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1964-05-14 第46回国会 衆議院 大蔵委員会 第42号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年五月十四日(木曜日)    午前十時二十六分開議  出席委員    委員長 山中 貞則君    理事 金子 一平君 理事 原田  憲君    理事 藤井 勝志君 理事 坊  秀男君    理事 吉田 重延君 理事 堀  昌雄君    理事 武藤 山治君       天野 公義君    岩動 道行君       大泉 寛三君    奧野 誠亮君       木村 剛輔君    木村武千代君       小山 省二君    砂田 重民君       田澤 吉郎君    谷川 和穗君       福田 繁芳君    藤枝 泉介君       渡辺美智雄君    小松  幹君       佐藤觀次郎君    田中 武夫君       只松 祐治君    日野 吉夫君       平林  剛君    春日 一幸君       竹本 孫一君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     渡邊喜久造君         大蔵政務次官  纐纈 彌三君         国税庁長官   木村 秀弘君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   田辺 博通君         大蔵事務官         (主税局税制第         二課長)    川村博太郎君         大蔵事務官         (国税庁間税部         長)      半田  剛君         農 林 技 官         (食糧庁業務第         一部長)    田中  勉君         中小企業庁次長 阿部 久一君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 本日の会議に付した案件  税制に関する件(酒税に関する問題)      ————◇—————
  2. 山中貞則

    山中委員長 これより会議を開きます。  税制に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。堀昌雄君。
  3. 堀昌雄

    堀委員 新聞紙上に伝えるところによりますと、政府では、近く、基準価格廃止、それから小売り免許基準取り扱いについて何らかの措置がされるというふうに承っておりますが、ひとつ簡単に、基準価格廃止小売り免許基準取り扱いについて伺いたいと思います。
  4. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 まず第一の基準販売価格廃止につきましては、この基準価格制度そのものが、いわゆる公定価格制度から自由価格制度への移行の際の橋渡しの役割りを持っておったと思うのでございます。昨年開かれました酒類についての行政懇談会におきましても、原則としてこういう基準販売価格というものは廃止をして、できるだけ自由価格に移行すべきであるというような結論が出ております。そこで、私たちは、できるだけ早い機会にこれを廃止をいたしたいと考えておったのでございますが、最近における酒類業界状況から見まして、まずこの辺で廃止をいたしましてもそれほどの混乱あるいは危険性というものがないであろうという見当のもとに、業界の意向も伺いまして、六月一日を期してこれを廃止をいたしたいということに踏み切ったわけでございます。  それから第二の小売り免許制度改善につきましては、最近のいわゆる団地等の造成その他小売り業一般消費者に対するサービス状況、また値引きリベート等相当行なわれておるという実情、あるいは御承知のように、最近営業自由という方向一般空気が向いてきておりますが、こういう一般風潮等を考えまして、できるだけこれを合理化いたしたいというふうに考えておったのでございます。聞くところによりますと、最近臨時行政調査会におきましても、この制度についての批判と申しますか、答申を出すというようなことも伺っておりますので、この第二の問題は第一の問題と違いまして、近く答申が出るならば、それを待って再検討を加えてみたい、こういうふうに考えておるのでございます。
  5. 堀昌雄

    堀委員 実はこの基準価格廃止の問題も、小売り免許基準の問題も、大体は一つ目的に集約されてくるのではないかと私は思います。  そこでちょっとさきに伺いたいのは、基準価格廃止しようという目的、これは一体何なのかを伺いたいと思います。
  6. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 基準販売価格廃止しようという目的は、元来一般の商品におけると同じように、酒類におきましても現在の経済のもとでは各業者が自由にしてかつ公正な競争場裏におきまして、おのおのが自主的に自分の銘柄についての建て値設定していく、これが原則でございまして、占領公定価格というような変則的なものもございましたし、また現在ある基準販売価格というものも、これがほんとうにあるべき姿であるというふうには考えておりません。したがってわれわれとしては、原則に戻るのだという考えでこういう方針を打ち出したわけでございます。
  7. 堀昌雄

    堀委員 まさに私もそのとおりだと思います。要するに、いま資本主義世の中ですから、——資本主義世の中を私が何も説明することはないですけれども、自由にして公正な競争があるところに価格が適正になるのであって、それを阻害する場合には、その価格は少なくとも管理価格かそれに準ずるもので、このことは独占禁止法で公正な取引取引制限ということで実は禁止をされておるものが、ただ過去の形態によって、公定価格制度からいきなり自由価格に移行するについては、やはり長い統制経済の影響もあったから、そこで過渡的経過措置として基準価格制度があった、私もこう理解しておるわけです。  そこで、それでは基準価格廃止がその目的を実現し得るのかどうかという問題について、国税庁のほうでは自信があるのかどうか。実は基準価格廃止をされるのは清酒の二級、合成、しょうちゅうビールであって、要するにその他のものはすでに基準価格がないわけです。そこで基準価格がないものがそれでははたして自由にして公正な競争、自主的な建て値設定が行なわれておるかどうかということが、今後の新しい問題の前にすでに第一点の問題になると私は思う。先ほど長官は、値引きリベートの問題について触れられておるわけですけれども、今度の基準価格廃止の前に、現在基準価格のないもので現品つき販売値引きリベート相当に行なわれている事実があることを国税庁側では御存じかどうか伺いたいと思います。
  8. 半田剛

    半田説明員 ただいまの御質問でございますが、基準価格のないウイスキー等につきましては現品つき販売が行なわれております。
  9. 堀昌雄

    堀委員 二級ウイスキー等にはいま相当激しい現品つき販売及びこれに伴うところのリベート等が行なわれておる。このことは、要するに現在行なわれておる清酒あるいは合成酒、しょうちゅうビール等も、いずれもこういうものが実は行なわれておるわけです。要するに現在不正常取引になっておるわけです。いまあなたのほうでそういうものをできるだけ取り除いて、自由にして公正な競争と自主的な建て値設定をしようとするのは、それは何を目的としておるかというと、消費者利益を守ろうということにほかならないと私は思う。そこで現在そういう二級のウイスキーが非常な不公正な状態にあることについて何らかの措置ができるのかどうか。この措置がもしできないとするならば、今回水準価格のあるものを廃止しても皆さんの所期の目的がなかなか達成されないのではないか。だからその基準価格廃止の前段の問題として、基準価格のないものの不公正な取引というもの、そういうものをどう処置するかを国税庁として少し明らかにしていただかないと、基準価格廃止という目的はかすんでしまうのではないかと思いますので、まずその点からお伺いいたしたいと思います。
  10. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 ただいま堀委員指摘のとおり、基準価格のあるなしにかかわらず、あるものについてもないものについても、相当値引きリベートが行なわれ、またははなはだしい場合には現品つき販売が行なわれておることは私も存じております。そこで現在の基準販売価格というものがあることによってこれが行なわれない、あるいはないことによって行なわれるということとは問題がやや違うと思います。それはむしろ現在の基準販売価格がどういうふうな作用をしておるかということを考えてみますと、これが小売り段階における建て値の下ささえになってあるのではないか、あるいは卸、小売り段階に至るまでの値引きリベートの増大にむしろ寄与しているのではないか、こういう認識の上にわれわれは立っておるわけでございます。したがってむしろ基準販売価格をはずしたほうが、値引きリベートというようなものが少なくなるのではないか、また基準販売価格をはずすことによって、業界がみずから自粛と申しますか、不公正な取引自粛するような風潮が生じてくるのではないか、こういうような見方をいたしておるのでございます。したがって先ほど御質問のございました二級ウイスキーについて、現実にどれほどの値引きリベートが行なわれておるのかはっきりいたしませんが、しかしながら現在たとえば基準販売価格のある二級酒について行なわれておるような大きな値引きリベート、あるいは現品つき販売というものは、むしろ二級ウイスキーの場合にはないのではないか、こういう感じがいたしております。
  11. 堀昌雄

    堀委員 それではちょっとその問題に入る前に、二級ウイスキー価格に、いま各種銘柄がありますけれども、価格差があるかどうか、東京都内末端価格お答えをいただきたいと思います。
  12. 半田剛

    半田説明員 二級ウイスキーについては若干の価格の差があると思います。いまちょっとそれを調べてみます。
  13. 堀昌雄

    堀委員 そこで、いまの長官お答えでは、清酒二級よりは少ないのではないかというお話ですが、私の聞いておるところでは、清酒二級で現品つきをやっているのが、大体十本に二本というのが清酒二級の最高のようですが、ウイスキーについては十本で三本というのもあるというふうに聞いておるわけです。そうすると、これは酒税の面からいって一体どうなのか、こういう点になると非常に疑問があるのですが、それならば一体国税庁値段を下げろという指導ほんとうにできないのかどうか。ここらはきょうは少し明らかにしていかないと、今後の基準価格廃止というものがいま長官が期待されるような方向に行かないのではないか。だから、少なくともきょうのこの委員会で私一番重要に考えておりますのは、正常取引の問題というのはすでに三年前に業界でもいろいろ取りきめをしたようであります。われわれもここで何回も実は議論をしてきているわけですけれども、一向に改善をされていないわけです。そういう改善をされていない反面に、免許の問題については、非常に強く免許をゆるめることについて反対があるわけです。免許制度をゆるめることが実は私ここで論議をしております趣意ではないわけです。要するにそういう不公正な取引が行なわれておる一つカルテルがあるとするならば、そういうものは分解をして、そこでそういう業者人たちが不当な利潤を取っておるものを全部吐き出せとは言わないけれども、幾らかは消費者に還元をされるのが自由主義経済原則ではないかと思うのです。ですから、それをどうしても業界がやらないのならば、ドラスティックであっても免許基準をゆるめて、さらに公正な競争をさせない限りこの問題は解決ができない。だから私は免許基準をゆるめずして、これらの不公正な取引を排除することが必要だし、もしそれがほんとうに必要なら立法措置もあえて辞さないという気持ちを持っておるわけです。政府の側はこの問題についてもう少し姿勢を正して監督をするなり、監督をするための法規不十分ならば立法措置を考慮する等、ともかくも現在のこのような状況を改められるべきだと私は思うわけですけれども、長官お答えをいただきたいと思います。
  14. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 ただいま仰せになったように、ウイスキーの二級について十本に三本というようなことが行なわれておるかどうか、まだそういうことは聞いたことがございません。しかし、かりにこれが行なわれておる、あるいは清酒二級において十本に二本というような乱売が行なわれておるというふうにいたしますならば、やはりそういうよってきた小売り利益というものは、その何割かは消費者に還元されてしかるべきだろうと思います。現在の小売り業界実情といたしましては、やはり業務用で大口に買い取るような向きに対しては相当サービスをするけれども、一般家庭消費者に対するサービスという面にはまだ欠けるところがある、こういうふうに考えておる次第でございます。しかしながら、今後基準販売価格廃止と同時に、製販三層の各業界におきましては、やはりこういう一応のささえが取られた以上は十分自粛をし合って、そうして不公正な取引というものをやめようじゃないか、乱売をやめようじゃないか、あるいは一部の業務用業者に対する極端な値引きというようなものは自粛しようじゃないか、こういう空気がいままでにないほど業界の間に高まっておることは事実でございまして、今後はこういう空気をわれわれとしては側面から応援をいたしまして、正常取引が行なわれるように指導をいたしてまいりたい。また一部の業者でどうしてもそういう乱売等を行なって、あるいは値引きリベート等を行なって業界の安定を乱すという向きがございますならば、今後はそういう業者個々に対して強力な行政指導を行なってまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  15. 堀昌雄

    堀委員 いま一番最後にそういう値引き等が行なわれておれば個々業者に強力な行政指導をやるとおっしゃっておられますが、国税庁、それは把握できますか。個々業者という以上は、それがわからなければ指導ができないわけですからね。それは把握できますか、その点ちょっとお答え願いたいと思います。
  16. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 その点につきましては、先般私は酒類業組合団体代表者においでを願ってお話をいたしたのでありますけれども、やはりこれは国税庁の中央だけではとうていわかるものではない。また地方の国税局なり、あるいは税務署でも一々そういうものがあるかないかということは、なかなかわかるものでない。したがって今後は局ごとに、署ごとに、この業界団体との連絡を密接にして、必要があれば定期にその代表者との懇談会等を持って、一体どういう業者がどういう条件販売をしておって、それが業界の安定を乱しておるかどうかといったようなことについての情報を常時交換をいたしまして、局、署におけるそういう一部業者指導に遺憾のないようにしていきたい、こういうことを私申しておるのでございまして、業界においても大体そういう方向で今後やってもらってけっこうだ、こういうことを申しておるのでございます。
  17. 堀昌雄

    堀委員 いまのお話で、そのくらいのことなら、これまででもできたことで、私はこれはまだ十分な解決にならないというふうに判断をいたします。しかし、そこだけにとどまっておれませんから話を進めますが、いま全国東京都の場合と二つ例をとって、酒類のこれもまあとりあえず清酒ビールに限って伺いたいと思いますが、清酒ビール業務用販売家庭用販売ウエートは一体どのくらいになっておるか、全国東京都でお答えをいただきたいと思います。
  18. 半田剛

    半田説明員 一応全国のほうを申し上げたいと思いますが、ビールにつきまして、三十七年の調べで若干古いのでございますが、家庭用が四七・六%、その他がしたがって五二・四%、こういうふうになっております。それから清酒につきましては家庭用が七二・三%、こういうふうな統計になっております。
  19. 堀昌雄

    堀委員 そこで、先ほども長官お答えになっておりますけれども、実は家庭用清酒及びビールは、安く割引きで買えるという例はほとんどありません。しかし業務用は、これはほとんど例外なく実は多少の値引きで買っておるというのが現状でございます。そこらの実情を少し、いまの全国段階でよろしいですが、家庭用業務用の差は大体どのくらいあるのか、国税庁で把握しておられる範囲お答えをいただきたいと思います。
  20. 半田剛

    半田説明員 いまのお答え、先ほど東京都のを落として申し上げました。東京全国ほどのこまかい数字はございませんが、業務用は六割、一般が四割ということになっております。まず補足させていただきます。  そこでただいまの堀委員の御質問でございますが、まず清酒のほうについて申したいと思います。小売りから消費者への段階につきまして、どのようなリベートが行なわれておるかということは、なかなか人によって、それから場所、統計の時期ですね。統計をとる相手方、いろいろ違うのでございますが、清酒について一つの例をあげますと、小売りから料飲店のほうには、清酒は一升五円三十六銭という数字がございます。そのほか統計によりましていろいろな数字がございますが……。
  21. 堀昌雄

    堀委員 上限と下限を言ってください。
  22. 半田剛

    半田説明員 清酒についていろいろな数字がございますけれども、消費者の支払い、いまの五円三十六銭も一つでございますが、四円一銭あるいは四円七十八銭という数字もございます。これも同じく清酒小売りから業務用へのリベートの形でございます。それからビールにつきましてもいろいろな数字がございます。主としていまと同じように業務用に出すリベートでございますが、これは去年の十二月の計数でございますが、一番低いもので一本につき五円二十七銭、そういう数字がございます。それから六円十六銭とかいろいろな数字がございまして、一番上のものは七円七十九銭という数字がございます。したがいまして、私たちビールにつきましては平均して大体六円くらいというものが業務用に出ているということが言えるのじゃないかと思います。
  23. 堀昌雄

    堀委員 いまのように、皆さんもお聞きいただいたらおわかりだと思いますけれども、一般消費税は、全国で四七%はビールを自家用で買っておる。これはいま大体びんつき百十五円でわれわれは買わされる。ところが業務用の場合には、五円から七円くらいの間で値引きが行なわれている。そのウエートが五三%ということですから、ビールの生産について言うならば、実は値引きのほうが多くて、値引きをしないで売っておる一般家庭消費のほうが少ないんだ、こういう実情になっておるわけです。これから考えますと、今後この基準価格撤廃をされた場合には、この間からしばしば新聞紙上で拝見をしておりますと、ビールの各業者は、基準価格撤廃をされたら値上げをしたいんだということを盛んに言っておられますけれども、私はこれを見ると、値上げをしなくても、現状のままでまず業務用が、われわれが家庭で買うのと同じところへくるならば、ずいぶん大きな値上げが行なわれたと同じ効果があるわけですから、ビール値上げについては、少なくとも私はこの業務用価格——それは一円とか二円とか、その程度の範囲というなら、これは大量と少量の差があるから別といたしましても、ビールのような価格条件で、五円も七円も差があるというようなことでは値上げ条件にはならない。基準価格廃止をされたということは、自由、公正な競争がされることになるはずであって、そのことがこういうものをはき出した後でなければ値上げ条件にならないのだと私は理解をいたしますが、国税庁はどう判断をされますか。
  24. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 ただいま御指摘のとおり、私も全く同感でございます。ただし、業務用に対する値引きというものが全然いけないかどうかということになりますと、これはやはり自由競争原則として、ある程度のサービス大量購入者に対するある程度の値引き販売ということは、これはやむを得ぬと思います。しかしながら、ただいま行なわれておりますような極度の値引き、しかも一般消費者に対する値引き販売サービス販売と比べて、あまりにも開き過ぎておるというような条件のもとにおいて値上げをするということは、これは全く穏当ではないので、ただいま堀委員の御指摘のとおり、私も同感でございます。
  25. 堀昌雄

    堀委員 そこで、基準価格なるものは政府がきめておる価格ですから、これは画一的な価格というものが生まれると思います。基準価格廃止をされた場合には、これらの価格の問題については、もし業者が「契約、協定その他何らの名義を以てするかを問わず、他の事業者と共同して対価を決定し、維持し、若しくは引き上げ」る場合には、当然私的独占禁止及び公正取引の確保に関する法律に抵触してくる、こういうふうに私は判断をしますが、国税庁もそう判断しますか。
  26. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 私も同様に判断をいたします。
  27. 堀昌雄

    堀委員 公正取引委員会委員長にお伺いをいたします。  今後ビール基準価格廃止をされますと、ここで自由なる価格になる。その自由なる価格について私はいま申し上げたような理由で、少なくともこのようなリベートが大幅に行なわれておる範囲においては値上げの必要はない。これについてはおそらく国税庁としても、適当な行政指導が行なわれるものと期待をしておりますけれども、しかしそれにしても、基準価格廃止をされたわけでありますから、業者の中には値上げをしたいという問題が起きてくるかもわかりません。ところが御承知のように、ビールは大手三社と小さい二社——スケールは大きいのでしょうけれども、ビールの場合はシェアが小さいから二社、合計五社しかありません。きわめて寡占業種であります。この寡占業種の中でビール値上げが行なわれるときに、もしこれが現在と同じような形で同一の価格に次に値上げが行なわれる場合には、私はやはり不公正なる取引制限ということに該当してくると思いますが、これらについて、もしビール値上げが今後行なわれるということを予想した場合に、公正取引委員会としては、どういうふうに措置をとられるかを伺っておきたい。
  28. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 ビール値上げが行なわれ、その間にその業者の間で話し合いがあったという事実がはっきりしますれば、われわれは当然独占禁止法違反として処置します。
  29. 堀昌雄

    堀委員 そこでいまの問題なんですけれども、何らかの話し合い——協定その他名義を問わず話し合いという問題が、非常にむずかしいことになってきます。まあ、こういうふうに考えるのです。  要するに、たとえばどこか一社がいま百十五円を百二十円にするということを決定いたします。そうすると、それに引き続いて話し合いも何もございませんけれども、次の一社が同様に百二十円にします、あとも百二十円にしますというかっこうで、ぱっぱときまってきたとすると、この場合に話し合いがあるとかないとかいう判断は非常にむずかしいと思いますけれども、結果から見ますと、話し合いが行なわれたと同じ効果をもたらすような価格決定がされる場合においては、私はやはりこの第二条の第六項にいっておるような不当な取引制限であると理解をしたいと思うのですが、公正取引委員会は、その場合どういうふうな判断をいたしますか。
  30. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 いわゆるプライス・リーダーシップという問題がよくあります。プライス・リーダーが一応あって、ある特定の一社が値段をきめて、そして他の社がこれにくっついていく。その相互の間には全然意思疎通がない、こういうのが観念的には一つの姿として考えられます。こういう場合は独占禁止法における不当な取引制限ということには該当するとは思っておりません。ただ、しばしばよく考えられるものは、やはりその間に相互話し合いがあるのではないか。これも話し合いがはっきりしていれば、これは当然違反としてつかまえます。結局、いわば一番扱いにくいのが隠れたカルテルといわれている問題であります。この場合におきましては、たとえばビールのような寡占の姿にありますときには比較的それが行なわれやすい、これもわれわれは事実としてはっきり認識しております。したがいまして、その相互間に話し合いがない場合に現象形態から見て、ただ話し合いがあっただろうという推定だけをして独禁法違反にするというのは私は無理だと思いますが、しかしそういう場合におきましては相互の間に話し合いの機会がありはせぬだろうか、少なくともそういう疑惑があるということも考えられますので、今後の動きについては特に注意してまいりたい、こう考えております。
  31. 堀昌雄

    堀委員 実は私はこれまでいろいろなものの値上げを見ておりまして、そういう例はしかし実は形式としてはあとから続いてやったような形式は常にとられるわけです。プライスメーカーがまず上げて、あとが続いたような形式がとられておるけれども、いま取引委員長が言われるように、これは全然偶然ではないのです。偶然ではなかなかそういうことはきまらないわけですから、ある意図を持って話し合いが、どういうかっこうであるかは別として行なわれておる。そのことは早い話がしょうゆの値上げというのは、実は当委員会の所管ではありませんから私もこれまで触れておりませんけれども、しばしばしょうゆの値上げというものが同じかっこうで実は一律に上がるわけです。内容を調べてみるとしょうゆの場合には業者が三千ぐらいあって、小さい業者はなるほど現在のいろいろな条件では合理化をされていないから、この価格ではやりきれないということで値上げをしたい。ところがヤマサなりキッコーマンなりという大手が上げなければ、銘柄の弱いしょうゆが先に値上げをして大手のしょうゆが安ければ売れっこない。そこで結局これはプライスメーカーに働きかけをして、一律の価格でしょうゆが上がっておる例があるわけです。これらについては公正取引委員会では、そういうものについてお考えになったことがありましようか。
  32. 渡邊喜久造

    渡邊(喜)政府委員 いまお話しになったような事例があり得るとは思いますが、過去においていまのようなことをわれわれのほうの事案として調べ、それで証拠が上がり、問題にしたということは遺憾ながらありません。
  33. 堀昌雄

