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板川議員 二と三の問題について補足をいたしたいと思います。
わがほうの
市場支配的事業者の
経済力濫用防止に関する
法律、濫用
防止法、これが反対者の大きな意見というのは、独禁法の大幅な法域の拡大だ、ここに問題があるという議論が多いのであります。しかし私は、この
法律は決して独禁法の法域の大幅な拡大ではないと思うのです。なぜなら、いま御承知のように、独禁法では、いまの独禁法を
中心とする経済法の中で
独占企業における価格、これはほとんど認可制をとられております。たとえば電気にしましても、鉄道、バス料金等にいたしましても、これは認可制をとっておる。完全
独占な
企業体においては、この
企業体の利益と公益とを加味して認可制をとっておるのであります、また多数が協定をして
独占的な価格を維持しようというカルテル価格、このカルテル価格についても独禁法がこれを違法としておるのは御承知のとおりであります。ところがその中間にあるいわゆる
寡占的な
状態における価格、われわれこれを管理価格といっておりますが、この管理価格については、いまの独禁法には明確な規定がありませんが、本来なら私は独禁法で取り締まるべきだと思います。現行独禁法では、多数のものが協定をして、
独占的な価格を維持するというカルテル価格を禁止しているのだから、少数の
企業間であえて協定をする必要がない
状態のもとに、
独占的な価格を維持するという管理価格の場合には、当然これは独禁法の
対象になっていいという実は考えにあるのであります。完全
独占については、国の
規制を加えていることは御承知のとおり、
先ほど言ったとおりであります。だからいまの
法律のこの管理価格については、私は国家の
規制が加えられていいんだと思うのですが、独禁法の解釈上ではいまそれがとられておらないのであります。今度のこの特振法の
提案をしました産業構造調査会産業
体制部会の報告書、ここには管理価格についてこういう
答申をされておるのです。それは「管理価格がはびこると経済の効率が著るしく悪化するわけであるから、管理価格に対する配慮を怠ってはならないことはいうまでもない。従って、今後においては、価格形成の実態について十分な調査と分析が行なわれることが望まれる。管理価格を排除するための
施策については、一般論としては、
貿易自由化、関税引下げ、新規
企業の育成等による
競争の促進」これが一であります。二として、「事実の公表による世論の圧力の喚起」三として、「価格
決定に対する
政府の干渉等」があげられる。管理価格の現実に対して、こういった三つの点から
規制を加えらるべきじゃないか、こういうことを産業
体制部会において報告書を出しておる。ところがこの
政府の特振法は、そういう点は全く無視をして、
政府のそのほかの対策にしましても、この管理価格については事実を公表するとか
政府の
規制を加えるということまで
答申をしておるのに、何ら考慮を払われていないから、われわれとしてはこの
法案を準備したといってもいいと思うのであります。そういう
意味で、私はこの管理価格を
規制しようという濫用
防止法が、現在の独禁法を大幅に法域を拡大したというんじゃない、
田中議員が言いましたように、それは
一つの柱を抜きましたから、その点において拡大したことは事実でありますが、基本的に独禁法の
ワクを越えて独禁法を大幅に強化したというものじゃない、独禁法の不備を補完するという
程度である、こう思うのであります。それから本法の立法例でありますが、
田中議員が
答弁せられたとおりであります。ただヨーロッパにおいては、御承知のようにEECが発足をしておりまして、EECのローマ条約八十六条ではこれと同様な規定がございます。それを見ますと、八十六条では、「共同市場内又は市場の相当部分内での自己の優越的地位を不当に利用するような、一もしくは二以上の会社による行為は、
加盟国間の
貿易がそれにより影響を受ける限度において、共同市場と両立しないものとみなされ、禁止される。そのような不当行為には、特に次のものを含めることができる。」(a)として、「不当な購入価格、販売価格又はその他の不当な取引条件の、直接又は間接の賦課」ということで、そのほか四項目並列をしてありますが、EECローマ条約の八十六条において、こうした同様な趣旨を条約として規定をしております。これに基づきまして、EEC
諸国では、独禁法制に対する共同市場の共通した目標達成のために、いろいろの討議がなされております。これに従いまして、フランス等においても、最近法制化の整備がされたといわれておりますし、イギリスでは、
委員会において要望を発表した。従来は、イギリスのは事後
規制的な
——カルテルや
合併によって弊害が生じた場合には、弊害の生じたものを
規制するという考え方であったのでありますが、今後はそれを事前に
規制しようというような
委員会の要望等が発表されて、近く法制化されるという
段階であるそうであります。
以上、二点について補足をいたします。