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1964-02-06 第46回国会 衆議院 地方行政委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年二月六日(木曜日)    午前十時二十七分開議  出席委員    委員長 森田重次郎君    理事 渡海元三郎君 理事 中島 茂喜君    理事 永田 亮一君 理事 藤田 義光君    理事 川村 継義君 理事 阪上安太郎君    理事 安井 吉典君       亀岡 高夫君    久保田円次君       登坂重次郎君    三池  信君       村山 達雄君    森下 元晴君       山崎  巖君    秋山 徳雄君       佐野 憲治君    重盛 寿治君       千葉 七郎君    華山 親義君       細谷 治嘉君    栗山 礼行君  出席政府委員         厚生技官         (環境衛生局         長)      舘林 宣夫君         厚生事務官         (医務局次長) 大崎  康君         運輸事務官         (自動車局長) 木村 睦男君         自治政務次官  金子 岩三君         自治事務官         (大臣官房長) 松島 五郎君         自治事務官         (財政局長)  柴田  護君  委員外出席者         自治事務官         (財政局公営企         業課長)    近藤隆之助君         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  公営企業金融公庫の一部をを改正する法律案(  内閣提出第二七号)      ————◇—————
  2. 森田重次郎

    森田委員長 これよりり会議をを開きます。  公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑をを行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。安井吉典君。
  3. 安井吉典

    安井委員 公営企業金融公庫法改正に関連いたしまして、地方公営企業そのもの問題点を一昨日の委員会におきましても論議いたしていたわけでありますが、地方公営企業が、公共福祉増進という方向で成果をあげている事実はそれといたしましても、最近の情勢は、客観的ないろいろな事情を反映いたしまして、事業そのものが非常な苦境にある事態を、昭和三十七年度地方公営企業決算概況に関する自治省の報告その他からうかがい知ることができるわけです。事業別に見ましても、交通事業は総事業の約七割が赤字であり、病院事業はその五割、水道事業は三側が赤字というふうな実態が示されております。特に最近は、公共料金一年間ストップという政府方針もこの問題に複雑にからみ合って、私ども地方公営企業の円滑な全身を願う立場から、この現状をぜひとも打開しなければならないと考えるわけです。そういう意味で、きょうは赤字事業の三羽ガラスである交通事業病院事業水道事業関係官庁の方においでをいただいておりますので、まず現実に運営をなすっておられる立場から、それらの問題点をひとつ伺いたいと思うわけです。どちらからでもいいのですが、じゃ初めに、交通関係赤字の王座を占めているというふうな事態もございますので、運輸省はどなたですか。
  4. 森田重次郎

    森田委員長 木村自動車局長がお見えであります。
  5. 安井吉典

    安井委員 それでは自動車局長から、現状における実態をどういうふうに把握されているか、その原因はどこにあるか、さらにまた対策としてどういうふうなお考えをお持ちか、そういう点をひとつ伺いたいと思います。
  6. 木村睦男

    木村(睦)政府委員 ただいま公営企業の中で交通事業現状等についてどうであるかという御質問でございますが、私、自動車局長でございますので、公営企業交通事業の中には電車あるいは地下高速鉄道等がございますが、私の所管しておりますバス事業だけについて申し上げたいと思います。  公営企業の中でも、 バス事業つきましては、相当長い期にわたりまして運賃改定をいたしておりません。特にその中でも六大都市につきましては、十年以上にわたって運賃改定をいたしておりません。その間、御承知のごとく一般的な物価の値上がり、特に人件費高騰、そういったものが、交通量増加収入増加もありますけれども、それを上回って経費増加が年年ひどくなってまいってきております。特に昭和三十六年から七年を境にいたしまして、人件費高騰等が特に目ざましくなってまいりました等の影響で、最近では経営は相当苦しくなっております。これらの公営バス事業における運賃改定申請も、すでに一昨年来出ておるわけであります。バス事業をやっております公営企業は、全国に相当たくさんございまして、公営といわず民営といわず、そのほか特に小規模経営であり、また経営の非常に苦しいものから、逐次経済企画庁協議をいたしまして、運賃改定をしてまいったわけでございますが、最後に残っておりますのが公営企業では六大都市、秋田市、浜松市、北九州市、この九都市が、運賃申請を受け付けておりますが、いまだ認可処分をいたしておらないという状況でございます。たまたま昨年来、特に東京都のバス事業運賃改定申請に端を発しまして、経済企画庁といろいろ協議をしてまいったのでございますが、公営企業民営企業と比べますと、公営企業のほうに経営の面において非能率の点が多いというふうな状況でもございますので、特にバス運賃というものが、その地帯におきまして相競合しておる数社のバス事業では、経営の難易を問わず、運賃調整という観点から同一運賃でなければ、同じ道路上を走っておりますバスA社B社料金が違うということは交通行政上困る問題でありますので、同一運賃でなければならないというようなことから、特に東京都区内におきましては、新しい構想で地帯性運賃で今後やっていきたいという申請が出ておるわけであります。この新しい運賃申請によってこれをこのまま認可いたしましても、東京都の場合のごときは、新運賃に移ってもなお赤字が生まれるというふうな状況でもございますので、ただ単に運賃改定だけでは公営企業は十分に改善、救済されないのじゃないか。そこで公営企業について、企業あり方等について根本的に検討を進めていこうというふうな話になりまして、こういう公営企業、特に交通事業につきまして、企業あり方につきまして、われわれも参加いたしまして研究する機関を設けて検討してまいったのであります。その結論といたしまして、いろいろ改善すべき事項の意見がまとまったわけであります。そういうものを基礎にいたしまして公営企業経営改善を一方において促進すると同時に、運賃改定につきましてもこれを進めていきたい、こう考えておったところでございますが、御承知のごとく一月に入りましてから、物価高騰のムードを抑制するという政府方針で、公共料金を一年間理由のいかんにかかわらずストップするということがきまったわけであります。その場合にバス事業につきましては、六大都市であるとか、あるいは六大都市に同町にやっております民営の大規模バス事業等につきましては、特にこの一年間がまんしてもらうというふうな方針になったのでございます。われわれとしても、やむを得ず政府方針に従わざるを得ないということになって、今年一年はこの運賃改定も見送らざるを得ないという状況になっております。
  7. 安井吉典

    安井委員 いま、ごぐ大ざっぱにお話をいただいたわけでありますが、まず一番初めに、いまのお話の中にもありましたけれども、私営と公営企業との比較でありますが、公営企業のほうは、民営に比べると採算性が悪いということ、これは初めから前提にしておるような立場があるのではないかと思うわけであります。つまり民営のほうはもうかる路線を引くでしょうが、しかし公営というたてまえからすれば、住民要求があれば、もうからないところにも線を入れなければいけない。そういうような特殊性があるのではないかと思われます。そういう民営公営企業との特殊性を、自動車の場合においてどういうふうに考え合わせておやりになっておられますか、その点をひとつ伺っておきたいと思います。
  8. 木村睦男

    木村(睦)政府委員 公営の場合と民営の場合に、収入の面において格差があるのではないかという御質問でございますが、各公営企業民営企業とを比較いたしてみますと、必ずしも公営だから非採算路線をたくさん持っておって収入が悪いという数字は出てまいっておりません。たとえば東京都の場合につきましても、われわれはバス事業収入につきましては、キロ当たり幾ら収入かということを一応収入面の見当をつける基礎にしておりますが、キロ当たり収入を見ましても、公営の場合と正常の場合とほとんど違いがない。特に民営の中のあるものよりもよいという場合もございますので、この点につきましては、別にそういう差異をつけて考える筋合いではない、かように認識いたしております。
  9. 安井吉典

    安井委員 たとえばバス路線認可等にあたりまして、民営公営の場合で認可についての考え方について特別な考慮がありますか。
  10. 木村睦男

    木村(睦)政府委員 バス事業認可につきましては、市来のバス事業行路線延上長等につきまして一応考えますのは、公営につきましては、その市町村事業区域市町村行政区画というものがございます。それから民営バスにつきましても、実績上大体このバス会社はこの地域バス事業として担当しておる、隣接の他のバス事業者は、大体この地域をやっておるということで、相互調整等考慮するわけでございます。そういう場合に、公営の場合は、その市町村行政区画というものが、一応その公営バス事業事業区域だというふうに考えて、バス事業相互調整等を行なっております。
  11. 安井吉典

    安井委員 民営優先とか公営優先とか、そういうようなあれはないわけですか。
  12. 木村睦男

    木村(睦)政府委員 両者を差別いたしまして、どちらを優先するというふうな考え方はございません。ただいま申し上げましたような事業区域というような観念で見まして、どっちかを認めなければならないというときには、どちらがウエートが高いかということは判断いたすわけであります。
  13. 安井吉典

    安井委員 民営公営との監督官庁の取り扱いの問題をいま論議していたわけでありますが、公営企業民営企業とでは、特別な差異はないという前提、といいますか、そういうお話がまず先にあったわけですけれども東京都だとかなんとかの場合は、そんなことがいえるかもしれませんが、一般論としては何か差異があるような気がするわけです。そういうふうな問題が、東京都だけではなしに他都市の場合においても、民間企業が当然そこまで伸びていかないところに、地方公営企業というたてまえにおいて、そこに路線を引いたという例は御存じありませんか。
  14. 木村睦男

    木村(睦)政府委員 御質問の趣旨がちょっとわかりかねますが、もう一度……
  15. 安井吉典

    安井委員 つまり民営なら採算が合わないから、そこまでは路線を入れなかった、しかし住民要求が強いものですから、公営企業というたてまえから、採算割れを覚悟しながらもそこまで路線を伸ばしたとか、そういうようなことです。
  16. 木村睦男

    木村(睦)政府委員 具体的に路線延長等を認めるかどうかという場合には、その申請しております企業体公営でも民営でも同じでございますが、企業体全体といたしまして、この路線認可すれば非常に経営が困難になるかどうかということを、一応の判断として見るわけです。したがいまして具体的に申請のあった路線につきまして、その路線だけから見れば、あるいは採算上困難な点があるかもしれない、しかし、この路線採算上少々困難であっても、沿線の住民のためにやるべきであるということになりますと、さてしからば、それを含んでそれをやらんとしておる企業体全体が、非常な影響を受けて、そのために企業体自体が、採算が苦しくなるかどうかということで、それが苦しくなるということであれば、企業として成り立ちませんので、これは認めない。しかしその路線だけでは採算は悪いが、企業全体として他に採算路線を持っておるので、総合してみれば、企業としてはこの程度の犠牲はしのんでも公共性のためにやるべきだという判断の上に立った場合に、これを認めておりまして、その点は公営民営も同様に考えております。
  17. 安井吉典

    安井委員 どうも論議がその辺でもやもやしておるのですが、実は私がお聞きいたしたいのは——交通事業は、全体的に非常に楽な状態にあると私は考えます。しかしながら、その中においても地方公営企業である都市交通事業が、非常な赤字を背負っている。こういう実態は、民営企業公営企業とで何か違った点があるのではないかというふうな点を私はお聞きしたかったわけです。だからそういう点について、公営企業は本来的に何か弱さというか、そういう宿命を背負っているのではないか、そういうふうな一応の認識を私持っているものですから、先ほど来そういうふうなお尋ねをしているわけです。いかがですか。
  18. 木村睦男

    木村(睦)政府委員 公営民営と比較しまして、一般的に公営赤字が非常に多いということは、収入面において収入が少ないから赤字が出ておるというのではございませんので、経費の面において、公営のほうが経費が非常に高いので、赤字が出ておるというのが実態でございます。
  19. 安井吉典

    安井委員 そこで経費の内容や何かに入るわけですが、全体的なその収入の問題も、最近路面交通が、非常に渋滞をしているという事態がありますね。そういうようなことで、むしろ効率が落ちてきている、そういうような全体的な事情も、この自治省概況の中に書かれているわけです。あるいはまた軌道事業の斜陽化、そういうような問題もあるわけですけれども、これはあなたの場合は自動車ですから、軌道のことはお聞きいたしませんけれども、そういうような全体的な収入の問題もあるし、それからこの赤字の累積が、一時借り入れ金という形で急場をしのがなくてはならない。これは民営の場合も同じような形になるかと思いますけれども地方公営企業の場合は、地方公営企業法という独算制一つのワクの中に閉じ込められて、そう融通はきかないと思います。そういうような点から、一時借り入れ金の増大が、資本流動比率を非常に悪くしている。あるいはまた資本支出の中における企業横償還金が非常に増加するような形で経営を圧迫している。そういうような面はどういうようにお考えになっておりますか。
  20. 木村睦男

    木村(睦)政府委員 収入の面において、交通混雑、そういった諸原因が災いをいたしまして、大都市都心を中心にしたバス事業の今後の収入伸びと申しますか、その点につきましては、交通混雑影響を受けまして、同じように伸びることは伸びますけれども伸び率といいますか、上昇カーブというものは、大都市においては、その他の地区よりも緩慢であるということは、われわれもそのように推測いたしております。  それから一時借り入れ金その他の問題につきましては、お話のように公営にはそういう方法しかないので、民営一般金融機関から金を借りるということでありますが、そのことが特に公営民営との経営の困難さに非常に大きな影響を与えて、両方の経費の面に差が出ておるというのは、大きな原因ではないのではないか、私はそういうふうに考えております。
  21. 安井吉典

