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1964-04-09 第46回国会 衆議院 大蔵委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月九日(木曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 山中 貞則君    理事 金子 一平君 理事 原田  憲君    理事 藤井 勝志君 理事 坊  秀男君    理事 吉田 重延君 理事 有馬 輝武君    理事 堀  昌雄君 理事 武藤 山治君       天野 公義君    伊東 正義君       大泉 寛三君    奥野 誠亮君       木村 剛輔君    木村武千代君       小山 省二君    島村 一郎君       砂田 重民君    田澤 吉郎君       濱田 幸雄君    福田 繁芳君       渡辺美智雄君    佐藤觀次郎君       日野 吉夫君    平林  剛君       竹本 孫一君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 田中 角榮君         国 務 大 臣 山村新治郎君  出席政府委員         内閣法制局参事         官(第一部長) 吉國 一郎君         大蔵政務次官  纐纈 彌三君         大蔵事務官         (主計局次長) 中尾 博之君         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      相澤 英之君         大蔵事務官         (主計局給与課         長)      平井 廸郎君  委員外出席者         議     員 安宅 常彦君         大蔵事務官         (大臣官房財務         調査官)    柏木 雄介君         中小企業金融公         庫総裁     舟山 正吉君         農林漁業金融公         庫副総裁    大月  高君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 本日の会議に付した案件  自家用自動車の一時輸入に関する通関条約の実  施に伴う関税法等特例に関する法律案内閣  提出第一四〇号)(予)  国民金融公庫法の一部を改正する法律案内閣  提出第四〇号)  企業資本充実のための資産評価等特別措置  法の一部を改正する法律案内閣提出第一一五  号)  公庫予算及び決算に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第一一八号)  国家公務員共済組合法長期給付に関する施行  法等の一部を改正する法律案内閣提出第一二  四号)  国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律  案(安宅常彦君外九名提出衆法第五号)      ————◇—————
  2. 山中貞則

    山中委員長 これより会議を開きます。  自家用自動車の一時輸入に関する通関条約実施に伴う関税法等特例に関する法律案議題といたします。     —————————————     —————————————
  3. 山中貞則

    山中委員長 提案理由説明を聴取いたします。大臣政務次官纐纈彌三君、
  4. 纐纈彌三

    纐纈政府委員 ただいま議題となりました自家用自動車の一時輸入に関する通関条約実施に伴う関税法等特例に関する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  政府は、今般自家用自動車による国際旅行発展に資するとともに、わが国の観光に関する政策を推進する等のため、道路交通に関する条約、及び自家用自動車の一時輸入に関する通関条約に参加することとして、これら両条約締結につきその承認を求めるため、別途今国会において御審議を願うこととしているのでありますが、このうち、後者の条約は、特定保証団体の発給する一時輸入書類の担保のもとに、自家用車両またはその修理用部外品を、再輸出することを条件として、関税物品税等徴収せず、かつ、輸入制限を適用することなく輸入すること等をその内容としておりますため、この条約締結に伴い、この条約実施するため関税法等特例等を崇める必要がありますので、この法律案提出した次第であります。  以下この法律案内容につきまして、その大要を御説明申し上げます。  第一は、一時輸入書類による自家用車両等輸入手続についての規定であります。  すなわち、所定の要件を具備した者は一時輸入書類により、関税及び物品税の免除を受けて自家用車両等輸入することができるのでありますが、一時輸入書類有効期間内に当該自家用車両等が再輸出されないときは、一時輸入書類を発給する権限を有する保証団体は、当該自家用車両等輸入者と連帯して、免除された関税及び物品税を納付しなければならないこととしております。この関係上、一時輸入書類により自家用車両等輸入しようとする者は、その一時輸入書類について保証団体認証を受け、認証済みの証明を一時輸入書類に添えて税関に提出しなければならないことといたしております。  第二は、輸入された免税自家用車両等について、条件違反等の場合の関税及び物品税徴収規定であります。  一時輸入書類により輸入された自家用車両等が、一時輸入書類有効期間内に、譲渡され、あるいは自家用もしくは修理用以外の用途に供された場合、または再輸出されない場合は、この制度を乱用するものであり、再輸出条件に反することとなるので、このような場合は、それぞれの場合に応じ、譲渡者、譲り受け人、輸入者または保証団体から、当該自家用車両等関税及び物品税徴収することといたしております。  しかしながら、当該自家用車両等が事故により損傷したため再輸出されないこととなった場合には、関税等を軽減することができることとし、また当該自家用車両等が滅却される場合には関税等徴収しないことといたしております。  第三は、一時輸入書類を発給することのできる保証団体についての規定であります。  一時輸入書類の発給は保証団体に限られますので、保証団体となろうとする者は、大蔵大臣認可を要することとし、その認可手続を定めるとともに、その業務につき所要監督を行なうため、報告の徴収及び立ち入り検査等についての規定を設けることといたしております。  第四は、前述条約の非締約国への便益提供等についての規定であります。  国際旅行発展に寄与する見地から、外国の例にならい、わが国保証団体が加盟している国際団体と同一の国際団体に加盟している前述条約締約国以外の国の保証団体が発給した輸入税保証を示す書類についても、当該書類を一時輸入書類とみなし、必要に応じ、前述条約便益を及ぼし得ることとするほか、前述条約実施のため所要規定を設けることといたしております。  以上が自家用自動車の一時輸入に関する通関条約実施に伴う関税法等特例に関する法律案提案理由及びその概要であります。  何とぞ慎重御審議の上すみやかに御賛成くださるようお願い申し上げます。
  5. 山中貞則

    山中委員長 これにて提案理由説明は終わりました。  本案に対する質疑次会に譲ります。      ————◇—————
  6. 山中貞則

    山中委員長 次に、国民金融公庫法の一部を改正する法律案企業資本充実のための資産評価等特別措置法の一部を改正する法律案公庫予算及び決算に関する法律の一部を改正する法律案国家公務員共済組合法長期給付に関する施行法等の一部を改正する法律案及び安宅常彦君外九名提出国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。有馬輝武君。
  7. 有馬輝武

    有馬委員 舟山さんに最初にお伺いをいたしたいと存じますが、高度成長政策のアフターケアとして、ここ一両年の間に中小企業並びに農林漁業に対する育成策を極力推し進めて、格差の是正につとめていくということが現在の政府の方針になっておるようであります。この点につきまして、私は、現在の中小企業にとりまして、多くの問題が山積いたしておりますが、市場開拓という点で、国内市場はもちろん、外国市場開拓についても特段配慮政府のほうではなされてしかるべきでありますし、またその線で進められておると思うのでありますけれども、この市場開拓の面で、中小企業金融公庫として特に配慮を加えられておる面についてお伺いをいたしたいと思うのであります。特に、特定中小企業輸出振興融資制度対象になっておりますもので、長期的な展望に立って、有望な業種等をどこら辺に重点を置いて考えておられるか、そういう点についてお聞かせをいただきたいと思うのであります。たとえばトラジンスターラジオ、あるいはテープレコーダー、こういったものについては、わりとアメリカ市場等におきましても有望な状況でありますが、特に五、六種類くらい重点を置いて配慮しておられるものについてお聞かせをいただくと同時に、その長期的な見通し等について、この際お聞かせをいただきたいと思うのであります。
  8. 舟山正吉

    舟山説明員 今後の経済情勢に処しまして、中小企業金融の面において考えるべき点は多々あるのであります。その一つといたしましては、お示しのとおり、輸出増進について従来も中小企業は大きな寄与をなしておるのでありますが、これについてさらに中小企業をその方向に向けねばならぬということが問題の一つであろうと思います。それで、輸出増進につきましては、一口に申しますと、中小公庫といたしましては、低利の安定した資金輸出品製造中小企業に向ける。特に別個の制度といたしましては、特定中小企業輸出振興融資制度がございまして、一つは、外国長期のまとまった契約ができました場合には、当該中小企業に、その輸出品製造に必要な設備のための金を貸すということでございます。もう一つは、日本から見まして、輸出産業として必要な中小企業につきましては、これの設備等高度化するために低利資金を出すのでございます。ただいまお話のございましたのはその後者に属するものかと思いますが、これはたとえば代表的なものといたしましては、金属食器とかあるいは陶磁器とかいうものにつきまして、十五の業種を指定しておりまして、それの高度化に必要な設備資金を供給するというたてまえになっております。
  9. 有馬輝武

    有馬委員 特定中小企業輸出振興の中で、特に現在力を注いでおられるものと、その見通しについてお聞かせをいただきたいのであります。
  10. 舟山正吉

    舟山説明員 いかなる業種が将来日本輸出の中堅となって、さらにこれを助長、振興しなければならぬかということにつきましては、通産省の御指導がございまして、いま十五業種が指定されておるのでございますが、輸出のことでございますから相手方の事情もあり、情勢に応じて重点の置き方が違ってまいると思いますが、さしあたっては通産省の示されました十五業種というものがその中心をなすものと考えております。
  11. 有馬輝武

    有馬委員 私がお伺いいたしておりますのは、一つ公庫としては通産省が示される方向に従ってやるということで、公庫自体としては特段の調査なり配慮なりというものがなされてないのか。私は当然公庫としても公庫なりの立場から御検討いただいておると思うのであります。たとえばファッション・ドールなんかアメリカ市場で相当の伸びを示しておりましたけれども、それが台湾なり香港なりのものと競合するという場合が出てまいります。そういう一つ見通しを立てないと、公庫自体としても融資についての基準といいますか、それが出てこないのじゃないかと思いますので、そういう点でこの十五業種の中でも、将来の見通しについて特に配慮していかなければならない業種も相当あるのじゃないか、私はこう見ておるわけであります。そこら辺についてお聞かせをいただきたいということであります。
  12. 舟山正吉

    舟山説明員 通産省資料を集めて、いろいろ立案なさるにつきましては、広く業界、そのうちには私のほうも入ると思いますが、私のほうの日常研究の結果も申し上げまして、十分に取り入れられておるのでございます。ただいまどういう業種が当面の問題になっておるかということにつきましては、多方面にわたっておりまして、特にこれを拾い上げて申し上げることもむずかしいかと考えます。
  13. 有馬輝武