    堀委員 ですから私は特にいまの問題を取り上げて申しておるのは、基準価格廃止というのは自由なる価格がつくことだとわれわれは実は理解をしておるわけです。ところが実際にはそういうふうに価格がいろいろと変わっていなくて、一本価格のようなものが比較的に多いということは、どうもややもすると、実は基準価格廃止しても、基準価格があったときと大差のないような状態が相当続くのではないかという感じがいたしますので、ここらの点については私はもう少し各銘柄によって、これはあらゆるものについてでありますけれども、その銘柄の強弱によってすでに格差はついておるわけなんですよ。そのついておる格差が消費者段階に到達をしないだけで、流通段階ではもう格差がついておるということは、リベートを出すのと出さないと、値引きするものとしないものと、現品をつけるものとつけないものとあるわけですから、そのあるものを流通段階で遮断をしておるところに、実は私は現在大きな問題点があると思うのです。だからそのことは、やはりそういうふうな現実にある銘柄格差が消費者段階にこないという問題については、いままで論議をいたしました値引きリベートの問題が一つあるし、もう一つの問題は逆にそういう不公正な取引によって末端価格を一律にしておるという問題があるししておるので、だから私はやはり基準価格撤廃ということを含めて、そういう末端価格が、多少銘柄格差によって——私もさっき言うようにリベートその他を全部吐き出せとは言わないけれども、何らかのかっこうで商品に格差がつくということが当然起こり得るものが起きないということは、やはり私は陰における一種のカルテル行為ではないかというふうに考えるということであります。基準価格廃止されたものについては……。だからその点については先ほどのウイスキーの問題は、当然、私はいま価格をお調べになったと思いますけれども、もしそういう銘柄格差があって価格に差がついておるのならば、これは多少問題は別でありますけれども、そういうリベートがついておりながら末端価格が同一であるならば、それはやはり不公正な取引が行なわれておるというふうに考えていいじゃないかという気持ちがするわけですが、その点について国税庁と公取のほうで一ぺんお答えをいただきたい。
  34. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 私たちの予想では基準販売価格廃止しますと、直ちにそれによって末端の価格が上下するということはただいまのところないのじゃないか。やはり長年行なわれてきました習性もございます。それからただいま堀委員が御指摘になりましたように、すでに実質的には基準販売価格制度がある現在においても、銘柄格差というものが小売り段階に至るまでの取引段階では出ておるわけでございますので、したがって直ちにこれが末端の価格にあらわれてくるとは考えておりませんが、しかしながら時間の経過とともに次第にそういう現象があらわれてくるのじゃないか、いままでのように二本あるいは三本というような格差ではなくて、もっと種類別に相当末端価格の違ったものが出てくるのじゃないか、こういう予想をいたしておるのでございます。
  35. 堀昌雄

    堀委員 まあ、いますぐには起きないと思います。いまのウイスキーというのは実は基準価格はないのです、ずっと前から。いまのあれをちょっとお答えいただきたいと思うのですが、二級ウイスキー価格、まだわかりませんか。
  36. 半田剛

    半田説明員 銘柄の名前を言うわけにいきませんけれども、二級のたとえば百八十ミリリットルにつきましては、大体のところが百二十円であります。それから七百二十ミリリットル、二級はある種が五百円、四百七十円、五百七十円、四百八十円、こういうようにいろいろございます。
  37. 堀昌雄

    堀委員 いろいろあるのでしょうけれども、いまの清酒の二級の中にも、ちょっと中身の違うのがあると思うのですよ。だから要するにある一つ基準でそろえてものをみないと、その点はちょっと一つ銘柄でも二級で二つ価格のついているものも現在はあるわけですから、だから大体同等と見られるもので——いまちょっとゆっくり調べてください。この問題ちょっとあとへ延ばします。  そこで今度は清酒の二級の問題なんですが、実は約半年くらい前ですけれども、私はあるところで酒屋へ入ってみましたら、そこで酒類価格が書いてあります。Aが幾ら、いま価格は少し変わっておりますから、五百五円ですか、Aが五百五円なら五百五円、Bが四百八十五円なら四百八十五円、Cが幾ら、Dが幾ら、こう値段が書いてあるわけです。そこで私はその酒店で、別に二級を買う意思ではなかった、ほかのものを買うつもりだったのですけれども、Dのこの酒ください、こう言いましたら実はDありません、こう言う。それじゃ今度Cのこの酒ください、こう言いましたら、いや私のところはAしか置いておりません、こう言う。ああそうですか、ここにはA、B、C、Dと書いてあるけれどもおたくはAしかありませんか、そうすると一体なぜBやCやDは置かないのですかと言ったら、そんなものはうちは置いても売れませんからAだけです、こういう話しです。ところがそのAというのはどういう銘柄かということは一つも書いてないし、Bもどういう銘柄かということは一つも書いてないのですから、買うほうにしてみたら、それは実際はA、B、C、Dが置いてあるかもしれない。A、B、C、Dというのはさっき言ったリベートの格差によっておそらく出ているのかもしれない。ところが買うほうにしてみたら、Aしかありませんと言われたら、どれがAなのかBなのかわからないとしたならば全部Aを買わされる。だからA、B、C、Dという価格差がついているというなら、実は格価差がついておるということだけであって、消費者には何ら影響はもたらさないし、選択ができないわけです。  そこで実は皆さんのほうの資料をちょっと拝見いたしますと、大体二級酒で五百五円というものが二百三十二銘柄、それから五百円というものが四十二銘柄、それから四百九十五円ですかそれが百二十九銘柄、それから四百八十五円が九銘柄、それから四百八十円が三千二百六十三銘柄というふうに実は銘柄が出ておるわけです。そうすると少なくともBとかどうとかは別として、銘柄ウエートから見ても一番高いのが全体のウエートの中で一八%くらい。それで一番多いのが七四%くらいのウエートを占めておるとするならば、少なくとも現在清酒については私は実はAとBと二つはなくちゃならぬと思うのです。ところが買うほうは、いまのようにかなりなところでは実はAしか置いてないと言って、いまの四百八十円のものが五百五円で売られておるところが現実にはあるわけです。そこで今度基準価格廃止をされるならば、少なくとも全体の標準的な価格は何らかの形で表示をしたらどうか。要するに商品の末端の価格をこれから建て値がいろいろ行なわれると思うのですけれども、消費者に少なくともこの酒は幾らだということがわかるようにしてもらわないと、基準価格廃止をされようがどうしようが値段のついてないものを買わされるということになるのではないか。一般にわれわれが商店にまいりますとたいていのものは値段がついています。値段がついているので買うのですが、残念ながら酒については値段が書いてあるのが非常に少ないのです、率直に言って。ですから今度いまのウイスキーでもそうだし、銘柄にかなりバラエティーのあるものは何らかのかっこうで末端価格建て値が表示をすることができるようになれば消費者は安心してこの安いほうを買いたいとか高いほうを買いたいとかという意思が通じるようになるのではないか、そういうくらいの措置が私は必要ではないかという感じがいたしますけれども、これらのいまの条件から類推をするわけですが、消費者利益を守る意味では何らかのそういう措置がとり得ないものかどうか、その点をちょっと伺いたい。
  38. 半田剛

    半田説明員 ただいまの御質問でございますが、基準価格廃止後当分の間は大体このままでございます。その後につきましてはおのずから自由な建て値が出てくるのが理想である。またそうなるであろうと長官が御答弁したとおりであります。ただいまの御質問に関連しまして業界でもすでに、いまでもずいぶんそういう機運が出てきまして、先ほどの御質問ではA、B、C、Dというふうになっていても実際はAしか売らない。そういうことが行なわれておるところがあるやに承ったのですけれども、特にこの基準価格廃止が契機になりまして、役所としまして基準価格がなくなったからどんどん安くなるんだというようなことにはもちろん酒税の関係もありましてできませんけれども、特に小売り業界はそういう機運になってきて、たとえばいまの御質問のようにやはり末端価格におきましても基準価格がないんだしいろいろな値段があるんだ、そういうようなことも表示するとか、何かそっちのほうに前向きで考えようじゃないか。それにこの場合も表示するしないにかかわらずいろいろの値段酒類があるんだ、そういう機運になってきました。今後徐々にそういうふうな機運がさらに進んでいくというふうに私は確信いたします。
  39. 堀昌雄

    堀委員 一般皆さんはいまの酒にそれほどの価格差があるということは御存じないのです。私はこの資料を拝見しながらそう思うのですけれども、現在の基準価格で二十円しかアップしてなくて売っているものが九十二銘柄ありますわ。ですからずっと各階層があるのですけれども、残念ながらこれは消費者は知らないわけです。だから私はこれらの点についてはなるべく小売り業界にこれから協力をしてやっていただきたいと思います。私はそういうものがほんとうに協力をされてきて、消費者利益が守られるんなら、何もそう声を大にして流通の自由化を急ごうという気持ちはないわけですけれども、全然自由化されてないようではこれからの流通は、このままで基準価格廃止されていくようなことであるならば、これはやはり今後免許基準の問題というのは、それらに関連して考えていかなければならぬ要素の一つではないかと思うのです。  そこで今度はちょっとリベートの問題について触れたいわけですけれども、最近のリベート、要するにこれは平均的なものでしょうけれども、製造業者から卸業者への平均的なリベートは一体どのくらいか。卸売り業者から小売り業者へのリベートというのが、値引きというかいま一・八リットル当たり二級酒でどのくらいあるのかをちょっとお答えをいただきたい。
  40. 半田剛

    半田説明員 ただいまの御質問でありますが、これもいろいろな人によってあるいは時期によっていろいろ違うのでございますが、三十六年ごろの調べでございますと清酒二級につきまして製造業者から卸に対して八円六十四銭、同じ時期で卸から小売りが十二円九十銭、三十七年の調べによりますと製造者から卸へは二十円六十五銭であります。卸から小売りへは十三円六銭という数字が出ておるわけであります。三十八年のこれは二月ごろの調べですが、製造者から卸へ二十六円十九銭、卸から小売りへは二十円二十七銭、こういう数字が出ております。
  41. 堀昌雄

    堀委員 そこでちょっとお伺いしたいのですが、清酒二級のこれまでの建て値、昭和三十六年当時は一番多いところ、三千九百ほどある部分は一体どのくらいであったのか。実はいまのお答えリベートが当時は約二十一円五十銭出ているわけですね。それから三十八年の二月にきますと四十六円四十六銭、リベートがふえているわけですね。ですからその間に約二十五円実はリベートのほうがふえている。この間の、今度は建て値の値上がりは一体、幾らあったのか、ちょっと伺いたい。
  42. 半田剛

    半田説明員 三十五年ごろから……。
  43. 堀昌雄

    堀委員 三十六年の五月から三十八年二月までの間です。
  44. 半田剛

    半田説明員 このときは三十六年の三月三十一日でございますが、清酒二級につきまして基準価格四百四十円のもの、これが三千六百十銘柄ございます。これは八九%でございます。それから二十六年の九月になりますと基準価格から二十円アップが三千四十二銘柄、七五%でございます。それから、三十七年の二月には同じく基準価格から二十円アップが三千四百九十六銘柄、八六%でございます。それから、飛びまして三十八年の十月三十一日、これが基準価格から四十五円アップというものが三千二百六十三銘柄、八六%。大体こんなふうになっております。
  45. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、昭和三十六年の七、八月ごろですか、そのころは、四百六十円というものが二級酒のほとんど大勢であった、三十八年の十月になると四百八十五円になった、私ども消費者が買うものはそういうことだったわけですね。要するに二十五円この間で消費者値段は上がりました。ところが、これで見ると、生産者は結局その間に二十五円余分の値引きというかリベートを取られておる結果になる。ということは、生産者はこの間ちっとも値上げをしたということになってないわけですね。消費者だけは二十五円値上げをされて、ではその分はどこへ行っているのかというと、資料から見ますならば、流通で全部取っちゃうということになるわけですね。一体、こういうような状態が酒類の今後の価格の変動の中で行なわれるというようなことであれば、これはやはり流通段階というものが、いろいろ議論があっても、非常に強いカルテルになっているということをあらわしているのではないか、私はこういうふうに判断をせざるを得ないのです。これらの生産者が御承知のように苦しい苦しいといいながら、生産者が値上げをしてくれというかっこうで値上げがされておるけれども、生産者の手取りはその二年間にちっとも変わっていない。そして実際にわれわれは二十五円の余分の負担をさせられて、あげてそれは流通の中へ消えたというようなことでは、これは私ども問題があるのではないかという気がするのですが、今後の清酒価格の問題について、ここらについてはどう考えますか。
  46. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 多少数字に誤解があるのではないかと私思うのでございます。ただいま間税部長から申し上げましたように、昭和三十六年ごろには清酒二級については大部分のものが四百四十円、すなわち基準販売価格で売られておった。これは八九%でございますから、大部分のものは四百四十円で売られておった。三十八年になりますと四百八十五円で大部分が売られておるので、その間四十五円の値上がりを来たしておる。一方、これも先ほど間税部長から申し上げましたように、製造業者から卸売り業者に対するリベートが平均的なところで二十六円十九銭でございました。また卸売り業者はそれだけのリベートをもらって小売り業者に対して二十円二十七銭のリベートを払っておるということでございますから、ただいまおっしゃったように、この差額が全部小売り段階で消えたということにはならないかと存じます。
  47. 半田剛

    半田説明員 ただいまの長官の発言に関連しまして補足説明させていただきます。  リベートは、いろいろな数字がありますが、生産者から卸、卸から小売り、それぞれ何円という場合があると申し上げたのですが、それを一つの例で申し上げますとさらにはっきりするのではないかと思います。たとえば先ほど申し上げました中で、生産者から卸へ二十六円十九銭のリベートが払われておる、これを申し上げたのでございますが、これはまさに生産者から卸に対して二十六円十九銭持ち出しましたということであります。今度は卸から小売りへ、これはいろいろな数字もございますが、いまの数字に対応するものとして、二十円二十七銭が卸から小売りに払われておるとしますと、どういうことになるかと申しますと、二十六円十九銭と二十円二十七銭の差額、つまり五円九十二銭というのが、これがいわば卸の手元に留保されるわけです。そうして今度は小売りから料飲店——一般消費者はほとんどリベートということはありませんが、これが別の形で五円三十六銭、こういうかっこうになっておりますから、結局生産者から出る二十六円十九銭の中から卸のところに五円九十二銭が留保されてあとの二十円二十七銭が小売り業者にいくリベートが出る、こんなかっこうでございます。
  48. 堀昌雄

    堀委員 私、いまのお話を聞いておって理解がちょっと間違っておりました点は訂正をいたします。訂正をいたしますけれども、いまお話しの製造業者が払っておるマージンと小売り業者が払っておるマージンの関係が逆になっておるときには一体これはどういうことになるのでしょうか。要するに、三十六年五月のときにメーカーは八円六十四銭リベートを出しておった。ところが小売り業者が十二円九十銭リベートをもらった。そのことは、今度は卸売り業者が自分たちのマージンの中からはき出してまでリベートを出しておった、二段階リベートが出ておる、こういうことに理解すべきなのですね。そうすると、どうでしょうか。
  49. 半田剛

    半田説明員 そのとおりでございます。
  50. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、確かにいまの問題は私比較の方法は少しまずかったのですが、長官のおっしゃった価格の問題は、四百六十円になったのはたしか三十六年十月でしょう。そうですね。それから四百八十五円になったのは三十八年の九月か十月だったと思うのです。だから、この時限を比較するということは、八円六十四銭のリベートと二十六円十九銭のリベートの差は、その時限の十月十月で比較するのも、五月五月で比較するのも、比較としては私は同じじゃないかと思うのです、内容として見ると。そうすると、この間で十八円、二十五円実際に上がったうちで十八円というのは生産者がはき出しているわけですから、さっきの比較は悪かったけれども、実際末端では二十五円上がったことになるけれども、この間の差は、リベートがとられておる意見からいえば七円しか実質的に上がらなかった、こういうことにはなりますね。どうでしょうか。
  51. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 そのとおりでございます。
  52. 堀昌雄

    堀委員 そうすると、今後の値上げなりいろいろな価格についてここで十分考えていただきたいことは、これまで値上げをあなた方が認めておられた根拠は、おそらく一番初めには、生産者の生産のコストが上がりました、米が上がりましたというのが値上げの理由だったと思うのです。おおむねそれに便乗して、卸、小売りがいろいろな比率でその値上げの配分を受け取ってきたということだと私は理解をしておるわけです。しかし結果として見ると、実はその値上げの中で、要するに生産者価格値上げの中でとられておるものというのは実際は幾らでもなかったということになってくると、今後の値上げのあり方についてはかなり慎重な判断をしていただかないと、値が上がった中には逆に——この基準価格ができる前に当委員会でいろいろ議論されたことは何であったかというと、公定価格廃止をされて基準価格になったら安値競争が起こって非常に困るだろうということが当委員会におけるほとんどの議論なのです。今度は、当委員会においてはきょう初めてこの議論をするわけですが、一般では業界人たち値段が下がりはしないかということばかり心配しておるわけですね。しかし私は、過去の例から見るならば、逆に不当なかっこうで値段が上がりはしないかということをはるかに心配しておるわけです。だから私が少しきょうはこまかいことを聞いておりますのは、今後の値上がりについては、ほんとうに理由がなしにどんどん値段が上がるということは、これはあまりあり得ないことではないか。一部の銘柄は、これは生産の量と消費の量との関係、需要との関係があるでしょうから、需要供給の関係で上がるものはあるいはあるかもしれません。これは流通段階で当然のことかもしれません。しかし供給量がしっかりあるのに上がるということは、本来的にはこれはおかしいわけですね。基準価格廃止されて公正な競争が行なわれておるならば、供給がオーバーになっておって価格が上がるはずはないわけですから、この問題はこの前実は一昨年の十月ですか、焼酎と合成酒基準価格がありながらさっさと上げたのが、今度の基準価格廃止の発端ですけれども、あれで基準価格以上に当時三十円であったか五十円であったか上げてみて、需要のないものを値段を上げたら、それで売れるのだという説明を実は国税庁はしたわけです。そこで売れるだろうというので暗黙の承認を与えた。あとの資料を見たら売れてないのですね。需要のないものを値段を上げて売れたら資本主義経済でおかしいと思っておったが、まさにおかしいのであって売れなくなっているのですね。今度のこの問題というのは、供給が過剰だということは相対的に言えば需要が少ないということですから、供給が過剰ぎみのものがなおかつ今後値段が上がるということも、これはやはりおかしいことになりはしないか。それがもし上がるとするならば、やはりある程度のカルテルのようなものがあるから上がるのであって、自由公正な競争が行なわれておれば、供給過剰のものが値段が上がったりするはずはない、こういうふうな判断をしているわけですけれども、そこらの点についての今後の見通しをひとつ国税庁から承りたい。
  53. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 現在の酒類業界、ことにただいまお話になっております清酒業界の実状から考えますならば、御承知のように昨年は相当の生産の数量をふやしております。いま基準販売価格をはずしたからといって、そこに何らかの話し合いが行なわれるか行なわれないか知りませんが、値上げが行なわれるという空気ではないと私は存じます。しかしながら、将来におきまして生産がふえつつもやはり御承知のように原料米の値上がり、人件費の値上がりというような要因もございますので、やはり必ずしも生産が多くなったから値上げの要因はないかというと、そういうわけにも参らぬと思います。ただ生産の量がふえまして稼働率が広まると、それだけコストが低くなりますので、そういう関係から、一方においてはやはり生産費が下がる要因もございますけれども、しかし具体的に清酒二級の特定の銘柄について値上げをするというような場合には、やはり正確な原価の計算をしまして、それでその値上げが合理的なものであるかどうかという判断をいたさなければならぬと思います。一般的に申しましてやはり生産が需要に比較して相対的に大であるという場合には、値上げができる条件は整っていないということは言えると思います。
  54. 堀昌雄

    堀委員 結局いまの正常取引がずっと行なわれてくるようになれば、私は心配するような問題はないと思うのですけれども、その点については今後も——いまお話のような原価が上がったものについては、これは当然やむを得ないと思います。しかしそうでなくてそれ以外の要素で値上がりをするようなことのないようには、ひとつ十分配慮していただきたい。  最後に、今度はいま皆さん業者の力が心配しておられる、下の値段、下限値の問題が一つあると思います。これをいま業者の方は非常に心配をされておるけれども、私は実はなかなかそういうように安くならないのだろう。少し安くなってもらえば非常にけっこうだと思うのですけれども、なかなかなりにくいのではないかというほうを私は心配しておるのですが、この下限値の問題はいろいろ取りざたされておりますけれども、いまの酒類業法の法律でも、再販売価格等の方法もあるわけですから、非常に混乱をする場合には、それは再販売価格を指定することによって措置はできてるのではないかという感じがしておりますけれども、この点についての国税庁長官の見解を承りたい。
  55. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 下限値の問題でございますが、御指摘のようにあまり値くずれがするということになりますと、酒税の保全上大きな問題がございます。したがって国税庁といたしましては、特定の銘柄あるいは特定の販売業者が、業界の安定を乱すような低い値段販売をするということになりますと、その以外の業者の方々もやはり競争上そういう値段に巻き込まれていく、そういう連鎖反応がだんだん広がっていくということが問題でございます。したがって生産者の段階で特に大きな値引き販売をしておるというような方がございますならば、これはやはり酒税の保全上から考えても、担保の提供命令を出すとか、あるいは酒税の検査を厳重に励行するとか、あるいは酒団法によります経理改善の勧告をするとかいうような方法によりまして、そういう業界の安定を乱すような販売のやり方というものに反省を加えてもらいたい、こういうふうに考えておるのでございます。
  56. 堀昌雄

    堀委員 最後にビールについては、やはり一般の市民も基準価格撤廃をされたあとの価格について心配をしております。これは将来のことはともかくとして、ここ当分の閥は基準価格廃止されても値上がりをすることはないのでしょうか、その点をひとつ承りたい。
  57. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 私、基準価格撤廃を前にいたしまして、酒類業組合の八団体代表者の方々においでをいただいて、値段の面についていろいろ懇談をいたしたのでございます。その際ただいま御質問ビールについてでございますけれども、これはいまの大手三社、それから後続の二社、この五社の関係、競争状況等から見まして、まず値上げをする空気はない。もちろん値上げをするということになりますというと、これは銘柄で一番強いキリンが値上げに踏み切らない以上、それ以外のより弱い銘柄だけが値上げをするということは、実際問題として行なわれがたいと思いますけれども、そのキリンにいたしましても値上げをする意思はないということを申しております。それではそれは当分の間であって将来はどうなるかということになりますと、必ずしも遠い将来のことをここで申し上げるわけにはまいりませんが、しかしながら戦前自由価格時代にありましたように、これが一年たち二年たつという間には銘柄によってあるいは五円くらい安いものもある。あるいは五円——五円と申しますか、五円くらい高いものもあるというふうに自然になっていく、これがやはり自由価格の本質だろうと思います。したがってそういう意味における価格差は将来は生ずると思いますけれども、ただいまのところは値上げの心配はないということを、私、ここで確信いたしております。
  58. 堀昌雄

    堀委員 最後にちょっと要望だけ申し上げておきます。  酒類の問題につきましては、いろいろといままで論議をしましたように、流通の段階には問題がたくさんあります。そこで公正取引委員会にひとつお願いしたいのは、いろいろな問題の中でさっき私が申し上げた、不公正な取引、あるいは取引上の立場を利用してのいろいろな問題等、実はこの酒類の流通段階にはいろいろ私独占禁止法関係の法律に抵触するやもしれないという感じのするものが多々いまもありますし、今後も起きてくるだろうと思います。これらの点につきましては、やはり消費者の立場から十分ひとつ監視をしていただいて、不当な取引の行なわれないような措置をひとつお願いをいたしたいと思います。  それから政務次官にちょっとお願いをしておきますけれども、わが党も酒税の減税法案を提案しておりますが、まだちょっと審議がされませんが、これは委員長にお願いして、早急に一ぺん審議をいたしたいと思っておりますけれども、やはり間接税、特に酒税が少し高過ぎるためにいろんな問題を生じておる点も、これは政府として十分考えていただかなければいかぬと思うのです。もう少しこれが安くなれば、これらの問題もやや改善をするについていろいろとやりやすい面も出てくる。日本の酒税はどうもあまりに高過ぎるということをわれわれ痛感をして、いまわが党としては減税の法案を出しておるわけですが、これらについては、今後の酒類行政全般を前向きに立て直すためにも、酒税の減税について十分ひとつ配慮をお願いいたしておきたい、こういうふうに考える次第です。
  59. 武藤山治

