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1964-06-05 第46回国会 衆議院 商工委員会 第54号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年六月五日(金曜日)    午前十時三十六分開議  出席委員    委員長 二階堂 進君    理事 小川 平二君 理事 小平 久雄君    理事 始関 伊平君 理事 中川 俊思君  理事 早稻田柳右エ門君 理事 板川 正吾君    理事 久保田 豊君 理事 中村 重光君       内田 常雄君    浦野 幸男君       小笠 公韶君    大石 八治君       神田  博君   小宮山重四郎君       田中 龍夫君    田中 正巳君       田中 六助君    中村 幸八君       長谷川四郎君    三原 朝雄君       南  好雄君    村上  勇君       加賀田 進君    桜井 茂尚君       沢田 政治君    島口重次郎君       楯 兼次郎君    永井勝次郎君       藤田 高敏君    森  義視君       佐々木良作君    加藤  進君  出席政府委員         検     事         (民事局長)  平賀 健太君         通商産業政務次         官       田中 榮一君         通商産業事務官         (重工業局長) 森崎 久壽君         通商産業事務官         (公益事務局         長)      宮本  惇君         労働事務官         (労政局長)  三治 重信君  委員外出席者         大蔵事務官         (大臣官房財務         調査官)    柏木 雄介君         通商産業事務官         (中小企業庁計         画部長)    井上  亮君         参  考  人         (電気事業連合         会会長)    木川田一隆君         (昭和電工株式         会社社長)   安西 正夫君         (電力中央研究         所理事)    清水金次郎君         (日本生活協同         組合連合会理         事)      竹井二三子君         (前東京発動機         株式会社会長)         (富士電気製造         株式会社社長) 金成 増彦君         (東京発動機器         株式会社社長) 平島 秀雄君         専  門  員 渡邊 一俊君     ————————————— 六月五日  委員米内山義一郎君及び伊藤卯四郎辞任につ  き、その補欠として永井勝次郎君及び麻生良方  君が議長指名委員に選任された。 同日  委員永井勝次郎辞任につき、その補欠として  米内山義一郎君が議長指名委員に選任され  た。     ————————————— 本日の会議に付した案件  電気事業法案内閣提出第一三六号)  中小企業に関する件(企業倒産に関する問題)      ————◇—————
  2. 二階堂進

    二階堂委員長 これより会議を開きます。  内閣提出電気事業法案を議題として審査を進めます。  本日は、本案審査のため参考人として、電気事業連合会会長木川田一隆君、昭和電工株式会社社長安西正夫君、電力中央研究所理事清水金次郎君、日本生活協同組合連合会理事竹井二三子君、以上四名が出席しておられます。  参考人の各位におかれましては、御多用中のところ御出席いただき、まことにありがたく存じます。会議を進める順序といたしまして、最初参考人方々にそれぞれの立場から大体十分程度の御意見をお述べいただき、次に委員から質疑がありますので、これに対しましても忌憚なくお答えを願いたいと存じます。発言の際は必ず委員長の許可を得てから発言してくださいますようお願いいたします。また参考人方々委員質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承をお願い申し上げます。かってながら発言順序委員長において決定いたします。  それでは、まず木川田一隆君から意見を承ることにいたします。木川田参考人
  3. 木川田一隆

    木川田参考人 電気事業連合会会長木川田一隆でございます。御審議中の新電気事業法案につきまして意見を陳述いたします。  戦後の荒廃した中に、しかもどの非常に激しい電力不足の中から、電気事業者といたしましては最初にもっぱら量の拡充電源開発ということを最重点政策として努力してまいったわけでございます。その結果、昨今に至りましては、ようやく需給のバランスがとれまして、三十八年度におきましては、全国平均におきまして余力が九・六%、三十九年の見込みとしましては一一・一%の余力を持つようになっております。ちょうど再編成の当時、日本電気事業ができましてから六十数年間に八百五十七万キロの発電設備をつくったわけでございますが、その後の十三年間に二千五百万キロ、約三倍になっております。したがいまして投下資本もきわめて巨額にのぼりまして、年々約二千億程度投資をいたしております。電気事業ができて以来六十数年間を費やしましてできた八百万キロを、この十三年間——と申しましても、再編成当時の二、三年間はほとんど混迷の状態が続いておりましたので、十年といたしまして、英米におきましては、十年間に二倍というのが通例になっておりますが、日本電気事業界におきましては三倍に拡大いたした次第でございます。したがいましてこの量の拡大生産力拡充第一中心主義がようやく効をおさめたという段階にまいっております。したがいまして、この量の拡大から何か新しい質の充実という段階に入る一つのいま転換期に会しているのじゃないかと私は思っております。外部条件情勢考えまするに、第一番に、御承知のように、日本経済国際化、自由化される、そのさなかにおきまして、一般産業界は従来の日本経済の二重構造その他の非常にいろいろな悩みを持ちまして、いま苦悩を続けておりますが、国際競争力の培養の苦悩の中にある産業界に基本的なエネルギーを供給する電力事業といたしましては、それに対する一般産業界要望というものは、非常に高度化と申しますか、企業能率性経済合理性発揮することの要望が非常に強いのでございます。これがいまわれわれの感ずるいわゆる経済界事業に対する要望の要点であろうと、かように考えます。  もう一つは、御承知のように、日常生活における電気普及度と申しますか、利用度と申しますか、それが非常に質的に量的に拡大されまして、その日常生活における必要度というものもまたいまだかつて見ないほどの重要さを増しておるわけでございます。したがいまして、電気事業公益性という問題につきましても、いまさらのように強く一般国民方々から要望されることが痛感せられるわけでございます。かように、日本経済電気事業に対する要望、それから一般方々電気に対する要望というものは、いずれもいまだかつて見ないほどのいろいろの立場において、あるいは経済性の追求なり、あるいは公益性の向上なりが強く要望される。これがわれわれを取り巻く一つ外部の新しい条件であると私は痛感するのでございます。したがいまして、いままでの量的な拡充政策が新しい道に転換すべき一つの時期がきておる。事業内部におきましても、水力中心とした日本電気事業がいまや六割方が火力になっております。そうして送変電設備技術革新も非常に進みまして、大容量化の傾向が非常に強うございます。その上に原子力発電というものも新たに加わりまして、かように物的、技術的の面におきまする革新と申しますか、それが事業界にまた内部的に起こりますので、管理の上におきましても、保安の上におきましても、新しい観点で見直すべきであるという実情に際会しておる、こう思います。したがいまして、こうした諸点を考えまするときに、われわれの経営立場経営のやり方、そうしてまた経営の基準になる法制度につきましても、新しい視角から見直す時期が外部条件として出てまいっておると私は考えます。  こうした時代要求に即応しまして、われわれ事業経営立場にある者の意識と申しますか、経営の根本的な考え方をいまあらためて方向づけを進めておるわけでございますが、その第一に申し上げたいのは、やはり一般経済界要望の、事業経済合理性をよりよく発揮すべしという要望に対しまして、われわれ内部経営におきまして、個別の企業ごとに、九社ごとにおのおの企業合理性を高度に発揮しようという経営方針を確立しつつあります。たとえば一番資金の要りまする電源その他の送変電設備につきましても、できるだけ合理的な立場においてこれを投資する。いままでは量的拡充に追われまして、質的の吟味が足らなかったのでございますが、いよいよ量の成功しました今日におきましては、内部に巨細にわたって投資効率の上がるような考えをもちまして進んでおります。それから在庫調整につきましても、これは資金回転効率を上げるという意味でございますが、それにつきましても、やはりいままでの拡充の時期におきましては在庫を多くして、生産力増強に向けるというひたすらの希望から、それもまた経済性を忘れておるわけではございませんが、幾分軽視されまして、非常にたくさんの在庫を持っておる、これらも資金効率観点からもちまして、つとめて整理をする段階になるというふうにいたしまして、企業経済性発揮ということを第一義的にとっております。  第二につきましては、これはもちろん申し上げる必要もないのでありますが、われわれ事業の強い社会性観点からいたしまして、できるだけ事業発展社会福祉発展とを結びつけるという考えをもって進んでおるわけでございます。地方の経済地域開発電気事業はおのおの大きな役割を持つということは御高承のとおりでございますが、その合理化の利得をたとえばサービス改善なり未点灯部落の解消なりといったようなある社会的な意味に、一つの果実を適正に配分しようというところまで進んでおるわけでございます。  そうした考えをもちまして、第三に申し上げたいのは、やはりこの膨張の日本経済と同じように、資産内容がきわめて悪化しております。これはいわゆる量的拡充に当然やむを得ず随伴する問題と思うのでありますが、たとえば二十六年の再編成当時におきます自己資本他人資本の割合は、自己資本が七、他人資本が三というふうに借金がきわめて少のうございましたが、ただいまはそれが逆転をしております。したがいまして、この企業内部借金政策による拡充というものは、長期的に見ますと、いつかは需用方々に対する一つマイナスとしてしわ寄せが転嫁される危険性を非常に痛感しますので、どうしてもこの内部体質改善内部保留増強によりまして救済しようというふうにいま向いておるわけでございます。  以上のように、経営立場におきましては量の拡充から質の改善にいま意を向けておりますが、これは個別企業経営方針でございますけれども、この個々の九社の方針が大体出そろってまいりました。もちろんこの考え方につきまする実践は緒についたばかりでございまして、今後の成果に期待するほかはございませんが、一応の方向はきまったようでございます。その上に、こうした個別企業のいわゆる質的経営充実ということにつきまして、われわれはさらにこの縦の一貫作業で、発電から配電までの一貫責任経営というものによりまして、企業性発揮ということを軸にいたしまして、そうしますと、どうしましても電気事業特殊性から見まして技術経済上、いわゆる広域的にものを見る必要がございますので、その欠陥が出てまいりますから、したがいましてこの欠陥を除去せんがために、いわゆる隣の会社との間における協調方式をとりまして、広域的運営の名のもとに実践に移しておるわけでございまして、縦の個別企業経営質的充実と、それに向かってこれの欠陥を補うために横の関係を軸にした一つ協調方式をとって、新しい電気事業運営観点といたしております。  広域運営は、御承知のように三十三年に始まりましたが、第一回の段階におきましては、もちろん既設設備の活用、いわゆる融通を中心にしておりましたが、第二回、いわゆる一昨年の東北電力料金改定の際には、東北電力が一たん上げましても、どうしてもまた再度の値上げを必要とするような情勢にあったわけでございますが、これを救済するためにはどうしても隣の東京電力一つのもっと進んだ広域運営をする必要がある。たまたま私もその際に側面的な助力をいたして、大口のお客さんたちと御相談申し上げてお約束しましたことは、広域運営強化しまして隣近所がもう少し援助方策をとりましょうというわけで、そこで初めて東北東京、それにその地域内の電発が入りまして、その三者間におきまして、それがもし一社の形において最経済的な技術開発をするには、どういう発電所、どういうユニットの、火力水力か知りませんが、送変電設備までも一社の場合には最経済的にするためにはどうすればいいかという想定のもとに、一つ単一計画をつくることにいたしました。御承知のように、コストの中に四割以上を占めるものはいわゆる電源資本費でございます。その資本費部分にメスを当てまして、これを一社的観点から最経済的な計画を策定して、それをそのまま各社がのむということになりますとこれは個別企業責任体制がくずれますので、それを土台にして、各社がそれを尊重した計画をおのおの確立するという形をとりまして、いわゆる発電送電、いわゆる電源側単一計画の推進という形になってあらわれたのでございます。その結果、全国的にそれが波及いたしまして、ちょうど三十九年から十カ年間に約百八十万キロ、建設費としますれば約二千億程度になりましょうか、その程度の節約ができるようになったわけでございます。かようにいたしまして、第二段階の際には、そのほかにたとえば只見川系電発の高い電力東北に流しておったものを、これを東京に回して活用する、そのかわり安い電力東北に必要な場合には送るというような点、それから送電線も只見から平方面工場地帯に送ろうとする計画が予算に入っておったのを削って、われわれの東京から、直接茨城方面から送るというような考え方で、ある協調の機運が盛り上がってまいったわけでございます。これが第二段階でございます。  第三段階広域運営といたしましては、ただいま始めたばかりでございますが、いわゆる資材の流用でございます。不要なAの会社資材をリストをつくりましてBに送り、BからAに送るというように、交換いたしましてそれを利用しよう、あるいはいわゆる災害時における予備品と申しますか、復旧品と申しますか、これが予想に反する膨大な予備品が必要なのでございますが、大体東北東京は時期を異にして災害が起こります。天然現象の結果の災害が起こりますので、それを流用する、一カ所に、接近地点に置きまして、それを流用するような考え方、それからさらに進んでは購入の点にまでも一及ぼうという考えを持っております。そのほかに機器の規格の統一、技術管理者の教育の問題まで共通に入っております。たとえば今度電発火力発電をするにつきましては、電発から、東北から火力専門家東京に呼びまして、東京の進んだ技術を共同で勉強するというふうなのがその例でございます。以上のようにもちまして、個別企業の質的な経営土台にしまして、その経済性の上に立って、それを軸にしまして、側面的な横の広域運営というものを自主的に始めておるわけでございます。  かようにもちまして、外部需用家側経済界一般方々電気に対する要望につきましても、新しい重要な要請がわれわれに出ておりますと同時に、こうした経営者基本的経営態度もまたそれに即応するような方途に進んでおるわけでございます。これらはいずれもまだきわめて不十分でございます。これからその方向に向かいまして努力を積み重ねてまいりたいと思いますが、考え方としましては、基本的態度といたしましては、時代即応体制に向かっております。たまたま今次の御審議中の電気事業法案は、いわゆる消費者生産者との利益の調整とか、サービス改善という理念の上に、さらに広域運営強化、あるいは手続その他の統制的な問題の排除、保安強化というような問題がさらに軸といたされまして、これがいわゆる事業審議会の答申の骨子でございますが、それらの理念とするところは、外部条件客観条件と申しますか、いわゆる電気事業に対する需用家側要請と、事業責任経営に当たりますわれわれの経営的意識と、ちょうどその理念において相一致せんとするものと私は考えるのであります。  私は大正十五年に電気事業界に投じまして以来、いろいろな歴史の経験を積んできましたが、たとえば十五年、大正の末期におきましては、群小の私企業が群立しまして、過当競争を重ねて、結論は、結局需用家に非常なマイナスの結果になっておる。それが次第に整理統合段階に入って、戦争中の、いわゆる国家管理命令経済電気事業は入ったわけでございます。それを経て、いまの体制に入っておるわけでございますが、それらの経験から見まして、結局電気事業の軸となるものは、やはり発電から配電までの一貫経営責任を持って経営する経済性発揮というものを軸としまして、一般需用要求にこたえるとともに、その欠陥としまする技術経済部分を横の広域運営をもって救済するという考え方が現実的には最も正しいのではないか、かように考える次第でございます。いま、われわれは経済性の上に立って、しかも社会性の自覚のもとに経営時代即応的に前向きに進めんとする意識を強く持っております。まだそれがきわめて不十分で、実際問題としてはいろいろと需用家側さんの御不満が多いと思いますが、大きな方向性としましては、時代即応の前向きの経営態度をとっておるものと思います。  その立場からいたしますれば、今度の新事業法は新時代に即応する前向きの法案と存じまして、ぜひ諸先生方の御審議の上、その制定を切望するゆえんでございます。もちろん制定の暁におきましては、われわれはその立法精神なり諸条文なりの趣意とするところを経営の実際におきまして実践する覚悟を持っております。さらにいささか自信もございます。このことを申し添えまして意見を終わらしていただきます。ありがとうございました。
  4. 二階堂進

    二階堂委員長 次に、安西参考人から意見を承ります。
  5. 安西正夫

    安西参考人 昭和電工安西でございます。  電気事業法案の御審議中でございますが、委員長がそれぞれの立場から意見を述べろということでございますので、私は産業用消費者立場から諸先生意見を申し上げてみたいと思います。  この法案につきましては、ただいま木川田会長のおっしゃいますように、広域運営強化であるとか保安に対する改善とかサービス部門に対するいろいろな処置とか許認可の簡素化とか、非常な進歩が見られておりますので、日本電気事業の健全なる発展のために、ぜひともこの法案を御審議の上、成立させていただきたいというのが私の結論的な意見でございますが、この法案はまあいわば基本的な問題でございまして、この運用について私どもは私どもなりの意見がございますので、それをできるだけ簡単に申し上げますので、お聞き取りおき願いたいと思います。  電力会社内容をよくしなくちゃならないということは、私どもも全く異論がございません。しかし、電力会社内容が悪くなって、これをどうするかという問題のときには、必ずすぐにそれじゃ電力料金値上げにいけということを政府におかれてはいままで考えられました。国家がどんな措置をとるか、多少はやっておりますが、私どもから見ると、まあほとんどなきにひとしいようなものでございまして、たとえば税制の問題につきましても、電気ガス税悪法である、電気税悪法であるということはほとんど全部の方々が認めておるのにもかかわらず、これを一ぺんにやらない、実に遅々としてやっております。これがまだ三百億程度あるのじゃないか。それから固定資産税につきましても、電力設備のような非常な膨大な固定費のかかるものについて、普通の固定資産税というのは一・四%が標準税率でございますが、二・一までの超過税率が認められておる現状で、これに対する超過分が適用されている。その負担額は非常に大きいのであります。それから事業税を課する場合に、われわれの産業ですと、総収入から総支出を差し引いたものに税額をかけます。ところが電気事業につきましては収入の全部に事業税をかける。法人税については一般と同じでございますから、この際申し上げませんが、そういうように特別に電気会社に税金を重くする。  それから金利の問題でございます。私はいつも考えるのですが、日本では金と電気はいつも足らないものだとあきらめておりましたが、先ほど木川田さんの御説明にありましたが、電気はどうやら一〇%がらみ余ってくる形勢です。これはまあわれわれとしては大いに電力事業者に感謝しなくちゃなりませんが、しかしこの電力業者が負担しております金利は、いろいろなもので見ますと、開発銀行の金が二五%だそうでございます。開発銀行だってそんなに安くない。外国の金利は五分で、電力会社が借りております平均金利が七分五厘程度でございます。われわれの借りておるのが一割近くでございますから、非常に内容が悪くなっておる電力会社に重点的に安い金利を、先ほどの木川田さんの、いろいろな意味のお互いの援助というものをそういう投資面あたりにもぜひひとつ考えていただきたい。  それから、水力電気は半分ぐらい日本電源開発されておりまして、あとはもうだめだというのが定説でございます。いまとうとうとして火力の大型をやっておりますが、しかしこの水力電気をこしらえまして、その七〇%か八〇%、かりに電気料金が四円だとしますと、七割の二円八十銭というのは金利なんです。水力電気というものは金利の固まりのようなもので、これが半分になれば一円四十銭下がり、相当日の目を見る。日本金利が高いということがやはり国際競争力をそぎ、産業発展を阻んでいるということがこういう点からも非常にはっきりすると思いますが、何とかしてひとつこの金利をできるだけ早く国際水準に、まあ不自然ではいかぬでしょうが、持っていきたい、いかせていただきたいということでございます。  それから、こういうわけで私は、電力会社内容が悪くなったらもうすぐ需用者電力値上げでやろうといういままでの考え方はぜひ改めていただきたい。いろいろなお考えで打つべき手があるのじゃないか。すぐ需用者に持ってまいりますから、ちょっと御参考までに申し上げますが、電力を主として使って産業をやっております会社はほとんど無配であります。専業業者無配であります。東芝電興東加工東北電気日本電工、極東工業福電興業東北電化日曹製鋼、粟村鉱業、これはフェロマンガンとかフェロシリコンとか、まあいろいろ先生方の選挙区の会社もあると思いますが、これは全部無配です。これはもう電力会社内容が悪くてはいけませんが、しかしそれを救うのにすぐ電力料金値上げに持っていく。しかも私がもう一つ申し上げたいのは、ここに竹井さんがいらっしゃいますが、ちょっとお耳ざわりかもしれませんが、政府におかれても電力会社におかれても、主婦連合会にあまりに遠慮し過ぎます。終戦後の電気料上げ方というものは、どうしても上げなくてはならないということになった場合に、どうも産業用の、ものを言わないほうにうんと比率を上げて、家庭用電気は上げない。それが民主主義だというふうになっておる。これがこういう産業無配になる一つの原因だと思いますが、あまりにも主婦連合会——われわれの家庭にも主婦がおりまして、電気が上がった場合には一生懸命消せば相当家庭では値上げも吸収できるのですが、産業用は、電力会社がくれるから使う電気で、電気の性質が違うといってもいいくらいで、家庭は入用なときにつけられる、要らなければ消せる電気なんです。われわれは電力会社がくれるときに使う電気で、本質的に違うのに、とかくどうも家庭用消費部面が尊重されてきております。これはぜひひとつ考えていただきたいと思います。  それから、もう一つ申し上げたいのは、自家用電力を大いに奨励していただきたい。諸先生方政府との質疑応答を拝見いたしますと、自家用を援助したらどうかという先生方意見に対して、政府におかれては、決して抑制しておらないという答弁であります。私どもとしては、押えておらないのじゃどうも不満足で、これをぜひ助長していただきたい。われわれをして言わしめるならば、非常に量もふえてきましたし、今後電力料金の上がる最も大きな原因というのは変電設備送電設備だと思います。われわれはどうしても、そういう高い電気では国際競争力——結局石油化学が起きても何でも、電気をどうしても使わないとできない製品がありますから、それに電気を使わして、国際的競争ができなくなれば外国から入ってこざるを得ない。ですから、そこでわれわれは自家発電を自分のそばでつくる。送電設備も要らないようなところへつくるという場合に、国家資金のワクがないのです。別に自家発電開発銀行の金を入れちゃならぬという規則はございませんが、ワクが電力会社でなくなってしまいますから、私どもがつくったときには比較的安い金利の金が回ってこないというようなことでございます。それから、たとえばボイラー規制法なんかでも、一般電力事業と自家発電とは区別しております。差別待遇をしております。結局電気というのは同じなんで、われわれが使うのをつくらなければ、電力会社からいただくことになるわけですから、公益事業なみに考えて、電気事業者と、そういう点において差別待遇をつけないようにしていただきたいと思います。  時間もあまりございませんから、私どもの運用に伴ってこういう点をひとつ御考慮いただきたいということを具体的に申し述べ、事業法については私はどうしても成立を希望するということで終わらせていただきたいと思います。
  6. 二階堂進

    二階堂委員長 次に、清水参考人から意見を承ります。
  7. 清水金次郎

    ○清水参考人 私は、電力中央研究所の清水でございます。私の立場は学識経験者で話せということでございますので、いささか新電気事業法案につきまして見解を申し述べ、御参考に供したいと存じます。  ポツダム政令によりまして改正を約束されておりました旧公益事業令と昭和六年に制定されました旧電気事業法の一部とを、今回、現在の電気事業に適合させまして、あわせて今後の電力行政の指針ともなるような御配慮のもとに定められましたのが新電気事業法案の骨子ではないかと考えられます。  そこでまず第一に、電気事業編成令によりまして設立されました現在の九電力会社地域的独占事業でございましたが、今回、自家用等の事業と競争もできるというふうに改正されたように聞いておりますが、電気事業は公益事業でありますと同時に、多額の資本を必要とします重機械設備産業でもありますので、その経営については常に設備のコストダウンを心がけまして、増大します需用に安定した料金で供給することが最も望ましいと存じますので、今後一そう責任ある経営が期待されることと信じております。すなわち、これは経験から申しまして、私企業的に経営する現在の方式が、過去十数年の実績から考えましてよいと認められた結果ではないかと考えられます。また、九つの地域、九電力地域につきましては、わが国が四つの島であるという地理的条件と、過去数十年にわたりまして発達しました電気事業の歴史などから考えまして、なお周囲が海岸でめぐらされておりますわが国では、今後は石油——主として重油でございますが、重油発電発電の主体とならざるを得ないという観点から、現在の地域電気事業の区分のあり方というものは今後も妥当ではないかと考えるのでございます。  第二には、電気事業に特有の性質であります電力の輸送というものを最も経済的にするためには、電源と密集しました需用地とを単に送電線でつなぐばかりではいけないと思います。それは、その需用の負荷の変動性をよく調和することをしなければならないと思う。すなわち、いわゆる広域的に電源電源あるいは需用地帯と需用地帯とを連繋しまして運用をするのがよいというふうに考えられたのであります。これは広く欧米では二、三十年前から行なわれているところでございます。この狭い日本でもその必要性があるということが漸次認められてまいりまして、去る昭和三十三年以来、北海道を除きました他の八電力会社の間に、相互に強力な送電連繋を行なうべきであるということが考えられまして、着々計画が進みまして、一昨年、四国と中国の連繋をもちまして、全国的に現在では強力な送電連繋が完成されまして運用されているのでございます。しかし、その内容は、電力の需給のアンバランスを除くために主としていままでは電力の融通が行なわれたのでございますが、今後は、先ほど木川田社長もお話しございましたように、増大いたします電力設備計画を最も経済的に、そうして合理的に開発し、そうして運用をする、たとえば、予備を供与するとか、いろいろ技術的な問題がございますが、すなわち広域的にこれを考えて協議し、計画を立てるということで、そういうことをいたしますと、ひいては地域的ないわゆる経済のアンバランスというものも直し得る一つの方法ともなるのかと考えられている点でございます。この見地から、今回広域運営の精神が法律にうたわれまして、電気事業者が自主的な相互の協力体制をとるべきであるというふうに法案はうたっておるのではないかと考えるのでございます。  第三には、この私的企業によりまして一般電気供給事業を営むという精神は、事業者の責任において、かつ近代的な競争の原理に従いまして、各電力会社は合理的な経営を行なうように努力する。これも木川田社長が申された点でございます。すなわち、経済上の国家の規制というものは、商法に準ずる規制の程度まで緩和されていいという主張に対してお認めを願われた点であるのではないかと存じます。しかしながら、この電気事業の目的は、本来は一般需用電気を供給するという、いわゆる最も大衆に接します公益性の強いものでありますから、供給上のサービスその他の面から、公平に考えましても、ある、国の法律的の規制というものがあるのは当然ではないかと思います。たとえば電気の質、供給責任、供給義務、保安責任等というものにつきましては、従来より増して強化された点もあるのではないかと考えられるのでございます。  第四番目に、電気事業者が最も関心を持っておりますのは、料金制度と供給規程の問題であります。従来この点は省令に譲ってあったのでございますが、今回電気料金の算定基準並びに原価主義による料金制の確立、まあ従来から行なわれておったものでございますが、これが法案に明記されました点は、まことにけっこうであると存ずるのでございます。電気事業というものは最も高度の設備産業でありますので、その発電方法は時代とともに急速に近代化を求められておるのでございます。電力の原価の四割程度がこの発電設備を近代化するかしないかということできめられるのでございます。したがって常に更新あるいは近代化が可能なような経営上の配慮をぜひ必要とするのでございます。裏を返していえば、固定設備の減価償却というものを早くして、社内保留を充実しまして、新規の電源の資本金コストを下げる、安西さんは政府資金もある程度入れたらどうかというお話がございましたが、ただいまはある程度自立できておるのでございますので、政府資金は漸減ということになりますと、どうしても社内保留を充実することによって、資本コストを低下することを心がけるのが最も必要なことでございます。これによりまして、電気料金というものは長期に安定するのでございます。このためには可能な限り定率償却ができるというような考え方にお願いをするべきではないか。そうだからといって、料金が直ちに上がるということは私は考えられないかもしれません。いわゆる企業間の格差というのが現在は問題になっておりますが、この社内保留のいかんということが結局現在の電気事業会社企業の格差に大いに作用するということから考えますと、やはり資本の蓄積が大事ではないかと存じます。供給規程は一般電気事業者需用者電気の供給契約でございますので、全国的に各社間ではなるべく歩調がとれるような御指導が必要ではないかと存じますが、そのためにはあるいは一、二の料金の手直しという程度のものもあるかも存じません。  最後に、この法案はいわゆる終戦処理法案として残されたものの一つでありまして、多年の懸案であったものでございますが、すでに供給力の安定を見まして、経済上でもまずやっていけるというふうになりました電気事業に対しまして、今後のあり方についてその基本法となりますこの電気事業法案のすみやかなる成立を願うものでございます。  なお、法の実施にあたりましては、技術上なお多くの施行細則を必要とするというように聞いております。そしてその細則が実施されまして初めてこの法案が運用され、今後ますます発展する電気事業の供給の安定と経済的な効果を期待するように考えているのでございます。また公益事業といたしましての国の監督、指導というものはもちろん必要と存じますが、その運用にあたってはよい御配慮が望ましいと考えておるのでございます。
  8. 二階堂進