    有馬委員 次に、支出予算制度の問題でお伺いをいたしたいと思います。現在まで例外的に繰り越し制度が慰められておりましたけれども、特別のこういった例外を認められた問題について、どういう費目で、どういう理由繰り越し使用を認めてこなければならなかったか、この点をひとつ例をあげてお聞かせいただきたいと思います。
  14. 相澤英之

    相澤政府委員 各公庫歳出予算につきましては、例外的に繰り越し制度が認められておりますが、その繰り越し実績昭和二十九年度から三十七年度までは全然ございません。二十八年度以前につきまして、国民全融公庫に二回ございます。それから住宅金融公庫に四回ございます。例を申し上げますと、国民金融公庫において二十五年度に、公庫手数料につきまして一億六千九百三十八万二千円、事務費につきまして二百八十万五千円といったような繰り越しの実例がございます。住宅金融公庫につきましては二十六年、二十七年、二十八年、同様に手数料につきまして繰り越し実績がございますが、二十九年度以降は他の公庫と同様全然ございません。
  15. 有馬輝武

    有馬委員 引き続いてお伺いいたしたいと存じますが、農林漁業金融公庫中小企業金融公庫についてはあとでお伺いいたしますけれども、国民金融公庫住宅金融公庫資金需要の問題であります。資料によりますと、三十八年の十二月末で貸し付け残高が、国民金融公庫のほうでは千六百六十二億円、それから住宅金融公庫のほうでは三十九年一月末現在で三千百三十三億円になっておりますが、三十七年、三十八年の両公庫に対する資金需要と供給の関係についてお聞かせをいただきたいと存じます。
  16. 柏木雄介

    柏木説明員 お答えいたします。国民金融公庫におきましては、三十七年度計画におきましては年間千四百四十八億円の融資を予定いたしておりましたが、その後の資金需給を見ながら、実績といたしましては千五百二十三億円の融資が行なわれるようになったわけであります。三十八年度におきましては当初千六百五十三億円の融資を予定いたしておりましたが、これもその後の資金需給を見合わせまして、国民金融公庫に対する資金需要が多うございますので、ただいまの見通しといたしましては三十八年度の見込みは千七百七十七億円くらいになったのじゃなかろうかと存じます。一方住宅金融公庫のほうは、三十七年度は当初計画では五百八十八億円の資金需要があるものとして計画いたしておりましたが、その後の実績といたしましては五百九十一億円になっております。ちょっとふえております。それから三十八年度のほうは、これは計画といたしましては七百十億円の計画に対しまして、三十八年度の実績といたしましてはただいま六百九十七億円になったのではなかろうかと考えております。住宅資金の実際の融資は、御承知のように住宅建設状況に応じて払われますものですから、計画実績が必ずしも一致いたしませんが、おおむね計画どおりに行なわれておる次第であります。手
  17. 山中貞則

    山中委員長 先般の当委員会における輸銀法改正に関する審議の過程におきまして、問題として提起されました公社、公団等級政府関係機関のあり方についての問題に関しまして、所管の大臣であります行管長官山村君にわざわざ出席をしていただきましたので、この際、山村長官より発言をしていただきたいと存じます。
  18. 山村新治郎

    山村国務大臣 この前当委員会におきまして委員の各位から問題になり、なおまた特に委員長から特別研究するようにという御命令のございました、いわゆる特殊法人の問題でございます。名称であるとか、あるいはまた資本金の問題であるとか、役員任命の問題並びに監督の問題、あるいは報酬の問題等につきまして、一応監督官庁でございまする行管といたしまして、その統一的な見解を研究しろという御命令がございましたが、ただいまいろいろ、と外国の例その他を調べておりまするし、目下部下に命じまして検討中でございますので、一応きょうの委員会におきまして、この点を御報告申し上げる次第でございます。
  19. 山中貞則

    山中委員長 なお、この問題で行管と連絡をとりながら法制上の検討をいたしております法制局よりも、この際発言をさせたいと存じます。吉國法制局第一部長
  20. 吉國一郎

    吉國政府委員 ただいま山村大臣から御答弁がございましたように、内閣法制局におきましても、特殊法人の問題につきましては、先般二月十八日の当大蔵委員会におきましていろいろ御意見を賜わりましたので、その線に沿いまして検討いたすべく目下準備を進めているところでございますが、何ぶんにもまだ今国会提案する法律審議をやっておるような状況でございますので、まだ見るべき成果が上がっておりませんが、先ほどお話のございましたように、特殊法人法人格の問題であるとか資本金の問題、また名称使用制限の問題、役員任命の方式、役員の解任の手続役職員に対しまする給与等の支給の基準であるとか、また最後に罰則等につきましても整備を要する点が多々あると存じますので、今国会提出準備が終わりましたならば速急に手をつけまして、規定整備をはかってまいりたいと考えております。
  21. 山中貞則

    山中委員長 ただいまの問題は時期を切るわけには参りませんが、提起された問題がもっともな問題でありますから、山村大臣におかれましては、一そう統轄の立場で促進願いまして、次の通常国会あたりに法案の改正等が間に合いますよう要望する次第です。ありがとうございました。      ————◇—————
  22. 山中貞則

    山中委員長 もとの議題に戻ります。有馬輝武君。
  23. 有馬輝武

    有馬委員 柏木さんにお伺いしますが、先ほどの両公庫に対する需要は三十七年——三十八年はあれでしょうけれども、どの程度あったのか、それをお聞かせ願いたいと思います。
  24. 柏木雄介

    柏木説明員 三十七年度におきましては、国民公庫に対する申し込みに対しまして、実際に貸し付けの行なわれましたのは、大体六割から七割程度でございますが、これはそれだけ充足していないと見るのか、あるいは的確なる融資対象がそれだけ少なかったと見ますか、大体申し込みに対して六、七割程度のものが受理されておる。住宅公庫につきましては、これは御承知のように対象物件によっていろいろ違いますが、一般住宅資金需要に対して全部の方々に割り当てできませんので、抽せんいたしておりまする関係もございます。しかし一方におきまして政府といたしましては、住宅にはできるだけの資金を回すという意味合いにおきまして、財政投融資の中においても、住宅関係には重点的に資金を配分いたしましてやっております。それでもなおかつやはり住宅関係申し込みに対しては、必ずしも十分に手当てできませんので、一部は抽せんによってまかなわざるを得ないという状況でございます。
  25. 有馬輝武

    有馬委員 国民金融公庫について六割から七割というようなお話でございましたけれども、私たちが国政審査立場からお伺いしたい点はこの点です。需要がどの程度あって、どのくらい充足されて、その充足されない隘路というものは、その企業の実態にあるのか、あるいは資金不足にあるのか——資金不足ということは少なくとも言えないと思います。その隘路を打開するのが私どもの国政審査立場だと存じますので、この点については、やはりしっかりした数字でお示しをいただかなければ、本委員会でこれを検討する意味はなくなりまするので、いまの点ははっきりお聞かせいただきたいと存じます。
  26. 柏木雄介

    柏木説明員 御承知のように、政府関係金融機関役割りと申しますのは、やはり市中金融補完機関でございまして、すべての需要をまかなうというのではなくて、結局市中でまかない切れない分を見ていくのがたてまえでございます。また政府関係金融機関の中にも国民公庫のほかに中小公庫等もございます。そういう関係国民公庫に対する申し込みがあるから、すべてその費用を国民公庫で見なければならぬという、そこまで窮屈に考えるのは適当ではないのではないかというふうに考えます。国民公庫につきましては、御承知のように資金需要が強い場合には、政府といたしましては年度途中におきましても、資金をさらに追加してまかなっていく。資金需要が強いと思います場合には、それに応じて資金上の手当てをいたす。先ほど申し上げましたように、三十七年度におきましては、当初千四百四十八倍予定いたしましたものに対して、実績といたしましては千五百二十三億、八十億の増加をやっております。三十八年におきましては、千六百五十三億の計画に対しまして、途中二回ほど資金手当てをいたしまして、大体千七百七十数億の融資が行なわれたのではないかというふうに考えております。
  27. 有馬輝武

    有馬委員 いま千五百二十三億とおっしゃったのですが、さっきは十三億とおっしゃったのではないのですか。
  28. 柏木雄介

    柏木説明員 あるいは先ほど間違えたかもしれませんが、千二五百二十三億が正しい数字です。
  29. 有馬輝武

    有馬委員 私がお伺いしたいのは——おっしゃるように都市銀行の補完的な役割を果たすものであることは十二分に承知いたしております。そこで、私がお伺いいたしておりますのは、それはほかの銀行に対しての申し込みとダブる面があるかもしれません、あるいは他の公庫とダブる面があるかもしれませんけれども、そういった申し込みに対して正確に分析をして増資をはかっていくのが、私は公庫としてのたてまえではなかろうかと思うのであります。常に資金需要に対して配慮する、その上に立って出資なり融資なり、あるいは借り入れ金の額が算定されてくるものだと思うのでありますが、違うのですか。
  30. 柏木雄介

    柏木説明員 仰せのとおり、資金需要と申しますか、実際に国民公庫に対する資金需要を見ながら、資金手当てというか、資金充実をはかってまいる次第でございまして、国民公庫に対して資金貼り入れの申し込みをしたけれども、なかなか貸してもらえないという状況が非常に多くなりますと、そういう場合にはやはり政府といいたしましても資金の追加をいたしております。申し込んでから実際に資金の貸し出しが行なわれるまでの日数が、非常に延びた場合でも三十数日かかるという場合もありますし、それが二十数日かかる——いま数字を覚えておりませんが、おそらく三十日前後、つまり申し込んでそれを審査して資金が実際出るまでの間は三十日くらいかかるのが通常かと思いますが、それが著しく延びてまいりますということは、やはり資金需要が強いということでございまして、そういう場合には、政府は全体の財政資金状況をにらみながら、全体の手当てについて考慮いたしている次第でございます。
  31. 有馬輝武

