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1964-04-03 第46回国会 衆議院 商工委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十九年四月三日(金曜日)    午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 二階堂 進君    理事 小川 平二君 理事 小平 久雄君    理事 始関 伊平君 理事 中川 俊思君    理事 板川 正吾君 理事 久保田 豊君    理事 中村 重光君       小笠 公韶君    小沢 辰男君       岡崎 英城君   小宮山重四郎君       砂田 重民君    田中 正巳君       中村 幸八君    野見山清造君       南  好雄君    村上  勇君       大村 邦夫君    加賀田 進君       桜井 茂尚君    沢田 政治君       島口重次郎君    楯 兼次郎君       藤田 高敏君    麻生 良方君       加藤  進君  出席国務大臣         通商産業大臣  福田  一君  出席政府委員         通商産業政務次         官       田中 榮一君         通商産業事務官         (大臣官房長) 川出 千速君         通商産業事務官         (大臣官房参事         官)      宮澤 鉄藏君         通商産業事務官         (鉱山局長)  加藤 悌次君         工業技術院長  馬場 有政君  委員外出席者         通商産業技官         (工業技術院地         質調査所所長) 斎藤 正次君         専  門  員 渡邊 一俊君     ――――――――――――― 四月三日  委員山手滿男君辞任につき、その補欠として砂  田重民君が議長の指名で委員に選任された。 四月一日  工場用地造成のための資金補助等に関する陳情  書  (第三二六号)  公害除去のための中小企業助成措置に関する陳  情書  (第三八〇号)  中小企業対策の強化に関する陳情書  (第三八七号)  奄美群島の電力問題に関する陳情書  (第三八八号)  工業用地等取得造成に関する陳情書  (第三九四号)  中小企業近代化促進法指定業種拡大等に関す  る陳情書  (第四八二  号)  中堅産業都市建設法制化等に関する陳情書  (第四八三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  金属鉱物探鉱融資事業団法の一部を改正する法  律案内閣提出第九七号)      ――――◇―――――
  2. 二階堂進

    二階堂委員長 これより会議を開きます。  内閣提出金属鉱物探鉱融資事業団法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許可いたします。沢田政治君。
  3. 沢田政治

    沢田委員 金属鉱山自由化に対処するために強力な政策が必要である、こういう見地に基づいて、昭和三十七年の五月六日の商工委員会でそれぞれこの問題を審議し、附帯決議をいたしておるわけであります。さらに、昭和三十七年の五月の七日に衆議院の本会議でも決議をいたしておるわけであります。さらに、昭和三十八年の三月の十四日にも、この小委員会金属鉱山に関する決議をしておるわけであります。  その第一は、まず、自由化に対処するためには何といっても探鉱を促進しなければならない、こういうことがそれぞれの決議並びに附帯決議の第一項において明確にされておるわけでございます。その後、たとえば秋田県の北が地区、現地では北ろく地区と言っておりますけれども、この北鹿地区におきまして、内の岱、古遠部、あるいは松峯、釈迦内というように、日本でも非常に有望な、また外国に比しても非常に有望な黒鉱床地帯発見されておるわけであります。この黒鉱床地帯発見されたというほんとうの要因になったものが何であったか、たとえば通産省の地質調査所等の強力な調査学術研究の結果であったかどうか、私はこの点をお伺いいたしたいわけでございます。あの地区地質は、第三紀マイオシンと一般に言われておりますけれども、この中に大滝層、あるいはまた胚胎層準、この中に大葛層、特にこの大葛層大滝層の中にはさまっておるわけでありますけれども、一私企業によってこういうような地質構造の中にこういうものがあるというように発見されたのかどうか、この点をまず第一にお聞きしたいと思います。
  4. 加藤悌次

    加藤政府委員 現在、秋田北鹿地帯と、ただいま先生の御指摘のように同和鉱業の内の岱鉱床発見以来、各地におきまして同じ黒鉱の有望な鉱床発見されておるわけでありますが、ただいま御指摘政府施策がどの程度これに対して稗益しておるかということでございますけれども、現在のあのような探鉱ブームと申しますかが由来いたしましたのは、私、個人的には、同和鉱業さんが昭和二十五、六年以来営々としてあの地帯におきます企業自体の力によります探鉱の実施を続けてこられまして、その結果、たしか昭和三十四年と思いますが、三十四年に至りまして内の岱の鉱床が見つかったということでございまして、政府ほんとうにこの探鉱に本格的に力を入れなければならないということになりましたのは、その後の自由化進展状況に応じまして、国内の金属鉱業もそういった開放体制に備えまして体質を改善する必要があるという機運が生じまして、昭和三十七年に鉱業審議会に対しまして、今後の開放体制に対しまして日本鉱業政策というものはいかにあるべきかという御審議を願ったわけでございます。それ以後、本格的に政府としてはこの探鉱についての積極的な施策を進めなければいけないということになったと存ずるわけでございます。現在の北鹿地帯の最初のきっかけは、いま申し上げましたような一企業のそういう御努力があずかって非常に力があった、こう言えるのではないかと思います。
  5. 沢田政治

    沢田委員 地質学学説といいますか、定説は、その学者によって非常にまちまちであることは御承知のとおりであります。たとえば花岡鉱床の場合でも、当初は塊状鉱床である、こういうようにいわれてきた期間が非常に長かったわけであります。最近におきましては、花岡鉱床の場合は、これはやはり層状である、こういう事実が示されておると思うわけです。そこで、私は純粋な学説的な立場から聞きたいわけでありますけれども、たとえば花岡鉱床あるいはまた内の岱鉱床にしても、第三紀マイオシンの中に大滝層、さらには胚胎層準の中に大葛層、この層に鉱石が賦存する、こういうような学説地質調査所のほうで持っておったのかどうか。また別な根拠学説に基づいておったのかどうか、この点を聞きたいと思うわけです。と言いますのは、ただ無定見に国費をもって関東平野に十万本のボーリングを落としたとしても、これはむだなわけです。やはり探鉱するということになると、一つの正しい学説に基づいて探鉱しなければむだな浪費になる。こういう観点から私は聞きたいわけです。
  6. 加藤悌次

    加藤政府委員 ただいまの御質問に対しましては、地質調査所長が出席されておりますので、そのほうから御答弁願ったほうがよろしいのではないかと思います。
  7. 斎藤正次