    ○武藤委員 関連して。国税庁長官も御存じだと思うのですが、いま飯米用の米がたいへん逼迫をいたしておりまして、酒造用の米の割り当てやこれからの見通しというものは、当初計画を立てたものを変更しないでも遂行できるのかどうか、その辺の酒造米の需給状況をひとつお伺いいたしたいと思います。
  60. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 酒造米の点につきましては、御承知のように、ことしはわりに豊作であったわりには、やはり需給の関係がうまくいってないというような実情でありまして、当初われわれとしては約十万石程度は準内地米、加州米でございますが、これを使っていただかなければならぬかと思っておりましたが、その後若干好転をいたしまして、約九万石程度そういうものを使っていただけば、あとは内地米でもって十分まかなっていけるという見通しがついております。
  61. 武藤山治

    ○武藤委員 従来準内地米を酒造用に使った経験というのはあるのですか。酒の品質が落ちたり、味が落ちたりという心配はないのですか。それはいかがですか。
  62. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 従来外米を使いました例は、昭和二十八、九年ごろにございます。  次に酒の味がどうかという面でございますけれども、実は私やはり原則として清酒は内地米でもってまかなっていくということが理想でございますけれども、しかし将来の問題として、それでは内地米だけでまかなうという、そういうことだけを考えていいかどうかということになりますと、若干将来凶作のこともございましょうし、問題があると思います。そこでことしは醸造試験所に命じまして、加州米を使ってつくった酒でできるだけ品質、味を落とさないものができるかどうか、その辺の試験をさせておるのでございます。先日準内地米を使ってつくった酒、これはもちろんそれだけではございませんで、内地米を使ったものと混合をしておるのでございますけれども、これをためしてみましたけれども、私の感覚では、まずほとんど内地米の酒と変わりがないということを感じたのでございます。将来の問題としまして、やはり外米を混入してつくる場合も、やむを得ない場合にはあり得るという前提で、一体混入率をどうしたらいいか、またどこの国の米がいいかということについて研究を進めてまいりたいと存じます。
  63. 山中貞則

    山中委員長 藤井勝志君。
  64. 藤井勝志

    ○藤井委員 先ほど国税庁長官のほうから、六月一日、二級酒等基準価格制度廃止が表明されたのでありますが、私はこの機会に、酒類行政全般について数点の質問をいたしたいと思います。すでにいまいろいろ審議が行なわれましたので、できるだけ重複を避けましてこれからお尋ねをいたしますが、大事な問題については多少関連いたしますけれども、確認をいたしておきたいと思います。  その前に、私は考え方の一つ基礎となるべき問題として、先ほども話が出ておりましたが、自由にして公正な競争、こういうことでありますが、自由というものと公正というものは、必ずしもそれがすなおに結びつかない二つの立場である場合がある。すなわち、自由という線でいけば力の強いもの、規模の大きな業界、こういうものの自由はあっても、零細企業者の自由というものは確保できない。そこに、公正というものと自由はよほど施策のよろしきを得なければうまくいかない、これが私は当然の社会の現実の姿であろうと思うのであります。このような問題について、このたびの基準価格制度撤廃ということは、価格の自由の名のもとに、一歩誤れば、酒造関係は特に零細な規模の業界が八割近いわけでございますから、特に零細企業、中小企業の振興ということがうたわれておるきょう今日、よくひとつお考えを願わなければならぬ、このように考えますので、まず、当然のことのようでありますけれども、一応念のために、その問題に対する酒税当局、国税当局のお考えをひとつただしておきたいと思います。
  65. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 ただいま藤井委員から御指摘になりましたように、ことに清酒におきましては、三千八百軒のメーカーのうち、その大部分が中小企業に属しておることでございます。したがって、今度自由価格にするからという以上は、やはり弱肉強食というような現象が起きないように、先ほど来申し上げましたように、不公正な取引業界の安定を乱すような取引については、強力な行政指導をいたさなければならぬと思っております。また業界でも、取引の正常化については、従来基準販売価格があった時代と比べて、より一そうこの運動を推進するという気がまえになってきておるのでございまして、やはり国税庁側業界の側とよく連絡をとりつつ、価格についても安定した取引が行なわれるように指導をいたしてまいりたいと存じております。  それから、これは価格の面でございますけれども、やはりさかのぼって、生産の面においていかに企業自体を合理化し、近代化して強くしていくかということが根本的な問題でございまして、御承知のように、中小企業近代化促進法の指定業種にもなっております。現在近代化の計画も着々と進んでおります。そういうものを十分見て、また自由価格時代における業界の反省をも待ちまして、近代化について今後十分業界とわれわれのほうとで相談をしながら助成をしていくということを考えておるのでございます。
  66. 藤井勝志

    ○藤井委員 ただいまいろいろお話がございましたが、基本的な認識においては、全く長官も私の意見と同感のようでございますが、いま申し上げましたように、特に酒類業界において過当競争の憂慮されるこの事情というものは、非常に他の業界とはまた特殊な事情がある。すなわち、ほとんど同じ商品をつくる業界において、規模がたいへん大きなものと弱小企業がある。ここに当然、いわゆる市場占有率の確保ということで、険しい競争が行なわれてきたということは、基準価格制度があった当時でさえ、現在まででさえ、この事情はとくと御承知のとおりでございますので、そういった点をひとつよくお考えにならなければならない点と、もう一つ、特に清酒の場合は、冬仕込んで翌年の五月にはさばかなければならない。いわゆる長期の貯蔵ができない、こういう事情もございますから、よくその点を配慮をしていただきたい。  ところで、私はこれもまたすでに六月一日基準価格制度廃止が一応大勢としてきまったという今日は、すでにこの議論は過ぎたわけでございますけれども、ひとつ考え方として、一ぺん私の考え方をここに開陳をして、当局のこれに対する御見解をひとつ承りたいと思いますことは、この清酒の場合は、私は生産量においても政府が直接タッチをしておられる、あるいはまた原料米をはじめとして原料資材というものが統制のもとに置かれておる。同時にまた、高率の酒税確保というこの要請にこたえなければならない。また、流通機構においては、小売り免許制度、こういうようになっておる等々の条件を考えると、あたかもたばこや塩、こういったものと同じような性格を持った専売品に準ずる考え方をとっていいではないか、このような認識に立てば、これはよく基準価格制度撤廃の可否の論議のときに、これはマル公撤廃の過渡的措置として、暫定的なものであるという認識が一般に持たれておるわけでありますけれども、準専売品、専売品に準ずるものであるという認識を持てば、決してこれは暫定的な措置ではなくして、恒久的な制度として考えなければならぬものではなかったであろうか、このように私は思うのであります。この問題について、過ぎ去ったことでありますけれども、一応長官の御見解を承りたい。
  67. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 ただいま藤井委員から御指摘がございましたように、一般の市場で自由に生産される、また市場で自由に販売されておる一般の商品と比べますと、確かに酒類につきましては違った面がございます。このことは御指摘のとおりでございます。これはやはり、酒類というものが国民の相当広い層の嗜好品であるということと、やはり三千億円以上の税を負担しておりますので、この酒税の確保の上からも、特に手厚い保護を受けなくてはならぬという面から見まして、これは一般の商品と違うということは御指摘のとおりだと思うのです。ただ、たばこのように生産から販売に至るまでを全部国が直接行なっておるという場合と比べまして、やはり専売とは必ずしも同じではない。私の感じから申し上げますならば、たばこや塩のような専売品と、それから一般の自由な物品との中間において、先ほど申し上げた二つの目的を達成するために、法が種々の規制あるいは保護を加えておる、そういう品物であろうと思います。
  68. 藤井勝志

    ○藤井委員 この問題は基本のきまった今日、いろいろ論議しようとは思いませんけれども、いまの長官の御答弁だけではやはり十分私自身考え方を変えるわけにはいかない、こう思います。  ところで、この六月一日から長年酒類価格制度のいわゆる主柱的な役割りを演じておった基準価格制度撤廃になるわけであります。基準価格制度があった現在まででも、先ほどからいろいろ論議になっておりましたように、市場の混乱、過当競争、いろいろな問題が、行政指導の努力にもかかわらず、現実に行なわれて今日にきておるということを考えた場合は、これを撤廃した暁には、市場の秩序の維持、過当競争の防止、こういったことに対して非常に心配いたしますと同時に、先ほどのお話の三千億の酒税の確保に非常に憂慮いたしておる一人でありますが、これに対してどのような指導方針をお持ちであるか、これを具体的にお答えを願いたいと思います。
  69. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 私はこの基準販売価格撤廃をされたあとの現在との比較をいたしますと、御承知のように、現在まで基準販売価格があったときにおいても、やはり業界では値引きリベートあるいは現品づきというような取引が行なわれておるわけでございます。またこの基準販売価格に拘泥しないで、御承知のように、清酒二級について申し上げますと、その大部分が一・八リットルびんで四十五円ばかり上になっておるというふうに、ある程度基準販売価格を離れた価格というものが構成をされておるのでございます。したがって、これを撤廃いたしましたからすぐに業界が混乱をする、あるいは過当競争が激しくなるということには結びつかないのではないかと考える次第でございます。しかしながら、ただ基準販売価格があるというと、何となく業界としてはそれがよりどころになるというような、いわゆる心理的な面の感じ方も無視できません。したがって、今度は自由になったんだからうんと上げようとか、あるいはうんと安い値段でもいいから競争しようということになるおそれが絶無とは申し上げませんけれども、しかしながら、先ほど申し上げましたように、一定の価格以上の価格になって消費者が迷惑をする、あるいは一定の価格以下に価格が下がって生産者が迷惑をするというような事態につきましては、各局署の末端に至るまで十分業界組合との連絡をとって情報の交換をいたしまして、そういう特定の業者の市場撹乱的な行為については厳重な指導を加えてまいりたい、こういうふうに考えておるのでございます。
  70. 藤井勝志

    ○藤井委員 基準価格制度撤廃後の基本的な心がまえについていま長官から承ったわけでありますが、仄聞するところによると、上限価格、下限価格、こういった一つの線を示して、それから逸脱した業者に対しては、酒団法の八十四条ですか、こういったものを適用をやるとか、あるいは酒税担保の制度というものを確立していくいろいろな施策が行なわれるやに聞くわけでございますが、こういう点について、ひとつ間税部長から、いま一段と具体的に方針を明らかにしてもらいたいと思います。
  71. 半田剛

    半田説明員 ただいまの藤井委員の御質問につきまして、基本的なことは長官から答弁したとおりでございますが、もう少し具体的に申しますと、基準価格廃止後の、特に中小メーカーの対策につきましては、行政指導、それから酒団法、酒税法等、直接法律に基づいた勧告とか命令、その他権限がございます。この二つに分かれると思います。それから、そのほかの企業対策としては、先ほどの長官の答弁にありましたとおり、近代化関係の法律をめぐるいろいろな施策がございます。大体大きく二つに分かれる、先生の御質問はそんなようなところかと思います。  それで行政指導の問題でありますが、いまの御質問、主として値下げと申しますか、値くずれの御心配でございますか、順序として、御質問の中に出ましたとおり、過度に上にいく場合、これは先ほどからもたびたび国税庁として答弁しましたとおり、いわゆる上限値というのがありますが、この上限値については、特に清酒につきましては、法令をもちまして制限価格制度がございます。いつでも告示でもって制限価格が、級別の別のあるものにつきましてはできるわけでございますが、告示をいきなり出すというのはぐらつきますので、従来からもその内容をもって行政指導をしてまいっておるわけでございまして、上限値につきましては、清酒については制限価格という裏づけのある強い行政指導ができると思いますが、そのほかの酒類の上限値につきましては、制限価格制度がございませんが、これも大体それにならいました相当行政指導ができると思います。  それから一番御心配の値くずれの問題でございますが、これも先ほどから答弁いたしましたとおり、いわゆる下限値、下の限界となる値段でございますが、これはなかなかむずかしい問題でございます。メーカーさんによって違いますし、それからまた全然原価だけ、つまり利潤を見込まないところで下限値を設けるかといいますと、なかなかそうではない場合もあると思います。やむを得ない支払い利子とかいろいろございますが、そこら辺いま作業をしておりますが、そういうことを加味しまして——これは公表すべきものではありませんが、一定の下限値を設けまして、下限値以下になったからといって、個々のメーカーの事情もございますので、ぱっといきなり強い行政指導というのじゃなくて、それはいわば体温計の危険信号とでも申しますか、そういうようなわけでございますので、それを目安として個々的にきめのこまかい指導をしたいと思っております。そして、どうしても酒税の保全等に支障を来たす場合には、先ほど申しましたとおり、酒税法に基づく担保としての酒類の保存命令ということもございますし、それから経理を調べるというふうな調査の権限もありますし、それから経理状況調査というふうなこともいろいろ法律上にございますわけでございます。それからまた、その下限値のほかにも、現在清酒については規定としては認められておりますが、再販売価格の維持の契約等もございまして、それらをにらみ合わせまして、たとえ基準価格廃止になりましても、相当強い行政指導、しかも一律でなくてきめのこまかい行政指導をしたいと思っております。  それからもう一つの中小企業に対する対策としては、近代化の問題、これも先ほど長官から答弁しましたとおり、去年の九月二十二日をもちまして、近代化促進法に清酒が加えられましたので、その後だいぶ御努力いただきまして、清酒業者から非常に貴重な資料をいただいて、目下それの集計を終わりまして、その後調査員の会議その他分科会等所定の作業を進めております。近く年次計画及び基本計画というものができる段階になっております。  そのほか近代化設備につきましては、近代化資金助成法によりまして、毎年相当の金額、たとえば三十七年度でも三千六百万円、三十八年度は見込みですが、五千万円くらいの借り入れ金がございまして、借り入れ者の数も三十七年度は四十件ばかり、三十八年度も同じく四十件近くのものがございまして、これらが相まって基準価格廃止後といえども、こちらから決して自由のままにしておくのではなく、体質改善については、いろいろな点から行政指導なりそのほかの措置をしていきたいと思っております。
  72. 藤井勝志

    ○藤井委員 先ほど御答弁の内容を承って、私は一そうその感を深くしたわけでありますが、やはりこの際、業界の体質改善の急務を痛感せざるを得ない。もともと私は、基準価格制度というものは先ほど申しましたように、準専売品的な取り扱いでいいという考え方を持っておるけれども、またそれによって業界はかえって温室の中で近代化がおくれるという半面の、その要請にこたえなければならないということで、私も大勢に従わざるを得ないという気持ちになったわけでございますので、一そう近代化の面において積極的な施策を進めていただきたい。特に過当競争、これもやはりなかなか避けられない。このしわ寄せは、清酒業界においては特に大多数が中小、零細企業でございますが、これにしわ寄せがくること必定でございましょう。特にまた、酒類行政というものの行政を確保するということに重点が置かれておって、いままでともかく農林、通産両省の、いわゆる産業政策として酒屋さんが大いに伸びていく、こういう点は十分見られなかったという点があるのではないか——私は大いにある、こう考えざるを得ないのでありまして、半面またこれを受け入れる業界は世々代々世襲的な企業であって、企業家的精神というものが半面において十分とはいえない。こういういろいろな条件が相まって、私はこの際、自由化の波にさらされる業界としても、体質改善の急務を強調せざるを得ない。  したがって、以下数点に関して具体的にお答えを願いたいと思うのですが、この問題についてはいま申しましたような関係から、これは大蔵省当局だけではなくて、通産ないしは中小企業庁あるいはまた、これが予算を裏づける大蔵省主計局、こういったところが相協力しなければ問題の解決は所期の目的を達することができない。このように思いますので、きょうはそういった関係者の方々も御出席いただいておりますので、それぞれの立場からひとつ御答弁をお願い申し上げたい。  第一は、中小企業近代化促進法に基づいて、清酒製造業の近代化基本計画並びに三十九年度の実施計画樹立に関して、いろいろ御検討になっておるやに聞くのでありますが、現在どのような作業が進められておるか。その内容についてひとつ御報告願いたい。これについては、酒類関係の業界業界で一応基本計画を立てておるし、皆さん方のお手元にはいろいろ交渉しておると思うのでありますが、こういった点をあわせて、ひとつ問題点を御説明願いたい。  それから次は、機械設備合理化に要する資金量というものが相当要ると私は思う。これは業界からの概算の数字を私は耳にいたしたわけでありますけれども、向こう五カ年間において約二百億くらいは要るであろう。半分自分が持つとすれば百億、こういったことになるわけでございます。特にまた、機械設備合理化に要する資金というものは、例の無利息の金でありますが、それ以外に近代化促進法の第六条による融資、こういったことに対して資金対策の具体的な方針というものがどうなっておるか、それから四番目は、私が先ほどちょっと前段で触れましたように、大蔵省ないしは国税庁の中に税金をとるのだということだけのいままでのやり方ではなくして、いまのような認識の上に立って産業行政として大いに推進する担当の部課を設けてはいかがなものであろうか、ひとつ推進する役割りをどこかに置いてやっていただいたらいかがなものであろうか、以上数点をひとつお尋ねをして、関係当局からそれぞれ御答弁をお願いいたしたい。
  73. 半田剛

    半田説明員 ただいまの数点の御質問、必ずしも全部国税庁だけで答えられる問題ではございません。国税庁の関係の部分を主にしまして最初にお答えして、あと関係省局の人から答弁するということにしたいと思います。  第一点の、近代化促進はいまどのような状況かというのが第一点でございます。これは簡単には先ほど申し上げたのでございますが、先ほど申しましたとおり去年の秋に清酒製造業が中小企業近代化促進法の指定業種となりまして、政令が公布されたわけでございます。そこで先生御承知のとおり、近代化促進法によりますれば、中小企業近代化審議会の意見を聞いて近代化計画を策定しなければならないことになっておるのでありますが、先ほど言いましたとおり、まず三千八百の業者から非常に精密な調査を近代化促進法に基づく報告として正式にいただきました。それからまた酒造組合中央会が非常に熱心でありまして、指定される以前から先ほど先生のお話しがありましたとおり、非常に勉強されておりますが、現在でも非常に中央会としても研究されるほか、この近代化審議会関係の分科会の専門委員等にも入っております。それで国税庁におきましては去年の十二月からことしの二月にかけまして書面調査と現地調査をいたしまして、目下これをもととして基本計画策定の基礎資料となる実態調査報告書の作成をやり、それから基本計画の策定、これをあわせてやっておりまして、必要な分科会に移る前の調査委員の会とかそれぞれいろいろな所定の作業を進めておりまして、最終的に審議会にはかるのはまだこれは正式に打ち合わせておりませんし、中小企業庁との関係がありますが、おそらく六、七月ごろになるのではないか、こういうふうに思っておる次第でございます。  それからその次に近代化の助成のほうの関係はどうなっておるかということでありますが、中小企業近代化資金助成法の規定による中小企業の設備近代化資金につきましては、通産省その他あるいは省内等ともよく連絡をとりまして、たびたびの改正で、まだ理想から申せば御不満かもしれませんが、相当範囲を広めておりまして、だいぶ上のほうまでと申しますか、条件が緩和と申しますか、そういうふうになっております。そこで先ほど申しましたとおり、三十七年度の借り入れ額も三千六百万円、三十八年度は見込みもありますが約五千万円近くというものの借り入れの利用額もあるわけでありまして、今後とももちろん私たちはこれで満足することなく、国税庁といた、しましては貸し付け基準の拡大等につきましては関係各庁ともよく十分連絡をとりたい、こう思っている次第でございます。  それから近代化促進法にもなるほど資金のあっせんその他ございます。これにつきましてはまず清酒が指定されるということが第一でございましたので、大蔵省議その他でもいろいろその問題が出ましたが、まず指定されるということが第一でございまして、その後具体的に清酒をどういうふうに扱うかということにつきましては目下関係各庁、関係部局とも十分に打ち合わせを進めていきたいというわけでございまして、促進法に基づく融資のワク、その内容がどうなのかということは今後の問題となっている次第でございます。それから産業行政に対しましては、私たち従来からもこれは忘れていたわけではなく、相当関心を持っておりましたが、おことばのような御要望もございますし、業界からの御要望がありますので、長官とも相談をいたしまして、なかなかこれは課の独立といいますと、いまのこういうふうな実情でございますから、これも大げさでございますので、とりあえず企業の近代化作業を中心とした係を国税庁間税部酒税課に設けまして、それではもちろん十分ではございませんけれども、少なくともいままでのような単独の係がないということから見れば、単独の係を設けて目下毎日近代化の作業を中心として仕事に従事している次第でございます。  そのほかまた関係の方から答弁していただきます。
  74. 阿部久一

    ○阿部説明員 ただいま国税庁のほうから御答弁されましたように、清酒製造業の近代化につきましては促進法に基づきまして鋭意国税庁で近代化計画の作案を進めておられますが、私どもといたしましてはこの近代化計画の策定を基本にいたしまして、いろいろ問題があるわけでございますので、先生お話しの各般の助成、融資その他にわたりまして、これをもとにして強力に推進をはかりたい、こういう考えでございます。  なお、当面といたしましては現に清酒製造業におきましては、指定業種の他に比べましても業界の情勢自体がすでに合同その他の情勢が進んでおりますので、政府機関からいたします近代化のための設備資金あるいは設備近代化資金の貸し付け等につきましては、三十九年度のこれらの運用等も重点をかけて進めてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  75. 田辺博通

    ○田辺説明員 中小企業に属します清酒製造業を営んでいる事業に対しまする近代化のための予算面につきましては、中小企業庁から要請がございますれば、十分にこれから検討いたしたい、かように考えております。
  76. 藤井勝志

    ○藤井委員 あとに質問者がおられますので、実はもう少し近代化基本計画については内容的に話を詰めたいと思うのでありますけれども、これは私は残念ながら省略をいたしますが、どうかひとつ認識の点においては御了解いただけたと思いますので、関係当局において積極的にひとつお運びを願いたい。これが取り扱う掌握機関として、何も私は部や課を置けという形にはとらわれませんけれども、実質的にひとつ推進を強くお運びを長官のほうにお願いを申し上げたいと思います。  ところで、私は次におけ取引の問題について当局の見解をただしたいと思うのでありますが、とかくおけ取引というものの存在は何だか不正常取引というような印象がどことなしに行なわれて一おる面があるのではないかというふうに思うのでありますけれども、私はひとつこの存在意義と申しますか、これをはっきりしておきたい。すなわち、これは私は別に専門家ではありませんけれども、いろいろ専門家の意見を聞いてなるほどと思ったことが一、二ありますから、これを前提に意見をただしたいと思うのであります。  イギリスのスコッチウイスキーあるいはフランスのブドウ酒、こういった酒類、これはやはり異なった原料、酒でいえば米、そういう異なった水、こういったもので、それが混合されて初めて良質のウイスキーができ、ブドウ酒ができること、やはり日本酒の場合にも同断である、清酒の場合にも同断である、こういったことと、それからやはり微生物、もろみ、こういったものを扱う仕事であるがゆえに、マスプロが極端に進んでいくわけにはいかない、限界がある。したがってここに中小企業というものがよき原酒をつくる、これを大きなメーカーが集めてりっぱな味のいい酒ができておる。こういった事情から戦前から、自由、取引のその昔からおけ取引の慣行が存在しておった、こういうふうにわれわれは理解してしかるべきではないか、このように思うのでありまして、こういう点から考えると、やはり私はここに中小企業の近代化、酒類業界の構造の高度化、こういった面においてもおけ取引はしかるべき座に置いて合理的な近代化の線に進まなければならない、このように思いますので、まずその前提を確認をしておきたいと思うのであります。
  77. 半田剛

