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田中国務大臣 私も派遣をせられまして
現地を見てまいったわけでございます。今度の
地震は
新潟地区、
山形地区、
福島地区、
秋田地区というふうに分かれておるわけでございますが、やはり
震源地に近い
新潟が一番大きな
被害のようであります。
特色といたしましては
公共災害が非常に大きい、かように
考えられるわけであります。御
承知のとおりこの種のものに対しましては
人命の損傷も過去においてはたいへん大きかったわけでありますが、ちょうど時間的に一時ということでありまして、昼めしどきを過ぎておったために、
ガス等民家においては大体消してあったということで、
民家の
火災による
被害及び
人命被害というものは非常に少なく済んだということは幸いであったと存じておるわけであります。ただ
特色は
公共災害、特に
港湾施設、
鉄道、
道路、橋梁、学校の
施設、それから各官庁、官衙の建物、
施設の
被害、こういうものが非常に大きかった。特に将来の問題としてもたいへん検討しなければならない問題は、
地震被害による
地下埋設物の
被害、
電話のケーブルの問題、
し尿処理施設の停止の問題、それから
水道、
ガスの問題、こういうものは壊滅的であって、
水道とか
ガス本管などは新たに入れなければどうにもならないだろうというような
状態でございます。でありますからい現在公式に判明をしております
公共災害を相当上回る大幅なものであろうと推定をされるわけであります。
例を申し上げますと、全く何でもない水が引いたただ陥没しただけという
道路を
トラックが通ると、
舗装しておりますから
舗装の面はそのままで損傷しておりませんが、
舗装の下が大きく穴があいているために
トラックもろとも落ちる、こういう危険があるわけであります。したがって
地下の
埋設物というものに対して相当大きな
被害があったということでありまして、将来の
都市構造の面から見て、かかるものをどう措置するかという問題を根本的に解決せられるべきだと
考えます。
政府も
災害対策本部をつくりまして適切な
施策を行なっております。
まず
財政的に見ますと、
応急修理の問題に対して約六千人の自衛隊に非常に
努力をしていただいておりますために、
応急工事がきのう
あたりから徐々に行なわれつつあります。先ほど申し上げましたように、
公共災害が大きいということで、
地方公共団体の金繰りの問題がありますので、いずれにしましても金がないために、また予算上の問題で
復旧がおくれるようなことのないように
短期融資の道を開いてありますし、また
民間の
施設復旧等につきましても、
日銀支店を中心にしまして地元の
銀行にも現在のところ
資金の余裕は十分ございます。それからなお
簡易保険とか各
保険の
支払いというようなものにつきましても、簡便、迅速にこれを支払うように、また
定期預金等の
払い出し等につきましても、印鑑及び
通帳等を紛失いたしましたものについても、人による
確認ができれば簡便にこれを払うような
状態をつくってまいりました。きのうの
状態ではまだ金が要るというようなことよりも、金が要る前の
状態でございます。三万人以上も
高台に避難しておりますが、このし尿問題をどうするか、乾パンではどうにもならない、めしをどうするか、一番困るのは水であります。ですから
救援物資が着いておっても、なかなかこれを
高台の避難しておるところまで送るのがむずかしい、こういうところでございまして、きのうの午後
あたりからようやく橋は落ちないけれども橋詰が陥没しておるようなものを何とか復申しよう、こういうような
状態であります。まだ
地方公共団体が積極的に
復旧工事をやるという
段階までには至っておらないわけでございます。しかし私も参りまして
災害査定が済み、計画ができなければ
工事をしないというようなことではなく、
立ち上がり生産というようなことも十分できるのでありますから、そういう
意味で必要な
工事に対してはどんどん執行するようにということを
現地にも申してまいりましたので、まあおそくてもきょう
あたりから本格的な
復旧工事ができるというふうに
考えておるわけであります。
資金的には問題はありませんし、また税制上の問題につきましても、二日ないし三日ぐらいは
本部で、
国税庁できめましたけれども、それが
現地に届いておらないということで、
現地の
署長等にも会ってまいりました。
国税庁ではこういうふうな決定をしているんだから、できるだけ便宜を計らうようにということを私
自身も申してまいりましたし、きのうは
国税庁から二、三名
現地に参りました。そういう
状態でありますので、私は
復旧作業というものは相当なピッチでもって進むだろう。まあしかしいままでの
災害と違いまして、そういう
地下埋設物や相当特殊な問題がありますので、こういう問題を解決するには相当なやはり時間がかかるだろう。
一番最後に簡単に一言申し上げますと、飛行場から見ておりますと大体町の三分の一が水につかっておる、そして
昭和石油等がどんどん燃えておる、ほかの部分は比較的に安定しておるんじゃないか、こう見られるのですが、一ぺんおりてしまうと全く違う
状態なんです。新しいビルがそのまま二メートルも陥没をしておるということで、非常にむずかしい技術的な問題がございます。ですから、まあ
人命被害というのが少なかったのは、そのまま沈んでしまう、こういう
状態でありますので、非常に技術的にむずかしい問題があろうと思いますが、当面する
救護対策というものに対しては万全な体制がとれておるというふうに
考えておるわけであります。