    二階堂委員長 最後に、竹井参考人から御意見を承ります。竹井参考人
  9. 竹井二三子

    竹井参考人 私は、日本生活協同組合連合会の理事をしております竹井でございます。  私は、小口電力消費者、つまり家庭電気の使用者の立場から、きょうはこういう場で皆さんに御意見をお聞きいただけるということは、たいへん感謝いたしております。とかく私たちはまま子扱いをされておりまして、その不満というものがしょっちゅうございまして、こういう先生方のいらっしゃる前で、しかも法案制定前に意見を聞いていただけるということは、それだけでもたいへん前進しているということでたいへん感謝しております。今度の法案が、電気事業の健全な発展と利用者の利益を擁護するという精神に基づいてこういう法案が用意されたということに対しては、たいへんありがたいことだと思います。しかしながら家庭電気を毎日使っております上で二、三不合理な点だの、それから不満なところがございますので、そういうものを述べさしていただきまして、そしてこの法案決定をしていただく上の御参考に供していただきたいと存じます。  私どもが一番身近に感じますのは、料金制度のことと、それからサービスの問題でございます。その他むずかしいことは私ども家庭主婦ではなかなかわかりませんし、それから電気事業そのものが何か遠い雲の上のような感覚で、そしていつも一方的に押しつけられて、しかたなく泣き寝入りをしながら金を払うといったようなことでございまして、決してこういうことがいいことではないと私たちも考えておりまして、少しでも電気、ガスのような日常欠くことのできないものに対する企業がどういうふうになっておるか、またその料金がどういうふうにしてきめられてくるかということを家庭主婦として知っておかなければならない義務があるのじゃないかということを感じております。その料金制度は消費者が、これは自由に選択ができないようなものでございますが、ガス、電気などというものは高いからやめておこうとか、こちらの品物を買いましょうというふうなわけにはまいりません。ガスよりもなお電気のほうがそういう性格が強うございます。燃料の場合は、木炭とかまた電気とか、プロパンとか、それにかわるものがございますけれども電気の場合は、それにかわるものがございません。ですから、われわれから見れば電力というのは一つの商品であるというふうに見ているのですけれども、選択の自由の許されない商品でございます。そういう商品がどうしてこういう値段になってくるかということが全然わからないままに金を払うということは、何と不合理なことよということでいつも感じておるわけでございます。  その一つの例といたしまして、知らないほうが悪いと言われれば悪いのですけれども、料金のきめ方が非常に複雑で、われわれには簡単にわかるすべもないきめ方でございます。たとえば基本料金といいますか、契約料金というものが一つあって、それから単価というものが一つあって、これに加えて消費税というものがあるわけでございます。毎月検針されまして、そうしてお金を払うのにその領収書の欄を見ますと、税抜きの料金という欄がちゃんとあるわけでございます。ところがその税抜きの料金の欄には記入してございません。ですから、これは何と消費者を欺瞞しておることであろうと、私はいつも電力会社に対してそういう不満を持っております。やはりそういう欄がある以上、ちゃんと税を抜いた料金というものはこういうものであるということを親切に記入していただきたいと存じます。  それからその料金の支払いの問題でございますけれども、検針の翌日から二十日間以内に支払わなければ料金が違うわけでございます。こういうふうなことは、税金でもいま延滞料というものがわずかしか取られないような時代に、電気料金だけが二十日間の支払い期間を過ぎたものに対しては料金が違うというふうな考え方に対して、非常に高圧的であるし、独占的であるというふうに考えております。その言い方が早収料金ということで、早く払った人は安いのだという名目になっておりますけれども、私は電気料というものは、早く払ったから安いとか、おそくなったから高く取るとかいう性格のものではないはずのものだと思います。そういう料金制度に対する不合理といいますか、そういうものに始終非常に疑義を持っております。  それから、先ほども安西さんがおっしゃいました電気・ガス消費税というのは、全く悪税でございまして、なぜこういうものから税金を取らなければ国家財政がまかなえないかということです。  それから、税金がどれだけかかっているかということが知りたくて、この間も電灯会社に聞きましたところが、基本料金プラス使用料総額に消費税がかかるんだとか、いろいろな不明確な回答があるわけです。そんなはずがないんじゃないかというのでよく見ましたら、やはり契約料金には税金がかからないようになっているように私は解釈いたしましたが、その辺、末端の電灯会社そのものが、担当している窓口で解明ができないような状態で電気事業というものがいま運営されているというところに、私はやはり大きな不満を感じます。  それからその次に、原価主義ということを貫かれておりますが、これはたいへん企業の健全性ということからけっこうなことで、それが見返ってわれわれ電力を消費させていただく者の益になるということはわかりますけれども電気事業というものの公益性というものを考えましたときに、徹底して原価主義であっていいものかということを感じるわけです。それで先ほど安西さんがおっしゃいましたように、やはり国家的な援助といいますか、資金面だとか、いろいろな面での援助があって、そして料金というものが計算されていいと思います。この法案の第十九条に「適正な原価に適正な利潤」ということばがございます。この利潤ということが、どれだけが適正で、それがコストにどういうふうに織り込まれているかということが、やはり消費する立場からは納得したい点でございます。そういうのがすべて、その利潤それから原価を含めたものが消費者負担ということにかかってくるのではないかと思います。  それから、大口使用者とわれわれの小口使用者との料金が全然違います。安西さんが、非常に小口消費者を保護しているとおっしゃいましたが、逆に私たちはいままでさんざんいじめられてまいりましたので、この辺で幾らか小口使用者のほうに目を向けられた料金制度が打ち出されたということの程度で、まだまだわれわれが全面的に優先的に保護されているとは考えておりません。家庭電気というのは、やはり消せばそれでいいというものではなくて、倹約できるというものではなくて、ますます大量に使用していくということが家庭の生活向上であり、電力会社のプラスである、私はそういうふうに考えております。われわれは契約料金というもので、ブレーカーがついておりまして、それ以上使ったらぴしっと電気が消えるようなきびしい処置を受けておりまして、それに対してまで金を払って権利を買っているわけでございまして、そういうような家庭の状態のもとで、要らないときには電気を消せばいいんだというのは戦争のときの考え方で、われわれはますます安い電気を大いに使って家庭の文化向上を期していきたいというふうに考えているわけでございます。  それから料金の点でございますが、三十六条などに償却に関する条項がございますが、これはすべて事業の安定という立場から考えられた条項でございまして、それが結局コストにプラスされて、料金という中にそういう償却分もみな入ってくるということは、これはわれわれしろうとから考えても考えられるんじゃないかと思うのです。その膨大な投資に対する償却を電気料金というところにプラスされて経営の健全化をはかっていくということは、あたりまえではありますが、電気事業という公益性から考えて、そういう点はたしていいのかどうかということに対する一つの疑義があるわけでございます。  料金のことはそれだけでございますが、先ほど広域運営というようなことをおっしゃって、縦の列だけでなく横の提携をはかりながら、電気事業の健全とコストダウンを考えながらやっていくのだというふうなことで、理論的には私もたいへん賛成でございますが、えてしていままで日本企業の中で大きくまとまるということは、一つの協定を結ぶ場となり、それが独占ということばになってわれわれの力の弱いところにしわ寄せされるという結果を、いままでさんざん苦い経験をしておりますので、そういうことのないように、運用の面でかなり徹底した御配慮をいただかないと、やはりいまでさえ何か雲の上の電気事業が、ますます各社が横のつながりを持ちながら大きく互いに提携していくという中で、協定なり独占なりという形が強化されないようにぜひお願いいたしたいと思います。  それから電気というものはわれわれの生活に欠くことができないし、それから生活の層によって価格が違うというものでなくて、非常に高い生活層の人も低い生活層の人も同じ料金を半ば強制的に払っていかなければならないという事業への国家の配慮というものが、ただ規制ということだけでは済まない問題じゃないかと思います。ですからやはりこれに対する援助ということを安西さんがいまお述べになりましたけれども、そういうものを全面的に考えていただいて、そして健全な事業発展がすべて消費する者の負担で行なわれていかないように、強力な国家的な御配慮をお願いいたしたいと思います。  失礼いたしました。
  10. 二階堂進

    二階堂委員長 以上で参考人方々意見の陳述は終わりました。     —————————————
  11. 二階堂進

    二階堂委員長 次に、政府並びに参考人に対する質疑の通告がありますので、順次これを許します。  その前にちょっとお願い申し上げますが、質疑の通告者も多数ございますので、ひとつ簡潔にお願い申し上げます。始関伊平君。
  12. 始関伊平

    始関委員 ただいま四人の参考人方々からたいへん傾聴すべき御意見を拝聴いたしました。ただいまの御意見がそうでございましたように、この委員会でも電気事業法案内容と申しますよりは、その適用を受けるべき電気事業の実態と申しますか、あり方、いわゆる電力企業形態などの問題が中心になって論議されております。先ほど木川田さんがおっしゃいましたように、再編成後、発送配電の一貫体制ということで、自主的な責任体制が確立されて、その結果として経済合理性というものが発揮されるようになった。それから電力会社としては、一番大事な電源開発をやられまして、供給責任を果たしておる。再編成後の九配電というものが、まあまあ相当な成績をあげておるということはたいていの人は認めておるところだと思いますが、しかし一面において、電力事業がいわゆる私企業であるということと、それから電気事業がいわゆる地域的な独占事業で、公共的な使命を持ったいわゆる公益事業である、こういうこととの間に何か本質的に矛盾があるのではないか、こういうような議論もしきりにされております。たとえば電力業界の先輩の中には、私企業としての精神に徹すべきであるということをおっしゃった方もあります。そういう考え方に従いますと、引例が適当であるかどうかわかりませんが、これからつくる発電所はすべて重油発電、石油発電がよろしいということになりますと、一方これは国家的な要請から石炭を使ってくれということがありましたが、石炭は使ってもいいが、それは石油の価格と見合うところまで下げろ、つまり電力会社のほうから言えば、そこまでたたくわけですが、そうするのが当然だというような意見も実はこの委員会で拝聴したことがございます。この問題はもう済んだ問題でございますし、またわれわれの希望に近いような妥結を見ておりますので、あらためて問題にするわけではございません。  そこで木川田社長にお尋ねをしたいのですが、その他未点灯部落の問題も非常に御熱心におやりになっておるようでございますが、屋内配線は別として、そこまで持っていく配電線は、東電なら東電がやらなければならぬ。これはあまりもうからないといいますか、利益を追求するという点からいえば、あまり触手が動かぬような場合が多いと思います。その他いろいろな事例があると思います。公益事業である電気事業が私企業であるということについて、ふだんのお仕事の上で何か矛盾を感じておられる点はないか、もしあれば、そういう場合に一体どういうような考え方なり信条なりで問題を処理しておられるのかということを、ちょっと最初にお聞きしたいと思います。
  13. 木川田一隆

    木川田参考人 いまの御質問、私企業企業性公益性との問題、非常にむずかしい問題かと思いますが、私は一つ経営理念といたしまして、電気事業におきましては私企業能率性公益性とは矛盾するものではなくて、相一致するものであるという考えを持っております。さらに、単にそれを調和するという考えよりも一歩進みまして共益、共同の利益と申しますか、お客さんと生産者との利益を最大にすることを経営方針としたいということを考えておるわけでございます。たとえば大口の五万キロのお客さんがあると仮定いたしますと、いままでピーク時に五万使っておる会社の使用の実情を調査しまして、それを四万五千に減らすことができる、もしくはある一部分を深夜に持っていくことができると仮定いたしますと、生産コストが安くなるわけであります。その部分だけ幾分今後の発電増強せぬで済むというコストのセーブができると思います。したがいまして、その部分はお客さんの規定料金を下げてもいいのではないか、いわゆる利害が一致する。会社も利益するがお客さんも利益するという一つの例に共益の発動という名前をつけて、いま動き出しております。目的はやはり私益性と公益性とは調和するという考えを持っております。観念的には非常に相矛盾する概念のように考えますが、実際上の電気事業の進んだ経営から見ますと、私は共益負荷こそ、共同の利益こそ生産者消費者の利益の極大を願うということにおいて、電気は非常に大きな特質がある。私益性と公益性とは相一致するという考えを持っております。  それから未点灯部落の問題でございますが、原価主義からいけばもちろん赤字であります。たとえば東京電力の例をとりますと、島のほうは年に八千万円の赤字になっております。しかし、公益性観点からいいますと、企業努力、これは原価に入っておりません企業努力をして、未点灯の家庭に電灯を送るということを、企業努力した部分の金でもって補う。それから一部は例の導入法によりまして、御承知のように五戸以上の部落に対しては百十六万でございましたか、補助を政府がやるという制度がございますが、それと両々相まちまして、県のほうにわれわれは未点灯を解消したいんだ、それがためには政府の予算を早く出すように、予算に計上していただきたいということを知事さんにお願いしたわけでございます。それが相合致しまして、東京の管内におきましてはことしじゅうに全部解消するという見込みが立ちました。もちろん自分はいやだ、必要ないという方がございますが、おおむねの方はこれでもって解消します。この赤字部分は、いわゆる私的事業の利潤追求の面からいいますと赤字でございますが、これは企業合理化によって埋めるというふうにしまして公益と私益を調和する。さらに進んで、公益と私益の調和の一番進んだ方法は、生産者消費者の利益の極大を経営の基本にしたいという考えすら持っているわけであります。  お答えになりましたかどうか、非常にむずかしい問題でございますので……。
  14. 始関伊平

    始関委員 木川田社長はから念仏でなく、そういう信念でおやりになっておられるようでありますので、私もわかるような気がいたします。  それから、先ほど清水さんのお話の中にちょっと出てまいったのでありますが、電力事業地域的な独占事業でありますから、いわゆる競争という概念はないわけだと思います。しかし九つの似たような配電電力会社が対立しておるということは、直接の競争はないけれども、一種の競争意識と申しますか、たとえば最新の技術の取り入れにつきましても、送電ロスを少なくするというようなことにつきましても、一つである場合に比べて相互の間の競争意識というものが、先ほどおっしゃった経営経済性を貫くという意味からいって、相当ものを言っておるのではないかと思いますが、その辺につきましての見解をちょっと伺いたいと思います。
  15. 木川田一隆

    木川田参考人 お答えします。いわゆる市場の競争はもちろんございませんが、いわゆる経営の競争がございます。九社なら九社のある対立的な立場におきまして、事業を健全経営に持っていこうという方策にいろんな道があると思います。したがいまして九社は各経営の個性を発揮しまして、自分のところをよくして、サービスをよくしよう、そうして電気事業の使命をよりよく発揮したいという希望を各経営者は持つわけでございます。そこに経営のいわゆる競争が出まして、たとえば内部保留を多くしたい。それでは努力はどうするのだ、倹約をして、合理化して、そうして内部保留を建設所要資金の五割から六割にし、七割にし、アメリカのように一〇〇%にしたいという一つ考え各社は持っておるわけです。そこの間に非常な競争的な経営努力が出てまいります。そのほか在庫調整をAがいたしますと、B会社、C会社もみんな同じように、競ってこれに対抗する経営の競争が出てまいります。したがいまして一つ会社で眠っておるという場合に比較しまして、経営サービス面におきましても、体質の改善におきましても、最近は特に前向きのいわゆる公正競争の状態に入っておる。しかし御承知のように地域のマーケットの競争はないというわけでございます。
  16. 始関伊平

    始関委員 先ほど木川田会長は、九電力体制の弊害を補うために広域運営という問題に取り組んでおる、こういう御説明でございました。電力というものは、元来広域運営を必要とするような要素があるわけだと思いますが、特に最近技術革新の結果、発送電を通じて大型化と申しますが、それに伴いまして、広域運営という必要が非常に大きくなることだと思いますが、広域運営という問題だけを独立して取り上げますと、いわゆる一社化論だとか、国営論だとかいうような議論になるわけだと思います。  そこで私はこの問題につきまして二点伺いたいのですが、実は十何年前、電力編成の問題の当時、あれは過度経済力集中排除ということで、日発の解体が行なわれたわけでございますが、当時国会の審議の際に、一体、日発を解体するのだが、東電のような大きな——当時配電会社でしたが、それに発送電部分を加えると、かえって大きくなるのではないか、何が経済力の過度集中排除だというような議論がございました。私は木川田さんにお尋ねしたいのですが、東電というのは世界の電力会社の中でも発電容量なり何なりからいって、かなり大きなほうの会社ではないかと思いますが、そのことが一つと、それから企業については適正規模という観念があるのだが、小さ過ぎてもいけないし、同時にでか過ぎてもいけないので、東電がこれ以上大きくなるということについては、先ほど竹井さんから、雲の上の存在だというお話しもございましたが、ますますそういう点が一そうひどくなるおそれもありますので、適正規模の限界としてはいまぐらいのものだというふうにお考えになっておるのかどうか、これは経営の能力の問題といいますか、ひとつこの点を伺いたい。  それからもう一つ広域運営について東電が非常に東北電力との関係で模範的にやっておられるというお話を伺っておりますが、これには限界がある。両方利益を受けるわけですから、利益は五分五分くらいに配当するのが当然だと思いますが、その率が東電の場合にはかなり小さくなっておるように聞いております。一方において、損をしてまでということはできないと思いますが、いまの電力事業の大きいほうの意味の適正規模の限界と、それからもう一つ広域運営というものについての、これも限界ということになりますか、その二点について御所見を伺いたいと思います。
  17. 木川田一隆

    木川田参考人 お答えします。第一の御質問でございますが、東京電力の規模、これは世界的に、発生電力量等から見ますと第一位に位します。七百万キロの設備を持ちまする会社はそうございません、私企業といたしましては。ですから規模の問題としますれば、先生おっしゃるとおり大体の限界がきておるのではないかと存じます。私は最初、本部から一時間半の距離ということが一つ理念でございました。いわゆる経営管理の能力からいいますと、サービスを特に考えますと、そうしないとサービス改善という方針一つ立てましても、本部からお客さんまでいく、透徹の力といいますか、それが一時間半以内ならしょっちゅう連絡調整ができる。もし青森とか仙台とかいうことになりますと、そういうことは不可能と存じます。したがいまして管理能力といいますか、経営能力といいますか、ことに今後は消費者に対して質の問題を非常に重視せねばならぬということになりますと、これ以上の大きさは不適当だと存じます。これが第一の御質問の答えでございます。  第二問は、広域運営の問題の利益配分かと存じますが、これはいろいろ広域運営を今後拡大したいと思っておりまして、しかも一全国的にレベル・アップをしたいという願いを持っております。ついせんだっても各地域の代表を集めまして申し合わせしております。そういたしまして、この利益配分は五分五分ではございません。利益の生ずる事態において配分いたしております。しかしマイナスということはあり得ない理念であります。両者において必ず利益のあることを行なうが、その利益配分は平等ではございません。
  18. 二階堂進

    二階堂委員長 簡単に願います。
  19. 始関伊平

    始関委員 先ほど竹井さんのお話を伺って、東電という会社はかなりPRその他のサービスがいいのじゃないか。私は方々から頼まれまして東電の支店長に電話をかけますと、翌日の正午ごろには何か返事があります。拒否の場合もありますけれども、一応返事があるのですが、いまのお話を伺うと非常にサービスという面で不合理な点があるのではないかということですが、その点に対する御見解。もう一つは、従来電気料金を動かすといいますと大体値上げということなんですが、これはどことどことはっきりは申し上げませんけれども電力会社のどれか、二つか三つか知りませんが、今後は、つまり九電力に分割した当初火力発電が多い理由で料金が比較的高かった地域においては、その後発電原価の低下というようなことに関連して、これからはむしろ値下げということも期待できる地域があるのじゃないかと思いますが、その点はいかがでございますか。お見通しをひとつ伺いたい。
  20. 木川田一隆

    木川田参考人 第一番のサービスの問題でございますが、われわれ経営立場としましては、これは神経質なほど重視する政策はとっておりますが、いかようにも七百万のお客さんを東電は持っております、行き届きませんことをいまおわび申し上げます。その徹底をいま盛んに強化する進め方をしておりますが、元来独占的商品に対するお客さんの選択権がないということそれ自体が、サービスが悪いというような関係に結びつきやすいのでございまして、私は自由商品と同じようなサービスをしたい、そうしてお客さんに満足のいくようにしたいのだという理念は持っておりますが、なかなか透徹いたしません。これはおわび申し上げるよりほかない。が、今後は改善に万全の努力をしつつありということをお答えしたいと思います。  それから第二の料金値下げの問題、これは非常に複雑な問題でございまして、先ほど申し上げましたとおり、いま電力事業は長期に見ますと内部保留その他が非常な弱体でございます。したがいましてこれを補強しておきませんと、これは長期にわたりますと必ずお客さんにまた反対の利益——不利益になる場合が生じますので、サービス改善したりあるいは企業体の内部充実をしたりするのに相当の金がかかります。したがいまして、当分の間、私はその方面にこそ利益を還元することがお客さんの長期的なプラスになるのだというふうな考えを持っております。
  21. 二階堂進

    二階堂委員長 久保田豊君。
  22. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 まず木川田さんに二、三お尋ねいたしたいと思います。  今度の法案なりまたいまのお話の中でも、広域運営ということに非常に大きな重点を置かれて、これが個別の私企業としての欠点を補っていくのだ、こういう大体の御趣旨のお話だった、こう思うのです。広域運営そのものは私はけっこうだと思います。そこで二点ばかり私はお聞きしたい。  一つは、広域運営段階が、あなたのお話ではいままでのやつは経営のロスを少なくしていく、こういうことが重点だった。これからは、開発をだんだん一本化していかなければならぬ、その次は資材その他いろいろの経営の小さな面においての協力を推進していく、こういうことですが、過去、三十三年から今日までの広域運営の中で、確かに相当程度経済融通なり異常時融通なりをして功績をあげてきたことは事実だと思うのです。しかしそれが各個別の経営の格差の解消にどれくらい役立っているかということと、私ども見たところでは、それが少なくとも消費者の料金の値下げなり何なりというかっこうでは出ておらない。確かに企業はある程度助かったかもしれぬけれども、そういう一般消費者に対してはまだ効果をあらわすというところまではいかない、こういうことですね。今後これらについて経営やその他を合理化していく、あるいは開発合理化していく、一本化していく、こういうことから見て、消費者段階までこの広域運営というものが具体的にどういう効果があるのか、企業はそれで健全になるでしょうけれども、具体的に効果が大衆になければ、これは私どもはそうたいして高く評価できない、こう思うのであります。こういう点は、お見通しはどうか。あなたのほうの電気事業審議会の答申の中には、料金改正で三十七、八年度までにやったところが幾つかあるが、二十九年度のものがまだ料金制度をそのままにしているのがある、これはいずれまた法案の中で逐次改定していかなければならぬ、こういうことになると、いまの料金制度よりなお高くなるということになる。そういう効果にあらわれてきたのでは、私ども広域運営を取り上げてもたいして効果がないのじゃないか、こういうふうに思うのですが、この点についてのお見通しはどうかということが第一点であります。  第二点は、広域運営内容を見ますと、結局いまのお話のように、四ブロックで一つ単一計画を立てて、資金融通その他協調しながら電源開発をやっていくのだ、こういうお話、つまりそういうことは、さらにもう一歩いえば、全国的な計画があって、そしてそれに基づいてさらに四ブロックの単一計画を立てていくことだろうと思います。しかもそれは単なる電源開発だけではなくて、送電線の非常な大容量の問題とかなんとかいうことになってくると、これが全国的にだんだんと網を張ってくるということになると、結局今日の広域運営というのは、私どもにしますれば、電気事業の客観的な条件というものはいわゆる全国単一経営方向をちゃんと向いているんだ、しかし、いま九分割をして私企業としての立場をとっている、これとの協調点ということであって、結局客観的な電気事業内容というものは、今日以降においては全国一社方針といいますか、そういう方向へはっきり向いているんだ。これを無理に私企業の九つに分割しているところに問題があるんだ。もちろん、いまのお話のように、発電から最後の配電までを一貫経営をやるのがいいかどうか、ここらは、かりに一つにした場合にはいろいろ問題があろうと思います。どこで分割してやったほうが能率的でサービスがよくなるかというような点はあろうと思いますが、そういうような点では、今後の電気事業の客観的な内容というものはいわゆる国営ないしは公営、そういうある面における単一——それが証拠には、水力発電というものはいまの私企業としてはあまり採算が合わぬから、これに国家資金を入れた電源開発でやる、石炭も重油よりはコストが高くなるから、これもおもなところはだんだん国家資金でやっている電源開発でやる。電源開発というものがなければ、なかなか広域運営とかなんとかいってもうまくいかないわけです。電源開発は全国的に一本の計画でやっていく。これが結びついているのが今日の広域運営内容じゃないか。そういうことになれば、私はやはりこの段階で、日本のエネルギー産業全体として考える場合においては、これからの段階電気事業のあり方についてはどうしても公営なり国営なり、あるいは全国一本化ということで、当然いまの広域運営という一つの妥協案ではなくて、もう一歩先に行くのが必要じゃないか、こう思うのですが、これが第二点です。  まだたくさんありますが、もう一点お伺いをいたしたいのは、特にこれからは大容量の発電所、しかも火力についても重油発電所、そうなる。それから送電線についても非常な大容量の送電線ができてくる。こういうことになると、これから出てくる公害という問題についてはどうお考えになるのか。少なくともいまのように三十五万キロワットとかあるいは一カ所百四十万キロワットというふうな大容量の重油発電電力専焼工場ができれば、あるいは石炭にいたしましても、これは亜硫酸ガスなり一酸化炭素なり炭じんなり、そういう問題が非常に出てまいります。同時に送電線についても、形は違いますけれども、同じような公害というものは当然出てくる。いままでは国もそういうことについてはほとんど考えておらない、それから電力会社もこの点についてはほとんどお考えになっておらなかったと言って差しつかえないでしょう。ばい煙規制法ができましてから、御承知のとおり二二%ということになりまして、それをやるために煙突を高くして上へあげるようなことをやっています。しかし、あれは少なくとも四十万キロ程度発電所ならば効果があるが、七十万とか百万以上のものになったら、私はいまの基準では客観的にはなかなかむずかしいと思います。基準を引き上げるということも大事ですけれども、これに対する研究を電力会社はほとんどやっておらない。いままでのところは煙突をあげてどんどん上へやっていくというのですか、その程度です。いろいろな研究をされていることは承知しておりますけれども、こういう点についてはどうお考えになっておるのかという点であります。  この三点だけを私はお伺いいたしたい。
  23. 木川田一隆