    有馬委員 その強さの判断なんですけれども、先ほどおっしゃった六割なりあるいは七割充足されておるとすれば、その三割なり四割なりというものはどういう性格のものなのか。同時にほかの銀行に申し込んでそれによって補われたものなのか、あるいは融資対象としてふさわしくないものなのか、そういった区分けをこの際してほしいということです。
  32. 柏木雄介

    柏木説明員 資金申し込みの中には、一般市中金融機関から借りられる見通しのものもございましょうし、そういうものについては、国民公庫といたしまして、市中機関から借り入れをするように指導しております。それから資金申し込みをしたものの計画自体が必ずしも適当でない、返済見通しがない場合も、これも融資としては適当でないという場合がございます。しかし一方、国民公庫におきまして、これは返済計画も十分できているし、事業計画もしっかりしている、しかも市中からの借り入れがむずかしいという場合に、そういった申し込みを受け付けてから貸し付けを行なうまでの期間は、できれば二十日ぐらいの間に処理したい、審査期間としてはそれくらいのものにしたいと考えておりますが、実際には、場合によっては三十数日に延びている場合もありますし、非常に短くなった場合、手元に資金の余裕がある場合には、それが十七日にまで短縮した例もございます。大体二十日から三十日の間において貸し付けが行なわれている。そういうふうにいたしまして、大体必要なる、適当なる借り入れ申し込みに対しては、おおむね常に貸し付けのほうの手当てができておるというふうに見ておる次第でございます。
  33. 有馬輝武

    有馬委員 といたしますと、先ほどの御答弁の中の四割なり三割なりというものは、ふさわしくないもの、あるいは他の金融機関でもって充足されておるものと理解してよろしいわけですか。
  34. 柏木雄介

    柏木説明員 大体そのように御理解願ってけっこうだと思います。
  35. 有馬輝武

    有馬委員 次にお伺いいたしたいと存じますが、各公庫によりまして、たとえば農林漁業金融公庫あるいは北海道東北開発公庫住宅金融公庫等につきましては出資がなされておりますが、この出資なり融資なりあるいは公募債、借り入れ金、これをやったりやらなかったりいたしておりますけれども、その基準はどこに置いておられるのか、この際お開かせをいただきたいと存じます。
  36. 柏木雄介

    柏木説明員 農林公布において出資を行ない、あるいは特定公庫においては借り入れ金を行なう、債券を発行するということにつきましては、何を基準にしておるかと申しますと、それはやはり当該公庫資金計画資金をどういうふうに貸していくか、その原資をどこに求めたらよろしいかということによるのでございまして、その場合に一番問題になりますのは、当該公庫の貸し出し金利、当該公庫の収支採算を考えた場合に、どういうところに資金ソースを求めたらよろしいかということで判断する次第でございます。いま御指摘のありました農林公庫につきましては、これは御承知のように貸し出し金利が相当低くきまっております関係上、当該公庫の健全な経営、健全な収支を維持するためには、やはり年々相当多額の出資を入れなければならない。その農林公庫の貸し出し計画、その場合の貸し出し金利が大体どういうふうになるかということとにらみ合わせまして、当該年度の出資、借り入れ金の金額をあんばいいたしておる次第であります。
  37. 有馬輝武

    有馬委員 いま、貸し出し金利並びに収支採算の面からこの基準が考えられておるということでありましたけれども、金利の面でありますが、農林漁業金融公庫で三分五厘ないし七分五厘、それから中小企業金融公庫が九分、国民金融公庫で九分、あるいは北海道東北開発公庫で八分七厘、住宅金融公庫で五分五厘、あるいは医療金融公庫で建物は年六分五厘、その他では年九分というぐあいになっております。この各公庫を見てまいりますと金利がそれぞれ違っておりまするけれども、たとえば中小企業金融公庫なり国民金融公庫なり、この庶民金融に対する金利はできるだけ引き下げる方向に持っていくべきだと思うのであります。この点について、北海道東北開発公庫と同じように、たとえば八分七厘、こういった程度まで引き下げていくべきだと思うのでありまするけれども、この点について、なお九分に差しおいておる理由についてお聞かせをいただきたいと存じます。
  38. 柏木雄介

    柏木説明員 国民公庫の金利が九分、中小企業金融公庫の金利が九分にきまっておりますのは、これはやはり市中金利とのかね合いから見まして、政府関係機関の金利のほうが、これは政策的に下げなければならない。その場合に、大体九%という金利が適当じゃないかというふうに考えておる次第でございます。安ければ安いほどいいじゃないか。政策金利といたしましてはそういう議論もあろうかと思いますが、そういたしますと、安いだけに、それだけまた資金需要も殺到してくるというか、必要以上に資金需要がそれに向いていくということもございます。現状といたしましては、市中金利の現在の水準から見ますと国民公庫中小公庫の金利が九分というのはおおむね妥当な線ではないかというふうに考えた次第でございます。
  39. 有馬輝武

    有馬委員 開放経済下におきまして、私は、企業の体質、特に資金の面におきまして力をつけていくということが現在最も緊要なことではないかと存じますし、資金需要が殺到するそのこと自体が望ましいので、そこら辺について配慮していくことが公庫としての真のあり方じゃないかと思うのですが、資金需要がふえるからというようなことで金利を押えられる理由はちょっとのみ込めないのですが、その点いま一度お聞かせいただきたいと思います。
  40. 柏木雄介

    柏木説明員 御承知のように国民公庫資金あるいは中小企業金融公庫資金は、やはり全体の財政投融資計画の中におきます資金でございます。また政府の全体の財政計画の中における資金でございますので、これが無制限にあるわけではございません。全体の財政資金を効率的に使い、一方においてその必要なる需要を満たしていくということ、両方かね合いで考えなければならない次第だと思いますが、その場合において従来とも国民公庫中小公庫は九分の利息をつけておりましたが、その線をやはり引き続けるということが適当ではないか、そういうふうに考えておる次第でございます。
  41. 有馬輝武

    有馬委員 その九分を北海道東北みたいに八分七厘にできない理由は、ただ市中金利とのバランス、またいまおっしゃったように資金需要関係、そういうことだけでは私は説明し切れないと思うのですけれども、その点どうなんですか。八分七厘にしてはいけない……。
  42. 柏木雄介

    柏木説明員 日本開発銀行の金利は御承知のように基準金利としまして八分七厘でございます。これは相当大口の貸し出しでございます。北東公庫の金利も八分七厘、これも大体大口の貸し出しになっております。大口貸し出しの場合と、それから国民公庫ないし中小公庫の貸し出しのように小口のものと比べた場合に、信用度の問題、あるいは貸し付け金管理の経費の問題等勘案いたしますと、三厘程度の差があるということはやむを得ないのじゃないか。中小企業につきまして金利が安ければ安いほどいい、そういう一方の非常に政策的な考慮もあろうかと存じますが、現状としましては開発銀行八分七厘、中小公庫九分という金利差があるのは現状としてはやむを得ないじゃないか、そういうふうに考えております。
  43. 有馬輝武

    有馬委員 水かけ論をやったってあれだと思いますけれども、私は政策的な意味でもってむしろ八分七厘程度に下げていくことが、現在の状況からして、特に高度経済成長政策のしわ寄せばここら辺に来ておるのですから、やはりそれに対しててこ入れをしていくためには、これは金融の面からも考慮されていかなければいかぬ、そういう意味で金利の負担というものを特に障害がなければ下げて、負担を軽くしていく。ほかに大きな障害があって、どうしてもこれはこの理由でもって下げられないのだということであれば別であります。しかし総理の三十九年度予算に関連する施政方針演説の中では中小企業なり農林漁業に対するアフター・ケアというものをここ一両年の間で考えるのだというのが、一つの柱になっておったはずであります。そういった政策的な意味から言いますならば、柏木さんがおっしゃったような理由もあるかもしれませんけれども、私はこういつた面にこそウエートをかけていくべきではないかと思うのでありますが、政務次官、この点どうなんですか。
  44. 纐纈彌三

    纐纈政府委員 庶民金融に対しまして、金利を下げるということは、これはたいへんけっこうなことなんです。だからそういう意味におきましてできるだけ金利を安くするということに努力をいたすべきだろうと思うのですが、ただいま事務当局からもお話し申しましたように、市中銀行等の金利の関係金融全体の関係から見まして、あまりそこがバランスのとれないようなことになりますと、金融の混乱を来たすというようなおそれもないではないというふうに思います。ただ、いまお話しのように池田内閣といたしまして、中小企業の振興のためには画期的の政策をとるというような意味からいたしましては、やはり各般の均衡をとりつつできるだけ安い金利にするということを今後ともひとつ検討させていただきたい、こう考えております。
  45. 有馬輝武

    有馬委員 私がお伺いしているのは、この一両年の間にという一つ方向を出されたときに検討すべきではなかったか、今後の問題ではなくて現時点において検討すべきではなかったかということをお伺いしているわけです。検討する必要がないのならないと、もし必要がありと考えながらもこのようにして九分に置いておかれるならばその理由を、明らかにしていただきたい。政務次官から再度御答弁いただきたい。
  46. 纐纈彌三

    纐纈政府委員 私も実は金融方面にはしろうとでございまして、たいへん申しわけございませんが、常識論といたしまして、今回の中小企業対策といたしましてそういう問題も検討はされたと思いますが、各般の関係からいたしましてそこまでいき得なかったというふうに私は判断をいたしておるわけでございます。なお今後とも、開放経済にあれいたしまして、ことに外国貿易等につきまして特殊な重要な地位を持っております中小企業の振興には、努力を引き続きいたさなければならない状態に置かれておると私は考えておるわけでございます。したがいましていま直ちに金利を下げるということは、財政当局としては至難であろうと思いますので、先ほど申しましたように検討して、そうした中小企業振興に資するために、いま有馬委員の仰せになりましたような線をひとつ検討いたしていきたい、こういうふうに私は申し上げた次第でございます。
  47. 有馬輝武

