられましょうか。私ども、できるだけこういうことがなくて、むしろ盲人のあんまさん等は職場がなくて、また晴眼者やあるいはその他の療術師等によって職場を奪われておるというかっこうになっておるのですから、そういうところには盲人のあんまさんを、優先的にりっぱな治療室を設けて置いてもらったほうがいいのじゃないか、こういう気がするのですけれども、そういう点、どうでございますか。
  33. 江口俊男

    江口(俊)政府委員 ただいまのお話は、参議院の段階におきましても十分御論議を願い、また昨日も私どなたかにお答えしましたと思いますが、確かにそういうことを話し合ったり検討したりした段階はございます。しかし、だんだん考えてみますと、現在のトルコぶろ、個室を許したままにおけるトルコぶろというものを、警察立場において、どこまでならいい、どこから先がいけないというようなけじめはつかない。私のほうに取り込むとすれば、個室はいけないというところにいくのが、私、筋だと思います。売春禁止というもののたてまえからいけば。そうすると、個室をなくしたトルコぶろということになれば、今度はこれは現に厚生省でやっておられる公衆浴場そのものになるわけでございまして、それだけを今度警察取り締まりのほうに持ってくるというのも変なもので、まあ私たちは、トルコぶろの個室のありまする現状というものを中心として考えますと、ことばは悪いのですが、オール・オア・ナッシングのような感じて、取り込む余地がない、これまでなら風俗営業として取り込んで残しておいてもいいという限度がないように思いますので、いまのを残すならば、現在の法律による規制を、条例でやればできるのですから、もう少しきちっとおやりになるのがやはり筋じゃなかろうかということを申し上げておるわけであります。
  34. 本島百合子

    本島委員 最後に要望いたしておきます。  これは、三十三年の改正のときにも、この程度の改正ではとうてい悪の温床となるものを阻止することはできないから、徹底的にこれは禁止の方向に向かっていくべきだという主張をした私どもにしては、ぜひとも将来こういう深夜喫茶店等がないように、あるいはまた社会環境の中からいかがわしいと思われるヌードスタジオあるいはトルコぶろの現在の運営のしかた、こういう点を是正してもらいたい。ボーリング等におきましては、あれは非常に金がかかるのです。健全スポーツなんといわれても、私どもは、あれだけの金をかけて入場する、あるいは服装を整える、そうしてやっていく、まあああいうものは、簡単な資本ではできない場所ですから、必然的にそういう金が映るわけでしょうが、そういうものがはたして健全な身体をつくっていくために役立つものかどうか、むしろ悪の温床になりがちなものだと感ずるわけなのです。ですから、そういうような点を一つずつでも私どもはなくしていかなければならぬ。そのために、憲法違反というおそれの問題が先ほど大臣から御答弁がありましたけれども、社会にとってガンとなるべきものは取り去っていくというような勇気をもちまして改正してほしい、そういうふうに願うわけですが、この改正につきましても、もう少し修正等を思い切ってやっていただいて、そして世間の子供たちも、また母親たちも、安心して明るい社会へ——人づくりを主張しておられる池田内閣ですから、ぜひそういうふうにやってもらいたい。要望いたしまして私の質問を終わります。
  35. 森田重次郎

    ○森田委員長 大西正男君。
  36. 大西正男

    ○大西委員 私は、前の質問者の質問がございましたから、なるべく重複を避けて簡単にお伺いいたしたいと思います。  まず順序といたしまして、今回この風営法の改正政府におかれて企図されました動機と申しますか、ねらいといいますか、そういうものについて承りたいと思います。なお公安委員長は御就任の前のことでございますから、適当に事務当局から承っておきたいと思います。
  37. 江口俊男

    江口(俊)政府委員 これは早川前委員長のときのことでございますので、私が便宜そのいきさつを御説明いたします。  青少年問題が世間の重要な関心事となりましてから、警察庁といたしましてもいろいろ考えを練っておったのでございますが、ちょうど昨年の秋でございます。前委員長の発案で、自分たちがいろいろ考えるのもいいけれども、そういうことに関心を持っておられる学者だとかあるいは実務家だとかあるいは教育者というような方々の意見を聞いて、そのことからいいヒントを得たならば、手を打つべき点は打ったらよかろう、こういうような企てがありまして、二回にわたりまして、私の記憶ではおよそ十四、五人ずつ二回だと思いますから、三十人くらいの方にお集まりを願いまして、熱心に三、四時間ずつ論議をかわしたのでございます。いろいろな御意見が出ましたが、その中で現在の非行青少年のたまり場になっているものに深夜喫茶というものがある。これをこのままほうっておくことは——ほかのどういう施策をするよりもこのことに手をつけるということが実効があるという意見がある方から出まして、そのことをめぐっていろいろな方の御意見を徴したり、あるいは実際に取り締まりに当たっている警察官等の意見も総合してみますと、まだほかにもいろいろあるようであります。たとえば現在の映画の看板というようなものに刺激された犯罪というものが非常に多いとかなんとかで、深夜喫茶ばかりではございません。いろいろございましたが、とりあえず法律に取り込んで、何とか改正を急に要するものはこれじゃなかろうかということになりまして、その後この法案をいろいろいじくって、今度の国会にぜひ御審議をいただきたいという方針がきまりまして、ただいま御審議を願っているような——これだけでは足らぬというような意味の御不満の方が非常に多いのですけれども、とりあえずこれくらいのことは、応急の措置としてでもやっていかなければならぬという考えのもとに、この法案を提出した次第でございます。
  38. 大西正男

    ○大西委員 いま昨年の経過を承ったのでありますが、その結果、最小限度に少年の非行をなくしていく取り締まりといいますか、そういうことを実現するために今回の改正案を提出するに至った、こういうお話でございます。それにつきまして、ひとつ少年非行の事例、最近の傾向、数、その原因、そういったものを簡単に承っておきたい。
  39. 大津英男

    大津政府委員 三十八年中にありました少年非行につきましての警察の補導状況からまず申し上げたいと思います。  三十八年中に補導いたしました刑法犯少年は、十四歳未満の触法少年を含めまして二十二万九千七百十七人、三十七年が二十二万七百四十九人でございますので、八千九百人ばかり増加をしておる、こういう状態でございます。この数字は犯罪少年と触法少年に分かれるのでございますが、犯罪少年のほうは一万一千人ばかりの増加で、触法少年のほうはわずかでございますが、二千四百人ばかり減少しておる。総計ではふえておる、こういうようなことでございます。また十歳から二十歳未満の少年人口千人当たりの模様、犯罪者率として見てまいりますと、三十八年中の犯罪少年が一四・一人、触法少年だけでは六・九人、両者を合わせて考えますと一一・三人、こういうことでございまして、犯罪者率では前年に比べまして〇・五人の増加、こういうような数字が出ておるわけでございます。傾向といたしましては、やはり低年齢層の十四歳、十五歳というものの刑法犯が多い、これが少年犯罪全体の二八・七%を占めておる。この次が十八歳、十九歳の二五・四%、十四歳米満が二四・一%、十六歳、十七歳が二一・八%、こういう数字を示しておるわけでございます。  なお、そういう刑法犯の罪種を見てまいりますと、やはり窃盗が最も多いということでございまして、少年刑法犯の五九・二%を占めております。その次が粗暴犯、凶悪犯、知能犯、風俗犯、こういう状況になっておるわけでございます。  なお、特別法犯関係は、道路交通法あるいは銃砲刀剣類等取締法、軽犯罪法等その他の特別法がございますが、こういう面につきましての少年の数は七十七万二千四百四十五人でございまして、これは前年に比べまして若干の低減をしておる、こういうようなことでございます。  それから警察がほかの機関、民間その他とも協力いたしまして街頭補導その他をいたしておりますが、いわゆる虞犯不良行為少年、この数は九十九万三千八十二人ということでございまして、喫煙が最も多い。それから学校をサボっておるとか、不健全娯楽、夜遊びその他、こういうふうなものが非常に多くなっておる、こういう状況でございます。  こういうことでございますが、少年非行の傾向といたしましては、やはり集団的な非行が最近ふえてきておるということ、それから中流家庭の少年にまで非行がだんだん及んできておるというような点、あるいは学生生徒のそういう非行が多いとか、こういうふうな傾向が見られるわけでございます。原因はいろいろむずかしい点がございまして、一がいには言えないのでございますけれども、やはり最近の少年の身体の発育というものは非常に成熟が早く、身心のアンバランスというようなことも一つの大きな原因であると思いますし、あるいは消費的な面が非常に盛んになっておりますので、そういう享楽的なものを求めるといいますか、そういうふうな動機からの犯罪というもの、いろいろそういうことが出てきております。そういうようなことがございまして、非行少年の三十八年度中におけるところの非行の傾向というものは、これからさらにいろいろ分析をし、また対策もそれに応じて強くやってまいりたいと考えておるのでございますが、詳細につきましては、資料の御要求等もございましたので、そういうものにも触れまして差し上げるようにいたしたいと考えております。
  40. 大西正男

    ○大西委員 いまお話を承りました中で少年非行の原因でありますが、中流家庭の子弟の中にもそういう非行少年がふえておるといったようなお話もあったわけでございます。原因と申しましても非常に多岐にわたっておると思われるのでございますが、その少年の非行と広い意味での教育、家庭教育もございましょう、学校教育もございましょう、あるいは一般的な社会教育といった面もございましょうが、そういう面で、この原因について教育の面から何か考えられる点がございましょうか。
  41. 齋藤正

    ○齋藤(正)政府委員 非行青少年の原因につきまして、先ほど警察庁からお答えがありましたように、端的にこれがということの指摘がなかなかむずかしいのでありますが、私どもは自分たちの仕事の中で何が欠けているかという観点から、いろいろここ二、三年検討いたしておるわけでございます。一つは学校教育における人格形成の面での充実、あるいは道徳教育でありますとか生活指導というようなものを強化してまいらなければならない。第二は、家庭におきます両親その他上長の者の指導という面で欠ける面があるのではないか。特に最近の傾向として、警察庁からお話になりましたように、一見経済的にも問題のないような中流以上の家庭においての子弟から非行青年が出るというようなことを見ますと、ある者は幼少からの過保証というようなものが原因になっていることもございましょうし、あるものは放任というようなことがだんだん積み重なってきて、ささいな日常の行動でしつけるべきこと、そういうものを欠いてきたことがだんだん積み重なって、ある状況に立ち至った場合に、自分で自分を制御するという力を失って非行に走るというようなことがあろうかと思うのであります。私どもといたしましては、学校教育の面では、道徳教育あるいは生活指導というものに重点を置く。また、ことに中学校の段階におきます生徒の非行増加に伴いまして、学校における生活指導の充実ということで、生活指導担当の職員の資質を向上するための措置をとりますとか、また社会教育の面では、成人教育の一分野といたしまして家庭教育を振興する必要がある。家庭教育について両親が考え、学ぶ場所を拡充する必要があるということで、本年から家庭教育に関するいろいろな研修の場というものを拡充する予算措置をとったような次第でございます。
  42. 大西正男

    ○大西委員 今回のこの法案は、取り締まりの面からの対策の一環としての法案なのでございます。少年の非行をなくして、次代を背負うといいますか、次のゼネレーションである青年の育成ということにつきましては、単に取り締まりをなすということはきわめて消極的でございます。したがって、積極的に、指導ということばがいいのか悪いのかは存じませんが、いい意味における善導をやはり少年に対してはしなければならぬのじゃないかと思います。国といたしまして、次代を背負う少年に対して、積極的にあらゆる面で、非行を取り締まるのではなくして、非行がおのずからなくなっていく方向に導いていかれるように一そうの努力をなさることを要望しておきたいと思うのであります。  次に、深夜喫茶等におきまして、少年非行が誘発される、あるいは非行少年のたまり場になっておるというふうなことが提案理由に掲げられておるのでございますが、それの事例といいますか、具体的にはどういうことがあるるのでございましょうか。またあったのでございましょうか。きわめて簡単でけっこうでございますが、何っておきたい。
  43. 大津英男

    大津政府委員 少年の深夜喫茶に出入しております状態というものにつきまして簡単に御説明を申し上げます。大体深夜喫茶に少年がどういう意味で入って、どういうことをしておるかということでございますが、これは昨年の秋、たまたま京都で調査をしたものでございますけれども、そのときにどういうことで入ってくるかという状況を調査してみました、深夜喫茶雰囲気に興味を持ってくる、あるいは異性と遊ぶのに適している、あるいは余暇を過ごすのに適しているために利用する、あるいは友だちと落ち合うのに適している、あるいは好奇心から立ち入るようになった、あるいは不良少年を誘い込む場所に適している、あるいは恐喝をするとか万引きの打ち合わせ、盗品をいろいろ交換をするというようなことにもちょうどいいというようなことが、いろいろ調査をいたしましたときに出ておるのでございますが、そういうこととともに、この深夜喫茶におきましてそういう動機で入ったことを、やはりその中でいたしておる。また睡眠薬遊びその他をこういう喫茶店の中でやっておる、こういうようなことが見られる状況でございます。
  44. 大西正男