    斎藤説明員 それではお答え申し上げます。いまの御質問のとおりでございまして、初め黒鉱鉱床塊状鉱床だと学説は思っておったのでございますが、その後、学問というものは日とともに年とともに進歩をいたしまして、最近ではいまの御質問のとおり層状鉱床であるということに決定しつつあります。と申しますのは、塊状鉱床の場合には地層の中のどこにでも出てきてもよいというようなことになりますけれども、層状鉱床ということになりますと、あるきまった地層の中に出てくるということになります。こういうような学問進歩——たとえば黒鉱鉱床をさがすときに、なかなか地下の鉱体を地上からさがすということは容易ではございませんけれども、それを持っておる地層地表に出ておるわけであります。そういう地層を追っかけていくことによって、間接にこの黒鉱鉱床がさがせるという一つ原理が出てきた。これは探鉱を効果的に進歩させるということに非常に役立っておると思います。こういうように学問進歩によって、従来どちらかといいますと、やみくもに地表からボーリングをしておったのが、地表基礎的な調査をもとにして効果的な場所を選んで探鉱ができるということになりつつあるわけでございます。そういうように、学問進歩ということと探鉱というものは非常に関係の深いものである、こういうふうに思っております。  なお、黒鉱床成因という学問的の見解につきましては、十分徹底しているわけでもございませんけれども、将来ますます研究を進めていきたい、そういうふうに思っております。
  8. 沢田政治

    沢田委員 当面の探鉱の重点としては、第三紀マイオシン北鹿地帯黒鉱鉱床地帯を重点的にやっておるわけでありますけれども、将来どういう鉱床まで探鉱するというような通例があるかどうかということです。たとえば単純黄鉱とかキースラーガーがあるわけでありますけれども、将来は、この北鹿地帯が終わったならば、どの方面まで自主探鉱範囲を広げる、また鉱床を広げるか、この点についてお伺いしたいと思います。
  9. 加藤悌次

    加藤政府委員 いろいろ技術的な面につきましてはまた地質調査所のほうからお答えすると思いますが、いわゆる地質調査所の代行調査なり、あるいは今回お願いいたしております探鉱事業団による精密地質調査は、一応の今後の方向としては、黒鉱床並びにキースラーガー地帯、この二つを重点的に行なってやったらどうであるかということでございまして、具体的な地域といたしましては、先生専門家でございますのでお詳しいと思いますが、黒鉱床につきましては秋田県のほか島根、山形、福島等がございます。キースラーガーにつきましては愛媛、和歌山北海道、このほか静岡等、こういうところを一応将来の予定地というふうに計画的に進めていこうといたしておる次第でございます。
  10. 沢田政治

    沢田委員 いまキースラーガーの問題が出ましたけれども、非常に簡単にキースラーガーというようなことばを使っておりますけれども、これは非常に危険じゃないか、このように考えるわけです。これは局長に聞いてもちょっと無理だと思いますから、地質調査所のほうから聞きたいと思いますけれども、この定義について聞きたいと思うわけです。私はこの道では専門家じゃありませんけれども、キースラーガーというものはドイツ語から出ておることは事実であるわけでございます。直訳すると硫化鉄鉱床、そういう意味であるわけであります。たまたま日本の別子銅山の場合にはキースラーガー性質が非常に類似しておる、こういうことからキースラーガーということを非常に簡単に言っておるわけでありますけれども、しかしただ表面的に見て性質上似ておるから、形態が似ておるから、こういうことでキースラーガーであるとやったのでは、地質学上非常に大きな災いを起こすのじゃないか、こういうように考えるわけであります。したがって、定義を正確にするためには、やはり成因と生成したあと変化作用、こういうものを明確にしなければ、ただ単にキースラーガーである、別子がそうだ、北海道下川がそうだ、こういうことでは非常に間違う危険があるのではないか、こういうように考えておるわけです。私はしたがって、キースラーガーということをあなた方が簡単に使っている以上は、通産当局並びに工業技術院のほうでキースラーガー成因というものをどういうふうに判断しているのかという点を明確にしてもらいたいと思うのです。
  11. 斎藤正次

    斎藤説明員 キースラーガー定義といいますのは私らも非常にわかりにくいのでございますけれども、ドイツ語で、前に申しました黒鉱と同じように、さっき層状鉱床と申しましたが、昔、火山がありまして、火山作用の結果、地表鉱石を持った鉱液が流れてきて、それが低いようなところにたまる。その火山活動はずっと続いておりますから、その上にまた火山噴出物がたまって、ちょうど地層の中にはさまったような形になった層状鉱床黒鉱鉱床である、こういうふうに考えられております。黒鉱鉱床のほうは銅とか鉛とか亜鉛とか、こういう鉱石がまじっておりますが、そういう内容物は違いますけれども、そもそも初めキースラーガーができたときには黒鉱と同じような原因でできて、したがって、おもに火山噴出物、多少そうでない異質の場合もありますけれども、そういうものの間にはさまってできたような形が出てきた。そこまでは同じでございますが、その後地球がいろいろ力を受けたり何かしまして、そのために岩石や、中に入っている鉱石も押しつけられたり曲がったり、そういうような複雑な形をとるようになりました。それと同時に、鉱石のほうも押し伸ばされたりいろいろな形になって、岩石の中に筋ができたり鉱石の中にしまができたり、こういうような形になります。そういうようなものをキースラーガーと言っておるわけでございまして、これもさっきの黒鉱と同じように、ある一定地層の中に——これが変成作用と申しまして、岩石ができた時代とは変わったものになっておりますけれども、そういう一定地層を追っかけていくことによって探鉱ができる。これも最近進歩した学問一つでございます。前の黒鉱と同じように、学問進歩探鉱を楽にしているという一つの例だと思います。キースラーガーの私らが考えております定義はそういうように考えております。  それで日本では別子とか、それから北海道下川鉱山とか、それから和歌山県の飯盛鉱山とか、それから茨城県の日立鉱山、それからなお岡山県の柵原鉱山、こういうような鉱山鉱石は大体キースラーガーである、こういうふうに思っております。
  12. 沢田政治

    沢田委員 あなたのほうで出されておるこの地質ニュースにも、キースラーガー成因というものは非常に世界的な論争になっておる、はっきりした定説がない、こういうことを言っておられますけれども、いまあなたの御答弁を聞くと、一応定説があるというようなことですけれども、そのことについて自信を持てますか。
  13. 斎藤正次

    斎藤説明員 これは黒鉱の場合でも同じでございまして、いまの学問の趨勢がそうなっておる。その原理で多くの事実を説明できるという状態でございます。これで説明できないような事態が起きますれば、学問原理というものは変わっていくわけでございます。それで現在ではいろいろな事実をこういう解釈によって最も妥当に説明ができる。大体学問原理というものはそういうものではないかと思います。そしてわれわれの測定する方法が進歩したり何かしますと、いままで知らなかったような事実が出てきたような場合には、いままでの原理では説明できないというような事態が起きてまいります。そうするとその原理を修正しなければならぬ。これが学問進歩でございますが、現段階ではまず世界じゅうの多くの人がいまのような見解をとりつつあるということでございます。ですから絶対的というようなことでなく、現状ではこういうふうに信じておるということでございます。ただ、その過渡的の状態におきましては、Aの学者とBの学者の意見の違いというものは当然出てくるわけであります。
  14. 沢田政治