    安井委員 財政局上、この同じような問題について、どういうふうなお考えですか。
  22. 柴田護

    柴田政府委員 地方公営企業の場合は、この間もお答え申し上げましたように、一般的に一般企業に比べまして、すべてを借り入れ資本によって経営するという本来的な弱点がある。この問題をどう片づけるかという基本的な問題があるわけでありますが、その点を除きますれば、私どもは最近の公営交通を取り巻く環境の変化ということも一つ原因であるけれども運賃の問題も一つ、それから経費合理化が不徹底である、つまり経費面に問題があるということも大きな原因ではないかと考えております。
  23. 安井吉典

    安井委員 財政局長にちょっとその点をお考えいただきたいのですが、民営企業の場合は、資本という形で、つまり株式という形で資本が充実されるわけです。しかし公営企業の場合はこれはないわけですね。いま財政局長が言われたのは、そういう点ではないかと思いますが、だから企業債というものの圧力といいますか、そういうようなものは公営企業の場合はずっと大きくその経営の中に響いてくる、そういうふうな生まれつきの異なった体質を持っている、体質的な弱さを持っている。そういう点が私一つ指摘されるのではないかというふうに思います。そういうふうな実態から考えて、いろいろな問題が出てくるわけでありますが、さっきもちょっと触れましたように、民営よりも地方公営企業の場合には、路線認可の場合などにも優先的な措置ができないか、こういうような要請が全国市長会だとかその他から常に出されているのですが、これについてはどういうふうに御判断なさっていらっしゃるわけですか。
  24. 木村睦男

    木村(睦)政府委員 そういう陳情は私もよく聞いておりますが、特に公営民営に対して無条件に優先しなければいけないとか、あるいは逆に民営公営に対してより厚く見なければいけないとか、そういうふうな考え方には立っておらないわけであります。
  25. 安井吉典

    安井委員 公営企業という本質をもう少し論議しなければいけないような気がするわけですが、それは交通事業だけでなしにほかの仕事とも関連いたしますので、あとでさらに触れることにいたしまして、公共料金抑制の問題は、私どももいわゆる所得倍増政策の誤りからどんどん物価をつり上げておりますこの現在で、バス料金をも含めた公共料金を上げるということには賛成しかねます。そういう考え方は一応ありますけれども、ただ今日政府方針として打ち出されて、料金抑制するという問題が前面に出ているわけです。民間業者の場合は、何かこれを訴訟に持ち込もうというような動きがあるというふうなお話も開くのですが、それについての政府のお考え方はどうなんですか。
  26. 木村睦男

    木村(睦)政府委員 先般東京都心東京川辺をやっております民営バス業者、それから六大都市公営バス荘業の当事者の方から、運輸大臣に対しまして、今回の一年間の公共料金ストップに対しまして、公開質問状がまいったわけです。私どものほうといたしましては、それらに対して回答をいたしたわけでございますが、最近の動きではこの回答を不満として行政訴訟をやろうではないかというふうな意見も出ておるやに聞いておりますが、どの程度のものであるかは私まだ実際には知っておりません。ただ今回のストップにつきましては、先ほども申し上げましたように、とにかく政府物価抑制という一つ方針から割り出したやむを得ざる措置でありますので、こういった大規模バス事業者の方には、とにかく一年間ごしんぼう願いたいということでございまして、理屈でもって対抗できる問題ではございませんので、極力この政府方針に協力していただくということで御説明申し上げておるわけでございます。
  27. 安井吉典

    安井委員 この問題をめぐって、ひとつこの点明らかにしておきたいと思うのですが、料金決定についてどういうふうな原則でお考えになって認許可をなすっていらっしゃるのですか、その点をひとつ伺いたい。
  28. 木村睦男

    木村(睦)政府委員 自動車運送業料金につきましては、道路運送法に明確な規定がございまして、合理的な事業経営のもとに適正な原価と適正な利潤を償う運賃改定申請であれば、運輸大臣はこれを認可しなければならないというふうになっておりまして、これに従って処理いたしておるわけであります。
  29. 安井吉典

    安井委員 地方公営企業の場合の料金決定の、原則は御存じですか。
  30. 木村睦男

    木村(睦)政府委員 公営企業の場合でも、バス事業につきましては、この料金の適用はございますので、これに従ってやっております。
  31. 安井吉典

    安井委員 地方公営企業法第二十一条第二項の規定、これとの関連はどうなるのですか。
  32. 木村睦男

    木村(睦)政府委員 バス事業につきましては、私のほうとしては、道路運送法のただいま申し上げました規定によって運輸大臣が処理いたしておりますので、公営企業法につきましては自治省のほうから……。
  33. 安井吉典

    安井委員 財政局上長は、どうなんですか。
  34. 柴田護

    柴田政府委員 地方公営企業法に書いてあります料金一般規定は、いわば一般法、したがいまして、交通事業の場合におきましては、道路運送法特別法関係になる、こういうことになっております。書いておりますことも、基本的には矛盾をしないと考えております。
  35. 安井吉典

    安井委員 いまの両局長の御答弁からすれば、料金というものは地方公営企業法の第二十一条でも「地方公営企業の収支の均衡を保持させるように適切な考慮が払われなければならない。」こういうことになれば、七割以上の企業——これは都市交通全体の問題ですけれども赤字になっているという現状は、赤字がないように料金決定が行なわれなければならないというふうなことにもなりそうだし、道路運送法のほうから見ても、適正な利潤を見込んだところで料金決定が行なわれるという規定があるとすれば、赤字になっている事態をそれとどういうふうにからませて考えたらいいのかということ。だから私は料金を上げろと言うのではありませんよ。一方において、料金ストップという大きな原則と、その料金決定のこの原則と、この二つの中から政府は何か対策を打ち出さなければ妙なことになるのではないですか、その点はいかがですか。
  36. 木村睦男

    木村(睦)政府委員 御指摘のとおりでございまして、運輸行政だけから申し上げますと、申し上げましたような規定に従いまして、そのとおりの運賃料金申請であれば、その改定認可しなければいけないということになってまいります。したがいまして、今回の一年間ストップということは、現在の公営企業申請をいたしておりますのが、運賃値上げする必要がないということでストップするわけではございませんので、全般的な物価政策という見地から一年間ひとつがまんしていただこう、協力していただこうということでございますので、ちょっと理屈で押し通せるものではないわけでございます。
  37. 安井吉典

    安井委員 財政局長いかがですか。
  38. 柴田護

    柴田政府委員 私ども公営企業料金決定一般原則に従って、都市バス料金につきましてお認め願いたいということを、主管官庁を通じてお願しておったわけでございます。しかしながら、現実といたしましては、御承知のような経緯で今日に至っておる。私どもといたしましては、したがって、その間の財政的処理をどうするかという問題でこの間からお答え申し上げておりますように、現在鋭意検討を行なっておるわけであります。早く何とかしてやらなければいかぬ、こういうことで検討をいたしておる次第でございます。
  39. 安井吉典

    安井委員 自動車局長のさっきの御答弁からすれば、いまの政府の、これは通達でしたか、閣議決定ですね、しかし料金決定は、これは法律規定のわけです。どうもさっきのお話からすれば、法律には一応あるけれども閣議決定があるからというふうなことでは、まるで国会がつくった法律よりも、いまの政府閣議できめる問題のほうが重大だ、そういうようなふうに受け取れてしようがない。その点いかがですか。
  40. 木村睦男

    木村(睦)政府委員 料金、の決定は、法律によって、やるわけでございますが、ただいま申し上げましたように物価抑制の緊急的な措置といたしまして、政府方針としてきめた一年間ストップということで、公営企業あるいは大規模交通事業等につきましても、一年間これに協力してもらおうという政府最高方針でございますので、単純な運賃理論だけからいいますと、非常にその間にいろいろ矛盾等もあることは十分承知しておりますが、政府最高方針できまった線に沿ってわれわれ事務当局もこれに従わざるを得ないという状況でございますので、その間の事情を御了承願いたいと思います。
  41. 安井吉典

    安井委員 それは政府最高方針かもしれませんけれども国会決定は、国の最高機関としての国会決定は、料金についてもこうするんだときめてあるわけです。それを守らないような政府のほうが、これは悪いのじゃないか。どうもお話を聞きますと、国会はそうきめてあるけれども政府がそうではないというからしかたありません。こういうようなことじゃ国会はまるで何のために法律をつくっているのかわからないということです。法律を執行するのが政府じゃないですか。どうもさか立ちしているものの考え方があるように思うわけです。ところで、私が申し上げたいのは料金を上げろというのではなしに、政府最高方針としてのそういう方針が打ち出された以上、いまの経営の苦しさ、それから料金を上げるなという一つの命題、この間のこれをどういうふうにして適合させるかということについて、具体的な考え方をお出しになるのか、政府国会の間に立って、局長もずいぶん苦労されているような印象をいま受けるわけですけれども、その間に立ってどういうふうにこの問題は処理したらいいのか。だから都市交通経営の苦しさの中に、こういうふうな施薬をすることによって、料金ストップも何とかそういう中で解消することができるのではないか。こういうようなお考え方が私はあっていいと思うのです。特に私は新しい問題としてガソリン税の値上げ軽油引取税、これも約二割の値上げがあるわけですね。それをも含めて料金ストップという政府方針を出していると思うのです。そういうことになれば、ただでさえ悪いところへもってきてそういうふうな税の値上げというものが、これはやはり経営の上に大きく響いてこないわけでは決してない、そういうふうに思います。どうですか。そういうふうな実態をとらえまして、きょうは地方公営企業としての交通事業のことをいま論じているわけですけれども、それについてこうすればいいのではないか。そういうような御提案はありませんか。特にいまさっき申し上げましたような、企業債企業を非常に苦しめている問題、そういうふりな問題も含めて、もっともっと何か解決の方法が私はあるような気がするわけです。いかがですか。
  42. 木村睦男

    木村(睦)政府委員 実は公共料金、いわゆる公共料金、というもののなかに、私の主管いたしております自動車運送事業関係料金非常にたくさんございまして、それらがいずれもこの政府方針のもとに一年間がまんをしてもらうという立場に置かれておりますので、それにかわる方法として、いろんなことをいま検討いたしております。いずれも非常に困難な問題が伴って、実は苦慮している。特に公営交通事業につきましては、公営企業全般を監督しておられます自治省協議いたしまして、今後適当な方法を何とか考えたい、かように思っておりますが、きわめて諸条件は苦しい状況のもとにございますが、今後両者協議いたしまして、何とか少しでも役に立つ方法を考えたい。かように思いながら目下協議検討をいたしておる状況でございます。
  43. 阪上安太郎

    ○阪上委員 いまの問題に関連して一つお伺いしますが、地方公営企業における交通事業赤字の問題は、前回の公営企業法の一部改正のときにも問題になった。そうしてあの場合特に交通業の赤字については、これは現在のやり方で進めていく場合はやむを得ない赤字が出てくるという見通しがついておる、そういった関係から正当な赤字については、これに対する何らかの国の財源措置をすべきであるという意味の附帯決議がつけられておるわけです。それについて何らの対策も出てこないうちに、またこの問題がいま論議されておる、こういうことなんです。  そこで、ひとつ次官に伺いたいのですが、財政局長でもけっこうですが、この開帳決定公共料金の値上げストップ、これは国策ですか。
  44. 金子岩三

    ○金子政府委員 御承知のとおり物価が非常に上昇しているので、ここらで物価をひとつ抑えようとする重大な国策と私は考えます。
  45. 阪上安太郎

    ○阪上委員 そうあるべきだと思いいます。そういたしますと、地財法の第二条の二項に、「国は、地方財政の自主的な且つ健全な運営を助長ずることに努め、いやしくもその自律性をそこない、又は地方公共団体に負担を転嫁するような施策を行ってはならない。」こういうふうになっておる。そこで国の施策として打ち出して、自治体が自由に運営のできないような、状態に追い込んでいく、これはやむを得ない場合もありましょう。そういった場合に、そこから出ておりますところのそれに基づく赤字補てん等につきましては、これは当然に政策で何かやらなければならぬ、こういうことになると私は思うのであります。いま自動車の場合も同じだと思う。ところがこの閣議決定の文句を見ますと、盛んにこういうことばを使っているのですが、協力をお願いする。この協力をお願いするという意味はどういう意味なんですか。法律で当然そういうような措置が講じられなければならぬけれども、その措置は講じないで御協力をお願いする、こういう意味ですか。財政局長に、この協力という意味はどういう意味なのか。
  46. 柴田護

