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1964-04-23 第46回国会 衆議院 地方行政委員会 第37号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月二十三日(木曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 森田重次郎君    理事 田川 誠一君 理事 渡海元三郎君    理事 中島 茂喜君 理事 永田 亮一君    理事 藤田 義光君 理事 川村 継義君    理事 佐野 憲治君 理事 安井 吉典君       大石 八治君    奧野 誠亮君       亀岡 高夫君    久保田円次君       登坂重次郎君    村山 達雄君       森下 元晴君    山崎  巖君       和爾俊二郎君    秋山 徳雄君       千葉 七郎君    華山 親義君       栗山 礼行君    門司  亮君  出席国務大臣         国 務 大 臣 赤澤 正道君  出席政府委員         警察庁長官   江口 俊男君         警  視  監         (警察庁保安局         長)      大津 英男君         警  視  監         (警察庁交通局         長)      高橋 幹夫君  委員外出席者         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 四月二十三日  委員和爾俊二郎辞任につき、その補欠として  田村元君が議長指名委員に選任された。 同日  委員田村元辞任につき、その補欠として和爾  俊二郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 四月二十二日  道路交通法の一部を改正する法律案内閣提出  第一三八号)(参議院送付)  行政書士法の一部を改正する法律案渡海元三  郎君外九名提出衆法第四五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  風俗営業等取締法の一部を改正する法律案(内  閣提出第三二号)(参議院送付)  道路交通法の一部を改正する法律案内閣提出  第一三八号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 森田重次郎

    森田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる道路交通法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案については、三月三十一日参議院段階において内閣修正が行なわれ、昨二十二日参議院から送付されたものであります。御承知おき願います。
  3. 森田重次郎

    森田委員長 この際、政府から提案提案説明を聴取いたします。赤澤国務大臣
  4. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 ただいま議題となりました道路交通法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概略を御説明いたします。  この法律案は、道路交通に関する条約への加入に伴い、車両等交通方法に関する規制を同条約に定める方式に適合するように改め、国際運転免許証及び国外運転免許証に関する制度について規定すること、最近における交通事情にかんがみ、車両等交通方法に関する規定を改め、運転免許制度合理化をはかるため所要規定整備すること、交通事故の場合の事後措置義務違反酔っぱらい運転禁止違反等に対する罰則強化すること等をその内容としております。  まず、条約への加入に伴う改正について御説明いたします。  第一は、車両等通行方法に関する規制条約に定める方式に適合するように改めることでありますが、一部の例外を除き、車両通行区分道路左側部分左側を通行するいわゆるキープレフト原則に改めること、軽車両並進禁止すること、優先道路指定に関する規定を新設すること等がその内容となっております。  第二は、国際運転免許証国内における取り扱い及びわが国発給する国外運転免許証制度に関する規定を新設することであります。すなわち、匡際運転免許証につきましては、条約第二十四条第一項の国際運転免許証を所持する者は、本邦に上陸してから一年間、わが国運転免許を受けないで、その国際運転免許証運転することを認められる自動車等運転することができることとし、あわせて国際運転免許証携帯義務提示義務等について定めるとともに、国際運転免許証発給条件が満たされなくなった場合または道路交通法令に違反した場合には、わが国運転免許を受けている者に対する運転免許の取り消しまたはその効力停止の例により、一定期間、その者の自動車等運転禁止することができることといたしております。  また、わが国において発給する条約第二十四条第一項の運転免許証につきましては、これを国外運転免許証と呼称し、公安委員会発給することとするとともに、この国外運転免許証交付申請手続有効期間、失効した場合における返納義務等について規定することといたしております。  次に、最近の交通事情にかんがみ、車両等交通方法に関する規定を改め、運転免許制度合理化をはかるため所要規定整備することについて御説明いたします。  第一は、車両等交通方法に関する規定改正でありますが、車両等追い越し駐車等規制その他車両交通方法に関する規定について、最近における交通事情にかんがみ、これらの規定実情に即するよう整備することにより道路における危険の防止その他交通の安全と円滑をはかろうとするものであります。  第二は、運転免許制度合理化をはかるための所要規定整備でありますが、これは、従来の軽自動車のうち農耕作業用自動車及び小型特殊作業用自動車軽自動車から分離して小型特殊自動車とし、その運転免許試験を簡略にすること、運転免許拒否または保留に関する規定整備して、公安委員会は、運転免許拒否または保留をすべき者について運転免許を与えた後においてその事実が判明したときは、その者の免許を取り消し、またはその効力停止することができることとすること、運転免許を取り消し、またはその効力停止することができる公安委員会を、その処分にかかる事由発生時に被処分者住所地を管轄する公安委員会とし、行政処分迅速化適正化をはかることとしたこと等がその内容であります。  次に、罰則強化について御説明いたします。  第一は、車両等運転者交通事故による人の死傷があった場合において負傷者救護等を怠った場合の罰則強化したもので、これは、最近におけるいわゆるひき逃げ事犯増加とその悪質化予防をはかろうとするものであります。  第二は、酔っぱらい運転禁止違反に対する罰則強化でありまして、これはいわゆる酔っぱらい運転がきわめて危険な行為であるばかりでなく、そのような者が交通事故を起こした場合は同時にひき逃げ事犯を犯すことが多いことから、罰則強化することにより、この種事犯予防をはかろうとするものであります。  第三は、不正な手段等により運転免許証交付を受けた者に対する罰則強化でありまして、これも最近増加傾向にある自動車教習所における不正卒業証明書発行免許試験の際におけるかえ玉受験等事犯予防をはかろうとするものであります。  第四は、車両通行区分違反追い越し規制違反等に対する罰則強化でありまして、これらの違反行為交通事故の、原因となっている場合が多いことにかんがみ、罰則強化することによりこの種の違反行為予防をはかろうとするものであります。  なお、この法律案中、国際運転免許証を所持する者に対する自動車等運転禁止する規定に関連する関係規定条文整理上の不備がありましたので、この不備を補うため若干の修正をいたしております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容概略であります。何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御質問を賜わらんことをお願いいたします。
  5. 森田重次郎

    森田委員長 以上で提案理由説明を終わりました。  なお、この際補足説明を聴取いたします。江口警察庁長官
  6. 江口俊男

    江口(俊)政府委員 ただいま提案理由説明がございました道路交通法の一部を改正する法律案につきまして、さらに補足して御説明いたします。  第一に、道路交通に関する条約への加入に伴い、車両等交通方法を同条約に定める方式に適合するように改める規定から御説明いたします。  その一は、第十八条及び第二十条の改正規定についてでございます。  これらの改正規定は、車両通行区分道路左側部分左側を通行する、いわゆるキープレフト原則にしようとするものでありますが、この方式は、条約で定められているように国際的な道路通行方式原則であり、わが国道路交通実情にも適するものと考えられますので、条約への加入に伴い、原則としてこの方式をとることとしようとするものであります。ただ、わが国道路交通特殊性から、市街地等における交通量の多い道路につきましては、その例外を認めることといたしております。  また、第十九条の規定は、道路交通危険防止等のため、軽車両並進原則として禁止しようとするものでございます。  その二は、第二十七条及び第三十四条から第三十六条までの改正規定についてであります。  これらの改正規定は、優先道路指定に関する規定を新設し、後車に追いつかれた車両の加速を禁止し、第一種原動機付自転車右折方法を改めること等がその内容でありますが、条約加入を機会に車両等交通方法合理化しようとするものでございます。  第二に、国際逆転免許証国内における取り扱い及び国外運転免許証制度に関する規定について御説明いたします。  その一は、第百七条の二の国際運転免許証を所持する者の自動車等運転に関する規定についてであります。  この規定は、条約第二十四条第一項の国際運転免許証を所持する者は、本邦に上陸後一年間、わが国運転免許を受けないで、その国際運転免許証運転することが認められる自動車等運転することができることとしようとするものでございます。なお、この国際運転免許証を所持する者に対しましては、自動車等運転する場合の運転免許証携帯義務及び警察官から要求があった場合の運転免許証提示義務を課すことといたしております。  その二は、第百七条の四の国際運転免許証を所持する者に対する臨時適性検査に関する規定についてであります。  この規定は、国際運転免許証を所持する者について、その国際運転免許証発給条件が満たされなくなったと疑う理由があるときは、臨時適性検査を行なうことができることとしようとするものであります。  その三は、第百七条の五の国際運転免許証を所持する者に対する自動車等運転禁止に関する規定についてであります。  この規定は、国際運転免許証を所持する者が、その国際運転免許証発給条件が満たされなくなった場合または道路交通法令に違反した場合は、一定期間、その者の自動車等運転禁止することができることとし、この場合の手続について規定しようとするものでございます。  その四は、第百七条の七の国外運転免許証交付に関する規定についてでございます。  この規定は、わが国において発給する条約第二十四条の国際運転免許証は、国外運転免許証と呼称し、国内運転免許事務をつかさどる都道府県公安委員会がこれを発給することとするとともに、この国外運転免許証交付申請することができる者の要件、交付申請手続等について規定しようとするものであります。  そのほか、第百七条の八から第百七条の十までの規定は、国外運転免許証有効期間国外運転免許証が失効した場合における返納義務等について規定しようとするものであります。  第三に、車両等交通方法道路交通実情に即するように改める規定について御説明いたします。  第十七条においては、公安委員会道路の物理的な中央以外の部分道路中央として指定することができることとし、追い越しのため道路右側部分にはみ出すことができる道路の幅員を改め、第二十六条においては、車両が進路を変更する場合における後車との間の車間距離保持義務について規定し、第二十八条から第三十条までにおいては、追い越し禁止場所踏切、トンネル、横断歩道の手前を加えること等追い越し等に関する規定整備し、第三十三条においては、車両等故障等のため踏切において運転不能になった場合に車両等運転者が講ずべき措置について規定し、第四十四条においては、停車及び駐車禁止する場所に関する規定整備する等の改正をしておりますが、これらの改正は、いずれも、最近の道路交通実情にかんがみ、車両等交通方法道路交通実情に即するよう必要な改正をいたそうとするものでございます。  第四に、運転免許制度合理化をはかるための改正について御説明いたします。  その一は、第三条、第八十四条等の改正規定についてでございます。  これらの改正規定は、現行軽自動車のうち農耕作業用自動車及び特殊作業用自動車は、その性能上、速度も低く、運転操作も比較的簡単でありますので、これを軽自動車から分離して小型特殊自動車とし、その運転免許試験について運転技能試験を行なわないこととし、あわせて運転免許の種類に関する規定その他関係規定整備しようとするものであります。  その二は、第九十条の規定整備についてであります。  この改正規定は、公安委員会は、運転免許を与えた後において、その運転免許を受けた者がその運転免許を受ける前に自動車等運転に関して道路交通法令に違反したことが判別し、その者が自動車等運転することが著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがあると認めるときは、その者の運転免許を取り消し、またはその効力停止することができることとするほか、運転免許拒否し、または保留する場合の基準を政令で定めることとしようとするものであります。  その三は、第百三条の改正規定についてであります。  この改正規定は、被処分者住所の変更があった場合における処分能率化をはかるため、運転免許を取り消し、またはその効力停止することができる公安委員会を、処分時に被処分者住所地を管轄する公安委員会から、その処分にかかる事由発生時に被処分者住所地を管轄する公安委員会に改め、処分迅速化合理化をはかることとしようとするものであります。なお、その他の改正として、第百一条の二においては運転免許証の更新の特例について規定し、第百四条においては所在不明の者に関する聴聞の手続についての特例規定し、第百七条においては運転免許効力停止を受けた者の運転免許証提出義務について規定することといたしておりますが、これらは、いずれも、運転免許制度合理化をはかるため必要な改正をいたそうとするものであります。  第五に、罰則強化について御説明いたします。  その一は、第百十七条の車両等運転者交通事故による人の死傷があった場合において負傷者救護等を怠った場合の罰則強化することについてであります。  この改正規定は、瀕死の重傷と知りながらこれを放置したまま逃走するきわめて悪質なひき逃げ事犯が多くなってきている現況にかんがみ、交通事故のうち、人の死傷があった場合における運転者の犯したひき逃げ事犯は、他の場合と区別してその罰則強化しようとするものであります。  その二は、第百十七条の二の酒酔い運転禁止違反罰則強化することについてであります。  この改正規定は、酒酔い運転は、その行為が危険であるばかりでなく、そのような者が交通事故を起こした場合は、同時にひき逃げ事犯を犯すことが多いことから、その罰則強化することにより、この種事犯予防をはかることとしようとするものであります。  その三は、同じく第百十七条の二の不正な手段等により運転免許証交付を受けた者に対する罰則強化することについてであります。  この改正規定は、自動車教習所における不正卒業証明書発行運転免許試験の際におけるかえ玉受験等事犯が最近増加傾向にありますので、その罰則強化することにより、この種事犯予防をはかることとしようとするものであります。  その四は、第百十九条及び第百二十条の車両通行区分違反追い越し規制違反等に対する罰則強化についてであります。  これらの改正規定は、これらの違反行為交通事故原因となっている場合が多いことにかんがみ、その違反行為に対する罰則強化することにより、この種違反行為予防をはかることとしようとするものであります。  最後に、この法律は、公布の日から起算して三カ月を経過した日から施行することとするとともに、この法律の施行の際に条約日本国について効力を生じていない場合の国際運転免許証及び国外運転免許証にかかる改正規定並びに小型特殊自動車免許等運転免許極数改正等に伴う必要な経過規定を附則において規定いたしております。  以上が、道路交通法の一部を改正する法神業のおもな内容であります。何とぞよろしく御審議をお願いいたします。
  7. 森田重次郎

