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1964-02-28 第46回国会 衆議院 大蔵委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年二月二十八日(金曜日)    午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 山中 貞則君    理事 原田  憲君 理事 藤井 勝志君    理事 坊  秀男君 理事 吉田 重延君    理事 有馬 輝武君 理事 堀  昌雄君    理事 武藤 山治君       天野 公義君    伊東 正義君       岩動 道行君    宇都宮徳馬君       大泉 寛三君    奧野 誠亮君       押谷 富三君    金子 一平君       木村 剛輔君    木村武千代君       小山 省二君    砂田 重民君       田澤 吉郎君    濱田 幸雄君       福田 繁芳君    藤枝 泉介君       渡辺美智雄君    岡  良一君       佐藤觀次郎君    日野 吉夫君       平林  剛君    松平 忠久君       春日 一幸君    竹本 孫一君  出席政府委員         大蔵政務次官  纐纈 彌三君         大蔵事務官         (主税局長)  泉 美之松君         国税庁長官   木村 秀弘君  委員外出席者         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 二月二十七日  企業資本充実のための資産評価等特別措置  法の一部を改正する法律案内閣提出第一一五  号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  企業資本充実のための資産評価等特別措置  法の一部を改正する法律案内閣提出第一一五  号)  所得税法の一部を改正する法律案内閣提出第  三六号)  法人税法の一部を改正する法律案内閣提出第  一五号)      ————◇—————
  2. 山中貞則

    山中委員長 これより会議を開きます。  企業資本充実のための資産評価等特別措置法の一部を改正する法律案議題といたします。     —————————————
  3. 山中貞則

    山中委員長 政府より提案理由説明を聴取いたします。大蔵政務次官纐纈彌三君。
  4. 纐纈彌三

    纐纈政府委員 ただいま議題となりました企業資本充実のための資産評価等特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  企業資本構成の是正に寄与し、その経営基盤の強化と経理適正化をはかる見地から、一定規模以上の株式会社に対しまして、再評価積立金資本組み入れ促進し、あわせて必要な減価償却を行なわせますため、従来から企業資本充実のための資産評価等特別措置法規定によりまして、所要措置を講じてまいったところであります。  近くこの規正の適用期限が切れることになりますが、いまだ再評価積立金最終処理を行なっていない会社がかなりの数にのぼっている現状にかんがみ、わが国企業経理及び経営健全化に資するため、この規定を若干改正して、適用期限を延長する等所要整備を行なう必要があると考えられますので、ここにこの法律案を提出した次第であります。  次に、この法律案につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず第一に、再評価積み立て金資本組み入れ促進措置でありますが、現行法におきまして、昭和四十年三月三十一日を含む事業年度直前事業年度までは、再評価積み立て金資本組み入れ割合が四〇%に満たないときは年一〇%、六〇%に満たないときは年一二%、八〇%に満たないときは年一五%をこえる配当を行なってはならないものとされておりますが、この措置を若干改正して、昭和四十年三月三十一日を含む事業年度から二年間につきましては、資本組み入れ割合が五〇%に満たないときは年一〇%、七〇%に満たないときは年一二%、八〇%に満たないときは年一五%をこえる配当を行なってはならないこととし、さらに昭和四十二年三月三十一日を含む事業年度から一年間につきましては、資本組み入れ割合が六〇%に満たないときは年一〇%、八〇%に満たないときは年一二%をこえる配当を行なってはならないことといたしました。なお、再評価積み立て金資本金に対する割合が一五%以下の会社に対しましては、現行法におきまして前記の配当制限を適用しないこととされておりますが、昭和四十年三月三十一日を含む事業年度以降三年間につきましては、この割合を一〇%に引き下げることにより、再評価積み立て金資本準備金への組み入れ規定との権衡をはかることとし、再評価積み立て金資本組み入れの一段の促進をはかることといたしました。  第二に、減価償却励行のための措置でありますが、昭和四十年三月三十一日を含む事業年度直前事業年度までは、減価償却の額が普通償却範囲額の九〇%に満たないときは、年一〇%をこえる配当を行なってはならないこととされておりますが、改正商法の趣旨にも沿って、昭和四十年三月三十一日を含む事業年度から三年間は、減価償却の額または減価償却資産について引き当て金を計上した場合には、それとの合計額普通償却範囲額に満たないときは、特別の場合を除き、年一〇%をこえる配当を行なってはならないことといたしました。  第三に、再評価積み立て金資本組み入れ割合が八〇%以上である場合または再評価積み立て金の額が資本の額の一〇%以下である場合には、現在、再評価実施会社につきましてはその全額を資本準備金に組み入れ、再評価積み立て金勘定を廃止することができることとなっておりますが、これを再評価積み立て金を有する株式会社全般に適用することとし、再評価積み立て金最終処理促進をはかることといたしました。  最後に、以上の改正に伴い所要規定整備を行ないますとともに、昭和四十三年三月三十一日を含む事業年時以後における再評価積み立て金処理につきましては、追って法律規定することといたしました。  以上が、この法律案提案理由及びその概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  5. 山中貞則

    山中委員長 これにて提案理由説明は終わりました。本案に対する質疑次会に譲ります。  所得税法の一部を改正する法律案、及び法人税法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。武藤山治君。
  6. 武藤山治

    武藤委員 大臣がお見えになっておりませんので、主税局長を中心にお尋ねしたいと思います。したがって、政策論議はなるべく避けて、具体的な技術的な問題等についてお尋ねしてみたいと思います。  けさの日本経済新聞歳入状況が報道されておりますが、当初予算と比較して八八・四%の伸び率になっておる。当初見積もったよりもかなり好調に、自然増収は少々ふえるような情勢であることが報道されております。  そこで従来の歳入状況と比較をして、この新聞発表の一月末の租税印紙収入状況を、できれば税目別に、特に従来と変わった状況にある税目について二、三報告を願いたいと思います。
  7. 泉美之松

    泉政府委員 昨日、本年一月末の二十八年度租税及び印紙収入状況を発表申し上げた次第でございますが、これによりますと第二次補正後の収入見積もりに対しまして、一月末におきまして、一般会計における収入歩合は八一・一%となっておりまして、三十七年度の対決算の収入歩合が一月末で八〇・三%でございますので、昨年に比べまして〇・八%収入歩合が良好であるという結果になっておるわけでございますが、昨年は御承知のとおり、補正後の予算に対しまして、百七十五億の自然増収が生じております。この点から見込みますと、本年度におきましても、第二次補正後の予算額に対しまして、若干の増収を生ずるかと考えるわけでございます。そのおもなる項目について申し上げますと、まず第一は源泉の所得税でございます。これが昨年は八九・二%の収入歩合であったのでありますが、本年は九〇・八%という収入歩合になっておりますので、一・六%収入状況が良好であるというふうになっております。これはいろいろ調査してみますと、昨年夏の賞与が一八%増であったので、昨年年末も大体一昨年の年末賞与の一八%増というくらい予想しておったのでございます。これがわりあい多かったようでございまして、これによる増収分が、おそらく四、五十億多かったのではなかろうかと見込まれるのでございます。  その次は法人税でございますが、法人税は、昨年が八一・八%の収入歩合、本年も八一・八%の収入歩合でありまして、これは当初予算に対しましては相当の増収が出ておりますけれども、昨年との対比におきましては、あまり増収になっておりません。  それから非常に金額の小さなものでございますが、取引所税、これは昨年が七五・五%であったわけでございますが、本年は四八・四%というふうに予算額を突破いたしております。これはアズキその他の取引が相当活発に行なわれたという事情に基づく特殊の理由のものでございます。それから次に関税でございます。これは昨年八三・一%でございましたのが本年は八五%になっておりまして、一・九%歩合がふえております。これは最近輸入が増加いたしておりますことに基づいておるものと考えられるのでございます。増収になりますものはそれからもう一つ酒でございまして、昨年が八二・九%でございましたのが本年は八四・七%と一・八%増収になっております。これは清酒が三十七年の税制改正特級及び一級の蔵出しが非常にふえましたので、数量的にも予算で見込んでおりました数量をこえますし、またそのうち特級、一級の部分がふえておりますために増収が大きくなっております。  以上が増収のおもなるものでございますが、もう一つ減収見込みのものがございます。これは一つ揮発油税でございます。揮発油税につきましては昨年一月におきまして七四・四%であったのが、本年は七二・六%といった収入歩合に相なっております。揮発油税につきましては昨年は実は予算額に若干足らなかったのでございますが、本年のこのような状況からいたしますと、予算額に四十億ないし五十億程度不足するのではなかろうかというふうな見込みでございます。それから有価証券取引税でございますが、これも昨年八三・五%という収入歩合でございましたのが、本年は六四・五%というような収入歩合になっております。これは御承知のとおり、昨年六月以降株式の取引が非常に少なくなりましたその影響によるものと考えられるのでございます。いずれにいたしましてもそういった減収見込みのものもございますが、全体といたしましては先ほど申し上げましたように、昨年度で百七十五億の補正予算に対して増収になっておりますので、それより収入歩合が多いということになりますと、本年度におきましても昨年の百七十五億を上回って、二百億を若干オーバーする程度増収があるのではないかというふうに予測いたしておる次第でございます。
  8. 武藤山治

    武藤委員 ただいま収入状況がわかったのでございますが、特にガソリン税伸び悩んで五十億円の歳入欠陥になるのではないか、こういう報道でありますが、ガソリン税がこんなにも減収になるという予想は当初全く立たなかったのですか。何か計算の積算の基礎に誤りがあってこういう歳入欠陥をもたらしたのか、それともこの新聞にもちょっと書いてありますが、プロパン車の急増が大いなる原因だ、こういっておりますが、プロパン車の今日の使用量というものはどんなような推移をたどっておりますか。もしそれが原因だとすればどんな推移をたどっておりますか。  それともう一つガソリン税がそう伸び悩んで予想だけ歳入にならないというときに、大蔵大臣予算委員会において、私が再三、三年間ここで主張してきた農業用ガソリン免税ということを約束した。四十年度からそれを実施するということが新聞に報道されておる。それは各新聞に出ておりますからうそでないと思います。そういう点について主税局長はどう考えておるか、この二つの点について伺いたい。
  9. 泉美之松