    柴田政府委員 御質問の趣旨は、自粛要請の問題についての文面についてのことばだと思います。この問題につきましては政府において措置し得べきものにつきましては、政府の責任において措置できるわけであります。地方公共団体限りで措置できるもの、たとえば水道料金等につきましては、経営合理化等によって水道料金の引き上げについて協力をしていただきたい。つまり政府としては、公共料金の引き上げをしばらくやめるんだ、ストップするのだということでありますので、その方針に従って、地方独自で措置し得るものについても、ひとつその趣旨に従って経営合理化等の措置を講じて、引き上げに至らないように協力を願いたい、こういう意味でございます。
  47. 阪上安太郎

    ○阪上委員 そうしますと、この政府の政策が出る以前においては、地方公共団体の公営企業においては、全然そういう合理化も行なわないし、きわめて不適当な経営をやっておったという判断の上に立っておる、そういうことなんですか。これが出たからとたんに合理化してくる、これが出たからいままでやっておったのは合理化ではないのだ、適当な運営ではなかったのだ、こういうような解釈の上に立って、だから御協力を願います。こういう意味ですか。
  48. 柴田護

    柴田政府委員 まあものの言いようの問題かもしれませんけれども、ものによりましてはまだ合理化の余地があるけれども、しかしこの際むしろ料金合理化をしよう、こういうようなものもございましょう。ものによっては、おっしゃるように、経営合理化に力を尽くして、なおかつ十分でないようなものもございましょう。したがいまして、協力という意味はどうにもならぬ場合ではなくして、むしろ前者の意味で私ども考えておるわけでございます。先般来お答え申し上げておりますように、この問題につきましても、私どもといたしましては、協力をお願いする以上は無策であってはならない、何らかの措置を同時にとらなければならない、そういう意味で、現在鋭意対策検討中でございます。
  49. 阪上安太郎

    ○阪上委員 何かよくわからないのですが、いままでそれでは政府の施策に何も協力してないとか、こういう解釈があったわけですか。いろいろこまかいことを言えば末端のこまかい問題が出てくるかもしれませんけれども、しかし政府の施策、国の施策によって、地方公共団体に対して自主性を失わせる、そして制限を加えていくような介入を行なう場合に、当然国の財源でもって補てんするという原則を忘れてしまって、ただ単に地方公共団体が公営企業において協力すべきである、協力の内容は何かというともっと合理化をせよ、こういうふうに私には受け取れるのですが、いままでそれでは自治省は何をしていたのですか。いままでなぜそういう要求をしなかったのですか。公共料金の値上げと関係なくやはりその問題を取り上げるべきだったと私は思うのです。やってきたと私は思うのです。監督もしておられるでしょう。しかしながら、この前の論議のときもそうであったけれども、特に交通事業とか病院事業においては、いまのような状態でいくなら、赤字の出る可能性はきわめて強いのだという分析をあなた方もされておる。そこへ持ってきて、こういう閣議決定があったからといって、そういった要素を考えないで、直ちに協力によって——協力というのはよく内容がわかりませんが、合理化ということだ、それによって何とかなるものであるというような甘い状態に——現在のそういった二、三の業種の公営企業が、赤字を出さないでやっていけるというふうに見通しをつけておられるのか、どうなんですか。
  50. 柴田護

    柴田政府委員 私のものの言い方が悪いのかもしれませんけれども、たびたび申し上げますように、いまやかましいいろいろな問題の中で、交通事業でございますとかあるいは水道事業でございますとか、それぞれ赤字を出す原因があるわけでございます。しかし、おことばのように、私どもはその赤字を出す原因が、全く何ともしようがないものばかりによって出ておるのだとは考えません。それぞれの企業合理化の不徹底に基づくものもあるのでございます。したがいまして、そういった公営企業経営改善するためには、政府としてなすべき制度上の措置なりあるいは財政経理上のいろいろな措置が当然あるべきでございますけれども企業自体におきましてもやはり合理化の努力をすべきだと考えております。この通達で示しておりますのは、そういうものを含めまして、政府方針としては、公共料金物価全体の見地に立って抑制をするのだから、自主的に地方団体が料金を上げ得るものについても、その方針に従って自粛してもらいたい、こういう意味でございます。協力ということばが非常に耳ざわりかもしれませんが、趣旨はそういう趣旨でございます。したがって、そのうしろのほうに書いてありますように、私どもといたしましては、政府としてなすべきところについて決して無策であってはならない、それにつきましては必要な措置検討する、こういう意味でございます。
  51. 阪上安太郎

    ○阪上委員 関連ですからこの程度でやめますが、承っておると、物価倍増という一つの親の不始末が子供のほうにしわ寄せされて、親の不始末を何とか補うために子供に節約せいとか合理化せいとかという要求をしているような感じが非常に強いと思う。それで協力すべきものがあるというふうに見ておられるのですが、それはいずれ審議してみたいと思う。  それでは国でやるべき施策は何ですか。何と何と何をどういうふうに持っていくか、これをはっきりしてもらいたい。
  52. 柴田護

    柴田政府委員 これは現在検討中でございますので、ここで国の施策としてこうだというふうに受け取られては困るのであります。ただ、私ども仕事をやっております立場の者の発言としてお受け取り願いたいのでございますが、たとえば現在の水道事業一つつかまえてみましても、最近の水道事業赤字が出ております原因は何かといえば、やはり建設費が非常に大きい。したがって、私どもは、公営企業金融公庫の利子あるいは起債条件等につきましても、先般来合理化につとめてまいりました。現に償還期限の延伸も、昨年でしたか、多少はやりました。それで十分とは思っておりません。また利率につきましても数年来歩みはおそうございますけれども、逐次合理化してきておるつもりでございます。そういう問題は、水道事業なら水道事業というものの持つ使命から考えますれば、さらに合理化を進めるべきものだと私ども考えております。そういう施策をさらに推進すべきであると考えております。これは一般的な問題であります。  交通事業でいいますれば、これは少し問題がむずかしゅうございますが、たとえば同じ交通事業でも地下鉄事業というものを考えますれば、これは世界どこへ行ってもこれだけで独立採算というのは不可能であります。そうしますと、地下鉄事業というものについての一般会計とのあり方というものが、当然浮かび上がってくる。病院事業などにつきましても、私は同じ問題があると思います。そういう問題を区分けして、根本的に一般会計と公営企業会計との区分けと申しますか、こういうものをはっきり確立してやらなければならぬ、さように考えるわけです。これは一朝一夕にはできません。したがって、私どもはその道の専門家を集めて、そういうものについての区分けを確立して、基本的な公営企業の健全経営の道に出発したい、こういう考えでおるわけであります。しかし当面は、いま申し上げました金利なんというものは、金融上の行政もございますけれども、これは安く長いにこしたことはない、そういう方面の努力をしたい、こう思っております。
  53. 阪上安太郎

    ○阪上委員 御答弁は大体九十点くらいです。あとの十点が気に食わぬ。そういう問題は、そう簡単に早急にはできませんという言葉が気に食わない。そんなことはいままでわれわれは何回も言ってきておるわけであります。問題点もあなたははっきりと把握しておられる。ことに、先ほどの安井君に対する答弁の中にもありましたように、一番大きな問題は、借り入れ資本の占めておる比率が非常に大きいということをあなたはおっしゃった。こんなことはわれわれは何回も前から指摘してきたわけです。はっきり言えば、それが速急にできません、できませんといって、ここ数年放置されておる。一般会計と特別会計の繰り入れの関係の問題も、そこから出てくるわけであります。私は、こういう問題をこの際政府の政策として——これは一種の強制です、こういう強制をやるからにはそういう抜本的な当然国が打つべき手というものを打たなければいけない。そこはなかなか速急にはできませんでは、いつまでたってもだめだと思います。民間企業が成り立って、公営企業が成り立たぬというのは、そこに一番大きな原因があると私は思う。自己資金を持ってない、少ないのです。おそらく、大ざっぱにいって半々くらいでしょう。あとは借り入れ資本が半分でやっている。利子も払わなければならない。元利償還をしなければならない。こういう問題が明らかにそこに横たわっておるわけです。株式組織ならそんなものは払わぬでいい。利益が上がらなければ配当しなくてもいいのです。そこに問題があると思う。そういう大きな問題を全然なおざりにしておいて、そして協力をお願いしますというようなことではいけない。いずれまたこういった問題について論議したいと思います。われわれとしてはむしろ、一般会計のほうからそういった出資をすることができるというふうに公営企業としてはっきりなっておるのですから、出資の形でぶち込ましていくという方法を考えて、その原資をどうしてやるかということを考えていかなければならぬ。  それから先ほど安井君が指摘されたような当面交通事業に対しての、いわゆるガソリン税であるとかあるいは軽油引取税の問題も一つ出てくる。それに対する措置を一体どうするか、財源措置をどうしてやるか。あるいは全体的な一つの解決策としての起債の元利償還の年限の延長とかいうような問題等もだんだん出てくると私は思うのです。そういう具体的な問題に取り組んでいただくことが必要だ。しかる後において公共団体のほうでも、私はそんな余地はないと見ておりますけれども合理化すべきである、こうおつしゃればいい。肝心の政府が打ち出した国の施策でありながら、国のほうでまず手をつけてこれを解決しないで、公共団体に協力を願いますというような先ほどの自動車局長答弁だけでは、われわれは納得できない、私はこういうふうに考えております。大体あなたもそういう原因、手当てすべき方向というものは先ほど打ち出されたのでありますが、しかしそれはあくまでも事務当局考え方であって——金子さんどうですか、事務当局はそう言っているのですが、政務次官のほうではどういうふうにお考えですか。
  54. 金子岩三

    ○金子政府委員 省議にもはかりまして検討を続けておるのでございますが、当面の問題は、ひとつ早急に何らかの形をつけたい、かように考えております。
  55. 柴田護

    柴田政府委員 よけいなことかもしれませんが、ちょっと補足して申し上げたいと思います。  私も先ほど来お答えいたしましたような考え方でおるわけですが、なるほど数年来問題になっておることも承知いたしておりますし、その結果公営企業法が改正されたことも承知いたしております。ただその一般会計との関係というのは、そう簡単に右から左へ割り切れるというような問題じゃない。いろいろ入ってきますとなかなかむずかしい問題であります。そこで対策企業別に違うわけです。私どもはそれについて、手をこまぬいて知らぬ顔をしているつもりはございません。ございませんが、措置としては、いま政務次官がお話しになりましたように、二つの問題があって、当面の問題、この公共料金抑制ということに伴って出てくる損失をどうするか、こういう問題と、それから基本的な企業の対質改善という形から出てくる問題、こうあると思うのです。私は当面の問題は早くいろいろきめてもらわなければ困るので、私どももいろいろ考えておりますけれども、基本的な問題は、これもゆっくりしているわけにいきませんので、そのために早く地方公営企業制度調査会で基本方針を確立してもらって、結論を出してもらい、早く実行に移したい、こういう考えでいるのです。
  56. 重盛壽治

