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1964-02-07 第46回国会 衆議院 地方行政委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年二月七日(金曜日)    午前十時二十九分開議  出席委員   委員長 森田重次郎君    理事 渡海元三郎君 理事 永田 亮一君    理事 藤田 義光君 理事 川村 継義君    理事 安井 吉典君       大西 正男君    亀岡 高夫君       亀山 孝一君    武市 恭信君       登坂重次郎君    村山 達雄君       森下 元晴君    山崎  巖君       秋山 徳雄君    佐野 憲治君       重盛 寿治君    千葉 七郎君       華山 親義君    栗山 礼行君  出席国務大臣         国 務 大 臣 早川  崇君  出席政府委員         自治政務次官  金子 岩三君         自治事務官         (大臣官房長) 松島 五郎君         自治事務官         (財政局長)  柴田  護君  委員外出席者         自治事務官         (財政局公営企         業課長)    近藤 隆之君         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案(  内閣提出第二七号)      ————◇—————
  2. 森田重次郎

    ○森田委員長 これより会議を開きます。  公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。栗山礼行君。
  3. 栗山礼行

    栗山委員 私は今度の公営企業金融公庫法の一部改正の問題に関連いたしまして、まず第一に地方公益企業性格と、それからこれに対する地方公益企業の国の責任限界をどこに定めるか、こういう基本の問題からこの問題をお尋ね申し上げたいと思うのであります。  と申しますことは、地方公益企業というものがきわめて微温的に形式的に進められておることが、この金融公庫貸し付け内容からもうかがえるのでありますし、同町柴田財政局長の、この間の委員質問に対しまする一つ考え方は、出資関連いたしまして、必ずしも出資のウエートの置き方を重要にお考えになっておらない、こういうふうなことをこの間のお話しでお伺いいたしましたので、まず地方公共企業における一つ性格と、国の責任限界点をどこに定めて進めておられるか、こういう点についてお尋ねを申し上げたいのであります。
  4. 柴田護

    柴田政府委員 お尋ねの御趣旨を、あるいは私誤解をしておるかもしれませんが、地方公営企業と申しますのは、御承知のように地方公共団体の営む企業でございます。それは地方公共団体の果たすべき任務の中の経済的側面、いわばサービス面中心としたように考えられる仕事であります。歴史的に見ましても、ある地域開発、あるいは発展をはかってまいります場合に、いきなり民営事業が出てまいります。前には必ず官業なりあるいは公営企業なりというものが先駆的な役割を果たしてきておるのであります。また事業そのものによりましては、その性格民営に移すことが適当でない。たとえば独占的な傾向の強いものとかそういうものにつきましては、そもそも公営をもって行なっていくことがむしろ適当だと考えられるものもあるわけでございます。私どもは、現在まで地方公共団体が行なってまいりました企業の中で、さような性格になじみますものを、公営企業として、法律上規定されておりますところに従って指導をしてまいりました。もとより住民に対するサービスが第一に考えられるべきものでございますので、その点に主力を置くことは当然でございますが、いやしくも企業であります以上は、やはり経営面につきましては健全な経営が望ましいことも、これまた申すまでもございません。したがって、私どもといたしましては、そういう意味合いから、公営企業健全経営中心にして、これを指導してまいったのでありますが、ただ現在の指導あり方がこれでいいかとおっしゃられまするならば、私どもといたしましては問題があるということは十分承知いたしております。現に交通事業一つをつかまえましても、地方公営企業としての交通事業を、そういう形でながめて指導をすると申しますか、指導する場合でも財政経済面からの指導中心になる。しかし企業そのもの立場からの指導というのは、政府としてはもちろん一元的にやりますけれども地方としてはわかれておるので、別にむずかしい制約がある。自治省といたしましては、その点にやりにくさを感じるわけでございます。またそういった企業をながめてまいりますと、最近企業を取り巻きますいろいろな環境が変わってまいっております。経営中身を見てまいりましても、ものによりましては公営自身限界というものについて、やはり、反省をすべき点があるんじゃなかろうか、こういうことすら感ずるのであります。  そこで、話は少し横道にそれるかもしれませんが、そういった公営企業のあるべき姿としての範囲限界、こういうものにつきましては、やはり一ぺん再反省をすべきであろう。そこで公営企業につきまして制度調査会をつくりまして、そこでとっくりと議論をしていただきたい。そしてその専門家の御議論にひとつ、耳を傾けて、政府としての進むべき道をここではっきりときめようじゃないか、こういう気持ちを持っておる次第でございます。
  5. 栗山礼行

    栗山委員 私がこのことをお伺いいたしますためには、今度の公営企業改正点重点は、一億円の出資増、それからこれの監督、管理の強化、こういう二点が法律の主なる内容であると承知をいたしておるのでありますが、過日の委員会柴田財政局長の御説明の中に、一億円の増資というものについて、これは政府保証による起債という前提条件があるので、出資というものについて大蔵省との折衝過程においての重要な多額の出資を認めてくれない、あるいはそういう考え方政府保証重点を置いて、出資というものについての考え方を二次的に見ておる、こういうような受け取り方をされる財政局長の御説明を伺ったのであります。そういたしますと、御承知のとおり三十八年度は出資をされておりません。今度はわずかに一億円だ、こういうことに相なるのでありまして、やはり一つ貸し付け出資というものが見合って、一応の公営企業拡大健全化という方向をはかっていかなくてはならぬ、こういうような観点からいたしますと、どこに重点を置いて公営企業融資対象としてながめていらっしゃるか、こういう疑問点が非常にわいてくるのでありまして、その点で明確な性格と国の責任方向づけをやらなければ、今日の公営企業というものは、やはり地域一つ発展と、住民福祉の向上をもたらす、池田さんの、何と申しますか福祉国家建設一つの基礎がなくなってしまう、こういう観点からこの問題を明らかにとらえて、そしてこのあり方をどう方向づけるか、こういうことにいたさなくてはならぬと思うのであります。これについて重ねて見解お尋ねいたしたいのであります。  それから昨年などを見ますと、三百三十億の貸し付けでありまして、本年はやや二割増の四百億の貸し付け予定計画をここに示されておるのでありますが、数字的に見ますと何ぼかアップしたじゃないかというとらえ方もできるのでありますけれども公営企業強化健全化していく点から見ますと、出資貸し付け内容というものについて、はなはだ不確定な要素があるのではないか。私どもから見ますとほんとうに微温的な感じがいたすのでありまして、私はこの際に、今度の四百億の貸し付け予定のその内容もあわせて、骨組みだけお伺いをいたしたいと思うのであります。
  6. 柴田護

    柴田政府委員 公営企業金融公庫出資に関します点でございますが、いまお話を伺っておりますと、私の説明が若干誤解されておるようにも感ずるのであります。先般どなたでございましたか、委員の方の御質問に対しまして、私は、今日までの公営企業金融公庫出資金についての考え方について申し上げたのでありますが、なぜこうなっておるのかということに対する説明としては、公営企業金融公庫というものの持っておる安全性というものから、出資については経営的な観点をつかまえて議論をされておった。したがって御承知のような経緯でもって、今回一億円増資しても、なおかつ二十五億円というきわめて出資金の低い形になっております。これは主として予算を認める側の立場の気持を私は申し上げたのであります。この点につきましては私どもの主張と、予算を否定いたします大蔵当局立場とは、若干違います。私ども公庫というものをつくりました目的は、あの当時政府側から説明をしておったと思いますが、公営企業金融公庫をつくりました趣旨は、ごく大ざっぱに言いますと、安い資金をきわめて早く、しかも手軽に資金調達力のない地方公共団体に供給するのだ、そういう目的をもってつくられたものであります。これは長い歴史の結果、いろいろ検討の結果できたものでございますが、いままでの推移を見ますと、早く、手軽に、しかも弱い地方公共団体でも資金が調達できる、この目的が達成されておる。ひとり安い資金をという当初の目的は、まだ達成されていない。私どもといたしましては、公庫貸し付け金利を下げる、つまり安くするということは、自治省といたしましてはずっと念願としているところでありまして、現在の七分三厘の貸し付け利率をもって決して満足しているものでございません。これを充実していくということになりますれば、つまり貸し付け利率を下げようといたしますならば、どうしてもコストの安い資金原資に入れてこなければならぬ。そうしますと、現在の公庫債発行条件を改定するか、あるいは別途安い資金を入れてくるかということしかないのであります。公庫債発行条件を変えるということになってまいりますと、これはほかの政府関係金融機関との関係もある。たとえばほかで発行いたしております債券、つまり公募債という一般との関係もあるわけでございます。したがって、それには金融上の配慮が当然加わってくるわけでありまして、その辺はそう簡単に参らない。全体の金融政策との関連もあるわけでございます。ただし貸し付け利率というものは、やり方によっては下がることも不可能じゃないじゃないか、そうなってまいりますと、やはり安い資金を入れてくる。一番簡単なのは全然資金コストのかからない資金を入れてくるということになってまいります。そういうことで、公庫出資をめぐります予算折衝過程におきましても、私ども理財局とも何べんも話しました。その過程には、たとえば公営企業現状に関する認識をどうするかといったような問題も議論して、これとの関連においても出資金を増額する必要があるのじゃないかということでもって、何べんも話し合いを進めたのでございますけれども、結局結論は、予算等で御承知のとおり、公営企業あり方等につきましては、地方公営企業制度調査会というものをつくるのじゃないか、そこであり方について議論をされるのだろう、その辺のところともにらみ合わせて公庫貸し付け金利あり方をどうするかということもあわせて検討さるべきであろう、こういう形に結果的にはなったわけでございます。したがいまして、私ども出資状況現状でいいとは決して考えていない。公庫設立目的からいいますならば、さらに貸し付け金利は下げるべきであろう。そのためにはいろいろ手段がありますけれども、そういう方向で今後とも考えていくべきだ、そのように考えております。若干誤解をされますような御答弁をいたしましたので、長くなりましたがあらためて言いかえさしていただきたいと思います。  なお、公庫貸し付けワク中身でございますが、公営企業課長から詳しくお答え申し上げます。
  7. 近藤隆之