    半田説明員 ただいまのおけ売りの問題でありますが、先生言われたとおりいまでも三千八百のうちの二千二百くらいはおけ取引の関係業者というものが昔からも存在し、いまでも盛んに行なわれているわけであります。私たちもおけ売りそれ自体が別にものすごく悪いというふうには観念的には考えてないのでありまして、ただおけ売り業者の企業体質改善の上からの問題というのは、いわゆる基礎が薄弱である、企業としてのからだとしていわば体質がじょうぶでないという点が確かにあるわけであります。おけ売りをしながらしかも体質について改善をされるということになりますれば、それは決して体質改善に役立たない、体質が悪いとはいえないわけであります。たとえばおけ取引で系列のないおけ売り業者、あるいは系列化される場合には系列化される場合のほうが望ましいということは言うまでもないのであります。しかし系列化されたおけ売りがどの程度の範囲なり内容を持って今後近代化される清酒の企業の中に入るかということは先ほど御説明しましたような、目下近代化計画の一環として私たち大いに研究して、おけ売り業者を観念的に排除するというのではなしに、系列化されたおけ売り業者が必ずしも一番望ましい姿で企業としてあるかどうか、そこら辺を含めまして目下近代化の作業をしている中で取り上げていきたい、こう思っております。
  78. 藤井勝志

    ○藤井委員 たまたま次にお尋ねしようと思った問題に触れて間税部長さんから御答弁がありましたが、重ねてこの問題でお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、おけ売りが酒造業界の近代化、高度化でいろいろ問題があるということはいまお話のごとく、やはり取引がまことに不安定であるということ、毎年そのつど契約をして、ときには一升二百円以下に下がる、あるいはまた上がる。そのつどつど主義になっている。したがってこれを長期契約の線に進めていく。だから大きな銘柄のメーカーと長期契約を結び、いわゆるプロダクション・チームと申しますか、こういった生産共同体的な縦の線を——いま業界の近代化の構想は協業あるいは企業合同、適正な規模、こういうことだけに、横のつながりを広げていくということだけに考えを持っておられるけれども、私はやはりいまのようなおけ売りの存在理由というものを認識するならば、これをひとつプロダクション・チームという線で長期契約、こういった線で進めていくということが実態に即した近代化の方法ではないか。それを認めるならば、いまおけ取引を中心にやっている業者は近代化資金の貸し付け対象になっておらない。これはやはり貸し付け対象にすることによってコストの引き下げ、最終的には消費者価格の安定、こういった方向へつながる問題でありますから、おけ取引に対して近代化の線を進める場合に長期契約を結んでおるというようなことを条件にそれを促進をしていただき、その契約の上に立ったおけ売り業者に対しては近代化資金の貸し付けの対象に考えてしかるべきではないか、このように思うわけでございますが、これに対しては間税部長は私は賛成だと思う、むしろ中小企業庁なりあるいはまた主計局あたりが渋いのではないかと思いますので、ひとつその方面から御答弁を願いたい。
  79. 半田剛

    半田説明員 ただいまの御質問に対して中小企業庁の方の前に、先ほどから御質問の中に出たものですからお答えいたしますが、おけ取引そのものにつきましては、考え方は私の言ったとおりでございますが、同じおけ取引ならば系列化されたおけ取引のほうが望ましいということでございまして、系列化されたおけ取引が一番望ましい九どうかということにつきましては、全体の企業の近代化の中で検討したい、こういうふうな意味で御答弁した次第でございます。  それからいまの近代化資金助成法の関係でございますが、先ほど言いましたとおり、毎年通産省等の御協力によよりまして範囲が広がってきたわけでありまして、ただいま幾つかのものさしがございますが、おけ売りそのものだからといって助成法の対象にならないのではなくて、おけ売り関係でございましても、たとえば一定の条件がございますが、企業合同とかあるいは共同製造、共同精米等の事実がございますれば、ただいまのワク内、ものさしにおける中での近代化資金助成法の一定の設備についての資金の融通が受けられる、このように私解釈いたしております。
  80. 田辺博通

    ○田辺説明員 実はいまのお話は、この席に参りましてお話を聞きましたような次第で、あるいは答弁が食い違うかと存じますが、私の考えておりますところでは、この合理化のための近代化資金というものの条件は、やはり生産の合理化にあると思います。生産の合理化が前提でありますから、お話のように単におけ売りを長期引き取り契約といいますか、そういうことで結ばれているというだけでは生産の合理化には直接ならないのではないか、いまの条件といたしましては、説明がありました合同とか設備の共同化というような形を条件にいたしておるわけであります。
  81. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 二、三の点について補足をいたしまして、誤解のないように説明いたしたいと思います。おけ取引につきましてはさっきの御質問でございますと、これを何か好ましからぬものとわれわれが考えておるというふうに一見とったのでございますが、そうではございません。長年こういう取引形態が行なわれており、先ほど藤井委員がおっしゃったように良質の酒を中小のメーカーがつくって、これを原酒として混合していいものをつくっていくというのは、私はそれなりの理由があると思っておるのでございます。ただとかくおけ取引になりますと、どうしてもおけ売り業者は不安定であって、したがって常にそのときどきの酒の業界の景況に非常に影響されるという困った面があることは事実でございまして、これを今後やはり中小企業近代化促進法の長期計画の中に織り込んで、そして系列化と申しますか長期契約的なものにして取引の安定をはかっていかなくてはならぬ。またそういう計画ができますならば、これに対する援助、たとえば資金のあっせんとか、そういう援助は十分にいたさなければならないと存じております。  次に、先ほどちょっと出ました問題で、国税庁酒税確保の面だけからこの酒の行政を取り上げておるのではないかというような御懸念があるようでございますけれども、私たちは、やはり酒税が確保されるためには、これを製造しておるメーカーの方々の基盤がしっかりしたものになっておらなくてはならない、これが脆弱でございますと、それが影響して酒税の確保に差しつかえがあるというふうに考えますならば、どうしてもやはりメーカーの経理というものがしっかりしたものになって、そしてちょっとした風では倒れないというようなものにならなくてはならぬ、そういう面ではやはり産業行政的な面が基本にならなくてはならぬというふうに考えておるのでございまして、現在国税庁の間税部酒税課におきます仕事の非常に大きな部分がこの面に注がれておるのであります。したがって、今後はなお地方の局なり省の末端の間税関係の職員が、こういう面についての認識を持ってフルに働くように、われわれのほうで指導をしてまいりたいと思っております。
  82. 藤井勝志

    ○藤井委員 長官の御答弁で私も非常に心強く思ったわけでありますが、主計局のほうもひとつよくこの実態を把握していただきたい。いまお話がありましたように、私は決して生産の合理化ということをたなに上げて申しておるのではない。結局酒類関係の業界は非常に規模が零細だ、こういうところに弱さがあることはよくわかります。しかし、それには、いろいろよってきたる歴史的な事情があり、沿革がありますので、そこに画一的に適正規模、こういった横の線でこの製造石数何ぼまで企業合同せい、あるいは協業せい、こういったことだけにとらわれない、いまのようなおけ取引の実態を把握し、しかもそれが安定した企業の成り立つように、契約の長期化、こういったものを奨励し、その前提の上に融資を考える、このような方向に向かって配慮すべきではないか、私はこのように思うのでありまして、どうかひとつこの点は十二分にお考えをいただきたい。  それから、少し議論を急ぎたいと思うのでありますが、最近一級酒の売れ行きが非常に伸びておる。昨年の三月から本年の一月ごろまで、前年度対比は一八八%に対して、二級酒のそれと同じ期間における前年度対比はわずかに一〇九%、こういったように伸びが悪い。特に去年の十一月ごろはむしろ前年よりも下がっておる。こういう状態でございます。このよってきたる事情は、私の推測するに、結局生活が向上し所得も向上する、したがって二級酒というと下級酒だという一つの印象が作用しておることはあるでありましょう。同時に私は、それ以上に大きな事情としては、一昨年の酒税の減税において準一級酒を一級酒に上げて減税をやった、こういったところから一級酒と二級酒の差が非常に少なくなって、ここにどうせいくんなら一級酒をいこう、こういうことになってまいります。そこで私は、この業界実情から考えると、二級酒メーカーはいわゆる中小企業メーカーが大半である、中小企業対策から考えても、同時にまた二級酒を消費する階層はいわゆる低所得階層である、こういうことを考えます場合に、一般の減税の場合にも、従来直接税中心に置かれておるけれども、所得税を納める階層は、すでに国民の半数以上は納めておらない、こういうことを考えると、一般の所得階層に対する減税でもあり、中小企業対策からいっても、酒税に対して先ほども高率だという話がちょっと出ておりましたが、二級酒を中心の減税を考えるべきではないかと思うのであります。この点について、当局はどのようなお考えであるか、主税局のほうもあわせて御答弁を願いたい。
  83. 川村博太郎

    ○川村説明員 酒税を含めまして間接税一般の減税につきましては御承知のように昭和三十七年に体系の合理化を含めまして大幅に行なったところでございます。私たちは現在における間接税の負担はおおむね均衡がとれておると考えておるわけでありますが、もちろん直接税間接税を通じまして負担が低いことが望ましいのでございまして、政府といたしましては減税財源のある限り国民の皆さんに減税を通じてこれを返していくという努力をしておるところでございます。間接税につきましては、しかしながら税が消費者価格に織り込まれて一般に流通するという点がございまして、単なる税負担の面だけでなく、その減税を通じまして当該物資の流通がどうなるかというような点も検討してまいらなければならないと思うわけでございます。そういう意味におきましては、部分的な思いつきの減税というようなことは適当ではないのでございまして、昨年以来税制調査会におきましても直接税間接税を通じまして一般の税負担をどうしていくかというところを慎重に検討しておるところでございます。将来減税財源の動向によりまして間接税につきましても大幅な減税をする機会が来ることを私たちも期待し、なおそれに備えて現在検討を続けておる段階でございます。
  84. 藤井勝志

    ○藤井委員 戦前と比べて非常に酒税が高率だということは、もうはっきりした数字が示しておるわけでございますし、特に酒税の沿革から考えても、明治二十九年でありますか戦費調達並びに戦後処理、それが、ずっと同じようなことで、徴税費はかからないし収入は確保できるということで出ておるわけでありますから、一ぺんこの際、いまの問題は、中小企業対策同時に一般大衆の税負担の軽減、二つの観点から、酒税わけても二級酒を中心にひとつ御検討を願いたい、このように思うわけであります。  次は、清酒基準価格撤廃の問題と関連して、この議論を突き進めていけば清酒の級別制度の検討が必要ではないか。一級酒、二級酒、こういったものは一体どこからその名づけができてまいっているのか、むしろこの際基準価格制度廃止するならば廃止するという考え方を突き進めていくならば、この級別制度そのものもなくしていくということが考え方として徹底しはしないか。かつて戦前はそういった考え方、そういった制度があったわけでありますから、これに対してひとつ御見解を伺いたい。
  85. 川村博太郎

    ○川村説明員 現在酒税は従量税をとっておりますが、消費課税の本来のあり方は、やはり消費者価格に応じまして税負担をしていただくということが原則であろうと思います。その意味から申しますと、やはり従価税が、最も負担理論には即した形であろうと考えるわけでございます。しかしながら課税当局の課税実務からいたしましても、あるいは、現在酒税は申告課税になっておりますが、酒類を生産される企業者の立場からいたしましても、従価税というのは非常にめんどうな手続が必要であります。その実務あるいは納税者の便宜をも兼ねて、その実務上の問題と負担理論上の問題とを兼ね合わした形が、現在従量税の級別課税ということに相なっておると思います。先生御指摘のように、昭和十八年以前は級別制度はなかったのでございますが、その当時でありましても、やはり一部従価税を兼ね合わしておったということはございます。三十七年に酒税に従価税を取り入れたわけでございますが、その発端は、やはり現在の特級、一級、二級、この三階級の級別では、十分な担税力に応ずる課税ができないという反省が主でございました。現在二級の売れ行き不振ということに関連いたしまして、業界からはかなり級別の整理合理化ということが叫ばれております。あるいは先生の級別制度についての反省の御議論は、それとまた別な角度であるかとも考えられますが、それについて私たち検討しておりますところは、やはり現存の従量税をとる上におきましては、三階級程度の級別課税は最小限必要ではなかろうか。それからもう一つ、企業の立場からする二級の売れ行きを促進するための級別整理の考え方は、これも先ほど先生が御指摘になりましたように、むしろ所得の向上により、消費水準の上昇によりまして、安いものよりは高級なものへという消費の趨勢がその原因ではないか。それからまた他面考えてみますと、確かに二級酒の売れ行きは、昨年に比べまして九%ないし一〇%程度でございますが、したがって、一級の一八%に比べますときわめて見劣りをしてはおります。しかしながら、従来、酒の対前年の伸びを見ますと、従来程度の所得の伸びでありますと大体一〇%というのが毎年の実績でございまして、まあ一級が著しく伸びたので二級が割り負けしておるというだけのことでありまして、伸びからいいますと、二級は別に割り負けはしていない。むしろ二級の品質を向上する、あるいは売り方をもっと合理化することによってその消費を伸ばすということを企業として考えるべきではないか、級別課税につきましては、そのような考え方を持っております。
  86. 藤井勝志

    ○藤井委員 急ぎたいと思いますので、この問題はひとつこれからの研究課題として、私も勉強いたしますが、御検討を願いたいと思います。  ところで、先ほどまたちょっとお話が出ておりましたが、清酒の原料米として外米を使用することの可否については、これは議論が長くなりますので、次の機会に譲りたいと思いますが、ただ一言、先ほど武藤委員の御質問に対する長官の答弁、私はまことに慎重にお運びを願いたい。これは何のために外米を無理して使わなければならないか。大体酒に使う量というものは知れておるのです。三%か、全体の国内産米の石数からいえば知れた量ではないでしょうか。のみならずやはり日本酒というのは、日本の、いわゆる瑞穂の国の米を使って酒がつくられておる。ここに日本酒としての特徴というものがあるわけなんです。特に最近貿易の自由化、こういうことになって、よその国はよその国で、それぞれの国の原料を使ったお酒というものが入ってきているわけでございますから、そういった点、同時にやはりいろいろ外米を配給しなければならぬ、北海道の果てからずっと適当な基準でみな分配しなければならぬ、   〔委員長退席、吉田(重)委員長代理着席〕 まことに不合理な運営にならざるを得ないということでありますから、何を好んでそういうことをやらなければならぬか。のみならず、私は専門家のことばを受け売りに聞くわけでありますけれども、日本産米がやはり一番よろしい。これは全く芳純な味わいとか、いろいろな技術的な面について、国内産米でなければいけないということを強調するわけでございますし、同時に、国内産米、酒に向く米は、特に石当たり最高千四百円、最低でも五百円ぐらい、産米のお金が余分に農家にいくわけでありますから、私は農家の所得の向上という面から考えても、やはり国内産米を強く押し出すべきだ、産米の使用を強く推進すべきである。その大もとの国税庁長官がそういう弱腰では、まことに心もとないわけでありまして、国税庁長官としては従来の伝統を守って、強く推進していただきたい、このように強く要望いたします。これは長官からの御答弁は求めません。  そこで食糧庁の方に、いまのような国内産米がどうも量が十分足らないからというところから端を発しておると思いますが、私がいま大ざっぱに意見を申し述べましたその考え方の是非、その上に立ってあなたのお考えを承りたい。
  87. 田中勉

    田中説明員 先ほど国税庁長官から外米を使うことにつきましていろいろお話がございました。食糧庁といたしましては、酒米につきましては、従来とも米の供給が緩和しつつある方向をたどっておりますので、極力内地米を最優先ということで考えて今日に至っておるわけでございます。ただ御承知のように、国内産米におきましても、年によって豊凶の変動が相当強く出てきておることも事実でありますし、また年によって品位の低下した米がやはり出てまいるわけであります。こういうこともございますので、昨年の場合におきましては、対前年の酒米の原料につきまして、国税庁から相当大幅な増加要請があったわけでございます。過去二年ぐらいは大体二百四十五万石前後の米であったわけでありますが、御要望としては三百万石近くのものが昨年の御要望として出ておったわけであります。もちろん昨年は豊作とは申しまするけれども、やはり実際の米の品位というものが相当低下いたしまして、配給米等におきましても、やや苦情をもらっているような実態にあったわけでございまするけれども、ともかくも相当大幅な増加の要請に対しまして、私のほうといたしましても極力配給米との見合いにおきまして、昨年は約二百九十万石足らずの内地米というふうにいたしまして、若干の不足最につきましては、同じ準内地米とは申し上げましても、いろいろ御議論があろうところかと思いますがかつて二十八、九年ごろに使われました加州米、これは内地の酒米の好適品種を向こうに持っていって栽培した渡船というものがございますが、この加州米を輸入いたしましてお使いいただいた、こういうことになっております。  今後の考え方といたしまして、酒米の原料米といたしましては、農林省といたしましても極力内地米最優先という考え方で進めてまいりたいと思っておりますけれども、何ぶんにも作柄の変動というものがやはり年々によって長期的にはあるわけでございますので、そういう事態に対しましては、全体の配給米の見合いにおきましても、やはり酒米は全部今後内地米で充足ということまで言い切るわけにはいかぬ面もあるのじゃないか、こういうぐあいに考えております。ただちょっと先ほどお話がございました酒米につきまして、特別に石当たり加算を千五百円から五百円くらいしている、もちろんこれは確かに農家の生産の面におきまして有利な作物であることも事実でございます。ただ二百八、九十万石の酒米の原料の中におきまして、そういう好適種の加算を受ける品種の契約栽培をいたしておりますものは大体四割弱程度のものでございます。あとの六割程度のものは御案内のようにかけ米、普通米でございますが、これは一般配給米と競合するようなものに数量的になっているわけでございます。その辺は私どもといたしましても、今後におきましても酒米につきましては内地米最優先という考え方はもちろん基本的な考え方として持ってまいりたいと思いますが、ただ年々の作柄等の見合いにおきまして、一般配給米との関連においてまた御相談させていただきたい、こういうぐあいに考えます。
  88. 藤井勝志

    ○藤井委員 国税庁長官、お聞き及びのとおりの食糧庁の方針でありますので、あなたのほうから先にかしこまって何々すべきであるというのじゃなくて、日本酒が本来の芳純なかおり高いものになって、しかも原料米をつくる農家のプラスにもなるという意味から、国内産業助長のためにもひとつ勇断をもって今後の交渉に当たっていただきたい、このように考えるわけであります。  最後に私は一つ質問をして質問を閉じたいと思うのであります。  先ほどもちょっと触れられたようでありますが、酒類小売り免許に関する制度改善措置に関してであります。最近人口の移動といいますか、各地に団地ができ、いろいろ消費構造が変わってきている。これに対して末端の流通機構の制度の改正ということが当然日程にのぼらざるを得ないのであります。先ほど堀委員からもいろいろ御意見が出ておりましたが、私は必ずしも堀委員の御意見に全面的に賛成するものではない。卸あるいは小売り、こういった配給、流通機構、これも人件費その他の高騰によって相当あえいだ経営の状態であることは身近にわれわれもよく承知いたしておるのであります。したがってここに私はやはり大もとの生産者メーカー、またこれをさばく流通機構に携わるそれぞれの職能に対するしかるべき報酬、それから消費者サービス、同時に酒税確保、こういった国家目的、こういういろいろな総合点において判断を誤ってはいけない、このように考えるわけでございまして、このような大ざっぱな基本的な考え方の上に立って今度急いでやられんとする小売り免許制度の改正について、当局はどのような方針を持っておられるか、時間がございませんので長官の基本的なかまえだけでよろしゅうございます。  特に私はそのときお答えの中心を前提にお尋ねをしたほうが便宜かと思いますので申し上げますが、中小企業対策として、いま消費革命の時代でありますから、それに沿うてこれを取り扱う卸売り、小売り業界のいわゆる体質改善、近代化、こういった線に焦点を合わせながら、ひとつ市場の波乱のないように、あるいはまた酒税の確保ということについておろそかにならないように、同時にまた一般大衆への便宜サービス、こういった面を考えながら配慮していただきたい、このように思いますので、それについて一応長官から基本的なお考えを承りまして質問を終わりたいと思います。
  89. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 小売り免許制度につきましては、先ほどちょっと申し上げましたように、現在臨時行政調査会でこの問題を取り上げて、遠からず答申を出すというように私承っておるのでございます。当初われわれとしては、小売り免許制度については基準販売価格撤廃と関連して、やはり同じようなテンポでもって考えてまいりたいと考えておったのでございますけれども、しかしいまの臨時行政調査会等の動きから見ますと、やはりこの答申が出てから、それを参考にしながらもう一回考えたほうがいいのではないか、必ずしも同じテンポでやっていく必要もないのではないかということで、現在特別に免許制度についてどうこうするという具体的な案は、一応つくってはございますけれども、まだ確信を得たような案は持っておりません。  それから将来小売り免許制度をどう持っていくかという点につきましては、ただいま藤井委員の御発言がございましたように、私も全く同様な考えを持っておるのでございます。やはり中小企業として従来酒類販売に携わってきた方々の希望なり意見というものは、十分取り入れていかなくてはいけないという点が第一点でございます。しかしながら時勢の移り変わりによって、一般消費者に対するサービスの面、あるいは営業自由というような風潮、あるいは団地等ができて、かなり消費者の形というものも変わってきております。そういういろいろな事情を考え合わせまして、合理化すべき面はやはり合理化していかなくてはならぬ。この両方のかね合いをどこに求めるかということが問題の一番大きな点だろうと存じます。  いずれにいたしましても、ただいま申し上げましたように、臨時行政調査会答申を参考にして今後の方針を立て、同時に業界の意向も十分そんたくしながら進めてまいりたいと存じます。
  90. 岩動道行

    岩動委員 関連して、ただいま藤井委員の酒の小売り免許制度に関する国税庁長官の基本的な考えを伺いまして一応了承をいたすわけでありますが、特に私は二、三の点についてこの機会にお考えを承っておきたいと思うのでございます。  まず第一に、小売り免許につきましては、昨年の秋に国税庁におきまして基本的な、根本的な検討を加えるという御方針を立てられたように承っておるのでございますが、それ以来小売り免許制度廃止になって、これが許可制度あるいは登録制度というような、きわめて大幅な自由化の方向に向かうのではないかという心配、そして現在約十二万五千余りの業者が、戦前は三十五万というような実績もありますので、かなり急激な大幅な増加が出てくるのではないかという心配がきわめて濃厚になってまいったのでございます。これはもちろん国税庁当局がそこ京でお考えになってはおらなかったと思いますけれども、業界等においては、そういう心配がきわめて強いというのが実情でございます。そこで私はこのような不安をまず除いていただきたいという基本的な立場からお伺いいたしたいと思うのであります。  まず小売り免許基準につきましては、大体三つの大きな柱があるかと思うのであります。一つが場所的な要件、第二が人的要件、第三が需給上の要件、こういう大きな免許基準の柱によって、国税庁は具体的な処理を税務署長にまかしておられると思うのでありますが、この第一の場所的な要件につきまして、現在はどのようになっておるか。そしてこれをどのように今後お改めになるお考えであるのか。特に私といたしましても、また一般的に言いましても、小売り業は、酒税確保という一つの公的な役割り、さらにまた消費者へのサービスという社会的な役割り、こういう点からもきわめて大事な業種であると思うのであります。特に最近団地あるいは工場等ができて、人口の増加がきわめて著しいというようなところにおきましては、消費者に対するサービスにも欠けるという点もあるので、それらの点につきましては当然ある程度の新規免許もふえてもしかるべきである、かようには考えられるのでありまするが、まずその点につきまして国税庁当局のお考えを承りたいと思うのであります。
  91. 半田剛

