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1964-05-15 第46回国会 衆議院 大蔵委員会税制及び税の執行に関する小委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年五月十五日(金曜日)    午前十時四十六分開議  出席小委員    小委員長 濱田 幸雄君       原田  憲君    藤井 勝志君       吉田 重延君    渡辺美智雄君       有馬 輝武君    平岡忠次郎君       平林  剛君    堀  昌雄君       春日 一幸君    竹本 孫一君  出席政府委員         大蔵政務次官  纐纈 彌三君         国税庁長官   木村 秀弘君  小委員外出席者         大 蔵 委 員 天野 公義君         大 蔵 委 員 伊東 正義君         大 蔵 委 員 大泉 寛三君         大 蔵 委 員 木村 剛輔君         大 蔵 委 員 木村武千代君         大 蔵 委 員 谷川 和穗君         大 蔵 委 員 佐藤觀次郎君         大 蔵 委 員 田中 武夫君         大 蔵 委 員 只松 祐治君         大 蔵 委 員 日野 吉夫君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 五月十五日  小委員渡辺美智雄君四月二十日委員辞任につき、  その補欠として渡辺美智雄君が委員長指名で  小委員に選任された。 同日  小委員小松幹君四月二十一日委員辞任につき、  その補欠として平岡忠次郎君が委員長指名で  小委員に選任された。 同日  小委員平岡忠次郎君同日委員辞任につき、その  補欠として小松幹君が委員長指名で小委員に  選任された。 同日  小委員武藤山治君及び竹本孫一君同日小委員辞  任につき、その補欠として平林剛君及び春日一  幸君が委員長指名で小委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  税制及び税の執行に関する件      ————◇—————
  2. 濱田幸雄

    濱田委員長 これより会議を開きます。  税制及び税の執行に関する件について調査を進めます。  調査を進めるにあたりまして、私から一言申しておきたいことがありますが、前回の本小委員会におきまして、平岡委員から税の執行について種々質問がありました。これに対して、主として国税庁長官からの答弁も聞きました。その質疑応答というものをもとにして、商工新聞とか帝都日日新聞なんかにおいていろいろ記事を出しております。私の承知しておるところでは、おそらく左翼陣営であると思うのでございますが、先般のメーデーに際しても、街頭においてこれに関連しての宣伝ビラなんかも相当配られておるように承っております。そういうような新聞記事とか、あるいはビラなんかを見ますると、この委員会質疑応答のありました趣旨とかなり、何と申すか筆を曲げて、極端なことばを使えば捏造的な文句もありました。また一部政治家立場から見ると、本人に非常な迷惑をかけるような文句も使ってあったのでございますが、これは当委員会税制及び税の執行についての審議をやっております趣旨と非常に相反する面があって、私といたしましても非常にこれは遺憾に存じます。今後この小委員会を開くにあたりましては、私自身も十分そういう面について注意をしなければならぬということも存じておりますが、お互い小委員といたしても、そういう意味で、せっかく真剣にお互いが国政を論議しておるのを、一部の勢力によってこれを悪用せらるるようなことがないように注意をいたしていきたいと思います。どうかそういう意味で皆様の協力をお願いいたします。  なお、前回の小委員会において平岡委員から、かなり具体的な事実について質問がありました。そのときに国税庁長官としては、手元に十分なる資料も持ち合わせていなかったと思うのでございますが、必ずしも完全なる答弁というか説明もついていない面もあったので、私もその際に国税庁長官お願いをいたしておいたのでありますが、次の機会には、平岡委員からの質問の要点について、具体的な事実を取り上げてある以上は、それに対しての国税庁としての明確な答弁説明お願いをすると言っておいたのでございます。おそらく国税庁のほうにおきましても、あれから相当日数もたっておるし、事実についての調査も行き届いておると思うのです。この機会にあらためて木村長官からの答弁お願いをいたしたいと思います。木村長官お願いします。
  3. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 四月の十六日に、当委員会におきまして、平岡委員から、いろいろな事実をあげられまして御質問を受けたのでございます。そこで、午前中、質問を受けましたときは、私としては何が何だかさっぱりわからぬような内容質問でありまして、質問を受けたあと、本会議に入るということで一たん休憩になりましたので、そこで、現地のほうにも連絡をとり、その後の本会議終了後の当委員会において、私としては、その調査の結果を御報告申し上げたのでございます。そこで、たまたま冒頭委員長から仰せになったように、特殊の団体がこの問題を取り上げて、現職の大臣、あるいは私、もっと広く言いまして、現在の税の執行について非常に大きな疑問を一般の方々に持たせるような内容新聞記事等を発表いたしておるのでございまして、私は、これははなはだ遺憾だと存じます。そこで先会平岡委員の御質問の際に、時間切れということで私留保いたしました、主として法律問題と申しますか、別段賞与の問題、旅費日当の問題、役員従業員報酬水増しの問題について、ここであらためてお答えを申したいと思います。  私たちは、別段賞与がそのまま脱税になるんだということを最初から断定しておるのではございません。もし最初からそういう断定をしておるんだということでございますならば、机上調査だけでこれを否認すればいいことでございまして、何も時間をかけて実地調査をやらなきゃならぬという必要はないわけでございます。別段賞与という経理形式そのもの脱税と言っているのではございませんけれども、今回の事件で問題になっておりますのは、会社が、当初から支払う意思がないのに、別段賞与支給した、そして、これをまた借り入れたということに仮装をしておる経理が問題でございまして、これを私は脱税だと言っておるのでございます。いわば別段賞与という形式を利用した脱税を問題としておるのでございますから、別段賞与そのものを議論をしても、問題は解決いたさないと思います。この前の御質問にありましたように、東京国税局法人税課長が監修をいたしました法人実務問題集の解答も、当然真実に支払う場合の話でございまして、今回の事件のように、会社が支払う意思がなかったという場合、すなわち、仮装経理について論じておるのではございません。  それで、今回の事件では、鹿沼地方相当多数の会社現実に別段賞与というものを脱税に利用して、しかもこの事件飯塚事務所の所員が関与しているのでございますが、なぜ別段賞与というものが容易に脱税に利用されたかということを考えてみる必要があると思います。ここに簡単な例を申し上げますと、かりに二百万円の収入があった、そのうち百万円が経費であったということになりますと、所得は百万円でございまして、これをまるい数字ではしょりますと、四十万の法人がかかる。したがって、その残余の六十万円が税引き所得として法人手元に残るわけでございます。納税者税金を安くしたいというのは、これは人情でございまして、十分わかるのでございますけれども、その趣旨は、この税引き後の所得をいかに多く手元へ残すか、残したい、こういう気持ちがあるからでございます。そこで、かりに五十万円の別段賞与支給いたしたと仮定をいたしますと、所得残りの五十万円でございまして、したがって、税金は二十万円になって、差し引き税引き所得は三十万しか残らない、こういうことになるわけでございます。この場合、なるほど税は減っておりますけれども、しかし税引き後の所得はかえって前よりも減ってしまうのでございますからして、別段賞与というものが節税になるんだということは、全く意味がないと申さなければならぬと存じます。結局、このことは、経費が多ければ所得が減る、所得が減れば税が減るという、きわめて当然のことを言っておるわけでございますからして、節税のために別段賞与を使うという意味がないのでございますけれども、一方、別段賞与脱税かどうかという問題は、真実に支払いが行なわれたかどうか。すなわち、当初から会社に支払う意思があったかどうか、こういうことによってきまるわけでございます。しかもその意思税務署立場において調査するということは非常に困難でございますので、その点を利用いたしまして、支払う意思もないのに支払ったことにし、また、それを同時に、借り入れたことにしておるのであります。先ほどの例で申しますならば、この場合には、百万円の所得に対しては二十万円の税しかかからないのですから、したがって、残り八十万円が税引き所得として残る、こういう結果になるわけでございます。そこで、いまの飯塚税理事務所関与先の極端な例を申し上げますと、これはいつだったか大蔵委員会でも申し上げましたけれども、勤続一年三カ月で月給を二万円もらっておる女子従業員が、別段賞与として六十万円支給されておる。また、勤続一年三カ月で月給が三万九千円の男子従業員が、二百万円の別段賞与支給されておる。また、社長賞与が四十万円であったのに、従業員賞与が二百万円である、こういうような異常な事例があるのでございまして、これはいかにもわれわれの常識には反しておる。やはりこういう事例については、徹底的に、これが真実に別段賞与として払われたものかどうかという点については、非常な疑いを持たざるを得ないことは当然だと思います。  次は旅費日当についてでございますが、あらかじめお断わりしておきたいのは、今回のこの事件旅費日当について脱税があるということを申し上げているのは、架空旅費現実調査の結果判明しておるからでございます。ただ旅費については、飯塚税理士自身所得税法規定解釈誤解をしておる点がありますので、この点を御説明いたしたいと思います。  御承知のように所得税法では事業所得計算につきましては、収入を得るための必要な経費というものは控除される規定がございます。したがって事業所得者がその事業遂行上必要な出張をした場合には、その旅費経費として控除されるわけでございます。しかしながら給与所得者の場合におきましては、このような規定がありませんために、経費は定額の給与所得控除として定められておるのでございます。したがってもし別に法律的な手当てが施されていないとしますならば、給与所得者会社等業務のために必要な出張をして、そして旅費支給を受けたということになりますと、本来は実費弁償的な意味支給を受けておるにもかかわらず課税をせられる、こういうことになるわけでございます。それでこういうことを防ぐために所得税法の六条の三号で規定をいたしておるのでございまして、結局旅費課税上の取り扱いは、事業所得者については経費に見られる、また一方給与所得者については収入と見ないという差はございましても、この両者の間には本質的な違いはないのでございます。したがって飯塚氏が言っておるように、給与所得者に対する旅費というものが給与の補充的な意味を持つのだという解釈誤解であるといわざるを得ません。したがって、所得税法の六条三号では「職務に関し必要な旅行をなした場合に支給を受ける旅費」とございますが、これは当然旅費としての相当額意味しておるものでございまして、旅費という名目で支給されるならば、いかに多額であっても非課税であるという意味ではないと思います。またそういう趣旨判決も出ております。この判決の要旨は、会社その他の団体経費、ことに旅費等は、当該会社規模その他の状況から見て、当該会社業務遂行上通常かつ必要なものであると一般に見られる程度のものでなければならない、こういう判決が出ておるのであります。日当につきましても、勤務地から離れて仕事をするために経費が増加する、その部分概算額支給するというのが本来の日当趣旨だと思います。飯塚氏は、日本税理士連合会及び関東信越税理士会が作成した税理士報酬規定、これは国税庁で定めたものではございませんが、この中に日当五千円以内とある、自分が認可しておって自分が否定するのはおかしいじゃないか、こういう趣旨のことを申しておるのであります。もちろん、国税庁でこれを認可したという事実はございませんが、しかし、理論といたしましては、御承知のように税理士報酬というものは給与所得ではございませんで、事業所得に属するわけでございます。したがって、たとえ五千円以内として日当はきめられてあっても、これは当然源泉徴収の対象にもなるものでもございますし、また税理士事業所得計算上、実際に支出した経費経費として見られる、こういうことになるわけでございます。  そこで、若干の事例を申し上げますが、飯塚税理士関与先の某会社、これは南千住の本社から越谷の工場会社自動車で行く場合でございますが、大体三十五分から四十五分ぐらいを要するのであります。社長日当が四千円である、それから工場長については三百五十円、従業員は実費だけ、こういうような事例があるのであります。また某会社におきましては、池袋から田村町、これは自動車で大体四十五分から五十五分ぐらいのところでございますが、社長日当が三千円、日当だけで月約七万円になっておる、しかも従業員等については全く少額の日当しか与えておらない、こういうものが日当として考えられておるのであります。  最後に水増し給与の問題でございます。われわれは、給料を一定期間増額支給するということを直ちに脱税であるときめつけているわけではございません。ここでも問題がすりかえられているのでございまして、役員報酬水増し従業員給与架空支出が問題となっておるのでございます。今回の事件で判明しておりますことは、役員報酬について会社が支払う意思がないのにもかかわらず、報酬事業年度の期首までさかのぼって増額をしたことについて、これを合法的に見せかけるために、事業年度終了後に、その事業年度開始のときに総会があったかのように、架空総会議事録をつくっておる、さらに毎月の報酬台帳改ざんをしておる、こういうような仮装経理があるのでございまして、これをわれわれは脱税として追及をしておるのであります。また従業員給与につきましても、実際に全く支給していないのにもかかわらず、さかのぼって支給をしたことについて台帳等改ざんをしておる、こういう例があるのでございます。しかも、これらはいずれも飯塚事務所職員指導によって行なわれておるのであります。  こういうような三点から見まして、われわれとしては単に飯塚税理士個人を問題にしておるのではなくて、こういう特定の人が同様の手口によって指導を行ない、それによって相当広範なる地域において実際上脱税が行なわれておる、もしこれをほうっておいて、これがいいのだということになりますならば、これは病気のようなもので、だんだん蔓延をして、そうしてそういうことが公然と行なわれるようになる、そういう結果の重大さに顧みましてわれわれとしては調査を進めておるのでございまして、そういう点は当委員会におきましてもわれわれの考えを御理解をいただきたいと思うのでございます。
  4. 濱田幸雄