    木川田参考人 お答えします。第一は、問題の広域運営一般消費者に直接まだ利益をもたらさぬじゃないかという御質問と解釈いたしますが、そういう解釈をいたしますれば、これは目下いわゆる電力の安定した供給を第一やりたい、もう一つは長期的に見て料金を安定させたい、この二つを目的にしております。したがいまして、三十三年以来再々の渇水その他の問題がございましたが、そのつどこの広域融通の政策をとりまして、安定供給という目的は直接お客さんに響いておると確信いたします。  それからもう一つのコストダウンの問題でございますが、先ほども申し上げましたとおり、相当の効果があることは、過去十年間に二千億なら二千億をセーブすることができるということは、さかのぼって申し上げれば、東北電力は一昨年値上げをいたしましたが、このままでいきますと再度の値上げを数年間のうちにやらねばならぬという経済状態でございますが、いまの見通しによりますと、広域運営強化によって、発送電単一計画経済性の実現によりまして、これが回避できるという見通しでございます。これが第一のお答えだと思います。  それから第二の御質問に対しましては、広域運営単一発電送電計画を東、中、西、個別の計画でなく、全国的にこれを統一することがおそらく将来の見通しであろう、そうすればそれはいわゆる一社化なり国有化なりの線にいくのが筋道ではないかという御質問のように解釈をいたしましたが、それでよろしゅうございますか。
  24. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 内容がそういう条件になっておりはせぬかということです。
  25. 木川田一隆

    木川田参考人 それにつきまして、私は、電気事業一つの社会的要請がどこにあるのかという問題を持っておるのでございます。それは、先ほども経営の問題にも、あるいは外的条件の移り変わりの一つとして申し上げましたが、やはりいま日本は自由化、国際化で各産業が非常に苦労しております。国際競争力の培養をどのようにしてやるかということが一番問題になっている。これはことばを変えますと、各個別産業企業合理化による経済性の追求というほかに方法はないと私は思うのであります。その苦悩する産業に向かいまして電力を供給する——ここに安西さんも参考人としていらっしゃいますが、多消費産業の化学工業というものは国際的に非常に困難な事態に入っております。そういう産業電力を供給するということに対しましては、電気事業自体が経済合理性の追求、コストダウン、上昇するコストを押えて料金を安定させるという経済合理性の追求、いわゆる能率発揮ということが電気事業に求められている一番大きな経営の基本的な問題だ、私はかように考えます。かように考えますときに、それには各発電から配電までの一貫的な責任経営一貫経営という点の利点が出てまいりますと同時に、管理形態、経営の力という点と競争という対立関係に立ちますと、どうしても適当な規模に分けておったほうがベターであると考えますので、広域運営が側面的な横の技術経済の利点を実現するため、いわゆる縦だけではいけないんだ。過去の私企業の形態を新しい協調方式として横の点におきまして欠点を補整する、私は主と従の関係になると思いますので、これが全国的に単一計画を立てる前に個別の東、中、西、おのおのその適当規模の中において単一計画経済性を追求しまして、それを集めまして、地方電力協議会という組織体、私、会長をやっておりますが、そこでもって全国的にインターブロックの計画調整したい、こう思っておりますが、そこまでいきましても個別企業中心であり、個別の東、中、西のブロックが中心である。その縦の形態に横のいまの線を強力に推すという考えでございますので、先生の御意見に根本的に差がございます。  それから第三点でございますが、公害の問題、これはほんとうに心配しておるのでございます。いままでちっとも考えないじゃないかとおっしゃいますが、実はおととしから私は私なりに社内に委員会を設けまして、ひそかに研究を進めておったわけでございます。そうして大きく実際の研究をしますには相当の金がかかりますが、これは電力中央研究所と連絡をとりまして今後この問題に真剣に取り組もうと思っております。横須賀のごときは、煙突の高さをたとえば九十メートルを百メートル、百五十メートルにする、それから集じん装置を二重につける、あるいは原料供給者の協力を得ねばならぬと思いますが、重油なり石炭なりの質の問題がございます。硫黄分の多いものを向こうで考えませんでむちゃくちゃ送られては困るのでございまして、われわれはそこに制限をつけるという考えすらございまして、いまのところはそうした配慮をしまして、風向きによってはなおたき方の改善をしつつあるということまで、可能な限界でいまやっておりますが、これは根本問題として、大きな問題としまして、われわれも今後先生方の御指導のもとに研究を進めて公害の防止に努力せねばならぬ、これは非常に大きな問題とわれわれも痛感しております。
  26. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 まだいろいろな点でお伺いしたいのですが、時間の関係がありますから、安西さんに二点ばかりお伺いいたします。  安西さんのお話で、自家発電をやったのと、いまの九電力なり何なりから配給をされるのと比べて、どっちが要するに安く上がるのですか。この点は産業のほうとしてはどうなるのかという点、これは主として電力をよけいにお使いになる安西さんのような会社では、コストの点でどうなのかという点、これをひとつお伺いをしたい。  もう一つは、ここに政府側の出されてきた資料を見ますと、日本の主要品目の原価の中に占めております電力費というものですね、これは米国やほかの国と比べて高くないのです。むしろ安い。たとえば安西さんの御関係の尿素やアンモニアを見ますと、日本の場合は、生産費の中で電力料が占めておるのが二〇・五です。ところが米国の場合は二一・四三、そのほかのを見ましても、欧米よりは日本のほうが安いわけです。こういう状態です。ですから私は、そういう点にいまの大口いわゆる特約の意味があると思います。なるほどいまの段階で国際競争に耐えていかなければならぬ、とにかくいままで厚い着物を着ていたやつが脱いだばかりですから、ちっとは風に当たって皮膚をかたくしなければ一人前にならぬという段階はいいですが、私は電力界と産業界とやっていけば、十分こういう条件はかちとれると思う。さっきお話がありましたが、産業界に安くして消費者ばかり高くするという姿は逆じゃないか。むしろ日本産業界なら、ほかの諸状況を考えてみると、なるほどいまは借金が多いとか金利が多いとか自己資本が少ないとか、そういう大きな基本的な点がありますけれども、こういう点を除いていけば、日本ではもっと産業のほうが電力料金をしょってもいいのじゃないか、そして一般消費者のほうを下げていってもいいのじゃないか、私はこういうふうに思います。反面消費者の生活費の中におきます電力料金というのを見ますと、都会では二%くらいになる。しかもその伸び率というものは非常に高い。しかも日本のように今後機械産業とかあるいは電気事業というようなものをやっていく場合には、要するに家庭電力というものがもっと安くならなければ電気事業は伸びません。そういう点で私は、電力会社のほうも、なるほどいまのいわゆる原価主義というものも一応の理屈はあります。しかしこの点については再検討する必要があるのじゃないかという点と、産業電力、特に大口についてはそういう点で考えを改めたほうがいいのじゃないかと思う。ですから、もし自家発電のほうがはるかに安くいくとするならば、やはり国としては、そういう方面については九電力との協調をはかりながらも積極策を立てていかなければならぬ、こう思うのでありますが、この二点について上西さんのお考えを伺いたい。
  27. 安西正夫

    安西参考人 ただいまのお話でございますが、自家発電が買電と比較してどちらが安いかということは、一がいには言い切れませんのですが、結局お金の問題になる。膨大な資金が要りまして、その資金を得る場合に高い金利を払わなければいけませんから、われわれのようなたくさん電気を使う会社というものは、何とか自家発電を全部の電力のうちの、できたら半分程度、あるいは七、八割まで持ちたいというのが願望ですが、まあ五〇%くらいは自家発電でいきたいというのがわれわれの考え方でございまして、発電地点とか、そこの電力を買うところの場所とかでいろいろ違いますし、一がいには言えませんが、電気の値段がだんだん上がるとすると、われわれとしては毎年償却していって安くなる電気を自分で安定的に持ちたいということになると思います。どちらが高いとか安いとかいうことを割り切ってはちょっとお返事はいたしかねる。具体的に申しますと、たとえば自家発電をして、それでボイラーの検査や何かのときにはまた買わなくてはいけない、そういう問題もありまして、自家発電がいいからといってそう簡単にまっしぐらにはいけないいろいろな事情がございますが、私どもとしては何とか自家発電を持ちたいということです。金が借りられる限り自家発電を持ちたい。なかなかその金が借りられないので……。  それから電気家庭用のほうが諸外国と比べて割り高で、産業用が割り安であるということは、これは統計の取り方に私非常な不満を持っております。化学工業協会で世界じゅうに調査団を出しまして調べた結果では、日本産業用電力はやはりアメリカあるいはフランスと比べて高いという数字が出ておりますが、それは何か本になっておりますから、何でしたらお届けいたします。それで私の言いたいのは、電気値上げをしないでもらいたいということなのです。国家がもう少し何とか、値下げはしなくともいいから値上げをしないでほしい、そういうのが強い願望なのです。それで値上げをする場合に、百歩を譲って家庭用のほうが安いにしても、一ぺんにそれをやられたのでは産業が参ってしまう。それで具体的に、電気を使う専業の会社はこんなに無配になっておると申し上げた。先ほど清水さんは学識経験者として御発言でございましたが、それは電力会社内容がよくなることはいいのですが、しかしやっぱりそれを使っていくほうもともに栄え、ともに悲しむようなことでなくちゃいかぬと思います。ですから、私は数字的に見て日本産業用電力家庭用と比べて決して安いというのじゃない、高い。ドイツがやはり産業用電気が割合に高いのです。それでドイツはルール地方の石炭で、火力発電を石炭を中心としてやっておりましたために、アルミニウムを約四十万トンいま使っておりますが、そのうちの二十二、三万トンは自分でつくって、あと半分近くは外国から輸入せざるを得ない。それはルール炭田が老化したにかかわらず石炭に依存したためであります。  これは御質問とは余分になりますが、この機会に言わせていただけば、同じエネルギーだからといって、石炭のしわを電気にかけてもらいたくないと思います。これはわれわれとしては国際競争力をそぐことになりますので……。
  28. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 竹井さんに二点ばかりお伺いいたしたいと思います。  あなたの御陳述ごもっともだと思います。私ども消費者として痛感しておるところであります。いろいろ料金その他の問題に触れますと長くなりますが、ただ今度の法案で私ども心配するのは、なるほどサービスがよくなるというので電圧や周波数の維持命令が出される、こういうことになっております。ところが、これに対する点検をする組織の体制というものは法案では何もない。この点を消費者としてはどうやっていくかということが一つの問題点だろうと思うのです。  それから家庭電化ということで、いままでのような電灯ばかりではなくなって、電気施設に非常に金が要るわけです。しかもそれはみな自分負担だということで、しかもそれの保安の点が非常に問題になるわけです。ところがこの保安調査については、今度の法案では指定機関を政府のほうがつくる、こういうことなんです。この指定機関をつくりますと、実際には電力会社の下請みたいになってしまいはせぬか。そうなると、施設のほうにも金がかかる、電灯料も安くはない、その上にもってきて保安関係でいろいろやるということになると、またここでよけい銭をとられる。そして責任はというと、今度は電力会社にないことになる。ですから、何か事故が起こった場合には責任の所在は不明確になってしまう。こういうことになると、ばかを見るのは消費者ばかり、特に一般家庭消費者が負担だけはどんどんよけいになって、しかも最後は責任の主体がなくなってしまう。こういうことについては、消費者の声を大にして、特にあなたの生活協同組合あたりは、政府なりあるいは会社なりに対して、御自身で大衆運動を起こして、あるいは大衆組織をしてこういう問題を片づけていかなければならぬ。大きな企業はこれらの点についてはそれぞれ対策は持っているでしょうけれども一般消費者はこの点では、今度の法案で非常に私は不安な点があると思います。この点についてどんなふうにお考えになりますか。
  29. 竹井二三子

    竹井参考人 お答えいたします。たいへん失礼いたしました。私、先ほどその保安施設指定の問題について一言申し上げようと思って、言い落としたのですけれども、現行でも電気の工事というのは全部電気業者にまかされているわけです。工事をいたします場合に、それが非常に高いのです。一灯設備をするのに八百円とか、それでスイッチをつけると千何百円というようなことで、工事費が建築費の中でも非常に高いわけです。ですから普通の場合、ちょっとおふろ場をつくりたいという場合なんかでも、電気工事をすると高いから横からタコ足で引っぱってしまえということで、危険率も非常に高い。ですから、あれをなぜ電気業者にまかせっぱなしにしているのだろうという疑問が一つあったわけです。私どもの常識といたしましては電気屋さんはなまけ者というのが通例で、これはたいへん差しさわりがございますかもしれませんが、電気の工事を請け負っている業者さんはわずかな時間働けば生活ができていくというので、工事をしてほしいとか修繕してほしいとかいってもなかなか来てくださらない。それでちょっとの時間働けば生活が成り立つというのが常識になっている。われわれ主婦の間では、電気屋さんはもうかりますからねというふうなことが通用するような状態です。それがはたして当たっているか当たっていないか、たいへん失礼な言い分ですけれども、そういう点で電気業者に工事をまかせ切っている電気会社のあり方というものを検討していただけないでしょうかということを申し上げたいと思っていて、いまそちらの先生から指摘されたのですけれども、確かに今度の場合指定という形になれば、なお大上段に振りかぶってくるのではないかというふうな心配が一つございます。  それから電圧でございますけれども、電圧と同時に雑音が最近非常に多くなってまいりました。これはテレビ、ラジオ、いろいろなものに非常に雑音が入ってくるということは、方々電気器具を差したりはずしたりすることや建物の関係や、いろいろあるのだろうと思いますけれども、それをどういうふうになくして調整していただけるのかというのがやはり一つのわれわれにとって疑問点でございます。  それから電気サービスの問題で、先ほど会長さんも重点的にサービスに力を入れている、方針は出しているけれども末端に届かないというお声で、そのとおりだと思うのは、すべての消費者サービスをしていただかなければ、一部の消費者サービスしていただいても、私はかえってこれはマイナスだと思うのです。そんなことをこの席で申し上げてはたいへん失礼ですが、私などはうるさいほうでございますので、ときどき電気の安全器を検査に来ていただいたりやっております。それで御近所もみなやってくださったのですかと聞くと、そうではなくてうちだけらしいのでございます。ですからそういうサービスというのは、たいへん自分が申しわけないと思いますので、できることならすべての消費者サービスできるように心がけていただきたいと思います。  それから電圧の検査、雑音の検査、それから危険度というものを、一々電灯会社がいらっしゃらなくても、何かの方法で消費者が察知できるような研究というものがなされないだろうかということをお願い申し上げておきたいと思います。
  30. 二階堂進

  31. 永井勝次郎

    ○永井委員 木川田さんと安西さんに表と裏の両面から、同じ問題についてお答えをいただきたいと思います。  第一は独占の乱用の問題です。これは国際競争から隔離されております。それだけに企業が競争する対象にならない。それから地域で独占されている。それから先ほど来お話のありましたように売り手独占です。それからさらに買い手も独占です。石炭なり油なりあるいは電発からの発電の買電にいたしましても買いたたくことができる。ほかのほうに使うのではないのですから、電気会社だけなんですから、売り手も独占、買い手も独占、地域独占、それで国際競争から隔離されている。こんなに独占の強い企業はないと思う。そうしてこの独占の乱用は、運用や何かでなかなかチェックができないと思う。そこで日銀や何かのように経営者の解任権を政府が留保する、公益性という重要性からいって、言うことをきかなかったら解任権を発動できる、これほどの権限を政府責任を持って、そうして独占の乱用をチェックしていく、こういうシステムが必要ではないか、こう思うのですが、これは木川田さんはもちろん反対でしょうが、需用者の側から見てどうであるか、御両人にお伺いいたしたいと思います。  それからもう一つは、先ほど来話になりました自家発電の問題ですが、自家発電は二つあると思うのです。一つは、電気会社が、もうからないからおまえのほうはやらないのだ、相手にしないのだ、ほったらかす。ほったらかしますから、しかたがないから銭金にかまわず自家発電で、非常に不利な条件をしのんで発電がどんどんできたわけであります。これが一つ。そういう電気会社の独占の悪い面が自家発電を刺激している。そして、そのしわ寄せが気の毒な人たち、農民なり何なり、そういう地域の人にいっている。こういう形の自家発電一つある。  もう一つは、さっき安西さんのお話にありましたとおり、そろばんづくで、もうかるから自家発電をする、こういう形があると思うのです。最近でも清水の共同火力、これが十五万キロ、和歌山の共同火力、これは七万五千、こういうふうに、電気会社が出資して共同でやるのだという形はとっておりますけれども、業者から言えば、自家発電のほうがずっと有利でありますから、それでこういうふうに自家発電ができてくる原因がある。だから、現在料金が非常に高過ぎる、採算以上に高くなっておる、それがこういうふうに自家発電を刺激しているのだ、こういうふうに考えるのですが、これはもう安西さん、需用者立場で率直にそろばんをとってはっきりしておられることと思いますから、その点を明確にしていただきたいと思います。これが第一点。  第二点は、火力料金が高過ぎないかということです。火力料金は、大体昭和二十九年に決定されております。その後高能率の火力技術革新で出てまいりました。現在は、火力料金が原価計算で計算されましたのに比べますと、炭価が非常に下がっています。石炭の値段が下がっている、油の値段が下がっておる。それから熱効率が非常に向上している。発電時きめたときは大体二〇%、いまは大体三三%から三五%、こういうように熱効率が非常に向上しています。それから第三点は、需用密度が非常に増加してきている。それからその次は、電灯や業務用の消費が増大している。割高料金の分野に非常に伸びている。こういうような発電の関係、需用の関係、両方から結びつけて、火力料金は高きに過ぎる。昭和二十九年という、その起点における原価計算というものは、今日うんと値下げできる条件があるのであります。そういうことから、現在の時点に立って自家発電が生まれてくる原因がある。買っていたのではそろばんに合わない。自分のところでやればもっと安いものができる。こういうところに経済的な原因がある。ただ自分のところでやったほうがというような、そんな甘いものではなくて、計算づくでそういうものはやる、こういうふうに思うのですが、これはいかがでありますか。それから、このことは九電力会社の関係にもあらわれている。関西電力が非常に有利だ、そろばんがいい、料金の改定なんかちっともやらないでどんどんもうかっているというのは、三分の一が水力で、三分の二が火力だ。そういうところに関西電力の有利な条件というものがあるのではないか、こういうふうに思うのです。ですから、もしほんとうに原価主義でいくならば、火力発電は値下げするのはあたりまえだ、原価主義からいって下げるのはあたりまえだ、こう思うのですが、これはいかがですか。  それから、減価償却の問題ですが、原価主義によるファクターとしては、固定資産税の償却は定額法で算定をしております。ところが、現在各会社の実績を見ますと、北海道、九州を除きましては、ほとんど定額法の倍の定率法により減価償却を実行しております。木川田さんのほうの東電なんかも、昨年料金の値上げをするときは、料金を値上げしないならば東電の経営は危殆に瀕するということで値上げしたはずですが、値上げをしたとたんに固定資産の償却は定率法でやっておられるようですが、基礎は定額法である。それだけの超過利潤が出ているからこれだけのことができる、こういうふうに思うのですが、経営の面におけるそれらの問題についてどういうふうにお考えになるか。  それから、安西さんのほうから、そういう原価計算以上の超過利潤がこういうふうにして消費者にしわ寄せされている点についてどういうふうにお考えになっているのか、これを伺いたい。  それから、公益事業でありますから、供給予備力保存の義務が会社にあると思います。ところが、昨年三月、何か関西電力では、渇水という理由によって供給制限をしております。これは十月十一日から三月二十日までですか、渇水を理由にして供給制限をしている。こういうことは、公益事業立場からいいましても、何にしても——銀行なんか、引き出しに行って、おれのほうは資金の手当てがつかないから支払いを停止する、こういうようなことで済まされるものではないので、やはりそこに供給予備力を保存する義務があると思う。先ほど木川田さんから、相当の予備力ができた、こういうことでしたが、一体電気事業における予備力の基準というものをどういうところに置いておられるか。いまのところ北海道やなにかは大体十数%の予備力を持っているようですが、そうでないところは大体七%前後の予備力より持っておらない。景気の波動の中で何しますと、ピークになれば供給制限をする、こういう安易な考えで、供給予備力を保存する義務を果たしていない、こういうふうに考えられるわけでありますが、これはいかがでありますか。  それから、農村の電灯の問題ですが、供給事業でありますから、原価計算をそういうものも入れて全体でプールして、そういうところに供給する義務を果たすようにさせたらどうかと思うのです。現在のところは、そういう不便な開拓農民、その日の生活のかてにも困るような人たちの電気について、一灯の電灯をつけるため施設に十数万の自己負担をしており、そして電力料金は三倍も四倍も負担している、こういうふうな不合理なことがあたりまえのように実行されている。電気会社のほうは、公益事業だから、採算が合わないことはできないというのではなく、生活必需品としての電灯はできるだけ採算前提をぶち切ってしまって——これから先はおれの責任ではないのだという、これが公益性というものの旗じるしになるのではいけないと思う。  時間がありませんから、以上の項目を並べまして、生産者側と需用者側の御両所から御意見を伺います。
  32. 木川田一隆

    木川田参考人 多様な問題の御質問でございますが、第一番の独占乱用の問題でございます。これは法規制が一つの乱用防止のたてまえを当然とられつつある、かように考えます。  それから、経営者意識の問題でありますが、独占による乱用を絶対に防止して、サービスの向上をはかろうという意識を持っております。したがいまして、全国的に一様にはまいりませんが、大体の考え方としては、そうした経営意識を持って努力する方向に向いております。はなはだ簡単でございますが、これで答えになりますかどうですか。  それから、自家用の問題でございますが……。
  33. 永井勝次郎

