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1964-04-14 第46回国会 衆議院 地方行政委員会 第34号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月十四日(火曜日)     午前十時二十三分開議  出席委員    委員長 森田重次郎君    理事 田川 誠一君 理事 渡海元三郎君    理事 永田 亮一君 理事 藤田 義光君    理事 川村 継義君 理事 佐野 憲治君    理事 安井 吉典君       奥野 誠亮君    亀岡 高夫君       久保田円次君    鯨岡 兵輔君       四宮 久吉君    登坂重次郎君       村山 達雄君    森下 元晴君       山崎  巖君    和爾俊二郎君       阪上安太郎君    千葉 七郎君       華山 親義君    細谷 治嘉君       栗山 礼行君    門司  亮君  出席国務大臣         自 治 大 臣 赤澤 正道君  出席政府委員         自治政務次官  金子 岩三君         自治事務官         (大臣官房長) 松島 五郎君         自治事務官         (行政局長)  佐久間 彊君         自治事務官         (財政局長)  柴田  護君  委員外出席者         文部事務官         (初等中等教育         局地方課長)  今村 武俊君         自治事務官         (行政局行政課         長)      倉橋 義長君         自治事務官         (行政局公務員         課長)     松浦  功君         自治事務官         (財政局財政課         長)      岡田 純夫君         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 四月十四日  委員篠田弘作君及び三池信辞任につき、その  補欠として四宮久吉君及び鯨岡兵輔君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員鯨岡兵輔君及び四宮久吉辞任につき、そ  の補欠として三池信君及び篠田弘作君が議長の  指名委員に選任された。     ————————————— 四月十一日  ボーリング場の開設及び営業規制に関する請願  (中村高一君紹介)(第二四〇九号)  同(荒木萬壽夫紹介)(第二四一〇号)  地方税法第七十五条の改正に関する請願(小川  半次君紹介)(第二四一七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方自治法等の一部を改正する法律案内閣提  出第三三号)  地方自治及び地方財政に関する件(地方公務員  の権利擁護等に関する問題)      ————◇—————
  2. 森田重次郎

    ○森田委員長 これより会議を開きます。  地方自治法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。四宮久吉君。
  3. 四宮久吉

    四宮委員 今回の自治法の一部改正に関する件につきまして、私は東京都と深い関係があるので、将来この都区の問題並びにそのあり方につきましては非常な関心を持っておる一人であります。この機会に、本法において特に明確にしておきたいと思いまする点を二、三質問をいたしてみたいと思うのです。  もちろん本法改正の目的は、すでに提案理由にも述べられておりまするが、大体東京都の人口というのは六百万くらいを限度として考えて進んできたのですが、もう十年ほど前に、もし東京都が一千万をこえるような人口になった日には、とうていこの事務事業処理には困るし、住民に対しても非常な不便を与えるであろうということは述べられておったのですけれども、現在においてはもう一千五十万近くにもなるというような過度集中が行なわれたので、この機会に、政府がこの問題について非常な考慮を払ってこの問題が提案されたことは、私たちとしても一非常に喜んでおるわけであります。一日もすみやかなこの法案の成立と、将来に対して円満な行政をやっていきたいという熱望を持っておる一人であります。  そこで、ここにお聞きしておきたいことは、東京都の事務事業相当大部分、いわゆる区に直結する事務事業というものは、今回この法の改正によって移管されることになるのですが、そうすると、東京都の行政においてこれからなすべきものは、言うまでもなく目下急に迫られておる体質改善の問題、それから全般にわたる問題のこの二つにかかっておると思うのです。そこで、この全般にわたる行政のほか、体質改善という問題が一番重要視され、これが一番大切な問題だと思います。これに対しては、もちろんこういう事務事業を区に移管される以上は、東京都の将来の体質改善のために要する諸経費というものは、政府においても十分考慮され、この問題については、今後十分な努力をされる用意があられるかどうか、こういう点を、ひとつ政府意向を聞いておきたい。  それからいま一つは、区の性格でありますが、この案で、都政調査会並びに国の地方制度調査会等意見も大体拝見をいたしましたが、この区はどこまでも制限自治区としてこれから育てるという意味でありますか。あるいは行政区という立場においてのあり方において進める方針でありますか。これも、大体私たちも了承いたしておりますけれども政府意向を一応十分承っておきたいと思うのであります。  いま一つは、区長公選の問題でありますが、これは都政調査会におきましては、御承知のとおり、住民の直接選挙がよかろうという結論を出しておりましたが、しかし地方制度調査会のほうでは、これはもう少し検討すべき問題も残されておるから、当分見送って、一応事務事業移譲してみて、その結果によってというような考え方に立っておるようであります。しかし、政府としてはこの問題に対しては将来どういう考え方で臨むのか、並びに今度提案されるに至る経過等がおわかりになれば、一応その実情を聞いておきたいと思います。  それからもう一つ聞きたいことは、従来都と区との争い原因、あるいは区長公選が一度制定されて廃止されました。そして現在の制度になってきたのですが、その当時その原因をなしたものは、都区財政調整が非常に混乱するということが原因で、いろいろな実情からこの法の改正をされたのでありまするが、この事務事業移管によって将来都区における財政関係が、円滑に進む可能性があるかどうか。これは一番根源をなすもので、従来、これがために都区では、非常な紛争を起こしたり、醜い争いを繰り返してきたのです。最近ではだいぶその点は調整されましたが、しかし今後のこの問題に対する考え方を一応承っておきたい、かように思うのです。  一応答弁を聞きまして、あと引き続いて二、三聞いておきたいと思うのです。
  4. 金子岩三

    金子政府委員 まず立案者のほうから、詳しく提案の精神を御説明さしたいと思います。
  5. 柴田護

    柴田政府委員 財政関係の問題につきましてお答えをいたします。  東京都の近代化と申しますか、改造と申しますか、この過度集中合理化、緩和、こういったものにつきましての財源的な配慮、これは、そういう措置がとられてまいります以上は、政府といたしましては当然に配慮をすべきものでございます。現に、一時に比べますならば、最近では、地方交付税上の算定におきましても、また地方債配分におきましても、東京都の実情に合うように漸次是正してきておるつもりでございます。しかしながら、まだ膨大な人口を擁しておりますし、なおまた集中による弊害が非常に著しゅうございますので、さらに大きな財源が要るかと思いますけれども、こういった点におきます政府配慮といたしましては、なお十分実情に即するようにやってまいりたい、かように存じておる次第でございます。  また、財政調整交付金のことでございますが、従来、この調整交付金をめぐりまして、いろいろ御指摘のような紛争があったことも事実でございます。今回は、相当量事務移譲されまして、それによりまして、特別区の性格を、自治的な性格を強めるという方向で、税源の都と特別区間配分が行なわれております。その結果といたしましては、従来にも増して、特別区相互間の財源調整をめぐります紛争の種は減っておると実は考えるのであります。私どもの推算では、従来は八つか九つか、財源を吸い上げられておるところの特別区がございましたが、今回の改正によりまして、そういった区は非常に減りまして、二、三になりはせぬか、将来はふえるかもしれませんけれども。そうなってまいりますと、そういった財源の吸収あるいは配分等におきます苦情につきましても、従来から比べますれば、著しく改善されたことになるのじゃなかろうか。なおまた、財政需要額あるいは財政収入額等配分につきましても、従来のやり方が必ずしも合理的ともいえぬ面もございますので、これにつきましても、さらに合理化を進めるように配慮してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  6. 倉橋義長

    倉橋説明員 特別区の性格につきまして、制限自治区として取り扱う方針か、あるいは行政区として考えるか、こういう御質問でございますが、御承知のように、東京都の特別区は、沿革的には、東京市といたしまして、一体的に発展をしてまいったものでございますが、この間におきまして、住民生活環境というものが非常に錯綜しておるわけでございまして、行政的に申しまして、一体的に処理をなされないようなものが非常にあるわけでございます。また住民自治意識という面におきましても、これはそれぞれの区等におきましては独立してあるということもあって、なかなかむずかしいわけでございます。これは、その特別区それそれを一つの完全な自治団体完全自治区といたしまして考えるわけにはまいらないかとも存じますけれども、しかし東京都の純粋な下部機構といたしまして、行政区というふうに考え考えはないわけでございまして、制限自治区といたしまして、取り扱うという考え方であります。地方制度調査会もその点に関しまして慎重に御検討いただきまして、制限自治区として取り扱うのが適当であるという御答申をいただいているわけでございます。  それから区長公選制につきましてどういうような経過があるかという御質問でございますが、地方制度調査会におきまして、この区長選任方法につきましては、特別区の性格の問題でございますとか、特別区住民自治意識の問題とも関連をいたしまして、相当時間をかけて論議がされたわけでございます。この結果、公選制にもあるいは任命制にも、それぞれ一長一短がある。それでさしあたり現行どおりとして、今回の事務移譲を行なったあとの運営状況を見た上で、さらに検討をすべきであるという旨の答申がなされたわけであります。政府といたしましても、この答申を妥当といたしまして、区長公選制ということは取り上げなかった次第でございます。
  7. 四宮久吉

    四宮委員 そこで聞いておきたいのですが、どうも東京富裕都市という立場に置かれて、従来いろいろな財源が吸い上げられて、毎年この問題に対しては悩んでおる。そういう関係があるかどうか、いままでこの都市の根本的な体質政善という費用がうまく潤沢に回らなかったというのが、道路拡張その他においても非常に遅延した原因であろう。そういう点も考慮を願いまして、今後ひとつ東京都は根本的にこの体質を改善し、道路にしても水道にしても、その他の施設も、この機会にしなければならない問題が多々あるのでありますが、いま御答弁を伺いまして、それに伴った財政十分考慮に入れて本案が提案されたという御答弁でありますから、これ以上は申し上げませんが、ひとつそういう点は十分考慮の上に加えていただいて、この際でなければ、これからとにかく二十階でも三十階でもビルが建つというそういうときになって、道路を拡張するということもなかなかその費用の点においても、いままでの数十倍もかからなければできぬような結果になると思いますので、どうしても、この機会にひとつ政府考えられて、東京都がこういう問題と取り組むために大幅な移譲をしたという答申をくんでいただいて、今後考慮に十分加えていただきたいと思うのです。  それから区長の問題は、そうすると将来全然やらないという見通しではなく、もし将来必要とすればやるという考え方に立っておるのか、全然これは見込みがないという見地に立っての御答弁か、ちょっとそれを承っておきたい。
  8. 倉橋義長

    倉橋説明員 先ほど御答弁申し上げましたように、地方制度調査会におきまして、それぞれ一長一短があるということでございまして、さらに時間をかけて検討をするということに地方制度調査会答申も相なっておりまして、その御意見も聞いた上におきましてまた考えたい、こういうように考えております。
  9. 四宮久吉

    四宮委員 それから今度の移管問題は、大体保健衛生に関する問題と、福祉行政、それから清掃事業が区に移管される大体の見通しでありますが、従来衛生行政に対して都から区へ移管するのにいろいろな論議がある。福祉事業もまた同じように、独立して福祉事務所を別に東京都がつくったということは、進駐軍が来て、当時の衛生政策並びに福祉政策均衡性という点が深く論じられたのは、当時御承知のことかと思いますが、とにかく東京都を同じ一体とみなすのだ、それが各区によって富裕な区もあり貧乏な区もある。そこで、それが均衡を欠くようなことがあっては困る。したがってこれは都が所管せいというので、強い進駐軍あたりからの要望もあり、法の改正が国会において制定されたのもそこにあると思いますが、今回移管によってこういう問題が均衡を欠くようなことがないであろうかどうであろうか、こういう問題について一応御意見を承っておきたいと思います。
  10. 倉橋義長

    倉橋説明員 現在都が処理いたしております事務を区に移譲した結果によりまして、各区の間におきまして均衡を欠いて、ばらばらになるのじゃないかという御心配かと存ずるわけでございますが、このことにつきましては、清掃事務処理等につきまして、都区協議会を設けまして、そこにおいて連絡協調するという配慮も、この法律の上においていたしておるわけでございます。さらに知事におきまして、事務調整のために助言、勧告をするという権限規定をいたしておるわけでございます。さらに、この特別区が処理をいたします場合におきましては、これが他の市におきまして処理する場合と違いまして、それぞれ特別区相互間の連絡調整等をはからなければならないために、政令におきまして特別の措置各区においても設けられるようになっておりまして、そういう意味におきまして、政令において各区の間の事務処理の基準を定めるというようなことによりまして、ばらばらにならないというふうな措置考えておるわけでございます。
  11. 四宮久吉

    四宮委員 そうすると、こういう場合はどうなんですか。政府交付金等は直接区に交付されるようになるのですか。あるいは都を通じて区に交付するようになるのですか。それはどういう考え方になるのか。
  12. 倉橋義長

    倉橋説明員 おっしゃっておられます交付金がどういう種類の交付金かによっていろいろお答えは違うかと存じますが、一般的に申しまして、交付金補助金のようなもの、これはその事務が区の固有事務といたしまして行なっておる事務につきましては、これは都を経由いたしまして区にいくということになるのではないかと思います。一たん都の経済に入って区にまたいくのかどうかという御質問につきましては、交付金につきましては、これは直接都の経済に入りまして、区のほうに入る、経由してまいるということになると思います。
  13. 四宮久吉

    四宮委員 衛生関係のなには直接区のほうへいくのじゃないのですか、直接区にいって区の財政に交付する御方針ではないのですか。
  14. 柴田護

    柴田政府委員 区にまっすぐいくわけでありますが、経由官庁といたしましての東京都の経済局を通るというだけであります。普通の県と市町村の関係になる、こういう意味であります。
  15. 四宮久吉

    四宮委員 ここで改正法律を読んでみますと、政令で定めるという分がずいぶん多いのです。二百八十一条の二項の六ですか、保健所、優生保護相談所施設の管理、この事務政令で定めるもの、あるいは伝染病予防についても政令で定める。こういう趣旨のものはわかるのですが、都区協議会というものを政令で定めると書いてあるのですが、どういう構成人員でこれからやろうとするのですか。
  16. 倉橋義長

    倉橋説明員 都区協議会に関しまして、必要な事項は政令で書くようになっておりますが、この政令におきましては構成をいかにするかという点とか、それからその議事運営方法とか、そういうものを規定をすることになるわけでございます。それでどのような構成になるかという御質問でございますけれども、これは都及び特別区双方の執行機関が、それぞれ同数代表者をもって構成するということを考えておるわけでございまして、都の側といたしますと知事、副知事、その他知事が指定をいたします都の職員若干名、特別区側におきましては、同数の特別区の区長さん——区長の互選による代表者、こういう構成考えておるわけであります。
  17. 四宮久吉