    濱田委員長 ただいまの木村国税目長官発言に関連して藤井君から発言を求められておりますので、これを許します。藤井君。
  5. 藤井勝志

    藤井委員 いま長官の先日に引き続く問題点答弁がございました。私は賞与であるとかあるいはまた旅費云々水増し給与、こういった問題につきましても質問をいたしたいと思ったのでありますけれども、これは一応長官答弁で今後の事件の推移を見守りたい、このように考えるわけでございますが、実は小委員長冒頭に述べられましたことについて、この委員会審議を進める進め方、広くいえば当小委員会のあり方について非常に私はいろいろな面から憂慮いたしますので、きょうはその後いろいろ発言を求められておるのでございますから、冒頭に私の意見を開陳する機会をお与えいただきたいと思うのであります。  実はいわゆる飯塚税理士事件なるものはすでに三月四日でございましたか、大蔵委員会横山さんが取り上げられた。それから後確聞するところによると、法務委員会において同じく横山さんがすでにやっておられる。それからこの委員会において先般四月十六日でございましたか、平岡さんから税制並びに税の執行に関する問題の関連においてこの問題が取り上げられた。ところが各委員がそれぞれの立場から税のいわゆる執行にあたって民主的に合理的に能率的にやらなければならぬというお気持ちから——御趣旨はよくわかると思うのでございますけれども、よく言われるように角をためて牛を殺してはいけないという心配がございましたので、この間の審議の途中において私はそのような意見を開陳して、平岡委員にもひとつ慎重に御発言お願いいたしたい、こういうことを申し上げたわけでございます。不幸にして私のその心配現実となってあらわれてまいりました。実は私の非常にじっこんに願っておる同僚議員がたまたまこれに登場してきたものですから、いろいろお話を聞き、私もいろいろな面から資料を集めました。その資料の中心はここに持ってきておりますが、全国商工新聞という新聞でございます。まことにあのときの審議内容がすりかえられて、そしていわゆる反税闘争と申しますか、そういったことに当委員会が踊らされるような結果に現実になっておる。この現実の事態に対処して当委員会はどのような方向で行くべきかということが、これはたまたま平岡さんの御発言の御趣旨は私が冒頭に述べたようなりっぱな税の執行をやってもらいたいというお気持ちであったと思うのでありますけれども、その結果がとんだところへ飛び火をいたしまして、木村国税庁長官脱税一役を買っており、しかも同僚国会議員、現在ではしかるべき立場に立っている人が圧力をかけてもみ消しの一役をやる、全く国家は紊乱の極に達しておる、こういうふうに思わせる新聞記事を堂々と載っけております。まず第一番目は五月四日付の全国商工新聞、これには写真入りででかでかと、お気の毒にも平岡さんもここに談話を発表されておる。目に余る当局無法ぶりということで語っておられる。しかもいろいろこの中を読んでみますと、その後出てきた、また五月十一日でありますか、この新聞並びに全国商工会号外、これは五月の六日付であります。この全く事実をよく確認しない、あの場の雰囲気と全く違った、すりかえられた一つの反税闘争の意図を十分持ったような宣伝の材料に当委員会質疑応答が使われているということをまことに私は遺憾に思うのであります。  そこで私はまず第一に、これはおそらく国税庁としても出先もあることだし、いろいろの面でも調査されておると思いますし、私も実は辻堂方面から出入りしている私の友人があります。あの駅頭には堂々と書いてあるのですね。いまの国税庁長官がまるででたらめな税制をしている、こんなばかななには税金を納めるべきじゃないということがすぐわかるような見出しででかでかと書いていることを私の友だちは伝えてくれました。あれやこれや考えた場合、まずこの全国商工新聞正体は一体どのようなものか、また同時に、これが第一線の徴税に日夜苦心惨たんして当たっておられる職員執行上非常に混乱を起こし、調子よくいかない、こういうふうなことを私は非常に憂慮いたしますから、こういう問題について国税庁としてどのようにこの手配をされておるか。この新聞正体並びにそういった問題を引き起こした現在の状況、こういうことについてひとつ国税庁長官から御答弁を願いたい。それによって私はこの委員会審議のしかた並びに平岡さんの、後ほど申しますが、私は議事録を丹念に見ました。私はこの問題については平岡さんにもひとつ御心境をお尋ねをいたしたい、このように考えます。
  6. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 私はただいま藤井委員仰せになったように、この委員会で論議されましたことが特殊の団体全国商工会連合会、これは民商連合会でございますが、こういう特殊の団体の反税的な闘争の具に供されておる。ただいまおっしゃったような新聞なり号外なりが東京、大阪、名古屋、熊本その他全国各地国税局並びに税務署の周辺において、税務署職員あるいは通行人に対して民商事務局員から配られておるという事実を知っておるのであります。また藤沢市におきましてはこの記事内容と大体同趣旨のことを宣伝カーでもって前後四回にわたって市中を放送して回っておるのでございます。あるいは辻堂の駅のプラットホームの正面にただいまおっしゃったような記事が堂々と大きく看板に張られておるという事実も存じております。そこでこういう記事が一体税務執行に対してどういう影響を与えるかという御質問でございますが、私はこういう特殊の団体でありまた特殊の性格なり目的を持った団体がこういうものを出しておるということについて、おそらくこれは批判的な、大部分方々はこういうものは信用なさらないのじゃないか。しかしながら一部の何にも御存じないような方々にとっては、こういうものはあるいは信用されるかもしれない。具体的にこれの反響までは私は聞いておりませんが、しかし実際こういうことが信用されるとしたならば、これは国の行政の一環であります税務行政にとってはゆゆしい問題であるというふうに感ずるのでございます。  そこで第二の御質問の、この新聞正体と申しますか、がどういうものであるかという点につきまして、若干御説明をいたしたいと思います。  この新聞を発行しておりますのは全国商工団体連合会という団体でございまして、これは東京にございます。それから都道府県には各都道府県十五の連合会があり、そのもう一つ下組織として、地区組織として民主商工会、これは名前は各地いろいろございますけれども、民主商工会が二百十九あるのでございます。それで昭和三十九年の三月現在の会員数は、これは推定でございますけれども、約六万人ございまして、五年前に比べて倍になっておる。ここ二、三年は相当急速に会員がふえてきたという事実がございます。それでその役員の三分の二以上は、特定政党の党員か、あるいはその支持者で占められておるのでございます。  そこで、この団体はどういうことをやっておるかと申しますと、まず第一に税対策、第二は金融、この二つが最も大きい問題でございまして、そのあと法律相談であるとか、新聞の発行であるとかいろいろございます。そこでわれわれの関心を持っておる税に対するこの団体のやり方というものを見てみますと、税務当局調査の結果によりますと、同じ人でこの民主商工会に加入する前とあととでは、申告額が極端に低下をしておる。また民商会員を同規模の同じ種類の業者の方と比較してみますと、所得申告水準がきわめて低いのでございます。俗に民商に入れば税金が安くなるという宣伝がなされておることは御承知のとおりでございます。  そこで、税務調査を行ないます場合に、この調査に対する拒否いやがらせ妨害というものが非常に活発に行なわれておる。もちろんこれは地方によって、地区によって相当色合いは違います。色合いは違いますけれども、大体組織的、計画的に指導をされておって、そしてその運動はあるいは弱くなりあるいは強くなり、ある地区では強く、ある地区では弱いというニュアンスの違いはございますが、いずれもこういう調査妨害あるいは調査拒否いやがらせというものが行なわれておるのでございます。昭和三十八年中に調査妨害等で逮捕または捜索を受けましたものが八件ございます。そのうち五件はすでに起訴をされております。  全国商工新聞と申しますのは、この全商連、民商の発行しておる新聞でございまして、従来から反税的な内容記事を報道し、また反税思想を鼓吹しておる。こういう記事がたくさん載っておるのでございます。  そこで、国税庁といたしましては、従来調査をしても、税額にしてはこれは相当の税額にのぼるというようなこともないのに、あまりこういう団体をつついて、そこで非常な集団圧力で税務署側が迷惑をするというようなことについては、やや懐疑的であったかと思いますけれども、私はこういう団体がだんだん拡張され、勢力をふやしてきて、将来ほんとうに税の執行というものが困難になるというようなことになってはたいへんだというような考えから、昨年全国統一的に徹底した調査を行なって、これが相当効果をあげておると私は信じておるのでございます。  そこで、この団体から当方に対して、たとえば東京、大阪両国税局長あるいは二、三の税務署長に対して、五件の告訴、告発が行なわれており、税務当局に対しては相当露骨に反対の態度を示しておるのでございます。  そういう団体でございますので、今度の問題につきましても相当脚色をした記事が、一つは反税闘争の目的としてこの新聞に取り上げられたものと私は信じておるのでございます。
  7. 藤井勝志

