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1964-05-29 第46回国会 衆議院 大蔵委員会 第46号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年五月二十九日(金曜日)    午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 山中 貞則君    理事 金子 一平君 理事 藤井 勝志君    理事 坊  秀男君 理事 吉田 重延君    理事 有馬 輝武君 理事 堀  昌雄君    理事 武藤 山治君       天野 公義君    岩動 道行君       宇都宮徳馬君    大泉 寛三君       木村 剛輔君    木村武千代君       小山 省二君    砂田 重民君       田澤 吉郎君    谷川 和穗君       濱田 幸雄君    福田 繁芳君       渡辺美智雄君    卜部 政巳君       岡  良一君    小松  幹君       佐藤觀次郎君    田中 武夫君       只松 祐治君    日野 吉夫君       平林  剛君    竹本 孫一君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 田中 角榮君  出席政府委員         大蔵政務次官  纐纈 彌三君         大蔵事務官         (主計局給与課         長)      平井 廸郎君         大蔵事務官         (関税局長)  佐々木庸一君         大蔵事務官         (銀行局長)  高橋 俊英君         運輸事務官         (自動車局参事         官)      増川 遼三君  委員外出席者         総理府事務官         (行政管理庁行         政管理局審議         官)      松本 操一君         外務事務官         (条約局国際協         定課長)    徳久  茂君         大蔵事務官         (大臣官房財務         調査官)    村井 七郎君         通商産業事務官         (通商局輸出振         興部為替金融課         長)      江口 裕通君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律  案(内閣提出第一七一号)  国家公務員共済組合法長期給付に関する施行  法等の一部を改正する法律案内閣提出第一二  四号)  公認会計士特例試験等に関する法律案内閣提  出第一五五号)  税理士法の一部を改正する法律案内閣提出第  一五七号)  自家用自動車の一時輸入に関する通関条約の実  施に伴う関税法等特例に関する法律案内閣  提出第一四〇号)(参議院送付)  国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律  案(安宅常彦君外九名提出衆法第五号)      ————◇—————
  2. 山中貞則

    山中委員長 これより会議を開きます。  参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  金融及び証券に関する小委員会において、来たる六月三日、歩積み荷建て問題について、日本勧業銀行、住友銀行、富士銀行、三菱銀行及び三和銀行のそれぞれの代表者参考人として出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山中貞則

    山中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  4. 山中貞則

    山中委員長 国家公務員共済組合法長期給付に関する施行法等の一部を改正する法律案国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案公認会計士特例試験等に関する法律案税理士法の一部を改正する法律案自家用自動車の一時輸入に関する通関条約の実施に伴う関税法等特例に関する法律案及び安宅常彦君外九名提出国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律案の各案を一括議題といたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。堀昌雄君。
  5. 堀昌雄

    堀委員 実はこの間この問題の論議をいたしております際に、常勤的非常勤職員の問題については、昭和三十六年に行政管理庁方針のもとに定員化が行なわれて、その中で福利厚生施設に勤務をしておる者につきましては、定員化から除外をされておるということを大蔵省給与課長のほうから答弁をいたしましたので、ちょっとこの問題について少し論議をいたしておきたいと思います。  まず最初に行政管理庁にお伺いをいたしますけれども、国家行政組織法第十九条の「各行政機関所掌事務を遂行するために恒常的に置く必要がある職に充てるべき常勤職員定員は、法律でこれを定める。」こういうふうになっておりますね。そこで「各行政機関所掌事務を遂行するために恒常的に置く必要がある職」の問題はわかりますけれども、そうするとそういう恒常的に人を充てるための職というものと、その職を構成する機関といいますか、そういう機関との関係というものは一体どうなっているのか。そこで恒常的な職員定員化をされておる者の属しておるものは、これはもう明らかに国家機関という概念の中に入っていると思いますが、定員外に出したところの福利厚生施設職員の中にいますでに現在でも定員内と外とがあるわけですが、定員外に出した者が属しておる機関というのは、一体国家の機関なのか、私的な機関なのかという問題が、この法律をまともに解釈すれば出てくるわけですね。「各行政機関所掌事務を遂行するために恒常的に置く必要がある職に充てるべき常勤職員定員は、法律でこれを定める。」こう規定しておるわけですから、もしそこで定員外の者だけでそれを構成しようという機関があるとすれば、それは国家機関ではない、私的な機関である、こういうことにこの法律から理解が生じてくると思うのですが、行政管理庁としてはどういう理解をしておられるか、お伺いをいたします。
  6. 松本操一

    松本説明員 ただいまのお尋ねにつきましては、機関と職という関係をはっきりする必要があると思います。この職というのは非常にわかりにくいようでございますが、結局国が行なうところの仕事をやるにつきまして、いわゆる組織を構成するところの一番小さな細胞と申しますか、それは自然人である個人を充てるべき職ということで、組織細胞というふうにお考えいただくと御理解いただけるのではないかと思います。職というのはどこまでも組織の分子であるということでございまして、定員というのは自然人と関連した人の数というふうにお考えいただけばいいんじゃないかと思います。したがいまして、国が行なうべき仕事というものを行政機関がやっておる、その機関を構成するところの職というのには——これは「恒常的に貫く必要がある職」というのは、一人が担当する仕事が相当継続して一年以上ということだと大体御理解いただければいいと思いますが、継続してその仕事があるということと、いま一つは、その仕事をするのについて恒常的につとめる職員といいますか、常勤職員をもって必要に充てるもの、そういうものを定員と言っているわけです。したがいまして、行政機関仕事を行なうにつきまして、いわゆる定員内職員でやるべき仕事定員外職員——これは常勤労務者とか非常勤職員、そういうものでやる仕事もあるわけです。この定員規制対象になっておりますのは「恒常的に置く必要がある職」であって、同時にその仕事をするにつきまして常勤職員をもって充てる必要がある職ということでございます。したがいまして非常勤職員がやっている仕事は国の仕事でないというわけにはいかないわけです。これはやはりどこまでも行政機関仕事であります。
  7. 堀昌雄

    堀委員 いまのお話のように、職というのはその機関細胞だということは、それで私は正しいと思います。ところがその細胞が全部ガン細胞であったとするならば、要するにその組織自体ガンなんです。健康な細胞と多少ガン細胞がまじっていても、健康な細胞のほうが多くてガン細胞が少なければ、まだ個体は生きていられるから、それはそのままもってガン組織だとは言わないのですけれども、私がいま伺いたいことは、要するに非常勤職員によってほとんど占められておるような場合ですね。ここに福利厚生施設に勤務する技能員、こういうかっこうのあれになっておりますが、一つ福利厚生施設という機関を出した場合、その中の細胞としての職は、そういう中におけるごく一部分非常勤であって、その他は全部非常勤職員といっても実質的には常勤的非常勤職員になっておりますけれども、あと定員化されておるという実情なんでしょうか。その点をちょっと明らかにしておいていただきたい。
  8. 松本操一

    松本説明員 いまのはたとえば診療所のような機関をお考えのような気がいたしますが、その例をとって言いますと、この診療所という組織、それを動かすための人がおるわけですが、その動かす人の中には、常勤的な職員をもって充てるべきものと、それから臨時的というか、非常勤職員でも差しつかえないというものとがあると思います。その常勤的な人をもって充てなければできない仕事であって、それがしかも一年以上継続して続きました場合に定員対象として規制するという必要が生ずるのだと思います。そういう意味では、一つの国の仕事をやるのにつきまして組織がある。その組織を動かすのにつきまして、常勤職員、いわゆる定員職員と、定員対象外非常勤職員でやる仕事、こういう二つのものが中に含まれている、こういうふうにお考えいただきたいと思います。
  9. 堀昌雄

    堀委員 そのことは、よくわかっているのです。だからたとえば一つ診療所を例にとりますと、診療所というのは何で構成されるかというと、診療所長及び診療に従事する医師診療の補助に従事する看護婦及び事務員、あるいは使丁その他掃除婦等の者というかっこうで大体構成されておるわけですね。その場合に診療所長定員職員であるけれども、当直その他の関係のためにそこに医師臨時的な非常勤職員としている。あとはそこの診療所は少なくとも常時三名の看護婦を必要とする。そうするとその看護婦の三名は定員である。ところが看農婦はやはり場合によっては休暇をとったりいろいろするために、休暇その他のそういう人的な変化に充てるために、そこに臨時的な非常勤職員というものが一名なり幾らなりプラスしておる、こういう形で構成している福利施設における一部の非常勤職員というものを定員から排除したというのならば、これは私はわかるわけです。ところが私はこれまでいろいろ話を伺った経緯で感じておるのは、どうもそうではなくて、ある診療所なら診療所、寮なら寮については、そこに常置する者を福利厚生施設職員という抽象的一つ概念かなんかで判断をして、そしてそれがたとえ寮母であっても、いまの私に言わせれば、十九条の「各行政機関所掌事務を遂行するために恒常的に置く必要がある職に充てるべき常勤職員」ということに該当するのではないか。だから国家行政組織法十九条で言っておることと実態との間にやや開きが生じてきておるのではないかという感じがするわけですが、この福利厚生施設職員定員から除かれた主たるものは、私が前段に言ったように、定員外でその補助的なものとしてあったからその部分について除いたのか。そうではなくて、福利厚生施設というかっこう診療所長以下全部が常勤的職員というかっこうで取り除かれたのか、その点をちょっと明らかにしてもらいたい。
  10. 松本操一

    松本説明員 定員の観念ですが、十九条の定員の中には三つ要素があると思うのです。一つは国の仕事をみずからするのだということがある。それからそれを恒常的に置く必要がある職、一年以上その職が続くんだということ。それからその職を遂行するのには、常勤職員をもって充てぬと運営がうまくいかない。この三つ要素を備えたものについては定員規制をするという考え方だと思うのです。それで仕事をするのについて、いろいろな人があることはいまのお説のとおりです。今度定員化の問題につきまして調査いたした場合におきましても、大体診療所長なんというのは、これは定員内に現在入っているのが普通だと思うのです。例外がたまたまあるかもわかりませんけれども、大体入っていると思う。それから基幹的なものについて、ある程度定員内に入っているものもあることも事実だと思うのです。今度調査いたします場合に、それは一体国がみずからやる仕事かどうか。診療所ということになると割合に問題が複雑になりますので簡単な例を申し上げますと、たとえば職員寮にもいろいろございまして、業務とは直接関係のない職員寮、出張の際の宿泊のための職員寮というようなものもあるわけでございます。こういうものについては、一体国がみずからやるところの福利厚生施設事務として適当かどうかという問題があるわけでございまして、これはやり方がいろいろあるわけです。請負に出す方法もありますし、組合でやる方法もありますし、みずから経営するという方法もある。そういう点もございますので、今度しましたのは、定員に繰り入れられてないものにつきまして全部見たということでございます。したがいまして、その中にいまの診療所というものをあげました場合に、定員に繰り入れたほうがいいのではないかという人があったことは事実でございます。それでそれを入れるかどうかにつきましては、これはいまの国の事業としてどこまで認めるかという非常にむずかしい定義がございます。基準を立てる上にむずかしい定義があるのと、それであまり、何といいますか、生硬な基準によってやった場合には、職員の処遇その他についてもいろいろの問題が出てくるのではないか。そんな関係大蔵省とも御相談いたしまして、この際は見送ったわけでございます。したがいまして、その見送られたものの中に、定員に繰り入れたらいいんじゃないかというようなものが一部残っておることは事実と思います。その点でやや不明確になっている点が残っておるということは先生のおっしゃるとおりだと思います。
  11. 堀昌雄

    堀委員 ちょっと政務次官にお伺いいたしますが、実は今度の共済組合法をいろいろ論議している中で、一般的に国の法律——使用者側ですからね、国が。その使用者側に立っての判断が多くて、被使用者側の立場に立っておる点がやや不十分だということは、これまでいろいろな共済組合適用取り扱い等臨時職員非常勤職員等の問題で論議をしてきたわけですが、私は、やはり公務員——それはスタイルがいろいろありましょうけれども、少なくとも公務員という判断で働いておる人たち、同じような状態で各省にわたっておるときに、片方の者が定員の中で完全に国家公務員として認められ、片方の者は同じ仕事に従事していて定員外で、たまたまそのときに定員外に残っておったために定員外になって処理をされるということは、国の行政というものは、私はやはり権衡が非常に重要だと思いますので、その点について権衡をとるということになりますと、やはり定員外のほうを定員のほうにそろえるのが権衡をとるという方向になるのではないかと私は思います。  そこで二点、そういう場合には権衡をとる必要があると考えるかどうか、権衡をとる必要があるとすれば、それは定員化方向において権衡をとるということが正しいのではないか、こう思いますが、ひとつ大蔵省としての見解を伺いたい。
  12. 纐纈彌三