    半田説明員 小売り免許の問題につきましては、全体の考え方は長官が答弁したとおりでありますが、その具体論になりまして、ただいまの岩動委員の場所的要件、現在小売り免許全体につきまして、長官の通達で免許の要領ということで定めておりますが、その中で場所的要件につきましては、大都市、中都市等に分けまして、いろいろな距離の基準が出ておるわけであります。たとえばA地区におきましては隣同士が百メートル以上、いろいろございます。そこで純理論的に申しますれば、必ずしも何メートルととらわれる必要はないわけでありまして、世帯とか数量とかが主でございますので、距離というのは理論的には必要な要件ではないかもしれません。しかしながら、実際的におきましては、やはり距離というのは大事な要素でございますので、そこの辺も勘案いたしまして、私たちとしてただいま考えておりますのは、現在の距離基準は、これはそのまま置くというふうに考えております。ただ、岩動先生もおっしゃいましたとおり、団地その他高層住宅の造成、その他世帯数の増加等によって、酒類需給状況に変動が生じているような場所がございますので、そういう点につきましては原則はこの距離基準は残すけれども、例外的に、そういうところについては距離基準を適用しなくても差しつかえないような例外規定を設けるというふうな点、これらも最小限度現在の経済情勢に合った妥当な線であると思いますので、そういう線でこの場所的要件については考えていきたいと思います。
  92. 岩動道行

    岩動委員 その御方針については、私も了解をするわけでございますが、特にただ人口あるいは世帯数が増加をしたという程度でお考えいただくと、これは実際の行政運営上大きな波紋を起こすおそれがあるのではないか。これは私は、やはり著しい人口の増加というものは、かなりそこら辺に意を用いていただかないと問題が起こるのではないか、かように考えますので、念のために申し上げておきたいと思うのであります。  次に、人的要件につきましては、これは経験年数というようなことがきわめて大きな要素になっているわけであります。ところで、現在中小企業、特にこれらの商店等の零細な事業におきましては、労力を得るということが非常に困難な事態になってきております。貴重な人手になっているわけであります。したがいまして、そういうところで下積みとなり、配達業務をやるというような、きわめて今日の若い者が入りにくい職場でございまするので、そういうところで働く子弟に対しては優先的に、ひとつ将来も考えていただきたい、またそれを重点的に考えて、今後も進めていただきたい、かように思うのでありまするが、国税庁の御所見を承りたいと思います。
  93. 半田剛

    半田説明員 岩動委員の次の御質問の、人的要件でございますが、酒類小売り免許につきまして、酒類業としての一定の経験を有する者、酒類に関する知識、記帳能力が十分である、この要件は非常に大事であるという点は、全く同感でございます。また特に最近の労働事情等からいきまして、広い意味の酒類業界につとめておる従業員、子弟等につきまして、それを競願の場合、つまり二件以上免許の申請がある場合に優先することはもちろん、競願でない場合でもその経験者を重んずるということも同感でございます。ただいまの免許方針でもその人的要件は十分出ておりますが、これは、先ほどから、長官も言いましたとおり、これで直ちにきめるわけではありませんが、むしろいまの人的要件の通達では、ただいま先生のおっしゃった酒の経験、おおむねそれによるのだ、つまり優先的あるいは非常に重要視して考える以上に、おおむね酒の経験の一定年数以上の者に限るというふうになっておりますので、その点では重要視し過ぎておるのではないか。酒の経験を十分生かすということはけっこうでございますが、免許を認める場合の広い、いわば土俵としては、むしろ全体的には必ずしも酒の経験がなくても、知識が十分で人格者であればいいので、その際において酒の経験を十分に優先的に考える、根本的には酒の経験者に十分重きを置くという点は、全く先生と同意見であります。
  94. 岩動道行

    岩動委員 この経験のない人を税務署長の認定でやるということになりますと、これもまたかなり問題を起こす可能性があるということを特に私申し上げておきたいと思うのであります。  それから需給上の要件という点で、特に最近は行政不服審査法というものができまして、免許を与えるについては行政当局もいろいろな苦心があり、また難儀もしておられると思うのでありますが、免許というものは本来そういう制度のものである。ここは勇気をもって全体の需給をほんとうに正しい姿でやっていただくということにしていただかなければならないので、需給上の要件につきましてはひとつ厳格に法律の運用をしていただいて、行政不服審査法があるからどうもこわいということで甘くいくことのないようにやっていただきたい、こう思うのでありますが、その点について国税庁の御所見を承りたいと思います。
  95. 半田剛

    半田説明員 ただいまの岩動委員の御質問は、免許取り扱いから申しますと、酒類の需給調整上の要件というのがございまして、いろいろ場所的要件、人的要件が備わった場合でも、需給調整上におきまして需給の均衡を破り、ひいては酒税の確保に支障を来たす場合には免許を与えないことができるという規定がございます。先ほどの御質問のように、行政でございますので、ただし書きがいい意味で活用されれば、これはけっこうなことでございますが、岩動委員御自身もお話しになったとおり、行政不服審査法の関係もありまして、活用ならいいけれども、このただし書きによってむやみに断わるというのは審査法の趣旨でもございませんし、それはまた行き過ぎなのではないか。さりとて、ただし書きをなくしてしまって、機械的にものさしに合ったものは全部認めるというのも、これまた行政上問題があると思います。そういう点彼此勘案いたしまして、このただし書きが乱用にならないように慎重に取り扱うというような留意規定を設けるということで、この需給調整上の要件を円滑に運用してまいりたい、このように私たちとしては考えます。
  96. 岩動道行

    岩動委員 関連質問でありますので、簡単にあと一、二点だけ申し上げたいと思いますが、消費生活協同組合あるいは農協等に対する免許ということは、きわめて大きな波紋を起こしつつあるわけであります。過去の実績もこれを示しております。したがいまして、これらについては十分に既存業者、しかも零細な業者を保護しつつ、消費者へのサービスを十分に果たさせるという機能を確保しなければならないと思いますので、これらの点については十分な御留意をいただかなければならぬと思うのでありまするが、これについての御所見を伺いたいと思いましす。
  97. 半田剛

    半田説明員 生協、農協についての御質問でございますが、いまの岩動委員の御心配はもっともな点でございます。ただこの問題が取り上げられましたのは、生協、農協、あるいはこれの所轄官庁から、ただいまの長官免許取り扱いについては文書上と申しますか、表面からは一言で言いますれば、それは当分の間免許しない、ただし書きにおきまして、まわりにほかの小売りがいないとか、あるいは酒類の需給上からも新たにいろいろ免許を与えることが必要だ、いろいろだだし書きでもって限定しているわけであります。生協、農協、及びそれに関係のある官庁の言い分はめちゃくちゃに広める、大いに免許をこれで得るというのじゃなくて、この免許取り扱いのたてまえから言って、まず玄関でだめだ、ほんのわずかなただし書きでこれを認めるというのは、いわば一人前扱いの取り扱いでないんじゃないかというのが主なんでございます。それも確かにもっともでございます。しかしまた農協、生協については、この種の免許について、いわく因縁故事来歴と申しますか、非常に長い歴史があって、ただいま岩動委員の申されたような問題もないとは言いません。小売りの組合、あるいは生協、農協を管轄する官庁の意見も聞きまして、この点は慎重に、十分現状に即して、しかも現在の免許取り扱いにそれがどういうふうになるか、両方勘案いたしまして進めていきたい、こう思っております。
  98. 岩動道行

    岩動委員 ただいまの点についてはきわめて大きな問題を含んでおりますので、十分慎重なる取り扱いをいただきたい、かように思います。いずれにいたしましても、この小売り業界のほうで起こっておりまする波紋は、きわめて大きな中小企業問題で、また政治的な問題としても重大な問題と私どもは感じておりまするので、免許の合理化ということを慎重に考えていただきたいと思うのであります。特に先ほど長官は、臨時行政調査会の結論を待つまでもなく、少し進めたいということでございますが、調査会の意見、答申がかりに出ましても、行政簡素化、あるいは国民の利便という観点からの答申であるかもしれません。大体そういうふうに感じとられるわけでありますが、さらに零細な商業者に対する配慮という観点からも、さらに検討されなければならない重要な問題を含んでいると考えますので、臨時行政調査会答申が出ましても、慎重なる検討をもって政府ではそれに対処していただかたければならない、かように考えるわけであります。いずれにいたしましても、基準価格廃止、そして免許制度の合理化ということは、最近における酒類業界の大きな問題でございます。いろいろな不安を含んでおり、また行政当局においてもなかなか予見しがたい問題を招来するおそれもあるわけでありますので、特に慎重に、十分に見通した措置をとっていただきたい。先ほど藤井委員の御質疑にもありましたが、近代化、合理化資金というものについては、その金額がきわめてわずかで微々たるものであります。しかもその基準もきわめてきつくして、なかなか利用できないというような面もございますので、これはひとつ大蔵当局も単なる酒税行政として業界を見るだけでなく、中小企業対策としてのそういう観点からも、この問題に真剣に取り組んでいただきたい、かように思うのでございますが、長官の御所見を……。
  99. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 小売り免許につきましては、先ほど来私申し上げましたように、酒税の保全という面のみならず、やはり一般消費者の利便、またこれを扱っておる業者の方々は主として中小企業の方々でございますので、そういう点の実態に着目して、中小企業対策という観点から判断をしてまいらなければならぬと存じます。  先ほど臨時行政調査会答申を待って、これを参考にして、こう申し上げたのでございまして、もちろんこれを尊重することは、総理もそういうふうにおっしゃっておられますように、われわれとしては当然と思いますけれども、しかし無批判的にこれをそのまま受け入れるということには考えておりません。やはり現行法のもとで免許制をとっておりますのには、それなりの理由があるわけでございます。その理由を打ち破るだけの強力な理由がない限りは、これを申告制度にするとか、あるいは登録制にするとか、許可制にするとかいうことには直ちにはまいらないのじゃないかと考えております。  なお中小企業近代化資金助成法あるいは促進法の関係の、融資ワクの問題でございますが、これはただいま御指摘になりましたように、現在は微々たるものと申しますか、必ずしも十分とは申し上げられぬと存じます。しかしながら、将来においてはできるだけこういう融資のワクをふやし、また融資を受けられる条件というものも緩和して、業界の御要望に沿うように、中小企業庁あるいは主計局等にも十分にわれわれのほうの意見を述べて促進をしてまいりたいと存じます。
  100. 吉田重延

    ○吉田(重)委員長代理 佐藤觀次郎君。
  101. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 六月一日から自由価格が本ぎまりになったということでありますが、これはこの間大臣にもちょっと話を伺ったわけですが、自由販売になれば、有名なメーカーのものはどんどん売れて、無名のたとえば二級酒などの無名なものは下がってくるという傾向が出てくる。おそらくビール相当上がるだろうといわれておりますが、そういう調整をどのようにして長官はやっておられるのか。いままで三年間、木村さんは長官になられて三年になりますが、一体そういう自信がどういうところにあり、いまになってそういうことをやられるかということをひとつ伺いたいと思います。
  102. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 基準販売価格廃止いたしまして、それで販売競争が非常に激烈になって、いわゆる名の通った銘柄がうんと伸びる、そして弱小のメーカーが倒産をする、こういうことになるとは私は考えておりませんし、またそういうことにしてはならないと思っております。基本的には、やはりただいま中小企業近代化促進法の適用業種になっております清酒、これは一番大きな問題だろうと思いますが、この法律の規定によって、長期計画並びに三十九年度の実施計画というものを、現在立てつつあるわけでございまして、この結論によって、強力に業界の合理化、近代化というものを進めて、コストの低下をはかっていかなくてはならぬ、こういうふうに考えております。またその際には、当然これに要する資金の融通あるいはあっせん等についても十分考慮していかなければならぬと存じております。  次には、やはり価格の面でございますけれども、これも先ほど申し上げましたように値くずれがする、一部の業者が過当競争をして、そして業界のほかの方々に迷惑をかけるというような場合におきましては、これに十分行政指導を加えまして、そういう撹乱行為をやめてもらうようにしなければならぬ。またそういう指導が受け入れられない場合におきましては、やはり法に規定せられておる各種の手段、たとえば担保提供の命令であるとかあるいは酒税検査を厳重にするとか、あるいは経理改善の勧告をするとか、そういう各種の方法によりまして、不当に安い値段で売られる、それによって中小のメーカーが迷惑をこうむるということのないように、これは庁はもちろんのこと、局、署一体となって業界指導に当たりたいと存じます。
  103. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 理屈はなかなかりっぱでございますけれども、長官の言われるように民間のものはなかなかそう運ばない。自由価格になれば、値が下がってもそんなことを一々政府が干渉するなら何も自由価格をやる必要はないのであって、その点は、あなたが国税庁長官として考えられることと世の中の動きが違う。少なくともそういう点で、しょうちゅうとかあるいは二級酒なんというものは地方に相当だぶついております。私は三、四年前も九州へ視察に行ったことがありますが、三、四年前から九州なんかでは二級酒がだぶついております。おそらく私どもが想像されることは、しょうちゅうとか二級酒は余って、しかもメーカーの悪いのは安く、うんと値が下がる。それからビールは、きょう堀委員からも質問がありましたが、三大メーカーのビールはおそらく上がるだろう、こういうような予想を私たちはするのでありますが、そういう憂いが全然ないのか、私はそれをまず伺っておきたいと思います。
  104. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 まず最初の御質問でございますが、やはりこれは、自由に生産し自由に販売をされておる一般の物品と違いまして、酒については、法律上、先ほど申し上げましたようないろいろな保護が加えられております。ただ従来、むしろ基準販売価格あるがために、これが一つの精神的なささえと申しますか、そういう感じで受け取られておって、業界自身がそういう過当競争あるいは不公正取引について自粛をするという空気が薄かったのじゃないか、むしろこれがはずれることによって、業界自身もいままでのような考え方じゃいかぬ、やはり不当な乱売競争なんかはやめなければいかぬ、過当な値引き競争あるいはリベート等についても自粛しなければならぬ、こういうような空気が最近非常に出ております。業界自身の内部に出ております。またわれわれも一そうこういう方面を促進していかなくちゃならぬと思っております。そういう方向でいけば、必ずしも、いま御心配になるようにその格差が激しくなってそのために中小メーカーが混乱をされるというようなことは避けられるのじゃないかというふうに私は信じておるのでございます。  それからビールについてでございますが、これは先ごろ新聞等で基準販売価格がはずれればビール値上げになるのじゃないかというような一部の論説がございまして、一般の国民の方に非常に不安を与えたかと思います。しかしながら私、実は今度の基準販売価格廃止するという問題が起きました際に、酒類業組合団体の方々においでいただいていろいろ懇談をしたのでございますが、ビールにつきましてはやはり現在の大手三社あるいは後続の二社、との相互間におけるいろいろな競争状況から見て、値上げになるという自信を持っておらない、業界自身が持っておらない。それからまた値上げが行なわれるためには御承知のように一番強い銘柄でありますキリンがまず値上げに踏み切る決心をしなければいかぬ。しかしながら私どもキリンの社長ともいろいろ話をしたのでありますけれども、現在もちろんそういう値上げというようなことは考えておらない、こういうことでございます。一般空気としましては、当初ビールについては業界はむしろ基準販売価格を残してもらいたいという希望でございまして、そういう希望から考えてみましても、私はビール業界全体として値上げをするだけの自信というものはない、こういうふうに判断をいたしておるのであります。また将来の問題として、それではビールはいつまでも据え置きになっておるのだろうかということになってまいりますと、これは必ずしも将来の問題はここで断定をするわけにはまいりませんけれども、しかしながら戦前の自由価格時代に起きました現象のように、銘柄によってあるいは五円ぐらいの格差が起きる、それはいつの間にか、知らぬ間に五円くらい高いものもあり、安いものもあるというふうな現象になってくるだろうという予想をいたしております。また先ほど議論に出ましたように、談合によってビール値上げが行なわれるということになりますと、独禁法違反の問題も生じてまいりますので、なかなかそう簡単にビール値上げになるということはないと信じます。
  105. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 キリンビールの話が出ましたが、私どもの選挙区の近くにも大きなキリンビールの工場ができまして、まあビール会社は笑いがとまらぬだろうという話をいたしましたら、工場長がそんなことはありません、需要がどんどんある関係で設備投資に非常に金がかかって、金利だけでもなかなかたいへんだと言っておりましたが、私は木村長官がそうやすやすとビールは上がらぬだろうと言うことは、それは表向きの話であって、おそらくビール業者間で自由価格にしてくれということは値上げを予想しての考えだ、私たちはそういうふうに考えます。少なくともそういう点はあなた方のほうで十分に統制をするといいましても、何のために自由価格になったんだ、値段が上がってこそ自由価格になるんじゃないかというような反駁を食うということは火を見るより明らかだと私は考えております。それから、統計を見ればわかると思うのでありますが、戦後非常にビールの需要がふえてきた。これは統計を見ましても女の人がふえてきてビールの造石は相当ふえていると思うのでありますが、そういう需要が多ければ当然値が上がることは決定的な問題であります。そこでひとつ木村さんに申し上げたいのでございますが、きのうの御発表によりますと、酒税だけでも三千二百億の金を昨年とったということが発表されておりますが、毎年毎年酒の税金はよけいとっておられるが、一体基準があるのかどうか、少なくともあなた方のほうでは酒税をどのくらいとるかというような、毎年の予算があるのかどうかということをこの際伺いたいと思います。
  106. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 われわれ執行の面といたしましては、年度当初もちろん予想を立てますけれども、これは幾らとらなくちゃならぬからということではなくて、現行法のもとにおいて大体この程度が消費されるという場合にこの程度になるという予想でございまして、別にこれだけのものをとらなければならぬということではございません。
  107. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 そこで毎年酒税が増徴になっておりますが、私はいまの、ちょうどこの価格自由価格にされたという機会に、間接税が非常に高い、酒やビールの税金は世界で一番高いと私は思っておりますが、この際こういう機会にビールや酒の税金をもっとまけたらどうかという意見が出てくるわけですが、私は、少なくともビールの税金と、清酒の二級酒以下のものはもっと減税をすることが必要じゃないかと思っておりますが、その点を主税局と国税庁長官に、ひとつどういう御意見であるか伺っておきたいと思います。
  108. 川村博太郎

    ○川村説明員 酒税ウエートを歴年見てまいりますと、昭和二十五、六年当時は国税の約四割を占めております。その後数回の減税を行ないました結果、現在では、三十九年度予算におきまして二七・四%に相なっております。  酒税の減税につきましては、先ほど藤井委員の御質問お答えいたしましたとおり、間接税全般の問題と関連いたしまして、また広くは減税を直接税に向けるか、あるいは間接税に向けるかという大きな問題との関連でもございますので、税制調査会を通じまして、政府としても慎重に検討いたしたいと考えております。
  109. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 イギリスとかフランスとか西ドイツの酒の税金、向こうはブドー酒とか、それぞれの国によって違いますが、そういう点の比率はどういうようになっておりますか。
  110. 川村博太郎

    ○川村説明員 御指摘のように諸外国と比較いたしますと、わが国の酒税の占める割合はかなり高うございます。ただ個別に酒のたね類ごとに見てまいりますと、アメリカ、フランス、イタリア等に比較いたしますと、わが国の酒税はかなり高いのでございますが、イギリスと比較いたしますと、やや同じ程度といえると思います。
  111. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 そういうことであれば相当高いのじゃないかと思うのです。御承知のように、日本の生活程度と向こうでは相当違いますから、いまの日本の間接税、酒やビールの税金がまだ高い。こういう点は、あなたは事務当局だから、これは政治論にわたりますから、これ以上言いませんけれども、少なくともそういう観点から考えまして、ぜひひとつ減税という問題をこの際考えていただきたい、こう思っております。  それから、先ほども堀委員から質問がありましたが、ウイスキーとかブランデーという外国の酒を——ロンドンでは自分の国でつくっておるスコッチのウイスキーがないとかいっておりますが、日本ではいろいろなところへ行きますと、どんなウイスキーでもあるというような現状でございます。そこで、日本では国産品を奨励しておきながら、こういうような洋酒がどんどん、特にほとんどやみでもって入っておるように聞いておりますが、こういう点の取り締まりほどのようにしておられるのか、これはわれわれがいつも変に思うのでございますが、銀座のバーなどは、どんなところでも、どんなブランデーでも、どんなウイスキーでもあるというふうな現状でございます。こういうようなのは正規のルートでやっておられるのかどうか、それを国税庁は御存じであるのかどうかということを、この際関連して伺っておきたいと思います。
  112. 半田剛

    半田説明員 ただいま御指摘のように国内製造についてはもちろんですが、外国から入ってくる密輸入酒についても、こちらのほうはもちろんほうってあるわけではありませんで、重大な関心を持っております。警察、検察庁とも十分連絡をとりまして、たとえば数字を一、二申し上げますれば、密輸入酒関係の犯罪事件といたしましては、昭和三十五年には七百十二件の検挙をいたしております。犯則数量は五千六百五十四リットルであります。三十六年度ほそれがふえまして、検挙数が八百六十七件、犯則数量は七千二百五リットルとなっております。なお三十七年、三十八年につきましても相当の数でございますが、たとえば三十八年は、これは上半期だけの実績でもう四百十件の検挙件数がございます。犯則数量も四千四百六十五リットルとなっております。油断のならない事態でございます。また佐藤委員おっしゃったとおり、国内のウイスキーとの関係もございますので、今後十分警察、検察庁とも連絡いたしまして、密輸入に関する犯則については意をそそいでいきたい、努力したい、こう思っております。
  113. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 その点は、正規のルートで入るものはいいけれども、やみで入るようなものは、大藤省としては十分に検討してもらいたいと思います。  それからちょうどビールの話の中で、これは食糧庁の第一部長にお伺いしたいのでありますが、大体ビール麦を輸入するというケースが非常に多いわけであります。そこでそれならば日本ではビール麦はできぬかといいますと、いま日本の農村は二毛作をあまり好んでおりません。これは御承知のとおり労働力が足らぬので、結局出かせぎに行ったほうがもうかるから、安いビール麦をつくらぬというような傾向がありまして、これは三年ばかり前にここで質問したのでありますが、その点について、食糧庁ではどのようにお考えになっておるか、ひとつ、ビール麦の生産についての御意見を伺いたいと思います。
  114. 田中勉