    泉政府委員 揮発油税収入につきましては、御承知のようにこれが道路整備財源となっておりますので、道路整備五カ年計画におきまして年々の揮発油あるいは軽油消費を見込んでおりまして、五カ年計画に基づく収入と現在までのところ大体似たような収入になってまいっておったのでございます。ところが先ほど申し上げましたように、三十七年度は二十七億程度のものでございますが、予算額に達しなかったのでございますが、本年は先ほど申し上げましたように、四十億ないし五十億程度予算に不足するのではなかろうかというような見込みになっております。これがどういう原因に基づくものかということにつきましては、いろいろ検討いたしておるのでございますが、一つ新聞にも出ておりますように、一昨年三十七年の十二月にはプロパンを使用しております自動車は二千台であったのでございます。ところが三十八年の十二月の調査によりますと、プロパンを使用しておりまする車が二万四千台と、実に二万二千台という、十一倍という非常に大きな増加ぶりを示したのでございます。これが一つ原因ではないかというふうに考えられるのでございます。  それからいま一つは、御承知のように最近都市、ことに東京都内におきましては、オリンピックを控えましていろいろ道路工事が非常に行なわれておりまして、これがために自動車の交通が相当麻痺するといったような傾向が見受けられるのでございます。そういった事情から揮発油消費予想したほど伸びないのではないかというふうに見込まれております。これらの原因につきましてはなお十分探求しなければならぬ点がございますが、私どもとしてはもっと十分探求いたしたい、かように考えておるのではございます。  それから昨日の予算委員会のお話でございますが、私どもといたしましては、当委員会で先日武藤委員の御質問にもお答えいたしましたように、揮発油税道路整備財源に使用するということにはなっておりますが、地方道路税あるいは軽油引取税と違って完全な目的税という性格ではない。目的税的な性格は持っておりますけれども、完全な目的税とは考えておらないのでございます。それからいま一つは、軽油引取税の場合には農業あるいは漁業用免税いたしておるのでございますが、これは御承知のとおり軽油引取税卸売り業者が課税を受けることになっておるわけでありますが、その段階におきますと、どこへ向けて出荷されるものであるということが把握しやすいのでございますが、揮発油税製造業者が蔵出しするときに課税いたしますので、製造業者の手元を出るときには農業用に使われるのか、自動車用に使われるのか、なかなか明確にしがたい。それからまたかりにそういった道路以外のために使用する揮発油につきまして免税するという方法をいろいろ考究しましても、かりに切符制度をとるというようなことをいたしましても、そのためには膨大な税務職員あるいは膨大な事務量を要しますので、そういった経費、徴税コストの点、こういった点をにらみ合わせますと、揮発油税につきまして、それが自軸心以外の用に供される場合に免税するということは技術的にきわめて困難であるという点からいたしまして、免税措置をとらないという方針をとってまいっておるのでございます。ただ昨日大蔵大臣が四十年度以降これが減免について考慮するということを言明されましたので、われわれ事務当局といたしましてはそれにつきましてはすでに三年来技術的にいろいろ検討してまいりましたけれども徴税コストの面から見て困難であるというふうな結論を得ておりますので、実は非常に苦慮いたしておるのであります。四十年度以降の問題でございますので、それまでの間にどのような措置をとり得るか、なお検討いたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  10. 武藤山治

    武藤委員 大臣が、しかも予算委員会答弁をしておるんですね。これは重大な発言ですよ。あなたたちは、大臣指示に従って作業をおやりになるのでしょうが、苦慮しておるということ、しかし大臣がそういう答弁をしたからにはやらざるを得ないという決意をしなければならぬと思うのですが、あなたはそれでも切符を出すのはなかなかたいへんだ、あるいは横流しがある、そういう心配で大臣のそういう指示をすなおに受けて、よしひとつやろう、こういう考え方に現在の段階ではまだなっておらないんですね。まだ大臣からそういう指示は全然受けていないんですか。大臣関係当局指示をしたと新聞に出ているのもあります。あなたのほうには指示はありませんか。
  11. 泉美之松

    泉政府委員 大臣からは指示をいただいております。ただ、先ほど申し上げましたように、両三年来の検討の結果、技術的にきわめて困難であるという結論を得ております。これをどのように取り扱うべきか、四十年度以降ということでございますので、それまでになお慎重に検討いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  12. 武藤山治

    武藤委員 私は、昭和三十六年から農民の必要なガソリンはやめろ、ガソリン税免税しろ、こういうことを三年間主張した一人として、過般大蔵委員会大臣質問したときには、いま泉さんがおっしゃるような答弁でさっぱり要領を得なかった。予算委員会質問となれば、四十年度から十分検討する、しかも新聞によれば、もうすでに手続検討を命じた、こういう変わり方では、一体答弁というものを信用できなくなるんですね。大蔵委員会における答弁が真実なのか、予算委員会における答弁が本心なのか、それは補佐役をしている主税局長やそれぞれの担当者と十分打ち合わせをして答弁をしているものと私は思うのですが、ぜひひとつ——筋は、予算委員会でやったということはまことにけしからぬ態度でありますけれども、いいことを答弁したのでありますから、これを前向きに、ひとつ主税局長、なるほどそれをやりますと、こういう返事をここでいただかぬと、主税局大蔵大臣の見解が分かれておる、こういうことではちょっと困るので、ひとつはっきりしてもらいたいと思います。
  13. 泉美之松

    泉政府委員 お話し申し上げましたように、まだ時日のあることでございますので、それまでに十分慎重に検討いたしたい、かように考えております。
  14. 有馬輝武

    有馬委員 関連……。いまの主税局長の御答弁を伺っておりますと、少なくともきのう大臣予算委員会で発言されたこととはニュアンスの差というようなことでは片づけられない問題を含んでおります。そういう意味で、政務次官からこの問題についてはっきりとした御答弁をいただきたいと思います。と申しますのは、私ども、何も予算委員会とかあるいは大蔵委員会とかいう形でものごとを公式的に論議したくはございませんけれども税制について審査を進めております当委員会として、特に野党といたしましては、やはり筋を通しておきませんと今後の審査の問題がございますので、そこら辺をお含みの上確たる御答弁をいただきたいと存じます。
  15. 纐纈彌三

    纐纈政府委員 お答えします。  昨日の予算委員会におきまして、大蔵大臣が四十年度からやるとはっきり言明されたことも、やるつもりであると言われたことも私は予算委員会で聞いております。  事務当局から申しますといろいろの難点もあるのでございますが、これは年来の大きな問題でありまして、私ども地方行政におります際にも、この問題は十分検討いたしました一つの問題でございます。何とか事務的の困難性を克服してこれを実現するようにしてもらいたいということを私としては考えております。
  16. 有馬輝武

    有馬委員 そうすると政務次官としてはきのうの大臣の御答弁どおりにされるということなんですね。
  17. 纐纈彌三

    纐纈政府委員 大体私は大臣と同じ考え方を持っております。
  18. 有馬輝武

    有馬委員 主税局長答弁はだいぶ違っておりますけれども、その点はいま政務次官が御答弁になったとおりというぐあいに私たち受け取っておいてよろしゅうございますね。そうしませんと、予算委員会はどのような形で審議が進んでおるか知りませんけれども予算委員会も並びにこの大蔵委員会も私ども国対の責任において、その点がはっきりしませんと、泉主税局長答弁どおりであるとするならば、これ以上審査を進めるわけにまいりませんので、その点を確かめておきたいと思います。
  19. 纐纈彌三

    纐纈政府委員 事務当局におきましては、先ほど来局長から説明を申したような非常な困難がございます。ただ納税手続が非常にむずかしいとか、あるいは横流しをされるとか、またどのくらい使ったかはっきりしないという点がございますが、これは事務的にむずかしいという問題よりも、やはり税としての筋を通さなければなりませんし、また農家といたしましてもだんだん機械化いたしまして——もちろん中には耕うん機で町へ出ていくようなものも全然ないとは言われぬと思います。いなかではそういうものがちょいちょいあるように思われますが、しかしこれはいわゆる目的税としてのガソリン税からいたしますと、ある程度筋の違っておるような気もいたしますので、それらの事務的の困難性を克服することに、今後事務当局においても十分検討をしていただきまして、そうして大臣予算委員会で申されたように、また各方面から非常に強い要望もありますので、その要望にこたえるようにさせていくように、私といたしましても努力いたすつもりでおります。
  20. 有馬輝武

    有馬委員 検討するということとやりますということでは違います。その点で武藤委員がせっかくの御質問の最中でありますので、武藤委員の御了解をいただき、また委員長のお取り計らいをいただきまして、昨日の予算委員会におきます大臣答弁会議録によって確かめて、それをこの委員会において確認をしておいてから審査を進めていただきたいと存じます。お取り計らいを願います。
  21. 武藤山治

    武藤委員 いま有馬委員から御意見がありましたように、少なくとも揮発油税の法案についての審議は、大臣が昨日委員会答弁をした議事録をわれわれは十分検討をして、同時に主税局長大臣の両者いるところで審議に入る、こういうことを確約しておいて次の質問に入っていきたいと思います。
  22. 山中貞則

    山中委員長 けっこうです。
  23. 武藤山治

    武藤委員 主税局税収見積もりの問題でありますが、生産上昇率を非常に高く見ておる。一五・一%生産伸びるという見通しに立っておるようですね。そこで政府経済見通し主税当局経済見通しというものにたいへん開きがあると私は考えるのです。この一五・一%という生産伸びは、確実に見通しとして間違いのない数なのか、それとも企画庁の数のほうが正確なのか、それを明らかにしてもらうためには、主税局見積もり期間は三十七年十月から三十八年九月の実績に、その後は政府の来年度経済見通しを上積みした計算だ、こうこの前の答弁でもお聞きしておるのでありますが、三十七年十月から三十八年九月までの実績の指数、それを参考のために伺っておきたいのであります。生産と物価と利益率、この三つの点について実績はどうであったか、同時にその同期の経済企画庁経済見通しとの差、そういうものはどのくらいあるか、これをひとつ明らかにしていただきたい。
  24. 泉美之松

    泉政府委員 今回の税収見積もりにつきましていろいろ御意見があるのでございますが、特に税収のうちで一番大きなウエートを占めておりまする法人税収入につきまして、経済企画庁生産見通しが三十九年度九・七%というのに対して、主税局のほうの見込みは一五・一%になっておるではないかといった御批判があるのでありますが、これは御承知のとおり法人税収入と、それから経済見通し期間とは対応いたしておらないわけでございまして、法人税収人は三十八年度の後半から三十九年度前半までの経済指標の動向が影響してまいるのであります。これは簡単に申し上げますと、たとえば昨年の十一月の生産数字は前年同月に比べまして一四%の伸びになっております。こういったところからもおわかりになりますように、法人税収入基礎になる期間における生産伸びは前年のそれに比べましてもかなり数字が上回っておるのであります。その点から申しますと、一五%くらいの収入は確実であろうと思っておるのでございます。これは結局期間のズレがおもなる点でございますので、それでいまお話のございました三十七年度実績に比べて三十八年度がどう動き、それが三十九年度見込みにどう影響しているかという点について申し上げますと、三十七年度実績で申し上げますと、企画庁の数字生産は一〇四・四でございます。ところが主税局の課税ベースでこれを見ますと、三十七年度は一一・三%の増になっております。ここでは結局企画庁の場合に比べて主税局の課税ベースのほうが多いということになるわけでございます。ところで三十八年度数字を申し上げますと、三十八年度におきましては、企画庁の三十八年度生産見込みは一〇・一%に相なっておるわけでありますが、われわれの課税ベースで見ますと、これが生産は五・四%のアップということになっておるのであります。これは御承知のとおり三十六年の秋以降金融引き締めによりまする景気調整が行なわれまして、企画庁のほうの数字では生産がうんと伸びておるのでありますが、課税ベースのほうで見ますと、それより前の時期にあたりますので伸びが低い。今度三十九年度見込みになりますと、年度ベースでは企画庁の生産は一〇九になるのでありますが、これが課税ベースで見ますと一五・一、結局企画庁の数字の三十八年度の実行見込みの上がっている姿、これが課税のほうに影響するのでありまして、企画庁のほうの三十九年度見込みの一〇九というのは四十年度の前半の課税のほうに影響してまいる。こういうふうな期間のずれがございますので、景気調整によって生産が停滞し、それからふえていくというような過程の場合におきましては、両者の間にそういった差が出てまいるのでございます。
  25. 武藤山治