    ○重盛委員 ちょっと関連してお伺いしますが、自動車局長は、十分自動車行政のあり方を知っておるはずだと私は思いますが、知っておるにしては先ほど来の答弁は納得のいかない答弁である。ただ実際に、合理化や協力というようなことばでいまの六大都市バスの運営ができるかできないかという現実は、十分につかんでおられると思う。私も先ほど安井さんの言うように、料金値上げという制度の原則にはむしろ賛成であります。しかし単なる料金の値上げという、いわば機械的なしかもジェスチュア的な政策をそのまま事業の実際の監督に当たり、指導に当たるものがうのみにしているというような姿で、はたして六大都市交通問題が解決つけられるか、そのことを考えてみる必要がある。従来公開質問状というようなものが地方自治体の中から出てきたことがあるかないか、ないはずです。さらにまたどういう内容で出て、どういう答弁をしているかお答えを願いたいし、できればあとで書類によってそれらを回してもらいたい。  それから財政局長も次官もそうでありますが、協力をしてもらいたい、しかも経営合理化なんというのは——協力なんということばは、地方公共団体に対しては常に使っておることばで、これはあたりまえで、協力しているのです。同時にバスの場合を言うならば、これは十二年間協力している。そういうたてまえからいくならば、これは料金の値上げということでなくて、料金の是正でなければならぬ。いわゆる物価荷に対して、ガソリン税の上がるのに対してそういう形をとらなければこの事業がいまや経営できない、予算が組めないという段階まできておるはずであります。だから、そういう現実を実際に担任する自治省なり運輸省なりが、どういうふうにつかまえて、どういう形で処理していくか。いままでのような処理でいったのでは——もししんぼうしてもらうならしんぼうしてもらうように、そのかわりこういう方針でしますということがなければならぬ。私はここで申し上げてよいかどうか知らぬけれども、黒金官房長官に会ったときに、政府の基本方針というものは基本方針としてお認め願いたい。それはけっこうだ、けっこうだが、たとえば来年度のバス事業の予算が組めない、水道事業の予算が組めないという事態が起きたときにはどうするか、現に起きておるが、どう処理するつもりであるかと言ったならば、ケース・バイ・ケースで処理をいたしてまいりますし、特に自治省はそういう問題を取り上げて善処できるような方法をとります。善処できるということは、別な形で融資するとかなんとかいうこともあるのか、そういうことも一案でございますがということが答弁されておるはずである。したがって、木村自動車局長が、いまのような答弁考え方——一年しんぼうしてもらうために、来年、再来年はもう立ち上がりのできないところまで追い込まれておる。合理化なんというものは、端的に言ってやるだけやってきているのです。やるだけやってもどうにもできないからこそ、六大都市が一緒になって要望書を出したり、質問状を出したりしている。こういう事態というものはぎりぎりのところにきたから出たのです。これはそう機械的な、ごしんぼうを願わなければならぬ、合理化なんという月並み的なことでは解決がつかないところにきているということくらい考えて処理しなければならぬはずだと私は思います。  御答弁によってまた御質問いたしますが、たとえば公共料金の引き上げも、まさに全部そのようにしておったのじゃないか。私は国鉄を引き上げるときからこういう事態が起こるということを明確に申し上げておるはずだ。この間、諸君も御存じでありましょうが、御承知のように千葉の水道料金は例外として認める。これは政府に押える力がないから認めるのじゃない、向こうがどうにもならぬから値上げをする。それでしかも宮澤企画庁長官の言うのが新聞のとおりとするならば、去年の十二月にきめたからこれはやむを得ない。それならばバス料金などは、これは二年半前に地方自治体の議会で、東京なら都議会、大阪なら市議会でこういう方法をとって、こういうふうにしなければ、バス事業経営はできませんぞということをちゃんと出しておる。そういうものはほおかむりしている。ここらの観点は、どっちの答弁になるか知らぬが、おそらく政務次官の御答弁だろうと思うが、どういうわけでそういう政府部内における食い違いが出てきているのか。自治体をしょって立つ自治省としては——これは私の申し上げたのは委員会ではないのだから、これは私と官房長官との嘆願とか陳情というときの話であるから、それをどうこうとは言いませんが、少なくともそういう話はしておる、そういう点からどういう御連絡がきておるのか、かりになくても、これだけしんぼうしてもらうならば、そのかわりこういう方法を講じましたというものがかなり明確に打ち出されてこなければ、自分の直轄の官庁のものだけを、ただ圧力をかけているということにすぎない。この点次官と木村さんの両方から意見を聞いて、さらに御質問いたします。
  57. 木村睦男

    木村(睦)政府委員 公共料金の一年間のストップ影響を受けて、苦しい六大都市交通事業をどうやるかという問題でありますが、ただいまお話しのように、苦しいいろいろな問題があるわけです。われわれ事務当局といたしましては、その間協力願いたいというふうな言い方でものは申しておりますけれども、その具体的な方法として、いろいろ政府の力においてできることは極力やっていこうというふうに考えておりまして、しかもこれは、運輸省なりあるいは自治省だけの考えではとうていできない問題でございますので、関係各省と、その方法等について、目下検討を続けていっておるわけでございます。  なお、六大都市はもちろんでございますが、この影響を受ける民営バス、町方の方に先般も来ていただきまして、たとえばこういう方針のもとではある程度サービスの下がる面が出てくるというふうなことも当然われわれ考えなくてはいけない、どういう点でどういうふうに具体策としてこれを考えていくのかということも、われわれ事実をつかみたいと思っております。それから、この一年間の影響というものが、今後さらに二年、三年と尾を引くことも考えられるわけでございます。したがいまして、この一年間具体的にどういうふうな資金のやり繰りをするか、そういった面につきましても、一応われわれ事務当局としては研究はいたしておりますけれども企業体自体としても、たまたま来年度の予算編成に手をつけておることと思いますので、その裏づけとなる事業計画等をどういうふうに変更せざるを得ないかというふうなことも、詳しい事実を知りたいと思いまして、先般関係者を呼びまして相談もいたしたようなことであります。今後ただ単に協力してほしいということを言いっぱなしにすることなしに、具体的に何とか力を合わせて打開策の方法も考えていきたい、かように考えております。
  58. 重盛壽治

    ○重盛委員 そうすると、政府の力でやることは極力やるというが、たとえばどういうことを政府の力でやるのかということが一点。それから、あなたも自動車局長はかなり長いので、この問題をいまから研究してとかなんというのは言いのがれにすぎない。どういうふうにやりますということが、明確に答えられなければならないと私は思う。先ほどから言われているように、物価は上がる、人件費は当然人事委員会から出される程度のものはやらなければならない、合理化は、長い間かかってできるだけの合理化はすでにやり尽くしてきておる、そうだとすれば、だからこそ政府が何とか考えなければならぬ段階ではないか。ということは、何年か前から追い詰められてきておる。もっと率直に言うならば、公共事業公共事業といったって、受益者負担の分によってこれをやっていくという考え方がすでにもう誤りを来たしておる。そこらはやはり自動車局長なり運輸省が、もう少し真剣に取り組んでいかなければならぬ問題だろうと思う。その政府の力でやるということは、一体何をやるお考えであるのか。
  59. 木村睦男

    木村(睦)政府委員 先ほど申し上げましたように、今回の問題は、運輸省だけで達せられる問題でもありませんので、いろいろ考えておりますが、問題として検討しなければならないと思っておりますのは、資金の融資であるとかあるいは税金の面であるとか、いろいろあるわけであります。それら一つ一つ考えてみましても、非常な困難を伴う問題でございますので、いささか苦慮しておるような実情でございますが、そういった問題を関係各省とも協議をいたしまして、できる限りのことをやっていきたい、かように考えております。
  60. 重盛壽治

    ○重盛委員 先ほどのこの財政面の答弁がまだいただいてないが、運輸省だけでやるのではないですね。これは極力やる、それはただ誠意をもってやりたいという言い方をするだけでなしに、もっと抜本的に、政府全体の立場から見て、こういう問題の処理をしなければならぬことだろうと思う。なるほど公共料金の一年ストップ、それは確かにけっこうです。私どもも賛成です。賛成だけれども、そういうことがあるからといって、事業が成り立たないような状態まで追い込まれているものまでも、まあひとつしんぼうしてもらわなければならぬという、そういう政治というものはあり得ない。やはり運輸省、自治省、大蔵省、経済企画庁、一体となって、やるべきこと、主張すべきところを一これは自動車局長の責任ではなかろうと思うが、主張すべきだけのことを主張しておらぬからこういうことになる。それは運輸行政をあずかるものとして、ことに自動車行政をあずかるものとしては、もう少しひとつこの現実というものを、経済閣僚懇談会なら経済閣僚懇談会に吹き込んでいってやるということが政府のやる仕事である。事務的にやっていっても解決がつかぬじゃないか。政府決定決定。先ほど申したように、ケース・バイ・ケースで云々ということばを官房長官が使っておるのだから、その現実に即して処理していくということになりませんと、六大都市バスなどはことに行き詰まりを来たすであろうし、東京などは非常にひどいものになってきて、ことしの十月にオリンピックが東京で開催されるというのに、新しいバス一台買い込むことができないというようなところまで来ておる。そういうこと等を考えるならば、むしろ逆にことしは別に扱おうということでなければならぬ。何もそれはバス料金値上げをしなくとも処置できるはずです。そういうようなところに自治省と運輸省が力を入れて、政府の閣僚懇談会の中でこの公共企業体の問題を一しかもあなたは公共企業体公共企業体といってやっておるのだから、公共性があるから政府が特に力を入れてやる。何度も言うように、東京の状態なり大阪の状態なり、公共企業であるというバスなどは、特に一番採算のとれないところを、公共企業という名前のためにやっておるわけです。そうだとするならば、単なる受益者負担で一切を処理せしめようというこの考え方から一歩前進して、そういうことをやらせるのだから、一面政府はこういう裏づけをしようというものがなければ、公共企業体として成り立たない。この点はどのように考えておりますか、両方からひとつ答弁してもらいたい。
  61. 金子岩三

    ○金子政府委員 ごもっともでございまして、重大な国策によって公共企業体が非常に困難におちいっておるということは、よくわれわれ承知いたしておるのでありまして、一年間公共料金の値上げをストップしたときから、何らかの処置を講ずべきだといっていま盛んに検討中でございます。したがって、東京都のごときは、非常にはなはだしいのでございまして、まず当面資金繰りに協力をしようということで具体的に取り上げて、自治省検討中でございます。できるだけひとつ御期待に沿うように努力をいたしたいと思います。
  62. 重盛壽治

    ○重盛委員 そうすると、私はき上うは関連質問だし、抜本的にはまたやりたいと思いまするが、いずれにしても、先ほどから言うように、予算処置ができないというところまで追い込まれていることは、自動車局長自治省も知っておるはずです。そうすれば、いま次官の言われたように急速に何とかできるような処置に協力をしてもらわないと、しんぼうだけしてもらうでは……。私も何もその立場から言うだけじゃない。しんぼうしてもらうならしんぼうしてもらう、政府の大方針公共料金を上げないという大方針なんだから、ことしはしんぼうしてもらうというならば、そのかわりこれだけはしてやろう、政府の姿勢を正すなら正す、これはけっこうだが、そういう形をとる限りにおいては、非常な迷惑をかけないような態勢をとらなければ、政府自身あるいは国会自身が、国民あるいは地方団体から不信を買う因をなす。そういう点、ひとつ十分考慮されて善処されることを要望して、私はきょうは関連ですから終わります。
  63. 安井吉典

    安井委員 これまで交通事業を中心にして論議してまいりましたが、当面の地方公営企業対策ということになりますと、これは共通の問題ですから、最後にひとつ集約することにいたしたいと思いますが、たださっきの阪上委員の話でありませんけれども所得倍増政策ということでおやじが失敗して物価をつり上げてしまって、これから物価を上げたくないから、むすこに少しがまんしろ、そのうち何とかするから、というふうな段階のようです。さっきからのお話を聞いておりますと、何かしなけりゃいかぬ、そのうち何とかする、そのうち何とかするというふうな、そういうような程度の話にいままでのところ終わっているような気がします。しかし地方公共団体は、いま予算編成の重大な段階にきて、間もなく地方議会にそれがかけられなければいけない、こういう重大な時期なわけです。だからいまの段階にやはり方針というものをはっきり打ち出していただかなければいかぬのじゃないかと思います。そうでないと、そのうち何とかする、そのうち何とかするで一年は過ぎるだろう。どうもそういうような考え方でこれまでの、政府最高方針かどうかしりませんけれども、実際のやり方は、そんなことでやっているような気がするわけです。そういう点、対策の樹立ということを——その点については後に触れるといたしましても、いまの段階でもひとつ早急な樹立が必要であるということを指摘しておきたいと思います。  水道事業の話が出ておりますので、次に水道の関係についてお尋ねいたしたいと思います。交通事業についていままでお話をお聞きしてまいりましたように、現状における問題点、さらにまたそれの対策についてお話を伺いたいと思います。
  64. 舘林宣夫

    舘林政府委員 全国的に水道を見ますと、今日の経営状態は、先ほどお話がございましたように、約三割が赤字の状態のようであります。ただ水道の料金の値上げは、毎年行なわれるということではなくて、新設の場合は十年ないし二十年据え置き、一般的には五年あるいは六年に一度ずつ値上げをする状態にあるわけであります。したがいまして、値上げをした直後におきましては、その年における支出に対して料金収入は黒字となりますし、値上げをします直前の年におきましては、その収支のバランスだけについていえば、赤字になる実態であるわけであります。このように、水道の値上げはかなり隔年的に行なわれます実態でございますので、値上げそのものの料金の幅はかなり大幅でございまして、最近一年間の値上げの状況を見ますと、おおむね二割ないし五割五分程度の相当大幅な値上げが行なわれたわけであります。ところが、水道料金は全市民の生活に関連いたしております関係もあり、また産業にも影響するということから、水道料金の値上げはかなり実際上はむずかしい事態を引き起こしておるわけでありまして、ややもすればおくれがちな実態があるわけであります。その意味で、今日三割程度赤字が生じておるわけであります。しかし本来水道は独立採算割のたてまえをとっておりまして、料金収入をもって支出に見合うような経営をするように指導もいたしておりますし、たてまえもそうなっておるわけであります。そこで、先般水道料金の値上げに対して、企業合理化等について自粛方を閣議決定直後要望いたしまして、各知事に対してそのような指導をするような通達を出したわけでございます。先ほど来いろいろお話がございましたように、この自粛ということが、ただいま私が申し上げましたように、水道料金の値上げがそう容易でないという事態において行なわれる値上げでございますので、かなり切迫した値上げをせざるを得ない状況にある。それをさらに自粛をして押えるということでありますから、受け取る側としては非常に苦しい事情にあろうかと私どもも推察はいたしております。しかしながら、政府における大きな方針でございますので、でき得る限りこれに協力をしていただきたいということで、そのような指導をいたしておるわけでございます。この必要な値上げをどうしてもせざるを得ない事態に立ち至りました都市、あるいは町村に至るまで同じでございますが、そのようなところに対しましては、先ほど来お話のございましたように、国としても何らか措置をせざるを得ないということで、その実態的の点につきましては自治省と御連絡をして、でき得る範囲の御協力をいたさなければならないということを自治省とも話し合っておるわけでございます。
  65. 栗山礼行