    田中説明員 生産関係ということになりますと、これは食糧庁でございませんで、農政局の主管になるわけでございます。私からお答えすることは適当でないかとも思いますけれども、不十分ではございますが、お答え申し上げたいと思います。  ビール麦の関係につきましては、ここ両三年来国内の生産が必ずしもビール会社の需要にマッチしない問題もございまして、そのつどやはりモルトの緊急臨時輸入というようなことがあったわけでございますが、その理由の中にはいろいろございまして、まず麦芽施設が完備されてないということがビール会社の言い分にもなっておるわけでございますが、この点については、農林省といたしましては、国内生産の計画栽培を十分ビール会社の要望に沿うように指導するから、ビール会社のほうにおきましても、最近のビールの大きな伸びに対しまして、麦芽施設の大幅な増強ということを会社に要請をいたし、そういう意味で最近はビール会社のほうにおきましても、大体自社で国内産麦を処理できるような麦芽施設というものが整備されつつある現状であろうと思います。それに呼応いたしまして、国内におきましても、ビール麦の品種の育成とか、またそういう原種農場とか、こういうものにつきましても、予算措置を講じまして、品種の更新なり改良なりということに力を入れておるわけでございます。問題はやはりビール会社と生産者団体との計画栽培にかかってくるわけでありますが、これは御案内のように、最近麦作がややもすれば最近の気象条件等によりまして不安定な要素が農家の側にもあるわけでございますので、ここへきてややビールの計画栽培が停滞ぎみにあるということが現状のようでございます。もちろん農林省といたしましては、国産の大裸麦、たとえば精麦の需要というものが現在総体的に減少しつつあるわけでございますので、ビール麦の需要というものはむしろ大幅に増加の趨勢にあるわけでございますので、この点につきましては、大裸麦の中におきましてビール麦の計画増産、この方面につきましては、種子の問題をはじめといたしまして、ひとつ計画栽培の方向が樹立されるようにせっかく努力をいたしておるわけでございます。
  115. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 もう一点食糧庁のほうにお伺いしたいのですが、昨年の十月ごろから、酒米の手当が非常におくれまして、全国の酒屋が酒を確保するのに相当困ったようでありますが、私は、そのころから、今年度の産米は相当問題になると思っておりましたが、地方では御承知のように米のやみ値が高くなりましていま社会問題になろうとしておりますが、こういう問題については農林省の食糧庁はどんなような手当てがしてあったのか。これはことしだけの現象であるのか。ことしは御承知のように戦後第三番目の豊作だと言われておりましたが、そういう場合にどうして今年度だけ、去年の暮れあたりからですが、米の需給の状況が悪くなったのか、この一点を伺っておきたいと思います。
  116. 田中勉

    田中説明員 ことしは史上三番目の豊作だということではございましたが、何ぶんにも最近農家人口から都市の人口に人口が相当移動してまいっておりまして、かなり消費人口が増大しておる。かたがた最近の傾向といたしまして政府の買い入れ量が生産高に対しまして非常に増大をしてきております。これは最近の米価体系等から見ましても農家の政府売りというものが増大してきております。そういうことからいたしまして自由米の流通がやはり相対的に減少しておる事実がございます。こういう事態に対しまして、配給面におきましてはそういう自由米の流通が地帯ごとにいろいろな様相を呈してきておりますので、部分的には確かに自由米の減った分だけ販売業者に全部米をそのままくれ、こういうことを言われましても、若干経過的には売却調整の面におきまして摩擦が起こるような面が出てきておったわけであります。主としてこれは業務用方面の需要に異変があった。業務用というのは従来やみ米で足りでおったということでかなりそういう用途が広範にあったわけです。そこへ自由米が急激に減ってまいりましたので、そういう面からややもすれば不足の傾向というものが起こってきております。この点につきましては私のほうも二月、三月以降十分それらの実態に即するような形におきまして業務用の量もふやしてまいっておりますし、それから同時にまた大臣も国会で御答弁されておりますけれども、ことし外国米の輸入を予定しておりましたものにつきましては、端境期対象というような意味もございまして、繰り上げ輸入というようなことも現在実施して、海外からの輸入の手当てもいたしておるわけでございます。おそらく現在のやみ米が相当ここ二、三カ月上がってまいったわけでございますが、もう四月の末を大体頂点といたしまして相当各地におきましてもやみ米が下がってきておる、こういうような実態も出てきつつあるわけでございます。
  117. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 それからこれは食糧庁か国税庁かのどちらかと思うのですが、酒米の原料米の払い下げの額が四百二十億からになっておったのでございますが、こういうものの金の支払いについて御承知のように現在の酒屋というのは先ほどもどなたか言っておりましたけれども、非常に昔のような資本がない、そういうことで原料米の代金を払うのにも非常に困る。そんな立場にあるので、こういう点の、これは国のものをつくって間接的には税金を酒屋がとる形になっておりますから、もう少し余裕ある方法をとってやる必要があるのじゃないか、こういうことも考えておりますが、これは国税庁か食糧庁かどっちか知りませんが、そういう点についてはどういう対策をお考えになっておるのか伺っておきたいと思います。
  118. 半田剛

    半田説明員 ただいまの佐藤委員の御質問酒類の原料米の払い下げ料金の延納の問題じゃないかと思うのですが、確かに先生おっしゃいましたとおり酒の原料米の払い下げ代金の延納の問題につきましては業界からも要望がございました。そこでその関係は私たちもほうってあったわけじゃございませんので、関係の法規等調べたんですが、「国の所有に属する物品の売却代金の納付に関する法律」というのがございまして、それの法律の第二条の規定を受けまして何とか原料米につきまして延納を認められないかということを検討いたしまして、主計局その他とも事務局折衝を行なったのであります。ところがいま読み上げました法律の、延納を認める国の所有に属する物品の売り払い代金はごくわずかな例でございます。ほとんど例外的になっているというので非常に困難性がございました。関係当局で、趣旨はわかるのだけれどもなかなか実現の運びになっていないということになりまして、本酒造年度におきましてははなはだ残念でありますが、実現は困難だったわけでありますが、将来の問題としてこの法律の改正等とも関係いたしましてなお努力していきたい、こう思っておりすす。
  119. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 私のほうの選挙区の近くにはみりんをつくる人が多いのです、零細なみりん屋でございますが。そこで先日通産省の中小企業関係の方にもいろいろ伺ったのでありますが、なかなか近代化設備資金のワクをもらえないということで、いろいろお願いしたのでありますが、特に今度は清酒の近代化資金というものが考えられているようでありますが、その点で今年度どのくらいのワクがもらえるかどうかということが一点と、それからもう一つ、私は前から言っておるのですが、現在の日本の酒屋さんは御承知のように昔と違いまして資本から言えば非常に低い仕事の層に入っている中小企業の代表的なものでありますが、それは大企業に比べて非常に劣弱だ。したがってだんだん近代化のあれにおくれてくるという事実、これは十分御認識なさっておると思うのでありますが、前から私はそういう点は国の税金で間接的に援助するような、そういう酒屋さんにはいわゆる資金を貸す意味において、酒造の金融金庫などをつくって何とか救済をしてやる必要があるのではないかということを、数年前から私は言っておりますが、こういう心がまえがあるのかないのか。その二点をまず伺っておきたいと思います。
  120. 半田剛

    半田説明員 最初の、みりんと近代化資金助成法の関係でございますが、先ほどほかの委員の方にもお話ししましたとおり近代化資金助成法のものさしの範囲等はだいぶ広めていただいたのですが、それからまた清酒だけではなく、しょうちゅう乙まで今度入ったのですが、みりんにつきましては非常に残念なことに、ただいまのところこのものさしと申しますか、中小企業庁のその通達の中での貸し付け対象企業には加えられなかったのであります。ただしかしまだ道はあるわけでございまして、みりんの製造者でありましても個別的に特に中小企業庁長官が特に都道府県知事の申請に基づきまして貸し付けの承認を与えた企業の貸し付けは受けられるという方向で、いま鋭意中小企業庁とも相談しておりますので、この通達そのものには入らなかった、一般的の通達には入らなかったけれども、なおただいま御説明した方向で努力したいと思っております。  第二番の御質問の酒について特別の金融金庫ということにつきましては、これはただいま具体化して考えてはおりません。酒についての金融の問題がいかに大事な問題かということは、大事な財政物資の酒でありますので、金融金庫の話も前から出たのでありますが、いまのところまだ実現なり具体的な検討に入っておりません。私たちとしては、率直に申しますと、この近代化資金助成法あるいは近代化促進法その他の関係の中小企業の法律に基づく資金の特別の融通ということで、できるだけやっていきたいと思います。なおまたそれでもなかなか不十分であるということになりましたならば、金融金庫の問題を検討するにやぶさかではございませんが、ただいまのところそういうふうな線で進んでおることを御了承願いたいと思います。   〔吉田(重)委員長代理退席、委員長着席〕
  121. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 もう一つ清酒業者の近代化資金のワクは大体どのくらいになっておりますか。あれは通ったでしょう。清酒のほうの近代化資金、設備の近代化資金ということについては、大体採用されておるようでありますが、ないですか。ワクはありませんか。
  122. 半田剛

    半田説明員 近代化促進法によるワクというのは、ただいまのところございません。
  123. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 あとまだ質問者がおられますから、いろいろありますけれども最後にいきたいと思いますが、いま酒やビールの問題でいろいろ議論が出ておるわけですが、毎年酒税の国に上がる率はふえているということは、先ほども課長から話がありましたけれども、何と言っても大衆に直接関係のあるビールや酒、酒でも二級酒とか一級酒というようなものは国民の必需品になっていると思います。私なんかあまり酒を飲まないから、どうでもいいといえば、それまででありますけれども、少なくとも現在の酒税の占める位置は相当高い、相当大きな税の負担をやっているわけでございまして、これは間接税で断るので、だれも不平は言いませんけれども、少なくともわれわれのように、大蔵委員をやって、直接大衆の代弁をするような場合においては、こういう問題はもっと検討する必要があるのではないか、毎年増加するところの酒税の収入に対しては、もっと考える必要があるのじゃないかということを私は考えるわけですが、政府は一体どういうふうにお考えになっているのか。これは纐纈さんと木村さんのお二人から御意見をお伺いしたいと思います。
  124. 纐纈彌三

    ○纐纈政府委員 間接税、ことに酒税の問題は、先ほど来いろいろ問題になったことでございますが、政府といたしましても、財政状況がだんだんよくなってまいりまして、御承知のように年々大幅な減税をいたしてまいっております。いままで主として所得税を中心にしてまいっておりますが、間接税の問題につきましても、いままで問題になってまいっておりまして、考えなければならないということになっておりますが、最近は間接税の減税には手をつけておらないのでございます。この問題は、もちろん大事な、大きな問題でございまして、私どもといたしましても、やはり税制調査会においても審議をしていただかなければなりませんし——また財源の全体の考え方からまいりましても、間接税は相当大きなウエートを持っておるわけでございます。ことに酒税は、先ほど御説明申しましたように、相当ウエートを持っておるわけでございまして、いろいろな観点から、直ちにこれをやるということについては、私といたしましても、はっきり御答弁は申し上げかねますけれども、やはり国の財政と見合って、間接税——ことにいまも申されましたように、大体酒のごときは嗜好品であるかもしれませんが、また一面にはむしろ必需品の域に達しておるような状態でございますので、こういう問題も今後財政状況とにらみ合わせて間接税の減税にも踏み切るようにいたさなければならぬのじゃないかというふうに考えておる次第でございます。
  125. 佐藤觀次郎

    ○佐藤(觀)委員 最後に、酒の問題は、これは大衆に直接関係があるので、いろいろ問題があるわけです。特に今度は自由価格にされるようでありますけれども、少なくとも大衆の税負担が重くならないように、ことにビールなどは独占企業のような形になっておりますが、値段をつり上げるようなことのないように十分配慮すると同時に、現在の日本の酒屋さんは、御承知のように中小企業の中の弱い産業にもなっておりますから、こういった業者が倒れないような施策をとっていただくように要望しまして、私は春日君にあとを譲ります。
  126. 山中貞則

    山中委員長 春日一幸君。
  127. 春日一幸

    ○春日委員 私は、政府に対する質問に入ります前に、委員長に対して委員会の運営のあり方について、その所見をただしたいと思います。  いま本委員会は、酒の行政について、特に当面いたしております基準価格廃止でありますとか、あるいはまた酒類販売免許基準の緩和でありますとか、当面する重要な問題についての国政調査、政策審議をいたしておるのでございます。この行政のあり方いかんによりましては、実に二兆九千億に達する租税収入のうち、かれこれ三千数百億になんなんとする、租税収入全体に対して一二%に当たる酒税の確保がどうなるのであるか、あるいは全国における関係業者十数万の諸君のその事業の推移がどうなっていくのか、特にまた国民大衆の生活に至大の関係を持っている案件を審議をいたしておるのでございます。このようなとき、ごらんのとおり与党自民党の議員の諸君は少数しか出席しておられません。私はこのような重要な審議を行なっております段階において——与党の諸君が質問をし、しかもその内容については、政策論議にわたる面も少なくはございませんでした。そういうような問題は、少なくとも議会政治の本旨からするならば、当然政調において論議されてしかるべきだと思いましたけれども、しかし案件の重大性にかんがみて、われわれはつつしんでその意見をも拝聴いたしておりました。自分で質問をして、どこかへ行って帰ってこない、こういう重大な問題について、与党委員の出席が少ない状態で質疑応答が行なわれているわけでございますが、このような案件の重要性にかんがみまして、常任委員会が、やはりその国政審議の体制を確立するためにも、すべからく委員会の定数の国会法、衆議院規則の規定にかんがみまして、当然これらの諸君に厳重なる注意を喚起して、そうして審議を行なう十分な体制を確保されるの政治的責任があると思うのでございますが、これに対します常任委員長の御所見はいかがでありますか、お伺いします。
  128. 山中貞則

    山中委員長 お答えいたします。常任委員長とは、書いて字のごとく、常時そのいすに座していなければならぬのにかかわらず、所用のために若干退席しました間における春日委員の委員会の運営に対するおしかりでありますが、第一点の与党の質問につきましては、本問題は、別段法案の審議という形になりませんので、うちの与党の中からもぜひ委員会で質疑応答をさせてほしいという希望もこれあり、したがって、その旨を理事会でつけ加えて、一日このために日にちをさきたいと申し上げておいたとおりでございますから、野党の質問の中で関連ということでやる、岩動君の質問が長かったということをあとで承りましたが、時間に制約のありました春日委員としては心外であったことはよくわかります。その意味においては、委員会運営について私今後注意をいたします。  なお定数の問題については、私が国会法の定めるとおり、議事規則の示すとおり、きちんと運営していることはかねがね御承知のとおりでありますが、本日はたまたま午前中で終わるということを理事会のときに委員一同に、私の党にも徹底いたしておいたのが、昼食も抜きで二時までやれということの御要望も一部ございましたので、それを採用いたしましたために、それぞれやりくりの関係で席をあけた諸君があったのだと思います。その点は私も遺憾に思います。御了承を得たいと思います。今後はこのような運営のないように、委員長において、このような衆議院の役員たるの立場に恥ずかしくない処置をいたしたいと思います。
  129. 春日一幸

    ○春日委員 山中委員長は、さもしさいありげな答弁をいたしておられますけれども、私はことごとく了解することはできません。まず第一番にこの問題は、法案に関する質疑ではないからとの註釈がございましたけれども、少なくともこの内容を終始傍聴いたしておりますわれわれとしまして受けました印象は、大衆的な酒、たとえば二級酒でありますとか、あるいはビールでありますとか、そういうものに対する減税の意思はないかどうか、このような政策論議と申しますものは、すべからく議会政治、政党政治において、責任的に政党、与党が論じ、決すべき問題でございまして、かくのごとき席において論ずべき問題ではございません。フリートキングでありますならば、行政技術上の面において、与党委員たりといえども、国政審議においては、その責任を十分果たさなければ相ならぬでございましょうから、適切な質問であれば、これをとがめるものではありません。この点についても十分反省を求めておきたいと思います。  なお、なるほど委員長は開会時における定数については非常にきちょうめんであられます。これは容認をいたします。けれども、ただそのことは形骸に流れて、その内実というものについて何ら配慮のないことは遺憾とせざるを得ません。少なくとも開会時においてがん首がそろっておればあとはどうなってもよいという筋合いのものではございませんで、定数確保の真の意義とその目的は、すなわち終始政策審議の場としてあるその場所が、そのような背景の中においてまたそのような形式確保の中において、内容が確保されなければならないという配慮に基づくものでございまして、議運において長い間ベテランとしてその道にあられました山中委員長にして、そのような釈明を受けることは心外でございますけれども、委員長に対して今後について厳重警告を発しておきます。
  130. 山中貞則

    山中委員長 ただいまの御指摘の点はごもっともな点もありますが、私の考えは先ほど答えたとおりでありますから、これ以上の処置は解任なり不信任等の処置を法的におとりになるようにお願いをいたします。
  131. 春日一幸

    ○春日委員 それでは、民社党は国会対策を開きまして、委員長の処遇に対しては別途決定を行ないたいと思います。
  132. 山中貞則

    山中委員長 了承いたしました。
  133. 春日一幸

    ○春日委員 それでは、政府に対して質問をいたしますが、当面の問題は、何といっても酒の基準価格撤廃の問題と、それからこれは巷間伝えられておるところでありまするが、小売免許基準緩和の問題であろうと思うのでございます。これにつきまして私どもはいろいろと法律的に、かつはまた、政策的に検討を進めてまいっておるのでありまするが、当面する二つ、三つの疑義について、私はこの際国税庁当局の行政方針を明確にいたしておきたいと存ずるのでございます。  すなわち、酒税法並びに酒団法、この立法の趣意とその目的、この法意というものは、絶えず酒の行政に携わりまする者が十分これを把握して、いやしくもこれにもとるがごとき行政執行あることは許されないと存ずるのでございます。  そこで問題は、酒税の確保というものが一体どういう必要性の上に立っておるのであるか、酒税法によりまして販売製造に対する一般禁止条件付許可、免許、こういうことがなされておるにもかかわらず、これに加えて酒団法というものが重ねて制定されまして、そうしてこれら業者の共同行為によってさらに酒税の確保、業者の事業の安定、こういうことがはかられておるということを十分御認識であると思うのでございます。だとすれば、今回ここにこのような立法の上に、法的規制の上に立って、いま国税庁当局が酒の販売価格を自由化された。それからまた一方においては、その販売免許については、これは合理化ということばも用いられておりますが、一般的に受け取られておりまする印象は緩和である。あるいは臨時行政調査会答申は、これは十ぱ一からげということがありますが、二千数百件の許可、認可事項を一括自由化しろというような答申等もありまして、これは千ぱ、万ぱ一からげの処理をいたしておるのでありまするが、言うならばこれも免許廃止とかなんとかいうような方向に向かって処理が進められておるやにわれわれは受け取っておるのでございます。私は少なくとも酒税の確保の前提となる酒類業界の安定を害するような措置ということについては、これはよほどの客観的事情というものがなければ、あるいはまたそういうことをいろいろ変革の措置をとるとするならば、そのことによって業界が受けるいろいろな圧迫、混乱、こういうものを排除することのための事前措置、これが同時並行的に講ぜられることなくしては、みだりにこのような措置をとるべきものではないと考えるのでございまするが、これに対しまする長官の御見解はいかがでございまするか、まずこの一点からお伺いをいたしたいと思います。
  134. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 ただいま春日委員が御指摘になりましたように、酒税法並びに酒団法の企図するところは、何と申しましてもやはり酒税の確保あるいはその基礎になる業界の安定それからまた一般酒類消費者の利便、こういうようなことを主として考えていかなければならぬ問題であると思っております。そこで、基準販売価格廃止いたします場合に何らか事前の措置が必要であるというお話でございますが、御承知のように基準販売価格は当初公定価格から自由価格に移行する際の橋渡し的な役割を持っておったと思うのでございます。一ぺんに熱いところから水の中に飛び込むというのでは非常に危険があるということで、一応基準販売価格というものをよりどころにしてここに安定の基礎を求めて、行く行くは確信がつけば自由販売価格に移行する、こういう役割を持っておったと思うのでございます。そこで、最近におきます酒類業界あるいは製販三層を含めました業界の事情から見まして、基準販売価格をはずして本来の自由価格制に移行するとしても、酒類値段が異常に高くなったり異常に低くなったりということによって一般消費者に迷惑をかけ、あるいは逆に酒数業界に迷惑をかけるということがないという自信を得ましたので、そこでこの際基準販売価格をはずしたいというふうに考えたわけでございます。なるほど事前に特別の措置というものはとっておりませんけれども、しかしここに至りますまでにはあるいは酒類行政懇談会の意見——これはもちろん消費者代表も入っておりますが、そういう意見も徴し、また業界のいろいろな立場のお考えというものも聞きまして、そうして最後に業界の方々と懇談をいたして、そういう弊害が起きないように要望もすると同時に、またそういう確信を得て今日に至ったわけでございます。
  135. 春日一幸

    ○春日委員 私は、日ごろ長官の誠実な人柄をよく理解いたしておりますので、あなたが相当の研究に基づいてこの措置に踏み切られておるというこの大まかな状況については、私も一個の判断を持つことができます。けれどもものごとにはやはり配慮及ばずしていろいろな手抜かりや手落ちがあっては相ならぬのでございますから、こういう意味においてわれわれの指摘するところを十分含蓄されて、そうして万遺憾なきを期していただきたいと思うのでございます。いま長官はここに、基準価格なるものは公差価格から自由価格への橋渡し的な機能を持つ暫定価格であると述べられておりますけれども、それは一体どこにそういう規定がなされておるのでございまするか。私はこの酒団法の八十六条をずっと読んでみますと、これは暫定的なものであるというようなことはその文言の中からはくみ取れないのでございます。政府が必要である場合においてはこの基準価格を設けることができると書いてございまするが、しかしながら同時にまたこの酒団法の四十二条を読んでみますると、その中の第五項、これはそれぞれの組合がそれぞれの調整行為を行なおうといたしまする場合、その前提要件となるものはすなわち八十六条に規定されておる基準価格を下回るような場合、初めて調整行為を行なうことができると規定されておるのでございます。したがいまして、この四十二条、酒団法というものはいろいろと共同行為によりまして業界の安定をはかることのために必要なる措置としてこれが制度化されておるのでありまして、しかもそのねらいは調整行為でございますが、その調整行為を行なわれるところの前提要件、基礎要件というものは八十六条にかかっておるのでございます。これを読みますると、「八十六条に規定する基準販売価格を著しく下廻る等の事態が生じたことにより、」困った事態が起きた場合においては、その不況要件を克服することのためにこれこれの調整行為を行なうことができる、こうなっております。したがいまして、基準価格の算定の意義というもの、それからまたその機能というものは、これは単なる橋渡し的なものと断ずべきものにあらずして、これは昭和十四年から自来二十五年間、長い間公定価格がございました。すなわち酒の価格は、その販売価格の中に占める税金の度合いというものは、ビールにおいては五二・何%でございますか、清酒特級酒においてはかれこれ五〇%、二級酒においても三六・何%、こういうような大きな度合いを占めておることにかんがみまして、これは公定価格によるかあるいは基準価格によるかあるいは何らかの協定価格によるか、いずれにしても制約価格によるべきものであるという一個の想念のもとに、こういう基準価格というものが私は当時発想されたものではないかと思います。さればこそこの基準価格設定というものが不況要件の基礎となっておる。これから値段が下回った場合においては、酒の団体はこれに向かって値段協定もできたりさまざまなセルフコントロールをすることができる、こうなっておるのでございますから、したがってこの酒団法の構成からこれを判断いたしますると、ただ単に橋渡し的、暫定的、過渡的使命をになわされておるものではなくして、ここにはかりに「必要があると認める場合」という一つのイニシアルはございますけれども、しかしその機能的にはやはり四十二条にかかるものが非常に多い、こういうことからかんがみて、これはみだりに廃棄すべきものにはあらず、私はこういうふうに判断せざるを得ないのでございますが、この点はいかがでございますか。
  136. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 私が先ほど橋渡し的な機能を持っておると申し上げましたのは、これは一般論として、一般の普通の商品であれば自由に生産をして自由に販売をするというものでございますけれども、しかし酒につきましては、先ほども申し上げましたように、やはり非常に多くの税をしょっておるいわゆる財政物資であるという点にかんがみて、各種の保護手段が法律的に講ぜられておることは申すまでもございません。そこでもし基準販売価格がなかったならばそういう保護手段が講ぜられないというようであれば、基準販売価格というものはなくてはならぬ制度であるというふうにいわざるを得ませんけれども、基準販売価格がなくても、それ以外の保護規定でもって十分目的が達せられるというようであれば、必ずしも基準販売価格を残す必要はないので、できればやはり自由かつ公正な競争によって業者の方々が自分の銘柄についての価格を自主的に設定されるということが私は理想であると思います。ただいまの酒団法の四十二条の規定におきましても、「基準販売価格を著しく下廻る等の事態が生じたことにより、」云々とございまして、基準販売価格がなくても、極端なそういう事態が生じました場合には、各種の必要な法的措置が講ぜられるわけでございまして、そういう意味で私は先ほど御答弁をいたしたのでございます。
  137. 春日一幸