    武藤委員 もう一つ生産は大体わかりましたが、物価と利益率のほうはどうですか、いまのような観点から比較をした場合に。
  26. 泉美之松

    泉政府委員 物価の点でございますが、御承知のように法人税収入見込みにあたりましては卸売り物価のウエートを八五%、消費者物価のウエートを一五%としまして計算をいたしておるのでございますが、物価の点で申し上げますと、三十七年度実績では経済企画庁は卸売り物価は九八・二、消費者物価は一〇六・七というふうに見ておるわけでございます。これに対しまして課税ベースのほうで見ますと、物価のほうは傾向がなだらかにいっておりまして生産のように上がり下がりがそう大きくございませんので、物価のほうは課税ベースで三十七年度実績は九九%、消費者物価が七・四、これを総合しますと一〇三という数字になっております。  それから三十八年度実績見込みで申しますと、企画庁のほうの数字は卸売り物価が一〇二%、消賢者物価が一〇八%というふうになっておるわけでございますが、われわれの課税ベースのほうでこれを見ますと、卸売り物価は一〇〇・七%、それから消費者物価は一〇七・六%というふうになるのでございます。これを三十九年度見込みのほうで申し上げますと、企画庁のほうの数字では一〇〇・五%という卸売り物価の伸び生産者物価は一〇四・二%のアップということになっておるわけでございますが、課税ベースのほうで申し上げますと、企画庁のほうの三十八年度実績見込みのほうが大きく影響いたしまして、卸売り物価は二・二%のアップ、消費者物価は五・六%のアップというふうに課税ベースに直すと出てまいるのでございます。  それから所得率で申し上げますと、企画庁のほうではそういった所得率を用いていないのでございますが、そういった景気の動向によって収益率に影響してまいるということで、課税の収入を見込む場合におきましては所得率を用いているのでございますが、これが三十七年度実績では九九・四、それが三十八年のときにはだんだんとよくなってまいりまして一〇一・一という見通しになります。三十九年度におきましてはまあ一〇〇%という普通の状態に戻るものというふうに見込んでおるわけでございます。
  27. 武藤山治

    武藤委員 主税局伸びを一八・二%に見込んでいる原因は、いまの数字で見れば積算をした大数法則的な傾向で大体一八・二%の税収伸びは間違いないだろう、こういう見通しを立てているようです。そうするとその一八・二%伸び企業側の要因ですね、何が原因で一八・二%に伸びたと予想できますか。その最大の要因は何であるかということをひとつ伺いたい。
  28. 泉美之松

    泉政府委員 その最大の原因は、申し上げるまでもなく生産伸びでございまして、生産伸びが一五・一%、それから卸売物価及び消費者物価の伸びが二・七%これを相乗いたしますと、一一八・二になるわけでございまして、所得率を一〇〇といたしますので、そのまま一一八・二という数字になってまいるわけでござまいす。
  29. 武藤山治

    武藤委員 私はしろうと考えで、感じですが、前年比一八・二%、伸びるという要素、たとえば資金需要なりあるいは生産設備拡充なりあるいは輸出の増大なり何かそういう具体的な、ただ単に生産が拡大されたというだけではなく、幾ら生産がされても過剰生産になって販売できなければ利益はないわけですから、そこらの最大の原因は一体何かということは非常に疑問な点なんですが、そういう点主税局長としてはどういう点に特に所得が上がる最大原因があるか、所得率の上がる原因は何だ、これをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  30. 泉美之松

    泉政府委員 所得率のほうはむしろ三十八年度よりも三十九年度は少し落ち目に見ておるのでございまして、所得率のほうに原因があるのではございません。ただ先ほど申し上げましたように、生産数字が非常にふえておるという点、もちろん生産されてもそれが売れなければなりませんけれども武藤委員承知のとおり、たとえばわが国の場合には輸出が相当大きなウエートを占めておりますが、輸出が三十七年度に比べて三十八年度は五十四億ドル、三十九年度はさらに六十二億ドルというふうにふえる見通しでもございますし、そういった輸出の伸びあるいは国内の販売の伸び、こういった数字が大きく作用いたしておるのでございまして、たとえて申し上げますと、本年一月の前年同期に対する生産伸びは実に二一・四というふうになっておるのでございます。それほど生産伸びておる。もちろん製造者在庫指数も若干伸びておりますけれども、しかしそれにいたしましても、生産伸びが大きく、それが相当販売に寄与しておりまして、所得率はむしろ少し下がり目に見ましても一八・二といった収入伸びになるわけでございます。
  31. 武藤山治

    武藤委員 生産指数が二一・四%前年同期に比して一月などは伸びておる。したがって生産がこれだけ拡大されれば所得も当然出てくるという考えでこういう見積もりをされた。そこで資本金別に考えた場合、たとえば業種別に、昨年あたり設備投資に特に金をかけた業種、しかもそういう業種は設備を拡大すればするほど資本費というものが膨張し、さらに人件費もかなり膨張しておると思いますが、いまの企業の内容がそういう設備投資をやったのと並行して所得が上がるというような形じゃないと思うのです。そこで非常に資本費というものがかさんでいるというデータ、そういうものはありますか。大企業幾つかについて中身を調べていくと資本費の膨張というものが、ここ一、二年の間非常なウエートを占めてきておる、その傾向はどうですか。
  32. 泉美之松

    泉政府委員 お話のように三十六年以降、正確に申しますと三十五年からになりますが、急激な設備投資が行なわれて、企業資本費負担はかなりふえております。それによって収益率はもちろん長期的に見ますと今後だんだんと低下する傾向にあることは武藤委員のおっしゃるとおりでございます。だんだんこれは低下する傾向にあるわけで、今後収益率がそう上がらないということにはなりましても、しかしその低下がさほど急激に生ずるものとは私ども見ておらないわけでございます。その状況をたとえて申し上げますと、資本費の負担の一番大きく出てくるのは減価償却費になるわけでありますが、減価償却費で申し上げますと、三十六年は前年に比べまして一四〇・五というふうに四〇・五%もふえております。ところが、これは三十六年、いわゆる三十五年以降の大きな投資ブームによってそれだけ減価償却がふえたのでありますが、その後三十六年秋以降景気調整策がとられまして、設備投資の増加が若干鈍ってまいりました。そのために三十七年度におきましては減価償却費の伸びは二一・二と鎮静してまいりました。さらに三十八年には前年対比一一・二と若干伸びてはおりますけれども、その伸びはきわめて小さくなってまいっておるのであります。それから金利負担の点も、もちろんふえることによってそれが収益率の低下に影響するわけでありますが、金利負担の伸びは三十六年度には前年に比べまして一八・七。それから三十七年度は二〇・九。三十八年度は一八というふうに、大体一八%ないし二〇%くらいのところで金利負担はふえております。それから人件費の負担でございますが、人件費の負担は三十六年には対前年で二一%伸びました。三十七年にも二一・四%伸びております。これが三十八年のほうでは若干人件費の伸びが縮まっておるようでありまして、一五%程度見込みでございます。
  33. 武藤山治

    武藤委員 法人税見積もりは、実績を積算の基礎にしておりますから狂いはないと思いますが、一八・二%の税収伸び見込みというのは、歳入欠陥を来たすような心配は全くない、絶対これ以上よけい出るというのか、それともかすかすか、政府はどう考えますか。
  34. 泉美之松

    泉政府委員 私どもといたしましては今後景気にきわめて大きな変動がない限りにおきましては、この程度増収を期待し得る、またこれに歳入欠陥を生ずるようなことはないと思っております。ただそれではこれより以上相当額増収があるかということになりますと、それほど大きな増収はもちろん期待できないと思っております。
  35. 武藤山治

    武藤委員 そうしますと昨年十二月十日に預金準備率の引き上げを行ない、一月十日に窓口規制が行なわれた、こういう金融引き締め、あるいは資金量の圧縮ということが、やはり納税者の立場である中小企業にもかなりの影響を与えると思うのですね。あるいは所得の伸びというものもかなり——法人ですから来年の決算で、ことしの四月以降の状態というものはさほど影響ない、こうお考えになれば別でしょうが、しかしながら政府のこういう一連の政策というものが、中小企業の業績にかなりの影響を与えておる。そういうものはこの税収にはそうはね返ってこない、こう考えてよろしいですか。
  36. 泉美之松

    泉政府委員 お話のとおり、最近の中小企業の倒産といったようなこと、これがある程度連鎖反応を起こしておるという点は、もちろん税収に影響してまいることは申し上げるまでもございません。ただ、そういったことが税収全体に及ぼす影響から見ますと、まだそれほど大きなウェートは持たない。もちろん、税収の上におきましてはそういった事情がいろいろ影響してまいります。たとえて申し上げますと、昨年の十月決算までは金融がゆるんでまいりまして、そのために延納率が落ちまして、法人税の決算期後二カ月以内に納める率が多かったわけでございます。それが昨年の十一月期から、つまり本年一月に納める法人分から延納率がまたふえる傾向になっております。したがって、そういうことは、結局金融引き締めの影響がそういう面にあらわれておるというふうに見られるわけでございます。そういった影響の動向ということは十分注目しなければならぬと思っておりますけれども、ただ、大勢から見ました場合におきましては、法人税収入全体としてはこの程度増収が期待し得る。これは三十八年度実績からいたしましても、御承知のとおり、当初予算に見込んでおりました数字は、法人税で七千六百五億であったのでございますが、補正によりまして八千三百八十一億というふうに、三十八年度に相当自然増収が期待できたというような景気の動きから見ましても、三十九年度に一兆百四十九億の収入は期待し得るものと考えておる次第でございます。
  37. 武藤山治

    武藤委員 少し角度を変えてお尋ねいたします。今回の税法改正で軽減税率の適用範囲を百万円上げた。この目的は何かというなら、社内留保金をふやす、あるいは中小企業の近代化をはかる、こういう立場から範囲を拡大されたものと思いますが、いま日本全国の会社数というものを調べてみると、三十七年度の調査で、五十七万三千三百六十三の会社がある。その中を検討してみると、所得二百万以下の層というものが非常に多い。これだけでも三十三万社というものが所得二百万以下である。また、資本金別に見ても、資本金五百万以下の会社、同族会社と思われる会社が五十一万。したがって、日本の会社の五十七万のうち、五十一万というものは大体同族会社と見なされるほどちっぽけな会社です。こういうものの税負担が、軽減税率であっても三三%というのは非常に高い。こういう零細法人に対する税率というものをもっと大幅に下げなければいかぬ。社会党は大体二〇%から、高くても二五%程度にしようじゃないか、こういう考え方で常に主張しておるわけです。過般の新聞を見ますと、ジョンソン大統領も思い切った大減税を断行して、ようやく国会も通過をしてそういう中小法人に対する——特にアメリカでは九百万円以下の所得の法人に対する税率は二二%にする。零細企業に対する近代化、積み立てのできる思い切った税制に改革をする。ところが、日本では三百万以下を三三%ということでは、なかなか零細所得法人の近代化はできない、あるいは設備更新もできないという実情にあると思うのです。なぜ零細なものに対する税率を下げる努力をしないのか、それのひとつ理由をお聞かせ願いたいと思うのです。
  38. 泉美之松