    近藤説明員 公庫の三十九年度の貸し付け予定高は四百億でございますが、その原資といたしましては、御審議いただいております出資金の一億円と、それから公営企業債券を発行して得ます額三百六十億円と貸し付け回収金三十九億円と合わせて四百億となっております。そして公庫貸し付けます場合には、自治省起債を許可いたしますと、それに伴いまして公庫がその所要資金貸し付けるという仕組みになっておりますから、どういう方面へ貸すかということは自治右の許可にからんでくるわけでございます。現在自治省といたしましては、その四百億を貸し付け事業の内訳といたしましては、大体準公営企業関係に百二十四億円、公営企業関係に二百七十六億円と予定いたしております。公営企業関係のおもなものといたしましては、上水道事業の百十九億円、電気事業の六十億円、工業用水道事業に七十二億円それから準公営企業のおもなものは、地域開発事業に九十三億円、そういったところがおもな計画であります。なお、計画でございますので、運用で若干変更することがあろうかと思います。
  8. 栗山礼行

    栗山委員 柴田財政局長のとらえ方と私のとらえ方に若干相違があったのでありますが、補足説明を伺いましたので、大体了解ができたのですが、問題は、やはり今日の公営企業の置かれている状況福祉施設強化をどういうようにはかっていくか、公営企業金融公庫方向づけ自治省がどうやっていくかということが、一つの大きな柱でなくてはならぬという考え方に立つわけでありますが、基本的に申し上げますと、今日のこれだけの貸し付け内容ではきわめて少額である、こういう考え方を私はいたすのであります。これの適用範囲の問題についても、今日の状態に見合った一つ拡大方向をとってまいらなければならぬ、こういうことを痛感いたすのであります。したがいまして、出資増と、それに見合いまする貸し付け強化ということをやってまいらなくちゃならぬ。これにはやはり原資拡大、それから利息等も低減するということが基本的条件になる。いわゆる公営企業独立採算制というものはとうてい望めないのでありますが、御指摘のように、私は七分三厘一毛と承知いたしておりますが、このような高率で今日の公営企業独立採算制という一つの国の施策方向づけというところに問題の本質的な要点があるのではないか、こういう考え方をいたすのでありますが、資金増低利による方向づけ自治省地方公営企業についての方向づけの熱意といいますか、そういう一つの取り組み方についてどのような見解をお持ちになっていらしゃるか、重ねてお伺いいたしたいのであります。
  9. 柴田護

    柴田政府委員 私は資金ワク拡大、それから利子引き下げというものにつきましては、われわれといたしましては年来この方向で努力しているつもりでございます。ただ成果があがらぬじゃないかとおっしゃれば、見るべきものがないという御批判があるかもしれませんが、このワク拡大についてなかなかうまくいかないということは、政府保証債に結局なるわけでございまして、政府保証債限度というものがおのずからございます。国家財政方向国家財政状況によっておのずから限度がきまってくる。もう一つは、企業債を発行する場合の資金事情と両面から制約を受ける。その辺の関係がありまして、なかなか思うように貸し付け額拡大ができないという状況になっております。  利子引き下げ等につきましては、これも逐年努力はしてまいりましたけれども、やはり原資との関係から、制的を受けてきまして、なかなか思うようにいかない。ただその場合に、先ほどちょっと申し上げましたように、無利子の、つまり資金コストのかからない金を原資に入れて、利率を下げるという方向しかないので、そういう方向出資というものの考え方を変えてくれという話は、私ども公戸当局には何べんもしておるわけです。ただそこにいろいろ議論がありまして、なかなか思うようにいかない、こういう現状でございます。ただ公営企業拡大経営合理化というものを考えます場合には、私どもは長期かつ低利資金を供給するということが非常に大事な基本的な条件だということは十分存じておりますし、その方向で努力してまいっておりますけれども、同時にまた公営企業といえども民営と同じレベルに立って経営するもの、たとえば一般バスでございますとか電車でございますとか、こういったものもあるわけであります。こういうものにつきましては、公営の場合におきましては、一般企業でありますれば払います税金が、かからない、それから資金にいたしましても、一般民間企業に比べますれば、資金的なものは、高いといいながらまだ若干有利である、こういった条件もある。そこで、それじゃ経営体制がどうかという問題がやはり問題にされざるを得ないものがあるだろう。水道みたいなものになってまいりますと、経営体制の問題もさることながら、これはいわば半独占的なもの、こういうものになってまいりますと、先般来御質問がありました、需要によって、水道によって供給される水の値段が違うというのはおかしいじゃないか、こういう議論も出てくるわけであります。それはそれでまたおのずから別の考え方をとるべきかと思いますけれども、そういった民営との競合関係に立つものにつきましては、そういった資金面配慮ももちろんでございますけれども、さらに経営面配慮も十分なされなければならぬ、かように考えておるわけであります。
  10. 栗山礼行

    栗山委員 私のお尋ねを申し上げておることについて十分な説明をいただけないのでありますが、一つは、地方公共企業拡充強化のために、低利による資金増という問題が必然的な条件じゃないか、今度の内容を見ます場合に、はなはだ残念ながら、そういう内容を見られないのでありまして、地方公共企業あり方として、これの資本増強化という一つ方向を強く望んで進んでいくべきじゃないか、そのような考え方の上において方向づけをされるかどうか、こういうことと、いわゆる住民福祉を行ないますためには、今日の利息があまりに高過ぎる、高い原因についてはいろいろございましょうけれども、これを住民福祉内容づけをするというためには、どうしても低利政策をとらなくてはならない、こういう一つ観点に立ってこの問題を方向づけていくという内容をお持ちであるかどうか、こういう私の尋ねております要点から若干遠い感がいたすのでありますが、この点もう少し明確にご説明を承りたい、こういうことでございます。
  11. 柴田護

    柴田政府委員 私まだ誤解しておるかもしれませんが、資本の増という問題は、結局自己資本資本構成の是正の問題かと思いますが、この問題につきましては、これも先般来お答えを申し上げたとおりでございますけれども答弁がまずくて不徹底かもしれませんが、ともかくどこの企業でも自己資本というものはある、ひとり地方公営企業についてはいますべて借り入れ資本で出発する、こういうたてまえになっております。このたてまえは私どもは決していいと思っておりません。したがってやはり自己資本公営企業といえども持つという体制にすべきじゃないか、指導いたします場合に、では自己資本というものは一体どういうような程度で持たすべきか、こういう問題があるだろうと思います。その問題につきましては、いろいろ検討いたしておりますけれども、まだ私どもの手元では結論が出ておりません。そこで自己資本の増加をどのような形ではかっていくかという方向について、根本問題の一つとして調査会に諮問しよう、研究していただこう、こういう気持ちを持っておるわけでございます。したがってもちろん私どもはある程度自己資本強化という方向でものを考えたい。それから資金につきましてはもうお話のとおりでありまして、これは安い、安定した資金がいいにきまっておるわけであります。ただ、いままでの私どどもがやってきました成果は、必ずしも理想には達しておりません。今後とも私どもはその方向で努力したい、かように考えております。
  12. 栗山礼行

    栗山委員 私がお伺いいたします次の要点は、金融公庫に対する貸し付け拡大利息の問題が最も中心になりますけれども、これを住民福祉の見地から見ると、最も大きな重要な施策としての方向づけをしなくちゃならぬ、こういう観点から申し上げておるのでありますが、特に私は、いま住宅公団及び住宅金融公庫農林漁業金融公庫等にいわゆる政策融資として融資が行なわれておりますが、地方公益企業の中で、水の問題あるいは宅地造成の問題、それから交通問題等々の重要な公益企業については政策融資を大幅に行なって、ひとつこれに検討を加えて施策を高める、こういう一つ内容が必要でないか、こういう見解を持っておるのでありますが、この点についてお考えを承りたいのであります。  もう一点について、公営交通事業協議会からいろいろ要請もあると思うのでございますけれども、いまの大都市におきます交通緩和の重大な処理といたしまして、身近なことを申し上げて非常に恐縮なんでありますが、大阪交通緩和の問題です。大阪は、いまやバス路面電車の時代ではございませんので、緊急に地下鉄を敷設いたしまして、そうして交通緩和の方策をとっておると思うのであります。これなんかについては、御承知のとおり一キロに三百億というような高額な資金を必要といたすのでありまして、地方独立採算制による公共企業としてはそんなことはできっこないのであります。これについて、いわゆる一般市中銀行シンジケート団によってこれの資金源を求めておるというのが一つの実情であろうかと思うのでありまして、こういう問題について、これこそ公益企業一つの重要な問題として、政策融資対象としてこれを推進するという内容が強く望まれるのでありますけれども、この点についての考え方、あるいは方向づけというものについて、お考えを承りたいのであります。
  13. 柴田護

    柴田政府委員 公営企業に対します融資について、政策融資をする必要があるのじゃないかというお尋ねでございます。ものによってはそういうことも考える必要があるのじゃなかろうかなという程度のことを実は私どもいま考えておる程度で、それはそこまでいかない。現に公営企業金融公庫貸し付け利率は、政府資金に比べますればまだずいぶん幅があって、政府資金に比べれば高い。私どもとしては、まず第一段階としてはなるべく政府資金の線に近づけるためには、どうしたらいいかということを考えておる段階でございます。その対象企業によって資金貸し付け利率を異にする、つまり政策融資でありますが、そこまではまだ実は検討は至っておりません。ただ、ばく然とそういうことを考える必要が出てくる場合があるだろうということは考えておりまして、内々いろいろ研究はいたしておりますが、結論めいたものは持っておりません。  それから地下鉄につきましては、私は交通につきましては、全くしろうとでございますけれども、しかし今日の常識で考えまして、大都市交通につきまして地下鉄事業というものがどうしても必然の事業だ、しかもそれについて、お話しのようにばく大な資金が要る、これも十分わかっておるつもりであります。したがって、地下鉄事業につきましては、それが経営ベースに乗るか乗らぬかは別にして、ともかくやらなければならぬということで実はまいっております。ただその資金につきましても、おっしゃるように、これも安い資金であるならばいいにこしたことはない、その方向でいろいろ考えておるわけでございますが、同町にまた地下鉄経営というものを考えてまいりますと、資金面配慮もさることながら、ものによっては企業として考えるのじゃなくして、一般都市計画事業の一環をになうものだという考え方も立つんじゃないか。そこで一般会計との経費分担という問題も同町検討されていい問題じゃなかろうか、こういう感じ検討しておるわけでございます。
  14. 栗山礼行