    森田委員長 以上で補足説明は終わりました。  なお本案についての質疑は後日に譲ることといたします。
  8. 栗山礼行

    栗山委員 いま長官から補足説明のございました七ページの六行目に、われわれが資料をいただいておりますその内容は、「その二は、第百十八条の酒酔い運転禁止」云々、こういうことになっておりますが、いま長官は百十七条の二、こういうふうにおっしゃったので、これはミスプリントかどうか、これが一点。  それから十行目に「同じく第百十八条の不正な手段等により」という同条文がございますが、どちらが条文上正しいのか、これだけちょっと……。
  9. 江口俊男

    江口(俊)政府委員 失札いたしました。読み違いだそうでございます。この部分だけもう一ぺん読みますと、「その二は、第百十七条の二の酒酔い運転禁止違反罰則強化する」云云。
  10. 栗山礼行

    栗山委員 プリントは第百十八条になっているのです。
  11. 高橋幹夫

    高橋(幹)政府委員 ただいまお手元に配りました資料に訂正を要すべきものがありますれば、調べまして差し上げます。
  12. 江口俊男

    江口(俊)政府委員 私が先ほど読んだとおりのほうが正しいそうでございます。読み違えでございません。      ————◇—————
  13. 森田重次郎

    森田委員長 次に、風俗営業等取締法の一部を改正する法律案議題とし、質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。安井吉典君。
  14. 安井吉典

    安井委員 法案の中身に入るに先立ちまして、風俗営業をはじめ警察官職務執行の全体にわたる問題で一点だけ伺っておきたいと思います。  新聞によりますと、今度東京オリンピック治安対策について政府で検討をされていることが報道されているわけでありますが、新聞記事だけの報道によりますと、酢っぱらいの取り締まり強化だとか、あるいはまた環境の浄化のための対策等が立てられ、閣議の中では、たとえばこのオリンピックを成功させるための警備対策として、警備体制強化のため自衛隊の活用や戸口調査の復活もやるべきじゃないかというような意見も出て、国家公安委員会のほうでは巡回調査方法も検討している、こういうふうな記事があり、さらに引き続いて昨日の朝刊におきましては、警察庁外勤警察活動強化要綱、あるいはまた巡回連絡勤務要領等をおまとめになってパトロール、巡回連絡強化というふうな中で、戸口調査に似たような形で警備強化されようというお考えがあるようであります。特に巡査の勤務評定もいままでは点数制だったけれども、そうではなしに、この巡回連絡と警らで勤務評定をするのだ、これぐらいの強いきびしさで戸口調査の方向に向かっているのではないか、こういうふうな印象を受けるわけでございますが、現行警察官職務執行法では、戸口調査というふうな形は許されないことになっているはずです。この点国家公安委員長から伺いたいと思います。
  15. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 ずいぶん議論はありましたが、戸口調査はいたしません。しかし、御承知のとおりに、ことしは外人も数万人入ってくることが予想されますし、特に日本国民外国に向かって恥をかくようなことがあってはならぬと考えまして、警備、警護に対しましては特に重点を置いて指導をしようとしておるところであります。その新聞かどうか存じませんが、ごらんになったと思いますが、この措置を批評して、おすわりさんだと思っておったのが、今度はほんとうにおまわりさんになったかといって安心したような記事もございました。大体オリンピックがあるないにかかわらず、当節夕刻ともなれば、町に女の子や子供が出せないというふうな事態は、全く情けないことでもあると思いますので、第一線の警察官がそれぞれ所番地の案内なんかする、これも民衆に親しまれる警察としては大事なことでもあり、その役も大切ではあるかもしれませんが、単に交番にすわっておることでなく、管内を始終巡回警らするという指導を強くやるという決意を持っておる次第でございまして、何も個々の家庭へ立ち入ってどうこうということに重点を置いておるわけではございません。
  16. 安井吉典

    安井委員 新聞記事によれば、戸口調査のような調査をおだやかな運用方法でやるようにするという警察庁当局説明了承した、これは新聞記事ですが、このことはどういうことですか。
  17. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 戸口調査はいたしませんと申しましたことには間違いないのでございまして、ただその警察官があらかじめ——人間には精神異常者もありますし、それから凶暴性を帯びた者もあるし、またいろいろなことを常習的に行なって、そうして法に触れた人たちもあるわけでありますので、そういう人の動静というものはある程度知っておらなければ、やはり不測の危害を防止することはできぬわけですから、だからやることはやはり戸口調査に近いことにはなるかもしれません。その限界は非常にむずかしいと思います。しかし昔の戸口調査的なことをいまやろうと考えておるわけではないのでして、意味は全然違いますので、その点は御了承願います。
  18. 安井吉典

    安井委員 この警職法の問題は、先年も国会を大混乱に陥れたくらいの重大な問題であるわけです。あのときの論議の中にもこの戸口調査の問題が上がっていた記憶がございますが、それだけにひとつ慎重なお扱いでなければこれは問題になると思うのであります。もちろん私どもも東京オリンピック外国人に不快な思いをさせないように、成功をさせたい、そういう思いで一ぱいです。しかしながら、それだからといって警職法に違反するような、そういうような戸口調査方法を復活するということはいけないと思います。いま大臣のおことばで、その点はそうではないというふうにおっしゃっているわけでございますが、さらにこの外勤警察活動強化要領ですか、巡回連絡勤務要領ですか、そういうような資料をひとつ御提出いただきたいと思います。
  19. 江口俊男

    江口(俊)政府委員 外勤警察勤務要領につきましてはつい二、三日前の管区警察局長会議で論議しまして一応の素案を得ましたので、きょうの公安委員会に御了承を求めるべくかけているわけでございます。それが新聞等に載ったものだと思うのでありまするが、ただいま安井先生の御懸念になるような内容は一つもございませんので、きょう公安委員会で御了承を得ておりますれば、後ほどその文書をいつでも差し上げることにいたしたいと思います。
  20. 森田重次郎

  21. 川村継義

    川村委員 風俗営業等取締法の一部改正について若干お尋ねしておきたいと思います。  まず公安委員長にお尋ねをいたしますが、公安委員長提案理由説明を拝聴いたしますと、この法律案は、善良の風俗を維持するため、深夜における営業に関し、必要な制限を設ける、さらには年少者に関する禁止行為を定める等二、三点の改正提案しておられますけれども、風俗営業等取締法の一部改正をやろうというときに、はたしてこれだけで妥当な改正であるか。言うならば、これで今日問題となっておるような社会の不安等々を取り除くについて、適切な改正であるだろうかと実は少々疑問を持っておるわけです。その辺についてちょっと初めに大臣から所見をお聞きしたい。
  22. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 残念ながらこういう世相になってまいりました。先ほどもちょっと申しましたように、まるで夕方ともなれば、安心して老幼婦女子が外へも出られぬというような状態は、まことに残念だと思うわけです。そういうものがどういうところから発生するかということにつきましては、根本的にいろいろ検討しまして議論も尽くしております。しかしいまの段階で取り締まりの対象にしたいと考えるものはたくさんあるわけですけれども、あまり広範に一度にやるということもいかがかと思いまして、議論の結果、いまこの程度にとどめておるわけでございますが、なおこれは単に政府だとかなんとかいうことでなく、広く皆さん方の御意見をよく承って、こういう社会不安をなくするという努力を進めていきたいと思っております。
  23. 川村継義