    四宮委員 それで都区協議会ができたが、その協議がまとまらざる場合は、どういうような処理方法になるのですか。
  18. 倉橋義長

    倉橋説明員 この協議会は、都区の間におきまして連絡協議をするための機関でありまして、一種の諮問機関的な性格を持つものでありまして、これで一つ行政処分をするというものではないわけでございます。したがいまして、ここにおいてきまらなかった場合には、さらに第三者機関なり上級機関にいくというものでは性格上ないわけであります。
  19. 四宮久吉

    四宮委員 そこで委任事業をいかにするかという点で、今度は清掃事務のことについてちょっと承りたい。東京都内でもまだ終末処理場ができていない、焼却場ができていないところも相当あるのですが、現在できている分、それからいま着手している分、それから、いまできていないところは、どのくらいの期間たったら全部の終末処理ができるか、その見通しをちょっと承りたい。
  20. 倉橋義長

    倉橋説明員 終末処理場につきましては、三十八年末におきまして九カ所完成いたしておるわけであります。それから将来どういうふうになるかということでございますが、昭和四十三年には十五カ所完成する、そういう計画があるわけであります。
  21. 四宮久吉

    四宮委員 終末処理場ができない間の処理は、現在これを区に移管しても、うまく運用できる可能性はありますか。
  22. 倉橋義長

    倉橋説明員 御質問は、終末処理場が完成しない場合において、汚物収集運搬というものを区に移管してどうかという御質問だと存ずるわけでございますけれども清掃につきましては、現在公衆便所でございますとか、あるいは公衆ごみ置き、道路清掃というものを特別区が処理いたしております。それ以外の事務といたしまして、汚物収集運搬と申しますものは、やはりこの終末処理場整備状況とにらみ合わせまして進めていくべきものではないか、それまでの間におきましては準備期間を置いて考えるべきものだ、われわれとしてはこういうように考えております。
  23. 四宮久吉

    四宮委員 そうすると、現在の事務移譲の問題については、清掃事業に対しては終末処理場ができるまではむしろ猶予したほうが適当だと考えられているのですか。
  24. 倉橋義長

    倉橋説明員 終末処理場整備するまでは、移譲はいたさないという考えでございます。収集運搬につきましては、たてまえといたしますればおろすたてまえでございますが、そのおろす時期は終末処理場整備とあわせて具体的に考えるということでございます。収集運搬につきましては、具体的に申しますと、政令におきまして準備期間を置いておくという考え方でございます。
  25. 四宮久吉

    四宮委員 そうすると、その準備期間というのは大体どのくらいですか。終末処理場が四十三年にならなければできないというのですが、収集運搬事業をその間は区に移管せずにおいてやろうというのですか。それともその間でもできたところを処理しようというのか。いま一つは、やれてもやれぬでも、ここで全般的に収集運搬だけは終末処理場ができなくてもやろうというのですか。この三つの考え方のうち、どれをいま考えられておりますか。
  26. 倉橋義長

    倉橋説明員 具体的にいつおろすかと申しますことは、これは終末処理場整備の具体的な状況を見て判断をいたさねばならないものであると思うわけでございますが、この移す場合におきまして、各区の間においてばらばらに、たとえばある区を担当いたしております終末処理場ができたから、その収集運搬範囲のものはおろす、ほかはおろさない、そういうような考え方ではございません。やはり全般見通しまして、同じ時期に扱う、二十三区を通じまして収集運搬を統一的に扱うということでございます。
  27. 四宮久吉

    四宮委員 東京都は、御承知のとおり長い間清掃業者団体を使ってずっときているのです。聞くところによりますと、東京都が六割で、長年そういう設備を東京都が要請してつくったものがその四割を担当して、そうして収集運搬事業をやっているという現状にあるのですが、それらの問題についてのこれからの処理方はどういうふうな考えに立っていられるか、ちょっと意見を聞いておきたいと思います。
  28. 倉橋義長

    倉橋説明員 汚物取り扱い業者許可に関します事務は、今後とも都において処理されるわけであります。
  29. 四宮久吉

    四宮委員 都において処理するといっても、各区にこれを移管したときには、各区に配属することになるのですね。その配属する権限東京都が持っておるという形でいくのですか。
  30. 倉橋義長

    倉橋説明員 汚物取り扱い業者許可権は都にあることは御承知のとおりであります。そこで収集運搬事務が区に移譲になりましたあかつきにおきましては、この作業計画というものにつきましては、都の知事が示すということを考えておるわけでありまして、そういたしますと、個々の取り扱い業者作業等につきましても、その作業計画の中に示されたものに基づいて、また区が具体的な作業等につきまして、業者との間の関係が行なわれる、こういうように考えます。
  31. 四宮久吉

    四宮委員 そこでこういう実例があるのです。私は文京区に住んでおりますが、三、四年前でしたか、非常な豪雨で、町じゅうに畳が浮いて、道路も何もみな一ぱいになり、のみならず、家具から何から一ぱいになって、交通ができなくなった。そのときに、東京都に緊急措置を頼んだが、そのときは東京都が二日の間にそれを全部片づけてくれた。こういう臨時災害とか水書とかいうような際の臨時措置方についての検討は、加えられておるかどうか、これに対する処理方についてどうであるかということを承りたいということと、それから、ただいま御答弁になった配属という関係で、雇い上げの関係ですが、一括してなるべく都にしてくれたほうが、総合的に非常に便宜な措置がとれるというので、清掃問題に関する反対的な陳情が私どものところにきておるのですが、各区ばらばらに配属してしまうと、そこから他に自由にできなくて、専属ということに自然になってしまうおそれがあるのではないか、それでは拘束を受け直るということを業者の間においては心配しておるのですが、これらについての考え方はどんなものですか。あなたのほうで、これについて実際当たったことがありますか。
  32. 倉橋義長

    倉橋説明員 特別災害等の場合におきまして、区におろした場合に、都が応急的な措置ができるのか、その点はどいうふうに考えておるかという点の御質問でありますが、これにつきましては、災害対策基本法なりあるいは災害救助法もございますけれども、さらにそういった事態につきましては、所要の措置が都でやれるように政令等において考えておるわけであります。  それから、汚物取り扱い業者が、区が担当いたします収集なり運搬なりの事務をそれぞれ代行いたします場合におきまして、区に縛られてしまうのではないかという御質問でございますが、これにつきましては、この許可に関します事務は都知事権限といたしまして今後も残すというふうに考えておるわけでございまして、そこで、この収集運搬等につきましての作業計画は、先ほど申しましたように、都の知事が示すことに考えておるわけでございますが、その作業計画の中に、区がみずからの器具、資材をもちまして収集運搬いたします事務と、取り扱い業者が提供いたしますところの資材等をもって取り扱う、それがこの中に示されておるものであります。したがいまして、都の作業計画と申しますか、これに基づきまして収集運搬が行なわれるというふうになるのではないか、その方向でものを考えたいというふうに考えております。
  33. 四宮久吉

    四宮委員 そういう処置をするのだということになれば、それは考えはあるでしょうけれども、それはただ考えだけで、実際に取り扱うのにどういう方法で処置されるかということを、あらかじめ検討を加えておいてもらわないと、非常災害で、国家のなにを発動するような程度の災害であれば別ですけれども、この間の水のごときは、その程度に至らない、集中豪雨の程度の災害ですが、税の減免等の多少の措置はあるにしても、災害のあと始末という場合に、東京都がすぐ活動できる態勢はどういうような形においてされていくのかということを私は聞きたいのだ。ただ適当な処置をとりますということは、それは適当な措置はとらなければならぬ問題だろうが、その形態は、自治省はこれからどういうふうな形でやっていくのだということについての具体案が考えられているかどうか。なければ、あとでまた今後の質問に残してもよろしゅうございますが……。
  34. 倉橋義長

    倉橋説明員 後ほどまたお答えいたします。
  35. 四宮久吉

    四宮委員 私はまだ幾らか聞きたいこともございますが、きょうはこの程度にとどめまして、あと次に譲ります。
  36. 森田重次郎

    ○森田委員長 鯨岡兵輔君。
  37. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 重複をなるべく避けて、重要だと思われる点について御質問申し上げたいと思うのです。こまかく切ってお尋ねをいたしますから、それについてお答えをいただきたいと思います。  都政はやはり非常に行き詰まっていると言えると思うのです。これは東京都民ばかりでなしに、東京都へ来た人だって、あらゆる点で行き詰まっているという点は感じられると思う。地方制度調査会都政調査会からいろいろこれに対する答申が行なわれているのですが、今回の自治法改正では、基本の方針をどこに置いてこの案の作成がなされたかということが一番先に承りたいことです。なぜかと言えば、原則が、都と区とはこうあるべきだ、そういう基本の考えからこの法改正がなされるのではなくして、実情はどうも生活がやり切れなくなってきている。交通にしても、水道にしても、下水にしても、住宅にしても、何もかもやり切れなくなってきたので、これではどうにもしようがないから、ひとつ何とかしなければならぬという、急場しのぎな事態から法改正が行なわれた、そんな感じもしないわけではない。根本の形から出てきたのじゃないという印象を受けますので、地方制度調査会都政調査会答申に基づいて法改正をされたと言われるのですが、基本の方針をどこに置いたか、この問題についてお伺いをしたい。
  38. 倉橋義長

    倉橋説明員 この基本の方針はどこに置いたかという御質問でございますが、この改正にあたりましては、昭和三十七年の十月に地方制度調査会から提出をされました「首都制度当面の改革に関する答申」の趣旨にのっとりまして、都から特別区に事務を大幅に移譲することによりまして、特別区の自主性を強化するとともに、都区間の事務及び税源の合理的な配分をはかる、ここのところに基本的な方針があったわけであります。
  39. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 それでは、次にお伺いします。臨時行政調査会の首都行政の改革に関する意見書のうち「勧告にあたっての基本的な考え方」というところがありますが、それには「首都の過大都市化に伴って生ずる諸問題の解決は、いささかの遅延をも許されない緊急の問題ではあるが、首都のみにおける単なる公共施設の応急的整備のみでは、到底なしうるものではない。そのような限定された部分的な応急施策のみでは、かえって施設整備人口増大の悪循環を繰り返すおそれがあり、過大都市の語弊件の拡大を防止しえない」こういうふうに述べておるのですが、全くそのとおりだと思うのです。東京は約二十七万から二十八万、三十万近く毎年毎年人口が増加しているのですが、その大半は東京で生まれるのじゃなしに、いわゆる地方から東京にくる社会増です。増加する人口に対する諸施策は必要だと思いますけれども、それではやっぱりここに書いてあるように悪循環になるおそれがあるが、そんなに人口が増加しない方法、そういうことについてどんなふうにお考えになっているか、この際承りたいと思います。
  40. 倉橋義長

    倉橋説明員 首都でございます東京人口及び産業が過度に集中しないように、これを抑制するためには、全国的な視野に立ちまして、新産業都市の建設でございますとか、それから低開発地域の開発でありますとか、大都市の再開発、さらに首都の区域から工場、事業所、大学等を分散する、これを受け入れる都市の建設を強力に促進していくことが必要であるというふうに考えます。
  41. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 あまり強力だとは思っていないのですが、ぜひそういうふうなことを併用していただかなければ、住みよくすれば住みよくするほど人が集まってくるのではないかという心配があります。  次に移ります。地方制度調査会答申を尊重した、そしてこの法案提出になったというふうにいわれているのですけれども、今回の法改正で、地方制度調査会答申に書かれていることでこれに盛られていないというものがあったらそれをひとつ教えていただきたいと思います。またその理由についてあわせてお聞かせいただきたい。
  42. 倉橋義長

    倉橋説明員 地方制度調査会答申は三つの部分から成っているのでございます。第一は「都及び特別区の制度合理化」に関することでございます。第二は「首都行政及び首都整備に対する国の配慮」であります。第三といたしまして「東京への人口及び産業の過度集中を抑制するための措置」この三つの点に分かれているわけでございます。そこで今回この第一の部面がこの法律案として立案をされたわけであります。と申しますのは、第二につきましては臨時行政調査会におきましての答申が出てまいりまして、現在臨時行政改革本部におきましてこの措置につきまして研究中でございまして、そちらを待ってなすべきものだ、こう考えております。それから第三につきましては、先ほどもお答え申しましたように、過度集中を抑制するための措置といたしましては、現在とられている措置をさらに強力に遂行してまいる、こういうことでないかと考えます。そこで第一の答申の、都及び特別区の制度合理化に関する部分をこの法律案として立案したわけでございます。この中におきまして、答申がありますにかかわりませず実現をしなかった部分といたしましては、答申におきましては保健所を区へ移管するということをうたってございます。それから公営住宅の管理を特別区へ移管するということをうたっているわけでございますが、この保健所等につきましては、この法律案を立案いたします際におきまして、関係各省との意見調整等もございましていろいろと御意見もあったわけでございまして、この部分につきましては見送ることになったわけでございます。
  43. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 都営住宅なんかどんどん建てなければならぬのですが、どんどん建てて、それをみんな都がいつまでもかかえ込んでおるということになると、都の将来の仕事は、都営住宅の管理でもって目一ぱいになってしまって、たいへんな家主になってしまう。古くなってくるとこれを修理しなければならぬ、そういうような問題をかかえ込んでくると大きな都の仕事になってきて、ほかの仕事に手が回らないというようなことになりはしないかという心配が私個人はあるのですが、どんなふうにお考えですか。
  44. 倉橋義長

    倉橋説明員 公営住宅におきましては公営住宅法のたてまえ等から申しまして、設置主体と管理主体とを分離することが法律技術上におきましていろいろと問題がございます。そこでおっしゃる点ごもっともな御意見だと存ずるわけでございますけれども、そういった技術的な面から、設置主体とは別に管理主体を分けまして、特別区にその分のみを移譲するということに困難がございます。そこで今回におきましてはその部分を見送ることになったわけでございます。
  45. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 設置主体と管理主体を分けることが理想的なんですか、理想的でないのですか、いかがですか。
  46. 倉橋義長