    ○大西委員 それでは次に移りまして、先ほど前質問者との質問応答の中でも問題になっておりましたが、風営法における風俗営業というものの概念と申しますか、それについて現行法を見ますと、おのずからその間に観念が出てまいると思うのであります。たとえば第一条に風俗営業ということの定義のようなものが出ておるのでありますが、その一号から七号までを拝見いたしますと、大体いろいろの設備を設けて飲食をさせるということが要件になっておるものが大部分でありまして、その他は一つはダンスホール、ダンスをさせる営業、それからマージャン、パチンコなどの射幸心をそそる遊技といいますか、その二つのものが飲食外のものとして取り上げられておるようでございますが、これらを含めまして、風俗営業の概念を定義的に言うとするならば、どういうことになるのでございましょうか。
  45. 大津英男

    大津政府委員 風俗営業を定義をいたすということになりまするが、この風俗営業の第一条におきましては、それぞれの業種をとらえまして定義を掲げておるわけでございまするが、それを統合して申し上げますれば、やはりその業態におきまして、男女間の享楽的な雰囲気を醸成をするという業態、あるいは著しく射幸心をそそるような遊技をさせる、こういうものが業態として掲げられておるわけでございまして、やはり風俗犯罪を誘発するとか、あるいは善良の風俗を害するということが予想される、こういうことが一つのポイントになってきておるのではないか、かように考えております。
  46. 大西正男

    ○大西委員 先ほどボーリング場の問題が出ておりました。ポーリングというものはスポーツであるか、あるいは遊技であるかボーダーラインにある、こういうお話もあったようでございますが、ダンスというものも、男女が互いにやる社交ダンスのようなものをさしておるかもわかりませんが、ダンスといっても、やはりスポーツの面も非常に大きなものもあると思うのであります。そういう点から考えますと、ボーダーラインにあるボーリングというものも、現行法にあるダンスというものと同視し得るかもわからないというふうにも考えられるのでございますが、そう考えてはいけないのか。あるいは男女間にかかわるようなものを特に取り上げて、スポーツの面もあるけれども、風営法においてはダンスだけを取り上げておる。したがって、ボーリングスポーツと遊技の間にあるけれども、この風営法に考えておるのとは全然範疇が違うということになるのでしょうか。
  47. 大津英男

    大津政府委員 ダンスにつきましては、やはり和風の踊りというようなものではなくて、社交ダンスがさようなものになるわけでございまして、そのとらえ方というものが、スポーツという考え方でこの風俗営業では取り上げておらないわけでございます。むしろボーリングが、もしこの風俗営業に入ってきてもいいという要件があるといたしますれば、むしろ七号営業としての射幸心をそそる遊技をさせる営業になるかどうか。すなわち景品をかけるということで、ボーリングの玉をあてて、そうしてその結果によって景品を提供する。こういうようなことで射幸心をそそることになってまいりますれば、この七号営業としての風俗営業の業種に入ってくるということになるわけでございますが、現在のボーリング場においては、そういうことを営業としてやっておらないということで、この範疇には入っておらない、こういうことでございます。
  48. 大西正男

    ○大西委員 要するに今回の法律改正は、少年の非行をなくするということについて、最小限度の取り締まりというものを強化していこう、こういうことのようでございます。いまの問題につきましても、それらの視野から離れてものを考えますと、いろいろ問題があると思うのでございますけれども、その問題はその程度にしておきたいと思うのでございます。  次に、風俗営業等の制限とそれから都道府県の条例の問題でございますが、今度の改正案の第三条によりまして、風俗営業を営もうとする者の資格の制限を新設いたしておるようでございますが、この資格というものは、具体的にはどのような制限を加えるようなことを考えておられますのか伺いたいと思います。
  49. 大津英男

    大津政府委員 これは公安委員会が、営業の許可をするにあたりまして適当でないという者に対しては、許可をしてはならないということでございまして、その場合の制限の考え方といたしましては、わいせつ罪あるいは姦淫、賭博、売春防止法の違反であるとか、そういう風俗関係いたしますところの犯罪を犯して刑に処せられてから一定の年限を経過していない者であるとか、あるいは許可を取り消された後におきまして、その処分の口から一定の年限を経過しておらない者であるとか、配偶者、その他同居の親族の中にそういう該当者がある場合、こういうふうな者は、風俗営業を営むのに適当ではないということで、そういう人に関する許可についての基準を条例で定めるようにする、こういう考え方でございます。
  50. 大西正男

    ○大西委員 次に、いまの第三条には「風俗営業における営業の場所、」そういう字句がございます。それから四条の二でございますが、この中に「営業の場所」という字句がやはりございます。この営業の場所というのは、両方とも同じ概念であるのか、そしてそれはどういう概念であるか、それを伺っておきたい。
  51. 大津英男

    大津政府委員 第三条におきましては、風俗営業を営む者についての営業の場所についての必要な制限、それから第四条の二におきましては、設備を設けて客に飲食をさせる営業、簡単に申しますれば、飲食店営業の深夜の営業についての営業の場所の制限、こういうことで条文を書き分けておるわけでございますが、場所ということは、要するに営業を行ないます営業所の置かれる場所のことでございます。したがいましてその営業所の置かれる場所についての制限をどう持っていくかということでございまして、第三条におきましては、たとえば学校とか病院とかそういうものから百メートル以上離れておらなければならないとか、その他住宅地域、そういうところでは許さない。こういうふうな地域の指定をしていく。そういう地域内でそういう営業の場所を設けてはならない、こういうふうな考え方をとっております。これは現行法におきましても、すでに営業の場所につきましてもいろいろ条文がございまして、卸三条でそういう条例がつくられておるのでございます。第四条の二につきましては、今回の改正でお願いをしておる点でございまして、この場合の場所についての制限をどう持っていくかということでございますが、これはやはり一定の地域を限って、その地域内に営業の場所を置いてはならないというふうな制限になってまいるわけでございます。その考え方といたしましては、大体少年の非行が多いというようなところ、すでにこれは飲食店営業の許可が食品衛生法によって受けられておるものでございまするが、その深夜における営業規制するための場所の制限でございまして、その地域といたしましては、たとえば東京都におきましては、二十三区の区域、さらには市制施行地とか、あるいはもう少し広げて考えるとかというふうに、そういうふうな規制の仕方をしていこうというふうな考え方を持っておる次第でございます。
  52. 大西正男

    ○大西委員 そこで、ちょっとお尋ねしたいのですが、三条のほうは、許可する場合のことにかかるわけでありますので、許可を受けるほうは、どういう営業をしたいかということを具して許可を求めるわけでございましょう。だから、問題は起こらないと思うのですが、第四条の二の場合には、すでに営業を行なっておる飲食業、それは、風俗営業の範疇に属するもの一もあれば、そうでないものもあるわけでございますね。そこで、それらについて、単に場所——場所というのは、いまのお話では、地域的な空間の広がりだ、こういうことになると思うのでございますが、そこで、特定の営業者営業をしておるその営業の業種というものは、この場所の観念の中には含まれておらないのじゃないかと思うのですが、ちょっと順序は違いましたが、その点、いかがでございましょう。この四条の二の場所というものについては、特定の営業を行なっておるその業者の業種をも観念上含まれるものであるのかないのか。ちょっと質問の要旨が、説明が悪いですからおわかりにならないかもわかりませんが、これは要するに、単に地域的な空間の広がりだけを意味しておるものかどうかという点でございます。
  53. 大津英男

    大津政府委員 ちょっと私が勘違いをしておるといけないのでございますけれども、四条の二の営業の場所の制限につきましては、飲食店の営業の深夜におけるところの面について、善良の風俗を害しないようにするために地域を定めますると、そこでは制限をされて営業ができなくなる、こういうことになるのでございますが、その制限のしかたは、業種によって、この業種はこういう地域ではいけない、こういう定め方をする。そうでないというと、すべての飲食店営業が、十一時という深夜以後は一切なくなってしまうという不便も起こってくるのでございますので、したがいまして、私ども考えておりますのは、お話のような、種によって、たとえば深夜喫茶がいけないというのでございますので、喫茶店とかサロンとかというふうな酒類以外の飲みものとか茶菓、そういうものを提供する営業、こういうものについては、深夜喫茶廃止という趣旨にかんがみまして、そういう業種はこれこれの地域においてはという意味での地域指定をやっていきたい、こういうふうな考え方でございます。
  54. 大西正男

    ○大西委員 そこで、四条の二の場合に、そういういまおっしゃったような方法で業種を指定して、そして一定の場所では、深夜に営業をしてはいけない、こういうふうな制限の方法によって制限をするというお話でございますが、もしそうだといたしますならば、この法律の中に、その業種ということも書いておく必要があるのではないか。単に場所だけということでよろしいのかどうか、そこをお伺いしたいと思います。
  55. 大津英男

    大津政府委員 その面につきましては、条例によりまして規定することができるようなことになっておるわけでございます。これは地域だけの問題だけでなく、四条の二におきましては、そういう「営業の深夜における営業に関し、営業の場所、営業時間、営業を営む者の行為及び営業所の構造設備について、善良の風俗を害する行為を防止するために必要な制限を定めることができる。」こういう書き方をしておるのでございまして、条例によって、ただいま申し上げましたような業種については、こういう地域という定め方をする、また、時間のほうの質問はないのでありますが、業種によっては、何時以後はというようなことを定めるというやり方もあるわけでございまして、その意味で、そういう点を地方の実情に応じて、地方自治の精神に沿って規定をしてもらうという意味条例に委任をしておる、こういうような考え方でございます。
  56. 大西正男

    ○大西委員 条例に委任しておることは条文上わかるわけでございます。それから、営業の時間、営業を営む者の行為その他営業所の構造設備だとか、それらについて「善良の風俗を害する行為を防止するために必要な制限を定めることができる。」こういうことでございますが、そこで、営業時間も、もちろんこれに書いてございますから、適当にあんばいをして制限をすることができる、場所も適当にあんばいをして、この法律の委任によって条例で適当にあんばいができる、それから、ある業種の中においても、その営業の個個の行為については、さらにこの条文によって、営業を営む者の特定の個々の行為を、これまた法律によって条例に委任をして適当に制限をすることができる、こういうふうになると思うのでございますが、そこで、なぜ業種が必要でないかということなんです。つまり、いろいろの飲食をさせる、風俗営業関係のあるもの、あるいは、風俗営業法とは別個の法律その他によって深夜に飲食をさせる業種というものは、たくさんあるわけだと思うのですから、それらの業種を、特定のこの業種だけはいけないとかいうふうに、業種の制限もできるのだというふうに書いておく必要がないのかどうかということです。それを特にのけておられるのは何か意味があるのか。それでいいというふうにお考えであるのか。いいならばその根拠を承っておきたい、こういうことです。
  57. 大津英男

    大津政府委員 第四条の二におきましては、設備を設けて客に飲食をさせる営業のこれこれの営業に関し、こういうことでございまして、この営業に関しまして、そういうことでございますので、その営業にはいろいろな種別があるということになってくるわけでございます。したがいまして、その種別に応じて、場所とか時間等につきまして条例で必要な制限を定めることができる、こういう趣旨でございますので、お話のような、業種ということを書いてございませんけれども、そういう業種が、その営業に関してということで含まれておる、こういう考え方でございます。
  58. 大西正男

    ○大西委員 それでは、「営業に関し、」とあるから、「営業に関し、」ということの中に業種というものは書かなくともおのずから含まれておるのだ、こういうふうに解釈なさる、こういうことですか。——それではそういうふうに伺っておきます。  それでは、次に移りますが、今度は四条の三でございますが、四条の三では、年少者に関する禁止行為を定めておるわけでございますが、その中で、二つのたてまえになっておると思うのでございます。一つは、年少者がそういう場所に出入りしたりあるいはそこで特定の行為をしたりすることに対しての禁止といいますか、そういう面と、もう一つの面は、そこで働いておる勤労年少者といいますか、そういう人たちの福祉の面といった二つの面からとらえておると思うのでございます。ところで非行の防止につきまして、四条の三の第一項の第三号で「営業所で二十歳未満の客に酒類を提供すること。」が禁止されておる。それから第二項の同じく三号で「営業所で二十歳未満の客に酒類を提供すること。」これが両方とも禁止されておるわけでございますが、第一項のほうは、風俗営業を営む場合でありましても、深夜といなとを問わない、そうして二項のほうは深夜に限ってということになると思うのでありますが、二十歳未満の客に酒類を提供してならないことは、これは深夜に限らず、時間を問わずいけないことだと思うのですが、こういう書き分けをなさったのは、罰則との関連でございますか。どうなのでしょうか。
  59. 大津英男

    大津政府委員 ただいま御質問がございました四条の三の禁止行為、この中で、酒類を提供することは、風俗営業につきましては、これは公安委員八八の許可営業でございまして、その時間についても十一時までということに大体なっておりまするが、二項のほうの設備を設けて客に飲食をさせる営業、これは深夜の営業でございますので、大体において地域の指定がありました場合においては、もはやそういう営業自体がないというようなこともあるのでございますが、もしそういう規制がないようなところにおいては、そういうことが起こってくるということもございますし、深夜の営業において、営業所で二十歳未満の者に酒類を提供してはいけないということになるのでございます。二十歳未満の者に酒類を提供すること自身は、未成年者飲酒禁止法という法律が別にあるのでございますが、これはたしか罰則が科料だったと思うのでございます。この年少者に関する禁止行為、年少舌の福祉を考えてのそういう非行防止のための措置といたしましては、酒類を提供することを強く禁止していくために、罰則も重くしなければならない、こういう意味で、少年非行防止の意味の立法でもございまするので、あえて深夜の分ではございまするけれども、第二項のほうにおきましても、やはり二十歳未満の客に酒類を提供するということを禁止事項として掲げた次第でございます。
  60. 大西正男