    沢田委員 地質調査所の、百四号ですか、このニュースの中に、戦後十五年間非常に日本地質学も発達した、開発に対して非常に大きな貢献をした、こういうことで自画自賛をしておるわけです。もちろん自画自賛をすることを否定しませんよ。自分仕事に対して誇りを持つということは否定しません。けれども、ちょっと自画自賛に過ぎるんじゃないか、こういうふうにぼくとしては考えるわけです。といいますのは、マイオシン北鹿地区のあの開発でも、あなた方がこういうところにあるというんであけたんじゃないですよ、あれは。業者が何というか危険をおかしつつも偶然当たったのがあの鉱床じゃないかと思うのです。そういうことで、たとえばあの北鹿地区黒鉱床地帯開発が、あなた方の学問学説によって当たった、また発見された、こういうように考えておるかどうか、その点をお聞きしたい。
  15. 斎藤正次

    斎藤説明員 まことに、何と御答弁していいかわからぬ御質問でおそれいった次第ございます。  実は、地質調査所と申しますのは国の機関でございまして、基礎的に国の地質状態資源のあり方というのを知っておいて、その基礎事実を業界に使っていただく、こういうことをねらっておるわけでございます。直接ある鉱区を自分探鉱をするというものではございません。それで、実は地質調査所仕事一つに全国の地質図をつくっておる業務、これは地質調査所発足以来の過去数十年の業務でございますが、いまの北鹿地区におきましても、そういう地質図をつくっております。そういうものをお使いになって、業界探査を進める一つ基礎にしておられる、こういうふうに思っております。なお、そういう地質図の応用と申しますのは、資源探査だけでなく、いろんな土木事業にも利用されております。そういうように国の経済の発達に対して基礎材料をつくるというのがおもな目的でございます。ただ時代緊要性のある場合には、特別に探査事業に入ることもございます。その一例をあげますと、原子力平和利用によるウラニウム調査、こういうものは業界でいままでやった経験もございませんでしたために、その初歩の探査というのは地質調査所が主として開始しまして、原子燃料公社などと共同してやっておりますが、日本で、幸いにして世界的に経済的に意味のあるような鉱石が出てまいりました。そういうことをやらない前は、日本にそういうウラニウム資源があるということはわかっていなかったわけでございます。まあそれらが、自分のことでございますから多少お耳ざわりのように強く表現いたしたかもしれませんけれども、そういうふうな点は御了承願いたいと思います。
  16. 沢田政治

    沢田委員 とかく学者というのは自説を固執するものですけれども、あなたの場合は、民間よりおくれておるという事実を、事実によって北鹿地区の場合示されておるので、それにすなおに従って、あなたの気持ちには、敬意とまでいかないけれども好意を表します。  そこでお伺いしたいのは、たとえば今度の事業団対象鉱種は四種に限定されておるわけですね。したがって、私は特に内の岱の北鹿地区黒鉱床発見によって、単なる四種に限定するということは間違いである、したがって、もっと鉱種を広げるべきである、こういうように私は考えておるわけです。どういう鉱種を広げるかということは、たくさんいま持ってきていますけれども、これを読み上げたんじゃ時間の浪費になりますので、通産当局あとで申し上げますが、特に私は硫黄の場合もこの中に含めるべきじゃないか、こういう考え方を非公式に人を介して通産当局に聞いてみたわけです。その場合、事業団法自由化に対処するための法律である、したがって硫黄の場合は早急に自由化する意図がないので、この対象鉱種の中に含めることは当面考えられない、こういうような意向を聞いておるわけでありますけれども、自由化になって困るからこの鉱種の中に入れてやるということでは、私は政治としては、政策としては手おくれじゃないかと思うわけであります。自由化をでき得るように合理化を援助してやる、そういうところに法律の大きなねらいがあるんじゃないか、こういうように考えていますので、現在四鉱種に限定されておる鉱種範囲を広げる、また検討する、こういう意思があるかどうかお聞きします。
  17. 加藤悌次

    加藤政府委員 お答え申し上げます。この鉱種取り上げ方でございますが、この事業団法の今度の改正におきましても、現在まで行なっております融資事業、この融資事業対象になりました鉱種と、さらに新しい地質構造調査、これによって主として対象に考えておる鉱種とは同一の鉱種を考えておるわけであります。したがいまして、将来検討の余地があるかとも存じますが、一応融資事業というのは、御承知中小鉱山以外のいわゆる大手なり準大手対象にいたしておりますので、そういうことになりますと、およそそういった大手を眼中に置いて融資並びに地質構造調査を進めなければいけない鉱種がどういうものになるだろうかということで、おのずから範囲も限られているんじゃなかろううかという気がいたすわけでございますが、一方ただいま御指摘の、現在指定鉱種四つでございますが、私ども必ずしもこの四つだけで十分満足しておるというわけのものでございませんで、将来だんだんとこの範囲も広げていきたいというつもりではおるわけでございますが、具体的にただいま御指摘になりました硫黄の問題につきましては、確かにこの前の商工委員会先生からいろいろお教えを伺ったわけでございますが、将来硫黄の方策をどういうふうに確立するかということにつきまして、実はこの六日の日に鉱業審議会でおはかりいたしまして、本格的に硫黄分科会をつくっていただくという予定をいたしておりますが、この分科会ができました暁において、いま御指摘のような点をも含めていろいろ御審議をお願い申したい。できれば来年度の予算審議するこの夏ごろまでには何らかの結論を得るような方向へ持っていきたい。ただいまのところでは、そういった分科会の御審議状況を待って考えたらどうだろうかという気持ちでおるわけでございます。ただ現在の法律のままですと金属鉱物対象になっておりまして、硫黄をこれに入れるということになりますと、この法律を改正するという問題も起こるかとも存じます。それから、硫黄鉱山が現在たしか十四、五あるわけでございますが、ただいま申し上げました融資事業対象になる鉱山というのは、かりに硫黄をそういうことで鉱種に指定いたしましても、そのうちただ一つだけの鉱山対象になるということでございますので、その辺融資についての必要性があるかどうかということも並行して考える必要があるんじゃなかろうかという気がいたしておるわけでございます。
  18. 沢田政治

    沢田委員 事業団工業技術院地質調査所、これの関連についてお聞きしたいわけですけれども、一応地質調査所の場合は広域調査をするわけですね。そうして大体どこの地区地層は非常に有望だ、こういうところに事業団がさらに精密地質構造調査をするわけですね。そうなった場合、相当双方の関連を考える必要があるんじゃないか。したがって地質調査所のほうの機構が非常にすぐれておらなければ、そのために事業団事業が阻害されるということもなきにしもあらずなわけです。そういうことなので、今後たとえば事業団がどんどん探鉱を促進してくることを想定された場合に、現在の地質調査所の機能あるいは機構、人員でいいかどうか、私は非常に不安でならないわけですが、その点に対する考え方をお聞きしたい。
  19. 加藤悌次