    ○永井委員 経営者の解任権は……。
  34. 木川田一隆

    木川田参考人 経営者に対する政府の介入、これは経済性発揮には、経営者はじめ職員のバイタリティの自主性というものが非常に大切だという信念を持っております。したがって、無用の介入は絶対に反対であります。  それから自家発電の問題は、さきに安西参考人からもきわめてフレキシビリティのあるお答えをしてございますが、場所や条件によって、いわゆるセントラル・ステーションたる電力事業にコスト的に対抗のできる場合もあるし、対抗のできない場合もあるという御意見のようでございましたが、そのとおりと思います。そうして自家用の問題は、その理由のいかんは、先生のおっしゃるいろいろな場合もありましょうと思いますが、結局電力事業と自家用をつくられる方との協力体制がなければ、これはなかなかうまく願いりません。たとえば千葉の五井に安西社長は七万五千、四台の自家用発電をいまつくっておりますが、これは必要のないときには東京電力が買っております。そして必要のある場合にはこちらからまたやるという相互調整協調方式をとりませんと、なかなかうまくいかぬじゃないか。生産の計画がございまして、それに即応するような自家用をつくったと仮定しましても、それに経済的にマッチさせるには相当困難があるのじゃないか、やはり電力業者協調方式をとって、その中における利益の部分を自家用者が獲得するという方式に進まないといかぬじゃないかと思います。私は自家用に対しましては、政府方針も大体そうでございましょうが、いまは抑圧するのじゃなくて、自由におつくりになって、ただしわれわれは困るときにはお手伝いいたします、こういう考えに進んでおります。  それから、火力発電のコストが下がっているのじゃないかという御質問でございますが、原価主義の場合、事業者が出したものを政府がきわめて厳密な査定のもとに行なわれるわけでございまして、この点も原価がはなはだしく料金と開きが出ておるとは私は考えておりません。ただできるだけ料金の長期安定のために熱効率なり、ロスなり、ユニットの発電原価の研究をするなり、いろいろなイノベーションの研究に対する経営上の努力はいたしておりますが、これはすべで料金の長期安定で、コストアップを抑圧する程度にとどまる、かように考えております。  それから償却の問題でございますが、これは審議会におきましても非常に問題になった点でございます。学者その他の学識経験者といわれる方々はすべて定率償却が正しい、長期的に事業の安定を期するには定率償却でなければならないということでございましたが、われわれ電力供給業者並びに消費者委員方々が相はかりまして、やはり原則は定率がしかるべしと思うが、料金にはね返り、需用家に迷惑をかける限界においては、定額償却というもので当分の間やろうじゃないかということに、きわめて調和的な譲歩をやったわけでございます。  それからまた、現実に定率償却をやっているのじゃないかという御質問でございますが、そのとおりでございまして、そこに企業の努力という関係がございます。たとえば、さっき触れなかったのでございますが、私が質的経営会社の中で確立いたしまして、投資額が大体千五百億になっておったのであります。それを綿密なる価値尺度をつくりまして、これ以上の投資はしないのだ、投資をするのならばその尺度までくふうして持ってこいという徹底的な方策をとりまして、三百何十億の建設費の節約をいたしました。それから在庫調整でございますが、これも三十八年、三十九年の一部を加えますと、最初の三十八年でございますか、約二十三億、次が十五億の節約ができたのであります。かようにいたしまして、資金投資効率を高めまして、それで借金払いの利子を軽減するという方策をとりましたので、そういう企業努力で初めてこういう実りができたと私は確信いたしております。  それから予備力の問題は、先生おっしゃるとおりでございます。予備力がわれわれ安全供給、供給責任を果たす上にはどうしても必要でございまして、いままでは予備力をつくろうにもつくり得ない供給不足の状態にあくせくしてまいったわけでございますが、ようやく先ほど申し上げましたとおり九%がらみ、三十九年は一一%がらみの予備力が出てまいりましたので、今度は御安心いただけると思いますが、それはことばをかえて申しますと、もっと少なくすべきだ、建設費が高いからもっと少なくしてコストダウンをして、東の場合は六%で押えようじゃないか、ただしそれには広域運営強化でもって、不足したらすぐ送ってやるという協調の機運を制度化しようという点におきまして、単に一割なり二割を設けるというような形式的な考えでございませんで、広域運営強化によりまして、できるだけ予備力は少なくして、しかも供給責任を果たしてお客さんに御迷惑をかけないような方法をとろうじゃないかという方針で進んでおります。  それから農村の電灯でございますが、これは未点灯部落、未点灯家屋等に対して、いま盛んにその方針で、年次計画で進んでおりますので、御了承おきを願いたいと存じます。
  35. 安西正夫

    安西参考人 電力事業は独占の乱用をしておるのじゃないか、それについてどう思うかということでございますが、私も先生と同じように、もし電力事業が大いに競争して、われわれが好きなほうから買えるような事業ならば、われわれとしては非常にいいことだと思いますが、どうも投下資本が非常に膨大でございまして、二重投資してそれで競争させることは、国家的に見て大きな弊害がある。だからその弊害は、電気事業法によってできるだけ独占する弊害等はためていって、そうしてできるだけ消費者にも満足するようにしたいというのがねらいだろうと思います。ことに私は電力の消費地域東京電力と北陸電力と中部電力東北電力に持っておりまして、それぞれの地域で最も大きな消費者でございますが、先ほど来木川田さんの言われるように、東京電力消費者立場も非常に考えてくれておりまして、私はこの点については、あまり独占の乱用ということをいま考えておらないわけでございます。公社のようにしたらどうかという議論もございますが、官僚行政というものは非常に非能率的で、それでそろばんということを考えないでやるところに特徴がございますから、やはりお互いにある程度幾つかに分割をして、競争をさせながらそろばんで追っかけるということは、独占の中にもまたいい点があるのじゃないかと私は考えております。  それから、公益事業だから、まあとかく政府は、介入するほうは公益事業だからといって介入するし、援助するほうはなかなか援助しない、電力会社のほうは、私企業だから国家援助は要らない、おれたちは自由にやるからあまり干渉してくれるなという思想もございますが、私としては、やはり公益事業なんだからできるだけ国家援助して、介入はやらないほうがいいのじゃないかということを考えております。許認可というもの、あるいは届け出というものをできるだけ簡素化してと、使うほうからもそういうことを考えております。  それから自家発電につきましては、先ほど申しましたように、たとえば私ども東北地方の山の中あるいは北陸地方の山の中、中部地方の山の中に工場をつくりました。なぜそうしたかといいますと、水力発電地帯に近いところは、発電所からあまり送電線もかからないで、そうして電力がわりあいに安定的に安く手に入るということでやったのですが、御承知のようにこういうふうに変わってまいりまして、今後は火力発電中心にしていく。自家発電火力発電中心だということになりますと、その地点はやはり港のある、油が楽に入ってくるところということになりますから、工場をそういうところへ引っぱってくるわけにはまいりませんから、どうしても山の中に、自家発電はわずかに限られた水力電気をやる。その水力電気は、先ほど申しましたように七割とか八割が金利のかたまりだということで、なかなか困難であります。そういうわけで自家発電というものも限度がありまして、新しく工場をつくって、しかもその工場立地が港で水運の便利のいいというようなところならば、先ほど木川田社長からもお話がございましたように、電力会社から非常に御協力していただいていますが、そういう地点ならば自家発電が可能でございます。私どもとしては、先ほど来申し上げておりますように、できるだけ自家発電をやりたい。  それから減価償却については、清水参考人は定率がいいんだというお話でございましたが、私はどうも、われわれが無配であったり定額もなかなかできないというのに電力会社だけが定率の計算をして値上げをされたのでは、これは一将功成って万骨枯れることになります。それは困るので、値上げをする場合の基礎は定額でやっていただきたい。そのあとは、先ほど木川田さんのおっしゃるように、企業努力で定率をやる。値下げというのは企業努力をはばむことにもなりますから、それはよほど慎重に御検討を願いたいと思いますが、値上げの場合はぜひ定額でやっていただきたい。化学工業のような場合は技術革新で一日一日と変わりますが、電力事業というものは相当長期安定型でございますから、設備が一月、一年でだめになるなんということはないわけですから、値上げの場合は定額で——そういうことで、電気事業審議会におきましては需用者電気事業者が最も対立した問題でございますが、木川田さんのさっきお話しのように、東京電力の社長は非常に理解のある態度でわれわれに歩み寄りましたが、電力会社の中にはなかなか強く、値上げのときも定率でやらなくちゃいかぬというような意見を吐く方もあったのでございます。そういう経過でございます。
  36. 二階堂進

    二階堂委員長 板川正吾君。
  37. 板川正吾

    ○板川委員 時間がありませんから簡単に。まず第一に木川田参考人に伺います。  第一点は、広域的な運営強化する必要がある、それは個別私企業的な欠陥を補うものである、こうおっしゃる。それも従来の相互融通というよりも、開発の広域的な運用、一例をあげて、東北東京電発、この三者が一体となって開発単一計画をつくるんだ、そうすると、このコストの中で四割を占める資本費というのが節約になって、安い電力を供給する責任を果たせる、こうおっしゃったのであります。その見通しとして、東北東京電発等の開発の広域的な運営によって、十年間約二千億程度の利益が生み出されるのではないか、こうおっしゃったのですが、私は、広域運営でそういう利益が生み出されるならば、この際東京東北と両者合併して広域運用をさらに一社的な運営に持っていったならば、もっとメリットがあるのではないか、こういうふうに考えるのでありますが、この点が第一点。  第二点は、開発広域運営をする、たとえば只見用の高いのは東電で買って、東電のつくる大火力の安いのを東北に送るという場合もある。そして東北の料金の再値上げ広域運営によってできるだけ押えていこう、こういうような趣旨も申されたと思うのであります。この法律には、広域運営について具体的にどういう方法でやるかということは明記してない。精神的な、訓示的な規定しかございません。そうしますと、私は、たとえば商法上の問題も出るんじゃないかと思う。東京電力の株主からいえば、高い電力を買って安い電力を供給するということになれば、どうも東京電力の株主に対して責任を果たしていない、こういう議論も出るんじゃないか。ですから、これを広域運営でやっていこうとするのには、そういう点で問題があるんじゃないか、これが一社になれば、そういう問題は解消するだろう、こう思うのです。この点に対する御意見を承りたい。  第三点といたしまして、サービス面の問題ですが、東京電力が、倒産した中小企業の再建の場合、過去において支払ってない電力料金があるという場合に、延べ払いで納めてもいいということを発表されて、実際にそれをやっておられると思う。この点われわれは電力会社サービスの一歩前進として歓迎いたしますが、東京電力だけでなくて、全電力がやはりそういうサービス強化すべきじゃないかと思うのですが、電気事業連合会会長として、他の八電力についてこれを全面的に実施していく意思があるかどうか、この点がサービスの面の第一です。  それからサービス面の第二は、参考人竹井さんからも申されましたように、遅収料金、料金の収受の方法ですが、いま御承知のように、東京東北と九州、この三社は遅収料金というのを一割取るのを五%にしておるようであります。この料金の収受の方法を見ますと、二十日から五十日ですね。一カ月おくれると一割の遅収料を加算される。これはその分だけで計算するなら、一年の割合では十二割ということになりますね。これは日歩三十銭の暴利をはるかにこえる理屈になるんじゃないでしょうか。ですから、今後サービスを非常に努力していくというならば——一カ月おくれたために一割の遅収料金をとるというのは独占的な一つの乱用じゃないか。もし競争企業であれば、そういう乱暴な料金を収受するということはできないと思う。電気事業連合会会長として、東京東北、九州以外も、少なくとも五%程度あるいはもっと下げてもいいかもしれません、とにかくこれを全面的にもう少し低くすべきじゃないかと思うのですが、この点に対して木川田さんの見解はいかがでしょう。  それから次は電力供給の安定性ですね。安定的供給に対する電気事業者責任ということでしょうか。これから開発が主として火力になっていくことはやむを得ない。水力は半分近くは開発をされておりますし、なかなかコストも高くなっておる。しかし火力中心電力開発が進みますと、どうしても火力の燃料は輸入に待つということになります。石炭でなくて石油ということになると、これは九割九分が輸入に待つ、しかもそのために膨大な外貨を支払うということになります。しかも石油の供給源というのは政治的に不安な政情を持っておる地域でもあります。そういう点で、火力中心にどうしてもいこうとする場合に、それが石油中心になりますと勢い供給力の安定性に不安を感ずるものがある。したがって、将来は水力開発をさらに強化する必要もありましょう。また国内の石炭を使用して、安定性を確保するということもある。さらに国産の原油を使うということもありますが、こういう供給の安定ということが、一面において安いエネルギーを供給するという責任と並行してあると思う。こういう安定性の問題について御意見を承りたいと思います。  次に安西さんに伺いますが、安西さんは先ほど主婦連の方に、あまり騒がないでほしいということを言われました。しかし電力の事情をまた一面理解してもらいたいと思うのですが、家庭用電力は全国的にいって十一円九十五銭の料金を支払っております。これは安西さんが大口消費者として使う全国平均一キロワットアワー三円六十七銭からいえば、三倍の料金を払うのです。ですから、企業者の立場として料金値上げは困るということは、家庭主婦からいっても料金値上げは困るのですから、よそを上げて、うちのほうはあまり上げないでくれという議論はどうもちょっと虫のいい話じゃないかと思うのです。これは安西さんのお兄さんですか、関係されておるガスの場合に比較しましても、ガスの場合には最低七十二立米の料金が二十二円八十五銭です。大口消費者の七千二百立米以上の単価が一立米当たり十九円七十銭、これはわずか一割ちょっとしか違いがない。数十立米のガスを引くのにはそれぞれたいへんめんどうくさい工事がかかる。これは家庭電力と同じで手数がかかります。大工場でその百倍の七千二百立米使う場合には、比較的その配給のコストといいますか、そういう面はガスの場合でもやはり低くて済むのじゃないか。それでガスの場合には大口消費者と小口消費者一般家庭消費者の差があまりないのです。ところが電力の場合には一対三の割合である。これは家庭電気消費者主婦立場からいえば、あまりにも大口消費者に安く、われわれに高いということで、しゃもじを押し立てるのは当然だと思うのです。こういう点をどういうふうに安西さんはお考えになっておられるか、参考までに御意見を承りたい。  それから清水参考人に伺いますが、実は私どもといたしましては、清水参考人に学識経験者ということで、特にその意味では電力中央研究所に松永老人がおりまして、これが電気企業企業体制について一つ意見を持っておることは承知しております。ですから、松永さんにおいで願うのはお年寄りでたいへんだろうということもありまして、その代理の方が出て松永さんの意見をひとつふえんしてほしい、少なくとも企業体制について、九分割でなくて四分割ですか、四ブロック案、こういう程度のことが一歩の前進になるのじゃないか、広域運営の限界というのはありますが、この限界をさらに発展させて、企業の社会的な責任を果たすというならば、私は少なくとも第一歩の案として、この四ブロック案というのが主張さるべきではなかったかと思っておったところが、実はこの九分割は妥当であるとか、経験者かもしれませんが、学識的な点がさっぱり意見として述べられなかったので、われわれは残念でありますが、企業体制の四ブロック案について、松永さんの見解というのを、もしわかっておったならば明らかにしていただきたいと思います。  以上です。
  38. 木川田一隆

    木川田参考人 板川先生にお答えいたします。  第一点は、開発単一計画を立てなければならぬ、たとえば東京電力東北電力は合併すべしという論理になるのではないか、こういう御質問でありますが、再々申し上げましたとおり、経済能率性と申しますか、それともう一つ管理の能力、それが裏返しになりますと、サービスのよしあしに関係するわけでございますが、それにはおのずからやはり適正規模があるということに考えまして、東北東京というのはおのおのブロック的に特性がある適正規模である。それからもう一つは、東北というものは特殊の、用語があるいは悪いかもしれませんが、東京のような開発された地帯とはおのずから違う。東北振興等の必要な地域と思いますが、その両地域の性格の差異がございますので、これを同じように統一しますことによって特性の生かし方が非常にあいまいになる。たとえば、東京に本店を置いて東北を見るという場合を想定いたしますと、これは絶対にサービス改善にはなりっこないと思っております。東北の青森支店長を呼んでそれに命令を下しても透徹いたしません。同時に、東北振興という一つ国家全体の均質的な経済発展の上からいいますと、あそこは特別の地域であると考えますときに、これを東京と合併しまして、同じような電力上の経営をやるということもまた特殊性を生かすゆえんではない、かように考えます。それからもう一つ申し上げたいのは、この両者の合併によりまして、実は両者のサービスのレベルその他修繕の状況、施設の良否等におのずから歴史的に発展段階がございます。そこでああいう料金ができておりますので、それを一躍東京並みのサービス・レベルに上げようということになりますと、配電その他も非常なコスト高になります。それをどなたが背負うか、やはり東北電力のお客さんが背負うことになりますから、現実問題としては別別にして、広域運営の横の事項として救済するにしくはない、かように考えます。これが第一問のお答えでございます。  それから第二問は、この広域運営をやって、利益配分するのに、おまえのところは損をして相手に得をさせるということは、先生おっしゃるとおりなんです。これはわれわれ非常に心配いたしまして、商法上の私企業の背任問題が当然出るわけでございます。それとこの広域運営の場合におきましては、利益のマイナスということは相互にあり得ない。必ず利益はプラスになることを共同の利益の目的にしておりますから、利益はございますが、その割合が非常に違うことになるだろう。先ほど申し上げましたとおり、東北のほうは非常に利益の配分が多い、東京は少ないということはございますが、そこはやはり私企業の主体性の関係から申しまして、法神的に商法上の背任にならぬように、マイナスにはならぬ、ただし利益があるんだ、それが一つでございます。  もう一つは、さっき例に申し上げました只見の二十万キロですか、あれを五円何十銭で高く買っておるじゃないか。ところが、あれをうちは活用できるのでございます。あれはヒータ用でございまして、非常に値段が高い、うちでつくればもっと高くなるかもしれません。それを向こうから五円何十銭で買いましても、うちでつくるよりも利益があるという観点に立っております。ところが、東北ではより多く利益を受けるというわけでございまして、その辺に、商法的にもあるいは自主的な企業の主体性からいっても何ら支障のないように、これは弁護士に一生懸命、相談しましてつくり上げたものでございます。  それから例の十年間に百八十万キロめ二千億セーブするというのは、東北東京の問題でありませんで、全国的の問問題でございますので、御理解おきを願いたいと思います。  それから第三はサービスの問題で、一つ中小企業対策でございますが、これを全国的にやる必要があるか。やはりサービス改善の問題は、地域地域によっておのおのやっておるのでございますが、新聞は東京でやると必ず取り上げるのでありまして、よそでもいろいろとやっておるわけでございます。中小企業対策とは言えませんけれどもサービス改善としてはいろいろ対策はやっております。ただ中小企業対策をやっているかどうか、私、そこまでは考えませんが、大体東京一つの例をつくりますと、ほかの会社もおのずから時期を異にして伝播する。やはり競争して自分のところをよくしよう、政策のいいところはとろうじゃないかという競争理念の発露だと思いますが、だんだん伝播すると思います。  それから例のサービス問題で、電力供給の安全性、これは非常に大きな問題であると思います。火力が大容量化しまして、今度は千葉の姉崎に六十万キロの火力発電所をつくります。もしこれが故障——実際火力は故障が多うございまして、故障が起きますと六十万ぱたっととまっちゃうわけです。それで、これに対する切りかえ送電の非常に線密な図表もできておりまして、もしこれが故障が起こったときには、どのルートからどういう補給作業をするのだということの、いわゆるディスパッチングと申しますか、給電操作の配慮が非常に必要である。  それからもう一つは、水力をつくろうにも、もうないのだとおっしゃいますが、やはり東電は今度長野県の梓川で八十九万四千キロという天下にまだないようなやつをつくることになっておりまして、そういうふうに水力の補給的なことも考えております。  それから重油その他の燃料源がみな輸入じゃないかというお話でございますが、これも国内の石炭二千五十万トンを引き受けるというお約束もしておりますが、そういう石炭の問題、それから油の問題につきましても、重油のルートはいろいろございますので、わりあいにセーフティバンドは広くなっておると存じます。それから、なまだきの問題もございますので、この点も安全供給の一方途と考えておりまして、いま試験時代をやっております。  このようにいろいろな点を考えまして、先生の御心配のとおり安全供給に対しては、ユニットが大きくなればなるほど、われわれ経営上の配慮をしなければいかぬという、きわめて適切な問題であろうと思います。  遅収料金、これは原価計算上遅収のほうが本物で、早収のほうが少し判り安になる。たとえば検針集金というのは、これは需用家料金というコストがあるわけです。そしてこれは一回行けば済むわけです。そのあとの方は何回もお伺いする。それから資金の回転率の問題があります。早く入れていただけばコストが安くなるわけですから、金利払いとか……。そこら辺でごかんべんを願いたいと思います。  ただ五%というのは、東北東京と九州がやった場合、ほかのほうはどうか、この問題は事業法の関連事項といたしまして、改正した電気料金の施行された諸条件と残ったものとの間に差がございます。これをどうして平等の原則からならすかという問題が残っておると思います。これはわれわれ事業者の問題ではなくて、お役所その他の御審議一つの問題点であろうと存じます。
  39. 二階堂進

    二階堂委員長 参考人の方に申し上げます。午後の時間の都合もございますので、できるだけ簡潔にお願いいたします。
  40. 安西正夫

    安西参考人 板川先生の、産業用電力のほうが割り安で家庭用が高いのではないかというお話でありますが、先ほど私がちょっと申し上げましたように、まず電気の質が違うということをひとつお考えをいただきたいと思い・ます。たとえば私どもの川崎の工場で硫安をつくっておりますが、渇水期に、二十四時間のうちに四十回くらい、それ使え、それとめろというようなことで変わるのでございます。先ほど申し上げましたように、主婦連合会が眠っているときにわれわれは使う電気であります。非常に電気の性質が違います。  それからもう一つは、原価主義、この原価主我には私もいささか意見はごございます。しかし、一応原価主義というものが貫かれておる。とうふ屋に八里のところの電灯と、一カ所でたくさん使う電力料金の原価とは当然違う。また全国的な電力と都会集中のガスとは、ちょっと性質が違うのではないかと考えます。結局私どもがそれで考えなければならぬのは、先ほど前の先生がおっしゃいました外国の同じような電力料金との比較が最も参考になると思いますが、これは公益事業局でおつくりになったかどうかわかりませんが、この統計は非常に無責任な、ずさんなものであります。と申しますのは、日本の統計はいいと思いますが、アメリカの無機化学工業とは一体何をとってあるか、日本の無機化学工業とは一体何をとってあるか、さっぱりわからぬ。繊維工業、こういうものは数字の魔術にかからせるものだと思います。これは非常に残念で、むしろナイヤガラ瀑布を中心としたアメリカの電気がいかに安いかということは、もう常識でもわかるわけでございます。たとえばナイヤガラ瀑布を中心にしてアルミニウム会社が幾らの値段の電気を使っておるか、日本のアルミニウム会社が幾らで使っておるか、フランスが幾らで使っておるかということを比較していただきたいと思います。何かこう輸送用機械器具といったって何を言うか、アメリカと日本が全然統計をとった主体が違う、こういう統計を先生方に配付するというのは非常に残念でございます。
  41. 清水金次郎

    ○清水参考人 お答えいたします。実は私は、当委員会の参考人として呼び出されます前に、研究所の松永理事長というお話があったようでありますが、何ぶん御高齢でありますし、また皆さま方に当を得た答えも場合によってはできかねるのではないかと思いますので、私が参ったわけでございますが、理事長とお話ししまして、それならば理事長の意を体して私が参りましょうかと申しましたところが、そうでなくてよろしい、こういうお話でございましたので、一応私個人の意見として先ほど来申し上げたのであります。  ただいまの御質問の点につきまして、実は去る昭和三十二年と思いましたが、当委員会に呼ばれまして、そのときは松永理事長が参考人でございましたが、かぜを引かれましたので、おまえ代理に行ってこの文書を読めということで参りました。そのとき、たしか広域運営というものができます前で、四ブロックで合併をせよというのをやりまして、たいへんセンセーションを起こしたわけでございます。それなら松永さんいまでもそういう考え方か、おまえのしゃべったこととたいへん違うじゃないかということですが、その間、ちょっと申し上げますと、あれはまだ全国的地域広域運営ができます前でございまして、その当時電力も相当不足しておりまして、理事長はかねて電力設備の近代化などをとなえまして、料金をむやみに上げるよりも、やはり発電所を近代化して送電を融通するのが、一番コストダウンの原因になるということで、いろいろお話がございましたが、とどのつまりは、そういうことが行なわれなければ合併もやむを負ないということであれが出たのでございます。ところがその後電気事業のほうでは全国的並びに地域広域運営強化いたしまして、その後五年の実績で、先ほど申しましたようにほぼ受給もバランスしまして、料金も安定したわけでございます。かてて加えまして、その当時と違いますのは、火力発電の燃料が重油に変わりまして、幸いに安く入手されるようになりました結果、必ずしも合併という手段をとらなくても、いまの段階ではやれる。ことに一昨年来東京東北では、木川田社長の御尽力によりましであのような効果が上がっておりますので、こういうことならば必ずしも合併しなくても効果が上がるであろうということで、現在の段階ではおそらく理事長といたしましても、遠き将来は別といたしまして、現在の段階では、いま行なわれておる方法で、しかも新鋭火力をどういう地点に置くかということに集中することが一番いいのではないかというふうにお考えになっているのではないかと思います。こういうことで御答弁に当たるかどうかわかりませんが、私まあ常にそばにおりますので、お気持ちを突っ込んで聞きませんけれども、大体様子を見まして、いまのようなお答えがわりあい当たっているのではないかと思います。
  42. 二階堂進

    二階堂委員長 中村重光君。
  43. 中村重光

    中村(重)委員 木川田参考人にお尋ねいたします。  中央電力協議会で電力長期計画をまとめられておったと思うのです。新聞の報道するところによりますれば、初の単一プランとして需用を十年後二・五倍と想定する、こういうことでありますが、これはどのように具体化しておるのか。それからこの十年で初年度、それから中間でも十年後でもけっこうでありますが、総エネルギーの供給量に占める電気の比率はどういうことになるのか、その点に対してひとつ伺ってみたいと思います。  それから、関連がありますからお尋ねしておきますが、御承知のようにエネルギーの需要供給というものは拡大の一途をたどっておるわけです。ところがエネルギーの安全性ということからいたしますと、国産エネルギーをできるだけ拡大していかなければならない、私どもはこのように考えておるわけであります。参考人承知のとおりに、石炭の不況といったような問題から、有力な有沢調査団が編成をされまして、その後政府がこれを石炭政策という形で一つの施策を進めておるわけです。それに対しまして電力事業業界といたしましても現在二千五十万トン、さらには、途中二千五十万トン、最終的には五千五百万トンの中において三千万トンを引き取る、こういうことになっておるわけでありますが、総エネルギーの需要が拡大すればするほど、石炭もまた五千五百万トンということで、頭打ちをするのではなく、さらにこれを拡大していかなければならない、このようにエネルギーの安全性から考えておるわけであります。ところが経済性ということからまいりますと、私がいろいろと意見を申し上げる必要もございませんが、石油が安い、こういうことから、電力業界といたしましても石炭を引き取ることには若干問題もあるのではないか、このように考えております。しかし国産エネルギーの総エネルギーの中における位置づけという点から考えてみますと、これに対しましては積極的な協力がなされなければならない。そういう点に対しての参考人の見解もあわせて伺ってみたいと思います。
  44. 木川田一隆

