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中野政府委員 先ほど二十八条の組合協約の認可はケースがないと申し上げたのですが、五十六条のいわゆるアウトサイダー規制命令は、これは相当活発にやっております。確かに、いま先生がおっしゃったように、一々審議会にかけておりますが、相当問題があります。問題があるというのは、関連業界、一つのアウトサイダー規制命令を出そうとすると、それの関連業界の代表あるいは学識経験者、特に消費者代表、そういうようなところの方々に審議会の
委員になっていただいて御審議願っておりまして、相当議論があって、必要最小限のものにしぼらざるを得ない。これは当然のことだろうと思います。しかし、それでもやはり
中小企業は非常に不況のために困っておりまして、五十六条を発動せざるを得ない。われわれも何もすき好んでこれを発動しようというわけじゃございませんで、業界の
実態から見てまことにやむを得ないという場合が、大体現在のところで四十六
業種について六十六の命令が出ております。したがってこれは相当活発に働いておるというふうにお
考え願いたいと思います。
それから、最近に起こりました大
企業進出の実例も相当でございまして、まあこれは中身は、時間があれでございますので詳しく申し上げませんが、また、これはたしか書類で
提出してあると思いますが、一番最近起こった例としては、みがき棒鋼、これは
中小企業者がほとんどやって、戦争前からやっておりますが、最近某大手の特殊鋼メーカーが大規模な設備拡充計画を実施に移そうとして、これはもうこれらに出てこられたのじゃ
中小企業者の生死にもかかわるということで訴えがございまして、それで通産省が中へ入って実情を調べて、必要な調整を行なって、大
企業の進出を取りやめさしたというようなケースがございます。それから魔法びんにつきましても、御承知かと思いますが、これは関西方面で大手の電機メーカーが、従来魔法びんの生産、需要の開拓等をやりました
中小企業の
分野に進出をして問題を起こしております。これは解決しておりません。それから石油ストーブも、先ほどちょっと
田中委員からお話がございましたが、これはもうすでに大
企業が相当侵食してきております。それから機械すき和紙、これについても某大手二、三の洋紙メーカーが、トイレットペーパーとか紙ナプキン、紙タオル、婦人衛生用品等に使用されるちり紙のようなもの、これに進出をして問題を起こしております。これも先般来通産省が中へ入りまして行政
指導をして解決を見ております。
中小企業者の方々に喜ばれております。それから紙コップについて、これはちょっと外国の
会社と提携をするケースでございますが、これも通産省が中へ入って調整しております。それから清涼飲料水のごときは、これはちょっと事情が違いますが、従来のラムネ、サイダー等をつくっておられた
中小企業の方々は、最近の大手の製菓、ビール、水産、商事
会社の進出によって大きくその
分野を食われている。しかし、これは種類が、清涼飲料水といっても相当範囲が広うございますので、やや問題は違うかと思いますが、そういうことになっております。それから過去の例としてクリーニング、これは顕著な例でございますが、
昭和三十六年に兵庫県において某大手紡績
会社が、
自分の
会社の納入したシーツ、まくらカバー等の洗たくを行なわせるために子
会社をつくって、そうして地元のクリーニング業者と問題を起こして、これは組合と交渉しまして、そうして、三十六年以降三年間、同社は、親
会社が納めた大口需要者、たとえば病院とかホテルとか大口需要者に親
会社が納めた製品だけのクリーニングをやるということで話がつきまして、協定ができました。そういうふうなケースが相当ありまして、従来行政
指導で何とかこれを切り抜けてやったわけでありますが、やはり一定の法的根拠があったほうが役所もやりやすいし、組合の方々も法的根拠に基づいて申し入れをするわけですから、向うも応諾義務があるわけで、非常にやりやすいのではないか。その
意味で、先般来、われわれもいろいろ聞いておりますが、特に商工組合の中央会を中心にして、また組合の方々はぜひ一日も早くこの
法律の制定をやってもらいたいという切実な訴えをしておられます。