    栗山委員 いろいろあとの質問者がございまして、時間をとるのも恐縮でございますから、私は自分の意見だけを申し上げて終わりたいと思うのでありますが、総体的に見まして公共企業に対する国の施策が不十分である、こういう前提の、一つの慣例に基づく微温的な処置のみが、今度の改正案一つ内容づけだという考え方を、私は強く指摘せざるを得ないと思うのであります。したがいまして、もう少し今日の地方公営企業の置かれておる実態の認識と把握の上に立って、やはり地域開発住民福祉というものが、どのように大きな役割りを持っておるかという観点から、一つ方向づけをお願い申し上げたい。特にいまの政策融資の問題は、やはりこの金融公庫との関連におきましても消化しきれないのと、それから重要な内容については進んで政策融資対象として推進するという姿勢が私は望ましいのじゃないか、はなはだ不十分な今度の法律案内容である、こういうことを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  15. 森田重次郎

    ○森田委員長 亀山孝一君。
  16. 亀山孝一

    ○亀山委員 栗山委員のお時間を拝借してはなはだ恐縮でありますが、お許し願います。  いま栗山委員の御意見並びに御質問を拝承いたしまして、私も全く同感に思いますが、ここであわせて当局にお伺いしたいのは、いま非常にやかましくいわれております清掃関係、じんあい処理、し尿処理、これに関して公営企業金融公庫では下水道のみについて若干融資の面があるとも聞いておりますが、その他の面についてほとんど融資の道がない、こういうことなんですが、いかがでございますか。
  17. 柴田護

    柴田政府委員 下水道につきましては、準公営企業ということに扱っておりますので、公営企業金融公庫対象になっている。清掃つきましては、まだ現状はそこまでいかぬのじゃなかろうかという状況で、清掃関係につきましては一般会計で扱っておるわけでございます。しかし、下水道と清掃というのは非常に密接な関係がございますので、やがてはこれも、どう扱うかということを総合的に考えなければいかぬ時代が来ると思います。将来の問題といたしまして十分検討いたしたいと思います。
  18. 亀山孝一

    ○亀山委員 いま栗山委員の御指摘になった点とあわせて、やがてはという、そういうことでは、いま当面しておるこの清掃関係に問に会いますか。今回政府が補助金も三十八年度の倍額を出す、地方起債についても大いに考慮する、それと歩調を合わせて何ゆえに公営企業金融公庫も準公営として融資対象にできないか。やがてはというようなおことばでは、少し緩慢じゃないかというような気がするんですね。その点どうですか。
  19. 柴田護

    柴田政府委員 私がやがてと申し上げましたのは、金利の関係でございます。公営企業金融公庫対象になります事業金融公庫貸し付けますのは、先ほど申し上げましたように七分三厘、現在清掃関係のものは、ほとんど政府資金でまかなっておるわけであります。また清掃関係、清掃の財政と申しますか、経営というものから考えまして、現段階ではやはり少しでも安いほうがいい。そこで政府資金を大幅に入れてこれを進める、こういう体制をとっておるわけであります。お話は、それももちろん必要でありますと同時に、少々高くても資金をうんと導入したらいいというお尋ねかもしれません。しかし、資金全体のワクとの関係もございますが、現段階ではまだ安い政府資金を投入してやっていくほうがよくはないか、こういうことで申し上げておるのでありまして、やがてはと私が申し上げましたのは、公営企業金融公庫の金利状況等々ともにらみ合わせて、こういう意味であります。
  20. 亀山孝一

    ○亀山委員 いまお話しのように、政府資金が大部分でありますけれども、これは御存じのとおり、実情からいきますと、ことにじんあい処理については十分でない。それからいろいろな意味で、清掃関係を私はやはり準公営企業として取り上げるべきだと思うのですが、この次の国会までにこれをお考え願えますかどうですか、その点をお伺いしたい。
  21. 柴田護

    柴田政府委員 十分検討いたしたいと思います。
  22. 森田重次郎

    ○森田委員長 千葉七郎君。
  23. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 私は公的病院事業、それから電気事業等に関連をいたしまして、公的企業性格等につきまして質問をいたしたいと思ったのでありますが、ただいままでの質問者の御質問や、また当局の応答等によりまして、だいぶその点は尽くされてまいっておりますので、簡単に公的病院の問題、それから電気事業等につきまして、二、三の点をお伺いいたしたいと思うのであります。  そこで最初にお伺いをいたしたいのは、地方公営企業法の第三条によりますと、「地方公営企業は、常に企業の経済性を発揮するとともに、その本来の目的である公共の福祉を増進するように運営されなければならない。」このように規定をされているわけであります。病院事業につきましては、常に企業の経済性を発揮するという点をどのように解釈をしたらいいか。私解釈のしようがないのでありまして、ひとつこの病院の事業と、経済性の発揮という関連に対する御見解をお伺いしたいと思います。
  24. 柴田護

    柴田政府委員 病院事業につきましては、私ども法律では公営企業として扱っておるわけでありませんで、準公営企業として扱っているわけであります。したがって、直接公営企業法の適用を受けるわけではございませんが、しかし、やはり病院も事業でございますので、そういう意味合いでは事業としての経営、つまり合理的経営という意味合いの経営原則が働くかと考えます。
  25. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 準公営企業であるから、したがって公営企業法の規定そのものを適用するというわけではない、このような御答弁であります。しかし、実際病院の経営を行なっておる公共団体では、私、県会等に出ておりまして、県立病院の経営の実態等もいろいろ見てまいっておるのでありますが、経営当局におきましては常に公営企業法によって、そのもとに指導をされておる、こういうことでございまして、したがって、病院企業自体から申しますと、どうしてもいわゆる合理的な経営という点に力を置きまして、そして公共の福祉ということがどうしてもあと回し、なおざりにされるといったような傾向が強いわけであります。合理的に経営をして、そして収支のバランスをとるということに力点が置かれておるわけでありまして、常にそういう観点からの経営が行なわれておるわけであります。したがって、ただいまの御答弁では、私、満足するわけにはまいらないのでありますが、そこで経営の実態を申し上げてみますと、これは岩手県における実態でありますが、大体年間四、五千万円ぐらいずつの赤字を生じておるのであります。三十七年度におきましては岩手県の県立病院の赤字は四千百八十四万円ほど生じておるのであります。ところがこの赤字の発生の原因がどこにあるかということを調べてみますと、現在の病院の新築あるいは改築等に対する公営企業金融公庫貸し付け利率が非常に高い、こういとうころからこの赤字が発生しておるように見られるわけであります。岩手県の県立病院がいま借りておりまする病院の新改築の資金は、総額で約五億円に達しております。この五億円の借り入れ金に対する利息の支払いは大体七分何厘に見まして、まあ四千万円近い利息を支払っておる、こういうことになっておるわけであります。結局この地方の病院の赤字の発生は、政府から借り入れをしておる資金利息が高いがために赤字が発生をしておる、こういう結果になるわけであります。ただいまも、私の前の質問の方から地方債に対する利息引き下げ考えがないかというような御質問もあったわけでありますが、こういう点から考えまして、金融公庫のこの貸し付け利息を、将来少なくとも病院の改築資金に対しては無利子資金を供給するといったようなお考えがあるかないか、この点をひとつお伺いいしたいと思います。無利子の金は原資関係でできない、こういうようなあるいは御答弁があるかもしれませんが、しかし最近におきましては、農業構造改善事業等に伴ういろいろな資金で、無利子資金貸し付けを行なっておるというような状態になっておりますので、その原資のいかんによっては、この無利子資金貸し付けできないというようには考えられないわけでありまして、その点に対する見通し等をひとつお知らせ願いたいと存じます。
  26. 柴田護

    柴田政府委員 病院につきましてはお話のように準公営企業として、ずっと扱ってきておりますが、建設費も全部含めまして、そして収支の合った経営ということはまず現段階ではむずかしいのでありまして、私どもといたしましては病院事業の持つ性格から考えまして、まあ一応準公営企業として扱っておりますが、その場合のやり方としましては病院の建設費と減価償却費と元利償還金の差額、この程度のものは一般会計から出すべきものだろう、出していいのじゃないか、こういう指導を実はしてきておるわけであります。現在は病院の関係の建設経費は、厚生年金の還元融資を使っておりまして、利率は六分五厘でございます。お話の場合は少し特別の事情があろうかと思うのであります。したがいまして、六分五厘は高いじゃないかということになってまいりますと話は別でありますが、私どもは病院経営の実態を見てまいりまして、減価償却と元利償還の差額並びに建設費というものを一般会計から負担しましても、なおかつ今日の病院経営の実体は収支合わすことはなかなかむずかしい。それは先般来申し上げましたように、病院の経営の経費とそれから医療費というもののアンバランス、これが格差がだんだん拡大していっておる、こういうところに経営が苦しくなってきておる根本原因があるのだと思いますので、お話のような場合になってまいりますと、おそらくは昔借りた金が非常に高い、それが今日の経営を非常に圧迫しておるのじゃないかと思うのでありますが、一般経営の問題を別にしましても、それ限りではそういう場合におきましては低利借りかえ等の方法もございましょうし、具体的にはいろいろ検討すべき点があろうかと考えております。
  27. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 それから公営企業金融公庫法の第一条には、低利で長期の安定した資金を供給する、こういうことに定められておるのでありますが、病院の建設費に対する償還期限は、木筋が二十年、鉄筋が二十五年となっておるようでありますが、この償還期限をもっと長くする必要があるかと思うのであります。木筋の建物にいたしましても、二十年で償却をしてしまうということは、病院事業の本来からいたしましてとうていできないことでありますし、もちろん耐用年数も二十年で使えなくなるというものでもありませんし、鉄筋にしてまたしかりであります。そういう点についての見通し、お考えがどうなっておりますか。ひとつお伺いしておきたいと思います。もっと長くすることができるかどうか。
  28. 柴田護