    藤井委員 ただいま長官から御答弁がありましたが、私が予想しておったとおりこの新聞民商の機関紙である、こういった事実をはっきり確認いたさざるを得ないのであります。この民商というものは、これは一体どういう団体ですか。私は実はある方面から資料を手にしたところが、共産党のいわゆる筋金が入っておるということが歴然とした事実としてあがってきておる。昨年七月十五日の日本共産党の書記局発行の党報、これが都道府県組織へ持っていって、民商とのつながりを強調して、そして大いに反税闘争に大衆をかり立てるというふうな、こういうしかけになっておる。これは全く共産党の一つの反税闘争と実質は変わらない、こういうふうな認識を持つのですが、国税庁のほうで、非常に大切な税の執行にあたる立場において、こういうものの正体はよほどいろいろな面から検討されておると思いますけれども、長官どのようにお考えですか。
  8. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 私は、衆議院、参議院の大蔵委員会でたびたびこの民商の問題を取り上げられまして、御説明をいたしてきたのでございますけれども、ただいま藤井委員がおっしゃったように、この民商という団体は、反税闘争を目的に結成された団体とは思いませんけれども、しかしその仕事の重要な部分一つが、先ほども申し上げましたように反税闘争である。しかもこれは特定の政党によって指導され、支持されておるということを信じております。
  9. 藤井勝志

    藤井委員 そこで私は今度、たまたま先ほどのような私は御心境であったと思うが、平岡さんから発言がありました発端である二千万円の脱税のもみ消し、こういった事実ですね。これは一体長官どのような正体なんですか。事件のきっかけになった、宣伝のきっかけになっておるこの内容をひとつ御答弁を願いたいのです。
  10. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 この病院の所得内容を詳しくここで申し上げるということは、私の職責上穏当でございませんので、詳しいことは申し上げかねるのでありますけれども、ただいま御指摘になりました二千万円、また四月十六日に平岡委員がここでお述べになりました二千万円ということ、このことについてさっそく現地の鹿沼税務署に照会をしてみたのであります。その結果、二千万円という数字については税務署として全く覚えがない、どこからそういう数字が出たのか予想ができないということをはっきり申しております。
  11. 藤井勝志

    藤井委員 そこで私はこの場をかりて同僚国会議員の名誉のためにはっきりいたしておきたいことは、その議員が長官のほうに電話をかけていまの脱税のもみ消しに一役買った、こういったことがまことしやかに伝えられておるわけでございますが、私はその同僚議員とお会いをいたしました。まことに憤慨をして、全くそのような連絡電話をかけたということは覚えがないということをはっきり申しております。平岡さんはそれを前提に言われたので、後ほど私は平岡さんの御心境についてお尋ねをいたしますけれども、長官、そういった事実関係を一応はっきりさしていただきたい。
  12. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 前回の御質問の際も、この問題で赤澤さんと私が会ったろうというような御質問がございましたが、全然記憶がございませんでした。それでよく過去の記憶をたぐってみましたところ、昨年の十一月の下旬に赤澤さんから電話をいただいたことはございます。これは事実でございます。しかしその電話の内容は、ここで御質問の際に伺ったこととは全く違うのでございまして、二千万円の隠し預金を何とかしてほしいというような話ではもちろんございません。その内容は、この病院に対して税務署がきびしい調査をしておるようであるけれども、ここの院長が二年越し中気で寝ておる、そこでまくら元で調査をするというようなことがあると病気が悪くなるから、そういう点については十分注意をしてもらいたいという、むしろ抗議と申しますか、苦情と申しますか、それに近いような内容の電話であったのでございます。
  13. 藤井勝志

    藤井委員 ただいま長官答弁で私は本人から聞いたことと全く一致いたしております。本人も、そのような連絡をしたにすぎないのであって、とんでもないことを平岡さんは言うものだ、何でわしにうらみがあるのだ、こういうようなことでありました。これはひとつこれから私は平岡さんと——まあ、お気持ちは半面よく理解いたします。しかしいろいろ四月十六日に御発言になった議事録をちょっと読ましていただきましたけれども、非常に断定的に平岡さんがいろいろと質問をされております。時間の関係で一々は申し上げませんけれども、たとえば「鞠躬如として偉い人の御伝達に及んだ事実は、長官とどういう関係があるのですか。」−「事実」という言い方をされておる。そうするとこれは国会議員が国会の場で大いに議論し合う言論の自由は私はけっこうだと思う。ところがそういう事実という前提で御発言になるならば、やはり両者いろいろな角度から検討されて御発言あってしかるべきではないか。いろいろな方面に断定的なことばが出ております。たとえば、問題は脱税容疑者に恩を売って、そして顧問税理士飯塚君をおとしいれる策謀の道具に使ったという事実、こういうふうにはっきり平岡さんは断定されておる。だからこういったことを委員会でやったから、あのときは傍聴者も入っておりましたが、それがずっと全国商工新聞ですか、これに流布されて、これがとんでもない、おそらく平岡さんの気持とは反したような悪用をされておる、こういうようなふうになっているのではないかと私は憂慮いたすのであります。ここで私はこの問題についてなぜもっと事前に事実をよく確認されないのかと思う。私は特にこの委員会の今後議事の進め方という問題に関して御相談かたがた意見を申し述べたいのでありますけれども、こういうことをこの場で言ってしまうことがとんでもない種に悪用される。だからその点は、小委員長冒頭に述べられた当小委員会の運営なりあるいはこのあり方について、御審議をしていただく上において慎重に御配慮を願わなければならぬ、このように思うのであります。そういう点について、当局との質疑応答というこの小委員会審議のあり方に対してはちょっと異例の発言をするようで恐縮でございますけれども、私はお願いかたがた平岡さんにその御心境をちょっとお聞きいたしたい。
  14. 濱田幸雄

    濱田委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  15. 濱田幸雄

    濱田委員長 速記を始めて。
  16. 有馬輝武

    ○有馬小委員 議事進行について。先ほどの理事会におきまして、なおまたあとの御相談によりまして、本委員会の進め方について所信を表明したいという藤井委員発言がありましたので、小委員長においてそのようにお取り計らいいただいたわけでありますが、ただいま所信の表明を伺っておりますと、長官に対する質問なりあるいは同僚小委員に対する質問なりが出てまいりました。長官に対する質問については、所信表明についての前提条件という意味でいままで伺ってまいりましたけれども、それはいま小委員長が取り計らいをされたように、質疑にわたる内容なりあるいは同僚間のあれという点についてはこれは御考慮願って、所信の表明ということで一応意見を述べて、あとは通告の順に従いまして審査を進めていただくように小委員長のほうにおいてお取り計らいをいただきたいと思うのであります。
  17. 濱田幸雄

    濱田委員長 ただいま有馬小委員からの御発言はよく了承いたしました。なお藤井君のほうから何か御発言がありますか。
  18. 藤井勝志

    藤井委員 よく了承いたしました。私はそれではもう話を急ぎたいと思うのでありますが、私は数点にわたって当小委員会として小委員長においてしかるべく御善処かたがたお願いしたい、当小委員会の権威と名誉のためにひとつ運営のよろしきを得ていただきたい、かく私は考えますので、まず先ほど申し上げたように、やはり事実を確認をして、そしてこの審議を進めていただかないと、とんだ悪用をされて、角をためて牛を殺す結果になる、こういったことが第一点であります。  それからこのいわゆる飯塚事件の問題については、すでに関係者数名が起訴されておる、法のさばきを受ける、こういう関係になっている事案だけに、この取り扱いは、私はよほど慎重を期さなければならぬ、こういう点。それから特に冒頭にいろいろ申し述べたごとく、意に反してたいへん悪意の利用をされ、とんだ反税の空気に知らない一般の納税者を追い込むというおそれなしとしないような結果に相なっておる。この事実をわれわれ委員会としてすなおに検討をいたしますならば、私は平岡さんが言わんとするものとは別個に、この問題のあり方についてはひとつ委員長のほうでしかるべく善処方をお願いいたしたい。この波及した問題に対しては、今後これが反税闘争の道具に使われない方向に向かって審議をお進め願う。と同時に起こった事実に対してしかるべき方途を講じていただきたい、こう思います。  そこで、その具体的な方法については、また理事会なり、お互いで相談をして、この場で私の意見を率直に申し上げるということもいかがかと思いますから、差し控えますけれども、どうかひとつそのようにお運びを願うことを強く要望いたしたいと思うのであります。
  19. 濱田幸雄

    濱田委員長 いま藤井委員からの御発言はよく承りました。いずれその措置等につきましては、小委員の間でなおよく慎重に相談をして、取り進める必要があるなれば、そういう措置をとるようにいたしたいと思います。     —————————————
  20. 濱田幸雄