    川村委員 今日たいへん問題となっておる社会的な悪化というものを正しい方向に進めていく、そういう点について取り締まりだけを強化したらそれがよくなるということについては、それぞれ異論があるところだと思います。いま大臣のおことばにもありましたように、もっともっと根本的な問題が解決されなければ、どんなに取り締まりを強化されましても、おそらく永久にこういう悪の花はなくならないだろう。かといって、放置しておくわけにはまいらない。この辺に今日のいろいろな矛盾をお互いに感じているのじゃないか、こう考えるわけであります。  そこで、私は風営法の二部改正についてお尋ねをする前に、関連をして少しお聞かせを願いたいと思いますが、最近の新しい資料を私目にいたしておりませんけれども、刑法犯罪につきましてもなかなかなくならない、というよりも相当増加傾向をたどっておる。私の目にした資料によりますと、三十八年の一月から十月、これは警察庁の調べだと思いますけれども、三十八年の一月から十月まで、全刑法犯が百二十八万七千四百九十九件といわれております。それは同じく前年同期の三・七%の増加であるようであります。このように逐年刑法犯罪がおそらく増加をしてきているわけでありますけれども、その最近の新しい発生件数等について警察庁当局からお示しをいただくと同時に、それらについての見解をお述べいただきたいと思います。
  24. 大津英男

    ○大津政府委員 ただいま三十八年の刑法犯の問題につきまして御質問がございましたが、手元にあります統計がちょっと先生お示しのものと違いますけれども、私どものほうで少年関係の三十八年の刑法犯の数字を調べました際に出ております成人刑法犯の検挙者の数が出ておりますので、それとの比較で申し上げたいと思います。  昭和三十八年中の成人の刑法犯の検挙者は四十三万二千二百九十八人でございます。人口千人当たりの犯罪者率が七・二名、これは昭和三十七年よりも人員では二万五千三百七十三人で六・二%の増、それから犯罪者率では〇・三人の増加、こういうことが出ておるのでございます。全体の検挙件数につきましては、先ほど先生がお話しになりました一月から十月までのものが統計に出ておりました数字は、そのとおりだと存ずるのでございます。なお、少年の刑法犯の問題につきましてもやや同じようなことが見られるのでございまして、三十八年中に補導いたしました刑法犯少年、これには十四歳未満の触法少年も含んでおりますが、その数は二十二万九千七百十七人でございまして、犯罪少年が十七万四千三百五十一人、触法少年が五万五千三百六十六人、十歳から二十歳未満の少年人口千人当たりの刑法犯少年の数いわゆる犯罪者率は、一一・三人となっておりまして、これを犯罪少年のみで見てまいりますと、一四・一人、触法少年で六・九人、こういう状態でございまして、三十七年中の補導人員と比較いたしますと、全体で八千九百六十八人、四・一%の増加、犯罪者率では〇・五人の増加、こういうようなことが出ております。
  25. 川村継義

    川村委員 すみませんが、いまお話しのような最近のそれらの資料をひとつ明日でもお示しいただきたいと思います。  そこで私がお尋ねしたいのは、そのような発生件数に基づいて皆さん方がどういう分析と見解を持っておられるか、実はそれを長官あたりからお聞きしたいのであります。いまの刑法犯の実態から考えて、罪種別に分けてみた場合に凶悪犯がどういう動きをしておるか、どういう発生状況であるか、窃盗犯がどういう動きをしておるか、あるいは粗暴犯、知能犯、風俗犯といわれるような犯罪の傾向というもの、それが発生件数としてどうあらわれておるか、それに基づいて皆さんのほうでどういう分析と見解を持っておられるのか、それをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  26. 江口俊男

    江口(俊)政府委員 ただいまここに数字を持っておりませんけれども、刑法犯全体の数というものは、ここ数年横ばいの状態でございます。ただその中で占めております青少年の犯罪が、だんだん比率が増加しておるという傾向と、その青少年犯罪の原因がまたいろいろ錯綜いたしておりまして、おとなの犯罪と関係がある。たとえば青少年非行化グループというのがおとなの暴力団の一つの予備組織になっている、あるいは下部組織になっているというような関係だとか、あるいはおとなとの関係がなくても、少年の非行というものが、単独のものよりもグループ的なものが多いとか、あるいは従来窃盗等が多かったのは、貧乏な家庭の子供が欲望を満たすためにやったのだろうと思われておったものが、最近の非行少年は必ずしも貧富の差によって起こっているのではなしに、いわゆる中流家庭といわれるものの中にも相当多いというような傾向等が顕著でございまして、私たちはその対策として専門的にはソシオメトリー、こう言うそうですか、非行少年グループについてのいろいろな社会学的な分析を行なって、いかなる原因によってそういうものになったかということと、どうすればそういうものが排除できるかということ等につきましては、特定の非行少年グループ等を抽出いたしまして研究をするというような方法もとっております。そういたしますと、非常におもしろいことには、その非行少年がABCDといるならば、そのうちのAならAという者をみんなから引き離せばそのグループは解体するとか、あるいはBという者が特に悪くなったというような場合におきまして、それに一番影響を与えているのはDであるというようないろいろなデータが出てまいります。そういうデータが出ますと、これを関係の職場なりあるいは関係の学校の教師等ともよく相談をいたしまして、だんだん非行少年を孤立化というか、分解さしていくというような方法で、昨年あたりから各第一線においてもいろいろと手を尽くしておるというのが大ざっぱに言って現在の状況でございまするが、なお御要求になりました全体の刑法犯だとかあるいは罪種別趨勢だとかいうのは、後刻資料提出いたします。
  27. 川村継義

    川村委員 これらの犯罪の実態等については、いろいろお聞きをしたいところでありますけれども、たくさんこれらに時間をいただくわけにはまいりませんが、いま長官がお話しになりました少年犯罪等について考える場合には、確かに御指摘のようなところがあるだろうと思います。ところが刑法犯について見る場合に、殺人、強盗、泰行、障害、こういうような各種の犯罪について考えてみると、昨年あるいは一昨年あたりの実態からすると、強姦とかあるいはわいせつであるとか、こういうような犯罪がたいへん上昇しておる。長官が言われたように、ほかの犯罪はやや横ばい的であるけれども、減少したのもある、増加したのもある。大体総じて刑事犯というものの実態は横ばいである。しかし強姦あるいはわいせつというような犯罪は、増加傾向にある、こういうことがいわれておると思うのでありますけれども、そのように考えていいか、それらについていま少しくお聞かせいただきたい。
  28. 江口俊男

    江口(俊)政府委員 結論としては、ただいまおっしゃったようにお考えいただいてけっこうだと思います。もう少し詳しく申し上げますと、いわゆる凶悪犯、殺人、強盗、放火というような性質のものは、昭和二十八年から三十八年までの統計がございますけれども、三十四年ないし三十六年をピークといたしまして、七年、八年と多少ずつ下がっておるような状況でございます。しかるに、ただいま御指摘の風俗犯なり強姦という点になりますと、ずっと上がっております。風俗犯にいたしますると、今度は逆に三十年、三十一年あたりが底でございまして、それが現在ではほとんど二倍近くの線にまでなっておる。それから強姦罪におきましても、やはり三十年から三十二年あたりが底でございまして、三十六年が現在のところピークでございまするが、七年では多少下がって、現在は横ばいの状況というようなことでございまするけれども、これは現在の数におきましても、昭和三十年ごろに比べますれば約二倍近くの数になっておる、こういう状況でございます。
  29. 川村継義

    川村委員 いまの点はちょっと保留させていただきまして、次に、いま一つお聞かせいただきたいと思いますことは、そういう刑法犯罪の実態からして、昨年の犯罪の傾向というものには、やはり一つの特徴といいましょうか、特色があるのではないかと考えられるのであります。昨年はいろいろな事件が起きた。たとえば吉展ちゃん事件というのもある、狭山市の女子高校生の殺人事件が起こっている、それから爆弾を持って人をおどかした草加次郎というような事件等々が起こっておる。そのほかたくさん起こっておりますが、犯罪が非常に模倣的というか、人まねをするというか、伝播性的な犯罪が急激に多くなっておるのではないか、あるいは今日の交通機関等の発達で非常に広範囲に犯罪が行なわれておるというような幾つかの傾向あるいは特徴が考えられるのではないかと思いますけれども、その傾向についてお考えになります問題点等についてお示しをいただきたいと思う。
  30. 江口俊男

    江口(俊)政府委員 ただいまお話しになりましたように、一昨年から昨年にかけて、いろいろな世間の耳目を衝動させたような特殊の事件がたくさん出ております。ただ私たちの持っておりまする統計上の数字からしますと、特に昨年が特異な年であったというふうには全国的には出てまいらぬわけでありまするが、ただ誘拐罪等におきましては、やはり模倣的なものが次々に出る、実行には移らなくても脅迫、やるぞというおどし等は、やはり何かの特殊な事件が起こりますとそのムードというものが出てまいるということで、まことに残念な状態だとは思っておりまするが、世間でお考えになっておるように、犯罪そのものが急に去年だけが、あるいはことしだけが増加をし、異様な様相を呈しておるというふうには言えないというのが現状だろうと思います。
  31. 川村継義