    倉橋説明員 これは公営住宅法のたてまえとも関連してくるわけでございまして、設置主体と管理主体というものは、やはり一体的に行なうべきものではないかというふうに考えておるわけでございます。管理だけを別にするということは、これは体制をそこなうのではないか。したがいまして、その管理ということにつきましては、別に何か別途の管理方法というものが考究できるのではないかという点があるわけでございます。したがいまして、そういった面もございますので、改正案としては取り上げなかったわけでございます。
  47. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 別途の管理方法があるのではないかということを期待しているというお話に期待して、これはこの程度にいたしておきたいと思います。  地方制度調査会答申は非常に重要視されているのですが、地方制度調査会答申では当面の改革に対する答申となっておったと思うのですが、もしこれが間違いでないとすればこれはあくまでも当面のことであって、首都制度の根本的な改革についてはどう考えておられるか、政府のお考えを御明示願いたいと思います。
  48. 倉橋義長

    倉橋説明員 抜本的な改革についてはどういうように考えておるかという御質問でございますが、ちょっと御質問にございましたように、今回の調査会の答申は当面とるべき措置についての答申でございまして、今回の改正案もこの答申にのっとったものであるわけでございます。したがいまして、この首都制度の抜本的な解決をはかりますためには、調査会のこの答申の中でも指摘してございますように、昭和三十二年に地方制度調査会から答申がございました府県制度改正に関する答申の実施とも関連があるのでございますが、首都の性格でございますとか、区域、組織、権能等について、さらに根本的な検討が必要であるというふうに考えておるわけでございますから、政府といたしましては、今回の制度改正について今後の運営状況を見た上におきまして、地方制度調査会におきまして、この首都制度に関します根本的な問題の御検討を願いまして、それで根本的な首都制度改革をはかりたい、こういうように考えておるわけでございます。
  49. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 住民の身近な事務を区に移すという考え方、これは今度の法改正の基本の考え方のようですが、そういう基本的な姿というものは地方自治の本旨にも沿うことで全く大賛成なのですけれども制限自治体であるといわれている区に、身近だからといってただ仕事だけを移しても、直ちにそれが住民の利便になるとは思わないのであります。終局住民の利便にならなければ役に立たないのでありますが、区側に受け入れ態勢不備のままで仕事を移してやるというようなことであってはたいへんなことになると思うので、この点について承りたいと思います。
  50. 倉橋義長

    倉橋説明員 この受け入れ態勢をどうするかという点でございますが、第一には、この財政措置をどうするかという問題がございます。これにつきましては先ほど財政局長から答弁いたしましたとおりでございます。  それからこの事務移譲いたしました場合におきまして、この事務処理する職員等につきましてどういうように考えるべきかという問題もあるわけでございますが、これにつきましては、その移譲されました事務を、十分能率的に効果を上げまして、しかも二十三区が一体となって仕事がなされるように配慮をしなければならないというふうに考えておるわけでございますが、この問題につきましては先ほどもちょっと申し上げましたが、部区協議会におきまして連絡調整がなされるようになろうかと思うのでございます。この移譲された事務に従事する職員をどうするかという問題につきましては、現在、区におきます職員におきましては、約三分の二が都の配偶職員ということになっておるのが現状であるわけでございまして、区におきましても原則としてそういった配属職員によって運営がなされているのじゃないか。しかも、そういうことによりましてこの都区間の人事交流等がやられ、その職員の指揮なりあるいはさらに職員に対します研修をやっております。それによって事務の能率を上げていくということがはかられていくべきもの、こういうように考えます。
  51. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 二つの問題について具体的にお尋ねをいたしたいと思います。  一つ財政の問題であります。財政の問題のほうは、いままでは区の財政では、二十三の区がありますが、財政需要額とそれから税収額とが多い区、少ない区ありまして、納付区、交付区というのがあって、その財政調整に毎年非常に苦労していたようであります。そういうようなことが今後も、今度の税金が区税というものが法定された後でも行なわれるかどうかという点を具体的にお尋ねいたしたい。  それから二番目は、いまの職員の問題でありますが、職員は、区の職員と都の職員が同居して、同じような仕事を区長の下でやっておるわけであります。それが将来禍根を残すような心配がないかどうか、この二点についてお尋ねいたします。
  52. 倉橋義長

    倉橋説明員 この区の固有職員と都の配属職員とが同居しておって、禍根を残すことはないかという御質問でございますが、現状におきまして、区の全職員のうち、三分の二は都の職員の身分を持った職員がおるわけでございます。そこにおきまして問題はないわけでございます。今後におきましても、特にそのことのために問題を生ずるということはないと考えております。
  53. 柴田護

    柴田政府委員 財政調整関係の点についてお答えいたしますが、この法案によります事務移譲が行なわれました暁におきましては、納付区はなくなるという一応推測に立っております。ただ先ほど清掃問題でお話がございましたが、清掃問題をおろしていきます途中におきましては、実は納付区が残るだろうと思います。
  54. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 財政問題についてはあとでちょっとまた短く御質問をいたしたいと思うのですが、まず職員のほうの問題について、職員のほうは、一つの区役所の中に都から配属された職員、それから区長が任命した職員、これが同居している。そうすると、区の職員は都の職員よりも一段下のものであるという印象がぬぐいされないと思うのです。そういう点から、私は、何か将来に禍根を残すような心配がありますが、重ねてお尋ねをいたします。何も心配はないですか。
  55. 倉橋義長

    倉橋説明員 その身分取り扱いにつきまして、その間にでこぼこがあるとかあるいは昇進等についての問題がございまして、そういうことによっていろいろと禍根が出はしないかという御懸念と思うわけであります。この扱い方等につきましては、都区間におきまして十分連絡調整をとりましてそういう問題の起きないようにやってまいりたい、こういうように考えております。
  56. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 次に進みます。清掃事業について、先ほど四宮委員から御質問がありましたが、重ねて御質問いたしたいと思います。簡単に、しかも具体的にお答えをいただきたいと思います。  清掃事業というようなものは、最も住民の身近なものと思われる。今度の改正の主眼点は、都が身軽になるという点が一点、それからもう一つは、区民、住民に直接関係のある仕事は区におろすということが一点、これが二つの柱だと思います。そうすると、最も身近な清掃事業、これは、終末処理みたいなものは区民はわかりませんから、いろいろ問題はあろうと思いますが、毎日毎日出るごみをとっていくという仕事は、最も身近な仕事であります。この最も身近な仕事が区におりないというようなことは、画竜点睛を欠くもはなはだしいものであると思いますので、これは当然のことだと思うのですが、区におろすということだけで、こまかいことはみんな政令できめる、こういうふうになっている。一体政令では、主眼点として、三つほどあげれば、どんな点をおきめになるということですか。その政令できめる主眼点を、三つくらいあげていただきたいと思うのです。
  57. 倉橋義長

    倉橋説明員 政令であげます点といたしましては、第一点は、汚物終末処理に関しますこと、これは政令であげる一番大きな問題であります。それから第二といたしまして、先ほど申しましたような汚物取り扱い業者許可に関すること、それから、その他の点等につきましては、先ほど申しましたように、収集運搬につきまして、終末処理場整備の時期まで準備期間を置く、そのことを政令できめることになろうかと思います。
  58. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 清掃事業に携わる業者など、これらの契約は都がやっていくのだというお話を、先ほど四宮委員質問に対してお答えになりましたので、その点は、諸般の経過から、そういうふうにならなければいけないものだと思いますが、終末処理場などが全部でき上がってから区に移すのだということであれば、清掃事業なんか最も身近なもので、それでもなお区におろすことができないのだということであれば、かえって非常な問題が起こると思いますので、私はいまの御方針がいいと思うのですけれども、しかしながらこの際、これはお答えをいただかなくてもけっこうですが、私が常に考えておりますことでは、私ども東京都民として、また東京都民でない方でも、まっ昼間、自動車なんかが混んでる最中に清掃事業が行なわれている。夜行なわれていない。諸外国なんかの例は、そんなにたくさん知りませんが、私が調べたところでは、夜やっているところがかなり多い。少なくとも非常な未明にそれを行なっているところが多いけれども、それを行なっていないということは、能率的にも非常にうまくないことではなかろうか、こんなふうに思う。それから、せっかくいま御計画をなさっておる、またでき上がっている焼却場、あの焼却場なんかも、あれだけ膨大なお金をかけてつくった炉が、夜間は休業している状態、もし私企業であれば、あれだけお金をかけた炉が夜間休業しているということはないです。ああいうものは、やはり夜昼どんどん燃やすというようなことでなければ能率的とはいえないと思いますので、いろんな問題もありましょうから、いまお答え要りませんけれども、ひとつ御検討を願いたいものだと思っているわけであります。  次に移ります。保健所の問題について承りますが、いろいろ問題があった末に、施設のみの管理が区にまかされるんだということになったそうでありますが、私は多分にいまの考えでは不満なのであります。施設だけを区にまかすということは、ちょうど病院の家主みたいなもので、病院の中のことについては何ら口出しはできません。区長には何の権限もない。ただその施設を管理しているというだけなんですが、あとのことは政令でみんなきめるといっていますが、これなんかも政令でどんなことをおきめになりますか、ひとつお答え願いたいと思います。
  59. 倉橋義長

    倉橋説明員 保健所の施設の管理について、政令でどういうことをきめるかという御質問でございますが、建物、土地の維持、管理について政令で定めるというふうに考えております。
  60. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 これもお答えをいただかなくてもけっこうですが、いろいろな答申をきめるまでの経過等を見ますと、区会議員が大勢やってきていろいろなことを言うと、やかましくてしょうがないというようなことからそうなったようなことを承っておるのですが、これは思わざるもはなはだしいことで、お互いに不信感というものからそういうふうになったとすれば、まことに遺憾なことだと思う。施設だけというようなことでは、やはりほんとうの意味の仕事の移管ということには私はならないと思いますので、なおこの上とも御検討を願いたいと思います。
  61. 倉橋義長

    倉橋説明員 保健所の事務につきましては、地方制度調査会におきましても、区に移管ということをうたっているわけでありまして、自治省といたしましても、将来これが区に移譲できる方向におきまして考えてまいりたいというふうに考えております。
  62. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 次に移ります。特別区は依然として基礎的な地方公共団体ではない、だから地方の市とは異なる。都は住民に身近な仕事は区におろすとはいっても、それでも都に市の仕事が残る。都は県であると同時に市の仕事も残る。区は基礎的な地方公共団体ではない。やはり基礎的な地方公共団体は都である。そうすると、ちょっとわけがわからないことになってくるのですが、事務の円滑な処理ということが、それではなされないんじゃないかという不安が出てくるのですけれども、これに対する保証というか考え方、そういうものがおありかどうか、そういう点について承りたいと思います。
  63. 倉橋義長

    倉橋説明員 区におきます事務処理が一体的に調和がとれて行なえるかどうか、どういうような保証があるかという御質問でございますが、先ほどお答え申しましたように、都区協議会という制度規定してございます。そこにおいて連絡調整をはかるということが第一点でございます。それからさらに二百八十二条に「都は、条例で特別区の事務について特別区相互の間の調整上必要な規定を設けることができる。」というように調整条例を定めるという規定もあるわけでございます。それからさらに、特別区の事務処理について、知事が助言、勧告をするという規定もございますし、先ほども申しましたように、これは二百八十三条の三項にございますけれども、「都と特別区又は特別区相互の間の調整上他の法令の市に関する規定をそのまま特別区に適用しがたいときは、政令で特別の定めをすることができる。」というふうに規定いたしまして、政令等におきまして、所要の規定を設けるということを考えておるわけであります。
  64. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 次に、非常に重要だと思われる点について御質問申し上げたいと思いますから、なるべく明快にお答えを願いたいと思うのですが、これは特に財政の問題にも関連をいたします。  改正ののちに、住民に身近な業務が区におりる、そしてそれに必要な税は区税として法定される、このことは都と区とを一体として財源の実質的増加というものを意味するものではないと思うのです。残った一体的もしくは大規模な仕事は、全部都がやらなければならない。そしてそれは区税として法定された残りの財源で都がやれ、そうすれば専念できるから都の困難はなくなるだろうというふうに言われても、それは財政的にやはり無理じゃなかろうか。国は依然として地方交付税の額の算定については特例を設けて、都をいわゆる金持ち県、すなわち不交付団体として、いままでの見方を改めないで、いままでの区と都を一体としての財政というふうに考えれば一つもふえないので、それだけ少しやっただけで、すぐこれからは大きな仕事がうまくいくだろうということをお考えになっても、何かそれは無理ではないかというふうに感ずるわけです。具体的に言えば、道路の譲与税とか、義務教育国庫負担というような問題を、都は金持ちだからという意味で、いままで考えていたようなことを依然として考えられるとすれば、この法律はできてもやっぱり同じことじゃなかろうかという疑問があるのですが、その点についてお答えを願いたい。
  65. 柴田護

    柴田政府委員 地方交付税上の問題の扱いを、従来の扱いと変えていないということが、都の新体制に伴う仕事をやっていく上において支障はないかというお話でございますが、この従来の扱いを変えておりませんのは、今回の改正事務を特別区におろしました。またそれに伴いまして特別区の自主性を強化するという方向で、従来原則として都税にいたしましたのを都税と特別区税に分けてしまって、自生財源を弧化する方向に置いたわけでございます。しかしながら、その間、特別区の所掌しておりますところの事務の内容は、一般の市町村とはやっぱり若干違う。特別区と都の関係というものは、一般の都道府県と市町村の関係とはやはり差異があるのでありまして、その事務につきましても、先ほど来いろいろ御質問がありましたが、やはり両者一体として処刑していかなければならぬ面が非常に多い。また特別区その他におきましては、その相互間の財源調整につきまして特別の制度が行なわれておる。したがって、特別区をそれぞれの一の市町村と見るには、現在の段階においては、改正制度施行後におきましてもまだ少し問題がありはしないかということで、従来の制度を存置することにいたしておるわけでございます。つまりまだやはり制限自治的な色彩が相当残っておる。したがって、交付税の算定上のやり方といたしましては、その相互間のつながりの密接さということを顧慮いたしまして、従来の制度を存置することにいたしました。しかしながら、そのことが都に対して何らかのものをプラスするかしないかという問題とはおのずから別個の問題であります。それは東京都の基準財政需要額なりあるいは特別区を一括して見ました場合の基準財政需要額の見方なりというものによって変わってくるわけでございます。この点につきましては、先ほど来四官委員からも御質問がございましたが、従来の算定方法におきましてこれが完全であったかといえば、それは問題はないことはございません。逐次合理化してまいっておりますけれども、なおかつ問題がないことはないと私ども承知いたしておるわけでございます。それはそれで東京都の新しい体質改善という観点から、なお検討をし合理化してまいりたいと考えるのでございますが、このことに関しましては以上申しましたような理由によりまして、従来の制度を存置することにいたしたわけでございます。
  66. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 東京都というものに対する——大阪なんかもそれにだんだん近づいてまいりますが、考え方が根本的に私は疑問があるというふうに思うのです。地方の県で、たとえ百万の県があったとする、二百万の県がある、人口は倍である。たとえば五百万の県がある、人口は五倍であるというふうに、こうやってきて、七百万、九百万、一千万というふうになってきたときには、九倍とか十倍とかいう算術的な問題ではない、量的な変化でない質的な変化が起こるのじゃないか、私はこう思うのです。ちょうどお湯が熱してきて、十度から二十度になってきて沸騰点に達したときには、もう液体じゃなしに気体になると同じように、質的な変化がある。その質的な変化が東京都の大都市には起こってきているのではないか。それを算術的にものを見て、どこの県の何倍であるというようなものの見方をかりにしているとすれば間違いではないか。もっと極端な言い方をすれば、地方自治法という各県なんかに通用するそういう法律で一律に見ているというところに間違いがあるのではないかという疑問があるのですが、この点については、質問に答えるというのではなしに、あなた方の御見解をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  67. 柴田護