    加藤政府委員 事業団が行ないます精密地質構造調査は、その前の段階でございますが、地質調査所による広域調査を前提といたしておるわけでございまして、今後事業団による精密地質構造調査がだんだん大規模になってくる——自身もそういう希望を持っておるわけでございますが、そういうことになると、少なくとも三十八年度あるいは三十九年度で地質調査所のほうにお願いいたしております事業規模なり陣容で十分であるかどうかという点は、確かに先生指摘のように私も疑問に存ずるわけでございますので、私自身といたしましては、今後事業団がだんだん規模を大きくしていくという場合には、これに即応した前の段階広域調査ができるように、地調陣容等の拡充あるいは予算の増大ということをお願いしなければいけないのではなかろうか、こういうふうに存じておるわけでございます。
  20. 沢田政治

    沢田委員 事業団の任務というものは、鉱石を直接当てることのみじゃないと思うのです。地質精密構造調査をするところに目的があると思うわけです。したがって必ずしも鉱石を当てるということじゃないと思う。そこで昭和三十九年度の事業計画で推して、大体北陸地区において千メートル間隔、一坑の深さ四百メートルということで、グリットーにして四十八坑を予定しておるようでありますが、少なくとも国費をもって探鉱をする場合には、なまはんかな探鉱じゃいかぬと思うわけです。その地区ならその地区にあるかないか、どういう構造、地層であるかということを明確に把握する必要があると思うわけです。特に最近の探鉱は、昔は露頭をたよりにしたわけだけれども、そういうゴールドラッシュを夢見たような、山師のような状態では今日の鉱脈は発見できないわけです。さらに科学的な探鉱が必要になってくるわけです。地質構造の精密な調査が必要になってくるわけです。いま四十八坑を予定しておるようですけれども、あの地区の広さ、地層から考えて、少なくとも百坑をおろさなければ明確な把握ができないじゃないか。もちろん財源的に四十八坑になったのかどうかわかりませんけれども、四十八坑で足りるというように考えておるのかどうか。私は少なくとも百坑はおろす必要があると考えるけれども、その点に対する考え方をお聞きしたい。
  21. 加藤悌次

    加藤政府委員 ただいま先生から御指摘の点、私同感でございます。四十八坑ないし五十坑で必ずしも十分なものじゃない。これだけの本数は非常に小さな地域に限定されるわけで、はたして所期の目的が達成されるかどうかということについて、必ずしも満足いたしておるわけではございません。そういうことで本年度の予算は、当初の要求といたしましては事業規模二億の要求で百坑ぐらいという気持ちで実はおったわけでございますが、全体の財源との関係で、規模を三分の二の一億三千三百万に圧縮せざるを得なかった、こういういきさつでございまして、いま申し上げましたように、ことしの実績を見た上で、来年度さらに増額の方向予算が獲得できるように努力いたしたいと思っております。
  22. 沢田政治

    沢田委員 新鉱床探査費補助金は、従来は大企業にやっておったが、財投のほうから融資するので、今度は中小企業の場合には、新鉱床探査費補助金は三億ですが、この場合、単価が非常に矛盾があるという話を聞いておるわけです。たとえば、試錐の場合は千二百五十円、坑道の場合は五千円、こういうことで、どういうわけでこういうような実際より三分の一くらいの単価に押えておるのか、この点を伺いたいと思います。
  23. 加藤悌次

    加藤政府委員 新鉱床探査費補助金の単価についての御指摘でございますが、最近の物価、特に賃金の値上がり状況等にかんがみまして、実は私自身としても、これで十分やっていけるかどうかというふうな気持ちがあるわけでございます。御承知のように、この補助金は、三十七年度までは大企業を含めての補助金でございまして、当時これが三億であったわけでありますが、昭和三十八年度では同じ金額を中小鉱山だけに限るということで、実質的には増大したということになっておりますが、この三億の金額は実は三十九年度も同額になっております。そういう二とで私ども一応決定せざるを得なかったいきさつを御了承いただきたいと思います。ただいま御指摘のような点もございますので、特に対象中小鉱山ということに相なりますので、いまから四十年度の予算をどうかと思いますが、四十年度の予算要求に際しましては、御指摘の単価の増額を全体の予算の増額とあわせてぜひものにいたしたいというつもりでおるわけでございますので、御了承いただきたいと思います。
  24. 沢田政治

    沢田委員 単価が非常にきびしいということは、やはり総額の予算からきておるのではないかと思います。そういう意味で、やはり絶対的に総額の予算が足りないということに基因すると思います。  さらに問題は、たとえば大企業のほうの財政投融資によるところの融資の問題、この金利の問題でありますけれども、一年据え置き六年以内ですか、さらに七分五厘の金利、これは、はたして妥当と思っておるかどうか、これをお伺いしたいわけです。たとえば他の産業、他の事業に対する融資と違って、金属鉱山の場合は、皆さん御承知のように明らかに危険なわけです。たとえば同和の場合は、内の岱鉱床発見するまでにはパーになるかもわかりません。あるかないか、二つに一つですからね。この探鉱の場合は、七億の金を探鉱費だけにつぎ込んでおるわけです。さらに三菱だと思いますけれども、古遠部では、探鉱から選鉱、それから経営するようになるまで十七億の金をつぎ込んでおるわけです。しかもこれはあるかないかわからぬわけです。そういう特殊な産業に対して七分五厘というような高利がはたして妥当かどうか、私は疑わしいと思うわけです。五分以下にすべきではないかと考えておるわけだけれども、こういうような産業の特質からいって、衆議院の本会議でも、この探鉱を促進しなければならぬ、政府の力でやらなければならぬ、こう言っております。現状を考えても、こういう高金利は妥当であるかどうか、大臣にお伺いしたいと思います。
  25. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 探鉱関係その他この種の助成をしなければならないような企業でございますから、できるだけ安い金利にしたいというのがわれわれの希望であります。
  26. 沢田政治

    沢田委員 それから融資の場合の対象工事についてお伺いしたいと思いますが、たとえばここの地区にこれだけの探鉱をしたいという計画書を通産当局のほうに出すわけです。それで坑道を掘るとか、立て坑を掘ることは認めておっても、プラットをつけるとか、間接費は認めないということになっておるわけです。したがって鉱石発見することにも金がかかるし、それを発掘して——発掘するためには立て坑をつくらなくちゃならぬ、プラットをつくらなくちゃならぬ、ということは、みな探鉱事業であるわけです。それを一部分は認めて、一部分は認めないということはいかぬと思うのだけれども、その点に対してどう考えますか。
  27. 加藤悌次