    有馬委員 いまの答弁ではちょっと困りますので、そのあれを柏木さんから再度……。
  48. 柏木雄介

    柏木説明員 中小企業におきまして、金利負担が高いということはいろいろ言われておりますし、また確かに負担が大きいものと思います。ところが中小企業借り入れ先と申しますのは、いまお話しいたしました国民公庫なり中小公庫なりというものは、全体の借り入れ先としては五%程度でございます。商工中金を加えまして政府関係の三機関におきまして八%前後が中小企業関係借り入れ先となっております。したがいまして中小企業の金利負担の軽減をはかる場合には、何としても市中金融機関の金利を下げることにもっと力をいたさなければならぬ。よく言われます実質金利を引き下げるということにもっと努力いたしたいと存じております。先般来いろいろ議論されております。歩積み、両建ての問題につきましても、そういう観点も入れまして、私どもといたしましてはできるだけいたしたい。  それから参考までに申し上げておきたいと存じますが、政府関係三機関のうちの商工中金につきましては、今般の予算におきまして、政府から国庫補助三十億の出資をいたしまして、長期金融の金利につきましては三厘の引き下げ、短期の金融の金利につきましては五毛の引き下げをするように指導いたしたい、そういうふうに存じております。
  49. 有馬輝武

    有馬委員 どうも納得がいきませんけれども、引き続いて政務次官にお伺いをいたしますが、これは公営企業金融公庫の問題に関連してでありますけれども、私は貸し付け予定額の四百億というものはあまりにも少な過ぎるのじゃないか、こう見ておるわけであります。  そこで政務次官にお伺いしたいのは、公営企業のあり方です。これが率直に申し上げまして、地方自治団体の負担になっておるところが非常に多いと思うのであります。その各自治団体は、それぞれの場において公営企業に対して大きく負担を感じて、資金繰りに四苦八苦しておる。やはりここら辺については、政府として一つ方向を出して指導していかなければ、個々の問題としては解決できないところまで来ておるのじゃないかと見ておりますが、この問題に関して、ただ金融の面からだけでなくして、基本的にどう考えておられるか、この点をお聞かせいただきたいと思います。
  50. 纐纈彌三

    纐纈政府委員 地方公共事業等につきましては、いまお説のように、処理に財政上非常に苦慮いたしております。ことに行政水準を引き上げるためにはいろいろの仕事をしなければならない。なかんずく環境衛生等につきましての仕事につきましては、かなり財政的にも苦慮いたしておるようなわけでございます。  そこで御承知のように、来年度の予算におきましては、相当その方面に財政投融資のほうからいたしましても、起債のワクをふやしたことは御承知のとおりでございますが、しかし仕事量の伸展につきましては、なかなかその程度でも十分でないことはよく承知いたしております。従来からこの問題につきましては、相当自治省のほうでも苦慮いたしており、また大蔵省といたしましても、これに対して協力いたしてまいっておりますが、ただいま申しましたように、財政投融資のワクも相当ふやしてまいりましたが、なおかつ十分でないというような状態でございまして、これらの点につきましては、根本的にさらにひとつ私は検討いたしまして、最もおくれております地方自治団体の行政水準引き上げのためのいろいろの公共事業というものを進めていくための資金の調達には努力していかなければならないものであろうというふうに考えております。
  51. 有馬輝武

    有馬委員 次に大月さんにお伺いしたいと思いますが、先ほど舟山さんにもお伺いしたのですけれども、農林漁業金融公庫でも九百九十億と、その貸し付け規模は、前年に比べまして百八十四億の増を見ておるわけでありますけれども、私はこの増加額について若干疑問を持たざるを得ないのであります。と言いますのは、予算委員会におきまして、農林大臣にもお伺いをいたしたわけでありますけれども、その中小企業なり農林漁業に対するアフター・ケアということが、ただ抽象的に言われておって、その方向なりプログラムというものが設定されていないでものが言われているのではないか、このように受け取らざるを得ないのであります。もちろん農林漁業に関する金融の道といたしましては、大月さんのところもあるし、楠見さんのところもある、そういった調整もありましょうが、このアフター・ケアという意味から、農林漁業というものに対してどのように基本方針を定めておられるのか、この九百九十億の貸し付け規模をどのように重点的に運用されていこうとしておられるのか、この点についてお聞かせ願いたいと存じます。
  52. 大月高

    ○大月説明員 ただいまお話のございました貸し付け額の農林漁業に関するアフター・ケアの問題でございますが、基本的に申しまして、われわれのお預かりしている財政資金は、金融資金といたしまして金融的な面でこれを生かしていくということだと思います。そういう意味で、われわれが現に貸しましたその対象の事業がどういうように効率を上げていくかということを具体的に指導するという仕事は、率直に申しまして、私どもの仕事ではないわけでございます。これは現に農林省の各種の予算あるいは府県の現地の指導あるいは農協の実行面における指導等によってやっていただいているわけでございまして、これはその計画を背景にいたしまして、最も効率的に金を使っていただけるところにこれを出していくというような立場において十分配慮しているわけでございます。それからこの三十九年度にいただきました金をどういう方面に重点的に使っていくかという問題につきましては、最近の農業問題の基本は、やはり農業の構造改善という点にあると思います。また従来やってまいっております土地改良その他の基盤整備の事業、これは従来にもましてさらに推進していくべき仕事だと思っております。  今般の予算におきましても、金額的に申しまして、全体の一千七十億という貸し出し規模の中で、約三百億が構造改善、基盤整備関係がやはり三百億というふうに大きな柱になっておりまして、その他の項目がその他の部分に配分されている、こういうようなことでございますので、われわれといたしましては、この二つの重点に沿いまして、新しい農業政策に十分寄与できるように努力いたしてまいりたいと考えております。
  53. 有馬輝武

    有馬委員 先ほど舟山さんがお答えになりましたように、また大月さんも通産省なり農林省なりの計画に基づいて重点的に使っていくというお話でありますが、ここいら辺に一つの問題点があるのではないか。今次国会で臨時行政制度調査会が半年間延長されまして、各省の機構の問題等についてもさらに検討されるということになりましたけれども、私はもし臨時行政制度調査会のレーゾン・デートルがあるとすれば、そこら辺に有機的な関連づけを持たせるという意味での制度改革ということしか意味はないと思うのであります。そこで私が申し上げたいことは、やはり農林省なり何なりの計画について、私は、農林漁業金融公庫公庫として一つの青写真を持つということが資金を効率的に運営する唯一の道だと思うのであります。だからこそ清井さんや大月さんが農林漁業公庫に行っておられるのであります。そういった点がなければ公庫で育った人たちが総裁、副総裁になればいいんですから……。たとえば、これは私ごとにわたってあれですけれども、山中委員長の選挙区で山中君の政治力をもってして農業基盤整備、構造改善事業が行なわれておる。実にりっぱにやられておりますが、しかし基盤整備をやりまして、そして土地をずっと区ならしをする。そうすると、表土というものが片寄りまして赤土が出てきて、四、五年あるいは十年くらいはなかなか増産というところまでいかない。そういった点について、それでは還付年限をどうすべきか、はたして構造改善事業というものが現在の農業に対してどのような意義を持っておるか、はたして効率的に運営されているかどうかという点についてのサゼスチョンを与えることが、私は農林漁業金融公庫の実際に金を出しておるところの一つの仕事ではないか、このように思うわけでありますが、お話しのように構造改善事業と基盤整備にその六割を費やしておられる、この方向がはたしていいと考えていらっしゃるのかどうか、その点大月さんのお考えを伺いたいと思います。
  54. 大月高

    ○大月説明員 ただいまお話のございました点は、全く御趣旨同感でございまして、われわれ一千億に余る財政資金をちょうだいいたしまして使うわけでございますので、十分その金が効率的にいきますように考えてまいっておるわけでございますが、農林省あるいは県の指導あるいは農協の指導ということで現場はやられるにいたしましても、はたしてどの方面に財政資金を使っていったらいいかという点につきましては、予算折衝の段階において、農林省とわれわれ公庫と常によく御相談をしながら進めておるわけでございます。したがいまして一千七十億の使い道につきまして、細目が大体予定されておるわけでございますけれども、そのきめる段階におきましても、われわれの考えておりますところは十分農林省に申し上げ、あるいは大蔵省にも説明をして予算をいただいておる。そういう予算をいただく面におきまして、内部で緊密な御相談をいたしておるというのが実態でございます。ただ、いただきました金を貸しまして、その対象の農民、漁民という方を実際に指導するという仕事はわれわれの範囲ではございませんので、その点はいたしておらないということを先ほど申し上げたわけでございます。  それから、お話のございましたいま千七十億の配分の重点はあれでいいかどうかということでございますが、私は、当然いま申し上げましたような二本建てを中心にいたしまして実行するのがいいのじゃないかと思っております。ただ構造改善事業は、御存じのようにようやく昨年度、三十八年度から制度が発足したばかりでございます。これは農林省の地方部局の農政局と特に緊密な連絡をとりまして融資を実行することになっております。農政局もようやく昨三十八年度から発足したということでございますから、構造改善事業を具体的にどう進めるかということは、率直に申しましてまだ実験の段階にあろうか、しかし構造改善事業を進めていかなくちゃいかぬという点につきましては、私は当然そうあるべきであろう、そういう意味で十分に実態を研究いたしながら効率的な資金運用をはかってまいりたいと考えております。
  55. 有馬輝武

    有馬委員 私は率直に申し上げまして、現在の農業というものは八幡のやぶ知らずみたいで、どこから手をつけていいか、どこから抜けていいかわからない状況に置かれておる、こう見ておるわけです。これは地方の農政局は昨年できましたけれども、農政局あたりで実際の仕事は推進していかなければならぬかもしれませんけれども、それ以前にはたして構造改善事業あるいは基盤整備、こういうことにだけ重点を置いて、他産業との格差が是正されていくのかどうか、流通の問題もあり価格の問題もある、これらがすべて総合的に運営されていかないと、私はその赤土が出たままで終わってしまうおそれがあるのじゃないか、こういう点でどこに重点を置かれるかということをまずお伺いしたわけです。しかしこの論議は本委員会のカテゴリーから少しはずれることになろうかと存じますので、別な機会に譲りたいと思います。  舟山さんと大月さんにお伺いたしたいことの第二点は、今度支出予算の区分のうち節の区分を廃止されると同時に、経費の流用及び予備費の使用について規定されている節を削除するということになっておるのでありますが、私、各公庫状況を見てみますと、何と言いますか、総裁なり副総裁なりの幅広い運営というものが予算的な面で非常に制約されておる面があるのじゃないか、このように見ておるわけであります。そこら辺について、こさいにといっては語弊がありますけれども、そういった運営費というものが現在どのようにされているのか、また大蔵省に対する予算要求の際にはどの程度を要求されて、それがどの程度認められているのか、ここら辺について両公庫立場からお聞かせをいただきたいと思うのであります。  それと同時に柏木さんのほうから、これは各公庫とも共通の問題であろうと存じますので、大蔵省としての基本的な考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  56. 舟山正吉