    ○大西委員 そこで、これらの規定がなくても、未成年者には飲酒禁止法があるわけでございますが、罰則が非常に軽い。ところで、その未成年者飲酒禁止法による取り締まりを現に受けた、それによって取り締まられた実例及び数はどの程度のものでございましょうか。
  61. 大津英男

    大津政府委員 後ほど調査をいたしましてお手元に差し上げるようにいたしたいと思います。
  62. 大西正男

    ○大西委員 感じだけ伺えばけっこうですが、その未成年者飲酒禁止法で取り締まられておる例というのは、多くあるのですか、きわめてまれなのですか、ほとんどないのですか、どうなんでしょうか。
  63. 大津英男

    大津政府委員 非常に少ないというふうな印象を持っております。
  64. 大西正男

    ○大西委員 われわれも非常に少ないだろうと想像するわけでございますが、その数が少ないというのは、未成年者が飲酒をしておる事例が少ないというのではなくて、取り締まっておる例が少ないということにこれまたなると思うのでございますが、それの原因。それからそれとにらみ合わせて、一体今回のこの改正によって、二十歳未満の、客に酒類を提供することを強く取り締まろうとするところのその実効をどのようにしてあげられるか、その点を伺っておきたい。
  65. 大津英男

    大津政府委員 未成年者が飲酒をしておるということは、これは未成年者自身は罰せられないということでございまして、むしろ飲酒をさせた者についての罰則が、現在の未成年者飲酒禁止法になっておるわけでございます。その関係で、先ほども質問がありました際に虞犯不良行為少年の数を申し上げましたが、この中で見てまいりました場合に、少年自身が飲酒の行為をいたしまして補導を受けたという数字は、飲酒が実は昭和三十八年におきまして四万三千四百六十九という数字が出ておるのでございまして、これだけの数の少年をこの際補導したということでございますが、その酒類を提供した者についての取り締まりがどうであったかという数字は、先ほど申し上げましたように、ちょっと持っておりませんので、後ほど調査をしてお手元に差し上げたいと思うのでございまして、結論は申し上げられないのでございますが、こういうことが見つかっておるという事態から申しまして、やはり罰則の強化ということもしてまいりますれば、相当な効果もおさめていくことができるのではないだろうか。現在科料ということで、あまり実効をあげておらないということもあるのでございますが、大体そういうふうな感じを持っておる次第でございます。
  66. 大西正男

    ○大西委員 それはその程度にいたしまして、今度は、本法の定めております場所で客の接待などに従事しておる年少者の問題でございますが、まず四条の三の一項一号によりますと、「十八歳未満の者に客の接待をさせ、」云々とございます。それから第二項の一号のほうには「十八歳未満の者を客に接する業務に従事させること。」こういうふうになっておるのでございます。これについて二点だけ伺いたいのですが、「客の接待」の「接待」ということばの意味と、それから「客に接する」ということばの意味とに相違があるかどうかということと、もう一つは、一項の一号のほうはただ「接待をさせ」と書いてありますが、二項の一号一のほうは「接する業務に従事させる」となっておるのでございます。そこで一項の一号のほうはそれを業務としていなくてもいいんだ、こういう規定の趣旨のように法文上は解釈されるのですが、さようでございましょうか。この二点をお伺いいたします。
  67. 大津英男

    大津政府委員 「接する」ということばと「接待」ということばでございますが、接待ということは昭和三十三年に東京高裁の判決がございまして、そのときにいうておりますることばでは、客の接待ということは客の相手をして酒食のあっせん、取り持ちをすることである、まあこういうような解釈が出ておるのでございまして、これは風俗常業法の業種にありますように、そういう料理店等におきまして、家の接待をして遊興または飲食させる、これが風俗営業の業種になっておるのでありまして、接待をしてまいりますると風俗営業になる、したがいまして、客に飲食をさせる営業のほうでは接待ということばは使えないと申しますか、まあそういうようなことでございますので、接待類似の行為でございますけれども、まあ、「客に接する」というふうなことばにいたしておるわけでございます。一方は、接待をさせ、またはダンスをさせること、一方は「客に接する業務に従事させること」というのでございますが、これはまあことばの使い方だけの問題でございまして、「接待をさせ、又は客の相手となってダンスをさせる」——「業務に従事させる」ということばにすることももちろんあると思いまするが、このほうがよりはっきりわかるという意味で、接待をさせ、またはダンスをさせること、業務でなくても接待そのものをするというふうに書いてございまするが、営業者が、必ずしも業務にしておらなくてもさせるという意味もございまするが、同時に、業務をしておる者が接待をする、あるいは客の相手をするということ、相手となってダンスをするということもあり得るわけでございます。業務として雇われておらなかった者でもそういうことをした場合には、営業者はやはり業務としてさせたということにもなってくるのでありまするので、ことばの、これはまあ法律的な用語としてわかりやすいことばで規定をいたした。それから二項のほうの「客に接する業務に従事させる」ということでございまするが、これは先ほど申し上げましたような、客に接し、させること、というふうな書き方もあまり適当ではないというようなことで、「接する業務に従事させる」ということになっておるということでございます。
  68. 大西正男

    ○大西委員 そうしますと、よくわかりませんが、一項一号のほうはその十八歳未満の——これは男女を問わぬわけでしょうが、男女が従業員として客に接待をする場合はもちろん、そうでなくてもたとえば一回だけ特別の理由で接待をさせるということも、まあそういうことが現実に起こるかどうかは知れませんが、法文の解釈としてはそういうものをすべて含んでおる、そして二項の一号の場合には、その年少の男女がそれを仕事として、自分自身の仕事としてつまり対価を得て、給料を得て働く仕事としてそれをしておる、こういう場合でなくてはならぬ、したがって、その人自身の、その年少者自身の業務でなくて、たまたま従事したのは含まないというふうに解釈してよろしゅうございますか。
  69. 大津英男

    大津政府委員 第二項の「客に接する業務に従事させること」これは大体カッコの中におきましても、「(都道府県が条例で定める場合を除く。)」というような規定もしておるのでございまするが、考え方といたしまして、食堂とかあるいはその他一般に深夜においてどうしても規制をしなければならないというようなものではない業種、こういうものにおいて、そういう客の接待に類するようなものに従事するというような場合は、大体そういうこともないのでございまするし、またそういう差しつかえない業務において飲食物を運搬して、持ってくるというようなことはもちろん該当をいたしません。それからそこに参りましてサービスするという意味ではなくして、ただ物を置いていく、それからお酌をして話し込んでいくというようなことではなくして、そこに来てついでにせん抜いてビールをついでいくという程度のことは、ここで考えておるようなものには該当しない、こういうことでございます。
  70. 大西正男

    ○大西委員 あまりそこになずむわけではありませんが、要するにお話では、一方のほうは従業者自身がそれを業務としておる場合のみをさしておって、片一方はその人が業務でなくても接待する行為はすべていけないのだ、こういうことに解釈していけないのですか、そういうことでしょう。それがいいとか悪いとか言っているのじゃないんですよ。
  71. 楢崎健次郎

    ○楢崎説明員 ただいま局長が御説明しましたように「客に接する業務」と申しますのは、接待の類似の行為だということで、単純に——差しつかえないと条例で除外されたような場所、時間の制限を除外されたような業種について、単純に運搬の労務あるいはそれ以外の下働きというようなことをやっておる者については「客に接する業務」以外である、こういうふうに解しておるわけです。私、誤解があるかもしれませんが、客が客同士で接待行為をした、こういう点を御指摘でございますか。
  72. 大西正男

    ○大西委員 いや、そうではありません。あまりそこばかりなずんでおりますと、あとにちょっとありますので……。私の聞きたいのは、接待ということと接するということの違うということはわかりました。そこで一項のほうは接待することがその年少者の自分自身のつとめとして、業務としてといいますか、まあ給料をもらうのでしょうが、給料をもらったその対価として働いておる、その働きの内容として接待することはもちろん、そうでなくてもたまたまやった場合でも、それをこれは含む趣旨であろう、片一方はそうでないだろう、こういうことです。
  73. 大津英男

    大津政府委員 たいへんこちらのほうが勘違いをしたような答弁をいたしまして申しわけございません。一項におきましては、業務としてやるものはもちろんこのと、業務としてではなくてもそういうことをさせることによって対象になっていく、それから二項のほうは、業務である、こういうことでございまして、私先ほど申し上げましたのは第一項のほうで、業務としてやらしたのでなくてもやらせればそれが業務になるということをちょっと申しましたために、たいへん混乱を起こすようなことを申し上げて申しわけございませんが、いま申し上げたような趣旨でございます。  それから、先ほどちょっと御質問がございました点、資料がいま手元にございましたので申し上げますと、飲酒の関係でございますが、三十七年の統計でありますけれどもございますのでちょっと申し上げます。未成年者飲酒禁止法の保護者につきましては百八十四人、営業者につきましては六百七人、これは全国の数字でございますが、これだけのものが少年の福祉を害する犯罪として出ております。三十八年につきましては調査をいたしまして御報告いたします。
  74. 大西正男

    ○大西委員 それでは問題を変えまして、今度は十八歳未満の接待とか客に接する業務とか、これに従事しておる少年はいわゆる労働基準法の適用を受ける対象になるわけでございますね。そういうことでございますね。
  75. 大津英男

    大津政府委員 仰せのとおりでございます。
  76. 大西正男

    ○大西委員 そこで主として第二項のほうになると思いますが、深夜営業といいますのは十時から翌日の六町までということなるわけでございますね。ところで労働基準法によりますと、男の場合は別でございますが、女性の場合には十時から五時まででございましたか深夜業の禁止、これはそっちのほうで禁止されておるわけですね。これだけ読んでみますと、四条の二で十一時まで十八歳未満の従業員が深夜営業を延長されたような感じを抱くのでございますが、そういう御趣旨ではございますまいね。
  77. 大津英男

    大津政府委員 労働基準の六十二条におきましては、使用者が十八歳に満たない者あるいは女子を午後十時から翌日の午前五時まで使用してはならない。ただし交代制で使用する満十六才以上の男子についてはこの限りではない、こういう規定がございますが、同時にその六十二条の第四項でございますか——ここで労働基準法の第八条のただし書きの「同居の親族のみを使用する事業」「又は家事使用人については適用しない。」こういう条文がございまして、実は労働基準法でせっかくいま申し上げました六十二条の一項のような規定がございましても、ただし同居の親族と称し、あるいは家事使用人であるというような名目になりますれば、この六十二条自身が適用にならないということが非常に多い、こういうことでございますので、この法律におきまして観念競合にもなってくるような点があるのでございますけれども、やはり法目的に違いますし対象も違うということで労働基準法と別個にこういう規定を置いた、こういう趣旨でございます。
  78. 大西正男

    ○大西委員 男の場合はいろいろありますし、それから家事といいますか家族的な人たちだけによって営業している場合も別でございましょうが、それらのすべてを含めて女子の場合には深夜業はやはり例外がないんじゃないでしょうか。
  79. 大津英男

    大津政府委員 先ほど申し上げました労働基準法の六十二条の四項でございますが、四項に参りますと十八歳に満たない者、これは女子でございます。これについては第八条の十三号、十四号ですか、こういうものに従事する女子については適用しないという条文がございまして、それで引用しております八条の十四号で参りますと、料理店とか飲食店とか接客業の事業、こういうものがございますので、そういうものに従事しておる者については六十二条一項が適用されない、こういうことでございます。
  80. 大西正男

    ○大西委員 ですから十八歳未満の、男性はともかくとして女子については、労働基準法の関係においてあるいは女子年少者労働基準規則というのもございますね、それらを含めて、すでに十時以後は深夜業務に従事させてはいけないということになっておるにもかかわらず、こういう書き方をすると十一時まではいいんじゃないかというふうなことに解釈されないとも限らないけれども、そういう御趣旨ではないだろう、こう聞いておるわけです。いかがですか。
  81. 大津英男

    大津政府委員 どうも私の申し上げたことがはっきりしておらないのかもしれませんが、先ほど申し上げましたように家事使用人とか同居の親族ということでございますれば、すべて労働基準法六十二条の適用がないということ、それから女子につきましては先ほど申し上げましたように六十二条の四項で料理店とか何かに従事する者については適用がないということになっておりますので、したがって、十時からということについては、ここの業態にありますようなものについて通用がなくなっておる、こういうことでございます。
  82. 大西正男

    ○大西委員 適用がなくなるというの何の適用ですか。
  83. 大津英男

    大津政府委員 十時から五時までの側においては本来使用してはならないいう労働基準法の規定があるのでございまするが、それが適用にならなくなる。したがって、十時以後においても使用をしてよろしいということに労働基準法が適用を除外してしまっておる、こういう面があるわけでございます。
  84. 大西正男