    柴田政府委員 先ほど減価償却と元利償還との差額を一般会計からとお話し申し上げましたが、現在の状況のもとにおきましては、その程度のことはしようがないだろう、こういう気持ちを持っておるから申し上げたのであります。またそういう指導をしておるわけでございます。お話のように、現在の償還期限というものは、必ずしも理想ではございません。耐用年数そのものにつきましては問題があるかもしれませんけれども、病院のようなものになりますと、耐用年数をあまり長くしておきましても、いろいろまた別の問題が起きてくる。ある程度施設の更新と申しますか、近代化というものも必要になってまいりますし、その辺には別の問題があろうかと思います。しかしながら、地方債の償還期限につきましては、現在の状況が決して理想のものではございませんで、まださらにこれを長くする必要があろうかと私も考えております。ただ、実際問題といたしましては、資金面からのいろいろな制約がございまして、なかなか思うにまかせません。数年来、公営企業金融公庫資金につきましての償還期限は、だいぶ延ばしてきたのでありますけれども、まだ現実には理想から遠うございます。現実は、資金面からの制約があってなかなか思うにまかせませんが、なお私どもといたしましてはお話もございますし、将来とも合理化に向かってつとめてまいりたいと思う次第でございます。
  29. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 大体病院の問題につきましては以上で打ち切りますが、次に公営電気事業につきまして二、三点お伺いをしておきたいと思います。  現在の公営事業としての電気事業が、公営企業法と電気事業関係法律と二重の規制を受けて、非常に経営能率が阻害をされておるというようなことを聞いておりますが、私、実はどういう点で法律が阻害しておるかということを詳しく調べておりませんので、そういう点がどういう点であるかということ、それからそういう点を何らかの方法で調整することができないか、その辺はどうなっておるのかということをひとつお知らせ願いたいと思います。
  30. 柴田護

    柴田政府委員 電気事業につきましては、御承知のように現在地方団体が行なっております電気事業、発電事業でございますこの発電事業につきまして経営面から特にどうこうという問題を実は私どもは聞いてはいないのであります。ただ非能率、不合理——非能率というと語弊がありますが、不合理だということのお話でありますが、不合理の点があるとするならば、実は電気供給規程つまり発電いたしました電気を売る場合に、いろいろな問題があるのではないか。それは電気を発電しますが、結局配電するのは全部電気会社がやるわけであります。その供給規程をきめます場合に発電側は不利な条件、不利な態勢になってしまう。つまり電気は起こしますが、買わぬと言われればそれっきりであります。どうしても買ってもらわなければならない。その間に契約上非常な不利になって電気の供給の契約をいたします場合に常に不利な契約をせざるを得ない、こういう状況に置かれておることがあるのであります。私どもこれは非常に不合理と思っておりまして、電気料金のきめ方、電気を売ります場合のきめ方を何とか合理的にならぬかということでかねがねつとめておるわけでありますが、なかなか実際問題としまして思うようにいかない、そういう状況でございます。しかしながらこの点の不合理は十分認めておるところでありまして、何とかこれを合理的に、電気事業の健全な経営という基礎に立った電気の供給条件というようなものが結べますように努力をいたしてまいっておりますし、また将来とも努力を続けてまいる所存でございます。
  31. 千葉七郎

    ○千葉(七)委員 そこでひとつ当局にお願いしておきたいのでありますが、この公営企業法あるいは公営企業金融公庫法の定めによりますというと、一つ公営企業特別会計から他の公営企業特別会計に、剰余金があった場合には資金の貸付をすることができる、こういうように定めておるようでございます。電気事業につきましては、事業そのもので赤字が出ておるということはまだ私聞いておりません。したがって、剰余金が出ておるとすれば、病院のような不採算性の強い企業体に対して、その特別会計から資金の融通等も、この法律の定めによるとできないわけではないわけでありまして、そういう点を考えましても、この電気事業の不利な——ただいまの説明によると不利な点等も、ぜひ自治省といたしましても——電気事業関係は通産省の所管だと思いますが、通産省筆に対しましてもいろいろ折衝されまして、この不利な点はぜひ自治省等の力によって是正をする、調整をする、そういう方向にひとつ御努力を願いたいと思うわけであります。  それから、昭和三十八年の電気事業施行の予算が百六十五億円と聞いたわけでありましたが、昭和三十八年度に予定をされておる全国の電気事業の施設を完成するためには、この百六十五億円の地方債だけではどうしても足りない、十九億か足りないというように私聞いておるのでありますが、電気事業等につきましては少なくともその年度内の計画をその年度内に完成をするように、自治省当局が起債の面、資金の供給の面においてもそういうように措置していただくことが、この事業の性質にかんがみまして必要なことではないか、かように考えるわけであります。そこでこの不足の資金等は、他の融資ワクで余っておるものがあれば、その方面から回すことができるかどうかという点をひとつお伺いしておきたいと思います。
  32. 柴田護

    柴田政府委員 三十九年度の地方計画電気事業に予定いたしておりますのは百七十二億円、三十八年度の百六十五億円に対しまして七億円の増でございます。百七十二億円では足らぬじゃないかというお話でございますが、従来の継続事業電気事業は継続事業になることが勢い多うございますが、三十八年度からずっと継続いたしておりまして三十九年度に完成するものにつきましては大体これでいける、実はこういう見通しを立ててこの起債計画をつくったのであります。しかしながら事業の変更もございますし、あるいは新事業がうんとふえてまいるということになってまいりますと、あるいは資金が足らないという結果が起こるかもしれません。まして地方計画は一応の計画でありますので、お話のように多少弾力的に講じていかなければならぬ場合もあるわけであります。その点につきましてはなお十分検討配慮してまいりたいと思いますが、私どもは、お話のような点につきましては、三十九年度中に完成するものにつきましては、ほぼこれで完成できると考えております。
  33. 森田重次郎

    ○森田委員長 川村継義君。
  34. 川村継義

    ○川村委員 二、三お尋ねをいたします。  昭和三十七年度の公営企業の決算によりますと、大体中業数が五千三百七十一、これは前年度に比べて二百十六もの事業体が増加しておるようであります。決算規模において一千二百七十六億円、相当の伸びを示しております。設備投資額も六百九十四億円という大きな増大を来たしておるようでありますが、こういうように公営企業が全般から見ると非常に今日まで、各委員の方々からの質疑応答の中に出ておりましたように、公営企業がたいへんむずかしいというかまことに経営そのものの危機ともいえるような状態にあるのに、三十七年度においてさえもこんなにたくさんの企業が増加しておる。三十八年度はあるいはもっと増加しておるかもしれません。こういうような状態は二体何に起因するのか。どうしてこんなに、公営企業経営が非常にむずかしいということが大体わかるのに、次から次にこういうふうに公営が増加してくるのか。その辺のところは財政局長あたりはどのように判断をしておられますか、その御意見をちょっと聞かせていただきたい。
  35. 柴田護

    柴田政府委員 お話のように三十七年三月と三十八年三月とを比較いたしますと、事業総数にいたしまして二百十六事業ふえております。その中身をごらん願いますと、公営企業法を適用いたしております事業が百八十四ふえております。百八十四の中で非常に大きくふえておりますのが水道の九十六、これが一番大きいのであります。それから総数からいいましても、公営企業、準公営企業合わせまして水道がやはり五十八ふえておる。簡易水道が五十七ふえておる。こういうようにふえた中身を見てまいりますと、水道なり簡易水道なり非常にふえている、あとは観光事業とか宅地造成、こういったものがふえています。中身はやはり水道関係事業の緊要性というものに帰せられないか、こういうふうに考えられます。
  36. 川村継義

    ○川村委員 いま水道に非常に大きなあれがあるというお話ですけれども、ところがあなたのほうから出しておられる決算書によりますと、大体増加したものの五割、半分は工業用水事業あるいは、宅地造成、観光事業。こういうものが増加の五割を占めておる、こういっておられます。これは決算書に、一つの特徴として指摘してある。ということは何を意味するかといいますと、工業用水の事業が伸びる、あるいは宅地造成、港湾の整備、観光事業、こういうものが伸びるということは、いまよくいわれるところの地域開発、こういうようなブームに乗ったというか、ブームに乗ったというとおかしいのですけれども、とにかく地域開発という政府のとっておる一つ方向づけと、それからやはり地域の要求に基づく施策をやりたいというような考え方から出ておるのではないか、その二百十六の半分以上もそういう事業が伸びたということはそのように考えられるのではないかと思うのですけれども、その辺の御見解はどうですか。
  37. 柴田護

    柴田政府委員 水道が非常に多くふえておるのは従来もそうでありますが、そのほかに工業水道宅地造成がふえておるということにつきましては、大体お話のような傾向に基づくものだというように私ども考えております。
  38. 川村継義

    ○川村委員 そうなりますと、やはり政府自治省としては、なぜこのような地方団体がこういう仕事に金を投じてやらねばならないか、あるいはやる必要があるか。特に地域開発等の問題について、こういう仕事をやらねばならぬかということは、もう一ぺん静かに考えてみる必要があるのじゃないか、こう思うのです。私をして言わしめるならば、工業用水の設備をしておいて会社を誘致する、あるいは観光事業でも興さなければ、どうしてもおれのところの市町村の財政が伸びない、あるいは行政の水準の向上も求められぬ、こういうような考え方にやはり地方団体が立っておるのじゃないか。そこからその欲求というものがこういう形になってあらわれてくるのではないか。これが非常にむずかしいということは大体想像しておるだろうし、また経営が困難だということはわかっておるだろうけれども公営企業というようなこういう仕事にやはり手をつけていくのではないか、こういうように推測するのですけれども、その辺のところはどうでしょう。
  39. 柴田護

    柴田政府委員 非常にむずかしい御質問でございますが、そういうお話のような点もあるんじゃないか。それだけでないと思いますけれども、そういったいわば増高する財政需要に対処する方策の一つとして、開発、税源の造成というような形でいろいろ取っ組んでいく、こういうことはおっしゃるとおりかと思います。
  40. 川村継義

    ○川村委員 そういうようなことがやはり一つの大きな原因であると考えますと、政府としての一つの大きな政治的な責任というものもあると思うのです。そこからこの公営企業全体の問題を考えていかなければ、いろいろと論議をしても前進をしないのじゃないか。今日地方公営企業経営状態が、たいへん指摘されておりますように、実に嘆かわしいというか、そういう状態に置かれている。もちろんこれには経営自体の問題もありましょう。しかしやはり政府のその施策というものが、一つ責任考えられねばならない。きのうの委員会でも公共料金の抑制等に伴って、そういう施策をやっておりながら、今日あるいは電車であるとかバスであるとか水道料金であるとか、こういうようなものが、どうしても地方団体はある点の増収を考えなければならぬけれども、押えられた、上げるな、当然のことであります。上げるなという当然の国民生活全体を考え施策の手を打ったならば、政府がそれに見返るところの施策を具体的に打ち出して、こうしてやるから料金を上げるな、そこを踏み切るということはだれでも考えていることで大事なことだと思うのです。それをやらないでおいて、きのうの自動車局長の話じゃないけれども、協力してくれということでは、どうにもならぬということはこれは言えることであり、そういう意味でやはり政府責任はあると思う。  そこで問題は、公庫のほうに一億円の増資がなされるのですけれども公庫の一億円増資、悪いとは言いませんけれども、どうしてもっと思い切った増資の措置がとられないか。こういうような事態であればあるほど、公庫というものの使命を果たさせるためには、やはり思い切った増資の措置というものが必要であると私たちは思うのです。きょう大臣が来ておりませんから、こういう点を局長にお答え願うということはどうかと思うのでございますけれども、局長として、そういう点のお考えなり、あるいはもっと公庫増資についてのいきさつ等がありましたら、聞かせておいてもらいたい。
  41. 柴田護