    柴田政府委員 私どもも実は御指摘のとおりだと思います。交付税の算定の面におきましては御承知の態容補正係数その他の計算におきまして単なる質的な援用というものでなくして、質的な援用を加えて実は算定をいたしておるつもりでございますけれども、何ぶん技術上の問題も多少あるわけでございますが、基本的にはやはり東京都の今日直面しておりますところの現実に対する経費、もっとはっきり申し上げますれば都市改造関係の経費という問題が、東京都のみならず、五大市全体を通じましてやはりあるのじゃないかというふうに感じておるわけでございます。最近はその財源とのかね合いから、急速にやらなければならぬものにつきましては地方債を増額いたしまして、地方債でその投資的な経費をまかなって、まかなうスピードを早めまして、現実の事態に対処する方向に努力はいたしておりますけれども、しかしなお十分かと言われますれば、地下鉄一つとりましても十分でないことはよく承知しておるわけでございます。基本的には鯨岡委員のおっしゃった見解と私どもは同じ見解を持っておるわけでございますが、それを現実に合わします場合に、いろいろまだ検討を要する面が多分にあるだろう、従来もやってきましたけれども将来もなお十分検討していかなければならないのだろうというふうに考えております。
  68. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 お許しをいただいてもう三問、十分間ばかり御質問いたしたいと思います。  いまの問題をもう少し突っ込んで、私の常に考えておりますことをお聞きを願って御善処願いたいと思うのですが、たとえば青少年の不良化の問題にしても何にしても——やはり東京は流行の中心です。大阪も同じですが、都市の風潮というものはあらゆる問題がいなかのほう、地方のほうに流れていく、こう思うのです。そこで不良化の問題一つとらえてみても、不良化を防止しようというのでお母さんを集めて不良化防止の懇談会を開いてみてもだめなんです。問題はどこにあるかといえば、私は住宅問題なんかたいへんな問題だと思う。いま都営住宅なんかできるのがおそいですから、民間では四畳半か六畳くらいの住宅ができる、そこへ人が入っている。あそこへ若夫婦だけが入っているなら問題ないですけれども、そこにおしめなんかぶら下がっているのを見るとぞおっとするのです。あそこの中でやはり夫婦生活が行なわれている。そうすると赤ん坊のころはいいですが、年齢が中学校くらいになってくると、夫婦生活をかいま見るというような不幸な事態が起こる。そのために子供たちが性的に非常に早く早熟していく。それが不良化の大きな原因になっていく。そういうようないろいろな問題が大都市にはあるわけなんです。そういう点に着眼をすれば、そういう不良化の問題をとらえてみてもこれを量的にだけ考えないで質的に解決していかなければならぬ問題が東京都なんかに一ぱいあると思うのです。いま量的にだけ見ているのじゃない、質的にも見ているのだというふうにお話しがございましたから私は安心したのですが、東京都の魔性といいますか、東京都では、隣で殺人しててもわかりません。非常ににぎやかな面があるかわりには、夜の丸ビルかいわいを歩けば、まるで深山幽谷にでも入ったような状態がある。このにぎやかさとさびしさというもの、あらゆるものがこん然一体となっている。そこから出てくるこの状態というものをひとつ御認識願って、東京都の発展のために法律の制定をしていただきたい、こう思うわけです。  次に進みますが、特別区というのは、先ほど四宮委員からの御質問にもありましたが、基礎的な地方公共団体ではない、すなわち本来の意味の自治体ではない、制限自治体であると言っておられるわけですが、しかし制限自治体であるといっても自治体であることには間違いない。そこで憲法九十三条に地方公共団体の長は住民が直接これを選挙するということになっているのですが、やはり区長というものは直接住民が選挙するのが正しいのだというのも、私はあながち不当ではない、正当性も十分にある、こんなふうに思っているのですが、せっかくの法改正がそれに触れていないのは画竜点睛を欠くような感じもしないわけではありません。制限自治区と言いますが、制限というのは一体何か。事務上の特殊事情による制限であって、自治に対する制限ではないと思うのですが、基本的な問題をこの際はっきりしておきたいと思います。これについての地方制度調査会の審議の経過について簡単にお答えをいただけたらありがたいと思います。
  69. 倉橋義長

    倉橋説明員 先ほど四官委員の御質問に対しましてお答え申し上げました点にまた触れさせていただくわけでございますが、この特別区の性格でございますけれども、これにつきましては、地方制度調査会におきまして、先ほど申しましたように、沿革的に東京市として一体的に発達をしてまいったという事情、区民生活というものが錯綜しておるという事情、それから住民の自活意識というものが普通の地方公共団体とはまた異なっているという事情がございますが、そういうような事情等から考えてまいりまして、一般の市町村と同じように、普通地方公共団体として取り扱うことはできない。しからば、この特別区というものを行政区と考えるという場合におきましても、これはそうも考えられない。そこでこの特別区というものを、制限自治区として地位を認めるのが適当であるという地方制度調査会答申に相なっておるわけでございます。そこで、この区長の選任問題でございますが、選任問題におきましても、この事務をできる限り区民の身近なところで処理するということに関連いたしまして、区長も直接公選にするのが適当であるという御意見考え方、これが一方にございますとともに、また特別区は東京都の中の二十三区が一体性を持っているということにかんがみまして、この都と特別区の有機的な関連を確保するという観点に立ちまして、都知事に選任の主導権を——現在の選任方法を改めるのが適当であるという考え方もあったわけでございます。この二つの考え方があったわけでございますが、地方制度調査会といたしましては、この二つの考え方はともに一長一短があるわけでございまして、どちらがどうだという結論をこの調査会においては出すに至らなかったわけでございまして、そういう問題につきましては、大幅な事務配分をいたしましたその後の経過を見た上におきまして、さらに検討をするということになったわけでございます。
  70. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 これは財政に関することですが、清掃事業がもし区に渡らないとしても、すべてのものがいわゆる納付区にはならないというふうに言えないだろうかと思います。いま納付区、交付区一ぱいありますが、清掃事業が全部渡ってしまえば納付区という余る区はなくなるのだという先ほどのお話なんですが、そこでお尋ねいたしたいことは、区なんかでよく自主財源ということを言います。それは自分の区で取れた税金のうちで五%だと思いましたけれども、五%だけは区議会が認めれば自由にお使いくださいということだった。今度は税目をきめてそのパーセンテージを少し引き上げて、地方の市並みにはいかないけれども一〇くらいにするということになってくると、この東京というのは工場の一ぱいあるところ、それから工場の重役さん方が住んでいるところというように分かれておりますから、そこにやはり大きなアンバランスが出てきはせぬかというふうに思うのですけれども、これらの分け方といいますか、そういうことについて何かお考えになっておられますか、お伺いしたいと思います。
  71. 柴田護

    柴田政府委員 現行の特別区というものを前提にいたしましての事務配分、税源配分ということを考えてみました場合に、清掃事務もおろしました暁において、従来争いの種でありました納付区というようなものはあまり出てこないようにという配慮から、いろいろの特別区の自主財源としての税制を考えてみたわけでございます。その結果、法人の住民税、いわゆる法人税割でございますが、それと固定資産税、これは都に置きまして、あとのものを原則として特別区の税とする、こういう形でやったわけでございます。そうしますと、清掃事務もおろしてしまいますと、いまの推算では、推計でございますけれども、大体納付区はなくなってしまう。もし清掃事務がおりないということになりますと、やはり四つばかりの区が、大した額ではございませんけれども、納付区になってしまう、こういうことになります。従来の紛争をなくして、都は都の本分に邁進し、特別区は特別区の本分に邁進するという形に持っていきまして、しかもその間に財源上のいざこざをなくするということになってまいりますと、どの辺が限界かということになりますとなおまた問題があるかもしれません。しかし私どもは基本的には、やはりお話のように、都と区の間におきましては非常に財源のアンバランスがあるわけでございますので、その辺を考えてまいりますと、ある限界に達しますとあとは財源の問題を越えた問題になりはせぬか、こういう感じを多少持っておりますけれども、今度の改正では、この改正案が実施されますと、大体納付区がなくなって、そうして特別区と東京都の間の財源調整関係というものはうまくいくのではなかろうか、かように考えておる次第でございます。
  72. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 ちょっと私のお尋ねしていることと違うのですがね。納付区があってもなくても、それはそれとしていいんですけれども、かりに全然納付区がなくなったといたしましても、いままでのそういうことばが正しいのか正しくないのか知りませんが、自主財源というものは、自分が取り立てた税金の中から一定割合は自分の自由に使えということです。ところが税金の多いところ、少ないところで大きな差が出てきはせぬか。   〔委員長退席、田川委員長代理着席〕 具体的に事象で言いますと、たとえばたくさん税金の集まるところの五%と少ないところの五%とでは違いますから、多いところは公会堂みたいなりっぱなものをつくってしまいます。小さいところはとてもそんなものをつくれません。それですから、のべつ都にたかって騒いでいなければならぬという状態になってきて、片方で一体性、一体性と言いながら、一体性は一つも守られていないのです。そういう点についてどんなふうにお考えになるか。
  73. 柴田護

    柴田政府委員 基準財政収入の計算方法の問題でございましたのを私ども確かに誤解しておりました。従来の五%を一〇%という推算をいたしておりますが、お話のようにその幅はものによって違うということになります。これはしかしある程度のものであるならばいたしかたがないのじゃなかろうか。現在でも同じ問題が、都道府県間、市町村間にあるわけでございますから、そこのところはあまり神経を使うことはないのじゃなかろうか。あまり大きな額になってまいりますと問題が起こってまいりますが、この程度の額ならばそう気にすることはないのじゃなかろうかと考えております。
  74. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 まるっきり同じだというなら全部とってきて分けてやればいいのですが、これは自治に全く反しますからそういうことはできないと思うのですが、一方において、東京都の区は制限自治区だ、一体性だと言っているのですから、そこのところで相当違うような気がするのです。たとえば盆暮れになりますと、道路を掘ったりなんかしている労働者の諸君が手当をよこせと言ってやってくるのですが、その程度の要求を、何区はよけい出している、この区は少ない、そういってあまり攻められるのがつらいから、お金持ちの区はどんどん出してしまう傾向がないかというと、十分にそれがあるわけだ。そうすると貧乏の区はそれをまねしたくてもないのです。そういうようなことはやはり一体性を欠くと思われるので、今後の指導において御注意を願いたい、こう思うわけです。
  75. 柴田護

    柴田政府委員 そういう特別区間調整あるいは都と特別区との間の調整、そういったような問題を考えまして都区協議会を置くという改正をいたしたのであります。それをやはり活用していって、そういうことのないように運営がされますよう期待いたしております。私どももそういった方向で、法案の趣旨に沿いまして指導してまいりたいと思います。
  76. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 都区協議会においては、やはりいま申し上げたような財政上の問題も協議するんだということに承知してこの問題を終わりたいと思います。  さらに私は伺いたいと思いますが、事業や、区財政調整について、自治大臣はこれに対して適当な助言、勧告をすることができるというふうになっているのですが、それは自治に対するある種の制限であるというような批判が将来起きないだろうか、どうだろうか。杞憂であればけっこうなんですが、当然やらなければならぬことだと思うのですけれども、えてして自治に対する何とかということを言われますから、その点について一応聞かしてもらいたい。
  77. 柴田護

    柴田政府委員 私の所管でないかもしれませんけれども、便宜私からお答えいたしますが、自治法にも同じような規定の一般的な助言、勧告権があるわけです。今日の国、地方団体との関係につきましては、やはり政府といたしましても地方行財政の円滑な運営を庶幾するわけで、必要な助言、勧告は法律でも認められておる。特別区の場合におきましては、特殊な場合でもございますので、そういうことを特記しただけであろうと思います。おっしゃるように、中にはこういうものをつかまえましてためにする議論がございますけれども、さような誤解を招きませんように運営にあたりましては十分注意をしていきたいと思います。
  78. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 今度の法改正の主要なる点は、先ほども一申し上げましたように、私の判断するところでは二つの大きな柱があると思います。その一つの柱は、だれの目から見ても東京は混乱の極に達しているから、小さな仕事は放して身軽になって、そうして専念して、最も住みよい、日本の顔らしい首都をつくれというのが一つの柱、それからもう一つは、せっかく区というものがあり、区議会議員というものが選挙されて出てきているんだから、住民に身近な仕事は区長の責任において区議会、区長協力してやらなければなりません。この二つが重要な柱だと思うのです。そういうことのために今度の法改正がなされると思うのですが、どうかひとつこれからも、いまの助言、勧告のことですけれども、いい意味での助言、勧告をなさって、その二つの目的が十分果たされますようお願い申し上げるわけであります。  最後に、問題になっております清掃の問題ですが、先ほども申し上げましたように、いまの二本の柱のうちの一本、区民の生活に身近なことと言えば、ちりんちりんのごみ集めなんか、これほど身近なことはありません。これが除外されるというようなことであれば、これはもうとんでもない、目的を全然離れてしまうと思うのですが、ただ終末処理というむずかしい問題があるから、終末処理場ができるこれから数年先になってやるのだということのように私は承知して、それならばというふうな感じがするのです。そこで政令によってそれらのことを全部きめることになっておりまして、その政令ではどんなことをおきめになるか、先ほどお答えをいただいたのですが、政令はもうおきめになっておられると思いますから、ひとつ書類にして今度出していただきたいということを希望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。      ————◇—————
  79. 田川誠一

    ○田川委員長代理 次に、地方自治及び地方財政に関する件について調査を進めます。  地方公務員権利擁護等に関する問題について質疑の通告がありますので、これを許します。阪上安太郎君。
  80. 阪上安太郎