    ○大西委員 それは八条からくるわけですね。
  85. 大津英男

    大津政府委員 そうでございます。
  86. 大西正男

    ○大西委員 八条は「同居の親族のみを使用する事業若しくは事務所又は家事使用人については適用しない。」というわけですから、同居の親族だけを使用して事業しているという場合にはそれはいいかもしれませんが、それは別として、一般的に女性について十八歳未満の者をこの法律によって十一時まてはかまわないというふうに、法律目的自体は違っているけれども、それでは前法を後法で改正をしたというこになるのか、そういう趣旨ではないだろう、こう聞いているわけです。
  87. 大津英男

    大津政府委員 御趣旨のとおりでごごいまして、この法律によってそう直したということにはならないのでございます。
  88. 大西正男

    ○大西委員 そうしますと女性についてはこの法律改正いかんにかかわらず十時からはいけない、こういうことになるわけですね。  そこでもう一点伺いたいのは、二項一号のカッコに書いてございます「(都道府県が条例で定める場合を除く。)」というのはどういうことをさしておられるのか。
  89. 大津英男

    大津政府委員 二項の一号と二号にそれぞれ条例で定める場合ということを書いてございます。これにつきましては、四条の二によりまして時間、場所の制限をしなければならないようなものは別といたしまして、これにかからないような業種、たとえば一般全党のようなものとか、主食を提供するような営業あるいはまた駅の構内であるとか、あるいは飛行場とか、そういうところでの、どうしても旅行者に利用させるために必要なもの、そういうような営業のものにつきましては例外として条例で定めてまいりたい、かように考えております。
  90. 大西正男

    ○大西委員 もう一点だけ伺いまして質問を終わります。  大体、法文の趣旨、それから意味は了解いたしました。要するに、年少者の非行をなくしていくということについては、この法律改正だけではとうてい問題を解決するわけにはいくまいと思うのであります。少年に有害な環境というものは、こういった風俗営業のみならず、もっと進んだ売春とか、あるいは有害な興行とか、あるいは出版物とか、あるいは射幸心を誘発するようないろいろの商業興業、あるいは刃物とかその他、これはおもちゃの類でも危険物を販売をさせておる、あるいはまた麻薬とか催眠剤、そういったものが横行しておる、その他いろいろの有害な環境があまりにも年少者を取り巻いておる、それがある面では、先ほどの質問者も申されておりましたが、野放しになっておる面も多いのではないかと思います。今回の改正は最小限度の取り締まりという面から企図されたものであって、それ自体まことにけっこうなことだと思うのでございますけれども、しかし問題の解決には非常に小さな役割りしか果たさないのではないかと思うのでございますが、きょうは大臣が帰られましたけれども政府におかれましては、それらの面を総合的に、そうしてもっと有効な施策を講ずるとともに、青少年の余剰エネルギーといいますか、そういうものがよい方面に使われるような積極的な施策をますます進めていただくようにお願いをいたしまして、私の質問を終わります。
  91. 森田重次郎

    ○森田委員長 本会議散会後再開することとし、暫時休憩いたします。  午後、零時五十三分休憩      ————◇—————  午後三時十七分開議
  92. 森田重次郎

    ○森田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  風俗営業等収納法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を続行いたします。安井吉典君。
  93. 安井吉典

    ○安井委員 法案の中身につきましても若干お尋ねをしたいのでありますが、文部省や厚生行からおいででございますので、この法案の中に取り入れることがよいかどうかは別として、広く風俗営業と呼ばれていい分野で規制が十分に行なわれていないトルコぶろだとかボーリング場だとか、そういうような問題について初めにお尋ねをいたしたいと思います。  まず、ボーリング川という、新しいスポーツですか、娯楽ですか、そういうふうな形態が現に行なわれているわけでございますが、これについてもいろいろ問題があるという点が先日来の論議の中でも指摘されております。  そこで、警察庁といたしましてこの問題につきまして問題点をどういうふうに把握され、今後どういうふうな対策がそれに対して必要か、そのお考えを初めに何っておきたいと思います。
  94. 江口俊男

    江口(俊)政府委員 午前中本島委員に対しまする御答弁でも申し上げましたとおり、広く風俗関係する常営業について、全部この風俗営業法で取り入れるというたてまえではなくて、これは警察取り締まりの対策となる一定の風俗営業をここに書き込んでおるという体系でありますから、風俗に関する営業一切がこの法律で処置できるというわけのものではございませんということを申し上げたのでございますが、トルコぶろボーリング陽等につきましても、風俗関係がある部分については、それぞれ現在そういうものに関与しておられるところで総合的にお取り扱いになるほうがよろしいんじゃないかというふうな基本的な考え方を持っているわけであります。
  95. 安井吉典

    ○安井委員 それじゃ答案庁では、このボーリング場についてはどこが取り扱ったらいいというお考えなんですか。
  96. 江口俊男

    江口(俊)政府委員 私はボーリングというものがスポーツであるか、娯楽であるかということはわかりませんけれども、もしも一種の興行というような形態であれば、興行上という範疇に入ってくるのではなかろうかと思います。また先はども私のほうの保安局長からお答えをいたしておりましたが、これが射幸心をそそる行為を主とする娯楽というようなことになると、パチンコ、マージャンというようなものに類してくるから、あるいはこの法律に取り込んでくればいいんじゃないか、こういうふうに考えます。しかしそれ以外におきましても、ヌードスタジオトルコぶろ、いろいろ問題になっておりますが、脚風紀に関するものということを抽象して、あらゆる風紀に関するものが、多かれ少なかれ警察取り締まり対象になるんだからという意味で、もう一つ別の範疇で風俗一般というようなものがかりにできますれば、またそれは一つの考え方だと思います。ただ、ここで警察が取り扱っている風俗営業というものは、客に対する接待行為というものを前提にしているものとか、あるいは射幸心というものを何とかある程度抑制しなければいかぬというような二つの範疇に入るものをとっているものですから、どうもいろいろおっしゃる具体の営業がすぐにはこれに入ってこないということだけを申し上げているわけであります。
  97. 安井吉典

    ○安井委員 それでは警察のお立場で、この風俗営業等取締法を離れて、現にいまあるボーリング場について、特に青少年の問題だと思うのですが、その対策の上で、どういう点が問題になるかというふうな具体的な一つの問題点をつかんでおられるかどうか。おられるとすれば、その点をひとつお話し願いたい、こういうことです。
  98. 江口俊男

    江口(俊)政府委員 私はどうもこういう娯楽というほうに不勉強で、午前中も白状したのですが、あまり実態を身をもってはつかんでおりません、しかしいろいろ問題になりましたので、それぞれの人たちお話を聞いたり、あるいはスタッフを派遣したりして調べてまいりました限度において得ている結論は、ボーリング場については、ボーリングの行為そのものについて別に問題があるものじゃない。しかし問題があるとすれば、営業の時間が非常におそくまでやっておる。現在におきましては、ある程度自粛いたしまして、一、二の例外を除けば、相当時間的には自粛したそうでございますけれども、本来非常におそくまでやっているという問題。それからもう一つは、普通の娯楽としては非常に高過ぎるというような問題があって、ボーリングをやるという行為そのものに別段欠点はないようですけれども、そのやり方というか、やるために要る金とか、あるいはやる時間が夜から朝までかけてもやれるというようなこと等に問題があるんじゃないか、こういうふうに考えております。
  99. 安井吉典

    ○安井委員 厚生省のほうは、このボーリング場についてはノータッチですか。何かこれまでも関与をされたり、あるいはこれからどうするというようなお考えはございますか。
  100. 舘林宣夫

    舘林政府委員 厚生省所管いたしております各種のいわゆる衛生施設の規制は、主として公衆衛生の見地からございますが、その中で旅館に関するものに、善良な風俗が害されることがないような規制という部分がございますし、それから公衆浴場法でも、風紀に必要な措置を講ずるというような条文もございまして、必ずしも公衆衛生だけではない余地があるわけでございます。このお話しのボーリング場は、私どもの扱っております法律の中の何に該当するかということでございますが、一応興行場法が考えられるわけでございます。ところが、興行場法対象となります興行場の定義は、映画、演劇、音楽、スポーツなどを公衆に見せ、または聞かせる施設、こういう限定がございまして、ボーリング場は見せる場所でもなければ聞かせる場所でもないので、興行場法対象営業にはならない、こういうことでございますいまお話しの御意見の中にもございましたように、ボーリング場は衛生上にも問題は確かにございますし、社会風紀の維持といいますか、秩序の維持という関係もございますので、厚生省に全く縁のない施設であるとも私どもは言い切れないと思いますけれども、今日の私ども規制し得る法律の範疇内には入っておらない、こういうことでございます。
  101. 安井吉典

    ○安井委員 文部省から体育局長おいででございますが、いまのお話からいいますと、警察庁の担当しております風俗営業法対象にもならないし、厚生省のものでもない。午前中の、社会教育局長もおいでになったお話し合い中にも、そういうようなことが出ていたのですが、結局ボーリングそのものがスポーツだということで、スポーツだというと文部省所管になるわけでありますが、ボーリングというスポーツと、ボーリング場という一つのあの環境なり雰囲気というものとは、もちろんそれは関係が大ありでありますが、別なものとして考えてもよろしいわけであります。しかし単なるスポーツという扱いになっているものですから、建築の許可なんかはどうしているのでしょうか。文部省で扱うというわけでもないでしょうけれども、おそらくどちらにも無関係にそういうような問題が行なわれているのではないかと思うわけでございますが、文部省としてのお考え方をこの問題についてひとつ伺っておきたいわけであります。
  102. 前田充明

    ○前田(充)政府委員 先ほど来のボーリング自体の問題は私のほうの関係かもしれないと思いますが、ボーリングは一体スポーツかどうかということは、私どものほうで法律的に申しますと、スポーツ振興法にスポーツの定義がございすが、連動競技及び身体運動と書いてございまして、その身体連動はキャンプの活動その他の野外活動を含んでおるいわゆる身体運動だ、こういって、心身の健全な発達をはかるためにされるものである、こういうふうに定義をいっておりますが、一般的に申しますと、からだを動かすということにあると思うのでございます。そういう点から申しますれば、ボーリングは大体スポーツだといってもそう間違いはないのではないだろうかというふうな考え方は持っております。しかしスポーツというものは、御承知のとおり発展は、何か目的的につくっていくというようなものよりは、自然発生的にだんだんできてくるもので、それがそのうちに一つのルールができ、団体ができして、だんだん発達してくるというのが普通の発達の状況でございます。現状ではまだ、このボーリングの団体はできておりますが、その団体が体育協会に加盟するとか、そういうようなはっきりしたスポーツ団体の仲間に実は入っておらないのでございます。しかし、入ろうというようなお考えを持っておることは一応伺ってはおります。そういうような現状で、発達の過程にあると言えると思うのでございます。実際のボーリング場の問題になりますと、ボーリングそのものは、先ほど来警察庁からもおっしゃったように、ボーリングそのものに非常に欠点がある、運動競技として欠点のある競技であるということは私は言えないと思うのでございます。競技場につきましても、競技場で特別な何といいますか先ほど来風俗関係お話がございますが、風俗上初めからはっきり問題のあるように必ずしもできておるとは言えません。問題は、結局運営にあるように思うのでございます。運営でも、ボーリング場によってはわりあい正しくと申しますか、差しつかえないようなやり方の場所もあるそうでございますし、それからまたいかがかと思う、青少年の行くところとしては適切でないと思われるような場所もあるということを聞くのであります。したがって私は、問題は運営の仕方、先ほど来のお話のように夜中までもやるとか、あるいは酒を売って自由に飲めるとかいうようなことになってまいりますと、おのずからそこに一つの雰囲気ができて、それが青少年の思想と申しますか、それに非常な悪影響を及ぼす結果になっておるのではないか、かように認識をいたしておる次第でございます。
  103. 安井吉典

