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1964-06-19 第46回国会 衆議院 大蔵委員会 第55号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月十九日(金曜日)    午前十時五十八分開議  出席委員    委員長 山中  貞則君    理事 金子 一平君 理事 原田  憲君    理事 藤井 勝志君 理事 吉田 重延君    理事 有馬 輝武君 理事 堀  昌雄君    理事 武藤 山治君       天野 公義君    岩動 道行君      稻村左近四郎君    大泉 寛三君       大久保武雄君    奥野 誠亮君       押谷 富三君    木村 剛輔君       木村武千代君    小山 省二君       島村 一郎君    砂田 重民君       田澤 吉郎君    谷川 和穗君       濱田 幸雄君    福田 繁芳君       藤尾 正行君    森下 元晴君       渡辺美智雄君    佐藤觀次郎君       春日 一幸君    竹本 孫一君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 田中 角榮君  出席政府委員         大蔵政務次官  纐纈 彌三君         大蔵事務官         (主計局次長) 澄田  智君         大蔵事務官         (銀行局長)  高橋 俊英君  委員外出席者         大蔵事務官         (大臣官房財務         調査官)    中嶋 晴雄君         大蔵事務官         (証券局長)  松井 直行君         大蔵事務官         (銀行局保険第         二課長)    安川 七郎君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 六月十九日  委員宇都宮徳馬君、島村一郎君及び藤枝泉介君  辞任につき、その補欠として森下元晴君、稻村  左近四郎君及び藤尾正行君が議長指名委員  に選任された。 同日  委員稻村左四郎君、藤尾正行君及び森下元晴  君辞任につき、その補欠として島村一郎君、藤  枝泉介君及び宇都宮徳馬君が議長指名委員  に選任された。     ————————————— 六月十八日  公衆浴場業に対する所得税法人税及び相続税  減免に関する請願奥野誠亮紹介)(第四三  〇八号)  同(坪川信三紹介)(第四三〇九号)  同(服部安司紹介)(第四三一〇号)  同(前田正男紹介)(第四三一一号)  同(八木一男紹介)(第四三三四号)  入場税撤廃並びに労音、労演に対する不当課税  の取消し等に関する請願河野正紹介)(第  四三二五号)  税理士法の一部を改正する法律案の一部修正に  関する請願野原覺紹介)(第四三九八号)  税務職員待遇改善に関する請願堀昌雄君紹  介)(第四五五三号)  同外一件(有馬輝武紹介)(第四五五四号)  同(横山利秋紹介)(第四五五五号)  税務職員配置転換制度改善に関する請願外  一件(武藤山治紹介)(第四五五六号)  税務職員不当配転反対に関する請願平林剛  君紹介)(第四五五七号)  公務員共済組合制度改善等に関する請願(平  林剛紹介)(第四五五八号)  国家公務員共済組合法の改正に関する請願(湯  山勇紹介)(第四五五九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  保険業法の一部を改正する法律案内閣提出第  一一三号)(参議院送付)  小委員長からの報告聴取      ————◇—————
  2. 山中貞則

    山中委員長 これより会議を開きます。  開会に先立ち、委員長より日本社会党委員諸君に御出席を求めたのでありますが、いまだに御出席がありませんので、まことに遺憾でありますが、審議を放棄されたものとして、議事を進めます。  保険業法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。田澤吉郎君。
  3. 田澤吉郎

    田澤委員 去る十六日午後一時突如として起こった新潟地震に関連いたしまして、昭和石油の大火災保険業法との関係をお尋ね申し上げたいと思うのでありますが、その前に災害状況をいささか申し上げますと、あの地震新潟県の村上市沖付近震源地としたものでありまして、新潟県、秋田県、山形県、いわゆる東日本全体に及んだ大きな地震でございました。十八日現在でその被害状況は死者、行くえ不明が三十六名でございます。負傷者が三百七十六名、罹災世帯数が一万九千七百余戸となっているわけでありまして、また物的な被害につきましては家屋の全壊は約一千、半壊したものが七千四百七十棟に及んでいるわけでございます。  そこで、この災害に対して大蔵省が一体どういうような対策考えているかをちょっとお尋ねしたいのでありますが、この大きな災害に対しては国はあらゆる施策を講ずべきであると私は思うのであります。特にいやしくも資金の面でこれに制約を加えるようなことがあっては絶対ならない。よって当面の諸般の災害救助活動鉄道及び電信、電話その他の土木関係応急復旧工事を早急に進めていかなければならないと思います。  さらにまた、これがそういうふうに進めてまいるために、財政上あるいは金融のためにこれを阻害するようなことがあっては私は絶対ならないと思うのでありますが、こういう点について政務次官はどういう考えを持っているか、また生活の立て直しのために相当の資金を要すると思うのでありますが、税務行政の面からどういうような配慮を施そうとしているか、最初に政務次官からこの点をお伺いいたしたいと思います。
  4. 纐纈彌三

    纐纈政府委員 今回の新潟地震によりまする被害は、ただいま田澤委員からも御指摘になりましたように、非常に激烈な災害を受けております。ことに地震といたしましても御承知のように関東震災福井震災の中間、震度五というような近来まれに見る大地震でございます。したがいまして、その災害をこうむりました程度というものも実に甚大でございます。かような次第でありまして、政府といたしましてはこの災害に対しますために、すでに御承知のように非常災害対策本部というようなものをつくってまいっておりまするし、またさきにはすでに自治大臣あるいは大蔵大臣、その他防衛庁長官等現地に参られましてつぶさに状況視察して参りまして、いま政府といたしましても着々それに対する施策を一日も早く実現するようにして、かくして被災者の救済と復旧努力をいたしたいと考えているわけでございますが、ちょうど大臣が来られましたから、大臣のほうから御答弁させていただくことにいたします。
  5. 田澤吉郎

    田澤委員 ただいま政務次官から御答弁をいただいたのでございますが、今回の新潟地震に関しましては、先ほど申し上げましたように非常に大きい災害でございます。この災害を根本的に復申していかなければならないということは、私から申し上げるまでもないことでございまするが、大臣はちょうど御視察が終わったあとでございまするので、その状況等はわれわれよりもつまびらかであろうと思いますからこの対策、ことに金融あるいはまた財政上の面からこれを制約するがごときことがあってはたいへんだと思いますので、そういう点の所信をお伺いいたしたい、こういうふうに考えます。
  6. 田中角榮