    纐纈政府委員 いままでいろいろ論議されました状況から判断しましても、いま堀委員お話になりましたように、不合理の点は確かにあることは私も認めております。ただ役所の仕事関係がございますので、これは各関係省庁との均衡をとるということも非常に必要なことでございますが、省々によりましては非常に違うところも相当ある。この前もちょっと申し上げましたように、いわゆる現業所と言いますか、事業所というところは仕事分量の多少によりまして相当変わってくる、そういうようなことで実際に仕事内容でいけば、常勤でやるべきものであっても、その事業分量によってそういう差が出るというようなことで、お説のような不合理が非常にできておると思います。でありますから私のほうといたしましては、これはさらに検討して、そういうような不均衡、不合理の点は是正しなければならぬと思います。それで林野庁の問題なんかにも相当まだ問題も残っておるようでございまするし、またいままで指摘されました農林省関係問題——林野庁もそうでありますが、非常に問題がある。要するに現業省のほうに非常にそういう問題があると思いますから、こういう問題はひとつ十分行政管理庁のほうとも検討しまして、当然不合理は是正し、また均衡を保つという方針でもって、この問題は解決していかなければならぬのではないか、こういうふうに考えております。
  13. 堀昌雄

    堀委員 大体政務次官の御答弁で私も同感でありますが、要するに、いま私が特に触れておりますのは、福利厚生施設に勤めておる人の問題ですね。これがこの間三十六年の定員化の際に、定員の外に置かれた者がかなりあるわけですから、これについては閣議申し合わせ決定にしろ、やはり現在常勤職員給与が与えられておる定員外職員というものが現実にあるわけですね。ですから、少なくとも常勤職員給与歳出予算の中で認めておる者については、これは論理的に言っても、定員の中に認めてもいいのじゃないか、こういうふうな判断をするわけです、この閣議決定内容を読んでみると。ですから、そこらについて私、やや不合理な点がある感じがします。これはもちろん業態がいろいろでしょうから、私の言っているのは、同じ業態権衡をとらないと、たとえば診療所一つとりましても、診療所の中にもいろいろな——たとえば山奥で、ある一部の者がおって、付近に診療所がないから、臨時事業診療所をつくるというところがあれば、これは非常に特例的な問題ですから別になりますけれども、一般論として、右と左を並べて寮なら寮でも、片方省庁定員の中に入っている。こっち側は依然として、たまたま三十六年の二月二十八日当特定員外にあったために、この閣議決定申し合わせによって定員の外になっておるというのが事実あるかどうか、これは調べていただかないとわかりませんから、この点についてはいまの福利厚生施設職員実態、それから業態等について、おおむね権衡をとっておりながら、ところが定員の面では片方定員の中であり、片方定員の外であるという措置は、私はいまの政務次官のお答えのように、やはり不合理だと思いますので、合理的な方向に整えられるような努力が今後も続けられていいのではないか、そういう判断をいたしますので、その点、行政管理庁のほうで調査をしていただいて、その後大蔵省と話し合いをしていただいて、私の意のあるところについて、ひとつ善処をしていただきたい、こういうふうに思いますけれども、いかがでございましょうか。
  14. 松本操一

    松本説明員 ただいまの福利厚生職員各省を通じての実態というものを、現在私のほうでまとまったものを持っておりません。各省とも連絡いたしまして、その実態を一応調査してみたいと思います。速急にというわけには参りませんが、御趣旨の線に沿って実態だけでも調べて、その上で考えたいと思っております。
  15. 堀昌雄

    堀委員 御調査いただくそうですから、次の通常国会で私もう一ぺんこの問題を論議いたしますから、ひとつ一年間の間に調査を終わって、大蔵省側折衝等もしていただいて、何らかの回答が、次の通常国会において当委員会で表明していただけるような措置をお願いしておきたいと思います。  政務次官、いかがでしょうか。そういうことで大蔵省側としても御協力をいただけますか。
  16. 纐纈彌三

    纐纈政府委員 先ほども申しましたように、行政管理庁十分調査をいたしまして、それによって大蔵省のほうへ当然最後の相談はあるでございましょうから、その際において、できる点につきましては、これは実現するように努力すべきものであるというふうなことに考えております。
  17. 堀昌雄

    堀委員 これで一応私のこの件に関する質問を終わります。
  18. 山中貞則

  19. 卜部政巳

    卜部委員 自家用自動車の件につきまして質問をいたしたいと思います。  そこで若干この問題の核心に触れないところの質問を行ないますが、これは後刻の質問との関連もありますので、回答をお願いいたしたいと思いますが、現在輸入をされておる自動車完成品部分品に対する関税率についてお伺いをしたいと思います。部品は代表的な種目をあげて答えていただきたいと思います。
  20. 佐々木庸一

    佐々木政府委員 自動車に対します関税率についてでありますが、大型自動車に対しましては、関税率は四〇%になっております。これはホイール・ベースで来ると思いますが、中型、小型のものにつきましては三〇%、なおガット規定によりまして、協定税率は、ガット加盟国に対します税率は、大型のものにつきまして三五%になっております。シャシーにつきましては三〇%、車体につきましても三〇%、その他おおむね三〇%ということであります。
  21. 卜部政巳

    卜部委員 シャシーだとかそういうふうなあれしかないのですか、まだ具体的にエンジン部分だとかそういうふうなものはございませんか。
  22. 佐々木庸一

    佐々木政府委員 エンジンも三〇%でございます。
  23. 卜部政巳

    卜部委員 そうすると、完成された自動車については四〇%、部品については三〇%、大体こういうふうに理解してよろしいわけですか。
  24. 佐々木庸一

    佐々木政府委員 大体そういうことでございます。ただ大型自動車につきまして、先ほど補足いたしましたように三五%という協定税率がございます。
  25. 卜部政巳

    卜部委員 それはわかりました。ではそのことを頭に入れながら質問をいたしたいと思いますが、この中にあります部品ですね、これについては物品税がかからない、こうなっておるわけですが、一時輸入部品はどの程度認めるか、この点は明らかになっておりますか。
  26. 佐々木庸一

    佐々木政府委員 通常観光旅行に必要と認められる程度となっております。
  27. 卜部政巳

    卜部委員 ただそういう常識程度のものであって、制限等については明確な規定がない、こういうことでございますか。
  28. 佐々木庸一

    佐々木政府委員 条約規定はございませんが、税関において、これは商業上に達するものではないかと認められますような場合においては、適用を除外することを考慮すると考えております。
  29. 卜部政巳

    卜部委員 たとえばスプリングのような場合、これは容易に折れるということはないのですけれども、もし折れた場合に部分品がない、こういう関係から、スプリングは必要欠くべからざるものだという名目のもとに入れるということはできるわけですか。
  30. 佐々木庸一

    佐々木政府委員 条約定義によりますと、自動車とともに輸入される場合におけるその部分品並びに通常付属品及び備品と書いておりますので、入る場合もあると考えます。
  31. 卜部政巳

    卜部委員 入る場合があるということでなくて、入る可能性はあるわけですね。——ああそうですか、ではわかりました。  続いて質問いたしますが、これは悪意に解釈するということは——あるいはひねくれておるということになるかとも思いますが、現実の問題として、自動車の部門、その中で、今度の改正の中にもありますように、事故により損傷をした場合には軽減をする、こういうかっこうになりますね。そうすると、スプリングが折れたという場合には、やはり損傷と見るべきだと思うのですが、その点はどうでしょう。
  32. 佐々木庸一

    佐々木政府委員 普通損傷であろうと思います。
  33. 卜部政巳

    卜部委員 そうすると、自動車が、いま言うように、部品を持ってきておる、また当然日本の有名な道の悪さ、こういうものを条件として、スプリングを破損をした、こういうことから持ってきたそのスプリングを取りかえるということは、これは用意ですから、用意の場合にはこれを軽減することができるということが想定できますね。もう少しことばを平たく言うならば、これは悪意によって行なおうとするならば、このスプリング部品として持ってくる。それでもって、スプリングが折れたということをもって申請をする。そうすると、これは損傷としての軽減がされる。しかしながら、そのスプリングを取りかえることによって完全なる完成品になる。それを譲渡するというかっこうはできるということですね。そういう危険性も考えられるということですね、いまの局長のあれからすれば。
  34. 佐々木庸一

    佐々木政府委員 私どもの考えは、折れましたスプリング、はずされましたスプリング損傷品でございますが、スプリングを取りかえました自動車自体は損傷品でないと考えます。
  35. 卜部政巳

    卜部委員 そうすると事故による損傷というものはだれが判断するのですか。事故による損傷があった場合というのですが、だれが判定をするのですか。
  36. 佐々木庸一

    佐々木政府委員 税関長でございます。
  37. 卜部政巳

    卜部委員 税関長がその判断をするのですか。税関長が一々その判断をしていく。そんなことはないんじゃないですか。それでいいんですか。税関長が判断するということであれば、それでもいいのですよ。
  38. 佐々木庸一

    佐々木政府委員 あまりに簡単に申し上げましたが、事故があったかどうかというような事態は、場合によりましては、税関の手の及ばないところ等で起きる場合もありましょうから、それは警察等の適当な機関に依頼して判定してもらうことがあると思います。事故のありました車につきまして、関税を免税するかどうかは税関の判断になります。
  39. 卜部政巳

    卜部委員 そうすると、その事故の判断はだれがやるのですか。
  40. 佐々木庸一

    佐々木政府委員 事実として事故が起きたかどうか適当な官署の証明をもらうつもりでございます。ないしは税関が直接行なうこともあります。そのあった事故というものに基づいて関税を軽減すべきかどうかというところは税関が判断すべきものと考えます。
  41. 卜部政巳

    卜部委員 そうすると、自家用自動車の一時輸入に関する通関条約というものは、いろいろとわずらわしい手続を避けるために一応こういうものをつくったという趣旨になっておりますね。それを一々税関が——たとえば現地における警察官が立ち会った。それでその立ち会った内容が警察官の判断ではつきかねる。いわゆる損傷であるかどうか、さらにこれを軽減するかどうかということは判断つきかねるということになりますと、税関が出張——出張というのはおかしいですが、そこへ出向いてきて、それで調べて、それから長時間かかって認定をする、こういう形になるのですか。手続はどういうふうになりますか。
  42. 佐々木庸一

    佐々木政府委員 この条約への加入及びこれに付属します、お願いしております特例法でねらっております簡素化は、輸入するときの手続の簡素化であることは御承知のとおりです。これは現行におきますると、担保の提供を求めましたり、保証状の提供を求めましたり、輸入ライセンスの取得を要求いたしましたり、相当時間がかかることになっております。御指摘の場合は、事故が起きました特別の場合でございますが、その特別の場合、初めの条件であった自動車は再輸出しますということがかなえられなくなったような事情が生じるわけでございますが、その処理の問題でございますので、これまでを非常に簡素化するというわけにはいくまいかと考える次第でございます。もちろん事務は迅速にやらなければならぬと思いますけれども、確実に実行し得るような手続を踏まなければならぬと考える次第でございます。
  43. 卜部政巳

    卜部委員 この手続の問題はわかりましたが、ここにあります事故が発生をして損傷を云々というこの問題がまだはっきりとしないわけです。事故が発生をして損傷を受ける、こういうことでなくてはならないのであって、故意に傷つけたりなんかした場合には、これは問題にならないと思うのですが、この点はどうですか。故意に傷をつけたりなんかするということは、これはいけないわけでしょう。そうするとこの事故の判断、事故が発生をしたということはだれかが立ち会わねばいかぬのでしょう。これはだれか立ち会うのですか。
  44. 佐々木庸一

    佐々木政府委員 仕事の性質上の責任のあるのは税関でございますけれども、たとえば旅行者がずっと奥地のほうに入っていったというような場合には、警察等に依頼するつもりでございます。
  45. 卜部政巳

    卜部委員 そうすると、警察に依頼をするということはわかりますが、そうなりますと、そういう事故の証明がない限りは、いかに損傷をしても損傷とみなさない、いわゆる軽減は行なわない、こういうことで理解をしてよろしゅうございますか。
  46. 佐々木庸一

    佐々木政府委員 事実につきまして免税ないしは減税の理由に該当する事実が的確に証明されません場合においては、免税や減税は行ないがたいと考えます。
  47. 卜部政巳

    卜部委員 そうすると、率直に申し上げて、警察官なら警察官が立ち会って事故が発生したということが証明されない限りはだめだ、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  48. 佐々木庸一