    濱田委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。平岡君。
  21. 平岡忠次郎

    平岡委員 連休明け国会にやってまいりますと、横山委員が来て、平岡君は時の人だ、こう言うわけです。私は何のことかわからぬので、どういうことですかと聞きましたら、メーデーで平岡君の議事録に関連してビラがものすごくまかれておったということです。そこで初めて先ほど藤井委員の言われた全国商工新聞の意図というものがわかりました。  ところが私は共産党とは縁のない男で、民商の機関紙が商工新聞であるのかどうかも知らない。したがって、これより数日先に、確かに私の秘書を通じまして、飯塚事件についての御感想をということを言ってきた。秘書もそのことを知りませんから、応諾したわけです。そこで五分ほど会いましたところ、感想を言うてくれというので、民商との関係も知りませんけれども、私の必要にして十分なる発言はしました。それはそのとおり載っております。しかも私はそのためにひけ目を感ずるようなことは一つも言っておりません。それからまたしばらくたちますと、野依秀市さんの帝都日日、これはどっちかと言うと右翼の新聞だそうであります。これにも大々的に出ている。この点は私の関知したことではございません。  どういう御感想かということを言われますと、特にこの民商商工新聞は江戸のかたきを長崎で討ってるんだなという感じであります。もう一つの私の感想は、本来眉目秀麗たるべき私の顔写真が、この新聞には荻生祖挾のように載っておる。えらい被害だ、そういう感じを持っています。私に感想を求められれば、その程度であります。  そこで私は前会の四月十六日の質問に引き続きまして、逐次本問題の論議をし、長官のお答えを得たい、かように考えます。  四月十六日の税制委員会長官の御答弁は、質問の要点をともすればはぐらかし、知っていることでも根掘り葉掘りやらないと、ほおかぶりをしようとするなど、誠意のないごまかし答弁に終始していることは、きわめて遺憾に存じます。そのおりにも有馬委員委員長から再三御注意があったところであります。質問に先だって長官に私はまず警告しておきたいことは、きょうは率直明快に包み隠しのない答弁をしていただきたい。前会の休憩時、貴殿が行なったごとき、自己の非をかばうために、与野党の対立をいち早く画策するなどの小細工を弄することのないように御注意願いたい。  大蔵委員会は伝統的に良識の府であります。そしてここに出席されておられる委員諸公は、与野党を問わず、国会審議を通じ国民に信託された議員としての責務を果さんとする見識と気骨と主張をお持ちの方々ばかりであります。防衛庁では右へならへの号令がきいたかもしれませんが、当委員会ではそうはいきません。かつて小千谷事件では社会労働委員会で、長官の与野党離間策が成功して、自社両党が相争うようなかっこうに持ち込まれ、長官は自己の非をかばいおおせて逃げ切りました。しかし柳の下にドジョウは二度はおらぬものであります。そうした悪あがき——この表現がいいかどうか知りませんが、悪あがきは断じてせぬように警告しておきます。  この際の議員の任務は、与野党を問わず、真相を究明されなければならないとする一点に尽きます。私どもの任務はそれ以上であってもならないし、それ以下であってもならないと考えております。  本論に入ります。長官飯塚事件調査に関し、税務官吏による権限の逸脱の事実はないと答弁されましたが、関信越局の安井直税部長や金子訟務官が飯塚事件の発端の時点で、飯塚氏の関与先会社国税局を相手どって提訴した税務訴訟を、飯塚氏をして取り下げろと強要した事実は、法治国家の根幹をゆさぶる大問題であります。昨年九月二十八日、十月十一日、十月二十八日の三回にわたって、訴訟取り下げ外四件がばりざんぼうのもとに飯塚氏に向かって強要された事実を、三月四日の横山利秋委員の質疑の際には、あなたは否定されたが、いまなお長官は依然としてこれを否定せられるのかどうか、明確に御答弁お願いします。
  22. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 ただいまの御質問を聞いておりますと、私が前会、四月十六日にここで何か事実を隠しておったというようなこと、あるいは与野党の対立を画策して、そして何か陰険なことをやったというような内容のことが述べられておりますが、これは私としてはまことに心外でございまして、事実を隠したことはございません。それは、たとえば脱税事件をもみ消してもらいたいというようなことでございますと、私は覚えております。しかしながら、先ほど申し上げましたように、単に病人があるから調査の行き過ぎがないようにというようなことは、一々覚えておるものではございません。私のところへは、国会の方々のみならず、民間の一般の名前も知らない方々からでも、毎日山のように陳情もございますし、あるいは苦情も中にはございます。そういうことでございますので、別に事実を隠さなければならぬことはございませんし、隠したことはございません。  また先ほど電話の際に申し上げましたけれども、私は、赤澤さんの名誉のためにも、そういう脱税を私にもみ消してくれというような、脱税のだの字もなかったということを、ここで明確にお答えをしておきます。  それから質問の本論に入りまして、関信越局の直税部長あるいは金子訟務官が、九月の二十八日、十月の十一日、十月の二十八日に、何か訴訟を取り下げろ、こういうようなことを強要したというお話でございますが、そういう事実はございません。
  23. 平岡忠次郎

    平岡委員 そのような事実が実際に行なわれたか、はたまた長官のいま言うがごとく行なわれた事実がなかったのかどうかは、次の証明書が雄弁に答えてくれますから、よくお聞きなさい。木村長官、余人ではない、人もあろうに国税庁法律顧問である田中勝次郎法学博士の一証明書であります。私は、私の質問の慎重を期するために過般田中博士に国会まで御足労をわずらわし、親しくその事実と本質とをお聞かせいただいたのであります。ついでにその要点を申しますと、博士は、この事件は第二の帝人事件、拷問的調査であるということをおっしゃいました。第二番目に、感情から出発している事件である、第三に、安井君が行き過ぎで悪い、こういう要旨でありました。したがって私はこの質問には絶対の確信を持っておるのであります。ちなみに、長官が去る三月四日の横山代議士の質問に対しまして、あまりにもぬけぬけと、安井、金子君たちの拷問的脅迫の事実を否定したので、田中博士はさすがに腹にすえかね、飯塚君の請いを入れたものと思われます。横山質問の四日後の三月八日に、田中博士の自宅で飯塚氏が受領したものがこの証明書であります。よく心を澄ましてお聞きください。これは田中君の証明書です。これはコピーですけれども読みますから……。    証 明 願   昭和三十九年三月八日    栃木県鹿沼市西鹿沼町一五八番地     計理士、税理士 飯塚  毅  弁護士法学博士   田中勝次郎先生   日本弁護士連合会の人権擁護委員会に、救護を求めるため必要につき、左記事実の真非について、御証明を願い上げます。     左 記  一、昭和三十八年九月二十八日、田中勝次郎先生に伴われ、飯塚毅は、午前十時、東京国税局の山木訟務官を、午前十一時、関東信越国税局の金子訟務官を訪れたこと。  二、その時、金子訟務官は、田中勝次郎先生の面前に於て、飯塚毅に対し、税務訴訟二つを取り下げること、別段賞与を三カ年遡って全部修正申告させること、得意先全部の旅費日当を三カ年遡って修正申告すること、飯塚職員の不正行為を自ら摘発して、その訂正計画表を提出すること、を要求し、そうすれば、上級者に頼んで、成るべく軽い処分で済ませるように取計らってやる旨を述べたこと。  三、昭和三十八年十月二十八日、午前十一時半、飯塚毅は東京駅地下レストランで、田中勝次郎先生に遇い、飯塚お願いして田中先生の同行を賜わり、同日午後〇時三十分から午後三時まで、関東信越国税局の安井直税部長と面談したこと。  四、そのとき、安井直税部長は、田中勝次郎先生の面前に於て、「まだ税務訴訟を取り下げていないの  かッ」と叱責し、別段賞与を修正申告する気があるのか無いのかと、激しく追及し、旅費日当については、総理大臣だって七百円だ。中小企業者の旅費日当は、千円以上は全部脱税として処分する、と告げ、飯塚職員の不正行為の存否につき、飯塚が七日七晩にわたって追及したが、まだ職員から告白が得られないので、不正行為を犯したとの確信が持てないでいる旨を述べ、飯塚が「職員の不正行為と称するものの内容を、お教え願えませんか」と尋ねたところ、安井直税部長は「あなたに、その内容など話す必要はない。職員の不正行為を認めないんだな。よし、もう、こんな者と話をする必要はない。特調班だッ。法人税課長ッ、特調班を入れて叩くんだッ。え」か、八十名だぞ。得意先に怪我人が出ても構わんッ」と激しく脅したこと。  五、同日午後三時半、飯塚は田中先生と共に、東京駅のステーションホテルで休息したとき、田中先年は、「飯塚君、私が、お役所相手だから、低姿勢で出なさい、と君に話して、飯塚君をつれて行ったばっかりに、とんだことになった。然し、安井部長が、まるで犯罪人でも追及するように、あんなに脅迫するのはけしからん。私も、法律家として、いざというときは、証人台に立って、証言してあげます」と仰しゃって下さったこと。  六、昭和三十八年十一月十二日正午から午後二時まで、飯塚は、田中先生と、赤坂プリンスホテルで会食したこと。  七、その時、田中先生は飯塚に対し「飯塚君、今回のことは暴風のようなものだ。何とかして、軽微な職員の過失を上申して、この暴風を避ける方法はないか」と話され、更に、「安井部長から、電話で連絡があり、月曜日から、特調班を入れる。回答期限は、今週の土曜だと、言って来てるんだ」と、お話し下さったこと。  八、昭和三十八年十一月十四日、午前九時、田中先生は、飯塚に対し、電話をかけて下さり、安井部長からの連絡として、前記の通告を再確認なされたこと。   以上八項目の事実は、田中先生だけが、御存知の事実であり、官側を除き、他の何人も御存知ない事実であります。拷問的弾圧は、既に一年二ヶ月に及び、動員された調査官は、既に、のべ三千名になんなんとしております。全国一万三千名の、税理士業務の擁護のため、そして、社会正義のため、苦衷を拝察申し上けますが、(平岡註)、これは国税庁の顧問でありますからお立場に苦しいことがありましょうが、という意味でありましょう。  苦衷を拝察申し上げますが、御証明を賜らんことを、伏してお願い申し上げます。  右は真実であることを証明します   昭和三十九年三月八日弁護士法学博士 田中勝次郎印  以上。この結末は法の公正な裁断が、ただいままで言うなれば偽証的答弁に終始した木村長官の上に、かつまた拷問的脅迫をあえてした当事者である安井関信越局直税部長、同じく金子訟務官の上に、近い将来において鉄槌となって下されるでしょうから、裁判所にまかせることにいたしまして、私の質問を先に進めたいと思います。
  24. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 ただいまお述べになりましたようなことを飯塚氏が言っておる事実は私も存じております。飯塚氏の発言一つの事実と食い違う例証を申し上げますと、先ほどお述べになりましたように九月二十八日に金子訟務官、直税部長が訴訟を取り下げろと強要しているということをおっしゃったのでありますけれども、この九月二十八日のことを見てみますというと、飯塚氏は関東信越国税局へ行く前に東京国税局に行っておるのであります。最初飯塚税理士と田中勝次郎氏とが東京国税局に行っておられる。そしてその際山木、千木良両訟務官に対し訴訟を取り下げたいということを申し出ております。そういうことがあった後に関東信越局に向かっておるのでありまして、そういうことからしても飯塚税理士が事前にそういうことを考えていた、関東信越局で訴訟を取り下げろという強要をされたというお話でありますが、そういうことを強要されたのかどうか、そういう事実がかりにあったとしても、その前にすでにもう訴訟を取り下げたいということを考えておったという例証になると私は思うのであります。したがって本人はそういう気持ちを持っておるのに、強要するということは、これは論理の矛盾であると思います。それから田中勝次郎さんはなるほど国税庁の顧問弁護士でもございますが、また飯塚さんとは師弟関係にございまして、私は直接お目にかかったことはございませんが、そういう書類が出ておるということで、部下に命じて田中さんに会っていただいた。それでいろいろ事情をお聞きしたのであります。その際おっしゃっておることは、飯塚君のためになるならと思って証明願いに署名をしたんだ、証明願いの内容は私は十分に知ってない、こういうことを言っておられるのであります。そういうことで私は総体として、飯塚氏が言ったことを一方的にこれを事実として取り上げられるということははなはだどうかと思います。
  25. 平岡忠次郎