    田中国務大臣 私も派遣をせられまして現地を見てまいったわけでございます。今度の地震新潟地区山形地区福島地区秋田地区というふうに分かれておるわけでございますが、やはり震源地に近い新潟が一番大きな被害のようであります。特色といたしましては公共災害が非常に大きい、かように考えられるわけであります。御承知のとおりこの種のものに対しましては人命の損傷も過去においてはたいへん大きかったわけでありますが、ちょうど時間的に一時ということでありまして、昼めしどきを過ぎておったために、ガス等民家においては大体消してあったということで、民家火災による被害及び人命被害というものは非常に少なく済んだということは幸いであったと存じておるわけであります。ただ特色公共災害、特に港湾施設鉄道道路、橋梁、学校の施設、それから各官庁、官衙の建物、施設被害、こういうものが非常に大きかった。特に将来の問題としてもたいへん検討しなければならない問題は、地震被害による地下埋設物被害電話のケーブルの問題、し尿処理施設の停止の問題、それから水道ガスの問題、こういうものは壊滅的であって、水道とかガス本管などは新たに入れなければどうにもならないだろうというような状態でございます。でありますからい現在公式に判明をしております公共災害を相当上回る大幅なものであろうと推定をされるわけであります。  例を申し上げますと、全く何でもない水が引いたただ陥没しただけという道路トラックが通ると、舗装しておりますから舗装の面はそのままで損傷しておりませんが、舗装の下が大きく穴があいているためにトラックもろとも落ちる、こういう危険があるわけであります。したがって地下埋設物というものに対して相当大きな被害があったということでありまして、将来の都市構造の面から見て、かかるものをどう措置するかという問題を根本的に解決せられるべきだと考えます。政府災害対策本部をつくりまして適切な施策を行なっております。  まず財政的に見ますと、応急修理の問題に対して約六千人の自衛隊に非常に努力をしていただいておりますために、応急工事がきのうあたりから徐々に行なわれつつあります。先ほど申し上げましたように、公共災害が大きいということで、地方公共団体の金繰りの問題がありますので、いずれにしましても金がないために、また予算上の問題で復旧がおくれるようなことのないように短期融資の道を開いてありますし、また民間施設復旧等につきましても、日銀支店を中心にしまして地元の銀行にも現在のところ資金の余裕は十分ございます。それからなお簡易保険とか各保険支払いというようなものにつきましても、簡便、迅速にこれを支払うように、また定期預金等払い出し等につきましても、印鑑及び通帳等を紛失いたしましたものについても、人による確認ができれば簡便にこれを払うような状態をつくってまいりました。きのうの状態ではまだ金が要るというようなことよりも、金が要る前の状態でございます。三万人以上も高台に避難しておりますが、このし尿問題をどうするか、乾パンではどうにもならない、めしをどうするか、一番困るのは水であります。ですから救援物資が着いておっても、なかなかこれを高台の避難しておるところまで送るのがむずかしい、こういうところでございまして、きのうの午後あたりからようやく橋は落ちないけれども橋詰が陥没しておるようなものを何とか復申しよう、こういうような状態であります。まだ地方公共団体が積極的に復旧工事をやるという段階までには至っておらないわけでございます。しかし私も参りまして災害査定が済み、計画ができなければ工事をしないというようなことではなく、立ち上がり生産というようなことも十分できるのでありますから、そういう意味で必要な工事に対してはどんどん執行するようにということを現地にも申してまいりましたので、まあおそくてもきょうあたりから本格的な復旧工事ができるというふうに考えておるわけであります。資金的には問題はありませんし、また税制上の問題につきましても、二日ないし三日ぐらいは本部で、国税庁できめましたけれども、それが現地に届いておらないということで、現地署長等にも会ってまいりました。国税庁ではこういうふうな決定をしているんだから、できるだけ便宜を計らうようにということを私自身も申してまいりましたし、きのうは国税庁から二、三名現地に参りました。そういう状態でありますので、私は復旧作業というものは相当なピッチでもって進むだろう。まあしかしいままでの災害と違いまして、そういう地下埋設物や相当特殊な問題がありますので、こういう問題を解決するには相当なやはり時間がかかるだろう。  一番最後に簡単に一言申し上げますと、飛行場から見ておりますと大体町の三分の一が水につかっておる、そして昭和石油等がどんどん燃えておる、ほかの部分は比較的に安定しておるんじゃないか、こう見られるのですが、一ぺんおりてしまうと全く違う状態なんです。新しいビルがそのまま二メートルも陥没をしておるということで、非常にむずかしい技術的な問題がございます。ですから、まあ人命被害というのが少なかったのは、そのまま沈んでしまう、こういう状態でありますので、非常に技術的にむずかしい問題があろうと思いますが、当面する救護対策というものに対しては万全な体制がとれておるというふうに考えておるわけであります。
  7. 田澤吉郎

    田澤委員 次に、災害保険に関連して大臣からお伺いいたしたいのですが、十八日に御視察あと状況をきょうの毎日新聞大臣談話が出ているわけであります。災害保険に関しては新潟地震を機会に政府所掌災害保険を新設したい、新潟災害者に対して損害保険協会見舞い金を出すことを希望するなどの点も声明されているわけでございますが、災害保険に関しての御意向をひとつ承りたいと思います。
  8. 田中角榮

    田中国務大臣 私がきのう帰りましてから記者会見をいたしましたときに、記者諸君からの質問に答えて申し上げたわけであります。質問はこういう状態で行なわれました。今度の新潟火災破壊消防を行なったり人家が完全に滅失をしておるものに対して保険会社は金を払わないということを言っておりますが、一体大臣はどう思いますか、こういう質問でありましたから、現行法では払えないということであります、現行法では払わぬでいいということであります、まあしかし困ったものだ、こういう話であります。第二の段階においては、見舞い金も出さないというようなことが起こった場合に大臣はどう考えますか、大臣大蔵大臣として、所管大臣としてせめて見舞い金くらい出せ、こういうことを言われますか。見舞い金見舞い金で、相手が自発的に出すものであって、こちらで見舞い金を強要するという立場にはない。しかし何にも出さぬでいいんですか。まあそれは協会があるんだから、彼らもまあそういう意味ではこの大災害大震災という事実を認識しているんだから何らかの処置はしてくれるだろう。大臣から言うつもりはありませんか。行政上はそういうことは言える立場にはない、まあしかしこんな話が新聞に出れば何とかしてくれるかもしれぬ、こういう調子であります。第三点は、現行制度の上でもって地震保険というものが具体化しておらぬ、この間の大蔵委員会においても地震保険をどうするかというような問題が出ておるのに対して、今度は一体どういう方法がありますか、こういうことでありましたから、三十二年当時から郵政省で地震風水害災害保険という名において簡易生命保険のほかにやりたいということを政府考えたことがあります。第二の問題としてはいま審議会等でも検討をしてもらっておりながら、なかなか結論が出ない問題だ、また保険会社においても地震保険をやりたい、やらなければいかぬという考え方で検討してみましたが、やはりむずかしい問題であって結論が出ておりません。これが現状です。しかしこういう大きなものにぶつかって、しかも保険金が全然支払われない、しかも二日もたって昭和石油タンクが爆発した、その火の粉が飛び火をして火災になってもこれは地震火災だ、こういうことが現実であるということから考えると、まあやはり人心の安定をはかるためにも災害保険というものをもう一ぺん考えなければならない段階ではあろう。しかし災害というものは非常に大きいので、現行制度では伊勢湾台風のときでさえも議論にはなりながら個人災害に対して融資の道以外にどうにもならない、こういうことでありますから、私はやはりまあこの問題を契機にして地震保険災害保険、根本的にはやはり考えなければならない段階であろう。しかしさんざん考えても結論が出ないという問題でありますから、それは結局財政の問題であるから、まあ国がやるか、国と民間でやるか——民間でやる場合、国と民間でやるような場合には財政負担というものは当然結論的には伴うものでありますから、ただその金を民間会社に委託をするというわけにはいかぬ。そうなればその何分の一かは財政投融資、いわゆる財政原資のほうにただ使わしてもらう、使わしてもらうというような制度になれば国が半分負担をするというような新しい意味官民一体になった保険制度考えられる、こういう答弁をしたわけであります。まあ私はそういう意味で、私自身もけさの新聞を見ましたが、この問題を契機にしまして大きな都市、東京とか大阪とか、こういう都市の住民のためにも災害保険地震保険は何らかのことで考えなければいかぬ、具体化さなければいかぬだろうというふうな考え方に立っております。
  9. 田澤吉郎

    田澤委員 生命保険協会では今回の災害にあたって、災害救助法が適用された場合には被災した契約者に対しては特別の措置をとりたい、その内容としては保険料払い込みの延期をする、保険金即時支払いをしたい、保険証券担保として緊急契約者貸し付けを行ないたいなどの意向を漏らしておるわけですが、これに対するお考えはどうでございますか。
  10. 田中角榮

    田中国務大臣 生命保険は当然人がなくなっておれば、地震であろうが何であろうがこれはなくなったというものに対して支払う。数も非常に少い。不幸中の幸いであったわけですから、こういうものに対して災害のときは急遽払うというたてまえになっておりますし、生命保険在来どおりもううるさいことを言わないで確認さえできれば払おう、こういう態度をとっておるということは非常にいいことだと思います。ただ問題は今後の問題でありますが、あれだけの大きな二十万トンも石油タンクに貯油しておりながら地震保険をかけておらなかったそうであります。私はあの会社シェルとの問題がありますので、シェルのほうで一体外国の損保会社にかけておらないのか、こう言ったのですが、どうもそれも一部を除いてはかけておらなかったのだ、こういうような状態のようであります。でありますので損保としては現在の状態では約款によって払わないということになっておりますから、これは私のほうでどうするわけにもいきません。またこれを何分の一か払ってやるということをもしやったとしても、それが例になっては困る、だから救恤金のようにするのか見舞い金のようにするのか、それも契約単位の何割というふうにするのか、まあ金一封やるのか、大きくやると将来の例になる、なかなかむずかしい問題を考えておるようでありますが、私は災害の実情を目に見てまいりました。そういった意味でまあたいへんなことでありますから、保険会社の皆さんが自発的に何らかのことをやられるということに対しては希望する——ということよりも非常にいいことだ、こういう立場をとっております。  先ほどから申し上げましたように今度のものは、こわれるならこわれてくれればいいのですがこわれないで半分片寄ってしまっておるのです。原形はそのままある。一階はそのまま陥没してしまった。こういうものは日本の例としては非常にむずかしいのではないか、こういう例はなかったのではないか。伊勢湾台風などでも、一階が埋まったものはございますが、これは排土処理をすればもとに戻るのですが、今度のは大地を持ち上げるわけにいきませんし、それでなくても低い大地を下げるわけにいかぬ。これはつくるよりも、こわすほうによけいかかる、こういう状態でありますから、やはりポンプなどを入れて、新しい都市構造というものを考えなければならぬかというような状態でありますから、保険金の問題からいうと非常に技術的にむずかしい問題も存在するように理解します。
  11. 田澤吉郎