    佐々木政府委員 具体的な場合がいろいろありましょうけれども、大筋は先生のお話しなされたとおりと考えます。
  49. 卜部政巳

    卜部委員 しかしながら大筋とか八筋とかいう問題ではなくて、実際問題としてそういうことができますか。たとえていうと、できますかということばのあとが続いてまいりませんが、率直に言って、事故が発生をする、警察官が派遣をされるという以外に、事故などというものは、私は多々あると思うのです。そうすると、本人の申告などというものが私は性質として当然出てくるものもあるだろうと思います。それは小筋のほうに入る、だからこれは、大筋はそうであるけれども、小筋のほうはそういう場合もあり得るということでありましたならば、いわゆる範囲そのものが拡大をされてしまう結果になるわけですが、その点の明確なところは、大筋ではなくて、だめならだめ、こういう点をはっきりしていただきたいと思います。そういう立ち会ったもの以外のものは事故としてみなさない、損傷としてみなさない、さらに軽減対象として見ない、こういう点、大筋とかいうことではなくて明確にしてもらいたい。
  50. 佐々木庸一

    佐々木政府委員 条約のほうの第十三条、法律のほうでは第五条に輸入税の軽減等の規定を定めてございますが、基準となる条約の十三条の規定は「著しく損傷を受けた車両は、その損傷が確認された事故によもるのである場合には、」「再輸出の義務にかかわらず、再輸出を要求されないものとする。」ということになっております。つまり著しく損傷を受け、その損傷が確認された事故による場合、こうなっておりますので、確認されないような場合においては条件ないしは義務の免除というものは行なえないと考えます。
  51. 卜部政巳

    卜部委員 著しく損傷を受けた場合ということになりますと、これは法案にありますように廃棄処分にせざるを得ないわけですね。ポンコツみたいになるわけでしょう。そうすると税金はつかないわけです。軽減よりも免税になるわけです。損傷という限りは、軽減される以上は、まだ使える、そういう条件が成り立っていると思うのです。だからいまの局長の答弁の中にあります軽減をされる著しいという範囲はどの程度でしょうか。この点をひとつお伺いをしたい。
  52. 佐々木庸一

    佐々木政府委員 著しいということを、具体的にどの程度が著しいというふうにお話しすることは少し困難でございます。いずれにしろ、これが再輸出義務を免除し、しかも税をとらないでこれをやらすかどうかというようなことは税関がきめることにしております。税関の考え方と申しますのは、関税法その他にきめられております基本は、物が入ってきましたときの形で税金をとるというのが本則になっておりますから、通常の場合におきましては、保税、許可前引き取りその他によりまして税金を納めますことをあと回しにいたしまして、物が引き取られました際、その物があと損傷があったという場合でも、物が初め輸入されました状態において課税することを原則としております。税関の元来の考え方はそうでございますから、この五条ないしは条約の十三条の適用等が非常にゆるくなることはまず考えられないと思っておるところでございます。税関のほうで、どうしても持って出るのにはぐあいが悪い程度にまで損傷を受けました場合にだけ、輸入税の軽減等の規定を働かすことになろうと考えておる次第でございます。
  53. 卜部政巳

    卜部委員 通関条約の十三条というのは、これは損傷が確認された事故によるものは再輸出に対する義務は履行すべきことを要しない、こういうかっこうですね。そういうかっこうになると、それはいうなればこの法律の中にありますように廃棄処分というようなことも考慮された一つの問題だと思うのですね。ただその中で、ここにある五条というのは、政令で定めるところに従い、さらに関税定率法の第十条の規定により軽減をすることができる、こういうふうにあるわけですね。ですから、その点がちょっと五条の問題については問題があるのじゃないか。たとえばいま言うように、著しく、いわゆる破損したということになりますと、さっき私が申し上げたように、もうポンコツなんですから、くず鉄でしかないのですから、それを軽減するということではなくて、これは免税すべき筋合いのものではないか。だから、その点のいわゆる著しいというのがどこら辺なのか、私はこの五条で実は疑問を持っているわけなんです。だから、その点について税関がそれを云々ということになりますが、そうすると、それはあくまでもまだ直せば使い得るものについては軽減をするという考え方ですか。もう全然使えないものはポンコツにし、さらに使えるものはこの五条を適用する、こういうことでございますか。五条と十三条との関連が違うと私は思うのですが、どうでしょうか。
  54. 佐々木庸一

    佐々木政府委員 いま考えておりますところは、使用し得るものは再輸出義務を免除するつもりはございません。したがってまた再輸出できるものが再輸出されない場合に徴収いたします輸入税等は規定どおりに取り立てるつもりでございます。
  55. 卜部政巳

    卜部委員 では、ちょっと角度を変えて質問いたしますが、加盟国の状態はどういうふうになっておりましょうか。十三条はわかりますよ。だけれども、日本の場合は五条を適用しているわけです。加盟国のこの十三条に対する法律といいますか、そういう規定は国内ではどういうふうにやっておりますか。
  56. 徳久茂

    ○徳久説明員 いまの御質問の加盟国、非常にたくさんございますが、各国で実際上この十三条の措置をどういうふうにとっているか、各国について調べたことは実はございません。ただ十二条の趣旨から申しまして、その当該の車を修理して持って帰る、あるいはその車を運賃をかけて持って帰るというようなことをした場合には、利用者にとって非常に不利になる。ほぼその車が使いものにならない、あるいはスクラップに近いというような状態の場合には再輸出を要求しないというのが各国の慣行であろう、そういうふうに推測いたしております。
  57. 卜部政巳

    卜部委員 加盟国は多数あるということなんですが、まず前段として、何カ国あるわけですか。それと、推測ということを言われたのですが、ただ推測の域を出ないものかどうか。確たるあれは持っていないわけですか。その二点を質問いたしたいと思います。
  58. 徳久茂

    ○徳久説明員 現在通関条約の加盟国は四十七カ国でございます。  それから、いま推測と申し上げたわけでございますが、この条約の起草段階でのいろいろな審議に徴しまして、私がいま申し上げたような趣旨と考えているわけでございます。
  59. 卜部政巳

    卜部委員 私はなぜこういう質問をするかといいますと、欧州とは異なって、日本の場合には海に囲まれておる。こういうことと、これは速記録に載せていいかどうかわかりませんが、オリンピックの費用かせぎ、いうなればそういうかっこうの中で持ち込まれてくる危険性が多分にあるのではないか。持って帰るよりも売りさばかれていく危険性のほうが多いのではないか、こういうふうに考えます。これは御承知かと思いますが、サンフランシスコから米大陸を横断するような自動車、これなんかは目的地に着いたらもう廃棄処分にするというような、こういう豪勢なことをやっておる国もあるわけですから、ですから日本の悪い道路だとかさらには、長距離を乗り回しましたら、いずれこの損傷だとかいうような名目をつけて、それで軽減をし、かつまた、先ほど申し上げたようにスプリングあたりを直してそれで完成品として売っていくということになりますと、これは結果的には、結果的というよりも、オリンピックの旅費くらいはそこから出るなんというような連中がかなりおるのではないか。これは速記のほうは委員長のほうで判断をして、適当でないと思えば消していただきたいと思いますが、そういうようなことの危険性を感ずるがゆえにもっと厳しくしてもいいんじゃないか。  たまたま大臣がおられますので、ちょっと質問をしてみたいと思いますが、イギリスあたりでは旅行者が、大臣も経験されたと思いますが、キャノンとかニコンを持っていきますと無条件に一〇%かけられますね。これは新しい年代の写真機を持っていきますと、旅行者が持っておっても無条件でかけます。キャノンといういわゆる写真機に対して関税をかけてくるわけです。一〇%はかけてくると思います。そういうふうなことがありまして、今日のこの自動車の問題につきましては、率直にいって私は日本の技術そのものが、大臣はえらい高度成長のことからいろいろと言われますけれども、決して私はこの自動車のほうは群を抜いて技術がまさっておるというふうには考えておりません。イギリスにおいては、そういうかっこうでキャノンなんかが入ってきて市場を撹乱されたらいかぬというかっこうで、関税を、恐怖を感ずるものに対してはどんどん課税していくわけでしょう。でありますから、こういうような自動車の場合においては日本も防衛策というものも私は考慮していかなければならぬのではないかと思いますが、その点は私の危惧でしょうかどうでしょうか、ひとつ大臣にお伺いをしたいと思います。
  60. 田中角榮

    田中国務大臣 来てみなければわからないことでございますが、それは危惧だけではないかもわかりません。非常にたくさんくるわけでありますし、それから車はわれわれが写真機を持つというくらいに生活の必需品で、旅行の場合には必ずこれがついて回る。こういう状態の人たちがきたときに、悪意でもってどうしようというようなことはないと思いますが、いずれにしてもこの程度使ったものを持ち帰ってもしょうがないからというようなことはあり得ると思います。イギリスなどがいろいろなものにかけるといいますが、これは新しいものを持っていっても、使っておるものには税金をかけるというようなことはないわけです。
  61. 卜部政巳

    卜部委員 使っているものでもかけますよ。それは大臣経験ないですか。キャノン持っていったらかけますよ。これは無条件です。
  62. 田中角榮

    田中国務大臣 関税局長の話では、新しいものを持っていけばかけるのですが、使ったものはかけぬというのがほんとうだそうであります。こまかい問題はまた関税局長から……。
  63. 卜部政巳

    卜部委員 それはちょっと認識不足じゃないかと思うのです。これはキャノンという写真機を使っておろうが使っていまいが、売りさばかれるという危険性があるのかどうか知りませんけれども、一〇%無条件でかけてきますよ。知らないですか、局長は。
  64. 佐々木庸一

    佐々木政府委員 私が経験しましたところではかけられませんでした。キャノンじゃなかったせい。安いせいかもしれません。なお観光客に関する通関についての条約では、そういうものについては税をかけないということになっております。観光客が自分で使うもので、人にやるものでありませんで、自分で使うもので持ってきましたものについては税金をかけないことになっておりまして、その条約は観光旅行のための通関上の便宜供与に関する条約ということになっております。
  65. 卜部政巳

    卜部委員 ではそういう事実がありましたら、やはり大臣、イギリスに抗議をいたしますか。いまのような条約があるのですから……。
  66. 田中角榮

    田中国務大臣 そういうことはないのが原則だと言っておるのですから、あれば内容を十分取り調べましてしかるべくということだと思います。
  67. 卜部政巳

    卜部委員 この問題とえらい脱線をして恐縮でございますが、ひとつその点は実情調査をして、しかるべく措置をしていただきたい、こういうふうに考えます。  それともう一つは、やはりそうはいっても、私先ほどから申し上げておりますように、九月になれば自動車の自由化という問題が出てきます。こういうことが言われておりますね。これは大臣のほうがお詳しいと思いますが、そういった問題とからんで、かなり外車の攻勢というものがかけられてくると私は思うのです。私は何も業者からもらったとか何かではありません。全然もらっていない。社会党なんかにくれるはずはありませんので、そういうものを弁護するわけじゃありませんが、かなり攻勢は加えられてくると思うのです。外車攻勢、そういう中で、今度の鈴鹿のレースなんか見ましても、競争車の場合におきましては、エンジンは外国のものを使ってボデーは日本のものを使ったなんというのが週刊誌に載っていましたが、かなり日本人が外車にあこがれるというあれがあります。閣僚の中には自家用車も自国の生産したものを愛用せよなどと言っておりますけれども、日本人自体が外車をあこがれるという、そういうものがありますがゆえに、かなり私はこの第五章の損傷の問題についてはきびしく取り締まらなくちゃならぬだろうと思います。そこで、局長のほうにも質問の中で申し上げておきましたけれども、事故という問題と損傷という問題の基準、さらにはそういう面におけるところの取り締まり、さらには判定などにつきましては厳格にやっていただかなければならぬのじゃないか。この点をひとつ要望しておきたいと思います。  では委員長、続いて質問をさしていただきたいと思いますが、この中にあります特定の団体というのはどういうものでありますか、お知らせ願いたい。
  68. 佐々木庸一

    佐々木政府委員 保証団体をさすものでございます。
  69. 卜部政巳

    卜部委員 だから特定の保証団体というのはどういう団体であるか。また日本には何ぼあるか、これをお伺いしたい。
  70. 佐々木庸一

    佐々木政府委員 ただいま保証団体になり得ると見ておりますのは日本自動車連盟でございます。これはいまのところ自動車旅行用の地図の発行でございますとか、故障しました自動車の運搬修理でございますとかいうようなことをやっておりますが。このような国際団体に加入する意図を持ちまして、いろいろ準備をしているものでございますので、準備の完成をよく見ました上で決定しなければいけませんけれども、おそらくはこれが国内で保証団体になり得るものではないかと考えている次第でございます。
  71. 卜部政巳

    卜部委員 では日本自動車連盟の機能とか組織とか人員とかというものについての内容を明らかにしていただきたい。役員の名前もあわせて伺いたい。
  72. 佐々木庸一

    佐々木政府委員 日本自動車連盟と申しますのは、本部を東京都港区芝高楠南町に持っておりまして、現在は社団法人でございまして、運輸、通産両省の監督を受けております。会長は高梨壮夫さんということになっております。
  73. 卜部政巳