    ○安井委員 先ほど警察庁長官のほうからボーリング場の問題については、つまりボーリングというスポーツについては別として、ボーリング場雰囲気といいますか、そういうようなものの中では、たとえば営業時間が無制限に朝まで続いている、それから値段が高い、それからまた聞くところによると賞品なんかもずいぶんあるらしいですね。自動車までが賞品になる、こういうようなものもあるそうであります。こういうふうな問題やら、それから新聞の記事によりますと、東京の武蔵野市議会が、住宅街でのボーリング場建設反対というふうな市民からの請願を三月十一日ですか採択して、町放しになっておるボーリング場の建設と営業を強く規制してほしいというふうな国会への運動を始めているというふうな記事もあるわけです。これは吉祥寺の駅の近くの静かな地帯でありますが、そこに新しくボーリング場ができる。ところがこれはスポーツだということで、風俗営業等取締法興行場法規制も受けない。そういうふうなことで、これができると静かな住宅街がぶちこわしになる、こういうような趣旨からの請願が出ております。こんなような一つの動きもあるようであります。ですから、真夜中から朝方まで営業をしてもいいというようなボーリング場が、住宅地の中でもどこでもかってにできるというようなことも、これも若干問題があるでしょうし、とにかくがらがら回して、これは防音装置がなければ相当音がやかましいのではないかと思うのです。だから、そういうふうな問題もあるわけですね。ところが全体的にはこれらに対して何らの規制の方法がないというままで、厚生省もどうにもならぬ、文部省ももちろん、警察庁も手の施しようがない、これはもうどこにも持っていきようがないわけであります。そういうことでこの請願は国会に出されているのかもしれませんけれども、やはり何とかしなければいかぬのではないかと思うわけですね。それでボーリングは、一回二百五十円くらいですか、何か相当高いらしい。ですから、そういうところに青少年の諸君が行くにしても、なかなかな出費になってそうは行けない。しかし、おもしろそうに見えるし、ぜひやりたい、そういうふうなところから小づかいをくすねたり、悪いことをしたりというふうなことにもなりかねないわけであります。これはきのうある新聞のコラムで、国税庁から二十二日に一月期の決算の、大会社の法人の中からの申告所得額のベストファイブの発表があったという記事が小さなコラムに載っておりました。これを見ますと、このベストファイブの中に後楽園スタジアムというのがあるわけです。その新聞の記事によりますと、ボーリングの収益が前期は二値八千万円から、今度は一躍四億一千万円に倍増して、ベストファイブに進出したのだ、こういうふうに新聞は書いてあります。ですから、この料金の問題もまだまだ何か規制する余地もあるように思うわけであります。一応いまあげましたような、こういうふうな問題点があるわけでありますが、しかし、これはいま警察庁と厚生省文部省からおいででございますが、だれから答弁を受けていいかわからないわけです。どちらもおれのなわ張りじゃないと言われるわけですから、これはやはり国務大臣である赤津さんから、その全部を管轄されているわけじゃありませんけれども、やはりどこかがきっちり、これは私の責任ですと言うところが出てこないと困るような気がするのですが、どうでしょうか。
  104. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 ボーリングスポーツであるかどうかということについては、御案内のとおり、ずいぶん議論をして、結論も出ておらぬ次第でございます。いま御指摘のような、まことに割り切れぬものがございますので、こういうものの扱いについては、閣僚懇談会と申しますか、そういうところで一つの方針を打ち出していかなければならぬものじゃないかと判断する次第でございます。
  105. 華山親義

    ○華山委員 関連いたしまして、ボーリングのことをお聞きいたしますが、ボーリングスポーツであろうとなかろうと、それが弊害があれば、ゴルフだって何だって私はいけないと思う。スポーツだからいいとか、スポーツでないから悪いとかいう問題ではあるまいと私は思います。それにつきまして、どういうわけでボーリングがああいう弊害が起きたのか、非常におもしろいけれども高くて、青少年が無理をするというふうなことがあるかと思いますが、私が考えるのに、私は前にはボーリングをやっておりましたけれども、このごろはもうとても行かれるような雰囲気じゃございません。それで、あれはスポーツであるかもしれませんが、自分の番が回ってくる間に時間があり過ぎるということです。それからもう一つは、そこに飲食する設備が、ボーリング場あるいはその中に密集しておるということ、したがって時間があるからどうしても飲み食いをしたり何かするということ、それから夜中にありますから、カフェーとかバーとかに行きますと、女給を連れてあそこに行く、それから事務員なんかを連れてあそこに遊びながら行って、夜おそくまでいるということ、青少年がそれを見ているということ、私はこういうところにあると思うのであります。それで、実態としてこういうことを取り締まれるかどうかわかりませんが、ボーリング場の建築物、そういうところでは一切の飲食物を飲ませない、食わせない、そういうことはできないのでございますか。
  106. 大津英男

    大津政府委員 ボーリング場の中にあります喫茶店とか飲食店というものは、食品衛生法によって許可を受けておるということでございます。したがいまして、これに対する規制食品衛生法の見地から行なわれるということはございますが、現在のところはそれ以外に何の規制もない。今回の法改正をお願いしておりますような規制をもしかけていくということになりますれば、その面で深夜そういうところはいけないということを書いていくこともできるわけでございますが、これが一般の食堂と同じような形態で行なわれておるということになりますれば、深夜喫茶と異なるものであるということになりますれば、やはり今度の法改正でお願いしておるものももう少し考えなければ規制がしにくいのではないか、かように考えております。
  107. 華山親義

    ○華山委員 私は先ほどお話のありましたように、ボーリングそのものはおもしろいものであって、ただピンを倒せばいいのですから、じょうず、へたもあまり関係ないし、力のある者がたくさん倒せるものでもないのでありますが、これがスポーツかどうかは別といたしまして、あそこに伴う雰囲気が悪いのである、ひまがあり過ぎるスポーツ、そういうことだと思うのです。しかしそういうことは直せないかもしれませんが、とにかくあそこでボーリング以外に飲んだり食ったりできないような方法をひとつ講ずることによって、弊害の一部が除去されるのではないか。ボーリング等におきましてあまりりっぱな設備をして、すわるところやいすなんかが大きかったり、植木ばちを置いたりするから、ああいうことになる。ですから、あれはもうスポーツ場ではなくて、娯楽場になっておる。密会場になったりデート場になっておる。それが私はいけないと思うので、とにかくそういうふうなボーリングというものをとめられないというのであれば、ボーリング場につきましては公開的な休みどころにするとか、休憩所の近所には店をつくらせないとか、根本的にはボーリングをやめさせるのが一番いいと思いますけれども、そういうことができなければ、そういうふうに法律の運用をされるなり、法律が足りなければそういうふうな規定を設けられるなり、私はとりあえずそういうことではないかと思うのでありますが、いかがでございますか。そういうふうなお考えはございませんか。
  108. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 さっきうかつに閣僚懇談会と申しましたが、閣僚の中にはボーリングをやった経験がありそうな方もちょっと頭に浮かびませんし、華山委員はたいへんお詳しいようでございますが、実際弊害が目に余ることは私たちもよく耳にしておる次第でございます。ただ、そこで飲み食いすることを、ボーリング場に限って禁止するということは、これもスポーツということになれば、では野球はどうだ、相撲はどうだということに発展せぬものでもありません。しかしそういうものと違って、いま現にボーリング場の場合は目に余るものがあるわけでございますので、なお実態を調査するまでもないといえばないわけです。現にたくさん悪例があるわけですから、この問題はしかるべきところで真剣に検討して善処いたしたいと思います。
  109. 華山親義

    ○華山委員 建設的な意見を申し上げて、御参考にしていただきたいと思います。
  110. 安井吉典

    ○安井委員 ボーリングの権威者といったらなんですが、なかなか詳しく御検討をされておるものですから、いまのお話の中からも新しく問題が提起されたわけであります。それは野球場でも相撲場でも飲み食いしますけれども、夜中を過ぎて朝方まで野球をやることはないのですし、相撲だってそうです。やはり幾らスポーツでも、そういうふうな時間に無関係にやるというスポーツはほかにないわけです。だから文部省のほうも、これはスポーツだか何だがわからないので、どうしようもないということで手をこまねいているだけではなしに、青少年補導というふうな意味をも加えて、スポーツを楽しむという雰囲気についても、文部省として何か特別な規制を施すというふうな道はないのですか。
  111. 前田充明

    ○前田(充)政府委員 現状で申しますと、私どもスポーツ関係法律ということになりますとスポーツ振興法でございますが、スポーツそのものは心身の健全な発達をはかることである、そういうふうな考え方で進んでおりますので、特に規制をするということはいままでのところではございません。私どもがいわゆるスポーツとして取り扱った場合を考えますと、ルールをはっきりきめるとか、先ほども申し上げましたが、競技団体というものがはっきりできて、そういうものが自主的に統制をすると申しますか、規制をすると申しますか、そういう行き方でほかの方面は大体うまくいっているわけでございます。したがってこれだけがどうもうまくいかないということになるかもしれませんが、これは個人でございますけれども、いろいろなスポーツがあるわけでございまして、スポーツを夜中にやっていかぬということもなかなかむずかしいことでございます。特にものによりますと、一つのレクリエーションとして考えた場合には、人によって、たとえばラジオ、テレビの関係のお仕事に携わっておられるような方々が、自分の仕事が済んでからレクリエーションを何かやりたいというような希望もあるのであります。そういう場合に、ただやってはいけないということになりますと、せっかくその人たちに与えられたわずかの時間を禁止するということにもなりますので、これはすでにいままでいろいろ論ぜられ、私どもも実は前から一体どうしたらいいだろうということで考えておるのでございますが、ただやってはいけないという規制をすることだけで事柄は済むものでなくて、むしろ先ほど来のお話のように、問題はそういう雰囲気のところというところに基本的なことがあって、おそくやるということはまわりの人が迷惑をするか、どうか、したがってその場所の問題、そういうようなまた別な観点に立って規制をする。つくるということになれば建築の問題になるかと思うのであります。何かそういうふうで、いろいろ総合的に考えなければ、ただスポーツとして規制するということでは、問題はそう簡単に解決しないのじゃないかという気待ちをただいま持っております。
  112. 安井吉典

    ○安井委員 私の旧聞も、スポーツをするにはやはりある種の雰囲気というのが要ると思いますから、スポーツをする環境なり雰囲気を、スポーツそのものを楽しむという目的のためにきれいにしていく、スポーツを制限するのではなしに環境を制限する、そういう道はないかというふうなお尋ねだったわけでありますが、いずれにいたしましてもこの問題について当面政府として対策がないとすれば、これはやはり、だれかが口を切って、その対策を講じなければいけないわけです。それは文部省厚生省か、あるいは警察庁——きょうは大臣はたった一人しかお見えになりませんので、やはりここにおられる大臣として、しかも警察はいま一番問題点をつかみやすい立場におられると思いますので、これはぜひ赤澤国務大臣政府としての対策を立てることについて、さっきも御発言がございましたが、責任をもって、ひとつお進めをいただきたいと思います。  次に、やはり風俗営業等取締法対象外になっておりますトルコぶろヌードスタジオという問題があるわけでございますので、これについて若干お尋ねしたいのでありますが、厚生省警察庁とで、ヌードスタジオが全国に幾らあるかということについての数字はきっぱり合っておりますか。
  113. 舘林宣夫

    舘林政府委員 ヌードスタジオの数は、昭和三十八年四月現在の調査によりますれば全国で百七十六カ所となっております。これは私どもの調査でございます。
  114. 安井吉典

    ○安井委員 それからトルコぶろもあわせて……。
  115. 舘林宣夫

    舘林政府委員 トルコぶろの数は、昭和三十八年四月現在で全国で二百四十一カ所でございます。その当時の東京都の数は百十四カ所でございますが、今日まではすでに百五十三カ所となっておりますから、全国的にいま一度詳しく調査しますれば、かなりふえておるものと存じます。
  116. 安井吉典

    ○安井委員 警察庁……。
  117. 大津英男

    大津政府委員 警察庁のほうで調べておりますものは、ヌードスタジオは、三十八年二月末でございますが、全国で百九十八でございます。それからトルコぶろは、これは公衆浴場法の許可を受けておるものと、それ以外に旅館に付設した旅館業法の関係のものもあるのでございますが、三十九年一月末の数字でございますが、全国で三百九十トルコぶろがある、こういう数字になっております。
  118. 安井吉典

    ○安井委員 いまの一三百九十というのは旅館業法のものも合わせてですか。
  119. 大津英男

    大津政府委員 そうでございます。
  120. 安井吉典

    ○安井委員 そのうち浴場法の分は……。
  121. 大津英男

    大津政府委員 浴場法の許可を受けておるものが三百二十三ございます。
  122. 安井吉典

    ○安井委員 どうも厚生省の数字と警察庁の調べと、ちょっと伺ったところでもだいぶ違うようですね。あまり日付は違わないけれども、数字がだいぶ違っているようであります。これはやはりもぐりといいますか、はっきりつかみかねておりますものもだいぶあるのじゃないでしょうか。そんなような印象をいまの統計の数字の中からも受けるわけであります。公衆浴場法がこれの取り締まりの根処規定だということを伺うわけでありますが、東京都トルコ浴場協会で、国会の中でこの問題がやかましく取り上げられるような段階において自粛決議をされたという新聞記事を私も読んだわけでありますが、それはどういうふうに行なわれておりますか。
  123. 舘林宣夫

    舘林政府委員 この問題が国会で取り上げられました当時、東京都のトルコ浴場協会で、お話のように自粛決議と申しますか、自粛の声明のようなものがなされたように聞いております。その自粛の声明の内容は、すべてが新聞紙上等に見えておるものではなくて、その一部を私どもは新聞紙上では知ったにすぎないわけでございます。新聞紙上によりますれば、個室は廃止する方向で考えていくような記事が出ておりますが、そのほかに数項目の、同時にそのかわり実施してほしいという条項がつけ加わっておるように聞いております。そのほかに、こういう条件がいれられれば自分たちも個室を廃止するような自粛をいたしたいというものの中に、今後他のトルコぶろを許さないように、自分たちに許可した以後は許さないようにというような条件がついておったように聞いております。
  124. 安井吉典

    ○安井委員 なお、トルコ浴場協会に加入していないトルコぶろのほうがずいぶんあって、したがって、こういうふうな協会の自粛決議があっても、それに加入している一部の人だけの規制であって、その他のものにはそれは及ばないということのようでありますが、その点はどうなっておりますか。
  125. 舘林宣夫

    舘林政府委員 その数の比率はさだかでございませんが、お話のように、声明を出しましたのはすべてのトルコ浴場業者でなくて、その一部をもって結成いたしております業者の組合がそのような声明を出したわけでございます。
  126. 安井吉典