    加藤政府委員 私どもの算定をいたしております数字によりますと、三十九年度の見込みでございますが、この事業団融資対象になります探鉱事業というものは、いわゆる営業探鉱を除外いたしまして、新鉱床探査のための探鉱だけに限定をいたしております。その金額が本年度大体四十億くらいの見込みを持っておるわけでございます。したがいまして、事業団が原則的に考えております融資比率の六割ということをとりますと、融資資金量として大体二十四億ばかり要るわけでございますが、本年度の財政投融資等で考えておりますのは四十億の半額の二十億であるというわけで、原則の六割からいたしますと少し少ないということでございますが、これも全体の財源の関係でやむを得ず、昨年度が十五億ございましたので、これに五億上乗せするということで決定せざるを得なかったという状況もあるわけでございます。そういうことで、本年度はこの二十億をできるだけまんべんなく公平に配分いたしたいということに相なりますと、多少査定の段階でいま先生指摘のようなこともやむを得ないのじゃなかろうかという気がいたすわけでございますが、一にかかって全体の予算規模の問題でございますので、今後だんだんとその点については努力をいたしてまいりたいと思っております。
  28. 沢田政治

    沢田委員 融資対象工事の幅を非常に狭めて、間接費なんかを認めないという方向をとっておるわけでございますけれども、これに付随してお聞きしたいことは、私が現場の方々から聞く範囲においては、書類の報告が非常にめんどうくさい、非常に難儀だということを聞いておるわけです。したがって、融資対象の工事、事業の幅を狭めておいて、官庁式の報告だけはいかめしいものをつくらせるということは、その面からいって非常に矛盾しておるわけで、これを簡素化すべきだと思うのですが、それに対する考えはどうですか。
  29. 加藤悌次

    加藤政府委員 ただいま先生質問のような状況は、あるいはそういうこともあるのじゃなかろうかという心配を実はいたしておったわけでございますが、私実はそこまで事業団事業のやりくりについて注意をいたしておりません。今後できるだけそういうことがないように監督を徹底してまいりたい。ただ使います金が全部一般会計からの政府出資なりあるいは財投の金でございますので、そういった面からできるだけ収支の状況等ははっきりさせる必要がございますので、ある程度役所的な手続はやむを得ないのではなかろうか、その点はひとつ御了承をいただきたいというふうに思います。
  30. 沢田政治

    沢田委員 曲りなりにも八千万円の金を出して事業団事業をやっておるわけであります。けれども、この八千万円というのは先ほど申し上げましたように、一私企業が、たとえば内の岱を発掘し、発見するために七億、三菱の古遠部は十七億の金をかけておる。さらに日鉱の釈迦内、同和の松峯というように、一つ鉱床発見するのに八千万円という単位ではないわけです。そういう面から見た場合に、自主探鉱という名前を聞くと政府がいい政策をやっておるように聞くけれども、八千万円という額を見たらば政策になっておらないわけです。そういうことで、EEC諸国の鉱業に対する助成策という点を、早稻田先生始関先生、わが党の方も行って報告しておりますけれども、日本政策というものは非常におくれておるわけです。たった八千万円で自主探鉱自主探鉱といっても、八千万円というのは六〇%ですね。あとは地方自治体、それから鉱業権者からとっておるわけですね。ほんとう意味自主探鉱という政策の名前に値しないと思う。実態は名前の値打ちがないわけですね。この点に対して、いまの八千万円くらいでほんとう鉱業政策というものであるかどうか、これで満ち足りるのかどうか、これをさらに拡大していくという方向に大臣が考えているかどうか、大臣からお伺いしたいと思うのです。
  31. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 お説のとおり、まだまだこの程度で十分だと思っておるわけではございません。もちろんもっともっとふやしていきたい、こういう強い熱意を持っておるわけでございます。
  32. 沢田政治

    沢田委員 さっきの答弁では明確ではないので、もう一ぺん地質のことについてお伺いしたいわけですけれども、たとえばいま北鹿地区をやっておる、次にはどこをやるか。たとえば北鹿地区ばかりやると、特定の会社の鉱業権のあるところだけ掘っているような感じをいまのところは受けるわけですね。そういうことで、どうも政府のやっておることは経営者的じゃないかという声を聞くわけで、一応鉱山局としてあるいは地質調査所のほうとしては、次にはどこを地質構造の精密調査をやる予定であるか、その点をお伺いしたい。
  33. 加藤悌次

    加藤政府委員 ただいま先生の御指摘のとおり、特定の地域に集中して事業をやるということは、確かに全国的な公平の面から見ましてどうかという気がするわけでございますが、一方この事業はできるだけ重点的、効率的にやる必要があるということでございまして、そういう面から、実は本年度の予算事業規模一億三千三百万円というのは、先ほども御指摘のように、必ずしも十分でないわけでございまして、私ども現在の感じといたしましては、さらに来年度、その近辺におきましてもう一回やってみたいという気持ちでおるわけでございまして、その次に他の地域を考えたらどうか。  それから公平の面の問題でありますが、ただいま御指摘のように、国が全体の六割を出しまして、あとの四割の二割を関係の都道府県、それから残りの二割を関係の鉱業権者が負担金というかっこうで負担するわけでございますので、そういった面から、これを全部国の経費でやるということになると、公平の面からいろいろ問題があると思いますが、一応そういう関係者が金を出し合って事業をやるということにもなっておりますことを御了解いただきたいと思います。
  34. 沢田政治

    沢田委員 地質調査所のほうで、秋田県にボーリングをおろして調査をやっておるわけです。正確には鹿角郡十和田町大字腰廻というところでやっておるわけです。このボーリングの結果がどうなっておるのかお伺いしたいわけです。並びに大館においても、大館市の東に位置したところにも一本やっておるわけです。その結果をお伺いしたいのです。
  35. 斎藤正次

    斎藤説明員 昨年度、いま御指摘の北秋田地区に二本ボーリングをやりました。大館に約千メートル、それから十和田南の東のほうに約五百メートル、ボーリングを二本やりました。なおこの地域の調査ボーリングのほかに、川の地質調査、それから物理探査、それから化学的方法を使う探査方法、たとえば川の水の中に鉱石が溶け込んでいて、その濃度の高いところは鉱石があるだろう、早い話がそういうような種類の、私たち地化学探査と申しておりますが、そういうような鉱床探査するあらゆる方法を総合した調査をやっておるわけでございます。そしてそういう調査ボーリングの結果もそれに加えまして大体秋田地域の、何分にも広さが十里四方くらいのところでございまして、一年間で全部それをやることができませんので、東半分を終わりまして、その範囲内でいろいろな大まかな地質構造並びにさっき申しました黒鉱鉱床のある地層の深さというようなものを大体きめることができました。その大まかな構造に基づいて現在探鉱事業団のほうと相談をいたしまして、今年度探鉱事業団が実施する地域をほぼ決定しております。さっき先生から、業界が非常にたくさんの探鉱費を出しているんじゃないかというような御指摘がございましたが、そういうことを何か効果的に少しでもロスのないようにしたい、こう思っておりまして、まあ初年度のことでございますから必ずしも十分とは申せませんけれども、所期の目的に達しつつある、こういうふうに御報告申したいと思っております。
  36. 沢田政治

