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1964-03-16 第46回国会 衆議院 地方行政委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年三月十六日(月曜日)     午前十時四十六分開議  出席委員    委員長代理理事 永田 亮一君    理事 田川 誠一君 理事 渡海元三郎君    理事 中島 茂喜君 理事 藤田 義光君    理事 川村 継義君 理事 佐野 憲治君    理事 安井 吉典君       大石 八治君    亀岡 高夫君       久保田円次君    武市 恭信君       登坂重次郎君    村山 達雄君       森下 元晴君    山崎  巖君       秋山 徳雄君    阪上安太郎君       重盛 寿治君    千葉 七郎君       華山 親義君    門司  亮君  出席政府委員         自治事務官         (大臣官房参事         官)      宮澤  弘君         自治事務官         (財政局長)  柴田  護君         自治事務官         (税務局長)  細郷 道一君  委員外出席者         自治事務官         (財政局財政課         長)      岡田 純夫君         自治事務官         (税務局府県税         課長)    佐々木喜久治君         自治事務官         (税務局市町村         税課長)    森岡  敞君         自治事務官         (税務局固定資         産税課長)   石川 一郎君         参  考  人         (税制調査会委         員)      松隈 秀雄君         参  考  人         (全国町村会政         務調査会財政部         会長)     小西 欣弥君         参  考  人         (全国農業会議         所農政部長)  満川 元親君         参  考  人         (全国市長会財         政分科会委員         長)      森  昌也君         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 三月十三日  風俗営業等取締法の一部を改正する法律案(内  閣提出第三二号)(参議院送付) 同月十六日  大規模公有水面の埋立てに伴う村の設置に係  る地方自治法等特例に関する法律案内閣提  出第一三五号)(予) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方税法等の一部を改正する法律案内閣提出  第一〇九号)  市町村民税減税補てん債償還費に係る財政上の  特別措置に関する法律案内閣提出第一一〇  号)      ————◇—————
  2. 永田亮一

    永田委員長代理 これより会議を開きます。  委員長所用のため、委員長の指名により私が委員長の職務を行ないます。  地方税法等の一部を改正する法律案及び市町村民税減税補てん債償還費に係る財政上の特別措置に関する法律案の両案を一括議題とし、審査を進めます。  本日は、両案について参考人として、お手元に配付いたしてありますとおり、午前は松隈秀雄君、午後は小西欣弥君、満川元親君及び森昌也君の御出席を求め、それぞれ意見を聴取することにいたしております。  この際一言ごあいさつ申し上げます。松隈参考人には、御多忙中のところ、当委員会法律案審査のために御出席いただき、まことにありがとうございました。地方税法等の一部を改正する法律案及び市町村民税減税補てん債償還費に係る財政上の特別措置に関する法律案の両案について、税制に関する学識者として忌憚のない御意見をお述べ願うとともに、税制調査会委員として今回の税制改正に関する臨時答申の起草に当たられましたので、その間における問題点論議等についてお述べ願えれば幸いに存じます。  それでは松隈参考人
  3. 松隈秀雄

    松隈参考人 ただいま御紹介を受けました松隈であります。税制調査会委員をいたしておりますので、税制調査会審議経過を申し上げ、なお私の個人的な意見もつけ加えて、いささかでも両法案審議の御参考にしていただければと思う次第でございます。  税制調査会は、御承知のとおり三十七年の八月に発足いたしまして、国・地方を通じまする税制の根本的な改正を目ざして審議を継続中であります。たまたま審議の途中におきまして、昭和三十八年度及び今回の昭和三十九年度税制改正についての臨時答申をいたしておりまするが、これは、税制調査会の本来の仕事からいえば、つけ足しともいうべきものではないかと思うのでありまして、臨時答申という表現を使っておることによってもおわかりになると思うのでございます。  三十九年度税制改正案審議するにあたりまして第一に問題となりましたのは、減税規模でありまするが、税の自然増収相当多いことでもありまするので、この際大幅な減税中心とした税制改正案を立案しようということになりまして、国税において平年度約千五百億円、地方税におきまして平年度約八百億円、合計いたしまして約二千三百億円にのぼる減税案を立案した次第でございます。減税規模といたしましては、最近においては最も大幅な減税額であると思うのであります。  税制改正基本方針といたしましては、すでに御承知と思うのでありまするが、三本の柱を立てまして、第一は所得税減税を行なう。これは物価その他の事情に顧みまして、中小所得者負担が特に過重と認められまするので、その是正中心といたしました改正案を立案しております。次に、新しい経済情勢、すなわち開放経済に向かいまするわが国の経済に対応いたしまして、企業減税を取り上げております。三番目といたしましては、住民税負担の不均衡是正することにいたしたのでございます。これは、所得税減税もありまするけれども、見方によりますると、所得税負担の不均衡以上に住民税において負担の不均衡がはなはだしい。住民税は、もとより能力に応ずる課税のほかに、地方住民としての応益的な課税がありまするので、ある程度負担の不均衡があってもやむを得ない、こういうふうにも見られまするが、その程度相当過度になっておる。ことに遺憾な点は、市町村施設がよろしくて負担が重いということであれば、これはある意味でそれだけの利益を受けておるのですから、応益的にがまんできるかもしれませんが、現状におきましては、むしろ財政が貧弱で施設が悪い、そういうところがかえって住民税が高い、こういうことになっておりまするので、この際住民税負担の不均衡を取り上げることは、負担均衡を得せしめる、こういう見地はもちろん、見方によっては地域格差是正するという政府方針にも合うことであろうと存じまして、こういう点が取り上げられたわけでございます。  以上は概括した点でございますが、今日は地方税に関する両法律案審議でありまするので、地方税改正税制調査会でどういう取り上げ方をしたかということについて説明を申し上げたいと思うのであります。  第一は市町村民税であります。「市町村民税については、市町村を異にすることにより、その税負担に著しい不均衡を生ずることとなっている現状にかんがみ、この際、二年度間で負担の不均衡是正する措置を講ずる。その方法としては、課税方式本文方式に統一することを主眼とし、あわせて、将来著しい超過課税が発生しないように措置しつつ、現行準拠税率標準税率に改める方向で合理化を図る。」こういう答申になっております。税制調査会議論をした際に、本文方式に統一をするということを一挙にやるか、あるいは超過課税のはなはだしいのをあわせて是正するかということについてはいろいろ意見が出たのでありまするが、調査会としましては、本文方式に統一するほうが主眼であるけれども、特に著しい超過課税のある向きはそれも直すようにして、二カ年で不均衡是正するように、こういう趣旨答申でありましたが、政府が実際に法律案として提案いたしておりまするのは、御承知のとおり、三十九年度ただし書き方式市町村につきまして扶養控除所得控除方式にするということを中心に不均衡是正を行ないまして、超過課税になっておる点の是正、すなわち準拠税率標準税率に直すということに四十年度に見送られております。これは、本文方式に一挙に統一するということになると、三十九年度で二百四十億円もの財源を要するということになりますので、超過課税を四十年度において訂正することに直したほか、本文方式に統一するについても段階的に実施しようとしたことであります。大体において税制調査会答申が認められておると言ってよいと思うのであります。  次に、固定資産税でありますが、「固定資産税の基本的なあり方については、なお検討することとし、評価制度改正に伴う負担調整に当たっては、税率を引き下げるという意見もあったが、さしあたり激変緩和主眼をおいて、次の評価改訂の時期まで、下記経過措置をとるものとする。こういう答申になっております。  その下記措置というのは、現行固定資産税税収の総額に著しい変動を与えないということ。税率は据え置くということ。それから農地を除く土地については、課税標準特例を設けるということと、さらに激増しんしゃく措置、この二段的な方法を講ずることとしてはどうか、こういう意見であります。激増しんしゃくにつきましては、昭和三十八年度に対し三割増しを限度とするということにいたしております。農地につきましては、農地の性質に顧みまして前年度と同額とする。それから都市計画税についても、固定資産税と同様の調整を講ずる、こういう答申をいたしました。政府原案によりますると、課税標準特例を設けるということはいたしておりません、激増しんしゃくにつきましては、税制調査会答申よりもさらに激増を緩和する趣旨をもって、三十八年度負担に対して、農地を除いた土地を、二割増し程度にしておりますので、この点は税制調査会答申との間に開きはありまするけれども、国民負担軽減に力を入れている、こういうわけでありますので、異存はないことと思うのであります。  次に、電気ガス税につきましては、「性格その他将来検討を要する問題が残っているが、さしあたり一%の軽減をはかることとする。」こういう答申であります。これも政府原案において認められております。  次に、法人事業税については「中小法人負担軽減をはかるため、法人事業税税率所得百五十万円以下六%、所得百五十万円超三百万円以下九%に引き下げる。」という答申をいたしましたが、これはそのまま認められております。  次に、「住宅建設促進のための措置」につきましては「住宅建設促進に資するため、不動産取得税固定資産税につき所要軽減措置を講ずる。」という答申をいたしております。詳しいことは政府が立法の際に十分考慮するというふうな趣旨で「所要の」と書いてございますが、提案になっておるところは、大体において税制調査会の希望するところと合致しているものと認めることができます。  次に「軽油引取税」につきましては、「軽油引取税増徴については、軽油を使用する自動車の運賃に対する影響等を考慮しつつ、道路整備計画及び揮発油課税増徴状況に応じて慎重に検討するものとする。」これにつきましては、増徴すべきである、こういう意見と、増徴物価等に及ぼす影響等を考慮して見送るべきだ、こういう意見とございましたので、答申としては非常にばく然とした形になりまして、「慎重に検討するものとする。」こういうことになっておるのでありまして、まあ俗なことばで言えば、政府にげたを預けたというような答申になっております。今回提案になっておるところを見ますというと、税率を二〇%引き上げておるのでありますが、これは、要するに道路整備計画の実施とその規模、それから一般財源でどれだけ補てんできるか、こういうにらみ合いの結果ここにきまったものではないかと思うのであります。  「その他」といたしまして「外人に対する料理飲食等消費税非課税措置を復活すべきであるとする論もあるが、同税の性格非課税措置を廃止した経緯にかんがみ、その復活は適当でないと考える。」とこういう答申をいたしておるのであります。この点につきましては、政府原案によりますというと、当分の間外人飲食、旅館における宿泊に対しては免税する、こういう提案になっておりますが、この点は、税制調査会考え方と相反している、こういう気がいたします。  次に、「国際収支の改善に資するため特別とん税の税率引き上げることとし、これに伴い、当分の間、外航船舶に対する固定資産税を免除する。」これは答申のとおりであります。  それから「事業税課税に当たっては、国税における輸出振興のための特別措置は、従来の例に準ずることとする。」この点については、輸出振興のために地方団体もある程度協力すべきである、こういう意見と、それから、従来租税特別措置については、地方税においてはこれを遮断してきておる、こういうことが従来の例であるからして、依然として従来どおりにすべきである、こういう論とありまして、答申は「従来の例に準ずることとする。」こういう答申に落ちついたわけでありますが、今回政府提案をしておりますところによりますと、従来の例によっておりますけれども、特別なものにつきましては、新しく地方でもこれを受け入れる、こういう形になっておると思います。すなわち国税における輸出特別措置のうち、中小企業海外市場開拓準備金及び海外投資損失準備金については、従来どおり事業税所得計算国税の例によらないものとすることになっておりますが、輸出特別償却についてはこれを国税と別の方法をとるということは、納税者帳簿計算等において非常に複雑になるので、その点は事業税においても国税計算計算例による、こういうことになっておるのであります。  なお、そのほかに税制調査会答申政府原案との間において多少の食い違いのあるものがございます。住民税において、障害者等に対する非課税範囲年所得二十万円に引き上げた。これは現行十八万円を二万円引き上げておるのであります。それから個人事業税におきまして、事業主控除を現在の二十万円から三十二万円に、これも二万円引き上げております。それから不動産取得税免税点引き上げを行なっておる。それから事業税不動産取得税固定資産税及び電気ガス税非課税措置または課税標準特例につきまして、現行規定との均衡等を考慮しつつある程度改正を行なっておりますが、これらは比較的小さい問題ということも言えますし、この程度の配慮は、政府が行なうのであれば、税制調査会としても特に異論はないと思うのであります。  最後財源措置につきましては、税制調査会においても議論がございました。住民税及び電気ガス税減収については全額国補てんすべきである、こういう議論と、いや、地方団体においても相当自然増収もあることであるから、全額補てん行き過ぎである、こういうような議論が出ました。税制調査会といたしましては、主として税制調査しておるのでありまして、財政面についての調査は必ずしも行き届いておりません。したがって、地方団体におきまして自然増収があるといたしましても、一方において歳出の画然増もあるでしょうし、また新規財政需要もあるでしょうから、補てんをどの程度にすべきかということについては、これは責任をもって答申をすることは困難である。地方団体のうち、都道府県に及ぼす影響は比較的少ないが、市町村財政に及ぼす影響はかなり大きいと思う。そこで「住民税及び電気ガス税減収については、市町村財政実態に応じ、別途所要財税源措置をとるものとする。」こういう答申にいたしたのであります。これは、いま申し上げましたように、税制調査会性格、その審議状況からいって、こう書くよりほか方法がなかったわけであります。その後、政府におきましては財源補てん措置をとられまして、電気ガス税補てんのためにはたばこ消費税税率を一・六%引き上げて、一三・四であったものが一五になるということになっておりまするし、それから住民税補てんにつきましては地方債を認めて、その償還財源としては、三分の二は国が一般会計負担する。残りの三分の一については、地方交付税財政需要に見るということで話がまとまって国会に提案されておることを承知いたしておるのでありますが、調査会としては、話がまとまったものであればそれでけっこうである、かように存じておるのでございます。  以上、きわめて簡単ではございまするが、今回の地方税改正及びその財源補てんに関しまする両法案に対しまして、税制調査会審議経過と多少私の意見をつけ加えて報告を申し上げた次第でございます。御質問がございますれば、それにお答えを申し上げたいと思います。
  4. 永田亮一

    永田委員長代理 以上で参考人からの意見の開陳は終わりました。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。川村継義君。
  5. 川村継義

    川村委員 松隈さんには、きょうはたいへん御苦労さまでございます。税制調査会審議経過、御意見等をいただきましてありがとうございます。  私は、まず最初に、税制調査会答申に基づいて二、三お伺いをいたしておきたいと思います。  第一は、最後にお述べになりました今回の減税政策に基づく財源補てんの問題でございますが、住民税減税に対しては、地方債を起こしてこれで補てんをしていこうという方法がとられたのであります。電気ガス税減税については、たばこ消費税率引き上げ補てんをしていこうという方法をとられたのであります。住民税減税補てんについて、今回のような財源補てん方法税制調査会としては妥当な方法であるとお考えになっておりますか。あるいは今回のような、赤字債とよく指摘されるような方法財源補てんをするということがいいことかどうか、いろいろお考えなさっておると思いますので、その点をまずお聞かせをいただきたいと思います。私たちは、これまで地方市町村が何も好んでただし書き方式を大量に採用し、何も好んで超過課税をやっておったとは思いません。やはり市町村は、それぞれの住民負担を十分考慮しておると思います。しかし、今日の地方団体の要求いたします財政需要を満たすにはどうしてもただし書き方式超過課税方法をとらなければみずからの行政水準維持向上に資することができないというような立場であのような方法をとってきたと思います。これがいけない、こういう不均衡是正しなければならぬということはもう世論でございましたから、今日のような本文方式に統一するという方法答申され、政府もその方法をとったのであります。そうなると、これからいろいろと地方団体が要求いたします財政需要を満たしていくのにはたいへんな問題が起こってくる。そのような政策をとる以上、政府がその財源を見てやるということは当然のことだと思います。大蔵省で言われるように、地方団体が今日では非常に税収も伸びた、補てんをする必要はないとか、いろいろな議論も出ておったようでありますが、それは私はいけないと思っております。まあどうにか地方債をもって補てんをするという方法がとられましたが、実はやはり別途の財源付与方法財源補てんをすべきではなかったか、私たちはこういうように考えておるのでありますけれども、税制調査会のほうのお考えをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  6. 松隈秀雄

    松隈参考人 税制調査会といたしましては、国と地方団体との間の税源の再配分というようなものを根本的に検討をいたしておりますが、これはなかなかむずかしい問題であるという点もありまして、まだその結論を得ておりません。そういう段階での臨時答申であります関係上もありまして、この際住民税相当大幅な軽減をいたした場合に、いかなる財源をもってこれを補てんすべきかという答申をするのは無理である、かように考えた点が一つであるのと、それからもう一つは、先ほど申し上げましたように、地方団体減税によって財源を失うけれども、その地方団体状況は非常に区々である、一方においてある程度自然増収のあるところもあるだろうし、ところがそういうものに非常に恵まれない団体もある、したがって、これをどう措置すべきか、臨時措置として措置するについても、地方財政全体を審議してない段階において意見を言うことは行き過ぎである、こういう観点から、市町村財政実態に応じて、必要であればたばこ消費税を回すというような方法考えてもよろしいし、あるいは地方債による補てん等臨時的な措置をとることもよろしい。こういう広い意味を含めた答申をした、かように考えおります。
  7. 川村継義

    川村委員 税制調査会のお立場としてのお考えはわかったわけでありますが、これにはやはりいろいろその後の問題が残るのではないかと考えますので、税制調査会としても、やはり答申をお出しいただくときにはある点明確な答申を出していただくように私はお願いをしておきたい。  今回の地方税に関する答申にいたしましても、失礼なことを申し上げるようでありますが、たいへん抽象的な部分が多くて、もう少し何とか具体的にお示しいただくような答申が必要ではないかと思っておりますのでお尋ねをしたわけでありますけれども、いま一つ財源補てんの問題で、たばこ消費税での補てんの問題でありますが、電気ガス税の今回の一%の軽減に伴って大体七十一億七千万円ばかりの減税があるようであります。ところがたばこ消費税税率引き上げによりまして補てんされるものは六十五億八千万円ばかりでありますから、これは十分満たしていない。これにはいろいろありましょうけれども、私はこれにもひとつ疑問を持っているわけです。ということは、電気ガス税軽減補てんするにたばこ消費税をもって充てる、これも一つ方法であると思います。しかし、この方法は、各市町村地方団体にいろいろの問題をやはり個々別々に投げかける問題ではないか、均一に考えられない問題が残っているということと、今日までのこのたばこ消費税伸び方電気ガス税伸び方考えてみると、ことしはまあどうにかつじつまが合ったとしても、来年、再来年と年を経るごとに大きな問題が出てくるのではないか。私の手元にあります資料がはたして正確かどうかわかりませんけれども、昭和三十一年度から考えてみても、その伸長率電気ガス税において二二三%、たばこ消費税においては一二%といわれております。そうなると、たばこ消費税引き上げてことしはつじつまがあったといたしましても——実際はつじつまが合っていない数字でありますけれども、まあどうにかつじつまがあったとしても、来年、再来年となるとこれはずいぶん大きな問題を残す、つまり市町村財政にそれだけ大きな影響を与える結果をもたらすのではないか、そういうことを考えると、やはりこの際思い切っていま少し高目たばこ消費税率引き上げ補てんをしてやることが必要ではなかったか、こういう考え方を持っておるのでございますけれども、松隈参考人の御意見をひとつお聞かせ置きいただきたいと思うのであります。
  8. 松隈秀雄

    松隈参考人 たばこ消費税をもって電気ガス税減収補てんするのでありますが、三千に及ぶ市町村に対して補てんのしかたとして消費税率市町村別にきめることができないとすれば、やはり腰だめと申しますか、平均的なところできめざるを得ないのではないか、かように存ずるのであります。どういう計算によって一・六引き上げれば平均的な埋め方ができることになったかということは、立案の当局でありませんので私承知いたしておりませんが、考え方は、まあ平均的なところで補てんができるという率を盛るほかないんではないかと思います。  それから、お話がありましたように、電気ガス税伸長率たばこ消費税伸長率では、電気ガス税伸長率が高いことは確かであります。将来電気ガス税をどうするかということにつきましては、先ほど申し上げましたように、税制調査会としてはむしろ本年の一%だけでなく、明年以降も一%ずつぐらい減らしていきたい、こういう考えが強いようでありまするので、電気ガス税については、三十九年度改正で安定したものとは見ておりません。したがって今後にまた検討する、こういう問題が出てまいりまするので、その際、財源補てんについては、ただいまお述べになったような御意見も参酌されて考えられるのではないかという気はいたしております。
  9. 川村継義

    川村委員 税制調査会では、いまの電気ガス税について「性格その他将来検討を要する問題が残っているが、さしあたり一%の軽減をはかることとする。」という答申が出されております。いまお話を承りますと、将来ともやはり軽減の方向にお考えが向いているようでありますが、ここでまああえてお尋ねをしておきたいと思いますが、この電気ガス税については、税制調査会は、その性格からして、一体これは大衆課税であるからいまのようなあり方はいけないというようなお考えなのか、一つのやはり所得課税というようなあり方で課税がなされておるとお考えになっておるのか、将来軽減をするというその基本的なお考えはどこにお求めになっておるか、お聞かせをいただきたいのが一つであります。  それから、この際私は電気ガス税、特に電気税の電気の消費量、それから非課税品目の範囲、さらに非課税となっておる品目の消費しておる電気量、それを電気料金に見積もった場合に、どれくらいの割合を示しておるか、それが税金として見積もる場合にどういうウエートを占めておるか、実はいろいろとお聞かせいただきたいのでございますけれども、参考人のほうではいまそれらの資料があるいはお手元にないかと存じます。もしもございましたら、そういう点をお聞かせいただく、ございませんでしたら、また後刻当局にでもお尋ねをしたいと思いますが、私が先ほど申し上げましたような電気税の性格等について、お考えをお示しをいただきたいと思います。実は私たちも、この電気ガス税というものはやはり国民生活のひとつの必需品だと考えて、軽減すべきだという一応考えを持っております。しかし、市町村地方団体当局に言わせますと、電気ガス税減税は納得できないという反対の意向が相当強いようでございますから、あえてお尋ねをするわけであります。
  10. 松隈秀雄