    ○安井委員 厚生省として、現在トルコぶろの問題が国会でもこれだけ論議されているし、厚生大臣もわざわざごらんになったそうですか、そういうような段階で、いまあるところのトルコぶろについて、こういう点とこういう点とこういう点は直さなくてはならないという問題点を把握されておりましたら、それをひとつお話し願いたいわけです。
  127. 舘林宣夫

    舘林政府委員 トルコぶろは、その中にかなり健全な運営がなされておるものもあるようでございますが、相当多数が風紀の点で問題になっておるような営業形態のものがあるわけでございます。ことに個室を多数持っております施設におきましては、密室の中に男女が裸体または裸体に近い状態で接触いたしておりますので、風紀上問題が起こることは当然想像できるわけでございます。また実際にそこにおいて風紀上いかがわしい行為が行なわれておる実態が知られておるわけです。このような形態は、わが国の至るところで行なわれておるものではなくて、先ほど私が数字で申し上げましたように、ほとんどその全国の半数は東京にあるわけでございまして、東京に百数十ある。これに対して大阪ではわずか数カ所しかないというようなかなりな片寄りを持ったものがあるということから、これが国民生活のまあ必需品ということばは適切であるかどうかわかりませんが、国民生活に密着した一つの娯楽施設であるか、健全な健康施設であるか、とにかくそういうものであるとも断定しかねる実態があるわけであります。しかしまたこれを利用しておられる方々から見れば、疲れをいやし、しかも個室の中で比較的快適な時間が過ごせるということから、その存在は決してむだではない、こういうお気持ちの方もあるいはあるかと思います。しかしながら社会通念上、今日問題視されておりますトルコぶろの中で行なわれておるような形は、わが国として相当考えていかなければならぬ形態である。少くとも極端に走らないような方向に改善をしていく必要がある。しかしながら、その改善をしていく手段といたしまして、個室を完全に廃止するかどうかというのはかなり問題のあるところでございまして、もちろん個室を完全に廃止すれば、この問題はたちどころに解消するということもありましょうし、また個室があることにトルコぶろの存在恩義があるという見方の人もございますので、これをどの方向で規制をしてくかということはかなり慎重な配慮が必要であると思います。少なくとも今日の既成の法律の範囲では、個室を廃止するという措置がとり得ない法律規制になっております。その規制の程度を、個室を廃止してまでこの業態の風紀の面を正していくという方針を確定すれば、法律改正なり法律の設定なりこういうことになるわけでございます。今日までの段階で、警察庁、私どもあるいは東京都をまじえましていろいろ論議をいたしましたが、個室を廃止するという法律改正の方向の結論は、今日まで出ておりませんで、既設の公衆浴場法の運用を極力はかって、できるだけ風紀の維持につとめる方向で改善をはかっていきたい、かように今日考えておる次第でございます。
  128. 安井吉典

    ○安井委員 それはもう個室の中で半裸体の女の子にマッサージしてもらっていれば、御本人はなるほど快適かもしれませんが、やはり世間は困りますね。だからいまある法律だけを後生大事に、これ以上どうにもならないものだというお考えでいまお話が進められているようなことでは困るわけです。これでは前進がないと思うわけです。問題は風紀なんだから、個室の中でマッサージしてくれる人は、午前中木品さんが言っていたように女の子じゃなしに、目の見えない男のあんまさんに限る、そうでもすれば、風紀の問題もだいぶ変わってくるし、たとえばそういうような方法もないわけではありません。ですから若い女の子は個室の中ではそういうマッサージには使わないことにするとか、あるいはまた個室そのものを廃止するとか、あるいは営業時間についても、ずいぶん夜おそくまでずっとわたっているというようなことも聞くわけでございますが、そうだとすれば営業時間も十一町とか十二時とかそういうふうな時間でかっきり区切るとか、そういうふうな措置がいまの法律でできなければ、その浴場法の改正の中で措置すべきでないかというふうに考えるわけです。もちろん風俗営業等取締法の中にこれを持ち込んでくるという考え方もあると思います。それができるならばそれでもいいと思いますが、しかし公衆浴場法という一応取り締まりの法規があるのだとすれば、その中で十分に措置すべきであるし、それだけで措置しにくいものは、風俗学業等取締法の中に持ち込んでくるとか、そういったようなもっと前進的な措置が講ぜられていい時期ではないかと思うのですが、いかがですか。
  129. 舘林宣夫

    舘林政府委員 先般来話し合いをしております線も、先生のお話のような線で考えてきておるわけでございまして、現在の法律の運用の範囲で、いかにしたら現在のトルコぶろ風紀規制ができるかということで、法律の運用の許す範囲で強い規制をいたしたい、こういうことで案をつくり、これによって地方に指示し、地方でこれに基づいた条例をつくって実行に移してもらいたいということを、当面方針として考えておる次第でございます。お話のように個室の禁止までもこの法律改正して行なうということはいまの段階では……。いまのような措置で扱ってまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  130. 安井吉典

    ○安井委員 警察庁長官、この問題についてどうですか。
  131. 江口俊男

    江口(俊)政府委員 私は公衆浴場法の読み方で、第三条の風紀云々ということを受けた条例で書けば書けるのじゃないかというふうに、厚生省のこの法律についてはしろうとだという意味で、こういう解釈をしておったのでありますが、専門的言いますと、第二条で構造設備のことが書いてある。構造設備については風紀という点が書いてないわけであります。条例はもちろん触れることになっておりますけれども。だからそこを変えないと、これは換気とか御生とかという構造設備の点では都道府県知事が云々ということでありますけれども風紀というのは三条には入っているが、二条には入ってないわけです。構造設備に個室は入るから、個室は廃止できないという御議論のようでございますが、だから私はこの公衆浴場法の三条で、しろうと考えで読めると思ったのですけれども、読めないなら、二条のほうの構造設備のほうへそういう風紀ということを入れて、風紀上の構造設備の命令というか基準というものを条例でできるというふうに書けば、個室を廃止することはちっともむずかしくない、こういうふうに思います。
  132. 安井吉典

    ○安井委員 それについて環境衛生局長はいかがでしょうか。
  133. 舘林宣夫

    舘林政府委員 法律改正いたしますれば、あるいは新たにトルコぶろ規制法というような特殊な法律でもけっこうでございますが、法律的な措置を講ずれば当然個室の廃止はできるわけでございます。今日の段階で個室の廃止を措置するか、あるいは現在の法律の運用の範囲でできるだけの風紀規制の措置をとるかということを検討中でございまして、方針として個室を廃止するという方針が確定いたしますれば、法的な措置をやはり考えざるを得ない、かように考えております。
  134. 安井吉典

    ○安井委員 私、その点おかしいと思うのだ。警察側の見解とちょっとまた違うわけですね。いま警察庁長官お話では、いまのままでも条例を書けるのではないか、そういうような御意見だし、片方はそれでは書けませんというお話だし、そこで政府部内の御答弁も会い違いがあるわけです。そしてまた、いまある法律を変えてはいけないということは、国会さえ認めればいつでもできることです。私この間新聞を読んでいてどうも気になったのですが、こういうことを言っていいかどうかわかりませんけれども、このトルコ風呂協会の名誉会長が大野伴睦さん、顧問が、これは名前は言えませんが、新聞に一ぱいずらっとえらい代議士の名前が書いてありました。どうも何か業界の圧力が厚生省あたりに非常に強くて、なかなか踏み切りにくくなっているのではないか。これは印象ですよ。そうだという断定は私もいたしませんし、断定もできるわけではありませんけれども、そういうようなところに何か根本的な原因があるのではないかとさえ思わざるを得ないのであります。しかし業者側はもちろん規制を強化することに反対だと思います。これは当然でしょう。しかしこういうようなものをそのままにしておくわけにはいかないと思うわけです。  これは私ども地方行政委員みんなに来ているだろうと思いますが、「特殊浴場に関し青少年教育環境浄化について」という陳情書も来ています。千代田区立今川中学校の近くにあるトルコぶろ、これは学校からわずか五十メートルしか離れていないところで、教育環境上何らの顧慮もなくて無制限に営業許可をされることについて、ぜひあらためて考えてもらいたい。「政府当局が文教上人づくりの方針を打出し、ひたすら青少年教育の環境浄化を鋭意企図されつつあることにつきましては深く感謝致しますが、ただ単にかけ声のみに終わることなく、行政諸般の面より御検討の上、青少年悪化防止のため、右陳情の主旨を以て関係法規の徹底的改正と適切妥当な施策を講ぜられたく重ねて御願い申し上げます。」PTA会長、同窓会長、万世橋防犯協会長、連合町会長、母の会長、ボーイスカウト団委員長、こういう連名で、こういうのが出ております。これは今川中学校の近くの問題だけではないと思うわけです。そういうふうな施設そのものも問題がありますし、それが環境全体を悪くしているという実情もあると思うわけです。やはりいろいろな問題があると思いますけれども、それらを踏み越えて問題の徹底的な解決に当たっていく、そういう熱意がどうしても必要だと思うわけです。もう少しお考えを伺っておきたいわけですが、いかがですか。
  135. 舘林宣夫

    舘林政府委員 トルコ風呂の対策につきましては、再三大臣を中心に検討もいたしましたり、関係の方々の御意見も伺って当面の対策にできるだけ努力をいたしたいと考えておる次第でございまして、決してゆるがせにしておるつもりはございません。ただ、先ほど来申し上げておりますように、今日の段階においては、少なくとも現行法の運用をできるだけはかっていくということでございまして、さらにその徹底を期するためには法律改正が、要る、かように思う次第でございます。将来さらに強い規制をするということは、なお検討を続けていくといたしまして、当面できるだけの措置を講じたいということで、通達の準備をいたしておるわけでございます。
  136. 華山親義

    ○華山委員 通達の趣旨の内容を教えていただきたい。
  137. 舘林宣夫

    舘林政府委員 実は昭和二十三年の八月の厚生事務次官通達で、公衆浴場法の第三条第一項に風紀に必要な措置ということばがあるが、このことばの趣旨は、主として男女混浴の禁止意味するものであって、警察風紀取り締まりではない、かような通達を実は出してきておるわけでありまして、これが厚生省がこの法律を運用する基本方針であったわけであります。それを今回再検討いたしまして、男女混浴程度でなく、いま一歩踏み出した考え方の、風紀規制のようなことを織り込んだ通達として出したい、こういうことで——ただ、そのときにも、見解を述べましたとおり、この法律の範疇にあります風紀規制の範囲は、あまり大きな部分を包含できない、本来の趣旨は公衆衛生の保持、増進にある。この法律目的上、基本的には男女温浴の禁止その他の程度であるということではありましても、できるだけその効果的運用をはかっていきたいということで、従業員が裸体に近い服装で入浴客に接しないように服装を改めるということ。あるいは浴室が個室であるものにつきましては、常に出入ができるとか、あるいは他から見通しができるような措置をする。それから営業者は、従業員と入浴者の風紀を乱すおそれがある行為をさせてはならないというような趣旨の通達を出したいと思って検討中でございます。
  138. 華山親義

    ○華山委員 私、法律をよく勉強してまいりませんので恐縮でございますが、公衆浴場というのは、定義的にはどういうことに相なっておりますか。
  139. 舘林宣夫

    舘林政府委員 公衆浴場法の定義によりますと、「公衆浴場」といいますのは、「温湯、潮湯又は温泉その他を使用して、公衆を入浴させる施設をいう。」かように書いてあります。
  140. 華山親義

    ○華山委員 そうしますと、トルコ風呂は公衆浴場でございますか。
  141. 舘林宣夫

    舘林政府委員 トルコ風呂がはたして公衆浴場であるかどうかということについては、意見のある方もあるわけであります。しかしながら、たとえ個室でございましても、不特定多数人がこれを利用いたしますので、やはり公衆浴場の範疇に入れて規制をしてまいるということで今日まで至っております。
  142. 華山親義

    ○華山委員 公衆浴場には料金の規制があるはずですが、トルコ風呂にはございますか。
  143. 舘林宣夫

    舘林政府委員 お話のように、公衆浴場は物統令に基づきます料金の規制があるわけでございますが、例外規定がございまして、トルコ風呂はその例外規定の部類に入っております。
  144. 華山親義

    ○華山委員 そうすると、トルコ風呂はやはり公衆浴場ということでございますね。——それだったならば、特別なものでございますから、どういう規制を加えてもよいものじゃございませんかね。そういう公衆浴場法の中に入れても、特別なものでございますから、当然いろいろな規制があってもよいと思うのでございますが、どうしてその規制をあまり遠慮していらっしゃるのでございますか。トルコ風呂にでも入って楽しみたい人もあるから、そういう人を禁止できないと、一般の人々をお考えになってそういうことになっておるのでございますか。趣旨はどういうことでございますか。
  145. 舘林宣夫

    舘林政府委員 この公衆浴場法が設けられました主たる目的は、公衆が入浴する施設として衛生的な基準を保ちたい、不衛生なことのないようにいたしたいということが主たる目的でございます。したがいまして、この法文のほとんどあらゆる部面がそのための条文でございますが、ごく一部「入浴者の衛生及び風紀に必要な措置を講じなければならない。」と、一言入っているわけでございます。その風紀の措置と称するのは、昔から男女温浴の禁止、こういうことで扱ってきておるわけでございまして、これがさらにトルコ風呂のようなものを想定してこの条文ができておるかと申しますと、わが国にトルコ風呂ができる前から実はこの法律がございましたので、この条文が今日あります形態のトルコ風の風紀を十分に規制できるかといいますと、必ずしも十分でないわけでございます。
  146. 華山親義