    沢田委員 北鹿地区の内の岱、古遠部、相内、釈迦内、同和の松峯、三菱の槙峰、あの地帯鉱床が非常に近接しているわけです。境がないほど、入り込んでいるほど非常に密接しているわけです。したがって、私はこの点に関して矛盾を感ずるわけでありますけれども、非常に近接した地区で鉱業権が違うために、十億、十五億という金をつぎ込んでそれぞれ掘さくをして立て坑をつくり、選鉱をすることは、自由競争の経済であるかもしれぬけれども、明らかに経費の浪費であるわけです。これが共同してやるならば、立て坑なんかおろす必要はない。坑道を切ってやればいいわけです。この点に対して、行政上の観点からいって矛盾を感じているかどうか。こういうことは完全にむだな浪費です。それをなくすような指導をどうしてするか、この点についてどう考えますか。
  37. 加藤悌次

    加藤政府委員 ただいまの点につきましては、先ほど御質問ございました昭和三十七年度の当委員会における附帯決議でも御指摘をいただいている点でございまして、最近の秋田北鹿地帯のああいう状況を見ますと、やはりできるだけ合理的経済的に地下資源開発するということは、国の鉱業政策としても当然でございまして、そういう点を主眼に考えておるわけでございます。今後そういうむだのないようにだんだん仕向けていく必要があるというふうに考えるのでありますが、この点につきましては、私どもの鉱業課が中心になりましてできるだけ共同態勢でこの開発を進めていくような、指導と申しますと口はばったいようでございますが、いろいろ御相談を申し上げておるわけでございます。私も昨年の秋現地を拝見いたしまして、そういった感じを非常に強くいたしておるわけです。その当時も探鉱のやり方について相当お互いに情報を交換し合うと申しますか、これによってむだなボーリングも避けられるのじゃないかということで、そういう質問もいたしてみたのでありますが、すでに当時から探鉱の面につきましてはお互いに情報交換いたしまして、むだなボーリングはしなくても済むというふうな心がまえで関係の鉱業権者はおやりになっておるということでございまして、非常にうれしく感じたわけでございます。いよいよこれが本格的開発ということになりますと御指摘の立て坑をおろしたり、あるいは地上の選鉱、製錬あるいは福利厚生施設、こういったものも必要でございますので、こういったものも、共同でできるものはそういう方向でおやりになっていただいたらどうだろうかということで、この点につきましては、業界自体としても全く同じようなお考えをお持ちでございまして、逐次そういった方向への話し合いが進んでおるというふうに聞いているわけでございます。
  38. 沢田政治

    沢田委員 硅鉱、黄鉱、黒鉱という銅を主体にした鉱石はいろいろあるわけでありますけれども、特に黒鉱の中には非常に含有鉱物が多いわけです。たとえば金、銀、銅、鉛、亜鉛、硫化というように非常に含有鉱物が多いわけです。したがって、単純黄銅鉱のように非常に簡単にとれないわけです。たとえば選鉱段階でも、選鉱の実収率も悪いわけです。銅をとると何かを捨てざるを得ない。化学処理の場合もこういうように非常に複雑なわけです。したがって、やはりせっかく国費探鉱してやって鉱石を掘り上げた、それが化学的な処理がまずいために、多くの経費をかけたところの鉱石を流しちゃう、こういうことになると非常に不経済だと思うわけです。したがって、これを実収率を非常に高めるために、一つ研究機関をつくるとか、そういうものを政府がやる気があるのかどうか、やる考えがあるのかどうか。私はやるべきだと思うわけです。これは私の主張しておるのは、決して一私企業を援助するという意味ではありません。せっかく国費をかけて探鉱してとった鉱石を全部回収しないで投げるということは不経済だと思うので、この研究機関を国費でやるとか、そういうような考え方がありますか。
  39. 加藤悌次

    加藤政府委員 先生指摘黒鉱鉱床の処理につきましては、まだ技術的に完成したものがないように私承っております。今後極力重点的に考えなければいけない。黒鉱開発につきまして、やはりそういった面の研究が非常に重要なことではなかろうかと存ずるわけでございまして、民間の共同研究的な方向での研究体制を考えることもあるいは必要ではないか。また、国の試験研究機関でこれを取り上げて、民間と共同してさらに積極的に進めていくことも必要ではなかろうかという実は感じがいたしておるわけであります。そういった点についてさっそくよく検討いたしたいというふうに存ずるわけであります。
  40. 沢田政治

    沢田委員 日本の場合は、国内の鉱石だけでは需要を満たし切れないわけです。それで海外で原鉱石開発したり、あるいは買い付けたりして海外から入れているわけでありますが、私の聞くところによりますと、ちょうど二年ほど前だったと思います。ボリビアで、会社の名前を明確にするのは当たりさわりがありますから伏せますが、某社と某社が非常に鉱石を買いあさった。たとえばチャクァリアですか、あそこで買いあさった。その結果、アメリカの労働者——業者ではなくてアメリカの労働組合は、日本が非常に鉱石を不当に高く買いあさっておるので、鉱石の値段をつり上げて、正当な経済秩序を守っておらぬ、こういうことでアメリカの国会に対して運動を起こそう、こういうようなことをアメリカの製錬所の機関紙で見たことがあるわけです。したがって、こういうように、一業者が全く無競争に買いあさって値段をつり上げるということが妥当かどうか、それを規制するような考え方がないかどうか、それをお聞きしたい。
  41. 加藤悌次

    加藤政府委員 ただいま先生指摘のように、銅はもちろんでございますが、鉛、亜鉛につきましても、今後海外鉱石に依存する度合いがだんだんふえていくわけでございまして、これを量的に確保することももちろん必要でございますが、やはり国際的な見地から値段を考えなければいけませんので、できるだけ合理的な有利な値段で買い付けを進めるということは絶対に必要だと思います。一、二先生指摘のような事例があったことを私自身も聞いておるわけであります。こういうことがあってはならないということで、いまのスポット的な買い付けについては、一応そういうことが出るのはやむを得ないかもしれませんが、今後はやはりこちらで資金、資材を持って、場合によれば出資等もいたしまして、いわゆる開発投資を進めるということで、この鉱物資源の確保をはかる。しかもこれはできるだけ業界の共同態勢で進めるという方向で進めるべきではなかろうかというふうに存ずるわけであります。一昨年できました海外鉱物資源開発株式会社というのもその一つのあらわれでありまして、そのほか各社がやる場合にも、そういった共同態勢で進めていくように、私どもとしても十分に指導を今後ともいたしてまいりたい。また場合によっては、鉱石の買い付けにつきまして輸出入取引法に基づきますところの輸入協定なりあるいは輸入組合といったような方向での検討もいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  42. 沢田政治