    舟山説明員 中小公庫の業務運営につきましてはいろいろな経費の要ることは申すまでもないことでございます。しかし一方、市中金融機関と違いまして、はでなPR等の必要もない。政府機関でありますからそういう必要はありませんが、しかしまた政府機関としての本質をPRしまして、ほんとうに借りたい人に公庫を利用していただくということは必要であると思います。そんなようなことで、経費につきましてはいろいろ予算要求のときに申し上げておるのでございますが、幸いにしましてどうにかやっていける程度の経費はいただいていると考えております。
  57. 大月高

    ○大月説明員 われわれの公庫につきましても舟山総裁お話と同様でございまして、金融機関としての一つの独立性を与えられておりますので、できるだけ弾力的に使わしていただきたいという立場と、やはり政府機関としての制約がございますので、そこらをどの辺にかみ合わせるかという具体的な問題であろうかと思っております。先ほどお話がございましたように、特にPRをするというようなことでもございませんし、それから預金を集める経費というものがあるわけでもございませんので、それ相応にわれわれの仕事として必要な経費をいただき、もちろん欲を言えば切りがございませんけれども、われわれの公庫は私どもが責任を持って運用するに足るだけの最小限のものはいただいていると考えております。
  58. 中尾博之

    ○中尾政府委員 予算の取り扱い方でございますが、公庫は御承知のとおり限られた方向に向かった事務をいたしております。その執行に差しつかえないような業務費を必要とするわけで、そういう立場からこれを予算化することを考えておる次第でございます。なお個々のアクションは特別な政策的な経費というわけではございません。したがいまして、もっぱら業務の運営を円滑にするというたてまえからこれを見てまいっておる次第でございます。実行の面におきましても、予算の積算におきましても、一般会計の取り扱い方などに比べますと、業務が限られております関係もございまして、実行上におきましては相当弾力的な取り扱いができるようにという考え方でやっておる次第でございます。  なお交際費のお話もございましたが、重大なる社会的な実在でございますので、対外的ないろいろな関係もございます。ことに公募債、政府保証債、そういうふうなものの消化といったような関係は相当大事な連絡も必要といたします。先ほど来お話のございましたような諸般の経済関係情勢の把握、その他というようなこともございます。それらの点を考えまして交際費の必要も考えまして予算いたしておりますが、何ぶんにもそれ自身、いわば国の信用にかかわるところの経済主体でございます。みずから手形を落とすとか、あるいは先ほど来もお話がございましたように、お得意さんを開拓するというような、いわゆる営業としての積極的な交際費といったものと同質のものは必ずしも認められないのでありまして、その点につきましては民間の経済主体とは異なったものであるというふうに考えまして、公庫独特のそういう活動に対しましてその必要に応ずるように考えて予算化をいたしておる次第でございます。
  59. 有馬輝武

    有馬委員 舟山さんも大月さんも、公庫に行ってみてこれはひどいということを感じておられるに違いないのだけれども、こういった場ではそれはひどいということを言うわけにいかないので、弾力的にとかなんとかおっしゃっているけれども、もう膠着してしまってちっとも弾力的に運営されない状況にあることは御承知のとおりであります。いま歯切れの悪い答弁をされましたけれども、それはそのはずなんです。ですから、私はこの問題で多くの論議をいたしたいとは思いませんけれども、やはり舟山さんや大月さんがいま言われなかった苦衷というものをあなたが十二分に察していただいて、昭和四十年度の予算編成の際には、まあ常識的なところまでぜひやっていただくことをこの際強く要望いたしておきたいと思います。その点について、イエスかノーだけでけっこうですから……。
  60. 中尾博之

    ○中尾政府委員 公庫の仕事が円滑に実施できますように、これに対して必要にして十分な損金を支出するということをたてまえにいたしまして努力いたしておりますことは、従来とも変わりないところでございますが、特に御注意もございましたので、今後とも十分に気をつけてまいりたいと思います。
  61. 有馬輝武

    有馬委員 終わります。
  62. 山中貞則

    山中委員長 武藤山治君。
  63. 武藤山治

    ○武藤委員 本日採決をする公庫予算及び決算に関する法律に、せっかく答弁のために出席をされておりますから、少しく公庫、公団関係のことについてお尋ねをしておきたいと思います。  現在、公庫さらに公団、事業団の賃金ベースを見ますると、一般公務員職よりもたいへんベースが高いようであります。大体一五%から二〇%賃金ベースが高いわけでありますが、その高い理由をひとつ簡単に御説明願いたいと思います。
  64. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 一般的な問題といたしまして私から御説明させていただきたいと思います。  公庫、公団、事業団等のいわゆる政府関係機関の給与ベースにつきましては、本質的に申しますればこれらの政府関係機関が多かれ少なかれ国民の税金に依存しているところがあるわけでございますので、一般的には公務員と給与において差がある必要はないという考え方があるわけでございます。ただその実態から見まして、給与そのものについては大きな差を設けるべきでないといたしましても、公務員の場合におきましては一般の事業体に比べて高い共済組合年金制度もございます。これに反してこれらの政府関係機関については厚生年金法による低い水準の年金しか確保されていないというような事情もございます。また政府関係機関、区々ではございますが、一般的に見まして厚生施設等も公務員の場合に比して若干劣っているようなケースが多いわけでございまして、こういった事情を勘案いたしまして、一般的に一五%ないし二〇%程度の格差をつけるということになっているわけでございます。なお、公庫等の場合におきましては、さらにその設立の当初におきまして各種の民間金融機関から人を求めるというような事情もありまして、こういった点も考慮して現在の給与ベースというのができ上がっているということになっておるわけでございます。
  65. 武藤山治

    ○武藤委員 大臣もお見えになりましたからもう一問だけで大臣のほうに質問をかわりたいと思いますが、しからば一割五分から二割公団のほうが給与ベースがよろしいという場合に、片方は国家公務員共済組合法が適用されていろいろ給与以外の実質給与にひとしいような国家支出がある、もしそうだとするならば、片方は厚生年金、片方は共済組合で、そういう差があるから当然ベースは公団のほうが高いというならば、どの程度の差があるのか、現在の厚生年金と共済年金とを比較して、それをかりにベースの外ワクにプラスアルファして計算をした場合にどういうことになるのか、その辺の計算はどうなっておりますか。
  66. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 一般に現在の厚生年金と国家公務員の共済年金とを比較いたしますと、国家公務員の共済年金は厚生年金の大体三倍程度というふうに考えられております。ただ御承知のように現在厚生年金につきまして制度改正の問題が論議されておりまして、この制度改正による年金水準の上昇等がありました場合においてはただいまの比率は若干変わってくるであろうと思います。なお年金水準の三倍の差というのがベースにどれだけ響くかということはなかなかむずかしい問題でありまして、いろいろ試算をいたしてみますと、勤続年限その他によっても差が出てまいりますが、大ざっぱなところにおいて、現在の制度で、現在程度の割合でおおむねつり合っているのではないかというふうに考えている次第でございます。
  67. 武藤山治

    ○武藤委員 それはあとで資料で正確に要求をいたします。国家公務員と公団、公社の給与水準のアンバランスの原因、これをできるだけ詳しく表にして積算の基礎を資料として提出を要求いたします。
  68. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 正確な資料ということになりますと、率直に申し上げまして、非常にむずかしいわけでございまして、大ざっぱな考え方の資料という程度であれば、私どもとしてもつくれるかと思います。
  69. 武藤山治

    ○武藤委員 大臣にお尋ねいたしますが、現在大蔵省管轄になっておる専売公社、造幣局、印刷局、こういう現業関係、公社関係のベースアップ要求に対する回答は、一体幾らを現在の段階では回答しておりますか。
  70. 田中角榮

    ○田中国務大臣 高校卒初任給六百円の引き上げということを回答しております。
  71. 武藤山治

    ○武藤委員 わずか六百円の賃上げの回答をしたという根拠は一体何ですか。どういう理由で六百円しか回答は出せないのですか。
  72. 田中角榮

    ○田中国務大臣 優秀な職員を採用するためには民間の採用基準等も十分参照しなければならぬわけでありまして、これらを十分検討いたしました結果、六百円程度引き上げないとなかなか優秀な人材を集められないという考え方であります。
  73. 武藤山治

    ○武藤委員 大臣の感覚と私の感覚はまるで違う。六百円程度の引き上げではまことにちょっぴりである。そこで私は大臣にお尋ねいたしますが、大臣は、政府が閣議で決定した経済見通し、さらに大蔵省が国民からいただこうとする税収見込み、この場合の個人所得の伸び率を見たら、一体どのぐらいだということは御承知でしょう。政府の経済見通しからいっても、三十九年度は、個人所得は平均して一〇・六%伸びるという計算をしておるわけですね。税収でも九・六%個人所得は伸びるという計算をしておる。ところが専売公社や造幣局や印刷局においては、わずか六百円しか賃上げを認めないという態度は、政府みずからがつくった経済見通しや税収の積算の基礎というものを否認する態度じゃありませんか。
  74. 田中角榮

    ○田中国務大臣 御指摘のとおりの経済見通しを立てておりますが、しかしこれはあくまでも予想でございます。しかも国家公務員、政府関係機関等は物価抑制、それから経済全般の状態を考えまして算定しなければならないという立場にありますので、その間の事情もひとつ御了解いただきたい、こう考えます。六百円は初任給においてでございます。昨年も回答いたしましたが、私が大蔵省に参りますまでは大体ゼロ回答が続いておったわけでございます。しかし非常に前向きに誠意を持って対処しておるわけであります。
  75. 武藤山治