    泉政府委員 法人税の税率につきましては、いろいろ意見のあるところでございますが、わが国の現在の法人税についての考え方は、武藤委員承知のとおり、擬制説的の立場に立っておりまして、法人の所得というものは、株主について法人所得税を課税する場合の法人税はその前取りであるというふうな観念になっております。そういう考え方からいたしますと、株主に対する総合所得税を課税することによって課税の適正を期するわけでありまして、法人税はいわば源泉徴収税としての性格を持っているわけでございますので、そういう点からして、法人税の税率はできるだけ一本でやるのが望ましいということに相なるわけでございます。そういう点からいたしまして、わが国では、法人税率は長い間一本であったわけであります。しかし、三十三年に、租税特別措置法の適用を受けるのは比較的大法人で、その受ける利益が多過ぎる、それに比べて中小の法人はこの租税特別措置法の恩典を受けにいくといったような事情があるということからいたしまして、そのときに税率を区分いたしまして、いまのように五%の差になりました。それがその後今日に及んでいるわけでございます。  そこで、それでは法人税を擬制説的に考えるのが正しいのか、あるいは諸外国に例がありますように、実在説的に考えるのがよいのかという点につきましては、これは法人税の根本問題でございまして、目下税制調査会におきまして鋭意検討をいたしております。そのために、私どもは、法人税の税率につきましては、そうした税制調査会の今後の検討によって問題を考えてまいりたいというふうに考えておるのでありまして、それまでは、法人税の税率にはできるだけ手をつけないようにしていきたいというふうに考えているのでございます。  なお、武藤委員から先ほどお話がございましたように、アメリカにおきましては、従来二万五千ドルまでの所得に対しましては三〇%の税率、それから二万五千ドルをこえる場合におきましては五二%の税率というふうに——二万五千ドルと申しますと、為替換算にしてわが国の所得に直しますと約九百万円になりますが、その辺で大きく差をつけておるわけでございます。これは、アメリカは擬制説的な立場でなしに、法人について実在説的な立場に立っておるのでございまして、もちろん配当控除というようなことを若干いたしておりましたが、これも従来五十ドルまでは控除して、それから配当の四%を配当控除するという制度でございましたが、今度は四%の配当控除をなくしまして、配当控除は五十ドル分を百ドルに上げる。そして、将来はこの四%分をなくするということになっておりまして、いよいよ実在説的な見地を徹底することになっておるわけであります。  そういう意味で、アメリカの制度は、われわれの場合と制度自体に対する考え方が根本的に違っているという事情があるわけでございます。そうして、アメリカは今度、従来二万五千ドルまで三〇%というのを二二%にしまして、それから上のほうが五二%でありましたのを、六四年は五〇%に、それから六五年には四八%にというふうに、法人税率を引き下げる方向にあるようでございます。で、わが国の場合は、御承知のとおり、配当軽課措置をとっておりますので、三分の一がかりに配当されるものと考えますと、法人の国税、地方税を合わせました総合実効負担は、四六・一八%ということになっております。アメリカの法人税率に比べると、まだ軽い。アメリカは、この四八%のほかにさらに地方税が加わりますので、それを考えますと、やはり五四%くらいの税負担になるわけでございます。それに比べると、まだ安いといったような事情にあるわけでございます。  しかしいずれにしましても、そういった諸外国の動向等をも十分勘案いたしまして、わが国の場合に、擬制説的な立場をシャウプ勧告によってとったのが、はたしてわが国の法人の実体に適合しているのか、それとも、実在説的な立場をとっていくべきか、これについてはなお慎重に検討すべき点があろうかと思います。せっかく税制調査会で検討されておりますので、その検討の結果に待ちたい、かように考えておる次第でございます。
  39. 武藤山治

    武藤委員 まあ、擬制説をとろうが、実在説をとろうが、いまの日本の小法人というものに対する国の政策というものは、中小企業基本法を通じて、とにかくてこ入れをしなければならない、近代化をしなければならない、さらに、国際競争力に対抗するためにも、中小法人というものを大いに育てなければならぬという、国の大きな政策ですよ。そういう中小企業が、耐用年数の短縮や、あるいは特別措置やいろいろなものによって受ける恩恵というものは、あとでいろいろ御質問はいたしますが、非常にちょっぴりですよ。大体大企業中心にそういう恩恵がいってしまうわけです。ですから、どうしても零細企業というものと小法人というものを一人前に育てるためには、内部留保というものをできるだけ認めていく、あるいは機械の更新なりをもっともっと積極的に認めていく、そういう施策が、金融面だけじゃなくて、税制面でもっと思い切ったことが行なわれなければならぬと思うのです。そういう点からも、とにかく資本金五百万以下の小法人が五十万もある、こういうものに対する税率というものは、もっとがくっと落としてもしかるべきだと思うのです。大法人と中小法人とのバランスという問題、あるいは個人業棟と法人とのバランスの問題、いろいろ税調は書いておりますよ。書いておりますけれども、やはりいまの中小企業の買かれた立場というものを、中小企業基本法をつくって、政策的に国がてこ入れをするということになったわけですから、それがやはりもっと税制面で実行されるべきだという主張を私はしておるわけです。それにはやはり一律に零細業者の税率をばちっと下げてやる、こういう方向で、税調にいろいろな資料をあなたのほうで出してやらぬことには、税調は税収を気にしておりますからね。皆さんのほうで、税収ががくっと減るようなことをやろうと言わぬことには、なかなか税調だって積極的に、主税局が反対するような答申なんか出しませんよ。私は、問題は皆さんの減税の姿勢だと思うのです。あるいは中小企業育成の姿勢だと思うんですよ。そういう姿勢を皆さんがとるならば、税調はその方向に答申を出してきますよ。これは間違いないと思うのです。ところが、どうも徴税当局は、取ることばかり考えておるから、なかなかそういう小法人に対する思いやりのある税制というものが生まれてこない。税調のあれを見ると、昭和三十五年から、しかるべき機会に検討する、検討するということを三年もずっと書いておるんですよ。一体しかるべき機会に検討する、今後の問題として検討するといって、現在それでは税調ではどういう検討をしておるんですか。小法人に対する税制のあり方を検討していないじゃないですか。それよりも、物価がどんどん上がり、経済の変動が激しいために、そちらのほうばかり気をとられて一年一年の手をつけなければならぬと、いう、当面の問題だけに追われておるんじゃないですか。今後十分検討してやるというのは、いつごろをめどにしておるのですか。
  40. 泉美之松

    泉政府委員 おことばではございますが、中小法人の場合におきましては、個人の事業者の所得税の負担と、それから中小法人の場合の法人税と、それから、それが株主に配当あるいは給与の形で支払われました場合の法人税所得税を合わせた場合の負担、これとの比較でも見ていかなければならないのでございまして、単純に法人の大中小ということからだけ考えるわけにもまいりかねるのでございます。それはもう武藤委員承知のとおりでございます。そういった点から検討しますと、わが国で、この前も申し上げましたように、毎年三万から三万五千くらいの法人成りがあるわけでございます。この状況から見ますと、まだまだ中小のところでは、法人のほうが個人の場合より税負担が軽いのではないか。そのためにそういった法人成りが起きるのではないかというふうなことも考えられます。しかし先般当委員会でお話がありましたように、わが国のそうした中小法人の中には、ほんとうに法人としての実体を備えておるのかどうか。あるいはむしろ、個人課税を選択してもいいような、個人課税か法人課税かそのいずれかを納税者に選択させてもいいようなものもあるのではないかというような点も見受けられますので、これらを含めまして、法人税全体がどういうふうにあるべきかということを税制調査会としては検討をもちろんいたしておるのでございます。もちろん年々の税制改正がございますので、それについての答申はいただいておりますけれども、それはごく限られた委員だけが集まってそういった案を検討するのでございまして、本来あるべき税制調査会としての基本的な税制改正についての検討は、それ以外で続けられておるわけでございまして、私どもといたしましては、税制調査会の現在の委員の任期が来年七月になっておりますが、来年の七月と申しましても、来年国会に税制改正法案を提出いたしますとすれば、まあ一月から三月までの間ぐらいは審議ができないと思います。そうしますと、四月から七月までの間に税制調査会の答申をいただくということはむずかしいと思いますので、できれば本年内に税制調査会の現在の委員としての最終的な答申と四十年度税制改正についての答申、二つ答申をいただきたいというふうな気持ちでおります。ただ、これはまあしかし私どもの気持ちでございまして、税制調査会のほうではたしてそのような答申を出していただけるかどうかはまだきまっておりません。
  41. 武藤山治

    武藤委員 もう応問で、いま葬式のほうがあるので早目にやめなければならぬという約束があるのでありますが、ひとつ資料を提供してもらいたいのです。所得金額百万円以下の場合二〇%に税率をし、二百万円までを二五%にし、三百万円までを三〇%にかりにした場合、そして、それ以上の五百万円までを三三%、それ以上三八%、こんなぐあいに小刻みに税率を変えた場合に、現在のベースでどのくらい減収になるか、それをひとつあとで資料としていただきたいと思います。委員長、これをひとつお取り計らい願いたいと思います。  それから、私、非常に奇怪に思っておるのは、いま資本金階級別の表を主税局からもらった中で、資本金五十億以上の会社が欠損会社として十五ございますね。資本金五十億以上の会社で欠損になるという会社が十五もあるということは、ちょっと常識で考えられないことなんですが、この十五の会社の内容をちょっとお聞きしたい。どんな会社ですか、欠損になっている会社は。
  42. 泉美之松

    泉政府委員 これは武藤委員承知のとおり、海運会社及び石炭会社が現在は赤字でございますので、その分がここにあらわれておるのでございます。具体的の会社の名前はあとでお知らせ申し上げたいと思います。
  43. 武藤山治

    武藤委員 そうすると、この十五は、海運と石炭だけですか。それ以外の業種はございませんか。——それでは、この十五は数が少ないから、会社別にあとでちょっと教えていただきたいと思います。  それから、十億円以上の会社で欠損会社が百八件、資本金十億といったらかなり大きい会社ですね。これの内容はどうなんですか。どんな業種が欠損になっておるのですか。
  44. 泉美之松

    泉政府委員 この中にも石炭あるいは海運の会社も入っておりますが、そのほかの業種でも、たとえば創業間もないような法人でございますと、かりに資本金十億以上の法人をつくりましても、創業当初でありますと欠損が出る、やはり創業後四、五年たたないと利益は出てこない、これは会社設立の場合普通の点であろうかと思います。そういったのがここにあると思うのであります。
  45. 武藤山治

    武藤委員 これは、資本金十億以下はちょっとたいへんでしょうから、十億以上の百八件、それから五十億以上の十五件、これの内容をあとで資料として提供を願いたいと思います。
  46. 山中貞則

    山中委員長 武藤君、それは個々の会社名にわたりますから、対外信用の問題もあるし、あなたのほうで調べたいものがあるなら、主税局、長と相談してやってください。
  47. 武藤山治

    武藤委員 全員に配らなくても、ぼくだけでけっこうですから……。
  48. 山中貞則

    山中委員長 あなただけにも全部やるかどうかについてね……。
  49. 武藤山治

    武藤委員 もう約束の時間でありますので、留保所得課税の問題と耐用年数短縮の問題についていろいろお尋ねしたいと思っておりましたが、この次の機会に譲りたいと思います。  ただ一つ、現在の規則、細則で耐用年数の短縮を、国税庁長官はやることができるという規定がありますが、その規定に基づいて一年間どの程度耐用年数の短縮を認めておるか、業種とか件数あるいは金額、わかっておるものをちょっとお知らせ願いたいと思うのです。
  50. 泉美之松

    泉政府委員 現在国税庁長官が耐用年数の短縮あるいは割り増し償却を認めることができることになっておりますが、これはわが国の法定耐用年数におきましては、機械の稼働時間が何時閥ということを前提といたしまして耐用年数をきめておるわけでございますが、企業によりましては、たとば一日八時間稼働という前提でつくられた耐用年数を……。(武藤委員「内容じゃない、件数と金額でいいよ」と呼ぶ)十六時間で稼働するという場合には割り増し償却ができる。それから普通の状態でなく、腐食なんかが著しい場合に耐用年数を短縮することができるという、)とになっておるのでございます。  その一年間の実績につきましては、ただいま手元に資料を持っておりませんので、国税庁のほうに聞き合わせまして、さっそくお知らせ申し上げます。
  51. 武藤山治

    武藤委員 それも資料であとでいただきたいと思いますが、今回の耐用年数の短縮は平均一五%程度やるというのですが、最低はどの程度、最高はどの程度に耐用年数を動かそうというのですか。それから製造設備別に耐用年数がきまっておるようでありますが、どういう産業、どういう設備関係を特に耐用年数を短縮しようとするのですか、その点の大ざっぱな点だけ聞いて、あとこまかい点はこの次の質問のときに聞きたいと思います。
  52. 泉美之松