    ○華山委員 男女温浴とおっしゃいますが、男女混浴なんというものは何ですけれども、たくさんの人で一しょに入るわけですから、そんなにひどいものじゃない。私のくになんかはそれがもう普通になっている。トルコ風呂なんというものは——男と女の人が個室に入るのはもっとひどいのであって、男女混浴を心配なさるくらいだったならば、そのほうをもっと必配してしかるべきであると思う。その当時に予想されなかったもの、法律制定当時に予想されなかったものができたというならば、新しい事実として法律改正なさるのが当然のことだと私は思うのでありまして、これはぜひそういうふうに考えていただきたい。
  147. 舘林宣夫

    舘林政府委員 お尋ねのように、この法律制定当時に想定しない風紀の問題を生じたのでございますが、この問題は、従来の公衆浴場法の範疇内において考えられておる程度の風紀をはるかに越えたものでございまして、従来旅客業法でも風紀上の施設、あるいは公衆浴場法でも風紀に触れておりますが、これらの実際の取り締まりに当たるのは保健所の職員でございまして、保健所の職員が風紀に関する取り締まりをするということに必ずしも習熟していないという実態もございますし、これをあらためて風紀の見地から、トルコぶろのようなものにまで相当思い切った規制をするということでありますれば、法改正なり、あるいは必ずしも公衆浴場法という改正でなく、別個の法律の見地から、風紀を専門に強く規制をするということも、これは当然考えていく必要がある、かように思っております。
  148. 華山親義

    ○華山委員 私は、大臣もいらっしゃいませんけれども法律改正なさる方針かどうか、いまの法律の範囲内で新しく出てきた事実も縛っていく、何とかしていくという方針なのか、その方針を承りたいのであります。
  149. 舘林宣夫

    舘林政府委員 厚生省の主管いたしております環境衛生関係法律の中にも、風紀あるいは善良な風俗の維持ということばが入っておる法律もございますので、厚生省風紀の維持のような面も担当しておるわけでございますが、一般的に風紀に関する主管は、主として警察庁が関係いたしておるわけでございますので、関係者省十分連絡をとりまして、政府として見解を統一いたしまして、この扱いをきめていく必要があると思います。
  150. 華山親義

    ○華山委員 終わります。
  151. 安井吉典

    ○安井委員 まだずいぶん問題がありますけれども、これはあとにいたしまして、もう一つ問題になるのは、ヌードスタジオというものがあるわけです。これはずいぶん問題だらけで、しかもどれ一つも解決できていないようで、ほんとうに遺憾しごくなわけであります。これは興行場法の適用になっておるそうでありますが、ヌードスタジオについていろいろ問題が指摘されておりますけれども、その問題点はどの程度までいまの興行場法を完全に適用することによって救われるわけですか、その点をひとつ伺いたいと思います。
  152. 舘林宣夫

    舘林政府委員 これも先ほど来の御意見と同じように、きわめて不十分であるというおしかりを受けるかもしれませんが、現在の興行場法は、もっぱら保健衛生上の見地からつくられた法律でございまして、興行場における観客の衛生の保持のためだけの法律でございます。これには風紀ということばは毛頭ございませんので、ヌードスタジオ等において興行場法を適用されるものは、そのヌードスタジオに入ってくる客を保健衛生上の見地から保護する必要があるというような場合のみ、そのヌードスタジオ興行場法をもって規制される、こういうことでございます。したがいまして、しばしば話にありますような、ごく小さい部尾でヌードスタジオ的なことが行なわれておりますような場合、一般の家庭の部屋と何ら変わりがないような狭い邪魔におきましては、必ずしもそれを興行場法を適用して、衛生的に取り締まる必要がないということから、ヌードスタジオの中には、興行場法の適用を受けるものと、受けないものと二種類あるわけでございます。大きなステージをもっておるようなものは、興行場法の適用を受けており、ごく小さいものは受けていないということで、東京にございますものはほとんど興行場法の適用を受けておりません。
  153. 安井吉典

    ○安井委員 その受けていないものについては、規制の方法は全くないわけですね。
  154. 舘林宣夫

    舘林政府委員 ただいま申しましたように、本来興行場法は保健衛生だけの目的法律でございますので、いわゆる風紀上の見地からの規制は行なわれないわけでございます。ただ、これは警察庁のほうの関係でございますが、わいせつ物陳列罪というものに抵触すれば、当然そちらの取り締まりを受けるわけでございます。
  155. 安井吉典

    ○安井委員 警察庁の見解を伺いたいのですが……。
  156. 江口俊男

    江口(俊)政府委員 ヌードスタジオにつきましては、公衆浴場法と違ってというか、多少色合いを異にして、私もこの法律を読みますと、このこと自身で、現在いわれておるヌードスタジオ取り締まりをするのはむずかしかろう、こう考えております。したがいまして、ヌードスタジオにおきましては、私どもとしても、数はたいした数ではございませんけれども、ただいまおっしゃったような刑法なり、あるいは売春禁止法なりの個々の犯罪の容疑で、これを取り締まって取り調べておるという実情でございますから、こういうものについては、風紀という点から何らかの新しい立法が要るんじゃないかと思います。ただその場合、成規の興行場法による監督を受けておる映画館だとか大きなトルコぶろというものについても、同様に風紀の面からかぶせていかないと、小さなものだけはその風紀上の営業ということになり、大きなものは設備構造だけでこと足れりということではつじつまが合わないので、これは広く風紀という点からかぶせて、これは警察でもちろん実際上の取り締まりをやりますけれども警察でやることがはたして適当であるかどうか、あるいは別個の機関でやるのが適当であるかというような点は、今度の風俗営業法改正とは別個に大きな問題として考えなければいかぬ、私はこういうふうに思っております。
  157. 安井吉典

    ○安井委員 いまお二人のお話を伺っておりますと、確かに興行場法というものは、これはお客さんのほうを、おそらく厚生省として環境衛生的な見地から適用されるというふうな法律のように考えられるわけで、ストリップショーとかそういったようなものが、むしろ興行場法対象になるわけで、いま言われているようなものはこれは確かにどこにも入らないで、むしろ風俗営業ですか風紀営業ですか、いずれでもよろしいのですが、そういったような範疇で処理するよりほかにないような気がするわけであります。ですから、いまの場合は、刑法以外に処置の方法がないということのように受け取れるわけなので、いまの段階では、厚生省警察庁の話し合いはどうなっておるのか、警察のほうで何とか処置するようなことまで話がついておるわけですか、それとも全く何らの話し合いもない、こういう状態ですか。
  158. 舘林宣夫

    舘林政府委員 この件に関しては、警察庁のほうと厚生省との話し合いがかつて行なわれておりまして、もちろん厚生省関係行政の中で把握しない、興行場法を適用しない部分については、把握のしようもないのでございますが、厚生省興行場法を適用して規制をいたしておる施設につきましては、風紀上の規制については警察庁のほうと連携をとってお願いする、こういうようによく連絡を密にしてやるようにという通達を出しておる次第でございます。
  159. 安井吉典

    ○安井委員 それは興行場法の適用がある分だけですね。それ以外のものについては、厚生省としては何も関係がないわけですね。そうすると、警察オンリーで処刑されるという事項のように思うわけでありますが、これは、長官、いまの段階までくれば、結局今後積極的な対策を講ずるかどうかという警察側の意向、政府の決意いかんにかかっておるような気がするわけでありますが、いかがですか。
  160. 江口俊男

    江口(俊)政府委員 おっしゃるとおり、その興行場法によっても監督を受けていないというものにつきましては、それが刑法上の個々の犯罪を犯しまする場合においては、警察がこれをやるよりほかにないのでございまして、そういう立場から、過去におきましても、一例をあげますと、去年の七月から九月までの二カ月間、全国一斉に計画的なヌードスタジオ取り締まりをやってみたわけであります。この期間に全ヌードスタジオの約三〇%に当たる六十軒が公然わいせつ、その他の事犯によって検挙をされております。そのほか検挙件数は二百三軒、人員にして二百十名でございまするが、公然わいせつ罪が百二十一件の百五十四名、職業安定法違反としてあげましたのが三十一件の三十三名でございます。なお興行場法違反十三件八名、入場税法違反十三件七名、児童福祉法違反が七件四名、その他の法令違反十八件四名という実績が出ておりますが、これはほんとうの窮余の手段でございまして、かねがねわれわれの視野にこういうものを入れておくという一つの法令上の根拠がほんとうはなければならぬのじゃないかと思うのです。しかしこのヌードスタジオ等につきましては、けさもちょっとお話ししましたが、それじゃどこまでがいいのだ、どこから先が悪いのだということになると、これがよろしいというヌードスタジオを、風俗営業として私たちが把握するというのは非常にむずかしいのですね一言にして言えば、興行場法にかからない、それには入れないというヌードスタジオというものは、やはり風俗営業としても認めるべきじゃないかという感じがあって、むしろ興行場法にかかるような興行についても、風俗の点、風紀の点から、さらにもう少し強い何らかの規制があってしかるべきだ。そしてそれが大きな前提となって、そのもぐりである小さなものを個々のものでつかまえていく、こういうことになるのが趣旨じゃないかと思うのです。いま興行場法に漏れる零細なヌードスタジオだけを、それからはずした特別な営業として慰めるというのは、ちょっと立案しにくいような気持ちがいたしまして、私もここでこれを前進的にやりますと言うのをちゅうちょする次第でございます。
  161. 安井吉典

    ○安井委員 芸術的な立場からの女の人の裸体を見るということは別として、いわゆるいまヌードスタジオという名前で、公然わいせつ罪だとかそういうものにひっかかるようなものを、風俗営業法営業として認める条項自体が問題があるわけで、営業としてそういうものをどこまで認めるかという考え方自体がむしろおかしいくらいで、営業として認められるのはどの限度かという点に問題が残ってくるわけです。そうでないもの、はっきり禁止と認められるものはどの辺という線の置き方、これはめんどうではあろうと思うわけですが、そういう点についてさらに御検討を願いたいと思います。これは厚生省よりも警察の問題になるかと思うわけでございますので、警察庁の中で積極的な前向きの方法でひとつ御検討願っておきたいと思います。  それではあと法律の内容についてちょっと伺って終わりたいと思います。  この風俗営業等取締法の今度の改正法案にからみまして、従来からある、もとの法律そのものに問題があるのではないかという議論がきのうから行なわれているわけです。たとえば風俗営業というものが一般的な概念で言われる、そういう種類のものはたくさんあるわけです。しかしこの法律は、その一部しか取り締まり対象としていないし、したがって風俗営業を取り締まるという目標も明らかでない、内容がきわめて、不明確である、こういったような指摘が行なわれてまいっております。つまりこの法律では、規制対象になっております。種類の営業のほかに、並列的なものがまだたくさんある。そのうちの七つだけを対象にするんだ、そういう考え方でありますし、特に今度のこの法律の中で一番問題にされております。深夜喫茶の問題についても、これは風俗営業であるというとらえ方をしていないわけですね。これだけたくさん並べておいて、風俗営業そのものではなしに、風俗営業等、その等に当たるのが、この深夜喫茶である、そういうとらえ方であるわけです。そういう点をあげるだけでもこの法律の体系といいますか、風俗営業全体に対するかまえというようなものが、非常に、不明確だということができるわけであります。そこで私は、少なくとも深夜喫茶というものだけでも、風俗営業という形の主に加えていくという考え方が持てないかということです。こういうものを完全になくしてしまうということになれば、そういう必要はないわけであります。法体系の上から、そういうようなことも考えられないかということを私自身いろいろ検討もしてみたわけでありますが、たとえば照度、ルクスをいま十度の規定を二十度まで引き上げていく、そういうようなことをしたり、設備基準を引き上げていくということになれば、風俗営業として取り締まる範囲が拡大されるわけです。そういうような形で問題を処理されようという御検討はなされたかどうか。その点をひとつ伺いたいと思います。
  162. 大津英男

    大津政府委員 風俗営業の立て方の問題に関連をいたしまして、ただいま御指摘のような深夜喫茶を、風俗営業そのものに入れていくということをさらに検討しておったかどうかということでございますが、御承知のとおりに十ルクスのものと、区画の狭いものを昭和三十三年の法改正の際に行ないまして、その後それ以外のものにおきましても、飲食店につきまして、この際に四条の二で、風俗を害する行為を防止するための規制が業態について行なわれるということが、そのときの法律改正で行なわれたのでありますが、遺憾ながらその四条の二の運用によりましては、なかなかこれを全般的に取り締まっていくことができないために、今日また改正に及ばざるを得なくなったのでございますが、この際そういう喫茶店その他につきまして、全般的にこれを風俗営業に取り入れることはどうだろうかということも実は検討をいたしたのでございます。と申しますのは、喫茶店にいたしましても、食品衛生法の許可を得ておる。しかも許可を得ておる者に対して、警察が深夜においての営業ということで、そのことが風俗関係が出てくるという意味でございますので、何らかの意味での第二種風俗営業的な感じもするというふうなことで、五号、六号の営業ではないがさらに何か似たようなものにしてはどうかというので、許可営業にかからせるということもちょっと考えたのでございますが、許可営業にするという意味は、やはり一般的な禁止が前提になっておって、禁止を解除するという立場に立つわけでございますので、どの程度のものをそれでは解除すべきものにするかということは、一般の飲食店について基準を立てていくことが非常に法律技術的に困難である。そういうようなことでいろいろ難航いたしまして、結局は現在の四条の二の形の業態というものをもう少し形を変えまして、そちらの面からやっていく。それによって瞬間的に十一時以後はできないように、地域指定をやればやれるということで、結論としては目的が同じように達成できるのではないか、こういう意味で今回のような改正をお願いしたというようなことでございまして、検討はいたしたのでございますが、そういう結果になったという次第でございます。
  163. 安井吉典