    松隈参考人 御承知のとおり、税制調査会委員は二十五名であるかと思うのでありますが、いろいろな立場の人がおられます。したがいまして、電気ガス税については、廃止論者もおれば存続論者もある、その中間に、税率を漸次軽減していくべきである、こういう論者もありまして、いまのところまだ結論を得るに至っておりません。したがって、断定的のことを申し上げにくいのであります。そこで、いままでの電気と、多少私の私見を加えて申し上げるほかないと思うのであります。いままでの空気といたしましては、空気ガス税は、消費税としては必ずしも性質のいい消費税とは思っておらない、こういう意見相当強いのであります。御承知のとおり、電気ガス税を起こしたというのは、これは戦時中の立法でありまして、戦時中電気ガスを節約して国策に協力する、こういうような意味から認められた税であります。したがって、これは私見になりますけれども、もしこれが国税として続いておれば、私は、今日電気ガス税は存立しない、こう言ってもいいと思うのでありますが、ただいま地方税であり、しかもそれが市町村民税であるというところに、この税の取り扱いが非常にむずかしくなってきていると思うのであります。そこで、戦時立法であり、消費税として必ずしも全幅的な賛成を得られない消費税であるから、できるだけこれを軽減していくという方向に向かうべきだということは多数説になっておると思うのであります。それが従来機会あるごとに、電気ガス税軽減すべきである、財源があれば二%も三%も軽減してもいいけれども、財源とのにらみ合いにおいて一%程度軽減をする、こういうことを臨時答申としてやっておるわけであります。しかし、いずれにしても、やがて基本的な問題としての答申というものを出さなければならない時期にまいるわけでありますが、その際にどういう結論が出るかということは、実は私も予断ができないのであります。したがって、これから先は一個人の私見になると思うのでありますが、私は、電気ガス税はできれば全廃したいと思うのであるけれども、現在の市町村財政の実情からいってそれは無理である、それから全廃した場合に、財源補てんが、先ほどもお述べになりましたように、うまくいくかどうかということはなかなか自信が持てない、そこで、現在のような高い税率であるから問題が起こるのであるが、これをかりに五%程度まで下げた状態において考えれば、存立の理由というものが何らか別の理由から説明できるのではなかろうかという気がするわけであります。それは、すでに御承知のとおり、今回の住民税改正によりまして、地方団体がとっておる住民税相当減収になります。そうすると、将来地方団体が自己財源を充実しようという場合に何があるかということになってくると、非常に困難する。一つ方法としては、住民税の均等割りを増すというようなことも考えられるのではないかと思うのです。現に四十年度以降は標準税率改正されて、超過課税もそれの一・五倍以上は許されないというようなことになってくると、均等割りでも上げるよりほか普遍的な応益的な税金というものがないということになると思うのです。そういう場合に、かりに均等割りを上げるくらいならば、私は住民税の欠陥を補う補完的な意味において電気ガス税を残しておけば、まだこれのほうが、先ほどお話のあったある意味での所得課税、能力に応じて電気ガスの消費をされているという面がうかがわれますから、そういう意味電気ガス税を全廃しないで残す。しかし、負担が重いと税の性質上なお弊害が出るから、負担は百分の五程度にするということが一つ考え方じゃなかろうかと思うのであります。そういう考え方とあわせて考えたときに、私は産業用の電気ガス税というものは全廃するのがいいのじゃないか。産業用の電気ガスはコストに当たるものでありまして、コストに対して税がかかるということは税の性質上おもしろくない、かように考えるのであります。ただし電気ガス税の非課税の品目をどの程度順を追って整理していくかということは、やはり一挙には全廃ということにいかないので、ある程度順を追っての仕事であると思うのであります。今回非課税範囲を拡大したり、あるいは新たに綿紡なんかについて二%というような中間的な税率を置いておりますが、これらはやはり漸進的な意味において是認さるべきことだ、かように存じております。
  11. 川村継義

    川村委員 お願いいたしておきたいことは、電気ガス税についても次の調査会答申等においては十分御検討いただきまして、いま少しく明確にいまお話のような点をお示しいただくことをお願いしたいと思います。  それにいたしましても、問題はやはり残ると思います。いま最後のおことばにありましたように、非課税の問題でございますけれども、これは実はこの際実際の資料に基づいてお聞きすればいいのでありますけれども、それは時間もございませんから省きますが、要するに非課税品目の問題を考えても、非課税品目が使用しております電力量というものは相当大きいと私は思います。おそらく電力総使用量の半分以上ではないかと見ております。こういう計数については後刻当局にお尋ねして確かめてみたいと思います。  そこで、そういう状態でありますから、もしもこの非課税の電力使用量の料金を推定してみるならば、これまた膨大なものになると思うのであります。これも、おそらく電力料金の見込みの三〇%以上のものが非課税品目の関係になってくるのではないか。これは、申し上げるまでもないことでありますけれども、昭和二十三年以来、この非課税品目は、基礎資財、新規製品の製造または採掘に使用する電気について、いわゆるお話のような原料課税となることを避けたいということで設定されたものでありますけれども、今日ではその非課税品目が追加されてまいりまして、ほとんどもうすでにその必要のないものも相当あるようであります。それが今日そのまま非課税品目として存置されておる、こういうことになりますと、その非課税品目によって相当の電気が使用される。一般のものが使用する電気量は少ないのであるけれども、電気税としてはひとりでかぶっておらなければならない結果が出てくる。そうなりますと、やはり一般家庭のわれわれの生活に及ぼす影響ということを考えると、何といっても非課税品目の大整理をやるということが一つであるし、その半面に、われわれの一般家庭の電気税等を落としていく、そういうような考え方を持たなければ、お話しのようにことし一%、あるいはまた来年も一%というような形にはなっていかないのではないか。これは、やはりお話しような地方財政の問題と密接に結びついてくる課題ではないかと思います。したがって、そういう点も、税制調査会におきましてはあらゆる角度からひとつ御検討いただきまして、われわれにお示しくださることをお願いしてやまないものであります。  そこでいま一つ、先ほどお尋ねしました補てんの問題につきまして、いま電気のことをちょっとお尋ねいたしましたが、住民税については、先般の改正によりまして、国税所得税課税方式に右へならえしておったところの方式を遮断いたしまして、本文方式ただし書き方式というものがつくられた。ところが法人税、法人事業税等、こういうような企業課税等については、住民税の中においても法人事業税の中においても国税との遮断がなされておらない。住民税所得については完全に遮断をされて住民税の確保がはかられておりますけれども、企業関係の住民税、あるいは法人事業税等においては遮断がなされていないと私は思うのであります。これは一体このままでよろしいのか、この点について、ひとつ税制調査会のお考えをお聞かせいただきたいと思います。というのは、申し上げるまでもございませんが、資料によりましても、国税地方税負担が国民総所得に比べて今年は二二・五%でありますが、ずいぶん高い率を占めておる。しかも、地方税は大体年々高まってくるような状況にあるようであります。そういうような点等を考えると、私たち所得割りというこの住民税負担は、これまでも相当高くありましたけれども、今度の本文方式にかりに来年統一されるといたしましても、やはり相当負担になるのではないかというようなことなどを考えるわけでありますから、いまお尋ねいたしておりますように、所得割りにおけるところの  一般の遮断の問題と、企業関係の税金を遮断されておらないというこういう問題について、税制調査会のほうではどのような御検討をなさっておられるか、あるいはどういう御見解をお持ちであるか、それをこの際お聞かせいただきたいと思うのであります。
  12. 松隈秀雄

    松隈参考人 所得割りの場合においては、国税から遮断する方式に改められたことは御指摘のとおりであります。地方団体が独立課税権を持っておるというたてまえからして、それが一つの行き方であると思っております。企業課税におきましても、原則は独立課税というたてまえをとりますからして、ことに国税においてとられた各種租税特別措置等につきましては、これを遮断することは是認されると思い、現に原則はそうなっておると思うのであります。したがいまして、先ほども申し上げましたように、今回新しく設けられました海外市場開拓準備金とか、あるいは中小企業の市場開拓準備金、さらに海外投資の損失補てんの準備金というようなものは遮断をするということになっておるわけであります。ただ先ほども例外があると申し上げたのは、輸出特別償却の場合であります。これは、輸出をいたしますと、その割合に応じて普通償却以上に割増し償却が認められるのでありますが、その点を遮断するということになりますと、法人税の減価償却を計算したほかに、法人事業税のための減価償却をまた計算しなければらぬ、これは、減価償却の対象範囲の広い企業にとりましてはなかなかめんどうなことであり、そこに事務費もよけいかかり、非能率である、こういうようなことがありまして、その点は、一つ納税者の便宜を考える、一つ輸出振興にも資することでもあるから、こういう理由で例外が設けられたのではないか、かように思っておって、この辺につきましては、税制調査会としては特に異論はない、かように私は見ております。
  13. 川村継義

    川村委員 時間もございませんから、御意見を承っておきまして、いろいろ私のほうから意見を申し上げることは、いまの点については差し控えたいと思いますが、あと二点お尋ねをしておきたいと思います。  税制調査会答申によりますと、外人に対する料理飲食等消費税の復活は適当でない、こういう答申がなされております。ところが政府の今度の改正案では、当分の間これを復活する、こういう改正でありますが、私たちも実は非常に残念な気持ちでおるわけです。復活しても、あらゆる分野の問題が徴税事務においても、あるいはその方法においても続発するのではないか、こういうような憂いさえ持っておりまして、たいへん憂慮いたしております。この政府の復活に対して、税制調査会はどのような御見解をお持ちかお聞かせをいただきたい。
  14. 松隈秀雄

    松隈参考人 料理飲食等消費税課税対象から外人を除外するということは、かってそういう扱いをしておりましたけれども、税制調査会は国内の消費税である限り内外人を問わず国内における消費の課税は同一であるべきである、そのほうが望ましい、こういう原則に立ってその廃止を希望したのであります。たまたまオリンピックという関係もあって、外人に対する料理飲食等消費税軽減しては、こういう意見が出ましたけれども、ここで再び外人に対する料理飲食等消費税の免税をすることはあまりにも朝令暮改である、しかも筋からいってもおかしいというので、直したのを再び改正するということはどうしても賛成できない、こういう理由でその必要なし、こう認めたわけであります。
  15. 川村継義

    川村委員 それでは最後にいま一つお尋ねをしておきたいと思いますが、税制調査会のほうでは、軽油引取税につきましては、経由を使用する自動車の運賃に対する影響等を考慮しつつ慎重に検討するものとする、こういう御答申がなされております。先ほどのお話によりますと、慎重に検討するということは、言うなれば政府にげたを預けたようなかっこうだ、こういうお話でございましたが、今度二〇%の引き上げでございます。ところが、軽油を使っておりますバス事業あるいはトラック運送事業は、私たちがいろいろの報告を受けているところでは必ずしも十分なる経営がなされているとは聞いておりません。むしろバス事業のごときは、早くからバス料金の値上げの申請がたびたびなされている。ところが政府がこれを抑制をしているわけであります。はたしてバス料金の値上げが必要であるかどうかは、まだ十分な検討を加えておりませんけれども、これは、やはり今日の物価政策等に基づいても必要があるということはいなめないと思うのです。それも押えられている。これは一つ政府物価抑制政策方針であると思います。ところが、そういう中に、道路の財源にするという大きな目的はありますけれども、今回の二〇%の値上げというものは、これは相当バス事業あるいはトラック事業等に与える影響が大きいと思います。先般、当局の話によりますと、二〇%ぐらいの引き上げでは、利益の率に見てみるとたいした影響はないというような意見が出ておりましたが、私は、どうもそれには合点のいかない問題が多うございます。今度も増収が八十億ばかりあるようでありますけれども、その八十億というものを、やはりバス事業だけの配当関係あるいは利益関係を見ると、これはたいへんな負担になる、こういうような数字が出てくるのではないかと思います。松隈参考人に、いま私はここでいろいろ数字の問題についてお尋ねをいたしたいと思いません。後日当局についていろいろお尋ねいたしますけれども、この軽油引取税の値上げによって与える影響考えると、これは物価抑制策の政府基本方針をくずしていくのではないか、あるいはそれが運賃等の値上がりにはね返ってまいりまして、一般国民の生活に大きな影響を与えるのではないか、そういう憂慮を非常にしているものであります。この点は、税制調査会答申そのものに私は少し不満があるわけであります。これは十分御検討をいただいて、引き上げをすべきではない、道路財源に必要な財政措置はかくかくの方向でとるべきである、そういうような御意見が実はもう少し明らかに答申の中に盛られることを期待したのでありますけれども、それが見受けられません。私は、以上のような考え方に立って、この軽油引取税引き上げについて税制調査会ではどういう御見解をお持ちか、この際お聞きしておきたいと思います。
  16. 松隈秀雄

    松隈参考人 先ほども申し上げましたとおりに、軽油引取税につきましては、税制調査会の中で意見が分かれておって、したがって抽象的な答申になったのであります。軽油引取税も、ことに揮発油税との関係においてなお幾分の増徴の余地あり、こういう意見を述べる人がございまして、それと同時に、いまお話しになりましたように、軽油引取税を上げるということは運賃に影響してき、物価にはね返るからして、これはがまんすべきである、こういう意見を述べる人がありました。要は道路整備計画をどの程度重要視するか、なおそれに一般財源をどの程度投入できるかということによって、そういう他の理由をあわせた上でなければここで増徴すべしとも増徴を見合わすべしとも言うべきではない、こういう論が最後に全体の承認を得るという形になったので、慎重検討、こう言ったのであります。政府が道路計画の必要性を認め、一般財源とのかね合いにおいて二割という増徴率をきめましたが、この二割がいいかあるいは一割でいいかというようなことについては、国会の場において十分御審議を願う問題じゃないか、私はかように考えます。
  17. 川村継義

    川村委員 いろいろお尋ねしたいことが多うございますが、あとに御質疑の方もございますから、一応以上お尋ねをいたしまして、なおそれらに基づいたいろいろこまかな問題については、また後日当局に対してお尋ねをしたいと思います。  私の質疑を終わります。ありがとうございました。
  18. 永田亮一

    永田委員長代理 安井吉典君。
  19. 安井吉典

    ○安井委員 参考人、たいへん御苦労さまでございます。主として住民税固定資産税の問題について、税調のこれまでの審議経過や、あるいはまたこれからの御方針等についてひとつ承りたいと思うのであります。  まず所得課税の問題につきましては、所得税という面が一つございますし、同時に道府県民税及び市町村比税というふうに、同じ所得に対して三重に課税が実は行なわれているわけであります。ですから、国税における所得税減税の問題だけを切り離して論議をしていては基本的な問題点を取り違えるおそれがあるのではないかと思うわけです。特に所得税課税については、生活費に課税をすべきでないとか、そういうふうな論議がいろいろ行なわれているわけでありますが、やはり地方税である住民税との関連において論議がなされるべきではないかと思うわけであります。そういう点について、税制調査会の中では総合的な立場でどういうふうに論議がなされてきたかという点についてまずお伺いをいたしたいと思います。
  20. 松隈秀雄

    松隈参考人 所得税住民税ともに所得課税いたしております。したがって、相互の関連において国民の負担力を判定しなければ税制として完ぺきを期し得ないではないかというような御趣旨の御質問でありまして、その点、ごもっともだと思うのであります。現に今回の税制改正に関する答申におきましても、所得税中心減税答申いたしましたけれども、先ほども申し上げましたように、見方によりますと所得税以上に負担の不均衡がある住民税をほうっておくわけにはいかぬということから、所得税軽減という柱を一本立てると同時に、住民税負担の不均衡是正という柱も立てて、両々相まって所得に対する課税の適正化を考えたのであります。ただ所得税の場合は、主として応能負担という見地から理論を立てていけばいいと思うのでありますが、住民税の場合においても、所得課税であるから応能負担考えなければならぬけれども、住民税の性質からいって、ある程度の応益税というものを加味しても差しつかえない、そのことが、住民税においては負担のバラつきがあることもやむを得ない、しかしこのバラつきがあまり大きいということは決して好ましいことではない。しかも、このバラつきが、先ほども申し上げたのでありますが、応能と比例しているならまだ説明がしやすいけれども、逆になって、施設は悪いけれども税が高いというところはまっ先に是正をしなければならないのじゃないか、こういうような考え方税制調査会の空気だと思うのであります。
  21. 安井吉典

    ○安井委員 税制調査会では、標準家庭の場合、所得税税負担はこれくらいになるのだというふうな試算をよく発表されるわけです。これは政府もそうなのですけれども。その場合に、住民税を合わせればこういう形になるのではないか、こういう形での御発表がないような気がするわけです。そこで、私は総合的な検討がどうなされているかというふうなお尋ねのしかたをしたわけですが、その点、いかがですか。
  22. 松隈秀雄

    松隈参考人 御指摘のように、所得税軽減の場合においては、夫婦子三人の標準家庭であれば、給与所得者の場合には年所得幾らくらいまでは税がかからなくなる、そうすれば生活最低限を脅かすようなことはないという説明をいたしますが、その際に、住民税を合わせてどうなるかという場合において、住民税本文方式をとり、しかも準拠税率をとって加味すれば計算のしかたも出ると思うのでありますが、それはまたあまりにも現実と反しまするし、それから、さっき申し上げた応益的な負担というものをどの程度加味していいかということについて、必ずしも定説がないものですから、そういう仮定のものを加えてということをいまの段階では避けておるというのが実情だと思うのです。
  23. 安井吉典

    ○安井委員 その点、さらにまた次の段階でもいろいろ御検討を願いたいわけです。といいますのは、今度ただし書きがなくなるわけですから、わりあいに全国的なバランスというものをとりやすくなると思いますので、そういう面の御検討もぜひお願いをいたしたいと思うわけであります。  そこで、それに関連して考えられますことは、今度の市町村児税の改正によりまして、農民は相当部分税金がかからないという姿になるのではないかと思います。あるいはまた零細な事業者についてもそうなると思うのですが、ただ最後に、給与所得者については所得が把握しやすいものですから、所得税段階でも残ってくるし、住民税のただし書きを本文方式に改めた際にも、最後にはやはり給与所得者が残ってくるのではないかと思います。それでも、本文方式の場合は、現在までやっておりました方式に比べれば相当大幅に下がってくることはたしかでありますから、改正はもちろんいいことですし、私どもも賛成なのですが、しかし、次の段階にはやはり給与所得者とその他の所得者とのバランスという問題が強く出てくるのではないかという気がいたします。所得税においても住民税においてもそうなるのではないかと思うのです。大蔵委員会において中山税制調査会長が、所縁税において給与所得に対する低目の税率を別に設定するというふうなことも次の段階考えるべきだ、こういう御発言をされているようでありますが、住民税の場合においても、給与所得者が比較的高い税を払わなければならないという現実に対する何らかの対策がやはりなくてはならないのではないかと思うのですが、次の新たな段階の問題として、ひとつその点についてのお考えをお聞かせいただきたいと思うわけです。
  24. 松隈秀雄

    松隈参考人 今回の住民税改正によりますると、諸控除の増大等によりまして、農民所得者、中小企業者の落ちる割合が相当多い、しかし給与所得者についても、所得翻りがなくなる者も出るかもしらぬけれども、給与所得者が住民税納税者の大部分を占めるような状態になるであろうということは、お示しのとおりだと思うのであります。給与所得者の住民税が重過ぎやしないかということはよく言われることでございまして、税制調査会でも、地方に出張した際に住民税の実際負担状況調査しておるのでありまするが、比較的生活が似ていると思われるような世帯について見て、農業所得者あるいは企業所得者が住民税所得割りがなかったり、あるいはあってもきわめて安い。それよりも給与所得者のほうが所得割りが高いというような実例を見ることがあるのであります。これは、一方において所得の把握率が違っておるという税制上、税務行政上の不手ぎわと申しますか、欠陥がそこにもあらわれておるためかもしれません。いずれにしましても、給与所得者の負担が他の所得者に比して軍過ぎるという意見は、税制調査会においてもかなり強く出ております。したがって、今回の答申におきましても、給与所得控除引き上げもかなり努力したつもりでありまするが、給与所得控除の最高限度の十五万円が十四万円に削られて、われわれ税制調査会答申した案より九十数億円の減になったというようなことは、税制調査会に席を置く者としては、みんな非常に遺憾に思っているところだと思うのであります。そこで、今後の税制調査会審議方針といたしましては、依然として所得税軽減に重点を置いてまいりたいという意向は非常に強いのでありますが、その中でも給与所得者の負担過重を何らかの意味で改善しなければならぬという意見は強いのであります。その方法といたしまして、先般中山会長が衆議院の大蔵委員会で述べられた一つの案、つまり給与所得者には別の低い税率を適用するという案も検討したいという話でありますが、これはいままでのところまだ具体的に審議題目になっておりません。中山会長さんにそういう御意見があれば、税制調査会でも取り上げて審議をすると思うのでありますが、これは私なりに申し上げますると、そういう考え方を置くということは、昭和十五年に制定されて、たしか終戦後昭和二十二年だったと思うのでありますが、いまの税制になった、つまりその前の段階に戻り、分類所得税と総合所得税、こういう考え方を立てますると、分類所得税においては、給与所得のような額に汗してからだを資本にやって、個人が死ねば所得がなくなってしまうような所得と、資産所得のような所得とは担税力が違うからというので、税率を異にするという考え方が成り立つ、さればと言って所得を縦割りにしてしまって、給与所得、資産所得というふうに分けて税率を持って、それだけでいいということにしておくと、大所得者は負担が軽くなるから、やはり一定のところからは総合課税をしなければならない、こういう制度になるわけでありますが、そういう分類所得税に一部戻って、そうして総合所得税はある程度段階のところからやったほうがいいかどうかということは、所得税課税について根本的にはどうあるべきかという問題と取り組もうとしておるのでありますから、その範囲内において問題は取り上げられて審議されるのではないかと思います。はたしてそういう分類所得税式のものに落ちつくかどうかということは、いまのところ何とも見当はつけかねる次第であります。
  25. 安井吉典