    川村委員 お話でございますけれども、私はこれらについてもう少し突っ込んで御意見を聞いておきたいと思うのですが、幾つかのそういう特徴、傾向というものがやはり分析されなければならぬと思うのです。私、先ほどちょっと一、二申し上げましたけれども、私が聞いたところでは、これはいつでもそうでありますけれども、刑法犯の中で一番大きく発生件数のウエートを占めておるのは窃盗犯でありますが、あとで資料をいただけると思いますが、窃盗犯についても、特に昨年あたりは何か被害の金額等が急激に金目が大きくなっておる、そういうことが指摘されておるようであります。これは年間の推計から見ても、昭和三十三年を一〇〇とした場合に、金額を考えても昭和三十七年は一八四、そういう比率に上がっている、そういうことがいわれておるようでありますから、そういう点がやはり一つの特徴ではないか。そこで、先ほどの犯罪が広域的になっておるとか模倣的であるとか、財産犯等における被害が金目が大きくなったということは、一体何に原因をしておるのか、どこにその根本原因があるのか。それらをやはりもう少し考えてみる必要があるのではないか。少なくとも当局のほうでは、そういうような分析を十分なさって、われわれに意見を開陳してくださるというような姿勢であってよくはないか、こう思うのでございますが、長官のほうで、いま一度その点についてお聞かせいただきたい。
  32. 江口俊男

    江口(俊)政府委員 ただいまおっしゃったような傾向は確かにございまするが、ここに私自身が数字を持っておりませんので、はっきりしたことを申し上げられない、あるいは、そのほうの分析をいたしております者をすぐ呼んでもよろしゅうございますが、私の申しまするのは、各局、各専門で分析をいたしておりました結果を、報告を受けて、大体の感じというか、ここに資料なしでも先ほど来お答えした程度には心得ておりまするが、その原因が、金額が多くなったのは何のためか、あるいは、模倣性のものが出るのはどういうわけだろうかというお話になりますというと、もう少し専門的に、一時のがれということでなしに、私たち自身でも非常に重要な問題でございまするから、答弁を保留したいと思います。
  33. 川村継義

    川村委員 第二番目にお聞きしておきたいと思いますことは、先ほどちょっと申しましたように、強姦罪であるとか、あるいはわいせつ罪であるとか、こういうものが少し大きくなっておる、こういう傾向があるということをお示しいただいたわけでありますが、実際そういうような傾向をたどっておるようであります。このような性犯罪というものが、ほかの犯罪に比べて大きくなるということは、これは非常に注意をしなきゃならぬ問題だと思います。そこで、そういうような刑法犯罪の実態からして、それらの発生を考えた場合に、風俗営業との関係は何か、この的確な資料あるいは分析をお持ちでありましょうが、たとえば、風俗営業との関係を考える場合に、これらの犯罪の起こった時間あるいは場所、刑法犯罪の発生の時間や場所というものを一応想定してみて、風俗営業とどういう関係を生じておるか、こういう点についてお考えをお聞かせいただけますか。
  34. 大津英男

    ○大津政府委員 風俗営業とそういう風俗犯罪との関係ということでございますが、原因をどういうふうに探求していくかということは大へんむずかしいことでございまするが、風俗事犯として私どもが考えております中には、そういうわいせつ事犯の問題もございまするし、あるいは売春関係の事犯の問題もございまするし、その他いろいろな面があるわけでございます。そういう風俗犯罪そのものが、この風俗の面についての警察の取り締まりなりあるいは対策というもので、それが風俗営業の取り締まりの法規と直接の関係があるかどうかということになりますると、必ずしも直ちに結びつくということにはなりがたいと思うのでございます。たとえば、風俗営業関係の取り締まりを私どももいろいろやっておるのでございまするが、同時に、風俗営業法のそういう営業に対する取り締まりという問題とは別に、先ほどお話がございましたような強姦とかあるいはわいせつとかその他の売春とかいうような事犯は、また別の数字として出てきておるということでございまして、その原因を数字的に、風俗営業の関係に起因してどれくらいのことが原因となってあらわれるかというようなことは、なかなかむずかしい問題でございます。ただ、申し上げられますることは、やはり風俗環境というものがいろいろ少年の非行の問題、あるいはまたそういう享楽的なことにいろいろな欲望を持つために犯罪を敢行しようという動機を醸成する、こういうようなことはもちろん考えられることでございまするし、また、最近の傾向といたしまして、窃盗その他の問題にいたしましても、やはりそういう享楽的なものを求めての犯罪を犯す、窃盗を行なうというようなことも出てきておるようなことは見られるわけでございまして、そういう面から、私どもは、風俗環境が浄化されていくということは、あらゆる面からやはり努力をしなければならない。と同時に、それによって、犯罪の発生するような一つのムードと申しますか、そういうものがだんだんなくなっていくというようなこともできるのではないかと思っておるわけでございます。特にまた、今度お願いをいたしておりまする深夜喫茶の問題等にいたしましても、こういう場所がそういう風俗事犯についての一つのたまり場になる、非行あるいはそういう犯罪の温床になってくるというような傾向は否定できない、こういうようなことも見られるのでございまして、そういう意味で、このたび風俗営業法の関係におきまして改正をお願いしておる、こういうような実情でございます。
  35. 川村継義

    川村委員 これはなかなかむずかしいことでありまして、なかなかそう簡単に結びつけることのできない、あらゆる要素を含んでいるということは私もわかりますけれども、せっかくこうして改正をなさろうというときでありますから、やはりもう少し、そういう専門家である皆さん方の分析を聞かせていただきたかったのでありますが、次に、このいただいております資料の最後のほう、五十五ページに第三表という資料がついておる。ここに、違反態様別として、風俗営業等取締法違反の検挙総件数が三千三百九十五、それから、条例順守事項違反が二千四百二十と示してあります。そのうちで、三千三百九十五件というのは、風俗営業全部でなくて、そこに書いてあるように、二号営業、五号営業、六号営業、いわゆる飲食店関係の営業だけでございますね。
  36. 大津英男

    ○大津政府委員 第三表につきましては、お話のように、風俗営業等取締法違反の無許可営業にありますものは、第一条の中にありまする料理店等の二号営業、それから、第五号が、十ルクス云々という例の低照度の飲食店の違反、それから、五平方メートル云々という例の区画を定めて見通しを妨げるような飲食店、こういう風俗営業として六号になっておりますものの無許可、こういうものを合わせまして三千三百九十五件、それから、条例遵守事項違反と申しますのは、年少の客を立ち入らせてはいけないというような条例、あるいは、客引きをしてはいけないとか、卑わいな行為とか、近隣に迷惑をかけるような音声を夜おそく出したとか、そういうふうないろいろな条例できめました遵守事項違反が二千四百二十件、こういうことでございます。
  37. 川村継義

    川村委員 そこにいまお話しのように無許可営業の二号、五号、六号だけの検挙数をあげてますけれども、実はこういうときにはもっと広く実際の資料をいただきたいのであります。  そこでちょっとお尋ねいたしますが、私の資料もこれは少し古いのでありましてどうかと思いますけれども、昭和三十七年度中に風俗営業法令違反検挙総数一万三千三百七十七件、こういう資料を持っておるのでございますけれども、これはそれでよろしゅうございますか。
  38. 大津英男

    ○大津政府委員 先ほど申し上げました第三表は、飲食店営業が無許可で風俗営業をやる、また条例の順守事項に違反するというようなことをいたしたものでございまして、許可を受けてやっておりまする風俗営業自身の違反というものは、先生のお話しになりました一万三千三百七十七件でございます。これは三十七年でございます。その内容は、一条の一号のキャバレー等の違反が三百三十四件、それから二号営業の関係が一万一千七百二十二件、それから第三号の関係が三十六件、四号の関係が四十一件、それから五号の関係が二百九十一件、六号が十九件、それから七号の射幸心をそそる営業の関係が九百三十四件、合わせて一万三千三百七十七件、こういうことでございます。
  39. 川村継義

    川村委員 いまの三十八年の風俗営業全体の法令違反検挙総数はわかりませんか。
  40. 大津英男

    ○大津政府委員 目下集計をいたしておる最中でございましてまだ総数が出ておりませんが、違反の検挙件数は昨年の一月から六月までの分でございますが、風俗営業者の違反が五千八百五十一件、こういうことでございます。
  41. 川村継義

    川村委員 全部わからぬならばしかたありませんが、そこで先ほどの昭和三十七年度中の風俗営業法令違反検挙総数一万三千三百七十七件、それの内訳を私のほうの調べたのでは次のようになっておるのでございますけれども、一応聞いておいていただきたい。いわゆる二号営業、これが六千百八十四件、カフェーのやつが三千四百七十三件、料理店が一千八百四十件、パチンコが五百四十二件、マージャン三百四十四、キャバレー三百三十四、こういうのが私の調べたのにございますが、そのほか出てくると思いますけれども、いまの内訳は大体そういうところでよろしゅうございますか。
  42. 大津英男

    ○大津政府委員 お話しのとおりでございます。
  43. 川村継義

    川村委員 そこでそうなれば、喫茶店の違反検挙数というのは幾らになっておりますか。
  44. 大津英男

    ○大津政府委員 この風俗営業の中におきまするところの低照度あるいは区画席を設ける等の喫茶店の違反検挙件数というものは、喫茶店が合計で百二十四件、それから深夜の十一時以後の飲食店関係につきましては七百件、こういう数字が出ております。
  45. 川村継義

    川村委員 そこでいま風俗営業検挙のおもなるそれを種類別に分けてみると、先ほどお話のあったような飲食店関係のやつでも、いわゆる無許可の営業というのもある。そのほかあるいは時間外画営業をやってはならぬということをやったということもあると思います。そういうものはどういうのが検挙の該当になっておるか、ちょっと聞かせていただきたい。
  46. 大津英男

    ○大津政府委員 飲食店の関係で無許可の行為をやったということは、風俗営業に該当する行為を行なったということによって、風俗営業の無許可営業としての風俗営業を行なった、こういう違反になってくるわけでございます。
  47. 川村継義

    川村委員 いやいや、私がお尋ねするのは、検挙の理由は時間外営業をやったとか、あるいは無許可営業をやったとか、そういうことになっておるでございましょう。それはどういうような件数、内容か、こういうことです。たとえば、もっと申し上げますならば、現行法規による少年を入れちゃならぬ、使っちゃならぬ、そういうような条項違反もあるわけですね。そこで年少者の年齢制限違反をやった件数も何件かあるはずです。立ち入り行為禁止の違反をやったものが何件かある。その検挙総数のいわゆる一号、二号、三号というような種類別でなくて、検挙理由によるこの件数は大体どういう状態になっておるか、これを聞かせていただきたい。
  48. 大津英男