    ○栗山委員 関連して。いま安井委員水道事業に対する質問中でございますけれども、運輸省の自動車局長も時間の関係があるようでございますので、さきに返りまして関連質問をいたしたいと思います。  私、バス料金の問題を通じて、閣議決定による公共料金の一年間ストップの問題の政府答弁をお伺いをいたしております中に痛感いたしますことは、閣議決定が至上命令として、公式的なとらえ方で、それを原則としてこの問題を御説明なさっておる、こういう受け取り方をいたすのでありますが、金子政務次官にちょっと前提としてお伺いをいたしたいのでありますが、私の理解によりますと、閣議決定物価抑制政策の一環として、公共料金を一年間据え置くという方針原則的に進めてまいる、こういう一つのニュアンスとして受け取れるわけですが、いまのお話でございますと、公式的、絶対的一つの政治政策、こういう考え方の基調の上に立っていろいろ御答弁をお伺いいたしておるわけです。私が理解いたしますのに、原則的な一つ措置であって、きわめて柔軟性を持つ要素を含んでおるかどうか、こういうことについて金子政務次官の御答弁をお伺いしたいと思います。
  66. 金子岩三

    ○金子政府委員 それは絶対的なものではない。やはり柔軟性は十分持たれておる。これはかねて総理の発言を伺っておって私思うのでありますが、万やむを得ないという事態があった場合は、やむを得ず認める場合があるだろう、こういう考え方を絶えず池田さんみずから申されております。しかし、ただそういった方針閣議決定がなされておりますので、まず基本的にそういう考え方に立って、関係各省がひとつその方針に協力しよう、こういうたてまてを私たちはとっておるのでありまして、あの閣議決定は絶対的のものではない、さように私は考えております。
  67. 栗山礼行

    ○栗山委員 いまのような政府側の見解に立ちまして、ものを理解をいたしてまいらなくちゃならぬと思いますが、バス料金の問題につきましては、公益企業としての非常に大きな問題点であり、公益企業の行く手を定める重要なポイントとして論議をされておると思うのでありますが、その中でいまのような見解からいきますと、特に六大都市赤字の累積と将来の方向づけを公益企業として定めるという一つの転機に立って、この問題を抜本的にひとつ進めてまいる、こういうことに対する一つの施策が必要であろうかと思うのであります。私はその値上げを必ずしも是認するという仕組みが正しいとは存じておりません。抑止されることは非常にけっこうでありますけれども、先ほどからいろいろ委員の御質問が展開されましたように、転機に立つ地方の公益企業あり方を、抜本的にどうするかという一つの問題と、もう一つやはり当面する問題についての具体的な施策の方向を定めてまいらなければならぬ、こういう点が論議の中心になっておるわけであります。いろいろ財政局長お話を伺っておりますと、若干の、何らかの具体的検討を要すべき内容をもって検討していく、こういうようなきわめて政治的な発言でございますが、私はこれも柔軟的に考えて、今日の転機に立っておるバス事業あり方検討を十分深めて、そして政府がそういう抑止政策をとっておられるとすれば、その間の損失に対する補てんの問題という具体的な一つの内容とからみ合わせて、この問題の抑止政策を打ち出す、こういうことの方向で取り組んでまいらなければならぬ、こういうふうに考えるのであります。一つの事なかれや、あるいは一つの逃げ口上で御説明をされるということでなくて、地方公益企業あり方の一環としてこの問題をどうするのだ、もし値上げをしないということなら具体的な形において損失補償をどのように一つ政府の施策として方向づけてまいるか、こういう点について、非常に突っ込み方や御答弁が足らないような感じがいたしますので、ひとつ御説明いただきたい、かように思います。私の結論は、公共料金を値上げしないという前提に立つ場合において、その損失補償のあり方を具体的に示して一年間の方向づけをするという当面の問題が一つの骨であります。さらに根本的には、どのような一つの施策をもって恒久的な公益企業の方向づけをするか、こういう三点について御説明を承りたいと思うのであります。
  68. 木村睦男

    木村(睦)政府委員 私の立場から申し上げますと、今回の公共料金の据え置きにつきまして、その具体的な当面の救済ということでありますが、いろいろ考えられますことは、先ほども少し触れましたが、いまもお話がありましたように、たとえば運賃改定をしたのであれば入ったであろう増収分について、政府がこれを価格差の補給金といったような、名前は別といたしまして、そういう意味合いで金が出せぬか、あるいは融資ができるか、そういう問題が一番先に頭に浮かぶわけです。補助金的な意味におきまして差額を補給するという問題もありますが、これはいずれも非常に困難な問題で、特に融資の問題につきましては、民間バスの場合と公営企業の場合では、たとえば民間事業でありますと、政府の財政資金でありますたとえば中小企業金融公庫とかあるいは開発銀行からの融資という道も、形式的にはある。公営企業につきましては、そういう道でなしにあるいは公営企業金融公庫からの融資の道があろうかと思います。そういうふうなこともいろいろあるわけであります。ただこれらにつきましてどうするかという方策をきめた上で、一年間ストップという方針が打ち出されたのでございませんので、とにかく物価抑制政策上一年間ストップしようということが先にきまった。そこでそれに対する救済策として後手にはなっておりますが、後手になりましたのは、方針のほうが先にきまりましたので後手になったのでありますが、この後手になった救済策につきまして、いま私が申し上げましたようなわれわれが考えつきます問題につきまして、これが実現できるかどうかということが非常に困難を伴いますし、各省単独でもできない問題でありますので、関係各省集まっていろいろ検討をし、最後的には政府として、どういう道が開かれるかということをきめてもらうということになるわけであります。そういう過程を頭に描きながら、現在関係各省といろいろ折衝をしておるということでございます。  それから恒久策として考えなければいかぬではないかというお話がございます。これはバス事業だけについて申し上げますと、御指摘のとおりであります。特に公営企業バス事業はどうあるべきかという恒久策につきましては、昨年来その意味の調査機関が開かれまして、一応の意見もまとまった。これを中心にいたしまして、自治当局と一緒になって今後の方策は考えていきたい、かように考えております。
  69. 栗山礼行

    ○栗山委員 もう一言だけひとつ。どうも前委員との継承的な質問答弁の域を出ないうらみがございまして、了承いたしかねるのでありますけれども、いろいろ御指摘になりましたように、二つのとらえ方がございまして、民間経営の場合と公益企業のとらえ方の場合は、おのずから性格を異にするという御指摘について、同様の見解を持ちますけれども、なかんずく公益企業としてのあり方について、いまいろいろ御説明がありましたように、原資の問題、あるいは償還期限の延長の問題、利子補給の問題その他等々の、これに見合う一つの施策というものが必要だ、私はこのように考えているのでありますが、そういうような一つの具体的な内容を裏づけてこの問題の方向づけを検討いたしたいということの一つの解釈として理解をしてよろしいかどうか、こういうことについて再度お尋ねを申し上げたい。
  70. 木村睦男

    木村(睦)政府委員 自治省のほうから御答弁いただくのが適当かと思いますが、私の範囲内で申し上げますと、そういう御指摘のような問題も含めまして検討いたしたい、かように考えております。
  71. 安井吉典

    安井委員 先ほど水道の最近の情勢についてお話をいただいたわけでありますが、自治省の決算概況によりますと、たとえば企業債償還金増加というものが非常に著しい。それから前年度に比べて七一・六%というおそろしい上がり方をしているような印象を受けます。これなども大都市への人口の急激な集中によって、都市給水人口の増大、それから一人当たり使用水量の増加、そういうような問題が施設の建設、拡充の要求という形であらわれてきて、それが企業債償還金増加とかいうような形であらわれているのではないかと思うのです。これは国民当たりの水道普及率の低い日本の姿として当然なことでありますが、それだけに水道の公営企業につきましては特別な配慮が政治の上で払われなくてはいけないのではないか、私はそういうような気がするわけです。普通のすべて設備が整った状態においては、これは何とかスムーズな運行ができると思いますが、とにかく何もかもこれから一ぺんに設備の拡充やら改良などをしていかなくてはいけない、こういう段階が今日の水道の会計の状況を悪くしている大きな原因になっていると思うわけでありますが、その実情はどういうふうに把握されておりますか。さらにまた日本の水道事業に対する現段階において、もっと政府として積極的な対策があっていいのではないかと思うわけですが、その点いかがですか。
  72. 舘林宣夫

    舘林政府委員 御指摘のとおりでございまして、水の使用量は非常な勢いでふえてきております。その原因はあえて一々ここで申し述べるまでもないところでございますが、国民生活が文化的になり、ことに各家庭が洗たく機を使う、あるいは水洗便所がだんだんふえてくるというような文化生活、あるいはクーラーのために水を使うというような点もございましょうし、家庭の用水の量のふえ方も相当でございます。また、工業の発達により、工業用水の増加もあるということで、都市の一人当たりの必要水量というものは非常な勢いでふえておるわけでございます。そのために、御指摘のように施設の拡張にいまどこの都市も追われておるわけでございまして、従来の水道拡張計画では追いつかないというほど大きな拡張計画をせざるを得ない状況であるわけであります。そのための借り入れ金の償還、これがだんだんかさんでくるということで、今日の支出ではお話のように人件費の値上がりとか、物件費の値上がりとかいう要素もないわけではございませんけれども、むしろ償還金の返済という点か非常に大きな要素をなしていることは全く御指摘のとおりでございます。したがって、従来古くから施設しております水道をもとにした料金の算定によれば、ごく安い水が供給できるにもかかわらず、新しい施設拡張をした場合には、その部分が料金に加算されまして、非常に高額の料金となり、料金にはね返ってくる、こういうのが今日の実態であるのであります。これに対して何らか措置をしなければ水道料金は急激に上がってくるということで、私どもとしてはこのような今日の実態でありますので、これを節水というような方向で抑制するというのは必ずしも妥当なものではない。わが国の水の使用量は必ずしも文化国の中では多いものではございません。むしろ今後さらに増加する傾向にあるということから、でき得る範囲の企業合理化という点で指導もいたしておりますけれども、これも限度のあることでございまして、したがいまして、水道事業そのもの考えます場合には、借り入れ金の償還部分というものに対してかなり注目せざるを得ないわけであります。ただ、この点に関しましては、十分自治省、国全体として配慮せざるを得ない問題でございますので、私どもとしてはいろいろ検討はいたしておりますけれども、今日の段階で、ここで申し上げるまでには立ち至っておらぬわけでございます。
  73. 安井吉典

    安井委員 どんどん拡張する段階では、これから新しい施設がふえてくる。新しくこれから水を飲む人の分を、現に水を飲んでいる人が料金の引き上げという形でかぶっていかなければならない。これは非常な膨張期に特異な現象としてあらわれておると思うわけです。しかし、これはどう考えても矛盾があると私は思うのです。これからあと設備がすっかりできて、安定すれば、多くの人でその料金を払うことができるわけです。それをまだ給水という形で料金が上がってこないものですから、その人の分もいま飲んでいる人が全部かぶって、高い料金を払わなければならない、こういう事態が起きないように、この膨張期といいますか、どんどん上り坂の時期には、国が起債だとかその他の場合において、やはり十分な配慮というものがこの際なければおかしいのではないか、そう思うわけですね。その点、局長考えていないわけでもないとおっしゃいますけれども、もう少し深く入った立場から重ねてお答えをいただきたい。それから、さらに財政局長も御答弁をいただきたいと思います。
  74. 舘林宣夫

    舘林政府委員 御指摘のように新しく拡張した部分、その部分に見合う水の単価というものは非常に高くつくわけであります。それによって増加した水の単価というものは非常に高くつくわけでありますが、その分を従来安い水を飲んでおった市民がかぶる、それをならして市民の水道料金にはね返ってくるというのは確かに不合理でありますが、今日非常に急激な勢いでそのような事態が起こっておるのは、主として大都市であるわけであります。平均的に申しますと、大都市の水道料金というのは、小都市、あるいはもっと農山村の簡易水道等に比べれば、おおむね料金としては安いのが現状でございます。大体百五十円、二百円のものが相当多いわけでございますので、したがいまして、それが料金としてカバーできないという、国全体から見て、その他の地域に比べてそういう拡張による影響を受ける大きな水道の料金が、負担に耐えかねる部類のものであるとは、必ずしも言い切れない面があるわけであります。ただ、先ほど来申しておりますように水道料金の値上げということは、なかなか容易ならない実態を持っておりますし、何らかの配慮が必要である。これはもちろん自治省の諸種の財政計画の措置としてお考えいただくことでございますが、現在都市側の要望としましては、借り入れ金の返済の繰り延べ、あるいは利率の引き下げというようなことを希望いたしておるわけであります。そのようなことが、はたしてできますかどうか、十分自治省あたりにも御協力をいただきたい、かようなことを考えておる次第でございます。
  75. 柴田護