    田澤委員 ただいま大蔵大臣から現行法では非常にむずかしい点があるということでございますので、銀行局長にお伺いいたしますが、地震により生じたる災害倒壊について現在の保険契約はどうなっているのか、ひとつ詳細にお聞かせ願いたいと思います。
  12. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 現在火災保険のいわゆる普通保険約款というものがございますが、これの第五条におきまして、てん補しない損害というものを幾つかの項目をあげております。その中の八項でございますが、「原因が直接であると間接であるとを問わず、地震又は噴火に因って生じた火災及びその延焼その他の損害」これはてん補しないことになっております。これが約款でございます。今度の場合に大多数のものは、ほとんど全部はこの約款によりまして、法律上、約款保険会社のほうに支払い義務はないということになります。義務はないが、いろいろと義援金というふうな形で何か出そうじゃないかということを現在相談をしておるようでございます。ところがこれはそう古い制度ではありませんが、地震の場合におきまして、地震保険担保特約条項というものがございまして、それの特約を結んでおれば、いま申したような支払い責任がないというのが、保険料率は違いますけれども、全部支払い責任がある。この特約条項の第一条をそのまま読んでみますと、「当会社は、この特約にしたがい、火災保険普通保険約款第5条第1項第8号の規定にかかわらず、保険目的について地震によって生じた火災及びその延焼損害をてん補する責に任ずる。」「当会社は、前項の損害のほか、保険目的について地震によって生じた倒壊、破損、埋没等損害をてん補する責に任ずる。」ですから、いま新潟で起こりましたように埋没したというふうな場合に、これの復旧に必要とするようなものも全部その保険対象になるわけでございます。これはまだ百数十件しか全国で保険契約がないそうですか、がいして普及度が非常に低いわけです。もっともこれは、ほんとうに国民が今度の例にこりて、非常に多数の人が入るようになったら、実はもう地震保険になってしまいまして、その損失が一たん起こったならばカバーできない、いまは非常に普及度が低いから、実際には困らないわけでありまして、非常に矛盾したことになりますが、昭和石油のようにタンクがたくさんあるというふうなものは、地震によって爆発する危険がある、そういったものは一般的には特約をつけている例がどちらかといえば多いのですが、あの場合だけは入っていない、タンクローリー三十台ですか、これが三百万円ばかり特約がついている、しかし五十数億円という一般普通保険契約分については特約がついていませんので、全然支払い対象にならないということでございます。  それでよけいなことですが、地震保険につきましても、一昨年からすでに研究は始めております。いま大臣が言われるように、民間保険会社のみで全部危険を負担するということは、おそらく困難なことでしょうから、何か国が再保険契約をして半分くらい見ようじゃないか、私はそういうことが必要になってくるのではないかと思います。
  13. 田澤吉郎

    田澤委員 関東大震災あるいは福井震災鳥取震災等の場合、保険金がどういうふうに支払われたのであろうか、ひとつお知らせ願いたいと思います。
  14. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 戦後に起こりました鳥取福井震災による分につきましては、普通保険でございましたので、支払いはいたしておりません。また見舞い金のようなものも出しておりません。しかし関東大震災のときには、総額七千五百万円余りの見舞い金を出しておりますが、その中で六千三百五十五万八千円は国から助成金として融通を受けている。それを長年にわたりまして、これは戦争の終わりごろまでかかったと思いますが、長年にわたって返済した、こういう例がございます。
  15. 原田憲

    原田委員 いまの質問に関連して大臣にちょっとお伺いしますが、先ほどの大臣答弁の中にも出てきたと思いますが、今度の新潟秋田山形県の地震災害、特にいま新潟昭和石油火災が大きくクローズアップされておりますが、こういう天災の場合の保険制度の中で、現行法によると保険会社がこれに対して何ら処置をしなくてもいいということになっているけれども、いま銀行局長の説明によりますと、かつても見舞い金を出して、これに対して政府融資をして、それを裏から処置した、こういうことが、すでにもう古く行なわれているのですから、これらの措置は、速急に各保険会社が自分たちの業務の公共性から考えても、当然とるべきである、私はそう考えるのです。大蔵省としてもこれらの措置を保険会社に対して当然とるように行政指導をし、そしてそれに対する裏づけが要るなら、それだけの処置もとるべきであると考えるのですが、いかがでございますか。
  16. 田中角榮

    田中国務大臣 私は現地を見てまいりましたし、その悲惨な状況承知いたしておりますので、保険制度の上で、将来の問題はまた別にしましても、当面した問題に対してどうしなければならぬかということをいま考えているわけであります。関東大震災のように国がどうするかという問題までまだ突き詰めて考えておりませんが、保険会社のほうも、今後民間の個人住宅の焼失、滅失というものはそう大きなものではありませんから、財源的にできないということではないようでありますが、約款のたてまえ上、これが毎度そうなっては損保会社の存立が危うくなるということで、なかなかうまくいかないようでありますが、この問題をどういうふうにするかという問題は検討いたします。
  17. 原田憲

    原田委員 これはもちろん制度の問題とからんでくる問題で、保険業界としては、これをもしやったら、あとでこういう問題が起きたときに、またこういうことが一つの習慣というか、そういうことになるということで逡巡しているのではないかというようなお話がちょっとございましたが、先ほどからの田澤君の質問に対して、大臣また銀行局長損保制度的な面、天災に対する保険制度を抜本的に考えなければならぬということをお考えのようでございますし、たまたま先般から当委員会におきましても、この保険事業ついて損保業界の代表者も呼び、また大臣にも質問を繰り返して、この天災に対するところの保険制度をどうするかということをお互いに熱心に討議をしてきたところでございまして、たまたまそれをやっておる最中に天災がやってきたということは、やはりそういう措置をとるべきであるという天の思惟であるというように解釈するのですが、政府側がそれに対して、いま銀行局長の話を聞きますと、国が再保険考えてみるのも一つの方法であるというような答弁が出ておるのですが、そういうことができるということがあるならば、この際保険業界もとりあえずの措置を思い切ってやると思うのです。やはりそれをやるべきであると思いますので、後段の天災に対するところの損保制度というものをこの際真剣に早急に結論を出すように検討するということを政府にきめていただき、それによって前段の点もすみやかにいって人心がおさまるということになると思いますので、繰り返してお尋ねをいたすのでございますが、現在の災害に対して見舞い金を出すとか、そういうさっそくできることをやるべきであるというように措置をされたい。それから、これからの損保ということについての制度的なことについて政府責任を持って考え、早急に結論を出していただくということ、この二点についてひとつ御答弁を賜わりたい。
  18. 田中角榮

    田中国務大臣 先ほど申し上げましたように災害保険、特に地震を含む保険に対してどうあるべきかという問題は早急に検討いたします。  それから第二の問題でございますが、いま新潟とか山形とか被災地全部の保険に対してはわかりませんが、新潟民間住宅というものだけで保険金考えるといま二千万円くらいだ、こういうことだそうであります。二千万ということならたいしたことはないと思うのでございますが、問題はそれを出すと今度は例になってこの次どうするかという問題があるので、いろいろ問題もあるでしょう。しかし先ほど申し上げましたとおり、焼失、滅失ということで原形をとどめないというようなものは少ないのですが、町の三分の一くらいのものが埋没沈下といいますか、形だけはありますが、ひっくり返っておる。建て直すよりもこわすほうがよけいかかるというなかなか特殊な問題があるわけでございまして、現在の損保の中だけで救済できるものがどのくらいあるか、これはまだつまびらかにしておりません。いまの第二の問題、今度の損保会社保険金をどう払うか、払わぬにしても見舞い金でもって片づけられるのか、そういう問題はせっかく議員としての御発言でございますので、いままで損保会社にまかしておったというようなことから一歩進めまして、意向も聞いたりまた省としてもなすことがあれば十分措置をいたしたいと考えます。
  19. 田澤吉郎

    田澤委員 次に、関東大震災の場合に、損害保険会社火災保険等の契約者見舞い金を支払った例がございますか。
  20. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 それは先ほども御答弁申し上げましたが、総額七千五百万円余りの見舞い金を出しております。これは今日の価値に直しますとどのくらいになりますか、大正十二年当時でございますとおそらく四百倍以上になっているのじゃないか。——もっと大きいかもしれません、あるいは四、五百億円になるかと思います。その七千五百万円のうちの六千三百五十五万円を国から助成金として融通を受けております。今回の場合に、実は私どものほうもある程度は、行政指導というのではありませんが、損害保険協会に対して何らかの措置をとりますかということは聞いております。ただいままだ協会で話し合いをしておる。と申しますのは、その損害の中でたとえば火災にあったものは戸数としてはそう多くない。しかし大臣の言われるような火災以外の災害、これらの中にも契約者が相当おる。しかし契約をしない人も相当おる。そこで全体を一まとめにして金一封を義援金として出したらよいのか、あるいは契約の多寡に応じた、ほんのわずかな割合でしょうが、ある一定割合を出したらよいものかなどについて、まだ業者が相談をしておる段階であります。
  21. 田澤吉郎