    ○阪上委員 いまから地方公務員の権利擁護について質問いたしたいと思います。  申し上げるまでもなく、今回の給与改定をめぐりまして、いま春闘が行なわれておるのでありますけれども、これに対する政府の態度につきまして非常に私は熱意が欠けておるように思うのであります。政権を担当しておる自民党政府が、ただ単に違法であるからというだけの理由によって、直ちにストを回避する手段、これを制裁によって回避していこうというような単純な考え方に導かれ、そうしてそれ以上の政治責任を全然感じていない、こういうことであります。過般の本会議質疑状況等を承っておりましても、この四・一七ストが強行された場合において、国民はこれだけの大きな不利益を受けるのだというようなことのみを盛んに説明をいたしておる。もしそれがストに突入した場合における政治責任というものは政府は全然感じていない。ちょうど過般ライシャワー事件のときに、警察責任のあるなしがかなり論議されたのでありますが、その場合において警察責任なしと断定して、そうして警視総監等の辞職が行なわれずして、高度の政治責任をとるのだという理由のもとに、国家公安委員長辞任した、こういうようなケースがあったわけであります。それと同じようなものの考え方に立って、今回の四・一七ストに対するところの政府の態度を見ますると、積極的にこれを回避しようというような政治責任を全然感じていない。それだけ国民に大きな不利益を与えるのであって、それが実現した場合における政府の責任というものはきわめて重大でありまして、当然内閣総辞職等が行なわれなければならない。そういった強い政治責任というものをほとんど感じていない。繰り返すようですが、過般のライシャワー事件と同じようなものの考え方で、きわめて、口では政治責任ということを言いながら、実際的には何ら感じていないというのがいまの政府の態度であります。そうして基本的に労働者の、あるいは公務員の要求というものを取り上げて、前向きにこれを解決しようという考え方がない。ただ制裁さえ加えればそれでいいのだ、それによってストが回避できるのだという単純は理論に結びついておるようであります。  それと同じようなことが、政府でそういうことをしょっちゅうやっておるものですから、地方自治体においてもそういうことをまねするたわけた者が出てくる、こういうことであります。その一例として大阪府下の茨木市においては政府考え方と同じような考え方でもって、全然市職員の要求等を受け付けようとしない。そうして一方的に組合弾圧等を続々としかけてくる、こういうような状態があるわけなんです。昨年の八月に大阪府下の茨木市では全国で初めて市役所が無期限ストに突入しようとしたのであります。その理由は何かというと、原因は何かというと、いま申し上げたような原因であったわけなんであります。これは全国の自治労の非常な努力によりまして、一応このストを回避することができたのでありますけれども、しかしその後その内容というものは依然として改善されていない、こういうことであります。そこで、前国会におきまして私が取り上げまして、自治省に対して実情を調査して報告せよということを要求しておったのでございますが、これに対しまして自治省のほうでは、さようにいたしますということであったわけです。いまだにその内容というものが実情がつまびらかになっておりません。国会に対するところの報告がない、こういうことでございます。  そこでお伺いいたしますが、どのようにして調査したか、調査の内容はどうであったかということについて、ひとつこの際明らかにしていただきたい。
  81. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 昨年ただいま阪上委員からおっしゃいましたように、茨木市の問題につきましていろいろお尋ねがございまして、茨木市の実態につきまして調査をいたすようにという御要求がございました。そこで私は調査をいたしまして、必要があれば自治省といたしましても必要な指導をするという趣旨の御答弁を申し上げたように記憶をいたしておるわけでございます。その後先ほどお話しのございましたようなストが行なわれるやも知れないというような、緊迫した状況に際会をいたしたわけでございます。私どもといたしましては、大阪府庁を通じまして、先生のお尋ねになりました事情、実情をいろいろ聴取すると同時に、そのストを回避いたしますために、市当局に対しましても必要と思われる助言もいたしたわけでございます。   〔田川委員長代理退席、委員長着席〕 幸いにその状況は回避されたわけでございますが、その後も引き続き大阪府庁を通じまして、事態が円満に解決いたしますように指導をお願いしてまいって今日に至っておる状況でございます。
  82. 阪上安太郎

    ○阪上委員 私は、あのストがぶたれようとする数日前に、事の重大性を考えまして現地に参りまして、それから大阪府副知事に会いました。副知事についていろいろと調査をいたしたのでありますけれども、副知事は何とか市長と話し合いをしようと思って再三茨木市長にその旨を申し、伝達して、そうして事の解決に当たりたい、かように考えておるのだけれども、市長はこれを峻拒して、何といっても話し合いに応じないのだ、こういうことであったわけであります。それから地方課長に会いまして、一体どういう調査を自治省の指令に基づいてやったかということを聞いてみたのでありますが、調査ができないと言っておるのであります。したがって、いま佐久間局長が言われたように、きわめて抽象的なことでありますけれども、詳細に、それじゃどんな調査報告があったかということを、ひとつこの際明らかにしていただきたい。
  83. 松浦功

    ○松浦説明員 大阪府のほうからは茨木市長室長、中村人事係長、これから事情を一切聴取いたしましたものを、賃金減額の問題について、定期昇給ストップの問題について、そういう項目に分けまして、さらには職員に対する権力的行政、御質問をいただきましたものについて詳細に報告をもらっております。
  84. 阪上安太郎

    ○阪上委員 その報告は委員会に提出しましたか。
  85. 松浦功

    ○松浦説明員 委員会には提出をいたしておりません。
  86. 阪上安太郎

    ○阪上委員 なぜ提出しないのですか。
  87. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 私の記憶違いでございますればお許しを願わなければなりませんが、そのときの先生の御要求は、調査をして自治省で指導をしろ、こういうことでございまして、私は調査をいたしました上、必要があれば指導をいたしますということを申し上げたわけでございます。
  88. 阪上安太郎

    ○阪上委員 忙しいのでときどき忘れるので……。それじゃどんな指導をしましたか。
  89. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 先ほども申し上げましたように、まずいま公務員課長から申し上げました報告を徴しまして、その後情勢の推移に応じまして口頭あるいは覚え書き等で私ども状況を聴取をいたしたわけでございます。  なお、先ほどのストの回避につきましては一とおり事務次官からも市長に電話をいたしまするし、私、公務員課長などから、市の当局者とも必要に応じて連絡をいたしまして、この事態が円満に解決ができますように、必要と思われる助言を交えて指導をいたしたわけでございます。
  90. 阪上安太郎

    ○阪上委員 スト回避をいたしましたのは、労働組合であります。組合が自主的にストを回避したのであります。それは先ほど言いましたように、自治労の非常な努力もありまして、しかし、そのときの理由として、自治省が適当な指導、善処方をやってくれるだろうから、したがって、この際涙をのんでやめろということで、スト突入の直前に実は涙をのんで回避したということであります。しかしながら、依然としてあの市長は、いまだにそういったことに対して善処しようとしていないのであります。こういう状態であります。したがって組合側としては、非常な不満を持っておるというままで今日まで来ておるのであります。自治省はときどき強権を発動されまして、東京都の場合——東京都というところはこういうマンモス都市で、先ほどからいろいろな質疑を伺っておりましても、一体善政が行なわれておるかどうかよくわからないのですが、そういう観点もあるので、要するに監査をされて、いかも勧告をされたという形になったのじゃなかろうかと思うのであります。自治省としてもあの当時の答弁では、できるだけそういうことは避けたいと思うけれども、やむを得なかったのだ、こういうことだったと思うのであります。一体茨木のこういった事件に対して、あれだけ誠意を持って組合が善処しておるにかかわらず、その後市長が全然——それに対して自治省がどういう指導をしたか、抽象的な指導であったか、あまり自治に干渉したくないという気持ちもよくわかるけれども、おそらく自治省も市長の良心に訴えるような指示をされたのじゃないかとぼくは思うが、良心があれば従ったのでございましょうけれども、良識がなければこれは従うわけにいかない。そんな関係で今日まで依然として、少し大げさなことばを使うならば、不当な組合弾圧をやっている、こういうことになっているわけなんです。こういう場合に、勧告等の措置に出ようとする考え方があるのかないのか。これは自治大臣に伺いたいところでありますけれども、事が非常にこまかい問題でありますので、一応やはり事務当局から御答弁を願いたいと思います。
  91. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 自治体の運営のことでございまするから、まあ私どももなるべく行き過ぎた干渉がましいことは避けるようにいたしてまいりたいと思っておりまするが、違法なことでございまするとか、あるいは著しく不当な事例がございますれば、私どものほうから是正するように勧告いたしたいと思います。
  92. 阪上安太郎

    ○阪上委員 自治大臣、まだ就任早々でございますから、なかなか内容がよくわかっていないだろうと思うのであります。ほんとうはあなたに伺いたいと思うのですが、省略いたしまして、少しこまかく入ってみたいと思います。昨年のベースアップですが、国家公務員のベースアップは約七・九%、前年の十月にこれは実施されるべきものであった、こういうことであります。この場合、大阪のいわゆる衛星都市、これは四月を最低といたしまして全市が実施しているわけなんであります。これに対し、同じ圏内にあるところの茨木市のみがこれを実施していない。この場合、財政法に基づくところの反対解釈を——二条あたりの反対解釈をすれば、非常に私は不当な行き方ではないかと思うのであります。しかし、反対解釈などは許されないでしょうから、これはやむを得ないといたしましても、こういったことは、やはりどうなんですか、適当だとお考えになっておりますか。
  93. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 茨木市の場合におきまして、一般が国家公務員に準じて給与改定をいたしましたのをいたさない、あるいは定期昇給をいたさないというような事例があったようでございます。給与改定につきましては、私どものほうといたしましては、国家公務員に準じて給与改定がなされることを期待をいたしておりまするので、従来非常に国家公務員を上回っておった、その場合に国家公務員に準ずるようにいたしますためにここで改定を見送るとか、あるいは改定の幅を少なくするとかいうようなことは、これはあってよいことだと考えております。定期昇給につきましては、定期昇給は、一般的に申しますれば、なるべくこれを実施するようにつとめることがよろしいというふうに考えておるわけでありまするが、これもまあ全体の大勢との関係もございまするので、個々にはそれぞれ事情があろうかと思いますが、一般的にはそのように考えております。
  94. 阪上安太郎

    ○阪上委員 この論議は、もう一般論議としては在来から数多く取り上げられておりまして、私ども社会党あたりの考え方とあなた方の考え方との間には、大きな開きがある。したがって、この論議をここで私は繰り返そうとはいたしません。あなた方のほうの一般的な解釈に基づくような答弁では私は納得しない、こういうことなんであります。  さて、この茨木の場合、どうです。地財法の二条だったと思いますが、やはり他の周辺の地方公共団体等に影響を与えるようなことがあってはいけないというようなことが規定されておりますね、逆に、先ほど言ったように反対解釈の意味なんですが、こういったふうにして、これは悪影響を与えるという意味ではないかもしれないけれども、こういう不均衡というものがその地域の一体性の中に出てくるということについてどうお考えになるか、こういうことです。
  95. 松浦功

    ○松浦説明員 ベースアップの問題についての一般的な形態は、ただいま行政局長から申し上げたとおりでございます。茨木市の場合について、具体的には非常に多額の赤字をかかえております再建団体でございます。そういうような実情から定期昇給もある程度押え、ベースアップも一回見送るという措置がとられたことについては、私どもといたしましては、やむを得ない措置であったというふうに考えざるを得ないと存じております。  なお、地財法の問題につきましては、私どもといたしましては、一つ団体だけがその周辺の中で給与が低くなっているからといって、その給与ベースが国家公務員水準に準じたものである限りにおいては、地方財政法二条に抵触するという問題は起こらないかと考えております。  もう一つ、一番最後にお尋ねになりました、一つのグループの地方公共団体の中で、一つの地方公共団体の給与水準だけが非常に低いことは問題じゃないかというお尋ねがございましたけれども、これも地方公務員法の精神にのっとりまして、国家公務員の給与水準に準じた給与行政の運営がなされている限りにおいては、それぞれ財政能力等との関係もあろうかと思いますので、別にそのこと自体が悪いことであるとは考えておりません。
  96. 阪上安太郎

    ○阪上委員 国家公務員の場合には、不均衡はあり得ないですね。その場合、地方団体のみこういう現象が起こってくるということなんです。国家公務員の水準であるならばそれでいいんだといっても、地方自治体の公務員にとってはこれはたいへんな問題なんです。そういう考え方があなた方にあるところに問題があると私は思うんですよ。低かったってやむを得ないじゃないか、こういうところが問題であると私は思うんですよ。そこでいま難いにもあなたは赤字の問題を出された。赤字団体であるがゆえにやむを得ないんだという結論を出しておられる。これなんかも大きな間違いだと私は思う。  そこで財政局長にお伺いしますが、私はその場合、赤字の質、内容が問題になるのじゃないか、この内容を問わずして全般的に赤字団体がそこにあるということ自体、自治省の財政措置が間抜けておるからそういうことになる。でないとすれば、何か仕事のやり過ぎであるとか何とかいう問題がそこに出てくると思うんです。茨木市の赤字の実態はどういうことですか、ちょっとお伺いします。
  97. 柴田護

    柴田政府委員 茨木市の財政状況を、ちょっと資料を持っておりませんので、詳細はなんでございますが、たしかこの団体は、だいぶ前赤字になって、それは仕事のやり過ぎ——まあ財政経理の不手ぎわもあったのでしょうが、それと給与関係経費の非常な圧力が大きくあった、それやこれやで赤字が出ておったと思います。再建団体になっておりまして、ずっと地方団体所管の再建団体、府で指導いたしております再建団体でございまして、最近期間は延長して私のほうでめんどうを見る団体になっておると記憶しております。
  98. 阪上安太郎

    ○阪上委員 私の聞くところによると、調査によると、やはり仕事のやり過ぎであるということは、これはもうはっきりしておるわけなんです。税収入等におきましては、決して貧弱団体でないとわれわれは思っておる。それがそういう状態に入ったのですが、理由をいきなり、給与水準が非常に高いから、だから赤字が出たんだ、こういうふうにいきなり持っていくところに私は無理があるのじゃないか、こういうふうに思っておるわけですが、いま資料をお持ちじゃないようですので、この点につきましては後刻ひとつお調べの上報告していただきたいと、かように存じます。  それから本年のベースアップ、これにつきましては、国家公務員は六・七%だったと思います。これはやはり茨木市においても予算しておる、こういうことなんです。しかしながらその実施の時期が、昭和三十九年、本年の四月一日から実施の予定である。国は三十八年十月一日、われわれはこれも不満足でありましたけれどもそういうようになったわけでありますが、さらにそれに輪をかけて本年の四月一日実施、こういうことになった。先ほど言われたような理由でこういうことはやっぱりやむを得ないことである、こういうようにお考えになるのですか。
  99. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 茨木市の場合、いろいろな事情から考えますと、やむを得ない措置ではなかったろうかと考えます。
  100. 阪上安太郎