    平岡委員 部下の東京国税局方々がどう言おうともそれは部下なんだから、第三者の証言が非常に権威があると私は思っております。あなたはいろいろおっしゃるけれども、私はこれ以上言わぬ、裁判がこれをさばいてくれるのだから、このことによけいにわれわれの労力を使うことはないと思う。  これから私の質問を先に進めます。質問一つはその後鹿沼市の御殿山病院の院長波木一男氏のレントゲン脱税をいかに処理したか。もっと正確に言うなら、やみに葬られていたレントゲンの仮装経理をいかに処理せんとするのか、お答えをいただきたい。
  26. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 私は先日もここで申し上げましたように、特定の個人の所得について税務署が職務上知り得た事実を公表するということは、これは所得税法規定並びに国家公務員法の守秘義務の規定からいたしまして、お断わり申し上げるほかにはございません。ただしかしながら、一般的な問題として申し上げますと、鹿沼税務署管内の飯塚会計事務所の関与先法人のうちすでに調査に着手したものは六十二件であり、そのうちほぼ調査が終わったものと思われるものは四十二件ございますけれども、これは御承知のように若干問題点を残しております。それはやはり同じような経理をしておられる方々に対して課税の不公平を来たすということは問題でございますので、相当出そろったところで処置をいたさなければなりません。何も特定納税者に対してだけ処置をおくらしておるということではございません。
  27. 有馬輝武

    ○有馬小委員 いまの点について私はこの際お伺いしたいと思うのでありますが、国政審査の上から必要な資料の提供について要求された場合に、いまのような形で国家公務員法なり何なりを利用してその責めをのがれた例を聞かないのでありますが、小委員長のほうにおいてこれに対する御見解をいただきたいと考えます。
  28. 濱田幸雄

    濱田委員長 有馬小委員の私に対するお尋ねでございますが、私不敏でこれまでの先例も十分承知していません。そういう面につきましてはよく調べてあとで私の見解を申し上げます。
  29. 平岡忠次郎

    平岡委員 お答えがありませんので私のほうから質問を進めます。その時点であなたの答弁があまり意味のないことがおわかりになると思うからです。  長官は四月十六日、私の質問に対する冒頭の陳述で質問検査権の行使を逸脱的に行使した事実はない、と断言されたにかかわらず、本来国税当局の権力行使に縁のない保険業法違反容疑を関信局直税部長がことさらにはやし立てた。そうして脱税宥恕をえさに波木病院長をして大蔵省銀行局に対し、飯塚追い落としの目的をもって無理に訴えさしたことは疑うべくもない歴然たる事実。それだけに私は同僚委員諸公とともにレントゲン脱税が法の定むるところによっていかに処断されたかに異常な関心を払うものであります。その後の調査と処理のてんまつの報告を特に要求するゆえんであります。しかしあなたはこれを拒否された。ところが当の波木院長は昨日午前十一時半平岡の所沢の自宅に来訪されました。四時までの間約五時間、つぶさにその事情を明らかにされたのであります。あなたはそういうことは何もおっしゃいませんけれども、本人はもうすでに私に詳細に言うておる。どうですか、あなたのほうから言われたらどうですか。この際はいままでの処理をおっしゃいよ。
  30. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 何を言えとおっしゃるのか私はさっぱりわかりませんが……。
  31. 平岡忠次郎

    平岡委員 レントゲンの処理のいきさつをお言いなさい。
  32. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 レントゲンの処理とおっしゃいますが、何かわれわれのほうで、波木病院に対してだけそういう税の調査の結果について処理をおくらせておるとかあるいは調査していないとか、そういうふうな何か痛くない腹をさぐられるようなおっしゃり方でございますけれども、先ほど言いましたようにこれはまだ相当数、先ほど件数は申し上げましたが、数十件未処理のものがあるわけでございまして、これは課税の公平上は同じような、税の脱漏をしておった場合には同じような扱いをしなければなりません。そういう意味で一ぺんに全部が処置ができるというわけのものではありません。そういう何か悪いことをしているだろうとか、何かこちらのほうでうしろ暗いことがあるのだろうというような目で見られるのは、はなはだ私は迷惑でございます。
  33. 平岡忠次郎

    平岡委員 長官、四月十六日の私の質疑応答議事録三ページ、二段目、ごらんくださいよ、あなたはこういうふうに答弁しているのです。「それから、国税庁で何か偽証させておるというような面の疑いがございましたならば、それはやはり具体的にこういう疑いがあるぞということをおっしゃっていただけば、私のほうで現地のほうとよく連絡をとりまして調査をして、この場でお答えをしたいと思います。突然でございますので、そういう具体的なこまかい問題については私のほうで報告を受けておりませんので、さっそくにはお答えをいたしかねます。」、しかし四月十六日からきょうまで一体何日たったのですか。あなたは調査していないはずはないのだ。あなたは身分、権限から言えない、その一点ばりで何もおっしゃらぬけれども、あなた自身の四月十六日の答弁とは違うじゃありませんか、答えなさいよ。
  34. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 私は、何か事件をでっち上げの偽証をさせておるのじゃないかという御質問がありましたので、そういう疑いがありますなら、具体的にどういう疑いですかおっしゃってください、それでその疑いの調査をしてお答えをする、こう答えておるのです。それだから私は別に特定の人の全調査内容に立ち入って、そういう人の所得がどうなっておるというようなことをここで申し上げるということを言っておるのではございません。もちろん私は現地を調べて事件内容は詳細に存じております。存じておりますけれども、しかしながら個人の所得をこの公開の席上で述べるということは、これは前例もないことでありますし、申し上げるわけにはいかないと思います。
  35. 平岡忠次郎

    平岡委員 これは波木のなら言ってもいいのだという腹はあるだろうと思うのです。しかしそこでくずれると、やはり森さんのことを言わなければならない、そういうことであなたは極力防線を帳っているのだろうと思うのです。あなたは答えなければ答えないでいいですが、こっちから言いましょう。
  36. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 私は四月十六日の答弁の中でこういうことを申し上げておるのであります。「発表できることとできないことがおのずからございます。したがってたとえ秘密会でございましょうとも、こういう個人の所得内容についてわれわれが職務上知り得た事項をお知らせするということは、これはわれわれの義務違反になりますので、お答えできません。」、こういうふうにその日に私は答えておるのであります。
  37. 平岡忠次郎

    平岡委員 少なくとも波木病院に対しましては、あなたのほうは、五十七万円の別段賞与に対してはすでに修正申告をさしておる。それでレントゲンの処理は修正申告をさしたか、更正をしたのかということを私は聞きたださんとしたのですが、あなたは拒否された。内容はこうなんです。私はこの前も何か具体的なことでないと答えられませんからということで、私の知り得た範囲において、レントゲンを裏金で買った、しかし資産として、それが見えれば、課税対象になりますから、彼らは考えて購入先のレントゲン屋と結託しまして、月々三万五千円ずつを払ってこれを経費に落とすという、そういう仮想経理をやったという疑いがある。厳然として疑いがあるから、あなたのほうで調べてくれということを言うた。だからそういう具体的なデータをあげて、あなたのほうに確認を求めているだけの話なんです。  ところできのう波木さんが来まして、あけすけに私におっしゃるには、平岡さんそれは事実なんだけれども、三万五千円ではないのだ、一万五千ずつ毎月払いまして、すでに三十二回払って四十八万円これで落としました。ところがそのレントゲンは古機械であって、実は単価が、購入費が三十万円、修理費二十三万円を足して五十三万円なんですよということをちゃんと言っておるのですよ。  それからもう一つ波木氏がおっしゃるには、このレントゲンの問題は、実は森病院のほうでとっつかまって、同じケースとして私のほうに波及した、森病院のほうは新しいレントゲンなんだから一回払いの単価はもっと高くなっているでしょう、こういう話なんだ。だから波木さんは、もう自分では観念して、いつでも更正決定を待っているような、そういう心境にあるわけなんです。だから波木病院をあなたのほうが弾圧調査をされて、いわゆる脱税的別段賞与の件と、それからレントゲンをほとんど同時につかみながら、一方の別段賞与飯塚職員の逮捕につなげるために取り上げて修正申告をさしたのである。他の方は飯塚征伐のねたにならないからこれを宥恕しているのである。波木病院の弱点をつかまえて飯塚包囲陣に一役買わせたものを私があえて強調するゆえんが実は厳然としてあるわけなんです。反論があるなら反論してください。
  38. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 この前の四月十六日の答弁でも申し上げましたように、波木病院については修正申告の出た分については処置済みである。それ以外のものについては現在調査中でございます。何かわれわれがレントゲンについての税金をまけてやるから何とかしろというような、そういうふうにおとりになってものごとをごらんになったのでは、これは全部が全部あやしいぞということになるのでございまして、先ほども申し上げましたように、まだ調査が終わらないものが二十数件あるわけでございまして、未処理のものが数十件あるわけでございます。したがってこれらのものはやはり相互の関連がございますので、逐次処置をしていくということになるわけでございまして、別にそのためにレントゲンの経費をどうこうする、見るとか見ないとか、そういうことをここで申し上げているわけではございません。また波木さんがきのうお話しになって、どういうことを申し上げられたかわかりませんが、波木さん自身自分所得について他の方に漏らされるということはこれは御自由でございましょう。しかし私がここで人の所得内容について公表するということは、これは穏やかでございません。法律上も問題がございます。したがってお断わりしておるのであります。別にうしろ暗いことがあってお断わりしているのではございません。
  39. 有馬輝武

    ○有馬小委員 先ほど小委員長にお尋ねをいたしたのでありますが、後刻小委員長から検討の上お答えするということでありましたけれども、審査の経緯を伺っておりますと、ことによりましてはいまのように長官答弁の中ではぐらかされまして、審査が十分に進まないきらいがありますので、この際、再度お願いを申し上げたいと思うのであります。  それは憲法の第六十二条に、御承知のように、議員の国政調査権が規定されております。「両議院は、各々国政に関する調査を行ひ、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。」と国の最高法規で明瞭に規定してございます。これに対しまして、先ほど国公法上というような長官の御答弁がありましたが、国公法の第百条第二項で「法令による証人、鑑定人等となり、職務上の秘密に属する事項を発表するには、所轄庁の長の許可を要する。」こういうぐあいになっておるのでありまして、木村長官は所轄の長でありまして、やはり憲法六十二条との関連でこの際答弁拒否する立場にはないし、みずからの判断においてこの記録を提出する義務が——みずから許可し得る立場にありますので、いまみたいな形でのがれる形はこの際避けさせていただきたい、このように考えるわけであります。
  40. 濱田幸雄