    沢田委員 時間が十一時五十分までと指定されておりますので、地質の原則的なこととか技術的なことで私の質問は終わるわけでありますけれども、まだ重要なほんとうの中身の質問は全部残っておりますので、次の機会に譲ることにして、きょうはこれで終わります。
  43. 二階堂進

    二階堂委員長 始関伊平君。
  44. 始関伊平

    始関委員 大臣に二、三の点をお尋ね申し上げます。  第一点は、いまの日本では民間の業者に鉱業権を認めて、地下資源開発を民間の業者にやらす、こういう建前でございますね。そこで、地質調査所にやらすような一般的な調査は別といたしまして、資源開発を担当するものが調査探鉱を一貫してやるべきであるという考え方一つあると思うのです。明治以来、財閥会社を中心として鉱山業者というものはそういうことで大体任務を果たしてきたと思うのですが、しかしこの数年来と申しますか、鉱山会社の一部に調査探鉱の国営論といいますか、私企業でやるたてまえを前提としながら調査探鉱だけは国営でやれという議論が非常に根強くございまして、現実の政策の動きがそれに近づきつつあるような感がいたすのでございますが、大臣に伺いたい第一点は、どうしてこういうふうに考え方が変わってきたのか、その背景の変化について何かお考えがあればその点と、それから要するに国の助成と申しますか、国の責任に属する分野と業者の責任に属する分野を、どこで限界を引くのが一番適当であるとお考えなのか。その点をちょっと伺います。
  45. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 鉱物資源というものは鉱工業生産において重要なファクターであることは御案内のとおりであります。その場合において、いままで鉱山等の経営を民間にゆだねてやってきておったのでありますが、どうも銅、鉛、亜鉛というような鉱物資源の価格が国際的に低落して——もっともこれは上がったり下がったりいたしますから、一定のバランスにあるわけで、下がり切っているというものでもありませんが、非常にバイブレーションが多いということがございまして、このために鉱山の経営は非常に困難になりつつあります。ところが一方においてはその鉱山の労働問題といいますか、いわゆるそういうようなところに従事しておる労働者等の問題も考慮しなければならないし、一方においてはまた国内においてある程度の銅、鉛、亜鉛というようなものの資源を確保しておくということは、いわゆる国内資源の愛用といいますか、これまた外貨の節約等の問題ともからんでおると思うのでありますが、そういうようなことも含めて、やはりある程度は助成をしてやらなればもう鉱山はなかなかやっていけないというようなことにもなりつつあるということが原因といいますか、そういうようなことでありますから、やはり国において何らかの助成措置といいますか、採鉱その他もやってみてはどうか、こういうことになってきておるのだと私は考えております。  なお、その場合において民間のいわゆる責任体制といいますか、鉱業権を持ってやっているのでありますから、自分だけでやればいいじゃないか、自由に自分の意思でやればいいんじゃないか、それを国でめんどうを見るというのならば、どこで線を引いて民間が責任を持ち、どこまでは国でやるかということになりますと、私はそういうふうな助成措置を講じていきますことは、日本の鉱工業を、特に鉱山関係を栄えさせるというか、うまく運営させていく上に必要であるとは思いますが、しかし何でもかんでもそういうものを国にたよられたのでは、これは国営でやるほうがずっといいということになる。そこで、この法律等にも出ておりますように、いい鉱床が見つかったこととか、そのこと自体によって利益が出たという場合には、これは当然民間にその分を負担させる、こういうようなことでこの法律もできておりますが、その間には、たとえば鉱物資源が非常に値が上がったというようなことで、今後民間の企業がどんどんもうかるというのに、むやみに国がそういうような援助をしなければならないということは、これは私は問題があると思う。ただ、先ほども申し上げたように、この鉱物資源、銅、鉛、亜鉛というものは国際価格の変動が非常にきびしいのですから、一年か二年少しぐあいがいいからといって、その政策を打ち切ってしまうのがいいかどうか、これは私は考えなければいかぬと思いますが、長い目で見ればそういうことを考慮することも必要でありましょうし、もちろん鉱山業者にやらせて、鉱山がもうかったときに特別に積み立てておくというわけにもいかぬでしょう。あるいはやり方はあるでありましょうけれども、損したときに、経営が困難なときだけこういうふうにやって、経営がよくなったらすぐ打ち切ってしまう、こういうふうにもいかぬとは思いますが、ある程度の期間、やはりこういうやり方で鉱山経営を助成してやるということは私は必要ではないかと考えておるわけであります。
  46. 始関伊平

    始関委員 国の責任に属する分野と、それから民間の責任に属する分野とは必ずしも明確ではないけれども、しかし実情から見て助成が必要だというお話だと了解いたしました。  そこで、私も今度の程度の地質構造調査と申しますか、自主探鉱というものをこの事業団がやるということについては賛成をいたしておるのでございますが、ただこの事業団事業としては、金を貸すことと、それから今度の自主探鉱と、二つの仕事があるわけですね。先ほど同僚議員からも予算の出し方があまりけちくさいじゃないかというお話がありましたが、これは法律の書き方を問題にすれば、鉱山局長にお尋ねしたほうがいいと思うのですけれども、第一条の目的、それから第十八条の業務範囲というようなところを読んでいきますと、どうもやはり金を貸すほうが主であって、いわゆる自主探鉱地質構造調査というものは従たる事業だということは否定できないと思うのですが、法律論でなしに、今後の事業の進め方として、事業団事業の中でいわゆる自主探鉱地質構造調査にどの程度のウエートを置いて今後運営されていかれるおつもりなのか、その点をお聞かせ願いたいと思います。
  47. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 私は、先ほど申し上げたような実情等から見ますと、これはこの自主探鉱をもう少し積極的にやらしてみたいというのが私の考えでございまして、金を貸し付けるということも一つの補助政策ではありますが、やはり国がもう少し積極的に国の資源を活用するというたてまえもここに十分入ってくるわけでありますから、特に海外から、いろいろ鉱物を買いますというようなこともございますが、これはできるだけ国でいい鉱床が見つかってそして有利な鉱物がどんどん出てくることは、私はこれは非常に国のためにもなると思いますから、今後はむしろだんだんと自主探鉱のほうへウエートを移してまいりたい。両方相待って——いまのところは、いまおっしゃるように非常にびっこになっておりますから、順次車の両輪のような形でこの事業団の運営をいたしてまいりたい、かように考えております。
  48. 始関伊平