    ○安井委員 広く申しまして、地方税の問題には、住民負担を軽くせよという一つの方向と、それからもう一つは、地方行政の水準が今日でも非常に低い、これは都市は都市なりにきわめて大きな財政需要に迫られておるし、地方の農村は農村で、これはもう本来的に水準が低いわけですから、上昇の努力が必要だし、こういうようなことから言って、地方財政における自主財源を充実してやらなければいけない。つまり負担軽減財源充実と、二つの相反する命題を地方税の問題はになっているような気がするわけです。そういうような意味から言っても、減税措置は、特に最近のように物価水準が上がって名目所得だけが上がっている、こういうような段階では、国税における減税をできるだけ大きくして、しかし地方税においても幾らかの減税の方向を進めていく、こういうことでなければならないと思うわけです。そういうような意味から言っても、今度の税制調査会の御答申の中では、本文方式をもっているところは少しも恩恵がないような仕組みになっている点、これは若干問題があると思うのです。これはただし書き方式廃止というきわめてドラスティックな改正ですから、そういうふうな財源が十分なかったという点はよくわかりますけれども、しかし国民の大部分は、ただし書き方式によるよりも本文方式による住民のほうが多いわけです。そういう人たちに、できれば基礎控除引き上げとか、扶養控除引き上げとかいう点もお考えおき願えたらどうかという気がするわけです。ただ税金を減らすことばかりでなしに、ふやすほうの問題ですが、これは先ほど川村委員の御質問の中にも、法人税割りの点についての国税との遮断の問題をお出しになっていたわけですが、新たに今度国税において加わる租税特別措置については、先ほど御説明のような考慮が払われていることはお話のとおりでありますけれども、しかし旧来からある措置について、やはり徹底的な総洗いというものをしていただくというふうな御措置が必要ではないかと思うわけです。これは自治省と大蔵省から調べていただいた資料でも、昭和三十九年度国税租税特別措置による減収見込み額は二千九十八億円に及んでおり、これが地方税の道府県民税、市町民税及び事業税へのはね返りが合計五百四十九億にのぼっているようです。個人の所得に対しては遮断が一応はっきりしているのに、法人については、こういうような形で相変わらず国税における減免措置地方税の中に五百億円を上回る大きな額できているという実態に対しては、地方の自主財源を充実しなければいけないという立場から、私どもどうも納得しがたいものを覚えるわけでございますが、こういう点、いかがでしょうか。
  26. 松隈秀雄

    松隈参考人 地方財政の見地からは自己財源の充実をはからなければいかぬ、一方住民負担軽減をしなければいかぬ、その調節がむずかしいということは、まことにお話のとおりであります。  かつて国の所得税税率を百分の〇・二減らして府県民税のほうの財源に回したことはあるのであります。したがいまして、今後国と地方との財源調整というような問題が起こったときにどういう方法財源調整をするかというと、いま言ったような考え方も、前例もあり、一つ方法だと思うのでありますが、ただ非常に大きく国税所得税を減らして道府県民税のほうに回すことができるかどうかということは、これは検討してみなければわからない問題でありまするけれども、あまり大きなことはとてもできる見込みはない、かように思っております。  それから、租税特別措置が多い、それが地方財源をまた大幅に減らす原因になっているということでありますが、租税特別措置につきましては、税制調査会としてはできるだけこれを整理縮小して負担の不均衡是正する、こういう方向に持っていきたいという考えが一貫しておりますので、二千九十億円というような数字をお示しになりましたけれども、それは将来の改正としては漸次減る方向に向くことと思っております。なお、どの程度地方税課税にあたってその影響を認め、どの程度遮断するかというようなことは、御意見もございましたので、今後の検討において十分考えたいと思っております。
  27. 安井吉典

    ○安井委員 あとまだ質問の方がいらっしゃいますので、続いて固定資産税の問題を伺って終わりたいと思うのですが、たしか松隈先生は、固定資産評価制度審議会の委員をしていらっしゃる——そうでないようてありますので、そういうふうな意味の質問はやめますが、固定資産税の今度の評価がえで、その結果を自治省のほうはなかなかお出しにならないで今日まできたわけでありますが、その結果がようやくわかってまいりまして、三十八年度までの評価額と新評価とでは、あまりにも大きな幅で引き上げになっているという実態に私どもは実は驚いているわけです。それに対しまして現実の課税をどうするかという点で、税制調査会の中でもいろいろ論議が分かれて、最後的には三年間の暫定措置という御方針を打ち出されたものだと思うのでありますが、この三年間の暫定措置という中においても、農地については据え置きにする、農地以外の宅地等につきましては三割増しにするという御答申が、政府案では三割が二割になったという変わり方だけで改正法案として出てきているわけであります。ただ問題は、三年間の暫定措置が終わったあと一体どうなるのか、こういう疑問だけは全く払拭されずに残っているわけです。いまの法案をすらりと読んでみますと、三年間の暫定措置はこうやるのだ。しかし三年後については税率もいまのままだし、それから、それにかけられるべき課税標準額も、評価額としてこれだけ上がっているのだ、こういうような形ですから、たとえば宅地についても全国六倍半に及ぶような大幅な値上げになるのではないか。山林等についても三倍以上、農地についても一・三、四倍に上がるのではないか、こういうようなことで心配が絶えないわけであります。その点、将来の恒久措置について、調査会の中でどういうふうな論議が行なわれておるか、ひとつ伺いたいと思います。
  28. 松隈秀雄

    松隈参考人 固定資産税については、先ほどお話のありました固定資産評価制度審議会の答申が出てまいりましたその結果、宅地については平均で六倍からの評価増が出た、こういう事実を知りまして、税制調査会も、これは容易なことではないというふうに感じたわけでございます。税制調査会の中の地方税部会においても審議いたしたのでありまするが、結論が出ないまま、最後の起草小委員会において、結論が出ないとすれば、暫定的な処置をとって、あとは根本問題として検討するほかはない、かように認めて答申をした次第でございます。お話がありまするように、現在の法律のままであるというと、三年後はきわめて不安がある、こういうことでありまするが、三年先のことはわからないのであります。かりに根本的な改正案が出ないとしたからといって、三年たったならば現在の評価基準をそのまま使って、負担が何倍になってもそれを許す、こういうふうなことは常識的には考えられないと思うのであります。その際には、またこの三年間と今後の何年かとを比較して、そこに激増しんしゃくということが行なわれるであろうということは、想像しても差しつかえないと思います。ただ、そういう事態は最も不手ぎわと申しますか、あるいは望ましくない事態で、ぜひその間に固定資産税の基本的なあり方について検討がなされて成案が答申され、それが政府によって国会にはかられることが希望されるわけであります。まだ基本的なあり方についての審議が進んでおりませんので、これは私なりの意見でありまするが、固定資産税土地、家屋、償却資産を通じて一本の税率であることがいいかどうかということは、検討の余地があると思うのです。いままでのところは、土地の評価が比較的低かったから、それでおさまっておったと私は思うのでありますが、かりに、法律には時価と書いてあるからというので、土地が時価から離れているからこれを時価に引き直すというところまで持ってくるということになると、土地と家屋と償却資産とでは収益性に相違がある。それから同じ土地のうちでも、農地のような生産手段と認められるものもあり、工場のような農地に準ずる生産手段の土地もあれば、住宅のような非生産的ということばは少し強いかもしれませんが、そういう土地もあるのでありまするから、今回の評価が正しいものであるとするならば、それを前提として税率を見直す場合においては、収益性を加味して、場合によっては税率に差等を置く、こういうことも考えるべきではないかと思うのであります。現に古い地租という時代、だいぶ古い時代でありますが、そのときには、地租は地価によってかけておる。地価と時価とは必ずしも一致しておりませんが、地価というようなものをとったたてまえ上、地租においては宅地租と農地とその他とは税率を違えておりました。したがって、今度も土地、家屋、償却資産の間で税率を違えるほかに土地についてもあるいは税率を二本がいいか三本がいいか、そういうような考え方も生まれてくるのではないかと思います。そこで、かりに土地、家屋、償却資産三本で税率を異にするというならば、同一固定資産税法の中で税率を違えて立法するのも一つ方法であるけれども、法律を分けてしまって、土地税、家屋税、償却資産税、こういう考え方もあると思うのであります。ただ、そう分けるとなると、償却資産に課税するという根拠が非常に弱くなる。ことに償却資産課税につきましては、税制調査会の中で、地方税改正にからんで事業税課税標準を再検討すべきではないかという意見があるわけであります。それは所得税住民税ともに所得課税、そこにもってきてまた事業税所得課税だと、あまりにも所得課税標準としての税が多過ぎる。ですから、むしろ事業税を付加価値のようなものに改める。それが全部改めることがむずかしければ、事業税課税標準の一部に付加価値的要素を加味して所得分の税率を下げるというぐらいの改正はできないかというような意見が出ておるわけですが、そういう点の改正とのからみ合いにおいては、償却資産の税率を下げるとか、はずすとか、こういう問題もからみ合いとなって出てまいりますので、いずれにしましても固定資産税課税の根本的なあり方を検討して答えを出す。そうすれば、三年の間にそれができるとすれば、新しい評価基準を採用しつつなお合理的な税制になると思います。万一ならないとしても、私はすぐに新しい課税標準で三年後は何らのしんしゃくなしというようなことは、あまりにも非現実的だ、かように思っております。
  29. 安井吉典

    ○安井委員 とにかくいまおっしゃったように、今度の評価がえはきわめて大きな波紋をあらゆる場合に私は巻き起こしておると思うわけです。税制調査会の中でも、あるいはまた参考人御自身のお考えの中でも、さまざまな問題を提起されておりますような現実です。そこで、たとえば宅地にしても、平均六倍半近くの値上がりになる、それから農地についても、山林その他についても大きく上がるわけですが、ただ全国の平均がこうなるのだということでお考えになっていただくと、私はこれまた大きな問題になると思うのです。といいますのは、今度の評価をずっと見ましても、たとえば農地についても、市町村によっては大体横ばいの一・一一倍ぐらいのところがあるかと思いますと、三倍ぐらいに上がるところもある。それから全国平均としては一・三四ぐらい。宅地についても、市町村によっては十一倍も上がるところがあって、標準地だけでいってもそういうようなところがあるかと思うと、ただ三倍ぐらいしか上がらないところもあるようです。平均が六倍ぐらいです。そういうふうな全体的な姿をやはりきめこまかにお考えをいただかなければならないということは、たとえば税率で各資産ごとの税率をきめるというお考え方も、これも一つ方法です。あるいはまた課税標準で変えていくというような行き方もありますが、いまの全体的な上がり方が、上がるところと下がるところはないにしても、上がり方がアンバランスですから、そういう問題で、私よく問題を単純にして、Aの町は三倍くらい上がる、Bの町は二倍くらい上がる、Cの町は現在と横ばいだ、こういうように単純にした場合を申し上げているわけですが、そういたしますと、たとえば税率を一律に法律で半分に下げても、三倍上がったところは、いまの税率の二分の一をかけても、税金の額は一・五倍になる、つまり五割税金が上がる一わけですね。それから二倍上がったところは、二分の一かければ、それはいまと税金は変わらない。しかし現在と評価額が横ばいになっているところは、二分の一かけたら〇・五になって、税金の額は半分に減るわけです。そういうようなことになったら地方財政の上にたいへんなわけです。市町村民税固定資産税とが市町村の場合の税収の二つの大きな柱で、市町村民税のほうは、かったり下がって、その上に固定資産税まで半分になるというふうなおそろしい事態を考えた場合は、単純に税率一本で調整をするということも非常に危険なわけです。だから、今度の新評価の問題は、資産ごとの上がり方が非常にバランスがくずれたということが一つと、それからもう一つは、市町村ごとのアンバランスが大きいという点、そういう両面を十分に御考慮を願わないと、問題の結論というものはたいへんなことを引き起こすことになりはしないかということです。いま税率を資産ごとに変えてもいいじゃないかというようなお話も出たわけですが、しかし、この固定資産税の新評価は、固定資産税だけで使うのじゃなしに、不動産取得税でもそのまま使うわけですし、都市計画税でもそのまま使うわけです。それからあの調査会答申の中では、登録税とか相続税とか贈与税もそれを一本で使うのだ、そういうふうな答申の内容になっているわけですから、そういう全体的な問題点を俯瞰してみた場合はさらに複雑になってくるのではないかというふうな気がするわけです。そういう点にからみ合わせて、いまなかなかきめかねるからというので暫定措置が講ぜられたと私どもは考えざるを得ないわけでありますが、問題は複雑であるだけに、三年間はこれでいくので、その三年の間にきちんとした方策を出すから、その方策は常識の線をはずれないと思うから心配するなと言われましても、やはり国民の立場からは、こんなような複雑な問題を全体的にはらんでいるものに対して、きっぱり割り切ったような答えが三年後はたして出るのだろうかどうだろうか、こういう疑問がわいてくるわけです。これまでの小委員会やあるいは全体委員会の中でも、自治省は、三年までは考えるのだから心配するなと繰り返し繰り返しおっしゃるけれども、私ども国民の代表として、その場においてまた暫定措置というふうなことで当面を糊塗しながらいくのか、それとも三年後にはどの税目についても、あるいはまたどの税収についても一貫した、きちんとした方針がはたして出るのかどうか、それが非常にめんどうさを予想されるだけに疑念を払拭することはできないわけです。いまのお話の中でも、税制調査会はこれから論議をするのだということでございますが、いつごろまでにそういう結論をお出しになるというお考えなのか、その点を承っておきたいわけです。
  30. 松隈秀雄

    松隈参考人 税制調査会は、冒頭に申し上げましたように一昨年の八月発足しております。委員の任期は三年でありますので、来年の八月で任期満了になるわけであります。ところが、実際問題としますと、国会中は大蔵省、自治省が忙しいために税制調査会は開店休業であります。したがって、来年になって八カ月あるというけれども、一月から五月くらいまでは休業してしまうと、来年の五カ月というものはたいした期待を持てない。そうしますと、本年中に大体の骨子をまとめないと仕事を仕上げることにならないんじゃないかという気がします。そういうと、本年中と申しましても、四月なり五月からスタートすると、九カ月足らずということになりますので、その間に根本問題と取り組んでどれだけの結論が出るかということは非常に疑問に思っております。そこで、いろいろな問題について具体的にたとえば税率まできめた答申になるか、こういう考え方考えるべきだという方向づけをするか、その辺の見通しになると、私はこまかく税率まで盛るというようなことでなくて、方向づけというもので大きな線を答申として出す、そうして、政府はこれを四十年度に全部実行する必要はない、四十年度から二カ年、三カ年先にこの考えに基づいて実行してほしい、こういうことになるのじゃないか。それと申すのも、たとえばいまお話が出ました所得税を大幅に減らした方向において考えるべきだ、こういう答申をしたとして、所得税をことしのように初年度六百億ぐらいの案を出していいのか、一千億円の案を出していいのか、かりに一千億くらいはぜひ所得税を減らせということを言ってみたところで、四十年度にそれがすぐできるというふうには考えられない。そこで所得税控除はかくあるべし、税率はこういう方向が望ましいという方向づけをして、それを何年度間に割って財源ともにらみ合い、それから財政一般とのかね合いにおいて政府が実行の方向に移していくべきである、こういう答申になりはしないか、これは私見を加えてですが、そういう気がしておるわけです。
  31. 安井吉典

    ○安井委員 いま一応のお見通しのお話をいただいたわけでありますが、特に地方においていま一般的に心配されているのは、住民税のただし書きがなくなったことで、財政のきわめて弱い市町村の場合は、やはり住民税収入が半分に落ちるなどというところが出てくるわけです。こういう際に固定資産税の評価をぐんと上げたので、住民税が下がったかわりに固定資産税の評価を上げてそれの穴埋めをするつもりが政府の腹にあるのではないか、政府はそんなことを一度も言ったことはないはずですけれども、そういうような言い方もされているわけです。またやろうとすればやれるだけの現に評価水準になっているわけです。それだけに、私はこの固定資産税の評価がえの問題は、政府としても、あるいは税制調査会としても、できるだけ早い機会に結論をお出しいただくべきであり、その際においては、この暫定措置においては三十八年度の水準の据え置きかあるいはせいぜい二割増しというような形で出ているわけですから、新しい三年後の恒久措置においても、三十八年度水準を税額において絶対に上回らない、こういうような考え方中心にしてお進みをいただくことが大切ではないか、そういうふうに思うわけです。その点、御要望申し上げておきたいと思います。  なおまだあと質問者がおられるのですが、一つだけ大事な問題がありますので、これだけ伺って終わります。  憲法の租税法律主義の考え方ですが、今度の固定資産の評価がえの問題を見てみますと、この租税法律主義という憲法の規定で、地方税税率の問題なんかを法律できっちり定めるというふうなことで、この税率が高いとか低いとかいっているわけです。しかし税金の額そのものは、税率に評価額をかけた形で出るわけです。その評価額のほうは、これは自治大臣の権限にゆだねて市町村長がやるわけです。つまりすべて行政措置に預けっぱなしに法律はしているわけです。そういうことになりますと、税率を国会が幾ら押えておっても、その評価のほうを、これも二割や三割上げるということなら、それくらいの幅で権限を与えているのならわかりますけれども、それが三倍になり四倍になり六倍になる、つまりいま十万円の税金が六十万円になる、そういう点の評価のすべての権限を行政機関に考えっぱなしにしているといういまの法律体系は、これが直ちに憲法の租税法律主義に違反だということが言えるか言えないかは別としても、少なくもそういう趣旨にそぐわないのではないかという気がするわけですが、その点、法人税における減価償却の耐用年数の計算は、これも大蔵省令か何かにゆだねられておりますが、それよりももっと今度の評価の問題は影響が大きい問題だというふうに思うわけですが、租税法律主義という観点からいかがお考えでしょうか。
  32. 松隈秀雄

    松隈参考人 固定資産税の場合には、時価によると法律に書いてあって、税率をきめてあるということになれば、その時価とは何かということを政令あるいは省令の段階において規定しなければならぬかどうかという問題でありますが、時価というものは幅のあるものでありますので、なかなか政令等で規定することはむずかしいと思うのであります。そこで、それでは評価がえによって負担が六倍以上になる場合が出て、租税法定主義の精神を踏みにじるではないか、こういうことでありますが、それは、やはり行政が自重すべき点であり、同時に国会が審議の場において負担激増しんしゃくという規定を置くこともできれば、あるいは課税標準特例という規定を挿入して、急に負担増した場合には、当初の二年間はその八掛けとする、次の何年間は五掛けにするというような課税標準特例を設けるというようなことで、その点を補正しつつ税務行政の適正な執行をさせる、こういう手はあると思うのであります。問題はいままで時価、ことに土地についての評価を十分しなかったというところに欠点が出てきておるのでありまして時価をもう少し的確に、そして比較的たびたび改正をしておればこういうことはなかったわけであります。したがって、これは実行上の問題で、法律論ではないと思うのであります。こんなことになるならば、現在の評価でほっておくほうがいいではないかという説がなきにしもあらずだと思うのでありますが、現在のような段階でほっておくよりは、私は正しい評価をして、そこで問題を投げかけて、そして固定資産税のあり方を根本的に検討するという機会を持たせるほうがより進歩的だと思うのであります。ただその場合において、個人と申しますか、納税者負担の激変を避ける処置は、程度の差はあるけれども、あくまで段階を置いて進んでいくべきだ。それと同時に、先ほどお話のありました市町村財政に及ぼす影響も極端な影響のこないようにすることは、納税者負担緩和を行なうこととにらみ合いつつやれば、そう心配しないで、ある期間に新しい評価基準というものが実施に移されて、そのほうが現状よりはよくなるという、こういう見通しは立てられると思うのであります。
  33. 安井吉典