    ○武藤委員 あなたが大臣になる前はゼロ回答であって、今度は六百円ということになれば、六百倍のベースアップと同じであるという誇らしげな回答をしておりますが、私は今回のこの回答はまことにばかにした回答だと思うのです。政府みずからがつくった経済見通しや税収見通しの国人所得の伸び率を全く否認して、わずか六百円の賃上げで諸般の情勢——物価の抑制など、とにかく政府としてのいろいろな施策に協力してもらうのだ、こう言っておいて、犠牲を政府職員にかぶせようとする政府のこの態度ですね。政府政策の失敗から出ておるのですから、これはやはり当然食っていくだけの、実質所得が低下しないだけの処置というものは当然すべきですよ。かりに政府見通しの一割にしても——今日一般行政職の公務員の平均ベースというものは三十八年二万九千四百六十円という内閣の発表ですね。現在は三万一千八百円がベースだというのです。こういうベースをかりに一割上げるということになれば、三千円平均ベースアップということになる。六百円の初任給の引き上げという回答はどう考えても政府の決定した見通しというものに沿わない。諸般の事情を聞くのではなくて、こういう六百円回答というものが沿うと思いますか、沿わないと思いますか。政府の一貫したこういう経済見通しなり税収なりの基礎に見た個人所得の伸び率を全く否認をした態度である、その点についてはどう考えろか、ひとつはっきり答えてもらいたい。
  76. 田中角榮

    ○田中国務大臣 否認をしておるわけではございません。御承知のように名経済界は各界別にいろいろの差はございまして、平均すると大体この程度かろうということで考えたわけでございまして、政府見通したものの半分、半分以下というところもございますし、倒産をするところもあるわけでございますから、その政府の経済見通しそのものが、基準としてそのまま公務員のベースアップその他に通用するというわけにはいかないわけであります。少なくとも初任給の引き上げということで優秀なる若年職員を採用したいという誠意、前向きの姿勢であるということをひとつ御理解いただきたい。
  77. 武藤山治

    ○武藤委員 そうしますと、政府見通しというのは、ただ単なる机上のプランであって、こういう職員の待遇改善や何かにこれを基準として考えるような数字としてとられては困る、政府のは単なる大ざっぱなプランである、そういう数字だ、こう理解してよろしいですか。
  78. 田中角榮

    ○田中国務大臣 経済見通しでございますから、三十八年度の経済から引き伸ばしていきましていろいろな施策を行なうと大体こうなるであろうということを発表しておるわけでありまして、これが全く違わないものだということは申し上げられないわけであります。年間において二回くらい改定をしなければならないという状況もございますし、実情をそのまま合わすものであるというふうには自信を持っては申し上げられないわけであります。
  79. 武藤山治

    ○武藤委員 しかし、見通しが単なる計画であってくずれるのはやむを得ない、年の途中で二回なり三回なり改定をしなければならぬ事態も起こるであろう。それは一歩譲って、経済見通しというものはそんなあやふやなものだとかりに認めるといたしましても、一割からの個人所得の伸びがあるという見通しのときに、六百円ということはその見通しの五分の一ですね。そんなにもこの見通しというものは現実に沿わない数字なんですか。どうも政府自身は無責任だと思う。やはり政府見通した税収の所得の伸びなり経済見通しの伸びなりをある程度基礎にしてベースアップを考えてやる必要があると思う。どうも冷たいですね。専売公社や何かに対して、あなたが大臣という立場で押えておるのじゃないですか。閣議の中でも、三十一日に発表しようかすまいかということで、結局田中さんは食えないということになって相澤さんが帰ってきてから発表しようということになって、きょうあたり発表するかもしれませんが、六百円あたりの賃上げで万々やむを得ない事情だから押えるということでは、あなたの部下に対する思いやりのある処置だとみずから考えますか。あなた大臣としてどうですか。あなたの直接の部下ではないにしても、専売公社や造幣局や印刷局というものは一応大蔵省の管轄ですね。あなたの心境をひとつ聞きたい。
  80. 田中角榮

    ○田中国務大臣 職員の生活向上等を考えることに対しては人後に落ちるものではありません。先ほどから申し上げますように、比較から言いますと、昨年からゼロ回答はしないということになっておるわけでありますし、大蔵省また各関係省の提示したものだけできまるわけではなく、いまその開きがあまりにも大きいということで第三者調停の機関に委託をしておりますから、初め六百円を提示したということに対して誠意がない、血も涙もないというふうにはお考えにならないで、過去の実績等も参照して評価していただきたい。同時に、やはり私は国庫大臣でありますから、わが省傘下の企業部門におられる皆さんや、また大蔵本省の職員そのものに対して、いまの給与状況が理想的なものであるなぞと考えておりません。何とかしてもっとよくしてやらなければいけないということを常に考えておるわけでございます。同時に、国民の財政を預かる立場でありますので、やはり国の正常な経済発展をはかり、国民負担の軽減もはかりながら、しかも行政効果を上げていかなければいかぬという立場でいろいろ施策を行なっておるわけでございまして、あなたが私の立場におなりになっても、やはり私のような心境になるだろうと思います。どうぞそういった事情も十分御了解を願いたいと思います。
  81. 武藤山治

    ○武藤委員 大臣のは答弁になっておらぬですね。私が大臣になるのはおそらく十五年ぐらい後だろうと思いますから、いま私があなたにかわって私の心境を述べる必要はないのでありますが、六百円の回答を出したという根拠はない。大体わかりました。  それからもう一つは、大蔵省管轄で六百円の回答を出す際には、国鉄、全逓、電通、それぞれ三公社五現業の責任者と話し合っての上で、一応六百円という回答を出したのですか。その辺はどうです。
  82. 田中角榮

    ○田中国務大臣 統一行動などはやりません。これは大蔵省の立場で大蔵省関係は提示をしたということでございます。
  83. 武藤山治

    ○武藤委員 大臣は十分間で帰るという予定のようでありますから、その問題はあとで事務局からまたお尋ねすることにして、いま国民が心配をしている、あるいは奇怪に感じておる問題の一つに、銀行の盗難事件があり、これがここ二年ばかりの間に各地に起こっております。つい最近でも神戸の協和銀行で九百万円、今度は北陸銀行で一千七百六十万円、銀行の総本山ともいうべき日本銀行で百万円盗まれた。どうもあのがっちりした銀行の金庫の中から盗まれるということは、だれが見てもどうもずさんだ、どうも奇怪だ、だれが犯人だろうか、こういう心配をしておるわけでありますが、大臣はいままでの報告の中から、こういう盗難事件に対してどんな感じをいま持っておられますか。さらにこれに対して捜査の手抜かりあるいは管理の不手ぎわ、何かそういう欠陥がはっきり報告されておるのか。その辺のことについてお尋ねしてみたいと思います。
  84. 田中角榮

    ○田中国務大臣 銀行の盗難事件に対しては非常に遺憾であります。しかも国庫金を預っておる日銀でもそういうようなことがある。こういうことになると、非常に国民の信用の問題でありますので、これらの事件に対しては糾明をしなければならないという考えでございます。  いまの金庫などというものは、非常に優秀なものでありまして、世界的な水準になっておるわけでありますが、それをあける人が出るというのでありますから、何と申し上げていいかわからないわけでございます。いやしくも大金庫が開かれるというようなことを現実問題として考えるときに、私はやはり金銭管理、現金管理、精神の弛緩、いろんなことがあると思うのです。こういうことが堂々と報道されるということに対して非常に遺憾であります。でありますから、私も大蔵省から特別監査を行なう、また現地に人を派して一体どこに金を置いたのか、いやしくも国民の金を預かっておりながら、そのようなことで将来一体いいと思うのかという問題。しかもこれらの問題は、絶対に余人がうかがうことのできないという前提に立っておりながら、中から盗難にあうだけに、捜査も非常にむずかしいということで、ほとんど迷宮入りになる、ますます不信を買うことになります。私はそういう意味で、今度の問題、特に千七百万円といえば一万円札にしても相当なかさであります、ボストン・バックに一つもあるわけでありますから、これが人目につかないでどうして運び出されたか、全く私の常識をしても理解できないのでございます。そういう意味で、これを機会に十分措置をいたしまして、国民の信頼をかちうるようにいたしたい、このように考えます。
  85. 武藤山治

    ○武藤委員 大臣は私より何年か先輩でありますが、大臣は、記憶の中でこんなに連発して銀行の盗難事件のあった時代というものを御存じですか。
  86. 田中角榮

    ○田中国務大臣 記憶はさだかでございませんが、何か使い込んだというようなことはあったと思いますが、煙のごとく消えてしまったということは、どうも私の記憶にはないようであります。
  87. 武藤山治

    ○武藤委員 そうしてみますと、これは人づくりに欠陥があるんですか、それとも人間のものの考え方、人生の片き方、そういうところに原因があるんですか。それとも客観的な管理そのものに欠陥があると思いますか。  なお、各盗難にあった銀行からどういう状況判断の報告が来ているんですか。
  88. 田中角榮

    ○田中国務大臣 事実問題につきましては政府委員からお答えさせますが、どういう原因かといったら、やはりものに対する責任感ということに尽きると思います。もう一つは、科学の進歩が非常にスピーディでありますから、いいものができると、それを開くように人間の知恵もどんどん進む、こういうことになるわけであります。私も当面の責任者でありますので、こういうことをよく排除できないのかということに対してはほんとうに遺憾に考えているんです。こういうこと自体が国民の不信を買うわけでありますから、適切な処置をいたしたいと考えます。  問題は、このごろ物、それから公の品物、人から預かったもの、こういうものに対する責任感の欠除ということと、あまりにも機械にたより過ぎるということだと思うのです。これは新しい金庫だから、人を置かなくても絶対だいじょうぶだろう、こういう考え方自体が問題だと思う。何億かのジェット機がしょっちゅう落ちるんですから、どんな万全な金庫でも万全の管理を必要とするということが欠けておるのだろうと思うのです。特に行内の者でなければ、その情をつまびらかにしている者でなければ、これを盗むことはできないだろうというに至っては、信用の問題でありますから、十分考えたいと思います。
  89. 武藤山治