    木川田参考人 中村先生の第一の御質問は、十年間の需用想定の問題であります。大体過去の十二、三年のは九%になっておりますが、はなはだしいときには二〇%の需用に、東電のごときはそういう時代もございましたが、経済が従来の余波でもって生産拡充をなお継続するかどうか、あるいは安定成長の段階に入るかどうかという見通しの問題が非常に基本的な前提になろうと思います。一応安定成長の段階に入るという前提を置きまして需用の想定をいたしますと、やはり東京電力においては一二、三%の見込みをつけておりますが、全体的にはこのような形になろうかと思います。  それから総エネルギーに占める国産エネルギーの割合でございますが、的確な計数を存じませんが、これはお役所のほうがよく御存じかと思いますが、相当燃料源は輸入に待つことが多い。たとえば三十七年で四八%からの輸入分があるというわけで、供給の安定性という重大問題を解決せんがためには、やはり国産のエネルギーの活用が必要であるという前提をわれわれは持っております。価格の価値計算におきましては、もちろん重油のほうが二割方安いということは明瞭でありますが、ただ経済観点からだけ安い重油に重点を依存するということは、国際収支の関係もございますし、輸入エネルギーの将来の安全性からいいましても、やはりある程度国産エネルギーの依存が必要であるという前提をいつも持っております。そうしましてわれわれ連合会といたしましては、三十九年度も同じように二千五十万トンを引き取りましょうというはっきりした答えをいたしております。ただ全体の総量が減りますと、去年も百八十万トンくらいでしたか落としたわけでございますが、そういうことがないように、むしろ生産性の向上をお願いしたいと思っております。かように石炭に対しましては、ことばを変えますと、ある面からは甘いといわれ、ある面からは政策的な立場から協力しておるということもいえましょうが、高い石炭を多量に使った場合、これを原価計算の立場でお客さんに転嫁するという問題が出る。これをなるべく排除して経営合理化をはかって、こういう高いものを使った場合も転嫁する前にわれわれが自己吸収をするという努力がその裏の問題としてわれわれにかぶさっておる。そうしまして、結論としまして、私は、石炭をイギリスみたいに自然エネルギーとして保存しておくのがいいのか、日本のようにどんどん開発していくほうがいいのかということは議論がございましょうが、労働問題その他、日本のエネルギー活用の面から見ましても適当な、やはり現在の方針で進むことが正しいと思いますが、いずれにしましても燃料問題、エネルギー問題というものはやはり総合的に、時々刻々変わってまいりますので、これの方向性の統一的な策定ということは必要であろう、かように考えております。
  45. 中村重光

    中村(重)委員 時間の関係がありますので、その点はおきますが、この法案の中の一般電気事業者以外の者の供給、いわゆる特定供給の問題でございます。この法案の中でその点と、それから広域運営、そのことが特徴ということがいえると私は思うわけなんです。従来もやっておったんだけれども、今回は法文の中にこれを明らかにしたという点が、何というのか、前向きといえば前向きになる。これもまた運用のよろしきを得なければまずい結果にもなろうかと思いますので、これはまあ良心的にあなたのほうも、それから通産省は言うまでもないわけでありますが、これをあなたが意見の中で開陳されましたいわゆるサービス性というもの、それから公益性ということに重点を置いて取り組んでさえいただくならばいい結果を生むであろう、こう思います。ところが、自家用電力の保有者がたとえばコンビナートに対して供給をするという問題がここでは考えられておる。それとともにその関係の社宅、そういうところにも供給するということが当然起こってくるであろう、こういうことになる。そうすると、いわゆる競争状態というものが、まあ地域的でありますが起こってくる。この状態に対してあなたのほうが、実際これは歯どめをするという形が起こってくるのではないか。そうなってくると、これはせっかくのこういう前向きの政策もうしろ向きで突っ走ってしまうという結果になってくるわけでありますが、この点に対して、あなたはこの十七条をどのように理解をしておられるのであるか、この後この法律を運用するにあたって最も関係の深い電力事業界としては、どのようにこれに協力をしようと考えておられるのか、まずこの点に対しての見解を聞かしていただきたいと思います。
  46. 木川田一隆

    木川田参考人 原則としまして電気事業が重複設備を排除する。したがいまして区域の市場は一事業地域、一地域が一事業者でやるということが経済的には正しいと原則的には考えます。したがいましてこれを明文にするしないは別として、そうした観点からもちますと、特定供給は必ずしも需用者に利益があるかないかということは問題があろうかと思いますが、特定の場合、特定供給ということは、当然ものの運用の幅から申しまして容認さるべき問題と私は考えております。ただ先生のおっしゃるように、社宅用その他いろいろ供給秩序があまり乱れますと、結局お客さんのためにならぬ場合も起こり得るので、秩序の問題が一つの問題点と思いますので、これは実際運用上の場合、お役所のほうとよく打ち合わせをしまして秩序の乱れないように、しかも特定供給を生かすようにやるべきであろう、こういうふりに考えます。
  47. 中村重光

    中村(重)委員 この十七条の二項では、通産大臣がこれを許可するにあたっての考え方を明らかにしておりますが、それには「一般電気事業者の供給区域内の電気の使用者の利益を阻害し、又は阻害するおそれがあると認めるときは、同項の許可をしてはならない。」使用者、この点にあるわけです。これはへたをやりますと、一般電気事業者の利益を阻害するというふうな形になって、あなたのほうがイニシアをとるというような形になると、せっかくのこの十七条の意味がないということになってまいります。この点は公益事業局長、この法案を提案されたのでありますから、これは十分、いまの参考人の連合会長としての考え方というものも前向きの考え方にあるようでありますから、その運用遺憾なきを期していただきたい、このように要望いたしておきたいと思います。  それでは時間の関係もございますので、木川田参考人——参考人の御意見も伺いたいと思いますが、それから竹井参考人にお伺いいたしたいと思います。しかし竹井参考人には全部でなくてけっこうであります。この線下補償の問題でありますが、これはきわめて具体的なことをお尋ねするようでありますが、連合会長でありますのでめったにお会いできませんので、この機会にお尋ねしておきたいと思います。線下補償の問題は、委員会におきましても相当これは質疑がかわされるでありましょうから多くを申し上げませんが、この土地の使用料の値上げの問題、非常に安い使用料で補償される、これはいけないじゃないか、こういうこと。それから範囲も非常に狭いので、この際範囲を拡大してもらいたい。それから非常に不合理なものがあるわけです。電気を引っぱってもらいたいという人は非常に弱い立場にある。だからして、電気を引っぱってやるんだから、そのかわりに土地を使用しても使用料は、補償料は払わぬぞ、こういうことに対しましても、やむを得ません、御無理ごもっともという形で実は行なわれてきておるのであります。きわめて不合理な話であります。弱いものがまったく一方的に、何というのか、強い立場会社から押しまくられておる。これは地域独占の弊害というものが私はかもし出されておると思うのであります。いろいろ先ほど竹井参考人から電気料の問題について鋭く指摘されたわけでありますが、これは使用料の面につきまして同じような立場に立たれておると思うわけでありますが、これらの問題に対しましては合理的な立場にこれを直していくということでなければなりません。東電におきましてもこれは問題もありましょうが、連合会といたしまして、これらの問題に対しましてどのような話し合いがなされておるものであろうか、新しい電気事業法がここへできますので、こうしたことを契機に、そうした非難をなくするというような態度が私は望ましいと思います。こういう点に対する考え方をひとつ聞かしていただきたい、こう思います。  それから、この点は竹井参考人にあわせて御意見を伺いたいのでありますが、サービス料金の問題であります。これはいろいろ大衆サービスの料金といたしましては範囲があるわけでありますが、たとえば農事用、かんがい排水、脱穀、それから深夜電力の問題等々いろいろございます。これはそのサービスがもっと前進をしてくる形でなければならないと私は思いますけれども、私どもが知る範囲におきましては、むしろうしろ向きの状態になっておる、そのサービスが漸次影を薄めてきつつある、こういう状態でございます。これは九つの電力会社すべてに共通するものであるかどうかは知りませんが、私の承知する範囲におきましてはそういうことでございます。こういうことは改めていかなければならないと思いますが、この点に対する考え方もひとつ聞かしていただきたい、このように思います。  それからいまひとつは、未点灯戸の解消の問題であります。それから、私は長崎県でありますが、長崎県は御承知のとおり九州電力であります。この九州電力の管内には非常に離島が多い。僻地がある。そういうことから、この未点灯戸というものは相当残っております。長崎県だけでも一千一百戸くらいまだあるのであります。ところが未点灯戸に対しましては、そのままではどうしても困るというので、御承知のとおり農山漁村電気導入法というような関係でいろいろ共同受電等の道も開かれておりまして、これも共同受電という形で実は電気の供給を受けておる、そうしてこれを受益者に供給をしておるということでありますが、この場合も、一般の供給の電灯料金と比較いたしますと三倍強であります。施設費は、補助もありますが、借金もしている。電気料は非常に高く払っておる。そして二十四時間の送電ではない。しかもそれは非常にボルトは弱い。不利な状態にございます。したがって赤字を出しておる。そのままの状態では困るというので、共同受電を一般供給に切りかえるという道が開かれてまいりました。ところがこれに対しましても、離島等におきましては、一万円まではこれは自分でやりなさい、それ以上は大蔵省が、国から補助をしてやろうということであります。今度は一万五千円に足切りが引き上げられたのです。それ以下のところは自分でやらなければならない。初め電灯線を引っぱってくるときも、借金までして自分で施設をした。そして今度は、非常な不利な状態をずっと続けてきたが、もうがまんができないというので、この共同受電を一般供給に切りかえてもらうと、また借金は残っておっても払っていかなければならない。それではそのまま電灯会社が引き取ってくれるかというと、引き取ってくれません。完全に修理をしなさい。完全に手のかからないようにしなければならない。そういうことから、先ほど申し上げましたような制度ができておりますけれども、それも一万円から一万五千円に上がる。そして、それ以下は自分でやれ、こういうことであります。私はこういう点は非常に不合理だと思います。非常に弱い立場にある人を締めつけて締めつけていくという態度、こういうことは私は電力事業公益性という点からも改めていかなければならないのではなかろうかと思います。こういう点、こうした問題を抜本的に解決をしていく。電力会社もその公共性ということから考えて、たとえば一般の供給の場合も九万円以下は九万円まで、それ以上はやらぬのだといったようなことで、無点灯戸も解消しないというやり方、そういう点等もこれは間違いであると思いますので、これらの点に対しそどのようにこの後取り組んでいこうとされるのであるか。そうした点についてのいろいろ御検討もありましょうから、まずそうう点に対してお考え方をひとつ聞かせていただきたいと思います。  なお、竹井参考人には、私たいへん抽象的に申し上げましたので無理かと思いますが、私の申し上げました範囲においての何か考えがまとまりましたならば、御意見を伺ってみたいと思います。  それから、これは木川田参考人だけでけっこうでありますが、私のほうでは、当社営業面における中小企業対策についてという資料を、別のほうから私は入手をいたしたのでありますが、これは中小企業の振興という立場から、非常に公益性の強い電力会社のあり方、大企業としての電力会社のあり方としては、こうなければならないというので、中小企業者に対するいろいろな供給面に対し、あるいは延滞した電力料金の延納払いの方法とか、いろいろなことを考えておるようであります。まことにけっこうなことだと思いますが、こういうことはあなたのほうだけなのか、九つの電力会社がすべてこういうような歩調をそろえて進もうとしておられるのか、こういう点に対してもひとつ考え方を聞かせていただきたい。
  48. 木川田一隆

    木川田参考人 お答えします。第一の線下補償の問題、これは現実的には非常にむずかしい問題で、おそらく三十七年の閣議かと思いましたが、補償の基準が出ておるわけでございます。それが必ずしも現実の適用には、そのまま適用できる筋もあり、できない筋も、あり、非常に不明確な点がございますので、これを明確にしていただいたほうが、われわれの事業運営上きわめてありがたい、かように考えます。  それから電気事業全体としましては、いろいろとこの問題は、景気によって、歴史的に、既設の分、新設の分、問題がございます。それはあらかじめわれわれも統一的な話し合いをすべきである、これは再三やっておりますが、そのように考えております。  それからサービス料金の問題でございますが、農事用やかんがい用や深夜の料金について、何か前向きでないというおこごとでございますが、そういうことがございますれば、これは責任をもって前向きに直します。  それから未点灯部落の問題でございますが、これは原価主義からいいますと、マイナスのところは送る必要はないわけでございます。しかし、これも公益性観点から、他のお客さんに転嫁することなしに、赤字であっても送る方法を、各社とも年次計画を立てるようにという話し合いで、これは政府のほうにおきましても大きな問題として慫慂のある問題でございます。ただ、いま北海道が五万軒残っておりますが、北海道が三割方、九州にも相当ございまして、多いところは、原価め問題上、収支の問題上、なかなか困難があろうと思います。すでに北海道電力社長並びに九州電力社長には、私は連合会の会長として、どのように今後この問題を解決するかという電話をいたしておきました。したがいまして、われわれ連合会としましては、現行のたてまえ上自己吸収のできる範囲内においてどのように解決するか、その具体的手段を年次的に再検討する必要があろう。東京ごときはことし全部なくしてしまいましたから問題ございませんが、ただ先ほど申しましたように離島の問題は、全く赤字になりますので、赤字をほかのお客さんに転嫁するというわけにまいりません。八十万か何か毎年赤字になっている。二十四時間送っているところと六時間のところがちょっとございますが、そういうことがございますので、そういうふうに離島問題と未点灯戸の問題というものは非常にむずかしい。収支関係、原価計算の問題とからみ合っておりますので、長期的な手段で解決の方向に向かうというふうに御理解御了承願いたいと思います。しかし、日本の電灯の普及率はスイスとともに世界第一でございます。なおかつわれわれはそれを完全になくする努力をしようという衷情を御理解いただくとけっこうだろうと思います。  それから中小企業対策は、たいへん御理解いただいたわけでございます。全国的にやるかやらぬかということは、話し合ったことはございませんが、おのおの主体的経営立場におきまして、サービス改善なり、公益的立場でやるべきものはやる、東電がすると、他もよければやるでございましょうし、それからよその会社のやっているいいこともございましょうけれども、そういう画一的な動きはするべきじゃない、ただ根本精神は公益性に立脚した施策を徹底して行なうことがわれわれの使命である、こういうふうに考えております。
  49. 竹井二三子

    竹井参考人 かりに電柱を立てる場合、これはいま区役所なんかが防犯の意味で街路灯を立てておりますけれども、私たちの町ではその街路灯さえ個人負担で立てさせられていたわけです。それが私道にかかわらず公道にかかわらず、ともかく電柱を立てられると道路面に非常にじゃまになることは間違い、ございません。そういうものを、隣近所の個人負担の経費でもって街路灯を立てて、それからまたそれに対する電気の使用料が隣近所の個人負担で支払われているというふうな、非常に不合理なことを役所自体がやっている現段階において、私は、役所とそれから電気会社と、一緒にあわせてそういうものを解消していく方向をとっていただきたいと思います。  もう一つ、深夜サービスの問題が出ましたが、これは大口の産業用でなくても、家庭の使用に対しても私は考慮されていいのじゃないかと思います。深夜というのは大体衣庭でも電気を使わないものですけれども家庭によっては子供がおそくまで勉強するために終夜つけている場合もございますし、ほんとうは電源の遊んでいるときに一番協力する使用者だ、私はそういうふうに思っております。だから、電話料なんかは、市外通話はおそくなりますと料金が安く割引になりますが、そういう割引が家庭電力の使用にもあっていいのじゃないかというふうにも考えております。  それからもう一つ、僻地対策でございますけれども、私はこの僻地の開発ということを、電気というような立場から、それにだけおおいかぶさってその開発を望んでいくという方向は間違いなのじゃないかと思います。これは教育の問題がそうでございますし、放送事業がそうでございますし、医療施設、医者にかかる、そういうものを含めた僻地対策というものを国の責任でやっていただかないと、僻地に住む住民も都会に住むわれわれも同じ権利を持っておりますし、保障されなければならない性格のものであります。ですからそういう開発に使う必要な費用をわれわれに転嫁されるということに対してはもちろん反対でございますけれども、そういう僻地の人たちが不自由すればいいということではもちろんないと思います。われわれもともになって僻地の開発を国の責任において総合的にやっていただきたいということを強調いたしたいと思います。
  50. 中村重光

    中村(重)委員 大事な問題でありますので、御答弁は要りませんが、木川田参考人に簡単に私の考えだけ申し上げて御考慮を願っておきたいと思います。  離島、僻地の電気の供給に灯して、いわゆる原価主義であるから引き合わなければ売らなくてもいいのだ——あなたはそういう理想ではございません。あとで公共性という面から努力するということでございましたから、その点は了解をいたしますけれども、あなた方電気事業者には供給の義務がある。引き合わなければ売らぬぞという態度は、私は一般電気事業者全体が、持ってはならないことだと思う。そういう点に対しては、一般の人に負担を負わせることはできるだけ避けるというあらゆる企業努力をなさることが当然でありますし、またその点は御答弁に対しまして了承をいたします。しかし私どもも国会議員という立場において、国の当然なすべきことに対しましてはいままでも努力いたしておりますし、今後ともやります。しかしあなたのほうは、いわゆる電気を供給しなければならないという公益性の非常に強いこの事業を一社化、社会化することに対して反対をされ、私企業をもってやっていくように努力したいという立場に立たれるならば、その公益性から考えて、国に要求すべきものはどんどん要求をして、一戸たりとも未点灯家屋がないようにする、そうして共同受電という形において非常に不利益な状態に置かれるものを解消するという旺盛な責任感を持って対処されることが当然ではなかろうかと思います。そういう点に対して十分御考慮をいただきたい。特にあなたは連合会長でありますので、その点に対する配慮方を強く要望いたしまして私の質問を終わります。
  51. 木川田一隆

    木川田参考人 まことに適切な御注意でざいまして、そのとおりのことを実践いたしております。ただ原則的なことを原価主義というたてまえにおいて申し上げたのでございます。その点誤解のないように御理解願いたいと思います。  もう一つ竹井さんのお話にもありましたが、深夜の問題でございます。すでに深夜のロードカーブの低いところを活用するということで、ビルディングその他において器具その他を新しくつくりまして、すでに安い料金で開発を始めております。それと同時に家庭用につきましても、温水その他深夜におきましてこれをいかようにして活用するか、そうしてお客さんの利益とわれわれのコストダウン両面からいたしまして、これを共同利益と称しておりますが、すでにこの活動を開始しております。
  52. 二階堂進

    二階堂委員長 なお、加藤委員よりも質疑の通告がございますが、時間の関係上御遠慮をお願い申し上げます。御了承をお願いいたします。  参考人の各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。どうぞ御退席ください。  午後二時三十分まで休憩いたします。    午後一時五十五分休憩      ————◇—————    午後二時五十三分開議
  53. 二階堂進

    二階堂委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  中小企業に関する件について調査を進めます。  本日は、企業倒産に関する問題について、参考人として前東京発動機株式会社社長、富士電機製造株式会社社長金成増彦君東京発動機株式会社社長平島秀雄君、以上二名が出席をされておられます。  参考人の各位におかれましては、御多用中のところ御出席をいただき、まことにありがたく存じます。なお、参考人方々に申し上げますが、発言の際は必ず委員長の許可を得てから発言をしてください。また、参考人方々委員質疑することはできないことになっておりますので、御了承を願います。  政府並びに参考人に対する質疑の通告がありますので、順次これを許可いたします。藤田高敏君。
  54. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 去る五月二十一日に、きょうお見えの金成さん、平島さんにおいでいただきまして、いわゆる東京発動機の倒産問題に関連をして、いろいろ御質問をしかけたところでございますが、五月二十一日の議事録に載っておりますような事情で本日に至ったことは御承知のとおりであります。この間、私どもといたしましては、やはりこの種の企業倒産に関連する問題は、社会的にも重要な問題でありますし、特に今日中小企業の倒産が次から次へと続出をしておる、こういう現実の中から、東発の問題につきましてもできるだけ適切な意見を御発表いただき、倒産の経緯というものをつまびらかにした中で、政府関係機関の適切な中小企業倒産対策を要請したい、こういうふうに考えておったところでありますが、それぞれ参考人側の御事情で、あるときは総会の事情があり、あるときは平島さんが御病気だということで今日に至りましたことについては、不可抗力的な事情があったとはいえ、時間的におくれたことについてははなはだ遺憾に思っておるところであります。  私は、五月二十一日に、冒頭、具体的に質問をいたしますにあたりまして、参考人の皆さんにお願いを申し上げましたが、皆さんは誠意を持ってお答えをされておると思いますけれども、四月八日の商工委員会の無担保債権者あるいは労働組合代表の意見と、会社側と称する参考人の皆さんの意見との間には、かなりの食い違いがあるような意見もあったわけであります。私は、きょうはきょうなりに、それぞれ時間の制約もありますので、できるだけ効果的に意見を聞かしてもらいたいと思うわけでありますが、前会ああいう御注文をしておきましたので、きょうはそれなりに議事録を中心に関係事項については御検討をいただいて御出席になっておると思うわけであります。そういう点から、私のほうから質問を申し上げます前に、四月八日の無担保債権者、組合代表の意見と特に食い違っておる点について、皆さんのほうからまず事実問題として、このように事情の食い違いがあるのだという点がありましたらお聞かせを願いたい。特に、失礼な言い方でありますが、この問題がこういう形で政治問題といいますか、社会的な問題としてクローズアップされました一つの理由としては、今回の東発の倒産というのは計画倒産ではなかろうか、ここに一つの焦点があろうと思うわけであります。したがって、その点を中心として、皆さんの見解に食い違いがあるとするならば、ひとつその点をまず御説明を願いたいと思うのです。
  55. 平島秀雄

    ○平島参考人 前会の議事録につきまして、特に私ども立場から食い違うと思われるような点から申し述べたいと思います。  前に田代参考人から三十三社の数字につきまして述べておりますので、私どもとしましては、この三十三社がどういう会社であるかということを田代参考人のほうに聞いたのでございますが、その社名は教えられないということなんでございます。それで私どもでは、やむを得ず担当で調べました結果、常時取引先二百社につきまして調査をいたしました。この二百社は資本金五千万円以下でございまして、それから東京工場、岡谷工場のうち、部品の機械加工をするだけのところは抜きましたものでございます。それの購入高は、昨年の十一月一億八千二百万円、十二月一億七千三百万円、一月一億七百万円、二月が八千六百万円という数字になっておりまして、この議事録にございますように、三十三社が十一月を基準にいたしまして十二月、一月と非常に発注高が上がっているということでございますが、私どもが二百社について調査いたしましたものが、ただいま申し上げたような数字でございまして、特に多く発注をしたという事実はないと存じております。   〔委員長退席、小平(久)委員長代   理着席〕
  56. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 計画倒産ではなかろうかという一つの問題点として、いわゆる集中発注をしたのではないかという点について、いま三十三社の前回の無担保債権者の例を引かれたわけでありますが、いま平島参考人のほうからお答えになられました数字というのは、いつの時点における資料でございましょうか。
  57. 平島秀雄

    ○平島参考人 これは三月末現在で調べたものでございます。これは現在調べましたもので、実績でございます。
  58. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 それでは、実は私きよう資料を持ってきておるわけですが、取引先別債務内訳表、東発の外注関係債権額の内訳という一つの資料を入手しているわけです。この資料は会社側から、昨日か一昨日でしたか、無担保債権者の皆さんにも出されておるものと大体同じものだろうと思うのですが、いま言われましたように、なるほど統計資料のとり方によれば三十三社をピックアップするのだ、また二十社なら二十社、いま平島さんが言われたようなとり方によって若干の違いも出てこようかと思うのです。私はいまここに持ち合わせております、これは数は数えておりませんが、いわゆる本社ですね、東京あるいは岡谷工場、こういった各事業所の取引先の債務内訳表でありますが、これはいわゆる直接東発の部品関係、外注関係の仕事をしておるところの資料なんです。これでいきますと、いわばあなたのほうのいまの御答弁では、四月八日の田代君の意見によれば、三十三社の例を引いておるが、二百社の例をとれば決して計画倒産的なものはないのだ、こういうふうに言われておるわけであります。この点について私はあとでその真偽のほどを、私の持ち合わせております資料とつき合わしてお尋ねしたいと思うのです。その前に、食い違っておるような点がほかにないかどうか。なければこの問題を中心に入っていきたいと思いますが、それ以外に特別ございませんか。
  59. 平島秀雄

    ○平島参考人 いろいろ議事録の中で、私どもよく読みまして違っている点が若干ございますので、その点を申し上げます。  一つは、前島参考人が言っておりますのですが、ほとんどが労務対策に置かれ、東発の一番の欠陥である販売政策に対する補強について、何らその重役陣の中では入りておらないという点がございますが、これは前に金成社長からも申し上げましたように、販売担当の常務が入っております。特にやはり営業という問題が一番大きい問題でございまして、これには非常に重点を置いて、われわれとしてはできる限りのことはやったつもりでございます。それから、この労務政策たるや、施設管理権、人事権、経営権という大なたをふるって、いままでのあらゆる労働者の権利を奪い取り切り下げるというふうにございますが、それはいろいろ労働関係が、世間一般の慣行から見ましてやや正常よりもはずれているというような面も、こまかい点でございますが、幾つかありますので、これについて組合と交渉をして直したのでありまして、特にこういうものをひどく低下した、労働条件を低下したということは、私としてはやったつもりはございません。  それから、他の参考人から申しております二十二日に二千四百万円の手形が落ちるのだと書いてございますが、これは二月十五日に確か千五百万円だったと思うのでございますが、これは金額と日にちが相違しております。  それから、先ほどの田代参考人の中で、東発側が通産省に提出しました数字は、東発が外注先に支払った金額とございますが、これは支払った金額ではございませんで、検収した額の間違いと存じます。  それからやはり他の参考人が申し述べておりました納期の先のものまで納入せよという指示があったとございますが、これは九〇CCとか船外機あるいはポンプというようなものを除きまして、それ以外のものは要求を行なったことはございませんで、むしろ納入の繰り延べを依頼いたしております。それからそれに関連しまして、一つの例でありますが、関東礦油という会社から重油を二キロリットルほど持ち込んできたこともございますが、これは受け入れられないというので、受け入れを断わって帰しておるような例もございます。  大体前回と違うような点は以上であります。
  60. 藤田高敏