    ○安井委員 一応終わります。
  34. 永田亮一

    永田委員長代理 佐野憲治君。
  35. 佐野憲治

    ○佐野委員 非常に瞬間もおそくなっておりますし、松隈先生に非常に恐縮に存じております。また後ほど門司委員からも御質問があるそうなので、私は次の事項を一括申し上げますので、その点に対して先生の御見解をお伺いしたいと思うのであります。  その一つは、先ほど来先生からいろいろと地方税性格について、応益性あるいは負担分任、この原則を守りたいし、そうでなくちゃならないということを強調しておられますし、その中でいろいろな矛盾がいま出てきておるのじゃないかということを私痛感するわけです。所得税において最低課税限度の引き上げが真剣に論議されておる中で、しかも生計費に食い込む市町村住民税をとられなくちゃならぬという矛盾、第二の点は、いまの資本主義のゆがんだ発展の結果として、地方団体間における不均衡が露呈してまいっておる、これが非常に大きな姿を示してまいっておるわけであります。これらのことを通じまして先生にお伺いいたしたいと思いますことは、たしか昭和三十三年だったと思いますが、あのときに税制調査会が発足いたしたわけですが、このときにも、いま申し上げましたことがやはり問題点として取り上げられて、おそらく発足いたしましたとき、総理の諮問事項として、国税地方税相互の比重及び今後における国税地方税体系の再検討、根本的改革に関することが諮問の大きな柱だったと思うわけです。あれは三年間の期限が付せられておったわけですし、今日における税制調査会もまたその当時における審議の内容を受け継いで検討を進めておられると思うわけです。いまのように国税が租税総額の七割も占拠してしまう、豊富な税源がほとんど国に優先的に確保されてしまっておる。その残ったかすと見られる貧弱な税源、この中で地方税を確保しようとする、あるいは応益性、負担分任というものを強調しようとすれば非常に矛盾が出てくるんじゃないかという意味において、それがいまどのような検討が進められてまいっておるか、この点について御説明を願いたいと思うわけです。  第二の点として、国民所得に対する租税負担率を一体どうするかという点につきましても、おそらく昭和三十四年だったと思いますが、中間報告の形式をもちまして、二〇%が適当である、こういう答申がなされておったように記憶いたすわけですから、昭和三十四年における国民所得に対する租税負担率が一九・八%だった、かようにきめられたと思うわけですが、その後、先ほど川村委員も御指摘になっておりますように、本年度は二二・五%、昭和二十八年以来の高い率を示しておるわけですが、前回において一つ方針としてきめられましたところの二〇%の線はどういう理由において守れなかったのか、これらの点につきましても、税制調査会においていろいろ論議されました点についてお聞かせ願いたいと思うわけです。  第三の点は、去年の税制改正答申の中におきまして、税金の物価調整、この新しい措置が取り上げられたことは画期的だったと思うわけですが、これに対しまして、その措置として三百九十二億円ですか減税を予定されたが、政府は二百九十六億円、基礎控除だけが二万円であとは五千円に値切って、ことしはまた五千円を新しく追加いたしましたので、ようやく三十八年度答申に近づいたわけですか、このときにこうした制度がなぜ地方税の中において採用されなかったのか、なぜそういう意味における答申がされなかったかということに対しましてもお聞きしておきたいと思うのですが、地方税における本文方式におきましても、基礎控除昭和三十六年度からストップになっておるわけです。しかも物価は、昭和三十六年度から低目に見積もりましても二〇%の上昇を示してまいっておる。そうすると、税金の物価調整という措置がやはり何よりも地方税の中においても取り上げらるべきではなかったか、この点に今度の答申の中で触れておられないのはどういう意味だろうかという点につきましても御説明願いたいと思います。  それから不動産取得税についてでありますが、今度の新しい固定資産の再評価は、調整措置として都市計画には適用しない、しかしながら不動産取得税には適用する、こういうことになっておるのですが、それはどういう意味において都市計画税だけに調整措置を限定されたのか。そしてまた、不動産取得税そのものの性格につきましても、税制調査会において検討された面がありましたならばお聞かせ願いたいと思うのですが、シャウプ勧告によって、こういう流通税は悪税である、だからやめなければならないという勧告に基づきまして昭和二十五年に廃止になりましたのが、昭和二十九年に復活してまいったわけです。復活しましたときにおける国会の提案理由その他を見てまいりましても、述べられている点は、当時の財政事情にもよったでしょうけれども、不動産取得税納税者は担税力があるという点もあげられておりますが、やはりその特徴的な点として指摘されておるのは、固定資産税税率が近年下がってまいっておる。だから、これに見合うものとして不動産取得税を設けたほうがよろしい。第二の点として指摘されているのは、当時における指示平均価格が各町村において実際に適用になっていない、こういう現実から見ても、県知事にこの市町村間における不均衡是正する権限を与えることも必要ではないか、この二点が不動産取得税を復活するにあたっての大きな根拠だったと思うわけですが、今日における不動産取得税の場合におきまして、住宅の新築あるいはまたそのための土地に対しまして大幅な基礎控除がなされておるわけです。しかしながら、一般の庶民、あるいは農村におきましても、今日住宅改良その他の点からいたしまして作業場と住居とを分離する、こういうことが行なわれておりますし、そうした場合におきまして、当然作業納屋、あるいは積寒地帯におきましても衛生その他の観点から考えましてそういうものが必要になってくるわけです。そういう場合に、やはり不動産取得税において非常に矛盾した面が出てきておるのではないか、私は、いっそのこと土地増加税なりあるいは空閑地税、こういう新しい税において捕捉すべき点が多くあるので、現在における不動産取得税は廃止したほうが現実に即応する措置ではないか、かようにも考えるわけですが、どのような御見解をお持ちになっているか、お知らせ願いたいと思います。  最後に、時間がおそくなりまして恐縮ですけれども、国有林の問題につきまして、いろいろ政府においても政策上討議されておりますが、現実自体として、国有林が七百五十万町歩に及んでおる。このうち六百七十四万町歩、約九〇%は積雪寒冷地帯に国有林が残されておるわけです。しかも明治、大正、昭和三代にわたるいろいろな不合理な国の歩みの結果として、東北、北陸地方に、しかも積寒地帯にこういう国有林が存置されてまいっておる。隣の裏山は国有林である、こういう嘆きを常に聞かされておるわけですが、アメリカの制度を見てまいりましても、国有林の収益の中から一定の割合をもってあるいは教育、道路のために収益を還元する、こういう制度がとられておりますのに、日本においてはほとんどそういう措置がとられてまいっていない。これらに対しまして、やはり国有林の地元に対しまして、一定の割合をもって、あるいは税の形式その他にもいろいろな方法があると思いますけれども、こういう不均衡に対しまして、税制調査会においても取り上げられたことがありますかどうか。  以上非常に簡単でありますけれども。質問いたしまして、御説明をお願いいたしたいと思います。
  36. 松隈秀雄

    松隈参考人 ただいまお述べになりましたのは、五点ほどございますが、実は概括いたしまして、税制調査会審議の過程において一番おくれておるのが地方税の問題の取り上げ方。それは地方税の問題の場合においては、税の理論からだけ取り上げて負担の不均衡是正するというようなことがある程度理論づけられたといたしましても、国の場合と違いまして、影響する地方団体の数が非常に多く、しかもその財政状況が千差万別であるために、なかなか理論どおりにいかないということが一つの理由であります。それならば、国から財源を回してそれを補てんすれば、その点が解決がつくではないかということで、国と地方との間に財源を再配分するという問題も大きな柱の一つとして検討されておるのでありますが、これがなかなか作業が進まないのであります。ことに国と地方税源を再配分するという場合におきましては、単に税源だけの問題ではなくて、場合によりましては、補助金の制度の是非、あるいは改廃、こういうような問題に触れてまいりますし、それから国、地方の事務の再配分のほうが先決ではなかろうか、現に地方制度調査会等は、事務の再配分のほうを先行させて、それを前提とした税財源の再配分のほうが適当である、こういう答申を最近においてもしておりますので、そういうことからこの仕事が難航しております。したがって、御趣旨ごもっともな点があるのでありまするが、具体的にこうなるであろうというようなことを説明しにくい状態にあることを御了承願いたいのであります。  それから二番目として、租税の国民所得に対する負担率の点は、確かに昭和三十五年、前の税制調査会の時代において、負担率は国税地方税を合わせて国民所得に対して二〇%を適当とするという答申をいたしております。それは御指摘のように、昭和三十四年当時においては負担率が一九・八、約二〇%であった。前年の三十三年度をとると二〇・四%、こういうことでありますので、国民の租税負担が重いという認識は、税制調査会委員全部にあるといってよろしいので、そこで税を軽減すべきであるけれども、せめて現状税負担程度を増すということはまず避くべきじゃなかろうか、こういうことから、国民所得に対する税負担は二〇%程度を適当とする、こういう答申をしたのであります。ところが、その後減税も実行しておりまするけれども、負担率が漸次上がりまして、昭和三十九年度の予算においては、お話しのように二二・二%ということになっております。これを多少とも弁護いたしまするとすれば、国民所得が増大する、そういたしますると、累進税率を適用しておる関係がありまするからして、所得が一伸びれば税のほうは一・五ふえるというようなことが、税の性質上と申しますか、構成上あり得るわけであります。さらに国民の購買力と申しますか、消費性向というものが、所得が一伸びた場合に消費性向は一・二というような上がり方をして、たとえば物品税のかかる品物がよけい売れるということになると、その点が税の自然増収の形でふえてくる、こういうこともありまするので、所得の増加が相当顕著に出てくるとすれば、ある程度税の構成の関係からいって負担率が上がるということはやむを得ないということで、二二・二程度であればやむを得ない、こういうふうに認める委員もあれば、やはりお説のように、これは高過ぎる、であるからして極力減らすべきであり、したがって今回の税制調査会答申としても、なお減税規模は少な過ぎる、もう少し減税額を多くして負担率を下げるべきである、こういう論もあるわけであります。体系としては、先ほど申し上げたような答申になっておりまするけれども、委員の中には、減税規模いまだ満足する程度でない、もっと減税して負担率を下げろという意見は確かにあるわけであります。今後も、御趣旨のような点も加味されて審議が進められると思います。  それから、物価調整意味を兼ねまして、三十八年度においても所得税減税提案し、それが政府法律案にする段階で一部削られたことは非常に残念であります。今回もやはり物価の点も考慮いたしまして、各種控除引き上げを行なっておりまするが、地方税の場合に物価比率をかけてどうしたらいいかということは、地方税本文方式あり、ただし書き方式あり、しかも制限外の課税をしているというような点があって、その点が非常に標準がとりにくいということも一つの理由であり、また地方税の場合において、今回も別の意味から住民税負担の不均衡是正に着手いたしましたけれども、生計費ということには間接には役立つ、しかし国税の場合のような計算はいたしておらないのは、資料をとる上において不便である、こういうような点からだと思うのであります。それから不動産取得税につきましては、税制調査会も、今回の固定資産税の新評価基準によることもやむを得ない、都市計画税固定資産税と同様に調整をすべきであるとしたのは、毎年取られる税である。不動産取得税の場合には、一時的のものであるからやむを得ないというような考えでこれを除外しておるわけでございます。  なお不動産取得税改正問題でありますが、これについては、まだいまのところそれほど具体的に進んでおりません。したがって不動産取得税というようなものをむしろ廃止して、お話しのような土地増価税なりあるいは空閑地税の形に置きかえるかどうかということは、今後の問題としての検討に入ると思います。  最後に、国有林が相当あり、しかもそれが積雪地等住民負担が苦しく、あるいは地方団体財政の困難な地域にその比率が高いから、これについて何らかの交付金のようなものを出すべきではないかという点でありますが、これについても、まだいままでのところ税制調査会で問題にしておりませんが、税制調査会でも、政府土地が多い、あるいは公社の土地、建物に対しても交付金の制度というような制度ができておりますから、それらとあわせて検討すべき問題であるように考えております。
  37. 永田亮一

    永田委員長 門司亮君。
  38. 門司亮

    ○門司委員 率直に簡単に聞きますが、一つ二つだけ先生にお伺いしておきたいと思いますことは、地方税としても、新税は悪税だということわざがありますからあまり感心したものではありませんが、たとえばいまドイツにあります。一つの税種目として、従来われわれが主張しておりました消防施設税というものが一つの目的税としてございます。これは、御承知のように市町村負担として今日消防施設が行なわれる、消防施設の充実は即保険会社の利益に通ずるといううことは、だれでもわかっておることであります。したがって、住民負担を幾ぶんでも軽減することのために、目的税としては一つの私は課税目標になるのじゃないかと考えられる。  それからそれと同時に、いまの固定資産税の中で一つの大きな不均衡のありますのは、農村関係で特に多い山林に対します不均衡であります。今日農村では、山林地主が私は一番大きな財産家だと考えているのであるが、これらの固定資産税の評価はきわめて低いのであります。したがって、これにわれわれの率直な意見としては、立木税その他ということで、上にある資産を一応見積もる必要がありはしないか、そして農村の負担均衡ということをはかるべきではないかと考えられるのであります。これらの問題はいずれも新税でありまして、したがって、調査会の中では、こういう新税については何か御意見等はなかったかということであります。
  39. 松隈秀雄

    松隈参考人 先ほど申し上げましたように、地方税部会というのがあって、地方税中心審議しておるのでありますが、地方税部会の審議が一番おくれております。したがって、私の知っている限りにおいては、まだ新税目としての検討は始まっていないように思うのでありますが、消防施設税というのが問題であることは、私も承知いたしております。ただこれにつきましては、目的税をあまりふやすことがいいかどうかという問題が一つ付随しております。目的税のようなものはなるべく少ないほうがいいんだ、税は一般財源に充てる税のほうが好ましいということが言われておりますので、そこに一つ問題があると思います。  それから山林地主に対しまして、負担均衡上立木課税をするかどうかという問題でありますが、これは立木課税という一種の財産税を起こすことになるのでありますが、財産税を日本の税制に加味していくかどうかということは、国税のほうでも、まだ財産課税のあり方はいかにあるべきかという広い問題として出されて検討の途中でありまして、具体化しておりませんが、その中で山林だけを地方の税として取り上げて、それが成立するかどうかということも、これまたもう少し時間をかしてみなければわからない問題だと思います。
  40. 門司亮

    ○門司委員 それからもう一つだけ聞いておきたいと思います。もうほとんど同僚から聞かれておりますので、ただ私ちょっと気になりましたのは、先ほど先生のおことばの中に、付加価値税的なものが事業税その他で考えられる、こういうお話がございましたが、それがちょっと気になりますので、お聞きしておきたいと思います。  そのことは、例の日本の今日の税制のたてまえでありますが、御承知のように、資産あるいは所得というようなものが大体日本の課税の中では税総額の五〇%をこえております。間接税は四六・五%くらいにしかなっていないと思いますが、そういたしますと、こういう税比率になっておりまするときに、これに付加価値をもし加えるということになってまいりますと、結局間接税のウエートが非常に高くなってくるということにならざるを得ないと思います。間接税が高くなってくるということになりますと、これは直ちに物価に響いてくるということが一応考えられてくるわけであります。したがって、現在の状態の中で、付加価値税的の性格を持つものを税制の中に加えることがいいか悪いかということについては、私どもとしてはかなり実は疑問を持っております。しかし世界の情勢を見てみますると、資産あるいは所得に対するものを中心とした国と、イタリアのように間接税をほとんど本位にして、イタリアはたしか七五くらいが間接税のような気がいたしますが、そういういき方をしておる国とがございます。ございますが、しかしいずれをとるかということは、まだ私どもに十分判断がつきませんのと、いまさっき申し上げましたように、どうも付加価値税的な考え方がもし出てくるということになりますと、日本の今日の税の体系というか、形がくずれてくるような危険性がありますが、その辺についてもう少し何か突っ込んだ御議論がございましたら、ひとつお伺いしておきたいと思います。
  41. 松隈秀雄

    松隈参考人 私が先ほど事業税課税標準の一部に付加価値的要素を入れたらということを申したのは、税制調査会においてそういう意見を述べる人がある。ただ、事業税を全部やめまして付加価値という、つまり売り上げ税の一種ですね、それに置きかえるという問題になると問題が非常に大きくなる。わが国で付加価値税がいいか、あるいは一般売り上げ税がいいか、あるいはかつて昭和二十四年ごろに実施した取引高税がいいかということは、税制調査会でも議論されております。もし直接税が重過ぎて困るならば、付加価値税とか、そのいま言った一般売り上げ税のようなものを導入すれば直接税は下がるはずだ。日本はちょうどアメリカ、イギリスに近い直接税中心主義をとっておる。ところがヨーロッパ系のフランス、ドイツ、イタリアは、付加価値税とか売り上げ税というようなものを実行しているから直接税が低いのだ。このことが、輸出の上からいっても所得税、法人税は低くなって、法人の力はついている。そうして一般の財政は、相当売り上げ税でまかなっておいて、輸出するときは免税するから非常に有利じゃないか、日本もまねしたらどうか、それが輸出振興に響くじゃないか、こういう意見も出ておるわけでありますけれども、ただ付加価値税にしても売り上げ税にしましても、これを一ぺん設けますと、かなりの金額にのぼるものであります。したがって、こういう税を平常時において設けていいかどうか。これを設けた各国の例を見ますと、非常な戦争状態に入ったとか、あるいは戦後の財政処理に苦しんだあげくやむを得ず設けたというような国が多い。日本のように所得倍増計画が成功して経済が比較的順調に伸びているときに、そういうドラスティックな案を導入するのはまた行き過ぎじゃなかろうか。結局ほんとうに思い切って直接税を下げるためにがまんするというムードといいますか、気分ができた場合は別ですが、それでなければ、時勢の大きな変化がない限り、門司委員の心配されるような意味の付加価値税や取引高税、売り上げ税は起こせないと思います。ただ事業税に関して申し上げたことは、事業税が純益課税でありますと、相当大きな企業を営んでおって、そして地元はそれがための学校施設とか道路、下水をやっておるのに、欠損なら一文も事業税を納めないというのもちょっとおかしいじゃないか。そこで、全部を付加価値にはしないけれども、純益基準のほかに、たとえば資本金とか、あるいは労務費とかいう、付加価値税を取る際に、加算式の付加価値税だと一つの項目になる。その項目の一つ、二つをかりてきて、それを加味し、そして純益の部分を少し減らしておく。そして事業全体としては激変を与えないということ、しかしこれは、法人によっては激変になる法人があるわけで、欠損なら納めなくてもよかったのが今度は納め始めるということがあるのですが、応益性を考え地方財政考えて、その辺あまりひどくないならば、少しそこに変更の余地はないかということは、目下事業税課税標準改正として議論にはなっておるが、まだ結論は出ておらぬ、こういうわけであります。
  42. 門司亮

    ○門司委員 私が心配しておりますのは、御承知のように、シャウプ勧告で強く日本はこれを強要せられまして、実は法律で一応定めて、連中が帰ったあとでこれを実行しないことにきめたという経緯がこの税金にはありますので、私の口から申し上げることはいかがかと思いますけれども、税制調査会でも慎重に扱っていただきたい。これだけ申し上げまして質問を終わります。
  43. 永田亮一

    永田委員長代理 松隈参考人におかれましては、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。  午前の会議はこの程度にとどめ、午後一時三十分から再会することとし、暫時休憩いたします。    午後一時十三分休憩      ————◇—————
  44. 田川誠一

    ○田川委員長代理 再開いたします。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。  参考人各位には御多忙中のところ、当委員会法律案審査のため御出席をいただき、まことにありがとうございます。  地方税法等の一部を改正する法律案及び市町村民税減税補てん債償還費に係る財政上の特別措置に関する法律案の両案につきまして、何とぞそれぞれのお立場から、忌憚のない御意見をお述べ願えれば幸いに存じます。  なお、議事の整理上初めに御意見をそれぞれ二十分程度にとりまとめてお述べ願い、次に委員諸君からの質疑に対してお答えを願いたいと存じます。  それでは、小西参考人満川参考人、森参考人の順序でお願いいたします。  小西参考人、どうぞ。
  45. 小西欣弥