    ○武藤委員 信用の問題でありますから、大蔵大臣としては、あなたの直轄の政府関係機関の金融機関もあるのでございますから、全国の金融機関に対して何らかの指示なり通達なり、そういうものをお出しになったんですか、これから出そうというのですか。
  90. 田中角榮

    ○田中国務大臣 いま申し上げましたように、公の林産に対して信用を確保できるように、適切な措置をすべく通達その他適当な処置をいたします。
  91. 武藤山治

    ○武藤委員 次に、現在議題になっております共済組合法の改正の問題でありますが、共済組合法の改正はいつもほんのちょっぴりその場限りの張りつけ的な改正しかやっておらぬようでありますが、私どもはもっと抜本的な改正をすべしという意見を持っておるものでありますが、今回もなぜ抜本的な改正に着手できなかったのか。その辺をお尋ねいたします。
  92. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 ただいま御質問の抜本的改正というおことばの意味があまりはっきりいたしませんが、現在、共済制度で、制度の非常に大きな問題として、たとえば既裁定年金のベースアップの問題をスライド制で行なうのかどうかという大きな問題もあることは事実であります。ただ、こういった問題につきましては御承知のように一方では恩給とのバランスの問題等がありまして、公務員年金調度連絡協議会というようなもので現在検討中でございますので、その結論を待って措置することにいたしたい。したがいまして、さしあたり非常に技術的ではございますが、恩給法の改正に伴ってどうしても共済組合制度上直さなければならない点をとりあえず直しておくというような考え方をいたさざるを得なかったわけでございます。そのほかにも共済組合制度について、あるいは先生お気づきの問題点もいろいろあろうかと思いますが、そういった問題点についての検討は怠らないつもりでございますが、いずれも社会保険全体の体系の中で問題を考えなければならぬという点もございまして、早急に結論を得ることが困難な点がございます。
  93. 武藤山治

    ○武藤委員 三月の十一日でございましたか、公務員組合の諸君、地方公務員の諸君、こういう代表が黒金官房長官と会見をしていろいろ共済組合法の改正についての問題点を要望したようであります。そのときに黒金官房長官も改善のために善処する、こういう回答をいたしておるわけですね。これは新聞にも報じられておりますので、そこで一つずつ、あなたの立場で一体答えられるかどうか、非常に大きな問題ですから、これは大臣や局長の方々にも判断をしてもらわぬとむずかしいとは思いますが、現在の国庫負担を二〇%にしてほしい、労働者の掛け金はできるだけ安くする。現在は長期給付と短期の場合に百分の五十あるいは百分の四十五、こういうような負担割合になっておるのをさらに負担を国庫にたくさん持ってもらいたいという要望もあるでしょう。そういう何項目かにわたっての要望事項に対しては事務当局はどんなお考えで対処しようとしておるのですか。
  94. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 御要求のありました項目は幾つかございますが、大きな問題点は、先ほど申し上げた既裁定年金のベースアップとその財源の問題、それから先生ただいま御指摘の国庫負担率の引き上げの問題等が一番大きなポイントであったろうと思います。  そのほかに技術的な問題が若干ございますが、国庫負担率の引き上げの問題について、私どもの申し上げられる限りのことを御説明申し上げますと、公務員の共済組合については、先生ただいま御指摘のように、長期については国庫が百分の五十五、短期については百分の五十を負担いたしておるわけでございますが、現在の長期についての国庫の百分の五十五の負担部分のうち、観念的に申しますならば社会保険主体としての国の負担部分は百分の十でございまして、この点は他の社会保険制度の中で率としては若干劣っているという問題があるわけでございます。それに対しまして、労働組合等の立場において船員保険等の率である百分の二十まで上げてほしいという御要望が出ていることは承知いたしておるところでございます。ただ、現在国の長期給付に対する負担部分が百分の十でございますのは、なるほど率的に見ますと、確かに他の社人会保険に比べて低いわけでございますが、何と申しましても、先ほど御説明申し上げましたように、現在の共済組合年金の給付水準は大体厚生年金等の三倍程度の水準に達しているわけでございまして、その結果、これをまかなうべき財源の中で国が社会保険主体として負担しております百分の十と申しますのも、金額的に申しますと非常に大きいわけでございまして、そういった点を考えますと、軽々に百分の十を引き上げるという問題については結論を出しがたいという状況になっているわけでございます。  それから第二点の既裁定年金のベースアップ問題につきましては、先ほども御説明申し上げましたように、現在公務員年金制度連絡協議会におきまして鋭意検討中でございまして、その結論を待ってどのような方針をきめるかを確定いたしたいと考えております。  それから第三に、若干技術的な問題といたしまして、一昨年通算年金通則法の制定の際に、経過的な措置といたしまして、男子職員については年金通算を選択するかどうかという選択制度を今年の十月まで設けたわけでございますが、これにつきましても将来にわたって延長してほしいという御要望がありまして、ただいま厚生年金改正法の附則という形で、私どもとしてもこの措置をとりあえず女子職員と同様四十一年十月まで延長するという措置を考えて社会保障制度審議会に付議いたしておるわけでございます。  以上が現在の段階でおおむね特に論議されておる点であろうと思いますので、お答えを申し上げます。
  95. 武藤山治

    ○武藤委員 根本的な改正案については審議会の意見を聞いたり、公労協等との折衝の窓口で結論を出さなければならぬと思いますが、現在の制度の中の不合理というかでこぼこというか、組合員からいろいろ要望のある、たとえば年金が掛け捨てにならないように一年未満の場合には積み立てたものをある程度返してやるとか、定昇期間を削除しないでこれも計算に加えてもらうとか、そういうようなこまかいすぐ修正できそうな部分もかなりあるような気がいたしますが、そういうような問題についての検討はどのような状況になっておるのですか。
  96. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 御質問の中の一年未満の職員についての掛け捨ての問題でございますが、制度として掛け捨てをなくするように返還する措置を考えることがいいかどうかという点は若干の問題がございます。と申しますのは、現在の制度は全般的に申しましてあくまでも保険数理の上に立っておるのでございまして、その限りにおいて脱退者がすべての時点において何らかの金額の返還を受けるということになりますと、全体の財源率、つまり保険料率に響いてくる問題もございますので、直ちに公務員の利益になるとも言いかねる点がございます。そういった点を総合して検討してみなければならぬであろうというふうに考えております。なお、掛け捨ての問題として私ども考えておりますのは、公務員の再就職者が低い給与で就職されました場合に、掛け金の掛け捨ての問題が別途起こってまいるわけでございますが、この点はできれば改正いたしたいというふうには考えておりますが、現在のところ直ちにこの国会において法案を提出するかどうかというところまで結論を得ておりません。
  97. 武藤山治

    ○武藤委員 共済組合で一年間に国庫が負担をする金額の総額はどのくらいになるのですか。
  98. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 共済組合のまず長期関係でございますが、長期関係で国が負担しておりますのは、三十九年度を例にとりますと一般会計におきまして百三十七億、特別会計において百四十三億となるわけでございます。
  99. 武藤山治

    ○武藤委員 どうも私いま役人の月給で生活しておるものでないからよくわからないのですが、現在の全体の資金というのは大蔵省の預金部へ預けておくのでありましょうが、その貸借対照表や何かを見てないからわかりませんけれども、どのくらいな資金量があって、現在の運営状況というのは、資金は苦しいのか、そういう中身はどうなっておりますか。その概況をひとつ聞かしてもらいたい。
  100. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 まず制度をちょっと御説明申し上げますと、現在の共済組合制度も若干区々でございまして、たとえば国家公務員共済組合の場合に例をとりますと、積み立て金増加額の三分の一を資金運用部に預託する、その他は組合なり連合会なりが自主運営をするという形になっております。また公共企業体職責等共済組合法におきましては、資金運用部預託という制度はございませんが、それにかわるべきものとして、たとえば縁故債であるとか、利用債を持つというような形が出ておりまして、その他の点についてはおおむね国家公務員共済組合と同様でございます。なお地方職員共済組合法におきましては、そのうちの公立学校共済組合のみにつきましては、国庫負担との関係もございまして、積み立て金増加額の四分の一程度資金運用部に預託するという形になっておりまして、その他の警察共済組合でございますとか、あるいは地方職員の共済組合につきましては、そういった規制はございません。ただ実体的に申しまして、おおむねこれにかわる程度のものを地方債等の運用に充てるというたてまえをとっておるわけであります。  そこで積み立て金増加の問題でございますが、御承知のように、現在の共済組合法は平準保険料方式をとりまして、完全積み立て方式という形になっておるわけでございます。制度が発足いたしましたのが、公共企業体職員等共済組合法の場合におきましても、全面的な制度としては三十一年の七月からでございますし、また国家公務員共済組合法の場合におきましては、三十四年十月から、さらに地方公務員共済組合法の場合におきましては、三十七年の十二月からということになっておるわけでございます。この制度発足当初におきましては、先ほど申し上げた平準保険料方式をとる限りにおいては、積み立て金は当然相当の累増を来たすということになっておるわけでございまして、いずれも相当の金額の増加を見ておるわけでございます。たとえば国家公務員共済組合連合会の場合におきましては、三十八年度末におきまして、正確な数字をちょっと手元に置いておりませんが、約八百億程度の積み立て金となっておろうかと考えます。なおその他の組合におきましても同様に相当の額の積み立て金を持っておるわけでございます。
  101. 武藤山治

    ○武藤委員 一般公務員八百億はわかりましたが、公共企業体のほうはどのくらいになりますか。
  102. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 国鉄の場合に例をとりますと、三十七年度末の決算数字でございますが、これが八百億、電電が四百十六億、専売が百十億となっております。
  103. 武藤山治