    ○藤田委員 いま四月の八日の議事録を中心にしましてお答えがあったわけですが、部分的には若干の食い違いがあるようです。しかし私は、俗に言う計画倒産ではないんだという、そういう基本的な問題についての食い違いというものはないようにいまの御答弁からは受けとめたわけであります。したがって、まあこれは委員長にお願いしておきたいんですけれども、この前にも申し上げましたように、あえて会社側と称される皆さんのお答えと、無担保債権者あるいは労働組合の代表の意見との食い違いをどうしても調整しなければいかぬ、そういうことをはっきりした上でないと私どものこの委員会における政治的な最終的な判断ができないという場合には、あらためて両者の代表をここへおいで願って、もう一ぺん突き合わす形の機会をつくってもらわなければいかぬと思うわけであります。この点については、重要な問題点についてはあとで私もその点は留保しておきまして委員長にも要望いたしたいと思いますが、どうしてもという場合には、そういう機会をつくってもらいたいということをあらかじめお願いをしておきます。  そこで、部分的に労務対策の問題はどうだとか、支払い額ではなくてそれは検収額であるとか、そういういま御指摘になられたような点があろうかとも思いますが、そのこと自身は、私ども国会の立場としてはまあ決定的に重要な問題という課題でもないと思う。それで一番やはり問題は、私は繰り返しませんが、計画倒産ではないかという内容については、すでに四月八日あるいは五月二十一日の社会党議員の質問の内容にほとんどが尽きておると思う。その中でやはり一番大きな問題点というのはいま平島さんが言われた発注金額、下請代金の問題がまあ一つのバロメーターになるんじゃなかろうか。三十三社のことは私もここに材料を持っておりますが、それよりもやはりいま少し全般的な立場でお聞かせいただいたほうが適切な判断ができようかと思いますので申し上げますが、この東発が無担保債権者と称する下請工場に対して外注をしておる。外注工場だけの実績をとってみますと、ことしの一月と二月に本社関係だけで買い掛け金が六億三千七百九十一万一千円ある。三十八年の八月、九月、十月、十一月、十二月と、この五カ月分で未決済の手形納入分が十四億八千八百万ほどあるわけです。この一つの実績から判断いたします場合に、いわゆる一月、二月の買い掛け金の約二倍半、いわゆる八月から十二月までですからその二倍半ですね、二倍半で計算しますと約十六億近くの発注をしておることになるわけです。いわゆるこの一月、二月分はそういう計算になってきます。東京工場は同じく買い掛け金が三千八百万ほどある。これに対して、先ほど申し上げた八月から十二月までの未決済の手形分が九千四百八十万ほどある。そこで買い掛け金のこれまた二倍半として計算しますと九千五百万強の買い掛け金があることになるわけでありますが、同じ計算で岡谷工場の例をとりますと、買い掛け金が約千九百万、未決済の手形分が千七百万、買い掛け金のいわゆる二・五倍の計算をしますと四千七百五十万、こういったところの数字が出てくるわけであります。ということは、突き詰めて本社工場だけを例にとりますと、八月から十二月までのこの計算でいけば、十四億八千万程度のものが、約十六億から買い掛け金がふえておるわけなんです。これはやはり集中発注をした一つの証拠になるのではないか。もっと端的な例は、先ほども申しました岡谷工場の千七百万に対して四千七百万、かれこれ三千万から多くの発注をしておるという実績が出てくるわけであります。これはやはりひとつの実績論から見て、集中発注をした事実問題として指摘せざるを得ないわけですが、その点についてはどのようにお考えになるのでしょうか。
  61. 平島秀雄

    ○平島参考人 私のほうの生産計画から申し上げたいと存じます。これは実はバイクが、前回にも御説明申し上げましたように、十月から十二月が非常に売れ行きが落ちましたので、この一−三の生産計画を、十二月の半ばと一月の半ばの二回にわたりまして生産計画を変えて落としております。資材の発注のほうもそれに準じまして落としておりますし、私どもも極力購入はしないようにということを資材の担当者にも申しておったわけであります。したがって全体の数字といたしましては、この前申し上げましたように一月、二月は納品の金額というものは非常に減っておるわけでございます。たとえば一月におきましては、オートバイは初めの予算では四千百五十台つくる計画でございましたが、これを生産計画を変更いたしまして、十二月と一月の二回にわたって変更をいたしまして、二千四百五十九台つくっております。それから二月におきましては予算は四千六百台でございましたが、これはやはり十二月、一月で生産計画を変更いたしまして、実績は千八百九十二台というふうに落ちております。したがって担当者のほうもそれに合わせました資材の手当てをしてきたわけでございます。
  62. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 こういったところの質問としては適切でないかもわかりませんが、やはり具体性をもってひとつ聞いておきたいのですが、なるほどオートバイの生産台数が一月、二月についていま説明がありましたように二千四百五十九台、千八百九十二台であったということについては、そのとおりだと思うのです。そこで先ほど私が申し上げた買い掛け金が、本社関係で六億三千七百九十一万一千円、東京工場で三千八百十六万二千円、岡谷工場で千八百九十九万三千円、こういう額であったということはお認めになられますか。また八月から十二月にかけての未決済の手形の累計額というものが、本社が十四億八千八百五十万二千円、東京が九千四百八十七万円、岡谷が一千七百二十一万三千円、大綱的にはこういう数字であったということについてはお認めになられますか。
  63. 平島秀雄

    ○平島参考人 ただいまの数字は、私手元に持っておりませんので、あとでよく調べて御返答をいたしたいと思っております。
  64. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 この点がちょっとはっきりしないと——あなたのほうからいわば私の質問に対して反論的な立場で、生産台数を一つ条件として出されたわけですが、それはあとでけっこうですが、端的に言うと、いまあなたが言われたような生産台数の何からいきますと、ますますもって私の手持ちの資料から見ると計画倒産であるというふうに結論づけられることになるわけです。というのは、この一月と二月の生産台数を合計しますと四千三百五十一台になりますね。先ほど私が買い掛け金の一つの推定数字として申し上げましたあの計算方式からいけば、この買い掛け金の数字が約半分くらいにならなければいかぬのが、逆にふえておるわけです。これは何と言われても、一つの数字の上で見た計画倒産の実績として証拠づけられておるんじゃないかと私は思うのです。これは数字を扱いますと、お互い同じようなデータと資料を持ってきてないと、突き合わせた確実な話し合いというものができませんが、私の手持ちの資料からは、いませっかく平島さんがお答えになられた事情をそのまま受けますと、逆に計画倒産ではなかったかという認識をさらに深めざるを得ないことになるわけなんです。これはできれば、あなたのそばに秘書さんかあるいは課長さんか知りませんが、助言者として来られておるようでありますから、そのあたりが資料をお持ちのようであれば、そちらから平島社長としては材料をとられて、ひとつお答えを願いたいと思うわけです。
  65. 平島秀雄

    ○平島参考人 きょうは数字を持ち合わせておりませんので、後日にしていただきたいと思います。
  66. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 それでは、いわば具体的なものとしての判断材料になるべき資料を持ち合わせておられないということでありますので、そのこと自体は一応やむを得ませんので、あとでこれは必要な資料の提示をお願いしたいと思います。これは委員長のほうで善処願いたい。私は本来なればこの問題で、いろいろ計画倒産ではないかという内容についてはあろうと思いますが、いま少しく私は私なりに確実な認識を得たいと思ったわけでありますが、資料もお持ち合わせないようでありますので、質問点を変えて参考人意見を聞きたいと思います。  その前に事務的なことでお尋ねをいたしますが、この五月の二十七日か八日ごろに会社更生法の手続の開始がなされたように聞いておるのですが、なされておるのかどうか。また労働組合との間には、これもたしか五月の二十七日か二十八日ごろに協定書を取りかわして、労働組合も会社更生に、再建に協力しよう、こういうことで、何らかの条件で労使間の問題については一応解決がついたというふうに聞いておるわけですが、その間の事情をごく簡単にお聞かせいただきたい。
  67. 平島秀雄

    ○平島参考人 更生開始決定につきましては、五月二十七日の午後五時現在で東京地裁の民事八部から決定がおりております。それから労働組合との協定でございますが、これも二十七日に正式に協定を結んでおります。
  68. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 いま一つお尋ねをします。これは金成さんにお尋ねしますが、富士電機が東発に対して持っておる債権は、いままでのこの委員会におけるいろいろな御発言では、大体富士電機が約三十億、銀行関係が約二十億、現在無担保債権者と称する組織が二つに分かれておるようでありますが、サービス関係全部入れまして約二十億余り、このように即解しておるわけですが、その数字については間違いございませんか。
  69. 平島秀雄

    ○平島参考人 私からお答え申し上げます。  現在私どもが押えております金額は、無担保債権で総額五十億二千万でございます。そのうち一段目が二十七億五千二百万でございます。それから富士電機が二十二億六千八百万でございます。その中にはまだ未確定なものがございますが、退職金を一応二億千五百万と数えております。(藤田(高)委員「銀行関係は」と呼ぶ)いまの中に含めましたが、銀行の無担保債権だけで押えております。これも抵当権その他の関係で確定しておりませんのですが、現在の見当としましては二億九千百万くらいと推定しております。
  70. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 すでに過去の委員会でもいろいろ私どものほうから質問をしたところですが、この債権に対して、特に富士電機としては東発の工場財産、あるいは不動産、社宅、製品、半製品、こういったいわば物件を押えて、そうして富士電気としての債権額の大半以上のものは一応確保しておるのじゃないか、こういうふうに私どもは理解をしておるわけですが、あえて数字を言えば、いま平島さんの御説明では、富士電機が二十二億六千万と言われておりますが、私どもとしては、今日までのこの審議経過の中で、約三十億に対して二十億程度のものは富士電機さんとしては債権を確保しておる、こういうふうに解理をしておるのですが、そのあたりの数字はどんなものでしょう。
  71. 金成増彦

    ○金成参考人 いまの数字はちょっとはっきりしたものは……。いまお尋ねの三十億ですね、私の頭では三十億、そのうち十二億足らずが担保がついておる、十八億が無担保である、富士電機の貸し金はそういうふうに考えておるのでございます。
  72. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 それは、いよいよ工場閉鎖をやるということで、二月以降東発の工場財産なりあるいは不動産、あるいは社宅とかオートバイ 製品、半製品、こういうものをあえて言えば全部押えたのですね。その十二億の中にそういう数字も入っておるのですか。
  73. 金成増彦

    ○金成参考人 そのオートバイを預かったのは、そういうことになれば持ち出しが行なわれるんだ。それで、預かってくれということで、その保全命令の出るまでお預かりしまして、翌日お返ししてありますので、私の申し上げた数字の中には入っておりません。
  74. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 いわゆる担保物件として押えておるのが十二億、こう言われたんでしょう。ところが、その中にはこの二月以降オートバイとかあるいはその他半製品を富士電機の系列会社の倉庫に納入をさしたとか、あるいは工場のいろいろな物件を富士電機自身が押えたというものがあるわけですよ。そういうものがこの十二億の数字の中に入っておるかどうかということなんです。
  75. 金成増彦

    ○金成参考人 入っておりません。それから、あとで私は聞いたのですが、搬出というのは百五十九台だそうです。保全のために搬出された数字は百五十九台だそうであります。
  76. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 富士電機の債権が、私どもとしては約三十億程度はあるだろう、こういうふうに理解をしておったわけですが、先ほどのお話では二十二億六千万ほどある、こういうことだったのですね。その点は違っておればあとでもう一ぺん言ってもらいたいわけですが、一応そういうふうに理解したわけです。その富士電機の債権額二十二億六千万なり、あるいは私がいままで理解しておった約三十億のうち、富士電気の債権額として押えておる、確保できておるものは幾らくらいありましょうか。
  77. 金成増彦

    ○金成参考人 担保のついているものということでお答えしますと、十二億弱でございます。
  78. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 それでは、これ以上その点の数字のやりとりをしておりましても時間がたちますから、一応この二十二億の債権額に対して担保を設定しておる額が約十二億、約半分というふうに理解していいわけですね。
  79. 平島秀雄

    ○平島参考人 ただいまの数字が、私の言い方が悪かったので、少し数字が違うのでございますが、富士電機の総債権は約三十億でございます。それでその三十億に対しまして現在抵当権を設定しておりますものは十二億弱、正確に申し上げますと十一億九千五百万でございます。それで私が先ほど二十二億六千八百万と申し上げましたのは、これは無担保の債権だけを申したのでございまして、なぜそこで数字が違うかと申しますと、この十二億弱の抵当権の内容が、工場財団の第五順位に設定せられておりまして、現在の評価で見ますと、この金額が担保せられていないのではないかというので、そこで実質的な推定額を入れましてみたのが二十二億六千八百万でございます。
  80. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 その二十二億六千万というのと十二億の関係をもう一ぺん言ってくれませんか。
  81. 平島秀雄

    ○平島参考人 富士電機の総債権が三十億、これに対しまして担保権が十二億、そういたしますと、無担保債権が十八億ということになるわけでございます。そこでその十八億と二十二億六千八百万との差の約四億六千八百万というものは、担保権が実質的にそれだけ担保せられないであろうという推定を東発で出したものでございます。
  82. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 ちょっとややこしいのですが、今度は二十二億と十八億との関係を、四億ほどの開きのあるやつをちょっと言っていただきたい。
  83. 平島秀雄

    ○平島参考人 その差の四億何がしは、約十二億の抵当権が設定してございますが、現在東発のほうで不動産の評価をいままでやらせたものがございまして、その総額について、これは財団でございますので、上から一番、二番、三番ととっていきますと、五番抵当に入っております。約十二億が、実質的には、いままでの勘定では、それくらいの目減りがするというので、東発の立場でそれを二十二億と考えたわけでございます。
  84. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 あらかたわかりました。  それでは、先に数字的なものだけお尋ねをしておきますが、五月の十五日でしたか、富士電機がいわゆる東発の下請関係に対して、たしか二百五十三件だと思いますけれども、債権額約十三億に対して一億七千万ほどの融資保証、最高二割から最低一割までの融資保証をしよう、こういう数字を出されたと思うのですが、この数字は間違いないですか。
  85. 金成増彦

    ○金成参考人 いまの数字は間違いないと思います。私が申し上げたのはいまおっしゃったのは十三億に対してという御質問であったようでございますから、その分に対しては一億七千万になると思います。全体に対しては二億六千万を予定しております。
  86. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 そうしますと、この間金成さんが同僚森議員の質問に対して、富士電機としても、東発としても、下請無担保債権者に対しては特に御迷想をかけておる これらの皆さんに対してもできるだけの処置、対策は講じなければいかぬということで、いわば世間常識といいますか、こういう情勢の中で、富士電機が実質的にはこの東発の経営権を握っておったわけですから、この握っておるという見方についても言い分はあるにしても、私どもとしてはこの株の所有率が、半分以上持っている、あるいは東発の重役がほとんど富士電機からの出向社員で占められておる、こういうあれこれの事情から判断しても、実質的な経営の主体というものは富士電機が握っておったんだ、こういうふうに理解することは、第三者的ないし客観的評価として当を得ておると思うわけです。こういう事態に直面して、下請業者が非常に苦しんでおる。いわゆる家庭的な問題等を聞きますと、ほんとうにお互いの社会生活、人間生活にこと欠くような事態まで起きておる。こういう状態を何とか救っていくためにも、また今日まで東発の会社をささえてきた下請業者に対する親会社及びそのもう一つ会社とも言うべき富士電機並びに東発としては、最善のやはり善処をすべきだと思う。ところが先ほど指摘しました富士電機が債務保証をするのには、これは債権額の十三億に比較すれば、平均値をとってみれば一割三分程度のものしか融資保証をしていないわけです。これをもってしては、私は率直に申し上げて常識的に解決するといいますか、世間並みのことだけはしたいというこの金成会長さんの御答弁と、具体的な債務保証等の条件の間には、相当な開きがあると思うのです。これは非常にうがった言い方をして恐縮でございますが、これは私の判断として申し上げるわけですけれども、この前ここへおいで願ったときには、富士電気の株主総会も近日中に控えておる、こういう情勢の中では、あれ以上の条件は時と場合によれば出しがたかったという事情もある一面から言えばあったかと思うのです。ところが株主総会も先ほどの御答弁のように済んだ、こういう段階においては、いま少し富士電機の責任者として、またついこの間まで東発の責任者として経常の実権を握ってこられた金成さんとしては、やはり今日まで東発と運命をともにしてきた下請無担保債権者のためにも、無担保債権者自身が立ち上がれる程度の、会社更生法の適用を受けて東発を再建しようということですから、そういう再建するという目標なり方針にこれは変わりがないとするなれば、下請自身も一緒に再建できるような立ち上がりの条件を与えることが今日段階においては一番大切なことではないかと思うわけです。そうしますと、先ほど指摘しましたような五月十五日段階で提示をしているような条件というものは、これは極端に言うと、非常に無担保債権者の立場というものを無視したような条件であると思うわけです。そこで、その後半月ほどの時間的な経過もあるわけですが、その中で金成さんは金成さんとして、五月十五日段階に提示をした条件以上のものを今日段階において出されるお考えはないかどうか、これは私は決して数字的にどうこう言おうと思いませんが、先ほどの数字ではないですけれども、富士電機が持っておる債権額のうち、抵当権を設定しておるものが約半分以上ある、こういうことであるならば、やはり無担保債権者に対しても、運命をともにするという立場から見れば、その程度のものは何らかの形で考えよう、こういった具体的な条件提示というものがあってしかるべきではないかと思うわけですが、金成会長及び平島さんのお二人の見解をひとつ別々に聞かしてもらいたいと思うわけです。
  87. 金成増彦

    ○金成参考人 最初に、担保を取っているのが半分以上ということですね。先ほど数字を申し上げましたけれども、三十億のうち十二億で、四割でございます。実質には二、三割方しか担保力がないと言われているのが発動機の現実の担保でございます。二、三割くらいの実際の担保力しかないものを取っておる、こういうのが現実の姿でございます。  それから金融をつけるということについては、これは何回もやり直して、重役会を何回も開き直して最後案として出した数字でございまして、もう富士電機株主総会というものと関係あるわけでもなく、実は業績も重電機が悪いものですから、配当を半分にしたような現在の富士電機の状況下で、これ以上やるというのは困難である。この前申し上げたことと同じ状況でございます。ただわれわれとしては、大口債権者として、更生計画が立てられるときに、ほかのほうと同じというのではなくして、少なく配当を受ける、そういう前例もあるようでございますので、そのときにはそういうことで協力したい。できるだけそういう協力をしたいと考えておるわけでございます。また仕事を富士電機のほうから出すとか、いろいろなことでできることはしたいものだ、こうも考えておるわけでございます。  ただ、いまお話しの、実は何回も練って、もう最後的なものでございますので、御了承いただいて、そのほかわれわれとしてできることを今後やっていきたい。たとえば更生会社ができれば、そこでまたおつき合いもできる、その更生計画援助もできるだけしたい、こんなふうに考えておる心境でございますので、この前と同じ内容になると思いますけれども、若干つけ加えて御返事を申し上げる次第でございます。
  88. 平島秀雄

    ○平島参考人 東発といたしましては、資力も全然ございません、御承知のような状態でありまして、ただいまの処置につきましても、現状から考えましてこれでもう精一ぱいではないかというふうに考えております。
  89. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 念を押すようですが、いま、これ以上の条件は、これで精一ぱいだというのは、五月十五日に、中小企業無担保債権者各位に対する富士電機の提案として、東京発動機が出されたあの条件のことを言われておるわけですか。
  90. 金成増彦

    ○金成参考人 あの条件のことを申しております。
  91. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 これは非常に失礼な言い方かもわからぬが、社会更生法の手続開始が行なわれるということになれば、いわゆる冷たい法律論としては、それは無担保債権者の発言権というものはある意味においては非常に少なくなるかもわからぬと私は思う。しかしそのことをいいことにして、お互いに運命をともにしてきた下請だったら下請に対して——それはなるほど五月十五日時点のこの提案は、あなたらの立場からいえば最善のものであるかもわからぬ。しかしながらごく客観的に見た場合は、これはやはり私どもとしてはひどいと思うわけですよ。五月十五日からの段階でいえばかれこれ二十日近くたっておるわけですが、この間にもあなたたちはあなたたちなりに、労働組合の問題を含めて、まあいわば社会的に問題になっておる紛争を解決するための努力をされておるわけなんです。これは私は多としたい。というのは、先ほどお話があったように五月の二十七日だったですか、労働組合との間には一応解雇も撤回しよう、そうして未払いになっておった退職金についても、あるいは給料についても支払おう、こういうことで具体的な条件も五月十五日以降については出ておるわけなんです。そうして労働組合との間には、いわば紛争状態というものは一応回避される条件下に置かれておる。これは私は、労働組合に対してこういうことをおやりになったということは会社の誠意も認めますし、またある意味においては当然そうあるべきだと思うわけですが、労働組合に対してそういう誠意を見せられたと同じ気持ちになって、この無担保債権者に対していま一歩の善処をされることが必要ではないかと思うわけですが、金成さんどんなもんでございましょう。
  92. 金成増彦

    ○金成参考人 まあ富士電機の立場をこの前も申し上げたのですけれども、三年前に私どもが関係しまして、何とかして立て直しをしたいものだと思って、もうほんとうにやったわけなんです。したがって、そういう立場でございますので、私としては給料も一銭ももらったことがないということをこの前言ったのですが、食事をするにしても、パンをかじりながら水を飲んでの重役会でございまして、何もかにもそう切り詰めて三年間やって、しかしそれが思うようにいかなかった、こういう結果でございまして、その問に同業者で数多くオートバイというものをやめてしまった、こういうことで、ほんとうに業界が勝ち負けの激しいときに遭遇したわけで、いまから考えてみてほんとうにしょうがなかったという考えなのでございます。それはそれにしても、やはりできるだけのことをしたいものだということであの案をつくったわけでございまして、それはほんとうに最後的のものとしてつくったわけなのでござまいす。  なお、大口債権者として更生計画の中で前例とかそういうものもございます。大口債権者は譲歩する。背任とかそういうものになっても困りますけれども、できるだけ管財人のつくった案に協力してそういう今後の協力をしていく、こう考えておる次第でございます。大口債権者は譲歩する。背任とかそういうものになっても困りますけれども、できるだけ管財人のつくった案に協力してそういう今後の協力をしていく、こう考えておる次第でございます。なお、注文を富士電機系統から出せるような場合は、これも協力していきたい、こう考えておるわけでございます。また更生会社ができればそこに仕事がつくわけでございますから、その更生会社がやっていくのに協力もしたい、こう考えておる次第でございまして、それらを含めて御了承をいただけるようお願いしておるわけでございます。   〔小平(久)委員長代理退席、委員   長着席〕
  93. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 そうしますと、いまの御答弁を聞いておると、五月十五日に呈示された案以上のものは、今日段階においては条件アップといいますか、そういうものはできがたいんだ、こういうように聞こえるわけです。しかし、これは私の間違いであれば取り消すことにやぶさかでないわけですが、私のごく最近聞き及んだ事情では、この融資保証とは別に、いわば現金だったら現金でこの程度のものは何とか考えていこう、そういうふうなお考えもあるやに、またそういうように、東発を含めて富士電機さんとしても、あるいはそれは今度管財人候補というか、この管財人候補といわれるような方も含めていわば御相談願ったものだろうと思うのですけれども、そういう方向に漸次問題の解決がされておるんではなかろうか、そういうふうに私は聞いておるのですが、そういうことはないのですか。金成さん及び平島さん御両氏にお尋ねします。
  94. 金成増彦

    ○金成参考人 これは小口の債権者はあまりうるさいというか、金を貸すといってもしようがない。だからそれは富士電機のほうで債権を譲り受けて、そして整理するという案を債権者の会議に、それは最初からそういう案が出ておるわけであります。その金を何かほかに回せなんということを言われたことも、聞きましたけれども、それは債権者会議のほうへおまかせしていいんじゃないかと思っているわけであります。
  95. 二階堂進

    二階堂委員長 平島参考人、何かありますか。
  96. 平島秀雄

    ○平島参考人 ございません。
  97. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 最初からそういう条件を出されておるというのですが、最初からというのはいつごろからですか。
  98. 金成増彦

    ○金成参考人 五月十五日と言われたが、私ちょっとその日が……。債権者のほうに出した案の中に出ておるわけです。
  99. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 それはいつごろです。
  100. 金成増彦

    ○金成参考人 それはちょっと私、日付は自分でやっているものではないものですからどうも……。これは富士電機のほうでやっているのです。富士電機から金を出すというから、三万円以下というような小口のところがあるのですね、そういうところをそのままにしておいていいだろうかということで、それは処理したほうがいいんじゃないだろうか、額にすると、きわめてわずかなんです。
  101. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 私の申し上げておるは別です。その点については私もすでにここにプリントを持っておりますが、五月十五日現在で、いま金成さんが説明されておることは、条件提示があったことは知っておるわけです。しかし、そのことはこういったところである意味においてお話ししにくいということであれば、問い詰めることだけが決して私どもの目的ではありませんので、労働組合は労働組合としてああいう協定によって解決がついた。そして会社再建の問題についても、会社更生法の適用を受けたことについての是非論は、これはいろいろ見方によってあります。しかし一応会社更生法の適用によって会社を再建していくのだ、こういうスタートを切りかけたことについては、間違いないわけなんですね。さすればやはり富士電機も東発もそして下請工場も含めて、いわゆる運命共同体ではないけれども、一緒になって苦楽をともにしながら東発も再建していこうじゃないか、こういう考え方に立たなければいかぬと思うのです。そういう立場から言いますなれば、先ほどの富士電機さんの債権額として押えられておる割合についても、数字の食い違いが若干ありますが、私はやはり極端に言うならば富士電機は損をしても、もう東発が立ち上がることができぬでも、下請だけは何とか他の会社から注文をもらいさえすれば事業ができるような状態にだけはやってやろう、これくらいのお考えは、親会社とも言うべき富士電機にあってしかるべきじゃないかと思うのです。そういう私の基本的な立場からいうなれば、ここで具体的な条件提示をやれということは申しませんが、いわゆる下請の外注工場であった、いま金成さんの、言われたバーやキャバレーやそういったところの二万や三万や四万ではなしに、私の言っておるのは、直接生産に結びついておる無担保債権者のために立ち上がり資金として金を出していく、現金を出していく、こういう条件を出された上に、五月十五日現在お出しになっておる融資保証と言いますか、こういう条件をくっつけた形で下請債権者の協力を今後要請していく、こういう御意向がないかどうか、ぜひ私としてはそういう方向で再建の軌道に乗せるようになされることが、この東発の倒産問題の解決方法としては最も望ましいのではないかと思うわけです。したがってその点についての見解をあえて御両氏から承りたいと思います。
  102. 二階堂進