    卜部委員 その傘下にある組合員というか、その方々は何名くらいおりますか。
  74. 佐々木庸一

    佐々木政府委員 現在会員数は約七千名と称しております。
  75. 卜部政巳

    卜部委員 その七千名の方々がすべてこの中に結集されているわけですか。それで会費は幾ら出しておりますか。
  76. 佐々木庸一

    佐々木政府委員 日本国内に居住します内外人、邦人団体等も含めておりますが、そういうものでありまして、自家用自動車または二輪車を所有する者が所定の手続をとりますと会員になれることになっております。この手続をとって入っております者がいま申し上げましたように七千ということになっております。これは自動車店または特別に指定されました銀行に入会申し込み書が備えつけられてあるようでございますが、これに入会金としまして四輪車の場合は千五百円、二輪車の場合は千円、それに年会費、四輪車の場合は二千五百円、二輪車の場合は千二百円を添えて提出いたしますれば会員になれるということであります。
  77. 卜部政巳

    卜部委員 そういたしますと大体一時金ですね。会員になる資格を有するだけですね。それによって月々会費を徴収するというシステムにはなっていないわけですね。
  78. 佐々木庸一

    佐々木政府委員 入会金と、年会費ということで、月々ではないようであります。
  79. 卜部政巳

    卜部委員 そういたしますと、いま御答弁の中では特定の保証団体というものが一つしかない、こういうことでございましたね。わずか七千名、こういう組織人員ですが、そうするといわゆる特殊の保証団体が保証をするわけかんですが、そういう事務はいまの機構でもってやっていく、こういうことになりますか。
  80. 佐々木庸一

    佐々木政府委員 現在の自動車連盟自体会員を大幅に増加したいと考えでおるようでございまして、今後保証事務をやるということになりまするといままでやっていない仕事でございますので、新しい機構を考えているようでございます。
  81. 卜部政巳

    卜部委員 そうすると、そういうような新しい事務、人を採用するということになるだろうと思いますが、そうしたところの人件費などは何によってまかなうのですか。ただこの会費によってまかなうのでございますか。
  82. 佐々木庸一

    佐々木政府委員 そういうことに作ろうかと思います。
  83. 卜部政巳

    卜部委員 そういうことになろうと思いますという御答弁でございますが、たとえばこの条約の中にも出てまいっておりますが、もしその保証を、これは一時輸入車なりまた輸出者についてもそうでありますが、この約束の履行、役務の履行というものを怠った場合、そういう問題についてはこの特殊団体が責任を持つわけですね、保証するわけですね。そういうことでこのわずかの会費でもって成り立つわけですか。
  84. 佐々木庸一

    佐々木政府委員 一時入国者が自動車を持ってまいりまして、条件のとおりにいたしませんでして関税をとるといいます場合に、そのとられる関税を納付すべき者は入国してまいった外国人でございます。したがって本来はその人が負担すべきものが筋合いでございますので、その外国人に通関手帳を発行しました本国におきまして、日本の保証団体からの要求に基づきまして金を送ってくる仕組みになっております。もしその本国で金を送れないような特殊な事情がありました場合に、パリやジュネーブにこれらの各国にあります保証団体の上部団体があります。その上部団体が支払うべき関税に相当する金を送付してくることになっております。したがいまして、日本の保証団体の資力というものももちろん問題になりましょうことは御指摘のとおりでございますけれども、納めます税金自体は、外国の保証団体または国際的な上部団体によりましてかなり適格に担保されておるものと見ておるわけでございます。
  85. 卜部政巳

    卜部委員 新しいことばとして上部団体、国際的団体云々という名前が出てまいりましたが、そのことばの中で一つ質問をしたいのですが、国際団体のオフィスはどこにあるのですか。
  86. 佐々木庸一

    佐々木政府委員 この種の事業をやっております国際団体は二つございまして、自動車関係を主体にしました国際自動車連盟と、旅行を主体にいたしました国際旅行連盟の二つがございます。国際自動車連盟は本部がパリでございます。もう一つのほうはジュネーブでございます。
  87. 卜部政巳

    卜部委員 そうすると、上部団体に納める会費などというものは何ぼくらい納めるのですか。
  88. 佐々木庸一

    佐々木政府委員 通関手帳は国際的に様式を統一いたしておりますが、その統一いたしております通関手帳そのものは本部が各国にあります保証団体に渡すことになっております。そういうことがありますので、実際に自動車を使って旅行されます人に発給します際に、たとえば日本で申しますと二千円前後の料金がとられることになっております。そのうちの一部であります。いま考えられておりますところでは、二百五十円程度のものを本部に送金をいたします。そのような仕組みによって経理をまかなっておる次第でございます。
  89. 卜部政巳

    卜部委員 いまの御説明ですと、通関手帳を交付する、交付することによってその料金をもらう、こういうことで成り立つ、こういうかっこうなんです。ところが実際問題として通関手帳をもらう人はわずかなものだと思うのです。わずかなものといっても、旅行者ないし一時輸入者、輸出者、こうなるわけですが、そういうものの経費によってまかなうということになった場合に、先ほど局長のほうから答弁のありましたように、その国の団体が支払わなければならない場合にはその国際団体が払うなどといっておりますね。そういうものの経費でもって国際団体がそいつをまかない得る資力があるのですか、その点はどうなんですか。
  90. 佐々木庸一

    佐々木政府委員 国際的に見ました場合に、傘下の保証団体に入っておる会員数等を見ますと、数百万ということになっております。いままでのところ貸借対照表等も見ましたけれども、かなりの資産を持っておると見ておるわけでございます。なお、これらの国際団体は支払わなければならない債務が起きたような場合に備えまして、保険に加入しております。これらの仕組みによりまして、支払いはほぼ十分に担保されておるのではないかと見ておるところでございます。
  91. 卜部政巳

    卜部委員 ではもう一つ伺いしたいのですが、新しい問題が提起されておりますが、国際団体のオフィスはパリとジュネーブにある。一つは国際自動車連盟と、一つは旅行連盟と、こういうふうに御答弁になったのですが、日本の場合には先ほど特殊団体というのは、日本自動車連盟しかない、こういうことをおっしゃられておりますね。日本には旅行連盟なんというものはございませんか。
  92. 佐々木庸一

    佐々木政府委員 日本自動車連盟はこの両者に加盟することを考えております。各国の例を見ましても、一つの団体が両者に加盟しておるものがかなりでございます。また、一国内に二つまたはそれ以上の団体がございまして、あるものは自動車連盟のほうに加盟し、あるものは旅行連盟のほうに加盟するということになっておる例もございます。概していいますと、一つの国内団体が二つの国際団体に加盟しておる場合がかなりあるように思います。それから日本におきます旅行団体、旅行連盟的なものでございますが、規模の小さいものがあることはあると見ております。このような大きな国際組織に入れるほどの規模にはまだどうもなっていないと見ておる次第でございます。
  93. 卜部政巳

    卜部委員 そういたしますと、七千名を擁する自動車連盟は各国並みにその資格を備えておる。だが観光団体の場合においてはまだまだ何といいますか、小さくして、さらに不備な点もあって、これに加盟する資格がないと、こういうふうに判断をされておるわけですか。
  94. 佐々木庸一

    佐々木政府委員 いまのところ旅行連盟に相当しますもののほうは国際的なつながりが薄いということに存じております。
  95. 卜部政巳

    卜部委員 大臣にお伺いいたしますが、日本もかなり観光、観光ということが高く叫ばれておるわけでありますが、そうした面におけるいわゆる観光事業そのものに対して、いま局長がお話しになったような判断だけでいいのか。さらにその問題についてこの二つの団体があるということを聞いておりますが、日本も現在その団体に入り得る資格を持っておるのではないかという、私なりの考えを持っておりますけれども、その点はどうでしょうか。わかりませんか。
  96. 田中角榮

    田中国務大臣 わかりませんな、運輸大臣のほうですから。
  97. 卜部政巳

    卜部委員 じゃ、局長どうですか。将来は入れるのですか。
  98. 山中貞則

    山中委員長 運輸省から答弁させます。
  99. 増川遼三

    ○増川政府委員 現在の日本にございます日本自動車連盟は、先ほど説明がありました両団体にすでに加入いたしておりまして、そのほかの団体につきましては、まだその両者に入っておるものはございません。ただFIAという国際自動車連盟のほうは、特例といたしまして英国その他は二団体入っておるものもございますが、原則として各国一団体でございます。それから国際旅行連盟のほうは、一団体とは限定をしておりませんで、数団体入っておるところもございまして、わが国におきましても、それ相当の規模の旅行機関がございまして、それが国際的に認められるようなものでありまするならば、加入も可能かと考えております。
  100. 卜部政巳

    卜部委員 そういたしますと、現在のところ日本自動車連盟以外には、この特殊団体という保証団体というものはないという限定のしかたをしていいということですか。
  101. 増川遼三

    ○増川政府委員 現在のところはそのとおりでございます。
  102. 卜部政巳

    卜部委員 わかりました。では、最後に一つだけ申し上げまして質問を終わりたいと思いますが、第十二条にこういうことが書いてあります。「第九条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、五万円以下の罰金に処する。」こういうことでございますが、実際問題として先ほど申し上げたような損傷の問題ないしはこれを譲渡していくというような危険性がある場合に、この五万円以下の罰金でもって権利停止——権利停止といったらおかしいのですが、その団体の保証業務、そういうものを停止させるとか、さらにはそういうものを故意にやった場合においては刑罰を与えるとかいうような、そのようなきびしいものでなくては、五万円以下だったら、これはもうだれかが言ったように、ほんとうに小銭程度にしかこの場合には当たらないものだと思うのですね。この点はどういうふうにお考えなのか、お伺いしたい。さらにこの点をもう少しきびしく行なうお考えはないかをお伺いをいたしたいと思います。これは大臣も含めて御答弁を願いたいと思います、大事なことですから。
  103. 佐々木庸一

    佐々木政府委員 御指摘になりました十二条の罰則は、第九条を受けておるわけでございますが、これは保証団体に対する監督規定を担保するためであります。したがいまして、御指摘のような自動車を一時輸入をしました者に対する適用を考えておるわけではないのでございます。自動車を一時輸入をいたしました者につきましては、この条約法律全体といたしまして関税及び物品税を取るということ以外には、特別の罰を加えることを規定いたしておりません。この条約全体といたしまして乱用を戒めておるわけでございますけれども、当面のところ再輸出をしなかったことによりまして、または国内へ譲渡していった等のことによりまして、国際的にもあまり行なわれていない強い罰を規定しなければならぬような状況にはないのではないかと思っておる次第でございます。ただ、先生が先ほどから御心配になりましたように、国内で売っていく品物が多いのではないかという点につきましては、われわれも非常に警戒をしていままで見てきたところでございます。このもとになります条約ができましてから十年の間日本は加盟を渋っておりましたのも、そのような配慮が強く働いておったわけでございます。しかしながら、最近は先ほどお話にありましたように、自動車輸入の自由化も近いと考えられております。その自由化が近いというところから、輸入割り当ての数量等も漸次ふやされております。その影響から新しい車自体の売り上げによる利益等も前とは非常に違ってきておると見ております。ましてや使われました年式の古いものにつきましては、価格はかなり下がってきております。異常な利益をあげるという状態はまずは解消しつつあると見ておるわけでございまして、このような情勢になりましたので、あまりにきびしい罰則の適用はいまはあまり考えなくてもいいのではないかと見ておるわけでございます。
  104. 卜部政巳

    卜部委員 第九条を受けて十二条があるということは、よくわかっておるわけです。しかし率直に言って、特殊保証団体と政府との結びつきはないわけですね。結びつきはないいうとおかしいのですが、これが損傷を受けたからといって、国が保証するというかっこうは実際問題としては出てこないわけですね。そうでしょう。保証団体が支払い得ないものは国がその保証をしてやるとか、支払いをしてやるということはないわけですね。そういうことになりますがゆえに、保証団体といわゆる一時輸入者との、これは考えてはいけないことではありながらも、そういうオリンピックを控えての問題だけに、密着というか、その点の汚職と言ったらおかしいですけれども、そういうことも十分考えなくてはいけないではないかということから私の発言があるわけです。しかし、局長のほうからそのような強い意思の表明もありましたので、その点に対して私は強い要望を申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  105. 山中貞則

    山中委員長 関連質問の通告がありますので、これを許します。田中武夫君。
  106. 田中武夫

    田中(武)委員 簡単に一点だけ伺います。  この条約の批准及びこの法案の成立と、関税定率法の十七条十号とはどういう関係になりますか。
  107. 佐々木庸一

    佐々木政府委員 田中先生御指摘のように、十七条十号は自動車の再輸出免税を規定いたしておりまして、目的は同じことをねらっておるわけでございますが、現在再輸出免税規定によりますと、もし再輸出しなかった場合に税金の支払いを担保しますために、保証状を差し入れますとか、担保を提供しますとかいう手続を必要といたしております。条約並びに法律は、これらの手続を保証団体の保証にかえることによりまして簡素化することをねらいとしており、このような国際的な仕組みに日本もまた乗ろうということでございます。
  108. 田中武夫