    田澤委員 戦災の場合はどういうふうな支払いをしておったのですか。
  22. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 戦争中のは、戦時特殊損害保険法第一条第二項というのがございまして、戦災による被害に対して損害保険を支払っております。ただしこの期間は昭和十九年四月二十九日から二十年十二月二十八日までであります。その期間においてこれに該当したものについて支払っております。契約件数は九百六十七万五千件、その保険契約額は二千六百五十七億円、保険料として徴収いたしましたものが一億六百三十万円。支払いの件数は三万九千四百件でありまして、その保険金額は二億三千九百万円、保険料として徴収いたしましたものが一億六百三十万円に対しまして、支払った保険金額のほうはこれを上回って二億三千九百万円に達しております。もっともこの戦時特殊損害保険と申しますものは、全額国の再保険に付されておるものであります。
  23. 田澤吉郎

    田澤委員 今回の新潟地震災害を受けた地域における火災保険契約の現状は、大まかには大臣からお答えをいただいたのでありますが、その現状はいかようになっておりますか、もう少し詳細にお願いいたします。
  24. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 最近の数字がわかりませんで、二年前の三十六年度、つまり契約期間から申しますと大体二年前の数字になりますが、その保険契約額を申し上げますと、新潟市の場合は、住宅等の普通物件が三百十四億円、工場が二百四十一億円、倉庫が三百二十二億円、合計八百七十七億円になっております。そのようなことで長岡市の場合はこれが総計で二百二十六億円、酒田市において九十六億円、鶴岡市において六十四億円、秋田市が二百六十四億円、これが保険契約額でございます。
  25. 田澤吉郎

    田澤委員 地震保険について目下具体的に研究を進めておるかどうか、その進行状況をお知らせ願いたいと思います。
  26. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 この問題は、研究といたしましては一昨年の十一月に保険審議会におきまして基本的な問題をきめたときに、その一環としてこの種の問題を具体的に検討する方針をきめました。その後研究がいろいろな角度から進められまして、現在の段階では直ちにということではありませんが、いましばらくいたしますと、これはいろいろなやり方がございますので、数種類に分けまして、このいずれでいったらいいか、その地震特約地震保険、方法については結論がかたまったものではありませんが、数種頻に分数された方法で契約される、こういうふうになっております。もっとも、これは先ほどのお話でよけいなことでございますが、台風というふうなことになりますとかなり問題がめんどうでございます。地震の場合は、日本各地のどこで起こるかわからぬ。北の端から大体南の端まで火山帯に属しているのですから、つまり全国的な均一性というか、どこに起こるかわからないというので危険が分散されるということで、やれば加入者はかなり全国的に出て片寄らないだろう。台風の場合になりますとちょっと事情が違います。もっとむずかしい問題があると思います。
  27. 田澤吉郎

    田澤委員 語外国の例は、このような地震に対してどういうことがありますか。
  28. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 世界的な例は、私どもが調べた範囲におきましては、特別に地震保険というふうな形をとっておりませんで、やはり地震の場合の特約制度がございます。しかしその利用度合といいますか、これはあまりよく普及しているとは申しがたいようでございます。たとえば先般アンカレッジにおいてかなりひどい地震があったのですが、その場合に地震特約を付しておる例はほとんどなかったといわれておるようでございます。あそこは火山帯に入っておるのでございますけれども、なおかつその特約を有するものはさほど多くなっていないというように聞いております。
  29. 田澤吉郎

    田澤委員 終わります。
  30. 山中貞則

  31. 奥野誠亮

    奥野委員 新潟地震新聞記事を見ておりますと、新しいビルディングがこわれておったり、あるいは新しくつくった橋梁が落ち込んでおったりしておりますことに国民はひとしく疑問を抱いているのじゃないだろうか、かように考えるものでございます。しかし特定の地帯——地盤沈下の激しいところでございますので、特定の地帯だけでそういう現象が起こっているのか、あるいはどこの地帯であっても比較的新しい建物などにそういう現象が多いのか、大臣先刻ごらんになっておりますので、その点をお教えいただければしあわせだと思います。
  32. 田中角榮

    田中国務大臣 新潟は御承知のとおり三つくらいに分けられるわけであります。その一つは何千年前から角田という山がございまして、その山のすそがずっと市街に続いております。俗にいう新潟大学などのあるところは山の手地区であります。もう一つは信濃川と阿賀野川との間を、あまり長い時間ではないと思いますが、何百年かの間にデルタ地帯が埋まって市街地になっておる。もう一つは港湾地帯でございます。一番ひどいのが港湾地帯でありまして、現在なお非常にひどいところは三メートル、少ないところで一メートルくらい総体的に沈下をしておって、建物がまだ三、四尺も水につかっておる。全然そこの住民が帰れないという特殊な状態でございます。もう一つは第二の場所であって、昔は川のようなところが何百年かの間に現在の市街地になったという信濃川沿いでございます。ここが地盤軟弱であって、そういう地盤のやわらかいところで県営アパートがひっくり返ったり、新しい昭和新橋が落ちた。私が行ったときに、新しいものがこわれるのは設計上のミスがあるのではないかということがございましたが、私はそうではないと思います。これは各界の専門家が行って調査をしておりますから、結論が出ると思いますが、私が行ってみますと、ちょうど三分される地盤によってそういう現象が非常に特殊にあらわれておりますので、地殻それから土地の状況が一番建物被害等を大きくしたものだ、このように考えております。
  33. 奥野誠亮

    奥野委員 大臣の御見解では新しいものだから被害が大きかったということではなしに、たまたま新しいものが地盤の軟弱地帯に建設されておったために、こういう現象を来たしたのだというようにお示しをいただきましたので、多少は安心をいたしました。  ただ、新潟は年来地盤沈下で大きな問題を起こしているところでありますだけに、建築等にあたりましても、それ相応の考えに基づいて設計をしていかなければならないはずではなかろうか、いまになってそう考えることであるかもしれませんけれども、われわれにはしろうと考えにもそう考えられるわけでございます。したがいまして、設計にあたりましても、たとえば震度幾らに耐え得るものでなければならないとかというような考え方がふだんから明らかにされていなければならないのではないだろうか、かように考えるわけでございます。たまたま新潟被害の写真を見ておりまして、もし東京に震災が起きた場合に、高速道路が上からそのまま落下してくるのではないだろうかという心配も持つわけであります。言いかえれば、接合の程度などによりましてもそういう危険が生じてくるわけでございます。そういう意味におきまして、今後設計につきましても、もう少し深い研究がなされ、そうしてまたその結果が示されて、それに基づく入札を行なうということでなければならないと思うのでございますけれども、こういう点についてどのようなお考えをお持ちになりますか、お教えいただきたいと思います。
  34. 田中角榮

    田中国務大臣 公営住宅のような規格品が横倒しになっている。これは東京も大阪も新潟も画一的な第何号設計というものでございまして、こういうものをやはり地域によって相当構造を変えなければいかぬ、こういうふうに考えます。これは住宅公団でも、住宅金融公庫でも、県のものでも、画一的なものであるということで、山の手にあるものは何でもないものが、先ほど申し上げたように、地盤軟弱なところでは、同じ基礎であったものが、建物はそのままでマッチ箱をひっくり返したように横倒しになっている、こういうものに対して、基礎問題などはもっと平面的にすべての面積でもつような状態にしなければならぬだろうということが考えられます。  それから非常に極端に設計が悪いのではないかということを一部の専門家が言いましたのは、大正時代につくった万代橋がそのままであって、その後つくった八千代橋が参ってしまった。それからその上にある昭和新橋というのが国体が終わると同時に落橋している。それから阿賀野川河口の松浜大橋というのがあと四時間ばかりあれば、最後に残りました鉄骨のワン・スパンかけ終われば竣工だといっておった、ちょうど持ち上げてかけようとしているときに地震がきて川の中に落ちてしまった。あとの九割方は何でもない。設計上のミスがあったのだと言っておりますが、私は設計書も知っておりますし、地元の事情も知っておりますが、私の見たところでは設計上のミスということはあまりないんじゃないか、ただ地震帯はPSコンクリートの工法を使っておりますから、PSコンクリートの工法をとっておるためにジョイン卜部分が現場打ちのような一体的なものではないということで三、四スパンが落橋しておる。あとのものはまあまあだいじょうぶだ、こういうところがあります。これはまあコンクリート工法を使ってピアを打たなかったというような工法、戦後取り入れられた工法でありますが、現在東京の高速道路などはPSコンクリート工法を使っておるわけであります。そういう意味地震帯にPSコンクリートの工法そのものがいままでの設計で一体いいのか、ジョイン卜部分をもっと現場打ちで一体的な構造にしなければならぬのか、一体的にしたために万代橋もそのまま総体的に全部沈下しているという問題がありますので技術的には非常にむずかしい問題で、にわかにどういう原因であるということは言い得ないと思いますが、学者も行っておりますから、これらの地盤に対する、特に東京など埋め立て地域に対する逆潮水門が大きくつくられておりますが、こういう工法等もやはり検討する必要があるのじゃないかというふうに考えられます。  それからもう一つだけ私が申し上げますと、万代橋のたもとにある建物で、新しくつくったものはそのまま沈下をしないで、古いタイルを張った二階建ての建物が約一メートル沈下しておる。同じわずか二千坪くらいの中でそういう状況が起きておりますから、一つ一つ検討しないと早急に結論は出せないんじゃないかと考えております。
  35. 奥野誠亮