    ○大津政府委員 風俗営業の違反三十七年中のものを申し上げますと、無許可営業が二千百三十七、構造設備の無承認変更が二百五十六、時間外営業が六千四百六十九、従業者の制限違反が六百八十九、未成年者の立ち入りが四百十七、照度違反が七百十三、それから風俗を害する行為営業所内で行なったものが二百二十四、商品の買い戻しが三百八十九、その他の違反が二千三百三十八、その他の法令違反が千八十六、こういうことでございます。
  49. 川村継義

    川村委員 わかりました。  そこでまた三十八年がよくわからぬのではないかと思うのですけれども、少年の、いわゆる年齢制限違反六百八十九件、立ち入り行為禁止違反四百十七件、こういうのは昭和三十八年度はどうでした、つまり三十七年に比べて。三十八年度の計数整理ができておれば明らかでありましょうけれども……。
  50. 大津英男

    ○大津政府委員 三十八年、これまた半年分でございまするが、一月から六月まででございますが、無許可が千九十六、設備等の無承認変更が百三十五、時間外が二千六百二十三、従業者の制限違反が二百七十、未成年者の立ち入りが二百八十四、照度違反が三百十、それから営業所内で風俗を害したものが六十八、商品買い戻しが八十六、その他違反が千百五十七、その他の法令違反が四百七十六、こういうことでございます。
  51. 川村継義

    川村委員 長官にお尋ねいたしますか、この風俗営業の取り締まり、これはもちろん非常に大事なことであるし、当局も苦労をしておられるのではないかと思います。しかし青少年を悪の道に引きずり込むような業態といいますか業種というもの、商売というもの、これは決して風俗営業の対象になっておる、取り締まりの対象になっておる業種だけでなくて、これはもうもちろんほかにもたくさんあるはずであります。そこで、この前から問題になっております。世論の非常に注目を浴びておるトルコぶろの問題、ヌードスタジオ等の問題、あるいはそのほか競輪、競馬、オートレースあるいは麻薬、睡眠剤、そういうような幾つかの問題があるわけでありますが、このヌードスタジオ、トルコぶろについて、この前の参議院風俗営業取締法の一部改正のときにたいへん問題になって、特に婦人団体あたりからは強力なる法改正の要請がなされたようであります。これについて現在どういう手を打たれたのか、あるいはそれらの業者がどういう態度を示しておるか、長官からちょっと聞かせていただきたい。
  52. 江口俊男

    江口(俊)政府委員 トルコぶろとヌードスタジオと深夜ボーリングにつきまして、参議院で御審議の際に、婦人議員の方を初めとしていろいろ御議論が出たことは御承知のとおりでございまするが、トルコぶろについては、現在は一応法の体系としてトルコぶろを取り締まっている法律というのは厚生省関係の公衆浴場法ということになっておりまするし、しかも公衆浴場法には条例によって風俗の保持に必要なことをきめるというようなたてまえ——条文は多少違うかもしれませんが——になっております。厚生省の解釈では、あれをつくったときには、風俗云々というのは男女の混浴をさせるか、させないかというようなことをさすんだという解釈のようでございまするけれども、ことばそのものにはまあそういう限定はございません。もちろんやろうとすれば、そのこと以上に風俗の面からこれをいろいろ規制できるというふうに私たちは考えまして、そのほうの条例さえもつくってないという状態ではおかしいんじゃないかということで、事務当局としては寄り得り協議をいたしまして、私のただいま聞くところでは、厚生省のほうの指導でも、条例をつくって風俗壊乱にわたらないようなトルコぶろということを考えているようでございます。ただそれをこの風俗営業に取り込んだらいかがなものかという御議論に対しましては、風俗営業という立場からは個室というか、密閉された状態におけるトルコぶろの形態というのは、どうしても合法的な風俗営業というふうに入ってこない、そうすると、そういうものは風俗営業として認められぬということになると、今度は一般のあけっぴろげの浴場ということになってしまう。中が湯であるか湯げであるかというような違いはあるかもしれませんけれども、そうなると、これはまたまさしく普通の大衆浴場になるのでございまして、どうもここの点までは風俗営業へ取り入れてちょうどよかろうという点が、普通のふろ以上と、普通のふろと、その境目というようなところがどうも出てこないというのがまあ私たちの考えでございます。  それからヌードスタジオにつきましては、これは現在興行場法というもので一応の規制の基準はございます。しかしこれには風紀云々というのはないようでございまするけれども、興行場法でも、やはり衛生とかあるいは風紀とかいうことばは書いてございませんが、構造、設備等についての規制というものがあるのでございまするから、これが一定の基準を設けると、そばに寄ってさわれるというような状態のヌードスタジオというようなものも合法的なものとしてはなくなりましょうし、もしもそれを破れば、興行場法の違反になりますると同時に、風俗営業に取り込まなくても、普通の刑法を適用した取り締まりの対象になるというようなことで、これもまた風俗営業法に取り込んで、ここまでは風俗営業上よろしいヌードスタジオだというようなことを規制するのも、これもちょっとトルコぶろに似たような点がございましてちゅうちょいたした次第でございます。私たち自身としては、ただいまおあげになったようなもの全部を含めて青少年の非行化に何らかの意味で有害であるというようなものは、単に風俗営業法だけで締めつけていくのじゃなしに、いろんな各方面の施策からこれを浄化していくべきものだ、こういうふうに考えておる次第でございます。
  53. 川村継義

    川村委員 実はこの際、そのほか売春の現状、これに対してどういう取り締まりの状態にあるか、あるいは有害な興行、出版物等についての取り締まりはどういう状態になっておるか、お聞きをしたいのでありますけれども、きょうは開会時間がおくれてたいへん時間が迫っておりますから、こういう点についてはまたいずれあらためてお聞かせをいただきたいと思います。  さらには、児童福祉法あるいは労働基準法等によるところの問題も実はあるわけであります。これは単に少年を対象にして取り締まるということだけでは私たちが念願する目的を達し得ないので、今日児童福祉法や労働基準法に、青少年を守らなければならぬ幾つかの規定があります。御存じのとおりであります。少年法にもそういう規定を犯した者には罰則を加えるような規定さえあるわけであります。実はこれらのものが今日十分に守られておらない。そういうところにも大きな問題があると思います。こういう点につきましても、これは実は警察当局だけの問題ではございませんけれども、十分掘り下げて考えていかなければならないのではないかと思っております。けさの朝日新聞にもちょうどこの風営に関係のある記事が出ておりまして、深夜喫茶の状態、遊技場の状態、映画館の状態等を朝日の記者がここに書いておりますが、これを見ると、一向に前進の姿は見えなくて、相も変わらず少年をむしばむような状態が、いわゆる商売をやっておるものの中にある。この新聞の最後に重松敬一さんのことばが載せてありますが、「もうかるならこどもでも入れろという、もうけ主義が横行しているのは争えない事実だ。ところが、こどもの非行が問題になると、青少年を罰することや、少年法の年齢引下げばかり論じられて、営業倫理をわきまえない業者のことはいっこう問題にならない。取締り当局は風俗営業者などに対して甘すぎる。もっとビシビシ取締まることを望みたい。PTAや地域の婦人会なども、こうした問題に目を向けて、こどもの環境浄化に努力すべきだ。」。こういうことばを書いて結んであります。そこで、この風俗営業の問題にいたしましても、そのほかの関係法律の適用にいたしましても、ただ子供だけにわれわれが眼を向けてはならぬということではないかと思います。やはりその子供をむしばんでいくところの背景にあるもの、それを正していく。あるいは風俗営業でございましたら業者そのものの規制というものがやはり根本でなければならない、こういうことが言えると思うのです。おこがましいことを申し上げるようでありますけれども、ただ取り締まる、しかも青少年を対象にしてこれだけでやるということでは、十全ではないのではないかと考えるわけであります。そこで、あとまだ御質問もありますから、私法関係についてまたこの次お尋ねねすることにいたしまして、一、二お尋ねしておきます。  第一の問題は、風俗営業というものは一体何だろう、もちろん第一条でこれこれ、これこれのものを風俗営業と、こう書いてありますけれども、どうもこれでははっきりしないという意見が相当ございます。と同時に、この法律は目的を持っていない、こういうこともよく指摘をされるところであります。そういう点についてひとつ見解をお聞きしたいと思います。私はやはりこの法律にはそれらが抜けているのじゃないか。やはりそれを考えて法文に明らかにすべきではないか。定義みたいになりますけれども、またこの次こまかにお聞きすることにいたしまして、ひとつ初めに見解を聞いておきたい。
  54. 大津英男