    田中(武)委員 そうしますと条約に加盟していない国のものは別として、条約に加盟している国の相手方に対しては、この十七条十号ではなくて、全部いまの条約並びにいま審議している法案でいく、そういうことですか。
  109. 佐々木庸一

    佐々木政府委員 大筋は先生のお話のとおりでございます。  こまかしいことを申し上げますと、条約に加盟していませんで先ほどから申し上げております国際保証団体に加盟しておるところがございます。南米の国々等が若干あるわけでございますが、そういう国々につきましては、条約に加盟しておりませんけれども便益関税と同じような思想で、相互に日本のカルネを通用させてくれるならば向こうのカルネもまたこちらで通用することを認めようとしております点がちょっと違うわけであります。
  110. 田中武夫

    田中(武)委員 ちょっと違うということでは、ぼくはちょっとわからぬのだが、結局この関税定率法の十七条十号は、条約を批准しこの法律が成立するならば、条約加盟国相手の場合はこれは死文になるのですね。
  111. 佐々木庸一

    佐々木政府委員 お話しのとおりであります。
  112. 田中武夫

    田中(武)委員 そうしますと、この十七条十号を置いておくということは、加盟国以外のものにまだ適用があるからこれを置いておく、したがって、この条約及び法案が成立いたしましても、関税定率法はさわらなくていいということですか。
  113. 佐々木庸一

    佐々木政府委員 そのとおりでございます。
  114. 田中武夫

    田中(武)委員 ついでに小さいものですが、条約にもありますし法案の中にもありますが、第二条定義の中にいう付属品と備品とはどういうように違うのですか。
  115. 佐々木庸一

    佐々木政府委員 付属品と申しますのはカークーラーでありますとかラジオのようなもの、備品と申しますのは修繕のための工具類であります。
  116. 田中武夫

    田中(武)委員 大体常識的に付属品と備品はわかるわけだが、それはあくまでも常識的な意味で言う付属品あるいは備品で、そういうことではなくて関税との関係において解釈すべきでしょう。したがって、たとえば備品というのは自動車の修理用の工具、それは関税のほうにおいてはそれだけが単独に入るときにはかかることになっておるのですか。
  117. 佐々木庸一

    佐々木政府委員 単独に工具類が輸入されます場合にはかかることになります。
  118. 田中武夫

    田中(武)委員 自己の使用のために持って入ったときは、どうです。
  119. 佐々木庸一

    佐々木政府委員 単独に、たとえば、自動車用のラジオだけを携帯輸入するという場合、非常に考えにくいのでございますけれども、携帯品として免税する基準の中にはまります場合には免税になるべき筋合いであろうかと思います。
  120. 田中武夫

    田中(武)委員 結局は条約にそういう事項があるからこっちに移したのでしょう。現在の実態がどうであって、だからこういうように書いたというのじゃないですか。しかも普通の常識で言う部品付属品、備品の観念ではなくて、あくまで関税定率法でいう関税というものを通じて見たところの部品とか備品、付属品になるのでしょう。そうなると、いままでそういうものを携帯して入ったときにはつけておったのか、つけてなかったのかということです。
  121. 佐々木庸一

    佐々木政府委員 いままでの例といたしましては、携帯して入ってくるということはあまりないのでありますが、たとえば駐留軍人からラジオだけを買うとか、カークーラーだけを買うというようなことがあったかと記憶いたしておりますが、その場合には徴税いたしております。
  122. 田中武夫

    田中(武)委員 部品を買うのではなくて、たとえば旅行者がトランジスターのラジオを自分が使うのに持って入るときはどうですか。それとここでいう自動車についておるオートラジオとはどのように違うのですか。あれは同じトランジスターラジオですよ。——答弁ができなければよろしい。要は条約にありましたからそのまま書きました、こう答弁しなさい。
  123. 佐々木庸一

    佐々木政府委員 これは条約に加入するためのものでございますから違ったものを書くわけにはまいりませんので、定義としては同じ意味であります。
  124. 田中武夫

    田中(武)委員 外務省もそういう見解ですか。この条約は前にできておるのです。それに日本が入るというかっこうです。そうすると民間的なことばで言うならば一方的な契約ですね。片務契約ですね。条約は国と国との契約でしょう。そうするならば、すでにできておる条約に対して加盟するということは、新たに交渉するのではなくて片務契約というかっこうですね。片務ということばはどうかと思いますが、きまっておることに対して、こちらがイエスかノーかするだけで、いわゆる条約としての交渉ということじゃないでしょう。入るか入らないかをきめるだけでしょう。どうですか。
  125. 徳久茂

    ○徳久説明員 いまの点でありますが、条約の第一条の定義の中で、車両の中に部分品付属品及び備品が含まれることになっております。それでございますので、最初に携帯輸入してまいりますときには、これらのものについては、車両として輸入税を免税する、ただし入ってまいりましたあとで修理のために輸入いたしますものにつきましては、第四条で部分品については免税するということにたっております。付属品と申しますのは、たとえばラジオとかそういうものがこれに当たるというふうに解釈いたしております。それから備品と申しますのは、工具類とかタイヤとか、車を買うに際しましてその車についておるものというふうに考えておりまして、部分品は、たとえばそのものがない場合には軍としての機能が発揮できないという類のものが部分品に当たろう、そういうふうに存じております。
  126. 田中武夫

    田中(武)委員 その解釈を聞いておるのではないのですよ。その解釈で言うならば、いまのあなたのことばで言うならば、タイヤは部品ですよ。備品ではないですよ。タイヤがなかったら自動車は動かないじゃないか。
  127. 徳久茂

    ○徳久説明員 いまタイヤと申し上げましたのは、予備タイヤを念頭に置いて申し上げたのでございます。
  128. 田中武夫

    田中(武)委員 いや、そういうことを聞いておらぬのだ。備品とか部品とか付属品のことは一応論議は済んだのだよ。すでにできている国際条約に対して日本が加盟するということでしょう。その場合はきまったものをそのままうのみにするよりほかにないのかどうか。こちらの都合によってこの部分だけは困る、あるいはこれはこういうふうに解釈するというようなことが言えるのかどうか。いまの答弁では、条約にあるからそのまま入れたのだということですから……。
  129. 徳久茂

    ○徳久説明員 多数国間条約には、確定的な解釈が下しにくいような表現をとっている場合が往々にしてあるわけでございます。ですからその条約の本旨にあまりに反するような解釈はもちろんできないわけでございますが、解釈の幾つかの選択の余地があるというような場合には、各締約国がその解釈を下す権限を持っているわけでございます。
  130. 田中武夫

    田中(武)委員 たとえばこの条約の第一条(b)項に「文脈により異なった意味に解釈」云々、こういうことをさして言うのだと思うのです。文脈というようなことばは日本語ではあまり使わぬのだが、これはどういう意味ですか。
  131. 徳久茂

    ○徳久説明員 いま御指摘の点、これはたとえば法人のことを言っているのでありますが……。
  132. 田中武夫

    田中(武)委員 「車両」のところにもあるし、「者」というのは(b)項にもある。
  133. 徳久茂

    ○徳久説明員 第二条で「その所有者又は当該領域外に通常居住する他の者が当該地域を一時的に訪れる際」というようなこの「者」は、厳密に読みますと法人を含むということになりますが、法人が当該地域を一時的に訪れるというようなことは考え得られないので、その場合には文脈によって異なった意味に解釈をされる場合を除くという表現が必要になってくるわけでございます。
  134. 田中武夫

    田中(武)委員 ぼくの問うことに答えていないのだが、それはそれとして、あなた(e)項で答えたから(e)項で言おう。「「者」とは、文脈により異なった意味に解釈しなければならない場合を除くほか、自然人及び法人をいう。」あなたは「文脈により異なった意味」のときに法人を使ったのですが、「者」の中には当然「自然人及び法人」が入っているのですよ。それ以外の「者」を文脈によって解釈する、この条約はそういうことなんでしょう。
  135. 徳久茂

    ○徳久説明員 先ほどの私の御説明が若干不十分であったかと存じますけれども、第二条で「他の者が当該地域を一時的に訪れる際」という場合の「者」は、文脈によって「自然人」と読まざるを得ないというわけでございます。その他の場合につきましては「者」とありますのは「自然人及び法人」を含むことが原則でございます。
  136. 田中武夫

    田中(武)委員 この条約で「者」を使うておるのは二条一項のほかにどれだけ使うていますか。そういう答弁なら一々その「者」に対して一条(e)項によって解釈を下さなければならぬことになるのですがね。そんなつまらぬ答弁をせずに、おっしゃるとおりですと言ったほうが賢いんだよ。条約一つ一つやってみますか。おれに勝つ自信があるか。勝てませんよ。
  137. 徳久茂

    ○徳久説明員 私がいま申し上げました点で、何か誤解が……。
  138. 田中武夫

    田中(武)委員 誤解じゃない。二条一項の「者」を言うたのでしょう。それは自然人だ、その場合は法人も含む、こう言った。だからこの条約で「者」と使っているのはどことどこにあるか、一条(e)項の「者」について一解釈を下そうじゃありませんか。「者」と使っているのは何条と何条と言ってください。
  139. 徳久茂

    ○徳久説明員 いま御質問の「文脈により異なった意味に解釈」するというのは、こういう例があるというその一例としてこの第二条を申し上げただけでございます。「者」とあとで出てまいります場合には、原則として「自然人及び法人」を含むのだ。ただ文脈により……。
  140. 田中武夫

    田中(武)委員 だからそれは何条にあるかというのです。
  141. 徳久茂

    ○徳久説明員 「者」という字句が出てまいりますのは、非常にたくさんあるわけでありますが、たとえば第八条にございます「一時輸入を認められる車両を所有する者又はこれを占有し若しくは管理する者の名儀で作成するものとする。」この「者」の中には法人は入るというふうに解釈されております。
  142. 田中武夫

    田中(武)委員 その場合なるほど八条には自然人と法人が考えられる。そこで、そうするならば、一時輸入書類を作成するときにその所有者と使用者、あるいは占有者と使用者、こういう関係はどうなるのですか。なお一歩進んで、その場合に申請者あるいは使用者の運転免許との関係はどうなりますか。
  143. 徳久茂

    ○徳久説明員 いま御質問の点を申し上げますと、たとえばある法人がその車の所有権を持っている。その法人の構成員が車を常時運転することが認められているという場合には、それが自然人としてその車を占有する。それからたとえば管理するという場合にもそれに類似したことがあるかと存じます。それから運転免許につきましては、第八条で申していることとは直接関係ないわけでございます。
  144. 田中武夫

    田中(武)委員 運転免許はどういう関係になるのですか。
  145. 徳久茂

    ○徳久説明員 運転免許証につきましてはこの条約ではございませんで、道路交通に関する条約ということで、そこで規定されているわけでございます。その関係特例法につきましては、警察関係から御審議をお願いしているわけでございます。
  146. 田中武夫

    田中(武)委員 この一時輸入書類というのによってきまるのでしょう。これが申請人——者というのですか、この「者」がなくちゃいかぬわけです。この「者」は自然人だ、そうでしょう。ところが自動車を所有している「者」は法人である場合がある。その場合に申請書というか、一時輸入書類の「者」は法人なのか自然人なのか、及びそれを申し出る、申請する「者」は運転免許証を持っている者に限るのか、運転免許証を持っていなくてもいいのか。
  147. 徳久茂

    ○徳久説明員 一時輸入書類を申請いたします者は、必ずしも運転免許証を持っていなくてもいいわけでございます。たとえば法人が車を所有している場合がそれに当たると存じます。
  148. 田中武夫

    田中(武)委員 もとへ戻って、法人が申請する場合は、あなたが言ったように二条一項の「者」の中にも入るのですよ。住所は移さない、法人名義でやる場合は……。そうじゃないですか。もう一つは、一条(e)項の、「者」とは、文脈によって云々という前段が、あなたが言ったように二条一項であり、後段の「自然人及び法人」というのは、その他のものをいう、こういう解釈ですか。
  149. 徳久茂

    ○徳久説明員 私が申し上げておりますのは、第二条で言っております「者」というのは、これは文脈によって自然人と解釈せざるを得ないということを申し上げ、第八条に申しております「者」は、原則にかえりまして、これは自然人及び法人の両方を含むのだということだけを申し上げたわけでございます。
  150. 田中武夫