    泉政府委員 今回の耐用年数の短縮にあたりましては、最近技術革新の著しい業種がございます。たとえば石油化学でありますとか、あるいは発酵法によるいろいろな合成化学の製品、こういった技術革新が著しいことによって陳腐化の早いもの、これらと、それからその機械を用いて輸出する、その輸出のウエートの大きいもの、こういうものに重点を置きまして、耐用年数の短縮を行ないたいと思っておるのでございます。もちろん機械設備が中心でございまして、家屋とかいったものは対象にしないつもりであります。  機械設備におきましては、まだ全部耐用年数の改定案が確定いたしてはおりませんが、およそのことを申し上げますと、機械工業関係におきましては、御承知のとおり自動車工業が中心になるわけでございますが、この耐用年数が現在十三年になっております。これをどの程度にするかということが、結局今後の耐用年数の改定作業の中心になるわけでございます。これにつきましては、業界の意見と所管省である通産省の意見と出ております。目下われわれのほうで検討中でございますが、平均一五%ということでございまして、大体において最高が二七、八%の短縮、最低はもちろん全然動かさないというものもあるかもしれません。これは特に不況産業のような場合に、耐用年数を短くしてもらっても償却できないからこの際は見送ってほしいという要望のあるものもございます。そういったものは、しいて耐用年数を短縮しても意味がございません。そういうのは据え置きとすることにいたしております。しかし、おおむねとしまして、機械工業、化学工業におきましては、耐用年数が相当短縮されるというふうな見通しでございます。
  53. 武藤山治

    武藤委員 種類九百五十九あります中で、今回の改正の対象に考えておる数はどのくらいですか。
  54. 泉美之松

    泉政府委員 今回の改正におきましては、従来約千近い機種があったわけでございますが、これはアメリカの一昨年の耐用年数の改定の際にもございましたように、機種があまりこまかくなりますと、かえっていろいろ問題がございますので、今回の改正に際しましては、機種の種類をできるだけ三分の一程度に圧縮したいと思っております。そういう意味では全部の機種についてそういった検討を行ないまして短縮するわけでございます。ただ、そういったいままで三つか四つの機種に分かれておりましたものを一つに合わせますので、そうした合わせた場合には、従来の耐用年数と変わりはないけれども、合わされた結果、ほかの資産を持っておれば、そこの耐用年数が動く、こういったような事例も出てこようかと思います。いずれにいたしましても機種は相当減らすつもりでおります。
  55. 武藤山治

    武藤委員 ただ、この耐用年数短縮による減税の分布ですね。これを資本金別あるいは所得別にできるだけ——ぼくが聞きたいのは小法人に対する恩恵がどのくらいあるかということです。大蔵省としては、ただばく然と資本金が五千万円以下の平年度の減税は百五十一億円程度だと言っておる。これを積算した場合にはっきり何か基礎があるわけでしょうから、その基礎をはっきり教えてもらうこと、同時に先ほど私が言ったように、できるだけこまかいランクを設けて計算ができるならば教えてもらいたい。中小法人に対する恩恵が一体どのくらいあるかということを明らかにしてもらいたい。その資料を要求して、質問を終わりたいと思います。
  56. 泉美之松

    泉政府委員 いまお話しの資本金階級別あるいは所得階級別の耐用年数の分布状況というのは、資本金別は五千万とかあるいは資本金二百万とかいうようなところで大きく分ければできないことはございませんけれども、所得階級別の耐用年数の及ぼす影響というのは、ちょっと資料としてできないと思います。資本金階級別のほうでがまんしていただきたいと思います。
  57. 武藤山治

    武藤委員 それは資本金階級別でもよろしゅうございますが、大体主税局は、小法人に対する関心度が非常に薄い。もちろん税収は大企業からごっそり取っているからだとは思いますが、私が再三言っておるのは、小さい業者、小企業に対する恩典というものが租税特別措置法においても非常に少ない。こういう耐用年数においても、たとえばレースの機械の幅が少し大きくなければいかぬ、小法人の持っている小さいものは適用にならぬとか、いままでの耐用年数の問題も割り増し償却の問題も小企業の持つような機械には非常に冷淡なんですよ。だから私はできるだけ分布を、小企業、大企業、中企業と分けて、ランクをつけてひとつ知ってみたい。どうしてもできなければ、資本金別でけっこうですから、できるだけそういう資料をわれわれのところに提出願いたい。  以上で質問を終わります。
  58. 泉美之松

    泉政府委員 おことばではございますが、われわれは中小企業に対しましても減価償却の面で十分関心を持っておるのでございます。武藤委員承知のとおり、今回重要産業用合理化機械の特別償却の組合は従来の三分の一から四分の一に圧縮いたしましたが、中小企業用八一理化機械につきましては、従来どおり三分の一の割り増し率にいたしております。また中小企業者につきましては、中小企業の合理化促進法の適用業種につきましては割り増し償却、これは工場、建物を含めまして割り増し償却の例を開いておるのであります。特別措置におきましても、中小企業のほうを相当優遇するように考慮いたしておることは十分御了解をいただきたいと思うのであります。
  59. 武藤山治

    武藤委員 あなた、そういうことを言ったら全部資料を出しなさいよ。私が言っておるのは、中小企業といったって、いままでは資本金一千万、従業員三百人で区切っておった。ところが今度はがあんとそのワクを上げたわけですよ。ですから中小企業と一口に言っても、小法人に対するものと中法人に対するものとはえらく違うんですよ。全部そういう資料を出してください。
  60. 山中貞則

    山中委員長 委員長においてしかるべくはからいます。
  61. 有馬輝武

    有馬委員 関連して……。先ほどの農業ガソリン税の問題につきましては、いま会議録審査いたしましたが、重大なる問題を含んでおりますので、大臣に本委員会に出てもらいました際に、特に主税局長との答弁の食い違いについては明らかにいたしてまいりたいと存じます。特に、私、日ごろから歳入委員会、歳出委員会の国会におけるあり方につきましても一つ考え方を持っておりますので、そういった立場からもこの問題は究明してまいりたいと思いますので、その際に、特に政務次官からも前向きの発言がありましたし、そういう意味で慎重に取り扱ってまいりたいと存じますので、その機会に譲りたいと存じます。
  62. 山中貞則

    山中委員長 平林剛君。
  63. 平林剛

    ○平林委員 大蔵大臣がお見えになったら私もなお若干の議論をしたい点がございますけれども、きょうは一、二の問題について事務当局のほうから資料をいただくという意味で主税局長質疑をいたしたいと思います。  先般、私、中小企業と大法人の区分につきましていろいろの資料から議論をいたしましたけれども、いま武藤委員もお話しになったように中小企業と大法人、中小法人と大法人の区分というものが必ずしも明確でない。中小企業、大企業という区分のしかたを何によって行なうかということももちろん議論があると思いますが、従業員の数、つまりその規模において区分をする場合もございましょうが、最近のようにオートメーション化が進んでまいりますと、必ずしも適合しないということになりますから、私はむしろ資本金あるいは年間所得階級別に区分をしたほうが実態に即するのではないかという見解を持っているわけであります。  そこで最近の政府の統計資料のとり方は、その点に微妙な変化があらわれてきているというふうに感ずるわけであります。従来税制調査会の資料あるいはその他政府関係機関の出している資料を検討いたしますと、おおむね資本金は一千万円ということを限度にして資料を作成し、そしてまたわれわれの議論の対象になっているわけでありますが、一応これが中小法人といわゆる大企業の区分のしかたに資料的にはされているようですね。  ところが今回政府提案をしております法人税法その他にからまりまして、中小企業には六百億の減税をするということを一つのスローガンになさり、また具体的にその問題について検討されているようでありますけれども、これによると五千万円になっているわけですね。そこで政府としていろいろな税法上の取り扱いをする場合におきましては、今後は五千万円なら五千万円に統一をされて考えるものなのか、あるいは従来どおり一千万円程度を基準にしてお話しになるのかという点が最近やや混乱しているわけです。中小企業その他関係官庁の資料を調べてみますと、去年の八月あたりから統計のとり方も五千万円に格上げしているわけですね。私はそこの理由をお聞きしなければならぬと思うのであります。どういうわけで五千万円に書きかえていったのか、その理由と根拠をお話しいただきたいと思います。
  64. 泉美之松

    泉政府委員 これは平林委員御承知のとおり、三十八年に中小企業近代化促進法が制定されまして、この法律によりますと中小企業の近代化を促進する、中小企業というのは資本金五千万円以下の法人であるというふうに規定されております。そういった点から先ほど申し上げました租税特別措置法規定による中小企業者の工場、建物を含んだ場合の割り増し償却は、そういった意味で資本金五千万円以下の法人に適用することにいたしておるのであります。  なお租税特別措置法によります中小企業用合理化機械の特別償却につきましては、これは資本金一億以下の法人に適用するようにいたしております。  お話のように従来中小企業をどこで区分するかということにつきましては、資本金二千万、あるいは従業員三百人といったような基準もございましたが、中小企業近代化促進法によりましては、御承知のようにその二条で掲示が行なわれておりまして、業種によって資本金を基準にする場合もありますれば、あるいは従業員を基準にする場合もありますというふうに分かれております。いずれにいたしましても中小企業近代化促進法が出まして以降は、中小企業というものは資本金五千万円以下を言うのだというふうな規定になりまして、それ以後のいろいろな資料は五千万円を基準にいたしておるような次第でございます。
  65. 平林剛

    ○平林委員 私、この件については少し議論があるわけであります。なぜかと言うと、資本金の階級別に日本の会社を区分いたしますと、先回主税局長が御説明になりましたように五千万円未満のものは六十一万七千九百十四社ある、全体の九八%、しかしその説明を受けただけで一千万円と五千万円の区分はどうかということは明確ではございませんけれども、従来からの推移から考えますと、おそらく一千万円までの資本金階級別は九七、八%で、一千万円から五千万円というのはほんのわずかというようなことになるのじゃないかと思うのです。こう考えてみますと、資本階級別に日本の全会社を区分いたしますと、その大半が一千万円以下に集中されておるわけであります。これを所得階級別に考えてみましても、一千万円以下は、最近におきまして四十七万五千八百社という説明がございました。五千万円超一億円以下になりますと、急激にダウンしまして二千六百七社しかない。これを考えますと、政府の統計資料はやはりここ当分の間は一千万円を基準にして調査をし、統計資料をそろえていただくほうが、われわれがいろいろな対策や、あるいは今後の問題を検討する上においては便利である。そうでないと、いまお話のように一つの根拠法ができたから五千万円にするということだけでは、現在の実態には即していかないのではないかと思うのであります。ですから今後政府において資料あるいは統計をとられる場合には、やはり従来どおり一千万円を基準にしてやってもらいたい。そうでないと、われわれ資料を読んでみましてわからぬのです。途中変化が起きてしまうと比較対照がしにくくなる、こう考えますので、そういうふうにしていただきたいと思うのですけれどもいかがでしょう。
  66. 泉美之松

    泉政府委員 お話のとおりいろいろな法人税に関します統計を集めるときはただ単に五千万円以下、五千万円超といったふうな区別だけでなしにもっとこまかく階層別に分けて検討しませんと、たとえば所得の面におきましても、軽減税率の適用所得は三百万円でございます。そういったような点から考えまして、統計といたしましてはお話のように一千万円とか五百万円とかいったような区別をこまかく設けて作成するようにいたしたいと思います。ただ政府が中小企業に対して幾らの減税をやるんだ、こういった場合は、中小企業近代化促進法の定義に基づいて、五千万円以下の法人が中小企業になっているから、その軽減額を含んでこれは減税だ、こういうことはあろうかと思いますが、統計といたしましてはお説のようにいたしたいと考えております。
  67. 平林剛