    柴田政府委員 公庫の増資問題につきまして、先ほどちょっとお話し申し上げましたが、当初、私どもは二十億の増資を要求をしたわけであります。これについての考え方でありますが、ごく率直に申し上げますと、大体出資額の二十倍というのが普通債券発行の常識とされております。公庫債券発行額は大体千億近くなるわけでありますから、それからいいますと、二十億の増資というものは決しておかしくはない。一般の常識論に従って、それに公庫の持つ機能というものを説明をして、そういう要求をしたのでありますが、この公営企業金融公庫についての考え方につきまして、一般金融機関と違って特殊金融機関である、しかもそういう意味合いにおける出資というものは、企業の安定性を中心考えるべきである、そういう意味合いから考えた場合には、公庫出資金については、現状で大体経営の安定性も得られるのだからいいんじゃないかということで、公庫性格論が多少背景にあるわけでございますが、その辺で、予算を査定します側と私どもとの間に、何べんも意見を戦わしたのでありますけれども、ついにその辺のところはめどがつかないままになっている。そして結果的には一億の増資ということにおさまったわけでございます。したがって、公庫というものを将来どうするのか、どう考えるのかという問題につきましては、公庫増資というものを、公庫経営安定という立場から見る場合と、それから公庫の機能から増資をどのように考えるか、この問題とが両方ある。私どもは機能もあわせ考えて、一般の常識をも加えてお願いをしたわけでございますけれども、結果的に・は、公庫経営安定というものが中心考えられて、それに若干の要請もいれて妥協的な形になろうかと思いますけれども、一億増資ということでおさまった。そこで本質的な議論はまだ固まっていない。政府部内におきましていろいろ議論は残っている、こういうことが現状でございます。
  42. 川村継義

    ○川村委員 それではお尋ねが前後するかもしれませんが、これは近藤さんにお尋ねしたいと思います。  いま局長のお話によりますと、大体資本金の二十倍くらいが債券発行の一番安定的なものではないかという考え方がある、そういうようなお話がありましたが、ことし公庫債券発行は累計一千四百四十億くらいになるわけですね。すると、資本金は二十五億、こういうことになりますと、相当高い債券発行になっておるわけですね。そこでお尋ねする第一点は、今日まで公庫が発行してこられました債券の消化情況はどうですか。
  43. 近藤隆之

    近藤説明員 毎年度の発行予定額を完全消化いたしております。
  44. 川村継義

    ○川村委員 実はそういうような資料も、やはりこういうものの審議をするときにはお出しいただけばたいへんけっこうだと思うのですけれども、いまのお話では毎年消化はしておる。消化はしておるけれども、はたしてほかの公庫みたいな信用があってやっておるのか、やむを得ず金を借りる。ほかに借りる道がないから公庫債券を買っておけ、こういうことになったのか、これはやはり将来相当問題になるのではないかというような懸念がするのですが、その点は大丈夫ですか。
  45. 近藤隆之

    近藤説明員 公印が発行いたします債券を買い受けますのは、地方団体、一部縁故でございますけれども、ほとんどは銀行等のシンジケート団が買うようになっております。
  46. 川村継義

    ○川村委員 それではついでに、あなたのほうで御存じだろうと思いますから、国民金融公庫あるいは農林漁業金融公庫、そういうものの資本金と、それからいまの債券関係との割合を、この公庫の割合と比べながらちょっと示していただきたい。
  47. 近藤隆之

    近藤説明員 たとえば国民金融公庫で申しますと、貸し付け金が一千七百三十七億で、資本金は二百二十億、割合で一二・七%というようになっております。以下住宅公庫で二五・七%、農林漁業金融公庫で三九・四%、中小企業金融公庫で一〇・四%、北海道東北開発公庫で三・八%、それから中小企業信用保険の場合は一五五%程度になっております。それから医療金融公庫が二八・二%、本公庫は二・二%というような形になっております。
  48. 川村継義

    ○川村委員 そうするとやはりほかの公庫に比べても資本力というものの割合は低いんですね。そうなると当然これは、いろいろあなたのほうでは理屈はありましょうけれども、一億等の増資でなくて、これはやはりもっともっと増資をしてもらう、こういうことが大事ではないか、そのように思うのですけれども、将来その点はどういうふうに進めていかれるおつもりでございますか。というのは、この公庫改正の第一の問題とも関係してくると思います。
  49. 柴田護

    柴田政府委員 私どもは、たびたび申し上げておりますように、二つの議論があって議論がはっきりしないままにとりあえず一億という形になっておるわけでございますが、この形で決して満足はいたしておりません。特に公庫の持つべき使命あるいは機能ということから考えますならば、その面から考えましてもなおさらに資本金をふやして、出資金をふやしまして安定資金を多く調達する。こういう方向に向かうべきものだと私は考えております。
  50. 川村継義

    ○川村委員 この公庫貸し付け条件は七分三厘でございますか。
  51. 柴田護

    柴田政府委員 さようでございます。
  52. 川村継義

    ○川村委員 七分三厘というのはほかのいわゆる先ほど言われたような公庫利率に比べるとどうなっておりますか。
  53. 近藤隆之

    近藤説明員 本公庫は、債券発行によりました原資、これは原資コストが七分三厘一毛かかっておりますが、逆ざやにならないというところで七分三厘ときめられております。ほかの公庫はそれぞれ預金部資金であるとかあるいは出資金によって高いコスト原資を水割りしておりますので、相当安いレートのものがございます。ものによって違いますが、農林漁業金融公庫の場合に、御承知のように三分五厘から七分五厘までいろいろ各種によりまして五分きざみでついておりますし、住宅金融公庫等につきましても五分五厘という形になっております。
  54. 川村継義

    ○川村委員 一々の公庫について比較をしていただければ、そういう資料があるといいと思いますけれども、農林漁業金融公庫につきましても、本年から三分五厘、四分五厘、六分五厘、七分五厘ですかの四段階にする、暫定的に五分五厘もつくろう、そういうことで農林漁業金融公庫は相当引き下げてきた。もちろんこれはいまお話のような資金コストとの問題もありましょうけれども、私は三分五厘、四分五厘、五分五厘とだんだんほかの公庫の金利が引き下がっていくことは非常に賛成いたします。ところが農業関係とか、あるいはそのほかの住宅関係、あるいは国民金融公庫関係、いろいろそれぞれの公庫の使命というものはありましょうけれども、私は公営企業金融公庫の使命というものは、ほかの公庫に比べてやはり劣らない重要な使命を持っておると思う。そのときに、この公庫利子が高いということは、地方公営企業合理化が進まぬとか、あるいは悪いところがあるのではないか、こういうことを要求する前に、公庫としては考えねばならぬ問題だと思います。もっともっと金利を引き下げるような方法をとることが、当然政府としてやるべき手段ではないか。もちろん少しずつは金利も以前に比べますと安くなっているようであります。しかし何といってもまだ今日私は安いとは言われません。そういう点で、この七分三厘という利子引き下げるにはどういう方法があるか。たとえばいまの債券発行の回収金とかなんとかいう意味のお話がありましたが、そういうのをぐるぐる回しておるのではなくて、これはやろうと思えば方法があるはずです。ほかの公庫でできることが公営企業金融公庫にできない、こういうことはないと私は思いますが、あなたたちの腹案だけでもいいですからちょっと聞かせていただきたい。
  55. 柴田護

    柴田政府委員 お話の点、私どもも同感でございますが、公営企業金融公庫経営の安定だけではございませんで、そういうことも考え出資金の増額ということを実は要求してまいったわけであります。結果的にはおしかりを受けるような状態になっておりますけれども、しかしながら、そういうような方法をとってお話のような方法を実現しよう、こういうことでやってきたわけでございます。しかし結果は御承知のようなことになっておるわけでございますが、なお私どもといたしましては、そういう方向で努力をいたしたいと考えております。金利を下げる方法としては、全然コストのかからない金が入ってくる、これが一番いいわけでございます。したがって資本金の増額という形が一番いいのであります。よその公庫では政府資金つまり預金部資金を入れてくる。コストの安い預金部資金を入れてきて、企業債の高い金利を薄めるというような方法もあろうかと思いますけれども、一番端的なのは資本金をふやして資金コストを下げていく方法じゃないかと考えております。
  56. 川村継義

    ○川村委員 先ほどのお話で、資本金にしても大体二十億ぐらいの増資を考えておったけれども、それが実現しなかった。これはやはり局長や課長の責任でなくて、私は政府自体のものの考え方、この辺に大きな問題があるだろうと思いますし、これは今後、大臣はおられませんけれども、何とかひとつ努力をしてもらわなければならぬ大きな課題である、このように考えるわけです。  それからきのうもお話が出ましたが、いまの資金コスト等の問題で、この償還期限がほかのものに比べてなかなか思うように短縮できないというようなことでありましたけれども、償還期限にいたしましても、ほかの政府資金運用部資金あたりから出ておるのに比べるとずいぶん差があるようですね。これは公庫自体でできないものですか。どういう計算がなされておるか、その資料がないからわかりませんけれども資金コストの面で十分でないとおっしゃいますけれども政府資金の償還の期限と、この公庫から出ておるものの償還の期限というものが、あまりにも格差がひどい。たとえば病院事業にいたしましても、この公庫の償還は十年ですね。政府資金でやるやつは二十五年か三十年ぐらいで償還すればいい。そういう点からするとあまりにもひどい。特に交通が問題になっておりますけれども電車にしても政府のやつは二十年ぐらいの償還になっているのじゃないですかね。公庫のほうは十年足らずです。その辺のところ、ちょっとひどいというか、償還期限の差があるものを具体的に四つ五つ例をあげてみてくれませんか。
  57. 柴田護