    田中(武)委員 それはわかる。そうするならば、自動車の「所有者」の「者」は、法人であることはわかるのです。そして、その自動車を持ち込む場合、一時輸入する場合、その申請人はその所有者である法人なのか。あなたの説明をもってするならば、その法人の構成員が常時その車を使用している場合は、その個人によって持ってくることができる、こういうことである。したがって、現実に占有し、使用している者の名前でいくのかどうか。  それからもう一つは、その者が、申請者と輸入書類をもらう者、その自然人たる「者」は免許証を必要とするかしないのか。もしその免許証を必要としないとするならば、輸入した自動車をどうして動かすのか。
  151. 徳久茂

    ○徳久説明員 自動車を所有する者は法人であるわけであります。輸入を申請する者は、これは自然人でなければいけないわけでございます。運転免許証につきましては、その運転免許証を持っていない場合には、日本国内で運転自体ができないわけでございますので、そういう場合にはそういう申請は事実上あり得ない。申請をしなければいけないということは……。
  152. 田中武夫

    田中(武)委員 もしそうだとするならば、法案を見てごらんなさい。本人または他人をして使用せしめるということがあるのですよ。
  153. 徳久茂

    ○徳久説明員 この条約だけで運転免許証がなければ一時輸入を認めてはいかぬというふうには実は番いてないわけでございまして、そのことだけを申し上げたわけであります。この条約と一括御審議をお願いいたしました道路交通に関する条約というもので運転免許証を規定しているわけであります。
  154. 田中武夫

    田中(武)委員 そうすると、この法案の三条に「車両等の輸入手続」とあるが、この手続をとる、すなわち、一時輸入書類をもらう者、この者は、運転免許証を持っている者以外そういうことは関係がない、そういうことですね。そうするならば、その一時輸入書類を渡すときに、国内へ持ち込んでから先の運転をどうするかということの確認等は必要でなしに、ただ書類さえそろえば許すということですか。
  155. 佐々木庸一

    佐々木政府委員 お話のとおり、自分が国内で使うことを原則にしておりますから、運転免許証を持っているのが原則で、法文並びに条文の表には出ておりませんけれども、全体の流れは先生のおっしゃるとおりであります。ただ、ここに自動車を貸す場合というのがありますが、その場合にはいまのお話の例外になるかと思います。
  156. 田中武夫

    田中(武)委員 大蔵省と外務省の答弁が違いましたが、食い違ったのはどうしましょう。条約に対する解釈が違います。
  157. 徳久茂

    ○徳久説明員 いまの点、私食い違っていないと考えております。この条約自体明文でそういうことは規定しておらないけれども、実際上自動車を携帯輸入いたします場合には、運転免許証を持ってくるのが通例であり、運転免許証がなければ使用できないわけであります。関税局長が申し上げました点と矛盾はないと考えております。
  158. 田中武夫

    田中(武)委員 言いわけはよしなさい。この条約では、そんなことには関係ないと言ったでしょう。しかもこの条約に基づく国内法が成立すれば、それに基づいて一時輸入許可を与えるでしょう。その場合に、申請者が免許証を持っているか持っておらないか、所有権がどうなっておるのか、こういう関係を考えずして許可をおろすのですか。外務省の見解では条約とは関係がないと言った。
  159. 徳久茂

    ○徳久説明員 私の説明が非常に不十分だった点はおわび申し上げたいと思います。ただ、私は明文でそういうことをはっきり書いてない、ただ、運転免許証を持ってこない者に国内使用を認めるという趣旨ではないということは、関税局長の申し上げたとおりと考えております。説明不十分だった点はおわび申し上げます。
  160. 田中武夫

    田中(武)委員 いまの答弁ならよろしい。あとで速記録をごらんなさい。前の答弁と食い違っていますから。いまの答弁ならよろしい。  そこで、もう一つ。それでは文脈について聞くが、この条約の第一条(b)項の「文脈」というのはどういうことか。これをさっきのように、後段の「自然人及び法人」という解釈と同じように、この文脈を解釈してみてください。あなたは、(b)項における「文脈」は、この条約の解釈を「文脈」と読んだのですね。そうすると、(e)項における「文脈」も、この条約の解釈の「文脈」になるでしょう。わかりますか。それでは一応何条にこういうことがあるか。(e)項に対しては八条をあげた。それでは(b)項に対しては何条をあげるか。
  161. 徳久茂

    ○徳久説明員 第一条の(b)で、「車両とは、文脈により異なった」——例だけを申し上げます。第三条で、「一時輸入を認められる車両の通常の燃料タンク内にある燃料については、」免税するという規定がございます。一条の(b)の「車両」には、被牽引車、いわゆるトレーラーでございますが、そういうものが入るわけでございます。ただ、トレーラーの場合には、燃料タンク内の燃料というものはそれ自体がないわけでございます。ですからそういう意味の場合には入らないというのが一例だと存じます。
  162. 田中武夫

    田中(武)委員 そうすると一条の(b)項及び(e)項でいう「文脈」というものは条約の解釈を意味していますね。国内法のことじゃないのですね。
  163. 徳久茂

    ○徳久説明員 ここで言っております「文脈」と申しますのは、条約の文言、表現から見てという意味だけでございます。
  164. 田中武夫

    田中(武)委員 それでわかりました。そうするとこの文脈ということは、条約の文面の中でそうとしか考えられない場合をいう、こういうことですね。条約一般においてこういう文脈ということを使った例があるか。その条約の例をあげてください。
  165. 徳久茂

    ○徳久説明員 多数国間条約ではこういう文脈により異なった解釈をしなければならない場合を除くほかという表現は往々にしてございます。たとえば今回御審議をお願しております麻薬単一条約の第一条にそういう表現が出ております。それの第一条の定義でございます。
  166. 田中武夫

    田中(武)委員 これならわかるのだ、この条約の書き方ならば、……。「この条約においては、別段の明文の規定がある場合又は文脈により異なった」云々とある。ところがこっちの条約はそういう頭をかぶっていない。この条約により云々はないのですよ、そうでしょう。そうするとこの麻薬のほうの一条の一項なら、これはもう頭からこの条約において云々となっておるから、この文脈ということは、この条約の解釈ということはわかる。ところがこっちの条約の場合は、その頭をかぶっていない。ちょっと読むと、文脈ということばは、その相手国、たとえば日本の国内法による解釈云々というように考えられないかということなんです。
  167. 徳久茂

    ○徳久説明員 この条約の第一条に、「この条約適用上、」ということが書いてあります。
  168. 田中武夫

    田中(武)委員 「この条約適用上、」というのと、それが前段にあって云々というのと、その規定の上にこの条約の解釈上とあるのと違いますよ。「この条約適用上、」というのは前にあって、あとに文脈があった場合には国内法を意味する。そう出てこないですか。これはもういいです、いいですが、ちょっと疑問としては、何もあなたがこれを変えるだけの力もないし、それに私が言っておるように、すでにきまったものに飛び込んだというだけなのだからそれでよろしいです。よろしいけれども、この条約はどういう形式をとるのか、私もよくわからぬ。しかしいま言った麻薬協定のほうとこれとは同じ文脈についても使い方が違うのです。それがわかればそれでよろしい。
  169. 徳久茂

    ○徳久説明員 その点は仰せのとおりでございます。
  170. 田中武夫

    田中(武)委員 これから日本が交渉してやる場合は、こういう解釈上あやまりのあるような文章をつくらぬように、これは向こうがすった、すべったのと言うならやむを得ぬとして、もう君に言ってもしようがないだろうが、よく大臣なり局長に伝えておきなさい。
  171. 山中貞則

  172. 堀昌雄

    堀委員 ちょっとこの法案に関連をいたしまして、当面の問題になっておる点について、少し大蔵大臣に所信をお伺いをいたしたいと思います。  実は二十六日に最高輸出会議が行なわれておりまして、その席上で池田総理大臣が、今後の対共産圏に対する延べ払い等の取り扱い等にも関連をして、輸出入銀行のあり方については再検討が必要である。こういうことを池田総理が実は述べておられるわけですね。なるほどいまの輸銀は、御承知のような政府出資の政府機関でありますから、ここが延べ払いをするということは、一面的には日本国家的な援助をこの国に与えておる、われわれはそう理解をいたしませんけれども、そういう理解をする向きも諸外国には生ずるおそれがあるだろうという点が、おそらくこの間の日本紡のビニロン・プラントの対中共延べ払いの問題等で、やはり問題として生じてきておるのではないかという気がいたします。  そこでいまお伺いをいたしたいのは、輸出入銀行のあり方を変えるということが、そういう形の関連で変えるということになると、これは政府機関でないようなものにする以外には実はあり得ないのではないか。だから私は池田総理の発言は考え方としてわからぬわけではないけれども、いまの輸出入銀行のあり方の再検討ということになると、なかなか複雑な問題になるのじゃないかと思うのですが、そのときは大蔵大臣出席でなくて、石野事務次官が出ておったようでありますから、その経過については、必ずしも大蔵大臣としてもつまびらかにしておいでにならないかもしれませんけれども、そういう総理の発言ということは、今後の輸出入銀行のあり方について、一つの重大な問題提起をされたと理解をいたします。それについての所管大臣である大蔵大臣としての御見解を承りたい。
  173. 田中角榮

    田中国務大臣 私は、当日は衆議院及び参議院の委員会がございまして、その後なお本会議で、大蔵省設置法の採決がございましたので、一時間半か二時間おくれてまいりましたので、総理大臣のいまの御指摘の発言は聞いておりません。おりませんが、そういうきっと発育をなさったと思います。輸出入銀行に対する総理の持論として、昭和三十九年度の予算編成のときも、新しい事態に対処しまして、輸出入銀行の状態が一体そのままでいいのか。これから八条国移行というような重大な時期に際して、しかも輸出振興を大幅にやらなければいかぬというときに、輸出入銀行の状態をひとつ十分検討しなければいかぬ。特にその中には、財政資金との関係もございますが、資金量の問題、それから金利の問題、制度上の問題、こういう問題も十分検討するように、こういうことが強く出されたわけであります。特に新聞でも言っておりますように、できれば輸出入銀行債を発行しまして、資金量をふやせないか、こういうような話もありましたわけでありまして、同時に輸出入銀行及び中小企業金融公庫の債券発行という問題の御指示がありまして、検討いたしてまいりましたが、商工中金等の関係もございまして、中小企業に対して百億の新しいワクを設けたわけであります。輸出入銀行に対しましては、非常に安い金利でもって貸さなければならない。こういう特殊の状態から考えますと、必ずしも債券が発行できるのかどうかという問題がございましたので、懸案として未解決のまま今日に至っておるわけでございます。御承知の今年度の貸し出しワクは千六百億でございますが、千六百億では不足ではないかということが考えられます。それはどういうことかと言いますと、六十二億ドルという想定をしておりましたのが、大体月間五億五千万ドルベースで輸出が伸びておりますので、五億五千万ドルでもって伸びれば、六十六億ドルになるわけであります。そういう意味からいって、千七、八百億、うまく輸出が伸びるということになれば二千億に近いようなところになるのじゃないか。短期の資金運用部資金だけでもってまかなっていけるかどうかわからぬ、そういう問題を想定しますときに、輸出入銀行そのものの資金を確保する処置に対して考えられないかということだと思います。また、そういうことは時々私も相談をいたしておりますので、そういう基本的な観念を持ちまして発言せられたのではないか、このように理解いたしておるのであります。  それから開発銀行と輸出入銀行との問題は一体どうなのか、それから、輸出入銀行に対して日銀が一体どういう別ワク式なものをしておりますか、これは輸出がうんと伸びるというような場合、一体これでいいのか。東銀、いわゆる昔の横浜正金銀行に対して、日銀が非常に大きなめんどうを見ておったのでありますが、いまの東銀という為替銀行に対してどうなるのか。また為替専門銀行だけではなくて、他の為替銀行との調和は一体どうなるのかというような広範な問題を検討いたしておりますので、そういう姿勢で総理がお述べになったというふうに理解をいたします。詳細は私聞いておりませんので、申し上げられないわけであります。
  174. 堀昌雄

    堀委員 いや、私はあなたがどういうふうに理解されてもちっともかまわないのです。ただ、所管の大蔵大臣として、それでは輸銀のあり方について、だいぶ前の話、三十九年の予算当時からの話だが、資金量の問題について債券の問題というのがありましたが、債券を出せば、おそらく六分五厘なんという債券では、だれも消化のし手はないわけです。そうすると、資金運用部資金の資金よりは高いコストの資金壁を入れてみたところで、これは私は輸銀の資金量の問題、金利等の逆ざやから見て、無理な問題だと思うのです。だからそれらはいろいろ御検討になったのでしょうが、あなたは輸出入銀行のあり方についてどう考えておられるか。総理大臣のことについての大蔵大臣の理解はけっこうですけれども、あなた御自身が考えられておる輸出入銀行のあり方について、いま特に私が触れておるのは、今後の対中国の延べ払い問題等が出てまいりましたときに、何かそれが政府機関がやるのだから遠慮をしようというようなことで、例のニチボーのプラント輸出の延べ払い等については、輸銀がやらないのだというような話すらわれわれは聞いておりますから、そういうことになるのならおかしなことではないかという気がしますから、そういう対共産圏貿易に対して、輸銀の果たす役割りというものが十分果たせられるようにならなければ、今後の問題として私はまずいのではないか。そういうことになると、輸銀のあり方についての資金量、金利等の問題はけっこうですけれども、いまの制度的な問題といいますか、そういう点でのあなたのお考えをいただきたいと思います。
  175. 田中角榮