    始関委員 私の最初の質問に対して、大臣は、いま金属鉱山はもうかっておる、しかし、しょっちゅうもうかるというわけにはいかぬというようなお話でございましたが、その点に関連いたしまして、実はこれは三十七年の本会議決議の中にいろいろなことがございまして「財政上、金融上及び税制上の優遇措置を講ずる」という決議条項があるわけでございますが、そこで、これはかりに金属鉱山がもうかっておるといたしましても、みんな税金に持っていかれたんでは困るわけでございますね。そこで利益を留保いたしまして、将来探鉱なら探鉱に充てる、それに対して税法上の優遇をするという制度が長い間の懸案でございます。これは海外市場調査とか、いろいろな貿易とか、中小企業のほうについては利益を留保するという制度がだんだん出てきておるわけでありますが、こういう点、調子のいいときに、こういうきわめて危険率の高い、しかも事業の経営についても常に起伏があると申しますか、そういうものについては、外国でやっておりますが、減耗控除とか鉱床補てん準備金とか、そういったものをやる必要があるだろうということを前々から感じておりますが、通産省としては今後これを推進するお考えがあるかどうか。
  49. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 お説のとおり、いままだいわゆる企業としてもうかっておるところまでいかないが、どうやらこうやらやれる程度までやってきたというのが実情だと思います。前に損をしておりますから、その損の穴埋めをするのにいま困っておる。その穴埋めはどの程度にできるかということであると思うのであります。いずれにしても、もうかってきたというような事態がくる場合は、もちろんいま仰せになったような鉱床補てん準備金制度ですか、これは海外にもいろいろあるようでありますから、われわれとしても十分研究いたして実現をはかりたいと思っておるわけでございます。
  50. 始関伊平

    始関委員 先ほど同僚議員から地質がありましたが、地質調査所は通産省——もとの商工省関係の試験研究機関としては非常に古いもので、地下資源開発あるいは水の利用その他いろいろな方面に非常な寄与をして今日に至っておると思うのでありますが、最近地質調査所がどうも通産省の中では非常におりにくい、どこかよその役所に移ったほうがいいんじゃないかというような動きがあるようでございます。また、実はきのう院長に伺ったのですけれども、いまおる場所も溝ノロで、十二、三年前に私は行ってみまして、ひどいところだなあという感じを持ったのですが、いぜんいまもそこにおるということですが、こういう点に対して大臣どうお考えになっておりますか。
  51. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 私は、地質調査所といわず、すべての研究機関に対する熱意、施設といいますか、政策がまだ十分でないと思っております。したがって今後ひとつ大いにそういう面でも改善、改良を加え、積極的に処遇をいたしてまいりたいと思いますが、御案内のように、いま各役所に付属しておる全部の研究所を茨城県に移すというような計画も一部進められておる段階で、まだいろいろの隘路はあるようでございますが、そういうこともございます。いずれにいたしましても、もっとこういう研究機関には私は力を入れるべきである、こう存じております。
  52. 始関伊平

    始関委員 先ほど同僚議員から探鉱事業団融資額の総額の問題と、それから金利の引き下げの問題とについてお話がございましたが、これはずっと昔から通産省でやっております中小鉱山に対する探鉱助成ですね、これのワクをふやすという問題があるかと思いますが、実は三億くらいであるようでございます。ただ、それよりも問題は、一メートル当たり幾らという補助単価が実情に合わぬので、これを引き上げてもらいたいという要請があるわけでございますが、これに対して大臣……。
  53. 加藤悌次

    加藤政府委員 先ほども沢田先生の御質問にお答え申し上げましたように、本年度の予算は三十八年と同額の三億でございまして、私自身としては実は不満な数字であるわけです。特に最近の一般の物価の上昇、特に賃金等の上昇から見まして、現在の単価がはたして十分であるかどうか、聞いてみますと、全体の半額を補助するというたてまえにはなっておるわけでございますが、そういった面の査定等もございまして、実質的には三分の一程度しか出ないという例も間々あるように聞いておるわけであります。そういった面から、できるだけ単価を現実に近いようなものに引き上げる必要があるという気がいたすわけであります。今後そういった方向での努力をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  54. 始関伊平

    始関委員 大臣にもう一点だけお尋ねいたしますが、先ほど引用いたしました三十七年の本会議決議の中で一番むずかしい問題は、「国際相場の変動に対処するため、価格の安定対策を早急に確立すること。」という条項があるわけでございます。金属鉱山に関する政策は不十分な点はございましても、項目としてはおおむね実現を見ておるわけでございますが、業界のいう、また衆議院の本会議で一応議決いたしました需給安定機関という構想はいろいろむずかしい点もございますし、昨年十二月の予算編成の際におきましても日の目を見なかったわけでございますが、こういったような機関をつくることの可否、あるいはもしそれが適当でないとすればそれにかわる政策と申しますか、そういったような点につきまして大臣の御所見を伺いたいと存じます。
  55. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 私は先ほども申し上げましたように、銅、鉛、亜鉛というのは非常に価格が変動いたしますから、この種のいま仰せになったような価格変動に備えて何か買い取り機関のようなものをつくり、一方において海外から輸入するものについても非常に安い時期に輸入しておいたら、うんと私は国としてはもうかるんじゃないかというような考え方から、予算編成のときにもそういう種類のものを何かつくりたいと思って努力をいたしたのでありますが、今度は実現を見ませんでしたが、今後また大いに努力をいたしたいと思っておるところであります。
  56. 始関伊平

    始関委員 大臣、だいぶお急ぎのようでありますから、これだけでやめますが、国内の探鉱を促進するということには政府はいろいろ努力をしておるわけですね。これは鉱業の体質改善という上から申しましても非常に大事だということなんですが、こまかい議論じゃなしに達観的に見まして、国内での探鉱を促進してどの程度の効果が期待できるとお考えなのか、またこれに関連いたしまして、海外資源調査開発を進めなければいかぬと思いますが、両方にどの程度の比重を置きながら今後お進めになるつもりなのか、その点を簡単でけっこうでございますから……。
  57. 福田一

    ○福田(一)国務大臣 簡単に言えとおっしゃれば、両方ともやらねばいかぬと思っておるわけであります。が、国内の場合の面では、やはり国の資源を利用するということでありますれば、それだけに資源が安定して供給できるという面が、非常に私はウエートがあると思います。同時にまた外貨の節約という意味において効果がある。一方において、労務者その他の失業を防ぐことができるという意味においてまた価値がある。一方、しかしそうは言っても、国内に十分それがまかなえるか、今後どんどんまだまだ鉱工業は成長していきますから、まだまだ相当量が必要になる、国内でまかなえる見通しがあるかということになると、私は今後も海外に依存する面が相当あると思います。そうなれば、どうしてもいまから海外に対して投資をし、あるいは協力をする等の方法によって海外から鉱物を、安定してしかも低廉で入手ができるような方途を講ずるということも非常に大事だと考えておる次第でございます。
  58. 二階堂進

    二階堂委員長 次会は、来たる七日火曜日午前十時より理事会、理事会散会後委員会を開会することにし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時十一分散会