    ○大津政府委員 まず風俗営業取締法の目的がないということでありますが、これは昭和二十三年にできまして、その後一部改正をいたしただけでございますので、したがいまして最近の法律のような目的規定を実は置いてはおらないということでございますが、私ども考えておりますこの法律の目的というものは、やはり善良の風俗保持上問題の多いキャバレー、料理店その他の風俗営業、あるいは深夜において営まれるところの飲食店営業、こういうものに対して必要な規制を加えまして、風俗事犯防止をはかると同時に、また善良な風俗が害されることがないようにしていくということが、この法律の目的だと思っておるのでございます。   〔委員長退席、永田委員長代理着席〕  ただ、この風俗営業というものは、この一条で定義がしてあるけれどもはたしてこれだけなのか、風俗ということからいってどうなのか、風俗というものをどう考えていくかということでございますが、一応第一条で一号から七号まで掲げられておりますことは、すべて制限列挙主義と申しますか、こういうふうな善良な風俗保持上問題があるということの性格上制限列挙的に掲げられたものであると思うのでございまして、もちろんこれにも変遷があるわけでございます。特に先ほども御指摘がございましたが、いろいろ改正をいたしまして、特に昭和三十三年には法律改正が行なわれまして、低照度の、暗い喫茶店とかあるいは狭い、見通しの悪い区画席を設けたもの、こういうものを風俗上放置しがたいということから、風俗営業として許可の対象として取り入れたということがございますし、また一面におきまして、射幸心をそそるような業ということで、マージャン屋、パチンコ屋その他のものでございますが、もとは玉突き等も入っておりましたけれども、こういうものはこの範囲から除外するというようなこともいたしておりまして、やはり社会のその後の動きによりまして制限列挙的に書いてありますので、もう少し弾力的に、何かこういうものは当然風俗の観点から営業とすべきだとかいうようなことがあるかもしれませんが、一応法律ではこういうふうに限定して書いておりますもので、風俗に関係があると一般社会的にも考えまして思われるような営業でも、必ずしもこの風俗営業としての許可の対象にはなっておらないというものもあるわけであります。と同時に、この法律自身が風俗営業等取締法と、「等」ということばを入れておるわけでありまして、第一条で列挙しました営業のほかに、その営業と、形態が風俗的に問題が出てきてほとんど変らなくなるというようなことを防止しなければならない、そういう意味で四条の二という深夜における飲食店営業をここに取り上げてきておる、そういうような事情もございまして、昭和二十三年にできました当時の風俗営業から形を変えてきておる、こういうことでございまして、やはりこれは営業を中心としました取締法でございますので、風俗問題全般をこれで律するということにはならない。したがいましてたとえば売春の問題につきましては売春防止法がございまするし、あるいはまたその他の刑法の適用をしなければならないようなわいせつ物の問題等もございまするし、賭博の問題もございまするし、そういうふうに風俗に関係のありまする問題というのは、この法律以外にもたくさんあるわけでございまして、環境の面からいろいろ考えなければならないということはございまするが、そのうちの営業として掲げておるものという意味で、この法律の対象として、その面からの取り締まりの法規である、こういうことであると思うのでございます。
  55. 川村継義

    川村委員 それでは論議はまたこの次にいたしますが、七項目ばかり私は法律についてお尋ねしたいと思うわけであります。時間がありませんからあと二つばかりお聞きしておきます。  いまお話のように、第四条に深夜喫茶の規定が設けられました。そればかりではありませんが、従来からもそうでありますが、この法律には非常に条例に委任されている事項が多い。そこで今度の改正規定の第三条によりましても、「条例により、風俗営業を営もうとする者の資格」云々と、こういうのが条例できまっていくわけでありますが、あとの資料によりますところの広島の条例を見た場合の、この資格要件、あるいは東京都の条例を見た場合の人に関する許可基準、こういうものは相当まちまちというか、考え方が広かったり狭かったりしておるようであります。一々これを私は申し上げるわけではありません。そこでこういうような重要なものは少なくとも条例にまかせ切りではなくて、ばらばらに各県の公安委員会でやらせるのでなくて、きちっと政令なら政令で基準をきめておいて、その基準に従って条例で運営をする、こういうようにすべきではないかと考えるのですが、この点についていかがなものでしょうか。
  56. 大津英男

    ○大津政府委員 この法律におきまして、いろいろな事項を条例に委任をしておるというのは、昭和二十三年以来のたてまえできておるわけでございまして、いろいろ地方の実情によって考えなければならない事項も多いという意味で、風俗営業取締法は地方の実情に応じて地方自治の線に沿っていろいろきめていただく、こういうたてまえをとってきておるわけでございます。その意味におきまして若干それぞれの府県の条例におきまして、規定を異にしておる点もあるのでございまするが、警察庁のほうといたしましては、警察庁の一応の基準条例案というものを各府県に示しまして、これに従ってやってもらう。ただ地方の特殊事情によりまして、若干営業取り扱いについて異なるところが出てくるのはやむを得ない、こういうような立場で指導をいたしておるのでございまするが、たいへん根本的な問題についてそういう点が変わってくるというようなことがあってはならないということで、私どもは指導もいたしておるようなことでございます。人に関する許可の基準につきましても、お示しのように広島と東京では字句等におきまして少しばかり違っておるのでございまするが、目的とするところはそう根本的に変わっておるということもないのでございまして、運用の面において、広島と東京で非常に差があるというようなことは現実には出ておらない、こういうような状態でございます。何か政令で基準をつくっていくということも、今後の行き方として私どもも検討をしなければならない問題とは思っておるのでございまするが、いまの地方の実情に即して、地方自治の線に沿ってやっていくという二十三年以来の立場を踏襲して、これでやってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  57. 川村継義

    川村委員 お話でありますけれども、やはり私はいまの御意見にそのまま賛成できないのですが、これもひとつこの次に、私かあるいは同僚委員からでも論議をしたいと思いますが、これは行く行くは、こういう条例、条例、条例とすべて条例に委任したやつは、整理して、法律事項にするか、あるいは政令事項にするときがこなければならぬ、私はそうなると思うのです。そこで、その点についてひとつお考えを承りたい。  それから、その次にちょっと聞いておきたいのでありますけれども、食品衛生法施行令でいうところの飲食店営業というのと、風俗営業法でいう飲食店営業、今度は飲食店業務という名前に変わっておるようでありますけれども、この飲食店営業というのは違うのでございますか。
  58. 大津英男

    ○大津政府委員 御指摘のようなことで、食品衛生法でいっておりますることは、食品衛生法の施行令で、一般の飲食店とそれから喫茶店というようなことで定義を分けておるのでございまするが、この風俗営業等取締法におきましては、「設備を設けて客に飲食をさせる営業」こういう言い方で直しております。と申しますのは、たとえば食品衛生法の施行令で申しますると、仕出し屋のようなものも飲食店として考えておりまするけれども、こちらの風俗営業等取締法におきましては、仕出し屋では、そこで飲食をさせるというよりも、そのつくったものをよそへ持ち運ぶというためにつくっておるのでございまして、そういう意味でこちらの風俗営業等取締法によるところの営業には入ってこない。そういうふうな、私どものほうと食品衛生法のことばの関係では違いが出てくる。これは性格上やむを得ないことだと思っておる次第でございます。
  59. 川村継義

    川村委員 その次にもう一つお聞きしておきたいと思うのです。今後年少者に対する禁止行為規定されましたが、十八歳未満の者を営業所に客として入れさせてはならぬ、十八歳未満の者を客の相手として使っちゃならぬ、こういうような規定が入っているわけですけれども、その中で、第四条三の二項で、「都道府県が条例で定める場合を除く。」としてあるが、一体なぜこの特例を設けねばならないのか、どういう事情があるのか、そういう事例があるのか、それをお聞きしておきたいのが一つ。  それからいま一つは、営業所で二十歳未満の客に酒類を提供してはならぬ、これはもちろん別の法律禁止されておりますから、そうなるのですが、十八歳未満の者を営業所に客として入れてはならぬ。営業所で二十歳未満の客に酒類を提供してはならぬ。そうすると、これは抜け穴の大きなものがここにありはしないか、そういう感じがするわけです。十八歳未満の者は客として入ってはならぬ。しかし二十歳未満の者は、ことばをかえていうならば入ってもよろしい。入ってもよろしいといったときに、酒を出してはならぬといっても、これは皆さん方が一々ついて監視するわけではなし、これは手ぬるい処置ではないかと思う。その点は、私は東京都の条例のほうがすっきりしているように思うのであります。東京都の条例のどこかにそういうのがありましたね。いま私が指摘したところに何か私は矛盾を感ずるのですが、ちょっとその辺のところの考え方を話していただけませんか。
  60. 大津英男

    ○大津政府委員 最初に、年少者に関する禁止行為について、条例で定める場合を除くというカッコ書きがあるが、どういう必要性があるのかということでございますが、四条の三の二項におきまして、「十八歳米満の者を客に接する業務に従事させること」それから「十八歳未満の者を営業所に客として立ち入らせること」これにつきまして「都道府県が条例で定める場合を除く。」こうなっております。この、十八歳未満の者を客に接する業務に従事させるということにつきましては、たとえば食堂とかすし屋とかあるいはその他、この四条の三の二におきまして、その他の業種につきまして差しつかえないというふうにきめてまいりたいというようなものもあるわけでございますが、   〔永田委員長代理退席、委員長着席〕 そういうふうな業態におきまして、そういうものを差しつかえないと定めるような、そういう営業につきましては、十八歳未満の者が営業に従事をするということについては条例をもって例外を定めていくというふうに考えておりまするし、それから営業所に客として立ち入るということでございまするが、これもおなかがすいてどうしても入らなければいけないという場合はもちろんあることでございまするし、また先ほど申し上げましたような、営業所にそういう理由で入らなければならないという者まで禁止をする、こういう点につきましては、罰則規定も実は七条にありまするので、そういう点で条例で例外を定めておるという考え方でございます。それから、三号で二十歳未満の客に酒類を提供することを禁じておるわけでございますが、これはもちろん未成年者飲酒禁止法という法律もあるのでございますが、この法律で、特にまた少年非行防止という立場から取り上げてみておる点があるわけでございます。それはまず十八歳未満の者を客としては入れないということを言っておきながら、今度は十九、二十の者が入ってきて、そこで問題があってはいけないから、そういうふうな規定があるのじゃないかということにお考えになるところだと思うのでございますが、十九あるいは二十歳の者、高等学校を卒業した程度の者が十八歳以上ということになってくるわけでございますが、現在先ほど御指摘のありました東京都の条例等におきましては、もっぱら酒を提供する店においては二十歳未満の者を客として入れてはならないということが書いてあるわけでございます。この趣旨は、他の営業に比べて、二十歳未満の者に対して酒を提供する可能性もかなり高いというような意味で設けておるわけでございます。しかしながら、客に飲食をさせるという営業につきましては、年少者に対して酒を提供するおそれがあるのは必ずしももっぱら酒を売る店というだけに限られておるわけではない。むしろ客に飲食させる営業の全営業について、二十歳未満の者に酒類を提供する行為禁止するということのほうがもっとはっきりした考え方になるのじゃないか、こういうような考え方で、この法律にこういう条文を入れたというようなことでございます。
  61. 川村継義