    柴田政府委員 水道の問題につきましては、先般の委員会で韮山委員からお話がございましたが、私どもも今日の水道の拡張状況に伴います水道料金の問題につきましては、非常に心配をいたしております。基本的には結局膨大な建設費を処理する。借り入れ資本の元利償還金なり金利負担というものを、どういうぐあいに処理していくかということになるのでありまして、結局水道に関連する地方債の取り扱い、償還期限あるいは起債条件ということにかかってくるだろうと思っております。したがって、この合理化につきましては、さらに推進をしてまいらねばならないというように考えますが、もう一つさかのぼって考えますと、やはり水道料金というものをどのような形で把握するか、つまり水道料金あり方と申しますか、そういうものについて一つのめどがなければ、合理化のめどが立たないだろう、その辺までさかのぼっていかなければいけないのではないか。非常にむずかしい問題でございますけれども、そういう方向を頭に置きながら合理化に進んでいきたい、こういう方向でものを考えております。
  76. 安井吉典

    安井委員 私はいまの御答弁ではどうも満足できないので、私もこういうような膨張の時期には、水道のこの企業につきましては、独立採算制というからで何もかも守り抜いていこうというところに無理があるのじゃないか、そういうような気がするわけであります。その点、さらにあとでほかの委員からも関連の質問があると思いますし、それからまた私も別にお尋ねをしてまいりたいと思います。  もう一つだけ伺っておきたいのは、先ほど来問題になっておりました料金ストップの自粛要請ですか、そういうような形でいま起きておる新しい問題でありますが、これは政府として自粛を要請するというだけで、ストップをするという権限は政府にはないわけですね。その効果をどのように期待をしておるか、あるいはまた自治体側が協力をしなかったら一体どうするのか、何か報復措置をお考えなのか、そうしてまたそういうふうな通達で協力を求めるという方法が講ぜられれば、さっき交通事業について指摘いたしましたと同じように料金決定原則というものがあるはずです。それと上げてはいけないというという、この二つの命題とが重なりあって、ここにやはり公営事業に、私がさっき申し上げたと同じような政府対策が当然出てこなければならない、そう思うわけです。どうも自治省におんぶされているようなさっきの環境衛生局長の御答弁ばかりなんですがどうでしょうか。直接の御担当の立場から何か御意見ありませんか。
  77. 舘林宣夫

    舘林政府委員 お話のとおり、水道料金市町村自体がきめるものでございまして、料金改定を行ないました場合には、単なる届け出で済む扱いになっておるわけでございます。しかしながら、先般来、通達によりまして料金値上げを自粛するようにという要望をいたしておるわけでありまして、私どもとしては現に個々にできるだけ相談に乗り、値上げをしないような措置を、内容も検討いたし、先ほど申しましたような合理化の余地はないかどうかというような、技術的な指導の余地がないかどうかということを、でき得る限り個々に当たってまいりたいし、現に相談をし、値上げを思いとどまろうかというところもないわけではないわけであります。しかし、それにももちろん限度がございますので、今日の法律の体系、国の持っておる権限の範囲で必ず全部とまるとは思っておるわけではございませんけれども、今後、個々に十分政府方針の徹底をはかり、私どもの努力の範囲でできるだけ値上げをしないようなことをいたしてもらいたい、最大の努力を払っていきたい、かように考えておる次第であります。
  78. 阪上安太郎

    ○阪上委員 関連。先ほど安井君が質問いたしましたけれども水道事業に対する基本的な態度、もう少し真剣にこの問題と取りくんでもらいたいと私は思う。大体、人間が生活していく上に、水と空気がなければ生活できない。したがってこれは公益事業といったってまた違ったウェートを持っておる。それに対して漫然と独立採算制というようなものの考え方に立っていること自体がおかしい。工業用水道については補助金を出して、上水道については補助金が出ていないですね。そんな片手落ちな施策すらやっている。大体、水や空気から金を取るという根性が間違っている。いま諸外国の例を考えてみたって、最近消費者保護政策というものが非常に新しい政策として諸外国で伸びております。北欧三国なんかはよく社会保障制度の完備した国だ、こういわれておりますけれども、こういった国はとっくにそんなものは卒業してしまって、消費者保護の思い切った政策にどんどん入っていっている。その場合一番大きく取り上げられているのは、この水の問題なんです。家庭用水道料金などというのは取っていない都市のほうが多いのです。にもかかわらず、わが国においては、家庭用水道料金なんかは当然独立採算で取るべきものだというような不敵な考え方を持っておる。だから私は環境衛生局長に伺いたいのですけれども、水に対してもっとあなたは熱心な、しかも必要性の度合いにおいて他の公営企業と違うのだという気持ちにならなければいけない。場合によっては、こんなものは公営企業のワクからはずしてしまってもいい。一般会計でやってもいいくらいの考えを私は持つのです。そういう大事なものに対して、補助金もあなたのほうはつけていないでしょう。つけるのですか。これはまたあとから伺いますけれども。工業用だけは思い切って補助金を出している。こういうような需要が拡大してきた段階において、さっき言ったようなせせっこましい、ほんとうに貧乏人の考え方のような考え方でこれを処理していこうとするところに問題がある。どうですか、家庭用水道料金みたいなものをただにしていくような心がまえがありますか、ちょっと伺います。
  79. 舘林宣夫

    舘林政府委員 水道に対しましては、大きい水道は、すなわち給水人口が多い水道はおおむね料金はそれほど高くないわけでありますが、規模が小さくなるに従って料金が高くつく、したがって庶民の生活に影響が大きいということから、今日簡易水道に対しましては、すなわち小規模水道に対しましては国庫で三分の一の補助をいたしております。さらに小規模の、給水入口百人以下というような、きわめて小部落の水道に対しましては、施設に対しまして四割の補助をいたしておりまして、もちろんそれによって十全と思うわけではございませんけれども、配慮としてはそのような配慮をしておるわけでございます。
  80. 阪上安太郎

    ○阪上委員 簡易水道についてはそういった若干の補助歩あるということ、しかしそれじゃ簡易水道を設置することについての認証を与える場合に、ああいうせせこましいワクをつくって、自由自在にこれができるというかっこうにはなっていないでしょう。そんなことを言っていたってだめなんですよ。私が言っているのは、少しダイナミック過ぎるかもしれないけれども、水道料金をただにする考え方があるかどうかということを聞いておるのです。どうなんですか、ちょっとあなたに言っておかなければいかぬ。
  81. 舘林宣夫

    舘林政府委員 水は、確かに空気と並んで最低の必要なものであることは、御指摘のとおりでございますが、もちろん水に限らず、生きていくためには、食糧も同じく最低限必要なものであるわけでありまして、米その他野菜、肉、いずれも必需品であるわけであります。そのような必需品に対してでき得る限り負担がないようないろいろな施策は考え得るとは思いますけれども、その中でとりわけ水だけ取り出して、それをすべて国民に無料で与えるというようなことは、今日の段階では私ども考えておりません。
  82. 阪上安太郎

    ○阪上委員 私が申し上げているのは心がまえを聞いているだけなのです。いままでこういった形でやってきた以上は、非常に困難でしょう。しかし、いまは料金値上げの問題に対する抑制の問題とからんで、あるいはまた水道事業が置かれている現状から考えて、私はその場合の考え方として水道料金をただに持っていくくらいの考え方を持たなければいけないということを言っている。それをあくまでも独立採算のワク内で何とかこれを糊塗していこうという考え方を持っているところに問題がある。したがって、ことばをかえて言うならば、現段階において一挙にそこまで持っていけとはわれわれもなかなか言いにくい問題だ。それなれば、この独立採算のワクははずしてもいいじゃないか、思い切った一般的な補助金をぶつけたっていいじゃないか、厚生省はそのぐらいのことを考えてもいいんじゃないか、私はこう言っているのですよ。そういうことによって、こういったきわめて基本的な、人間の生活に直ちに影響を与えるような問題について、少しダイナミックな考え方を持ちなさいということを言っている。それをほかの企業と同じような考え方で、特別会計、独立採算制のワク内で処理していこうとするところに問題点が出てきている。あるいは起債額も相当な弁済高になっていると思うのですが、思い切って一部をたな上げにしたって私はいいじゃないかと思う。ただそういった重要性に対する認識が欠けているからそういう施策が出てこないのだと思うのです。ここでいきなりそう持っていきますとは、あなたもなかなか言えないだろうと思います。自治省どうですか、こういったものの考え方について。あまりほかの企業と同じように考えているところに問題点が出てくるのじゃないか、もう少し思い切った施策をぶち込んでみたらどうかと私は思うのです。どうでしょうか。
  83. 柴田護

    柴田政府委員 お話の御趣旨は、私にもわからぬでもございません。ただあまりにも勇まし過ぎて、というとちょっと失礼でございますが、現在ではとてもついていけない。先ほどちょっと申し上げましたように、水道と一般会計との関係というものをかりに考えます場合におきましても、やはりそこにはあるべき水道料金というものがあるだろう。これを基本的に考えなければ、その辺の問題のあり方というものが出てこないのじゃないか。そうすると、その関係で、いまおっしゃいましたような補助金の問題、一般会計との問題が出てくるのじゃなかろうか。当面の問題として、全然一般会計で負担しろというような形は、今日の段階では無理だろう。これはやはり特別の施設をして、特にきれいな、清潔な水を飲ますということでございますので、やはり使用者負担という原則は今日の段階ではしようがないだろう。ただそれに対する制約としては、一般企業と違うといえば、おっしゃるようにあるべき水道料金というものを、国民生活という観点からどう考えるかという問題じゃなかろうか。そこからとらえて水道料金合理化というものを考えていきたい、かように考えております。
  84. 阪上安太郎

    ○阪上委員 これで終わりますが、したがって、単なる独立採算というようなものの考え方ばかりでやっておると、あるべき水道料金というものは私は出てこないと思うのです。この点は決して私は冗談まがいに言っておるのではなくて、水道については、世界各国でも、先進国の都市では、相当思い切った手を打っておる。家庭用水道料金というのが、ただになっておる国はたくさんあります。カナダに行ったってあります。この間行って調べてきたのです。決してこれは何かびっくりするような問題じゃないのです。ただ独立採算制のワク内へ閉じこもってものを考えておる日本のあなた方の中では、実にこれは青天へきれきのような話か・もしれないけれども、決してそんなものではない。世の中の消費者保護政策というものは、世界の保護政策というものはそこまで進んでおる。そのときに、いま日本ではこういうせせこましい問題でごちゃごちゃやっておる、こういうことなんです。いまに空気だって、きれいな空気を提供するためには、ものすごい金を必要とするような段階になってきますよ。日本の考えでは、おそらくそのときには空気から金を取るようになってくるのじゃないか。どうかそういう心がまえで、一ぺん格別の検討をしてくださいよ。このことをお願いしておきます。
  85. 森田重次郎

    森田委員長 華山親義君。
  86. 華山親義

    ○華山委員 上水道のことにつきまして、具体的に問題点をお尋ねしたいと思います。私が間違えて考えておりまして、むだな時間を費すといけませんので、一問一答式にお願いしたいと思います。  上水道の耐用年数は何年でございますか。
  87. 近藤隆之助

    ○近藤説明員 政府資金におきましては二十五年でございまして、公営企業金融公庫資金におきましては十八年になっております。
  88. 華山親義

    ○華山委員 私が聞いておるのは、償還期間は幾らかということでなくて……。
  89. 近藤隆之助

    ○近藤説明員 失礼しました。これはいろいろ、その中の本管とか浄水施設によって違いますけれども、三十年から六十年くらいまでにずっと分かれております。
  90. 華山親義

    ○華山委員 三十年から六十年という耐用年数に対して、償還期間が七年とか二十五年というのはどういうことからそういうことが出てくるのですか。大体におきまして、経済の考え方といたしまして、耐用年数と償還期間というものは似ていなければいけない。あるいは金融、銀行等の関係におきまして、それよりも短い場合もあるけれども公営企業である以上は、耐用年数に見合う償還期間、それが適当じゃございませんか。その点のお考えを聞きたい。
  91. 近藤隆之助

    ○近藤説明員 原則といたしまして、耐用年数と償還期限とが一致することが望ましいのでございますけれども、資金コストの関係等によりまして、そういった長期の資金というのが、現実問題としてなかなか獲得できないということで、現在のような形になっております。ただわれわれとしては、だんだん延ばしたいということで、公営企業金融公庫につきましても、三十七年までは水道につきましては十五年の償還年数でございましたのを、十八年に本年度から直しておるというような状況でございまして、今後もこの分については努力いたしたいと思っておるような次第でございます。
  92. 華山親義

    ○華山委員 それではその企業会計におきまして、どういう帳簿の整理をいたしておりますか。
  93. 近藤隆之助

    ○近藤説明員 損益収支のほうにおきましては、耐用年数によりまして減価償却費を計上いたします。そして資本収支のほうにおきまして現実の元金の支払い額を計上いたします。支払い不足につきましては、当然損益収支のほうに計上いたします。
  94. 華山親義