    二階堂委員長 金成参考人、ご意見ありますか。
  103. 金成増彦

    ○金成参考人 ありません。
  104. 二階堂進

    二階堂委員長 平島参考人、何かありますか。
  105. 平島秀雄

    ○平島参考人 ありません。
  106. 二階堂進

    二階堂委員長 別に御意見もないとのことですから……。
  107. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 意見がないというのはどういうことなのか。そんなことはもう聞くに及ばぬということなのか、それともそういう方向で努力してみようということなのか、そのあたりを聞かしてもらいたい。私もきょうはきょうなりに、ある意味においては政治性も含んで質問をしておるつもりですが、私どもの善意というものを何かじゅうりんされるということであれば、私どもは私ども立場で、それは皆さんの御了解も得なければいかぬと思うのですが、いま少しきょう保留すべき重要な事項もあるわけでして、あえて言えば計画倒産ではないかというそれ自体でもっと煮詰めたい点があるわけですよ。しかしそのことは、きょうは時間的な制約もありますし、皆さん自身としても、われわれがこういう形で質問を申し上げておる真意というものを理解してもらえるだろう、また理解すべきではなかろうか、こういう前提に立って質問をしておるわけですから、私が私なりに申し上げたそういう一つのものの考え方について何ら返事がないというのは、これははなはだもって失礼じゃないですか。それは答弁なさらなければなさらないでいいですよ。いいですけれども、そんなものじゃないと思うのですね。そこらは金成さんにしても平島社長にしても、さらに条件アップについての御努力くらいはやってみようというくらいな誠意は見せられてもよろしいのではないかと私は思いますが、重ねてお尋ねいたしたいと思います。
  108. 金成増彦

    ○金成参考人 失礼だといわれると、そういう気持ちはないのでございまして、精一ぱいお返事申し上げておるつもりでございます。それから今後おつき合いの途上でできるだけのことをしていくつもりだということをつけ加えて申し上げて、私も個人でございませんので、今後もいまお話の御趣旨は生かしていきたいものと思いますが、具体的なことを御返事申し上げられませんので、先ほどのような態度になったのでございまして、あしからず御了承いただきたいと思います。
  109. 平島秀雄

    ○平島参考人 私どもといたしましては、今度御迷惑をほんとうにおかけしましたので、これにつきましては全力をあげたいと思っておるわけでございます。ただ現在の東発といたしましては、ほんとうに資力もなく、資金につきましても東発自体での発言力もございません。しかし今後仕事その他については個々に御相談にあずかって、私どもできる限りのことはやっていきたい、こう考えております。
  110. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 私の一応の持ち時間も来ておりますので、このあたりで質問を終わりたいと思いますが、私の率直な感じは、先ほども留保いたしておりますが、きょうお尋ねをして、私自身がある意味における事実認識を的確にいたしたいという点についてはできなかったわけです。これはいわゆる生産計画の面、実際の生産実績の中から一つ計画倒産ではないだろうかという判断材料の提供とならなかったわけですから、その点はあえて申し上げますが、保留させてもらって、あとでどうすべきかという取り扱いの点については、委員長を含めて御善処を願いたいということを要望しておきたいと思います。  最後にこのことに関連をして、こういうふうな状態で、いま答弁をされたようなことでは、実際上下請企業というものは私は立つ瀬がないと思うのです。御両氏を前に置いて申し上げるのは失礼かもわからぬが、こういうことが社会的に許されるのであれば、悪質な業者がおって計画的な倒産をやって、そして下請には何も支払い代金を払わぬ。こういうことになれば、会社更生法というものは中小企業、下請企業を泣かすためにできておる法律ではないのかということも一つの問題として起こってくるでありましょうし、また下請代金支払遅延等防止法なんというものは、これはもう全く、あっても法律としての効力を発揮することが全然できない。こういう場合ですね、そういう法律によって下請代金支払遅延等防止法によって救済をしていくという条件がこのようなケースの場合には何らなされないということになると思うのです。そういう点からいって、私は、きょう責任者である御両氏が来られておるわけですが、私どもの質問をしておる趣旨というものを満度にくんでもらって、公開の席では言いがたいような事情があるとすれば、ぜひ無担保債権者の諸君とさらに接触をされて、無担保債権者の諸君が不承不承ながら、やはりひとつわしらも協力していこうというだけの条件アップをするように、今後のひとつ努力を要請をしておきたい。  それでは中小企業庁のほうにお尋ねしますが、私はこの前の四月八日のときにも申し上げたし、またそれ以前の商工委員会でも要望したと思うのですが、今回の東発の問題に関連して、特に私どもはある一面で期待を申し上げておったのは、通産大臣の意向表明にもありましたが、ぜひ政府もできるだけ、この倒産問題については、中小企業対策として、また行政的な立場からも、最善を尽くしたい。そうして下請企業の諸君にもできるだけいい条件を提示して、会社が再建できるように努力してみたい、こういうことでいわゆる二百五十一社というものはむしろ通産当局が中に入られて集約をされ、そうしていわば会社とも相談をされるような行政指導をやられたんじゃないかと思うわけですよ。その場合に、通産当局としていままでのお話の経過からいけば、無担保債権者に対しては五月十五日現在の条件以上のものは出てないわけですよ、具体的には。このようなことではたして通産当局自身の、特に中小企業対策部門を預かる中小企業庁としては、もうこれ以上政府としてお世話はできないのかどうか。また、その関係者をしてこれ以上の条件アップをさすような方策というものはないのかどうか。なるほどこの条件はこの程度のものであるが、そのほか税制その他の問題については中小企業庁としてはこのようなものを考えておるのだということが、今日時点において、私どもが質問を申し上げた四月八日の段階からはすでにもう二カ月近くもたっておるわけでありますから、その間には十分当局としてなすべき対策についての方途というものが考えられておるとすれば、もうできておらなければいけませんし、今日まですでに具体的に手を打ってこなければいけなかったと思うのですが、今日まで努力をされた経過と今日時点においてなおこういう方面でひとつ努力をしてみたいということがありましたら、最後にお聞かせをいただきたいと思うわけです。
  111. 井上亮

    ○井上説明員 通産省特に中小企業庁といたしましては、特に今回の東発の倒産に関連いたしまして相当多数の下請事業者の方々が現在困窮しておるという事情につきましては、私どもも無担保債権者の皆さま方、特に代表の方々としばしばお目にかかりまして、状況は絶えず聞いておるわけでございますが、先ほどお話にありました富士電機の提案に対して、通産省としてはこれ以上のことは行政上できないのかというようなお話がまず第一点としてあったと思いますが、この点に対しましては、通産省といたしましては、すでにお聞き及びかとも思いますけれども、通産大臣は、やはり今回の東発の倒産に伴いまして、下請事業者多数の方が非常な困窮をしておられる際でもありますし、通産省の立場としては、できるだけ東発にも今後この下請事業者に対してできるだけの配慮をしていただくように、それから同時に富士電機は直接には東発とは会社関係としては別ですけれども、しかし本日お見えになっている金成社長は前に東発の関係者でもおられたというような関係もあり、やはり富士電機とされても、立場として許される範囲のことをやはり配慮していただきたいというようなことを、すでに通産大臣も御要望になっておられるわけでございます。おそらく先ほど金成社長が御提案になりました御趣旨も、通産大臣のそういったおことばもあり、あるいは自発的のお気持ちもあろうかと思いますけれども、おやりになったのではないかというふうに推察いたしておるわけでございます。通産省といたしましては、先ほど言いましたような気持ちでおるわけでございます。できるだけの配慮をしていただく、許される範囲の配慮をしていただくという、それ以上のこと、たとえば金額的にはこれでは少ないとか多いとか、幾らくらいだったというようなことは、行政指導の限界をこえるのではないかというふうに私どもは判断いたしております。しかし一方、先ほど申し上げましたように、今度は中小企業庁といたしましてはただいま困っておられます下請事業者の方々に対しましては、一応債権者同盟の方々ともいろいろお打ち合わせをいたしまして、いろいろその困窮の程度、事情等も十分お伺いしまして、御承知のように下請企業者の方は二百五十一社おられるわけであります。そのうち緊急に融資等のあっせんを必要とするであろうと思われます下請事業者百八十二社に対しまして、これは主として東京通産局商工部が窓口となりまして、中小企業金融公庫に対して、特に要請——その業種業態によりまして、三十社ぐらいの方は中小企業金融公庫が適当であろう、それからさらに国民公庫に対しましては七十社程度、それから商工組合中央金庫に対しましては五十二社程度、その他長野県等がございますけれども、主力は中小企業金融公庫、国民公庫、商工組合中央金庫、それぞれの方々を仕分けしまして——仕分けというと語弊がありますが、どこへ行かれてもいいわけですけれども、ただもう御承知のように国民公庫は比較的零細金融でございます。商工組合中央金庫はやはり組合の構成員でなければならぬという関係もございます。そういった意味合いで一応仕分けをいたしまして、各金融機関に対しましては、それぞれの名簿を提出しまして、これらの方について十分審査をして、できるだけの配慮をするようにというような指示をいたしておるわけでございます。今日までこれら各機関でその後いろいろ検討いたしまして、商工中金におきましては、現在仕分けといたしましては、私は五十二社と申しましたが、商工中金に対する借り入れ希望者はただいまのところ四十三件、四十三社になっておりますが、そのうち三十三件につきましては一応商工中金としてもぜひこれを取り上げて、何とかしてめんどうをみたいという対象に入っております。それから中小企業金融公庫につきましては、現在調査の結果貸そうと考えておりますのは大体二十件程度になっておるようであります。それから国民金融公庫につきましては、これは特に零細金融でございますので、多くの企業を国民公庫のほうにお願いした。約七十社程度お願いしたわけでございます。特にこれは十分その旨を連絡しまして調査を進めておるわけでございますが、現在までに融資しましたのが十一件、約一千万円程度でございます。それからなおそのほかにまだ三件程度あるわけでございます。大体十三、四件というものが、いま国民公庫の融資の対象に上っておるということでございます。もちろんこれで終わりではございません。現在調査をいろいろ続行いたしておりますので、さらに私どもできるだけの配慮を政府関係金融機関でやっていただくように、ただいま要請いたしております。  簡単でございますが、一応経過を御報告申し上げます。
  112. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 一応の経過は理解できたわけですが、ぜひ中小企業庁としてはそういった出先機関を督励して——督励といいますか、行政指導をされて、この東発関係だけではないわけですけれども、特に東発の関係については、ここまで問題にもなったことですから、格段のひとつ努力を要請しておきたいと思います。  私はこれで終わりますが、ひとつだけ重要なことを落としたので、その点だけ、私申し上げておきたいと思います。というのは、あとで委員長のほうで御善処をお願いできるだろうと思うのですが、計画倒産であるかどうかについては、きょうは時間がなかったのであまり深入りすることはできませんでしたが、一つだけ私は非常に奇異に感じておることがあるわけです。というのは、ことしの一月、二月の段階になって、長野県の岡谷工場関係の下請ですね、新規の下請工場をたくさんつくっていますね。その下請工場に対しては東発が手形の持ち合わせがないにもかかわらず、新しく工場を広げています。そしてここに対しては手形の決済を一切やっていないところがあるわけですね。これは何としても、私どもとしては奇々怪々で理解できないわけですよ。この点はきょうは時間がありませんので、問題提起だけにとどめておきますが、先ほど保留しました生産台数及び買い掛け金の問題等々の数字と関連をして、何らかの形でこの点についての会社の見解も聞かしてもらう機会をつくってもらうことを留保しまして、私の質問を終わりたいと思います。
  113. 二階堂進

    二階堂委員長 中村重光君。
  114. 中村重光

    中村(重)委員 時間もだいぶたちましたので、参考人にそのままずばりでお尋ねしますから、率直にひとつお答え願いたい。  いま同僚藤田君から、いろいろ関連の下請企業に対して、富士電機にしても、あるいは当の東発にしても、できるだけの措置を講ずる必要があるのではないか、それに対しまして、金成さんから考え方を明らかにされたわけであります。しかし、五月十五日付でありますか、あなたのほうで解決案というのか、でき得る限度だという形において通産省にお出しになった資料等も見せてもらったのでありますが、その解決案に対しましては、下請関係の中小企業方々は満足できないものであり、とうていそういうことでは再建はできないのだというので問題を解決していないというように私ども承知をいたしておるわけであります。そのことは、いろいろ中小企業方々の感情というのか、割り切れないものがまだあるということも見のがすことはできないと思うのです。それは東発の背後には富士電機が控えておる。倒産が相次いでおるけれども、東発だけは富士があるから必ず倒産等のことはないであろうという期待感というのか、信頼感というものが私はあったと思うわけであります。金成さんは、そうした下請中小企業方々が富士電機に期待しておった点をそのままお認めになるかどうか。なるほど、富士電機は東発の株式の過半数を持っておった。金成さん御自身が東発の会長であり、その他の社長をはじめとする重役の方々は富士電機から出向しておる。そのことは認めるけれども、人格は富士と東発は違うのだから、そういうことを考慮することはできないのだというような考え方の上に立っておられるのであるかどうか。やはりそうした期待感があった以上は、事今日こういう状態になったことに対しては、やはり富士としては道義的責任を負わなければならないし、その道義的責任の上に立ってでき得るだけの解決策を富士電機自体においても考えなければならないと思っておられるのであるかどうか、その点に対する金成さんの率直なお答えを伺ってみたいと思います。
  115. 金成増彦

    ○金成参考人 私の気持ちを御了解願いたいと思うのでございますが、私はこの三年間給料を一つももらわないでやったんだと先に申し上げたのですが、実は富士電機からもらうべき給料を東発に回しておりましたので、ほんとうに私は献身的に何とかしなければならぬ、初めから三年間そうやってやったのですけれども、これは私だけじゃないのです。みなそういう態度だったのです。それは先ほどから、この前も申し上げた、全く悪くてどうにもならない、そういう事情でございますので、富士電機からの援助というものも、もう精一ぱいやったと私は信じておるのでございます。もちろんこれは私がやる。富士電機の組織でもって動くのでございまして、経理の責任者が常務会に出て、常務会の決議によって、合議的な決裁でございますから、私の気持ちだけが十分に反映したとは言えませんけれども、しかし、お調べ願えばわかるように、できるだけのことをやって、ただ東発の再建さえできればという気持ちで終始したのでございます。で、今日の段階になってどうするかということになりますと、先刻申し上げたような案が最後的なものだ、こう申し上げたのでございますけれども、決してそれにとどまらなくて、これからいろんな面で尽くせれば尽くす、そういうつもりで、今後もできるだけのことをすることによって、いろいろなことができていくんじゃないだろうか、こういうふうに考えておる次第でございまして、三年前と、今日の心境と、終始変わってないので、ほんとうにできるだけのことをしなければならぬと考えておる次第でございます。ただ、先ほども申し上げたように、富士電機は法人格でありまして、私の考えだけでいくのでございません。おのずからいろいろな限度がございまして、それで練りに練ったというか、最後的な案がああいうふうになったんだ、そのほかにやるとすれば、今後においてできるだけのことをやっていく、こういうふうに申し上げておる次第でございまして、御了承をいただきたいと思う次第でございます。
  116. 中村重光

    中村(重)委員 若干議論になるわけですけれども、あなたが給料をお取りにならなかったという、そのことは、一面からいえば東発に対する協力である、こういうことになるわけですけれども、一面から見ると、あなたは経営者であるということです。また、もっと端的に言えば富士電機自身が事実上の経営者である、こう申し上げたいのです。先ほども触れましたように、あなたは会長だ。平島さんはあなたの直系の富士電機出向の社長である。富士電機の会長は東発の監査役である。その他過半数の重役は、富士電機から東発に行っておるのではないか。事実上、東発は富士電機が買収して経営をしてきた。ただ、法的に人格を異にしておった、私はこういうことにすぎないのだと思います。したがって、単なる援助という形でこの問題を処理しようという考え方は適当であろうか、私はこう思います。いまあなたは、私個人の考え方ではいけないんだとおっしゃいました。なるほど富士電機は株式会社でございます。したがって株主の利益も考えていかなければなりません。しかしながら、東発を買収されたそのときは、あなたは富士電機の利益をお考えになり、ひいては株主諸君の利益をお考えになって、こうすることが利益である、そういう観点から、東発に出資されたであろう、東発を買収されたであろうと思います。いまになって、東発がうまくいかなかった、非常に状態が悪くなったから、これ以上東発についていくことは適当でないというような考え方によって、いま最悪な事態になった際に、自分の考え方だけではどうにもならないんだということで退却されたんでは、富士電機の存在を信じて今日までついてきた労働者の諸君や中小企業者の諸君は、それじゃどうするんだ——私はその点が問題である思います。また、あなたがこのまま東発を——東発関係の下請の中小企業者は富士電機を信頼しておったんだから、いまに至ってこれを見殺しにするわけにいかないのだ、これを何とかしなければならぬということで説得されるならば、富士電機の重役の皆さん方も、あるいは株主諸公の方々も、あなたの説得を必ずや了承してくれるのでかろう、そう思います。したがいまして、もっと積極的な態度をもってこの問題の解決に当たられることが適当である、私はこのように考えますが、その点に対しては、あなたはどうお思いになりますか。
  117. 金成増彦

    ○金成参考人 今日までの過程で全力を尽くして、そうして今後としてはやはり更生計画に協力する。それからまた、富士電機が仕事を出すことのできるようなものは出して、再建更生計画で、大口債権者としてできるだけ協力して譲歩する、これが唯一の道だと考えます。
  118. 中村重光

    中村(重)委員 お答えが、声が低かったのでよく聞きとれなかった。あなたが、何というのか、全然誠意がないという形で、私はそれを片づけようと思いませんが、しかし、あなたの御答弁は、私の質問に答えておりません。会社更生開始はすでに行なわれております。これから先は管財人が再建計画を立ててやっていくのです。その中には、あなたの意思は必ずしも大きな影響を及ぼしません。私が言っておるのは、そういう会社更生開始の行なわれた中において、管財人の権限の範囲内において、あなたがどういう態度をとるかということについてお尋ねをするのではなしに、その外において、富士電機としてとるべき方法があるのではなかろうか。具体的には、今日まで俎上に上がっております富士電機の債権カットの問題もありましょう。それから、いま出ている債務保証の関係もあるでありましょう。あるいは債権引き受けの問題もあるでありましょう。そうした、いま現に問題となっておる具体的なことについて、どのような解決策をとるかということであります。あなたのほうの五月十五日付で提示された、何か、三万以下の債権を買い取るとか、あるいは十万とか、東発の親会社に対する依存度に対して、いろいろ債務保証の率をおきめになっておられるようでありますが、何かそれも、最近、若干話し合いが進んでおるかのように伺っておりますが、そういうような、五月十五日付でお出しになった解決策では解決をしないわけでありますから、それをどのような形で前進させてこれを解決するかというわけであります。そういう点について、これを解決し得るものは富士電機以外にはないんだ、こう私は思っておりますから、そういう具体的な解決策について伺っておるわけでありますので、その点に対してのお答えを願えればよろしいわけです。
  119. 金成増彦

    ○金成参考人 どうも、精一ぱいなんでございます。やはり、あと努力していくということを——先ほど申し上げたような……。
  120. 中村重光

    中村(重)委員 何か通産省に五月十五日付でお出しになりましたね。あれより少し前進をしておるのじゃありませんか。あれが精一ぱいじゃないのではないですか。保証でなくて、何か現金で買い取りをしようといったような話し合いがあるんじゃありませんか、あれが精一ぱいじゃなくて。そういうことをお聞かせ願えれば、私たちも非常に参考になりますし、また私たちが心配をしておることも解消されることになるわけですから、そういう点をお聞かせ願えればいいわけです。
  121. 金成増彦

    ○金成参考人 私はもう精一ぱいやっているつもりでございます。
  122. 中村重光

    中村(重)委員 先ほど藤田君の質問に対して、五月十五日付の解決策は出したけれども、まだでき得るだけのことをやりたい、抽象的なお答えではありましたけれども、あなたはそういう御答弁になったように私は記憶をいたしております。それならば、何かしなければならぬとお考えになっていらっしゃるのでございましょう。あれが精一ぱいだというようには考えておられないのじゃありませんか。先ほどの藤田君の答弁よりも、いま私の質問に対しては後退をしたお答えをなさったわけですが、あなたは質問に対してお答えになった以上は、何か具体的な考え方というものがあるのではありませんか。
  123. 金成増彦

    ○金成参考人 もし後退したことがあれば、後退しないことにしていただきたい、後退したつもりはないのでございます。
  124. 中村重光

    中村(重)委員 わかったようなわからぬような答弁です。後退した点があればというのは、藤田君の答弁のとおりだということで了解できるわけですね。そうすると、いまあなたがお考えになっていらっしゃるのは、やはりあれでは解決をしないのだから、何か解決するために、下請の人たちと話し合いをやって一致点を見出すように、自分のほうでもできるだけの努力をしなければならない、そういうことでございますか。
  125. 二階堂進

    二階堂委員長 金成参考人に申し上げますが、時間の関係もございますので、意見がないならない、あるならあるように、あまり時間をとらないように発言をお願いいたします。意見ないですか。
  126. 金成増彦

    ○金成参考人 ございません。
  127. 中村重光

    中村(重)委員 これ以上言うことは、あなたに対して私が説教するみたいな形で、私だけで終わってしまいます。それでは意味がないわけです。やはり私どもの質問に対して、あなたとしては、きょう傍聴人がおいでになって、委員会でこういう答弁をしたではないかということをいろいろ言われるような心配等もあって、特に慎重を期しておられるのではないかと思いますけれども、この委員会にあなたが出てこられて、参考人として意見を求められる以上は、あなたが、私どもの言うことになるほどと思われるならば、それに沿うようなお答えをしていただきたいと思います。それでは、いま少しくその点については考えておいてください。あとでまたお尋ねをいたします。  そこで、具体的な問題でお尋ねをいたしますが、あなたは、東発が会社更生法の適用をするということに対しての指導力を持たれたことは、法的な関係がどうあろうとも、事実上あなたがイニシアチブをとられたことは間違いないと私は思うのでありますが、東発の会社更生法の適用をするにあたって、この再建によってだれを一番、救済というか、不利な立場に追い込まないようにつとめなければならないというようにお考えになりましたか。たとえば、具体的には、東発を再建させることにおいて、富士電機の債権を確保するということも考えるでありましょうし、あるいはまた、東発に出資をしておった金融機関に対して迷惑をかけないようにしなければならぬということもお考えの中に出るでありましょうし、あるいはまた、労働者諸君のこともお考えになるでありましょう。さらに、いま私どもが取り上げておる、関連の下請中小企業方々の債権を確保しなければならないというような点もお考えになるでありましょう。そういう中において、一番あなたが、東発をつぶしたならばどうにもならなくなるから、これを何とか再建することにおいて、救済をしなければならないということの中心となった対象は何でございますか。
  128. 金成増彦

    ○金成参考人 二月二十二日、土曜日でございますが、決済手形がございまして、これを決済することによって混乱を防がなければならぬということでございました。その次の二十三日は日曜日でございまして、二十四日が月曜日でございます。月曜日には従業員に対して給料を繰り上げて払いました。富士電機から金を出すことを了承したわけでございます。これは給料日が二十五日でございまして、更生法を適用すると数時間のうちに混乱におちいるおそれがあるということで、どうしても繰り上げて払わなければならぬ。そうすると給料の計算はできておりませんので、前月の給料の下を切り捨てて概算で払うということの申請を受けて、その金を出した、こういうことをやりました。あと特に私の記憶に、こういうことをしたとか、しなければならぬとかいう気持ちは——私は先ほど申し上げましたように、三年前からほんとうに挺身しておったわけでありまして、全くいま考えても、欲も得もなく、ただ再建ができればというような気持ちだけでほかはありませんでしたので、その二つだけ——混乱を起こさないように、それから不渡りが出ると非常な混乱になるということを聞かされて、その金を富士電機から出すことを了承したということと、給料のこと、それだけが頭にございます。そんなふうに、そのときの模様を御返事するだけであります。
  129. 中村重光

    中村(重)委員 そのときの模様をお尋ねしたわけではないのです。あなたが一番重要視したのは、東発の債権者のうち、金融機関、いわゆる銀行、それとあなたのほうの富士電機の債権確保というものを一番重要視したのではありませんか。
  130. 金成増彦

    ○金成参考人 実は、その気持ちは毛頭私にはないのです。それはもうほんとうにお調べ願えばわかるわけでございまして、私は金融機関に対して、金利のたな上げを頼んで、あと新しい金を出してくれということを、最後の最後まで頼んでおったのでございまして、それがしまいにはけられたのでございますから、何もそういう関係はございません。また富士電機のことについても、富士電機の利益をはかるといったっても、どうにもしようがないことであって、私はその気持ちはないのでございます。それはだれでもわかっておることなんでございまして、お調べ——お調べというのははなはだ失礼なことでございますが、そういうことでございます。
  131. 中村重光

    中村(重)委員 それではお尋ねしますが、やはりこういう問題の解決策には、不信感をなくすことが一番大事だと思うから、お尋ねするんですよ。それならば、どうしてあなたは東発に残っておる不動産を、私の資料によりますれば、三十九年二月二十日ごろ、富士電機の名義に書きかえをなさいましたか。しかもあなたは、ある程度の違法性があってもかまわないから、さっそくこれを書きかえるようにしろと、二月の十日ごろに厳命をしておられる。どうしてこういうことをなさいましたか。  それからいま一つ。これまた東発に残っておった不動産のうち、富士、協和、三井、三菱の各銀行に対して、共同担保として、一億数千万円の追加担保をなさいましたが、こういうことをなされた真意というものを、善意に受け取れとあなたがおっしゃっても、力の弱い中小企業方々は、これは計画倒産である、自分たちの利益だけは確保して、下請を突っぱねて、下請はどうなってもよろしいという考え方の上に立ってやったんだ、こういう批判をあなたにされ、あなた自身も恨まれるということに、私は常識だと思うのです。この点、あなたは解明できますか、どうですか。
  132. 金成増彦