    田中国務大臣 まだ検討中でございまして、結論が出ておるわけではございませんが、輸出入銀行が輸出関係金融機関の総元締めとしてあるわけでありますし、またわれわれが当初考えたよりも輸出量は非常に大きく伸びておるという事実に徴しまして、輸出入銀行の業容の拡大とか、あるいは制度そのものに対処できるようにしなければならないということは言うをまたないわけであります。ところが、いま御指摘になったように、輸銀債を出すとしても、輸銀債を出して資金量をふやすということになれば、金利が上がるわけであります。金利は下げなければいかぬ。いまのものは四分五厘というようなものであっても、三年前に貸したものは六分から七分という高いものもあるわけであります。こういうものの整理もしなければならぬ、こういうことに対して、一体その差額を何で埋める、利子補給をするのか、こういう問題にすぐぶつかるのであります。つまりこれは簡単に踏み切れないということでございます。が、しかし、輸出入銀行が、輸出がどんどんとできるにもかかわらず、資金のワクでもって締めているために輸出が伸びないということがあってはならぬ。一体現在の状態で、輸出の金融は全般的にまかなって支障がないのかという実態調査もいたしておるわけであります。まあ今年度大体二百億ないし四百億ぐらい不足ではないかというふうに、大ざっぱに見られるわけであります。でありますから、そういう財源の問題その他も検討しておりますが、先ほどもちょっと申し上げたように、日銀と輸出入銀行の関係をどうするか、横浜正金銀行と日銀の関係は御承知のとおりでありますから、そういう問題が一つあるわけであります。それからもう一つは、この間法律改正をお願いしまして、市中銀行の融資分に対する保証はできるようになりました。また出資をするというようなことも認めていただいたし、市中銀行と輸銀との調整を一体どうするのか、こういう問題がありますので、かかる問題をいま検討しておるわけであります。でありますから、あなたはビニロン・プラントの問題を申されましたが、いまこれは具体的に持ち込んできている問題でもございませんので、的確なことは申し上げられませんが、いずれにしてもそういう問題が起きてき、世界の趨勢が、延べ払いというものが非常に前向きになり、しかも国連貿易開発会議でもって後進国に対する援助の問題をやっておりますし、いまインドの債権国会議におきましても、あのような状態で強調しなければならないという状態がありますので、こういうものに輸銀がどの程度対処できるのか。また一時輸銀と合併したらいいんじゃないかという議論もあった経済協力基金の問題、開発銀行との問題、いろいろな問題がありますので、いま的確にこのような方向で考えておりますということは申し上げられませんが、まあ輸銀も拡大発展的な段階にありますので、そういう事態を前提としまして、これに対応して遺憾ないような状態にしなければならないということで、具体的問題を検討いたしております。
  176. 堀昌雄

    堀委員 通産省入っておりますか——例のニチボーの対中共向けビニロン・プラントの延べ払いの問題というのは、そうするとまだ具体的な話にはなっていないのですか。
  177. 江口裕通

    ○江口説明員 私のところではまだ具体的になっておりません。
  178. 堀昌雄

    堀委員 その次に、今度ミコヤン副首相が参りまして、日本の経済界としては、これまでとは対ソ貿易の問題については姿勢がだいぶ変わりつつあると私どもは判断いたしております。このことは、アメリカのほうが変わりつつあるから日本も変わりつつあるということだと思いますけれども、新聞紙上で見ておりますところでは、大蔵省でもこの延べ払いの緩和について前向きで検討するのだというふうな報道がなされておりますね。これはもちろんまたケース・バイ・ケースだということになれば話は別になりますけれども、現在大体私問題が二つあると思います。期間延長の問題と頭金比率の問題です。私ちょっと外国のことはよくわかりませんけれども、期間のほうは、これまで対ソ貿易は一般的に大体五年ということになっているようですが、頭金比率というのは、これは事務当局で答えていただきたいのですけれども、いまの船舶ないしはプラントに対する頭金比率は、よそもいま日本がやっているように三〇%、二〇%というようなことになっておるのかどうか、その点事務当局からお答えをいただきます。
  179. 村井七郎

    ○村井説明員 一律にソ連あるいは共産圏が自由圏諸国の場合よりもきついとは申せませんが、おおむねケース・バイ・ケースでもちろんやっておりますけれども、ややソ連、共産圏の場合は期間、頭金とも条件がいいと申しますか、期間が短い、頭金がやや多い、そういう場合が多いということは申せるかと思います。
  180. 堀昌雄

    堀委員 いや、私が聞いておるのは日本からソ連に対しての延べ払いの大体の条件は、この前の船舶輸出ですね、河合さんが行った場合は、何か五年半ですか、少し延長されておるようでありますけれども、大体これまで五年がルールということでやってきた。その五年については、おそらくNATO加盟国がソ連に対してもまあまあ五年ということになっているのじゃないかと思うのです。しかしその頭金比率も、いわゆる西欧帝国が対ソ貿易をやっておるのは、船舶について三〇%、プラントについて二〇%という頭金比率が、日本と同様に行なわれておるのかどうか、その点を西欧諸国とソ連との関係でいま伺ったわけなんです。
  181. 村井七郎

    ○村井説明員 西欧諸国でソ連に対しましてどの程度の頭金をとっておりますかということは的確にはわかりませんが、いろいろな情報あるいは出先公館からの話を総合いたしますと、大体私たちがあれしておりますような船の場合は、三割というのが多いという話を聞いております。しかしこれは商売でございますので、私たちは三割でなければいかぬというルールを設定したといいますよりも、むしろそういうような話し合いが——西欧がソ連に対してもそうでございますし、日本の場合も商売の話としてそういう場合が多いということでございます。
  182. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、いまのお話を聞いておると、いまの頭金の比率であるとかその期間の問題というのは、何も政府がタッチすることではなくて、民間ベースでやっている貿易については自由だということになるのですか。
  183. 村井七郎

    ○村井説明員 私たちは、根拠といたしましては外貨面、つまり為替管理法というものに基づきまして、許可という権限があるわけでございまして、いわば受け身でございます。したがいまして、私たちのほうに商談が成立いたしました結果持ち込まれて、私たちが見ますのは、日本の外貨集中体制全体から申しまして、この程度の延べ払いの条件でいいかどうかという受け身のことでございますので、したがいまして、ケース・バイ・ケースが出てまいりますと同時に、これでなければいかぬということをそう積極的にいえないという立場にあるかと思います。
  184. 堀昌雄

    堀委員 その点は為替局としてはおそらくそういうことでありましょうけれども、延べ払いという問題になると、おそらくいまは輸銀が主体になって協調融資になっておるということになれば、これはかなり政府がそういう金融機関に対する指導をしているのじゃないかというふうに私は理解をするのですが、その点は銀行局長、いまのような点は輸銀なりそういうところで一方的にやっているので、別に大蔵省当局としては、それらについて五年が七年になるとかいうことについては関与しないのだ、こういうことなんでしょうか。そこらが、いまの答弁を聞いていると、何だかちょっとおかしいような気がするのですがね。
  185. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 そういう条件問題につきましては、実際の個別の案件については銀行局は実はタッチしておりません。一般的な方針をきめるときに、つまりどのくらいまで延長するかとかいうときには相談にあずかりますが、しかし個別のケースで、じゃそういうことを輸銀が全然フリーハンドできめるかというと、そうじゃないので、大体それに関係するのは、大蔵省としては主として為替局——村井調査官の答弁でその辺ちょっとあいまいな点があったかもしれませんが、もう一ぺん答えてもらえばいいと思いますけれども、実際は為替局が為替の許可をする、許可のときにそれを見て不当であればはねつける、大体認可して差しつかえないものであれば認可する、ほとんど全部がプラント輸出については為替局の許可が要ることになっております。そういう手続上の問題に関係があると思うのでございます。
  186. 堀昌雄

    堀委員 それではもう一ぺん答えてください。
  187. 村井七郎

    ○村井説明員 もう一度申し上げますが、事態はこういうことに結果的になるかと思います。  政府が受け身であれ許可いたしますことが累積いたしますと、輸銀といたしましては、円ファイナンスをいたしますときにその回収ということを当然考えますが、その回収はやはり外貨で海外から送られてくるという場合に応じまして回収が行なわれるというわけでございますので、私の先ほど申しました円ファイナンスと外貨ファイナンスと一応別個だということは理論上の話でございますが、事実問題といたしましては、輸銀が金融をいたしますときに、外貨の許可のあり方をやはり各国からずっと見てまいりまして、大体この程度でいくというめどをつけませんと円金融はできないという意味におきまして、関連性はあるかと思います。これは事実上の関連性でございますが、逆に、それでは一部輸銀が見て、あとは自己金融でやるということがかりに行なわれるといたしますと、これはもちろん、輸銀というのは独立の人格を持った金融機関でございますので、それは可能ということになるわけでございます。
  188. 堀昌雄

    堀委員 何かどこかに対する配慮があるのか、非常に話が遠回しでありますが、まあ了承いたしますが、そこで、いま大蔵省は、対ソ延べ払いについて、これまでは最高五年半という例があるけれども、諸外国もだんだん延びつつある現状にかんがみて、大体どこらまで当面そういう方針として延ばす意思があるのか、頭金比率等について、それはケース・バイ・ケースですから問題は別でありましょうが、方針としてはどこら辺までゆるめるというお考えか、その辺をちょっと……。
  189. 村井七郎

    ○村井説明員 大臣からお話がございますのは、広い視野に立って、単なる商売ということだけではなくて、いろんな観点から検討しろという御指示をいただいておりますので、目下、そういう意味で広い視野で検討を進めておるわけでございます。五年半を何年にするということはその検討の一部にしかすぎないということかと思いますが、目下検討中でございます。
  190. 堀昌雄

    堀委員 ちょっとはっきりしませんからもう一ぺん確認をしますが、一体年数の問題というのは、あなたの話だけから聞きますと、要するに外貨の状態というものが先行する、こういうふうにちょっと聞こえるのですよ。しかし、外貨の状態が先行するといって、先の外貨のことが、あなた方のほうでそう精密にプログラムができておるわけではないのじゃないか。そうすると、現在の対共産圏貿易の延べ払いの残額、これは一体、全体の延べ払いの残額のどの程度になっていますか。
  191. 村井七郎

    ○村井説明員 ちょっといま手元に的確な数字がございませんが、私の記憶で一〇%ちょっとこしておる程度かと思います。
  192. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、いまの問題というのは率直にいいまして全体の一〇%の議論なんですよ。ですから、たとえばそれが倍、五年が十年になったところで、影響するウエートというものは比較的小さなものですね、これが半分を占めておるということになると大きな問題になりますが。ましてや、新聞紙上等で伝えるところでは、なかなかそこまで、十年ということにはなりそうもないということでございますと、ここで答弁をすると、何かそれが非常に拘束をするというおそれを持っておられるのかもしれませんけれども、これは期間の問題と、頭金比率の問題を含めて今後は緩和をする方向だというふうに理解をしていいわけですか。これは大臣にひとつ……。
  193. 田中角榮

    田中国務大臣 この対共産圏貿易の問題につきましては、大体いままでの累積が一割ぐらい、一割ぐらいだから大したことはないのじゃないか、こうもいえますけれども、年々輸出が伸びておるということで、輸銀の資金量にもおのずから限度があるわけでありますので、その資金量の問題が一つあります。  もう一つは、日本が賠償等をやっておる国々で、それを効率的に回さなければならぬというので、付随的なものもあるわけであります。でありますから、いままでの共産圏の貿易が一割くらいというものを大幅にくずすというような状態にはいまないわけであります。でありますから、共産圏貿易に対しての五年以上を延べ払いとしております。信用供与ということになっておりますから、これを五年半までこの間認めたわけでありますが、これを六年にする、七年にするということになりますと、資金量は一体間に合うのか。それから低開発諸国に対してどのくらい国際会議できまるのか。それによって日本がどれくらい負担しなければならないのか。それからもう一つ、相手のある仕事でありますから、ヨーロッパ諸国が共産圏に対して出している条件というものとのバランスをとらなければいかぬ。でありますし、戦後の非常にむずかしい問題としまして特徴のあるのは、これは一年間でいいものもあるし、また六年、七年でなければならぬものもあるのですが、何か戦後の風潮ですか六年にすると全部六年にしてしまう、三年にすると全部三年にしてしまう、これがきっと簡単なんでしょう。どうもそういう弊害がありますので、やはりおおよそのことをバランスをとりながらケース・バイ・ケースで一つ一つ検討していく。こういうこと以外になかなかいい手がないのです。そういうことが事実でありまして、いま五年、五年半が大幅に延びるということは申し上げられません。しかしいまの五年を引き下げてくるというような方向にはないということは御理解できると思います。しかも特にソ連などはこれは低開発国じゃなく強大国ですから、多少低開発国に対しては長い信用を供与しなければならぬ。お互い主要工業国間においてはコマーシャルベースでやる、こういうことが世界の情勢でありますので、ほかの国の出方も十分見ながら、私のほうの資金量の問題も見ながら、しかもまた特に近年方向がそういうふうに向いておりますから、そういうものも予算に入れながら結論を出していきたいということで、いませっかく検討いたしておる段階でございます。
  194. 堀昌雄