    小西参考人 本日、地方行政委員会参考人として意見を述べさせていただく機会を与えられましたことを、たいへんしあわせに存じます。  このたびの地方税法の改正等につきましては、住民負担軽減合理化という点では、私ども全く賛成でございます。当然なことだと考えておるのでございます。ただそうした意味では賛成でございますが、御承知のとおり地方財政は非常に苦しゅうございまして、特に私どもの町村では、行政の水準が非常に低い、これは全く財源の問題でございまして、特に都市との格差の問題は、皆さま方御承知のとおりでございます。そうした意味では、私どもは住民負担軽減ということでは賛成であるけれども、ただただ賛成のみを申しておるわけにはまいらないのでございます。しかし初めに賛成だと申し上げなければならぬというのは、私ども何と申しましても地方の行政より前に、やはり住民のことを考えないわけにいかぬ立場でございます。そういう意味で賛成でございます。ただしそれにはいろいろ申し上げたい点があるのを順次申し上げたいと存じます。  実はその前に、三十九年度の予算編成期にあたりまして、地方行政の委員各位の皆さま方が非常な御理解を賜わりまして特にこのたびの一こうした法律、後段の補てんの問題等につきまして非常なお力添えをいただいておりますことを、くれぐれもお礼を申し上げたいと存じます。  まず、市町村民税のことでございます。市町村民税につきましては、初め申し上げましたとおり当然賛成でございますが、これは市町村間で私どもがいままでやっておりましても、いろいろな面で税金の高い町もあり、低い町もありというので、その負担の不均衡是正されるためには、どうしても、いつかはこうした税制改正が行なわれなければならぬというふうに考えておったのでございます。ところが、それが取り上げられまして、このたび徴税方式が変わり、ただし書き方式本文方式になりますということは、私どもの最も求めておったところのものでございます。ただこれにつきましては、後ほど申し上げます補てんの問題によって私どもは賛成ができたのでありまして、万が一にも補てんができなかったと仮定すれば、とうてい私どもはこのたびの全国を本文方式に変え、あるいは準拠税率を直すということについては、絶対に賛成をいたしかねたものでございます。  次に、固定資産税の問題でございますが、固定資産税につきましては、いままでいろいろな問題がたくさんございました。このたび新しい評価制度が行なわれまして、これが売買実例価額によるというようなことが非常に大きく私どもの町村民間に聞こえましたために、非常な反対の声が上がったのは御承知のとおりでございます。ただ実際問題といたしましては、やはりこれも農業のいろいろな技術の進歩等によりまして、私は農村でございますが、農地等については、やはりある時期には是正をされるべきであろうという考え方を持っておりました。ところが、このたびこの新しい評価制度が実施されることになったのでございますが、ただこの売買実例価額によるということに非常な不安を持ちました。しかしながら実際に、まだ町村に全部おりておらぬ段階でございますが、新評価制度実施の段階の県の固定資産の審議会の委員といたしまして私も参画をいたしまして、実際は売買実例ではございますけれども、香川県の場合には農地は大体一・一八倍くらいの見当で評価がされておるようでございますので、そうした意味では、売買実例とは申しながら、ほっと一息ついておるわけでございます。しかし山林等につきましては、香川県の場合で一・四%、宅地等につきましては三・二%くらいというふうになっております。これらにつきましては、もちろんこの新しい評価制度によるものが直ちに固定資産税として一・四%の比率でかけられるとすれば、これはやはり非常に大きな問題が起こると考えざるを得なかったのでございますが、幸いにいたしまして、三十九年度から三年間は農地等につきましては三十八年度税負担をこえないような措置がとられるようでございます。また、その他のものにつきましても、二割をこえない程度に押えられるという特別調整措置が講ぜられることになりましたので、私ども町村の担当者といたしましては、これまた一息ついておるわけでございます。ただこれらにつきましては問題がございまして、三年たったあとについては非常な不安を持っております。いわゆる新評価制度実施に伴って非常な混乱が起こるのを避けるために、三年間だけ頭をなでられて、あとどういうことになるのかという不安はやはりまだぬぐい切れないのでございます。そういう意味で混乱が避けられましたので、来たるべき三年後につきまして、十分な御調査なり、また税率決定等については御配慮をいただきたいと考えておるわけでございます。  なお固定資産税につきましては、御承知のとおり評価の事務量というものは非常に過大でございまして、実はまだ香川県でも全部済んでおりません。このために、四月末までの納期のものが五月末というふうに、一カ月私どもの町でも町条例で延期しまして、これらにつきましてはやはりある程度補てんと申しますか、そういう処置をとっていただかなければならぬと考えておるわけでございます。  それから私ども農村といたしましては、農地が、非常な大きな問題がございますので、三年後には特に農地あるいは宅地その他の償却資産等に対します評価につきまして、なお十分皆さま方の御審議をいただいて、特に所得水準の低い農地関係につきましては、御配慮をいただきたいということをつけ加えて申し上げさせていただきたいと思います。  次に、電気ガス税でございます。気ガス税につきましては、これまた住民負担軽減という趣旨がございますので、私どもは大きな声で反対を叫ぶわけにまいりません。しかし御承知のとうり電気につきましては、生活の豊かなところは当然よけい電気を使うので、生活水準と比例をいたしておりますので、私どもはほんとうのことを申し上げまして、たいへんいい財源だと考えております。しかしながら、いま申し上げた住民負担軽減という点で、やはり消極的賛成をせざるを得ないのは御承知のとおりでございます。ただこれにつきましては、市町村たばこ消費税税率引き上げ補てんをしていただきましたことは、これは二年引き続いてのルールみたいなものができたと、私どもやはり補てんをさせていただくということで賛成をいたしたいと思うのでございます。  なお、軽油引取税等につきましては、別に申し上げることはございませんが、ただ道路整備の地方財源負担につきましては、市町村にも道路譲与税をちょうだいできるように、ぜひ御配慮をいただきたいと思うわけでございます。  それから市町村民税所得割りの減収補てんにつきましては、先ほど申し上げましたとおり五カ年間で順次二割ずつ削減されるようになっております。これにつきましてはやはり経済格差が五年間のうちに改まるものとも考えられませんので、交付税率引き上げをこの二割ずつの減収に伴って上げていただきたいということを特にお願いを申し上げたいと思うわけでございます。  なお、このたびの減税ムードにつきまして、私どもが苦慮いたしておりますのは、国民健康保険税がどうしても医療費の値上がり等によりまして、相当程度高額なる増徴をしなければならぬという事実でございまして、これは特に所得割りが減ります高所得者よりも、むしろやはり低所得者の負担がふえる。それは所得割りはないのですから、ちっともそちらの面では減税にならないところへも国民健康保険税が上がっていくというところに、私どもは非常につらい立場に立っておるのでございます。  なお、固定資産の評価の問題につきましては、これは国税庁なりあるいは税務局等におきましては、相続税とか、あるいは登録税にこれを将来御使用になるというように漏れ承っておるのでございまするが、特に農業の相続税につきましては、たとえばたいへんこれはおかしな例でございますが、会社は重役がかわっても相続税は取られないけれども、農家は主人が長男に継がせたら、すぐ相続税がみんな取られるというようなことなんで、たいへんに相続税が新しい固定資産の評価によって上がるということは、やはり農村としては非常なおそれを持っておることをつけ加えさせていただきたいと思うのでございます。  なお、府県民税の町村によります徴収事務等につきましても、今度賦課が国税庁を離れまして、いわゆる税務署を離れて市町村長がこの賦課の責任者になりますために、府県民税の面につきましてもこの責任を市町村長が負わなければならぬという実態になるのでございまして、私ども町村といたしましては、府県民税はもう府県で取っていただきたい、責任を負っていただきたいということを申し上げたいと思うのでございます。  最後に、先ほどちょっと申し上げましたが、固定資産税の納期が一カ月延期となりました。町村財政のやりくりは貧弱町村ほど、いわゆる交付税を受ける町村ほどつらいのでございまして、これらにつきましても交付税の増額をして四月に配分をされることを、これは事務的に自治省御当局のほうへぜひともお願いをいたしたい、そうしなければ私ども町村が回らないというように感じておるわけでございます。  以上、たいへんことばは足りませんけれども私の率直な意見を御参考のために申し上げたわけでございます。
  46. 田川誠一

    ○田川委員長代理 ありがとうございました。  次に満川参考人
  47. 満川元親

    満川参考人 私、全国農業会議所の満川でございます。私ども全国農業会議所は農業者の立場から、農業近代化の線を進め、農業所得の向上につきましていろいろ努力しておるわけでございますが、日ごろ国会の諸先生には何かと御指導御協力を賜わっております。この機会に厚く感謝の意を表したいと思います。なお、本日は地方税法の一部改正の御審議にあたりまして、農業団体意見をお聞きくだされ、また私どもの要望申し上げたい点についてお聞きくださるというような機会をお与えくださいまして、心から厚くお礼を申し上げる次第であります。  さて、本委員会におきまして御審議中の地方税法の一部改正につきまして、私ども農業者、農業団体といたしまして最も関心を持ちますのは、何と申しましても御案内のとおり固定資産税に関するものでございます。つまり昭和三十九年度から新しく固定資産の評価がえを行ない、この新しい評価額に基づいて固定資産税が賦課徴収されるというような、固定資産税評価制度調査会答申もあるのでございますが、ことに農業者の最も関係の深い土地、田や畑につきまして、売買実例価額を基準として評価する方法によるという点でございます。もちろん現実の売買実例価額に直ちによることなく、当該売買実例の取引の事情をよく調べまして、特殊条件によるものを除きまして、おおむね正常な価格にするというふうになっておりまして、なお農地につきましては、その取引の規模なり実態というものを十分に御勘案くださいまして、一定の修正を加えるというようなことでございますが、やはり問題は残るようでございます。  もちろんこの新しい評価制度は、すでに昭和三十七年の地方税法の改正に基づきまして約束づけられていたわけでございますが、農業者といたしましては、評価額は上がるけれども実際の税額は上がらないのだというような前宣伝が相当あったせいもございましょうが、当時は農業者として別に動揺とか混乱はなかったわけでございます。  ところが実際にこの作業が昨年来市町村段階で進められてまいりますと、この新しい評価方式が非常に多くの問題を含み、そればかりか、これによって評価される結果が、評価の大幅な増大となる、そしてはっきりとこれが税金に関係してくるというようなことがだんだんわかってまいりまして、農業者の関心は一そう高まり、かつ不安の色が非常に濃くなってまいったわけでございます。  こういうわけで、私どもの全国農業会議所といたしましても、最も大きな農政問題としてこれを取り上げざるを得なくなりました。こういうことで、私どもの意のあるところは、すでに数次にわたりまして国会の諸先生にもお願い申し上げた次第でございまして、御案内のとおりでございます。すなわちちょうど一年前になりますが、昭和三十八年三月五日に、会議所では通常総会を開きまして、この農業者の不安を非常に心配いたしまして、農地の評価にあたっては、その収益を十分に勘案して行なってほしい、それから宅地介在農地につきましても、農地として利用している間はあくまでも農地として評価を行なって、農業経営上支障のないようにしていただきたい、また評価額の改定によって、税額が従来より過重にならないように、税率について適切な改正措置を講じていただきたい、こういうような点につきまして、一年前に御要望申し上げた次第であります。  しかしながら、次第に市町村段階での新しい評価がえの準備作業が進んでまいりまして、問題はいよいよ深刻な様相を呈してまいりました。私どもは非常に心配したのでありますが、全国農業会議所の会長と、全国農業協同組合の会長の両名が協議しました結果、これは非常に問題が多いので、新しい評価方式はこれを昭和三十九年度から実施することは見合わせてほしい、そうして農地と農業用固定資産に関する課税のあり方について、根本的な検討を行ってほしい、こういうような意見書を作成いたしまして、それぞれ政府並びに国会方面にお願いしたわけであります。  幸いにいたしまして、これ以前、またこの後も、政府におきましても、また国会並びに各政党におかれましても、いろいろ御心配いただきまして、いろいろと御検討賜わったことは、私ども承知しております。しかしながら、まだ当時は農業者の満足を得るような、安心のいくような結論が出ていないようでございましたので、やはり下から盛り上がる運動は、われわれ何ともいたすことができません。ちょうど昨年の秋、国会が解散になるときでございましたが、全国から農業委員の代表者が集まりまして、わざわざ固定資産税の評価がえに対してどういう態度をとるかというための会議を開かざるを得なくなりました。先ほど申しました全国農協中央会会長、全国農業会議所会長の連名の意見の線を確認いたしまして、その実現の線について強くお願い申し上げたわけでございます。  以上のような、私がわざわざこういう農業団体としての経過を申し上げたゆえんは、この固定資産税の評価がえにつきましていかに全国の農民が重大な関心を持っているか、しかも非常に不安の念を持っているかということでございます。特に農業者といたしましては、農業基本法の制定以来、まじめに農業をやっているならば、農業所得が高まり、生活も楽になるというような政策が行なわれるということを期待しているがゆえに、またそういう関心が強いがゆえに、具体的にこういった新しい評価がえというような形で出てきたことに対しまして、強い関心を持ったのでございます。  ところで、目下御審議中の改正案を拝見いたしますと、私ども感慨無量なものがございます。一つは感謝の気持ちであります。もう一つは、依然としてぬぐい切れない不安な気持ちが混然としているような感じがいたします。いずれにいたしましても、諸先生あるいは政府の御努力によりしまて、三十九年度から評価がえはするけれども、農地等につきまして三十八年度の税額で頭打ちする、あるいは山林とか宅地につきましても評価がえをするけれども、二割増しで押えるというような措置がとられまして、一応全国の農業関係者はほっとしておるのではないかと考えられる次第であります。ただこの場合に、畜産振興が非常に叫ばれている今日でございますので、農地の中に採草放牧地が入るかどうかということで、この点も私どもは、もしも農地として扱われずに、そういう形になるならば、やはり問題が残るのではないかというように考えますが、一応そういう点ではほっとしているところだろうと思います。  そこで、二点ばかり要望なり意見を申し上げまして、特に諸先生方の御批判と御検討を賜わりたい筋がございます。  その第一は、農地等の固定資産税につきまして、おかげをもちまして、評価がえはされるけれども、納税額については大なる変更はないということになったのでありますが、問題は新しく評価がえされる評価額の現実的な妥当性でございます。新評価制度実施の御準備につきまして、自治省、都道府県、市町村当局が、非常な努力と苦労をされていることにつきましてはよく承知しているのでございますが、実際の評価にあたりましては、やはり幾つかの問題点が介在しておるように見受けられます。たとえば評価のための標準地、基準地の選定をするにあたりましても、文字どおりの標準的な、あるいは中庸な農地を選ぶのが本筋と思いますけれども、市町村段階でも実際はどちらかというと上級地あるいは中庸地のうちの上級地を選ぶという傾向が強いように聞いております。もちろん、どの土地を選びましても、機械的に農地間の均衡をはかる、それだけならば差しつかえないと思いますけれども、こういうような結果が、事実上は全体の農地が適正を欠いた割り高な評価がされるという懸念が残らないわけにはまいりません。また状況類似地区の区分にいたしましても、極端な言い方をいたしますれば、一筆ごとに土地の条件は違いますから、一筆ごとに地価は違うだろうと思います。それを人為的に集団区分いたしましてやっていくということ自体に無理があるということは、理屈上も言えるわけでございますが、私どもの調査した、たとえば中国地方のある県の町村でございますが、この点に非常に頭をいためまして、一町歩単位で六百何十地区というように区分している。非常に煩瑣なことでございます。それをいたしましても、やはりはたして適正な区分ができるかどうかということが問題であります。またこれが課税台帳に登録される各農家ごと、各筆ごとの価額が適正公平を欠き、またこれが農家の固定資産税にはね返るというようなことがありますと、やはりこの辺に問題が残ろうと考える次第であります。  次に、売買実例価額と申しましても、そうざらに売買の例があるわけではございませんから、このこと自体に問題があろうと存じます。また正常な条件のもとにおける売買価格と申しましても、何が正常でない要素であるかということにつきましては、なかなか要素の発見に困難性があろうかと思います。結局はその市町村の精通者の意見とか、他の地方の例などを聞いてきめていくということでございますが、この場合に農地の正常価格というものが、はたして農地農地として利用し、収益する場合の、農地そのものに帰属されるべき正常価格として見るのか、それとも財産として売買する場合の価額を頭に描いて判断するのか、これによって大きな違いが出てまいる、だろう、こういうふうに考えられます。  その他問題はいろいろあるのではないかと考えるわけでありますが、いずれにいたしましても先ほど申し上げましたように、三十九年度からは特別な経過措置がとられるということで、一応問題は残りながらも、現段階におきましては私どもは感謝の気持ちであります。  それから第二の問題でございます。第二の問題といたしましては、農地等農業用固定資産につきまして、固定資産税その他国税を含めての税金はいかにあるべきかという税理論の問題と、農業政策上の問題があろうかと存じます。税制調査会におかれましても昨年の暮の答申で、固定資産税の基本的あり方について検討を要する旨述べられているように伺っております。私ども農業団体といたしましても、先ほど申しましたように、根本的な検討をお願いしたいというふうに考えているのでございます。私、学者ではございませんのでむずかしい理屈はわかりませんけれども、いろいろの統計を見ましても、市町村税に占める固定資産税の比重というものは、非常に大きゅうございます。農村部に行けば行くほど固定資産税の比重は大きくなっているようであります。そこで、いまや農業基本法に基づいて農業生産性を高め、少しでも農業所得の向上に資するよう各般の政策努力が行なわれております今日、農業に関する固定資産税については抜本的に検討されてよいのではないかと存じます。つまり、私見にわたりますけれども、大幅な減税措置か、あるいはこの際思い切って農地等に関する固定資産税は免除するといった措置が講ぜられてしかるべきではないかというふうに考えるのであります。現在、農地等に関する固定資産税は、収益税的な財産課税となっているようでございますが、私どもは収益課税であることが正しいと考えるのでございます。しかも農業収益額のうち、農地に帰属する部分に課されるべきものであるというふうに考えます。こう考えますときに、大ざっぱに大観いたしまして、現在の農業経営は決して容易なものではございません。農林省が国会に提出されました農業白書を拝見いたしましても、農業所得はなかなか他産業従事者との均衡がとれず、農村の若い青年は農業を捨ててとうとうと他産業に流出している状況でございます。また一概に農地価格と申しましても、それが農業の収益を生み出す生産手段としての価格というよりも、どちらかというと公共事業や宅地造成のための転用価格といったニュアンスが強いようであります。農地価格の形成要因につきましても、十分に検討が行なわれてしかるべき段階にあるのではないかというふうに考える次第であります。  農業者の負担上最も大きなものの一つであります固定資産税につきましては、すでに欧米諸国では、たとえばイギリスにおいては免除しているようであります。ドイツ、フランス、またアメリカにおきましても、特別な軽減措置をとっているということを聞いております。こういう諸外国の例も参考にし、また農業の実態に十分に考慮を払われまして、今後のあり方について根本的な御検討をわずらわしたいと考える次第でございます。  そのため、希望を一つ申し上げさしていただくならば、農業に関する税制、なかんずく農地等農業用固定資産に関する税制の根本的な検討を行なうため、正式な機関を設置していただければ、まことに幸いであるというふうに考えます。税制調査会の内部におかれましても、あるいは外部におかれても、とにかく政府が責任を持って御検討なさるような措置が講じられることを強く御期待申し上げる次第でございます。この点、本委員会の御審議の過程で何とぞよろしくお願い申し上げます。  以上、要するに私どもといたしましては、税金に関する問題につきまして、納税をすることを拒否するとか、反対するというような気持ちは毛頭ございません。むしろ喜んで地方税にしろまた国税にしろ納入できる農業、農業者になることを希望しているものでございます。それがまた健全なる国民経済の発展上不可欠のことだろうと信じているものであります。  したがいまして、そうなるためには、以上申し述べました点につき格段の御配属をお願いする必要を認めるものでございます。  ただ一つ、ここで心配になりますことは、市町村自治体の財政の確立に関してでございます。今後とも何かと農業者、農業団体は、市町村にお世話にならなければなりません。市町村財源確保並びに健全なる財政の確立に必要な措置につきましては、別途十分な御配慮をお願いする次第でございます。  以上をもちまして、私の意見を終わります。御清聴を感謝するとともに、失礼にわたりました点は、おわびいたす次第であります。
  48. 田川誠一