    奥野委員 設計上の問題は、先日テレビ放送を見ておりまして、竹山謙三郎氏が地盤に応じて少し考え直さなければならぬのじゃないかというようなことを述べておられるようでありますので、いまお話しのように今後学界においても問題になってくるだろうと思うのでございます。なおまた、いまお話を伺っておりますと、同じ地区であっても古いものが損傷を受けないで新しいものが損傷を受けているという例があるということでございました。私は国民が一般的にはむしろそういう例が多いんじゃないかという心配をたまたまあの新聞記事の扱い方で感じているのじゃなかろうかと思うのでございますけれども、やはりひとしく思っていると思うのであります。そういうところが公の行政に対しまして疑惑の念を国民に持たせることになってはたいへんだ、こういう心配もいたすのでございます。したがいまして、少なくとも設計と現実の工事の実施状況とが食い違いがないかどうか、これは新潟地区について速急に明らかにしたほうがよろしいんじゃなかろうか、かように考えるわけでございます。建設省も運輸省も、それぞれの所管の官庁はそういう努力をしてくれるだろうと思うのでございますけれども、大蔵省でも会計法の四十六条に基づけば調査もできることでございますので、予算執行がそういう面について適正に行なわれているかどうか調査をされまして、むしろ国民に明らかにされたほうがよろしいんじゃなかろうか、かような考えを持っておりますので、この点につきましての大臣の御見解を伺っておきたいと思います。
  36. 田中角榮

    田中国務大臣 こういう新しい現象が起きたわけでありますから、徹底的に学問的にも検討しなければならないということは御説のとおりでございます。建設省それから運輸省、特に港湾が壊滅的な打撃を受けておるというので、運輸省も港湾に対するやり方がいまのままでいいのかということで技術的に検討いたしております。新しい復興計画をするのでありますから、この復興計画をやるにしても将来の地震に耐え得るという何らかのめどをつけなければいかぬというふうに考えますし、大蔵省も財政支出をしなければならないわけでありますから、各省とも十分連絡をしまして遺憾なきを期してまいりたい、こう考えます。
  37. 奥野誠亮

    奥野委員 最後に希望を申し上げておきたいと思うのでございますけれども、とにかくいろいろ疑問を抱いているのは私一人ではないのだろうと思うのでございます。したがいましていろいろお話のありました点につきまして速急に客観的な調査に基づく報告めいたものを国民の前に明らかにしていただいて、行政庁のやり方が悪ければそこに反省をしてもらわなければなりませんし、またそうでなければそうでないことをむしろ明らかにすることが国民の信を保ち得ることではなかろうか、かように考えるわけでございます。いずれにいたしましても新潟地区では、国体を控えまして各種の突貫工事が行なわれたのだろうと思います。東京におきましてはオリンピックを控えまして各種の突貫工事が行なわれているわけでございます。そういう意味におきましては新潟地区と東京地区は若干似通ったかっこうになっておるわけであります。そういう意味で一そう私は、全国的と申し上げましても、特に東京地区におきましてはあの突貫工事が全体的に適正に行なわれているのだろうかどうだろうかという疑問を若干深めたのじゃないかという心配を持ちますので、この疑問を解明するように大蔵省としましても御努力をわずらわすようにお願いを申し上げておきたいと思います。
  38. 山中貞則

    山中委員長 藤井勝志君。
  39. 藤井勝志

    ○藤井委員 一つだけ新潟地震に関連いたしまして、大臣の御所見を承りたいと思います。  御案内の新産業都市十三地区の指定が行なわれ、この新産業都市建設はすべり出しに入っておるわけであります。ところでこの構想はいわゆる拠点開発という考え方から立地条件のいいところ、その立地条件という中にはやはり自然災害に対するいろいろな配慮も行なわれなければならない、こういうふうに思うわけでございます。すでにすべり出した地区の指定の再検討ということもこれはあまりにも大きい問題であろうと思いますけれども、これが実施にあたっていろいろ配慮しなければならぬ点がいまさらながら痛感されるわけでございます。いよいよ財政措置が四十年度から発足するというときにあたって、こういう点についてひとつよくお考えを願わなければならぬのじゃないか、これに対して大蔵大臣として現在どのような御所見を持っておられるか、一言お伺いいたしたいと思います。
  40. 田中角榮

    田中国務大臣 御承知のとおり新潟も十三地区の一つとして新産業都市に指定をせられておるわけであります。しかし新潟地区の新産業都市の重点となりますものは、阿賀野川の右岸沿いの海岸地帯を含めましてその一帯を新しい工業地帯にしようという計画でございますので、これが復興計画と新産業都市の計画とが密接ではありますが、この復興によって新産業都市がおくれるというようなものではないと思います。ただ検討を要する問題は、工業用水とか、それから地下埋設物ガスとか、電話ケーブルもそうですか、そういうものがばらばらに行なわれておるということで、災害等の場合非常に困るということで、地下公共埋設物はみぞの中に入れるというような、西欧諸国やアメリカがとっておるようなことをやはり抜本的に考えなければいかぬ、ただ工場がくればいいのだというような安易な考え方よりも、総合的にやはり配置を考える必要がある。それからもう一つは、生産工業地帯と住宅地区というものをやはりおのずから分けなければ、工場のまわりに便利だからといってすぐ安易な住宅地区を密集させるというようなことは全く変えなければいかぬと思います。でありますから、ただ二十、三十の企業がくるというだけではなく、新産業都市一体としての工業用水、排水、それから公共埋設物、生産施設と一般の住宅施設の区別。こういうものを総合的にやはり検討して進めていくということが、将来のためには非常にいいのじゃないか。ぼつぼつとできるために、地下埋設物のその場押しつけで現状を解決するというようなことをやっているために、非常に金もかかるし、結果的に見ますと不合理だということで、こういうことを契機にして、その市とかその県とか、また国とか行なう公共投資というものに対しては、統一的な計画性のあるものをやるということ、その基盤の上に立って工場等が誘致されるということが一番いいのじゃないかと思います。
  41. 山中貞則

    山中委員長 午後一時より再開することとし、暫時休憩いたします。    午前十一時五十九分休憩      ————◇—————    午後一時四十二分開議
  42. 山中貞則

    山中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  金融及び証券に関する小委員長より発言を求められております。これを許します。大久保武雄君。
  43. 大久保武雄

    ○大久保委員 この際、委員長の許可を得まして、歩積み、両建て問題について、金融及び証券に関する小委員会における審査の経過並びに結果を申し上げます。  歩積み、両建て問題については、去る二月十三日以降六月十日までの間に通算七回にわたり小委員会を開き、その間三回は懇談会に切りかえまして、歩積み、両建ての実態、債務者預金と拘束性預金、歩積み、両建てと担保、独禁法による特殊指定、大蔵省の歩積み、両建てに関する特別検査の結果、公正取引委員会の拘束預金に関する調査の中間集計の結果等につき、詳細にわたり、主として大蔵省並びに公正取引委員会の各当局との間に隔意のない論議を重ねました。また、六月三日には特に勧業銀行をはじめ都市銀行五行の業務担当重役の出席を求めて、歩積み、両建ての実情、自粛措置の実施状況等に関し、銀行側の意見を直接聞くとともに、種々懇談いたしました。また最終段階に入りまして、大蔵当局の考えている新たな歩積み、両建ての自粛基準案について、その内容の説明を聴取する等、本問題につきましては長期間にわたり、きわめて慎重な調査と検討を遂げた次第であります。  その結果、本問題に関しまして自民、社会、民社の各党よりそれぞれ決議案が小委員長の手元まで提示されました。各党の決議案の大体の骨子を申し上げますと、自民党案と社会党案におきましては多少ニュアンスの相違はありますが、いずれも大蔵省は新たな指導基準を金融機関に示達して不当な歩積み、両建ての是正をはかるための行政指導を強化するとともに、公正取引委員会は、金融機関の自粛状況にかんがみ、必要と認める場合には特殊指定を行なうべしというものであります。これに対し、民社党案におきましては、公正取引委員会は、補完的措置として特殊指定を行なうとともに、大蔵省は、監督行政を一そう強化すべしというものであります。  小委員会におきましては、これら三党の決議案の調整等その取り扱い方につきましては、大蔵委員会の問題として処理するのが適当であるとの結論に達し、一応小委員会としては本問題を結了することにいたしたものであります。  以上御報告申し上げます。(拍手)
  44. 山中貞則