    柴田政府委員 お話のこまかい点につきましては、公営企業課長からお答えいたしますが、資金コスト関係原資関係からおのずから制約されてくるということを申し上げましたのは、公庫原資というのは公募債で大体まかなっておる。そのほかに回収金とかあるいは出資金がございますけれども、大体公募債でございまして、そこにネックの基本がある。つまり七年物で行なわれていくものでありますから、したがって公庫の経理が逆ざやになりませんためには、償還期限の長さを押えます場合に、多少繰り上げますけれども、おのずから限度がやってくる、こういうことになるわけであります。ほかの公庫につきましては、長いものでございますが、それはやはり出資金なりあるいは政府資金を導入したりということで補っておる、この公庫の場合に、それができないということが非常に苦しい原因になっておる、こういうわけでございます。もとを言いますならば、私ども公営企業金融金庫というものを考えます場合に、公営じゃなしに企業だということを強くうたって、公営という観点からの配慮というものが何か少し軽くというと語弊がありますけれども、そういうものごとを考えます場合に、公営というものに対するものの考え方、その辺のところが率直に申し上げましてまだ少し足らぬのじゃなかろうか、そういう感じが私はするのであります。したがって、こういう問題になってまいりますと、公営企業の建て直しと申しますか、あるいは公営企業の健全合理化ということを問題にいたします場合に、やはり公営企業金融公庫の働く分野というものが非常に大きくなってくる。そうなってまいりますと、そういう点につきましてはやはり思い切った配慮改善といったものが必要になってくるだろう、こういうことを痛感いたしております。
  58. 近藤隆之

    近藤説明員 上水道でありますとか工業用水道電気事業、下水道といったような、政府資金におきましては最長二十五年となっておますのが、公営企業金融公庫の場合は、従来十五年でございましたのを昭和三十八年度から十八年まで延ばしております。しかしまだ七年ばかりの差がございます。そのほか公営公庫でガス事業だとか、市場事業等、これは従来十年であったものを十五年に伸ばしましたが、政府資金の場合は二十年になっております。そのように相当の開きが現在のところまだ残っておりますけれども、現在資金の許す限り、できるだけ長くしょうとは努力しておるような次第でございます。
  59. 川村継義

    ○川村委員 大臣お見えになりましたから、一言お聞きしたいと思います。  いま二、三点お聞きしましたけれども、これは公営公庫にだけものを申しても解決できない問題がいろいろと伏在するようです。利率の問題にいたしましてもほかのものに比べて高い、償還期限にいたしましても短かい、こういうのはいまのお話のように資金コストの問題等々、いろいろと体質的に理由があるようであります。ところが何としてもやはりこういう点が解決されなければ、一つのネックとして、地方公営企業の健全な育成には十分なる役に立たない結果になってしまう。地方公営企業の今日の経営の悪化の原因は、いろいろと指摘をされております。それは物財の、物件費の上昇であるとか、あるいは人件費の上昇であるとか、いろいろあげられておりますけれども、やはりその中の大きな原因は、設備拡張等に伴う償還の問題、金利の問題等々に大きな原因があることは、昨日からそれぞれの委員が具体的に指摘をされたところであります。  そこで大臣にお尋ねしたい第一点は、今度政府の物価安定の方策によって公共料金の抑制措置がとられたということになりますと、これはやはり大臣にひとつ努力願って、今日の苦況に対処する政府の具体的な方策が示されるべきではないかと思うのです。たとえば、いろいろありましょうけれども、どういう腹案をお持ちであるかどうかわかりません。きのうも抽象的なお答えはありましたけれども、具体的なお答えはいただいておりません。たとえば今日の償還金をたな上げするとか、あるいは利子の補給をするとかいろいろの方策が考えられると思いますけれども、そういう具体策をやはり早急に政府としてはおまとめいただいて、今日の経営の困難な地方公営企業体のために施策を示されるべきではないか。私はもう中心点はそこに帰するんじゃないかと思いますが、大臣の見解をひとつお聞きしたいと思います。でき得べくんば、おれとしてはこう考えるということをお示しいただくことを願ってやまないのであります。
  60. 早川崇

    ○早川国務大臣 私はこう考えます。六大都市のガス事業、その他公共料金のある部分につきましては、一年後まで据え置くわけでありまして、一年後には若干の値上げしなれけば、いまの経営内容では不可能だと思っております。そこで当面の問題でございますが、財政局長もお答えいたしたようでありますが、関係省でその具体案を検討いたしまして、一年間のつなぎをどうするか、大都市バスでも、大体一年間で五十八億の赤字がまたふえてくるわけであります。全体の公共事業が二百五十億こえる赤字でございますから、よほど根本的な対策を立てなければなりません。そこで現在公営企業制度調査会を設けるべく、法案を提案しようといたしておるわけであります。それには民営に移していいものがないだろうか。公営というものは非常に経営がずさんだという声も聞いております。そこで、そういう基本問題もひとつ検討してもらう。それから公共事業については近代経営学といいますか、近代的な企業管理という面においてはたしてどの程度進んでおるか、私はあまり進んでいないと思うのです。最近アメリカあたりで発達しておる、ほんとうの経営管理の新しい知識をどれだけ活用しておるか。ただベースアップの時期がきたから、公共バスなんかの従業員は、スライドして上がっていくというようなこともあるようであります。そういう面で、ほんとうの銀行の重役とか、経営学の大家とか、そういう者を全部入れまして、この問題を根本的に検討をしていきたいと思っております。ただし、見通しとしては、そういう基本的な解決をしながらも、一年据え置いた後におきまして、たとえばバス料金なんかは十二年もストップさしておりますので、当然若干の値上げをして、できる限り独立採算、それに乗る人、利用者が負担していく。これを一般会計から補てんするというやり方でなくて、利用者が負担していくという原則は私は絶対必要と思います。したがって、若干の値上げはやむを得ない。それから病院その他につきましても、医療費の値上げとからんでまいります。これまた一年間ストップということでありますから、そういった面でも十分配慮しなければならないと思うわけであります。ただし公共事業は、御承知のように税金の面で、民営と比べまして格段の優遇といいますか、税金一を納めなくていいわけであります。ほとんどの施設が法人税、所得税なんかないわけです。そういう面の有利さを差し引いてなお赤字になる、そういうシビアな検討をすべき段階公営企業にはきておるのではないか。これは民営と国営事業とどちらがいいかという論争までも私は調査会で大いにやってもらいたい。その結果、この一年の間にりっぱな結論を出して、日本のバスとか水道とかあるいは病院、公共事業というものをできるだけ健全なものにしていきたいと思います。またこの点は川村さんと私は意見が根本的に違うのですが、社会党は社会主義ですから、できるだけ公共事業を伸ばしていきたいという考えです。イデオロギーからいって国なり公共団体の事業は、なるべく民間に移していきたいという、基本的な面では私は先生と根本的に違います。民営に移すことによって非常に節約され、能率がいいというような事業が見つかりましたら——私は予定しておりませんよ。バスとか何とかで、民営に移したほうが国民大衆のためになるということならば、私はちゅうちょなく調査会結論に従い、多少の反対がありましても、そういった結論が出れば、この点は踏み切るべきだと思います。まだ予定いたしておりませんが、そういう考えでこの一年間、りっぱな結論調査会に出してもらって、公営企業の部面に健全な基本策を立てたい、こういうように思っておるわけであります。
  61. 川村継義

    ○川村委員 大臣が調査会を設けて、いろいろ公営企業あり方等について諮問なさるのを、われわれとやかく言うわけにはまいりませんけれども、ただその場合に、公営企業というものの道をはずれぬことをひとつ考えていただきたいと思うのです。これはおっしゃるように、ものの考え方の根本的な差異でございまして、いまここで論議しようとは思いませんけれども、そういう意味で調査会等に対処していただくことをまずお願いしておきます。当面の問題——審議会をお開きいただいて、いろいろ諮問、答申を受けられるにしましても、これは急場の間には合わない。ところが今日地方公営企業の問題は、特に交通事業あるいは水道、病院というようなものは非常に重大な危機にきておる。これを何とかやはり政府として考えてやる。先ほども申し上げましたように、きのうも委員の意見に見ましたように、料金等の抑制はやらなければならぬ。今日料金を引き上げるようなことがあったら、あらゆる悪影響を及ぼしてたいへんな事態になるんだ。抑制策はよろしい。抑制した以上は、公営企業としては非常に経営面が苦しい、財政的な苦境に陥っているの、だから、やはりそれを見てやるところの方策というものは、当然政府が政治的責任としてとるべきである、こういうことが大方の委員の意見であります。私もそのとおりだと思います。ところが、そういう対策は企画庁のほうとしても考えない、自治大臣としても何かしらはっきりしたものがないということになりますと、公営企業は一体どうしたらいいかという戸惑いをするわけです。  そこで私がお尋ねをしたいことは、幾つも問題はありましょうけれども、たとえば先ほども申し上げましたように、利子補給でも考えてやるという考え方はないのか、あるいは元利償還期限をしばらくたな上げしてやる、一年間でもいい。そういう具体策は出てこないのか。あるいは先ほどもお尋ねいたしましたように、公庫の償還期限を延長するとか利子を下げるとか、特に地方債の利子引き下げてやるとか、何かそういうような具体策が全然出てないのか。これをやるべきではないか、私はこう思っているわけです。そういう点についてもう少し思い切ったお考えがあればひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
  62. 早川崇

    ○早川国務大臣 利子補給やあるいは期限を延ばすとかいう問題、当面として非常にいいことでございますが、私はいずれにしても、こそくな道だと思います。六大都市バス料金の場合には、値上げするのが一番いいわけであります。これは一年間ストップ。そこでその間に五十八億円赤字が出るわけです。五十八億円。これに限ってわれわれは問題を検討いたしております。その場合に金利その他でそれを補てんするというようなことはそうむずかしい問題じゃございませんが、政府のほかの省との折衝を現在やっておる段階でございまして、いずれ近く結論を得まして、政府全体としての見解を表明いたしたいと思っておるわけであります。  一年後のことは——それを縮めろ、こういう御意見ならこれはまあ別でございますけれども、すでに政府としても、バスやその他は一年間はどんな理由があろうとやらないという方針がきまっておりますから、その前提でいま考えておる最中でございます。
  63. 川村継義