    ○田川委員長代理 ありがとうございました。  次に森参考人
  49. 森岡敞

    ○森参考人 島田市長森昌也でございますが、お尋ねによりまして二法律案につきましての意見を申し上げます。  その前に、今回の改正におきまして、特に市民税の改正に伴うところの財政的な問題につきまして、補てん措置をお考えくださいましたこと、また電気ガス税減税に対しまして、それにかわるべき税源措置をお与えくだすっておられることにつきましては、先生方の非常な御配慮によるところでございまして、厚くお礼を申し上げたいと存じます。  以下、順に意見を申し述べさしていただきたいと思いますが、第一に住民税の点でございます。これは全国の都市を、町村を含めまして、本文方式基準税率に統一をしていこうという御方針につきましては、私ども、全面的に賛成をいたします。ただ、その財政的な補給の措置でございますが、一つ私どもとして問題になりますのは、今回の補給のやり方は、三十八年度における現況を押えまして交付団体、不交付団体の別を立てております。そして不交付団体につきましては、一切の締結の措置をいたさない、こういう取り扱い方がされておるわけでございます。これは地方交付税制度そのものの問題になろうかと思いますが、現在の非常に高い行政需要を要求されておりまする都市の実情から申しますると、必ずしも地方交付税制度というものが万全なるものでないという実情を御了察をいただきたいと思うのであります。したがいまして、今回の住民税改正に際しまして、交付税の交付団体に対する補給の点には感謝申し上げるわけでございますが、不交付団体財政上の問題をいかに扱うべきかという点につきましては、たとえば特別交付税あるいは起債等を御考慮いただかなければならないのではないか、こういう点を考えるのでございます。  もう一つの問題は、今回の改正までに自分自身で、非常な財政的な減収を覚悟いたしまして、本文方式、基準税率——ただいま準拠税率でありますが、準拠税率によるように改革を断行いたした都市がございます。たまたま今回の改正に間に合わなかったということで、そういうふうな財政減収については何らの措置も講ぜられないという点についても、何か考慮さるべき点がありはしないかという二つの問題がございます。特に前の不交付団体減収に関する激変緩和措置というものは、これは何らかの形で、起債あるいは特別交付税の形において御配慮をいただくことが、この改正案趣旨を貫く上において最も必要ではなかろうか、こういうふうに存じております。他の点につきましては、今回の改正につきまして全面的に賛成をいたします。  第二は、固定資産税の問題でございますが、これはただいまの改正案の方向が、固定資産税総額の増額は避ける、増税は行なわない、こういうふうな最初の御趣旨に立ちまして三資産、土地、家屋、償却資産等の問題を扱われて、そして特に土地の評価がえによるところの増というものを考慮されましたために、最初これが漏れ伝わったときに、もし土地関係の税金が再評価によりまして非常にふえてきた場合に、全体のワクが固定をされておるために、これは税率の切り下げを行なうことになりはしないか、そうしなければ総額を越えてしまいますので、その点結果としては、もちろん意図はそうではないにいたしましても、結果として大資本の持っておるところの償却資産費税の負担軽減することによって、市民の持っておる土地あるいは家屋の増税になるという、そういう結果になりはしないかという危惧を私どもは持っておりましたし、特に住民からもそうした強い反発を受けておったわけであります。今回の改正案によりますれば、税率は据え置く、切り下げはいたさない、こういうふうな御措置がとられまして償却資産税の大幅な減収ということが避けられましたことにつきまして、私どもはまことに機宜を得た正しい行き方であるという感じを強く持っております。土地の再評価の仕事は大体の都市においてはもうすでに進行いたしております。これも激変緩和ということで二割増を限度とするというふうな法案の御意向がうかがえるわけでございます。この激変緩和措置等につきましてもまことにけっこうな行き方であるというように私どもは考えております。ただ将来この緩和措置が過ぎていきました後におきまして、土地、家屋等が、ほんとうに収益的に使われておるところの土地、家屋であるか、あるいは市民がわずかに自分の住宅等に使われまして、未亡人等が細々とそこに暮らしておる、こういうふうな家庭用の土地、家屋であるかということのその対象の区別だけは明瞭にしてまいりませんと、ここの再評価に伴うところの増税が大きな影響を市民生活の上に与えるということを考えておりますので、その点につきましては将来の実施の上にぜひとも御考慮をいただきたい点であろうかと思います。  それで納期の延期の問題でございますが、これは現況やむを得ないところで、むしろそういうことをやっても今回の施策は実施すべきだろうと思いますけれども、先ほどもお話がありましたが、この納期の延期に伴う間のつなぎの問題でございます。これは六月に交付されるべき交付税を繰り上げて四月に合わせて交付されるというような措置、あるいは融資等によりまして、そのつなぎの措置はぜひともとっていただかなければなるまい、こういうふうに考える次第でございます。先ほども償却資産税のことを申し上げましたが、御承知のように都市はひたすら工業化によるところの、産業の育成による財政の増収と、雇用人口の増大、市民生活の安定ということを目ざしてやっておる状況でございますので、その場合、工場から上がるところの償却資産税あるいは電気ガス税というのは、都市にとりまして最も重要な財源でございまして、その重要度は将来ますますふえていくと存じます。その点私どもが常に問題にいたしておりますのは、いわゆる大規模償却資産税の課税限度の問題でございます。これは都市が工場誘致をやり、あるいは地元産業の育成をはかって、それに伴うところの道路であるとか教育施設であるとか、あるいは水道、ガス、そうしたすべての公共施設の充実に力を尽くしておりますことは非常なものでございます。その財源として私どもは償却資産税、電気ガス税を当てにしておるわけでございますが、現在のように企業がどんどん大規模になりまして、何十億というふうな工場が建設されつつある都市の実況から申しますと、すでに昭和三十一年にきめられて、その後一ぺんも改革をされなかった六億五千万という課税限度は、はなはだしく時代離れがしておる、これはむしろ大幅な引き上げもしくは撤廃をいたしまして、都市の建設の財源に充てるべきではなかろうかということを強く感ずる次第でございます。それほど償却資産税の問題は都市にとりまして重要な問題であるということをぜひとも御認識をいただきたいと存じます。これは先生方に申し上げるのはまことに失礼でございますが、そういうことを強く感ずる次第でございます。  第三に、電気ガス税の問題でございますが、電気ガス税というものは、都市が置かれました現況から申しまして、先ほどから繰り返し申し上げまする都市の行政需要の高まり、それからその行政需要の伸長の度合いから申しまして、電気ガス税のような伸長度のある安定した税金というものは、市税としては最も適当な、最も合理的な税金であると私は考えております。中には、これが原料課税であるというふうな考え方から、撤廃すべきであるという強い御意向が、特に産業方面にあるわけでございますが、御承知のように、ただいま地方の産業にとりまして最も重要なのは、一企業負担を軽くするということよりも、その工場が建設をされることによって要求される行政需要、先ほど申し上げました道路問題、病院、学校、環境衛生あるいは文化施設、こういうふうないわゆる公共施設と申しますか、社会的資本と申しますか、こういうものの充実をすることによりまして、経済学でいっておりますいわゆる外部経済を充実することによって、企業自身にとりましても経済的にプラスになる、こういうふうな行き方を目ざして、社会的資本の充実に全力をあげるべきときであろうと存じます。したがいまして、そうしたわずかばかりの電気ガス税の低下よりも、むしろこれを都市の税金として確保いたしまして、これによって都市が工場その他から要求されるところの、ただいま申し上げました公共施設をどんどん充実をしていく、それがまた間接に工場自身あるいはそこに働く人々にとっても非常なプラスになるという方向をとるべきであるということを確信をいたす次第でございますので、電気ガス税というものは廃止するどころか——年々一%ずつ減らしてしまって、しまいにはなしにするというふうなおそれのある方針を一てきいたしまして、安定した形でしっかりこれを確信すべき税金ではなかろうか、こういうふうに考える次第でございます。  今回の電気ガス税の一%減にあたりましても、たばこ消費税の一・六の増というふうな税源を御措置くださいますことは、非常に私どもありがたいと思うわけでございますが、現実の問題といたしまして、六十六億あるいは七十二億というふうな、総額においては電気ガス税一%とたばこ消費税一・六%とが見合うわけでございますけれども、都市の大部分におきましては、電気ガス税一%のほうがはるかに多いのであります。たばこ消費税の丁六によって電気ガス税一%よりも増を来たすという団体は、町長さんもおいでになりまして恐縮でございますが、むしろ町村でございます。都市の場合は、非常な減収を来たすわけでございます。しかも、その総額のみならず、将来に向かっての伸長度におきまして問題にならない差額がございます。電気ガス税がなぜすぐれた税金であるかと申しますと、都市の非常な急テンポな発展に伴って、伸長度が非常に高いということでございますので、その伸長性の点から申しましても、電気ガス税というものは、たばこ消費税に比べて、はるかに自治の向上には役立つ税金であるということを申し上げたいと思います。  さらに関連をして申し上げたいと思いますのは、今回行なわれようとしておるところの綿織物等に対する軽減措置でございます。これは私どもとしては絶対に反対をいたしたいと思うのでありまして、御承知のように、これは非課税品目に追加をしようということが、どうも綿紡は非課税品目には適さないということで、やむを得ず百分の七を百分の二にするというところで妥協をしたという形のようでございますが、こういうふうな国の経済政策によるところの減税が、たとえば電気ガス税一般としての一%引き上げというふうなことは、税制調査会でも御審議をいただきますし、政府としてもいろいろな機関で御審議になるわけでございますが、こういう特定の商品についての電気ガス税軽減あるいは非課税というふうな問題は、むしろいつも年度の終わりごろになってぱたぱたと、陰といっては失礼ですが、陰できまってしまう。そういう国の経済政策でおやりになることはけっこうだと思いますが、そういうふうな措置によって都市の税収というものが大幅に左右されてしまうということ自体に、私どもは都市としての課税権の問題あるいは税収の確保の問題、特に現在は長期財政計画によって実行しなければならない行政的な施設がたくさんございますので、そういう長期財政計画の樹立の点から申しましても、私どもはなはだ割り切れざるものを感ずるわけでございます。これは経済政策としておやりになる場合には、必ずそれにかわる何らかの財政的な措置を講じていただかなければ、私どもが知らない間に突然われわれの税収が激減されるような非課税品田の追加あるいは軽減措置というものがはかられる、こういう結果にただいまはなっております。この点につきまして、本年は綿織物でございますし、来年は紙だということがいわれておりますが、そういうふうにして一つ一つ電気ガス税軽減をされていって、しまいには電気ガス税そのものが全部否定されてしまう、こういうふうな結果に陥ることを非常におそれるわけでございます。この点ぜひまた御配慮をいただきたいと存じます。  最後に、電気ガス税の問題といたしましては、この際プロパンガスに課税をすべきではなかろうか。御承知のように、都市ガスに比べまして、特に地方都市におきましてはプロパンガスの需要というものは非常に高まっております。むしろ都市ガスと競争の位置にありまして、都市ガスが圧迫されるようなところが発生をいたしております。プロパンガスの捕捉のしかたというものは非常にむずかしいということは存じておりますけれども、何らかの時点において、これを課税対象として当然取り上げるべきであろうというふうに電気ガス税について考えております。  あと、ガソリン税の問題につきまして、ただいまもほかから御意見もございましたが、道路交通の現状から申しまして、ぜひ市町村に道路目的の意味を含めた財源を付与していただきたい。ガソリン税のごときは最も適当なものであろう。アメリカあたりには、すでに都市にガソリン税の還元はりっぱに行なわれておるのでございます。そのほか、電気ガス税に限らず、たとえば発電所の固定資産税等、いろいろな非課税あるいは減免規定がございますが、これらはひとつ根本的にこの際整理をして、安定をした財源を都市に与えるべきではなかろうか、こういうふうに考えております。  時間がございませんので、以上ごくあらましをお尋ねによりまして申し上げた次第でございます。ひとつ、よろしくお願いいたします。
  50. 田川誠一

    ○田川委員長代理 以上で、各参考人からの意見の開陳は終わりまた。
  51. 田川誠一

    ○田川委員長代理 質疑の通告がありますので、順次これを許します。華山親義君。
  52. 華山親義

    ○華山委員 いろいろ教えていただきましてありがとうございました。  小西さんにお伺いをいたします。私、非常におそれておりますことは、このたび住民税減税になりまして、補てんをされるわけでありますけれども、補てんでございまして、自治省当局のお話を承りましても、自然増収あるいは交付税の自然増、そういうふうなこと、その他によりまして、減税を吸収していくことができるだろうということを言われるわけでございます。それはそれといたしまして、こういうふうなことで補てんということになりますと、五年間は行政水準が現在のままであるということでございます。そして一面におきまして、他の、税の伸長の早いところは、都市等におきましては、ぐんぐん伸びていきます。小農村、そういうところは五年間ストップ、他のところは伸びる。そこに地方格差が出るのではないかということを私は心配しておるわけでございます。それでおそらく私は農村はそういうことではがまんしない、だろうと思います。そういたしますと、この行政水準を上げるためにいろいろな方策をおとりになるのではないか。一つの例を申し上げますと、住民税減税がなった。しかし固定資産税におきまして、そういうところは農地が多いのでございますが、農地につきまして、現在とっておられる税率、それは基準ですか、標準ですか、その税率よりも五〇%上げることができるわけでございますが、そのほうを上げて、これを埋めていく、住民税減税農地負担にかかっていく、そういうふうなことがあるのではないだろうか。また税外負担が、苦しくなりますといろいろな面であらわれてくるのではないだろうか。それからまたはなはだしいことになりますと、法定外税、これは自治省の御方針では、あまり自治省はこういうことをチェックする方針ではないというお話でございますが、法定外税をつくっていく。かつてありましたように、果樹に税金をかけましたり、家畜に税金をかけましたり、そういうふうなことが出てくるのではあるまいか。農村においては、特に財政におきまして困っております。その困っていることをそういう方面に求めてくるような気がいたしてなりません。  抽象的でございますけれども、これらにつきまして、一般市町村、特に東北等における寒村、小寒村等におけるところの傾向等につきまして、お感じでもお聞かせいただければけっこうだと思います。よろしくお願いいたします。
  53. 小西欣弥

    小西参考人 華山先生の御質問でございますが、私も一部は全くそういうことが案ぜられるかと思います。ただ私は実は香川県でございまして、その他のことはよく存じませんので、香川県の趨勢というもので御承知いただきたいと思います。  実は香川県では、大体において県が小さいために、万事がもう隣の町村と非常に筒抜けでございます。したがいまして、いまおっしゃるような面で行政水準が低下をいたしますが、これにつきましては、私ども町村会としては、常に交付税の配分等にあたりましては改正をすることをお願いいたしておりまして、特に三十九年度以降につきましては、いわゆる傾斜配分の度合いを増してくださるというお話を承っておりますので、それに期待をいたしております。ただ、これはもうざっくばらんに申し上げまして、従来三十三年、三十四年、三十、五年、三十六年、三一七年と順次私どもの行政水準がかなり上がってまいりました。ところが三十八年度は、この減税もございますし、私の町も予算町会で通したばかりでございますけれども、私の町の場合には、三十八年度から九年へはほとんど行政水準を上げるだけの一般財源はございませんとしか考えられぬのでございます。その点はまことに残念でございますが、これは、来たるべき、いま申し上げた交付税の傾斜配分にのみかかっておるということでございます。  それからいまお話のございました五〇%増徴等できるじゃないかということでございますが、現在でも増徴しているところはございますが、香川県の趨勢としては、やはり統合中学校を鉄筋で建てるから三年なら三年上げようとかいうような、一般行政水準のために増税をするんだという考え方の町村は少ないんじゃないか。特定の事業をあげまして、農業構造改善をやるんだから、これだけの間は上げようじゃないかというような、事業によって上げるのでございまして、これは、事実は上げるかもしれませんけれども、ある意味においては住民の納得が得られるんじゃないかというふうに考えます。  それから法定外の税等につきましては、香川県はおそらく法定外の税の最も少ない県でございますので、私どもは香川県におきましては、今度の程度であれば、法定外の税が特にふえるということは、香川県としては考えておりません。
  54. 華山親義

    ○華山委員 ありがとうございました。香川県は農業県といたしましても立地条件がよろしゅうございますのでそういうことだと思いますが、私、実は東北等の寒冷地帯における状況を心配をいたしております。  それから満川さんにちょっとお話お聞きいたしたいのでございますが、先ほどお触れになりましたから、私深くお聞きいたしませんが、いろいろな点におきまして、農地課税につきまして根本的なことを検討しなければいけないと思います。ただこのたびの原案につきまして、私が直感的におかしいと思いますことは、先ほど申されましたが、採草放牧地は二割を限度といたしまして税が上がるということでございます。農地法等におきましても、田畑と採草放牧地というものは、一緒の、同じような取り扱いをいたしております。やはり農業用地として、二つの大きな要素として取り扱っているわけでございます。それでこのたび農業用地としてカッコしまして、特に(田又は畑)と書いてありまするから、採草地、放牧地は入りません。採草地、放牧地におけるところの税というものは、しかく大きいものではないかとも存じますけれども、北海道、青森県等の大枚牧地のことになりますと、私は相当のやはりまとまったものになるのではないか。それで現在の農業のあり方といたしまして批判のことは別といたしまして、選択的拡大といっている、そういうふうな方向におきまして、額の問題は別といたしましても、観念上一般の田畑などと別個の扱いを採草地、放牧地にするということは、私ははなはだ、初めにどうしたんだろうかという観念を抱きました。この点につきましてお話を伺いたいと存じます。  それから、私見ているのでございますけれども、リンゴ畑とは申しますけれども、相当宅地に類するところにリンゴを植えている。そういうふうな面におきまして、私は農業用地というものは、この土地の種目というものと別個な考え方でやらなくてはいけないのではないか、こんなふうにも考えるわけでございまして、土地台帳の種目というものだけでこの税をきめていく、私はそこに矛盾がありはしないかと思うのでございますが、このままで参りますと、少なくともかりに原案が通った場合には、さっそく採草地、放牧地は二割以内は上がるということに相なります。その点につきましてお考えを伺いたいと思います。
  55. 満川元親

    満川参考人 お答えいたします。  私どもといたしましても、新しい農業政策上選択的拡大という部門は、特に果樹とか畜産とか野菜とかでございます。そういう農業を発展させるためには、できるだけ土地負担というものを軽減しなければならぬ、こういうふうに基本的に考えます。したがいまして、農地、田畑につきましては、特例経過措置ができましたけれども、先ほど申しましたように、採草放牧地というものが田畑から除かれて、現状の線で税額が押えられないということになりますれば、できるだけ私どもといたしましても、採草放牧地につきましても、田畑並みにしていただきたい、こういうような考えを持っております。  それから、ただいま先生がリンゴ畑につきまして申されましたけれども、やはり農家の宅地の問題でございますが、御承知のように、宅地というものを農家はたくさん持っております。しかし実際蔬菜をつくったり何かしまして、そこで農業をやっているという宅地もあります。現状からいいますと、農地であるけれども、種目上は宅地、こういう点も農業者は、私どもいろいろ会議なんかでも問題にいたしまして、宅地なんかもそういう観点から値上がりしないように希望しているわけでございます。それを含めまして、やはり果樹園なんかもそれに関連して実際の現況をよくとらえて、これは徴税事務に関連すると思いますが、そういう点も十分に御留意してやっていただきたい、こういう希望を持っております。
  56. 華山親義

    ○華山委員 いろいろほかの力もお尋ねになることが多いと思いますので、私は気のつきましたことをお聞きいたしただけでございます。ただ先ほど徴税のやり方でおっしゃいましたけれども、法律できめてありますと、今日自治省のほうに御質問する機会がございませんが、徴税のやり方で手かげんをしていくということはむずかしいのじゃないか、こういうふうに考える次第でございます。  ありがとうございました。
  57. 田川誠一

    ○田川委員長代理 川村継義君。
  58. 川村継義

    川村委員 お三人の方、まことに御苦労さんでございました。二、三お聞かせをいただきたいと思います。いろいろ貴重な御意見をいただきましたか、この際大事な審議の過程でございますから、具体的な問題でお聞きをしておきたいと思います。  第一には、森市長から話がございました点でございますが、不交付団体の問題についても何か手を打つべきじゃないかという御意見があったと思います。そこでまず事務当局のほうに、ちょっと聞いておきたいと思います。ことしはただし書き方式本文方式に近づけるために、一歩進めて、扶養控除所得控除にした、青色、白色の税額の控除を法定したということになっておりますが、来年はおそらく超過課税についての地ならしということが行なわれ標準税率を設定する、こういう構想であったと思うのですが、現在ただし書き方式をとっているところ、それから本文方式をとっているところ、皆さん方からいただいた市町村の大体の数字はわかっております。不交付団体では、ないと思うのですが、不交付団体でただし書きを採用しているところがございますか。
  59. 細郷道一

    細郷政府委員 数はわずかでございますが、現実にございます。
  60. 川村継義

    川村委員 不交付団体の中でもただし書きをとっているところもある、あるいは本文方式をとっておるところもある。それはもちろん大多数だろうと思う。本文方式の中でも準拠税率によっているところ、あるいは超過税率によっているところ、これもある。そうなると、いまの不交付団体でただし書きをとっているところは、ことしはその財源補てんの対象にならないのかなるのか、超過税率をとっている不交付団体は来年財源補てんの起債を認めるその範囲に入るかどうか、その辺のところをもうちょっと明らかにしてくれませんか。この前いろいろ御説明は承っているようですけれども……。
  61. 細郷道一

    細郷政府委員 三十八年度におきます不交付団体につきましては、今回の措置に伴う減収補てんの起債は認めない。そのかわり特別交付税によって処置をいたしたい、こういう考えでございます。
  62. 川村継義

    川村委員 そうしますと、先ほどの森町長の御心配はやや緩和するということになるわけですね。それが一つであります。  それからいま一つ聞いておきたいと思いますことは、これは小西さんでも森さんでも、あるいはお二方からでもよろしゅうございます。お話を承りたいと思いますが、今度の住民負担軽減に伴って、財源補てんはある程度、ああいう形ではありますけれどもすることになっております。ところが私が心配するのは、今日まででもただし書き採用市町村において、特に住民の税外負担というものが非常に多い傾向を示しております。ところがこのような、せっかく住民税負担軽減、不均衡是正ということがなされますけれども、今日のこのやり方で来年、再来年といったら、なおさらそういう地方団体住民の税外負担というものがおっかぶさっていくのではないか、そういう心配がしております。この税外負担については、自治省当局もずいぶん努力をしてくれておりますけれども、私たちの見るところ、一向実効があがっておりません。近年特に大きな負担がやはり次から次に出てきている。近ごろは高校急増に伴った税外負担が非常に多いようでありますけれども、小学校あたりでは、特に学校教育で申しますと、プール建設等でずいぶんな負担がかかっておる。そこで今後私たちがぜひ税外負担を軽くしていこうと考えても、それはほとんど実効があがらないで、かえってこういうような措置によって税外負担の増高を来たすのではないかということを心配いたします。その御見解はいかがでございましょう。もしもそういう心配があるとなると、何とかしてこれを解消するためには、別途やはり財源措置というものを考えなければならない。それはどういうような措置考えたらよろしゅうございましょうか、御見解をひとつお聞かせいただきたい。
  63. 森岡敞