    ○華山委員 そこに差額が出てまいりますね。私はそれはおかしいと思うのです。それは一般民間企業であれば、ある程度の利益を得て、早く借金を返すということができましょうし、金融機関といたしましては、その企業に対する信用の状況もございますから、なるべく早く返してもらいたいということもありますから、一致しないこともあるだろうと思いますけれども、飲む水なんです。そういうものに対して、ちょっとの違い等でなくて、倍も三倍も違うというふうなことは、私は間違いだ、もっともっとこの償還期間というものは長くていいと思う。  それからもう一つ伺いますが、水道には非常に電気を使います。私の聞いておるところに間違いがなければ、東京都におけるところの電車の電気よりも水道の電気料が大きいということでございますが、この電気につきまして電気税がかかっておりますか、かかっておりませんか。
  95. 近藤隆之助

    ○近藤説明員 かかっております。
  96. 華山親義

    ○華山委員 それはおかしいじゃございませんか。大企業のいろいろな事業につきましては、これを減税する、あるいは免税するという措置をとって——これ自体が私は問題だと思うのでありますけれども、朝早く口をみがくときから、水に対して税金を間接的ではあるけれども払わなければいけない、こういうようなことはだれだってふしぎだと思うのです。いままで電気税の免税につきまして、何か御交渉でもなさったことがございますか。
  97. 柴田護

    柴田政府委員 先ほどの水道の償還期限と耐用年数の問題で、おかしいというお話がございました。私どもも決して合理的にできておるとは考えておりません。したがって、償還期限の耐用年数への一致と申しますか、極力接近と申しますか、ということにつきましては、先ほど来お話し申し上げておりますように、従来から努力してまいりました。ただ、そういった長期の資金が、今日のわが国の資金市場では得られませんので、なかなかそれが思うにまかせないということでございます。したがって、将来ともなおその合理化にはつとめてまいりたいということを申し上げておきたいと思います。  それから電気ガス税の問題につきましては、過去においてそういう問題があったことがございます。ただこの問題は、電気ガス税というものの税の性格が消費税であるから、その税の性格上、こういうものについて特別扱いをしない、こういう原則できておるわけでございます。それじゃ特定の産業について云々というのはおかしいじゃないかというお尋ねかと思います。これは私の所管ではございませんけれども、この問題はいろいろ議論があって、いろいろな経緯もあり、一つの国の政策としてやっておる、こういう考え方に立ってああいう規定ができておるのだろうと思います。水道につきましても、どう取り扱うかという問題は、ないことはございません。しかし電気ガス税の持つ性格からいいまして、いままで特別扱いをしてこなかった、こういう沿革でございます。
  98. 華山親義

    ○華山委員 そういう長期の資金が得られないというお話でございますが、私は、政府資金であるならば、水に関する問題でございますから、政府でそういう資金を出すべきだ、私は得られないということはないと思う。  それからもう一つ、電気ガス税のことでございますけれども、消費税だからと申しますけれども、水に消費税をかけなくたっていいじゃございませんか。私は、そういうふうな税、ことに電車につきましては、あれは消費でないのかもしれませんけれども、とにかく乗る、一つの消費なんです。これについては消費税はかかっていないはずなんです。私は、水道についての電気税というものは、当然免税すべきものじゃないか、こういうふうに考えます。  それから伺いますが、補助金というものは、これは工業用水には非常に出ておるようでございますけれども、あまり飲み水については出ないのでございますが、これは何か理由があるのでございますか。
  99. 舘林宣夫

    舘林政府委員 お話のように工業用水には現在補助金が出ておりまして、それから一般上水道、すなわち給水人口の大きい部分の水道の建設費には補助金が出ておらないわけであります。これは過去の経緯を申しますと、昔は上水道に対しても補助金が出ておったわけでございますが、実態上、かえってその補助金があるために、事業の進展に妨げになる実態があるというような考えもございまして、すなわちかえって起債で事業を進めたほうが大がかりな事業ができる、補助金のワクが必ずしも十分でない場合がままあるものでございますから、この上水道のような緊急やむを得ないような施設をつくるには、かえって障害となる場合があり得るというような考えを主といたしまして、かつてそれがなくなったことがあるわけであります。私どもとしては、今日工業用水のほうに補助金があり、人に供給する上水道にないということは、必ずしも妥当であるとは思っておりません。先ほど申し上げましたとおり簡易水道並びに小型の水道に対しては補助金がございますが、上水道に対しても当然補助金があってしかるべきものである、かように考えておりますけれども、なかなか努力が足りませんこともございまして、実現はいたしておらないのが今日の実情でございます。
  100. 華山親義

    ○華山委員 局長さんの努力の足りないせいじゃございません。政府が国民の消費、国民の生活ということに無関心だから私はそういうことになるのじゃないかと思います。水などというものは、これはもう水飲み百姓というように、だれでも、どんな貧乏人でも、きれいな水が飲めるというのが水なんです。それにつきまして、私は水というものに対して政府の関心が少な過ぎるのじゃないか。いまさっき申し上げましたが、耐用年数と償還の関係、それから電気税の関係、補助金の関係、水道については政府が中の合理化以外に政府としての合理化といいますか、こういう面がまだまだあると思います。具体的に申し上げましたが、ひとつ極力そういう方面に政府といたしましても努力を願いたい。  それから先ほど申し上げましたが、局長はしばしば都会のほうが水道が安い、中都市、小都心あるいは山村に行くと水道料が高い、こういうことを言われた。事実そのとおりです。私のくに等でも一歩市を出ますというと、村とその市との間では七倍の相違がございます。これは非常に間違えていることじゃないか。そういうふうなことは、少なくとも水だけでもみんなが同じような値段で飲める、そういうふりなことが望ましいと私は思うのでございますが、その欠陥は何かと申しますと、これを市町村にまかせきりで、そして独立採算という考え方をとっているからであります。全国一本にはできないでしょうが、工業用水については一定の限度以上というものは上げさせないような指導を通産省はいたしておりますが、一定の限度以上に上げさせないある基準というものを厚生省はきめておられますか。
  101. 舘林宣夫

    舘林政府委員 お話のございました工業用水のことを私も詳しくは存じませんが工業用水においては上げさせない場合には企業者からとっている、そういうような措置を講じておるかと思いますけれども、いま御指摘の農山村における水道が非常に高い、都会の水道がむしろ安いということは非常に不合理であることは御指摘のとおりであります。都会のむしろ生活レベルの高い、収入の多い人たちが安い水を飲んでおる。農山村では非常に高い水を飲んでおるということは好ましいことではないわけであります。これはでき得る限りそのような差がないような措置は訓じなければならないと私は感じております。現に先ほど申しましたように、簡易水道の補助金、あるいは小規模の施設に対する補助金の効率というようなことで、多少の救済はいたしておりましても、なおかつ相当な差がついておるということが一つと、これは山村に入れば入るほど導線が長い、一つの家から家に及ぶ導水管が長い、あるいは水源を求めにくいというような技術的にむずかしい面があるわけでございます。そのような非常に高くつくようなところに水道を設置することそのこと自体の検討もいま一度必要である。こういう基本問題がいろいろあるわけでございまして、十分今後これらの点を考えて仕事をしていきたい、かように思っておるわけでございます。
  102. 華山親義

    ○華山委員 局長、十分とおっしゃいますけれども、私は基本的な国のものの考え方が定まらなければ、局長がお考えになってもしかたがないのじゃないかと思うのです。これの一つの方法として私は考えるのでございますが、全国一律とはいかないと思いますけれども、工業用水のようなものにもあるのですから、これ以上は高い水は飲ませないという一定の基準をつくって、その基準に問に合うように償還の延伸とか補助金とかそういうものをケース・バイ・ケースできめていく、そういうことがなければできないのじゃないか、私はそのことをどうしてもひとつお願いをいたしまして、政府方針としてお考え願いたい。よろしゅうございますか。
  103. 舘林宣夫

    舘林政府委員 一定の基準と申しますか、あるべき水道料金の好ましいものというようなものを目標に検討してまいりたいと思います。
  104. 安井吉典

    安井委員 水道の問題につきまして先ほど来いろいろ御意見が出ていたわけでありますが、独算制の再検討だとか、償還年限の延伸の問題、電気税の問題、あるいはまた利子の軽減というような問題がなおあるわけで、先ほどの企業債が大幅に伸びている、大きく伸びて負担を増大している問題や、特に料金ストップというような問題についての特効薬としては、償還の延伸や利子補給、利子の引き下げ、そういったようなところではないかと思うわけですが、それらの問題は集約段階でひとつさらに掘り下げた検討をいたしたいと思います。なお電気ガス税を全国公営企業水道がどれくらい払っているか、それをひとつ後ほどお知らせいただきたいと思います。  それからもう一つ、ちょうどいい機会でございますのでこの点だけ最後に水道関係で伺っておきたいと思うのですが、この間私ども産炭地に参りましたら、閉山炭鉱の上水道整備事業の問題を知ることができました。これはたとえば北海道の芦別市で聞いた話でございますけれども、炭鉱が休山をしてしまいまして、そこでの水道施設を、これは市が当然引き受けなくてはならないわけでありますが、ところがもうすでにぼろくそになって徹底的な修理をしなくてはならぬ、そういうようなものでしかないそうです。しかしそれを引き受けてきちんとしなければ、その炭鉱住宅に住んでいる人だけではなしに、一般住民にも非常に大きな影響があるわけです。そこで、その買収費を起債というふうなことになっても、買収するどころか、向こうの炭鉱側は投げていってしまうというふうな施設であるわけです。こういうふうな問題につきまして炭鉱を持っております市町村はずいぶん苦労をして、どうせ引き受けるなら改修しなければいけないの、だから、改修非の国庫補助については補助対象施設のうちに共同純水装置、事務費等を含め補助率を三分の二、少なくとも無資力鉱害復旧の補助率と同様六二・五%程度に引き上げてもらいたい、地方負担の全額起債等を要望しているようであります。ところがこれに対して、聞くところでは昭和三十九年度の予算案において新たに簡易水道等施設費補助金という項目のもとに閉山炭鉱施設費としてわずか一千万円の計上があるだけだ、こういうようなことを聞くわけでありますが、休廃止の山の場合の水道引き受けという問題は大事な問題だと思いますので、これについての政府のお考え方をひとつお聞きしたいと思います。
  105. 舘林宣夫

    舘林政府委員 御指摘のように、三十九年度の閉山炭鉱に対します補助金は四分の一で、一千万円を簡易水道の補助金の内訳として計上いたしてございます。ただいま予算審議をお願いいたしております段階でございますので、この一千万円をもって閉山炭鉱のただいまお話のございました買収、改築というようなものの補助に充ててまいりたいと思うわけでございまして、この予算によりまして、将来年度が進んでまいりまして、この一千万円では足りないというときには、これは品目は簡易水道の補助金の範囲でございますので、できる得る限りの配属はいたしたいと思いますが、今日の段階では一応閉山炭鉱分として一千万円を計上してあるわけでございます。
  106. 安井吉典

    安井委員 どうも何かけたが一けた違うんじゃないかという気がするのです。これは全国でどれくらいあるケースかわかりませんが、芦別市だけでも施設の延長が九千四百メートル、管経三インチ以上のものです。これに要する費用は約千七百万円が見込まれる、こういうような面なんですが、全国的にこういう例は少ないのですか。それとも全国で一体どれくらいありますか。
  107. 舘林宣夫

    舘林政府委員 御指摘のように相当多額に上る見込みでございます。今日の段階ではどうも数千万円に上りはしないか、その補助額にいたしまして数千万円に上るかもしれないというような心配を持っております。そのような場合にどうするかということは、ただいま予算審議を一千万円としてやっていただいておるわけでございますが、これは簡易水道の内訳の問題でございますので、その点はでき得る限り配慮をしてまいりたい。いまここで直ちに簡易水道の全体のワク内でということを申し上げかれるわけでございますが、これは内訳のことでございますので、含みのある扱いがし得ると思っておる次第でございます。
  108. 安井吉典

    安井委員 残額は起債を許可するわけですか。
  109. 柴田護

    柴田政府委員 休閉山に伴います水道につきましては、地方負担分は全額地方債を充てる、こういう方針でおります。
  110. 安井吉典

    安井委員 この問題についてさらにもう少し、こういう例がどれくらいあるか等についての資料をいただきながら、機会を改めて検討をさせていただきたいと思います。なお、いずれにいたしましても一千万円くらいではほとんど措置できないのではないか、一つの炭鉱の分だけでも無理じゃないかという気がするわけです。先ほど来のお話から。ぜひ特段の考慮要求しておきます。  時間がだいぶ過ぎておりますが、病院関係についておいででございますので。病院の関係につきましても、全国事業体の約五側は赤字を出しているという現状のようであります。したがって交通や水道と病院とは一応カテゴリーの違った問題があるかと思いますので、そういう特徴点をあげながら実情並びに対策について御説明をいただきたいと思います。
  111. 大崎康