    ○阪上委員 赤字団体であるからやむを得ない、こういう理由ですか。
  101. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 赤字団体であるという財政状況もございまするが、国家公務員に準ずるようにという趣旨からいたしましても、やむを得なかったのじゃなかろうかと思います。
  102. 阪上安太郎

    ○阪上委員 そうしますと給与実態をどういうようにつかんでおられますか。
  103. 松浦功

    ○松浦説明員 給与水準の問題につきましては、職員の構成の問題あるいはその他の要素というものがからんでまいりますので、正確に申し上げることは、本年度の給与実態調査等の結果を待たなければ申し上げかねることを御了承いただきたいと思いますが、全般的には大阪府内におきまする各市に比べては非常に高かった茨木市の給与水準が、この結果低いところになっておるということは、私どももよく承知をいたしております。しかしながら、茨木市の給与水準自体を国家公務員の給与水準に比べてみました場合には、まだ相当程度茨木市のほうが国家公務員の給与水準より高いという認識を持っております。
  104. 阪上安太郎

    ○阪上委員 これがやはり先ほどの論議と同じ性質のものになってくるわけなんです。そして、一つのグループ、地域内、県内にあるところのものが、一般的に国家公務員と比べて高い水準のところで実施しておるという中で、茨木市が低いという事態が起こっておるということなんです。こういったものについては、もう少し何か適切な指導と財源措置考えてやる必要があるのじゃなかろうか。しかし、その財源措置になってくると、なかなかそうはいかないんだ、こういうことで、こういった問題が依然としていつまでも尾を引いておる、こういうことなんです。こういった問題の取り扱い方については、法以前というか、法を超越した問題の論議になってくると思うのであります。法を超越した議論は許されないということではないと思うのでありますが、大臣、どうでしょう。
  105. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 いま茨木市の職員組合と市側との交渉の過程が問題の中心になっておるようでございますが、私は茨木市の実態、実は詳しく知らないわけでございます。しかし阪上先生がおっしゃる場合には、隣の町で長く責任者もしていらっしゃったわけですし、この間も御質問になりました地方議員のお手盛り報酬の引き上げなどについてあなたの御意見も伺いたいと言ったわけですが、大体私考えますのに、やっぱり労働条件の維持改善のための団体交渉ということになりますと、まだ市町村、しかも小さいところに至るほどふなれであって、いたずらにびくびくおそれてしまって、また組合のほうも少し荒っぽいところが確かにあるんじゃないだろうか、やっぱり地域住民のためによかれかしと思ってみんな働いておるわけですし、何か妥協点は別な観点から見つけなければならないし、私は見つけられると思う。これは大きな観点から私最近考えておりますことを、特に阪上委員にも御相談してみたいのですが、最近ずっとベースアップだとか、国家公務員、地方公務員等にはいろいろ問題が出てきて、それが今度のストライキにも関係があるわけですけれども、三十九年度の提案になって通りました総予算を、私は別の角度から分析してみたわけなんです。ところが御承知のとおりに、地方自治関係の総歳出は、国の歳出よりもはるかに多いことは御承知のとおりでございます。これは府県民税、市町村民税にさらに交付税だとか加えたものが総額が三兆一千三百八十一億円でございます。その中に公務員の給与がどのくらいあるだろうかということを大ざっぱに鑑定してみましたところ、大体一兆一千二百二十三億円、これは先ほど指摘になりました議員の報酬、委員の報酬などがそのうちで百四十六億円、それから義務教育職員に支払われる給与費が四千百五十三億円、警察が一千億円ばかり、一般職員が五千八百四十八億円というような数字が出ておって、給与費の割合は総歳出の三六%を占めておるという事実、これは阪上委員は十分御承知のとおりですが、これにとどまらないわけですね。いろいろな事業費の中にももぐって——もぐってと言ってはおかしいですが、計算上含まれているものも全部表面に出しました場合には、相当大きなパーセンテージを占めておるわけなんです。にもかかわらず、やはりこの生産面に従事をしておるいろいろな職場あたりのベースアップの状態を見ますと、利益があれば分配を要求するのは働く人の当然の権利ですから、これは上がっていくのだが、それと均衡あるベースアップを公務員が求めるというところに非常にむずかしい点があると私は思うのです。これはどの府県だって市町村だって同じ悩みを持っておると私は思う。一体給与水準というものはどこまで上げられるものか、また上げていいのかということについて、私は根本的にいろいろなことを考えておるわけなんです。私はいつも申し上げるように、実は役人の経験がないものですから、こういった面についてはちょっと違った角度からものを考えておるわけでございます。にもかかわらず、今日の公務員の給与水準というものは、これでいいとは私は考えておらないわけなんです。どこに妥当な点を見つけるか。それにはまた財源措置を当然考えなければならぬわけですが、私自身もこういった地方行政に責任を持つ者の一人として、非常な悩みを持っておるわけでございます。これが小さくは、おそらく茨木市の問題になってあらわれてきておるのじゃないか。私はこの茨木市の問題は、つまびらかには検討いたしておりません。しかしとにかく、いま御質問からもほぼ察したわけなんですが、その前提として、市当局と職員団体とはどういう形で団体交渉に入ったのか存じませんけれども、同じ町に住んでおるわけですから、また地域住民のしあわせのために、奉仕者としてみな働いておるわけだから、その間の意思の疎通と申しますか、どうして調整がはかられなかったものかということについて、私もおっしゃるとおり大きな疑問を持つわけです。ですからいま茨木市そのものの赤字がどういう原因で派生しているかということについて、何かまだ十分な検討は、私も聞いておりませんから行なわれていないとしたら、もう一ぺん私の立場から当局に厳命しまして、この赤字の分析をして、そうして事実指導しなければならぬ面があるとしたら、自治省のほうでも指導しなければならぬと考えるわけでございます。しかし、あなたはあの辺の事情は一番お詳しい方ですから、あなたからも率直な御意見をまた別の席で拝聴したいと考えるわけでございます。
  106. 阪上安太郎

    ○阪上委員 就任早々で、茨木の事情についてはあまり御存じないと私も思います。したがって、いまのような精一ぱいの御答弁をいただいておるのですが、おっしゃるとおり、ここの大阪の衛都連というものは、なかなか荒っぽい実は組合なんです。伝統的に荒っぽいものを持っておるということは事実であります。おそらく市長はそれにおそれをなして団体交渉等に応じないという就任当初からの態度を示しておるというようなところに、事が円満に運んでいかない原因があると思う。これは大体大臣がお考えになったとおり当たっております。しかし、それでもって団体交渉を回避してしまうというようなことでは、これは事の解決には私は至らないと思います。ことに市長が、これは先刻大臣がお見えになる前に私は申し上げておったのですが、理由がやはり赤字というものを理由にしておるのであります。しかもその赤字の内容が、私が調べたところによりましても、給与が直ちに大きく赤字に影響しているという考え方じゃなくして、むしろ仕事のやり過ぎだ、こういうことであります。私もその隣の高槻市長もやっておったのでありますが、長い間どんどん仕事をやりましたけれども、これは相当な長日月をかけて仕事をやっておる。茨木市もそういったものにあおられたという傾向もありましょうが、急激に仕事に手をつけた、こういうことが私は大きな赤字の原因じゃないかと思うのであります。これはひとつよくお調べ願って、さらに今後の善処方の一つの要点として考えていただきたいと私は思うのであります。  定期昇給等につきましても、全職員の一割五分程度を十月に実施してみたり、それ以外の者は実施しないというような、やはり何か団体交渉等が円滑に行なわれていない中から生じたような給与実態が出てきておる、こういうことなんであります。それから昨年の夏期手当等につきましても、大阪の衛星都市がすべて一・九カ月前後支給しております。これに対して、当然一つの根拠だったでありましょうけれども、一・三カ月という国家公務員並みの給与を茨木だけが支給しておるというようなかっこうでおさめられておる、こういうことなんであります。それから年末手当におきましては、これはやっぱり同様に大阪の衛星都市は平均〇・七カ月分。ところが茨木の場合におきましては、〇・三の勤務手当を、組合員であることを理由にして支給して、しかもこれは差別支給をやっておる、こういうようなかっこうになっております。自治労加入の組合員については九・二%くらい実施しておる。組合員以外の者については八〇・八%支給しておる。こういうような何か感情的なものがその中に入ってきておる、こういうようなことであります。また欠格事項がかりにあったといたしましても、組合を脱退した者についてはきわめて上位の率を支給しておるということを実はやっておるのです。私にして言わしめれば、児戯にもひとしい何か感情的なことをやっておる。あるいはその背後にいわゆる問題になっておる組合弾圧というようなものが動いておるのじゃないか、こういうふうに思うわけであります。この市長は、御承知のように次々と自治労の組合を脱退させまして、第二組合、第三組合、第四組合、第五組合までつくっておる。今度六、七までいくのじゃないかという話も聞いておるわけです。そうして五名、十名の組合をどんどんつくっておるというような行動を見ておりますと、何か憲法二十八条にあるところのいわゆる団結権というようなものについて、全然それを尊重していく意思がないのじゃないかというような考え方まで実はできるわけなんでありまして、きわめて私は重大な労働権侵害の問題がここに発生するのではないか、こういうふうにひそかに危惧しておるわけなんであります。そういった事情もあることをひとつ考えておいていただきたいと思います。  なお、組合の不当弾圧の実例としては敬限りなくございます。たとえば組合が団体交渉の申し入れをいたしましても、都合が悪いから、都合がつき次第連絡するといって、いまだ一回も応じたこともないというような実態であります。これは申し上げるまでもなく、もともとスト権を持っていないところの地方公務員でありますので、こういった団体交渉に応じないということになれば、一体どの場所でものを解決するかということになってくると思うのであります。市長さんは、盛んに組合の申し入れ等がありましても応じていかない。その理由を聞いてみますと、解雇者が組合の三役に入っておるからいけないのだ。あるいは市職に水道、病院あるいは現業職員が混合しておるから団体交渉に応じない。あるいは登録の変更をしていない。こういうことを理由にいたしまして、団体交渉を峻拒しておるのであります。これは地公法の五十五条を全く無視した行為ではないか、こういうふうに考えるわけなんであります。これらの点について事務当局はどういうふうにお考えになりますか。
  107. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 いろいろおあげになりました。お伺いしておりまして、関心を私どももたいへん持つわけでございます。  先ほどの御指摘の中で、定期昇給を組合を脱退した者に有利にして、組合に入っておる者については支給をしない。そういう、組合に入っておるか入っておらぬかということによりまして、差別的な扱いをするということは、これは地方公務員法に明らかに抵触する指貫であると思います。ただ成績がいい悪いということに客観的な基準があって、それによってやっております場合におきましては、もちろん差しつかえないわけでありますが、もちろんお話のような、組合に入っておるとか入っておらないとかいうことによってやっておるということが事実であるといたしますれば、その点は地方公務員法に抵触をすることでございまして、たいへん遺憾なことだと思います。  それからいま一つ、交渉の点でございますが、私どももできるだけ当局が組合側と話し合って事態を解決するように努力することをかねがね期待をいたし、またそのような趣旨の助言もいたしたこともあるわけでございます。ただ解雇された者が入っておるから交渉をしないということになりますと、法律上は差しつかえないと思うのでありますが、事態の円満な解決のために、事実上できるだけ話し合いの糸口を見つける努力を当局側もすべきだ、そのようなふうに考えておるわけでございます。  そのほかいろいろな点についてお述べになりましたが、またそれぞれ私ども検討をさしていただきたいと思います。
  108. 阪上安太郎

    ○阪上委員 それから課長、係長に管理職手当を与えまして、市水道関係の係長以上を管理職として、それをまた条例ではっきり規定をいたしまして、課長、係長に組合の脱退を強要しておる。これは明らかに私は結社の自由への侵害じゃないか、かように考えます。課長はともかくといたしまして、係長は当然組合加入が許さるべきである、こういうふうに考えますけれども、これを脱退を強要しておるということについてどういうふうにお考えになりますか。
  109. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 お述べになりました事実を、私どもも確認はいたしておりませんが、そのとおりだということになりますれば、御指摘のように公務員法に違反をするということになろうと思います。  なお、管理職手当の範囲でございますが、これは通常常識から申しまして、係長に管理職手当を支給するということはいかがかと思いますが、管理職手当の支給の範囲は、それぞれの団体で自主的にきめるわけでございますので、違法というわけにはまいりませんけれども、一般的に申しますと、係長まで支給するということにはいろいろ問題があろうかと思います。
  110. 阪上安太郎

    ○阪上委員 もう少し明白な態度がほしいのでありますけれども、時間の関係で先を急ぎたいと思います。たとえばこういうケースがあるわけなんです。試験で、公開公募で採用した条件つき職員が二十六名ありまして、これを六カ月過ぎた今日でもなお正規の職員にしない。それからそればかりでなく、その中の二名を予告もせずに解雇してしまった。その理由を聞いてみますと、二人とも前歴は組合の書記であった、こういうことなんです。これは明らかに不当労働行為だと私は思うのです。労働基準法の百九十二条、あるいは地公法の二十二条、労働組合法にこれは明らかに違反していると考えるのですが、この見解はどうでしょう。
  111. 松浦功

    ○松浦説明員 地方公務員法の運用の形式といたしましては、十七条による採用と二十二条による採用とありますことは先生御承知のとおりであります。ただいま御質問のございました、試験を行なってそれに合格した者を採用して、六カ月の条件つき財閥が満了した後においても正式職員にしておらない、こういう御質問でございますが、ここのところは、府を通じて調査をいたしましたところが、試験に合格した者を十七条で採用したわけではなくて、二十二条で採用をして、臨時職員として採用しておったのだ、こういうような答えが参っております。もしそうだといたしますならば、臨時職員でございますので、これがいつ正式職員になるかならないか、これは全く任命権者の自由でございまして、その点に法律違反の問題はないと思います。しかしながら、この事実がもしそうではなくて、十七条採用というかっこうで雇っておりながら、六カ月たって正式職員にしなかったということになれば、明らかにこれは地公法の違反ということになるかと思います。したがって、二名の解雇の問題につきましても、臨時職員であります間は、どのような時期にどういうかっこうで解雇するかということは、地方公務員法上は任命権者の自由でございます。ただその場合に、予告をするか、三十日分以上の解雇手当を出すか、いずれかの道をとらなければならないように労働基準法の規定がございます。この規定が適用になりますので、いずれかの措置をとっておらない場合には、これは労働基準法違反という問題が当然生ずるかと思います。
  112. 阪上安太郎