    ○森参考人 ただいまの税外負担の問題のお尋ねでございますが、これは私ども非常に心配をしている点であります。しかし住民税課税方式の統一あるいは税率の統一ということは、そういう心配がありましても断行しなければならない問題だというふうに考えるわけでございます。それによって生ずるところの補給し切れない財政欠陥等につきましては、住民の税外負担の方向へ行くおそれが必ずしもなしとしないわけでありますが、いま一般に言われておりまする都市の税外負担の問題は、これは私は上のほうから正さないと直らないという気がいたします。それはただいま学校の例が出ましたが、国が国立の高専あたりの負担を府県におかけになる、府県はやむを得ず府県立高等学校の負担市町村にかける、市町村はそれはまあ市税から払いますから、そのほかの事業が圧迫をされて税外負担をかける、こういうふうな結果になっておりはしないか。したがってそういうふうな国と府県と市町村との負担区分の是正ということ、これは自治省に非常に強く御指導いただいておりますけれども、お話しのように国のほうが大体改まっておらないのですから、それが押せ押せで下までくるというのが現況であります。この点むしろ私は政府にお願いしたいというふうに思うわけでございます。プールなどのようなものは、やや趣を異にいたします。たとえば中学校のプールの場合は、水泳はある意味では教科課程に入っておりますけれども、都市がつくってまいります小学校あたりの問題になってまいりますと、財政の余裕があったときにつくろうと言っておるのを、PTAあたりの競争になりまして、もうその財政計画は狂わしてもつくってくれというような場合が、御承知のようにたくさんございますので、こういうふうなほんとうの義務づけられた施設以外のものを、年度を繰り上げてつくっていこうという場合には、これは必ずしも言われておるところの税外負担ではなかろう、こういうふうに思います。問題になるべき税外負担というのは、たとえば国道の負担が府県にかかるとか、府県道の負担市町村にかかろとかいうような、義務的な支出の負担が、負担区分を無視して課せられるという点でありまして、これはむしろもとから正していかないといけないのじゃなかろうか。しかしこれもなかなかむずかしいことでございますので、そうした場合の財源措置としては、先ほどから繰り返して申し上げますように、電気ガス税であるとか、あるいは大規模償却費席税とか、そういうような都市の発展に伴ってわれわれの最もあてにしておるようなものを、どんどん削減をしていかれるようなことはやめていただきたい、こういうことであります。
  64. 小西欣弥

    小西参考人 私ちょっと土木のことだけ申し上げたいと思います。実は私の町も、中小河川とか、かなりの県道とか持っております。これはお取りにならぬ県もあるようですけれども、県費支弁の河川なり県費支弁の道路あたりでも、みんなやはり七%とかあるいは一〇%とか負担金を取られておる。そういうような問題がございますので、これらは何とかお考えをいただいて、そういうものの負担をはずしていただくことで、先ほど御心配のような税外負担が大きくならぬようにぜひともしていただきたいというふうに考えておるわけでございます。  それからこのたびの地方税法の改正について、特にふえるというふうに実は考えておりません。仕事を締める以外にないのじゃないかというふうに考えて、そのために取るということは住民が納得いたしません。おっしゃるとおりそれでは住民負担軽減になりませんから、それはとても住民が納得しないし、議会もそういう場合は議決しないと思います。そういうことにはならぬと思っております。
  65. 川村継義

    川村委員 小西参考人のお立場でそういうことを申していただくと、たいへん私どももうれしく思うわけであります。ややともすると、町村長さんの中には、そういう負担住民にぶっかけてというようなおそれなしとしないところもあるようでございまして、たいへんおこがましいことでございますが、全国町村長会あたりで、十分御関心を持っていただくことをお願いしたいと思うのであります。森市長がおっしゃったように、これはやはり一つ財政のあり方として、国と県の間あるいは県と市町村の間の財政の秩序を正しくするということが、今日の地方財政考える場合の一番大きな課題であろうと私たち考えております。どうぞこの後とも皆様方の御鞭撻を実はお願いしたと思う。それと、そういう欠陥が出てくるのは、私が申し上げるまでもございませんが、国の負担の基本額の問題とか、補助単価の問題とか、いろいろございましょう。こういうこともやはりきちっとしていかなければ、地方財政そのものが乱れていくということを心配をいたしておるわけであります。こういうような軽減措置が行なわれるときに、それが余分の住民負担に転嫁されないようにぜひ御努力をお願いしておきたいと思うのであります。  それから小西参考人のほうからお話がございました、今度の住民税改正に伴いまして、国民健康保険税は、もとのとおりの、ただし書きの当時の方式で徴収をする、こう言われております。これは町村としては役場の皆さん方がずいぶん事務的に繁雑になるのではないかと心配をいたしておりますが、いかがなものでございましょうか。これは役場の事務量あるいは職員の立場からいたしましても、たいへんなことではないかと思うのでございますけれども、お考えを聞かせていただきたいと思います。
  66. 小西欣弥

    小西参考人 私もたいへんなことだと思っております。これにつきましては、これはもうほんの私見でございますが、応益税の分の五〇%以外の五〇%について、これはもう農村だけの利便を考えれば、所得割の分と固定資産税割の分の比率を改めることによって、かえって事務の簡素化がはかれるのではないかという気は持っております。これはもう全くの私見であります。しかしいまのまま永久におっしゃるとおりな別の課税方式のものを使うということでは、これは全くたいへんな徴税費がかかると思っております。
  67. 川村継義

    川村委員 その点は私たち一つの問題として考えておるわけでございますが、時間もございませんから、いろいろ小理屈的なことは申し上げないことにいたします。  そこで、その次にお伺いいたしておきますが、この前自治庁のほうからいただきました固定資産の評価がえの事務の進捗状況を見ますと、大体土地の評価の事務、家屋の評価の事務等の例をあげてございますけれども、土地の評価については二月に完了する、家屋の評価事務等は大体三月上旬から中旬に完了するようにしてございますが、これは皆さん方の市町村では評価がえの事務の進捗状況はいかがでございましょうか。実は御承知のとおり、この前の地方税法の一部改正で、台帳の閲覧期間、納税期日等の一カ月延期がなされておりますけれども、はたして間に合うだろうか、たいへんなことではないかということを心配しているわけです。これは実は全国の現時点における進捗状況がわかれば非常にありがたいのでございますけれども、これはいまお聞きしても無理かと思いますが、皆さん方の市町村あるいは周囲の市町村等でおわかりでございましたら、その進捗状況を少しお示しいただきたいと思います。
  68. 小西欣弥

    小西参考人 香川県の場合を申し上げますと、土地の評価が、市町村におろしましたのが三月の初めでございました。しかしそれまでに一筆調査はずっとやっておりまして、一応の評価点みたいなものが出ております。あとの整理でございますので、私の町の場合には、いままでおります人間が——まあ、ほんとうは評価というのは、三人くらいしかおらぬのでございますけれども、そこへ約七名くらいの臨時、主として女を入れていまやっております。一カ月おくれれば私の町では間に合わせ得る。香川県でも大体ほぼ歩調をそろえておると思います。ただ香川県の場合は、全国で大阪に次いで面積が狭い、人口の多いところでございますので、農地も五反百姓でございますから、一筆の調査はそういう意味でよそよりは、二町歩平均という府県よりは、非常に楽だということはいえるかもしれませんけれども、香川県ではそうでございます。
  69. 川村継義

    川村委員 家屋のほうもちょっとわかりましたら……。
  70. 小西欣弥

    小西参考人 家屋も大体間に合うと思っております。家屋はそれほど大きな、土地みたいに評価のしかたが変わりませんでしたから、比較的楽な、いままで経験のあるのは、とり方が少し変わった。土地の場合には非常にめんどうでございましたけれども、家屋はそれほどでございません。熟練しているといえば熟練しておりますので、間に合うと思っております。
  71. 森岡敞

    ○森参考人 島田市におきましては、土地の準備は一切完了いたしております。静岡県下の諸都市も大体うまくいっておる、こういうふうに私は見ております。他府県のほうはちょっと私にはわかりません。
  72. 川村継義

    川村委員 実は私たちの地元のほうから、そういう評価の事務的なものについて一、二問い合わせがあるものですからお聞きをしているわけでありますけれども、全国の実際の状況はよくわかりませんから申し上げたわけでありますけれども、実は御承知でございましょうが、十二月二十五日に、今度の新しい評価がえの、固定資産の評価の基準並びに評価の実施方法及びその手続を定めたものが出ているわけでございます。これに基づいてやられるわけでありますけれども、これは大体いままで準備しておられますから、事務的にはそう問題がないと思いますけれども、いま一つ、やはり私が問題と思って心配しているのは、追っかけて一月二十八日にこの修正が実は出ているわけですね。固定資産評価基準の一部を改正する修正が一月二十八日の官報で告示されております。こういうようにおくれてその評価を指示するなんということはたいへんな問題を起こすのじゃないか、こういうことを心配しておりますからお尋ねしたわけですけれども、皆さま方のほうでは御心配がないようであります。この点についてはまた後ほど当局によくお聞きをしたいと思っております。  それから、いま一つお聞きしたいと思いますことは、電気ガス税のことについて森市長からいろいろお話がございましたが、お話の、電気ガス税の廃止には賛成できない、こういう御意見がありまして、これは皆さん方市長会のほうからもたびたびわれわれのほうにそういう要請が出ておりまして、市長会のものの考え方は、お話のとおりよく存じ上げておるわけでありますけれども、午前中に税制調査会の御意見を聞きましたら、やはりこの電気ガス税は、一口に申し上げますと、軽減方向をとるべきである、そういう御意見でありました。そこで市長会のほうではどういうような御検討を加えていただけるかわかりませんけれども、われわれも一般家庭消費の電気については、やはり軽減をすることがいいのではないか、こういう見解を持っております。ただ、今日の電気ガス税のあり方は、くどくどとは申し上げませんけれども、いわゆる非課税品目が非常に多い。その非課税品目の中には、もうすでに目的を達しておるところのものもずいぶんあると思います。ほとんど整備されていない。そういうようなものをやはり整理することが、あなたがおっしゃったような土地のいろいろな問題を、その市行財政の問題を考えるときにこれは必要なことであって、そちらのほうに手を触れないでおいて、そうしてただ一律に一%下げる、こういうような行き方が問題ではないか。非課税の品目を整理する、非課税になっておる産業方面にもやはり少し電気税を出してもらう、そうして反面一般家庭の税金はなるたけ軽減をしてやる、こういう方向をとることがいいのではないかと思うのでございますが、いま一度お考えをひとつ聞かせておいていただきたいと思います。
  73. 森岡敞

    ○森参考人 私もただいまの御質問のとうりの考え方を持っておりますが、ただ電気ガス税を論ずる場合に、一つはこれが動力課税である、原料課税であるというところから、軽減ないし廃止を主張する面と、ただいまのお話のように家庭的な消費電力という、大衆課税であるからというふうに軽減を主張する場合と、二つの要素がまじり合っておるというところにこの問題の根本があろうかと思うのでございます。  それで大衆課税の点でございますが、これは電気の消費量というものをグラフにとりますと、わが国におきましては一般の日常生活に伴う食料品等のカーブとは違いまして、所得の多い層へいってずっと消費量が上がってきておるという傾向が見られます。必ずしもこれすべてが家庭用の必須のものとばかりは言えない。ある程度まではそういうことが言えるわけでございます。そこで免税点の問題が問題になるかと思いますが、地方小都市に参りますと、現在の免税点以上に出ておるという家庭は、大衆の家庭ではそう多くはないのであります。大都会の生活は存じませんが、地方都市の場合では、現在の免税点以上に出ておるという家庭消費用電力の家庭数というものは、そう多くはございません。もしそこに心配がありますれば、多少免税点を上げるということが考慮されるといたしましても、それよりも問題は、まさにただいまお尋ねくださいました非課税品目の整理であるとか、そういうような産業用電力というものについてのもっと合理的な正しい行き方をこの際とっていくことが、最も必要であろう、そういう点につきましては、私は全く同意見でございます。
  74. 川村継義

    川村委員 ありがとうございました。
  75. 田川誠一

    ○田川委員長代理 安井吉典君。
  76. 安井吉典

    ○安井委員 三参考人から、たいへん貴重な御意見を聞かせていただきましてありがとうございます。  私どももこれまで二週間余にわたりまして、地方税制の改正問題と、全体委員会あるいは小委員会の中で取っ組んできたわけでありますが、その中でも、政府のこれまでの施策につきまして、私どもは私どもなりの立場からいろいろ指摘をしていたわけです。それが先ほど来のお話の中で、はっきりと裏づけをしていただいたという面もたくさんあるわけで、したがって、これまでいろいろ処理をしてきた点を、一そうはっきりした形にしていかなければならないし、さらにまたきょうお話のありました点で、まだ十分に詰めてない個所もございますので、これはまたあす自治大臣においでいただきまして、さらに詰めた論議もいたしたいし、また私どもは私どもの修正案を提出する、こういうようないろいろな運びにいたしているわけでございまして、その上にも非常に参考になる御意見をお聞かせいただきましたことに感謝を申し上げるわけです。  いままでいろいろお話がありましたので、これ以上お尋ねをする必要もないと思うのですが、ただ一、二点だけ簡単な点でお伺いをしておきたいと思うのです。都道府県民税の徴収の問題でございますが、これは市町村立場から非常に徴税費が足りない。都道府県が当然徴収しなければいけないものを市町村にかぶせてしまって、しかも十分にそのための費用をよこしていない、こういうような御批判がずいぶんあるわけです。これを自治省のほうに聞きましたら、いやそれだけに当たる分くらいはきちんとやってあるのだ、こういうようなことであります。先ほど小西さんの御意見の中にもございましたが、ひとつ小西さん、さらに森さんのほうから、市町村の側としてこの問題をどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか、この点ちょっと伺っておきたいと思います。
  77. 小西欣弥

    小西参考人 安井先生のお話でございますが、特にこのことを申し上げたいと思います。これは税務局長さんにしかられるかもしれませんが、実は香川県の全部の町村が納税組合に、私の町でも納税組合に九七、八%まで入っております。なぜそんなに入っておるかといいますと、納期内完納すれば納税組合に約五%出しております。このために九〇何%も入っております。五%出すならそれだけ税金を下げたほうがいいというのが当然の理屈だと思いますけれども、しかしこういう慣習がございます。  ところが都道府県民税についても、それを出さざるを得ない。一緒に持ってくるのですから、同じ令書の中に書かれていて、それをやはり都道府県民税の分にも五%出してやるということをお考えいただければ、自治省のお考えの都道府県の徴税費ではとても足らぬだろうということは、お察し願えるのではなかろうかと思います。
  78. 森岡敞

    ○森参考人 都道府県民税の徴収の問題は、徴収費用という点も確かに御質問のようにあろうかと思いますが、私はむしろ税金の性格の点に私どもが非常にこれを返上したいと考えておる点がございます。それは私は都道府県民税というのは非常に妙な性格の税金だと思います。かつてシャウプ勧告がありましたときに、住民税市町村税源にするということで、三段階の区分をいたしたことがございますが、それがいつの間にか乱れてしまいまして、府県民税が創設されたというようなことは、これは府県というのはおそらく補完行政の段階だろうと思います。住民税というものはやはりどこまでも市町村の税金にしていくべきではなかろうかと思うのでございます。たとえば私のところでも数年前にそれまでただし書き方式、超過税率をとっておりましたのを、一挙に本文方式準拠税率に切りかえたことがございます。市はそのときに一千万近かったと思いますか、減収を覚悟いたしましてこれを断行したわけです。ところが、とたんにその年に県民税が増税になったわけで、住民はそのとき、市がやっておりますから切符もくっついてまいりますから、住民から考えますると、県民税の意味や市民税の意味というのは、そうすべての家庭が知っておるわけではございませんので、せっかく私どもが泣きの涙で減税住民のためにやりました。ところが県民税が増徴になりましたために、何か増税せられたというような感じを受けまして、住民に対する市の政策がまことに意味が不徹底、こういうふうな同じ性格のものを、市町村と府県がとっておること自身に私は矛盾があるのではないかという気が強くいたしました。現在としては徴税費の問題もございますが、私ども市長会としてはこれはひとつ県でとっていただきたい、こういうことを申しておるわけです。ただ県のほうでも徴税費がだいぶおかかりになるので未解決でございますが、筋から申しますると私どもはそう考えております。
  79. 安井吉典

    ○安井委員 その点は確かに市町村長さんのせっかくの御努力が、住民からそのとおりとられないというような問題もありまして、確かにこれは今後とも一そう考えていかなければならない問題点だと思います。  もう一つ伺いたいのは、公団の住宅に対する固定資産税の問題ですが、自治省の行政指導で、公団住宅に対する固定資産税軽減しなさい、こういうことになっているわけです。これまでもきたわけですね。ことしの改正の中では、新築の場合については確かに軽減措置が法律の中でとられる、こういう仕組みになりました。しかし、すでにあるものについては、やはり従来の行政指導でいくという形のようでありますが、その際において、各市町村の場合には、その立場からすると、公団に住んでいる人はきちんとしたりっぱなうちに住んでいる。そちらのほうの税金はまけてやらなければいかぬが、しかし一般の貧弱な住宅に住んでいる人には、減税措置をやりなさいという指導は、自治省は市町村の条例をきめる場合に何もしていない。だから公団のものだけきめて、自治省の指導どおりやれば一般の住民の不平を買うし、そうかといって自治省は、やれと言うし、やらなければ公団の家賃が上がるし、こういうようなことで市町村長さんの立場市町村議会の立場でいろいろ差しんでおられるというふうなお話も伺うわけでございますが、この点いかがでしょうか。
  80. 小西欣弥

    小西参考人 私の町は非常に小さいのでございますけれども、ほんとうの公団はございません。しかし税務署とか警察とか電報電話局とか、そういうものはたくさんございます。それらはもちろん公営住宅とともに全部税金をとっておりません。それは議会でも問題になります。私冗談に、それじゃみなさんの住宅をみな町へ器付しなさい、町へ住宅をみんな寄付したら、町はそれを受け取らないわけにいかぬだろう、固定資産税が高いからみな寄付しますと言われたら取らぬわけにいかぬだろう、家賃をきめるときに適当な家賃をきめましょう、そういう冗談を言うのでございますけれども、そういう議論が出ることだけはつけ加えたいと思います。
  81. 森岡敞

    ○森参考人 私どもも公団住宅はございませんのですが、ただこれは住宅政策としておやりになることであろうと思いますので、ちょっと私の見解がまとまりませんので申し上げられません。
  82. 安井吉典

    ○安井委員 ちょうど公団をお持ちにならない方ばかりでございますので、それじゃこの点別な機会に残すことにいたしまして、最後にもう一つ満川さんにお伺いをいたしたいのでありますが、先ほど来どなたかの御意見の中にも、固定資産税も今度の新評価方式による固定資産評価がえの問題が重大な関心事だということでお話をされたわけです。またどちらも共通の点は三年間の暫定措置の間はまあまあ一応納得ができるが、しかしその中でも部分的には先ほど華山さんも指摘されましたように、牧野とか果樹園等が農地と同じような措置にされないというふうな問題点もございますし、農地は据え置きでも宅地ならば三年間に二割上げなければならぬという、こういう筋も通らぬ、こういうような問題点もございますけれども、とりあえずの調整措置としては一応は胸をなでおろした形だが、三年後は一体どうなるのだという不安をどなたも口をそろえて申されたわけです。特に農政の立場ではこの問題に対して一番関心が深いということが、満川さんのお話の中に伺ったわけでございますが、私どもこの点午前中も税制調査会松隈さんにも強くお願いもしたし、それからあしたの最後的な段階にも自治省の、自治大臣に対して一番大事な問題として御意見を承っておかなければならない点だと思います。  そこで先ほど満川さんのお話の中に、農地やあるいはまた農業関係のいろいろな課税のために、特別な調査会を設けてまで真剣な討議を望むというふうなお話がございました。それぐらいこの問題に対して農民側の関心が強いということの表現だと思うのでございますが、農地をはじめ農業関係の固定資産税に対して、こうしなければいけないというふうな何か具体的な提案といいますか、提案までいかなくても、一つの構想といいますか、そういうものをお持ち合わせでございましたらひとつお聞かせ願いたいと思います。
  83. 満川元親

    満川参考人 お答えいたします。  先ほど申し上げましたように、農地に関する国税地方税を含めて農業者は非常に重大な関心を持っておりますので、そういうような御提案を申し上げて、政府といたしましても責任ある御検討をいただきたいと申し上げたのですが、私どもといたしましても、農地に関する諸税制につきまして今後できるだけ検討いたしまして、具体的な御要望を申し上げようと思っておりますが、たとえば固定資産につきましては、先ほど申しましたように諸外国の例もございますので、農業政策上からも特別な大幅軽減とか、あるいはむしろ思い切って免税にしてしまうというようなかっこうの御研究の上の御結論が出ればけっこうだと思います。たとえば相続税の問題なんかもあります。現在評価いたしますと、特に都市近郊などでは数千万円あるいは一億をこえるような財産になる。しかしこれを相続いたします場合には、やはり農業収益から払うということになるととても余力がありません。むしろ相続を受けた田畑をどこかに売って、その金で、つまり農業経営を縮小して相続しなければならないということにもなります。あるいは不動産取得税とか譲渡税とかいろいろございます。そういう点につきまして根本的に、農業政策上これからますます農業の土地を拡大して、近代的農業経営をしろというような御方針政府にございますから、そういう農業近代化の線ともからみ合って、できるだけ農民に対する負担軽減して、資本を充実して近代的農業に持っていく必要があるのじゃないかということでいろいろ御検討をお願いすると同時に、私どももできるだけ詰めてお願い申し上げたいと思っておるわけです。そういうことをやるにいたしましても、何かその辺の問題を、税制からもあるいは農業政策上からもはっきりと国として御検討いただくことが必要じゃないか、こういうように考えまして申し上げた次第でございます。よろしくお願いいたします。
  84. 田川誠一