    ○安井委員 もう時間がだいぶ進んでおりますので、問題だけを端的に伺いたいと思うのです。この間からもいろいろ何っております照度の問題ですね。いま、テーブルの上でルクス十度ということになっているから、天井から長いコードを引いて、テーブルの上がちょっぴり見えるくらいにして、まるくテーブルに光が当たるところが十度あればいい、そういうような解釈で、とにかく部屋の中はまっ暗だ、こういうような実態があることを聞くわけであります。ですから私はこの照度そのものを十度から十五度に上げるとか、二十度に上げる。そういうような中で、テーブルの上の一部さえ明るければいいというのは、事実おかしいわけですね。ですから部屋全体をルクス十度なら十度にするとか、そういうような規定のしかたをするほうが合理的ではないか、こういうふうに考えておりましたところが、総理府令か何かで、そういうようなものだけでもその点は処理できるというふうなことも聞くわけであまりすが、この際いまのルクスの測定のしかただとか、いまのような形でテーブルの一部さえその基準に合えばいいというようなばかげたことでなしに、部屋全部が明るい、そういうふうな姿をつくり上げるための法令の改正を、この法律以外でもできる措置を必ず講ずるというお気打ちがおありなのかどうか、その点をはっきり確めておきたいと思います。
  164. 大津英男

    大津政府委員 お仰せのとおり、現在の状況が、そのようなテーブルの上の一面だけを十ルクスにしておるというようなこともございますし、さらにはそれよりもまだひどいというようなものもある状況でございまして、取り締まりも行なって、おるのでございますが、現在の総理府令の書き方が、そういうふうに持っていかれるようになっておりますので、この際、総理府令をはっきり改正いたしまして、客の通常利用する部分というところまでは十ルクスになるように規定をもっとはっきり改正いたしまして、目的に沿うようにいたしたい、かように考えております。
  165. 安井吉典

    ○安井委員 この法律の中で第四条の二の第一項でありますが、営業の時間制限の規定が、現行では条例で例外を聞くことができるようになっているが、改正法ではこれができない、例外規定も置けないということになるわけですね。
  166. 大津英男

    大津政府委員 仰せのとおりでございます。
  167. 安井吉典

    ○安井委員 それから、現行法では、同じ四条の二で「飲食店営業規制」という書き方をしておったのが、改正法では「飲食店業務の規制」とされているわけですね。この理由はどういうことですか。
  168. 大津英男

    大津政府委員 これは飲食店営業ということばを現行法ではとっておりまするが、改正法におきましては、飲食店営業の中におきましても、これは食品御生法の施行令なりでとらえておりますような業態の中におきましても、たとえば仕出し屋のようなものは、そういうものをつくりますもので、しかも飲食店営業といわれておりまするけれども、こちらの風俗営業では仕出し屋の面につきましては、客に飲食をさせる営業というふうにとらえておりませんので、そういう観念をはっきりさせたいという意味で、改正をいたしておるということでございます。
  169. 安井吉典

    ○安井委員 それから四条の二の規定は、先ほども質問があったかもしれませんけれども風俗営業として取り上げられているものにもこれは全体的にかかってくる規定ですね。つまり深夜における営業規制は、すべての飲食店業務に一応かぶせた規定だということになると思うのですが、どうですか。
  170. 大津英男

    大津政府委員 風俗営業のほうの営業の時間は、条例に譲ってはございますが、十一時までというたてまえになっておりますので、この法律の四条の二では、十一時以後から恥のものを考えてございますので、かぶらない、こういうふうに考えております。
  171. 安井吉典

    ○安井委員 そこで場所による制限を現実にはどういうふうに置こうとお考えですか。
  172. 大津英男

    大津政府委員 四条の二の場所の規制でございますが、私ども考えておりますものは、その場所については、大体各府県におきまして別表のような形で、それをきめていただく。ただ、この場合、その地域内にそういうものが一切なくなってしまうということでも不便を感ずる面もあろうと思いますので、そのために例外をその地域の中に設けていきたい。その除外例といたしましては、駅とか港湾、空港等の旅客施設におきまして、もっぱら旅行者が利用するというためのもの、あるいは事業所等におきまして、もっぱらその従業員等のために利用させるもの、こういうようなものはその地域内におきましても許される、こういうような規定のしかたをしてまいりたい、場所につきましてはかように考えている次第でございます。
  173. 安井吉典

    ○安井委員 いままで質問のあった点をなるべく避けつつお伺いをしていきたいと思うのですが、営業停止を命ずる場合であります。従来は期間についてもすべて条例にまかせていたのか、あるいは公安委員会判断にまかせていたのかということだと思うのですが、今度ははっきり六カ月以内というふうにお出しになっている。これはむしろいいわけで、条例で何もかもまかせているということは、不合理だということを申し上げたいと思っておったんですが、これは従来現実にやっておった実態と、新たに六カ月をこえない範囲ということとの関連ですが、従来の実態はどうであったんですか。
  174. 大津英男

    大津政府委員 これは統計的に申し上げますると、風俗営業と飲食店営業関係においての行政処分でございますが、三十七年中においてでございますが、行政処分が全部で二千四百七十件ございます。そのうち許可の取り消し、停止がございまするが、全体として見た場合、百八十日の停止を命じたというものもあるわけでございますが、それ以上のものはいままでのところ停止については出ておらない。それ以上になった場合においては、許可の取り消しを行なっておるというのが実態でございまして、実態の面から申しましても、大体六カ月というところでございますので、妥当な線ではないかと判断した次第でございます。
  175. 安井吉典

    ○安井委員 なお、この規制の方法として、必要な処分をすることができるという規定があるわけですが、実際はどういうことですか。いままでやった実績の中から、ここでちょっと御説明願いたい。
  176. 大津英男

    大津政府委員 実際には構造設備がいけないというようなことで、それの改造を命じるとか、あるいは従業員が妙なことをしたというので、そういうものについての就業の制限とか、そういうふうな風俗維持のための措置、こういうものでございます。
  177. 安井吉典

    ○安井委員 風俗営業でない深夜喫茶、こういうような実態は、これは届け出制ではないですね、どういうふうにして把握になっているんですか。
  178. 大津英男

    大津政府委員 届け出制ではございませんけれども警察のほうで、保健所等とも連絡いたしますし、また実際に見ておりまして把握をしておる、こういうことでございます。
  179. 安井吉典

    ○安井委員 それでは、目が届かないやつはそのままになっておる、そういうことになるのではないかと思うのですが、こういうふうなものについても届け出制を——許可制というのは、風俗営業でなければこれはとれないわけです。先ほども、これを風俗営業に考えるという行き方はないかというふうなことでお尋ねもしたわけですが、それはなかなかすぐにはいかない。ですから、許可制でないにしても、少なくとも届け出制、これに該当するようなものについてはそういうような仕組みもつくるというお考えはありませんか。
  180. 大津英男

    大津政府委員 この法律のたてまえといたしましては、届け出を公安委員会にするということにはいたしておりません。
  181. 安井吉典

    ○安井委員 手っとり早く言って、深夜喫茶は、この法律が施行になれば各条例ができて、実質的には全部なくなる、そういう理解でよろしいですか。
  182. 大津英男

    大津政府委員 地域の指定をいたしましたならば、その地域内におきまして、先ほど申し上げましたような除外例を除いては、深夜十一時以後における営業をすることはできないような制限になりますので、その地域内においては深夜喫茶がなくなる。もしそれに違反をいたしました場合におきましては、これは行政処分もできるというようなことでございますので、なくなるものと私どもは考えております。
  183. 安井吉典

    ○安井委員 これは東京都がきめることですが、東京の場合は、参議院での言明もあるようでありますが、二十三区の中は完全になくなる、そういうことですか。
  184. 大津英男

    大津政府委員 これは東京都の公安委員長も、参考人として参議院のほうへ参りましたときには、二十三区については措置をとりたい——まだ法案が成立する前であるからということでございますが、そういうふうなことで検討しておる、そのほかについても検討する、こういうふうなことを言っておられますので、二十三区については、もちろん条例で措置をとるような原案を警視庁において準備しておる、こういうようなことだと思います。
  185. 安井吉典

    ○安井委員 最後に一つ申し上げておきたいのは、この間うちからのどの委員の発言の中にも、何もかも条例に委任していることはおかしいではないかというようなことのお話がありました。この条例の委任内容は、憲法の例の十三条の職業の自由の問題に関連のあるような問題点まで委任をしている、こういうような面もあるようであります。地方自治を尊重するというたてまえも考慮してのことなのだというふうな御答弁もありましたし、それからまた、各地域地域の実情を反映したものにする配慮もあってのことだ、こういうような御説明もあったわけであります。しかし、この法律が幾らできても、各地方地方が、警察庁がお考えになっているような準則に基づく条例をもしつくらなかったら、それきりなわけです。もちろん、つくるという期待をされているであろうと思いますが、しかし、地方自治を尊重するというたてまえからすれば、警察庁の思いどおりに、あるいは国会の思いどおりに地方議会にきめさせるということは、それこそ地方自治の本旨に沿わないわけであります。そういうような意味からもすべてを条例に委任するという考え方はおかしいのではないか。それからまた、各県々の実情を反映するといっても、日本の、こういう狭い国の中で——アメリカの州の場合と違うと思うのですよ。こっちの州では離婚が楽で、こっちのほうはなかなか離婚ができない。それくらいのエリアの広さもあるし、それぞれの州の特殊性も出ているアメリカのようなものと、日本の府県の場合とはちょっと違うと思うわけです。地域も小さいし、またこの狭い中で、最近のコミニュケーションの発達で、もうすぐ隣につながってしまう、こういうような段階でございますから、どの面から考えても、何もかも条例にまかせてしまうというふうな行き方は、これはやはり根本的に反省し直さなくちゃならないかと思うのです。そういう意味で、私、各府県における条例の実態に関する資料をお願いしたわけでありますが、各府県共通の部分法律の中に取り込むとか、あるいは政令に規定するとか、そういうような仕組みにすることのほうが合理的ではないか。これまでもいろいろな委員の方の発言の中にもあったことを、私も強く感ずるものでございますから、今後の段階においてそういうような方向に踏み切るお気持ちはないかということを、ひとつ伺っておきたいと思います。
  186. 江口俊男

    江口政府委員 御承知のとおり今回改正をいたします部分におきましても、御指摘のように条例に譲る面が非常に多いのですが、この法律全体の体系として、ほかの一面においても条例に譲っている分が多い。時間の制限ということになると、ある程度画一的な考え方ができますが、場所をどこを許し、どこを禁止するかということになりますと、かりに法律禁止すると、ただし例外は条例でつくるというような逆の書き方をするか、あるいは禁止するところを条例で書くか、とにかくどちらか書かなければいかぬわけです。全般的に禁止する以外は。だから、そういうことなら、積極的な面は条例のほうに譲ろう。例外として条例が除外するのじゃなしに、地方自治体の意志によって、こういう範囲は深夜喫茶をなくそうという積極的な面をそちらのほうに譲ろうという気持ちでつくったのが、この案でございますから、こちらで特に指定するのに近いような効果を私たちとしてはねらっております。しかし、各地方自治体が府県議会を開く時期もありますし、この法律の通る時期等ともかみ合わせて、一気に法律一本でつくったようなわけにはいかないと思いますが、ある程度の時間をかしていただければ御期待に沿うような状態になる、こういうふうに私たちは確信をいたしております。
  187. 安井吉典

    ○安井委員 いまの御答弁で、次の段階で考え直すというような御意向があったわけでありますが、私は、何もかも全部法律、政令できめてしまえというわけじゃなしに、場所の問題だとか地域の具体的な問題に関する部分は、これは当然条例に譲るべきです。しかしながら、ほとんど共通的な部分までみんな条例にまかせてあるというふうなあり方は、この法律を読んだだけでは一体どこまでどうなるのかということがわからないわけですよ。条例を見なければほとんど重大な点がわからない。こういうふうな規定の書き方は改められるべきではないか。つまり重要な全国共通的な部分法律あるいは政令の中に置きながら、最後は条例に譲る、こういうふうな書き方でいくことが正しいのではないかと考えるわけです。地方自治を尊重する尊重すると言いながらも、条例の準則を示して、この準則どおりに全国一斉につくりなさいということのほうがむしろこれは地方自治をそこなう最大の行政指導のあり方ではないかと思うわけです。そういう基本的な考え方も頭に置かれて御処置を願いたいと思うわけです。  もう五時になりましたので、これで終わります。
  188. 森田重次郎

    ○森田委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時二分散会