    濱田委員長 ただいま有馬小委員からの御発言、重ねて承りました。先ほど私、自分がまだ先例なんかについても十分に承知してない面もあるので、いずれあと調査をいたしてみやいということを申したのですが、先ほどそのあと委員部のほうの意見も耳にいたしました。まだ十分私自身として調査もできてない現在の立場でもふりますが、いま委員部から様子を聞いてみますと、憲法とか、あるいは国公法なんかによって、いろいろの規定もありましょうが、本委員会、あるいは国会として具体的に個人の所得内容について、政府当局から資料を出さすとか、あるいは説明を求めるということは、先例としてはいままで大体やってないというようなことをいま承ったのです。そういう意味合いで、この点はなお将来の問題として研究をしたいと思いますが、きょうのこの小委員会の段階では、先例というものを考えて審議を進めていきたいと思っていますから、私の考えを率直に申し上げて、今後審議を進めていきたいと思います。
  41. 有馬輝武

    ○有馬小委員 委員長のお運びもわかりますし、お考えもわかります。ただ、この点につきましては、この際明らかにしておきたいと存じますので、後刻法制局長官を呼びまして、現在までの運営と、この憲法六十二条並びに国公法の百条の関連について明らかにされる機会をつくっていただきたいと存じます。
  42. 濱田幸雄

    濱田委員長 了承いたしました。
  43. 平岡忠次郎

    平岡委員 長官の先ほどの冒頭陳述にもありましたが、森病院の裏預金二千万円というものは、これは知らないのだとおっしゃったと私は聞きました。知らないのか、いまだこれは未着手なのか、その点についてお答えをいただきたい。
  44. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 先ほども申し上げたとおり、税務署としては、全くこういう数字はどこから出たか予想がつかないということを言っております。
  45. 平岡忠次郎

    平岡委員 長官が知らないということは、鹿沼税務署の斎藤総務課長が、森病院の存在すら知っていないと言い、また鹿沼署では、二千万円の数字がどこから出たのかさっぱりわからないと言っているということを根拠としているにすぎません。長官答弁は、その事実の不存在を思わせぶるような、すりかえ答弁にしかすぎないのであります。その後の調査において、あなたの所管する下級機関のどの段階においても全然その事実がないということであるのかどうか、明瞭にお答えをいただきたい。税務署だけに限りませんよ。国税局もありますよ、下級機関ですから。
  46. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 国税局税務署が、個人の所得について一〇〇%これを知っておる、全部把握しておるということは、私は申し上げておりません。やはり調査にはおのずから限界がございますので、一〇〇%の場合もあれば、あるいは六〇%しか把握できない場合もございます。しかしながら、何か御質問を聞いておりますと、二千万円の隠し預金があるにもかかわらず、税務署でもってこれに目をつむったとか、あるいはこの前の御質問にもありましたように、赤澤さんから頼まれたためにこれを隠してやっているというような、そういう含みのように質問が受けとれるのでありますが、そういうことは全く事実無根であって、私はここでどう答えてよいか——そういうことがないということをここで申し上げているのでありまして、それ以上迫られても私は困ります。  それから、斎藤総務課長が深夜行っておわびをしたということになっております。あなたの御質問では。そんな事実はないのであります。これは、事実私は総務課長に、そういうことを言われたが、何か君、心当たりがないかということで調査さしたのでありますけれども、総務課長は、今市市でありますか、この税務署はこれは鹿沼でございます。まだ行ったことはない、どこにあるか知らない、そんなところへ行きようはずがない。これは総務課長が私にうそを言っているならたいへんな問題であり、総務課長自身の大責任であります。そういう立場において総務課長がそう答えているのでありますからして、これ以上何とも言わないものを、お前言ったと言えと言うわけにはまいりません。
  47. 平岡忠次郎

    平岡委員 当委員会におきまする四月十六日のあなたの証言は、部下がそう言っているということばをもとにして、そうした事実がないと断定しているだけのことである。部下がうそを言っているかもしれない。また、はなはだ失敬な言い分かもしれないが、部下とあなたの共謀による、しつらえたうそかもしれない。まぎれもない事実は、あなたが赤澤さんから電話を受け、調査はほどほどにしてくれ、と頼まれたこと、平岡の追及のおり、初めはその事実なしと言い切り、次の二の矢でこれを認めざるを得なかったという明朗でない答弁によけい疑惑の深まった事実。電話依頼の結果として、二千万円がパーになったという客観的事実は、いずれもおおうべくもないことなのであります。あなたのほうから証拠の提示のない限り、この黒い事実を白と認めるわけにはいかないのであります。  念のためにもう一度お伺いしますが、今日まであなたの所管する国税庁国税局税務署のいずれの機関においても、森病院の裏預金の二千万円の発見の事実がなく、いわんやもみ消しをした事実はないと長官は断言できるかどうか、お答えをいただきたい。
  48. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 私は、先ほど来申し上げましたように……。
  49. 平岡忠次郎

    平岡委員 率直に答えてください。イエスかノーか。
  50. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 もちろんノーであります。
  51. 藤井勝志

    藤井委員 いろいろ平岡さんの御発言を静かに聞いてわかるのですが、私は最初に、あまり具体的な点には触れないで抽象的にこの委員会の運営のしかたについて私の意見を申し述べたわけでありますが、平岡さんの御意見の前提は、やはり飯塚さんの側の資料だけで発言をされているという印象が強い。実はこの前あなたの言われた別段賞与とかいろいろな問題の陳述の速記録を見ると、あのいつか「飯塚事件の真相」というので例のパンフレットが出ておりますが、あのパンフレットをあなたはそのままを、あなたの言い分としてずっと引用されておる、ことばもそのままになっておる。これは、いわゆるそれを参考にしながらも、やはり国政審議にあたって、いろいろ意見を戦わす、このようなしかけでないと、私は、何かこの委員会の、ほんとうに税の執行に関して民主的に、能率的に、合理的にやるんだというこの趣旨からはずれるばかりでなく、私が一番おそれているのは、それよりもむしろ、こういった議論が、また変な方向に伝播し、いわゆる知らない一般大衆の反税闘争の材料にこれを意図して悪用される、こういうことを私は非常におそれるのです。だから、ひとつこの委員会審議のしかたですね、どうですかね、いろいろ聞いているときりがないし、一方的な意見なんですから、これはむしろ、すでに法の問題として提起されているのですから、その結論を待った上でやったらどうですか。
  52. 濱田幸雄

    濱田委員長 速記をとめて。   〔速記中止〕
  53. 濱田幸雄

    濱田委員長 速記を始めて。
  54. 平岡忠次郎

    平岡委員 藤井さん、私は、やせても枯れても、日本社会党の中央執行委員の一人です。それが、自主性もなしに、共産党の土台の上に踊るなんという、そういう印象を与えかねまじき御発言は慎んでいただきたい。「飯塚事件の真相」も、飯塚対策協議会も、横山君と私がつくったものなんです。それと私の陳述が合致するのはあたりまえじゃないですか。何をおっしゃるのです。そういうあなたの誤認に基づく御発言は慎んでいただきたい。そのことだけ申し上げておきます。
  55. 濱田幸雄

    濱田委員長 こういうようなやりとり、いわゆる討論会めいた会の運営というものは、私は避けるべきものだと思いますが、これは藤井君にしてもあるいはその他の委員にしましても、よくお考えをいただきたい。これは先ほど来何度も申し上げたとおりです。——春日君。
  56. 春日一幸

    春日委員 私、特に委員長から慫慂を得ましたので、この意味において、わが党の見解というようなものを申し述べて御参考に供したいと思うのでありまするが、実は、私は、ずっと傍聴いたしておりまして、また、先会の速記録を拝見をいたしたのでありまするが、ただいま平岡君が述べられておりまするこの事実関係、これは、平岡君も本委員会におけるベテラン委員といたしまして、今回、党の重責につかれたゆえんをもって、大蔵から他に一時転じておられますが、とにかく草分け来のベテランでございまして、この問題については、深く検討され、また、取り組んでおられるわけでございます。しかし、その冒頭のスタートが、純粋にこれは徴税行政執行面に関する問題としてこの質問を発せられたところが、はからずして、これが共産党系の民主商工会に悪用される形になりまして、ここに政治的責任も感じられながら、しかし問題は、けじめをつけなければならぬという職責の上に立たれて、論じられておると思うのでございます。けれども、私、これは一個の反省を堂々と申し述べたいと思うのでありますが、実は、われわれ国会議員はしばしば、国民大衆から陳情を受けるのでございます。わけて、われわれが大蔵にその席を置いております関係上、ともすれば、そのような徴税上の問題について国民から陳情を受け、その立場上、助言をいたしてまいっておることはしばしばでございます。それで、この問題は、平岡君が質問を発せられましたときにも、むろん、そのような状況お互いに判断し合いながら、こういう質問が出てきたのでありまするが、これは国税庁長官平岡君とのことばのやりとりの中から、あるいは、はからずして、問題がこういうぐあいに発展いたしてまいっておると思うのでございます。それで、私は、平岡君といたしまして、これで質問をやめるわけにもまいらぬでございましょうから、ここでいましばらく質問をしていただいて、しかも、最終的には、裁判所の訴訟事件に相なっておる問題でございますから、訴訟事件の扱いと国会の扱いというものは、やはりおのずから、訴訟結果の決着を待って国政で論ずるというのが一個の慣例であります。もっともそうでない場合もあるのでございますが、まあそういう関係で、平岡君としては、いろいろと悪用されておる面を遮断する必要があると思いまするし、また、真相も若干、秘密会にしろ何にしろ明らかにしておく必要があろうと思います。したがいまして、このままこれを平岡君の立場において、一応質疑を進められて、ある段階において、これはひとつ——これは税の小委員長にはまことに失礼ではございまするが、この問題はすでに徴税行政執行に関する小委員会の範疇を越えた一個のデベロプメントがあると思うのでございます。すなわち、大蔵行政全般にまたがってこれが印象的に取り扱われておりますので、願わくは、ひとつこれを大蔵の理事会に持ち込んでいただいて、しかも、その理事会が秘密会か何かを開いて、当然平岡君の御意見や、有馬、堀、武藤君たちのこれは党の立場を代表される御意見と各党の意見をまとめて、ひとつ国政が建設的に、しかも、われわれ委員会としてその職責が完ぺきを期し得るようにけじめをつけていただきたい、こういうふうに思うのでございます。したがいまして、平岡君も、まことに失礼でありますが、私は最も深い友人の一人でございますけれども、何となく国税庁との間で感情的に問題が扱われておる面は、ないのでありますが、勢い表現は、問題の性質上、そういう形になってまいっておりますので、ひとつ物理的に科学的に究明していただいて、そうして、藤井君のほうにおいても、ひとつこの問題のけじめは、大蔵の理事会の舞台に持って帰って、そこで責任的処理をする、こんなめどでひとつ話を進めていただくべきではないだろうか、こう考えておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
  57. 濱田幸雄