    ○平林委員 いま主税局長からもお話がありましたように、年間所得三百万円以下の法人会社というものが四十万二千二百三十四社、全法人会社のまず五五%から六〇%近いものがあるわけであります。そういうことを考えますと、中小法人以下のものがある。零細法人と言ってよいようなものがこの中に含まれるというふうに思われるわけであります。そういう意味で政府がきめのこまかい対策をとるためには、むしろこうした区分を置き忘れないで、またむしろ一がいに大法人、中小法人というだけでなく、零細法人までの資料などをきちんとそろえることが必要であるということを申し上げておきたいと思うのであります。私もこの税法の検討をいたしておりまして痛切に感じますことは、政府の統計資料というものがみなばらばらである。ですから一つの問題についていろいろの角度から検討いたしたいと思いましても、第一政府の発表し、あるいはまとめられている統計資料の統一がちっともない、たいへん困るのであります。たとえば基準年度のとり方がそれぞれの資料によって違う。あるいはまたいま私が指摘した点につきましても明確を欠く点がある。政府関係各庁の統計のとり方におきましてもばらばらである。こうしてわれわれが一つの問題をつかまえる場合に、政府の統計資料で問題を把握するのには非常に困難を感ずるわけであります。これはあなたのほうの所管ではないかもしれません。内閣統計局とかそれぞれの冬関係官庁がありますから、あなたのほうだけに注文を発することは無理かもしれませんけれども、やはり政府において統一した統計資料のつくり方というものを検討してもらう必要があるのではないか。あなたのほうだけに限って考えてみましても、税制調査会に提出する資料でもやはり基準年次のとり方が問題によって違う。税制調査会の委員がこういう註文をなさるのが本来であろうと思うのですけれども、指数などをとる場合にはたいへん不便を感ずるわけです。少なくとも昭和三十九年度内におきまして、また残された懸案を税制調査会に諮問をなさろうというとき、あるいは積極的に答申をなさろうとする場合に、政府が提出する資料については、いま私が申し上げたような趣旨をくんで統一した形で積極的に協力するような態勢をとってもらいたいということを要望しておきたいと思うのであります。  そこで、きょう提出をいただきました政府の資料につきまして、これに基づき若干お尋ねをしておきたいと思うのであります。  過般私は大蔵大臣との間に租税負担率の増加ということにつきまして政府考え方をお尋ねをいたしました。そのときに毎年のように国民の税負担率が高くなっているじゃないか。政府は減税をした、あるいは例年減税をするとか言ってわれわれに答えるけれども、実際の租税負担率というものはだんだん高くなっておる。このままでは一体どういうことになるかわからぬということを指摘をいたしまして、政府の考えを追及いたしましたときに、大蔵大臣は、しかし社会保障だとか、あるいは文教だとか、公共事業だとかいう面に対するものをひとつ考えてもらわなければならぬというお話がございました。そこで私は政府に資料の提出を求めたわけでありますが、この政府の提出をした資料によりましても、租税負担率と社会保障関係費、あるいは文教及び科学振興費、公共事業関係費の間においてつながりがないわけであります。言葉ではなるほど租税負担率の増加だけを一面的に考えないで、社会保障や文教、科学振興、公共事業等についてあわせて考えてもらいたいとおっしゃるわけですけれども、実体がないわけですね。そういう意味におきまして、ことばで言う以上は国民に納得のできるような即応した中身というものをそろえなかったならば、われわれの租税負担率が高過ぎるという批判に対して対抗できないと思うのです。この政府資料をつくっていただいたわけでありますが、あなた御自身で考えてどうういうふうにお感じになりますか。
  68. 泉美之松

    泉政府委員 国民所得に対する租税負担率につきましては、平林委員御承知のとおり昭和三十六年度に国税地方税合わせまして二二・一%であったのでございます。わが国の国民所得に対する租税負担率につきましては、戦後一番低かったのが昭和三十年の一九・六%でございました。その後、三十年から三十四年までは大体一九%から一〇%台にあったわけでございますが、それが三十五年に二一%になりました。三十六年に二二%になったのでございますが、三十七年にまた二一・八%、三十八年に二一・五%というふうになって、今回二二%というふうなったわけでございます。お話ではございますが、このままで国民所得に対する租税食掛率が急激に高まっていくというふうにお考えになるのは早計ではないかと思うのでございまして、私どもといたしましては、毎年の減税によって急激にそういった国民所得に対する租税負担率が上がらないように努力をいたしてまいるつもりでおりますが、国民所得がふえますと、税制の累進構造からいたしまして、御承知のとおり税収は国民所得が一伸びる場合に、普通の場合でございますと一・五伸びることになっております。そういった点からいたしますと、どうしても国民所得に対する租税負担の率は上がる傾向にございます。それを下げるには相当の減税をやっていかなければならないということになります。そういうことで進めていきたいのでございまして、国民所得に対する租税負担率がそう急激に上がることのないように今後とも努力するつもりでございますので、どこまで上がるかわからぬではないかというような御心配は、ちょっと過ぎた御心配ではないかと思うのでございます。  それから、お話のように、国民所得に対する租税負担率を検討する場合に、社会保障、文教、あるいは公共事業といったほうの歳出面と比べてどうかという点でございます。これは平林委員御承知のとおり、世界的にも見ますと一人当たり国民所得が高くて——そういった社会保障あるいは公共事業といった面の歳出を大きくいたしておりまするが、各国国民所得に対する租税負担率がかなり高いことは御承知のとおりでございます。   〔委員長退席、吉田委員長代理着席〕  しかし、国民所得に対する租税負担率が高くても、歳出面におきまして、国民に対するサービスが多ければ国民としてはがまんできるという余地があるわけでございます。その点から言いますと、歳出の内容と国民所得の負担率というものをあわせて考えなければならぬと思うわけでございます。ただ、わが国の場合に、国民所得に対する負担率が三十年当時に比べて少し上がっておるが、社会保障関係の支出あるいは文教及び科学振興費、公共事業関係費の支出はどうかということになりますと、これは国民所得の伸び率が大きいために、国民所得に対する比率では、社会保障関係で三十年度一・六でありましたのが二・二と、〇・六ふえております。それから文教及び科学振興で一・九でありましたのが、二・一と〇・二ふえております。公共事業関係では、二・三でありましたのが三・〇というふうに〇・七ふえております。そういった点を合わせますと、国民所得に対する租税分担率の伸び率よりは、その合計したほうの伸び率が大きい。もちろん、これはベースになる金額が違いますので、単純にそういった伸び率だけで比較してどうこうということは私はできないと思いますけれども、そういった点で社会保障、文教あるいは公共事業関係に相当歳出をふやしておるということは言えると思います。しかし、それでは諸外国に比べてこういった社会保障の支出はどうかということになってきますと、これはもう平林委員御承知のとおり、諸外国のそういった方面の歳出に比べますと、わが国の社会保障の金額はまだきわめて少ない。したがって、今後そういった点を増加しなければいかぬというような事情があるわけでございますが、それを増加するということになりますと、いま申し上げました国民所得に対する租税負担率に上がってくるような傾向になる。ここにどういうふうなバランスを歳出と歳入の面においてはかるか、これが今後の財政の大きな課題であると思うのでございまして、私どもといたしましては、その点をよく検討しながらやっていかなければならないと思っておる次第でございます。
  69. 平林剛

    ○平林委員 その問題は多少大蔵大臣に聞いておかなければならぬ問題で、あなたに指摘するのは無理かと思いますけれども、この資料でわかるとおり、昭和三十年から比べまして、国民の税負担率は一九・六%から二二・二%へ、二・六%の増加を示しているわけです。私の推測ではこれがもっと伸びます。昭和三十九年度は、少なくとも二二・二にとどまらないと見ています。ですから、二・六はこれ以上に増加していくだろう、こう思います。これは推測でありますから、お互いの見解の違うところがあるでしょう。しかし、現状においても二・六違っている。ところが、社会保障関係、文教及び科学振興費、公共事業費を含めましても、その増加率は一・五%ですから、政府が言うているように、租税負担率が明らかに高くなっている。社会保障あるいは文教及び科学振興、公共事業関係においてプラスしているのだからがまんしてもらいたいということには、裏づけとしてなっていないということは明らかです。この点は少し大蔵大臣の頭に入れてもらいたい。政務次官もひとつ十分お考えをいただきたいと思うのであります。同時に、これは国民所得に対する割合を出しているにすぎないですね。御承知のように、国民所得というものは、全部の企業あるいは個人を合算したものの平均でございますから、そういう意味では、たとえば勤労所得あるいは農業所得、中小企業の所得、大企業の所得というぐあいに区分をしていかないとほんとうの意味の比較にはなっていきません。たとえば国民所得が全般で一〇伸びるといたしましても、勤労層だけを考えれば一〇は伸びないですね。同じようには伸びていきません。少なくともそれより低い割合でしか伸びないわけです。そういうことから考えますと、一がいにただ国民所得に対する比率だけを見ておりますけれども、必ずしも的確な対象ではない。これから考えましても、少なくとも政府の言うていることは、ことばどおりやられていないということを、この資料は教えていると思うのであります。そこで私は、この点につきまして、政府がわれわれの追及に対して答えるなら答えるらしいその面に対する配慮というものが具体的数字でも実証されていかなければならぬと思う。これは本委員会の論を離れることになるかもしれませんけれども租税負担率が逆に言えば高過ぎるということを指摘しておきたいと思うのであります。  そこで、この政府の提出した資料を見まして、どの年次を読んでみましても、国民所得の伸びに対して社会保障や文教及び科学振興費、公共事業費が足りないというだけでなく、自然増収の額よりもその分の前年予算対比の増加額が少ない、こういう傾向があらわれております。たとえば三十八年度自然増収が六千八百億ございましても、これら三つに要する経費の合計額は千九百六十億円でございまして、はるかに下回っておる。本年は国税、地方税合わせて、政府の言い分をとれば二千億の減税がございましたが、それにいたしましても自然増収をはるかに下回っていることは事実です。これを三十八年度、三十七年度、三十六年度、三十五年度と、いま政府の提出された資料に基づいてにらんでみましても、いずれも自然増収の額を下回っておる。こういうことになりますと、私は、現在の政府の施策というものが、徴税強化とまではいきませんけれども、予定以上の税収がありながらそれが他の必要な歳出増に向けられまして、その結果何回税率やその他控除額の減税調整をやりましても、税負担が重くなっているという現象になってきておると思うのであります。そこで政府で考えてもらわなければならぬことは、自然増収があった場合、せめてどういうふうなことをするかという基本的な原則を立ててもらわなければならぬじゃないか。自然増収があった場合は、大体こういう程度にするというものを頭に入れて、歳出の増、あるいは予算を組むというようなことでなければならぬ。これも大蔵大臣に議論をしなければならぬ点でございまして、あなたに注文するのはどうかと思いますけれども、補佐する立場において、自然増収があった場合はどういうふうにしたらいいかということを、大蔵省部内で研究なさっておるでしょうか。何かそういうような、煮詰まらなくても、どういうふうにしたらいいかというふうなおおよその考えがございましたら、それを明らかにしてもらいたい。
  70. 泉美之松

    泉政府委員 先ほど、国民所得に比較した場合に、歳出面で社会保障、文教あるいは公共事業の経費が租税負担率の増加率よりも伸びておらないじゃないかというようなお話がございましたが、国民所得に対する租税負担率は国税と地方税を合わせた負担でございますので、歳出のほうでも国税と地方税を合わせてみなければならぬと思います。そういう意味では一般会計だけで見るのがいいか、もっと歳出の内容を地方の分も含めましていろいろ検討してみる必要があろうかと思います。こういったことも今後努力いたしてみる必要があろうかと思うのであります。先ほどお話しの、自然増収が出た場合に、歳出面の要請と減税とどういうふうに振り向けるべきかということにつきましては、いろいろの見解があるわけでございます。ただ、歳出の需要もそのときどきによっていろいろ違います。本年度におきましては、繰り返し申し上げておりますように、前年度剰余金が千八百六十六億円も少ない。したがって自然増収を六千八百二十六億出しましても、実質的な増加財源は四千八百九十億であったということになるわけでございます。そういった点からいたしまして、減税の額にそういった制限を受けざるを得ないということがあるわけでございます。ただ、そういった年々の財政の動きを別にして、理念的には自然増収に対して減税がどうあるべきかという点につきましては、税制調査会の基礎問題小委員会におきましていろいろ検討いたしておりまするが、この基礎問題小委員会の中間的な見解といたしましては、自然増収のうちの三分の一は減税に充てるべきだ、他の三分の二を社会保障及び公共事業を中心とした歳出を重点に置いて歳出面に充てるのが適当である、こういったような考え方をいたしております。しかしそういった考え方でいきますと、国民所得に対する租税負担率をある一定率に押えるということは困難でございまして、長期的に見れば、国民所得に対する租税負担率は若干ずつ上がる傾向にならざるを得ないと思います。これを財政学者を含めていろいろ検討いたした結果、わが国の国民所得が今後相当増加して、西欧各国、少なくとも西独並みになっていくような段階におきましては、現在の国民所得に対する租税負担率二二・二といった数字を確保していくことは困難であります。国民所得に対する租税負担率はだんだん上がらざるを得ないだろうというのが、そういった財政学者を含めての検討の内容になっております。
  71. 平林剛