    ○春日委員 これは多分に政策論争になるきらいがあると思うのでございますけれども、これは私は別に論争するわけではございませんけれども、中小企業安定法から独禁法、それから発展的に中小企業の団体組織に関する法律、それから中小企業基本法と、いわゆる経済立法というものが中小企業を中心として、これを念頭に置きながらいろいろな推移がございました。そういうようなときに問題となりますのは、一体不況事態の認定というものをどこに置くかというのが、立法技術また政策理論として非常に重要な核心をなしておるものであったのでございます。このことはただ単に酒団法しかお扱いになっておりませんあなた方といたしましては、その認識とまた知識において乏しい点がありはしないかとおもんばかるのでありますが、一体そういうような独占禁止法においてはカルテル行為、値段協定独禁法違反として禁止しておる。この禁止規定を排除してなおかつ不況事態克服のために値段協定あるいはセルフコントロール、こういうことがなし得る場合の基準というものは非常にむずかしいのでございます。したがいまして中小企業団体組織法の中において調整組合が調整行為を行ない得るその要件というものは、著しく不況事態に陥った場合並びに陥るおそれのある場合というのでありますが、一体それはどういうときかという形になりますと、それは販売価格が生産価格を下回る場合、販売価格が仕入れ価格を下回る場合、そういうような一個の解説を有権的な基準としてその法律の運営がなされておるのでございます。けれども酒のように少なくとも三千数百億の酒税を確保しなければならないという国家的使命をになう業界におきましては、事実上原価を切り込んであるのか、原価だけでしか販売できないのか、そんな事態に陥ってから初めてそのような調整行為が行ない得るというようなことにいたしましては、これは酒税の確保についてもその機能を果たすことができません。国家的使命を果たすことができません。したがいまして、この法律はここにそのような立場をも顧慮して、明確に、具体的に、八十六条に言う基準価格を下回る等——等とありますけれども、ほかに明示はございませんけれども、それも一個の明示された基準として、下回った場合においては価格調整その他の調整行為を行なうことができる、こうなっておる。それによって酒別法というものは一個の体系をなし、その機能というものはおおむね万全を期し得ておると思うのであります。纐纈さん、わかりますか。この調整理論おわかりでありますか。私はあなたにこれは御答弁願いたいと思うのであります。ところがこれが基準価格がなくなってしまえば、この八十六条に明示されておる基準価格がなくなってしまいますと、今度は不況事態に陥ったときに価格協定やいろいろな調整行為を行なおうと思っても、四十二条における第五号においてイからホまでの調整行為を行なおうとする場合、その認定基準というものがなくなってしまうものだから、したがってあなたのほうでそれを許可、認可しようと思っても、その基準がなくなってしまいはしませんか。だから非常に高度の情勢判断に基づくにあらざれば、いわば抽象要件になってしまいまして、具体的要件というものはなくなってしまう。そうするとこの酒団法というものが酒税を確保することのために、またその前提要件として業界の安定を常時確保していかなければならないというそのような政策要請というものにこたえることができなくなりはしませんか。この点の政策上の難点ですね。私はこれが非常に弱くなってきてしまうし、運営上非常に困難な事態に陥るのおそれがあると思うが、纐纈政務次官は政治家的立場において、これをどのように判断されておりますか。
  138. 纐纈彌三

    ○纐纈政府委員 ただいま春日委員の御質問の趣旨はよくわかります。政策論もございますが、また技術的の問題もからんでおるわけでございますから、さような意味におきまして国税庁長官に答弁させます。
  139. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 基準販売価格廃止されました場合に、一体何を基準にして、過度の低価格であるとか、あるいは過当な高価格であるというような判断をするのかという御質問かと思いますが、やはりこれは一般経済原則に従いまして、その酒類の製造原価に酒税を加えまして、適正な利潤を加えて、そしてこの三者を著しく下回る、たとえば原価に酒税は加えてはあるけれども利潤がない、あるいはもっと極端なものになりますと、酒税すらも割り込んでおるというような価格になりますと、これはやはり相当問題があると思います。したがってわれわれとしては、この三つを合算しました価格というものが一応のめどであり、そしてそれは各メーカーから常時原価についての報告をいただいており、また業界販売状況等もにらんでおりまして、そしてある特殊の銘柄が著しく安くなっている、そのためにその業界全体として困る、こういうような事態が起きました場合には、先ほど申し上げましたような強力な行政指導を行なってまいる。そのためにはやはりわれわれの税務機関と業界団体とのほうで各地ごとに常時情報の交換を行なって、そしてやはりこういう特殊のものは表面に出ないで行なわれる場合も多いのでございまして、そういう情報をいただくと同時に、極端な値引きが行なわれておるような場合には、それが一体小売り段階で要求しておるのか、あるいはメーカーの段階でシェアを増すためにそういう乱売をいたしておるのか、そういう辺の原因を十分突きとめまして、これに対して適切な行政指導を加えていきたい、かように考えておるのでございます。
  140. 春日一幸

    ○春日委員 経済現象というものは複雑多岐であり、かつはまた可動的でございますね。したがいまして、この酒団法というものはその調整行為というものは組合員全部を制約するものでございます。協定価格設定の場合を例にいたしましても、たとえば二級酒は幾らにいたしましょう、清酒一級は幾らにいたしましょうという協定価格をつくることができることが酒団法に明示されておると思うのでございます。ところが、いま長官の御見解は、個々のメーカーからその価格のオリジン、それから酒の税、それのマージン、こういうものを合体したものをもって、適正価格で正常に販売が行なわれておるかどうかを認定の基準にしようとされるのでございますが、しかしこれは大企業と中小企業、それから設備の近代化されたものと非常に劣後にあります後進性の企業というものによっては、みんなオリジナル・コストというものは違います。違って当然でございます。違って当然でなければ自由競争の成果というものはございません。それで、等級別従量税でありますから税の部分は同一でありますが、マージンについても、今度は自由になるのでありますから一割もうけようと思っても五分もうけようと思ってもそれは自由であります。しかもオリジナル・コストというものは生産手段が近代化されたものと古風なものとの間においては大きな開きがある。そういうような多元的要素の中に立つもので協定価格をつくろうとしても、それはあなたのほうでそういう資料を受けられたところで、そんなものは一定の基準を弁識しようと思ったってできないじゃございませんか。現行酒団法は、四十二条によって基準価格設定されておりまする場合、その値段を下回った場合これは不況要件であるから、したがって調整価格を組合として設定することができるという、これは保障になっておるんです。一つの担保になっておる。あるいは病気に陥った場合、その病気の治療を受けられる場合の資格要件というものがこれは法律によって保障されておるのです。ところが基準価格廃止されてしまうと事業によって個々にその要件が違う、要素が違うのです。同じものはただ単なる等級別従量税ですね。それが同じだけであって、マージンも自由価格であるから違ってくる、それからコストも違ってくる。そういうものの中において、一定の不況要件ではない、過当競争ではないということの弁識は、個々には立てられるが全体として立てることはできやしませんじゃありませんか。それはあえて不可能なことをしようとされておるようなきらいがなくはない、この点いかがでありますか。私はこれは申し上げても失礼でございますが、安定法、団体法、独禁法、中小企業基本法、このもとをつくった一つの創案者といたしまして基礎的にいろいろな研究をしておるのであるから、私がいまここで申し上げることは、私が即興的にあるいはこれを非難的に申し上げるのではなくして、国の経済の根源に触れる経済政策理論としてこのことはしばしば冬立法の過程において論じられたことである。そういうことでこの酒団法はできておるのである。法律の中のあそこにもここにも八十六条の基準価格というものはみな明示されて、それが酒類団体業界安定の基礎要件です。共同行為の基礎要件、こういうふうになっておるのですよ。それをなくしてしまって全然心配することはないか。直したら直したで、直したに伴うて私は同時並行的に何らかの反対救済というものが行政的になされるのでなければはなはだ危険な事態が予想される、また機能的にこの酒団法というものがその機能を阻害するおそれなしや、このことをはなはだしくおもんぱかっておるものでありますが、そうではないという確信があるならば、私をして納得せしめるだけの理論をここにお示し願いたい。
  141. 半田剛

    半田説明員 春日委員の御質問でございますが、基本的な考え方は長官から答弁いたしたとおりでありますが、補足的にいまの御質問に関連して申し上げたいと思います。  なるほど基準価格がありまするときは、春日委員が言われたとおり、四十二条の基準価格を著しく下回る、そのものになりますが、はずれた場合はそのめどがつかないじゃないかという御質問だと思います。実は基準価格がありますときも、けさほど来御説明いたしましたとおり、清酒等が代表ですが、相当建て値と申しますか格差がついておるわけであります。そこで、基準価格設定なり、常時基準価格についていろいろ気を配って、こちらが資料を用意しておるときも、実は先生の言われるように、業種によって格差なり、規模によっても違う。それをこちらのほうでできるだけ精密な統計によりまして基準価格が、これが妥当であるか、あるいは設定するときは設定のための資料をできるだけ全力を尽くして集めてあるわけです。そういう点におきましては、いまの基準価格があるときでも、おのおのの業者価格というものがまちまちだという点では同じなわけです。もちろん、今後基準価格廃止されれば、そういう点では各業者のマージンを含めまして、さらに格差が開いていきますが、それにいたしましても、私どもとしては、基準価格廃止いたしましても、先ほど来申しましたのですが、行政指導の場合における下限でございますね、下の限界の値段を出すときは、やはり従来と全く同じ程度の——全力を注ぐかどうかは別といたしまして、決してこれをフリーにするというわけではなくして、相当価格についての資料をさらに続けたいと思っております。いままでみたいに基準価格があると、表面に示されているかどうかの違いだけでして、実質的にはうっちゃっておくのではなくて、価格についても常時情報を集めたり、あるいは個々的な価格を検討するだけではなくて、全体的には一体妥当な価格かどうか、そこまでは私たち基準価格廃止しても続けたいと思っております。したがいまして、「基準販売価格を著しく下廻る等の」この「等」の読み方でございますが、基準価格がなくなっても、それにかわって、やはり不況と判断するかどうか、一つ価格につきまして、単に個々のメーカーについての資料を求めて、個々的にあるいは恣意的にいいかどうかと判断するのではなくて、相当全国的に資料をそろえて判断したいと思っておりますので、決して基準価格がなくなったからといって、四十二条の不況要件について判断できないというふうには、私たち判断していないのでございます。先ほどの先生の御質問では、基準価格がなくなると、価格関係についても、国税庁も全く自由なんだから、個々的なメーカーの値段については、そのときに調べるけれども、いままでの基準価格があるときみたいな、精密な価格の資料は全然やめるんだという御意見がありましたが、私どもとしては、そういうふうな考えはございませんで、やはり今後も価格については常時検討しなければ、不況の判断もできませんし、またかりに業界からの規制等の要望があった場合、その判断にも必要なわけでございます。  以上のように、今後とも価格面についての実質的な資料等については相当力を入れたい、こう思っておるのであります。
  142. 春日一幸

    ○春日委員 あなたのほうは最低販売価格ですね、これを法律的に規制する権限はございますか。
  143. 半田剛

    半田説明員 こちらから規制するという権限はございません。
  144. 春日一幸

    ○春日委員 問題はそこなんですよ。最高販売価格については、これは八十六条の二で、法律事項として行政府にその権限を与えておる、こういうことですね。ところが、あなたのほうは、権限のないことは行なうことはできないのです。法律によって権限が与えられておることに限って、国税庁、行政府は国民に向かって主権を制約することができるのですね。最高販売価格はこれは八十六条の二で定められておるが、最低販売価格については、そんなことはさめようがない、下限というような権限はないですよ。いかがですか。
  145. 半田剛

    半田説明員 法律的解釈としてはそのとおりでございます。
  146. 春日一幸

    ○春日委員 それでは、その下限、要するに、値下がりをした場合においては、何らかその価格支持政策を、勧告によって効果を期し得るようなことが答弁されましたが、それは間違いでございますか。
  147. 半田剛

    半田説明員 間違いではございません。ただいまの春日委員の御質問で、下限それ自身を押しつけると申しますが、それを命令するそれ自体の権限はないわけでありますけれども、下限値を行政指導して設けるのは、そのこと自身によって直ちに命令というのではなくて、下限値をこえる場合に、個々業者によってもちろんきめをこまかくした行政指導をするのでありますが、それによって次の段階として、酒税の保全に差しつかえるというような段階の、いわばその診断の体温計としての下限値なのでございます。下限値それ自身を押しつけるわけではございません。したがいまして、たとえが悪くて恐縮ですが、次の段階で診断したときに、酒税の保全に差しつかえがあるということでしたら、そこであらためて、その権限とつながるわけであります。酒税法の酒税担保の提供、経理についての改善命令とか、あるいはもっと広くいいますれば、一番極端な場合ですが、規制を行なっておるものにつきまして、アウトサイダーに対する命令もできます。それからまた、規制を行なっていない場合でも、一番最終と申しますか、好ましいことではありませんが、規制命令というふうな段階になるわけであります。そういう意味で、下限値それ自身が命令的、法律的なものではないけれども、その診断の材料になる、こういう意味で申し上げたのでございます。
  148. 春日一幸

    ○春日委員 私は問題の認識が十分ではないと思われる節があるのでございます。いまのあなたの答弁は、やってやれないことはないんだということで、言うなれば非常措置です。法律はこういう重要事項についてはそのものずばりで権限を行政府に与えておる。それを与えておるのは、酒の業界を絶えず安定せしめる必要があるということなんです。不況事態におちいったときに、これこれの措置をすることができるというのは、非常救済手段であって、それは正常なる行政行為ではございません。少なくともあなたが担保を取ってしまうとか、いろいろな過酷な措置、意地悪い措置をすることによって値段を上げざるを得ざらしめるというようなことは、これは公正なる経済行政じゃございません。その点の御理解があってしかるべきだと思う。だから国民の、すなわち消費者利益を確保する観点において、暴利をむさぼった最高価格というものは、おのずから法律によってこれは制限を加えることができる、こういうぐあいに、消費者利益を保護する立場において八十六条の二は法の規制があるのです。ところが、下限価格というものに法の規制はないのでございますから、したがって過当競争におちいったというような場合、幾らでも安く売れるのですよ。幾らでも安く売れば、そのことは度を過ぎた競争という形になって、酒税確保の道を困難におとしいれることなしとは断じがたい。そのような状態におとしいれては相ならぬのでございます。少なくとも三千五百億円というような国税収入、これは国家の財政的要請から確保しなければならぬ。その大前提となるものは常時業界の安定ということである。安定を確保するためには、正常価格というものが常に維持されなければならぬということなんです。維持されざるような事例を生じた場合、それは現象的にはいかにあらわれてくるか、すなわちいまの酒団法のたてまえでは、四十二条において、すなわち基準価格を下回ったような場合には、正常なる取引が阻害された事態と政府は認識してもよろしい。よって業界の自主的な調整行為、すなわち値段協定というものを申請に基づいて許可してもいい、こういう法の仕組みになっておる。だから、いまの基準価格設定されておりますというこの状況のもとにおいては、すなわち酒税法と酒団法との関連において、確保とかつ確保をするための強化措置、こういうことがとられておるのですよ。ところが、その基準価格がなくなってくると、ずっと乱れてくる。一つの扇のかなめですから、あそこのピンを取ったみたいで、ばらばらになってくる心配がある。ばらばらになってくるとは申し上げませんが、非常にその運営を困難におとしいれる、その機能を阻害してくると思う。この理論、委員長はどうですか。実際この問題は政党間の政策論として深く論じてもらわなければならぬと思うのです。
  149. 川村博太郎

    ○川村説明員 酒団法の四十二条の問題でございますので、主税局からお答えしたいと思います。  その道の権威であられる春日先生に申し上げるのはおこがましいのでありますが、現在の四十二条はまさにおっしゃるとおり「基準販売価格を著しく下回る等の」事由によりという文言が入っております。しかしながら、酒団法は御承知のように昭和二十八年にできております。その当時においてはまだ基準価格はございませんでした。そのときにおきまする酒団法四十二条の文言は「組合員の製造又は販売する酒類の需給が均衡を失したことに因り、酒類価格がその酒税額及び原価に照らして低下し、又は酒類の代金の回収が遅れる等組合員の酒類製造業又は酒類販売業の経営が不健全となったため、」以下等々でございます。こういう文言でございます。三十二年にそれが若干変わっておりますが、やはり基準価格は、例としては引っぱっておりません。要するに「需給が均衡を失したこと」それによって組合員の経営が不健全となる、あるいはなるおそれがあるということが規制をする不況要件に相なっております。そこで三十五年に、先ほど長官が申されましたように、統制価格から自由価格への橋渡し的な含みを持って、現実に確かにそういう事態があったことは春日委員も御承知のとおりでございますが、そういうことで基準価格制度として設けられ、また告示されました機会に、酒団法上に不況要件を認定する一つの例示といたしまして、「基準販売価格を著しく下廻る等の事態が生じたことにより、」という文言が入ったわけでございます。したがいまして、法律は、つくられれば事後また新たな意味を持って動き出すという面はもちろんあるとは思いますけれども、基準価格の告示がなくなったから、直ちにこの不況要件の認定が著しく困難になるということではないと考えます。
  150. 春日一幸

    ○春日委員 いま貴殿がそういうことを言っておられるけれども、その当時は公定価格があったのですね。基準価格なんという文言を使わなくても、公定価格があって、公定価格の保証がある安定担保というものがあるから、基準という文言を使わなくてもよかった。そういうような政策論議が——失礼ではあるが、貴殿がまだ大学の学生のころから、われわれは十数年前からこの委員会にすわり込んで、こういう政策論議をしてあるんだから、そういうようなとぼけたことを言っておられても、これは説明にはならぬ。その二十八年とか三十二年とかいうときには公定価格が現存しておったんだから、したがってそういうところへ基準価格というような文言を挿入する必要はなかった。いいですか。  それからもう一つは、中小企業政策に推移があるということですね。すなわち、中小企業安定法というものが廃止をされた、昭和三十二年でありますか。そうして、これが中小企業団体の組織に関する法律ということになったんですね。それからもう一つは、環衛法がその当時できた。それからもう一つは、それがさらに発展的に昇華された形で中小企業基本法が制定された。それから、この間、自由民主党の総務会で環衛法の第三次改正案を出されました。それから、いま商工委員会に中小企業団体法の改正案が出されてきておる。そのことは中小企業者にさらに力を強化することのために組合交渉ですね。この権限を付与いたしておる。強化策こそあれ、弱化策なんというものはないのですね。だから、そういう意味で私がいま申し上げておるのは、こういう四十二条というものの規定は、基準価格のなかった昔にはこういう文言を使っておったということでは説明にならないのです。ずっといまでは、中小企業政策とか、その経済活動の高度化に基づいてこれを規制するいろいろな政策立法というものが多元的に変貌してきておる、進化してきておるのですね。だからそういうような中において、いまここに、せめては、不況要件というものの認定基準とされておる基準価格がなくなってしまうと、酒類団体はセルフコントロールをするという場合に、非常に困難な事態におちいってしまうのではないか。許可しようと思っても非常に困難である。それから今度はいろいろとこれを細密に検討しようと思えば個々のデータをとらなければならぬが、個々のデータたるや千差万別である。今度は自由価格になればマージンが自由になりますからね。そうなりますと、生産手段は個々別々だから、高性能のものと低性能のものとは、これはオリジナル・コストがおのずから千差万別であることは当然である。千差万別であって、ただ一つなのは税金だけが一緒だということ。他の二つは違う。その違う中で協定価格をつくろうと思ってもつくり得ない。現行制度では基準価格があるから、これを下回ることがあったら、これをつくることができるという大いなる救済があって、酒団法の機能は確保されておる、こういうことを申し上げておるのです。だから私はいまここで申し上げます。木村長官その他関係者が非常に誠実な努力をされて、六月一日から踏み切られるということを天下に明らかにされた。業界団体とも円満なる了解を取りつけられたとされておる。これをあと戻りすることは適当でないと思う。だからこれをこのままあなたが予定されたことを執行されるにあたっては、当然事項として、私はこの四十二条の法律の改正をしなければいかぬと思うのです。当然事項でしょう。これからいろいろ過当競争があらわれてくるおそれがあります。自由にして公正なる競争原則を確保していかなければならぬけれども、自由競争というものと弱肉強食というものとは、これはもう形式的には同じものなんですね。ただ大きなものが逆に強食になる。その限界の適当なものが自由競争ということで、これはやはり不況要件というものを克服するだけセルフコントロールというものの基準を法律上明示しておかなければならぬと思う。そのためには、やはり四十二条の第五号というものとあわせて法の改正を必要とすると思うが、これはいかがでありますか。
  151. 川村博太郎

    ○川村説明員 先ほど言いさしたままやめたのでありますが、現在でも基準価格を下回っておるという事由が、どういう範囲で、またどの程度に行なわれておるかによって不況要件があるかないかをきめなければならないと思います。ある酒屋さんが基準価格を著しく下回って売って、直ちに不況要件に該当するという判定はなされないと思います。要するに現在の基準価格を「著しく下廻る等の事態が生じたことにより、」というのは、あくまでもその下にある事態の例文でございまして、「酒類取引の円滑な運行が阻害され、組合員の酒類製造業又は酒類販売業の経営が不健全となっており、又はなるおそれがあるため、酒税の納付が困難となり、又はなるおそれがあると認められる場合」この要件をどう認定するかという問題は、基準価格があろうとなかろうと、さして変化はないと考えるわけでございます。
  152. 春日一幸

    ○春日委員 そんなむちゃを言ってもらってはいけませんですね。法律というものはなくもがなの文言は、片言隻句たりといえども入れておるわけでけありません。本来ならば制限列挙で、こうこうする場合にこうすべきものであるということ、かくしかりしものである。ところが、そういうあらゆる事態をここに明示することは、この酒業の実勢にかんがみて不可能であるから、例示的にこの代表的な、一番大きなものをここに明示している。たとえばこんな場合はこうするのだが、その他の場合でも、これに準ずるような場合にはこうするんだ、しかもこのこと自体は、そのあとに続いておりますところの酒税の納付を困難におとしいれるところの前提条件——前提条件というよりも、前提的な一つの要素とされておるわけですね。たとえば下回れば必ず利益というものはなくなってしまう。安く売れば利益がなくなる。利益がなくなれば、いつしか税金の分までも食い込んでいってしまう。食い込んでしまえば納まらない。こういうことで、この法文は体をなしておるのですよ。そういうような政策理論は別にしても、いずれにしても基準価格がなくなってし使えばこういう問題は直さなければいかぬ。かつて公定価格があったときには別の表現がありましたけれども、基準価格設定されたことによって昭和の三十四年にこういうふうに直ったのです。公定価格があったときには別の表現があったけれども、基準価格設定されたときに、こういうふうに法律は直った。今度基準価格がなくなったということになれば、そのなくなったことに伴って、これに対応して、また四十二条の文言をこの情勢に即応したようにこれに改正を加える、そうして酒類団体のこの機能というものを確保していくということは、これは立法府に与えられたところの当然の義務だと思うのです。行政に携わる者はそういう法案を提出してくることは、これは必要にして不可欠の責任であると私は思う。政務次官、いかがでありますか。あなたは高潔な人格だからぜひひとつこれを改めてもらわなければならぬ。
  153. 纐纈彌三

