○泉政府
委員 最初の調査の事前通知とか、あるいは更正決定の通知の問題からお答え申し上げたいと存じますが、試査の事前通知につきましては、御
承知のように現在規定がございまして、納税者に通知する場合におきましては、それに関与しておられる税理士の方にも通知するということになっておるわけでございます。この点につきましては、査察とかそのほか脱税等のこと、あるいは令状をもらって行くまでに至らないけれ
ども、非常に脱税の疑いの濃い場合、こういう場合にまで通知することはできかねるのでございますけれ
ども、しかしそういった場合以外の場合におきましては、できるだけその事前通知を励行することが望ましいと
考えられておるのでございます。現在の段階におきましては、そういう点でむしろこの規定が税務署あるいは国税局によりまして、必ずしも統一的に行なわれておらないという点が問題でございますので、その点は国税庁のほうにおきまして、実行問題としてこの励行をはかるようにしていただくことがまず先決問題ではないか。今回の
改正におきましては、先ほど申し上げましたように、税理士の独占業務として
対象になる税目を広げたことに伴いまして、調査の事前通知を行なう税目の
対象も同様に広げたわけでございますが、
制度といたしましては、今後の実行によってその点がさらに
改善され、その
改善のぐあいを
考えまして、今後
制度的に相当検討すべき点があれば検討いたしたい、かように
考えるのでございます。
なお更正決定の通知の問題につきましても、本人に通知するだけでなしに、代理人たる税理士の方に通知したらどうか。まことにごもっともの御意見でございますが、更正決定通知の効力の問題等もからんでおりますので、代理人だけ通知するという、御
承知のように弁護士の場合におきましては、弁護士の方だけに通知することによって効力発生ということになっておりますが、これらの点は、弁護士の場合には訴訟遂行という点で特殊の性格を持っております。税務の場合に、代理権を尊重するというたてまえはけっこうでございますが、どの範囲まで行なうべきかということにつきましてはなお問題がございますので、今後検討をいたしたいと
考える次第でございます。
それから中小業者の税務の問題が今日の税務行政の上において大きな問題になっておりますことは御
承知のとおりでございます。この問題はどちらかというと、国税庁のほうでお答えいただいたほうが適当かと存じますが、
制度の問題として私のほうから申し上げますと、
お話のように、中小企業の場合の税務行政の問題につきましては、まず第一には
税制がもっと簡素な、わかりやすいものになって、中小企業の方も
税法がわかるというような
方向に
税制そのものを持っていく、これが基本であろうと存じます。先般も申し上げましたように、次の通常国会におきましては、法人
税法及び
所得税法の全文
改正を行ないまして、いまのわかりにくい
税法をわかりやすいものにいたしたい、そのような
努力をいたしたいと
考えておるのでございます。
それから
税理士法といたしましては、
お話のように従来臨時税理士の
制度がございまして、これにつきましてはいろいろ御意見のあるところでございますけれ
ども、先ほど
お話がございましたように、納税者で所得の少ない人は税の知識も乏しければ、また税理士の方に
お願いしてそれだけの報酬を払うだけの力もないという人もおられるわけでございます。これらの点につきましては、
お話がございましたように、毎年
所得税の申告納税の時期におきましては、税理士会の方に無料で奉仕をしていただきまして、おかげをもちまして申告納税の適切な運営がはかられておるわけでございます。今後ともそういった
制度を続けていただきますとともに、また市町村役場、農業会等におきまして、そういった臨時税理士の
制度で申告納税の運営を助けていただく。これはぜひ必要であろうと思うのでございます。そういうことによって、
お話がございましたように、民主商工会などのような反税的な運動を押え、そして税務行政が円滑に運営されていくということになるものと
考えておる次第でございます。