    ○平林委員 この問題についてはまたあらためて大蔵大臣質疑したいと思いますが、あなた、ときどき大蔵大臣の目ざす方向とあなたがしゃべることとは違ってくるので、問題があると思いますよ。さっきの農業用ガソリンの問題にしてもそうだけれども、この問題でもそうです。大蔵大臣はこう言っていらっしゃるじゃないですか。自由民主党の所得倍増計画に従って昭和四十五年度租税負担率は二一・五ですかに近づけるように努力する。あなたはあべこべで、そういう租税負担率はふえるかもしれぬというようなことを示唆している。しかもいま自然増収の配分にからんでそういう議論を立てている。どうも政府の言っていることとあなたの言っていることが違っておるので、重大な問題だと思うのです。そういう点は議論しなければならぬ点だと思います。私はあなたのおっしゃることを一がいに悪いと言うわけではないけれども、それにはやはり慎重なメリットというものが必要だと思うのです。国際的な比較についても、西欧のうち何をとるか、一番似通ったものは、私もいま検討しておりますが、たとえばイタリアが一番近いということになると、イタリアにおける現状と日本とを比較してどうだというふうに考えてもらわなければならぬ。ただ問題は、あなたのようなことを言っておると、だんだんと租税負担率は増加するだけですよ。そうして三十九年度におきましても、口では社会保障費あるいは文教及び科学振興その他で福祉国家の方向に向かっているんだと言うけれども、実際のことしの社会保障費を見ましても、国民所得あるいは歳出等と比較しても変わらず、かえって文教及び科学振興費は低下しているというぐあいに、あべこべになっておるんですよ。そうして二面において租税負担率だけが高まっておるということですから、なかなかあなたが言うておるようなぐあいにはいかぬのです。もっと逆な方向に動くんですから、かえって事務当局のほうが租税負担率については厳格な考えを持っていてもらわぬとならぬ。政治家のほうは、選挙やその他の関係で景気のよいことばかりを言うからどんどんふくれ上がるばかりになるから、事務当局がしっかりしなければいかぬ。あなたと大蔵大臣はあべこべの立場に立ってもらわなければならぬと思う。主税局長としての役割りを考えまして、あなたの言っていることはそういう意味でまさしくあべこべなことを言っていると私は思う。注意してもらいたい。  あと一点でやめます。所得税納税人員は昭和三十九年の見込みで約二千二十万人というのが提出された政府の資料に書いてあるのでございます。この納税人員は二千二百万人をあるいは下回るかもしれませんが、およそ二千万人と考えてみまして、一体及ぼす影響というのはどの程度に広がるというふうに考えたらいいでしょうか。つまり納税人員が二千万人かりにあったといたしましても、その中には世帯主の者もございましょうし、それからその配偶者の場合もあるでしょう、子供の場合もあるでしょう。いろいろこれを考えてみますとどういうふうに広がっていくのか。つまり納税人口は二千万人であるけれども、それによって扶養を受けている者、あるいはその関係下に置かれている者というのは国民層の中でどういうふうに広がっていくか、四千万になるか五千万になるかどいうふうになっているかというようなことを、何か政府のほうで算定した資料がございますか、これを聞かしておいていただきたいと思います。
  72. 泉美之松

    泉政府委員 まず、先ほどの点でございますが、大蔵大臣が国民所得に対する昭和四十五年の租税負担率を二一・五に向かって努力するとおっしゃられましたのは、政治的にそういうふうに努力するべきことは当然でございます。ただ、現実的に見通した場合に、所得倍増計画を策定いたしましたときに比べまして、すでに今日の時点におきまして、かなり様子が違っておりますので、昭和四十五年に二一・五といった国民所得の負担率にすることは、現実的な見通しとしては困難である、私はそういうふうに考えております。もちろん、それだからといって、とめどもなく国民所得に対する租税負担率が上がるということが望ましいことでないことは言うまでもございません。したがいまして、われわれ事務当局といたしましては、できるだけそういった意味で毎年減税を行ないまして、国民所得に対する租税負担率が上がらないように努力いたしたい、かように考えておりますので、その点は事務当局として努力が足らぬという御激励のことばと承りまして、今後とも一そう努力いたしてまいりたいと思っていることを御了承いただきたいと思うのでございます。  それから、今度の税制改正を行なう場合、所得税について申し上げますと、税制改正をもし行なわない場合には、所得税の納税者の見込みは二千七十四万六千人でございます。これが税制改正を行なうことによりまして千九百二十四万二千人になるのでございます。初年度に約百五十万人失格するということになるわけでございます。それでは、この失格するものを含めましてのこの二千七十四万六千人の納税者というものが、その扶養親族を含めて国民全体の中でどれくらいの割合になっておるかということにつきましては、御承知のように農業の場合の納税者がごくわずかでございます。その農業のほうで、従来からすでに所得税を納めておらない、したがって今回の改正がありましても影響を受けないという数が相当多うございますので、二千七十四万六千人という相当の人口ではございますけれども、国民全体の上に、その扶養親族を含めた影響がどの程度あるかということにつきましては、まだ詳細に作成した資料がございませんので、それを十分検討いたしまして、資料として差し上げたいと存じます。
  73. 平林剛

    ○平林委員 それでは、ただいま私の質問に対してのものが明らかではございませんから、何か政府のほうでまとめた資料があったら出してもらいたいと思うのです。これは所得税を納める階層が全国民の四割に過ぎないなんというようなことを自由民主党の相当の幹部が述べられておりまして、所得税の減税ばかりに集中するのはおかしいなんという議論がございますから、そういう意味でも私承知をいたしたいと思いますから、それを聞いてからまた私どもの見解を申し上げたいと思います。  ただいま泉さんは激励のために私が言ったと言うけれども、勘違いしてもらっては困るのです。そうじゃない。やはり政府は池田内閣のもとにおいて編成をされて、その大蔵大臣昭和四十五年度に二一・五%という租税負担率に近づけしめる、その努力をすると言った以上、これは公党の約来だ。公党どころじゃない、政府のやはり責任であり、約束です。私はそういうふうに承っている。ですからあなたが自然に放置すればだんだん高くなるだろうなんてよけいな心配をすると頭がはげてきますよ。あるいは田中大蔵大臣は今回行なわれたアメリカの大減税と同じようなことを構想しているかもしれません。だからそういうことを言ってもらっちゃ困る。決してあなたを激励したわけじゃないのです。しっかりしてもらいたいということを注意、勧告しておる。  いろいろ申し上げたいこともありますけれども、あとに質問もあるようでありますから、きょうは私はこの程度で終わっておきたいと思います。
  74. 吉田重延

    ○吉田(重)委員長代理 ちょっと速記をやめて……。   〔速記中止〕
  75. 吉田重延

    ○吉田(重)委員長代理 速記を始めて……。  竹本孫一君。
  76. 竹本孫一

    ○竹本委員 時間もありませんので、簡単に二つだけ伺いたいと思います。  一つの点は法人税の軽減税率の適用限度の引き上げの問題ですが、これはもう少し引き下げることができなかったかということと、できなかった事情、それから軽減税率自体を引き下げることにはどういう御努力をなさっておるか、伺いたい。
  77. 泉美之松

    泉政府委員 御質問のあとのほうの、軽減税率三三%をもっと引き下げるべきかどうかという点につきましては、先ほど武藤委員にお答えいたしましたように、わが国の現在の法人税考え方は、擬制説的な立場に立っておりまして、法人は個人が集まって事業を経常するために組織したものであって、個人が企業経営をやっていく一つの手段にすぎない。したがって法人税は個人の株主についての所得税の前取りであるという考え方をとっております。そういう点からいたしますと、法人税の税率はできるだけ一本化であることが望ましいということになるわけでございます。ただ、それではそういう基本的な法人税考え方がいいのか、それとも法人税は独立説的に考えて、その組織している個人と離れた一つの主体として見るべきか、これについては法人税制の考え方の根本問題としていろいろ論議のあるところでございます。したがって税制調査会におきまして、そういった検討が終わるまでは法人税率を動かすことはできるだけしたくない、こういう気持ちから軽減税率につきましては動かさなかったのであります。  それから、それでは軽減税率の適用限度を年二百万円の所得から年三百万円に上げておることになっておるが、これをもっと四百万円とかあるいは五百万円に上げるつもりはなかったかという点でございます。これらにつきましては四百万円にする場合、五百万円にする場合いろいろ検討をいたしたのでございますが、減収の金額等の関係もございますし、また先ほど申し上げましたような法人税に対する根本的な考え方の点もありまして、これをあまり動かすのは適当でないので、現在の二百万円に対する法人税率三一%というものがきめられました三十一年以降の所得の伸びを考えまして、三百万円程度にすることでがまんしていただくよりほかないというふうな結論に達したわけでございます。
  78. 竹本孫一

    ○竹本委員 時間がありませんので議論になるような点を省きましてもう一つ伺いたいのですが、三三%の問題ですけれども租税特別措置法があって、特定の大企業は実質的にこの税金がどうなっておるかという問題で、その三三%の比較を大きな会社について具体的に調査されたものがございますか、たとえば電力会社その他は実質的には二〇何%になっておるではないか。中小の場合が三三%であって大きな会社のほうは租税特別措置法の恩典があるがために、実質はそれがなかりせばという場合を比較した場合に、非常に不当な安い税率に法人税率がなっておるじゃないかという点でございますが、いかがでしょうか。
  79. 泉美之松

    泉政府委員 この点につきましては昭和三十六年五月から昭和三十七年四月までの間に、決算期の到来した法人について調査した資料がございます。これは大法人につきましては、所得金額一億円以上の場合を大法人と考えておりますが、これが百九十社、それから所得金額一千万円以下の中小法人百七十二社、この両者につきまして調査いたした数字でございますが、これによりますと総所得に対しまして、租税特別措置法のいろいろな恩典を受けました結果、大法人の場合には総所得を一〇〇といたしまして一八租税特別措置による恩典がありまして、課税所得は八二に相なっております。これが中小法人の場合には、総所得を一〇〇といたしまして租税特別措置法による特典を受けることによって一二減りまして、課税所得は八八になっております。この点からいたしますと、所得金額の大小によりまして法人の税負担率は違ってまいりますが、かりに所得金額十億円の場合といたしますと実効税率は三一・一四%になるわけでございます。それから中小法人の場合でございますが、所得金額五百万円の場合といたしますと、三〇・四四%といったような負担率になるわけでございます。その点からいたしますと表向きの三八%対三三%というのは相当縮まってはおりますけれども、しかし逆転して大法人のほうが税負担率が低くて、小法人のほうが税負担率が高いという状況にはまだなっておりません。
  80. 竹本孫一