    ○大崎政府委員 現在病院数は全国で六千五百十一ございますが、その中で自治体が経営いたしております病院が一千百六十二ございます。病院事業というものは、さきに成立いたしました地方公営企業法によりまして、本年四月一日から公営企業法の適用を受けるわけでございますが、その趣旨とするところは経理を明確にすることでありまして、病院事業そのものが独立採算になじまない事業でございますので、独立採算を行なうことを趣旨とするわけではないと承知をいたしておるわけでございます。そこで地方公営企業法の適用を受けておりました病院、三十七年度で見ますと、企業数といたしまして百十五の病院の中で損失を出しておりますものが五十二ございまして、これが約四五%に当たるわけでございます。こういう自治体病院の赤字原因が那辺にあるかは、これはいろいろな要因があるかと考えられます。まず第一に考えられますのは、自治体病院そのものが立地条件あるいは適正規模の観点からいたしまして、収支の均衡をはかりがたいような場合におきましても、住民の福祉のためにこれを設置する必要がある、こういうふうな場合が予想されることも一つの要因であります。さらには僻地診療所の運営でありますとか、あるいは予防行政、公衆衛生施策あるいは看護婦の養成等の行政目的に直接奉仕しなければならないという特殊な性格もございます。それから診療につきましては、特に指導的な診療をするという意味合いにおきましても、人的、物的設備についても充実をいたさなければなりません。さらには、人件残響が漸次上がっているというふうなこともございますし、あるいは病院の施設、設備等に対する投資額というものが、最近医療の高度化に従いまして非常にふえている、こういうふうなことがあるわけであります。さらには、病院につきましては、公営に伴いまして若干の非能率というふうなことがあるということもあるいは否定できない要因かと思います。こういうことに対処いたしまして、どういう対策を講じたらいいかということなのでございますが、大体次のように考えておるわけであります。それは自治体病院そのものにつきましては、病院自体の収入によってまかなう部面あるいは自治体の一般会計から繰り入れを適当とする経費、さらには国が助成をする経非こういうふうな三つの区分に従いまして、それぞれ適当な措置をとる、こういうことがまず基本でございます。  自治体の病院の施設整備等につきましては、現在特別地方債等によりまして融資が行なわれているわけなのでございますが、その融資を拡充するということはもちろんでありますが、病院事業特殊性からいたしまして、施設等につきましては一般会計の負担が望ましい、こういうふうに私ども考えているわけでございます。  それから、二番目には行政目的に奉仕するために生じた赤字につきましては、これは補助金その他の手段によって適切な設置をとりたい、こういうことでございます。  それから第三番目には、自治体の病院の経営収支、これは従来は官庁会計のところが相当あったわけでございますが、これにつきましては、企業会計をとりましてその収支を明らかにいたしまして、病院事業一つ企業体といたしまして、経営につきまして格段のくふうをいたしたい、こういうふうなことが主たる問題であるというふうに私ども考えているわけでございます。  以上、大体これで概略御説明申し上げました。
  112. 安井吉典

    安井委員 大体の様子はいまの御説明でわかりましたが、一番最初に病院の公共性といいますか、立地条件や収支均衡をはかりがたい場合でも設置しなければならないとか、そういうような問題は、病院事業というものが、営利事業的な独立採算という考え方だけではいかないのだという点を強調された点だと思うのです。その点準公営企業というふうなワクの中に病院事業をはめたことにも若干問題があると思います。そういうふうな点を指摘できるわけですが、その現状に立って、公共性というものと独立採算性という二つの要請をいまの病院事業は受けているわけです。その場合に、どちらに重点を置いて考えておられるか。これはもう当然住民の福祉のために病院があるのですから、公共性というもののウエートが高いと私は考えるのですが、いかがですか。
  113. 大崎康

    ○大崎政府委員 ただいま私が御説明申し上げましたことと重複するかもしれませんが、地方公営企業法のこのたびの一部改正によりましても、この病院の経理を明確にするために同法の適用がはかられておるのでありまして、独立採算制を強制するような趣旨ではないことはいま申し上げましたとおりでございます。これは私ども厚生省といたしましては、自治体の行ないます病院事業につきましては、独立採算的な面よりむしろ公共性ということを強調してまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  114. 安井吉典

    安井委員 自治省の人はいかがですか。
  115. 柴田護

    柴田政府委員 病院につきまして、これは準公営企業として扱っておる趣旨から見ておるわけでございますが、一般民間におきましても、病院というのは事業として行なわれているわけでございまして、そういう意味合いを込めて、病院の収支経理を明確にするという趣旨から準公営企業扱いにして、できるだけ収支の均衡を保つ方向で、経営合理化に努めるという指導は行なわれておりますけれども、しかし公共性を一切無視していいといったような気持ちは毛頭ございません。
  116. 安井吉典

    安井委員 この決算の概況で見ますと、建設改良費が前年に比べて八八・七%ですか、これもおそろしい伸び方のようです。これはたしか法適用事業の分だと思いますけれども、そういうような状態があると同時に、原材料薬品費の増大八五・一%という数字が出ております。この点ちょっとわかりかねるのですが、いかがですか。
  117. 大崎康

    ○大崎政府委員 建設改良非につきましては、最近の医療そのものが非常に高度なものになっているわけでございます。しかも自治体の病院の診療につきましては、これは指導的な地位にあるわけでございますので、その点の建設改良費というものが目立って伸びているわけでございます。  それから第二番目の原材料費の伸びでございますが、これは原材料費として使用する量の増大及び原材料の値上がりによるものでございます。
  118. 安井吉典

    安井委員 医療費の問題は、現在再診料の問題を含めて強く表面に出ている問題でありますが、この方向の決定いかんが、自治体の病院の経営の上にも非常に大きな影響を持つものではないかと思います。ずいぶん大きな政治問題にいまなっている際でありますが、その点自治体病院と医療費問題との関連についての御見解をひとつ伺っておきたいと思います。
  119. 大崎康

    ○大崎政府委員 私、医務局でございまして、社会保険診療報酬の所管は保険局でございます。したがいまして所管外でございますが、そういうふうな意味合いでお聞き取りいただきたいわけでありますが、診療報酬というものは、医学の進歩に即応する医療水準、あるいは国民の生活の向上に対する患者のサービス水準を維持するに必要な費用を保障するということがまず望ましく、必要なわけでございます。そういうふうな意味合いからおきまして、昨年末に中央医療協議会に厚生大臣から、経済成長に対応する社会保険診療報酬の緊急是正についての会の意見を問うという諮問書が出されておりまして、目下審議中でございます。その御審議による御答申をいただいた上で善処するというふうに永知をいたしております。
  120. 華山親義

    ○華山委員 関連して。私、市町村の病院を、私の経験と仕事の上で見てまいりましたが、寒村に参れば参るほど、その病院の経営には非常に苦労しておるようでございますので、先ほど局上長がそういうふうな条件によって国のほうからも補助金ですか、するようなお話がありましたが、いまそうなっておるのでございますか。
  121. 大崎康

    ○大崎政府委員 病床に対する不足地区につきましては、公的医療機関整備費ということで、毎年予算がついておりまして、三十九年度におきましても所要の経費を計上いたしておるわけでございます。なおそのほか僻地医療対策世といたしまして、これも毎年計上をいたしておるわけでございますが、僻地対策費といたしましては、三十八年度から第二次計画というものを策定をいたしまして、第一次計画二百三十七カ所の僻地の解消に引き続きまして、百九十川カ所の僻地を解消することを目的といたして、三十九年度には所要の経費を計上いたしているわけでございます。そのほか僻地診療所が設置できないような地域、人口の狭小なところにおきましては巡回診療を弧化することにいたしておりまして、巡回診療車、あるいは巡回診療船、あるいは巡回診療雪上車等の予算を計上いたしておるわけであります。  なお、そのほか患者輸送用のマイクロバスの整備でございますとか、それから医科大学による僻地診療等につきましても、若干の助成を行なっているわけでございます。
  122. 華山親義

    ○華山委員 毎年出てくる赤字という分につきまして、何かこれを一定の基準によって補助するというようなふうに聞こえましたが、そういうわけではございませんですね。毎年Aという病院で幾らかずつ赤字が出ておりますね。そういうふうなものにつきまして補助をする、こういうことじゃないんですね。
  123. 大崎康

    ○大崎政府委員 僻地診療所につきましては、その運営費の二分の一を補助する予算を計上いたしておりますが、僻地以外の診療所、病院等につきましては、特段の措置をいたしておりません。
  124. 安井吉典

    安井委員 いま赤字の問題に集中して質問があったわけでありますが、私も病院の問題は、さきもお話がありましたように、 公共性というものが先に立つわけですから、赤字が出るくらいであっても、これはしかたがないということは一応言えるわけです。しかしながらこう赤字が一年一年増大してまいりますと、それによって資本流動比率は往年落ちてくるわけです。一時借り入れ金のやりくりだけで、私はこれはたいへんな段階にいま来ているのじゃないかと思います。結局、赤字のままに置いておけないわけですから、一時の借り入れで糊塗している。それの負債の利子が大きく会計全体を圧迫している。さらにその上に、建設改良費が増大の一途をたどっている。こういうことが問題であろうと思います。合理化という話もありますけれども、これはやはり個人経営の病院が、奥さんも薬局に出て薬剤士の手伝いをしたり、患者の給食の指導を奥さんがやったりというふうな形にはこれはできないわけですから、合理化といっても、これは限度がある思うのです。そういうようなことからいえば、やはりこの赤字対策というものをいまのうちにきっぱり立てておかないと、病院本来の公共性というものにひびが入ってくるのではないか。人間の尊重こそが政治の一番の私は要諦だと思うのですが、そういうような基本的な問題にひびが入ってくるようではたいへんだと思うのです。特に全国の病院の大きな割合を自治体の病院が占めている段階ですから、単に地方公営企業の問題だけではなしに、国民医療の絶対的な観点から根本的な検討が必要ではないかと思うわけです。だから、私はいま、医務局のほうでこの赤字そのものに対してあまり関心を持っておられないような、あまり具体的な方針をお持ちになっていないような御答弁のように、いま華山委員に対する御答弁がそういうふうに受け取れたのですが、やはりもう少し積極的なかまえでこの問題に臨む必要があるのではないか、そう思うのですが、いかがですか。
  125. 大崎康

    ○大崎政府委員 私どもにおきましても、これはもちろんのことでございますが、病院、診療川の収支につきましては、常に緊切な関心を抱いておるわけでございます。ただ自治体病院そのものだけを考えてみますと、一応白流体の御所管でもありますし、その問題につきましては、先ほど私が申し上げましたように、病院自体の診療収入として考えるべき部面、それから自治体の一般会計で負担をしていただく部面、それから国庫の助成を要する部面、この三つに分けて考えざるを得ないわけであります。この三つの点につきまして、私どもにおきましては、それぞれ所要の対策を常に講じているつもりでございます。
  126. 安井吉典

    安井委員 その対策が不十分だから、赤字がどんどんふえていくのではないでしょうか。対策をお講じになっておりながらも毎年こうやってふえていくというこの実態から見れば、いままできわめて不十分であったのではないか、そういうような気がいたします。しかも、これはこう、これはこうと、三つぐらいに分けてお話なんですが、それを総体的に、総合的に見て処置するという立場の人はだれですか。それの責任者は、だれですか。
  127. 柴田護

    柴田政府委員 自治体病院の収支ということになりますれば、公営企業の財政をあずかっております私どもということになるわけであります。病院をどう考えるかという問題は、お話のように公共性の問題を十分配慮してまいらなければなりませんが、やはりこれは事業であることには間違いない。したがって、その間の経費の負担区分というものも明確にしながら経営合理化をはかっていくということになるのだろうと思いますが、ごく大ざっぱに考えまして、今日の状況では、病院のコストの増高と医療単価とのアンバランス、これが非常に経営を悪化している一つの大きな原因であると思います。医療単価の問題につきましては、御承知のような経緯でいろいろ別荘検討されておりますが、その他の病院のコストということになってまいりますと、一般会計との関係で、たとえば病院の建設費をどうするか、あるいは減価償却費をどうするかということにつきましては、われわれといたしましても、病院の建設等につきましては一般会計から大いに援助するというような方向で指導を行なっております。また、病院の経営ということを考えます場合には、私どもは単に一つのある病院について、その経営をどうするかという同順を考えますと同時に、やはり病院の適正規模と申しますか、共同経営と申しますか、そういう方面の配慮というものがやはりあっていいのではないか。一時、非常に自治体病院建設競争というものがあって、軒並みに病院が赤字を出した時代がありました。ああいうことが繰り返されないように、特に地方団体の地域も広域化し、交通通信も発達してまいりますと、病院の共同経営ということにつきましても、やはり真剣に考えていくべきじゃないか。こういう形で総合的に検討してまいっております。
  128. 森田重次郎

    森田委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時八分散会