    ○纐纈政府委員 酒団法の改正の問題につきましては十分御意思を拝聴いたしましたので、検討いたしたいと思っています。
  154. 春日一幸

    ○春日委員 いま政務次官は事実上の問題として——私は手落ちを言っておるんじゃございませんよ。事実上、現在の文言では、団体法であるとか、また安定法であるとか、あるいは独禁法であるとか、そういうものから勘案して、いままでは基準価格があったからこれで処理ができたんだが、なくなればなくなったように文言を直さないと、こういうセルフコントロールができなくなる。できなくなれば、この酒団法というものの機能が阻害されるからたいへんなことになるのだと申し上げておるんですから、したがってマル公のときには他の表現ですね。今度は自由価格のときには自由価格に見合ったところの表現を必要とするであろう。(堀委員「そのとおりだ」と呼ぶ)さすがに堀君はベテランだけあってよくわかる。これはひとつ委員会提案くらいで、六月一日からですから、各党の理事会くらいで委員長提案くらいで直してもらってもいいと思うが、政府のほうから御提案ならば、同時に並行的に提出を願っていいことと思うが、長官ひとつどうですか。
  155. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 法律改正の問題は私の職務の範囲に属しませんので、ここで責任を持って申し上げるわけにはまいりませんが、私は率直に申し上げまして、現在の基準販売価格というものができて、基準販売価格が各級別の酒類について設けられた。その算出根拠というものは、申し上げるまでもなく、標準原価に適正な利潤を加え、酒税を加えたもの、これをわれわれのほうで各業者の方々から資料をいただきまして、そしてそれを検討してつくられておるものでございます。したがって、この基準販売価格がなくなったからといって、先ほど間税部長も申し上げましたように、そういう調査なり資料をとるということをおろそかにするというのではございませんので、これはやはり現在と同じようにそういう調査をいたして、そしてこの三つの合算されたものが一応のやはり基準になる、こういう感じを持っておるのでございます。ただ、しかしながらそれではあまりばく然としておるじゃないか、あるいははっきり基準販売価格があったときほどははっきりしないじゃないかという仰せであれば、それはそのとおりだと思います。そこで、まあこれは私の仕事の範囲ではございませんが、ただいま政務次官からお答えがありましたように、やはり法律の文言でそういう点をはっきりさせるということは、こういうことについての意見はどうかと聞かれれば、私はそれについてはやはり十分検討すべきであろう、こういう感じを持っております。
  156. 春日一幸

    ○春日委員 幸いに政務次官も、酒税の直接の行政執行の責任者であられます長官も、やはりそう直したほうがいい。私どもは直さなければだめだと言っておるのでありまするが、直す方向によって検討するということでございますから、ぜひともひとつ御検討あって、六月一日の実施と相並行してそのような適切な法的措置の講ぜれらることを強く要望いたしておきます。
  157. 山中貞則

    山中委員長 その問題について私からちょっと……。  八十六条の基準価格を定めることができるということを受けて、その他の条文、あなたの言われる四十二条の第五号というようなものもあるわけ、ただあなたが指摘された問題点と、——委員長はどうかと言われたんだが、政策について答えることについては私としてはどうかと思ったから黙っておったのですけれども——委員会運営ではないから。おったのですが、あなたの御指摘のとおり下限価格並びにそれの行政指導の法的あるいは行政的な根拠というものにおいてきめ手を欠く。しかもその下限価格を下回ったと判定した場合の酒団法その他の担保提供その他の措置、これもその下回った価格でしか商取引で成立しないような酒数についてそれをきめ手となし得るかどうかについて、若干の心配の点もあるわけです。そこで私どもの事前の検討の段階において、そのような場合があって、しかも酒類業界の中の中小零細企業というものがそういうもので破滅に瀕するというような事態が起こるならば、再び基準販売価格というものは設定することも考えておくべきであろうという議論をしたわけです。したがって私の見るところ、御指摘は正しいのですが、一応この条文はおいて、「定めることができる。」ですから一応定めることができるとしておいただけで、あと現在のところそれをやめた、しかしその後の推移によってはこの条文の復活をし得るというふうな、一種の安全弁を残したほうがかえっていいのではないか、こう考えるわけです。
  158. 春日一幸

    ○春日委員 委員長は最近に大蔵政務次官もやられ、なお税制調査会の責任者でもあられたんだから、この問題については十分基礎的知識がおありであろうと思うが、私が直接指摘しておるのは八十六条ではなくて四十二条なんですね。四十二条の中に基準価格を下回る場合と書いてあるが、基準価格というものは全然ないのだ。全然なくなってしまったらなくなったように、ここをやはり酒の団体がセルフコントロールする場合の前提要件というもの、不況要件というものは、他の文書によってこれを保障しなければならぬ、国民に向かってこれを保障しなければならぬ、こういうことを申し上げておる。ということは、すなわち公定価格があったときにはこの文言がなかった。公定価格廃止されて基準価格ができてから四十二条はこういうぐあいに修正された。いままではそういう立法の作業をわれわれはやってきた。いままでやってきたことを今度やらないということは一個の手落ちであるから、したがってこれをやることによって、酒の団体がみずから不況要件克服のためのセルフコントロールをすることができるように法の機能を確保する必要があろうから、そういうふうにする意思があるか、こう申し上げたんだが、これについて前向きの姿勢でやる、こう言っておるのだ。だから制度として八十六条を残すということについては、私は委員長の言われたとおりこれはまだ復活の必要もあろうからこれを残したほうがいいと思うが、次に設定するまでの間、この四十二条のこの文言をその実情に即した形に修正しておく必要がある、こういうことを申し上げておるのであるから、この点はよろしく御了解を願っておきたい。  次に質問を進めますが、さて現在の酒の税制は従量税の級別課税ということになっておりますね。ところが酒の価格を自由化するなら、現在の級別制度というものもやはりこれを廃止して従価制というものも加味した形でこれを考慮する必要がないであろうか、こういう問題でございます。いままでは公定価格があり基準価格があって、おのずから三段階にまたがってマージンの基準というものも法定されておりました。だから等級別従量税というものは一応一個の機能を果たし得たと思うのでありますが、今度は販売価格が自由になる。そのことはおのずからマージンというものを二割取ろうと五分取ろうと二分取ろうとこれは自由になってくる。そういう中において、これはこの等級別従量税といういままでどおりのやり方でやっていくということは、これは実情に合致しないきらいなしとはしないか、再検討をなすべき段階ではないかと思うが、この点いかがでありますか。
  159. 川村博太郎

    ○川村説明員 級別の意義につきましては酒団法の八十六条の二に制限販売価格制度がございます。著しく級別なのにかかわりませず価格がその級をまたいであるいは越えて上がるような場合には、これを規制するという考え方に相なっております。法の八十六条の二はむしろ級別維持の考え方に基づくものでありまして、暴利取り締まり等の考え方はむしろその趣旨ではないと考えるわけでございますが、従価税にいたしますと、春日先生御承知のようにいわゆる特販機関の問題、あるいは一定率の問題等きわめて手間もかかりますし、監視、取り締まりも非常に煩瑣でございます。その意味から申し上げますと、先ほどお答えいたしましたように、やはり実務と理論との中間妥協点と申しますか、現在の級別従量税制度を維持していくということが適当ではないかと考えるのであります。
  160. 春日一幸

    ○春日委員 私は法律の条文にこだわって申し上げるのではなくして、これは全くもっと大きな公正なる自由競争、この立場で私は論じておるわけでありますが、今回の基準価格廃止一つの理念というものがあくまでも自由競争、これを刺激して、業界に刺激を与えることによってそのサービスの向上、価格の低下をはかろうとする、品質の向上をはかろうとする、こういうところが真のねらいであるならば、酒というものは千差万別であってしかるべきである。自由競争の観念ならば、特級からその次は一級でなければならぬ、その次はがたっと落ちて二級でなければならぬというこの一つ設定は公正なる自由競争というものの基本的理念というものをいびつにいたしておる。これは大きな制約を加えておるものであって、自由競争という本質的理念に合致したものとはいいがたい。だから、そういう意味で自由競争を刺激して品質の向上、サービスの向上、価格の引き下げ、こういうことが政策的意図でありまするならば、課税のあり方についても、酒というものが四つなり三つなりの段階しかないという一つの法的規制というものは自由競争の本質的理念をそこねるものであると思う。かつてはそういう制度はなかったのでございましょう。かつてはそういう制度がなかったけれども、戦争中にこれを統合してああいうようなマル公が設定されたときに、このマル公設定の便宜上等級制度をつくった。だからそのマル公もなくなった。自由価格もなくなったならば、私は等級別従量課税のこの根本的な税制の立て方というものもいわゆる自由競争の本質に適した改変が考慮されてしかるべきだと思うが、この辺はいかがですか。これは政策論ですからちょっと纐纈さん。
  161. 纐纈彌三

    ○纐纈政府委員 ちょっと私には判断がつきかねますので、事務当局からお答えいたさせます。
  162. 春日一幸

    ○春日委員 こういう問題は事務当局から御答弁を願ってもかいのないことでございますから答弁は求めません。私がこのことを申し上げましたので、自民党の政策マン諸君それから副大臣は当然大蔵省議にかけられて、税制調査会全般の問題としても十分御討議を願っておきたい。このことは、自由競争の基本的理念というものは酒というものを四段階に限定すべきものではない、その思想というものをここへ貫いていかなければならぬ。何でも中途はんぱなことは百害あって一利ない。ものごとはそのものずばりに徹していかなければならぬ、こういう考え方から根本的な御研究を願っておきたいと思います。  私はこの際、こういう基準価格廃止されたことに伴って、酒団法というものを相当分野にまたがって時宜に即した改正を行なう必要がありはしないかと思うのでございます。そのことは、いまも申し上げましたように、基本法が三十八年の七月の二十日に施行されましてから、またことしは団体法の改正、さらにはまた自民党の総務会も環衛法の第三次改正案も承認したそうでございます。これは組合交渉、団体交渉権というものをことごとく付与いたしております。ところが酒団法には、これが古風な立法で昭和二十八年の立法でございますから、団体法以前の問題であり、中小企業基本法以前の問題であり、環衛法以前の問題である、こういうような中小企業団体はみんな組合交渉が確保されておる。それがこの酒類団体にだけそういう組合交渉、団体交渉というものが確保されていない。これは手落ちというよりは明らかにアンバランスでございます。二十八年の当時には他の法律もそういう保障がございませんでしたから、そのことなくして本日に至っておると思うのでありますが、いまや自由公正という競争の上に立つならば、各種の共同行為によってその業界の安定をはからなければならぬ。それは彼らがただ単にみずから利益の増大をはかるためではなくて、三千数百億の酒税を確保することのために必要な措置である。だから、そのためには幾つかの保障を与えていかなければならぬと私は思うのでありますが、少なくともその問題は団体法や環衛法に規定されておりますように、関連する業者との間に組合交渉を締結する、その申し入れを受けた者には応諾の義務を課していく、あるいは組合員以外の者に対しても組合交渉を行なっていく、これは必要なことだと思うのです。それなくしては、私は酒税を確保することのための業界の安定は期しがたいと思う。組合員外の者ともやはり組合交渉をする必要があると思う。いかがでございますか。酒団法改正……。
  163. 川村博太郎

    ○川村説明員 酒団法の改正につきまして、特に春日先生いま御指摘になりました団体協約の条項を入れるべきではないかというような意見は、業界のほうからも実はまいっております。その際私どもその業界の方々ともいろいろお話し合いをした次第でございますが、酒の業界につきましては他の中小企業の業界あるいは環衛等の業界——業界といいますか環衛等の場合と違いまして、税務署が相当強力な指導をしております。したがいまして、交渉を申し入れたが現実に断わられてできなかったというようなことは現在までにないと存じます。で、これを法的に規制いたしましても現在以上の成果はあがるという保証はございません。また実益もないのではないかと考えております。現在までの税務署の指導によりまして十分その成果はあげ得ておると考え得るわけであります。
  164. 春日一幸

    ○春日委員 それは異様なことを伺うわけでありますが、たとえば酒類販売業者はこの酒団法といえども加入、脱退自由でございましょう。
  165. 川村博太郎

    ○川村説明員 そのとおりでございます。
  166. 春日一幸

    ○春日委員 そういたしますと、私はいま課長が答弁されましたことは、組合員たる関連事業者ですね、そういう者との組合交渉の必要はなかったとか、あるいはそういうような必要を生じたことはなかったとかいうのでありますが、問題点は、いま自由価格になれば値くずしがありますね、当然ありましょう。たとえば組合で協定価格をつくったところで、その組合員に対して服従の義務を課するだけでございまして、組合員外はこれは自由自在でございます。協定価格をつくろうと、それに従おうとこれは自由自在でございます。だとすれば、いままでは公定価格があり、それにまた基準価格があっていろいろな救済措置があったのですけれども、今度は完全自由になれば組合員外の者が自由に何でも、協定価格ができようとあるいは標準価格ができようと、申し合わせ価格があろうと、値くずしをしたり景品販売をしたり自由濶達、野方図な販売手段を講じてくること、これは明らかであります。こういうような諸君に対して組合交渉を行なっていく、われわれの協定値段を守ってくださいとか、あるいはその関連事業者に、あの人がああいう値くずしをすることによってわれわれは大いなる被害を受けておりますからあの人に酒を出荷しないようにしてくださいとか、そのような組合交渉というものは、私はこの酒の販売が自由化されるこの段階において、そのことは私は必要欠くべからざる措置だと思う。これはその小売り業者がその製造業者に向かって組合交渉をするというものではございません。そういうことも時と場合によってはあるかもしれませんけれども、しかしそれは主として組合員外、いわばへそ曲がりの諸君に対して組合交渉を行ない、関連事業者と組合交渉を行なうことによってへそ曲がりを、あまのじゃくをそういう共同の規制に服従せしめるの自主的規制効果、これを確保するためにやはり団体交渉というものを私は認めていく必要があると思う。これは環衛法においてもそれが保証されておるし、それからまた中小企業団体法においてもそのことが大きな条件として、特にこの団体の機能としてそれが保証されておることにかんがみまして、同じ団体であるこの酒団体にその機能をあえて排除しておるという積極的理由はない。何らそれが弊害をもたらすものではない。弊害をもたらさないどころか、それなくしては組合員外の規制というものはできないじゃありませんか、組合交渉ができなければ。
  167. 川村博太郎

    ○川村説明員 ただいま御指摘のケースにつきましては、酒団法の八十四条におきましてアウトサイダーの違反といいますか、協約にそむくような行動につきましては、大蔵大臣が勧告、命令をすることができるようになっております。
  168. 春日一幸

    ○春日委員 それはそういうような規制がなされた後においてはできるんですね。むろんそれは規制がなされた後においてできまするが、その以前に規制というものはなかなか不況要件がありますとか、あるいは不況事態におちいるその積極的現象がそこにあらわれてきたときに、このことはその調整行為が許可を与えられた後において、そのときには大臣が勧告することも命令することもこれはできます。ところが実際は、組合の運営の中において、その事態におちいる前に、このことは、事業協同組合法においても団体交渉というものは、これは組合の機能として保証されております。これは調整機能を持たないところの協同組合でも団体交渉権が付与されておりますですね。よろしいか。すなわちそのことは事前的、予防的にそういうような団体行動によって、そういうような事態におちいらざるためのセルフコントロールという機能が与えられておる。話し合いによって問題の解決をするというそういうような場合、法的な裏づけがなければ相手は応諾をしないから、特に法律上応諾義務は付しておるんですね。他のすべての立法にそういうような規定があるのに、この酒団法にだけそのことが規定されていないということは一個の手落ちである。歴史的にはそういうような立法がなされる前に酒団法ができたから、そのことが論ぜられていなかったにとどまるのであります。だからしていまの自由価格にするというこの時点において、あわせてその欠陥を補完するということは私は必要な措置だろうと思いますね。これもひとつ大きな政策案件でありますから、ひとつ省において十分御検討願おうじゃありませんか、いかがでありますか、副大臣、御答弁。
  169. 纐纈彌三

    ○纐纈政府委員 いまの御意見につきましては十分にひとつ検討をいたして結論を出したいと思います。
  170. 春日一幸

    ○春日委員 終わりに、次は免許基準緩和の問題でありまするが、これは業界には緩和という形で一個の衝動を与えておるようでありまするが、それも長官のいろいろな意思御表示によりますると、これは緩和というよりもむしろ合理化である、こういうふうに伺っておりまするが、一ぺんこの際総合的に臨時行政調査会答申に基づいてこの行政方針変更の方向にあると伺っておりまするが、大体どういうような形で改変を加えていこうとされておるのであるか、これをひとつ総合的に御開陳を願っておきたいと思う。
  171. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 ただいま春日委員もおっしゃったように、最近の機会に臨時行政調査会の結論、答申が出るというふうに私は承っております。先ほど申し上げましたように、実はこの基準販売価格廃止と並行してこの問題を取り上げたのでございまして、でき得るならば同時がよろしかろうかと思ったのでございますが、その後いま申し上げたような推移になりまして、ただいまきめたところで、またこの答弁が出て、また改変するというようでは朝令暮改のそしりも免れませんので、でき得るならばこの答申を待って決定をいたしたいと存じます。その際主眼となります点は、これも先ほど申し上げましたが、やはり酒税の保全、それから一般消費者に対するサービス、それからこの小売り販売業である中小企業の育成対策という点が主眼になるのでございまして、従来の場所的、人的あるいは需給上の各種の要件というものが現在の事態においては必ずしも適合していない面がある。そういう面をただいま委員がおっしゃったように合理化いたしたい、こういう趣旨でございます。
  172. 春日一幸

    ○春日委員 巷間伝えられておるところによりますると、これは行政調査会の中間報告でありまするが、多くの許可、認可事項をできるだけ廃止していく。しかしそのことは行政簡素化という一律の概念によってこの意思表示がなされておるようでございます。けれども、酒税という問題については、これは御承知のとおり非常にその根底が深い。三千数百億の国税徴収というこの国家的使命がになわれております。それからまた長いこと伝統的にこの作業に携わってきた者の、何といいますか、既得権というものではありませんけれども、その貢献したところについてはいわゆる別個の立場から十分勧奨があって私はよろしいと思うのでございます。したがっていまのこの人的要件それから場所的要件あるいは調整要件というこの三つの要件が必ずしも現状に即さないと言われておりまするが、この問題はあくまでも合理化的な方針でこれが検討されるならば、これはけっこうでございます。不合理な点を是正するのでありまするから、何ら異論を差しはさむところはございませんが、少なくともその緩和的方向によって、これら問題を処理せらるべきではないと思うのでございます。中小企業の問題から論じてまいりますれば、とにもかくにもその両党をやればやっていけるだけの体制の確保ということが中小企業政策の根幹をなしております。たとえば十二万数千軒の小売り店なんかでございますけれども、これは御調査の結果明確に桁数はありましょうけれども、酒類販売の専業だけでなりわいが立っておりますのは、十二万五千軒の中で五ないし六%しかないといわれております。みんな調味品やその他の兼業によってなりわいを立てておる。そういうような情勢の中でそれをさらに緩和していく。緩和していくためには経験年数でありますとか、あるいは地理的要件というものをはずしていけば、さらに酒屋としての商売が過当競争になることによって利潤が少なくなり、利潤が少なくなることによって、いろいろと酒税確保に関しても、さまざまな障害と渋滞を来たしてくると思うのです。だから私はやはりこの酒税法の第十条、これは何といったところで酒税確保のためということをいっておるのですから、確保要件を念頭に置いてもらわなければならぬ。確保要件を念頭に置けば、やはり過当競争競争者をふやしていくということは、過当競争へ一歩踏み出した形になるのでありますから、いまですら専業では成り立たないという現状の中において、さらに多くの業者を加えていくということは、酒税法第十条の法理に合致するかどうか、これは歴然たる事実であると思うのです。いまさら論ずる余地がないほど——これは少ないほうがいいということではございませんけれども、いまむやみに消費生活者が不便を感じておるというわけのものじゃございませんから、人的要件と場所的要件と調整要件というものは、十分その十条の法理と照らして御判断を願いたい。ただ問題は、新市街地とか人口移動が顕著にあります地域において、特別に既存の業者がなければそれについて特別の措置をとるということ、これは消費者利益をはかることのために当然事項でございましょうが、ただ行政調査会の許可、認可を緩和するという、千ば一からげで二千百件を一括答申しておるのでありますから、この酒の免許なんという問題が、あのような調査会の二千百ぱ一からげの答申によって影響を受けるべき筋合いのものではない、当然酒税法という法理から判断されて、厳粛なる御検討があってしかるべきだと思うのでございますが、これに対する長官の御見解はいかがでありますか。
  173. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 私は先ほどお答えいたしましたように、臨時行政調査会答申が出ました場合に、これに無批判に従うということではなくて、やはりこれを尊重しながら、現在の酒類小売り販売業については、ただいま春日委員が御指摘になったような特殊な事情がございますので、こういう面から見て、一体どういう答申が出ますかわかりませんが、その答申の内容がわれわれの意図しておるもの、すなわち酒団法の期待しておるものにマッチするかどうかという批判は、十分これを行なわなければならぬと思います。そこで現在持っております三つの要件も、先ほど関税部長が申し上げたように、なくするというのではございませんで、やはり事態の推移に応じまして合理化しなければならぬ面が出ておるわけでございます。たとえば先ほどお述べになりましたような団地であるとか、高層住宅あるいは新開地というようなことによって人口移動が極度に行なわれる、また密度が濃くなる、そういう面がございますので、こういう面についてはやはり実際の趣旨に合ったような考えをそこへ当てはめていかなければならぬという面がございます。またこれを小売り免許を大幅に緩和する、免許制度があるかないかわからぬほど緩和して、お互いに過当競争におちいるような事態にまで持っていくということは、これはまさしく酒団法の精神に反しますので、一方的に緩和するという気持ちは持っておりません。もちろん新しい地帯を考慮に入れるならば、若干の緩和はやむを得ないかと思いますけれども、気持ちとしてはあくまでも基準を合理化していくという気持ちでございます。
  174. 春日一幸

    ○春日委員 私は以上、酒の基準価格廃止に伴う酒団法の改正の必要ありやなしや、それから伝えられております酒類販売免許基準の緩和、合理化に関連をいたしまして質問をいたしたのでありまするが、指摘いたしました問題点については、纐纈政務次官、国税庁長官、特にまた山中大蔵委員長等におかれましも、国民経済の健全なる発展のために、かつはまた酒税確保の道を講ずることのために大いに慎重に検討するということでございました。したがいまして、これらの問題については前向きの形で、業界を不安動揺におとしいれることのありませんよう、なおまたつのをためて牛を殺すというたとえもございますが、制度いじりによって業界に混乱を起こして、そのことが国税徴収の上に大いなる障害を起こすことのありませんように、特に慎重なる御配慮をお願いいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  175. 山中貞則

    山中委員長 次会は公報をもって通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十七分散会