    ○川村委員 いやいや、私、バスの料金を上げろ、こういう意味じゃないのですよ。そのことはよろしい。そういう施策をとってもらったことはよろしい。これは私がいろいろ理屈を言わなくてもおわかりいただけると思う。ところが、それでは今日のいろいろの公営事業が非常に苦境に陥っているから、それに対してそういう政策をとったならば、その責任として政府がやはりそれの対策を立てるべきではないか。その対策を一具体的に何か打ち出すべきではないか、こういう考え方を聞いているわけです。大臣が言われるように、料金を上げたら一番早わかりなんです。私はそんなけしからぬ考え方じゃない。きのうも運輸省の自動車局長は、今日都営バスとか何とかは、料金を上げたって始末に負えるものじゃないと言っているのですよ。料金を上げた、それだけでは決してこれは改善できるものじゃない、そういうことを言っておりますよ。料金を上げたからといって、おそらくそれで解決するものじゃありませんし、料金の引き上げも私はこれは限度があると思う。あなたが言うように民間に移してしまえばいざ知らず、公営という一つの大きな目的で運営している以上は、そう大臣が言われるように簡単にものごとは考えられない。そういう意味で実は具体策をお尋ねしているわけです。自治大臣としてはほかの関係各省とも折衝なさるでしょうけれども、私がさきに具体的に一、二指摘したような、何かそういう当面のこの苦境を乗り切っていくために公営企業にやってやるべき具体災は、全然お持ちではないのかどうか、このことを聞いているわけです。
  64. 早川崇

    ○早川国務大臣 要は一年間のつなぎ資金、さらに赤字の累積をどう最小限度にとどめていくかという対策以外には現在は考えられません。一部には東京都とか大阪とかいう大きい自治体だから、一般財源から補てんしたらいいではないかという御意見もありますか、六大都市といえども一般財源からこういう一つの独立公営企業というものに金を流さすということは、いかかなものでありましょうか。そこでそうではない方法で検討をいたしておるわけであります。また川村先生は値上げは反対だと言われますけれども、社会党の代表の方と自民党の代表の方も来られまして、また名六大都市の社会党、与党野党全部をあげて、十二年間ストップしているのを上げろという御要求があったことは御了承願いたいと存じます。
  65. 川村継義

    ○川村委員 料金値上げを要望したのはだれか私は知りませんけれども、それはちょっとおかしい。そういう無責任な、責任を人に転嫁するような御発言はひとつ慎んでいただきたい。もう一ぺんくどくなりますけれども申し上げます。交通事業等において、あるいは水道においても、その企業体について、問題は料金を引き上げなければどうしてもやっていけないというせっぱ詰まった事態にあるかもしれません。ところが料金を上げるということは、国民生活に大きな影響を与えるでありましょうし、ただ国民生活に影響を与えるばかりでなく、いろいろと連鎖反応を起こしてたいへんな事態になる。そこで政府も物価抑制策として、一年間料金を上げるなという政策を打ち出した、こういう政策を打ち出したら、それでは一体今日の地方公営企業のこの苦境を何とかひとつ打開していくために、あるいは乗り切っていくために、政府は当然何らかの具体的な施策を出すべきである、私はそう思うのです。ところが何ら具体的な施策考えないでおって、一年間がまんしろ、こういっても、あまりにもこれは無責任ではないか。  そこで私が先ほど申し上げましたように、これは一つの例でありますけれども利子補給の道というものも考えられるのではないか、あるいは元利償還金の一年間ストップというような方法もあるではないか。考えると何かそういう名案があるのではないか。そういうのは全然おやりになる意思がないのかどうか。料金を上げろという陳情があった、あるいは一年間待てばいいとかそういう問題の本質は別として、これは当然政府責任を負うべきである、こう考えて私はお尋ねしておるわけです。どうぞ大臣、ひとつはぐらかさないように率直にお答えいただきたい。
  66. 早川崇

    ○早川国務大臣 この問題は、実は自治大臣として最も頭を痛めている一つの課題でありまして、目下この一年間ストップによる自治体の公営企業の対策につきましては、いろいろな面でいま考えておるわけでありますけれども、今日まだお答えする段階にまできておりません。したがって、いずれ政府全体としての意見がきまり次第、川村委員の御要望にお答えする所存でございます。それまで御猶予願いたいと思います。
  67. 重盛壽治

    ○重盛委員 関連して。どうもいま私が聞いておったら、大臣妙なことを言われた。そういうことをおっしゃるならば、私はちょっとお聞きしておきたい。  六大都市の出身議員団が超党派で地方財政の、特に公共企業の行き詰まった現状を打開しなければいかぬじゃないかという話に行ったことは事実であります。しかし、そのときにバス料金を値上げしなさいということは一言も言ってない。そこで出ておる要望書を見ていただけばわかるはずであって、バス料金も十二年間放置したなりで処置をしておらない。それの善処をすべき段階にきておりはしないか。特に今日行き詰まっておる公共企業経営の実態をこの際処理しなければ、経営が成り立たぬという段階にまできておる。したがって、そういう形であるので、値上げをしないという基本方針にはわれわれは大賛成だし、特に社会党の方もということでございますから、社会党が行ったときに、そういう値上げという字句を、処理し、善処し、ということばに改めた。したがって、一カ年間公共料金を据え置くということは了承いたしまして、その上に立って——しかしいまほかの委員の諸君がお尋ねをしておるように、経営ができないという現実のものを一年たってやるのだ、一年間は据え置きだというこの政府考え方、これはいわば機械的な考え方じゃないか。あなたがそこまでおっしゃるならば、池田総理にその都市の代表が会ったときに、池田総理はそういうことを機械的には考えておらぬから、処理をしましょう。黒金氏は黒金氏で、これは私ども率直に言ってまことにもっともなお話でありますから善処をしたいと考えます。しかし政府が一カ年間公共料金の値上げをしないという基本線があるから、これはひとつ御協力願いたい。それは大いに協力しよう。そのかわりケース・バイ・ケースによって処理をいたしていきたいと思います。事業の来年度の予算が組めないということに対して何とか処理するということかということを突っ込んだらば、それは自治省と相談をして予算が組めるような処置を必ず講じます。それは非常にけっこうなことだということで別れておるわけであって、きのう大臣がおらなかったので、次官と局長にお尋ねして明快な答弁がなかった。したがって、そういういきさつにもなっておるので、政府と、あるいは総理大臣、官房長官と自治大臣との間でどういう処理をしようという話し合いが、当然できておらなければならぬ。したがって、そのできている結果を、いま川村君でもその他の委員でもお尋ねをしておるわけであります。また基本方針は基本方針であるが、一年間はどうにもならぬというようなことでお逃げになっておってもどうにもならぬ問題であるし、いわんや公営企業あり方については、社会党と私と違うというようなことはいま必要がないことである、それは将来の問題で論議するなら論議し、しかも公共企業ということになれば、むしろ逆に政府はおもしを入れてやらなければならぬでありましょうし、いま目前にオリンピックが控えておるときに、たとえば東京都の現実を見ても、あの姿でよいのか。バス一台購入することができないというようなところに追い込まれておるのに、処置を講じないということで、これはそういう公共料金を上げるとか上げないとかという施策のほかに、もう一つ別の、全体的な面から考えていかなければならぬ。その考えでいくことの中心は、早川さん、あなたがやはり考えてもらわなければ、そっちへ行って突っかかったりこっちへ行って突っかかったりするから、一年はしようがないからほおかぶりだということでは解決がつかない問題だと思います。これは十分御承知のはずであります。私はもうそういう結論が出ておると思いますけれども、出ておらないならば、その方向に向かって、あなたが中心になって善処するという腹をきめてもらわなければ、この問題は解決がつかないところにきておる。事務的ではない。率直に言うと腹がまえの問題まできておるのじゃないか。一応お答えを聞いて、それによってまた質問をさせていただきます。
  68. 早川崇

    ○早川国務大臣 昨日も六大都市交通局長、市長が参りまして予算編成期が迫っておるけれども、穴があきっぱなしの予算は組めない、何とかひとつ考えてもらいたいという御陳情がありました。その線に沿いまして、六大都市の人たちの満足のいくような対策はなかなかむずかしいと思いますけれども、できるだけ赤字負担を軽減し、見通しの立つような方法を考えましょう、本来運輸省の仕事ですけれども、われわれは自治体をかかえておりますので、自治体の所管するものにつきましては善処を約束いたしたわけであります。   〔委員長退席、渡海委員長代理着席〕  先ほど川村委員に申し上げましたように、いろいろ考えております。財政局長も若干の意見を申されたようでありますけれども、何分にも政府全体の決定がまだ得られておりません。暫定的な措置に対しては最善の努力をして検討中だということでいましばらく御猶予を賜わりたいと思います。
  69. 重盛壽治

    ○重盛委員 そういうことならば、いましばらくということは、予算を組むのに間に合うような時間内という解釈でいいと思いますが、それでなければ意味をなさないと思います。それでいいならばけっこうであります。いろいろあなた方の立場でやらなければならぬ問題もあろうかと思いますし、あるいは委員会等の場で答弁できない問題もあるかと思います。したがって、そういう意味のいましばらくということならば、私は了承します。一年間公共料金をストップしている期間がいましばらくであったということであれば、意味をなさないと思いますので、その点あらためてお聞きして打ち切りたいと思います。
  70. 早川崇

    ○早川国務大臣 お説のとおり考えております。
  71. 栗山礼行

    栗山委員 関連。先ほどのと重複することになるのでありますけれども、主管大臣がお見えになっていらっしゃいますので、不十分な御答弁内容について重ねて主管大臣としての施政の方向を明確に承っておきたいと思うのであります。  この問題点であります公営企業金融公庫出資増が一億円にとどまったということについて、資金強化低利融資方向、これに見合う出資金を大幅に壊すべきでないか、こういう議論が展開されまして、それは柴田財政局長がつるし上げられた内容でございますが、御説明の中に二十億を要求したのであるけれども、結果として、性格論争の末一億円の増加となった、こういう苦しい答弁をなさったのでありますが、これは自治大臣として、公営企業一つ融資方向づけとして、そのお出しになった二十億の要求について単に事務当局におまかせになったのか、あるいは地方公営企業の重大性を痛感されて、大臣みずから政治的な快腕をふるわれて折衝なさったが、こういう事態になったのか、そういう一つの経過の一点をひとつ所管大臣として私は承っておきたいと思うのであります。  それから私の論点は、いわゆる資金強化をはかるべきであるということと、それから公営企業の置かれた条件をもってもっと大幅な一つ融資内容強化すべきである、こういうことで、ほんとうのサービス低下あるいは行なおうとする公営企業が行なえないという実態に置かれておる条件から、ほんとうの福祉行政を推進するということについて内容の持つ方向づけをしろ、こういうことでいろいろお願い申し上げたのでありますが、この中で重要な内容を持つ公営企業については、あまり七分三厘というような高利のものではなくて、低利による住宅公団、住宅金融公庫及び農林漁業金融公庫等が行なっておりますように、住民福祉の向上をはかりますためには、政策融資を並行してやるという思い切った自治省方向づけをしなければならないのではないか、こういうことについてお尋ねを申し上げておったのであります。なかんずく、地域的なことを申し上げて恐縮なのでありますけれども大都市に集中をしている交通緩和の方策については、タクシーではどうにもなりません。路面電車バス限界点に逢着いたしましたことは、これはもう御承知のとおりでありまして、地下鉄が膨大な資金量を揚げまして、遠大な計画を持って、都市における交通緩和方向ということで取り組んでおるのでありますが、地下鉄については、私は当面の処置としては、やはりこれを政策融資対象として都市集中の交通緩和方向を打ち出すべきじゃないか、こういうことについての所見を伺ったのでありますけれども、漫然たる形において政策融資の問題が論議されておる、こういうふうな逃げ方をされて終わったのであります。所管大臣として、そういう公営企業という重要な一つ事業について、政策融資方向にこれを推進する。なかんずく一番大都市における交通緩和の緊急事態としての地下鉄について、政策融資方向を取り上げて池田さんの政治施策を国民に示す、こういうような内容が望ましいのでありますが、所管大臣としてこれについての所見と、そうして将来の施策方向づけの一端をお伺いできれば私は非常にしあわせだ、このように思うのであります。
  72. 早川崇