    山中委員長 小委員長の報告は終わりました。  本問題の取り扱いにつきましては次回の理事会において協議いたします。  小委員長はじめ委員各位の御労苦を感謝いたします。      ————◇—————
  45. 山中貞則

    山中委員長 今回証券局長に就任されました松井直行君より発言を求められております。これを許します。松井直行君。
  46. 松井直行

    ○松井説明員 昨日発足いたしました証券局長に任命されました松井でございます。  過去三年間主税局におります間に、数えましてちょうど三回の、この国会におきまして、減税を中心といたします税制改正に従事してまいりました。皆さん方の大いなるお力添えをいただきまして、無事に仕事を終えることができましたにつきまして、厚く御礼申し上げます。  今回新たな地位につきました上は、大臣の御指導に基づきまして、心を新たにして勉強いたす覚悟でございますので、相変わりませず委員各位の御指導、御鞭撻のほどをお願い申し上げまして、ごあいさつにかえる次第であります。(拍手)      ————◇—————
  47. 山中貞則

    山中委員長 保険業法の一部を改正する法律案について質疑を続行いたします。堀昌雄君。
  48. 堀昌雄

    ○堀委員 本日お手元に配られております前回の委員会で私の要求をいたしました生命保険における解約の中で、解約返戻金がない契約につきまして、その金額を調べてもらいましたものが出てまいりましたが、私が予測をいたしましたように、年間に百六十二億九千四百万円という多額の保険料、件数にして二百二十一万四千件という広範な人たちが失っておるわけであります。もちろんこの中にはいろいろな予測せざる条件のために解約になったものもあろうかと私は思います。しかしこれほど多額なものが、これほど広範な件数が、こういう状態になっておるということは、これは予測をされざるものはごくわずかであって、明らかに募集のあり方に適正を欠いておるという問題の結果が、私はここに明らかになっておると思うわけでございます。この問題については、ただこれまでのこういう状態がわかっていなかったわけではないと私は思うわけでありますが、これについて今後少なくとも、私どもは今回金融委員会におきまして、長年十数年にわたって論議をされながらも実は締めくくりのできなかった歩積み、両建ての問題につきまして、ようやく今日その解決が見られようという段階までまいりましたにかんがみ、今後ひとつ当委員会としても金融委員会等において、この問題を少し具体的に取り上げて早急な解決をはかるように、委員各位の努力をお願いしたいと思うのでありますが、政府側においてはこの問題の解決についてどのような方法、手段によって、どのくらいのめどで、これはゼロにすることはなかなか困難だと思いますが、大体どのくらいまでに圧縮できると考えるか、その点についての見通しをひとつお伺いをいたしたいと思います。
  49. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 保険の契約には解約失効というのがある程度はつきものでございます。絶無を期することはできないと思いますが、しかし戦後の日本生命保険の募集状況から見ますと、失効率が非常に高い。もちろん現在におきましてもこれだけあるわけで、返戻金のないものだけでこれだけある。このことを申しますと、三十八年度中で新契約は八百二十九万二千件、解約失効の総件数を申し上げますと、三百六十八万六千件ということになります。四〇%を優にこえるという解約の件数になりますが、これは戦後の趨勢を全部たどってみますと、幾らかいい方向に向いていることは事実でございます。しかしさりとてまだ非常に改善されたなんという状態ではありません。やはりこれは募集の機構と非常に関係がございます。先般もお話しになりましたが、募集に従事する非常に多数の人たちが、何ヵ月かつとめてはすぐにやめてしまう、こういうことが繰り返されております。試験制度を行なっておりますけれども、まだまだほんとうの趣旨を達成するにはほど遠い状態にあります。そこで、私どももちろんこれはかつて保険審議会で取り上げた問題でありまして、一応の結論は出ていると申しながら、その後の結果を考えてみますと、まだ不十分である。私どもの非常に困る点は、いまの募集をする人の採用のしかた、その使い方、これを一挙に変えるということはまずむずかしい、どの程度のめどで——本来的な、つまりできるだけ専業の募集に切りかえていくということでありますが、人数から申しますと、実際に稼働している人間が三十数万ということであります。登録数は五十五万ありますけれども、稼働していないのが相当ありますから、三十数万と見られておりますが、その人間を圧縮せざるを得ないわけです。どうせこれは回転が非常に早いわけですから、そういう切りかえが一体何年ぐらいのめどでできるのか、私のほうではまだはっきりした目算はついておりませんが、できれば、少なくとも数年間にかなり専業化の方向へ切りかえを行なって、一年もたたないうちにやめてしまうというふうな募集員をほとんどなくしてしまうということが必要ではないか。数年間というのははたして現実的に相談のできるものであるかどうか、保険会社の方々ともよく話してみなければなりませんが、ほんとうは十年がかりでやらなければ解決のできそうもない問題であると私は思います。大体十年ぐらいの間に逐次改善を行なっていく。十年と申しましても、一年間にかなりの変革をしなければ間に合わない問題なのでありまして、これは私個人の立場で目算を申し上げる程度でございまして、その点まだ会社の方々、その他専門家の方の意見も十分聞いておりません。保険審議会でもう一ぺんおはかりしたらどうかということも、そういう計画を立てるのならば、われわれだけの考えでなしに皆さんの意見を聞いて、どういうふうにやるか、やり方につきましても、はっきりした目算がいま立っておるわけではございませんので、これから急いで十分研究いたしまして、こういうふうな、言ってみればべらぼうな数字にならないように改善をはかりたいと思っております。これが一応二割とかあるいはそれ以下であるということであれば、解約率はさほど多いとはいえないのですが、四十何%ぐらいあるというと、あまりにもむだが多過ぎはしないか、それだけのむだな労力を使い、金もむだになっているわけでありますから、十分まじめにこの問題を取り上げて検討してまいりたいと思っております。
  50. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで、十年計画などということになると、これは代も変わり人も変わって、たいへんなことになるわけですが、私この前ちょっと資料を見てもそう思ったのですけれども、いいところは大体二五%どまりくらいのところもあります。悪いところは五〇%からの解約があるところもあるわけです。そうすると、政府保険業法については監督権を持っておるわけですから、少なくとも何年以内に、いまどこかの会社がやっておる二割五分なら二割五分のところまでやれという指導はできると私は思うのです。よそのやることをおまえのところはできないというのはおかしいじゃないかという議論は成り立つのじゃないかと私は思うのです。だからそれが一挙にいけないにしても、ともかく二年なら二年のうちに二五%なら二五%——この間私が見た資料ではたしか一番いいところが二五%ぐらいだったと思いますが、とにかくそこまでは早急に改善するような指導を積極的にとらせる必要があるのやないか。全体の問題は全体の問題として考えるべきだと思いますが、異常に悪いところをそのままに放置しておくということは、被保険者に対して非常に問題がある。だから、場合によったら、そういうことなら新聞にも公表したらどうか。この保険会社というのは失効率はこのぐらいで、これはよくないのだ、ここへ入ったら損ですよ、やはりこっちのほうがいいです——私は、銀行の問題でも何でもそうだけれども、こういう問題について、政府が企業の側にやや遠慮し過ぎている点に問題があるのじゃないか。銀行一つにとりましても、預金額が多ければ一番、二番というランクが新聞にしょっちゅう出るわけですが、そういうことではなくて、銀行のすべての裁定をやった結果、一番、二番として出るならけっこうだと思うけれども、過当競争をやって預金をたくさん集めたものが一番いいというかっこうでは、私は銀行の場合だってやはり問題があるというような感じがするわけです。そういう意味では、何らかのめどを設けて、少し強い行政指導を行ないながら処理をしないことには、制度全般でやるということでは、あなたのおっしゃるように十年ぐらいかかるかもしれません。だから、まずはともかくできることからやるということで、これはひとつ具体的に進めていただきたい。  特にちょっとお伺いしたいのは、一年十ヵ月間保険料を納めた場合に、その金の帰属というのは一体どの程度になるか。ここに百六十二億というトータルでの金額があるわけです。この百六十二億のうち、大体何%が要するに保険外務員のふところに入る、一体何%ぐらいは会社の中に入る、会社の中に入った中で、それが多ければ保険外務員その他の経費としてもし出るとしたら、それは幾らなのか、会社にネットとして残るのは幾らなのか、これはちょっと総体に対してお答えをいただきたいと思います。
  51. 中嶋晴雄