    ○阪上委員 そういう調査が実際に当たっておるかどうかということだと思うのであります。これらの点につきましても、さらによく調査をしていただきたいと思います。  それから組合が整然としたいわゆる合法的な抗議集会を開催する、ところがそれに対して地元の暴力団を入れて妨害した、これは新聞記事等でたいへん大騒ぎをした問題で、市民からもたいへんな指弾を受けたのであります。しかも市役所に市民の入ってくることすら拒否して、暴力団でもって防遏した、こういうようなことであります。そればかりでなく、市議会の開会中に議員や傍聴者を威圧するために暴力団をやはり雇い入れている。前代未聞の暴挙だと言わざるを得ないのでありまして、当時地方新聞、地方版等で非常に大騒ぎを実はしたわけであります。これはあるいは自治省のほうには伝わっておるのではないかと私は思いますが、こういった市長の態度に対して、これをチェックする方法というのはないのですか。とんでもない非民主的な行動なんです。
  113. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 ただいまお述べになりましたようなことが事実だといたしますれば、これはたいへん非常識な、論外のことだと考えております。
  114. 阪上安太郎

    ○阪上委員 だと思うのじゃぐあいが悪いのであって、そういう場合にはどうします。地方自治の本旨に基づいて全然タッチできない問題ですか。
  115. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 これはよく事実を調べてみたいと思いますが、なかなか事実の調査もむずかしい点があろうかと思います。よくひとつ府のほうとも連絡をいたしまして、もし必要がございますれば私どものほうからも助言をするようにいたしたいと思います。
  116. 阪上安太郎

    ○阪上委員 これも確かめておきたい問題なんですが、市職があの地域一帯の地区労のいろいろな要求と合致しまして、当時問題になっておりました公共料金の値上げ、具体的には当時は水道料金が主でありましたが、そういった公共料金の値上げに反対運動を起こした。ところが、これを処分するというおどかしであります。市の職員組合というのは、市の部局でも課でも何でもないのですから、一般市民としての行動は許されていると思います。何かそういうことについて自治省は、市の職員である限においてはそういう運動を展開してはいけないのだ、こういうように指示通達された例があるのでありますか。考え方はどうでしょうか。
  117. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 そのような指示通達をいたしたことはございません。公共料金値上げ反対ということになりますと、問題は政治活動になるかならぬかということでございますが、お話を伺った範囲では政治活動にはならないと思います。
  118. 松浦功

    ○松浦説明員 御承知のように、政治行為の制限は、特定の政党その他の政治団体または特定の内閣または地方公共団体執行機関、こういうものに関してでございまして、公共料金の値上げというような問題に関して、政治活動に該当するということには法律的にはならないかと存じます。
  119. 阪上安太郎

    ○阪上委員 この種の例は山ほどあるのです。自治大臣は、いま参議院のほうで道交法の採決があるようでありますから、行ってもらいたいと思います。そこでこの際伺っておきますが、まだあとでこまかく質問いたしますけれども、この種の非常に非常識な行為が行なわれておる、しかもこれに対して公平委員会に提訴いたしましても、全然組合側の肯うことは聞かれない。そして公平委員会は一方的に、市長の側に立った裁決をするというような状態であるし、それから労働委員会に、これを取り上げて調停その他の依頼をいたしましても、大阪府はこれに対して介入してこない。議会も法に基づいて、その議決すべき事項の中に当然調停の役割というものを持っているが、市議会もなかなかそういったことをやらない。そして市長と地方公務員との間の紛争につきましては、だれも調停してやるものもなければ、話し合いをしてやるものもいないという状態のままに放置されておる、こういうことなのであります。もともと法的にもいろいろな問題があろうかと思います。当事者であるところの、使用者であるところの市長が調停するような仕組みになっている、こういうようなところに法の矛盾もあるのではないかと思います。いずれにいたしましても、こういうようなことが行なわれておる。それから、またあとで質問いたそうと思っておりますが、教育委員会の職員人事に市長が介入して、特定の職員を解雇しない限りにおいては教育長は直ちに辞職せよなどということを要求している。これは最近またやっておるようであります。そのことのために教育委員会は硬化して、これはとてもじゃないけれども、こういう市長のもとではやっていけないということで、総辞職を決意しておるというような事態にまで立ち至っております。大阪府市長会においても、私は市長会長その他とも再三会って、この問題を何とかしろよと私は言っておるのでありますけれども、どうもあの市長では、とにかくもう相手にはならないんだというようなことで、全然、これまた一、二回介入したようでございますけれども、取り上げることはできない、そういった性格の市長さんなんであります。こういった実態をよく調査していただいて、ちょうど東京都におやりになりましたように、ただ単に自治体に介入をする、地方行政に対して自治省が介入するという考え方ではなくて、こういった問題を解決するためにもぜひひとつ調査をしていただきたい。そうしてその結果やはりどうも市長側の態度というものが常識を逸しているんじゃないかという判断が出たといたしますならば、私は適当な勧告等をおやりになる必要があるんじゃないか、かように思うわけであります。これらについての、大臣のまとめた考え方というものをひとつこの際明白にしていただきたいと思います。
  120. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 労使間の紛争処理は、現行制度を有効に活用すれば私はやれるものと判断をしております。ただ、いま茨木の例を初めて聞いたわけですけれども、何か前時代的な、お話にならぬものであるように私は受け取ったわけでございます。こういう、交渉が行なわれもしなかったようですが、そういう事態にあることは私は非常にまずいと思うのです。われわれのところにも今度ILO八十七号条約の批准問題にからんで、いたずらにおそれて、全国の市町村長諸君が批准反対というようなことを電報を打ってきたりするわけなんです。しかし、やはりこういった世界の趨勢というものに逆行するわけには参りませんので、たださっきもちょっと触れましたが、労使門の問題を処理いたしますために、一番おくれておるのは地方公共団体だと私は判断をしておるわけなんです。正しい労働慣行が生まれてくることを待っておりますけれども、なかなか間に合わぬ。そこでそういうことが起こらないように、やはり自治省としては前向きで一つの指導をして、もちろんこの交渉の内容に立ち入るわけには参りませんけれども、だんだん指導していくという配慮をいたしませんと、どうもこういった問題が至るところで起こってきて、無益な意味のない感情的な紛争処理に終わりやしないかという懸念を持っておるわけです。しかし、それは私一つの構想を持っておりますけれども、まだそこに至る前にもこういうことがすでに起こっておるわけですから、先ほど申しましたように、やはりそう極端な場合には、自治省のほうでも何らかの形で指導あるいは勧告する必要があるんではないか、かように判断いたしますので、実態をよく再調査いたしまして、善処いたしたいと思います。
  121. 安井吉典

    ○安井委員 関連して。大臣、いま参議員院のほうに行かれるそうですから、関連して伺っておきたいのですが、いまの茨木市職の問題についても阪上委員から指摘がありましたように、各方面からの調停の動きがあったわけです。その中でも地労委等も調停に乗り出そうという意向を示したが、結局市当局が当事者であるところの調停中し入れについては、自治法第九十六条で市議会の同意が必要なわけです。ところがこれがおそらく見込みがないだろう、こういうようなことで手を引いたというふうなことがあるわけです。現行法ではどうしてもそういうふうな手続を踏まなければいけないわけでありますが、それでは地方公営企業労働関係法の調停機能を、現実的にはできない形に阻害しているのではないか、こういうふうなことが言えるわけです。特に十七日に大きな全国的なストライキというふうな事態も予想されるような段階におきまして、この問題は私は非常に大事だと思いますが、大臣の御見解を伺っておきたいと思います。
  122. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 これは普通公務員は地労委には関係はございませんけれども、おそらく公営企業関係のことを御指摘になっておると思います。やはり調停はしてもらうことはいいんだが、ただ調停の結論として、調停案が出ました場合に、それに応ずる場合には、これはやはり支出に関係がありますから、議会を無視してというわけにはならないと思う。ですからおそらく、私法律を調べておりませんが、その場合には市議会の同意が必要だということになっておるのではないでしょうか、そういたしますと、やはりいまおっしゃるような問題点が出てくる要素は確かにありますね。ですからその点につきまして、私なおよく検討いたします。いま即答いたすだけの準備はございませんので、よく調査いたしまして……。
  123. 安井吉典

    ○安井委員 自治省の見解、自治省としてのいままでのいろいろな検討経過はありますか。こういうような形のままに置いておけば、双方からの申し入れがなければ調停ができないということにしておけば、こんな規定があってもなくても同じだ、こういうことになるのではありませんか、いままで何か検討されておりませんか。
  124. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 法律解釈といたしましては、先ほど御指摘になりましたような九十六条の第十一号の規定によりまして、地方公共団体の当事者である調停に関することは議決事項ということになっておりますし、この地方公営企業労働関係法に基づく調停につきましてもやはりこの規定の対象になるという解釈をいたしております。
  125. 安井吉典

    ○安井委員 いま大臣がもう少し検討さしてくれということでございますので、これはその時期を、特にILOの問題も今度あるわけです。ひとつ真剣なお気持ちで御検討を願わなければ地公労法があっても実際には役に立たないじゃないか、こういうふうなことになりかねないわけです。特に今度の十七日の地公労関係のストライキといいますか、そういうような形でいろいろ問題が論ぜられている際でございますので、特に関心をお持ちいただかなくてはならない問題だろうと思うのです。  そこでけさちょっと新聞を見ますと、自治大臣は十七日の問題に対しまして、地方に対し何か指令をお出しになったとかいうような記事が見えるわけですが、どういうふうに御指導されておるわけですか。
  126. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 私の指令ではない、次官通牒だと思います。その内容は先般も申し上げましたとおりに、これは明らかに違法ストというふうに私たち考えておるわけなのでして、地方公務員諸君もこのストに参加しないようにということを、極力指導しておるわけでございます。
  127. 安井吉典

    ○安井委員 私はこの間の本会議での質問応答において、大臣が言われておりましたからおそらくそういう内容だろうと思うのですが、しかし私はただそれだけの御指導では、これは片手落ちではないかと思うのです。ただ違法なストライキにはそれに入るなという、それだけでは、現実に問題の解決には少しもなっていないと思うのです。だから何のために違法を覚悟してまでストライキに入らなければならないかというその背景についての探究がなければ、これは問題の解決になりませんよ。ですから私は、むしろ大臣が、あるいは自治省という立場で、次官通牒でも何でもけっこうですが、下部に指令をお出しになるのなら、一体そういうふうな事態に入り込んでいる原因は何かということについても、各地方公共団体は積極的に問題の追及、探究につとめるべきだ、そういう御趣旨を織り込んでいただかなければ、私はそれは片手落ちになると思うのです。だれも好んでこういうふうな、政治ストだというふうないわれ方に余んじながら、そういうような方向に入ろうと——だれも好んでそういうことになるわけはないわけです。つまり、地方公務員の側の、あるいは公共企業体で働いている人たちの何かの要求があるはずなんですよ。その要求が不満のままにほうり去られているというところにこの問題が出ているわけですから、ただ単に弾圧や取り締まりだけが指令の問題ではないと思うのです。各自流体の立場においてそういうような問題を真剣に取り上げて、各自治体ごとに解決をすべきだということ。自治体だけで解決できないものについては、自治省に持ってこい、自治大臣の責任において解決してやるんだ、それくらいのかまえをお見せになる態度でなければ、指令の内容というものは片手落ちで不十分だというふうに思うのですが、いかがですか。
  128. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 現在の政府考え方、また扱いについては、本会議で総理大臣が明らかにしたとおりでございまして、御承知のとおりに、いま問題は公労委の調停段階にあるわけでございますので、遠からず結論の出るのがなぜ待てないのか、地方公務員諸君もいたずらにこれに巻き込まれて、いろんな違法行為に入らないようにということを私は言ったわけでございます。ただ、根本的な問題になりますと、さっき阪上委員の御質問の際に、私が別の角度から三十九年度の予算を分析した数字を申し上げましたけれども、これは地方行政委員の皆さま方、どういうふうに御判断かしりませんけれども、これはやはり考えなければならぬいろんな問題がこの数字には含まれておると思うわけでございます。ですから、私どもは、公務員が確かにいまのベースから申しますと、他の生産業でどんどん賃上げしていくものに追っつかぬという実情は認めます。認めますけれども、いまでも歳出に占めるこれだけの部分、おそらく四〇%をこえると思うのです。ですからこれを一律に——東京交通のほうでこういう合理化に反対だということでかりにストに入られる。それをまた、いま働く人は団結しようというので、地方の公務員諸君までみなくつわを並べて違法といわれるものにまで突っ込まれるのはもう少しお考え願いたいという気持ちですね。私たちは、根底は決していま御指摘のようにほうっておるわけじゃありません。やはり今日のストに入ろうとしておる諸君の要求というものにつきましては、私もよく承知もしておるし、またそれをどう解決するかということについて一つの判断もありますけれども、これはいま自治省の立場でやるものではないということは、御承知のとおり、別の裁定機関でやっているものでございますので、もう少し待ちなさい、こんなストなんかで違法の行為のあとで処罰されて、行政罰でも食っては困る。私はもう処罰される者が出るということが大反対でしてね。しかしながら、御承知のとおりに、現に法律はあるわけなんですから、そういうことでいたずらにこういう争議に巻き込まれる、そしてわれわれとしては、先般本会議で申し上げましたが、そういう事実が出てくれば私としてはほっておくわけにはまいりませんので、やっておられることの内容を検討して、全く涙をのんで、やはりそれ相当行政罰を加えるという指導には出ざるを得ぬわけでございますので、その点の了解を求めておるわけなのでございます。
  129. 安井吉典