    濱田委員長 春日委員の御注意、御発言は、私としても承っておきます。いずれ大蔵委員会の理事会でこの問題をいかに処理するかという機会もあるかどうかということも今後の問題でもありますが、御趣旨の点は私としても全然同感でございます。何かこの問題を解決というか、けじめをつけるというような努力をお互いがいたさなければならぬと私も思っております。そういう意味合いでこれからの小委員会の議事をやってみたいと思うので、御協力を特にお願いします。
  58. 平林剛

    平林委員 私はただいまの質疑については、聞いておったこと、それから前会の会議録を読んで拝聴したわけでございますけれども、税の執行について偏向があるかないかという角度から大局的には議論が進められて、それを裏づけるためにこまかい問題についての質疑が行なわれておる、こう理解をしておるわけです。ただ、前会の会議録を読み、またきょうの答弁を聞いておりましても、国税庁長官のお答えが何か率直でない点がうかがわれるわけであります。そういうことでは、この小委員会のほんとうの意味が達せられないと思いますので、一つだけ、いま行なわれた応答の中で私が疑問に感じたことをお尋ねしてみたいと思うのであります。  それは、ほかのことは別ですが、二千万円の裏預金については知らないというお話なんですが、何か金額にこだわっておられるような感じがするのです。たとえばこれが二千万円でなければ、裏預金があったのかなかったのかという点について明確なことがわからないのです。金額は知らないというのは、二千万円というのは知らないと言うけれども、二千万円は知らないけれども、ほかの裏預金はあったのかなかったのかという点が御答弁の中ではわからないのです。私は、その点をあなたの答弁を聞くと、そういう、俗に悪いことばでいうと、官僚的な答弁、いままで利用された例がございますから、それはやはり私ら聞いている者としてはっきりさせてもらいたい。これが一つです。  それからもう一つは、現地の斉藤総務課長が森病院の存在すら知らない。ましてやそれに伺ったことももちろんないと申しておるということが前会の会議録にございます。その場合に、後に木村長官は、森病院というのでなくして実際の名前は英静会であると言われておるわけなんですね。そうすると、森病院は知らないけれども英静会のことは知っているというふうにもとれるわけです。そこいらは、会議録を読んでおりますと、何かそのことばだけをとらえて、それは知らないのだ、しかし英静会なら知っているかもしれないというふうに読み取れるわけです。そこで私は、読んでいてますますあなたのことばを、失礼だけれども、信用できないなという感じを持って聞いておるわけなんです。先入感があってはお互いにいけませんけれども、そういう意味では英静会という形ならば知っているのか、伺ったことがあるのかないのかという点も明らかにしてもらいたいと思う。この点もきわめて明瞭を欠いておるわけであります。  それからもう一つは、先ほど個人の所得の問題については私は答える義務がないし、そういうことはできないことになっていると、こうおっしゃっているけれども、その逆に、税理士会のほうのやつはばかにこまかくいろんな問題を例をあげてお話しになっているわけです。たとえば一年三カ月の女子従業員がどうのこうのとか、きわめてこまかいことを例をあげて、これも業務上知り得た情報なんでありましょうかれども、その面についてはきわめてこまかくお答えになり、また積極的に御発言になるのにかかわらず、こっちのほうは個人の所得だということで逃げられるという点にも、あなたの態度に首尾一貫を欠いておる点がございまして、私のほうで聞いておって聞き苦しいのですよ。非常に偏向があるのではないかという印象を受ける。こういう点は平岡議員の質問についても、単に個人の所得を聞いておるのではなくて、税の執行について偏向があるかないかという角度からそれを証拠づけるために聞かれておるのでございますから、私はその点は率直に述べられたほうが、あなたの答弁に対してわれわれの心証というか、それの信憑性があるかないかという判断にも相なるわけです。そういう点についても私はもっと率直にお答えになっていただきたい、こう思うのです。いずれにしても、最初の二点について私の疑問を解いていただきたい。
  59. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 私は、自分のほんとうの気持ちでは率直に述べておるつもりでございますが、なかなか説明要領が悪いので、多少そういう意味誤解を与えた面があるかもしれません。  それで、さっそくいまの御質問にお答えしたいと思いますが、二千万円の裏預金があるかないか。私は何もこれを厳密な意味で二千万円きちっと、そういうことを言っておりません。したがって、それでは千九百万円、千八百万円だったらあるのか。大体そういう二千万円きちっとというのは——きちっとあるというのはおかしいのでございまして、おそらく平岡委員の御質問もそういう厳格な意味の二千万円ではなかろうと思います。しかし二千万円という膨大な——膨大なというとあれなんですけれども、これの内外、これに近い数字、あるいは大体この程度なら二千万円ぐらいと言われてもやむを得ぬなというようなそういう数字、そういう概数で大体二千万円、こういう気持ちで申し上げたのでございます。  それから第二の、斎藤総務課長が森病院の所在すら知らない、まして行ったことはない、こう申し上げて、その際に英静会という名前が出ております。これはもちろん同一でございまして、したがって森病院であろうと英静会であろうと実体は同じでございます。その実体を知らない。実体を知らないから行けない、こういうことでございます。  それから第三番目の税理士の別段賞与の点で、私、たとえば一年三カ月の男子従業員女子従業員がどうだということを申し上げた。なぜこの場合だけ隠すような感じを受けるのか、こういうことでございますが、これは現にここで問題になっているのが、あるいは森病院、あるいは波木さん、そういう具体的な名前が出ておりますので、そこで、そういう特定の個人の名前が出た場合にそういう方の所得内容についてはお答えできませんと申し上げておるので、名前が出ない例として、AなりBなりCなり、こういうかっこうでならば私は答えておるのでございます。
  60. 平林剛

    平林委員 いま二千万円の件について、答弁技術というか、さらに私疑問の点で突っ込んで申し上げますけれども、膨大な二千万円に近いということでなく、その半額であるとかあるいはもっと少ない金額であればどうなのかという点が一つと、それからもう一つ、裏預金、裏預金、こう言っているから、裏預金にあれされておるといけませんから、その点も聞いておきます。裏預金でなく、たとえば課税漏れがあったとかというようなことだとか、あるいはまた、そういう明確な固有名詞では言えないけれども何かあるというようなことはないかあるか、そういう点についても聞いておきたい。私、しばしば議会における質疑応答を聞いておりますと、そういう固有名詞、言われたことばだけをはぐらかしていくのが優秀なる官僚の答弁技術ということになっておりますから、さらに掘り下げてそれはどうかということを聞いておきたいと思います。
  61. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 もちろんある程度のこういう脱漏があるということで、しかもそれが一税理士事務所の指導でもって共通的にそういう脱税があるということで調べておるのでございますから、ないとは申し上げません。ないとは申し上げませんが、それでは二千万円か、一千万円か、五百万円かというようなことは、これはわれわれが個人の所得調査する際に知り得た事実でございます。秘密でございますからこれを申し上げるわけにはいかない、こういうことを申しておるのでございます。
  62. 平岡忠次郎