    川村委員 何かどうもはっきりしないのですが、まあいいでしょう。こうしてせっかくおつくりになっても、実際の場合には、現在のように非常に乱れた状態はおそらく改まらないと私は考えます。その業者が非常にまじめなしっかりしたところの業者であれば、あるいはこういう点をほんとうに考えてくれるかもしれません。大体こういう風俗営業を営む者の大部分が、先ほどの新聞記事ではありませんけれども、だれでもよい、とにかく遊ばせて飲ませて食わせてもうければいいというのが主義ですから、いまのお話だけでは、せっかくこうして年少者のために考えられた法規定であっても、これは成功しないのじゃないか、そういう憂いを持っております。また後日ひとついろいろお尋ねをし論議もしたいと思います。  法文上についてあと四、五点ございますけれども、このあと質問者がございますから、私は一応この辺でお尋ねを終わっておきたいと思います。
  62. 森田重次郎

  63. 栗山礼行

    栗山委員 委員長に前もってお願いを申し上げておきたいのでありますが、ちょうど本会議がございますし、それぞれ各党の代議士会もございますことですから、できるだけそれを阻害しない範囲内で質問をさしていただいて、明日の継続にしたいということで進めてまいりたいと思います。直ちに質問に入りますから、御了解をいただきたいと思います。  いま川村委員からいろいろ法自体の内在する問題点を本格的に御指摘をされたのであります。この問題はやはり法律自体の問題と、当面世論がやかましく高まっております問題とを、どのように風俗営業の形において規制をなすべきか、こういうような問題であろうと思います。法律内容は御案内のとおり八条にわたっておりますきわめて簡単な条文内容でありますけれども、どうもしろうとが少し勉強いたしました範囲においても、なかなかたいへんな広い内容を持っているということを痛感いたすのであります。御承知のとおり、一つは社会の流動とともに風俗営業の対象が移り変わってまいりつつありまして、特に最近の傾向といたしまして、エログロに直結する方向が顕著にあらわれてまいっておる、こういうことが言えると思います。社会の流動に伴ってその営業の質、内容がきわめて変化する、こういう内容を持っておろうかと思うのであります。そこに問題の一つがございます。もう一つは法自体の問題におきまして、法の制定及び沿革等からきたわけでありますが、戦後五回にわたって改正をされておるというように承知をいたすのであります。この五回とも改正内容をつまびらかに承知いたしませんけれども、社会の変転流動に対処する内容を持つ的確な改正であったかどうか、こういうことをいま考えます場合において、これははなはだ微温的な改正にとどまっておったのではないか、こういう一つの観察をせざるを得ないのであります。そういう経過から考えまして今度の改正案をながめます場合に、私は結論だけ申し上げますが、きわめて前向きであり、現在の世相と、世論が高まっております問題点をとらえて法改正をなさろうという意欲については、これは私は率直に認めて、それの効果を期待いたしたい、こういうことについてはやぶさかでない一人なんです。ただ先ほど申し上げましたように、法自体の問題と、それから改正点の具体的な問題について、いま少し前向きで、実際的な内容としての法改正を持ち得なかったのか、こういうことを痛切に考えさせられるわけでありまして、そういう観点から問題をとらえていろいろ質問をいたしましてお説を拝聴いたしたい、このように考えておるわけでございます。  御承知のとおり、いま申し上げましたような内容からいきますと、もう一点は法自体の特質として、法の執行にあたってほとんどすべてのことが条例にゆだねられているというのが、この法の一つの特徴としてうかがうことができると思います。ここにも法自体の問題点があるのじゃないか。最近の立法措置と申しますか、法形式の問題については、法自体の目的を規定されている立法形態を最近とっていると思うのでありますが、この法改正にあたりまして、非常に疑義と複雑な要素を持つこの種のものについて、なぜ、川村委員と同様でありますが、法目的を明確に規定しなかったか、こういう点を第一点としてお尋ねをいたしたいのであります。いろいろ先ほどの御答弁を伺っておりました中にも、どうも今日の時点から世相をとらえ、あるべき方向を正していこうという意欲的な内容を見る御答弁をいただかなかったのであります。同時に、法の内容を伺いますと、風俗営業の概念がまた非常に明確でないということでございます。こういう点からいたしまして、この問題を判断いたします上については、やはり法の沿革と各条の規定の趣旨から判断する道がない、こういう法自体になっておりますところに、これは非常に疑義を生んでくるという点があるのじゃなかろうか、かように考えるのであります。そういう点からいたしまして、なぜこの法目的を明確に規定し、そしてこれらの定義を明確にすることができなかったのか、こういう点について私は明快にお答えをいただきたいと思うのであります。
  64. 大津英男

    ○大津政府委員 先ほど川村先生の御質問にもお答えを申し上げたのでございますが、はなはだ明快でないために、またそのような御質問をいただきましたが、風俗営業等取締法の目的規定を置くか置かないか、これはいまの法律の体系としてはみなそうなってきておりますから、入れるほうがいいということがあるのでございますが、この点は、さらにいろいろ検討をしなければならないという問題もございまして、現在のこの法律内容に沿って考えました風俗営業等取締法の目的ということでありますれば、先ほど申し上げましたように、善良の風俗保持上問題の多いいろいろな営業をここで取り上げまして、それに対して一定の規制を加えまして、それによって風俗事犯防止する、また善良の風俗が害されないようにすることを目的とする、現在の法律にもし目的を書くとすればそういうことになると思うのでございますが、お話のように、この風俗営業の定義は、第一条の一号から七号まで、それぞれの営業についての定義がございます。営業の業種をこういうふうにきめて、それぞれに定義を下しております。その考え方は、やはり社会生活上一般に是認されておるところの一つの規範というものが習俗として認められておる、そういう善良な風俗といいますか、そういうものを害する危険性がある、そういうものをここに取り上げておる。したがいまして、キャバレーその他設備を設けて客にダンスをさせる、あるいは接待をして客に飲食をさせる、こういうような営業はそういう性質を持っておる、また待合、料理店、カフェー等の問題にしても、同様のことがある。また形は違いますがナイトクラブ、ダンスホール、こういうことになってまいりますと、やはり先ほど申し上げましたような意味での善良な風俗というものに非常に関係のある営業である。それから五号、六号につきましては、三十三年までは実はなかったのでございますが、三十三年の法律改正で、深夜喫茶を取り締まる意味で、五号、六号が入ってきまして、二十三年当時から見ますと考えられなかったものが——照度を十ルクス以下にするということは、善良の風俗に非常に大きな影響があるという意味で、これも風俗営業として取り上げる。それから他から見通すことが困難で、しかも五平方メートル未満の狭い、いわゆるアベックには非常に適したようなというようなところは、やはり風俗上考えなければならない、こういうことで非常に限定的に、制限列挙的にこういうものをあげておる。大体飲食店営業の許可を持っておるものが、そういうものを通じてこういう風俗営業に関係するようなものがここに出ておる、そういうものが一号から六号まででございます。七号にまいりまして、マージャン屋、パチンコ屋等の、偶然の事実というものによりまして労せずして利益をあげる、いわゆる射幸心をそそるおそれがある営業、これもやはり一般社会の善良な風俗という面から申しますと、間違うと賭博に走るということになりますもので、これも風俗営業として取り上げていく、こういう考え方で、非常に風俗営業自身を制限的に、これはどういうものだから風俗に関係あり、これはこういうものだから風俗に関係ありということで取り上げて、そういうものについては許可制をとる、そうして、一定基準でそれを守らせていく、こういうことによって善良の風俗が害されないようにしていこう、これがこの法律のねらいでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、風俗営業等ということで、その「等」は、風俗営業そのものではありませんように法律でなっておりますが、やはり深夜における飲食店営業が、善良の風俗を害するおそれがある、こういうことが出てまいりますので、四条の二によりまして、そういうことについての規制を条例によってして——風俗営業等という、表題の中に「等」が入ってまいりましたのも、四条の二が入ってまいりましたためにそういう改正になったわけでございます。したがいまして、風俗営業の概念というものは、先ほど申し上げましたような個々の業種をとらえましたもの、さらに風俗営業そのものとして法律では規定しておりませんが、深夜における風俗の観点から規制を加えていかなければならない飲食店営業、こういうものに、この法律においては一定の規制をかけていこう、こういうことで、風俗問題は、これだけではない、先ほどいろいろ申し上げましたように、売春の問題にいたしましても、賭博の問題にいたしましても、その他いろいろの問題が実はあるわけでございますが、そういうものを全部この法律規定するということになる場合におきましては、どうしてそれを入れなければならないか、どういう理由で入れるかということをまた一々検討しなければならないことでありまして、トルコぶろの問題につきましては、先ほど長官からも御答弁があったのでございますけれども、こういうものを風俗営業として取り上げるべきではないか、こういうような議論もあるわけでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、風俗営業として現在取り上げておりますものが、そういう飲食を中心として風俗に関係のあるもの、それからそれに接待等が伴うという意味であるもの、それから射幸心をそそるもの、これを風俗営業として考え、さらにその他の深夜の関係で風俗に関係あるというものが四条の二に入ってきておるというような体系から考えてまいりましたときに、どうやってこれを取り上げるかということは、非常に大きな検討を要する問題でございまして、現在の段階におきましては、公衆浴場法という法律の中にも、風紀の維持に関して必要な措置を条例で定めるということがございます。そういう意味で、風紀ということばが必ずしも風俗営業法だけではないというようなこともありますので、法律改正してまいります場合におきましては、検討をすべき点は多々あるのでございますが、とりあえず最も急いでおります少年非行対策としてのこういう深夜喫茶の廃止を中心といたしました法改正を今回お願いする、こういうことになったような実情でございます。
  65. 栗山礼行