    堀委員 ちょっともう一つ伺いいたしますが、一番長いのは対共産圏貿易では何年ですか、現在認めた中では。
  195. 村井七郎

    ○村井説明員 私の記憶ではユーゴはあれは共産圏ではございませんので、別といたしますと、一番長かったのは船積み後五年半と記憶しております。
  196. 堀昌雄

    堀委員 ユーゴというのは共産圏じゃないのですか。
  197. 村井七郎

    ○村井説明員 そうは思っておりません。政治的なあれは私存じませんが、少なくとも経済的な見方から申しまして、これは国際通貨基金の加盟国でもございますし、いま国際的には共産圏という取り扱いをされてないというのが大勢だと存じております。
  198. 堀昌雄

    堀委員 それじゃユーゴで一番長いのは幾らですか。
  199. 村井七郎

    ○村井説明員 これはひんぱんではございませんが、私の記憶で十年という例があったように記憶いたしております。これはプラントでございます。
  200. 堀昌雄

    堀委員 そこで今後の問題でありますから、それぞれどうもいろいろと影響するところがあると見えてなかなかストレートな答弁が聞けませんけれども、ともかくも私どもは非常に遠いところに品物を売る場合もあるけれども、ソ連とか中国というのはきわめて近いところにある国ですね。特にソ連の場合は今後シベリア開発ということでこれはやはり大きな意味がある。ソ連にもあるだろうけれども、世界経済の上でもこれはなかなか今後の大きな問題であるわけです。その一番近いところにある日本の場合としては、実はこれらの輸出金融についてその点が十分でないために輸出が十分いかなかったということは、これはやはり輸出全体の面から見て前向きに検討が進められるべきであるし、最近の情勢を見ると私はどうも日本の、これは通産省にも聞いておいてもらいたいのですけれども、貿易その他輸出金融、その他の自主性の問題というのをもう少しはっきりさせなければならぬ。実は対ソ交換輸出がアメリカからもの言いがついたら日本はすぐやめたわけです。ところがイギリスやなんかは言われても——イギリスだったか西ドイツだったかちょっとはっきりしませんが、けっこうやっているわけです。アメリカが何か言ったって向こうはやっている。日本はやめている。昨年アメリカへ行ったときに、実は向こう側のほうがやめろと言ったら日本はすぐやおる。そして非常に従順にしているところに対して御承知のような利子平衡税のようなものをばさっと出してくる。要するにこっち側が何か切り札があれば、それならば利子平衡税よろしゅうございます。対ソ交換の輸出はすぐに再開しますということなら、これはわかりますけれども、どうもそういう点を含んで見ておると、要するにソ連側に対してアメリカが小麦を輸出するようになったからそれじゃ日本でも少しはいいのだろうというようなことでは、日本の貿易の自主性、こういう点で非常に問題がある。私はこういうふうな感じがしてならないわけです。  そこでいまいろいろとお話を聞いておると、これらの延べ払い金融の問題についても、やはりよそとの権衡ということがかなりあるようでありますけれども、国内的ないろいろな資金量の問題については、これは自主的な判断ですから別といたしましても、その点についてはもうちょっと自主的に、日本が置かれておる中国なりソ連という隣国との関係において貿易の点では自主性を大いに発揮させるべきだし、同時にその点ではニチボーのプラント輸出等の問題がもし出てきたときには、やはり政府は政府なりに責任を持った態度で対処してもらいたい、こういうふうに私は考えるわけですが、大蔵大臣どうでしょう。
  201. 田中角榮

    田中国務大臣 大体いままでも現在でも自主的にやっておるわけであります。まあ一番大きな問題はやはり日本国内の資金量の問題、それから相手の外貨手持ちとか将来の債権確保という問題がございます。もう一つは相手側が文句を言っておるからやらないという考えではなく、商売ですから、相手側が三年であればこっちは三年一カ月にしようとか、相手側が五割頭金を要求するときには四割八分でもいいとか、これは商売ですからなるべくそういう状態を前提にしているわけであります。でありますから、あなたが指摘したようにパイプなどに対しては西ドイツやイギリスなどはやっているじゃないか。実際はこちらからやるものに対しては、われわれはもっと条件は手きびしいというようなことが報告されますけれども、手きびしくして一体どうして入っているんだろうか。われわれわからない問題もあるので、そういう問題に対しては今後非常にこまかく在外公館も調査をしてもらわなければ困るし、また商社の出先もそういう問題も一つ一つ考えて、やはり商売ですから相手の出方を見てやるという商道に徹してやりたい、こういうことを言っているわけであります。  もう一つは、どこへでも売れるものを出す場合と、それから国内に少しずつ売ったほうが、日本の経済のためにいいんだというもの、品物によってみな違うわけであります。でありますから一がいに日本が非常にかたい態度をとっておるということではなく、世界の趨勢、また日本の立場、また日本の地理的な状況等最も有利に展開させたい、こういう考え方におりまして、外国の圧力、外国の顔色をうかがって、相手の出方ばかり見てすべてをやって機を逸するというような考え方はないわけであります。
  202. 堀昌雄

    堀委員 それでは時間もありませんから、最後にもう少し聞いておきたいのは、ちょっと調べたところによると、最近、輸出貿易手形を担保にしての金融の問題について、日銀のほうは昨年度末で前年度比がふえておるけれども、協調融資になっておる都市銀行のほうは逆に減ってきているというデータが書かれておるのを見たわけですけれども、この協調融資のあり方というのはおおむね比率で輸銀の場合はきめているのじゃないかと私は思うのですが、輸銀がふえれば民間もふえるということになるのだろうし、全体としてそういうふうな考え方からすれば、いまの貿易手形が日銀だけが非常に伸びて民間は非常に下がってくるというのは、どういうわけか。私はちょっとそういう事実について疑問があるわけですが、こういう仕組みについて銀行局のほうで、なぜそういうことが起こるのかお答えをいただきたい。
  203. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 輸銀の融資割合が若干変わっているという点はございます。船舶が輸銀の融資のうちで非常に多いのでありますが、その船舶につきまして、八〇%輸銀というケースがふえているという事実がございます。そうしますと民間の、つまりそれまで七割に対して三割でございましたものが、二割に融資割合が下がるということでございます。それでおそらく統計上そういうような数字になったのじゃないかと思いますが、輸銀に対する協調融資に関する限り、これは本来的には減るような性質のものでありません。最近の輸銀の年間の取り扱い総融資額が相当ふえておりますし、ことしもだいぶふえる見込みでありますので、その限りにおきましては民間のそれに対する協調が実質的に減るというふうなことはあり得ないと思います。いままでのところから見ましても、民間銀行の協調が非常にふるわないとかなんとか、そういう事実はないと私は思っております。
  204. 堀昌雄

    堀委員 ちょっとその仕組みがよくわかりませんので。いまのは実は貿易手形担保貸し出し金融の問題なんですけれども。そこで日銀のほうが出しているのはふえていて、都市銀行側のものが減っている。そうすると、日銀が直接出しているわけじゃないだろうから、要するに日銀のほうが貿易担保金融をしておいて、ではそれだけが市銀のほうでできてないのかどうか、そこがどうも、資料が間違っているのかもしれませんが、かなり具体的な金額で出されておるわけです。昨年実績で、日銀段階では前年より三十三億円、七・六%ふえたが、市銀段階では全銀行ベースで二十一億円、二・四%、甲種為替銀行ベースで四十六億円、五・九%それぞれ減っている。どうも私、それが非常に具体的に書かれておる資料だものですから、なぜこういうことが起こるのかちょっと理解に苦しんだので、そこらについて銀行局としてもしわかる点があれば……。
  205. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 ただいまのは先ほどの話とは別に輸銀と関係のない普通の輸出貿手の関係をおっしゃったわけですが、さっき貿手の残高が減っているというお話、実はいまそこまで考えておりませんでした。若干の減があったのかもしれませんが、日銀のサイドで見ますとかなりふえております。これは四月末で申しますと、担保貸しと割手とございますが、両方合わせて、五百億円は若干下回りますが、四百九十億近い数字になると思います。これはたまたまここに昨年の八月末の数字がございますが、その八月末ですと四百四十億でございますから、それでことしの四月までの間に数十億円日銀に持ち込まれた貿手はふえておるわけであります。市中での残高が減少しておるという点は、実は私うかつにしてそこまで見ておりませんでしたので、ちょっと意外な感じがいたします。日銀に持ち込まれておる数字はふえておるわけであります。
  206. 堀昌雄

    堀委員 ちょっと私もわかりませんので、一ぺんこの点は銀行局調査していただいて——意味がよくわからないですから、減っておる事実は別として、それは日銀へストレートに来るのではなくて、一回市銀のほうを通してでなければ入ってこないものがどうしてそうなるのかについては、仕組みがわからないのですから一応調査をして御答弁をいただきたい、将来御報告をいただきたいと思います。  最後に、いまかかっております自動車の問題について、これは一時輸入でございますからいいのですが、これからいよいよ来年度貿易が自由化をされる見通しになっておる。そこで自動車の貿易が自由化をされ、あるいはけさの新聞あたりでは、日本でノック・ダウンの工場までつくろうというような活がすでに出ておるわけですが、たしかこの前大蔵大臣は、ノック・ダウン等で日本の中でやるのは望ましくないという発言をここでなさったような記憶が私ございますが、これについては通産省のほうが主管省ではございますけれども、しかしノック・ダウンの工場をつくるということになれば、資金が当然要ることになってくるし、大蔵省もその点については無関係ではない、こういうふうな感じがするのですが、大蔵大臣は依然としてやはりこの前ここでお話になった、各種のものをノック・ダウンで日本でつくるような工場がどんどんできることは適当でないという御発言があったわけでありますが、自動車輸入に関してそういう問題についていまでもそのように考えておられるかどうか、その点をちょっと伺いたい。
  207. 田中角榮

    田中国務大臣 自動車の自由化というものも時の問題だとは思いますが、現在の段階において資本提携とかいろいろな問題があります。また直接投資もございます。少なくとも日本の産業に影響を与え、相当混乱をもたらすというような問題に対しましては、資本導入という場合にきびしいスクリーンをするという考え方は、私は依然現在でも変わっておりません。
  208. 堀昌雄

    堀委員 そうすると資本導入についてのことであって、資本導入でなしに日本側で、要するに純粋に日本の会社ができて、そうしてそこが部品をそういうかっこうで、ばらばらに輸入をしてきて日本で組み立てて売るということについては、それは別だ、こういうふうになるのですか。
  209. 田中角榮

    田中国務大臣 これは通産大臣が所管でございますから専門でありますが、そういう問題も確かにあります。これはある社はアメリカのフォードと手を結ぼう、ある社は逆に西ドイツのフォルクスワーゲンとやろうとか、いろいろな自衛手段を講ずるというようなことがございますが、これはただけんかをさせてどっちかつぶれてしまうということになったらたいへんなことでありますから、通産行政の中でこの実態を十分つかみながら混乱をしないようにわれわれも協力をしますし、特に資本参加という問題に対しては十分なスクリーンをするつもりでありますからという態度でございます。通産省も、いまの石油でもってさんざん同じ議論があったわけでありますが、自動車界がそういう乱脈になってだれかが倒れるというようなことはないように十分配慮しておるはずであります。
  210. 山中貞則

    山中委員長 ただいま議題になっております各案中、自家用自動車の一時輸入に関する通関条約の実施に伴う関税法等特例に関する法律案に対する質疑はこれにて終了いたしました。     —————————————
  211. 山中貞則

    山中委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もございませんので、直ちに採決に入ることといたします。  おはかりいたします。本案を原案のとおり可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  212. 山中貞則

    山中委員長 御異議なしと認めます。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  213. 山中貞則

    山中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。   〔報告書は附録に掲載〕
  214. 山中貞則

    山中委員長 次会は、来たる六月二日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十分散会