    平岡委員 忘れるといけませんから……。先ほど別段賞与水増し給与その他の点につきまして、冒頭にもあなたの引例がありましたが、あなたのことばのうちに、別段賞与について、会社につとめて一年三カ月になる女子従業員月給が二万円であるのに、これに対して別段賞与として六十万円、三十カ月分の賞与支給している。もう一つ同じく若い社員が二百万円くらいもらったということを陳弁されましたけれども、もう少し正確に言わぬといかぬです。この女子従業員男子従業員——岩村興業株式会社の斎藤という女の子、それからもう一人の従業員です。私は一月ごろ鳩山さんに会ったときに、この点であなたのほうに誤解があってはいかぬと思うので、岩村興業の社長自身がこの問題について証言しました文書を飯塚君が持っておったのだけれども、国税局のほうに送るようにということを言ったのですから、あなたはその真相を知っているはずです。右の証言の必要個所を抽出して、私が鳩山さんに話をしてから、あとでこういうものは、国税庁の善意を信じて、送ったほうがいいということで送らしたわけです、写しのほうはありまするけれども。あなたのおっしゃるのは岩村興業の斎藤という女の子に間違いないと思います。斎藤君は岩村興業の姉妹会社であるところの岩村産業に、その前に十三年勤続しておった。それでしかも経理部長でした。斎藤さんは、岩村興業が設立されてからは、岩村産業と岩村興業と両方の会社経理、金融及び財務の責任者として勤務してきたのであります。岩村興業が、これはプレハブの建築会社で、異常な利益をあげたので、最高の功労者の一人として斎藤さんに六十万円の別段賞与を出したのであります。それはすでに昨年の十月岩村社長から関東信越国税局長あての上申書で真相が開陳されておるはずであります。だから、いまさら不正指導の典型のごとく歪曲することはいかぬことと思っております。  それから、つとめに出てから一年三カ月の男子従業員で、月給が三万九千円の者に対して、実に二百万円、五十ヵ月をこえる——こういう表現であったかどうか知らぬけれども、二百万円を支給した。それで会社側としては相手方に支払う意思もなく、また相手方もこれを受け取る意思もない。そういう例は脱税とみなさざるを得ないとあなたはおっしゃっておる。これもあなたは事実を曲げている。この男子従業員は、岩村興業の東京営業所長の原田禧八郎君のことであります。原田君は岩村産業と岩村興業と両姉妹会社東京営業所長であります。昭和三十七年度の三千万円に及ぶところの異常利益は、プレハブでもうけた利益。原田君の数億円に及ぶ一人でやった、受注活動の結果なのです。それで原田君は岩村興業の異常利益の第一の功労者であったのであります。したがって、社長としては論功行賞の意味合いから、飯塚とも相談をせずに、自分でかってにこの金額をきめたのです。そのいきさつは、さっき言ったように私から送らしたのですから、社長の証言文書として国税局のほうに届いているはずであります。  ついでですが、会社は当然、昭和三十七年度末におきまして別段賞与の源泉課税を全額支払っておりまして、引き続き従業員からは貸し付け承諾書を受け取っておることも事実であります。そればかりでなしに、一年後の昭和三十八年九月三十日付で源泉税差し引き後の借り入れ金に対する利息を五十万一千六百八十五円正式に会社は計上しております。そういうことですから、あなたが何かあなたのほうの都合のいいことだけを抽出しておっしゃることは当を得ないと思っております。この点を忘れるといかぬからここで一応申し上げておきましょう。  さて、森病院の二千万円の問題につきましては、当然私の予想どおり、あなたはこれを存じない、こんな事実はなかったと主張しております。私の予想した回答であります。しかるべき方からの電話依頼の事実を前回一応は肯定したものの、その次の瞬間に、及ぶべき影響の重大さに気づかれましたのですか、答弁後の休憩中にあなたは相当な行動を起こされたと私は考えております。そういうことですから、あなたのほうが、そう簡単にこれは事実ですとはおっしゃらないと思ってまいりました。  実は先ほども申し上げましたけれども、鹿沼市から御殿山病院の波木病院長が遠路わざわざ所沢市の私の自宅まで見えられて、五時間にわたって詳細に報告されて帰ったのであります。その結果、私の四月十六日の森病院に関する二千万円事件に私はさらに一そうの確信を得た次第であります。国税庁内部にも正義の士はおります。国税局にもおります。いわんや、いじめ抜かれて心ならずも飯塚氏との顧問契約を解除した人々の中には、水ぎわに連れてはいかれたが、水は断じて飲まないという気骨の士のいることは当然のことであります。私は、波木氏もそうした被害者の一人と思うが、数多い証言の申し出の中から、ここに木村さんのおっしゃることを完全に否定し得るような、また一連のこの事件の関連者の、国税当局側の指導者の首を召し取るためと言ったら語弊があるでしょうが、首を召し取るための必要にして十分な第三者の証言を取り上げたいと思います。  ここで、陪審員ならざる同僚諸君、ここまでくると、私の意に反して、証明書原文の中から特定の人の名をはずして読むわけには参りません。この証明書をすらうそだと言い出しかねないことをおそれるからであります。平岡はもともと国税庁当局の目に余る税務行政の暴虐性を改めさせて、明るい民主的税務行政の確立を目ざすことを目的として、この問題を取り上げたのであります。しかるに、今日までのあなたの論述の示すとおり、長官はサギをカラスと言いくるめ、知らぬ存ぜぬ、とんでもないうそだとの答弁一点ばりであります。心ならずも私の意に反しましてここに証明書を持ち出す以外にないではないか。この責任はあげて長官答弁態度にあるのです。ただし、後日裁判所においては別として必要のない個所は中略として読み上げることにいたします。  それでは朗読さしていただきます。——これは飯塚君からの材料ではないのです。私のところにみな頼みもしないのに来るのです、速記がみな出ましたから。それだけあなた方の暴風のごとき徴税行政がどういうように怒りを買っておるかという証拠にもなるわけです。私から頼んだわけではありません。しかし、先ほど言ったように、波木さんもわざわざ私のところに尋ねてこられた。この方もそうなんです。  それでは読み上げます。    証 明 書    栃木県日光市上鉢石一、〇三九       有限会社奈良屋        代表取締役中路國雄   昭和三十八年十二月一日后後二時三十分頃、栃木県今市市の山七油店の事務所に、森病院の副院長森昇二氏、御殿山病院長波木一男氏、小西ホテル社長小西喜雄氏、伊藤材木店社長伊藤節氏並びに私の計五名が集合し、今回の弾圧的調査の対策等に付色々と懇談し、后前中三共物産の社長矢野登氏(十一字省略)から電話連絡を受けて居たので、此の山七油店の事務所で某氏を待ちました。   后後三時頃某氏が自動車で到着したので私達五人は某氏に対し今回の調査が残酷で而も長期に渡って居るので病人になる者も有り之れでは年末をひかえて中小企業者が安心して生活が出来ないから何とか某氏の御力で、もっと穏やかな調査にしてもらいたいと御願した。(以下百七十五字省略)   后後五時頃飯塚税理士が到着したので私達は直ちに今市市内の料亭喜八に行き腹ごしらえ致しました。喜八では二階の広間に森病院の副院長と飯塚税理士とがテーブルをはさんで向かい合って居り、森副院長に向かって右側が伊藤社長、向かって左側が波木院長、其の左側が小西ホテル社長が座り、私は飯塚税理士の左わきに座りました。   丁度后後五時三十分頃でした。座敷に座ると同時ぐらいに森病院の副院長が「今回の調査で、うちでは二千万円ばかりの隠し預金が見つかってしまった。東京の銀行から出ちゃったんだ。国税局の調べでわかったんだ。もちろんそれが飯塚さんの責任というのじゃありませんよ。うちでかってにやったのだから……。しかし正直言ってだね、われわれは飯塚さんなんかどうなったってかまわないんですよ。私はうちの事でもう頭が一ぱいなんだ」と言いました。其の日現在では伊藤、波木、小西と私の四名はまだ調査されて居なかったので調査の被害を訴えたのは森副院長だけでした。森副院長は「ゆうべはどうしても寝れないので、きらいな酒を飲んで寝た」と洩らして居ました。」其の後種々雑談を交えた後、七時頃今市市を三台の自動車に分乗して川治温泉に向かい、川治温泉ホテルに八時半頃到着致しました。私達は部屋を取りました。(以下二百二十九字省略)森病院問題等ここに来た用むきもすんだので、十時頃辞し、私どもはそろって帰宅致しました。私が日光の自宅に戻ったのは十一時一寸過ぎでした。   其の後十二月十日に到り、后前八時頃、鹿沼市の御殿山病院長波木氏が自家用車で私を迎えに来ました。実はその日、同病院に前日、受けた関信局の指導にもとづき、私ども飯塚税理士の得意先二十数社の代表者が集って飯塚税理士との解約の内容証明発送の為の署名捺印を致す事になって居たわけであります。私は終日之の仕事を手伝って居りました所、后後六時三十分頃森病院副院長の森昇二氏が今市市から署名の為にやって来ました。やがて仕事もすみ、夕食をすませたので、后後八時頃、私は森さんの自動車で一緒に帰りました。その途中の事であります。森さんが言うのには、「この間はびっくりした。夜十一時頃来訪者が有り、急患だと思ってあけたら、鹿沼税務署の斉藤総務課長だった。こんな遅くまた家宅捜索かと思ったら、何と国税庁の方から偉い人の電話が有ったので、夜分申し訳有りませんが御詫びに参りましたと云うわけで、あの問題はきまりがつき、やっと安心したよ」との事でした。   以上の事実は天地神明に誓って絶対に間違い有りません。私は必要と有ればどこへでも出て証人となります。   右証明致します。   昭和三十九年五月八日   右中路國雄印  ただいまの証明書提出者の中路國雄氏は、四月十六日の私の質疑応答議事録第三ページ四段目にある五名の会談者の一人であります。またこの証明書の中で、特に御留意願いたいのは、一、 鹿沼署の斉藤総務課長が、今市の森病院宅などは知らないとその存在を否定したことは、明らかに不実の証言であり、何者かにしいられた偽証であること。二、二千万円の裏預金が見つかったのは、東京の銀行から出たということと、それが国税局の調べでわかったという事実関係であります。  さらに、ついでですから、この際申し上げます。四月十六日の速記録三ページ下段に述べてある事実、すなわち飯塚氏が二月二十三日の夜、波木院長を訪問した際に、波木氏から聞いたという森病院のチョンの事実の記録は、昨日平岡の所沢宅にて波木氏自身がそのままこれが事実だとこれを確認しました。結局二千万円については、十二月一日の今市市料亭の会合のおり、十二月十日の中路國雄氏が森病院副院長森昇二氏から直接聞いたおりと、さらに二月二十三日波木氏を通じて飯塚氏が聞いた事実、さらにこれに加えるならば、飯塚自身が四月三日午後二時東京事務所の居室において森病院の今度は、長男の森亮一氏からの電話で、例の裏預金の件は何もなかったことにきまりましたからと連絡を受けた事実、この四つの一連の符節の合う証言からして、天下におおうべくもない事実であることが明白であります。  長官は、もとよりこの二千万円の事実を知っていたと私は思いますが、鹿沼署が何も知らぬ、斉藤は家も知らぬと言ったと答えることによって私をはじめ委員諸君の錯覚を誘い、結果として、このことがあたかも事実無根であるかのごとき答弁の綱渡りをたくらんだものでありまして、長官の心事はその意味では陋劣だと私は思います。睡棄すべきであります。国権の最高機関たる国会を侮辱するものと断ぜざるを得ません。貴殿のような心がけの者が国政の最高の座にあることが一日長ければ、それだけ国民の被害は大きく、徴税の公正と正義を毒するものであります。  なお容赦ならぬことは、官吏の守秘義務に藉口して、調査及び処理の内容を国会において、しかも必要とするならば秘密会でもよいという提案に対してすら、報告できないと強弁されていることであります。歴代の長官にこの傲慢ぶりはかって見られなかったところであります。先ほど平林君からも御指摘のとおり、同じ官吏である安井直税部長や金子訟務官などが昨年八月十六日、同二十日、十一月二十日、同二十五日、十二月十二日と前後五回にわたり「税のしるべ」、「納税通信」、朝日新聞、産経新聞、下野新聞、栃木新聞等々に、大々的に予断をもって飯塚君を脱税指導者なりと断定して公表したことと、あなたの呼号する官吏の守秘義務とは明確に矛盾するではありませんか。浅薄にしてすぐしりの割れる御都合主義の一語に尽きます。もしあなたが官吏の守秘義務をしかく強調されるのであるならば、明らかに官吏の身分、権限を大逸脱した安井、金子両名をそのままにしておくことは許されるべくもないことであります。直ちに処断したらよろしいでしょう。しかして、監督不行き届きのゆえをもって、貴殿みずからもいさぎよく長官の座を去るべきであります。  貴殿の所懐を、われわれの納得のできるようにお聞かせを願います。
  63. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 私は何もこの職務に好きでついたわけでもございませんし、この職務に恋々としておるわけでもございません。これは職務上やっていることで、私の心境を言えと言われたから述べておるのであります。   〔発言する者あり〕
  64. 濱田幸雄

    濱田委員長 御静粛に願います。
  65. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 しかしながら、私はこういうでっち上げの事実に基づいて責任をとれということは、はなはだ迷惑であり、また私の部下の安井君あるいは金子君についても、十分私は面談をして話を聞いております。しかしながら、これは私の調査したところでは、あなたがおっしゃったような事実はございません。たとえばいまの二千万円にしても、何か東京の銀行から税務局が調べ出したというようなことをおっしゃったが、これは事実じゃないのですから、したがって森病院の副院長がそういうことを言ったか言わないか、私はその場におらないから知りませんが、これは事実でないのだから言うはずがないと思います。  それからもう一つ、斉藤総務課長があやまりに行ったとかということですが、これも斉藤総務課長が私にうそを言って、それを私が受け継いで国会で答弁をして、うそだったことがばれれば、これは私の責任のみならず、斉藤総務課長は首であります。そういう重大なことについて、私に間違った報告をしておるとは私は思いません。念を押してあります。したがって、この斉藤総務課長が夜あやまりに行ったというようなことは、全く事実無根のことでございます。
  66. 濱田幸雄

    濱田委員長 この際、暫時休憩いたします。    午後一時十五分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