    ○早川国務大臣 公営企業金融公庫の一億出資というのは小さいことで、まことに不満足だというおしかりでございます。私も非常に不満足でございます。ただ私が言いたいのは、公営企業金融公庫というのは、普通の一般財政融資、運用部資金その他の起債のこぶとして設けられたものでありまして、そのために公庫債を募集できるということで、こういう一般にこぶができて公営企業金融の緩和に役立ったわけであります。ですから本年の地方計画がかなり大幅にふえましたので、なるほどこれは不満足ですけれども、全体としてこの程度の四千億近い起債というもののワクを獲得できましたので、一応これで満足せざるを得なかった、こういう次第を御了承いただきまして、なお今後とも公営企業につきましては原資の拡充につきまして努力をいたしたいと思っております。  それから政策金融につきましてはいろいろ問題がございますが、お説の考え方は私は非常にごもっともだと思います。そういう観点から申しまして、都市交通におきましてはやはり地下鉄重点になろうと思います。しかし一がいに全部が地下鉄でなく、たとえばその都市の実情によりまして、地下鉄が再優先するという具体的の例を言いますと、大阪あたりは一にも二にも私は地下鉄を早急に拡充すべきだと考えまして、昨年度二百億をこえる起債を差し上げたわけであります。本年度も大阪中心にいたしまして、地下鉄バスあるいは電車というものの一体的運営をはかっていきたい。従来は地下鉄ができたけれども地下鉄の上の道路をバスが走っておる、これは無意味なことですね。そういう不合理が都市交通においてございます。総合的にこの都市交通考えていかなければならぬ、こういう考えで自治体を指導いたしておるわけでございまして、ただいま御指摘の政策金融ということは十分考慮しながら、今後財政金融につきまして運営をはかっていきたいと考えております。
  73. 川村継義

    ○川村委員 時間がありませんからあと一つ、二つお尋ねしておきたいと思います。  地方公営企業の問題についてあるいは公庫自体の業務内容等につきまして、いろいろとやはり不十分であるという意見が今日まで指摘されたと私は思います。これは政府全体のものの考え方にもよると思いますけれども自治省としても私はやはりその辺のところの考え方が少し手薄ではないか、こう思うのです。そこで局長からちょっと御意見を聞いておきたいと思いますが、その一つ地方債の問題でございますが、これは後ほどまた財政計画等に関連してお聞きする時間があると思いますから、簡単にお答えいただきたい。それはいま大臣もちょっと口に出てまいりましたように、地下鉄事業あるいは大都市中心とする上水道事業、こういうところには相当の起債の増額を考えておられるようでありますけれども一般交通事業、こういうようなものの起債ワクというものが非常に少ない、こういうところにもやはり一つの問題が存在するのではないかと私は考えております。病院の事業にいたしましても、それから大都市を離れた中小都市の水道事業一般交通事業、そういうところにやはりもう少し起債を見てやる、起債公庫資金よりも利子が私は安いと記憶しておりますが、そういう面からも公庫のほうは完全に債券等が消化されていく状態であれば、やはり起債面でもそういうあたたかい措置を考えてやるということが一つあるのではないか。ところがどうも起債計画を見ると、そういう面について十分な配慮がなされておらなくて、先ほども指摘いたしましたように、工業用水関係であるとか、そういうようなところに大きな起債考えておるということは少し問題ではないか、こう思われるのですが、ちょっと御意見を聞かせてもらいたい。
  74. 柴田護

    柴田政府委員 一般交通事業起債の額が少ないではないかというお話でございます。私どもこの額でもって十分だとは考えておりませんけれども、いろいろ資金需要の全体、それから地方の需要の全体等々を考えまして、本年度は二十九億、三十八年度に比べて三億増を一応予定いたしておりますが、なお実情によりましては弾力的な運営をはかってまいりたい、かように考えておる次第でございます。全体としてもっとふやさなければという御意見もあろうかと思いますが、資金需要全体からの制約等もございまして、こういう形にまとめたわけでございます。
  75. 川村継義

    ○川村委員 それでは起債問題についてはまたいずれ御意見を伺うことといたしますが、次に小さいことですが、課長にちょっとお聞きしたいと思いますが、公庫の本年度の借りかえの五十六億はずっと前に借りたものでありましょうから、新しく借りかえたらやはり新しい利子に下げるのでございましょうね。
  76. 近藤隆之

    近藤説明員 新しい利子が発効することになります。
  77. 川村継義

    ○川村委員 最後に大臣にお伺いいたしますが、この金融公庫改正の第一点は、言うならば予算範囲内で資本金を増加することができる、こういうことの改正でありますが、これはそのお考えがどうも私にははっきりわかりませんが、一億なら一億増資する。あるいは、昨年度はありませんでしたかね、増資するたびにこうして法案の改正をやる必要はないではないか、増資があったら自動的にと申しますか、そういう意味で増資ができるようにしておいたほうがいいのではないか、簡単に言うならば、こういうようなお考えでございますか。
  78. 柴田護

    柴田政府委員 やや要務的なことでございますので私からお答え申し上げますが、公営企業金融公庫のみならず、ほかの公庫でございましても、大体出資金の明記をして、増資をするためには、増資をするごとに法案を改正するというやり方をとっておりますところと、それから今回提案いたしておりますような書き方をしているところとあるわけでございます。最近はこういう書き方をしているところがふえてまいっております。その趣旨は、出資金の増減の問題につきましては、予算等につきまして御審議を願う機会もございますし、それからまた出資金をふやしたり減らしたりするということについて、法案を提案していろいろ御審議を願うこともわずらわしいのではないか、むしろ予算の御審議とあわせてその点を御審議願うほうがいいではないか、一般的な弾力規定、こういう形にしたのでございます。
  79. 川村継義

    ○川村委員 わかりました。しかしちょっと気になるのは、今度の一億増資に伴って公庫法の一部改正がこの委員会に提案をされましたので、この機会にたくさんの委員の皆さん方から、これに伴うところの、いわゆる公営企業全般についての非常に慎重な御審議があった。ところがこれから増資があっても、こういう法案が出てこないとなると、こういうような審議の場所が制約されるのではないか。地方行政委員会としては、おそらくへたするとほかの法案の取り扱い等に追い回されて、こういうものの審議をする機会というものがなくなる、と言うと語弊がありますけれども、非常に制約される、そういうことになりはしないかということを心配いたしますが、この点、大臣、どうですか。
  80. 早川崇

    ○早川国務大臣 委員会法律が出ても出なくても一切の国政の問題について質問をされましたら、われわれは丁重に詳細にお答えする義務を持っております。予算関連ということで、この委員会公営企業を、将来増資の場合でも、十分御審議する場は当然おありになるわけであります。その御心配は要らないものだと私は考えます。
  81. 川村継義

    ○川村委員 それはおっしゃるとおりでありまして、あらゆる機会にやはり公営企業の問題、あるいは公営企業金融公庫の問題等は審議できるわけですね。しかし何も別に不都合がないならば、やはり増資のたびに法案を提案されて、委員会の審議を求めるという方法をとってもいいのではないか。別に不都合がないならそうするのがよいのであって、自然にまかせておく、そういう形でないほうが私は正規のあり方ではないかと思うのです。局長のお話によりますと、ほかの公庫でもそういうことをやっておる公庫があるということでありますが、その点、私はお考えの真意がよくつかめない。局長からでもいいですが、ちょっと突っ込んで意見を聞かせてください。
  82. 柴田護

    柴田政府委員 審議の場がなくなるとかなんとかいう問題、それに結局関連するかと思いますが、公営企業につきまして御審議をわずらわす機会は、私どもといたしましては地方財政計画を提出し、あるいは地方計画を提出いたしまして御審議をわずらわす機会は走るわけであります。また地方財政全般につきましては地方財政全般の状況について御報告を申し上げ、御批判を仰ぐ機会もあろうと思います。といたしましては、公営企業につきまして公庫出資金の増減だけの法案についていろいろ御審議をわずらわす、ほかにそういう機会があるにもかかわりませず、それを法案の形にして御審議をわずらわすということにつきましていかがか、単に出資金の増減だけじゃないかという考え方から、弾力的にそれを取り扱うという法律にしたほうが、審議をお願いする側からも、また御審議をしていただく側から考えましてもむしろ簡便ではないか、こういい考え方に立ちまして一般の法案の扱う方に従おうとしたわけであります。
  83. 川村継義

    ○川村委員 御意見承っておきたいと思いますが、最後に一つ私は簡単に要望いたしておきたいと思います。  公営企業の今日の実態は、もう申し上げるまでもございません。何としても今日やはり政府責任を持って対策を立ててやらなければ、一歩一歩苦境に追い込むだけではないか、このように思われますので、先ほど大臣のおことばにありましたように、早急に地方公営企業についての対策をお示しいただくことを、そしてまたあらためて委員会でいろいろと論議をし得るように進めていただくことを、ぜひお願いしておきたいと思います。
  84. 渡海元三郎

    ○渡海委員長代理 ほかに質疑はありませんか。——なければ、本案についての質疑は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十九分散会