    ○武藤委員 一年の績み立て金として入ってくる額と、それから支出のほうに回る額とのバランスというのはどのくらいになっておりますか。過去三年間くらいのバランスはありませんか。
  104. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 国鉄の場合を例にとりますと、三十七年度におきましては、掛け金、負担金並びに利息、配当等で入ってまいります金額を合計いたしまして二百四十九億になります。一方支出のほうにおきましては、年金、一時金等として出されるもの、その他を合わせまして百三十四億になるわけでございまして、その差額が大体積み立て金の増加額ということになるわけでございます。
  105. 武藤山治

    ○武藤委員 しかしこれだけ膨大な積み立て金があるとすれば、かなり共済組合法の内部を前向きに改善をしても資金的にはそう困らぬという姿ではないかと思いますが、その辺の判断はどうなんですか。
  106. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、現在の共済組合の長期給付制度は、平準保険料方式による保険制度をとっておるわけでございまして、現在の計算におきまして余裕があるものと私ども考えておりません。むしろ今後ベースアップ等が行なわれます場合の不足財源をどうするかとか、あるいは既裁定年金のベースアップ等に伴う原資をどうするかという問題を総合的に勘案いたしますと、必ずしも制度的に見て余裕があるというふうには考えられないわけでございます。
  107. 武藤山治

    ○武藤委員 それではどのくらいあったら制度的に見てこれなら余裕があるという数字なんですか。どの程度を一応あなたたちは目標にして——いまの程度では余裕はないというのですから、余裕のある線というのは一体どの程度なのですか。
  108. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 績み立て金の増加は、先ほども申し上げましたように、経過的に申しますならば、当然あるわけでございまして、これは率直に申しまして財源としては期待できない。これはむしろ制度上当然それだけのものを持っておらなければ、将来安定した形において必要な年金なり一時金をまかなっていくことができないわけでございます。そこで先生御指摘のように、制度上の改正をいたすということになりまして、掛け金等の増徴を来たすような事態を避けるにはどうしたらいいかということになるわけでございますが、現在の保険計算上からいえば、財源率を改めていく以外にはないであろうかというふうに考えております。
  109. 武藤山治

    ○武藤委員 いや、将来給付がふえてくるという一応の見通しを大数の法則で出すわけでしょうが、そういう計算上からいった場合、どの程度の積み立て金なり保有金なりというものが常に置かれているというその好ましい姿というのは、一体どの程度が好ましい姿なのですか、金額的に表示した場合に。
  110. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 どの程度が望ましいかという問題はなかなかむずかしい点でございますが、現在の国家公務員共済組合連合会を例にとりますと、おおむね三十年程度後におきまして、積みたて金増加額は八千億程度になりまして、以後はその運用利益と支出とがおおむねバランスしてまいるというような格好になろうかと思います。
  111. 武藤山治

    ○武藤委員 さらに現在の私立学校の共済組合法改正の要望が強く出ておるわけでありますが、これに対して大蔵省としてはどんな態度をとっておるわけですか。
  112. 中尾博之

    ○中尾政府委員 御指摘の点でありますが、現在厚生年金が片方にございまして、その反対側に共済制度がある。その中間に私立学校あるいは農業団体の共済といったようなものがございますが、これらにつきましては、それぞれ沿革もございまするし、こまかい点につきましては全体が斉一な姿になっておりません。これは明らかに問題であろうかと存じまするが、それらの問題につきましてはなかなか関係いたします面が複雑でございまして、われわれといたしましては、なるべくこれを何らかの意味で説明のつく統一した姿に持っていきたいということで、大局的にそういう考え方でものを進めたいと考えております。  なお、個々の要求と申しますか、改善の要求としましてはそれぞれにございます次第でありますが、これらにつきましてはわれわれといたしましては十分に検討いたすつもりでおります。大きな問題といたしまして、差しあたりは厚生年金制度改正の問題が政府といたしまして目下進行中であります。これが実は制度の大きな方向を決するいろいろな問題を含んでおりますので、それらと合わせまして慎重に検討いたしてまいりたいと考えております。
  113. 武藤山治

    ○武藤委員 現在の私立学校教職員共済組合に対して政府が負担をしておる金額というのは一体どのくらいになるのですか。この改正を行なうことによってかなり負担増になるのでできないのか、それとも管轄がつっかけかなんかになっておってどこが担当して取り扱うのかということの分担がはっきりしないので投げやりになっておるのか、その辺をひとつ明らかにしてもらいたいと思います。
  114. 中尾博之

    ○中尾政府委員 まことに申しわけございませんが、いま手元に国庫負担の額の正確な資料がきておりませんので、後ほど連絡をいたしたいと思いますが、制度の問題として考えておるのでございまして、財政負担の問題ももちろん重要な問題でございます。しかしすでに制度は発足いたしておるのでございまして、これの改正でございまするから、むしろ社会保障制度といたしまして全体をどう整えていくかという見地から、率直にこれを検討いたしてまいるという態度であります。  なお、いま御懸念のございましたどこでやるかというような問題でありますが、これはそれぞれ監督官庁は分かれておりまするけれども、全体といたしまして先ほど来申し上げました沿革的にそういうことになっておるのでありまするが、やはり財務の点から見ますると、これが全部一望のもとに把握できまするので、大蔵省といたしましてはそれらの面からこれを統一的に検討するという態度でおります。  なお、こまかいことでありますが、主計局におきまするところのこれらの取り扱い等も、それらの関係のものに取りまとめまして、横にそれを並べましてそういう見地から検討いたしておる次第でございます。  なお、社会保障制度審議会その他の関係もございまして、そちらのほうもそういう点についてそういうような見地から十分に御関心をお持ちだと存じます。  なお、私立学校共済組合の補助金につきまして先ほどの資料が見つかりましたので申し上げます。三十九年度の予算計上額といたしまして、一億四千二十五万八千円でございます。
  115. 武藤山治

    ○武藤委員 これは給与課長はあれですか、私立学校の共済組合に対して国庫が責任を持っておるのはただいま発表になった一億四千万以外には全く負担はないわけですか、それ以外にまだあるわけですか。いまのは連合団体に対する補助金であって、それ以外に個個の組合に対する負担というものも政府がある程度やっておるのですか。
  116. 平井廸郎

    ○平井(廸)政府委員 先生御質問の趣旨のように、個々の組合に対して別に補助金を出していくという点につきましては現在のところではございません。国が補助いたしておりますのは、給付費の百分の十五と事務費についてでございまして、それ以外のものはないわけでございます。なおこれは個々の組合というおことばはちょっと語弊がございますが、私立学校共済組合としては組合は一つでございまして、個個の学校単位というような意味でございますならば、これはないということでございます。
  117. 武藤山治

    ○武藤委員 そういたしますと、この私立学校の共済組合の改正要望というものは、簡単に認めてやっても国家的にはさほどむずかしい問題はないのじゃないですか。たとえばその第一条目に書いてあるように、現在は国家公務員共済組合法の第二十五条の条文が準用されている。こういうことは私立学校の今日の数から見ても好ましくないので、もっと実情に合った単一の制度にしたい、こういう要望が大前提になっているようであります。こういうようなものをやったからといってそう不都合はないのではないか。さらに中身を一例をとってみますと、退職年金の最高限度支給率を百分の六十から百分の七十にしたい、こういうような問題がずっとたいへんな項目が出ているわけでありますが、政府としてはこれに対して一々財政負担がふえるということはないのですね。これを改正しても私立学校の組合の場合はまだそこまで検討していないのですか、無責任ですね。
  118. 中尾博之

    ○中尾政府委員 給付のベースで補助金が出てまいりますので、給付の内容は当然財政負担に関係をいたします。これらの財政負担につきましては、先ほど来申し上げましたように現在わが国のこういう、長期給付関係の機構と申しますか、組織が非常に分立いたしておる次第であります。それらの問題につきましてこれを統一のある取り扱い方をしていくということがわれわれの基本的な態度でございます。財政負担の点から検討いたすべきことはもちろんでございますけれども、むしろ制度といたしましてそういう点を十分に考えて処置いたしたい。本件につきまして申し上げますならば、先ほど来共済の問題も御議論がございましたが、同時に厚生年金保険のいろいろこまかい検討が行なわれております。それらの動きにつきましても、これは主として厚生省の所管でございますけれども、われわれといたしましても当然その反面におきましてこれに参画をいたしておるのでありますが、それらの動きも十分ににらみ合わせまして間違いのないように持っていきたい、こういうふうに考えている次第であります。事柄はやはり全体としての社会保障体系の問題でございますので、その間に調和を保って改正を進めていきたい、こういうことでございます。
  119. 武藤山治

    ○武藤委員 そういうことでは答弁にはならぬのですね。私立学校共済組合法というものは現実にもう共済組合法という名を打ってやっておるのですから。彼らからいうなら現段階では国家公務員の共済組合法にできるだけ近づけたいということは当然ですよ。もっと程度の低い厚生年金なり、国民年金なりというものとのバランスだけに、理屈をつけて現実にある共済組合法という銘を打っているものがやはり国家公務員のものに近づけていきたいという要求は当然です。  しかし私はこれ以上質問は続けませんから、あとで資料として提供願いたい点は、私立学校のいま出ているこの要望書はたいへん膨大なものです。これをこのまま認めたとしたら一体国家負担はどのくらいふえるのか、ひとつそういう積算をしてもらいたいと思うのです。資金的にどれくらいかかるか、これが一つの大きな困難な壁になっているのかどうかという私の判断にしたいのです。そういう資料を出してもらいたいと思います。質問はこれで終わります。
  120. 中尾博之

    ○中尾政府委員 直接は文部省の監督になっておりますので、相談をいたしましてできるだけ御要望に沿いたいと思います。
  121. 山中貞則

    山中委員長 ただいま議題となっております各案中、公庫予算及び決算に関する法律の一部を改正する法律案に対する質疑はこれにて終了いたしました。     —————————————
  122. 山中貞則

    山中委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  おはかりいたします。  本案を原案のとおり可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  123. 山中貞則

    山中委員長 御異議なしと認めます。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
  124. 山中貞則

    山中委員長 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  125. 山中貞則

    山中委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。   〔報告書は附録に掲載〕
  126. 山中貞則

    山中委員長 次会は、来たる十四日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十分散会