    ○金成参考人 富士電機の分を申し上げますが、富士電機は金を出すときに、この金は担保を必要とする、こういう担保を出すから金を貸してくれ、こういう申請書が出で、常務会の稟議書でこれがきまって、そうしてそういう条件がきまって金を出した、その手続がおくれたので、今日の誤解を招いているのでございまして、これはもうほんとうに先ほど申し上げましたように、富士電機がとっている担保というのは、三十億に対して四割でございまして、その四割が、ほんとうの価値があるかというと、二、三割のもののほか価値がないのでございます。それを出さなければ東発がつぶれますものですから、一面には銀行と交渉し、一面においては金を出すというようなことで、一月にも一億三千万円金を出したのでございます。それから二月のことは先ほど申し上げたとおりなんでございまして、ほんとうに何も行為というようなものはないのでございます。  なお、銀行のことは、平島から申し上げるのが——私はここでなんですけれども、社外重役でいたものですから、平島からお答え申し上げるのが適当と思いますので、お聞き取りをいただきたいと思います。
  133. 中村重光

    中村(重)委員 これも議論になりますが、銀行とは約束をしておった、こうおっしゃる。あなたは約束を守られる。ところがそれでは関連の下請企業の人たちは、この資材を納めても金はとれないと考えて納めたでしょうか。従来のとおり、納めたならば、必ず何月何日には金を払ってくれるであろうと信頼をして、納めた。あなたのほうは、それに対して信頼感を持たせてきたのです。期待感を持たせてきたのですよ。結局それだけの財産がそのまま残っておるということは、やはり東発の再建をなめらかにすることに通じていくではありませんか。会社更生法を適用して、東発の再建をはかろうとするならば、一つの財産といえども東発の中に残しておいて、保全命令を適用する申請をあなたのほうはなさったんだから、そういう財産が差し押えを受けたりなんかするような形をとることにおいて、東発の再建後の経営というものはなめらかにいくし、しかもあなた自身の会社に名義を書きかえをさせたり、あるいは銀行へ提供した担保というものは、それなりに東発の中で働くことになってまいりますから、やはりすべての債権者に均てんをしていくことになるではありませんか。そういうやり方をすることが常識でしょう。あなたは銀行に対してのみ約束を果たされ、あなた自身が会長をしている富士電機の利益をのみお考えになって、ほかの者に対する利益を阻害したということは、これは間違いないじゃありませんか。あなたのおやりになった行為は、一方に対してのみ約束を守られ、他はどうでもよろしい、他の利益が阻害されるようなことをやってもかまわないという道理は私はないと思う。また再建の段階においては、そういうことをおやりになるべきではないと思う。少なくとも、あなたは実業人です。一人前以上の良識を備えておられるあなたですよ。ならば、そういうことをおやりになることが当然ではなかったのでしょうか。たいへんな無理をしておられるから、非常に混乱が起こってきているのです。精神的、物質的な非常な痛手というものを与えておるのですよ。このおとりになりました措置は、重大な問題であると私は思っております。そのことに対してどうお考えになるか、まずお答えを願いたい。  同時に、平賀民事局長にお尋ねいたしますが、管財人がここで任命をされますので、会社更生法第七十八条によって、管財人の否認権がこうした詐害行為においては発動されるものと解釈いたしますが、その点についてはどうお考えになるか。
  134. 平賀健太

    ○平賀政府委員 会社更生法の七十八条は、ただいま御指摘ありましたような否認権の規定がございまして、会社更生手続開始以後におきまして、開始以前に起きました会社の行為で、抽象的に申しますと、債権者を害する行為がありましたならば、これを否認することができる。でありますから、たとえば他に譲渡した財産を取り戻すこともできますし、あるいは他に担保権を設定して、それが詐害行為であるというような場合には、担保権の取り消しの請求もできるということになるわけでございます。ここに一号から四号までの事由が掲げておるのでございますけれども、趣旨は、要するに債権者を害する行為は、それを管財人が否認をする道を開いて、会社の財産を回復しまして、そして会社の更生なりあるいは会社の債務の整理なりに充てる財源をふやす、そういう目的の規定なのでございます。
  135. 中村重光

    中村(重)委員 ただいま私がお尋ねしておる具体的な場合に対しましては、どう解釈をなさいますか。
  136. 平賀健太

    ○平賀政府委員 ただいまのお話でございますと、やはり事実関係として私としても承知いたしておりませんので、ほんとうに仮定的なお答えになると思うのでございますが、たとえて申しますと、これは七十八条の二号におきまして、「会社が支払の停止又は破産、和議開始、更生手続開始、整理開始若しくは特別清算開始の申立」、そういう申立がありました後に、たとえば担保権の設定をする、これは否認権の対象になるという規定がございます。それから先ほどもちょっとお話がございましたが、たとえばずっと以前に債務の負担をしておったところが、どうも会社があぶないというようなことでもって、ある特定の債権者と合意をいたしまして、担保権を設定するというようなことをいたします。そうして間もなく、たとえば更生手続開始になったという場合がありとしまして、そういう場合には、債権者を詐害する意思があったのではないかということも推測されないわけではないのでございまして、そういう場合には、担保権の設定を否認することも可能な場合があり得ると思います。ただ、いま問題になっておりましたところの具体的事件につきましては、これは事実関係が必ずしもはっきりいたしておりませんから、私どもといたしまして、確定的なことを申し上げかねるわけでございます。
  137. 中村重光

    中村(重)委員 決定的な答弁を求めてはおりません。しかしあなたは、これは事実関係であるから、仮定的なことについてしか言えない、わからないというような答弁では承服できません。この問題は、あなたが出席をしておる当委員会において議論をされておる問題として出てきておるということについて、あなたは御存じじゃありませんか。あなたは行政庁の一人として、こういう問題が起こってきておるのに対して、そういう事実に対していろいろと研究をする、そして政府全体のかまえとして問題がなめらかに進むようにやっていく、そういうことはあなたの任務外であると考えられますか。いま初めてこの問題が持ち上がったのじゃありません。的確にこれはこうだと言えと私は迫っておるのではありません。しかし事実関係だから、仮定論に対しては答えられないというようなことは、事情を知っておるあなたとしては、少しくその答弁には誠意がないというように考えられますが、その点どうですか。
  138. 平賀健太

    ○平賀政府委員 私七十八条の解釈の問題として御答弁申したと思うのでございますが、私どもといたしましては、国会におきまして、ある具体的な法律問題について、鑑定に類するような意見は申し上げるべきではないと思うのでございます。この事件は現に裁判所の事件として、更生手続が開始されておりますし、否認権の対象になるかどうかということの判断は、管財人においてすべきものでございます。管財人において、該当する事案であれば否認の訴えを起こしますし、否認の訴えが提起されますと、裁判所がきめることでございます。私どもが不確実な事実関係に基づきましてここで具体的な意見を申し上げますと、かえってそれが誤解のもとになるというようなことになりましては、これはきわめて好ましくないことでございます。私どもとしましては、ある具体的な問題について、鑑定に類するようなことはここで申し上げるのは適当でないと信じておる次第でございます。
  139. 中村重光

    中村(重)委員 管財人がやることだというのは、私はわかっている。ただ先ほどの私の質問は、きょう初めて問題提起になったのじゃない、一カ月も二カ月も前からの問題だ、そういうことに対してあなたの見解も一問われている、そういうような問題に対して、いま初めて聞いたかのごとく、事実関係だから、仮定論に対しては答えられないというあなたの答弁態度が悪いと私は言っている。オートバイの問題だって、そのとき問題になった。先ほど金成さんはこういう答弁をした。あなたはお聞きになっている。オートバイを持ち出されるおそれがあったから、預かってくれと言ったから預かった、こういうことは完全な詐害行為ではないか。あとで気づかれたから返している。こういうことに対しても、あなたとしては十分研究をされる必要があったであろうし、またお互いの行政庁として、通産省の重工業局あるいは中小企業庁、そういう方面と連絡会議等々を持って、更生開始の問題に対しても対処するという態度があってしかるべきではないか。だれが、いまのそういうあなたのような態度に対して信頼を持ちますか。国民の信頼のない行政というものはあり得てはならないと私は考える。あなたの反省を促しておきたいと思います。  先ほどの質問に対してお答えを願いたい。
  140. 金成増彦

    ○金成参考人 富士電機の利益を特にはかったかということ、東発の再建を主にしてやったかどうか、こういうことでございますが、東発の再建を主としてやったものであって、富士電機の利益を特にはかったという気持ちはない、全くそうなんであります。  それから数字の点で申し上げますと、これは少しのところ違うかどうかわかりませんが、富士電機は東発に対して電装品を毎月相当量納入したのでございますが、三年の間に一回も代金を回収できなかった。これは多少のところはひとつごかんべん願いたいのですが……。  それから貸した金、これは向こうの金融が詰まって貸した金に対して、場合によると担保を取る、そういう条件でございまして、金利も三銭三厘という金利で、決して高い金利を取ったわけではございません。そういう内容からして、最後まで富士電機は特別に自分の利益をはかったということはない、これはどこまでもない、そういう心境であることを申し上げる次第でございます。  それから違法であっても登記しろと言った、これは実は私はその問題には関係しておりませんので、ことさら、違法でもやれといったような、そんなことはないというふうに御承知願いたいと思います。
  141. 中村重光

    中村(重)委員 きょうあなた方に来ていただいたのは、実はつるし上げるために来てもらったのではありません。またあなたから形式論を聞くためにも来てもらったのではありません。いまあなたが社外重役だと、こうおっしゃっても、だれも、社外重役だ、あなたに聞くのは無理だ、こう考える人はいないでしょう。またあなた自身も、そういう御答弁をなさりながら、自分が事実上東発の運営に対してイニシアをとっておったということを、あなたの良心に誓って否定できないだろうと私は思う。  それともう一つは、金成さん、あなたにこの際反省をしていただきたいことは、激増する倒産の中に、あなたのほうだけをどうしてマスコミが特別に取り上げたかということです。あらゆる週刊誌が取り上げてきた。しかも、マスコミが取り上げたその中には、富士電機のとった措置は天人ともに許さざる措置だということまで書いています。それほど大きな関心事になったのです。そのことがこの国会において政治問題にならないはずはないわけです。私たちも、これは単なる私企業の問題であるということで看過するわけにはいかない、こういうことから忙しい時間御足労願って、何とか解決策について努力をしなくちゃならないということでいろいろ御意見を伺っておるわけです。また解決を慫慂もしておるわけです。だから、そういう点についてはいま私はこれ以上あなたに対してお尋ねをしようとは思いません。しかし、先ほど藤田君の質問に対して、解決策として出していること以上にあらゆる努力をしなければならないのだという考え方を述べ、再度私の質問に対してあなたは確認をされましたから、その答弁を実にするように、無にしないように、最大の努力をしていただきたいことを強く要請をいたしておきたいと思います。  そこで大蔵省と通産省にお尋ねをいたします。
  142. 二階堂進

    ○二階(堂)委員長 時間がきておりますから、できるだけ簡潔にお願いします。
  143. 中村重光

    中村(重)委員 まず大蔵省に。当委員会におきまして銀行局長から、東発の問題に対しては、これは全く気の毒であると思う、できるだけの努力はしなくちゃならぬ、こういうことでそれぞれ出先に対しては協力をするように指示をしておる、銀行にもそのことを要請をしておるし、指示もしておる、こういうことを言われた。ところが、具体的にはどのような成果があがったのかさっぱりわかりません。関係の方々から聞いてみますと、通産省の努力のあとは見受けられるけれども、どうも大蔵省のほうは、そうした協力をしてもらっておるようには受け取れない、こういうことを言っておりますが、まず、それが誤解であるのか、具体的にはどのような指示をし、どのような成果があがっておるのか、そのことについて明らかにしていただきたいと思います。
  144. 柏木雄介

    ○柏木説明員 中小企業金融の円滑化につきましては、かねがね意を用いるようにしておりまして、特に取引先の倒産等で金融に詰まるような場合には、健全な経営を行なっておる中小企業がうまく行くように、十分の資金援助をするようにということは、二月にも通達を出しておりますし、その後も機会あるごとに指導もいたしております。先ほど中小企業庁から御説明もありましたように、政府関係機関におきましても、いろいろと御相談に応じて、金融の円滑化に資しておると思います。  それから東発関係では、東発の倒産のためにどれだけ関連企業の倒産があったかということは、実は銀行取引のあるところにつきましては二社倒れたということを聞いておりますが、その後六、七社程度が倒産のおそれがあるように実は一時聞いておったのでありますが、金融機関のほうにおきましてそういうものは救っていくようにして、結局連鎖倒産は二社にとどまったのじゃないか。もともと銀行との取引のないようなところでありますと、倒産という事態になりまして、急に取引をつくろうと思っても、なかなか金融ベースに乗りませんので、金融ベースに乗らないものを金融機関がめんどうを見るということは、いわば国民から預金を預かってやっておりますので、銀行の健全経営観点からそういうことはできませんが、先ほど来申し上げましたように、健全な経営をやって、仕事がどんどんついていくような企業につきましては、積極的に資金をつけるように指導いたしまして、そのようにやっていると思います。
  145. 中村重光

    中村(重)委員 あなたの答弁は一般的なことですよ。そういうあなたの答弁ならば、何も高橋銀行局長が、この東発の問題に対しては気の毒だから、手形が不渡りにならないように、また手形の買い取りに対する金融措置であるとか、そういうことに遺憾なきを期するように協力するように指示しておるということを答弁される必要はないと私は思う。また金融ベースに乗らないとあなたは言うが、政府機関の場合には、金融ベースに乗らないものでも、できるだけの保護措置を講じていくという制度だってある。保証協会の制度しかりであります。いろいろなきめこまかい措置がとれるじゃありませんか。特に具体的なそうした問題に対してどうされたのか、私はお尋ねをいたしておるのであります。いまあなたのような月並みな答弁をしていただくためにお尋ねをしておるのではありません。柏木さん、もう少しこの問題に対して真剣に取り組む必要があるのではありませんか。またそれが委員会において答弁をされたことを生かしていくことに通ずるのではありませんか。どうですか。
  146. 柏木雄介

    ○柏木説明員 先ほど申し上げましたように、機会あるごとに、こういう東発問題を例にいたしましても、中小企業の皆さんが迷惑をこうむらないように指導するようにやっております。これは先ほど中小企業庁からお話がありましたように、主として通産省の地方の通産局で具体的には銀行へのあっせん等をやっております。また私どものほうは、一般的に金融機関にはめんどうを見るように指導いたしております。
  147. 中村重光

    中村(重)委員 通産省がやるといっても、金融の問題は、通産省がやることには限界があるのです。やはり大蔵省ですよ。あなたのほうが本腰を入れていかなければ、通産省だって仕事ができやしませんよ。やはりあなたのほうでいろいろな財政措置等も講じられるということでなければ——確かに通産省は一生懸命やっておると思います。関係の方々が非常に協力をしてもらっておると言っておりますから、そうだろうと私は思います。ですけれども、それはどうしてもかゆいところに手の届くようにというまではいかないかもしれません。ですけれども、もう少し実るような措置がなされなければならないのじゃないか、こう思います。  そこで、出先に対して具体的な指示をしておるというならば、そのことについての報告もとっておるでしょう。まさか指示のしっぱなしではないでしょう。もう相当期間もたっておりますから、具体的な成果としてどういうものがいま出てきておりますか、具体的にどのような取り扱いを出先はしておりますか、その点どうですか。
  148. 柏木雄介

    ○柏木説明員 東発の問題のほかに倒産はたくさんございます。私どものほうとしまして、一般的に各財務局を通じ各金融機関にいろいろ指導しております。東発の問題につきまして、特に報告というものは参っておりませんが、先般主要取引銀行であります銀行からいろいろ話を聞きまして、その結果につきましては、ただいま申し上げましたように、当初いろいろと倒産が続出するのではないかというふうに考えておりましたところ、二社ほど中小企業が、結局東発への依存関係があまりにも大きかった関係で倒産した以外には、倒産せずに済んだということを最近聞いております。
  149. 中村重光

    中村(重)委員 具体的な成果について答えられない、納得のいくような答弁がないということは、あなたのほうの取り組みが弱いということを裏書きしておると私は思います。ですから、もっと積極的に取り組み、成果をあげるように努力する意思を持っておられますか。
  150. 柏木雄介

    ○柏木説明員 積極的に努力する意思はございます。
  151. 中村重光

    中村(重)委員 そこで通産省にもなおお尋ねをいたしたいし、また大蔵省にもお尋ねいたしたいと思いますが、委員長からえらく時間の請求をされておりますので……。  先ほど藤田君の質問に対しまして、井上さんは私企業に対して金額をここまでこうしろということについて言うことには限度があるというようなお答えでございましたね。しかしその必要は認められておりますか。
  152. 井上亮

    ○井上説明員 先ほど私から藤田さんに対しまして御答弁申し上げましたのは、五月十五日に富士電機が無担保債権者の方々に提示されましたあの案の内容につきましてお答えしたわけですが、その案につきましては、私どもも拝見させていただきましたが、これをさらに、不十分だからもっと額を上げたらどうだろうと言うようなことは、私ども立場では少し行き過ぎではないか。むしろ一般的な監督官庁といいますか、あるいは指導官庁といいますか、そういった立場から、困窮している下請業者に対して、許される範囲、あるいはできるだけの範囲で善処をお願いしたいということが、通産省の現在の立場では、富士電機に対してはこれが精一ぱいじゃないか。東発となりますと、これはまた東発が直接の責任者ですから、これはまた言い方が違うかもしれませんが、少なくとも富士電機に対してはそういう立場ではないか、そういう意味で申し上げたわけであります。
  153. 中村重光

    中村(重)委員 あなたとあまり議論をしても、それこそ議論には限度があると私は思う。森崎さんもあわせてお答え願いたいのですが、あの解決策というのですか、あれを出すまでに至るには、少なくともあなた方も通産大臣も、富士電機の金成さん、あるいは東発のほうと何回か折衝されたのだろうと思う。だからしてあれが出てきた。いまあなたのような答弁ならば、あれを出させたこと自体が行き過ぎだということになるじゃありませんか。何とかしなければならぬということでいろいろと折衝をされる、あっせんをされる、いろいろなことであの書類は出てきたのじゃありませんか。あれまではやって、それから先はやれないというのはどういうことですか。
  154. 森崎久壽

    ○森崎政府委員 私といたしましては数次にわたり国会でいろいろと御発言がございましたから、その問題につきまして的確に富士電機にこれを伝え、またわれわれとしても事の重大性について富士電機に再三御努力願うように要望いたしまして、その最終的な結論としてお出しになったものでございますので、富士電機としては最大限の努力をしたというふうにわれわれとしては受け取っているわけでございます。
  155. 中村重光

    中村(重)委員 あなた方がそういう態度だからあれ以上のものは出ないのですよ。最大限の努力をした結果あれが出てきたんだ、あなた方のその考え方が、金成さんをして安易な気持ちに追い込んでいますよ。最大限の努力をした——ことばじりじゃありません。これはあなた方の考え方の問題ですよ。まだいろいろ手があるでしょう。解決策についてはもっと前向きの解決策というものがあってしかるべきではありませんか。それと、あなた方は私企業だ私企業だというけれども、官僚として介入する、いろいろなことをやっているじゃありませんか。都合のいいことだけはやっていいのだ、そういう問題に対しては私企業だから限界があるのだ、そういうえてかってなことを言うべきじゃありません。もっと積極的に、何も押えつけてこうしろというわけでやるわけじゃないのですから、話し合いはやってもいいじゃありませんか。どうです。
  156. 森崎久壽

    ○森崎政府委員 私といたしましては、この問題についての正確さを期してベストを尽くしまして富士電機のほうにこの点を伝えておりますし、われわれのほうとしてもあらゆる努力をして最善の努力を払うようにお願いしておったわけでございます。決して私たちがゆるい態度で、適当な態度でやったということではございませんで、私自身としてはあらゆる努力をいたしまして精一ばいお願いしたということでございます。
  157. 中村重光

    中村(重)委員 それで最大限であると思ったから、もうこれ以上富士電機に対しては、問題解決に対して積極的に取り組んでいくということはできない、こういうように解釈しろというのですか、その点どうですか。
  158. 森崎久壽

    ○森崎政府委員 先ほど井上計画部長からも答弁いたしましたように金額をどうするとかこうするとかいう問題については、私どもとしてはこれ以上のことは申せません。あくまでもベストを尽くすようにこれはお願いしてやるということで努力しております。
  159. 中村重光

    中村(重)委員 金額を言わないことでベストを尽くすとはどういうことですか。どう解釈したらいいのですか、いまのお答えは。そう抽象的にお答えにならないで、あの金額はあの金額だ、それ以外にはこういうような解決策があるといったような、具体的なことを何か答弁できないのですか。
  160. 森崎久壽

    ○森崎政府委員 ちょっと御答弁になるかどうかわかりませんが、中小企業庁としては先ほど井上計画部長が御説明申し上げましたようなことでありますが、重工といたしましては、これ以外に無担保債権者の方々に対しまして業務あっせんということを続けてやっおるわけでございます。現在の実績によりましても業務あっせんというのは非常にむずかしい問題でございますが、いらっしゃった方々に対してはできるだけ早い機会に関係の会社側にお話をいたしまして、いまお話し中のものは八件あると思いますが、そういう形で業務あっせんその他につきまして努力はいたしておる状態でございます。
  161. 中村重光

    中村(重)委員 先ほどの井上さんのお答は、何というのか含蓄のあるというのか、少し意味深長なお答えであった。富士電機に対してはこれ以上というのは、法的な関係から役所としては要するに答弁に限界がある。法的には東発である。しかも管財人等がもうすでに任命され更生開始の段階にある。そういういろいろな点を考慮に置いて、そして法的な関係は一応ここで答弁はするけれども、やはり最大限の努力は関係の人たちとやって、問題解決に努力しなければならない、こういう考え方の上に立って答弁をされた、こう解釈してよろしゅうございますか。
  162. 井上亮

    ○井上説明員 おっしゃるとおりでございます。
  163. 中村重光

    中村(重)委員 そこで会社更生法による更生開始が行なわれてきたわけでありますが、会社更生法百九十四条あるいは百九十五条あるいは四十八条、いろいろな関係がありますが、こうした関係の法を根拠としてどのような動きを通産省、大蔵省は行政庁としてやってこられましたか、そのことについてお答えを願います。——それじゃ、いまあなたが資料をさがされるということ自体、私はおかしいと思うんだ。会社更生法開始が行なわれたならば、要するに調査員が調査をしたんだからそのことについての通知もあったでありましょうし、あなたのほうとしてはそれに対するいわゆる再建計画に対して意見を述べることができる、また述べなければならない、こういうことになっているし、またその以前であっても意見を述べられるという道が開かれておるんだから、そういうことに対してどう対処をしたか、こうお尋ねをしておるのでありますから、そうちゅうちょされないで、あまりむずかしいことじゃない、早晩やらなければならないことですから、すぐお答えができるでしょう。それをお尋ねしている。大蔵省としてもお答え願いたい。
  164. 森崎久壽

    ○森崎政府委員 裁判所のほうからの通知はちょっとおくれておりまして、まだわれわれのほうといたしましては入っておりませんが、われわれといたしましては、この問題につきましては産業政策的な立場から十分検討いたしまして、裁判所のほうからの意見を求められればお答え申す所存でございます。また積極的に産業政策立場から意見を述べるというような道も法律上開かれておりますので、必要によりましてはそういうことも検討いたしまして、意見を述べる必要がありますときには、今後の更生計画設立手続におきまして意見を申し上げる必要があれば、その準備をいたしたいと思っております。
  165. 柏木雄介

    ○柏木説明員 裁判所のほうからも通産局のほうからも、この問題につきましてはまだ全然聞いておりませんし、はたして私どものほうがこの問題について意見を述べる必要があるかどうか検討しなければならぬと思います。
  166. 中村重光

    中村(重)委員 どうも大蔵省も通産省もそういう態度でよろしいですか。通知が来たならば意見を述べることができる。通知がこなくても会社更生法三十五条第三項によって意見を進んでいつでも述べるという道が開かれておるじゃありませんか、必要があればと言うのは、あなた方は誠意がないので、これほど中小企業の人たちがばたばた倒れる。こういうように大きな社会問題化しておる。労働者の諸君の問題は一応解決をしたけれども、これは非常に重大な問題じゃありませんか。その再建計画が富士電機やあるいは銀行を律するような形において計画が立てられるのか、関連の下請企業者を中心として、そのような人たちを、あるいは労働者の人たちの利益を中心として再建計画が立てられるかということは、これは重大な問題です。そういう問題について進んでお互いの行政庁が話し合いをやって、いろいろと意見をまとめて、進んで裁判所に対して意見を申し述べるという積極的な態度をおとりになることが私は当然じゃないかと思う。それをいまに至るまでおやりになっておられない。しかも、その必要があればというような消極的な態度では、私は政府に対する不信感というものを国民が持つような結果になるのじゃないかということをおそれます。そういうことについては、そういう態度は私はいかぬと思う。もっと積極的に、きょうからでもともかくそうした問題に取り組んで、そうした困っている人たちを中心とする再建計画が樹立されるように取り組まれる必要があると思いますが、その点に対してはどのようにお考えになりますか。
  167. 森崎久壽

    ○森崎政府委員 重工業局といたしましては、この産業を所管しております立場からいろいろ検討をいたしますし、また中小企業等につきましては、中小企業庁的な観点からいろいろ検討いたしまして、通産省の内部で十分に検討をいたしていきたいと思います。ただ、いまの段階におきまして意見を述べるとか述べないとかという問題につきましては、もうしばらく日にちをかしていただきたいと思います。
  168. 中村重光

    中村(重)委員 時間がないからやめます。いまの段階であなたが言われるのをまた繰り返すばかりですから言いませんが、ともかく通知がくる前でも、必要によりいつでも意見を述べる道も開かれておるわけですから、決して閉ざされていないわけですから、そういうことについては非常な重大な関係がありますから、十分取り組んでいかれるように強く注意を喚起しておきたいと思います。  これで終わります。
  169. 二階堂進

    二階堂委員長 参考人方々には、長時間にわたり御出席をいただきありがとうございました。  参考人の方の御退席をどうぞお願いいたします。  次会は、来たる六月九日火曜日午前十時より理事会、理事会散会後委員会を開会することにし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十一分散会