    ○田川委員長代理 村山達雄君。
  85. 村山達雄

    ○村山(達)委員 ただいまは三参考人の方から、それぞれのお立場で非常に実感のこもった御所見を承りまして、まことにありがとうございました。私は一つだけ、固定資産税の今度の調整が暫定措置でありますので、利害関係のある固定資産の所有者が、将来の調整について非常な不安感を持っておるように思われますので、その点について三人の参考人の方に少しお聞きいたしておきたいと思います。  最初に、今度の固定資産税の新評価制度は、言うまでもなく従来各種の固定資産の間における評価のはなはだしい不均衡、あるいは同一資産でありましても地域による非常な不均衡、それが形式的に税律が一・四というふうになっておっても、実質的に非常に不公平である、これは何とかして直さなければならぬというのがこの問題の起こった発端でございまして、三十四年に固定資産の評価制度調査会が設けられましてからほぼ五年の歳月を費やしてここまできたわけでございます。しかし今度評価いたしてみますとかなりの激変があるわけでございまして、なるほど理屈の上では、そのことは従来の負担が不均衡であるということが是認されたとしても、直ちにこの新評価によって負担関係を動かすということは、また別の意味で激変を来たすことがある。これは税の執行上やはり考慮しなければならぬ。その意味で、今度の激変緩和調整措置がとられたと存ずるのでございます。  そこで、まず満川参考人にちょっとお尋ねしたいと思うのでございますが、われわれが小委員会によって明らかにしたところによりますと、農地の新評価は平均で全国で大体三割程度の上がりである、全体の固定資産の上がり力はやはり加重平均でいえば約七割五分ということが明らかになっております。片や、今度の評価制度は、これによって固定資産税全体の負担の増加を求めるのではなくて、あくまでも均衡を求めるものである、したがって総額としては増税は行なわないのだ、こういう線が明らかになっておるわけでございます。したがいまして今年の措置は、なるほど農地につきましては従来の税額据え置きということが言われております。三年後または経過措置調整するということになりますか、あるいは一挙に新評価によって新しい負担を求めることになりますか、この辺は今後の研究問題だと思いますけれども、かりに新評価制度負担調整を一挙にやるとした場合には、全体の上がりが七割六分で農地としては三割でございますから、総体では増税する意志はないわけでございますから、したがって、もし新評価に完全に三年後に切りかえた場合においては、農地はむしろ負担としては減税になるのだ、いまの負担よりも総体として下がってくるのだということが農民の各層あるいは農業団体の各機関において認識されておるかどうか。これは明らかにそうなると思うのでありまして、いろいろな調整措置考えられますけれども、負担関係だけを見ますれば、暫定措置を講ずるよりもむしろ根本的に新評価に移ったほうが、これは調整のやり方との関係によりますが、農地に関する限り負担軽減になるとさえ考えられるわけでありますが、農家の一般の方々あるいは農業機関の方々にその点がどの程度認識されておるか、まずその点をお伺いしたいのであります。
  86. 満川元親

    満川参考人 お答え申し上げます。  固定資産税につきましての私どもの考えといたしましては、三カ年の経過措置現状と変わらないということにつきましては非常に感謝しておるわけでありますが、先ほど申しましたように、今度の評価制度が売買実例価額でやるというところに農地の価格というものは収益還元価格によるのが正しいという観点に立っておりまして、売買実例価額でやる場合は非常に例が少のうございますし、そういう点で農民に納得のいかない点があります。そういう点で今度は一応新しい評価で行なわれて三年後にそれが効果を持つようになるわけでありまして、そういう点を考えますと、今度の評価をするものを実際にお使いになるのは四十二年からだと思いますが、その前に先ほど申しましたように、あらゆるものに関連する諸税制の根本的な検討をして、農業者の納得のいくような制度の御確立が願いたいということが基本になっておるわけであります。実際に下がるのだから場合によってはいいじゃないかというような御意見もありましたが、先ほど申しましたような観点から、農地制度の諸税制の再検討を希望するという態度でございます。
  87. 村山達雄

    ○村山(達)委員 もちろんその評価のしかたそのものについて、収益還元方式によるか、売買価格によるかという問題自身一つの問題でありましょう。それから根本的に農村における国税地方税を通ずる税制というものを、農村振興の立場から今後どういうふうに持っていくかという問題も一つの問題でありましょう。私どもがお聞きしておるのはそれではなくて、それとは別に、負担関係だけを言っておるわけであります。新評価の実施に伴って農家の負担は、根本的に切りかえれば減ることはあっても現状よりふえるはずはないのだ、これは新評価制度切りかえによる負担関係の移行の関係であります。今後宅地が三年間にどういう上がり方をするか、農地はどういう上がり方をするか、したがってこれから三年のものを将来織り込むことによってどうなるかという問題はもちろんわかりません。そのことを言っておるわけではありません。私があくまでも問うておりますのは、かりに新評価制度に一挙に切りかえた場合には、農地はどう考えてみても現存よりも総負担において安くなるはずだということが十分認識されておるだろうかという点です。事柄の是非ではありません。そういう負担関係がむしろ減る傾向にあるのだ、減らねばならぬはずだということが認識されているかどうか。これはもちろん個々の農地によって違いますけれども、農地全体としてはそうなる筋合いではないかということが認識されておるかどうかということをお伺いしておるわけであります。
  88. 満川元親

    満川参考人 私どもといたしましては、新しい評価が行なわれて、現行税率で行なわれる場合には農地に対しての固定資産税は上がる、こういうふうに考えております。
  89. 村山達雄

    ○村山(達)委員 現行負担額の範囲内でやった場合にはの話でございまして、そこには一つのかんぬきがかかっておるわけであります。固定資産税全体としては、新評価制度は増税を求めるものではないのだというかんぬきがかかっておりますから、もし総体の評価が上がるということなりますれば、その調整方法税率でやるということも考えられましょう。まあ税率だと考えてもよろしいと思いますが、極端にいいますと評価が全体で一・七六倍上がればいまの税率の百分の一・四を一・七六で割れば、調整後の税率が出てくるわけであります。農地の上がり方は、明らかにしたところによりますと約三割くらいでございますから、七割六分でもって割るわけですから、そういうことですから総負担が下がってくるはずではないか。政府がしばしば言明していることから言いますと、賛成、不賛成は別でございますが、農地はどうしてもこの新評価制度によってグループごとに見ますと負担はかえって減るはずだということが認識されておるかどうか。これは当然最終調整をやったとすればそうなると思いますが、その点が新評価制度の将来の切りかえということを非常に不安に思っておられるだけに、そのことがよくおわかりになっておるかどうかということを重ねて聞いておるわけでございます。
  90. 満川元親

    満川参考人 おっしゃるとおりでございまして、一年前でございましたか、先ほど申しましたように、どうしてもこの新評価でやった場合に農地が上がる、それがどうしても強行されるという場合には、税率改正というところにわれわれお願いしなければならない、そして絶対額が上がらないようにお願いしなければならぬ、こういう態度を一年前、ちょうど三月五日でしたか、とったわけでございますが、しかしいろいろ問題を検討いたしますと、やはり新評価制度そのものかどうも農民から見まして問題である。したがって、どうもこれはおかしいから、三十九年度から実施することを見合わせてほしい、その間に先ほど申しましたように、根本的な御検討をいただきたいというふうに持っていったわけでございます。したがいまして、実際の負担ということを考えますと、評価が幾ら上がっても、やはり税率のほうでずっと下げてくるような御調整をいただけば、その場合にはこれは一応解決つくと思いますが、やはり基本的にはそういう問題が残っておるので、私の申し上げたように御検討いただくのがよいのではないか、こういうような線で申し上げたわけであります。
  91. 村山達雄

    ○村山(達)委員 私から希望しておきますが、それはもちろんそれぞれのお立場で、別の問題については別の御希望がありましょうし、またそういう検討意味があることだと思います。思いますが、かりに新評価制度に切りかわった場合においても、農地全体はやはり負担がふえることはなくて、むしろ総体的に、総ワクは増税するわけではございませんから減る筋合いになるということだけを私は、農民の方々によく知っておいてもらいたいということを、特にまたその機関にある人は、そういうことを知らせておく必要があるのではないかということだけを、強く希望を申し上げておきます。  その次に小西参考人、森参考人にちょっとお伺いしたいと思いますが、先ほども申し上げましたように、今度の新評価制度負担の公平を求めるところにあったわけでございます。そこで、皆さんが実感を持ってそれが得られたかどうかという感覚を承りたいのです。  小西参考人に最初伺いますが、従来からおそらく同一市町村の中にあります宅地なら宅地のバランスは、とれておると私は思うのでございます。農地なら農地のバランスは、それなりにとれているだろうと思うのであります。そこで第一にお伺いしたいのは、そうでなくてほかの地域、たとえばお隣の町村あるいはもう一つ飛んでもよろしゅうございますが、そこの従来の宅地なら宅地、それからいまの長尾町なら長尾町の宅地のバランス、あるいは同じように農地のバランスは、全体としてこの前と今度ではどちらが均衡がとれたという感覚を持っておられるか。私は当然とれるはずだと思うのです。むしろそれは非常に意味のあることだと思いますけれども、これは負担は別問題でございます。負担をどうして調整するかということは、今後の問題でございますが、目的としておる市町村間におけるそれらの権衡が、皆さんの実感を通じましてとれたかどうかという点をお伺いしたいのでございます。
  92. 小西欣弥

    小西参考人 これも率直に申し上げまして、香川県は他の都道府県と比べましていままで、明治の地租以来非常に高かったのでございます。それをしばしば関係筋に訴えております。それがこのたびの新評価で、おそらく均衡がとれるということを予期し、またある程度均衡がとれたと私は思っております。  それから私の町村なり近隣町村との比較も、水利の便やいろいろな問題がございまして非常に均衡を欠いておったところも、このたび全部是正をされまして、確かにこのたびの新評価は私は非常な意義があったと考えております。  特に一言つけ加えさせていただきたいのは、私の町も実は農業構造改善事業を、パイロット地区、一般地区、やっております。これが御承知のように三反一枚というふうに、ことに水路もまっすぐになり、農道もちゃんとつき、現在四十町歩くらいやっておりますけれども、これはまだ実は古い評価のままで、まだいまやっておる最中でございます。これが三年後といいますか、今度の新評価にどういうふうに——負担は、御承知のように、これに非常な投資をしておるわけですから、これが投資をしたから価値が上がったのだから、新評価だということで、いままでのにそれをプラスしたものなんということになったら、これはもう農業構造改善事業の足を引っぱるので、これはよけいなことかもしれないけれども、それを非常に心配しておる、こういうことをつけ加えさせていただきたいと思います。
  93. 村山達雄

    ○村山(達)委員 最後に森参考人にちょっとお伺いしたいのです。ちょうど市街地域でございますので、負担関係は別の問題でございます。負担の関係は今後の調整の問題でございますが、新評価そのものとして、たとえば島田市における宅地と農地、こういうものを見ますと、その評価は従来よりバランスがとれたとお考えですか、あるいは従来のほうがバランスがとれているとお考えになりますか。
  94. 森岡敞

    ○森参考人 私は、今回の評価がえの結果というのは非常によろしいと思います。特に市役所が持っておりました従来の評価は、非常に時代離れがしておりまして、実情に合っておりませんので、絶えずそれを是正しながら私どもはものを考えていく、こういうことになっておりましたのですが、今回かなりの手間と時間をかけましたのですが、これは将来都市行政を考え、あるいは住民生活を考えていく場合に非常に大きな意義のある基礎を与えるものではなかろうか、こういうふうに考える次第でございます。御質問の負担の点は、これはよほど考えていかなければならぬと思いますが、評価そのものについては、私は非常に大きな画期的な一つの仕事をやったことになるのではないか、こういうふうに思っております。
  95. 村山達雄

    ○村山(達)委員 いままでの参考人のお話で明らかになりましたように、評価そのものは、この新評価制度が求めました所期の線が少なくとも相当貫かれておる。ここには従来よりもはるかに進歩しているということが明らかなのでございます。したがいまして私は、今後の固定資産税の問題というものは、三年後における負担調整をどうするか、ここにかかって問題があるということが明らかになったと思うわけでございます。その意味で、私の希望でございますが、政府当局におきまして、この意義ある仕事を十分恒久的に生かすためにはどういう措置を講じたらいいか、むずかしい問題ではございましょうが、この画期的な意義のある新評価制度を、ぜひとも固定資産税という税の中で現実的に生かす努力を今後——直ちに適切な結論を早く出していただきたい。そうして、できれば早くそれを知らせてもらって、各関係の方々に納得並びに安心してもらう措置を強く希望いたしまして私の質問を終わりたいと思います。
  96. 田川誠一

    ○田川委員長代理 秋山徳雄君。
  97. 秋山徳雄

    ○秋山委員 一言だけお尋ね申し上げておきたいと思いますが、小西さんと森さんに御回答いただければ幸いだと思います。  固定資産税の評価がえにつきましては、受ける方々の感じがいろいろな角度になっておると思います。たとえば売買実例価額ということが打ち出されておりますために、自分の土地に対しての税金がまず第一に頭に浮かんでくる。したがって評価額ができるだけ安いことを望んでいる人が大多数ではないか。その反面、たとえば学校建設のために明年度は市から買い上げを食うだろう、あるいは道路建設のために市に持っていかれるだろうという地域があるかもわかりません。そういう場合を考えたときには、逆にそういう方々は高く買ってもらわなければならない。そのために安い評価では困るのだという方もあるかもしれません。現在都市の周辺で行なわれているように、悪質な人たちになりますと、地目が山林でありながらいつの間にか宅地になっておる。これを金融機関のところへあるいはまたそういう業者のところへ持ち込んで、大きなお金を借りておる人があります。そのために今度はその人が困って、いろいろ実態を自分が調査にいったところによると、今度はそれが山林の名目になっておるという例があります。そういうことを考えたときに、私の宅地は少し評価が高いんではないか、安くしてくれという方がかなりあるかもわかりませんけれども、その逆に今言ったように、これは安過ぎるのだから高く評価してもらわなければ困るのだ、事実は付近の田はいま売買すれば幾らではないかということがあると思います。お役所の人たちが評価をするにいたしましても、売買満度一ぱいまで見ていくということはおそらくないと思う。せいぜい見て七割か八割どまりが最高の額だと思いますが、そういうことについて考えたときに、一体市役所がいま買おうとする土地、求めようとする土地に対してどういう考え方を持てるか、そういうことが考えられてくると思います。同時にまたここ数年の間、ということばはちょっとどうかと思いますけれども、少なくとも二、三年の間はこの価格が自分の売買価格だというふうに、あるいはこれは誤認かもわかりませんけれども、そういう方々がたくさんあるかと思う。そういう場合に、市でもって今度新しくきめられた価格より以上に高く買った場合に、おかしいではないかという議論が出てくると思う。その場合に、監査要求を受けたりなどした場合、市は困りはしないかと思う。こういう点についての御意見を市の当局者として、町の当局者として承りたいと思います。
  98. 森岡敞

    ○森参考人 ただいまの評価額が非常に現実に合っておらないという点もあるかも存じませんが、市役所が買う場合には、評価額を参考にいたしておらないのでございます。付近の売買実例であるとかあるいは大体私どもが見当つけた価格でもって交渉する、これは公共施設のためでありますので、常に売買の一般の価格よりも低目に協力をしてもらっておるわけでございます。したがいまして、今回の評価がえが行なわれまして、それを御本人が、一般の売買価格がそれであるべきであるという考え方を持つ場合があろうかと思います。大体売買というのは需要供給できまりますので、その点の心配は私どもいたしておりません。
  99. 小西欣弥

    小西参考人 私のところでも、率直に申し上げますと、今度きめられました売買実例価額によるあれはやはり安いようでございます。しかし、農地でございましたら、道とかいろいろなものの関係で、そういうことをちょっと抜きにして評価してございますから、そういうものを当然プラスして実際の売買価格をきめていいんじゃないかと思います。それから宅地の場合には、当然現在の宅地であるものを買うという場合には、排水の問題とかあるいは中には移転物件もございますし、そういうものでは多少の権利みたいなものがございます。そういうものがどうしてもつけ加えられるので、実際は何らの支障がないというふうに考えられるのでございます。  それからもう一つ、実は私ども今度の三年間の暫定措置が出ないで実施されることを非常におそれておったのでございます。それでございましたら私ども役場へは非常に大ぜいの納税者が押しかけて、固定資産の審査委員会がとてもたいへんなことになったと思います。これを三年こういう措置をとってくださったので、しかも私が漏れ聞いておりますのでは、税額のみについて文句が言えるのであって、評価についての文句はいまのところは受け付けないでいいんだということでありますので、三年間延ばせた。つまり三年の次の評価というものが非常にむずかしいのだ、三年間のうちによほど慎重なチェックをして三年後に対処しなければならぬといまから覚悟を新たにしておるわけでございます。
  100. 秋山徳雄

    ○秋山委員 何かぴんとこないような感じを受けるわけです。せっかくのおことばを返してはどうかと思いますけれども実際問題として、ことばのあやかもわかりませんけれども、売買実例価額をもって今度評価がえをするのだということが一般に響いているわけです。そうすると一般の住民が、なるほどおれの地所をいま売買したらこのくらいだなというふうに思うのは無理はない事実だ。その際には役所で今度買い上げするときに、それ以上の価格で——いまお話を聞くと、農地の場合には道路がないのだから、それに何%か増すのが常識なんだとおっしゃいますけれども、これはいま行なわれていることをさしてのことだと思うのです。現在では市役所でこの農地は一体売買したら幾らくらいかと聞けば、大体いま何倍でしょうか、土地の場合には何倍でしょうとか、家屋の場合には何倍でしょうとかいうことが言われておりますけれども、今度は新しくそれを是正するための決定なのですから、そういうわけにいかないのじゃないかと思うわけです。その場合には売るほうと買うほうの関係は考え方においてはもちろん違ってくるでしょう。買うほうになれば少しでも安く買わなければならないことなのですから、これは高く出そうと思うほうが間違いなのであって、もしいまおっしゃるように、当然これは内輪に見ているのだから高く買うべきだということであると、この評価は意義がないと思うのです。私は、そういうことでなくして、あくまでもやはり売買実例価額ということできめるのですから、当然満度一ばいまできめるべきものじゃないかと理屈の上では思うわけですが、それでは税金を払う住民がお困りになるので、それはいま即座にされないということだけであって、評価の場合には、いま売買する予定価格というものが見込まれて計算されるべきものではないか。そうでないと理屈に合ってこないと思いますが、その点もう一ぺん、ひとつ恐縮ですがお答えいただきたいと思います。
  101. 小西欣弥

    小西参考人 私のお答えが、たいへんことばが足りなくて申しわけございません。香川県というのは非常に農地の少ない土地でございまして、全国でも珍しい、新潟県の一部と香川県と愛媛県の一部に甘土料の問題がございまして、甘土料三割という問題がございます。しかし土地の新評価についてはそういうものは含んでおらない。それがあるために私がちょっとおかしなふうに——これは一般におっしゃれば先生のおっしゃるとおりだと思いますけれども、私香川の者ですから、ついそればかり頭にあって、つまり農地としても実際の取引は甘土料を含んだ価格で売買されなければならぬ。それは今度の新評価とは違うんだ、つまり香川県の場合、ほんとうに五反百姓でございますので、農地にそういうものがついておる。その点が多少違うことをつけ加えさせていただきます。  なお、それから農地を宅地にする場合なんかは、私ども町なんかで学校とか、あるいは公営住宅というもののために農地を買います。その場合には、農地はたいがい道路に面しているということがございます。農地に面している農地の価格というものが、そんな非常に高い評価をいたしておりませんから、それで宅地になることが予測されるという、事実としてはどうしてもそれでなければまた手に入らない、そういう意味で申し上げたわけでございます。
  102. 秋山徳雄

    ○秋山委員 最後に一言。何か聞きようによると非常に意地が悪い質問かもわかりませんけれども、私はおそらくそういう問題が起こってくると思います。たとえば私の近所で宅地なら宅地が、今度は道路の拡張でもって買い上げられるというような場合に、市が示した売買実例価額で買い上げないで、それより幾ら幾ら上げて買ったということになると、役所の指導方針が何かおかしくなる面が実際においてあると思います。そういう場合に、中にはこれは不都合じゃないか、市の公金をもって買うのに、自分で売買実例価額をきめながら、それよりも高い金で買うとは何ごとだということで、監査要求が出た場合に、私は監査委員が困るのじゃないかと思います。そういうこともありますので、新評価の場合には非常に心を使って、それをどこから言われても文句のないようにきめていただかなければならないのではないかと思います。そういうことの上に立ってやっていただきたいということでございますから、その点はひとつあしからず御了承いただきたいと思います。御参考までに申し上げておきます。
  103. 田川誠一

    ○田川委員長代理 参考人の方々には長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十二分散会