    栗山委員 いまの御答弁ですが、重ねて伺ったのでありますから、法改正のねらいというものについては承知をいたしておるのですが、私の言うのは、現行の法体系の上に立って改正をされるというときに、このような風俗営業の法規の問題は、目的を明らかにすべきじゃないか、一条から各条にわたっておりますような広範な対象としての法規でありますから、法目的を明らかにしていくということが必要じゃないのが、こういう一点を私は明確にお尋ねしたかった、こういうことです。  第二点は、私はきょうは討論をいたしませんが、すべて法の執行にあたっては、この体系におきましては条例にゆだねられている、こういうことが問題ではなかろうか。やはりいろいろ学説を伺ってみると、簡単素朴な法律であるけれども、これほどむずかしい、怪奇な、不備を持つ法体系はない、その可否は別にいたしまして、こう主張される論者もあるわけであります。そこで、法の目的の問題とかあるいは条例で定める基本的な問題を法の中に入れなければ、やはり風俗営業のこの法規は完全に適用されないのではないか、こういう見解も私は強く持つわけでありまして、そういう点からこの問題を、改正にあたってなぜ抜本的にそういう方向をとれなかったか、あるいはとれない理由はどこにあったのか、こういう点をお尋ね申し上げたい、こういうことなんです。
  66. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 いま農林委員会から要求がありまして中座しておったわけですが、私は栗山委員の御質問の意味はこういうふうに受け取っておるわけでございます。  大体雑然とこういう種類の法律を出しておるが、全般的にどういう目的を追求していくのか、それが明確じゃないじゃないか、ことに条例で扱う部分が非常に多いのだが、という意味に伺ったのですが、さっきの川村委員の御質問のときにも、私はそういうふうなお答えをしようと考えておったのですけれども、戦後今日のような暗い世相が生まれてきた原因は、やはり政治そのものが姿勢を正さなくちゃならぬという一つの反省もありましょうし、また経済政策、教育政策あるいは社会保障政策各面にわたって、政治家としては真剣に検討しなければならぬ問題が多々あると私は考えるわけでございます。いま提案している風俗営業等取締法の一部を改正する法律案も、やはり国民としてのしつけと申しますか、お行儀というか、いろいろなことを含んでおると考えるその一つ一つでございますが、それにはとにかく社会悪を憎む、不正を憎むという考え方、また少年などをそういう悪にしまないように保護をする、いろいろなことを含んでおると考える。それがばらばらに、風俗営業等取締法の第一条を見ると、第一条からキャバレーは、どうだ、バーはどうだ、待ち合いはどうだということで始まっているわけですから、私も、おっしゃる意味が私が申し上げるようなことでしたら全く同感でございます。たとえば売春防止法とかあるいは未成年者飲酒禁止法とか未成年者喫煙禁止法とかばらばらに出ておりますものを、できれば基本法的な形態を整えて、さっき言った国民のしつけということが当たるか当たらぬかわかりませんけれども、やっぱりそういう今日の事態から判断して、何らかそういう根本的なものが要るのじゃないかと私は判断をするわけでございます。そういう見方からいたしますと、今日こういうばらばらな法案、しかもいま局長がこまごまと説明いたしましたが、そういうことはいわば枝葉末節であって、もっと根っこからはっきりした法の体系と申しますか、目的を明確にして、その一環としてこういう個々のものもつくっていくのが正しいという判断に立っております。
  67. 栗山礼行

    栗山委員 大体、大臣の政治的感覚からの御意見について、あまり大同小異はないわけでございます。やはり世論の動向は、政治の正しい姿勢を強く求めておるということであります。おとなの責任の所在を求めておるということであります。したがって、その中心は、もっとあたたかい形において未来を背負う少年の保護と育成はどうあるべきか、こういうことなんです。内容でこの問題をとらえていく、私はこういうふうに考えておるわけであります。ところが、社会悪の根源的要素を持つ非常に広範囲な内容がこの中に含まれておるということです。したがいまして、いまや各条の規定のみで法律規定をして進めていく時代でない。こういう一つの考え方でこの問題をとらえていくのが正しいのではないか。大体大臣の御練達された政治意見と私の意見とは、あまりほど遠いわけではないのです。大臣に責めを負わすわけではない、就任早々でありますから。しかしそういう感覚からいけば、やはりこの問題は条文的、総合的解釈をするとか逐条的規定をするということでなくて、明確な要素を織り込んだ形にして、どういうものだ、こういうことで出してもらわなくちゃならないのだ、こういうことであろうかと思うのです。条例の問題もやはり必要だと思います。地方の特色や地方自体の条件によって進めてまいる必要を認めるのでありますけれども、しかし問題は、これからいくと、法の執行にあたっては、地方自治体や地方の公安委員会がおやりなさい、こういうことで、何ら一つの指針的要素も示されておらない。こういうところにやはり法の目的と条例にゆだねる問題と、法自体においてこれを明らかにしていく、こういうことが問題の要素ではなかろうか、こういうことでございまして、この問題については、当面改正案を出されまして、会期もそう時間もありませんし、前向きの内容についてはわれわれはそれを理解し、そして抜本的にその方向づけをどうするか、こういうことで御協議をいたしまして進めていくことが望ましい姿でなかろうか、こういう理解を基本的にいたしましていろいろお尋ねを申し上げるわけでありますので、御了承をいただきたいと思うのであります。  いま申し上げましたように、こういう条例規定だけでやっておりますから、判断も条例規定の解釈と、それからすべてをひっくるめた各条の総合解釈というところに、風俗営業法自体の持つあいまいさというものが強く出てまいるのではないか、こういうような考え方を強くいたします。そういうためにやはり風俗営業の意味、内容というようなことにつきましては、結局そういう総合的な概念規定といいますか、概念理解ということでやってまいりますから、どうしても明確さを欠く、こういう結論に到着すると思うのであります。  そこで問題になりますのが、この中で示されております風俗とは何を意味するかということが非常に重要な問題になってまいろうかと思います。さらに各条で用いられておる風俗の意味するところは、同じ理解をしていいのかどうか。たとえば第三条及び第四条に規定されております善良の風俗とはいかなる内容を持つものであるかということが、やはり法文上必ずしも明らかにされておらないのであります。このことが解釈上の疑義を生む主たる原因になっておると思います。したがいまして、本法により規制を受ける善良の風俗を乱す行為は、法に言う風俗営業等についてのみ法の対象とするのであって、いかに風俗犯罪を防止するためであっても、風俗営業等と関係のない営業施策、またはそれらにおける行為は本法の対象外にある、こういうような解釈がとられておるのではないか、私は御答弁を承ってこういうふうに理解をいたすのであります。そこで問題は、風俗とか善良の風俗の解釈の広義、狭義によって規制の対象が非常に異なってまいる、こういうことになろうかと思うのであります。これはやはり法の目的そのものにも影響を及ぼすことでありますので、法第一条の第七号営業における射幸の解釈についてもやはり同様なことが言えるのではないか、こういうような考え方を持つわけでございます。同時に、このことが解釈の広義、狭義によりまして、憲法上と関連する要素がここにあらわれてくるのじゃないか、こういうふうな考え方を私はもう率直に持つわけですが、こういうようないま指摘いたしました問題について、どのように理解をされていらっしゃるか、あるいはどのようにこれと取り組んでおられたのか、こういうような一つの基本の問題について大臣、あるいは長官でけっこうでございますから、ひとつ明確にお答えをいただきたい。
  68. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 たいてい風俗ということの定義のお話が出るだろうと思っておったわけでございますが、善良なる風俗ということにつきまして定義を下せということになると、これはなかなか容易ではないと考えます。ですから法の第一条には「風俗営業」と簡単に片づけて、それは何を言うということを七項目にわたってあげておる。ですから、前段私が申しましたように、やはり全国民がこれでなくちゃいかぬという一つの国民的なしつけということも考えなければならぬ。ですから、つまらぬことで案外知らないで軽犯罪法にひっかかっておるようなことを、みな平気でやっておるような状態でございますから、あらゆるものをあわせて、やはりそういう基本的な考え方というものもいまの時点ではきめる必要があるんじゃないかとも考えますが、さあきめるとなると、これはなかなか容易ではないと思う。そこで、じゃあ一体そういうふうな悪の温床となるのは何か、いわゆる取り締まり当局から特に考えれば、こういうところの穴をふさげばこうなるという知恵が先に出てくるわけでございまするので、取締法の一部改正は、そういった意味でとりあえずその穴をふさいでいくという考えでやってあるものと私は考えております。  根本的な問題につきましては、私全く御指摘のとおりであると考えますので、なお今後検討いたさなければならぬと考えております。
  69. 栗山礼行

    栗山委員 第四条に規定をいたしております「善良の風俗を害する虞があるときは、」ということを示しておるわけであります。第三条においても「善良の風俗を害する行為防止するために必要な制限を定めることができる。」という条例の規定内容を示しておるわけですが、これが同一のものであるかあるいはそれぞれ異なったものか、こういう点をひとつ局長からお答えいただきたい。
  70. 大津英男

    ○大津政府委員 第三条と第四条の「善良な風俗」ということは、同じ範囲というふうに考えております。
  71. 栗山礼行

    栗山委員 いろいろ法律論といったそういう基本の問題で時間をちょうだいいたしたかったのでありますけれども、もう時間もございませんから、きょうはこの程度でとめて、明日から関連する各論でいろいろ質疑をさしていただきたい、こういうことで御了解をいただきたいと思います。
  72. 安井吉典

    安井委員 資料をお願いしたいと思います。いままでの川村栗山委員の質問の中にも、すべての重要な問題は条例の中に委任されているということの指摘がございましたが、したがって条例がどういうようになっているのか知りたいのです。これは全国を全部やったらたいへんなあれになるかと思いますが、その中のたとえば資格要件であるとか、そういう重要な点については全国的な俯瞰ができるような資料をちょっとつくっていただきたいと思うのです。それはおそらく警察庁でもこれまでの検討の中で出ているのだろうと思うのですが、それを一つ。私は資格要件のことだけ申し上げましたけれども、その他重要な点について、何か東京と広島のだけがありますけれども、その他、みな統一されているのならそれでいいのですが、そうでないとすれば、全体的なものが一覧表で見られるようなものをおつくりをいただきたいということが一つ。それから今度の場合も改正法が条例委任事項をたくさんきめておられるわけですが、その条例の準則ですか、モデル条例といいますか、そういうようなものはおそらくすでに御準備ができているのじゃないかと思いますので、これもあわせてひとつ御提出をいただきたいと思います。
  73. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 関連して資料要求。条例のモデルを公安委員会で示しておる、こういうお話でございましたが。ついでにそのモデルもひとつ御配慮を願いたいと思います。      ————◇—————
  74. 森田重次郎

    森田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  風俗営業等取締法の一部を改正する法律案審査のため、来たる二十七日の月曜、参考人の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 森田重次郎

    森田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、参考人の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 森田重次郎

    森田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十八分散会