    ○中嶋説明員 計数にわたりますのでちょっと私から申し上げます。  この間一年一ヵ月ぐらいのところから解約返戻金が出てまいるというふうに申し上げましたが、これは実は加入年齢によってもかなり違います。したがいまして、一般的に申しますと非常に短期の保険でございますと、一年ぐらいから解約返戻金がつきます。それから普通の三十年満期の保険金になりますと、二十歳ぐらいで入りますれば一年十ヵ月ぐらいからつき、三十歳ぐらいですと一年半ぐらいからつくという程度でございまして、解約返戻金のつく時期はまちまちでありますが、大体一年半ぐらいになっております。  そこで、会社の中で収入保険料がどのように使われておるか、バランスはどうかというお尋ねでございますが、一つの例で申し上げますと、百万円の保険を三十歳の人が三十年満期でかけた場合で申し上げますと、第一年度に保険料で入ってまいりますものが二万六千八百円でございます。これが収入でございます。支出のほうを申し上げますと、いわゆる新契約費といたしまして三万六千五百六十円が支出されるわけでございます。その大部分が外務員の経費に充当されます。それから第二に維持費がございます。これが四千四十円程度になっております。これも平均的なもので申し上げます。それから集金費が八百四円になります。このほかに非常に早期に死亡するものを担保する死亡危険負担が千三百円ございます。したがいまして、支出の総額は四万二千七百四円という数字になりまして、収支残は一万五千九百四円の赤字になってまいります。そこでこの段階で契約を解除いたされますと、会社としてはそれだけの損失が出るわけでございまして、解約返戻金は出ないわけでございます。二年目になりますと、その収入に当たります保険料が若干利殖されまして、利子がついてまいりますが、その前提によってもいろいろ違いますけれども、収入が二万八千五百円、支出が六千百四十四円、収支残として黒字が二万二千三百五十六円になります。そこでそのうち半額程度が責任準備金に繰り入れられまして、剰余が八千六百五十六円出るわけでございます。この段階になりますと解約返戻金が出せるわけでございまして、六千二百円の解約返戻金を出す、かような形になっております。
  52. 堀昌雄

    ○堀委員 最初一年の間は一万五千九百四円という赤字のようでありますから、この計算のとり方等は多少問題があるかもわかりませんけれども、ともかく一年以内であれば、現状では保険会社も得はしていないということのようでありますけれども、しかし被保険者ももちろん得をしないわけでありますから、ここではもう非常に早期に——かけて一年くらいで死亡したという、さっきの千三百円に見合う部分の人はともかくとして、それ以外のものはほとんど損害を受けるということになるのでありますから、このことは裏返して言えば、保険会社の経理をも脅かすことになるわけでありましょうから、その意味では、私がさっき提案をいたしましたように、現在の保険会社の解約率をA、B、Cくらいに分けて、少なくともCの分に対しては早急にBまで動くように、BはAまで動くような強力な行政指導を行なって、処理をしてもらいたい、こう思いますけれども、それについてどう考えますか。
  53. 高橋俊英

    高橋(俊)政府委員 確かに会社別に見ますと、継続率には相当な開きがございます。がいして基礎のしっかりした会社のほうは継続率が高く、そうでないところに——大体生命保険会社は、大きなところと小さな会社との差が百対一以上に開いている、こういうところに非常に銀行行政のむずかしさがあるわけであります。小さいところは小さいところなりに人海戦術をもってしゃにむに新規契約をふやす。その結果、かえって継続率が非常に悪い、こういう現象が出ております。そこで結局これは新規契約のとり方に問題がある。継続率を高くするということは乱獲をしないことにある。できるだけ質のよい契約を集めて、悪いものは避けなければいかぬ。それのためには、またさらに募集員の訓練も大事ですし、また採用のあり方にも問題がある。いずれにしても、新規契約を非常に多く取りながら、実際に歩どまるものがもう五割をはるかに下回るというようなことが月払い契約などにはございますが、こういう状態を避けるためには、新規契約そのものを乱獲しないようにということの指導をすることが大事だと思います。大体そういう考え方のもとに、さしあたり募集員の問題等は時間のかかる問題でございますから、契約そのものの取り方について、その目標のきめ方、いままでの実績にかんがみて、新規契約をもっと減らしたほうが実際にはむだが少なくて、会社のためにプラスになる、こういうふうな考え方でおりますので、そのように一応行政指導を強化いたしまして、募集、契約目標についても、ある程度行政指導を行なうというふうな考えでこの是正をとりあえずはかっていきたいと思います。
  54. 堀昌雄

    ○堀委員 そこでいまの問題は、少し行政指導を強化していただいて、また適宜資料の提出もしてもらって、その後の経過を監視をしてまいりたいと思いますが、大臣にちょっとお伺いをしておきたいのですが、実は生命保険はなくなりましたときに保険料をもらいますね。そうすると現在は税制上は五十万円までは生命保険については税を引いてもらえることになっております。指定受け取り人が相続人である場合には、一人当たり五十万円となっています。ところが私ちょっとこれを調べてみますと、シャウプ勧告でなくなったあと二十万、三十万、五十万というようなかっこうで増加をしてきて、昭和二十九年でストップして、十年間この措置というものは率直に言いまして動いていないのです。この間参考人が来て話があったときに、この問題についてちょっと話が出ておりました。考えてみると、昭和二十九年当時に五十万ときまったものが十年の間に物価がずいぶん上がってきて、いろいろ諸条件の変わった中で、そのまま据え置くというのもいかがなものかという感じがします。  それからもう一つは、そうだからといって、それではこれを全部百万円にするなどということは言えない。相続税の全体のあり方から見て、やはり均衡を失するという感じもする。ただここでちょっと考えたいのは、生命保険をかけているというのは、大体その家の主柱になる者が多い。主人である者に生命保険が比較的多額にかけられているというのが日本の実情だと思います。そうすると、その人がなくなった場合には、その遺族に対して扶助していく責任というものが奥さんである。子供の場合には一応奥さんがその責任の衝に当たるし、両親がなくて、子供ばかりになっていれば、その長子が弟たちのめんどうを見ながらやっていかなければならないという状態にあると思います。そういう意味において、これは来年度の税制の問題でありますけれども、一方生命保険に対していまのような不当なやり方、返戻金のない解契失効率が非常に高いということはきびしく是正してもらわなければならぬと思いますが、しかし反面的に生命保険というものの性格にかんがみて、いまの最初の人だけ生命保険料から入ってくる相続の税金をひとつ百万円に上げてみたらどうか、あとは五十万円でいいのですが、いまの遺族を扶助する責任という意味において、配偶者または第一子というような指定相続をされて、保険金の受け取り人になっている何名かの最初の一人に対しては、ひとつ百万円という税の免除を与えてやることが、そういう意味でより持続して保険金をかけたほうが有利だということのメリットにもなるのではないか、こう思いますので、生命保険というものをあるべき姿に持っていくための一つの方向としては考えるべき措置ではないかと思いますけれども、大蔵大臣いかがですか。
  55. 田中角榮

    田中国務大臣 今度の税制改正のときに、私もこの保険金の五十万円は少ないじゃないか、これはもっと上げなければならぬという議論をしましたが、相続税の非課税の問題だけを片づけまして、この問題は片づけなかったわけでありますが、来年度の税制改正にこういうものが取り上げられるということであれば、十分検討いたしたいと思います。これは昭和十三年に五千円、これは遺産の中で五千円だけ非課税ということでありますから、五百倍とすれば二百五十万円ということでありますが、それが昭和二十九年から相続人一人当たりということになったわけでありますが、五人おれば二百五十万円ということになりますが、あなたの言うことは、それよりも一歩進めて、妻か長子かということですが、いまの相続税法では、御承知のとおり裁判で相続放棄をしないと子供に均等にいってしまうというような問題がありますので、事実問題としては相続税の問題とあわせて検討するということだろうと思います。これは妻は三分の一、それからあとは子供が全部平均といいますけれども、中には実際は財産を分けて、いわゆる独立をしてしまって、親のめんどうを見ない。結局長子とか特定の人が見るわけですから、その場合相続放棄にするかというとなかなかしない。相続税そのものが問題があるわけでありますから、この問題をいまあなたが言うようにするとすれば、その相続税の問題と平仄を合わせなければいかぬという問題があります。私自身がこれを百万円に上げないかと主税局長に言ってみたのですが、今度は相続税の問題を片づけようということで、今回の改正には間に合わなかったわけでありますが、保険というものは非常に長い期間かけてきてそれで税の対象になるわけであります。場合によっては相当金額まで上げたらどうかという論さえあるわけでありますから、審議会の検討等も待ちながら、私自身もそういう方向に賛成ですから十分検討いたします。
  56. 堀昌雄