    ○安井委員 一時までのお約束ですから、もうこれでやめますが、もう一点だけ伺っておきたいのです。  いままでの大臣の御答弁の中で、私がどうもふに落ちない点が幾つもあります。たとえば地方財政計画の中で給与費が三〇%から三六%まで上がってきた、こういうふうな御指摘もありますが、これは別に地方公務員の諸君が悪いから、地方公共団体の中で働いている諸君が賃上げ要求をするからこうなってきたものではないと私は思うのです。問題は別ですよ。この給与費が上がったことを、公務員の諸君の問題だけにかこつけようという考え方自身に私は問題があると思うのです。物価がどんどん上がってきている、あるいはまたそういうふうな方向を方向づけていくような政治が行なわれている、こういうところに一番問題があるわけです。ただ、公務員給与が予算の中で比率が高まってきたということだけでこの問題を云々すべきものではないと思うわけです。あるいはまた処罰という問題にしても、処罰を出したくないという親心はよくわかります。私どももそうですよ。しかし処罰を出さないような方向にするためには、このストライキが行なわれなければ一番いいわけです。そのためには、公務員の諸君が、万難を排してというような決意の原因になっている問題の解決をこそはからなければならないわけです。それのほうが先決ですよ。そういう親心をお持ちだったら、その先決の問題の解決に、一そう閣議等の段階でお働きをいただかなくてはならないと思うわけです。そこで一つだけ伺っておきたいのは、これは自治大臣としてだけでおできになるということではないかもしれませんけれども、たとえば都市交通の問題ですね、こういうような問題は、三公社五現業の問題とは別に問題点があるのはおわかりのとおりであります。特に一年間料金ストップ、ところが大きな赤字のもとに、どうにもこうにもならない姿にきている。そういうような中から合理化が強く打ち出されている。そういうようなものに対する都市交通に働いている労働者の諸君の反発が、東交をはじめとする大きな動きにいまなってきているわけです。これも、十七日という段階が非常に重大だと思うのでございますが、いままで大臣は、都市交通の問題その他に対しましては、何らかの措置をするのだということを、この委員会でもほかの委員会でも繰り返し繰り返し言われているわけです。そういうことからすれば、この委員会も小委員会まで設けてこの問題と真剣に取っ組んできております。もう結論を出すべき段階がいまきている。特にそういうふうな、十七日というふうなことがあるだけに、取り急ぎ結論をお出しになる必要があると思うわけです。それをお出しになれば、いまのあれがどうなるということではないにしても、これはやはり重大な関係のある問題であると思うのですが、いかがですか。
  130. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 全くそのとおりでございます。たびたび申し上げますように、公営企業の場合は、別に根底から内容を洗ってみよう、そして今後こういったことにならないような仕組みを考えていこうというので、いま検討を願っております。しかしそれとは切り離して、例の公共料金ストップ後における赤字の問題、これまたたびたび申し上げたように、いま政府部内でいろいろ検討しておる最中でございます。たまたま経済企画庁の長官が、ちょっと外国に行っておったのが少しおくれの一つ原因にもなったとも考えますけれども、せっかく帰ってまいりましたので、一日も早く解決するように努力中でございます。
  131. 阪上安太郎

    ○阪上委員 前後いたしましたが、いましばらくこまかい点について事務当局に伺ってみたいと思います。  また、茨木には次のような事例があるわけです。市民病院の赤字を理由に、夜間労働等の労働強化が行なわれておるのであります。赤字のためと称して、人員、器材、設備、これを充実しない、そのために職員の退職が相次いで起こっておる。これはあの辺の周知の事実であります。そこで、しかたがないので眼科等につきましては閉鎖したままで置かれておる、こういう状態であります。ところが、現在の職員の数をもって、依然として夜間診療を公言しておる。あるいは場合によっては民間に移譲しなければならぬということを言ってみたりしておりまして、ことに労基法八十九条違反ではないかと私は思うのですが、就業規則などというものは全然つくってない、こういうことなんです。これはどうでしょうか、やはり労働基準法の八十九条違反に該当するのじゃないですか。
  132. 松浦功

    ○松浦説明員 茨木市の市民病院は、地方公営企業法の一部適用をしておる病院だそうでございます。したがって、財務に関する規定だけが適用になっておりまして、いわゆる一般的な公営企業全面適用というものではございません。したがって、そこに勤務しておられます方々のうち、いわゆる単純労務者に属さない方々については、これは市の一般職員と同様に条例の就業規則が適用になる、こういうことであります。この点について法律上の問題はないと思います。しかしながら、単純労務に属する職員の方々、こういう方々については、労基法の規定の適用がございますので、就業規則をおつくりをいただいて、これを所管行政官庁に提出をしていただくということをしていただく義務があるかと思います。
  133. 阪上安太郎

    ○阪上委員 まだほかにいろいろな法律違反等の疑わしい例がたくさんございます。そこで、たとえば憲法二十八条のいわゆる結社の自由というものに対して、市長が全然これに対しては認めてないという事例が先ほども申し述べたとおりあるわけでございます。第二、第三、第四、第五の組合をつくって、そして組合分裂を画策しておる、こういうようなことであります。組合員自体がみずからつくるのじゃなくして、市長の命令によってそういったものをつくっていく、分裂を策している、こういったことであります。こういった結社の自由の侵害の実態、こういったものをやはり明らかにされる必要がある。それから地公法の五十五条、五十六条、こういった法律に違反の例を先ほどあげておりますが、こういったものについても十二分に調査していただきたい、こういうことであります。それから労基法の八十九条、いまのようなケースでありますが、これなども十分に調査していただきたい。その他先刻あげました民主政治そのものを理解していないというような、いわゆる暴力団等を雇い入れまして、そして正当な労働組合運動その他の弾圧を加えているというような事例もございます。こういった面についても十二分に調査していただきたい。そして調査の結果を本委員会に詳細にひとつ報告していただきたい。この前は私のことばの手違いで、私は自治省を信頼しておったものですから、ここへ報告してもらわぬでも、局長あたりの腕でもってみごとに解決するだろうと私は思っておったが、どうもそういう状態ではないようでありますので、ぜひ今度は報告していただいて、再び私はここで審議したい、こういうふうに思っております。その結果自治省がどういう態度をとられるか。いままでの事例から言うと、できるだけ避けてもらいたいのでありますけれども、こういったものは、前時代的な市政が行なわれているというようなところにつきましては、やはりこれは勧告もやむを得ないだろうと考えますので、そういった態度に踏み切っていただきたいという考え方を持っておりますので、ぜひひとつその参考のためにも十二分な調査をやっていただきたい、かように思っております。その結果、どうしても自治省でようやり切らぬということでありますならば、委員各位の御賛成をいただきまして、本委員会から出ばっていって調査をするというようなこともやらなければならぬじゃないか、かように考えておるわけであります。それだけに今度は十二分に調査をしていただきたい、かように考えます。  なお先ほど言いましたように、大臣からの答弁をいただいておりますが、どうもストライキ権を持たないところの地方公務員、そして法の手続によっていろいろと調停その他仲裁等を申し入れましても、だれもこれに介入してくれないというような法の盲点というものがありますので、これらについても十二分に法改正の必要があるのではないかとわれわれ考えております。幸いILO条約に伴うところの国内法という問題が一つ出ておりますが、あんなものをいじくる必要はないとわれわれは考えておりますけれども、しかしこういった実態を見ますと、地方公務員の場合は救済する何ものもないということになりますので、相当考えなければならぬ、かように考えております。そういう点についても一つ今後とも御検討をいただきたい。  以上のことを要求いたしまして、これに対処する当面の責任者である地方行政局長の決意のほどを伺って私は質問を終わりたい、かように思います。
  134. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 御要求のございました実情につきましては、私どもも調査をいたしまして、その上でいろいろ御指摘のございました点はよく検討をいたしたいと存じます。なお、検討の結果、必要がありますれば大阪府を通じあるいは特に必要がありますれば、私どもも直接指導をするようにいたしたいと思います。それからまた調査の結果につきましては御報告を申し上げたいと存じます。なお、制度上の問題点につきましても御指摘がございましたが、これらの点はよく検討をさせていただきたいと存じます。
  135. 阪上安太郎

    ○阪上委員 自治省に対する質問は一応終わります。次に、文部省に若干質問いたしたいと思います。  やはりいまお聞きのような市政が行なわれているのですが、その中で市長が教育委員会行政に非常に不当な介入をしておるという事例が出てきているわけなんです。その一つは教職員の人事異動等につきまして教育委員会に市長が強く介入しておる。一例をあげますと小学校の先生で大森某という先生がおるのでありますが、これがどうも同和教育に少し熱中し過ぎるというようなこと、あるいはそれに伴って、地元の部落住民に対して政治活動をし過ぎるというような理由のもとに、教育委員会にこの先生をやめさせろ、それをやめさせることができないような教育長ならばやめてしまえ。そこでこの教育長はどうしたことか知らぬけれども、市長におどかされて、教育長をやめてしもうた、こういうような乱暴な政治が行なわれております。教育委員会を設置したところの根本的な理由などは、全然わきまえていないと思うのです。こういうことに対する文部省の見解、これをひとつ承りたい。
  136. 今村武俊

    ○今村説明員 先生の御質問があるということで、大阪府の教育委員会、それから茨木市の教育委員会に連絡いたしまして、事情を調べてみたわけでございます。市長さんは先ほどからお話のございますように、相当に強い性格の方だそうでございます。いまおっしゃるようなお話が、教育委員会の側にあったようでございます。しかし教育委員会としては、御存じのように市長部局とは別個の行政機関でございますので、教育委員会の人事については市長さんとは別個の行政機関として仕事をしているのであるからということをお話しして、先ほどお話しになりました大森先生のことを聞いても、現在のところ転任は取りやめた状態になっているそうであります。なお、府の教育委員会としましては、市長さんと教育委員会の間の権限の別のあることを十分お話しして、最近では教育委員会の人事等について、おっしゃるような強力なお話が順次なくなってきつつあるというお話を、連絡を受けております。
  137. 阪上安太郎

    ○阪上委員 それからいま一点は、教育委員会なんというようなものは、これは人事は、市長がやはり任命するものだから、その間に議会の承認を得てというようなことが頭の中に全然ないようです。彼は。そうして、自分が任命するんだからおれの言うことを聞かなくちゃいけないんだ、そういう態度に出ておる。それからその教育委員会の部局におけるところの職員に対しても、市長の部局におけるところの服務規程というものをつくって、そうしてその服務規程を全面的に押しつけておる。教育委員会がつくっている服務規程などというものは、そんなものは二の次だ、とにかく市長が一番えらいんだから、市長のつくったものに従わなければならぬのだ、こういうことで服務規程を押しつけておる、こういう事例があるのですが、これに対してはどうでしょう。
  138. 今村武俊

    ○今村説明員 服務規程のことについては報告を聞きませんでしたけれども、そのようなことはあるはずがないと思うのです。教育委員会関係と、市長部局の関係とは、職員の指揮監督の系統が別でございますから、したがいまして、まあ教育委員会としては、その間に限界があることをよく承知いたしております。したがいまして、先ほど先生からお話があったように、総辞職して教育委員会の理由のあるところを示そうというようなことになっているんだと思うのです。現在、御指摘のことについては具体的に報告を受けておりませんので、断定的に申し上げることはできませんけれども、さようなことはないはずだと思いますし、もしあるならば、ないようにいろいろお話し申し上げなければならぬ、かように考えます。
  139. 阪上安太郎

    ○阪上委員 それから、向こうには組合学校もあるわけです。これは当然議会を持っておりますし、それから教育委員会は茨木市の教育委員会がこれを兼任している、こういうことになっております。そこで、その組合学校の予算について教育委員会が査定を求めるわけなんであります。管理者であるところの市長に対して。市長はそんなものには全然応じないといってこれは取り上げていない。何回交渉してもそれは受け付けない、こういうことであります。そして、もしそれじゃ市長から出してきたところの予算案を、組合議会が否決した場合は一体どうなるか、否決の態度をとろうとしたところが、そういうことをするならば組合学校は解散する、こういう挙に出ておる。そこでおどかされて黙ってしまったというような例があるわけなんですが、これは非常に内攻して、やはり教育委員会はこの際総辞職するんだという一つの理由になっておるわけなんであります。こういった経緯についてはどうお考えになっておりますか。
  140. 今村武俊

    ○今村説明員 市長が単独で組合の学校を解散させるということは、自治法の上からできないと思います。関係地方公共団体協議があって、それぞれ議会の議決があって解散するわけでありますから、市町さんの非常に強い性格からくるまあ何と申しますか、強力な意見の表明であろうと思います。そのことがすぐ解散の効果があるものだとは思いません。
  141. 阪上安太郎

    ○阪上委員 それから幼稚園の園区ですね、それから学校の学区、小学校の学区、中学校の学区、こういった学区につきましても、教育委員会考えた原案というものはすべてぶっつぶされちゃって、市長の考えた学区でなければならぬというような介入までしておる。それから公営プールと称して——これは文部省もしっかりしてくださいよ、ごまかされてはいけない。そうして学校敷地の中に学校プールを本来ならつくるんだけれども、公営プールという名目で補助金その他をもらってつくるんだ、その要する経費のうち半額に近いものをすでに予算に計上して、これが父兄負担だという形で計上してしまっておる。これは地財法が、いままでそういう盲点がありましたので、やかましく取り上げてきたところの問題でありまして、文部省あたりの考え方としても、この際多少の父兄負担もやむを得ないんじゃないかという考えもあったけれども、この際踏み切らなければならないということで、法改正までやって今日に及んでおるということであります。そういった好ましからざる事例が次々と出てきておる、こういう状態であります。非常にお強い市長さんだということですが、確かにそういう点では強いだろうと思います。しかしこれに対して文部省としてはどういう指導をなさり、今後どうなさいますか、こういう行為をやっておることにつきまして。
  142. 今村武俊

    ○今村説明員 問題は、そのプールの建設の予算を、二分の一市の経費で計上して、残りの二分の一を住民に強制割り当てをやっておるかどうかという問題だと思います。実情を存じませんので的確な答弁をしかねますけれども、それが強制であるのか、あるいは非常に強く要望して任意的な寄付金をもらっておるのか、その辺のボーダーラインがむずかしいと思いますが、もしそれが強制であるならば、さようなことのないようにお話し申し上げなければならないと思います。
  143. 阪上安太郎

    ○阪上委員 いまの場合、法律規定されておるところのいわゆる強制寄付という形をとっておるようであります。と同時に、一たん予算に計上したこの父兄負担の額がまとまらなければプールは建設しないんだ、こういう強制が出てきておる、いわゆる法の趣旨と違った意味の強制もある、こういうことなんであります。こういったもろもろの教育委員会に対する不当な介入もありますので、ぜひひとつ文部省のほうでも自治省と並行して調査をしていただきたい。そうしてそれをひとつ本委員会に御報告願いたい。あるいはそれに対してとった措置等につきましても、御報告を願いたい、かように存じます。  以上をもちまして私の質問を終わります。
  144. 森田重次郎

    ○森田委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十七分散会