    ○竹本委員 いまの点、これは重大な問題でございますから、資料としてまたあとで。三十六、七年の問題ですね、もっと最近のものが出ませんでしたか、もうそれ以後は無理でございますか。
  81. 泉美之松

    泉政府委員 最近のものももちろん資料として——相当手数な資料調査になるので、いずれ調査しなければならぬと思っておりますが、結局申告した姿だけではだめなんでございまして、国税局及び税務署におきまして更正なりの措置をとったあとの姿で見ませんと、ほんとうの姿が出てまいりませんので、そういった措置をとったあとで見ようといたしますれば、三十七年の四月に決算終了したのが新しい資料になるわけでございます。もちろんその後の数字についてもいろいろ今後調製いたしたいとは考えております。現在のところこれが最新の資料でございます。
  82. 竹本孫一

    ○竹本委員 国税庁の長官もお見えになっておりますから問題を移しまして、一、二伺いたいと思いますが、それはこの間この委員会でも問題になりました民商の活動についてでございますが、東大の遠藤教授もこの税制と現実のギャップとの間に民商が育つということを言っておられますが、ただいま主税局長説明ではまだ私十分納得のできない点があるわけでございますけれども、私の考えではおそらく百億以上の電力会社その他についてみれば、実質的には軽減税率よりも低い法人税になっておる、負担になっておると思うのでございますけれども、まあこれはまたあらためて資料もいただき、論議を尽くすということにいたしたいと思います。  そこで民商の問題について一言だけ伺いたいと思うのでございますけれども、私は民商の最近における非常な活発な活動の背後には、やはりいまの、先ほど来論じられております税負担の公平という点について非常な不公平がある。それに対する大衆の怒りといったような正義感に裏づけられた面も相当あるのではないかと思いますけれども国税庁長官はどういうふうに見ておられますか、伺いたいと思います。
  83. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 私は民商の反税的な活動が一般の国民、納税者の方々の正義感に基づいて生じたものだとは考えておりません。
  84. 竹本孫一

    ○竹本委員 そうしますと、民商の活動というものは全然正義感的な要素はほとんどない。ただいたずらに反税闘争あるいは反権力闘争だけの要素で動いているもの、こういうふうに見ておられるわけでございますか。
  85. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 もちろん民商なり、全商連が掲げておる方針の中にはそういうことば、税負担の公平あるいは中小企業に対する負担の軽減というような政策的な問題も含まれておることは十分私承知いたしております。しかしながら、日常の実際彼らが行なっておる行動等から見まして、そういう理想なり理念というものはもっと民主主義的な方法でもって実現をはかる道が開けておるわけでございますから、それをそうでない間違った方法で押し通そうとする、そういう行動から見まして、私は先ほど申し上げましたように、正義感から出発しておるというふうには考えられないのでございます。
  86. 竹本孫一

    ○竹本委員 議論になるところは全部省いていきたいと思いますけれども、大体民商活動はこの間週刊朝日でしたか、何かに出ておりましたけれども、全国的に一通りの拠点があると思うのですけれども、その地域的な分布はどういうふうになっておりますか。
  87. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 民商は全国的な組織を持っておることは、ただいま御指摘のとおりでございます。民商の組織のない府県は、岩手、福井、長崎の三県でございまして、それ以外の府県におきましては民商がございます。もっともその地域によって濃淡がございまして、民商の活動が非常に活発で組織の強面なところと、それから民商はございますけれども、比較的その動きが穏やかなところといろいろございます。
  88. 竹本孫一

    ○竹本委員 組織の活発な動きをしておる地域について特に問題になると思うのでございますが、これは大体選挙闘争とも結びついて、選挙の場合に、これは外国にも御承知のように大きな政治運動として巻き起こったことがございますけれども、そういう政治闘争、特に選挙の前に、選挙連動とからめて特定の政党の政治勢力を伸ばすといったような問題に結びついてこれが展開されておるというような傾向があるのでございますか。
  89. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 ただいま御指摘のとおり、私が見ましたいろいろな情報、資料等から考えますと、選挙と申しますか、特定政党の政治活動に対する結びつきというものは非常に強いというふうに見ております。
  90. 竹本孫一

    ○竹本委員 そこで、民商活動の問題につきましては、この前この委員会におきましても一応お話がございましたけれども、特にそれに対する国税当局の、法を逸脱する面についての取り締まりとか、あるいは民商活動が反税闘争、反税運動として発展することに対する対策とかいうもののお話はなかったようでございますが、その点を簡単に伺いたいと思います。
  91. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 私は民商の活動に対して、どういうふうに今後対策を講じていくかという点につきましては、二つの点を考えております。  その一つは、従来民商が集団の圧力あるいは税務職員に対するいやがらせ、脅迫、暴行、業務の妨害、そういうような方向できます場合に、調査を中途はんぱにして引き揚げるということになりますと、現在民商会員の申告水準が非常に低いところから考えまして、ますますそういう勢力をふやしていき、強大にさせていく原因になる。それがだんだん進んでいくと、ついには手がつかないような状況になるということが予見せられますので、こういう妨害なり調査の拒否に対しては、税務当局としては絶対に折れないで、調査の目的を達するまで十分力を注いでいくということでございます。しかもこれは短期間にせっかちに行なったのでは意味がございませんので、やはり国税庁の方針として長期にそういう方向を打ち出していくということが必要であろうと思います。  第二の対策といたしましては、やはり中小商工業者の方々に対しては、何といっても現在の税法が複雑でわからない。しかも税法に認められている特典すら理解できない方々が大多数だと思います。また日々の記帳につきましても、専門の経理マンがいるわけではございませんので、一家の主婦あるいは子弟が夜なべ仕事で記帳をする。その記帳もなかなか複雑であるというよな実情でございます。また専門の税理士さんにがかろうと思っても、月五千円、六千円という謝礼金をとられるというようなことも非常に問題がございますので、こういう中小企業の納税者の方々に対して、実費または低廉な費用でもって記帳の指導あるいは決算なり申告の指導というものを行なわなくちゃならぬ。これは単に税務官庁だけの力、もちろん税務官庁が第一の責任者でございますけれども、それだけの力をもってしては不十分であるというところから、税理士会なりあるいは青色申告会なり、納税貯蓄組合なりあるいは特別法による成規の商工会の企業指導員、そういう方々の力をかりて、そういう団体が団体として協力し合ってこれらの人たちに対する記帳なり税務の相談指導というものを活発に行ないたいということで、実は昨年の暮れに、青色申告会、税理士会、国税庁の間に協定を結びまして、現在各地でもって実施に移している状況でございます。
  92. 竹本孫一

    ○竹本委員 ただいまの第二の対策の関係でございますけれども、実はわれわれが知っておる限りにおきましては、その努力というものが非常に不徹底不十分でありまして、中小企業の悩みというものはほとんど解決されていない。民商に入った、あるいは入ろうとする人たちの声を聞いてみましても、結局このくらい親切によくやってくれるところはないという実感が非常に大きく動いておると思うのでございますが、そこで青色申告会とかあるいは税務指導の協議会とかいろいろお考えになっておるようでありますが、これが一体どのくらいの規模でどのくらいの範囲で行なわれて中小企業の悩みを具体的に解決することに役立っておるのか。端的に申しまして、たとえばそのために国税庁として予算は一体どのくらい使われておるのか。専売公社がたばこの宣伝のために一億二千五百万でしたか、使っているというけれども、中小企業に正しいそういう記帳の簿記のことやその他を教えてやる、そういうことのための努力にどのくらいの金が使われておるか。そういう予算面について承りたい。
  93. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 おことばを返すようでございますが、民商は非常に親切にやってくれて感謝しておるというおことばでございますが、私たちが情報として民商を脱会した方々から受けておる感触、もらっておる情報では、相当の報酬をとりながら、何にも記帳をやってくれない、税務署が来れば単に五人、十人押しかけてきて、そして帰れ帰れというように言って追い返す、それだけのことしかやってくれないので、もうあきあきしたということを言っておられる例が相当ございます。私たちの調査の結果もそのようでございます。  それから全国で、私が申し上げました第二のほうの対策があまり徹底していないというお話でございますが、これは御指摘のとおりでございます。実は先ほど申し上げましたように、昨年の十二月にそういう協定ができまして、まだここ三カ月足らずしかたっておりません。しかしながら目下着々と各国税局、税務署でもってこれを実施に移しておるのでございまして、いましばらくの御猶予をいただきたいと存じます。  それから予算的な措置でございますが、御承知のように従来中小企業庁におきましては、主として正規の商工会の中小企業指導員あるいは診断員、経営指導員、診断員という方々にはできるだけ税務の仕事はしてもらわないという方向で進んでおったのでございますけれども、ただいま申し上げましたように、昨年の暮れから中小企業対策としてそういう方々に十分この種の仕事を受け持ってもらわなくちゃならぬということに考えを変えまして、中小企業庁と国税庁と両方でそういう共通の努力をいたすことになったのでございます。  それで予算でございますが、昭和三十九年度、ただいま国会で御審議いただいております予算の中には中小企業庁の税務対策、こういう指導の経費として四千六百万円、また国税庁におきましては日本税務協会、これも同様の仕事を今後担当することになりますが千五百万円、合計して六千万円ばかりの予算を要求いたしておる次第でございます。
  94. 竹本孫一

    ○竹本委員 これで終わりますが、最後にいまの対策の問題だけでなくて、私は、この民商関係の雑誌等の記事を見ますと、大体新聞、雑誌の記事というものはとかく興味本位に書かれるのでございますから、悪代官と佐倉宗五郎に仕立てておりますが、こういうことはわれわれの健全なる民主国家のあり方として非常に問題だと思いますので、希望もあわせて申し上げますけれども、外国におきましても徴税関係の人はみんなパブリック・エネミーということになっておりますけれども、これは世界一般かもしれませんけれども、われわれは民主国家のあり方として税金は正しく取るべきものは取るし、取ってはならないものは取らない。取ったものは福祉国家建設のために使ってもらう。こういう政治の姿を、姿勢を直して、同時に納税につきましても正しい納税道義というものを高揚するということが、これは民主国家の一番基本的な問題だと思うのです。政務次官もいらっしゃいますので、最後にこのことを申し上げるわけでございますけれども、一体正しい税のあり方、使い方、取り方、また正しい納税の道義といったものについては、もう少しいままでのあり方というものを変えていかなければここに大きな問題が出てくるのではないか。特に憲法には三十条に税金のことは書いてありますけれども、これも一行書いてあるだけで、しかもそういうものを一体どの程度に、たとえば教科書は今度ただになりましたけれども、それは税金でただになっているのですけれども、その税金の取り方、使い方の問題についてはどの程度の力をさいてやっておるかといったような問題について、これからの民主国家の正しいあり方として税金の取り方や使い方についても反省を促すとともに、同時に正しい納税道義というものについては悪代官というようなあり方でなくて、もう少し自信のあるまた責任のあるあり方にすべきではないか、最後にこのことを申し上げて私の質問を終わりたいと思います。
  95. 纐纈彌三

    纐纈政府委員 御承知のように戦前は兵役、教育、納税を三大義務とかいって盛んに義務の問題については教育もし、世間もそういうことをいっておりましたが、戦後はどうも権利を主張して義務の観念が非常に薄くなっているというような傾向があるやに思われます。教育の問題は徹底してまいっておりますが、ただいま納税問題につきましては民商において運動をやっている。また一面においては相当税金も高いということもあり、あるいは不公平だというような問題も全然ないとは言い得ませんけれども、いま仰せのように学校教育等におきましても道徳の問題もいよいよ織り込まれておるというようなことでございますから、そういう方面におきましても納税の大事なこと、同時にそれがどういうふうに使われているかというような問題についても徹底せしめるような方法を講ずるようにいたしているような次第でございます。
  96. 吉田重延

    ○吉田(重)委員長代理 次会は、来たる三月三日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時十六分散会