    ○堀委員 大臣も御賛成のようでありますから、私も全部を百万円にするということは相続税との均衡を考えますとちょっと行き過ぎる点もあるかと思うのですが、具体的にはいまお話しのように相続のあり方はいろいろありますけれども、実態としてはやはり配偶者ないしは第一子があとの遺族についてのいろいろな責任を負わざるを得ないというかっこうになるわけでありまして、そこらについては多少メリットがあってもしかるべきではないか、物価その他の変動もあることでありますから。これについてはひとつ大蔵省でも前向きに検討を進めていただきたいと思います。  大体以上で生命保険の問題についての論議を終わりますが、けさほど委員長職権によって委員会が開かれて、ちょっと私どもの承知せざるうちにいろいろ論議があったそうで、その点についてはつまびらかにいたしませんので重複をいたす点があるかもわかりませんが、ちょっと申し上げておきたいのです。実は私この間損害保険の問題について、地震その他の災害を含めて議論をしておきました。そのときにはまだ地震がなかったものですからもう一つ前向きの御意見が聞かれなかったので、幸か不幸か知りませんけれども、新潟地震があったために大蔵省としては緊急に情勢が変わって多少けっこうだと思います。地震がけっこうではないのですけれども、結果としては起きてきた事態はけっこうだと思います。そこで、この際私はいろいろな措置が講じられると思うのですけれども、たまたま地震が起きたからどうということではなくて、やはり損害保険のあり方というものに対して政府がいろいろな角度から少し再検討してみる必要があるのではないかと思っておるわけです。それは私もこの前すでに触れましたように、異常危険準備金の問題等については、確かに支払い勘定、契約者勘定で処理されるということが明らかであるならば、これは当然税制上の処置としてはいまのような洗いがえなりその他の複雑な手数を講じなくてもいいのではないか。損害保険というものの準備金が税制調査会においては他の準備金と同じような角度から見られておる点に私はやや問題があるかのような感じがいたしましたので、そういう問題提起をしたわけでありますが、今回この問題を契機として、午前中も御議論があったと思いますが、やはり損害保険の税制上の問題というのは被保険者というか契約者というか、この立場をできるだけ守るような運営をしてもらわなければなりません、その保険会社に対しても。その点は強くわれわれは要求をいたしますが、それに見合ってひとつ税制上の措置も漸次やはり変えるべきだというふうに考えますけれども、大臣はそれについていかがでございましょう。
  57. 田中角榮

    田中国務大臣 損保制度そのものに対して実情に合うように、また新しい時代の変化に即応するように絶えず検討していかなければならぬことは言うを待たないわけであります。戦後損保が弱体でありましたのでそういう面にだけ注目しておって、より広い立場で、より高い立場で検討が進まなかったということに対しては、これから直ちにでもこれらの問題に取り組まなければならぬということはお説のとおりであります。私も地震保険ということに対して戦争中に国の責任ということでやったが、そのときの財政支出が非常に大きかったというようなことでなかなか結論は出なかったわけであります。しかし私は災いを転じて福になすということで、こういうことを契機にして地震保険災害保険というものに対してすなおな気持ちでしかも積極的に結論を得るような姿勢でいくべきであるという考えであります。
  58. 堀昌雄

    ○堀委員 大体以上で質疑を終わりたいと思いますが、これまで当委員会では率直に申して保険の問題というのは比較的論議がされずに今日に至っておりますので、この保険業法の中にはまだいろいろと残された問題がたくさんあると思います。ひとつ政府側においても、私どもがここでいろいろ問題点を拾い出してきてから問題の花が咲くということではなくて、私は率直に言うと、政府側もわれわれに対して政府の感じておる問題点というのは逆にもう少し出してきていいのではないか。しかし大体ここでいろいろ論議をするときは、私どもはあっちこっちから資料を見てひっくり返して、その結果気がついたものをここで初めて出してそれから火がつくというのが、どうもこれまでの審議の経過のようでございますので、特に銀行局にお願いをいたしますが、われわれもこれから保険業法については各般の見地から少し勉強をしたいと思いますので、この点については少し皆さんのほうも勉強していただいて、各国の生保、損保の実情、私もちょっと調べてみましたけれども、日本では外国の保険業の実情というのが非常にわかりません。ひとつ諸外国における生保、損保の実情等——相互会社における総代会の問題は、アメリカの資料を私は手に入れて準備をいたしましたけれども、われわれここでちょっとやろうと思いましても、なかなかそういう諸外国の実情等がわかりません。先進資本主義国における彼らは日本よりははるかに早くから始めていろいろな実績をあげておる以上、そこにはやはりそれなりのいい面もあるでありましょうし、またわれわれのほうがすぐれておる面もあるかもわかりません、しかし少なくともそういう世界的な視野に立ってこの保険業法というようなものはもっと論議が深められてしかるべきだと思いますので、特にひとつ政府側にこれらの各国の保険業の実態についての調査資料を当委員会に提出されることを要望いたしまして、私の質疑を終わります。
  59. 山中貞則

    山中委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  60. 山中貞則

    山中委員長 これより討論に入るのでありますが、本案につきましては討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ることといたします。  おはかりいたします。本案を原案のとおり可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 山中貞則

    山中委員長 御異議なしと認めます。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  62. 山中貞則

    山中委員長 本案に対しまして原田憲君より発言を求められておりますので、これを許します。原田憲君。
  63. 原田憲

    原田委員 私は、本案に対しまして、自由民主党、日本社会党、民主社会党三党共同提案による附帯決議を付するよう動議を提出いたします。  まず、案文を朗読いたします。     保険業法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   わが国のような地震国において、地震に伴う火災損害について保険金支払ができないのは保険制度上問題である。   差し当り今回の地震災害に対しては損保各社よりなんらかの措置を講ぜしめるよう指導を行ない、さらに既に実施している原子力保険制度も勘案し、速やかに地震保険等の制度の確立を根本的に検討し、天災国ともいうべきわが国の損害保険制度の一層の整備充実をはかるべきである。  簡単にその趣旨について御説明を申し上げます。  今回突如として襲った新潟地震は震度五という関東大震災福井地震の中間くらいといわれる大地震でございまして、その被害新潟県、秋田県、山形県に及ぶ甚大なものがございました。多数の被災者に対しましてはまことにお気の毒にたえないところでありまして、心からお見舞い申し上げる次第であります。  ところが、この新潟地震火災を起こし、大きな損害を受けた昭和石油や一般住宅には、地震特約火災保険がほとんどかかっていなかったので、今回の被災者には損害保険金が皆無といっていいほど支払われないことになっておるのでございます。わが国のような地震国において、地震に伴う火災損害について保険金支払いができないというのは、保険制度上ゆゆしき問題でありまして、本委員会におきましても、本法案審議に際しまして、参考人をも招致して熱心に討議した問題点でございます。つきましては、さしあたり今回の被災者に対しましては、損害保険業界でたとえば見舞い金を贈る等、何らかの措置を講ずることが適当と考えますので、政府において真剣に善処されることを要望するとともに、さらにこの災害契機として地震保険の新設を急ぐべきであると考えるのでございます。原子力保険についてはすでに制度化されてその実施を見ているのでございますが、この制度をも勘案して、政府におかれてはすみやかに地震保険等の制度の確立を根本的に検討し、天災国ともいうべきわが国の損害保険制度の一そうの整備拡充をはかるべきと考える次第でございます。  以上をもって、まことに簡単でありますが、附帯決議の趣旨の説明といたします。何とぞ御賛成あらんことを希望申し上げます。
  64. 山中貞則

    山中委員長 ただいま原田憲君より、本案に対し自由民主党、日本社会党、民主社会党三党共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されましたので、本動議について議事を進めます。  おはかりいたします。  原田憲君提出の動議のごとくに決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 山中貞則

    山中委員長 御異議なしと認めます。よって、原田憲君提出の動議のごとく附帯決議を付するに決しました。  ただいまの附帯決議について、大蔵大臣より発言を求められておりますので、これを許します。田中大蔵大臣
  66. 田中角榮

    田中国務大臣 ただいま付されました附帯決議の趣旨を十分尊重し、すみやかに善処いたしたいと存じます。
  67. 山中貞則

    山中委員長 おはかりいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 山中貞則

    山中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。   〔報告書は附録に掲載〕
  69. 山中貞則

    山中委員長 次会は、来たる二十三日午前十時より理事会、十一時より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時二十二分散会